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2025年5月30日 第2回労働政策審議会労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」 議事録
労働基準局労働関係法課
日時
令和7年5月30日(金) 13:00~15:00
場所
厚生労働省専用第21会議室(中央合同庁舎5号館17階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
出席者
- 公益代表委員
- 山川部会長、池田委員、石﨑委員、髙橋委員、成田委員
- 労働者代表委員
- 木村委員、小林委員、冨髙委員、浜田委員
- 使用者代表委員
- 佐久間委員、鈴木委員、鳥澤委員、松永委員
- オブザーバー
- 萬場信用制度企画室長(金融庁企画市場局総務課)
- 事務局
- 岸本労働基準局長、尾田大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、五百籏頭労働関係法課長、瀧田労働関係法課課長補佐
議題
- (1)組織再編に伴う労働関係に関する制度等の現状について
- (2)弁護士からのヒアリング(非公開)
議事
- 議事内容
○山川部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第2回「労働政策審議会労働条件分科会組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日の部会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
佐久間委員におかれましては、所用により途中御退席と伺っております。
また、本日、オブザーバーとして、金融庁企画市場局総務課信用制度企画室の萬場室長に御出席いただいております。ありがとうございます。
それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
本日は、議題1「組織再編に伴う労働関係に関する制度等の現状について」を御議論いただきました後に、議題2「弁護士からのヒアリング」を行います。こちらの議題2につきましては、組織再編に至る過程において、労使間でどのようなコミュニケーションが行われていたか等、個別の会社に関する事項を扱いますことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開となっております。
それでは、本日の議題に入ります。最初に、「組織再編に伴う労働関係に関する制度等の現状について」でございます。では、事務局から説明をお願いします。
○労働関係法課課長補佐 それでは、資料1を御覧ください。1ページを御覧ください。
こちらは前回御説明いたしました、企業価値担保制度のイメージでございます。このイメージ図は、事業性融資推進法を基に、労働行政に関係する部分について作成したものであり、また、事業性融資推進法で原則とされている、事業譲渡により担保目的財産を換価する場合を示したものでございます。
このイメージを前提として、まず、金融庁から、事業性融資推進法ガイドラインについて御説明いただきます。それでは、よろしくお願いいたします。
〇金融庁企画市場局総務課萬場信用制度企画室長 ありがとうございます。金融庁から、事業性融資推進法ガイドラインについて御説明させていただきます。
本ガイドラインにつきましては、前回第1回目の部会で御説明させていただきましたとおり、事業性融資推進法に係る金融審議会のワーキング・グループの報告や国会審議等のうち、労働者保護に関する議論の内容をまとめまして、留意事項として整理したものとなっております。
このガイドラインにつきましては、関係する各省庁と調整させていただいた上、先月4月18日にパブリックコメントをいたしまして、本日午前中、10時にパブリックコメントの結果とともに公表させていただいております。
本ガイドラインは事業性融資推進法の施行とともに適用されるということ、来年春頃としておりますが、適用されるものではございます。ガイドライン自体は資料としてついております。14ページ程度ございまして、本日は、特に重要なことについて、このパワーポイントで御説明させていただきたいと思います。
3ページを御覧ください。事業性融資推進法第7条関係ということで、「担保目的財産の考え方について」でございます。
企業価値担保権は、労働者や商取引先を適切に保護し、金融機関による事業の継続、成長のための支援を円滑にすることを目指すものでありまして、事業性に着目した融資実務に適合する新たな選択肢として創設されました。
