第3回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会(第二部)議事録

健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課

日時

令和7年5月28日(水)10:00~

場所

Web会議
中央合同庁舎5号館 専用第21会議室 
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)2025/26 シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について
  2. (2)2025/26 シーズン向けインフルエンザ HA ワクチンの製造株に ついて
  3. (3)その他

議事

議事内容
○福澤ワクチン開発専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第3回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」の第二部を開催させていただきます。第二部の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解、御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方は傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 本日は、対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。会議の進め方は第一部で御連絡したとおりでございます。Web会議から御参加されている委員及び参考人の皆様は、カメラオンに切替えをお願いいたします。
 続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。本日は脇田委員から御欠席の連絡を受けております。現在8名の委員にWebにて御参加いただいております。委員9名のうち8名に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規程により本日の会議が成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。これ以降、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。
 それでは、議事に先立ちまして、本小委員会の資料について御説明させていただきます。本小委員会の資料につきましては、通信負荷軽減の観点から基本的に画面には投影いたしませんので、傍聴されている方々を含め、Webサイトに掲載されている資料をお手元に御用意ください。
 それでは、ここからの進行につきましては坂元委員長にお願いいたします。
○坂元委員長 皆様、引き続き第二部もよろしくお願いいたします。利益相反の確認ですが、事務局から審議参加に関する遵守事項等につきまして、報告をお願いいたします。
○福澤ワクチン開発専門官 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、ワクチンの薬事申請資料への関与について御申告いただきました。
 各委員及び参考人からの申告内容につきましては、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本委員会での調査審議を行う品目は、インフルエンザHAワクチン及び新型コロナウイルスワクチンとなります。本日の出席委員及び参考人の寄附金等の受取の状況から、参加規程第9条によりまして、宮入委員が寄附金受取の実績があり、かつ、その額が50万円以上500万円以下である年度がございますので、議決不参加の基準に該当しまして、審議の際、「議決には参加しない」に該当することとなります。以上です。
○坂元委員長 ただいま、事務局から本日の審議参加について御報告がありました。参加規程第9条により、宮入委員が審議の際に「議決に参加しない」に該当しております。本委員会の最後の意見の取りまとめは議決には当たりませんが、宮入委員におかれましては、参加規程第9条に準ずる形で、意見取りまとめの際には参加いただかないということにいたしたいと思いますが、委員の皆様方、御了承いただけますでしょうか。
                                   (異議なし)
○坂元委員長 では、委員の皆様、異議なしという形でよろしくお願いいたします。早速、議事に入りたいと思います。
 まず、「2025/26シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について」について、事務局から資料1の御説明をお願いいたします。なお、質疑応答につきましては、全ての資料について御説明いただいた後に、お時間を設けさせていただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。資料1「2025/26シーズン向け新型コロナワクチンの抗原組成について」、御説明させていただきます。2ページを御覧ください。2024年2月5日に開催したワクチン分科会において、2024年度以降の定期接種で用いる新型コロナワクチンの抗原組成については、最新のWHOの推奨する抗原組成を用いることを基本とすること、選択肢確保の観点から、様々なモダリティのワクチンについても開発状況に応じて用いること、そして、具体的な検討については、研究開発及び生産・流通部会において行うこととすることをお認めいただきました。
 3ページを御覧ください。今後の進め方ですが、新型コロナウイルスの変異や流行する系統の状況、ワクチンに関する科学的知見、諸外国の動向等について情報収集を行い、本小委員会において新型コロナワクチンの抗原組成に関する検討を行うこととされております。
 5月のWHOにおける推奨する抗原組成に係る議論も踏まえまして、赤枠の本日の議論の所ですが、この本小委員会において専門的な御議論を頂きたいと考えております。その後の流れといたしましては、使用する抗原組成が決定した後に製造販売企業による薬事承認等が行われ、秋冬に向けて市場への供給、接種の実施といった流れとなっております。
