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2025年7月24日 令和7年第3回目安に関する小委員会 議事録
日時
令和7年7月24日(木)15:00~19:05
場所
厚生労働省共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
出席者
公益代表委員
藤村委員長、戎野委員、小西委員、首藤委員
労働者代表委員
伊藤委員、永井委員、仁平委員、水崎委員
使用者代表委員
大下委員、佐久間委員、土井委員、新田委員
事務局
岸本労働基準局長、田中大臣官房審議官、篠崎賃金課長、伊㔟主任中央賃金指導官、
大野調査官、山﨑賃金課長補佐、安藤賃金課長補佐、上条副主任中央賃金指導官
藤村委員長、戎野委員、小西委員、首藤委員
労働者代表委員
伊藤委員、永井委員、仁平委員、水崎委員
使用者代表委員
大下委員、佐久間委員、土井委員、新田委員
事務局
岸本労働基準局長、田中大臣官房審議官、篠崎賃金課長、伊㔟主任中央賃金指導官、
大野調査官、山﨑賃金課長補佐、安藤賃金課長補佐、上条副主任中央賃金指導官
議題
令和7年地域別最低賃金額改定の目安について
議事
<第1回全体会議>
○藤村委員長
ただ今から第3回目安に関する小委員会を開催いたします。
前回の小委員会では、労使双方から今年の目安審議に対しての基本的な考え方を表明いただきました。
まず、労働者委員からは、次のような主張がなされました。
1点目、今年の春季生活闘争は、33年ぶりに5%台の高い水準と言われた昨年をさらに上回る成果が報告された。新たなステージに移った日本経済を安定した巡航軌道へ導くためには、労働組合のない職場で働く労働者に対しても、最低賃金の大幅な引上げを通じ、これを波及させる必要がある。最低賃金法第1条にある法の目的を踏まえて、審議を進める必要がある。
2点目、昨年を上回る賃金・初任給の引上げは、経営・事業環境や企業業績の状況が決して良いとは言えない中においても、春闘における労使交渉を通じて、人材の確保・定着など、今後の事業継続を見据えた「人への投資」を経営側が英断した結果である。
3点目、地域別最低賃金は、生存権を確保した上で労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準へ引き上げる必要があり、今年は一つの通過点として、全都道府県で1,000円超の実現は必須である。中期的には「一般労働者の賃金中央値の6割」という目標を念頭に今年・来年以降も、継続的に水準を引き上げる必要がある。本年は昨年以上の大幅な改定に向けた目安を提示すべき。
4点目、現在の最低賃金は絶対額として最低生計費を賄えていない。昨年の改定以降の消費者物価指数は足元で4%強の高水準で推移しており、物価の上昇基調は続いている。「頻繁に購入」する品目の消費者物価指数にはこの間高騰してきた「米」が含まれていない。最低賃金近傍労働者で働く者の生活は昨年以上に苦しく、生活実感をいかにデータから汲み取るのかという観点は今年も重要である。
5点目、地域間額差は、地方の中小・零細企業の事業継続・発展の厳しさに拍車をかける一因となる。昨年は、B・Cランクを中心に、目安を大幅に超える引上げが相次いだ。地域の自主性がこれまで以上に発揮された結果である一方、地方審議における目安の意義が問われかねない事態である。目安の妥当性と納得性を高め、目安を軸としたより建設的な議論を促す観点からも、昨年の実績も念頭に置いた中賃としてのメッセージを示すべき。
6点目、「企業の倒産件数」は、中長期的にみれば低い水準で、統計上の雇用情勢は堅調である。最低賃金の引上げと雇用維持とは相反しておらず、最低賃金の引上げに伴い、むしろ労働力人口は増加傾向にあることからも、雇用情勢への影響は極めて限定的と思われる。
7点目、企業の経常利益は実績ベースでみて堅調に推移しており、賃金支払能力は問題ない。その上で、中小・零細事業所における賃上げの実現性をさらに高めるためには、より広範な支払い能力の改善・底上げが重要であり、政府の各種支援策の利活用状況や効果の検証を踏まえた一層の制度拡充と利活用の推進を求める。
次に使用者委員からは、次のような主張がなされました。
1点目、中小企業の賃上げには、原材料や労務費等のコスト増加分の十分な価格転嫁と生産性向上を図り、原資を確保することが必要。規模、業種によっては堅調・好調な企業がある一方、物価高や最低賃金を含む人件費の高騰等分を十分に価格転嫁できている企業はまだ少なく、なかでも小規模事業者の業況は特に厳しい。
