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第1回社会保障審議会生活保護基準部会最高裁判決への対応に関する専門委員会 議事録
日時
令和7年8月13日(水) 18:00~20:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 19階 共用第8会議室
厚生労働省 19階 共用第8会議室
出席者(五十音順)
・岩村 正彦 東京大学名誉教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
議題
(1)専門委員会設置要綱及び委員長選出について
(2)平成25 年生活扶助基準改定に関する最高裁判決について
(2)平成25 年生活扶助基準改定に関する最高裁判決について
議事録
- (議事録)
- ○竹内社会・援護局保護課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第1回「社会保障審議会生活保護基準部会 最高裁判決への対応に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
この後、委員長が決まるまでの間、私、社会・援護局保護課長の竹内が進行を務めさせていただきます。
本日は、対面及びオンラインを組み合わせての実施とさせていただきます。また、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承ください。
最初に、本委員会を構成する委員の皆様につきまして、御紹介させていただきます。
五十音順で御紹介いたします。お手元の資料1「最高裁判決への対応に関する専門委員会 設置要綱」の別紙、委員名簿を御覧いただきたいと思います。
東京大学名誉教授、岩村正彦委員。
東京大学大学院法学政治学研究科教授、太田匡彦委員。
神戸大学大学院法学研究科教授、興津征雄委員。
明治学院大学社会学部教授、新保美香委員。
東北大学大学院法学研究科教授、嵩さやか委員。
同志社大学社会学部教授、永田祐委員。
早稲田大学政治経済学学術院教授、別所俊一郎委員。
立正大学大学院経済学研究科教授、村田啓子委員。
東北大学大学院経済学研究科教授、若林緑委員。
以上の9名でございます。本日は、委員全員に御出席いただいております。
また、事務局を御紹介させていただきます。
鹿沼社会・援護局長。
岡本大臣官房審議官。
林大臣官房審議官。
石川地域保健福祉施策特別分析官。
池上社会・援護局総務課長。
よろしくお願いいたします。
続きまして、鹿沼社会・援護局長より一言御挨拶を申し上げます。
○鹿沼社会・援護局長 社会・援護局長の鹿沼でございます。
社会保障審議会生活保護基準部会の下に設置されましたこの専門委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本専門委員会の委員への就任を快くお引き受けいただき、また、お盆という時期にもかかわらず、遅い時間にもかかわらずお集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
御案内のとおり、本年6月27日に、最高裁判所で平成25年から3年かけて実施した生活扶助基準改定に関する判決がありました。その詳細につきましては後ほど説明をさせていただきますが、デフレ調整につきまして、改定当時、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間に不均衡が生じていると判断したことについて、統計などの客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとは言い難いとされたものの、一方で、物価変動率のみを直接の指標とすることについて、基準部会等による審議検討を経ていないなど、その合理性を基礎づけるに足りる専門的知見があるとは認められず、デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があったとして、当時の基準改定に関する行政処分が取り消されました。
厚生労働省といたしましては、司法の最終的な判断を真摯に受け止め、判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方について、専門家の先生方に御審議いただく場を設けるべく、本委員会を設置することといたしました。
生活保護制度は、私が言うまでもございませんが、憲法第25条に規定する理念に基づき、生活に困窮する方に対して最低限度の生活を保障するものであります。その基準に関して今回最高裁判所から判決が示され、その対応について御審議を賜るという、非常に重要かつ難しい議論になると考えており、委員の皆様の御知見が必要不可欠と考えております。
委員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門のお立場から、ぜひ忌憚のない御意見を賜り、御議論いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○竹内社会・援護局保護課長 ありがとうございます。
