第20回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和7年7月4日(金) 14:00~16:00

場所

厚生労働省仮設第1会議室(WEB会議併用)

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(テレビ会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
(テレビ会議)
佐々木 昌弘(危機管理・医務技術総括審議官)

(会議室)
大臣官房厚生科学課        
  • 眞鍋 馨(厚生科学課長)
  • 土岐 祥蔵(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 池上 貴啓(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐
医薬局
  • 小川 雄大(医薬品審査管理課 課長補佐)
  • 鶏内 雅司(医薬安全対策課 安全使用推進室長)
  • 南 亮介(医薬安全対策課 課長補佐)
健康・生活衛生局
  • 福田 悠平(感染症対策部予防接種課 参与)
 

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応
  2. 2.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について
  3. 3..医薬局からの定期報告
  4. 4その他

議事

○土岐室長 ただいまより、第20回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、ウェブ形式と併用して実施しております。オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。ミュートになっていない場合は、事務局側でミュートとさせていただく場合もありますので、御了承ください。また、御発言がある際には挙手機能でお知らせいただく、もしくはチャット機能で発言を求める旨お知らせ願います。会場での参加の先生は手を挙げるなどしてお知らせください。
 また、傍聴に関しましては、YouTubeライブで配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答は、できるだけゆっくり、はっきり御発言いただきますようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投映を中断し、音声配信を優先する等の対応を取ることがありますので、御了承願います。
 議事に入ります前に、事務局に異動がございましたので、御報告をさせていただきます。
 4月1日付で医薬品等行政評価・監視委員会室長に着任いたしました土岐でございます。よろしくお願いいたします。
 また、同日付で室長補佐の池上と主査の東澤が着任しております。
 それでは、以後の議事進行は磯部委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 それでは、よろしくお願いいたします。今日は私、ここに座っています。
 最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。また、利益相反の取扱い規程に基づいて、各委員の申告内容の報告をお願いいたします。
○土岐室長 まず、委員の出席状況をお知らせいたします。本日は9名の委員全員に御出席いただいておりまして、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、利益相反について御報告いたします。まずは利益相反の取扱い規程に基づく、個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告でございますが、本日は、議題1の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で、個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、関連企業からの寄附金等の受取状況についてあらかじめ申告いただいております。各委員の申告書につきましては、今回の監視委員会の資料と併せまして、厚生労働省のウェブサイトに掲載してございますので、併せてお知らせいたします。
 以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題としては、議題1「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、「公知申請された医薬品の適正使用について」と「新型コロナウイルスワクチンの安全性について」、議題2「委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況」として、「市販後安全対策に係るリアルワールドデータの活用について」、議題3「医薬局からの定期報告について」を取り扱うこととしています。
 それでは、本日の議題に入ります。まずは「公知申請された医薬品の適正使用について」です。本件は泉委員から取扱いの御要望をいただいたものです。
 それでは、資料1に基づいて、医薬局医薬品審査管理課から御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課 医薬品審査管理課の小川でございます。
 資料1に基づき御説明いたします。2ページを御覧ください。薬機法において、医薬品の承認を受けようとする者は、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料などを添付することとされておりますが、同法の施行規則におきまして、医学薬学上公知であると認められる場合には、資料の添付を要しないと規定されております。
 3ページを御覧ください。こちらに示しているいわゆる2課長通知等により、医学薬学上公知であると認められる場合の具体的な考え方を示しています。これに基づき申請が行われております。
 4ページは、令和4~6年度に当該通知に基づき承認された品目の例となります。
 5ページ、6ページに医療上必要な医薬品や適応を解消するために開催している医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議についての説明を掲載しております。こちらの検討会では、未承認薬(適応外薬)に係る要望を募集し、医療上の必要性の評価を行い、必要性が高いと評価されたものについて、開発要請や開発企業の募集を行っております。
 6ページに示しておりますとおり、開発要請を受けた企業が公知申請を希望するなどの場合におきまして、検討会において公知申請の該当性の評価を行い、公知に該当すると判断された場合は、薬事審議会において事前評価を行うこととしております。
 7ページを御覧ください。薬事審議会において、公知申請に係る事前評価を受けた適応外使用については、承認前の段階で保険適用されることとなります。このため、適正使用を通じた安全確保を図るため、医療関係者に対し、副作用等に関する患者への事前説明と同意の取得に努めるべきであること、また、重篤な副作用を知った場合には、遅滞なく報告を行うとともに、製造販売業者に対し、医療機関からの求めに応じ、安全性確保に係る情報提供をすることや、医療機関から報告された副作用情報について、遅滞なくPMDAに報告するとともに、副作用情報の解析・評価を実施することを通知により求めているところでございます。
 加えて、8ページにお示ししているとおり、事前評価が終了し、保険適用が開始される個別の医薬品ごとに適正使用を促す通知を発出しております。
 9ページは、未承認薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断された要望のうち、企業に開発要請を行った要望に係る検討の状況でございます。これまで開発要請した要望総数397件のうち、検討会議において公知申請が妥当と判断されたものは173件となっております。
 10ページから13ページにかけて、未承認薬・適応外薬検討会議の公知申請の該当性評価に基づき承認された令和4~6年度の品目の例をお示ししております。
 続きまして、個別の事例として、フィブリノゲン製剤に係る公知申請について御説明いたします。13ページを御覧ください。こちらにお示ししている日本血液製剤機構のフィブリノゲン製剤は1987年に承認されております。フィブリノゲン製剤につきましては、人血液が原料であり、感染症に係る安全対策が必要であることから、こちらの備考に記載のとおり、安全対策等を講じるとともに、必要最小限の使用にとどめるよう注意喚起を行っております。
 14ページを御覧ください。フィブリノゲン製剤の適応拡大の経緯でございます。C型肝炎の問題から1990年代の加熱製剤への切替えの過程で、フィブリノゲン製剤の効能・効果については、「低フィブリノゲン血症」から「先天性低フィブリノゲン血症」に限定されていました。2010年代に、再度「後天性の低フィブリノゲン血症での使用」を求める医療現場から要望が上がるも、過去の経緯を踏まえ、慎重な検討を継続していたところでございます。2016年に厚生労働省の審議会(血液事業部会)におきまして、後天性への使用が認められないままであることについて問題意識を表明する発言があったことを受けまして、日本産婦人科・新生児血液学会、日本心臓血管外科学会、日本輸血・細胞治療学会の合同シンポジウムにより、適正使用の議論が行われ、日本産科婦人科学会より、未承認薬等検討会議に対し、「産科危機的出血、心臓血管外科手術に伴う後天性低フィブリノゲン血症による出血傾向の改善」の効能に関する要望書が提出されました。
 こちらの要望につきましては、2021年8月の未承認薬等検討会議におきまして、「産科危機的出血、心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充」の効能について、「公知申請が妥当」と判断され、同年9月の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会でこちらの効能につきまして公知申請を行って差し支えないと事前評価がなされたものでございます。
