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- 第18回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)
第18回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)
健康・生活衛生局がん・疾病対策課
日時
令和7年6月23日(月)12:00~14:00
場所
※オンライン開催
新橋ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8F)
新橋ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8F)
議題
- (1)がん診療提供体制について
- (2)その他
議事
○がん・疾病対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第18回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策の九十九でございます。
本検討会は、ユーチューブにおいて配信しておりますので、御承知おきください。
本日は、14名の構成員の方に御出席いただいております。
今回の検討会から一般社団法人日本病院会副会長の岡俊明構成員に新たに御参画いただいております。
岡構成員、一言御挨拶をお願いいたします。
○岡構成員 先生方、こんにちは。日本病院会の岡でございます。
今回からこの検討会に参加させていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。
現在、私は静岡県の聖隷浜松病院の院長を務めておりまして、実は専門は循環器内科で、がん診療にあまり携わっておりませんでしたけれども、院長になりましてから勉強するようにしましたし、今回、この検討会に参加するようになりますので、さらに精進して勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 岡構成員、ありがとうございました。
また、本検討会には、前回に引き続き一般社団法人日本癌治療学会から副理事長の調憲参考人、公益社団法人日本放射線腫瘍学会からは理事長の宇野隆参考人に御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、資料1から資料5まで、参考資料1、参考資料2がございますので、御確認くださいますよう、お願いします。
また、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
本日の議題としましては「(1)がん診療提供体制について」「(2)その他」となってございます。
それでは、この後の進行は土岐座長にお願いいたします。
○土岐座長 皆様、よろしくお願いしたいと思います。
本日、時間も限られておりますので、早速、議題の移りたいと思います。
議題「(1)がん診療提供体制について」に移りたいと思います。
まずは事務局から資料1の説明をお願いします。
○がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
1ページ目をおめくりください。本日の資料の構成でございますが、まず2040年を見据えたがん医療提供体制の構築について、これまでの均てん化・集約化に係る議論について、また、今後のスケジュール、さらには今後のがん医療の需給について、高度な医療技術を伴うがん医療についての構成で御説明いたします。
2ページめくっていただきまして、こちらは改めてでございますが、第4期基本計画に係る記載でございます。
取り組むべき施策としまして、がん医療が高度化する中で、引き続き質の高いがん医療を提供するため、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに持続可能ながん医療の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進するとなっておりまして、これを踏まえ、12月から議論を開始しております。
ページをめくっていただきまして、こちらのスライドです。右上にありますが、令和7年3月21日の検討会の資料1の改変となってございます。
こちらの改変の趣旨としましては、前回の議論におきまして、がん医療の均てん化・集約化の趣旨を明確にするべきというような意見をいただいたところでございますので、その趣旨を上の箱の中に記載したものでございます。
国は、がん対策基本法に基づき、拠点病院等を中心として適切ながん医療を受けることができるよう、均てん化の促進に取り組んでまいりました。
2ポツ目でございます。2040年に向けて、がん医療の需要変化等が見込まれる中、引き続き拠点病院等を中心としました均てん化といったものは促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう、再構築していく必要がある。
医療技術の観点からは、広く普及された医療については、均てん化に取り組むとともに、高度な医療技術については、症例数を集積して、質の高いがん医療提供体制を維持できるよう、一定の集約化を検討していくといった、医療機関及び関係機関の機能の役割分担及び連携を一層推進する。
また、医療需給の観点からは、医療需要が少ない地域や医療従事者等の不足している地域等においては、効率性の観点から一定の集約化を検討していく。
このボックスに関しまして、改めて説明いたしますが、一番上のところが都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療、真ん中の部分ががん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療、3番目のところがさらなる均てん化が望ましい医療として、具体的にはがん予防や支持療法、緩和ケア等、できる限り多くの診療所・病院で提供されることが望ましい医療を記載しているものでございます。
2ページめくっていただきまして、今後のスケジュールになります。
昨年12月から議論いただきまして、本日6月23日、第18回の検討会におきましては、お手元にお配りしておりますが、がん医療提供体制の均てん化・集約化に関する報告書(案)について、主に議論いただきたいと思っておりまして、次回、令和7年夏頃を予定しておりますが、報告書を取りまとめていきたいと考えておりまして、その報告書の取りまとめ後に、がん医療提供体制の均てん化・集約化に関する通知を都道府県に発出していきたいと考えております。