報道関係の方に御連絡いたします。
冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの皆様は御退席をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○竹内社会・援護局保護課長 それでは、事務局よりお手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますけれども、資料1「最高裁判決への対応に関する専門委員会設置要綱」、資料2「平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決について」、そのほか参考資料1~3の3種類を御用意してございます。会場にお越しの委員の方におかれましては、机上に用意してございます。過不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
オンラインにて出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮でございますが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、発言方法について。オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をお願いします。御発言が終わりましたら、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
それでは、議事に入らせていただきます。お手元の資料1を御覧いただきたいと思います。
1番目に「設置の趣旨」を書いてございます。
この専門委員会の設置につきましては、令和7年6月27日最高裁判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方について、学識経験者の専門的知見に基づく検討を行うため、社会保障審議会生活保護基準部会におきまして御了承いただいたことを踏まえて、今回こういう形で専門委員会を設置させていただきたいと存じます。
2番目、3番目の「構成等」、「検討事項」については割愛をいたします。
4番目、「運営等」でございます。
(1)専門委員会の議事は原則公開とする。ただし、委員長は、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があると認めるときは非公開とすることができる。
(2)専門委員会は、検討過程において、必要に応じ、関係者の意見聴取を行うことができる。
1つ飛ばしまして、(4)その他必要な事項については委員長が定めるということにしてございます。
こちらの設置要綱を踏まえまして、本日報道関係者の会場傍聴及びYouTubeによる一般公開を行っております。
次に、委員長の選任を行いたいと思います。本専門委員会の委員長につきましては、社会保障審議会生活保護基準部会の部会長でもございます岩村委員にお願いしたいと存じますが、皆様、いかがでございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○竹内社会・援護局保護課長 ありがとうございます。
それでは、本専門委員会の委員長を岩村委員にお願いしたいと存じます。
以後の議事運営につきましては、委員長にお願いいたします。
それでは、よろしければ委員長より一言御挨拶をお願いできればと存じます。
○岩村委員長 ただいま委員長を仰せつかりました岩村でございます。
委員の皆様、事務局の皆様の御支援、御協力をいただきながら、委員会の運営に努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
では、早速、議事を進めたいと思います。
次は議事(2)でございます。事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局の社会・援護局保護課長補佐の千田でございます。
私のほうから、資料2「平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決について」を御説明いたします。
2ページを御覧ください。生活扶助基準の改定経緯に関する資料でございます。
1つ目の○にありますとおり、生活保護の基準につきましては、生活保護法におきまして厚生労働大臣が定めると規定されておりまして、このうち生活扶助の基準につきましては、昭和58年中央社会福祉審議会意見具申に基づきまして、昭和59年度以降、水準均衡方式により、一般国民の消費実態との均衡上、妥当な水準を維持するよう設定されております。
2つ目の○でございますが、その後、平成16年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」報告書におきまして、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に1度の頻度で検証を行う必要があるとの提言がなされたことを受けまして、平成19年度以降、消費実態に係る統計調査のデータ等を用いた定期的な検証が行われてまいりました。