 この事前評価を受けまして、当面は産科危機的出血に係る効能について使用を認めることとされた上で、2022年3月に承認されております。こちらの産科危機的出血のみで承認されたことにつきましては、後で御説明させていただきます。
 また、日本産科婦人科学会では、フィブリノゲン製剤を使用した症例を全例登録し、適正使用を図っておりまして、また、製造販売業者におきましても、学会と連携しつつ、安定供給の観点を含めた使用症例の実態等を調査しているところでございます。
 15ページは、後天性低フィブリノゲン血症の使用に当たっての留意事項の通知でございます。こちらの通知によりまして、フィブリノゲン製剤の後天性低フィブリノゲン血症患者に対する投与の適否や投与開始時期について、添付文書の記載に加えて、関連学会のガイドラインなどの最新の情報を参考としつつ、適切に判断することを記載するとともに、適正使用の方策として、産科危機的出血を適切に管理できる医療機関において、適切な投与対象に対して行われる必要があるため、血中のフィブリノゲン値の迅速測定が可能で、かつ産科危機的出血の管理に精通した医師が常駐するなど、日本産科婦人科学会等が定める使用施設の条件を満たした医療機関において使用することとし、本剤を使用する医療機関においては、学会の調査等に適切に協力することを求めています。
 16ページを御覧ください。こちらはフィブリノゲン製剤の適応拡大後の日本産科婦人科学会による実態調査の結果になります。2022年1月26日から2023年8月19日における本邦で使用された産科領域におけるフィブリノゲン製剤の使用実態を、その学会のホームページ内にある「フィブリノゲン製剤の実態調査」に登録された結果でございます。こちらを見ますと、フィブリノゲン製剤3gの投与につきましては、約100mg/dLの血中濃度の上昇が見込めると考えられたとされております。
 17ページを御覧ください。心臓血管外科手術における出血に関しても、審議会の事前評価が終了し、公知申請を行っても差し支えないとの結論が得られています。その一方で、ページ下段の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議及び医薬品第二部会提出資料としてお示ししている部分に記載のとおり、要望学会からの申出書におきまして、心臓血管外科学会がフィブリノゲン製剤の適正使用に関する調査を行う計画であり、心臓血管外科での適応については、この調査の後とすることが申し出られていたこと、人の血液から製造される医薬品であり、製造販売業者による供給量には限界があるということを踏まえ、まずは産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に係る効能・効果に限定して取り扱うこととし、心臓血管外科領域につきましては、学会が行う調査によって、医療現場で適正使用することができるとの判断が得られた後に、供給量の観点も踏まえた上で、使用を可能とすることができるように手続を進めるとされたことから、心臓血管外科手術については、前述の学会の調査の結果が出た後、製造販売業者による公知申請の審議会での報告後に保険適用するとされております。したがいまして、現在では保険適用されているものではないというところでございます。
 18ページは、令和7年2月に行われた3学会合同特別シンポジウムにおける「フィブリノゲン製剤の心臓血管外科領域への適応拡大に向けて」の宣言、いわゆる「下関宣言」でございます。本学会において日本心臓血管外科学会が実施する調査の結果が報告されるとともに、適正使用に向けた宣言が取りまとめられたものでございます。
 フィブリノゲン値の迅速測定を行政とともに推進し、迅速測定可能な医療機関のみを施設認定し、血中フィブリノゲン値を必ず測定し、基準に基づく適正使用を徹底すること、また、使用した全例をデータベースに登録し、使用実態をモニタリングするとともに公表することなど、適正使用を徹底していくといったことが記載されているものでございます。
 参考までに、20ページにこれまでの学会によるフィブリノゲン製剤のシンポジウム等の実施状況についてお示ししております。
 19ページを御覧ください。こちらは6月26日に製造販売業者が公表した公知申請による心臓血管外科領域に関する承認申請のお知らせでございます。資料にも記載しておりますとおり、製造販売業者におきましても、医療機関に対して感染症伝播のリスクに係る注意喚起や適正使用に向けた情報提供が行われております。
 参考資料4に製造販売業者による医療機関に向けた適正使用に関するお願いに係る資材をお示ししております。
 以上のように、フィブリノゲン製剤につきましては、行政、関係学会、製造販売業者が協力しながら適正使用の徹底に向けた取組を行っているところですが、さらに心臓血管外科領域における出血に係る承認審査におきましても、本剤が必要な患者に適切に使用されるよう、必要な対応を検討していくこととしております。
 資料1の説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問・御意見があれば、御発言をお願いいたします。泉委員、どうぞ。
○泉委員 お尋ねします。まず、医学薬学上の公知であると認められる場合には資料の添付を要しないというふうに規定をされていますが、公知申請というのはドラッグ・ラグの点から適応外使用の解消ということで始まっているのでしょうか。もともとの公知申請というのは、何ゆえにこういう形で存在しているか教えてください。
○磯部委員長 お願いします。
○医薬品審査管理課 厚生労働省でございます。
 3ページを御覧いただければと思います。3ページが適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて(2課長通知)ということで、公知申請の基となっている通知でございます。適応外使用につきまして、上の通知の概要の2段落目に記載されているとおり、適応外使用に係る医療用医薬品であって、適応外使用に十分な科学的根拠のあるものについて、医療の中でより適切に使用されるためには、適応外使用に係る効能もしくは効果又は用法・用量について、薬事法(今は薬機法)による製造または輸入の承認を受けるべきであるといったことから、こういった形で適切に薬事承認を取っていただくというものでございます。あくまで現状適応外で使用されているものについて、科学的に医学薬学的に正しく使われるようにするためには、やはり薬事承認を取っていただいて、承認された効能・効果の範囲内で適切に使用していただくということが原則でございますので、それに対応できるような形で制度を導入しているものでございますので、いわゆるドラッグ・ラグといったことというよりは、現に適応外で科学的根拠もある中で適切に使用されているにもかかわらず、薬事承認されていない状況は不合理という部分がございますので、そこは一定の承認を企業にしっかり取っていただいて、そこの部分についても責任を持って製造販売して、医療現場においても使用できるようにしていくということが趣旨でございます。
○磯部委員長 どうぞ。
○泉委員 1つだけ質問があります。1960年以降に再評価制度というのがありましたけれども、今は新再評価制度というものがあるのかどうか。それと公知申請というものはどのように違いがあるのでしょうか。再評価制度というのは、もともと市販後販売されたものを何年かしたら再評価するためのそういう段取りだったと思うのですが、そうすると、当然としてそれは要望がなくても、制度としてそうされていたものであると思います。ですが、今は再評価という言葉はあまり聞かないので、新再評価という言葉を時々聞くと、それと公知申請とは違いがあるのですかということをお尋ねしたいです。
○医薬品審査管理課 厚生労働省でございます。直接的な回答でないかもしれないのですけれども、まず1つ、私の説明が不足していた点もあるのですが、公知申請自体は、未承認薬検討会議を経なくても、企業側の判断とかでその公知申請が可能であると思ってPMDAに相談いただいて、必要なデータ等がそろっていれば、その審査の中で適切に承認される場合があるというところでございますので、必ずしも未承認薬等検討会議を経なくても、要は、学会要望とかがそこの会議に出されなくても公知申請となる場合もあります。多くの公知申請についてはそちら(未承認薬等検討会議)を経由していくものであります。
 その上で、再評価制度につきましては、承認されたものについて、厚生労働大臣が指定した上で、科学水準がどんどん向上していきますので、現在の水準の科学的知見で改めて評価するといったものでございます。先ほど申した公知申請というのは、あくまで適応外の部分について、そもそも承認されていないものについて承認していくという制度ではあるので、再評価は、今承認されているものをちゃんとできているのかというところで、そこはちょっと違うものとなります。
○泉委員 意味合いが違うという意味ですね。
○医薬品審査管理課 はい。
○泉委員 そしたら、厚労省の資料というよりも、一般社団法人日本血液製剤機構から出ている資料の5ページのところにありますが、数年前にフィブリノゲンという私どもに投与された薬に関して、公知申請で使用が可能になったものの、これに関しては、きちんとそのデータを管理していくぞというのが厚労省の私どもに対する発言だったのですが、ここの上のほうに使用施設、使用実態の把握、使用方法の適切化というのが書かれておりますが、これは産科危機的出血への対応指針2022年よりの関連学会からの言葉ということなのですけれども、ここに使用する場所は、限定先は公表しているのかどうか。つまり、「総合・地域周産期母子医療センターおよび大学病院での使用とする」と書いてありますが、当時許可になったときには、一般的には普通の産科ではまだ使えるようにはしていないというふうにおっしゃっていましたが、2022年、産科学会のほうでこういう形を出していますが、これは厚労省に言われてこういうふうにしているのだと思いますが、限定先は公表されているのか、私たちにも見ることができるのかどうかというのが1つ。
