第2回福祉人材確保専門委員会 議事録(2025年6月9日)

日時

令和7年6月9日(月)12:30~14:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール14G(14階)
(東京都千代田区内幸町1ー3-1 幸ビルディング 14階)

出席者

委員(五十音順)
松原 由美(委員長)
石踊 紳一郎(委員)
及川 ゆりこ(委員)
小笠原 靖治(委員)
川井 太加子(委員)
佐保 昌一(委員)
鈴木 俊文(委員)
髙橋 秀親 (委員)
中村 和彦(委員)
西島 善久(委員)
堀田 聰子(委員)
山田 雅人(委員)
山本 一太 (委員)
(代理:高橋淳参考人)

議題

(1)介護人材確保に関するヒアリング
(2)その他

議事

○岡本福祉人材確保対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
 事務局より、本会議の取扱いについて御説明いたします。本会議の議事については公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。本会議では、これ以後の録音、録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
 会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ撮り終了)
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 最初に、本日の委員の皆様の出欠状況についてお伝えいたします。
 本日は、石踊委員、川井委員、堀田委員、山田委員がオンラインでの御参加となります。
 なお、佐保委員におかれましては14時頃に御退席される予定となっておりますので、あらかじめお知らせいたします。
 また、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。高橋参考人の御出席につきまして、委員会の御承認をいただければと思いますが、いかがでごさいましょうか。
(首肯する委員あり)
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 ありがとうございます。では、御異議なきものとさせていただきます。
 加えて、本日の議事のうち「(1)介護人材確保に関するヒアリング」に関連して、2名の参考人の皆様にも御出席いただいておりますので御紹介をさせていただきます。
 公益社団法人日本医師会、江澤和彦様でございます。
 公益社団法人全国老人保健施設協会、光山誠様でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、江澤参考人におかれましてはオンラインでの御参加、また質疑終了後に御退席される予定となっておりますので、あらかじめお知らせいたします。
 本日は御出席の委員の方が3分1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 事務局からの出席者につきましては、配付させていただいている座席表をもちまして紹介に代えさせていただきます。
 なお、日原社会・援護局長は公務のため、遅れて参加する予定です。
 岡本大臣官房審議官は、公務のため14時10分頃途中退席の予定となっております。御了承ください。
 続きまして、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 資料の読上げは割愛させていただきますが、本日の資料は資料1から8となっておりまして、参考資料は1から3を配付させていただいております。
 会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。もし欠落等ございましたらお知らせいただければと存じます。
 また、オンラインにて出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら恐縮でございますが、ホームページからダウンロードしていただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、発言方法等について、オンラインで御参加の委員、参考人の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、委員長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。
 御発言が終わりましたら、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 それでは、これからの議事進行につきましては松原委員長にお願いしたいと存じます。
 委員長、お願いいたします。
○松原委員長 皆様、こんにちは。御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 1番は「介護人材確保に関するヒアリング」について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 失礼いたします。福祉人材確保対策室長でございます。
 資料1「関係者ヒアリングについて」の資料を御覧ください。
 今回から2回にわたりまして、関係者の方々のヒアリングをお願いしたいと思っております。本日につきましては、資料1の1ページ目に書いてございますお二人の参考人、または5名の委員の方からヒアリングをさせていただきたいと考えております。
 基本的には、12分程度御説明をいただいて質疑応答という形で考えてございます。参考人のお二人の参考人の説明の終了後、質疑応答、また5人の委員の方々の説明終了後に質疑応答という形でそれぞれ進めさせていただければと思っております。
 ヒアリング項目としては2ページ目にお示しをしています。1回目に示させていただいた論点についてお願いをしているところでございます。
 なお、事務的なことでございますが、持ち時間の終了1分前及び12分を経過したタイミングで事務局から鐘を鳴らしますので御承知おきいただければと思います。
 また、前回お示しした事務局の資料を参考資料3で、またその際に前回いただいた御意見をまとめたものを参考資料1に示させていただいておりますので、併せて御確認をいただければと思います。
 私からは以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 それでは、これより本日御出席いただいている委員、参考人の皆様から、それぞれのお取組の御説明や、その取組を通じて感じていらっしゃる課題などにつきまして御発表いただきたいと思います。
 では、まず江澤参考人からお願いいたします。
○江澤参考人 ありがとうございます。
 資料の画面共有をお願いできますでしょうか。
 日本医師会の江澤と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 では、次をお願いします。
 これは、御周知のごとくでございますが、令和5年度に介護職員の数が減少に転じた。215万から約212万に減少に転じたという、我々の業界では大変ショッキングな出来事でございました。
 次をお願いします。
 こちらは、平成20年の6月に全老健を中心に介護職員の生活を守る緊急全国集会が開催された資料でございます。
 このときは介護職員の処遇改善が施される前の介護職員の生活を含めて処遇というものが危機的な状況にあったときの、ある意味ではピークにあったときでございます。そういった中で、全老健を中心に日比谷公園で緊急集会を開いたという形で、166万人の署名も集まったところでございます。
 次をお願いします。
 こちらは、そのときの風景でございます。
 次をお願いします。
 当日は国会議員の183名の先生方もこちらに御登壇いただき、こういったことをきっかけとして介護職員の処遇改善につながった経緯となった緊急集会でありました。
 次をお願いします。
 このように、平成21年4月から介護職員の処遇改善の交付金、そして途中から加算、処遇改善加算というふうに変わってきた経緯があります。これは大変ありがたい施策ではありますが、大局的な状況においては平成20年の頃と状況はあまり変化していない部分もあるのかなというのが印象でございます。
 次をお願いします。
 これは、つい最近も審議会等で出されている資料ですけれども、他産業の賃金の伸びがここ2年程度かなり著しいということもあり、介護職員の賃金と全産業平均の開きが大きくなってきています。特に、3年に1度の介護報酬改定では追いつかないのではないか。開きが大きくなるということが多く指摘されている中で、例えば保育のように毎年処遇改善を見直すとか、あるいは保育のほうは人事院勧告を参考に処遇改善を行ってきておりまして、かなり介護職員よりは手厚い処遇となっている部分もあります。
 次をお願いします。
 この処遇改善加算ですけれども、現状、直近全体では95%が取っていますけれども、加算Iに目をつけると45%、当然サービス、施設で類型にはばらつきはありますが、まずは全施設、全事業所が加算Iを取れるようにしていく必要があろうかと思います。
 通所利用が低いのは、恐らく医療機関が入っている兼合いだと思いますけれども、全体的に特にどう加算Iの取得を高めていくのかというのは課題であります。
 次をお願いします。
 こちらは職場環境等要件ですけれども、これらの要件を満たすことが処遇改善加算の算定の要件に入っておりますが、例えば昨年の診療報酬改定でできましたベースアップ評価料については、この職場環境等要件に類似するようなものは設定されておらず、今後ここに書いてある内容は経営者、あるいは事業者と経営側、運営側とすれば当然労務管理等で行う責務とも言えるものでありますし、逆にこれをやっていないと職員も定着しないのではないかと思いますから、ある意味でまず職場環境等要件を外して、なくして、まずは賃金を介護職員に届けるということを優先することを考える必要があるのではないかと思っております。
 次をお願いします。
 こちらはよくある資料ですけれども、左側が離職した理由ということになりまして、毎回トップは職場の人間関係、次いで法人や施設・事業所の理念や運営方針に不満がある等、この辺が毎回トップに並んでいます。したがいまして、ここに手をつけないと、離職防止のほうに関すると、やはりここら辺の職場の働きやすい環境というのをどう構築していくかというのが非常に重要なファクターだと思っています。
 また、右の「早期離職防止・定着促進に効果のある方策」で、柔軟に労働の働き方に対応しているとか、休みの取り方とかいろいろ上位にありますけれども、ここは逆に言うと定着に資するためのヒントが並んでいると考えています。
 次をお願いします。
 これは、数年前に私が厚労省、国のほうにお願いして調査をしてもらったものでございます。介護福祉士として10年以上働いている方にどうして続けられたのですかということをお尋ねしたところ、予想どおりですけれども、トップは仕事へのやりがいです。
 次をお願いします。
 そのやりがいにつきましては、オレンジのバーですけれども、年代を追うごとに高まっています。したがって、やりがいをどう構築していくのか。現場は目の前の利用者の方がお元気になったり、笑顔が出たり、在宅に戻れたり、ましてやありがとうという感謝の言葉をかけられることが最大のモチベーションにつながります。したがいまして、成功体験と私は申しますけれども、成功体験一つずつの積み重ねというものが極めて仕事の継続には重要である。ですから、言い換えれば、良質でいいケアを日々提供していることは好循環につながるということでございます。
 次をお願いします。
 <採用がうまくいっている理由>というのが左に出ておりますけれども、トップは職場の人間関係がよい、続いて残業が少ない、有給休暇が取りやすい、働きやすい職場、それから仕事と家庭の両立の支援、そして仕事のやりがいという形で、こういったものが上位に並んでいるので、これは当然予測されるところでございます。
 次をお願いします。
 配付資料に入れておりませんけれども、私の自法人で年に1回、学会を開催し、これは全て職員の手づくりの学会で、職員がプログラミングしたり、いろいろ運営を考えているものです。
 次をお願いします。
 介護職員人材不足のピークの平成21年、大変処遇も厳しいという声がピークにある中でパネルディスカッションをつくっており、その中の資料の一部ですけれども、よかったこと、うれしかったことで見ると、やはり笑顔とか、ありがとうとか、職員の調査結果から出ております。
