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- 第20回高齢者医薬品適正使用検討会議事録
第20回高齢者医薬品適正使用検討会議事録
医薬局医薬安全対策課
日時
令和7年7月9日(水) 13:00~14:00
場所
厚生労働省 専用第12会議室(Web併用)
東京都千代田区霞が関1-2-2
東京都千代田区霞が関1-2-2
議題
- (1)令和6年度事業の最終報告
- (2)その他
議事
- 議事内容
- ○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、第20回「高齢者医薬品適正使用検討会」を開会いたします。
本日御出席の構成員の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただきましてありがとうございます。
まず、私ですけれども、事務局ですが、昨日、医薬安全対策課長を拝命いたしました安川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の検討会の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。
議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、本日はウェブ併用のハイブリッド開催のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ち、審議の進行方法について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問いただくときはミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
発言のタイミングが重なった際は、座長から順に発言者を御指名いただきます。
会議中、マイクの調子が悪くなった場合などは、メッセージに御意見等を記入していただくようお願いする場合がございます。
システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。もし事務局のサーバがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
事務局からは以上です。
それでは、以降の進行を座長の印南構成員にお願いいたします。印南構成員、よろしくお願いいたします。
○印南座長 座長の印南です。皆様には、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回はハイブリッド開催ということで事務局から説明がありましたが、これまでの御説明に、御質問、御意見等があればお願いします。
よろしいでしょうか。
ちなみに、会場には大きなモニターが用意されていて、どなたが先に手を挙げたかというのはシステム上分かることになっているのですが、私から見ますと、遠くて、実際にどの方が先だったのかというのはよく分からないことがありますので、もし私のほうが先だと確信されていれば、お名前をおっしゃって、発言しますと言ってください。内容が飛び交ったりしない限り、介入しないようにしたいと思います。
それでは、議事に入る前に、構成員に交代があったとのことですので、事務局より紹介をお願いします。
○事務局 それでは御紹介いたします。
齋藤嘉朗構成員が退任され、新たに着任されました国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部第二室長、齊藤公亮構成員でございます。齊藤構成員から一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○齊藤構成員 御紹介いただきまして誠にありがとうございます。私、国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部第二室長、齊藤公亮と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
研究といたしましては、重篤副作用のバイオマーカーですとか、あと、ポリファーマシーとも関連ありますけれども、相互作用の研究を行っていまして、少しでもこの委員会のほうにお手伝いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
齋藤嘉朗構成員には、この場を借りて、これまでの御議論において貴重な御意見をいただきましたことにつき、御礼申し上げます。
○印南座長 委員の出席状況、審議への参加等について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 まず初めに、本日の構成員の出席状況について御報告いたします。
松下構成員、山中構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
本検討会の委員19名中17名の構成員に御出席いただいており、過半数の御出席をいただけておりますので、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
以上でございます。
○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。
初めに、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料を確認いたします。
資料は、あらかじめメールでお送りしているとともに、会場の皆様にはタブレット上で閲覧できる状態となっております。
順に申し上げますと、議事次第、配布資料一覧、開催要綱、資料1、参考資料1~4でございます。
資料1が令和6年度事業の最終報告について、参考資料1が調査一式の報告書、参考資料2が高齢者の医薬品適正使用の指針の総論編、参考資料3が指針の各論編、参考資料4が地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方でございます。
不足等がございましたら、お知らせください。
なお、これらの資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、傍聴の方はそちらを御覧ください。
○印南座長 それでは、議事次第に従って議事を進めてまいります。
議題1は、令和6年度事業の最終報告についてです。まずは受託業者である株式会社NTTデータ経営研究所より、資料1の説明をお願いします。
○NTTデータ経営研究所 NTTデータ経営研究所の西尾と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
資料1を用いて説明させていただきますけれども、本事業は複数の業務内容から構成されておりますため、複数の担当者から報告をさせていただきます。
まず、資料1の3ページ目でございますが、「事業の背景と目的」でございます。目的の部分について説明させていただきます。最新の指針や業務手順書等を用いた地域における普及啓発活動を通じてポリファーマシー対策の実施環境整備を図るとともに、医療介護データの分析を通じて医療現場におけるポリファーマシー対策業務の効果に係るエビデンスを入手することを目的とするものでございます。
