第52回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録

日時

令和7年6月24日(火) 17:00~18:30

場所

AP虎ノ門11階A室
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

議題

  • 部会長選出及び部会長代理指名について
  • 生活保護基準の定期検証に係る検討課題について

議事

議事録
○竹内社会・援護局保護課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第52回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 この後、部会長を選出いただくまでの間、私、社会・援護局保護課長の竹内が進行を務めさせていただきます。
 本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
 また、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本部会を構成する委員でございますが、今回新たに本部会の委員に就任していただいた方もいらっしゃいますので、改めて委員の皆様を御紹介させていただきます。
 五十音順で御紹介いたします。
 お手元の資料1「社会保障審議会生活保護基準部会 委員名簿」を御覧いただきたいと思います。
 東京大学名誉教授、岩村正彦委員。
 京都大学経済研究所教授、宇南山卓委員。
 新潟医療福祉大学特任教授、東京都立大学名誉教授、岡部卓委員。
 明治学院大学社会学部教授、新保美香委員。
 東北大学大学院法学研究科教授、嵩さやか委員。
 放送大学客員教授、栃本一三郎委員。
 同志社大学社会学部教授、永田祐委員。
 立正大学大学院経済学研究科教授、村田啓子委員。
 東北大学大学院経済学研究科教授、若林緑委員。
 以上の9名でございます。本日は委員全員に御出席いただいております。
 また、事務局側についても紹介させていただきます。
 日原社会・援護局長。
 岡本大臣官房審議官。
 山口社会・援護局総務課長。
 私は、保護課長の竹内と申します。よろしくお願いいたします。
 続きまして、日原社会・援護局長より一言御挨拶申し上げます。
○日原社会・援護局長 生活保護基準部会の開催に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。改めて心より御礼を申し上げます。
生活保護制度につきましては、改めて申し上げるまでもなく、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する、我が国の社会保障におけます最後のセーフティーネットの仕組みでございます。その基準につきましては、これまでも本部会で検証していただいた上で、必要な見直しを実施してまいりました。 
これからも、この生活保護制度が有効に機能し、国民の皆様の信頼、また、納得の得られる制度であり続けますように、引き続き、適切な水準が保たれているかなど、必要な検証、検討を進めてまいりたいと考えております。
 委員の皆様におかれましては、ぜひ忌憚のない御意見を賜りまして、御議論をいただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○竹内社会・援護局保護課長 ここで報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退席をお願いいたします。
 続きまして、事務局より、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 本日は資料といたしまして、資料1から5及び参考資料を配付させていただいております。
 会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。
 オンラインにて出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。
 同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、資料1「生活保護基準部会 委員名簿」。
 資料2-1「生活保護基準部会について」。
 資料2-2「生活保護基準部会の設置について」。
 資料3-1「令和5年度以降の生活扶助基準の見直しについて」。
 資料3-2「生活保護基準部会報告書」。
 資料4「生活保護基準の検証に係る検討課題について(案)」。
 資料5「今後の生活保護基準部会のスケジュール(案)」。
 参考資料「生活保護制度の概要等について」となっております。
 次に、発言方法について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言をお願いいたします。
御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに、本部会の部会長の選出でございます。各部会における部会長につきましては、社会保障審議会令第6条第3項におきまして、当該部会に属する委員の互選により選任すると規定されております。
 本部会には、社会保障審議会の本委員といたしまして、岩村委員、新保委員、岡部委員、嵩委員がいらっしゃいます。
 あらかじめ4名の皆様に御相談申し上げましたところ、互選により岩村
委員にお願いすることで御了承いただいておりますので、岩村委員に生活保護基準部会長のお役をお願いしたいと思います。
 それでは、以降の議事進行につきましては、岩村部会長にお願いしたいと思います。
 岩村部会長、一言お願いいたします。
○岩村部会長 部会長に選任いただきました、岩村でございます。
 委員の皆様、また、事務局の皆様の御支援等を得ながら、部会の運営を円滑に進めるべく努力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、部会長代理の指名をさせていただきます。社会保障審議会令第6条第5項の規定によりまして、私が不在の場合に議事の進行をお願いする部会長代理を、部会長である私が指名することになっております。そこで、宇南山委員に部会長代理をお願いしたいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岩村部会長 ありがとうございます。
 それでは、宇南山委員、どうぞよろしくお願いをいたします。
○宇南山部会長代理 御指名いただきました、京都大学の宇南山です。
 部会長をサポートして、よい取りまとめができるように努力したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 宇南山委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議事に入りたいと存じます。