担保目的財産の考え方もこのような目的に適合するものとなっておりまして、将来キャッシュフローを含む事業全体の価値が担保の目的とされております。
事業性融資推進法においては、これを債務者の「(一体としての)総財産」を目的とすると表現しております。
このように、企業価値担保権は債務者の個々の財産を固定的に担保の目的にするものではなく、将来のキャッシュフローの源泉となる事業者の総財産、これはのれんやノウハウ等の無形資産を含むわけですが、これが一体としての担保の目的になることが明確にされているという点に留意が必要となっております。
次に、「労働契約等における契約上の地位について」でございます。企業価値担保権の設定及び実行それ自体は、企業価値担保権設定者が締結している他の契約の相手方、これは商取引の相手方や労働者等になりますが、それを拘束するものではないということに留意が必要とさせていただいております。
このことは、企業価値担保権が設定されていない場合も同様でございます。したがって、企業価値担保権の設定そのものにより、労働契約その他の契約や労働条件について変更が生じるものではないということでございます。
また、企業価値担保権者等は、債務者における人員整理や労働条件の引下げ等について決定する等の権限を有するものではなく、企業価値担保権設定の目的も、企業価値担保権者等が労働条件等に影響を及ぼすことでない点に留意が必要とされております。
この点につきまして、金融機関においては、企業価値担保権が設定されている場合に限らず、借り手に対して取引上の優越的な地位を不当に利用し、労働条件の引下げ強制を含む取引の条件又は実施について不利益を与えるような行為を行うことは銀行法令等において禁じられているということに留意が必要とさせていただいております。
さらに、借り手の事業拡大や経営改善等にあたっては、企業価値担保権が設定されている場合に限られないことではありますが、まず、経営者が自らの経営の目標や課題を明確に見定め、これを実現・解決するために主体的に取り組んでいくことが重要であり、貸し手には、顧客企業の事業拡大や経営改善等に向けた自助努力を最大限支援していくことが求められているということについても、留意が必要とさせていただいております。
加えまして、そうした伴走支援を通じて借り手の事業の継続及び成長を実現するためには労働者からの労務提供が必要不可欠であることや、価値ある事業を継続及び成長させていくことは労働者の雇用の安定の観点からも極めて重要であることを踏まえ、企業価値担保権の制度設計において労働者保護の観点が重要とされたことにも留意が必要とさせていただいております。
次のページを御覧ください。法第157条関係、「担保目的財産の換価の方法について」でございます。企業価値担保権の実行においては、事業を解体せず、雇用を維持しつつ承継することが原則となります。企業価値担保権の実行にあたっては、管財人には、事業譲渡の金額の多寡のみを問題にするのではなく、雇用の維持や取引関係の維持、その他多様な事情を考慮して最も適切な承継先を選定することが求められます。
また、実行手続における管財人は、企業価値担保権者のみならず労働者も含めた利害関係人全体に対して善管注意義務を負うことのほか、管財人によるスポンサー選定のあり方が、労働者保護に照らして不適当であり善管注意義務に違反する場合は、労働者・労働組合等を含む利害関係人は裁判所に管財人の解任を請求できることとなることや、管財人が善管注意義務に違反した時は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務も負うということも留意が必要とさせていただいております。
次に、法第89条第3項第3号及び第157条第4項第2号等関係として、労働者とのコミュニケーションのあり方について記載しております。
1つ目が「企業価値担保権の実行に係る労働者とのコミュニケーション」についてでございます。労働者には、労働法制上、団体交渉等の各種権利が保障されているところ、こうした権利を必要に応じて適切に行使できるようにするため、事業性融資推進法においては、管財人は労働組合等に対し、労働者の権利の行使に必要な情報を提供するよう努めなければならないとされていることに留意が必要としております。
次に、「企業価値担保権の設定に係る労働者とのコミュニケーション」についてですが、事業者においては、企業価値担保権を設定する場合も含めまして、例えば、労働組合等への情報提供などにより、事業者が置かれている環境や経営課題・資金調達の方法等、担保権が設定される場合にはその内容も含みますが、これらについて事業者の状況に応じて労働者との意見交換を図ることが考えられ、労使の意見も踏まえながら、そうした労働組合等への情報提供の促進に向けて取り組むことが望ましいと考えられます。
