2024年8月26日 薬事審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
令和6年8月26日(月)14:00~
場所
厚生労働省専用第21会議室
出席者
- 出席委員(19名)五十音順
-
- 赤羽悟美
- 阿古潤哉
- 石川欽也
- 大谷壽一
- 大森哲郎
- 川上純一
- 佐藤直樹
- 佐藤雄一郎
- ○佐藤陽治
- 柴田大朗
- 髙橋悟
- 田﨑嘉一
- 中西功一
- 長谷川俊史
- 堀恵
- 前田愼
- 宮川政昭
- ◎森保道
- 矢野育子
他、参考人2名出席
- 欠席委員(2名)五十音順
-
- 根岸一乃
- 松野智宣
- 行政機関出席者
-
- 城克文(医薬局長)
- 佐藤大作(大臣官房審議官)
- 中井清人(医薬局医薬品審査管理課長)
- 野村由美子(医薬安全対策課長)
- 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他
議事
○医薬品審査管理課長 それでは「薬事審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。本会議はペーパーレスの開催といたしますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、よろしくお願いします。
本日の会議における委員の御出席についてですが、根岸委員、松野委員が御欠席との御連絡を頂いています。このほか、田﨑委員が遅れての御参加と聞いています。また、現在のところ、大森委員、佐藤直樹委員、柴田委員が若干遅れている状態ですが、後ほど参加されると思います。
本日は、現在のところ当部会委員数21名のうち15名の委員がこの会議に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告いたします。
なお、本日は審議事項議題8に関して、筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学教授の新井哲明先生に御参加を頂いています。そのほか、その他事項議題1に関して、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育産後ケア子育てステーション所長の中井章人先生を参考人としてお呼びしています。
続きまして、薬事審議会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度御協力を賜り、誠にありがとうございます。
それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどお願いいたします。
それでは、森部会長、以後の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~25を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料25に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
議題1「ビルタサ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、前田委員です。
議題2「ルプキネス」、退室委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員、髙橋委員です。
議題3「献血ヴェノグロブリン」、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、中西委員です。
議題4「テッペーザ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題5「アリッサ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員、中西委員、矢野委員です。
議題6「ユバンシ」、退出委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、髙橋委員です。
議題7「トレプロスト」、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。
議題8「レキサルティ」、退出委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題9「クービビック」、退出委員なし、議決に参加しない委員阿古委員、髙橋委員です。
議題10「ファダプス」、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。
議題11「ロゼバラミン」、退出委員は石川委員、議決に参加しない委員はなしです。
議題12「希少疾病医薬品の指定の可否」、退出委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員です。
議題13「医療用医薬品の承認条件(エンタイビオ)」に関するもの、退出委員なし、議決に参加しない委員は髙橋委員です。
議題14「医療用医薬品の承認案件(ジンタス)」に関するもの、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。以上です。
○森部会長 今の御説明について、特段の御意見等はありますでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。本日は、審議事項が14議題、報告事項が6議題、その他事項が1議題となっています。
それでは、参考人をお呼びしています議題8から御審議いただきたいと思います。
議題8について、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反のお申出に基づきまして、議題8の審議の間は会議から御退出いただきまして、御待機いただくこととなっております。佐藤直樹委員は御退出をお願いいたします。
本日の会議における委員の御出席についてですが、根岸委員、松野委員が御欠席との御連絡を頂いています。このほか、田﨑委員が遅れての御参加と聞いています。また、現在のところ、大森委員、佐藤直樹委員、柴田委員が若干遅れている状態ですが、後ほど参加されると思います。
本日は、現在のところ当部会委員数21名のうち15名の委員がこの会議に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告いたします。
なお、本日は審議事項議題8に関して、筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学教授の新井哲明先生に御参加を頂いています。そのほか、その他事項議題1に関して、社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育産後ケア子育てステーション所長の中井章人先生を参考人としてお呼びしています。
続きまして、薬事審議会規程第11条への適合状況については、全ての委員の皆様に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度御協力を賜り、誠にありがとうございます。
それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどお願いいたします。
それでは、森部会長、以後の進行をお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、委員からの申出状況につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~25を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは、資料25に記載のとおりです。これらに関する委員からの申出状況等を踏まえた薬事審議会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員の審議参加に係る取扱いは、次のとおりです。
議題1「ビルタサ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、前田委員です。
議題2「ルプキネス」、退室委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員、髙橋委員です。
議題3「献血ヴェノグロブリン」、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、中西委員です。
議題4「テッペーザ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題5「アリッサ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は阿古委員、佐藤直樹委員、中西委員、矢野委員です。
議題6「ユバンシ」、退出委員なし、議決に参加しない委員は佐藤直樹委員、髙橋委員です。
議題7「トレプロスト」、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。
議題8「レキサルティ」、退出委員は佐藤直樹委員、議決に参加しない委員は阿古委員です。
議題9「クービビック」、退出委員なし、議決に参加しない委員阿古委員、髙橋委員です。
議題10「ファダプス」、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。
議題11「ロゼバラミン」、退出委員は石川委員、議決に参加しない委員はなしです。
議題12「希少疾病医薬品の指定の可否」、退出委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員です。
議題13「医療用医薬品の承認条件(エンタイビオ)」に関するもの、退出委員なし、議決に参加しない委員は髙橋委員です。
議題14「医療用医薬品の承認案件(ジンタス)」に関するもの、退出委員、議決に参加しない委員はともになしです。以上です。
○森部会長 今の御説明について、特段の御意見等はありますでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。本日は、審議事項が14議題、報告事項が6議題、その他事項が1議題となっています。
それでは、参考人をお呼びしています議題8から御審議いただきたいと思います。
議題8について、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反のお申出に基づきまして、議題8の審議の間は会議から御退出いただきまして、御待機いただくこととなっております。佐藤直樹委員は御退出をお願いいたします。
──佐藤(直)委員 退室──
○森部会長 よろしいでしょうか。では、審議事項議題8について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題8、資料No.8、医薬品レキサルティ錠1mg、同錠2mg、同OD錠0.5mg、同OD錠1mg、同OD錠2mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構から御説明いたします。
資料No.8の審査報告書を御覧ください。はじめに、審査報告書の一番下、全38ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。認知症の症候は、認知機能の障害と、それに伴う行動・心理症状(以下、「BPSD」)からなります。BPSDは、認知機能障害を基盤に、身体的要因、環境的要因、心理的要因等の影響により出現し、焦燥性興奮、攻撃性等の行動面の症状及び不安、うつ、幻覚・妄想等の心理症状がございます。「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」はBPSDの一部であり、国際老年精神医学会では「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」として定義されています。
本剤は、ブレクスピプラゾールを有効成分とする非定型抗精神病薬であり、本邦では、「統合失調症」及び「うつ病・うつ状態」に対して承認されています。今般、国際老年精神医学会の定義に基づいた「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者を対象とした国内臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は、海外では「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」を効能・効果として、2023年5月に米国で承認され、現在3か国で承認されています。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている4名の委員を指名しております。
本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、通し番号で9ページの表3を御覧ください。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験として実施された国内第II/III相試験において、主要評価項目である「CMAI合計スコアのベースラインから治験薬投与10週後の変化量」について、本剤1mg群及び2mg群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
また、通し番号で16ページの表12を御覧ください。CMAI合計スコアはAgitationの様々な症状の総合評価スコアでございますが、各factor別での有効性についても確認したところ、攻撃的症状に限らず非攻撃的症状も含め、本剤群でプラセボ群と比較して改善する傾向が認められました。以上の結果等を踏まえ、「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
次に、安全性について、通し番号で18ページ、「7.R.3 安全性について」の項及び審査報告書の通し番号で31ページ、「1.1 安全性について」の項を御覧ください。今般提出された臨床試験成績等から、特に注意すべき有害事象を中心に、検討を行いました。本剤の現行の添付文書では、他の抗精神病薬と同様に、認知症の高齢患者に対する非定型抗精神病薬の投与により心血管系又は感染症による死亡が多かった旨の海外報告を踏まえて、本邦ではクラスラベリングとして、「その他の注意」の項でその報告の内容が注意喚起されています。
今般実施された「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者を対象とした本剤の国内第II/III相試験において、治験担当医師により因果関係は否定されているものの、本剤群のみで死亡例が認められたこと、新たに本剤の投与対象となる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者は、主に認知症を有している高齢者であり、患者の多くが死亡リスクが高い集団であることを踏まえ、現行の添付文書の「その他の注意」における注意喚起に加え、更なる注意喚起が必要と判断しました。
具体的な注意喚起としましては、本剤の国内第II/III相試験で本剤群のみで認められた死亡例は治験担当医師により因果関係が否定されていること、現時点で、本剤が類薬の抗精神病薬により死亡リスクが増加することを示すエビデンスや、類薬の抗精神病薬を含めたクラスラベリングとして抗精神病薬投与による死亡リスクについての注意喚起レベルを上げる必要があることを示すエビデンスは得られていないこと等から、専門協議での議論も踏まえ、現時点では今回の効能に係る注意として注意喚起することとし、「効能・効果に関連する注意」において、臨床試験で本剤群のみで死亡例が認められたことを情報提供した上で、本剤投与によるベネフィットリスクバランスを十分に理解し、各患者の症状等を十分に確認して本剤投与の適否及び投与中止の要否の継続的な検討を行うよう、注意喚起することが適切と判断しました。
なお、この注意喚起の内容について、米国の添付文書ではBOX WARNINGに記載されていますが、Agitationに係る効能の承認取得前よりクラスラベリングとして対応されていたものであるため、Agitationの患者を投与対象とするに当たって、新たなデータ等により死亡リスクが懸念され、BOX WARNINGが適当と判断されたものではございません。
その他、本剤投与に当たって、錐体外路症状、転倒関連の有害事象、誤嚥性肺炎等についても注意を要しますが、これらの事象も含めて適切な注意喚起の下で使用されることで、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
続きまして効能・効果について、通し番号で33ページ、「1.2 本剤の効能・効果について」の項を御覧ください。本邦では、現時点で「アジテーション」の用語が示す症状に関する共通認識が医療現場に浸透しているとは言い難い状況であることを踏まえ、効能・効果では「アジテーション」と表記せず、本剤の投与対象がアルツハイマー型認知症であり、かつ国際老年精神医学会で定義されているように、焦燥感、易刺激性、興奮等の情動的な苦痛を背景として、過活動及び攻撃的言動が表れていることを明確にすることとしました。また、本剤が適正使用されるために、病態、診断、治療に精通した医師、又はその医師との連携の下で本剤による治療がなされるよう、添付文書で注意喚起するとともに、資材を用いて本剤の投与対象となる患者の判断、治療管理等について情報提供することとしました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、新効能医薬品、新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しました。薬事審議会では報告を予定しております。
なお、本日の部会資料におきまして、1.11のRMPにおきまして資料の修正がありましたため、本日差し替えをさせていただいております。御迷惑をお掛けしまして誠に申し訳ございませんでした。御説明は以上です。御審議どうぞよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、本日参考人の新井先生にお越しいただいていますので、御発言の方をお願いしたいと思っています。お願いします。
○新井参考人 新井です。よろしくお願いします。適応になっています焦燥感、易刺激性、興奮等の情緒的な苦痛を背景とした過活動、攻撃性に対して、今我々がお薬で治療するとしますと、大きく分けて四つございまして、まずは抗認知症薬、特にメマンチンという少し鎮静作用があるお薬、それから抑肝散という漢方薬、あとは気分安定薬のバルプロ酸ですね。そしてこの抗精神病薬、大きく分けて四つございまして、副作用等の観点からは、ある程度こういう症状が軽い場合は、抗精神病薬以外の3種類をまず試して、それでも効かなかったら抗精神病薬というのが一般的かと思います。
ただ、暴言・暴力が強いとか、要するに他者とか自分に被害を及ぼすような状況とか、緊急性があるとか、この症状が重い場合は抗精神病薬から投与するということもあると思いますけれども、基本的にはまず非薬物療法をきちんとトライして、それでも効かない場合に、まず副作用の少ないものから順番にいって、抗精神病薬は最終手段であるというのが原則というふうに、臨床の現場では行われていると思います。
どの程度これは処方されているかということは分かりませんけれども、平成27年度に「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」というのが厚労省の特別研究費でやられておりますけれども、このときかかりつけ医500名にアンケートを取っていますが、そのときは大体半分ぐらいの方が抗精神病薬を使用しているということになっております。ですので、かかりつけ医の先生方が使うときに、我々専門医との連携をよく取っていただいて、使っていただくということが大事なのではないかと考えています。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。 それでは宮川先生、よろしくお願いします。
○宮川委員 機構にお尋ねしたいのですけれども、先ほど安全性のところでいろいろ御報告いただきましたけれども、今参考人からお話があったように、そのときの併用薬、他の併用薬の状況というのはどうなっていたのでしょうか。お教えいただければ幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 国内第II/III相試験を実施するに当たりましては、患者さんが抗認知症薬を投与している場合もございました。今回の臨床試験におきましては、組入れのベースラインの3か月以上前から抗認知症薬を投与している患者さんにおきましては、そのまま投与を継続することが可能としておりまして、約50%の患者さんで前治療として投与されています。
○宮川委員 ありがとうございました。表13に発現日と書いてありまして、その実数が書いてあります。その下に括弧として最終投与薬後で何日というのは、その最終投与薬というのは本品が投与されて6日後とか、7日後とか、そういうことでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。御理解のとおりです。
○宮川委員 ありがとうございます。
○森部会長 そのほか御意見、いかがでございましょうか。新井先生、一つ教えていただきたいのですけれども、本剤の適応症になっていますアルツハイマー認知症に伴う焦燥感や易刺激性、興奮といった患者さんの言動が本剤を使用することによって緩和することで、患者さん御本人又は介護者や御家族にとって、どういったメリットが期待できるものなのでしょうか。
○新井参考人 ありがとうございます。両方にメリットがあると思うのですけれども、御本人も非常にイライラしていたり、怒りを抑えられなかったりでコントロールできない。それによって様々周りに影響を及ぼしてしまって、それで本人はますますつらくなるということがありますし、やはり周りも攻撃性を向けられたときに非常に介護負担が強くなるということがありますので、それが少し鎮まるということで、両者にメリットがあると思います。
○森部会長 よく分かりました。ありがとうございました。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですけれど、実際に私も実臨床の現場で困窮する場合があって、メマンチンや抑肝散を使っても、なかなか抑え切れない。そこでメジャーを微量、本当に少量使うというような方法でも、このアジテーションそのものを抑えるという形には、なかなかなっていかないというところです。
そこで参考人にお聞きしたいのですが、特にこのアジテーションという特出しした症状について、本品がある程度有効であると私たち実臨床家は捉えてよろしいのでしょうか。つまりメマンチンを使っても、それからあるいはまた抑肝散、メジャーを使っても、行動も含めて少し落ちていく印象があり、抑肝散以外は、全体的に抑制される患者がいるのですが、本品の場合には日常の活動性とアジテーションとの関係は、どのようになっているのでしょうか。教えていただければ幸いです。
○新井参考人 ありがとうございます。先生、非常に重要なところを御指摘いただいたと思います。アジテーションについて鎮静させるお薬を使っていくときに、やはり気持ちだけではなくて、体の方も鎮静させていくということはどうしてもありますので、そこのバランスをいかに取っていくかというところは非常に大事で、しばしば先生が御指摘されるように、心が落ち着く前に体の方が鎮静が掛かってしまって元気がなくなってしまうとか、それが誤嚥性肺炎につながるとか、そういうことがございますので、そこのバランスをいかに取っていくか、これは非常に大事だと思います。このレキサルティは、抗精神病薬の中では比較的そういう鎮静作用は軽くて、使いやすい薬であるということは確かかなと思います。
○宮川委員 ありがとうございました。そういう意味では非常に実臨床家としては、専門医との連携を取りながら、適正な使用をしていくということで、今参考人がお話になったように、患者さんとその周囲の方々、介護される方々、そしてそれを支援する方々が良好な関係の中で治療が進むという形になれば幸いかなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 そのほか、いかがでしょうか。機構にお伺いします。今回CMAIスコアの方で、三つのファクターに分けて症候分類していらっしゃいますが、その症候別に、有効性に関して、情報提供を頂けないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど御説明させていただいた内容と一部重複いたしますが、審査報告書の通し番号16ページの表12を御覧ください。臨床試験ではアジテーションの患者のうち、攻撃的な症状を有することを必須としておりまして、その患者で非攻撃的症状についても、本剤を投与することでどのように症状が改善したのかというところを確認しております。その結果が表12でございまして、ファクター1が攻撃的な症状、ファクター2とファクター3が非攻撃的な症状等を示すものになります。
本剤投与によりまして、ファクター1、ファクター2、ファクター3いずれにおきましてもベースラインから比較して、本剤投与後10週にその症状が改善する傾向が認められたということで、本剤投与によって攻撃的な症状だけではなくて、非攻撃的な症状についても症状が改善するだろうと判断いたしました。
○森部会長 ありがとうございます。本剤の臨床的な有用性を医療現場に提供する上で、こういったファクターごとの有効性に関する情報提供ということは可能でございますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。頂いた御意見も踏まえまして、資材等何かしらの対応で臨床現場の先生方や医療従事者の方々に情報提供できるように対応いたします。御意見ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございます。そのほか、委員の先生方から御質問ございませんでしょうか。もう大森委員は入っていらっしゃいますか。
○大森委員 はい。
○森部会長 御発言いかがでございましょうか。
○大森委員 大分遅れて入ってしまいまして、説明のところを聞き逃してしまったのですが、基本的にこの薬は抗精神病薬の中では副作用が少ないものの一つですので、アルツハイマー型認知症に認可された形で使えるというのは、我々精神科臨床側から見ますと、本当に有り難いことです。ざっと資料を拝見した範囲で問題がないように、私としては思いました。発言の機会を頂きましてありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。同じく石川委員から御発言ございますでしょうか。
○石川委員 ありがとうございます。私は神経内科医ですけれども、この抗精神病薬を処方することは余り多くない。そういう患者さんを多く拝見するのですけれども、確かに中にはこういうアグレッシブになって来られる方が結構あるので、注意しながら使用できるということは、今の大森先生と同じように、非常に有り難いことだと思っておりまして、注意喚起が適切になされながら使用できるようになるということが望ましいと思っております。以上です。ありがとうございました。
○森部会長 ありがとうございました。機構の方、先ほどの新井先生からの御発言で、錐体外路症状ですとか、誤嚥性肺炎のリスクということが本剤を使用する際に決め手になるわけですけれども、具体的に添付文書上の記載整備で、誤嚥性肺炎の頻度等の情報を追加は可能でございますか。
○医薬品医療機器総合機構 今回の効能が追加される前の現時点での添付文書では、誤嚥性肺炎につきましては、11.2の「その他の副作用」の項において、1%未満の発現頻度ということで注意喚起をしているところでございます。
今回の臨床試験におきまして、国内臨床試験で本剤が投与された被験者計323例の中で誤嚥性肺炎の副作用が発現したのが2例、0.6%でございました。頻度としましては1%未満というところで、この11.2項のその他の副作用につきましては変更はございません。ただし、添付文書8項の「重要な基本的注意」の所で、アジテーションの患者に本剤を投与する場合につきましては誤嚥性肺炎については気を付けていただく旨、注意喚起をさせていただいているところでございます。
先ほど御説明しました臨床試験で認められた誤嚥性肺炎の発現割合が0.6%であったということにつきましては、医療従事者向けの資材において、他の臨床試験成績も含めて情報提供をする予定でございます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。新井先生、その方向でよろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。そのほか先生方の方から。では堀委員からお願いします。
○堀委員 ありがとうございます。新井先生にお尋ねしたいのですけれども、すみません、一般の介護をする立場又は家族で患者を見守る立場から、添付文書の8.4の所に、病的賭博というのでしょうか?持続的にギャンブルを繰り返す状態とか、病的性欲亢進や強迫性購買、暴食などの衝動制御障害というものが書いてあるのですけれども、具体的にどのようなことなのか?このアジテーションというイメージと、今書かれている説明とがどのように違うのかがよく理解できないので教えていただけたら有り難いのですが、いかがでしょうか。これは、機構に聞いた方がよろしかったですかね。申し訳ございませんがお願いいたします。
○森部会長 最初に機構の方からでいいですか。
○堀委員 はい。恐れ入ります。
○医薬品医療機器総合機構 今回のアジテーションにつきましては、効能・効果を詳細に投与対象を示させていただきましたとおり、まずはアルツハイマー型認知症と診断されていることが前提でございます。また、焦燥感、易刺激性、興奮に起因するというところが大事でございます。過活動や攻撃的言動は、アジテーションではない患者さんでも認められるということが分かっており、その症状だけ見ても必ずしもアジテーションではないということもございます。したがって、効能・効果のところで具体的に、焦燥感、易刺激性、興奮に起因するものであるということを確認していただけるよう示したところでございます。私の説明が十分ではないかもしれませんので、新井先生からも是非御意見を頂けますと幸いでございます。
○新井参考人 この抗精神病薬というのは、ドパミン系というところを調節するのですけれども、本来はこういう病的賭博とか強迫性障害ということはドパミン系の異常があって、そこをブロックしてあげると良くなる可能性があるわけですけれども、そこの病態とこの調節の度合で、逆にドパミン系の異常が更に強調されてしまうということもまれにあるのですね。そういう副作用の可能性について、一応記載されております。ただ、実際はここまでの、ここに書いているような強い副作用を経験したことは私にはないですけれども。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。以上です。
○森部会長 では佐藤陽治委員、お願いします。
○佐藤(陽)委員 佐藤陽治です。申請時の効能・効果と承認する効能・効果とは、今議論していることで違うという御説明があって、承認時の効能・効果は分かりやすいのですけれど、承認の案として出てきている一番最後の三つ目、このつながりが分かりにくいのではないかと思います。「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」となっているのですけれど、どこがどこに掛かるのかが分かりにくいのではないかと思っていまして、例えば私が勝手に解釈しているのは、「焦燥感、易刺激性、又は興奮に起因する過活動若しくは興奮に起因する攻撃的言動であって、アルツハイマー型認知症に伴うもの」なのではないかなと思っているのですけれど、どうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 過活動や攻撃的行動は、つばを吐くですとか、物を投げるとか、叫ぶとか、徘徊するとか、そういうものを指すのですけれども、今回は、その効能・効果をどのように表記するのかというところで、機構としても慎重に検討しました。大事なのはアルツハイマー型認知症に伴うということが、まず前提です。その上で、過活動や攻撃的言動の背景にある情動的なものとして焦燥感、易刺激性、興奮に起因するというのが、国際老年精神医学会の定義の方に書かれておりますので、それを反映したというところでございます。
ただし、効能・効果の表記としてはやや長くなりました。今回、国内では初めてアジテーションの薬を承認するので、医療従事者向けの資材、患者さん、介護者向けの資材を作成しておりまして、その中で今の過活動、攻撃的言動が、その背景として情動的なものがある、その情動的というのが焦燥感、易刺激性、興奮に起因しているものであるということを、解説や図等を用いて御提示をさせていただこうと考えています。
○佐藤(陽)委員 そういったような資材を見れば分かるというのであれば良いのかもしれませんが、ちょっと言葉の掛かり方とか点の打ち方が、人によってその解釈が変わりそうで、少し心配です。ただ、そこをちょっと検討していただいて、これで現場が困らなければ構いません。私が主観的にちょっと分かりにくいかなと思っているだけでございまして、現場が困らなければ大丈夫だと思います。
○医薬品医療機器総合機構 本剤が承認されるまでに少し時間がありますので、その間に学会の先生方にも、この効能・効果で現場の医師であれば理解可能であるかということも含めて、確認したいと思います。御意見ありがとうございます。
○佐藤(陽)委員 よろしくお願いいたします。
○森部会長 どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。今の佐藤委員からの御質問の関連で、これから患者向けの資材をお作りになるということであるのであれば、やはり私ども一般の人間は、今佐藤委員が御指摘いただいたような、その語はどこに掛かるとか、その言葉自体が実際にどういう行動が起きるのかということが想定できないので、先ほど質問もさせていただいたのですけれど、是非具体的にどのような症状があったとか、そのような例を患者向け資材に組み入れていただくと、大変幸いです。御検討ください。
○医薬品医療機器総合機構 対応いたします。
○森部会長 ありがとうございました。今の議論ですと、この効能については、アルツハイマー型認知症に伴う過活動又は攻撃的言動、それが焦燥感、易刺激性、興奮に起因すると、そういうことでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりでございます。
○森部会長 そう取ってよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○森部会長 分かりました。それが分かりやすくなるように表現の修正等を、もし可能でしたら御検討ください。そのほかいかがでございましょうか。委員の先生方、御意見ございますでしょうか。特段ございませんでしょうか。
それでは、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。新井参考人、誠にどうもありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題8、資料No.8、医薬品レキサルティ錠1mg、同錠2mg、同OD錠0.5mg、同OD錠1mg、同OD錠2mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構から御説明いたします。
資料No.8の審査報告書を御覧ください。はじめに、審査報告書の一番下、全38ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。認知症の症候は、認知機能の障害と、それに伴う行動・心理症状(以下、「BPSD」)からなります。BPSDは、認知機能障害を基盤に、身体的要因、環境的要因、心理的要因等の影響により出現し、焦燥性興奮、攻撃性等の行動面の症状及び不安、うつ、幻覚・妄想等の心理症状がございます。「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」はBPSDの一部であり、国際老年精神医学会では「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」として定義されています。
