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- 2025年8月18日 第8回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録
2025年8月18日 第8回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録
健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室
日時
令和7年8月18日(月)14:00~16:00
場所
Web開催
事務局:厚生労働省専用第12会議室
事務局:厚生労働省専用第12会議室
議題
- (1)危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討について
議事
○小谷室長 皆様、定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会感染症部会第8回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催します。
委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
ウェブ会議について御説明いたします。本日はウェブ会議での開催となります。御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いいたします。
会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルが生じた場合は、あらかじめお伝えしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
通信の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順で失礼いたします。岩本委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 加藤委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 齋藤委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いします。
○小谷室長 鹿野委員。
○鹿野委員 鹿野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○小谷室長 早川委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 濵口委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○小谷室長 宮川委員。
○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願いします。
○小谷室長 横野委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 なお、長谷川委員、福島委員より御欠席の連絡を受けております。
大曲委員につきましては、遅れて御参加との御連絡をいただいております。
また、先ほど御挨拶いただきましたが、宮川委員につきましては当事務局からの現地参加とさせていただきます。
本日は、委員13名のうち10名に現在御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
また、本日は、参考人として三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺先生にお越しいただいております。
田辺先生、御挨拶をお願いいたします。
○田辺参考人 三重大学の田辺と申します。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることができませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、参考資料1、参考資料2となります。参考資料3は今回の資料ではございませんので、御了承いただきたいと思います。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 齋藤です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
では、早速議事に入りたいと思います。
まずは、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 それでは、引き続き事務局のほうから御説明させていただきます。
資料1を御覧ください。
危機対応医薬品等、以降MCMと御説明しますが、利用可能性確保に関する検討について御説明させていただきます。
1ページ目を御覧ください。
こちらにつきましては、第7回MCMに関する小委員会の意見のまとめとMCMの利用可能性の方向性について記載させていただいております。
第7回の意見として、新型コロナウイルス感染症に関する国内の医薬品の研究開発の振り返りを踏まえて、感染症危機発生時におけるMCMの利用可能性確保のために平時から必要となる研究開発の方向性、研究開発環境の整備・検討など、確保の論点を整理させていただきました。
非常に多岐にわたる御意見をいただいたところではございますので、我々としてもある程度意見を取りまとめながら、引き続き感染症の発生状況等に応じたプッシュ型・プル型研究開発支援や有事に迅速な研究開発・確保等を促すための一連の支援の検討が必要であるという点を強調させていただきたいと考えております。
2ページ目を御覧ください。
こちらも第7回で提示させていただいた資料ですが、MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方という形でのタイムライン等を書かせていただいております。
1つ目として公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理をまず行い、併せて戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を検討し、最終的に総合評価を行う。その上で、研究開発の優先度を国内に研究開発シーズがある重点感染症を優先するなど、重点感染症のMCMの実用化を目的とした研究開発の優先度を評価する一方で、確保に関する検討としてMCMへのアクセスの改善、備蓄、プル型支援等を含むMCMの確保の在り方を検討するという形を提示させていただいております。
続きまして、3ページ目を御覧ください。
この中で総合評価の方法について御説明させていただきます。
第6回のMCMに関する小委員会・第5回の重点感染症作業班において、公衆衛生的指標・戦略指標をお示ししたところでございます。
研究開発の優先度や確保の方向性の検討に当たっては、重点感染症に対するMCMの利用可能性確保の必要性等を総合的に評価するため、研究班、こちらは田辺先生に御担当いただいておりますが、1公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理、2戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を評価するための基礎データを収集・更新し、取りまとめることとしております。
今回、公衆衛生的指標に基づき、重点感染症について国内における疾病負荷等の特徴については重みづけをしてはどうかということ、続いて戦略的指標の一部、こちらは既存のMCM・国内パイプラインの有無に基づいて現状評価をしてはどうかという形をまず今回御提示させていただきたいと考えております。
4枚目を御覧ください。
4ページ目、公衆衛生的指標の分析についてといったところについては、詳細は少し割愛させていただきますが、1から5の項目について客観的なデータを用いた評価が可能な形に整理いただいているところでございます。
5ページ目を御覧ください。
重点感染症リストについて、公衆衛生的指標の重みづけと戦略的指標の一部(MCMの現状評価、既存のMCMの有無や国内パイプラインの有無)から、総合評価として対応方針や対策の優先度、MCMの要件を示すこととしてはどうかという形で考えているところでございます。
なお、今後の感染状況等や研究開発の進捗度・MCMの承認状況等により、再度適宜評価することというのは当然だと思っておりますが、MCMの利用可能性確保を実現するため、MCMの研究開発・確保の基本的考え方を整理し、研究開発・確保に関する中長期的な方向性を示すことで、平時・感染症危機発生時におけるMCMエコシステムの一貫した取組の基盤とすることが適切ではないかと考えているところでございます。
その上で6ページ目でございますが、MCMの研究開発の基本的な考え方、こちらはまず診断技術でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の対応において検体や臨床情報の入手に大きな課題があり、臨床検体を用いた評価に困難がありました。しかし、診断技術に関しては他国と比較して大きな遅れはなく、日本の強みの一つとなっているという御意見もいただいております。
診断技術の開発費用は数億円から数十億円に及ぶことが多く、特に高価なPCR法等や新規プラットフォームを用いた診断技術の開発ではより高額な費用が求められる。また、診断技術の開発に当たっては、検出精度や技術革新のみならず、公衆衛生上の検査体制等を考慮することが重要であるということがございます。
その観点から、診断技術については、以下のいずれかを満たすものについて優先的に研究開発を支援することを案として提示させていただきます。
まず一つが、飛沫感染などヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有する、または早期の診断によって適切な治療やワクチン等による感染予防策・感染拡大防止策を実現するべき重点感染症であって、簡便・迅速に診断できるもの。
2つ目として、地方衛生研究所、感染症指定医療機関・検査等措置協定締結機関等において、迅速かつ正確に検査実施可能数の増加及び拡充可能なもの。
3つ目として、Group C(AMR)については、各種病原菌の薬剤感受性検査を簡便・迅速に実施できるものとしてはどうかと提示させていただいております。
続きまして、治療薬・ワクチンに関してです。治療薬・ワクチンの開発には、基礎研究から上市までに10年以上の期間と数百億から数千億の費用を要するものとなっております。そのため、国内にシーズのある重点感染症を対象とし、研究開発の成功率を高める観点から、その優先度を検討することが重要であると考えられています。
感染症の医薬品開発では、病態解明の基礎研究に加え、標的分子の同定や作用機序の解析が不可欠であり、基礎研究から研究段階が進んだパイプラインについては、速やかに研究開発段階へ組み込み、適切な支援を行うことが求められます。
以上を踏まえて、重点感染症に対する研究開発の基本的な考え方は以下のようにしてはどうかと考えております。
こちらの説明に若干ありますけれども、治療薬・ワクチンにつきましては、国内において疾病負荷が高い/高くなる蓋然性のある重点感染症に対するMCMの研究開発支援を行うことにより、対象となるGroup B、C、Dの重点感染症はもとより、Group X、Aにも即応できる研究開発基盤を実現する。
ブロードスペクトラム、新規プラットフォームを非特異的MCM等の革新性、発展性、汎用性等が期待される技術を活用することで、感染症危機発生時に迅速なMCMの開発を可能にすること。
平時に国外における臨床試験を実施可能な重点感染症を含め、国内企業等が国内・国際共同治験の実施経験を積むことにより、感染症危機発生時の速やかな臨床研究につなげること。
感染症危機発生時においては、リポジショニング・抗体医薬・回復者血漿等を迅速に実用化につなげる仕組みも重要となるということ。
これらを踏まえて、治療薬・ワクチンについては、特に救命・重症化予防・感染予防・感染拡大予防のために必要なものについて、以下の状況を踏まえて、優先的に治療開発を支援することとしてどうかという案とさせていただきます。
1つ目が国内に臨床試験段階に進められる程度のパイプラインが存在しているもの、新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティ/作用機序等であるもの、国内/国際共同治験等が実施可能であるものという形で提案させていただきます。汎用性等が期待される既存のMCMの例は下に挙げさせていただいておりますので、御確認ください。