 そのまま続けさせてもらいます。使用実態の把握ですけれども、これは使用例の全数登録制の導入を行う。許可になったときも、これは厚労省がそういうふうに言っておりましたが、日本産婦人科学会がその届けを受けて把握しているだろうそれを厚労省は報告としてもらっているか、あるいはデータとして持っているか。
 そのまま続けます。使用方法の適切化のところですけれども、適応外の症例に対しては、学会が患者背景などを解析し、注意喚起を促すと書いてありますが、学会資料でこの資料を見ることは可能かどうか。この3点をお伺いしたいです。
○医薬品審査管理課 1点目から順番に答えさせていただきます。まず、企業側が言っているような使用施設についてどうなっているのか、公表されているのかといったところだと思います。先ほどお示ししております資料の16ページ、日本産婦人科学会が使用実態のデータとかをお示ししておりますけれども、こういった形でデータを取っておりますが、一応登録施設としては公表されておりまして、合計427施設で、国立病院機構の病院であったり、赤十字病院であったり、総合周産期医療センター等々で、おおむねこちらの総合・地域周産期医療センター、大学病院での使用を推奨しているというところで、そういったところがほとんどでございます。
○泉委員 一般の方にもそれは見られるのですか。
○医薬品審査管理課 はい。学会のところで公表はされております。
○磯部委員長 一般の方にも見られるかという質問に対しては、見られるということですね。
○医薬品審査管理課 そうです。
○泉委員 一般の方も見られるということ。
○磯部委員長 続けてお願いします。
○医薬品審査管理課 2点目の全数のデータを持っているかというところでございます。まず、調査自体は学会のほうの調査と製造販売業者での調査といったところがございます。学会での調査につきましては、その学会に所属する先生方が協力してやっているというものでございますので、そこ以外の方も当然使用する可能性はあると思いますが、そういったものについては、製造販売業者のほうの調査ではキャッチアップできるようにしていただいているというところが実態かと思っております。
 その上で、全数のデータが把握できているかというと、そこは調査に協力いただけない場合といったものもあると伺っておりますので、必ず100%かというと、一部そこが難しくなってしまっている部分があるというものが実態だと思っております。
 ただ、製造販売業者におきまして、MRさんが納入している施設に回ってそこについて対応して、協力のお願いをしていただいていることによりまして、おおむねそういったものはキャッチアップできていると思っております。
 それが厚労省に報告されているのかというところが御質問だったと思いますが、そこは確認をさせていただいて後ほど答えさせていただきたいと思います。
 その上で、3点目は、私のほうが1点目、2点目を確認しているときで、ちょっと聞き逃してしまったので申し訳ありません。もう一度お願いします。
○泉委員 使用方法の適切化というところで、解析して注意喚起を促すということが学会及びこの産婦人科の領域の先生の取り決めというふうになっておりますが、その資料は見ることができるのか。厚労省は持っているのかということでもいいです。厚労省が持っていれば、見せてくださいと言えますので、それをお伺いしたい。
○医薬品審査管理課 そちらについても確認をさせていただきます。
○磯部委員長 そちらについても今、確認していただくということで、御回答はお待ちしましょう。
○泉委員 分かりました。
○磯部委員長 まだ質問があるのですか。
○泉委員 質問でなくて、今の回答に対してです。
○医薬品審査管理課 先ほどの御質問の件ですけれども、先生の御趣旨としては、学会に報告していただいている生データ、実態、一例一例どういったものなのかといったことが厚労省のほうに報告されているのかといったことであれば、それはされていないというものでございます。
 学会のほうで様々データ解析等をしていただいて論文化されれば、そちらについては厚労省のほうで確認をしており、それは皆さんも同じタイミングで御覧いただけるというところだと理解しております。
 あとは、例えば今回の心臓血管外科領域への公知申請とかそういったところで追加で何かデータが出されることがあれば、それはまさにそういったデータを薬事承認審査の中でしっかり確認をして、必要な対応というところについては検討していくということとなりますので、審査の中でそういったものは出ていくというふうに認識しております。
○泉委員 今の3つの回答を伺って、磯部先生、最後に一言よろしいですか。
○磯部委員長 コメント、手短に。
○泉委員 取りまとめで申し上げますと、肝炎の検証会議のときに、磯部先生もお入りでしたが、何で肝炎がフィブリノゲンで起きたかという班会議ができまして、そのときにもう既にたくさんの機関から、もちろん産婦人科学会だけではなくて、外科、心臓、脳等の先生方がこれは使いたいという意見を出されていた。そのデータを私たちは見ているのです。見ているということは、先生方がきちんと把握しているかどうかは別としても、フィブリノゲンは止血剤としてどうしても使っておきたいという思いがあったということは、そのときからもう知っておりましたが、今の回答を聞いて思ったのが、しかしながら、このフィブリノゲンに関しては、物すごい重大な副作用で亡くなった方がたくさん出て、製薬企業が、当時は今の日本血液製剤機構ではありませんでしたが、大分の人に投与して、そして1万人以上の人がこれを使われているというデータもはっきり分かっている中で、今、救済されている人は2,400ぐらいです。ということは、それ以外の人はみんな見捨てられている。そういう現状を見ると、使う以上、きちんとしたデータを保管して、年ごとにどういうふうになっていくか。この血液製剤は、その当時は加熱製剤でも劇症肝炎が出ているのです。いわゆる生物由来の製剤ですから、全く何も起きないことが一番いいのですが、産婦人科学会でも言っているように、何か起きてもおかしくない生物由来の薬ですから、そういうことを考えると、データに関して厚生労働省がしっかり持っておかなければいけないと思います。
 ただこれを産婦人科学会のほうにお願いして、把握していればいいということではなくて、最初からどことどこで使えるようにしますからという話があったということを前提として、私たちはこれに反対せずに、そういうふうに助かる方がいるのだったらという思いを持ったことがありますので、このフィブリノゲンの使用に関して。公知申請からちょっと外れ、これだけになってしまいますが、ぜひきちんとしたデータを常に把握しておいて、求められたら出してもらえるような状況下にしておかないと。肝炎はいい薬ができたと言いますが、SVRの問題もあって、これからも私たちはそれを引きずっていかなければいけないという問題があります。
 ぜひそこのところを御検討くださって、公知申請に関しては、きちんとしたデータがなくても許可してしまう、そういう薬であるということを前提に、言ってみればデータが全部出ていないのに、公知申請で求められたら許可する薬という位置づけをきちんと把握なさっておいていただきたいと思います。
 以上です。長くなりました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今の点、コメントはよろしいですか。
○医薬品審査管理課 ありがとうございます。
 当然製造の進歩などありますけれども、人の血液を原料としている以上、感染性のリスクといったことに対してゼロにするというのは難しいというところが現状でございます。
 今の御指摘の点も含めて、まず公知申請につきましては、データが通常の申請と比べて適当でいいとかそういうことではなくて、そこについてはきちっとしたデータに基づいて該当性をしっかり判断した上で承認されているものではございますけれども、今のような御指摘も含めて、そこについてもしっかりした形で対応していくというところだと考えております。その上で、フィブリノゲン製剤につきましては、まさに今、心臓血管外科領域の承認申請をされたというところでございますので、その承認審査の中でどういった対応ができるのかといったところにつきましてもしっかり考えていきたいというところでございます。
○泉委員 よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 花井さん、お待たせしました。
○花井委員 ありがとうございます。花井です。
 フィブリノゲン製剤の適用拡大につきましては、当初から関わってきたので一言だけ申し上げますと、御案内のとおり、フィブリノゲン製剤は、いわゆる薬害肝炎の検証及び再発防止に関する研究班の提言において、学会の権威者による使用推奨がエビデンスによる科学的検証を妨げていたと厳しく指弾していると。これは当時の使われた方が取りあえず凝固系を何か入れておけみたいな形だったのかと思いますけれども、まず後天性フィブリノゲン血症という病態がどんなものかということを明らかにするということで、150mg/dLということをちゃんと測定して使うということを前提に、産科領域においては緊急的なときにこれを使うことによって命が助かると。
 心臓外科領域においては、院内のクリオ製造をしているのですけれども、これははっきり言うと、当時、薬害肝炎の頃は、シングルドナーのいわゆるFFPは安全で、そして分画が非常に危険だったのです。今は全く逆転しているのに、いまだに古い世代の院内製造クリオを使っていること自体、患者に対する不利益があるということで、何とかならないかということに取り組んでまいりました。
 きっかけというか、最大の理由は、平成15年11月7日の4課長通知で、日本における血漿分画製剤はウイルスクリアランス指数が10の9乗分の1のバリエートされた数字がなければ出荷できないという形になっているので、これは完全にFFPと分画製剤の安全のレベルが逆転した上に、大きく引き離されているということがありましたので、そういった意味で今回使っていただくと。
