第7回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)
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議事
○山川座長 定刻となりましたので、ただいまから「第7回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。構成員の皆様方、大変お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日は眞保構成員が御欠席となります。本日の研究会は、Zoomによるオンラインでの開催と会場からの参加の両方となっております。会場には冨髙構成員、倉知構成員、田中伸明構成員にお越しいただいております。渡邊構成員におかれましては、途中で御退席の予定とお伺いしております。開催に当たり、事務局から説明がございます。
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。本日もZoomを使ったオンライン参加をいただいておりますので、簡単ではありますが、オンラインについて操作のポイントを御説明いたします。本日の研究会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際には画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、事務局や座長から発言の許可があった後にマイクをオンにして、必ずお名前を名のってから御発言いただきますようお願いいたします。Zoomの操作方法については、事前にお送りしましたマニュアルを御参照ください。
会議進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川座長 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。では、議事に入ります。第5回の研究会から、ヒアリングの項目ごとに構成員の皆様の間で議論を開始しております。前回は「精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けること」について議論をしていただきました。今回は、3つ目の論点である「就労継続支援A型事業所やその利用者の位置付け」について、議論を行いたいと思います。この議論に当たって、まず、事務局から資料1及び参考資料2と3について御説明いたします。その後、構成員の皆様から御意見を頂きたいと考えております。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○西澤障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の西澤です。まず、資料1、A型関係の資料をまとめております。2ページはこれまでの議論について振り返っております。このトピックは、平成30年の研究会の辺りから議論が出てきたかと考えており、2ページはその際の研究会の報告内容で、調整金や報奨金の関係、雇用率制度における扱いといったところについて御意見が出ておりました。
3ページは、障害者雇用分科会での意見です。直近のものとしては、3ページの下段、令和4年の意見書です。こちらの赤字のとおり、A型利用者の扱いについて、A型の障害福祉制度での扱いも踏まえ、雇用率制度・納付金制度からの除外の可能性も視野に入れ、一方で、様々な影響も考慮しながら検討をすべきであるといったことで検討課題となっております。今回、これを受けて検討をしていく必要があるというところです。
4ページ、これまでの御意見です。これはヒアリングにおいて出された意見で、何点か掲載しております。A型は一般就労が難しい方の受け皿・訓練の場といった性格を考えると、法定雇用率や納付金制度の対象から除外すべきという御意見もあった一方で、A型関係の団体の方などからは慎重な御意見、雇用契約を結んでいる労働者であるということで、同じであるということの御意見もあったところです。そのほか、LLP(事業協同算定組合)の関係の御意見があったかと思っております。
5ページは、これまで構成員の皆様から頂いた御意見です。先ほどのヒアリングと同じように、雇用率制度からの除外も含めて検討をすることについての御指摘もありましたが、慎重な御意見もあったところです。
6ページ以降は、少し基礎的な情報も含めて整理をしております。6ページは障害者総合支援法における就労系のサービスの一覧で、この中にA型事業が就労継続支援として規定されています。
7ページ、具体的な規定として、法律上、就労継続支援の定義は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者について就労の機会を提供し、その知識や能力の向上のために必要な訓練、その他支援を行うと規定しております。下段です。これを省令でA型とB型というように書き分けており、A型は雇用契約に基づく就労が可能であって、雇用契約を結んでサービスを提供するということとされています。
8ページは制度概要です。対象者は、今申し上げたとおり、一般の事業所に雇用をされることが困難な方で、サービス内容としても就労の機会の場の提供、そういった訓練となっています。報酬は、障害福祉サービスですので、障害福祉報酬ということでサービスの報酬が決まっております。基本報酬としてスコアに応じて単価が決まっており、こちらは、生産活動収支や様々な支援の状況を踏まえてスコアが決まります。令和6年度の報酬改定では、スコアの中で生産活動の収支を重視した見直しを行ったところです。これに加え、一般就労への移行を支援する体制や、様々な配置等の加算が付いて報酬ができているという構図となっております。
9ページです。このように、A型事業は雇用契約を結んで生産活動も行いながら、一方で、障害福祉サービスとして支援も行うということで会計が2つに分かれています。向かって右側のほうが、正に生産活動ということで、基本的に、その生産活動により生じた収入、売上げといったものを賃金や生産活動に必要な費用に充てるということで、ある意味、ペイすることを重視してスコアを付けているということになります。あと、指定基準用も、それが求められているということです。左側はサービスとしての収支で、基本的に支援に当たる人件費等の費用を障害福祉報酬などで賄っているというのが、いわゆる福祉サービスとしての収支になります。障害者雇用促進制度における調整金や報奨金、その他の助成金はどちらに入ってくるのかは、こちらは生産活動で生じた収入ではないので、基本的に、福祉活動のほうの収支に入っているというのが現状の整理です。
10ページ以降です。調査の内容を幾つか掲載しております。これは、令和4年の審議会でもA型の実態を踏まえるということもありましたので、幾つか調査がありますので御紹介いたします。
11ページはA型の利用者の実態です。A型事業所にアンケートをして把握したものです。最初に、まとめを言ってしまうと、全体として様々なニーズの方がいます。一般就労を希望する方以外も含めて、色々な方がいるというのが全体像です。具体的内容としては左側にありますが、職業上の課題ということで、コミュニケーション能力、作業能力について課題となる方が多いという回答が多く、一般就労の希望率を見ても、一般就労の希望者が2割以下の事業所が半分ぐらいで、必ずしも一般就労を希望している人が多いというわけではないという状況です。そして、A事業所を利用する前の状況を見ても、一般就労から移って来られる方もいらっしゃいますし、ほかの福祉サービスや学校から来ているということもあり、様々な経路で様々なニーズの方が使っているという実態があるのかなと思います。
