薬事審議会血液事業部会令和7年度第1回適正使用調査会議事録

日時

令和7年7月28日(月)14:00~16:00

場所

Web併用形式
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8E会議室

出席者

出席委員(10名):五十音順、敬称略 ◎座長
欠席委員 :敬称略
大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科 :敬称略
秋田県赤十字血液センター :敬称略
新潟県立がんセンター新潟病院  新潟大学医歯学総合病院 :敬称略
東京医科大学八王子医療センター 内科関連分野 臨床検査医学科 :敬称略
東京大学医学部附属病院 輸血部:敬称略
愛媛県赤十字血液センター:敬称略
日本赤十字社:敬称略
事務局:

議題

  1. 1.座長の選出及び座長代理の指名について
  2. 2.血液製剤使用実態調査について
  3. 3.血液製剤使用適正化方策調査研究事業について  
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

議事内容
 
○源血液対策課長補佐 定刻となりましたので、「薬事審議会血液事業部会令和7年度第1回適正使用調査会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、会議はYouTubeでライブ配信を行わせていただきますので、何卒御容赦ください。 
本日の会議における委員の出席については、國土委員から御欠席との御連絡を頂いています。現時点で委員11名中10名の出席を頂いていることを御報告いたします。また、山内委員が御都合により14時30分で御退席されると御連絡を頂いております。
 本日は参考人として、東京医科大学八王子医療センター内科関連分野臨床検査医学科教授の田中朝志先生、東京大学医学部附属病院輸血部・副臨床検査技師長の名倉豊先生、秋田県赤十字血液センター名誉所長の面川進先生、大館市立総合病院診療局長の小笠原仁先生、新潟県立がんセンター新潟病院臨床部長 新潟大学医歯学総合病院特任教授の関義信先生、愛媛県赤十字血液センター所長の羽藤高明先生に御出席いただいております。
また、日本赤十字社血液事業本部から早坂経営企画部次長、鶴間経営企画部供給管理課長、日野技術部安全管理課長に御出席をいただいております。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いします。タブレット上に、01議事次第から10資料2-4までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いします。不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問がありましたら、挙手ボタン等によりお示しいただきますようお願いします。座長から順に発言者を御指名いただきます。指名された方は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずはお名前を御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようよろしくお願いいたします。
Web参加の皆様におかれましては、議事進行中に会場の音声が聞こえづらい状況が続き、審議参加に支障を来す場合には、チャット等でお知らせいただくようお願い申し上げます。
 間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。なお、議事の進行等について、今までの御説明に御質問等はございませんか。ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。議題1.座長の選出及び座長代理の指名についてです。本調査会では、構成員の互選により座長を選出し、また座長が座長代理を指名することになっております。どなたか御推薦ございますか。梶原委員どうぞ。
○梶原委員 三谷先生を座長に推薦させていただきます。
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。ただいま、梶原委員から三谷委員を座長に御推薦いただきましたが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、三谷委員を座長とすることで決定いたします。
 三谷委員、御挨拶をお願い申し上げます。
○三谷座長 獨協医科大学の三谷でございます。私は血液事業部会のほうでも部会長を務めておりますが、昨年に引き続きまして、この適正使用調査会でも座長を拝命しましたことを大変光栄に存じます。事業部会のほうでは、主に国の施策についてディスカッションをしておりますが、この適正使用調査会におきましては、現場での適正使用の推進のための議論を行っています。是非、活発な御意見の交換をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 ありがとうございます。それでは、以降の進行につきましては、三谷座長にお願いいたします。
○三谷座長 それでは、議事を進めてまいります。ただいま事務局から御説明がありましたとおり、座長代理は座長である私が指名させていただけるとのことですので、堺田先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○三谷座長 ありがとうございます。それでは、座長代理につきましては堺田先生にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。堺田先生、一言御挨拶をお願いいたします。
○堺田委員 千葉大学の堺田と申します。この度は御指名を頂き、誠にありがとうございます。大変光栄に存じます。少しでもお役に立てるように尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは早速議事に入ります。議題2.血液製剤使用実態調査についてです。事務局より本調査の概要について、田中参考人及び名倉参考人より資料の御説明をお願いします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。「血液製剤使用実態調査」については、血液製剤の適正使用の推進に必要な方策を検討するため、医療機関の血液製剤の管理体制、使用状況など、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、令和6年度に一般社団法人日本輸血・細胞治療学会に委託して実施した調査になります。当該調査の結果等につきましては、本日お越しいただいております田中参考人及び名倉参考人より、資料1を発表いただきます。よろしくお願い申し上げます。
○田中参考人 今御指名いただきました東京医科大学の田中です。資料1-1で、令和6年度の血液製剤使用実態調査報告をさせていただきます。私からは、アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の使用状況についての説明になります。2ページを御覧ください。テーマ設定の背景ですが、2006年に輸血管理料が保険収載されてから、多くの病院で輸血管理体制が整備されてきて、適正使用も進んできたのですが、一方適正使用基準で評価されるアルブミン・新鮮凍結血漿を多く必要とする病態や治療方法を扱っている施設では本基準が満たせないという御指摘があります。
今回、この適正使用加算については、私の後で名倉参考人がお話させていただき、私のほうではこの後、血漿分画製剤の中で汎用されているアルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の適正使用や国内自給について課題があるという御指摘もあるので、これについてお話したいと思います。
 3ページです。本実態調査の調査期間と調査方法ですが、2023年度の1年間の血液製剤使用状況と輸血管理体制を調査しました。対象となる医療機関は、日本赤十字社から提供いただいて、血液製剤を使用した全医療機関です。2023年度については調査対象施設が9,173施設、回答施設が4,831施設でした。
 次のページは、輸血実施施設数と調査回答率の年次推移が出ておりますが、大体年々50%を少し超えるぐらいで、今年度の調査は52.67%の回答率でした。次のページでは、病床群ごとの回答率の分布を示しておりますが、これも例年と同じ傾向で、500ベッド以上の規模では91%の回答率ですが、病床が少なくなるごとに少しずつ回答率が減ってきて、診療所レベルでは約40%強の回答率でした。
 次のページです。ここからは、アルブミン製剤の総使用量の推移を示します。令和元年度~令和5年度の使用量の推移ですが、全体として8.5%増えておりますが、中でも20%製剤、25%製剤の高張製剤の使用量が増えている状況です。次の図4ですが、全体のアルブミン製剤の国内自給率の推移を示していますが、ここで見ると以前から5%製剤の国内自給率、緑の棒グラフが国産製剤の比率を示しておりますが、この国産製剤の比率が低いのですが、5%製剤での増加率が一番高く10.9%増加しています。20%では9.3%、25%では6.5%増加している状況でした。
 次に500ベッド以上の施設での状況を見ますと、こちらでは20%製剤の国内自給の増加率が12.5%と一番大きく、25%製剤は4.8%とそれほど大きくはない状況でした。次の図6で、中規模の200ベッド~499ベッドの推移を示します。こちらの規模では、5%製剤の国内自給増加率が13.1%と最も大きかったです。最後に、図7の小規模施設での国内自給の増加率を見ますと、押し並べてそれほど増加していない中で25%製剤が一番増加して5.9%の増加率でありました。
 続いて、アルブミン製剤の国内自給を推進している、つまり国内自給率が高い施設の特徴を明らかにするために、まずアルブミン製剤院内採用根拠と自給率を調べたグラフを示します。この意味は、アルブミン製剤院内採用根拠として国産を優先しますか、あるいは海外産を優先しますか、使用方法を優先しますかといういろいろな質問があり、国産については国産を優先しますかという質問に対してイエスと答えた施設と、イエスと答えなかった施設の自給率の差があるかどうかを見ました。そうすると、有意差がついたのは国産と海外産、当然ですが国産を優先すると答えた施設では自給率が高い、海外産を優先すると答えた施設では低かったということです。ちなみに、棒グラフは平均値を示しており、エラーバーは標準偏差を示しております。
次の図9を御覧ください。こちらでは、500ベッド以上での規模の院内採用根拠と自給率の差異があったかどうかを見ております。ここでは、国産、海外産を優先する以外に、価格を優先しますという施設では少し自給率が低かったというデータがありました。ほかに、輸血管理体制で自給率と関連がある項目がないかを見たのですが、その中で有意差が出たのは500ベッド以上の輸血の専任の責任医師がいる施設と、200~499ベッドの適正使用加算を取得していた施設では関連のあることが分かりました。5%以下の有意水準で少しだけ有意差が出ました。
今までのアルブミン製剤の使用状況をまとめてみますと、直近5年のアルブミン製剤の使用状況の推移を見たところ、微増傾向でした。ただ、全体使用量は4年で8.5%増加であり、年平均の増加率は約2%でした。ただし、血液事業部会等で報告されているアルブミン製剤の使用量は、ここ数年ほぼ横ばいですので、本実態調査で把握できている施設においては増えていますが、把握できていない施設では減っているのかもしれません。
また自給率については、令和4年度から各製剤比較とも増加傾向が顕著になっており、令和5年度では自給率が73.1%まで上がっており、特に各規格の中では20%製剤の自給率が実際には高いのですが、最も増加率が高かったのは5%製剤でした。また、アルブミン製剤院内採用根拠として、国産製剤又は海外製剤を選択肢とした施設においては、当然ながら前者で有意に自給率が高く、後者では低かったです。また大規模施設においては、納入価格を選択した施設でも有意に自給率が低かったということでした。大規模病院での専任の輸血責任医師がいる場合と、輸血管理料の適正使用加算を取得している中規模病院においても、有意に自給率が高かった状況がありました。