それでは、ページを移りまして4ページでございます。本事業で実施いたしました業務は、4ページの左側のほうに2つございます。上のまずマル1ですが、地域における業務手順書の運用調査、そして下のほう、マル2でございますが、医療現場におけるポリファーマシー対策業務の効果に係るエビデンス調査・検討、この2つを行いました。
それでは、次の5ページに参ります。まず、地域における業務手順書の運用調査の業務概要でございます。目的でございます。調査対象地域において普及啓発用資材なども活用しながら、指針や業務手順書を用いて地域におけるポリファーマシー対策や普及啓発を試行的に行い、指針や業務手順書に従いポリファーマシー対策を進める上で一連のプロセスの整理、ポリファーマシー対策の成功要因、失敗要因の整理、今後の課題抽出対応策を整理し、今後の普及啓発に資する情報を得ることでございます。
2つ下の調査対象地域ですが、埼玉県と広島県を対象にいたしました。
それでは、次の6ページに参ります。「医療現場におけるポリファーマシー対策業務の効果に係るエビデンス調査・検討」の業務概要でございます。目的でございます。データ分析により高齢者の処方状況を分析し、ポリファーマシー状況の改善を図るための指標を検討することでございます。
2つ下の分析の進め方というところですが、昨年度、医療経済研究機構研究部の担当部長を務めておられました浜田先生に分析を御担当いただきました。分析で使用したデータは八王子市のレセプトデータなどでございます。
それでは次に、埼玉県における業務手順書の運用調査に参ります。8ページ目になります。埼玉県におけるこれまでのポリファーマシー対策に係る取組について、埼玉県薬剤師会が委託された2018年からポリファーマシー対策を実施しておりました。実際に本事業前から埼玉県医師会の協力を得ながら進めておりましたけれども、一方で、これまで取組が十分に進まなかった理由としましては、医師に対する処方変更提案の難易度が高いことであったり、地域への周知不足等が挙げられてございます。
9ページ目に参ります。県全体の会議体の概要と成果でございます。埼玉県におきましては、既存の会議体としまして県薬剤師会の社会保険委員会を本事業の県全体の会議体として活用して、計2回の会議を行い、ポリファーマシー対策について検討を行いました。
10ページ目に参ります。地域の会議体の概要と成果・課題でございますけれども、埼玉県におきましては、7つの地域薬剤師会の会議体としまして、ポリファーマシー対策の運用、好事例の共有、多職種連携の強化を図ってまいりました。
11ページ目に参ります。地域ポリファーマシーコーディネーターの概要です。埼玉県におきましては、ポリファーマシー対策の専門知識を持つ既存の委員としまして、社会保険委員10名が地域ポリファーマシーコーディネーターとして役割を担うこととなりました。その10名のうち4名は地域会議体において議長を務めまして、そのうち3名が普及啓発資材を用いた説明を行ってまいりました。
続いて12ページ目に参ります。薬剤調整支援者の概要でございます。埼玉県におきましては、地域ポリファーマシーコーディネーターが薬剤調整支援者として48名の薬剤師を任命しております。
13ページ目に参ります。薬剤調整支援者の成果マル1といたしまして、本事業実施前に連携しておりましたこの図表中の5つの職種につきまして、連携が増えた薬剤調整支援者の割合は66.7から100%でございました。
続いて14ページ目に参ります。薬剤調整支援者の成果マル2と課題というところでございます。薬剤調整支援者を任命しまして、薬剤師の意識向上、多職種との協力関係の強化という成果があった一方で、処方見直しの円滑化に関しては慎重な意見も多く、医師への情報提供等についてさらなる改善の余地があるということが示唆されてございます。
15ページ目に参ります。県全体の普及啓発活動の概要でございます。県全体の普及啓発活動におきましては、埼玉県薬剤師会の既存の研修を活用しまして、計2回行ってございます。
続きまして16ページ目、県全体の普及活動の成果でございます。地域における普及啓発活動のモデルの構築並びに薬剤師のポリファーマシー対策に対する意識向上を実現することができたと認識してございます。
続いて17ページ目、地域の普及啓発活動の概要でございます。本事業におきましては4地域におきまして普及啓発活動を実施しました。そして、多職種が参加した地域や行政と連携した取組が行われた地域もございます。
18ページ目に参ります。埼玉県の令和6年度の取組のまとめでございます。埼玉県におきましては、埼玉県薬剤師会の既存の会議体を活用し、県全体の会議体、地域の会議体の運用を行ってまいりました。また、地域ポリファーマシーコーディネーター及び薬剤調整支援者の任命、それぞれの地域における普及啓発活動を実施することができました。
成功要因として、埼玉県薬剤師会が主体となって実施したこと、既存の会議体を活用したことにより比較的短期間で意思決定が可能であった等の理由が考えられております。
一方で、特に県全体の会議体、普及啓発活動において、医師を含めた薬剤師以外の職種の参画がなかったなどの課題が挙げられておりますので、今後は市町村、自治体などと協力しながら、医師を含めて多職種で処方見直しを円滑化するに当たっての課題について解決する必要があると認識しております。
以上が埼玉県におけます業務手順書の運用調査の報告でございました。
ここから、広島県の業務手順書運用調査について御報告いたします。20ページ目を御覧ください。広島県では、2017年度以降、県及び広島地域で多職種連携によるポリファーマシー対策が進められてきております。本事業はこのような既存の取組を踏まえて、運用手順に沿って、広島県が実施主体となり、ポリファーマシー対策の実施・運用に関する調査を行ったものでございます。
21ページ目を御覧ください。これまでの背景として、県の地域保健対策協議会では、多職種の理解と協力が課題として挙げられておりました。こうした背景を踏まえて、新たに多職種、そして学識経験者を含む会議体を設置し、県と広島市域の関係者団体も参加し、ポリファーマシー対策に関する検討を行いました。
22ページ目を御覧ください。新たな会議体として、高齢者医薬品適正使用推進に関する調査・検討会を新設しております。この会議体は2024年12月と2025年2月に開催し、ポリファーマシー対策を行う対象地域や役割の設計について意見交換を行っております。
23ページ目を御覧ください。この会議体の決定事項といたしまして、地域ポリファーマシーコーディネーターを医師、薬剤師の2名体制とし、薬剤調整支援者は原則かかりつけ薬剤師とするという決定がなされております。また、ここで挙がった要望として、業務手順書への役割の明記や、会議体に市民や栄養士の参加が挙げられています。
24ページ目を御覧ください。会議体の設置に関しては、関係機関への説明と同意取得に時間を要してしまったというところが挙げられております。また、業務手順書に具体的な役割の記載がなかったということから、役割の具体化に向けた議論と合意形成に時間を要しました。
