2024年10月30日 薬事審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和6年10月30日(水)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 



欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文  (医薬局長)
  •  佐藤大作 (大臣官房審議官)
  •  中井清人 (医薬局医薬品審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬局医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事審議会医薬品第二部会」を開催します。本日は、お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本会議はペーパーレスでの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点がありましたら、適宜、事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いします。
 初めに、本日の会議における委員の御出席について御報告申し上げます。浦野委員、島ノ江委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、現在のところ、滝田委員、中野委員、松下委員が遅れていて、まだ御参加いただいておりません。後ほど御参加いただけるものと思っています。本日は、現在のところ、21名のうち16名の委員がこの会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを報告申し上げます。
 続きまして、薬事審議会規程第11条の適合状況については、全ての委員の皆様より、適合している旨の御申告を頂いておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、御協力を賜り、誠にありがとうございます。
 それでは、清田部会長、以降の進行をお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、それから、委員からの申し出状況について御報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1から資料18を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料18に記載のとおりです。これらに関する委員からの申し出状況等を踏まえた、薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりでございます。
 議題1「ブルキンザ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、山本俊幸委員です。
 議題2「バルバーサ」、退室委員は安藤委員、議決に参加しない委員は亀田委員、山本俊幸委員です。
 議題3「キイトルーダ」、退室委員、議決に参加しない委員ともになし。
 議題4「希少疾病用医薬品の指定の可否(taletrectinib、TP-3654、タファシタマブ(遺伝子組換え))」について、退室委員は安藤委員、滝田委員、松下委員、山本昇委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 同じく議題4「希少疾病用医薬品の指定の可否(BMS-986278、Nacubactam、BAY 2927088及びLomustine)」について、退室委員は大隈委員、大曲委員、亀田委員、川上委員、山本昇委員、議決に参加しない委員は中野委員、松下委員、南委員、山口委員です。
 議題5「再審査期間延長の可否(プレバイミス)」について、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、中野委員です。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの説明に特段の御異議、御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。本日の非公開議題は、審議事項が5議題、報告事項が7議題、その他事項が2議題となっています。
 それでは、審議事項の議題に移ります。議題1につきまして機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料番号1、医薬品ブルキンザカプセル80mgの製造販売承認の可否等について、説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの121分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるザヌブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害作用を有する低分子化合物であり、BTKと結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)(以下、CLL)及び「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」(以下、WM)を効能・効果として承認申請されました。
 令和6年9月時点において、本剤は60以上の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料17を御覧ください。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、CLLに対しては二つの海外第III相試験である304及び305試験の成績が、また、WMに対しては、海外第III相試験である302試験の成績が、それぞれ提出されました。