2点目、満足に価格転嫁ができない状況で、全ての企業に適用される最低賃金の過度な引上げは、米国関税措置の影響が見通せず先行き不透明感が高まる中、経営をより一層圧迫しかねない。
3点目、最低賃金法に定める3要素である「生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力」を各種統計資料から的確に読み取るとともに、「通常の事業の賃金支払能力」に重きを置き、3要素を総合的に表す「賃金改定状況調査結果」の、とりわけ第4表の賃金上昇率を重視して議論を重ねていく、この基本的な考え方に一切変わりはない。
4点目、その上で、物価上昇の影響や、最賃近傍労働者で働く方々の可処分所得に対する物価水準等の影響を十分に考慮する必要がある。今年度は、明確な根拠・データに基づいた納得感ある目安額の提示がこれまで以上に求められ、これまで以上に3要素のデータを丁寧かつバランスよく見ることが重要。
5点目、具体的な目安額について、各地方最低賃金審議会の議論に資する、合理的かつ納得性の高い根拠・ロジックを示すことが中央最低賃金審議会の役割との共通認識のもと、審議を尽くすべき。
6点目、近年の最低賃金は毎年度過去最高を更新し続け、地域別最低賃金の決定にあたっては、目安額を下限として、目安にどれだけ上乗せするかという議論が繰り広げられている。その際、3要素によらない隣接地域との競争や最下位の回避等を意図した審議が散見され、「賃金の低廉な労働者に対するセーフティーネット」という最低賃金本来の目的から乖離している。
7点目、目安小委員会報告が示す引上げ額はあくまで目安であり、地域の実態に基づき各地方最低賃金審議会で目安を参考に議論し、地域別最低賃金額を決定することを確認するとともに、目安審議で用いた統計資料を各地方最低賃金審議会でも活用できるよう、都道府県別データの存在の有無を確認しつつ議論したい。
8点目、地域別最低賃金の「発効日」は法律により10月1日に定められてはいない。また、近年の大幅引上げの中で、これまで以上に事業者側の相当な準備期間が必要。加えて、実効性確保の観点から、周知期間の十分な確保や「年収の壁」による就業調整による人手不足の一層の深刻化等の様々な影響も考慮すべき。以上を踏まえ、各地方最低賃金審議会が実態に即して発効日を柔軟に決定することが望ましい。
最初に申し上げるのを1点忘れておりました。本日は所用により永井委員は遅れての参加となります。
今私が読み上げました労使双方の主張、これに追加・補足意見があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
(意見なし)
○藤村委員長
よろしいでしょうか。はい、分かりました。
今回は第3回目ということでより具体的な議論に入っていく必要があると思います。この後は、公労・公使で個別に御主張を伺いながら、さらに考え方を深めていきたいと思いますが、そういう進め方でよろしいでしょうか。
(異議なし)
はい、分かりました。それでは、本日は、公使会議から始めたいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。
○安藤賃金課長補佐
それでは、まず公使会議から行うとのことですので、労働者側委員の皆様は控え室へご案内させていただきます。
(労働者側委員 退出)
それでは、傍聴者の皆様は御退出ください。
(傍聴者 退出)
<第2回全体会議>
○藤村委員長
ただ今から、2回目の全体会議を開催します。
本日は本年度の目安の取りまとめに向けまして、労働側委員、それから使用者側委員、それぞれ色々な意見をお伺いし、深堀りをしてまいりました。特に、次の6つの項目について、議論をいたしました。
まず、3要素ですね。生計費、2番目に賃上げの状況、3番目に支払い能力、それに加えまして、4番目として地域間格差をどう見るのか、それから5番目に発効日の話、6番目に政府支援策の評価について、それぞれのご意見を伺っております。労使双方ともに、3要素をしっかり見て、これから議論するということについては、合意といいますか、そこは双方そういうふうに考えている。ただ、例えば生計費において、どの項目をどういうふうに見るのかということについては、まだまだ議論が必要であると、そういうことになりました。ですから、第4回目以降も、取りまとめに向けまして、引き続き議論を深めていくということが必要だと思います。
