2025年7月18日 第3回労働政策審議会労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」 議事録

労働基準局労働関係法課

日時

令和7年7月18日(金) 14:00~16:00

場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎5号館3階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)

出席者

公益代表委員
山川部会長、池田委員、石﨑委員、髙橋委員、成田委員
労働者代表委員
小林委員、冨髙委員、浜田委員
使用者代表委員
佐久間委員、鈴木委員、鳥澤委員、松永委員
オブザーバー
水谷事業性融資推進室長(金融庁監督局総務課)
事務局
岸本労働基準局長、尾田大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、先﨑労働関係法課長、瀧田労働関係法課課長補佐

議題

  1. (1)事業再編を経験した新興企業等の実態について
  2. (2) 労使関係団体からのヒアリング(非公開)

議事

議事内容

○山川部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「労働政策審議会労働条件分科会組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の部会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
 オブザーバーとして、金融庁監督局総務課事業性融資推進室の水谷室長に御出席をいただいております。
 議事に入ります前に、事務局の異動について御説明をお願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 事務局でございます。
 7月8日付で事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 労働関係法課長の先﨑でございます。
○労働関係法課長 よろしくお願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 事務局からは以上でございます。
 それでは、カメラ撮りはここまでといたします。
○山川部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入ります。
 本日は、議題1「事業再編を経験した新興企業等の実態について」を御議論いただいた後、議題2「労使関係団体からのヒアリング」を行います。議題2につきましては、組織再編に至る過程において、労使間でどのようなコミュニケーションが行われ、どのように労働条件が決定されていたか等の個別企業における事例を取り扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開となっております。
 それでは、本日の議事に入ります。最初に、議題1「事業再編を経験した新興企業等の実態について」でございます。
 事務局から説明をお願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 それでは、資料1を御覧ください。
 「事業再編を経験した新興企業(スタートアップ・ベンチャー企業)における労使コミュニケーションに関する実態調査について」に関して御説明いたします。
 2ページを御覧ください。
 こちらは、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が調査し、現在取りまとめ中の報告書につき、その概要を示したスライドになります。
 調査の目的は、事業再編時のスタートアップ等を念頭に労使コミュニケーション等の実態を把握することにあります。
 主な調査項目は、会社の概要、事業再編の概要、事業再編時の労使関係、事業再編に伴う労働関係上の課題感・改善点とされております。
 3ページを御覧ください。
 「調査対象企業の概要」は、以下のとおりであります。
 調査の目的は先ほど申し上げたとおりですが、調査結果としては事業譲渡が行われた事例1だけでなく、株式移転の事例、株式譲渡の事例、新会社を設立し、そこで新たに事業を開始した事例を併せて御報告するものとなっております。
 また、事例2の設立時期を御覧いただきますと、調査時点において、設立から約30年以上が経過した企業が含まれております。事業譲渡が行われた事例は1件であり、その他の事例は、株式移転や株式譲渡等といった、労働契約の承継という状況が生じないものとなっており、また、個別の事例における対応になりますが、それらの事業再編に付随して調査対象企業が、労働条件の変更や転籍等を実施する場面において、労働者の理解と協力を得るためにどのような労使コミュニケーションを行ったのかという意味においては、いずれの事例についても事業譲渡等指針の必要な見直しを検討する上で示唆があるものと考え、併せて御報告させていただくものです。
