令和7年7月25日 第107回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和7年度第3回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和7年7月25日(金) 14:00~17:00

場所

WEB会議(厚生労働省 共用第6会議室(3階))

7月25日合同部会 議事録

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第107回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和7年度第3回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、または、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。
 現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち5名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
 なお、全ての委員において関係企業の役員・職員等でない旨を申告いただいております。
 また、本日は、大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科講師、上田豊参考人。
 国立成育医療研究センター政策科学研究部、竹原健二参考人。
 愛知医科大学病院いたみセンター部長、西原真理参考人。
 国立成育医療研究センター政策科学研究部、山本依志子参考人にお越しいただいております。
 次に、事務局側で人事異動がございましたので御紹介させていただきます。
 まず、健康・生活衛生局感染症対策部側の人事異動につきまして、7月8日付で予防接種課の山口の後任として、私、佐野が着任しております。どうぞよろしくお願いします。
 また、夏木の後任として、脊古が着任しております。
 医薬局側の人事異動につきまして、同じく7月8日付で医薬局長の城の後任といたしまして、宮本が着任しております。
○事務局 宮本でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 また、医薬安全対策課長の野村の後任といたしまして、安川が着任しております。
○事務局 安川でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。
 開催案内の傍聴に関する留意事項を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に違反した場合は退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や、会議中に退場となった方につきましては、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので御留意願います。
 本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
 それでは、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より審議参加に関する遵守事項につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告をいただきました。
 本日の議題において審議される品目は新型コロナウイルス、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、23価肺炎球菌、HPV、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、13価肺炎球菌、15価肺炎球菌、20価肺炎球菌、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、RSウイルス、ロタウイルス、インフルエンザの各ワクチンであり、その製造販売業者は一般財団法人阪大微生物病研究会、グラクソ・スミスクライン株式会社、KMバイオロジクス株式会社、サノフィ株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、デンカ株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、ファイザー株式会社、MSD株式会社、モデルナ・ジャパン株式会社、Meiji Seika ファルマ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。
 各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、鈴木委員がサノフィ株式会社から500万円を超える受取りがあるため、不活化ポリオ、Hibの各ワクチンの審議または議決が行われている間、退出していただく必要がございます。
 また、宮入委員、舟越委員、西原参考人が第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取りがあるため、新型コロナ、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、インフルエンザの各ワクチンについて、意見を述べることはできますが、議決には参加いただけませんことを御報告いたします。
 申請資料作成関与に係る申告でございますが、伊藤澄信委員及び宮入委員は、それぞれインフルエンザワクチン、13価肺炎球菌ワクチンの申請資料の作成に関与されているため、当該ワクチンの審議の際に退出していただく必要があります。
 引き続き各委員におかれましては、講演料等の受取りについて正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ただいま事務局より審議の参加について報告がございましたが、伊藤澄信委員及び宮入委員は、それぞれインフルエンザワクチン、13価肺炎球菌ワクチンの薬事承認申請資料等の作成に関与していることから、当該ワクチンの審議に御参加いただけません。
 しかし、規定上、申請資料の作成に関与している場合であっても、分科会等が認めた場合には意見を述べることができるとされております。伊藤澄信委員及び宮入委員におかれましては、当該ワクチンについて非常に深い知識をお持ちであるため、ぜひ意見を述べていただきたいと思いますけれども、委員の皆様、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 ありがとうございます。それでは、部会として御承認いただけたということで、審議に入らせていただきます。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 まず、審議に入る前に、本日の資料について説明をいたします。
 議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1から1-5、資料2-1から37、資料3-1から3-4、資料4、参考資料1から20になります。
 資料の不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、審議を始めたいと思います。
 議題1は「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況並びに接種後の健康状況に係る調査等」についてでございます。
 まずは資料1-1から資料1-3-7までについて、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 御説明申し上げます。
 資料1-1から資料1-3を用いまして、新型コロナワクチンに係る副反応疑い事例の報告状況について御説明を申し上げます。
 それでは、資料1-1-1をご覧ください。
 コミナティ筋注シリンジ12歳以上用の副反応疑い報告でございます。今回の御報告につきましては、令和7年1月1日から3月31日までに報告された分を集計し、御提示しているものでございます。
 御承知のとおり、新型コロナワクチンの定期接種につきましては、令和6年10月から令和7年3月末にかけて実施しておりましたので、本資料の集計対象期間につきましては、主に定期接種として接種された分の報告となります。
 コミナティ筋注シリンジ12歳以上用について、今回の集計対象期間における製造販売業者からの報告は32件、そのうち接種日がこの期間内である症例は3件、医療機関からは12件の報告がございまして、うち重篤例は7件となっております。
 接種可能延べ人数につきましては、今回の集計対象期間において返品数が多く、返品数を加味した場合、接種可能延べ人数を適切に算出できないことから、横棒としております。
それに伴いまして、報告頻度についても今回算出できておりませんが、参考として、下段に令和6年4月1日から、令和7年3月31日までの累計をお示ししておりますので、御確認をお願いいたします。なお、この扱いは資料1-1-1から資料1-1-7まで同様となります。
 下段に参りまして、接種後の死亡事例としての報告でございます。今回、製造販売業者からの報告として7件、医療機関からの報告はございませんでした。こちらの症例の詳細につきましては、後ほど資料1-2で御説明をさせていただきます。
 次のページ以降、製造販売業者から、医療機関からという形で、それぞれの症例ラインリストと、専門家評価の対象となる疾病につきましては、因果関係評価と専門家からの御意見をお示ししておりますので、御確認をお願いいたします。
 資料1-1-1の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-1-2、コミナティ筋注6か月~4歳用、資料1-1-3、コミナティ筋注5歳~11歳用、資料1-1-4、スパイクバックス筋注についてでございます。今回の集計対象期間におきまして、副反応疑い報告はございませんでした。