3つ目の○でございますが、本専門委員会の親会議であります生活保護基準部会は、生活保護基準の定期的な評価・検証について審議する専門の部会として、平成23年2月から社会保障審議会の下に設置され、生活扶助基準について、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを見極めるため、専門的かつ客観的な検証が実施されてまいりました。
3ページを御覧いただきますようお願いします。平成19年検証から平成24年度までの生活扶助基準改定に関する資料でございます。
1つ目の○にございますが、平成19年の「生活扶助基準に関する検討会」におきまして、平成16年全国消費実態調査結果の特別集計により、平成16年度の生活扶助基準額と年間収入第1・十分位の生活扶助相当支出額を比較して検証した結果によりますとと、左下に棒グラフがございますが、①夫婦子1人世帯においては生活扶助基準額が15万408円、生活扶助相当支出額が14万8781円と、生活扶助基準額がやや高め、そして、②60歳以上の単身世帯でございますが、生活扶助基準額が7万1209円に対して、生活扶助相当支出額が6万2831円と、生活扶助基準額が高めとの結果でございました。
しかしながら、右下の表にございますとおり、平成20年度の生活扶助基準は、原油価格の高騰や世界的な金融危機による実体経済への深刻の影響などを踏まえ据え置くと判断がなされ、平成24年度までは改定が行われないという状況でございました。
4ページを御覧いただきますようお願いいたします。平成24年検証に関する資料でございます。
今般の最高裁判決の対象になりました平成25年生活扶助基準改定に向けまして、生活保護基準部会においては、平成21年全国消費実態調査の特別集計により、年齢、世帯人員、居住地域の3要素別の基準体系の検証のみが実施され、基準の水準(高さ)の検証については実施されてございませんでした。
資料中のグラフにつきましては、年齢別、世帯人員別、級地別に、一般低所得世帯における消費支出の格差指数を赤の折れ線で示し、生活扶助基準の格差指数を青の折れ線グラフで示したものでございます。赤の折れ線と青の折れ線の間に乖離、いわゆるゆがみがあるかどうかを分析・評価をいたしましたのが平成24年の生活保護基準部会における検証内容でございました。
5ページを御覧ください。平成25年生活扶助基準改定に関する資料でございます。
これまで説明してまいりましたとおり、生活扶助基準につきましては、平成19年以降、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られるよう、5年ごとに定期的な検証を実施することとされており、平成25年改定におきましては、デフレ傾向を踏まえた物価による調整としてのデフレ調整、そして、4ページで御説明いたしました生活保護基準部会の検証結果を反映するゆがみ調整、この2種類の調整を反映した改定を実施いたしました。
このうち、①のデフレ調整でございますが、先ほど説明した平成19年検証で生活保護基準が高いとされながら減額改定されず、その後、据え置いてきた中で、生活保護受給者の生活に配慮する観点も踏まえ、政策判断により生活扶助を初めて物価による調整を行ったものでございます。
具体的には、仮に全国消費実態調査に基づき消費を基礎として改定を行う場合には、減額幅がマイナス12.6%と大きくなることが想定されたところでございましたが、生活保護受給者の生活に配慮し、物価下落の影響、マイナス4.78%を基準に反映することとしたものであります。
また、②のゆがみ調整につきましては、基準部会の検証結果で確認された年齢別、世帯人員別、級地別のゆがみを調整するものでありますが、検証結果で把握されたゆがみの2分の1を反映することといたしましたのは、当時の政策判断によるものでございました。
平成25年から実施した生活扶助基準改定につきましては、下に折れ線グラフの記載がございますが、激減緩和の観点から減額幅を最大10%にとどめるとともに、平成25年8月から平成27年度まで3回に分けて段階的に実施をしたところでございます。
なお、平成26年度改定におきましては、消費増税の影響を踏まえ、プラス2.9%を反映させているということでございます。
6ページを御覧ください。平成30年生活扶助基準改定に関する資料でございます。
生活保護基準部会における平成29年検証においては、生活扶助基準の水準(高さ)の検証及び基準体系の検証を実施いたしました。
検証の結果、基準額の水準の検証においては、夫婦子1人世帯の基準額と一般低所得世帯の消費水準の比較を行ったところ、それぞれの水準が均衡しているとの結果であり、基準額の水準を据え置くことにいたしました。
また、基準体系の検証においては、年齢、世帯人員、地域別、それぞれについて消費実態と基準額の乖離が認められたことから、その是正のための見直しを実施いたしました。
なお、その際、平成29年基準部会の指摘を踏まえ、基準額の設定の際には減額幅は最大5%にとどめ、平成30年10月から3回に分けた段階実施とするなどの激変緩和措置を講ずることにいたしました。