 それでは、4ページを御覧ください。
 「ヒアリング事例の概要」は、以下のとおりであります。
 「事業再編の概要」と記載した欄にて、事業再編を行った経緯等を掲載しております。
 事例1については、調査対象企業は、相手社との間で合併に向けた話し合いを進めていたところ、相手社との交渉の中で合併は困難となったため、相手社から事業譲渡に変更することが提案されました。
 調査対象企業は資金繰りに窮しており、商品と契約者を守るためにその提案を受け入れることにしました。
 事業譲渡に伴う雇用に関する事項としては、調査対象企業に雇用されていた労働者のうち、1名は調査対象企業を退職した後、相手社で採用されました。その他の労働者は、他の会社に転職する等しました。
 事例2については、調査対象企業の活動が活発化し、管理業務が増大していたところ、調査対象企業の管理本部だけではグループ全体の管理に対応できなくなりつつあったことから、持株会社を設立して全体の管理を統括することにしたというものです。
 事例3については、調査対象企業は、顧客開拓に当たって、設立年数が浅いこと等により、会社の信頼性を高める必要性がある等の経営課題を抱えていたため、調査対象企業は、業務提携先のグループ会社の一員になることで、グループ会社の資産を活用した迅速な事業展開が可能になると判断し、業務提携先に対して自社株式を譲渡したというものです。
 事例4については、調査対象企業は、自力での企業成長に限界を感じ、提携先を探していたところ、大手企業の完全子会社となる形で株式譲渡が行われたというものです。
 事例5については、調査対象企業の社長は、新規事業に対する意欲を有しておりました。そこで、調査対象企業は、新会社を設立し、新会社において新規事業を始めることとしました。
 新会社の設立後、調査対象企業の社長は、新会社の会長としての地位も有することとなりました。
 それでは、5、6ページを御覧ください。
 6ページにおいて、事業再編の類型毎に概要図を記載しております。これから御説明するヒアリング事例の概要に併せて、適宜御参照いただければと思います。
 まず、事例1につき御説明いたします。
 事例1については、青色の譲渡会社が行っていたA事業を、赤色の譲受会社に譲渡したというものでございます。事業譲渡後、譲渡会社は休業状態となっております。
 事例1につき、譲渡会社の社長は、事業譲渡が決定した後、早期に、全労働者に対し、その経緯や、会社の財務状況を説明する等した上、全労働者と個別面談を実施し、希望があった労働者には転職先の紹介をしております。
 事業譲渡契約においては、いずれの労働契約も譲渡対象に含めないこととされていましたが、内々では、譲受会社は、譲渡会社に対し、受け入れたい労働者が数名いることを伝えていたとのことです。その結果、1名については、譲渡会社を退職し、譲受会社に新規採用されることとなり、譲受会社における労働条件としては賃金の減少を伴ったとのことです。
 事業譲渡後、譲渡会社は休業状態となっておりますが、譲受会社に就職した1名以外の労働者についても、事業譲渡の末日までに再就職先が見つかる等しております。
 JILPTによる聞き取り調査によると、譲渡会社の社長は、自身の人的ネットワークを活用し、希望があった労働者に対して就職先を紹介したとのことです。スタートアップ企業であり、社長と労働者との関係性が近く、会社の財務状況を含めてコミュニケーションを行ったとされております。
 事例2については、青色の調査対象企業の完全親会社となる赤色の持株会社が新設され、持株会社に対し赤色で示した調査対象企業の株主が有する全株式が移転したというものです。
 なお、その後、調査対象企業が有する株式が、赤色の持株会社に譲渡されたことにより、グループ会社としての体制が整備されております。
 事例2における株式移転では、株式移転の手続後、ホールディングス組織内の体制整備を行った直後に、労使コミュニケーションが開始されております。労使コミュニケーションの方法及び内容については、調査対象企業に雇用される一部の労働者につき、新設された持株会社への転籍が予定されていたことから、調査対象企業の管理本部長が、転籍予定の労働者に対して、個別面談を実施し、グループ経営の体制、基本的な業務内容に変更がないこと、転籍後には賃金が増加すること等が説明されております。
 事例3、4については、薄緑色の株主が有する、青色の会社の株式が赤色の別の会社に譲渡されたというものであります。
 事例3、4では、株式譲渡の公表と同時に労使コミュニケーションが開始されております。その理由としては、株式譲渡に際して、上場会社が関与する場合には、インサイダー取引規制の観点に留意する必要があったからとされております。労使コミュニケーションの方法につき、いずれの事例においても、株式発行会社において、全労働者に対し、一括して説明が行われております。
