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第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和7年7月2日(水)10:00~12:00
場所
WEB会議にて開催
(新橋ビジネスフォーラム8階)
(新橋ビジネスフォーラム8階)
議題
(1)接種記録の保存期間について
(2)MR ワクチン(ミールビックⅡ)の定期接種における使用について(報告)
(3)その他
(2)MR ワクチン(ミールビックⅡ)の定期接種における使用について(報告)
(3)その他
議事
- 議事内容
- ○山口予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第68回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は御多忙のところ、委員の先生方におかれましては御出席いただき誠にありがとうございます。
本日の議事は、公開・頭撮り可でございます。
また、これまで同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、新規委員の就任がございましたので、御報告申し上げます。
本年5月27日付で、宮崎義継委員が本部会の委員に御就任されましたので、御報告いたします。
宮崎委員におかれましては、よろしくお願いいたします。
○宮崎委員 よろしくお願いいたします。
○山口予防接種課課長補佐 次に、本日の出欠状況について御報告いたします。
本日は、磯部委員より御欠席の連絡をいただいております。現在、委員14名のうち13名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
続きまして、資料の確認です。
本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいています電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
番号01の議事次第及び委員名簿から番号06の利益相反関係書類まで用意しております。
資料の不足等、御不明な点等がありましたら、事務局までお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、ここからの進行は、脇田部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 皆さん、おはようございます。第68回の基本方針部会ということでありますので、よろしくお願いします。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について御報告をお願いいたします。
○山口予防接種課課長補佐 本日の審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請資料への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。
委員からの申告内容については、番号06の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は議事の内容に関して「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はおりませんでしたので、御報告申し上げます。
また、毎回のお願いで恐縮でございますが、各委員におかれましては、引き続き講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。議事次第を御覧ください。今日は議題が3つございまして、最初が接種記録の保存期間について、それから2番目、3番目が御報告ということになっています。
それではまず、議題1から入ってまいりますので、また皆さん、活発な御議論をよろしくお願いいたします。
最初の議題です。資料1について事務局から御説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
資料1を御覧いただければと思います。「予防接種記録の保存期間について」ということで議題を上げさせていただいております。
資料の3ページを御覧ください。接種記録の保存期間につきましては、これまでもこの部会において御審議をいただいております。前回、1年以上前になりますけれども、当時のまとめとしまして、現状の5年間というものを延長してはどうか、また、その際に個人情報の取扱いでありますとか、他の同様の制度、これは他の医療情報を念頭に置いていますが、そういったものとのバランスなどを考慮して、具体的な期間や運用ルールを定めてはどうかという御意見をいただき、当時御了承いただいております。
これまでにいただいている御意見の中でも必要性については多くのご意見をいただいておりまして、また、留意点としましても、費用面のことも御指摘をいただいております。本日はこれらの点について整理をした上で、具体的な延長後の保存期間について御提示させていただきたいというものであります。
4ページをおめくりください。今年3月に改正いたしました予防接種基本計画におきましても、これまでの議論を踏まえて、太線下線部のところですけれども、個人情報の取扱いでありますとか、他の医療情報の取扱いにも留意しつつ、保存期間を延長することとし、具体的な保存期間や運用ルールを定めていくという方針を取りまとめていただいているところです。
本日の御説明内容ですけれども、論点を3つに整理いたしまして、それぞれ説明した上で、最後、具体的な保存期間を御提示させていただきたいと思います。
論点に入る前に、これまでの基礎的な情報についても確認させていただきたいと思います。
6ページを御覧ください。現状は、市町村において、定期接種を行ったときから5年間保存するということを省令で義務づけているところです。また、他の医療情報においては、おおむね5年程度の保存期間を設定しているものが多いということを資料として整理しております。
7ページ、8ページ目は、現在医療DXで取り組んでいます他の医療情報についても大体5年程度ということで、これも過去の資料ですけれども、御紹介をさせていただきます。
9ページですけれども、予防接種記録の活用について、これも過去の資料の再掲ですけれども、具体的にどういうところで利用されているかということを整理したものです。自治体、本人・保護者、医療機関、研究機関、それぞれでこの記録が活用されておりまして、例えば自治体ですと、そもそも定期接種の対象者を特定するといったこと、また、未接種者への再勧奨といったときにも過去の接種記録を確認していただいております。本人・保護者においては、接種スケジュールの確認ですとか、接種後の海外渡航時の証明などに使われております。医療機関においては、過去の接種との接種間隔の確認のときに接種歴を確認いただいており、研究機関においても、この記録を使った分析を行うケースがあるということで認識をしております。
10ページ目は、予防接種の記録に特有なことということで、接種歴の意義を整理した過去の資料です。他の医療情報と比べましても、予防接種は長期間に効果が及ぶということで、その特徴があるというふうに考えております。例として挙げました2つの添付文書ですけれども、この効果でいうと10年以上、15年や17年といったことが示されております。
また、他の例としまして、こちらは昨年度で終了したものですけれども、風しん対策の追加的対策ということで、1962年から1979年まで、数十年前の接種の有無について今はもう記録がありませんので、風しんの抗体検査を行ってから、抗体がない場合だけ接種を行いましたが、過去の記録が仮に残っていれば、こういった検査も不要になるということで、一例として挙げているものです。
12ページは、過去のデジタル化の関係のアンケートを行ったときにも、保存期間についての御意見をいただいておりましたので、紹介をさせていただきます。自治体からも、住民の方から5年経過した後でも証明書を発行してほしいといった御依頼・御要望があるということで、その際に対応できないといった課題を指摘されています。
以上がこれまでの資料を踏まえてのおさらいでして、ここから論点を整理しております。
まず1点目は、延長する必要性やその目的を改めて整理しております。大きくは2点あると思っております。1点目は上段ですけれども、予防接種施策で活用していくということでの必要性です。先ほど申し上げましたとおり、ワクチンについては効果が長期間に及ぶということが認められているものがありまして、例えば風しんのように数十年前の接種歴の有無を考慮してプログラムを設計するということがこれまでもありましたし、今後もあるかと考えております。例えばですけれども、現行の5年を超えるような接種プログラムとして、今はありませんが、例えば65歳以上で1回接種といった設計をしようと思うときには、現状の保存期間では管理が難しいといったことを懸念しております。
また、コメ印のところですけれども、こちらは3月の基本計画の議論のときにも御指摘いただいているところですが、ワクチンの役割が、従来は乳幼児期、また高齢期に集中しておりますけれども、今後はライフステージ全般にわたる健康の維持と疾病予防へと拡大している点を踏まえる必要があると考えておりまして、こうした観点からも、生涯にわたっての保存ということが必要になってくることが見込まれます。