 続きまして、資料1-1-5、ダイチロナ筋注についてでございます。今回の集計対象期間における製造販売業者からの報告は15件、そのうち接種日がこの期間内である症例は2件、医療機関からは1件の報告がございまして、うち重篤例は1件となっております。
 下段に参りまして、接種後の死亡事例としての報告です。今回、製造販売業者からの報告として3件、医療機関からの報告として1件ございました。こちらの症例の詳細につきましては、後ほど資料1-2で御説明をさせていただきます。
 資料1-1-5の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-1-6、コスタイベ筋注用についてでございます。
 今回の集計対象期間における製造販売業者からの報告は1件ございまして、接種日はこの期間内ではございませんでした。また、医療機関からの報告はございませんでした。
 下段に参りまして、接種後の死亡事例としての報告です。今回、製造販売業者からの報告として1件、医療機関からの報告はございませんでした。こちらの症例の詳細につきましては、後ほど資料1-2で御説明をさせていただきます。
 資料1-1-6の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-1-7、ヌバキソビッド筋注についてでございます。今回の集計対象期間における製造販売業者からの報告は10件、そのうち接種日がこの期間内である症例は3件、また、医療機関からは1件の報告がございました。
 下段、接種後の死亡事例としての報告です。今回、製造販売業者からの報告として1件、医療機関からの報告はございませんでした。こちらの症例の詳細につきましては、後ほど資料1-2で御説明をさせていただきます。
 資料1-1-7の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-2、死亡として報告された事例の概要でございます。
 資料1-2-1、コミナティ筋注シリンジ12歳以上用については、先ほど資料1-1-1で、今回の集計対象期間の死亡事例について御報告させていただいた部分についてでございます。
 症例の概要につきまして、資料1-2-1をご覧ください。対象期間における死亡症例は7件となっております。2ページ目以降をご覧いただきますと、これらの症例につきましては、死亡に至るまでの症状経過や、それらの時間的な前後関係の情報がないもの、死因の特定が困難なもの等、これらを踏まえまして、専門家の御意見と因果関係評価をお示ししておりますが、全てγ評価とされているところでございます。
 資料1-2-2から資料1-2-4については、報告事例がございませんので、説明を省略させていただきます。
 続きまして、資料1-2-5をご覧ください。先ほど資料1-1-5で、今回の集計対象期間の死亡事例について御報告させていただいた部分についてでございます。
 症例の概要につきまして、資料1-2-5の2ページ目以降を御確認ください。対象期間における死亡症例は4件となっております。これに加えまして、今回の集計対象期間外に報告のあった死亡症例1件を加えて、計5件の因果関係評価を行っております。2ページ目に専門家の御意見と因果関係評価をお示ししておりますが、いずれもγ評価とされているところでございます。
 また、4月14日の合同部会の資料においてお示ししておりました、11歳男児の死亡報告につきましては、追加調査の結果、自社製品が投与されていないことが判明しておりますことから、報告が取り下げとなっております。したがいまして、参考としてお示ししております令和6年4月1日から令和7年3月31日までの累計報告数からも除かれておりますので、こちらも併せて御確認をお願いいたします。
 なお、本死亡例については、以前の部会において既に報告されておりますことを申し添えさせていただきます。
 続きまして、資料1-2-6をご覧ください。先ほど資料1-1-6で、今回の集計対象期間の死亡事例について御報告させていただいた部分についてでございます。
 症例の概要につきまして、資料1-2-6の2ページ目以降を御確認ください。対象期間における死亡症例は1件となっております。2ページ目に専門家の御意見と因果関係評価をお示ししておりますが、γ評価とされているところでございます。
 また、4月14日の合同部会でお示しをしておりました、2例の死亡症例については、報告が取り下げとなったことから、参考としてお示ししております令和6年4月1日から令和7年3月31日までの累計報告数からも除かれておりますので、御確認をお願いいたします。
 続きまして、資料1-2-7をご覧ください。先ほど資料1-1-7で、今回の集計対象期間の死亡事例は製造販売業者からの報告として1件である旨、御報告をいたしました。症例の概要につきまして、資料1-2-7の2ページ目以降を御確認ください。先ほど申し上げた1件の死亡症例に加えまして、4月14日の合同部会報告時点では調査中となっておりました1件の死亡症例についても専門家評価を行っておりまして、計2件の因果関係評価を行っております。2ページ目に専門家の御意見として因果関係評価をお示ししておりますが、いずれもγ評価とされているところでございます。
 資料1-2の説明は以上でございます。
 続きまして、資料1-3、心筋炎または心膜炎疑いとしての報告事例でございます。
 資料1-3-1をご覧ください。コミナティ筋注用シリンジ12歳以上用についてでございますが、今回の報告対象期間において、心筋炎・心膜炎疑いの報告事例はございませんでした。
 資料1-3-2以降につきましても報告事例がございませんので、説明を省略いたします。
 資料1-3の説明は以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 1-1から1-3までの資料の御説明をいただきましたが、いかがでしょうか、委員の皆様から質問、コメント等ありましたら承りたいと思います。
 よろしいですか。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況について、資料1-4でまとめていただいておりますので、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-4につきまして、事務局から御説明させていただきます。
 こちらの資料は、資料1-1のシリーズで御説明いたしました、新型コロナワクチンの副反応疑い報告の状況についてまとめた資料でございまして、数値につきましては、資料1-1のシリーズの再掲となっております。
 1ページ目ですけれども、定期接種で用いられております5社の製剤につきまして、令和7年1月1日から3月31日までの3か月間に報告された副反応疑い報告の件数を掲載してございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、いずれの製剤も集計対象期間における医療機関への製品の納入数から返品数を差し引いた数がほぼゼロもしくはマイナスとなっておりますため、分母となる接種可能延べ人数を「-」としておりまして、報告頻度も算出不可能となっております。
 このため、2ページのほうをご覧いただければと思いますけれども、参考として令和6年4月1日から令和7年3月31日までの1年間に報告された累計の数字をお示ししております。
 こちらを見ますと、一番下ですけれども、Meiji Seikaファルマ社の製剤の報告頻度が、他社と比べて若干高くなってございます。
 これについては、Meiji Seikaファルマ社の製剤は、令和6年10月に販売が開始され、定期接種に用いられるようになったものでございまして、集計対象期間と市販直後調査の期間が重なってございます。
 市販直後調査におきましては、製造販売業者が集中的に医療機関を回って副反応の情報を収集するため、その後の期間より副反応疑い報告の頻度が高くなる傾向が認められております。
 本剤につきましても、その影響があるのではないかと考えておりますが、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。
 資料1-4についての御説明は以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 副反応の疑い報告について、まとめていただいたものでございます。今、事務局から説明がありましたように、今年の1月1日から3月31日までの分につきましては、納入数から返品数を差し引きということで、数字が出ない形になっておりますが、2ページ目に1年間の報告をまとめて示していただいているという状況でございます。
 いかがでしょうか、委員の皆様から何か質問、コメント等ございますでしょうか。
 少し製品によって差異があるのですが、市販後調査の影響等があるのではないかという御説明をいただいているところでございますが、よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、伊藤澄信委員から新型コロナワクチン接種コホート調査結果総括報告書について、御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 資料1-5です。
 2021年2月17日に開始した、新型コロナワクチン接種コホート調査は、今年3月末で終了し、21年2月26日から本年4月まで本部会で42回報告してきました。今回、総括報告をさせていただくことになりました。
 本調査は、倫理指針の枠組みで実施した軽微な侵襲を伴う前向きコホート観察研究です。
 3ページに、研究の概要を示しました。ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の初回シリーズに始まって、抗体価の減衰が予想より早かったことから、3回目以降は接種前、接種1か月後、3か月後、6か月後、12か月後までの抗体価採血も実施しました。3回目以降も含めて全部で9本のUMIN登録をした観察研究で、延べ296施設、重複を削除しても128施設の医療機関に御参加いただいた結果です。
 研究プロトコール別の参加者数は、4ページに示したとおりです。延べ参加者数は4万9224人、5,692人の方に抗体価の採血をいただきました。