 ここで、WHOの推奨内容や我が国の新型コロナウイルスの各系統の検出状況、免疫学的な知見等について、国立感染症研究所の参考人から御説明を頂いてもよろしいでしょうか。
○坂元委員長 御説明ありがとうございました。承知いたしました。それでは、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の長谷川参考人から資料2-1、2-2の御説明をお願いしたいと思います。長谷川先生、よろしくお願いいたします。
○長谷川参考人 国立感染症研究所の長谷川と申します。私から資料2-1、2-2の説明をさせていただきます。まず、資料2-1ですが、こちらにはWHOのTechnical Advisory Group on COVID-19 Vaccine Composition(TAG-CO-VAC)で議論されたワクチンの抗原構成の推奨について御説明させていただきます。
 TAG-CO-VACでは、年に2回会合を開き、ワクチンの抗原組成について検討しております。今回は5月6日から7日に再び会合を開き、そこでSARS-CoV-2の遺伝的及び抗原的の進化、SARS-CoV-2感染又はCOVID-19ワクチン接種に対する免疫応答、現在承認されているワクチンの流行株に対する効果、そしてCOVID-19ワクチン抗原組成への影響について検討されました。
 その結果の要約を説明させていただきます。本推奨につきましては、5月15日にWHOから最新の声明が発表されております。TAG-CO-VACでは、SARS-CoV-2のワクチン抗原組成の評価に当たり、様々な公表及び未公表のデータを検討いたしました。主な検討内容はWHOのTAG-VEから提供されたウイルス進化情報、動物血清を用いた中和試験や抗原マッピングによる抗原性の解析、既存ワクチン接種による中和抗体応答の変異ウイルスに対する反応性の幅に関するデータ、流行株感染後の免疫応答に関するデータ、JN.1系統流行期におけるワクチン有効性(VE)の推定、さらに製造企業から機密情報として提供された更新抗原を含む候補ワクチンの非臨床・臨床免疫原性のデータが含まれておりました。これらのデータから明らかになったのは、2025年もSARS-CoV-2は世界的に流行を続け、重症疾患や死亡を引き起こしていること、65歳以上や基礎疾患を有する人が引き続き死亡のリスクが高い層である。一部では1歳未満の入院や死亡の増加も報告されています。現在の流行株は全てJN.1系統由来で、中でも世界的にはLP.8.1株が増加しております。
 非臨床試験の動物実験では、JN.1、KP.2、LP.8.1などは抗原的に非常に近縁であり、ヒトのデータでも1価JN.1又はKP.2ワクチン接種により、JN.1系統の広範な変異株に対する中和抗体上昇が確認されています。また、それらのうち、LP.8.1に対する中和抗体はやや低下するものの、引き続き有意な反応が見られました。また、LP.8.1を抗原とするワクチンは、同株に対して高い中和抗体を誘導し、他のJN.1系統株にも良好な交差応答を示していました。これらのワクチンは、既存の免疫に上乗せする形で症状や重症化を予防する追加効果が期待できます。
 そこで、COVID-19ワクチン抗原組成に関する推奨といたしましては、①1価JN.1又はKP.2ワクチンは、引き続き使用に適したワクチン抗原である。②1価LP.8.1もワクチン抗原として適当な選択肢とみなされる。③現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された他のアプローチも、同様に検討されるというのが推奨になります。
 続きまして、資料2-2の説明をさせていただきます。こちらは、国立感染症研究所で発表させていただいております全国のゲノムサーベイランスによる系統別の国内での検出状況になります。右の表で示しておりますとおり、赤で記しているのが検出の高い上位の変異株でして、国内ではXEC、XEC.4、XEC.2の3つが上位を占めております。検出されておりますのは、全てJN.1系統の変異株です。世界で最も多いLP.8.1に関しましては、ここにありますように、4月の検出割合は1.13%となっております。
 次に2ページ目ですが、こちらは2月から4月に検出された変異株です。こちらも変異株の変化を追っているものになります。
 続きまして、次の図はWHOの今まで推奨したワクチン株の系統樹上での位置を示しております。もともとの起源株からBA.1、BA.4/5、その上に行きまして、XBB.1.5、これが2023年5月でして、2024年4月に推奨されたJN.1が真ん中の上の部分になります。今回は、このJN.1はいまだに適しているというのに加えて、現在、最も流行しているこのLP.8.1が推奨されています。
 続きまして、グローバルのそれぞれの変異株の流行状況ですが、2024年5月以降、KP.3が、黄土色のグラフ、それに引き続いてKP.3.1.1がこの紫の山になりまして、その次にXECが来て、現在、LP.8.1が最も多い状況にあります。これらを全体の分布を見たのが次の図で、ここにありますように、32.4%がLP.8とサブバリアントで占められている状況です。私からの説明は以上になります。
○坂元委員長 長谷川先生、どうも御説明ありがとうございました。引き続きまして、同じ国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所の高橋参考人から資料3の御説明をお願いしたいと思います。高橋先生、よろしくお願いいたします。
○高橋参考人 よろしくお願いします。感染研の高橋です。それでは、資料3を使いまして、抗原性に関するデータを幾つか御説明させていただきたいと思います。今回、御説明させていただくデータは全てWHOのstatementにも補足資料として使われているものになります。まず、1ページ目ですけれども、こちらは現在懸念される変異株あるいは監視下の変異株として、5月7日時点ではありますけれども、WHOに登録されている変異株の系統樹を示しています。それぞれスパイク蛋白に幾つか変異が入って、このように派生しているというデータとなります。
