- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会) >
- 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第236回議事録(2025年7月9日)
中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第236回議事録(2025年7月9日)
日時
場所
出席者
- 構成員等
-
- 城山英明部会長
- 笠木映里委員
- 本田文子委員
- 小塩隆士委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 奥田好秀委員
- 長島公之委員
- 江澤和彦委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 越後園子専門委員
- 荒川隆治専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 関係業界からの意見聴取について
議事
- 議事内容
○城山部会長
ただいまより、第236回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の出欠状況について御報告申し上げます。
本日は、全委員が御出席であります。
次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より御紹介いただければと思います。よろしくお願いします。
○林医療課長
事務局でございます。7月8日付の事務局の交代について、御報告をさせていただきます。
保険局の間保険局長でございます。
○間保険局長
間でございます。3年ぶりに保険局に戻ってまいりました。
今次改定が時代の要請に合ったものになるように力を尽くしてまいります。先生方各位の御指導、また、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○林医療課長
江浪大臣官房審議官でございます。
○江浪大臣官房審議官
江浪です。どうぞよろしくお願いします。
○林医療課長
矢田貝大臣官房審議官でございます。
○矢田貝大臣官房審議官
矢田貝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○林医療課長
巽大臣官房審議官でございます。
○巽大臣官房審議官
審議官の巽でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
荻原医療保険制度改革戦略官でございます。
○荻原医療保険制度改革戦略官
荻原です。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
吉田保険医療企画調査室長でございます。
○吉田保険医療企画調査室長
吉田です。よろしくお願いします。
○林医療課長
梅木医療技術評価推進室長です。
○梅木医療技術評価推進室長
梅木でございます。よろしくお願いいたします。
○林医療課長
以上でございます。
○城山部会長
カメラ撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退室)
○城山部会長
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は、関係業界からの意見聴取を行います。
関係団体として、日本製薬団体連合会、日本ジェネリック製薬協会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、再生医療イノベーションフォーラム、日本バイオシミラー協議会、日本バイオテク協議会、日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取するため「意見陳述者一覧」に記載の皆様に御出席いただいております。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。円滑な議事進行に御協力ください。
それでは、まず、日本製薬団体連合会、日本ジェネリック製薬協会、日本製薬工業協会よりお願いいたします。
○安川日本製薬団体連合会会長
おはようございます。
日本製薬団体連合会の会長を務めております、アステラス製薬の安川でございます。
本日は、令和8年度薬価制度改革に関する意見陳述の時間を賜り、誠にありがとうございます。
早速ではございますけれども、まず、私から今回の薬価制度改革に向けて製薬産業の置かれている環境等を踏まえ、少し大きな視点から意見を述べさせていただきます。
その後、日本ジェネリック製薬協会の川俣会長、日本製薬工業協会の宮柱会長をはじめ、出席の各団体より、より詳細な意見を述べさせていただきたいと思います。
それでは、次のスライドをお願いいたします。2ページ目です。
皆様御承知のとおり、昨今の地政学的なリスクの高まり、原材料費の高騰というものが医薬品の安定供給に大きく影響を及ぼしております。製薬産業のサプライチェーンにおいては、現状、原薬や原材料の調達を地政学的リスクの高い特定国に大きく依存しているケースもあり、有事の際には医薬品の供給問題のみにとどまらず、国家安全保障に関わる大きな問題となり得ます。日本の医療、国民の健康を守るといった観点からも、サプライチェーンの強靱化は急務です。
そのような中、製造拠点の日本への回帰、分散化や日本国内での製造体制の強化などが対策案として挙げられておりますけれども、これらの実施には多大な投資を必要とし、経済原理だけに任していては、対応は困難でございます。
これらも含め、製薬産業が直面している様々な課題には、薬事的要因と経済的要因がありますけれども、特に益影響が大きいのが薬価制度の根幹的な原因を持つ、経済的要因です。
したがって、この後述べるような薬価制度の改革を望みます。スライドの3ページ目をお願いします。
まず、医療上の必要性が高い基礎的な医薬品においては、安定供給の確保に加え、国家安全保障の観点からも、国内での生産体制の構築が可能になるよう、必要なコストや物価高騰等の影響を踏まえた、経済合理性のある薬価に維持・引上げがなされる仕組みを構築すべきです。
また、革新的な新薬においては、国民が革新的新薬にいち早くアクセスできる魅力的な市場となるよう、イノベーションの価値が適切に薬価に反映され、その薬価が維持される分かりやすい仕組みを構築すべきです。
以上を踏まえ、令和8年度の薬価制度改革は、製薬産業を国民の健康を支え続ける基盤産業として、また国の経済成長を牽引する基幹産業として育成するための産業政策の1つを捉え、検討していただきたいと思います。
次のスライドをお願いいたします。
令和8年度薬価制度改革における要望の全体像でございます。創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給確保、国民負担の軽減に資するためにも、革新的新薬、基礎的な医薬品、長期収載品、後発品といった医薬品の役割ごとのカテゴリーに対応した、国民にも分かりやすい薬価改定の仕組みの構築が必要です。
本日は時間にも限りがありますので、各ルールへの要望の詳細につきましては、この後の各団体からの陳述に加えて、別紙として提出しております、各加盟団体の意見を併せて御確認いただければ幸いです。
私からは以上でございます。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
続きまして、日本ジェネリック製薬協会の川俣でございます。本日は、陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
資料2のページ目を御覧ください。
令和7年度の薬価改定におきましては、不採算品再算定の臨時、特例的な適用に加えまして、最低薬価の引上げ、また、医薬品のカテゴリーごとの薬価改定など、医薬品業界全体を取り巻く状況を御配慮いただいたものと理解しております。
こちらのスライドは、不採算品再算定品目の供給状況の変化を示したものになります。限定出荷または供給停止の品目数は、2024年3月の579品目から2025年6月の段階では、382品目に減少はしております。今回の令和7年度の薬価改定により、さらに減少することを期待しています。
限定出荷、供給停止の理由は、需要増が最も多く、生産余力を今以上に確保することが課題であるということが確認されました。
3ページ目を御覧ください。
2020年の供給不安事象発生から、各企業において設備投資を行ってまいりました。今回立ち上げた「GE薬協産業構造あり方研究会」では、業界全体としての増産計画を客観的に把握する必要があると考えて、アンケート調査を実施しました。
その結果、GE薬協会員企業では、5年間で約2700億円の設備投資を行い、140億の追加供給が見込めることが分かりました。
資料の4ページ目を御覧ください。
研究会で試算しました需要予測と、先ほどの増産計画を加味した供給数量を並べたものでございます。
これにより、供給量が需要を上回るのは、2029年度であると試算されました。これまで各社は自社の予測により、設備投資計画を立案してまいりましたが、全体像が把握できず、自分たちの増産計画が足りているのか、過剰なのかを把握することができていませんでした。今回、初めて全体像の把握ができましたので、品目の「片寄せ」といった、既存設備でできる効率化による生産体制の強化に加えて、同時に設備投資計画の前倒しを検討するよう、会員企業へ文書で要請いたしました。早期に供給量が需要量を上回る体制となるよう取り組んでまいります。
資料の5ページ目を御覧ください。
我々GE薬協は、安定供給実現に向けて業界一丸となり推進してまいります。そのためにも、低薬価品目を中心とした薬価の下支えをいただくことが必要だと考えております。
薬価に対して製造コストが高い、特に低薬価品目は、物価上昇の影響を大きく受けています。後発医薬品の安定供給を確保する上で、持続可能な生産体制を構築していくことが重要ですが、増産のための設備投資等のコストを捻出するのが厳しい状況です。
安定供給を果たすための人員確保についても、従業員の賃金上昇が必須でありまして、医療上必要な低薬価品の薬価の引上げは、今後も重要と考えております。
供給量を増やし、供給不安の改善に努めている企業が、今後も継続して安定供給体制を強化していくため、市場での評価が適切に反映される制度となることを期待します。
私からの陳述は以上でございます。
○宮柱日本製薬工業協会会長
おはようございます。日本製薬工業協会の会長を務めます、宮柱と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料3を御覧ください。
まずは3団体、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、そして、欧州製薬団体連合会を代表しまして、2024年度薬価制度改革が企業の開発動向に与えた影響について御説明をさせていただきます。
本調査は、昨年10月に実施しました調査の継続として、制度改革後の実際の企業行動の変化を把握することを目的に行っております。