25ページ目を御覧ください。普及啓発活動の概要と課題について御説明いたします。まず、医療従事者向けの普及啓発活動として、令和7年2月に研修会を開催しております。こちらの研修会では、医師や薬剤師など127名が参加して、普及啓発活動の受講をしていただいております。また、右側、県民向けの普及啓発活動につきましては、地域薬剤師会が主導して普及啓発活動の資料の配布を行っております。地域薬剤師会などに御協力いただきまして、このチラシの配布に関しては全部で7,120枚の配布を行っていただいております。
26ページ目を御覧ください。こちら、普及啓発活動の成果について記載しております。アンケートを取得し、このアンケート結果から普及啓発活動を通じてポリファーマシー対策に対する実施意向がさらに高まったということが確認されております。
挙げられた意見としましては、具体事例の紹介が少ないというところもございましたので、今後は、具体的な事例紹介を行いつつ、さらなる行動の促進を目指すという方針になっております。
27ページ目を御覧ください。まとめの資料でございます。令和6年度に関しては、県全体の体制整備と普及啓発に注力していただいております。一方で、地域単位での会議体設置や役割の任命に至りませんでしたが、関係者間の共通認識を醸成する土台を整えることができました。今後は地域への実装と住民に向けての活動の拡充が必要であると考えているところでございます。
28ページ目を御覧ください。こちら、参考資料として埼玉県と広島県の実施事項、結果概要を並べたものでございます。
以上となります。
それでは、29ページ以降、医療現場におけるポリファーマシー対策業務の効果に係るエビデンス調査・検討、データ分析結果について御説明いたします。
30ページを御覧ください。今回、自治体のレセプトデータ、NDBオープンデータを分析しております。データ分析の方針としましては、年齢や性別等の個人属性ごとにポリファーマシーが生じやすい薬剤の処方状況整理を通じてポリファーマシー状況の改善を図るための指標を検討いたしました。
ポリファーマシーが生じやすい薬剤としましては、薬剤起因性老年症候群の原因薬、抗コリン薬、PIMsに該当する薬剤を分析しております。本日はこちらの分析結果の主要な一部と指標の検討結果について御説明をいたします。詳細は参考資料1を御確認いただけたらと存じます。
それでは次のスライドでございます。分析データの基本情報をお示ししております。今回用いたデータとしましては、東京都八王子市の2019年度の医療・介護連結データを用いてございます。
それでは32ページ、分析結果について御説明いたします。こちら、抗コリン薬の処方薬剤種類数を療養環境ごとに患者割合の値を示したものとなってございます。表側、個人属性別にお示ししておりますが、上段赤枠でお示ししておりますとおり、外来では約3割、在宅、特養では約半数の患者で抗コリン薬が処方されておりました。また、下段赤枠、外来では要介護度が高くなるほど抗コリン薬の処方薬剤種類数が多くなっている傾向がございました。
では次のページでございます。こちら、薬剤起因性老年症候群の原因薬(薬剤分類別の処方割合)をお示ししたものとなってございます。表頭にお示ししております薬剤分類ごとに全体の処方割合が高いものから順に左側から右に並べてございます。上位5分類としましては、便秘薬、睡眠薬・抗不安薬、抗コリン薬、NSAIDs、抗不整脈薬といった薬剤分類に属するものが処方割合高いという結果が出てございます。
では次のページでございます。こちら、PIMsに該当する薬剤の処方割合を示したものでございます。黄色でハイライトでお示ししておりますのは、年齢や要介護度等、同じ個人属性の分類内で処方割合の差が10%以上あるものをお示ししております。処方割合が高い薬剤としましては、睡眠薬や抗不安薬、利尿薬、NSAIDs、このような薬剤分類に属するものが割合高いという結果となってございました。
それでは35ページでございます。分析対象とした薬剤の2019年度と2022年度のNDBオープンデータを用いまして総処方錠数等を分析した結果でございます。右列にお示ししております1人当たりの錠数の結果にございますとおり、大きな処方傾向の差はないものと考えてございます。そのため、今回用いた東京都八王子市の2019年度のデータは、現状を一定程度反映しているとみなし、指標の検討に用いることは問題ないものと考えてございます。しかしながら、全国の状況と八王子市の状況が同様であることを示したものではないということには留意が必要と考えてございます。
それでは36ページ目、ポリファーマシー状況の改善を測るための指標(例)の選定方法について御説明いたします。今回のデータ分析結果から、指標については「患者属性」、「薬剤」、「処方状況」を組み合わせたものがよいものと考えてございます。
今回、指標につきましては個別的、限定的なものではなく、個々の医療現場や地域等に応じて設定していただけることを意図して指標(例)として表現しております。今回の指標の例につきましては、地域や医療機関等で経時的にモニタリングする等の活用方法を想定しております。また、個々の患者におきましても、ポリファーマシー対策に取り組む際の着眼点としての活用も可能なものと考えております。
今回、指標(例)につきましては、下段のほうに示しておりますマル1からマル4の4つの観点を重視して提示をいたしております。
続いて37ページでございます。こちら、指標となり得る薬剤の例をお示ししております。左側には年齢等個人属性ごと、右側には在宅や特養等療養環境ごとに指標となり得る薬剤の例を示しております。ただし、今回は八王子市のデータの結果を基に選定したものでございますので、地域によって傾向が異なることには留意が必要なものと考えてございます。
それでは次のスライドでございます。こちら、地域等様々な単位で活用の例をお示ししたものでございます。活用の例としましては、地域版の手順書を参考にしていただき、地域の会議体や活用する医療機関等で議論を行った上で、実情に応じて指標設定を行うことを想定しております。設定した指標につきましては、定期的にモニタリングを行い、ポリファーマシー対策の効果を可視化するとともに、好事例や課題の共有等を実施することでさらなる取組の推進が図れるものと考えてございます。
効果の可視化に関しましては、図の右下にお示ししておりますグラフのとおり、可視化可能と考えてございます。
それでは39ページ目でございます。こちら、地域等様々な単位での活用の例をお示ししております。例えば地域でございますと抗精神病薬を指標とすることを提示しまして、経時的に処方量をモニタリングすることで地域に所在する病院全体の状況を把握することが可能なものと考えてございます。
また、ほかには地域の薬局で調剤されている抗精神病薬の総量、こちら、モニタリングすることで、複数地域における地域差の確認や、ポリファーマシー対策を重点的に行うべき地域の選定等に活用いただけるものと考えてございます。また、医療機関や介護施設等でも活用いただける例をお示ししておりますが、あくまでもこちらは参考でございますので、実際に活用する際は現場に応じて薬剤や対象を設定することが望ましいと考えております。
