第173回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和7年3月13日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、今井構成員、上村構成員、岡田構成員、掛江構成員、木村構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、蓮沼構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山座長代理、山本構成員、黒瀨構成員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 継続審議を受けた技術の再評価結果について
  2. 試験実施計画の変更について
  3. 協力医療機関の追加について
  4. 先進医療Bの取下げについて
  5. その他

議事

議事内容

○竹内座長
 それでは、定刻となりましたので、「第173回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。御多用の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 まず、はじめに本日の構成員の出欠状況について、事務局よりお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。本日の構成員の出欠状況ですが、後藤構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は先進医療合同会議にて継続審議の評価を受けた技術に関して、大塚崇技術専門委員に御評価を頂いております。本日は20名の構成員のうち、19名の構成員にお集まりいただいていることから、定足数を満たしており、本会議は成立していることを申し添えます。なお、傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 続いて、配布資料及び本日の審査案件について確認させていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果については資料1-1から資料2-5、試験実施計画の変更については資料3、協力医療機関の追加については資料4-1から資料4-2、先進医療Bの取下げについては資料5、また、資料1-5については先ほど皆様にメールでお送りしましたとおり、差し替えがありますのでそちらを御参照ください。会議資料は以上となります。お手元の資料に乱丁、落丁等がありましたら事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号146の技術、高知大学医学部附属病院からの新規申請に関して、真田構成員におかれましては御所属機関からの申請であることから、審議の際には一時御退席いただければと存じます。また、木村構成員より御報告がありましたが50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。整理番号147の技術、岡山大学病院からの新規申請に関して、平田構成員におかれましては利益相反に該当がありましたので、審議の際には一時御退席を頂ければと存じます。また、竹内座長、木村構成員、平川構成員より御報告がありましたが50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは、該当なしということで承知いたしました。また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かります。本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
 それでは、以降の議事進行については竹内座長にお願いいたします。
○竹内座長
 それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。先進医療合同会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の18ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は、整理番号147、「ロルラチニブ耐性・不忍容ALK融合遺伝子陽性肺がんに対するギルテリチニブ療法」です。申請医療機関は岡山大学病院です。審査担当構成員は主担当が竹内座長、副担当が後藤構成員及び飛田構成員、技術専門委員が大塚委員となっております。
 なお、本議題に際し、平田構成員におかれましては利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
                 (平田構成員 退室)
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料1-5の45ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、Ⅰ.実施責任医師の要件として診療科は呼吸器内科もしくは腫瘍内科が必要、資格は日本呼吸器学会認定呼吸器専門医もしくは日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は不要となっております。
 Ⅱ.医療機関の要件として診療科は呼吸器内科もしくは腫瘍内科が必要、実施診療科の医師数は常勤医師3名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は薬剤師が必要、病床数は400床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査(24時間実施体制)は必要、他の医療機関との連携体制は必要、ただし、院内で対処可能な場合は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。
 Ⅲ.その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。以上です。
 なお、本議題の審議に際し、竹内座長におかれましては事前評価を行っていただきますので、進行を松山座長代理にお願いいたします。