 次をお願いします。
 逆につらかったことですけれども、やはり利用者との関係性というのは非常に重要なファクターになります。利用者さんとの関係がうまくいっているかどうか、精神的なつらさ、あるいはみとりでつらいということも当然あります。
 次をお願いします。
 これは法人内のある老健のアンケート調査ですけれども、介護に関する喜びですが、平均要介護度が下がってADLが上がって元気になったこと、あるいは介護福祉士の資格や取得、あるいは感謝、あるいは声かけ、下のほうにもありがとうというものがあります。
 次をお願いします。
 続きましてもう一つの老健ですけれども、こちらも利用者との関係性とかADLの向上、お元気になったこと、最後にありがとうというのが出ております。
 次をお願いします。
 こちらは介護福祉士、介護職員でよかったと思った瞬間や出来事ですけれども、同じように感謝の言葉、それから人の役に立てるとか、ありがとうという言葉が並んでおり。
 次をお願いします。
 同じくもう一つの老健ですけれども、こちらもありがとうという言葉がたくさん並んでおります。
 次をお願いします。
 次はグループホームですけれども、こちらも感謝の言葉、笑顔、利用者との関係性というものが並んでおり、全て大体共通の内容が並んでおります。
 次をお願いします。
 これは個人ですけれども、家族の一員として考えてケアをしているとか。
 次をお願いします。
 やりがいを感じる瞬間というのがここに書いてあり、率直な気持ちだというふうに思います。
 次をお願いします。
 まとめると、やはり専門性、やりがい、一方でなかなか身体的、精神的にハードだと感じている側面もうかがわれ、やはり感謝の言葉、ありがとうというのは非常に特効薬であるということになります。
 最後に、まとめのスライドをお示ししています。
 次をお願いします。
 介護というのは、人が人に濃厚にサービス提供をする究極のサービス業というふうに私は考えておりまして、特に誰も彼もが介護職につけないんです。適性がないと食事介助、入浴介助、おむつ交換、なかなかできるものではありませんので、今は適性のある限られた貴重な人材が介護職を担っていただいている。その重みというのはもっともっと認識するべきだと思いますし、特に他産業に流出しておりますけれども、流出した職員はほぼ戻ってこないということもありますので、危機感をもっと高めていく必要があると思います。
 また、毎回介護の概調とか、実調とか、経営調査とかいろいろな調査を行いまして公表されますが、4割、5割の事業所が赤字だとか、収支差が平均でマイナスになるとか、ああいうものが出てくると、当然これからの若い世代の方がそういった赤字の会社に勤めようとか思わないでしょうし、給料が上がらないだろうということは容易に想像がつくわけです。
 これはこの場で議論することではないかもしれませんが、しっかりと経営を支えるというのが重要でありますし、もはや事業者の自助努力を超越した世界にいっているということがやはり共有していかなければいけませんし、介護人材不足は平成20年の頃から深刻さはあまり変わっていないと思っておりまして、これは誰もが分かっている。国策としていろいろ介護人材不足に取り組んでいきながら、なぜこんな状態なんだということで、やはりこれまで取ってきた人材不足に対する評価をいま一度ここで行って、今のこの方策でいいのかどうか、ここはしっかり考えていく必要がありますのでよろしくお願いしたいと思います。
 また、物価・インフレ社会のステージということで、3年に1回の処遇改善だとどんどん差が開いてしまうので、非常に厳しいと思いますし、現在、国のほうはICT・ロボット・高齢者の社会参加という形で打ち出していますけれども、これが本当に現場職員の心に響くのか、あるいは効果はどうであったのか、効果検証というものが必要だと思います。それで、先ほど申しましたように、やりがいとか、介護は感情労働とも言われておりますので、我々も適度な感情移入をしながら、利用者さんに想いを寄せながら、良質な関係性をつくりながらやっていく、幸せづくりの積み重ねという業であると考えています。
 したがって、人間関係とか働きやすい職場というのが離職に影響する理由のトップにあるわけですから、ここへメスを入れる。要は、今、生産性向上とかに取り組むと補助金が出るものもありますけれども、例えば社労士の支援により、いい職場環境にしていく。働きやすくするためのノウハウが必要な事業者においては、社労士とか、そういったアドバイスを行うことに取り組んでいくほうが重要ではないかと思っております。
 また、先ほど申しました職場環境等要件を廃止して賃金をまず先に届ける必要があるのか。あとは、医療機関の看護補助との格差は大きいけれども、これはここで話す問題ではありませんが、医療業界ではそういった問題もあります。
 それから、外国人材につきましてもイニシャルコスト、毎月のランニングコストを考えたときに、現在の介護報酬では賄えないのではないか。この辺りをどう考えていくのかというのは今後の課題だと思っております。
 それから、やはり資格を取れたというのは喜びであります。介護福祉士を取ったとか、キャリアアップ、技術向上への取組というのは、これも職員の人材確保には非常に重要でありますし、あとはタスクシェア、タスクシフト、される側の職員の負担というのも考えながら取り組んでいく必要があると思います。
 最後に、最近はなかなか人材紹介でしか職員が来ないんだということで、イニシャルコストとなる紹介料も年収の2割とかでありますので、いま一度ハローワークの機能強化をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○松原委員長 ありがとうございました。貴重なお話、ありがとうございます。
 では、次に光山参考人、お願いいたします。
○光山参考人 全老健の人材対策委員会委員長の光山でございます。着座にてお話しさせていただきたいと思います。
 まずは、このような貴重な意見の場を設けていただきましてありがとうございます。
 次に資料をお願いします。
 「介護現場の現状」ということなのですけれども、先ほど来、江澤先生のお話ししたようなことと重なるのですが、この資料は5月8日に全老健の東会長が記者会見を行ったときの資料ですので、それをそのまま使わせていただきたいと思います。
 次の資料をお願いします。
 介護団体10団体がアンケート調査をした結果ということなのですけれども、1万人を超える事業所がまさに悲鳴を上げている状況がここからうかがえるかと思います。
 次の資料をお願いしたいと思います。
 まず施設の3分の1が赤字、在宅系も約半分が赤字ということで厳しい状況です。
 次の資料をお願いします。
 人件費については、処遇改善等、大変ありがたい施策を行っていただいていますが、しかしながら、他産業との差はさらに拡大している状況となっております。
 次の資料をお願いします。
 このように、ますます差が拡大していることがこの資料からも分かります。
 次の資料をお願いします。
 これは先ほどの資料とも重なるのですけれども、令和6年では既に8万3000円くらい差がついておりまして、もはや他産業と比較して選んでもらえる産業ではないということがここから分かります。
 次をお願いします。
 賃上げ支援等についても行ってはいただいているというふうに認識はしておりますが、全く追いついていない。その差があまり縮まっていないと思います。
 次の資料をお願いします。
 「物価高騰」です。
 物価高騰については御案内のとおりで、年々上昇しております。
 次の資料をお願いします。
 ガス、電気代、全て右肩上がりです。
 次の資料をお願いします。
 ここで見ていただきたいのは、一番右側の設備修繕・維持費用の高騰ということです。昨日の日経新聞の第一面を見ていただいた方はあろうかと思いますけれども、第一面に出るくらい建築費の高騰というものが非常に厳しい状況となっております。老人保健施設も、特養も、いわゆる介護保険施設と呼ばれる事業所におきましては20年、30年経過している施設がほとんど大半だということで、この20%の高騰というのはもはや継続意思がなくなってしまうような危機だと思っていただきたいと思います。
 次の資料をお願いします。
 人件費に続くコストと言われている給食関連費となります。毎年10%前後が上昇し続けております。
 次の資料をお願いします。
 特に世間を騒がせている米の高騰は、施設でもとても重たいということです。施設によっても100人以上の米というのは年間数トンに及びますので、非常に厳しい状況です。
 次の資料をお願いします。
 人材の流出が止まりません。
 次の資料をお願いします。
 離職率は安定していると言われておりますが、離職数はうなぎ登りとなっております。
 次の資料をお願いします。
 正規、非正規、介護、それ以外問わず、全て流出が止まらないということになっております。
 次の資料をお願いします。
 特に賃金格差が続いていることから、他産業への転職ということが止まりません。せめて介護業界の中で動いていただけるのであれば、それはまだ納得いくのですけれども、他産業の流出、特に私が事業をしている大阪では今、万博が行われており、インバウンド等、関連サービスに移動することが多く、そうすれば戻ってくることはないのではないかと思っております。
 次の資料をお願いします。
 そういった背景の中、全老健がどのような対策事業を行っているかということをお知らせしたいと思います。
 次の資料をお願いしたいと思います。
 全老健では、ほかの団体に負けない様々な取組を行っていると自負しております。まず、国や人材に関する団体が開催する委員会や会議等への参画を行っております。人材マネジメント塾と呼ばれる動画配信事業におきましては、毎年様々なテーマを基に動画配信を行っております。𠮷田室長におかれましても、2023年度、2024年度に、松原委員長にも2022年度に御登場いただきまして、大変好評を得ております。
 独自の調査を定期的に行っております。後ほど、最新の調査の結果を報告したいと思います。
 技能五輪の対応としまして、今年度のプレ開催に向けて技能五輪検討班を設置しております。
 次の資料をお願いしたいと思います。
 東会長が肝煎りで行っております介護助手の導入・業務内容の解説動画及びチラシを作成しておりまして、この資料を基に介護助手の啓蒙を行っております。
 次の資料をお願いしたいと思います。
 全老健の独自調査の結果を説明したいと思います。
 昨年度、2024年度は外国人介護職の人材に関する調査と採用ルートに関する調査を行っております。
 次の資料をお願いします。
 外国人材の調査ですが、下の表から御覧いただきたいと思うのですけれども、現在の外国人材の日本語能力についてはN3が40%、N2が29%、N4が23%という状況になっているようなのですが、入職1年後にはN2以上を70%以上求めているというように大きな期待を寄せている状況となっております。
 その右の表なのですけれども、現在の外国人材のポジションは一般職員が92%となっているのです、将来的には30%がチームリーダーや部門リーダーになってほしいというような期待を寄せております。ここから見るように、もはや外国人も一般職だけではなく、リーダーシップを担うような役職を持っていただきたいと考えていることがうかがえます。
 求める在職期間なのですけれども、まだ制度が始まって10年もたっていないということから、平均在職期間が2年から3年というような状況となっている中なのですが、将来的には5年以上、できれば10年以上と、より長くいてほしいというような結果になっております。
 このことから、優秀な人材については、例えば永住権という選択肢も付与できるような環境整備にしていただきたいと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 実施している支援育成策につきましては、生活関連支援が約半数です。これは家賃補助や生活環境整備ということが中心となっておりますが、外部実施の支援育成策で今後活用したいものとしては生活関連支援だけではなく職務関連支援も同等にお願いしたいということになっております。
 次の資料をお願いします。
 受入れの現状なのですけれども、既に受け入れているのが44%ということになっておりますが、今後の受け入れ準備中、もしくは受入れを検討しているものを合わせれば、全体ではやはり70から80%になっている状況で、今後ますます増えていくことが予想されております。年齢的には、やはり平均年齢を下げるような若い力が多数を占めているので、今後若い世代を外国から借りるということは避けられないのではないかと思っております。