中段にありますのは、被接種者本人にとっての必要性ということで、こちらはパーソナルヘルスレコード(PHR)としての観点の必要性です。就学時、就職時、海外渡航時などに証明が求められるということがありまして、先ほど申し上げましたとおり、自治体においてもその要望に応えられないといった状況があると考えております。
これらをまとめたのが下段の緑のところですけれども、接種記録については、ワクチンの効果が長期間に及ぶ場合があり、他の医療情報よりも長い保存期間を検討する必要があると考えております。御本人のためのPHR的な観点の必要性だけでなく、今後、予防接種施策において様々な接種プログラムの検討が必要となった際にも対応できるように、個々人の生涯にわたる利用を念頭に、保存期間を延長すべきではないかと考えております。
2点目の論点は、費用面の御指摘をいただいておりましたので、これについて整理をしております。現在、予防接種記録は自治体の健康管理システムで保存していただいておりますけれども、今後はデジタル化の中で、国において開発しております予診情報・予防接種記録管理システムでの管理を目指しているところでして、そのシステムの開発ベンダーの協力もいただきながら試算をしております。これによりますと、保存期間を5年から仮に20倍の100年に延長した場合、どれぐらいになるかということを試算したところ、費用自体は20倍までは伸びませんで、2.2倍程度、額にして3000万円程度という試算になっております。これを1,700の自治体で割り算しますと、単純計算ですが、年間で数万円程度の負担増になるという試算になっております。
なお、20倍まで増えないのはなぜかということを整理したものをその下に参考で示しております。中段ですが、ストレージ保管費用やバックアップストレージ費用は単純に20倍になりますけれども、費用全体の中に占める割合が小さい部分になりまして、右側のI/O費用、ACU費用のシェアが費用全体の中で占める割合が多くなっています。このI/O費用、ACU費用は何かといいますと、点線の枠囲いの中を御覧いただければと思いますが、③、④がこれでして、データの出入力にかかる費用でありますとか、データの処理にかかる費用ということで、データを実際に保存したり、そこからアウトプットするとき、また、データの内容を変更するときなど操作を行うときにかかる費用ですが、保存期間を20倍に延ばしたとしても、接種の記録を使う機会が20倍に増えるかというとそういうことではないので、先ほどの試算のように2.2倍程度で収まっているということで試算をしております。
3点目は個人情報の保護の観点の御指摘もいただいております。個人情報保護法に基づいて、地方公共団体を含む行政機関等は、利用目的をできる限り特定するといったことでありますとか、利用範囲を超えてはならないということが義務づけられております。また、同法律におきまして、個人情報の漏えい等の防止などの安全管理のための措置を講じる義務なども課せられています。
これにつきまして、下段ですけれども、この延長を今回するか否かにかかわらず、この法律は適用されておりますので、今後もその対応はきちんと行っていかなければならないですが、先ほど申し上げましたとおり、今後はデジタル化に当たりまして、国において検討しておりますシステムで管理をしていきますので、その際に被接種者が接種前にその利用目的をちゃんと確認できるような機会を提供するといったことでありますとか、漏えい防止措置の観点でいいますと、現在設計中のシステムにおいてセキュリティー対策を適切に講ずるということが当然必要ですので、そういったことを前提に設計を行っているところでして、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
以上、論点を3つ整理いたしまして、その上で具体的な保存期間として案を御提示させていただきたいと思っております。
期間の設定の仕方としては3つぐらいの類型になるかなと思って、案を3つ整理しております。まず案1は、「接種時」を基準にした期間設定ということで、現状が接種を行ったときから5年とありますので、それを生涯にわたるという意味で単純に120年というのが案1です。120年というのは国内の最高齢を考慮して置いているものです。
案2ですけれども、案1と比べますと、仮に高齢になってから打ったときに、そこから120年保存するというのも長過ぎるのではないかということで考えたのが案2です。こちらは「出生時」を基準に期間を設定するということで、生まれたときから120年でも生涯の利用には耐えられる期間となっていると考えております。案2の場合に、生まれて間もなく、若いときに残念ながら亡くなられた方についても120年保存するのが適当かという観点での懸念があるということを補足説明させていただきます。
その上で、案3ですけれども、「死亡時」を基準に期間を設定するということでして、接種を行ったときから保存を開始いただき、非接種者が亡くなった日から5年を経過する日までの間、保存するとしてはどうかというのが案3です。この設定をしましても、その方にとっての生涯の利用には耐えられる保存期間の設定になっていると考えております。経過してから5年という数字ですけれども、こちらについては、現状でも接種をした日から5年保存することになっていますので、接種した日やその直後に仮に亡くなられた方がいらっしゃっても、その方について、死亡後5年弱の保存が現行でも行われておりますので、それと同程度の保存期間は維持をしておく、これまでのニーズに応えられないようにするのはよくないということで、最低限の期間として5年というのを設定しているものです。
以上が3案ですけれども、緑のところを御覧いただければと思いますが、案1、案2は特定の期間で一律に保存するというものですが、案3は各個人の死亡日によって保存期間が異なる設定をするというものです。
2つ目の○ですが、今後予防接種施策における利用を目的として保存するのであれば、その方が亡くなった後には、当然その方はもう接種することはありませんので、保存しておく必要性は乏しくなると考えております。
なお、今回の議論とは直接関係ありませんけれども、このデータを匿名化した予防接種データベースについては、別途の保存期間の議論が必要だと思っておりまして、これは改めて整理してご説明をしたいと思います。予防接種データベースは研究に使うということですので、他のデータベースの保存状況を横並びで見ているところですが、具体的な保存年限を設定しているデータベースはないと承知していますので、この予防接種データベースにつきましても、目指すところとしては永年保存を考えているところですけれども、他のデータベースの状況を見ながら改めて整理をして、御説明をさせていただきたいと考えております。
最後ですけれども、不要となった情報をむやみに持ち続けることなくということで、個人情報保護の観点からも適切なタイミングで消除する必要性があると考えておりまして、事務局としては、案3の保存期間が適当ではないかと考えております。
以上、まとめですけれども、上段の箱の5点は、今申し上げたことをまとめたものですので、説明は割愛させていただきます。
事務局としましては、現行の「接種を行ったときから5年」というものを、案3の「接種を行ったときから、被接種者が亡くなった日から5年が経過する日までの間」に見直すこととしてはどうかということで、今回、案を御提示させていただきます。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 御説明どうもありがとうございました。
接種記録の保存期間については、今御説明があったとおり、基本計画の議論のときにも皆さんから御意見いただいて、延長したほうがよいということでは意見がまとまっていたと思いますけれども、本日、具体的な保存期間の案をお示ししていただいたところです。この接種記録の活用方法についても、御説明があったとおりだと思うのですけれども、自治体であったり本人、医療機関、研究機関というところがありますが、これも説明があったとおり、予防接種データベースのほうでの記録の保存がありますので、様々な施策であったり研究目的といったところは予防接種データベースのほうでかなりカバーされるのだろうというところがありますので、本人の接種記録をどのぐらい保存する必要があるのかといったところだろうと私は理解をいたしました。
それでは、皆様から御意見、御質問等をいただければと思いますけれども、挙手をしていただければ指名させていただきますので、よろしくお願いします。
宮入委員からまずお願いいたします。
○宮入委員 ありがとうございます。
まず、基本計画で掲げた生涯にわたる予防接種の施策に合致した施策であり、死亡から5年という期間も妥当だと思っております。提示された案については基本的に賛成ですが、2点御質問があります。
まず1点は、保存に係る負担や責任というのが、これは自治体が負うのか、国のほうで対応するのかということについてお聞きしたいのが1点と、あとは、予防接種データベースに移行した情報というのは匿名化情報なのか、仮名化情報なのか、そちらについてお聞きしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
2番目の質問、データベースのほうの情報ですか。
○宮入委員 はい。
○脇田部会長 データベース、分かりました。
それでは、まずは皆様から御質問を伺っていきたいと思います。笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。丁寧な説明をありがとうございました。
2点質問がございます。1つ目は、議題は行政における予防接種記録の保存期間の延長についてですが、関連するものとして、6ページにあるとおり、診療録の保存期間は5年ということです。電子カルテであれば場所を取らずに長期間の保存が可能なので、電子カルテの場合も保存期間を5年間から延長する検討などがなされているかどうか、教えていただきたいと思います。