本日は、その中でも特に重要な変化について、6枚のスライドで御説明をさせていただきます。
2枚目を御覧ください。
まず、今回の調査概要です。本調査は、2024年度薬価制度改革が企業の開発戦略に与えた影響を把握するため、昨年10月の調査に続いて実施したものです。
前回調査では、制度改革を受けて、企業内での開発体制、プロセスの見直しが進んでいることを確認しました。
今回の調査では、そうした意向変化が実際の開発行動にどのように結びついているのかを明らかにすることを目的としております。
3枚目、よろしくお願いいたします。
こちらのスライドでは、前回と今回の調査で確認された主な変化をまとめております。
前回調査では、制度改革を受けて、国内での製品開発に対する社内の検討体制、プロセスの見直し、過去に開発を検討したが、事業性等の理由から開発の決定に至らなかった製品の開発の再検討などが行われていることが確認されました。また、既に製品の国内開発の決定にまで至った事例があることとの報告もございました。
右側、今回の調査ですが、さらに前進し、社内で開発の意思決定をしたばかりではなく、その後、PMDAと開発に関する具体的な相談を行ったり、あるいは既に治験を着手するなど、薬価制度改革を受けて、目に見える形で国内開発の活動が進められていることが明らかとなりました。
4枚目をお願いいたします。
このスライドは、開発検討から薬事承認までの流れをイメージでお示ししたものです。先ほど御説明しましたように今回の調査では、前回調査では確認されませんでした、下段にございますⅣ、Vに進んでおる事例が新たに報告されました。
Ⅳ、現段階にて治験着手までには至っていないが、治験内容等についてPMDAに相談をするステージにまで進んだものが27製品、また、Ⅴ、既に治験に着手の段階のものが16製品でございました。
24年の制度改革の内容を企業が前向きに受け止め、改革から1年あまりの間にドラッグ・ラグ/ロス解消に向けて、目に見える具体的な開発活動が進んでおることが確認されました。
これらは、イノベーションを評価する姿勢を示した制度改革が、日本国内での企業の開発の判断、活動にポジティブな影響を与えたものを裏づける重要な情報と捉えております。
5ページ目、お願いいたします。
ここから先は、回答があった具体的事例を御紹介しております。こちらは、前回調査について昨年12月の中医協で報告した資料の再掲となります。時間の関係上、詳細は割愛させていただきます。
6ページ目、お願いいたします。
このページでは、今回の調査で確認された変化の具体的事例のうち、先ほど申し上げたⅣとVの事例の要旨を抜粋してお示ししております。
スライドの左側が、現時点までにPMDAとの相談にまで至っている事例、右側が治験に着手した事例でございます。
詳細には触れませんが、日本での開発・申請時期の前倒し、小児適応の新規開発あるいは新たな成分、適応症の開発など、制度改革が我が国におけるドラッグ・ラグ/ロスの解消につながる変化をもたらしていることが、今回明らかになったものと考えております。
私どもは、今後も薬価制度改革が開発に与える影響について把握を行い、患者さんに必要な医薬品が確実に届く環境づくりにつながるよう、建設的な議論を重ねてまいりたいと存じます。
続きまして、資料4をお願いいたします。
引き続き、製薬協から2026年度に向けての薬価制度に関する考えをお示しいたします。
2枚目をお願いいたします。
まず、初めにドラッグ・ラグ/ロスの解消に向けた製薬協の取組について御紹介します。
左側にお示ししていますのが、国内未承認薬の検討状況です。
グループAの14品目のうち、開発公募品5品目中2品目で企業からの手挙げが行われており、着実に前進しております。
右側は、製薬協として具体的な取組を記載しております。未承認薬の開発促進に向けて、会員企業との情報交換や国との調整を行っており、さらに、海外企業への国内開発の呼びかけ、情報提供、未承認薬の動向調査への協力など、様々な角度からドラッグ・ラグ/ロスの改善に取り組んでおります。
3枚目をお願いします。
社会保障関係費の枠組みの見直しについてです。これまで医療費の自然増が高齢化によるものとして抑制されてきましたが、昨今の経済・物価動向を踏まえた安定的な財源確保が求められております。
過去10年における国内医薬品市場の成長率は名目GDPを下回っており、厳しい状況が続いております。
今回、骨太2025にて社会保障関係費について、経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算すると明記されており、薬剤費も含めた来年度の予算の在り方について御検討いただきたいと考えております。
4枚目をお願いします。
ここからは、2026年度薬価制度改革に向けた提案について御説明します。
1点目は、収載時における革新的新薬の価値評価の見直しです。革新的新薬は類似品が存在せず、原価計算方式で薬価が算定されることもございます。その結果、本来の価値が十分に反映されていないケースが見られます。そのような場合、疾患特性や製剤特性などを総合的に踏まえた柔軟な類似薬の選定を提案いたします。
これにより、革新的新薬が、その価値に見合った適切な評価を受けることが可能になり、日本での導入、そして、上市がより迅速に進む可能性が高まると考えております。
5枚目をお願いいたします。
2点目は、特許期間中の薬価維持の仕組みの見直しです。現在は、新薬創出等加算品について、実勢価格改定による引下げ分を加算することで薬価を維持しておりますが、もとより引下げのない薬価維持の仕組みへ、つまり、予見性が高く、シンプルな制度への転換を提案します。
3点目は、市場拡大再算定制度の見直しです。この制度は、薬価の予見性を大きく損なう要因であり、企業の効能追加や開発意欲を低下させる要因となっております。中長期的には、本制度の見直しの議論が必須と考えておりますが、2026年度では、特例拡大再算定と、共連れルールの廃止を提案いたします。
特例再算定は、年間販売額と市場規模拡大率のみに基づいて薬価を引き下げる仕組みであり、制度の整合性に欠けておると考えております。
また、共連れルールは、他社品の売上など外的要因によって、薬価が引き下げられるものであり、個別評価を原則とする日本の薬価制度にはそぐわないと考えております。
6枚目をお願いします。
こちらは、私たち製薬協が考えている今後の薬価制度改革の全体像となります。私たちは、予見性の高いシンプルな薬価制度の構築を目指しており、26年度は現行制度をベースとした改善を行いつつ、28年度、抜本的な制度改革に向けて、今後さらなる議論を行っていきたいと考えております。
最後のスライドをお願いします。
革新的新薬の研究開発には、長期かつ高額な投資が必要となります。新薬開発型企業として投資サイクルを持続させるには、安定した収益基盤が不可欠であり、そのために適切な価値評価と予見性の高い薬価制度が重要となります。現在の日本の制度では、革新的新薬でも薬価が引き下げられ、予見性が低いと言わざるを得ず、日本への研究開発投資が損なわれかねない状況にございます。
24年度薬価制度改革で示されたイノベーション評価のモメンタムを継続し、予見性の高い制度設計を進めることで、患者さんが革新的な医薬品に安定的かつ迅速にアクセスできる環境をともに実現してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、米国研究製薬工業会となりますけれども、本日のプレゼンテーションは逐次通訳で行っていただきます。よろしくお願いいたします。
○シモーネ・トムセン米国研究製薬工業協会 在日執行委員会委員長
シモーネ・トムセンと申します。PhRMAを代表してまいりました。PhRMA在日執行委員会の委員長を務めております。本日は、陳述の機会をいただきまして、ありがとうございました。
早速ですが、資料の2ページから説明してまいりたいと思います。
まず、始めに中医協委員の皆様には、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けた薬価制度改革の議論を続けていただいていることを改めて感謝を申し上げます。
先ほど、日本製薬工業協会から御説明がありましたように、調査結果の報告に示されたように、PhRMAの会員企業においてもドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けた取組が進められています。そして、これは、比較的短い期間で2024年の薬価制度改革がもたらした大きな成果でありまして、日本での新薬開発を活性化し、国内の患者さんに革新的な新薬を遅れることなくお届けするため、こうした前向きな改革を、今後さらに前向きに加速させていくことが極めて重要であると私どもも考えております。
一方、私どもの最近の調査では、日本国内でPhRMAに加盟する企業の約半数において、グローバル本社が今年、2025年の中間年改定の実施を2024年の薬価制度改革の動きと逆行するものと受け止めています。日本市場への投資や、新薬開発の優先度の評価にマイナスの影響が生じる可能性が出ていると回答がありました。
そのため、私からは、2026年度の制度改革において、再び前向きな方向で改革の議論を進めていただくことが大変重要であるということをお伝え申し上げたいと思います。
その一方で、米国で新たに提案されている施策が、日本で新薬を上市する際の新たなリスクとなってきており、我々も大きな懸念を抱えております。
この資料の右側を御覧ください。
今年5月に米国のトランプ大統領は、日本などの先進国との薬価の価格差に対応するための大統領令に署名をしました。最恵国待遇薬価と呼ばれるものであります。
日本は、収載時の薬価が欧米より低くなる場合がある上、特許期間中でも様々なルールにより薬価が引き下げられるため、もし、仮にこの米国での最恵国待遇薬価が実現、導入された場合、日本が参照国となり、日本の薬価を基準に米国内の価格が決定される可能性がございます。
医薬品の最大市場である米国に日本の価格が波及することの影響を考えますと、この制度が日本での新薬の上市の障壁となってくることは明らかで、企業が日本での新薬の上市に慎重にならざるを得ない動きが広がることが懸念されます。
制度の詳細は現時点では明らかになっていないものの、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの拡大につながる、こうした喫緊のリスクも踏まえ、日本における革新的新薬の評価についての検討、特に新薬の薬価算定及び特許期間中の薬価維持に関わる諸ルールの見直しに関する議論を、2026年の薬価制度改革にて、ぜひとも進めていただきたいと考えております。
私どもからの具体的提案につきまして、資料3ページをご覧ください。時間の関係上、ここでは概略のみを申し述べます。まず初めに、私たちは、日本では特許期間中のも薬価が下がることが課題だと考えています。
少し飛ばしますが、先ほどの話とも関わっておりますが、日本では特許期間中であっても様々な制度により薬価が引き下げられて、海外との価格差が時間の経過とともに拡大していきます。