 どのような制度が整えば受け入れるかということなのですけれども、やはり補助金や生活環境の整備等を期待しているということになっております。
 次の資料をお願いします。
 介護DXと外国人は非常になじみがよく、今後活用が進めば生産性向上の原動力となることが期待されておりますので、ぜひこの辺りも御検討いただきたいと思います。
 次の資料をお願いしたいと思います。
 ハローワークの機能が追いついていないということが結果的に見えております。できれば使いたいが、仕方なく有料ネット紹介を使っているというような状況です。コメントでも、ハローワークでの応募はほとんどないということが出ております。
 次のスライドをお願いします。
 全老健からの要望となります。政策にのっとった4つのポイントでの意見・要望となります。
 次のスライドをお願いしたいと思います。
 私どもは、介護福祉士が介護職員の前提であると考えております。そこで、資格取得を目指すことに対してさらなる支援をお願いしたいと思います。特に、外国人に関しては格別の配慮を願いたいと思います。教育の質の向上、外国人の国家試験の合格率を日本人並みに上げる対策を講じることを条件に経過措置の延長を願います。そうしないと、養成校の廃業に歯止めがかからず、日本人はもとより留学生の減少が見込まれることが考えられます。就労をしながら目指す受験者は、日本人だけではなく外国人も増えることが予想されます。
 今後は、今回導入されるパート合格の仕組みを活用しながら受験者の裾野を広げていただくことを期待したいと思っております。パート合格の周知徹底、その効果的な活用について議論願いたいと思います。
 次のスライドをお願いしたいと思います。
 さらなるハローワークの機能の強化を目指してほしいということは、先ほどの江澤先生のお話からも同じく言いたいと思っております。
 有料職業紹介は手数料が高額であり、経営的にも非常に圧迫要因となりますので、さらなる強化をお願いしたいと思います。
 質の高いサービスを維持するためには、介護助手の必要性が問われることと思います。地域の高齢者への周知がポイントとなることは御理解いただきたいと思います。導入することによって報酬上の評価等があれば導入の促進につながることから、何らかの評価をお願いしたいと思います。
 今後は、現在普及が進んでいるスポットワークや、まだまだ検討の余地がある週休3日などの新たなる採用ルートに対して柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 次のスライドをお願いしたいと思います。
 「生産性向上の推進」の件ですが、外国人や介護助手はともにDXとのなじみがよいと思われますので、今後ICT機器の導入と合わさることによって介護現場における生産性向上が推進されると思われます。本格的な導入には、非常に高額な費用がかかります。十分な支援が必要とされますので、その件も御検討いただきたいと思います。
 そこで、地域医療介護総合確保基金の補助率を全国一律に5分の4にお願いしたいと思っております。
 最後に、「更なる処遇改善の向上」をお願いしたいと思います。
 全職種が全産業並みの賃上げができるように、財源の確保をお願いしたいと思います。そのためには、さらなる処遇改善だけではなく、基本報酬のアップのお願いをしたいと思います。
 以上、老健だけではなく全ての介護事業所の叫び、願いです。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 御清聴、どうもありがとうございました。
○松原委員長 ありがとうございました。
 それでは、ここで10分ほど質疑応答の時間を取らせていただきます。参考人のお二方への御質問等ございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 及川委員、お願いいたします。
○及川委員 日本介護福祉士会の及川でございます。
 御説明ありがとうございました。光山参考人に質問でございます。
 スライドの28ページの黒丸の4つ目に書いてございます内容についてでございます。下段のところを読ませていただくと、「教育の質の向上、外国人の介護福祉士国家試験合格率を日本人並みに上げる対策を講じることを条件に、経過措置の延長を求める」と書いてありますが、この条件に付している内容についてどのようにお考えなのかお伺いしたいのですけれども、今、合格率は結構厳しい状況が続いております。それをどのくらいの時間をかけ、日本人並みに上げるのかということでございます。
 光山参考人に聞くべきかどうか、ちょっとあれですけれども、そのことをどのように考えていらっしゃるのか。この経過措置の延長をいつまで、どのくらいの時間を考えていらっしゃるのか、お聞きしたいです。
○光山参考人 御質問ありがとうございます。
 私ども全老健内部でも、この件につきましては議論をしているところなのです。正直言いまして、例えば質の維持ということに関して言うと、おっしゃるとおり合格率は今のところ30%台ということで非常に厳しい。これは専門学校の皆さんがしっかりと教育をしていただく。そこに対して我々施設、現場がどれだけ協力できるかということが問題になってくるかと思っております。その辺りの議論が、まず我々ができることかと思います。
 教育につきましては、それこそ養成校の皆さん方に頑張っていただくということが重要だと思いますけれども、一方で仮に経過措置を今、勇気を持ってやめるという選択を取ったことを考えた場合と、これはトレードオフだと思っております。私どもとしましては、いま一度しっかり協力体制を業界団体と教育、それと職能団体と併せて考えるべきかと思っております。ここをスタート地点ではなくて、もう既に議論をしていなかったことが不思議なくらいだと思っておりますので、いま一度、具体的にこれから考えていかなければと思っております。全力で支援したいと思っております。
○松原委員長 及川委員、いかがですか。
○及川委員 ありがとうございました。
 度重なる延長が続いている中、これまで人材確保対策のために延長されてきているのではないかと思いますが、それが功を奏していない状況の中でいろんな条件をつけられてもやはりなかなか難しいのではないか。それよりも、介護福祉士の価値を上げる。この経過措置をずっと続けることというのは価値を下げることと同等だと私たちは見ているので、そういうことを考えるとちょっと違和感があるなと思いました。
 以上でございます。
○光山参考人 追加でよろしいですか。
○松原委員長 どうぞ。
○光山参考人 今回、パート合格という非常に私どもとしましては期待できる制度が導入されます。それによって裾野が広がる。質を落とさずに合格率を上げる。それで、受験者のモチベーションも維持する。そういったものが求められるというか、期待できるのではないかと思っております。これをしっかりと我々も活用するような体制を一緒に整えて進めていけたらと思っております。
 以上でございます。
○松原委員長 及川委員、いかがですか。よろしいですか。
○及川委員 はい。
○松原委員長 ほかに御意見、御質問があればお願いいたします。
 小笠原委員、お願いいたします。
○小笠原委員 今、養成校の合格率をどう上げるかというお話がありましたが、私ども養成校のほうから参っておりますので少しお話をさせていただきたいと思います。
 非常に急速に留学生の入学が増えていく中で、まだまだ私たちの力不足というか、留学生の合格率をしっかり上げるというところ、日本人に関しては90%を超えている合格率を出していますので、教育内容が不足しているということではありませんが、どうしても言葉の壁というか、ふだんの生活を見ても、介護現場に出た状況を見ても、実施の状況を見ても、決して知識的に留学生と日本人に差があるというふうには、データがあるわけではありませんが、感じないんです。
 ただ、いざ国家試験を受けるということになってくると、国家試験を読み解く力がまだまだ足りないということで、そこが私たちのまだ指導の足りない部分ということになっていきます。
 ですので、介護の質、介護の大切な部分、日本の介護の理念をどうして教えていくかということは十分にできていると自負しますが、それ以外の国家試験を読み解き、正解を導き出す力というものを今から私たちは経過措置を延期、延長の要望というところでございますが、後で御説明もさせていただきますが、そこはしっかり取り組んで、合格率を日本人並みに上げていくということで全国でも既に取り組んでおりますので、その点、御報告をさせていただきたいと思います。
○松原委員長 ありがとうございました。御意見ということで賜りました。ほかに御質問がある方はいらっしゃればお願いいたします。
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 私からは江澤参考人に、私はいつもお世話になっているのですが、1点御質問させていただきたいと思います。
 先生がつくられた最後の現状と課題の「感情労働/感情移入・利用者との関係性」のところでございますが、なかなかこの関係性を築いていくのが難しいと考えている現場の方もいらっしゃるのではないかと思っています。あまり人間の関係性が近くなるといろいろなトラブルを抱えたりすることもありますし、遠ければ遠いとまたそれはそれでなかなか人間関係が築けないといった悩みを抱えたりというところがあります。これは先生の率直なお考えでも構わないのですけれども、ここら辺は何かトレーニングとか、そういったものが必要なのでしょうか。
○江澤参考人 大変重要な御質問をありがとうございます。
 医療もそうですけれども、介護は濃厚に利用者の方と接触を行う、本当に究極のサービス業だと思っている中で、これは専門職の共通することだと思いますけれども、自分たちが施したケアで目の前の関わっている方がお元気になるとか、笑顔が出るとか、まして感謝の言葉をかけていただくということは、鳥肌が立つくらいうれしいことです。私も医師としても同様な感覚を持っています。
 そういった中で、当然、過度な感情移入というのはすべきでないと、これまで客観的にもそのような指摘もされている中で、一方で喜びとか、悩みとか、いろいろな方がいらっしゃる中で、適度な感情移入と申しますか、受容と共感というのが我々の対人関係では極めて重要で、ちゃんと受容して共感する。その共感の度合いは個人差があるし、御自身の一人一人の思いでいいと思うのですけれども、受容と共感がまずは前提にないと提供できないサービスのお仕事である。
 そういうことがある中で、いいケアを積み重ねていくほど当然そういう場面、私が時々言っているのは幸せづくりと言うのですけれども、その幸せづくりの積み重ねが離職防止の好循環になるということは長年現場でも経験、体験しておりますので、そこは絶対間違いないのだろうと思うし、それがひいては業務を継続する最大のやりがいにつながっていきます。
 この好循環とか、組織をどう醸成していくかというのが重要な課題で、そこは恐らく離職防止の中ではかなり特効薬中の特効薬だろうとは思っています。もちろん職場の人間関係というのは必ず離職防止のトップになっていきますから、そこも含めてトータルの働きやすい職場をつくっていくのが非常に重要だと思っています。そういった意味での心を込めたサービスという意味で書かせていただいておりますけれども、佐保先生よろしいでしょうか。
○松原委員長 よろしいですか。
○佐保委員 ありがとうございました。参考になります。
○江澤参考人 ありがとうございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 本日は発表者が多いので、すみませんけれども、川井委員、手短にお願いできればありがたいです。
 川井委員、お願いいたします。
○川井委員 では、後からまとめてでも結構ですが。
○松原委員長 よろしいですか。
○川井委員 結構です。
○松原委員長 ほかにどうしてもという方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。では、続きまして委員の皆様からの御発表をお願いいたします。
 まず及川委員、お願いいたします。
○及川委員 ありがとうございます。
 日本介護福祉士会会長の及川でございます。資料4として皆様のお手元にある資料について御説明させていただきます。
 本日は、このような発言の機会をいただきましてありがとうございました。今回は4つの論点を示されておりますが、主だって介護福祉という資格に焦点を当てて意見書をまとめさせていただきました。この意見書について発言いたします。
