2025年7月7日 第7回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室

日時

令和7年7月7日(月)14:00~16:00

場所

Web開催
事務局:厚生労働省仮設第1会議室

議題

(1)危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討の進め方について
(2)重点感染症に対する感染症対応医薬品等(MCM) 利用可能性確保の方針検討に資する研究【報告】
 

議事

議事内容
○五十嵐感染症対策課長補佐 ただいまから、厚生科学審議会感染症部会第7回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催します。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の五十嵐と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることができませんので、御留意ください。
 なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、ウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
 通信の確認を踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に、危機対応医薬品等に関する小委員会の委員、岩本愛吉委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 大曲貴夫委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 加藤康幸委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 齋藤智也委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 鹿野真弓委員。
○鹿野委員 鹿野です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 中野貴司委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 早川佳代子委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 濵口道成委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 福島若葉委員。
○福島委員 福島です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 四柳宏委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 お願いいたします。
 なお、加藤康幸委員より途中退席、長谷川秀樹委員、宮川政昭委員より御欠席の連絡を受けております。
 齋藤委員長は、本日事務局に同席の上参加いたします。
 本日は、委員13名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
(編者注※横野委員の点呼が漏れていますが、ご参加されています。)
 また、本日は議題(2)の「重点感染症に対する感染症対応医薬品等(MCM)利用可能性確保の方針検討に資する研究【報告】」に関わる参考人として、三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺正樹先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺参考人 よろしくお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 冒頭のカメラ撮りにつきまして、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることができませんので、御留意ください。
 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2、参考資料3になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いいたします。
○齋藤委員長 委員の皆様、今日もお集まりいただき、ありがとうございます。
 本日、私は事務局のほうから参加させていただいておりますが、私の個人的なスケジュールの都合によるもので、特段深い意味はございませんので、御安心ください。
 早速ですけれども、議事に入りたいと思います。
 まずは、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 よろしくお願いいたします。
 本日の資料1を説明させていただきます。「危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討の進め方について」となります。
 令和7年度の危機対応医薬品等に関する小委員会の進め方について、令和7年に閣議決定された「健康・医療戦略」「経済財政運営と改革の基本方針2025」「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」において、感染症危機対応医薬品等の開発戦略の策定・研究開発をすることとされております。健康・医療戦略に基づいた感染症協議会において、ワクチン戦略の見直し・強化を行うとともに、ワクチン・治療薬・診断薬を含む感染症に対する、MCMに関する対応の検討がされております。
 令和7年度の危機対応医薬品等に関する小委員会において、主な検討事項は、研究開発の方針について、未承認薬の国内導入の方向性、確保(備蓄含む)の方向性、インセンティブの検討などを行っていただきたいと思います。その内容につきまして、厚生科学審議会感染症部会及び感染症協議会に適宜報告いたします。
 続きまして、危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討の進め方について説明させていただきます。