 続いて、免疫グロブリン製剤のデータを示します。まず、令和元年~令和5年度の総使用量の推移ですが、令和4年度までは10%製剤が顕著に増加傾向でしたが、令和4年から令和5年にかけては頭打ちになっていて、5%製剤が逆に少し増えているという状況です。これは使用に歯止めが掛かったというよりは、供給が少し滞った点があるので、供給に影響されてやむを得ずこうなったと予想しております。皮下注製剤は、コンスタントに増加傾向が見られております。
 次の図12ですが、こちらでは各病床群別の総使用量と患者当たりの使用量を見ておりますが、これで見るとやはり大規模病院での使用量が圧倒的に多いわけですが、患者当たりの使用量を見ると、令和5年度はデータがないので折れ線グラフが令和4年で止まっておりますが、だんだんと増加していたものが令和4年度には患者当たりの使用量が少し抑制された状況が、大規模、中規模病院で見られております。
 次に、図13の使用場所別のIG(免疫グロブリン製剤)の使用量を見ると、外来で令和4年までどんどん増えていましたが、令和4年から5年にかけてはほぼ横ばい、病棟はほぼ横ばいという状況です。
 次に、病態別の免疫グロブリン製剤の総使用量と、1施設当たりの使用量の推移を図14で示しております。圧倒的に多いのはCIDPであり、棒グラフが総使用量で折れ線グラフは1施設当たりの使用量の推移を示しておりますが、折れ線グラフのほうの1施設当たりの使用量で見ると、CIDPが1位で2位が重症筋無力症、3位が感染症という状況で、徐々に減っている状況です。圧倒的に多いのがCIDPということが見てとれると思います。
 次に、皮下注用の免疫グロブリン製剤の適応病態別の使用量を見てみますと、低ガンマグロブリン血症並びにCIDPの進行抑制とも徐々に使用量が伸びている状況です。
 ここまでで、免疫グロブリン製剤の使用状況をまとめますと、近年、免疫グロブリン製剤は非常に増加しておりますが、令和4年から5年にかけての増加率は1%と微増に留まっております。また、顕著な増加傾向を示していた10%製剤がわずかに減少し、それを補うように5%製剤が増加したという状況です。皮下注製剤は、継続的に増加しております。
また、病床群別の使用量を見ると、500ベッド以上の群で全体の2/3を使用し、患者当たりの使用量は令和3年から4年にかけて全ての群で減少した状況です。
病態別に見ますと、CIDPの使用が最も多い状況は以前と変わりなく、ただ令和4年まで2番目に使用量が多かった重症筋無力症は、総使用量・施設当たりの使用量とも減少し、川崎病で増加傾向が見られて第2位になった状況があります。
 次に、免疫グロブリン製剤の適正使用をどう評価するかはなかなか難しいのですが、令和元年度と令和5年度の各施設別の使用量を比較して、使用量が減った施設と増えた施設を比較して、その差は何なのかを分析したものがこのグラフです。有意差があったものを示しておりますが、低・無ガンマグロブリン血症の使用件数は、使用量が増加している所と使用量が減った所では、件数に差がありました。重症筋無力症については、1件当たりの使用量について増加した所と減少した所では差があったということが見られました。
 次の図で、その他の神経系疾患や皮下注の低・無ガンマグロブリン血症に対する使用については、やはり1件当たりの使用量で差異が見られたということがありました。これが何を意味するのかは難しいところですが、次の考察でまとめたいと思います。
 免疫ブロブリンの適正使用について、各施設で実施されているかは分からないのですが、令和4年から令和5年にかけては少し供給量が滞ったという点で、やむを得ず使用を抑制しなければならなかった状態と推測されるので、その中で減った施設においては何か工夫をして減らせる所を減らして適正使用を進めたのかということが考えられます。それが、この低・無ガンマグロブリン血症の件数・使用量や重症筋無力症の1件当たりの使用量や、その他の神経系疾患の1件当たりの使用量だったのではないかと考えました。
考察をいたしますと、これは時間の関係で一部端折りますが、考察2を見ていただきますと、世界的に見ると免疫グロブリン製剤は年8%ずつ増加しているというデータがあり、日本ではそれよりも少ない増加率なのですが、数年の単位で見ると徐々に増えています。また、今回の免疫グロブリンの使用量が直近5年間で減少した施設の特徴を検討したところでは、ここに書いてある病態での4項目で有意差が見られており、これが直接適正使用の結果と断じるのは難しいのですが、ただ1つ皮下注製剤は全て海外産で供給不足がなかったので、低・無ガンマグロブリン血症で有意差が出たことは、この病態については使用適正化の余地があるのかもしれないと考えております。
また、重症筋無力症では治療ガイドラインを見ますと、新たな分子標的薬の治療薬の進歩があり、その選択肢が広がったことが使用量の抑制された施設ではあったのかと考えております。CIDPは圧倒的に使用量が多いのですが、ただ日本の実際のデータを見ますと実態調査があり、初回治療として他の治療よりも免疫グロブリン製剤が優先されて使用されているということがあるので、今後も使用量増加が見込まれると考えております。
 最後のスライドを御覧ください。アルブミン製剤では、国際公平性の倫理的側面や製品のトレーサビリティーが確保されていることを鑑みて、今後も国内自給を推進すべきと考えられます。また、免疫グロブリン製剤の使用量が低下している施設を分析すると、低・無ガンマグロブリン血症や重症筋無力症などで使用量を抑制できる可能性が示されたと考えており、本製剤の適正使用について更に検討を進めたいと思っております。以上です。
○源血液対策課長補佐 続きまして、名倉参考人お願いします。
○名倉参考人 よろしくお願いいたします。私、東京大学病院の名倉と申します。私のほうからは、適正使用の観点から、輸血管理料及び適正使用加算の取得に関する詳細解析といたしまして、御報告させていただきます。資料は、1-2を御覧ください。
 2ページ、まずはじめに今回の調査の背景になりますが、対象としております輸血管理料及び輸血適正使用加算については、医療機関のインセンティブとして設けられた制度で、この制度において輸血の安全性の確保や血液製剤の適正使用の推進が図られてきたということがあります。こちらは、先ほど田中参考人からもあったとおりの内容になります。本調査については、これらの制度の実効性及び医療機関への浸透度を、令和5年度の血液製剤使用実態調査に基づいて解析して、特に血漿及び血漿分画の使用量の推移に与えた影響と、今後の制度の課題について検証しましたので、御報告いたします。
 次のページですが、対象施設は先ほど田中参考人からもあったものと同じになります。内容については、こちらを御覧ください。ここで、輸血管理料と適正使用加算の条件について3ページに示しております。こちらは、輸血管理料のところの部分の基準を満たしますと、輸血管理料Ⅰ、Ⅱが取得でき、さらに輸血管理料取得施設においては、FFP、アルブミン及び赤血球製剤の使用量から比率を満たしていましたら、適正使用加算を別途、算定することができます。なお、FFP、アルブミンについては、血漿交換において、FFPは使用量の1/2を、アルブミンはその全量を引いた値で計算することができます。ここからは、調査結果になります。
 4ページ、まず輸血管理料の取得状況ですが、200床以上の施設においては、青い棒グラフで示しているのが輸血管理料Ⅰを取得している施設で、オレンジがⅡを取得している施設になりますが、全体を通して見ますと93%、500床以上になりますと98%で取得していることが分かります。一方で200床未満においては、全体を通して50%程度の取得率になっております。また、20床未満になりますと、約6%にとどまっている結果になります。
 次のページは、適正使用加算の取得状況になりますが、向かって左の図を見ていただきますと、青で示しているのが取得している施設になりますが、全体を見ますと75%の施設が取得しており、高い取得率になっております。その年次推移を右側に示していますが、0床を除きますと、全体的に少しずつ取得増加率が微増というような状況になっております。なお、ここで訂正があり、令和6年からになっておりますが、こちらは調査年を示しております。実際のデータは2023年度が令和6年のデータになりますので、1年ずつデータがずれております。申し訳ございません。
 6ページは、血漿交換の実施疾患と置換液の関係を示しております。先ほど、FFP、及びアルブミンについて、血漿交換で使用される分については、それぞれ適正使用加算の基準から除くことが可能ですが、これらは推奨している置換方法が使用されているかということを関連ガイドラインから調査してみました。
 実際、一番下のほうに、アルブミン推奨、FFP推奨、アルブミン/一部FFP推奨、不明の4分類として、こちらの疾患群からFFP使用割合というところから示させていただきますと、中段の表でFFP推奨合計、PE実施疾患になりますと、FFP推奨になりますので、FFP使用割合はかなり高いというところはありますが、その一方で、一番上のアルブミン推奨については、FFP使用割合はかなり抑えられています。回数については、20%程度に抑えられているということで、ガイドラインに基づいて適切な置換液が使用されていることや、適正使用加算の加算においてもアルブミンのほうは全量除外ですので、こちらを適切に評価いただいているという部分になるかと考えております。
 7ページは、適正使用の加算と、輸血評価の実施施設の比率について調査させていただきました。実際に輸血を行う際に、輸血部門で輸血オーダーを取得する際に、それが適正かどうかという輸血前の評価をしたと回答した施設と、適正使用加算を取得している施設の有無の関係を調査しました。
 こちらは、図の左側のほうが輸血管理料Ⅰ取得施設、右側がⅡ取得施設になりまして、青い棒グラフで示しているのが輸血評価をした後に回答した施設になります。輸血管理料Ⅰの200~499床の分については、適正使用加算を取得していると回答した施設が、加算なしの施設に比べて有意に評価したと回答しております。一方で、輸血管理料Ⅰ、Ⅱ以外の病床については若干、加算ありのほうが多く見えるように感じますが、全体的には差は認めませんでした。
 8ページは、 実際の使用量からの適正使用加算の基準の比較ということで、FFP/赤血球比の平均からの解析をいたしました。こちらは、100床ごとに適正使用加算取得施設、未取得施設等の適正使用加算の平均のFFP/赤血球比から求めたものになります。青い棒グラフが輸血管理料Ⅰで適正使用加算を取得している施設、紫の棒グラフが輸血管理料Ⅱで適正使用加算を取得している施設になりますが、輸血管理料Ⅰの施設においては、いずれの病床でも0.54未満の平均であり、一部輸血管理料Ⅱの取得施設において、適正使用加算が若干高めのところもありますが、ほぼほぼ0.27を下回っている状況でした。
 一方で、緑で示した棒グラフですが、適正使用加算なしと回答した施設において、500床以上になりますと、少し平均が高くなっており、全体で見ますと、大体0.54を上回るような状況でした。
 次のページには、そのデータを各個の施設でプロットしたものを示しております。全体では一部外れ値がありますので、上段の右側のほうの比率が2.6以下の施設においてのプロット図の傾向を見ていただきますと、下の段に示しております番号が病床数の比率と対比しておりますが、全体的に見て、病床数が多いほど比率が高めの傾向になっているということが分かります。こちらは、輸血管理料Ⅰ取得施設、Ⅱ取得施設、いずれも同様の傾向でした。
 次のページは、アルブミン/赤血球比の解析になりますが、こちらも平均の病床ごとの比率を示しております。こちらは、全体を通して適正使用加算の比率であります2.0を下回る施設が多くありました。一方で緑の部分ですが、比率を超えているところ、特に適正使用加算なしと回答した施設の0床及び500床以上の施設が2を超えたような状況でした。
 次のページも、各個別のプロット図を示しています。外れ値を除いた比率10以下と回答の施設の部分を右の図に示していますが、FFP/赤血球比とは異なり、どちらかというと、傾向としては病床数が低い施設のほうが高めの平均になっていますが、全体を通して、ほぼほぼ同じぐらいの傾向でした。