 2ページ目に移りまして、こちらはハムスターにJN.1、KP.2、KP.3.1.1といったウイルス株を感染させて、得られた抗血清を用いて様々なJN.1系統派生株に対する中和試験を行い、その得られた中和抗体価のデータを用いて、このDに示すような抗原地図と呼ばれるような図が作成されて、実際、抗原性がどれぐらい近接しているか、あるいは離れているかというような評価が行われています。こちら、Dのデータを御覧いただいて分かりますように、この右側のオレンジのJN.1系統の株は他の変異株あるいはプレオミクロンの変異株といったものに比べて相対的に抗原性は近接しているという様子がお分かりいただけるかと思います。その中には、XECあるいはLP.8.1といったものも含まれているというような状況です。
 最後の3ページになりますが、次にヒトのワクチン接種者の抗血清を用いた抗原性の評価のデータについても、幾つか御紹介させていただきたいと思います。まず、左側のデータは海外で行われた1価のJN.1ワクチン接種者の抗血清を用いてワクチン追加接種後21日後のKP.3.1.1あるいはXEC、LP.8.1に対する中和抗体価を測定しておりますが、確かにLP.8.1等になりますと、中和抗体価の低下が確認されておりますが、それは2倍以内の範囲内ということになります。右側のデータは、KP.3.1.1を1とした場合の相対値を示しておりますが、LP.8.1に対しては1.4倍程度の低下が認められています。
 右側のデータは、国内の感染研の長谷川先生等が行われた中和抗体価のデータとなりまして、こちらはシュードウイルスではなくて生ウイルスを使った中和試験の結果となります。左側がJN.1ワクチン接種前で、右側が接種後の中和抗体価になりますが、下に示したJN.1等、あるいはLP.8.1等様々な変異株に対する中和抗体価を1価のJN.1ワクチン接種後に誘導されています。更に抗原性の変化も2倍以内というようなデータが国内でも確認されているということを御説明させていただきます。私からの御説明は以上となります。
○坂元委員長 高橋先生、どうもありがとうございました。では、引き続き事務局から御説明をお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。それでは、資料1の4ページにお戻りください。こちらは本日の議論のまとめとなります。まず、WHOの推奨として、先ほど感染研の先生方から、1価のJN.1又はKP.2に対応するワクチンは、引き続き使用に適したワクチン抗原である、1価のLP.8.1もワクチン抗原として適切な選択肢として見なされる、現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された他のアプローチも同様に検討され得る旨が御説明いただいております。
 また、国立健康危機管理研究機構からの情報といたしまして、XEC等のJN.1の下位系統の、現在我が国において流行している新型コロナウイルスの変異株について御報告を頂いたところです。
 第一部の製薬企業からの報告として、各社のmRNAワクチン又は組換えタンパクワクチンについて、新たな抗原組成のワクチンの開発状況等が報告されております。
 非臨床データとしては、JN.1及びKP.2ワクチンについては、初回・追加接種いずれにおいても、JN.1及びその下位系統に対して抗体を誘導したが、JN.1系統及びLP.8.1に対する抗体は、JN.1若しくはKP.2に対する抗体と比較して同等~約4倍の低下が見られた旨、LP.8.1ワクチンを接種した場合、初回・追加接種いずれにおいても、JN.1系統及びその下位系統に対して抗体を誘導し、JN.1ワクチンと比較すると、JN.1及びその下位系統に対して同等~約16倍高い抗体価を誘導した御報告がされております。
 XECワクチンについては、初回・追加接種いずれにおいても、JN.1及びその下位系統に対して抗体を誘導し、JN.1ワクチンと比較すると、JN.1及びその下位系統に対して同等~約2倍高い抗体価を誘導した説明がされております。
 また、臨床データとして、JN.1及びKP.2を抗原とするワクチン接種によって、JN.1系統及びその下位系統に対して抗体を誘導し、XEC及びLP.8.1に対する抗体は、JN.1に対する抗体より約2倍の低下が認められた旨が御報告されております。
 これらを踏まえまして、2025/26シーズンの定期接種で使用する新型コロナワクチンの抗原組成についての事務局案として、令和7年度の定期接種に使用するワクチン抗原については、WHOの推奨と同様に1価のJN.1、KP.2若しくはLP.8.1に対する抗原、又は令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原を含むこととしてはどうか。その上で、XECについては令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原に該当するとして、我が国で使用する抗原組成に含めてはどうかと考えております。御議論のほど、よろしくお願いします。
○坂元委員長 資料の御説明ありがとうございました。ただいまから資料の御説明に基づいて、質疑応答の時間とさせていただきたいと思います。御質問のある方は、順次、御発言をお願いいたします。質疑応答の後に審議取りまとめに移らせていただきます。2025/26シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成として選定することが適当と思われる抗原組成について、皆様方から御意見、御質問を頂きますよう、お願いいたします。では、よろしくお願いいたします。荒戸委員、よろしくお願いいたします。
○荒戸委員 御説明いただき、ありがとうございます。方針自体は納得しているところですが、念のためWHOがXEC株を推奨しなかった理由というのが分かっていれば教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○坂元委員長 どうもありがとうございます。長谷川先生、いかがでしょうか、この点につきまして、よろしくお願いいたします。
○長谷川参考人 JN.1若しくはKP.2は既に承認されて使われているワクチンで、それを引き続き使うことが適当であるというのが、まず1番目ですね。それで、XECに関するデータというものがWHOに提供された企業からの説明の資料の中には入っていなかったので、そこではXECに関する議論はされませんでした。LP.8.1に関しては、企業からの説明時に提出された資料にありましたので、そこで推奨する議論ができました。