次のページをお願いします。ここからは今後のがん医療の需給についてお話ししまして、その後、高度な医療技術を伴うがん医療についてお話ししていきます。
1ページめくっていただきまして、同じスライドになりますが、まずは医療需給の観点について、御説明いたします。
1ページめくっていただきまして、これは前回からの同じスライドでございますが、2040年には、85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見られるということでございます。
次のページめくっていただきまして、こちらは日本の将来人口推計であります。
生産年齢人口は、2040年に2025年と比べて15%減少し、65歳から84歳は、ほぼ横ばいで推移、85歳以上に関しましては、42%増加することが推計されているものでございます。
次のページめくっていただきまして、都道府県単位の人口の変化率を年齢階級別で見たものでございます。
東京都と沖縄県につきましては、他の道府県と比較しまして、生産年齢人口の減少率が小さく、また、65歳から84歳の増加率が著しく大きいことが特徴でございます。
次のページに行っていただきまして、こちらは我が国における年齢階級別のがん罹患率を全国でまとめたものでありますが、85歳から89歳をピークに90歳以上は低下するものを示したものでございます。
次のページに参ります。ここからはがん罹患者の推計について、事務局での考えを示したものでございます。
まず算出に用いた推計式としまして、三つ書いておりますが、一番上のものが全国のもの、真ん中が都道府県単位、一番下が二次医療圏単位のものでございます。
考え方としては、三つとも共通したものでありますが、全国を見ていただきますと、これは社人研の将来人口推計に全国がん登録を用いた年齢階級別のがん罹患率、こちらの2017年から2021年の平均を用いたもので、掛け合わせたものでございます。
次のページをお願いいたします。この考え方を用いまして、がん罹患者数の将来推計を全国レベルで行ったものでございます。
2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、64歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移しまして、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により増加が見込まれ、がん罹患者数の総数は横ばいからやや増加すると見込まれております。
次のページをお願いします。がん罹患者数を都道府県単位で見たものであります。
2040年に向けて、都道府県単位では、がん罹患者数が都市部を中心に16都府県で増加する一方で、31道県では減少すると見込まれております。
次のページお願いします。さらに二次医療圏単位で見たものでございます。
二次医療圏単位では、大都市部の88%でがん罹患者数は増加する一方で、地方都市部の59%、過疎地域の98%で減少することが見込まれております。
次のページお願いします。こちらはさらに都市型分類別のがん罹患者数の変化率で、年齢階級別に示したものでございます。
2040年に向けて、64歳以下のがん罹患者数は、大都市部の90%、地方都市部の97%及び全ての過疎地域で減少することが見込まれております。
真ん中の65歳から84歳のがん罹患者数は、大都市部の67%で増加する一方で、地方都市部の90%、過疎地域の98%で減少することが見込まれ、さらに一番右の85歳以上のがん罹患者数ですが、過疎地域の2%を除き、全ての二次医療圏で増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。全国のがん推計患者数の推移でございます。これは前回からも示しているものでございます。
改めまして全国のがんの推計患者数は、推計入院患者数としては減少しておりますが、推計外来患者数としては増加している状況でございます。
次のページをお願いします。全国のがん患者の平均在院日数の推移でございます。
平均在院日数は、おおむね短縮傾向にあることが示されてございます。
次のページをお願いします。今度は三大療法需要別の推計について、事務局の考え方を示したものでございます。
専門の先生方の御意見もいただきたいところではございますが、この算出に用いた推計式としまして、この三つ、一番上が全国の推計式で、真ん中が都道府県単位、一番下が二次医療圏単位のものでございます。
前回、こういったがんの医療の需要について、もう少し詳細に議論するべき、調べるべきではないかといった構成員の先生方の御意見もありましたので、今回お示しているものでございますが、考え方としましては、全国を御覧いただきたいのですが、社人研による将来人口推計に全国がん登録を用いた年齢階級別のがん罹患率で、この罹患率は2017年から2021年の平均でございます。
さらに院内がん登録を用いました年齢階級別の三大療法の実施割合の推移、これは2016年から2023年のデータを用いて、これを線形に単純に予測した将来の三大療法の実施割合として計算してございます。
次のページをお願いします。こちらは前回からお示しております年齢階級別の初期治療の実施割合でございます。
次のページをお願いします。先ほど申し上げましたような考え方で、これから三大療法別の今後の需要を見ていきたいと考えておりますが、まずこちらは手術療法の実施割合の推計でございます。
足元の2023年のデータですが、青色が0歳から14歳で、緑が15歳から64歳、黄緑が65歳から74歳、ピンクが75歳から84歳、赤が85歳以上の推移を示したものでございます。
2023年までのデータを用いまして、線形にこれを単純に伸ばしたものでございますが、2040年におけるそれぞれの年代における需要を見たものでございます。
次のページをお願いします。この需要率を基にがん患者における手術療法の需要推計を年齢階級別に示したものでございます。
こちらを見ますと、手術療法を受療する患者数は、今後減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。さらにこれは手術療法の需要推計を都道府県単位で見たものであります。
