第384回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2025年(令和7年)7月30日(水) 10時00分~12時00分

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

議題

  1. (1)同一労働同一賃金部会の議論の状況について(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○中窪部会長 皆さん、おはようございます。ただいまから「第384回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、小野委員、坂爪委員、原委員、田久委員、田尻委員、村田委員がオンラインでの参加となっております。また、事務局において、村山職業安定局長ほか、人事異動がありましたので、一言お願いいたします。
○村山職業安定局長 7月8日付けで職業安定局長を拝命いたしました村山でございます。需給部会の先生方に大変お世話になっておりますが、公労使側の先生方、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○溝口職業安定労働市場政策調整官 職業安定労働市場政策調整官を拝命しました溝口と申します。よろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。本日は議題1、「同一労働同一賃金部会の議論の状況について」の報告があります。その後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開となっております。それでは議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 では、議題1、「同一労働同一賃金部会の議論の状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○鈴木威至需給調整事業課長補佐 事務局です。よろしくお願いいたします。本年1月の当部会において、同一労働同一賃金制度の施行5年後の見直し検討を、同一労働同一賃金部会で行っていく旨、併せて、同部会での議論の状況については、適時に当部会に御報告をさせていただく旨を御説明させていただいたところです。
 まず、資料が前後して恐縮ですが、資料1-3を御覧ください。同一労働同一賃金部会での議論の状況ですが、2月に部会での検討を開始し、3月から4月にかけて有識者や労使関係団体等を対象とするヒアリングを実施、その後、各論点に関する議論として、5月にパートタイム・有期雇用労働法関係の論点、6月25日に労働者派遣法関係の論点に関する御議論を頂いたところです。この後も同一労働同一賃金ガイドラインなどの論点について御議論を頂くこととしており、併せて各回において、委員より御指摘いただいている事項についても御説明の機会を頂くことを想定しております。本日は、6月25日の労働者派遣法関係の論点に関する議論を中心に、これまでの同一労働同一賃金部会における議論の状況について御報告をさせていただきたいと存じます。
 それでは、資料1-1を御覧ください。こちらは、6月25日の同一労働同一賃金部会において、事務局から御提出した論点(案)となります。まず、冒頭において、基本認識や論点(案)の趣旨を記載しておりますが、要すれば、改正法の施行後、派遣労働者の待遇改善の取組は進んできたが、非正規雇用全体に係る賃金等の底上げの取組が進む中、派遣労働者についても公正な待遇の推進を加速させる必要があること、そうした状況を踏まえ、派遣労働者の待遇改善に向けた労使の取組を更に促進する観点、また、行政による履行確保の徹底をしていく観点から議論を頂くものといたしました。
 具体的な論点は、「1 労使の取組促進について」の「(1)均等・均衡待遇」として、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2つの待遇決定方式及びこれらを機能させるための関連規定について、施行後の状況を踏まえ、どのように考えるか、といたしました。
 関連する規定として、下の※に4つ記載があります。まず、派遣先均等・均衡方式における「比較対象労働者の待遇情報の提供」、労使協定方式における「過半数代表者の適正な選出」と「労使協定の周知」、そして、両方式に関わるものとして「派遣料金への配慮」としています。これらのほか、更なる処遇改善につなげていくための方策については、(3)として御議論を頂くことといたしました。
 次に、「(2)労働者に対する待遇に関する説明義務」として、調査結果でも、説明に対する一定の納得感はあるものの、説明を求める労働者の割合が低い状況にあることについて、説明を求めたことがない理由も踏まえ、どのような改善方策が考えられるか、といたしました。
 続いて、「(3)その他の労使の取組促進のための方策」として、まず、「ア 公正な評価」として、2つのパラグラフに分けておりますが、まず前段としてパート・有期の議論と同様に、均等・均衡待遇や、賃金に関する努力義務の履行の前提になると考えられる公正な評価の促進や、その課題についてどう考えるか、といたしました。その上で、後段で派遣特有の論点として、労働者派遣の場合、キャリア形成支援が派遣元の義務とされており、他の雇用形態と比べても、キャリア形成と就業機会を確保する仕組みが整備されているところ、その機能を通じて、処遇向上につなげていく工夫について本人へのフィードバックや、評価にふさわしい職務へのアサインなどを例示した上で御議論を頂くことといたしました。
 次に「イ 未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化」として、アと同様の趣旨から論点とし、職種の転換などで、就こうとする業務は未経験の方についての登用拡大、そして、高い評価があれば、より高度な業務に就く機会等を拡大しつつ、アの公正な評価と相まって、処遇を向上させる仕組みや工夫、また、派遣先や行政による協力・支援として、どのようなものが考えられるか、といたしました。
 続いて、「ウ 派遣労働者の意見の反映」として、労使協定方式の締結主体となる過半数代表者の適正な選出を徹底した上で、派遣労働者の意見をより的確に反映させることができるようにするための方策として、どのようなものが考えられるか、といたしました。
 (3)の最後として、「エ 情報公表の促進」を論点として、パート・有期の場合と同様、求職活動に資する情報の公表に関する企業の取組促進についてどう考えるかといたしました。
 次に、「2 行政による履行確保」です。この点について、都道府県労働局においては、許可事業者に対する指導監督の一環として、同一労働同一賃金関係の履行確保について相談対応等も含めて厳正に執り行っておりますが、行政ADRや事業主に対する支援なども含め、行政による履行確保を更に実効性あるものとするため、どのような方策が考えられるか、としております。
