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第19回高齢者の保健事業あり方検討ワーキンググループ
日時
令和7年9月3日(水)13:00~15:00
場所
オンライン開催
議題
(1)高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について
(2)その他
(2)その他
議事
○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第19回「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご参加いただきまして誠にありがとうございます。会議中、ご発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、ご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。はじめに、構成員の変更がありましたので事務局よりご紹介申し上げます。高島浩規構成員がご退任になり、岐阜県後期高齢者医療広域連合 林照男構成員にご就任いただいております。遠藤安弘構成員がご退任になり、後任の構成員は構成市町村が決定後にご推薦いただけることとなっておりますので、本日はご欠席の連絡をいただいております。本日の出席状況でございますが、田中構成員、西村構成員はご欠席のご連絡をいただいております。また、事務局の体制が変更になっておりますので、ご紹介いたします。本年7月に厚生労働者保健局高齢者医療課長に日野が着任しております。公務の都合により遅れて参加いたしますので、後ほどご挨拶申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。一体的実施調整官の石部でございます。地域包括ケア推進官の大屋でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。事前にお送りしておりますとおり、議事次第のほか、資料1_高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況、参考資料1_津下構成員ご提出資料、構成員一覧、でございます。不足等ございます場合は、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。なお本会議は「公開」とさせていただき、会議終了後、録画映像をYouTube厚生労働省動画チャンネルに投稿する形で公開いたします。公開期間は、会議翌日から当省HPに議事録が掲載されるまでの期間となりますのでご了承いただきますようお願いいたします。また本日の資料は、当省ホームページに掲載済みでございます。それでは、ここからの進行は、津下座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○津下座長 座長を務めます女子栄養大学の津下と申します。このワーキングの座長を長く務めさせていただいておりまして、また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日の議題は、1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について、2.その他 の2点でございます。まず議題の1つ目、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について、ということで資料が多くなっておりますので、二つに分けてご意見をいただきたいと思っております。資料1の前半部分29ページまでとなります。事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 事務局の石部でございます。それでは資料説明させていただきます。
(スライド3)令和2年4月から開始された一体的実施の取組ですけれども、令和6年度において離島を除くほぼ全ての市町村において展開いただいている状況となっています。今年度については、実施市町村での取組量の増加と質の向上を目指しているところでございます。
(スライド4)令和7年度以降の一体的実施の取組における高齢者保健事業について、令和11年度までの事業予定を広域連合などの所属取組区分別にまとめているものでございます。現在については、フェーズ2の段階でありまして、「量の拡大、質の向上を目指して好事例を展開する」としているところでございます。
(スライド5)こちらのスライドは一体的実施における主な取組と実施市町村数をハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチについてまとめているものになります。上段がハイリスクアプローチでございます。健康状態不明者対策に取り組む市町村数が最も多い状況となっているところでございます。下段についてはポピュレーションアプローチで、「フレイル予防の普及啓発活動や、運動、栄養、口腔等のフレイル予防などの健康教育、健康相談」の実施が、市町村数として最も多くなっているところでございます。
(スライド6)特別調整交付金の通知内のQ&Aにおいて、一体的実施の取組量の増加と質の向上について取組の例示を記載しております。内容としては、取組の圏域数の増加、取組区分数の増加、データヘルス計画に基づく標準化の推進、PDCAサイクルに沿った保健事業の推進を挙げております。これまで掲げていた「未実施市町村において一体的実施を開始する」という目標と比較すると多様な観点がございますので、一体的実施の方向性について、地域の関係の方々や関係団体の方々と共有いただくことが必要であると考えているところでございます。次のスライドお願いします。
(スライド7)こちらについては、高齢者の保健事業ガイドライン第3版でご提示している評価指標でございます。一体的実施のハイリスクアプローチの質と量の向上の観点で指標としてご活用いただける仕様となっていますので、こちらのほうご活用いただければと思っているところでございます。
(スライド8)広域連合別の日常生活圏域別のカバー率となっているところでございます。日常生活圏域の考え方については介護保険の考え方と原則揃える、としているところでございますけれども、複数圏域を1圏域として取り扱う方が地域の実情に即した事業が実施できると判断していただいた場合については、圏域をとりまとめることも可能としているところでございます。とりまとめの考え方の有無といったところが算出には少し影響が出ているところでございます。
(スライド9)広域連合別に、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを合わせた平均実施事業数となっているところでございます。秋田、富山、鹿児島については平均8事業を越えているような状況となっております。
(スライド10)データヘルス計画の標準化としまして、令和8年度の保険者インセンティブにおいて、「データヘルス計画で用いる共通評価指標のハイリスク者の抽出基準を活用すること」を内容に追加しております。
(スライド11)こちらのスライドがデータヘルス計画で用いている保健事業の対象者の抽出基準でございます。こちらの基準については、厚生労働科学研究において、研究班の先生方にご検討・提案いただいた抽出条件となっているところでございます。健診、質問票、介護レセプトを活用した状況での抽出基準となっているところでございます。抽出条件の詳細については本日スライドにお示ししているとおりでございます。
(スライド12)抽出条件で活用している後期高齢者の質問票でございます。
(スライド13)こちらが令和6年度および令和7年度の一体的実施実施計画書を集計したものでございます。ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況について、取組区分別で集計したものでございます。令和7年度においては、全ての取組区分でツールの抽出基準を活用いただいているところが増加しているような状況となっているところでございます。
(スライド14)令和6年度の一体的実施計画書を集計したものでございます。一体的実施の開始年度別にハイリスクアプローチの対象取組区分別で、ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況を集計したものとなっているところでございます。いずれの取組区分におきましても半数以上の市町村で抽出基準のツールが活用されているような状況となっているところでございます。
(スライド15)こちらのスライドが、重症化予防、健康状態不明者の取組でございます。重症化予防(糖尿病性腎症)の抽出基準については、どの開始年度におきましても同じような割合を示しているところでございます。
(スライド16)ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況について令和6年度の一体的実施の実施計画書を広域連合別に集計したものなります。こちらについても取組区分別に集計をしているものとなっているところでございます。都道府県によって構成市町村数が異なっておりますので、比率での算出となっているところでございます。こちらのグラフについては低栄養の取組となっております。こちらからそれぞれの区分のご紹介をさせていただきます。
(スライド17)口腔の取組となります。
(スライド18)服薬の取組でございます。
(スライド19)身体的フレイルの取組でございます。
(スライド20)重症化予防の糖尿病に関する取組でございます。
(スライド21)その他の生活習慣病の重症化予防の取組でございます。
(スライド22)健康状態不明者の取組でございます。
(スライド23-24)ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準でオリジナル基準と記載いただいているところの例をお示ししているものでございます。こちらについては参考としてご提示をしているものでございますので、推奨事例ではないことについてご留意をお願いできればと思うところでございます。
(スライド25)こちらのスライドについては重症化予防ワーキンググループの資料の抜粋となっているところでございます。後期高齢者における保健事業の高齢者の糖尿病の血糖コントロール目標や考え方については、研究班の先生方にご検討いただいているものでございます。一体的実施のKDB活用支援ツールにおいてもこちらの重症化予防の取組について取り組んでいただきたいということをお伝えしているところでございます。保健事業ガイドラインについてもその旨を記載していただいているところでございます。
(スライド26)こちらのスライドにつきましては、今年度実施している事業のご紹介となります。保健事業の標準化につきましては、国保、後期高齢者の保健事業ともデータヘルス計画を策定して進めているところでございます。本事業については、国保の保健事業、後期高齢者の保健事業において、標準化の重要成功要因を分析することを目的として実施しているものでございます。現在、この調査票は検討をしている段階となっております。
(スライド27)一体的実施実施状況調査につきましては、今年度も実施を予定しているところでございます。調査項目の設定については、一体的実施の効果を上げるための工夫やポイントの把握を中心として予定しているところでございます。なお今年度については、調査事業を複数予定しておりますので、調査項目の重複がないよう項目の見直しをしているところでございます。
(スライド28)調査項目と設問内容の案でございます。主に赤字のところは昨年度より変更した部分、その他の項目については基本的には継続した調査となっているところでございます。調査票の項目の見直し事項につきましては下段のほうに記載しているところでございます。こちら28枚目につきましては広域連合票でございます。
(スライド29)都道府県票、市町村票でございます。
事務局のほうの説明は以上とさせていただきます。参考資料1につきましては、厚生労働科学研究の代表でもいらっしゃいます津下座長のほうからご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○津下座長 今、事務局のほうから進捗状況のお話がありましたけれども、国においては国保中央会と一緒に支援者研修会を行っておりまして、これからの質と量の増加を図るために広域連合さん等に知っていただきたいことについて、この7月に研修会を行っております。その中で研究班からご紹介した事業評価の活用という資料について、かいつまんでお話をさせていただきます。一体的実施事業についてはようやく全国に広がってきたんですけれども、抽出基準や評価方法などまだバラバラの状況も見受けられますので、このような形で研修しているということをご紹介させていただきたいと思います。
2-3ページはPDCAサイクルを回していくことの必要性、特に公的財源を用いる当保健事業においては、事業の効果評価というのが重要です。先ほどの図の中でも令和9年度から、包括的な効果評価もしなければいけないということになっておりますし、市町村や広域連合の事業の質の向上のために必要だということを最初に押さえております。
4ページ目が、これは高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第3版で、本事業の目的として自立した生活が送れる高齢者の増加の為に、フレイルの予防、そのための生活習慣病重症化予防や心身機能、老年症候群の予防というものを包括的に一体的に行っていくというのを目的にしているという説明でございます。
そしてその方法として5ページにありますように、ハイリスクアプローチとして対象者を抽出して行う方法と、ポピュレーションアプローチとして元気高齢者も含めて、そしてハイリスクまではいかない比較的ローリスクと言いますか少し機能低下した方も含めて、住民全体として取組むポピュレーションアプローチを連動させることにより、自立した生活を送れる健康寿命延伸ということを図っている、これを目標として行っている事業ということを確認しているところでございます。
6ページお願いします。その際に市町村においてはPDCAサイクルを回していくということが求められており、健康課題の明確化・目標の設定・保健事業の実施そして評価、これを適切に行うこと、そして毎年改善につなげていくというようなサイクルが必要ということをお示しした上で、7ページです。
研究班の方でしてきたこととしては、できるだけ標準的な抽出ができることや事業評価が円滑にできるようにツールの作成をしたり、それから計画書・実績報告書を用いた効果検証により、その中で皆さんにお伝えしたいことについてまとめております。
8ページ・9ページは参考資料でありまして、抽出条件、そして9ページについてはツールにおいて課題分析、それから絞り込み、そして対象者の選定、保健事業の実施評価に至るプロセスを、ツールを活用しながら実施できるようなものを作成しております。
10ページについては例示ですが、1~10の健康課題があるわけですけれども、それらの重複状況がどうなのかというのを見たのが左の図。そして右の図は対象者抽出の中で更に絞り込んだ条件を設定するとどのようになるのか、というような対象者選定についても数字が出て対象者がリストアップできるような形で提示しているところでございます。
11ページをご覧ください。このようなツールについては、徐々に利用が進んできていて、健康状態不明者においてはかなりの利用率が高いと。それに対して重症化予防・糖尿病においては国保等からの連続した基準というのを使っている自治体もまだあるということで、高齢者の特性に踏まえてHbA1cだけではなく、質問票フレイルの状態も勘案した保健事業が必要なんだということをお伝えしているところになります。
12ページにつきましては、この事業の全体の建付けとして、分析から事業実施・評価までの流れを示したものになります。
13ページにつきましては、2広域のデータを用いて実際に事業評価をしてみたという、研究班のモデル的な事業評価についてお示ししたところになります。
14-15ページにつきましては、マクロ的な評価ですけれども、質問票を実施した人の中で低栄養該当・口腔該当・服薬該当の対象者が、令和2年3年4年とどのように推移してきたのかということを質問票結果の登録者を分母として示したものであります。
15ページのほうは、例えばこの健康状態不明者とか多剤は加入者全体を分母として算出しておりまして、このような見方をすると、マクロ的に対象者がどうなっているかという状況がわかります。
16ページにつきましては、これは構成員でもあります田中先生に、低栄養についての事業のハイリスクアプローチの評価として、実施した人と事業に参加しなかった基準該当の人でその後のフォローでどうなったかというような検証をしていただいています。
17ページは、平田構成員のご報告ですけれども、服薬の多剤の人たちの割合それから他の事業、例えば身体的フレイルとか慢性疾患やフレイルを持つ人においては、単独よりは該当率が高いということで、それぞれの事業を単独でするという考え方だけではなく、複合的な視点をもって取り組むことの必要性について示したものになります。
18ページにつきましては、質問票の回答が悪いほうが2年後の要介護認定につながるとか、19ページにつきましては、社会的なフレイル、ここにありますように「週一回以上の外出」それから「友人との付き合い」「身近に相談できる人がいる」の項目と、身体的フレイルのロコモ含むということが合わさった場合に、より要介護リスクが上がるというようなことを示しています。
また、20-21ページにありますように重症化予防につきましては、フレイルの状態がない人と比べると、フレイルと合併した糖尿病高血圧という方のリスクが上がることや、それから健康状態不明者においてそうではない人よりも要介護リスクが高いというようなことを示しています。
23ページにおいては、この事業の評価としてポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチの評価について実績報告書を用いて行っていて、次の24ページ、その中でハイリスクアプローチの個別事業が単独で個別で行われているものの報告もあれば、有機的に組み合わせて行っているもの、また、ハイリスクアプローチが終了した後、地域の社会参加につなげているという例やポピュレーションアプローチ、通いの場でハイリスク者を抽出してハイリスクアプローチにつないでいる、というような連携した取組をやっているところなど、実績報告書の中でかなり質の高い取組なども報告されているようになりました。このような事例について十分に周知していくことが重要と思っております。