 3番目として、同様な免疫応答をするものはJN.1、KP.2、あとはLP.8.1に限らないというような表現で、その他の抗原組成で作る場合においても同様の広汎で頑健な抗体応答を誘導するようなものは含まれるというような形になっております。よろしいでしょうか。
○坂元委員長 高橋先生、何か追加はございますか。
○高橋参考人 いえ、今、長谷川先生からお答えしていただいた内容で私の意見も同じとなります。ありがとうございます。
○坂元委員長 どうもありがとうございました。では、ほかの先生方、今の件に関しても結構ですけれども、ほかに何かございましたら、御質問、御意見よろしくお願いいたします。福島先生、よろしくお願いいたします。
○福島委員 御説明ありがとうございました。資料1の事務局案について、特段、異存はございません。例えば系統樹であるとか、抗原組成などで細かいところまで分かってしまう時代になったということもあるので、LP.8.1とXECの違いなども気になったりはすると思うのですけれども、抗原的に非常に類似して近いということでありますし、交差免疫等も認められており、XEC株についてもJN.1系統の中に含まれているということで、同じように推奨できると。しかも現在、国内で流行している株ということもありますのでということと理解をいたしました。
 ここまではコメントでございまして、もう1つ追加で質問させていただければと思います。高橋先生、よろしければ教えていただきたいのですが、御説明いただいた資料3の3ページ目の左側のデータで、JN.1ワクチン接種者で、様々なJN.1系統株に対する中和抗体価を示されている図ということでしたけれども、LP.8.1に対しては抗体応答が低下しているが、2倍以内であるという御説明でありました。この大体2倍以内の低下であれば許容されるというのは、グローバルスタンダードというか、国際的にはそのような基準で議論されているということでよろしいのでしょうか。
○高橋参考人 では、まず高橋のほうから回答させていただきます。確かにどの程度、先ほどの抗原接種時などで差があると、抗原性は離れている、離れていないというのを明確な線を引くというのは、いつも議論になるところではありまして、明確な閾値があるというわけではございません。ただ、これまでの経験値などで見ると、過去のプレオミクロンからオミクロンになった場合は、より大きな差が、8倍以上などの大きな差が開いてきていると。ただ一方、先ほどの抗原地図から見て、このJN.1系統の株は全て、2倍以内の差はありますけれども、収束しているということで、相対的に見て近接しているというような評価で議論が進んできていると思います。
○福島委員 ありがとうございました。
○坂元委員長 福島先生、よろしいでしょうか。
○福島委員 はい。
○坂元委員長 次に宮入先生、では、よろしくお願いします。その次に石井先生、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。宮入と申します。今回、提示していただいた資料の中で、マイナー株なのですが、中国ではXBB由来のNB.1.8.1という系統が流行していると思うのですが、こちらについてWHOあるいは今回の感染研での事実の中での検討について上がっていたら、情報、そのような議論があったかということについて御教授いただければと思います。
○坂元委員長 長谷川先生、いかがでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 すみません、事務局でございますけれども、途中でカットインして申し訳ございません。複数手が挙がっているようでございますので、先に御質問を聞いていただければと思います。恐れ入ります。
○坂元委員長 はい、分かりました。では石井先生、先にお願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。御説明いただき、方針に異論はございません。教えていただきたいのですけれども、海外での株の変異の動向と、日本での変異の動向、これまでの知見などから、日本でもXECからLP.8.1に移行していく可能性などについて専門家の先生から御意見を頂戴できればと思います。
○坂元委員長 ありがとうございました。ほかの委員はよろしいですか。では、ここで2つの質問に関して長谷川先生、よろしくお願いします。
○長谷川参考人 分かりました。NB.1.8.1に関しましては、最近見付かったと言いますか、グローバルには1月で、国内では3月に最初に見付かって、国内では3月に4株ほど検体数としては同定されて、4月には12検体と増えてはおります。また近隣のアジアの地域でも増えている変異株であります。
 ただ、今日お示しした資料2-2の2枚目に、NB.1.8.1も書かれておりますが、その検体数は170検体中の12ということで分母が少ないので、割合については少し注意が必要かと考えております。
 これもJN.1の系統に含まれるもので、抗原性は、今日御提示いただいた一部の企業のスライドに入っていたと思いますけれども、他のJN.1系統のサブバリアントの反応性とそれほど変わらないのかというように見えました。WHOも最近そのリスク評価を出していまして、その中で一部反応性が落ちることも書かれておりますが、大きく低下する可能性は低いというように書かれており、特にリスクがあるという書かれ方はしておりません。ですので、今回、推奨されているJN.1若しくはLP.8.1で特に問題はないと考えています。
○坂元委員長 宮入委員、いかがでしょうか。よろしいですか。
○宮入委員 はい、よく分かりました。ありがとうございます。
○坂元委員長 では、引き続き長谷川先生、先ほどの石井委員の御質問、続けてお願いいたします。
○長谷川参考人 そうですね。グローバルにはXECの次にこのLP.8.1というのが増えてきたのですけれども、国内ではそれが量的にはそれほど多くない割合で、既に国内では検出数として2月が59で、3月が13、4月は1という形で、逆にもう減ってきているフェーズに入っているので、この後増えてくるというよりも、この後は次の変異株が増えてくるのかなという印象はあります。