それでは40ページでございます。こちら、個人単位での着眼点としての活用例をお示ししております。こちらも参考として御覧いただければと存じます。
それでは41ページ目、データ分析のまとめでございます。今回、ビッグデータの分析を通じまして、ポリファーマシー状況の改善を図るための指標を検討いたしました。分析結果から、患者属性、薬剤、処方状況を組み合わせた指標の例を提示させていただきました。今回御提示した指標(例)につきましては、ポリファーマシー対策の成果把握のモニタリングの指標としての活用が期待されるものと考えております。今回提示した指標の例、活用の例を参考に、地域や医療現場等で薬剤の処方の実態に応じて指標は設定することが重要であると考えております。
また、ポリファーマシー対策に関わる全ての関係者が当事者意識を持って活用することで、ポリファーマシー対策の一層の推進につながるものと考えております。
以上でデータ分析の御説明を終わらせていただきます。
最後に今後の課題について報告させていただきます。資料1の43ページでございます。本事業の結果、4つの課題が把握されました。
まず1番目でございます。「地域ポリファーマシーコーディネーター、薬剤調整支援者の役割の地域版業務手順書への追記」。地域版業務手順書にコーディネーター等の具体的な役割が記述されていないことにより、調査対象地域においてコーディネーター等の役割について検討する必要が生じ、役割の任命等が円滑に進まない要因となりました。今後は、今回の調査対象地域における検討結果を踏まえ、コーディネーター等の役割について具体的な事例を地域版業務手順書へ追記することが課題と言えます。
2番目、「ポリファーマシー対策のアウトカムの導出」。本事業で調査対象地域とした埼玉県、広島県ではポリファーマシー対策を行うための体制整備が行われましたが、これは患者個人のポリファーマシーが回避または減少するという最終的なアウトカムを目指すためのプロセスと位置付けられます。今後は、地域でのアウトカムを確認できるよう調査検討を進めることが課題と言えます。
3番目、「全国におけるポリファーマシー対策の実態調査の実施」。全国規模でポリファーマシー対策を推進するためには、全国のポリファーマシー対策の実施状況を継続的に把握することが必要と考えられます。そのためには、全国各地域におけるポリファーマシー対策の実態調査を行い、現状を把握することが課題と言えます。
4番目、「普及啓発資材の改善」。本事業では、作成した普及啓発資材を調査対象地域で活用いたしましたが、全国で活用するためには、業務手順書だけでなく「高齢者の医薬品適正使用の指針」の内容も網羅する必要がございます。また、地域ポリファーマシーコーディネーターや薬剤調整支援者の具体的な役割を示し、多職種がイメージしやすい対策の成功事例を掲載するなどの工夫が必要であります。さらに医療従事者向けの普及啓発だけでなく、地域住民向けの普及啓発も行う必要がございますが、患者のアドヒアランスが低下しないように配慮しつつ実施することが課題と言えます。
以上で報告を終了させていただきます。お返しいたします。
○印南座長 ありがとうございました。ただいま御説明のあった内容につきまして御質問等があればお願いいたします。
○池端構成員 すみません。最初にお聞きしていたと思うのですけれども、改めて、この調査の対象地域を埼玉県と広島県に絞られた理由をもう一度お聞かせいただければと思いますが。
○NTTデータ経営研究所 お答えいたします。こちら、公募で全国の都道府県に募集した中から2つの都道府県から応募があったものでございます。
○池端構成員 ありがとうございます。それからもう一点、後で申し上げようと思っていたのですけれども、今回、マイナ保険証の利用率とかそういうことについては、特に調査は入っていないのですね。
○NTTデータ経営研究所 そちらについては調査の対象外としておりました。
○印南座長 藤原先生、お願いします。
○藤原構成員 以前にお話ししたような気がしますけれども、高齢者の医薬品の適正使用ということで、必ずしも薬をたくさん飲んでいるのがよくないということではないというのは確認していることです。安全に適正に患者さんに利用してもらうことが大事で、そのための今回の調査なのだろうと思います。
今回、埼玉県と広島県で、これはかなり前から取り組んでおられるところが選ばれたのだろうと、前回も、伺ったときにそのような答えがあったような気がするのですが、その中でもいろんな課題があるということが分かりました。業務手順書を用いてということで、それがどのように運用されていくのかということをある意味検証したということだと思います。その中でもいろんな課題もあって、薬局から医師に薬のことについて問い合わせたり相談するというのもなかなか難しいという事がハードルとしてはあるのですが、それをどのようにしてコミュニケーションの取り方を考えていくのかというのが最近の課題ということだろうと思います。
この指標について、活用方法、いろいろあると思うのですが、基本的には、高齢者にリスクの高い薬を飲んでいるかどうか、それがどのぐらい入っているのかというのをまず地域で見て、それが減っていけばいいとか、増えていけば悪いとか、そういうことでは多分ないと思います。43ページの2ポツのところの説明の中で、「これは患者個人のポリファーマシーが回避または減少するという最終的なアウトカムを目指すためのプロセスと位置付けられる」と書いていますが、個人的な問題というより個々の患者さんの問題だと思うので、その患者さんの中で、先程もお話ししたように、安全に適正に薬が利用されるような目安として使ってくださいということだと思うので、その地域で例えばその薬がどのぐらい使われているのかと全体として見てしまうと、個々の患者さんの処方に制限というか、影響を受けるような感じに聞こえてしまうので、そういうことではないと、書きぶりというか、考え方を整理していただければと思いました。
あと、患者さんに向けてどのように普及啓発していくかというのは結構大事なことだと思います。今、日本医師会で仕事をしていますので、週に1回だけやらせてもらう外来で、お年寄りの方が、最近ちょっと寝つきが悪くなったので眠り薬をくださいというような感じで来られたのですね。基本的には別に無理して飲まなくてもと、寝ないで困ることがありますかと聞いて、特にないと言ったら処方しないとなるのですけれども、その方が言うには、自分もそろそろ年だからこういう薬が必要なのではないかみたいなことを言われたのですね。そういう人もいるのだと思ってびっくりしたのですけれども、ポリファーマシーというよりも、向精神薬とか睡眠薬とかコリン薬とか、心臓の病気で使う必要があるときは要ると思うのですけれども、そういうお薬にはリスクがあるというお話を前面に出して話してしまうと怖くて飲んでくれないみたいなことで、説明の仕方というのは難しいとは思います。今お話ししたように、こういう趣旨のものであれば、患者さん向けというか、一般の国民向けの普及啓発というのも大事な視点だろうと思いますし、その辺の工夫も今後考えていかなければいけないのかなと思いました。
ということで、まず、質問とかではないのですが、そういうことだと思って聞いていただければと思います。
以上です。
○印南座長 事務局から、いいですか。
○医薬安全対策課長 事務局でございます。