本剤は、ブレクスピプラゾールを有効成分とする非定型抗精神病薬であり、本邦では、「統合失調症」及び「うつ病・うつ状態」に対して承認されています。今般、国際老年精神医学会の定義に基づいた「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者を対象とした国内臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は、海外では「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」を効能・効果として、2023年5月に米国で承認され、現在3か国で承認されています。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている4名の委員を指名しております。
本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、通し番号で9ページの表3を御覧ください。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験として実施された国内第II/III相試験において、主要評価項目である「CMAI合計スコアのベースラインから治験薬投与10週後の変化量」について、本剤1mg群及び2mg群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
また、通し番号で16ページの表12を御覧ください。CMAI合計スコアはAgitationの様々な症状の総合評価スコアでございますが、各factor別での有効性についても確認したところ、攻撃的症状に限らず非攻撃的症状も含め、本剤群でプラセボ群と比較して改善する傾向が認められました。以上の結果等を踏まえ、「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
次に、安全性について、通し番号で18ページ、「7.R.3 安全性について」の項及び審査報告書の通し番号で31ページ、「1.1 安全性について」の項を御覧ください。今般提出された臨床試験成績等から、特に注意すべき有害事象を中心に、検討を行いました。本剤の現行の添付文書では、他の抗精神病薬と同様に、認知症の高齢患者に対する非定型抗精神病薬の投与により心血管系又は感染症による死亡が多かった旨の海外報告を踏まえて、本邦ではクラスラベリングとして、「その他の注意」の項でその報告の内容が注意喚起されています。
今般実施された「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者を対象とした本剤の国内第II/III相試験において、治験担当医師により因果関係は否定されているものの、本剤群のみで死亡例が認められたこと、新たに本剤の投与対象となる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」患者は、主に認知症を有している高齢者であり、患者の多くが死亡リスクが高い集団であることを踏まえ、現行の添付文書の「その他の注意」における注意喚起に加え、更なる注意喚起が必要と判断しました。
具体的な注意喚起としましては、本剤の国内第II/III相試験で本剤群のみで認められた死亡例は治験担当医師により因果関係が否定されていること、現時点で、本剤が類薬の抗精神病薬により死亡リスクが増加することを示すエビデンスや、類薬の抗精神病薬を含めたクラスラベリングとして抗精神病薬投与による死亡リスクについての注意喚起レベルを上げる必要があることを示すエビデンスは得られていないこと等から、専門協議での議論も踏まえ、現時点では今回の効能に係る注意として注意喚起することとし、「効能・効果に関連する注意」において、臨床試験で本剤群のみで死亡例が認められたことを情報提供した上で、本剤投与によるベネフィットリスクバランスを十分に理解し、各患者の症状等を十分に確認して本剤投与の適否及び投与中止の要否の継続的な検討を行うよう、注意喚起することが適切と判断しました。
なお、この注意喚起の内容について、米国の添付文書ではBOX WARNINGに記載されていますが、Agitationに係る効能の承認取得前よりクラスラベリングとして対応されていたものであるため、Agitationの患者を投与対象とするに当たって、新たなデータ等により死亡リスクが懸念され、BOX WARNINGが適当と判断されたものではございません。
その他、本剤投与に当たって、錐体外路症状、転倒関連の有害事象、誤嚥性肺炎等についても注意を要しますが、これらの事象も含めて適切な注意喚起の下で使用されることで、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
続きまして効能・効果について、通し番号で33ページ、「1.2 本剤の効能・効果について」の項を御覧ください。本邦では、現時点で「アジテーション」の用語が示す症状に関する共通認識が医療現場に浸透しているとは言い難い状況であることを踏まえ、効能・効果では「アジテーション」と表記せず、本剤の投与対象がアルツハイマー型認知症であり、かつ国際老年精神医学会で定義されているように、焦燥感、易刺激性、興奮等の情動的な苦痛を背景として、過活動及び攻撃的言動が表れていることを明確にすることとしました。また、本剤が適正使用されるために、病態、診断、治療に精通した医師、又はその医師との連携の下で本剤による治療がなされるよう、添付文書で注意喚起するとともに、資材を用いて本剤の投与対象となる患者の判断、治療管理等について情報提供することとしました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、新効能医薬品、新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しました。薬事審議会では報告を予定しております。
なお、本日の部会資料におきまして、1.11のRMPにおきまして資料の修正がありましたため、本日差し替えをさせていただいております。御迷惑をお掛けしまして誠に申し訳ございませんでした。御説明は以上です。御審議どうぞよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、本日参考人の新井先生にお越しいただいていますので、御発言の方をお願いしたいと思っています。お願いします。
○新井参考人 新井です。よろしくお願いします。適応になっています焦燥感、易刺激性、興奮等の情緒的な苦痛を背景とした過活動、攻撃性に対して、今我々がお薬で治療するとしますと、大きく分けて四つございまして、まずは抗認知症薬、特にメマンチンという少し鎮静作用があるお薬、それから抑肝散という漢方薬、あとは気分安定薬のバルプロ酸ですね。そしてこの抗精神病薬、大きく分けて四つございまして、副作用等の観点からは、ある程度こういう症状が軽い場合は、抗精神病薬以外の3種類をまず試して、それでも効かなかったら抗精神病薬というのが一般的かと思います。
ただ、暴言・暴力が強いとか、要するに他者とか自分に被害を及ぼすような状況とか、緊急性があるとか、この症状が重い場合は抗精神病薬から投与するということもあると思いますけれども、基本的にはまず非薬物療法をきちんとトライして、それでも効かない場合に、まず副作用の少ないものから順番にいって、抗精神病薬は最終手段であるというのが原則というふうに、臨床の現場では行われていると思います。
どの程度これは処方されているかということは分かりませんけれども、平成27年度に「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」というのが厚労省の特別研究費でやられておりますけれども、このときかかりつけ医500名にアンケートを取っていますが、そのときは大体半分ぐらいの方が抗精神病薬を使用しているということになっております。ですので、かかりつけ医の先生方が使うときに、我々専門医との連携をよく取っていただいて、使っていただくということが大事なのではないかと考えています。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。 それでは宮川先生、よろしくお願いします。
○宮川委員 機構にお尋ねしたいのですけれども、先ほど安全性のところでいろいろ御報告いただきましたけれども、今参考人からお話があったように、そのときの併用薬、他の併用薬の状況というのはどうなっていたのでしょうか。お教えいただければ幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 国内第II/III相試験を実施するに当たりましては、患者さんが抗認知症薬を投与している場合もございました。今回の臨床試験におきましては、組入れのベースラインの3か月以上前から抗認知症薬を投与している患者さんにおきましては、そのまま投与を継続することが可能としておりまして、約50%の患者さんで前治療として投与されています。
○宮川委員 ありがとうございました。表13に発現日と書いてありまして、その実数が書いてあります。その下に括弧として最終投与薬後で何日というのは、その最終投与薬というのは本品が投与されて6日後とか、7日後とか、そういうことでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。御理解のとおりです。
○宮川委員 ありがとうございます。
○森部会長 そのほか御意見、いかがでございましょうか。新井先生、一つ教えていただきたいのですけれども、本剤の適応症になっていますアルツハイマー認知症に伴う焦燥感や易刺激性、興奮といった患者さんの言動が本剤を使用することによって緩和することで、患者さん御本人又は介護者や御家族にとって、どういったメリットが期待できるものなのでしょうか。
○新井参考人 ありがとうございます。両方にメリットがあると思うのですけれども、御本人も非常にイライラしていたり、怒りを抑えられなかったりでコントロールできない。それによって様々周りに影響を及ぼしてしまって、それで本人はますますつらくなるということがありますし、やはり周りも攻撃性を向けられたときに非常に介護負担が強くなるということがありますので、それが少し鎮まるということで、両者にメリットがあると思います。
○森部会長 よく分かりました。ありがとうございました。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですけれど、実際に私も実臨床の現場で困窮する場合があって、メマンチンや抑肝散を使っても、なかなか抑え切れない。そこでメジャーを微量、本当に少量使うというような方法でも、このアジテーションそのものを抑えるという形には、なかなかなっていかないというところです。
そこで参考人にお聞きしたいのですが、特にこのアジテーションという特出しした症状について、本品がある程度有効であると私たち実臨床家は捉えてよろしいのでしょうか。つまりメマンチンを使っても、それからあるいはまた抑肝散、メジャーを使っても、行動も含めて少し落ちていく印象があり、抑肝散以外は、全体的に抑制される患者がいるのですが、本品の場合には日常の活動性とアジテーションとの関係は、どのようになっているのでしょうか。教えていただければ幸いです。
○新井参考人 ありがとうございます。先生、非常に重要なところを御指摘いただいたと思います。アジテーションについて鎮静させるお薬を使っていくときに、やはり気持ちだけではなくて、体の方も鎮静させていくということはどうしてもありますので、そこのバランスをいかに取っていくかというところは非常に大事で、しばしば先生が御指摘されるように、心が落ち着く前に体の方が鎮静が掛かってしまって元気がなくなってしまうとか、それが誤嚥性肺炎につながるとか、そういうことがございますので、そこのバランスをいかに取っていくか、これは非常に大事だと思います。このレキサルティは、抗精神病薬の中では比較的そういう鎮静作用は軽くて、使いやすい薬であるということは確かかなと思います。
○宮川委員 ありがとうございました。そういう意味では非常に実臨床家としては、専門医との連携を取りながら、適正な使用をしていくということで、今参考人がお話になったように、患者さんとその周囲の方々、介護される方々、そしてそれを支援する方々が良好な関係の中で治療が進むという形になれば幸いかなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 そのほか、いかがでしょうか。機構にお伺いします。今回CMAIスコアの方で、三つのファクターに分けて症候分類していらっしゃいますが、その症候別に、有効性に関して、情報提供を頂けないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど御説明させていただいた内容と一部重複いたしますが、審査報告書の通し番号16ページの表12を御覧ください。臨床試験ではアジテーションの患者のうち、攻撃的な症状を有することを必須としておりまして、その患者で非攻撃的症状についても、本剤を投与することでどのように症状が改善したのかというところを確認しております。その結果が表12でございまして、ファクター1が攻撃的な症状、ファクター2とファクター3が非攻撃的な症状等を示すものになります。
本剤投与によりまして、ファクター1、ファクター2、ファクター3いずれにおきましてもベースラインから比較して、本剤投与後10週にその症状が改善する傾向が認められたということで、本剤投与によって攻撃的な症状だけではなくて、非攻撃的な症状についても症状が改善するだろうと判断いたしました。
○森部会長 ありがとうございます。本剤の臨床的な有用性を医療現場に提供する上で、こういったファクターごとの有効性に関する情報提供ということは可能でございますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。頂いた御意見も踏まえまして、資材等何かしらの対応で臨床現場の先生方や医療従事者の方々に情報提供できるように対応いたします。御意見ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございます。そのほか、委員の先生方から御質問ございませんでしょうか。もう大森委員は入っていらっしゃいますか。
○大森委員 はい。
○森部会長 御発言いかがでございましょうか。
○大森委員 大分遅れて入ってしまいまして、説明のところを聞き逃してしまったのですが、基本的にこの薬は抗精神病薬の中では副作用が少ないものの一つですので、アルツハイマー型認知症に認可された形で使えるというのは、我々精神科臨床側から見ますと、本当に有り難いことです。ざっと資料を拝見した範囲で問題がないように、私としては思いました。発言の機会を頂きましてありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。同じく石川委員から御発言ございますでしょうか。
○石川委員 ありがとうございます。私は神経内科医ですけれども、この抗精神病薬を処方することは余り多くない。そういう患者さんを多く拝見するのですけれども、確かに中にはこういうアグレッシブになって来られる方が結構あるので、注意しながら使用できるということは、今の大森先生と同じように、非常に有り難いことだと思っておりまして、注意喚起が適切になされながら使用できるようになるということが望ましいと思っております。以上です。ありがとうございました。
○森部会長 ありがとうございました。機構の方、先ほどの新井先生からの御発言で、錐体外路症状ですとか、誤嚥性肺炎のリスクということが本剤を使用する際に決め手になるわけですけれども、具体的に添付文書上の記載整備で、誤嚥性肺炎の頻度等の情報を追加は可能でございますか。
○医薬品医療機器総合機構 今回の効能が追加される前の現時点での添付文書では、誤嚥性肺炎につきましては、11.2の「その他の副作用」の項において、1%未満の発現頻度ということで注意喚起をしているところでございます。
今回の臨床試験におきまして、国内臨床試験で本剤が投与された被験者計323例の中で誤嚥性肺炎の副作用が発現したのが2例、0.6%でございました。頻度としましては1%未満というところで、この11.2項のその他の副作用につきましては変更はございません。ただし、添付文書8項の「重要な基本的注意」の所で、アジテーションの患者に本剤を投与する場合につきましては誤嚥性肺炎については気を付けていただく旨、注意喚起をさせていただいているところでございます。
先ほど御説明しました臨床試験で認められた誤嚥性肺炎の発現割合が0.6%であったということにつきましては、医療従事者向けの資材において、他の臨床試験成績も含めて情報提供をする予定でございます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。新井先生、その方向でよろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。そのほか先生方の方から。では堀委員からお願いします。
○堀委員 ありがとうございます。新井先生にお尋ねしたいのですけれども、すみません、一般の介護をする立場又は家族で患者を見守る立場から、添付文書の8.4の所に、病的賭博というのでしょうか?持続的にギャンブルを繰り返す状態とか、病的性欲亢進や強迫性購買、暴食などの衝動制御障害というものが書いてあるのですけれども、具体的にどのようなことなのか?このアジテーションというイメージと、今書かれている説明とがどのように違うのかがよく理解できないので教えていただけたら有り難いのですが、いかがでしょうか。これは、機構に聞いた方がよろしかったですかね。申し訳ございませんがお願いいたします。
○森部会長 最初に機構の方からでいいですか。
○堀委員 はい。恐れ入ります。
○医薬品医療機器総合機構 今回のアジテーションにつきましては、効能・効果を詳細に投与対象を示させていただきましたとおり、まずはアルツハイマー型認知症と診断されていることが前提でございます。また、焦燥感、易刺激性、興奮に起因するというところが大事でございます。過活動や攻撃的言動は、アジテーションではない患者さんでも認められるということが分かっており、その症状だけ見ても必ずしもアジテーションではないということもございます。したがって、効能・効果のところで具体的に、焦燥感、易刺激性、興奮に起因するものであるということを確認していただけるよう示したところでございます。私の説明が十分ではないかもしれませんので、新井先生からも是非御意見を頂けますと幸いでございます。
○新井参考人 この抗精神病薬というのは、ドパミン系というところを調節するのですけれども、本来はこういう病的賭博とか強迫性障害ということはドパミン系の異常があって、そこをブロックしてあげると良くなる可能性があるわけですけれども、そこの病態とこの調節の度合で、逆にドパミン系の異常が更に強調されてしまうということもまれにあるのですね。そういう副作用の可能性について、一応記載されております。ただ、実際はここまでの、ここに書いているような強い副作用を経験したことは私にはないですけれども。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。以上です。
○森部会長 では佐藤陽治委員、お願いします。
○佐藤(陽)委員 佐藤陽治です。申請時の効能・効果と承認する効能・効果とは、今議論していることで違うという御説明があって、承認時の効能・効果は分かりやすいのですけれど、承認の案として出てきている一番最後の三つ目、このつながりが分かりにくいのではないかと思います。「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」となっているのですけれど、どこがどこに掛かるのかが分かりにくいのではないかと思っていまして、例えば私が勝手に解釈しているのは、「焦燥感、易刺激性、又は興奮に起因する過活動若しくは興奮に起因する攻撃的言動であって、アルツハイマー型認知症に伴うもの」なのではないかなと思っているのですけれど、どうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 過活動や攻撃的行動は、つばを吐くですとか、物を投げるとか、叫ぶとか、徘徊するとか、そういうものを指すのですけれども、今回は、その効能・効果をどのように表記するのかというところで、機構としても慎重に検討しました。大事なのはアルツハイマー型認知症に伴うということが、まず前提です。その上で、過活動や攻撃的言動の背景にある情動的なものとして焦燥感、易刺激性、興奮に起因するというのが、国際老年精神医学会の定義の方に書かれておりますので、それを反映したというところでございます。
ただし、効能・効果の表記としてはやや長くなりました。今回、国内では初めてアジテーションの薬を承認するので、医療従事者向けの資材、患者さん、介護者向けの資材を作成しておりまして、その中で今の過活動、攻撃的言動が、その背景として情動的なものがある、その情動的というのが焦燥感、易刺激性、興奮に起因しているものであるということを、解説や図等を用いて御提示をさせていただこうと考えています。
○佐藤(陽)委員 そういったような資材を見れば分かるというのであれば良いのかもしれませんが、ちょっと言葉の掛かり方とか点の打ち方が、人によってその解釈が変わりそうで、少し心配です。ただ、そこをちょっと検討していただいて、これで現場が困らなければ構いません。私が主観的にちょっと分かりにくいかなと思っているだけでございまして、現場が困らなければ大丈夫だと思います。
○医薬品医療機器総合機構 本剤が承認されるまでに少し時間がありますので、その間に学会の先生方にも、この効能・効果で現場の医師であれば理解可能であるかということも含めて、確認したいと思います。御意見ありがとうございます。
○佐藤(陽)委員 よろしくお願いいたします。
○森部会長 どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。今の佐藤委員からの御質問の関連で、これから患者向けの資材をお作りになるということであるのであれば、やはり私ども一般の人間は、今佐藤委員が御指摘いただいたような、その語はどこに掛かるとか、その言葉自体が実際にどういう行動が起きるのかということが想定できないので、先ほど質問もさせていただいたのですけれど、是非具体的にどのような症状があったとか、そのような例を患者向け資材に組み入れていただくと、大変幸いです。御検討ください。
○医薬品医療機器総合機構 対応いたします。
○森部会長 ありがとうございました。今の議論ですと、この効能については、アルツハイマー型認知症に伴う過活動又は攻撃的言動、それが焦燥感、易刺激性、興奮に起因すると、そういうことでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりでございます。
○森部会長 そう取ってよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○森部会長 分かりました。それが分かりやすくなるように表現の修正等を、もし可能でしたら御検討ください。そのほかいかがでございましょうか。委員の先生方、御意見ございますでしょうか。特段ございませんでしょうか。
それでは、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。なお、阿古委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告させていただきます。新井参考人、誠にどうもありがとうございました。
──新井参考人 退室──
○森部会長 それでは、ロビーに御待機いただいております佐藤直樹委員の方もお戻りいただくよう伝えていただけますでしょうか。
──佐藤直樹委員 入室──
○森部会長 では引き続き、参考人をお呼びしておりますその他事項議題1に移らせていただきます。佐藤直樹委員も入られていらっしゃいますか。大丈夫ですか。まだですか。御確認いただければ。もう進んでよろしいですかね。
では中井先生、どうぞ。
では中井先生、どうぞ。
──中井参考人 入室──
○森部会長 その他事項議題1につきまして、事務局から概要説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。続いて、「医薬品メフィーゴパックの適切な使用体制のあり方について」説明いたします。資料22を御覧ください。まず、資料の2ページに経口中絶薬メフィーゴパックの概要が記載されています。本剤は、昨年4月28日に製造販売が承認されており、「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」を効能・効果としています。使用方法ですが、まず、妊娠の維持を阻害するミフェプリストンを投与し、その36~48時間後に2剤目の子宮収縮作用を有するミソプロストールが投与されます。8月23日現在、メフィーゴパックを使用可能な医療機関として、ラインファーマが公表している施設数は全国で190施設あります。なお、8県においては、使用可能な医療機関が存在しない空白地帯となっており、使用可能な医療機関の分布に地域差が生じています。
現行のメフィーゴパックの使用体制が3ページに記載されています。緊急対応体制の徹底の項目のただし書きに記載のとおり、「本剤については適切な使用体制のあり方が確立されるまでの当分の間、入院可能な有床施設(病院又は有床診療所)において使用することとする。また、ミソプロストール投与後は、胎嚢が排出されるまで入院又は院内待機を必須とする。」としております。
3ページの下段枠内に記載のとおり、現行の使用体制に関して、「適切な使用体制のあり方が確立されるまでの当分の間」については、市販後に十分な調査研究を実施し、適切な医療連携体制のあり方について評価を行い、その結果に基づき検討・判断することとされています。この調査研究結果については次のページになります。
令和5年度のこども家庭庁の研究事業において、日本産婦人科医会が実施した調査になります。調査医療機関は2,096施設、調査期間が昨年5月から10月までになります。中絶件数の総数は約3万6,000件であり、うちメフィーゴパックの使用例は435件ありました。「人工妊娠中絶症例での重篤な合併症の頻度」について調べたところ、全体で114件の報告がありましたが、メフィーゴパック使用例では重篤な合併症は0件でした。
また、「搬送や時間外受診が必要であった症例」については、外科的措置では30件、メフィーゴパックでは6件でした。割合は外科的措置より高いデータとなっていますが、詳細に分析すると、メフィーゴパックについては他院への搬送等は0件となっており、調査研究では重篤で対応が困難なケースは確認されませんでした。なお、本剤の重大な副作用として0.8%の頻度で「重度の子宮出血」が規定されています。本調査研究ではメフィーゴパックを投与された435件を基に評価を行っており、このサンプルサイズであれば0.8%の頻度の「重度の子宮出血」について95%以上の確率で1例以上が観察されます。本調査研究では、重篤な合併症が0件ということは「重度の子宮出血」の発現割合は0.8%より高い状況ではないと考えられ、治験において重大な副作用の発現を過小評価していないことが確認できます。ただ、調査研究の結果は、「重度の子宮出血」が0%、つまり全く発現しないことを示しているのではなく、あくまで使用実態下でリスクが上がるわけではないことを示唆しているに過ぎません。当然投与を受ける者の数が増加した場合、「重度の子宮出血」は発現し得ます。
また、緊急時の対応については、昨年の承認時の機構の審査においても、重度の子宮出血のリスクを最小化するためには、本剤の投与を受ける者に対して、医療機関への連絡が必要な出血量の目安を示し、緊急時に速やかに医療機関に来院できるよう指導すること、そして、医療機関には本剤の投与を受けて異常が認められた者からの連絡を常時受け付け、必要に応じて外科的処置等の適切な対応が可能な体制が構築されていることが必要とされています。したがって、本調査研究も踏まえ、これらの適切な安全対策を講じた上であれば、本剤投与後の子宮出血を臨床的に大きな問題とならない程度に管理できるものと判断できます。
また、製造販売業者であるラインファーマへの照会の結果、現時点では本剤の投与と因果関係のある輸血を要する重篤な出血は確認されておりません。なお、435件の症例は治験の約4倍の規模であり、十分な症例数の情報となっています。これらのデータを踏まえ、メフィーゴパックを適切かつ安全に使用可能な体制について、具体的に検討した結果が次のページになります。
まず、施設要件についてですが、「原則、入院可能な有床施設(病院又は有床診療所)において使用とする。」こととし、引き続き病院や有床診療所での使用を強く求めつつも、緊急対応体制が整っている場合に限り、無床診療所においても使用を認めることとします。具体的には、「(1)夜間・休日を含む24時間体制で本剤の投与された者との緊急連絡体制を確保すること。」及び「(2)ア~カの事項を全て満たす他の医療機関と連携した緊急時の体制を整備すること。なお、自院で対応できない容体の患者が生じた場合、連携先の医療機関に対して必ず受入調整を行うこと。」を必須の要件とします。特に連携先の医療機関については、病院、有床診療所であることを要件とし、無床診療所同士の連携は不可とします。更に緊急時の受入体制に関して、有効期限2年以内の文書による覚書の締結も求めることとします。そのほか、同一の二次医療圏又は周産期医療圏内に所在することも要件としています。
また、2剤目投与後の母体管理の場所についてですが、本剤の投与を受ける者が医療機関の近隣に居住していない場合は、引き続き、入院・院内待機を必須とします。一方で、医療機関の近隣に居住している場合に限定して、2剤目投与後に帰宅許可を認めることとします。医療機関の近隣か否かに関しては、「(1)当該医療機関に容易に通院可能(医療機関から16km以内)」、かつ「(2)当該医療機関が所在する二次医療圏又は周産期医療圏内」に居住地を有することを要件とし、医療機関において本剤の投与を希望する者の居住地の確認を確実に実施することを求めることとします。
続いて、6ページに移ります。医療機関の近隣に居住している場合で、2剤目投与後に自宅での母体管理をする場合ですが、子宮出血が自宅で認められたときであっても、超音波検査による胎嚢排出の有無の確認等を行うことが重要であるため、胎嚢排出に至った可能性のある子宮出血が自宅で認められたときには、必ず来院するよう促すこととします。また、子宮出血が認められない場合であっても、外科的処置を考慮する必要があることから、1週間をめどに来院させ、胎嚢排出の有無等の確認を徹底することとします。したがって、胎嚢排出の有無にかかわらず、遅くとも2剤目投与後1週間をめどに再来院させ、胎嚢排出の有無の確認を徹底することとします。
なお、本日の薬事審議会医薬品第一部会の御議論を踏まえ、引き続き薬事審議会においても本件を議論する予定です。部会及び審議会での科学的議論を踏まえ、現行の暫定的な運用から正式な運用に移行するよう、所要の手続を実施することとしています。説明は以上となります。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは本日参考人の中井先生にお越しいただいています。御発言の方お願いいたします。
○中井参考人 ただいま御紹介のあった調査研究の、一応代表者を務めました中井でございます。今回の調査では、人工妊娠中絶全体の、まず安全性を確認するということと、それから市販後半年になりました本剤の使用状況を調査いたしました。結果は今御説明のあったとおりで、3万6,007件の人工妊娠中絶が集積されまして、そのうち435例で薬剤が使用されていました。また、重篤な合併症、特に子宮穿孔とか、輸血を要する大量出血こういうものは手術法の中では0.3%ぐらいに認められましたけれども、この経口妊娠中絶薬では0%となっていました。これは2剤の薬で、1剤目は黄体ホルモンを遮断することで妊娠の維持を止める、そして2剤目で子宮収縮を促し排出に至るという薬ですけれども、1剤目によって、妊娠の維持が困難になり流産に至るケースも実際あります。これは治験の段階でも1%内外で報告されていたと思いますが、今回も15例ぐらい、3%ぐらいそうしたことが認められました。
そういった特性を踏まえまして、時間外対応が必要であったかどうかを調査してあります。そして435例中6例で時間外対応が必要で、その3分の2ぐらいは、このメフィーゴパック1剤使用後の時間外対応となっていました。しかし、他院に転送、転院になったり、あるいは救急搬送を受けるといったケースは認められず、いずれも中絶実施施設で対応されていました。先ほど申し上げました重篤な合併症がないことや、今御説明した薬剤の特徴を考慮に入れると、自宅待機中の出血など軽微な事象で受診があったのではないかと推測されました。
したがって、本剤は実際適切に使用されて管理されていたということができると思います。今後、全国でより安全な人工妊娠中絶を実施していくために、本研究のデータを広く周知していく必要があると考えているところです。
なお、今回の調査3万6,000例の人工妊娠中絶のうち、1万3,320例、37%に当たるケースが無床診療所で手術を受けています。私自身産婦人科医として、また日本産婦人科医会としても、本剤を強く推奨していくということではありません。しかし、人工妊娠中絶をお受けになる方々にとってより選択肢が増えるということが重要だと考えております。したがって、今回この無床診療所で人工妊娠中絶を受けた37%の方々にもそうした機会を広げていく必要があるのではないかと考えているところです。以上でございます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。速やかに調査をおまとめいただきましたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。堀委員、どうぞ。
○堀委員 私からは調査結果の現場における状況を3点お尋ねしたく質問させていただきます。まず、1点目ですけれども、今回調査をした中で、3万6,007件のうちメフィーゴパックが435件ということでしたが、患者さんのメフィーゴパックを使った方たちの年代を教えていただきたいことが1点。
それから2点目に関しましては、特に2剤目の投与の後の居住地ということが、ここは非常にネックになると思うのですけれども、今回、この人工妊娠中絶の場合、自由診療ですので保険適用とは違って、その居住地というものがどのように確認ができるのか。つまりどういうことかというと、実際に自分が住んでいる所ではない虚偽の居住地を申請して可能だった場合とかがあったのかどうか。
3点目に関しましては、中絶を希望した方が、例えば有床、無床にかかわらず、その病院又は診療所に行ったときに、その場ですぐにメフィーゴパックの場合、当日にその手術、要するに投与が行われるのかどうなのか、その3点をお尋ねしたいと思います。機構に訊いたらよろしいでしょうか。
○事務局 事務局から答えさせていただきます。まず、一つ目の約3万6,000件中435件の年代の内訳ですが、申し訳ありませんが事務局では把握できていません。今回の調査票では年齢の情報は収集しておりませんので、そのような状況と認識しています。中井先生からもし何かございましたら、後ほどコメントを頂ければと思います。
二つ目の居住地の確認についてですが、今の御指摘は極めて重要な内容です。今回の居住地に関しましては、当然医療機関において、特に帰宅を希望する方に関しては居住地の要件の確認について徹底することを強く求める予定です。自由診療ですので保険証は確かにない可能性がありますが、公的な身分証などを用いて、居住地についてはしっかり確認をお願いしたいと考えております。なお、こちらに関しましては、住所地ではなくて居住地としておりますので、当然生活の実態がきちんと確認されていることを求めています。例えばですが、医療機関の近隣の宿泊施設を利用するようなケースは認められません。
三つ目の内容ですが、中絶を希望してその場ですぐこの薬剤を使用するかどうかの御質問ですが、これに関しましては恐らく母体保護法指定医の在籍する医療機関に受診いただいた際に、御本人様への丁寧な説明や、中絶に関する同意などが必要になるので、受診してすぐというものではないと思います。もしこの3点目の受診した後の流れに関して、もし可能でしたら中井参考人からコメントを頂ければと思います。事務局から以上です。
○森部会長 では、中井先生、お願いします。
○中井参考人 まず、1点目の年齢ですけれども、残念ながら今回は個票調査をしていないので、施設ごとに何例あって何のやり方をしたというような聞き方ですから、把握できておりません。
それから特に3点目の御質問ですけれども、これは臨床の現場の話ですが、実際にまず最初に我々がやることは、妊娠の診断と週数の確認です。ですから、それをクライアントに提示するわけです。そして、そこでよくよく検討してもらうわけです。もう初めから決めていたという人でも、しばしば意見を翻すことがあるので、これはちょっと先生によって差があるかもしれませんが、一般的には一旦よく考えていらっしゃいということを言うと思います。それでその中絶方法の選択肢、薬が必ずしもいいとは限りません。時間も掛かりますし、不安定性がありますので、手術はテイクワンで半日で終わりますから、その辺をきちんと、先ほど言った選択肢というのはそういうことだと思うのですけれども、提示してよく考えていただいてから手術なり投薬に臨む。それから今回の調査でも39例ですか、手術に結局移行したケースがあります。これは治験のときもそうですが、9%ぐらい。このケースのために事前に術前検査をやっておく施設があるのですね。そうすると更に段階を経ることになって、術前検査で感染症とか何かありました場合は対応が異なりますので、まあ、同日やる人がいるかもしれませんが、余り一般的ではないかなと思います。以上です。