 まず、CLLに対する有効性について、審査報告書42ページの表27及び図1を御覧ください。未治療のCLL患者を対象とした304試験のコホート1において、主要評価項目とされた中央判定による無増悪生存期間(PFS)について、対照群であるベンダムスチン・リツキシマブ(BR)併用投与に対する本剤群の優越性が検証されました。
 また、審査報告書44ページの表28を御覧ください。再発又は難治性のCLL患者を対象とした305試験において、主要評価項目とされた治験担当医師判定による奏効率について、イブルチニブ群に対する本剤群の非劣性が検証されました。また、審査報告書51ページの表31及び52ページの図3に示したように、305試験において副次評価項目とされたPFSについても本剤群で延長傾向が認められています。
 以上の結果等から、CLL患者における本剤の有効性は示されたと判断しました。
 次に、WMに対する有効性について、審査報告書46ページ、表29を御覧ください。WM患者を対象とした302試験のコホート1において、主要評価項目とされた中央判定によるvery good partial response(VGPR)以上の奏効率について、イブルチニブ群に対する本剤群の優越性は検証されませんでした。
 この点についての機構の考察は審査報告書61ページに記載しておりますが、次に申し上げる点等を考慮すると、本剤のWMに対する有効性は期待できると判断しました。
 本剤群のVGPR以上の奏効率は、未治療及び再発又は難治性のWM集団のいずれにおいてもイブルチニブ群と比較して高い傾向であったこと。また、統計学的に解釈することは困難であるものの、302試験のコホート1の副次評価項目とされたPFSについて、再発又は難治性のWM患者集団において、イブルチニブ群と比較して本薬群の延長傾向が認められたこと。この辺りを考慮しました。有効性については以上となります。
 安全性については、審査報告書61ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。二つの効能に共通して、本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、骨髄抑制、感染症、不整脈、心臓障害、出血及び間質性肺疾患が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理、本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」及び「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。
 薬事審議会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたら承ります。いかがでしょう。どうぞ。
○南委員 報告書の53/121ページの下の方に黒ポツが四つあって、その三つ目のことで教えていただきたいのですが、奏効割合の優越性の検出力が低下したことを考えると、PFSの優越性が検証されたと解釈することは困難、と機構の解釈が書いてありますが、これは、PFSは統計学的に有意になったように読めたのですが、この三つ目のポツの意味するところを教えていただけませんか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。まず、この3ポツ目の最初に記載しておりますように、本試験の主目的が奏効率の非劣性を検証するということで試験が実施されております。確かに主目的の非劣性が検証された上で、階層手順に基づいてPFSも検定して有意差があったところではあるのですが、機構側の考えとしては、あくまで試験の目的が奏効率の非劣性を検証するというものでしたので、PFSに関して統計学的に有意だということを主張するのは難しいと判断しました。あくまで奏効率に関する非劣性が検証された、統計学的に解釈可能なところだということで判断していましたので、この3ポツ目は、そのような趣旨で記載しています。
○南委員 今まで他の承認では、そういった階層手順を踏んだものも、しっかりとつながれば有意という判断をしていたと思いますが、ここで、こういう解釈をしたというのは、何か理由があるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。ご指摘のようなよくあるケースですと、例えば主目的がPFSの優越性を検証するといったパターンで、優越性が検証された後、階層手順に基づいてOSも検定して有意差が付いたという場合には、そのOSまで統計学的な解釈ができると、通常、我々も判断している場合はありますが、今回に関しては先ほど申し上げたように、あくまで試験の主目的が奏効率の非劣性を検証することでしたので、いわゆる仮説のスイッチングに当たるものと、非劣性を目的にしたのに優越性を主張しているということで、仮説のスイッチングを懸念と考えて、今回の判断をしております。
○南委員 分かりました。それから、ワルデンシュトレームを承認というのは、症例数を考えるとある程度仕方がないかもしれないのですが、ちょっとどうかなという気がしましたので、コメントさせていただきます。