また25ページですが、これは令和2年と3年で身体的フレイルに該当した方々が翌年どうなのかというのを見たもので、2年連続という方は53.6%で46.4%は該当せずということで改善に向かっている一方で、前の年に該当しなかった方の中で12%の方は悪化して該当に入る、というような動きが見えております。該当率としては年々少し上がってくるというような傾向があるんですけれども、やはりこういう出入りを見ていくと、フレイル基準に該当しない方もポピュレーションアプローチとして啓発していくことの重要性、また、基準に該当した人にはそこから抜けていただくような取組の必要性などを感じるところになります。下の段の重症化予防については受診勧奨をすることによって確実に数を減らしていく、または健康状態不明者についても健診・受診なども進める、自治体との連携によってこの該当者を減らすことができるという形になるかと思っております。
このような傾向が見えているということでありまして26ページにありますように、今後さらに継続した生活を意識した支援を行うことが重要であって、いろいろな事業を総合的に考えていくことがこれから求められると思いますし、高齢者は複数のリスクを有しております。また状況は刻々変化するということがありますので、リスクの重複などに着目した支援ができるようにしてはどうか。またマンパワーの問題がかなり挙げられております。地域の職能団体や住民の主体的な活動も含めて、地域資源の活用ということがこの継続的な支援の鍵になるのではないかというふうに思います。また介入にあたっては、例えば、介入した人の状況をきちんと記録をつけて、継続的な事業評価につなげると。毎年毎年、健康状態不明者で上がってくる人たちにどうしたらいいんでしょうという声もあったりしますけれども、見守ることは重要ですがその人の状態等についてきちんと引き継いでいくということが大事だと思います。そして保険者の目に留まらないまま取り残される人がないように、この事業が無理なく行われるように、市町村広域連合では取組を工夫していただく必要があると考えられます。厚労省のホームページには様々な事例が掲載されておりまして、参考になるところを研究して進めていくことを推奨します、というような内容について研修会等で周知させていただいたところとなります。
○津下座長 ただいま議題1として高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況について、厚生労働省からのご紹介と、それから少し深掘りした観点で研究班また研修会での資料のご紹介をさせていただきました。構成員の先生方からご意見、ご質問等をいただければと思います。挙手をお願いします。まず池田構成員よろしくお願いいたします。
○池田構成員 ただいま津下先生からご紹介をいただきましたこの支援者研修会でございますけれども、7月に実施をさせていただいたところでございます。研修の実施にあたりましては、津下先生に大変ご尽力いただきまして本当にありがとうございます。またその内容につきましても、ただいま詳細にご説明をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。おそらくこの一体的実施は量的拡大が進んでいくと思いますので、今後、市町村がどのような戦略を持ってこの一体的取組を進めていくかという点につきまして、この研修会の開催によってなるべく取組事例の紹介等も含め、現場ニーズを踏まえた研修会を開催してまいりたいと思います。引き続き厚生労働省それから津下先生と連携させていただきまして進めてまいりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。そうしましたら吉村先生お願いいたします。
○吉村構成員 吉村です。ご発表ありがとうございました。大変詳細でしかも進捗もすごく進んでいて、大変心強くと言いますか素晴らしい進捗だと考えております。私としましてはまず一つ、重症化予防糖尿病のところを拝見いたしますと、この糖尿病の重症化予防についてもオリジナルの抽出基準を用いている自治体・健診団体がまだ多く、6割ぐらいであったかと思いますが、この場合先ほどのご発表では従来の診断基準HbA1c6.2を選んでいるところが多いと感じました。その場合将来的に重症化予防予防の観点から、高齢者に推奨される基準に移行していく方がいいのか、それともその過去のデータの蓄積という点や、現在のオリジナル基準が別に間違っているわけではないため、これを継続していくのか、どのように今後これらの基準の統合を進めていくのかという点について、将来的なお考えがあればお教えいただきたいと思います。
次に、津下先生、ご発表スライドありがとうございました。非常に素晴らしい進め方だと思っております。私、最初の時からこの高齢者の問診票を作っていた時から参加させていただいていると思うんですけれども、運動器疾患の中でも要介護1あるいは要支援の要介護度の軽度なものの段階で最も多い原因疾患が変形性膝関節症でございます。しかしながらこの最初の段階の問診票ではフレイルという点がすごく表に出ていて、痩せも重要ですけれども、変形性関節症などの原因の一つである肥満も重要だということで、その変形性膝関節症を含む肥満が影響する運動器の疾患が落ちてしまうということに、私は何回か危惧を覚えておりました。そのためにフレイル予防(ロコモ含む)という言葉が残ったというふうに記憶しております。今日の先生の資料を拝見しますと、最初の目的にフレイル予防を強調されており、このフレイルは本当の意味でのフレイルなのかなと、私は思ってしまいました。このワーキンググループでは、フレイル検診は「いわゆるフレイル検診」と言われていたと覚えております。なぜ“「いわゆる”」かと言うと、変形性膝関節症なども含む移動機能の低下も含む検診だからです。ところが、いつのまにかもうフレイルが一人歩きしてしまっているところに私は危惧を覚えます。というのは、フレイルは痩せの病気です。現在は、私たちの中では情報共有がなされていて、これはロコモも含むし移動機能の変形性膝関節症も含むんだ、肥満も関連しているんだという認識はあると思うのですが、これがどんどん市町村におりていってこの資料でフレイルがボーンって出てきますと、結局痩せ指導に偏ってしまうんじゃないかと心配しております。ですので、この資料の中では何回かフレイル、フレイルそのもの、それから身体的フレイルという言葉で「フレイル(ロコモ含む)」と、要するに何回か違う言葉が出てきて、ここで出てくるフレイルは本当の意味のフレイル(JCHS基準などの定義を満たしたフレイル)なのかな、「フレイル(ロコモ含む)」というときは移動機能も含んだいわゆるロコモ検診いわゆるフレイル検診の問診票を使うのかなと思ったりします。あとフレイルといっても、身体的フレイルだけしか説明していない部分もあります。その辺のこのフレイルに対する定義の使い分けをきちんとしていただけると、市町村のほうで混乱なく使えるんじゃないかと思っております。特に私が強調しておきたいのは、移動機能の低下が非常に重要でして、痩せというのは低栄養という言葉で一つ出ておりますので、本当のフレイルで痩せのケアに入るのは重要なんですけれども、そこで抜けてしまっている肥満による変形性膝関節症など要介護原因疾患のケアも高齢者の要介護の予防という観点からは必要だと思っておりますので、そのような疾患概念が漏れてしまうことのないようにお願いできればと思っております。以上です。
○津下座長 ありがとうございました。まず厚生労働省さん、そして私からコメントさせていただきます。
○事務局 吉村構成員ありがとうございます。まず糖尿病の重症化予防の将来的な考え方のところですけれども、基準については高齢者の抽出条件として考えているところの基準を分析に使っていただけるような方針で進めていければと思うところでございます。事業としてそれぞれの取組、統一した形で進めさせていただいて、比較や評価ができればと思っているところでございます。フレイルの考え方については、津下座長から補足いただけますでしょうか。
○津下座長 吉村先生、いつもありがとうございます。また、資料の記述がちょっと先生にご不安を感じさせる表記になっておりまして大変失礼いたしております。まず、重症化予防についてなのですけれども、後期高齢者の重症化予防においては、長期的な細小血管症の発症リスクというよりもむしろ、脱水とか感染症重症化とかそういうことに着目した方がいいだろうということと、それからフレイルと合併している糖尿病の方は要介護リスクが高く、質問票の移動機能とか低栄養とかいろんなことを合併しているということがあります。HbA1cが6.5%以上だから健診の時に注意を促す話と、わざわざ抽出をして介入することの違いを理解していただくとよいと思います。健診の場で “血糖が少し高めだけど、このぐらいだったらお薬いらないよ”って言われている人に、わざわざマンパワーの足りない医療職が出向いて“あなたは糖尿病だから合併症怖いですよ”みたいな指導をするのはどうなのかというご意見も多くいただいております。より若い人にはより低くきちんとコントロールを、ということなんですけれど、後期高齢者については慢性疾患と生活機能や認知機能を組み合わせて対応する必要があります。臨床でもDASC-8と組み合わせた治療目標を立てようということがありますので、それに合わせて、主治医が“まあこのぐらいだったらいいよ”って言ってる人に過剰な保健指導はしないという意味で、このような基準を提案させていただいています。市町村の方で多様な考えはあるかとは思いますが、評価については一定の基準を置かないとなかなか全国比較もしにくいということがあります。一定の基準として有識者会議とか検討会でご承認いただいた抽出方法による該当者を分母にしたらどうかと考えているということになります。
それからロコモを含む身体的フレイル、この質問票では健康状態・歩行速度とか転倒とかいうことでありまして、先生のおっしゃるようにJ⁻CHSの基準とは全く異なっていて、運動器の機能を見ているということであります。本当はフレイル(ロコモ含む)というのを全てに書かなければいけないところが落ちてしまっているところについては深く反省し、何回も深く反省しているんですけれども、現状の保健事業ではフレイル対策の中にロコモが混じり込んでいのが現状です。フレイルについて、医学的に厳密な意味でのフレイルというふうに捉えて行っているというよりは、運動機能が低下した高齢者に対してその活動を支援するというような位置づけで使っております。タームについては医学的な診断基準と違って保健事業として少し言葉を短くして分かりやすくしたというところで、不十分な点もあったと思っておりますが、それを除外しているというわけでは決してございませんので、気をつけて使っていきたいと思っております。吉村先生すみません、毎回。
○吉村構成員 そうなんです。毎回同じことばっかり言ってて、本当に自分でもまた言っているって感じになって恥ずかしいんですけれども、できましたらどこかに、この中ではフレイルはこういう定義であるっていうふうに最初に書いておいていただけますとわかりやすいと思います。私たち構成員や厚労省の担当の方もどんどん変わっていきますので、そういう意味では、最初はちゃんと肥満も含めて歩けないのをなんとか歩けるようにしようという観点だったはずなのに、それがどんどん痩せのフレイルのみにこうちょっとずれていってしまうことのないように、記述なり何なりでちゃんと残していっていただければ助かると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。こちらで「身体的フレイル(ロコモ含む)」に入れているのは体重減少とかBMIは組み合わせてはいませんので、実際の事業については除外せずにやっているという状況になっておりますことを申し添えます。ありがとうございました。それでは渡辺構成員お願いいたします。
○渡辺構成員 日本医師会の渡辺です。私は吉村先生とは違ってこの会は初心者なので質問の意図がちょっとズレていると申し訳ないので、これは座長、勘弁していただきたいと思うんですけれども。私が昔いた地方の医師会は、糖尿病の腎症の重症化予防を日本で初めてやった市なんですけれども、それをその時の医師会の役員をやっていた経験から、この腎症の予防というのは効果があったと判断を最終的にされたんですけれども、実際にうまくいったのはずっと医師会や医者にかかったりしていた患者だけで、ドロップアウトした人は実はこの中に入ってないっていうことがありました。つまり、本人の健康に対するモチベーションが維持できているかどうか、コミュニケーションが取れている患者さんかどうかが非常に大きな影響があったという印象がまずあるんです。で、今回の本文7ページの資料に4つの評価指標例というのがございますけれども、どれもどちらかというとやった側の見解なんですね。受け手側の、つまり受け手がどうだったかということが全く把握されていなくて、これだけやったと。どういう結果を得たという情報が把握されたものだけで対応されているけれども、これらをすべて円滑というか効果的にやるには、本人患者さん、受けて側の方のモチベーション、つまり健康に対するモチベーションが維持できてるとかですね、コミュニケーションがちゃんと取れているとか、というようなところが健康寿命の延伸に一番結びつくということから考えると、身体的な所見とか服薬がうまくできたとかっていうその実施側の評価だけでいいのかどうか、というちょっと疑問がありましてですね、つまり、これらを支援する精神的な心理的な支援とか社会的な支援を併用して初めてこれらの効果が出るような気がするんですけど、それらを対象評価項目に入れずに把握できる数値だけで評価するっていうのは、なんとなく実施者側の一方的な視点のように思うんですね。そのあたりは、実際はそういうことを考慮された上で一体的な実施をなさって検討しておられるのか、それともそういう検討はこのワーキングとは別のところで評価なさっておられるかっていうのもちょっとお聞きしたいと思って質問させていただきました。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございます。ではまず私の方からちょっと回答させていただいて、厚労省さんにフォローしていただきたいと思います。腎症の取組の評価についてご指摘いただきましてありがとうございました。大事なことは医療からのドロップアウト、誰にもつながっていない人を減らすことが大事ではないかなと思っておりまして、この重症化予防の事業についても保健活動で対応できる範囲として、当事者に自分の体のことを知っていただいてちゃんと治療することの意義を伝えていただくと、そこまでが保険者として自治体として第一にできることであるというように捉えております。その後で医療との相乗効果で、最終的なアウトカムにつながっていくんだろうと考えております。研究班では要介護認定とか医療費とか透析導入とかを長期的なアウトカムとして評価できるようにしているし、長期的なアウトカムを見ていく必要はあるとは思うのですけれども、ここの6ページ・7ページに提案してある評価指標は、自治体が短期的に事業評価できる指標としてはこのようなものがありますというような例示として出しているところであります。評価として短期的・中長期的なものというのが必要ではないかと。中長期的な効果検証は国や研究班の検証の中で引き続き行っていくものと考えております。一つ一つの市町村単位で長期的な事業効果評価するのは大変困難な状況だと思いますので、できるだけ全国のデータを集めながら、長期的なアウトカムがどうなのかというのは時間をかけてきちんと検証していくべきことになるのかなと考えておりますが、よろしいでしょうか。
○事務局 先生からご指摘いただいている7ページの評価指標例のところなんですけれども、客観的な指標ができるような形で例として評価を設定させていただいてるんですけれども、ご本人さんの視点というのも非常に重要だと考えているところでございます。質の向上の観点についてはどういった評価指標が必要かどうかについては、引き続き検討していきたいと思っているところでございます。
○津下座長 はい、渡辺先生よろしいでしょうか。また、引き続き検討を続けたいと思います。
○渡辺構成員 ありがとうございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。それでは鈴木先生お願いいたします。
〇鈴木構成員 はい、鈴木でございます。ご報告ありがとうございました。着実に、実施している市町村数もかなり上がって殆ど90何パーセントですよね、大変結構だったと思うんですけれども、ただ私もですね、吉村先生渡辺先生がご指摘された重症化予防で特に糖尿病の重症化予防という点で、抽出条件ではHbA1c8.0%以上ということになっていますが、見ているとやっぱり市町村の65%ぐらいが5年経ってもその割合が変わらずにオリジナルのものが使用されている。オリジナルっていうのは多分従来の保健指導で行われてきたような成人向けの6.5とか6.2とかそういうcut-offで使われていると思いますが、8.0は確かに糖尿病学会と老年医学会合同で出したガイドラインではこの8.0という数字が出てくるんですけれども、これ本当に8.0でこのままやっていって大丈夫かっていう思いです。オリジナルが市町村にとってずっとその傾向が続いていて変わらないっていうところに私は危惧をしています。確かに特に75歳以上ですとそんなにstrictでなくてもガイドラインにも書いてますけど、7.5とか8.0でもよろしいと思っていますし、そのぐらいになった時にはちゃんとお医者様と相談してくださいねという感じで受診勧奨も非常にしやすくなるという意味でよろしいかと思います。ただここで言われているガイドラインで示されているものと実際に市町村でやっているものとの乖離がなかなか埋まってこないというところが一つまず問題があるのかなと思います。これ、どういうふうに今後縮めるつもりなのか、あるいは縮めないでこのままでやっていくご予定なのか、そこが一つ課題があるのかなっていうふうに思っています。それからフレイルについてもですね。確かに吉村先生がご指摘になったように、当初はフレイルのバックグラウンドとして、若い時からのいろいろな疾患が重なっていくその中で、OAとかあるいはロコモとかそういうものが非常に大きな意味を持っているということはみんな共通認識だったと思うのですけども、ちょっと最近はそこのところが少し薄れているなという気がしますので、それは先ほど津下先生や事務局の方がおっしゃられたように、今後市町村で実際にフレイル予防をしていく時には痩せの予防だけじゃなくてやっぱり移動機能というものがすごく大事だよ、ということは少し今後ご指導するようにしていったらいいのかなというふうに思います。それからさっきの糖尿病の件ですけれども、8.0っていうのはコントロールの目標値であって、スクリーニングには必ずしも使うかどうかっていうことに対する科学的検証はされてないと思います。ですから、コントロールの目標としては8.0というのがよく出てくるんですけれども、果たして今回のようなそのスクリーニングにおいて8.0を、そのまま最初用いていけるかなと思ったけれども、こういう乖離が縮まらないということに対して、今後どうしたらいいのかっていうのを少し考えていかないといけないのかなというふうに思います。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございました。私から思い当たることとして、一つは糖尿病性腎症重症化予防プログラムというのを国保中心に都道府県単位で作っています。多くの変えていないところについては、県で作った重症化予防プログラムの基準値が変えられないと後期高齢者の分が変えられないんだけれど、そこの検討が進んでいないというような事情は伺っております。それから7.0%以上の方についても、他に質問票にこう7.0%以上を全部対象にしましょうと言うと膨大な数になってしまって、それこそマンパワーが足りないという話になってしまうので、ではどこで7.0%以上の中で優先順位を考えていくかといった時にですね、質問票に悪い回答が出始めたところというあたりがよいかと。HbA1c