 資料1-2を御覧ください。こちらは今、御説明した6月25日の部会における論点(案)を中心に、これまで同一労働同一賃金部会において御議論いただいた主な内容を事務局で論点ごとに整理をしたものです。まず、1ページ上段の「1.総論」です。こちらは、総論や基本スタンスとして御意見を頂いたものですが、労働側委員からは1つ目と2つ目の○、基本的な視点としてどのような雇用形態を選択しても納得できる待遇を受けられるようにすること。その目的が果たされているかどうかに重きを置いて検証と、必要な見直しを図っていくべき。また、確かに派遣労働者の待遇改善は一定前進しているが、賃金に満足していないという方があまり減っていないなどの実態を踏まえ、根本的改善、見直しの議論が必要との御意見を頂きました。
 続いて、使用者側委員からの御意見は、3つ目と4つ目の○、法の施行以降、賃金などが大きく改善していると認識、賃金などへの評価に関する労働者調査を見ても、労使協定方式が大宗を占める中、労使の真摯な取組によって功を奏している。今後は実務が着実に行われることが重要であり、労使の取組への支援が必要、併せて好事例の共有などを積極的に進めていくことが必要。との御意見を頂きました。
 その上で、これ以降が各論への御意見です。下段の各論(1)では、均等・均衡待遇をめぐる論点について、大きく4つのポイントに絞って御意見を御紹介いたします。まず1つ目は、「2つの待遇決定方式をめぐる評価や認識」に係るものです。1ページの下半分を御覧ください。この点について、労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、原則である派遣先均等・均衡方式があまり活用されていないことについて、政策的な課題があるのであれば解消していくべき。また、例外である労使協定方式については、手続・内容とも適切に運用されることが非常に重要、加えて、原則と例外の関係について法令や指針に位置付けるべき、そして、派遣先均等・均衡方式では、派遣先から比較対象労働者の待遇情報の提供を受けることが重要なので、労働局による指導監督の例も踏まえ、実務上の課題も捉えて議論すべき。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、その下の3つ目と次のページの1つ目の○、派遣労働者の賃金の安定や円滑なキャリア形成の観点から労使協定方式が設けられ、選択できる制度となっているところ、今後も2つの方式を維持し、派遣先の業務特性や派遣労働者のメリットなどを考慮して選択できることが適切。中小企業では職務内容などが同じ正社員がおらず、比較対象労働者の待遇情報の提供が困難な状況や、また、派遣先として、自社の労働者や業績に関する詳細を提供することに一定の心理的・実務的ハードルがあると推察する。との御意見を頂きました。
 2つ目のポイントですが、「一般賃金額の関係」に係るものです。資料2ページの4つ目の○を御覧ください。労働側委員からは、労使協定方式について、基準となる「一般の労働者の平均的な賃金の額」の妥当性の検証を行うべき。との御意見を頂きました。この点、具体的な御指摘としては括弧書きで付けておりますが、職業安定業務統計に基づき求人賃金の下限を集計する点、賃金構造基本統計調査による「勤続0年」の賃金の求め方、統計の公表から労使協定の施行までにタイムラグがある点、などについて御意見を頂いており、この括弧内の記載にあるものも含め、制度制定時の議論等を整理して、部会に供するよう事務局にお求めをいただいているところです。
 3つ目のポイントは、「過半数代表者」に係るものです。労働側委員からは、2ページの下から4つ目の○、労働条件は集団的労使関係に基づく労使の話し合いで決めるべきものであり、協定締結の都度選ばれる過半数代表者に、賃金交渉と協定締結の役割まで担わせることは適切ではない。労働組合が責任を持って対応する「労働協約方式」とすることが本来の姿である。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、その下の○、過半数代表の適正選出については、派遣元で労力をかけて取り組んでいる。また、手続に瑕疵があった場合には、効力を認めないという制度的な手当てはなされている。今後も、仕組みを維持した上で適正選出や選出後の過半数代表に対するサポートを含めて好事例の共有が有効。との御意見を頂きました。
 4つ目のポイントは、「派遣料金に関する配慮義務」に係るものです。労働側委員からは、2ページの一番下と3ページの1つ目の○、派遣先による派遣料金への配慮の前提となる料金交渉、それを求める要望自体していない派遣元も少なくない。派遣元が交渉を要望するよう、政策的な誘導も必要ではないか。また、料金交渉に一切応じない場合は、指導対象となる旨を、実効性を強化する観点から、派遣先指針に格上げして指導を強化する必要がある。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、3ページの2つ目の○、派遣料金に関する要望に対し、9割超の派遣先は引き上げる対応を行っており、配慮に対する派遣先の理解・認識は高い。適切な価格転嫁が重要であり、改めて法の趣旨を周知していくべき。との御意見を頂きました。
 続いて、(2)の説明義務の関係です。労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、待遇に関する説明義務について、その施行実態は不十分であり、義務が適切に果たされるためには、「求めがあったときは」を削除するなど一層の強化が必要。また、自分の待遇決定方式を知らない、過半数代表者のことを知らないという回答が多い状況を踏まえると、説明義務や明示義務について強化が必要。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、4つ目と5つ目の○、様々な派遣労働者がいる中で現行の仕組みを維持されるべき、法の理解と周知を促進する必要がある。また、「求めがあったとき」を削除すると説明のタイミングが分かりづらくなる、労働者が自身と比較対象労働者の働き方、待遇について理解したタイミングで、納得できないことがあれば説明を求めることで最も効果が高まる措置であり、削除する必要はない。との御意見を頂きました。
 このほか複数の委員の方から、最後の○、説明を求めることができることを派遣労働者が知ることが重要であり、明示義務の中に待遇に関する説明を求めることができることを入れて、注意を喚起していくことが重要。との御意見を頂きました。
 続いて、(3)その他の方策についてです。まず、「ア 公正な評価」の関係です。労働側委員からは、1つ目の○、能力や成果が公正に評価されて賃上げにつながることが重要。このサイクルを回すためには派遣先から働きぶりに関する情報が提供されることが重要であり、その仕組みが必要。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、4ページの1つ目と2つ目の○、これまで派遣元による取組が行われていること。それから、雇用する労働者をどのような制度で評価し、生産性の向上につなげるかは事業主の裁量に委ねられるべき事項。一律の考え方を示すと、創意工夫を阻害するおそれがある。との御意見を頂きました。