 12ページは、診療状況別の適正使用加算の未取得割合を示しております。先ほどのデータからFFP/赤血球比及びアルブミン/赤血球比の平均比率を見ますと、500床以上に関しては、特に適正使用加算が未取得の施設はその比率を超えているというところから、500床以上の施設において、どのぐらいの未取得割合かというところを各診療状況で確認しました。血液製剤使用実態調査では、各個の施設がどのような処置を行っているかというところを、左の図に示した疾患や救急センターを、それぞれ集計に出しております。一般床の適正使用加算未取得割合を参考に、こちらの比率から、このような処置を行っている各施設が、適正使用加算の未取得がどのぐらいの割合かというところを示しております。
 赤で示しているのが輸血管理料Ⅰ取得施設で適正使用加算が未取得の割合、緑が輸血管理料Ⅱになります。全体を通して見ますと、特に固形臓器移植を行っている施設は、未取得割合がかなり高く、右の図に示していますが、各臓器別の移植の平均FFP/赤血球比や、アルブミン/赤血球比を見ますと、特にFFP、アルブミン/赤血球比は輸血管理料Ⅰの基準を参考にしますと、0.54未満ですが、かなり高い状況で使用されていることが分かります。
 次のページは、全体をまとめた考察をさせていただきます。以前より我が国で問題となっておりましたFFP及びアルブミンの使用量の多さについては、実施指針の整備や、今回調査しました輸血管理料や適正使用加算の導入などによって、制度の推進が講じられた結果、右の図に示していますが、FFPの供給量は一番高かった時期に比べると現状は半分程度、アルブミンに至ってはその1/3まで削減されており、これらの取組が血液製剤の使用の適正化に大きく貢献していることが示されております。
 特に輸血管理料は、適正輸血の管理のインセンティブとして機能しており、200床以上の医療機関では95%近くが取得しているという高い水準です。また、適正使用加算についても、現在75%の施設が取得しているということで、制度が広く浸透していることが裏付けられているかと思います。
 適正使用加算の基準については、FFP/赤血球比やアルブミン/赤血球比といった基準の設定に加えて、血漿交換に置換したものについては除外が認められていますが、こちらも推奨疾患で適正に使用されていることが分かります。特にアルブミンの血漿交換については、FFPよりも全量で除外できるということから、適正使用加算の基準を計算する際に置換液の選択としては、有意に働くということがありますが、医学的妥当性に基づいて行われていることも含めて、加算制度の有効性があるかと考えております。
 このように、輸血管理料の要件である一元管理化、使用指針に沿った評価体制、適正使用加算の基準に基づくような管理マネジメントが、多くの施設で整備・運用に至ってきた実績と、こちらの貢献度というのがあるかと考えられます。
 一方で、依然として25%の施設が適正使用加算をまだ取得できていないということが、反対側で見れば背景にあります。特に今回の調査の中では、移植医療が少しネックになっていることが分かりますが、特に大量出血のガイドライン等を見ますと、心臓手術や大量出血を伴う外傷、産科危機的出血などでは、FFPと赤血球の比率が1:1で使用したほうがいいというような基準もありますので、これらと合致しない部分もあるかと思います。
 その結果、施設によってはFFPやアルブミンの使用目的自体が適正使用加算の取得のネックになっており、従来と変化しているところが、背景として、取得できない理由として見受けられるのかもしれません。このような、特定機能病院や高度急性期医療を実施しているような施設においては、使用量の多さにより加算取得の困難が浮き彫りとなっており、現状の評価体制を少し再考する必要性があるのではないかと考えます。
 最後になりますが、本制度は血液製剤の適正使用の推進をする上で、確かな成果を上げており、加算取得施設ではその体制が堅実に構築されていることが確認されました。使用量の削減についても現実化されており、制度の効果は明らかであるかと思います。今後も、その実効性を維持・強化するためには、継続的なデータ収集及び解析をしていく必要性があると思います。
 一方で、ガイドラインとの乖離も一部あり、現代の医療のニーズに応じた見直しの検討も必要ではないかと考えられます。以上です。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御質問、御意見を頂きたいと思います。議論を整理するために、まずアルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の使用状況についての田中参考人の御発表について御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがですか。小笠原参考人、お願いします。
○小笠原参考人 田中参考人に質問したいのですが、アルブミン製剤20%と25%の製剤の使用量が、私は普段臨床をやっておりまして、肝硬変の患者さん、C型肝炎の患者さんが、昨今の薬剤の進歩によって大幅に減少してきておりますので、特に東日本ではそれは顕著ですから、そのような状況にもかかわらず、20%、25%製剤の使用量が減っていないということについては、どういう理由でそのようになっているのかなと思って、今、先生の調査を伺っていたのですが、それについては先生、何か考察はありますでしょうか。
○田中参考人 ありがとうございます。今回の検討では、なぜかというところまでは深掘りできておりませんので、あくまで推測になりますけれども、昨年度に新しいアルブミン製剤の使用ガイドライン第3版が出ました。
 その中で、余り大きな変化はないのですけれども、肝硬変の合併症のエビデンスレベルが上がって、強い推奨となり、更にエビデンスレベルが高くなった病態がありますし、一部、小児の開心術での使用も強く推奨されたりということで、少しガイドラインの変更があったということも影響した可能性があります。ただ、それだけではこの増加が説明しづらい点もあると思います。日本で同じかどうか分かりませんが、海外では日本よりも、もっとアルブミン製剤の使用量が増えております。
 その理由は、やはりアルブミン製剤以外の膠質浸透圧を維持する輸液製剤と比べてアルブミン製剤のほうがナチュラルコロイドで、人間の体に生理的に優しいということで、汎用されているということもあると思います。推測にはなりますが、日本でのガイドラインの進歩と、海外の状況を鑑みると、少し輸液製剤の変化等があるかもしれないと考えております。以上です。
○小笠原参考人 ありがとうございます。
○三谷座長 ほかに御質問、御意見はありますか。それでは、私から、1つ、教えていただきたいのですが、アルブミンの国内自給率がかなり上がってきたということで、それ自体は非常に喜ばしいことだと思っています。その一番の理由として、国内品と海外製品の価格がかなり近くなってきたということを挙げていらっしゃるのですけれども、国内の原料血漿についてはガンマグロブリン製剤を大量に作らないといけないので、アルブミン用の原料血漿は恐らく豊富にあるのだと思います。近い将来、それを利用して、更に国内自給を高めていくことは可能なのですか。
○田中参考人 在庫がどのくらい余っているか、私は知らないのですけれども、恐らく余っている可能性は高く、2022年度にアルブミン製剤は基礎的医薬品に指定され価格が統一されたことから、どちらを選ぶかは先生方の判断になりますので、そこで国内製品を優先的に使うという意向が強まれば、更に増えてくることは十分考えられると思います。実際2022~2023年度にかけて、上がってきましたから、更に今後も上がってくると期待できると思っております。
○三谷座長 ありがとうございます。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 私は小児科医ですが、小児科ではいろいろな疾患に免疫グロブリンを使っています。図14は非常にいろいろなことを示唆している興味深いデータだと思います。小児科で免疫グロブリンを最も使うのは川崎病なのですが、コロナの流行開始初年度の2020年度は、様々な感染症の流行が全くなくなったのです。ユニバーサルマスキングとか、ハンドウォッシュ、ソーシャルディスタンスの結果です。そのとき川崎病は、実は興味深いことに発生は3分の2に減ったのです。川崎病の病理論を考える上で非常に面白いのですけれども、でも、3分の2はそのままです。これは世界的に一致していて、そこから今は徐々に、発生数がまた増えてきているというところです。ですから、川崎病への使用量は、令和5、6年ぐらいの状況で推移するのだろうなと推測します。
 低ガンマグロブリン血症は、免疫不全の患者さんが増えているのではなくて、多分、リツキシマブとか、今後増加してゆくCAR-T療法の後に低ガンマグロブリン血症が好発するので、その影響でしょう。これらの治療に伴う低ガンマグロブリン血症へのシェアは非常に大きくなってくるのではないかなと思います。私は腎臓小児科医でもありまして、リツキシマブ後、ネフローゼ症候群に使うと低ガンマグロブリン血症になってしまって、その後、免疫グロブリンの継続的補充を要する患者さんがたくさん発生しています。
 それから、この感染症の令和2、3年、2020~2021年ですが、これは多分コロナの重症患者さんに多く使われ、その後、少し使用が下がってきているのかなと思います。
 あとは、この因果が分からないのですけれども、私は横浜市のワクチン副作用の委員長をやっておりまして、やはりコロナワクチン絡みでギラン・バレーとかCIDPがもしかすると増加して、そこで使用量が増えたのかもしれないという印象は持っておりますが、因果については分かりません。
 総じてみると、免疫グロブリンの必要量は、今後も多分増えてくるでしょう。以前、岩崎課長にもお願いしたこともあるのですが、免疫グロブリンを治療を急ぐ川崎病の患者さんに優先的に回してほしいということを関連学会等からも声明として出していますが、いまだ供給問題があります。先日、我々の基幹病院の大和市立病院で免疫グロブリンが足りなくて藤沢市民病院に相談したのですが、そこもなくて、茅ヶ崎市立病院に行って治療してもらって、免疫グロブリン治療が無効だったので、大学に来て、インフリシキマブを使って、更に免疫グロブリンを使いました。時々、地域の病院では免疫グロブリンの院内在庫が乏しい状態がまだ続いているので、困った状況だと思っております。多分、免疫グロブリンについては、いろいろな形で輸入等もしていただいていますけれども、やはり国産としての安定した供給を維持することが重要と思う次第であります。
○三谷座長 伊藤委員、ありがとうございました。私もガンマグロブリンの供給に関しては、少し心配するところがあるのですが、供給不足に伴って、全体的な使用量が減っている中で、やはりどうしても使用しなければいけない疾患がある。あるいは伊藤委員が御指摘のように、二次性の低ガンマが今後は増えてくるのではないかということで、多分、ニーズは増えてくる可能性があるので、ここは考えないといけないと思っています。
 それで、御発表の中にあったのですけれども、ガンマグロブリン製剤の適正使用の評価なのですが、これは具体的には現場ではどのようになされているのですか。
○田中参考人 ガンマグロブリン製剤は多くの施設において薬剤部で管理されています。検査技師ではなくて薬剤師の方が評価するということになるのですが、実情はよく分かっておりません。ただ、実施施設の状況でいうと、余りその評価はされずに、ドクターのオーダーどおりに出されるという状況が多いのかと思っています。ただ、ガンマグロブリン製剤は、時々、適応外使用などもされていることがあって、そういうものは保険に対する委員会などで出てきて、こういう使用方法はいけませんと、適応外のものはしっかり言えるのですけれども、適応内で使用する場合には、適正使用を促進する仕組みがない所が多いのかと思っています。ただ、厚労省の先生方からも御指導いただいているので、輸血学会として「輸血療法実践ガイド」というものを今年度の厚労省の班研究で作って、今年度末までには、厚労省の各先生方にお渡しできる予定になっております。
○伊藤委員 あと、1点よろしいですか。
○三谷座長 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 私は、アルブミンの価格がまちまちで、最近統一されたことを知らなかったのですが、実は免疫グロブリンにも似たような課題が発生しています。例えばJが付く会社さんは、他者より薬価が低いです。昨今、材料費、燃料費、人件費が上がってきていて、私たち小児科学会に、度々、安定供給医薬品、若しくは非常に安い医薬品で薬価改定のお願いが毎月のように舞い込んできます。やはりその製薬メーカーも、利益を出せる水準が厳しくなっているということなので、アルブミンで同じように薬価の統一ができるのであれば、免疫グロブリンも同じスキームで考えていただけると幸いです。安定供給医薬品ですので、是非御検討いただければと思います。