7.0%だけではなくてプラス質問票も見て選んでくださいというようなメッセージです。実際に人数計算すると7にすると相当該当者が多すぎてですね、とても実施率を上げるということにはならないし、また医師から“まぁこのぐらいでいいか”みたいな人たちに対して、一生懸命国が関わっていきなさいとなると、また自治体の負担も非常に大きくなるのではないかということも危惧されます。そこで、7.0%で何かしらの質問票で問題がある人は拾い上げようと。それからもう一つ、腎機能でeGFR が45未満または尿蛋白がプラス、これはこういう状態で医療機関に受診していない人は必ず拾うと。本当にそういう人は少ないわけですけど、eGFR が45を切っていても健診だけで終わらせるということがないように、そこのところで腎機能低下者を拾い上げるということもしながらしています。どういうところにより着目していただきたいか、マンパワーの足りない中で優先順位を考えていただく一つの目安にならないかということで、検討して提案させていただいたものでありますので、もう少し丁寧に説明をしながらご理解を深めていきたいと私自身は思っております。
○事務局 ありがとうございます。まず糖尿病腎症の重症化予防の考え方については、なぜこういった設定をしているのかというところを設定の意図・背景も含めてしっかりと市町村や広域連合の方に周知を厚生労働省としてもしていきたいと思っているところでございます。比率がなかなか変化がないというところの現状については、津下座長に今ご説明いただいた通り、やはり国保の基準そのままをフォローされているといったあたりだとか、都道府県で検討したプログラムをそのまま使っているというお話をお伺いしているところではありますので、改めて考えた方等については周知をしていきたいと思っているところでございます。ロコモの考え方についても、行政や広域連合も含め担当者が変わっていくことも多いと思いますので、背景も含めて引き続き啓発をしていきたいと思っているところでございます。ありがとうございます。
○鈴木構成員 すみません、ご事情はよく理解できます。問題なのは6.5でそのまま例えば先ほど津下先生がご説明されたように、県のほうで決めたそういうスクリーニング基準が例えば6.5であった時にそれをなかなか市町村独自に変えることが難しいんだということがあるんだろうということであればですね、やっぱり8.0も6.5以上であることは間違いないので、何かそこでうまく従来の但し書きみたいなもので、例えば従来の基準でスクリーニングしてもいいけれどもそのうち8.0以上の方でどのぐらいの方に受診勧奨ができ、また実際に受け手の側としてのモチベーションを上げて実際に受けていただいたのかっていうような、そういったような少しいわゆる市町村のそのオリジナリティも生かすというような方策っていうのを作れればよろしいのかなというふうに思います。
○津下座長 はい、ありがとうございます。その辺十分意識しながら、そして市町村の頑張りを応援できるようにしていきたいと考えております。他にいかがでしょうか。村杉先生お願いします。
○村杉構成員 はい、ありがとうございます。日本薬剤師会の村杉でございます。一体的実施につきましてはまず実施率が非常に高くなってきているということで、厚生労働省の皆様と津下先生始め関係者の皆様に敬意を表します。一点、確認というかお願いがございます。津下先生からの資料17枚目のご説明で、あるリスクがある人は複数のリスクを抱えている、という主旨の説明がございました。例えば服薬のところを見る際に、服薬の課題を持っている人は低栄養や身体的フレイルなどにもリスクも抱えていらっしゃる、いわゆるリスクが複合的に存在している状況、まさにその通りだと思います。それからスライドの同じく19ページ目あたりとかになりますと、このフレイルが進んでいく理由については複数の要因がある方のほうがハイリスクであることがわかります。つまり一つの事業を行っていく際に、一つの事象について着目しすぎるのではなく、やはり複数の要因ですとか複数のリスクをしっかりと見極めていくのが事業を進めていく上で極めて重要な視点だなと改めて感じたところです。市町村の担当者の皆様ですとか、あるいは地域職能団体がそういう事業に実施協力するというようなことが必須となってくると思いますので、事業に携われる方々にリスクが高い人は複数の要因を抱えていらっしゃるとか、一つの事業をやっているんだけれども実は隠れたリスクがあって、それを持っているとより深刻になっていくっていうようなことについてもわかりやすくご説明をいただけると、より良い事業につながっていくのではないかなと思った次第でございます。以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。今おっしゃった通りで17ページ、これは平田先生に分析していただいたものになります。平田先生一言コメントいただけますか。
○平田構成員 東京都健康長寿医療センターの平田でございます。村杉先生どうもありがとうございます。服薬の事業で特にポリファーマシーが疑われる方の特性を考えた時に、やはり身体的フレイルの対象者でありますとか、いわゆる重症化予防におきましても基礎疾患保有プラスフレイルに該当する方の中に多剤処方に伴う薬物有害事象が疑われるような方が多いわけですので、そのような方に対してはポリファーマシー対策、薬物有害事象が生じないように薬剤の調整をしていただく必要があるだろうと思います。一方で、現状のポリファーマシー対策の課題でございますが、事業効果をどのように判定するかが難しいところでございまして、薬剤数だけをアウトカム指標として確実に事業効果を得ることを意識した事業設計を行うことになりますと、どうしても疑義照会が必要になる方をうまく抽出して対応いただく形にしないと、なかなか良い結果が得られないということがございます。先ほど事務局からご説明がありましたけれども、服薬事業でオリジナル基準の割合がそれなりに高いというところはそのようなことに起因するものであると考えております。現状、ポリファーマシー対策は適切な疾病管理の観点から高齢者においても非常に重要だと考えておりますし、私は先ほど事務局よりご提示いただきましたオリジナル基準例のうち服薬に関するオリジナル基準につきましては比較的妥当な基準だと考えております。一方で、先ほど吉村先生や鈴木先生からお話がありました糖尿病性腎症重症化予防ですね、重症化予防の血糖コントロール不良のオリジナル基準例にあるHbA1c6.5%、血糖126mg/dLといった基準につきましては問題があると思いますので、同じオリジナル基準ということでありましても、若干そのあたりの意味合いが違うものと理解しておりまして、特に適切といえない基準につきましては是正を図るべきだと考えております。私からは以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。服薬が15剤以上でそれでいいのかとかいろいろ議論があったと思うんですけれど、まあエクセルでKDBから抽出して動かせる人数の範囲とかいろいろあったんですけれども、現実的なところとかあんまり複雑ではないとか、そういうことからできるだけ簡単にせざるを得なかったっていうところもございますので、より良い抽出の方法とかまたは保健事業のあり方については検討すべき余地が大きいのではないかなと思っております。また、私の参考資料の27ページでございますけれども、ちょうど9月18日今月になるんですけれども、研究班でワークショップを開催し、どういうアウトカムをどのように事業検証しようとしているのかということや考え方についてもう少し詳しく自治体の皆様にご紹介し、それに対する反応を研究班のメンバーとしても直接伺って今後につなげたいということで、ワークショップを開催する予定としております。また、午後には特に都市部と言いますか、割と縦割りになりやすい複合的な取組でいろんなことが重なってくるわけですけれども、それぞれに委託してしまうとバラバラになってしまいやすいような都市部において、例えば口腔と栄養を一緒にやるときにはどのように進めていったらいいのかとか、調整が必要になってきますので、そのような観点で都市部に着目したグループワークをやりながら現状を把握していきたい、よりよい提案につながるようにしたいと思っているところです。複合的な視点を持ってどのようにこの事業を進めるのかというのは重要な課題として受け止めさせていただきたいと思います。厚生労働省さんいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。今、津下座長の方からお話いただきました通り、複合的な取組については、昨年度のデータヘルス計画の調査報告書の中でも課題として挙がっているところでございます。この一体的実施は色々な医療専門職の方が関わっていただいているんですけれども、それぞれの分野だけにとどまらず複合的なところで、相補的な支援体制というのが必要じゃないかというところは課題として上がっているところでございますので、引き続き対策・対応については検討していきたいと思っているところです。
○津下座長 はい、ありがとうございました。他にいかがでしょうか。野村構成員いかがでしょうか。
○野村構成員 ありがとうございます。いろいろな形で口腔のことに関しましても一体的な実施というのはかなりできたかなと思いますけれども、やはりかなり自治体間ごとにちょっと違っている感じもありますし、そのあたりの評価をどういうふうにしたら良いのかというところと、あと、口腔がどういうふうにフレイルと絡めるかということで、オーラルフレイルという概念があったり口腔機能不全症があったりとかいうようなところをうまくハイリスクとして歯科医につなげていけるのかというところも課題かなと。そのあたりをもう少し炙り出していただければありがたいかなとは思っていますが、なかなか難しい課題かなというふうに考えています。いかがでしょうか。
○津下座長 はい、ありがとうございます。研究班の中で口腔に関する検証もしております。また、歯科健診をやっている自治体数が増えているというデータが出ているかと。
○事務局 はい。実施いただいている市町村数については増加している傾向がございますので、健診の重要性等については広まってきているというふうに考えているところでございます。
○津下座長 今後ともよろしくお願いいたします。宮崎構成員いかがでしょうか。
○宮崎構成員 ありがとうございます。いただいている資料の中で、令和6-8年がフェーズ2に入ってきているおり、、取組の数そのもの実施市町村数は増えてきているというところで、さらにそれを上げていくことと質の向上を目指すことが上がっていて、その質の向上をどう測るのかというのが本当に難しいのではないかなと思っていたところです。皆様の意見の中で今日出てきたものがまさにそれに当たるものなのかなと、どう評価指標を揃えていくか、揃えていくことだけが全てではないと思いますけれども、質が向上したことを何をもって測るのかということを、この後も検討していければいいのではないかと思っておりました。ありがとうございます。
○津下座長 どうもありがとうございました。そうしましたら池田構成員お願いします。
○池田構成員 はい、ありがとうございます。ちょっと28ページの、「令和7年度一体的実施実施状況調査項目案」についてでございますけれども、私ども国保連につきましては市町村に対する支援というものをしてございまして、その国保連からの支援の内容につきましては29ページの市町村表の中でその支援の内容が把握がされることになろうかというふうに思っているところですけれども、28ページに戻りまして、広域連合の表の中で「市町村への働きかけ・支援」というのが一ポツ目にございます。これは実態としては広域連合が市町村に単独で支援している場合と、広域連合と国保連が共同で支援している場合がございますので、つまりその国保連が支援している内容ですね、広域連合と共同で国保連が支援している内容についてもここで把握するというようなことでよろしいのかどうか、ちょっと確認をさせていただければと思います。
○事務局 ありがとうございます。共同での支援状況について、それぞれで国保連に支援してもらっているかどうか等は、単独での聞き方になっているので、国保連と広域連合の合同での支援があるかどうかという聞き方をする調査票の案にはなっていないところなので、調査項目のあり方については検討させていただければと思うところでございます。それぞれの支援があるかどうかについては、把握を予定しているところでございます。
○津下座長 はい、ではよろしくお願いします。そうしましたら益田市の和﨑構成員お願いいたします。
○和﨑構成員 益田市の和﨑です。まずは津下先生をはじめ構成員の皆様に本事業実施にあたります自治体の状況をしっかり踏まえた上でご議論いただいておりますことに心から感謝申し上げます。この場を借りて本市の状況をご説明させていただきますと、今現在ハイリスクやアプローチにつきましては6項目中2項目の実施でございまして、なかなか思うように取り組みができてない状況ではございます。これにつきましては今日のご議論の中で度々出てきましたが、まずマンパワー不足というところが大きな要因になっておるところでございます。ただ、それぞれの取組について必要性は十分市町村としても感じておるところでございますので、何とか軌道によるようにこれから尽力してまいりたいと思います。本日はありがとうございました。
○津下座長 はい、ありがとうございました。本当にマンパワー不足の中でどううまく効率的に回していくのか、また複合的なリスクの方々に対してサポートする支援者の力量と県政というのも非常に重要ですし、地域の関係者の協力というのも非常に重要になってきますので、地域全体で高齢者の健康を支えられるようにどうぞよろしくお願いします。またもし研究班とかこういうデータ何かないかとかいうことがありましたら、お聞かせいただければ対応を頑張っていきたいと思っておりますので、また何かご意見ありましたらよろしくお願いいたします。岐阜県広域連合の林構成員お願いいたします。
○林構成員 岐阜県広域連合の林です。よろしくお願いします。皆様方の意見お聞きしまして広域連合としましても地域の高齢者の方を支えていくという事業のほうをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。調査項目とかいろいろ国保中央会さんのほうの支援も受けながら、岐阜県はじめ全国の項目課題に合ったことをしていきたいと思っておりますので、またこの項目内容につきましてもいろいろしっかりと調査の方をしていっていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。行政においては人事異動もある中で本当に組織的に、この事業をつないで発展させてやっていくっていう令和2年度からのご苦労はいかばかりかと思うわけですけれども、後期高齢者が非常に増加している中で、やはりここのところは大事な事業として位置づけられつつあるっていうのは、私自身、本当に心強い限りだなというふうに思っております。厚生労働省さんいかがでしょうか。
○事務局 引き続き当課としましても、高齢者の保健事業を推進できるように取り組み、進めていきたいと思っているところでございます。引き続きよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。そうしましたら議題1については皆様のご意見を伺いましたので、次に進みたいと思います。議題二つ目はその他ということで、資料1の後半部分について事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 はい、それではご説明させていただきます。
(スライド31)今年度ですけれども、データヘルス計画の取組の関係としましては、中間評価に係る有識者会議を実施しているところでございます。こちらの会議については、年3回ほど予定しておりまして、第1回は8月に開催をしているところでございます。こちらの有識者会議では、令和8年度に予定しております後期高齢者広域連合のデータヘルス計画中間評価に向けた、調査実施や参考資料の作成といったところを実施しているところでございます。
(スライド32)こちらのスライドが高齢者の保健事業の実施計画の中で、健康課題の解決につながるような計画を策定ができるようにといったところで、考え方として、「標準的な計画様式を既に適用しているところ」と「共通の評価指標の設定」というところもしておりまして、標準化を進めているところでございます。広域連合に作成いただいている第3期データヘルス計画については令和6年度からスタートしているものでございまして、それに先立って令和4年度に検討会を立ち上げて手引きを作成したところでございます。こちらの手引きに基づいて標準化を進めているところでございます。
(スライド33)現在、策定しているデータヘルス計画策定の手引きの中で、中間評価にかかる記載については、赤字で示しているところでございます。中間評価の具体的な方法や手順に関する記載についてはないような状況となっておりますので、こちらの内容を補足するような参考資料の作成を検討しているところでございます。
(スライド34)こちらのスライドにつきましては先ほど映した図表の資料にも含まれていた資料でございますけれども、その資料の中にデータヘルス計画の中の目標設定の考え方と指標の方を関連付けたものとなっておりますので、参考にご確認いただければと思います。
(スライド35)次のスライドについては、一体的実施に関する財政支援を主に基軸にしたものになりますけれども、一体的実施、健診事業の取組と、共通評価指標の位置づけを整理したものでございます。「共通評価指標」と横に書いているところが共通評価指標として設定しているところでございます。