7ページを御覧ください。今般の最高裁判決の概要に関する資料でございます。
本資料につきましては、最高裁判決の判示部分について、今後の検討におけるポイントになると思われる部分を事務局において抜粋したものでございます。判決文そのものにつきましては、参考資料として配付しておりますので、適宜御参照いただくようお願いいたします。
まず、最高裁判決の内容として、判決の結論部分のポイントをまとめてございます。前提といたしまして、今般の最高裁判決は、大阪高等裁判所判決及び名古屋高等裁判所判決について最高裁による統一判断が示されたものであります。
まず、大阪高裁判決については、処分の取消し及び国に対する損害賠償請求のいずれも否定する判決でありましたが、最高裁判決では、判決主文において、取消判決に対する第1審被告、自治体の控訴を棄却する、一方、国に対する損害賠償請求については、賠償を認めない高裁判決に対する原告の上告を棄却するものとされています。
名古屋高裁判決につきましては、大阪高裁判決とは逆に、処分の取消し及び国に対する損害賠償のいずれも肯定する判決でございましたが、最高裁判決では、判決主文において、取消判決を引用する高裁判決に対する自治体の上告を棄却する、一方、国に対する損害賠償請求については、第1審原告の控訴を棄却するものとされています。
以上を踏まえまして、判決の内容として、「自治体による保護変更決定処分を取り消す。原告らの国に対する損害賠償請求を棄却する」と記載をしているものでございます。
続きまして、最高裁判決の理由中の判断について、ポイントを御説明いたします。
まず、裁判所としての判断枠組みについては、2つ目のポツでありますが、「厚生労働大臣は、生活扶助基準を改定するに当たり、それにより基準生活費を減額されることとなる被保護者の期待的利益についての配慮の要否等を含め、専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権を有しているものというべきであり、本件改定は、その判断に上記見地からの裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合に違法となる」。
3ポツ目でございますが、「生活扶助基準の改定の要否の判断の前提となる最低限度の生活の需要に係る評価や被保護者の期待的利益についての配慮は、上記のような専門技術的な考察に基づいた政策的判断であるところ、これまでも生活扶助基準の改定に際しては、専門家により構成される合議制の機関等により、各種の統計や資料等に基づく専門技術的な検討がされてきたところである」とした上で、ポツの4つ目でございますが、「これらの経緯等に鑑みると、厚生労働大臣の裁量判断の適否に係る裁判所の審理においては、主として本件改定に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否か等の観点から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべき」との基準が示されてございます。
こうした判断枠組みに基づきまして、デフレ調整につきましては、最後のポツに記載がありますとおり、「平成20年度から平成24年度までの生活扶助基準について水準均衡方式による改定が行われなかったことからすると、厚生労働大臣が、本件改定当時、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間に不均衡が生じていると判断したことにつき、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとはいい難い」との判断が示されてございました。
8ページを御覧ください。7ページからの続きでございますが、最高裁判決の理由中の判断のうち、デフレ調整に係る内容を整理した資料でございます。
まず、1つ目のポツでございますが、「生活保護法8条2項の『最低限度の生活の需要を満たす』とは、生活扶助については、最低限度の消費水準を保障することを意味するものとして理解されてきたもの。昭和59年度以降採用されてきた水準均衡方式も、一般国民の消費実態との関係において妥当な生活扶助の水準を維持しようとするもの」。
2つ目のポツでございますが、「物価変動率は、それだけでは消費実態を把握するためのものとして限界のある指標であるといわざるを得ない。物価変動率のみを直接の指標として基準生活費の改定率を定めることが、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を有するものというためには、物価と最低限度の消費水準との関係や、従来の水準均衡方式による改定との連続性、整合性の観点を含め、専門的知見に基づいた十分な説明がされる必要がある」との規範が示されてございます。
その上で、本件改定への当てはめとして、3つ目のポツでございますが、「上記不均衡を是正するために物価変動率のみを直接の指標として用いることが合理的であることについて、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできない」。