 これまで収集した日誌データをクリーニングしたものと、中和抗体なども含めて全て再集計して、122ページの総括報告書としてまとめたものが参考資料19です。
 この中には、研究計画書には記載しておりました、新型コロナ感染症とワクチン接種の背景、調査計画のサマリーも加えて、本部会で報告した概要を簡略化して記載しました。
 あわせて、抗体価、特定有害事象、接種28日までの自発報告及び接種12か月後までの因果関係を問わない全ての重篤な有害事象、PMDA報告を数値の概要として記載いたしました。
 これまでの調査結果を図で表現しますと膨大になり過ぎますので、資料1-5の5ページ以降の表に、これまで副反応検討部会で報告した内容のリストをつけておりますので、図については、そちらを御参照いただければ幸いです。
 今回、順天堂大学で別の研究計画書を作成して、同意をいただいた参加者に多めの血液をいただいて、血漿分離して取り出した末梢血単核細胞をSARS-CoV-2スパイク抗原ペプチドプールなどで刺激して、Th1の指標としてのインターフェロンγと、Th2の指標としてのインターロイキン4のエリスポット、Enzyme-Linked Immunospotを用いて、細胞性免疫結果概略を記載しました。
 メッセンジャーRNAワクチンでは1か月後に比べて6か月後で、抗S抗体と同様にELISPOTが低下しているという結果が得られておりますが、解析をした上で論文化したいと思っています。
 本調査の初回シリーズについては、参考資料19の中の122ページのレファレンスの中に入れておりますが、既に雑誌ワクチンに掲載しています。3回目の抗体価採血開始時の結果もExpert Review of Vaccinesには掲載しておりますが、他のものについては、抗体価推移やワクチン接種後の感染率なども含めて、英語論文化していきたいと思っています。
 報告は以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 いかがでしょうか、9つの研究課題につきまして、今回、総括報告書という形でおまとめいただきまして、もう議論を始めると時間が幾らあっても足りないぐらいの重要なデータでございますけれども、ここで何か聞いておきたいこととか、コメントとかがありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 伊藤澄信委員の研究報告、どうもありがとうございます。
 私も、また、もう一度、総括報告書の読み直させていただこうと思うのですけれども、緊急承認されたということで、今回研究班を立ち上げていただいて、折衝しながらデータを集めていただいたということで、そのことによって社会に、この部会を通じて発信していただけた。それで、私どもは、それを参考にしながら判断できたという意味では、貢献としては非常に大きなものがあったのではないかということで、改めて感謝申し上げたいと思います。
 あと、私がすごく大事に思っているのは、また、同様な事態が将来に起こってくる可能性があるということで、その記録を今回残していただいて、それで、また次の流行のときに、これを参考にしてワクチンの導入について施策を考えていくという1つのひな形になるのかなと思っています。
 質問としては、もし、先生のほうで、こういったような点が、できればもう少しという希望みたいなものとか、何かそういう御意見、コメントみたいなものがありましたら、お伺いしたいなと思いましたけれども、勝手な質問で申し訳ありません。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 今回、厚生労働省からの依頼もありまして、国立病院機構をはじめとする国立病院系の医療機関に大変協力いただきました。
 迅速に対応していただきました128の施設の皆さん方には、大変感謝いたしております。今回の総括報告書の中でも、御協力いただいた先生方のお名前も含めて記載させていただいています。
 こういう危機的な状況の中で今回は倫理指針下で実施しましたが、研究を円滑に動かすということについては緊急に必要なものは、倫理的な問題は大変重要だと思いますが、迅速に実施することのほうがもっと重要なのではないかと思っています。今後は全国の医療機関、大学も含めて御対応いただけることを意識していただけると大変ありがたいと思っています。
 我が国の医薬品開発には、多分スピードが、とても重要な要素ではないかと、今回のコホート調査を通じて感じたところです。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 危機時における迅速かつ適切な審査というのは、本当に大きな課題だと思っております。どうもありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。
 よろしいですか、伊藤委員、小児とか乳幼児のリクルートは大変御苦労されたかと思いますが、恐らくこれからいろいろとパンデミックになってくると、むしろ、小児のほうでのことが必要になってくることがあると思いますので、そこら辺もみんな全体として考えなくてはいけないかと思いますが、伊藤委員から何か御要望とかはございますか。
○伊藤(澄)委員 中にも記載しておりますが、ネットワークとか、それから、東京都医師会とかいろいろな団体に御協力いただいて、この調査を実施したのですが、なかなか思うに任せなかった部分は、どうしてもありましたので、危機的な状況の中で研究にもう少し御協力いただけると大変ありがたかったというのが正直なところです。、そういうことも含めてですが、平時からネットワークをつくって、研究者同士の顔が見られる関係を、つくっていくのが大切ではないかと思っています。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかの委員から、いかがでしょうか。
 よろしいですか、本当に、接種後1年までしっかり科学的に追われたデータは非常に貴重だと思いますので、ぜひ、これはいろいろなところにデータとして残していただくとともに、今回、厚生労働省の御支援のもとで、こういう大規模なしっかりした研究が行われたということで、ぜひ、これは世界発信をしていただければなと願っているところでございます。本当にありがとうございました。
 伊藤委員におかれましては、令和2年度から5年間にわたって新型コロナワクチンの副反応等に関する重要な知見につきまして、この部会において報告をいただきまして感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。
 ありがとうございます。それでは、これまで議論されてきた内容をまとめたいと思います。
 これまで確認できた内容といたしましては、集計期間における副反応疑い報告の傾向といたしましては、この集計期間における新型コロナワクチンの副反応疑い報告については、令和6年度定期接種から、新たに使用されたレプリコンワクチンを含めて現時点では、重大な懸念は認められない。これは、報告状況のまとめを少しリフレーズした形になりますけれども、ファイザー社、モデルナ・ジャパン社、武田薬品工業社、第一三共社、Meiji Seikaファルマ社のワクチンの接種については、これまで継続的に注視して議論してきた内容を踏まえると、ワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないという形でまとめてよろしいでしょうか、御意見ございましたら、お願いできればと思います。
 よろしいですかね。それでは、以上、今回報告のございました具体的な事例を含めまして、新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか御意見はございますでしょうか。
 もしなければ、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性について重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、皆様、うなずいていただいたと認識いたしました。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、議題の2でございます。新型コロナワクチン以外の各ワクチンの安全性についての議題に入りたいと思います。
 鈴木委員におかれましては、今回は、新型コロナワクチン以外をまとめて審議するということもございまして、議題2の審議の間は御退出をお願いできればと思います。鈴木委員、どうもありがとうございました。
(鈴木委員 退出)
○森尾座長 それでは、事務局より資料2-1から資料2-37までの説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、新型コロナワクチン以外の審議対象の全てのワクチンについて、2025年1月から3月末における副反応疑い報告の報告状況について御説明いたします。
 資料は2-1から2-37及び参考資料17になります。資料数が多く、また、委員の先生方には事前に資料を配付しておりますので、本合同部会における説明では、特筆すべき点や、専門家評価対象となっている症状の報告状況を中心に御説明させていただきます。
 初めに、資料2-5-1をご覧ください。
 乾燥弱毒生水痘ワクチンの副反応疑いの報告状況です。
 対象期間における接種可能延べ人数は約44万人、対象期間内に製造販売業者からの副反応疑い報告は3例、医療機関からの報告は3例、うち重篤なものは2例ございました。
 引き続き、資料2-5-2をご覧ください。
 水痘ワクチンについては、1歳から3歳までの方を対象にした水痘の予防に加え、新たに2025年4月から65歳の方などへの帯状疱疹の予防が予防接種法に基づく定期接種の対象になっています。
 そこで、今後の水痘ワクチンにおける評価資料について、今回、その御提示の方法についてお諮りしたく御提示するものです。具体的な資料構成案については、こちらの資料でお示ししておりますとおり、接種可能延べ人数、報告数を小児と成人で分けて参考としてお示しする予定としております。