○堀委員 どうもありがとうございます。関連質問よろしいでしょうか。まず1点目にお尋ねしましたのは、若年層に対する中絶の増加をやはり懸念いたします。特に若年層の場合、例えば今までの妊娠の掻爬法や吸引法であれば手術というようなことを考えますので、事前にその場で行ってすぐに手術をうけることはないと思うのですけれども、今回のメフィーゴパックの場合は飲めばそこで簡単に、簡単にという言い方は失礼ですけれども、中絶ができるというような誤った考え方を持ってしまった若年層がメフィーゴパックを簡単に使えると思ってしまう。それをすごく懸念しております。そのため年代をお聞きいたしました。
2点目に関しましては先ほど事務局から回答がありましたが、確かに居住地が要件ということですので、住んでいるという生活の証ということでガスメーターや電気メーターの使用量のお知らせを確認するというようなことが必要であること。非常にそこはすごく大切なことだと思いますので、それは是非具体的に明文化していただきたいと思いました。
それから3点目に関しましてですが、やはり前回、昨年これが承認された後、命の大切さ、命のつながりというようなことで、様々な所から御批判などあったことを私は承知しております。やはり今回ある意味原則ということで無床診療所に枠が広がることは、無床診療所では私の考えでは掻爬又は吸引ができず、メフィーゴパックのみに限定されるのではないかと懸念しておりました。また掻爬や吸引、そして先ほどの先生からのお話しですと、メフィーゴパックの投薬から手術の方に移行された方もいらっしゃるという選択の幅が、有床だと広がるのですけれども、無床だった場合、メフィーゴパックしか選択がなく、または、無床病院の先生が母体保護法指定医師として勉強なさっていたとしても、そこで掻爬や吸引などのほかの選択肢があるということをきちんと患者に説明していただけるのかどうか、そこを非常に心配しておりました。
ですので、その場ですぐに手術やこのメフィーゴパックであってもすぐに服用はさせないということを今、先生よりお話を伺えて非常に安堵したのですけれども、やはり今回のことに関しましては、患者が自分自身の女性の権利として、自分が産むか産まないかを、リプロダクティブ・ヘルス/ライツとして、選べることも必要なのですが、自分の身体的、精神的な負担とともに、生まれてくる命というものの大切さを理解し、それを知って、そしてそれを判断するような時間が必要ではないかと思っております。ですので、すぐその場で行う、つまり中絶をしたいと言った方が、例えば無床に来た場合において、すぐにそこで服用させるのではなく、先ほど先生がおっしゃったように、考える時間を与えるようなそういうことも必要ではないかと思い、質問させていただきました。それに関して機構はいかがお考えでしょうか。
○事務局 事務局から答えさせていただきます。まず、御指摘の一番最初の方にありましたメフィーゴパックの使用で安易な中絶が増加するのではないかという御指摘でございますが、まず本剤の位置付けは、あくまで人工妊娠中絶において、子宮筋腫であったり子宮奇形等の合併症例などで従来の外科的中絶が適さない症例も一定数存在することから、そのような症例においては、経口中絶薬が新たな選択肢として有用であると考えられております。
また、本剤があくまで母体保護法に基づく人工妊娠中絶における新たな選択肢の一つと位置付けているものでございまして、まず本剤により現行の母体保護法上の人工妊娠中絶の規定あるいは要件は何ら変わるものではございません。なので、この薬自体が安易な中絶を助長するというような指摘には当たらないと考えております。
なお、海外の経口中絶薬の承認前後の中絶件数の変動を評価した論文においても、経口中絶薬の承認の前後で中絶件数全体が増加しているというような傾向は見られていないと報告されております。そのため、安易な中絶が増加するのではないかという御指摘に関しては、あくまで現在行われている外科的処置の一部が薬に置き換えられるという、そのような位置付けであると厚労省としては認識しております。
二つ目の点について、現在無床診療所においても外科的処置の中絶手術は行われております。母体保護法指定医師の指定基準の中には、医師免許取得後5年以上経過しており産婦人科の研修を3年以上受けているということなど、そのような要件もあります。更に、研修期間中に20例以上の人工妊娠中絶の手術であったり、あと流産手術の実地指導を受けたものが要件となっております。当然、本剤も母体保護法指定医師しか使用することができませんので、母体保護法指定医師であるならば、当然外科的処置に関してはできる医師であることが確認されております。よって、外科的処置ができない医師がこの薬を安易に使用するという、そのようなことは先ほど中井参考人からの実務運用の御指摘を踏まえましても、全て安易に薬の方に走るということはなり得ないというように考えております。これで質問に全部お答えできていますか。
○堀委員 ありがとうございました。あと、それからすみません、メフィーゴパックにて中絶をしようと思った方に、ほかに選択肢があるというようなことを提示していただけるような資材、そしてまた倫理的な観点から、結局中絶というもの自体をもう一度考えさせられるような、そういうきっかけないし資材というようなものをお作りになっていただきたいと思ったのですけれども、そこに関してはいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。今回、こちらの資材に関しましては、当然、御指摘を踏まえまして、ラインファーマ、本剤の製造販売業者の方で準備しています。患者向け資材においても、本剤の位置付けに関しましては、しっかり情報提供するように、企業と調整をさせていただきたいと考えております。
○堀委員 はい。
○森部会長 中井先生、よろしいですか。お願いします。
○中井参考人 最後の資材に関しては、研究班の方でも人工妊娠中絶をお考えの方へというリーフレット、パンフを作りまして、それを母体保護法指定医のいる施設に一律配布いたしました。医会のホームページからダウンロードできるようにして御活用いただいているところでございます。そこには手術法と薬剤と双方が書かれていて、メリット、デメリットが記されています。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。あと、すみません、長々と申し訳ありません。中井先生にお尋ねしたいのですけれども、この調査結果の7ページを拝見しておりますと、人工妊娠中絶を受けられる方に対する支援として、グリーフケアや、その後相談窓口紹介というようなものの実施が非常に低かったという結果が出ておりました。やはりそれは次のページにおいて、これは非常に実施することが重要であるということを御提案されていたのですけれども、それに関しては御意見いかがでしょうか。
○中井参考人 ありがとうございます。確かにグリーフケアであるとか、それから各自治体の相談窓口というのがあるのですけれども、正直、私自身もそれを調査するまで存じ上げておりませんで、その辺の周知が産婦人科医会の中でも非常に弱かったものですから、そういった実際の研究成果の数字と、今後こういうようにしていくべきだということに関しては、先ほど言った関連施設全てに周知するように提言を作りまして、送ったところでございます。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。
○森部会長 では川上委員から御発言をお願いします。
○川上委員 御指名ありがとうございます。日本薬剤師会の川上です。御説明ありがとうございました。今回の使用体制の変更についても理解しました。1点コメントなのですが、2剤目投与後の母体管理の場所に関連してです。中絶要件を二つ設けて、医療機関の近隣の場合は、必ずしも入院又は院内待機を必須としなくても、自宅に戻っていただけることは妥当かと思います。その際に可能でしたら、再来院の手段を一応確認いただくということも大事なことなのかと思いますので、コメント申し上げる次第です。以上でございます。
○事務局 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。再来院の手段を確認するということに関しましては、極めて重要な内容でございます。こちらは事務局の方でも検討させていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○森部会長 やはり強い腹痛ですとか、出血の状態で来院ということがあり得ますので、特に緊急時ですね。どうやって来院するかということについては、十分担当医との連絡を取り合っていただきまして、特に地方ですと自家用車で病院に行くという方もいらっしゃる可能性もありますが、救急搬送を第一として母体の安全に全力を尽くしていただきたいと思っています。
○中井参考人 恐らく同意書を取る際に、割と手術法からあるいは薬剤のことから説明いたしますので、当然ながら我々も時間外に来ていただきたいわけではありませんので、どういった程度の出血であれば、すぐ連絡して来ていただきたいというようなことは、当然ながら説明すると思うのです。痛みについてもそうです。生理痛未満のものであれば様子を見て、翌朝でも構わないですけれども、そうでない場合は来ていただくなんていう対応が一般的だと思います。その際には、今御指摘いただいたようなことも踏まえて確認できるよう、これは産婦人科医会としても、今後取扱いが変わった場合には周知していきたいというように思います。
○堀委員 あと、もう1点質問なのですけれども、先ほどの6ページのところで、特に2剤目投与の後、排出物が自宅でもし出たときに関しては、医療機関に持参いただくよう奨励すると書いてあります。
それで、私どもが2剤目投与の後、自宅で排出物が出た場合その物自体がどのような物なのか、血の塊なのか、それともある意味それを見たら非常に心理的に負担になるものなのかどうか、そこを教えていただけたら有り難いです。
○事務局 事務局より回答させていただきます。まず、排出される胎嚢でございますが、実際には血塊の中に混じっていて、いわゆる人の形をしたような物を母体の方がそれを認識することはなかなかないというように伺っております。妊娠9週における胎児の大きさは、1、2cm程度の大きさと聞いておりますので、それを直接見て、母体が何かショックを受けるという懸念は低いと考えております。
ただ、あくまで適切な対応を取ったとしても、心理的な影響に関しては当然、御本人様の個人差の話が大きなものではございます。なので、これに関しましては、そのような懸念がある方においては当然、主治医と相談いただきまして、これまでどおりの外科的処置、吸引法や掻爬法とかを選択するということも、選択肢としてあり得ます。結局、どのような方法、薬であろうが外科的処置であってもどちらがいいか悪いかは、それは中絶を受ける方と医師との信頼関係の下で、十分な説明に基づきしっかり決めていただくものというように認識しております。
○堀委員 ありがとうございます。排出物というその言葉だけで、やはり一般の方はどのようなものかというようなことは想像ができないと思いますので、今おっしゃっていただいたようなこと、人によっては異なるかもしれないのですけれども、特に患者向けの資材や、説明の際の資材においては、余りショックを与えないような、そのような書き方をして、どのようなものなのかを具体的に示していただけたら有り難いと思いました。以上です。
○事務局 御指摘いただきまして、ありがとうございます。そちらに関しましても、製造販売業者とも、しっかり調整させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、いかがでございましょうか。運用をお伺いしたいのですが、今回、無床の医療機関様が本剤を使用することを連携医療機関様と提携、覚書を交わした上で実施されるということが内定した場合に、何かの登録や行政等での把握はございますか。
○事務局 御質問ありがとうございます。まず、連携先の医療機関とは、先ほどの説明の中にも入れさせていただきました、資料の5ページのウのところでございますが、資料5ページの施設要件の枠囲みの(2)のウになります。連携先の医療機関とは、当然、無床診療所とその連携先の有床施設の間では、文書による覚書の締結を求めます。その文書に関してでございますが、まず一義的には、それは製造販売業者において御確認いただくことを予定しております。本剤の使用可能な医療機関は当然、母体保護法指定医師の在籍する医療機関しか使用ができません。現行の流通管理の観点からも、その流通を認められている医療機関に関しましては、事前に製造販売業者において登録制という形にしております。その登録の過程でこの覚書についても、メーカーの方でしっかり確認を取って、それが確認されているところには販売を認めるというような形でまずは対応していく形になります。
○森部会長 理解いたしました。それで、よろしいでしょうか。佐藤陽治先生、お願いします。
○佐藤(陽)委員 救急車の搬送のシステムについて良く存じ上げないのですけれども、2剤目投与後に、本剤の投与を受けた方が、例えば緊急事態になって意識不明になることがあるかどうかは分からないのですけれども、そうした場合の救急搬送時に、適切な医療機関はどのように考えられているのでしょうか。もう決まった、いわゆる連携医療機関に送られることになっているのか、その辺を良く存じ上げません。その辺の体制はどうなっているのですか。
○森部会長 では中井先生、お願いします。
○中井参考人 中井ですけれども、これは周産期医療体制の構築というのは、各都道府県ごとで組まれていますけれども、総合周産期母子医療センター、それを補完する地域周産期母子医療センター、そして大学病院なども含まれることもありますけれども、その救急体制、搬送体制というのは、周産期の場合は比較的しっかり、独自のルールなので皆さんに認知されていないところもあるのですけれども、構築されていますので、おおむねこれまでも問題なく行っていると思います。
それと少し追加しますと、恐らく有床であろうと無床であろうとクリニックの場合、例えば子宮穿孔が起こった、あるいは輸血を要する出血が起こった場合、恐らくそこでリペアの手術をしたり、大量輸血や、その輸血管理をするということは、かなり難しい場合が多いのです。ですから、おおむね搬送になっていると思います。ですから、そういうルールがもう現状、ある程度しっかり作られていると思っていただいて構わないと思います。以上です。
○佐藤(陽)委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○事務局 今頂いた御質問の内容に関係しますが、本剤につきましては、RMP資材の中で緊急時連絡カードというのを、母体の方に携帯していただくことを想定しております。その中に当然、医療機関名であったり、あと処方した母体保護法指定医師の名前など、そのような情報を記載したカードを携帯していただく形にはしておりますので、仮に何かあれば、救急隊の方などでもそれを確認していただく形になって、しっかり実務運用上も連携は取れるものと考えております。
さらに、二次医療圏、今中井参考人からコメントいただきましたが、今回、周産期医療圏、二次医療圏の中での緊急体制がしっかり取られているところも考えまして、それで今回、各種要件の中にその二次医療圏又は周産期医療圏内という要件を付しているという、そのような経緯・背景でございます。以上になります。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございました。分かりました。
○森部会長 その患者さんが携帯するカードには、連携医療機関の名前も入るのですか。
○事務局 昨年承認した段階なので、現在のものにはまだあくまで処方した医療機関名と処方した母体保護法指定医師の名前のみにはなっております。ただ、運用が変更された場合は、それも踏まえまして、こちらの資材のカードの記載ぶりについても検討させていただきます。
○森部会長 是非お願いします。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。いま、あえて日本医師会と言ったのは、各都道府県の医師会がどのように関与するかが重要であるからです。これは今、中井参考人がおっしゃいましたけれども、医会と、医師会、これは母体保護法の指定医を指定をするのは各都道府県医師会でございますので、管轄しております。その中でしっかりとした建付けを作っていくということが重要なことで、今お話があった緊急時も含めてですけれども、その二次医療圏でどのような救急体制が組まれるのかということも含めて、これは都道府県の中である程度把握していかなければいけない問題ですので、それは医会とともに各都道府県の医師会を含めて、しっかりとした建付けを作っていただくということが本薬の適正使用につながります。是非ラインファーマも含めた三者体制の中で、今もすでにしっかりとした建付けを作っていただいているわけですけれども、より強固な形となるように作っていただきたいというように考えてございます。
それから、今いろいろ論点になっております6ページの自宅での母体管理の中で、排出された子宮内容物をどのように持参するのかなど、そういうところも更に医会と医師会、そして企業と、どのように指定するのか等様々なところまでしっかりと考えていただくということが非常に重要と思います。
無床診療所を含めて、本薬の使用場所が少しずつ広がっていくことになれば、このような6ページの2剤目投与後の自宅での母体管理の部分がより重要になっていきます。先ほどの各委員からの御指摘が重要となってくるので、承認時とはまた少し違った形で、再教育や再研修を含めた、より強固なサポート体制を作っていただきたいというように考えてございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、連携体制なども含めまして、これからしっかり検討の方を進めさせていただきたいと思っております。
また、自宅で排出された子宮内容物の持参の方法につきましては、日本産婦人科医会から、どのような形で持参するかという点に関しましては、適宜会員の産婦人科の母体保護法指定医師に周知していただけると伺っております。以上になります。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、先ほど堀委員がお尋ねになったように、子宮内容物というものは、週数によっても違ってくることが想定されるので、その週数をしっかりと使用された御本人様に周知し、想定される子宮内容物のことも含めて事細かに御説明いただいて、この体制を強固なものとしていただければ幸いかと思っております。よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 そのほか、先生方の方から御意見、御発言はございますでしょうか。ございませんでしょうか。
本日は、中井先生の方から、迅速におまとめいただきました実態調査について、またその調査から分かりました本剤の使用における安全性やその課題についても詳しくお話を承りまして、また、その後委員の先生方から、母体保護ということに最も重きを置いた上での本剤の運用として、本剤の供給体制のあり方に関する新しい方向性についての御意見を多々頂きました。
それでは、特にそのほかの御意見、御質問がございませんでしたらば、本議題につきましては、部会にて御確認いただいたものとさせていただき、先ほどの事務局の御説明のとおり、引き続き薬事審議会で御議論いただくということとなります。よろしくお願いします。
それでは中井先生、本日はどうもありがとうございました。厚く御礼申します。ありがとうございました。
○事務局 事務局です。続いて、「医薬品メフィーゴパックの適切な使用体制のあり方について」説明いたします。資料22を御覧ください。まず、資料の2ページに経口中絶薬メフィーゴパックの概要が記載されています。本剤は、昨年4月28日に製造販売が承認されており、「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」を効能・効果としています。使用方法ですが、まず、妊娠の維持を阻害するミフェプリストンを投与し、その36~48時間後に2剤目の子宮収縮作用を有するミソプロストールが投与されます。8月23日現在、メフィーゴパックを使用可能な医療機関として、ラインファーマが公表している施設数は全国で190施設あります。なお、8県においては、使用可能な医療機関が存在しない空白地帯となっており、使用可能な医療機関の分布に地域差が生じています。
現行のメフィーゴパックの使用体制が3ページに記載されています。緊急対応体制の徹底の項目のただし書きに記載のとおり、「本剤については適切な使用体制のあり方が確立されるまでの当分の間、入院可能な有床施設(病院又は有床診療所)において使用することとする。また、ミソプロストール投与後は、胎嚢が排出されるまで入院又は院内待機を必須とする。」としております。
3ページの下段枠内に記載のとおり、現行の使用体制に関して、「適切な使用体制のあり方が確立されるまでの当分の間」については、市販後に十分な調査研究を実施し、適切な医療連携体制のあり方について評価を行い、その結果に基づき検討・判断することとされています。この調査研究結果については次のページになります。
令和5年度のこども家庭庁の研究事業において、日本産婦人科医会が実施した調査になります。調査医療機関は2,096施設、調査期間が昨年5月から10月までになります。中絶件数の総数は約3万6,000件であり、うちメフィーゴパックの使用例は435件ありました。「人工妊娠中絶症例での重篤な合併症の頻度」について調べたところ、全体で114件の報告がありましたが、メフィーゴパック使用例では重篤な合併症は0件でした。
また、「搬送や時間外受診が必要であった症例」については、外科的措置では30件、メフィーゴパックでは6件でした。割合は外科的措置より高いデータとなっていますが、詳細に分析すると、メフィーゴパックについては他院への搬送等は0件となっており、調査研究では重篤で対応が困難なケースは確認されませんでした。なお、本剤の重大な副作用として0.8%の頻度で「重度の子宮出血」が規定されています。本調査研究ではメフィーゴパックを投与された435件を基に評価を行っており、このサンプルサイズであれば0.8%の頻度の「重度の子宮出血」について95%以上の確率で1例以上が観察されます。本調査研究では、重篤な合併症が0件ということは「重度の子宮出血」の発現割合は0.8%より高い状況ではないと考えられ、治験において重大な副作用の発現を過小評価していないことが確認できます。ただ、調査研究の結果は、「重度の子宮出血」が0%、つまり全く発現しないことを示しているのではなく、あくまで使用実態下でリスクが上がるわけではないことを示唆しているに過ぎません。当然投与を受ける者の数が増加した場合、「重度の子宮出血」は発現し得ます。
また、緊急時の対応については、昨年の承認時の機構の審査においても、重度の子宮出血のリスクを最小化するためには、本剤の投与を受ける者に対して、医療機関への連絡が必要な出血量の目安を示し、緊急時に速やかに医療機関に来院できるよう指導すること、そして、医療機関には本剤の投与を受けて異常が認められた者からの連絡を常時受け付け、必要に応じて外科的処置等の適切な対応が可能な体制が構築されていることが必要とされています。したがって、本調査研究も踏まえ、これらの適切な安全対策を講じた上であれば、本剤投与後の子宮出血を臨床的に大きな問題とならない程度に管理できるものと判断できます。
また、製造販売業者であるラインファーマへの照会の結果、現時点では本剤の投与と因果関係のある輸血を要する重篤な出血は確認されておりません。なお、435件の症例は治験の約4倍の規模であり、十分な症例数の情報となっています。これらのデータを踏まえ、メフィーゴパックを適切かつ安全に使用可能な体制について、具体的に検討した結果が次のページになります。
まず、施設要件についてですが、「原則、入院可能な有床施設(病院又は有床診療所)において使用とする。」こととし、引き続き病院や有床診療所での使用を強く求めつつも、緊急対応体制が整っている場合に限り、無床診療所においても使用を認めることとします。具体的には、「(1)夜間・休日を含む24時間体制で本剤の投与された者との緊急連絡体制を確保すること。」及び「(2)ア~カの事項を全て満たす他の医療機関と連携した緊急時の体制を整備すること。なお、自院で対応できない容体の患者が生じた場合、連携先の医療機関に対して必ず受入調整を行うこと。」を必須の要件とします。特に連携先の医療機関については、病院、有床診療所であることを要件とし、無床診療所同士の連携は不可とします。更に緊急時の受入体制に関して、有効期限2年以内の文書による覚書の締結も求めることとします。そのほか、同一の二次医療圏又は周産期医療圏内に所在することも要件としています。
また、2剤目投与後の母体管理の場所についてですが、本剤の投与を受ける者が医療機関の近隣に居住していない場合は、引き続き、入院・院内待機を必須とします。一方で、医療機関の近隣に居住している場合に限定して、2剤目投与後に帰宅許可を認めることとします。医療機関の近隣か否かに関しては、「(1)当該医療機関に容易に通院可能(医療機関から16km以内)」、かつ「(2)当該医療機関が所在する二次医療圏又は周産期医療圏内」に居住地を有することを要件とし、医療機関において本剤の投与を希望する者の居住地の確認を確実に実施することを求めることとします。
続いて、6ページに移ります。医療機関の近隣に居住している場合で、2剤目投与後に自宅での母体管理をする場合ですが、子宮出血が自宅で認められたときであっても、超音波検査による胎嚢排出の有無の確認等を行うことが重要であるため、胎嚢排出に至った可能性のある子宮出血が自宅で認められたときには、必ず来院するよう促すこととします。また、子宮出血が認められない場合であっても、外科的処置を考慮する必要があることから、1週間をめどに来院させ、胎嚢排出の有無等の確認を徹底することとします。したがって、胎嚢排出の有無にかかわらず、遅くとも2剤目投与後1週間をめどに再来院させ、胎嚢排出の有無の確認を徹底することとします。
なお、本日の薬事審議会医薬品第一部会の御議論を踏まえ、引き続き薬事審議会においても本件を議論する予定です。部会及び審議会での科学的議論を踏まえ、現行の暫定的な運用から正式な運用に移行するよう、所要の手続を実施することとしています。説明は以上となります。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは本日参考人の中井先生にお越しいただいています。御発言の方お願いいたします。
○中井参考人 ただいま御紹介のあった調査研究の、一応代表者を務めました中井でございます。今回の調査では、人工妊娠中絶全体の、まず安全性を確認するということと、それから市販後半年になりました本剤の使用状況を調査いたしました。結果は今御説明のあったとおりで、3万6,007件の人工妊娠中絶が集積されまして、そのうち435例で薬剤が使用されていました。また、重篤な合併症、特に子宮穿孔とか、輸血を要する大量出血こういうものは手術法の中では0.3%ぐらいに認められましたけれども、この経口妊娠中絶薬では0%となっていました。これは2剤の薬で、1剤目は黄体ホルモンを遮断することで妊娠の維持を止める、そして2剤目で子宮収縮を促し排出に至るという薬ですけれども、1剤目によって、妊娠の維持が困難になり流産に至るケースも実際あります。これは治験の段階でも1%内外で報告されていたと思いますが、今回も15例ぐらい、3%ぐらいそうしたことが認められました。
そういった特性を踏まえまして、時間外対応が必要であったかどうかを調査してあります。そして435例中6例で時間外対応が必要で、その3分の2ぐらいは、このメフィーゴパック1剤使用後の時間外対応となっていました。しかし、他院に転送、転院になったり、あるいは救急搬送を受けるといったケースは認められず、いずれも中絶実施施設で対応されていました。先ほど申し上げました重篤な合併症がないことや、今御説明した薬剤の特徴を考慮に入れると、自宅待機中の出血など軽微な事象で受診があったのではないかと推測されました。
したがって、本剤は実際適切に使用されて管理されていたということができると思います。今後、全国でより安全な人工妊娠中絶を実施していくために、本研究のデータを広く周知していく必要があると考えているところです。
なお、今回の調査3万6,000例の人工妊娠中絶のうち、1万3,320例、37%に当たるケースが無床診療所で手術を受けています。私自身産婦人科医として、また日本産婦人科医会としても、本剤を強く推奨していくということではありません。しかし、人工妊娠中絶をお受けになる方々にとってより選択肢が増えるということが重要だと考えております。したがって、今回この無床診療所で人工妊娠中絶を受けた37%の方々にもそうした機会を広げていく必要があるのではないかと考えているところです。以上でございます。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。速やかに調査をおまとめいただきましたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。堀委員、どうぞ。
○堀委員 私からは調査結果の現場における状況を3点お尋ねしたく質問させていただきます。まず、1点目ですけれども、今回調査をした中で、3万6,007件のうちメフィーゴパックが435件ということでしたが、患者さんのメフィーゴパックを使った方たちの年代を教えていただきたいことが1点。
それから2点目に関しましては、特に2剤目の投与の後の居住地ということが、ここは非常にネックになると思うのですけれども、今回、この人工妊娠中絶の場合、自由診療ですので保険適用とは違って、その居住地というものがどのように確認ができるのか。つまりどういうことかというと、実際に自分が住んでいる所ではない虚偽の居住地を申請して可能だった場合とかがあったのかどうか。
3点目に関しましては、中絶を希望した方が、例えば有床、無床にかかわらず、その病院又は診療所に行ったときに、その場ですぐにメフィーゴパックの場合、当日にその手術、要するに投与が行われるのかどうなのか、その3点をお尋ねしたいと思います。機構に訊いたらよろしいでしょうか。
○事務局 事務局から答えさせていただきます。まず、一つ目の約3万6,000件中435件の年代の内訳ですが、申し訳ありませんが事務局では把握できていません。今回の調査票では年齢の情報は収集しておりませんので、そのような状況と認識しています。中井先生からもし何かございましたら、後ほどコメントを頂ければと思います。
二つ目の居住地の確認についてですが、今の御指摘は極めて重要な内容です。今回の居住地に関しましては、当然医療機関において、特に帰宅を希望する方に関しては居住地の要件の確認について徹底することを強く求める予定です。自由診療ですので保険証は確かにない可能性がありますが、公的な身分証などを用いて、居住地についてはしっかり確認をお願いしたいと考えております。なお、こちらに関しましては、住所地ではなくて居住地としておりますので、当然生活の実態がきちんと確認されていることを求めています。例えばですが、医療機関の近隣の宿泊施設を利用するようなケースは認められません。
三つ目の内容ですが、中絶を希望してその場ですぐこの薬剤を使用するかどうかの御質問ですが、これに関しましては恐らく母体保護法指定医の在籍する医療機関に受診いただいた際に、御本人様への丁寧な説明や、中絶に関する同意などが必要になるので、受診してすぐというものではないと思います。もしこの3点目の受診した後の流れに関して、もし可能でしたら中井参考人からコメントを頂ければと思います。事務局から以上です。
○森部会長 では、中井先生、お願いします。
○中井参考人 まず、1点目の年齢ですけれども、残念ながら今回は個票調査をしていないので、施設ごとに何例あって何のやり方をしたというような聞き方ですから、把握できておりません。
それから特に3点目の御質問ですけれども、これは臨床の現場の話ですが、実際にまず最初に我々がやることは、妊娠の診断と週数の確認です。ですから、それをクライアントに提示するわけです。そして、そこでよくよく検討してもらうわけです。もう初めから決めていたという人でも、しばしば意見を翻すことがあるので、これはちょっと先生によって差があるかもしれませんが、一般的には一旦よく考えていらっしゃいということを言うと思います。それでその中絶方法の選択肢、薬が必ずしもいいとは限りません。時間も掛かりますし、不安定性がありますので、手術はテイクワンで半日で終わりますから、その辺をきちんと、先ほど言った選択肢というのはそういうことだと思うのですけれども、提示してよく考えていただいてから手術なり投薬に臨む。それから今回の調査でも39例ですか、手術に結局移行したケースがあります。これは治験のときもそうですが、9%ぐらい。このケースのために事前に術前検査をやっておく施設があるのですね。そうすると更に段階を経ることになって、術前検査で感染症とか何かありました場合は対応が異なりますので、まあ、同日やる人がいるかもしれませんが、余り一般的ではないかなと思います。以上です。
○堀委員 どうもありがとうございます。関連質問よろしいでしょうか。まず1点目にお尋ねしましたのは、若年層に対する中絶の増加をやはり懸念いたします。特に若年層の場合、例えば今までの妊娠の掻爬法や吸引法であれば手術というようなことを考えますので、事前にその場で行ってすぐに手術をうけることはないと思うのですけれども、今回のメフィーゴパックの場合は飲めばそこで簡単に、簡単にという言い方は失礼ですけれども、中絶ができるというような誤った考え方を持ってしまった若年層がメフィーゴパックを簡単に使えると思ってしまう。それをすごく懸念しております。そのため年代をお聞きいたしました。
2点目に関しましては先ほど事務局から回答がありましたが、確かに居住地が要件ということですので、住んでいるという生活の証ということでガスメーターや電気メーターの使用量のお知らせを確認するというようなことが必要であること。非常にそこはすごく大切なことだと思いますので、それは是非具体的に明文化していただきたいと思いました。
それから3点目に関しましてですが、やはり前回、昨年これが承認された後、命の大切さ、命のつながりというようなことで、様々な所から御批判などあったことを私は承知しております。やはり今回ある意味原則ということで無床診療所に枠が広がることは、無床診療所では私の考えでは掻爬又は吸引ができず、メフィーゴパックのみに限定されるのではないかと懸念しておりました。また掻爬や吸引、そして先ほどの先生からのお話しですと、メフィーゴパックの投薬から手術の方に移行された方もいらっしゃるという選択の幅が、有床だと広がるのですけれども、無床だった場合、メフィーゴパックしか選択がなく、または、無床病院の先生が母体保護法指定医師として勉強なさっていたとしても、そこで掻爬や吸引などのほかの選択肢があるということをきちんと患者に説明していただけるのかどうか、そこを非常に心配しておりました。
ですので、その場ですぐに手術やこのメフィーゴパックであってもすぐに服用はさせないということを今、先生よりお話を伺えて非常に安堵したのですけれども、やはり今回のことに関しましては、患者が自分自身の女性の権利として、自分が産むか産まないかを、リプロダクティブ・ヘルス/ライツとして、選べることも必要なのですが、自分の身体的、精神的な負担とともに、生まれてくる命というものの大切さを理解し、それを知って、そしてそれを判断するような時間が必要ではないかと思っております。ですので、すぐその場で行う、つまり中絶をしたいと言った方が、例えば無床に来た場合において、すぐにそこで服用させるのではなく、先ほど先生がおっしゃったように、考える時間を与えるようなそういうことも必要ではないかと思い、質問させていただきました。それに関して機構はいかがお考えでしょうか。
○事務局 事務局から答えさせていただきます。まず、御指摘の一番最初の方にありましたメフィーゴパックの使用で安易な中絶が増加するのではないかという御指摘でございますが、まず本剤の位置付けは、あくまで人工妊娠中絶において、子宮筋腫であったり子宮奇形等の合併症例などで従来の外科的中絶が適さない症例も一定数存在することから、そのような症例においては、経口中絶薬が新たな選択肢として有用であると考えられております。
また、本剤があくまで母体保護法に基づく人工妊娠中絶における新たな選択肢の一つと位置付けているものでございまして、まず本剤により現行の母体保護法上の人工妊娠中絶の規定あるいは要件は何ら変わるものではございません。なので、この薬自体が安易な中絶を助長するというような指摘には当たらないと考えております。