以前から申し上げておりますとおり、データに基づいて、しっかり説明できるような、そういう目安を示していく、まさに丁寧な議論を尽くしていくということが必要である、そこの合意も取れております。
そういうまとめでよろしいでしょうか。
(異議なし)
では、次回の日程と会場について、事務局から連絡をお願いいたします。
○安藤賃金課長補佐
次回の日程と会場については、7月29日(火)15時からビジョンセンター東京日本橋にて開催予定です。
○藤村委員長
はい、ありがとうございます。それでは、本日の小委員会はこれをもちまして終了といたします。
○藤村委員長
ただ今から第3回目安に関する小委員会を開催いたします。
前回の小委員会では、労使双方から今年の目安審議に対しての基本的な考え方を表明いただきました。
まず、労働者委員からは、次のような主張がなされました。
1点目、今年の春季生活闘争は、33年ぶりに5%台の高い水準と言われた昨年をさらに上回る成果が報告された。新たなステージに移った日本経済を安定した巡航軌道へ導くためには、労働組合のない職場で働く労働者に対しても、最低賃金の大幅な引上げを通じ、これを波及させる必要がある。最低賃金法第1条にある法の目的を踏まえて、審議を進める必要がある。
2点目、昨年を上回る賃金・初任給の引上げは、経営・事業環境や企業業績の状況が決して良いとは言えない中においても、春闘における労使交渉を通じて、人材の確保・定着など、今後の事業継続を見据えた「人への投資」を経営側が英断した結果である。
3点目、地域別最低賃金は、生存権を確保した上で労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準へ引き上げる必要があり、今年は一つの通過点として、全都道府県で1,000円超の実現は必須である。中期的には「一般労働者の賃金中央値の6割」という目標を念頭に今年・来年以降も、継続的に水準を引き上げる必要がある。本年は昨年以上の大幅な改定に向けた目安を提示すべき。
4点目、現在の最低賃金は絶対額として最低生計費を賄えていない。昨年の改定以降の消費者物価指数は足元で4%強の高水準で推移しており、物価の上昇基調は続いている。「頻繁に購入」する品目の消費者物価指数にはこの間高騰してきた「米」が含まれていない。最低賃金近傍労働者で働く者の生活は昨年以上に苦しく、生活実感をいかにデータから汲み取るのかという観点は今年も重要である。
5点目、地域間額差は、地方の中小・零細企業の事業継続・発展の厳しさに拍車をかける一因となる。昨年は、B・Cランクを中心に、目安を大幅に超える引上げが相次いだ。地域の自主性がこれまで以上に発揮された結果である一方、地方審議における目安の意義が問われかねない事態である。目安の妥当性と納得性を高め、目安を軸としたより建設的な議論を促す観点からも、昨年の実績も念頭に置いた中賃としてのメッセージを示すべき。
6点目、「企業の倒産件数」は、中長期的にみれば低い水準で、統計上の雇用情勢は堅調である。最低賃金の引上げと雇用維持とは相反しておらず、最低賃金の引上げに伴い、むしろ労働力人口は増加傾向にあることからも、雇用情勢への影響は極めて限定的と思われる。
7点目、企業の経常利益は実績ベースでみて堅調に推移しており、賃金支払能力は問題ない。その上で、中小・零細事業所における賃上げの実現性をさらに高めるためには、より広範な支払い能力の改善・底上げが重要であり、政府の各種支援策の利活用状況や効果の検証を踏まえた一層の制度拡充と利活用の推進を求める。
次に使用者委員からは、次のような主張がなされました。
1点目、中小企業の賃上げには、原材料や労務費等のコスト増加分の十分な価格転嫁と生産性向上を図り、原資を確保することが必要。規模、業種によっては堅調・好調な企業がある一方、物価高や最低賃金を含む人件費の高騰等分を十分に価格転嫁できている企業はまだ少なく、なかでも小規模事業者の業況は特に厳しい。
2点目、満足に価格転嫁ができない状況で、全ての企業に適用される最低賃金の過度な引上げは、米国関税措置の影響が見通せず先行き不透明感が高まる中、経営をより一層圧迫しかねない。
3点目、最低賃金法に定める3要素である「生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力」を各種統計資料から的確に読み取るとともに、「通常の事業の賃金支払能力」に重きを置き、3要素を総合的に表す「賃金改定状況調査結果」の、とりわけ第4表の賃金上昇率を重視して議論を重ねていく、この基本的な考え方に一切変わりはない。