4つ目のポツでございますが、「物価変動率を指標とすることが、一般論としては専門的知見と整合しないものではないからといって、それまで水準均衡方式によって改定されてきた生活扶助基準を、物価変動率のみを直接の指標として改定することが直ちに合理性を有するものということにはならないところ、上記不均衡を是正するために物価変動率のみを直接の指標とすることについて、基準部会等による審議検討を経ていないなど、その合理性を基礎付けるに足りる専門的知見があるとは認められない。物価変動率のみを直接の指標として用いたことに、専門的知見との整合性を欠くところがあり、この点において、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があったものというべき」。
5ポツ目でございますが、「デフレ調整が一律に4.78%も減ずるものであり、生活扶助を受給していた者の生活に大きな影響を及ぼすものであることも考慮すると、平成29年検証の結果によって、上記の評価は左右されない」といった判断が示されてございます。
その上で、「本件改定は、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整をすることとした点において、その厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、生活保護法3条、8条2項に違反して違法」との結論が導かれてございます。
9ページを御覧ください。最高裁判決の理由中の判断のうち、ゆがみ調整及び国家賠償請求に係る内容のポイントを整理した資料でございます。
ゆがみ調整につきましては、先ほど説明させていただいたとおり、基準部会の検証結果で確認された、年齢別、世帯人員別、級地別のゆがみを調整するものであり、当時の政策判断において、検証結果で把握されたゆがみの2分の1を反映することとした点について、最高裁判決では「2分の1処理を含むゆがみ調整に係る厚生労働大臣の判断に、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるということはできない」との判断が示されております。
国家賠償請求につきましては、判決主文において、原告の上告ないし控訴が棄却されておりますが、その理由として、1つ目のポツ、「保護基準は、最低限度の生活の需要を超えないものでなければならないのであり、仮に本件改定前の生活扶助基準が上記需要を超えたものとなっていたというのであれば、これを引き下げることは、生活保護法の規定に沿う」。
2ポツ目でございますが、「厚生労働大臣が、本件改定当時、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間に不均衡が生じていると判断したことにつき、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとはいい難い」。
3つ目のポツ、「平成24年8月に施行された社会保障制度改革推進法附則においても、生活扶助の給付水準の適正化その他必要な見直しを早急に行うものとする旨が規定されていた。加えて、物価変動率を指標とすること自体が直ちに許容されないものとはいえない」といった点を挙げて、「厚生労働大臣が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とデフレ調整に係る判断をしたと認め得るような事情があったとは認められない」との結論が導かれています。
10ページを御覧ください。
本日の専門委員会は第1回目の会合でございまして、最高裁判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方について今後の議論を進めていくに当たって、資料に記載の3点について委員の皆様からの御意見を頂戴したいと考えております。
1点目でございますが、「今回の最高裁判決の趣旨をどのように受け止めるか。また、判決の法的効果及び当該法的効果を踏まえた対応の在り方についてどう考えるか」との点でございます。
今回の最高裁判決は、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整をすることにした点において、基準部会等による審議検討を経ていないなど、その合理性を基礎づけるに足りる専門的知見があるとは認められないといった点が指摘されておりますが、他方で、厚生労働大臣が、本件改定当時、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間に不均衡が生じていると判断したことについて、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとは言い難いとの指摘もなされておりまして、こうした点も踏まえまして、判決の趣旨をどのように受け止めるべきか。
また、判決主文において、原告に対する自治体による当時の保護変更決定が取消しをされてございますが、こうした結果、そして、その理由中の判断も含めまして、判決の法的効果及び当該法的効果を踏まえた対応の在り方についてどのように考えるべきかといった点について、御意見を頂戴したいと考えております。