 また、事例4のように、全体説明に加えて、事後的に質問を受け付けられるようにアンケートフォームを設置する等の方法が取られたものもございます。労使コミュニケーションの内容については、株式譲渡の経緯を説明したり、子会社化によっても、基本的な労働条件に変更がないことを説明したりするものでありました。
 事例5については、赤色の新会社を設立し、そこで新たにB事業を始めたというものになります。事例5では、新会社を設立してから4年後に事業免許が取得されており、事業免許取得から事業開始までの期間において、労使コミュニケーションが開始されております。労使コミュニケーションの方法及び内容につきましては、調査対象企業の社長が、全労働者に対して、新たに始める事業の内容を説明するとともに、新会社に転籍予定の労働者に対して、転籍先での業務内容につき説明がなされております。
 一方で、雇用契約の具体的な事柄については、新会社の社長が決めて、転籍予定者への説明を実施しております。
 事業再編に伴う労働関係上の課題感・改善点ですが、事例1において、譲渡会社に厳しい事業再編でも、労働者のほとんどが社長と人的関係があって入社していたことや、社長の人的ネットワーク等によって譲渡の末日までに再就職することができたために、譲渡会社では労使の紛争や駆け引きは起こらなかったとされております。
 説明は以上でございます。
○山川部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。
 オンライン参加の委員におかれましては、御発言の希望がある場合にはチャットに「発言希望」と書いてお知らせください。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 まず、時間のない中で様々な事例をまとめていただいたことについては感謝申し上げたいと思います。
 ただ、冒頭で事務局からも御説明がありましたが、内容を見てみますと、スタートアップと言いながら設立時期が30年以上前の事例が含まれているほか、業種も少し偏っている印象もございます。また、やはり事業譲渡の事案が1件ということですので、今後議論の素材として扱う際にはその点に留意して慎重に取り扱う必要があると考えているところです。
 その上で、事例1が唯一の事業譲渡だと思いますが、この事例からも現行の事業譲渡等指針に対する問題点が明らかになっているという印象を受けましたので、幾つか意見を申し上げたいと思います。
 この事例1ですが、包括承継となる合併から事業譲渡に切り替えた経緯や、譲渡会社が休業をした上で事業を移転していることを考えると、雇用承継を回避したかったのではないかとも懸念されるところです。まず1点目として雇用承継がされない場合については、事業譲渡等指針では留意事項が全く示されておらず、この事例1でも個別労働者、または過半数代表者との協議は行われていないのではないかと思っております。
 雇用の承継が生じない場面では、労働者等との手続等というのは事業譲渡等指針に記載がないと考えておりますし、また労働組合等の事前協議の開始時期も少し曖昧になるのではないかと思っておりまして、その実効性が低下するのではないかというような懸念があると思っております。
 もう一点、今、申し上げたところとも関連はするのですが、労働契約、労働協約の承継がルール化されていないということがございます。事例1では、ほとんどの方が別の会社に事業主の個人的なネットワークを使って再就職はされたようですが、仮にそれがなかったらどうだったのかという問題もありますし、やはり典型的に雇用が承継されなかった事例だと考えているところでございます。
 事業譲渡では、個別の譲渡契約で承継の有無が決定されるわけですが、そうなりますと幾ら個別の労働者や、労働組合等への情報提供を行ったところで、決定権はやはり会社側のみにあるということと考えると、果たして実質的な保護と言えるのかというところは少し疑問であると考えております。
 それから、前回、弁護士ヒアリングでも指摘がございましたが、譲受会社に何らかの手続や協議を課していないということは問題ではないかと思っております。この事例1ですと1名が譲渡会社を退職後、新たに譲受会社に新規で採用となったとのことですが、ここの記載上は、あまり十分な説明や協議が行われたことは読み取れないと思っております。
 こういったような課題を踏まえると、やはり事業譲渡時も原則は全て労働契約を承継するとした上で、異議申出権を認めるほか、承継がされない場合も含めて、譲渡元と、あとは譲受先の双方に労働組合等の手続や協議を課すというような労働者保護のルールの整備を進めることが重要ではないかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○山川部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等はありますか。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