1ポツ目となりますが、新型コロナウイルス感染症の対応を振り返り、研究開発における課題、日本の強みを踏まえ、MCMの利用可能性確保を検討することは重要と考えられます。
 全体の流れとしまして、2ポツ目となりますが、公衆衛生的指標及び戦略的指標に基づき、重点感染症に対するMCMの利用可能性確保の必要性などを総合的に評価していただき、研究開発の優先度、確保の方向性を御検討いただきたいと思います。
 厚生労働科学研究、田辺班において1.公衆衛生的指標から見たMCM利用可能性の要件整理、2.戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を評価するための基礎データを収集し、更新し、取りまとめていただいております。1.公衆衛生的指標から見たMCM利用可能性の要件整理及び2.戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を踏まえ、総合評価していただき、研究開発の優先度を検討していただきたいと思います。
 また、確保に関する検討といたしまして、4ポツ目となりますが、MCMは、平時においても感染症の発生時期・規模などが予測できないなどから、市場原理が働きにくいため、開発企業にとっては事業の予見性に乏しいと考えられます。感染症の発生状況などに応じたプッシュ・プル型研究開発支援や有事に迅速な研究開発・確保等を促すための一連の支援が必要であります。これらの観点から御検討を進めていただきたいと思います。
 事務局からは説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございます。
 事務局からの説明を踏まえて、委員の皆様から御意見を伺ってまいりたいと思いますけれども、今、資料1で御説明いただきましたとおり、これまで小委員会では重点感染症というリストを作って、そして見直しをしてというところをやってきて、ここからこの研究開発の優先性といったものを検討して、さらに促進していくメカニズムを具体的に検討していくという方向性についてお示しいただいたかと思いますが、こちらについて委員の先生、御意見はいかがでしょうか。
 濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
 研究開発の優先度に関してお願いがございます。1つは、公衆衛生的指標から見た要件として、国内における疾病負荷等が示されております。このような観点が非常に重要だと実感しております。例えばSFTSのように国内でリスクが高まっている感染症は、特に国内でMCMを開発する優先度が高いものと考えております。先日も三重県で獣医の方がお亡くなりになっておりますので、最新の感染動向、いよいよ関東圏でも流行が見られておりますので、動向をしっかり調べて、その動向に基づき検討いただきたいと思っております。
 2点目としては、日本としては限られた資源の有効利用という観点も必要かと感じております。その感染症に対するMCMの有無や既存MCMの有効性、安全性、使用方法等も含めて、MCMの必要性を見極めた上で治験の実施可能性等も精査し、本当に求められるシーズを戦略的に支援するということをしっかり検討していただきたいと思っております。
 3点目として、実際に、今、ワクチンを開発する現場におりまして実感しているのは、対象疾患によってはゴールまでなかなか行かないものがあるのですね。8疾患の中でも。ですから、実用化まで進めるのか、フェーズ2あるいはフェーズ1までの開発にとどめるのか、あるいは8疾患の中には全く応募のない疾患もございますので、それをどうするのかを少し検討していただけないかと感じております。
 それから、途中でとどめる場合、必要な情報や試料、サンプルなどをバンク化して長期にわたって維持管理し、いざリスクが高まったときに、ある種のプリペアドネスが完備されているような状況をつくっていただけないかと実感しておりますので、御検討をお願いしたいと思います。
 また、SCARDAによる支援の対象疾患が、現在、重点感染症の暫定リストを基に8疾患に限定されておりますが、例えばCOVID-19は2019年までは想定もしていなかったような感染症でございます。そういう意味で、どのような感染症がパンデミックを来すかは予測不可能な部分があります。したがって、病原体によっては求められる知見、技術が異なることから、研究としては平時のうちから幅広い疾患を対象にMCMの研究開発を進めておくことが、Disease Xへの備えになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○齋藤委員長 濵口委員、どうもありがとうございました。
 今、いただいたのはコメントということで、特段事務局からはそれについてはないですね。ありがとうございます。
 それでは、次、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 ありがとうございます。
 この小委員会での議論はどういう目的のためにやっているかはよく承知しているつもりですけれども、一方で、私は週に1回は診療をしていまして、大変不安になることがあります。昨今、日本は冬になればせき止めがないとか、解熱剤がないといった実情があります。確かにパンデミックや日本では希少な感染症も大きな問題であり、この小委員会はそれらを議論するための会議なわけですが、我々が日常診療でしばしば遭遇するインフルエンザとか、細菌性の肺炎であるとか、そういう感染症等に通常の診療を行うために、必要な医薬品や医療器具等の備蓄とかに関する検証や議論は何処かで行われているという前提が必要だと思います。できれば今年度中に一度お示し頂けるとありがたいと思います。日本は地震等の災害頻発国であり、どこで、どのような医薬品やワクチン等が、どの程度の量作られている、あるいは製造能力があるという現状の把握は極めて重要だと思います。
○齋藤委員長 岩本委員、どうもありがとうございます。
 続いて、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