なお、海外の経口中絶薬の承認前後の中絶件数の変動を評価した論文においても、経口中絶薬の承認の前後で中絶件数全体が増加しているというような傾向は見られていないと報告されております。そのため、安易な中絶が増加するのではないかという御指摘に関しては、あくまで現在行われている外科的処置の一部が薬に置き換えられるという、そのような位置付けであると厚労省としては認識しております。
二つ目の点について、現在無床診療所においても外科的処置の中絶手術は行われております。母体保護法指定医師の指定基準の中には、医師免許取得後5年以上経過しており産婦人科の研修を3年以上受けているということなど、そのような要件もあります。更に、研修期間中に20例以上の人工妊娠中絶の手術であったり、あと流産手術の実地指導を受けたものが要件となっております。当然、本剤も母体保護法指定医師しか使用することができませんので、母体保護法指定医師であるならば、当然外科的処置に関してはできる医師であることが確認されております。よって、外科的処置ができない医師がこの薬を安易に使用するという、そのようなことは先ほど中井参考人からの実務運用の御指摘を踏まえましても、全て安易に薬の方に走るということはなり得ないというように考えております。これで質問に全部お答えできていますか。
○堀委員 ありがとうございました。あと、それからすみません、メフィーゴパックにて中絶をしようと思った方に、ほかに選択肢があるというようなことを提示していただけるような資材、そしてまた倫理的な観点から、結局中絶というもの自体をもう一度考えさせられるような、そういうきっかけないし資材というようなものをお作りになっていただきたいと思ったのですけれども、そこに関してはいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。今回、こちらの資材に関しましては、当然、御指摘を踏まえまして、ラインファーマ、本剤の製造販売業者の方で準備しています。患者向け資材においても、本剤の位置付けに関しましては、しっかり情報提供するように、企業と調整をさせていただきたいと考えております。
○堀委員 はい。
○森部会長 中井先生、よろしいですか。お願いします。
○中井参考人 最後の資材に関しては、研究班の方でも人工妊娠中絶をお考えの方へというリーフレット、パンフを作りまして、それを母体保護法指定医のいる施設に一律配布いたしました。医会のホームページからダウンロードできるようにして御活用いただいているところでございます。そこには手術法と薬剤と双方が書かれていて、メリット、デメリットが記されています。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。あと、すみません、長々と申し訳ありません。中井先生にお尋ねしたいのですけれども、この調査結果の7ページを拝見しておりますと、人工妊娠中絶を受けられる方に対する支援として、グリーフケアや、その後相談窓口紹介というようなものの実施が非常に低かったという結果が出ておりました。やはりそれは次のページにおいて、これは非常に実施することが重要であるということを御提案されていたのですけれども、それに関しては御意見いかがでしょうか。
○中井参考人 ありがとうございます。確かにグリーフケアであるとか、それから各自治体の相談窓口というのがあるのですけれども、正直、私自身もそれを調査するまで存じ上げておりませんで、その辺の周知が産婦人科医会の中でも非常に弱かったものですから、そういった実際の研究成果の数字と、今後こういうようにしていくべきだということに関しては、先ほど言った関連施設全てに周知するように提言を作りまして、送ったところでございます。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。
○森部会長 では川上委員から御発言をお願いします。
○川上委員 御指名ありがとうございます。日本薬剤師会の川上です。御説明ありがとうございました。今回の使用体制の変更についても理解しました。1点コメントなのですが、2剤目投与後の母体管理の場所に関連してです。中絶要件を二つ設けて、医療機関の近隣の場合は、必ずしも入院又は院内待機を必須としなくても、自宅に戻っていただけることは妥当かと思います。その際に可能でしたら、再来院の手段を一応確認いただくということも大事なことなのかと思いますので、コメント申し上げる次第です。以上でございます。
○事務局 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。再来院の手段を確認するということに関しましては、極めて重要な内容でございます。こちらは事務局の方でも検討させていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○森部会長 やはり強い腹痛ですとか、出血の状態で来院ということがあり得ますので、特に緊急時ですね。どうやって来院するかということについては、十分担当医との連絡を取り合っていただきまして、特に地方ですと自家用車で病院に行くという方もいらっしゃる可能性もありますが、救急搬送を第一として母体の安全に全力を尽くしていただきたいと思っています。
○中井参考人 恐らく同意書を取る際に、割と手術法からあるいは薬剤のことから説明いたしますので、当然ながら我々も時間外に来ていただきたいわけではありませんので、どういった程度の出血であれば、すぐ連絡して来ていただきたいというようなことは、当然ながら説明すると思うのです。痛みについてもそうです。生理痛未満のものであれば様子を見て、翌朝でも構わないですけれども、そうでない場合は来ていただくなんていう対応が一般的だと思います。その際には、今御指摘いただいたようなことも踏まえて確認できるよう、これは産婦人科医会としても、今後取扱いが変わった場合には周知していきたいというように思います。
○堀委員 あと、もう1点質問なのですけれども、先ほどの6ページのところで、特に2剤目投与の後、排出物が自宅でもし出たときに関しては、医療機関に持参いただくよう奨励すると書いてあります。
それで、私どもが2剤目投与の後、自宅で排出物が出た場合その物自体がどのような物なのか、血の塊なのか、それともある意味それを見たら非常に心理的に負担になるものなのかどうか、そこを教えていただけたら有り難いです。
○事務局 事務局より回答させていただきます。まず、排出される胎嚢でございますが、実際には血塊の中に混じっていて、いわゆる人の形をしたような物を母体の方がそれを認識することはなかなかないというように伺っております。妊娠9週における胎児の大きさは、1、2cm程度の大きさと聞いておりますので、それを直接見て、母体が何かショックを受けるという懸念は低いと考えております。
ただ、あくまで適切な対応を取ったとしても、心理的な影響に関しては当然、御本人様の個人差の話が大きなものではございます。なので、これに関しましては、そのような懸念がある方においては当然、主治医と相談いただきまして、これまでどおりの外科的処置、吸引法や掻爬法とかを選択するということも、選択肢としてあり得ます。結局、どのような方法、薬であろうが外科的処置であってもどちらがいいか悪いかは、それは中絶を受ける方と医師との信頼関係の下で、十分な説明に基づきしっかり決めていただくものというように認識しております。
○堀委員 ありがとうございます。排出物というその言葉だけで、やはり一般の方はどのようなものかというようなことは想像ができないと思いますので、今おっしゃっていただいたようなこと、人によっては異なるかもしれないのですけれども、特に患者向けの資材や、説明の際の資材においては、余りショックを与えないような、そのような書き方をして、どのようなものなのかを具体的に示していただけたら有り難いと思いました。以上です。
○事務局 御指摘いただきまして、ありがとうございます。そちらに関しましても、製造販売業者とも、しっかり調整させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、いかがでございましょうか。運用をお伺いしたいのですが、今回、無床の医療機関様が本剤を使用することを連携医療機関様と提携、覚書を交わした上で実施されるということが内定した場合に、何かの登録や行政等での把握はございますか。
○事務局 御質問ありがとうございます。まず、連携先の医療機関とは、先ほどの説明の中にも入れさせていただきました、資料の5ページのウのところでございますが、資料5ページの施設要件の枠囲みの(2)のウになります。連携先の医療機関とは、当然、無床診療所とその連携先の有床施設の間では、文書による覚書の締結を求めます。その文書に関してでございますが、まず一義的には、それは製造販売業者において御確認いただくことを予定しております。本剤の使用可能な医療機関は当然、母体保護法指定医師の在籍する医療機関しか使用ができません。現行の流通管理の観点からも、その流通を認められている医療機関に関しましては、事前に製造販売業者において登録制という形にしております。その登録の過程でこの覚書についても、メーカーの方でしっかり確認を取って、それが確認されているところには販売を認めるというような形でまずは対応していく形になります。
○森部会長 理解いたしました。それで、よろしいでしょうか。佐藤陽治先生、お願いします。
○佐藤(陽)委員 救急車の搬送のシステムについて良く存じ上げないのですけれども、2剤目投与後に、本剤の投与を受けた方が、例えば緊急事態になって意識不明になることがあるかどうかは分からないのですけれども、そうした場合の救急搬送時に、適切な医療機関はどのように考えられているのでしょうか。もう決まった、いわゆる連携医療機関に送られることになっているのか、その辺を良く存じ上げません。その辺の体制はどうなっているのですか。
○森部会長 では中井先生、お願いします。
○中井参考人 中井ですけれども、これは周産期医療体制の構築というのは、各都道府県ごとで組まれていますけれども、総合周産期母子医療センター、それを補完する地域周産期母子医療センター、そして大学病院なども含まれることもありますけれども、その救急体制、搬送体制というのは、周産期の場合は比較的しっかり、独自のルールなので皆さんに認知されていないところもあるのですけれども、構築されていますので、おおむねこれまでも問題なく行っていると思います。
それと少し追加しますと、恐らく有床であろうと無床であろうとクリニックの場合、例えば子宮穿孔が起こった、あるいは輸血を要する出血が起こった場合、恐らくそこでリペアの手術をしたり、大量輸血や、その輸血管理をするということは、かなり難しい場合が多いのです。ですから、おおむね搬送になっていると思います。ですから、そういうルールがもう現状、ある程度しっかり作られていると思っていただいて構わないと思います。以上です。
○佐藤(陽)委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○事務局 今頂いた御質問の内容に関係しますが、本剤につきましては、RMP資材の中で緊急時連絡カードというのを、母体の方に携帯していただくことを想定しております。その中に当然、医療機関名であったり、あと処方した母体保護法指定医師の名前など、そのような情報を記載したカードを携帯していただく形にはしておりますので、仮に何かあれば、救急隊の方などでもそれを確認していただく形になって、しっかり実務運用上も連携は取れるものと考えております。
さらに、二次医療圏、今中井参考人からコメントいただきましたが、今回、周産期医療圏、二次医療圏の中での緊急体制がしっかり取られているところも考えまして、それで今回、各種要件の中にその二次医療圏又は周産期医療圏内という要件を付しているという、そのような経緯・背景でございます。以上になります。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございました。分かりました。
○森部会長 その患者さんが携帯するカードには、連携医療機関の名前も入るのですか。
○事務局 昨年承認した段階なので、現在のものにはまだあくまで処方した医療機関名と処方した母体保護法指定医師の名前のみにはなっております。ただ、運用が変更された場合は、それも踏まえまして、こちらの資材のカードの記載ぶりについても検討させていただきます。
○森部会長 是非お願いします。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。いま、あえて日本医師会と言ったのは、各都道府県の医師会がどのように関与するかが重要であるからです。これは今、中井参考人がおっしゃいましたけれども、医会と、医師会、これは母体保護法の指定医を指定をするのは各都道府県医師会でございますので、管轄しております。その中でしっかりとした建付けを作っていくということが重要なことで、今お話があった緊急時も含めてですけれども、その二次医療圏でどのような救急体制が組まれるのかということも含めて、これは都道府県の中である程度把握していかなければいけない問題ですので、それは医会とともに各都道府県の医師会を含めて、しっかりとした建付けを作っていただくということが本薬の適正使用につながります。是非ラインファーマも含めた三者体制の中で、今もすでにしっかりとした建付けを作っていただいているわけですけれども、より強固な形となるように作っていただきたいというように考えてございます。
それから、今いろいろ論点になっております6ページの自宅での母体管理の中で、排出された子宮内容物をどのように持参するのかなど、そういうところも更に医会と医師会、そして企業と、どのように指定するのか等様々なところまでしっかりと考えていただくということが非常に重要と思います。
無床診療所を含めて、本薬の使用場所が少しずつ広がっていくことになれば、このような6ページの2剤目投与後の自宅での母体管理の部分がより重要になっていきます。先ほどの各委員からの御指摘が重要となってくるので、承認時とはまた少し違った形で、再教育や再研修を含めた、より強固なサポート体制を作っていただきたいというように考えてございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、連携体制なども含めまして、これからしっかり検討の方を進めさせていただきたいと思っております。
また、自宅で排出された子宮内容物の持参の方法につきましては、日本産婦人科医会から、どのような形で持参するかという点に関しましては、適宜会員の産婦人科の母体保護法指定医師に周知していただけると伺っております。以上になります。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、先ほど堀委員がお尋ねになったように、子宮内容物というものは、週数によっても違ってくることが想定されるので、その週数をしっかりと使用された御本人様に周知し、想定される子宮内容物のことも含めて事細かに御説明いただいて、この体制を強固なものとしていただければ幸いかと思っております。よろしくお願い申し上げます。
○森部会長 そのほか、先生方の方から御意見、御発言はございますでしょうか。ございませんでしょうか。
本日は、中井先生の方から、迅速におまとめいただきました実態調査について、またその調査から分かりました本剤の使用における安全性やその課題についても詳しくお話を承りまして、また、その後委員の先生方から、母体保護ということに最も重きを置いた上での本剤の運用として、本剤の供給体制のあり方に関する新しい方向性についての御意見を多々頂きました。
それでは、特にそのほかの御意見、御質問がございませんでしたらば、本議題につきましては、部会にて御確認いただいたものとさせていただき、先ほどの事務局の御説明のとおり、引き続き薬事審議会で御議論いただくということとなります。よろしくお願いします。
それでは中井先生、本日はどうもありがとうございました。厚く御礼申します。ありがとうございました。
──中井参考人 退室──
○森部会長 それでは、引き続きまして、審議事項の議題1に移らせていただきます。議題1の概要説明について、機構からの説明の御準備をお願いいたします。よろしいでしょうか。では、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題1、資料No.1、医薬品ビルタサ懸濁用散分包8.4gの医薬品製造販売承認の可否等について機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.1「ビルタサ懸濁用散分包8.4g」の審査報告書を御覧ください。
パチロマーソルビテクスカルシウム(以下、「本薬」)は、消化管で吸収されない陽イオン吸着ポリマーであり、消化管内腔で食事等に含まれるカリウムを吸着して糞便中へ排泄されることで、消化管からのカリウム吸収量を減らし、血清カリウム値を低下させる薬剤です。
高カリウム血症患者を対象とした国内臨床試験の成績に基づき、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、海外では、本薬は2024年5月時点において、高カリウム血症に係る効能・効果で米国及び欧州を含む41の国又は地域で承認されております。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書通し番号24ページの表14を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II相試験において、主要評価項目である「ベースラインの血清カリウム値が5.1mEq/L以上6.0mEq/L未満の非透析コホートにおける治療導入期1週時の血清カリウム値のベースラインからの変化量」の最小二乗平均は、プラセボ群で-0.10mEq/L、本薬8.4g群で-0.55mEq/L、本薬16.8g群で-0.77mEq/Lであり、本薬8.4g及び16.8g群の血清カリウム値の変化量は、いずれの本薬群でもプラセボ群と比較して大きい値を示しました。
さらに、通し番号29ページの表22を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II相試験の透析コホートにおいても、非透析コホートの本薬群と同様の血清カリウム値の低下効果が認められました。
続いて、通し番号28ページの表20を御覧ください。透析を受けていない高カリウム血症患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「維持治療期4週時における血清カリウム値の維持治療期ベースラインからの変化量」の最小二乗平均は、プラセボ群で0.78mEq/L、本薬群で-0.02mEq/Lであり、本薬群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
以上の試験結果から、高カリウム血症患者に対する本薬の臨床的意義のある有効性は示されたと判断いたしました。
安全性について、通し番号39ページの「7.R.2.3.1 胃腸障害について」の項を御覧ください。国内第II相及び第III相試験における、便秘、下痢等の胃腸障害の発現状況について、プラセボ群と比較して本薬各群で有害事象及び副作用の発現割合が高かったものの、ほとんどが軽症又は中等症であり、重篤な副作用は認められていないことを踏まえると、臨床試験に組み入れた患者背景の範囲では、現時点で臨床的に問題となるほどの安全性上の懸念点は認められませんでした。ただし、国内臨床試験において、胃腸障害の副作用に関する懸念がより高い重度の胃腸障害又は術後の腸管運動障害を併存する患者は除外されていたこと、本薬投与時に重篤な胃腸障害の有害事象が認められていること、本薬と同様の非吸収性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸カルシウム等では添付文書において、腸閉塞の患者が「禁忌」とされ、腸管穿孔等が「重大な副作用」で注意喚起されていること等を踏まえると、本薬でも腸閉塞の患者を「禁忌」とし、腸管穿孔などを「重大な副作用」とするなど、添付文書での十分な注意喚起が必要と考えました。
また、通し番号41ページの「7.R.2.3.2 低カリウム血症について」の項を御覧ください。国内第II相及び第III相試験において、低カリウム血症は一定数で認められたものの、低カリウム血症に関連した不整脈や、入院を要する事象は認められませんでした。しかしながら、本薬の作用機序を踏まえると、重度の低カリウム血症が生じる可能性はあることから、本薬投与中は定期的に血清カリウム値を確認し、本薬の減量、休薬等の適切な処置を行うよう添付文書で注意喚起する必要があると考えました。
以上の本薬の注目すべき有害事象に限らない有害事象全体の発現状況については、通し番号28ページの表21を御覧ください。国内第III相試験におけるプラセボ群と本薬群の有害事象全体の発現状況に臨床的に問題となるような違いは認められませんでした。
以上の検討結果から、胃腸障害及び低カリウム血症の発現に十分注意しながら使用すれば、本薬の安全性は管理可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、高カリウム血症に対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
なお、本薬は新有効成分含有医薬品としての申請であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。
薬事審議会では報告を予定しております。機構からの説明は以上となります。御審議どうぞよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、先生方から、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。堀委員、どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。堀です。私からは飲みやすさについてお尋ねしたいと思います。これは溶けにくいお薬と伺っておりますので、水に溶かしても溶解しないということで、結局、これを飲んだ場合において、例えば味、喉に粉が付いてしまってせき込んでしまった場合においては、また追加服用ができるのかなど教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。味やにおいに関しては、特段臨床試験の中で何か問題があったということは聞いておりません。喉に付着等があった場合には、水の量は必ず何mLという形では規定しておりませんので、追加で水を飲んでいただくなどしていただければと思います。
○堀委員 ありがとうございます。あと、服薬のときにゼリーを使う場合などもあると思いますが、この服薬ゼリーなどと混ぜて飲むことも可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、水で飲んでいただければと思っております。ゼリーなどと混ぜた際の本剤の安定性などを確認する試験が実施されておりますので、ゼリーなどと混ぜてはいけないという話ではありませんが、基本的には水での服用をお願いできればとは思っております。
○堀委員 ありがとうございます。やはり、患者は飲みやすさを重視いたしますので、このような粉状の場合、特に溶けにくい場合においては、ゼリーと混ぜてしまって飲む方もいらっしゃるかと思うので、そこに関しては一文明記していただいて、今おっしゃったように原則は水だけれどもというようなこと等も、書いていただけると有り難いと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。試験内ではゼリーで投与されておらず、ゼリーで投与した際の有効性、安全性などが評価されていないことから、添付文書などにおいては、原則は水という形で記載とさせていただければと思います。
○堀委員 ありがとうございます。
○森部会長 添付文書の14.1.1と14.1.2の項目につきましては、資材に少し分かりやすくお示しいただくように是非お願いしたいと思っています。ありがとうございました。続きまして、前田委員、お願いします。
○前田委員 前田でございます。添付文書上の重大な副作用の所に、腸管穿孔等が書かれているのですけれども、これは頻度不明ということで、治験等ではもちろん起きていないわけなのですが、腸閉塞の患者で禁忌なのは分かるのですけれども、腸管穿孔が起こる可能性があるというのは、諸外国の添付文書にも記載されていることなのでしょうか。何となく飲むときに、腸管穿孔と書いてあると怖いなという気がするのですが。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。本薬と同様の非吸収性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸カルシウムなどで、市販後に認められた事象ということで、本薬の物理学的性質なども踏まえると、本薬でも起きる可能性があるということで類薬と同様に本薬でも記載させていただいております。海外の添付文書でも、類薬、似たような薬で起こったというような点は情報提供が行われております。
○前田委員 分かりました。本薬で起こったわけではないのです。頻度不明と書かれているので、頻度不明というのはほとんど起こらないのだとは思いますが、ほかでも書かれているのであればよろしいかなと思います。本剤では起こっていないということは、何となくこういうものなのかなと思った次第でございまして、特にそれで良ければ、よろしいかと思います。すみません。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。これまでの剤と同じように、試験では起こっていないものの、本薬でも同じくリスク自体はあるというように考えておりますので、添付文書ではこのような記載とさせていただきました。
○森部会長 堀委員、どうぞ。
○堀委員 続けて申し訳ございません。やはり、14.1の「薬剤交付時の注意」の14.1.4を御覧ください。冷蔵庫外で保管し始めた場合においては「3か月を超えたときは、服用せずに廃棄すること」と書いてあります。外箱の展開図を確認させていただいたのですが、例えば処方された日付などを記入するような欄が外箱には見受けられなかったのですけれども、もし可能であれば、服用する患者さんのためにも日付を記載するようなものがあるといいなと思ったのですが、そのような御検討はなされていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらは、基本的には冷蔵保存をお勧めしておりまして、万が一そういうことがあった場合の対処法ということであり、この保存方法を推奨しているものではありません。基本的には冷蔵保存していただくことが重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしましたら、冷蔵庫で保存するということは強く明記していただけたら有り難いと思います。以上です。
○森部会長 箱には表記がありますかね。
○医薬品医療機器総合機構 冷蔵保存であるということは、もちろん箱に情報として記載しております。
○森部会長 分包の小袋にも書いてありますね。確認できました。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。先ほど、堀委員から飲みにくさなどの様々なご指摘があり、森部会長もよく御存じであろうと思いますが、もともと類薬も含め、すべからく飲みにくい中では、本薬は少し改善している印象ですので、医師が慎重に、飲みにくくてもこれは必要な薬ですから飲んでくださいというような説明をしながら投与するものであるという原則は知っていただく必要があります。ただ飲みやすい薬を出しているということではなく、類薬も含めて非常に飲みにくい薬が前提である中で、本薬はどうしても必要な薬であるということを医師も患者も認識し、これが臨床現場で活用されるように御理解いただければいいのかなと思っております。
○森部会長 そのほか、先生方からの御意見よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。なお、阿古委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、前田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続きまして、審議事項2に移らせていただきます。機構の方から概要説明をお願いします。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題2の審議の間、会議から一旦御退出いただきまして、御待機いただくことになっております。佐藤直樹委員につきましては、御退出の方を御案内してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題1、資料No.1、医薬品ビルタサ懸濁用散分包8.4gの医薬品製造販売承認の可否等について機構より御説明申し上げます。資料については、資料No.1「ビルタサ懸濁用散分包8.4g」の審査報告書を御覧ください。
パチロマーソルビテクスカルシウム(以下、「本薬」)は、消化管で吸収されない陽イオン吸着ポリマーであり、消化管内腔で食事等に含まれるカリウムを吸着して糞便中へ排泄されることで、消化管からのカリウム吸収量を減らし、血清カリウム値を低下させる薬剤です。
高カリウム血症患者を対象とした国内臨床試験の成績に基づき、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、海外では、本薬は2024年5月時点において、高カリウム血症に係る効能・効果で米国及び欧州を含む41の国又は地域で承認されております。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書通し番号24ページの表14を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II相試験において、主要評価項目である「ベースラインの血清カリウム値が5.1mEq/L以上6.0mEq/L未満の非透析コホートにおける治療導入期1週時の血清カリウム値のベースラインからの変化量」の最小二乗平均は、プラセボ群で-0.10mEq/L、本薬8.4g群で-0.55mEq/L、本薬16.8g群で-0.77mEq/Lであり、本薬8.4g及び16.8g群の血清カリウム値の変化量は、いずれの本薬群でもプラセボ群と比較して大きい値を示しました。
さらに、通し番号29ページの表22を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II相試験の透析コホートにおいても、非透析コホートの本薬群と同様の血清カリウム値の低下効果が認められました。
続いて、通し番号28ページの表20を御覧ください。透析を受けていない高カリウム血症患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「維持治療期4週時における血清カリウム値の維持治療期ベースラインからの変化量」の最小二乗平均は、プラセボ群で0.78mEq/L、本薬群で-0.02mEq/Lであり、本薬群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
以上の試験結果から、高カリウム血症患者に対する本薬の臨床的意義のある有効性は示されたと判断いたしました。
安全性について、通し番号39ページの「7.R.2.3.1 胃腸障害について」の項を御覧ください。国内第II相及び第III相試験における、便秘、下痢等の胃腸障害の発現状況について、プラセボ群と比較して本薬各群で有害事象及び副作用の発現割合が高かったものの、ほとんどが軽症又は中等症であり、重篤な副作用は認められていないことを踏まえると、臨床試験に組み入れた患者背景の範囲では、現時点で臨床的に問題となるほどの安全性上の懸念点は認められませんでした。ただし、国内臨床試験において、胃腸障害の副作用に関する懸念がより高い重度の胃腸障害又は術後の腸管運動障害を併存する患者は除外されていたこと、本薬投与時に重篤な胃腸障害の有害事象が認められていること、本薬と同様の非吸収性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸カルシウム等では添付文書において、腸閉塞の患者が「禁忌」とされ、腸管穿孔等が「重大な副作用」で注意喚起されていること等を踏まえると、本薬でも腸閉塞の患者を「禁忌」とし、腸管穿孔などを「重大な副作用」とするなど、添付文書での十分な注意喚起が必要と考えました。
また、通し番号41ページの「7.R.2.3.2 低カリウム血症について」の項を御覧ください。国内第II相及び第III相試験において、低カリウム血症は一定数で認められたものの、低カリウム血症に関連した不整脈や、入院を要する事象は認められませんでした。しかしながら、本薬の作用機序を踏まえると、重度の低カリウム血症が生じる可能性はあることから、本薬投与中は定期的に血清カリウム値を確認し、本薬の減量、休薬等の適切な処置を行うよう添付文書で注意喚起する必要があると考えました。
以上の本薬の注目すべき有害事象に限らない有害事象全体の発現状況については、通し番号28ページの表21を御覧ください。国内第III相試験におけるプラセボ群と本薬群の有害事象全体の発現状況に臨床的に問題となるような違いは認められませんでした。
以上の検討結果から、胃腸障害及び低カリウム血症の発現に十分注意しながら使用すれば、本薬の安全性は管理可能と判断いたしました。
以上、機構での審査の結果、高カリウム血症に対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
なお、本薬は新有効成分含有医薬品としての申請であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。
薬事審議会では報告を予定しております。機構からの説明は以上となります。御審議どうぞよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。では、先生方から、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。堀委員、どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。堀です。私からは飲みやすさについてお尋ねしたいと思います。これは溶けにくいお薬と伺っておりますので、水に溶かしても溶解しないということで、結局、これを飲んだ場合において、例えば味、喉に粉が付いてしまってせき込んでしまった場合においては、また追加服用ができるのかなど教えていただけたら有り難いです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。味やにおいに関しては、特段臨床試験の中で何か問題があったということは聞いておりません。喉に付着等があった場合には、水の量は必ず何mLという形では規定しておりませんので、追加で水を飲んでいただくなどしていただければと思います。
○堀委員 ありがとうございます。あと、服薬のときにゼリーを使う場合などもあると思いますが、この服薬ゼリーなどと混ぜて飲むことも可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、水で飲んでいただければと思っております。ゼリーなどと混ぜた際の本剤の安定性などを確認する試験が実施されておりますので、ゼリーなどと混ぜてはいけないという話ではありませんが、基本的には水での服用をお願いできればとは思っております。
○堀委員 ありがとうございます。やはり、患者は飲みやすさを重視いたしますので、このような粉状の場合、特に溶けにくい場合においては、ゼリーと混ぜてしまって飲む方もいらっしゃるかと思うので、そこに関しては一文明記していただいて、今おっしゃったように原則は水だけれどもというようなこと等も、書いていただけると有り難いと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。試験内ではゼリーで投与されておらず、ゼリーで投与した際の有効性、安全性などが評価されていないことから、添付文書などにおいては、原則は水という形で記載とさせていただければと思います。
○堀委員 ありがとうございます。
○森部会長 添付文書の14.1.1と14.1.2の項目につきましては、資材に少し分かりやすくお示しいただくように是非お願いしたいと思っています。ありがとうございました。続きまして、前田委員、お願いします。