 ただし、適正使用ということはとても大事で、また野方図に使うということがあってはいけないということで、学会におかれましては、この辺は肝に銘じていただきたいということを繰り返して述べていますし、学会等々がその責任を万一果たさないということになれば、これはまた社会から批判をされても仕方ないことになりますので、恐らくその辺は関係学会の皆様は御理解いただいているというふうに承知しておりますので、今後の推移を見守りたいと思っているところです。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。では、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 これは質問というより意見ですが、私はこの資料を見る限り、エビデンスに基づいてこの薬が出血に対して止血効果があるという根拠はないと思います。通常の申請でこれを承認するとしたら、とんでもないことであるというふうに思います。
 参考資料の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議「公知申請への該当性に係る報告書」というのがありまして、参考資料の真ん中辺です。まず、海外での承認の状況を見ると、後天性のフィブリノゲン血症に承認されているのはドイツだけで、アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリアでは承認がされていません。そういうことがあって、その後ろにこれまでの研究の報告の論文が列挙されているのですが、重要視するのは、プラセボ対照のランダム化比較試験、無作為化比較試験の結果で、かつフィブリノゲンの値が高くなったかどうかということ自体は根拠にならないのです。それが最終的に止血効果があったかどうかということが重要で、アメリカではこのフィブリノゲン製剤の止血効果が疑わしいという理由で1977年に承認が取り消されているわけです。
 その後、その止血効果を証明するランダム化比較試験の結果がどの程度あるのかということについて、今、この参考資料を縷々拝見したのですが、プラセボ対照の無作為化二重盲検試験の結果、有効性の主要評価、例えば総輸血量とか出血のスケールなどが達成されなかった臨床試験の結果が多数ここに書かれております。それにもかかわらず、この薬剤を有効だとして承認する根拠があるのですかということが一番の疑問です。だから、有効性が公知だと言えないのではないでしょうかということです。
○磯部委員長 という御質問です。お願いします。
○医薬品審査管理課 まず、米国におきましては、2024年7月31日に後天性の低フィブリノゲン血症の効能・効果での承認がなされているところでございます。もともと2017年に先天性の低フィブリノゲン血症に対して承認がなされているところでございますので、時期的にこちらの公知の検討の時期より後でございまして、我々のほうでそういった情報、報告が不足しておりまして、そこは大変申し訳ありませんでした。
 その上で、御指摘の点も含めて今回公知申請の部分で出ているものにつきましては、当然承認審査の中で適切に有効性・安全性を評価した上で承認するということとなりますので、その点についてはしっかり検討していくことになると考えております。
 当時の評価につきましては、様々な情報に基づきまして未承認薬・適応外薬検討会議及び薬事審議会におきまして事前の評価がなされたものと承知しております。あまり答えになっていないかもしれませんけれども。
○佐藤委員 全く答えになっていないですね。
 プラセボ対照の無作為化比較試験の結果で輸血量が減ったかとか出血量が減ったかという評価項目に対して、その効果が認められなかったという臨床試験の結果の論文が多数あるのです。一部は認められるというものもありますけれども、むしろ効果が認められなかったという論文のほうが多いように見受けられます。
 こういう現状で効果を認めて承認するというのは、これは本当に根拠がないというふうにコメントしておきます。これ以上言っても議論になりませんので。私からのコメントとさせていただきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。では、花井さん。
○花井委員 まさにおっしゃるとおりで、いわゆる対照試験でフィブリノゲンの有効性が示されなかったということがあったことがこの承認。逆に言えば、ないゆえに結果的に公知申請せざるを得なかったという流れだと思います。佐藤委員がおっしゃるとおりなのですけれども、経緯を言っておくと、救急救命領域における差があるという現場の声からこういう話になっているので、まさに生死をさまよった症例の知見ができないということかなというところだと思うのですけれども、ただ、それはあくまで救急救命領域の現場の声、現場の経験というか、もしくは対象のないシングルアームの一つに症例報告の蓄積のような形で今回承認されていますので、佐藤委員がおっしゃるとおり、まさに救急救命領域において全くこれが効果がないということが明らかになれば、これはむしろ取り消すとかいうこともあり得ると思いますので、そこがまさに学会のほうで、救命のいわゆる鉄火場領域にどれだけ寄与したかということを後からでもちゃんと証明するということが必須かなと思っています。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 いろいろ重要な御指摘をいただいてということで、時間もあれですので次の議題へ行きますが、非常に関心も高いところですし、学会の評価の動きと行政がどう連携を取れるのか、適時に情報を収集して対応が取れるのかというところも問われるのかなと思いましたので、引き続きこの委員会で御要望があれば、改めて議論したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 資料1についての議論はここまでとさせていただきます。
 続きまして、まずは「新型コロナワクチンの安全性評価及び接種後の遷延する症状への対応」について、資料2に基づきまして、健康・生活衛生局予防接種課より御説明をお願いいたします。
○予防接種課 感染症対策部予防接種課でございます。
 資料2に基づきまして、新型コロナワクチンの安全性評価及び接種後の遷延する症状への対応について御説明いたします。
 まず、4ページ目を御覧ください。新型コロナウイルス感染症の予防接種につきましては、令和5年度までの特例臨時接種におきましては、ファイザー、モデルナ、武田、第一三共の4社のワクチンが用いられていたところでございますが、令和6年10月に開始されました定期接種におきましては、Meiji Seika ファルマ社のコスタイベ筋注用が追加で使用可能となってございますので、簡単に御紹介させていただきます。
 販売名はコスタイベ筋注用で、製造販売業者はMeiji Seika ファルマ社でございます。レプリコンmRNAワクチンという新しいモダリティのワクチンでございまして、このレプリコンワクチンというのはmRNAワクチンの一つでございますけれども、接種されたmRNAが細胞内で一時的に複製されるように設計されていることから、既存のmRNAワクチンに比べて強く免疫が誘導され、抗体の持続期間が長いことが確認されてございます。
 令和5年11月に起源株を抗原株として承認されまして、その後、令和6年9月にJN.1系統株に変更するための一部変更承認を受けております。本剤は日本において世界で一番最初に承認されましたが、本年2月に欧州のほうでも承認をされているところでございます。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。本剤の安全性についてでございます。日本での治験、臨床試験の結果、本剤の有害事象はほとんどが軽度または中等度で、接種後数日以内に消失しました。また、比較対照でございますファイザー社の新型コロナワクチンと比べて、有害事象の種類や発現割合等に明確な差は認められていないという状況でございます。
 続きまして、定期接種化後の直近の副反応疑い報告の状況について御説明させていただきます。7ページ目を御覧ください。新型コロナウイルス感染症の予防接種につきましては、令和5年度まで、すなわち、令和6年3月末までは、特例臨時接種として、全額公費負担という形で実施されておりましたけれども、令和6年10月からは65歳以上の高齢者、60歳から64歳までで一定の基礎疾患を有する方を対象とする定期接種に移行しております。
 こちらの表は、定期接種が開始された令和6年10月1日から12月31日までの3か月間に報告された副反応疑い報告。これは予防接種法または薬機法に基づきまして、医療機関または製造販売業者から報告されました、ワクチンによる副反応が疑われる症例に関する報告でございますけれども、その件数と報告頻度を製剤ごとにまとめた表になります。なお、定期接種の対象とならない若い方については、任意接種という形で接種されておりまして、この中にはその数字も含まれております。
 また、表の一番左に載せております接種可能延べ人数。これは事前に少し御質問がございましたが、集計対象期間であります令和6年10月~12月までにおける医療機関への納入数量から算出した接種可能延べ人数ということですので、実際の被接種者数とは必ずしも一致していないということに御留意いただければと思います。この表中の報告頻度というのは、この接種可能延べ人数を分母として算出した値になります。
 具体的な製剤ごとの報告件数、報告頻度というのは、表でお示ししたとおりでございますけれども、先ほど御紹介しましたMeiji Seika ファルマ社のコスタイベにつきましては、他社の製剤に比べて報告頻度が若干高くなってございます。
 これにつきましては、この集計対象期間が本剤の市販直後調査の期間と重なってございまして、製造販売業者により重点的に副反応に係る情報収集が行われたためではないかと考えてございます。
 なお、コスタイベの市販直後調査は、令和6年10月~令和7年3月までの6か月間実施されておりますが、これについては既に最終報告書が取りまとめられて公表されてございまして、参考資料6としてお示ししてございます。この報告書では、販売開始から6か月間で、副反応が疑われる症例は、重篤症例8例、そのうち死亡が2例という形で報告されてございます。