 2点コメントがございます。特段、すぐにお答えを求めるものではございません。
 1点目なのですけれども、特に疾病の優先度の評価の観点では実績ベースの、つまり事実としてこういうことがあるから優先度を決めるということが1つの考え方ではあるのですけれども、ただ、一方で、それはそれで生かしつつ、5年後、10年後どうなるか、将来の展望という観点から優先度を予測する、その観点で考えていくことも今後は必要ではないかと思います。要は、海外の言葉で言えばホライゾン・スキャニングといったものを入れていくことが大事だと思いました。これは過去ベースの検討ではあまり優先度を高くしていなかったけれども、でも将来問題が起こってしまったといったことをなるだけ防げないかと思ってのことであります。
 2点目は、これはもう濵口先生が既におっしゃったことなのですが、シーズによっては一気に後期開発、フェーズ2、フェーズ3まで行けないものはあると思います。ただ、ある程度例えばフェーズ1ぐらいまで進めておいて、有事にはスイッチを入れて加速されるというものもあっていいと思いますし、そういったカテゴリーに落とすような病気とシーズといったものも議論の中に入れていく必要があると思いました。
 以上でございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
 今のお話、今までのお話とも多少重複する部分があるのですけれども、COVID-19のときの治療薬などの開発状況を振り返ってみますと、この後、田辺班の御報告にも出てくる部分はありますけれども、まず、既存の抗ウイルス薬で使えるものがあるのかという検討がなされました。その後、開発中あるいは新たに開発されたものの治験がスタートするという形になっていたと思うのですけれども、主にアメリカが先行していて、その後、日本で開発されて、承認に至るまでのタイムラグなどを当方の研究で確認したことがあるのですけれども、大体が臨床試験の準備のところで日本が遅れていくということが分かりました。
 ですから、アメリカの場合は政府主導で複数の医薬品の開発を同時に行ったりしているので、そのような情報の収集も必要なのと、日本が治験に参加するとなったときに、すぐに治験を走らせる体制ができるかが重要です。企業に依頼することになりますので、企業側でいきなり治験をやってくださいと言っても、なかなか動いているパイプラインを全て止めて、そちらに人、リソースなど移動するというのは、そんなに簡単ではなかったという振り返りもあるので、企業を含めた緊急時の治験体制の整備みたいなものも今回できれば議論していただけるとありがたいのかと。それから、どの薬品について海外のどこで治験が走ろうとしているかとか、そのような情報をピックアップして、日本で参加するしないという意思決定をしていくことも想定して議論していただけるといいかと思いました。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。かなりその先のメカニズムの部分についても幾つか論点をお示しいただいたと思うのですけれども、その前の段階の今、1、2、3という形で進めているステップなど、ほか、追加の御意見等はありますでしょうか。
 福島委員、お願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。
 どちらかというと希望に近いものかもしれませんけれども、私は、ラインは違いますが、予防接種・ワクチン分科会の下に設置されております研究開発及び生産・流通部会で開発優先度の高いワクチンの選定に携わったことがあり、昨年度末に選定がされました。そちらと比べますと、MCMの開発優先度を決める場合は、予見可能性が非常に肝になってきて、さらにその判断が難しいところもあろうかと思います。現在の事実ベースではなかなか判断し難い、しかし重要なところで優先度を上げるかどうかというところですね。その辺りについて、一般の方から見られても分かりやすい進め方であるべきではないかと思いまして、私自身もどうするのが最適かは分からないのですけれども、御検討いただければと思います。
 もう一つ、こちらはお伺いなのですけれども、先ほど申し上げました開発優先度の高いワクチンについては、予防接種推進専門協議会という、ワクチン関連の学術団体である学会が集まって定期的に話し合っている会があるのですけれども、そちらの意見を参考にしたりしました。今回もそのようなプロセスを取られるのかどうかについてお聞きをしたいと思います。
 以上、1点希望と1点御質問です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、2点目の質問の点につきまして、事務局からお答えいただけますでしょうか。
○五十嵐感染症対策課長補佐 御質問ありがとうございました。
 その点につきましては、持ち帰って検討したいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐野エイズ対策推進室長 補足させていただければと思います。
 私の把握している現状では、そのような形の議論をする状況にはないと思っておりますが、いただいた意見は確かにあると思いますので、どうするか、採用するかしないかを含めて御検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。ただ、今回一般的なワクチンの開発とはやや異なるところもありますので、本当に今までのそのスキームが適用できるのかどうかも含めて検討する必要性があるかとは思うところではあります。
 私からは以上でございました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 次は、四柳委員、お願いいたします。
○四柳委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 SCARDAではワクチンが開発の中心ですけれども、今回のMCMに関しては、診断薬、治療薬もスコープに入ってくることを考えて開発をしなければいけないだろうと思っています。日本においてもこれまで製薬会社が幾つかの抗ウイルス薬を含めていろいろなことを試してきて、今回のコロナに関しても幾つかの候補薬があると思います。日本の場合にはリポジショニングが最初に行われました。製薬会社の持っているたくさんのシーズから今まで開発はしたけれども実際には使えなかったものの臨床試験が行われ、その成功例がレムデシビルでした。そういった既存のものに広く当たっていただくことを希望していきたいと思います。