2つ目の○でございますが、「平成25年生活扶助基準改定に関し、判決を踏まえて専門的知見に基づき確認すべき論点についてどう考えるか」との点でございます。
これまで御説明させていただいたとおり、判決の理由中の判断におきましては、物価変動率はそれだけでは消費実態を把握するためのものとして限界のある指標であると言わざるを得ない、物価変動率のみを直接の指標として基準生活費の改定率を定めることが、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を有するものと言うためには、物価と最低限度の消費水準との関係や、従来の水準均衡方式による改定との連続性、整合性の観点も含め、専門的知見に基づいた十分な説明がされる必要があるといった点が指摘をされてございますが、まさにそこで指摘されている物価と最低限度の消費水準との関係や、従来の水準均衡方式の改定との連続性、整合性の観点も含めまして、本専門委員会において確認すべき論点についてどのようなものがあるか、御意見を頂戴したいと考えてございます。
最後の○でございますが、「その他、今回の最高裁判決を踏まえた対応の在り方を検討するに当たって、必要な材料・資料についてどう考えるか」との点でございます。
事務局といたしましては、必要な材料・資料として考えられる例として、判決の法的効果に関する基本的知見、平成24年検証に用いられた平成21年全国消費実態調査のデータ、平成24年検証当時の消費や物価などに関する指標(家計調査等の公表資料等)を事務局としては挙げておりますけれども、これらに関する御意見、あるいはこれら以外に必要と考えられる材料・資料がないかといった点について御意見を頂戴したいと考えております。
なお、本資料の12ページ以降につきましては、最高裁判決において認定されました事実関係等を抜粋した資料でございます。また、繰り返しでありますが、別冊において最高裁の判決本文と、生活保護制度の概要等に関する資料も配付させていただいておりますので、必要に応じ御参照いただきますようお願いいたします。
以上で事務局からの説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございました。
ただいま、事務局から資料2について御説明をいただきました。これにつきまして、御質問あるいは御意見があれば、委員の皆様から御発言をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
それでは、太田委員、どうぞ。
○太田委員 御説明、どうもありがとうございました。
念のための確認ですが、全国消費実態調査でやると10%以上下がるようだといってデフレ調整は物価でやったみたいな御説明をされましたけれども、これは当初からされていた説明ではないですよね。訴訟の中で「実は」と後から言い出した説明だったように思うのですが、それはいずれのほうが正しいでしょうか。
○岩村委員長 では、事務局のほうでお願いできますか。
○榎社会・援護局保護課調整官 社会・援護局保護課の榎と申します。
御質問についてお答えさせていただきます。
今、委員から御指摘のあった点につきましては、資料2の5ページ目の①の※書きのところにある「減額幅が▲12.6%と大きくなることが想定された」という記載に関して、当時、生活保護基準部会のほうで議論していたときからこういった認識を持っていたのかといった点の御質問かと理解をしております。
この点につきましては、委員からも御発言がございましたけれども、当時の基準部会において説明をしていた数字ではございませんで、あくまでその後の裁判の過程の中で行政側から御説明をさせていただいた内容でございます。
○太田委員 事実の確認だけで、取りあえずは結構です。ありがとうございました。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 議事について伺いますが、今ここは質問だけをするのですよね。判決についての受け止めとか、事務局が提示された論点について今のところどう思っているかはまだ言わなくていいのですよね。
○岩村委員長 今日のところは、資料2の10ページに挙げていますけれども、こういう論点の立て方でいいですかということで、論点が3点挙がっていますが、それ以外に何か論点があれば御意見を伺いたいということで想定しております。
○太田委員 つまり、自分は判決をどう理解するかという話ではないという前提でいいですね。
○岩村委員長 今日は、まず、どういうものを今後事務局が用意していくのかということを考える上で、委員の皆様の御意見を伺っておきたいという趣旨だと私のほうでは考えております。
各論点についてそれぞれ議論の場をこの委員会でも設定していくことになると思いますので、御意見はそのときにまた御発表いただければと考えておりますが、もし今日どうしても言いたいということであれば、もちろんおっしゃっていただいても構いません。
○太田委員 今日どうしても言いたいということではなく、自分の中で仕分けをするためにお伺いしただけです。では、1点、今後の議論を進めるに当たってというところで追加しておいてほしい論点を言ってよろしいですか。
○岩村委員長 御意見としてもちろんお願いします。