 続きまして、資料2-7をご覧ください。
 23価肺炎球菌ワクチンの副反応疑い報告の報告状況についてです。対象期間における接種可能延べ人数は約18万9000人、製造販売業者からの報告は204例、医療機関からの報告は7例、うち重篤なものが3例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は、0.1082%、医療機関からの報告頻度は0.0037%となっております。
 こちらの資料の10ページに、製造販売業者から報告一覧をお示ししております。注釈でも御説明しておりますが、症例番号5から14及び症例番号18から204については、全て同一の疫学調査報告会議資料に基づく報告になります。
 続きまして、HPVワクチンについて、御説明させていただきます。
 資料2-8をご覧ください。サーバリックスの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約2,000人、対象期間内における製造販売業者からの副反応疑い報告は1例、医療機関からの報告は2例、うち重篤なものは1例となります。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0531%、医療機関からの報告頻度は0.1061%となっております。
 続きまして、資料2-9をご覧ください。ガーダシルの副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約2万2000人、製造販売業者からの報告は5例、医療機関からの報告は1例、うち重篤なものはございませんでした。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0228%、医療機関からの報告頻度は0.0046%となっております。
 続きまして、資料2-10をご覧ください。シルガード9の副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約65万6000人、製造販売業者からの報告は23例、医療機関からの報告は60例、うち重篤なものが18例ございました。なお、製造販売業者の報告頻度は0.0035%、医療機関からの報告頻度は0.0091%となっております。
 続きまして、資料2-18-1をご覧ください。5種混合ワクチンの副反応疑い報告の報告状況についてです。対象期間における接種可能延べ人数は約58万3000人、製造販売業者からの報告は16例、医療機関からの報告は12例、うち重篤なものが11例ございました。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0027%、医療機関からの報告頻度は0.0021%となっております。
 1ページ目の下段にお示ししている重篤例の転帰の表の下の記載をご覧ください。「令和6年7月から12月までの6ヶ月間から、令和6年10月から令和7年3月の6ヶ月間における、報告受付日をもとにした死亡例の報告頻度は、10万接種あたり0.28~0.55であった」と記載させていただいております。10万接種当たりの報告頻度が、急ぎの検討が必要とされる10万接種当たり0.5を上回っている状況であるため、死亡症例についての内容の確認を行い、その結果を資料2-18-2としてお示ししておりますので、御確認ください。
 資料2-18-2の「2.調査結果」をご覧ください。
 今回の報告対象期間である令和7年1月1日から同年3月31日までに、新たに3例の症例が報告されており、詳細を確認した結果、この3例は、同一の症例が複数の製造販売業者から報告されたものであり、企業のその後の調査によって、本症例は令和7年4月14日に開催された審議会の資料2-36死亡症例No.8と同一症例であることが確認されております。
 また、今回の報告対象期間後から令和7年7月15日までの間に、新たに3例の死亡症例が報告されており、詳細を確認した結果を以下に示しております。
 症例番号1番については、既往歴、基礎疾患があり、詳細な経過等が不明な症例となっており、ワクチン接種と死亡との因果関係について、報告医からは評価不能と報告されています。
 症例番号2番については、ワクチン接種から4日後に死亡したとされる症例でありますが、ワクチン接種から死亡に至るまでの詳細な経過等は不明であり、現時点では、これ以上の確認はできない症例となっております。なお、ワクチン接種と死亡との因果関係について、報告医からは評価不能と報告されております。
 症例番号3番については、ワクチン接種から8日後に死亡したとされる症例であるが、ワクチン接種から死亡に至るまでの詳細な経過等は不明であり、現時点では、これ以上の確認はできない症例となっております。なお、ワクチン接種と死亡との関係について、報告医からは、ワクチンによる死亡だとは思えない、製造販売業者からは不明と報告されております。また、これまでの報告において、死亡事例が特定のロットに集積しているということはございませんでした。
 また、これらの3例について、現段階の情報でPMDAによって専門家の評価を行った結果、いずれもγと評価されております。
 ワクチンの関与を積極的に示唆する情報は、現状においては指摘できない等のコメントをいただいておりますので、別紙を御参照ください。
 なお、御参考として、重複して報告された症例を除いて、令和6年9月から令和7年2月の6か月間及び令和6年10月から令和7年3月の6か月間における報告受付日をもとにした死亡例の報告頻度を改めて算出すると、10万接種当たり0.26から0.27となり、0.5を下回っている状況でございます。さらに、報告対象期間後の報告事例3例を含む死亡症例を用い、重複して報告された症例を除いて、報告受付日をもとにした6か月間の死亡例と報告頻度の推移を算出すると、令和6年10月から令和7年3月の6か月間から、令和7年1月から令和7年6月の6か月間における頻度は、10万接種当たり0.17から0.35となり、こちらも0.5を下回っている状況です。
 以上のことから、ワクチン接種と死亡との間に、強い因果関係が示唆されるとまでは言えないことから、事務局としては、引き続き、死亡例やその他の副反応の発生状況についてモニタリングを継続することとしてはどうかと考えております。
 続きまして、資料2-27をご覧ください。
 RSウイルスワクチンであるアブリスボ筋注用の副反応疑い報告の報告状況です。対象期間における接種可能延べ人数は約1万9000人、製造販売業者からの報告は13例、医療機関からの報告はございませんでした。なお、製造販売業者からの報告頻度は0.0688%となっております。
 また、資料の3ページ目にお示ししておりますように、製造販売業者から報告された症例のうち、胎児死亡と報告された2症例について、PMDAにおける専門家の評価をした結果、γと評価されております。
 続きまして、資料2-31をご覧ください。今シーズンのインフルエンザワクチンについて、2024年10月から2025年3月末までの結果をお示ししております。接種可能延べ人数は約4550万人となっております。製造販売業者からの報告は33例、医療機関からの報告は88例、うち重篤なものが49例です。製造販売業者からの報告頻度は0.000073%、医療機関からの報告頻度は0.00019%となっております。
 2ページからは、報告について内訳別の集計結果をお示ししております。
 3ページ目の下段では、参考として2022年から2023年シーズン、2023年から2024年シーズンを記載しておりまして、今回の報告頻度は過去と比べて特段高いという状況ではございませんでした。
 続きまして、資料2-32をご覧ください。経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの副反応疑い報告の報告状況です。接種可能延べ人数は約37万人となっております。製造販売業者からの報告は16例、医療機関からの報告は4例、うち重篤なものが3例です。製造販売業者からの報告頻度は0.004305%、医療機関からの報告頻度は0.001076%となっております。
 なお、経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは、2024年10月に販売が開始されており、今回の対象期間内は、市販直後調査が実施されております。
 ここまでに御説明させていただいた資料を除く、資料2-1から資料2-30に関してですが、今回の対象期間におきまして、各ワクチンの副反応疑い報告頻度は、これまでに比べて特段高いということはございませんでした。
 続きまして、専門家評価対象になっている症状の報告状況について御説明いたします。
 資料2-33、ワクチン接種後の後遺症疑い報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、ワクチン接種後に後遺症が生じたとする報告が、対象期間前の症例が7例あり、そのうち再評価の症例が2例、新たに判明した症例が4例、対象期間内の症例が1例ございました。このうち、対象期間前の判明の症例で1例、因果関係が否定できないとされております。
 続きまして、資料2-34、ワクチン接種後のADEM疑いの報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、ADEM疑いが生じたとする報告が、対象期間前の症例が3例あり、そのうち再評価の症例が2例、対象期間内の症例が3例ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-35、ワクチン接種後のGBS疑い報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、GBS疑いが生じたとする報告が、対象期間前の症例で1例、対象期間内の症例で5例ございました。因果関係評価の結果につきましては、対象期間前の1例において、ブライトン分類1、因果関係が否定できないとされております。
 続きまして、資料2-36、ワクチン接種後のアナフィラキシー疑いの報告一覧でございます。