○松山座長代理
 ありがとうございました。これらの要件について、御意見等ありますか。先生方いかがでしょうか。それでは御説明のとおりということで、様式第9号についてはこのままお認めすることといたします。
 次に技術の概要等、実施体制の評価について主担当の竹内座長より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 それでは、会議資料1-2を御覧ください。まず、冒頭の先進医療の名称については御案内されたとおり、申請医療機関は岡山大学病院です。医療技術の概要について資料1-4、会議資料の43、44ページを御覧いただきながら概要の説明をさせていただきたいと思います。
 この図が非常に分かりやすく書いてありますが、ALK融合遺伝子陽性肺がん(ALK肺がん)に対しては現在5種類のALK阻害薬が使用可能だが、効果と安全性の面で優れた第二世代ALK阻害薬であるアレクチニブが用いられることが多い。しかし、数年以内に薬剤耐性となるため、二次治療としては第二世代ALK阻害薬であるブリグチニブ、あるいは第三世代ALK阻害薬ロルラチニブが用いられるが、これらも同様に、特にロルラチニブに耐性を生じるALK遺伝子変異に対して有効なALK阻害薬の開発はなされていないのが現状です。そこで、申請者らは、白血病に用いられるギルテリチニブが強いALK阻害効果を持ち、ALK陽性肺がんに対して有効である可能性を発見しました。
 また、他グループからの報告で、ALK阻害薬耐性のALK遺伝子変異に対してギルテリチニブが強い阻害作用を示すことが報告されている背景を踏まえて、本研究では、治療法が確立していない、また、アンメットニーズのあるロルラチニブ耐性又は忍容性のないALK融合遺伝子陽性の進行又は再発の非小細胞肺がんを対象とし、これまで肺がんにおける有効性が確かめられていないギルテリチニブを用いた治療方法の確立を目指すものです。
 44ページに本試験の位置付けのロードマップが書いてありますが、ここにあるとおり、先進医療として実施し、その経験を踏まえて、医師主導治験などで有効性及び安全性を確かめていくロードマップが提示されております。
 そこで、19ページにお戻りください。主要評価項目は疾病等ということで、疾病等の評価には骨髄抑制、QT間隔延長、心膜炎、心不全心嚢液貯留、肝機能障害、腎障害、消化管穿孔、間質性肺疾患、過敏症、可逆性後白質脳症症候群が含まれます。
 また、副次評価項目は1)奏効割合・病勢コントロール割合、2)6か月時点の無増悪生存割合並びに無増悪生存期間、3)6か月時点の全生存割合並びに全生存期間ということで、予定期間は2029年3月31日まで目標症例数14例でした。こちらが試験概要です。
 続いて、実施体制の評価について21ページを御覧ください。これは様々なやり取りがありまして、23ページの照会事項1番においては、研究実施体制と組織、又は先進医療実施届出書の様式について照会を行い、研究責任医師の所属、また、血液内科医師が研究に参加する必要性について、実施部門と支援部門の関係について、モニタリング責任者の所属について等質問させていただきました。それに対して適切に回答を頂いたことから、実施責任医師の体制は「適」、実施医療機関の体制は「適」、医療技術の有用性は「適」とさせていただきました。コメント欄にあるとおり、責任医師の所属、支援体制との関係、研究計画書等の修正も含めて回答を頂きました。以上が実施体制の評価です。
○松山座長代理
 ありがとうございました。続いて、実施体制の評価について大塚技術専門委員が御欠席ですので、事務局より代読をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。資料1-2の21ページを御覧ください。技術専門委員の大塚委員からの御評価です。実施責任医師等の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等、いずれも「適」となっております。以上です。
○松山座長代理
 ありがとうございます。続いて、倫理的観点からの評価について、本日、後藤構成員が御欠席ですので事務局より代読をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。資料1-2の21ページを御覧ください。副担当の後藤構成員からの御評価です。同意に係る手続き、同意文書、補償内容ともに「適」となっております。コメントとしては、安全性の評価について、より厳格に実施されるようになった点について、説明同意文書については、変更が必要とまでは言えないと判断したことから、「適」としたとあります。以上です。
○松山座長代理
 ありがとうございます。続いて、副担当の飛田構成員より試験実施計画書等の評価について、御評価をお願いいたします。
○飛田構成員
 よろしくお願いします。私のコメントは21、22ページに記載しているとおりです。本研究に関しては、先ほど竹内座長からも説明がありましたとおり、急性白血病で既承認のギルテリチニブのドラッグリポジショニングとして、ALK肺がん患者14名を対象とした非盲検、単群、既承認の用法・用量を用いた、主に安全性を評価する第Ⅰ相試験が計画されています。本研究について、登録初期の安全性、継続の可否を検討する中間評価を6例(14例中)の段階で2コース開始前時点までのデータにより行う計画になっています。この際の安全性評価における評価方法、判断基準あるいは評価のタイミング等について照会をさせていただきましたが、より明確にプロトコルを修正していただいた状況になっています。
 加えて、次相が医師主導治験を計画されていますが、次相への移行基準についても安全性及び有効性の観点から基準を明確化されていることから、いずれも「適」とさせていただいております。以上です。
○松山座長代理