御意見ありがとうございます。まさに御指摘いただいた点は重要でして、単にポリファーマシーで薬減らせばいいという話では当然ありませんし、この事業で大事なのは、地域の中できちんと連携体制が取れるかどうか、関係者が顔の見える関係で業務を行えるかというところが非常に大事です。それが結果的に薬の適正使用につながるとかになるので、今回は、体制づくりの課題が見えたというところなので、これは前回のときに説明したように、今年度の事業で、継続でこういったところの課題を含めてより深掘りしていくような事業を進めていくことになります。その中で、こういった課題を含めてよりよい体制づくりをどうすればいいか、あるいは先ほどのような国民とか患者さん向けの理解というところも非常に大事だと思うので、そのためには医療従事者の皆さんがこの課題をよく認識して、どう伝えればいいかとか、そういったところも含めて連携しつつ取ることが重要なのかなと御意見を聞きながら感じたところでございますので、事業の中でもその辺を意識してやっていければと考えているところでございます。
○印南座長 藤原先生、よろしいでしょうか。
○藤原構成員 はい、大丈夫です。ありがとうございます。
○印南座長 続きまして、北澤先生、お願いします。
○北澤構成員 北澤です。
詳細な説明をどうもありがとうございました。2つの県での取組について御報告いただいたのですけれども、どちらの県でも、今後の課題として、医師とのコミュニケーションを挙げておられたと思います。医療用医薬品を処方するのは医師なので、やはり医師がもっと積極的に関わってほしいと思うのですけれども、実際、調査分析をなさった側から、医師にもっと参加してもらうためにどのようにすればいいのか、もし何かアイデアがあったら教えていただきたいと思います。お願いいたします。
○印南座長 比較的実施が可能な、公募に応募したところですが、そうでないところのものでやっているわけではないので、医師の参加が難しい理由というのを参考人の方に聞くのはちょっと酷かなという感じもします。事務局のほうから何かありますか。
○事務局 この広島と埼玉の事例で申しますと、広島県については、医師も医師会等を含めた全体の会議体をつくったというところで、その中で医師を巻き込んでいったというところがございます。その中で、複数の医療機関に関わられている患者さんについては、処方医が複数いるという形になりますので、専門医の先生と、かかりつけの先生の間でどちらが調整するかということで悩むところが問題点として挙げられているところでした。また、埼玉県につきましても、埼玉県の会議体の中には医師会の方は参加されていなかったのですけれども、薬剤師会の方が適宜出向く形で、情報共有ですとか、参加協力の依頼をしていたというところでございます。
ただ、先ほどの藤原先生の御指摘にもありましたけれども、全体的な協力が得られたとしても、個々の患者さんの様態が様々ですので、そういったところで、どういった形で連携していくかというのが、個別のお医者様ですとか薬剤師さんとの関係性の中でなかなか難しいところもあると承知しておりますので、そういったところについても今後の業務手順書の中に具体事例を入れるとか、現場で進んでいくような工夫ができればいいなと思っているところでございます。
○印南座長 石田構成員、お願いします。
○石田構成員 よろしくお願いいたします。今の報告の中で、最後の43ページにまとめとして、今後の課題というところがありました。そのうちの2ですけれども、ポリファーマシー対策のアウトカムの導出というところです。このアウトカムというところにポイントがあると思います。患者個人のポリファーマシーが回避・減少されるという、この最終的なアウトカムにどうつながっていくかという点が重要であると思います。
このときに、患者自身による様々な取り組みにおける参画というのが、今回、広島、埼玉において実際にあったのかどうか知りたいと感じております。例えば広島の場合に、多職種連携を目指すところの様々な会議体が構成されたという記載がありました。これは25ページに報告されていますが、医療従事者向けと、あと県民向けの普及啓発の会議体がありました。本来、県民向けの普及啓発を目的とする会議体であれば、患者側の一般市民の参画が不可欠であると思うのですが、それがないのが残念だなあと強く感じております。
ポリファーマシーの問題についても、患者、あるいは一般市民というのは、いわゆる受け身の客体ではなしに、自分たちが、こうありたい、こういうことをしてほしい、こういうことはどうですかという意見が言える、主体であるべきだと思っております。今回のこの調査を踏まえて、やはり今後は患者、あるいはその家族、一般市民がこのポリファーマシーのことに関してどのような意見を持っているか、どのような疑問を持っているか、そうしたところもしっかり聞き取って、それについて対策を講じていくということが必要なのではないかと思っております。
例えば36ページに患者属性というのが書いてありました。そこには、年齢であったり、介護度であったり、認知症ありなしという記載があって、この辺の項目は非常に重要なのですけれども、これだけでいいのかどうか。これについても、例えば市民が、実際の当事者がそこに参画すればもうちょっと違った角度から、何か他の要素が見つかるかもしれない。例えば、性別が不可欠である、独り住まいなのかどうかで変わってくる、生活面でのさまざまな要素も病状に関わってくるのではないかとも思いました。そこで、今後については、ぜひそういった点も踏まえたうえで、調査あるいは実践が行われることを期待しております。
以上です。
○印南座長 ありがとうございます。藤原先生、お手挙がっていますけれども、御質問ですか。
○藤原構成員 前回のときだったと思いますけれども、この事業は、処方するのは医師なので、医師の参画が必要だと思いますという話をしたときに、たしか埼玉の医師会と、広島の医師会と連携してやることになっているという御説明を受けたような気がしていたのですけれども、基本的にはそういう形でやられたということでいいのですよね、というのが確認です。
今、石田委員から言われたのは、多分自分が言ったことと重なっているのかなと思うのですけれども、ここはあくまで医療従事者の間の意識づけみたいな感じの事業で、その次の段階として、それを踏まえて、国民向けの普及啓発に向かっていくという段取りなのだろうなと思って聞いていたので、そのとおりでいいでしょうかということの確認です。2つです。
○事務局 藤原先生の御指摘どおり、埼玉も広島も、医師会の先生方の御協力を得て実施をしているので、御理解のとおりでございます。
また、後半の御指摘につきましても、今回は広島の会議体のほうでも、先ほど御指摘があったとおり、今はちょっと参加していないけれども、新しい参加者として一般市民の方の参画も必要ではないかという御意見が挙がっているところで、今回の事業では、まず医療従事者の皆様への普及啓発ということでやっておりますけれども、今後、患者の皆様の意識ですとか参画といったところにも留意して進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○医薬安全対策課長 補足して、資料だと10ページ目に埼玉県の事業の概要が書かれておりまして、そこの実施事項のところに、三師会の正副会長会議にて説明を行い協力していただくようになったということで、三師会の中できちんと話を通して、この事業を進めたというようなことでございます。