 次に、(3)の「イ 未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化」の関係です。使用者側委員からは、2つ目の○、派遣元と派遣先が連携し、派遣労働者の評価・育成に取り組み、個人に合わせた業務の高度化や処遇改善につなげることも重要。ただし、現場実態や働き方は多様であり、法令で厳格に決めるものではなく、まずは企業の好事例を積極的に導入することが効果的。との御意見を頂きました。
 労働側委員からは、3つ目の○、キャリア構築の観点から、雇用安定措置を実効性あるものにすべきであり、労働者の希望に合った措置が講じられているか検証が必要。との御意見を頂きました。
 続いて、「ウ 派遣労働者の意見の反映」の関係です。労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、過半数代表者については、労働条件分科会における労働基準法における見直し検討の議論を踏まえて、適正化に向けた見直しを行うべき。適正選出手続や選出後の意見集約に一層の配慮や工夫が必要。配慮の具体的内容は、法令、指針等に明記すべき。また、労使協定の周知がされていなければ、違法・無効であることを明確にする必要がある。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、3つ目の○、現状、派遣元各社で丁寧な対応が行われており、現行の仕組みを見直す必要性は低い。また、意見集約の方法に一律のものを求めると、各社の実情に応じた意見集約に支障を来すおそれがある。工夫として、アンケート調査や車座対話、1on1などで促していくことが必要。との御意見を頂きました。
 (3)の最後、「エ 情報公表の促進」の関係です。労働側委員からは、1つ目の○、労働者派遣において重要な情報の1つはマージン率であり、労働者が認識できることが必要、インターネット公開がまだ十分進んでいないので、より積極的に促していくべき。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、5ページの1つ目の○、法定事項を超える情報開示は企業ごとの人材確保戦略であり、自主的な公表判断に委ねられるべき、公表義務が拡大している中、特に中小企業はマンパワーでの負荷になる。との御意見を頂きました。
 最後に、「2 行政による履行確保」の関係です。こちらでは、適切かつ厳正な取組が行われているとの認識や、引き続き指導、監督などを通じた履行確保とともに、行政ADRのPR、セミナーなどにおける待遇改善に関する好事例展開など、事業者へのサポートを強化していくことも有効。また、派遣を受け入れている業種の所管省庁とも連携しつつ、業種特性の観点からも取り組むと、履行確保がより進むのではないか。との御意見を頂きました。
 以上となりますが、今後の同一労働同一賃金部会については、ガイドラインに関する議論などのほか、これまで頂いた御指摘を踏まえた宿題対応などもさせていただくことを想定しているところです。また、今後の議論の進捗を踏まえ、当部会にも適時に同一労働同一賃金部会での議論の状況の御報告を再度させていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。では、ただいまの御説明に対する御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。オンラインで参加の委員につきましては、Zoom内の「手を挙げる」機能を使って挙手をお願いいたします。それでは、木村委員、お願いいたします。
○木村委員 御説明ありがとうございます。意見も含めて発言させていただきます。現状、同一労働同一賃金部会で詳細な議論が行われているということですので、個別項目に関する逐一の意見は避けますが、まだまだ雇用形態による格差が改善していないことや、説明義務の履行状況の課題等も見受けられると思っております。
 こうした現状を踏まえれば、現状制度の延長でよいということにはならず、同一労働同一賃金の目的をより確実に達成できるようにすべきではないかと考えております。どのような働き方を選択しても、公正な対応を受けられるよう、現行の制度的課題を直視した上で、その改善に向け、法改正に前向きな議論を進めていただきたいです。
 その上で、この部会でも、毎年、労使協定方式の賃金の状況について報告がなされておりますが、今年1月の部会で報告された際にも、労側から、労使協定の賃金が、厚生労働省が示す基準である一般労働者の平均賃金に張り付いているという問題も指摘させていただきました。また、公益委員からも、一般労働者の平均賃金のタイムラグの問題も指摘されたところであります。同一労働同一賃金部会では、こうした需給制度部会での指摘も踏まえ、今後、検討していただきたいと思います。
 また、同一労働同一賃金による待遇格差の是正と併せて、派遣労働者の雇用安定という点も重要です。派遣法は2015年改正以降、10年間特段の見直しが行われておりません。具体的には雇用安定措置が機能しているのか、派遣期間制限は過半数労働者及び労働組合等への意見聴取も含めてしっかりと守られているのかなどについて、適宜、検証を行っていくことが必要なのではないかと思っております。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。皆さんの御意見をまずは伺いまして、御質問等がありましたら、後でまとめて事務局からお答えいただきたいと思います。そのほかに御意見、御質問等はいかがでしょうか。それでは、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 1つ意見とお願いです。事務局から使用者側の意見も含め議論の模様を丁寧に御説明いただきましたけれども、派遣労働者の待遇改善が着実に進んでいると認識しておりますので、現行法制の枠組みを維持することが妥当ではないかなと思っております。本格的な議論は同一労働同一賃金部会で今後行われると認識しておりますが、基本的な考え方はこの場でも述べておきたいと思います。
 それから、先ほど事務局から御説明がありましたが、同一労働同一賃金部会の議論の状況は、適切なタイミングでこの部会や職業安定分科会にも共有、報告いただけると大変有り難いと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。では、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。私も、今、平田委員が述べられた内容は、そのとおりだと思います。また、職業安定分科会や同一労働同一賃金部会のほうでも議論を尽くしていらっしゃると思いますので、その審議状況を、需給部会の私たち委員にも教えていただければと思います。