手術療法の需要は、2040年に向けて、都道府県単位では2都県、沖縄県と東京都で増加する一方で、45道府県では減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。今度はさらに二次医療圏単位で見たものであります。
手術療法の需要は、大都市部の54%、地方都市部の92%、過疎地域の98%で需要が減少すると見込まれております。
次のページお願いします。今度は放射線療法の推計でございます。
同じように2023年までのデータを基に、線形に2040年の実施割合を予測したものでございます。
次のページをお願いします。こちらはこの考え方を用いまして、放射線療法を受療する患者数を推計したものでございますが、こちらは今後増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。今度は放射線療法の需要を都道府県単位で見たものでございます。
こちらは2040年に向けて、全ての同都道府県で増加すると見込まれております。
次のページをお願いします。さらに放射線療法の需要推計を二次医療圏単位で見たものであります。
二次医療圏単位では、過疎地域の22%を除きまして、全ての二次医療圏で需要が増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。今度は薬物療法に関する実施割合の推計であります。同様に2040年の需要を推計したものでございます。
次のページをお願いします。この考え方に基づきますと、薬物療法を受療する患者数は今後増加すると見込まれます。
次のページをお願いします。こちらは薬物療法の需要推計を都道府県単位で見たものでございます。
この需要は2040年に向けて、都道府県単位では46都道府県で増加する一方で、秋田県で減少することが見込まれております。
さらに二次医療圏単位で見たものが次のページでございまして、こちらでは全ての大都市部、地方都市部の88%で需要が増加する一方で、過疎地域の70%で需要が減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。こういったものを統合しまして、全体として見たものでございます。
がん患者における三大療法の需要推計ですが、手術療法が青で、緑が放射線療法、黄色が薬物療法でありますが、手術療法は減少し、放射線療法と薬物療法は増加することが見込まれております。
ここまでが需要の話でございました。次のページからは供給の話に参ります。
次のページをお願いします。こちらは供給サイドの話ですが、医師数の推移を示したものでございます。
医師の総数は、2022年時点で34.3万人と過去10年間に13%増加しておりますが、一方で、外科医の総数は過去10年間ほぼ変化がございません。
次のページお願いします。さらに外科医の内訳を見たものがこちらの図でございます。
外科医のうち消化器外科医数は、2022年時点で約1.9万人と、過去10年間で見ますと10%程度減少しているものでございます。
次のページをお願いします。こういった中で具体的に、これは他部局の政策にはなりますが、医師の長時間労働の現状であったり、医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を実施する上で、医師の働き方改革が取り組まれているところでございます。
次のページをお願いします。こちらは診療科別の時間外・休日労働時間の年1,860時間超の医師の割合でございます。
先ほど申し上げました外科や脳神経外科、このあたりが上位に来るところでございます。
次のページをお願いします。こちらはがんゲノム医療提供体制の将来推計でございます。
2023年から2025年度までのがんゲノム医療中核拠点病院等の新規指定施設数の推移から単純に線形で推計しますと、2025年6月現在の282施設からがん診療連携拠点病院等を網羅する約460施設に拡大するまでは、2030年頃まで要することが見込まれております。
次のページをお願いします。ここまでが医療の需要と供給の話でございましたが、ここからは高度な医療技術を伴うがん医療についての御説明であります。
次のページをお願いいたします。これまで各学会様から御提示いただいたものでございます。
こちらは日本癌治療学会様からの資料でございますが、消化器外科領域に関しましては、集約化して提供したほうが質の高いがん医療を提供することを可能とするような根拠になってございます。
次のページをお願いします。こちらも同じく日本癌治療学会様からの資料でありまして、婦人科領域におきましても、例えば子宮体がん、子宮頚がん、卵巣がんのいずれも、施設の規模が大きくなるほど、治療成績がよくなるものを示したものでございます。
次のページをお願いします。こちらは日本放射線腫瘍学会様からの資料でございます。
結論のところですが、ほとんどのがん種において、放射線治療ボリュームと患者アウトカムの間に関連性が認められる。
考察ですが、high-volume施設の高精度治療における臓器の輪郭設定や小線源治療など、複雑な手技における高い専門性が良好なアウトカムにつながっているということでございます。
次のページでございます。放射線治療装置に関しましては、設置・メンテナンス・更新とそれに伴う採算性の課題というものがございます。
こちらの表は、施設の規模別、年間新患者数別に施設数であったり、放射線治療装置の台数、施設当たりの放射線治療装置の台数、放射線治療装置1台当たりの患者数を示したものでございます。
年間の新患者数の多い大規模施設では、放射線治療装置の台数を増設した場合であっても、放射線治療装置1台当たりの患者数は多く、効率よく放射線治療装置を運用することができていると考えられるものでございます。
具体的には年間200名以下の施設でありますと、リニアック1台当たりの患者数は、大規模施設の半分以下となっていることが見てとれます。
続きまして、こちらは日本臨床腫瘍学会からの資料でございます。
化学療法におきましても、具体的にはAML治療に伴う死亡率は、小規模病院で高いといったデータが示されているものでございます。
資料1に関しましては、説明は以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございました。
引き続きまして、人材育成、医療を提供する側からの御説明をお願いしたいと思います。
まずは日本がん治療学会の調参考人から、手術に関わる医師数の推計について、御説明をよろしくお願いいたします。
○調参考人 ありがとうございます。日本癌治療学会の副理事長の調でございます。