 まず、冨髙委員が最初におっしゃったように、事業譲渡の事例が1件だというところで、事業譲渡について議論する際には、そのほかの事例2から5については慎重に扱う必要があるのではないかという点は私も同感です。
 それから、冨髙委員のコメントについて触れさせていただきますが、事業譲渡の場合、特に事例1を見ますと、経営状態がかなり悪化をしている中でどのように雇用を維持していくかという点にフォーカスに当たるような事例は多いと思います。そういった実態を踏まえれば、私は、法令により事業譲渡の場合も雇用契約を自動承継することになれば、かえって雇用機会が狭まることが大変心配だということを改めて申し上げます。
 その上で、事務局に質問をさせていただきます。
 冨髙委員からも指摘がありましたように、事例1は、従業員全員との契約の承継、もしくは転籍ができなかった者につき、譲渡人の社長の人的ネットワークの活用によって、結果的に全員の再就職が果たされました。私は逆に好事例ではないかと受け止めております。
 一方で、譲受会社は労働者全員を引き受けるのが困難なことから、事業譲渡を提案したという経緯があるわけですが、当時、資金繰りに窮する中で、従業員を全員引き受けられる他のスポンサー企業を探す時間的な余裕が残されていたのかどうか等、その辺りの事情が分かれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山川部会長 ありがとうございます。
 後半は御質問でしたが、事務局からいかがでしょうか。
○労働関係法課課長補佐 事例1の経緯について補足いたしますと、最初に調査対象企業としては単独の力で資金を集め続けることは難しいと判断し、その問題を解消していくために他社との合併という選択肢を考えました。
 その結果、相手社から合併という話があった後に、やはり従業員を全部引き受けることは困難であるということから、事業譲渡の提案があったという中で、調査対象企業としては既に合併を行う方針ということで進めていたこともあり、そこからまた新たに資金調達を行うということが難しかったとされております。
 以上でございます。
○山川部会長 鈴木委員、何かございますか。
○鈴木委員 ありがとうございます。大丈夫です。
○山川部会長 ありがとうございました。
 それでは、松永委員から御発言希望がございます。お願いします。
○松永委員 ありがとうございます。
 私のほうから1点、もし分かればということで教えていただきたいのですが、労使のコミュニケーションについて、たしか事例3、4の御説明の中で、インサイダー取引発生懸念から対外的な発表と同時に従業員の方への説明を開始したということの御説明があったと思うのですが、この件に関しては、例えば事業譲渡の相手方と秘密保持契約を締結している場合等、ほかにも交渉、検討段階でなるべく早く従業員に説明、協議というのがなかなか難しい状況があるかなとは考えています。
 それで、この説明のタイミングに関して考慮すべき要素ということでしょうか。これに関して、何か追加の情報等をお持ちであれば教えていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○山川部会長 ありがとうございます。
 事務局からいかがでしょうか。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 事例3、4につきましては、報告書に記載されている内容ですと、やはり情報公開のタイミングに細心の配慮が払われたということ、株式譲渡先である親会社がインサイダー取引に関する規制を重視する必要があるという話があった以上に、何か懸念があったということについての記載はないところでございます。
○松永委員 承知しました。ありがとうございます。
○山川部会長 浜田委員、どうぞ。
○浜田委員 ありがとうございます。
 私からは、2点御意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、労使関係に対する対策の必要性についてです。M&Aには資産の買収を伴う事業譲渡のほかに、今回の事例2から4にもあるように、株式の移転や譲渡等の株式取得の件数も多く、増加傾向にあると承知しています。このようなケースでは、労働契約の承継の課題は生じない一方で、使用者性の課題であるとか、労働組合の切り崩しを目的とする不当労働行為等の労使関係上の課題が実際に生じています。そうした課題や実態をしっかりと把握した上で、法制面での対応の必要性について検討を行う必要があるのではないかと思います。
 株式取得や資本参加を含めて、労働組合等との事前協議等、一定のルールを課すことでその後の紛争予防にもつながると考えております。
 2点目は、事業譲渡等指針の課題についてでございます。冨髙委員からも指摘がありましたが、事例1については1名のみが譲渡会社を退職して譲受会社に採用されたということでしたが、見方によっては譲渡契約と切り離すことで事業譲渡等指針に定められた手続等を逃れようとしているように見えなくもありません。