以上を踏まえまして、我々としては、8ページ目、研究開発の基本的考え方に基づく優先度のイメージとしては、こちらのフローチャートでございますけれども、疾病負荷が高い/高くなる蓋然性がある重点感染症に対して、国内外に承認薬がない場合、国内外にいずれかの承認薬がある場合、それぞれについて一定の条件をつけながら、研究開発の優先度についても高いものから低いものまでつくって進めていく形で今後検討していってはどうかという案を提示させていただきたいと思っております。
最後、9ページ目でございます。
本日の大きなまとめではございますが、MCMの確保の基本的な考え方として提示させていただきます。
重点感染症のMCMについては、平時においては患者の発生の予測ができず、需要の見込みが極めて困難である一方、感染症危機発生時には突発的に需要が急増することになります。このため、重点感染症に対するMCMの確保については、民間主体の市場原理では困難な場合が多く、政策的な対応が必要となってきます。
以上を踏まえ、重点感染症に対するMCMの確保(未承認薬のアクセスの改善、承認薬の備蓄)の基本的な考え方を以下としてはどうかと提示させていただいております。
未承認薬のアクセスの改善としては、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請等を活用し、薬事承認を取得し、国内供給体制を整備すること。
2つ目が、市場規模が小さいなど、現時点では薬事承認が極めて困難な重点感染症であっても、MCMの有効性・安全性を確保するための特定臨床研究・医師主導治験等の体制を構築すること。特に以下のようなものを対象として想定しております。感染状況・疾病負荷等から迅速に国内の治療体制等の構築が求められるもの、国内で発生が極めて少ないまたは発生しない重点感染症であって、単回もしくは複数回の投与で完了するものを対象とし、未承認薬のアクセスの改善に努めていければと考えております。
2つ目として、小児薬の備蓄(買上)につきましては、重点感染症を対象とし、承認されたMCMの中で公衆衛生対策上特に必要性の高い品目の買上については、MCM小委員会において、以下の意見を聴取し、厚生労働省が備蓄の可否及び備蓄量等を決定することとしてはどうかと考えております。
備蓄(買上)の目的としては、以下の目的を満たすMCMにおいて検討するということとし、救命、2つ目が重症化予防、3つ目が感染予防としております。
この評価項目としては、適応、有効性、保存条件、投与経路・回数、使用期限、既存薬との比較、必要量、その他検討すべき事項、多々ございますけれども、こういったものを踏まえながら承認薬の備蓄に努めていくというのが一つの考え方ではないかと考えているところでございます。
簡単ではございますけれども、資料1について事務局から御説明させていただきました。御意見等よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございました。
今回、かなり重要な内容が議題として挙がっているかと思います。これまで小委員会で議論してきた中で特にこの2つの大きな目標、研究開発の優先度と確保に関する検討という2つの項目について、それぞれ診断技術、治療薬・ワクチンとその基本的な考え方ですね。研究開発の基本的な考え方、そして、確保に関する基本的な考え方ということで案を示していただきました。
本日は、資料の4ページにある公衆衛生的指標の分析というところで表を作っていただいた田辺先生も御出席いただいているところでございます。
こちらの表も含めて、本日の議題に関しまして皆様の御意見をいただければと思っておりますが、皆様、いかがでしょうか。
○小谷室長 事務局から1点だけ追加で恐縮でございます。
大曲委員が入られましたので、大曲委員、御挨拶だけお願いできますでしょうか。
○大曲委員 遅くなりまして申し訳ありません。国立健康危機管理研究機構の大曲と申します。今日はよろしくお願いします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、御意見等、委員の先生方からお願いいたします。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 今回示された「MCMの研究開発の基本的な考え方」に基本的に異存はございません。
繰り返しになると思いますが、COVID-19だとかSARSだとかの歴史を考えてみると、シーズも感染状況等も変化しますので、それによって開発優先度も変化し得ることは御考慮いただきたいなと思います。より具体的に申し上げると、柔軟な運用ですね。柔軟な運用を可能とするためにも、優先度が高いとされなかった感染症も含め、幅広い疾患を対象に支援できるようにしていただきたいと存じます。
もう一点は、今回の資料で「創薬バンクの検討」という記載がありました。ありがとうございます。2019年までSARS-CoV-2がここまで流行することは誰も考えておりませんでしたので、今の状況を考えますと、幅広い疾患を対象に創薬バンクに、完成品のみならず、場合によっては研究成果を、特に致死的なウイルスに関してはライブラリーとして構築し、有事に活用できるような備えをしていくことが重要だと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
続いて四柳委員、お願いいたします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。
お取りまとめいただきましてありがとうございました。
田辺先生にお作りいただきました4ページ目の表について、可能であれば追記をお願いしたいなと思いましてコメントをさせていただきます。
この中で考慮すべき事項ということで、私自身が気になっているのは今の気候変動の問題なのです。中国においてもチクングニアの感染症が非常に大きな話題になってきて警鐘が鳴らされておりますし、また、蚊の分布を考えてみると、これから先、マラリアが日本に入ってくる可能性も当然あるのではないかなと思っております。そういった蚊媒介のところが一つ。
もう一つはいわゆるゲリラ豪雨による洪水の問題で、この夏も災害救助法が適用になったところも含めて幾つも避難所ができて、今年の場合には幸いあまり長期になりませんでしたけれども、夏の避難所で長期滞在するということになると、やはり水を介した感染症の発生というのは非常に気になります。食中毒だとか腸炎ビブリオ菌、あるいは大腸菌、これらはAMRの観点でも問題になってくると思いますけれども、そういったものがあって、そういったものはこの先問題になってくる可能性もあって、気候変動は恐らく徐々にひどくなっていくようなことが想定されますので、ここは考えておくべきなのではないかなと思いました。
したがって、もし考慮すべき事項に関して、書きぶりは田辺先生に御一任したいと思いますけれども、例えば気候を含めて、気候、地球環境の変化も考慮して考えるというようなコメントをつけていただければありがたいなと思いました。
私からは以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
ただいま御指摘いただいた点について、田辺先生から何かコメント等はございますでしょうか。
○田辺参考人 四柳先生、貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。
私もその点は気になっていて、ただ、現状のまとめでは先生に御指摘いただいた点は含まれていないというところです。ですので、今日いただいた点を踏まえましてまた書きぶりはゆっくり考えたいと思いますけれども、これを具体的に入れるとなると、2の感染性・伝播性の次の列(感染性・伝播性)の2つ目のポツ「日本国内の環境下での広がりやすさ」というところで良いですか。
あるいは、蓋然性なのかという気もして、そうなると3発生頻度・可能性/蓋然性のところに踏み込んでいくことになります。最終的に高中低で評価しなくてはいけなくて、文言として入れて、「中」のところを「高」に変更できるかといった感じになるかと思います。3段階しか評価レベルがないため、なかなか難しくはありますが、言葉として入れていくことは大事と思いますので、真ん中あたりの指標という列に先生にいただいたようなコメントを入れたいと思います。この表の左側(青背景)は、もともとあった文章ですので、これらの記載を踏まえてどこがよろしいですか。2ですかね。
四柳先生、もし何か御意見がありましたらお願いいたします。
○四柳委員 ありがとうございます。
2か3かどちらかのところに入れ込んでいく形かなと思ったのですけれども、これは結局ブルーのところは書き換えないということであるとすれば、先生が言うように、確かに。ただ、実際には高中低となったときに、国内で大流行したことがあるかないかという指標にやはりなってくるかと思いますので、そうすると3なのかなと思ったりはいたしました。これは私の個人的な考えです。
○田辺参考人 ありがとうございます。
齋藤先生、どうですか。これを作ったときの感じからいって、どこに一番近しいかという点で、ご意見をいただければと思います。
○齋藤委員長 ベクターという点と環境という点の変化という2つの点を御指摘いただいたと思います。いわゆる媒介可能な動物が増えるという点では、どちらかというと2のほうに入るのかなと。ベクターの件は2の2つ目に入っていくのかなと思います。豪雨とかそういった環境要因はどちらかというと3の蓋然性のほうに入ってくるのかなと思いますが、ここはまた検討させていただければと思います。
○四柳委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございました。
そのほか、御意見はいかがでしょうか。
岩本先生、お願いいたします。
○岩本委員 岩本です。
3点ほどあります。1つ目は、コロナのときの国民の反応です。なかなかPCRが診断に使えなかったという点、それから、医療が崩壊するので4日間自宅待機しろということ、要するに国民がすぐに医療を受けられなかったという点が大きな国民の関心事だったと記憶しています。2つ目はこの委員会のミッションではないと思いますので、回答は必要ありません。しかし、PCRに関しては、現在においても迅速性及び精度の上で信頼できる事実が定着していると思います。PCRについて何の記載もないので、どのような病原体が出てきてもPCRの対応はすぐできると思っているのか否か、不安になります。
2つ目は、複数のウイルスに対して汎用性、あるいは複数のウイルスに対して効く薬やワクチンということが記載されています。これを研究レベルでやるのを私は反対しませんが、いろいろな抗生物質耐性の経験とか、抗ウイルス薬においても実臨床での使用になると非常に気をつけなければいけないと思っているわけです。
7ページに複数のRNAウイルスの効果を示し得る薬の例としてファビピラビルとレムデシビルが挙がっております。これを事務局がどういうウイルスに対してどういう根拠で効くと考えているのかという点を、今日でなくて結構ですので、御連絡いただければありがたいと思います。特にレムデシビルは最初の治験が行われたときに有意差が出なかったけれども、緊急扱いで仮承認されたと記憶しています。その後の承認経過を私は知りませんので、レムデシビルは例えばSARS-CoV-2に対して承認を受けたのかどうかを含めて教えていただければと思います。よろしくお願い致します。
それから、3点目です。最近、岩本康志という方が、岩本って個人的に関係は全くありませんが、経済学者の方で、慶應大学出版会から『コロナ対策の政策評価』という本を出されました。非常に難しい本で、ここでこの本の説明をお話しする自信も能力もないのですけれども、特に後半で書いてあるのが、コロナのときの経済的損失と医療の必要性について検討されていないということです。我々は次のパンデミックことを考えるときに、経済的な視点を忘れてはいけない、特に日本がこれほど経済的に疲弊している時代ですので、どういうところにお金をかける意義があるのかということに関して経済的な指標が欠かせないと思います。この委員会のミッションを越えるかもしれませんが、その点を厚労省はどう考えているのかということを伺いたいなと思っています。
以上です。
○齋藤委員長 岩本先生、どうもありがとうございます。
では、3点ございましたが、まずPCRで診断について何でも対応できると思っているかというところ、2点目がファビピラビル、レムデシビルの効果という点、3点目が経済的評価という観点の必要性ということで御質問いただきましたが、事務局から御回答いただけるところはありますでしょうか。