 まず、今回、新しく委員に就任されました先生方もいらっしゃいますので、まず、本部会の設置の趣旨などにつきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料2-1「生活保護基準部会について」を御説明させていただきます。
 生活保護基準部会での審議を再開するに当たりまして、本部会の位置づけについて御説明させていただきます。
 1ページになります。
 これらは、生活保護基準部会の設置の前提としまして、生活保護基準の設定の概要を記載しているものになります。
 1つ目のマルは、生活保護法における生活保護の基準についての規定を記載しております。
 生活基準は、生活保護法第8条第1項に基づきまして、厚生労働大臣が定めることとされており、法第8条第2項におきまして、生活保護基準は、要保護者の年齢、世帯構成、所在地域、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならないと基準設定の考え方が規定されてございます。
 2つ目のマルは、現在の生活扶助基準の設定の考え方になります。
 生活扶助基準につきましては、昭和59年度以降、一般国民の消費動向との均衡上、妥当な水準を維持するよう設定するという、いわゆる水準均衡方式によりまして、国民の消費動向などを踏まえた改定を行ってきたところでございます。
 3つ目のマルは、定期的な検証についての経緯の記載になります。
 生活扶助基準につきましては、平成16年に生活保護制度の在り方に関する専門委員会におきまして評価・検証を行っておりますが、この専門委員会の報告書の提言としまして、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要があるとされまして、この提言を受け、平成19年以降、定期的に生活扶助基準の検証を実施しており、その検証結果を踏まえて基準を定めているところでございます。
 2ページ目でございます。
 生活保護基準部会の設置の趣旨について記載しているものでございます。
 生活保護基準部会は、生活保護基準の定期的な評価・検証について御審議いただく専門の部会としまして、平成23年に社会保障審議会の下に設置されてございます。
 生活保護基準について、5年に一度実施される消費実態に係る統計調査のデータなどを用いまして、専門的かつ客観的に評価・検証を行うというのが、本部会の設置の趣旨及び審議事項でございます。
 説明は以上となります。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等あればと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、次に、令和5年度以降の生活扶助基準の見直しについて、事務局から資料についての説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 資料3-1によりまして、令和5年度以降の生活扶助基準の見直し内容について説明させていただきます。
 2ページになります。
 令和4年12月に、本部会において取りまとめていただきました、検証結果の概要でございます。
 令和4年の検証では、2019年、令和元年の全国家計構造調査のデータなどに基づきまして、検証を行っております。
 まず(1)の生活扶助基準の水準の検証では、夫婦子1人の3人世帯をモデル世帯としまして、このモデル世帯における年収階級第1・十分位に該当する世帯を、生活扶助基準と比較する所得階層として設定しまして、当時の生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費実態、生活扶助相当の支出額を比較した結果としまして、一般低所得世帯の消費実態が生活扶助基準の水準を2%上回る結果となっていたところでございます。
 また(2)の「基準体系の較差の検証」につきましては、現在の生活扶助基準が、世帯の年齢、世帯人員、級地別に設定されているということでございますので、これらの基準体系ごとの低所得世帯における消費較差、この実態と、生活扶助基準額との較差との乖離の状況を確認いただいたところでございます。
 生活扶助基準のうち、第1種類の年齢別較差、級地別較差の検証結果を例として掲載しておりますが、オレンジの消費較差と水色の生活扶助基準の較差の指数に乖離がある場合、これを是正する方向で見直すべきという観点での検証になります。
 令和4年の報告書では、検証結果を踏まえて、具体的な基準の見直しを検討する際の留意点につきましても、御指摘いただいているところでございます。
 四角囲みに5点記載しておりますが、例えば、2つ目のマルとして、特に生活保護を受給する個々の世帯の生活に急激な変化を生じさせないように十分配慮することが必要であるといった指摘をいただくなど、基準に反映する際の留意点につきまして、まとめていただいたところでございます。
 4ページにおきまして、令和5年度の生活扶助基準見直しの概要を掲載しております。
 まず、令和4年の生活保護基準部会における検証結果の反映ということで、先ほど説明させていただきました、本部会における検証結果を反映することを基本として見直しをするということでございます。
 この検証結果を反映する際には、基準部会報告書で示されました留意点も踏まえて、年齢別較差については、基準の較差と消費実態との差の2分の1を反映し、また、第2類の費用については、級地間の差を設けないこととする見直しを政策判断として行ったところでございます。
 また、中ほどの足下の社会経済情勢などを総合的に勘案した当面の対応としまして、令和5年から6年度の2年間、臨時的、特例的な措置を実施しております。
 全国家計構造調査の実施時点以降、社会経済情勢が変化していることについて、適切に配慮する必要があることは、基準部会報告書でも留意点としてお示しいただいたところでございますが、令和5年度の見直しを決めた当時、新型コロナウイルスや、足下の物価上昇の影響の見極めが困難であったという社会経済情勢も踏まえた対応を行っております。
 具体的には、マル1、検証結果を反映した後の水準に一人当たり月額1,000円を特例的に加算するとともに、マル2、特例加算を措置しても見直し前の基準額から減額となる世帯については、見直し前の基準額を保障することとしております。
 この臨時特例措置は、令和6年度までとなっており、令和7年度以降の生活扶助基準につきましては、その後の社会経済情勢などを踏まえて、令和7年度予算の編成過程で改めて検討することとしておったところでございます。
 6ページにおきまして、令和7年度の生活扶助基準の見直し内容を掲載しております。
 令和7年度の予算編成過程におきまして、令和6年度までの臨時特例措置をどうするか、令和5年から6年度の臨時的、特例的な対応を措置しました令和4年末以降の社会経済情勢などを踏まえまして、改めて検討し、見直しを行ったところでございます。
 令和4年末以降、物価や賃金などが上昇基調にあることを背景としまして、消費が緩やかに増加していることも考慮し、社会経済情勢などを総合的に勘案した政策判断としまして、令和7年度から8年度の当面2年間の臨時的、特例的な措置を実施することとしております。