12ページは、そういった方々に対してどういった支援が行われているかです。実施率が高い項目としては、体調・出勤の安定支援や対人スキル支援、不安解消安心感醸成といった支援の実施率です。相対的に、それに比べて低い支援というのは、勤怠、移動介助、身体介助のほか、履歴書作成、面接練習といった一般就労への準備といったところで、先ほど、必ずしも多くの人が一般就労を希望しているわけでもないという事業所もありますので、比較的、実施率が低くなっていると考えられます。一般就労移行者数も、2年間で0人が35%、2人以下の事業所で75%超といった規模になっているところで、希望率を見ても、2割以下の事業所が半分ぐらいとなっております。そういったところで、様々なニーズに応じて支援をしているということです。
13ページです。A型のどういったタイプがあるのかを少し整理したもので、積極的に一般就労への移行を目指しているA型もあるという事例を載せております。訓練をして一般就労にどんどん行くというところもあると。他方で、右側のように、A型の中での働く機会の充実を目指すという事例もあり、そこでいろいろ仕事を工夫したりしながら、やりがいのある仕事をするといったサービスをしております。下のほうにあるのは、先ほど、やはりその生産活動収支を上げないといけないという存在ではありますので、ここが正にA型として、ある意味、稼げるようなことを追求していくというサービスを行っている事業所もあるということで、そういったいろいろなタイプがあるのが現状なのかなと考えております。
14ページ以降は、また別のグラフで、事業所の情報を聞いたものです。幾つか御紹介すると、設立の背景としては、「障害者の就労の場の提供・雇用継続」といった目的が多く、平均利用年数を見ると、5年より長い事業所が4分の1ぐらいあり、ある程度、長く働く場でもあるという事業所も一定あります。右側のほうを見ると、ほとんど雇用を結んでサービスをしているということになっております。
15ページは利用者の状況です。平均年齢としては30代、40代といったところが多く、障害種別としては精神障害が多い、次いで知的障害という状況です。一般就労の可能な方がどのぐらいいるかを聞いたところ、「いない」という所が5分の1ぐらい、「10%ぐらい」という所が30%ということで、それを足すと、半分ぐらいが10%以下という回答になっております。雇用率の算定をしているかどうかといったところ、45%が雇用率の算定をしていないということで、これは恐らく、事業規模が小さくて雇用義務が1にならないということなのかなというところで、半分、51%は雇用率算定をしているというところで、3%はグループの中に入っているという回答がありますので、事業規模に応じて雇用率との関係は様々であるということかなと考えております。
16ページ、調整金・報奨金の受給状況です。調整金をもらっている所が18%、報奨金が42%、受給していない所が39%。こちらも、法人の形態ですとか、ほかの事業や規模によって様々です。受給している所について言うと、経営に寄与しているかというと、寄与しているという答えが多いというところで、右側は、その雇用保険の助成金のうち、特定求職者雇用開発助成金の受給状況は75%が受給しているところで、これも、受給している所に聞けば、経営に寄与しているという答えが多いというところです。これが、ある程度、実態といったところを整理したものです。
17ページ、地域の差、そういったところを見ていきたいと思います。これは障害者雇用状況報告で把握できた範囲のA型事業所の数ですが、都道府県別に並べると、全体の事業所の数と比較すると、やはり相対的に多いというように見える県が幾つかあります。比較的多い所は大阪や愛知、福岡、一方で、比較的少ない所もあるという状況です。
18ページは、同じく障害者雇用状況報告で把握できる利用者を全体の従業者と比較したものです。こちらも事業所と同じような傾向にあり、地域差は一定あるという状況です。
19ページは、労働時間を見たもので、JEEDの調査です。週20時間以上か、それ未満かというところで聞いております。週20時間以上かどうかを聞くと、障害種別で少し差はありますが、おおむね8割、9割の方が20時間以上働いているということで、週20時間はあるという方が多いというところです。
20ページ、障害者雇用状況報告を更に見ていくと、先ほどの都道府県別と同じように、障害者雇用状況報告で分かる範囲のものですが、こちらの20時間以上の所で20~30なのか、それとも、いわゆる1とカウントされる30時間以上なのかを見ると、20時間以上~30時間未満の方が多いというところが見て取れるかなと思います。
21ページは、障害者雇用状況報告の全体、一般事業所も含めた全体と比較したものです。全体とすると青が30時間以上なので、障害者雇用義務の中の雇用という意味では、30時間以上の方が基本的には多いわけですが、A型で見ると、20~30の所が多いとなっております。
22ページ、これまでの経緯です。雇用率制度、報奨金・調整金とのA型事業所の関係を整理しております。昭和51年に障害者雇用促進法の改正で雇用義務と納付金・報奨金・調整金といった制度ができました。その際、今のA型は福祉工場と呼ばれており、福祉工場について、当初は調整金・報奨金の支給は行わないとされ、これは様々な補助が行われているという理由で整理をしていましたが、昭和54年に福祉工場も労働関係法の適用を受けるということで、調整金・報奨金の対象になるという整理を変更しております。それ以降続いていて、平成19年には障害者自立支援法の改正によって、今の就労継続支援A型という枠組みができ、こちらもその整理を引き継いでいるといった現状です。こちらが雇用率関係の経緯です。
23ページ以降は、助成金の取扱いです。こちらのヒアリングでも雇用保険の助成金の関係の御指摘もありましたが、雇用保険の助成金自体は、全体として、それぞれの助成金の趣旨に応じて支給対象かどうかを決めております。ですので、A型事業所も対象になるものと、ならないものがあるというのは一般事業所と同じです。支給の対象となるのが、先ほどの調査の中でも受給している所が多かった特定求職者雇用開発助成金ですが、A型事業所については、一定の一般事業所より要件が課されております。一定期間において離職率が一定割合にいく場合には対象外といったこと、福祉の事業所として運営が不適切な場合などは不支給ということで要件を課しております。他方で、トライアル助成金やキャリアアップ助成金は、A型のサービスとの関係で支給対象としていないということです。
24ページは、納付金助成金です。納付金助成金は一部支給対象になり得るとなっており、支給可として、重度障害者等通勤対策助成金は対象となり得ますが、対象にならない助成金として、下にあるとおり、例えば、介助者を付けるといった助成金は、A型のそもそものサービス内容にも重なってくるので、支給対象としておらず、各種助成金はA型のサービス内容なども踏まえて対象かどうかを決めることとなっております。
25ページ、A型事業所に一番支給されている特定求職者雇用開発助成金の額の状況です。一部、A型以外も含まれる余地はありますが、ほぼA型分と考えられる割合が、2割程度の所から現在26.9%で、徐々に増えているというところです。