4点目、その上で、物価上昇の影響や、最賃近傍労働者で働く方々の可処分所得に対する物価水準等の影響を十分に考慮する必要がある。今年度は、明確な根拠・データに基づいた納得感ある目安額の提示がこれまで以上に求められ、これまで以上に3要素のデータを丁寧かつバランスよく見ることが重要。
5点目、具体的な目安額について、各地方最低賃金審議会の議論に資する、合理的かつ納得性の高い根拠・ロジックを示すことが中央最低賃金審議会の役割との共通認識のもと、審議を尽くすべき。
6点目、近年の最低賃金は毎年度過去最高を更新し続け、地域別最低賃金の決定にあたっては、目安額を下限として、目安にどれだけ上乗せするかという議論が繰り広げられている。その際、3要素によらない隣接地域との競争や最下位の回避等を意図した審議が散見され、「賃金の低廉な労働者に対するセーフティーネット」という最低賃金本来の目的から乖離している。
7点目、目安小委員会報告が示す引上げ額はあくまで目安であり、地域の実態に基づき各地方最低賃金審議会で目安を参考に議論し、地域別最低賃金額を決定することを確認するとともに、目安審議で用いた統計資料を各地方最低賃金審議会でも活用できるよう、都道府県別データの存在の有無を確認しつつ議論したい。
8点目、地域別最低賃金の「発効日」は法律により10月1日に定められてはいない。また、近年の大幅引上げの中で、これまで以上に事業者側の相当な準備期間が必要。加えて、実効性確保の観点から、周知期間の十分な確保や「年収の壁」による就業調整による人手不足の一層の深刻化等の様々な影響も考慮すべき。以上を踏まえ、各地方最低賃金審議会が実態に即して発効日を柔軟に決定することが望ましい。
最初に申し上げるのを1点忘れておりました。本日は所用により永井委員は遅れての参加となります。
今私が読み上げました労使双方の主張、これに追加・補足意見があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
(意見なし)
○藤村委員長
よろしいでしょうか。はい、分かりました。
今回は第3回目ということでより具体的な議論に入っていく必要があると思います。この後は、公労・公使で個別に御主張を伺いながら、さらに考え方を深めていきたいと思いますが、そういう進め方でよろしいでしょうか。
(異議なし)
はい、分かりました。それでは、本日は、公使会議から始めたいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。
○安藤賃金課長補佐
それでは、まず公使会議から行うとのことですので、労働者側委員の皆様は控え室へご案内させていただきます。
(労働者側委員 退出)
それでは、傍聴者の皆様は御退出ください。
(傍聴者 退出)
<第2回全体会議>
○藤村委員長
ただ今から、2回目の全体会議を開催します。
本日は本年度の目安の取りまとめに向けまして、労働側委員、それから使用者側委員、それぞれ色々な意見をお伺いし、深堀りをしてまいりました。特に、次の6つの項目について、議論をいたしました。
まず、3要素ですね。生計費、2番目に賃上げの状況、3番目に支払い能力、それに加えまして、4番目として地域間格差をどう見るのか、それから5番目に発効日の話、6番目に政府支援策の評価について、それぞれのご意見を伺っております。労使双方ともに、3要素をしっかり見て、これから議論するということについては、合意といいますか、そこは双方そういうふうに考えている。ただ、例えば生計費において、どの項目をどういうふうに見るのかということについては、まだまだ議論が必要であると、そういうことになりました。ですから、第4回目以降も、取りまとめに向けまして、引き続き議論を深めていくということが必要だと思います。
以前から申し上げておりますとおり、データに基づいて、しっかり説明できるような、そういう目安を示していく、まさに丁寧な議論を尽くしていくということが必要である、そこの合意も取れております。
そういうまとめでよろしいでしょうか。
(異議なし)
では、次回の日程と会場について、事務局から連絡をお願いいたします。
○安藤賃金課長補佐
次回の日程と会場については、7月29日(火)15時からビジョンセンター東京日本橋にて開催予定です。
○藤村委員長
はい、ありがとうございます。それでは、本日の小委員会はこれをもちまして終了といたします。