2つ目は、17ページの案1、2、3のうちでは案3が最もよいと思います。一方で、御子息など次の世代が親の接種状況を知りたいと思うケースがないわけではないと思います。お亡くなりになってから5年というのは短いと考えます。また、民法では、医療過誤などによる損害賠償請求の消滅時効期間は、損害および加害者を知ったときから5年、または医療行為から20年間ということを考慮すると、20年程度は必要なのではないかと考えます。
以上2点、お願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 私からは、先ほど笹本委員のほうから出されていたと思うのですが、カルテの保管期間です。5年というのは最終診療から5年ということなので、5年間にもう一度受けてしまったらそのカルテは廃棄できないのですけれども、多くの場合が患者死亡ではないかと思います。治癒ということもありますけれども、患者死亡が結構多いという形で、その意味でカルテとの保管の整合性が取れるのではないかなと思いますので、5年は妥当かなと思います。ただ、笹本先生がおっしゃった訴訟等の場合に、過去にも幾つかある場合に、賠償期間との兼ね合いで、ちょっとそこは考えなければいけないのかなというところもありますが、5年ではいいかなと思います。
それと、これは恐らく今現在、国のほうから自治体のほうにかなり丁寧な説明会を繰り返し行っていただいて、非常に感謝申し上げておりますが、この保管は、私の理解もそうなのですけれども、自治体側が多分理解するところによると、国が保管義務を負うと。医療機関で接種して、医療機関がインプットしたものがダイレクトに国に行って、国が保管して、必要があれば市町村がのぞけるというのは変なのですけれども、閲覧可能というふうに理解しているところなのですが、そういう理解でよろしいのかというところ、これが質問です。
また、これは以前にも出たと思うのですが、あくまでもこのデータベースは日本の予防接種法下で行われた予防接種ということで、現在、例えば親御さんの出張に伴って海外と行ったり来たりしているお子さんがいる中で、そういう記録の保管というのは、例えばこのデータベースに申請があれば、何らかの手段で追記が可能なのか。親御さんが知っていても、親御さんがいなくなってしまった場合、お子さんが全く分からないという事態もあるので、そういう海外で受けた予防接種記録をこれに追記することが可能なのかどうか、その点についてお教えいただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次に、伊東亜矢子委員、お願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。
今、笹本委員と坂元委員がおっしゃられたところに関連するのですけれども、私は基本的に案として死亡後5年というのは賛成なのですが、先ほどの御指摘もあるとおり、賠償の請求期間という意味ではもっと長くなることがあり得ますので、周知としては、あくまで国の保管はこの期間になるけれども、御自身でアクセスして取っていただければその履歴は残せるので、そういった周知は必要であるだろうというのが意見でございます。
あともう一点、質問として、場合によっては御本人が亡くなられてから御相続人などがその情報にアクセスしたいということがあるかと思うのですが、先ほどの御説明ですと、マイナポータルからのアクセスになるかなと思うので、パスワードとかを知らないと相続人がアクセスできないのではないかというところもあって、この辺りの運用をもし今既に何か御検討されているところがあれば、教えていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。御説明をありがとうございます。
予防接種の記録保管の延長、予防接種施策の観点からの必要性と個人の観点からの必要性、やはりその2点から必要ということで、私も同意いたします。また、何年間が適当かというのは、これまで様々な委員の先生が御指摘されたように、結構いろいろな観点から確かに検討が必要かと思うのですが、お示しいただいた、接種してから、死亡されてから5年間までというのは1つの目安として、他との整合性とかも考えて、ある意味適切な期間かなと御説明を拝聴して考えておりました。
そこで、私のコメントを2点ほど述べさせていただきたいのですが、坂元委員が、海外で接種した分を自分で追記できないかと。確かにこのグローバル化の時代に、海外で受けたものは日本の定期接種には含まれないですけれども、その方の医療記録としては私も大切だと思っています。
あと、最近思っていることが、このたび帯状疱疹ワクチンが定期接種になって、過去に自治体の公費助成とか任意接種で生ワクチンあるいは不活化ワクチンを接種していらっしゃる方々が結構いらして、その御質問をたくさん受けています。そして、いろいろ詳しく御本人にお伺いすると、生か不活化かどっちを打ったかは分からないという方とか、中にはインフルエンザなのか肺炎球菌なのかも分からないというような方もいらして、なかなかそこは非常に難しい問題かと思っています。
でも、これは予防接種施策の必要性、御本人にとっての必要性、双方からも必要なことと考えておりまして、以前からこれに関する議論でも私は任意接種のこととかもお願いしてまいりましたが、確かに費用も人手もかかることなので、最初から任意接種もということにはできないかと思いますけれども、任意接種で打った分も御自身で追記できないかとか、健康を守るための手段という観点からは、定期接種も任意接種も変わりがないと考えておりますので、何かそこのところでいい方法があればなと思っています。
もう一点、データベースに関して宮入委員からも御質問がございました。データベースの保存期間に関しては、別途また検討ということで、本日の議題ではないかと思いますけれども、お亡くなりになった方々に関して、ワクチンの有効性とか安全性を検討しなければならないときに、5年を超えて検討が必要になってくる。もしかしたらそれは研究ベースになるのかもしれませんが、なる場合も出てくるので、それは予防接種データベースのほうでは別途御検討いただければと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
伊藤先生と鈴木先生までで一区切りつけたいと思いますので、よろしくお願いします。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
このシステムそのものはマイナンバーと密接に関係をしていて、マイナンバーと独立しているものではないと思います。今後、マイナンバーにひもづけられていて、マイナンバーは今後、未来永劫消失しない代物であって、予防接種のデータベースがマイナンバーに統合されてしまうのであればこの議論はあまり意味がない。逆にいうと、マイナンバーが亡くなられた後、一定の年数で消滅をする、あるいはアクセスできないような代物でなければ、ここでやっている議論は成り立たないのではないかという気がするので、そこを明確にしていただけないだろうかと思って御質問しました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
鈴木基先生、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。
既に中野委員、それから宮入委員が指摘された点の繰り返しになってしまいますが、予防接種記録の今回の保存期間の話と、それから予防接種データベースの保存期間の話は、後者はまた別途議論ということを言われましたけれども、実際には密接に関係をしているはずです。基本的に今日の議題に関しては、私も案3で妥当かなと思うのですけれども、ただ、予防接種データベースの保存期間が、先ほど少し永年保存ということも想定しているということを言われていましたけれども、それが匿名加工なのか、仮名加工かによって、必然的に研究活用の範囲が大きく変わってきます。そこのところをちょっと確認させていただきたいと思います。
つまり、今日の議論が予防接種データベースの保存期間に影響しないのかどうかということを、匿名加工か仮名加工情報なのかということも含めて、事務局からの補足説明をいただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
御意見、御質問をありがとうございました。幾つかはまとまって意見があったと思いますので、事務局に可能な範囲でレスポンスいただければと思います。事務局、いかがでしょうか。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
まず、宮入委員からの御質問が2点ございました。保存の費用負担であるとか、保存義務の責任は国なのか自治体なのかという御質問です。この負担に関しては、先ほど坂元委員のご発言でしたでしょうか、自治体説明会を今まさに行っているところですけれども、その中で保存にかかる費用もそうですが、そもそものシステムの運用費用を自治体に御負担いただけないかということでお願いをしているところでして、保存にかかる費用を自治体の御負担でお願いしたいと考えているところです。
保存義務につきましては、先ほど御説明したとおり、省令上で市町村に保存義務が課せられているものです。開発するシステムは国が主導してつくっておりますけれども、つくった後の運用するシステム自体は、各自治体でそれぞれの自治体分のデータの容量のところだけを、区分所有という形で分けて保存管理をしていただくということで設計しておりますので、システム上の当該自治体分の記録の保存義務の主体は、その自治体になるという整理で設計をしているところです。