スライド36枚目ですけれども、今回のまとめを予定しております補足資料の方向性の案といったところでございます。中間評価の目的・意義・手順を記載させていただくことと、あとは好事例集といったところもまとめられたらと思っているところでございます。また、評価指標の最新のデータ値といったところもまとめられたらと思っているところでございます。
(スライド37)こちらのスライドにつきましては、中間評価に関わる関係者との連携イメージ案でございます。こちらの詳細な内容については中間評価にかかわる有識者会議のほうで再度議論させていただいた上で、整理ができればと思っているところでございます。中間評価にあたりましては計画策定時と同様に、保険者による主体的な検討だけではなく、外部有識者の方々との連携・協力も重要と考えておりますので、ぜひイメージをお示しできればと思っているところでございます。
(スライド38)こちらがデータヘルスの中間評価に向けたヒアリングアンケート調査の項目案となっているところでございます。ヒアリング調査については、これまでの調査事業の結果から、標準化の推進や効果的・効率的な事業の推進をされているといった観点から好事例と考えられる事例を事務局で抽出させていただきまして、あとは、保健事業の実施については、人口規模についても大きな影響を受けるところも踏まえまして、6広域連合、10市町村を対象として協力いただければと思っているところでございます。アンケート票による調査については、すべての広域連合の皆様にご協力いただければと思っているところでございます。ヒアリングの観点そしてアンケート項目としましては、スライドに挙げさせていただいております通りで、データヘルス計画の意義や標準化を促進するための方法や効果的な事業の方法等についてお聞きできたらと思っているところでございます。
(スライド39)こちらについては現在設定させていただいておりますデータヘルス計画の共通評価指標の一覧となっております。参考にご確認いただければと思うところでございます。
(スライド40)財政支援における検討でございます。これについては項目の頭出しとさせていただければと思っているところでございます。
(スライド41)まず一枚目のところが高齢者の保健事業に係る特別調整交付金の改正事項となっているところでございます。令和8年度に向けてですけれども、企画調整担当および地域担当の人件費については賃金上昇の現状も踏まえまして、交付基準の見直しをできたらと考えているところでございます。また、一体的実施の質・量の拡充に向けまして、ハイリスクアプローチの実施事業数に応じた人件費、その他経費の算出方法についても見直しができればと考えているところでございます。
(スライド42)次が保険者インセンティブの見直しの方向性の案でございます。こちらについては一体的実施の推進、そしてデータヘルス計画の推進の状況、また、経済財政運営と改革の基本方針等も踏まえて、指標の見直しを一部考えられたらと思っているところでございます。これらの評価指標につきましては、秋以降に広域連合の代表の皆様方でインセンティブ実務者検討班を立ち上げさせていただきまして、そちらで内容検討できればと思っているところでございます。次回のあり方検討ワーキングで内容をご報告できればと思っているところでございます。
スライド43枚目以降については、閣議決定をした内容を参考にお付けしているものでございますのでご覧いただければと思います。説明としては以上になります。お願いいたします。
○津下座長 はい、ご説明ありがとうございました。ただいまデータヘルス計画の中間評価に向けた現在の動きについてご説明をいただきました。有識者会議等で今検討中ということで、現場の様子も聞きながら中間評価に向けて動いているということ。また財政支援等制度的なバックアップについてもご説明いただいたところですけれども、ご質問ご意見ございましたら挙手等お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。データヘルス計画は標準化ということが今回かなり進んだところですし、それから基準になるデータなどもある程度国からこう出すというか、分析の手間はかなり減っている状況になるんですよね。
○事務局 そうですね。一体的実施の計画書を集約するために広域連合でご活用いただけるような集約ツールですとか、データヘルス計画の進捗を見ていただけるような進捗管理シート等についても昨年度検討しておりまして、ご提供させていただいておりますので、それらもご活用いただければと思っているところでございます。計画については、経年の評価取りまとめについても経年のグラフが見られるような形で現在ツールの見直しもしておりますので、より使いやすいツールのご提供ができればと思っているところでございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。データヘルス計画、まず分析からという非常に大変な作業ではなく、またそれぞれが広域連合ごとにバラバラになるのではなく標準化された方法で、また既存の事業実施のデータから評価ができるという時代に入ってきたということで、データヘルス計画については広域連合が47広域ということで、かなり早く進んでいる状況から標準化が進んで逆に国保より早く進んだ感じもあるかなというような感触を持っていますが、いかがでしょう。広域連合の立場として林構成員、何かご懸念事項等がございますでしょうか。また、データヘルス計画を作った感触などについてもご披露いただけますでしょうか。
○林構成員 しっかりしたことが言えるかどうかはわかりませんけども、データ関係を作るにあたりましてやはりデータにする費用ですね、委託とかにつきましても国保連さんのほうと協議して進めていったこともありますし、ほかの各市町村の担当者の方ともどういった内容のデータが必要なのかということで、データ化していくにあたっての必要なデータの抽出と言いますか、そういうことも協業してなんとかやっていっているという感じの状況になっております。すみません、うまく説明できなくて。
○津下座長 ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいた通り、データヘルス計画はその表を埋めればいいっていうものじゃなくて、それでどうなったか振り返って市町村と話し合いが進められたりとか、他の広域連合との比較ができたりとか、いろいろなことで事業の棚卸や比較ができるという機会として捉えていただくのがいいんじゃないかなと思うんですけど。
○事務局 そうですね、今、座長におっしゃっていただいた通りで膨大なデータがたくさんある中で、それをどうやって効率的に活用いただけるかといったところで、グラフ化だったり、他の方々が協力いただくための客観的な資料として活用いただけるのかなというふうに思っておりますので、ご苦労・ご尽力いただいているということは重々承知しておりますけれども、引き続きお願いできればと思うところでございます。
○津下座長 そうですよね。ここがどうして伸びたのかなぁとか、どうしてこううまくいかないのかなぁといろいろと考察しながら事業を考えていく非常にいいチャンスになればいいなということで、データヘルス計画を策定される時も、かなり対話されたところと、まあちょっと言っちゃいけないけどサクサクっと作られたところと、ちょっとあるような気もしておりまして、十分な事業の評価や推進に向かうといいなというふうに期待しているんですね。
○事務局 引き続き、データの読み方など、現場の方々にしっかりとご活用いただけるような研修会や事業等も検討していけたらと思っているところでございます。
○津下座長 ありがとうございます。鈴木先生お願いいたします。
○鈴木構成員 すみません、あの本質的なことじゃないんですけれども、「保健事業における目標設定の考え方と評価指標の図(資料1、P34)」のところでですね、これ昔からずっとフレイルを、今後大きな特に後期高齢者の予防戦略・健康戦略として考えるときに作られた図なんですけれども、これはフレイルのところを見ると全部虚弱って書いてあるんですけど、当初はですね、確かにちょっとフレイルっていう新しい用語が虚弱というような言葉にかつて使われた言葉であるというようなことで括弧を入れてたんですけど、フレイルというのは実は虚弱ではないという本来概念なんですね。ですので、もう厚労省さんからのこういったオフィシャルなこういうところでは「フレイル(虚弱)」の「虚弱」は外した方がいいんじゃないかなというふうに思います。虚弱というのは、非常にまあ何でしょうか、虚ろになって弱まるということでしかも下り坂一方であるということが問題だということでフレイルに変えたと思うので。irreversibleな状態からリバーシブルな状態なんだということを新しく提唱するための用語ですので、ちょっとこれもう虚弱という言葉は外された方がいいのかなと思いまして、余計かもしれませんけどコメントいたします。
○事務局 ありがとうございます。多くの自治体等にも広げていっている資料でございますので、修正をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。フレイル対策って言う時に、もう少し可逆性ということを、今ならこう戻せるみたいな明るいニュアンスでお伝えしていると思うので、もう本当におっしゃる通りの感じがします。どうぞ修正よろしくお願いいたします。それでは宮崎構成員お願いします。
○宮崎構成員 ありがとうございます。日本看護協会の宮崎です。ちょっと不勉強なのでもしかしたら的を射ていない質問になってしまうかもしれませんが、参考でついている「データヘルス計画の評価指標等について」資料だと39ページ目のパワーポイントですけれども、そこのアウトカムのところに書かれている評価指標の中のハイリスク者割合のところのカッコ書きに、一体的実施支援ツールの抽出基準に該当するものの割合と表記されています。さきの議題のところで、オリジナルの抽出基準を一定のところが使われていると話が出てきておりましたが、このアウトカムにはそのオリジナルのものの場合はどういうふうに入ってくるのか、下にもう一つ注意書きで広域連合が上記以外の評価指標を設定することも差し支えないとあるんですけれども、それなりの数頑張ってそのオリジナルのものでやられているということが実績としてあるのかな思ったので、そういった点がどういう形でここに影響するのかちょっと気になりましたので、ご質問させていただきました。
○津下座長 はい、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。まずこのデータヘルス計画の指標で使うアウトカムについては、保健事業をオリジナル基準でされている場合についてもツールを使った方の割合を出していただくという指標で統一しております。その上で、それぞれの広域連合と市町村で、それ以外の評価指標を設定いただいても差し支えないという整理にさせていただいているところになります。なのでオリジナルの基準の反映については、独自の基準設定をされるかどうかといったあたりでの整理になるかなというところでございます。
○津下座長 ちょっと補足しますと、オリジナルの基準で対象者を絞り込んでやっていますというところについて、計画した対象者数と実施者数が全く一致している自治体が結構あるんですね。要は百パーセントやっていますということなんです。本来は、その地域にどのぐらいの健康課題を持った人がいてそのうちに何パーセントやれましたか、ということをここでは聞きたいところなんですけれども、やった人の人数が母数になっている。当然百パーセントになっちゃうんですよね。で、それが結構自治体によって、一定の基準で概数を把握した上でパーセントを出しているところと、自分たちが10人やって10人を母数としてしまっているところがあるということで、そうしますとこの実施割合について評価が不可能ということになってしまいます。なので評価については、一定の物差しを置くことでより実態がわかる部分がありますし、また実施率を上げるために市町村が工夫している事業の中での評価っていうのはそれはオリジナルでいいとは思うんですけれども、自治体の住民全体を見た中で事業が対象者をきちんと選べているかと、まあこのあたりは繰り返し説明をしながら標準化に向かっていくのがいいのかなというふうに思っておりますので、また保健師さんたちの研修とかそういう時にも、事業対象者の捉え方について適切に実施されるようにご指導もいただければというふうに思ったりするところでございます。
○宮崎構成員 ありがとうございました。よく状況がわかりましたので、ご指摘のところもちょっと踏まえておきたいと思います。ありがとうございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。吉村構成員お願いします。
○吉村構成員 すみません、細かなことなんですけれども、38ページの「データヘルス計画中間評価に向けたヒアリング調査及びアンケート」について、好事例の6広域連合10市町村に調査して聞き取りをするというのは、とても好事例のところに聞くのは参考になるので重要なことだと私は考えておりますが、どのような基準で選んだのかということを明記できるような選択のやり方でやりましたということがあるとよいと思います。これで見ますと標準化の推進や人口規模を考慮して選定と書いてはおりますけれども、ちょっと客観性に欠けると言いますか、好事例ですから客観的でなくてもいいんですけれども、ただそもそもどういうものを好事例とするのかというところも含めて言葉を定義してから選択するということが、データの結果を科学的に意味があるかないかというところの判断で重要ですので、その辺の定義をきちんとされるようにしていただくと助かります。以上です。
○事務局 ありがとうございます。こちらの選定については、市町村であればデータヘルス計画の理解度であったり、これまでの実施状況調査の回答を参考に候補を選ばせていただいたような状況になります。補足資料の取りまとめの際には、どういった基準でこの事例を抽出したかというところを明記した上で、取りまとめをさせていただければと思っているところでございます。
○津下座長 ありがとうございます。重要なご指摘だったと思います。恣意的に選ぶとかそういうことではなくてきちんと一定の基準で選ぶということが重要ですし、一方ですね、好事例だけではなく、うまくいかない状況がどういうところにあるのかということについても把握をしていただいて、参考にしていただけるようにしてほしいなというふうに思っております。
○事務局 ありがとうございます。ヒアリングの中でどういったところが現場でご苦労されているかといったところも、良いところだけではなくてそのあたりも一緒に聞き取りをさせていただければと思っております。
○津下座長 はい、ありがとうございました。村杉構成員お願いします。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。最後に資料でご提供いただきました「経済財政運営の改革の基本方針(資料1 P42)」の骨太のところです。我々は地域の保健等を担う役割者として、方向性を地域行政とともに変えないといけないと思っているところについて、ご意見を申し上げます。一体的実施につきましては、令和7年度まさに量と質を向上させようという年度であるということ、それから先ほどの資料の津下先生の資料のところで最後にもコメントがございましたが、一体的実施をよりよく進めていくためのポイントの一つとしてやはりしっかりと見守っていくこと。これは日本医師会の渡辺先生からも見守りにおいては、やはりモチベーションをしっかりと保つような見守りが非常に重要だというようなコメントも頂いていたところだと思います。この重要性は私も共感するところです。さらに見守りつつも、必要な機関に必要なタイミングで必要な情報とともにつないでいくというような役割も非常に重要だと思います。その中で骨太の方針の中では循環器疾患や慢性CKD、COPD、骨粗鬆症も含めて、様々な疾患、それからブレコンセプションケアを推進する事業、歯科受診勧奨、オーラルフレイル対策などについて、一般的に薬剤師会とは直接関係ないように思われるような内容であったとしても、薬局は地域住民が比較的定期的に通われる場所なんですね。比較的珍しい場所だと思います。これ、医療依存度のある人でもない人でも、ある程度の関係性ができるぐらい通いの場になるという特徴があって、さらに医療介護などで様々に情報のやり取りも含めてですけれども、連携の機会がすごくある場所です。そういうふうに考えていきますと、一体的実施の量と質の向上というところで見守りつないでいくということを考えますと、薬局が地域行政と共に、地域行政が把握している課題を地域の薬剤師会ですとか健康サポート薬局、2年後には健康増進支援薬局に変わりますけれども、そういった健康をサポートをするような各拠点となるような薬局がしっかりとその地域課題を把握をして解決をしていくというような役割を果たしていかないとと痛感しているところでございます。つきましては、国保事業ですとか一体的実施とか健康増進事業などの様々な事業を通じて市町村が取り組んでいただくわけですけれども、そのような地域の課題などをぜひ地域薬剤師会などにも共有していただき、認定薬局なども含めて一緒に対応していいきたい所存でございます。日本薬剤師会でも今年度、全国でそういうような地域課題の解決に向けた体制を構築できるための事業も進めておるところでございますので、ぜひ令和7年度、量と質の向上というところで我々もしっかりと協力させていただきますし、日薬といたしまして、都道府県薬剤師会に対して情報をご提供していくところでございますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○事務局 ありがとうございます。大変心強いお言葉だなというふうに受け取らせていただきました。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。これから本当にますます地域連携というか生活の場での取り組みが重うになります、例えば今回も健診の時に質問票で把握するという建付けになっていますけれど、通いの場でも把握するし、通いの場として公設の官製の通いの場だけじゃなくていろんな通いの場があって、いろんなところで高齢者がセルフチェックじゃないけれども自分のことに自分で気づけるとか、気づいた時に相談できるとか、当たり前のようにそれが自然に動いていくことや、それから、いろいろ介護予防とかいろんなサービスにつないでいくのかそのあたりもこれから地域ごとで工夫していけることかなと思って受け止めさせていただきました。はい、ありがとうございます。他によろしいでしょうか。一体的実施ということで令和2年の最初からずっと令和6年には全国で全ての市町村でやるぞみたいな話で、そこに向けてこうやってきたわけですけれど、より本当の狙いというのを意識しながら、これからより良い事業にしていく、育てていくことになり、そして先ほどの図で言うと令和9年度から全体的な評価をして、良かったこととか、まあ制度改正とかいろいろにつながっていくんだろうと思っておりましたけれども、大事な時期に当たっているのではないかなということを思いました。先生方のまた行政皆様の非常に多くのご意見をいただきまして、ありがとうございます。厚生労働省さんにはですね、ぜひ、制度のより進展に向けてご尽力いただければというふうに感じた次第でございます。厚生労働省さんから何かありますでしょうか。特によろしいでしょうか。はい、そうしましたら、本日予定していた議題につきましては全て終了いたしましたので、これで本ワーキンググループについて終了したいと思います。事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。