 すみません、1点、質問なのですが、今、資料の御説明を賜ったのですが、私が聞き逃しているのかもしれません。資料1-2の2ページの所ですが、下から2つ目の○、「過半数代表者の選出手法については、挙手も含めて派遣労働者意志が確実に反映されて過半数代表者が選出されるよう指導してほしい」というのがあります。この意味合いというのは、派遣元である派遣会社の労働者は、派遣先企業の過半数労働者の人数には、入らないと考えていたのですが、その辺をもう一度お願いします。
○中窪部会長 ありがとうございます。そのほかに御質問、御意見等はございませんか。小野委員がオンラインで挙手をされております。よろしくお願いいたします。
○小野委員 同一労働同一賃金部会でいろいろ網羅されていて、しっかりと御議論いただいているなと思って聞いておりました。釈迦に説法かもしれませんが、その部会の先生方も、そして、我々の部会においても、特に派遣労働について議論するときに、我々は頭に必ず置いておかなければいけないということがあると思います。
 それは、同じ派遣労働という枠で話したとしても、技術派遣、事務派遣、製造業派遣、軽作業といういろいろなジャンルの派遣がありまして、それぞれの議論の話をする人が、どの派遣を頭に浮かべて話を進めているのか、受け取る人がどの派遣をイメージしてその話を受け取っているのかによって、議論が食い違うということが起こります。ですので、そこの部分について、どういうイメージの派遣労働者や業界をイメージして、何に対して法をどのように変えていくのかということを明らかにして話を進めていっていただきたいと思っております。
 特に、今回の話の中でキャリアの話があったのですが、例えば、OJTの話であったり、賃金の評価であったり、育成であったりとかという話においては、技術であったり事務系というのは比較的そこに当てはまるし、製造業派遣においてもそういう段階を求めている所に対してはフィットするかもしれませんが、フィットしない業界もあると思うのです。
 ですので、そういう所では、どういうふうにしたら派遣労働者の雇用を守れるか、賃金を守れるかということを考える、そして別の方法で育成をしていかなければならない。何か全部が全部こちらとか、全部が全部あちらとかとすると、本当に派遣の中では、合ったり合わなかったりというのがあって、議論がかみ合わなくなるのではないかなということを、常々これまでの部会などでも感じてまいりました。この部会でもそうですし、同一労働同一賃金部会のほうでも、厚生労働省のほうで少し整理して説明いただければと思っております。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 度々恐れ入ります。今の小野先生の意見に私も賛成です。労働市場はすごく変化してきていると思っております。一律ではなく、実態が多様であることを踏まえた議論が非常に大切だと思いましたので、補足しておきたいと思います。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。それでは、事務局から答えをお願いいたします。
○中嶋需給調整事業課長 ありがとうございます。各般の御指摘を頂戴いたしました。まず、御質問として頂いた部分です。佐久間委員から頂きました過半数の代表者の選出方法の部分です。ここの議論ですが、過半数代表者は民主的な方法によって選出をするということですので、方法としては、挙手もあれば投票ということもあります。様々な民主的な方法で過半数を確保していただくということがルールになります。
 私どもの施行状況の把握の中で、複数回答でお答えいただいたアンケートですが、挙手というのが一番多くありました。続いて投票、その他の手法が続くという形でした。頂いた御意見としましては、派遣労働者は実際の就業場所が様々な派遣先であることを考えると、一同に会して挙手で一発で決まるということばかりではないのだろうという趣旨の御指摘だと理解いたしました。
 そうなりますと、派遣元において様々な方法で、ともかくも過半数を確保するということで、集会のような場で挙手を求めることもあれば、投票を遠隔的に行うことも含めていろいろとやっているのだが、ただ、その中で、今、申し上げましたような派遣先において就業するという実態を踏まえると、挙手という方法がどれだけ有効なのかということも、やや疑問だという、そういう問題意識だと理解いたしました。
 挙手という方法はもちろん否定はされないのだけれども、より派遣という働き方、現場実態にふさわしいような意思の確認方法があるのであれば、そういったものを促進しながら適切な形で過半数を確保してほしいと。そして意思が反映されるようにしてほしいという御指摘と理解をいたしました。その旨を記載させていただきました。
 それから、小野委員から御指摘を頂きました。大変、示唆深い御指摘をありがとうございます。私どもも派遣労働については、技術の分野、事務の分野、製造の分野、そして軽作業の分野というふうに特色があると思っております。これまで需給部会におきましても、少しそのような典型的な業務についての数値的なものをお示しするなど、のっぺらぼうで全職種合計ということではなく、特徴が見られるような形で努めてきたところではあります。今後、同一労働同一賃金部会のほうに資料を供するような場面においても、今、御指摘いただきましたように、内訳の特色が見られるように工夫をしていきたいと思っております。
 あと、特色に応じた対応ということで御指摘を頂きました。もちろん、規制的な手法というのは分野を問わず適用されるというのが標準的なものだと思いますが、一方で、取組を促進していくために、どんな知恵や工夫が絞れるのかといった部分では、おっしゃられたように業務の特色を踏まえたアプローチというのもあるのかなと思います。ですので、議論をこれから深めていただくわけですが、いずれにしても、施行の段階でそのような工夫をできる部分がないか、よく心得て行いたいと存じます。
 それから、その他、各般の御指摘を頂きました。大変ありがとうございます。当部会の皆様の御指摘につきましては、これまでの施行状況のフォローの機会などを通じまして様々なインプットを頂いておりますので、事務局としても、もとより承知をしていたところではありますが、本日、改めて御指摘を頂きました。同一労働同一賃金部会のほうの議論を本日も紹介させていただきましたように、当部会の視点をよく踏まえながら議論をいただいていると思っておりますが、また再度、こういう場を持たせていただきたいと思っておりますので、当部会との連携をよく保ちながら議論を進めていただきたいと我々としても考えているところでございます。事務局としても役割を果たしてまいりますし、また適時にこの部会、また分科会も含めまして、議論の状況を再度報告させていただきたいと存じます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、何か特にございますか。よろしければ、本件につきましては以上といたしまして、事務局におかれましては、引き続き同一労働同一賃金部会での議論の進捗を踏まえ、適時に当部会への報告をお願いいたします。