26ページは、A型を所有する法人への調整金・報奨金の支給の状況です。調整金・報奨金は法人単位で支給するので、A型以外の事業も持っていて、そこで障害者雇用をしているところもありますので、必ずしも、全部がA型分というわけではないのですが、調整金の場合は14.5%ぐらいがA型事業所を持つ法人に支給されています。報奨金を見ると、そもそも100人未満の所で、かつ支給要件が基本的に月6人を超えている所なので、小さい事業所の中でそれを超えているという所になりますと、やはりA型を持っている所の割合が高くなっております。
今、全てがA型分で受給しているわけではないということを申し上げましたが、報奨金・調整金のデータ自体からはなかなか分からないのですが、障害者雇用状況報告と少し駆け合わせて推計をしたのが27ページです。障害者雇用状況報告で把握できる範囲で調整金・報奨金の支給を受けているA型を持っている法人の割合は、調整金が37%、報奨金が48%ということで、やはり報奨金の割合が高くなっております。調整金がどのくらいA型相当に当たっているかは、やはり特例子会社やA型も持っていて、グループ算定しているといったような事業所もありますので、全体として見ると、9割弱がA型相当分ではないかというところです。他方で、報奨金の場合は、やはり小さい事業所なので、ほぼほぼA型で達成している状況があるので、ほぼA型分と推計されます。
28ページ、こちらの前提として、そもそも報奨金・調整金をもらっていない事業所もあるというところで、さらに、もらっている事業所の中でA型の利用者数と、もらっている額を並べたものです。赤が報奨金、青は調整金の事業所です。こちらの場合は、事業の形態や規模で、調整金であったり、報奨金であったり、どのくらい超過するかが変わってきますので、同じぐらいのA型の利用者数でも額が異なることになります。一定払われるのですが、その額というのは、そういった利用者以外の要素に大きく左右されるという仕組みになっているところです。
29ページ、また実態調査に戻って恐縮ですが、こちらは令和6年度に行った調査です。先ほど、令和6年度の改定で生産活動収支を重視したというところですが、生産活動の項目を見ると、右上のグラフで45.3%の事業所が過去3年間収支を上回っている、11%が過去2年間黒字で、昨年は20.3%が黒字といったことで、これらを足すと7割以上、収支がいいという状況なのですが、やはりそれ以外の所、収支がまだ黒字になっていない所もあるということです。この調査で、同じように調整金・報奨金や特開金の受給状況を聞いていますが、こちらでも、やはり全部の事業所がもらっているわけではないという結果は同じでした。
30ページ、こちらはある意味、復習的なところで恐縮ですが、納付金・調整金の趣旨です。法定雇用の水準を上回って雇用をしている事業者に対して、そこに伴う費用、投資を調整するために納付金を頂いて、調整金又は報奨金として支給をするという仕組みになっております。
31ページのヒアリングの意見にも一部ありましたが、この仕組みについて、今まで見てきたのは令和6年度までの実績ですが、令和7年度から制度改正が施行され、調整金・報奨金の額が一定規模を超えると減額されるという仕組みが、施行自体は令和6年度なのですが、報奨金・調整金の支給が翌年度、その前年度の実績に基づいて行われますので、実際、令和7年度から、こういった影響も少し出てくるということは加味する必要があるということです。
32ページ、調整金はどういう性格のお金なのかを整理したものです。正に額として規定しているのは、こちらの法律の規定になりますが、この特別費用という概念が第50条の2項に出てきます。この特別費用を踏まえて決めるということですが、では、特別費用は何かというのが第54条の2項に書いてあり、対象障害者である障害者を雇用する場合に必要な施設又は設備の整備、あと、雇用管理に必要な措置に通常要する費用ということで、こちらは、この前の納付金の拡大の議論でも御紹介しましたが、こういった費用を5年に1回、調査をして設定をしておりますので、障害者を雇用するための支援をするために必要な費用という性格のものです。
33ページ、先ほど申しましたとおり、法定雇用率の達成、調整金・報奨金の支給というのは、基本的には法人単位で見るということになりますので。A型を持っている法人について、仮に、A型をカウントしなければどうかというものを見たものです。これらの影響は規模によって違い、小さい事業所では、ほぼA型でやっていると、A型を考えないと、そもそも雇用義務が係る水準にいかないケースが多いと思われるので、余り影響がないというところで、100人、300人と増えていくと、例えば、大きな法人で事業の一部としてA型を持っているといったようなことも出てきますので、雇用率が未達になる割合が増えてくるといった影響もあるというところです。
34ページ、A型の最近の総費用や利用人数の状況です。総費用は、ここ数年上がってきて、利用者も上がってきていますが、令和6年度に少し下がっているという状況です。1人当たりの費用額は、報酬改定で処遇改善などを行っているので、3年ごとに少しずつ上がっているという傾向です。
35ページ、障害福祉関係の支援をする方の賃金の推移です。御案内のとおり、処遇改善が求められており、報酬改定などで処遇改善を行っている状況で、少しずつ上がってきているけれども、全産業とはまだ差があるという状況です。
36ページはサービス別に見たもので、就労継続支援A型の賃金というのは、ほかのサービスと比べると必ずしも高くないという状況です。
37ページ、こちらの背景を補足すると、先ほど申したような障害福祉サービスの福祉会計、要は報酬の水準というのは、経営実態を見ながら改定をするというところです。その経営実態の調査方法について、昨年度の財務省の予算執行調査で、A型の福祉会計の所に雇用関係の助成金がきちんと含まれているのかどうかの指摘があり、これは今年度、経営概況の調査をしているところで、そういった調査の中で、就労継続支援A型の収支に雇用関係助成金が適切に含まれるように調査を行うということで、より経営の実態を把握できるように調査をしているという状況です。
38ページは、先ほどと少し重なってしまうのですが、A型の直近の状況で、先ほど申しましたとおり、これまで伸びてきたところ、報酬改定の影響などで令和7年1月、直近は事業所数と利用者数は少し減っているというところです。上の囲みに書いていますが、今後の動きとしては、就労選択支援という新しいサービスが令和7年10月から施行され、まずはB型利用者に対して必須ということですが、令和9年度からはA型を使う方にも、まず就労選択支援を受けていただくというような仕組みが始まるということです。
39ページは、一般就労への移行者数の推移で、こちらのグラフは人数で就労系のサービス全体のものです。一番多いのは、やはり就労移行支援ですが、就労継続支援A型からも一定の数の移行があり、直近で5,475人、利用者全体も増えていますが、移行する方も少しずつ増えているという状況です。
40ページは、御案内の内容ですが、障害者雇用状況報告全体の雇用者数の推移で、こちらも増えている一方で、まだ実雇用率と法定雇用率のギャップはあるという状況ですので、一般就労側でも、正に、福祉への移行を受け入れる余地というのはまだあるのではないかなというように考えております。
長くなり恐縮です。様々、説明をしてまいりましたが、これを踏まえて、論点を整理しております。