 具体的には、令和5年、6年度に措置しました一人当たり月額1,000円の特例加算を1,500円に増額し、この特例加算を計上しても、令和5年度に見直す前の従前の基準額から減額となる世帯につきましては、引き続き、従前の基準額を保障することとしたところでございます。
 令和9年度以降の生活扶助基準につきましては、今後の社会経済情勢などの動向を見極めつつ、令和9年度予算の編成過程で改めて検討を行うこととしております。
 その際、年齢、世帯人数、級地別の詳細な分析を行う5年に一度の定期検証につきまして、通常のサイクルでは令和9年に行い、令和10年に検証結果を反映するということになりますが、今回の見直しの臨時特例措置が令和8年度までということもございますので、定期検証につきまして、1年前倒しでの実施を図り、令和7年に本部会での議論を開始し、令和8年に検証を実施、その検証結果を令和9年に生活扶助基準に適切に反映したいと考えております。
 説明は以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 ただいま、資料3-1について説明をいただいたところでありますけれども、何か御質問、御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次に「生活保護基準の検証に係る検討課題」「今後の生活保護基準部会のスケジュール」について、事務局のほうで案をつくっていただいておりますので、まず、事務局から、これらの資料についての説明をいただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 資料4によりまして、生活保護基準の検証に係る検討課題につきまして、説明させていただきます。
 2ページにおきまして、令和7年及び令和8年に本部会において御議論いただきたい議題の案を、令和4年の本部会報告書なども踏まえて、事務局として整理させていただいております。
 議題として4点記載しておりますが、これらにつきまして検討課題の議論、また、検証を行っていただき、その結果を取りまとめていただきたいと考えております。
 1の生活扶助基準本体(第1類・第2類)の検証につきましては、定期検証で毎回実施している全国家計構造調査等のデータによる一般低所得世帯の消費実態と生活扶助基準の比較による検証になります。
 定期検証におけるメインの課題でございまして、前回同様、生活扶助基準について、水準(高さ)の検証と基準体系の検証につきまして、実施していただきたいと考えております。
 2の調査実施時点以降の社会経済情勢の変化の反映方法につきましては、1の検証と関連する検討事項でございます。
 今回の定期検証は、令和6年の全国家計構造調査などを用いて検証することとなりますが、この検証結果を令和9年に反映するまでタイムラグがございますので、令和6年の調査時点から今回の検証作業の取りまとめ時点、具体的には、令和8年12月頃までに把握できる社会経済情勢の変化を反映することが考えられます。この社会経済情勢の変化をどのように把握し、反映するか、御検討いただくものでございます。
 3の消費実態による検証を補完する方法につきましては、前回の部会報告書を踏まえ、生活の質に関する分析の精緻化など、消費実態による検証を補完する検証手法について、検討いただくものでございます。
 4は、その他の扶助・加算の検証としまして、今後、生活扶助基準本体以外の扶助や加算などを検証する場合に、それらのデータの収集や整理をどのように進めるか、御議論いただくものでございます。
 各事項の内容につきまして、順に御説明させていただきます。
 3ページでございます。
 こちらは、生活扶助基準本体の検証のうち、水準(高さ)の検証に関する検討事項について記載しております。
 上から3つのマルで、水準(高さ)の検証につきまして、これまでの経緯を記載しております。
 2つ目のマルで、生活扶助基準の水準を検証するに当たってのモデル世帯について記載しております。
 水準の検証を行う際には、基準設定の基準とされております標準世帯が、33歳、29歳、4歳の3人世帯であることも踏まえまして、これまでの検証では、夫婦子1人世帯をモデル世帯として、消費実態と基準との比較検証を実施しているところでございます。
 3つ目のマルでは、水準の比較検証において、参照する所得階層についての経緯を記載しております。
 比較検証に当たって、消費実態を参照する所得階層につきましては、平成29年検証におきましては、変曲点理論を用いた分析結果などを踏まえまして、夫婦子1人世帯の年収階級第1・十分位を対象としたところでございます。
 令和4年度の検証におきましては、平成29年検証と同様に、夫婦子1人世帯の年収第1・十分位を比較する所得階層としたところでございますが、夫婦子1人世帯の年収第1・十分位の状況が、平成29年検証時に参照しました集団の状況と大きく変化していないかにつきまして、中位所得層に対する消費水準の比率ですとか、固定的経費割合など複数の指標で確認した上で、引き続き、夫婦子1人世帯の年収第1・十分位で比較することにつきまして、本部会で確認されたところでございます。
 一方で、令和4年検証の本部会報告書におきまして、下の参考に記載しているとおり、今後の検証に関する御意見としまして、年収階級第1・十分位が生活扶助基準と比較する一般低所得世帯として相応しい所得階層であるかにつきましては、その都度確認する必要があるとの御意見があったところでございます。
 これまでの経緯を踏まえました今回の検証における検討課題としまして、矢印のところに「水準(高さ)の検証におけるモデル世帯をどのように考えるか。また、生活扶助基準と比較する際、第1・十分位の消費水準を比較対象とする妥当性をどのように確認するか。」と記載させていただいております。
 続いて、4ページでございます。
 こちらは、生活扶助基準本体の検証のうち、年齢、世帯人数、地域別の基準体系の検証について記載しております。
 1つ目のマルで、生活扶助基準の体系の検証の経緯について記載しております。
 前回検証では、2019年、令和元年の全国家計構造調査による個別世帯のデータを用いまして、低所得世帯を対象として、第1類に相当する支出、第2類に相当する支出それぞれにつきまして回帰分析を行い、その結果を基に消費実態の較差(指数)を推計しまして、生活扶助基準の較差と比較することにより、評価・検証を行ったところでございます。
 回帰分析を用いました検証手法は、基準体系の要素ごとの較差を合理的に把握する手法でございますが、令和4年の本部会報告書におきましても、下の参考に記載しておりますとおり、特に年齢別較差の検証結果に関して、データの制約から幅を持って見る必要があり、激変緩和のための一定の政策的配慮はあり得るといった御指摘もいただいたところでございます。
 今回の定期検証における検討課題としましては、矢印に掲載してございます。生活扶助の基準体系を検証するに当たって、回帰分析を用いる従前の手法について、留意すべき点や改善すべき点はあるかとしております。