 今回の対象期間におきまして、アナフィラキシー疑いが生じたとする報告が、対象期間前の再評価の症例が6例、新たに判明した症例が1例、対象期間内の症例で16例ございました。因果関係評価の結果につきましては、このうち6症例におきまして、ブライトン分類がレベル3以上、かつ、因果関係が否定できないとされております。
 また、その他の症例の因果関係評価につきましては、いずれも情報不足等により評価できないとされております。
 続きまして、資料2-37、ワクチン接種後の死亡事例の報告一覧でございます。
 報告対象期間前の症例で、今回専門家により評価された症例は6例、報告対象期間内に評価された症例は6例あり、現在調査中である症例番号5を除き、因果関係評価はγと評価されております。
 また、対象期間後の報告につきまして、2025年7月4日までに8例が報告されており、現在調査中としております。調査中の症例につきましては、次回以降の本部会にて評価を行う予定となっております。
 新型コロナワクチン以外のワクチンに関する資料2の御説明は以上となります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 あらかじめ、委員の皆様には、資料に目を通していただいており、本日は、少し焦点を絞って御説明をいただいた状況でございますが、ただいまの事務局からの説明につきまして、何か質問やコメントのある委員がいらっしゃいましたら、お願いいたします。
 幾つかポイントを絞ってお示しいただいておりまして、5種混合ワクチンにつきましては、今回、死亡例が10万接種当たり0.5を超えるということでございますが、今まで議論がありましたように、分母が50万、10万という状況もありまして、ある程度振れが大きくなっているところもございまして、できるだけ1例1例をしっかりと丁寧に見るということと、あと、もう少し長期的な目で、長い期間で評価させていただくというところでコンセンサスが得られているかと思います。ほかのワクチン等につきましても、よろしいですか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきたいと思いますので、皆様、一緒にフォローをいただければと思います。
 これまで確認できた内容といたしましては、副反応疑いの報告の頻度が、これまで検討したワクチンに比べて特段高いということはない。
 後遺症の可能性がある症例は、対象期間前の症例を含め8例報告され、対象期間前の新たに判明した症例1例について、ワクチンと症状名との因果関係は否定できないものとされた。
 また、そのほかの症例については、いずれも専門家の評価では情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされました。
 ADEMの可能性がある症例は、対象期間前の症例を含め6例報告され、いずれも専門家の評価では情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係を評価できないとされました。
 GBSの可能性のある症例は、対象期間前の症例を含め6例報告され、対象期間前の症例1例について、ワクチンと症状名との因果関係は否定できないものとされました。
 また、そのほかのワクチンについては、いずれも専門家の評価では情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係を評価できないとされました。
 アナフィラキシーの可能性がある症例は対象期間前の症例を含め23例報告され、対象期間前の再評価の症例で2例、対象期間内の症例で4例について、ワクチンと症状名との因果関係は否定できないものとされました。
 そのほかの症例については、いずれも専門家の評価では情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係を評価できないとされました。
 死亡症例は、2025年7月4日時点までに22例報告されました。現在調査中の症例を除き、いずれも情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係は評価できないとされました。
 最後に、5種混合ワクチンの6か月間における死亡症例の報告頻度が急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を上回っていたことから、報告された症例について内容の確認を行いました。
 その結果、報告された症例については、現時点で得られている情報からは、ワクチン接種と死亡との関連が強く疑われる症例がないことから、引き続き、死亡例やそのほかの副反応の発生状況について抽出することとしてはどうか、このような形でまとめさせていただきますが、このような形でよろしいか、何か御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。特に御質問、コメントはございませんか。
 それでは、この内容を踏まえまして、新型コロナ以外の各種ワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、御意見はないようですので、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告等によって、その安全性について重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 皆様、首肯していただいたと認識いたしました。どうもありがとうございました。
 それでは、議題2は以上でございます。
 それでは、議題3の「HPVワクチンについて」に入りたいと思います。事務局より資料3-1について説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-1、HPVワクチンの実施状況について、こちらの資料については、本年1月の同部会において、令和6年度上半期の状況を先生方に御報告しており、このたび、令和6年度、1年分の実施状況を取りまとめましたので、改めて御報告させていただくものでございます。
 資料中の表をご覧ください。
 表の左側、従来の定期接種の接種者数及び全国年間実施率、表の4行目のキャッチアップ接種の接種者数、それぞれ接種回数別にお示しをしております。
 参考1、参考3にあります、令和5年度の値と比較して、特にキャッチアップ接種、また、従来の定期接種ともに、接種実績が増加している状況でございました。
 計算方法等については、留意事項に記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 以上、簡単ではございますが、事務局から資料3-1の説明を終わります。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 キャッチアップ接種の人数も示されておりますけれども、従来の定期接種においても、第1回、第2回と人数が増えている状況が見て取れるかなと思っておりますが、いかがでしょうか、委員の皆様から何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。取りまとめをいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、少し早いのですけれども、本日、上田参考人に入っていただいておりまして、資料3-2について御説明をいただく予定でございます。
 上田参考人、いらっしゃっていますかね。
○上田参考人 はい、お世話になります。大阪大学の上田でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、資料3-2につきまして、御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○上田参考人 ありがとうございます。では、始めさせていただきます。
 本年1月の第105回の当部会におきましては、2024年度の上半期までの接種状況を御報告いたしましたが、本日は、2024年度末時点における各生まれ年度の累積初回接種率を御提示させていただきます。
 細かい表で恐れ入りますけれども、一番左の縦の列が生まれ年度を示しております。そして上の横の行が接種年度を示しております。各生まれ年度で、各接種年度において何%の接種が行われたかというのを示しておりまして、一番右の縦の部分が、各生まれ年度の累積の初回接種率になっております。
 まず、緑で示しておりますキャッチアップ接種ですけれども、22年度、23年度に比べまして24年度は、接種率が2倍ないし3倍ぐらいになっているという状況でございます。
 このキャッチアップ接種も初回接種自体は、もう既に2024年度で終了しておりますので、この表のデータも確定値ということになります。
 さて、生まれ年度で見ますと、94年度から96年度生まれは、公費助成の当時に既に高い接種率になっておりまして、累積で53.3から78.3%でございます。
 一方、97年度、98年度、99年度生まれは、公費助成程度に一定程度高い接種率があり、かつ、キャッチアップの対象にもなりましたので、累積では80.7から88.3%と8割を超える接種率になったという状況でございます。
 そして、2000年度以降、2000年から2007年度生まれは、積極的勧奨で接種がほぼ停止状態になった世代でありますけれども、キャッチアップ接種で一定の上昇がありまして累積で42.2から53.9%、すなわち約5割程度になっております。
 そして、2008年度以降の生まれ、この人たちについては、キャッチアップの対象ではありません。定期接種の対象でありまして2024年度で小6から高1になっていた学年ですけれども、接種率は6.7から54.9%となっております。
 この中の特に2009年度以降の生まれは、まだこの時点では対象期間が終了しておりませんので、25年度、今年度にも接種が進んでおります。恐らく、この2008年度の54.9%と同等程度ぐらいになると類推されるわけでございます。