最後に、事業性融資推進法と労働関係法令との関係についての考え方の整理でございます。
まず、企業価値担保権や特定被担保債権者が「基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある」場合や、団体交渉の申入れの時点から「近接した時期」に譲渡会社等の労働組合の「組合員らを引き続き雇用する可能性が現実的かつ具体的に存する」場合等には、労働組合法上の使用者性を有する可能性があることに留意が必要です。
また、企業価値担保権の実行手続における管財人は、労働組合法上の使用者の地位を承継すると解され、その権限に関し労働組合等からの団体交渉に応じる義務があると考えられます。
さらに、実行手続における労働契約の承継あるいは終了にあたっては、法人格否認の法理や公序良俗違反の法理、労働契約法第16条の規定、整理解雇に関する裁判例の考え方等、従来の労働法制上のルール・指針が適用されることにも留意が必要とさせていただいております。
本日公表しましたガイドラインに関する御説明は以上となります。ありがとうございました。
○労働関係法課課長補佐 ありがとうございました。
それでは、5ページを御覧ください。こちらの事業性融資推進法ガイドライン適用後の企業価値担保制度のイメージについて御説明いたします。
5ページの図については、先ほど御説明しました1ページ目の図に、重要な利害関係者として、担保権設定の場面に労働組合等を追加し、債務不履行から買受人探索の場面に労働者を追加し、買受人発見後の場面に承継予定労働者を追加しております。
また、先ほど金融庁から御説明がありました事業性融資推進法ガイドラインの内容を緑色枠にて追記し、債務不履行から買受人探索の場面に、事業性融資推進法ガイドラインが参照する、事業譲渡等指針や労働契約承継法指針により適当とされる情報提供の内容を橙色枠にて追記し、買受人発見後の場面に、事業譲渡等指針の内容のうち関係するものを黄色枠にて追記しております。
まず、一番左の図の上の方の緑色部分でございますが、事業性融資推進法ガイドラインでは、企業価値担保権を設定する場合も含め、会社は、例えば労働組合等への情報提供により、会社が置かれている環境、経営課題、資金調達の方法等について、労働者とコミュニケーションを図ることが望ましいとされております。
また、真ん中辺りの図でございますが、事業性融資推進法では、管財人は、労働組合等に対し、労働者の権利の行使に必要な情報を提供するよう努めなければならないとされておりますが、ここでいう「必要な情報」の内容は法定されておりません。
この点、事業性融資推進法ガイドラインでは、当該情報提供にあたっては、事業譲渡等指針や労働契約承継法指針を参考にすることが考えられるとされておりますところ、橙色部分でございますが、両指針では、その内容として譲渡会社等の債務の履行の見込みに関する事項等が挙げられております。
さらに、緑色部分でございますが、事業性融資推進法ガイドラインでは、管財人は、個々の労働者に対しても同様に、必要な情報を提供することが考えられるとされております。この「必要な情報」の内容については、労働組合等に対する情報提供と同じものを橙色枠にて追記しております。
続いて、一番右の図の右上の緑色部分でございますが、事業性融資推進法ガイドラインでは、企業価値担保権の実行にあたっては、事業を解体せず雇用を維持しつつ承継することが原則となるとされております。そして、買受人発見後の場面においても、先ほど御説明した債務不履行から買受人探索の場面と同様に、管財人から労働者に対する情報提供を緑枠にて追記しております。
なお、管財人から、労働組合等や労働者に対する情報提供の内容につきましては、先ほど御説明したものと同様でございますが、紙面スペースの都合上、橙色部分を改めて追記することはしておりません。
また、買受人発見後の場面においては、従前、事業譲渡等指針により、労働組合等との事前の協議等を行うことが適当であるとされていたところでございますので、黄色枠にて「協議等」と追記し、事業譲渡等指針に定められている労働者の理解と協力を得るよう努める事項として「事業譲渡を行う背景及び理由等」を追記しております。
さらに、事業譲渡等指針では、承継予定労働者との事前の協議等を行うことが適当であるとされており、黄色枠にて「協議等」と追記し、事業譲渡等指針に定められている十分に説明すべき事項として「事業譲渡に関する全体の状況等」を追記しております。
さらに、一番右の図の下の方でございますが、事業性融資推進法ガイドラインでは、管財人が買受人を選定する際や裁判所が事業譲渡に係る許可をする際には、事業譲渡の金額の多寡のみを問題にするのではなく、雇用の維持や取引関係の維持、その他多様な事情を考慮することが求められると考えられるとされております。