○藤原構成員 分かりました。ありがとうございます。
○印南座長 水上委員、お願いします。
○水上構成員 詳細な分析結果等を拝見いたしまして、大変参考になりました。既にいろいろと出ている話ではあるのですけれども、この表の中で抗精神病薬とか睡眠薬、抗不安薬が何度も出てきているので、少しそれについてコメントさせていただきたいと思いました。
やはり地域全体の処方数は重要ですけれども、抗精神病薬がどうしても必要なケースはあって、それを漫然と続けるのではなくて、ちゃんとやめどきを考えて使用できているかどうか、いわゆる適正使用ですね。一人の人にどのような使われ方をしているかということが大切なのだろうと思います。睡眠薬に関しても、ベンゾは減っているようですけれども、Z drugが増えているデータが出ていましたので、その辺も、今回日本老年医学会から「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025」が出ていますので、それを参考に適正使用していただくことが必要なのではないかと思います。
また、抗精神病薬や睡眠薬を使う前の非薬物的な対応がきちんと理解されていれば、簡単にお薬を使わなくても対応できるケースが増えてくるということもありますので、処方数を減らす、あるいは処方割合を減らすためには、非薬物的な対応や非薬物療法の理解というものも同時にポリファーマシー対策として行っていく必要があるのではないかなと思いました。
コメントです。
○印南座長 ありがとうございます。橋場委員、どうぞ。
○橋場構成員 日本薬剤師会の橋場でございます。
私も少し御意見させていただこうと思います。先生方の御意見とかぶるところがたくさんあるかと思うのですけれども、急がば回れではないですが、地域全体の理解が深まるというところがやはり一番大事なのだと思います。地域全体といっても、特に関係者ですね。医師、薬剤師、そして行政ですとか保険者ですとか、あと、患者さんだったり、そういった関係者全員の理解が深まるというのがすごく大事で、今回、広島と埼玉で行われて、まず一番最初に協議体をつくるというところ、多分御苦労されてつくられてきているのではないかなと思います。今後、それ以外の地域で進めるに当たって、ではどのような協議体をつくったら有効にポリファーマシー対策というものが進むのだというところがまず示されるといいと思いました。
その後、協議体をつくってから、今度はそれを地域にもっと理解を深める意味で広げていくというフェーズも多分出てくるのだろうと思います。しかがって、そういった2段階のフェーズで理解を深めていくということが今回示されたのではなかろうかと私は感じているところでございます。
あと、データ分析のところも非常に大事だと思いました。その中で、抗不安薬ですとか睡眠薬の使用量をモニタリングしてはというところも示されていると思います。ふと思ったのは、AMR対策にもしかしたら似ているのではと思いました。AMR対策、今、日本全国で、いわゆる抗菌薬の見える化というものをされていると思っております。それを医療機関の先生方も薬局のほうも、この地域でどれぐらい抗菌薬が使われているのかというのが見えるような状況に今なっていると思います。そういったことも、このポリファーマシー対策と、もしかしたら共通して対策として利用できるのではなかろうかと感じたところがございますので、御意見させていただきました。
以上です。
○印南座長 ありがとうございました。筒井委員、お願いします。
○筒井構成員 ありがとうございます。日本病院薬剤師会の筒井でございます。
先生方がおっしゃっていただいたこと、本当に自分でも思うところがたくさんございました。私のほうからは、広島県のように多職種を巻き込む体制というのも非常に有効だなと思いますし、ポリファーマシーというのは限られた医療職だけの問題ではないということを以前の会議等でも教えていただいて、介護に関わる方々等からも発信をしていただくべきものと思っていますので、いろんな職種の方、栄養士さんであったり、リハビリの方だったり、ケアマネジャーさんとかも会議体とかに加えてやっていくというのもいいのかなと思いました。
そういった中で、今後の課題の4番に「普及啓発資材の改善」というところがございますけれども、「多職種がイメージしやすい対策成功事例を掲載するなどの工夫が必要」という文言がございまして、薬剤師とか医師とかでこのように薬剤を減らしたというところの結果だけではなくて、やはりイメージしやすいというと、転倒に対してどうであったとか、患者の安心や満足への影響、そういったものもこういった事例というところで掲載していただいたら、多職種にも受け入れられやすいのかなと感じました。
以上、感想になりますが、よろしくお願いいたします。
○印南座長 ほかにいかがですか。井本委員、お願いします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の常任理事の井本でございます。
様々、詳細の御報告、ありがとうございました。特に2県で行われた事業に関して、広島県においては、会議体に看護職を一緒に参加させていただいたという御報告をいただきました。こういったことで県内に様々な活動が周知されていくことを期待したいと思うところでございます。この会議体に参加した看護師の背景についてお分かりになるようでしたら教えていただきたいと思いました。
ポリファーマシーに関しては、看護職も知識をキャッチアップしながら様々な実践に取り入れているところではございますが、今日御報告いただいたような専門的な知識についても、薬剤師や医師に相談しながら進めているところではありますが、一定程度理解する必要があることかもしれないと思います。この点からどういった背景の看護師が会議体に参加しているのかによって、周知の方法など、今後協議していく必要性があると考え質問でございます。
以上です。
○印南座長 いかがでしょうか。
○NTTデータ経営研究所 詳細を把握できておらず、申し訳ございません。
○井本構成員 分かりました。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。齊藤委員。
○齊藤構成員 国立衛研の齊藤でございます。
詳細な内容の御説明、どうもありがとうございました。私から、まず質問と確認させていただきたい点がございまして、16ページと25ページにありますポリファーマシー対策を実際に行おうと思うかというアンケートですけれども、この回答者の属性というのはどのような方になるのでしょうか。医師の先生方も含まれているかどうかということを確認させていただけないでしょうか。
○NTTデータ経営研究所 まず、16ページ目のアンケートの回答者は、普及啓発活動、県全体と地域で行った際の参加者ですので、15ページ目に記載の薬剤師75名に加えて地域での普及啓発活動に参加した薬剤師のみでございます。
○齊藤構成員 分かりました。ありがとうございます。それで、広島県のほうも同様でしょうか。他業種の先生方も含まれていますか。