 ありがとうございます。それでは、1~16の総評について、主担当の竹内座長よりお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。会議資料22ページ、1~16の総評を御覧ください。総合評価は「適」とさせていただきました。コメントの所は、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性白血病治療薬として薬事承認されているギルテリチニブフマル酸を、ロルラチニブ耐性又は忍容性のないALK融合遺伝子陽性の進行又は再発の非小細胞肺がんを対象として、安全性と有効性を検討する第Ⅰ相試験である。先ほど御照会いただいたように、実施体制、研究デザイン、中間評価、患者説明文書など、多数の項目に関して照会を行い、研究計画書、患者同意文書の修正を含め、多岐にわたる項目に丁寧に回答されておりました。
 また、合同会議において、エンドポイント設定に関する詳細な数値項目を加えた設定が必要ではないかという疑義照会に対して、より具体的な数値目標を設定し、研究計画書を修正いただいたところです。
 以上を踏まえて、アンメットニーズの高い本対象疾患において我が国で初めてとなるギルテリチニブ療法の安全性と有効性を検討するもので、貴重な情報となることが期待されるとコメントを書かせていただきました。以上です。
○松山座長代理
 ありがとうございました。それでは、討議をお願いいたします。先生方から御意見、御質問等ありましたらお願いしますが、いかがでしょうか。よろしいですか。御意見ありませんか。
 それでは、議事の取りまとめに移りたいと思います。整理番号147については、「適」といたします。また、平田構成員にはお戻りいただくことといたします。
                (平田構成員 入室)
○松山座長代理
 それでは、以後の審議については竹内座長に進行をお戻しいたします。ありがとうございました。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、先進医療技術審査部会にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の47ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は、整理番号146、脳性麻痺に対する自家臍帯血由来有核細胞輸血です。申請医療機関は高知大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が松山座長代理、副担当が掛江構成員及び飛田構成員となっています。なお、本議題の審議に際し、真田構成員におかれましては利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
               (真田構成員  退室)
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料2-5の75ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。
 Ⅰ.実施責任医師の要件ですが、診療科は小児科であることが必要、資格は日本専門医機構認定小児科専門医であることが必要、当該診療科の経験年数は3年以上が必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は実施者として1例以上が必要となっています。
 Ⅱ.医療機関の要件ですが、診療科は小児科が必要、実施診療科の医師数は経験年数5年以上の小児科医師が2名以上必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は産婦人科医師、放射線科医師、臨床心理士、理学療法士、臨床検査技師が必要、病床数は200床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は小児科医が必要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査(24時間実施体制)は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は1症例以上が必要となっています。
 Ⅲ.その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。これらの要件につきまして何か御意見、コメント等がございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、様式第9号につきましてはお認めすることといたします。次に、技術の概要と実施体制の評価につきまして、主担当の松山座長代理より御説明をお願いいたします。
○松山座長代理
 ありがとうございます。73ページのポンチ絵が分かりやすいと思いますので見ていただければと思います。脳性麻痺は現在まで特異的な治療法がございませんので、リハビリテーションがメインの治療でした。そこで、高知大学のこのチームの研究者等は臨床研究、小児脳性麻痺など脳障害に対し、細胞バンクで保管されている、自家臍帯血単核球細胞を用いた輸血の安全性研究を行ったところです。6例投与されたところで有害な事象は認められませんでした。一方、4例に関しては有効であったということです。そこで、その先行研究を受けまして本研究では、脳性麻痺に対して自家臍帯血由来有核細胞輸血の有効を明らかとすることになっています。目標症例数は12例ということです。それでは、実施体制の評価に進んでもよろしいでしょうか。
○竹内座長
 お願いいたします。
○松山座長代理
 Ⅰ~Ⅲに関して、実施責任医師の体制は「適」、実施医療機関の体制としても「適」、医療技術の有用性に関しては先行研究の6例のうち、有効例はおおむね4例であるという主張で、残りの2例が比較的重症例ということですが、重症例、無効例が多いと、12例で統計的な有意差が取られないのではないかと御議論させていただきました。今回、先進医療ということで、あくまで評価療養制度の枠組みですから、研究として有効性を出していただくことが本来の目的ということです。今回、GMFCS Level Ⅴ及びⅣの症例を除外いただいたということで、医療技術の有用性に対しては「適」と判断させていただいたところです。以上です。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、副担当の掛江構成員より倫理的観点からの御評価につきまして、よろしくお願いいたします。
○掛江構成員