薬価維持の対象である新薬創出等加算品目であっても、費用対効果評価制度や、市場拡大再算定により引下げの対象になり得ますし、特許期間中の新薬の約半数を占める新薬創出等加算の対象外の品目が、中間年改定を含む毎年改定による薬価引下げの対象となり得るわけであります。
こうした問題を解決して国内での新薬開発を加速させる観点から、特許期間中の製品の薬価維持が重要であり、中間年改定を廃止すべきと私たちは考えております。
そして、以前から御提案申し上げておりますように、市場拡大再算定ルールの見直しが必要不可欠と考えています。また、市販後に価値が明らかになった薬剤の価値を価格に反映する仕組みの拡充をお願いいたします。
もう一つの課題は、この左下にありますように、薬剤の価値が必ずしも価格に反映されないことがあることです。こうした問題を解決するためにも、新薬の算定ルールの見直し、特に、新しいモダリティーといったものの算定ルールの見直しも進めていただけますようお願いいたします。
私どもの説明の背景と内容につきましては、詳細が、この添付資料にまとめてありますので、ぜひ御覧いただきたいと思います。
これで私の意見は以上となります。ありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、欧州製薬団体連合会より、お願いいたします。
○岩屋欧州製薬団体連合会会長
おはようございます。欧州製薬団体連合会会長の岩屋です。
本日は、このような発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
私からは、2024年度の薬価制度改革の結果を踏まえつつ、革新的な医薬品を日本の患者により早く届ける環境の充実に向けて、EFPIAとしての考えを述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次のページをお願いします。
こちらが、EFPIAとして薬価制度に望みます要素をお示ししております。いずれも従前よりお伝えしている点でございますので、今日は割愛させていただきます。
次のページをお願いします。
ここから2枚のスライドにおきまして、前回2024年度薬価制度改革につきまして、新規収載時と薬価収載後に分けて考え方をお伝えしたいと思います。
2024年度の薬価制度改革におきましては、全体として新薬開発に向けて多岐にわたり前向きな改革を行っていただいたと考えております。
具体的には、資料の右側に記載したとおりでございますが、新規収載時の薬価算定におきまして、迅速導入加算を導入する、収載後の外国平均価格調整における引上げを実施する、有用性評価を充実させるなど、我々の問題意識、課題意識も十分に酌んでいただいた上で、ルールの見直しを実施していただきました。
先ほど、3団体におけます調査につきまして御報告をさせていただきましたが、EFPIA JAPANの会員企業におきましても、この制度改革というのを前向きに捉えて、グローバルの本社とも協議をしつつ、開発をより加速しているといった報告が多数上がっております。
2024年4月以降に薬価収載されました新薬におきましても、新たなルールとその運用のもとでイノベーションの評価が行われております。
次のページをお願いします。
続きまして、薬価収載後の薬価改定につきましてですが、2024年度の薬価制度改革におきまして、新薬創出等加算の企業区分による加算係数の廃止あるいは対象品目の追加を実施いただきました。これらは、新薬創出等加算適用品目の特許期間中における薬価の予見性確保に貢献しております。
次のページをお願いします。
今後の薬価制度の見直しに向けましては、以下の点について御検討いただきたいと考えております。
まずは、特許期間中の新薬の薬価を維持することができる仕組みを考えていただきたいと考えております。
市場拡大再算定、あるいは議論の場は異なりますが、費用対効果評価など、革新的な医薬品でありましても、薬価が下がる仕組みというのが複数存在しております。薬価収載後の薬価を安定させることが、次の新薬の開発に向けた投資を後押しするものと考えております。
また、市場拡大再算定につきましては、開発促進に取り組んでおります希少疾病あるいは小児の効能といったものを追加した場合には、この対象から除外していただきたいと考えております。
また、類似品につきましては、2024年度の薬価制度改革におきまして一部除外の見直しというものが行われておりますが、やはり予見性を毀損している実態を踏まえまして、さらなる廃止に向けて議論をしていただきたいと考えております。
2024年度の薬価制度改革におきまして、イノベーションの適切な評価に向けて多岐にわたる薬価上の措置を実施していただいたことは、グローバルの本社に対しても非常に前向きなメッセージであったと考えております。
御存じのとおり、医薬品の開発は非常に長期にわたりますので、こうした前向きなメッセージを継続していただくことが、日本の患者、日本市場に向けて、迅速かつ継続的に革新的な医薬品を届ける、そういう環境づくりにつながっていくと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、再生医療イノベーションフォーラムよりお願いいたします。
○廣瀬再生医療イノベーションフォーラム副会長
おはようございます。再生医療イノベーションフォーラム理事副会長、ノバルティスファーマの廣瀬でございます。
再生医療イノベーションフォーラムは、190を超えます企業、この中には製薬企業だけではなくて、培地、培養機器でありますとか、運送とか、幅広い産業の方々が参加していただいているとともに、個人でも一緒に取り組んでいただいておりまして、再生医療等製品の進歩、発展、普及に取り組んでおります。
本日は、このような意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
次のページをお願いします。
このページには、我々の価格算定に対する意見をまとめさせていただきました。
第1には、再生医療等製品の特徴並びに特徴を踏まえた新たな価格制度について、検討を始めていただきたいと考えます。
第2に、暫定的な対応といたしまして、再生医療等製品のための現行算定方式の改善をお願いしたいと思います。
第3に、早期患者アクセスを守るためにも、条件及び期限つき承認された再生医療等製品の公的医療保険適用の継続をお願いしたいと思います。
次のスライドをお願いします。
このスライドには、日本において承認されました再生医療等製品の数を示しております。最初に2007年に製品が承認されて以降、その数は非常に増えておりまして、特に、2020年以降、数が増えております。
今年の6月時点で20品目となっておりまして、さらに今後は、日本で発見されましたiPSを使いましたiPS細胞製品等、新たな再生医療等製品の承認が想定されております。
次のスライドをお願いします。
こちらには再生医療等製品の特徴、ベネフィットについてまとめております。既に知られておりますけれども、真ん中にありますのは、白血病患者さんについて、既にほかの治療法がないような患者さんの細胞を取り出しまして、B細胞を攻撃する、がん細胞を攻撃する遺伝子を導入して、患者さんに戻すという個別医療、CAR-T細胞療法ですけれども、最初にこの治療を受けられましたミリーさんは、既に10年以上生存していることが確認されています。
一番下には遺伝子治療の例を示しましたが、先天性の疾患で、体の運動機能が徐々に失われていくような脊髄性筋萎縮症という疾患につきましても、必要となる遺伝子を外部から補充して、持続的に発現されることで、その体の運動機能が維持、向上していくということが分かっております。
このように有効な治療法がない、もしくは限られている患者さんへの新たな治療法の提供、また、少ない投与回数、今回2つ示しましたが、この場合は1回投与ですけれども、持続的な有効性を示し、患者さん、御家族の負担軽減が期待され、これは一般的な医薬品の場合、継続投与が必要ですので、繰り返し投与するための負担であるとか、経済的なコストを考えますと、1回の治療は、経済的にもメリットがあるという考え方もできるかと思います。
次のスライドをお願いします。
こちらには、再生医療等製品と既存の医薬品の違いを、研究開発段階から製造、流通、投与までまとめてみました。詳しい説明は省きますが、研究開発から投与に至るまで、既存医薬品とは異なる知的財産、人材、コスト、原材料や専用設備が必要、さらに、大量生産ができず、スケールメリットを得にくいということがあります。
また、対象となる患者さんが希少疾患のために、患者数が少なくて、多額な投資に対して収益の回収が限定的であるということも特徴に挙げられます。
次のスライドをお願いします。
これらをまとめまして、再生医療イノベーションフォーラムといたしましては、第1に、これらの再生医療等製品の特徴並びに特徴を踏まえた新たな価格制度を制定するための検討を始めていただきたいと思います。
第2に、暫定的な対応といたしまして、現在の算定方式の中で、算定方式並びに有用性加算等の改善と、市場拡大再算定の対象からの除外を検討していただきたいと考えます。
第3に、早期の患者のアクセスのために、条件及び期限つき承認された再生医療等製品の公的医療保険適用の継続をお願いしたいと思います。
再生医療等製品の場合、患者さんの数に限りがあるとか、臨床試験の実施に時間がかかるといった制限がありますので、安全性が確認されまして、有効性がある程度示唆された段階で、薬を待っている、治療を待っている患者さんに再生医療等製品を届けるということは、非常に意味があることであると考えておりますので、そのために、条件及び期限つき承認について、今後も継続をお願いしたいと思います。
今後も患者アクセスと新規モダリティーのイノベーション評価を踏まえました検討をよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、日本バイオシミラー協議会よりお願いいたします
○島田日本バイオシミラー協議会会長
日本バイオシミラー協議会で会長を務めさせていただいております、日本化薬の島田でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、発表させていただきます。
次をお願いします。
まず、バイオシミラーの意義と役割を申し上げます。
まず1つ目は、医療費の適正化への貢献です。
2つ目として、患者負担減によるバイオ医薬品へのアクセスの向上。
3つ目として、複数ソース化による安定供給、安全保障上のリスクの低減の3点でございます。
次をお願いいたします。
次に、バイオシミラーの現在の状況を申し上げます。
国の施策をいただき、また、医療関係者の皆様の御理解も進み、品目によるばらつきがございますが、普及は進んでおります。
また、医療費適正化効果額も2023年度は、16成分で911億円でございました。
次をお願いいたします。