41ページです。正に、雇用率制度、納付金制度について、A型の位置付けをどう考えるかです。まず、過去からのファクトとして、A型事業所は福祉工場の時代から、労働関係法の適用を受け、雇用契約が結ばれることを踏まえ、雇用率制度や納付金制度の対象とされてきたことは事実です。他方で、A型の性格として、先ほども申しましたとおり、通常の事業所に雇用されることが困難な方に対して就労の場を提供し、一般就労への移行も一部念頭に、その必要な知識、能力の向上のための支援を行うといったところで、かなり、一般の企業の雇用とは違った性格がある福祉サービスであることも事実であり、要は、一般企業を含めた企業全体が求められる雇用率の水準に入ること、また、それが実雇用の算定対象になることについてどう考えるかは検討をする必要があるかなと考えております。その際、雇用と福祉の連携をどうしていくか、一般雇用をいかに進めていくかということも念頭に置きながら検討をする必要があるかと思っております。
それと併せて、調整金・報奨金をどう考えるかです。3ポツ目、調整金・報奨金の性格として、障害福祉報酬のように、サービス、人に比例して支給されるものではなく、あくまで法人単位で経済的負担の調整を行うので、この影響というのは、事業規模や形態によってかなり違うということは念頭に置きつつ、他方で、A型事業所を含む障害福祉サービスの処遇の改善を求められることも事実です。ちょっと後でまた補足しますけれども、報酬改定や最賃の引上げなどの影響を受けて事業所数の減少などが起こっていると。一般的には経営が厳しい状況が垣間見える中で、調整金・報奨金を見直した場合に、今、現実の問題としてA型への影響、ひいては、最終的には利用者の方への雇用の影響というのはどう考えるかということも論点かなと思っております。
あとは、先ほどの資料の中で言いましたが、雇用率の算定は、あくまで法人全体でやりますので、A型の扱いを変えた場合は、全体への影響、激変緩和や経過措置も含めてどう考えるかを論点としております。
すみません、続けて参考資料を説明いたします。まず、参考資料3は、毎年度、この頃に発表させていただいている障害者関係のハローワークの業務統計です。こちらで就職件数や新規求職者の動向などをお示ししております。今回、ちょっと補足したいのは、1ページにあるとおり、解雇届の数による解雇者数も把握しており、これが昨年度、9,312人と多かったという状況で、そちらを整理したのが参考資料2です。9,312人のうち、A型で10人以上の解雇があった事業所の分が幾つかというのを把握したところ、7,292人で、今年の解雇者の数というのは、かなりA型の閉鎖や縮小の影響が大きかったと認識しております。
こうした方々に支援をきちんと行わなければいけないということで、自治体とか福祉事業所のほうで次のサービスにつなげる、ハローワークを利用される場合には再就職支援といったことをしております。そういった方の現在の状況を整理したものが、下の表の下のほうで、7,292人のうち2,171人がA型を含めて再就職、3,834人がB型などへ移行されたということで、これらの方々を合わせると8割ぐらいということで、その他の方は、まだハローワークで就職活動をしていたりするといった状況で、引き続き支援をしている状況です。こちらについては、きちんと影響を受け止めてハローワークでも支援をしていると考えております。すみません、長くなりましたが、説明は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、就労継続支援A型事業所や、その利用者の位置付けに関して、意見交換に移ります。毎回お願いしておりますが、発言の際は挙手をしていただいて、お名前をおっしゃってから御発言を頂くようにお願いいたします。何か御質問、御意見等ありますか。山口構成員から手が上がっております。どうぞ。
○山口構成員 愛知県中小企業団体中央会会長の山口です。御説明ありがとうございました。A型事業所の取扱いについて意見を申し上げます。第1回の研究会でも簡単に触れましたが、就労支援A型事業所は、令和3年度、令和6年度の報酬改定や、令和6年度からの納付金制度における調整金・報奨金の超過人数分の支給減額により、事業運営が一層厳しくなった所も多くあります。先ほど公表された令和6年度のハローワークの障害者の職業紹介状況のデータのうち、解雇者数は9,312人と、過去最高だった平成13年度の4,017人の倍増となり、その8割近くがA型事業所の利用者です。
今後、福祉制度におけるスコア単価の減額、制約や調整金・報奨金が対象外とされた場合、更に厳しい状況となり、社会貢献や社会的課題に対応するA型事業所の魅力や役割は薄れ、閉鎖や廃業が一層増えるおそれがあります。そうなれば、利用する障害者の方も、就業先を失うなど地域社会への影響が大きいと思います。
一部の御意見には、障害者の方をA型事業所に長期間勤務させることで、一般就労への移行を妨げ、また、留め置いているのではないかとの御懸念、御意見もありましたが、障害の程度や御本人の意欲などは、障害者の方もそれぞれ異なり、A型事業所は一般就労を希望する方への移行支援の充実も含め、ニーズに応じた仕組み作りに取り組んでおります。
既に地域に根付き、加齢などの理由により一般就労が難しくなった障害者の受け皿として、社会的役割を担うA型事業所を納付金制度の対象から除外することで、結果的に事業運営を悪化させるようなことは避けるべきだと考えます。
資料1では、A型事業所も多様なタイプの事業所があると御紹介いただきましたので、そうした事業所ごとの特性を行政には情報収集と、提供をいただき、障害者の方とのマッチングを図っていただくことも必要ではないでしょうか。
また、もう1つの論点である法定雇用率の算定についてです。A型事業所は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に就労機会を提供し、雇用契約を結びながら、一般企業への橋渡しを行う事業体です。そのため、A型事業所で働く障害者の方を算定式の分子に入れることは違和感があります。是非、法定雇用率の算定式の在り方も再検討いただければと考えております。私の意見は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。大谷構成員からも手が挙がっております。お願いします。
○大谷構成員 お世話になります。育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。育成会の立場としてお話をさせていただければと思います。A型事業所については、今までいろいろ取りざたされている部分もあるとは思いますが、現実的な問題として、A型事業所は、サービスを受ける、雇用契約を結んで一般雇用と同じようにルールに基づいた扱いをしていくということで成り立っている部分があります。位置付けを変えるのではなく、雇用率の算定や調整金等の対象から除外することについては、慎重に検討していく必要があるのではないかと考えます。山口構成員も言われたように、やはり前回の報酬改定等で、かなりの方の離職等が進んで、なかなか再就職も難しいとか、B型に移行したとか、いろいろな問題点をそこには抱えておりますので、是非とも、その辺も踏まえて検討していただきたいと思います。
A型事業所自体の収入については、福祉からの報酬と、利用者の活動によって収入がはっきりしているわけですので、この部分をしっかりと事業職の中では区別していく必要があると思います。生産活動において、一般企業での雇用は難しい障害者を雇用しているために、一般企業に比べて労働生産性は高くなりにくいということになります。直近の状況としても、利用者が従事する生産活動についても、社会保険の適用拡大や物価高騰の影響により厳しい状況が生まれることに加え、障害福祉サービスに従事している職員の賃金についても、先ほどの表にありましたとおり、全産業と比べてかなり低い位置にあると思います。