 掛江です。よろしくお願いいたします。私からは、補償の内容に関しては前回の部会の際に提出させていただいた評価表でも、既に「適」とさせていただいていたのですが、同意に係る手続き、同意文書に関して前回の部会以降、更に追加で御指摘させていただく点がございました。かなり細かく指摘させていただき、おおむね修正していただけたのですが、今回、この臍帯血の研究は恐らくですけれども、もともとは臍帯血がそもそも保存されている方に対し、それを用いた臨床研究という形で説明文書もお作りになっていたのだと思います。それに対して、臍帯血を新たに採取・保管する方も対象に含めるということで、もう1つ、臍帯血の採取・保管についての説明文書をお作りなっていますね。ただ、これが、もともとの臨床研究の説明文書をコピーした形で、それに少し臍帯血の話を書き加えるような形でお作りになっていたみたいで、結局、何を説明したいのかということがよく分からない。さらに、対になっている同意書についても、何に同意をしていただきたいのかはっきり分からないものになっていました。
 それについて、いろいろやり取りをさせていただき、かつ、「本研究」という言葉で臨床研究を指してみたり、臍帯血の採取・保管と臨床研究を全部ひっくるめた形で「本研究」と呼んでみたり、言葉についても非常に曖昧な使い方がされていて、よく意味が分からない箇所がございました。それを御指摘申し上げて直していただいたのですが、現段階でまだ、評価表に書かせていただいたとおり本研究という言葉の整理と、そこに続く説明の文章の内容の整合性がうまく取れていない部分等がございました。そこについては、もう少し修正を御検討いただきたい所がありまして、「不適」とさせていただいたところです。
 長くなりますが、具体的に御指摘申し上げて更に修正をお願いしたいと思っている点を、口頭で御紹介というか少し申し上げさせていただきます。まず、前回の指摘事項2という書面に対し、部会後に追加指摘事項を足していただいていますが、それに対して本研究という言葉で書いてある部分として、例えば臍帯血の採取・保存の説明文書の小見出しの16番目については、未だに本研究や入院の費用負担についてという見出しになっています。これについては、「臍帯血の採取・保管に係る費用並びに本研究に参加した場合の費用負担について」と適切に見出しも書いていただきたいということ。
 それから、ほかの説明文書の17、18、19の項目は、臨床研究の説明文書を基にされているので致し方ない部分はあるかと思いますが、17の個人情報等の取扱いについて書かれている内容が臨床研究の場面での説明になっていますので、例えば臍帯血の採取については分娩時に行われる診療情報と同様の取扱いになるけれども、保管については患者さん、お母さんの診療情報とは切り離した形で、保管用のコード番号を用いて管理しますといった御説明をきちんと書いた上で、臨床研究についても御説明されたいのであれば、臨床研究に参加される場合も、今、書いてあるとおりですが、研究用のコード番号を用いて情報を管理しますといった書き方をしていただくべきと考えています。
 18は、本研究の資金、企業との関わりについてという所で利益相反について記載する箇所ですが、ここも臨床研究の説明をそのまま書いてあります。この臍帯血の採取・保管についてはもう既に確立した臨床手技なので、研究として企業等からの資金提供を受けることはありませんということを、まず冒頭で、臍帯血の採取・保管の説明文書としては書いていただくべきと考えた次第です。
 19は、本研究から生じる知的財産権等についてという項目ですが、こちらについても臍帯血の採取・保管から知的財産権が生じることはないので、既に確立した臨床手技ですから新たな財産権が生じることはありませんということを、まず書いていただいた上で、臨床研究の御説明をしていただく必要があると考えた次第です。
 あと、本研究という言葉で曖昧になっている部分として更にですが、他の説明文書の19ページ目の12番の見出しの所で、健康に関する重要な知見が得られた場合の取扱いについてという説明がございます。これもHLAの検査のことを御説明されているのですが、この研究のフローを確認したところ、HLA検査は臨床研究に参加した場合に初めて調べることになっていますので、臍帯血の採取・保管の段階で何か新たな知見が得られる検査を行うのであれば、そのことについて御説明するべきだと思います。かつ、ここに対応した形で同意書のほうに、こういった健康上の知見が得られた場合に知りたいかどうかのチェックを求める記載が、臍帯血の採取・保管の同意書にも付いています。それについても、もし臍帯血の採取・保管の段階でそういった検査等を予定していないのであれば、そのボックスは削除いただく必要があるかと思います。その辺り、きちんと同意書のほうとも整合性を持って修正をしていただきたいと考えています。事務局から出していただいたのは同意の撤回書の所なので、今の事項とは少し違うのですが。
 あと、同じ保管の説明書の中の15番、20ページになります。健康被害が発生した場合についてという説明があります。こちらについても臍帯血の採取・保管において健康被害が発生する可能性はないと思いますので、まずそのことをきちんと書いていただくことが必要かと考えています。以上が、本研究として書かれていた臍帯血の採取・保管と、臨床研究の説明が混同してしまっている部分の追加の指摘になります。
 そのほか、前回の部会以降の追加指摘事項で、前回の部会の前に指摘した事項に対して脳性麻痺と診断されなかった方について、いつまで臍帯血を保管するのか。費用が発生するのか。どういう形で脳性麻痺であったか、若しくはなかったかを確認するのかを御質問させていただいたのですが、その際に脳性麻痺と当院以外の医療機関で診断された場合には、当院へお問い合わせいただくよう、保管登録に同意された方へ退院までにお伝えしますという御回答を頂きました。それについて、追加指摘事項として私に回答いただくだけでなく、説明文書にその旨の記載をしてくださいとお願いしましたら、そのままその文章を説明文書にお書きになられたのですが、説明文書にお書きいただくのであれば、保管登録に同意された方へ退院までにお伝えしますではなく、当院以外の医療機関で脳性麻痺と診断された場合には当院に御連絡いただいて、保管された臍帯血由来有核細胞移植を受けるかどうかについて御相談ください。その際に、もし臨床研究に参加しないと判断した場合には臍帯血の廃棄、若しくは民間バンクへの移管について相談しますといった、患者さんに対する具体的な説明、メッセージを書いていただきたいと考えましたので、その辺りも御再考いただきたいと思っています。