 もう1点ですが、重度の肝障害患者での添付文書の書きぶりですけれども、今までの他の薬と少し書きぶりが違う気がしています。Child-Pugh Cで確か、肝障害時のPKを見ていて、血中濃度(AUC)が2.9倍、約3倍に上昇しています。恐らくこれは単回投与の試験だと思いますが、承認後は継続投与されると思いますが、3倍の曝露が持続した時の安全性が心配です。第I相試験では、承認用量の160mg・BIDか、トータルの1日量が同じ320mg・QDしか検討していません。3倍量の安全性を確認してあればいいのですが、そこを見ずに、そのまま肝障害時には血中濃度は2.9倍になります、血中濃度が上がるから注意しなさい、という記載だけで、本当に大丈夫かと心配します。どうでしょうか。もう少し突っ込んで、血中濃度が上がることが想定されるためとか、表現は私もよく分からないのですが、もう少し突っ込んだ表現があってもいいような気がしたのです。どうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。重度の肝機能障害患者のデータということで、先生から御指摘いただいたように血中濃度曝露としては約3倍上がるということは御理解のとおりです。それを踏まえて、添付文書上では、9.3.1項の「特定の背景を有する患者に関する注意」の所で、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)の患者さんに対して注意喚起を行っておりまして、「減量を考慮するとともに患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に注意する」、そして、「血中濃度が上昇する可能性がある」と、そういった旨を注意喚起させていただいております。以上です。
○南委員 それから、後半の方のPKの所で、薬物曝露が2.9倍になると記載されている所を確認したのですが、この書きぶりだと多くの人は、2.9倍だから半分か3分の1にして投与すればいいのかと考えてしまいます。この状態での連日投与というのは全くデータがないので、減量しても安全性は確認されていないとか、何かもう一言ほしいと思いますが、どうでしょうか。このままだと何か危険のような気がします。もし添付文書の変更が無理なようであれば資材等でもいいので、決して安易に減量して使うなとメッセージが欲しいと思います。半量で投与しても肝障害時の安全性は確認されていないという情報提供をしっかりした方がいいように思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生の御指摘の趣旨としましては、重度の肝機能障害患者で通常用量で投与されてしまうと、過剰に曝露が上がってしまう懸念があるというところで、もう少し減量をしっかり現場にメッセージを届けるようにと理解しましたので、ご指摘の趣旨がもう少し工夫ができないかを検討させていただければと思います。
○南委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 松下委員から手が挙がっています。どうぞ。
○松下委員 マクログロブリン血症は、よく寒冷凝集素症が起こるのですが、寒冷凝集素症に対する有効性ということの報告はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。御指摘の観点での評価は、今回、具体的なデータは持ち合わせておりません。
○松下委員 分かりました。もし何か見つけたら教えてください。以上です。
○清田部会長 ほかに何か御質問はございますか。よろしいでしょうか。どうぞ。
○安藤委員 安藤ですが、全体的に、本剤というのは、既承認のチラブルチニブとかイブルチニブと比べると、安全性の面では、例えば毒性が軽度と考えられるのか、あまり変わらないと考えられるのか、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。今回、幾つかの試験で本剤と同じ機序のイブルチニブを対照とした比較試験が実施されておりまして、その中で安全性プロファイルを比較しております。本剤で見られる特徴の一つとしては、心房細動がイブルチニブよりも少し発現頻度が低い傾向があります。一方で他の副作用として、好中球減少等は本剤の方がイブルチニブよりもやや高い傾向もありますので、一概に本剤が安全とは言えないのですが、そういった副作用プロファイルの違いはあると評価しています。
○安藤委員 先ほどの原発性マクログロブリン血症に対して、当初の設定の奏効率で非劣性が検証されませんでした。例えばこの薬剤が、既承認の他のブルトンキナーゼ阻害剤と比べて、安全性の面で優れているという理由で、この薬剤を承認して支障ないという見解でしょうか?
○医薬品医療機器総合機構 WMに関して有効性が期待できると判断したのは、あくまで有効性のデータに基づいて判断をしております。
○安藤委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。このWMの適応というのは海外でも取っているのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、取っております。
○清田部会長 分かりました。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。審議事項の議題3と、その他事項の議題1は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、審議事項の議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料番号3、医薬品キイトルーダ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より説明いたします。資料番号3、審査報告書の7/45ページを御覧ください。本剤は、ヒトprogrammed cell death-1(PD-1)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、本剤は、悪性黒色腫等の複数の効能・効果で承認されています。
 今般、本剤は、「局所進行子宮頸癌」を効能・効果として承認申請されました。令和6年7月時点において、局所進行子宮頸癌に係る効能・効果で、15の国又は地域で承認されております。なお、本剤は令和5年12月に「高リスクの局所進行の子宮頸癌における同時化学放射線療法」を予定とされる効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の専門協議には4人の専門委員に御参加いただきました。詳細は、資料番号17を御覧ください。