 次に5ページでございます。
 検証に用いる令和6年家計構造調査の調査実施時点から、今回の検証作業を取りまとめる令和8年12月頃までの社会経済情勢の変化について、どのように基準に反映するかといったことを検討事項とさせていただいております。
 最初の3つのマルにおきまして、社会経済情勢の変化を総合的に勘案して、生活扶助基準に反映してきました経緯を記載してございます。
 先ほど資料3-1によりまして御説明させていただいたところですが、令和5年度、令和7年度の生活扶助基準見直しにおきましては、令和4年の本部会における検証結果を反映することを基本としつつ、足下の社会経済情勢などを総合的に勘案して基準設定を行ってきたところでございます。
 4つ目のマルに記載しておりますが、本部会の令和4年報告書におきましても、検証結果を反映する際には、検証時点から社会経済情勢の変化を踏まえる必要性があるということが留意点として挙げられてございます。
 また、5つ目のマルでございますが、毎年の消費動向を把握することができる家計調査につきましては、低所得世帯に絞った調査世帯数は、必ずしも十分でないというデータの制約もございます。
 今月の13日に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針2025年におきましても、生活扶助基準の次回見直しに向け、一般低所得世帯の消費データの充実、活用に取り組み、社会経済情勢などの動向を踏まえた必要な対応を検討するとされているところでございます。
 そこで、今回の検証の検討課題としまして、矢印のところで記載させていただいております。
 今回の定期検証で用いる予定の令和6年の全国家計構造調査の調査時点から、今回の検証作業の取りまとめ時点、令和8年12月頃までに把握できる社会経済情勢の変化をどのように捉えるか。その際、一般低所得世帯の消費データについて、具体的にどのような情報の充実が必要になり、その充実、活用の方法として具体的にどのような手法を取ることが考えられるかと記載させていただいております。
 7ページでございます。
 こちらは、検討事項の案としまして、消費実態による検証を補完する検証手法の検討を記載しております。
 これに関しては、8ページのほうに、令和4年の報告書抜粋を掲載しております。
 今後の検証に関する御意見としまして、1つ目のマルに消費自体によらない検証についての御意見を記載しております。
 生活水準が維持されているかについて、生活の質の観点から、社会的剥奪状況として必需品項目の不足の状況を確認することも重要であるという御意見、また、生活実態や生活意識の分析をより精緻に実施していくことが必要であるとの御意見、そのほか、生存水準に関わる観点として、栄養摂取基準などから見て最低生活が満たされる水準となっているか確認する必要があるとの御意見があったところでございます。
 2つ目のマルでは、消費実態による検証を補完する検証手法の必要性について記載がございます。
 最低生活費の水準を議論するに当たりまして、引き続き、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという観点から検証を行うことが基本となる一方で、年収階級第1・十分位という一般低所得世帯の消費実態との均衡のみにより、生活保護基準の水準を捉えていると、比較する消費水準が低下する場合に、絶対的な水準を割ってしまう懸念があることから、その下支えとなる水準を明らかにする取組は重要である。このため、消費実態との比較によらない手法については、5年後の検証を見据えつつ、より精緻化する作業を行っていく必要があると御意見をいただいたところでございます。
 7ページに戻りまして、矢印のところで、今回の検証の検討課題としまして、生活扶助基準の水準を検証するに当たって、一般低所得世帯の消費実態との均衡が図られているか確認することを基本としつつ、当該消費実態による検証を補完するような手法として、どのようなものが考えられるか検討してはどうかと記載させていただいております。
 9ページでございます。
 こちらは、検討事項の案としまして、その他の扶助・加算などを検証する場合のデータの収集及び整理を記載しております。
 生活扶助以外の一部の扶助・加算につきましては、これまで本部会におきまして、平成27年の住宅扶助や冬季加算、また、平成29年の児童養育加算や母子加算など、順次検証を行ってきたところでございますが、前回検証の報告書におきまして、今後、ほかの扶助や加算の基準について検証を行う際には、各扶助等により賄うべき需要に対応するための費用を捉える観点から、データの収集及び整理を適切に行っていく必要があるとの御意見をいただいたところでございます。
 この御意見を踏まえまして、矢印のところですが、生活扶助以外の扶助や加算等について、今後、本部会で検証を行う場合には、まずは各扶助等により賄うべき需要に対応する費用をどのようなデータを用いて、どのような方法で把握していくのか、検討を行ってはどうかと、引き続きの検討課題として記載させていただいております。
 続きまして、資料5、今後の生活保護基準部会のスケジュール(案)につきまして、説明させていただきます。
 1ページになります。
 本部会の検討スケジュールは、あくまで現時点で想定されるものを事務局で整理したものでございます。
 下の※1にありますとおり、今後の議論の状況などを踏まえ、変更があり得るものでございます。
 また※2に記載しておりますが、検証に用いる主なデータである、令和6年全国家計構造調査の調査票情報は、令和7年12月に同調査の結果が公表予定となっておりますので、この調査結果公表後、速やかに二次利用ができるように総務省統計局と調整を行っているところでございます。
 このため、実際に令和6年全国家計構造調査のデータによる基準の評価・検証を行うことができるのは令和8年からになりますが、令和7年においても可能な議論を行っていただきたいと考えております。
 令和7年7月から12月頃までの議題の案としまして、2点記載してございます。
 1点目の議題は、令和6年全国家計構造調査の調査時点から、今回の検証作業の取りまとめ時点までの社会経済情勢の変化の反映方法になります。
 次の生活扶助基準見直しに向けまして、必要な消費データの充実・活用について、どのようなことが考えられるか、御議論いただきたいと考えております。
 また、社会経済情勢の変化どのような手法で把握するか、各種指標による推移を確認いただいた上で御議論いただくことを想定しております。
 議題の2点目は、消費実態による検証を補完する方法についてでございます。
 令和4年に厚生労働省において実施しました、家庭の生活実態・生活意識に関する調査、この調査結果などをお示しさせていただきまして、生活の質の分析の精緻化など、消費実態によらない検証手法につきまして、御議論いただく想定でございます。
 令和8年に入りましたら、基準検証の検討課題につきまして、具体的な論点や検証の方針につきまして、事務局のほうでもよく整理の上、たたき台をお示しさせていただいた上で、4月から6月頃に、本部会で基準検証の論点や検証の方針につきまして御議論いただき、整理をしていただきたいと考えております。