 一方で、資料2のほうにつきましては、直近の部会で御報告した数字ですけれども、販売開始から3か月間の数字という形になってございますので、そこはちょっと整合していませんので、お気をつけいただければと思います。
 表中の死亡2例というのが紫の表の一番右側にございますが、この2例については、追跡調査の結果、転院先の医師が本剤との因果関係を否定したということで、報告が取り下げられてございます。今後も追加情報によりましてこの報告件数は変動し得る点に留意が必要でございます。
 これらの副反応疑い報告につきましては、PMDAのほうで個別症例の経過等を精査の上、因果関係評価を行っておりまして、直近、本年4月14日に開催されました厚生科学審議会と薬事審議会の合同部会においてその結果をお示しした上で、安全性について御審議いただきまして、結論としては、現時点においてワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないと評価いただいております。
 続きまして、接種後の遷延する症状への対応について、御説明いたします。9ページ以降になります。厚生労働省では令和4年度より厚生労働科学研究として、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状に関する実態調査を実施してございまして、昨年7月には本委員会において令和5年度までの調査結果について御報告したところでございます。本日は、その後令和6年度に実施しました調査の結果について御報告いたします。
 12ページ目を御覧ください。本調査の目的ですけれども、ワクチン接種との因果関係の有無にかかわらず、新型コロナワクチン接種後の症状を訴え、専門的な医療機関を受診した患者を対象として、その実態を把握し、得られた知見について必要な情報提供等を行うことを目的とした調査になってございます。全国の都道府県におきまして、かかりつけ医等の紹介により、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状を専門的見地から診療する専門的な医療機関が約360施設整備されてございまして、このうち、本調査への協力が可能と回答いただきました136の医療機関を調査対象としてございます。調査対象者は、令和4年6月1日~令和6年5月31日までの2年間にこれらの医療機関を受診した方としてございます。
 13ページに行きまして、調査のイメージ図をお示ししております。専門的な医療機関136施設の地域連携室等の部署と担当医師それぞれに研究班のほうから調査票をお送りして、回収の上、集計するという形の調査になってございます。
 16ページ目が令和6年度の調査で回答があった症例数をまとめたものになります。地域連携室から回答がございましたのが183例で、うち有効なものが179例。担当医師から御回答いただきましたのが183例で、そのうち有効なものが144例ということになってございます。
 続きまして、22ページに飛んでいただきまして、地域連携室を対象とした調査結果のまとめになってございます。年齢別で見ますと、全体の半分強が女性ということで、70歳代の女性が最多となっておりまして、前回調査と比べて高齢者層で報告割合が増加しましたが、これはそもそもの年代別の接種者数の変化を考慮する必要があるとされております。
 主な受診診療科については、総合内科、総合診療科が多くなってございまして、その他、脳神経内科、整形外科、呼吸器内科等々、多岐にわたっておりました。
 受診者数は、2022年から2024年にかけて減少傾向にありました。
 また、発症から1か月以内に初回受診した割合は、令和5年度の調査と比較して低下傾向を示しました。
 23ページ以降が、医学的調査、すなわち担当医師に対する調査の結果をお示ししたものになります。ちょっと大部になりますので、飛ばします。
 31ページ目から32ページ目にかけまして、受診のきっかけとなった症状のうち日常生活を送る上で最も支障を来している主な症状を示しております。倦怠感が28例、関節痛が18例、発熱が16例、頭痛が12例等々となってございます。
 33ページ目にワクチン接種から症状が出現、または、もともとあった症状が悪化するまでの期間を示してございます。144例のうち、接種当日、0日に症状が発現した症例は50例、7日目までに症状が発現した症例が94例であり、8日目以降については漸減していくという形になってございます。
 36ページ目は、症状の持続期間を示しております。一番右、1年を超える症例が22例と少し多くなってございます。過去の調査と比較してこの割合が増加しているという状況です。0~7日が18例で、それ以降は日を追うにつれて漸減という傾向にございます。
 37ページ目から43ページ目に、1か月以上、31日以上症状が持続した症例の詳細についてお示ししてございます。
 47ページ目から49ページ目については、ワクチン接種後の症状に係る確定病名をお示ししております。症状とワクチン接種との因果関係については評価してございませんで、医療機関より報告された確定病名をそのまま記載してございます。ワクチン副反応が9例、肩関節周囲炎が7例、ワクチン副反応・詳細不明が5例、末梢神経障害等が4例という形で、様々な症状が認められております。
 続きまして、50ページ目ですが、報告された症状の転帰でございます。回復または軽快したものが70例、未回復が39例、不明が34例となってございます。
 51ページ目は、入院した方が12例いらっしゃいまして、症状、病名、検査、治療、転帰等の詳細をお示ししたものになってございます。
 52ページ目は、医師を対象とした調査結果のまとめをお示ししております。報告のうち約6割が女性であり、女性の中でも70代、次いで40代が多かった。初診受診の割合は8.3%であったとされています。
 全体の8.3%の12例に入院歴がございましたが、12例のうち10例は軽快、回復されていて、不変とされた2例については、全身掻痒感・紅斑という症状に対して、主病名が乾癬性紅皮症という形で診断されています。もう一例が上下肢脱力という症状に対して、主病名が脳皮質下出血という形で診断されているもの。それぞれ1例ずつございました。
 2022年から2024年にかけて受診件数が減少傾向にありました。
 接種から症状発現までの期間については、約86%が1週間以内でございまして、その多くは倦怠感、関節痛、発熱等の一般的な症状でしたが、5週間以内に症状が改善している割合は約3割でございまして、2割以上が1年以上にわたり症状が持続しておりました。
 転帰の確認できた症例のうち64%で回復・軽快が確認できたものの、約35%が未回復とされました。
 57ページは全体の総括でございます。接種が可能となってから期間が経過したことで、発症から受診までの期間や症状の持続期間に長期化が認められております。
 転帰不明の症例については追跡調査を行いましたが、依然として不明の割合が多く、アンケート調査の限界が認められました。
 地域の中核医療機関に紹介された患者の半数以上は症状が改善し、症状が30日以上遷延した症例において、半数以上で何らかの診断に至っております。
 今後も継続してこれらの情報を収集し、得られた知見を医療現場に提供するとともに、評価や診断に応じた適切な診療提供を継続することが重要とされております。
 なお、本調査の性質上、ワクチンと症状との因果関係を検証することはできない点に留意が必要とされてございます。
 資料について説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、御意見・御質問をお願いします。泉委員、どうぞ。
○泉委員 質問ですけれども、ページ36の当該症状の持続期間について。これは医師宛ての調査と書いてあります。これはどのぐらい持続していましたかというデータですが、それと50ページだったかな。数字が合わないというか、報告された症状の経過(医師宛調査)。これは合計144になっていますが、これは同じもののグラフと数字というふうに考えたらいいのですか。36ページと。
○予防接種課 例えば持続期間が確認できなかった症例については落ちている可能性がございますが、全体の調査の母数としては同じものになります。例えば1年以上症状が持続した上で回復されたというケースもございますので、全部が未回復というわけでもございませんし、そういうものでございます。
○泉委員 見方は一緒ではないけれども、その数字を横にしたものと、それから数字を表したもので、1年以上かかったものの中には回復したものも入ってはいるということですね。
○予防接種課 そうです。
○泉委員 第68回ですから、おとといのワクチン分科会の基本方針の部会で、ワクチン接種のデータが、市町村は今までは5年保存だったけれども、それは今後死亡後5年保存というふうに追加というよりも変更したということを聞きましたが、これは厚労省で正式の発表でそういうふうになるのですか。ということは、5年保存というのは、亡くなろうと、生きていようと5年保存、市町村は持っていたけれども、それが今度は死亡後5年保存ということであれば、その人の人生の一切が、疾病にかかったら、そのワクチンのかかったデータというのも残っているということになるのですか。
○予防接種課 今後の方針として、亡くなられてから5年後までは接種に関する情報を保存するということになってございます。
○泉委員 それが新しい、初めての今回ワクチン接種部会で決まったことですか。
○予防接種課 部会において、方針が決定されたところでございまして、今後必要な手続を踏んで、ルールが変わることになります。
○泉委員 分かりました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 花井さん、お願いします。
○花井委員 ありがとうございます。