 まず、現在の介護職は他産業と比較して処遇やキャリア形成、社会的評価の面で魅力に優位性があるとは言えません。人材の確保・定着が困難な状況にあると理解しています。
 これまで長らく人材不足への対策が断片的に行われてまいりましたが、私たちはそういった対症療法的な対応から脱却し、介護職の全体像を再定義する包括的な政策展開を進めるべきだと考えています。
 その際、鍵を握るのは介護福祉士の資格であり、介護福祉士の専門性だと考えております。これらを有効に生かす制度設計とする必要性をここでお伝えいたします。
 まず、資格取得方法の一元化と準介護福祉士の取扱いについてでございます。
 資格制度の適正化を図り、信頼を得るための一元化は、約18年経過した今も完全実施に至っておりません。国民の信頼や社会的評価、そして有資格者の誇りなどを損なわせています。
 介護分野の国家資格である介護福祉士の仕組みを国民に信頼いただける仕組みとすることが優先されるべき課題でございます。これまで一元化を目指しつつ、足元の人手不足等を勘案し、先送りされてきましたが、この間に人手不足が解決したわけではなく、今こそ現実に区切りをつけるべきです。
 また、準介護福祉士の資格は資格試験に合格していないことを証するものであり、信頼性に欠ける仕組みでございます。この仕組みは令和4年4月に動き出しておりますが、現時点で登録者はゼロでございます。懸念されたフィリピンへの影響も払拭されることを踏まえれば、今こそ撤廃の判断をすべきであります。
 次に、人材確保策を策定するに当たっての視点でございますが、人材不足対策として新規参入の促進ばかりが取り上げられておりますが、介護現場で介護職チームを適切に機能させるために必要な中核的な役割を担う介護福祉士の存在にも着目すべきであります。
 新規の人材ばかりいても、介護現場が回らないのは明らかでございます。人材確保策は介護現場を適切に機能させるために必要な人材として、どのような人材をどれだけ確保するのかを定めた上で具体的な計画とする必要があると思います。
 他方で、地域社会に目を向けると、地域住民には介護福祉にまつわる多様な課題があります。発災時には避難所や施設、事業所において介護福祉のニーズが生まれます。これらの課題やニーズには介護福祉士の専門性が有効であり、潜在的な介護福祉士を活用すべきと考えますが、現行の介護福祉士の届出制度は十分に機能しているとは言えません。地域にどれだけの潜在的な介護福祉士が存在するかといったデータも存在していません。これは、解決すべき大きな課題であります。
 このことを踏まえれば、現行の介護福祉士の届出制度をより有効に活用できる資格者情報登録制度として確立させるべきであります。また、この情報登録の仕組みは介護福祉士等の介護人材だけではなく、福祉専門職全般に対象を広げるべきであると考えます。
 次に、2ページにお示ししております認定介護福祉士について触れます。
 認定介護福祉士の仕組みは、平成19年の社会福祉士及び介護福祉士法改正時の附帯決議を踏まえ構築された仕組みでございます。認定介護福祉士には、介護現場の統括リーダーの役割から介護にまつわる地域課題に向き合う知見を有する人材としての役割まで、幅広い活躍が期待されるものであります。今後、この能力を有効に活用するため、制度的な位置づけ等についての検討をお願いしたいです。
 続いて、介護福祉士資格の制度的な位置づけについて触れます。
 介護福祉士資格は介護サービスを提供する人材として最も備えておくべき介護福祉専門職としての倫理観・コンプライアンス意識を基盤として、専門的知識、技術を有する人材であることを証するものであり、だからこそ介護職チームの中核的な役割を担う人材として位置づけられておりますが、介護福祉士資格の制度上の位置づけが曖昧なままであります。これを改め、介護福祉士を倫理・法令遵守の担保、虐待防止、身体拘束廃止の責任を担うリーダーとして位置づけるとともに、介護職チームの中核的な役割を担う人材として配置基準上明確に位置づけ、役割や責任、負荷に見合った処遇を保障すべきだと考えます。
 また、介護職チームの中核的な役割を担う介護福祉士は意見書の6ページの上に例示したように、様々な役割や機能が求められておりますが、具体的な役割についての整理がなされておらず、この役割や機能を担うために必要なスキル等を身につける機会も保障されておりません。これらの整理等を急ぎ進める必要がございます。
 続いて、介護職のキャリア形成について触れさせていただきます。
 厚生労働省から示された「山脈型」キャリアモデルは極めて重要な視点であり、引き続き具体的な検討を進めるべきであります。これと関連するものが、介護業界として、介護現場の介護職員がそれぞれのポジションで期待される役割を担うために必要とされる知識・技術等のスキルを整理した、体系的なキャリア形成の道筋が整備されておらず、このことが人材定着や介護業界に関心のある人材の新規参入をちゅうちょさせる要因になっています。
 他方で、制度にひもづく研修のほか、職能団体や事業者団体等による各種の研修等がございますが、それぞれの研修等の内容に重なりがあるなど非効率が生まれています。これらを踏まえれば、介護業界として体系的なキャリア形成の道筋の整備を進めるべきであります。その際、学びの積み重ねの履歴の可視化と、記録が可能な仕組みの構築も併せて検討されるべきです。
 効率的な学びとキャリア形成の道筋が明確になることは、介護職員自身の成長実感による離職やバーンアウトの予防のほか、介護職に対する魅力の向上、介護人材の新規参入の促進につながることが期待されます。
 ここまで、主に介護福祉士の資格や介護福祉士の専門性に着眼した意見を述べさせていただきましたが、そのほか、こういった人材対策の対応も進めながらも、地域住民が生活の中で必要とする基本的なスキルとして、一定の介護知識、技術を習得できる仕組みを社会全体で構築していくことや、介護離職に至らない体制を整える対応についても進めていくべきだと考えます。
 意見書の内容については以上でございますが、最後に論点4にも触れさせていただきたいです。
 日本介護福祉士会は、厚生労働省の補助事業である介護の日本語学習支援事業というものを受託実施しております。その中で、日本語を学ぼうという外国人介護人材の方々を対象としたサイトを構築し、4万人を超える方に登録いただき、無料で御活用いただいているほか、昨年度からは外国人介護人材を対象とした介護福祉士資格取得支援講座を開設しています。ここでは、外国人介護人材を対象とした資格取得支援講座でのエピソードに触れさせてください。
 この講座は5回1セットで、当会オリジナルの模擬試験を活用しながら展開しておりますが、昨年度この講座を受講いただいた方から次のようなコメントをいただいております。
 介護現場で大きな声を出す認知症高齢者がいるけれども、これまで困った人だなとしか思えていなかった。この講座を受けて、大きな声を出す理由があることを学んだ。それ以降、どうして大きな声を出したのか、どうしたら大きな声を出すようなことにならないのかを考え、対応するようになり、実際にうまくいくことも増えてきた。大きな声を出していた人が穏やかに過ごす時間も増えてきた。試験には合格したいが、それよりも介護現場で一人一人の高齢者に向き合い、その方々に合った介護ができるよう、もっともっと学習していきたい。
 こういったコメントは、1人2人ではありませんでした。このコメントを聞いて、外国人介護人材の定着には本人に介護職として頑張る価値を見出していただくことが重要であると考えました。
 何ともすてきなコメントではありますが、入国して介護現場で頑張っている方が介護職として頑張る価値を見出せていなかったことの表れであります。もちろん全員がそうだというつもりはございませんが、介護職として頑張る価値を見出さなければ自らの仕事に誇りを持つことはできず、やはり定着は望めません。
 外国人に限りませんが、介護人材の定着を促進するためには介護現場で自らが行う介護の価値を理解するための指導、教育が欠かせず、介護福祉士に必要となる学びを通した介護職として頑張る価値を見出していく取組を進めることは極めて有効な対応であるとお伝えしたいです。
 以上でございます。
○松原委員長 介護福祉士としての現場の御意見、本当にありがとうございました。
 では、次に小笠原委員、お願いいたします。
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会理事の小笠原でございます。
 私のほうからは、次のスライドをお願いいたします。
 今回の中間報告に対する意見ということについて、1つは「地域共生社会を支える人材確保についての意見」、もう一つは先ほどからお話に出ていますところにもつながりますが、「介護福祉士養成施設による人材確保についての意見」ということについて、介護福祉士養成の立場から意見を述べさせていただきます。
 次のスライドをお願いします。
 まずは、地域共生社会を支える人材確保について御意見をさせていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 私たちは養成校におりますと、学生たちの就職選択の場面というところに当然関わるわけですが、学生たちがまず考えるのは施設介護で就職をするのか、それとも在宅介護で就職をするのかですが、ほとんどの学生が施設に就職するというような状況があります。私たち介養協の調査においても、令和5年度の卒業生についてですが、居宅サービス関連事業に就職した者は全体の10.1%ということで、この中にはグループホームも含まれておりますので、グループホームももちろん居宅サービスの一つにはなりますが、では実際に地域の中で働く訪問介護であったり、または訪問入浴介護というところで言えば、かなり数字としては少ないのではないかと推察をいたします。
 そのような中で、2040年に向けて地域共生社会をどのようにつくっていくか、その中での人材をどう確保していくかというところが課題になってございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 もちろんこれはお伝えする必要もないところですが、支える側と支えられる側が従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり合うというところが地域共生社会ということでございます。もちろん地域包括ケアについても、要介護状態になっても住み慣れた地域で最期まで暮らし続けると考えると、私たちの教育というところは施設に学生たちを送るというよりは、施設支援も在宅支援も両方ができる人材をいかに育てるかというところが必要になってくるかと思います。
 併せて、もちろん学生をデュアルで地域も、もちろん現在施設も区分けして指導しているわけではありませんが、そのようにやった場合、介護現場においても例えば介護施設や設備、人材、人的資源を、地域を支えることにいかに費やしていくかということも必要になってまいりますが、ただ、実際には私も社会福祉法人の養成校におりますので現場の状況はよく存じ上げておりますが、では地域を支えるだけの人材が今、施設にいるのかというと、実際は厳しいところで、自分の入所している利用者だけを支えることも非常に厳しいという状況の中で、そこまで手が回らないよという現実もあると思います。
 ただし、地域共生社会を実現するためには、施設の職員を合わせて地域の設備や環境、人材を余すことなく関わっていただかないと、超えられないものは非常に多いと思います。
 先ほどの介護助手というお話も併せてそうですし、それ以外に地域ボランティアや子供たちも含めた他世代とどのように私たち福祉が関わっていくかというようなシステムをつくっていかないと、増やすだけでは解決しない。増やせなかったらどうするのかというところもありますので、併せて地域活用、地域支援ということを考えていく。それは、結果的には利用者の方が入所しても地域と関わり続けられることになりますし、入所しても地域に出ていけるという環境をつくることにもなる。地域から人が入ってくることもできるようになるという意味では、2024年の地域共生社会をつくっていくための教育というところに私たちは邁進しないといけませんし、そのようなカリキュラムということも併せて検討していかないといけないのかなと、次の社会をつくる人材育成というところが必要になってくると考えております。
 2点目でございます。次のスライドをお願いいたします。