 以上でございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、そのほか、いかがでしょうか。
 早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
 既に出ているお話もあるかと思います。私の理解が甘いところもあるのですけれども、MCMに関して、感染症の状況がほかの病気に比べて変化しやすいという特徴があるかと思います。そして、それが急速に起こる場合がある。この総合評価のところですね。必要性の評価、要件整理、これはどれぐらいの頻度で行っていくというか、タイムライン的に常々変化していく世界の感染症の疫学にこのスキームがどのようにはまっていくのかが、以前に私が参加する前にもしかしたら出ていた議論なのかもしれないのですけれども、もし分かればお教えいただければと思いました。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
 こちらについて、事務局から何かございますか。
○佐野エイズ対策推進室長 先生、御意見いただき、ありがとうございました。
 資料にもございますが、今回、昨年度にまずは重点感染症のリストを策定していただいたと。そこからさらにいろいろな公衆衛生学的手法ですとか、様々な手法を用いて、さらに優先順位をつけていこうというのが今回の大きな概念かと思います。先生がおっしゃいますように、まさにこのMCMに挙げられている病原体自体は、今後どのように広がっていくか、かなり予見が難しいということは間違いないところではあると思います。ただ、それに関しましては、今、例えば何かが起こったときに、どれぐらいのスピードでやるのかですとか、どういった頻度で会議を開催して、どういった形で総合評価を見直すのかというところは、現段階で明確な指標をお示しするというのはかなり困難なのかというのが実際のところです。ですから、今はなかなか落ち着いているかどうかというところは議論はあるとは思うので、難しいとは思うのですが、比較的ある程度今の段階での優先順位をつけさせていただいて、またさらに新しい事態が起こって急遽対応しなければならないときは、そのときに別途対応させていただく形になるかとは思います。
 私からは以上でございます。
○早川委員 分かりました。ありがとうございます。
○齋藤委員長 御回答ありがとうございます。
 この辺りの状況の変化をどの程度機微に組み入れるかは難しいところかと思うのですが、当然この疾患しかやらないということではなく、大きな流行等につながるようなことがあれば、当然ここに組み入れていくことにはなるでしょうが、かといって、終息してしまったからそこでおしまいという話ではなく、この取組は中長期的に必要な部分もあるかと思いますので、そこはまた個別に判断していく必要があるのかと思います。
 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
これまで国内での流行という部分についてより重みをつけるべきであるとか、あとは本当に求められるものを選別すべきだ、複数の委員から御意見がありましたが、現段階では開発のゴールに行かないものもある程度のところで開発を止めておいて、いざ流行したときにすぐその先の治験を開始できるようなメカニズムをつくっておくべきだとか、国内のありふれた感染症も含めた備蓄体制を把握すべきという御意見、それから将来展望、予測等のホライゾン・スキャニングの必要性、リパーポシングが速やかに行えるような体制、予見可能性が低いものについて、その対象の選別については一般の人に分かりやすく説明をするべきという御意見などがあったかと思います。そのほか、追加はございますでしょうか。
 次に、資料2につきまして、田辺先生より御説明をお願いいたします。
○田辺参考人 三重大学の田辺と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 次のページをお願いいたします。研究の背景と目的になります。1つ目のポツの真ん中あたりになりますが、この研究班は、令和4年度に重点感染症のリスク評価あるいは個々のMCMの状況の評価を行っております。令和5年度はMCMの必要量の検討あるいは確保の目標量の要件設定などを行ってきました。本日発表させていただきます昨年度の研究の目的は3つございまして、個々の重点感染症の評価、2つ目としまして、MCMのうち、ワクチン・治療薬に関する基礎データの更新、3つ目としまして、ファンディングスキームとなります。先ほども議題に上がりましたが、このような検討を行いました。
 次、お願いいたします。各実施項目のまとめとなっております。調査1は、重点感染症のリスク評価・リスト更新のための調査といたしまして、2024年に改定されました「WHO R&D Blueprint 2024」の調査を行いました。これはこの会議で昨年度報告させていただいているものになります。2つ目ですが、BARDAにおいて策定されている重点感染症のTPP(Target Product Profile)、こちらの分析の御紹介になります。調査2つ目が、MCM(ワクチン・治療薬)の基礎データの更新になります。3つ目が、ファンディングスキームで、プル型・プッシュ型インセンティブの考え方を御紹介させていただければと思います。
 次、お願いいたします。こちらは「WHO R&D Blueprint 2024」の概要になります。委員の皆様は既に御承知の内容かと思います。真ん中あたりにございますように、Priority FamilyあるいはPriority Pathogen、Prototype Pathogen、Pathogen Xという形で整理されているものであります。