○小谷室長 十分なお答えになるか分かりませんが、1つ目はPCRをしっかりとできる体制を組むということでよろしいのでしょうか。恐らく2つ目はまた我々の中でも考えさせていただいてから回答だと思うのですけれども。
○岩本委員 要するにあのときもPCRが商業的ベースに乗ってからようやく市民が使いやすくなったというような状況だったと思うのですけれども、特に初期対応の中で、どのようにPCRを展開するのか、という方針が全く分かりません。
○小谷室長 つまり、感染症危機管理対応時においていかに迅速に検査体制を構築できるようにするのかということについてという御指摘でよろしいですか。
○岩本委員 はい。PCRに関してそれができていると考えているのか、現状はどういうふうになっているのかというようなところを伺いたいということです。
○小谷室長 分かりました。
検査体制の確保というところに関しましては、パンデミック時における新型インフルにおける行動計画であるとか、例えば基本指針に基づいた予防計画の中でも重要な項目という形で提示しているところですので、そういった中で引き続き構築に取り込んでいくというものだと思っておりますし、体制構築、検査体制のみならず、そういった意味では、できるだけ早くそれをキャッチして、プライマー等においても観点によってはIHRの国際的な連携体制の中でも対応するなど、いろいろな要件を基に検査ができる能力と検査ができる体制の構築に引き続き努めていくという観点で事務局としては回答させていただくものになるかなと思っております。
2つ目はまた内部で検討させていただきたいと思います。
3つ目が経済の件なのですけれども、こちらもどちらかというと厚労省だけで端的にお答えすることは難しい、政府全体としてどう取り組むのかということになるのかなと思っておりますので、事務局側からは今の段階では回答は難しいかなと思っています。
○岩本委員 了解しました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 2度目の発言ですけれども、すみません。
承認薬の備蓄の点に関してお願いがございまして、製薬企業、特にワクチンメーカーは今かなり厳しい状況に陥っていまして、今の状況を見ていると、ひょっとすると国内の企業がかなり消滅してくるのではないかという危機感も私は持っておりまして、その点で、製薬企業にとっては備蓄の有無が開発可否に大きく影響すると実感しております。そういう意味で、「基本的な考え方」には有効性、保存条件、投与経路・回数等、最終製品として承認された後でないと確定しない項目も含まれておりますけれども、開発のステップを考えると、ある種、プル型のインセンティブが示唆されないと、開発も感染症に関しては広がらない。実際に8疾患にしたって、我々、公募してずっと待っていても、ワクチンの提案さえ出てこないのが結構あるのです。現場が相当疲弊しているなというのが実感でございます。
ですから、この条件ですと、備蓄の検討が可能なのは既に承認された薬だけになりますので、ますます国内の生産性が下がってくる、海外の承認薬を輸入するような構造が出来上がってしまいかねないと危惧しております。企業の自助努力のみでは開発は困難ですので、何らかの形で、プル型インセンティブなども検討していただくとともに、感染症ごとの備蓄の要否と必要量ぐらいは、それぞれの感染症ごとに重要だと思われるものは示唆していただけると、企業の開発判断を促すための配慮となり得るのではないかなと思った次第でございます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
この点はまさに私も非常に思うところがありまして、確かに先生がおっしゃったとおり、ここではできたものについて買い上げるかどうかの判断になっていて、できていないものについてこういうものができたら買い上げるよというような言い方はしていない。恐らくそこを示して、開発を促すプルという形を取るべきではないかという御意見と考えますが、そういった観点でよろしいでしょうか。
○濵口委員 先生のおっしゃるとおりで、プル型インセンティブというニュアンスを込めていただければと思うのですけれども、どの感染症というのを厳密に指定するということまではあまり深く考えていなかったのですが、重要なところは備蓄の要否、必要性、それから、需要はどれぐらいなのだけれども現状は開発されていないというような示唆があると、現場でこれはやるニーズがあるなという判断の根拠の一つになってくるかなと思いまして、お願いする次第です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。重要な御指摘をありがとうございます。
事務局から何かコメント等はございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。非常に重要かつ難しい御指摘だなと思っております。
どうしても我々としても、やはり前回の第7回に引き続きではございますが、やはりこのプッシュ型・プル型の支援の必要性というところはずっと委員の方々から言われているところでございます。どういった形ができるのかみたいなところというのはまだ簡単にお示してできるようなものではございませんが、引き続き我々としても重要な要件として考えさせていただきたいなと思っております。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですけれども、関連したことでお話しさせていただいてよろしいでしょうか。
濵口委員が今おっしゃったように、今、国内におけるワクチンメーカーというのは、非常に軽視されているというわけではないですけれども、非常に困窮している状態が続いております。つまり、40年来の工場を何とかやりくりをして今稼働している。新しい工場を作るにしても、それだけの原資がないという状況で、今、医薬品の安定供給というところからも含めて、非常に現状としてはワクチンというものが日本において重要視されていないというわけではないのですけれども、専門家においてはあるのですけれども、国内においてそういうものに関しては十分な認識がされていないという状況が確かに続いておるかなと思います。
それに対して、濵口委員がおっしゃったように企業に対してのある程度のインセンティブがないと、つまり、幾ら増産しようという形になろうとしても、国内の力が全くない状況である。それから、リードタイムも必要で、現状の薬を作るに対してもリードタイムがないとできないという状況が見えているのに、そこに対して細々とした形になってしまっているのが非常に問題であるということは皆さんが認識しなければいけないし、国民も認識しなくてはいけないし、全ての人間が薬に対する考え方として、ワクチンに対する考え方としてそのような基本的な考え方を持って、これからこういう全てのMCMという形の中で考えを構築していかなくてはいけないのではないかなと。濵口委員がおっしゃったとおりで、今ワクチンメーカーは非常に困窮している状況だということを認識していかなければいけないと私も思っております。
以上でございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。重要な御指摘をどうもありがとうございました。
5ページにありますけれども、公衆衛生的指標と戦略的指標に基づき、最終的に総合評価でどのようなMCMが望まれるかという要件を文章で記載するというところがございますので、こういったところでも備蓄薬に求められる要件等を記述していくことは可能なのではないかなと思いました。
それでは、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
2点ございまして、でも、1点目は実は先ほど濵口先生がおっしゃった点と全く一緒であります。インセンティブ、特にプルインセンティブが非常に重要なので、制度設計がすごく難しいのは存じ上げておりますが、ぜひ御検討いただきたいと思います。ワクチンだけではなくて、診断薬・治療薬にも必要だと思っています。これが1点目です。
2点目は、資料でいうと7ページ目を見ていて不安になったので、細かい点なのですが、1点だけ申し上げておきたい点があります。それは何かと言いますと、いわゆるインフルエンザのプレパンデミックワクチンが使えないのです。今回、昨年からですかね。H5N1高病原性の鳥インフルエンザA(H5N1)の流行、人間での事例も出ているということで、非常に大変だということは実感しておりますし、一方、危機管理対応としてそれに対するワクチンの準備というのが各国で迅速になされているというものを目の当たりにして、やはり危機管理対応として極めて重要だということを理解しました。
そういう観点で、日本においてプレパンデミックワクチンの確保という観点で、今、この7ページ目の赤い文字で書かれた3行の要件でぴたっとそれがはまるのかは不安なところがあるなと思って見ています。というのも、例えば用いられるモダリティは従来あるものだったりします。あるいはまだ適用されていないけれども、既に確立しているものだったりします。だとすると、この書きぶりから見ると、これは最優先にはならなくなってしまう可能性があるということです。ただ一方で、新たなインフルエンザの流行等、例えばH5N1亜型等が出てきた場合に、また既存のプレパンデミックワクチン、あるいは開発中のほかのワクチンでもいいのかもしれませんが、ちゃんと充ててみて実際に効果がありそうかどうか見ていくということも非常に重要ですし、備蓄も重要ですしというところで、相応の準備、支援というものは必要だと思っています。
そういう意味で、ここの書きぶりの中にうまくおさまるのかなということで心配だったので、細かい物言いですが、申し上げさせていただきました。戦略的な観点という観点で十分に御検討いただいて入ればいいのかなと思っております。
以上でございます。
○齋藤委員長 十分な御指摘をありがとうございます。
インフルエンザのプレパンの件は非常に確保という点では重要な項目かと思いますので、こちらとクライテリアの読み込み方といいますか、この妥当性についてはまた事務局で御検討いただければと思いますが、今の時点で事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 確認しますので、追ってでお願いいたします。
○齋藤委員長 それでは、続いて鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
今の大曲先生の御意見にも近いものなのですけれども、8ページのこのフローで見ていくと、私もモダリティが同じかどうか、既存薬と同じかどうかというところは気になったところです。COVID-19でも結局特効薬というものはなかなかできず、初期は抗体製剤がかなり効果的だという評価をされていました。変異株がどんどん出てしまったので、初期だけで後半は全然抗体薬は使われなかったのですけれども、そういうこともありますので、緊急必要性でやはり既存のモダリティで急いでやらなくてはいけないという場合もあると思うので、既存薬と同一モダリティか新しいかでさっとそこで線を引いてしまうのはいいのかなという疑問があります。
それから、国内臨床試験が困難か可能かで仕分けもされていますけれども、治療薬だとある程度患者さんが発生している段階でしたら国内試験だけで臨床試験をやることは可能ですけれども、そういう状況もあって、ワクチンは非常に症例数が多く必要で、よっぽど日本の中で蔓延していないとワクチンの有効性を評価するⅢ相試験は難しいと思います。やはり国際共同治験をやらないと評価が現実的にできないケースというのは特にワクチンは多いのかなと思いますので、その辺の運用といいますか、読み方ですね。読み込みの考え方みたいなのも少し御検討いただけるといいのかなと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
恐らくモダリティの件でまず1点御指摘いただきましたけれども、研究開発促進のどのフェーズで考えるかによっても違うのかなと思います。有事の際にすぐに使えるものをまず作らなければいけないというときの優先度の話と、平時に中長期的にキャパシティービルディングといいますか、研究開発を底上げしていく際に考えてみる優先度というのでこの基準の考え方も変わっていくのかなとは思いますが、ただいまの御質問について事務局から何かコメント等はございますでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