また、私は日本消化器外科学会の理事長を拝命しておりますので、その立場からも少しお話をさせていただきたいと思います。
資料の2ページをお願いいたします。がん患者における三大療法の需要推計でございます。
高齢化によって、放射線療法、薬物療法に比べ、がんに対する手術数は減少することが予測されております。しかしながら、その減少率は軽微でございまして、2025年に比べ、2040年度は5%、2050年でも11%の減少にとどまっております。
25年後においても、現在、90%程度の手術数が行われ、外科医の必要性が急速に減じることはないと考えております。
次、お願いいたします。日本消化器外科学会の60歳以下の会員数の将来予測でございます。
現在、65歳以下の会員数は1万5200名でございます。
先ほどのデータから2040年の手術数を現状の95%といたしますと、現在の診療体制を維持するためには、消化器外科医も95%、1万4400人が必要ということになります。
ところが、2040年の会員数は約40%減少し、9,200名となることが予測されています。したがって、このままでは5,200人の不足が起こり得ます。
これを回避するために毎年900人の新入会者が必要となりますけれども、現状では新規入会者が毎年500名程度、したがって、追加で400名の確保が必要になります。
2020年に日本消化器外科学会の専門医の資格申請の要件を現状に即した形で大幅に緩和したので、今回の解析が会員ベースのデータにならざるを得ないことを御理解いただければと思います。
次、お願いいたします。消化器外科医の減少問題を重く見まして、昨年の日本消化器外科学会の総会において、消化器外科の明るい未来を達成するためのロードマップを発表いたしました。
1には自助努力としての取組、3は高度ながんの手術の集約化・重点化、4が外科医への正当な評価の提案という内容になっております。
1は医学生、研修医の広報、働き方改革の好事例の紹介やアンケート調査等です。
2のキャリア形成に関しましては、40歳未満の会員によるUnder40委員会を設置、若手中心のセミナーや勉強会などの開催、短期留学制度の創設など、若手支援を強化しております。また、女性医師への支援として、男女共同参画委員会の設置、女性理事や外部委員の登用、十分な手術経験が積めるように支援を進めています。地方の若手に対しても、遠隔支援を推進してまいります。
このような自助努力に加えて、私たちは消化器外科医の減少がこのままでは将来の社会問題になり得ることを広く国民に訴えております。
それを受けて、昨年12月に厚生労働省の医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージにおいて、理解への手厚い強化の必要性の検討を行うということ、6月13日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2025年においても、減少傾向にある外科医師に対しての支援を推進するという言葉をいただいております。
今後とも国民、そして、行政の皆様と議論を進めてまいりたいと思っております。
次です。これは消化器外科医の増加に資する取組の好事例を紹介しております。富山大学の取組です。
平日業務のシフト制、あるいは夜間・休日の完全当番制、主治医制からチーム制、手術メンバーの交代制、有給や男性育休の取得などの働き方改革に大胆に取り組むことで、若手の入局者が大幅に増加したという例でございます。
次、お願いいたします。広島大学の若手外科医の処遇に関しての取組でございます。
広島大学では、今後の外科医の減少を見越して、未来の外科医療支援手当を創設しています。
対象は約30名、27歳から40歳前後の助教になる前の外科の専攻医、あるいは専門員で、年俸が前年度の1.3倍となる制度でございます。
今後も高度ながんの手術を行う施設の集約化・重点化を基盤とした働き方改革や、処遇改善による消化器外科医の増加の取組が必要と考えております。
私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
後ほどディスカッションしたいと思いますので、しばらくお待ち願えたらと思います。
引き続きまして、資料3につきまして、放射線腫瘍学会の理事長、宇野参考人よりお願いしたいと思います。
宇野先生、よろしくお願いします。
○宇野参考人 よろしくお願いいたします。公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長の宇野でございます。
放射線療法に関わる医師数と放射線治療装置の推計について、御説明させていただきます。
次、お願いいたします。こちらが先ほどの資料1にございました厚生労働省がん・疾病対策課で作成された資料と同一のもので、がん患者における各治療法の需要推計となります。
緑色で示される放射線療法の需要は、2025年を1.0とした場合に、2040年には1.24に増加すると推計されています。
次、お願いします。資料は放射線治療専門医数の将来推計です。
前回第17回の検討会でお示ししたように、放射線治療専門医は、年間約50名程度育成されています。
年齢等による引退者分を差し引いて年間40名の増加となっているため、このままのペースでいきますと、2040年には40名掛ける15年、600名程度の増加が見込まれております。したがいまして、2040年には放射線治療専門医数が約2,000名程度と推計されております。
次、お願いいたします。放射線治療患者数・放射線治療装置数の将来推計となります。
放射線治療におきましては、1台の装置で治療できる、あるいは1台の装置で治療するに最もふさわしい患者数というのが大体出ておりますので、まずは患者数を推計し、それから逆に必要な装置の台数を推計するという手順を取ってきました。
まず放射線治療患者数の推計ですが、放射線治療患者数は、私ども学会の構造調査より、がん罹患者数の28%を占めております。このことから、2025年には先ほど罹患者数の推計がございましたが、28.8万人と推計されます。
2025年から2040年に向けて、放射線療法の需要が1.24倍に増加すると、放射線治療患者数が28.8万人掛ける1.24倍、35.7万人、およそ36万人程度と推計されます。
次に放射線治療装置数の推計です。厚生労働省がん研究助成金各研究班により、2009年に報告された放射線治療装置1台当たりの年間照射患者数の適正数は250名から300名とされています。
当時の基準を用いた場合に、2040年に必要となる放射線治療装置台数は1,990台から1,428台となります。