 7月から12月頃には、整理いただいた検証方針に基づきまして、令和6年全国家計構造調査などを用いた生活扶助基準の検証・評価を行っていただくことを想定しております。
 社会経済情勢の変化の反映方法につきましては、令和7年にも議論を行っていただくことを想定しておりますが、その後の足下までの社会経済情勢も踏まえまして、どのような反映方法が考えられるか、改めて御議論いただきまして、御意見を取りまとめていただきたいと考えております。
 令和7年、8年度の本部会における検証結果につきましては、令和8年12月頃に報告書を取りまとめていただきたいと存じます。
 以上の今回の検証における検討課題や今後のスケジュールにつきまして、御意見をいただければと存じます。
 事務局からの説明は以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 ただいま、資料4、それから資料5について説明をいただいたところでございますけれども、これらにつきまして、御意見、御質問等ありましたら、お願いしたいと思います。
 別にオンラインの方を優先とか、そういうことはございませんので、対面の方もどうぞ。
 では、岡部委員、どうぞ。
○岡部委員 御説明ありがとうございます。
 まず、初めに、生活保護基準を検討する意義について述べさせて頂きます。生活保護基準は、言うまでもなく、国民最低限の生活を検討するということであり、生活保護基準は最低限の生活以外にもいろいろな制度に参酌される尺度としても使われますので、この基準で検討することは、極めて大きな役割、また、意義を持っています。
 その上で、この検証に関連する議題の案が4点出されておりますが、基本は、第1点目にある生活扶助基準の検証を行うということで、本部会で検証する最も大きなテーマになると思います。2点目、3点目については、先ほど、部会長、副部会長、そして、事務局のほうから御説明がありましたように、現下の物価上昇に関連して、この点については、この基準部会で使われるマクロデータというのは、一定の期間に限定され検証しますので、これについての検証については、それを補完する検証が必要と思います。この点も非常に大切になってくるかと思いますので、ぜひ、この点も審議ができればと思っております。
 そして、3点目は、物価等の関係について、お話も出ていますけれども、物価等というか、基本的には、現在の水準均衡方式というのは、一般低所得と、この生活保護に該当する貧困世帯との見合いの中で検討するということが基本となっておりますが、これは、賃金上昇または物価上昇を含めた消費支出との関係の中で、一般低所得世帯と生活保護基準の関係について、どう考えるかということは、従来から言われておりまして、相対化するだけではなくて、絶対的な最低生活ということを考えたときには、これを割るような基準をしてはいけない。
 この点についても検討することが必要ではないか。中位所得の方々の水準と比較検討も考える必要がありますが、この点を引き続き行うのかどうかについて確認をさせていただきたい。
 そのほか、水準均衡方式は有効な1つの算定方式と考えますが、それ以外にも方式があるのではないかということで、前回の生活保護基準部会で、2つの方式を検討しました。この点について本部会で継続するのか、別の場で行うのか、あるいは検討を行わないのかについても、現段階での御意見をいただければと思います。
 そして、4点目については、そのほかの扶助・加算の検証ということになっておりますが、これは、最低生活を考えるときに、生活保護の基準は8つの扶助で決められています。その中で、主として生活扶助基準ということについての検討を行うということは、これはこれでよいと思うのですが、その他の扶助・加算のところまで行うと、それをどこまで踏み込んで考えるかということになります。最低生活の体系に関わってきますので、この点についてどこまで行うのかということは、検討の余地があるかと思います。そこの辺りのところも、どうされるのかについては、現段階でということでも今後ということでも結構ですので、御意見をいただければと思います。
 これは、基準部会における議題の案についてですが、それ以外のことで、先に発言をさせていただければと思います。生活保護基準部会は、専門家の委員の先生方が集まり、検証が、これまで部会での審議であったかと思いますが、これは、例えば、有識者あるいは生活保護の受給者または生活保護の実施機関に直接関わっているケースワーカー等の御意見を伺う機会が、もし、つくられるのでしたならば、ぜひそういう場も御願いしたいと思います。これは審議会の部会そのものの議論ではなくて、そういう場を設けていただくと、数値で表されたデータの中身についての検討につながり、非常に大事なことと思います。もう一方では、そういう声であるとか、有識者の意見を受けて、この基準部会が、より審議をされる、参考になればと思っております。この点について、御検討いただければと思います。これは要望として出させていただきます。
 今の段階で、発言させていただきたいのは、これらの点です。次回以降ということでも結構ですので、応答できる部分についてだけでも結構ですので、事務局にお願いするのか、あるいはほかの委員の方に御意見を伺うのかということについては、部会長、部会長代理にお任せをいたします。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 まず、今、御確認ということで御発言された部分について、現段階でどうなのかということで、事務局にお尋ねがあったと思いますので、ですので、その限度でお答えいただければと思います。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 先生のほうから、中位所得との比較を行うのかということで御質問をいただきました。
 その点につきまして、資料の4の3ページのほうで、検討事項としても記載させていただいておりますけれども、前回の報告書の指摘も踏まえて、比較する所得階層が第1・十分位でよいかというところについては、その都度確認する必要があるといった御意見もあったことも踏まえて、検討課題として、第1・十分位の妥当性ということを、どのように確認するのかということで記載をさせていただいております。
 この資料の中の3つ目のマルで、前回の検証におきまして、第1・十分位が適切かというところの確認を行った指標を記載させていただいておりますけれども、その指標の中で、中位所得層に対する消費水準の比率といったところも、前回確認をいただいたところでございます。
 それについては、今回の検証の中でも、引き続き確認をさせていただくのが基本であるかなと考えてございます。