いずれも基本的にはプレパンデミックワクチンを含めて、きちんと平時、有事で対応できる体制をつくるような形で読み込めないかという御指摘だと思いますので、我々としては、あくまで提案させていただいたものに対して、大曲委員の意見にもありましたプレパンについてもちゃんと読み込めるようにしていきたいと思っておりますし、その他、鹿野委員からいただいた意見もこの中でどう読めるかという形は考えさせていただきたいかなと思いますので、表現ぶりであるとか運用面のついてのコメントだと思っておりますので、こちらは事務局のほうで改めて検討させていただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、検討をよろしくお願いいたします。
続いて早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
ちょっと話が変わってしまうのですけれども、9ページ目のMCM確保の基本的な考え方、未承認薬のアクセスの改善というところなのですが、これは答えがないところかもしれないのですけれども、仮にGroup Xのようなものが起きたときに、候補になる薬剤を投与できるスキームをつくらないといけないかもしれないというときに、特定臨床研究等もしくは緊急承認、特例承認等でアクセスができるようになるまでのタイムラインというのはおおむねどれぐらいを想定されているのかなと。その間は感染対策などでしのぐということになるのかなと思いました。各施設での特定臨床研究の承認であったり、いろいろな律速はあると思うのですけれども、仮に候補になる薬剤があってという状況の場合、理想的にはどれぐらいで、構築できたらいいと想定されているでしょうかという質問になります。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
候補薬があって、未承認薬のアクセス改善ということで、こちらにあるようなアクセスへの体制を整えるのにどれぐらいの時間を見込んでいるかという御質問かと思いますが、事務局のほうから今の時点で御回答はございますでしょうか。
○小谷室長 恐らく答えがかなり難しい質問で、どれぐらいの時間でと言われるとなかなか回答に窮する部分があるかなと思っておりますが、できるだけ早くとしか言いようがない立場かなとは思っています。そうならないように、できるだけ早い段階から対応可能なものを備蓄できるような取組を進めていくものだと思いますが、やはりGroup Xとなってきた際に、全て合致するものをどれだけの速さで準備できるのかということについて数字を挙げることは差し控えさせていただきたいかなと思っております。申し訳ございません。
○早川委員 いえ、大丈夫です。ありがとうございます。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。関連したことでよろしいでしょうか。
今の早川委員からのお話はもっともだと思います。しかしながら、大曲委員は今回も現場にいらっしゃったのでご存知かと思いますが、薬事承認するという形になりますと、これは地域における医師も完璧に使えるような状況になっていけるということになります。その前の段階ではある程度の基幹病院を含めていろいろなところで試験的に使われながらやっているということは、早川委員も御存じのとおりだろうと思います。ですから、どのぐらいのフェーズでどのぐらいの感染の広がり方の中でそれに対応しなくてはいけないのかというと、これは様々な事象が入ってくるので、未承認薬のアクセスの改善で一番重要なことは、なるべくドラッグラグをなくす、スピードを速くして承認の体制を速やかに行っていくことです。今までの例の中で定期的に行われている薬事承認ということではなく、緊急的な招集の中で部会において出されて、必要性の高い医薬品に対しては随時承認していく体制を取っていくというような形で、厚生労働省が音頭を取りながらやっていくという形でいくしかないのだろうなと思います。大曲委員、どうでしょうか。早川委員もお話は分かると思うのですけれども、いわゆる臨床の中で、基幹病院、それから、最初のファーストコンタクトでまだ本当に数十人の段階のところと、それから、国内に蔓延する形での薬として承認しながら、国内の供給体制を整備するというのは、どうしても時間的な範囲というのは当然1か月、2か月かかってしまうのではないかなとは思うのですけれども、いかがでしょうか。
○齋藤委員長 大曲先生、お願いします。
○大曲委員 宮川先生、ありがとうございます。いつもお世話になっております。
僕自身の意見としては、先生のおっしゃるとおりだと思っております。ですので、現状、現場といいますか、できる準備としては、先生のおっしゃっていることの繰り返しになりますが、さはさりながら平時の頃から規制あるいは行政規制の観点からの準備というものは非常に重要だと思っています。例えばパンデミックになって特措法が動いているときであれば特別承認、緊急承認等の動きがありますけれども、そうなっていないときにどうすればいいかとかは一つ課題としてあると思います。こちらは先日厚労省からも通知が出て、海外の承認薬であれば国内未承認の場合でも迅速に対応ができるような仕組みができつつありますけれども、このような運用をいかにどうスムーズにするかとか、漏れがないかとかという確認をしていくということは一つ大事かと思いました。
あと、2点目は現場の問題で、主語は我々なので頑張らなければいけないのですが、やはり平時から体制と規制的なところをちゃんと整備した上で、あとは迅速に治験なり特定臨床研究が、できれば準備は事前にできている。そこをしっかり立ち上げて走らせるというところ、また、いかに短縮化できるかという現場の問題なのかなと思っています。
レムデシビルのときは米国が主たる研究のグループでしたけれども、医師主導治験としての立ち上げは1か月でやりました。これをもうちょっと短くできないかなとか、そういった議論になってくるかと思っております。
以上でございます。
○宮川委員 齋藤先生、よろしいでしょうか。
今、大曲先生からあったように、いかに平時から新たな感染症が入ってきたときにどのような体制構築ができるのかということも含めて、様々な議論で全て布石を打っていかないとできないので、MCMの確保というだけではなく、そういう意味で全てのところで体制確保というのが非常に重要で、その中でMCMの確保というのは基本的な考え方を構築していくことが必要ではなかろうかなと考えております。
以上です。
宮川です。以上でした。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございます。
まさに宮川委員の御指摘のとおりで、ただ、平時からいろいろな機会を捉えて、このようなプロセスを少しでも短くしていける努力を積み重ねていくことが非常に重要ではないかなと私も感じております。どうもありがとうございました。
その他、委員から本日の議題に関しまして御意見等があればお願いしたいと思います。
では、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料の4ページ公衆衛生的指標の分析というところなのですけれども、4の医療への負荷と5の社会経済活動への影響というのが私の感覚だと1と2にかなり大きく影響されるのかなと。重症度ですとか伝播性みたいなところですね。そういうことを考えると、この5指標でやる場合、3の部分が過小評価になりはしないかなというような感じもします。冒頭に四柳先生から地球温暖化の影響という話があって、この2あたりに入ってくるのかなとも思ったのですが、このスコア化をするときに1と2の要素がかなり大きいというところは注意が必要なのかなと感じました。
1の致命率が高い、中程度、低いというのが、これもなかなか疾患によって評価が難しいのかなという気もしました。例えばインフルエンザの場合ですと、スペインインフルエンザだと2%ぐらいで致命率が高いと考えないといけないですが、0.5%のアジアインフルエンザだと中程度であったかと思います。ウイルス性出血熱にすると、致命率が高いというと50%ぐらいを超えてくるのかなというようなことで、これも1と2の組合せでうまくスコア化できればいいのかなと思いますが、致命率が高い低いというのも客観的な数値をはめ込もうとするとなかなか実際は難しいような気がいたしました。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
この辺り、きれいに独立の要因として分けられる部分ではないので、御指摘のとおり、1と2と4と5は切っても切り離せない部分があるというのは非常に認識しながら作っているところですが、田辺先生より何かコメント等はございますでしょうか。
○田辺参考人 加藤先生、貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。
5ページを開けていただきまして、先生がおっしゃっていた1の2のウエイトだとか、4と5のところなのですけれども、青い背景の公衆衛生的指標というのが1から5まで、あり、それらを総合評価するかという話もあったのですけれども、総合評価はせずにこの1、2、3、4、5を独立して評価するというところになるかと思います。
疾患も多いですし、指標も多いので、できるだけシンプルな形で、まとめのときはそれぞれの疾患がこの1から5で高中低という形ではまって、それに応じてMCMがあるかないか、研究開発が進んでいるのかというのを眺めていただいて、右端の「総合評価」を一読したときにできるだけ分かるような形にしたいという意図です。先ほど齋藤先生からもありましたように、やはり、内容が重複しているところもあると私たちも感じていますが、できるだけダブルカウントしないようにしたいと思っています。
あと、数字に関しまして、1健康への影響については、致命率で見ざるを得ないというところになります。初めはA、B、DのグループとCのグループを別で作業していて、一旦置いた数字がA、B、Dに関しては5%を超えていたら致命率が「高」、1から5%が「中」1%より低いと「低」という形で整理しましたが、グループC(AMR)については、毛並みが違うといいますか、もともとA、B、Dは健康な人にも感染しますが、AMRはどちらかというとICUに入っているとか重症の方が感染するので、AMRの方が圧倒的に致命率が高いという点もあります。WHOにおいてもガイドラインが分かれているということもあって、AMRについては例えば25%以上であれば「高」、5から25%で「中」といった形で、注釈をつけて整理したいと思っています。
○齋藤委員長 田辺先生、ありがとうございました。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 繰り返しで申し訳ありません。
今日のメインの議題ではございませんけれども、感染症法の運用のところで私どもとしては残念なことが最近ありまして、重点感染症に指定されたワクチンの開発を進めておりまして、フェーズⅡに入るところで、実は日本国内でのフェーズⅡの許可が出なかったのです。ここら辺のところ、いろいろ御事情はあるのだとは思うのですけれども、ではフェーズⅡをどうするかというと、海外でやれば問題ないという結論になってしまいまして、非常に状況がツイストしているような状態、海外の日本人以外ならいいのかということも言われかねないような状況にはまり込んでおりまして、苦慮しておるわけですけれども、もう一つ残念なことは、フェーズⅡに入れなかった根拠を正確に伝えていただけなくて、そのまま私が又聞きした状態では根拠が科学的には薄弱ではないかなと思うような節がありましたし、現場側の声としては、もう少し規制側の方々と透明性の高いコミュニケーションが必要なのではないかと。合理的な判断、透明性の確保、あるいは審査基準や手順の明確化などもう少し改善していただけると、日本全体として一丸となってMCMの開発に取り組めるのではないかというような思いがあります。
少なくとも特にネガティブな判断をされたときの根拠はもう少し透明性を上げていただけないと、現場は相当コストをかけていますので戸惑ってしまいますし、海外で治験に入るために、当然コストもさらにかかる状態になっておりますので、全体的な運用を俯瞰的にしっかり見ていただきたいなというのが今の私どもの思いでございます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございました。
こういった取組を進めていく上で、規制当局と開発側の透明性の高いコミュニケーションというのは非常に重要なポイントかと思いますので、その点は心にとめていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
特に本日お示しいただいた方向性等について御意見がなければ、これで対応を進めていただくということでお願いしたいと思います。