 以降、臨床試験の成績を中心に、審査の概要を説明いたします。審査報告書8ページを御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるA18試験が提出されました。有効性については、審査報告書10ページ及び11ページの表2及び表3を御覧ください。高リスクの局所進行子宮頸癌患者を対象としたA18試験におきまして、主要評価項目とされた無増悪生存期間及び全生存期間について、いずれもプラセボと同時化学放射線療法(CCRT)との併用群に対する本剤とCCRTとの併用群の優越性が検証されました。
 以上の結果から、高リスクの局所進行子宮頸癌患者に対する本剤とCCRTとの併用の有用性は示されたと判断いたしました。
 安全性につきましては、審査報告書18ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤とCCRTとの併用時に特に注意を要する有害事象は、本剤の既承認の効能・効果に対する承認時等に注意が必要と判断された事象と同一であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用も考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構は、「局所進行子宮頸癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、「高リスクの局所進行の子宮頸癌における同時化学放射線療法」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果に対して再審査期間を10年とすることが適当と判断いたしました。薬事審議会には報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。続いて、その他事項の議題1について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。今回の申請に併せまして、キイトルーダに関する最適使用推進ガイドラインについて御報告、その他議題の資料14-1として御報告しております。併せて、御確認いただけると幸いです。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問ございましたら承ります。いかがでしょうか。何回も出てきた薬で飽きているかもしれませんが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。また、その他事項の議題1につきましても御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題2に移ります。安藤委員におかれましては、薬事審議会審議参加規定第5条に基づきまして、議題2及び議題4の前半の審議の間、会議から御退出して御待機いただくことといたします。安藤委員は御退出をお願いいたします。
──安藤委員 退室──
○清田部会長 それでは、議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料番号2、医薬品バルバーサ錠3mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。
 資料番号2、審査報告書4/112ページを御覧ください。本剤の有効成分であるエルダフィチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、FGFRのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は、「 FGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有するがん薬物療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として承認申請されました。令和6年9月末時点において、本剤は20の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議には8人の専門委員に御参加いただきました。詳細は、資料番号17を御覧ください。
 以降、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する根治切除不能な尿路上皮癌患者を対象とした国際共同第III相試験であるBLC3001試験コホート1の成績が提出されました。
 有効性については、審査報告書46ページの表31及び図2を御覧ください。BLC3001試験コホート1において、主要評価項目とされた全生存期間(OS)について、対照群とされた化学療法群に対する本剤群の優越性が検証されました。この結果から、BLC3001試験コホート1の対象患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、55ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象は、高リン血症、網膜剥離、角膜障害、眼障害、重度の爪障害、手足症候群、重度の皮膚障害及び急性腎障害であり、これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、患者の観察、有害事象の管理、本薬の休薬・減量・投与中止などの適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、製造販売後には、重要な潜在的リスクである網膜剥離及び角膜障害以外の眼障害並びに手足症候群以外の重度の皮膚障害と本剤の因果関係の評価を目的とした製造販売後調査の実施が必要と判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪したFGFR遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会には報告を予定しています。