 次のページをお願いいたします。2024と書いてあるところに、WHOが整理した、Priority PathogenやPrototype Pathogenにマーキングされております。参考という欄は、改定される前の日本の重点感染症(暫定版)に該当するところにチェックが入っておりまして、日本の重点感染症がどのようなところを網羅しているかが一覧で分かるかと思います。
 次、お願いいたします。こちらはBARDAです。青字で上のほうに書いてありますように、「BARDAが注目する感染症の治療薬・ワクチン・診断について、理想とする製品特性を定義した」ものになります。TPPとは?というところの1つ目のポツに、「BARDAが注目する感染症の医薬品について、理想的な特性を定義し、開発の最終目標を示したもの」、4つ目のポツに、「研究開発の意思決定の指針となる」と示されています。もう少し具体的に見て行きます。右側の下あたり「包括的ワクチン目標TPP」というところを御覧ください。有効性/安全性があることや、ワクチンへのアクセスがあることがもちろん重要ですが、それに加えて国内生産力の向上、サプライチェーンも大事ですし、ワクチンが集団接種で使えること、あるいは初期備蓄のために小規模であっても国内製造が可能であること、一方で、有事には必要なワクチンを迅速に製造できること、そして、今回のCOVIDもそうでしたが、変異が発生した際に対応できるか、使用の簡便性から考えて単回投与できるのか、あるいはロジスティックの観点で保存期間やコールドチェーン、輸送の容易さはどうか、こといった様々な視点でMCMは考えていく必要があるという資料になっており、1つの参考になるのかと思います。
 次、お願いいたします。こちらがMCM対応医薬品の開発状況となっております。重点感染症CはAMRであり今回の研究の対象外としているため、A、B、Dにつきまして、左側が治療薬、右側がワクチンで、前臨床、P1からP3の形で整理しております。こちらを見ていただきますと、上のほうのコメントにありますように、P2以上のパイプラインがない疾患は、SARSあるいはSFTSとなっています。SFTSは承認が1つありますが、P2以上のものがない、またニパウイルスもないということで、どういった疾患に対してはどこまで開発が進んでいるかの概要をつかんでいただくのに参考になるかと思います。
 次、お願いいたします。続きまして、このMCMのモダリティー別に見た資料となります。このスライドは治療薬を整理しているもので、治療薬の種類としまして、タンパク質から右側のモノクローナル抗体まで、カテゴリー分けされています。治療薬については、大部分が低分子化合物(表の真ん中あたり)となっており、これが多いということになります。また、疾患別に行で見ていくと、例えばRSウイルスやマラリアが多いことが分かります。このように平時から一定程度患者が発生している感染症には様々な開発パイプラインがあることが分かるかと思います。
 次、お願いいたします。こちらはワクチンになります。ワクチンの場合は、モダリティーの種類としましては、糖タンパク質から右側の組換えタンパク質という形で整理されています。表の下に合計がありますが、組換えタンパク質のモダリティーが多く、続きましてベクターワクチンや不活化ワクチン、mRNAワクチンの割合が多いということになります。疾患の優先度やリスク評価を行った上で、MCMが今、どういう状況にあるのかを考えていく上での参考資料になるかと思います。
 次、お願いいたします。こちらは(参考)日本で開発されている医薬品の一覧になります。国内の重点感染症の中では、RSウイルスに対する医薬品・ワクチンの治験が多数実施されていること、エボラ出血熱とマラリアに対して前臨床試験が行われているというのが現状になります。
 次、お願いいたします。最後のテーマがファンディングスキームになります。ファンディングスキームには、プッシュ型とプル型がございますが、図の上の帯にありますように、左側の基礎研究から右側に承認申請、そして上市という形で流れていくなかで、基礎研究、非臨床試験、臨床試験といった研究開発の初期段階のものを支援していく場合をプッシュ型と呼んでいます。4つ例示されておりますが、研究開発費の支援からインフラ支援という形になっています。一方で、右側にある承認申請/審査、上市後など技術が確立された後の最終段階をサポートしていくのがプル型インセンティブになります。アウトカムベースインセンティブから4つのものが例示されています。
 次のスライドをお願いします。プッシュ型としてどのようものがあるか、海外で実施されているものを類型化するとこのような形で整理されました。カテゴリーとしては左端に示されているように研究開発費支援、パートナーシップ構築支援など4つの種類があります。
 少し御説明させていただきます。1つ目は「研究開発支援」になります。これは分かりやすくて、研究開発に係る資金を提供するというもので、研究費の助成ということになります。研究開発支援の中で小分けしていくと、税制優遇、こういった視点もあります。
 次のカテゴリーが「パートナーシップの構築支援」になります。金銭面ではなく、研究者同士がパートナーシップを組めるような形のサポートしていくもので、プッシュ型の1つとして挙げられています。
 3つ目のカテゴリーが「データ・リソース・ツール支援」になります。データベースを構築するなどにより研究開発に必要なデータを提供するもので、このようやり方もあります。
 最後が「インフラ支援」になります。研究開発費用の支援と近い面もあろうかと思いますが、施設建築といったところの資金を提供する、あるいは共同利用施設を整備するというもので、インフラを支援するということになります。国として支援を検討する際、プッシュ型としても様々な方法が考えられるということになろうかと思います。
 次のスライドをお願いします。プル型インセンティブも4つの形で整理されております。まず、「アウトカムベースインセンティブ」になります。これは分かりやすいもので、成果達成後に金銭的な報酬を提供するもので、収益補償になります。そのやり方は様々で、右側にありますように、買い上げをする、あるいはサブスクリプションで契約するなど、いろいろなやり方があろうかと思います。
 2つ目が、こういうやり方もあるのかという感じなのですが、「アウトカムを期待した金銭的インセンティブ」というもので、まだ成果を達成していなくても、成果の達成を期待して金銭的報酬を提供するものになります。