 こうした調査は非常に重要だと思うのですけれども、副反応報告とかこういった調査とか、あと救済申請というのがあって、結局、私どもとしては、本来アフターワクチンに救済されるべきなのに、されずに苦しんでいる人たちをどうやって救うのか問題というのがテーマとしてありまして、では、今、それに値する人がどれだけいるのですかと聞いても、答えられるなら答えてほしいのですけれども、多分分からないのだと思うのです。つまり、今の感じでは、この調査、一番情報が少ないのは副反応報告で、あれでは判定がほとんど不可能であると。α、β、γ、ほとんど判定不能であると。この調査の回ではかなり医師が詳細にやっていて、もうちょっと詳しいと。一番詳しいのは救済申請データですね。
 少なくともそれが分かるのであれば、このくらいもっと救済されるべきだと答えてほしいのですけれども、大体どの程度の人が本当にそういうのに値するかということを把握しないとそれを進めることができないので、いわゆる救済のデータと副反応報告データは名寄せできると思うのです。副反応報告データは、生年月日その他、イニシャルまたは名前で、完全な名寄せはできないかもしれないけれども、PMDAにおいて照合しようと思ったらできるわけです。例えば救済申請に上がった人がそれのどこに値するかとか、どちらが合っていないとか、両方ばらばらとか、本当に救済に値する人がどのくらいいるのかということを掌握することを、幾つかの縦割りのいろんな方法論でやっているところを全体としてアセスメントするということは可能なのでしょうか。不可能なのでしょうか。もしくはそんな必要はないよ、分かっていますよと言うのだったら、それはそれでよいのですが、いかがでしょうか。
○予防接種課 まず、新型コロナワクチンの特例臨時接種や、その後の定期接種については、予防接種法に基づいて行われておりまして、健康被害の救済のほうがPMDA法に基づくものではなくて、予防接種法に基づいて救済されるということで、PMDAのほうで審査していないということがございます。救済の情報は例えば市町村なり国なりが持っているということにはなるのですけれども、必ずしも副反応疑い報告のデータと突き合わせて評価するということは、趣旨・目的が異なる制度ということもありまして、現状そこはやっていないということになります。
 一方で、救済の申請は市町村にされますけれども、救済の申請がされたものについて副反応疑い報告がなされているかどうかについては、きちんと医師に確認して、報告されていなければ報告を促してくださいということは、事務連絡で各自治体に依頼しているところでございます。
○花井委員 承知しております。だから、それぞれ別の制度で走っているので、そういうことをされてこなかったのですね。
 C型肝炎は、今日泉さんがおられますけれども、集団感染が分かっていたら、何でだと言うのですが、それは制度が違うからああなってしまうわけです。それは、もちろん医薬のシグナル検出を全部そんなのに使っていれば、シグナル検出自体が制度設計上難しくなるので、シグナル検出した患者さんに一々連絡して救済しなきゃなんて、そんなことをしろとはまだ言っていませんが、今、実態把握ができていなかったら、違う制度なのですけれども、事実上それは技術的には可能なのだから、ほかにいい方法があれば、それでやられたらいいと思いますけれども、取りあえずそれを今までやっていなくても、制度を知らなくても可能ではないかと思うのです。そろそろそのことをやってみて、実際問題として因果関係とか、本当に救済されない人たちが怒って運動にもなっているわけではないですか。そうすると、それは救済申請してくださいよ、申請したら調べますよと言っても、すごい長い時間かかってという話になっているわけですが、本当に一部の人たちがそのような被害救済に値するのか、いやいや、もっとたくさんいるのだけれども、とてもじゃないけど、その人たちは申請できずにいるのかというのを把握するのは、やはり予防接種行政としては仕事だと思うのです。
 だから、もしこの制度が違うからとおっしゃるのであれば、ほかのいい方法を考えたらいい。これは簡単ではないけれども、可能だと思うのです。ここで今、答えは求めませんが、少なくとも救済に値するのに苦しんだままほったらかされている人がどのくらいいるかということを把握する必要はあると考えますか。考えませんか。
○予防接種課 救済制度自体が、健康被害を受けた方の申請に基づき行われるというものですので、その外について網羅的に把握するというのはなかなか難しいところはありますが、申請されたものについてはなるべく幅広く。これは副反応疑いの因果関係評価とは異なるものですので、厳密な因果関係までは必要とせずに、完全に因果関係を否定できないものも含めて広く救済するという考え方で今、審査してございますので、そういう形で広く救済できればと考えております。
○花井委員 了解しました。一言言っておくと、医薬品副作用の被害救済制度は1979年からあるわけですけれども、全然申請がなくて、お金が要らないよねと言っていたのですよ。周知したり、いろいろすることによって急速に増やしていったわけです。本来は申請に値する人たちが申請できずにずっと何十年もいたということから考えれば、やはり申請しやすくする。もしくはしたほうがいい人に肩をたたいてあげるということをしないと進まないということがあるので、そろそろそういうことを考えてあげる時期ではないかということを意見として申し上げて、今日のところはその辺りで。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今日のところはその辺りというふうにおっしゃいましたが、制度の趣旨とか申請主義とか、そういうのはいいのですけれども、今回、こちらのデータ、144件、医師宛調査というのと、申請主義でやっている救済申立は桁が違うわけで、そちらのほうによりよい情報がありそうなら、何かうまく掛け合わせてよりよい実態把握ができるのではないかと。やってはいけないということはないのでしょうから、では、予防接種行政としてもっとやってみたらどうかという御意見なわけで、そこは趣旨が違うとかではなくて。
○予防接種課 ホームページとかリーフレット等で広く周知することはやっておりますので、引き続きそういった形でこの救済制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
○磯部委員長 その上で、よりよい実態把握というのを予防接種行政の側でやるべきではないかという意見に耳を傾けてくださいということを申し上げています。
 伊豆津先生、お願いします。
○伊豆津委員 今ほど難しい問題ではなくて、元のほうに戻って、レプリコンワクチンが新たな機構のものが日本で最初に導入されるということで、かなりチャレンジングだったということだと思いますけれども、コミュニケーションの面でかなり考える点も多かったものだなと思っています。例のシェディングは別に置いておいて、医療関係者がこういう新しいものをちゃんと使っていくというところに対して、技術的な情報があまりにも出されていなかったなと感じました。その後で欧州、EMAが承認されているわけですが、その情報はかなり充実したものが出てきていますし、そのほかのシステム、大枠などもかなり作業をされているということで、参考になる点が多いと思いますので、その辺りを検討いただいて、今後生かしていただきたいなと思っています。
 以上です。
○磯部委員長 どうぞ。
○予防接種課 ありがとうございます。
 厚生労働省のほうでは、例えば新型コロナワクチンに関するリーフレットとか、Q&Aをホームページで公表したり、それから製造販売業者のほうが作成する情報提供資材等がございますので、こういった中で各モダリティ、レプリコンワクチンも含めて、その特性については分かりやすく説明しているところでございますが、引き続きこういった形で周知に努めてまいりたいと考えております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、佐藤委員。手短にお願いいたします。
○佐藤委員 質問ですが、これで言うと8ページ目ですか。各社のワクチンの接種可能延べ人数とその報告数の一覧表ですが、先ほどMeiji Seika ファルマ社の報告が若干多くなっていて、それは市販直後調査だからという説明があったのですけれども、若干というよりは、10倍以上高くなっているのです。10倍以上高いということが市販直後調査の期間だからということだけで説明できるのでしょうかという質問です。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種課 他剤と比べるのは必ずしも適切でないかもしれませんが、参考に、今、Meiji Seika ファルマ社のコスタイベについては、重篤な症例の報告頻度が0.0451%ということでお示ししてございますけれども、ファイザー社、一番最初の起源株のときのコミナティの市販直後調査の期間の報告頻度は0.044%ということで、ちょっと高めの傾向があったというふうに理解してございます。接種対象が変わったりしていますので、直接比較するのがよいのかというのはありますが、市販直後は高めに出る傾向があるというのは事実でございます。
○佐藤委員 それはそのとおりなのですが、もし10倍の違いというのが市販直後調査だからという理由だけで説明できないのであれば、もう少しこのことについて今後も注目していくべきではないでしょうかという意見です。
○予防接種課 新型コロナワクチンの副反応疑い報告については、定期的に、3か月ごとに合同部会のほうで御報告して評価していただいてございますので、引き続きコスタイベの安全性については注視して、きちっと評価してまいりたいと考えております。
○佐藤委員 この委員会は、薬害を防止するために、安全性の問題がないかということの懸念に注目して議論をする委員会なのです。ですから、より最悪の事態を想定してリスクの評価をしていかないといけない。だから、市販直後調査の期間だから高くて、だから心配がないのですというのは、ちょっと極論ですよね。むしろそういう理由があるにせよ10倍も高いということに何かワクチン間の差があるという可能性も考えて注目していって、今後も引き続き検討していかなければいけないという意識をちゃんと厚労省の中で持っていただいて、それを踏まえた回答をしていただかないと、ここでの委員会で回答していただく意味がないと思いますので、その点も含めて意見として申し上げます。