○坂元委員長 長谷川先生、ありがとうございました。石井委員、よろしいでしょうか、今の長谷川先生の御回答で。
○石井委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○坂元委員長 では、引き続き笹本委員、よろしくお願いいたします。
○笹本委員 日本医師会の笹本でございます。資料1の4ページの一番上で、WHOの推奨ということでまとめていただきました。その中で3つ目の「他のアプローチ」という所について、先ほどXEC株の説明がありましたけれども、ほかにどのようなアプローチを想定されているのか教えていただけますでしょうか。
○坂元委員長 これに関しては事務局、いかがでしょうか。
○長谷川参考人 私からお答え。
○坂元委員長 では長谷川先生、よろしくお願いします。
○長谷川参考人 メーカーによっては、今、使われているようなmRNAワクチンやリコンビナントのものだけではなくて、リコンビナントの中でも2価のものを作ったりだとか、様々な工夫をそれぞれのメーカーでされておりますので、そういったもののうち、そのJN.1系統に広く中和抗体を誘導するようなものであれば構わないと、そういうようなものが想定されています。
○坂元委員長 ありがとうございました。笹本委員、いかがでしょうか、今の御回答で。
○笹本委員 分かりました。そうすると、今後開発されたものが出てくる可能性が認められるということなのですね。
○長谷川参考人 国内のメーカーだけではなくて、海外ではそういったことを実際に既にやられているメーカーもありまして、そういったところを考慮して記載されています。
○笹本委員 ありがとうございました。
○坂元委員長 どうもありがとうございました。ほかに委員の皆様方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。事務局から何か追加、それから御発言等はございますでしょうか。
○吉原ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。先ほど長谷川先生に御回答いただいたNB.1.8.1とお読みすればいいでしょうか、こちらについての補足でございますけれども、長谷川先生から現在知られている情報についての御提供がございました。大きく抗原性が低下するリスクは低いといった御説明がございました。
 今後の話にはなるのですけれども、今年度の新型コロナワクチンの定期接種の導入に当たっては、昨年同様、本小委員会で決定した抗原組成に基づいて開発が行われまして、薬事承認されたワクチンについて、更に予防接種・ワクチン分科会において有効性・安全性に係る科学的な知見等を評価いただいた上で、定期接種化導入の了承を頂くという流れを想定しております。
 仮になのですけれども、まだ現時点では数字がぶれやすいことなど、留意が必要とはおっしゃっていましたが、仮に今後、NB.1.8.1が流行の主流となる場合には、必要に応じまして、そういった株に対する知見等を同分科会においてお示しした上で、定期接種化導入の際の議論に供するということを事務局としても想定しているところでございます。補足でございました。
○坂元委員長 ありがとうございました。ほかに特に追加の意見等、質問等がなければ、議論の取りまとめに入らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。誠に申し訳ありませんが、宮入委員におかれましては取りまとめに御参加いただくことができないということ、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。
 取りまとめといたしましては、2025/26シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原組成につきましては、WHOの推奨と同様に、1価のJN.1、KP.2若しくはLP.8.1に対する抗原又は令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原を含むということ。その上で、WHOでは特に触れられていないXECについては、令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原というものに該当することとして、我が国で使用する抗原組成に含めるという結論といたしたいと思いますが、委員の皆様方、御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○坂元委員長 ありがとうございます。委員長としてというよりは、私、市町村の立場として、今後このワクチンが出たときに、ウイルス株の名前がまったく違うと、一般の市民の方は全く違うものという捉え方をする場合もありますので、国のほうでは国民の皆様に適切な御説明をよろしくお願いしたいと思います。これは自治体からの意見でございます。
 以上、委員から異議なしということでございますので、以上、コロナワクチンに対してはこのようにさせていただきたいというように思います。
 では引き続き、次の議題に入らせていただきます。「2025/26シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について」となります。本議題より日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員の金子参考人にも参考人として御出席を頂いております。まず、事務局より御説明をお願いいたします。なお、質疑応答につきましては、全ての資料について御説明いただいた後にお時間を設けたいと思います。では、よろしくお願いします。
○福澤ワクチン開発専門官 事務局です。資料4を御用意ください。「2025/26シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について」、御説明させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。こちらは季節性インフルエンザHAワクチンの製造株の選定に当たっての基本的な考え方をイメージした図となっております。製造株の選定に当たりましては、原則WHOが推奨する株の中から、期待される有効性、ワクチンの供給可能量を考慮した上で検討を行うこととされております。