 3つ目が「レゴ規制インセンティブ」で、レギュレーションに関するサポートをするということになります。先ほどのテーマ1でもございましたように、審査、承認は結構大変ですので、そこに係る時間を短縮する、承認プロセスを簡略化する、迅速にする、といったものになります。あるいは、責任に関して、国が責任を負うなどが含まれており、このレゴ規制インセンティブといったやり方も企業としてはプル型の1つとしてありがたいかと思います。
 最後が「その他非金銭的プル型インセンティブ」としまして、パートナーシップの構築などがあります。
 今回、あくまで海外でやっているものを例示として挙げさせていただきましたが、今後検討する上での1つの参考としていただけますとありがたいと思います。
 発表は以上になります。
○齋藤委員長 田辺先生、どうもありがとうございました。
 非常に中身の濃い調査研究内容をお示しいただきました。リスク評価・リスト更新の関係で「WHO R&D Blueprint 2024」の考え方について御紹介いただき、パイプラインの調査についてもたくさんのものをお示しいただきました。そして、最後、プッシュ・プルインセンティブについて様々な事例を御紹介いただいたところですけれども、こちらの御説明資料につきまして、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。
 岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 田辺先生、どうもありがとうございました。
 幾つか意見を述べさせていただこうと思っていますけれども、決して先生に失礼な意図があるつもりではありませんが、そういうニュアンスがあるといけませんので、あらかじめお断り申し上げます。
 1番目、疾患のリストなのですけれども、これはたしか前のときも僕は申し上げたと思います。WHOに準じたリストに見えるわけですが、日本としてもグローバルなリストがあっていいと思う一方、アジアとか、アジアの中の日本、日本の今の立ち位置みたいな視点から、疾患のプライオリティーを明確にする必要があるのではないでしょうか。先ほどの濵口先生の御意見とも関連しますが、治験をやるときの患者数なども非常に大事になってくると思います。日本、アジアといった観点を強調したいと思います。
 2点目、BARDAの情報ですけれども、これも大変重要なものだと思いますが、アメリカの実情を反映していて、テロ対策のニュアンスのものが含まれていると思います。その辺り、日本としてどう考えていくのかということを、事務局も含めて考えていただく必要があるかと思います。
 最後のプル型・プッシュ型のインセンティブのところなのですけれども、これは非常に言いにくいことなのですけれども、我々委員が考えるというより、政府や政治家の方々に国の方向性を明確にして頂く必要があると思います。COVID-19のワクチンを思い起こすと、ファイザーのように国の支援は要らないと言い切った会社と、米国政府がメッセンジャーRNAワクチンに特化したベンチャーとして強力に支援してきたモデルナの2社がワクチンを作ったわけです。日本ではそもそもが感染症をやる企業の数が少なく、競争力も無くしています。そういうところでこのプッシュ型・プル型を不用意に行うと、競争力のない中小企業の生き延び支援ということになるだけではなくて、同じ失敗を繰り返すことになるのではないかと危惧します(戦力の逐次投入:失敗の本質)。日本の競争力の獲得というか、企業の競争力を生むような国からの集中的な支援ができないのか、といった議論が必要ではないでしょうか。
 長くなりますので、以上です。
○齋藤委員長 コメントありがとうございます。
 今の御意見に対して、田辺先生から何かございますか。
○田辺参考人 岩本先生、いつもお世話になっております。非常に御示唆に富む様々なコメントをいただきまして、ありがとうございます。
 私が答えられるかどうか分かりませんが、1つ目のリストに関しては、先生がおっしゃいましたように、日本特有のもの、またグローバルとの比較というところは大事になります。この資料は恐らく1年ぐらい前に作ったスライドで、「WHO R&D Blueprint 2024」が出された際に、データを整理して、重点感染症(暫定版)と対応させました。この資料などを参考に昨年度末に日本の重点感染症が改定され、改定された重点感染症リストに基づき、検討を進められていくと理解しております。
 2つ目のBARDAに関しては、これをどうしたいというのではなく、BARDAはこのような考え方を持っているという紹介になります。今後、優先度を決めていくことは非常に難しい作業になると思いますので、その中で、こういった視点もあるということを御議論いただく際の参考にしていただけるよう出させていただきました。
 最後のファンディングスキームについては、これをするとか、しないとかは、政府レベルの話になってくるかと思います。先生におっしゃっていただいたように、支援することが本当にいいことかどうかというところも含めて御議論されていくのだと思いますが、メニューとしてこういうものがありますということを示させていただきました。思いつきで行うのではなく、整理された資料の中で、ここが日本に合っているなどを見ていただくことや、やるやらないも含めて御検討していただく際の1つの参考資料として捉えていただけるとありがたいと思います。
 以上になります。
○岩本委員 ありがとうございました。
○齋藤委員長 続いて、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
 田辺先生、ありがとうございました。