○予防接種課 ありがとうございます。コスタイベの安全性については引き続き注視してまいりたいと考えております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと押していますので、この議題はここまででよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 資料2についての議論はここまでとさせていただいて、続いて、議題2「委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況」として、「市販後安全対策に係るリアルワールドデータの活用」について。本件は泉委員から取扱いの御要望をいただいたものです。資料3に基づいて、医薬局医薬安全対策課から御説明をお願いいたします。
○医薬安全対策課 医薬安全対策課の鶏内と申します。よろしくお願いいたします。
 2枚目、市販後安全対策において取り扱うリアルワールドデータとしましては、医療情報データベースというものとなりますが、それが医薬品の安全性監視に利用できる環境が整いつつあった平成29年に、ここに示します医療情報データベースを利用する際の基本的な考え方を通知しております。
 次に移りまして、医療情報データベースにつきまして、副作用疑いの自発報告や使用成績調査では、例えば副作用の薬剤間の比較ができないなどの制限がありますので、平成22年4月に公表されました「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」においても、データベースを活用し、行政側でも現場を確認し、必要な対応を検討すべきとの提言が出されております。
 4ページになります。そのような問題提起もあり、現在PMDAにMID-NETという医療情報データベースが構築され、管理・運営を行っております。
 MID-NETは、昨年末時点で9拠点31病院の協力を得て、830万人を超える患者さんのデータを扱うことができる状態になっております。
 MID-NETの特徴としましては、その規模のほかに、検査結果を含んでいるなどの多彩なデータソース、それからリアルタイム性、データの信頼性などがございます。
 続きまして、データの品質管理につきましては、毎日のモニタリングや定期的に元データとデータの照合を行うことでその品質を担保し、データ利用の観点からデータの標準化を進めてきているところです。
 続きまして、6ページになります。MID-NETの活用事例を紹介いたします。1つ目は、抗がん剤とG-CSF製剤を併用した際の血小板減少の副作用がG-CSFによる影響であるのかどうかを解析した事例となります。
 もう一つはビスホスホネート製剤の腎機能障害患者における低カリウム血症のリスクについて調査をしたものになります。
 8ページ目になります。MID-NETを活用した事例を紹介させていただきましたが、それ以外にもPMDAにおきましては、医療情報データベースとして医療保険のレセプトデータが入っていますNDBも安全対策に活用しております。
 次のページになります。これはMID-NETとNDBの比較表となります。データ規模につきまして、先ほどMID-NETの特徴で大規模だということを申しましたが、NDBに比べるとごくごく小さいものになります。比較的大きな病院のデータに限られているという、悉皆性の面も限られている状況でございます。
 利用できるデータとしては、MID-NETのほうは臨床検査値も含めた電子カルテデータを利用することができます。先ほどの2つの事例では、血小板減少、低カリウム血症といったところを評価するのにMID-NETを使っております。
 続きまして、10ページ目、NDBの活用事例を紹介いたします。1つ目はVEGF阻害剤による動脈剥離の発現リスクの評価です。ベバシズマブという細胞の増殖因子を抑える機能を持つ薬剤で、動脈剥離が「重大な副作用」として注意喚起され、同様の機能を持つほかの薬剤で同じリスクがないのかを調べた事例になります。
 もう一つは、非ステロイド性抗炎症薬による心血管系イベントの発現リスクを評価したものです。非ステロイド性抗炎症薬を使用している集団に対して、それを使用していない集団の心血管のイベント、急性冠症候群、脳梗塞、脳出血の発現リスクを調べたという事例になります。
 NDBを用いた調査につきましては、調査に必要なデータが得られるという前提で、処方の悉皆性や症例数の規模を考慮して、NDBを使っております。
 12ページになります。MID-NETを活用した早期安全性シグナルモニタリングの概要となります。これは2022年からの取組になります。紹介したMID-NETの活用事例では、調査する目的など計画をしっかり定めた上で、情報を抽出、解析をするという工程で行っておりますが、この早期安全性シグナルモニタリングは、こちらの右側に示します検討対象項目をあらかじめ定めておくことによって、対象とする医薬品について早期に懸念する情報がないかを調べられるというものでございます。ただし、このモニタリングは患者背景の厳密な調整などを行っていないということで、何らかのシグナルが出たとしても、それは探索的な結果というところに留意する必要があるというものでございます。
 続いて、13ページ目、早期安全性シグナルモニタリングの事例の紹介でございます。1つ目がチキサゲビマブ・シルガビマブによる臨床検査値異常のシグナル検出です。比較対照に比べて、このように白血球減少とか血小板減少のシグナルを検出するということができるものになっております。
 14ページ目になります。もう一つの事例はエンシトレルビルフマル酸による臨床検査値異常のシグナル検出です。先ほどと同様に検討対象項目の中でシグナルの検出を行っております。
 15ページ目です。こちらの通知は、医療情報データベースを利用して出た結果に基づいて、添付文書を改訂する際の記載要領や留意事項を示したものとなります。このような通知を出しております。
 続きまして、16ページ目は、令和5年に出した医療情報データベースを活用した事例を周知しているものでございます。
 17ページ目は、医療情報データベースを活用した事例をまとめたものになります。事例1では処方実態の調査、事例2は未知の事象のシグナル検出、事例3では特定の事象についての検証的な確認、事例4では安全対策措置の効果の検証、事例5ではリスク最小化活動の内容の確認になります。データベースによって制限はございますが、効果的・効率的な調査手法として活用しております。
 18ページは、製造販売後の調査の一つとしてデータベース調査がございますが、それがどれぐらい実施されているかをまとめたものになります。これはリスク管理計画などにそういったデータベース調査の実施というものが書かれているものをまとめたものになります。毎年度10件を超える程度の調査が行われている状況となっております。
 説明は以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 皆様から御意見・御質問ございますでしょうか。泉委員、どうぞ。
○泉委員 説明ありがとうございました。
 リアルワールドデータはPMDAがつくられて、PMDAが管理しているものでありますね。
○医薬安全対策課 リアルワールドデータの一つということで。
○泉委員 ごめんなさい。MID-NETです。
○医薬安全対策課 そうです。
○泉委員 これができてから10年近くになるのではないかと思いますが、最初から聞いているのは、情報システムがそもそも違う、全く異なる拠点から、それをつないで情報を一元化することの大変さ。システム開発が違うわけですから、それをどうやってつなぐかというのは、よく例に出ますが、銀行が統廃合してシステム開発が全然違うものを一緒にしたら、銀行が突然クラッシュしたというような話がありますが、何とか頑張って、9拠点31病院というのは増えていると思います。それで全国の9拠点というのは主に大学病院ですね。
○医薬安全対策課 そうです。
○泉委員 そうすると、大学病院から出たであろう830万人超のデータは、今後も増えていくのか。そして、NDBを含めたリアルワールドデータの中にもっともっとMID-NETの情報が増えていく形で、今後もPMDAが運営をずっと続けていくというものなのですか。
○医薬安全対策課 MID-NETの中のデータというのは毎年増えてきている状態で、今後も増やしていこうと思っています。ただ、NDBのシステムとは全く別のデータベースになっていて、そこを統合することは難しいと考えています。
○泉委員 難しいですよね。これは全国規模で、こちら側は830という数字が限られている。多くはなっているけれども、全国民を対象にしているのとはまた違いますからね。そうすると、それを統合してリアルワールドデータというのはどういう位置づけでいるのか。システム自体が全部違うわけですね。そこのところをちょっと危惧しますが、御説明ください。
○医薬安全対策課 データベースとしては、御認識のとおり、それぞれ入っている情報も違いますし、その規模も違っていると。そこを統合というよりは、現時点でデータベースを拡大するといった意味では、MID-NETはMID-NETで増えていっていますし、NDBのほうは悉皆的なレセプト以外の健康診断の情報とか、介護施設での情報とか、次世代基盤法のデータベースなど、そちらのほうの統合とか、そちらのほうのデータの拡大を進めているという状況になっていて、MID-NETとNDBを統合するというところはないのですが、NDB自体はいろんなデータとくっつけてデータの種類を広げています。
○泉委員 それの先にリアルワールドデータというのが存在するので、リアルワールドデータというのは、この2つを入れ込んだ形で、その両方を見ながら何かに検討できるような形にしていくという意味で、いわゆる第III相試験をなくして、リアルワールドデータで見ていくような話もちらちらと聞きます。今後ですよ。今は絶対にできないと思っていますので。それはどういう構想でいらっしゃるのでしょうか。
○医薬安全対策課 臨床試験にリアルワールドデータを使用するということについてですけれども、例えば新しいお薬が出てきた場合には、そもそもリアルワールドデータの中にデータはないので、そのお薬に対する試験はやらなければいけないのだと思うのですが、その対照群にリアルワールドデータが使えないかというのが、先ほどの第III相に使えないかというところの発想だと思っております。そういうのは適切に対象を選ばなければいけないとは思いますけれども、そういうのは出てくるものだとは思います。