 あと、少し誤植が残っています。新たに追加していただいた説明文書の中で、同意書の「書」が署名の「署」になっていた所がございました。そういった誤植についての修正、並びに文章の中で問い合わせと連絡は言葉の意味が少し違うのですが、その辺りが曖昧に使われている所があって非常に分かりにくい部分がありましたので、その辺りも併せて修正を検討していただきたいと思います。
○竹内座長
 少し音声が落ちてしまいましたが、事務局のほうで確認できますか。掛江先生、すみません、ミュートになってしまったのでしょうか。
○掛江構成員
 申し訳ございません。以上です。
○竹内座長
 掛江先生、最後の部分は音声が聞き取れなかったのですが。
○掛江構成員
 最後の部分は誤植がというところです。
○竹内座長
 誤植で、同意書の書が間違っているという辺りまでは聞き取れたのですが、その後は。
○掛江構成員
 署名の署以外にも、誤植ではないのですが、少し言葉遣いとか、例えば連絡と問い合わせという言葉は意味が違うと思うのですが、その辺りの使い方が混同していたり、少し分かりにくい文章がございますので、その辺りも併せて指摘させていただければと思っています。
○竹内座長
 分かりました。ありがとうございました。大変具体的に幾つかの箇所でまだまだ十分な回答を得られていないということで、掛江先生の御評価は、同意に係る手続き、同意文書の所が「不適」になっています。50ページのコメントに加えまして、52ページから72ページにわたる多数の項目について照会事項を頂き、さらに追加の具体的なコメント等を、今、口頭でお話いただいたということです。ありがとうございました。
○掛江構成員
 申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 続きまして、副担当の飛田構成員より、試験実施計画書等の評価につきまして御評価をお願いいたします。
○飛田構成員
 50ページ、51ページに私のコメントが掲載されているかと思います。実施計画等の評価につきましては前回と同じで、いずれも「適」とさせていただいています。今回、対象とする疾患及び重症度を絞るということで、前回、少し懸念されていた有効性評価に対するバラツキの懸念というのは多少なりとも払拭されましたが、12例という少数例での検討であることから、研究者らが回答されているように、本研究において、次相への試験に繋げる有効性の閾値や期待される適応範囲に関する情報については、適切にAROのサポートを受けて収集していくことが重要だと考えています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、1~16の総評につきまして、主担当の松山座長代理よりお願いいたします。
○松山座長代理
 ありがとうございます。かなり悩んだのですが、今回、「条件付き適」とさせていただこうと考えました。研究の在り方として、症例を絞り込むことによって有効性が得られる可能性が高くなってきたということ。お待ちになっておられる患者さん、御家族がいらっしゃるということ。それから、ここまでかなりボリューミーなポイントを指摘させていただいていますけれども、必死に高知大学の先生も対応してくださっていることを鑑み、条件として同意に係る手続き、同意文書にて掛江先生から御指摘された点の修正を私どもで確認させていただくことをもって、適とさせていただこうと考えています。本当にボリュームが多い指摘が多くて、掛江先生はこの1か月、ほとんどこれに関わっていたのではないかと思います。本当にありがとうございました。
 コメント欄として、修正後、例えば非常に分厚い研究計画の中の1か所を修正すると、同じような箇所が複数箇所あるのですけれども、そのときに、できれば1か所指摘いただいた後に、その他の部分も同じような部分を探していただいて修正をしていただきたいと思います。計画書や説明同意文書の他部位に影響を与えていても、十分な修正がなされていない箇所がまだございます。また、誤字もありますので、先生お一人で書くのではなくAROとか、しんどいときは、医療はチーム医療ですので御相談していただければ、皆さん、サポートしていただけるのではないかと思います。そして、1つお願いですが、審議において本質的な点に我々の能力を割けるように、申請までに十分に練られた研究計画を出していただきたいと思います。
 これは、大阪大学の特定認定再生医療等委員会で審議されているのですが、議事録を見させていただくと、かなりしっかりとした議論をしています。そちらのほうでもかなり細々とした点が指摘されていますが、どうしても審査はエフォートが限られていますので、その部分は是非とも、今後、新規の申請を出すときに、そういうタイミングがございましたら御配慮、御考慮いただければ有り難いと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。熟考していただいた上で、今回は幾つかの条件をお出しして、「条件付き適」としたいということですが、御意見等はございますでしょうか。かなり内容的に修正箇所が多く複数項目に及ぶということで、多分、時間も掛かるだろうと思います。今井先生から手が挙がっているでしょうか。今井構成員、どうぞ。
○今井構成員
 慎重な御討議のほう本当にお疲れさまです。ありがとうございます。私、資料を拝見しまして、指摘事項3の追加指摘事項の所でページとしては70~71ページになりますが、追加指摘事項があって回答が私の手元にはないのですけれども、この回答は届いているということでよろしかったでしょうか。71ページの上です。ここは対象疾患についての疑義の所ですので重要な部分だと思いますが、その部分はどうなっているでしょうか。
○松山座長代理