 続いて3ページ目を御覧ください。こちらは昨年の小委員会でも言及がございましたけれども、WHOでワクチンに用いる価数についての推奨内容が変更されておりますので、御説明させていただきます。昨シーズンに向けての、2023年9月の南半球向けの推奨の段階から、既にB型の山形系統の自然感染が確認されていないことを踏まえまして、それを除いた3価のワクチンを使用することが推奨されておりました。昨年の2024/25シーズン向けの北半球の推奨が行われた2月の推奨においても、引き続き3価を用いることが推奨されておりました。
 続いて4ページ目です。これを踏まえまして国内のインフルエンザHAワクチンの製造販売業者の3社から聞き取りを実施しましたところ、製造に関する課題が多いということで御意見がございましたことから、定期接種の実施時期に安定的な供給をするということを考慮し、昨年の2024/25シーズンについては、4価のワクチンにより接種を行うという判断を事務局のほうでさせていただき、昨年4月に御審議いただきました4種の製造株での選定を頂いて、それを通知したというところになっております。
 こちらの資料は昨年の9月に実施した研究開発及び生産流通部会での資料を改変したものですけれども、その部会において、次シーズンの2025/26シーズンに向けてのワクチン株についてどうするのか御審議いただきました。一番下ですけれども、WHOの推奨事項と製造販売業者で対応する時間を考慮して、次のシーズンから3価のワクチンでの接種を前提にして対応するということで、具体的な製造株の検討については、本小委員会で実施するということで御了解いただいたところです。
 5ページ目ですけれども、上のほうにワクチンが出荷されるまでの基本的な流れを示しております。まず、WHOのほうで亜型ごとに複数の推奨株の推奨が出されております。こちらについては例年並みの2月下旬に公表されており、内容としては引き続き3価のワクチンでの接種を推奨するということになっております。4価ワクチンが必要な国に対しては4価目の山形系統の株が言及されてはおりますけれども、併せて山形系統については、引き続きワクチンから可能な限り早期に除外すべきという見解が示されているところです。3価のワクチンのうち1つの株、真ん中のA型H3N2の株についてはWHOの推奨内容について、昨シーズンの推奨内容から変更がございました。
 こちらについて、上の流れにお戻りいただきまして、国内メーカーにおいて増殖性等の製造効率を確認して、その内容を含めて国立感染症研究所のほうで検討を行っていただいております。その内容は後ほど御説明いただきますけれども、本小委員会において製造株について検討いただきまして、その結果を踏まえて国内メーカーでの製造、9月下旬から販売を開始して10月からの定期接種に用いるという流れとなっております。
 続いて6ページ目ですけれども、こちらはインフルエンザHAワクチンの製造についての特徴を概念的に示したものです。インフルエンザHAワクチンは複数の原液を用いるものでございまして、それぞれの原液を全体の製造能力がある程度限られている中で、それをどれだけバランス良く製造するかということによって、最終的にワクチンの供給できる量が増減するという形になっており、製造効率を考慮して、各原液の製造量を調整することが必要になるということを示しております。
 7ページ目ですけれども、こちらがワクチンの製造効率についての概要をまとめたものです。こちらは各メーカーのほうで御検討いただいた結果となっております。製造量については、各製造株の製造効率と、あとはそれに用いる卵の数が影響するものですけれども、これを踏まえて製造効率を検討いただきました。昨シーズンから変更がございました、真ん中のH3N2の製造効率については、昨シーズンと比較して0.92倍と若干低くなっておりますけれども、全体としては0.97倍と、同程度の製造効率となっております。
 以降は参考資料となっておりますので、適宜御参照いただければと思います。資料4の説明は以上です。
○坂元委員長 ありがとうございました。続いて2025/26シーズンのインフルエンザワクチンについて、国立感染研究所の御意見を伺いたいと思います。長谷川参考人から資料5-1、資料5-2の御説明、よろしくお願いします。
○長谷川参考人 そうしましたら資料5の説明をさせていただきたいと思います。令和7年度のインフルエンザワクチン用製造株と、その推奨理由についてです。今シーズン、2024/25シーズンは、世界的なインフルエンザの流行というものは、新型コロナ発生以降に流行した2シーズンに見られたような二峰性のピークとは異なって、昨シーズン同様の1つのピークでありました。流行のピークは、新型コロナ流行以前は1月だったのですけれども、過去2年においては、12月にそのピークが見られました。亜型別ではA/H1pdm09、あとはA/H3及びB/Victoria系統が、それぞれ検出されました。国内では2024年の第36週以降、報告が増加傾向となり、44週で定点当たり報告数が1.0を超えて流行入りとなり、その後、52週でピークになりました。シーズンを通してH1pdm09ウイルスの報告が多い年でありました。感染研ではWHOの推奨株選定会議で議論された株の解析、令和6年度のワクチン接種後のヒトの血清の抗体と流行株の反応性、ワクチン製造候補株の製造効率などを総合的に評価して、令和7年2025/26シーズンのインフルエンザワクチン製造株を以下のとおり推奨しました。
 まず、A/H1N1亜型についてですけれども、H1pdm09ウイルスは、ヘマグルチニンの遺伝子系統樹上、C.1.9群の中に分類されたC.1.9.1からC.1.9.4群に属するウイルスに加えて、D、D.3あるいはD.5群に分類されるウイルスが多く検出されました。これらのウイルスは、フェレット血清を用いた抗原解析で、2024/25シーズンワクチンの推奨株である細胞分離のA/Wisconsin/67/2022類似株、又は卵分離のA/Victoria/4897/2022に類似する株に対する血清を用いて、非常に多くの流行株とよく反応しました。