 そして、赤く濃く塗っているところは、標準的対象の中学1年生の接種率、中1時点での接種率を示しております。ずっと零コンマ何%とか、低率で来たわけですが、最近上昇して、24年度には19.6%と一定の上昇が認められました。
 しかし、まだ、標準的な対象の学年でありますが、まだ19.6%と低率でとどまっているところから、勧奨をさらに強化する必要があると考えております。
 なお、この接種率の計算におきましては、24年度の計算例を示しておりますが、接種時年齢で集計しているデータを、学年、すなわち生まれ年度に振り直して計算しております。そして、1つの学年、生まれ年度において、例えば中2の場合、13歳と14歳に分かれて接種が行われていますが、2つの年齢で同等程度の接種が行われているという仮定に基づいて計算を行いました。
 そして、全体的な接種数の調整においては、定期接種では高校1年生の学年で調整を行い、キャッチアップ接種では、大学1年生相当の学年のところで接種数の全体の計算の調整を行ったというわけでございます。
 簡単ではございますが、以上、御報告させていただきます。
○森尾座長 上田参考人、本当に分かりやすく、どうもありがとうございます。
 2024年にかなり頑張ってキャッチアップ接種を行っていただいたということが分かりますし、それ以降の年代のところの動向も見えてまいりまして、着地点がどのぐらいのパーセンテージかという推測もできるような、そういう資料かと思っておりますが、いかがでしょうか、委員の皆様から何か質問や御意見等ありましたら承りたいと思います。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 上田先生、ありがとうございます。
 本当に、とても分かりやすい資料とご説明をありがとうございます。キャッチアップ接種のために、2024年は本当にいろいろなキャンペーン等々、現場の皆さんが頑張られたと思うのですが、何か特に、こういうことが要因で、キャッチアップ接種が進んだのではないかということが、先生から、何かコメントがございましたらお願いいたします。
○上田参考人 ありがとうございます。
 今回お示ししたデータは、日本全国のデータというところで、地域地域の状況というのは、ここに表れていないわけなのですけれども、各地域の先生方あるいは自治体の方からお聞きしている情報ですと、やはり自治体と医療関係者あるいは学校関係者が一体となって、いろいろな活動をされた都道府県あるいは市町村では、接種率が、ほかのところに比べて上がっているということを聞いておりますので、今後、そういった自治体を参考に、よその自治体あるいは医療機関等で取組を広げていくのがいいのかなとは感じているところでございます。
○山縣委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかには、いかがでしょうか。
 山縣委員、どうぞ、お願いします。
○山縣委員 すみません、これは、事務局のほうかもしれませんが、このように接種率というのは、ワクチンを接種を検討する際の、検討材料の1つとなると思います。基本的に、このワクチンの重要性に加えて、そういう意味で、何か積極的にというか、対象者や、その御家族の方が、こういう接種率の現状を目に触れることができるような、そういう対策の、現状について御説明いただければと思います。
○上田参考人 私のほうからは、接種率は、全体的には5割を超えてきておりますので、かなりの方が接種されているというのは、1つの安心材料にはなると思いますし、そういうのも加味して御判断いただきたいと思いますので、厚労省のほうで、ぜひ御検討いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。御指摘のとおり、接種率の向上そのものが周知の目的にはならないように、まずは、正しい情報を発信し、接種の検討判断をした結果として、接種率が値として表れるという厚労省の周知の方法として、特にHPVワクチンについては、そのような方針で、どのタイミング、どこでそういった情報を国民の皆様に周知するかといったところも検討していきたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかには、いかがでしょうか。
 よろしいですかね、今、上田参考人から御指摘いただきましたように、自治体、学校、医療機関が、やはり連携を取りながらということと、あと、事務局からありましたように、適切に正しい継続的な情報提供ということでございますので、引き続き、その方向性で動かしていただけたらと思っております。
 上田参考人、どうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
○上田参考人 ありがとうございました。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて資料3-3について、竹原参考人は入っていらっしゃいますでしょうか。
 竹原先生、ありがとうございます。
 それでは、資料3-3につきまして、御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○竹原参考人 こんにちは。国立成育医療研究センターの竹原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、資料3-3の画面の共有をさせていただきます。
 では「HPVワクチンの安全性に関するフォローアップ研究」ということで、岡部班の研究の一環として実施してきているサーベイランスの経過報告をさせていただきます。
 こちらは、今までと大きくスライドの内容は変わっておりませんが、こちらのサーベイランスは、HPVワクチンの積極的勧奨が再開となった2022年4月以降、ワクチン接種後の体調不良を主訴として、協力医療機関を受診した患者数の推移を把握するということを目的に、全国95の協力医療機関のうち75の協力医療機関から御参画、協力をいただき、毎月1回ウェブアンケート調査によって、受診患者数を把握することを行っております。
 調査項目に関しましては、新規受診者数、継続受診者数、合計受診者数と、あとは、ワクチンを接種してから、その受診まで、およそどのぐらいの時間がたっているかということ。
 それから、2024年の10月からは、この受診患者の中に、男性が含まれているかどうかと、そういう性別の項目も追加しております。
 大きな流れ、こちらも今まで何度かこちらで御報告させていただいたものと同じで、こちらのほうで事務局を行いながら、厚生労働省、全国のブロック拠点病院の協力医療機関の皆様と連携しながら、サーベイランスを実施しております。
 こちらが2022年3月分から始めております、そのサーベイランス受診患者数の推移になります。まず、こちらが2022年度、既に報告をしている部分になります。
 そして、次のスライドが2023年度、こちらも既に報告済みのところとなります。
 こちらが2024年度、それから2025年度の部分になりまして、1月以降のところに関して、特に新しい報告になるかと思います。
 昨年の秋から冬の初めにかけまして、一時期、合計受診患者数が増えましたが、その後、1月以降は、おおよそ80人ぐらいで推移をしておりまして、そういう数字が、こちらで得られております。
 なお、この2024年の10月以降、この受診患者数の中に男性がいるかどうかということに関して把握をしておりますが、現時点では、報告されている男性患者数はゼロ人ということになっております。
 なお、前回の本部会での報告以降、2024年度の1月、つまり2025年1月から25年5月までの月別の新規受診患者数は、13人から32人の幅の中で推移をしてきております。
 そして、これら新規受診患者数の多くは、ワクチン接種後1週間以内に発症して受診をされた患者数が多くを占めているということも、これまで、こちらで御報告をさせていただいている結果と大きな変化がございませんでした。
 今後に向けてということですが、引き続き、患者数の把握の継続、変動の早期把握を行える、こちらのサーベイランスの体制を維持するということと、その結果を速やかに、拠点病院整備事業などのブロック会議などで、各地域、それから病院のほうに報告をさせていただき、連携体制を強めていければなと思っております。
 そして、現在、全95の協力医療機関がございますが、そのうち75の協力医療機関に、3年わたる長い調査の御協力をいただいておりますが、よりさらに多くの協力医療機関に御協力いただけるよう、先月、厚生労働省予防接種課のほうから都道府県を対象に事務連絡を出していただいた中で、こちらのサーベイランスに協力するようにということを添えていただきましたので、我々事務局といたしましても、改めて協力医療機関のほうにお願いをいたしまして、少しでも多くの協力医療機関が、こちらのサーベイランスに引き続き御参加いただけるように、お願いをしていこうと考えているところになります。
 私からの報告は以上になります。
○森尾座長 竹原参考人、非常に重要なサーベイランス調査の今までの結果をお示しいただきまして、ありがとうございます。いかがでしょうか、委員の皆様から何か御質問、御意見がありましたら承りたいと思います。
 齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 齋藤玲子と申します。竹原先生、貴重な御発表をありがとうございました。
 すみません、聞き逃したかもしれないのですけれども、途中で1施設、74施設から75施設に増えていることで、受診者数も新規患者数も増えているのでしょうか、割合として1施設分増えているとみなして、よろしいのでしょうか。
○竹原参考人 こちらが74施設で、こちらの画面の上のほうの表示が75施設になっているというところの御指摘かと思います。
 大変申し訳ございません、こちらは75施設というもの、入力の間違いになっておりますので、現時点で協力いただいている施設は75施設という形になっております。それで、毎月毎月調査協力をお願いしまして、実際御回答をいただけているのが、この月の横にある回答施設数となりますので、該当施設数は、このように、月によって若干変化がありまして、ただ、我々事務局として毎月送付をさせていただくために、このサーベイランスに御協力いただけますかということで御快諾いただけている施設が75施設ということになります。