 それでは、公開の議題はここまでとさせていただきます。冒頭に申し上げましたとおり、傍聴の方々につきましては、ここで御退席いただきますようお願いいたします。
 
○中窪部会長 皆さん、おはようございます。ただいまから「第384回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、小野委員、坂爪委員、原委員、田久委員、田尻委員、村田委員がオンラインでの参加となっております。また、事務局において、村山職業安定局長ほか、人事異動がありましたので、一言お願いいたします。
○村山職業安定局長 7月8日付けで職業安定局長を拝命いたしました村山でございます。需給部会の先生方に大変お世話になっておりますが、公労使側の先生方、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○溝口職業安定労働市場政策調整官 職業安定労働市場政策調整官を拝命しました溝口と申します。よろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。本日は議題1、「同一労働同一賃金部会の議論の状況について」の報告があります。その後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開となっております。それでは議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 では、議題1、「同一労働同一賃金部会の議論の状況について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○鈴木威至需給調整事業課長補佐 事務局です。よろしくお願いいたします。本年1月の当部会において、同一労働同一賃金制度の施行5年後の見直し検討を、同一労働同一賃金部会で行っていく旨、併せて、同部会での議論の状況については、適時に当部会に御報告をさせていただく旨を御説明させていただいたところです。
 まず、資料が前後して恐縮ですが、資料1-3を御覧ください。同一労働同一賃金部会での議論の状況ですが、2月に部会での検討を開始し、3月から4月にかけて有識者や労使関係団体等を対象とするヒアリングを実施、その後、各論点に関する議論として、5月にパートタイム・有期雇用労働法関係の論点、6月25日に労働者派遣法関係の論点に関する御議論を頂いたところです。この後も同一労働同一賃金ガイドラインなどの論点について御議論を頂くこととしており、併せて各回において、委員より御指摘いただいている事項についても御説明の機会を頂くことを想定しております。本日は、6月25日の労働者派遣法関係の論点に関する議論を中心に、これまでの同一労働同一賃金部会における議論の状況について御報告をさせていただきたいと存じます。
 それでは、資料1-1を御覧ください。こちらは、6月25日の同一労働同一賃金部会において、事務局から御提出した論点(案)となります。まず、冒頭において、基本認識や論点(案)の趣旨を記載しておりますが、要すれば、改正法の施行後、派遣労働者の待遇改善の取組は進んできたが、非正規雇用全体に係る賃金等の底上げの取組が進む中、派遣労働者についても公正な待遇の推進を加速させる必要があること、そうした状況を踏まえ、派遣労働者の待遇改善に向けた労使の取組を更に促進する観点、また、行政による履行確保の徹底をしていく観点から議論を頂くものといたしました。
 具体的な論点は、「1 労使の取組促進について」の「(1)均等・均衡待遇」として、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2つの待遇決定方式及びこれらを機能させるための関連規定について、施行後の状況を踏まえ、どのように考えるか、といたしました。
 関連する規定として、下の※に4つ記載があります。まず、派遣先均等・均衡方式における「比較対象労働者の待遇情報の提供」、労使協定方式における「過半数代表者の適正な選出」と「労使協定の周知」、そして、両方式に関わるものとして「派遣料金への配慮」としています。これらのほか、更なる処遇改善につなげていくための方策については、(3)として御議論を頂くことといたしました。
 次に、「(2)労働者に対する待遇に関する説明義務」として、調査結果でも、説明に対する一定の納得感はあるものの、説明を求める労働者の割合が低い状況にあることについて、説明を求めたことがない理由も踏まえ、どのような改善方策が考えられるか、といたしました。
 続いて、「(3)その他の労使の取組促進のための方策」として、まず、「ア 公正な評価」として、2つのパラグラフに分けておりますが、まず前段としてパート・有期の議論と同様に、均等・均衡待遇や、賃金に関する努力義務の履行の前提になると考えられる公正な評価の促進や、その課題についてどう考えるか、といたしました。その上で、後段で派遣特有の論点として、労働者派遣の場合、キャリア形成支援が派遣元の義務とされており、他の雇用形態と比べても、キャリア形成と就業機会を確保する仕組みが整備されているところ、その機能を通じて、処遇向上につなげていく工夫について本人へのフィードバックや、評価にふさわしい職務へのアサインなどを例示した上で御議論を頂くことといたしました。
 次に「イ 未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化」として、アと同様の趣旨から論点とし、職種の転換などで、就こうとする業務は未経験の方についての登用拡大、そして、高い評価があれば、より高度な業務に就く機会等を拡大しつつ、アの公正な評価と相まって、処遇を向上させる仕組みや工夫、また、派遣先や行政による協力・支援として、どのようなものが考えられるか、といたしました。
 続いて、「ウ 派遣労働者の意見の反映」として、労使協定方式の締結主体となる過半数代表者の適正な選出を徹底した上で、派遣労働者の意見をより的確に反映させることができるようにするための方策として、どのようなものが考えられるか、といたしました。
 (3)の最後として、「エ 情報公表の促進」を論点として、パート・有期の場合と同様、求職活動に資する情報の公表に関する企業の取組促進についてどう考えるかといたしました。
 次に、「2 行政による履行確保」です。この点について、都道府県労働局においては、許可事業者に対する指導監督の一環として、同一労働同一賃金関係の履行確保について相談対応等も含めて厳正に執り行っておりますが、行政ADRや事業主に対する支援なども含め、行政による履行確保を更に実効性あるものとするため、どのような方策が考えられるか、としております。