○NTTデータ経営研究所 こちらは医療従事者向けの普及啓発活動を25ページ目に記載しております。医療従事者向けの普及啓発活動を行っております。ここに参加いただいた方々に対してアンケートを取っております。
○齊藤構成員 ありがとうございます。ほかの業種の先生方がちょっと少ないので、全体を把握できているか分からないのですけれども、医師とのコミュニケーションが必要不可欠というのを課題に挙げていらっしゃいます。同じポリファーマシー対策を行おうと思っているのであればそこは連携しやすいのかと思ったのですが、そこが課題として挙がってくるということは、それぞれの業種の先生方で、ポリファーマシー対策とは何ぞやというところで少しずれていたりして、調整が難しい部分もあるのかなと思いまして、ポリファーマシー対策というのをどのようにやっていくかというのを各業種の先生方で認識を一にできるようなシステムというのが出てくるといいのではないかなと思った次第です。
○事務局 ありがとうございます。広島はまさにそれのために多職種を巻き込んだ会議体をして、そこから話し合ったので時間がかかってしまったというところもあるのですけれども、一堂に会する機会をつくるというのも一つの手なのかなと考えております。
○齊藤構成員 すみません。もう一点よろしいですか。
アンケートなのですけれども、対策を実際に行うかという点については、一般の先生方も含んだアンケートも取れてくると、もう少し実情が分かるのではないかなと思います。
○事務局 すみません。先ほど井本先生から、会議体に参加していた看護師の方の属性ということで御質問いただいておりまして、このスライドの22枚目ですと、単に看護師となっているのですけれども、一応団体としては県の看護協会、職位までは分からないのですけれども、県の看護協会の方に御参画いただいていると認識しておりますので、すみません、ちょっと遅れてしまいましたが、回答させていただきます。
○印南座長 秋下委員、お願いします。
○秋下構成員 これらの調査を取りまとめた調査検討会の代表として少し補足をさせていただければと思います。
まず、地域における業務手順書の運用調査のほうでありますけれども、この2県の進捗という意味では、28ページ目の表が一番分かりやすいかなと思います。この2県は、恐らく、その他多くの都道府県に比べると、背景もあって、ポリファーマシー対策が進んでいる県であったにもかかわらず、この事業を立ち上げて行っていく中で、この程度の進捗であったというところなのかなあと思っています。
それで、広島県の方式が、最初から多職種の団体を巻き込んでということでありました。その方式は、ポリファーマシー対策は多職種で行っていくべきという我々の考え方に沿ったもので、非常に安心感がありました。その一方で、埼玉県と比べると、全体の会議は多くなっているけれども、地域での会議等は行うところまで至らずということですね。今年度も引き続き対策されて、対応されていますので、その後の進捗はまた別なのですが、少なくとも昨年度中には、この報告を上げていただく段階ではここら辺までしかいけなかった。
それに対して埼玉県は、県の薬剤師会が中心となって行われた、しかも既存の社会保険委員会のメンバーを使って、それぞれの担当地域というものを取り込んでいくという方式でされたということで、医師が入っておらず薬剤師だけで大丈夫かという点についてはこちらの検討会でも意見があったところでありまして、我々も心配したのですが、逆に、そのことによって、機動力はあって、どんどん先に進めていかれて、地域での会議も11回行っておられますし、地域のポリファーマシーコーディネーターも、薬剤調整支援者もかなり多く任命いただいたということになります。
ただ、その後の現場でそれぞれ担当されている患者、高齢者ですね、を巻き込んでのアウトカムのところまでは至っていないということでしたので、昨年度内にはそこら辺までしかいけなかったということだと思います。
地域ではそのほかの多くの職種の方々が関わる形になっておられるとは期待しております。医師も当然ですね。そういうことで、今後、この2県でそういう状況だ、2つの違うモデルで比較できたというのはよかったのかなとは思っています。どちらが正しいとか正しくないということではなく、今後、ここに参入してこられる多くの都道府県ないし後期高齢者医療広域連合で、ポリファーマシー対策となっておりますので、温度差はかなりあるにしても、それぞれの県でやられる際に、この2県の動きというのは参考になるのではないかなと思います。それが1点。
それからもう一つのデータ分析のほうですが、これはあくまで、個々の患者に対してどうアプローチして、何を指標にするのかということを目指したものではなくて、それぞれの地域等で持っているビッグデータ、いわゆるレセプトデータになりますけれども、それをどのように分析されるのか、これについても各都道府県あるいは市町村で保険者としても悩んでおられるところですので、そういうことに対して、この検討会として何らかのヒントを与えられればということで行ったのが今回の分析ということになります。
したがって、全体での処方量とか、個々の薬剤がどうなって、どういう属性のある方にどうこうということを分析させていただいたし、結果的にそれが個々の現場とは少し違うのではないかという意見はあるかもしれませんが、こういうデータを取り扱う場合の例として、あくまでも今回やらせていただいたということで御理解いただければと思います。個人属性についても不十分というお話でございましたが、いわゆる診療報酬で得られる、あと介護報酬も今回は入っていますかね、個人属性というのはこの辺のものでしかございませんので、独居かどうかなどが分からないということで、またそれは、御意見いただきましたように、今後の分析の課題と認識しております。
私からは以上になります。
○印南座長 ありがとうございました。お願いします。
○事務局 すみません。平井先生から、電波が不安定のためコメントいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
体制づくりや情報分析について詳細をありがとうございました。ポリファーマシー対応で薬をやめる、減らすとき、以後の患者の治療をどうするか、水上先生のおっしゃる非薬物療法についての情報提供や教育などが必要だと思います。今後の対応を進める上で薬の代替となるものを提示しないと現場では困惑すると思います。
というコメントをいただいております。ありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
私から1つ質問よろしいですか。
データ分析ですけれども、お話伺っていて、協議体にどういうメンバーを引き入れるかとか、どのぐらい納得してもらうかといった場合に、やはり客観的なデータが手元にあるのが議論を始める土俵づくりになると思います。恐らく地域によって違うのでしょう。今回の八王子市のデータ分析ですけれども、それが、理想を言えば、全国と比較するとか、実際には困難かもしれなかったのですが、少なくとももう一つの自治体についても同じようなデータ分析をすれば、八王子とその地域性と比較対照となる地域との違いを通じて、どのぐらいこれが一般化できるかというヒントが得られると思うのです。やっていただきたいというのと、もしそれはやらなくても、何か分析者としての勘があるのであれば、逆にそれを言っていただくと、ほかの地域も八王子市のデータを基に議論を開始できますよね。