 なお、審査報告書に1か所、誤記がありました。審査報告書76ページの下から2行目から最後の行に掛けて、「株式会社キアゲンより製造販売承認された」との記載については、「株式会社キアゲンより製造販売承認申請された」の誤りでしたので、当該記載について訂正します。なお、当該修正による審査結果への影響はありません。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承ります。いかがでしょうか。
○亀田委員 すみません、亀田です。一つ、お伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○亀田委員 BLC3001試験のコホート1と2で、この薬剤の見方というのが少し違うように見えました。コホート1の方では、割と最初の半年ぐらいのところで、比較対照群と比べて、明らかな違いがあって、その後、同じように下がってきている。一方、コホート2の方では、最初の1年間ぐらいは同じような感じで、その後、差が開いているように見えるのですが、この辺りは何か説明が可能なものでしょうか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 亀田先生、御指摘ありがとうございます。この点に関しては、特に説明を求めていないので、御説明できる材料を持ち合わせていません。申し訳ありません。
○亀田委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
 ないようです。ありがとうございます。それでは議決に入ります。亀田委員、山本俊幸委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。本議題については、取り扱う品目を二つに分割して御議論いただくこととします。滝田委員、松下委員におかれましては、利益相反の申し出に基づきまして、議題4の前半の審議の間、会議から御退出して御待機いただくこととします。また、山本昇委員におかれましては、薬事審議会審議参加規定第5条に基づきまして、議題4の審議の間、会議から退出して御待機いただくこととします。滝田委員、松下委員、山本昇委員は御退出をお願いいたします。
──滝田委員、松下委員、山本昇委員 退室──
○清田部会長 それでは、前半の3品目について事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。順番が前後してしまいますが、資料4-6、「taletrectinib」から御説明します。申請者は「日本化薬株式会社」、予定される効能・効果は、「ROS融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」です。対象者数について、肺癌の総患者数は約32万8,000人と報告されていますが、非小細胞肺癌患者の割合は約85%、ROS1遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者の割合は、約1~2%と報告されていることから、対象者数は約2,800~5,600人と推定されています。
 ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者等を対象に、国際共同第II相試験を実施中ですが、中間解析の結果、既承認薬等と比較して高い有効性又は安全性が期待できるとして、医療上の必要性があるものと判断しました。開発の可能性について、国際共同第II相試験等において、有効性及び安全性を確認の上、承認申請される予定ですが、今後、機構と協議予定とされています。
 続きまして、資料4-7、「TP-3654」になります。申請者は「住友ファーマ株式会社」、予定される効能・効果は、「骨髄線維症」です。対象者数について、本邦における原発性及び二次性を含めた骨髄線維症の総患者数は約2,000人と報告されています。
 高リスクで同種造血幹細胞移植の適応とならない骨髄線維症患者、及び中間リスク又は低リスクで脾腫や全身症候を伴う骨髄線維症患者に対しては、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のルキソリチニブリン酸塩が推奨されていますが、予後不良です。JAK/ACVR1阻害剤のモメロチニブについても十分な効果は得られておらず、既承認薬等が治療法等として十分ではなく、複数の選択肢が臨床的に必要と考えられますので、医療上の必要性があるものと判断しました。
 開発の可能性について、今後、国際共同第III相試験を実施して本剤の有効性及び安全性を確認の上、承認申請される予定です。
 続きまして、資料4-8、「タファシタマブ(遺伝子組換え)」です。申請者は「インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社」、予定される効能・効果は、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下、「DLBCL」)」です。対象者数について、本邦におけるDLBCLの総患者数は約2万8,000人と報告されています。
 未治療のDLBCLに対する標準的治療として、R-CHOP療法又はPola-R-CHP療法が推奨されていますが、これらの治療を行った場合であっても、約20~30%は再発することが報告されています。また、再発又は難治性のDLBCLに対する治療は、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(以下、「HDC/ASCT」)の適応となる患者に対しては、救援化学療法を実施し、奏効が得られた後にHDC/ASCTの実施が推奨されていますが、救援化学療法の奏効率は約20~30%と報告されています。HDC/ASCTの適応とならない患者に対しては、救援化学療法又はCAR-T療法が推奨されていますが、予後不良です。既承認薬等が治療法等として十分ではなく、複数の選択肢が臨床的に必要と考えられることから、医療上の必要性があるものと判断しました。