 養成校における人材確保の意見ということで、ここは経過措置の点について主にお話をしていきたいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 先ほども示された図でありますが、2022年に示され、来年には25万人、これはかなり赤信号に近い状況だろうと思いますが、2040年では今よりもプラス57万人、人を増やさないといけないという状況があります。これは、やはり介護というのは社会的インフラの一つですから、達成しなければ地域の方々や家庭を守れないというところがありますので、何としても達成しないといけない目標というふうに考えておりますが。
 次のスライドです。
 これも先ほど示されたところではございますが、令和4年から5年にかけて3万人、人材が減っているということを考えると、先ほどの57万人がもう60万人でないと届かないというような厳しい状況に今はありますので。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは赤信号とは言いたくありませんが、かなり黄色信号が既にともっている状況というふうに考えております。離職数は非常に多いけれども、離職率は低下しているという状況、そして外国人介護人材特定技能1号であったり、留学生からの在留資格「介護」というところが非常に増えているにもかかわらず減少しているという状況に対して、責任を持ってこの委員会としては検討しなければならない課題というふうに考えているところです。
 次のスライドをお願いいたします。
 先ほどもお話ししたとおり、国民の安心生活をいかに守るかというところはやはり人材が不足すると守れないわけですね。よく聞くのは、介護施設のユニットが人材不足で開けられない。開けるために今、頑張っているけれども、結局、今いる人は退職してしまうので、そこを補うことで手いっぱいということや、居宅の事業所についても職員が不足しているので利用者を新しく受け入れられないという状況はあります。そういうことが続けば、当然、介護難民が既に発生しているかもしれませんが、より増えていくというような課題になってまいります。
 ヤングケアラーという課題も含めて、人材が不足すればサポートする人がいない。もちろんヤングケアラーの問題は介護人材不足だけの話ではありませんので、そこだけで解決するわけではありませんが、人材不足というのは一つの要因として間違いなく言えるのではないか。
 そのように考えると、いかに介護人材を不足なく増やしていくことは、どれだけ国民生活、安心生活を守ることになるのかということを私たちは考えないといけないと思いますし、併せて介護保険料を払っているのにサービスが届かないというのは根幹的制度の問題になってきますので、介護保険料を支払っている方、または支払っている方でなくても要介護の方々に適正に介護サービスが届けられるということを考えていく必要があると考えております。
 次のスライドをお願いします。
 一人の介護人材を大きな網をかけてということは当然できないわけで、一人一人の介護人材を丁寧に増やしていくということを広げていく以外に今はないと思います。一人の人材を増やすということは、その向こうにいる国民にいかに安心した生活を届けていくのか。また、若い人たちが家に介護を必要とする方がいるから部活に入れないということ等ではなく、その子たちがおじいちゃん、おばあちゃんの介護に関わる、お父さん、お母さんの介護に関わるというのはやはり非常に大事なことだと思いますが、それが自分の青春を犠牲にしてやるということがないようにという意味で、私たちのこの委員会の使命というのはやはり介護人材を増やすことが非常に重要になってくるということについては異論がない部分だと思います。
 これまでも介護人材確保については様々な取組をしているところです。もちろん効果ある施策もありますし、なかなか効果が出ない施策もあると思います。効果ある施策は当然続けていくべきですし、効果がない施策はやめたり変えたりするということをやっていくという意味では、養成校というのは、私は現在、成功例の一つに挙げられる部分もあるのではないかと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは、養成校の定員充足の状況を示しているものになります。
 次のスライドをお願いいたします。
 平成20年からの数字で、ずっと下がり続けている定員数は折れ線グラフの部分になりますが、棒グラフの部分は平成30年から増減を繰り返しながらも全体的には下げ止まっていると考えます。黄色が日本人になりますが、日本人は減っていっていますが、留学生は増えていることで下げ止まっていると考えられます。留学生の割合というのも、令和6年度は48.6%となっています。これで一つうまくいっていないのは、日本人たちが介護福祉士をいかに目指すかという環境づくりがうまくいっていないということです。
 ただ、外国の人たちに日本語の介護の魅力を伝え、介護現場がそこをきちんと責任を持って受け入れて、その子たちがさらにいろいろな形で、介護現場はいいよということを発信することで、さらに増えていっている状況という意味では、留学生の獲得、人材確保ということに関してはうまくいっているわけですね。これは、養成校だけが頑張っているということではないと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 私がうまくいっているというのは、つまり養成校だけではなく、国や地方公共団体が政策的な支援、修学資金の支援をしていただき、養成校は留学生というところでお話をしますと、私も直接外国に行きます。この間もモンゴルに行っていましたが、直接その国に学校の費用を使って行き、そこで介護の魅力を伝え、養成校で学ぶことを伝えていく、または教育についての発信をしていく。また、社会福祉法人さんや医療法人さんが責任を持って受け入れられてやりがいのある仕事を伝えることで、その子たちがまたそれを発信していく。この循環ができているからこそ、今、留学生が増えていっている。これが経過措置が延長されないと様々な支援が停滞してしまいますので、減少に転じるということは明らかでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 私は、これは行政、介護現場、養成校の協同モデルというふうに考えておりますが、見ていただいて分かりますように、日本人は令和5年から6年にかけて1,000人減っているんですね。これに対して、留学生が約1,360人増えているということがあります。つまり、この部分は今うまくいっているという状況でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 出口については、パート受験、すみません。「特定活動1号」は「特定技能1号」です。失礼しました。特定技能1号への移行、国家試験対策の充実というところについてかなり整備されているところでございますが、ただ、入り口については確実に在留資格「介護」は取得できないというふうになると、オープンキャンパスを今していてもかなりの学生たちがこの説明をすると厳しい反応をします。受けるかどうかは見てみないと分かりませんけれども、そういう意味ではいかに出口を整備しても入り口が非常に少なくなると結果、出口も少なくなることになってまいります。
 そういう意味では、次のスライドにありますように留学生の減少、学校の閉科・閉校を防ぐ。または、日本人が学ぶ場を失うことを防ぐ。ネガティブキャンペーンを養成校が減ることによって植えつけないようにしていくことが必要になってまいります。
 「養成校の介護人材確保モデル」ということで、この委員会で様々な取組をしていただくことで、もし今7,500人くらいいる養成校の学生たちが1万人に増えれば、2040年には14万人増やすことができます。今の7,500人のままでも10万5000人増やすことができます。
 しかし、これがもし半減してしまったら4万5000人しか増えないという意味では、どれを選択するかということを今、問われているのではないかと思います。
 そう考えると、長くなりましたが、私たちの要望としては、養成校を助けてくださいではなく、介護人材確保、介護人材を増やす上で、この経過措置延期というのが繰り返されたとはいえ、まだ必要ではないかと考えているところでございます。
 以上です。
○松原委員長 養成校からの御意見、ありがとうございました。
 続きまして、髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 全国福祉高等学校長会理事長の髙橋でございます。座ったままで失礼させていただきます。
 まず、最初にちょっとお話しさせていただきたいことは、今回我々が述べさせていただく内容などにつきましては、介護福祉士養成に関する諸規則などを緩和するとか、緩くするということではなく、介護福祉士、職員の質、または社会的地位、評価、価値、これらをこれ以上下げないことを前提としたものとして御理解いただければ大変ありがたいと思っております。
 恐れ入りますが、スライドにつきましては6-2のほうでよろしくお願いいたします。
 スライドを1枚送っていただいて、まず「はじめに」というところになりますけれども、福祉系高等学校というふうにお話しさせていただきますが、教育というと大変使い勝手のいい言葉でございまして、結構研究者の中でも言われております。学校教育、地域教育、または職場教育など十把一からげで教育という言葉が使われて、大変曖昧なまま教育という言葉が使用されている。これに警鐘を鳴らしているような研究であったり、論文であったり、そういうものも大変多く見受けられておりますので、私の立場としましては高等学校の教育、そして福祉系高校の教育というところで一貫してお話しさせていただきたいと思っております。
 「はじめに」ということで戻りますけれども、福祉系高等学校は介護の質の担保、または社会的評価・信頼の向上を追求して、資格取得方法の一元化に伴って、養成校と同等の教員要件、または厳しい授業の時間数の要件などに真正面から向き合い、幾度となく苦渋の決断を重ねながら、強い使命感と覚悟を持って、その基準というものに対して適応、そして福祉系高等教育はここにのっとってしっかり教育していくんだということを追求してまいりました。
 地域のために働く、自分の地域をよくしたい、そして貢献していきたいという福祉・介護の分野に夢を抱く生徒たちが、共生社会の一員として自らの可能性を輝かせる地域の実現、さらには日本の未来をつくり出すため、本意見書では高校福祉教育の現状とその果たす役割についての意見ということで述べさせていただきます。
 スライドのほうにもありますように、本日の意見内容ということで1から6まで、「福祉系高等学校の現状と課題」から「おわりに」というところでお話をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 前置きが長くなりましたが、話の本編に入っていきたいと思います。
 まず1つ目として「福祉系高等学校の現状と課題」ということで、福祉系高等学校は棒グラフのほうを見ても一目瞭然ではございますが、第24回の試験から、がくりと受験者数が減っております。第1回から37回まで、これまでの受験者数は16万8000人強、合格者が9,800人強に上っております。最大合格者数は第20回の5,107名、受験者数につきましては18回の9,260名でございました。
 それが、様々な制度改革などの中で受験者数が減っていきましたけれども、その中で見ていただきたいところは合格率の推移で一番下というか、棒グラフの緑の部分でございますが、こちらは数値に直しますと第35、36、37と、90%以上の合格率で推移しており、制度にのっとってしっかりと教育活動を真摯に向き合って行うことによって日本の福祉教育の価値を高めることに貢献ができてきたのではないか。また、教育の質を高めることに貢献できたのではないかと考えております。
 しかしながら、かつて全国に221校あった福祉系の高等学校は残念ながらこれまでの措置の下、109校、つまり半分以上減っております。そちらを地域別でまとめたものが、左下の棒グラフとなっております。
 このような形で、質を高めたものの、そちらに適応していく中で残念ながら学校数は大きく減らしている。これが一つの現状で、後に申し上げますけれども、本当に存続の危機の中で各諸先輩方や今の先生方、そしてこれから未来を支えるということで教育学部のほうに進んでいる学生たち、そういう人たちで一生懸命、今、福祉高校教育を残そうと取り組んでいる状況でございます。
 次のスライドのほうをお願いいたします。