もう一つは、各自治体でこういうデータを持っていても、同じような分析をその自治体の方が本当にできるかというと、大変だと思うのですね。なので、これは質問というより、分析ツールみたいなものを開発して、その関係自治体に配るとか、そういう努力も必要なのではないかなと思います。
2点目は単なる意見で、1点目の質問はほかの地域も分析可能かと、あるいは一般化可能性についてどれぐらい自信があるかということです。お願いします。
○秋下構成員 秋下ですが、これは私のほうから。今日は、担当された浜田先生は出席されておられないですよね。
○事務局 いらっしゃいます。
○秋下構成員 では、お願いします。
○NTTデータ経営研究所 では浜田から回答したいと思います。
1点目ですけれども、今回、1年間の事業ということで、もう既にデータが利用可能であって、御協力が得られたということで東京都八王子市のデータを利用させていただいております。一方で、全国いろんな自治体でこういうデータ活用進められているところだと思いますので、分析もデータが提供されれば可能かなと思います。また、今回そこまで難しくなく、患者特性の切り口ですと、年齢、性別、要介護度といった分かりやすいものを使っているので、ほかの自治体でも参考になればいいなと思っています。分析者の勘で、というのは答えにくいです。以上です。
○印南座長 分かりました。それは答えとしては限界だと思います。ほかにいかがでしょうか。
池端委員、お願いします。
○池端構成員 先ほどは質問だけさせていただきましたので、全体的な感想とか意見を一言だけ言わせていただきます。
各委員の先生方おっしゃったように、私も、多職種協働で進めるこの事業というのは非常に有用だと思いますし、ただ、一番大事なのは、処方する医師と、それを受ける患者さんがどうそれを受けられるかというところに返ってくると思います。今、広島県で、23ページにありましたように、医師が関わった場合に、総合診療医ということをあえて出して、そこでいい例があるということをおっしゃっていましたけれども、私も慢性期医療の立場から言うと、2040年に向けての地域医療構想等もありますように、これから高齢者救急がどんどん増えていくと、いわゆるマルチモビリティという多疾患併存状態の患者さんが多くなってきます。その方々をいわゆる総合診療医だけに任せるのではなくて、地域でかかりつけ医機能を持った医師が、ポリファーマシーの考え方も含めてちゃんと診ていくということが非常に重要になってくるのではないかと思っています。
その意味で、病院は逆に地域医療構想でも包括期というところが出てきて、そこにいろんな多疾患併存状態の患者さんを診るとなると、結構医師の考え方も変わってきて、そこに集まった処方箋内容を上手にまとめて取捨選択することが出てくるし、かかりつけ機能を持っている先生方も出てくるのではないかと思います。
それともう一つ私が期待しているのは、ちょっとまだ進みが悪いですけれども、さっき電子保険証の話をしましたけれども、電子処方箋が進んでくると、タイムリーにその処方内容が分かってくる。これが分かると、かかりつけの先生方はそれを見て、ちょっとこれはまずいよねということを感じる。そのときに患者さんが、私もこんなにいっぱい本当は飲みたくないのですということが分かっていれば、そこでうまく調整ができていいアウトカムが出てくるのではないかと思うので、そういうことを期待したいなと思っています。
以上です。
○印南座長 溝神先生、お願いします。
○溝神構成員 溝神です。よろしくお願いします。
これは1点、事務局のほうに質問なのですけれども、ここ数回の検討会、あるいは今日、石田構成員、藤原構成員のほうからもありましたように、患者・家族向けの普及啓発活動という言葉がキーワードとして何度も挙がっているような気がいたしますけれども、今後のこの検討会の事業として、こういったところに対応していく、あるいは患者参画を含めた事業展開というのは計画されているかどうかというのを1点御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。今、患者さん向けの普及啓発の資材としては、秋下先生に御監修いただいている、「あなたのお薬いくつ飲んでいますか」というのが、厚労省の持ち物ではないですけれども、薬の適正使用協議会さんが制作されているものがありまして、こちらの検討会等でも御紹介したり、業務手順書等でも御紹介しているところでございます。こういった患者さんですとか患者さんの家族向けの御意見については、いただいておりますので、すぐさまということではないのですけれども、今後どういったことができるのか、患者さんの今の現状について何か調査をするとか、何か巻き込んでやるということはちょっと考えていきたいと考えております。
○溝神構成員 ありがとうございます。資材をつくるだけでは、つくって終わりという形になってしまう可能性が非常に高くなるかなと思いますので、患者さんが患者を巻き込む、そういった形の事業展開をぜひ御検討いただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
○印南座長 ほかによろしいでしょうか。
多様な御意見、ありがとうございました。厚生労働省におかれましては、今後の取組について御検討いただければと思います。
以上で議題1を終わりにいたします。ありがとうございました。
本日予定されている議題は以上です。その他、委員の先生方から何かございますでしょうか。
秋下委員、お願いします。
○秋下構成員 秋下です。
先ほど水上構成員からも話がありましたが、日本老年医学会から高齢者の安全な薬物療法ガイドラインの2025年版、いわゆる改訂版が出ました。そのガイドラインの内容に基づいて、その一部でありますけれども、つくられているのが当検討会から出ている「高齢者の医薬品適正使用の指針」になります。ということは、指針自体も今後改訂していく必要があると考えますので、今年度以降の事業の中で検討いただければと思います。
ちなみに、そのガイドラインの内容についても今後の検討会で紹介いただくようにしていただければと思います。
以上です。
○事務局 ありがとうございます。例年、12月頃に開催しておりますけれども、そちらのほうで御指摘いただきました指針のどういったところを改訂すべきかといったところですとか、あとは、先ほど御紹介いただきましたガイドラインの御紹介についても、この検討会の場で御説明、御議論いただきたいと思っておりますので、また詳細については追ってお知らせいたします。
○印南座長 ほか、よろしいでしょうか。
それでは、事務局から連絡事項があればお願いします。
○事務局 次回の検討会の日程につきましては、調整をさせていただいた上で改めて事務局より御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○印南座長 9分ほど時間をオーバーしてしまいました。ちょっと議事進行の拙さがあったかもしれません。すみませんでした。
本日の検討会はこれで閉会にいたします。どうもありがとうございました。