 開発の可能性について、第Ib/II相試験、海外第II相試験を実施し、本剤の有効性及び安全性を確認の上、再発又は難治性のDLBCLに係る効能・効果で、未治療のDLBCL患者を対象に国際共同第III相試験を実施し、有効性及び安全性を確認の上、未治療のDLBCLに係る効能・効果で、承認申請する予定です。
 以上より、御説明した三つ、いずれも希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。前半の3品目について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで御待機されています安藤委員、滝田委員、松下委員をお呼びください。 
──安藤委員、滝田委員、松下委員 入室──
○清田部会長 続きまして、大隅委員、川上委員におかれましては、利益相反の申し出に基づきまして、また、大曲委員、亀田委員におかれましては、薬事審議会審議参加規定第5条に基づきまして、議題4の後半の審議の間、会議から御退出して御待機いただくこととします。大曲委員、大隅委員、亀田委員、川上委員は御退出をお願いいたします。
──大曲委員、大隅委員、亀田委員、川上委員 退室──
○清田部会長 それでは、後半の4品目について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。続きまして、資料4-2、「BMS-986278」について御説明します。申請者は「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」、予定される効能・効果は「特発性肺線維症」で、当該疾患は指定難病である「特発性間質性肺炎」の病型の一つです。
 特発性肺線維症は進行性の肺線維化と呼吸機能の悪化を呈し、診断確定後の平均生存期間は3~5年間と生命に重大な影響がある重篤な疾患です。本邦では既存の抗線維化薬として、疾患進行速度を遅らせるピルフェニドン及びニンテダニブエタンスルホン酸塩が存在しますが、新たな治療選択肢が必要とされていること等から、医療上の必要性があるものと判断しました。開発の可能性については、現在、国際共同第III相試験を実施中です。
 続きまして、資料4-3、「Nacubactam」です。申請者は「Meiji Seika ファルマ株式会社」、予定される効能・効果は、カルバペネム耐性グラム陰性桿菌による各種感染症に対する、セフェピム又はアズトレオナムとの併用療法です。対象者数について、カルバペネム耐性グラム陰性桿菌感染症は、腸内細菌目細菌として年間約2,000件、緑膿菌感染症として年間約360例と推定され、その他の菌種を含めても年間発生数は5万人未満と推定されています。
 グラム陰性桿菌による感染症の治療にはペニシリン系等のβ-ラクタム系薬剤が用いられますが、β-ラクタマーゼ産生による耐性菌の出現が公衆衛生上の問題となっており、感受性を有する治療薬がない場合は重症化や死亡等の懸念があり、治療選択肢の追加が期待されています。現在、カルバペネム耐性菌による各種感染症を対象疾患とする既承認薬として、セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物及びレレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウムが存在しますが、本剤はβ-ラクタマーゼ阻害作用を有し、β-ラクタム系薬剤と併用することで幅広い菌種・菌株に対する抗菌活性が期待され、医療上の必要性があるものと判断しました。開発の可能性については、国際共同第III相試験を実施中です。
 続きまして、資料4-4、「BAY2927088」です。申請者は「バイエル薬品株式会社」、予定される効能・効果は、「HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」です。対象者数について、肺癌の総患者数は約34万5,000人と報告されていますが、非小細胞肺癌患者の割合は約90%、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者の割合は約2.6%と報告されていることから、対象者数は約8,073人と推定されています。
 HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者における全生存期間(OS)の中央値は1.6~1.9年と報告されており、予後は不良です。既承認薬等が治療法等として十分ではなく複数の選択肢が臨床的に必要と考えられるため、医療上の必要性があるものと判断しました。開発の可能性については、国際共同第III相試験を実施中です。
 続きまして、資料4-5、「Lomustine」です。申請者は「日本メダック株式会社」、予定される効能・効果は、「神経膠腫」です。対象者数について、本邦における神経膠腫を含む中枢神経系の悪性新生物患者の総患者数は約1万1,000人と報告されており、対象患者数は5万人未満であると考えられます。
 本剤は欧米の各国で承認されており、海外診療ガイドラインにおいて、初発の神経膠腫に対してはプロカルバジン塩酸塩、本剤及びビンクリスチン硫酸塩の併用投与、また、再発の神経膠腫等に対しては本剤単独投与が推奨されており、既承認薬等と比較して高い有効性又は安全性が期待されていることから、医療上の必要性があるものと判断しました。開発の可能性については、二つのコホートからなる国内第I相試験を実施し、有効性及び安全性を確認の上、承認申請される予定ですが、今後、機構と協議予定とされています。