2点目ですけれども、データベースの匿名化や仮名化の状況がどうなのかという御質問をいただいていたかと思います。匿名のデータベースについては、令和4年の法改正におきまして既に法案が成立しており、今準備を進めているところです。
一方で、仮名のデータベースにつきましては、今年の通常国会で法案を提出しておりますけれども、継続審議となっておりますので、その審議の状況を見ながら、今後対応していくことになると思っております。
続きまして、笹本委員から御質問をいただいておりました。診療録、カルテについて同じように延長する検討がなされているのかという御質問であります。このカルテについては医政局が所管をしておりまして、今回議題にするに当たっても、医政局とも調整はしておりますけれども、カルテについてはこの5年という保存期限を延長することは、現時点では考えていないと担当からは聞いております。
また、2点目、死亡後5年というのが短いのではないかという御意見をいただきました。これにつきましては、ほかの委員からも御意見があったところかと思っておりますけれども、少なくとも5年間は死亡後でも保存されております現行とも同じ運用になりますので、一定のニーズには応えられるのではないかと思っておりますが、例えば、伊藤委員でしたでしょうか、死亡した後に接種記録をどう取れるかという御質問もありました。これは、基本的には生きている間はデジタル庁が提供していますマイナポータル上で記録が確認できたり、そこから接種済証のダウンロードもできたりすることを目指しておりまして、生きている間はそれで利用ができます。
当然、亡くなった後にはマイナンバーはもう利用できませんので、どうするのかということですけれども、こちらについては、自治体の健康管理システムでありますとか、現在開発していますシステムに自治体の職員がアクセスをしていただいて、名前を入力して打ち出すと接種済証が発行できるような機能を準備しておりますので、亡くなられた方の御遺族であります場合には、自治体にお問い合わせいただければ、今後、デジタル化後も接種済証を取得いただけるように環境は整えております。死亡後に接種記録が必要な場合には、その記録を取得いただいて、個々人で御活用いただくための保存・管理を行っていただくということで、まずは5年で進めさせていただければと考えております。今後、もっと5年以上というニーズが具体的により顕在化したときには、延長の議論はあるかと思いますが、当面は5年でスタートさせていただけないかと考えております。
続きまして、坂元委員から御質問が2点ほどあったかと思います。まず、今回のデジタル化におきましては、医療機関において、国が開発しておりますシステムに情報をデジタルで登録していただきますので、医療機関から国への報告ということなのかと御質問がありました。私の説明が足りず申し訳なかったのですが、国においてこのシステムを開発しますけれども、先ほど申し上げましたとおり、このシステム自体は自治体から委託を受けた国保中央会が運営するということで契約関係を整理しておりますので、自治体が委託している中央会のシステムで記録を管理するという意味で、医療機関から自治体に提供していただくものになります。法的整理としてはそう整理しております。その上で、自治体がそのシステムに保管したデータを国に提供していただきまして、匿名化をして、別途つくっている予防接種データベースに送るということで、国と地方自治体の役割を整理しています。
坂元委員から2点目、データベースにおきまして、海外の接種記録の保管ができないかという御質問、御意見をいただきました。これは従来の基本方針部会でも御意見いただいていたものでして、重ねての御説明となり恐縮ですけれども、ひとまず今回、令和8年度に向けて準備に取り組んでいるところでは、議題2の報告事項にありますけれども、定期接種と、あとは自治体が助成している任意接種、これらの記録については自治体が関与、管理されている予防接種になりますので、記録の情報の管理は容易ということで、まずはその記録についてデジタル化を進めているところです。任意接種で自治体が助成をされているようなものも、先ほどの例でいいますと帯状疱疹の任意接種の場合、こうしたものもデジタル化後は定期接種と同じような情報の扱いを行うことを目指しています。
ただ一方で、そういうものでもない、助成も行っていないような、例えばトラベラーズワクチンみたいな個人の方が自由診療の中で打った記録までをどうやって保存するのかというところは、もう少し別途の議論も必要だと思っておりまして、いずれ検討は必要だと思っておりますけれども、まずは定期接種と助成あり任意接種で始めさせていただいて、その次の検討として、助成のない任意接種をどうするかについて検討していきたいと考えております。
伊藤委員からの御質問の死亡後の証明をどうするかというのは、先ほど御説明しましたので割愛をさせていただきます。
中野委員からも意見を2ついただいていたかと思います。1点目については、先ほど申し上げた助成ありの任意接種、帯状疱疹などの記録も定期接種と同じようにこれから保存することになりますので、その際にはワクチンの種類として、生ワクチンなのか不活化ワクチンなのかというところも入力ができるように準備を進めております。そのため、仮に助成ありの任意接種が定期接種化されたときには、過去の任意接種時代の記録を見ながら、接種間隔ですとか接種の可否を御判断いただくことができるようなことを目指しております。
また、データベースの期間につきましては、先ほど冒頭でも御説明しましたとおり、今日の議題とは別にしっかり分けて議論が必要と思っておりまして、鈴木委員からも、影響はしないのかと御質問いただいておりますけれども、そこは別途の整理をしてきちんと分けて議論ができると思っていますので、今回の議論によってデータベースの保存期間に影響することはないと考えております。
ちなみに、鈴木委員からのご意見として、匿名と仮名の話がありました。先ほど冒頭に回答したところですけれども、匿名についてはもう法案が通っていますが、仮名についてはまだ法案がこれからということですので、現時点で予断を持って申し上げることはできませんけれども、今後の検討に当たって、例えば匿名は何年、仮名は何年という議論もあり得るとは思っております。そこはまた整理をして、改めて御説明をさせていただきたいと思います。
最後に伊藤委員から、マイナンバーと独立をしている情報管理なのかという御質問でした。マイナンバーが例えばこちらの情報の管理で使われ続けると、その方が亡くなった後、そのマイナンバーは本来はもう利用できないものですけれども、仮にこちらで管理していると、それがどこかに漏れてしまうと危ないのではないかというような御意見だったかと受け止めております。
匿名化するデータベースにつきましては、マイナンバーによるひもづけで管理することは考えておりませんので、データベースの中にマイナンバーは入りません。どうやってデータベースに入れるかといいますと、ほかのナショナルデータベース、NDBと呼んでいますけれども、そういったものと同様の管理になるのですが、個々人の方の医療保険の被保険者番号の最古の番号を使って、その番号自体を使うのではなく、それをハッシュ化したID5という識別子を発行して管理することを考えております。これによりまして、ID5というもので個々人の匿名化された情報をデータベースで管理していくということになりますので、仮に何らかのアクシデントでデータベースが漏えいしたとしても、その方のマイナンバーが漏れることはないですし、ハッシュ化するときのID5も、その人にとって一意の番号になるというものではなく、研究者に提供する都度そのID5も変えますので、仮に情報が漏えいした場合でも被害を最小限にするという工夫をしているところです。
駆け足でしたけれども、いただいた御意見、ご質問に対して、回答させていただきました。よろしくお願いします。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
大体答えていただいたというふうに理解していますが、そのほかの御質問、あるいはさらに御質問になりたいところがあれば。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 どうも御説明ありがとうございました。
そうすると、国のシステムの中に自治体が間借りをするという形だと、その間借りの取られる家賃というのは、ちょっと細かい話で申し訳ないのですけれども、人口案分で取られるという理解でよろしいでしょうか。
○脇田部会長 いかがでしょうか。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
先ほど申し上げましたシステムの利用料負担を自治体に御負担いただけないかとお願いしている途中でして、システムは1つですので、具体的に費用総額が出たときに、それを各自治体にどういう計算で按分するかというところも1つの論点だとは思っております。後ほど報告させていただきますけれども、今、自治体説明会の途中でして、今後予定している自治体説明会の中でその按分の方法なども御提示させていただく予定ですので、現時点では説明できる状況にはなっていないものです。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