 資料のほうに間違いがありまして、申し訳ございませんでした。
○齋藤委員 どうもありがとうございました。
 そうしますと、新規の受診の患者さん数の割合というのは、特に変化はないということでよろしいでしょうか、どこから変化と捉えるかという問題はあると思うのですが、例えば、この1年間で特に患者数が、新規に受診された方が増えてはいらっしゃらないということで、よろしいのでしょうか。
○竹原参考人 御指摘ありがとうございます。
 割合というもので見られると非常によいかなとは思うのですが、何を分母にして、割合を算出したらいいかというのが非常に難しいところでして、例えば、このワクチン納入数というものを分母にしてしまうと、医療機関のほうで多めにワクチンを納入している時期と、実際それを接種している時期というのは、恐らくタイムラグというのは一定程度発生すると思いますが、具体的に個々人の中でどの程度それが発生しているのかということに関して、サーベイランスでは十分に把握できるようなものではないので、実際には、接種をした人のうちどのくらいという形で数字が出せれば、より割合という形では出しやすいのかなと思いますが、現時点では、実際に病院に受診されている方の数が一時期増えて、その後で、ここ数か月、もとの発生の人数に戻ってきているということを御報告するのが、現時点での限界かなと考えております。
○齋藤委員 ありがとうございました。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 今、御指摘いただいた、分母のところがきっと課題なのかなという感じがしますが、納入数が出ていますけれども、接種者数と含めてデータが出てくると、もう少し分かりやすいかもしれませんね。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 下野先生、お願いいたします。
○下野委員 少しお聞きしたいのですが、継続受診患者数というのは、1か月以内の複数回受診を1人とカウント、これは、どういう感じのカウントをされて、継続受診というのは、どのぐらいの期間のことをおっしゃっているのでしょうか、すみません。
○竹原参考人 ありがとうございます。
 初診としてかかって、それが新規受診患者で、その後、再診という形でかかれば、そのときに、期間は別に1か月に問わず、再診という形で位置づけられれば、それは、継続受診患者となっています。
 ただ、こちらの下に※2として注釈で書かせていただいているのは、1か月のうちに3回、4回同じ人が受診した場合は、それは1人とカウントしていますということなので、継続的に受診している方が、延べ人数ではなくて、実際に何名おられるのかという形の数字を、こちらには記載させていただいております。
○下野委員 ここの表にはないですけれども、受診されてどのぐらいで、例えば症状がなくなって、終わりになっているかみたいなのは、集計はされていないということですかね。
○竹原参考人 はい、転帰に関しては、こちらのサーベイランスでは収集をしておりませ○下野委員 ありがとうございました。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかの委員から、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 竹原参考人、どうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○竹原参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
○森尾座長 それでは、次に、西原参考人に入っていただきます。続いて、資料の3-4につきまして、西原先生から御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○西原参考人 よろしくお願いいたします。西原でございます。
 それでは、説明をさせていただきます。
 HPVワクチンの接種後に生じる症状についての研究の報告をさせていただきます。前回、1月24日の105回の会議で報告させていただいた、その第2報ということになります。
 この辺は一緒なのですけれども、私たちは、実際にブロック拠点病院というのが設定されて、そのブロック拠点を受診した患者さんの症例について、先ほどの竹原先生の発表のとおりで、サーベイランスの数というのは報告があったと思うのですけれども、その中身ですね、どういう診療で、どういう経過でというところの情報を収集させていただいているというのが現状でございます。
 先ほどの岡部先生のところのサーベイランスの研究と、私たちが実際にブロック拠点を受診した患者さんの症状、それから、厚生労働事業の中で、この3つが重なって患者さんのフォローアップをしているということになってまいります。
 これは、前回も説明しているとおりで、地域ブロックで各医療機関、自治体、関係団体が協力しながらHPVのワクチン後の症状を呈した患者さんを見ていくという体制づくりというのを行っているところでございます。
 さて、令和5年度の報告は、105回の会議のときにさせていただいたと思うのですけれども、今回は令和6年の4月から令和7年の3月までの受診患者さんの分析ということになってまいります。
 先ほど75施設というのが、協力医療機関でありますけれども、その中の12施設ということになりますが、12施設のブロック拠点を受診した患者さんが90人おられたということであります。
 背景等々でありますけれども、症状としては見ていただくと分かりますように、接種時に痛みがあったという患者さんが多いということになります。1か月以内が77人ということになってまいります。
 その症状そのものなのですけれども、疼痛とか感覚障害、それから運動障害、自律神経障害というのが多いことが分かってまいります。
 認知機能障害というのは、前回も同じように2人ぐらいおられたのですけれども、一定数おられることはおられるのですけれども、それほど数は多くないと言えると思います。
 他覚所見とか、検査異常というのも比較的見られるような症例もあるということになります。
 特に注意すべきは、滑液包の周囲の炎症性の変化ということで、いわゆるSIRVAと呼ばれる病態というのも、今回、比較的報告があると言えるだろうと思います。
 診断名は、以下のようになっております。様々なタイプの診断がついているというのも事実でございます。
 治療内容については、いろいろな治療、私たちは慢性痛を中心に治療をすることが多いわけですけれども、それも、なかなか決まったやり方があるわけでありませんので、いろいろな治療を行いながら、個々の個人に合わせて治療を行っていくということをやっておるところでございます。
 症状の経過に関してでございますけれども、現時点でということになりますけれども、消失、改善が比較的多いわけですけれども、不変という患者さんも4名ほどおられるということになります。
 4人に関しては、腹痛とか、痛みがあって、どのぐらい残存しているかは、まだ分からない、これから調査をしていくということです。それから、起立性調整障害、これも継続して見ている。
 それから、倦怠感等々で報告されていますけれども、これの症状が残存しているかは、まだ分からないということで、痛みがあって経過観察中というのもありますので、これを部フォローアップして見ていっているという状態になっているところでございます。
 前回、本部会で不変として報告した令和5年度の受診患者さんについての新たな調査の結果になってまいりますけれども、例えば、眼振が残っていたとか、頭痛が残っていたとか、そういう症状でございますけれども、やはり少し眼振が残っているとか、痛みに関しては改善したり、再診をされることがなくなって分からなくなったというケースもありますけれども、外来経過を見ている人もいますけれども、比較的非常に重篤化しているというケースは、報告されていないということになってまいります。
 今回、この受診した患者さんの代表症例、これは、少し注意をいただきたいのは、平均値というのがあるわけではありませんので、改善した人も非常に症状が残っている患者さんとか、いろいろおられるのですけれども、そういうケースに関して幾つかの代表例というものを提示しております。
 例えば、症例1などでは、比較的経過としては、ロキソニンなどのようなNSAIDsで疼痛が改善すると、いわゆるシンプルなケースということもありますし、例えば、症例に、いろいろ治療をしているのですけれども、活動性が非常に下がってしまって、痛み、欠乏という状態があって、その後、治療が今も継続して、ただ、これは動けるようになってきているという感じの患者さんです。
 症例3などは、不随意運動とかが少しあったケースなのですが、これは、認知機能障害ですね、文字が見にくいとか、長文が分からないということがあって、そういうことでフォローアップしている人ですが、この人も痛みなどがずっと続いているというケースではあります。
 様々でありますので、一例一例見ていただくとよろしいかと思いますけれども、よくなってきている患者さんが確かに多いですので、平均としては、そのように見ることができるかなとは言えるだろうと思っているところでございます。
 今の説明のとおりでございまして、今後に関しては、また、継続して、もちろん診療をやっていきますので、患者さんがどのように、不変の患者さんもどのように経過していくかということも見ていくということを考えているところでございます。
 特に今回は、今後、新しくHPVワクチンの接種後の症状に対する診療のマニュアルというものをブラッシュアップしていくことにしておりますので、これもまた報告させていただけると思います。
 以上でございます。
○森尾座長 西原参考人、非常に貴重な資料を御提示いただきまして、ありがとうございます。
 いかがでしょうか、委員の皆様から質問、コメント等をいただければと思います。
 宮入委員、お願いいたします。
○宮入委員 西原先生、丁寧な説明をありがとうございます。
 やはり気になったのは、ワクチンの接種部位であるとか、手技そのものに関連するSIRVAに関してです。