それでは、本日の議題はこれで以上となります。
最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○小谷室長 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
委員の皆様の御意見を踏まえ、我々としても検討し、進めさせていただきたいと思います。
次回日程及び詳しい内容につきましては、改めて事務局よりお伝えいたします。
本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました
委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
ウェブ会議について御説明いたします。本日はウェブ会議での開催となります。御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いいたします。
会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルが生じた場合は、あらかじめお伝えしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
通信の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順で失礼いたします。岩本委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 加藤委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 齋藤委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いします。
○小谷室長 鹿野委員。
○鹿野委員 鹿野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○小谷室長 早川委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 濵口委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○小谷室長 宮川委員。
○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願いします。
○小谷室長 横野委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 四柳委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 なお、長谷川委員、福島委員より御欠席の連絡を受けております。
大曲委員につきましては、遅れて御参加との御連絡をいただいております。
また、先ほど御挨拶いただきましたが、宮川委員につきましては当事務局からの現地参加とさせていただきます。
本日は、委員13名のうち10名に現在御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
また、本日は、参考人として三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺先生にお越しいただいております。
田辺先生、御挨拶をお願いいたします。
○田辺参考人 三重大学の田辺と申します。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることができませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、参考資料1、参考資料2となります。参考資料3は今回の資料ではございませんので、御了承いただきたいと思います。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 齋藤です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
では、早速議事に入りたいと思います。
まずは、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 それでは、引き続き事務局のほうから御説明させていただきます。
資料1を御覧ください。
危機対応医薬品等、以降MCMと御説明しますが、利用可能性確保に関する検討について御説明させていただきます。
1ページ目を御覧ください。
こちらにつきましては、第7回MCMに関する小委員会の意見のまとめとMCMの利用可能性の方向性について記載させていただいております。
第7回の意見として、新型コロナウイルス感染症に関する国内の医薬品の研究開発の振り返りを踏まえて、感染症危機発生時におけるMCMの利用可能性確保のために平時から必要となる研究開発の方向性、研究開発環境の整備・検討など、確保の論点を整理させていただきました。
非常に多岐にわたる御意見をいただいたところではございますので、我々としてもある程度意見を取りまとめながら、引き続き感染症の発生状況等に応じたプッシュ型・プル型研究開発支援や有事に迅速な研究開発・確保等を促すための一連の支援の検討が必要であるという点を強調させていただきたいと考えております。
2ページ目を御覧ください。
こちらも第7回で提示させていただいた資料ですが、MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方という形でのタイムライン等を書かせていただいております。
1つ目として公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理をまず行い、併せて戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を検討し、最終的に総合評価を行う。その上で、研究開発の優先度を国内に研究開発シーズがある重点感染症を優先するなど、重点感染症のMCMの実用化を目的とした研究開発の優先度を評価する一方で、確保に関する検討としてMCMへのアクセスの改善、備蓄、プル型支援等を含むMCMの確保の在り方を検討するという形を提示させていただいております。
続きまして、3ページ目を御覧ください。
この中で総合評価の方法について御説明させていただきます。
第6回のMCMに関する小委員会・第5回の重点感染症作業班において、公衆衛生的指標・戦略指標をお示ししたところでございます。
研究開発の優先度や確保の方向性の検討に当たっては、重点感染症に対するMCMの利用可能性確保の必要性等を総合的に評価するため、研究班、こちらは田辺先生に御担当いただいておりますが、1公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理、2戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を評価するための基礎データを収集・更新し、取りまとめることとしております。
今回、公衆衛生的指標に基づき、重点感染症について国内における疾病負荷等の特徴については重みづけをしてはどうかということ、続いて戦略的指標の一部、こちらは既存のMCM・国内パイプラインの有無に基づいて現状評価をしてはどうかという形をまず今回御提示させていただきたいと考えております。
4枚目を御覧ください。
4ページ目、公衆衛生的指標の分析についてといったところについては、詳細は少し割愛させていただきますが、1から5の項目について客観的なデータを用いた評価が可能な形に整理いただいているところでございます。
5ページ目を御覧ください。
重点感染症リストについて、公衆衛生的指標の重みづけと戦略的指標の一部(MCMの現状評価、既存のMCMの有無や国内パイプラインの有無)から、総合評価として対応方針や対策の優先度、MCMの要件を示すこととしてはどうかという形で考えているところでございます。
なお、今後の感染状況等や研究開発の進捗度・MCMの承認状況等により、再度適宜評価することというのは当然だと思っておりますが、MCMの利用可能性確保を実現するため、MCMの研究開発・確保の基本的考え方を整理し、研究開発・確保に関する中長期的な方向性を示すことで、平時・感染症危機発生時におけるMCMエコシステムの一貫した取組の基盤とすることが適切ではないかと考えているところでございます。
その上で6ページ目でございますが、MCMの研究開発の基本的な考え方、こちらはまず診断技術でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の対応において検体や臨床情報の入手に大きな課題があり、臨床検体を用いた評価に困難がありました。しかし、診断技術に関しては他国と比較して大きな遅れはなく、日本の強みの一つとなっているという御意見もいただいております。
診断技術の開発費用は数億円から数十億円に及ぶことが多く、特に高価なPCR法等や新規プラットフォームを用いた診断技術の開発ではより高額な費用が求められる。また、診断技術の開発に当たっては、検出精度や技術革新のみならず、公衆衛生上の検査体制等を考慮することが重要であるということがございます。
その観点から、診断技術については、以下のいずれかを満たすものについて優先的に研究開発を支援することを案として提示させていただきます。
まず一つが、飛沫感染などヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有する、または早期の診断によって適切な治療やワクチン等による感染予防策・感染拡大防止策を実現するべき重点感染症であって、簡便・迅速に診断できるもの。
2つ目として、地方衛生研究所、感染症指定医療機関・検査等措置協定締結機関等において、迅速かつ正確に検査実施可能数の増加及び拡充可能なもの。
3つ目として、Group C(AMR)については、各種病原菌の薬剤感受性検査を簡便・迅速に実施できるものとしてはどうかと提示させていただいております。
続きまして、治療薬・ワクチンに関してです。治療薬・ワクチンの開発には、基礎研究から上市までに10年以上の期間と数百億から数千億の費用を要するものとなっております。そのため、国内にシーズのある重点感染症を対象とし、研究開発の成功率を高める観点から、その優先度を検討することが重要であると考えられています。
感染症の医薬品開発では、病態解明の基礎研究に加え、標的分子の同定や作用機序の解析が不可欠であり、基礎研究から研究段階が進んだパイプラインについては、速やかに研究開発段階へ組み込み、適切な支援を行うことが求められます。
以上を踏まえて、重点感染症に対する研究開発の基本的な考え方は以下のようにしてはどうかと考えております。
こちらの説明に若干ありますけれども、治療薬・ワクチンにつきましては、国内において疾病負荷が高い/高くなる蓋然性のある重点感染症に対するMCMの研究開発支援を行うことにより、対象となるGroup B、C、Dの重点感染症はもとより、Group X、Aにも即応できる研究開発基盤を実現する。
ブロードスペクトラム、新規プラットフォームを非特異的MCM等の革新性、発展性、汎用性等が期待される技術を活用することで、感染症危機発生時に迅速なMCMの開発を可能にすること。
平時に国外における臨床試験を実施可能な重点感染症を含め、国内企業等が国内・国際共同治験の実施経験を積むことにより、感染症危機発生時の速やかな臨床研究につなげること。
感染症危機発生時においては、リポジショニング・抗体医薬・回復者血漿等を迅速に実用化につなげる仕組みも重要となるということ。
これらを踏まえて、治療薬・ワクチンについては、特に救命・重症化予防・感染予防・感染拡大予防のために必要なものについて、以下の状況を踏まえて、優先的に治療開発を支援することとしてどうかという案とさせていただきます。
1つ目が国内に臨床試験段階に進められる程度のパイプラインが存在しているもの、新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティ/作用機序等であるもの、国内/国際共同治験等が実施可能であるものという形で提案させていただきます。汎用性等が期待される既存のMCMの例は下に挙げさせていただいておりますので、御確認ください。
以上を踏まえまして、我々としては、8ページ目、研究開発の基本的考え方に基づく優先度のイメージとしては、こちらのフローチャートでございますけれども、疾病負荷が高い/高くなる蓋然性がある重点感染症に対して、国内外に承認薬がない場合、国内外にいずれかの承認薬がある場合、それぞれについて一定の条件をつけながら、研究開発の優先度についても高いものから低いものまでつくって進めていく形で今後検討していってはどうかという案を提示させていただきたいと思っております。