さらに、今年の10月から就労選択支援が始まります。本人の適性や希望に応じた一般雇用が可能な方には、一般雇用につながるような支援を行うため、このことについて、A型事業所や一般雇用への影響も見ていく必要があると思います。
加えて、前回報酬改定、令和6年度ですが、A型事業所の数、利用者等が減少している状況で、A型事業所の経営に大きく影響を与えたことは間違いないと思います。調整金等の見直しの議論を行うことに更なる検討が必要なのかと感じます。
A型事業所が果たすべき役割を検討することに当たっては、雇用、福祉の役割分担など、両面から丁寧に検討することが必要であると思います。ハローワークと、今後は連携をもっと密にして、一般就労、一般企業へのマッチングを図り、雇止めのない、はっきりとしたA型になれば、また変わってはくると思います。それから、次へのステップアップの役割も早急に図っていく必要があると思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。続きまして、清田構成員、どうぞ。
○清田構成員 日本商工会議所の清田です。意見を申し上げさせていただきます。法定雇用率納付金制度が、事業所間の負担の公平を図る措置であるということを踏まえますと、通常の事業所に雇用されることが困難な方の、就労の受け皿として機能しているA型事業所を、制度の対象とするということには一定の違和感を感じてしまいます。
他方で、今、構成員からも頂いたとおり、A型事業所がそうした方の就労雇用の場として欠かせない組織であることは間違いない事実です。また足元で、A型事業所が厳しい経営環境にあるということを踏まえますと、福祉面と併せた一定の支援というのは当然必要であろうと思っております。
A型事業所が一定期間の訓練の場として就労移行への橋渡し役として機能している点、他方で、通常の事業所での就労が長期的に困難になっている方の受け皿となっている点、こうした点を整理しながら、改めて、果たしている役割、果たすべき役割を整理した上で、雇用、福祉、それぞれの支援の在り方を検討していくことが必要ではないかと考えております。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。新銀構成員、どうぞ。
○新銀構成員 全国精神保健福祉会連合会の新銀です。御説明ありがとうございます。私のほうは、本事業は、最低賃金を確保するところで、就労Aは雇用を担っているということですが、一方で、福祉サービスを担っていることには間違いありません。一般就労で雇用が難しい方が、事業所に通っておられるところから見ますと、今回の調整金の対象にしないという方向でもし考えた場合、事業所の運営の悪化があれば、それは利用者さんが職を失うことになり、当事者にとっては死活問題と考えております。
一方で、今年度、令和7年10月から就労選択支援が始まりますが、そのことによって、必ずしも福祉事業にとどまるのではなく、本人の目指す企業にトライアルするというチャンスが生まれてくることも期待しております。そこで就労Aにおいては、やはり、就労Aに、必要でとどまっている方もいらっしゃれば、そこから一般就労に行く方もいらっしゃるということで、選択肢が増えれば、一般就労を目指すものが多い事業所には、何らかの報酬が必要ではないかと考えております。その辺をセットで考えていただきたいと思います。一般就労に移行できるというところは、やはり重要視しております。当事者団体としては、就労Aの事業所の意見を最大限受けていく方向で調整していただきたいと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。冨髙構成員、お願いします。
○冨髙構成員 連合の冨髙です。他の委員からも意見がありましたが、13ページにもありますように、A型事業所において、様々な生産活動の形や運営方針があるということは、一般企業で働くことが難しい障害者の方にとっての選択肢の広がり、働きがいに貢献している面もあると理解しております。また、一般就労への移行を希望する方への支援は、A型事業所の役割の1つと考えております。
一方で、12ページにも記載されているように、一般就労希望率が少ないとは言えど、一般就労希望率に比べて、就職活動実施率が低い実態があるので、A型利用者のニーズに対して、一般就労への支援が本当に十分に行われているのか。また、真に希望する就労ができているのかの検証は必要と考えます。また、A型事業所の制度というのは、通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である方と定義されておりますが、企業における障害者雇用が進展している中で、A型事業所の利用者の実態というのが、この定義に合致をしているのかというと、若干、曖昧になっているところもあるのではないかと考えております。そういった定義が当てはまっているかということについても、検証が必要ではないかと思っております。
改めて申し上げるまでもなく、企業における一般就労への希望者が、A型事業所に留め置かれることがあってはならないと思っておりますが、しっかりと実態を把握した上で、障害者雇用の進展に伴い、A型事業所等の就労継続支援の役割を少し丁寧に検討する必要はあるのではないかと思います。
先ほど参考資料2でも御説明いただきまして、山口構成員からも意見がありましたが、制度見直しに当たっては、事業所の経営や利用者に与える影響についても、最大限考慮しなければいけないと考えます。昨年から今年にかけて、評価項目の見直しの影響や、また社会保険の適用拡大による人件費増加の影響等によって、事業所の閉鎖等による退職解雇が、非常に多くなっているというのが現状です。これらの見直しは、いずれもA型のあるべき姿に向けた改善や、本来は、労働者保護に資する見直しであるはずだと思いますが、数字を見ますと、B型への移行や、まだ求職中である、またその他という方もいらっしゃるということで、結果的に利用者にしわ寄せがいくような状況になってしまっていないか懸念しており、本来はそういったことが起こってはならないと思っております。今回の制度見直しは、それらの前提を踏まえた上で、丁寧に検討をすべきと考えているところです。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。田中伸明構成員、お願いします。
○田中(伸)構成員 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の田中でございます。A型事業所につきましては、障害のある方の就労の機会を提供するという点では、非常に重要な役割を担っていると考えておりまして、その点は重視すべきであろうと考えております。
その上で、A型事業所では、障害のある方が働くに際しての必要な合理的配慮の提供に関するノウハウの蓄積という役割と一般就労への移行という役割、この2つは非常に大きな役割になっていると考えております。この2つの役割をしっかりと果たしていただくためには、やはり職員の方の待遇がしっかりと確保されていることは不可欠だと考えております。したがいまして、調整金・報奨金の対象から外すということについては、少し慎重な検討が必要であろうというように思います。