 また、会社分割の場合にも、転籍合意によって個別協議等の手続を行っていない不適切な実態が明らかになったことから、2016年の承継法施行規則及び承継法指針の見直しにおいて、転籍させる場合であっても通知や労働者との個別協議等の手続を省略できないということが明示されました。この点は、事業譲渡においてもルールとして明確化していく必要があるのではないかと思いますので、意見として申し上げます。
 以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
 佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 私からも、今回教えていただきました5事例については、形態は異なるものの、経営者側というか、譲渡とか、株式の移転等に至った理由、細かいところはちょっと分かりませんが、全体的に労働者とのコミュニケーションをどのようにとっていったのか、その方法で見たときに、労働者に対して全体的に説明はしているようにみえます。それで、株式譲渡については、これは労働者の人数等規模や、個別に説明や協議を行っているのかどうか。全体的な説明だけで終わってしまっているのか、義務づけではないのでしょうけれども、その点をまずもう一回再確認させていただきたいと思います。
 あとは、本部会でもまず主として取り上げていかなければいけない事業譲渡の事例1ですが、私から見ても、労働者側への説明等、不十分なところもまだあるのではないかと思います。
 ただ、M&Aから事業譲渡に至るところで時間的な問題とか、労働者に説明をしなければいけないということで個別労働者に対しても説明をしているようですが、実際に退職者が、譲り受けた企業に1名が行っている。それで、その1名を除いたほかの方たちにはどのタイミングで個別に説明を行っているのか。その方の退職が決まった後に、全体の説明で終わらせようとしてしまったのか。
 または、他の労働者については、それぞれに個別に企業を紹介しているのでしょうけれども、その紹介というものも職業紹介事業者を呼んできて説明をしたのか、それとも、もう行かなければいけない、探さなければいけないということで個別に労働者自らが探して行ったのかとか、その辺りも疑問なところがあるので、分かる範囲で教えていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、個別の労働者に対して説明が特に事業譲渡は求められるわけですので、どのタイミングで、または項目まで深く突っ込んで説明をしているのかどうか、その辺りが見えないところもありますので、問題点にもなってくるのかなと思います。
 以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。
 個別の労働者に説明をというときのタイミングの問題と、その説明の内容の問題についての御質問ですが、事務局いかがでしょうか。
○労働関係法課課長補佐 ありがとうございます。
 事例1につきましては、タイミングとしては資料に書かせていただいたとおり、事業譲渡が決定した後、早期に実施したということになっておりまして、その後のコミュニケーションについては、全労働者と個別面談が行われているところについては、具体的にどの時期かということの記載がないところでございます。
○山川部会長 佐久間委員、よろしいでしょうか。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 もう一点、1人だけ譲受会社に行かれているということですが、この方は退職をしてから譲渡会社に行っているので、退職して決まった後に、個別で皆さん方、残っている方たちに説明をしたのか。その辺も、全体的に説明が行われたかどうかに関わりますので、そのタイミングだけでも分かれば教えていただきたいと思います。
○山川部会長 ありがとうございます。
 その辺りは、調査の結果の中に出てきたでしょうか。
○労働関係法課課長補佐 相手社が欲しいと言った人材の1人について、労働条件等についての話があったそうで、ただ、伝達した主体としては調査対象企業の社長が、合併の予定だったが事業譲渡になったということと、相手社から示された条件をお伝えしたという経緯の記載はございます。
○山川部会長 採用された1人への説明と、それ以外の方への説明というのは時期としてずれていたとか、その辺りは出てきたでしょうか。
○労働関係法課課長補佐 時期の前後関係についての記載まではございません。
○山川部会長 ありがとうございます。
 佐久間委員、よろしいでしょうか。
○佐久間委員 はい。
○山川部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、公開の議題はここまでとさせていただきたいと思います。最初に申し上げましたとおり、傍聴の皆様方につきましてはここで御退席をお願いいたします。