 資料1-2を御覧ください。こちらは今、御説明した6月25日の部会における論点(案)を中心に、これまで同一労働同一賃金部会において御議論いただいた主な内容を事務局で論点ごとに整理をしたものです。まず、1ページ上段の「1.総論」です。こちらは、総論や基本スタンスとして御意見を頂いたものですが、労働側委員からは1つ目と2つ目の○、基本的な視点としてどのような雇用形態を選択しても納得できる待遇を受けられるようにすること。その目的が果たされているかどうかに重きを置いて検証と、必要な見直しを図っていくべき。また、確かに派遣労働者の待遇改善は一定前進しているが、賃金に満足していないという方があまり減っていないなどの実態を踏まえ、根本的改善、見直しの議論が必要との御意見を頂きました。
 続いて、使用者側委員からの御意見は、3つ目と4つ目の○、法の施行以降、賃金などが大きく改善していると認識、賃金などへの評価に関する労働者調査を見ても、労使協定方式が大宗を占める中、労使の真摯な取組によって功を奏している。今後は実務が着実に行われることが重要であり、労使の取組への支援が必要、併せて好事例の共有などを積極的に進めていくことが必要。との御意見を頂きました。
 その上で、これ以降が各論への御意見です。下段の各論(1)では、均等・均衡待遇をめぐる論点について、大きく4つのポイントに絞って御意見を御紹介いたします。まず1つ目は、「2つの待遇決定方式をめぐる評価や認識」に係るものです。1ページの下半分を御覧ください。この点について、労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、原則である派遣先均等・均衡方式があまり活用されていないことについて、政策的な課題があるのであれば解消していくべき。また、例外である労使協定方式については、手続・内容とも適切に運用されることが非常に重要、加えて、原則と例外の関係について法令や指針に位置付けるべき、そして、派遣先均等・均衡方式では、派遣先から比較対象労働者の待遇情報の提供を受けることが重要なので、労働局による指導監督の例も踏まえ、実務上の課題も捉えて議論すべき。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、その下の3つ目と次のページの1つ目の○、派遣労働者の賃金の安定や円滑なキャリア形成の観点から労使協定方式が設けられ、選択できる制度となっているところ、今後も2つの方式を維持し、派遣先の業務特性や派遣労働者のメリットなどを考慮して選択できることが適切。中小企業では職務内容などが同じ正社員がおらず、比較対象労働者の待遇情報の提供が困難な状況や、また、派遣先として、自社の労働者や業績に関する詳細を提供することに一定の心理的・実務的ハードルがあると推察する。との御意見を頂きました。
 2つ目のポイントですが、「一般賃金額の関係」に係るものです。資料2ページの4つ目の○を御覧ください。労働側委員からは、労使協定方式について、基準となる「一般の労働者の平均的な賃金の額」の妥当性の検証を行うべき。との御意見を頂きました。この点、具体的な御指摘としては括弧書きで付けておりますが、職業安定業務統計に基づき求人賃金の下限を集計する点、賃金構造基本統計調査による「勤続0年」の賃金の求め方、統計の公表から労使協定の施行までにタイムラグがある点、などについて御意見を頂いており、この括弧内の記載にあるものも含め、制度制定時の議論等を整理して、部会に供するよう事務局にお求めをいただいているところです。
 3つ目のポイントは、「過半数代表者」に係るものです。労働側委員からは、2ページの下から4つ目の○、労働条件は集団的労使関係に基づく労使の話し合いで決めるべきものであり、協定締結の都度選ばれる過半数代表者に、賃金交渉と協定締結の役割まで担わせることは適切ではない。労働組合が責任を持って対応する「労働協約方式」とすることが本来の姿である。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、その下の○、過半数代表の適正選出については、派遣元で労力をかけて取り組んでいる。また、手続に瑕疵があった場合には、効力を認めないという制度的な手当てはなされている。今後も、仕組みを維持した上で適正選出や選出後の過半数代表に対するサポートを含めて好事例の共有が有効。との御意見を頂きました。
 4つ目のポイントは、「派遣料金に関する配慮義務」に係るものです。労働側委員からは、2ページの一番下と3ページの1つ目の○、派遣先による派遣料金への配慮の前提となる料金交渉、それを求める要望自体していない派遣元も少なくない。派遣元が交渉を要望するよう、政策的な誘導も必要ではないか。また、料金交渉に一切応じない場合は、指導対象となる旨を、実効性を強化する観点から、派遣先指針に格上げして指導を強化する必要がある。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、3ページの2つ目の○、派遣料金に関する要望に対し、9割超の派遣先は引き上げる対応を行っており、配慮に対する派遣先の理解・認識は高い。適切な価格転嫁が重要であり、改めて法の趣旨を周知していくべき。との御意見を頂きました。
 続いて、(2)の説明義務の関係です。労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、待遇に関する説明義務について、その施行実態は不十分であり、義務が適切に果たされるためには、「求めがあったときは」を削除するなど一層の強化が必要。また、自分の待遇決定方式を知らない、過半数代表者のことを知らないという回答が多い状況を踏まえると、説明義務や明示義務について強化が必要。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、4つ目と5つ目の○、様々な派遣労働者がいる中で現行の仕組みを維持されるべき、法の理解と周知を促進する必要がある。また、「求めがあったとき」を削除すると説明のタイミングが分かりづらくなる、労働者が自身と比較対象労働者の働き方、待遇について理解したタイミングで、納得できないことがあれば説明を求めることで最も効果が高まる措置であり、削除する必要はない。との御意見を頂きました。
 このほか複数の委員の方から、最後の○、説明を求めることができることを派遣労働者が知ることが重要であり、明示義務の中に待遇に関する説明を求めることができることを入れて、注意を喚起していくことが重要。との御意見を頂きました。
 続いて、(3)その他の方策についてです。まず、「ア 公正な評価」の関係です。労働側委員からは、1つ目の○、能力や成果が公正に評価されて賃上げにつながることが重要。このサイクルを回すためには派遣先から働きぶりに関する情報が提供されることが重要であり、その仕組みが必要。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、4ページの1つ目と2つ目の○、これまで派遣元による取組が行われていること。それから、雇用する労働者をどのような制度で評価し、生産性の向上につなげるかは事業主の裁量に委ねられるべき事項。一律の考え方を示すと、創意工夫を阻害するおそれがある。との御意見を頂きました。