○事務局 津下座長ありがとうございました。公務の都合により日野は欠席とさせていただければと思います。本日も活発なご議論を賜り、誠にありがとうございます。構成員の皆様方からのご意見踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。次回の開催日程につきましても後日日程を調整させていただきますので、ご出席をよろしくお願いいたします。
それでは、本日も長時間にわたりありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
閉会
○津下座長 座長を務めます女子栄養大学の津下と申します。このワーキングの座長を長く務めさせていただいておりまして、また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日の議題は、1.高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について、2.その他 の2点でございます。まず議題の1つ目、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗等について、ということで資料が多くなっておりますので、二つに分けてご意見をいただきたいと思っております。資料1の前半部分29ページまでとなります。事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 事務局の石部でございます。それでは資料説明させていただきます。
(スライド3)令和2年4月から開始された一体的実施の取組ですけれども、令和6年度において離島を除くほぼ全ての市町村において展開いただいている状況となっています。今年度については、実施市町村での取組量の増加と質の向上を目指しているところでございます。
(スライド4)令和7年度以降の一体的実施の取組における高齢者保健事業について、令和11年度までの事業予定を広域連合などの所属取組区分別にまとめているものでございます。現在については、フェーズ2の段階でありまして、「量の拡大、質の向上を目指して好事例を展開する」としているところでございます。
(スライド5)こちらのスライドは一体的実施における主な取組と実施市町村数をハイリスクアプローチ、ポピュレーションアプローチについてまとめているものになります。上段がハイリスクアプローチでございます。健康状態不明者対策に取り組む市町村数が最も多い状況となっているところでございます。下段についてはポピュレーションアプローチで、「フレイル予防の普及啓発活動や、運動、栄養、口腔等のフレイル予防などの健康教育、健康相談」の実施が、市町村数として最も多くなっているところでございます。
(スライド6)特別調整交付金の通知内のQ&Aにおいて、一体的実施の取組量の増加と質の向上について取組の例示を記載しております。内容としては、取組の圏域数の増加、取組区分数の増加、データヘルス計画に基づく標準化の推進、PDCAサイクルに沿った保健事業の推進を挙げております。これまで掲げていた「未実施市町村において一体的実施を開始する」という目標と比較すると多様な観点がございますので、一体的実施の方向性について、地域の関係の方々や関係団体の方々と共有いただくことが必要であると考えているところでございます。次のスライドお願いします。
(スライド7)こちらについては、高齢者の保健事業ガイドライン第3版でご提示している評価指標でございます。一体的実施のハイリスクアプローチの質と量の向上の観点で指標としてご活用いただける仕様となっていますので、こちらのほうご活用いただければと思っているところでございます。
(スライド8)広域連合別の日常生活圏域別のカバー率となっているところでございます。日常生活圏域の考え方については介護保険の考え方と原則揃える、としているところでございますけれども、複数圏域を1圏域として取り扱う方が地域の実情に即した事業が実施できると判断していただいた場合については、圏域をとりまとめることも可能としているところでございます。とりまとめの考え方の有無といったところが算出には少し影響が出ているところでございます。
(スライド9)広域連合別に、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを合わせた平均実施事業数となっているところでございます。秋田、富山、鹿児島については平均8事業を越えているような状況となっております。
(スライド10)データヘルス計画の標準化としまして、令和8年度の保険者インセンティブにおいて、「データヘルス計画で用いる共通評価指標のハイリスク者の抽出基準を活用すること」を内容に追加しております。
(スライド11)こちらのスライドがデータヘルス計画で用いている保健事業の対象者の抽出基準でございます。こちらの基準については、厚生労働科学研究において、研究班の先生方にご検討・提案いただいた抽出条件となっているところでございます。健診、質問票、介護レセプトを活用した状況での抽出基準となっているところでございます。抽出条件の詳細については本日スライドにお示ししているとおりでございます。
(スライド12)抽出条件で活用している後期高齢者の質問票でございます。
(スライド13)こちらが令和6年度および令和7年度の一体的実施実施計画書を集計したものでございます。ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況について、取組区分別で集計したものでございます。令和7年度においては、全ての取組区分でツールの抽出基準を活用いただいているところが増加しているような状況となっているところでございます。
(スライド14)令和6年度の一体的実施計画書を集計したものでございます。一体的実施の開始年度別にハイリスクアプローチの対象取組区分別で、ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況を集計したものとなっているところでございます。いずれの取組区分におきましても半数以上の市町村で抽出基準のツールが活用されているような状況となっているところでございます。
(スライド15)こちらのスライドが、重症化予防、健康状態不明者の取組でございます。重症化予防(糖尿病性腎症)の抽出基準については、どの開始年度におきましても同じような割合を示しているところでございます。
(スライド16)ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準の設定状況について令和6年度の一体的実施の実施計画書を広域連合別に集計したものなります。こちらについても取組区分別に集計をしているものとなっているところでございます。都道府県によって構成市町村数が異なっておりますので、比率での算出となっているところでございます。こちらのグラフについては低栄養の取組となっております。こちらからそれぞれの区分のご紹介をさせていただきます。
(スライド17)口腔の取組となります。
(スライド18)服薬の取組でございます。
(スライド19)身体的フレイルの取組でございます。
(スライド20)重症化予防の糖尿病に関する取組でございます。
(スライド21)その他の生活習慣病の重症化予防の取組でございます。
(スライド22)健康状態不明者の取組でございます。
(スライド23-24)ハイリスクアプローチの対象者の抽出基準でオリジナル基準と記載いただいているところの例をお示ししているものでございます。こちらについては参考としてご提示をしているものでございますので、推奨事例ではないことについてご留意をお願いできればと思うところでございます。
(スライド25)こちらのスライドについては重症化予防ワーキンググループの資料の抜粋となっているところでございます。後期高齢者における保健事業の高齢者の糖尿病の血糖コントロール目標や考え方については、研究班の先生方にご検討いただいているものでございます。一体的実施のKDB活用支援ツールにおいてもこちらの重症化予防の取組について取り組んでいただきたいということをお伝えしているところでございます。保健事業ガイドラインについてもその旨を記載していただいているところでございます。
(スライド26)こちらのスライドにつきましては、今年度実施している事業のご紹介となります。保健事業の標準化につきましては、国保、後期高齢者の保健事業ともデータヘルス計画を策定して進めているところでございます。本事業については、国保の保健事業、後期高齢者の保健事業において、標準化の重要成功要因を分析することを目的として実施しているものでございます。現在、この調査票は検討をしている段階となっております。
(スライド27)一体的実施実施状況調査につきましては、今年度も実施を予定しているところでございます。調査項目の設定については、一体的実施の効果を上げるための工夫やポイントの把握を中心として予定しているところでございます。なお今年度については、調査事業を複数予定しておりますので、調査項目の重複がないよう項目の見直しをしているところでございます。
(スライド28)調査項目と設問内容の案でございます。主に赤字のところは昨年度より変更した部分、その他の項目については基本的には継続した調査となっているところでございます。調査票の項目の見直し事項につきましては下段のほうに記載しているところでございます。こちら28枚目につきましては広域連合票でございます。
(スライド29)都道府県票、市町村票でございます。
事務局のほうの説明は以上とさせていただきます。参考資料1につきましては、厚生労働科学研究の代表でもいらっしゃいます津下座長のほうからご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○津下座長 今、事務局のほうから進捗状況のお話がありましたけれども、国においては国保中央会と一緒に支援者研修会を行っておりまして、これからの質と量の増加を図るために広域連合さん等に知っていただきたいことについて、この7月に研修会を行っております。その中で研究班からご紹介した事業評価の活用という資料について、かいつまんでお話をさせていただきます。一体的実施事業についてはようやく全国に広がってきたんですけれども、抽出基準や評価方法などまだバラバラの状況も見受けられますので、このような形で研修しているということをご紹介させていただきたいと思います。
2-3ページはPDCAサイクルを回していくことの必要性、特に公的財源を用いる当保健事業においては、事業の効果評価というのが重要です。先ほどの図の中でも令和9年度から、包括的な効果評価もしなければいけないということになっておりますし、市町村や広域連合の事業の質の向上のために必要だということを最初に押さえております。
4ページ目が、これは高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第3版で、本事業の目的として自立した生活が送れる高齢者の増加の為に、フレイルの予防、そのための生活習慣病重症化予防や心身機能、老年症候群の予防というものを包括的に一体的に行っていくというのを目的にしているという説明でございます。
そしてその方法として5ページにありますように、ハイリスクアプローチとして対象者を抽出して行う方法と、ポピュレーションアプローチとして元気高齢者も含めて、そしてハイリスクまではいかない比較的ローリスクと言いますか少し機能低下した方も含めて、住民全体として取組むポピュレーションアプローチを連動させることにより、自立した生活を送れる健康寿命延伸ということを図っている、これを目標として行っている事業ということを確認しているところでございます。
6ページお願いします。その際に市町村においてはPDCAサイクルを回していくということが求められており、健康課題の明確化・目標の設定・保健事業の実施そして評価、これを適切に行うこと、そして毎年改善につなげていくというようなサイクルが必要ということをお示しした上で、7ページです。
研究班の方でしてきたこととしては、できるだけ標準的な抽出ができることや事業評価が円滑にできるようにツールの作成をしたり、それから計画書・実績報告書を用いた効果検証により、その中で皆さんにお伝えしたいことについてまとめております。
8ページ・9ページは参考資料でありまして、抽出条件、そして9ページについてはツールにおいて課題分析、それから絞り込み、そして対象者の選定、保健事業の実施評価に至るプロセスを、ツールを活用しながら実施できるようなものを作成しております。
10ページについては例示ですが、1~10の健康課題があるわけですけれども、それらの重複状況がどうなのかというのを見たのが左の図。そして右の図は対象者抽出の中で更に絞り込んだ条件を設定するとどのようになるのか、というような対象者選定についても数字が出て対象者がリストアップできるような形で提示しているところでございます。
11ページをご覧ください。このようなツールについては、徐々に利用が進んできていて、健康状態不明者においてはかなりの利用率が高いと。それに対して重症化予防・糖尿病においては国保等からの連続した基準というのを使っている自治体もまだあるということで、高齢者の特性に踏まえてHbA1cだけではなく、質問票フレイルの状態も勘案した保健事業が必要なんだということをお伝えしているところになります。
12ページにつきましては、この事業の全体の建付けとして、分析から事業実施・評価までの流れを示したものになります。
13ページにつきましては、2広域のデータを用いて実際に事業評価をしてみたという、研究班のモデル的な事業評価についてお示ししたところになります。
14-15ページにつきましては、マクロ的な評価ですけれども、質問票を実施した人の中で低栄養該当・口腔該当・服薬該当の対象者が、令和2年3年4年とどのように推移してきたのかということを質問票結果の登録者を分母として示したものであります。
15ページのほうは、例えばこの健康状態不明者とか多剤は加入者全体を分母として算出しておりまして、このような見方をすると、マクロ的に対象者がどうなっているかという状況がわかります。
16ページにつきましては、これは構成員でもあります田中先生に、低栄養についての事業のハイリスクアプローチの評価として、実施した人と事業に参加しなかった基準該当の人でその後のフォローでどうなったかというような検証をしていただいています。
17ページは、平田構成員のご報告ですけれども、服薬の多剤の人たちの割合それから他の事業、例えば身体的フレイルとか慢性疾患やフレイルを持つ人においては、単独よりは該当率が高いということで、それぞれの事業を単独でするという考え方だけではなく、複合的な視点をもって取り組むことの必要性について示したものになります。
18ページにつきましては、質問票の回答が悪いほうが2年後の要介護認定につながるとか、19ページにつきましては、社会的なフレイル、ここにありますように「週一回以上の外出」それから「友人との付き合い」「身近に相談できる人がいる」の項目と、身体的フレイルのロコモ含むということが合わさった場合に、より要介護リスクが上がるというようなことを示しています。
また、20-21ページにありますように重症化予防につきましては、フレイルの状態がない人と比べると、フレイルと合併した糖尿病高血圧という方のリスクが上がることや、それから健康状態不明者においてそうではない人よりも要介護リスクが高いというようなことを示しています。
23ページにおいては、この事業の評価としてポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチの評価について実績報告書を用いて行っていて、次の24ページ、その中でハイリスクアプローチの個別事業が単独で個別で行われているものの報告もあれば、有機的に組み合わせて行っているもの、また、ハイリスクアプローチが終了した後、地域の社会参加につなげているという例やポピュレーションアプローチ、通いの場でハイリスク者を抽出してハイリスクアプローチにつないでいる、というような連携した取組をやっているところなど、実績報告書の中でかなり質の高い取組なども報告されているようになりました。このような事例について十分に周知していくことが重要と思っております。
また25ページですが、これは令和2年と3年で身体的フレイルに該当した方々が翌年どうなのかというのを見たもので、2年連続という方は53.6%で46.4%は該当せずということで改善に向かっている一方で、前の年に該当しなかった方の中で12%の方は悪化して該当に入る、というような動きが見えております。該当率としては年々少し上がってくるというような傾向があるんですけれども、やはりこういう出入りを見ていくと、フレイル基準に該当しない方もポピュレーションアプローチとして啓発していくことの重要性、また、基準に該当した人にはそこから抜けていただくような取組の必要性などを感じるところになります。下の段の重症化予防については受診勧奨をすることによって確実に数を減らしていく、または健康状態不明者についても健診・受診なども進める、自治体との連携によってこの該当者を減らすことができるという形になるかと思っております。