○前田委員 前田でございます。添付文書上の重大な副作用の所に、腸管穿孔等が書かれているのですけれども、これは頻度不明ということで、治験等ではもちろん起きていないわけなのですが、腸閉塞の患者で禁忌なのは分かるのですけれども、腸管穿孔が起こる可能性があるというのは、諸外国の添付文書にも記載されていることなのでしょうか。何となく飲むときに、腸管穿孔と書いてあると怖いなという気がするのですが。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。本薬と同様の非吸収性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸カルシウムなどで、市販後に認められた事象ということで、本薬の物理学的性質なども踏まえると、本薬でも起きる可能性があるということで類薬と同様に本薬でも記載させていただいております。海外の添付文書でも、類薬、似たような薬で起こったというような点は情報提供が行われております。
○前田委員 分かりました。本薬で起こったわけではないのです。頻度不明と書かれているので、頻度不明というのはほとんど起こらないのだとは思いますが、ほかでも書かれているのであればよろしいかなと思います。本剤では起こっていないということは、何となくこういうものなのかなと思った次第でございまして、特にそれで良ければ、よろしいかと思います。すみません。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。これまでの剤と同じように、試験では起こっていないものの、本薬でも同じくリスク自体はあるというように考えておりますので、添付文書ではこのような記載とさせていただきました。
○森部会長 堀委員、どうぞ。
○堀委員 続けて申し訳ございません。やはり、14.1の「薬剤交付時の注意」の14.1.4を御覧ください。冷蔵庫外で保管し始めた場合においては「3か月を超えたときは、服用せずに廃棄すること」と書いてあります。外箱の展開図を確認させていただいたのですが、例えば処方された日付などを記入するような欄が外箱には見受けられなかったのですけれども、もし可能であれば、服用する患者さんのためにも日付を記載するようなものがあるといいなと思ったのですが、そのような御検討はなされていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらは、基本的には冷蔵保存をお勧めしておりまして、万が一そういうことがあった場合の対処法ということであり、この保存方法を推奨しているものではありません。基本的には冷蔵保存していただくことが重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
○堀委員 ありがとうございます。そういたしましたら、冷蔵庫で保存するということは強く明記していただけたら有り難いと思います。以上です。
○森部会長 箱には表記がありますかね。
○医薬品医療機器総合機構 冷蔵保存であるということは、もちろん箱に情報として記載しております。
○森部会長 分包の小袋にも書いてありますね。確認できました。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。先ほど、堀委員から飲みにくさなどの様々なご指摘があり、森部会長もよく御存じであろうと思いますが、もともと類薬も含め、すべからく飲みにくい中では、本薬は少し改善している印象ですので、医師が慎重に、飲みにくくてもこれは必要な薬ですから飲んでくださいというような説明をしながら投与するものであるという原則は知っていただく必要があります。ただ飲みやすい薬を出しているということではなく、類薬も含めて非常に飲みにくい薬が前提である中で、本薬はどうしても必要な薬であるということを医師も患者も認識し、これが臨床現場で活用されるように御理解いただければいいのかなと思っております。
○森部会長 そのほか、先生方からの御意見よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。なお、阿古委員、佐藤直樹委員、髙橋委員、前田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続きまして、審議事項2に移らせていただきます。機構の方から概要説明をお願いします。なお、佐藤直樹委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題2の審議の間、会議から一旦御退出いただきまして、御待機いただくことになっております。佐藤直樹委員につきましては、御退出の方を御案内してください。
──佐藤直樹委員 退室──
○森部会長 それでは議題2につきまして、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題2、資料No.2、医薬品ルプキネスカプセル7.9mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については資料No.2-1「ルプキネスカプセル7.9mg」の審査報告書を御覧ください。
ループス腎炎(以下、「LN」)は全身性エリテマトーデスの主要な症状の一つであり、抗DNA抗体等の自己抗体と抗原の免疫複合体が腎組織に沈着し、サイトカイン等が放出され、炎症を惹起させることで糸球体が障害され、尿蛋白や腎機能低下が生じます。
本剤の有効成分であるボクロスポリンは、Aurinia Pharmaceuticals社により創製されたカルシニューリン阻害薬(以下、「CNI」)であり、T細胞の活性化を阻害しサイトカインの産生を抑制することにより、LNにおける腎障害を抑制するとされ、LNに対する治療薬となることが期待されます。LN患者を対象とした国際共同試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は、2024年6月現在、欧米を含む33か国でLNの効能・効果で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性に関して、審査報告書の通し番号41ページ、表45を御覧ください。活動性LN患者を対象とした国際共同第III相試験(AURORA1試験)では、尿蛋白/クレアチニン比や推算糸球体濾過量(以下、「eGFR」)により定義した腎奏効が主要評価項目とされ、52週時の腎奏効の達成割合はプラセボ群で22.5%、本薬群で40.8%、オッズ比は2.65であり、群間に統計学的な有意差が認められました。日本人集団については、通し番号48ページ、表56を御覧ください。主要評価項目である52週時の腎奏効はプラセボ群より本剤群で高く、全体集団と一貫した成績が示されました。以上より、LN患者における本薬の意義のある有効性は示され、日本人集団においても同様に有効性は期待できると判断しました。
安全性に関して、まずは本薬と同じCNIで報告されている腎毒性や血圧上昇のリスクについて説明します。腎毒性について、通し番号54ページ、表62を御覧ください。海外第II相試験及びAURORA1試験の併合解析において、プラセボ群と比較して本薬群で急性腎不全に係る有害事象の発現割合が高い傾向が認められたことから、本薬の投与開始時及び投与中は定期的に腎機能検査を実施すること、及び臨床試験で除外されていた腎機能が低下しているLN患者では、投与の是非を慎重に判断するべきである旨を添付文書で注意喚起する必要があると判断しました。また、臨床試験では、eGFRが低下した場合は本薬を減量又は休薬するよう規定されていたことから、添付文書においても、臨床試験に準じてeGFRが低下した場合は減量又は休薬するよう注意喚起する必要があると判断しました。
次に血圧上昇について、通し番号59ページ、表69を御覧ください。海外第II相試験及びAURORA1試験の併合解析において、プラセボ群と比較して本薬群で高血圧の発現割合が高い傾向が認められたことから、本薬投与中は定期的に血圧を測定し適切な治療を行っても血圧コントロールが困難な場合は、本薬を投与中止するよう添付文書で注意喚起する必要があると判断しました。また、これらのリスク管理のためには、LNの治療に十分精通した医師の下で本薬が適切に投与される必要があると判断しました。腎毒性や血圧上昇以外のCNIで報告されている有害事象については、ほかのCNIと同様に添付文書で注意喚起する必要があると判断しましたが、その他の有害事象については臨床試験で大きな問題は認められませんでした。
以上、機構での審査の結果、LNに対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。
機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。まずは先生方からの御意見、御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
機構の方、海外の第II相試験で、特に本剤と副作用との関連が認められていない死亡例の増加があったと確認されていますが、少しその点の経緯を伺ってよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。審査報告書、通し番号の51ページを御覧いただければと思います。御指摘いただいた点については、海外の第II相試験(AURA-LV試験)において、本薬の23.7mg群で死亡例が多く認められたというものになります。こちらですが、死亡例の背景因子を検討したところ、東南アジアの被験者が多かったこと、また、UPCRやeGFRなどの腎機能が低下している患者が多かったことが分かっております。また、死亡例が多かった本薬の23.7mg群では、特に東南アジアから組み入れられた症例が多く、また、東南アジアで組み入れられた症例では全体的にLNの症状が重症な症例が組み入れられたことが分かっております。
これらの点及び本薬の39.5mg群(高用量群)では死亡例はプラセボ群と同程度であり、投与量と死亡との間に相関関係は認められなかったことから、死亡例が多く認められたことに関しては本薬が直接的な原因ではなく、LN状態が比較的重い患者が多かった東南アジア3か国の割り付けに不均衡があったことが影響したのではないかと考えられております。
ただ、LNの状態が悪かった被験者において死亡例が多く認められたことを踏まえまして、先ほど御説明したとおり、本薬投与開始時に腎機能が低い患者への投与に関しましては慎重に検討する必要があると考えておりますので、添付文書案の5.1項を御覧いただければと思います。5.1項の中に本剤投与により腎機能が悪化するおそれがあることから、eGFRが45以下の患者では投与の必要性を慎重に判断し、また、30未満の患者では可能な限り投与を避けることという形で注意喚起させていただいております。以上になります。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そのほか先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、ロビーに待機されています佐藤直樹委員の方、お戻りいただくようお伝えください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題2、資料No.2、医薬品ルプキネスカプセル7.9mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料については資料No.2-1「ルプキネスカプセル7.9mg」の審査報告書を御覧ください。
ループス腎炎(以下、「LN」)は全身性エリテマトーデスの主要な症状の一つであり、抗DNA抗体等の自己抗体と抗原の免疫複合体が腎組織に沈着し、サイトカイン等が放出され、炎症を惹起させることで糸球体が障害され、尿蛋白や腎機能低下が生じます。
本剤の有効成分であるボクロスポリンは、Aurinia Pharmaceuticals社により創製されたカルシニューリン阻害薬(以下、「CNI」)であり、T細胞の活性化を阻害しサイトカインの産生を抑制することにより、LNにおける腎障害を抑制するとされ、LNに対する治療薬となることが期待されます。LN患者を対象とした国際共同試験の成績から、本薬の有効性及び安全性が確認できたとして、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。海外では、本薬は、2024年6月現在、欧米を含む33か国でLNの効能・効果で承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示します専門委員を指名しております。
本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性に関して、審査報告書の通し番号41ページ、表45を御覧ください。活動性LN患者を対象とした国際共同第III相試験(AURORA1試験)では、尿蛋白/クレアチニン比や推算糸球体濾過量(以下、「eGFR」)により定義した腎奏効が主要評価項目とされ、52週時の腎奏効の達成割合はプラセボ群で22.5%、本薬群で40.8%、オッズ比は2.65であり、群間に統計学的な有意差が認められました。日本人集団については、通し番号48ページ、表56を御覧ください。主要評価項目である52週時の腎奏効はプラセボ群より本剤群で高く、全体集団と一貫した成績が示されました。以上より、LN患者における本薬の意義のある有効性は示され、日本人集団においても同様に有効性は期待できると判断しました。
安全性に関して、まずは本薬と同じCNIで報告されている腎毒性や血圧上昇のリスクについて説明します。腎毒性について、通し番号54ページ、表62を御覧ください。海外第II相試験及びAURORA1試験の併合解析において、プラセボ群と比較して本薬群で急性腎不全に係る有害事象の発現割合が高い傾向が認められたことから、本薬の投与開始時及び投与中は定期的に腎機能検査を実施すること、及び臨床試験で除外されていた腎機能が低下しているLN患者では、投与の是非を慎重に判断するべきである旨を添付文書で注意喚起する必要があると判断しました。また、臨床試験では、eGFRが低下した場合は本薬を減量又は休薬するよう規定されていたことから、添付文書においても、臨床試験に準じてeGFRが低下した場合は減量又は休薬するよう注意喚起する必要があると判断しました。
次に血圧上昇について、通し番号59ページ、表69を御覧ください。海外第II相試験及びAURORA1試験の併合解析において、プラセボ群と比較して本薬群で高血圧の発現割合が高い傾向が認められたことから、本薬投与中は定期的に血圧を測定し適切な治療を行っても血圧コントロールが困難な場合は、本薬を投与中止するよう添付文書で注意喚起する必要があると判断しました。また、これらのリスク管理のためには、LNの治療に十分精通した医師の下で本薬が適切に投与される必要があると判断しました。腎毒性や血圧上昇以外のCNIで報告されている有害事象については、ほかのCNIと同様に添付文書で注意喚起する必要があると判断しましたが、その他の有害事象については臨床試験で大きな問題は認められませんでした。
以上、機構での審査の結果、LNに対する本薬の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。
機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。まずは先生方からの御意見、御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
機構の方、海外の第II相試験で、特に本剤と副作用との関連が認められていない死亡例の増加があったと確認されていますが、少しその点の経緯を伺ってよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。審査報告書、通し番号の51ページを御覧いただければと思います。御指摘いただいた点については、海外の第II相試験(AURA-LV試験)において、本薬の23.7mg群で死亡例が多く認められたというものになります。こちらですが、死亡例の背景因子を検討したところ、東南アジアの被験者が多かったこと、また、UPCRやeGFRなどの腎機能が低下している患者が多かったことが分かっております。また、死亡例が多かった本薬の23.7mg群では、特に東南アジアから組み入れられた症例が多く、また、東南アジアで組み入れられた症例では全体的にLNの症状が重症な症例が組み入れられたことが分かっております。
これらの点及び本薬の39.5mg群(高用量群)では死亡例はプラセボ群と同程度であり、投与量と死亡との間に相関関係は認められなかったことから、死亡例が多く認められたことに関しては本薬が直接的な原因ではなく、LN状態が比較的重い患者が多かった東南アジア3か国の割り付けに不均衡があったことが影響したのではないかと考えられております。
ただ、LNの状態が悪かった被験者において死亡例が多く認められたことを踏まえまして、先ほど御説明したとおり、本薬投与開始時に腎機能が低い患者への投与に関しましては慎重に検討する必要があると考えておりますので、添付文書案の5.1項を御覧いただければと思います。5.1項の中に本剤投与により腎機能が悪化するおそれがあることから、eGFRが45以下の患者では投与の必要性を慎重に判断し、また、30未満の患者では可能な限り投与を避けることという形で注意喚起させていただいております。以上になります。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そのほか先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議はないようでございますので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、ロビーに待機されています佐藤直樹委員の方、お戻りいただくようお伝えください。
──佐藤(直)委員 入室──
○森部会長 続きまして、議題の3に移らせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題3、資料No.3、医薬品献血ヴェノグロブリンIH10%静注0.5g/5mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。
臓器移植後の拒絶反応は移植臓器の機能不全や廃絶の主な原因であり、患者の生命にも影響します。拒絶反応のうち、抗体関連型拒絶反応(以下、「ABMR」)は、患者が有する抗体と移植臓器の抗原による抗原抗体反応を介した補体活性化による内皮細胞の障害により、移植臓器が傷害される反応です。
本剤は血漿分画製剤であり、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンGを10%含有する静注用の免疫グロブリンG製剤(以下、「IVIG」)です。海外では、本剤と同一の製剤ではないものの、IVIGが欧米を含む世界各国で承認され、それぞれの国・地域のガイドラインに沿って、臓器移植後のABMRの治療にも用いられています。
腎移植後にABMRを発現した患者を対象とした国内臨床試験の結果及び日本移植学会が実施した使用実態調査に関する公表文献等を基に、今般、臓器移植におけるABMRの治療に関する本剤の製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示す専門委員を指名しております。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
有効性について審査報告書の通し番号9ページ、上から3行目を御覧ください。腎移植後にABMRを発現した患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「投与開始6か月後の移植腎生着率」は95.7%でした。本試験において、有効性を判断する基準は事前に設定されていなかったものの、公表文献等で示された生着率と比較し遜色ない結果であり、国内使用実態調査の結果や公表文献、国内外の診療ガイドラインの記載内容も勘案すると、本剤により小児も含め腎移植後のABMRの治療に関する意義のある有効性が得られることが期待できると判断しました。
肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植については、国内患者数が非常に限られており、臨床試験の実施が困難なため、国内使用実態調査の結果や国内外の公表文献に基づいて評価を行いました。その内容は通し番号の10ページから17ページに記載をしております。国内外の診療ガイドラインや国内使用実態調査の結果から、移植臓器にかかわらずIVIGがABMRの治療に使用され、有益な結果が得られていることが確認できました。加えて、国内外の公表文献において報告されているIVIGの効果と国内使用実態調査の結果に齟齬がないことや、ABMRの主要な機序と本剤の作用機序は移植臓器によらず同じであることも踏まえると、肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植のいずれにおいても、ABMRの治療に関する本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性については、通し番号20ページから22ページを御覧ください。腎移植後にABMRを発現した成人患者を対象とした国内第III相試験、国内使用実態調査及び国内外の公表文献で示された有害事象や副作用の発現状況からは、本剤の既知の安全性プロファイルと異なるような明らかなシグナルは認められず、臓器移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで既存の添付文書における注意喚起に基づいて適切に使用すれば、臓器移植時のABMRの治療に関する本剤の安全性は管理可能と判断しました。
以上の審査の結果、臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療に関する本剤の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議されることが適当と判断しました。
本申請に係る本剤の再審査期間は、追加される効能が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年間と設定することが適切と判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。特に御質問がないようですので、議決に入らせていただきます。なお、川上委員、中西委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。
本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題4に移ります。議題4について機構から概要説明をお願いしてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題4、資料No.4、医薬品テッペーザ点滴静注用500mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤は、ヒト型抗IGF-1受容体モノクローナル抗体であるテプロツムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする、活動性甲状腺眼症の治療薬です。
甲状腺眼症は、バセドウ病等に伴って認められる眼窩組織の自己免疫炎症性疾患であり、眼窩周囲の炎症が強い活動期においては、眼窩線維芽細胞の活性化及び増殖に伴い、眼窩結合組織の炎症、外眼筋の炎症及び線維化等を特徴とする眼球突出をもたらします。その結果、眼窩痛、斜視及び複視等が認められ、重症化すると瞼裂開大及び甲状腺視神経症の悪化等が認められます。また、眼球突出により、顔貌の変化に加え、眼瞼を完全に閉じることができないことに伴う角膜潰瘍や炎症により腫大した外眼筋による視神経圧迫等が生じ、甲状腺眼症患者の約6%では視力が低下しているといった報告もあります。甲状腺眼症では、炎症が消失した非活動期においても眼窩組織の構造変化等の病状は残存し、時間の経過に伴い、外眼筋の線維化による永続的な構造障害に至ります。
甲状腺眼症は、IGF-1受容体又は甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己免疫反応が惹起するシグナルの活性化に起因すると考えられておりますが、本剤は、眼窩線維芽細胞等で発現するIGF-1受容体に結合することにより下流のシグナル伝達を阻害し、IGF-1受容体等に対する自己免疫反応によって引き起こされるシグナルを抑制することで、眼窩の炎症、細胞外基質の過剰合成及び組織増殖を抑制することで、甲状腺眼症に対する効果を示すとされています。
海外では、本剤は2020年1月に米国で承認され、また、2024年6月時点において、欧州、英国、カナダ等において審査中です。
本品目の専門協議では、資料No.24に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有構性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性については、審査報告書通し番号24ページの表22を御覧ください。中等症から重症の活動性甲状腺眼症患者を対象とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である国内第III相試験において、主要評価項目は眼球突出奏効率とされました。なお、眼球突出奏効率は、左右の眼のうち、眼球突出の重症度が高い側の眼である試験眼の眼球突出がベースラインから2mm以上減少し、かつ、試験眼とは逆の眼である僚眼の眼球突出に2mm以上の増加が認められない被験者の割合として算出されました。その結果、投与24週時の眼球突出奏効率について、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。次に、審査報告書通し番号27ページの表26を御覧ください。国内第III相試験と同様のプロトコールにて実施された、中等症から重症の活動性甲状腺眼症患者を対象とした海外第III相試験においても、主要評価項目である眼球突出奏効率について、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。以上の結果等から、本剤は活動性甲状腺眼症に対する意義のある有効性を示すと判断いたしました。
続いて、安全性について審査報告書通し番号35ページの表35を御覧ください。国内第III相試験及び海外第II相及び海外併合解析の二重遮蔽投与期間の結果から、本剤群ではプラセボ群と比較して有害事象、副作用、重篤な有害事象及び投与中止に至った有害事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、認められた事象のほとんどは非重篤であり、転帰も、適切な処置等が実施されることで大半が軽快又は回復となりました。ただし、本剤投与時に認められた有害事象のうち、聴覚障害に関連する事象については、IGF-1シグナルの阻害が聴覚障害に関連することが既存の文献等から示唆されていること、臨床試験において未回復である事象が認められていること、海外市販後データでは、難聴を含む重篤でかつ転帰が未回復である事象が報告されていること等を踏まえると、聴覚障害は本剤投与に際して特に注意すべき事象と考えております。
本剤にはこのような注意点はありますが、本邦においては甲状腺眼症に対する治療薬がこれまでに承認されていないことや、本剤の臨床試験において活動性の甲状腺眼症に対する明確な有効性が示されていること等を考慮すると、本剤の活動性甲状腺眼症に対するベネフィットは聴覚障害発現のリスクを上回ると判断しました。なお、聴覚障害のリスクに対しては、本剤投与開始前に聴力測定を行い本剤投与の適否を判断すること、本剤の投与期間中に定期的に聴力測定を行うこと、聴覚障害が発現するリスクについて患者に説明した上で、聴覚障害の徴候が認められた場合には、医療機関を受診するよう患者に指導することを添付文書における重要な基本的注意の項などにおいて注意喚起することが必要であると判断しました。
また、製造販売後調査などにおいて聴覚障害の発現状況や対応、転帰等について情報収集するとともに、聴覚障害に関する注意喚起の適切性について継続して検討した上で、リスクベネフィットバランスに関連する必要な注意喚起や最新情報など、医療現場に周知すべき新たな知見等が得られた場合には、速やかに情報提供することが適切と判断しました。以上のとおり、本剤の活動性甲状腺眼症に対する有効性は示され、また、認められた有効性を考慮すると、適切な注意喚起をした上であれば、活動性甲状腺眼症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断しました。
以上の検討の結果、「活動性甲状腺眼症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。それでは先生方から御意見、御発言はいかがでしょうか。ありませんでしょうか。本日、欠席の根岸委員からは特に御発言はなかったでしょうか。御意見はないですか。ありがとうございます。今、進行している402試験の概要を少し教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。先ほど申し上げたとおり、本剤については聴覚障害発現のリスクが示唆されておりますが、現在、そういった聴覚障害がどのような特徴を有しているかといった情報がまだ詳細には得られておりません。その情報の一助として、現在、海外において実施中の、投与回数についての適切性について評価するための臨床試験に組み入れられた被験者に対して、サブスタディとして聴覚障害のリスクについて評価する試験が計画されております。サブスタディの目的としては聴覚障害の発現リスクに加えて、実際にオージオグラムを評価して聴覚障害の特徴がどのようなものなのかを評価する、かつ、その発現割合と潜在的なリスクファクターについて相関を検討するといった計画が提示されています。本試験により、今回の本剤の投与による聴覚障害の特徴に関する情報が得られることが期待されることから、重要な試験と考えております。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そのほか、先生方の御質問はよろしいでしょうか。では、特段ありませんので議決に入らせていただきます。なお、阿古委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題5に移ります。議題5について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、アリッサ配合錠について御説明いたします。資料No.5の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全57ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤は、天然型卵胞ホルモンであるエステトロールの水和物、及び合成黄体ホルモンであるドロスピレノンを有効成分として、それぞれ15mg及び3mg含有する実薬錠24錠、並びに有効成分を含有しないプラセボ錠4錠から構成される、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(以下、「LEP配合剤」)であり、エステトロール水和物は新有効成分に該当します。今般、国内の臨床試験成績等に基づき、「月経困難症」を効能・効果として本剤の製造販売承認申請がなされました。
月経困難症において、治療選択肢としてLEP配合剤を使用することが本邦のガイドラインで推奨されており、本邦において、複数のLEP配合剤が月経困難症を効能・効果として承認されています。本剤は2024年6月現在、米国、欧州、カナダ等12の国又は地域で経口避妊薬として承認されていますが、月経困難症に係る効能・効果では承認されていません。
本品目の審査の概略について御説明します。
有効性について、通し番号36ページ、表36を御覧ください。月経困難症患者を対象とする国内第III相試験であるFSN-013P-03試験において、主要評価項目とされた治験薬投与開始から4月経周期目における月経困難症スコアのベースラインからの変化量について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示され、得られた変化量の群間差には臨床的意義があると判断しました。
安全性について、通し番号37ページ、表37を御覧ください。プラセボ群と比較して本剤群で月経中間期出血及び重度月経出血が多く認められましたが、本剤投与下の性器出血の程度及びその推移等を踏まえると、本剤の出血プロファイルは既承認のLEP配合剤と大きく異なるものではないと判断しました。また、LEP配合剤の重篤な副作用として知られている血栓症について、国内臨床試験では発現は認められていませんが、本剤の作用機序を考慮すると、現時点では血栓症の発現リスクは否定できないと考えます。既承認のLEP配合剤では、血栓症の発現リスクについて、本邦の診療ガイドラインに従い、医療現場において適切な管理がなされていることから、本剤についても既承認のLEP配合剤と同様の注意喚起及び情報提供を行うことにより管理することが適切と判断しました。加えて、本剤のその他の安全性についても、既承認のLEP配合剤と比較して新たな懸念は示唆されていないと判断しました。
製造販売後の検討事項について、安全性に係る検討を踏まえ、本剤の製造販売後調査を承認後直ちに実施する必要性は低く、市販直後調査及び通常の医薬品安全性監視活動による情報収集に基づき適切な安全対策を確実に行うことで差し支えないと判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。堀委員どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。私からは2点質問させていただきます。この月経困難症は、特に思春期において社会や生活への影響がかなり大きいと伺っています。ですので、そのため若年層が使用する可能性が当該薬品もあると思っているのですけれども、まず1点目は、初経後いつから使用が可能であるのか、それを教えていただきたいと思います。
また、2点目に関しましては、当該薬は海外では経口避妊薬として認められているとお聞きした上で、長期服用において、その後の妊娠への影響というものがどれだけあるのか教えていただけたら有り難いです。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。1点目の御質問について、初経後いつから使用可能かということですけれども、添付文書案の禁忌の2.19に記載していますが、LEP配合剤で共通の記載ですが、骨成長が終了していない可能性がある患者は禁忌に設定していますので、思春期の骨成長が終了していない可能性がある患者さんには本剤は使われないと考えています。
○堀委員 ごめんなさい、知識がなくて大変申し訳ないのですけれども、それというのは結局具体的にどういうことなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。本剤の作用上、骨形成の十分に完了していない患者さんでは、エストロゲンのレベルが低下するということによって骨の成長に懸念を生じるということで、若年の患者さんの場合、骨成長が終了の判断をもって本剤を使うべきだというところから禁忌の設定をしております。
○医薬品医療機器総合機構 補足いたしますと、LEP配合剤については、国内のOC・LEPガイドラインの「何歳から服用を開始できるか」という項において、初経発来後から開始できるが、骨成長、骨密度への影響を考慮する必要がある旨の記載がありますので、臨床ではそういったガイドラインの記載も踏まえ使用されるのではないかと考えています。
○堀委員 ありがとうございます。そうしますと、それを判断されるのが主治医ということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○堀委員 ありがとうございます。あともう1点の質問の回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では後観察期間を設けていまして、その中で月経の発来を確認しています。今回の試験でも投与終了後、一定期間経った後に月経が発来するということが確認されていますので、服用を止めれば妊娠は可能になると考えています。
○堀委員 ありがとうございます。あともう1点、患者さん向けの資材なのですけれども、既に認められている月経困難症の薬に関して、先ほどおっしゃっていた血栓症の疑いとかが出てくる場合のために、他の診療科や医療機関を受診される場合に、患者携帯カードというのを発行していると思うのですけれども、この当該薬もその予定でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおり、本剤でも患者携帯カードを患者さんが携帯しておくという規定になっています。