 もう一点、前回の部会で検討されました2つの手法ということで、MIS手法と主観的最低生活費に関する手法のことと認識しておりますけれども、その2つの検証につきましては、前回の基準部会で具体的な試算をいただきまして御議論をいただいたところでございますが、前回の基準部会の検討の中では、予算制約の中で主観的な要素も排除できないといった課題もいただき、その検証の中で活用できるといった結論には至らなかったところでございますので、現時点で、その2つの手法について深掘りをして検討していくというところは、事務局として考えていないところではございます。
 ただ、検討事項の3としまして、消費実態による検証を補完する方法としまして、前回の部会報告書でも御意見をいただきました、生活の質の分析の精緻化、まずは、そういったところを事務局としても、具体的な集計分析などをしまして、この部会でもお示しをさせていただいて御議論いただきたいと考えてございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
○岡部委員 はい、どうもありがとうございます。
 最後の4点目のところは、どうなのでしょうか、最低生活費の体系について、加算であるとか、他の扶助のことについて。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 扶助や加算につきまして、どこまで今回の検証で踏み込んで検討するかということでございますけれども、今回1年前倒しを実施する中で、具体的にどこまでできるかというところは、まだ事務局としても決まっていないところでございまして、まず、前回の報告書も踏まえて、各扶助や加算について、データの整理、どういったデータで、それぞれの扶助や加算が想定している需要を把握できるのかといったところから、まず、検討させていただきたいと考えております。
 また、その中で、部会の先生の御意見も踏まえながら、どこまで御議論、検討ができるのかというところを検討させていただければと考えております。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
○岡部委員 前回、これは、水準均衡方式とは別の方式で、2つの方式であるMISと主観的な分析でした。これは生活保護基準の算定方式としては、ある意味では相当踏み込んだ検討をしていただいたと考えます。この点についての継続性であるとか、今後そのことも含めて、水準均衡方式で基本として行うにせよ、そのことをどのように活かしていくのか、さらに検討をしていく。これをそのまま使用するということではなく、国民生活の最低限を保障する制度の検討に入れながら、この2つの方式も視野に入れながら、そのほかの方式もあるかと思いますが、検討していく意義は大きいのではないかなと思い、発言をさせていただきました。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 ほかの方は、いかがでしょうか。
 それでは、宇南山委員、どうぞ。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。宇南山です。
 私、前回参加させていただいたところの経験も踏まえつつ、説明を聞かせていただきました。今回も、第1・十分位を参照するという方針を踏襲するということで、それは、ある意味客観的であると、国民の理解を得る上では非常に分かりやすいという意味で優れていると思っております。
 前回もそうでしたが、この基準本体の検証というのが一番の山場になるというのは御指摘のとおりですが、逆に言うと、ここの部分は客観的なデータで決着がついてしまう部分が大きいと思います。第1・十分位が適切な比較対象かという検証は重要だと思いますが、この点については、第3の論点である消費実態による検証を補完する方法の検討と不可分なところがあると思います。現状だと第1・十分位の検証と、その中で、それが適切な基準かを同時に検討しますという論立てになっていますけれども、むしろ、それは第3の論点とセットにすべきかと思います。消費実態の検証をする中で、第1・十分位が適切な比較グループなのか、そもそも我々が満たすべき基準は何かという議論が混ざってしまうと、議論があっちこっちに行ってしまうような気がします。基準の適切さは、第3の論点と統一的に議論できたらいいと思います。ほかの先生方の御意見もいただきたいなと思いました。
 もう一つ、第2の点なのですが、令和6年全国家計構造調査というのが、2024年に行われておりまして、これが、我々が検証したとして適用されるのは2027年以降ということになり、3年ほどラグがあります。現状では、全国家計構造調査の第1・十分位に合わせて基準を見直すということは、日本人の平均的な家計の消費水準の変化と、物価の変化を同時に調整する体系になっています。物価の変動が小さい場合には、ラグが3年ぐらいあるというのは、それほど大きな問題ではないと言えますが、現状はそのようになっていないと思います。
 先ほど、事務局のほうから御説明いただきましたが、前回の検証のとき、すなわち2014年基準から19年基準になったときには、2%ぐらいの調整があったということですが、これはおおむね消費税の引上げなどに相当していたので、実質的な物価の変化はなかったわけです。今、足下だと2%とか3%という物価インフレ率がありますので、3年のラグというのは、やはり無視できないインパクトがあるかなと思います。
前回までは第1の検証の部分に最大の労力を費やしたと思いますが、今回はこの第2の論点についても、きちんと議論しないと現在の状況に対応できないと思います。第1の論点はデータが来てからということで、おおむね前回踏襲でいいのではないかとは思っているのですが、第2と第3の論点で議論の中心が来たらいいのではないかというのが、私からの意見です。
 もう一つだけ事務局のほうに御質問なのですが、今のところは、社会経済情勢の変化の反映という抽象的な表現になっているのですが、インフレ率以外の情勢の変化みたいなものは反映する予定があるのか、もしくは検討する予定があるのかというところを教えていただければと思います。
 以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。
 検討課題についての貴重な御意見をありがとうございます。
 今、御質問がありましたので、その点についてのみ、事務局のほうからお願いしたいと思います。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 宇南山委員から、インフレ率以外の情勢について反映することを考えているのかという御質問をいただきました。
 今回検討課題の2ポツの検討事項として、社会経済情勢の変化の反映とさせていただいておりまして、まずは経済変動として、物価もございますけれども、消費データなどの経済変動をどのように把握して、基準に反映させるかというところが最も重要なところだと考えております。
 一方で、社会経済情勢として、前回であればコロナの影響ですとか、最近では、低所得世帯向けの給付金などが講じられているということもございますので、そういった直接的な消費や物価などの経済変動だけではなく、それに影響するような背景となる社会情勢についても、どのように勘案することが必要なのかといったところは、先生の御意見もいただきたいと考えているところでございます。