 「福祉系高等学校の現状と課題」ということで、日本地図で白く塗られているところは福祉系高等学校がない地域でございます。また、黄色で塗り潰しているところは福祉系高等学校が私立高校のみの地域でございます。例えば青森県は私の地元でございますけれども、青森県では本校、東奥学園高等学校1校だけが福祉系高校でございます。もしうちがなくなったら、ここの福祉系高校の部分、青森県は白で塗られるということになっております。現在、そのような中でもしっかり質を高めて、そして有能な介護福祉士を一定数しっかりと社会に輩出しているのが福祉系高校でございます。
 実際に人数で言いますと、全国の在籍者数は現在6,456名しかおりません。1クラス当たりの平均在籍数は19.6名ということで20名を切っておりますが、では全てが20名くらいいるのかというとそうではございません。1クラスの在籍者数が1桁の学校もございます。地域差もございますけれども、それが現状であるというところをぜひ共有していただければと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。
 そのような福祉系高校の中で進路状況、都道府県内外の就職率というところで見ていただきたいと思いますけれども、福祉系高等学校の卒業生のうち約半分弱は介護職に就職しており、就職のほうは94%が都道府県内、地元で就職しています。特に介護職種については、94.3%が地元で働いています。
 また、進学者でいくと約7割は福祉・医療分野への進学を選択しております。将来の福祉・医療分野を支える人材の育成にも、福祉系高校は貢献していると考えてもよろしいのではないでしょうか。
 一方、福祉を学べる学校、福祉系高校以外でコースであったり、あとは初任研であったり、そういう学校では卒業生のうち約11%が介護職に就職、即戦力として現場で活躍しています。そのうち89.4%は地元都道府県に就職し、介護職種につきましては93%が働いているという現状でございます。
 地域の人材確保定着に寄与している。これは福祉系高校、または福祉を学べる高校全てにおいてしっかりとやっているというような現状でございます。
 これらの分野を支える人材育成をずっと長年やってきた福祉系高校といたしましては、やはり今後人材定着という部分にいきますと、こういうところは進めていきたい、あるいは進めていただきたいというところです。
 次のスライドです。
 一元化の完全実施につきまして、こちらとしては提案ではなく約束どおり早く進めていただきたいと考えております。介護ニーズの多様化・高度化に対応するため、平成19年度の制度改正によって介護福祉士資格の取得方法、こちらは国家試験の義務づけによる一元化というものが図られ、福祉系高校は養成校と同等の履修時間、現在高校で福祉の履修時間につきましては1,855時間、こちらをしっかりこなしている状況でございます。また、教員資格も実務経験であったり、様々な課題を抱えながらも対応している状況でございます。
 しかしながら、養成校では国家試験の受験の義務化につきましては人手不足などを理由に15年間延期、一元化の実施が先送りされておりますので、制度の根本的な課題解決には至っていないのが現状です。山を高くするためにも、しっかりと一元化を図って、そして制度を正しく運用しておくこと、これがまずスタート地点に必要なのではないでしょうか。
 次のスライドをお願いします。
 介護福祉士を志す高校生に向けた支援ということで、結構貸付資金など支えていただく制度をつくっていただきました。こちらのほうは大変ありがたいと思います。
 しかし、その中でぜひ考えていただきたいのは、JASSOの奨学金のように公的保証、保証人ではなく公的保証、機関保証、こういう制度というものも充実させていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 では、次のスライドをお願いいたします。
○松原委員長 そろそろまとめてお願いします。
○髙橋委員 そうしましたら、最後の1枚前のスライドですが、「介護人材のキャリア形成と高校福祉教育の連携」ということで、やはり学校教育だけではこちらのほうは解決しない問題だと思いますし、学校教育において積み上げてきた経験、知識、これらを様々な分野の人たちと共有することで、今回の課題を解決する糸口というものは見つけられるのではないかと考えておりますので、ぜひここの部分をしっかりと進めていければと思っております。
 では、最後のスライドということで、子供たちにはニーズはあります。そのニーズをしっかりと未来に向けてつないでいける、そのような社会の構造という部分をしっかりと考えて教育し、介護を盛り上げていければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 時間をうまく使えなくて申し訳ございませんでしたが、気持ちは通じたと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○松原委員長 福祉高等学校の現状と、貴重な御提言をありがとうございました。
 続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 失礼いたします。日本ソーシャルワーク教育学校連盟の中村です。本日はヒアリングの機会をいただき、誠にありがとうございます。
 いただきました4つの論点につきまして、本連盟で収集した各種データに基づき、意見を申し上げます。
 なお、本日の資料ですが、7ページまでが論点に対する意見、8ページからデータとなっており、9ページから17ページまでが福祉系大学等の現状、18ページからは直近6年分、毎年収集している学生の就労意向等調査の集計です。
 なお、論点2の若者に焦点化するため、学生調査の集計は福祉系大学の学生2万8000人を抽出した速報値となります。
 1か所、資料の訂正がございます。5ページ下から3つ目の○に「潜在社会福祉士」とありますが、これは潜在介護福祉士の誤りですので訂正いたします。
 ページがかなり行ったり来たりしますが、御容赦いただけますと幸いに存じます。
 論点1について意見を申し上げます。
 11ページ、少子化による生産年齢人口の減少は他産業との人材の奪い合いを意味しており、論点1の地域における福祉人材確保の取組の強化は可及的速やか、かつ大胆に講じなければならない国家的課題であると認識しております。
 17ページ、本連盟会員の大学の定員充足率と学生の就労状況です。
 地方部の状況は都市部よりも入学者獲得に苦戦しておりますが、下のグラフ、福祉・医療分野に就職する学生の割合で学校を見ますと、都市部より地方部のほうが高くなっております。
 16ページの文部科学省が本年2月に公表した中教審の答申を見ますと、日本の高等教育施策も急速な少子化の影響を受け、高等教育全体の規模の適正化として大学の再編、統合、縮小、撤退を推進するステージに突入したこと、地域にとって真に必要な高等教育機関への支援とありますように、仮に定員割れの福祉系大学が真に必要とされなければ、今後整理縮小に分類される可能性があることを意味しております。
 今後の福祉人材確保の取組につきまして、38ページ、学生の分野別就職動向を経年で見た際、コロナ禍であった2021年度の前後1、2年の短期に状況が大きく変動したことを踏まえますと、年単位のサイクルで人材確保対策の見直しも必要であると考えます。
 3ページに戻っていただいて、本専門委員会の構成はマル1事業者からマル6有識者で構成されていますが、福祉人材育成確保の文脈で申せば、相互に依存し合い、リソースを共有し合うステークホルダーとして福祉サービス提供体制を維持、成立させていると言えます。
 これらの観点から、本連盟としては論点1について、各ステークホルダーが収集可能な福祉への就職動向、意識等に関する情報を一元的に集約し、マル1からマル6の主体がそれぞれの機能と役割を果たしつつ、福祉産業全体が団結して他産業と対等に競争できる実効性の高い人材確保策を講じる必要があると考えます。
 また、論点1のハローワークや福祉人材センターの役割・機能は、福祉人材確保や人材移動を橋渡しする役割を持っておりますが、41ページのデータにありますように、社会福祉士を目指す福祉系大学の学生に限れば、その機能が十分に生かされておりません。
 人材確保の取組をそれぞれの主体が連携する方策として4ページに書きました絵のように、福祉人材の動向等を年単位で定期的に調査、把握、共有し、福祉、介護関連ステークホルダーによる戦略的人材確保プラットフォームを国、都道府県、市町村という行政階層ごとに国主導で構築し、年単位の採用活動サイクルで就職活動のトレンド等、状況に合わせた人材確保の検討・検証が行える体制を構築すること、そのために国は必要な財源確保等、所要の措置を大胆に講ずるべきと考えます。
 次に5ページです。論点2と論点3について意見を申し上げます。
 本連盟の組織特性上、論点2の高齢者と未経験者は知見を十分に有しておりませんので意見は差し控えますが、若者については国家資格取得予定の新卒者と捉えて意見いたします。
 34ページの左のグラフを御覧ください。
 本連盟会員校の福祉系大学の学生は、8割超が在学中から福祉への就労を目指していますが、28ページの就職活動先の運営主体を年度別に見ますと、直近3年度では社会福祉法人の割合が減少し、一般企業や公務員志望が増えております。
 43ページですが、これは令和6年度から開始された新たな認定資格について資格取得の意向と動機に関する回答を集計したものです。資格取得の動機では、資格手当や資格による高い給料、昇給、あるいは専門的な知識、技術が得られるとする回答が約5割と上位で、資格取得の意向には雇用条件も影響していることが分かります。
 5ページに戻っていただいて、以上の結果から考えますと、国家資格取得を目指して学費を払い、養成校で学び、長時間の実習も行い、いざ福祉分野に就職活動をした学生が就職活動先で有資格者としての専門性を評価されず、待遇は資格がない人と同じということになれば、福祉分野への就労動機は上がりません。これは介護福祉士養成の学生においても同様と考えられます。
 論点3では、中核的な役割を担う人材として介護福祉士が期待されていますが、そもそも本連盟は介護現場における介護人材は原則介護福祉士に置き換えていくべきと考えております。したがって、論点にある人材の多様化については積極的に進めるべきではないと考えます。
 福祉学生の諸データ、例えば30ページの就活先で重視することでは、仕事のやりがいが6割を超えて第1位、給料、労働時間や休日等が第2位、第3位となっています。
 また、給料を重視すると回答した学生を3大都市圏と都市圏以外の地方部で見ますと、地方部のほうが給料を重視する割合が有意に高くなっています。特に地方部では有資格者を積極的に評価し、待遇を上げていかなければ新卒福祉学生は福祉分野への就労に結びつかない可能性が出てくる。つまり、他の産業に流出しかねないと解釈すべきです。
 5ページに戻っていただき、論点3にあります潜在介護福祉士ですが、有資格者であるのになぜ潜在化したのか、多様な理由があると思われますが、介護報酬等で有資格者の専門性が積極的かつ正当に評価・加算され、待遇が改善されれば、一定程度の潜在介護福祉士は介護の現場に復帰すると考えます。
 32ページを御覧ください。
 養成教育で極めて重要な実習教育と就職の関係です。
 これは、社会福祉士の養成の実習を履修した学生の就職活動先の選択に与えた影響です。就職先を選ぶ上で「肯定的な影響を受けた」学生の割合は2022年度以降では4割後半となり、「どちらかというと肯定的な影響を受けた」を合わせると、直近3年度では約7割が実習の体験が実習先の選択で肯定的な影響を受けております。
 つまり、よい実習体験と実習先の実習指導者がリクルーター的な役割も担うことができれば、学生が福祉分野に就職する可能性が高まるということです。
 一方、23ページの福祉系大学の学生で見ますと、都市圏で約2割、地方部では3割の大学4年生が秋時点で未内定となっています。大学新卒者の就職活動において、とりわけ一般企業等では採用活動の早期化、前倒し化が進んでいます。
 5ページに戻っていただき、これらのことから福祉・介護産業界における若者人材の確保、獲得のためには、採用の時期を早めていくことも給料待遇面の改善とともに重要であると考えます。有資格者の専門性への社会的信頼、評価が若者の就労意欲に影響を及ぼしている状況に鑑みれば、介護福祉士国家資格の信頼を高める意味においても資格取得方法の一元化は予定どおり完全実施すべきと考えます。