2019年時点の放射線治療装置配置数は1,100台でありまして、現在も足りないのですが、8~30%増となります。
今後の放射線治療の提供体制ですが、2019年の構造調査に回答した国内の放射線治療施設は734施設あり、このうち年間治療患者数の100人未満が127施設、100人から200人の施設が216施設となっています。
日本は、世界で最も施設当たりの治療装置台数も少ない状況であります。現在のように、1施設当たりの治療患者数が少ない放射線治療施設が分散していると、より多くの放射線治療専門医が必要となってきます。このため、放射線療法の需要動向を踏まえながら、放射線治療施設の一定の集約化の検討が必要となると考えられます。
なお、放射線治療医と患者数の需給のミスマッチ、あるいは非常に遠いところ、広い地域で放射線治療施設がないような地域、こういったミスマッチが生じる放射線治療施設、あるいは地域においては、放射線治療医による遠隔放射線治療、これは放射線治療計画の作成等を意味しますが、こういった支援の取組も併せて実施することが有効であると考えられます。
放射線腫瘍学会からは以上となります。
○土岐座長 宇野参考人、どうもありがとうございました。
それでは、ディスカッションは後ほどにしまして、先に次の方針の整理に進みたいと思います。
資料4、資料5につきまして、まずは事務局から説明をよろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
お手元の資料4を御覧ください。
前回3月の本検討会におきまして、2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約に関する議論の骨子案を示させていただきましたが、今回、内容は大幅に膨らませておりますので、できる限り丁寧に説明していきたいと思います。
全体の構成でございます。
「1.はじめに」は、これまでの内容とあまり変わりませんので、説明はコンパクトにしたいと思います。
「2.今後のがん医療の需給について」となっておりまして、柱立てとしましては、がん医療の需要についてとがん医療の供給について、がん医療の供給バランスを維持するための方策についてとなっております。
次に「3.高度な医療技術を伴う概要について」「4.今後の方向性について」となっております。
今後のがん医療の需要については、スライドで示している内容と重複いたしますので、コンパクトに説明した上で、2の2)がん医療の供給についてからは丁寧に説明していきたいと考えております。
最後、1ページめくっていただきまして「5.都道府県協議会での均てん化・集約化の検討の進め方について」です。前回、骨子で示しておりますけれども、こちらも文章にして、ボリュームを膨らませておりますので、説明したいと思います。
最後が「6.総括」でございます。
1ページ目をめくっていただきまして、「1.はじめに」のところは、これまで述べた経緯でございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
「2.今後のがん医療の需給について」でございます。
1ページ目をおめくりください。1)がん医療の需要についてのマル1、日本の将来人口推計は、スライドの内容と同じでございますので、説明は省略いたします。
マル2、がん罹患者数の見込みでございます。これもスライドで示しましたが、2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、64歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移し、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により、増加が見込まれ、がん罹患者の総数は横ばいからやや増加すると見込まれると考えております。
マル3、がんの罹患者の地域特性でございます。こちらもスライドの内容と重複しますので、説明は割愛いたします。
マル4、入院・外来治療の需要動向でございます。こちらも内容は重複しますが、1ページめくっていただきまして、上のところですが、がん患者において入院患者数は減少し、外来患者数は増加することが見込まれるとなっております。
マル5、三大療法(手術療法、放射線療法、薬物療法)別の需要見込みでございます。スライドと同じ内容ではございますが、改めて申し上げますと、2040年に向けて、三大療法のうちの手術療法の需要は、2025年と比べまして、5%減少すると見込まれております。
また、院内がん登録を用いた将来の手術療法の実施割合の推計において、小児を除いた手術療法の実施割合が減少しているためと考えます。
一方で、放射線療法や薬物療法の需要は、2025年と比べまして、それぞれ24%及び15%増加することが見込まれております。
これは院内がん登録を用いた将来の放射線療法及び薬物療法の実施割合の推計において、高齢がん患者への実施割合が増加しているためと考えます。
こういった需要に関しまして、三大療法ごとに今後の見込みを示したものがこの表になってございます。
以下の手術療法、放射線療法の需要につきましては、先ほどの説明と重なりますので、省略させていただきます。
1枚めくっていただきまして、二つ目のパラグラフの「上述のように」からですが、将来のがん患者に対する三大療法の需要は、都道府県単位、二次医療圏単位で異なりますので、都道府県は、都道府県単位、二次医療圏単位の将来のがん患者に対する三大療法を中心としたがん医療の需要について、予測または把握することが必要であると考えます。
2)がん医療の需給についてでございます。ここからはできる限り丁寧に説明していきたいと思っております。
三大療法別の供給見込みでございます。この表でございますが、受療者数につきましては、これまでお示したものと同じ数字を載せております。
医師数であったり、医師数の過不足に関しまして、考え方としまして、※手術療法については、日本消化器外科学会に所属する医師数、※4の放射線療法に関しましては、放射線治療専門医数に関して示していくと思っております。
先ほど御提案いただいた内容を踏まえ、今後、新たにこちらに盛り込んでいきたいと考えております。
※5で書いておりますが、薬物療法に関しては、薬物療法専門医のほか、がん診療を担う薬物療法専門医ではない医師が中心となって提供されている実態がございます。薬物療法専門医ではない医師が現状どの程度薬物療法を担っているのか、現状の評価が困難であるため、今回は空欄としております。