このような傾向が見えているということでありまして26ページにありますように、今後さらに継続した生活を意識した支援を行うことが重要であって、いろいろな事業を総合的に考えていくことがこれから求められると思いますし、高齢者は複数のリスクを有しております。また状況は刻々変化するということがありますので、リスクの重複などに着目した支援ができるようにしてはどうか。またマンパワーの問題がかなり挙げられております。地域の職能団体や住民の主体的な活動も含めて、地域資源の活用ということがこの継続的な支援の鍵になるのではないかというふうに思います。また介入にあたっては、例えば、介入した人の状況をきちんと記録をつけて、継続的な事業評価につなげると。毎年毎年、健康状態不明者で上がってくる人たちにどうしたらいいんでしょうという声もあったりしますけれども、見守ることは重要ですがその人の状態等についてきちんと引き継いでいくということが大事だと思います。そして保険者の目に留まらないまま取り残される人がないように、この事業が無理なく行われるように、市町村広域連合では取組を工夫していただく必要があると考えられます。厚労省のホームページには様々な事例が掲載されておりまして、参考になるところを研究して進めていくことを推奨します、というような内容について研修会等で周知させていただいたところとなります。
○津下座長 ただいま議題1として高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況について、厚生労働省からのご紹介と、それから少し深掘りした観点で研究班また研修会での資料のご紹介をさせていただきました。構成員の先生方からご意見、ご質問等をいただければと思います。挙手をお願いします。まず池田構成員よろしくお願いいたします。
○池田構成員 ただいま津下先生からご紹介をいただきましたこの支援者研修会でございますけれども、7月に実施をさせていただいたところでございます。研修の実施にあたりましては、津下先生に大変ご尽力いただきまして本当にありがとうございます。またその内容につきましても、ただいま詳細にご説明をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。おそらくこの一体的実施は量的拡大が進んでいくと思いますので、今後、市町村がどのような戦略を持ってこの一体的取組を進めていくかという点につきまして、この研修会の開催によってなるべく取組事例の紹介等も含め、現場ニーズを踏まえた研修会を開催してまいりたいと思います。引き続き厚生労働省それから津下先生と連携させていただきまして進めてまいりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。そうしましたら吉村先生お願いいたします。
○吉村構成員 吉村です。ご発表ありがとうございました。大変詳細でしかも進捗もすごく進んでいて、大変心強くと言いますか素晴らしい進捗だと考えております。私としましてはまず一つ、重症化予防糖尿病のところを拝見いたしますと、この糖尿病の重症化予防についてもオリジナルの抽出基準を用いている自治体・健診団体がまだ多く、6割ぐらいであったかと思いますが、この場合先ほどのご発表では従来の診断基準HbA1c6.2を選んでいるところが多いと感じました。その場合将来的に重症化予防予防の観点から、高齢者に推奨される基準に移行していく方がいいのか、それともその過去のデータの蓄積という点や、現在のオリジナル基準が別に間違っているわけではないため、これを継続していくのか、どのように今後これらの基準の統合を進めていくのかという点について、将来的なお考えがあればお教えいただきたいと思います。
次に、津下先生、ご発表スライドありがとうございました。非常に素晴らしい進め方だと思っております。私、最初の時からこの高齢者の問診票を作っていた時から参加させていただいていると思うんですけれども、運動器疾患の中でも要介護1あるいは要支援の要介護度の軽度なものの段階で最も多い原因疾患が変形性膝関節症でございます。しかしながらこの最初の段階の問診票ではフレイルという点がすごく表に出ていて、痩せも重要ですけれども、変形性関節症などの原因の一つである肥満も重要だということで、その変形性膝関節症を含む肥満が影響する運動器の疾患が落ちてしまうということに、私は何回か危惧を覚えておりました。そのためにフレイル予防(ロコモ含む)という言葉が残ったというふうに記憶しております。今日の先生の資料を拝見しますと、最初の目的にフレイル予防を強調されており、このフレイルは本当の意味でのフレイルなのかなと、私は思ってしまいました。このワーキンググループでは、フレイル検診は「いわゆるフレイル検診」と言われていたと覚えております。なぜ“「いわゆる”」かと言うと、変形性膝関節症なども含む移動機能の低下も含む検診だからです。ところが、いつのまにかもうフレイルが一人歩きしてしまっているところに私は危惧を覚えます。というのは、フレイルは痩せの病気です。現在は、私たちの中では情報共有がなされていて、これはロコモも含むし移動機能の変形性膝関節症も含むんだ、肥満も関連しているんだという認識はあると思うのですが、これがどんどん市町村におりていってこの資料でフレイルがボーンって出てきますと、結局痩せ指導に偏ってしまうんじゃないかと心配しております。ですので、この資料の中では何回かフレイル、フレイルそのもの、それから身体的フレイルという言葉で「フレイル(ロコモ含む)」と、要するに何回か違う言葉が出てきて、ここで出てくるフレイルは本当の意味のフレイル(JCHS基準などの定義を満たしたフレイル)なのかな、「フレイル(ロコモ含む)」というときは移動機能も含んだいわゆるロコモ検診いわゆるフレイル検診の問診票を使うのかなと思ったりします。あとフレイルといっても、身体的フレイルだけしか説明していない部分もあります。その辺のこのフレイルに対する定義の使い分けをきちんとしていただけると、市町村のほうで混乱なく使えるんじゃないかと思っております。特に私が強調しておきたいのは、移動機能の低下が非常に重要でして、痩せというのは低栄養という言葉で一つ出ておりますので、本当のフレイルで痩せのケアに入るのは重要なんですけれども、そこで抜けてしまっている肥満による変形性膝関節症など要介護原因疾患のケアも高齢者の要介護の予防という観点からは必要だと思っておりますので、そのような疾患概念が漏れてしまうことのないようにお願いできればと思っております。以上です。
○津下座長 ありがとうございました。まず厚生労働省さん、そして私からコメントさせていただきます。
○事務局 吉村構成員ありがとうございます。まず糖尿病の重症化予防の将来的な考え方のところですけれども、基準については高齢者の抽出条件として考えているところの基準を分析に使っていただけるような方針で進めていければと思うところでございます。事業としてそれぞれの取組、統一した形で進めさせていただいて、比較や評価ができればと思っているところでございます。フレイルの考え方については、津下座長から補足いただけますでしょうか。
○津下座長 吉村先生、いつもありがとうございます。また、資料の記述がちょっと先生にご不安を感じさせる表記になっておりまして大変失礼いたしております。まず、重症化予防についてなのですけれども、後期高齢者の重症化予防においては、長期的な細小血管症の発症リスクというよりもむしろ、脱水とか感染症重症化とかそういうことに着目した方がいいだろうということと、それからフレイルと合併している糖尿病の方は要介護リスクが高く、質問票の移動機能とか低栄養とかいろんなことを合併しているということがあります。HbA1cが6.5%以上だから健診の時に注意を促す話と、わざわざ抽出をして介入することの違いを理解していただくとよいと思います。健診の場で “血糖が少し高めだけど、このぐらいだったらお薬いらないよ”って言われている人に、わざわざマンパワーの足りない医療職が出向いて“あなたは糖尿病だから合併症怖いですよ”みたいな指導をするのはどうなのかというご意見も多くいただいております。より若い人にはより低くきちんとコントロールを、ということなんですけれど、後期高齢者については慢性疾患と生活機能や認知機能を組み合わせて対応する必要があります。臨床でもDASC-8と組み合わせた治療目標を立てようということがありますので、それに合わせて、主治医が“まあこのぐらいだったらいいよ”って言ってる人に過剰な保健指導はしないという意味で、このような基準を提案させていただいています。市町村の方で多様な考えはあるかとは思いますが、評価については一定の基準を置かないとなかなか全国比較もしにくいということがあります。一定の基準として有識者会議とか検討会でご承認いただいた抽出方法による該当者を分母にしたらどうかと考えているということになります。
それからロコモを含む身体的フレイル、この質問票では健康状態・歩行速度とか転倒とかいうことでありまして、先生のおっしゃるようにJ⁻CHSの基準とは全く異なっていて、運動器の機能を見ているということであります。本当はフレイル(ロコモ含む)というのを全てに書かなければいけないところが落ちてしまっているところについては深く反省し、何回も深く反省しているんですけれども、現状の保健事業ではフレイル対策の中にロコモが混じり込んでいのが現状です。フレイルについて、医学的に厳密な意味でのフレイルというふうに捉えて行っているというよりは、運動機能が低下した高齢者に対してその活動を支援するというような位置づけで使っております。タームについては医学的な診断基準と違って保健事業として少し言葉を短くして分かりやすくしたというところで、不十分な点もあったと思っておりますが、それを除外しているというわけでは決してございませんので、気をつけて使っていきたいと思っております。吉村先生すみません、毎回。
○吉村構成員 そうなんです。毎回同じことばっかり言ってて、本当に自分でもまた言っているって感じになって恥ずかしいんですけれども、できましたらどこかに、この中ではフレイルはこういう定義であるっていうふうに最初に書いておいていただけますとわかりやすいと思います。私たち構成員や厚労省の担当の方もどんどん変わっていきますので、そういう意味では、最初はちゃんと肥満も含めて歩けないのをなんとか歩けるようにしようという観点だったはずなのに、それがどんどん痩せのフレイルのみにこうちょっとずれていってしまうことのないように、記述なり何なりでちゃんと残していっていただければ助かると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。こちらで「身体的フレイル(ロコモ含む)」に入れているのは体重減少とかBMIは組み合わせてはいませんので、実際の事業については除外せずにやっているという状況になっておりますことを申し添えます。ありがとうございました。それでは渡辺構成員お願いいたします。
○渡辺構成員 日本医師会の渡辺です。私は吉村先生とは違ってこの会は初心者なので質問の意図がちょっとズレていると申し訳ないので、これは座長、勘弁していただきたいと思うんですけれども。私が昔いた地方の医師会は、糖尿病の腎症の重症化予防を日本で初めてやった市なんですけれども、それをその時の医師会の役員をやっていた経験から、この腎症の予防というのは効果があったと判断を最終的にされたんですけれども、実際にうまくいったのはずっと医師会や医者にかかったりしていた患者だけで、ドロップアウトした人は実はこの中に入ってないっていうことがありました。つまり、本人の健康に対するモチベーションが維持できているかどうか、コミュニケーションが取れている患者さんかどうかが非常に大きな影響があったという印象がまずあるんです。で、今回の本文7ページの資料に4つの評価指標例というのがございますけれども、どれもどちらかというとやった側の見解なんですね。受け手側の、つまり受け手がどうだったかということが全く把握されていなくて、これだけやったと。どういう結果を得たという情報が把握されたものだけで対応されているけれども、これらをすべて円滑というか効果的にやるには、本人患者さん、受けて側の方のモチベーション、つまり健康に対するモチベーションが維持できてるとかですね、コミュニケーションがちゃんと取れているとか、というようなところが健康寿命の延伸に一番結びつくということから考えると、身体的な所見とか服薬がうまくできたとかっていうその実施側の評価だけでいいのかどうか、というちょっと疑問がありましてですね、つまり、これらを支援する精神的な心理的な支援とか社会的な支援を併用して初めてこれらの効果が出るような気がするんですけど、それらを対象評価項目に入れずに把握できる数値だけで評価するっていうのは、なんとなく実施者側の一方的な視点のように思うんですね。そのあたりは、実際はそういうことを考慮された上で一体的な実施をなさって検討しておられるのか、それともそういう検討はこのワーキングとは別のところで評価なさっておられるかっていうのもちょっとお聞きしたいと思って質問させていただきました。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございます。ではまず私の方からちょっと回答させていただいて、厚労省さんにフォローしていただきたいと思います。腎症の取組の評価についてご指摘いただきましてありがとうございました。大事なことは医療からのドロップアウト、誰にもつながっていない人を減らすことが大事ではないかなと思っておりまして、この重症化予防の事業についても保健活動で対応できる範囲として、当事者に自分の体のことを知っていただいてちゃんと治療することの意義を伝えていただくと、そこまでが保険者として自治体として第一にできることであるというように捉えております。その後で医療との相乗効果で、最終的なアウトカムにつながっていくんだろうと考えております。研究班では要介護認定とか医療費とか透析導入とかを長期的なアウトカムとして評価できるようにしているし、長期的なアウトカムを見ていく必要はあるとは思うのですけれども、ここの6ページ・7ページに提案してある評価指標は、自治体が短期的に事業評価できる指標としてはこのようなものがありますというような例示として出しているところであります。評価として短期的・中長期的なものというのが必要ではないかと。中長期的な効果検証は国や研究班の検証の中で引き続き行っていくものと考えております。一つ一つの市町村単位で長期的な事業効果評価するのは大変困難な状況だと思いますので、できるだけ全国のデータを集めながら、長期的なアウトカムがどうなのかというのは時間をかけてきちんと検証していくべきことになるのかなと考えておりますが、よろしいでしょうか。
○事務局 先生からご指摘いただいている7ページの評価指標例のところなんですけれども、客観的な指標ができるような形で例として評価を設定させていただいてるんですけれども、ご本人さんの視点というのも非常に重要だと考えているところでございます。質の向上の観点についてはどういった評価指標が必要かどうかについては、引き続き検討していきたいと思っているところでございます。
○津下座長 はい、渡辺先生よろしいでしょうか。また、引き続き検討を続けたいと思います。
○渡辺構成員 ありがとうございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。それでは鈴木先生お願いいたします。
〇鈴木構成員 はい、鈴木でございます。ご報告ありがとうございました。着実に、実施している市町村数もかなり上がって殆ど90何パーセントですよね、大変結構だったと思うんですけれども、ただ私もですね、吉村先生渡辺先生がご指摘された重症化予防で特に糖尿病の重症化予防という点で、抽出条件ではHbA1c8.0%以上ということになっていますが、見ているとやっぱり市町村の65%ぐらいが5年経ってもその割合が変わらずにオリジナルのものが使用されている。オリジナルっていうのは多分従来の保健指導で行われてきたような成人向けの6.5とか6.2とかそういうcut-offで使われていると思いますが、8.0は確かに糖尿病学会と老年医学会合同で出したガイドラインではこの8.0という数字が出てくるんですけれども、これ本当に8.0でこのままやっていって大丈夫かっていう思いです。オリジナルが市町村にとってずっとその傾向が続いていて変わらないっていうところに私は危惧をしています。確かに特に75歳以上ですとそんなにstrictでなくてもガイドラインにも書いてますけど、7.5とか8.0でもよろしいと思っていますし、そのぐらいになった時にはちゃんとお医者様と相談してくださいねという感じで受診勧奨も非常にしやすくなるという意味でよろしいかと思います。ただここで言われているガイドラインで示されているものと実際に市町村でやっているものとの乖離がなかなか埋まってこないというところが一つまず問題があるのかなと思います。これ、どういうふうに今後縮めるつもりなのか、あるいは縮めないでこのままでやっていくご予定なのか、そこが一つ課題があるのかなっていうふうに思っています。それからフレイルについてもですね。確かに吉村先生がご指摘になったように、当初はフレイルのバックグラウンドとして、若い時からのいろいろな疾患が重なっていくその中で、OAとかあるいはロコモとかそういうものが非常に大きな意味を持っているということはみんな共通認識だったと思うのですけども、ちょっと最近はそこのところが少し薄れているなという気がしますので、それは先ほど津下先生や事務局の方がおっしゃられたように、今後市町村で実際にフレイル予防をしていく時には痩せの予防だけじゃなくてやっぱり移動機能というものがすごく大事だよ、ということは少し今後ご指導するようにしていったらいいのかなというふうに思います。それからさっきの糖尿病の件ですけれども、8.0っていうのはコントロールの目標値であって、スクリーニングには必ずしも使うかどうかっていうことに対する科学的検証はされてないと思います。ですから、コントロールの目標としては8.0というのがよく出てくるんですけれども、果たして今回のようなそのスクリーニングにおいて8.0を、そのまま最初用いていけるかなと思ったけれども、こういう乖離が縮まらないということに対して、今後どうしたらいいのかっていうのを少し考えていかないといけないのかなというふうに思います。以上です。
○津下座長 はい、ありがとうございました。私から思い当たることとして、一つは糖尿病性腎症重症化予防プログラムというのを国保中心に都道府県単位で作っています。多くの変えていないところについては、県で作った重症化予防プログラムの基準値が変えられないと後期高齢者の分が変えられないんだけれど、そこの検討が進んでいないというような事情は伺っております。それから7.0%以上の方についても、他に質問票にこう7.0%以上を全部対象にしましょうと言うと膨大な数になってしまって、それこそマンパワーが足りないという話になってしまうので、ではどこで7.0%以上の中で優先順位を考えていくかといった時にですね、質問票に悪い回答が出始めたところというあたりがよいかと。HbA1c