最後に、このイメージ図の左下から真ん中下辺りにかけての緑色部分について、先ほど金融庁から御説明のあった、労働組合法上の使用者についての考え方を記載しております。
説明は以上でございます。
○山川部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。オンライン参加の委員の皆様方は、御発言の希望がありましたら、チャットに御発言希望と書いてお知らせいただければと思います。御質問、御意見等ございますか。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 御説明ありがとうございました。先ほど金融庁からガイドラインの概要について御説明いただきましたが、企業価値担保権の設定時や実行時の労働者とのコミュニケーションについては望ましい取組などとして御説明いただきました。また、事業性融資推進法の附帯決議では、担保権の設定時及び実行前後における労働組合等への通知、協議のあり方について速やかに検討を開始することが求められていると認識しております。
先ほど御説明いただいた中でも、資料1の3ページの一番下のチェックのところに記載されておりますが、その事業の継続及び成長を実現するためには労働者の労務提供が必要不可欠であるということ、また企業価値担保権は労働契約も目的財産に含まれるということを考えると、やはり担保の設定時や実行時における労働組合への事前の情報提供や誠実な協議の実効性を高めることは非常に重要だと考えております。
金融機関等に限らず、事業者や労働者等、幅広い関係者がおりますので、こうした方たちが制度に対する正しい理解をしっかりと得ることができるように、ガイドラインなど含めて、あらゆるルートや機会を通じて十分に周知・啓発していただくよう改めてお願いしたいと思います。
以上でございます。
○金融庁企画市場局総務課萬場信用制度企画室長 ありがとうございます。最近の調査でも、認知率は大分上がっているのですが、3割、4割程度と聞いておりまして、やはり金融機関の方々は、我々が周知するというのはよくやっている方策ですけれども、使用者の方というか、一般に国民の皆さんはそうだと思いますし、事業者の方もそうだと思いますし、何より、今日もそうですけれども、労働者の方々、それぞれの働いている方々が、そもそもこれが、どのような法案で、どのような法律で、どのような目的で使われるか、そして、確かに、最後、そのとき、設定時や実行時、どのようなコミュニケーションを取るべきかということについては周知を、施行まで大体1年程度あると思いますので、きちんとやっていかなければならないと思っています。
ぜひとも皆様方にも御協力いただきながら、いろいろなチャネルを使ってやらせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。ありがとうございます。
○山川部会長 ありがとうございます。冨髙委員、よろしいでしょうか。
ほかに、御質問、御意見等ございますか。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。今回の企業価値担保制度につきましては、従来のように不動産や保証人がない中小企業であっても、その事業そのものの将来性や保有しているノウハウ、そこにいる従業員(労働者)、人材といった無形の価値を評価していただき、これらを総合的に判断し融資を受けられるという可能性が広がっていくと考えています。中小企業にとっては一つのチャンスではないかと思います。
特に第1回の本部会でも話し合われたことですが、スタートアップの企業や、それから事業承継、後継者不足を課題とする中小企業は多いため、それについての小規模な事業者、又は業歴が浅いという企業にとっても資金調達の道というのが一つの方策として広がってくるのではないかと思います。
一方では、この制度を利用するには、財産、それから無形の人的資産、そういうものの評価ですね。それからまた信託の設定、譲渡の契約の関係、あるいは、本部会でも話し合われることになっている労働者への説明ということで、今まで中小企業が経験してこなかったM&A、それから会社の分割や事業譲渡という方法で行っていくことで、労働者の方々の説明と同意を取るということが求められていますので、そのような丁寧な説明が信頼関係をつくるのには必要なのだろうと思います。