政府の取組を申し上げます。骨太の方針2025では、国内生産体制の整備、使用推進が記載されております。また、厚生労働省によるバイオ後続品の使用促進のための取組方針の策定、バイオ後続品の国内製造施設整備のための支援事業により使用促進、国内製造の推進を進めていただいている状況でございます。
次をお願いいたします。
当協議会は、骨太の方針の御方針を踏まえて、バイオシミラーの開発・使用、国内生産体制の構築を進めていきたいと考えております。
しかし、これらを進めるには、バイオシミラーの事業予見性の観点から解決していただきたい課題が2つございます。
1つ目の課題は、薬価収載後の薬価制度、流通が低分子後発医薬品と同じ扱いであることでございます。バイオシミラーは、低分子後発医薬品に対して開発コスト、製造コストが高額であるにもかかわらず、後発薬品と同じように流通取引がなされ、薬価の改定が行われてしまう点です。
2つ目の課題は、バイオAGの存在についてでございます。
バイオAGとは、先行品と同一成分の製品で、先行品の子会社等がライセンスを受けて先行品と同じバイオ医薬品を後発品として販売するものでございます。
成分が同等同質のバイオシミラーと比較して、バイオAGは成分が同一であることから市場で非常に大きな影響がございます。
次をお願いいたします。
これらの課題を踏まえて要望させていただきたいと思います。
まず、薬価収載後の薬価流通の取扱いが低分子後発品と同じという課題についてですが、要望としましては、バイオシミラーを薬価制度、流通で低分子後発医薬品とは別のカテゴリーで扱っていただきたいということです。
別カテゴリーとしていただき、その上で3つの細目を要望させていただきます。
1つ目は、薬価改定時の製品ごとの個別評価。
2つ目は、薬価交渉での別枠としての単品単価交渉。
3つ目は、不採算品再算定での銘柄別評価でございます。
要望の2つ目ですが、バイオAGと市場で競争できる薬価制度としていただきたいということです。
低分子AGと比較しましてバイオAGの存在は影響が大きく、非常に厳しいビジネス環境となってしまいます。
ここで事例を申し上げます。
事例1としまして、2019年にバイオAGが発売されたときの状況ですが、数か月で市場シェアのほとんどをバイオAGが獲得してしまい、その後、発売されたバイオシミラーが参入する余地がほとんどなくなってしまいました。
事例2ですが、バイオAGが承認されている上で、薬価収載をせずにいることで、バイオシミラーの薬価収載を躊躇させている事例もございます。
このような事例により、バイオシミラーの事業予見性が困難となり、投資を躊躇せざるを得ない状況の存在が御理解いただけるものと思います。
また、このような状況は、バイオシミラーの参入を妨げ、医療費適正化に大きな影響が出てくるものと考えております。
最後にまとめでございますが、今後、国の方針に則り、バイオシミラーの開発、国内製造及び安定供給を進めていく所存ですが、その前提となる事業予見性の改善のために、1つ目としてバイオシミラーを別カテゴリーで扱っていただきたいこと。
2つ目として、バイオAGがあっても市場での競争ができるような制度の実現の2点を今回要望させていただきたく思います。
以上、バイオシミラー協議会からの発表を終わらせていきます。
以上です。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、日本バイオテク協議会よりお願いいたします。
○森日本バイオテク協議会会長
日本バイオテク協議会会長の森でございます。
本日は、このような意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
それでは、意見を述べさせていただきます。
2ページを御覧ください。
弊協議会は、2009年に設立されたバイオベンチャー企業の業界団体でございます。正会員38社、賛助会員は4社であり、会員企業は開発要請・公募品目、難病用薬、希少疾病用薬等の開発を通じて、患者様の治療に貢献しております。
3ページを御覧ください。
弊協議会会員の7割は創薬ベンチャー企業であり、大手製薬企業が手がけない市場規模の小さな難病・希少疾病用薬を開発することが多くございます。
会員企業の最近の薬価収載品目は、資料の8ページを御覧ください。
また、開発においては、医師主導治験も積極的に用いながら、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、アンメット・メディカル・ニーズの社会実装に貢献しております。
4ページを御覧ください。
創薬ベンチャーの薬価算定における具体的な課題として、4点を提示いたします。
まずは、医師主導治験を用いた開発につきまして、資料の10ページにお示ししましたとおり、実際には、企業が負担する業務は相当程度大きいものでありますが、補正加算の評価において、医師主導治験というだけで加算対象から外されてしまう場合がございます。
続いて、原価計算方式において、製品総原価を開示することは、薬価収載を希望する製造販売企業の務めと認識しており、開示度を上げる努力をしております。
しかしながら、ベンチャー企業は、原薬・製剤を自前で製造せず、他の独立企業から購入するケースも多くあります。その場合、製造販売企業の努力だけでは、製造原価の開示が難しい部分もあるのが実情でございます。
続きまして、5ページを御覧ください。
ドラッグリポジショニング等、製造原価の安い医薬品で新たな領域の治療薬を開発する場合、原価計算方式の一般管理販売費率上限により、開発に要する経費の全てを薬価に反映できず、投資を回収できるだけの薬価水準を得ることができないケースがございます。
最後に、ベンチャー企業は大手企業が手がけない患者数の非常に少ない領域で、いわゆるウルトラオーファン薬の開発を行っておりますが、現行の薬価算定ルールでは、その開発に見合う十分なインセンティブを得ることができないと考えております。
6ページを御覧ください。
以上の課題を踏まえ、弊協議会は、創薬ベンチャーによる難病・希少疾病用薬の開発を促進するべく、次の4点を提案させていただきます。
1点目、医師主導治験により開発された医薬品においても、補正加算の要件を満たす場合は、加算対象と認めていただきたいと考えております。
2点目、原価計算方式において申請企業の努力だけではどうにもならない開示度の低さだけで、高い革新性を評価されず、加算率をゼロとされてしまう現行の運用をぜひ見直していただきたいと考えております。
3点目、希少疾病用医薬品指定を受けた低分子医薬品の場合、一般管理販売費率に上限を設けず、開発に要した経費を適切に薬価に反映していただけるようにお願いいたします。
4点目、大手企業が開発を手がけないような患者数が特に少ないウルトラオーファン薬に対する開発意欲が湧く薬価算定上の評価を、ぜひ御検討いただきたいと考えます。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、日本医薬品卸売業連合会より、お願いいたします。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
皆様、おはようございます。日本医薬品卸売業連合会会長の宮田でございます。
本日は、意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
これより、当連合会の意見を申し述べます。1ページを御覧ください。
6月に閣議決定された骨太の方針2025では、医薬品の安定供給に向け、取り巻く環境の変化を踏まえた、持続可能な流通の仕組みの検討を図ることが示されています。
本日は、医薬品卸の役割や取り巻く環境などを御説明した上で、持続可能な医薬品の流通への意見を申し述べます。
2ページを御覧ください。
医療用医薬品の流通における医薬品卸の役割と価値についてであります。
ここでは、医薬品卸が高額な新薬から安価な後発品まで幅広く取り扱うことにより、社会コストが軽減され、医療用医薬品の流通が保たれていることを示しています。
仮に、医薬品卸が介在しない場合では、製薬企業や医療機関、保険薬局に係る追加コストは、年間で約1.5兆円と試算されています。
この試算の中には、配送費用、在庫管理費用等が含まれておりますが、返品や頻回な価格交渉、自然災害への対応など、イレギュラーなコストは含まれておりません。こうした社会コストを医薬品卸が吸収し、効率のよい流通が保たれていることをぜひ御理解いただきたいと思います。
3ページを御覧ください。
次に、医療用医薬品市場の構造についてであります。後発品と長期収載品は、取扱金額が全体の22%を占めております。
その一方で、品目数では58%、物量割合では63%を占めている状況であります。徐々に改善傾向にはあるものの、約20%の後発医薬品は、いまだ限定出荷であり、流通現場の負担は解消されておりません。
このような市場構造、流通状況の中にあっても、医薬品卸は、医療機関、保険薬局の求めに応じ、低薬価品であっても安定供給に努めております。
4ページを御覧ください。
続いて、医療用医薬品の仕入原価の上昇についてであります。
毎年の薬価改定に加え、病院を中心とする医療機関の経営が厳しい中、全てのカテゴリーで製薬企業からの仕入原価が上昇しています。
特に後発品や長期収載品は、その上昇傾向が強く、薬価も低いため、流通コストを賄える状況にはありません。
後発品の仕切価上昇の背景には、製造コスト上昇の関係もあるわけでございますが、それ以外に、後発品企業評価指標における薬価の乖離状況による影響があるものと推察をしております。
5ページを御覧ください。
ここでは、その他の環境要因について御説明いたします。
物価高騰や人件費の上昇については、価格転嫁が難しい中、業務効率化に取り組むことでぎりぎりの対応をしている状況であります。人材確保が厳しい状況や、出荷調整への対応をせざるを得ない状況は大きく変わっておりません。
こうした中でも、毎年の薬価改定により、薬価は下落しております。大変厳しい環境のもとで医薬品卸が日々流通を支えていることを御理解ください。
6ページを御覧ください。
最後に、持続可能な医薬品の流通への意見を申し述べます。
後発品と長期収載品については、物量割合で60%以上を占める市場構成となっております。これらは仕入原価の上昇傾向が強く、薬価も低いため、流通コストを賄える状況にはありません。薬価下落を前提とした薬価制度のもとで、物価高騰など、社会経済の変化に流通当事者の自助努力だけでは対応できません。こうした現状認識を踏まえ、意見を申し述べます。
持続的な医薬品の安定供給のため、流通不採算にならないとともに、物価上昇等に伴うコスト増加を適切に価格転嫁できる仕組みを検討いただきたい。
そして、医薬品の安定供給に支障を及ぼす中間年の薬価改定については、廃止いただきたい。
以上をもって、当連合会の意見陳述といたします。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
これで一通りの御説明をいただきましたので、これよりも質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
なお、質問は日本語でお願いできればと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