○三谷座長 コメントありがとうございました。ガンマグロブリン製剤に関しましても、適正使用の推進が課題かと思います。喜多村委員、お願いします。
○喜多村委員 私は臨床現場に居りませんので、よく分からない点も多いのですが、免疫グロブリン製剤の科学的根拠に基づいた使用ガイドラインというものは、まだ存在しないと理解してよろしいのでしょうか。
○田中参考人 私からいいですか。ガンマグロブリン製剤については、ガンマグロブリン製剤としての適正使用ガイドラインはありませんが、病態ごとにガイドラインがあって、それに基づいて使用されているという状況と理解しております。
○喜多村委員 ありがとうございました。それについては、薬剤師の先生方が評価されているというのが実態ということですね。
○田中参考人 そうですね。評価している施設もあるということです。全施設で評価しているかどうかは分かりませんので。
○喜多村委員 少し細かいことになりますが、田中先生の御発表の中で例えば図8、9で、Wilcoxonの順位和検定で有意であるとしていただいていますけれども、国産と海外産というカテゴリは排他的と理解してよろしいですね。とすると、国産のほうが高いか低いかはこの棒グラフでは示されていませんが、それでよろしいですか。有意差があったということですね。
○田中参考人 有意差があったというのは、血液使用実態調査の項目の中に、アルブミン製剤の院内採用根拠を聞く項目があるのですが、その中で、幾つか項目があって、ここで示しているのは、国産を採用根拠にしていますか、Yesと答えた施設と、Yesと言わなかった施設で比べてみて、自給率がどのくらい違ったかというのを比べて、有意差があったという意味でございまます。
○喜多村委員 それで200床から500床未満の所と、500床以上のどちらも、国産と海外産で有意差がありましたという御報告ですね。
○田中参考人 はい、そうです。
○喜多村委員 これだと、Yesと答えたほうが高かったのか、低かったのかは分かりませんね。
○田中参考人 これはYesと答えた施設での自給率の平均値を示しているということでございます。すみません、説明が足りずに、申し訳ございません。
○喜多村委員 でも、Noと答えたほうの平均値が、ここに表示されていない。
○田中参考人 Noと答えた施設の平均値までは示しておりません。
○喜多村委員 国産と、海外産、どちらが高かったのか低かったのか教えていただけますか。
○田中参考人 高いというのは自給率のことですか。
○喜多村委員 はい、自給率です。
○田中参考人 海外産を優先してYesと言った施設では自給率がもちろん低く、国産を優先して採用している施設では自給率が有意に高い。このバーが棒グラフで示しているのは、それぞれ国産Yes、海外産Yesと言った施設での自給率の平均値と標準偏差を示しているということで、Noと言った施設の平均値は示せませんでした。御理解いただければと思います。
○喜多村委員 そうですね。Noに対しての有意差があるかどうかを検定した結果ということなので、比率か割合など具体的な数値でお示しいただけると分かりやすかったと思います。
○田中参考人 そこに対しては、すみません、申し訳ございません。
○喜多村委員 では、国産は高い、海外産は低いという結果が統計的に有意だったという解釈でよろしいですか。
○田中参考人 そうですね。
○喜多村委員 分かりました。では、国産がおおむね高いという結果で問題ないと思いました。
 あと、もう1つは、ガンマグロブリン使用量と件数のグラフなのですが、どうしても使用量が増えるのは件数が増える、使用量が減れば件数が増えるのは、当たり前のように思うのですが、このグラフの意味は、そういうところではないのですよね。
○田中参考人 何番目のグラフのことですか。
○喜多村委員 例えば図16で、ガンマグロブリン使用量が減少した施設というのは、ガンマグロブリンだけの使用量という意味ですよね。
○田中参考人 そうですね。
○喜多村委員 それが減ったのは、件数が減ったからという解釈なのですか。
○田中参考人 そうですね。これは低・無ガンマグロブリン血症で有意差が出たから、ここに示しているのですけれども、それ以外の病態も全部調べていまして、これ以外の病態で、その件数が少なくなって使用量が減ったという病態はないのです。ですので、ここであえて、お示ししているということです。
○喜多村委員 そうなのですか。
○田中参考人 そういう意味でございます。
○喜多村委員 では、件数が減って使用量が減らない状況というのは、どういう状況なのですか。
○田中参考人 これは令和1年度と令和5年度の使用量を比較して、減った施設と使用量が増加している施設を比べていますので、使用量がもともとの検討集団が限定されているので、全てを網羅して調べてはおりませんので、ここではそのように調べた範囲では、ここで有意差があったと御理解いただきたいのです。
○喜多村委員 分かりました。すみません、臨床現場に居ないため、このグラフからだけでは読み取れなかった点がありましたので質問させていただきました。以上です。ありがとうございました。
○田中参考人 ありがとうございます。
○三谷座長 喜多村委員、ありがとうございました。それでは、最後に堺田委員、御質問をお願いします。
○堺田委員 では、クイックに2点、お伺いできればと思います。まず、お話が戻りますけれども、アルブミン製剤の海外、国産供給自給の自給率の推移の件で、少しお伺いできればと思いますが、臨床家の感覚からすると、20%、25%製剤というのが、やはり選択される場面というのが多いのではないかと思うのですが、一方で、5%製剤の国産品が増えているというのは、何かそういった戦略というか、お考えのもとで、増やす企業が多いという理解でよろしいのでしょうか。
○田中参考人 これも、前の御質問と重なるところがあると思いますけれども、5%製剤も、20%、25%製剤も全て基礎的医薬品になって、海外産品と国産品の価格が既に統一されておりますので、そういう状況になった場合には、やはり価格で選ぶ必要がなくなったために、5%製剤についても、やはり国産を選ぶ施設が増えたのかなと推測しております。
○堺田委員 ありがとうございます。適正に恐らくはアルブミン量を見ながら製剤を選ばれている結果もあるというように理解してよろしいですね。
○田中参考人 はい。
○堺田委員 ありがとうございます。あと、1点は、私も血液内科医という点から、先ほどの伊藤委員がおっしゃったように、造血器使用に対するCAR-T製剤や二重特異性抗体製剤は非常に上市が進んでおりまして、使用量が増えているというところがございます。治療に伴う二次性の低ガンマグロブリン血症が非常に増えていて、ガイドラインとしても整ってきております。二重特異性抗体等の薬剤はUntilPDとして長期に続けて使う薬剤として、承認を受けているものが多くございますので、グロブリン製剤を必要とする患者数はますます増えてくるのではないかと思っております。その中で、ガンマグロブリン製剤の国産品、海外品という点も気になりました。データとしてはこちらにお示しされていないのですけれども、何か内部資料などはお持ちでしょうか。
○田中参考人 独自にこの血液製剤使用実態調査で、免疫グロブリン製剤の国産品と海外産品を分けてというところまでは詳しくは見ておりませんけれども、品目別にというか、製剤ごとに一応データはあるので、比較しようと思えば、できる状況にはなっております。最近、免疫グロブリン製剤の国産品の供給不足があるので、それが需要に追い付かずに、国内自給率が減っているというように理解しておりまして、やはり供給を上げることが必要と思います。原料血漿をしっかり確保して、更にサプライヤーの業者の方にしっかり製造していただくというところが、整備されてきている途中と思いますので、数年以内には状況が改善してくると推測しております。
○堺田委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○三谷座長 ありがとうございます。それでは、続きまして輸血管理料および適正使用加算の取得に関する詳細解析に関する名倉参考人の御発表に対する御質問、御意見をお願いいたします。何かございますか。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 私は成育医療研究センターで、6年半ぐらい腎臓科の科長をやっておりました。そのときにICUで肝移植のお子さん達の血漿交換を絶えずやっていました。劇症肝炎で入院した患者さんで、長期間血漿交換を必要とする場合があります。しかも、通常量より、はるかにFFPの使用量が多く、同時にかなりハイフローのCHDFを併用する必要もあり、移植医療はやればやるほど病院が赤字になってしまうのです。生体肝移植をやっている施設について、新たな基準設定を設けていただいたほうが、医療経営的にもよいと思います。一方、なぜ肺移植でこれほどFFPが必要なのか私は分からないので、誰か教えていただきたいと思います。
○名倉参考人 私の施設で、私は臨床検査技師なので術者ではないのですが、実際に輸血の使用状況の観点からお話させていただきますと、やはり手術中の出血によってFFPを使用するというのが一番多くあります。赤血球につきましては、確かに赤血球を使用することもありますし、大量出血になる場合には多くなるのですが、やはりセルセーバーとか、赤血球を抑えるような処置がされているから、赤血球自体よりもそれを補うことが難しいFFPが多くなってくるのではないかと推測しております。
○三谷座長 ありがとうございました。私も伊藤委員と全く同じ意見を持っておりまして、移植医療に従事している施設あるいは大量出血を伴うような急性期医療に従事している施設では、やはり適正使用加算の基準をクリアするのは難しいという実態があります。血漿交換の場合はFFPは半分あるいはアルブミンは除くというようなルールがございますので、何か移植医療等に関しましても、そういった基準を盛り込めないのかと考えておりますが、将来的にはいかがですか。
○名倉参考人 日本輸血・細胞治療学会の保険委員会のほうとしても、こちらのデータに基づきまして、やはり先生方からの御意見のとおり、特定の疾患におきましてはFFPをしっかり使っていくというところは、これはガイドラインでも、かなり明確にされてきておりますので、やはりアルブミンだけではなくFFPも対象疾患においては、除外する基準等を今後、明確化していく必要性はあるのではないかと思いますし、今回の調査でも、推奨疾患で適切に使われているところが背景にございますので、この辺も含めて進めていく必要性があるのではないかと考えます。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかに御意見、コメントがある委員の方はいらっしゃいますか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、事務局においては、ただいまの御質問、御意見を参考に、引き続き適正医療の推進に努めてください。
 続きまして、議題3.血液製剤使用適正化方策調査研究事業についてです。まず事務局より、本事業の概要について御説明をお願いします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。資料2-1を御覧ください。「血液製剤使用適正化方策調査研究事業」については、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における課題と、それに対する取組について調査研究をしていただくことを目的としております。各都道府県に設置されている合同輸血療法委員会が主体となってこれを行っていただき、全国で課題や取組について共有することで、血液製剤の適正使用に資する効果的な方策を推進するものです。次ページに一覧を記載しております令和6年度に採択された8つの都道府県の取組のうち、今回は秋田県、新潟県、愛媛県から御発表いただきます。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、面川参考人、小笠原参考人から資料2の御説明をお願いいたします。