 後半の4品目についての説明は以上です。これについて、いずれも希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたら承ります。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ないようですので、議決に入りたいと思います。中野委員、松下委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。後半の4品目について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので指定を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで御待機されている大曲委員、大隅委員、亀田委員、川上委員、山本昇委員をお呼びください。
──大曲委員、大隅委員、亀田委員、川上委員、山本昇委員 入室──
○清田部会長 それでは、続きまして議題5に移ります。議題5の御説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題5、資料5、「医薬品プレバイミス錠240mg他の再審査期間延長の可否について」御説明いたします。医薬品の再審査期間については、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、個別に部会に諮った上で、再審査期間を延長しています。本部会で御審議いただくプレバイミスについては、臓器移植患者のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制について、小児においても成人と同様に開発の必要性が認められること等から、申請者からの要望に基づき、臓器移植に係る再審査期間を初回承認より2年延長することは適切と判断いたしました。これについて御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございます。これでよろしいですね。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。亀田委員、中野委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、延長を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、延長を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
 続いて、報告事項の議題及びその他事項の議題に移ります。報告事項の議題1~5及びその他事項の議題1、2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題1から順に御説明いたします。まず、報告事項の議題1「医薬品カルケンス錠100mgについて」です。こちらは、一般名が「アカラブルチニブマレイン酸塩水和物」となっていますが、既に承認されているアカラブルチニブのマレイン酸塩水和物としたものです。既存の効能・効果と同様のものについて承認申請されています。
 次に、議題2、資料8に関するものです。「イミフィンジ点滴静注120mg及び同点滴静注500mg」、「アストラゼネカ株式会社」から申請されています。こちらは、進行・再発の子宮体癌に係る効能・効果及び用法・用量の追加です。こちらは、化学療法との併用です。
 議題3、資料9、「リムパーザ錠100mg、150mg」、「アストラゼネカ株式会社」からの申請ですが、ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体癌に対して、先ほどのデュルバルマブを含む化学療法後の維持療法に係る効能・効果及び用法・用量の追加に係る申請がなされています。議題2に関連して、その他議題1、資料14-2にデュルバルマブの最適使用推進ガイドラインについても、併せて報告事項として挙げていますので、こちらも併せて御確認をお願いいたします。
 議題4、「アレックスビー筋注用の組換えRSウイルスワクチン」です。「グラクソスミスクライン株式会社」から、RSウイルス感染症の予防に関する用法・用量の変更ということで、50歳以上の高リスクの患者に対する用法・用量の追加に係る申請です。
 議題5、資料11、「ランダ注10mg/20mL他」ですが、「日本化薬株式会社」から申請されており、子宮頸癌に係る用法・用量の追加に係る申請です。以上が議題1~5です。その他議題1については先ほど御説明いたしましたので、その他議題2です。資料15をお開きください。感染症対策上、必要性の高い医薬品についてです。
 資料15の2ページです。背景として、重点感染症に対して危機対応医薬品等、MCMを確保することは重要というところです。発生は、まれですが、一定の頻度がある輸入感染症、生物属、その他希少感染症、テロ関連病原体を含みますが、これらの重点感染症に関しては、感染様式や疾病伝播の傾向から、直ちに特例承認制度等を適用する必要はない医薬品であっても、感染症対策上の必要性であったり、公衆衛生危機管理の観点から承認を迅速化するための手順の整備が必要です。
 通常の承認のスキームについては、図の左側にありますが、企業等から申請され、機構で審査をして承認することになっていますが、感染症対策上必要性が高い医薬品については、右側の図のとおりのスキームを考えています。こちらは、厚生労働省感染症対策部ですが、感染症対策上必要性の高い医薬品について、厚生科学審議会になりますが、感染症部会MCM小委員会にて、どれが必要かというところについて審議を行います。ここで了承が得られた場合、早期承認の要望を行い、また、厚生労働省において、この要望について医薬局で要望受理を決定して、機構に対して通知することを考えています。こちらは、感染症対策部と連携してやっていきたいというところです。