 今からコメントしますけれども、質問というよりは将来に向けての予防みたいなものでして、どちらかというと事務局へのコメントかもしれません。何かといいますと、MCMのアクセスの担保を確実にするための方策という観点で、海外ではどういうことが行われているのかをもう少し具体的に見ていって、日本でやるのかやらないのか、どうするのかみたいなところを考えてはどうかと思っています。例えば承認を目指すもの、承認をすぐには目指せないものはあると思うのですけれども、薬事承認を目指すものからすれば、日本でも新型コロナのときに特措法が動いていれば特例承認や緊急承認という制度が動くようになりましたし、そうでない時期でも類した運用ができるようになっているというのは承知をしておるのですが、例えばそれ以外のもうちょっと進んだところ、いわゆるアニマルルール、FDA等でやっていますけれども、ああいうものはどうするのかとか、そういったところはもうちょっと調査して、日本でどうするか考えてみてもいいのではないかと思いました。先日もアニマルルールを使って高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染症向けの抗インフルエンザ薬がたしか米国で承認を受けていましたけれども、そういうものを見ていると思うところがありました。
 それが1点目で、2点目は、未承認のものに関しては、それのアクセスという観点を考える必要があるのではないかと思っています。現状、日本で国内未承認のお薬を国内で使うことになりますと、例えば特定臨床研究あるいは治験という形で運用するわけですけれども、なかなか現場で運用してみると厳しい難しい面もあるかと思っています。一方、海外を見渡すと、それこそコンパッショネートユースという言い方が適切かどうか分かりませんが、米国のエクスパンデッド・アクセス・プログラム等がありますが、運用がされている国もあります。どっちがいいか悪いかというのは、どっちが好ましいかどうかというのは議論が必要だと思いますが、少しそういった制度の先行例を研究してみるということは、日本でのいい運用を考えていく上で参考になるのではないかと思いましたので、コメントいたします。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 続いて、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
 田辺先生、御検討ありがとうございます。
 拝見していて、個人的には若干気になっていることがございまして、大曲先生が地平を見ていくというお話をされていましたけれども、重点感染症のリストでグループCになってしまって、あまり議論の対象になっていないように思うのですけれども、最近多剤耐性の結核が増えているように思うのです。結核は長期に抗結核剤を投与する必要があることから、戦争があったり、貧困な国では途中で薬を中断した結果、耐性菌が増えるという現象があって、今、世界情勢を見ていると、非常に不穏な状況があるので、将来的にリスクが高まっていくのではないかと見ています。
 年間で新規感染者が1000万人を超え、死亡者数が最も大きな感染症でありますし、日本を見てみますと、G7で一番結核が多い国になっていますし、周辺のアジアがフィリピン等を含めて結構患者さんが多いのですね。私の個人的な体験でも、留学生の中に、あるいは留学生の家族の中に感染者がいて、ほかの重篤な疾患で治療をお願いすると、先生、この方は結核ですよというケースが幾つかありましたので、将来的にはリスクを考慮して、対象としてウオッチしていくことが必要なのではないかと思っておりますが、先生の御意見を伺えればと思います。
○齋藤委員長 田辺先生、いかがでしょうか。
○田辺参考人 濵口先生、コメントをいただきまして、ありがとうございます。
 昨年度までの本科研では、グループCは、AMR対策というスキームの中で動いてきたということで、私たちの調査の対象外になっていたため、報告はこのようになっておりますが、昨年度末に重点感染症リストが更新されたことも含め、MCMの確保といった視点で、本年度研究ではAMRも含めて検討することになっております。本日の資料の参考資料1に重点感染症リストが載っておりますが、グループCの1つ目に先生から御指摘いただきました薬剤耐性結核が入っておりますので、こちらも含めて今年度調査させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○濵口委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。
 私も田辺先生の研究班のメンバーでございますので、質問というよりは、今日委員の先生方からいろいろな御意見を頂戴して、大変参考になりました。
 事務局からの資料1の御紹介も含めて、本研究班での活動と併せていろいろ考えて、今日申し上げたい点は、MCMである、危機対応医薬品であるというところから、とても難しい点があって、研究班の中で検討していても、例えばシミュレーションとか、あるいはある疾患を題材に取ってワクチンの備蓄をするならばどのような方法で何本ぐらい必要だとシミュレーションをしようと思っても、疾患は何を選ぶかで全く変わってまいります。感染性にしても、無症状感染者の頻度にしても、感染伝播様式にしても、何を題材に取るかで変わってくるわけです。そうなると、MCM対象の検討というのは、どの病気がどう起こるか、現状では分からないわけです。
 そうなりますと、先ほどからいただいている日本に特徴的な要素、因子を含めていってもいいのではないかという御意見ももっともですし、私はワクチンを主にやらせていただいていて思ったことは、例えば1つのモダリティーに偏るのではなくて、mRNAも組換えたんぱくもあるいはアジュバントであればどういうアジュバントがいいのか、しかしアジュバントもアジュバント単独で検討していても駄目で、アジュバントと抗原の相性もあるでしょうし、そのような問題があるかと思っています。
 また、治療薬でいえば、どういった対象にとって疾病負担になる疾患が新しい疾患として出てくるか分からないので、例えば妊婦にも使える薬や小児にも使える薬など、薬剤の機序によっては、対象によっては使用できない薬剤があると思いますので、MCMに対応という観点では、そういった観点も必要なのかと今日の議論を拝聴していて思いました。
 以上でございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 今の点につきまして、田辺先生、何かコメント等はございますでしょうか。