では、長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございます。
次期改定に向けた各団体からの御意見、ありがとうございました。これまでの御意見を踏襲した一貫性の強いものが多いように受け止めました。
さて、前回の薬価改定、そして、中間年改定において、医薬品の安定供給やイノベーションを理由として業界が要望され、それを踏まえて、一定の評価がなされました。
その結果、現在までに、安定供給やイノベーションに対してどのように対応してきて、どのような状況になっているのか、先ほどの御意見の中でも一定程度含まれておりましたけれども、改めて、業界の立場として整理して教えてください。
その際、薬価専門部会でありますので、薬価の評価による効果との関係を明確にするとともに、公的医療保険制度の一部である薬価に基づく対応と、産業政策など薬価以外の方法に基づく対応は、きちんと切り分けた上で教えていただきたいと思います。
もう一点質問いたします。資料薬-7、再生医療等製品の価格算定に対する意見の③に、「早期患者アクセスのために、条件及び期限付承認された再生医療等製品の公的医療保険適用の継続」とあります。この継続の大前提となるのが、条件及び期限つき承認制度の信頼であります。この信頼が揺らぐような事象も最近起こっておりますが、業界として、この継続の前提となる信頼を保つために、どのような取組をなされているのか教えてください。
私からは以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
今、2点御質問をいただきましたけれども、最初のほうの状況整理と何で対応するかということですけれども、いかがでしょうか。
では、安川様、よろしいでしょうか。
○安川日本製薬団体連合会会長
宮柱会長から現行我々が持っているデータについては、御説明させていただきました。
また、御要望は承りまして、また、我々は調査を続けていきたいと思います。それは、お約束いたします。
途中で、薬価が改定されて条件はよくなったわけですけれども、過去において、既にドラッグ・ロス/ラグになっている品目はかなりありまして、過去にそうなってしまったものについては、特許切れがもう間近に迫っているものもございます。そういうものについては、これからフェーズ3つ試験をまたやって、再度申請というのをやっていると、本当に企業としては、特許期間で投資を回収できる期間が大変短くなっている品目も多数ございますので、今後調査を続けましても、そういう過去において、ドラッグ・ロス/ラグになっているものについての改善というものは見られないかもしれません。そういう予測は、今、申し上げられると思います。
また、調査を続けまして、データを開示できるように努めてまいります。
○城山部会長
まず、1点目ですが、よろしいでしょうか。
○長島委員
ぜひ、よろしくお願いいたします。
○城山部会長
2点目は、再生医療に関して。
○安川日本製薬団体連合会会長
少々お待ちください、1点目は、製薬協からも。
○城山部会長
では、引き続き、宮柱会長、よろしくお願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
すみません、安川会長のほうからもありましたが、先ほど私のプレゼンテーションで御紹介したとおりが、前向きな24年度の、特に薬価制度改革のところは、企業としても各団体、前向きに捉えておりますし、今回、データとしてお示しできたところは、非常に私どももポジティブに、そして、うれしく思います。
ここに関して言うと、やはり、安川会長がおっしゃったとおり、今後のドラッグ・ラグ/ロスをさらに拡大させないというところも非常に重要と考えていますので、その辺りは、数年かけて効果を見ていくべきだと考えております。
また、イノベーションの評価というところでの御質問があったかと思いますが、特にこの24年度の薬価制度改革において、その開発決定に結びついたものとして、我々が把握している限りではございますが、やはり前向きに取られて開発決定に至った事例としては、特に迅速導入加算であったり、小児加算、ここでの拡充が多かったと感じております。
これは、先ほど申し上げたとおり、ドラッグ・ラグ/ロスの問題にも大きく関わってくるところでございますし、また、アンメット・メディカル・ニーズの高い小児のところに企業が投資、そして、開発を検討する前向きな動きになっていると感じております。
以上でございます。
○城山部会長
長島委員、今の点、何か追加的にございますでしょうか。
○長島委員
もし、ほかの団体からも御回答があるようでしたら、それを踏まえて最後に、もう一度コメントをさせてください。
○城山部会長
それでは、シモーネ様ですかね。
○シモーネ・トムセン米国研究製薬工業協会 在日執行委員会委員長
一言申し上げてよろしいでしょうか。
まず、本当に明らかなトレンドが見られておりますのは、このように加算の基準が改善したことにより、製薬企業インセンティブが与えられて、この開発を進めようと意欲的になったわけであります。
特に2024会計年度に薬価における改善が見られたということで、3分の2の私どもの会員企業は、新たな開発を開始しようということを決めました。
開発サイクルというのは非常に長年かかるわけですが、この1年だけでも少しずつ良い傾向が見られたということは、大きな達成だと思います。
本当に、例えば、今までの開発をさらに迅速化する、それから迅速に申請をする、そして、新規に開発を着手する、これは特に小児科分野ですが、そういったところが重要だったと思います。
2024年度改革におきまして、皆様がよい決定をくだしていただいたおかげで、新しい開発が進んでいくということにつきまして、前向きの兆候が見られたということで御礼申し上げます。
○城山部会長
ほかの方々、いかがでしょうか。
では、川俣様、よろしくお願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
安定供給についてですが、令和6年度の不採算品再算定において、一定程度の対応をいただいたことについては、非常にありがたく思っております。資料「薬-2」の2ページ目にありますように、不採算品再算定適用品目の限定出荷/供給停止品目数は579品目から、382に縮小しているということは、それなりのインセンティブになったと考えております。
また、令和7年度の薬価改定におきまして、非常に大きな下支えをいただいたため、まだ3か月しか経過しておりませんが、これがさらに加速して、限定出荷品目が減少することを期待しております。
我々としても不採算を理由に増産しないというつもりはありませんが、このような形での下支えに対して、対応できるように取り組んでまいります。ありがとうございます。
○城山部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか、よろしいですか。
そうしましたら、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員
御回答ありがとうございました。
以前にも繰り返し申し上げておりますけれども、貴重な医療財源を投入する以上、これまで行った薬価上の評価が具体的にどのような現象に結びついているか、これをやはり明らかにしていただかないと、次の評価はできないと考えておりますので、ぜひ資料の提供をよろしくお願いいたします。
○城山部会長
それでは、長島委員からお話があった2点目ですけれども、再生医療の点につきまして、いかがでしょうか。
○廣瀬再生医療イノベーションフォーラム副会長
質問をありがとうございます。
私ども再生医療イノベーションフォーラムといたしましては、我々に、ここについてどういうことができるかということを検討しております。
まず、最初に昨年2つの製品が本承認に至らなかったことは、大変残念だと思っておりますとともに、実臨床において臨床的なエンドポイントを検証することの難しさをひしひしと感じております。
あくまでも、本承認を目指すという立場に立ったときに、どういう評価を、どのようにしていったらいいのかということが大切になると考えております。
昨年3月に提出されましたガイダンスや、評価指標を参考といたしまして、PMDAとの協議や相談による製造販売後の承認条件評価計画の策定、それが重要であると認識をしておりますので、業界内でそういった意識の浸透を図ってまいります。
また、2つの製品のうち1社は、FIRM参加企業であります。今後に生かすためにも、どういうデザインで、どういう結果が出て、どこに改善点があるのかといった、いわゆるレッスンラーンドを既に取り組んでおります。
今後は、行政とも意見交換をさせていただいておりまして、よりよい制度に向けた課題の抽出や改善点などにも取り組んでいく所存です。
我々としてもよい制度が維持できるように、業界団体としてできることは取り組んでいきたいと思いますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
○城山部会長
長島委員。
○長島委員
ありがとうございます。
早期患者アクセスという意味で極めて重要な制度でありますが、やはり期待した患者さんの願いを決して裏切らないように、業界としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いします。
○森委員
ありがとうございます。
まずは、各団体におかれまして御説明いただき、ありがとうございました。
その上で質問をさせていただきたいと思います。幾つかありますので、時間が長くなります。
まず、日本製薬団体連合会に対しての質問となります。
必要な医薬品を国内で賄う体制を整えていることは、経済安全保障の観点からも重要であり、そのためには、原薬の確保、国内での生産体制の構築と強化が必要と考えますけれども、業界として、まず、中長期的な視点での課題、要望等があれば教えていただきたいと思っております。
また、薬価収載されているのが、現在、約1万7000品目ありますけれども、必要とする患者さんがいる限り、生産を続けることは必要かと思います。ただ、一定の役割を終えた医薬品、生産が少量で代替が利く医薬品については、学会等の意見を聞いた上で、成分整理も考えていくべきではないかと思っております。
成分整理をすることで、製薬企業、医薬品卸、医療機関、薬局の負担軽減がされ、サプライチェーン全体の機能強化、結果として国民への医薬品アクセス強化につながるのではないかと考えております。
医療保険制度の持続可能性が問題となっている中で、限られた医療資源を効率的に活用する観点から、業界から成分整理についての御見解をいただきたいと考えます。
その際、重要なことですけれども、整理された成分の情報が失われてしまうことを防ぐために、何らかの取組も併せて行う必要があると考えますが、この辺りについても御意見をいただければと思います。