 申し訳ありません。お答えいただいておりまして松山が確認しています。71ページの上のグラフを見ていただくと分かりますが、6例のうち、Case1とCase2は有効性があるのだろうかという議論を高知大学の先生とさせていただいて、寝たきりの患者さんの場合にはなかなかリハビリもできないことから、有効性が期待できないのではないかと。そう考えると、評価療養として有効性が期待できない部分の患者さんがエンロールされると、12例という少数例なので統計的な差が取れず、せっかく良いシーズあるいは技術があったとしても、それが打ち切られてしまうリスクがありますという交渉をさせていただき、そしてCase3、4、5、6を中心とした部分に限定していただいたという経緯がございます。抜けているのに気付きませんでした。申し訳ありませんでした。ありがとうございます。
○竹内座長
 御指摘、ありがとうございました。回答、71ページの所にはそのやり取りが記載されていないということでした。今井構成員、今、松山先生から口頭で御回答いただいた御説明でよろしいでしょうか。
○今井構成員
 はい、御丁寧にありがとうございました。
○竹内座長
 そのようなことでございます。ありがとうございました。天野構成員から手が挙がっています。天野先生、よろしくお願いいたします。
○天野構成員
 ありがとうございます。本件について担当いただいた先生方の御意見はそのとおりでよろしいかと思いますが、1個だけ指摘させていただきたいのは、先ほど座長代理からも御指摘があった点です。私もこの先進医療技術審査部会で今まで何度か同じような経験をしているのですが、例えば先ほど掛江構成員から御指摘が多数ありました。御指摘の内容は多数ありましたが、整合性が取れていないという趣旨の御指摘が幾つもあったかと思います。それについては医療機関の審査をする段階で気付いていただかなければいけない箇所でありますし、それを全て先進医療技術審査部会の担当の先生がチェックしていくことでは本来ないと思います。事務局に重ねて確認したいのですが、以前から何度も申し上げていますけれども、いわゆるCRBであるとか、そういった倫理審査等を行う厚労省内の別のセクションに対し、先進医療技術審査部会に対して、例えば患者説明文書等で初歩的なと言ったら大変失礼ですが、整合性が取れていない文書が上がってくるような状態であると。ですので、CRB等の質担保、あるいは個別のCRBをどうこう言うわけではありませんが、全体としてそういった対策を取るように連携いただいているのかということを、改めて確認したいと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 事務局からお答えいただけますでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長
 御指摘、ありがとうございます。以前から指摘されていますようなCRBの質の担保のことですけれども、臨床研究部会においてもその御質問は指摘されています。今般、臨床研究法の法改正を踏まえまして省令のほうも改正しています。省令改正の中でCRBの3年間の更新の間に、いわゆる外部評価ですね。外部からの相互確認あるいは議事録審査といった形を、更新の間に1回は受けることを義務付ける形に省令の改正を行っています。これで質が全て改善されるということではないと思いますが、現行よりは第三者のチェックを受ける、外部チェックを受けることを更新の要件にしたということで、一歩は改善策を取らせていただいています。改めて講習会の実施といったことも通じて質の確保には努めていきたいと思います。
○竹内座長
 天野構成員、いかがでしょうか。私も同じように感じていまして、部会の先生方の御負担が大変多いという状況になっています。貴重なコメント、御意見を頂きましてありがとうございました。よろしいでしょうか。
○天野構成員
 事務局の説明は承知いたしました。一方で、それは時間が掛かることでもあるかと思いますが、特定の構成員に過重な負担が掛かるのはあまり好ましくないと思うので、例えば予備審査であるとか、あまり負担の掛からないような仕組みを別途検討していただいてもいいのかなと感じた次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。また、事務局にも負担が掛かることになるので、どこが負担を負うかという問題にもなるのですが、掛江先生、手が挙がっています。どうぞ。
○掛江構成員
 すみません。天野構成員が御発言くださったのですが、本当に大切なことだと思っています。今回は認定再生医療等委員会の審査を経ているものだと思いますが、もちろん整合性の問題もそうですし、例えば、今回は脳性麻痺の子供さんについての案件ですので代諾者なりが登場するわけですけれども、そこに最初の段階で親族という言葉が使われているなど、法的にも誤りがあることが誰にでも分かるような状態で、そこの委員会を通って出てきてしまっていることが、拝見していて非常に残念だったのです。恐らくそれぞれの委員会に、必ず倫理的、法的な立場で御覧になる方もおられることが構成要件としてなっているはずですし、残念ながら、そういったものが今回のケースに関しては全く機能していなかった可能性もあるところを踏まえて、これは個別の委員会に申し上げるのがいいかどうか個人的に悩むところですけれども、ある意味、これだけ気が付いて、修正をあらかじめしていただきたい事項が残った状態で来てしまっていることについて、きちんと事務局のほうにも指導いただけたら有り難いなと思った次第です。すみません、余計なことを申し上げました。
○竹内座長
 ありがとうございます。松山座長代理からどうぞ。
○松山座長代理
 ありがとうございます。活発な御意見、ありがとうございました。特定認定再生医療等委員会に関しては再生医療等法に基づいて設置された委員会で、実は審査できることと審査できないことがあるのです。法に基づいて設置されている特定認定委員会に関しては、例えば誤字・脱字を修正していいかどうかというと、法の規定上、修正していいと一言も書いていない。だから、彼らとしてできることはかなり限られているところがあると思います。あくまでも、患者さんにこの細胞を投与していいかどうかという視点からの審議ということになります。