それから、一方で、資料の中にもありましたけれども、A型事業所から一般就労への希望者が少ないというデータが出ておりました。これは御本人の希望というところはあるかと思いますが、反対に、一般企業における合理的配慮の提供がなかなか難しい、あるいは十分にできないという側面もあろうかと思います。そういう意味では、やはりもう少しA型事業所のほうから、一般企業に対して障害特性に見合った合理的配慮の提供のノウハウを積極的に発信していただいて、一般就労への移行の基盤づくりに、是非、貢献していただきたいと、そのような思いがあります。
また、就職活動への支援というのも先ほど冨髙構成員からもありましたが、低調にとどまっております。この辺りの支援をしっかりしていただくと。そのためのスタッフの役割は重要ですし、したがって、待遇の確保というのも不可欠であろうと、そのように考えております。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。岡本構成員からお手が挙がっております。お願いします。
○岡本構成員 ありがとうございます。日身連の岡本と申しますけれども、今、各構成員の方からいろいろな御意見を伺っておりまして、まずあれですね、このA型事業所というか、A型の就労支援うんぬんの話が出た場合に、これはあくまで一般就労を目指すということではないかと思うのですよね。それを難しい人ももちろん見えると思うのですけれども、やはり一般就労を目指す、そういう事業所という位置付けで動いている中で、先ほどもお話がありましたけれども、もう少し、その事業所側が積極的に一般就労に向けてのことを働き掛けるということが重要だと思うのですよね。それがどうもないような感じで、就職活動というのですか、そういうこともなされていないような気がします。
やはりもう少しその辺のところが、その辺、何と言うのですか、職員さんの働き掛けも必要だと思うのですけれども、それが少し足らないような気がしてならないのですけれども、その辺のところをもう少ししていただかないと、このままではどうも移行が、なかなかできないというような状況が続くのではないかというような気がします。
それと、法定雇用率の中に含まれているのですよね、現在。そうした、なぜそういうことが、一般就労へ向けての下準備のことかというように思っておりますので、その辺のところをアンケート調査とか何かのあれで見ましたら、とても少ないような気がして残念に思っているのですけれども、やはりその辺のところをもう少し、一般就労へ向けての移行を図っていただきたい、そのような思いがございます。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは倉知構成員、お願いします。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。先ほど詳しい説明、ありがとうございました。とても複雑な仕組みや現状があるのだということがよく分かりました。私はA型事業所が、例えば、一般企業がA型事業所を持っていて、それでグループ算定をしているというところと、福祉サービスをやっていて、その中にA型があるというところでは随分違うのだろうと思っています。では、その違いをどう区別して対応したらいいかというところがなかなか浮かんでこないので、今、悩みはあります。
もう1つ、地方はA型事業所が、障害者が働く受け皿になっていることも大きいので、そこも気になっているところです。ただ、障害者雇用促進法の趣旨を考えると、一般企業で働く人をどう増やしていくのかというところが大事なので、今のままでは、なかなかそうならないのではないかというのは感じています。
特にA型事業所を持っている企業は、A型を持っていれば、障害者雇用をしなくても法定雇用率を達成してしまうという問題が少し気になっていて、例えば今後、大きい企業が、特例子会社ではなくてA型事業所を設立すれば、雇用率にもカウントできるし、特定求職者等の交付金ももらえるし、あとは納付金の調整金などももらえると。それプラス、国からA型事業の事業報酬も出るようになると。
こういうことになると、もう特例子会社を作らなくても、A型を作ったほうがいいのではないかという、どんどん違う方向に行ってしまう、そういう危惧を私は持っていて、今のような仕組みを残していいのかという危惧は感じています。ですから、まずは一般企業で働く障害のある方とA型事業所の利用者を同様に扱えないので、障害者雇用としてのカウントから、A型の利用者だけを外すというところからスタートしてみてはどうかと思います。
当然そうなると、利用者の分の調整金や報奨金なども減ると思いますが、そこは激変緩和措置というのを考えていきながら進めていくというのがいいのではないかと考えています。もう一方で、A型事業所を一般企業のほうに少しずつ転換できるような道を作れないかとも感じています。例えば、A型事業所から特例子会社などになるとか、あとは障害者雇用企業という新たな仕組みですけれども、そのような仕組みを作って、そこに移ることで転換助成金みたいなものを少し出すとか、報奨金や調整金の一定期間の減額制度の除外の仕組みを作るとか、こうやってA型から一般企業に転換できる道筋を付けるというのも1つの方法として考えられるのではないかと思っています。
今日、御説明いただいた解雇者のところが私は衝撃でした。というのは、解雇者数のうち、一般企業に就職、再就職した方が1割しかいないということなのですね、600名程度。ほかは一般企業に移れていないということ。これを考えると、闇雲にA型事業所を減らしていっても一般雇用に流れていかないというのが、ものすごく今日は衝撃でした。なぜ再就職につながっていないのかという理由を、しっかり原因を突き止めていく必要があるのではないかと。ここをやらないと、皆様方がおっしゃっているように働き口をなくす人が増えてしまうということになるのではないかと思っています。
もう1つ、就労選択支援も令和9年度からA型希望者は入りますけれども、それがどれだけ機能していくのかというところも少し見てみたいという、そのような気持ちもあります。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では新田構成員、お願いします。
○新田構成員 経団連の新田です。丁寧な御説明ありがとうございました。A型事業所が果たしている社会的な役割、特にその中でも、各構成員からもお話がありましたように、一般就労への移行をしっかりと支援していくことの重要性は、改めて申し上げるまでもないかと思っています。
一方で、A型事業所は法定雇用率の算定に含まれていたり、あるいは納付金制度における調整金や奨励金が受給できるということから、本来であれば一般就労へ移行可能な人たちがA型事業所に留め置かれているといった可能性は拭えないのではないかとも思っています。
併せて、会計区分で、調整金や奨励金が、福祉事業活動収入に区分されているのが通例と先ほど御説明ありましたが、そもそも障害者雇用制度の下で支給されているものが、会計区分上、福祉事業活動に整理されていることについても、整理が必要ではないかという気がいたしております。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げた一般就労への移行をしっかりと支援していくこと、こういったA型事業所の本来の機能に鑑みますと、A型事業所への経営等への影響も考慮し、激変緩和措置等を設けることも考えながら、雇用制度からの除外、あるいは納付金制度の対象見直しも含めて、一定の整理・検討をすべきではないかと感じています。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは勇上構成員、お願いします。