 また、A/Victoria/4897/2022を含む2024/25シーズンのワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、流行株に対する反応は、おおむね良好でありました。ということから、2025/26シーズンの北半球のA/H1N1pdm09のワクチン推奨株としては、今シーズンと同じA/Victoria/48972022類似株が、引き続きWHOでは推奨されました。
 国内の製造株に関しては、令和6年度 A/Victoria/48972022 (IVR-238)が使用されましたが、本株以外に新しい性状解析は行われていないので、A/H1N1pdmとしては、令和6年度と同じA/Victoria/4897/2022(IVR-238)を推奨しました。
 続いてA/H3N2亜型ですけれども、A/H3N2亜型は最近、ヘマグルチニンの遺伝子系統樹上、多様化しております。多くはJ群及びその中に分類されたJ.1~J.4群に属しました。2024年9月以降ではJ.2.1、あるいはJ.2.2群に属するウイルスが多かったです。シーズン当初はJ2.2群が比較的多く、時間経過とともにJ.2群が非常に多くなり、J.2.1及びJ.2.2群は減少しました。国内ではJ.2群に属するウイルスが多かったです。その中でもS145Nという変異を持つウイルスが多く検出されました。報告は多くはないのですが、抗原部位、レセプター結合部位での変異として、T135K、N158K、K189R、あるいはV223Iがあり、またこれらの組合せを持つウイルスが検出されました。
 フェレット血清を用いた抗原解析では、2024/25シーズンのワクチン推奨株である細胞分離A/Massachusetts/18/2022類似株および卵分離A/Thailand/8/2022類似株を用いたフェレット血清で、流行ウイルスに対して反応性が低下しておりました。一方で2025年の南半球の推奨株であります細胞分離のA/District of Columbia/27/2023および卵分離のA/Croatia/10136RV/2023類似株対する血清では、先ほど申しました変異株に対する反応性が、昨シーズンのものよりも良くなっていたということがあります。令和6年度のワクチン、A/Thailand/8を含む2024/25シーズンのワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的な試験では、比較対象となる細胞分離のA/Massachusetts/18/2022株に対する反応性と比較した場合に、先ほどの変異を持つS145Nの変異を持つ株との反応性の低下が見られました。
 以上の結果から、WHOでは2025/26シーズンの北半球のA/H3N2のワクチン推奨株を2024/25シーズンのA/Thailand/8/2022類似株から、S145N変異を持つ株でありますA/Croatia/10136RV/2023類似株に変更しました。
そこで感染研では、国内のA/H3N2亜型ワクチン製造候補として、A/Croatia/10136RV/2023由来のNIB-146、X-425A、IVR-263、NIB-143、およびA/Croatia/10136RV/2023類似株のA/Perth/722/2024由来のIVR-262を入手して、国内のワクチン製造所3社に分与しました。
 各製造所で増殖性、蛋白の収量、スプリット工程における生産性が評価されて、増殖性に関しては、IVR-262以外の株に比較してIVR-262が高い結果になりました。蛋白収量に関しては、令和6年度のワクチン株でありますA/California/122/2022と比較したところ、IVR-262株の3社平均が108%と良好でした。
 これらの結果から、それ以降の評価についてはIVR-262株に絞って進められました。継代によって抗原性の乖離は認められませんでした。生産性については、令和6年度のワクチンと比較したところ、3社平均は92%であり、各社目標本数の製造は可能であるということから、令和7年度のA/H3N2亜型のウイルスワクチン株としては、A/Perth/722/2024(IVR-262)を推奨しました。
 続いてB型、B/Victoria系統については、Victoria系統もHAの遺伝子系統樹上で多様化が進んでおります。しかし、フェレット血清を用いた抗原解析では、令和6年度のワクチン推奨株に対する血清が、検出された群を問わず流行株と非常によく反応しました。また、令和6年度のワクチンを接種したヒトの血清を用いた血清学的試験では、流行株に対してよく反応していたということから、2025/26シーズンの北半球用のビクトリア系統ワクチンの推奨株として、2024/25シーズンと同じB/Austria/1359417/2021の類似株が引き続き推奨されました。国内では令和6年度のワクチンのBVR-26以外に新しい解析がなされていませんので、引き続きB/Austria/1359417/2021(BVR-26)を推奨しました。以上になります。
○坂元委員長 どうもありがとうございました。続いて、日本ワクチン産業協会から、資料6の御説明を金子参考人、よろしくお願いします。
○金子参考人 ありがとうございます。日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員会の金子です。よろしくお願いします。日本ワクチン産業協会からは資料6「2025/26シーズンインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討成績」を御報告させていただきます。
 まず2ページ目で、製造候補株の製造適性評価の方法を簡単に説明させていただきます。製造候補株の製造適性評価は、小スケールの実験系でワクチン製造と同じように発育鶏卵にウイルス株を接種して培養します。発育鶏卵からウイルス液を採取し濃縮、しょ糖クッション遠心を行います。得られた精製ウイルス液について、ウイルス蛋白質の収量を評価します。これを中間評価と呼んでおります。また、得られた精製ウイルス液について小スケール実験系でスプリット工程、ろ過工程を行いまして、模擬ワクチン原液まで作製し、ウイルス蛋白質の収量を評価します。これを最終評価と呼んでおります。