○岩村部会長 宇南山委員、よろしいでしょうか。
○宇南山部会長代理 ありがとうございます。
○岩村部会長 それでは、栃本先生、どうぞ。
○栃本委員 宇南山先生のお尋ねとも関係するのですけれども、非常に簡単なことなのですけれども、今後のスケジュール(案)のところの令和7年度のところで、事務局のほうで説明された部分で、今のことに関係あるのですけれども、丸ポツの次の黒ポツの2つ目の各種指標による推移の確認とありますね。その各種指標による推移の確認ということについて、これは、宇南山先生がお尋ねになられたことでもあるのだけれども、今まで、今日の説明の中でも、それに関連することを口頭では述べられているのだけれども、端的に言って、このスケジュール(案)で示されている1ページ目の左側の「各種指標による推移の確認」という部分の「各種指標による」という各種指標ですね、具体的にこれの例示を挙げてください。
○岩村部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 ありがとうございます。
 現時点で事務局として考えている指標ということで、活用できる指標としましては、例えば消費データでしたら家計調査のデータとしまして、毎年の消費のトレンドを把握することができます。
 これについて、低所得世帯の消費の動向も確認できますけれども、サンプル数の問題も、もう一方ではございます。低所得世帯だけではなくて、これまでも全世帯の消費の動向なども基準部会の中でお示しをさせていただいているところでございます。
 また、消費データだけではなくて、消費者物価指数ですとか、賃金など、一般的に経済指標として確認されている指標については、お示しをさせていただいて御議論いただきたいと考えております。
○岩村部会長 栃本委員、よろしいでしょうか。
○栃本委員 ということは、まだ、今日は始まったとこなので、先ほどの宇南山先生のお話は、今のスケジュールのところで言うと、その次のところの社会経済情勢の変化を把握する指標についての云々の部分に、宇南山先生は踏み込んで言われたわけなのだけれども、今、挙げられた、私が質問したほうの各種指標というものは、従来から使われているもの、相当考えた上で可能なものとして取り上げているというのは、もちろんよく分かるし、その上で、今回前倒しということもあるし、今のスケジュールでは、今年の令和7年では、これをやろうということなので、やはり丁寧に、どれか参考までに追加できるようなものがあるのかどうかというのは、やはり徹底的に見ておかれるということは、この基準部会の本来の目的ということから言ったら、まさに直球の話だから必要だと思います。
 一方、それに対して、前回の検証の報告書を出すときの、取りまとめをする作業のときに、主観的なものとか2つ挙げましたけれども、研究者レベルにおける試行的な研究レベルであって、あれは直接使えないという結論だったと思いますよ。だから、それをきちんと精緻化することによって、より参考になるものができるでしょうというところにとどまっているわけだから、仮にそのあと前進があったというのなら、そういう前回の基準部会における報告書というのをきちんと踏まえた上ででは指標との関係でどう組み込めるのか、単なる参照なのかとか議論することが、私は必要だと思います。
 以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 ほかには、いかがでございましょうか。
 では、嵩委員、どうぞ。
○嵩委員 御説明ありがとうございました。嵩でございます。
 私からは、まず、一般的な話ですけれども、今回初めて参加させていただいて、よく分からないとこもあるのですけれども、最低限度の生活は、やはり決め方にしても額にしても、唯一絶対の正解があるわけではないと思うので、恐らく今まで調べられているのかもしれませんけれども、ほかの国ではどうしているのかというのが少し気になるというところもありまして、もし事務局のほうで、諸外国での公的扶助の水準をどう決定しているのかということの調査とかをされているのであれば、部会で御提供いただけると、それを参考にするということも可能かなと思いました。
 あとは、具体的に第1・十分位が適当なのか、まだ、知見が十分なくて分からないところもあるのですけれども、どういう数値を用いるかということの判断自体についても、やはり合理的であるということが求められると思いますので、なるべくいろいろな数値を見て、それで、その数値の妥当性とか精度とか、そういったものを比較検討していくという検討過程自体がやはり重要だと思いますので、いろいろ、もちろん前回もそうされていたと思いますけれども、広めにデータを調べて検証していく必要があるかなと思っております。
 あと、第1・十分位については、私も知見が十分でないので分からないですけれども、そこに例えば生活保護の基準を下回っている人が、実は結構入っているということになると、最低生活費の比較対象として下振れするのかなとか、あとは、モデル世帯についても、やはり被保護者の世帯の半分以上が高齢者の単身ということだと思いますので、貯蓄の問題などもありますけれども、やはり単身の高齢者の世帯の消費なども調査していくということも、限界はあるかもしれませんけれども、そういったことを探求していくということも必要かなと思っております。
 また、消費実態だけだと、やはり比較が難しいということになると、先ほど来お話がありましたように、他のアプローチというか、そういうのも前回の手法も参照にしながら、また模索する必要があって、生活費を積み上げるとか、そういった絶対的なものというのも、他方で検討していく必要もあるかなと思っています。
 あとは、すみません、個人的な意見になりますけれども、最低限度の生活という中に、社会的な包摂とか、そういった観点から、ほかの人との関わりとか、交流とか、そういったものカウントするような視点も既に含まれていると思いますけれども、そういった視点もまた重視して、検討していく必要があるかなと思っております。
 以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 諸外国の状況をどうするかというのは、少し事務局と御相談させていただきたいと思います。
 では、岡部委員。
○岡部委員 世帯類型別に見ますと、生活保護受給世帯は、高齢者単身世帯が非常に多い、そういうことを念頭に置いて消費実態ということを考える必要があります。
 そうしますと、この生活扶助基準というのは、第1・十分位と生活保護の受給の世帯との均衡というのを考えるということなのですが、もう一方、前回部会では、第3・五分位を世帯類型別に比較対照していくということを、作業として行ない、それを載せていると思います。
 そこでは、世帯類型別に行きますと、これは、高齢者世帯以外の、例えば、一人親世帯やその他世帯であるとか、その辺りのデータは検討していただいていますので、第1・十分位ということは基本に据えつつ、これは、一応、中位所得の第3・五分位の6割水準というのを1つの目安にして考えようというのが、一定これまでの合意事項だったかと思います。この点についても、ぜひ、この基準部会の中で検証ということもしていただければと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでございましょうか。