○太田委員 必要な材料・資料として考えられる例を挙げていただくときに、前訴というか、要するに今の訴訟の時点で出せた資料なのか、その当時は出さなくて、後から、今なら手持ちの資料としてある、こういう資料なのか、仕分けをしておいていただきたいということがあります。議論でどう転ぶか分かりませんが、前に出した資料を使って考えて、もう一度訴えられて勝てるのかなというか、大丈夫なのかなという疑問がありまして、そこの仕分けをしておいていただきたいというのが1点でございます。
それから、判決の法的効果及び当該法的効果を踏まえた対応の在り方ですが、狭く考えるよりも、判決の法的効果は及ばないにしても、一旦、裁量権の逸脱、濫用と言われたわけですから、そこの論理を踏まえて、厳密には、我々が言う取消判決の拘束力は及ばないにしても、同じことやると地雷を踏んで、裁量の逸脱、濫用があったと言われそうな点もあるかもしれません。そういう問題もあるということは意識しておいていただければよろしいかなと思います。
取りあえずは以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
では、嵩委員、お願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。
本日の趣旨に照らして、必要な材料・資料として考えられるものとして一つ思ったのは、今回の最高裁判決で多数意見と反対意見で考え方は違うのかもしれないのですけれども、資料2の12ページ以下にもまとめていただいているのですが、一般国民というのと一般低所得世帯という概念があって、今回は多数意見がそれを区別しているのかどうか、分からないところもあるのですけれども、それがきっと基準改定に関する報告書などで登場してきたものと思いますので、これまでの基準改定の検討において、一般国民とか一般低所得世帯というのはどのような考えからどのように抽出してきたのか。あと、途中で何か変化というか、一般国民から一般低所得世帯に変わったとか、どういう理由で変わったとか、そういうことについての資料があると参考になるかと思いましたので挙げさせていただきました。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
では、興津委員、どうぞ。
○興津委員 興津です。どうもありがとうございます。
今後の議論を進めるに当たってというところに関わるかと思うのですけれども、先ほどの御説明でもありましたとおり、今回の最高裁判決の内容と申しますか、主文で言い渡されたのは、個々の生活保護受給者に対する減額変更処分が取り消された、個別の行政処分が取り消されたというのが、これが訴訟の解決としては一番の結論だと思うのですけれども、他方で、御説明の中でも主として焦点が当てられていた、そして、最高裁判決自体が判示をしたのは、基準の改定が違法であったと。つまり、平成25年から3年間にわたって段階的に実施された告示の改正を基準改定と呼んでいるわけですけれども、基準の改定が違法であったという判断に御説明の焦点が当てられたように理解をいたしました。
1つは確認的な質問になるのですけれども、本専門委員会の検討の対象といたしまして、個々の受給者との関係で変更処分が取り消されたということの帰結をどう考えるかという検討をすることになるのか。これが太田先生もおっしゃられた、取消判決の一番狭い意味での拘束力の問題になるかと思うのですけれども、それと、基準改定が違法と判断されたので、その違法性を是正するための事後措置を個別の事件を超えて一般的に検討するということが検討対象に含まれるのかということについて教えていただきたいというのが質問になります。
その上で、恐らく基準改定の違法に対する対応も含まれるというお答えであろうと予想して、そうであればということで資料についてのお願いを申し上げるのですけれども、判決の法的効果という表現の中で、それも含意されているのかもしれないのですけれども、判決が違法と言った、それに対して一般的に是正措置を取ることが狭い意味での判決の効力とは異なる議論にもなってくるのかなと。学説上どういう言葉で表現するかもよく分からないのですが、例えば判例の拘束力であるとか、司法判断に対する行政の尊重、敬譲の要請であるとか、そういったところにも議論が及び得るかもしれないと思いましたので、もしそうであれば、その関係の学説などももしお調べいただけたら、御用意いただけるといいのではないかというのが要望ないし意見となります。
私の発言は取りあえず以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
それでは、御意見のほうは伺ったということにいたしまして、御質問のお答えをお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局でございます。
御質問ありがとうございます。
個々の行政処分の取消しに対する対応と、その前提、理由で指摘された基準の改定の違法性について両方扱うのかといった御質問でございました。
まず、今回お示ししました設置要綱においては、平成25年から実施した生活扶助基準改定に係る今後の対応の在り方というふうに設定をさせていただいております。