途中から参加で申し訳ございません。聞き漏らしているかもしれませんけれども、今、自治体が予防接種台帳を記録として使っていると思うのですが、その予防接種台帳に今記録されているものについての移行というのは、これからのデータベースに入っていくのか、その辺はどうなのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。私もそこをちょっと質問したかったのですけれども、システムができた以降に行われる接種を記録していくのか、今までの記録、今自治体が保管している台帳のデータを後ろ向きに記録を入れていくのか、作業が結構大変だなと思いますけれども、そこはいかがでしょうかという御質問だと思います。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局からお答えさせていただきます。
後ほどの報告事項、議題2の資料で書いてありますので、後で説明させていただきますけれども、お答えとしましては、現在、自治体では健康管理システムというシステムで記録を保管していただいているところが大半と思っております。その健康管理システムの中に現状保管されているデータにつきましても、デジタル化の移行のタイミングで、健康管理システムベンダーの御協力もいただきながら、国で開発しておりますシステムにデータを移管するということを考えております。したがいまして、現状自治体に保管されているデータは、デジタル化後もマイナポータルで記録の閲覧や、先ほど申し上げた接種済証の発行などに利用できるように考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
宮崎委員、お願いします。
○宮崎委員 ありがとうございます。
予防接種の情報は個人とか自治体が活用するという内容だと理解しましたけれども、そうであるとすると、一般の診療所であるとか病院の方も当然活用できるようになるという理解でよろしいでしょうか。その点を教えていただければと思いました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
一般の通常診療のときに、現状でも過去の服薬履歴とか禁忌ですとかいろいろな情報を見ながら診察していただく環境の実現を医療DXの中で目指しているところでして、この接種記録についても、そういった通常診療の場で医師や医療関係者に閲覧いただけることを目指して取り組んでいるところです。
ただ1点だけ、後ほど2点目の報告事項で御説明しますが、現在、令和8年6月からのデジタル化を目指しておりますけれども、8年6月にはちょっと間に合わないという見通しになっております。そのため、少し時期は遅れるかもしれませんけれども、予防接種のときではなく、通常診療で来院した場合でも、過去の接種記録について、本人の同意の下ですけれども、同意が得られれば、閲覧しながら診察いただくことができる環境を目指していきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。大体大丈夫ですか。ありがとうございます。
そうしますと、接種記録の保存期間について、事務局の案は、現行の接種を行ったときから5年間を、接種を行ったときから保存を開始して、その接種を受けた方が亡くなった日から5年が経過する日までの間に見直すということでした。皆様からの御意見の中で、多くはこの案で了解といった意見だったわけですけれども、一部、20年にしたほうがいいのではないかといった御意見もありましたが、いかがでしょうか。この事務局案で御了承いただけますでしょうか。
御意見、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。
日本医師会では、現在、電子カルテの内容はできるだけ永久保存してほしいというお願いをしておりますので、今回は5年ということでしたけれども、今後、20年に延ばせるような検討を考えるということであれば、5年で了承したいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、基本方針部会の意見としては、おおむね事務局案で了解するけれども、やはり今後の検討事項としては、カルテの保存期間と同様に、永年、なるべく長く保存をしてほしいということも検討していただきたいといった御意見をつけるということでよろしいですか。
おおむね皆さん了解していただいていますので、そのような結論にしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、今日の議論を踏まえまして、接種記録の保存期間の延長に係る手続を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次に参ります。議題2です。資料2がありまして、「予防接種事務のデジタル化について」の御報告ということになります。
資料2の御説明をよろしくお願いいたします。
○鈴野予防接種対策推進官 引き続きまして、「予防接種事務のデジタル化について」ということで、直近の状況を御報告させていただきます。先ほどの保存期間とも一部関係するところがありますので、よろしくお願いします。
2ページ目ですけれども、予防接種デジタル化に関する基本方針部会での説明もしばらく期間が空いていたということがありますので、もう見慣れた方もいらっしゃるかもしれませんが、確認という意味で資料を用意しております。
デジタル化のメリット・概要ということでして、接種対象者、医療機関の方、市町村の方、それぞれにメリットを感じていただけるよう、デジタル化に取り組んでいるところです。
下段にシステムの機能イメージを示しておりますけれども、後ほどの資料で御説明しますので、割愛いたします。
3ページ目ですけれども、これがデジタル化前の現状の業務フローをイメージしたものになります。ポイントは、紙の予診票を自治体から御本人にお渡しいただいたり、郵送いただいたりということを起点として、その紙の予診票をもとに医療機関において予診・接種を行っていただき、その後、その紙の予診票を自治体に郵送することにより委託料の費用請求支払いが行われるということで、紙の予診票をキーとして事務が回っているというのが現状です。
これについて、4ページですけれども、現在目指しておりますデジタル化後の全体像ですが、まず、資料左側が一次利用と呼んでいるところですけれども、この左側中央を御覧いただきたいと思いますが、国保中央会において予診情報・予防接種記録管理/請求支払システムを開発しているところです。ここに接種記録を保存していくことになりますが、このシステムだけをつくればよいということではなく、自治体においては健康管理システム等についてこのシステムと接続するための改修をしていただくでありますとか、御本人からするとマイナポータルを利用して予防接種記録を確認したり、予診票の入力なども行うということですので、マイナポータルも改修対応が必要となっております。
医療機関におきましては、現状の通常診療、保険診療のオンライン資格確認等システムを活用するということで考えておりますので、マイナンバーカードを御持参いただいた上で、顔認証付きカードリーダーでの受付を行っていただきますけれども、そういった対応のために、支払基金のオンライン資格確認等システムも一部改修が必要であります。
さらに、資料の右側になりますけれども、今度は二次利用になりますが、副反応疑い報告が出た場合の医療機関からの報告を受け付けていただくPMDAにおいても、これを匿名化して、予防接種データベースに送るということが必要になっておりますので、PMDAのシステムの改修も必要ということで、各種システムの改修を目指しているところです。
5ページ目をお開きいただければと思います。ここからが今回の報告事項となります。
先ほど申し上げましたとおり、各所管におきまして、既にあるシステムの改修でありますとか、新たなシステムの設計・開発に取り組んでいるところでして、先ほど申し上げましたとおり予防接種法の改正は令和4年に成立しておりますけれども、施行が3年6月以内ということですので、令和8年6月までに施行するということで取り組んでいるところです。したがいまして、各システムも令和8年6月を目指して開発やテストをこれから行っていくという状況になっています。
その中で、6番目のところ、自治体ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、健康管理システムの改修を行っていただくことによりデジタル化が始められるということになっておりますので、自治体にもこの改修を行っていただく必要がありますけれども、このスケジュールについて次のページで詳細を整理しておりますので、6ページを御覧いただければと思います。
自治体における健康管理システムの改修ですけれども、デジタル化に対応するために必要な改修の内容につきましては、本年1月に厚生労働省のホームページに標準仕様書3.1版というものを公表しておりますので、システムベンダーからすると、何を改修すればよいのかということは既にお示ししている状況にはあります。ただ、現在、自治体におきましては、この予防接種のための健康管理システム以外の自治体内の大半のシステムについて、標準準拠システムへの移行を政府全体で取り組んでおります。このため、デジタル化のための3.1版の改修を行うということになったときに、自治体から聞いておりますのは、前段の標準準拠システムへの移行のための改修でベンダーのリソースが逼迫していて、なかなかスケジュールを立てづらいですとか、令和8年6月に間に合うかどうかという心配の声をいただいております。
そうしたご意見を踏まえまして、デジタル化の3.1版の対応のためのシステム改修につきましては、令和10年4月まで2年間、期間を延ばしまして、令和7年、令和8年、令和9年の3か年のどこかでこの改修をお願いしたいということで現状考えております。