 最後に、6ページのように新卒者を福祉分野への就労に呼び込むために、制度上、介護福祉士等有資格者を積極的に評価し、各種報酬加算、配置要件を強化、サービス提供責任者の資格保有必須化に加え、就職したくなるようなよい実習を積極的に行い、採用活動の早期化や強化、有資格者の割合を増やすための大胆な財政措置、これらを福祉産業全体で産官学が強固な協力関係の下、年単位のサイクルで動向、検証を見直し、人材確保対策を講じるべきと考えます。
 論点4の外国人介護人材の受入れや支援体制については、本連盟として十分な知見を持っておりませんので意見は差し控えます。
 以上でございます。
○松原委員長 ソ教連からの人を集めるためには社会の評価を上げなくてはいけなくて、そのためには資格の価値を高める必要があるという貴重な御意見、ありがとうございました。
 最後に、西島委員からお願いいたします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
 中間まとめを踏まえた論点に関して意見を述べさせていただきたいと思います。
 はじめに「福祉人材確保の視点について」です。
 人材不足は全産業が直面する課題でもあり、福祉・介護の現場では人材確保が難しいのは福祉職全般にわたります。人材確保を検討する際には介護人材に加え、広く「福祉人材の確保」について検討していく視点が重要だと考えます。
 1つ目の論点ですが、高齢化や人口減少のスピードは地域によって差がございます。介護人材の確保に向けて福祉人材センターやハローワーク、介護労働センターなど、様々な関係機関におきまして事業者との連携や高齢者とのマッチング、介護事業者の職場環境改善や生産性向上における相談支援等、様々な施策が展開されています。
 都道府県単位で介護人材確保に関するプラットフォームを構築し、関係機関間での情報の共有や地域の介護事業者や介護福祉士養成施設等のネットワーク化を図るなど、連携強化が必要と考えます。
 介護人材確保については、介護助手の普及促進や多様な働き方、外国人人材の活用等、様々な取組がなされています。介護人材確保は全国の都道府県、市町村における介護保険事業計画などに位置づけられていますが、具体的な事業展開に至っていないところも見受けられます。自治体がしっかりと認識を持ち、自ら取り組むことは大切ですが、全国的かつ喫緊の課題でもあり、各地の先駆的な取組が全国で展開されるような仕掛けや支援策が必要と考えます。
 本日の参考資料3の43ページには、介護人材確保のプラットフォームのイメージ図が掲載されています。プラットフォームを構築する際には、広く福祉人材の確保と捉えていただき、関係機関についても福祉人材の確保について協議できるよう、構成メンバーを検討する必要があるのではないかと考えます。
 また、介護を取り巻く人材には介護福祉士をはじめ高齢者御本人や御家族、または地域から相談を受ける社会福祉士や介護支援専門員等、様々な専門職が働いており、これらの人材が他の産業に流出することなく、誇りを持って仕事に取り組み、定着し続ける魅力ある職場環境づくりが重要と考えます。
 本日の参考資料3の27ページにある「山脈型キャリアモデル」ですが、介護従事者が介護福祉士を取得した後に介護実践を専門職として深めていく、「育成・指導」に関わる、「マネジメント」を行う、「特定のスキルを極める」、深めていくなどのキャリアプランが示されており、介護、組織の中核的な人材としてキャリアを高めていくことはとても重要と考えます。
 また、これらに加えまして、繰り返しになりますが、本人、家族、地域から相談を受ける社会福祉士や介護支援専門員などを含めた専門職を目指すキャリアプランも考えられます。
 今回示されている論点や人材確保に関わる根本的な問題として、今までも意見がございましたが、産業全体との賃金格差の問題がございます。特に介護では8万3000円の格差があると言われています。既に他産業への人材の流出が始まっており、福祉、介護サービスなど、安定して継続的に提供していくためには、この状況を何とか止めなければなりません。
 介護人材の確保については、今日まで国、都道府県をはじめとして継続的に取り組まれてきており、先ほどお話しした介護人材確保のプラットフォームの構築であったり、関係事業者の連携であったり、また福祉、介護に対するイメージ戦略、これも全国各地で取り組まれています。これらは随分進んできたと感じているところです。
 しかしながら、賃金改善についてですが、今日まで継続的に取り組まれてきているのですが、その差が広がってしまっている現実があります。まず全産業と比べて遜色ない賃上げが行われなければ、様々な取組を行ってもその効果が打ち消されてしまうのではないかと感じています。賃上げを福祉人材全般に行うとともに、介護福祉士をはじめとした国家資格保有者の専門性に対して報酬等による評価を行い、処遇改善を行う必要があります。
 例えば、私は実は社会福祉法人を経営させていただいていますが、介護保険が始まる前は給与改善費補助金という、要は公私の是正格差の仕組みがございました。それで、今それに代わるものとしてはこの処遇改善というものがあるのですけれども、例えば給与改善費補助金ですと、要するに公務員の給与というのを一つのベースにして、そこと措置費の差額を補填してくださっていました。だから、今回であると、全産業平均賃金との差額を何とか賃上げでカバーしていただかないと、いろんなプラットフォームを構築したり、いろいろな仕組みをつくったり、イメージの改善に取り組んでも、なかなかその効果が反映されないのではないかと感じています。
 次に、「資格取得者の把握体制の強化について」です。3つ目の論点にある潜在介護福祉士の活用に関するものですが、こちらは及川会長からもお話がございましたが、私どもとして一つ同じように付け加えさせていただきたいのは、広く福祉人材の確保という観点から社会福祉士や介護支援専門員などを含めた登録制度を検討してみてはいかがかと思います。
 先日、国会で災害対策基本法の一部改正が成立しております。それで、災害救助法に福祉サービスの提供が追加され、DWATの活動ガイドラインが改正されています。平時にとどまらず、災害時等有事における福祉人材の活用がシームレスに行えるように、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員等を含めた福祉人材全体の登録制度というものの検討が必要ではないかと考えます。
 次に、「介護福祉士資格取得方法の一元化について」です。
 3つ目の論点にある介護福祉士の資格の所得の在り方に関してですが、初めに準介護福祉士に関しましては社会福祉士介護福祉士法の附則に規定する準介護福祉士規定を削除する改正案の提出に賛成いたします。
 それから、現在介護福祉士養成施設の卒業生に適用されている経過措置に対する今後の対応についてですが、繰り返し延長がなされてきているという経過がございます。それで、前回の検討時においても、最終的には衆議院厚生労働委員会附帯決議で決まっているのですけれども、その附帯決議の中には介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務づけに関わる経過措置の終了に向けて、できる限り速やかに検討を行うことというふうに記されています。また、それに対する政府の対応としては、経過措置はあくまでも暫定的なものである。その前提で終了に向け、この間、養成施設の教育の質を上げ、国家資格合格率を高めていく方策を講じていきたいと回答されております。
 今までの中でもお話がございましたが、その後、例えば特定技能として5年間働き続けられることであるとか、2025年度からはパート合格制度というものが導入されます。ですから、前回議論したときに比べますと、働きながら資格取得を目指すことの環境整備は随分進められてきているのではないかと思います。まずこれらの制度の活用が優先されるべきと考えます。
 また、国家資格というのは専門職の質の担保を図るわけですから、やはり試験に合格した者、その基準に到達した者と、残念ながらそうでなかったところについては区別する必要があるのではないかと考えます。
 私自身、当時、福祉部会で繰り返し延長されることがないように進めていただきたいというふうには発言させていただきました。
 しかし、本日も現行制度のとおり施行すべきだという御意見と、やはり経過措置を延長すべきだという御意見に分かれています。経過措置期間中、様々な取組はしてきたのですけれども、なかなか状況が改善されなかったという結果としてまたこの議論になっているのかなとも感じております。
 職能団体として、または同じ法律に基づく者として、これ以上経過措置は延長すべきではないと基本的には考えております。
 しかしながら、本日養成校や現場からの御発言にも大変重いものというか、重要な観点があったと感じております。介護人材確保の困難な状況がなかなか改善しないという現状を踏まえた上で、職能団体、養成校、事業者で合意点、着眼点を見出すことができないかと今、感じているところではあります。
 ただ、1つやはり申し上げたいのは、資格の在り方と人材確保の問題を何とか切り離して考えられないのか。そこが連動してしまうところについては、私ども職能団体としても非常に違和感がございます。
 最後に、養成校に学生が集まらない、介護現場に人が集まらない、人材が他の産業へ流出する根本的問題には、やはり賃金格差があるのではないかと感じています。人口減少社会という基本的な課題はありますが、賃金格差が是正できれば改善のほうに向かい、人が集まり始まるのではないかと感じているところでもあります。改めて、賃上げを強く要望いたします。
 最後に、「福祉・介護職のイメージ戦略について」を記載させていただいています。
 今、生産性の向上ということが非常に重要視されているのですけれども、これについては単に業務を効率化するのではなくて、介護職員の負担を軽減する、または利用者と関わる時間を確保する、充実する。そして利用者の笑顔、また職員の笑顔、そういうものが生み出されるような、そして笑顔で働き続けられるような環境をつくることが大事だと思っています。人の優しさと介護テクノロジーの融合のような最新の介護をしっかりと発信していけないかと感じています。例えば、映画やテレビ、政府広報等、様々なチャンネルを使って魅力ある福祉、介護現場について国、自治体、関係団体が協働して進めていく必要があると考えております。
 以上で発言を終わらせていただきます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 本日は、介護人材確保に関するヒアリングを7人の参考人と委員に行って時間を取らせていただいております。質疑応答につきましては、かいつまんでポイント、論点をお願いできればと思います。では、まずは先ほど挙手いただいていました川井委員からよろしいでしょうか。
 川井委員、お願いいたします。
○川井委員 ありがとうございます。
 先ほど1点、老健のほうから御発言がありましたことに対して御質問したいのですけれども、よろしいでしょうか。
○松原委員長 お願いいたします。
○川井委員 老健で働いている介護福祉士等は介護福祉士の資格を持った人を求めているという御発言があったろうと思うのですけれども、その国家資格で働いている方々が延長ということについてどのような認識を持たれているか、資格を持っている方の反応をお聞かせいただけたらうれしいのですが。
○松原委員長 光山参考人、お願いします。
○光山参考人 御質問ありがとうございます。
 ちょっと確認したいのは、私の施設というか、私の事業所ということですか。それとも。
○川井委員 そうですね。光山委員のところの、介護福祉士として働かれている方々がどう思われているかで結構です。
○光山参考人 2点あるのですけれども、やはり資格の質という観点から言うと、それは今お話しをされているように試験合格というのは重要だと思いますが、一方で事業所側という目線、私と同じ目線の人も現場の中にはたくさんいるので、有資格者が増えるということを考えたときに、やはりやむを得ないという目線というのは割合としては多いのかなと思っています。資格を厳格にすればするほど、今の傾向でいうと恐らく減ってくるというのが実情です。
 そういった意味でいうと、パート合格に期待するというのは、私はそれを両立できる妙案だなというのは多分我々の意見として近いのかなと思います。
 ちょっと説明できているかどうか分からないですけれども、そういう目線かなと、これが現場のシビアな意見かなと思います。
 以上です。
○松原委員長 ほかによろしいでしょうか。
○川井委員 ありがとうございます。
 再度、私のほうから発言させていただいていいですか。
○松原委員長 手短にお願いいたします。
○川井委員 はい。私は髙橋委員や及川委員や中村委員や西島委員がおっしゃってくださったような一元化に取り組むべきということについて、前回もお話ししましたので、その意見に賛同です。