○勇上構成員 神戸大学の勇上と申します。私の意見は、皆様と少し異なる部分もあるかもしれませんが、意見を述べさせていただきます。まず、A型事業所については、一般就労を目指す事業所としての性格を重視するという点は、全く私も賛成です。
その上で、やや原則論かもしれませんけれども、障害者雇用促進法上の位置付けとしては、調整金や報奨金が対象としてはなじまない一方、法定雇用率の対象としては適切ではないかと考えます。
もちろん、現状からの変更には、激変緩和措置や経過措置が必要です。それから本日の資料にもいろいろな実態を調査した結果を報告いただきましたけれども、この研究会でテーマとなっている雇用の質の観点から、A型とほかの事業の就業形態の間で、利用者の方の満足度の違いなど、質の把握というものも必要だと思います。
そのうえで、私の意見の前半は、納付金・調整金の対象、第54条第3項に関する過去の研究会の考え方と同じです。障害者総合支援法に基づく就労支援に係る報酬というものと、障害者雇用促進法上の調整金というのは、目的が重複しているのではないかという問題意識です。
本日、A型事業所の解雇に関する驚くような資料をお示しいただきました。A型事業所が最近の改定によって、あるいは昨今の経済情勢の変化によって困難に直面しているということであれば、その対応というのは、調整金や報奨金以外の、例えば報酬の設定等の枠組みから考慮するほうが、法律の目的に沿った運用や、柔軟な対応が可能になるのではないかと感じております。
私の意見の後半部分、法定雇用率の対象に引き続き含めるべきではないかという理由については3つあります。1つは、A型事業所の利用者は労働者であると。最低賃金を始めとして、労働関係法令が適用されるということですね。そして2つ目は、事業活動面でも、本日の資料にもありますが、生産活動に係る会計というのは独立採算になっていると。事業活動自体は一般的な事業活動であり、活動の成果から労働者に報酬を払う形になっているということです。
3つ目は、A型事業所は、合理的配慮の提供やノウハウの蓄積があり、知的障害者の方や精神障害者の方の雇用の場となっている傾向があるのではないかと思います。実際、20ページや21ページの障害区分別の実人員数を計算してみますと、雇用されている障害者の方全体に比べて、A型事業所での利用者の方は、精神あるいは知的障害者の方の比率が倍や3倍などという値になっています。短時間での就業も多くなっています。
前回、第6回研究会には私は欠席させていただきましたが、そこでは精神障害者の方の重度区分や短時間枠の特例について議論がありました。それは精神障害者の方についても、他の障害種別の方と同じルールの下で雇用の困難性を考慮した雇用促進策は考えられないかという問題意識だったと思います。今回の資料を拝見し、特に精神障害者の方については、A型事業所が雇用率に算定されていることによって、支援員等が配置された環境で通常の生産活動に従事できるA型事業所が、雇用促進に一定の役割を果たしている可能性があるのではないかと感じました。もちろん、この点は今後、慎重に検証する必要があると思います。
ロジックとしては変わった形になるかもしれませんが、労働契約を対象とした雇用率制度の下の雇用促進の在り方として、障害の種類によって重度や短時間などで配慮するということや、合理的配慮や、ノウハウがある下での生産活動に従事しやすくすることなど、いろいろな促進策があるのではないかという意見です。長くなりましたが以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますか。それでは、本日御欠席の眞保構成員から書面で御意見を頂いておりますので、御紹介いただけますか。
○西澤障害者雇用対策課長 事務局障害者雇用対策課長の西澤です。代読させていただきます。
本日は、学務により研究会への出席がかなわず申し訳ございません。障害者雇用制度における就労継続支援A型事業について、書面にて意見を述べさせていただきます。
就労継続支援A型事業は、障害福祉サービスを受けて雇用契約に基づいて働くものであり、障害のある方の雇用労働を通じた社会参加に重要な役割を果たしております。その対象は、障害者総合支援法で、「通常の事業所に雇用されることが困難」な方であり、障害福祉サービスにより一層丁寧に個別の状況をアセスメントし、必要なサポートと環境をより手厚く整えることで、最低賃金以上を支払う必要がある雇用を可能にするのであって、通常の事業所が行う雇用とは対象が異なります。したがって、法定雇用率の設定に際しては、計算式の分子の数値に就労継続支援A型事業の利用者を含めないことが適当と考えます。さらに、就労継続支援A型事業の利用者を障害者雇用率制度の雇用者とみなさないとする場合には、グループ算定等によりA型事業所を含めて雇用率を算定している企業等に配慮し、十分な経過措置を講じることが必要と考えます。
一方で調整金・報奨金については、社会連帯の理念の下、事業主が雇用の場を提供する協働の責務を有するとされていることから、通常の事業所に雇用されることが困難な方を雇用している就労継続支援A型事業を、納付金をもって支援すると考えることもできると思います。雇用保険二事業は全事業主の保険料が財源であり、特定求職者雇用開発助成金等が就労継続支援A型事業にも支給されていますが、助成金の趣旨から就労継続支援A型事業に特有の支給要件である離職率を引き下げるなど、要件の見直しは検討できるのではないかと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。一通り御意見は頂いたかと思いますが、追加ないし補足の御意見等がありましたらお願いいたします。倉知構成員、どうぞ。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。先ほど1点言い忘れたことを、追加で意見を述べたいと思います。有限責任事業組合、LLPの件ですが、これは、やはりA型事業所を組み込むだけで、障害者雇用をしなくても障害者雇用を達成してしまうという、ここは喫緊に何とかしなければいけないことではないかと思っていて、やはりLLPからA型事業所を外すという、ここは早急に進めるべきではないかと考えています。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。では、事務局からお願いします。
○西澤障害者雇用対策課長 事務局障害者雇用対策課長です。様々な意見をありがとうございました。正に複雑な課題で資料も大部になりまして、大変恐縮ですけれども、それだけ論点の多い課題かと思っております。議論の方向性を何か言うわけでもないのですけれども、幾つか気付いた点をお伝えしたいと思います。様々な御意見がございまして、まずは雇用率と設定上の考え方、そしてカウントするかどうか、そして調整金・報奨金をどうするかと、課題としては3つに分かれるかと思っております。
これは、正に今、法律上は別々の規程で規定をしておりますので、何と言うか、それぞれ書き分ければできる。というのも、それは法律はそうなのですが、ある意味では今セットになっているということで、それは、要は雇用労働者ということで、そういう1つの考え方でセットにしているというところで、それぞれどう考えていくかというところは、ある意味で分けて考えることもできますし、ある意味ではそれぞれにロジックが必要であるのではないかと思っております。