○田辺参考人 特にございません。中野先生、ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 このシナリオを考え出すと、どんどんいろいろな可能性が出てきまして、収束させるのがなかなか難しい議論ではありますけれども、こういったことをうまく整理しながら考えていく必要があるところです。
 そのほか、コメント、御意見等、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
 鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ここでの検討対象外になるのかもしれないのですけれども、こういうMCMというものは、通常の感染症で使う通常の医薬品やワクチンに比べて、リスクとベネフィットのバランスがかなり違う状態で使わざるを得ないことになると思うのです。先ほども大曲先生からアニマルルールの話であるとか、そういう危機対応ならではの規制も含めて検討してはどうかという御意見もありましたけれども、それももちろん必要だとは思うのですが、その際に社会的なコンセンサスですね。通常と違うバランスでやらなくてはいけないということ、つまり通常の感覚で使うとまた別のリスクが使う患者さんに生じる可能性があるということですね。そういうことを社会的に理解していただいた上で進めないと、重篤な副作用が出た途端にストップしてしまうみたいなことも起こりかねないかと思うので、こういう検討の内容を社会的に専門家だけではなくて一般の方にも分かりやすいように発信していく、そういう場をつくっておかないといけないのではないかと思いました。日本は昔からそういうところはあまり上手ではないと個人的に思っていますので、こういう研究班なり、こういう検討会、委員会等でやっていることをさらにかみ砕いて一般に説明していくような、そういうプロセスみたいなものはつくっていただけるといいのかと思いました。
 以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 田辺先生から何かコメント等はございますか。
○田辺参考人 ありがとうございます。
 いただいたとおりの認識です。なかなか難しいですね。私たちが、今、考えているのは、実際に起こるか起こらないか分からない中で、どこまで準備していくかということであり、先ほど言っていただいたように、準備したものを実際に使用するというところは少しフェーズが異なるかと感じています。まずはいかに準備をするかという視点になりますが、先生におっしゃっていただいたように、一般の方にどのように説明していくか、そういう視点は確かにあまり考えていなかったので、一定整理された段階で、このような準備もしているということを伝えていくことについて、考えていく必要があるかと思います。
 また、一方で、これは危機管理的な事柄になるため、最後の出口はどこまで示せるかというのもあります。考え方の整理など、ある程度までは、こういう場で出せると思いますが、最終的に何をどれぐらい備蓄するか具体化されてくると、なかなか表に出しにくいと思いますので、そういうところも含めたリスクコミュニケーションは重要だと感じました。どうもありがとうございました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 そのほか、御意見等はいかがでしょうか。
 濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 余談でありますが、最近、分子生物学だとか、情報科学、アルファフォールドとか、非常に進歩が激しい中で、ワクチンの開発も大分スタイルが変わってきているように思うのです。SCARDAが実際にサポートしているプロジェクトの中でも、例えばフラビウイルスに共通して使える抗原を探すとか、情報科学を使った分析を行うものがありまして、基礎的な段階のものが多いのですけれども、将来を予測して、情報科学、アルファフォールド、AIを使った研究がどういう形でこの分野へ入ってくるかの分析もいずれ必要ではないかという思いがございまして、余談でございますけれども、発言させていただきました。
○齋藤委員長 開発過程での新規技術の導入ということで御意見をいただきました。ありがとうございます。
 そのほか、御意見、コメント等はいかがでしょうか。
 私から1つ、先ほどBARDAのターゲット・プロダクト・プロファイルなどの話もございましたが、特にこういう需要が限られることが想定される医薬品を作り込んでいく際には、限られたリソースを集中していかないといけないので、目標設定が非常に重要になってくるかと思いました。その過程には、通常とリスク・ベネフィットのバランスが異なるような形での要件設定も考えられるわけで、そういったところも含めた議論は必要かと感じたところです。
 こちらの資料1で、今後の進め方の中で、公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理というものもございますが、こういったところの中でも具体的にどういった性質のものが必要なのかを話し合うのは非常に重要かと思いましたし、先ほどプル型・プッシュ型というインセンティブのお話をいただきましたが、特にプル型を導入していくに当たっては、その要件がしっかりないと、ゴールが決まらないとインセンティブもつけられないので、そのインセンティブの導入という観点からも重要な部分かと思いました。
 そのほか、委員の先生方、御意見はいかがでしょうか。
 では、特になければ、こちらで議題(2)を終わりとさせていただきます。皆様、御意見をどうもありがとうございました。
 これで本日の議題は以上となります。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○五十嵐感染症対策課長補佐 本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
 委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
 また、次回の日程については、改めて事務局よりお知らせいたします。
 本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。