 こちらについては、ワクチン接種後の痛みに対するマニュアルで対処するのではなく、啓発することで防げるものではないかなと思います。先生が分析された中で、どういう場所に打ってしまっている症例なのかとか、あとは、こちらは事務局のほうかもしれませんが、これの啓発に向けての取組などがありましたら教えていただけますと助かります。お願いします。
○西原参考人 先生、貴重な御指摘をありがとうございます。
 本当に大事なところで、SIRVAというのが認識されて、今、大分接種の仕方というのも変わってきているのではないかと思います。
 ただ、どの注射部位に打って、こういう状態になったということが、どれぐらい記憶があるかとかということもありまして、なかなかはっきりしたことは分かりません。一般的に言われている、肩峰から75ミリとか100ミリとかという範囲に接種するのが適当だと言われていますけれども、こういう一般的な注射の仕方というものを啓蒙していくことが必要なのだろうと思いますし、ただ、今回HPVのワクチン後にこういう患者さんもおられたということは、ぜひ診療マニュアルのほうに、新しくブラッシュアップするときに、それを載せて、予防できるような形を啓蒙活動としても一部やっていきたいと考えているところでございます。
 以上です。
○森尾座長 いかがでしょうか。HPVワクチンに限らないことかもしれませんが、事務局のほうから、何かコメント等ございますか。
○事務局 ありがとうございます。
 今、西原参考人より、宮入委員にお話しいただいた内容と同じなのですけれども、引き続き、研究班の先生と、拠点病院の先生方との情報共有等々を行いながら、今、言われたSIRVAへの対策としても、診療マニュアルのブラッシュアップを、引き続き進めていきたいと考えております。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかに、岡委員、お願いいたします。
○岡委員 西原参考人、本当に貴重な御報告をありがとうございました。
 第1報のときにも経過等の御報告をいただいて、今回さらにその方々のフォローアップも情報提供いただいてありがとうございます。
 私のほうからは、やはり慢性疼痛、特にHPVワクチンの場合、思春期から若年の女性の方ということで、そういう方の慢性疼痛の専門家の方というのは、本当地域に少ないと思いますので、そういう意味で、今回、勧奨接種を再開するに当たって、このような支援体制をしっかりつくっていただいたということは、本当に大事なことだと思っているのですけれども、地域で、やはり専門家が少ないという意味で、協力医療機関との連携みたいなのは、先生方もいろいろ苦労されているのではないかと思いますけれども、その辺りについて、今、どういったことをしていただけているか、もし、あれば教えてください。
○西原参考人 ありがとうございます。
 貴重な御指摘、大変感謝でございます。今、この地域の中で、ブロック拠点病院があって、そのブロック拠点がまとめて、その地域のグループのミーティングといった形を、各地域で行っているところでございます。
 そこで、協力医療機関からの情報も得ながらやっているというところで、非常に困ったケースとか、どう対処していいのか分からないようなケースを、ブロック拠点にもちゃんとつなげることができるような体制というものを、ミーティングを通じて行うということが、各地域で、今、進行中という状況にあります。
 以上でございます。
○岡委員 ありがとうございます。
 ぜひ、よろしくお願いします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかの委員から、いかがでしょうか。
 よろしいですか。本当に副反応報告だと、スナップショットしか出てきませんけれども、このように転帰とか経過を示していただくのは、医療機関あるいは全体を把握する者以外に、恐らく患者さんにとっても重要な情報なのかなと思っております。
 これからの診療マニュアルを期待するとともに、今、岡委員から御指摘がありましたように、いろいろな施設が、適切な診療というのをフォローできるような形で進めていただけたらなと願っているところでございます。
 西原参考人、どうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
○西原参考人 ありがとうございました。
○森尾座長 参考人の皆様、どうもありがとうございました。お残りの方が、もしかしていらっしゃるかもしれません。まだ、研究が続いていると認識しておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
 これ以降は、先生方に特に御意見や御質問をさせていただくことはございませんので、適宜必要に応じて御退出いただけたらと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、続いての議題は、そのほかといたしまして「MRワクチン(ミールビックII)の定期接種における使用について(報告)」ということで、事務局より報告がございます。
 資料4が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。資料4をご覧ください。
 今回報告事項となりますが、MRワクチン(ミールビックII)の定期接種における使用についてということで、資料のほうを説明させていただきます。
 こちらにつきましては、来年以降ミールビックIIを定期接種で使用することになることから、既に7月2日の予防接種基本部会、7月4日のワクチン小委員会でも御報告させていただいた内容となります。
 2ページ目をご覧ください。
 こちらは、製造会社のほうで作成された資料ということになりますが、一般名につきましては、現在のワクチンと変更はございません。
 今回の製品の新たな点といたしまして、製品コンセプトと書いてある行になりますが、MRワクチンの安定供給を続けるため、風しん原液製造において供給不足リスクを抱えるウズラ卵に頼らない製法に変更したワクチンとなります。
 有効性につきましては、ミールビックと同様の有効性が期待できるとのことです。また、安全性につきましても大きな違いは認められていないということで報告をいただいております。
 続きまして、3ページ目をご覧ください。
 概要に記載をさせていただきましたが、ミールビックIIにつきましては、2024年9月に薬事承認がされております。
 また、ミールビックIIにつきましては、企業によりますと、2026年2月下旬より出荷され、順次卸売業者に出荷されていく予定と聞いております。
 今後の予定といたしましては、来年以降使用されることとなりますので、今回、この場で御報告を申し上げます。
 4ページ目以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきます。
 説明は以上になります。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 報告ということでございますが、委員の皆様から何か御質問や御意見はございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、どうも御報告ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上となります。
 そのほか、全体を通じまして、御質問、御意見、コメント等ありましたら承りたいと思いますが、よろしいですか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。先ほど、資料2-5-2で質問をし忘れたのですが、よろしいでしょうか。
○森尾座長 どうぞ、お願いいたします。
○舟越委員 こちらの乾燥弱毒生水痘ワクチンにおける評価資料構成についてです。
 報告数が小児の予防と高齢者の帯状疱疹の部分に分けられることは、リストを一つ一つ見る前に外観が分かるのでいいと思うのですけれども、頻度が医療機関の納入数量数を、接種可能延べ人数としているので、副反応疑い報告頻度の計算を、そこを見て割り算していると思います。同製品で適応追加されたため、高齢者と小児、どちらも分母は全納入数ということになると、水痘予防分と高齢者分と、頻度をどのように計算しているのかなというところが、分からなかったので教えていただきたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
 分母問題のことですけれども、お願いいたします。
○事務局 事務局より御説明いたします。
 資料2-5-2の水痘ワクチンについてなのですけれども、小児と成人で接種可能延べ人数を分けてお示しすることが可能でして、成人か小児のどちらに接種されるのかまでは把握できないのですけれども、特に小児に特化した医療機関にどのぐらい納入されたかということは、事務局のほうで把握は可能ですので、小児を特に専門で診ている医療機関、またはそれ以外の医療機関ということで、それぞれの接種可能延べ人数を算出可能な状況になります。
 そのために、小児と成人で、それぞれ接種可能延べ人数を、あくまでも正確な値ではないのですけれども、参考の値としてお示しすることができると考えております。
 その上で、頻度につきましては、あくまでも接種可能延べ人数というものが、参考の値にはなってしまって、必ずしも正確ではないということから、お示しをせずに、あくまでも報告数だけ参考としてお示しできればと考えております。
 以上です。
○舟越委員 分かりました。頻度を示すわけではないということで、理解しました。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、なければ、最後に事務局より、次回の開催についてお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡差し上げます。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の会議は、これにて終了させていただきます。
 活発な御討議、どうもありがとうございました。