 次に、(3)の「イ 未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化」の関係です。使用者側委員からは、2つ目の○、派遣元と派遣先が連携し、派遣労働者の評価・育成に取り組み、個人に合わせた業務の高度化や処遇改善につなげることも重要。ただし、現場実態や働き方は多様であり、法令で厳格に決めるものではなく、まずは企業の好事例を積極的に導入することが効果的。との御意見を頂きました。
 労働側委員からは、3つ目の○、キャリア構築の観点から、雇用安定措置を実効性あるものにすべきであり、労働者の希望に合った措置が講じられているか検証が必要。との御意見を頂きました。
 続いて、「ウ 派遣労働者の意見の反映」の関係です。労働側委員からは、1つ目と2つ目の○、過半数代表者については、労働条件分科会における労働基準法における見直し検討の議論を踏まえて、適正化に向けた見直しを行うべき。適正選出手続や選出後の意見集約に一層の配慮や工夫が必要。配慮の具体的内容は、法令、指針等に明記すべき。また、労使協定の周知がされていなければ、違法・無効であることを明確にする必要がある。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、3つ目の○、現状、派遣元各社で丁寧な対応が行われており、現行の仕組みを見直す必要性は低い。また、意見集約の方法に一律のものを求めると、各社の実情に応じた意見集約に支障を来すおそれがある。工夫として、アンケート調査や車座対話、1on1などで促していくことが必要。との御意見を頂きました。
 (3)の最後、「エ 情報公表の促進」の関係です。労働側委員からは、1つ目の○、労働者派遣において重要な情報の1つはマージン率であり、労働者が認識できることが必要、インターネット公開がまだ十分進んでいないので、より積極的に促していくべき。との御意見を頂きました。
 使用者側委員からは、5ページの1つ目の○、法定事項を超える情報開示は企業ごとの人材確保戦略であり、自主的な公表判断に委ねられるべき、公表義務が拡大している中、特に中小企業はマンパワーでの負荷になる。との御意見を頂きました。
 最後に、「2 行政による履行確保」の関係です。こちらでは、適切かつ厳正な取組が行われているとの認識や、引き続き指導、監督などを通じた履行確保とともに、行政ADRのPR、セミナーなどにおける待遇改善に関する好事例展開など、事業者へのサポートを強化していくことも有効。また、派遣を受け入れている業種の所管省庁とも連携しつつ、業種特性の観点からも取り組むと、履行確保がより進むのではないか。との御意見を頂きました。
 以上となりますが、今後の同一労働同一賃金部会については、ガイドラインに関する議論などのほか、これまで頂いた御指摘を踏まえた宿題対応などもさせていただくことを想定しているところです。また、今後の議論の進捗を踏まえ、当部会にも適時に同一労働同一賃金部会での議論の状況の御報告を再度させていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。では、ただいまの御説明に対する御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。オンラインで参加の委員につきましては、Zoom内の「手を挙げる」機能を使って挙手をお願いいたします。それでは、木村委員、お願いいたします。
○木村委員 御説明ありがとうございます。意見も含めて発言させていただきます。現状、同一労働同一賃金部会で詳細な議論が行われているということですので、個別項目に関する逐一の意見は避けますが、まだまだ雇用形態による格差が改善していないことや、説明義務の履行状況の課題等も見受けられると思っております。
 こうした現状を踏まえれば、現状制度の延長でよいということにはならず、同一労働同一賃金の目的をより確実に達成できるようにすべきではないかと考えております。どのような働き方を選択しても、公正な対応を受けられるよう、現行の制度的課題を直視した上で、その改善に向け、法改正に前向きな議論を進めていただきたいです。
 その上で、この部会でも、毎年、労使協定方式の賃金の状況について報告がなされておりますが、今年1月の部会で報告された際にも、労側から、労使協定の賃金が、厚生労働省が示す基準である一般労働者の平均賃金に張り付いているという問題も指摘させていただきました。また、公益委員からも、一般労働者の平均賃金のタイムラグの問題も指摘されたところであります。同一労働同一賃金部会では、こうした需給制度部会での指摘も踏まえ、今後、検討していただきたいと思います。
 また、同一労働同一賃金による待遇格差の是正と併せて、派遣労働者の雇用安定という点も重要です。派遣法は2015年改正以降、10年間特段の見直しが行われておりません。具体的には雇用安定措置が機能しているのか、派遣期間制限は過半数労働者及び労働組合等への意見聴取も含めてしっかりと守られているのかなどについて、適宜、検証を行っていくことが必要なのではないかと思っております。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。皆さんの御意見をまずは伺いまして、御質問等がありましたら、後でまとめて事務局からお答えいただきたいと思います。そのほかに御意見、御質問等はいかがでしょうか。それでは、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 1つ意見とお願いです。事務局から使用者側の意見も含め議論の模様を丁寧に御説明いただきましたけれども、派遣労働者の待遇改善が着実に進んでいると認識しておりますので、現行法制の枠組みを維持することが妥当ではないかなと思っております。本格的な議論は同一労働同一賃金部会で今後行われると認識しておりますが、基本的な考え方はこの場でも述べておきたいと思います。
 それから、先ほど事務局から御説明がありましたが、同一労働同一賃金部会の議論の状況は、適切なタイミングでこの部会や職業安定分科会にも共有、報告いただけると大変有り難いと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。では、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。私も、今、平田委員が述べられた内容は、そのとおりだと思います。また、職業安定分科会や同一労働同一賃金部会のほうでも議論を尽くしていらっしゃると思いますので、その審議状況を、需給部会の私たち委員にも教えていただければと思います。
 すみません、1点、質問なのですが、今、資料の御説明を賜ったのですが、私が聞き逃しているのかもしれません。資料1-2の2ページの所ですが、下から2つ目の○、「過半数代表者の選出手法については、挙手も含めて派遣労働者意志が確実に反映されて過半数代表者が選出されるよう指導してほしい」というのがあります。この意味合いというのは、派遣元である派遣会社の労働者は、派遣先企業の過半数労働者の人数には、入らないと考えていたのですが、その辺をもう一度お願いします。