 3ページ目になります。3ページ目はA/H3N2候補株の中間評価の結果となります。WHOの推奨株は、A/H3N2以外は2024/25年シーズンから変更がありませんでしたので、変更があったA/H3N2のみ製造候補株を評価しております。製造候補株は感染研から5株分与されておりますので、この株について検討を行っております。その結果、蛋白収量の最も高いA/PerthのIVR-262は昨シーズンの製造株であるA/CaliforniaのSAN-022株に対して108%という結果になりました。
 4ページ目になります。こちらはA/Perth、IVR-262株のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像となります。桿状のウイルス粒子も観察されましたが、その量は過去の製造株程度であり、ウイルス粒子形状による製造への影響はないものと考えております。
 最後、5ページ目になります。こちらはA/Perth、IVR-262株の最終評価の結果となります。最終評価の模擬ワクチン原液の段階では、昨シーズン製造株であるA/CaliforniaのSAN-022株に対してA/Perth、IVR-262株は92%の収量という結果でした。これらの評価の結果から、日本ワクチン産業協会としては、A/PerthのIVR-262株の製造適性は十分にあり、製造株として使用可能というふうに結論付けております。以上となります。
○坂元委員長 どうも金子参考人、ありがとうございました。続いて事務局から何か補足、追加説明等ございますでしょうか。あったらよろしくお願いします。
○福澤ワクチン開発専門官 今の参考人の先生方の御説明について、補足は特段ございません。
○坂元委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を受けて、質疑応答の時間とさせていただきたいと思います。御質問のある方は順次、御発言よろしくお願いします。では、最初に宮入委員、次に石井委員、よろしくお願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。宮入です。先ほどの3社の生産性の評価で、少しばらつきがあったようなのですが、これはこのような検討の中では、それほど大きな差ではないというように考えられるのでしょうか。
○坂元委員長 金子参考人、よろしくお願いします。
○金子参考人 ありがとうございます。そうですね、若干、比べると大きい差かなというふうには考えておりますけれども、実際には既に生産等が開始されており、現状は問題ない成績が得られているという状況です。
○宮入委員 ありがとうございます。
○坂元委員長 宮入委員、よろしいでしょうか。
○宮入委員 ありがとうございます。大丈夫です。
○坂元委員長 先ほど石井委員から手が挙がっていましたが、よろしいですか。
○石井委員 よろしいですか。
○坂元委員長 はい、どうぞ。
○石井委員 H3N2について、感染研から分与された5種類の株がWHOから推奨されている株であるということについて、最終的な配布資料からはWHOのリストがないように思われるのですけれども、その点の御説明をお願いできますでしょうか。
○福澤ワクチン開発専門官 事務局ですが、配布資料は本体ではなくて、参考資料に含めております。参考資料4としてWHOからのインフルエンザの推奨内容、そのまま英語版のものを示させていただいております。こちらの3枚目がH3N2のクロアチア株と抗原的に類似している株ということで、代表としてはクロアチアが挙げられていますけれども、それ以外にもパース株も含めて、こちらはリストの中に含まれているというところかと思います。長谷川先生、補足があればお願いします。
○坂元委員長 よろしくお願いします。
○長谷川参考人 こちらはCVVリストと言いますけれども、2月28日にWHOから発出されております。参考資料に付けていただいている3ページ目ですね。そこに出ているとおりA/Croatia、A/District of Columbia、あとはA/Perthで、そのcandidate-vaccine-virus(CVV)として、その横にありますように、NIB-146、X-425A、IVR-263、NIB-142、SAN-037、IVR-262と、こちらがそのキャンディデートワクチンになりますので、全てここに載っているものです。
○坂元委員長 石井委員、よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございました。
○坂元委員長 ほかに委員の皆様方、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。特に事務局は、追加等ございませんね。
○福澤ワクチン開発専門官 大丈夫です。
○坂元委員長 特に委員の皆様方から御意見がないということで、それでは議論の取りまとめに移らせていただきたいと思います。なお、宮入委員におかれましては、申し訳ございませんが、取りまとめに御参加いただくことはできませんので、御留意よろしくお願いしたいと思います。
 では、取りまとめをしたいと思います。本日の議論の取りまとめですが、1番、A型のH1N1については、昨年度と同じくビクトリア株(IVR-238)を選定すること、2番目にA型のH3N2については、パース株(IVR-262)を選定すること、3番目にB型のビクトリア系統については、昨年度と同じくオーストリア株(BVR-26)を選定することとしたいと思いますが、委員の皆様方、御異議ございませんでしょうか。
                                   (異議なし)
○坂元委員長 委員の皆様方、御異議なしということなので、そのようにさせていただきたいと思います。以上で本日の予定しておりました議事は終了ということになりますが、その他、事務局から何かございますでしょうか。
○福澤ワクチン開発専門官 次回の小委員会の開催については、後日追って御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上です。
○坂元委員長 それでは、本日の「季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」を終了させていただきたいと思います。本日は委員の皆様方、それから御参考人の皆様方、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。