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- 2025年7月23日 令和7年度第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
2025年7月23日 令和7年度第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
日時
令和7年7月23日(水)16:00~19:00
厚生労働省専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1ー2ー2)
議題
(1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に向けた論点等について
(2)化学物質審査等検討小委員会とりまとめについて
(2)化学物質審査等検討小委員会とりまとめについて
議事
○笹子総務課長 定刻になりましたので、ただいまから「令和7年度第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては大変御多用のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、本部会を進めさせていただきます。本部会については公開といたしますが、一般の方の会場への入場は制限させていただいて、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は、後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組として審議会等のペーパレスを進めております。本日はペーパレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点等がありましたら、適宜、事務局等がサポートいたしますので、お申し付けいただければと存じます。
続いて、資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1及び資料2、参考資料1~5があります。参考資料5には、各種閣議決定文書の抜粋を記載しております。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がございましたら御連絡いただければと存じます。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押して、その後、部会長から順に発言者を指名していただきますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらミュートにしていただくようお願いいたします。なお、カメラについては、常時オンにしていただきますようお願いいたします。
続いて、前回の制度部会から2名の委員の交代がありましたので御紹介させていただきます。お1人目は、公益社団法人日本歯科医師会副会長の内堀典保委員です。お2人目は、一般社団法人日本医療機器産業連合会常任理事の佐竹弘行委員です。
本日の委員の出欠状況ですが、伊藤委員、山本委員は18時頃に御退席される予定との御連絡を頂いております。また議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に御出席いただいております。
続いて、第1回の部会以降に事務局の人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。医薬局長の宮本です。医薬品審査管理課長の紀平です。医療機器審査管理課長の野村です。医薬安全対策課長の安川です。最後に私、総務課長を拝命いたしました笹子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭のカメラ等撮影は、ここまでとさせていただきます。それでは、以降の議事進行を中山部会長にお願いいたします。
○中山部会長 委員の皆様、今日もお集まりいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速、本日の議題に入りたいと思います。薬機法等改正法の施行に向けた論点等について、事務局から説明をお願いいたします。
○笹子総務課長 資料1の2枚目を御覧ください。今回は薬機法等改正法の法改正項目のうち、公布後1年以内に施行されるものや、制度部会とりまとめの記載から変更があった事項等について扱うものです。それでは、これ以降は関係課から説明をさせていただきます。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。3ページをお開きいただければと思います。ここでは、指定濫用防止医薬品の販売について御議論を頂ければと思っております。3ページに、前回の制度部会の資料を再掲しておりますので、前回の説明の振り返りをさせていただきます。市販薬のオーバードーズが社会問題化している中で、医薬品販売時の対策としては上段にありますように、制度部会のとりまとめとして、販売時の各種対応のほか、ここでは20歳としておりますが、一定年齢以下への大容量製品又は複数個の販売禁止、リスクの高い購入コードへのより入念な対応を求めているところです。
下段です。前回、国会における指摘事項ということで、①から次のページの③までを説明させていただきました。①の年齢について、改正法では省令で定める年齢としておりますが、一定数量以上の購入を禁止する年齢については20歳を想定していましたが、国会の中で、民法の成年年齢との整合性を図るべきという御指摘を頂いています。一方で、濫用の懸念は、20歳といった年齢で区切れるものではないという御指摘も頂いています。どちらも、ごもっともな御指摘であることから前回の制度部会では、民法の成年年齢も配慮しつつ、この両方の意見が両立できるように事務局で対応を検討している旨申し上げていたところです。
4ページをお願いいたします。②はオンライン対応において想定される方法で、③は情報提供事項などで想定される方法です。この②と③については、制度部会で御議論いただいたこれまでの議論と変わりがありませんので、今回は先ほど説明した①の年齢のみについて御議論いただければと思っております。
5ページをお願いいたします。こちらは一定数量以上の購入を禁止等する年齢についての検討の方向性です。この年齢の話は、民法も絡む非常に難しい宿題を国会から頂いたものと考えており、現場での実効的な濫用対策とする観点から考えて、方策を整理いたしました。まず、民法との整合性の話についてですが、医薬品という適正に使用した場合に問題のない生活に必要な製品を成人に対し、理由のいかんによらず一律で販売禁止とする規定を設けてしまうことに対して、権利制限との関係も生じるというところがありますので、大容量・複数個の販売禁止が適用される区切りの年齢については、民法の成年年齢との整合性を踏まえて18歳としてはどうかといった案を出させていただいております。国会からの御指摘もありますので、何とぞ御理解いただければと思っているところです。
ただし、濫用実態が20歳で区切れるものではないという御指摘も踏まえ、販売時において実効的な対応を組み合わせたいと考えています。具体的なところで申し上げる前に、昨年来、参考人として御参加いただいている日本チェーンドラッグストア協会において、法改正に先駆けて店舗での濫用対策の徹底を実施いただいてきたところです。こういった現場での対応を見ますと、年齢というのは外観だけでは判断できないところですので、一定年齢を区切るとしても、既に周辺年齢の者に対しては、年齢確認のために広く声掛けが行われることになっており、これを一定の抑止力につなげていっていただいているところです。
そのため、3ポツ目の「具体的には」にありますように、境界となる年齢を含めた年齢層に対する年齢・本人確認を徹底することといたします。その際、濫用リスクが高いとされる高校生であることが判明した場合には、成年年齢に達していたとしても、より入念に対応いただくこととさせていただければと思っております。今後、省令で規定される手順書の基となる業界のガイドラインにも、こういったところについては、対応フローのような所に盛り込んでいくことを今、相談しております。
6ページです。こちらは5ページの3ポツ目の20代前半の若者にも濫用実態があることや、高校生の濫用リスクが高いという、現時点で把握できているデータをお示ししているところです。こちらを御参考にしていただければと思っております。
7ページは、今申し上げた全体をまとめたものです。濫用の実態が20歳といった年齢で区切れるものではないという御指摘に対しては、1つ目のポツにあるように、大容量購入のようなリスクの高い行動に対しては、年齢にかかわらず、もともと入念な対応を適用することとなっております。また、若年者には境界年齢を設けますけれども、その周辺年齢の者に対しては、先ほど御説明したように専門家による年齢確認といった、より入念な対応が実施されます。取り分け高校生である場合には、より注意いただくといったところを組み合わせます。また、周辺年齢を含めた年齢確認については、3つ目の○にありますように、店舗だけでなく、インターネット販売にも求めることといたします。例えば、アカウントとひも付けた事前認証など、通常の販売以上の対応をしていただくということで抑止力にもつながると考えております。
8ページは、これまでの説明を模式的に示したものですので、御参考にしていただければと思います。9ページは、法改正時の附帯決議についての参考資料です。
最後、10ページです。「その他の検討事項」ということで、省令で規定する事項ですので、これまでの制度部会等での御議論を踏まえて進めていくところですが、本日はこういったことが動いているということだけを紹介させていただきます。
1つ目は、指定濫用防止医薬品の外箱の表示の記載事項についてです。制度部会のとりまとめにも、「医薬品の外箱に注意喚起等を表示することについても対応すべきである」とされたことに沿って、包装への記載事項について、今メーカー側の関係者と検討しているところです。また、「大容量の製品となる包装単位あたりの内容量」については今、厚生労働科学研究を走らせており、個々の成分の特性や実際に販売されている製品には、どういった容量のものがあるのかということについても確認しています。その検討結果も踏まえ、もともと制度部会の販売制度検討会とりまとめに示された方向性に沿って、製造販売業者等の関係者と調整を進めていきたいと考えております。説明は以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。森委員、お願いいたします。
○森委員 今、事務局からもありましたように、医薬品の適正使用の推進と濫用防止のためには専門家が関与して年齢にかかわらず適切な対応を行う必要があると考えております。その上で、民法上の成年年齢との整合性を踏まえ、一定数量以上の購入を禁止等する年齢が18歳未満になることにより、現場でやるべきことは変わりませんけれども、国立精神・神経医療研究センターの嶋根先生の研究でも、年代別の人口に対する市販薬の濫用の割合は、10代が一番多いという結果となっており、より留意した対応が必要だと考えております。
対象が18歳未満となることによって変わるのは、1点目は18歳、19歳の人に対して、インターネットでの販売が可能となることです。2点目は、対面・オンラインでの複数個・大容量の購入が可能となることです。7ページを見ていただければと思います。○の3つ目にあるように、インターネット販売においても、リスクの高い購入であるかの把握、リスクが高いときには、ビデオ通話を実施するなどの購入対策等を徹底できるように、具体的な対応が必要だと考えております。そうしたことが確実に行われるように、省令等でしっかりと対応していただきたいと思います。
また、10ページを御覧いただければと思います。「その他の検討事項」の○の2つ目に関連したことです。現在の医薬品の容量は、何が大容量で、何が小容量かという定義がありません。5日分と10日分の薬があったときに、5日分が小容量となり10日分が大容量、10日分と20日分が販売されていると、10日分が小容量となります。何を小容量か、小容量を何日分と決めるのは容易ではありませんが、適正使用、濫用防止の点と、薬剤の特性等を踏まえて一定の考え方を示すべきだと考えます。現在、日本薬剤師会では指定濫用防止医薬品について、薬局での販売対応をどのように行うべきかを示すべく検討を進めています。現場の対応が一番重要だと思っておりますので、現場の協力を得て、国民を守るために濫用・頻回防止対策に取り組んでいきたいと考えております。以上です。
○中山部会長 御質問どうもありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○大原薬事企画官 御質問ありがとうございます。前段の実際の現場対応については、遺漏なきよう関係業界とも話をしながら進めていきたいと思っております。
2つ目に御質問いただいた、大容量・小容量のお話ですけれども、例えば同一製品ブランドの中での数量違いの大小という話ではなく、成分や薬効分で通常使用する期間を勘案して線引きするということが想定されます。というのも、販売制度検討会とりまとめの中でも御議論いただいたかと思うのですが、容量については、成分や薬効分ごとに科学的知見も踏まえて個別に検討すべきであるということです。その際には、1回の使用期間や添付文書の使用上の注意の記載にも留意すること、との全体方針を示していただいているところですので、これに沿って労働科学研究での調査結果も踏まえて対応させていただきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。次に山口委員、お願いいたします。
○山口委員 山口です。年齢のところです。この制度部会で取りまとめをしたときに、20歳にしたのは、飲酒・喫煙が20歳以上になっているので「ああ、そういうことで合わせるんですね」ということで納得したように思っております。ですから18歳にするか20歳にするかについては、年齢というよりも、やはり現場での対応が大事ではないかと私は思っています。販売時の実効的な対応をしていただくことで20代、あるいは30代でも多いということなので、そこできちんと対応することによって濫用を少しでも減らしていくことができればと思います。実際に販売時の実効的な対応ができているかどうかは、やはり定期的な確認作業が必要ではないかと思っております。その結果について、こういう制度部会で、定期的に報告していただくことが大事かと思うのです。その辺りについて確認方法や頻度を、事務局としてはどのようなことをお考えなのかを是非聞かせていただきたいと思います。
○中山部会長 それでは事務局、よろしいでしょうか。
○大原薬事企画官 今回の法改正に伴い、濫用対策については、しっかり手順書を設けて各店舗で対応するという形になってきておりますので、監視指導等で、そういった体制等も含め、御確認していただくというのが、まず1点です。
それから、いわゆる覆面調査と言われていますけれども、毎年、定期的に販売実態の調査を行っています。そちらは公表していますので、こういったところでも引き続き確認を進めていきたいと考えております。
○山口委員 ありがとうございます。覆面調査は実施されるというように受け止めていてよろしいですか。
○大原薬事企画官 これまでもずっとやり続けていることですので、引き続き、その予定です。
○中山部会長 それでは、ほかにどうぞ。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。御説明、ありがとうございました。今のお話に関連して申し上げます。まず、年齢については、現場での対応は実効的に行われるということでよろしいのではないかと思います。実際にこの対応によって、販売の場に専門家らが立つという取組によって、どのような成果が得られたのかは、きちんと把握していただきたいと思います。これまでの覆面調査だけでは、濫用防止の成果が上がったのか否か、までは見えないと思いますので、見えるようにしていただきたいというのが1点です。
さらに、専門家が販売の場で話しかけやすい場所にいることによって、どのような成果が上がったのかも、併せて示していただければと思います。というのは、今後、一般用医薬品の販売が広がっていくものだと思うのです。「セルフメディケーション」などと言われますが、薬局は決してセルフではなくて、専門家がいるものですし、そこで専門家と相談しやすくなることによって得られる成果が、当然あると思いますので、そういう成果も見える調査を行っていただければと思います。よろしくお願いします。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは事務局、よろしいでしょか。
○大原薬事企画官 御質問、ありがとうございます。今回はこれだけでなく、手の届かない所や陳列など、継続的な専門家の配置も実施いただくので、そういったことで、実際の実効性が上がっていくものだと考えています。今の御指摘にもありましたように、監視的なところで、どの程度実行されているかという確認というよりも、恐らく先生がおっしゃっているのは、どれだけ濫用防止につながったかというアウトプットの話であるかと思っております。今回、専門家がゲートキーパーの役割を果たすというところで、例えば支援機関につなげるようなケースも出てくるかと思っております。どういった形で、このアウトプットが示せるかというのは、今、この場で何か案があるわけではないのですけれども、そういったところも考えていければと考えております。
○中山部会長 佐藤委員、どうぞお願いいたします。
○佐藤委員 重ねてで恐縮です。話しかけやすい場所に人がいるということで、濫用防止の薬についてだけでなく、それ以外の方たちが専門家に相談するということが起きると思うのです。そのことの良さが分かるような調査をお願いできればと思った次第です。よろしくお願いします。
○中山部会長 御提案ありがとうございます。引き続き是非、御検討ください。それではオンラインの伊藤委員、どうぞお願いいたします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございました。私からは資料1の7ページの3番目の○について、提案というかコメントがあります。インターネット販売においても、もちろん濫用防止をしっかりしていくということで、今回18歳以上という基準も設けられたことを踏まえて、クレジットカードなどは18歳以上から持つことができますので、そういったインターネット販売におけるクレジットカードとひも付いた対策などを。インターネット上で実際に薬剤師が対面できない場面において、なるべく履歴やデータの力なども使いながら活用していくことが大事ではないかと思います。
あと、これは余談めいた話になるのですけれども、介護施設などでもセルフメディケーションを重要視しています。もともと介護保険を使っていて、わざわざ医者にかかるほどのことではない場合に、セルフメディケーションで介護施設の方々が市販薬を服用することが結構あるとお聞きしています。そのときに職員がまとめて市販薬を買いに行こうとすると、濫用だと疑われて1個しか買えないという笑い話のようなことが起きているようです。是非、場面場面において、何の目的でどういう人が買いに来ているのかということをうまく確認しながら、濫用防止などが進められるといいかと思っております。以上です。
○中山部会長 伊藤委員、どうもありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。ネットでの年齢確認の方法については、販売制度検討会の取りまとめにもありましたように、ビデオ通話の中で確認したり、アカウントと紐付けた事前認証のようなお話だったり、必要となる書類を添付したり、幾つかの方法が想定されるかと思います。この辺りの詳細については、事業者とも相談していきたいと考えております。
介護施設のお話を頂いたところですけれども、濫用対策においてはある意味、システマティックに流れを決めておくということを基本としつつ、その上で専門家の方々の関与によって、実際に複数購入が必要な場合には理由確認等を行って判断いただくということになっております。介護施設なので、年齢の話とはちょっと別な話かと思いますけれども、そういった中で対応いただくようなお話なのかと感じたところです。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは中島委員、お願いいたします。
○中島委員 東京都の中島です。5ページの「検討の方向性(案)」のポツの3つ目で、本人確認の徹底とか、より留意した現場対応を求めるとありますが、自治体が監視指導を適切に行えるように法令上の位置付けと、店舗販売業等に具体的に何を求めるのかを明確に示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。先ほども申し上げましたけれども、この手順書の中でどういうように規定するのかという部分だったり、様々あるかと思いますので、その辺りは運用に向けて、また相談させていただければと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ネットのほうも特にありませんか。分かりました。御質問いただきまして、どうもありがとうございました。それでは先に進めさせていただきたいと思います。
続いて、資料1の11枚目以降、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。資料11ページ、GCP省令等の見直しについて御説明いたします。こちらは制度部会のとりまとめを頂いていたものについて、具体的な実装に向けた検討を進めているということで、その検討の方向性について御説明するものとなります。
12ページです。まずGCP改正の背景についてです。1ポツ目ですけれども、医薬品の臨床試験の実施について、GCP省令で基準を定めております。こちらは当初、平成9年に省令として定めておりますけれども、2ポツ目にあるとおり、国際的な基準であるICH-GCPを基に定めたものですけれども、昨今、臨床試験の環境が急速に進歩する中で、次の3ポツ目ですけれども、このICH-GCPが本年1月に改定が合意されております。こういったものを踏まえて、今回、検討することになります。また、4ポツ目ですけれども、国内で治験を実施しやすい環境づくりのために予算事業を行っており、その中で検討を進めてきたことになります。下のほう、制度部会の取りまとめでも、こういった背景を踏まえて、最後のほうですけれども、治験の更なる効率化を促進すべきであるという御意見を頂いていたものとなります。
13ページです。こちらに挙げているのが、今後、検討を進めていく方向性です。具体的には4点あり、太字にしています。シングルIRBの原則化、分散型治験(DCT)の円滑な実施に向けた規制の合理化、リスクに応じた治験副作用等の情報収集・評価、SMOへの監督強化です。こういった内容について、今後、検討を進めていくということで、今回それぞれの内容について御説明いたします。また、本日御説明するのは、主に医薬品の臨床試験、治験についてのものとなりますけれども、医療機器・再生医療等製品のGCP省令についても、併せて検討を進めていくこととしております。具体的な内容を、この後、御説明いたします。