○堀委員 分かりました、どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御意見いかがでしょうか。では、私から一つ。今回の臨床試験で、主要評価項目の月経困難症スコアというのは、他のLEP薬でも使っている指標かと思いますけれども、実臨床上この指標を使って診療されているかどうかはちょっと不明でしたが、より臨床的に情報を含むと思われる腹痛の程度などのVASスコアなども含めた情報について、今後、医療機関や資材で提供する予定はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。月経困難症スコアそのものを一般臨床で使用しているというわけではありませんが、月経困難症スコアは疼痛とそれがもたらすQOLの影響を総合評価するという観点では、実臨床で行われている評価と変わらないものとして受け入れられているものと考えています。今回の試験でも、おっしゃったような痛みに関する評価、VASの評価も副次評価項目として評価を行っており、その結果は確認しておりますが、月経困難症というのは、疾患の特性上、痛みだけでは評価が難しいというところがあります。
特にLEP配合剤を使用する患者さんは、既に鎮痛薬を使用されていることが多く、痛みの評価だけでは難しいため、既存のLEP配合剤と同様に月経困難症スコアが、QOLの評価と鎮痛薬の使用等を含めたトータルの有効性の評価を行う上で適していると考えており、月経困難症スコアを主要評価項目として評価し添付文書にも記載することが適切ではないかと考えています。
○森部会長 記載はそれで結構ですので、そのほかの副次評価項目についても、臨床現場に提供する方法を何らかの形で、インタビューフォームですとか資材等でも提供できればと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。副次評価項目の結果も含め、資材に記載できるか今後検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか先生方から御意見いかがでしょうか。特にないようでしたら、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、佐藤直樹委員、中西委員、矢野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決参加を御遠慮いただくことになっています。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議ないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題6に移ります。議題6の概要説明を機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品ユバンシ配合錠について、機構より説明します。資料No.6の審査報告書を御覧ください。
審査報告書の一番下、全30ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、エンドセリン受容体拮抗薬であるマシテンタン10mg、及びホスホジエステラーゼ-5阻害薬であるタダラフィル40mgを有効成分とする配合剤です。両有効成分は、いずれも国内外で肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)治療薬として承認されています。これらの有効成分の併用療法は国内外の診療ガイドラインにおいて推奨されており、既に本邦の医療現場で広く併用されています。今般、国際共同試験成績等を基に本剤の製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は2024年3月現在、米国等で承認されています。
本品目の審査の概略について説明します。今般の申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるA301試験の結果が提出されました。A301試験では、併用療法と単独療法の有効性及び安全性が比較検討されました。
有効性について、通し番号13ページ、表10を御覧ください。投与16週後の肺血管抵抗のベースラインからの変化比が主要評価項目とされ、マシテンタン単独療法に対する併用療法の優越性、及びタダラフィル単独療法に対する併用療法の優越性が示されました。
安全性について、通し番号14ページ、表11を御覧ください。A301試験において、併用療法では、単独療法と比較して、貧血、低血圧、末梢腫脹等の発現割合が高くなる傾向が認められましたが、通し番号19~22ページ、7,R,3項に示すように、有害事象の重症度及び転帰並びに実臨床において、マシテンタン及びタダラフィルを併用投与したときの安全性情報を踏まえると、併用療法のリスクは臨床的に許容可能と判断しました。ただし、併用療法の開始初期は各有効成分の副作用が発現しやすく、薬剤の調節が必要となる場合が想定され、成分と用量が固定された配合剤は単剤併用と比較して患者の状態に応じた薬剤の調節が困難であることなどから、本剤の広く推奨される使用方法は、原則としてマシテンタン10mg及びタダラフィル40mgを一定期間投与し、状態が安定している患者とすることが適切と判断しました
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は新医療用配合剤であることから、再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。循環器領域の御専門でいらっしゃる阿古先生、御発言いかがですか。
○阿古委員 ありがとうございます。今このERAとPDE5阻害剤、基本的にPAHの患者さんには、ほぼ皆さん併用で入っているというのが実情ですので、このような配合剤が出るというのは、非常に臨床的には我々使いやすいものになるのではないかという期待は持っています。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。佐藤直樹委員、御発言いかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 阿古先生おっしゃるように、2剤併用は非常に多いのですけれども、ちょっと一つだけ確認なのですけれども、単剤で併用されて、その後2剤併用というパターンもあるのですけれども、その際に一旦2剤を併用した患者さんのみ、この配合剤を使えるのか、あるいは追加する時点で配合剤を投与できるのか。他の領域の配合剤だと、一度併用してからこの配合剤という形になるのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。先ほど御説明させていただいたとおり、原則として広く推奨できる使い方としましては、一度単剤同士を併用していただいてからの切替えと考えています。ただ、例えばPAHの専門医の方であったり、あるいは患者さんが入院下で、安全性について手厚くフォロー可能な環境であったりというような状況も考えられますので、原則以外の使い方、つまり先ほどおっしゃっていただいたような、単剤からプラスで成分を足すときに本剤を使い始めるという使い方を否定するものではないと考えています。
○佐藤(直)委員 了解しました、ありがとうございます。
○森部会長 そのほか御発言ありますでしょうか、御意見いかがですか。よろしいでしょうか。それでは特に御意見がないようですので、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことになっています。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題7に移ります。議題7について、機構から概要説明の準備をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品トレプロスト吸入液1.74mgについて機構より御説明いたします。資料No.7の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全37ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤は、プロスタグランジンI2誘導体であるトレプロスチニルを有効成分とする吸入剤であり、本邦では「肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)」の効能・効果で2022年に承認されております。今般、国内外の臨床試験成績を基に、「間質性肺疾患に伴う肺高血圧症(以下、「ILD-PH」)」を申請効能・効果として医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、海外では、2024年6月現在、ILD-PHに係る効能・効果として、米国を含む五つの国又は地域で承認されております。また、本剤は、本申請に係る効能・効果について、希少疾病用医薬品に指定されております。
本品目の概略について御説明いたします。まず、本剤の臨床開発計画について御説明いたします。本剤のILD-PHに係る開発は海外が先行しておりました。加えて、本邦におけるILD-PHの患者数は限られていたことから、国内臨床試験については、海外と同じ6分間歩行距離に加え、客観的な評価指標である肺血管抵抗係数(以下、「PVRI」)を主要評価項目として設定した非盲検非対照試験として実施されました。以上の経緯から、本剤の日本人患者に対する有効性及び安全性については、海外臨床試験と国内臨床試験の比較に基づき検討されました。
本剤の有効性について、通し番号12ページの表8を御覧ください。ここに示すように、ILD-PH患者を対象とした海外第II/III相試験において、主要評価項目である投与16週時のピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量について、プラセボ群と比較して本剤群で有意に大きい結果が得られました。日本人のILD-PH患者における有効性については、通し番号9ページの表4を御覧ください。ILD-PH患者を対象とした国内第II/III相試験において、主要評価項目である投与16週時のPVRIの変化率について、ベースラインと比較して改善が認められました。また、もう一つの主要評価項目である投与16週時のピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量は、通し番号9ページの表5に示すように、海外第II/III相試験の本剤群と比較して明らかな違いは認められませんでした。以上より、日本人のILD-PH患者においても本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
続いて、安全性について、通し番号22ページからの「7.R.4 安全性について」の表16~18を御覧ください。国内外の臨床試験の結果に基づき検討した結果、呼吸困難及び肺炎を除き、ILD-PH患者とPAH患者で安全性プロファイルに明らかな差異は認められませんでした。呼吸困難については、基礎疾患であるILDに伴い発現しうる有害事象であり、海外第II/III相試験でもプラセボ群と比較して本剤群で発現割合が高くなる傾向は認められなかったこと等から、追加の注意喚起は不要と判断いたしました。肺炎については、国内第II/III相試験で認められた1例以外に、本剤及び本剤と同一の有効成分の注射剤の臨床試験及び製造販売後の報告において、本剤の有効成分との因果関係を強く示唆する症例は認められませんでした。したがって、現時点では添付文書において薬剤性肺炎に関する注意喚起を行う必要まではないものの、医薬品リスク管理計画の「重要な潜在的リスク」に薬剤性肺炎を設定した上で、製造販売後調査で情報収集を行うことが適切であると判断いたしました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は、希少疾病用医薬品としての申請であることから、本申請に係る再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。では、本件についても循環器御専門の佐藤直樹先生から御意見をいかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 一つ、コメントですが、この吸入薬、通常の肺動脈性肺高血圧の患者さんでも、結構咳嗽が多くて、特に、この肺線維症がある患者さんについては、その咳嗽の頻度が多くなる。先ほど、大きな違いはないので症状は変わりないということでしたが、是非、市販後調査の結果を踏まえて、もし、吸入の仕方とか、その辺の注意喚起があるようでしたら、しっかりと情報提供していただければと思います。お願いします。
○森部会長 ありがとうございました。続いて、阿古委員からはいかがでしょうか。
○阿古委員 ありがとうございます。佐藤先生と同じ意見ですが、私としても、今までの治験では、特に、いわゆるハードエンドポイント、死亡などに関するシグナルは認められていないということですが、もし、市販後でその辺をきっちり検討できるようでしたら検討していただければと考えました。この薬剤がILD-PHにも役立つようでしたら、それは患者さんにとっては福音になるのではないかと感じました。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。機構の方からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 コメントを頂き、ありがとうございます。頂いた咳嗽の発現状況、ハードエンドポイント、死亡など、何かしらの臨床症状の悪化に関する転帰については、市販後にも情報収集し、必要に応じて適切な対応を行っていこうと思っております。
○医薬品医療機器総合機構 機構より補足でコメントいたします。咳嗽について、初回の承認時にも、やはり御指摘のように一定程度問題になることが分かっておりましたので、発現時の対応として、症状が現れた場合に水で少し喉を潤していただいたり、吸入時の対応なども既に一定程度情報提供を行っており、今回も同じような情報提供なども同時にさせていただく予定です。以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。やはり、背景に間質性肺炎があることを考えますと、咳嗽に対する注意喚起、若しくは情報収集を今後も行っていただくということで、是非お願いしたいと思っています。
あと、もう1点、肺炎について少し確認ですが、国内の開発で1例認められているということで、また、本剤との因果関係も否定されないということですので、今後の重要なリスクの中にお含めいただいたことは、今、理解いたしました。添付文書の中でも、臨床成績の中に肺炎の例があったことについて、付記していただくことは御検討いただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生からの御指摘を踏まえ、添付文書の臨床成績の項に副作用が書いてある箇所があるのですが、その最後の部分、7.18.1.3項の最後のところに重篤な副作用として薬剤性肺炎5.0%の発現が認められ、投与中止により回復したといった、このような文書を一文、付記させていただこうと考えております。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続いて議題9に移らせていただきます。機構の方から議題9について説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料No.9、医薬品クービビック錠25mg、同錠50mgの製造販売承認の可否等について機構から御説明いたします。資料No.9の審査報告書を御覧ください。はじめに、審査報告書の一番下、全56ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤はダリドレキサント塩酸塩を有効成分とするオレキシン1及び2受容体の拮抗薬であり、今般、不眠症患者を対象とした国内臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は、海外では不眠症を適応として米国では2022年1月、欧州では2022年4月に承認され、2024年6月現在、33の国又は地域で承認されております。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている7名の委員を指名しております。
本品目の審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。
有効性について、通し番号で35ページの表40を御覧ください。不眠症患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「主観的総睡眠時間(以下、「sTST」)のベースラインから治験薬投与4週時までの変化量」及び「主観的入眠潜時(以下、「sLST」)のベースラインから治験薬投与4週時までの変化量」について、いずれの項目においてもプラセボ群に対する本剤50mg群の優越性が検証されました。また、通し番号で38~39ページの表43及び表44を御覧ください。本剤25mg群については、統計学的な検討は事前に計画されていなかったものの、国内第III相試験である304試験においてプラセボ群と比較してsLSOが短縮する傾向及びsTSTが延長する傾向が認められ、海外第III相試験である301試験及び302試験においても同様の傾向が認められました。以上の結果等を踏まえ、「不眠症」に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
次に、安全性について、通し番号で42ページ、「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。今般提出された臨床試験成績、類薬で報告されている注目すべき有害事象等を中心に検討を行い、その結果、適切な注意喚起の下で使用されることで、本剤50mg及び25mg投与時の安全性は許容可能と判断しました。
用法・用量について、通し番号で49ページ、「7.R.6 用法・用量について」の項、及び通し番号で52ページ、「1.2 用法・用量について」の項を御覧ください。機構は、臨床試験において本剤50mg投与により有効性が検証され、かつ国内第III相試験及び国内長期投与試験において、sLSOの短縮及びsTSTの延長は、本剤25mg群と比較して本剤50mg群で高い傾向にあったことから、本剤25mg投与より50mg投与で高い効果が期待できること、安全性の観点では、本剤50mg投与を避けるべきと考えられるような事象は認められておらず、本剤25mg投与時と比較してリスクが明らかに高くなる傾向もないことから、本剤の通常用量は50mgとし、患者の状態に応じて、医師の判断により25mgに減量可能とすることが適切であると考えました。専門協議において、不眠症の治療に当たっては、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて治療を開始する場合や、一般的に生理機能が低下している高齢者では、副作用の発現が懸念されるため、睡眠薬の投与に際しては、患者の状態に応じて低用量から開始し、有効性及び安全性を確認し必要に応じて増量する場合があるとの御意見があったことを踏まえ、本剤の開始用量は基本的には50mgとするものの、患者の状態によっては25mgとすることも可能と判断しました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。柴田委員に御意見を伺いたいのですが可能でしょうか。本剤50mgの使用をまずは基軸として、25mgの使用も可としているようですが、本剤の臨床試験成績の解釈として、解析方法等、特に問題はございませんでしょうか。いかがでしょうか。
○柴田委員 柴田です。機構の御判断、特に問題ないと思います。
○森部会長 どうもありがとうございました。堀委員どうぞ。
○堀委員 私からは、認知症の方でも睡眠障害のある方がかなりいらっしゃると思うのですが、当該薬は、その認知症の方にも服用は可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤について、認知症の患者さんを除外するというような規定は設けておりません。実際に、現在、医療現場で不眠症に対して使用可能な既存薬が複数ございますが、その薬剤についても、医師が処方する際に、各患者さんの状態に応じて用量なども含めて判断されているかと思いますので、本剤も同じように使用していただくことが可能かと考えております。
○堀委員 はい、どうもありがとうございました。以上です。
○森部会長 もし、よろしければ、石川委員にお伺いしたいのですが、オレキシン受容体拮抗薬は、全般的に睡眠薬の中では、高齢者の方に使用する場合の適応はいかがでしょうか。
○事務局 石川委員は退出されました。
○森部会長 では、本質問は取り消させていただきます。そのほか、先生方からよろしいでしょうか。では、佐藤陽治委員お願いします。
○佐藤(陽)委員 7.R.3.4のところに、反跳性不眠と退薬症候についての記述があるのですが、これは臨床試験の段階では、反跳性不眠の傾向は認められなかった、また、退薬症候を示唆する有害事象は認められなかったという結論ですが、製造販売後調査の中で、こうした事象は追跡できるのかどうかが気になります。要するに、使わなくなってから出てくる話なので、これらは追跡できるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 不眠症の治療薬においては、投与期間は個々の患者さんに応じて判断されているところです。例えば、本剤ですと、24週を目安にというところで、すぐに投与を中断することがなかなか難しく、投与を中止したときに、反跳性不眠、退薬症候なども出てくることもあるので、患者さんに応じて先生方が投与期間を判断しているものと考えております。
本剤については、製造販売後調査を実施予定であり、個々の患者さんにおいて観察期間を、24週間まで追うことになっておりますので、その中で投与を中断、あるいは減量したときのフォローアップも含めて確認できるという形になっております。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大森委員からお願いいたします。
○大森委員 先ほどの用量の問題ですが、添付文書では、「通常1日1回50mgを就寝直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、1日1回25mgを投与することができる」と。これは、初回投与は必ず50mgにしろということになるのでしょうか。それとも、患者の状態によっては、初回から25mgでもいいと解釈してもいいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解いただきましたとおりで、初回投与から25mgでも投与してもよいという用法・用量としております。
○森部会長 大森先生、それでよろしいでしょうか。
○大森委員 一応、説明は分かりましたが、何となくこの表現が、初回は50mgにしろと解釈されそうな気がするのですが、そうですね、まあ、よろしいのかと思います。了解いたしました。
○森部会長 25mgから慎重投与するように規定されている一定の背景の方もいらっしゃるということで、特に、中等度の肝障害の方や中等度のCYP3A阻害剤との併用の場合ということは指定されているわけですが、高齢者においても、一般に生理機能が低下しているといった記載もございますので、高齢者での使用に当たっての用量については、今後、資材等の記載も含めて、少量からの使用も御検討いただくように促していくことでいかがでしょうか。
○大森委員 はい、それがよろしいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 頂いた御意見も踏まえて、企業と適切な情報提供ができるよう、検討し対応させていただきます。
○森部会長 それでは、大森委員よろしいでしょうか。
○大森委員 はい。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか、御意見はございますでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続いて、議題10に移らせていただきます。議題10について、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料No.10、医薬品ファダプス錠10mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.10の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全51ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
ランバート・イートン筋無力症候群(以下、「LEMS」)は、主に神経筋接合部のシナプス前膜に存在するP/Q型電位依存性カルシウムチャネルに対する自己抗体が神経細胞へのカルシウム流入を阻害し、コリン作動性神経終末からシナプス間隙へのアセチルコリンの放出が阻害されることにより神経筋伝達障害が生じることで、四肢近位筋の筋力低下、腱反射の低下、自律神経障害等を呈する自己免疫性疾患であり、主に40歳以降に発症いたします。本邦におけるLEMS患者数は348人と推定されており、LEMSに対して承認されている薬剤はございません。
本剤は、電位依存性カリウムチャネル阻害作用を有する薬剤であり、シナプス間隙へのアセチルコリン放出の亢進を介して、神経筋伝導を増強することにより、LEMS患者における筋力低下を改善することが期待されます。海外では欧米を含む6の国又は地域で承認されており、本邦では、「第34回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと評価され、開発要請が行われ、今般、国内臨床試験成績等に基づき、本剤の医薬品製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている8名の委員を指名しております。
審査の内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
通し番号で37ページの「7.R.1 臨床的位置づけについて」の項を御覧ください。アミファンプリジンは、1970年代より欧州でLEMS患者に対して使用され始めたとされており、現在では、国内外においてLEMS治療のアルゴリズムが提唱され、本邦のLEMS診療ガイドラインでは、提唱された治療アルゴリズムを基に、アミファンプリジンを第一選択薬として投与することが推奨されています。また、本邦ではLEMS患者に対して試薬として流通しているアミファンプリジンを院内製剤として投与されている実態がございます。続いて、通し番号で35ページの表29を御覧ください。プラセボ対照二重盲検無作為化治療中止試験のデザインにおいて実施された海外第III相試験の有効性の主要評価項目において、プラセボ群と本剤群との間に統計学的な有意差が認められており、海外臨床試験で本剤の有効性が確認されております。このような背景や、LEMSは極めて希少な疾患であること等を踏まえた上で、国内第III相試験が実施されました。
国内第III相試験の有効性の結果について、通し番号で33ページの表27及び34ページの表28を御覧ください。非対照試験である国内第III相試験において、主要評価項目である治療期での本剤投与7日目におけるQMG総スコアのベースラインからの変化量において改善する傾向が認められ、長期投与時においてもその改善が維持する傾向が示されました。また、39ページの表33を御覧ください。個々の被験者におけるQMG総スコアのベースラインからの経時的推移は、被験者ごとに改善の程度は異なるものの、本剤が投与された全ての被験者において改善傾向にあり、長期投与時においても維持する傾向が認められ、多くの被験者において臨床的に一定の意義のある改善が認められていると考えられました。国内第III相試験はプラセボ等の対照群との比較がなされていないことから有効性の解釈には一定の限界はあるものの、以上の国内外の臨床試験成績を踏まえ、日本人LEMS患者の筋力低下に対する本剤の有効性は期待できるものと判断し、専門協議において、機構の判断は支持されました。
次に安全性について、通し番号40ページの「7.R.4 安全性について」の項を御覧ください。提出された試験成績等を検討した結果、本剤投与時に痙攣発作等の有害事象の発現に注意を要しますが、これらの事象に対して適切な注意喚起の下で使用されることで、LEMS患者における本剤の安全性は許容可能と判断しました。なお、製造販売後、一定の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することが適切と判断しています。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたしま
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御発言はございますか。特にございませんか。本剤は、代謝している酵素、NAT2という遺伝子多型がございまして、Rapid acetylator(以下、「RA」)とSlow acetylator(以下、「SA」)がいるということで、海外では、ほぼ半々なのでしょうかね。日本では、RAの方が9割で、SAの方が1割という理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 NAT2遺伝子型の割合に関しては、御理解のとおりです。
○森部会長 添付文書におきましても、血中濃度の動態につきまして16の項目を中心にかなり詳細に御記載いただいておりまして、遺伝子型の違いによりまして、CmaxやAUCなどに大きく違いがあるということが明確に示されております。海外でも本邦でも、添付文書上、特にこの代謝酵素の遺伝子多型によって用量の違い等を設定していないと理解しているのですが、海外の添付文書では、NAT2遺伝子の検査を過去にされていて、そのジェノタイプが分かっている方については、代謝がやや遅くなり血中濃度が上がりやすいという注意喚起をされていると思うのですけれども、日本での市販後調査をなさる際に、NAT2遺伝子の多型が既に検討されている方については、その情報も収集していただくことは可能でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 NAT2の遺伝子検査は、本邦では保険で償還されていないので、どの程度検査が実施されているかということは未知数ではありますが、その点も含めて調査がなされるように申請者とも協議をしたいと思います。
○森部会長 日本で348人いらっしゃるこの疾患で、約1割の方がSAなどでございますので、実際使用されていき用量を調節されていく中で、遺伝子多型が分かっている方については、その用量や臨床の改善度についての情報があった方がよりよいかと考えていますし、今後使用なさる上で、NAT2遺伝子の検査をある程度織り込んでいくように学会等に働きかけるかどうかなどということについても、その調査の結果が重要かと思っていますので、是非その旨御検討をと思っています。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その点、情報収集されるように調整させていただきます。
○森部会長 本件につきまして、先生方から何か御意見がございましたら、いかがでしょうか。
○赤羽委員 赤羽ですけれど、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○赤羽委員 今の代謝酵素の遺伝子多型の件で私もお尋ねしたいと思っていたのですが、痙攣の副作用の発生頻度とその関連性に関して、今後、もし市販後調査の情報が集められたら、そこでまた明らかになっていくかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
あと、やはりカリウムチャネルの阻害剤で、どうしてもhERGチャネルに対するブロックとかQT延長ということが心配になりますが、これまでの臨床成績では特段のそういった事象は認められていないと一応報告書にはありましたけれども、リスクの高い方々はやはりいらっしゃると思いますので、そこも引き続きモニターをしていただけると今後のためにも良いのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず痙攣発作に関して、製造販売後調査で確認する予定となっていますので、先ほど部会長から御指摘いただいた点も含めて、市販後で、用量ですとか、患者背景から痙攣発作の発現割合が変わらないかといったところを、調査できるように申請者と協議し、対応したいと思います。また、御指摘いただいたQT延長に関しましても、御指摘いただいたとおり、Thorough QT試験ではQT延長のリスクがないと判断をしていますけれども、RMPでも潜在的リスクとして心臓障害を設定し、心臓への影響全般に問題がないかといったところは、市販後も含めて注視したいと考えております。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○森部会長 今の機構の御説明だと、心臓障害のところについて、そのQTの延長についてより具体的に何か追記をすることも可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では、臨床試験等から明確なリスクは認められておりませんので、特段、添付文書等で注意喚起することは考えておりませんが、赤羽委員御指摘のとおり、製造販売後調査等の市販後の情報を踏まえて、今後適宜追加の注意喚起の必要性について引き続き検討したいと考えております。
○森部会長 特に、循環器の先生方から追加で御発言等、もしございましたらいかがでしょうか。
○阿古委員 阿古ですけど、特にございません。ありがとうございます。
○森部会長 佐藤直樹委員、いかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 はい、特にございません。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入らせていただきます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続きまして議題11に移らせていただきます。それでは議題11につきまして、機構から説明の方、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題11、資料No.11、医薬品ロゼバラミン筋注用25mgの製造販売承認の可否等について、機構から御説明いたします。資料No.11の審査報告書を御覧ください。
はじめに、審査報告書の一番下、全47ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位及び下位運動ニューロンの進行性変性をきたす神経変性疾患です。全身の骨格筋の筋力低下及び筋萎縮の進行を症状の中心とし、進行すると日常生活動作が次第に困難となり、換気補助療法を施行しない場合での生存期間の中央値は3~4年と想定されております。
本剤は、活性型ビタミンB12の一種であり、本邦では、本薬を有効成分とした筋肉内・静脈内投与製剤であるメチコバール注射液500μgが末梢性神経障害及び巨赤芽球性貧血に係る効能・効果で、経口投与製剤であるメチコバール錠250μg他が末梢性神経障害に係る効能・効果で、それぞれ承認されております。今般、ALS患者を対象とした医師主導治験を含む臨床試験成績に基づき、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。本薬は、海外において末梢神経障害等に係る効能・効果で30の国又は地域で承認されているものの、本年8月現在、ALSに係る効能・効果で承認されている国又は地域はございません。
本申請の専門委員として資料No.24に記載されている5名の委員を指名しております。
本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
まず、有効性について、審査報告書の通し番号24ページの表21を御覧ください。罹病期間1年以内のALS患者を対象に、国内第III相試験として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(763試験)が実施されました。主要評価項目である、「観察期終了時から治療期16週時のALSFRS-R合計点数の変化量」について、本剤群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。続いて、通し番号28ページの表25を御覧ください。観察期終了時から治療期16週時の副次評価項目について、概ね本剤群の有効性を支持する傾向が示唆されております。これらより、本剤のALS患者に対する有効性は示されたと判断いたしました。