○中窪部会長 ありがとうございます。そのほかに御質問、御意見等はございませんか。小野委員がオンラインで挙手をされております。よろしくお願いいたします。
○小野委員 同一労働同一賃金部会でいろいろ網羅されていて、しっかりと御議論いただいているなと思って聞いておりました。釈迦に説法かもしれませんが、その部会の先生方も、そして、我々の部会においても、特に派遣労働について議論するときに、我々は頭に必ず置いておかなければいけないということがあると思います。
 それは、同じ派遣労働という枠で話したとしても、技術派遣、事務派遣、製造業派遣、軽作業といういろいろなジャンルの派遣がありまして、それぞれの議論の話をする人が、どの派遣を頭に浮かべて話を進めているのか、受け取る人がどの派遣をイメージしてその話を受け取っているのかによって、議論が食い違うということが起こります。ですので、そこの部分について、どういうイメージの派遣労働者や業界をイメージして、何に対して法をどのように変えていくのかということを明らかにして話を進めていっていただきたいと思っております。
 特に、今回の話の中でキャリアの話があったのですが、例えば、OJTの話であったり、賃金の評価であったり、育成であったりとかという話においては、技術であったり事務系というのは比較的そこに当てはまるし、製造業派遣においてもそういう段階を求めている所に対してはフィットするかもしれませんが、フィットしない業界もあると思うのです。
 ですので、そういう所では、どういうふうにしたら派遣労働者の雇用を守れるか、賃金を守れるかということを考える、そして別の方法で育成をしていかなければならない。何か全部が全部こちらとか、全部が全部あちらとかとすると、本当に派遣の中では、合ったり合わなかったりというのがあって、議論がかみ合わなくなるのではないかなということを、常々これまでの部会などでも感じてまいりました。この部会でもそうですし、同一労働同一賃金部会のほうでも、厚生労働省のほうで少し整理して説明いただければと思っております。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 度々恐れ入ります。今の小野先生の意見に私も賛成です。労働市場はすごく変化してきていると思っております。一律ではなく、実態が多様であることを踏まえた議論が非常に大切だと思いましたので、補足しておきたいと思います。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。それでは、事務局から答えをお願いいたします。
○中嶋需給調整事業課長 ありがとうございます。各般の御指摘を頂戴いたしました。まず、御質問として頂いた部分です。佐久間委員から頂きました過半数の代表者の選出方法の部分です。ここの議論ですが、過半数代表者は民主的な方法によって選出をするということですので、方法としては、挙手もあれば投票ということもあります。様々な民主的な方法で過半数を確保していただくということがルールになります。
 私どもの施行状況の把握の中で、複数回答でお答えいただいたアンケートですが、挙手というのが一番多くありました。続いて投票、その他の手法が続くという形でした。頂いた御意見としましては、派遣労働者は実際の就業場所が様々な派遣先であることを考えると、一同に会して挙手で一発で決まるということばかりではないのだろうという趣旨の御指摘だと理解いたしました。
 そうなりますと、派遣元において様々な方法で、ともかくも過半数を確保するということで、集会のような場で挙手を求めることもあれば、投票を遠隔的に行うことも含めていろいろとやっているのだが、ただ、その中で、今、申し上げましたような派遣先において就業するという実態を踏まえると、挙手という方法がどれだけ有効なのかということも、やや疑問だという、そういう問題意識だと理解いたしました。
 挙手という方法はもちろん否定はされないのだけれども、より派遣という働き方、現場実態にふさわしいような意思の確認方法があるのであれば、そういったものを促進しながら適切な形で過半数を確保してほしいと。そして意思が反映されるようにしてほしいという御指摘と理解をいたしました。その旨を記載させていただきました。
 それから、小野委員から御指摘を頂きました。大変、示唆深い御指摘をありがとうございます。私どもも派遣労働については、技術の分野、事務の分野、製造の分野、そして軽作業の分野というふうに特色があると思っております。これまで需給部会におきましても、少しそのような典型的な業務についての数値的なものをお示しするなど、のっぺらぼうで全職種合計ということではなく、特徴が見られるような形で努めてきたところではあります。今後、同一労働同一賃金部会のほうに資料を供するような場面においても、今、御指摘いただきましたように、内訳の特色が見られるように工夫をしていきたいと思っております。
 あと、特色に応じた対応ということで御指摘を頂きました。もちろん、規制的な手法というのは分野を問わず適用されるというのが標準的なものだと思いますが、一方で、取組を促進していくために、どんな知恵や工夫が絞れるのかといった部分では、おっしゃられたように業務の特色を踏まえたアプローチというのもあるのかなと思います。ですので、議論をこれから深めていただくわけですが、いずれにしても、施行の段階でそのような工夫をできる部分がないか、よく心得て行いたいと存じます。
 それから、その他、各般の御指摘を頂きました。大変ありがとうございます。当部会の皆様の御指摘につきましては、これまでの施行状況のフォローの機会などを通じまして様々なインプットを頂いておりますので、事務局としても、もとより承知をしていたところではありますが、本日、改めて御指摘を頂きました。同一労働同一賃金部会のほうの議論を本日も紹介させていただきましたように、当部会の視点をよく踏まえながら議論をいただいていると思っておりますが、また再度、こういう場を持たせていただきたいと思っておりますので、当部会との連携をよく保ちながら議論を進めていただきたいと我々としても考えているところでございます。事務局としても役割を果たしてまいりますし、また適時にこの部会、また分科会も含めまして、議論の状況を再度報告させていただきたいと存じます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。そのほか、何か特にございますか。よろしければ、本件につきましては以上といたしまして、事務局におかれましては、引き続き同一労働同一賃金部会での議論の進捗を踏まえ、適時に当部会への報告をお願いいたします。
 それでは、公開の議題はここまでとさせていただきます。冒頭に申し上げましたとおり、傍聴の方々につきましては、ここで御退席いただきますようお願いいたします。