○面川参考人 秋田県合同輸血療法委員会の代表世話人を務めておりました面川進です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 資料2-2を御覧ください。令和6年度血液製剤使用適正化方策調査研究事業の概要についてです。次のページで、右下にページ数が1と振ってあります。令和6年度秋田県で行った事業については、スライドに示す3点になります。研究課題名は、「災害時及び緊急時の輸血医療連携及びTACOに関する輸血監査と症例共有に基づく啓発活動」となります。その内容の中で、本日は(1)の災害時及び緊急時の輸血医療連携に係る体制整備を詳しく御説明させていただきたいと思います。合わせまして、(2)TACOに関する輸血監査と症例共有に基づく啓発活動に関しては、簡単に触れさせていただきたいと思います。
 令和6年度の事業全般については私から御報告いたしますが、最後の1枚のスライドに関して、課題解決に向けた新たな方策については今年度から代表世話人が変わっておりますので、新しい代表世話人の小笠原参考人から御紹介いただきたいと思います。
 次のスライド2ページを御覧ください。災害時には血液の必要量を算出して適切に確保する必要があると思いますが、左側のグラフはアメリカのAABBの災害運用ハンドブックを参考にして、血液の必要量の算出の基となる項目について、医療機関で予想される患者数等について数値を割り出すことができるかどうかを聞いております。設問15と書いてある所の右下にA、B、C、Dの項目がありますが、これは患者数等を災害時に割り出すことが可能かと聞いております。青色が災害拠点病院、オレンジ色がそれ以外の病院です。以下、同様です。
やはり、予測入院患者数を算出することはなかなか難しいというのが現状のようであります。そこで、設問16と書いてある右の図ですが、一般的に災害時の医薬品確保で考えられている通常流通量の3倍又は3日分を基にして輸血用血液製剤を確保できるかということを聞いたところで、確保可能との回答は30.7%の施設でありました。量の規定を設けたほうが想定しやすいという点、そして自由表記にもありましたが、災害の種類や被災状況によって判断が大きく異なる点を踏まえると、早期にそれぞれの医療機関の在庫量を把握し、巡回供給又は病院間融通等にシフトしたほうが現実的であると考えられました。
 次のスライド3ページをお願いいたします。発災時に早期に血液製剤を確保する、発注するためには、通信手段が非常に重要になります。災害拠点病院の要件では衛星電話を保有し、衛星回線インターネットが利用できる環境、又は複数の通信手段を保有していることなどが望ましいとされております。右側のグラフに関しては、この調査結果においては同じような取組を行っている神奈川県の報告と同様の傾向で、特にオレンジ色の災害拠点病院でない施設では準備がないという回答が多く見られました。下の10施設が準備なしという回答です。恐らく、輸血管理部門の認識不足も想定され、これらの改善が必要かと思われます。また、災害時の血液発注、通信方法が明確でない現状、複数の通信方法による検討やマニュアル化されていない背景があり、これらに改善が必要であると思われます。
 次にスライド4ページです。災害時に医療圏内の近設する病院間で血液製剤を安全に地域融通し、血液を確保することも重要なことです。令和3年3月に、緊急時に輸血に用いる血液製剤を融通する場合の考え方に関する通知が発出されております。この通知の認知度を調査したところ、災害拠点病院では23.1%の認識しかありませんでした。片や、災害拠点病院でない所のほうが多く認知されているような状況です。この通知に関する認知度の向上の必要性も考えられます。
 右の秋田県の地図ですが、災害時にどの医療機関から血液をもらいたいか、自分の施設から血液を搬出してもよろしいかなどを聞いた結果です。青色が災害拠点病院、赤色が拠点病院以外の病院を示します。丸の外枠が太い、これは血液製剤を出してもよい、又はもらいたい施設という意味でして、その矢印が血液の搬出先又は供給元と考えている病院です。
 一方で、丸を塗りつぶしている赤丸、青丸になりますが、これは出すことも供給することも考えていないという病院になります。災害拠点病院以外では、血液の融通を希望する所が多いことが見て取れると思います。また、同じ医療圏以外、隣の医療圏も含めた災害拠点病院をまたぐような融通の希望もありますし、実際は血液製剤の院内在庫を持たない施設への融通の希望をしている病院もありました。
 このことから、事前に又は災害発生時に広域災害救急医療情報システム(EMIS)等を活用して実際の医療機関内の血液在庫を共有できないかという意見が挙がっております。これが分かると、血液センターでもEMISが共有されますと、各病院の在庫状況や被災状況も分かりますので、巡回供給よりも更に能動的に血液を送り込んでいく、プッシュ型の支援方法も可能となると考えられました。
 スライドの5ページです。これは、災害時の輸血療法に関する対応状況の調査及び輸血マニュアルの整備について聞いております。災害時輸血療法マニュアルの整備状況は、左下のほうで設問1にありますが、トータルで46.2%の施設で、災害拠点病院以外では5.9%が整備されている状況でした。これは先行調査県の神奈川でもほぼ同様の結果となってておりますが、災害拠点病院以外の施設の300床未満の施設が特に低い整備状況でありました。特に小規模の施設にマニュアルを導入しやすい方策等の検討が必要であると考えられます。
 スライドの右上に示すのは、災害時の血液製剤供給に関して、血液センターや行政とあらかじめ相談している施設がどのくらいあるかという設問ですが、事前に相談している施設は6.7%で非常に低い状況です。今回の調査では血液センターへの意見要望、又は秋田県、行政への意見要望等の内容を収集しましたところ、標準的な災害時輸血マニュアルを提示してほしいとの意見も複数挙がりました。マニュアルに関連し、災害時にアクションカードを定めている施設が4施設ありましたので、これらの施設からも実運用に関する報告も頂いております。
 次にスライド6ページです。災害対策マニュアルに定めている輸血検査・輸血血液製剤運用に関する項目について、詳細に調査しております。システムダウン時の帳票運用や、輸血用血液製剤の在庫管理・運用に関する項目については、災害時マニュアルに多く定められておりますが、その他の項目については余り設定されていないのが現状のようです。輸血マニュアルの必要性、必要な項目については第27回、昨年度開かれた秋田県合同輸血療法委員会の開催前後で関連テーマに講演と啓発活動を行いましたので、認知度、必要性に関して活動前後で変化があったかも調査しておりますが、この合同輸血療法委員会を開催した後にマニュアルの必要性を感じるという回答が明らかに多く見られるような傾向があります。
 次にスライド7ページです。これは先ほど、お話しました4施設で実際に行っている災害時のアクションカードの一例です。これは300床の災害拠点病院、仮にK病院と言いますが、そこでの災害発災時のアクションカードを院内で周知している結果です。
 スライド8ページです。これは別の施設ですが、同じように300床の災害拠点病院、O病院でのアクションカードで、臨床検査技士を中心とした方々の災害発災時の時間帯別の発災時のアクションカードを示しております。災害時輸血マニュアルの整備とともに、その内容に合わせた輸血管理部門におけるアクションカードの整備が極めて重要であるという報告でした。
 スライド9ページです。これは、重症外傷の超急性期マネジメントに関連した輸血医療体制の検討についても検討いたしました内容となります。昨年度の令和6年10月に第26回輸血管理実務担当者会議が開催され、その中で秋田大学医学附属病院の高度救命救急センターの医師より、ドクターカーでのATR使用によるO型赤血球の輸血持出しの実運用について御講演していただき、症例提示と議論を重ねた内容です。詳細はスライドの下に記載しておりますが、秋田県は圏域が非常に広大ですので、その地域をカバーするために迅速かつ効率的な緊急体制を求められております。それで実際に秋田大学医学附属病院を中心とする施設で、ドクターカーで病院搬送前の輸血が年間数例実施されているのが現状です。この背景には、救急医や外傷専門医が少ない状況、そして地域の二次救急病院の血液製剤の院内在庫数の問題、また実際に救急時にはMTPの実運用など様々な課題が挙がっております。継続的に地域における包括的外傷診療体制に関しても、情報共有、意見交換を実施し、諸問題を調整していく必要があると思われます。
 次にスライド10ページです。最後にもう1つの課題であるTACOに関する輸血監査と症例共有に基づく啓発活動について報告させていただきます。
 イギリスで2017年にNHS傘下の医療機関で行われたTACOに特化した輸血監査の項目がありますので、それを参考に上の段に示す患者基本情報、リスク要因、臨床経過の19項目について県内の3施設に依頼して、そこでの輸血実施症例40例を対象に輸血監査を実施していただきました。その結果、アルブミンが正常下限未満だったのが70%であったということ、それから、輸血開始前に併用の輸注製剤や希釈された薬剤を使用したのが30%あったということ、それから、ステージ3a以上の慢性腎不全の症例が72.5%ありました。肝機能障害例等は25%でありました。そして重要項目としまして輸血時に利尿剤を使ったものが7.5%、予防的利尿剤投与は35%、14例であったということです。
 TACOリスクをより詳細に観察するために水分バランスの管理、末梢浮腫の観察など、輸血前の監査が非常に重要であることが改めて挙げられました。これらの輸血監査を県内でどの程度できるか、今年度以降の課題ですが、TACO予防に関する輸血前観察に関する活動を継続していきたいと思っております。
 スライド11、12ページで本研究の総括をさせていただきたいと思いますが、災害想定輸血必要患者数と必要輸血量を算出するのはなかなか難しい問題であることが調査によって分かりました。早期に各病院の被災状況、院内在庫はどれぐらい保有しているのか、この情報をできるだけ早く情報共有することが重要であります。したがいまして、既存の広域災害救急医療情報システム(EMIS)等を活用し、血液センターでもそのデータを共有することで、プッシュ型の血液製剤確保支援等が行われるのではないかということが考えられております。
 最後のスライド12ページをお願いいたします。災害時の輸血災害対策マニュアル等に関しては、300床未満の小規模の医療機関でマニュアルの導入が不十分であるという点が明らかになりました。これは今後、更に合同輸血療法委員会等を中心として啓発活動を続けていく必要があると思います。TACOに関しては、最後に結果もお話しましたが、TACOリスクをより詳細に観察するために、やはり術前の患者リスクマネジメントが非常に重要であるので、これは調査を更に継続して活動していく必要があると思います。
 最後のスライドになりますが、これにつきましては今年度から代表世話人が変わっておりますので、新しい代表世話人の小笠原参考人に御発表をお願いしたいと思います。
○小笠原参考人 それでは、代わりまして課題解決に向けた新たな方策ということで、まず、300床未満の施設ですが、災害拠点病院でない施設においては、各医療機関での病院BCP(事業継続計画)が整備されていない問題がありまして、輸血運用の策定については院内輸血事業部委員会が積極的に関与する必要があると思います。更に、県の合同輸血療法委員会等を通じても、BCPの輸血部門での各計画を作成して各医療機関に提示していきたいと思っております。
 合同輸血療法委員会が中心となり、災害時の緊急時に医療現場においても滞りなく輸血療法を実施する輸血マニュアルについて、病院機能別に整備することを今後、目指しております。
 EMISの掲示版機能等での災害拠点病院の院内在庫の情報を共有できるよう、大阪府等で実施されている災害時の血液発注の方法に対するEMIS掲示版を活用したリアルタイム周知などに関係機関と調整してまいります。
 アクションカードの整備を啓発して、その情報を病院間でも情報共有できる方法、Starlinkサービス等を運用した通信手段も検討しています。これはいずれにしろ、これらの通信手段と、これは最終的には互換性をもって統一する必要があると思います。
 TACOについては、腎機能障害や心機能障害がある患者さんでの飲水量、排液、排尿量等の評価を中心に状況を調査し、TACO予防に関する内容にしたいと考えています。以上です。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがですか。