次に、安全性について、通し番号31ページから始まる「7.R.3 本剤の安全性について」の項を御覧ください。提出された臨床試験成績等を検討した結果、本剤投与にあたっては、本薬の既承認効能・効果に対する使用時と同様にアナフィラキシーに関連する事象については注意が必要であるものの、当該事象を含め、既承認効能・効果に対する本剤使用時と同様の適切な注意喚起のもとでの使用を前提とすれば、ALS患者における本剤の安全性は、許容可能と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は希少疾病用医薬品としての申請であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。
御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。特に御質問、御意見はございませんか。週2回筋注製剤ということですが、これは病院で患者さんが通院してお受けになる場合や、御自宅で自己注ということも選択肢にあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 自己投与の保険適応の可否については、また別の会議体での議論になりますが、機構としては自己投与も可能な製剤と考えております。
○森部会長 ありがとうございます。製剤の写真を拝見したのですが、あの色調はビタミンB12の成分そのものの色調でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○森部会長 そのほか御意見ございませんか。よろしいでしょうか。
では、議決に入らせていただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでございます。それでは承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、次の議題12に移らせていただきます。議題12は希少疾病用医薬品でございますので、事務局から御説明の方、お願いいたします。
○事務局 事務局より御説明いたします。資料No.12関係を御用意ください。品目はvenglustat、申請者は「サノフィ株式会社」、予定される効能・効果は「ゴーシェ病」と「ファブリー病」を考えております。いずれも指定難病に指定されているものでございます。まず、ゴーシェ病ですけれども、既承認薬は幾つかあるのですが、その既承認薬の効能・効果、いずれも「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善」であり、中枢神経症状は対象とされておりません。本剤ですが、血液脳関門を通過することから、中枢神経に対しても有効性が期待されると考えております。現在、国際共同第III相試験を実施中となっております。
次にファブリー病ですけれども、こちらも幾つか既承認薬があるのですが、こちらの既承認薬は隔週の点滴静注に伴う患者の負担及び中和抗体の発現が課題とされております。こちらも国際共同第III相試験を実施している状況です。以上の説明からオーファンの指定要件を満たしていると考えておりますので、こちらの二つの適応をオーファンの指定と考えております。説明は以上です。
○森部会長 では、先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。特段ございませんか。大変開発が期待されるところでございます。
それでは、議決に入らせていただきます。なお川上委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題13につきましても事務局から説明の方、お願いいたします。
○事務局 資料No.13ですが、医薬品の再審査期間については、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要であると認められる場合には、個別に部会に諮った上で再審査期間の延長をしているというような状況です。エンタイビオ皮下注ですが、小児に関しても成人と同様に開発が必要と考えられまして、新投与経路医薬品としての6年の再審査期間を2年延長して8年とすることは適切と判断しております。説明は以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。前田委員、特に御発言ございますか。
○前田委員 いえ、特にございません。これで結構でございます。
○森部会長 ありがとうございました。特に、御質問その他ございませんか。では、議決に入らせていただきます。なお、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題について、延長を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議がないようでございます。では、延長を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題14の方、お願いいたします。
○事務局 資料No.14になりますが、同じく小児開発に関するものです。ジンタス錠でありますが、「体重30kg未満の小児」に対する用法・用量は設定されておらず、そのため、小児でも服用が容易な剤形としてドライシロップを開発し、体重30kg未満の小児に対する治験を実施する予定で、再審査期間を10年とすることは適切と判断しております。説明は以上です。
○森部会長 では、本件も御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。本議題につきまして延長可としてよろしいでしょうか。
特に御異議ないようでございますので、延長を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、報告事項議題に移らせていただきます。事務局から報告事項議題1~6につきまして、説明をお願いいたします。
○事務局 それでは報告事項について御説明いたします。資料15の一覧表を御覧ください。まず、個別品目ですが、1品目目、議題1、資料16、「イノソリッド配合経腸用半固形剤」です。こちら、記載にあるとおりの申請の概要となっておりますが、類似処方医療用配合剤としての申請があったものです。議題2ですが、「リツキサン点滴静注」です。こちらは、難治性のネフローゼ症候群に関して、ステロイド抵抗性を示す場合を追加する効能・効果、用法・用量の追加です。議題3、「エブリスディドライシロップ」です。こちらは脊髄性筋萎縮症に関して、小児用量の追加と記載しておりますが、より低年齢の小児用量の追加をするとともに、遺伝子検査により発症を予測されるものを除くといった限定を解除するものです。議題4、「ジャカビ錠」です。こちらも記載のとおりですが、小児用量に関する新しい年齢区分について、6歳以上の小児の追加をするといった用法・用量、効能・効果の追加です。いずれも機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
続きまして、報告事項の議題5関係、承認条件についてです。本日3品目ございます。1品目目が「デュオドーパ」、2品目目が「ウプトラビ」、最後が「イブリーフ」ですが、いずれも承認時に全例調査に関する承認条件が付与されており、今般その報告が提出されて、適切に対応されたことを確認したものです。
最後、再審査の結果についてです。本日御報告するのが4品目ございますが、「ミニリンメルトOD錠」、「ガドビスト静注」、「リグロス歯科用液キット、メチレンブルー静注」です。いずれの品目についても機構における再審査の結果、カテゴリー1として効能・効果、用法・用量の変更のないものとして評価しております。以上です。
○森部会長 御報告どうもありがとうございました。では、今の報告事項、議題の1~6につきまして、先生方から御質問、御意見がございましたらお願いいたします。特段ございませんか。それでは、報告事項につきましては御確認いただいたものとさせていただきます。
本日の議題は以上となります。事務局から何か御報告がございますか。
○事務局 次回の部会は令和6年10月31日木曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日は大変長時間の審議でございましたが、先生方、どうもありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題3、資料No.3、医薬品献血ヴェノグロブリンIH10%静注0.5g/5mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。
臓器移植後の拒絶反応は移植臓器の機能不全や廃絶の主な原因であり、患者の生命にも影響します。拒絶反応のうち、抗体関連型拒絶反応(以下、「ABMR」)は、患者が有する抗体と移植臓器の抗原による抗原抗体反応を介した補体活性化による内皮細胞の障害により、移植臓器が傷害される反応です。
本剤は血漿分画製剤であり、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンGを10%含有する静注用の免疫グロブリンG製剤(以下、「IVIG」)です。海外では、本剤と同一の製剤ではないものの、IVIGが欧米を含む世界各国で承認され、それぞれの国・地域のガイドラインに沿って、臓器移植後のABMRの治療にも用いられています。
腎移植後にABMRを発現した患者を対象とした国内臨床試験の結果及び日本移植学会が実施した使用実態調査に関する公表文献等を基に、今般、臓器移植におけるABMRの治療に関する本剤の製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
本品目の専門協議では、本日の配布資料No.24に示す専門委員を指名しております。
本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
有効性について審査報告書の通し番号9ページ、上から3行目を御覧ください。腎移植後にABMRを発現した患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「投与開始6か月後の移植腎生着率」は95.7%でした。本試験において、有効性を判断する基準は事前に設定されていなかったものの、公表文献等で示された生着率と比較し遜色ない結果であり、国内使用実態調査の結果や公表文献、国内外の診療ガイドラインの記載内容も勘案すると、本剤により小児も含め腎移植後のABMRの治療に関する意義のある有効性が得られることが期待できると判断しました。
肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植については、国内患者数が非常に限られており、臨床試験の実施が困難なため、国内使用実態調査の結果や国内外の公表文献に基づいて評価を行いました。その内容は通し番号の10ページから17ページに記載をしております。国内外の診療ガイドラインや国内使用実態調査の結果から、移植臓器にかかわらずIVIGがABMRの治療に使用され、有益な結果が得られていることが確認できました。加えて、国内外の公表文献において報告されているIVIGの効果と国内使用実態調査の結果に齟齬がないことや、ABMRの主要な機序と本剤の作用機序は移植臓器によらず同じであることも踏まえると、肝移植、心移植、肺移植、膵移植及び小腸移植のいずれにおいても、ABMRの治療に関する本剤の有効性は期待できると判断しました。
安全性については、通し番号20ページから22ページを御覧ください。腎移植後にABMRを発現した成人患者を対象とした国内第III相試験、国内使用実態調査及び国内外の公表文献で示された有害事象や副作用の発現状況からは、本剤の既知の安全性プロファイルと異なるような明らかなシグナルは認められず、臓器移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで既存の添付文書における注意喚起に基づいて適切に使用すれば、臓器移植時のABMRの治療に関する本剤の安全性は管理可能と判断しました。
以上の審査の結果、臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療に関する本剤の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議されることが適当と判断しました。
本申請に係る本剤の再審査期間は、追加される効能が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年間と設定することが適切と判断しました。薬事審議会では報告を予定しています。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。特に御質問がないようですので、議決に入らせていただきます。なお、川上委員、中西委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。
本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題4に移ります。議題4について機構から概要説明をお願いしてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題4、資料No.4、医薬品テッペーザ点滴静注用500mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤は、ヒト型抗IGF-1受容体モノクローナル抗体であるテプロツムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする、活動性甲状腺眼症の治療薬です。
甲状腺眼症は、バセドウ病等に伴って認められる眼窩組織の自己免疫炎症性疾患であり、眼窩周囲の炎症が強い活動期においては、眼窩線維芽細胞の活性化及び増殖に伴い、眼窩結合組織の炎症、外眼筋の炎症及び線維化等を特徴とする眼球突出をもたらします。その結果、眼窩痛、斜視及び複視等が認められ、重症化すると瞼裂開大及び甲状腺視神経症の悪化等が認められます。また、眼球突出により、顔貌の変化に加え、眼瞼を完全に閉じることができないことに伴う角膜潰瘍や炎症により腫大した外眼筋による視神経圧迫等が生じ、甲状腺眼症患者の約6%では視力が低下しているといった報告もあります。甲状腺眼症では、炎症が消失した非活動期においても眼窩組織の構造変化等の病状は残存し、時間の経過に伴い、外眼筋の線維化による永続的な構造障害に至ります。
甲状腺眼症は、IGF-1受容体又は甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己免疫反応が惹起するシグナルの活性化に起因すると考えられておりますが、本剤は、眼窩線維芽細胞等で発現するIGF-1受容体に結合することにより下流のシグナル伝達を阻害し、IGF-1受容体等に対する自己免疫反応によって引き起こされるシグナルを抑制することで、眼窩の炎症、細胞外基質の過剰合成及び組織増殖を抑制することで、甲状腺眼症に対する効果を示すとされています。
海外では、本剤は2020年1月に米国で承認され、また、2024年6月時点において、欧州、英国、カナダ等において審査中です。
本品目の専門協議では、資料No.24に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有構性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性については、審査報告書通し番号24ページの表22を御覧ください。中等症から重症の活動性甲状腺眼症患者を対象とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である国内第III相試験において、主要評価項目は眼球突出奏効率とされました。なお、眼球突出奏効率は、左右の眼のうち、眼球突出の重症度が高い側の眼である試験眼の眼球突出がベースラインから2mm以上減少し、かつ、試験眼とは逆の眼である僚眼の眼球突出に2mm以上の増加が認められない被験者の割合として算出されました。その結果、投与24週時の眼球突出奏効率について、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。次に、審査報告書通し番号27ページの表26を御覧ください。国内第III相試験と同様のプロトコールにて実施された、中等症から重症の活動性甲状腺眼症患者を対象とした海外第III相試験においても、主要評価項目である眼球突出奏効率について、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。以上の結果等から、本剤は活動性甲状腺眼症に対する意義のある有効性を示すと判断いたしました。
続いて、安全性について審査報告書通し番号35ページの表35を御覧ください。国内第III相試験及び海外第II相及び海外併合解析の二重遮蔽投与期間の結果から、本剤群ではプラセボ群と比較して有害事象、副作用、重篤な有害事象及び投与中止に至った有害事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、認められた事象のほとんどは非重篤であり、転帰も、適切な処置等が実施されることで大半が軽快又は回復となりました。ただし、本剤投与時に認められた有害事象のうち、聴覚障害に関連する事象については、IGF-1シグナルの阻害が聴覚障害に関連することが既存の文献等から示唆されていること、臨床試験において未回復である事象が認められていること、海外市販後データでは、難聴を含む重篤でかつ転帰が未回復である事象が報告されていること等を踏まえると、聴覚障害は本剤投与に際して特に注意すべき事象と考えております。
本剤にはこのような注意点はありますが、本邦においては甲状腺眼症に対する治療薬がこれまでに承認されていないことや、本剤の臨床試験において活動性の甲状腺眼症に対する明確な有効性が示されていること等を考慮すると、本剤の活動性甲状腺眼症に対するベネフィットは聴覚障害発現のリスクを上回ると判断しました。なお、聴覚障害のリスクに対しては、本剤投与開始前に聴力測定を行い本剤投与の適否を判断すること、本剤の投与期間中に定期的に聴力測定を行うこと、聴覚障害が発現するリスクについて患者に説明した上で、聴覚障害の徴候が認められた場合には、医療機関を受診するよう患者に指導することを添付文書における重要な基本的注意の項などにおいて注意喚起することが必要であると判断しました。
また、製造販売後調査などにおいて聴覚障害の発現状況や対応、転帰等について情報収集するとともに、聴覚障害に関する注意喚起の適切性について継続して検討した上で、リスクベネフィットバランスに関連する必要な注意喚起や最新情報など、医療現場に周知すべき新たな知見等が得られた場合には、速やかに情報提供することが適切と判断しました。以上のとおり、本剤の活動性甲状腺眼症に対する有効性は示され、また、認められた有効性を考慮すると、適切な注意喚起をした上であれば、活動性甲状腺眼症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断しました。
以上の検討の結果、「活動性甲状腺眼症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明ありがとうございました。それでは先生方から御意見、御発言はいかがでしょうか。ありませんでしょうか。本日、欠席の根岸委員からは特に御発言はなかったでしょうか。御意見はないですか。ありがとうございます。今、進行している402試験の概要を少し教えていただけないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。先ほど申し上げたとおり、本剤については聴覚障害発現のリスクが示唆されておりますが、現在、そういった聴覚障害がどのような特徴を有しているかといった情報がまだ詳細には得られておりません。その情報の一助として、現在、海外において実施中の、投与回数についての適切性について評価するための臨床試験に組み入れられた被験者に対して、サブスタディとして聴覚障害のリスクについて評価する試験が計画されております。サブスタディの目的としては聴覚障害の発現リスクに加えて、実際にオージオグラムを評価して聴覚障害の特徴がどのようなものなのかを評価する、かつ、その発現割合と潜在的なリスクファクターについて相関を検討するといった計画が提示されています。本試験により、今回の本剤の投与による聴覚障害の特徴に関する情報が得られることが期待されることから、重要な試験と考えております。
○森部会長 御説明ありがとうございました。そのほか、先生方の御質問はよろしいでしょうか。では、特段ありませんので議決に入らせていただきます。なお、阿古委員においては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加は御遠慮いただくこととなっております。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題5に移ります。議題5について機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、アリッサ配合錠について御説明いたします。資料No.5の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全57ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤は、天然型卵胞ホルモンであるエステトロールの水和物、及び合成黄体ホルモンであるドロスピレノンを有効成分として、それぞれ15mg及び3mg含有する実薬錠24錠、並びに有効成分を含有しないプラセボ錠4錠から構成される、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(以下、「LEP配合剤」)であり、エステトロール水和物は新有効成分に該当します。今般、国内の臨床試験成績等に基づき、「月経困難症」を効能・効果として本剤の製造販売承認申請がなされました。
月経困難症において、治療選択肢としてLEP配合剤を使用することが本邦のガイドラインで推奨されており、本邦において、複数のLEP配合剤が月経困難症を効能・効果として承認されています。本剤は2024年6月現在、米国、欧州、カナダ等12の国又は地域で経口避妊薬として承認されていますが、月経困難症に係る効能・効果では承認されていません。
本品目の審査の概略について御説明します。
有効性について、通し番号36ページ、表36を御覧ください。月経困難症患者を対象とする国内第III相試験であるFSN-013P-03試験において、主要評価項目とされた治験薬投与開始から4月経周期目における月経困難症スコアのベースラインからの変化量について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が示され、得られた変化量の群間差には臨床的意義があると判断しました。
安全性について、通し番号37ページ、表37を御覧ください。プラセボ群と比較して本剤群で月経中間期出血及び重度月経出血が多く認められましたが、本剤投与下の性器出血の程度及びその推移等を踏まえると、本剤の出血プロファイルは既承認のLEP配合剤と大きく異なるものではないと判断しました。また、LEP配合剤の重篤な副作用として知られている血栓症について、国内臨床試験では発現は認められていませんが、本剤の作用機序を考慮すると、現時点では血栓症の発現リスクは否定できないと考えます。既承認のLEP配合剤では、血栓症の発現リスクについて、本邦の診療ガイドラインに従い、医療現場において適切な管理がなされていることから、本剤についても既承認のLEP配合剤と同様の注意喚起及び情報提供を行うことにより管理することが適切と判断しました。加えて、本剤のその他の安全性についても、既承認のLEP配合剤と比較して新たな懸念は示唆されていないと判断しました。
製造販売後の検討事項について、安全性に係る検討を踏まえ、本剤の製造販売後調査を承認後直ちに実施する必要性は低く、市販直後調査及び通常の医薬品安全性監視活動による情報収集に基づき適切な安全対策を確実に行うことで差し支えないと判断しました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。堀委員どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。私からは2点質問させていただきます。この月経困難症は、特に思春期において社会や生活への影響がかなり大きいと伺っています。ですので、そのため若年層が使用する可能性が当該薬品もあると思っているのですけれども、まず1点目は、初経後いつから使用が可能であるのか、それを教えていただきたいと思います。
また、2点目に関しましては、当該薬は海外では経口避妊薬として認められているとお聞きした上で、長期服用において、その後の妊娠への影響というものがどれだけあるのか教えていただけたら有り難いです。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。1点目の御質問について、初経後いつから使用可能かということですけれども、添付文書案の禁忌の2.19に記載していますが、LEP配合剤で共通の記載ですが、骨成長が終了していない可能性がある患者は禁忌に設定していますので、思春期の骨成長が終了していない可能性がある患者さんには本剤は使われないと考えています。
○堀委員 ごめんなさい、知識がなくて大変申し訳ないのですけれども、それというのは結局具体的にどういうことなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。本剤の作用上、骨形成の十分に完了していない患者さんでは、エストロゲンのレベルが低下するということによって骨の成長に懸念を生じるということで、若年の患者さんの場合、骨成長が終了の判断をもって本剤を使うべきだというところから禁忌の設定をしております。
○医薬品医療機器総合機構 補足いたしますと、LEP配合剤については、国内のOC・LEPガイドラインの「何歳から服用を開始できるか」という項において、初経発来後から開始できるが、骨成長、骨密度への影響を考慮する必要がある旨の記載がありますので、臨床ではそういったガイドラインの記載も踏まえ使用されるのではないかと考えています。
○堀委員 ありがとうございます。そうしますと、それを判断されるのが主治医ということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○堀委員 ありがとうございます。あともう1点の質問の回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では後観察期間を設けていまして、その中で月経の発来を確認しています。今回の試験でも投与終了後、一定期間経った後に月経が発来するということが確認されていますので、服用を止めれば妊娠は可能になると考えています。
○堀委員 ありがとうございます。あともう1点、患者さん向けの資材なのですけれども、既に認められている月経困難症の薬に関して、先ほどおっしゃっていた血栓症の疑いとかが出てくる場合のために、他の診療科や医療機関を受診される場合に、患者携帯カードというのを発行していると思うのですけれども、この当該薬もその予定でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおり、本剤でも患者携帯カードを患者さんが携帯しておくという規定になっています。
○堀委員 分かりました、どうもありがとうございます。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御意見いかがでしょうか。では、私から一つ。今回の臨床試験で、主要評価項目の月経困難症スコアというのは、他のLEP薬でも使っている指標かと思いますけれども、実臨床上この指標を使って診療されているかどうかはちょっと不明でしたが、より臨床的に情報を含むと思われる腹痛の程度などのVASスコアなども含めた情報について、今後、医療機関や資材で提供する予定はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。月経困難症スコアそのものを一般臨床で使用しているというわけではありませんが、月経困難症スコアは疼痛とそれがもたらすQOLの影響を総合評価するという観点では、実臨床で行われている評価と変わらないものとして受け入れられているものと考えています。今回の試験でも、おっしゃったような痛みに関する評価、VASの評価も副次評価項目として評価を行っており、その結果は確認しておりますが、月経困難症というのは、疾患の特性上、痛みだけでは評価が難しいというところがあります。
特にLEP配合剤を使用する患者さんは、既に鎮痛薬を使用されていることが多く、痛みの評価だけでは難しいため、既存のLEP配合剤と同様に月経困難症スコアが、QOLの評価と鎮痛薬の使用等を含めたトータルの有効性の評価を行う上で適していると考えており、月経困難症スコアを主要評価項目として評価し添付文書にも記載することが適切ではないかと考えています。
○森部会長 記載はそれで結構ですので、そのほかの副次評価項目についても、臨床現場に提供する方法を何らかの形で、インタビューフォームですとか資材等でも提供できればと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。副次評価項目の結果も含め、資材に記載できるか今後検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか先生方から御意見いかがでしょうか。特にないようでしたら、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、佐藤直樹委員、中西委員、矢野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決参加を御遠慮いただくことになっています。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議ないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題6に移ります。議題6の概要説明を機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品ユバンシ配合錠について、機構より説明します。資料No.6の審査報告書を御覧ください。
審査報告書の一番下、全30ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、エンドセリン受容体拮抗薬であるマシテンタン10mg、及びホスホジエステラーゼ-5阻害薬であるタダラフィル40mgを有効成分とする配合剤です。両有効成分は、いずれも国内外で肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)治療薬として承認されています。これらの有効成分の併用療法は国内外の診療ガイドラインにおいて推奨されており、既に本邦の医療現場で広く併用されています。今般、国際共同試験成績等を基に本剤の製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は2024年3月現在、米国等で承認されています。
本品目の審査の概略について説明します。今般の申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるA301試験の結果が提出されました。A301試験では、併用療法と単独療法の有効性及び安全性が比較検討されました。
有効性について、通し番号13ページ、表10を御覧ください。投与16週後の肺血管抵抗のベースラインからの変化比が主要評価項目とされ、マシテンタン単独療法に対する併用療法の優越性、及びタダラフィル単独療法に対する併用療法の優越性が示されました。
安全性について、通し番号14ページ、表11を御覧ください。A301試験において、併用療法では、単独療法と比較して、貧血、低血圧、末梢腫脹等の発現割合が高くなる傾向が認められましたが、通し番号19~22ページ、7,R,3項に示すように、有害事象の重症度及び転帰並びに実臨床において、マシテンタン及びタダラフィルを併用投与したときの安全性情報を踏まえると、併用療法のリスクは臨床的に許容可能と判断しました。ただし、併用療法の開始初期は各有効成分の副作用が発現しやすく、薬剤の調節が必要となる場合が想定され、成分と用量が固定された配合剤は単剤併用と比較して患者の状態に応じた薬剤の調節が困難であることなどから、本剤の広く推奨される使用方法は、原則としてマシテンタン10mg及びタダラフィル40mgを一定期間投与し、状態が安定している患者とすることが適切と判断しました
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は新医療用配合剤であることから、再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。循環器領域の御専門でいらっしゃる阿古先生、御発言いかがですか。
○阿古委員 ありがとうございます。今このERAとPDE5阻害剤、基本的にPAHの患者さんには、ほぼ皆さん併用で入っているというのが実情ですので、このような配合剤が出るというのは、非常に臨床的には我々使いやすいものになるのではないかという期待は持っています。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。佐藤直樹委員、御発言いかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 阿古先生おっしゃるように、2剤併用は非常に多いのですけれども、ちょっと一つだけ確認なのですけれども、単剤で併用されて、その後2剤併用というパターンもあるのですけれども、その際に一旦2剤を併用した患者さんのみ、この配合剤を使えるのか、あるいは追加する時点で配合剤を投与できるのか。他の領域の配合剤だと、一度併用してからこの配合剤という形になるのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。先ほど御説明させていただいたとおり、原則として広く推奨できる使い方としましては、一度単剤同士を併用していただいてからの切替えと考えています。ただ、例えばPAHの専門医の方であったり、あるいは患者さんが入院下で、安全性について手厚くフォロー可能な環境であったりというような状況も考えられますので、原則以外の使い方、つまり先ほどおっしゃっていただいたような、単剤からプラスで成分を足すときに本剤を使い始めるという使い方を否定するものではないと考えています。
○佐藤(直)委員 了解しました、ありがとうございます。
○森部会長 そのほか御発言ありますでしょうか、御意見いかがですか。よろしいでしょうか。それでは特に御意見がないようですので、議決に入らせていただきます。なお、佐藤直樹委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことになっています。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続いて、議題7に移ります。議題7について、機構から概要説明の準備をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品トレプロスト吸入液1.74mgについて機構より御説明いたします。資料No.7の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全37ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤は、プロスタグランジンI2誘導体であるトレプロスチニルを有効成分とする吸入剤であり、本邦では「肺動脈性肺高血圧症(以下、「PAH」)」の効能・効果で2022年に承認されております。今般、国内外の臨床試験成績を基に、「間質性肺疾患に伴う肺高血圧症(以下、「ILD-PH」)」を申請効能・効果として医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、海外では、2024年6月現在、ILD-PHに係る効能・効果として、米国を含む五つの国又は地域で承認されております。また、本剤は、本申請に係る効能・効果について、希少疾病用医薬品に指定されております。
本品目の概略について御説明いたします。まず、本剤の臨床開発計画について御説明いたします。本剤のILD-PHに係る開発は海外が先行しておりました。加えて、本邦におけるILD-PHの患者数は限られていたことから、国内臨床試験については、海外と同じ6分間歩行距離に加え、客観的な評価指標である肺血管抵抗係数(以下、「PVRI」)を主要評価項目として設定した非盲検非対照試験として実施されました。以上の経緯から、本剤の日本人患者に対する有効性及び安全性については、海外臨床試験と国内臨床試験の比較に基づき検討されました。