また、現在の類似薬効比較方式(Ⅱ)の対象となった新薬についてですけれども、新規性の乏しいものや、ほかの薬剤で代替できるもの等については、評価の見直しのみならず、薬価収載自体の可否についても検討すべきと思いますが、業界としてどのように考えているのか、教えていただければと思います。
○安川日本製薬団体連合会会長
3点御質問いただきまして、ありがとうございます。
1点目、安定供給、国内での製造体制の構築と強化について、中長期的視点で要望、課題があるかという点につきまして、お答えいたします。
1つは、医薬品の製造については、科学論文で書いてしまえば、十何ステップもあるはずなのですけれども、そのうち重要な3つ、4つの成分を合成出発物質と認定し、それをNDAの中に入れて、ちゃんとその品質を担保しますというところから始めまして、通常そのような合成出発物質は、自社ではつくらず、化学会社にお任せしてつくっていただき、自社で最後の数工程を行う、あるいはその最後の数工程もコントラクト・マニュファクチャリング、要するに製造業者に委託するような場合もございます。
大変大きな問題は、この合成出発物質をつくってくれるような化学会社が既に日本にはないということです。ここは、やはり、国策として、こういう会社をまた立ち上げていただく、あるいは支援していただくということが、まず、1つ目の大きな課題であると思っております。
最後の合成のところも自社でやらなければと申し上げたい。これは、やはり麻酔薬ですとか、抗菌薬、抗菌薬は大体発酵でつくりますので、また別の課題がありますけれども、それから、向精神薬など、国際紛争などが起きて供給が途絶えた途端に1か月、2か月後に日本の医療体制が麻痺するような状況は大変まずいと思いますので、この辺、なるべく国内でできるような、ここは経済的な措置、それから、抗生剤などの発酵などの技術も工場をつくればすぐできるというものではなくて、きちんとした技術移管、あるいはそこで新しく働く方々の技術が向上しないと、なかなか収率は上がらないものでございます。
この辺は、やはり、経済原理に任せるというよりは、国家戦略として、産業政策を立てていただきたいと、国側にはお願いをしたいと考えます。
それから、やはり国際紛争などは、いつ起きるか分からないので、企業側ができる企業努力でできる在庫だけではなくて、国あるいは地方自治体で必要な医薬品の在庫を持っていただくような措置も考えていただきたいと思っておりまして、私も経団連のほうの立場としては、せんだって都のほうには、同じようなお願いをしたところでございます。
以上、1つ目の回答をいたしまして、2つ目、役割を終えた医薬品あるいは少量生産で代替医薬品について整理したらいかがかという御指摘ですが、コンセプトは賛成いたします。
個社の事情もございますので、どの品目をどうするというところの議論は、この場では控えさせていただき、今後、各ステークホルダーの皆様と丁寧な議論をさせていただければと考えます。
もちろん、情報等が失われるとか、それから、経済的にペイしないから、もうぱっとやめてしまうという無責任があってはならないということは重々承知しております。
最後の御質問の類似薬効比較の(Ⅱ)にカテゴライズされたものの収載自体を考えてはいかがかという御指摘ですけれども、企業は、最後の第Ⅲ相試験は、数百億円から1000億円以上の大きな投資を伴うものでございます。
その投資は、非常に企業にとってはチャンスでもあり、大きなリスクでもあるので、必ず事前に厚生当局、FDA、EMA、それからPMDAと会合を持ちまして、どのようなエンドポイントで、どういうような差をつけてくれば承認いたしますよという確約をいただいて、その結果は、我々がリスクを負うわけですけれども、これでちゃんと、このパラメーターでよければ承認しますよというお墨つきをいただいた後で、投資に踏み切るというものでございますので、また、その投資をした後に、カテゴリー(Ⅱ)になってしまって収載をしないというのがあると、これは、企業としては許容し難いリスクではあると思いますので、やるのだったら、後のお話ではなくて、前々から企業とそういう対話の場が少なくともあって、それで企業が納得したリスクの上で、こういう措置に踏み切るかどうかと、そういう配慮は最低限必要であると私は考えます。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
最初の国内で賄う体制ですけれども、長島委員からもありましたけれども、まず、産業政策としてしっかりとやっていくということと、薬価とそれ以外をきちんと分けてどうしていくのかというのが必要かと思いました。
それから、最後のところですけれども、真に新規性の高い医薬品の評価を充実していくことが基本として考えていくべきではないかと思っております。
その上で、次の質問に行ってよろしいですか。
○城山部会長
どうぞ。
○森委員
次が新薬の評価で関係するところで、日本製薬団体連合会、製薬工業協会、PhRMA、EFPIAへの質問となります。
革新的新薬の価値が適切に反映されることとの意見がありますけれども、革新的な新薬については、基本的に原価計算方式で算定されるべきと考えております。
原価計算方式について、コスト積上げによって算出した価格だと、なぜ、価値に見合った薬価がされにくいか、理由や現行の仕組みの課題などを教えていただければと思います。移転価格等の問題も一部言われていますけれども、ここに関して、いろいろなところで何回もこの問題は出てきていますので、お考えがあれば教えていただければと思います。
○安川日本製薬団体連合会会長
まず、私が簡単に述べまして、その後、各団体からしゃべっていただこうと思いますけれども、各製薬会社、研究開発投資が全世界の売上の18%から20%、最近ではアメリカの会社では30%に近くなるような会社もございます。
全製造業の平均の研究開発費は4%弱でございますので、我々は、ハイテクと呼ばれるようなほかの産業の方々の4倍から5倍の比率の研究開発費を投じているわけです。
この原価方式の最大の欠点は、我々が巨額を投じている研究開発投資に対する配慮がなかなかなうまくなされないというのが、最大の欠点であると私は思っております。
では、各団体から、どうぞ。
○宮柱日本製薬工業協会会長
日本製薬工業協会の宮柱です。森委員、御質問ありがとうございます。
今日のプレゼンテーションでもお示ししたとおり、新規モダリティー等の革新的新薬の価値をいかに適切に評価できる新たな仕組みを導入していくかというところを、ぜひ議論させていただきたいと思いますし、御質問にございました、原価計算というものが、やはり製造原価、流通経費、そして営業利益などを積み上げて価格を算出するそもそもの方法であるというところから、いわゆる、そのお薬をつくるのに幾らかかっているかというものをベースに薬価を決める仕組みであるのが、原価計算方式だと捉えております。
つまりは、我々が申し上げております、この革新的な新薬の価値というものを図るイノベーションの適切な価値評価というものは含まれていないと考えております。
ですので、原価計算方式で算定される革新的医薬品のうち、一定数となるとは思いますが、やはりその選定の際に、具体的な要件をどうするか、そういったところは、ぜひ丁寧な議論をさせていただきたいと考えております。
私からは以上です。
○城山部会長
岩屋様あるいはシモーネ様からもございますか。
では、岩屋様、お願いします。
○岩屋欧州製薬団体連合会会長
では、EFPIAから先にお話しさせていただきます。
今、安川会長と宮柱会長がおっしゃったとおりなのですけれども、原価計算方式は本当に類似薬効比較方式が、例えば、すごく古い薬しか既存薬がないというときに、画期的な新薬が出てきたとき、それが参照する薬としてふさわしいかという議論の中で、原価を積み上げる方式でイノベーションを評価するということで導入されたと理解しております。
一方で、原価そのものと、本来の価値の評価というのは、一対一でつながっているものではないと思っておりまして、その中で、では、どういう形で本来の医薬品の効果、価値というものを評価することができるかということが課題かなと思っています。
類似薬効比較方式で、非常に大きな、例えば加算をつける、ないしは海外との価格を調整する等々によって価値の評価ができるということであれば、それも1つの考え方だと思いますが、現状、原価計算方式でしか、価値が評価されない医薬品のケースもたくさんあると認識しておりますので、それをどのようにうまくマネージしていくかというのが課題なのかなと思います。
○シモーネ・トムセン米国研究製薬工業協会 在日執行委員会委員長
2年前も先生が、たしか同じ質問をなさったと記憶しておりますが、私ども業界は皆、同じ見解を持っております。つまり、類似薬効の方式でありますが、これに関しまして、さらにそれの拡充が必要だと考えております。
重要なテーマといいますのは、まさに技術は日進月歩でどんどん進んでいます。そうした中で、原価計算方式では必ずしも追いつけないといいますか、その中でグローバルでの供給の状況とか、そういったものがどんどん変わっているということを考えていくべきだと思います。
本当に、今、グローバルで研究開発や供給が進んでおり、その中には様々な委託業者もグローバルに存在する。その中で我々として、その原価を開示せよということを、なかなかプッシュしていくことが難しいわけでありまして、その辺りが非常に困難を伴っているという状況であります。
そこで、これに対する対応、アプローチといたしましては、やはり、意味のある関連するような類似薬効比較方式をさらに拡充、改善していくということではないかと思います。
この薬剤開発を加速化していくための1つの解決策として、これは日本製薬工業協会がお話しになったことと同じ意見なのですけれども、やはり、さらに意味のある関連する追加的なクライテリア、基準を設けていくということではないかと思います。
○城山部会長
森委員、いかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
今回の意見陳述の中でも柔軟な類似薬の選定であったり、類似薬の基準の拡大であったりとのご提案がありました。
ただ、今後どうすれば、原価計算方式で適切に評価をされるのかというのは、議論をしていかなければいけないのではないかと感じました。
それで、少し時間が押していますけれども、手短に次に行きたいと思っています。
次に、日本ジェネリック製薬協会への意見となりますが、まず、お願いは、先ほど不採算品再算定を受けた品目という話がありましたけれども、受けた品目だけのことではないのですけれども、受けた品目は必ず増産につながるようにお願いしたいと思っております。それが1点目でございます。
2点目ですけれども、9ページのところで後発医薬品の使用率を90%と見込んで、2029年までに改善するという話しですけれども、現場の感覚からすると、使用を進めていますので、使用率はもう少し高まるのではないかと思っております。
そうしたときには、今の見込みですと、数の上では満たされても本当に必要な医薬品が生産できるのか懸念をするところです。
そうした中、まずは、安定確保医薬品など特に必須で、代替が利かない薬品を優先して供給するなど、ある程度のメリハリをつけた対応が必要だと思いますので、ここは御検討をいただければと思っております。これは意見です。