 それでは、面川委員、私からなのですけれども、災害時の輸血の体制整備についてですが、輸血量としては通常の3倍量の確保ということで数字を示されました。この数字というのは、他の医薬品に準じてというような御説明があったと思うのですけれども、他の医薬品と輸血製剤は少し異なるのかと思いますし、また、災害の種類によっても恐らく輸血製剤の必要量は変わってくるのかとも思うのですが、その辺り、面川参考人の御意見はいかがですか。
○面川参考人 座長のおっしゃるとおりでして、非常に難しい問題だと思います。結局、我々も参考にするものがなかなかありませんので、どうしたらいいかと言って病院にお聞きしたところ、結論から言うと、その数字は出せないというのが調査の結果なのですね。それだったら、どうしたらいいかということで、通常の3倍、3日分というのが数字だけ最初に出てまいりましたので、それが妥当かどうかということも、当然、分かりませんし、座長がおっしゃるように災害の種類がどの程度かによっても全然、違いますので、一概にもできないと思います。病院も災害だからといって多くの血液を抱え込んで、その後、実際に使えなかったときにどうするのだという危惧もあるでしょうから、なかなか難しいのですが、これはもう少し議論を深めていろいろ意見を聞きながらある一定数が出せればいいのかなというように考えております。
○三谷座長 まず、議論の第一歩ということですね。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますか。
 あと、もう1点なのですが、EMISについて、私はよく存じ上げないのですが、これは導入しようとしたら簡単にできるものなのでしょうか。
○小笠原参考人 簡単ではないです。ですから、これは本当に行政とも協力しての情報の入力の仕方の効率が悪いのは現時点でまだ課題としてありますので、これは実際に本当に行政のほう、病院だけではなくて本当のそこの自治体での災害対策本部とも協力してやっていく必要があると思います。結果、災害時の実際に利用においては、他町村との協力等も含めて結構課題は多いと思います。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見ありますか。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 非常に勉強になりました。私も小児周産期リエゾンをやっていて、災害の対策に関与しているのですが、この巡回供給というのは、どのようにやるのですか。
○小笠原参考人 まず、ATRの血液製剤の移動のシミュレーションをやって、そして、病院管理の連絡をして必要な分を出せるか、若しくはセンターから運んでもらうかというようなことを決めていくということです。現時点で院内にATRを使用し活用している医療機関は秋田大学の救急だけですので、これを取り扱われている医薬品の卸さんがおられますので、そちらから、まずシミュレーション時にご協力をいただいて、実際に私もまだ使ったことがないものですから、その使い方を覚えて、そして災害時に活用するとともに、ATR自体を病院間で搬送する手段をどうするか、病院の自前の乗用車で行くのか、あとは救急隊の力を借りるのかということもありますので、その辺のところを今後シミュレーションしていくところであります。
○伊藤委員 ありがとうございました。
○三谷座長 ほかに御質問、御意見よろしいですか。萩原委員、お願いします。
○萩原委員 ありがとうございます。横浜市大の萩原と申します。大変、実践的にそういうシミュレーションもされているということで、すばらしい取組だなと思っております。また、神奈川県の合同輸血療法委員会のことも引用していただきまして、ありがとうございます。
 それで、ちょっと素人的な感じなのですが、秋田県というとすごく豪雪地帯というイメージがあるのですけれども、そういった中でそういう交通網であるとか、そういったところ、秋田に特有な何か、神奈川県とはちょっとまた違うような背景や、そういったところで何か御苦労された点や、そういったところがありましたら教えていただけますでしょうか。
○面川参考人 御質問ありがとうございます。面川が回答いたします。回答と言いますか、おっしゃるとおり冬期間の、これは日赤の立場としての血液の供給は非常に苦労する所は当然あります。ただ、御存じかと思いますが、日赤も広域運営体制が導入されていましたから、正に実際にお隣にいらっしゃる小笠原先生は大館市の市立病院に御勤務ですが、大館市は秋田県ではありますが、血液の供給は青森県の弘前市から供給されております。秋田県の中でも大館市、それから鹿角市、御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、県北のほうは、以前は広域運営体制が導入される前は、秋田市から血液を搬送していましたが、広域運営体制になって血液供給巡回距離等全て再検討して、その結果として供給体制は再構築されておりますので、そういう意味ではそういう対策は当然取っております。
 あとは、冬季期間でありますが高速自動車網も以前より、ここ10年単位で考えますと整備が進んでおりますので、供給時間に関しては、ある一定時間を見込んで各病院には常にそういうことを認識していただいた上での院内在庫の確保ということを、連絡を密にして行っているところです。以上の様なことで回答させていただきたいと思います。
○萩原委員 ありがとうございます。とても勉強になりました。多分、各地方によって特性に応じていろいろこういう救急の対策はしていかないといけないのだと思いますので、とても参考になりました。ありがとうございます。
○三谷座長 ほかによろしいですか。それでは、面川参考人、小笠原参考人ありがとうございました。
 次に、関参考人から資料2-3の御説明をお願いいたします。
○関参考人 新潟県合同輸血療法委員長の関でございます。よろしくお願いいたします。まず、話の流れをつかむために1ページを御覧ください。新潟県、非常に海岸線が300kmあって、長い県でございまして、昔の京都から近いほうから上越エリア、魚沼エリアのある長岡辺りが中越エリア、そして上のほう山形県境に近いほうが下越エリアとなっております。供給所は2か所ございまして。新潟市にある新潟供給所、そして長岡にある、大体県の真ん中辺にあるのですが、長岡供給所という2つがございます。
 2ページです。私どもは、今まで血液供給センターから最も遠いのが上越地域でしたので、これらの期限切れによるO型の廃棄が多いとか、院内在庫を保有している中小施設で廃棄が多いとかを明らかにしてまいりました。ただ、血液製剤の搬送時間とか、エリアが廃棄の要因にはなっていないことも突き止めておりまして、輸血細胞治療学会等で報告してまいりました。コロナ禍明けに、また先ほど申しましたが県土が広いものですから、地域ごとに地域ミーティングを行っておったのですが、ここで、この廃棄の要因として手術時とか、緊急内視鏡時の過剰発注がある。過剰発注後の余剰分がある。そして輸血実績に見合ってない院内在庫血量が、廃棄につながっていることを明らかにしてまいりました。
いわゆる目に見えない、その輸血に対するプレッシャーというのが非常に大きな要因を成しているということが分かっております。今回は、これらの課題を踏まえて、過剰発注に伴う廃棄血を削減し、適正使用の推進を図ることを目的に、血液製剤発注ルールとか、血液使用に関する情報が確認可能なポケット版早見表を作成することを目標としました。いわゆる目に見えないプレッシャーに対しまして、どうしたら効率良く輸血がオーダーできるのかとか、どのぐらいの時間で自医院に製剤が来るのかを知っておくことが、目に見えないプレッシャーを削減することにつながるのではないかというふうに考えたわけでございます。
 4ページです。方法としましては、過剰発注の詳細要因を地域ミーティング、計3回行っておりますが、再確認させていただきました。そして、血液製剤を発注する、これ医師ですね。医師の意識調査として、血液センター定期便出発時刻とか、返品に関する血液製剤発注ルールの認知度をアンケートを使って調査しまして、集計・分析いたしました。県内の輸血に関する状況についての広報紙、これは全く啓発用ですけども。広報紙及び最終目的のこの早見表を作成して、県内の医療機関へ配布いたしております。
 5ページです。まず結果ですが、過去の研究結果とか、地域ミーティングの実績等を広報紙を使って周知しております。2番目として、過剰発注の主な要因は、手術中の大量出血時や消化管出血の救命救急外来の患者さんの到着前及び直後が多かったということが分かっております。また、廃棄の要因としては血液製剤専用の保冷庫がない手術室とか、集中治療室へまとめて払い出してしまうがために、戻せなくなってしまうという事例が多く確認できました。
医師の意識調査としましては、血液医療機関へ納品された製剤を、血液センターへ返品できない。これは当たり前のことなのですが、こういうことに対する認知度は高かったのですが、血液センターの定期便出発時刻とか、血小板の予約締切り時刻とか、臨時便と緊急走行の違いの認知度がそれぞれ42.9%、33.8%、63.6%と低かったということがございます。後で詳細を発表してまいります。
 これが広報紙です、VOL.1を御覧になっていただいていますが、知識がつなぐ安全な輸血ということで、廃棄血に関する取組とか、右のほうでは、院内在庫の状況をちょっ
と考えるとか、緊急輸血時の異型輸血もありますよというようなことを紹介してあります。先ほどのミーティングですね。各地域でのミーティングをこんな感じで、非常に忌憚のない意見がボンボン出てくるというような状況でございます。
 7ページです。医師に対するアンケート結果です。定期便出発時刻について知っているドクターが4割です。6割は知らないと。そして、この病院の規模別に見ますと、500床以上がAになるのですが、あとは100床ずつ少なくなってきますが、やはり割と大きな病院とか、小病院の認知度が非常に低いということが、今回分かりました。
 先ほどの血小板製剤の予約締切り時間については、知っているドクターが3割、知らないドクターが7割近くということで、これはほとんどの規模のドクターが知りませんでした。一部、恐らく予測ですけども、血液内科があるようなところのドクターはかなり知っていたのではないかなというふうに思っております。そして臨時便と緊急走行の違いということなのですが、これが知っているとお答えになった方は3分の2、知らないとお答えになった方が3分の1ということで。これは、割と供給量の多い施設ほど認知度が低いというような、面白い結果になります。割とこれは供給所から遠方にある病院のほうが、こういうことについてはしっかりとデリケートになっていて、知っていたのかなというふうな考察が得られます。
 そして10ページを御覧ください。これが、実際に作成しましたポケット版マニュアルになります。供給所が2つございますので、新潟版と長岡版があるわけなのですが、これは新潟版です。出発時刻が書いてあったり、そのキャンセルはいつまでかとかいうことが書いてあります。そして、これにラミネートをかけて、三つ折りにして、ドクターのポケットの中へ入れていただく。あるいは、各部署の固定電話の前にこういうのを貼っておいていただいて、逐時、情報を確認していただくというような運用になっています。これはもう1つの供給所、長岡管内用ということで、多少時刻が違うのですが、基本的には同じようなことが書かれています。そして、この裏面に、赤血球製剤の適正使用、血漿製剤の適正使用、それから血小板製剤の適正使用とか書いております。あとは、やはり臨床上必要になる予測上昇率ですね。こういうものを書いて、できるだけそのベッドサイドで役に立つようなポケット資料ということを目指してまいりました。
 考案なのですが、医師の意識調査における認知度が7割未満の項目というのは、先ほど御紹介したとおり、血液センターの定期便出発時間とか、血小板製剤の予約の締切り時間とか、それから走行の違いですね。臨時便と緊急走行の違いについて等がありましたので、更に、このツールを配布した後にどうなっているかというようなことを、興味があるところなのですが、結果的には、この供給量が多い施設ほど、血液センターの定期便時間の認知度が低い実態が明らかになりましたので、今後は特に供給量の多い施設に、定期便に関する情報周知を強化する必要もあろうかというふうに考えております。