14ページです。まずICH-GCPの経緯についてです。当初、このICH-GCPが合意されたのが1996年です。これを受けて翌年、国内のGCP省令を発出しております。その後、国内も見直しを進めてきましたけれども、このICH-GCPそのものが本年(2025年)、新たに発行予定ということで改定されたものが出ることとなります。
下のほうに、主な改訂点を3点挙げております。1点目が試験のデザインとか、実施の中でリスクの高いプロセスやデータに重点を置くなど、リスクに基づいた柔軟なアプローチといったものが挙げられております。また2点目としては、電子的なデータ収集、遠隔モニタリングなどを活用する場合があります。また3点目として、これはデータの一貫性や信頼性を確保するためのものですけれども、データインテグリティの適切な管理といったものが挙げられております。
15ページです。こちらは現在進めている予算事業の概要についてです。真ん中の〇ですが、①として、医療機関における負担の実態調査、②として、治験エコシステムの導入とありますけれども、①を踏まえて、治験にかかる手続の簡素化・合理化について検討を行っているものとなります。
16ページ以降が具体的な検討内容になります。まず1点目として挙げていたものが、治験関係文書の作成主体の変更、治験依頼者によるIRB審議依頼です。先ほどの4点挙げていたものの中では、「シングルIRBの原則化」に該当します。まず、IRBの治験審査委員会の審議においては、下の絵の中では実施医療機関ですが、それぞれの医療機関の中でIRBの審議を頂くということが通例行われております。また、医療機関同士の関係性の中で、1つの医療機関がIRB審議をお願いする中央IRBというものも、制度としては設定しておりました。一方で、なかなか審議の効率化が進まないということが、上のほうの2ポツ目にありますが、「シングルIRBの利用が進んでいない」といった課題になります。
また、上のほうの3ポツ目ですけれども、ICH-E6(R3)というのはGCPの改訂になりますが、この中に挙げられていることを踏まえ、「治験関係文書の作成主体を治験依頼者に変更し、調査審議を行わせるIRBについて治験依頼者が調整を行い、治験依頼者がIRB審議を直接依頼することも可能とする」ということについて、今後検討するというものになります。下のスキームの中で、左上の治験依頼者から右側の治験審査委員会に直接、その治験審査委員会の選定・契約、審議依頼を行えるようにするというものとなります。また、その審議結果については、下のほうにある実施医療機関、特に今その責務を負っていただいている実施医療機関の長への情報をきちんと、そのIRBの審議結果を入れていただくことを想定しております。こちらが1点目です。
続いて17ページです。2点目は、分散型治験(DCT)の導入及び治験薬交付の運用等の見直しです。現行のGCP省令では、その医療機関の中で、1人の被験者を治験が終わるまでフォローしていただくということで、1つの医療機関で完結することが想定されております。
一方、昨今の治験の環境の中では、いろいろな試験のデザインがあり、当初の治験の登録に当たる診断や検査などについては医療機関の中で行って、その後のフォローや治験薬を交付するところについては連携の医療機関で検査などを行うこと、あるいは関連の薬局から治験薬を交付することを今回、制度化して整備をしたいということです。上の2点目に書いてありますが、実施医療機関以外の、適切な契約を結んだ連携医療機関・研究開発支援薬局への治験薬の交付を認めるというものとなります。
3点目は、実施医療機関の在庫として保管する医薬品を使用する場合です。こちらについては、昨今の状況を鑑み、安定供給が困難で国内における治験実施が困難な場合などについて、医療機関・薬局の在庫として保管する医薬品の使用を認めることについても整備をしたいということです。
続いて、18ページです。先ほどの中での3点目になりますが、治験における副作用情報等の報告・提供についての仕組みです。現在、治験中の副作用情報については、法令に基づいて報告していただくこととなっております。その対象は、治験使用薬として、(対照薬、併用薬)と書かれておりますけれども、治験の対象となっている被験薬のほかに、その治験に用いる計画に基づいて使用される対照薬や併用薬についても報告対象となっているということです。
下のほうに副作用の情報の流れをお示ししております。治験依頼者が情報を入手した場合には、厚労大臣に報告いただくほか、下のほうの実施医療機関にも情報を入れていただくということになっております。また、それらの情報について治験審査委員会で御意見を頂く場合については、実施医療機関からIRB(治験審査委員会)の意見を聴く(黄色の矢印)という流れが現行の仕組みです。こちらについて、先ほどのシングルIRBの仕組みと合わせて、治験依頼者から治験審査委員会に意見を伺うという青色の矢印のところを新たに制度として整備をしたいというものです。
その関係として、19ページに同じようなものがあります。こちらは下の絵の流れが少し変わっていて、実施医療機関の中で新たに出た情報についての流れです。治験責任医師から上のほうの治験依頼者に情報が流れています。そこからIRBのほうに矢印があるというのが現行の仕組みですけれども、こういった情報についても、先ほどと同じように、治験依頼者からIRBに意見を伺うことができるようにするというものです。
続いて、20ページです。こちらは同じく治験における副作用等情報についてですけれども、その報告対象と、その報告の方法についてです。まず、「課題」という点線の枠囲みの中ですが、現行では、個別症例報告が行われるものについて、規制当局に対しては「7日/15日以内」、実施医療機関については「直ちに」情報を提供していただくという仕組みがあります。
一方で、上の枠囲みの右側は、国内治験や海外臨床試験情報で、これは現在試験中のものの情報です。左側は、海外市販後情報となっていて、国内では治験中の扱いですので報告対象になるのですけれども、海外では既に承認を受けて市販されている情報の中で、こういった有害事象に当たるものについては報告対象となっているというものです。
この状況について、下線部にもありますけれども、情報が不確かで、因果関係が相当低いとみられるものも多数あるというような指摘のあるものです。真ん中の段の右側に表がありますけれども、海外の情報が国内に比べて、報告件数が1桁も2桁も多いのは、こういった海外の情報の中に市販後の情報が含まれているからということです。
これらについて、海外の規制ですけれども、1ポツ目にあるように、EUではEU以外の市販後情報は報告対象外、アメリカにおいては報告対象が限定されているという状況があります。また、ICH-GCPの改定においても、依頼者による安全性情報の収集及び評価が規定されて伝達されたいというものがあります。こういった背景を踏まえ、見直しの方向性(案)ですけれども、海外市販後情報の報告対象を見直すというものとなります。
次の21ページは、具体的な見直しの内容になります。下の段が海外市販後情報ですけれども、個別症例評価について、真ん中の現行のものは、「都度、報告」という形になっています。見直しとして、右側にあるように「国内未承認薬の場合で因果関係がある未知の死亡・重篤症例について」として、対象を限定して、「都度、報告」といった形にしたいというものです。
一方で、上の国内治験と海外の両方ですけれども、集積評価を行って、年次報告とされていたものの中で、右側の赤枠囲みですけれども、集積評価の結果、安全性確保措置が必要となる事象が検出された場合には、定期報告の期限を待たずに速やかに報告していただくといった形に整備をしたいということです。こちらは国内、海外市販後を問わず、同じように整備をしたいというものとなります。
続いて22ページです。こちらが4点目です。治験施設支援機関(SMO)への監督強化です。こちらの制度部会の御議論の中でもいろいろな情報を御提示したかと思います。治験施設支援機関(SMO)は、下の絵にもありますけれども、実施医療機関で、この治験の業務を行うに当たって委託できる先として、SMOという機関があります。SMOにおいては、医療機関における治験業務、具体的には例えば書類の作成ですとか、データ管理、被験者対応などについてサポートを行われているというものです。これまではGCP省令の中で、この業務の委託という形で規定されておりましたけれども、これに加えて、点線の枠囲み部分の上のほうが、治験依頼者に対し、実施医療機関からの委託先を含めて適切な選定義務を設ける。そして、下のほうが、委託先業務の適切な実施について、治験依頼者も確認する契約規定を設けるということで、このSMOの監督強化を行うというものとなります。
これらの方向性について、本日、御意見を伺った上で、今後GCP省令の改正に向けて準備を進めたいと考えております。以上です。
○中山部会長 説明どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。川上委員、お願いいたします。
○川上委員 川上です。17ページで2点、コメントと質問をさせてください。今回、連携医療機関や研究開発支援薬局を作って、DCTの導入及び治験薬の交付の運用等を見直すという方向性は、賛成しております。それで、研究開発支援薬局や連携医療機関が治験薬管理、被験者対応など、これまでに経験していなかった治験業務を行うようになりますので、治験GCPへの理解や体制構築、治験薬の管理体制の整備、医療機関と治験依頼者との連携体制、治験薬の被験者への交付、服薬指導の体制、記録等の適切な保管など、適切に進めるように、要件その他を定めていただければと思う次第です。
2つ目は、17ページの上の文章の所の3点目に、「実施医療機関の在庫として保管する医薬品の使用」とあります。この「医薬品」は治験薬ではなく、治験の患者さんに併用する通常の市販されている医薬品のことかと思います。それを、他の連携医療機関や研究開発支援薬局と、やむを得ない場合に、やり取りをすることになるので、通常は医療機関同士や医療機関から薬局への医薬品のやり取りは行っていないことを考えると、混乱なく適切に行えるように、ただ供給不足だからとかいう理由で安易に医薬品がやり取りされないように、きちんと定めていただけると有り難いかと思った次第です。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御意見、御質問ありがとうございます。まず1点目の連携医療機関や研究開発支援薬局における管理につきましては、ルールをきちんと整備した上で当然、治験依頼者のほうもいろいろな確認をされると思いますので、今後は業界とも御相談しながら、きちんと治験を適切に進めていただけるように整備したいと思います。
また、2点目の御指摘につきましても、御指摘いただいたとおり治験の対象となっている、特に、盲検が掛かっているような医薬品は対象にはならないのですけれども、併用で使われるような医薬品など、それぞれの事情があると聞いております。要するに、やむを得ない場合は、どういったケースがあって、どのようなケースでこういったものが認められるのかということは今後、ルールの整備の中で整理をしていきたいと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。花井委員、お願いいたします。
○花井委員 花井です。今回の、いわゆるドラッグロスを改善するための治験の在り方なのですけれど、全体で見ましたら16ページのIRBに直接依頼者が行けるとか、18ページの副作用報告、さらにはSMOの管理も、つまり治験依頼者のエフォートが増えているわけですよ。
これはなぜかというと、現場の先生が忙しくてリソースがないと、AROも非常に脆弱であるというところで、治験の現場へ行くと、依頼者は早く進めたいのだけれど、先生方は忙しくて余り指示は出せないとか、そういうところがブレーキになっているという実態は分かるのですが、全体で見ると、要は企業のイニシアティブが増える話で、その被験者からいうと、被験者という言い方も、今はしないのかもしれませんけれど、通常は自らがかかっている医療機関に、そこは医療をしてもらう又は診療契約が存在していて、そこで安心して医療を受けられる所が現場になって、それは自分の主治医の先生や、そこの医療者全体に対する信頼感の下で、そこにいるわけですよね。
その信頼感を持った場所で治験も行うと考えたときに、結局、プロフェッショナルの関与が、忙しいから減っていて、企業のエフォートが増えるということでもあるので、例えば、このIRBの独立性は本当に保たれるのですかとか、そういったところを通常は、プロフェッショナル・オートノミーというか、そこにいる現場の医師であるとか看護師であるとか薬剤師であるという人たちが、その人たちの職能集団としての倫理感を持って関与しているというのが前提なのですよね。ところが、それがシステマティックに進むように、企業のエフォートを増していくことによって、いわゆるプロフェッショナルによる監視とか、やはり、そういうところが減っているように思うのですね。
今は制度上で仕方がないのかもしれません。正に、このSMOという組織自体が現場の人手不足を補うための業態みたいな形になっているところから見ても、いわゆる私たちが信頼しているお医者さん、薬剤師さん、看護師さん以外の人たちが、そこに関与するところが増えているわけで、やはりそこのところが気になるところです。
質問としては、この治験審査委員会も、例えばセントラル化が進めば、多くのものをより早くさばくための所にスポンサーが付いて、その運営についても、コストはどこが見るのかなどによって、もちろん治験依頼者と利害を有しない者がいることと書いてあるけれども、やはりその依頼者のイニシアティブが増えすぎることの懸念があるので、このIRB審査委員会の中立性というところとか、運用というところは、何らかの強化策が要るのではないかというのは一つ、意見だし、説明を求めたいところですね。
それから、これはこの場ではないですが、やはり医学教育の中で、そのプロフェッショナルたちが治験とか臨床試験や検査の中で、やはり専門家として患者を守るという倫理感を持って、こういうことをやるのだということを文科省に、お願いして頂きたい。治験に関わる医療者襟を正していただくことによって、安心して私たちは治験を受けられるというところがあるので、ビジネスライクに考えると今回の件は、非常に動きやすくなるのは分かるのですけれど、そもそも信頼をしている医療機関でそれが行われると。ある意味、治療の延長線上に臨床試験というのが存在していることを考えると、やはり余りにもシステマティックに治験依頼者が動きやすくしすぎているという懸念を感じました。以上です。文科省に、それを言っていただけたら嬉しいです。
○中山部会長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。これはいかがでしょうか。事務局のほうからお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御質問、御意見ありがとうございます。1点目のIRBの中立性については、御指摘のとおりかと思います。これまでは各実施医療機関が設置するIRBという形であったものが、今後、今回の見直しで、どういった形のものを想定するのかということについてはきちんと整理をした上で、御指摘いただいたような懸念がないようなルール作りをしたいというように思います。
また、文科省の話につきましては、各学部教育の中で、そういったことも触れていただくように、お話したいと思います。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございます。ちょうど今、医学教育のことが出ましたので、この前のコア・カリキュラムの改訂に私も関わりました。また、明後日から医学教育学会が秋田で行われます。間もなく次の改訂の議論が始まるところだと思いますので、そういった知見をどのように位置付けるかということについても、是非、意見交換をしていきたいなと思いましたので、御返事させていただきたいと思いました。どうもありがとうございました。どうぞ、お願いいたします。
○花井委員 ちょっと、余り悪いことを言っていいいのかどうか分かりませんけれど、ちゃんとしているというところに、その職能があるという考え方と、過去の日本の歴史を見ると、ちゃんとしたことを言ったら内部告発として干されるみたいな、逆に損するみたいなことが過去の歴史にはあって、今はそんなことがなくなっていると信じたいのですけれど、やはり一人一人の職能の専門家たちが独立して、自分の倫理的な行動ができるというところを、やはり望みますし、そうなっていると信じたいのですが、過去の歴史を見ると、逆にそういうことをする人のほうが損するというのを見ているので、その辺も含めて医学教育全体で考えていただいたらいいかなと思いました。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、オンラインのほうで、順次御指名させていただきます。まず北澤委員、伊藤委員、それから村島委員の順で御発言いただければと思います。まず北澤委員、お願いいたします。北澤委員、今はミュートのままのようです。
○北澤委員 すみませんでした。失礼しました。
○中山部会長 大丈夫です。お願いいたします。
○北澤委員 先ほど花井委員が言われたシングルIRBについて、基本的なところで教えていただきたいと思います。まず、このシングルIRBというのは、多施設で試験をやっている場合、今まではそれぞれの施設にIRBがあって審査をしているわけですけれども、その中からどれかを選ぶということなのか、それとも、どの施設でもない別のシングルIRBというか、専門のIRBを新たに作って、そこが審査をするのかという、そこのところがちょっと分からなかったので、教えていただきたいと思います。
特に後者のような、研究に参加している施設のIRBではないけれども、多施設共同試験を審査する別のIRBが新たに作られるという場合は、たくさん試験を審査して、たくさん承認を出すと、そのIRBがうまくやっているように思われて、そこに利益相反が生じるのではないかという点が心配だと思います。
もう1つの質問は、これはあくまで治験の場合であって、今、臨床研究でも多施設で多く臨床研究がなされているのですけれども、それは関係ないというふうに考えていいのでしょうか。2点、質問します。
○中山部会長 北澤委員、どうもありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 事務局です。まず1点目、多施設共同の場合のどこかのIRBか、それ以外も含むのかということについては、両方を想定しております。多施設共同の場合は、既にこれは実行できる形になっておりますけれども、それ以外のものも今後、形としてはできるようにしてはどうかという御提案でございます。
2点目は、あくまでこれは治験としてのGCP省令のものですので、臨床研究については、別途に検討するものと考えます。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、次に伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。セントラルIRBに関してのコメントです。やはり14ページに書かれている項目の中で、データガバナンスというのが加わっていますけれども、やはり別々の場所で審査することの1つの問題点は、審査の入口の所でいろいろな書式があって、いろいろな審査委員会によってコメントが違って、それに応じて書き直さなければいけないとか、そういう手間もさることながら、やはりそこで研究ができたデータを結局、どうやって質を担保して蓄積していくかということにおいて、やはりデータガバナンスのないガイドラインでは意味がないと思います。
そういった意味で、私はセントラルIRBというような仕組みが、諸外国でもスタンダードだからということである以上に、やはり大事であると考えております。いろいろ観点はあると思うのですけれども、もちろん中立性とか独立性とかは大事ですが、小さく審査してしまう、それぞれの機関で審査してしまうと、やはり審査の質を担保できないというのは、やはり私が研究者として感じている実感でもあります。
ですので、審査の質を適度一定程度ちゃんと保つ、そして、出てきたデータのガバナンスについてもクオリティーを維持すると。今回の諸外国には韓国が出ていませんけれど、韓国の場合は、やはり中央IRBに一本化したがゆえに、今は治験のカルテはトップクラスになっていますし、そういった意味で、治験をやりやすくすることが一定程度イノベーションにも貢献しているというように思われると思います。
その点ではやはり、いろいろ慎重にすべきことは慎重にというのは私も同感ですけれども、基本的にはシングルIRBで、原則として強く打ち出していただきたいですし、先ほど治験と臨床研究は違うという話だったのですが、そもそも治験の研究に、臨床試験用指針と臨床研究の指針と疫学研究の指針と全部いろいろな指針がたくさんあって、全部違うということそのものも、やはり日本の研究力を停滞させていることの1つだと思っておりますので、この点についても、違うから今は関係ありませんという話ではなくて、やはりそれこそが一本化が大事な要件であるというように認識いただけるといいかなと思っております。コメントです。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは事務局、よろしいでしょうか。
○紀平医薬品審査管理課長 御意見ありがとうございます。1点だけ、14ページの所でデータガバナンスの御指摘を頂きました。IRBでは、基本的に試験を始めるときの試験計画や同意文書などの書類の確認、計画の確認を行っていただくのと、あとは治験中に副作用などが出てきたときに、試験のストップなどについて御意見を頂くものと思います。
一方、このデータガバナンスについては、各被験者から上がってきたデータを集めるわけですけれども、それは従前も基本的に治験依頼者、企業側のほうにデータが集まって、その検証などが行われるということです。そのデータの正確性などをきちんと、今のデジタル化の時代の中で整備していくというものが今回のICH-GCPのメインの改訂点かと考えております。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、続きまして村島委員、お願いいたします。
○村島委員 臨床試験は、皆さんに適切に早く必要な薬を届けるということが目的ですので、今回のメリハリのある合理的なDCTの見直しについては非常に賛成です。
1つは、本当にプラクティカルな質問なのですけれども、このSMOの存在が、例えば16ページとか、あとは18ページや19ページの図に入ることで、より臨床試験の現場が分かりやすくなるのですが、これを入れるということは、実施機関との契約だから難しいのでしょうか。
というのは、SMOの監督強化を図るということですので、この図式の中にSMOが入っていると、一般の人たちには分かりやすいのですが、いかがでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございます。本日の資料の16ページ以降の、それぞれのスキームは、今回見直しを行おうとする観点を中心に、そこにフォーカスして、それぞれの絵を作っているので、それぞれの絵で全体像が分かるように作っていないというところがあります。
ですので、今後GCP、治験の体制について全体像を示すような絵の中には、SMOも含めて関係性が分かるような絵を作成したいと思います。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、いかがでしょうか。では佐竹委員、お願いいたします。