 では、宇南山委員、どうぞ。
○宇南山部会長代理 今の嵩先生のところなのですけれども、データについては、一応私、家計消費が専門でありますのでその点からお話ししたいと思います。生活保護制度というのは、説明がありましたように、細かく費目によって別の制度になっているところがありますので、詳細な消費の内訳が見られるデータが必要になります。日本の公的統計の中で消費の内訳が観察可能で、消費全体が見られるのは、家計調査と、この全国家計構造調査しかないというのが実態です。その中でサンプルサイズの大きいのが全国家計構造調査ということなので、データ源については、ほぼ、これしかないかなと思っています。
 また、モデル世帯についても回帰分析をしていて、結局どこを基準に回帰分析をするかだけなので、見かけよりは、必ずしも3人世帯というのが強い影響を持つわけではないのではないと理解しております。むしろ、生活保護世帯として一番多い類型ではなく、家計構造調査の中のサンプルの中で多い類型のほうが、比較的安定した結果が出やすいです。その意味で、モデル世帯の選択は、そんなに大きい影響は出ないかなというのが私の理解です。
 すみません、横から、ありがとうございます。
○岩村部会長 いいえ、ありがとうございました。
○嵩委員 ありがとうございます。
○岩村部会長 ほかには、いかがでございましょうか。
 それでは、若林委員、どうぞ。
○若林委員 今回が初めての参加となりますので、不勉強な点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 いまのご議論を伺っていて、私も全国家計構造調査を用いて第1・十分位の層について分析を進めるという方向性には、まずは賛同いたします。一方で、過去に生活保護を受給していた方々の消費行動について、どの程度までこの調査から把握できるのか、お伺いしたいと思いました。
 というのも、先ほども議論に出ていましたように、生活保護には、本来受給すべき人が受けていなかったり、逆に、要件を満たしていない人が受給していたりするケースがあると理解しています。そうした現状を踏まえたときに、第1・十分位という所得基準だけで分析した場合、生活保護受給者の行動をどの程度正確に捉えられるのか、という点に関心を持っています。よろしくお願いいたします。
ご説明いただければ幸いです。
○岩村部会長 ありがとうございます。
 事務局で、すぐお答えできますか、いかがでしょうか。
 では、お願いします。
○松原社会・援護局保護課長補佐 ありがとうございます。
 厚生労働省では、社会保障生計調査といたしまして、年間1,100世帯ほどの生活保護受給世帯に対して、家計簿の調査を実施しております。
 統計としては、有意抽出でございまして、どの程度細かく分析ができるのか、また、生活保護の受給者の方に対して行っている調査ですので、例えば、世帯類型で見ると、高齢世帯の方のデータが多いといったデータの制約もあるわけですけれども、生活保護を受給されている方が、どのような消費をされているかということは、一定把握することができますので、まずは、社会保障生計調査のデータを使ってどのような分析ができるのか、先生からの御示唆もいただきながら、事務局で可能な資料を提出してまいりたいと考えております。
○岩村部会長 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
 ほかには、いかがでしょうか。
 それでは、村田委員、どうぞ。
○村田委員 ありがとうございます。
 私も今回初めて委員になりまして、十分理解できているかというのはありますけれども、前回の報告書は読ませていただきまして、データに基づいて非常に丹念に検証されたという印象を持っております。
 ですので、先ほどのモデル世帯についての分析も、最初は少し年齢とか、工夫する余地があるかと考えたのですけれども、むしろ同じにしておいていただいたほうが、結果が出たときに、パラメーターなど、解釈がしやすいので、なるべく同じにしていただくというのも考え方の1つではないかという印象を持っております。
 あとは、既に出た意見と重複するかもしれませんが、物価が2024年以降、消費者物価は2%を超えて、今年も続いておりますので、物価については検討しないといけないと思っておりまして、その際に、先ほど家計調査の消費とか、CPIとか、賃金という話もありましたけれども、1つ思いましたのは、昨今のCPI上昇は、食品、電力、ガスとか、基礎的な品目の上昇が大きくなっておりますので、低所得世帯への負荷が大きい可能性があるかと思います。
 ただ、実際のところ、検証してみないと、それほど注目しなくてもいい大きさかもしれないので、そこをぜひ、例えばCPIを総合だけではなくて、低所得者世帯の消費構造を配慮しながら、低所得CPI的な参考値を計算していただいて、例えば、総合CPIは2.8%上昇しているけれども、低所得者参考値CPIだと2.9%だったとか、そういった数値を計算していただけると、参考になるかもしれないと思っております。
 もう一つは、私も今回委員になってから、社会保障生計調査があることを知りまして、先ほどの宇南山先生の3番目の検討ということもおっしゃっていたかもしれませんが、社会保障生計調査は、毎年行われているようなので、消費構成を見てみるとか、確認という意味で有効な情報をもたらしてくれるかもしれないと思っております。
 以上になります。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 また、今後、事務局とも相談しながらと思います。
 ほかには、いかがでございましょうか。
 今日は、最初のスタートということでございまして、細かい議論に入っていくのは次回以降ということになろうと思います。
 ほかに特になければ、今日は、この辺りでということにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、予定よりは早めでございますけれども、本日の審議は終了とさせていただきたいと思います。
 次回の開催につきましては、事務局のほうから説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤社会・援護局保護課長補佐 次回の開催につきましては、事務局より改めて開催日程を調整させていただきまして、追って皆様方に連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。
 今日は、最初のスタートということで、大変貴重な御意見をいろいろ委員の先生方からいただきました。また、それを踏まえながら、今後の進め方については、事務局とも相談しながら検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。