後継者不足や、それから中小企業、成長のための余力があまりないなど、自分では育てられない、資産価値があるのに育てられないという要因があって、パートナーと申しますか、そのような企業の選定も必要ではないかと思います。しかし、今から10年程前になるのでしょうか、物的資産だけではなく事業の成長力、ソフト的な能力等を資産として担保力と申しますか、それらを全体として考えていきましょうということを金融機関のほうでも言ってきたわけですが、実際に融資先企業の返済が滞るとやはり職員や支店の成績に影響が生じ、物的担保、金銭的な換価が難しいソフト的な資産を含めた融資にはあまり積極的に行いたくない、などの意識も出てくると思います。これは金融機関の問題だと思いますが、せっかく企業価値担保という制度ができているわけですから、現場の担当者にも、その中小企業なりの事業を見極める能力と申しますか、それらを再確認していただいて、あまり成績にとらわれないと言ったら失礼ですが、そのような面でも、金融庁の方から、このような制度を金融機関側にも制度説明、また周知をより一層図っていただきたいと考えております。
以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。何かございますか。
○金融庁企画市場局総務課萬場信用制度企画室長 ありがとうございます。企業価値担保権自体は必ず、いわゆる銀行のような金融機関だけに限られるものではございませんけれども、これを使った融資というのは、佐久間委員の御説明のとおり、事業者が成長していくために、それによって労働者の皆様もより豊かになるということだと思いますが、そのためには、やはり貸し手側の能力と申しますか、目利きと申しますか、それらは非常に重要な点でございまして、金融庁自体は金融機関の能力を上げるよう、10年程前から、事業性融資や事業性評価と申してきましたが、まだまだこれだけでは足らないと思いますし、今回の法律ができまして、これをまたうまくきちんと使っていただく、正しく使っていただくということによって事業者の成長を促していきたいと思っております。ありがとうございます。
○山川部会長 佐久間委員、何かございますか。よろしいでしょうか。
ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。皆さんもおっしゃっていますように、担保財産が総資産だということを踏まえ、労働者とのコミュニケーションはしっかりと進めていく必要があると思いますし、今、佐久間委員がおっしゃったような金融機関とのコミュニケーション、伴走型支援による経営が悪化しないようなサポートも重要だと思っております。
一方で、前回申し上げたように、企業内の労使コミュニケーションの成熟度はかなり企業によっても違いがあるため、これから、施行後でありますが、この企業価値担保権の活用がうまくいっている事例を拾いながら周知していくことがあってもよいのではと思った次第です。
私から以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。御要望ということですが、何かございますか。
○金融庁企画市場局総務課萬場信用制度企画室長 ありがとうございました。当然、施行されれば企業価値担保権を使った融資というのは始まっていくわけで、これがどういった形で使われているかということについては、我々も当然把握することになりますし、よりよく使われるようにしていきたいと思っております。ありがとうございます。
○山川部会長 ありがとうございます。鈴木委員、よろしいですか。
○松永委員 先ほど御説明いただきましたガイドラインを踏まえた今後の議論の方向性ということで、少しコメントさせていただきます。
今後、指針の見直しに向けた議論というのは、今、御説明いただいたガイドラインを踏まえて検討が進んでいくということだと思っています。企業価値担保権というのは、担保目的財産というのが労働契約の使用者の地位も含むと、総財産になるということのため、労働者保護という観点で申しますと懸念があるという御意見があるというのも、もちろん承知しています。
一方で、今後進んでいく指針の見直しの議論の中で、企業価値担保権の実行手続について、ガイドラインの内容を超えて過度な労働者保護に関するルールや画一的なルールを設けますと、企業価値担保権の選択を妨げることになりかねないかとは考えています。円滑な組織再編というものが結果として労働者保護につながっている側面もありますので、バランスの取れた検討、議論というのが必要かと考えております。
私からは以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。これからの指針の見直しに関する御要望と承りました。ほかに、御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、ございませんでしたら、公開の議題はここまでとさせていただきます。冒頭申し上げましたとおり、傍聴の皆様方につきましてはここで御退席をお願いいたします。