次のページをおめくりください。手術療法に関してですが、医師の総数が2022年時点では34.3万人と、過去10年間で13%増加しているにもかかわらず、外科医の総数は過去10年間ほぼ変わっておらず、特に消化器外科医については2022年時点で約1.9万人と、過去10年間で10%減少しております。
さらに40歳未満の若手消化器外科については、減少幅がより大きく、過去10年間で15%減少しております。
ここからは日本消化器外科学会様の推計の結果を追加で記載していきたいと考えております。
次に放射線療法でございますが、放射線療法の需要は、2040年に2025年と比べて24%増加することが見込まれております。
放射線療法を専門とする医師数は、需要の増加を上回っておりますが、具体的な数値に関しましては、先ほどのプレゼンテーションを踏まえ、検討会の後、報告書に盛り込んでいきたいと考えております。
一方で、補整療法を提供するに当たっては、高額な放射線治療装置が必要となります。放射線治療装置は、こちらも後ほど、全国でこの程度という数字を入れたいと思いますが、配置されておりますが、我が国では、諸外国と比較し、放射線治療装置が分散して配置されていると報告されており、放射線治療装置1台当たりの患者数にばらつきが大きく、放射線治療装置の効率的な配置を検討する必要がある状況でございます。
続きまして、薬物療法でございます。薬物療法は、薬物療法専門医のほか、薬物療法専門医ではない内科や外科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、泌尿器科、整形外科、脳神経外科等の診療科の医師が中心となって提供されております。このような薬物療法専門医ではない医師が現状どの程度薬物療法を提供しているのか、定量的に評価することは困難であるということです。
日本臨床腫瘍学会様によりますと、薬物療法専門員数を見ていただきまして、2040年に向けて増加すると予測されています。その一方で、ほかの診療科の医師の推計は現状できておらず、薬物療法が高度化している中で、薬物療法の需要の増加に対応するだけの薬物療法の担い手が確保できない懸念もあるところでございます。
近年、遺伝子変異に基づく治療薬の開発が広がるとともに、標準治療の中にそれらの治療薬が組み込まれてきております。実際にがん遺伝子パネル検査の薬事審査の過程を経て、検査の分析性能が担保された遺伝子変異の項目数も増加しております。
これらにつきましては、エキスパートパネルでの検討を経ずとも、質の高いがんゲノム医療を提供することが可能にとなりつつあります。
がんの標準治療を提供することが求められる医療機関として位置づけられている拠点病院等において、がんゲノム医療が提供できるよう関連学会等と連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であります。
現在のがんゲノム医療中核拠点病院等の施設数の推移を鑑みますと、2025年6月現在の282施設から拠点病院等を網羅する約460施設に拡大するまで、2030年頃までかかることが見込まれております。
続きまして、がん医療の需給バランスを維持するための方策についてでございます。三大療法別に御説明いたします。
まず手術療法でございます。手術療法に関しましては、構成比率の高い60歳以上の消化器外科医が今後臨床現場を離れることが見込まれる中で、需要に見合う消化器外科医数を維持するためには、先ほどありましたが、日本消化器外科学会様の試算に基づく結果を記載したいと考えております。
消化器外科医の新たななり手が増加しない原因としましては、長時間労働等によりワーク・ライフ・バランスの確保が難しいこと、給与が勤務量に合っていないことなどが挙げられております。
関連学会や医療機関等では、複数主治医制による業務分担の推進や個人へのインセンティブ導入といった取組などを実施しているところであります。
1ページめくっていただきまして、次の章で詳しく述べますが、高度な医療技術の質の確保のためにかけられた医療資源あり、医療資源を集約化することが需給バランスを維持する方策にもつながると考えられます。
2040年に向けた手術療法の需要の見込みは地域ごとに異なるために、都道府県は、都道府県がん診療連携拠点病院・大学等と連携し、地域における手術件数や外科医数の配置状況を正確に把握し、住民のアクセスも考慮しながら、二次医療圏の枠組みを超えて効率的に手術療法を提供するために、集約化を含めたがん医療提供体制の検討を推進することが必要であると記載してございます。
続きまして、放射線療法の記載でございますが、放射線療法に関しましては、2040年に向けて需要の増加が見込まれる中、都道府県は、地域ごとの需要を予測しながら、効率的な放射線療法の提供体制を構築することが望まれております。
現状、効率よく放射線治療装置を使用できていると考えられる施設における放射線治療装置1台当たりの年間平均患者数、このあたりの数値と必要な放射線治療装置数に関しましては、放射線腫瘍学会様のプレゼンテーションを基に後ほど追加したいと思います。
このため、地域ごとに放射線療法の需要を予測し、放射線治療装置の配置を適切に見直していくことが望まれます。
特に放射線療法の需要が減少することが見込まれる過疎地域や放射線療法の需要が増加することが見込まれるものの、がん患者数が少ない地域などでは、放射線治療装置の維持が困難になる場合が想定されることから、都道府県内で適切な放射線療法の提供体制を検討する必要があります。
そのため、都道府県は、都道府県がん診療連携拠点病院・大学等と連携し、都道府県内の放射線治療施設における放射線治療患者数、放射線治療装置数、放射線療法を提供する医療従事者数などといった情報を正確に把握し、あらかじめ放射線治療施設の関係者と医療政策を担う都道府県が情報を共有することにより、効率的な配置を計画的に検討することが必要である。
また、放射線治療装置の更新を中止する施設がある地域では、がん患者が放射線療法を引き続き受療できるよう、医療機能の見える化を推進するとともに、がん患者の放射線治療施設へのアクセスの確保について十分に留意しながら、適切な放射線療法の提供体制を整えることが重要である。
加えて、周辺の放射線治療施設ががん患者の増加に対応できるよう、事前に放射線治療装置の更新の中止を含む放射線療法の提供体制に係る情報を共有できる仕組みを構築する必要があります。