最後、9ページ目でございます。
本日の大きなまとめではございますが、MCMの確保の基本的な考え方として提示させていただきます。
重点感染症のMCMについては、平時においては患者の発生の予測ができず、需要の見込みが極めて困難である一方、感染症危機発生時には突発的に需要が急増することになります。このため、重点感染症に対するMCMの確保については、民間主体の市場原理では困難な場合が多く、政策的な対応が必要となってきます。
以上を踏まえ、重点感染症に対するMCMの確保(未承認薬のアクセスの改善、承認薬の備蓄)の基本的な考え方を以下としてはどうかと提示させていただいております。
未承認薬のアクセスの改善としては、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請等を活用し、薬事承認を取得し、国内供給体制を整備すること。
2つ目が、市場規模が小さいなど、現時点では薬事承認が極めて困難な重点感染症であっても、MCMの有効性・安全性を確保するための特定臨床研究・医師主導治験等の体制を構築すること。特に以下のようなものを対象として想定しております。感染状況・疾病負荷等から迅速に国内の治療体制等の構築が求められるもの、国内で発生が極めて少ないまたは発生しない重点感染症であって、単回もしくは複数回の投与で完了するものを対象とし、未承認薬のアクセスの改善に努めていければと考えております。
2つ目として、小児薬の備蓄(買上)につきましては、重点感染症を対象とし、承認されたMCMの中で公衆衛生対策上特に必要性の高い品目の買上については、MCM小委員会において、以下の意見を聴取し、厚生労働省が備蓄の可否及び備蓄量等を決定することとしてはどうかと考えております。
備蓄(買上)の目的としては、以下の目的を満たすMCMにおいて検討するということとし、救命、2つ目が重症化予防、3つ目が感染予防としております。
この評価項目としては、適応、有効性、保存条件、投与経路・回数、使用期限、既存薬との比較、必要量、その他検討すべき事項、多々ございますけれども、こういったものを踏まえながら承認薬の備蓄に努めていくというのが一つの考え方ではないかと考えているところでございます。
簡単ではございますけれども、資料1について事務局から御説明させていただきました。御意見等よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございました。
今回、かなり重要な内容が議題として挙がっているかと思います。これまで小委員会で議論してきた中で特にこの2つの大きな目標、研究開発の優先度と確保に関する検討という2つの項目について、それぞれ診断技術、治療薬・ワクチンとその基本的な考え方ですね。研究開発の基本的な考え方、そして、確保に関する基本的な考え方ということで案を示していただきました。
本日は、資料の4ページにある公衆衛生的指標の分析というところで表を作っていただいた田辺先生も御出席いただいているところでございます。
こちらの表も含めて、本日の議題に関しまして皆様の御意見をいただければと思っておりますが、皆様、いかがでしょうか。
○小谷室長 事務局から1点だけ追加で恐縮でございます。
大曲委員が入られましたので、大曲委員、御挨拶だけお願いできますでしょうか。
○大曲委員 遅くなりまして申し訳ありません。国立健康危機管理研究機構の大曲と申します。今日はよろしくお願いします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、御意見等、委員の先生方からお願いいたします。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 今回示された「MCMの研究開発の基本的な考え方」に基本的に異存はございません。
繰り返しになると思いますが、COVID-19だとかSARSだとかの歴史を考えてみると、シーズも感染状況等も変化しますので、それによって開発優先度も変化し得ることは御考慮いただきたいなと思います。より具体的に申し上げると、柔軟な運用ですね。柔軟な運用を可能とするためにも、優先度が高いとされなかった感染症も含め、幅広い疾患を対象に支援できるようにしていただきたいと存じます。
もう一点は、今回の資料で「創薬バンクの検討」という記載がありました。ありがとうございます。2019年までSARS-CoV-2がここまで流行することは誰も考えておりませんでしたので、今の状況を考えますと、幅広い疾患を対象に創薬バンクに、完成品のみならず、場合によっては研究成果を、特に致死的なウイルスに関してはライブラリーとして構築し、有事に活用できるような備えをしていくことが重要だと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
続いて四柳委員、お願いいたします。
○四柳委員 どうもありがとうございます。
お取りまとめいただきましてありがとうございました。
田辺先生にお作りいただきました4ページ目の表について、可能であれば追記をお願いしたいなと思いましてコメントをさせていただきます。
この中で考慮すべき事項ということで、私自身が気になっているのは今の気候変動の問題なのです。中国においてもチクングニアの感染症が非常に大きな話題になってきて警鐘が鳴らされておりますし、また、蚊の分布を考えてみると、これから先、マラリアが日本に入ってくる可能性も当然あるのではないかなと思っております。そういった蚊媒介のところが一つ。
もう一つはいわゆるゲリラ豪雨による洪水の問題で、この夏も災害救助法が適用になったところも含めて幾つも避難所ができて、今年の場合には幸いあまり長期になりませんでしたけれども、夏の避難所で長期滞在するということになると、やはり水を介した感染症の発生というのは非常に気になります。食中毒だとか腸炎ビブリオ菌、あるいは大腸菌、これらはAMRの観点でも問題になってくると思いますけれども、そういったものがあって、そういったものはこの先問題になってくる可能性もあって、気候変動は恐らく徐々にひどくなっていくようなことが想定されますので、ここは考えておくべきなのではないかなと思いました。
したがって、もし考慮すべき事項に関して、書きぶりは田辺先生に御一任したいと思いますけれども、例えば気候を含めて、気候、地球環境の変化も考慮して考えるというようなコメントをつけていただければありがたいなと思いました。
私からは以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
ただいま御指摘いただいた点について、田辺先生から何かコメント等はございますでしょうか。
○田辺参考人 四柳先生、貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。
私もその点は気になっていて、ただ、現状のまとめでは先生に御指摘いただいた点は含まれていないというところです。ですので、今日いただいた点を踏まえましてまた書きぶりはゆっくり考えたいと思いますけれども、これを具体的に入れるとなると、2の感染性・伝播性の次の列(感染性・伝播性)の2つ目のポツ「日本国内の環境下での広がりやすさ」というところで良いですか。
あるいは、蓋然性なのかという気もして、そうなると3発生頻度・可能性/蓋然性のところに踏み込んでいくことになります。最終的に高中低で評価しなくてはいけなくて、文言として入れて、「中」のところを「高」に変更できるかといった感じになるかと思います。3段階しか評価レベルがないため、なかなか難しくはありますが、言葉として入れていくことは大事と思いますので、真ん中あたりの指標という列に先生にいただいたようなコメントを入れたいと思います。この表の左側(青背景)は、もともとあった文章ですので、これらの記載を踏まえてどこがよろしいですか。2ですかね。
四柳先生、もし何か御意見がありましたらお願いいたします。
○四柳委員 ありがとうございます。
2か3かどちらかのところに入れ込んでいく形かなと思ったのですけれども、これは結局ブルーのところは書き換えないということであるとすれば、先生が言うように、確かに。ただ、実際には高中低となったときに、国内で大流行したことがあるかないかという指標にやはりなってくるかと思いますので、そうすると3なのかなと思ったりはいたしました。これは私の個人的な考えです。
○田辺参考人 ありがとうございます。
齋藤先生、どうですか。これを作ったときの感じからいって、どこに一番近しいかという点で、ご意見をいただければと思います。
○齋藤委員長 ベクターという点と環境という点の変化という2つの点を御指摘いただいたと思います。いわゆる媒介可能な動物が増えるという点では、どちらかというと2のほうに入るのかなと。ベクターの件は2の2つ目に入っていくのかなと思います。豪雨とかそういった環境要因はどちらかというと3の蓋然性のほうに入ってくるのかなと思いますが、ここはまた検討させていただければと思います。
○四柳委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございました。
そのほか、御意見はいかがでしょうか。
岩本先生、お願いいたします。
○岩本委員 岩本です。
3点ほどあります。1つ目は、コロナのときの国民の反応です。なかなかPCRが診断に使えなかったという点、それから、医療が崩壊するので4日間自宅待機しろということ、要するに国民がすぐに医療を受けられなかったという点が大きな国民の関心事だったと記憶しています。2つ目はこの委員会のミッションではないと思いますので、回答は必要ありません。しかし、PCRに関しては、現在においても迅速性及び精度の上で信頼できる事実が定着していると思います。PCRについて何の記載もないので、どのような病原体が出てきてもPCRの対応はすぐできると思っているのか否か、不安になります。
2つ目は、複数のウイルスに対して汎用性、あるいは複数のウイルスに対して効く薬やワクチンということが記載されています。これを研究レベルでやるのを私は反対しませんが、いろいろな抗生物質耐性の経験とか、抗ウイルス薬においても実臨床での使用になると非常に気をつけなければいけないと思っているわけです。
7ページに複数のRNAウイルスの効果を示し得る薬の例としてファビピラビルとレムデシビルが挙がっております。これを事務局がどういうウイルスに対してどういう根拠で効くと考えているのかという点を、今日でなくて結構ですので、御連絡いただければありがたいと思います。特にレムデシビルは最初の治験が行われたときに有意差が出なかったけれども、緊急扱いで仮承認されたと記憶しています。その後の承認経過を私は知りませんので、レムデシビルは例えばSARS-CoV-2に対して承認を受けたのかどうかを含めて教えていただければと思います。よろしくお願い致します。
それから、3点目です。最近、岩本康志という方が、岩本って個人的に関係は全くありませんが、経済学者の方で、慶應大学出版会から『コロナ対策の政策評価』という本を出されました。非常に難しい本で、ここでこの本の説明をお話しする自信も能力もないのですけれども、特に後半で書いてあるのが、コロナのときの経済的損失と医療の必要性について検討されていないということです。我々は次のパンデミックことを考えるときに、経済的な視点を忘れてはいけない、特に日本がこれほど経済的に疲弊している時代ですので、どういうところにお金をかける意義があるのかということに関して経済的な指標が欠かせないと思います。この委員会のミッションを越えるかもしれませんが、その点を厚労省はどう考えているのかということを伺いたいなと思っています。
以上です。
○齋藤委員長 岩本先生、どうもありがとうございます。
では、3点ございましたが、まずPCRで診断について何でも対応できると思っているかというところ、2点目がファビピラビル、レムデシビルの効果という点、3点目が経済的評価という観点の必要性ということで御質問いただきましたが、事務局から御回答いただけるところはありますでしょうか。
○小谷室長 十分なお答えになるか分かりませんが、1つ目はPCRをしっかりとできる体制を組むということでよろしいのでしょうか。恐らく2つ目はまた我々の中でも考えさせていただいてから回答だと思うのですけれども。
○岩本委員 要するにあのときもPCRが商業的ベースに乗ってからようやく市民が使いやすくなったというような状況だったと思うのですけれども、特に初期対応の中で、どのようにPCRを展開するのか、という方針が全く分かりません。