○磯部委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
○泉委員 最後にすみません。新しい薬機法にリアルワールドデータを使った形になっていくらしいことが書かれていますが、それはすぐに始まるわけでなくて、今後ということで、いつになるか分からないということでよろしいのですか。第III相試験がない形で承認されていくという話は。
○医薬品審査管理課 リアルワールドデータについての今回の薬機法改正についてでございますけれども、現行の薬機法の下でもリアルワールドデータを用いた承認というものは実は可能になっておりまして、ただ、そこについては、どういったデータなのか、どういった信頼性があるデータなのか、どういった内容なのかといったところをしっかり精査し、仮に使用の申請でそういったものが上がってくれば、その内容をしっかり精査していくということになっております。
 その上で、今回の法改正の対応としては、制度部会の取りまとめでも記載されておりますけれども、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用であったり、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提としてリアルワールドデータの利活用が明確化されるように法律上の対応を行うということとされておりましたので、それを踏まえてしっかり適切に対応していくということだと考えております。
○泉委員 現状はそういうこと。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 技術的な話ですけれども、PMDAが参照しているNDBで名寄せ匿名化IDも参照できているのですか。レセプトは属人的になっていないので、名寄せIDというのを生成して、レセプトを個人に集約できるものがあるではないですか。あれも参照しているのですか。
○医薬安全対策課 詳細は私も存じないのですけれども、その患者さんについて、複数の医療機関を受診したとか、そういったところのデータも取れております。それで回答になっていますでしょうか。
○花井委員 なっています。ということは、名寄せIDを使えているということだと思います。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 9ページにMID-NETとNDBを比べた表があるのですが、丸の数だけ見るとMID-NETのほうがいいように見えるのですが、これはPMDAが肝煎りでつくったから、自分のところでやったのをよく見せたいというお気持ちはよく分かるのですが、これはミスリーディングですと指摘せざるを得ないですね。事前説明の際にも意見として申し上げたのですけれども、結局この表は直らなかったので非常に残念に思っておりますが。先ほど説明の中では口頭でありましたが、MID-NETの一番の限界というのは悉皆性がないということです。9拠点30病院以外の医療機関で処方された医薬品の情報が分からない。あるいは9拠点30病院以外の医療機関で診断された病名についても情報がない。ですから、1人の患者さんが9拠点30病院の中で何らかの病名があって、検査値が悪かったとか、異常があったと言っても、その前にどのような薬が使われているかというのが、その医療機関で処方された薬についての情報しか得られないというところが致命的な限界と。薬剤疫学を専門とする者から言うと、致命的な限界なのです。
 ただし、そうであったとしても、検査値が使えるという利点を生かしていろいろな研究は可能ではあるのですが、限界があるということを言っていかないと、MID-NETに過剰な期待を国民が寄せる。ミスリーディングな情報の発信の仕方になるのではないかということをコメントさせていただきます。特に回答は不要です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 データの規模は830万台、全国民規模というのが書いてはあるのですけれども、三角とか二重丸とか、そういうことには書いていないので。
 そのほか、いかがでしょう。時間もあれですので、これはこの後どうなっていくのかというのを定点観測していきたいような気がいたしますので、またいろいろと教えていただければと思います。佐藤委員がおっしゃったように、何としてでも薬害を予防したいというつもりで動いている委員会ですので、3か月に一度ぐらいここに来て、今の施策にそういう思いを少し乗せていただいて、何かできることはないか、やってみようかというふうな気持ちでやっていただければありがたいなと思っております。
 それでは、議題2に関する議論はここまでということで、ありがとうございました。
 続きまして、議題3に行きます。「医薬局からの定期報告」について。こちらは資料4-1と4-2を併せて事務局から説明をお願いいたします。
○池上室長補佐 事務局のほうから資料4と5についてまとめて御説明させていただければと思います。
 まず、資料4について。今回製造販売承認された医薬品につきまして、報告対象となっているものについて御説明させていただきます。資料4の3ページを御覧ください。今回の報告対象となっておりますのは2品目ございます。1つ目が、今年2月に承認されましたアナエブリ皮下注200mgペン。こちらは遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制を効能・効果とする医薬品でございます。
 また、今年の5月に承認されましたブーレンレップ点滴静注用100mgについても対象となっております。こちらについては再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする医薬品でございます。
 いずれも海外での承認がない新有効成分含有製品として対象となっているものでございます。
 資料4の4ページについて御覧ください。医薬品の使用上の注意の改訂について。副反応報告部会で昨年10月から今年の3月5日改訂指示分まで報告された内容について掲載させていただいております。こちらについては特筆すべきものはございませんので、詳細については割愛させていただきます。
 17ページを御覧ください。外国での新たな措置の報告状況につきまして、昨年の8月から11月分のものについて報告させていただいております。添付文書の改訂等の対象について掲載させていただいております。こちらについても特筆すべきものは特段ございません。
 続きまして、資料5について御説明させていただきます。個別医薬品の欧米での承認状況について御説明させていただきます。
 2ページからの一覧を御覧ください。今回、調査対象に関しましては、2ページから7ページまでの63品目が対象となっております。変更点のみ御説明させていただきます。
 まず、3ページのR3-07、ロナプリーブ点滴静注を御覧ください。こちらに関しましては、FDAのところで新たに詳細情報を追記しております。こちらはコロナに対する抗体カクテル療法に用いる医薬品ですけれども、2020年に緊急使用許可の発効がなされており、その後、新たな株に対する有効性の問題等もありまして、昨年の12月にEUAが失効しております。本品目については、今回で調査終了とさせていただければと考えております。
 続きまして、R3-23、ミチーガ皮下注用60mgシリンジを御覧ください。こちらに関しましては、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒ですとか結節性痒疹に使用する薬剤でございます。EMAで2月に承認されたという報告のみさせていただいておりましたが、こちらに関しまして詳細情報を個別医薬品のページに掲載させていただいております。
 続きまして、5ページのR5-3、アレモ皮下注15mgを御覧ください。こちらに関しましてもEMAで12月に承認され、その詳細情報を掲載させていただいております。FDA、EMA共に承認されておりますので、今回で本品目の調査は終了とさせていただければと思います。
 続きまして、7ページを御覧ください。R6-13、カビゲイル注射液に関しまして、EMAで今年1月に承認され、承認日のみ前回報告させていただいておりましたが、今回詳細情報についても個別医薬品のページに掲載させていただいております。
 また、R6-14、ダトロウェイ点滴静注用に関しましては、前回、FDAでの1月の承認日のみ報告させていただいておりましたが、詳細情報を追記しております。また、EMAで4月に承認されておりますので、その詳細情報も追記しております。ダトロウェイ点滴静注用につきましては、今回で調査終了となります。
 また、新規にR6-15、アナエブリ皮下注200mgペンとR7-1、ブーレンレップ点滴静注用について記載しております。アナエブリ皮下注200mgペンについては、EMAで2月に承認されており、その詳細情報についても追記しております。ブーレンレップについては、FDA、EMAでの承認情報がまだありませんので、引き続き調査は継続予定です。
 御説明については以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 委員の皆様から御意見・御質問はございますか。
 定期報告については以上ということで、次回以降も引き続きこれはやっていくのですね。よろしくお願いします。
 以上で本日の議題は終わるということになりますが、最後に何か話しそびれたという先生はいらっしゃいませんか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。
 では、事務局からお願いします。
○土岐室長 次回の委員会の日程とか議題につきましては、これから委員の皆様と御相談させていただいた上で、連絡させていただきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は終了となります。長時間にわたりましてありがとうございました。