○佐竹委員 医機連の佐竹です。御説明ありがとうございました。御説明の中で紀平課長から医療機器に関しても同様に進めるというお言葉を頂きまして安心しているところであります。既に、実務者レベルでは動いていると聞いていますけれども、医療機器に関しましても、その特性を踏まえて議論を進めていただければと思います。これはお願いです。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。では、事務局からお願いします。
○野村医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。正に、御指摘いただいたように、医療機器におきましても、同じように実施の合理化に向けて進めてまいりますが、医療機器特有の観点につきましては、産業界も含めて関係者とよく御相談をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございました。村島委員、これは挙手をされていらっしゃいますでしょうか。御追加でしょうか。村島委員、よろしいですか。
○村島委員 はい、終わりました。大丈夫です。
○中山部会長 どうもすみません。ありがとうございました。
○村島委員 はい、大丈夫です。
○中山部会長 では森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。17ページの分散型の治験ですけれども、薬局も関与していくこと、運用等にも異論はないのですけれども、先ほど川上委員からも○の3つ目について質問がありましたが、少し分かりにくかったので、どういった想定があるのかを、再度、教えていただければと思います。
○中山部会長 この点、もう少し御追加いただけますか。お願いします。
○紀平医薬品審査管理課長 これは、それぞれの試験計画によるというものかと思います。ですので、多くの試験の中では、こういったものが使用されることというのはあまりないのではないかと思います。
一方で、その試験の計画の中で、治験をしようとする被験薬、それから比較試験であれば対照薬については企業から提供されるというものとなりますけれども、そのほかに、計画として、こういう場合にはこういった薬を使ってくださいといった場合には、企業から提供される併用薬を使用するといったケースがあると考えます。
一方で、その医薬品が安定供給の問題で、企業のほうからの提供は難しいといった場合に、それぞれの医療機関、薬局のほうで在庫がある場合には、それを使用するような計画とするといったことも想定されるということかと考えます。今後、具体的なものについては、いろいろ御意見を伺いながら整理したいと思います。以上です。
○森委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ほかに御質問はいかがでしょうか。オンラインのほうからは大丈夫ですか。よろしいですかね。どうもありがとうございました。
それでは、次に進めさせていただきたいと思います。次は、治験に係る広告規制について、資料1の23枚目以降について、事務局から説明をお願いいたします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。資料23ページ以降、治験に係る広告規制についてということで御説明いたします。24ページを御覧ください。前回の部会でお示しした資料ですが、この論点については、制度部会で御議論いただいたものではありませんが、国会の法案の参考人質疑の中で関連の御意見が示され、国会でも質疑があったことなども踏まえて、前回御報告をさせていただいたところです。
国会では、治験等に係る情報について、例えば米国では患者と臨床試験のマッチングサイトがあるが、日本では患者による求めがない限り情報提供が受けられない、薬機法第68条の対象から除外すべきであるといった御意見を頂いているところです。これに対しては、患者団体等からの御要望も踏まえて、患者が治験に関する情報に、よりアクセスしやすくなるように、治験に係る広告規制の見直しを引き続き検討するというようにしていたところです。今回は、その検討の方向性をお示ししているということです。
25ページを御覧ください。現状の規制の御説明です。薬機法第68条では、未承認医薬品等の広告が禁止されております。治験薬も承認前の医薬品ですので、治験に係る情報を発信する場合に、薬機法における広告の該当性の3つの要件、そこに括弧で書いておりますが、顧客誘引性、特定性、一般認知性、これらを全て満たす場合には未承認医薬品の広告に該当するということで、禁止されるということになります。
こうした規制の中で、これまでも治験に係る情報に、よりアクセスしやすくなるようにということで、治験に係る情報の提供が広告に当たらない場合を明確化するなどの対応をしてきたということです。直近で言うと、令和5年に通知を出しており、治験情報を求める者のみに対して情報提供できるように、ほかの情報提供と切り分けられていること、jRCTという治験に係る公的なデータベースに治験情報が登録されていること、jRCTに登録された情報の範囲内であることの3つ、いずれも満たして情報提供を行う場合は、広告に該当しないというようにお示ししております。
他方で、課題の声も頂いております。背景・課題ということで書いておりますが、まず治験の参加者の確保という観点から申し上げると、治験の参加者を募集するための情報提供、いわゆる「治験広告」については、現状、製薬企業等から情報を積極的に発信しようとする場合には、薬機法上の広告に該当しないようにするために、治験薬の名称や治験記号等を表示できないといった状況にあります。また、治験の結果、あるいは海外の情報、レイサマリーなどを含む治験に関する情報に対する関心も高まっている中で、こういった情報を製薬企業から直接提供しようとする場合には、先ほど申し上げた広告の3要件に該当して未承認医薬品の広告に当たるおそれがあるといった状況もあります。
こうした課題を踏まえ、患者が治験に関する情報に、よりアクセスしやすくなるように、これらの情報提供について薬機法における広告としての取扱いを整理する必要があるというのが今回の議論です。
26ページを御覧ください。前回の部会で頂いた御意見を載せております。1つ目は、治験情報へのアクセスの改善は賛成だが、開発中の医薬品に期待を持たせるような情報提供は問題である。薬機法第68条は重要な条文なので、これを軽んじることのないような整理が必要であるといった御意見。2つ目として、国内の患者は、治験情報へのアクセスが限られた状況にあるのではないか。海外でのみ治験が始まっている場合の情報にアクセスできないことも問題であるといった御意見。3つ目は、患者側は、治験の情報にアクセスしづらい方等もいる。適切な情報が適切に伝わるように注意した上で検討すべきといった御意見を頂いたところです。
その上で、今回は検討の方向性(案)として、大きく2つの方向性をお示ししております。1つ目は、治験の参加者募集のための情報提供です。これについては、参加者募集の目的であれば、これを担保するための一定の条件、具体的には今後、更に詰めていく必要がありますが、例えば、参加者募集に必要な情報に限る、治験の実施期間中に限るなどといった一定の条件の下で治験薬の名称、治験記号等を含む情報の積極的な発信が可能となるように、薬機法上の広告の該当性について明確化してはどうかとしております。具体的な情報発信としては、例えば製薬企業や患者団体等がホームページやQRコードでのリンク、Web動画、SNS等で情報発信をしていくことを想定しております。
2つ目、対応②、結果などを含む治験の情報提供についてです。こちらは少し慎重にということですが、治験の情報を求めている方に対して情報提供ができるように情報が切り分けられていることを前提とした上で、治験の結果や海外の情報、レイサマリーなどの情報提供が可能となるように、薬機法上の広告の該当性について明確化してはどうかということです。具体的な情報発信としては、製薬企業の治験情報専用のWebページ等での情報提供などを想定しております。
このほか、例えば、患者会内部での情報共有なども、先ほど申し上げた第68条との関係で、可能なのかどうかといった懸念があるといった課題もあると認識しております。例えば、患者団体等が会員に、対応②の結果などを含む治験の情報を案内する場合などは、一般的には広告行為には当たらないと考えられるので、今後、患者団体等の方の場合を想定して、広告に該当しない事例を例示することを検討してはどうかとしております。
以上、申し上げたような方向性で、引き続き、例えば提供可能な情報の範囲等々、詳細を検討してはどうかと考えております。その際は、提供する情報の内容は、過度に患者の期待を煽る表現とならないなど、一定の留意点を示していくことも必要ではないかと考えております。説明は以上です。
○中山部会長 説明どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。花井委員、お願いします。
○花井委員 花井です。ありがとうございます。26ページの①については、もちろんjRCTの充実、使いやすさの向上というのは前提ですが、基本的には①はこれで良いのかと思います。問題なのは、②のほうです。こちらは書いてあるとおりのことを御検討いただければいいと思いますが、ただ、企業にしても、どこまで言っていいか分からないから保守的になるということもあります。あと、患者に過度な期待と言うけれども、例えば、ここで得られた情報を患者会が出すときに、過度な期待というか、患者は新薬に過度な期待をしているのです。今度のものはすごいらしいとか、癌の世界でもそうですし、我々の世界でも同じような形で。そうすると、情報を出すときに、例えばYouTubeで作ったとして、「これがうまくいったらすごいよね」「これはゲームチェンジャーだよね」という発言を患者会のメンバーが動画で患者会に上げたらどうかというと、これはここに当たらないだろうけれども、正に、これこそが、企業からすれば嬉しい動画で、それは患者自身がもともと期待感を持っているのは通常であるところなので、もちろん、製販の方々はあえて煽らないようにと抑制的ですが、むしろ、患者のほうが期待してしまっているので、患者会が二次情報として提供するときに、やはり、そこに持っていく可能性があるので、それをどこまで、クライテリアとして線引きするのかは難しい問題もあると思いますので、ここに書いてあるとおり、具体的な例を挙げて、企業も情報提供が萎縮しないようにすべきだし、患者会もきちんと情報を得て、それを正しく発信するべきなので、そこのところは明確にするということです。曖昧にすると、製販の方々は、心配だから保守的になり、やらないということになるので、そこを明確にするのが難しいとは思いますが、②については、基本的には、この方向性で賛成ですが、意外に線引きは大変だということです。よろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。本当に難しいですが、重要な問題だと思いますが、事務局、現時点ではいかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございます。②のほうは、御説明の中でも申し上げたとおり、治験の結果等々含む情報ということで、より慎重に対応する必要があると考えております。そういった意味で、情報を求める方に限って情報提供を認める、広告に当たらないということを明確化するということで御提案をしているということです。
そうした中で、企業の皆様からも情報を求める方に対する情報提供が必ずしも明確ではないのではないかといった御意見も頂いておりますので、今後、更に具体化していく過程では、そういったことも踏まえて検討しなければならないと思っております。患者会の中での取り扱いについても、この場合は広告に該当しないということが例示できないかというように御提案をさせていただいておりますが、頂いた御意見を踏まえて慎重に検討したいと思います。ありがとうございます。
○中山部会長 どうもありがとうございました。山口委員、お願いします。
○山口委員 35年にわたって多くの電話相談を受けてきたのですが、患者側で一生懸命治験の情報を取ろうとしに行かれるのは患者会の方と、治療方法がほかにないと言われて藁をもすがるような思いの方と、どちらかかなという気がしており、一般の患者さんにとっては余り身近な存在ではないのです。
今回、患者団体からも要望があったということで、恐らく、それは治験のことについて常にウォッチしていて、情報が欲しいと思っていらっしゃって、治験をある程度理解しているからこそ、もう少し情報が必要なのだということをおっしゃっているのだと思います。
ですが、やはり一般の患者さんで、治験で何とかと思っている方には、先ほどから出てきていましように、あまりにも期待を抱かせてしまうような誘導になると危険だなと思いますし、それで結果が出たときに、こんなはずではなかったということになると思いますので、先ほど花井委員もおっしゃいましたが、対応②の所は慎重にする必要があるかと思っています。
患者団体は会員に案内をするというのは広告ではないと。これはよく理解している患者会の場合は問題ないと思いますが、必ずしも治験の内容を適切に理解していないような案内になってしまうと、そこはミスリードになってしまいますので、私もやはり、より具体的な例示をどこまでできるか分かりませんが、分かりやすく、こういうことなら問題ないですよということをしっかりと分かるようにしていただくことと、相談できるような仕組みと言いますか、そんなものが大事ではないかと思いました。
○中山部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 ②のほうは慎重に検討をという御指摘だと思います。先ほど花井委員の御意見に申し上げたとおりですが、患者様の中にも様々な方がいらっしゃるということもありますので、そういったことも含めて、どのような例示が可能か丁寧に検討してまいりたいと思います。
一方で、比較的分かりやすくということも重要かと思いますので、そういったことも踏まえて検討してまいりたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございます。本当に大きな課題で、これは国民全体の課題かとも思いますので、どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。それでは、ネットのほうで、伊藤委員、村島委員、北澤委員、山家委員の順で御発言いただければと思います。まず、伊藤委員からお願いします。
○伊藤委員 私も26ページの対応①②の部分について質問を申し上げたいと思います。コメントとしては、やはり情報の必要性と言うのですか、お互い必要としている、提供する側も開示したいし、求めている側も欲しいと思っている情報の差がなくなるということは、とても良いことだと思っています。そうは言っても、基準が曖昧で、例えば製薬企業側は、過度に自主規制してしまうようなことが実態として起こってしまうことがないように今後とも明確化の方向性をきちんとしてほしいというのがコメントになります。
質問は少し細かいのですが、確認させてください。まず、対応①の所です。QRコードでのリンクとか、Web動画等での情報発信ということですが、これはコードを読み込んだり、Web動画を閲覧するという行為が、今までも規制されていた情報提供を求めるものと考えられるので、こういった形での情報提供を可能にすると解釈するのか。それとも、そういったことをしなくても、とにかく参加者募集の目的さえあれば、情報発信というものに関して、QRコードとかWeb動画とか、そういったものをある意味、不特定多数という言い方は変ですが、誰でも自由に閲覧できるような形で参加者募集の目的ということであれば情報発信が、より可能になるという、そのどちらなのかを確認させていただきたいのが1点目です。
2点目は、例えば治験の結果で、第Ⅲ相のいわゆる人を対象とした臨床試験のときに、第Ⅱ相の結果をきちんと知りたいという患者さんもいると思いますが、こういったものも当然参加者募集の必要な情報として書くことができるのかどうかということです。どういう内容を想定していらっしゃるのかということを確認させてください。
3点目も似たような話なのですが、現行でも、いわゆる治験の情報を求めている方に対して情報提供ができるように情報が切り分けられていれば提供することができるということが書いてありますが、現行の規定よりも更に情報提供しやすいような方策ということで、今回の①②とも明確な差異があるのかということです。つまり、ここが具体的に違うぞという点があれば、よりきちんと教えていただきたいと思いました。よろしくお願いします。
○中山部会長 御質問ありがとうございました。それでは、事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。3点いただいております。1点目につきましては、今回、対応①ということで御提案を申し上げているのは、情報提供の目的が治験参加者の募集であれば、その情報提供の方法については、ここに「例えば」ということで書かせていただいてあるものなどについては認めていくと、目的で認めていくという考え方です。先ほどおっしゃった後者のほうです。
○伊藤委員 参加者募集の目的ということであれば、そういった形での情報発信であれば、もはや広告ではないという解釈になるわけですね。参加募集をしますということで、情報発信するということは、広告ではないという解釈ですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 広告には該当しないというように明確化できればということです。
○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○小園監視指導・麻薬対策課長 2点目は、どういった情報まで含むかという点につきましては、すみません、今後、よく検討していきたいと思っております。
3点目、治験の情報を求める方の解釈について、2つ目の提案は、引き続き、基本的には現行の令和5年の通知の考え方が残るということを前提にして検討するということになります。他方で、先ほど申し上げたように、企業等からは、どういった場合が情報提供を求める方に対する情報提供なのか明確ではないという御意見を頂いておりますので、その点については、より明確化を図れればと考えております。
○伊藤委員 承知しました。
○中山部会長 どうもありがとうございました。よろしいですか。伊藤委員と山本委員は、途中で御退席と伺っております。伊藤委員は、もしこの議題だけではなくて、その後の議題について、もし御意見があれば、今、承りたいと思いますが、いかがですか。
○伊藤委員 大丈夫です。お気遣いありがとうございます。
○中山部会長 それでは、山本委員、いかがですか。お願いいたします。
○山本委員 今の点に関しては、私もこの方向でよいかと思います。対応①は、形式的に目的が異なりますので、比較的疑義が少ないと思います。②は、一般的な情報提供となりますと、目的が必ずしも広告の目的と明確に区別できないので、結局は、形式的に、必要な情報提供の一種のフォーマットを作ることにせざるを得ないと思います。もちろん、対応策①のほうも、実際上はどこまでが治験の参加者募集のために必要かという、必要性が明確でないところもあると思いますので、いずれも明確化は必要だと思いますが、取り分け②については、形式的に切り分けをせざるを得ず、より慎重に、関係者とよく話し合って方策を考えていただきたいと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。それに対して、事務局からはいかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御指摘を踏まえて、よく検討したいと思います。ありがとうございます。
○中山部会長 山本委員は、お時間の関係があると思いますので、次の議題についても、何かあれば今承りたいと思いますが、いかがですか。
○山本委員 後のほうについては、特にございません。
○中山部会長 よろしいですか。どうもありがとうございました。それでは、またオンラインの委員の方々に戻りたいと思います。村島委員、お願いします。
○村島委員 患者団体についてです。私の身近な患者団体をみての意見になりますので、全てがそうではないかもしれませんが、最近は情報がインターネット等で入手できるということから、比較的若い層の患者さんたちは、患者団体に入会しないということをよく聞いています。したがって、患者団体が患者を代表しているという認識をちょっと変えないといけないのかなというのが、私個人の意見です。患者さんたちはネットでいろいろ情報を取る中で、学会のホームページなどを見に行くわけです。それで質問になりますが、①の所で、例えば「製薬企業や患者団体等が」という所の「等」の中に、学会は入っているのでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございました。事務局、いかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。基本的には含まれるものと考えております。
○村島委員 了解いたしました。
○中山部会長 ありがとうございます。次に北澤委員、よろしいですか。
○北澤委員 北澤です。幾つか意見を言いたいと思います。今までの方と重複している部分もあるのですが、まずは、対応①、対応②を考える前提として、今のjRCTをもう少し見やすくするというのが、まず必要ではないでしょうか。このjRCTのサイトにはいろいろ書いてあるのですが、患者の立場からするとちょっと見にくいとか、調べにくいということであれば、きちんと情報が整理されて公開されているjRCTの改良をまずやってほしいと思います。
関連して、最近ウェブサイトができた難病治験Webを見たのですが、これはjRCTの情報を難病の患者さんの治験に限定してまとめたものですが、jRCTそのものに比べれば見やすくなっていると思うのです。ですから、今ある情報を患者が調べやすくするというのはかなりできると思うので、一足飛びに広告してもいいということにするのではなくて、まずは、今の情報をもっと読みやすく、調べやすくするということを考えていただきたいと思います。
それに関連して、前回いただいた御意見の中に、なかなか自分でアクセスできない人がいるという御意見があって、その通りではないかと思うのですが、やはり、そこは医療従事者であったり、病院の中の図書室であったり、そうした方々がうまく支援してあげることで調べやすくなると思いますので、一足飛びに広告としなくても、今の専門家が関わる形でできることがまだまだあるのではないかと私は思っています。
それと、もし、こういった形で広告をするのであれば、そもそもみたいで恐縮ですが、まずは、治験とは何なのか、何のためにやっているのかという、そういったことを明確に示すようなものにしてもらいたいと思います。というのも、先ほども何人かの方から御意見がありましたが、やはり治験の情報を求めたいときは、今の治療では何ともいかないということで、かなり期待されている、あるいは期待したくなっている状況だと思われますので、どうしてもポジティブに解釈しがちだと思うのです。しかし、治験薬が本当にいいのかどうか分からないから試験をしているわけで、そういったところをしっかりと示すような情報提供でないと、いたずらに誘引するというか、正に、薬機法の68条違反になるような表現が出てこないとも限らないので、そこのところはしっかり考えてやってもらいたいと思っております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございます。まず、jRCTについてですが、担当は他部局になってしまいますが、情報へのアクセスという面で、課題が指摘されていると承知しております。よりアクセスしやすいユーザーフレンドリーなデータベースにするといった方向で改修の検討を進めていると承知をしております。どちらがということではなく、今あるjRCTの改善、私どものほうで検討する広告規制の整理を併せて、トータルで治験情報へのアクセスが、より改善していく、そういった環境を作っていくことが重要なのではないかと考えております。
その際、委員がおっしゃった治験とは何なのかといったようなこともお示しするべきという御意見ですが、今回、治験広告に関する規制の見直しをするに当たりましても、先ほど来申し上げているとおり、過度に患者の期待を煽ることのないような形にすることが重要だと考えております。そういった意味で、一定の留意事項というのは必要だと思っております。今後、参加者募集に必要な情報は何かについても更に検討していく必要がありますので、その中で、今いただいたような御意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、山家委員、よろしいですか。
○山家委員 過度に期待を持たせるという話がこれまで出てきています。もちろん、それもあると思いますが、治験に関してという意味では、もしかしたらそちらだけでいいかとは思いますが、患者側として過度に不安を煽るみたいなことも、やはり考えなければならないかと。これまで話題になってきた新しいものに対する期待という意味では、ここは外していいかもしれませんが、患者団体と過度な不安、期待みたいなことは、考え方のベースに置くべきかと考えました。
それから、具体的な話として、今回、現在ある問題としては2つあって、治験が治療の1選択であるような患者さんたちに関して、唯一の治験というものが選択肢としてあるケースもあるということから、期待ということになってしまう部分と、少し環境によって治験にたどり着く患者さんと、そうではない患者さんがいて、それに関して、やはり放置してもいいとは考え難いというところで、将来的にjRCTのデータベースと、例えば、これは今すぐではなく、オンライン資格確認みたいなところで、将来的に自動的にマッチングするというところを視野に入れる必要はあるのではないかと考えます。それが1つです。
それから、具体的に26ページの検討の方向性の対応①②とも、これまで申し上げたような意見から、私は同意したいと思います。特に、皆様がおっしゃっているように、①よりも②に関して問題があるというところも、これまでの御意見に同意します。ただ、患者団体からの発信を制限しすぎてしまうことは、これから患者の自己決定が重要視されていく時代に関して、そこについても否定することにつながりかねないので、やはり、ある程度患者団体からの発信・指針というのは重要かと思います。ただ、御懸念の点というのは、もちろんそのとおりだと思いますので、やはり参考にする指針として、事例の提示というのは非常に重要ではないかと私は考えております。特に、簡単な、すごく分かりやすい1例、2例、極端に大丈夫な事例、極端に大丈夫ではない事例だけでなく、ちょっとどう考えたらいいのかなという部分の考え方の指針になるようなものがあれば、患者団体としても、より適切に発信できるかと思いますし、むしろ、そこに関して適切に考えて発信したいと積極的に考えている患者団体も多いかと思いますので、その辺りも考えて、より分かりやすい事例というのをお伝えいただけるとよいかなと思いました。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございました。jRCTに関する御提案につきましては、担当部局に伝えたいと思います。それから、患者団体による情報発信が重要であるという御指摘ですが、この点につきましては、患者団体の中で情報の共有が可能なのかどうかということでお困りのケースもあると思っておりますので、比較的分かりやすくということも踏まえつつ、どういった例示が可能なのか、先ほど来、様々な御懸念もいただいておりますので、そういったことも踏まえて検討していきたいと思います。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。中島委員、お願いします。
○中島委員 東京都の中島です。26ページの検討の方向性についてですが、自治体でも広告の相談や監視指導を行っておりますが、適切に指導し、また違反を防ぐためにも、こちらの資料に記載のとおり、広告の該当性について明確化することや、広告に該当しない事例を例示することは必要と考えておりますので、是非、御対応をお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございます。これは御提案という形ですかね。花井委員、お願いします。
○花井委員 すみません、細かい話ですが、対応②の所の情報の範囲で、要はパイプラインの話になってくると思いますが、そろそろ治験が来年ぐらいにできるとか、そういう情報というのはどうなのかと。これは1つ、この実例を私は知らないのですが、例えば2つの競合する治験があって、どちらに乗ろうかみたいな判断を患者がするとか。あと、実例としては、医療上必要性の高い医薬品検討会に出すかどうかのときに、無理に適応拡大を要請すると、実はもう、次の治験が用意されているのだったら、そちらに乗ったほうがいいよねとか、そういう判断があったわけです。企業も情報提供の形として、そういう開発の計画に近いところの情報というのは、②に含むのですか。そろそろ治験が始まるかもみたいな、どうなのですか。その辺はグレーかもしれませんが、どういう整理になっているのかを教えてください。
○中山部会長 ありがとうございます。なかなか微妙なところかもしれませんが、いかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。情報提供可能な情報の範囲というのは、今後検討ということですので、御指摘も踏まえて検討したいと思います。
○中山部会長 そうですね。そういったこともあり得るということですね。どうもありがとうございました。ほかにはいかがですか。
それでは、先に進めさせていただきます。議題1については、本日の議論を踏まえて、事務局においては必要な対応を引き続き進めていただければと思います。よろしくお願いします。それでは、議題2に進みたいと思います。
失礼しました。茂松委員、どうぞ御発言ください。
○茂松委員 日本医師会の茂松と申します。遅れてきて申し訳ございません。指定濫用防止医薬品の所で御質問してもよろしいですか。
○中山部会長 どうぞ、よろしくお願いします。
○茂松委員 3つあります。まず、1つ目ですが、濫用のおそれがある医薬品、例えばデキストロメトルファンなどについて研究班で検討されていると思いますが、具体的な研究結果というのは令和6年度に出ていると思います。それを、まず教えてほしいということです。
もう1つは、令和6年度の第10回の制度部会のときに、濫用等のおそれのある医薬品の適切な販売を徹底するために業界としてのガイドラインを策定するということで、厚労省が協力するということでしたが、このガイドラインの現状について教えていただきたいというのが2つ目です。
3つ目は、国はきちんと適正使用を、ということで、薬物濫用方針に関する教育を進めているものの、実効性に関しては依然として課題が残っていると思っております。特に、若年者における市販薬の濫用や、SNSを介した薬物入手の問題がかなり深刻化していると思っておりますし、単なる知識の伝達だけでは対応は困難であると思います。取り分け、小学生などの低年齢者に対しては、薬物そのものの危険性を教えるだけではなく、その背景にある心理的要因にも目を向ける必要があると思います。そこには、家庭環境の不安、いじめ、自己肯定、学力低下など、薬物乱用の根本的な動機というケースがあると思います。心のケアを含めた包括的な教育とか、支援体制として、学校における教員や養護教員たちが子供の変化に気付いて早期の支援につなげられるような仕組み、研修などの必要が非常に求められていると思っております。濫用したという結果だけではなくて、その行動に至った経過、どうしてそうなったのかという視点のアプローチが、かなり重要視されてきたと思いますが、これについて、厚労省はどのようにお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。
○中山部会長 どうもありがとうございます。それでは、3点御質問いただきましたので、事務局からよろしくお願いいたします。
○安川医薬安全対策課長 医薬品安全対策課です。御質問ありがとうございます。まず1つ目の濫用等のおそれのある医薬品に関してです。委員から御指摘いただいているのは、令和6年度の厚生労働省科学研究費の関係での内容であって、実際の一般的な濫用実態を踏まえた研究報告がまとまっているものです。その中で、こういったものを成分として指定すべきではないかとか、具体的な提言を頂いているところですので、調査結果も踏まえて、今回、制度改正の中での法施行に当たっての指定に関しても検討してまいりたいと考えているところです。1つ目に関しては以上です。
○大原薬事企画官 2つ目については、業界とのガイドラインの策定に関する状況についての御質問だったと思います。これについては、日本チェーンドラッグストア協会の方から原案を頂いており、私どものほうでも中身を議論させていただいているところです。これまで自主的に取り組んでいただいて、現場のしっかりとした対応が反映されている原案を頂いているということを今、申し上げられるところです。より分かりやすい形にできるように、フローの導入等も含めて今、調整をしているところです。2つ目については以上です。
○安川医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。3つ目については、単に販売制度の議論だけではなく、適正使用に向けた教育段階の関係とか、そういったところも十分に認識しております。オーバードーズの対策については、小学生や中高生向けの冊子の作成も行っています。あるいは、青少年を含む支援先をつなぐためのマニュアルなども作成しておりまして、そういったものを薬剤師や登録販売者が活用できるように促しているところです。
いずれにしても、この辺りは厚生労働省だけで完結するものではありませんので、販売制度の見直しを行う際に、併せて濫用に当たっての若年者の方々へのサポートも含めて、どういったことができるか、関係団体、関係省庁ともいろいろなところで共有して連携しながら、今後の課題として進めていきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。茂松委員、御質問どうもありがとうございました。
○茂松委員 ありがとうございます。前回お聞きしたときも、同じような答えを頂いているのですが、できるだけ実効性のあるものにしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中山部会長 この点は重ねて、事務局のほうで、どうぞよろしくお願いいたします。では、ここまでの議論はよろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは議題2に進みたいと思います。化学物質審査等検討小委員会とりまとめについて、事務局から説明をお願いいたします。
○林化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室でございます。資料2を御覧ください。ここからは少し医薬品とは少し離れまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、以下「化審法」と言いますが、この化審法に関する御報告となります。
化審法は平成29年に法改正をしておりますが、その際、改正化審法の附則におきまして、施行後5年において見直しの必要性の検討について定められているところです。この化審法の制度見直しの必要性について検討するために、令和7年1月24日に本部会におきまして、本部会に化学物質審査等検討小委員会を設けることについて御了解を頂いているところです。
その後、化審法を共管する経済産業省、環境省と合同で審議を行い、参考資料4にお示ししておりますとおり、報告書をまとめましたので御報告させていただきます。
2ページを御覧ください。はじめに、化審法について簡単に概要を説明させていただきます。まず目的です。化審法は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的としております。規制の概要ですが、新規化学物質の事前審査、上市後の化学物質の継続的な管理措置、化学物質の性状等に応じた規制及び措置を行っており、厚生労働省、経済産業省、環境省の三省の共管となっています。
6ページまで、化審法の規制概要をまとめておりますので、簡単に御紹介します。
3ページを御覧ください。化審法の対象となる化学物質の範囲をお示ししています。化審法上の化学物質は、図にお示ししているとおりです。「一般工業化学品に用いられる物質」となりますけれども、食品衛生法、農薬取締法、薬機法などで規制されているものは、化審法上の化学物質の対象とはなっていません。
続いて4ページを御覧ください。化審法による化学物質の分類です。化審法が制定された昭和48年時点で、既に世の中に存在していた化学物質は、そのリスクに応じて図の右側の部分に記載しています「第一種特定化学物質」から「一般化学物質」まで分類されていて、それぞれの分類に応じた管理が行われているところです。
一方で、それ以外の化学物質は「新規化学物質」に分類され、上市前に事業者が提出したデータに基づき、事前審査を経て通知を受けた後、当該事業者は上市が可能となります。ただし、省令に基づき、通知後5年を経過した後に名称が公示され、一般化学物質に分類されます。この新規化学物質の事前審査では、左側の下のほうにありますけれども、環境排出量が年間10トン以下、若しくは1トン以下の場合などには、特例的に事前確認により上市できる特例制度を設けています。
5ぺージを御覧ください。ただ今申し上げました化審法における新規審査の特例制度の詳細をお示ししています。化審法は少量多品種産業にも配慮して、合理的な制度設計にしていて、数量上限などの一定の条件を満たした化学物質については、通常の届出によらず、事前の申出・確認により製造・輸入できる特例制度を設けております。詳細は下段の表のとおりです。
続いて6ページを御覧ください。上市後の一般化学物質については、国においてスクリーニング評価を行い、リスクは十分に小さいと言えない物質を選定して、「優先評価化学物質」に指定しています。また、優先評価化学物質については、更にリスク評価を行い、人又は生活環境動植物へのリスクが認められる場合に、「第二種特定化学物質」に指定しています。以上が、化審法の規制の概要となります。
続いて7ページを御覧ください。ここからは化審法の制度の見直しの必要性の検討についての説明となります。
まず、議論の背景です。平成29年改正化審法の附則第5条において、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と定められているところです。
これを受けて、厚生労働省、経済産業省と環境省の三省による合同委員会の場で、昨今の国内外の状況を踏まえた検討課題を整理し、対応について議論を行いました。
8ページを御覧ください。平成29年化審法改正の概要です。
まず、1.背景ですが、少量多品種の機能性化学物質のニーズの増加により、審査特例制度のニーズが増加しているところ、改正前の審査特例制度では、各事業者が申し出た新規化学物質の製造・輸入量の合計が上限を超えた場合、国が製造・輸入数量の数量調整を行い、その数量調整に伴い、事業者は製造・輸入数量を予見できずに事業機会を失うというようなケースが発生していたという状況でした。また、新たな化学物質の中には、毒性が非常に強いものが出現しており、これらの管理の在り方が課題になっていたという状況でした。
こういった状況を踏まえて、改正内容は、3.措置事項の概要を御覧ください。まず、左側の(A)ですが、審査特例制度における全国数量上限を、正常輸入数量から環境排出量換算の基準に見直しました。それにより、数量調整が行われるケースが減少し、事業者の予測可能性が確保されるというものです。また右側の(B)ですが、一般化学物質に該当するとされた化学物質のうち、毒性が非常に強いものについては、国がその旨を通知し、譲渡等における情報提供の努力義務を課すなどの所要の措置を講ずることにしました。
続いて9ページを御覧ください。化学物質審査等検討小委員会とりまとめ報告書のポイントです。まず、平成29年改正化審法の施行の状況ですが、平成29年改正化審法により、国が製造・輸入数量の調整を行う機会が顕著に減少し、事業者の予見可能性については一定程度高めることができたこと。また、環境排出量の推計からも、その影響に変化が見られないことから改正事項は概ね順調に施行されていると評価できるとされています。
また、「主な今後の検討課題」ですが、1つ目の審査特例制度については、行政手続きの効率化のため、オンライン申請を原則とする等の更なる取組の推進や、事後監視につきましても、例えばオンラインを活用した検査等の実態に即した方策を検討してはどうかと、報告書には明記されています。
また、2.スクリーニング・リスク評価についてですが、NAMsについては、既存の試験方法と比べて同等の精度・再現性があるわけではなく、評価のためのコストもかかり得るとの指摘もあるが、その利用方法によっては、化学物質のリスク評価の高度化・合理化に資する場合もあることから、別途検討の場を設けて、課題の洗い出しやNAMsの活用可能性等について検討してはどうかと明記されています。
また、3.持続可能な化学物質管理については、国際的に、化学物質管理に取り組む事業者が市場で評価されるような仕組みの構築が注目されているところ、例えば、現状における名称を公示する必要性と競争条件を著しく歪めないための配慮の必要性を確認し、確認できるリスクに応じて名称公示までの期間に差を設けることなどで、「より安全な代替の開発」を促進するような施策を検討してはどうかと明記されています。
これらの検討課題等については法改正は実施せずに、運用面に関して引き続き、三省で検討していくというところです。
最後に、10ページですが、こちらは参考情報となります。検討課題のうちの1つであるNAMSについて、欧米におけるNAMsの概念の一例を記載しています。欧米におきましても、NAMsは動物実験の代替や削減のために広くさまざまな技術、方法論又はその組合せなどであるとの考え方が示されております。
御報告の内容については以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。オンラインから本間委員、お願いします。
○本間委員 私自身は、現役時代に化審法にはずいぶん関わってきました。先ほど説明があった平成29年度の改正化審法の時代は、世の中にどのぐらいの化学物質があるかと考えると、CASベースで大体1億です。現在はCAS番号が3億ぐらいになっています。そう考えると、世の中には新しい化学物質がかなり多く排出されています。この全てが化審法の対象になっているわけではありませんが、化審法の対象になっている少量新規物質は、このところ急速に増えています。
こういった多量な新たな化学物質の安全性をどう評価するかというところで、従来の評価方法では当然追い付かないというのは明白です。そのために、最後に説明のあったNAMsの活用というのが世界的に広く推奨されています。
このNAMsというのは、当初はNew Approach Methodとされて、いわゆる動物代替法を意味していました。動物実験をできるだけ削減して、in vitroとか、in silicoとか、そういった手法に転換し、さらにはよりヒトへの外挿性の高いような試験法を開発することでした。その後、単なるメソッドではなくて、先ほど説明がありましたように、メソドロジーとして、戦略とか枠組みとかの総合的なアプローチを考えて、リスク評価を行うことが、新たな取組になっています。
ただ、中には、まだそうした取り組みに抵抗があるのも事実です。先ほどの説明でコストが高いとありましたが、NAMsは私としては、将来的には絶対に必要な方法なので、是非とも推奨していただきたいと考えています。特に、最後の「参考」の所で、NAMsについて海外の取り組みの具体例がいろいろ示されていますが、その中で、computational, modeling and read-across methodologiesといったようなことが書いてあります。これは、いわゆる現在は盛んに言われているAIやディープラーニングを使ったようなリスク評価法です。こういったものはこれからの時代には絶対に必要だと思いますので、今後、このような研究の促進や、実用化をを積極的に考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中山部会長 本間委員、どうもありがとうございました。これについては、事務局からいかがでしょうか。お願いします。
○林化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室です。本間先生からは、こういったNAMsに関しては将来的に必要なものであると、推進していくための研究も含めて促進していただきたいという御意見を頂戴したという理解です。
今後、NAMsの活用については、化審法において、どういったリスク評価に活用できるのかというところ、また、NAMsの概念も含めて検討させていただくというところですので、先生からいただきました御意見を踏まえた上で検討させていただければと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。NAMsというのは、私も全然知識がないのですけれども、これを本間先生もしよろしければ、NAMsは例えば国内だと、どういったところが拠点となって研究が進められているようなものなのでしょうか。可能であれば御教示いただけるとありがたいのですが。
○本間委員 私への質問でしょうか。
○中山部会長 よろしいですか。まだ本当に、これからの新しい領域というような認識でよろしいのでしょうか。
○本間委員 日本では、国立衛研が中心となってNAMsを推進しています。
○中山部会長 国立衛研、正に先生の、そうですね。分かりました。今後、厚労科研やAMEDなどで促進されることを期待している状況かと思います。どうもありがとうございました。
それでは、ほかに御意見はいかがでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、先に進めさせていただきます。
皆様、本当にいろいろな角度から御意見、御質問をいただきまして、どうもありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。
最後に、事務局から連絡事項等はございますか。
○笹子総務課長 次回の制度部会の日程につきましては、別途事務局から御連絡させていただきます。
○中山部会長 それでは、以上をもちまして、令和7年度第2回医薬品医療機器制度部会を閉会したいと思います。御協力、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、本部会を進めさせていただきます。本部会については公開といたしますが、一般の方の会場への入場は制限させていただいて、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は、後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組として審議会等のペーパレスを進めております。本日はペーパレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点等がありましたら、適宜、事務局等がサポートいたしますので、お申し付けいただければと存じます。
続いて、資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1及び資料2、参考資料1~5があります。参考資料5には、各種閣議決定文書の抜粋を記載しております。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がございましたら御連絡いただければと存じます。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手していただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押して、その後、部会長から順に発言者を指名していただきますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらミュートにしていただくようお願いいたします。なお、カメラについては、常時オンにしていただきますようお願いいたします。
続いて、前回の制度部会から2名の委員の交代がありましたので御紹介させていただきます。お1人目は、公益社団法人日本歯科医師会副会長の内堀典保委員です。お2人目は、一般社団法人日本医療機器産業連合会常任理事の佐竹弘行委員です。
本日の委員の出欠状況ですが、伊藤委員、山本委員は18時頃に御退席される予定との御連絡を頂いております。また議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に御出席いただいております。
続いて、第1回の部会以降に事務局の人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。医薬局長の宮本です。医薬品審査管理課長の紀平です。医療機器審査管理課長の野村です。医薬安全対策課長の安川です。最後に私、総務課長を拝命いたしました笹子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭のカメラ等撮影は、ここまでとさせていただきます。それでは、以降の議事進行を中山部会長にお願いいたします。
○中山部会長 委員の皆様、今日もお集まりいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速、本日の議題に入りたいと思います。薬機法等改正法の施行に向けた論点等について、事務局から説明をお願いいたします。
○笹子総務課長 資料1の2枚目を御覧ください。今回は薬機法等改正法の法改正項目のうち、公布後1年以内に施行されるものや、制度部会とりまとめの記載から変更があった事項等について扱うものです。それでは、これ以降は関係課から説明をさせていただきます。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。3ページをお開きいただければと思います。ここでは、指定濫用防止医薬品の販売について御議論を頂ければと思っております。3ページに、前回の制度部会の資料を再掲しておりますので、前回の説明の振り返りをさせていただきます。市販薬のオーバードーズが社会問題化している中で、医薬品販売時の対策としては上段にありますように、制度部会のとりまとめとして、販売時の各種対応のほか、ここでは20歳としておりますが、一定年齢以下への大容量製品又は複数個の販売禁止、リスクの高い購入コードへのより入念な対応を求めているところです。
下段です。前回、国会における指摘事項ということで、①から次のページの③までを説明させていただきました。①の年齢について、改正法では省令で定める年齢としておりますが、一定数量以上の購入を禁止する年齢については20歳を想定していましたが、国会の中で、民法の成年年齢との整合性を図るべきという御指摘を頂いています。一方で、濫用の懸念は、20歳といった年齢で区切れるものではないという御指摘も頂いています。どちらも、ごもっともな御指摘であることから前回の制度部会では、民法の成年年齢も配慮しつつ、この両方の意見が両立できるように事務局で対応を検討している旨申し上げていたところです。
4ページをお願いいたします。②はオンライン対応において想定される方法で、③は情報提供事項などで想定される方法です。この②と③については、制度部会で御議論いただいたこれまでの議論と変わりがありませんので、今回は先ほど説明した①の年齢のみについて御議論いただければと思っております。
5ページをお願いいたします。こちらは一定数量以上の購入を禁止等する年齢についての検討の方向性です。この年齢の話は、民法も絡む非常に難しい宿題を国会から頂いたものと考えており、現場での実効的な濫用対策とする観点から考えて、方策を整理いたしました。まず、民法との整合性の話についてですが、医薬品という適正に使用した場合に問題のない生活に必要な製品を成人に対し、理由のいかんによらず一律で販売禁止とする規定を設けてしまうことに対して、権利制限との関係も生じるというところがありますので、大容量・複数個の販売禁止が適用される区切りの年齢については、民法の成年年齢との整合性を踏まえて18歳としてはどうかといった案を出させていただいております。国会からの御指摘もありますので、何とぞ御理解いただければと思っているところです。
ただし、濫用実態が20歳で区切れるものではないという御指摘も踏まえ、販売時において実効的な対応を組み合わせたいと考えています。具体的なところで申し上げる前に、昨年来、参考人として御参加いただいている日本チェーンドラッグストア協会において、法改正に先駆けて店舗での濫用対策の徹底を実施いただいてきたところです。こういった現場での対応を見ますと、年齢というのは外観だけでは判断できないところですので、一定年齢を区切るとしても、既に周辺年齢の者に対しては、年齢確認のために広く声掛けが行われることになっており、これを一定の抑止力につなげていっていただいているところです。
そのため、3ポツ目の「具体的には」にありますように、境界となる年齢を含めた年齢層に対する年齢・本人確認を徹底することといたします。その際、濫用リスクが高いとされる高校生であることが判明した場合には、成年年齢に達していたとしても、より入念に対応いただくこととさせていただければと思っております。今後、省令で規定される手順書の基となる業界のガイドラインにも、こういったところについては、対応フローのような所に盛り込んでいくことを今、相談しております。
6ページです。こちらは5ページの3ポツ目の20代前半の若者にも濫用実態があることや、高校生の濫用リスクが高いという、現時点で把握できているデータをお示ししているところです。こちらを御参考にしていただければと思っております。
7ページは、今申し上げた全体をまとめたものです。濫用の実態が20歳といった年齢で区切れるものではないという御指摘に対しては、1つ目のポツにあるように、大容量購入のようなリスクの高い行動に対しては、年齢にかかわらず、もともと入念な対応を適用することとなっております。また、若年者には境界年齢を設けますけれども、その周辺年齢の者に対しては、先ほど御説明したように専門家による年齢確認といった、より入念な対応が実施されます。取り分け高校生である場合には、より注意いただくといったところを組み合わせます。また、周辺年齢を含めた年齢確認については、3つ目の○にありますように、店舗だけでなく、インターネット販売にも求めることといたします。例えば、アカウントとひも付けた事前認証など、通常の販売以上の対応をしていただくということで抑止力にもつながると考えております。
8ページは、これまでの説明を模式的に示したものですので、御参考にしていただければと思います。9ページは、法改正時の附帯決議についての参考資料です。
最後、10ページです。「その他の検討事項」ということで、省令で規定する事項ですので、これまでの制度部会等での御議論を踏まえて進めていくところですが、本日はこういったことが動いているということだけを紹介させていただきます。
1つ目は、指定濫用防止医薬品の外箱の表示の記載事項についてです。制度部会のとりまとめにも、「医薬品の外箱に注意喚起等を表示することについても対応すべきである」とされたことに沿って、包装への記載事項について、今メーカー側の関係者と検討しているところです。また、「大容量の製品となる包装単位あたりの内容量」については今、厚生労働科学研究を走らせており、個々の成分の特性や実際に販売されている製品には、どういった容量のものがあるのかということについても確認しています。その検討結果も踏まえ、もともと制度部会の販売制度検討会とりまとめに示された方向性に沿って、製造販売業者等の関係者と調整を進めていきたいと考えております。説明は以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。森委員、お願いいたします。
○森委員 今、事務局からもありましたように、医薬品の適正使用の推進と濫用防止のためには専門家が関与して年齢にかかわらず適切な対応を行う必要があると考えております。その上で、民法上の成年年齢との整合性を踏まえ、一定数量以上の購入を禁止等する年齢が18歳未満になることにより、現場でやるべきことは変わりませんけれども、国立精神・神経医療研究センターの嶋根先生の研究でも、年代別の人口に対する市販薬の濫用の割合は、10代が一番多いという結果となっており、より留意した対応が必要だと考えております。
対象が18歳未満となることによって変わるのは、1点目は18歳、19歳の人に対して、インターネットでの販売が可能となることです。2点目は、対面・オンラインでの複数個・大容量の購入が可能となることです。7ページを見ていただければと思います。○の3つ目にあるように、インターネット販売においても、リスクの高い購入であるかの把握、リスクが高いときには、ビデオ通話を実施するなどの購入対策等を徹底できるように、具体的な対応が必要だと考えております。そうしたことが確実に行われるように、省令等でしっかりと対応していただきたいと思います。
また、10ページを御覧いただければと思います。「その他の検討事項」の○の2つ目に関連したことです。現在の医薬品の容量は、何が大容量で、何が小容量かという定義がありません。5日分と10日分の薬があったときに、5日分が小容量となり10日分が大容量、10日分と20日分が販売されていると、10日分が小容量となります。何を小容量か、小容量を何日分と決めるのは容易ではありませんが、適正使用、濫用防止の点と、薬剤の特性等を踏まえて一定の考え方を示すべきだと考えます。現在、日本薬剤師会では指定濫用防止医薬品について、薬局での販売対応をどのように行うべきかを示すべく検討を進めています。現場の対応が一番重要だと思っておりますので、現場の協力を得て、国民を守るために濫用・頻回防止対策に取り組んでいきたいと考えております。以上です。
○中山部会長 御質問どうもありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○大原薬事企画官 御質問ありがとうございます。前段の実際の現場対応については、遺漏なきよう関係業界とも話をしながら進めていきたいと思っております。
2つ目に御質問いただいた、大容量・小容量のお話ですけれども、例えば同一製品ブランドの中での数量違いの大小という話ではなく、成分や薬効分で通常使用する期間を勘案して線引きするということが想定されます。というのも、販売制度検討会とりまとめの中でも御議論いただいたかと思うのですが、容量については、成分や薬効分ごとに科学的知見も踏まえて個別に検討すべきであるということです。その際には、1回の使用期間や添付文書の使用上の注意の記載にも留意すること、との全体方針を示していただいているところですので、これに沿って労働科学研究での調査結果も踏まえて対応させていただきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。次に山口委員、お願いいたします。
○山口委員 山口です。年齢のところです。この制度部会で取りまとめをしたときに、20歳にしたのは、飲酒・喫煙が20歳以上になっているので「ああ、そういうことで合わせるんですね」ということで納得したように思っております。ですから18歳にするか20歳にするかについては、年齢というよりも、やはり現場での対応が大事ではないかと私は思っています。販売時の実効的な対応をしていただくことで20代、あるいは30代でも多いということなので、そこできちんと対応することによって濫用を少しでも減らしていくことができればと思います。実際に販売時の実効的な対応ができているかどうかは、やはり定期的な確認作業が必要ではないかと思っております。その結果について、こういう制度部会で、定期的に報告していただくことが大事かと思うのです。その辺りについて確認方法や頻度を、事務局としてはどのようなことをお考えなのかを是非聞かせていただきたいと思います。
○中山部会長 それでは事務局、よろしいでしょうか。
○大原薬事企画官 今回の法改正に伴い、濫用対策については、しっかり手順書を設けて各店舗で対応するという形になってきておりますので、監視指導等で、そういった体制等も含め、御確認していただくというのが、まず1点です。
それから、いわゆる覆面調査と言われていますけれども、毎年、定期的に販売実態の調査を行っています。そちらは公表していますので、こういったところでも引き続き確認を進めていきたいと考えております。
○山口委員 ありがとうございます。覆面調査は実施されるというように受け止めていてよろしいですか。
○大原薬事企画官 これまでもずっとやり続けていることですので、引き続き、その予定です。
○中山部会長 それでは、ほかにどうぞ。佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。御説明、ありがとうございました。今のお話に関連して申し上げます。まず、年齢については、現場での対応は実効的に行われるということでよろしいのではないかと思います。実際にこの対応によって、販売の場に専門家らが立つという取組によって、どのような成果が得られたのかは、きちんと把握していただきたいと思います。これまでの覆面調査だけでは、濫用防止の成果が上がったのか否か、までは見えないと思いますので、見えるようにしていただきたいというのが1点です。
さらに、専門家が販売の場で話しかけやすい場所にいることによって、どのような成果が上がったのかも、併せて示していただければと思います。というのは、今後、一般用医薬品の販売が広がっていくものだと思うのです。「セルフメディケーション」などと言われますが、薬局は決してセルフではなくて、専門家がいるものですし、そこで専門家と相談しやすくなることによって得られる成果が、当然あると思いますので、そういう成果も見える調査を行っていただければと思います。よろしくお願いします。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは事務局、よろしいでしょか。
○大原薬事企画官 御質問、ありがとうございます。今回はこれだけでなく、手の届かない所や陳列など、継続的な専門家の配置も実施いただくので、そういったことで、実際の実効性が上がっていくものだと考えています。今の御指摘にもありましたように、監視的なところで、どの程度実行されているかという確認というよりも、恐らく先生がおっしゃっているのは、どれだけ濫用防止につながったかというアウトプットの話であるかと思っております。今回、専門家がゲートキーパーの役割を果たすというところで、例えば支援機関につなげるようなケースも出てくるかと思っております。どういった形で、このアウトプットが示せるかというのは、今、この場で何か案があるわけではないのですけれども、そういったところも考えていければと考えております。
○中山部会長 佐藤委員、どうぞお願いいたします。
○佐藤委員 重ねてで恐縮です。話しかけやすい場所に人がいるということで、濫用防止の薬についてだけでなく、それ以外の方たちが専門家に相談するということが起きると思うのです。そのことの良さが分かるような調査をお願いできればと思った次第です。よろしくお願いします。
○中山部会長 御提案ありがとうございます。引き続き是非、御検討ください。それではオンラインの伊藤委員、どうぞお願いいたします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございました。私からは資料1の7ページの3番目の○について、提案というかコメントがあります。インターネット販売においても、もちろん濫用防止をしっかりしていくということで、今回18歳以上という基準も設けられたことを踏まえて、クレジットカードなどは18歳以上から持つことができますので、そういったインターネット販売におけるクレジットカードとひも付いた対策などを。インターネット上で実際に薬剤師が対面できない場面において、なるべく履歴やデータの力なども使いながら活用していくことが大事ではないかと思います。
あと、これは余談めいた話になるのですけれども、介護施設などでもセルフメディケーションを重要視しています。もともと介護保険を使っていて、わざわざ医者にかかるほどのことではない場合に、セルフメディケーションで介護施設の方々が市販薬を服用することが結構あるとお聞きしています。そのときに職員がまとめて市販薬を買いに行こうとすると、濫用だと疑われて1個しか買えないという笑い話のようなことが起きているようです。是非、場面場面において、何の目的でどういう人が買いに来ているのかということをうまく確認しながら、濫用防止などが進められるといいかと思っております。以上です。
○中山部会長 伊藤委員、どうもありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。ネットでの年齢確認の方法については、販売制度検討会の取りまとめにもありましたように、ビデオ通話の中で確認したり、アカウントと紐付けた事前認証のようなお話だったり、必要となる書類を添付したり、幾つかの方法が想定されるかと思います。この辺りの詳細については、事業者とも相談していきたいと考えております。
介護施設のお話を頂いたところですけれども、濫用対策においてはある意味、システマティックに流れを決めておくということを基本としつつ、その上で専門家の方々の関与によって、実際に複数購入が必要な場合には理由確認等を行って判断いただくということになっております。介護施設なので、年齢の話とはちょっと別な話かと思いますけれども、そういった中で対応いただくようなお話なのかと感じたところです。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは中島委員、お願いいたします。
○中島委員 東京都の中島です。5ページの「検討の方向性(案)」のポツの3つ目で、本人確認の徹底とか、より留意した現場対応を求めるとありますが、自治体が監視指導を適切に行えるように法令上の位置付けと、店舗販売業等に具体的に何を求めるのかを明確に示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
○大原薬事企画官 コメントありがとうございます。先ほども申し上げましたけれども、この手順書の中でどういうように規定するのかという部分だったり、様々あるかと思いますので、その辺りは運用に向けて、また相談させていただければと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ネットのほうも特にありませんか。分かりました。御質問いただきまして、どうもありがとうございました。それでは先に進めさせていただきたいと思います。
続いて、資料1の11枚目以降、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。資料11ページ、GCP省令等の見直しについて御説明いたします。こちらは制度部会のとりまとめを頂いていたものについて、具体的な実装に向けた検討を進めているということで、その検討の方向性について御説明するものとなります。
12ページです。まずGCP改正の背景についてです。1ポツ目ですけれども、医薬品の臨床試験の実施について、GCP省令で基準を定めております。こちらは当初、平成9年に省令として定めておりますけれども、2ポツ目にあるとおり、国際的な基準であるICH-GCPを基に定めたものですけれども、昨今、臨床試験の環境が急速に進歩する中で、次の3ポツ目ですけれども、このICH-GCPが本年1月に改定が合意されております。こういったものを踏まえて、今回、検討することになります。また、4ポツ目ですけれども、国内で治験を実施しやすい環境づくりのために予算事業を行っており、その中で検討を進めてきたことになります。下のほう、制度部会の取りまとめでも、こういった背景を踏まえて、最後のほうですけれども、治験の更なる効率化を促進すべきであるという御意見を頂いていたものとなります。
13ページです。こちらに挙げているのが、今後、検討を進めていく方向性です。具体的には4点あり、太字にしています。シングルIRBの原則化、分散型治験(DCT)の円滑な実施に向けた規制の合理化、リスクに応じた治験副作用等の情報収集・評価、SMOへの監督強化です。こういった内容について、今後、検討を進めていくということで、今回それぞれの内容について御説明いたします。また、本日御説明するのは、主に医薬品の臨床試験、治験についてのものとなりますけれども、医療機器・再生医療等製品のGCP省令についても、併せて検討を進めていくこととしております。具体的な内容を、この後、御説明いたします。
14ページです。まずICH-GCPの経緯についてです。当初、このICH-GCPが合意されたのが1996年です。これを受けて翌年、国内のGCP省令を発出しております。その後、国内も見直しを進めてきましたけれども、このICH-GCPそのものが本年(2025年)、新たに発行予定ということで改定されたものが出ることとなります。
下のほうに、主な改訂点を3点挙げております。1点目が試験のデザインとか、実施の中でリスクの高いプロセスやデータに重点を置くなど、リスクに基づいた柔軟なアプローチといったものが挙げられております。また2点目としては、電子的なデータ収集、遠隔モニタリングなどを活用する場合があります。また3点目として、これはデータの一貫性や信頼性を確保するためのものですけれども、データインテグリティの適切な管理といったものが挙げられております。
15ページです。こちらは現在進めている予算事業の概要についてです。真ん中の〇ですが、①として、医療機関における負担の実態調査、②として、治験エコシステムの導入とありますけれども、①を踏まえて、治験にかかる手続の簡素化・合理化について検討を行っているものとなります。
16ページ以降が具体的な検討内容になります。まず1点目として挙げていたものが、治験関係文書の作成主体の変更、治験依頼者によるIRB審議依頼です。先ほどの4点挙げていたものの中では、「シングルIRBの原則化」に該当します。まず、IRBの治験審査委員会の審議においては、下の絵の中では実施医療機関ですが、それぞれの医療機関の中でIRBの審議を頂くということが通例行われております。また、医療機関同士の関係性の中で、1つの医療機関がIRB審議をお願いする中央IRBというものも、制度としては設定しておりました。一方で、なかなか審議の効率化が進まないということが、上のほうの2ポツ目にありますが、「シングルIRBの利用が進んでいない」といった課題になります。
また、上のほうの3ポツ目ですけれども、ICH-E6(R3)というのはGCPの改訂になりますが、この中に挙げられていることを踏まえ、「治験関係文書の作成主体を治験依頼者に変更し、調査審議を行わせるIRBについて治験依頼者が調整を行い、治験依頼者がIRB審議を直接依頼することも可能とする」ということについて、今後検討するというものになります。下のスキームの中で、左上の治験依頼者から右側の治験審査委員会に直接、その治験審査委員会の選定・契約、審議依頼を行えるようにするというものとなります。また、その審議結果については、下のほうにある実施医療機関、特に今その責務を負っていただいている実施医療機関の長への情報をきちんと、そのIRBの審議結果を入れていただくことを想定しております。こちらが1点目です。
続いて17ページです。2点目は、分散型治験(DCT)の導入及び治験薬交付の運用等の見直しです。現行のGCP省令では、その医療機関の中で、1人の被験者を治験が終わるまでフォローしていただくということで、1つの医療機関で完結することが想定されております。
一方、昨今の治験の環境の中では、いろいろな試験のデザインがあり、当初の治験の登録に当たる診断や検査などについては医療機関の中で行って、その後のフォローや治験薬を交付するところについては連携の医療機関で検査などを行うこと、あるいは関連の薬局から治験薬を交付することを今回、制度化して整備をしたいということです。上の2点目に書いてありますが、実施医療機関以外の、適切な契約を結んだ連携医療機関・研究開発支援薬局への治験薬の交付を認めるというものとなります。
3点目は、実施医療機関の在庫として保管する医薬品を使用する場合です。こちらについては、昨今の状況を鑑み、安定供給が困難で国内における治験実施が困難な場合などについて、医療機関・薬局の在庫として保管する医薬品の使用を認めることについても整備をしたいということです。
続いて、18ページです。先ほどの中での3点目になりますが、治験における副作用情報等の報告・提供についての仕組みです。現在、治験中の副作用情報については、法令に基づいて報告していただくこととなっております。その対象は、治験使用薬として、(対照薬、併用薬)と書かれておりますけれども、治験の対象となっている被験薬のほかに、その治験に用いる計画に基づいて使用される対照薬や併用薬についても報告対象となっているということです。
下のほうに副作用の情報の流れをお示ししております。治験依頼者が情報を入手した場合には、厚労大臣に報告いただくほか、下のほうの実施医療機関にも情報を入れていただくということになっております。また、それらの情報について治験審査委員会で御意見を頂く場合については、実施医療機関からIRB(治験審査委員会)の意見を聴く(黄色の矢印)という流れが現行の仕組みです。こちらについて、先ほどのシングルIRBの仕組みと合わせて、治験依頼者から治験審査委員会に意見を伺うという青色の矢印のところを新たに制度として整備をしたいというものです。
その関係として、19ページに同じようなものがあります。こちらは下の絵の流れが少し変わっていて、実施医療機関の中で新たに出た情報についての流れです。治験責任医師から上のほうの治験依頼者に情報が流れています。そこからIRBのほうに矢印があるというのが現行の仕組みですけれども、こういった情報についても、先ほどと同じように、治験依頼者からIRBに意見を伺うことができるようにするというものです。
続いて、20ページです。こちらは同じく治験における副作用等情報についてですけれども、その報告対象と、その報告の方法についてです。まず、「課題」という点線の枠囲みの中ですが、現行では、個別症例報告が行われるものについて、規制当局に対しては「7日/15日以内」、実施医療機関については「直ちに」情報を提供していただくという仕組みがあります。
一方で、上の枠囲みの右側は、国内治験や海外臨床試験情報で、これは現在試験中のものの情報です。左側は、海外市販後情報となっていて、国内では治験中の扱いですので報告対象になるのですけれども、海外では既に承認を受けて市販されている情報の中で、こういった有害事象に当たるものについては報告対象となっているというものです。
この状況について、下線部にもありますけれども、情報が不確かで、因果関係が相当低いとみられるものも多数あるというような指摘のあるものです。真ん中の段の右側に表がありますけれども、海外の情報が国内に比べて、報告件数が1桁も2桁も多いのは、こういった海外の情報の中に市販後の情報が含まれているからということです。
これらについて、海外の規制ですけれども、1ポツ目にあるように、EUではEU以外の市販後情報は報告対象外、アメリカにおいては報告対象が限定されているという状況があります。また、ICH-GCPの改定においても、依頼者による安全性情報の収集及び評価が規定されて伝達されたいというものがあります。こういった背景を踏まえ、見直しの方向性(案)ですけれども、海外市販後情報の報告対象を見直すというものとなります。
次の21ページは、具体的な見直しの内容になります。下の段が海外市販後情報ですけれども、個別症例評価について、真ん中の現行のものは、「都度、報告」という形になっています。見直しとして、右側にあるように「国内未承認薬の場合で因果関係がある未知の死亡・重篤症例について」として、対象を限定して、「都度、報告」といった形にしたいというものです。
一方で、上の国内治験と海外の両方ですけれども、集積評価を行って、年次報告とされていたものの中で、右側の赤枠囲みですけれども、集積評価の結果、安全性確保措置が必要となる事象が検出された場合には、定期報告の期限を待たずに速やかに報告していただくといった形に整備をしたいということです。こちらは国内、海外市販後を問わず、同じように整備をしたいというものとなります。
続いて22ページです。こちらが4点目です。治験施設支援機関(SMO)への監督強化です。こちらの制度部会の御議論の中でもいろいろな情報を御提示したかと思います。治験施設支援機関(SMO)は、下の絵にもありますけれども、実施医療機関で、この治験の業務を行うに当たって委託できる先として、SMOという機関があります。SMOにおいては、医療機関における治験業務、具体的には例えば書類の作成ですとか、データ管理、被験者対応などについてサポートを行われているというものです。これまではGCP省令の中で、この業務の委託という形で規定されておりましたけれども、これに加えて、点線の枠囲み部分の上のほうが、治験依頼者に対し、実施医療機関からの委託先を含めて適切な選定義務を設ける。そして、下のほうが、委託先業務の適切な実施について、治験依頼者も確認する契約規定を設けるということで、このSMOの監督強化を行うというものとなります。
これらの方向性について、本日、御意見を伺った上で、今後GCP省令の改正に向けて準備を進めたいと考えております。以上です。
○中山部会長 説明どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。川上委員、お願いいたします。
○川上委員 川上です。17ページで2点、コメントと質問をさせてください。今回、連携医療機関や研究開発支援薬局を作って、DCTの導入及び治験薬の交付の運用等を見直すという方向性は、賛成しております。それで、研究開発支援薬局や連携医療機関が治験薬管理、被験者対応など、これまでに経験していなかった治験業務を行うようになりますので、治験GCPへの理解や体制構築、治験薬の管理体制の整備、医療機関と治験依頼者との連携体制、治験薬の被験者への交付、服薬指導の体制、記録等の適切な保管など、適切に進めるように、要件その他を定めていただければと思う次第です。
2つ目は、17ページの上の文章の所の3点目に、「実施医療機関の在庫として保管する医薬品の使用」とあります。この「医薬品」は治験薬ではなく、治験の患者さんに併用する通常の市販されている医薬品のことかと思います。それを、他の連携医療機関や研究開発支援薬局と、やむを得ない場合に、やり取りをすることになるので、通常は医療機関同士や医療機関から薬局への医薬品のやり取りは行っていないことを考えると、混乱なく適切に行えるように、ただ供給不足だからとかいう理由で安易に医薬品がやり取りされないように、きちんと定めていただけると有り難いかと思った次第です。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御意見、御質問ありがとうございます。まず1点目の連携医療機関や研究開発支援薬局における管理につきましては、ルールをきちんと整備した上で当然、治験依頼者のほうもいろいろな確認をされると思いますので、今後は業界とも御相談しながら、きちんと治験を適切に進めていただけるように整備したいと思います。
また、2点目の御指摘につきましても、御指摘いただいたとおり治験の対象となっている、特に、盲検が掛かっているような医薬品は対象にはならないのですけれども、併用で使われるような医薬品など、それぞれの事情があると聞いております。要するに、やむを得ない場合は、どういったケースがあって、どのようなケースでこういったものが認められるのかということは今後、ルールの整備の中で整理をしていきたいと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。花井委員、お願いいたします。
○花井委員 花井です。今回の、いわゆるドラッグロスを改善するための治験の在り方なのですけれど、全体で見ましたら16ページのIRBに直接依頼者が行けるとか、18ページの副作用報告、さらにはSMOの管理も、つまり治験依頼者のエフォートが増えているわけですよ。
これはなぜかというと、現場の先生が忙しくてリソースがないと、AROも非常に脆弱であるというところで、治験の現場へ行くと、依頼者は早く進めたいのだけれど、先生方は忙しくて余り指示は出せないとか、そういうところがブレーキになっているという実態は分かるのですが、全体で見ると、要は企業のイニシアティブが増える話で、その被験者からいうと、被験者という言い方も、今はしないのかもしれませんけれど、通常は自らがかかっている医療機関に、そこは医療をしてもらう又は診療契約が存在していて、そこで安心して医療を受けられる所が現場になって、それは自分の主治医の先生や、そこの医療者全体に対する信頼感の下で、そこにいるわけですよね。
その信頼感を持った場所で治験も行うと考えたときに、結局、プロフェッショナルの関与が、忙しいから減っていて、企業のエフォートが増えるということでもあるので、例えば、このIRBの独立性は本当に保たれるのですかとか、そういったところを通常は、プロフェッショナル・オートノミーというか、そこにいる現場の医師であるとか看護師であるとか薬剤師であるという人たちが、その人たちの職能集団としての倫理感を持って関与しているというのが前提なのですよね。ところが、それがシステマティックに進むように、企業のエフォートを増していくことによって、いわゆるプロフェッショナルによる監視とか、やはり、そういうところが減っているように思うのですね。
今は制度上で仕方がないのかもしれません。正に、このSMOという組織自体が現場の人手不足を補うための業態みたいな形になっているところから見ても、いわゆる私たちが信頼しているお医者さん、薬剤師さん、看護師さん以外の人たちが、そこに関与するところが増えているわけで、やはりそこのところが気になるところです。
質問としては、この治験審査委員会も、例えばセントラル化が進めば、多くのものをより早くさばくための所にスポンサーが付いて、その運営についても、コストはどこが見るのかなどによって、もちろん治験依頼者と利害を有しない者がいることと書いてあるけれども、やはりその依頼者のイニシアティブが増えすぎることの懸念があるので、このIRB審査委員会の中立性というところとか、運用というところは、何らかの強化策が要るのではないかというのは一つ、意見だし、説明を求めたいところですね。
それから、これはこの場ではないですが、やはり医学教育の中で、そのプロフェッショナルたちが治験とか臨床試験や検査の中で、やはり専門家として患者を守るという倫理感を持って、こういうことをやるのだということを文科省に、お願いして頂きたい。治験に関わる医療者襟を正していただくことによって、安心して私たちは治験を受けられるというところがあるので、ビジネスライクに考えると今回の件は、非常に動きやすくなるのは分かるのですけれど、そもそも信頼をしている医療機関でそれが行われると。ある意味、治療の延長線上に臨床試験というのが存在していることを考えると、やはり余りにもシステマティックに治験依頼者が動きやすくしすぎているという懸念を感じました。以上です。文科省に、それを言っていただけたら嬉しいです。
○中山部会長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。これはいかがでしょうか。事務局のほうからお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御質問、御意見ありがとうございます。1点目のIRBの中立性については、御指摘のとおりかと思います。これまでは各実施医療機関が設置するIRBという形であったものが、今後、今回の見直しで、どういった形のものを想定するのかということについてはきちんと整理をした上で、御指摘いただいたような懸念がないようなルール作りをしたいというように思います。
また、文科省の話につきましては、各学部教育の中で、そういったことも触れていただくように、お話したいと思います。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございます。ちょうど今、医学教育のことが出ましたので、この前のコア・カリキュラムの改訂に私も関わりました。また、明後日から医学教育学会が秋田で行われます。間もなく次の改訂の議論が始まるところだと思いますので、そういった知見をどのように位置付けるかということについても、是非、意見交換をしていきたいなと思いましたので、御返事させていただきたいと思いました。どうもありがとうございました。どうぞ、お願いいたします。
○花井委員 ちょっと、余り悪いことを言っていいいのかどうか分かりませんけれど、ちゃんとしているというところに、その職能があるという考え方と、過去の日本の歴史を見ると、ちゃんとしたことを言ったら内部告発として干されるみたいな、逆に損するみたいなことが過去の歴史にはあって、今はそんなことがなくなっていると信じたいのですけれど、やはり一人一人の職能の専門家たちが独立して、自分の倫理的な行動ができるというところを、やはり望みますし、そうなっていると信じたいのですが、過去の歴史を見ると、逆にそういうことをする人のほうが損するというのを見ているので、その辺も含めて医学教育全体で考えていただいたらいいかなと思いました。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、オンラインのほうで、順次御指名させていただきます。まず北澤委員、伊藤委員、それから村島委員の順で御発言いただければと思います。まず北澤委員、お願いいたします。北澤委員、今はミュートのままのようです。
○北澤委員 すみませんでした。失礼しました。
○中山部会長 大丈夫です。お願いいたします。
○北澤委員 先ほど花井委員が言われたシングルIRBについて、基本的なところで教えていただきたいと思います。まず、このシングルIRBというのは、多施設で試験をやっている場合、今まではそれぞれの施設にIRBがあって審査をしているわけですけれども、その中からどれかを選ぶということなのか、それとも、どの施設でもない別のシングルIRBというか、専門のIRBを新たに作って、そこが審査をするのかという、そこのところがちょっと分からなかったので、教えていただきたいと思います。
特に後者のような、研究に参加している施設のIRBではないけれども、多施設共同試験を審査する別のIRBが新たに作られるという場合は、たくさん試験を審査して、たくさん承認を出すと、そのIRBがうまくやっているように思われて、そこに利益相反が生じるのではないかという点が心配だと思います。
もう1つの質問は、これはあくまで治験の場合であって、今、臨床研究でも多施設で多く臨床研究がなされているのですけれども、それは関係ないというふうに考えていいのでしょうか。2点、質問します。
○中山部会長 北澤委員、どうもありがとうございます。それでは、事務局からお願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 事務局です。まず1点目、多施設共同の場合のどこかのIRBか、それ以外も含むのかということについては、両方を想定しております。多施設共同の場合は、既にこれは実行できる形になっておりますけれども、それ以外のものも今後、形としてはできるようにしてはどうかという御提案でございます。
2点目は、あくまでこれは治験としてのGCP省令のものですので、臨床研究については、別途に検討するものと考えます。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、次に伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。セントラルIRBに関してのコメントです。やはり14ページに書かれている項目の中で、データガバナンスというのが加わっていますけれども、やはり別々の場所で審査することの1つの問題点は、審査の入口の所でいろいろな書式があって、いろいろな審査委員会によってコメントが違って、それに応じて書き直さなければいけないとか、そういう手間もさることながら、やはりそこで研究ができたデータを結局、どうやって質を担保して蓄積していくかということにおいて、やはりデータガバナンスのないガイドラインでは意味がないと思います。
そういった意味で、私はセントラルIRBというような仕組みが、諸外国でもスタンダードだからということである以上に、やはり大事であると考えております。いろいろ観点はあると思うのですけれども、もちろん中立性とか独立性とかは大事ですが、小さく審査してしまう、それぞれの機関で審査してしまうと、やはり審査の質を担保できないというのは、やはり私が研究者として感じている実感でもあります。
ですので、審査の質を適度一定程度ちゃんと保つ、そして、出てきたデータのガバナンスについてもクオリティーを維持すると。今回の諸外国には韓国が出ていませんけれど、韓国の場合は、やはり中央IRBに一本化したがゆえに、今は治験のカルテはトップクラスになっていますし、そういった意味で、治験をやりやすくすることが一定程度イノベーションにも貢献しているというように思われると思います。
その点ではやはり、いろいろ慎重にすべきことは慎重にというのは私も同感ですけれども、基本的にはシングルIRBで、原則として強く打ち出していただきたいですし、先ほど治験と臨床研究は違うという話だったのですが、そもそも治験の研究に、臨床試験用指針と臨床研究の指針と疫学研究の指針と全部いろいろな指針がたくさんあって、全部違うということそのものも、やはり日本の研究力を停滞させていることの1つだと思っておりますので、この点についても、違うから今は関係ありませんという話ではなくて、やはりそれこそが一本化が大事な要件であるというように認識いただけるといいかなと思っております。コメントです。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは事務局、よろしいでしょうか。
○紀平医薬品審査管理課長 御意見ありがとうございます。1点だけ、14ページの所でデータガバナンスの御指摘を頂きました。IRBでは、基本的に試験を始めるときの試験計画や同意文書などの書類の確認、計画の確認を行っていただくのと、あとは治験中に副作用などが出てきたときに、試験のストップなどについて御意見を頂くものと思います。
一方、このデータガバナンスについては、各被験者から上がってきたデータを集めるわけですけれども、それは従前も基本的に治験依頼者、企業側のほうにデータが集まって、その検証などが行われるということです。そのデータの正確性などをきちんと、今のデジタル化の時代の中で整備していくというものが今回のICH-GCPのメインの改訂点かと考えております。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、続きまして村島委員、お願いいたします。
○村島委員 臨床試験は、皆さんに適切に早く必要な薬を届けるということが目的ですので、今回のメリハリのある合理的なDCTの見直しについては非常に賛成です。
1つは、本当にプラクティカルな質問なのですけれども、このSMOの存在が、例えば16ページとか、あとは18ページや19ページの図に入ることで、より臨床試験の現場が分かりやすくなるのですが、これを入れるということは、実施機関との契約だから難しいのでしょうか。
というのは、SMOの監督強化を図るということですので、この図式の中にSMOが入っていると、一般の人たちには分かりやすいのですが、いかがでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは事務局、お願いいたします。
○紀平医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございます。本日の資料の16ページ以降の、それぞれのスキームは、今回見直しを行おうとする観点を中心に、そこにフォーカスして、それぞれの絵を作っているので、それぞれの絵で全体像が分かるように作っていないというところがあります。
ですので、今後GCP、治験の体制について全体像を示すような絵の中には、SMOも含めて関係性が分かるような絵を作成したいと思います。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、いかがでしょうか。では佐竹委員、お願いいたします。
○佐竹委員 医機連の佐竹です。御説明ありがとうございました。御説明の中で紀平課長から医療機器に関しても同様に進めるというお言葉を頂きまして安心しているところであります。既に、実務者レベルでは動いていると聞いていますけれども、医療機器に関しましても、その特性を踏まえて議論を進めていただければと思います。これはお願いです。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。では、事務局からお願いします。
○野村医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。正に、御指摘いただいたように、医療機器におきましても、同じように実施の合理化に向けて進めてまいりますが、医療機器特有の観点につきましては、産業界も含めて関係者とよく御相談をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございました。村島委員、これは挙手をされていらっしゃいますでしょうか。御追加でしょうか。村島委員、よろしいですか。
○村島委員 はい、終わりました。大丈夫です。
○中山部会長 どうもすみません。ありがとうございました。
○村島委員 はい、大丈夫です。
○中山部会長 では森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。17ページの分散型の治験ですけれども、薬局も関与していくこと、運用等にも異論はないのですけれども、先ほど川上委員からも○の3つ目について質問がありましたが、少し分かりにくかったので、どういった想定があるのかを、再度、教えていただければと思います。
○中山部会長 この点、もう少し御追加いただけますか。お願いします。
○紀平医薬品審査管理課長 これは、それぞれの試験計画によるというものかと思います。ですので、多くの試験の中では、こういったものが使用されることというのはあまりないのではないかと思います。
一方で、その試験の計画の中で、治験をしようとする被験薬、それから比較試験であれば対照薬については企業から提供されるというものとなりますけれども、そのほかに、計画として、こういう場合にはこういった薬を使ってくださいといった場合には、企業から提供される併用薬を使用するといったケースがあると考えます。
一方で、その医薬品が安定供給の問題で、企業のほうからの提供は難しいといった場合に、それぞれの医療機関、薬局のほうで在庫がある場合には、それを使用するような計画とするといったことも想定されるということかと考えます。今後、具体的なものについては、いろいろ御意見を伺いながら整理したいと思います。以上です。
○森委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ほかに御質問はいかがでしょうか。オンラインのほうからは大丈夫ですか。よろしいですかね。どうもありがとうございました。
それでは、次に進めさせていただきたいと思います。次は、治験に係る広告規制について、資料1の23枚目以降について、事務局から説明をお願いいたします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。資料23ページ以降、治験に係る広告規制についてということで御説明いたします。24ページを御覧ください。前回の部会でお示しした資料ですが、この論点については、制度部会で御議論いただいたものではありませんが、国会の法案の参考人質疑の中で関連の御意見が示され、国会でも質疑があったことなども踏まえて、前回御報告をさせていただいたところです。
国会では、治験等に係る情報について、例えば米国では患者と臨床試験のマッチングサイトがあるが、日本では患者による求めがない限り情報提供が受けられない、薬機法第68条の対象から除外すべきであるといった御意見を頂いているところです。これに対しては、患者団体等からの御要望も踏まえて、患者が治験に関する情報に、よりアクセスしやすくなるように、治験に係る広告規制の見直しを引き続き検討するというようにしていたところです。今回は、その検討の方向性をお示ししているということです。
25ページを御覧ください。現状の規制の御説明です。薬機法第68条では、未承認医薬品等の広告が禁止されております。治験薬も承認前の医薬品ですので、治験に係る情報を発信する場合に、薬機法における広告の該当性の3つの要件、そこに括弧で書いておりますが、顧客誘引性、特定性、一般認知性、これらを全て満たす場合には未承認医薬品の広告に該当するということで、禁止されるということになります。
こうした規制の中で、これまでも治験に係る情報に、よりアクセスしやすくなるようにということで、治験に係る情報の提供が広告に当たらない場合を明確化するなどの対応をしてきたということです。直近で言うと、令和5年に通知を出しており、治験情報を求める者のみに対して情報提供できるように、ほかの情報提供と切り分けられていること、jRCTという治験に係る公的なデータベースに治験情報が登録されていること、jRCTに登録された情報の範囲内であることの3つ、いずれも満たして情報提供を行う場合は、広告に該当しないというようにお示ししております。
他方で、課題の声も頂いております。背景・課題ということで書いておりますが、まず治験の参加者の確保という観点から申し上げると、治験の参加者を募集するための情報提供、いわゆる「治験広告」については、現状、製薬企業等から情報を積極的に発信しようとする場合には、薬機法上の広告に該当しないようにするために、治験薬の名称や治験記号等を表示できないといった状況にあります。また、治験の結果、あるいは海外の情報、レイサマリーなどを含む治験に関する情報に対する関心も高まっている中で、こういった情報を製薬企業から直接提供しようとする場合には、先ほど申し上げた広告の3要件に該当して未承認医薬品の広告に当たるおそれがあるといった状況もあります。
こうした課題を踏まえ、患者が治験に関する情報に、よりアクセスしやすくなるように、これらの情報提供について薬機法における広告としての取扱いを整理する必要があるというのが今回の議論です。
26ページを御覧ください。前回の部会で頂いた御意見を載せております。1つ目は、治験情報へのアクセスの改善は賛成だが、開発中の医薬品に期待を持たせるような情報提供は問題である。薬機法第68条は重要な条文なので、これを軽んじることのないような整理が必要であるといった御意見。2つ目として、国内の患者は、治験情報へのアクセスが限られた状況にあるのではないか。海外でのみ治験が始まっている場合の情報にアクセスできないことも問題であるといった御意見。3つ目は、患者側は、治験の情報にアクセスしづらい方等もいる。適切な情報が適切に伝わるように注意した上で検討すべきといった御意見を頂いたところです。
その上で、今回は検討の方向性(案)として、大きく2つの方向性をお示ししております。1つ目は、治験の参加者募集のための情報提供です。これについては、参加者募集の目的であれば、これを担保するための一定の条件、具体的には今後、更に詰めていく必要がありますが、例えば、参加者募集に必要な情報に限る、治験の実施期間中に限るなどといった一定の条件の下で治験薬の名称、治験記号等を含む情報の積極的な発信が可能となるように、薬機法上の広告の該当性について明確化してはどうかとしております。具体的な情報発信としては、例えば製薬企業や患者団体等がホームページやQRコードでのリンク、Web動画、SNS等で情報発信をしていくことを想定しております。
2つ目、対応②、結果などを含む治験の情報提供についてです。こちらは少し慎重にということですが、治験の情報を求めている方に対して情報提供ができるように情報が切り分けられていることを前提とした上で、治験の結果や海外の情報、レイサマリーなどの情報提供が可能となるように、薬機法上の広告の該当性について明確化してはどうかということです。具体的な情報発信としては、製薬企業の治験情報専用のWebページ等での情報提供などを想定しております。
このほか、例えば、患者会内部での情報共有なども、先ほど申し上げた第68条との関係で、可能なのかどうかといった懸念があるといった課題もあると認識しております。例えば、患者団体等が会員に、対応②の結果などを含む治験の情報を案内する場合などは、一般的には広告行為には当たらないと考えられるので、今後、患者団体等の方の場合を想定して、広告に該当しない事例を例示することを検討してはどうかとしております。
以上、申し上げたような方向性で、引き続き、例えば提供可能な情報の範囲等々、詳細を検討してはどうかと考えております。その際は、提供する情報の内容は、過度に患者の期待を煽る表現とならないなど、一定の留意点を示していくことも必要ではないかと考えております。説明は以上です。
○中山部会長 説明どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。花井委員、お願いします。
○花井委員 花井です。ありがとうございます。26ページの①については、もちろんjRCTの充実、使いやすさの向上というのは前提ですが、基本的には①はこれで良いのかと思います。問題なのは、②のほうです。こちらは書いてあるとおりのことを御検討いただければいいと思いますが、ただ、企業にしても、どこまで言っていいか分からないから保守的になるということもあります。あと、患者に過度な期待と言うけれども、例えば、ここで得られた情報を患者会が出すときに、過度な期待というか、患者は新薬に過度な期待をしているのです。今度のものはすごいらしいとか、癌の世界でもそうですし、我々の世界でも同じような形で。そうすると、情報を出すときに、例えばYouTubeで作ったとして、「これがうまくいったらすごいよね」「これはゲームチェンジャーだよね」という発言を患者会のメンバーが動画で患者会に上げたらどうかというと、これはここに当たらないだろうけれども、正に、これこそが、企業からすれば嬉しい動画で、それは患者自身がもともと期待感を持っているのは通常であるところなので、もちろん、製販の方々はあえて煽らないようにと抑制的ですが、むしろ、患者のほうが期待してしまっているので、患者会が二次情報として提供するときに、やはり、そこに持っていく可能性があるので、それをどこまで、クライテリアとして線引きするのかは難しい問題もあると思いますので、ここに書いてあるとおり、具体的な例を挙げて、企業も情報提供が萎縮しないようにすべきだし、患者会もきちんと情報を得て、それを正しく発信するべきなので、そこのところは明確にするということです。曖昧にすると、製販の方々は、心配だから保守的になり、やらないということになるので、そこを明確にするのが難しいとは思いますが、②については、基本的には、この方向性で賛成ですが、意外に線引きは大変だということです。よろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。本当に難しいですが、重要な問題だと思いますが、事務局、現時点ではいかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございます。②のほうは、御説明の中でも申し上げたとおり、治験の結果等々含む情報ということで、より慎重に対応する必要があると考えております。そういった意味で、情報を求める方に限って情報提供を認める、広告に当たらないということを明確化するということで御提案をしているということです。
そうした中で、企業の皆様からも情報を求める方に対する情報提供が必ずしも明確ではないのではないかといった御意見も頂いておりますので、今後、更に具体化していく過程では、そういったことも踏まえて検討しなければならないと思っております。患者会の中での取り扱いについても、この場合は広告に該当しないということが例示できないかというように御提案をさせていただいておりますが、頂いた御意見を踏まえて慎重に検討したいと思います。ありがとうございます。
○中山部会長 どうもありがとうございました。山口委員、お願いします。
○山口委員 35年にわたって多くの電話相談を受けてきたのですが、患者側で一生懸命治験の情報を取ろうとしに行かれるのは患者会の方と、治療方法がほかにないと言われて藁をもすがるような思いの方と、どちらかかなという気がしており、一般の患者さんにとっては余り身近な存在ではないのです。
今回、患者団体からも要望があったということで、恐らく、それは治験のことについて常にウォッチしていて、情報が欲しいと思っていらっしゃって、治験をある程度理解しているからこそ、もう少し情報が必要なのだということをおっしゃっているのだと思います。
ですが、やはり一般の患者さんで、治験で何とかと思っている方には、先ほどから出てきていましように、あまりにも期待を抱かせてしまうような誘導になると危険だなと思いますし、それで結果が出たときに、こんなはずではなかったということになると思いますので、先ほど花井委員もおっしゃいましたが、対応②の所は慎重にする必要があるかと思っています。
患者団体は会員に案内をするというのは広告ではないと。これはよく理解している患者会の場合は問題ないと思いますが、必ずしも治験の内容を適切に理解していないような案内になってしまうと、そこはミスリードになってしまいますので、私もやはり、より具体的な例示をどこまでできるか分かりませんが、分かりやすく、こういうことなら問題ないですよということをしっかりと分かるようにしていただくことと、相談できるような仕組みと言いますか、そんなものが大事ではないかと思いました。
○中山部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 ②のほうは慎重に検討をという御指摘だと思います。先ほど花井委員の御意見に申し上げたとおりですが、患者様の中にも様々な方がいらっしゃるということもありますので、そういったことも含めて、どのような例示が可能か丁寧に検討してまいりたいと思います。
一方で、比較的分かりやすくということも重要かと思いますので、そういったことも踏まえて検討してまいりたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございます。本当に大きな課題で、これは国民全体の課題かとも思いますので、どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。それでは、ネットのほうで、伊藤委員、村島委員、北澤委員、山家委員の順で御発言いただければと思います。まず、伊藤委員からお願いします。
○伊藤委員 私も26ページの対応①②の部分について質問を申し上げたいと思います。コメントとしては、やはり情報の必要性と言うのですか、お互い必要としている、提供する側も開示したいし、求めている側も欲しいと思っている情報の差がなくなるということは、とても良いことだと思っています。そうは言っても、基準が曖昧で、例えば製薬企業側は、過度に自主規制してしまうようなことが実態として起こってしまうことがないように今後とも明確化の方向性をきちんとしてほしいというのがコメントになります。
質問は少し細かいのですが、確認させてください。まず、対応①の所です。QRコードでのリンクとか、Web動画等での情報発信ということですが、これはコードを読み込んだり、Web動画を閲覧するという行為が、今までも規制されていた情報提供を求めるものと考えられるので、こういった形での情報提供を可能にすると解釈するのか。それとも、そういったことをしなくても、とにかく参加者募集の目的さえあれば、情報発信というものに関して、QRコードとかWeb動画とか、そういったものをある意味、不特定多数という言い方は変ですが、誰でも自由に閲覧できるような形で参加者募集の目的ということであれば情報発信が、より可能になるという、そのどちらなのかを確認させていただきたいのが1点目です。
2点目は、例えば治験の結果で、第Ⅲ相のいわゆる人を対象とした臨床試験のときに、第Ⅱ相の結果をきちんと知りたいという患者さんもいると思いますが、こういったものも当然参加者募集の必要な情報として書くことができるのかどうかということです。どういう内容を想定していらっしゃるのかということを確認させてください。
3点目も似たような話なのですが、現行でも、いわゆる治験の情報を求めている方に対して情報提供ができるように情報が切り分けられていれば提供することができるということが書いてありますが、現行の規定よりも更に情報提供しやすいような方策ということで、今回の①②とも明確な差異があるのかということです。つまり、ここが具体的に違うぞという点があれば、よりきちんと教えていただきたいと思いました。よろしくお願いします。
○中山部会長 御質問ありがとうございました。それでは、事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。3点いただいております。1点目につきましては、今回、対応①ということで御提案を申し上げているのは、情報提供の目的が治験参加者の募集であれば、その情報提供の方法については、ここに「例えば」ということで書かせていただいてあるものなどについては認めていくと、目的で認めていくという考え方です。先ほどおっしゃった後者のほうです。
○伊藤委員 参加者募集の目的ということであれば、そういった形での情報発信であれば、もはや広告ではないという解釈になるわけですね。参加募集をしますということで、情報発信するということは、広告ではないという解釈ですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 広告には該当しないというように明確化できればということです。
○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○小園監視指導・麻薬対策課長 2点目は、どういった情報まで含むかという点につきましては、すみません、今後、よく検討していきたいと思っております。
3点目、治験の情報を求める方の解釈について、2つ目の提案は、引き続き、基本的には現行の令和5年の通知の考え方が残るということを前提にして検討するということになります。他方で、先ほど申し上げたように、企業等からは、どういった場合が情報提供を求める方に対する情報提供なのか明確ではないという御意見を頂いておりますので、その点については、より明確化を図れればと考えております。
○伊藤委員 承知しました。
○中山部会長 どうもありがとうございました。よろしいですか。伊藤委員と山本委員は、途中で御退席と伺っております。伊藤委員は、もしこの議題だけではなくて、その後の議題について、もし御意見があれば、今、承りたいと思いますが、いかがですか。
○伊藤委員 大丈夫です。お気遣いありがとうございます。
○中山部会長 それでは、山本委員、いかがですか。お願いいたします。
○山本委員 今の点に関しては、私もこの方向でよいかと思います。対応①は、形式的に目的が異なりますので、比較的疑義が少ないと思います。②は、一般的な情報提供となりますと、目的が必ずしも広告の目的と明確に区別できないので、結局は、形式的に、必要な情報提供の一種のフォーマットを作ることにせざるを得ないと思います。もちろん、対応策①のほうも、実際上はどこまでが治験の参加者募集のために必要かという、必要性が明確でないところもあると思いますので、いずれも明確化は必要だと思いますが、取り分け②については、形式的に切り分けをせざるを得ず、より慎重に、関係者とよく話し合って方策を考えていただきたいと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。それに対して、事務局からはいかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御指摘を踏まえて、よく検討したいと思います。ありがとうございます。
○中山部会長 山本委員は、お時間の関係があると思いますので、次の議題についても、何かあれば今承りたいと思いますが、いかがですか。
○山本委員 後のほうについては、特にございません。
○中山部会長 よろしいですか。どうもありがとうございました。それでは、またオンラインの委員の方々に戻りたいと思います。村島委員、お願いします。
○村島委員 患者団体についてです。私の身近な患者団体をみての意見になりますので、全てがそうではないかもしれませんが、最近は情報がインターネット等で入手できるということから、比較的若い層の患者さんたちは、患者団体に入会しないということをよく聞いています。したがって、患者団体が患者を代表しているという認識をちょっと変えないといけないのかなというのが、私個人の意見です。患者さんたちはネットでいろいろ情報を取る中で、学会のホームページなどを見に行くわけです。それで質問になりますが、①の所で、例えば「製薬企業や患者団体等が」という所の「等」の中に、学会は入っているのでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございました。事務局、いかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。基本的には含まれるものと考えております。
○村島委員 了解いたしました。
○中山部会長 ありがとうございます。次に北澤委員、よろしいですか。
○北澤委員 北澤です。幾つか意見を言いたいと思います。今までの方と重複している部分もあるのですが、まずは、対応①、対応②を考える前提として、今のjRCTをもう少し見やすくするというのが、まず必要ではないでしょうか。このjRCTのサイトにはいろいろ書いてあるのですが、患者の立場からするとちょっと見にくいとか、調べにくいということであれば、きちんと情報が整理されて公開されているjRCTの改良をまずやってほしいと思います。
関連して、最近ウェブサイトができた難病治験Webを見たのですが、これはjRCTの情報を難病の患者さんの治験に限定してまとめたものですが、jRCTそのものに比べれば見やすくなっていると思うのです。ですから、今ある情報を患者が調べやすくするというのはかなりできると思うので、一足飛びに広告してもいいということにするのではなくて、まずは、今の情報をもっと読みやすく、調べやすくするということを考えていただきたいと思います。
それに関連して、前回いただいた御意見の中に、なかなか自分でアクセスできない人がいるという御意見があって、その通りではないかと思うのですが、やはり、そこは医療従事者であったり、病院の中の図書室であったり、そうした方々がうまく支援してあげることで調べやすくなると思いますので、一足飛びに広告としなくても、今の専門家が関わる形でできることがまだまだあるのではないかと私は思っています。
それと、もし、こういった形で広告をするのであれば、そもそもみたいで恐縮ですが、まずは、治験とは何なのか、何のためにやっているのかという、そういったことを明確に示すようなものにしてもらいたいと思います。というのも、先ほども何人かの方から御意見がありましたが、やはり治験の情報を求めたいときは、今の治療では何ともいかないということで、かなり期待されている、あるいは期待したくなっている状況だと思われますので、どうしてもポジティブに解釈しがちだと思うのです。しかし、治験薬が本当にいいのかどうか分からないから試験をしているわけで、そういったところをしっかりと示すような情報提供でないと、いたずらに誘引するというか、正に、薬機法の68条違反になるような表現が出てこないとも限らないので、そこのところはしっかり考えてやってもらいたいと思っております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございます。まず、jRCTについてですが、担当は他部局になってしまいますが、情報へのアクセスという面で、課題が指摘されていると承知しております。よりアクセスしやすいユーザーフレンドリーなデータベースにするといった方向で改修の検討を進めていると承知をしております。どちらがということではなく、今あるjRCTの改善、私どものほうで検討する広告規制の整理を併せて、トータルで治験情報へのアクセスが、より改善していく、そういった環境を作っていくことが重要なのではないかと考えております。
その際、委員がおっしゃった治験とは何なのかといったようなこともお示しするべきという御意見ですが、今回、治験広告に関する規制の見直しをするに当たりましても、先ほど来申し上げているとおり、過度に患者の期待を煽ることのないような形にすることが重要だと考えております。そういった意味で、一定の留意事項というのは必要だと思っております。今後、参加者募集に必要な情報は何かについても更に検討していく必要がありますので、その中で、今いただいたような御意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、山家委員、よろしいですか。
○山家委員 過度に期待を持たせるという話がこれまで出てきています。もちろん、それもあると思いますが、治験に関してという意味では、もしかしたらそちらだけでいいかとは思いますが、患者側として過度に不安を煽るみたいなことも、やはり考えなければならないかと。これまで話題になってきた新しいものに対する期待という意味では、ここは外していいかもしれませんが、患者団体と過度な不安、期待みたいなことは、考え方のベースに置くべきかと考えました。
それから、具体的な話として、今回、現在ある問題としては2つあって、治験が治療の1選択であるような患者さんたちに関して、唯一の治験というものが選択肢としてあるケースもあるということから、期待ということになってしまう部分と、少し環境によって治験にたどり着く患者さんと、そうではない患者さんがいて、それに関して、やはり放置してもいいとは考え難いというところで、将来的にjRCTのデータベースと、例えば、これは今すぐではなく、オンライン資格確認みたいなところで、将来的に自動的にマッチングするというところを視野に入れる必要はあるのではないかと考えます。それが1つです。
それから、具体的に26ページの検討の方向性の対応①②とも、これまで申し上げたような意見から、私は同意したいと思います。特に、皆様がおっしゃっているように、①よりも②に関して問題があるというところも、これまでの御意見に同意します。ただ、患者団体からの発信を制限しすぎてしまうことは、これから患者の自己決定が重要視されていく時代に関して、そこについても否定することにつながりかねないので、やはり、ある程度患者団体からの発信・指針というのは重要かと思います。ただ、御懸念の点というのは、もちろんそのとおりだと思いますので、やはり参考にする指針として、事例の提示というのは非常に重要ではないかと私は考えております。特に、簡単な、すごく分かりやすい1例、2例、極端に大丈夫な事例、極端に大丈夫ではない事例だけでなく、ちょっとどう考えたらいいのかなという部分の考え方の指針になるようなものがあれば、患者団体としても、より適切に発信できるかと思いますし、むしろ、そこに関して適切に考えて発信したいと積極的に考えている患者団体も多いかと思いますので、その辺りも考えて、より分かりやすい事例というのをお伝えいただけるとよいかなと思いました。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございます。事務局からお願いします。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御意見ありがとうございました。jRCTに関する御提案につきましては、担当部局に伝えたいと思います。それから、患者団体による情報発信が重要であるという御指摘ですが、この点につきましては、患者団体の中で情報の共有が可能なのかどうかということでお困りのケースもあると思っておりますので、比較的分かりやすくということも踏まえつつ、どういった例示が可能なのか、先ほど来、様々な御懸念もいただいておりますので、そういったことも踏まえて検討していきたいと思います。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。中島委員、お願いします。
○中島委員 東京都の中島です。26ページの検討の方向性についてですが、自治体でも広告の相談や監視指導を行っておりますが、適切に指導し、また違反を防ぐためにも、こちらの資料に記載のとおり、広告の該当性について明確化することや、広告に該当しない事例を例示することは必要と考えておりますので、是非、御対応をお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございます。これは御提案という形ですかね。花井委員、お願いします。
○花井委員 すみません、細かい話ですが、対応②の所の情報の範囲で、要はパイプラインの話になってくると思いますが、そろそろ治験が来年ぐらいにできるとか、そういう情報というのはどうなのかと。これは1つ、この実例を私は知らないのですが、例えば2つの競合する治験があって、どちらに乗ろうかみたいな判断を患者がするとか。あと、実例としては、医療上必要性の高い医薬品検討会に出すかどうかのときに、無理に適応拡大を要請すると、実はもう、次の治験が用意されているのだったら、そちらに乗ったほうがいいよねとか、そういう判断があったわけです。企業も情報提供の形として、そういう開発の計画に近いところの情報というのは、②に含むのですか。そろそろ治験が始まるかもみたいな、どうなのですか。その辺はグレーかもしれませんが、どういう整理になっているのかを教えてください。
○中山部会長 ありがとうございます。なかなか微妙なところかもしれませんが、いかがですか。
○小園監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。情報提供可能な情報の範囲というのは、今後検討ということですので、御指摘も踏まえて検討したいと思います。
○中山部会長 そうですね。そういったこともあり得るということですね。どうもありがとうございました。ほかにはいかがですか。
それでは、先に進めさせていただきます。議題1については、本日の議論を踏まえて、事務局においては必要な対応を引き続き進めていただければと思います。よろしくお願いします。それでは、議題2に進みたいと思います。
失礼しました。茂松委員、どうぞ御発言ください。
○茂松委員 日本医師会の茂松と申します。遅れてきて申し訳ございません。指定濫用防止医薬品の所で御質問してもよろしいですか。
○中山部会長 どうぞ、よろしくお願いします。
○茂松委員 3つあります。まず、1つ目ですが、濫用のおそれがある医薬品、例えばデキストロメトルファンなどについて研究班で検討されていると思いますが、具体的な研究結果というのは令和6年度に出ていると思います。それを、まず教えてほしいということです。
もう1つは、令和6年度の第10回の制度部会のときに、濫用等のおそれのある医薬品の適切な販売を徹底するために業界としてのガイドラインを策定するということで、厚労省が協力するということでしたが、このガイドラインの現状について教えていただきたいというのが2つ目です。
3つ目は、国はきちんと適正使用を、ということで、薬物濫用方針に関する教育を進めているものの、実効性に関しては依然として課題が残っていると思っております。特に、若年者における市販薬の濫用や、SNSを介した薬物入手の問題がかなり深刻化していると思っておりますし、単なる知識の伝達だけでは対応は困難であると思います。取り分け、小学生などの低年齢者に対しては、薬物そのものの危険性を教えるだけではなく、その背景にある心理的要因にも目を向ける必要があると思います。そこには、家庭環境の不安、いじめ、自己肯定、学力低下など、薬物乱用の根本的な動機というケースがあると思います。心のケアを含めた包括的な教育とか、支援体制として、学校における教員や養護教員たちが子供の変化に気付いて早期の支援につなげられるような仕組み、研修などの必要が非常に求められていると思っております。濫用したという結果だけではなくて、その行動に至った経過、どうしてそうなったのかという視点のアプローチが、かなり重要視されてきたと思いますが、これについて、厚労省はどのようにお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。
○中山部会長 どうもありがとうございます。それでは、3点御質問いただきましたので、事務局からよろしくお願いいたします。
○安川医薬安全対策課長 医薬品安全対策課です。御質問ありがとうございます。まず1つ目の濫用等のおそれのある医薬品に関してです。委員から御指摘いただいているのは、令和6年度の厚生労働省科学研究費の関係での内容であって、実際の一般的な濫用実態を踏まえた研究報告がまとまっているものです。その中で、こういったものを成分として指定すべきではないかとか、具体的な提言を頂いているところですので、調査結果も踏まえて、今回、制度改正の中での法施行に当たっての指定に関しても検討してまいりたいと考えているところです。1つ目に関しては以上です。
○大原薬事企画官 2つ目については、業界とのガイドラインの策定に関する状況についての御質問だったと思います。これについては、日本チェーンドラッグストア協会の方から原案を頂いており、私どものほうでも中身を議論させていただいているところです。これまで自主的に取り組んでいただいて、現場のしっかりとした対応が反映されている原案を頂いているということを今、申し上げられるところです。より分かりやすい形にできるように、フローの導入等も含めて今、調整をしているところです。2つ目については以上です。
○安川医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。3つ目については、単に販売制度の議論だけではなく、適正使用に向けた教育段階の関係とか、そういったところも十分に認識しております。オーバードーズの対策については、小学生や中高生向けの冊子の作成も行っています。あるいは、青少年を含む支援先をつなぐためのマニュアルなども作成しておりまして、そういったものを薬剤師や登録販売者が活用できるように促しているところです。
いずれにしても、この辺りは厚生労働省だけで完結するものではありませんので、販売制度の見直しを行う際に、併せて濫用に当たっての若年者の方々へのサポートも含めて、どういったことができるか、関係団体、関係省庁ともいろいろなところで共有して連携しながら、今後の課題として進めていきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。茂松委員、御質問どうもありがとうございました。
○茂松委員 ありがとうございます。前回お聞きしたときも、同じような答えを頂いているのですが、できるだけ実効性のあるものにしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中山部会長 この点は重ねて、事務局のほうで、どうぞよろしくお願いいたします。では、ここまでの議論はよろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは議題2に進みたいと思います。化学物質審査等検討小委員会とりまとめについて、事務局から説明をお願いいたします。
○林化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室でございます。資料2を御覧ください。ここからは少し医薬品とは少し離れまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、以下「化審法」と言いますが、この化審法に関する御報告となります。
化審法は平成29年に法改正をしておりますが、その際、改正化審法の附則におきまして、施行後5年において見直しの必要性の検討について定められているところです。この化審法の制度見直しの必要性について検討するために、令和7年1月24日に本部会におきまして、本部会に化学物質審査等検討小委員会を設けることについて御了解を頂いているところです。
その後、化審法を共管する経済産業省、環境省と合同で審議を行い、参考資料4にお示ししておりますとおり、報告書をまとめましたので御報告させていただきます。
2ページを御覧ください。はじめに、化審法について簡単に概要を説明させていただきます。まず目的です。化審法は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的としております。規制の概要ですが、新規化学物質の事前審査、上市後の化学物質の継続的な管理措置、化学物質の性状等に応じた規制及び措置を行っており、厚生労働省、経済産業省、環境省の三省の共管となっています。
6ページまで、化審法の規制概要をまとめておりますので、簡単に御紹介します。
3ページを御覧ください。化審法の対象となる化学物質の範囲をお示ししています。化審法上の化学物質は、図にお示ししているとおりです。「一般工業化学品に用いられる物質」となりますけれども、食品衛生法、農薬取締法、薬機法などで規制されているものは、化審法上の化学物質の対象とはなっていません。
続いて4ページを御覧ください。化審法による化学物質の分類です。化審法が制定された昭和48年時点で、既に世の中に存在していた化学物質は、そのリスクに応じて図の右側の部分に記載しています「第一種特定化学物質」から「一般化学物質」まで分類されていて、それぞれの分類に応じた管理が行われているところです。
一方で、それ以外の化学物質は「新規化学物質」に分類され、上市前に事業者が提出したデータに基づき、事前審査を経て通知を受けた後、当該事業者は上市が可能となります。ただし、省令に基づき、通知後5年を経過した後に名称が公示され、一般化学物質に分類されます。この新規化学物質の事前審査では、左側の下のほうにありますけれども、環境排出量が年間10トン以下、若しくは1トン以下の場合などには、特例的に事前確認により上市できる特例制度を設けています。
5ぺージを御覧ください。ただ今申し上げました化審法における新規審査の特例制度の詳細をお示ししています。化審法は少量多品種産業にも配慮して、合理的な制度設計にしていて、数量上限などの一定の条件を満たした化学物質については、通常の届出によらず、事前の申出・確認により製造・輸入できる特例制度を設けております。詳細は下段の表のとおりです。
続いて6ページを御覧ください。上市後の一般化学物質については、国においてスクリーニング評価を行い、リスクは十分に小さいと言えない物質を選定して、「優先評価化学物質」に指定しています。また、優先評価化学物質については、更にリスク評価を行い、人又は生活環境動植物へのリスクが認められる場合に、「第二種特定化学物質」に指定しています。以上が、化審法の規制の概要となります。
続いて7ページを御覧ください。ここからは化審法の制度の見直しの必要性の検討についての説明となります。
まず、議論の背景です。平成29年改正化審法の附則第5条において、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と定められているところです。
これを受けて、厚生労働省、経済産業省と環境省の三省による合同委員会の場で、昨今の国内外の状況を踏まえた検討課題を整理し、対応について議論を行いました。
8ページを御覧ください。平成29年化審法改正の概要です。
まず、1.背景ですが、少量多品種の機能性化学物質のニーズの増加により、審査特例制度のニーズが増加しているところ、改正前の審査特例制度では、各事業者が申し出た新規化学物質の製造・輸入量の合計が上限を超えた場合、国が製造・輸入数量の数量調整を行い、その数量調整に伴い、事業者は製造・輸入数量を予見できずに事業機会を失うというようなケースが発生していたという状況でした。また、新たな化学物質の中には、毒性が非常に強いものが出現しており、これらの管理の在り方が課題になっていたという状況でした。
こういった状況を踏まえて、改正内容は、3.措置事項の概要を御覧ください。まず、左側の(A)ですが、審査特例制度における全国数量上限を、正常輸入数量から環境排出量換算の基準に見直しました。それにより、数量調整が行われるケースが減少し、事業者の予測可能性が確保されるというものです。また右側の(B)ですが、一般化学物質に該当するとされた化学物質のうち、毒性が非常に強いものについては、国がその旨を通知し、譲渡等における情報提供の努力義務を課すなどの所要の措置を講ずることにしました。
続いて9ページを御覧ください。化学物質審査等検討小委員会とりまとめ報告書のポイントです。まず、平成29年改正化審法の施行の状況ですが、平成29年改正化審法により、国が製造・輸入数量の調整を行う機会が顕著に減少し、事業者の予見可能性については一定程度高めることができたこと。また、環境排出量の推計からも、その影響に変化が見られないことから改正事項は概ね順調に施行されていると評価できるとされています。
また、「主な今後の検討課題」ですが、1つ目の審査特例制度については、行政手続きの効率化のため、オンライン申請を原則とする等の更なる取組の推進や、事後監視につきましても、例えばオンラインを活用した検査等の実態に即した方策を検討してはどうかと、報告書には明記されています。
また、2.スクリーニング・リスク評価についてですが、NAMsについては、既存の試験方法と比べて同等の精度・再現性があるわけではなく、評価のためのコストもかかり得るとの指摘もあるが、その利用方法によっては、化学物質のリスク評価の高度化・合理化に資する場合もあることから、別途検討の場を設けて、課題の洗い出しやNAMsの活用可能性等について検討してはどうかと明記されています。
また、3.持続可能な化学物質管理については、国際的に、化学物質管理に取り組む事業者が市場で評価されるような仕組みの構築が注目されているところ、例えば、現状における名称を公示する必要性と競争条件を著しく歪めないための配慮の必要性を確認し、確認できるリスクに応じて名称公示までの期間に差を設けることなどで、「より安全な代替の開発」を促進するような施策を検討してはどうかと明記されています。
これらの検討課題等については法改正は実施せずに、運用面に関して引き続き、三省で検討していくというところです。
最後に、10ページですが、こちらは参考情報となります。検討課題のうちの1つであるNAMSについて、欧米におけるNAMsの概念の一例を記載しています。欧米におきましても、NAMsは動物実験の代替や削減のために広くさまざまな技術、方法論又はその組合せなどであるとの考え方が示されております。
御報告の内容については以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。オンラインから本間委員、お願いします。
○本間委員 私自身は、現役時代に化審法にはずいぶん関わってきました。先ほど説明があった平成29年度の改正化審法の時代は、世の中にどのぐらいの化学物質があるかと考えると、CASベースで大体1億です。現在はCAS番号が3億ぐらいになっています。そう考えると、世の中には新しい化学物質がかなり多く排出されています。この全てが化審法の対象になっているわけではありませんが、化審法の対象になっている少量新規物質は、このところ急速に増えています。
こういった多量な新たな化学物質の安全性をどう評価するかというところで、従来の評価方法では当然追い付かないというのは明白です。そのために、最後に説明のあったNAMsの活用というのが世界的に広く推奨されています。
このNAMsというのは、当初はNew Approach Methodとされて、いわゆる動物代替法を意味していました。動物実験をできるだけ削減して、in vitroとか、in silicoとか、そういった手法に転換し、さらにはよりヒトへの外挿性の高いような試験法を開発することでした。その後、単なるメソッドではなくて、先ほど説明がありましたように、メソドロジーとして、戦略とか枠組みとかの総合的なアプローチを考えて、リスク評価を行うことが、新たな取組になっています。
ただ、中には、まだそうした取り組みに抵抗があるのも事実です。先ほどの説明でコストが高いとありましたが、NAMsは私としては、将来的には絶対に必要な方法なので、是非とも推奨していただきたいと考えています。特に、最後の「参考」の所で、NAMsについて海外の取り組みの具体例がいろいろ示されていますが、その中で、computational, modeling and read-across methodologiesといったようなことが書いてあります。これは、いわゆる現在は盛んに言われているAIやディープラーニングを使ったようなリスク評価法です。こういったものはこれからの時代には絶対に必要だと思いますので、今後、このような研究の促進や、実用化をを積極的に考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中山部会長 本間委員、どうもありがとうございました。これについては、事務局からいかがでしょうか。お願いします。
○林化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室です。本間先生からは、こういったNAMsに関しては将来的に必要なものであると、推進していくための研究も含めて促進していただきたいという御意見を頂戴したという理解です。
今後、NAMsの活用については、化審法において、どういったリスク評価に活用できるのかというところ、また、NAMsの概念も含めて検討させていただくというところですので、先生からいただきました御意見を踏まえた上で検討させていただければと思います。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。NAMsというのは、私も全然知識がないのですけれども、これを本間先生もしよろしければ、NAMsは例えば国内だと、どういったところが拠点となって研究が進められているようなものなのでしょうか。可能であれば御教示いただけるとありがたいのですが。
○本間委員 私への質問でしょうか。
○中山部会長 よろしいですか。まだ本当に、これからの新しい領域というような認識でよろしいのでしょうか。
○本間委員 日本では、国立衛研が中心となってNAMsを推進しています。
○中山部会長 国立衛研、正に先生の、そうですね。分かりました。今後、厚労科研やAMEDなどで促進されることを期待している状況かと思います。どうもありがとうございました。
それでは、ほかに御意見はいかがでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、先に進めさせていただきます。
皆様、本当にいろいろな角度から御意見、御質問をいただきまして、どうもありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。
最後に、事務局から連絡事項等はございますか。
○笹子総務課長 次回の制度部会の日程につきましては、別途事務局から御連絡させていただきます。
○中山部会長 それでは、以上をもちまして、令和7年度第2回医薬品医療機器制度部会を閉会したいと思います。御協力、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。