7ページを御覧いただければと思いますけれども、こういったスケジュールで考えておりますので、各自治体において、いつからデジタル化を始めるか、改修を行うかをそれぞれ決めていただくことになると思っております。国としましても、それぞれの自治体の御意向を聞きながら、早くデジタル化を進めるところにまずはフォーカスをして支援を行っていく必要があると考えておりまして、各自治体にそのデジタル化の時期を御検討いただくために必要な情報提供を行っているところです。
先ほど、議題1でも御紹介しましたが、去る6月27日、6月30日の2回、自治体説明会を既に開催しておりまして、基本方針部会の委員の皆様には資料をお送りしておりますけれども、具体的に自治体に何を行っていただく必要があるのかといったことの説明を行っております。この2回の説明会によって最低限の必要な情報だけは提供しておりまして、各自治体において、実際に7、8、9の3年間のどこで実施するかといったようなことの御検討を今行っていただいているところです。
7月に入りまして、最低限の情報しかまだ提供できておりませんので、必要な情報はこれからも随時提供していきたいと思いますし、丁寧に対応していきたいと思います。また、質疑応答等も行っておりますので、その中でQ&A等も整理しながら丁寧に説明をしていきたいと思っております。
今後は、今月末もしくは8月中旬までに各自治体から、うちの自治体はいつまでにデジタル化するというお考えを計画書として提出いただきたいとお願いしているところでして、夏以降は、この計画を拝見しまして、早期にデジタル化を検討いただける自治体からまずは個別の支援を行っていきたいと考えております。
最後に、参考ですけれども、こちらがその自治体説明会で提示している資料の一部になります。具体的にデジタル化のために行っていただく必要がある項目を棚卸しして分解しますと16項目にも及びまして、これだけ見ると途方に暮れる感じかもしれませんけれども、自治体説明会の資料の中では、それぞれのタスクごとに、そのタスクはこういう内容であるとか、こういったことを具体的にお願いしたいということの手順も含めて資料を用意し、説明しているところです。例えば3番のPIAの実施なども、自治体の中で適切に実施いただく必要がありまして、この手続も結構時間がかかるということがありますけれども、例えば国からその報告書のひな形を御提供することで、自治体の負担を軽減できるかなと考えています。また、先ほど御質問がありましたけれども、一番下、16番の予予・請求システムへの接種記録データ移行、こちらが先ほど白井委員からご質問ありましたけれども、過去の記録データを移行するということもこの手順の最後に入っておりますので、具体的な手順はより詳細な資料を用意しておりますけれども、これに沿ってご対応いただくことを、今自治体にお願いしている状況です。
経過報告としては以上でございます。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
そうしましたら、ただいまの御報告に関しまして、先生方から御質問、御意見等があればお願いしたいと思います。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。どうも御説明ありがとうございました。
自治体としては、デジタル化というのは大いに推進すべきだと以前から思っておりましたが、課題としては、マイナンバーカードの普及率とか、それから市民の皆さんへの予防接種の通知等は、恐らく紙ベースというのが当分残るのではないかと思います。全部デジタル化になったので自分でマイナポータルを見て、自分で考えてくださいというふうには恐らくかなり先までならないのではないかということと、それから、接種医療機関から予診票の写しがもしかすると紙ベースで送られてくるときに、いや、もう今はデジタルですから、ちょっとそれは受け付けられませんということは多分不可能だと思うので、自治体が懸念しているのは、その辺の紙ベースとデジタル化の人員の案分とか予算の案分をどうしたらいいかということなのですが、これは将来的に国としては、やはりできるだけ紙ベースではなくてデジタルで一本化したいということをかなり強くお考えになっているのか、その辺の見通しをお聞かせ願えればと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。丁寧な説明をありがとうございました。
2つ質問がございます。1つ目ですけれども、2ページを見ますと、上部に医療機関は電子的に過去の接種記録の確認や接種間隔等をシステムでチェック可能と書いてあります。医療機関において電子的に閲覧ができるタブレットや端末などの提供があるのでしょうか。
2つ目は、6ページで標準準拠システムへの移行と3.1版対応のシステムへの移行が並行して行われているようですけれども、二重投資ということにならないのでしょうかということを聞きたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次に、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 先ほど坂元委員が言及されたポイントで、いかに予防接種を周知するかということについて追加の質問です。完全にデジタル移行すると接種率がかなり下がる懸念があるかと思っております。こちらについて接種率をどうモニタリングしてフィードバックしていくかということについて、既に青写真があれば御教示いただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、白井委員、お願いします。
○白井委員 お願いします。
スケジュール感を見せていただきますと、やはり自治体によって標準準拠システムへの移行というのがどこでも十分にスムーズになかなかいかないというのを聞いておりますけれども、この健康管理システムの予防接種についても、その自治体の中でも優先順位としてどこを最初にするかというようなことが議会の中でも話題になっていると思うのです。そうなると、全国で本当は統一してデジタル化することで、例えば、移動して自治体が替わっても自分のデータが連続して取れるということが理想だと思うのですが、そこまで行くのにやはり随分時間がかかるのではないかなと思います。いろいろな災害があったりとか、健康危機が発生したときにどういうふうにそれを標準化というか、デジタル化してよかったねということのメリットが得られればいいのですけれども、なかなか難しいなという印象は受けています。この方向で何とか自治体のほうも協力していければいいかなと思うのですが、国のほうもぜひその辺の御支援をいただきたいなと思っています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
皆さんの御意見と少し違うのですが、4ページの左下に民間アプリと書いてあって、このシステムはマイナンバーとかと同様、かなりセキュリティーが高くて、マイナポータルもセキュリティーが高いのですけれども、民間アプリは、利用するときに情報がだだ漏れ状態になるというのを大変心配しています。情報漏洩があると、ワクチンに対する懸念を持っている方々が大変不安に思うのではないかを心配しているのです。具体的にこの民間アプリというのは、何を考えてここに書き込まれたのか教えていただけますでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
大丈夫でしょうか。では、取りあえずここまでで事務局のほうにレスポンスを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴野予防接種対策推進官 事務局でございます。
まず、坂元委員から御質問いただきました紙とデジタル両方存在するというのは、私たちとしても考えております。一本化を目指しているのか、その見通しというか考えを聞かせてほしいという御質問だったと思いますけれども、国で進めておりますデジタル化は、デジタル庁が先頭に立って進めていますけれども、そのスローガンというか方向性として、誰一人取り残さないデジタル化を実現するというのが示されています。必ずマイナンバーカードが必要であるとか、紙の予診票は駄目ですということを押しつけることはできないし、やるべきではないと思っております。デジタル化が始まった後も、カードをお持ちでない方、また紙の予診票を希望される方が接種できる環境は当然つくっていく必要があると思っておりますので、メリットを感じていただける方には御利用を進めていきたいとは思っておりますけれども、強制したり、一本化を強引に推し進めたりするという考えは持っておりません。
笹本委員から2点御質問、御意見がございました。医療機関において過去の接種記録を見るとか、予診票の回答情報を見るための端末はどうなるのかということですが、こちらについては、自治体説明会の中で今説明をさせていただいているところです。この資料の中にはございませんけれども、このデジタル化は実は先行して、全国の11の自治体で実際に実証事業として取り組んでいただいております。その中では、民間事業者に御協力をいただいて、その事業者のアプリを利用して、接種記録の確認ですとか登録を行っていただいておりまして、全国展開のときにもそのアプリの利用を現時点では想定しております。その民間事業者とのアプリの利用契約は、自治体にお願いしたいと考えておりまして、現在の契約では、各自治体内の医療機関においてアプリを利用いただくほか、タブレットやWi-Fiルーターのリースといったことを先行事業でも契約の範囲内で行っておりますので、同じような形で御利用いただくことを考えているところです。