 14ページです。医療機関における血液製剤の廃棄要因となる過剰発注に対する改善方策と更なる適正使用推進活動として、私どもは広報紙、それから早見表を作成して配布しました。大事なのはこれからと考えておりまして、このツールを配布した後に、やはり血液製剤の発注が円滑に行われているか確認するということと、廃棄につながるような過剰発注やまとめての払い出しによる改善状況が実際にあったのかということ。廃棄率がもし低くなった施設があれば、そこも徹底的に詳細検討してみたいという、次の研究のプランニングを立てているところでございます。以上になります。ありがとうございました。
○三谷座長 関参考人、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。新潟県という非常に縦に長い大きな県において、適正輸血を推進するために過剰発注を避け、廃棄を減らし、院内における適正な在庫を置くことが大事であるというお話でした。そして、そのためには、現場のドクターには血液センターからの供給システム、特にタイムライン等についても知っていただく必要があるということで、積極的に広報活動をしていただいているということだったと思います。御意見、御質問はおありですか。喜多村先生、お願いします。
○喜多村委員 とても興味深いもので、分析ありがとうございました。供給量が多い施設ほど認知度が低い傾向があるというのは、先生、どのデータからそういうふうにおっしゃっているのか、教えていただけますか。
 例えば、臨時便と緊急走行の違いについて、知ってる知らないのグラフだけで、ぱっと見たところ、必ずしも供給量が多い施設なのかなというのがちょっと分からなかったので、質問しています。あと、その供給量が多いということと、それから過剰発注ということとは同義というふうに捉えてよろしいのか、そうではないのか。その辺りをちょっと。
○関参考人 はい、分かりました。ありがとうございます。9ページ、正におっしゃるとおり9ページなのですけども、Aのほうが500床以上の病院がありますので、当然供給量は多いのですね。Fのほうが100床未満の小病院ですので、非常に少ないということなのです。やはり供給量の多いところの施設ほど、知らない方が結構パーセンテージが多いというような結果で、そういうことを申し上げております。それから過剰発注の問題は、供給量が多いから過剰発注とか、そういう廃棄が多いということはございません。施設ごとにかなり救命救急をやっているかとか、そういう消化器内科ですね、緊急内視鏡が必要な医療行為をやっているかとか。あとはそうですね、整形の外傷があるかとか。そういうことで決まってきているということが分かっておりますので、病院の規模イコールその廃棄量が多いとか、そういうことではございません。
○喜多村委員 ありがとうございます。そうするとA、B、Cで言うと、若いほうが規模が大きいというふうに、皆さんご理解されている。
○関参考人 そうですね、Aのほうが大きい病院です。
○喜多村委員 基本的には、規模が大きいと発注量も多いはずですので、必ずしも知識の量とは言えないかなと思ったのです。8枚目のスライドですと、知っているほうがAの病院なんかは割と多いですし。
○関参考人 Aの病院は、恐らくこれ血液内科があるのですね、Aは。ほとんど血液内科がある病院がAに入っておりますので。いろんな場面で血小板、もちろん手術系統でも血小板を使うと思いますけども。御存じのとおり、圧倒的に血小板製剤の出ている科というのは血液内科とか、小児科の血液診療グループですので、恐らくそうなのだろうなというふうには考えています。
○喜多村委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○伊藤委員 我々の大学でも小児も成人も血液疾患の患者さんが沢山いるので、何人もいると、こまめにオーダーしなくても、院内の使い回しもできますし、絶えず在庫があるものだ的な意識があると思います。院内在庫がない施設は、オーダーの時間も知っていて、その時間に合わせて、手術時間などの工夫をされているのかなと思います。大きな施設はいちいち頼まなくても、何となく融通ができているのでは。萩原先生、いかがですか。同僚に振ってみますが。
○三谷座長 お願いします。
○萩原委員 同施設の輸血を担当しております萩原です。そうですね、輸血部内で、そういう使い回し的なところができれば、もちろんそういったところで有効利用していくので、廃棄は少ないかなというふうには思います。
 ちょっと1点気になったのは、まとめての払い出しで。それで輸血の保管庫がない、保冷庫がないというところで、廃棄になってしまうというふうなことが示されていたかなと思うのですけれども。まとめての払い出しの改善というのは、これは何か対策を考えていらっしゃるでしょうか。保冷庫を置くだとか、そういうのを施設にお願いするとか、何かそういった。
○関参考人 ありがとうございます。これ、まとめての払い出しで、置く場所がないのではないということではないですよ。置く場所はあるのですけど、その払い出した先に、ちゃんと温度管理ができるような保冷庫を持ってない施設が多いことが問題なんです。ですから、そこは御存じのとおり、1回払い出してしまったら、もう回収できなくなりますので、そういうシステムをまず見てかなきゃいけないのかなというふうに思って。これが、また今後の課題として考えているところでもございます。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。最初の喜多村委員の御質問なのですが、大規模施設ほどドクターが定期便の出発時間を知らない、あるいは、臨時便と緊急走行の違いを知らないのはなぜかという御指摘があったのですけれども、これは私の推測ですが、大きな病院ほど輸血部がしっかりしていますので、緊急輸血等は輸血部を介してのやり取りということになるのだと思うのですね。一方、小規模の施設ですと、やはり緊急に輸血が必要になりますと、場合によっては血液センターと直接やり取りをする等の対応が必要になるのだと思われます。その差が、これに出ているのかと感じました。関先生、いかがですか。
○関参考人 そうですね。大学病院みたいな大きいところは、本当に輸血部に任せとけば何とかしてくださるという意識がございますので、それはやはりそうなのかなというふうに思います。あとは、やはり先ほどどなたかおっしゃいましたけど、血液内科があると非常に赤血球にしろ、血小板にしろ、バッファーになって、誰かに使う人いませんかみたいな感じでなる場合が多いですけど、なかなか県内を俯瞰して見ますと、血液内科のある病院は、そうそうない。では、そういう病院のやはり何100万にも及ぶ廃棄血をどうやっていくのかというようなことは非常に大きな問題かなと思っています。これからいろいろまた突き進めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はございますか。堺田委員、お願いします。
○堺田委員 千葉大学の堺田です。大学病院の施設というところで千葉大学病院も、やはりこの締切り時間については厳密に守るように指示がありまして。ここは恐らく頻繁に輸血製剤を使用する血液内科医は知っていることだと思います。しかし、全ての科の担当の先生方が御存じかと言われると、そうではないと思いますので。その点に関しては意識付けをしながら、対策を行っていく必要があるのかと思います。
 もう一点。先ほどの手術室への一括の払い出しですけれども、当院でも非常に大きな問題をやはり抱えて、課題を感じております。当院では、都度払い出しの形式に変更しております。ただ、やはり麻酔科の先生方からいたしますと、必要なときに必要な輸血が届かないのは困るということで、その辺りはコミュニケーションを取りながらということになります。都度払い出しとなると、その病院のマンパワー的にも負担になってくるかと思いますので、その病院その病院、その施設その施設での解決の方法があるのかなというふうには思いますので、また是非良い案などありましたら教示頂ければと思います。私からは以上です。
○関参考人 ありがとうございます。病院の規模とか、そういうシステムによって当然方策は違うと思っておりますので、是非この点をもし廃棄量が少なく、こういうツールで少なくなったという施設があったら徹底分析といいますか、そういうふうに予定しております。
○三谷座長 関参考人、追加コメントです。私の施設では手術部等には温度管理システムが付いている冷蔵庫を導入して、赤血球製剤の返品を可にしています。それをすることによって輸血製剤破棄のコストが1、2年で回収できました。御参考になればと思います。
○関参考人 ありがとうございます。新潟県内もほとんどはそうなのですけど、中にそうでない病院があります。だから、そういうところを改善すれば、当然良くなるのかなとは予測しておるのですけど。はい、ありがとうございます。
○三谷座長 ありがとうございました。服部委員、お願いします。
○服部委員 関先生、いろいろありがとうございました。私全く分野が違うものですから、大変勉強させていただいた気がいたします。廃棄量に関して、1点だけお伺いしたいと思います。廃棄量というか、廃棄の問題について、先ほどのお話もあったのですけれども、それぞれの施設が抱え込んでしまっていて、使い残してしまっているものについて、医療側の要因、エリアごとにでも結構なのですけれども。そのエリアに属している他の医療機関からそれが見える化されていて、横に融通するというようなシステムはまだそこまでは至ってなく、その病院の施設の中で何とか使いきってしまうとか。そういう形になっているのでしょうかという点をお伺いしたいのです。よろしいでしょうか。
○関参考人 私も余り詳しくないのですけど、特別なそういう理由がある地域とか、そういう病院群に関しては、例えば佐渡の一部とか、新潟県であれば佐渡とか、使い回しを許されているみたいな感じなのです。薬機法というのがあって。何かどこでもお手軽にというふうにはいかないと理解しております。
○服部委員 なるほど。そうすると、その法規制のようなものがある程度邪魔になっていて、横の融通が利かないというか、連携がうまくいかないような状況もあり得るということでございましょうか。
○関参考人 はい、そのように理解しております。
○服部委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○三谷座長 ありがとうございました。それでは関参考人の御発表は以上にしたいと思います。
最後に、羽藤参考人から資料2-4の御説明をお願いします。
○羽藤参考人 それでは、愛媛県合同輸血療法委員会の状況につきまして、委員長をしております羽藤のほうからお話しさせていただきます。
 資料2-4です。タイトルは、医療機関・赤十字血液センター・県医師会の三者連携による院内輸血体制の整備と地域輸血医療連携の構築でございます。
 まず1ページで、ここに研究の背景を書いております。製剤の廃棄というのは非常に重要な課題ですけれども、製剤の廃棄が出てしまう要因、医療機関でどうして出るのかということを考えてみますと、1.として、不測の事態に備えて一定の院内在庫を保持している。これが、過剰になると当然廃棄につながる。ただ、これが足りないと、いざ、いるときに、不測の事態ですから、緊急輸血の遅れにつながるということで、この院内在庫というのは、このバランスをうまく取らないといけない。しかし、医療機関は、なるべく緊急輸血の遅れ、生命に関わるようなことはしたくないので、少し安全圏を取っておくということが、そのバランスが、少し在庫過剰の方向に結びついているという現状があります。
 もう1つは、輸血は診療科医師の裁量で決められているということです。手術は万一に備えて10単位は確保と医局で指令が出ますと、研修医に至るまで手術は10単位をオーダーするということで、大手術なら20単位と言われれば20単位ということになっているというのは、大学病院も然りでして、なかなか難しい問題がございます。ここに院内輸血療法委員会というのがありますけれども、なかなかその手術の中身まで口出しすることはできないというのが現状というところがございます。
では、どのようにこれらを解決していくかということになりますと、1つは、適正なバランスの取れた院内在庫数を設定していくということ。もう1つは、院内の輸血体制を整備していくということになりますが、この解決策をやるに当たっての問題点としましては、適正な院内在庫といいましても、多くの病院は、製剤廃棄率のデータしか持っていないわけです。この製剤廃棄率のデータだけで、適正な院内在庫を検討するというのはなかなか難しい点があるだろうということ。もう1つ、院内輸血体制の整備といいましても、病院の規模によってかなり輸血体制が違うことが知られていまして、これは規模別に検討しないと、うまくいかないのではないかということがございます。