 審議の内容は、議事録を見ていると、恐らく日本で一番しっかりと審議している委員会ではないかと私は思っているのですが、それ以前に高知大学から特定認定に出てくる段階でこういう状態で、本質的な議論をする以前に細々と指摘しなければいけないところが最大の問題だったということがあるのです。倫理委員会は細々としたところを直すのが本来の責務ではないですから、研究申請の段階でどうするかということを、例えばAMEDなどの研究構成のほうで、もうちょっと本質的に良いプロトコルを立てられるように、委員会に負荷が掛からないようにどうすればいいかお考えいただくことを、ちょっと御提案させていただければいいかなと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。どの部署なのかということはいろいろな意味でハードルがあるかと思いますが、今回、いただいた意見は大変貴重なので、何らかの形で研究機関にフィードバックしていただけると有り難いと思います。特定の医療機関だけでなく、全体的に臨床研究に関わる、あるいは先進医療に関わる医療機関にフィードバックしていただければ有り難いなと思います。事務局のほうでそれは可能なのでしょうか。研究計画を練るときに、特に同意説明文書についてここまで複数項目で整合性の取れない表現とか、様々に法的な言葉の使い方の問題点が含まれていることを改めてお知らせいただければと思います。掛江構成員、天野構成員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。大変貴重な御意見を頂きました。それでは、「条件付き適」ということで、複数項目が多数にのぼりますけれども、その修正を待って、そして修正が適切になされたならば「適」という形で進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。一家構成員から手が挙がっています。一家先生、どうぞ。
○一家構成員
 ありがとうございます。先ほどの松山先生の御発言について、念のために確認をしたいと思ったので発言させてください。というのは、認定再生医療等委員会および認定臨床研究審査委員会は患者用の説明文書の誤字・脱字を修正できないのですか。少なくとも私は両委員会に所属していて、そういった修正をしたことがありますし、例えば再生医療法の施行規則13条約2項では、再生医療等を行う医師は再生医療等を受ける者に対して、当該再生医療等について文書による説明をしなければならないとなっています。要するに、再生医療を実施する医師が、適切な文書を使って説明することが、実施要件として求められているはずです。その文書の内容が誤字も含めて正しくないのであれば、その指摘をすることは委員会の役割として妨げられることはないと思っています。この部会の場での議論をいろいろな方が聞いておられるので、もし審査する委員会がそういうことをできないという情報が誤って伝わるとまずいと思いましたので、確認させていただきました。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重なコメントでございます。松山座長代理、どうぞ。
○松山座長代理
 ありがとうございます。私も誤字・脱字を結構指摘しますので、全くできないというわけではないということです。マインドとしては、より本質的なところを御議論していただきたいということで、誤字・脱字だけを指摘して、それで良しとするわけではないというところです。一家先生、修正していただいてありがとうございました。ちょっと口が滑ったところがありますのでお詫び申し上げます。
○竹内座長
 ありがとうございました。指摘できないということではなくて、本質的な役割について松山先生から御説明いただいたというところで、後ほどそこの所は修正していただければと思います。ありがとうございました。それでは、真田構成員にはここでお戻りいただくことといたします。
                (真田構成員 入室)
○竹内座長
 お戻りいただいたようです。それでは続いて試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料3の77ページを御覧ください。 国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号33「シスプラチン静脈内投与及び強度変調陽子線治療の併用療法」です。適応症は頭頸部扁平上皮がんです。御審議いただく主な変更内容について79ページを御覧ください。主な変更内容として参加施設の追加、実施期間の延長、登録患者数の変更、その他軽微な変更等があります。
 変更申請する理由として1つ目については、登録推進のため湘南鎌倉総合病院を追加する。2つ目については、2025年1月時点で登録症例数が35例にとどまっており、予定登録期間である2025年2月末までに予定登録症例数に到達することは困難であると判断したためです。3つ目については、登録期間を2年間延長しても予定登録症例数に到達することは困難であると判断したため、登録期間延長と併せて予定登録症例数を変更する。症例登録が遅延している理由として以下の1)から5)を考えている。
 1)本臨床試験に適格となる症例は、病気が適格でも合併症や重複癌などの状況から局所進行頭頸部扁平上皮がんの一部に限られること。2)本臨床試験では導入化学療法が許容していないが、一部の施設では本臨床試験に適格な症例に対しても導入化学療法を実施しており、適格外となる症例が生じたこと。紹介される前に導入化学療法が開始されていた症例も少なからずあった。3)診断時の検査で本臨床試験に適格と判断された症例でも、費用の点で保険診療のIMRTを選択する症例が当初の想定以上に多かったこと。これは治療成績が向上するわけではなく、副作用低減効果が主であることの意義が十分伝わらなかったことが要因と判断している。4)当初の研究計画の段階では頭頸部癌に対するIMPTが可能であり本臨床試験にも参加可能と思われた施設に参加を打診したが、技術的・医療資源の観点から参加見合わせとなった施設があった。5)2021年5月より本臨床試験と同疾患を対象としたJCOG1912が開始され、本臨床試験参加施設の国立がん研究センター東病院、北海道大学もJCOG1912の参加施設であるため、本臨床試験への登録症例が想定より減少したこと。