2点目に二重投資にならないかという御質問でございました。標準準拠システムへの移行の改修と3.1版の改修について、まとめて改修したほうが安くなるということはあるかとは思っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、標準準拠システムの改修でベンダーのリソースも逼迫しているということで、私たちもスケジュールを見直したところです。少しも二重ではないと言えるのかと問われると、なかなかそうは言えないですが、標準準拠システムによってシステムが標準化された後、3.1版でデジタル化するために必要なものは、個別の機能として追加してくださいですとか、こういう機能は不要になるので削除してくださいということをお願いしております。同じような機能をもう一回つくるものではないという意味で、二重投資はできる限り避けているつもりですので、御理解いただければと思っております。
宮入委員から、紙とデジタル併用になったときに接種率が下がるのではないかという御懸念があるというご意見でございました。おっしゃるとおり、無理にデジタル化を勧めることにより、デジタルになじみのない方が接種自体を忌避する、避けてしまうということは、絶対に避けなければいけないので、デジタル化を各自治体で進めていただく際には、当面はやはり紙の運用とデジタルの運用の両方を進めていく必要があると思っております。
そのときに、御質問は接種率が下がったかどうかというところのチェック、モニタリングができるのかということでございました。まず、少なくともデジタルで接種した接種記録の件数は即座にシステムで把握ができます。一方で、紙の予診票を使った接種はその後も続きますので、この紙の予診票で出てきた接種の記録についても、即座にデジタル化はできませんけれども、医療機関や自治体において入力をいただいて、国で開発しますシステムに記録を登録するというところはお願いしようと思っております。そのため、タイムラグは多少生じますが、現状の接種率の把握が2年後ぐらいになるということと比べますと、それよりは短い期間で紙も含めた直近の接種数や接種率が把握できる状況は目指しております。そういったものを見ながら、このデジタル化によって接種率が下がらないようにモニタリングをしていく必要があると考えております。
白井委員からは、各自治体でデジタル化のシステムに限らない、その前の標準準拠システムで今大変だというご意見をいただきましたが、私たちも様々な自治体から同様の意見をいただいているところです。標準準拠システムへの移行は令和7年度末までにということで、デジタル庁や総務省において政府全体としての期限を設定させていただいておりますが、それ自体もなかなか対応が難しい自治体もあるということも承知しております。そういった意味で、今日お示ししたスケジュールは基本的なスケジュールですけれども、令和10年4月という期限に間に合わない自治体も今後出てくる可能性があることは認識しておりますので、そこは今提出をお願いしています事業計画書の結果等も見ながら、個別具体に対応が必要な場合には、支援でありますとか、期限をどうするのかということも含めて、そのときに改めて考えていきたいと思っております。
最後に、伊藤委員から御質問がありました民間アプリですけれども、これは先ほど私が申し上げた先行事業で使っている医療機関で御利用いただくアプリとは別のものでして、ちょっと説明が足らず申し訳ありませんでしたが、4ページ左側の資料を御覧いただければと思います。マイナポータルアプリを使って予診票に記入したり、接種記録を見たりするというのが基本だと思っております。その上で、技術的な話で恐縮ですけれども、マイナポータルがAPIというものを公開しておりまして、民間のアプリ事業者はそのAPIの使用の申請をして、許可を受けると、マイナポータルでやり取りできる情報を民間事業者のアプリでも使えるといいますか、民間アプリからマイナポータルにアクセスして、同じ情報が見られるようになります。この場合においても、民間アプリにおいてマイナンバーカードを読み込んで、4桁の暗証番号を入れた後でないと、このシステムの記録にはアクセスができませんので、セキュリティー面では、民間アプリを使った場合でもマイナポータルを直接使った場合でも変わらない水準のセキュリティーは担保できているというふうに考えております。
事務局からの説明は一旦以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
デジタル化を進めることで接種を受ける方、医療機関、そして自治体も負担が減っていくということが望まれるし、それから、パンデミックの経験からも、予防接種の接種記録がリアルタイムに把握できるといったことが期待されるわけですけれども、全ての方がマイナンバーカードを登録しているわけではないというところもあります。デジタル化が進んでも紙ベースも一定程度残るということで、なかなか制度的に矛盾したようなところも出てきてしまうところが問題点としてはあるのかなということはありますけれども、誰一人取り残さないデジタル化ということで進めていく上では、かなり自治体のほうの負担がどうしても残ってしまうといったところがあるのかなということをお話を伺っていて感じるところではあります。
でも、一方で、こういったデジタル化が進めば、それによったメリットもかなりあるということも事実ですから、そこはしっかりと進めていっていただけるように、自治体も体力がかなり違うところが多いと思いますので、そういったところをしっかりと国のほうからもサポートしていただきたいというのがこの基本方針部会の先生方の御意見ではないかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。伊藤先生から民間アプリの懸念事項がありましたけれども、そこは基本的にはマイナポータルと同じような使い方でセキュリティーは確保されるといった御説明だったと思います。よろしいですか。
伊藤澄信先生、お願いします。
○伊藤委員 すみません。くどいようなのですが、民間業者が得たデータが二次利用される危険性、それが不信を招くのではないかと懸念していて、それについてはどうお考えなのでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
再度確認でありますので、事務局、お願いいたします。
○鈴野予防接種対策推進官 伊藤委員の御質問、御懸念というのは、マイナポータルからAPIでつながった民間アプリで接種記録が得られたときに、その記録を民間事業者が別の目的といいますか、何らかの他の目的のために流用するといったことをどう防ぐのかといった御質問だと理解しております。そこは、基本的には4ページ左側で言う民間アプリの場合には、利用する前に御本人の同意を得て、この利用目的の範囲内で民間アプリのサービスを利用しますということで事業者が御本人に利用目的を明示した上で利用開始をするものになっております。先ほど個人情報保護法の観点でも申し上げましたけれども、これは民間事業者に対しても同様の規制がありますので、それに従う中での民間事業者による利用は認められており、適切な利用は広げていってもよいと考えます。一方で、そうした同意もなく利用されるということについては、検知し次第、しっかりと対処していかなければいけないと思います。例えばこの民間アプリとしては、現状でも一部の自治体では、母子健康手帳アプリを自治体が住民に配って利用されているケースがあると聞いております。母子健康手帳のアプリ、これはまさに民間事業者が提供しているアプリですけれども、母子健康手帳の機能を有するものですので、そこに接種記録を表示したいというときに、APIを使って接種記録をダウンロードすることで、民間アプリの中で接種記録を見るということを実現しようというケースがあると聞いております。適切な利用手続を踏んだ上での利用は進めていく必要があると思いますし、悪意あるものについては厳正に対処するということで運用を行っていくことが適当ではないかと考えております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そういった活用によって利便性が上がるということと同時にリスクも上がるのではないかといった伊藤先生からの御指摘だったと思いますので、そのリスク対策ですね。そこにも十分に配慮していただくと。それはされているのだと思いますけれども、そういった御指摘がありますので、そこも部会からの意見という形であります。
そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、今回は報告事項ということで、予防接種事務のデジタル化の進捗状況を御報告いただきました。事務局におかれましては、今日いただいた御意見に配慮いただいて進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、3番目の議題に行きたいと思います。こちらも報告事項でございます。「MRワクチンの定期接種における使用について」の御報告ということでございます。
資料3について御説明をお願いいたします。
○松下予防接種課課長補佐 事務局でございます。
MRワクチン、麻しん風しん混合ワクチンですけれども、来年以降、ミールビックIIという新しいワクチンを定期の予防接種で用いることとなりますので、このタイミングで先生方に御報告するものであります。
どんなワクチンかといいますと、2枚目、製造販売元である阪大微研さんからいただいている提供資料でございます。製品名、ミールビックIIとありますように、こちらは既存の麻しん風しん混合ワクチンでありますミールビックの改良品となります。一般名もミールビックと変更なく、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンであります。