7.0%だけではなくてプラス質問票も見て選んでくださいというようなメッセージです。実際に人数計算すると7にすると相当該当者が多すぎてですね、とても実施率を上げるということにはならないし、また医師から“まぁこのぐらいでいいか”みたいな人たちに対して、一生懸命国が関わっていきなさいとなると、また自治体の負担も非常に大きくなるのではないかということも危惧されます。そこで、7.0%で何かしらの質問票で問題がある人は拾い上げようと。それからもう一つ、腎機能でeGFR が45未満または尿蛋白がプラス、これはこういう状態で医療機関に受診していない人は必ず拾うと。本当にそういう人は少ないわけですけど、eGFR が45を切っていても健診だけで終わらせるということがないように、そこのところで腎機能低下者を拾い上げるということもしながらしています。どういうところにより着目していただきたいか、マンパワーの足りない中で優先順位を考えていただく一つの目安にならないかということで、検討して提案させていただいたものでありますので、もう少し丁寧に説明をしながらご理解を深めていきたいと私自身は思っております。
○事務局 ありがとうございます。まず糖尿病腎症の重症化予防の考え方については、なぜこういった設定をしているのかというところを設定の意図・背景も含めてしっかりと市町村や広域連合の方に周知を厚生労働省としてもしていきたいと思っているところでございます。比率がなかなか変化がないというところの現状については、津下座長に今ご説明いただいた通り、やはり国保の基準そのままをフォローされているといったあたりだとか、都道府県で検討したプログラムをそのまま使っているというお話をお伺いしているところではありますので、改めて考えた方等については周知をしていきたいと思っているところでございます。ロコモの考え方についても、行政や広域連合も含め担当者が変わっていくことも多いと思いますので、背景も含めて引き続き啓発をしていきたいと思っているところでございます。ありがとうございます。
○鈴木構成員 すみません、ご事情はよく理解できます。問題なのは6.5でそのまま例えば先ほど津下先生がご説明されたように、県のほうで決めたそういうスクリーニング基準が例えば6.5であった時にそれをなかなか市町村独自に変えることが難しいんだということがあるんだろうということであればですね、やっぱり8.0も6.5以上であることは間違いないので、何かそこでうまく従来の但し書きみたいなもので、例えば従来の基準でスクリーニングしてもいいけれどもそのうち8.0以上の方でどのぐらいの方に受診勧奨ができ、また実際に受け手の側としてのモチベーションを上げて実際に受けていただいたのかっていうような、そういったような少しいわゆる市町村のそのオリジナリティも生かすというような方策っていうのを作れればよろしいのかなというふうに思います。
○津下座長 はい、ありがとうございます。その辺十分意識しながら、そして市町村の頑張りを応援できるようにしていきたいと考えております。他にいかがでしょうか。村杉先生お願いします。
○村杉構成員 はい、ありがとうございます。日本薬剤師会の村杉でございます。一体的実施につきましてはまず実施率が非常に高くなってきているということで、厚生労働省の皆様と津下先生始め関係者の皆様に敬意を表します。一点、確認というかお願いがございます。津下先生からの資料17枚目のご説明で、あるリスクがある人は複数のリスクを抱えている、という主旨の説明がございました。例えば服薬のところを見る際に、服薬の課題を持っている人は低栄養や身体的フレイルなどにもリスクも抱えていらっしゃる、いわゆるリスクが複合的に存在している状況、まさにその通りだと思います。それからスライドの同じく19ページ目あたりとかになりますと、このフレイルが進んでいく理由については複数の要因がある方のほうがハイリスクであることがわかります。つまり一つの事業を行っていく際に、一つの事象について着目しすぎるのではなく、やはり複数の要因ですとか複数のリスクをしっかりと見極めていくのが事業を進めていく上で極めて重要な視点だなと改めて感じたところです。市町村の担当者の皆様ですとか、あるいは地域職能団体がそういう事業に実施協力するというようなことが必須となってくると思いますので、事業に携われる方々にリスクが高い人は複数の要因を抱えていらっしゃるとか、一つの事業をやっているんだけれども実は隠れたリスクがあって、それを持っているとより深刻になっていくっていうようなことについてもわかりやすくご説明をいただけると、より良い事業につながっていくのではないかなと思った次第でございます。以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。今おっしゃった通りで17ページ、これは平田先生に分析していただいたものになります。平田先生一言コメントいただけますか。
○平田構成員 東京都健康長寿医療センターの平田でございます。村杉先生どうもありがとうございます。服薬の事業で特にポリファーマシーが疑われる方の特性を考えた時に、やはり身体的フレイルの対象者でありますとか、いわゆる重症化予防におきましても基礎疾患保有プラスフレイルに該当する方の中に多剤処方に伴う薬物有害事象が疑われるような方が多いわけですので、そのような方に対してはポリファーマシー対策、薬物有害事象が生じないように薬剤の調整をしていただく必要があるだろうと思います。一方で、現状のポリファーマシー対策の課題でございますが、事業効果をどのように判定するかが難しいところでございまして、薬剤数だけをアウトカム指標として確実に事業効果を得ることを意識した事業設計を行うことになりますと、どうしても疑義照会が必要になる方をうまく抽出して対応いただく形にしないと、なかなか良い結果が得られないということがございます。先ほど事務局からご説明がありましたけれども、服薬事業でオリジナル基準の割合がそれなりに高いというところはそのようなことに起因するものであると考えております。現状、ポリファーマシー対策は適切な疾病管理の観点から高齢者においても非常に重要だと考えておりますし、私は先ほど事務局よりご提示いただきましたオリジナル基準例のうち服薬に関するオリジナル基準につきましては比較的妥当な基準だと考えております。一方で、先ほど吉村先生や鈴木先生からお話がありました糖尿病性腎症重症化予防ですね、重症化予防の血糖コントロール不良のオリジナル基準例にあるHbA1c6.5%、血糖126mg/dLといった基準につきましては問題があると思いますので、同じオリジナル基準ということでありましても、若干そのあたりの意味合いが違うものと理解しておりまして、特に適切といえない基準につきましては是正を図るべきだと考えております。私からは以上でございます。
○津下座長 はい、ありがとうございました。服薬が15剤以上でそれでいいのかとかいろいろ議論があったと思うんですけれど、まあエクセルでKDBから抽出して動かせる人数の範囲とかいろいろあったんですけれども、現実的なところとかあんまり複雑ではないとか、そういうことからできるだけ簡単にせざるを得なかったっていうところもございますので、より良い抽出の方法とかまたは保健事業のあり方については検討すべき余地が大きいのではないかなと思っております。また、私の参考資料の27ページでございますけれども、ちょうど9月18日今月になるんですけれども、研究班でワークショップを開催し、どういうアウトカムをどのように事業検証しようとしているのかということや考え方についてもう少し詳しく自治体の皆様にご紹介し、それに対する反応を研究班のメンバーとしても直接伺って今後につなげたいということで、ワークショップを開催する予定としております。また、午後には特に都市部と言いますか、割と縦割りになりやすい複合的な取組でいろんなことが重なってくるわけですけれども、それぞれに委託してしまうとバラバラになってしまいやすいような都市部において、例えば口腔と栄養を一緒にやるときにはどのように進めていったらいいのかとか、調整が必要になってきますので、そのような観点で都市部に着目したグループワークをやりながら現状を把握していきたい、よりよい提案につながるようにしたいと思っているところです。複合的な視点を持ってどのようにこの事業を進めるのかというのは重要な課題として受け止めさせていただきたいと思います。厚生労働省さんいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。今、津下座長の方からお話いただきました通り、複合的な取組については、昨年度のデータヘルス計画の調査報告書の中でも課題として挙がっているところでございます。この一体的実施は色々な医療専門職の方が関わっていただいているんですけれども、それぞれの分野だけにとどまらず複合的なところで、相補的な支援体制というのが必要じゃないかというところは課題として上がっているところでございますので、引き続き対策・対応については検討していきたいと思っているところです。
○津下座長 はい、ありがとうございました。他にいかがでしょうか。野村構成員いかがでしょうか。
○野村構成員 ありがとうございます。いろいろな形で口腔のことに関しましても一体的な実施というのはかなりできたかなと思いますけれども、やはりかなり自治体間ごとにちょっと違っている感じもありますし、そのあたりの評価をどういうふうにしたら良いのかというところと、あと、口腔がどういうふうにフレイルと絡めるかということで、オーラルフレイルという概念があったり口腔機能不全症があったりとかいうようなところをうまくハイリスクとして歯科医につなげていけるのかというところも課題かなと。そのあたりをもう少し炙り出していただければありがたいかなとは思っていますが、なかなか難しい課題かなというふうに考えています。いかがでしょうか。
○津下座長 はい、ありがとうございます。研究班の中で口腔に関する検証もしております。また、歯科健診をやっている自治体数が増えているというデータが出ているかと。
○事務局 はい。実施いただいている市町村数については増加している傾向がございますので、健診の重要性等については広まってきているというふうに考えているところでございます。
○津下座長 今後ともよろしくお願いいたします。宮崎構成員いかがでしょうか。
○宮崎構成員 ありがとうございます。いただいている資料の中で、令和6-8年がフェーズ2に入ってきているおり、、取組の数そのもの実施市町村数は増えてきているというところで、さらにそれを上げていくことと質の向上を目指すことが上がっていて、その質の向上をどう測るのかというのが本当に難しいのではないかなと思っていたところです。皆様の意見の中で今日出てきたものがまさにそれに当たるものなのかなと、どう評価指標を揃えていくか、揃えていくことだけが全てではないと思いますけれども、質が向上したことを何をもって測るのかということを、この後も検討していければいいのではないかと思っておりました。ありがとうございます。
○津下座長 どうもありがとうございました。そうしましたら池田構成員お願いします。
○池田構成員 はい、ありがとうございます。ちょっと28ページの、「令和7年度一体的実施実施状況調査項目案」についてでございますけれども、私ども国保連につきましては市町村に対する支援というものをしてございまして、その国保連からの支援の内容につきましては29ページの市町村表の中でその支援の内容が把握がされることになろうかというふうに思っているところですけれども、28ページに戻りまして、広域連合の表の中で「市町村への働きかけ・支援」というのが一ポツ目にございます。これは実態としては広域連合が市町村に単独で支援している場合と、広域連合と国保連が共同で支援している場合がございますので、つまりその国保連が支援している内容ですね、広域連合と共同で国保連が支援している内容についてもここで把握するというようなことでよろしいのかどうか、ちょっと確認をさせていただければと思います。
○事務局 ありがとうございます。共同での支援状況について、それぞれで国保連に支援してもらっているかどうか等は、単独での聞き方になっているので、国保連と広域連合の合同での支援があるかどうかという聞き方をする調査票の案にはなっていないところなので、調査項目のあり方については検討させていただければと思うところでございます。それぞれの支援があるかどうかについては、把握を予定しているところでございます。
○津下座長 はい、ではよろしくお願いします。そうしましたら益田市の和﨑構成員お願いいたします。
○和﨑構成員 益田市の和﨑です。まずは津下先生をはじめ構成員の皆様に本事業実施にあたります自治体の状況をしっかり踏まえた上でご議論いただいておりますことに心から感謝申し上げます。この場を借りて本市の状況をご説明させていただきますと、今現在ハイリスクやアプローチにつきましては6項目中2項目の実施でございまして、なかなか思うように取り組みができてない状況ではございます。これにつきましては今日のご議論の中で度々出てきましたが、まずマンパワー不足というところが大きな要因になっておるところでございます。ただ、それぞれの取組について必要性は十分市町村としても感じておるところでございますので、何とか軌道によるようにこれから尽力してまいりたいと思います。本日はありがとうございました。
○津下座長 はい、ありがとうございました。本当にマンパワー不足の中でどううまく効率的に回していくのか、また複合的なリスクの方々に対してサポートする支援者の力量と県政というのも非常に重要ですし、地域の関係者の協力というのも非常に重要になってきますので、地域全体で高齢者の健康を支えられるようにどうぞよろしくお願いします。またもし研究班とかこういうデータ何かないかとかいうことがありましたら、お聞かせいただければ対応を頑張っていきたいと思っておりますので、また何かご意見ありましたらよろしくお願いいたします。岐阜県広域連合の林構成員お願いいたします。
○林構成員 岐阜県広域連合の林です。よろしくお願いします。皆様方の意見お聞きしまして広域連合としましても地域の高齢者の方を支えていくという事業のほうをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。調査項目とかいろいろ国保中央会さんのほうの支援も受けながら、岐阜県はじめ全国の項目課題に合ったことをしていきたいと思っておりますので、またこの項目内容につきましてもいろいろしっかりと調査の方をしていっていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。行政においては人事異動もある中で本当に組織的に、この事業をつないで発展させてやっていくっていう令和2年度からのご苦労はいかばかりかと思うわけですけれども、後期高齢者が非常に増加している中で、やはりここのところは大事な事業として位置づけられつつあるっていうのは、私自身、本当に心強い限りだなというふうに思っております。厚生労働省さんいかがでしょうか。
○事務局 引き続き当課としましても、高齢者の保健事業を推進できるように取り組み、進めていきたいと思っているところでございます。引き続きよろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。そうしましたら議題1については皆様のご意見を伺いましたので、次に進みたいと思います。議題二つ目はその他ということで、資料1の後半部分について事務局よりご説明をお願いいたします。
○事務局 はい、それではご説明させていただきます。
(スライド31)今年度ですけれども、データヘルス計画の取組の関係としましては、中間評価に係る有識者会議を実施しているところでございます。こちらの会議については、年3回ほど予定しておりまして、第1回は8月に開催をしているところでございます。こちらの有識者会議では、令和8年度に予定しております後期高齢者広域連合のデータヘルス計画中間評価に向けた、調査実施や参考資料の作成といったところを実施しているところでございます。
(スライド32)こちらのスライドが高齢者の保健事業の実施計画の中で、健康課題の解決につながるような計画を策定ができるようにといったところで、考え方として、「標準的な計画様式を既に適用しているところ」と「共通の評価指標の設定」というところもしておりまして、標準化を進めているところでございます。広域連合に作成いただいている第3期データヘルス計画については令和6年度からスタートしているものでございまして、それに先立って令和4年度に検討会を立ち上げて手引きを作成したところでございます。こちらの手引きに基づいて標準化を進めているところでございます。
(スライド33)現在、策定しているデータヘルス計画策定の手引きの中で、中間評価にかかる記載については、赤字で示しているところでございます。中間評価の具体的な方法や手順に関する記載についてはないような状況となっておりますので、こちらの内容を補足するような参考資料の作成を検討しているところでございます。
(スライド34)こちらのスライドにつきましては先ほど映した図表の資料にも含まれていた資料でございますけれども、その資料の中にデータヘルス計画の中の目標設定の考え方と指標の方を関連付けたものとなっておりますので、参考にご確認いただければと思います。
(スライド35)次のスライドについては、一体的実施に関する財政支援を主に基軸にしたものになりますけれども、一体的実施、健診事業の取組と、共通評価指標の位置づけを整理したものでございます。「共通評価指標」と横に書いているところが共通評価指標として設定しているところでございます。
スライド36枚目ですけれども、今回のまとめを予定しております補足資料の方向性の案といったところでございます。中間評価の目的・意義・手順を記載させていただくことと、あとは好事例集といったところもまとめられたらと思っているところでございます。また、評価指標の最新のデータ値といったところもまとめられたらと思っているところでございます。
(スライド37)こちらのスライドにつきましては、中間評価に関わる関係者との連携イメージ案でございます。こちらの詳細な内容については中間評価にかかわる有識者会議のほうで再度議論させていただいた上で、整理ができればと思っているところでございます。中間評価にあたりましては計画策定時と同様に、保険者による主体的な検討だけではなく、外部有識者の方々との連携・協力も重要と考えておりますので、ぜひイメージをお示しできればと思っているところでございます。
(スライド38)こちらがデータヘルスの中間評価に向けたヒアリングアンケート調査の項目案となっているところでございます。ヒアリング調査については、これまでの調査事業の結果から、標準化の推進や効果的・効率的な事業の推進をされているといった観点から好事例と考えられる事例を事務局で抽出させていただきまして、あとは、保健事業の実施については、人口規模についても大きな影響を受けるところも踏まえまして、6広域連合、10市町村を対象として協力いただければと思っているところでございます。アンケート票による調査については、すべての広域連合の皆様にご協力いただければと思っているところでございます。ヒアリングの観点そしてアンケート項目としましては、スライドに挙げさせていただいております通りで、データヘルス計画の意義や標準化を促進するための方法や効果的な事業の方法等についてお聞きできたらと思っているところでございます。