あと、日本バイオシミラー協議会へのお願いとなりますが、重要なことは、バイオシミラーに関しては、供給に支障を来したときに、バイオ先行品等で代替することが難しいということがあります。安定供給が前提となりますので、しっかりと安定供給できる体制を取っていただければと思っています。
もう一点は、今日のお話をお伺いして、バイオAGがあっても必要な競争が行えるような薬価制度というのは必要ではないかと感じました。
最後に、日本医薬品卸売連合会への質問という形になります。
今後、さらなる安定供給の確保をお願いしたいということが1つになります。
現在、過度な薬価差の偏在が課題となっていますけれども、一方、中小の薬局では、薬価差がほとんど出ずに逆ざやとなっている品目が増加しています。
そうした中、卸の重要な機能の1つである価格形成機能を発揮していただきたいと考えております。
また、前回の中医協で厚生労働省より、逆ざやに関する調査を実施したいとの発言がありました。調査の実施の件も含めて、価格形成機能の発揮に対する業界の考えなどをお聞かせいただければと思います。
○城山部会長
それでは順に、最初、ジェネリックについて川俣様、いかがでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
不採算品再算定を適用いただいたものにつきましては、優先的に増産に努めるよう、協会としても通知をしたところでございますので、その結果が反映できるような形にしたいと考えております。
それから、生産数量・需要の件ですが、これまで個々の企業が、自分たちの将来予測をした上での設備投資の予定を立てており、全体像について把握することができなかったため、「GE薬協算用構造在り方研究会」でアンケート調査を行った結果でございます。
このデータを取りまとめるに当たって、最低限の水準として、後発品シェア率が90%になり、年平均1.3%ずつ市場が伸びたとしても、まだ供給量が足りないいうことを示しているものであり、それらの予測値を超える市場成長が図られるようであれば、さらに不足することへの危機感を持って情報提供をしたつもりです。我々も、この数量で収まるとは思っていないため、それが医療関係者や患者さんにとって好ましいのかどうかも含めて、今後検証したいと思っております。
○城山部会長
では、続いて、バイオシミラーについて、島田様、お願いします。
○島田日本バイオシミラー協議会会長
バイオシミラー安定供給についてお答えいたします。
バイオシミラーにつきましては、多くの原薬、製剤が輸入となっております。会員企業に安定供給の確保の試みについて、2024年にアンケートを実施しました。
お答えの中で、原薬、製剤の積み増しの検討が7社、続いて、6社が国内での製剤化を検討している次第でございます。
厚生労働省におかれましても、バイオ後続品の国内製造施設設備のための支援事業で御支援をいただいているところでございまして、引き続き、御支援を賜れればと存じております。
我々バイオシミラー協議会としても、安定供給について非常に重く考えております。
以上です。
○城山部会長
続いて、宮田様、いかがでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御質問ありがとうございます。
6月20日に流改懇が開かれまして、先ほど御指示いただいた薬価差の偏在等々については、データが示されておりますけれども、これについても継続的に我々としてはデータを出しながら、皆様方としっかり議論していきたいと思います。
薬価差については、やはり卸だけの話ではなくて、流通改善ガイドラインをしっかりと医療機関、保険薬局の皆様とも共有しながら、価格の在り方、安定供給に資する必要なコストをしっかりと乗せていくことが必要であろうと考えておりますので、ぜひこの薬価差についても、しっかりと対応していきたいと思いますし、足元では、4月以降の、今、逆ざやというお話がございましたけれども、逆ざやもメーカー様のそもそもの仕切価自体が、薬価あるいは仕切価が、いわゆる本体薬価、これは消費税を引いたものですね、それから、もう一つは調整幅を引いた仕切価、大きくはこの3つがあって、そこに卸の流通経費を乗せようとすると、薬価を超えていってしまうという現状は、過去からもあったのですが、本年度は非常に、多分森先生のほうでは、品目数が増えているのではないのかということがあって、流改懇の中でも、これは卸、メーカーも併せて調査をしていきましょうと、協力いただけますかということでございますので、厚労省のほうと流改懇のほうでしっかりと調査をしていくということに協力をしながら、この中身を見ていきたいと思います。
卸連として意見陳述をしているように、不採算取引があるというのは、まさにこういうものも不採算取引になっているという実態、それと、8年連続の薬価改定によって、20円未満の薬剤が50%を超えているような状況になっているということで、非常にそういうものが実際の流通上、コストを反映できるかというと、非常に厳しい状況があるということで、我々は意見陳述をさせていただいている部分がございますので、一つ一つ全て関連性がある1つのテーマだと認識しておりますので、まずは、流通改善ガイドライン、厚労省のほうで非常に細かく書き込んでいただいたガイドラインを周知徹底、実効性のあるものにしていくということが非常に重要だと考えております。
ある意味、不採算になっているものと、流通に係るコストがどういう関係にあるのかというものも、これからデータをしっかり調査して、お示ししていきたい、そのように考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○城山部会長
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
要望したことをしっかりとお願いしたいのと、現状の逆ざやですけれども増えているという、そういうレベルの話ではなくて、前回の中医協でも発言しましたけれども、あるいは薬局のデータでは、見積もりで約20%が逆ざやでした。仮にこういう状況であれば、医療機関も薬局も経営が立ち行かなくなる状況になりますので、これはどういうことなのか調整いただき、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はいかがでしょうか。
それでは、最初に松本委員、お願いします。
○松本委員
関係業界の方におかれましては、御説明どうもありがとうございました。
今日は皆様方の御意見を頂戴する場でございますけれども、医療保険財政が限られており、今後、生産年齢人口の減少で、ますます財政が厳しくなるということは強く認識していただきたいということを、改めて申し上げたいと思います。
長島委員、森委員からかなり多数出ましたので、私からは1つのコメントと、1つ質問をさせていただきたいと思います。
資料薬-3、製薬協、PhRMA、EFPIAから出ている資料でございますけれども、先ほどほかの方からもありましたけれども、令和6年度にイノベーション評価が充実したことで、意思変容だけではなく、治験にも着手する等の行動変容もあったことを前向きに受け止めております。
次は質問でございます。
薬-4、製薬協さんの資料でございますが、5ページに薬価制度改革に関する御提案をいただいております。
この中の左下にございます、新薬創出等加算に関する御提案でございますけれども、特許期間が満了した場合、具体的にどのような基準、指標で薬価を下げることを考えていらっしゃるのか、現段階で何か腹案がございましたら教えていただきたいということでございます。
私からは以上でございます。
○城山部会長
ありがとうございます。
そうしましたら、御質問の部分、宮柱様、よろしくお願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
松本先生、御質問ありがとうございます。
資料の5ページ目のところ、左側の新創加算品における薬価維持のところだと思いますが、現時点で我々としては、特許期間が満了して、後発品が、まずは革新的新薬の特許期間中の薬価を維持すべきというところが御提案でございます。
そこで特許期間が満了して後発品が収載される際には、現行制度と同様、薬価を一定程度引き下げることが前提であると考えております。
ここの具体的にどのぐらい下げるかというところに関しましては、今後、詳細な議論を、ぜひさせていただきたいと考えております。
○城山部会長
松本委員。
○松本委員
分かりました。現段階では、具体的な腹案があるわけではないということで、今後の議論ということで承知いたしました。ありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、鳥潟委員、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
私のほうからは、1点御質問と、1点御要望をお伝えしたいと思います。まずは、御説明ありがとうございました。
日本ジェネリック製薬協会様の資料の5ページ目の下の○にあるとおり、供給量を増やして、供給不安の改善に努めている企業が適切に評価されることが、私どもとしても重要だと考えております。
そこで、そうした企業が評価され、もし供給量を増やしていない企業があるのであれば、評価されないというように、メリハリのある評価をするために、具体的に今考えている制度改正などがありましたら、教えていただきたいという点が質問となります。
あと、要望ですけれども、これは先ほど森委員からも御意見がありましたが、日本ジェネリック製薬協会様の資料ですが、2ページ目の状況を見る限り、安定供給には、まだほど遠い状況だと認識いたしました。
今回は品目ごとの状況の変化が示されていますが、適用品の供給量が増えているのかを確認したいと思います。
事務局への要望になるかもしれませんが、可能であれば、今後、適用品の供給数量の変化について分かる資料を御提示いただきたいと考えております。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
そうしましたら、まず、御質問の部分で川俣様、いかがでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
まず、1つ目の供給量を増やしている企業の評価については、現在、企業指標においてA区分に分類された企業は薬価上の優遇策があり、各企業はそれを目指して、増産体制構築に取り組んでいるというところでございます。
ただし、A区分、B区分、C区分が公表され、医療現場においてA区分の企業を優先的に選択していただけるのは来年度からです。
現段階では、A区分になるように増産に向けた体制を構築する取り組みをしている企業がより多くなることを、私どもとしては期待しています。
2つ目のご要望は。
○鳥潟委員
不採算品再算定を適用して供給量を増やしているものを、実質的にそこを数量で見せていただきたいということです。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