何が変わったかといいますと、表の中段、製品コンセプトにございますように、安定供給を続けるために、ウズラ卵に頼らない製法に変更したワクチンとなっておりまして、それに伴いまして、有効成分・特徴、あるいは貯法・有効期限が変わってございます。
適応年齢、用法・用量は変更ございません。
また、有効性、安全性については、薬事承認の際に臨床試験が行われておりまして、ミールビックと同様の有効性が期待でき、また、ミールビックの安全性プロファイルと比較しても大きな違いは認められないとされているところでございます。
供給については、2026年2月下旬頃から阪大微研さんから販売会社に出荷され、販売会社のミールビックの在庫が消尽し次第、順次卸売業者へミールビックIIが出荷される予定となっております。
3枚目、今後の予定ということで、概要と今後の予定の記載がございます。概要は先ほど申し上げましたとおりですので割愛させていただきますが、最後の5ポツ目、一般名はミールビックと同様に「乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン」ということでございますので、省令の改正なく定期接種に使用できるものとなっております。
ですので、今後の予定として、定期接種で使用する麻しん風しんワクチンは、現在使用できるワクチンに加えまして、ミールビックIIも来年以降使用できることとしております。
4ページ目以降は企業の提供資料ですので、参考までに添付させていただいておりますが、ミールビックとの違いですとか臨床試験時の有効性、副反応の発現割合に既存のミールビックと比較して差がないこと等が説明されております。
まとめますと、既存のミールビックの改良品ではございますが、製法の変更がある新規承認のワクチンですので、来年以降、定期接種で使用するに当たって先生方に御報告させていただきました。
事務局からの説明は以上となります。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
麻しん風しんワクチンですね。こちらは現在の製造方法がウズラの卵由来の細胞を使っているわけですけれども、それを変えまして、MRC-5細胞を使うという形で製造されるミールビックIIというワクチンが今後、微研からは提供されるということであります。有効性、安全性については臨床試験で確認して、そのデータが参考資料として提供されているというふうに思います。
それでは、ただいま御報告の件について、委員の先生から御質問、御意見等はありますでしょうか。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。御説明ありがとうございます。
企業からの資料なので、分かればでいいので、ちょっと教えていただきたいのですが、資料の7ページ目になります。有効成分のところを見ますと、ミールビックIIは麻しんの成分、田辺株が9.6×103 PFU以上、風しんの成分が松浦株、3.7×103 PFU以上で、既存のミールビックはそれぞれ田辺株と松浦株が5,000 PFU以上、1,000 PFU以上ということで、数値だけを見ますとちょっとたくさん成分として抗原成分が、上限が上になっているわけなのでございますが、現実的には、現状のワクチンと含まれる弱毒ワクチン株の量としては変わりないという理解でいいのかなと自分自身は考えておりますが、その理解で間違っていないでしょうか。お分かりであればお教えください。
○脇田部会長 では、まず、宮入委員からも意見を聞いてからレスポンスいただきたいと思います。宮入先生、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
こちらの新しい製法で製造効率などに変化があるのか、あるいは一時的な供給需要の増加に対応できたりするのかということについて、分かる範囲でお教えいただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。はしかも少し世界的にも流行しているところですので、少し気になるところではありますね。
それでは、事務局からレスポンスいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。
まず、中野先生からいただいた御質問なのですけれども、企業から伺っているところは、PMDAとの審査の過程で力価を変更したという旨は聞いているのですけれども、そこの理由についてまでは、申し訳ございませんが聴取しておらず、審査の過程で変更したというところで、有効性について、また安全性については臨床試験で確認して、同等ということを確認している旨を説明いただいております。
また、宮入先生から製造効率、需要増に対応できるようになっているのかといった点の御質問なのですけれども、こちらは製造効率というか、あくまでもウズラの卵という生物由来のものではなくて、ヒト細胞培養について安定的に生産する観点から変更されたものでして、これに変更することによって製造効率が上がるといった旨は企業からは聴取しておらず、やはり生ワクチンでございますので、製造には先生方御承知のとおり一定の期間が必要ということは変わりございません。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ただ、ウズラの卵の供給には制限されないということはきっと言えるのですね。
そのほかいかがでしょうか。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
ミールビックIIのほうがこれから安定供給にということで導入されるのだと思いますけれども、将来的にはそちらに変わっていく方向になるのか、並行するのか、また、臨時接種がもし必要な場合というのも考えられるかもしれませんし、自治体というか、パンデミックではないですけれども、アウトブレイクなんかもちょっと海外からのということでも結構反応があるような年代もありますので、そういったときに割と増産をよくしていただけるのかどうかということもちょっと気になりましたので、よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
御報告によれば切り替わっていくという形ですが、それが併存するのかということと、それから、他社の製品もありますので、そこの製法がどうなっていくのかということも含めて、それでは、事務局に伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。
まず、1点目の切り替わっていくのかというのは、先ほど脇田先生から御説明いただいたとおり、企業の説明によると、2026年2月以降、ミールビックIIが出荷され、ミールビックが消尽して、ミールビックIIに切り替わっていく旨を説明いただいております。
また、麻しん風しん混合ワクチンは阪大微研以外にも供給している会社がございますが、この阪大微研のものについては、脇田先生から補足いただきましたが、ウズラの卵の供給に影響されずに安定的に製造できるものになっておりますが、やはり製造のリードタイムというのは一定程度かかってしまうので、急な需要増等の増産対応というのは、供給不足が起こらないように、平時から、厚生労働省と製造販売業者とでコミュニケーションを取りながら対応していきたいと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。大丈夫ですか。
伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
ここで聞く話かどうかよく分からないのですが、製法を変えたときにコストが変わる可能性はあるのだろうと思いますがどうなのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。
事務局、把握されていますでしょうか。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。
阪大微研からは、製造方法が変わってもワクチンの販売価格は変わらないという旨の回答をいただいております。
以上です。
○脇田部会長 よろしいでしょうか。コストがうんと下がれば値段をもうちょっと下げてほしいみたいなところはありますけれども、多分、細胞が変わるだけで、そこまでコストは変わらないのかな。ちょっとそこは分かりません。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、ありがとうございました。
そうしましたら、こちらの御報告についても、委員の先生方から御意見いただきましたので、可能な範囲で対応していただければと思います。
それでは、準備をした議題は以上になりますが、そのほかというところで、こちらからは特に準備がないのですけれども、委員の先生方から何か御提案等があればということですけれども、大丈夫でしょうか。
そうしましたら、事務局のほうからも何かございますか。
○山口予防接種課課長補佐 本日も活発な御意見、御議論をいただきましてありがとうございました。
次回の開催につきましては、また追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、本日の基本方針部会の議論はここまでにしたいと思います。本日も活発な御議論をどうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。