その上で、御指摘がありました、処分の取消しが行われたことを踏まえて、それに対してどうするかという点に加えまして、判決の理由において、様々御指摘がありましたけれども、専門的知見に基づいた十分な説明がなされていると言うことはできないといった点も指摘をされておりますことから、それを踏まえて我々行政がどういった対応をしていくことが求められるのかといった点についても、まさにこの専門委員会において御意見、御議論を頂戴したいと考えております。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
興津委員、よろしいでしょうか。
○興津委員 ありがとうございます。了解いたしました。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ここまでの御発言はオンラインの先生方だけなので、会場の方もぜひ。
今日のところは特段御発言はないということでよろしいでしょうか。
最高裁判決をどう理解して、この後、法的にはどういう対応を考えるのかというところがある意味での出発点になるというところがどうしてもございます。他方で、先ほど事務局のほうからあった、最高裁判決で裁量権の違法という判断が出た結果として、今のところ基準は違法だという話になっている。それではどうするのだということを考えたときに、例えば、経済分野、福祉分野の先生方でこういう資料も併せて提供していただけるといいのではないかというようなことを、今日の段階では難しいかもしれませんが、もし何かお考えがあればとは思います。現時点では難しいということであれば、後ほどでも結構ですし、事務局に後ほどお伝えいただくということでも差し支えございませんけれども、よろしいでしょうか。
どうぞ。
○若林委員 先ほど太田先生もおっしゃったと思うのですが、私からも確認させていただきます。最初から提出されていた資料、裁判の途中で提出された資料、そして本来必要と考えられるのに提出されなかった資料など、資料を区分けしていただけると、こちらでも整理しやすいと思います。
また、基準部会の際に、生活保護受給者の方々に対してアンケート調査を行っていたと伺いましたので、その調査名などを教えていただければ、あわせて調べたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございます。
事務局のほうで、今の若林委員の御意見についてよろしく対応をお願いしたいと思います。
ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。
では、村田委員、どうぞ。
○村田委員 ありがとうございます。
今後議論していくということだと思うので、1つだけ確認の質問です。スライドの10ページの2つ目の○に、「(物価と最低限度の消費水準との関係や)」と書いてあるのですけれども、これについても今後資料などに基づいて検討して判断していくということかと思うのですが、例えば、その中に生活扶助を初めて物価を踏まえ4.78%引き下げたということがあったわけですけれども、今日御説明は省略されたのですが、後ろのほうを読んでいきますと、マイナス4.78%についてはこういう計算をしたという概略が書いてあるのですが、詳しい内容はなかったので、そういう計算などについても今後の資料の中に含めていただけると理解しやすいので、ぜひお願いできればと思います。
○岩村委員長 ありがとうございます。
これも事務局のほうでよろしく御対応をお願いしたいと思います。
よろしいでしょうか。
今日はある意味キックオフで、この先どういうふうに議論が展開するかということもあって、皆様、御意見を述べるにしても難しいところがあろうかと思います。
それでは、予定していた時間よりかなり早いのですけれども、またそれぞれのテーマのところで御質問、御意見等をお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
本日の委員会の審議はこの辺りで終了とさせていただきたいと思います。
次回の開催につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局でございます。
次回につきましては、8月下旬の開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては改めまして委員の皆様方に事務局のほうから御連絡を差し上げたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○岩村委員長 事務局から開催日程について連絡があるということですので、よろしくお願いをしたいと思います。
それでは、本日の審議はこれをもちまして終了とさせていただきます。今日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。また、貴重な御意見を頂戴しましてありがとうございました。事務局におかれましては、特に要望のあった資料の用意等をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。これで散会といたします。