○小谷室長 つまり、感染症危機管理対応時においていかに迅速に検査体制を構築できるようにするのかということについてという御指摘でよろしいですか。
○岩本委員 はい。PCRに関してそれができていると考えているのか、現状はどういうふうになっているのかというようなところを伺いたいということです。
○小谷室長 分かりました。
検査体制の確保というところに関しましては、パンデミック時における新型インフルにおける行動計画であるとか、例えば基本指針に基づいた予防計画の中でも重要な項目という形で提示しているところですので、そういった中で引き続き構築に取り込んでいくというものだと思っておりますし、体制構築、検査体制のみならず、そういった意味では、できるだけ早くそれをキャッチして、プライマー等においても観点によってはIHRの国際的な連携体制の中でも対応するなど、いろいろな要件を基に検査ができる能力と検査ができる体制の構築に引き続き努めていくという観点で事務局としては回答させていただくものになるかなと思っております。
2つ目はまた内部で検討させていただきたいと思います。
3つ目が経済の件なのですけれども、こちらもどちらかというと厚労省だけで端的にお答えすることは難しい、政府全体としてどう取り組むのかということになるのかなと思っておりますので、事務局側からは今の段階では回答は難しいかなと思っています。
○岩本委員 了解しました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 2度目の発言ですけれども、すみません。
承認薬の備蓄の点に関してお願いがございまして、製薬企業、特にワクチンメーカーは今かなり厳しい状況に陥っていまして、今の状況を見ていると、ひょっとすると国内の企業がかなり消滅してくるのではないかという危機感も私は持っておりまして、その点で、製薬企業にとっては備蓄の有無が開発可否に大きく影響すると実感しております。そういう意味で、「基本的な考え方」には有効性、保存条件、投与経路・回数等、最終製品として承認された後でないと確定しない項目も含まれておりますけれども、開発のステップを考えると、ある種、プル型のインセンティブが示唆されないと、開発も感染症に関しては広がらない。実際に8疾患にしたって、我々、公募してずっと待っていても、ワクチンの提案さえ出てこないのが結構あるのです。現場が相当疲弊しているなというのが実感でございます。
ですから、この条件ですと、備蓄の検討が可能なのは既に承認された薬だけになりますので、ますます国内の生産性が下がってくる、海外の承認薬を輸入するような構造が出来上がってしまいかねないと危惧しております。企業の自助努力のみでは開発は困難ですので、何らかの形で、プル型インセンティブなども検討していただくとともに、感染症ごとの備蓄の要否と必要量ぐらいは、それぞれの感染症ごとに重要だと思われるものは示唆していただけると、企業の開発判断を促すための配慮となり得るのではないかなと思った次第でございます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
この点はまさに私も非常に思うところがありまして、確かに先生がおっしゃったとおり、ここではできたものについて買い上げるかどうかの判断になっていて、できていないものについてこういうものができたら買い上げるよというような言い方はしていない。恐らくそこを示して、開発を促すプルという形を取るべきではないかという御意見と考えますが、そういった観点でよろしいでしょうか。
○濵口委員 先生のおっしゃるとおりで、プル型インセンティブというニュアンスを込めていただければと思うのですけれども、どの感染症というのを厳密に指定するということまではあまり深く考えていなかったのですが、重要なところは備蓄の要否、必要性、それから、需要はどれぐらいなのだけれども現状は開発されていないというような示唆があると、現場でこれはやるニーズがあるなという判断の根拠の一つになってくるかなと思いまして、お願いする次第です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。重要な御指摘をありがとうございます。
事務局から何かコメント等はございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。非常に重要かつ難しい御指摘だなと思っております。
どうしても我々としても、やはり前回の第7回に引き続きではございますが、やはりこのプッシュ型・プル型の支援の必要性というところはずっと委員の方々から言われているところでございます。どういった形ができるのかみたいなところというのはまだ簡単にお示してできるようなものではございませんが、引き続き我々としても重要な要件として考えさせていただきたいなと思っております。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですけれども、関連したことでお話しさせていただいてよろしいでしょうか。
濵口委員が今おっしゃったように、今、国内におけるワクチンメーカーというのは、非常に軽視されているというわけではないですけれども、非常に困窮している状態が続いております。つまり、40年来の工場を何とかやりくりをして今稼働している。新しい工場を作るにしても、それだけの原資がないという状況で、今、医薬品の安定供給というところからも含めて、非常に現状としてはワクチンというものが日本において重要視されていないというわけではないのですけれども、専門家においてはあるのですけれども、国内においてそういうものに関しては十分な認識がされていないという状況が確かに続いておるかなと思います。
それに対して、濵口委員がおっしゃったように企業に対してのある程度のインセンティブがないと、つまり、幾ら増産しようという形になろうとしても、国内の力が全くない状況である。それから、リードタイムも必要で、現状の薬を作るに対してもリードタイムがないとできないという状況が見えているのに、そこに対して細々とした形になってしまっているのが非常に問題であるということは皆さんが認識しなければいけないし、国民も認識しなくてはいけないし、全ての人間が薬に対する考え方として、ワクチンに対する考え方としてそのような基本的な考え方を持って、これからこういう全てのMCMという形の中で考えを構築していかなくてはいけないのではないかなと。濵口委員がおっしゃったとおりで、今ワクチンメーカーは非常に困窮している状況だということを認識していかなければいけないと私も思っております。
以上でございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。重要な御指摘をどうもありがとうございました。
5ページにありますけれども、公衆衛生的指標と戦略的指標に基づき、最終的に総合評価でどのようなMCMが望まれるかという要件を文章で記載するというところがございますので、こういったところでも備蓄薬に求められる要件等を記述していくことは可能なのではないかなと思いました。
それでは、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
2点ございまして、でも、1点目は実は先ほど濵口先生がおっしゃった点と全く一緒であります。インセンティブ、特にプルインセンティブが非常に重要なので、制度設計がすごく難しいのは存じ上げておりますが、ぜひ御検討いただきたいと思います。ワクチンだけではなくて、診断薬・治療薬にも必要だと思っています。これが1点目です。
2点目は、資料でいうと7ページ目を見ていて不安になったので、細かい点なのですが、1点だけ申し上げておきたい点があります。それは何かと言いますと、いわゆるインフルエンザのプレパンデミックワクチンが使えないのです。今回、昨年からですかね。H5N1高病原性の鳥インフルエンザA(H5N1)の流行、人間での事例も出ているということで、非常に大変だということは実感しておりますし、一方、危機管理対応としてそれに対するワクチンの準備というのが各国で迅速になされているというものを目の当たりにして、やはり危機管理対応として極めて重要だということを理解しました。
そういう観点で、日本においてプレパンデミックワクチンの確保という観点で、今、この7ページ目の赤い文字で書かれた3行の要件でぴたっとそれがはまるのかは不安なところがあるなと思って見ています。というのも、例えば用いられるモダリティは従来あるものだったりします。あるいはまだ適用されていないけれども、既に確立しているものだったりします。だとすると、この書きぶりから見ると、これは最優先にはならなくなってしまう可能性があるということです。ただ一方で、新たなインフルエンザの流行等、例えばH5N1亜型等が出てきた場合に、また既存のプレパンデミックワクチン、あるいは開発中のほかのワクチンでもいいのかもしれませんが、ちゃんと充ててみて実際に効果がありそうかどうか見ていくということも非常に重要ですし、備蓄も重要ですしというところで、相応の準備、支援というものは必要だと思っています。
そういう意味で、ここの書きぶりの中にうまくおさまるのかなということで心配だったので、細かい物言いですが、申し上げさせていただきました。戦略的な観点という観点で十分に御検討いただいて入ればいいのかなと思っております。
以上でございます。
○齋藤委員長 十分な御指摘をありがとうございます。
インフルエンザのプレパンの件は非常に確保という点では重要な項目かと思いますので、こちらとクライテリアの読み込み方といいますか、この妥当性についてはまた事務局で御検討いただければと思いますが、今の時点で事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 確認しますので、追ってでお願いいたします。
○齋藤委員長 それでは、続いて鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
今の大曲先生の御意見にも近いものなのですけれども、8ページのこのフローで見ていくと、私もモダリティが同じかどうか、既存薬と同じかどうかというところは気になったところです。COVID-19でも結局特効薬というものはなかなかできず、初期は抗体製剤がかなり効果的だという評価をされていました。変異株がどんどん出てしまったので、初期だけで後半は全然抗体薬は使われなかったのですけれども、そういうこともありますので、緊急必要性でやはり既存のモダリティで急いでやらなくてはいけないという場合もあると思うので、既存薬と同一モダリティか新しいかでさっとそこで線を引いてしまうのはいいのかなという疑問があります。
それから、国内臨床試験が困難か可能かで仕分けもされていますけれども、治療薬だとある程度患者さんが発生している段階でしたら国内試験だけで臨床試験をやることは可能ですけれども、そういう状況もあって、ワクチンは非常に症例数が多く必要で、よっぽど日本の中で蔓延していないとワクチンの有効性を評価するⅢ相試験は難しいと思います。やはり国際共同治験をやらないと評価が現実的にできないケースというのは特にワクチンは多いのかなと思いますので、その辺の運用といいますか、読み方ですね。読み込みの考え方みたいなのも少し御検討いただけるといいのかなと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
恐らくモダリティの件でまず1点御指摘いただきましたけれども、研究開発促進のどのフェーズで考えるかによっても違うのかなと思います。有事の際にすぐに使えるものをまず作らなければいけないというときの優先度の話と、平時に中長期的にキャパシティービルディングといいますか、研究開発を底上げしていく際に考えてみる優先度というのでこの基準の考え方も変わっていくのかなとは思いますが、ただいまの御質問について事務局から何かコメント等はございますでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
いずれも基本的にはプレパンデミックワクチンを含めて、きちんと平時、有事で対応できる体制をつくるような形で読み込めないかという御指摘だと思いますので、我々としては、あくまで提案させていただいたものに対して、大曲委員の意見にもありましたプレパンについてもちゃんと読み込めるようにしていきたいと思っておりますし、その他、鹿野委員からいただいた意見もこの中でどう読めるかという形は考えさせていただきたいかなと思いますので、表現ぶりであるとか運用面のついてのコメントだと思っておりますので、こちらは事務局のほうで改めて検討させていただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、検討をよろしくお願いいたします。