続きまして、薬物療法の記載でございます。先ほど来申し上げておりますが、薬物療法専門医ではない消化器外科や泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科といった、その他の診療科の医師が中心となって提供されている現状があります。
1ページめくっていただきまして、しかしながら、消化器外科医の減少を鑑みますと、現状の薬物療法の提供体制を今後も維持するためには、薬物療法を提供できる医師の確保が重要となります。
また、過疎地域では、薬物療法の需要が減少する地域もありますが、手術療法などとは異なり、がん患者が定期的に通院する必要もあることから、がん患者のアクセスを踏まえると、拠点病院など以外でも一定の薬物療法が提供できるようにすることが望ましい。
このため、都道府県は、薬物療法を提供する拠点病院以外の医療機関と拠点病院等が連携できる提供体制の構築を進める必要があると考えます。
がんの標準治療を実施することが求められる医療機関として位置づけられている拠点病院などにおいては、がんゲノム医療が実施できるよう、関連学会などと連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であると考えます。
また、集学的治療という項目も挙げていまして、三大療法別の需給バランスを維持するための方策としましては、今、述べたとおりでございますが、集学的治療の観点から、都道府県は、三大療法別の需給バランスを総合的に把握した上で、集学的治療が必要ながん患者に対しては、当該治療を提供できるよう、がん医療提供体制を構築することが重要であるといった記載も追加させていただいております。
ここまでが需給の話でございます。
続きまして「3.高度な医療技術を伴うがん医療について」でございます。
まず手術療法ですが、このあたりは各学会様からプレゼンテーションをいただいた内容を記載してございます。
手術療法に関しては、外科系学会が合同で設立した手術症例データベース、NCDの解析によりますと、高度な手術に関しては、手術件数の少ない医療機関で手術を提供する場合と比較して、手術件数の多い医療機関で手術を提供する場合は、術後合併症や術後死亡の発生率が低いと、日本癌治療学会様より報告いただいております。
この要因としましては、手術件数の多い病院で勤務する外科医は、高度な技能を有する医師の下で診療に従事し、豊富な経験を積むことができる点や多くの医療従事者による細やかなケアと集中治療を受けられている点が挙げられます。
1ページめくっていただきまして、高度な手術や新たなモダリティーを用いた治療については、提供する医療機関を集約し、知見・経験を集積することで、がん患者に安全な手術療法を提供することが望まれます。
続きまして放射線療法についてでございます。IMRTや定位放射線治療などの精度の高い放射線療法について、治療患者数が多い施設においては、複雑な症例や有害事象への対応に関する知見・経験が蓄積されることで、治療成績の向上や有害事象の発生率の減少などが日本放射線腫瘍学会様より報告いただいております。
現状におきましても、学会が認定した手術等に一定数症例が集約されております。また、放射線治療装置など、高額な医療設備が必要な医療に関しては、効率性の観点から、集約化して提供体制を構築することが望ましいと記載しております。
薬物療法でございますが、近年、使用されるようになった免疫チェックポイント阻害薬について、治療症例数が多い医療施設では、有害事象による死亡率が低いことが日本臨床腫瘍学会様より報告いただいております。
重篤な有害事象を発症する可能性がある薬剤につきましては、一定数の症例を集約することが望まれます。
また、新規に使用可能となる薬剤に関しても、提供する医療機関を集約し、知見・経験を集積することで、がん患者に安全な薬物療法を提供することが望まれます。
「4.今後の方向性について」でございます。
基本的な考え方としまして、これまでスライドで書いている内容になりますので、一部省略しますが、最後のパラグラフのところですが、がん医療の需要変化などが見込まれる中、引き続き適切ながん医療を受けることができるよう、均てん化の促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう、再構築する必要があると記載してございます。
1ページめくっていただきまして、上から3段落目のところですが、外科医の減少が見込まれる中で、集約化せずにこれまでと同様のがん医療提供体制を維持した場合、現在提供できている手術療法ですら維持できなくなるおそれがある。
したがって、上述のように、基本的な考え方に基づいて今後も国民が質の高いがん医療を受療できるように、集約化も含めた持続可能ながん医療提供体制の構築が必要であるという点について、国や都道府県は、国民の理解を得るために国民にとって分かりやすい説明を継続していく必要があると記載してございます。
続きまして、特に集約化の検討が必要な医療についての考え方を示しております。医療需給の観点では、症例数が少ない場合や専門医等の医療従事者が不足している診療領域などは、効率性の観点から集約化が望ましい。
また、消化器外科領域などのような、症例数は多いが、医師数が不足することが見込まれる診療領域に関しましては、新たななり手の確保が喫緊の課題でありまして、勤務環境などを整備するために、当該診療領域に関してのがん医療を提供する医療機関は、集約するなどといった医療施設の適切な配置を推進することが望ましい。
医療技術の観点では、がん医療に係る一連のプロセスであります診断、治療方針の決定に高度な判断を要する場合や、治療、支持療法、緩和ケアにおいて新規性があり、一般的・標準的とは言えない治療法や高度な医療技術が必要である場合等について集約化して、症例数や知見・経験を蓄積することが望ましい。
また、放射線治療装置のように、がん医療を提供する際に高額な医療機器や専用設備などを用いる技術は、導入及び維持にコストがかかるために、将来における放射線療法の需要を考慮し、集約化して提供することが望ましいと記載しております。
特に集約化の検討が必要な医療の提供主体につきましては、提供する医療が都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療と、がん医療または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療に分類の上、前者については、国立がん研究センター、国立成育医療研究センター、都道府県がん診療連携拠点病院、大学病院本院、小児がん拠点病院、地域の実情によっては、地域がん診療連携病院が担うことが想定されます。後者につきましては、拠点病院等や地域の実情によっては、それ以外の医療機関が担うことが想定されます。