 ただ、介養協のほうからも、それから光山委員のほうからも、さらに延長をというような御意見が出ていますけれども、前回も言いましたように5年間、その前からずっと延長、延長できて、5年前にも教育力を向上するため5年延長するんだということでやってきたと思うんです。そのことについての結果が出なかったということは、延長が無駄だったということにつながっているのかも分かりませんから、そのことについてさらにここで議論をしていけたらいいのではないかと思いました。
 ありがとうございます。以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
 ほかにいらっしゃいますか。
 及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川です。
 介養協の小笠原委員の内容についての御質問でございます。それと、意見を1つだけ言わせていただきたいと思います。
 経過措置の延期を求める御意見であったことを踏まえれば、本来的には資格取得方法の一元化は必要と考えているのが介養協さんのスタンスであるかということを確認させてください。
 それで、意見ですが、昨年の新卒の留学生の合格状況を見ると、合格率が30%に満たない学校が全体151校中の40校、4分の1ほどある一方で、合格率が80%を超す学校が全体の3分の1程度あります。その多くは、合格率が100%になっております。また、新卒の留学生の合格率が30%を下回る学校を除くと、合格率の全体の平均は74%になります。つまり、合格率の二極化という実態があるのではないかと思います。
 介護福祉士の養成施設は我が国のインフラとして極めて重要でありますが、この二極化の状況は改める必要があるのではないでしょうか。合格率が担保されている実積から、留学生の受入れ要件や指導、環境要件などを改めて整理し、該当要件を遵守する学校にマル適マークを付与した上で、留学を目指す外国人に対し、このマル適マークのある学校への入学を促すとするなどの様々な工夫をすべきだと考えます。
 以上でございます。
○松原委員長 御質問に対して、どうぞお願いいたします。
○小笠原委員 1つは、合格率の二極化というお話がございました。そのとおりですね。これはもっともっと細かく調べてみないと分からないところはございますが、急激な留学生の増加に対応できない学校がまだあるということと、中には全員受験させていないという状況が学校によってはございます。
 つまり、希望制というか、結局は現在、必ず卒業生は試験を受けなければなりませんよという制度ではありませんので、学校によって全員受けさせている学校、受けさせていない学校というところで合格率の差が出ているという可能性もありますが、そこはちょっと調べていない。データがありませんので、少しそこは押さえる必要があるかとは思います。
 もう一点、介養協が経過措置延期に賛成なのかどうかというところについては、これも協会内で実はたくさんの議論があるところで、日本人だけであれば恐らく経過措置は延期しなくていいよというところになっていますが、どうしても留学生が非常に多い学校、また地域によっては留学生が全然いない地域ということでかなり分かれているところですので、協会内でも議論が出るところですが、介養協全体としては延期を希望しているというところでございます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 では、手短に山田委員、お願いいたします。
○山田委員 及川様にお尋ねしたいのですが、認定介護福祉士の件です。
 福祉人材の確保といった時に、以前の会議でもお話ししましたが、量の確保だけではなくて質の確保ということが重要だと私は考えています。その意味でも先ほどから出ている一元化の問題や、またこの認定介護福祉士の仕組みを有効活用していくということはとても重要だと考えています。
 この認定介護福祉士の認定機構に私は以前少し関わっていたこともあり、これがうまく機能していくといいなと思っているのですが、現状、十分に機能していないのではないでしょうか。これが民間資格であるということもあるでしょうが、端的にどうしたらうまく機能していくのか。また、介護福祉士そのものも含めてですが、地位の向上をもっと図っていかなければいけないのではないか、と思っているのですが、その辺の御意見を追加で補足していただければと思います。お願いします。
○松原委員長 及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。
 認定介護福祉士については、現在人数的に登録されているメンバーは220名です。それで、今年研修が修了する者も出ておりますけれども、そんなにスピードを上げて数を確保できていないのが一つの問題でございます。
 その要因としては、やはり事業所側というところでかなり役割を担っている方々がその研修を受講しているのですけれども、なかなか外に出ていけない。受講しにくい状況が今、続いているということなので、そこら辺を加味しながら進めていかなければいけませんし、カリキュラムは先生は御存じだと思うのですけれども、かなり充実していて、地域社会に対する取組についてもしっかりと担える人材が認定介護士というところでございますので、その人たちがもっともっと地域にたくさんいていただいて、例えば地域包括システムの一翼を担えるような人材となることは確実に私としては言えることなのですけれども、なかなかその数がそこまでに至っていないというところです。
 ただ、今、持っている認定介護福祉士について言えば、特養の施設長であったり、在宅支援センター等の要職に就いている者で活躍されておりますので、ぜひその実態も皆様のところに発信できたらと考えているところでございますが、そういう展望はございます。
 ただ、ほかの研修等についてもちょっとお話しさせていただきましたが、なかなか時間がつくれないということと、認知症のお勉強をしたい方、または認知症のリーダー格としてしっかりと加算を見込んだ人材であるべき人と、またユニットリーダー研修と重なっているところを受講していらっしゃるところの効率化はやはり図るべきで、たくさんの介護福祉士であってもお勉強された方であって、その役割をしっかりと担える人たちが輩出されるべきだと思いますので、研修の整理。
○松原委員長 そろそろまとめをお願いします。
○及川委員 それから、できればたくさんの方に勉強する機会をつくっていただきたいと思うところでございます。
○松原委員長 ありがとうございます。
 石踊委員、手短にお願いできればと存じます。
○石踊委員 1つだけお聞きしたいことがあって、日本ソーシャルワークの中村会長にですが、5ページのところに中核的な人材の中でやはり介護の専門性が必要であると、社会的評価も含めてそうだと私は感じるのですが、人材の多様化については積極的には進めるべきでないと考えているとおっしゃったのですけれども、やはり中核的な人材と言っても福祉の専門性の方だけではなくていろいろな方が担っていくべきところではないかと思います。
 これは意見なのですけれども、やはり多様な人が集まってすることが施設の雰囲気も変わってくるし、職場の環境も変わってくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○松原委員長 中村委員、すみませんが、手短にお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 今、先生のおっしゃった御質問の前提が、介護現場における介護人材を原則介護福祉士と置き換えていくべきというふうに考えた立場において、もちろん全体としての人材の多様化ということは積極的に進めるべきだと思いますが、その前提に照らしたときに必ずしも積極的に進めるべきではないというふうな御意見を申し上げた次第です。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
 最後にどうしてもこれだけ聞きたいという方がいらっしゃれば。
 では、どうぞ、手短にお願いします。
○鈴木委員 もう時間がないところですので、質問ではなくて意見ということで発言させてください。
 本日の参考人さんからの報告内容からしますと、働き方として人間関係としての離職要因や、それから継続にはやりがいということで、組織関係に関する観点が現実的には非常に大きかったことが発表内容で明確になったと思います。
 それを踏まえますと、今の人材育成として、例えば先ほどの及川委員の回答にもありました認定介護福祉士の位置づけなどが社会福祉士の仕組みでいえばスーパービジョンという文化が非常に整っていて、人材育成がある程度、一定のキャリアを持った専門人材からどのようなスーパービジョンとして行われているのかといったような関係の中から、こういった職場の離職関係や定着に関することを考えていくことも非常に重要だと感じました。
 また、もう一点は介護福祉士養成については養成校だけでなく、介護福祉士の国家試験は実務経験ルートに非常にボリュームがある中で、相対的に介護福祉士の位置づけを見たときに、この介護福祉士の経過措置の延長というものはどうあるべきかということを広く議論することは非常に重要だと考えています。
 併せて、これは繰り返しになりますが、介護人材、介護福祉士を養成するのではなく、質の高い介護人材をと考えた場合に、本日の参考人からの発言はお二方ともに多職種連携を含めた実践力ということが非常に求められている状況の中で、この多職種連携の質を担保する教育がしっかりと卒業や国家試験の出口としてあるのかというところも重要になると思いました。
 お時間のない中ですみません。ありがとうございます。
○松原委員長 ありがとうございます。
 石踊委員、手が挙がっていますか。よろしいですか。
 ありがとうございます。では、最後に議事の「その他」について、事務局よりお願いいたします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 失礼いたします。福祉人材確保対策室長でございます。
 参考資料3のところで2点だけ御報告をさせていただきます。
 33ページ、34ページを御覧ください。
 34ページは、財務省でやっております財政審のほうで介護人材の確保についていろいろと資料が出てございます。それも踏まえまして33ページ、厚労省としての介護人材確保に対する考え方というものを改めて整理をさせていただいております。
 上の括弧の中の1つ目の○でアンダーラインを引いているところですが、高齢者の増加、生産年齢人口の減少が進む中で、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるようにサービス提供体制の構築、その担い手を確保することは喫緊の課題である。そのために、介護分野の人材の新規参入を進めることと、現在働いている方々の定着支援を進めることの両方に取り組んでいく必要があるということ、これは改めてになりますが、我々のスタンスとして御説明をしておきたいと思います。
 もう一点だけ、112ページで外国人介護人材の訪問系サービスの従事の資料、これは既存の資料をつけさせていただいています。こちらは4月から施行させていただいていますが、最後の下のほうで※で書いていますが、施行状況が少し見えてきてございますので御報告でございます。
 これで従事ができますよという確認書の発行をした件数が、今2法人に対して47名分させていただいています。併せて、申請をいただいている件数が82法人、234名となってございますので、4月から施行してございますが、このような動きになっているということを御承知おきいただければと思います。
 私からは以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 まさに介護人材は社会のインフラだということをしっかり伝えていかないと、誤解されて社会の負担みたいに取られてしまうのは避けなければいけないと改めて分かりました。
 では、本日は定刻を過ぎましたので、審議をここで終了いたしたいと思います。
 次回の開催について、事務局より御説明をお願いします。
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 次回の開催については、事務局にて改めて開催の日程を調整させていただき、追って皆様方に御連絡させていただきます。
○松原委員長 それでは、本日の審議を終了いたします。
 本日はお忙しい中、お集まりいただき、また貴重な御意見ありがとうございました。