 登録促進のため、参加施設の関連診療科はもちろん、紹介を頂ける可能性がある施設をリストアップして、本臨床試験のパンフレットやプロトコル概要の送付をしてきた。しかし、定期的な班会議で各施設の状況把握をする中で、上記の要因については計画段階で一定の認識はあったものの、実際の症例登録の進捗を踏まえると、当初の見込み以上に影響が大きかったと考えている。一方、ASCO2024において頭頸部癌に対するIMRT vs. IMPTのPhaseⅢの結果が報告された。この試験では、StageⅢ/Ⅳ期の中咽頭癌を対象に、IMRTあるいはIMPTで化学放射線療法を施行し3年無増悪生存割合を比較した。その結果、IMPTがIMRTに対して治療成績は非劣性で、有害事象として治療後の胃瘻依存性や栄養状況では良好な結果であった。この試験の結果より、IMPTがIMRTによる治療成績を維持したまま有意に有害事象を低減可能であることが明らかとなった。ASCO2024の結果により本臨床試験の位置付けが検証的試験から確認的試験になってきたと判断される。ICH-E9にあるように検証的試験のときはα=0.05, 1-β=0.8以上が必須であるが、検証的でない試験については、その限りではないと考えた。そのため統計学的な観点から、片側有意水準を0.05から0.1とし、検出力を0.7とすることも妥当な範囲と考え、この設定を採用したとなっております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。御意見、コメント等はありますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは告示番号33の変更については、これをお認めすることといたします。では続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4-1の81ページを御覧ください。告示番号27について1施設、告示番号33について1施設の協力医療機関の追加申請がありました。資料4-2の82ページを御覧ください。事務局において先進医療実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続きを進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは事務局では手続きを進めていただきたいと思います。続いて、先進医療Bの取下げについて事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料5の86ページを御覧ください。先進医療Bの取下げとして、告示番号22及び告示番号25の2件の申請がありました。告示番号22の取下げ理由としては、症例登録及び全症例の追跡期間が終了したため、当該先進医療を取り下げる。なお、総括報告書については、提出準備中であるということです。また、告示番号25の取下げ理由としては、研究期間が終了したため、当該先進医療を取り下げる。なお、総括報告書については後日提出する。以上について特に御意見がなければ、手続きを進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。本件について御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。本日はこれをもちまして議題は終了です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等はありますでしょうか。
○今井構成員
 すみません。先ほど少しあれっと思って指摘できてなかったことがあるので、ちょっと御相談させてください。国立がん研究センター東病院からの変更申請の80ページですけれども、有意水準の所の記載なのですが、これは私が言うのもどうかなと思うのですが、④の上の「片側有意水準を0.05から0.1とし」とありますけれども、これはその上にαエラーが0.05とか書いてありますので、ここは両側有意水準と記載するのではないかと思いましたが、諸先生方の御意見を伺いたいと思います。
○竹内座長
 統計の御専門の先生で何かコメントはありますか。これは基準を少し緩めるという。
○今井構成員
 私はまだ計画の全体像を見ないまま、ここの記載だけで質問しているので、不義理がありました場合はお詫びいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局です。こちらの変更に関しては片側が正しい記述でございます。両側ですべきではないかという議論をかなりさせていただいたのですが、この研究を終わらせるための症例設定等を行いたいということで、かなり事務局、統計の先生も交えてお話をさせていただきましたが、今回片側0.05から0.1に変えてという変更をなさいました。以上です。
○竹内座長
 今井先生、そういうことでよろしいでしょうか。これは0.05から0.1にするということの根拠として両側ではなく、片側で検定するので、0.05ではなく0.1にしたということかと理解いたしました。よろしいですか。
○今井構成員
 いや、もともとは両側0.05だったものを片側0.1にするということなのでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 事務局です。もともと片側0.05でした。今回は片側有意水準を0.05から0.1、両側では0.2にされたということです。
○今井構成員
 すなわち、最初、検証的試験のときから少し緩めに設定されていたという、そういうことなのですね。了解いたしました。どうも御説明ありがとうございました。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
 失礼いたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変重要な点を明らかにしていただきました。追加の御意見、コメント等はありますでしょうか。よろしいですか。ないようです。大変活発な御議論を頂きまして本当にありがとうございました。ないようでしたら次回の日程を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は令和7年4月11日金曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 それではこれをもちまして、第173回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。