本剤の有効性について、通し番号12ページの表8を御覧ください。ここに示すように、ILD-PH患者を対象とした海外第II/III相試験において、主要評価項目である投与16週時のピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量について、プラセボ群と比較して本剤群で有意に大きい結果が得られました。日本人のILD-PH患者における有効性については、通し番号9ページの表4を御覧ください。ILD-PH患者を対象とした国内第II/III相試験において、主要評価項目である投与16週時のPVRIの変化率について、ベースラインと比較して改善が認められました。また、もう一つの主要評価項目である投与16週時のピーク時6分間歩行距離のベースラインからの変化量は、通し番号9ページの表5に示すように、海外第II/III相試験の本剤群と比較して明らかな違いは認められませんでした。以上より、日本人のILD-PH患者においても本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
続いて、安全性について、通し番号22ページからの「7.R.4 安全性について」の表16~18を御覧ください。国内外の臨床試験の結果に基づき検討した結果、呼吸困難及び肺炎を除き、ILD-PH患者とPAH患者で安全性プロファイルに明らかな差異は認められませんでした。呼吸困難については、基礎疾患であるILDに伴い発現しうる有害事象であり、海外第II/III相試験でもプラセボ群と比較して本剤群で発現割合が高くなる傾向は認められなかったこと等から、追加の注意喚起は不要と判断いたしました。肺炎については、国内第II/III相試験で認められた1例以外に、本剤及び本剤と同一の有効成分の注射剤の臨床試験及び製造販売後の報告において、本剤の有効成分との因果関係を強く示唆する症例は認められませんでした。したがって、現時点では添付文書において薬剤性肺炎に関する注意喚起を行う必要まではないものの、医薬品リスク管理計画の「重要な潜在的リスク」に薬剤性肺炎を設定した上で、製造販売後調査で情報収集を行うことが適切であると判断いたしました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は、希少疾病用医薬品としての申請であることから、本申請に係る再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。では、本件についても循環器御専門の佐藤直樹先生から御意見をいかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 一つ、コメントですが、この吸入薬、通常の肺動脈性肺高血圧の患者さんでも、結構咳嗽が多くて、特に、この肺線維症がある患者さんについては、その咳嗽の頻度が多くなる。先ほど、大きな違いはないので症状は変わりないということでしたが、是非、市販後調査の結果を踏まえて、もし、吸入の仕方とか、その辺の注意喚起があるようでしたら、しっかりと情報提供していただければと思います。お願いします。
○森部会長 ありがとうございました。続いて、阿古委員からはいかがでしょうか。
○阿古委員 ありがとうございます。佐藤先生と同じ意見ですが、私としても、今までの治験では、特に、いわゆるハードエンドポイント、死亡などに関するシグナルは認められていないということですが、もし、市販後でその辺をきっちり検討できるようでしたら検討していただければと考えました。この薬剤がILD-PHにも役立つようでしたら、それは患者さんにとっては福音になるのではないかと感じました。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。機構の方からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 コメントを頂き、ありがとうございます。頂いた咳嗽の発現状況、ハードエンドポイント、死亡など、何かしらの臨床症状の悪化に関する転帰については、市販後にも情報収集し、必要に応じて適切な対応を行っていこうと思っております。
○医薬品医療機器総合機構 機構より補足でコメントいたします。咳嗽について、初回の承認時にも、やはり御指摘のように一定程度問題になることが分かっておりましたので、発現時の対応として、症状が現れた場合に水で少し喉を潤していただいたり、吸入時の対応なども既に一定程度情報提供を行っており、今回も同じような情報提供なども同時にさせていただく予定です。以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。やはり、背景に間質性肺炎があることを考えますと、咳嗽に対する注意喚起、若しくは情報収集を今後も行っていただくということで、是非お願いしたいと思っています。
あと、もう1点、肺炎について少し確認ですが、国内の開発で1例認められているということで、また、本剤との因果関係も否定されないということですので、今後の重要なリスクの中にお含めいただいたことは、今、理解いたしました。添付文書の中でも、臨床成績の中に肺炎の例があったことについて、付記していただくことは御検討いただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生からの御指摘を踏まえ、添付文書の臨床成績の項に副作用が書いてある箇所があるのですが、その最後の部分、7.18.1.3項の最後のところに重篤な副作用として薬剤性肺炎5.0%の発現が認められ、投与中止により回復したといった、このような文書を一文、付記させていただこうと考えております。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続いて議題9に移らせていただきます。機構の方から議題9について説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料No.9、医薬品クービビック錠25mg、同錠50mgの製造販売承認の可否等について機構から御説明いたします。資料No.9の審査報告書を御覧ください。はじめに、審査報告書の一番下、全56ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
本剤はダリドレキサント塩酸塩を有効成分とするオレキシン1及び2受容体の拮抗薬であり、今般、不眠症患者を対象とした国内臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は、海外では不眠症を適応として米国では2022年1月、欧州では2022年4月に承認され、2024年6月現在、33の国又は地域で承認されております。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている7名の委員を指名しております。
本品目の審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。
有効性について、通し番号で35ページの表40を御覧ください。不眠症患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である「主観的総睡眠時間(以下、「sTST」)のベースラインから治験薬投与4週時までの変化量」及び「主観的入眠潜時(以下、「sLST」)のベースラインから治験薬投与4週時までの変化量」について、いずれの項目においてもプラセボ群に対する本剤50mg群の優越性が検証されました。また、通し番号で38~39ページの表43及び表44を御覧ください。本剤25mg群については、統計学的な検討は事前に計画されていなかったものの、国内第III相試験である304試験においてプラセボ群と比較してsLSOが短縮する傾向及びsTSTが延長する傾向が認められ、海外第III相試験である301試験及び302試験においても同様の傾向が認められました。以上の結果等を踏まえ、「不眠症」に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
次に、安全性について、通し番号で42ページ、「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。今般提出された臨床試験成績、類薬で報告されている注目すべき有害事象等を中心に検討を行い、その結果、適切な注意喚起の下で使用されることで、本剤50mg及び25mg投与時の安全性は許容可能と判断しました。
用法・用量について、通し番号で49ページ、「7.R.6 用法・用量について」の項、及び通し番号で52ページ、「1.2 用法・用量について」の項を御覧ください。機構は、臨床試験において本剤50mg投与により有効性が検証され、かつ国内第III相試験及び国内長期投与試験において、sLSOの短縮及びsTSTの延長は、本剤25mg群と比較して本剤50mg群で高い傾向にあったことから、本剤25mg投与より50mg投与で高い効果が期待できること、安全性の観点では、本剤50mg投与を避けるべきと考えられるような事象は認められておらず、本剤25mg投与時と比較してリスクが明らかに高くなる傾向もないことから、本剤の通常用量は50mgとし、患者の状態に応じて、医師の判断により25mgに減量可能とすることが適切であると考えました。専門協議において、不眠症の治療に当たっては、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて治療を開始する場合や、一般的に生理機能が低下している高齢者では、副作用の発現が懸念されるため、睡眠薬の投与に際しては、患者の状態に応じて低用量から開始し、有効性及び安全性を確認し必要に応じて増量する場合があるとの御意見があったことを踏まえ、本剤の開始用量は基本的には50mgとするものの、患者の状態によっては25mgとすることも可能と判断しました。
以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会では報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。柴田委員に御意見を伺いたいのですが可能でしょうか。本剤50mgの使用をまずは基軸として、25mgの使用も可としているようですが、本剤の臨床試験成績の解釈として、解析方法等、特に問題はございませんでしょうか。いかがでしょうか。
○柴田委員 柴田です。機構の御判断、特に問題ないと思います。
○森部会長 どうもありがとうございました。堀委員どうぞ。
○堀委員 私からは、認知症の方でも睡眠障害のある方がかなりいらっしゃると思うのですが、当該薬は、その認知症の方にも服用は可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤について、認知症の患者さんを除外するというような規定は設けておりません。実際に、現在、医療現場で不眠症に対して使用可能な既存薬が複数ございますが、その薬剤についても、医師が処方する際に、各患者さんの状態に応じて用量なども含めて判断されているかと思いますので、本剤も同じように使用していただくことが可能かと考えております。
○堀委員 はい、どうもありがとうございました。以上です。
○森部会長 もし、よろしければ、石川委員にお伺いしたいのですが、オレキシン受容体拮抗薬は、全般的に睡眠薬の中では、高齢者の方に使用する場合の適応はいかがでしょうか。
○事務局 石川委員は退出されました。
○森部会長 では、本質問は取り消させていただきます。そのほか、先生方からよろしいでしょうか。では、佐藤陽治委員お願いします。
○佐藤(陽)委員 7.R.3.4のところに、反跳性不眠と退薬症候についての記述があるのですが、これは臨床試験の段階では、反跳性不眠の傾向は認められなかった、また、退薬症候を示唆する有害事象は認められなかったという結論ですが、製造販売後調査の中で、こうした事象は追跡できるのかどうかが気になります。要するに、使わなくなってから出てくる話なので、これらは追跡できるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 不眠症の治療薬においては、投与期間は個々の患者さんに応じて判断されているところです。例えば、本剤ですと、24週を目安にというところで、すぐに投与を中断することがなかなか難しく、投与を中止したときに、反跳性不眠、退薬症候なども出てくることもあるので、患者さんに応じて先生方が投与期間を判断しているものと考えております。
本剤については、製造販売後調査を実施予定であり、個々の患者さんにおいて観察期間を、24週間まで追うことになっておりますので、その中で投与を中断、あるいは減量したときのフォローアップも含めて確認できるという形になっております。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ありがとうございます。
○森部会長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大森委員からお願いいたします。
○大森委員 先ほどの用量の問題ですが、添付文書では、「通常1日1回50mgを就寝直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、1日1回25mgを投与することができる」と。これは、初回投与は必ず50mgにしろということになるのでしょうか。それとも、患者の状態によっては、初回から25mgでもいいと解釈してもいいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解いただきましたとおりで、初回投与から25mgでも投与してもよいという用法・用量としております。
○森部会長 大森先生、それでよろしいでしょうか。
○大森委員 一応、説明は分かりましたが、何となくこの表現が、初回は50mgにしろと解釈されそうな気がするのですが、そうですね、まあ、よろしいのかと思います。了解いたしました。
○森部会長 25mgから慎重投与するように規定されている一定の背景の方もいらっしゃるということで、特に、中等度の肝障害の方や中等度のCYP3A阻害剤との併用の場合ということは指定されているわけですが、高齢者においても、一般に生理機能が低下しているといった記載もございますので、高齢者での使用に当たっての用量については、今後、資材等の記載も含めて、少量からの使用も御検討いただくように促していくことでいかがでしょうか。
○大森委員 はい、それがよろしいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 頂いた御意見も踏まえて、企業と適切な情報提供ができるよう、検討し対応させていただきます。
○森部会長 それでは、大森委員よろしいでしょうか。
○大森委員 はい。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか、御意見はございますでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、阿古委員、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。それでは、本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続いて、議題10に移らせていただきます。議題10について、機構から概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料No.10、医薬品ファダプス錠10mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.10の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全51ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。
ランバート・イートン筋無力症候群(以下、「LEMS」)は、主に神経筋接合部のシナプス前膜に存在するP/Q型電位依存性カルシウムチャネルに対する自己抗体が神経細胞へのカルシウム流入を阻害し、コリン作動性神経終末からシナプス間隙へのアセチルコリンの放出が阻害されることにより神経筋伝達障害が生じることで、四肢近位筋の筋力低下、腱反射の低下、自律神経障害等を呈する自己免疫性疾患であり、主に40歳以降に発症いたします。本邦におけるLEMS患者数は348人と推定されており、LEMSに対して承認されている薬剤はございません。
本剤は、電位依存性カリウムチャネル阻害作用を有する薬剤であり、シナプス間隙へのアセチルコリン放出の亢進を介して、神経筋伝導を増強することにより、LEMS患者における筋力低下を改善することが期待されます。海外では欧米を含む6の国又は地域で承認されており、本邦では、「第34回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと評価され、開発要請が行われ、今般、国内臨床試験成績等に基づき、本剤の医薬品製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。
本申請の専門委員として、資料No.24に記載されている8名の委員を指名しております。
審査の内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
通し番号で37ページの「7.R.1 臨床的位置づけについて」の項を御覧ください。アミファンプリジンは、1970年代より欧州でLEMS患者に対して使用され始めたとされており、現在では、国内外においてLEMS治療のアルゴリズムが提唱され、本邦のLEMS診療ガイドラインでは、提唱された治療アルゴリズムを基に、アミファンプリジンを第一選択薬として投与することが推奨されています。また、本邦ではLEMS患者に対して試薬として流通しているアミファンプリジンを院内製剤として投与されている実態がございます。続いて、通し番号で35ページの表29を御覧ください。プラセボ対照二重盲検無作為化治療中止試験のデザインにおいて実施された海外第III相試験の有効性の主要評価項目において、プラセボ群と本剤群との間に統計学的な有意差が認められており、海外臨床試験で本剤の有効性が確認されております。このような背景や、LEMSは極めて希少な疾患であること等を踏まえた上で、国内第III相試験が実施されました。
国内第III相試験の有効性の結果について、通し番号で33ページの表27及び34ページの表28を御覧ください。非対照試験である国内第III相試験において、主要評価項目である治療期での本剤投与7日目におけるQMG総スコアのベースラインからの変化量において改善する傾向が認められ、長期投与時においてもその改善が維持する傾向が示されました。また、39ページの表33を御覧ください。個々の被験者におけるQMG総スコアのベースラインからの経時的推移は、被験者ごとに改善の程度は異なるものの、本剤が投与された全ての被験者において改善傾向にあり、長期投与時においても維持する傾向が認められ、多くの被験者において臨床的に一定の意義のある改善が認められていると考えられました。国内第III相試験はプラセボ等の対照群との比較がなされていないことから有効性の解釈には一定の限界はあるものの、以上の国内外の臨床試験成績を踏まえ、日本人LEMS患者の筋力低下に対する本剤の有効性は期待できるものと判断し、専門協議において、機構の判断は支持されました。
次に安全性について、通し番号40ページの「7.R.4 安全性について」の項を御覧ください。提出された試験成績等を検討した結果、本剤投与時に痙攣発作等の有害事象の発現に注意を要しますが、これらの事象に対して適切な注意喚起の下で使用されることで、LEMS患者における本剤の安全性は許容可能と判断しました。なお、製造販売後、一定の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することが適切と判断しています。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたしま
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。では、委員の先生方から御質問、御発言はございますか。特にございませんか。本剤は、代謝している酵素、NAT2という遺伝子多型がございまして、Rapid acetylator(以下、「RA」)とSlow acetylator(以下、「SA」)がいるということで、海外では、ほぼ半々なのでしょうかね。日本では、RAの方が9割で、SAの方が1割という理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 NAT2遺伝子型の割合に関しては、御理解のとおりです。
○森部会長 添付文書におきましても、血中濃度の動態につきまして16の項目を中心にかなり詳細に御記載いただいておりまして、遺伝子型の違いによりまして、CmaxやAUCなどに大きく違いがあるということが明確に示されております。海外でも本邦でも、添付文書上、特にこの代謝酵素の遺伝子多型によって用量の違い等を設定していないと理解しているのですが、海外の添付文書では、NAT2遺伝子の検査を過去にされていて、そのジェノタイプが分かっている方については、代謝がやや遅くなり血中濃度が上がりやすいという注意喚起をされていると思うのですけれども、日本での市販後調査をなさる際に、NAT2遺伝子の多型が既に検討されている方については、その情報も収集していただくことは可能でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 NAT2の遺伝子検査は、本邦では保険で償還されていないので、どの程度検査が実施されているかということは未知数ではありますが、その点も含めて調査がなされるように申請者とも協議をしたいと思います。
○森部会長 日本で348人いらっしゃるこの疾患で、約1割の方がSAなどでございますので、実際使用されていき用量を調節されていく中で、遺伝子多型が分かっている方については、その用量や臨床の改善度についての情報があった方がよりよいかと考えていますし、今後使用なさる上で、NAT2遺伝子の検査をある程度織り込んでいくように学会等に働きかけるかどうかなどということについても、その調査の結果が重要かと思っていますので、是非その旨御検討をと思っています。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その点、情報収集されるように調整させていただきます。
○森部会長 本件につきまして、先生方から何か御意見がございましたら、いかがでしょうか。
○赤羽委員 赤羽ですけれど、よろしいでしょうか。
○森部会長 お願いします。
○赤羽委員 今の代謝酵素の遺伝子多型の件で私もお尋ねしたいと思っていたのですが、痙攣の副作用の発生頻度とその関連性に関して、今後、もし市販後調査の情報が集められたら、そこでまた明らかになっていくかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
あと、やはりカリウムチャネルの阻害剤で、どうしてもhERGチャネルに対するブロックとかQT延長ということが心配になりますが、これまでの臨床成績では特段のそういった事象は認められていないと一応報告書にはありましたけれども、リスクの高い方々はやはりいらっしゃると思いますので、そこも引き続きモニターをしていただけると今後のためにも良いのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず痙攣発作に関して、製造販売後調査で確認する予定となっていますので、先ほど部会長から御指摘いただいた点も含めて、市販後で、用量ですとか、患者背景から痙攣発作の発現割合が変わらないかといったところを、調査できるように申請者と協議し、対応したいと思います。また、御指摘いただいたQT延長に関しましても、御指摘いただいたとおり、Thorough QT試験ではQT延長のリスクがないと判断をしていますけれども、RMPでも潜在的リスクとして心臓障害を設定し、心臓への影響全般に問題がないかといったところは、市販後も含めて注視したいと考えております。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○森部会長 今の機構の御説明だと、心臓障害のところについて、そのQTの延長についてより具体的に何か追記をすることも可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では、臨床試験等から明確なリスクは認められておりませんので、特段、添付文書等で注意喚起することは考えておりませんが、赤羽委員御指摘のとおり、製造販売後調査等の市販後の情報を踏まえて、今後適宜追加の注意喚起の必要性について引き続き検討したいと考えております。
○森部会長 特に、循環器の先生方から追加で御発言等、もしございましたらいかがでしょうか。
○阿古委員 阿古ですけど、特にございません。ありがとうございます。
○森部会長 佐藤直樹委員、いかがでしょうか。
○佐藤(直)委員 はい、特にございません。
○森部会長 ありがとうございました。そのほか御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入らせていただきます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議がないようですので、承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、続きまして議題11に移らせていただきます。それでは議題11につきまして、機構から説明の方、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題11、資料No.11、医薬品ロゼバラミン筋注用25mgの製造販売承認の可否等について、機構から御説明いたします。資料No.11の審査報告書を御覧ください。
はじめに、審査報告書の一番下、全47ページの通し番号で3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位及び下位運動ニューロンの進行性変性をきたす神経変性疾患です。全身の骨格筋の筋力低下及び筋萎縮の進行を症状の中心とし、進行すると日常生活動作が次第に困難となり、換気補助療法を施行しない場合での生存期間の中央値は3~4年と想定されております。
本剤は、活性型ビタミンB12の一種であり、本邦では、本薬を有効成分とした筋肉内・静脈内投与製剤であるメチコバール注射液500μgが末梢性神経障害及び巨赤芽球性貧血に係る効能・効果で、経口投与製剤であるメチコバール錠250μg他が末梢性神経障害に係る効能・効果で、それぞれ承認されております。今般、ALS患者を対象とした医師主導治験を含む臨床試験成績に基づき、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。本薬は、海外において末梢神経障害等に係る効能・効果で30の国又は地域で承認されているものの、本年8月現在、ALSに係る効能・効果で承認されている国又は地域はございません。
本申請の専門委員として資料No.24に記載されている5名の委員を指名しております。
本品目の審査の内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
まず、有効性について、審査報告書の通し番号24ページの表21を御覧ください。罹病期間1年以内のALS患者を対象に、国内第III相試験として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(763試験)が実施されました。主要評価項目である、「観察期終了時から治療期16週時のALSFRS-R合計点数の変化量」について、本剤群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。続いて、通し番号28ページの表25を御覧ください。観察期終了時から治療期16週時の副次評価項目について、概ね本剤群の有効性を支持する傾向が示唆されております。これらより、本剤のALS患者に対する有効性は示されたと判断いたしました。
次に、安全性について、通し番号31ページから始まる「7.R.3 本剤の安全性について」の項を御覧ください。提出された臨床試験成績等を検討した結果、本剤投与にあたっては、本薬の既承認効能・効果に対する使用時と同様にアナフィラキシーに関連する事象については注意が必要であるものの、当該事象を含め、既承認効能・効果に対する本剤使用時と同様の適切な注意喚起のもとでの使用を前提とすれば、ALS患者における本剤の安全性は、許容可能と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は希少疾病用医薬品としての申請であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事審議会には報告を予定しております。
御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見はいかがでしょうか。特に御質問、御意見はございませんか。週2回筋注製剤ということですが、これは病院で患者さんが通院してお受けになる場合や、御自宅で自己注ということも選択肢にあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 自己投与の保険適応の可否については、また別の会議体での議論になりますが、機構としては自己投与も可能な製剤と考えております。
○森部会長 ありがとうございます。製剤の写真を拝見したのですが、あの色調はビタミンB12の成分そのものの色調でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。
○森部会長 そのほか御意見ございませんか。よろしいでしょうか。
では、議決に入らせていただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでございます。それでは承認を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
では、次の議題12に移らせていただきます。議題12は希少疾病用医薬品でございますので、事務局から御説明の方、お願いいたします。
○事務局 事務局より御説明いたします。資料No.12関係を御用意ください。品目はvenglustat、申請者は「サノフィ株式会社」、予定される効能・効果は「ゴーシェ病」と「ファブリー病」を考えております。いずれも指定難病に指定されているものでございます。まず、ゴーシェ病ですけれども、既承認薬は幾つかあるのですが、その既承認薬の効能・効果、いずれも「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善」であり、中枢神経症状は対象とされておりません。本剤ですが、血液脳関門を通過することから、中枢神経に対しても有効性が期待されると考えております。現在、国際共同第III相試験を実施中となっております。
次にファブリー病ですけれども、こちらも幾つか既承認薬があるのですが、こちらの既承認薬は隔週の点滴静注に伴う患者の負担及び中和抗体の発現が課題とされております。こちらも国際共同第III相試験を実施している状況です。以上の説明からオーファンの指定要件を満たしていると考えておりますので、こちらの二つの適応をオーファンの指定と考えております。説明は以上です。
○森部会長 では、先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。特段ございませんか。大変開発が期待されるところでございます。
それでは、議決に入らせていただきます。なお川上委員、髙橋委員、中西委員、長谷川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、指定を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題13につきましても事務局から説明の方、お願いいたします。
○事務局 資料No.13ですが、医薬品の再審査期間については、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要であると認められる場合には、個別に部会に諮った上で再審査期間の延長をしているというような状況です。エンタイビオ皮下注ですが、小児に関しても成人と同様に開発が必要と考えられまして、新投与経路医薬品としての6年の再審査期間を2年延長して8年とすることは適切と判断しております。説明は以上です。
○森部会長 どうもありがとうございました。前田委員、特に御発言ございますか。
○前田委員 いえ、特にございません。これで結構でございます。
○森部会長 ありがとうございました。特に、御質問その他ございませんか。では、議決に入らせていただきます。なお、髙橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。本議題について、延長を可としてよろしいでしょうか。
特に御異議がないようでございます。では、延長を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、議題14の方、お願いいたします。
○事務局 資料No.14になりますが、同じく小児開発に関するものです。ジンタス錠でありますが、「体重30kg未満の小児」に対する用法・用量は設定されておらず、そのため、小児でも服用が容易な剤形としてドライシロップを開発し、体重30kg未満の小児に対する治験を実施する予定で、再審査期間を10年とすることは適切と判断しております。説明は以上です。
○森部会長 では、本件も御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、議決に入らせていただきます。本議題につきまして延長可としてよろしいでしょうか。
特に御異議ないようでございますので、延長を可とし、薬事審議会に報告とさせていただきます。
続きまして、報告事項議題に移らせていただきます。事務局から報告事項議題1~6につきまして、説明をお願いいたします。
○事務局 それでは報告事項について御説明いたします。資料15の一覧表を御覧ください。まず、個別品目ですが、1品目目、議題1、資料16、「イノソリッド配合経腸用半固形剤」です。こちら、記載にあるとおりの申請の概要となっておりますが、類似処方医療用配合剤としての申請があったものです。議題2ですが、「リツキサン点滴静注」です。こちらは、難治性のネフローゼ症候群に関して、ステロイド抵抗性を示す場合を追加する効能・効果、用法・用量の追加です。議題3、「エブリスディドライシロップ」です。こちらは脊髄性筋萎縮症に関して、小児用量の追加と記載しておりますが、より低年齢の小児用量の追加をするとともに、遺伝子検査により発症を予測されるものを除くといった限定を解除するものです。議題4、「ジャカビ錠」です。こちらも記載のとおりですが、小児用量に関する新しい年齢区分について、6歳以上の小児の追加をするといった用法・用量、効能・効果の追加です。いずれも機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
続きまして、報告事項の議題5関係、承認条件についてです。本日3品目ございます。1品目目が「デュオドーパ」、2品目目が「ウプトラビ」、最後が「イブリーフ」ですが、いずれも承認時に全例調査に関する承認条件が付与されており、今般その報告が提出されて、適切に対応されたことを確認したものです。
最後、再審査の結果についてです。本日御報告するのが4品目ございますが、「ミニリンメルトOD錠」、「ガドビスト静注」、「リグロス歯科用液キット、メチレンブルー静注」です。いずれの品目についても機構における再審査の結果、カテゴリー1として効能・効果、用法・用量の変更のないものとして評価しております。以上です。
○森部会長 御報告どうもありがとうございました。では、今の報告事項、議題の1~6につきまして、先生方から御質問、御意見がございましたらお願いいたします。特段ございませんか。それでは、報告事項につきましては御確認いただいたものとさせていただきます。
本日の議題は以上となります。事務局から何か御報告がございますか。
○事務局 次回の部会は令和6年10月31日木曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日は大変長時間の審議でございましたが、先生方、どうもありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医薬品審査管理課 課長補佐 浦(内線2746)