続いて早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
ちょっと話が変わってしまうのですけれども、9ページ目のMCM確保の基本的な考え方、未承認薬のアクセスの改善というところなのですが、これは答えがないところかもしれないのですけれども、仮にGroup Xのようなものが起きたときに、候補になる薬剤を投与できるスキームをつくらないといけないかもしれないというときに、特定臨床研究等もしくは緊急承認、特例承認等でアクセスができるようになるまでのタイムラインというのはおおむねどれぐらいを想定されているのかなと。その間は感染対策などでしのぐということになるのかなと思いました。各施設での特定臨床研究の承認であったり、いろいろな律速はあると思うのですけれども、仮に候補になる薬剤があってという状況の場合、理想的にはどれぐらいで、構築できたらいいと想定されているでしょうかという質問になります。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
候補薬があって、未承認薬のアクセス改善ということで、こちらにあるようなアクセスへの体制を整えるのにどれぐらいの時間を見込んでいるかという御質問かと思いますが、事務局のほうから今の時点で御回答はございますでしょうか。
○小谷室長 恐らく答えがかなり難しい質問で、どれぐらいの時間でと言われるとなかなか回答に窮する部分があるかなと思っておりますが、できるだけ早くとしか言いようがない立場かなとは思っています。そうならないように、できるだけ早い段階から対応可能なものを備蓄できるような取組を進めていくものだと思いますが、やはりGroup Xとなってきた際に、全て合致するものをどれだけの速さで準備できるのかということについて数字を挙げることは差し控えさせていただきたいかなと思っております。申し訳ございません。
○早川委員 いえ、大丈夫です。ありがとうございます。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。関連したことでよろしいでしょうか。
今の早川委員からのお話はもっともだと思います。しかしながら、大曲委員は今回も現場にいらっしゃったのでご存知かと思いますが、薬事承認するという形になりますと、これは地域における医師も完璧に使えるような状況になっていけるということになります。その前の段階ではある程度の基幹病院を含めていろいろなところで試験的に使われながらやっているということは、早川委員も御存じのとおりだろうと思います。ですから、どのぐらいのフェーズでどのぐらいの感染の広がり方の中でそれに対応しなくてはいけないのかというと、これは様々な事象が入ってくるので、未承認薬のアクセスの改善で一番重要なことは、なるべくドラッグラグをなくす、スピードを速くして承認の体制を速やかに行っていくことです。今までの例の中で定期的に行われている薬事承認ということではなく、緊急的な招集の中で部会において出されて、必要性の高い医薬品に対しては随時承認していく体制を取っていくというような形で、厚生労働省が音頭を取りながらやっていくという形でいくしかないのだろうなと思います。大曲委員、どうでしょうか。早川委員もお話は分かると思うのですけれども、いわゆる臨床の中で、基幹病院、それから、最初のファーストコンタクトでまだ本当に数十人の段階のところと、それから、国内に蔓延する形での薬として承認しながら、国内の供給体制を整備するというのは、どうしても時間的な範囲というのは当然1か月、2か月かかってしまうのではないかなとは思うのですけれども、いかがでしょうか。
○齋藤委員長 大曲先生、お願いします。
○大曲委員 宮川先生、ありがとうございます。いつもお世話になっております。
僕自身の意見としては、先生のおっしゃるとおりだと思っております。ですので、現状、現場といいますか、できる準備としては、先生のおっしゃっていることの繰り返しになりますが、さはさりながら平時の頃から規制あるいは行政規制の観点からの準備というものは非常に重要だと思っています。例えばパンデミックになって特措法が動いているときであれば特別承認、緊急承認等の動きがありますけれども、そうなっていないときにどうすればいいかとかは一つ課題としてあると思います。こちらは先日厚労省からも通知が出て、海外の承認薬であれば国内未承認の場合でも迅速に対応ができるような仕組みができつつありますけれども、このような運用をいかにどうスムーズにするかとか、漏れがないかとかという確認をしていくということは一つ大事かと思いました。
あと、2点目は現場の問題で、主語は我々なので頑張らなければいけないのですが、やはり平時から体制と規制的なところをちゃんと整備した上で、あとは迅速に治験なり特定臨床研究が、できれば準備は事前にできている。そこをしっかり立ち上げて走らせるというところ、また、いかに短縮化できるかという現場の問題なのかなと思っています。
レムデシビルのときは米国が主たる研究のグループでしたけれども、医師主導治験としての立ち上げは1か月でやりました。これをもうちょっと短くできないかなとか、そういった議論になってくるかと思っております。
以上でございます。
○宮川委員 齋藤先生、よろしいでしょうか。
今、大曲先生からあったように、いかに平時から新たな感染症が入ってきたときにどのような体制構築ができるのかということも含めて、様々な議論で全て布石を打っていかないとできないので、MCMの確保というだけではなく、そういう意味で全てのところで体制確保というのが非常に重要で、その中でMCMの確保というのは基本的な考え方を構築していくことが必要ではなかろうかなと考えております。
以上です。
宮川です。以上でした。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございます。
まさに宮川委員の御指摘のとおりで、ただ、平時からいろいろな機会を捉えて、このようなプロセスを少しでも短くしていける努力を積み重ねていくことが非常に重要ではないかなと私も感じております。どうもありがとうございました。
その他、委員から本日の議題に関しまして御意見等があればお願いしたいと思います。
では、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料の4ページ公衆衛生的指標の分析というところなのですけれども、4の医療への負荷と5の社会経済活動への影響というのが私の感覚だと1と2にかなり大きく影響されるのかなと。重症度ですとか伝播性みたいなところですね。そういうことを考えると、この5指標でやる場合、3の部分が過小評価になりはしないかなというような感じもします。冒頭に四柳先生から地球温暖化の影響という話があって、この2あたりに入ってくるのかなとも思ったのですが、このスコア化をするときに1と2の要素がかなり大きいというところは注意が必要なのかなと感じました。
1の致命率が高い、中程度、低いというのが、これもなかなか疾患によって評価が難しいのかなという気もしました。例えばインフルエンザの場合ですと、スペインインフルエンザだと2%ぐらいで致命率が高いと考えないといけないですが、0.5%のアジアインフルエンザだと中程度であったかと思います。ウイルス性出血熱にすると、致命率が高いというと50%ぐらいを超えてくるのかなというようなことで、これも1と2の組合せでうまくスコア化できればいいのかなと思いますが、致命率が高い低いというのも客観的な数値をはめ込もうとするとなかなか実際は難しいような気がいたしました。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
この辺り、きれいに独立の要因として分けられる部分ではないので、御指摘のとおり、1と2と4と5は切っても切り離せない部分があるというのは非常に認識しながら作っているところですが、田辺先生より何かコメント等はございますでしょうか。
○田辺参考人 加藤先生、貴重なコメントをいただきましてありがとうございます。
5ページを開けていただきまして、先生がおっしゃっていた1の2のウエイトだとか、4と5のところなのですけれども、青い背景の公衆衛生的指標というのが1から5まで、あり、それらを総合評価するかという話もあったのですけれども、総合評価はせずにこの1、2、3、4、5を独立して評価するというところになるかと思います。
疾患も多いですし、指標も多いので、できるだけシンプルな形で、まとめのときはそれぞれの疾患がこの1から5で高中低という形ではまって、それに応じてMCMがあるかないか、研究開発が進んでいるのかというのを眺めていただいて、右端の「総合評価」を一読したときにできるだけ分かるような形にしたいという意図です。先ほど齋藤先生からもありましたように、やはり、内容が重複しているところもあると私たちも感じていますが、できるだけダブルカウントしないようにしたいと思っています。
あと、数字に関しまして、1健康への影響については、致命率で見ざるを得ないというところになります。初めはA、B、DのグループとCのグループを別で作業していて、一旦置いた数字がA、B、Dに関しては5%を超えていたら致命率が「高」、1から5%が「中」1%より低いと「低」という形で整理しましたが、グループC(AMR)については、毛並みが違うといいますか、もともとA、B、Dは健康な人にも感染しますが、AMRはどちらかというとICUに入っているとか重症の方が感染するので、AMRの方が圧倒的に致命率が高いという点もあります。WHOにおいてもガイドラインが分かれているということもあって、AMRについては例えば25%以上であれば「高」、5から25%で「中」といった形で、注釈をつけて整理したいと思っています。
○齋藤委員長 田辺先生、ありがとうございました。
それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 繰り返しで申し訳ありません。
今日のメインの議題ではございませんけれども、感染症法の運用のところで私どもとしては残念なことが最近ありまして、重点感染症に指定されたワクチンの開発を進めておりまして、フェーズⅡに入るところで、実は日本国内でのフェーズⅡの許可が出なかったのです。ここら辺のところ、いろいろ御事情はあるのだとは思うのですけれども、ではフェーズⅡをどうするかというと、海外でやれば問題ないという結論になってしまいまして、非常に状況がツイストしているような状態、海外の日本人以外ならいいのかということも言われかねないような状況にはまり込んでおりまして、苦慮しておるわけですけれども、もう一つ残念なことは、フェーズⅡに入れなかった根拠を正確に伝えていただけなくて、そのまま私が又聞きした状態では根拠が科学的には薄弱ではないかなと思うような節がありましたし、現場側の声としては、もう少し規制側の方々と透明性の高いコミュニケーションが必要なのではないかと。合理的な判断、透明性の確保、あるいは審査基準や手順の明確化などもう少し改善していただけると、日本全体として一丸となってMCMの開発に取り組めるのではないかというような思いがあります。
少なくとも特にネガティブな判断をされたときの根拠はもう少し透明性を上げていただけないと、現場は相当コストをかけていますので戸惑ってしまいますし、海外で治験に入るために、当然コストもさらにかかる状態になっておりますので、全体的な運用を俯瞰的にしっかり見ていただきたいなというのが今の私どもの思いでございます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございました。
こういった取組を進めていく上で、規制当局と開発側の透明性の高いコミュニケーションというのは非常に重要なポイントかと思いますので、その点は心にとめていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
特に本日お示しいただいた方向性等について御意見がなければ、これで対応を進めていただくということでお願いしたいと思います。
それでは、本日の議題はこれで以上となります。
最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○小谷室長 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
委員の皆様の御意見を踏まえ、我々としても検討し、進めさせていただきたいと思います。
次回日程及び詳しい内容につきましては、改めて事務局よりお伝えいたします。
本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました