2025年7月23日 中央社会保険医療協議会 総会 第613回議事録

日時

令和7年7月23日(水)10:00~

場所

全国都市会館大ホール 2階

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 佐保昌一委員
  • 髙町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 茂松茂人委員
  • 長島公之委員
  • 江澤和彦委員
  • 池端幸彦委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 主な施設基準の届出状況等について
  • 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて
  • 入院について(その1)

議事

○小塩会長
おはようございます。
ただいまより第613回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りは、この辺りということで、お願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「主な施設基準の届出状況等について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料は、総-1-1「主な施設基準の届出状況」と、それから、総-1-2「主な選定療養に係る報告状況」でございます。
この資料は、毎年各医療機関等から地方厚生局への定例報告に基づきまして、主な施設基準の届出状況、それから、主な選定療養に係る報告状況について、定期的に報告をさせていただいているものでございます。今回、令和6年8月1日時点における報告状況を取りまとめてございます。
これまで、令和5年までは7月1日時点での報告となっておりましたが、令和6年度診療報酬改定が6月施行と変更になったため、それに併せて報告時期を8月1日と変更しております。
また、施設基準のほうは過去3年分、選定療養に関するものは過去4年分を資料として取りまとめてございます。
個々のデータの説明につきましては省略をさせていただきますが、、今後の審議等の際に、活用・議論いただくものとして、これらの数字を資料としてお示しする形で報告をさせていただきます。
簡単ではございますが、説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑は、この辺りとしたいと思います。
続きまして「医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。総-2-1、それから、総-2-2の資料を御提出しております。総-2-2のほうが、改定などに使う、いわゆる短冊の形式でございますけれども、同じ内容でございますので、総-2-1のほうを基に御説明をさせていただきます。
「医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて」です。
2ページと3ページが、令和6年6月、今回の診療報酬改定で最初に決めていただいた内容となってございます。
そこから、4ページ、令和6年10月に見直しが行われまして、医療DX推進体制整備加算の1と2と3、これらがマイナ保険証の利用率によって差がつくという体系となりました。
そして、5ページ、令和7年4月からは、このマイナ保険証利用率の実績要件が引き上げられまして、1、2、3、それぞれ45%、30%、15%ということになりました。
また、小児科特例といたしまして、小児の患者さんが特に多いと考えられる一定の要件を満たす医療機関においては、15%のところを12%と読み替えることになっております。
また、電子処方箋の利用状況によっても差がついておりまして、1、2、3と4、5、6の差は、電子処方箋への体制ということでございます。
また、施設基準の(5)のところでございますけれども、これは、令和6年6月から、同じ内容が書かれておりますけれども「電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること」という要件の経過措置が、令和7年9月30日までとなっているところでございます。
6ページ、在宅医療DX情報活用加算についても、電子処方箋への対応によって差がついているということでございます。
7ページ、これまでの議論において、答申書の附帯意見をいただいておりまして、こうした内容に基づきまして、令和7年10月以降の実績要件の設定等について、本日御議論いただきたいと考えております。
8ページ「オンライン資格確認の利用状況」でございます。
真ん中にマイナ保険証の利用件数や、利用率をお示ししておりますが、このような形で上昇してきているところでございます。
9ページ、この医療機関ごとの分布をお示ししております。中央値としては、病院、医科、歯科、診療所、薬局とともに、30%あるいはそれを少し上回るところといったところになってございます。
第一四分位や、第三四分位についても同様にお示しをさせていただいております。
10ページ、年齢階層別に見たものでございますけれども、0歳から19歳の年齢階層では、その他の年齢階層と比べて利用率がやや低い傾向がございます。
こうした傾向を受けまして、現在、小児科に関する利用率の特例を設けておりますが、これを利用される医療機関、東京都をサンプルとして調査しておりますけれども、7,074医療機関のうち、15医療機関、率にすると0.2%ということでございました。
なお、お子様へのマイナンバーカードの利用促進策を12ページ、13ページにお示ししております。
14ページが、医療DXの推進に関する工程表の全体像となってございまして、大きく4つに分かれておりますけれども、2段目のところに、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの令和5年6月時点での目標等をお示ししております。
また、15ページ、16ページが電子カルテ情報共有サービスの内容、17ページが医療機関への補助の内容となってございます。
こうした目標を踏まえまして、18ページ、電子カルテ情報共有サービスのモデル事業を行っておりまして、19ページ、現時点で参加されている医療機関が共有を開始できたところで言うと5医療機関、また、まだ始まっていないところも含めると、御覧のような医療機関となってございます。
この電子カルテ情報共有サービスでございますけれども、このモデル事業期間中におきましては、個人情報の取扱いについて、20ページの資料にあるような取扱いで行っていただいておりますけれども、現在、国会のほうで継続審議となっております、医療法の改正においては、21ページにございますように、同意取得に関しても個人情報保護法の例外として提供する際には同意取得を不要とし、また、閲覧する際には患者の同意を必要とするといった内容を規定することを、今、御審議いただいているところでございます。
また、22ページにございますように、こうしたモデル事業を受けて、今後、本格稼働が始まるのが、令和7年度中となっておりますけれども、今年末以降、これを予定しているという状況でございます。
こうしたことを受けまして、当初の目標と少し変わっているところもございますけれども、23ページに電子処方箋、電子カルテの目標設定等をお示ししております。
電子処方箋につきましては、薬局については、この夏には、おおむね全ての薬局での導入が見込まれておりますが、一方、医療機関への導入は1割程度にとどまっております。
医療機関においては、電子処方箋の導入を進めるためには、電子カルテが導入されていることが重要であるため、電子処方箋の新たな目標では、電子カルテ共有サービスと一体的な導入を進めることとし、患者の医療情報を共有するための電子カルテを整備する全ての医療機関への導入を目指すといった目標となってございます。
また、電子カルテ情報共有サービスの普及策につきましても、電子カルテの導入と一体的に進めていく必要がございますので、電子カルテの導入済みの医療機関におきましては、次回更改時にシステム改修等の実施を進めていくことを掲げてございますし、電子カルテ未導入の医療機関におきましては、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋にも対応できる標準化された電子カルテの導入を進めていくという、そういう普及策を講じていきたいと考えてございます。
いずれにしても、当初掲げた目標よりは、相当程度後ろ倒しにした目標設定を設けまして、今後進めていくことになってまいります。
24ページ、こうしたことを受けまして課題と論点としてまとめてございます。
課題のほうは、今、おおむね申し上げたとおりでございまして、論点として現状のマイナ保険証利用率や年齢階層別に利用率が異なることを踏まえ、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率の実績要件や、小児科特例について、次のページのとおりとしてはどうか。
また、電子カルテ情報共有サービスの議論の進捗状況を踏まえ、令和7年10月以降の評価の在り方について、次のページのとおりとしてはどうかとさせていただいております。
25ページが、その内容でございます。
医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率の実績要件について、これまでの利用率の実績や令和7年12月1日に発行済みの健康保険証への経過措置が終了することを踏まえ、今後も、より多くの医療機関、薬局で医療DX推進のための体制を整備いただきつつ、時期に応じためり張りのある評価とするため、マイナ保険証利用率の実績要件を、令和7年10月から令和8年2月までと、令和8年3月から同年5月までの2つの時期に分けて新たに設定をする。
小児科特例について、これまでの年齢階級別の利用実績を踏まえ、対応を継続する。
電子カルテ情報共有サービスについては、先の通常国会に提出された「医療法等の一部を改正する法律案」の成立・施行により本格稼働となるところ、現在、当該法律案が未成立であることや電子カルテ情報共有サービスに関する対応等を踏まえ、経過措置を令和8年5月31日まで延長する。
マイナ保険証の利用率の基準につきましては、表のとおりでございますけれども、令和8年2月までは、加算1、2、3、それぞれ60%、40%、25%。3月以降については、それぞれ70%、50%、30%という案でございます。
これまで、この報酬の見直しにつきまして諮問をさせていただいて答申をお願いしておりましたけれども、今回、事務局からお諮りする内容につきましては、通知レベルの改正でございますので、諮問・答申という形ではなく、このような形でお諮りをさせていただいて、もし御了承いただければ、事務局のほうで通知、周知等の準備を進めていただきたいと考えてございます。
説明は以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
ただいまの説明を踏まえた25ページの見直し案について、異論はありません。その上で、3点コメントいたします。
まず、マイナ保険証の利用率実績要件についてです。
医療機関や薬局が、マイナ保険証の利用促進にしっかり取り組んでいても、医療現場には責がない要因により、利用率がなかなか上がらない場合があるという実情への理解に基づく評価はもっと必要であるとは考えますが、マイナ保険証の利用率が少しずつながら着実に伸びていることを踏まえ、2つの時期に分けたこと、年齢階級別の利用実績を踏まえ、小児科特例が継続されることなどから、見直し案を了承したいと考えます。
次に、電子カルテ情報共有サービスの要件についてです。
石川県の地域医療連携ネットワーク「いしかわネット」による情報共有が平時に加え、令和6年能登半島地震でも、避難者の医療に大いに役立ったように、電子カルテ情報共有サービスにおいても、平時と有事の有用性は今後大いに期待されます。
しかし、資料で示されたモデル事業の進捗状況や、本格稼働の前提となる医療法改正が実現されていない実態を見れば、案のように、経過措置の延長は妥当であります。また、今後も普及状況などの実態を丁寧に踏まえた検討が必要であると考えます。
最後に、今後、マイナ保険証に関わる医療現場の混乱や負担が増える2つの事態が想定されます。
1つが、健康保険証の新規発行停止に伴う有効期限切れです。国民健康保険では、多数の自治体で8月1日以降、社会健康保険でも12月に向けて、健康保険証の有効期限切れが相次ぎますが、患者、国民の理解は十分ではないと思われます。
もう一つ、9月からスマホでもマイナ保険証が使えるようになりますが、医療現場の対応はまだまだできていません。これらによる医療現場の混乱や負担増大を防ぐためには、また、マイナ保険証の利用率がさらに上がるためには、国がまず責任を持って前面に立ち、さらに医療現場、保険者も一体となって、患者、国民への丁寧な周知や医療現場へのさらなる支援強化など、環境整備に取り組む必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
24ページ、25ページに示されました論点と見直し案につきまして、歯科の立場から意見と要望を述べさせていただきます。
事務局から提案のありました時期に応じためり張りのある評価ということで、2つの時期に分けて設定することは、マイナ保険証利用率の推移等からも妥当と思いますので、賛同いたします。
25ページに、令和7年10月からのマイナ保険証利用率の実績要件案につきましても、令和7年1月の附帯意見に示されました、実態を十分に勘案した上で検討、設定することという、これまでの流れに沿ったものであると理解しております。
ただ、本日お示しいただきました参考資料の27ページでは、歯科において、各都道府県の届出割合に大きな隔たりが見られます。歯科診療所での患者さんへの声がけや院内掲示などの工夫はしておりますけれども、患者がマイナ保険証を保有するか、また、保有しても持参して使用するかどうかは、患者さんの意識によるところが大きく、日々の臨床に追われている中で、医療機関側の努力も限界の部分があります。できれば、診療報酬以外でもマイナ保険証の利用率を底上げする方策など、同時に御検討いただけると幸いでございます。
最後に、国民のマイナ保険証の利用が増えることが重要だと思います。28ページに、7年5月時点のマイナンバーカード保有状況が示されており、マイナンバーカードの保有者は78.6%、マイナ保険証の登録者は、カード保有者の86%と示されており、国民の67.6%と、3人に1人はまだ持参していないという状況にあります。
厚生労働省におかれましては、引き続き医療DXの基盤であるマイナ保険証のメリットを国民に理解してもらえるよう、よろしくお願い申し上げます。
私からの要望になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
医療DX推進体制整備加算の見直し案については異論ありませんが、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
まずは、電子カルテ情報共有サービスの導入についてです。
サービス自体が、まだ本格稼働していませんので、経過措置期間は延長すべきと考えます。
引き続き、厚生労働省においては進捗状況を把握し、現場に負担を生じさせないよう対応をお願いできればと思います。
次に、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率の実績要件についてです。
マイナ保険証の活用を伸ばしていくという趣旨については理解いたしますが、先ほど長島委員からもありましたけれども、現場の努力だけでは伸ばせません。
今、大杉委員からも28ページのところの、現在、全国民の約68%がマイナ保険証の登録をしているという話がありました。
まずは、保有者、登録者を増やしていく必要があると考えます。
その上で、今年の7月31日には、国民健康保険に加入されている方の保険証の有効期限が切れることや、12月には、健康保険証の期限を迎えることから、マイナ保険証に移行されていない方々には資格確認書が発行されます。
厚生労働省においては、対象となる人数が把握されているようであれば教えていただければと思います。
また、資料の9ページの利用率のグラフを御覧いただければと思います。
右の下が薬局ですけれども、医療機関と比べて山の形が少し異なっております。どの薬局でも、マイナ保険証の利用に積極的に取り組んでいますが、現状、15%以下の薬局はかなりあり、薬局ではボリュームゾーンが医療機関とは異なっています。
この傾向について事務局として、もし把握しているようなことがあれば教えていただければと思います。
また、34ページ目を御覧いただければと思います。
34ページ目に、施設類型別、都道府県別の利用実績がありますが、薬局のところで利用率の一番高い県と、次のページの低い県で約3倍の開きがあります。今後可能であれば、都道府県別、保険者別のオンライン資格確認ベースではない利用率を公表していただき、利用率向上に向けて検討していくべきと考えます。
幾つか質問をさせていただきましたので、もし回答できるようであれば、お願いしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま、森委員から幾つか質問をいただきましたけれども、事務局いかがでしょうか、お願いします。
○山田医療介護連携政策課長
医療介護連携政策課長でございます。
森委員からの御質問につきまして、御回答させていただきます。
1点目は、7月末、12月、どれぐらいの方が資格確認書のほうに移行するのかということでありますけれども、7月末は、主に市町村国保の方々が旧保険証の有効期限を迎えます。その人数が約1700万人でございます。また、12月には主に被用者保険の方々が期限を迎えます。この方々の加入者数が7700万人でございます。
先ほどの参考資料にありましたとおり、今、マイナ保険証に登録していない方が3割と少しということですので、1700万と7700万に0.3超を掛けたぐらいの資格確認書が発行されるという数字になってございます。
もう一つ、薬局の利用率のボリュームゾーンが、ほかの類型と異なることについて御質問をいただきました。詳細な利用状況の把握、分析をしているものではありませんけれども、薬局におきましては、そもそもマイナ保険証資格確認書だけでなくて、処方箋で資格確認がオンラインで行うことができます。
その中で、患者が提出する処方箋で、オンラインで資格確認まで対応しているという事務をされている薬局が左側のほうに利用率が比較的低いほうに行くのではないかと考えております。
3点目、可能であれば都道府県別、保険者別のオンライン資格確認ベースではない利用率を出してはどうかということであります。
今後、利用促進に向けてどういうデータをお示ししていくのがよいのか、分かりやすい情報発信として、どういったものがいいのか、いただいた御意見も参考に、引き続き検討していきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
森委員、お願いします。
○森委員
御回答ありがとうございました。
ボリュームゾーンは、医療機関と同様に、どの薬局でも取組をしているところですが、これはどういうことなのかなというのは、気になるところです。
それから、薬局、医療機関では、マイナ保険証を活用することによる有用性などについてしっかりと説明しているのですけれども、丁寧に何回も説明しても利用いただけない方、また、最近の現場感となりますけれども、資格確認書が届くから、それでよいという患者さんが増えてきております。このことは、自治体の資格確認書発行の方針にも影響を受けます。
また、マイナンバーカードを更新するために、役所に行かなければならないという手間のため、更新のたびに脱落していく方が出てくることが予想されます。医療のDX化を進めていくことは重要ですけれども、現場がこれ以上、この対応に疲弊しないよう、適切な要件設定とともに、7月31日、それから12月に大きな波が来ますので、関係省庁や保険者などにおいては、マイナ保険証の利用促進を強力に進めていただくようお願いできればと思います。
また、今後、施設による使用率の差、都道府県別、保険者別の使用率の差、資格確認書の利用状況などをしっかりと分析して、さらなる使用促進を図るべきだと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょう。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、25ページに示されております事務局案につきましては、了承いたしたいと思っております。
ただ、医療DXに関する診療報酬上の取扱いにつきましては、令和8年度改定に向けて現行の取扱いを前提とはせず、しっかり議論すべきだと考えております。
実態の検証を含めまして、可能な限り直近のデータに基づいて議論をできますよう、事務局に準備を要望いたします。
それでは、24ページに示されております論点に沿ってコメントいたします。
1つ目のマイナ保険証の利用率についてでございますが、今年12月に従来の保険証の経過措置が終了することを踏まえ、保険者としても、さらなる利用率の向上に取り組んでいるところでございます。
この加算について、期間を2つに分け、12月の実績を反映する形で、来年3月に基準値をさらに引き上げるという2段階の対応は妥当だと考えます。
その上で、9ページに示されております、直近の今年4月におけるマイナ保険証の利用実績を踏まえ、今回の3区分の基準値それぞれについて、受け止めを申し上げたいと思います。
まず、加算の1、4についてですけれども、4月の第三四分位数が4割弱から5割弱ということで、60%の基準値は当然視野に入ってくるべきだろうと考えます。
マイナンバーカードの保有状況や、マイナ保険証の登録状況などを踏まえますと、最終的に70%に引き上げることが、目標となる水準として極めて重要だと認識しております。
続きまして、加算の2と5につきましては、4月の平均値や中央値が30%程度であることや、そもそも既にマイナ保険証が原則になっていることを踏まえると、最終的に半分の50%というのは、やや物足りない印象もございますけれども、全体のバランスとしてはやむを得ないと考えております。
次に、加算の3と6ですけれども、4月時点で第一四分位数が20%を超えている中で、算定できない基準とはいえ、当面25%というのは、医療現場にかなり配慮したものと認識しております。
速やかに30%になりますよう、医療現場において、マイナ保険証の底上げにも、ぜひ取り組んでいただきたいと考えます。
次に、小児科特例につきましては、前回1月29日の答申の際に、小児科でもマイナ保険証を活用した質の高い医療を推進する観点から、期間と対象施設を限定することや、従前よりハードルを上げることを主張いたしました。この考えは、今も変わっておりません。
ただ、10ページを拝見しますと、子供のマイナ保険証の利用率も伸びてはおりますけれども、依然として、成人に比べて低い状況にあり、特に0歳から4歳につきましては、マイナカードそのものの保有率が低いことが分かります。
したがいまして、親御さんの事情も考慮し、今回も基準値を引き上げることを条件として、特例を継続することは一定程度やむを得ないと考えます。
続きまして、2つ目の論点であります、電子カルテ情報共有サービスにつきましては、先ほども御説明がありましたが、医療法改正が継続審議となり、医療現場で広く活用するための法整備が完了していないという状況は理解しております。電子カルテ情報の共有は、医療の質の向上や効率化につながるものであり、保険者としても大変期待しておりますが、この段階では、経過措置の延長はやむを得ないと考えます。
最後に、令和6年度改定の答申以降に、この加算について何度か議論をする中で、マイナ保険証の利用率、電子処方箋、電子カルテをまとめて医療DXとして評価するのは、少々無理があるように感じております。
医療現場への普及状況がそれぞれ異なり、体制整備がおおむね完了したものもあれば、これからのものもあり、また、医科、歯科、調剤で押さえるべきポイントが違ってくる部分も当然あると思います。
したがいまして、それぞれについて、診療報酬で評価する必要があるのか、また、評価するとすれば、どのような方法があるのか、今後丁寧に議論すべきだと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
7月以降の利用率につきましては、9ページ目のマイナ保険証利用率の実態に基づき、過去2回の利用率の設定の考え方を踏まえたものと受け止めております。
全体的な話になりますけれども、皆様もおっしゃっていましたように、マイナ保険証の利用率と登録率を見る限り、マイナ保険証登録をしていても、現在も引き続き保険証で医療機関を受診している方々がかなりの割合でいらっしゃることが想定されます。
そうした中で、今年の12月の経過措置期間が終了した後も、患者の皆様が問題なく保険診療を受け続けるためには、今からいよいよ12月には健康保険証が使えなくなることを周知するとともに、なるべく今からマイナ保険証に切り換えてもらう必要があると考えております。
2号側委員の皆様がおっしゃったように、12月以降に患者さんが混乱しないように、我々協会けんぽも加入者の皆様への周知啓発に努めてまいります。特に有効期限切れに関しましては、深く周知したいと考えております。
個々の医療機関の窓口での呼びかけが非常に負担になるというお声もありましたけれども、何よりもその行為そのものが患者さんに一番届いていると思いますので、より一層の働きかけをお願いしたいと考えております。
私どもも丁寧に周知をしていく所存でございますので、ぜひ一緒にマイナ保険証の普及に取り組んでいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
対応案について異論はございませんが、体制整備に関しましては、診療報酬ではなく、補助金などでの対応を検討してはどうかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
まず、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
期中の改定であることを踏まえれば、25ページに示されました、医療DX推進体制整備加算等の実績要件などの見直し案は、松本委員などからも発言がありましたけれども、やむを得ないと考えます。
一方で、当該加算は早期の医療DX定着に向けた政策誘導的な意味合いが強いと理解をしております。
そうした観点からは、加算を際限なく継続していくことには疑問を持っております。次期改定に向けては、実態の検証を行った上で、廃止も含めて加算自体の在り方を、抜本的に見直しを検討すべきと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
医療DX推進体制整備加算については異論ありません。また、電子カルテ情報共有サービスに関しましても、医療法等部改正法案が継続審議である状況を考えると、経過措置の延長はやむを得ないと考えています。
しかし、電子カルテの普及は、患者が安心して医療を受けるために必要なことでありますので、今後、できるだけ進めていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
今回の提案については、異論はございませんが、一言申し上げさせていただきたいと思います。
しっかりと医療DXは推進をしていかなければならないという立場でありますし、その中で、桑名市の国保の方たちのマイナ保険証に切り換えている方が1万3926人、それで、まだひもづけられていない方が6,435人ということで、先ほどのおよそ3割の方がひもづけられていないということは、桑名市としても合っていると感じておりますが、やはりここは大きな課題ですので、しっかりと基礎自治体としても推進できるように頑張ってまいりたいと思っております。
6月4日に開催されました全国市長会議におきまして、国民健康保険制度等の改善強化に関する提言が決議されまして、6月30日に全国会議員、また、関係する省庁のほうに提出をさせていただいております。
その中には、医療DXの推進等について、保険財政に支障が生じないよう、必要な財政措置を講じることと明記をさせていただいております。こういった提言もぜひ御考慮いただいて、医療DX化に対して診療報酬以外の新たな財源も確保をできないかという検討も必要ではないかと考えますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
今回の見直しにつきましては、現時点では、ある程度現実的な対応という形で考えております。
ただ、来年の令和8年度の診療報酬改定に向けては、やはり私ども患者のメリットや、効率的な医療という概念から、医療DXの何を診療報酬で評価するかという形、めり張りを意識しながら、改めて根本的な論議というのが必要ではないかと考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
この医療DXの基盤となるオンライン資格確認システムが、日本全国のほぼ全ての保険医療機関に導入・稼働された結果として、ほぼ全ての保険医療を受けている患者さんのレセプトベースの情報が共有されているということ、これが1億2000万人規模の国で、ごく短期間で実現できたことは、まさに世界に誇るべき成果であります。
これは、保険者と医療現場が本当に必死に頑張った成果でありますので、そのことを国として世界にもっとアピールしていただきたい、あるいは国民にアピールすべきです。こんなすごいことをやったのだと、医療現場と保険者が、こんなに頑張ったのだということ、これをまず認めるべきだと思っています。
それを前提とした上で、では、日本中に線路と駅ができましたが、その中で、どんな電車を走らせ、何を運ぶのかというところで、例えば、電子処方箋とか、電子情報のデータとかということになっていますけれども、これが本当に国民の役に立つために、あるいは、そのためには医療現場の負担が軽減する、あるいは保険者の負担も軽減するということも大きなメリットなので、国民のメリットももちろんなのですけれども、医療現場と保険者にもしっかりメリットがある仕組みにしないと、なかなかインセンティブが働きにくいので、国は、その辺を総合的に考えて、国と保険者と医療現場が一体となって頑張れるような取組をお願いします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。それでは、一通り委員の方々の間で質疑がなされたかと思います。
したがいまして、今回の医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しにつきましては、本日、事務局から提示された内容で進めていくということで、1号側、2号側それぞれよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、本日事務局から示していただきました内容を中医協として承認するといたしまして、事務局におかれましては、本日の議論も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
それでは、次に「入院について(その1)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3「入院(その1)」を基に御説明をさせていただきます。
2ページ、資料の構成としては「入院医療を取り巻く現状について」「入院医療等について」となってございます。前回の外来に引き続きまして「入院(その1)」でございますので、今回は各論の議論についての資料ではなく、全体像の議論の資料をお示しさせていただきますので、そうしたことを踏まえて、今後の着眼点、議論の方向性等について意見を交わしていただければと考えてございます。
資料の3ページ~17ページまでは、先日6月25日に提出させていただいた資料と同様でございます。入院に強く関係する部分を抜粋しておりますけれども、説明は割愛させていただきます。
18ページ「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」でございまして、この中で、基本的な考え方とともに大きな変更点として、病床機能、これまでの回復機能について、その内容に高齢者等の急性期患者への医療、すなわち治療やリハビリの提供機能を追加し、包括期機能として位置づけることや、医療機関機能の報告などについての内容が盛り込まれてございます。
19ページ、医療機関機能の名称でございますけれども、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能、医育及び広域診療機能、こうしたものが挙げられてございます。
20ページ、救急出動件数の推移を示ししております。高齢者の救急搬送人員が伸びているということでございますが、高齢者の増に伴って伸びるだけではなく、ほかの要因があるかということが21ページの資料でございます。
年齢階層別の救急搬送率でございまして、84歳までの階層では、大きな変化はございませんが、85歳以上の階層においては、人口当たりの救急搬送人員が伸びているということでございますので、高齢者が増えている影響以外に、救急搬送人員が伸びている何かの理由があるということになろうかと思います。
22ページから「入院医療の概況」でございます。
23ページが、前回改定の主な内容。
24ページは、本日、資料1でお示しした病床区分ごとの病床数などをお示ししております。
25ページが、コロナ前と比較した大きな増減の数字となってございますが、一般病棟入院基本料が約3万床余りの減少、地域包括ケア病棟入院料が2万床余りの増加、回復期リハビリテーション病棟入院料が1万5000床余りの増加、療養病棟入院基本料が8,000床余りの減少などとなってございます。
26ページ、年齢階級ごとの各入院料の算定回数でございますが、急性期においては、高齢者の入院日数があまり変わらない一方で、若年者の入院日数が減っていて、シェアとしては高齢者が増えている傾向がございます。
地域包括ケア病棟においては、高齢者の入院日数、特に85歳以上の入院日数が伸びているということでございます。
27ページ、入院料別の病床数の推移でございまして、急性期一般1の減少の傾向などが見て取れます。
28ページ、地域一般や、その他の病床の平均在院日数の推移でございます。
29ページが、入院料ごとの平均在院日数と病床利用率を令和5年、令和6年で比べておりまして、平均在院日数は多くの種類でやや減少ぎみ、病床利用率については、令和5年と比べると、令和6年のほうがやや増加してございます。
30ページが、療養病棟入院基本料に係る入院料別の平均在日数の推移となってございます。
31ページは、一般病棟の稼働率の推移でございまして、コロナの間かなり減少しておりましたけれども、令和6年は少し戻しております。
32ページは、同様に療養病棟の病床稼働率の推移となってございます。
33ページは、入院料ごと認知症の有無の割合。
34ページは、入院料ごとの要介護度の患者割合となってございます。
35ページは、入院料ごとの病棟の職員数、40床当たりということで表記をさせていただいております。
全職員数で一番多いのが回復期リハビリテーション病棟入院料で、看護職員やリハビリ職員が多くなってございます。
急性期の入院料については、次いで多くなってございまして、多くは看護職員によって占められております。
36ページは、入院医療費の総額の状況、そして、入院、外来の比率などをお示ししております。
37ページは、年齢階級別の人口1人当たりの入院の国民医療費ということでございまして、伸びの程度としては、10年間でこの程度ということでございます。
38ページは、既にお示ししておりますが、病棟種類ごとの1日当たりの平均のレセプト請求件数となってございます。
39ページ、40ページは、その構成の内訳を示ししております。
41ページから急性期、包括期、慢性期に分けて資料をお示ししております。
44ページ~48ページが、急性期の入院料に関する現行のルールをお示ししております。
49ページは、急性期1の届出病床数の動向で、先ほどもお示ししましたが、令和6年は、届出病床数が少し減った傾向がございます。
50ページは、届出医療機関数ベースで見たものでございまして、こちらのほうも急性期1が減少し、2や3が増え、4が減り、5や6が増えているという傾向がございます。
51ページは、一般病棟入院基本料の届出施設における他の入院料との組み合わせでございまして、例えば、急性期一般入院料ですと、小児入管や特定集中室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料などと併せて持っておられる病院が多いということでございます。
52ページは、一般病棟における平均在院日数や病床利用率をお示ししております。
また、53ページは、在宅復帰率の分布をお示ししております。
54ページ~56ページが、重症度、医療・看護必要度のルールについてまとめてございます。
57ページは、重症度、医療・看護必要度Ⅰ・Ⅱがございますけれども、どちらを届け出ておられるかということでございまして、急性期一般の1では、ほぼ全ての医療機関において重症度、医療・看護必要度Ⅱの届出となってございます。
58ページは、一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の平均値でございます。
59ページ~61ページ、総合入院体制加算と急性期充実体制加算のルールをお示ししておりまして、62ページが届出病院数の近年の推移をお示ししております。
令和4年に、急性期充実体制加算が設けられて以降、総合入院体制加算のIやⅡが減り、急性期充実体制加算に移行しております。
63ページは、病院数ベースで見ました救急搬送件数の分布となってございます。
年間救急搬送受入件数2,000件以上の病院が1,030、4,000件以上の病院が445という結果でございました。
また、64ページ、全身麻酔手術件数につきましては、500件以上の病院が1,375ということでございました。
65ページ、66ページは、DPCに関する基本的なルール。
そして、67ページがDPCの対象病院数の推移をお示ししております。
68ページ、リハビリテーション、栄養口腔連携体制加算の改正、改定内容を示しております。
69ページには、各職種の行っている業務の実態をお示ししておりまして、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等が、病棟でこうした業務をされているということが分かります。
70ページ、ここまでの論点をお示ししております。
急性期医療機能を効率的・持続的に、適切に確保するための評価の在り方について、人口減少や担い手の減少、新たな地域医療構想の取りまとめ等を考慮に入れた上でどう考えるか。
入院患者が高齢化し、急性期においても要介護者への対応、リハビリテーション等、生活を支える機能が求められている中での、急性期入院医療における病棟の機能とその評価についてどう考えるか、とまとめさせていただきました。
71ページからは「包括期入院医療」ということで、今回から、これまでの回復期に代えて、包括期という言葉を使わせていただいております。
72ページ~80ページまでが、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の診療報酬のルールや経緯についてまとめたものでございます。
81ページ、包括期の定義でございますが、医政局の取りまとめには、このような形で定義されてございまして、包括期機能につきましては、これまでの回復期機能に加えまして、高齢者等の急性期患者について、治療と入院早期からのリハビリ等を行い、早期の在宅復帰を目的とした治し支える医療を提供する機能、こうした内容が包括期機能に含まれることとされております。
82ページ、地域包括医療病棟の届出状況でございますけれども、こちらのほうは、先ほどの資料よりも新しいデータをお示ししておりますが、149施設7.8千床が届出をされております。
そうした医療機関において、他の入院料がどのように増えたり、減ったりしているかということを併せてお示ししておりますが、急性期一般1や急性期4-6などが減少していることが分かります。
83ページは、医療機関数ベースで見たものでございまして、地域包括医療病棟の届出後に減少した入院料ごとの医療機関数ということで、急性期一般1や急性期4-6が減少した医療機関が多いということでございます。
また、急性期一般入院料1が減少した医療機関においては、届出後も急性期病棟がある病院が多くなってございまして、急性期一般1の一部を転換した医療機関が多いのに対しまして、急性期一般の4-6のほうは、ほぼ半々となってございまして、急性期病棟の全てを地域包括医療病棟に転換した医療機関も相当程度あるということでございます。
84ページは、地域包括医療病棟と同一の医療機関で算定されている入院料についてまとめてございます。
急性期と併せて持っておられるところ、慢性期と併せて持っておられるところ、また、急性期と慢性期を全て持っていらっしゃるところなど、様々な医療機関があることが分かります。
85ページは、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を届け出ておられる医療機関の救急受入れの状況でございます。
同じ病院の急性期病棟で受け入れられているものも含んでおりますので、御留意いただければと思いますけれども、頻度や時間帯、そして、救急搬送の受入れ台数についてお示ししております。
86ページは、地域包括医療病棟と急性期一般2-6、地域包括ケア病棟の入院患者数の上位の疾患をまとめてございます。
地域包括医療病棟と急性期一般の2-6については、傾向がかなり似通ってございまして、肺炎や腎臓、また、尿路の感染症、こういったものが上位になってございます。
地域包括ケア病棟においては、白内障や小腸大腸の良性疾患というように、短期的な処置、手術を伴うような疾患についても上位に挙がってございます。
87ページが、地域包括ケア病棟の届出病床数の推移となってございます。
88ページは、地域包括ケア病棟と同一の医療機関で算定されている入院料をまとめてございまして、こちらのほうは、急性期と併せて持っている、あるいは急性期から慢性期までを全て持っているところが多くなっておりまして、急性期と併せて持っておられる医療機関が多いことが分かります。
89ページ、地域包括ケア病棟の入棟患者の入棟元でありまして、青と黄色でお示ししているのが、自院の一般病床や他院からの転棟、そして、赤でお示しているのが自宅等ということでございますが、赤、青、黄色が100%の医療機関から赤が100%の医療機関まで、様々な医療機関があるということでございます。
90ページは、地域包括ケア病棟の緊急患者の受入れ数ということでございまして、施設基準にもなってございますので、それをおおむね満たしているということでございますけれども、御覧のとおりとなってございます。
91ページからが、回復期リハビリテーション病棟入院料。
91ページと92ページが、施設基準や改定の経緯をお示ししております。
93ページ、届出病床の推移といたしましては、回復期リハビリテーション病棟、現在も利用者数としては伸びる傾向にございます。
94ページ、疾患別リハのシェアでございますが、脳血管疾患等が54.3%、運動器が38.2%となってございます。
また、右側の医療機関別に見ますと、運動器が90%、100%といったような医療機関や、脳血管が非常に多いという医療機関から非常に少ないという医療機関まで、医療機関ごとに見ると様々な医療機関がございます。
95ページが、実績指数に関するルール、そして、96ページがFIMの定義でございます。
97ページ、実績指数として、入院料1では40%、3では35%という基準がございますけれども、基準を満たして、さらに上回っている病棟を含めた実績指数の分布をお示ししております。
また、98ページには、入棟時と退棟時のFIMの変化の経年的な推移をお示しさせていただいております。
99ページ、包括期入院医療にかかる課題と論点をまとめてございます。論点のほうを読ませていただきます。
医療・介護の複合ニーズを有する高齢者に対し、地域包括ケアシステムの中で治し支える医療を持続可能な形で提供することを目指して、これらを担う病院の在り方やその評価について、どのように考えるか。
高齢者の入院医療を担う医療機関における、救急受入れや在宅医療の後方支援、高齢者の医学・生理学的特性を踏まえた包括的な治療、新設された地域包括医療病棟におけるアウトカム評価の在り方、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る一体的な取組や多職種の役割等について、どのように考えるか。
回復期リハビリテーション病棟における、質の高いリハビリテーションの在り方や、集中的なリハビリの効果が発揮される患者像、その評価方法や地域包括ケア病棟との役割分担についてどのように考えるかとさせていただいております。
続いて「慢性期入院医療」でございます。
101ページが、前回改定における見直しの内容、報酬体系の区分が9区分から27区分ということになってございます。
102ページが、その点数などをお示ししております。
103ページ~106ページまで、これまでの経緯などをお示ししております。
107ページは、新たな地域医療構想の取りまとめにおける療養病床に関する記述をまとめてございます。
108ページ、届出施設や病床数の推移でございます。経過措置の部分等が若干減少傾向にございます。
109ページが、医療区分2・3の該当割合でございまして、療養病棟入院料1においては、8割以上という基準でございまして、これを満たしている医療機関が大半ということでございます。
また、療養病棟の2のほうは、5割以上という基準になってございまして、満たしている状況は御覧のとおりとなってございます。
110ページは、療養病棟における患者が受けた医療行為・処置等の割合ということでございます。
中心静脈栄養について、報酬のルールの変更がございましたけれども、令和4年と比べて大きな動きはなかったと考えてございます。
111ページからが障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料でございます。
データのほうを御覧いただくと、115ページ、障害者施設等入院基本料の届出医療機関数や病床数につきましては、特に病床数について微増している状況でございます。
116ページは、入院料を看護の配置基準別に見ますと、病床数ベースで10対1のところが一番多くなってございまして、7対1のところも伸びている傾向にございます。
117ページから特殊疾患病棟入院料でございますが、118ページ、特殊疾患病棟入院料の病床数、医療機関数の推移となってございます。入院料2のほうが若干増加、1のほうが若干減少という傾向でございます。
119ページは、入院医療管理料のほうの状況となってございます。
120ページ、慢性期に関する課題、論点をまとめさせていただいております。
論点としては、療養病棟における医療区分の見直しの影響や、療養病棟を含む慢性期の病棟で提供すべき医療について、どのように考えるかとさせていただいております。
資料の説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
資料について意見を申し上げる前に、まず、本日の(その1)の議論において、最も強調しておきたいことは、病院経営が過去に経験のない危機にあるということでございます。
現状、御周知のように7割の病院が赤字であり、冬まで持たない病院もあり、入院患者さんを抱えたまま、ある日、突然、経営破綻する病院が現実にあるという異常事態を生じております。
これらにつきましては、公定価格である診療報酬が時代にそぐわず、大変低く設定されていることが要因であり、現状においては、大変ゆゆしき大きな問題であると認識をしております。
もちろん、機能分化と連携の強化あるいは医療機関の機能に応じた評価といった考え方もあることも十分承知しております。
これらの取組については、様々な事情を抱えた地域の医療機関がしっかりと対応できるように、1回の改定ではなく、複数回の改定により、十分な時間をかけて進めるべきものであります。
したがいまして、次回診療報酬改定におきましては、医療機関、病院や有床診療所の経営を、まさに治し支える改定が不可欠であり、これは強く要望したいと思っております。
それでは、資料について、幾つか意見を述べさせていただきます。
まず、16ページでございますけれども、平成21年に介護職員処遇改善交付金、そして、平成24年から介護職員処遇改善加算の取組が始まって以降、医療機関の看護補助者が減少傾向にあり、採用に苦慮しており、人材確保の取組を講じる必要もあろうかと思います。
今後の要介護高齢者の入院患者の増加に対しまして、従来の看護補助者のイメージではなく、介護施設の介護職員のごとく、介護ケアに対応する職員配置のニーズが高まるため、こちらも喫緊の課題と考えております。
続きまして、21ページです。
先ほど説明がございましたように、高齢者人口の伸びを超える救急搬送の増加の現状に対しまして、令和6年度の診療報酬、介護報酬の同時改定での高齢者施設と医療機関の連携により、救急車による搬送が減るというデータ、すなわち顔の見える関係の構築により、患者さんを介護施設の職員さんが連れて来られたり、医療機関が迎えに行ったりすることも増えてきております。特に包括期医療においては、しっかりとこういった連携を進めていく必要もあると考えます。
また、救急搬送を減らす観点からは、救急搬送件数を要件としている項目について、在宅や介護施設からの救急車による搬送以外の緊急入院を評価する仕組みの導入も検討の余地があると考えております。
次に、70ページの論点について申し上げます。
急性期入院医療については、重症度、医療・看護必要度が、最近の改定では、毎回厳格化され、対応できなくなる病院が急増し、舵取りに苦慮している病院が多々あります。
したがいまして、地域の医療提供体制に支障を来すことがないように、医療機関が存続し、しっかりと地域に貢献できる視点で議論することが不可欠であると考えております。
続きまして、99ページの包括的医療の論点について意見を申し上げます。
まず、1つ目の○につきましては、入院前から退院後を通じて、医療と介護の連携も含め、地域がメインとなって支えることの重要性については異論のないことと思います。
ただし、注意すべきは、こうした点に関わる診療報酬上の評価と、最適な医療提供体制を構築するための地域医療構想や、かかりつけ医機能報告とは直接関係するものではないということであります。
診療報酬の役割は、各地域の医療提供体制を支える仕組みを提供することであり、診療報酬によって、それぞれの地域に適した医療提供体制がゆがめられたり、誘導されるようなことがあってはならないと考えております。そういった点には十分注意しながら、今後の検討を進めることが大事だと思っております。
続いて、2つ目の○についてでございます。
地域包括医療病棟は、高齢者救急の受皿として前回改定で創設されましたが、例えば、内科系の評価が乏しい重症度、医療・看護必要度が、本来の役割である高齢者救急患者の病態となじんでいないこと。また、平均在院日数が21日であることや、退院時のADL低下が、5%未満といった施設基準は回復に時間がかかる高齢者を対象とした入院料としては、大変厳しい内容と考えております。現場からも実態に合っていないという声が多く寄せられております。
したがいまして、調査の結果も踏まえながら、この入院料に本来期待されている機能が発揮されるよう、要件の修正を検討すべきと考えております。
次に、3つ目の○についてでございます。
現状、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の役割分担は十分できていると認識しておりますが、回復期リハビリテーション病棟の趣旨の1つは、在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うことであります。
現状、回リハ病棟は地域に点在しており、患者さんは自宅から離れた病棟に入院されている実態もあります。
退院後、在宅リハの提供が遅れると、ADLが低下し、低下したADLの回復に時間を要します。
前回同時改定のリハビリテーション連携も踏まえ、退院後の生活に関わる地元の医療機関や介護施設等とのカンファレンスや情報共有の場が確保できる仕組みを検討することも有用であると考えております。
最後に、120ページの慢性期入院医療の論点についてコメントいたします。
療養病棟につきましては、前回改定で入院料を30通りとするなど、大変大きな変更を行い、現場にも負荷がかかっておりますので、まずは、前回改定の影響も含めて、現場の実態を把握し、今後のニーズなども踏まえながら、課題について丁寧に検討していくべきであると考えております。
私からの意見は以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員からの発言の機会を御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私からも入院医療について、まず、全体を通しての話、江澤委員と重なる点もありますけれども、少しコメントをさせていただきたいと思います。
私も、まず、今回の改定の資料にお示ししてありましたように、新たな地域医療構想に寄り添う対応をいかにしていくかということ、そして、医療機関機能をいかに伸ばしていくために、どういう診療報酬の在り方が大事かということ、そういう議論は非常に重要だと思っています。
ただ、その効果的、効率的な医療提供体制をするための機能分化、連携を図るためにも、医療機関が、そもそも存続していることが大前提になりますが、今、江澤委員からもありましたように、もう近々の状況では、今、病院全体の7割を超して8割近くが赤字病院ということで、大変な危惧を覚えております。
私自身も福井県の医師会を預かる者として、医師信用組合という信用組合を持っていますが、そこに取りあえず、つなぎの融資を何とかしてほしいという声が、頻繁に私どもにも聞こえてきています。この状況が本当に続けば、恐らく年内もたないのではないかという医療機関を数件、私自身も把握しています。これくらい危機感を持った状況であるということを、ぜひ、この場でお話をしておきたいと思います。医療の連携・分化等々の議論も非常に重要ですけれども、まずその前に、医療機関が潰れてしまう、ある日突然なくなってしまうわけにはいかないので、そのために大事なことは、基本料をしっかりつける、そして、人員の基準等の施設基準をある程度緩和する、この2つしか即効性がある対応はないと思います。そこをベースに機能分化・連携を考えていきたいと思っていますので、ぜひ、そういう点を御理解いただければと思っています。
その上で、少し各論について、私のほうからも簡単にコメントをさせていただきます。
まず、70ページの急性期に関しては1点だけ、今回、全種類の病棟がそうですけれども、重症度、医療・看護必要度に前回の改定から、いや前々回から引き続きですけれども、かなり厳しめの見直しが行われて、特に内科系で高齢者を支えている病院、急性期も回復期も慢性期もそうですけれども、そこに対する評価が非常に厳しいということで、内科系の重症度に対する見直しを何とか考えていただかないと、その重症度をクリアできないために、医療が提供できないという本当に逆手の発想になってしまいますけれども、そんなことが起きてはいけないということなので、ぜひそこを、全体を通じて考えていただきたいと思っています。
次に、86ページ、88ページにありますように、地域包括ケア、地域包括医療病棟です。ここでその差があるのかないのか、これは今回しっかり議論しなくてはいけない、地域包括医療病棟の在り方、地域包括医療病棟が、包括期の中の地域包括ケアの亜型なのか、あるいは急性期の亜型として地域包括医療病棟を考えるべきなのか、急性期寄りなのか、包括期寄りなのかという、そのコンセプトをしっかり議論していって、その上で、いろいろな規制緩和等々が必要になってくるのではないかと思いますので、その辺の議論ができればと思っています。
それから、回復期リハビリテーション病棟に関しては、98ページにありますように、一時FIM利得の点に、少し低い方をどんどん入れているのではないかというのはありますけれども、その傾向は、一応止まってきたということで、ここも回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟のリハの在り方、それもここでしっかり議論して、お互いにどう生き残りをかけるか、あるいは差別化するのか、あるいは合わせていくのか、そういう議論も必要になってくるのではないか。
もちろん、回復リハビリテーションは専門機能として絶対必要ですので、それをなくすわけではないですけれども、どこがどう調整が可能なのか、そういう議論も必要ではないかと思っています。
最後に、療養病床に関しては、今、江澤委員もおっしゃったように、前回の改定で医療区分がかなりガラガラポンとなりましたけれども、何とか皆さん、それぞれ工夫しながら生き残りを図っていって、あまり大きなダメージは受けずに済んでいるのが現状かと思っています。ただ、事務局からの説明でちらっとお話がありました中心静脈栄養に関しては、今、見て分かるように16%ぐらいということですので、そして、胃瘻から入れるのか、中心静脈から入れるかというのは、こういう言い方をしたら語弊ですけれども、何か無理やり中心静脈栄養にして医療区分を上げているのではないかという意見が以前にありました。けれども決してそうではなくて、いろいろな状況で経管栄養ができない方々に対して、でも、栄養さえしっかり入れれば、また、在宅に帰れる可能性がある、あるいは地域戻れる可能性がある、介護施設に帰れる可能性がある方にしっかり中心静脈栄養をやって、そして、できるだけ口から食べられるようなことをしながらやっているのです。そういう中で、どうしてもそれができない方々が1割、1割5分残るということに対して、これをもしノーと言われてしまうと、これは生命の危機につながるわけですので、ここの議論はしっかり気をつけながらしていかなくてはいけないのではないかと思っています。
一方で医療区分に関しては、今、療養1と2がありまして、1に対しては、2・3が8割以上で圧倒的に多くなっていて、それで、8割、9割、10割というところもあります。
ただ、1つ言っておきたいのは、医療区分というのは重症度のように感じますけれども、医療区分2・3が8割以上という基準がありますけれども、10割というのは、普通はあり得ないのですね。例えば、医療区分2の肺炎で入院して治療して、治った翌日に帰れれば、医療区分2にとどまって、次は新しい医療区分の方を受け入れることができますけれども、やはりある程度、(退院調整等のための)猶予期間が必要なのです。だから療養病床の医療区分というのは、100%がベストでというわけではなくて、ハンドルで言えば、遊びのところがないとうまく運営できないということがあるのです。決してそれが9割、10割とより高ければ高いほどいいというものではないということを、少し付け加えておきたいと思います。
少し各論になってしまって申し訳なかったですけれども、全体の議論としては、まず、最初のそもそも入院医療を守ってほしいということを、再度強調して終わりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
私からも、本日、入院医療のキックオフの会議でございますので、まず初めに、今、発言された両先生ともかぶりますけれども、総論としてお話をさせていただいて、あと個別の論点に移らせていただきます。
何度もありましたけれども、様々な病院団体からの報告でもあるように、現在、日本の全体の病院の経営は、本当に危機的な状況に陥っていると、私自身も思っております。
私が中医協委員として議論に参加させていただいた、2023年11月の中医協の最初の議論のときにも述べましたが、中医協での議論は、当然、医療保険財政の持続可能性というものにも我々は配慮いたしますが、医療提供体制の持続可能性に関しても、しっかり配慮して進めていく必要があるということを再度申し上げたいと思います。
どのような診療報酬点数の改定を行うとしても、各地域で医療を必要な患者が、医療を必要な被保険者に必要な医療が提供できる体制が維持されなければ、保険財政が持続したとしても、日本の医療は崩壊したと言わざるを得ないと思います。
適切な医療が必要な患者に提供される医療提供体制を支えることを可能とする診療報酬設定が必要であり、これは、地域で求められる急性期医療、包括期医療、慢性期医療全てにおいて、医療機関がどの機能を担うことになったとしても満たされるべき大前提であると私は思います。
今後、我が国が人口減少や担い手の減少の中で、地域の医療提供体制をより効率的なものとするために、機能分化・連携の推進に関しては、必要ではありますが、過去の改定では、医療機関経営の持続可能性というものの議論が大きく欠けていたのではないかと思います。
機能分化を進めることだけに注目して、46ページ、47ページにありますが、今まで、いわゆる施設基準、必要度の見直しというものが行われてきました。
実際に各医療機関が適切に医療を提供するのに必要なコストというものが非常に軽視され、ただ、機能分化をするためだけの要件の見直しが行われてきたということも、現在の医療機関の経営状況がここまで悪化している一因であると私は思っております。
現在、高齢の入院患者さんが増加しておるというのは資料にございましたが、高齢者の入院患者さんのケアには、入院中の患者の異常や移動、食事介助、排泄介助、退院支援など様々な労力、すなわち人的なコストがかかっているということをぜひとも御理解いただきたいと思います。
入院基本料の議論においては、その入院料算定病棟に入院する患者に適切なケアを提供するのに必要なコストが担保される点数設定が必要であるということは、もう一度申し上げたいですし、また、その点で、今回の改定では特に、高齢者救急を含む高齢患者へ、主に対応することが想定される包括期機能を担う医療機関の入院料の適切な設定が非常に重要であり、地域包括医療病棟の点数設定、施設基準の設定というのは非常に重要な論点だと思っております。
以下、少し論点の急性期、回復期に関して述べますが、70ページの急性期の1つ目ですが、急性期の拠点機能というものを地域で確保していくことは必須であります。地域でその機能を担う医療機関というものは、ある程度余裕を持って持続可能となるような点数設定をしていただきたいと思っております。
また、どこまでの医療機関が急性期の拠点機能なのかということが、まだ、十分に議論はされていない状況であります。
機能分化と連携の推進というものは、当然、効率的な医療提供体制のために必要ですが、どの水準までの集約化を進めるのか、また、集約化すべき医療と、分散して地域に配置したほうがいい機能に関しての議論というものが、まず必要であると思います。そして、そのコンセンサスに基づき、機能分化の推進に影響する要件の議論を行う必要があると考えております。
続きまして、99ページの包括期に関してです。
1つ目の包括期を担う病院の評価に関しては、今後高齢化が進む中で最もロットとして大きな需要に対応する医療機能として、この機能を担う病院が適切に医療を持続的に提供していくことができる点数設定及び施設基準を設定する必要があります。
その点で、2つ目の論点で示されている地域包括医療病棟の評価に関しては、より多くの医療機関が担うことができるよう、大きく現行の施設基準を緩和して数を整備することが、今回の改定では重要であると思っております。
先ほど江澤先生から、重症度、医療・看護必要度の15%の要件ですとか、在宅復帰率、様々入院料に設定されている条件に関して御指摘がありましたが、これに関しては、今回の調査の結果をしっかりと確認させていただいて、真に地域で機能する入院料にしていくことが、今回の改定議論においては重要であると思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいですか、それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
入院(その1)は、主に医科の議論であることは理解した上で、歯科の立場から要望を述べさせていただきます。
令和6年度の診療報酬改定では、68、69ページにありますように、リハ、栄養、口腔の一体的管理について評価していただき、急性期や地域包括医療病棟及び療養病棟における口腔管理についても、多職種の役割について記載されたところです。
これまでの中医協等で発言してきましたけれども、歯科を標榜している病院は約2割と少ないことから、病院で連携を行うには、地域の歯科診療所が訪問という形で関与している実態が多いと思います。
また、資料の86ページに入院患者数の上位の疾患が示されていますが、地域包括医療病棟や急性期一般入院料2-6の病棟では、誤嚥性肺炎や肺炎等が上位を占めています。
このため、入院患者さんに対して、早期から口腔健康管理を実施することが重要と考えていますが、次期改定においても、入院患者さんに対して病院内の歯科職種が関与しやすくなるような仕組みや、歯科がない病院では、歯科医師が訪問診療や連携を行う場合に、病院側において受け入れしやすくなるような仕組みにつきましても、引き続き検討をお願いしたいと思います。
私からの要望になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
入院医療の全般について発言をさせていただきます。
入院医療においても、患者さんに質の高い医療を提供するために薬学管理は欠かすことはできません。
病院薬剤師がチーム医療推進の流れの中で、引き続き、医療安全の確保、医療の質向上、医師の負担軽減等への取組が進む対応が必要であると考えます。
ポリファーマシーへの対応は外来時だけでなく、入院時にも処方見直しを行うことが効果的であることから、入院前に使用している医薬品の情報を整理して提供するなど、医療機関と薬局の連携を推進することが必要であると考えます。
また、入院中の医薬品の情報については、退院時のみならず、転院時にも医療機関間、医療機関施設間での情報共有の推進が必要であると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
あとは、よろしいでしょうか。続きまして、1号側の委員の方々の御意見、御質問を伺うのですけれども、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、看護の立場から、専門委員の御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
まず、急性期入院医療についてです。急性期入院医療における病棟機能を考える際に、手術や高度な治療を受ける患者の高齢化への対応が不可欠です。
高齢患者は、術後の回復や治療自体にも時間を要し、在院日数が長くなる傾向がありますので、病棟の看護職には、24時間頻回かつ注意深い状態観察とアセスメントを行い、状態悪化を早期に発見し、適切な介入を行うことで円滑な退院につなげる役割が求められています。
さらに、急性期の治療と並行して、生活を支える機能を維持できるよう支援することが重要であり、資料の69ページにありますように、栄養状態やADL、口腔状態、摂食、嚥下状態などのスクリーニングを行い、退院を見据えた支援を入院早期から強化していくことが求められています。
今後は、病棟において多職種が連携しながら支援していくことがより一層求められますので、多職種がそれぞれの専門性を活かしながらケアを提供できるような評価の在り方について検討していくべきと考えております。
次に、慢性期入院医療についてです。本会が実施しました調査結果では、療養病棟入院料1の看護職員配置20対1を上回る看護職員配置を行いながら、重症度の高い患者への対応を行っている病棟が多くあることを把握しております。
慢性期入院医療の中で重症度の高い患者を受入れ、医療行為や処置等を行っている病棟をどのように評価していくのかという視点も重要と考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、1号側の委員に御意見を伺います。
最初に、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
前回の外来の際にも申し上げましたけれども、この(その1)シリーズは、1号側、2号側の各委員が、次回改定に向けた議題を出し合う場ということで、本日もその前提で意見を述べさせていただきたいと考えます。
まず、総論として入院医療につきましては、資料の18ページの新たな地域医療構想の取りまとめにもありますように、従来のような病床機能だけではなく、医療機関機能を重視しながら、それぞれの地域に合った最適な形に医療資源の配置を組み替えていくことで、各医療機関が最大限に役割を発揮し、地域のニーズを過不足なく充足できるようにしていくことが重要だと認識しております。
入院料の設定自体は病棟単位が基本ということで、本日も急性期、包括期、慢性期という病床機能に分けた議論になっておりますが、病床機能と医療機関機能を組み合わせて診療報酬でどのように評価するのか、体系的な建付けの整理が必要だと考えております。
本日も51ページには、急性期を軸にした病棟の組み合わせがあり、また、資料の84ページには地域包括医療病棟について、さらには、88ページには地域包括ケア病棟を軸にした併設病棟が示されており、ケアミックスの在り方を考える上で、大変参考になる資料として拝見いたしました。
今後限られた医療資源を有効かつ効率的に活用し、入院医療を維持するためには、例えば、救急搬送の入院と夜間外来の役割分担や、療養病棟と在宅医療の役割の分担といったことも含めて、医療全体のバランスも重要な要素になると思います。
どういう切り口で整理するのか、難しい部分もあるかと承知しておりますが、医療機関機能に着目した診療報酬の全体像が分かるように、資料の準備を事務局には、ぜひお願いをしたいと考えます。
それでは、各テーマについてコメントいたします。
まず、急性期入院医療ですが、資料の49、50ページを見ますと、急性期一般入院料1の病床数や医療機関数が令和6年度には減少し、7対1病棟が集約されたこと。
また、82ページも併せて見ますと、高齢者救急を主体とする地域医療病棟への機能転換も一定程度図られたということで、前回改定の効果が現れていると受け止めております。
また、50ページを見てみますと、急性期一般4が減少しているということで、これも地域包括医療病棟へ移行していることが示唆されますけれども、一方で、それ以外の急性期病棟が増加しているという点は非常に気になる点です。
10対1の病棟がどのような役割を果たすのか、次回改定に向けて入院料区分の再編も含めて、ぜひ議論をさせていただきたいと考えます。
また、資料の51ページにあります、急性期一般入院料と治療室や包括期病棟との組み合わせについても、医療機関としての機能を分化、強化する観点でしっかり議論すべきと考えております。
急性期の医療機関機能としては、やはり救急搬送や全身麻酔手術が重要な指標になるものと認識しております。
現行では、総合入院体制加算や急性期充実体制加算で重点的な対応の実績を評価しておりますけれども、資料の63ページ、64ページを見てみますと、急性期一般入院料1以外の医療機関でも一定の役割を担っており、これを直ちに否定するものではありませんけれども、急性期の拠点に医療資源を集約して症例を集積し、効率や安全性、さらには有効性を高める視点が重要だと指摘いたします。
続いて、包括期入院医療です。
先ほど申し上げたとおり、急性期病棟から地域包括医療病棟への移行が一定程度図られたことは、前回改定の成果だと認識しております。
ただ、83ページを見てみますと、急性期病棟や地域包括ケア病棟とのケアミックスが多いという印象を受けます。これが何を意味しているのか、地域のニーズに応えるための組み合わせなのか、医療機関機能の視点で見極める必要があると思います。
また、資料の86ページで、入院患者数上位の疾患を見てみますと、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟と、これらの病棟を併設する急性期一般入院料の2-6で、類似の患者が入院していることが分かります。
医療機関が患者の入棟先をどのように選択しているのか、踏み込んだ分析をお願いしたいと考えます。
また、地域包括ケア病棟で、短期滞在手術等基本料3の対象患者が多いということで、これが診療報酬の評価に原因があるとすれば、どのような対応が必要なのかについても検討すべきだと考えます。
回復期リハビリテーション病棟につきましては、一定期間に集中的な専門のリハビリを提供し、身体機能を改善させることが目的であることを念頭に置きますと、97ページを踏まえ、実績指数の基準値を引き上げることや、そもそも実績要件のない入院料区分をどのように考えるのかということも議論する余地があると思っております。
最後に慢性期入院医療です。
療養病棟については、在宅医療や介護で対応できない患者を受入れるということが基本だと認識しております。
109ページの下の入院料2のグラフを見てみますと、ほとんどが「医療区分2・3の該当患者が6割以上」となっていることが分かります。
ラインは5割以上に引いてございますけれども、そこから3つ目の右側のところが6割になります。そこからぐっと増えていることが分かります。医療療養病棟として、最低でも入院料2の基準を6割以上とすることは十分現実的だと考えます。
また、在宅医療への負荷も考えながら、療養病棟の在り方を検討することも必要だと感じております。
その際には、前回改定で医療区分を処置と患者の状態に分解して、非常にきめ細かく入院料体系を見直したことも踏まえ、よりめり張りの効いた評価にしていくことが必要であると考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
入院医療については、前回の改定を踏まえ、急性期から包括期への移行が一定進んでいると思います。
今後、新たな地域医療構想を踏まえて、医療機関の役割分担をさらに明確化し、医療機関の連携、集約化、病床の機能分化を進めていけるように、さらに適切な評価の在り方を検討していく必要があると考えております。
そうした中で、実態を踏まえ、急性期医療機能のさらなる効率的な確保に向けて評価方法を検討していくとともに、高齢者の入院医療を担う医療機関を地域で確保できるよう、高齢者救急の受入れや、リハビリ等の一体的な管理など、包括期機能を有する医療機関を適切に評価していくことが重要になってくると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
入院医療におきましては、地域における医療提供体制を踏まえつつ、医療機関が担う機能や患者の状態像に応じた機能分化をさらに推進することが必要と考えます。
新たな地域医療構想の取りまとめにあるように、包括期入院医療については、高齢者救急等の受入れからリハビリ、退院調整、介護との連携など、在宅復帰を見据えた医療機能を評価すること、慢性期入院医療については、療養病床だけでなく、在宅医療や介護施設などと併せて体制を構築していく方向で議論を進めていただければと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
ありがとうございます。
私のほうからは、やはり医療機能の分化とか強化とか連携を推進することは、当然だと思います。その中で、医療機関の機能についてということでは、やはり、高度な急性期については、地域の中で同じような機能の1つを集約して、地域の拠点病院で一手に引き受けられるということを推進することや、また、高齢者が増加することは確定的ですので、その中で緊急医療体制については、身近なところで対応できる医療機関を整備していただくという形が今回の入院医療について、その配分が必要ではないかと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、伊藤委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
桑名市は基礎自治体ですので、消防救急業務も行っているわけですけれども、救急需要がかなり増大していまして、市民の皆様に救急車の適正利用を呼びかけるような状態になっております。恐らく桑名市のみならず、全国的な傾向かと思っておりますけれども、今、救急隊からの話を聞いていますと、その中でも当然高齢者の救急搬送は多いのですが、その中で最近増えてきているのは、やはり介護施設からの救急搬送がかなり増えてきているということで、65歳以上の救急搬送の1割強が介護施設になってきているという状況だと伺っています。
確かにお医者さんが常駐している施設というのは、大変少ないかと思いますので、こういうことになるのかなと思いますけれども、この辺りについては、先日ここで議論をされたオンライン診療でありますとか、在宅医療というか、訪問診療というものをうまく活用することで、医療と介護をしっかりと連携した地域包括という形での対策が求められるのではないのかなということを感じております。
もう一つは、質問になるのですけれども、25ページのところで、令和元年から6年の病床数の推移というものが示されておりますけれども、これは、国としてといいますか、地域医療構想に基づいた形でうまく進んでいるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
というのは、桑名市は、現在の地域医療構想に先立った形で、桑名市の医療機関の再編・統合をしています。平成30年に、もともと市民病院と2つの民間病院を再編統合して、新しく独立行政法人化した桑名市総合医療センターを設置していますけれども、このときに、662床あった病床数を400床に削減し、そして、急性期、小児科、周産期、ここをしっかりと充実した医療をつくっていこうということで進めてまいりました。
もともとの桑名市としての構想は、平成19年に構想をつくっていて、そこから11年かかってようやく新しい病院ができたということです。私は、地域医療構想はすごくこれから大事だと思いますし、ここに高い理念を掲げるべきだと思うのですけれども、それを次に形にしてこうとなったときに、やはり合意形成を持っていくには非常にエネルギーもかかりますし、うまくいくもの、うまくいかないものもあるだろうということを、私たちの経験から感じています。
その中で、まず、この6年間、地域医療構想の想定の形で、今、病床がうまく推移してきているのかお伺いしたいと思いますし、また、その辺りも踏まえた今後の新しい地域医療構想の展望について、国のほうで、このようなことを期待しているというものがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま伊藤委員から、25ページの病床数の変化について、地域医療構想との関係をどのように見るかという御質問をいただきましたけれども、事務局いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長です。
地域医療構想の病床の区分と診療報酬の区分が必ずしも一致するわけではないので、これだけをもって、地域医療構想の進捗を判断するのは、なかなかぴったり一対一ではいかないのですけれども、大きな方向としては急性期病床を効率化し、回復期病床を増やし、また、療養病棟については、在宅や介護医療院等で対応できるニーズについては、そちらで対応していくという地域医療構想の大きな方向に沿った形で、この病床数が推移してきたということは言えると思います。
その上で、2025までの地域医療構想に代わって2040に向けた新たな地域医療構想に関して検討が行われ、18ページにあるような取りまとめがなされておりますが、これまでの病床機能だけではなくて、医療機関に関する機能を位置づけて、そこにおいて市長がおっしゃったような病院の集約化等も含めた様々な対応について、また、高齢者救急の確保といった対応についても、医療機関の機能にも着目しながら進めていくというところが、これまでの対応を受けた上での今後の大きなポイントになっていると考えてございます。
○小塩会長
伊藤委員、いかがでしょうか。ありがとうございます。
ほかに、御意見、御質問等ございますでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
新たな地域医療構想は、2040年に向けて、今後の人口推計に基づいた医療需要を踏まえて、各地域における最適な医療提供体制を構築することが、一番大きなミッションであります。
一方で、これまで地域の実情に応じて、例えば、いわゆるケアミックス病院等は、各地域で医療を提供し、しっかりと住民の医療を支えてきた歴史的な経緯があります。
したがって、新たな地域医療構想においても、医療機関機能というのは病棟機能の総和でありますので、医療機関機能は複数の機能があれば、1つの医療機関が複数の機能を報告できることになっています。
それから、病床機能報告も、あくまでも医療機関の意思で報告をすることになります。ですから、同じ入院基本料でも急性期で報告したり、回復期で報告することはあります。もちろん、今後、医療機関機能の報告等に関するガイドライン策定の検討会が、また近々始まりますから、いろいろ仕組みは変わってくると思いますけれども、まず、そういった複数の機能を持って地域で支えてきた経緯があり、それは各地域の実情に応じて、医療ニーズに応じて、そういうことが生じてきたわけですから、そこはしっかりと尊重すべきであります。
また、急性期拠点機能の集約化ですけれども、新たな地域医療構想においては、これは、医療資源投入量の多い手術とか、救急医療について集約を図り、外科医師の働き方改革にも貢献するという方向になっておりますので、あくまでも医療資源投入量の多いものについて、集約化を図るというようになっているところでございますので、そこは、いろいろと御理解を共有していただければと思っております。
続きまして、地域包括ケア病棟の短期滞在手術基本料3というのがありますけれども、これについては、当然、今の保険診療のルール内で行っていることではありますが、まずは実態を調べて、どういった状況があるから、こうなっているのかというのは、まず、実態を調べて対応する必要があろうかと思います。
続きまして、療養病床の医療区分の2を、5割を6割に引き上げるという御意見もありましたけれども、例えば、110ページにたくさん医療行為、処置が列挙されておりますが、誤解されないように申し上げますけれども、医療区分の1が全く何も治療のないようなイメージでは全くございません。在宅では、支え切れない医療ニーズがあり、この処置の中にも、医療行為の110ページの中にも、医療区分2・3に該当しない処置は多々あるわけでございまして、それなりの臨床的な実情があるがゆえに、医療区分1でも入院されているという現実がありますので、そういったことを詳細に調べた上で検討しないと、例えば、5割を6割にすると、場合によっては、地域によっては医療難民を生じるという可能性もありますので、そこは慎重に取り扱うべきだと思います。
最後に、冒頭にも申しましたけれども、これだけ、今、医療機関が非常に経営が厳しく、もう、いつ倒れるかという状況である中で、次回の改定においては、あまり激変というのは全くするべきではないと思いますし、それから医療機関が倒れたり、医療崩壊が起きた後では、もう取り返しがつかない、本当に大変なことになるということは重々御承知おきをいただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、池端委員、お手が挙がっています。お願いします。
○池端委員
すみません、2回目で申し訳ありません。先ほど、伊藤委員から非常に重要な御指摘をいただきました。救急患者の約1割が介護施設からの救急搬送だということ。これに関しては、ご案内のとおり、前回の同時改定の中で、在支病あるいは地域包括ケア病棟等を中心に、介護施設と連携を図るために、いろいろな加算あるいは介護施設の場合は施設基準としてそれを要件化している。ここが進めば、かなり解決していくのではないかと思っています。
ただ、これには経過措置が2年間ありますので、まだ、そこまで進んでいないところもあるかと思いますけれども、これについては、今、その加算の取れ具合がどの程度進んでいるのか等々に関して、もしあれば資料としてご用意いただいて、ここがもし進みが悪ければ、さらに何らかの方法で後押しすることも必要になってくるかと思いますので、ぜひ事務局でも、資料が出せるようであったらご準備をいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
御要望が出ましたので、事務局として対応ができれば、よろしくお願いいたします。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ありがとうございます。
2号側から医療機関の経営の状況の窮状を訴えさせていただきました。これが今までどうしてきたのかということを、皆さんにお考えいただきたいと思います。
結局は、診療報酬は少しずつ上がってきたけれども、人員配置基準とか施設基準、これが非常に厳しくなってきたことで、その対応にまた費用がかかるといったことで、今、急激なインフレが来た。そこで、やはりその対応のために、収入は上がっているけれども、それ以上に歳出が非常にひどくなっているということをよく考えていただきたいと思います。
ということは、診療報酬が全くついてきていないということでありますし、それがコロナの感染でマスクされてきたということがあります。そのことをしっかりと今回考えて、やはり入院医療については考えていただくことが非常に重要であろうと思います。
それと、人材を見つけていくために、やはり委託費とか、その辺の費用が上がってきているということと、我々は、しっかり医療DXには取り組んできておりますが、それに対する対応といった財源が全くカバーされていないということもお考えいただきたいと思っております。
そういう費用(診療報酬という公定価格)が、やはり企業のほうに使われていることを、しっかりと我々は共通意識として考えていただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
オンラインで飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
今回は全体像ということで、3つ大きな課題を提示させていただければと思います。
まず1点目は、病院の医療の質、質の情報というのを公開していく方向が必要かと思います。現在は、手術の数は分かるのですけれども、院内死亡率といった医療の質というのは外部から分からないと。こういった情報というのは、諸外国では、数十年前から情報が公開されておりまして、経験も蓄積されているということです。現状は、患者は何を持って病院を選べばよいのか分からないという状況なので、ぜひ患者に選択肢を与えるべきと考えます。
2点目ですけれども、関連して、アウトカムを用いた評価の拡充が必要と考えます。今後、働き手が不足するということは必然です。既に医療産業への人材集中というのは進んでいて、今後さらに人材を集めるというのは、かなり難しい状況です。人員基準等の施設基準を緩める等をして、アウトカムの評価を含めるといった方向に進めていく必要があるのではないかと考えます。
3点目ですけれども、既に議論がありましたけれども、病院の集約化に関して、病院の機能分化というのは引き続き必要と思いますけれども、加えて、集約化が必要になると。
最近の骨太の方針等で病床数の削減の方向性というのが示されていますけれども、日本は病床数に加えて病院の数が世界的に見ても非常に多いことが分かっています。病床数削減のみのダウンサイジングのみであれば、ヒト・モノ・カネ・情報というものが分散したままという形になりますので、非常に効率が悪いということですので、集約化を促すという方策も同時に考えていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。今日は1回目ということですので、追加で申し上げたいということがございましたら、この際、お願いいたしますが、長島委員、お願いします。
○長島委員
1つは、病院が極めて経営的に体力がなくてふらふらの状態です。ふらふらの人の方向を変えさせようとしたら転びます。まずは、体力をしっかり回復させないと、方向転換もできません。転んだら困るのは地域の住民であるということを十分御理解いただきたいと思います。
それから、様々今後進める中で、診療報酬でやるべきことと、違う方向でやることというのをしっかり見極める必要があると思います。診療報酬は万能ではないし、診療報酬で誘導することが有害であるということも十分にあるということで、その辺は慎重に見極めていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには御質問、御意見ないようですので、本件に係る質疑は、この辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応をしていただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。