(スライド39)こちらについては現在設定させていただいておりますデータヘルス計画の共通評価指標の一覧となっております。参考にご確認いただければと思うところでございます。
(スライド40)財政支援における検討でございます。これについては項目の頭出しとさせていただければと思っているところでございます。
(スライド41)まず一枚目のところが高齢者の保健事業に係る特別調整交付金の改正事項となっているところでございます。令和8年度に向けてですけれども、企画調整担当および地域担当の人件費については賃金上昇の現状も踏まえまして、交付基準の見直しをできたらと考えているところでございます。また、一体的実施の質・量の拡充に向けまして、ハイリスクアプローチの実施事業数に応じた人件費、その他経費の算出方法についても見直しができればと考えているところでございます。
(スライド42)次が保険者インセンティブの見直しの方向性の案でございます。こちらについては一体的実施の推進、そしてデータヘルス計画の推進の状況、また、経済財政運営と改革の基本方針等も踏まえて、指標の見直しを一部考えられたらと思っているところでございます。これらの評価指標につきましては、秋以降に広域連合の代表の皆様方でインセンティブ実務者検討班を立ち上げさせていただきまして、そちらで内容検討できればと思っているところでございます。次回のあり方検討ワーキングで内容をご報告できればと思っているところでございます。
スライド43枚目以降については、閣議決定をした内容を参考にお付けしているものでございますのでご覧いただければと思います。説明としては以上になります。お願いいたします。
○津下座長 はい、ご説明ありがとうございました。ただいまデータヘルス計画の中間評価に向けた現在の動きについてご説明をいただきました。有識者会議等で今検討中ということで、現場の様子も聞きながら中間評価に向けて動いているということ。また財政支援等制度的なバックアップについてもご説明いただいたところですけれども、ご質問ご意見ございましたら挙手等お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。データヘルス計画は標準化ということが今回かなり進んだところですし、それから基準になるデータなどもある程度国からこう出すというか、分析の手間はかなり減っている状況になるんですよね。
○事務局 そうですね。一体的実施の計画書を集約するために広域連合でご活用いただけるような集約ツールですとか、データヘルス計画の進捗を見ていただけるような進捗管理シート等についても昨年度検討しておりまして、ご提供させていただいておりますので、それらもご活用いただければと思っているところでございます。計画については、経年の評価取りまとめについても経年のグラフが見られるような形で現在ツールの見直しもしておりますので、より使いやすいツールのご提供ができればと思っているところでございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。データヘルス計画、まず分析からという非常に大変な作業ではなく、またそれぞれが広域連合ごとにバラバラになるのではなく標準化された方法で、また既存の事業実施のデータから評価ができるという時代に入ってきたということで、データヘルス計画については広域連合が47広域ということで、かなり早く進んでいる状況から標準化が進んで逆に国保より早く進んだ感じもあるかなというような感触を持っていますが、いかがでしょう。広域連合の立場として林構成員、何かご懸念事項等がございますでしょうか。また、データヘルス計画を作った感触などについてもご披露いただけますでしょうか。
○林構成員 しっかりしたことが言えるかどうかはわかりませんけども、データ関係を作るにあたりましてやはりデータにする費用ですね、委託とかにつきましても国保連さんのほうと協議して進めていったこともありますし、ほかの各市町村の担当者の方ともどういった内容のデータが必要なのかということで、データ化していくにあたっての必要なデータの抽出と言いますか、そういうことも協業してなんとかやっていっているという感じの状況になっております。すみません、うまく説明できなくて。
○津下座長 ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいた通り、データヘルス計画はその表を埋めればいいっていうものじゃなくて、それでどうなったか振り返って市町村と話し合いが進められたりとか、他の広域連合との比較ができたりとか、いろいろなことで事業の棚卸や比較ができるという機会として捉えていただくのがいいんじゃないかなと思うんですけど。
○事務局 そうですね、今、座長におっしゃっていただいた通りで膨大なデータがたくさんある中で、それをどうやって効率的に活用いただけるかといったところで、グラフ化だったり、他の方々が協力いただくための客観的な資料として活用いただけるのかなというふうに思っておりますので、ご苦労・ご尽力いただいているということは重々承知しておりますけれども、引き続きお願いできればと思うところでございます。
○津下座長 そうですよね。ここがどうして伸びたのかなぁとか、どうしてこううまくいかないのかなぁといろいろと考察しながら事業を考えていく非常にいいチャンスになればいいなということで、データヘルス計画を策定される時も、かなり対話されたところと、まあちょっと言っちゃいけないけどサクサクっと作られたところと、ちょっとあるような気もしておりまして、十分な事業の評価や推進に向かうといいなというふうに期待しているんですね。
○事務局 引き続き、データの読み方など、現場の方々にしっかりとご活用いただけるような研修会や事業等も検討していけたらと思っているところでございます。
○津下座長 ありがとうございます。鈴木先生お願いいたします。
○鈴木構成員 すみません、あの本質的なことじゃないんですけれども、「保健事業における目標設定の考え方と評価指標の図(資料1、P34)」のところでですね、これ昔からずっとフレイルを、今後大きな特に後期高齢者の予防戦略・健康戦略として考えるときに作られた図なんですけれども、これはフレイルのところを見ると全部虚弱って書いてあるんですけど、当初はですね、確かにちょっとフレイルっていう新しい用語が虚弱というような言葉にかつて使われた言葉であるというようなことで括弧を入れてたんですけど、フレイルというのは実は虚弱ではないという本来概念なんですね。ですので、もう厚労省さんからのこういったオフィシャルなこういうところでは「フレイル(虚弱)」の「虚弱」は外した方がいいんじゃないかなというふうに思います。虚弱というのは、非常にまあ何でしょうか、虚ろになって弱まるということでしかも下り坂一方であるということが問題だということでフレイルに変えたと思うので。irreversibleな状態からリバーシブルな状態なんだということを新しく提唱するための用語ですので、ちょっとこれもう虚弱という言葉は外された方がいいのかなと思いまして、余計かもしれませんけどコメントいたします。
○事務局 ありがとうございます。多くの自治体等にも広げていっている資料でございますので、修正をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。フレイル対策って言う時に、もう少し可逆性ということを、今ならこう戻せるみたいな明るいニュアンスでお伝えしていると思うので、もう本当におっしゃる通りの感じがします。どうぞ修正よろしくお願いいたします。それでは宮崎構成員お願いします。
○宮崎構成員 ありがとうございます。日本看護協会の宮崎です。ちょっと不勉強なのでもしかしたら的を射ていない質問になってしまうかもしれませんが、参考でついている「データヘルス計画の評価指標等について」資料だと39ページ目のパワーポイントですけれども、そこのアウトカムのところに書かれている評価指標の中のハイリスク者割合のところのカッコ書きに、一体的実施支援ツールの抽出基準に該当するものの割合と表記されています。さきの議題のところで、オリジナルの抽出基準を一定のところが使われていると話が出てきておりましたが、このアウトカムにはそのオリジナルのものの場合はどういうふうに入ってくるのか、下にもう一つ注意書きで広域連合が上記以外の評価指標を設定することも差し支えないとあるんですけれども、それなりの数頑張ってそのオリジナルのものでやられているということが実績としてあるのかな思ったので、そういった点がどういう形でここに影響するのかちょっと気になりましたので、ご質問させていただきました。
○津下座長 はい、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。まずこのデータヘルス計画の指標で使うアウトカムについては、保健事業をオリジナル基準でされている場合についてもツールを使った方の割合を出していただくという指標で統一しております。その上で、それぞれの広域連合と市町村で、それ以外の評価指標を設定いただいても差し支えないという整理にさせていただいているところになります。なのでオリジナルの基準の反映については、独自の基準設定をされるかどうかといったあたりでの整理になるかなというところでございます。
○津下座長 ちょっと補足しますと、オリジナルの基準で対象者を絞り込んでやっていますというところについて、計画した対象者数と実施者数が全く一致している自治体が結構あるんですね。要は百パーセントやっていますということなんです。本来は、その地域にどのぐらいの健康課題を持った人がいてそのうちに何パーセントやれましたか、ということをここでは聞きたいところなんですけれども、やった人の人数が母数になっている。当然百パーセントになっちゃうんですよね。で、それが結構自治体によって、一定の基準で概数を把握した上でパーセントを出しているところと、自分たちが10人やって10人を母数としてしまっているところがあるということで、そうしますとこの実施割合について評価が不可能ということになってしまいます。なので評価については、一定の物差しを置くことでより実態がわかる部分がありますし、また実施率を上げるために市町村が工夫している事業の中での評価っていうのはそれはオリジナルでいいとは思うんですけれども、自治体の住民全体を見た中で事業が対象者をきちんと選べているかと、まあこのあたりは繰り返し説明をしながら標準化に向かっていくのがいいのかなというふうに思っておりますので、また保健師さんたちの研修とかそういう時にも、事業対象者の捉え方について適切に実施されるようにご指導もいただければというふうに思ったりするところでございます。
○宮崎構成員 ありがとうございました。よく状況がわかりましたので、ご指摘のところもちょっと踏まえておきたいと思います。ありがとうございます。
○津下座長 はい、ありがとうございます。吉村構成員お願いします。
○吉村構成員 すみません、細かなことなんですけれども、38ページの「データヘルス計画中間評価に向けたヒアリング調査及びアンケート」について、好事例の6広域連合10市町村に調査して聞き取りをするというのは、とても好事例のところに聞くのは参考になるので重要なことだと私は考えておりますが、どのような基準で選んだのかということを明記できるような選択のやり方でやりましたということがあるとよいと思います。これで見ますと標準化の推進や人口規模を考慮して選定と書いてはおりますけれども、ちょっと客観性に欠けると言いますか、好事例ですから客観的でなくてもいいんですけれども、ただそもそもどういうものを好事例とするのかというところも含めて言葉を定義してから選択するということが、データの結果を科学的に意味があるかないかというところの判断で重要ですので、その辺の定義をきちんとされるようにしていただくと助かります。以上です。
○事務局 ありがとうございます。こちらの選定については、市町村であればデータヘルス計画の理解度であったり、これまでの実施状況調査の回答を参考に候補を選ばせていただいたような状況になります。補足資料の取りまとめの際には、どういった基準でこの事例を抽出したかというところを明記した上で、取りまとめをさせていただければと思っているところでございます。
○津下座長 ありがとうございます。重要なご指摘だったと思います。恣意的に選ぶとかそういうことではなくてきちんと一定の基準で選ぶということが重要ですし、一方ですね、好事例だけではなく、うまくいかない状況がどういうところにあるのかということについても把握をしていただいて、参考にしていただけるようにしてほしいなというふうに思っております。
○事務局 ありがとうございます。ヒアリングの中でどういったところが現場でご苦労されているかといったところも、良いところだけではなくてそのあたりも一緒に聞き取りをさせていただければと思っております。
○津下座長 はい、ありがとうございました。村杉構成員お願いします。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。最後に資料でご提供いただきました「経済財政運営の改革の基本方針(資料1 P42)」の骨太のところです。我々は地域の保健等を担う役割者として、方向性を地域行政とともに変えないといけないと思っているところについて、ご意見を申し上げます。一体的実施につきましては、令和7年度まさに量と質を向上させようという年度であるということ、それから先ほどの資料の津下先生の資料のところで最後にもコメントがございましたが、一体的実施をよりよく進めていくためのポイントの一つとしてやはりしっかりと見守っていくこと。これは日本医師会の渡辺先生からも見守りにおいては、やはりモチベーションをしっかりと保つような見守りが非常に重要だというようなコメントも頂いていたところだと思います。この重要性は私も共感するところです。さらに見守りつつも、必要な機関に必要なタイミングで必要な情報とともにつないでいくというような役割も非常に重要だと思います。その中で骨太の方針の中では循環器疾患や慢性CKD、COPD、骨粗鬆症も含めて、様々な疾患、それからブレコンセプションケアを推進する事業、歯科受診勧奨、オーラルフレイル対策などについて、一般的に薬剤師会とは直接関係ないように思われるような内容であったとしても、薬局は地域住民が比較的定期的に通われる場所なんですね。比較的珍しい場所だと思います。これ、医療依存度のある人でもない人でも、ある程度の関係性ができるぐらい通いの場になるという特徴があって、さらに医療介護などで様々に情報のやり取りも含めてですけれども、連携の機会がすごくある場所です。そういうふうに考えていきますと、一体的実施の量と質の向上というところで見守りつないでいくということを考えますと、薬局が地域行政と共に、地域行政が把握している課題を地域の薬剤師会ですとか健康サポート薬局、2年後には健康増進支援薬局に変わりますけれども、そういった健康をサポートをするような各拠点となるような薬局がしっかりとその地域課題を把握をして解決をしていくというような役割を果たしていかないとと痛感しているところでございます。つきましては、国保事業ですとか一体的実施とか健康増進事業などの様々な事業を通じて市町村が取り組んでいただくわけですけれども、そのような地域の課題などをぜひ地域薬剤師会などにも共有していただき、認定薬局なども含めて一緒に対応していいきたい所存でございます。日本薬剤師会でも今年度、全国でそういうような地域課題の解決に向けた体制を構築できるための事業も進めておるところでございますので、ぜひ令和7年度、量と質の向上というところで我々もしっかりと協力させていただきますし、日薬といたしまして、都道府県薬剤師会に対して情報をご提供していくところでございますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○事務局 ありがとうございます。大変心強いお言葉だなというふうに受け取らせていただきました。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。これから本当にますます地域連携というか生活の場での取り組みが重うになります、例えば今回も健診の時に質問票で把握するという建付けになっていますけれど、通いの場でも把握するし、通いの場として公設の官製の通いの場だけじゃなくていろんな通いの場があって、いろんなところで高齢者がセルフチェックじゃないけれども自分のことに自分で気づけるとか、気づいた時に相談できるとか、当たり前のようにそれが自然に動いていくことや、それから、いろいろ介護予防とかいろんなサービスにつないでいくのかそのあたりもこれから地域ごとで工夫していけることかなと思って受け止めさせていただきました。はい、ありがとうございます。他によろしいでしょうか。一体的実施ということで令和2年の最初からずっと令和6年には全国で全ての市町村でやるぞみたいな話で、そこに向けてこうやってきたわけですけれど、より本当の狙いというのを意識しながら、これからより良い事業にしていく、育てていくことになり、そして先ほどの図で言うと令和9年度から全体的な評価をして、良かったこととか、まあ制度改正とかいろいろにつながっていくんだろうと思っておりましたけれども、大事な時期に当たっているのではないかなということを思いました。先生方のまた行政皆様の非常に多くのご意見をいただきまして、ありがとうございます。厚生労働省さんにはですね、ぜひ、制度のより進展に向けてご尽力いただければというふうに感じた次第でございます。厚生労働省さんから何かありますでしょうか。特によろしいでしょうか。はい、そうしましたら、本日予定していた議題につきましては全て終了いたしましたので、これで本ワーキンググループについて終了したいと思います。事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。
○事務局 津下座長ありがとうございました。公務の都合により日野は欠席とさせていただければと思います。本日も活発なご議論を賜り、誠にありがとうございます。構成員の皆様方からのご意見踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。次回の開催日程につきましても後日日程を調整させていただきますので、ご出席をよろしくお願いいたします。
それでは、本日も長時間にわたりありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
閉会