例えばですけれども、雇用率の算定対象とカウント対象と調整金・納付金に分けるということであれば、調整金・納付金・報奨金というのは、正に費用の調整という性格を今持っていまして、ある意味では、一般企業とA型、同じように費用の調整ということで支給されていますので、仮にですけれども、そこを分けるという場合には、なぜ納付金制度からA型に支援が必要なのか、意見の中にもありましたけれども、例えば一般就労になかなか移れないような方を支援するですとか、あと、一般就労への移行、これを非常に重視する意見も多かったと思うのですけれども、そういった役割について改めて何か整理をするということはあり得ることかと思いますけれども、そこを切り離していくに当たっては、そういった理屈の整理ですとか、改めてそういう整理が必要なのかなとは感じておりますが、そこについても今日は様々な御意見があったかと感じております。
また、個別の点で補足をさせていただきますと、順番が前後しますが、倉知先生に頂いたLLPの件、こちらの問題意識としてはこれまでも頂いてまして、その中でも難しいとは思ってますけれども、こちらを考えるに当たり、御懸念としては、確かにLLPにA型が入ることによって個々の企業の取組がどうなのかということ、そういった御懸念もあるということも分かります。ただ、先ほどもあったように、法人の中でA型を持ってカウントされているとか、大きい企業がそのグループの中に持っていたりする中で、ある意味では中小企業が特例として持っている事業協同組合の更に特例ではありますけれども、そういう、ある程度企業にグループ算定が認められていることとのバランスからLLPだけをどう考えるかなのかと。そこも仮に分けるとすると理屈が必要かと思います。それに当たっては、やはり、まずA型をどうするかという全体的な議論もしつつ、個々の現象をどうするかということも考えないといけない。そこもあるのかなと感じました。
あと、新田構成員から頂いた会計の問題です。なぜ福祉会計に入っているかというところですけれども、こちらは生産活動収支を正にペイするということが、事業としてのルールになってまして、そこに何を入れていくかということで、例えば障害福祉報酬は生産活動には入れてはいけない、ある意味では支援をするためのお金ですので、それで賃金を払ってしまうと制度の趣旨にもとるということで、そこは駄目であると。報奨金や調整金も、先ほど勇上先生からもありましたけれども、性格としては要は障害者の働く環境を整備するための費用ですので、そういう意味では、どちらかと言うと、障害報酬と同じような整理で福祉活動に入ると。ある意味では生産活動というところで、そこを単体でしっかり見ていくということが、一応、今のA型のルールになっているということです。そういったところからどう整理をするかということが必要かと感じております。
今、少し触れましたけれども、勇上先生のおっしゃった雇用率の算定財源をどう考えるか。これは、正に企業を含めて、どういった考え方で、どういう水準を求めるかという、正にそういう本質的な議論かと思っておりますので、そこも含めて議論が必要かと思っております。かいつまんでではありますけれども、以上回答でございます。
○山川座長 ただいま事務局からも発言がありましたが、併せて何か追加等はございますか。よろしいでしょうか。今の課長の御発言と若干重複することが一部ありますけれども、大変有益で、かつお悩みの点も含めて率直な御意見を頂きましてありがとうございました。非常に複雑な問題であるということを実感できるようなお話がたくさん出てきたかと思います。一応、総論的な事柄も含めると、第1に出てくるのが、A型という制度の趣旨のようなことで、一般就労への移行支援というものをどう見るか、あるいはそれ以外の役割をどれぐらい認識するかという制度の大きな位置付けで、それがどの程度その役割を実現していくかということを含めて、本当は2つの論点となるのかもしれませんが、役割の促進ということも1つ目の大きな視点としてあると思います。
あとは、一番具体的な制度設計上の課題になるのは、課長も言われた雇用率の算定の中での位置付けで、そこも課長もおっしゃられましたけれども、法定雇用率の分子に入れるかという法定雇用率の計算上の問題と、実雇用率でカウントするかという問題、それが切り離せるかどうかという点も含めて論点になるかと思います。それと関係しているのが調整金・報奨金の対象とするかということで、その趣旨の問題も絡んでくるかと思います。この2つ目、3つ目が雇用率の算定と調整金の話で、4つ目の福祉との関係をどう見るかということも出てくるかと思います。予算の点も含めるのかもしれません。
若干これからが細かくなりますが、今日、それほどは御意見がありませんでしたけれども、このA型について、二事業に基づく助成金をどのように考えていくかというのが5つ目で、6つ目が、先ほど倉知構成員からもありました、特例協同組合や、あるいはさらにLLPなどの特例的な位置付けをどう考えるのかということになるかと思います。
やや次元の違うものとして、7つ目ということになるかもしれませんが、恐らくは、実態把握を進めるべきであるという点は、方法論的な問題としては共通していたかと思いますし、それから、これも共通していたかと思いますが、もし何か見直しをする場合には、現状を含めて、経過措置やその影響を十分に考える必要があること。この点は、ほぼ共通して御意見があったかと思われるところです。見落としも多々あるかと思いますし、特に方向性を示すということではありませんけれども。
事務局からお願いします。
○西澤障害者雇用対策課長 再び西澤です。今、座長のお話を聞いて思い出したのですけれども、この場は雇用率の制度を議論する場で、御指摘を頂いた福祉の報酬など、どうしても、やはり別の場の議論はあります。障害福祉報酬というのは、御案内のとおり3年に1回改定をしていますので、正に本格的には来年、前回の改定も踏まえてどうしていくか議論していくことになります。
その中で、我々と言いますか、私の担当として、やはり企業の雇用を進めていく立場としては、やはり一般就労への移行がどう変わっていくかとか、そういったところも見ないとならないと思っています。全体として、一般就労をできるだけ進めていく中でどう対応すべきかという点は、この場だけの議論というよりは、そういった福祉での議論も見ながらの部分は出てくるかと思いますし、実態という意味では、その中で、先ほど少し御紹介しました経営の実態の更なる把握など、影響が出るかどうかことやどうすべきかということを考えるには、そういう情報の実態というのは、更に今後分かってくるものをより見ていく必要があるかと思っていまして、恐縮ですが若干場としての議論の制約がありますけれども、少なくとも、私としてはそのように受け止めさせていただきたいと思っています。
○山川座長 ありがとうございます。行政でもいろいろ考えるべきことがあるということ、率直にお話を頂きましたけれども、何かそのほかに構成員の皆様方からございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日は貴重な、かつ率直な御意見を多数伺いましたので、今後の具体的な議論につなげていけるように、事務局で御対応をお願いいたします。それでは、本日はこの辺りで終了といたしたいと思います。次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いします。
○原田障害者雇用対策課長補佐 次回第8回の開催は、皆様に確保いただいている日程の中で調整し、追って御連絡させていただきます。以上です。
○山川座長 それでは、これをもちまして本日の研究会は終了させていただきます。本日は、大変お忙しい中ありがとうございました。