 次ページです。感染症対策上必要性の高い医薬品に該当する医薬品の条件や、承認申請等においての留意点について記載しています。該当する医薬品については、以下のいずれの条件も満たす品目を想定しています。まず一つ目は、重点感染症に対する医薬品、その他の感染症対策上必要性の高い医薬品であること、二つ目は、国内で発生が極めて少なく、まれ又は発生しておらず、国内の医療環境下では有効性に関する臨床試験が実施困難であるということ、三つ目は、その用途に関して、外国、本邦と同等の水準の制度を有する国についてですが、これらの外国において販売等が認められている医薬品であるということ、四つ目は、申請者が外国の承認申請において提出した資料(CTD第2部から第5部相当のもの)を提出することが可能であることを条件として考えています。
 また、申請等における留意点ですが、一つ目は、審査、調査等の実施に当たり、外国の承認申請において提出された資料に基づいて、その説明内容を踏まえて審査を行うことを想定しています。二つ目は、これらの審査等の実施に当たり、一部の試験結果については提出を求めない又は承認後の提出とすることで差し支えないと考えています。例えば、外国において、患者を対象とした有効性・安全性に係るデータ提出を求められておらず、動物試験成績のみで承認され、その後も新たなデータが得られていない場合、患者を対象とした試験成績を提出する必要はないと考えています。
 三つ目は、申請者が外国承認後から本邦における承認申請までの間に、海外で得られた使用成績や公表文献に関して十分に情報収集を行い、日本人における有効性・安全性の評価に必要な説明とともに、申請資料に反映いただくことを考えています。その他の議題2までの御説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありますか。
○松下委員 松下です。
○清田部会長 どうぞ。
○松下委員 この資料を拝見しますと、基本的に今は日本でははやっていないけれども外国でははやっているので、日本でもはやることを想定して準備しておくというようなイメージでいいでしょうか。
○清田部会長 多分そうだと思います。例えば、マラリアとか、熱帯病ですよね。
○松下委員 はい。
○清田部会長 そういったくくりですね。
○事務局 事務局です。そうした感染症を含むというところを想定しています。今ですと、例えばですが、エムポックスのような感染症といったところも想定され得るかと思います。
○清田部会長 そうだと思います。
○松下委員 原則として、医薬品は輸入されるものがほとんどということになるのですか。
○清田部会長 そうですよね。そのとおりだと思います。
○事務局 御理解のとおりかと思います。その場合が多いかと思います。
○松下委員 分かりました。COVIDのときにうまくいかなかったのですが、例えば、回復者血漿が有効だということが、仮に外国で報告されたとして、そのもの自体は輸入できないけれども、同じやり方で日本人から回復血漿を採って治療に使用することが必要になった場合に、この仕組みは使えるのか、別の仕組みになるのか、その辺りはどうなのでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○事務局 御質問をなぞるようで大変申し訳ないのですが、もう一度よろしいでしょうか。申し訳ございません。
○松下委員 例えば、治療薬はまだないけれども、外国で感染から回復した人の血漿が治療に有効だということが分かったときに、血漿そのものは輸入できないのだけれども、同じやり方で国内で回復した人から血漿を作れば有効だということが分かってきたときに、この仕組みで、それを申請したりということはできるのでしょうか。日本にはまだ患者さんがいない状況で。
○医薬品審査管理課長 事務局から回答いたします。その場合に、それが医薬品としてちゃんとロットを形成するようなのはどうかとか、そういった問題があって一概には言えないと思うのですが、仮にすごく大量なものができてロットを構成するような製品になれば、対象になる可能性もあります。ただ、先生が言われたのは、本当に困っている状態において何とか目の前の患者さんを助けるという趣旨だと思いますので、個々の医薬品の承認を取るかというと、そこまで時間的余裕もないでしょうし、そこで対象になるかといわれると、すぐに当てはまるものではないという可能性は高いと思います。
○松下委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。私どもの不備で、議題6、7を飛ばしてしまいましたので、議題6、7の御説明もお願いいたします。
○事務局 大変失礼いたしました。議題6について、承認条件に関する報告です。資料12、「ダラザレックス点滴静注100mg及び同点滴静注400mg」です。こちらについて対象となる承認条件は、全例調査を課されていましたが、対応状況を確認して、対応されたということで解除して差し支えないとしています。議題7の再審査について、品目が五つあります。「オクトレオスキャン静注用セット」、「アシテアダニ舌下錠100単位、同300単位」、「プログラフカプセル0.5mg、同カプセル1mg」、「イナビル吸入懸濁用160mgセット」、「ノーモサング点滴静注250mg」について、再審査の対象として確認いたしました。これら5品目は、いずれもカテゴリー1、すなわち承認拒否事由に該当しないものと判断しています。これらの御報告については以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。ただいまの議題6、7に対して、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告事項及びその他事項については、御確認いただいたものといたします。どうもありがとうございます。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、令和6年12月6日(金)午後2時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)