こちらについても、私ども医薬品製造業の団体として、採算性が悪いから製造販売をやめる、採算性が良いから増産するということのみで企業が成り立つとは思っておりません。不採算のものであっても、少量のものであっても必要な医薬品を供給するからこそ、我々の存在意義が発揮できると考えておりますが、その中でも、やはり順番というのがございまして、より収益性の高いものを優先的に増産するという気持ちを否定できるものではなかったというのが、これまでの現状だったと思います。
今後においても、不採算品再算定をいただいたものについては、優先的に増産できるような取組をしていきたいと思いますし、企業指標がより高いレベルに上がっていくことを、期待をしているところでございます。
○城山部会長
今の2点目は、数量を示してほしいと。
○鳥潟委員
そうですね、もう少し具体的なものを知りたいというところなので、ぜひお願いしたいと思います。
○城山部会長
そこは業界としても可能であれば、やっていただきたいということですね。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
今後も取組をしてまいりたいと思います。
○城山部会長
あと、事務局のほうにも伺ったほうがよろしいですかね。事務局のほうにも場合によってはというお話でしたけれども。
○鳥潟委員
事務局で可能であればお願いします。
○城山部会長
事務局のほうで、今の点、何かレスポンスはございますか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。御指摘ありがとうございます。
事務局といたしましても、また、業界とも相談をしまして、どういう数字が出せるのか、検討してまいりたいと思います。御意見ありがとうございます。
○城山部会長
どうもありがとうございます。
ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。
それでは、奥田委員、よろしくお願いします。
○奥田委員
各団体から御説明どうもありがとうございました。
本日御説明いただきました、先ほども松本委員からも触れられましたけれども、薬-3の製薬協、PhRMA、EFPIAからの報告を見ますと、昨年のヒアリングの際の報告と比べて、医薬品開発促進の動きが、より具体的に表れていると思います。
2024年度の薬価制度の見直しが、メーカーの行動変容に一定程度つながっていると受け止めました。
今回の報告結果も踏まえまして、従来から私が申し上げておりますけれども、国民負担の軽減と、創薬イノベーションを両立させる薬価上の適切な評価に向けて、次期薬価改定において、この中医協でも議論をしていくことが重要であると、改めて認識をいたしました。
今回報告いただいた開発動向については、この中医協の場にとどまらず、広く国民に周知をいただき、新薬開発が進んでいることによる国民の安心感の醸成であるとか、経済的負担への納得感、そういったものにつなげていくことが重要ではないかと思いました。
私からは以上です。
○城山部会長
御意見ということでよろしいですかね。
○奥田委員
はい。
○城山部会長
ほかは、いかがでしょうか。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
まずは、今日、冒頭遅参しましたことをおわび申し上げます。
さて、各関係業界の皆様、御説明ありがとうございました。患者、被保険者の立場からも医薬品の安定供給は重要と考えておりますので、その観点から、日本ジェネリック製薬協会、日本医薬品卸売業連合会に1点ずつ質問をさせていただきます。
まず、日本ジェネリック製薬協会についての質問ですが、薬-2の7ページに、安定供給責任者会議について、供給不安の事象解決、ワーキングチームの立ち上げなどが記載されておりますが、供給不安の解消に向けて、どれぐらいのスピード感で取り組まれていくのか、今後のスケジュールなどを補足いただけますでしょうか。
次に、日本医薬品卸売業連合会への質問です。薬-10について、11ページに現場の状況について記載をいただいておりますが、6月20日に開催された第39回医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会の資料から、流通改善に関するアンケート調査を拝見いたしました。
このアンケートから一定程度流通改善は進んでいるように見受けられますが、そのことと価格転嫁との関係はどうなのか、現場の状況など、補足いただければと思います。
私からの質問は以上でございます。
○城山部会長
それでは、まず、川俣様、お願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
安定供給責任者会議におきましては、これまで公取との関係性があって、なかなか実施できなかったものを一つひとつ解きほぐし、できることを取り組んでまいりました。
特に、限定出荷について、過剰に欠品を心配して、過剰に限定出荷をしている品目を洗い出して、限定出荷を解除してもいいのではないかというお話をさせていただいた。1つの成分においても、限定出荷をしている企業としていない企業にばらつきがあることが判明しております。
そうした限定出荷をしていない企業を紹介していくということについても、医療現場の皆様には、役立つ取組ではないかなと考えております。
今後、供給体制管理責任者の設置が義務づけられるように法制化される形になるわけですが、その前段階として、我々が取り組むべきことというのを先駆けて対応しているところでございます。
○城山部会長
それでは、続いて、宮田様、お願いします。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御質問ありがとうございます。
流通改善が進んでいるかということで、流改懇での資料の話でございますが、非常に今回の流通改善ガイドラインは、改訂版が細かく、流通改善の実効性を上げるような形で書き込んでいただいている中で、単品単価交渉が進んできた、また、別枠品というカテゴリーについては、8割方の単品単価交渉になっている。
ただ、形態別に、まだまだいろいろ課題はあるのと、流通改善が進んでいく中で、出荷調整等々の需給調整は、あまり改善がしていない、現場の負荷としては、非常に大きいものがございます。
したがいまして、この流通改善の推進あるいは実効性をどのように進捗していくのかというのは、我々も経過的に毎年データとして出していく必要があるだろうと、まだまだいろいろな価格交渉の在り方が実際にはある中で、単品単価がどういう形で進んでいくのかということもしっかりとつかんでいく必要があると、そのように認識をしております。
それから、価格転嫁の話ですが、卸売事業のほうから流通コストを転嫁することが非常に難しいというのは、これは、民民の取引の中で価格を決めていくということがあって、先ほど逆ざやの話もありましたように、メーカー様からの仕切価が、この3年間だけを見ても、ジェネリックだけで見れば2%以上上がっているという、こういった状況、あるいはメーカー別に見ても10%上がっているところなど、品目によっては、非常に大きな形で仕切価が上がっているものがございますので、こういったものも、先ほど御説明したとおり、調査というか、しっかりとどういう状況なのかということを、医療機関保険薬局の皆様、それから卸も含めて、あと、製薬メーカー様も含めて、流通当事者として、しっかり把握する必要があるのではないか。
こういったことができないと、流通の卸のほうだけで、これをかぶるというか、不採算の取引を続けていくというのは、持続可能な流通が担保するものではありませんので、ぜひこの点はしっかりと進めていきたいと、そのように考えております。
以上でございます。
○城山部会長
佐保委員、いかがでしょうか。
○佐保委員
御回答いただきまして、ありがとうございました。
日本ジェネリック製薬協会さんも日本医薬品卸売業連合会の皆様も、次回のヒアリングの際などに、いろいろと状況等、詳細が分かるようでしたら、また御報告いただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○城山部会長
ほかは、よろしいでしょうか。
では、江澤委員、よろしくお願いします。
○江澤委員
1点だけ、バイオシミラー協議会に質問ですけれども、7ページのところに家庭モデルの資料が出ていますけれども、実際にこれに類似したような実例があったのかどうかということと、その下に市場で競争できると書いてありますが、患者さんと医師の診察の場で、バイオシミラーの選択は決まると思うのですけれども、どういったプロモーション等を考えられているか、その2点を教えていただければと思います。
○城山部会長
島田様、よろしくお願いします。
○島田日本バイオシミラー協議会会長
御質問ありがとうございます。
現在、日本におけるバイオAGにつきましては、2社承認申請をしております。1社のみ薬価収載しているという状況で、1社は製造承認を取得している段階ということでございますので、今日御紹介したのは、その2つの事例でございます。
今回御提案しました、バイオAGがあってもバイオシミラーの市場が育つような薬価制度ということなのですが、これは2017年に当協会が協会としてステートメントを出しております。
それ以降、各ステークホルダー様ともディスカッションをしているのですが、現在、当協会として明確な回答を持ち合わせていない状況でございます。
できましたら、今後、ステークホルダーの皆様からのお知恵をいただきながら、検討していただきたいというのが実情でございますので、ぜひともそういう機会をいただければと思っている次第でございます。
○城山部会長
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
ということは、バイオAGの申請が、今度認可が増えてくると、今のバイオシミラーの市場に大きく影響するという御認識ですか。
○島田日本バイオシミラー協議会会長
少し御説明させていただきますと、バイオシミラーは上市のときに、先行品と同等同質性を確認した後、上市されます。
バイオAGの場合は、先行品と一般名が同じで成分名も一緒です。しかし、バイオシミラーでは一般名が異なります。もし市場に参入した場合に、やはりバイオシミラーが少し異なるのではないかという疑念を持たれる場合には、やはりバイオAGを好んで選考される場合が多くなると危惧しておりますので、その辺をやはり検討していただきたいというのが業界としての立場でございます。
○江澤委員
了解いたしました。ありがとうございます。
○城山部会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。そうしましたら、御意見、御質問はほぼ出尽くしたということかと思いますので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえて、御対応いただくようにお願いをしたいと思います。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。