 そこで、2ページ、愛媛県合同輸血療法委員会の組織を、これに従って2020年に変えました。今までは、合同輸血療法委員会は何をしていたかというと、アンケート調査をして、教育講演を御依頼して、その繰り返しということですが、なかなかこれでは先ほど言ったような問題が解決できないということで、部会を3つ据えました。院内在庫適正化部会、名前のとおりの部会、それから、院内輸血体制整備部会、これは規模別に違うということで、小規模の施設は別に輸血安全部会と、規模別に分けた3つの部会を作って、それぞれの部会に各病院が所属していただいたということです。そして、この合同輸血療法委員会の右に三者代表会議というのがありますけれども、これは行政、血液事業(血液センター)、それから、医師会、この3つが三者という意味で、この三者の代表会議というのを、諮問機関として付けました。以下この3つの部会について順番に少し説明をしていきます。
 3ページです。まず、院内輸血在庫適正化部会ですけれど、合同輸血療法委員会ホームページを立ち上げ、ここに各病院から入っていただいて、血液型別の院内在庫数、夜間在庫補充の基準、血液型別の廃棄本数を毎月入力してもらうというシステムにしました。それから、赤十字血液センターに、学術情報・供給課のデータベースがございまして、その病院に何本持って行ったか、定期便で配送したもの、緊急で配送したもの、トータルで幾ら、夜間で配送したのは何本だというデータがあるのですね。このデータを、お互いに突き合わせて1つの、例えばここに書いてありますA病院のデータを、1つずつ病院ごとに作っていったということです。廃棄データのほうから製剤の廃棄率というのが簡単に出ます。幾ら持って行ったかというのが分かりますので、どのぐらい緊急配送をこの病院はしているということも、このように出ます。このデータを各病院にこちらから出向いて、これを提示して、お宅の病院は、こういうデータですけれども、適正在庫数は、いかがしましょうかということを、1つ1つやっていったということです。
 次のページで、これは1つの例です。古くからある国立中規模病院では、昔から伝統的にA、O、B、ABを、3本、3本、3本、3本持つということを伝統的に続けていた病院です。このデータをお示ししました。日本人の血液型別割合は4対3対2対1というのが非常に有名な事実ですので、当然BとABの廃棄が増える。正に、そのとおりが、ここに出ております。それをお示ししまして、在庫本数を、B1本、AB1本にしていただいたら、製剤廃棄率は2024年劇的に減少した。それによって、別に夜中に持って行く本数が増えたわけでもないということで、このままこれで続けていただいているという、非常に単純な例です。
 その次の5ページですが、これは遠隔地にある地域の中核病院です。センターから100kmぐらい離れている所で、院内在庫数はやはり少し多めに、6本、5本、2本、1本と持っているわけです。廃棄管理がそのかわりすごくよくできている病院で、廃棄が非常に少ない。大きい病院で使い回しもできるのでしょう。いろいろな科に回りますので、よかったのですけれど、夜間の配送本数が結構、遠隔地ですけれども、8.7%、2023年で11.4%と。これ、どれくらいが適正なのかよく分からないのですけれども、少し多めかなということで、在庫を少し多く持ちませんかと持ちかけたわけです。特に夜間配送が多いのは、AとOということなので、AとOをまず1本ずつ増やしていただいて様子を見たということです。夜間配送率がかなり減ったというところで、それによって夜間に製剤の廃棄が増えたということはないというところが分かりまして、では、これでいきましょうというところであります。
これらの取組を続けまして、6ページに全25病院の平均値が出ていまして、2021年から2024年までの年次推移ということです。2021年と2022年は、御覧のように変化がありませんが、コロナで各病院に訪問ができなかったのです。WEBで少しやったところもあるのですけれど、ほとんどできなかったということです。2023年から本格的に始めまして、2023年の廃棄率は減少しましたが、夜間配送率は、最初はやや増加しました。この2つの数値は反発するので、どうしてもそういうことになるのでしょう。2024年になると、確かに少し適正化が進んだかなという状況にありまして、コロナの期間が実はコントロールになっていて、何もしないと変化がありません。これが活動を始めると率が減っているというところで、逆にコントロールがあってこのような感じになっています。
 7ページが、院内輸血体制整備部会、院内輸血の体制です。まず、この部会では中・大規模病院を対象にして、小規模病院は除いております。その場合、I&Aという日本輸血・細胞治療学会の基準があります。この基準というのが非常によくできているので、これをベースにしようかと思いましたけれども、I&A認定施設というのは、御覧のように全国で2.2%の病院しか取っていない。愛媛県では1.4%ということで、とてもハードルが高い。このまま県内医療機関に押し付けても多分駄目だろうということで、80項目から17項目をこの部会の先生方に選んでいただいて、この17項目を、愛媛県版チェックリストとしました。これをまずやっていこうということです。
 次のページで、このチェックリストを、今現在どのぐらいできているのか現在の整備状況を把握しましたところ、未整備の多い項目が2つ上がっています。1つは、専門の輸血部又は輸血関連業務を、一括して行う輸血部門を設置しているということ、つまり一元化ができていない。輸血部が検査部の中で輸血兼任技師というところが結構多いことと、中には検査部と薬剤部がいまだに分かれているところもある。つまり、製剤の発注は薬剤部、検査は検査部といったところもある。そこで、一元化できない要因を調査していって、対応策を検討していかなければならないということが分かってまいりました。
 2番目は、輸血非選任技師の対応が困難な状況の場合、輸血担当技師による応援体制があるというのが、次に多かった項目です。輸血検査は、今は技師の24時間体制というのは、全国どこの病院も確立しております。ところが、夜間、休日の選任技師のオンコール体制というのが弱点、不備があるというのが分かってまいりまして、これは技師の、その組織の専門家の先生方と少し話を重ねて、何とかこれを整備していく方法を考えていかなければならないというところで、今後対応を検討するところになっております。
 9ページで、小規模輸血、今度はかなり小さい規模の施設のことです。ここの現状と課題を考えてみますと、まず、スタッフ数が少ないですよね。それから、検査機器が限られている。検査をほとんど手でやっているところもたくさんありますし、輸血の機会が少なく、輸血の経験自体が少ないです。小規模施設は、在宅医療の担い手です。ところが、在宅輸血までは手を出せないところが、たくさんあるように聞いております。そもそも合同輸血療法委員会に、これらの小規模施設は参加していないのです。ほとんど大規模施設が参加して議論しているので、こういうところの実態も分からないし、手の回しようもないということがあります。
そこで、対策としてその下のほうに書いていますけれども、まず、在宅赤血球輸血ガイド、これは学会から出ているのですけれど、I&A認定基準をベースにして、これも小規模施設の先生が自ら、自分のところでどうしても必要だという愛媛版16基準というのを作成し、その基準が今現状どのぐらいできているのかを同じように調べました。さらに、そもそも合同輸血療法委員会に参加していないので、県医師会内に小規模施設の輸血を検討する委員会を設置したところです。
 10ページです。このチェックリストの16基準が、先生方が部会で選んだものです。時間の関係で詳細は省かせていただきまして、11ページに進みますけれども、これは未整備が多い項目で、1つは、そもそも輸血療法委員会がない、設置されていない所が、70%あります。それから、A、B、O血液型検査は、今2回実施して血液型を確定するというのが基本になっているのですが、やっていない所が54%。これは非常に大きい問題です。中・大規模とは全然違う話になっているわけです。
是非県の医師会と連携する必要があるということで、やはり合同輸血療法委員会に招くことは難しいので、12ページにありますように、愛媛県医師会の中に輸血療法委員会を立ち上げさせていただきました。これは、先ほど一番初めに三者代表会議を諮問機関に置くという、三者の機関の中で話をしまして、医師会のほうに置いてくださいとお願いをして、この会に出席していただいていた医師会長が、置きましょうということで、いろいろある医師会部会の中に輸血療法委員会ができたといういきさつがあります。ここに会合の写真が出ていますけれど、小規模施設の課題の解消、それから、在宅輸血の課題の普及、これも非常に大きなテーマで、実際に在宅輸血を実施している医師から講演をいただきまして、在宅輸血医療の担当の理事の方、県の保健福祉部の局長さんに御参加いただき、在宅輸血を愛媛県で考えていくことの端緒に今ついたところです。
 最後に以上の発表をまとめますけれども、1番として、医療機関が持つ製剤廃棄データと血液センターが持つ配送のデータを、突き合わせた2つのデータの解析によって、病院ごとに適正院内在庫数を検討した結果、今のところやっと廃棄率及び夜間配送率がともに低下してきているところにあるということです。
 2番目として、輸血体制の課題は、中規模病院では輸血部門の一元化、それから、輸血技師当直業務の支援、小規模施設では輸血療法委員会の設置、血液型検査の2回実施と分かりましたので、その解決に焦点を当てて進めていくということです。
 3番目は、小規模施設を含めた院内輸血体制の整備を図っていくためには、医療機関・赤十字血液センター・県医師会、三者が協同して地域輸血医療連携体制を構築していく必要があると思っているところです。以上で発表を終わらせていただきます。
○三谷座長 羽藤先生、ありがとうございました。愛媛県における院内体制の整備と地域医療連携の構築についてご発表いただきました。それでは、ただいまの御説明について御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。羽藤参考人、院内在庫の問題ですけれども、これまでの実績を病院ごとに見直しをして、適正な院内在庫を決められたというお話をされたのですが、基本的には日本人におけるA、B、O、ABの分布を考慮して、4対3対2対1にするという考えは、間違いですか。
○羽藤参考人 そのような対応をしたのは、あの病院だけですが、基本的には4対3対2対1で、患者さんがその割合でくるのでしょうね。それが、まず基本だと、そのとおりだと思います。
○三谷座長 ありがとうございます。ほかに何か御質問はおありですか。院内体制の整備を考える際に、I&Aの項目、17項目選定されたというお話をされていましたが、それは先生御自身が、リストを見て選ばれたのですか。
○羽藤参考人 いや、私はI&Aにかなり関わってきていますので、私が選ぶと専門的な意見になってしまうので、やはり自分たちでできる範囲はどれかということで、彼らにピックアップをしていただいた。私は、コメントはしましたけれど、選ぶのは、こちらから選んでどうですかではなくて、向こうから選んでいただくということにしました。
○三谷座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等おありですか。WEB参加の委員の先生方も、よろしいでしょうか。羽藤参考人、ありがとうございました。
 それでは、事務局においては、ただいまの御質問、御意見を参考に、引き続き合同輸血療法委員会の活性化に努めてください。
 最後に議題4.その他ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○源血液対策課長補佐 今回は特にございません。
○三谷座長 ありがとうございました。本日の議題は、以上となります。ほかに何か御意見等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局に議事進行を戻したいと思います。
○源血液対策課長補佐 三谷座長、ありがとうございました。次回の適正使用調査会の日程は、別途御連絡を差し上げます。これにて、血液事業部会、令和7年度第1回適正使用調査会を終了いたします。ありがとうございました。
(了)