地域によっては、拠点病院など以外もがん診療になっている実情を踏まえて、こちらの分類を参考に、想定される医療機関の役割分担については、後から述べます都道府県がん診療連携協議会において十分な議論が必要であります。
また、注で書いておりますが、小児がん・希少がんの中でも特に高度な専門性を有する診療などについては、国単位で集約することが望ましいと記載しております。
続きまして、さらなる均てん化が望ましい医療についての考え方を示します。こちらも先ほど述べましたが、がん予防や支持療法、緩和ケアなどは、できる限り多くの診療所・病院で提供されることが望ましく、特に今後増加することが推測される高齢のがん患者に対しては、望んだ場所で適切な治療及びケアを受けられるよう、身近な診療所・病院で提供されることが望ましいと記載しております。
2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為例です。こちらに関しましては、この検討会におきまして、関連学会様からヒアリングした内容を別途資料5として記載しております。具体的にお示したいと思いますが、協議会において、都道府県の中でこういった均てん化・集約化の議論をいただく中で参考になるものと考えております。
「5.都道府県協議会での均てん化・集約化の検討の進め方について」です。
こちらは前回に骨子を示しておりますが、今回は文章にしてボリュームも増えておりまして、内容も新たに加わったものもありますので、御説明いたします。
都道府県協議会の体制でありますが、都道府県がん診療連携拠点病院は、事務局として主体的に都道府県協議会の運営を担うこと、また、都道府県も事務局に参画し、拠点病院などと連携すること。
また、都道府県協議会には、拠点病院など、地域におけるがん医療を担う者のみでなく、患者団体などの関係団体の参画を必須とすることと記載しております。特に拠点病院までの通院に時間を要する地域のがん患者及び当該地域の市区町村には、当該都道府県のがん医療提供体制の現状や今後の構築方針について、十分に理解を得る必要があります。
協議会における協議事項についてですが、別途国から提供します将来の人口推計や都道府県内・がん医療圏内の将来のがん患者数、院内がん登録のデータを活用して、将来の医療需要から都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療の具体について、整理が必要になります。
また、がん種ごとにがん医療提供体制の均てん化・集約化を議論し、都道府県内で役割分担する医療機関について、整理・明確化することと記載しております。
都道府県内の放射線療法に携わる有識者の参画の下、放射線療法に係る議論の場を設け、都道府県内の放射線治療施設における放射線治療患者数、放射線治療装置、放射線療法を提供する医療従事者、専門医数などといった情報を正確に把握し、採算に関する分析も踏まえて、将来的な装置の導入・更新を見据えた計画の議論を行うこと。
さらにがん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるよう、院内がん登録を実施している医療機関を対象として、都道府県の医療機関ごとの診療実績を院内がん登録などの情報を用いて、医療機関の同意の下で一元的に発信すること。その際に公表する項目についても協議することと記載しております。
2040年を見据え、持続可能ながん医療を提供するため、がん医療圏の見直しや病院機能再編などによる拠点病院などの整備について、検討すること。
また、医療需給及び医療技術の観点から、複数の都道府県で協力して提供する必要があるがん医療については、関係都道府県間において、がん医療提供体制の在り方について協議することが望ましいと記載しております。
都道府県協議会事務局の役割でございます。繰り返しですが、別途国から提供されます都道府県協議会での議論に資するデータの整理に加えまして、主体的にがん医療提供体制に係るデータの収集分析を行うこと。こちらはその際にがん種ごとのがん医療提供体制の均てん化・集約化の議論を実施できるように考慮すること。
さらに都道府県協議会で整理・明確化したがん種ごとに役割分担する医療機関について、国民に広く周知すること。
また、がん患者を紹介する医療機関にも、都道府県内で役割分担する医療機関を周知し、がん患者が適切な医療機関で受療できるよう、努めること。
都道府県内のがん医療の均てん化・集約化に係る医療機関の機能の役割分担について、必要な調整を行うこと。
医療機関ごとの診療実績を一元的に発信し、国民に提供することで、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるよう、努めることと記載しております。
1ページめくっていただきまして、都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療について、均てん化・集約化の推進の進捗状況を院内がん登録などの情報を用いて、継続的に確認すること。
さらに当該都道府県における医療計画の改定に向けて、都道府県協議会でのがん医療圏の見直しや病院機能再編などによる拠点病院等の整備に関する協議結果を都道府県に提出することと記載しております。
次に、均てん化・集約化についての留意事項であります。従来のがん医療提供体制を維持した場合、現在提供されているがん医療が維持できなくなるおそれがあるため、今後も国民が質の高いがん医療を受療できるよう、集約化も含めた持続可能ながん医療提供体制の構築が必要であるという点について、国や都道府県は、国民の理解を得るために、国民にとって分かりやすい説明を継続していく必要があるとなっております。
また、都道府県は、地域ごとに医療資源やがん患者の状況を把握し、医療機能の見える化を推進するとともに、がん患者の医療機関へのアクセスの確保について十分に留意しながら、適切ながん医療提供体制を整えることが重要である。
手術療法を担う外科医について、がん以外にも虫垂炎や胆嚢炎などの様々な疾患についての手術を担う必要があることなどから、がん医療提供体制の検討に当たっては、がん以外も含めた地域の医療提供体制を維持・確保する観点についても、留意することが重要である。
身近な診療所・病院と集約化の検討が必要な医療を提供する医療機関、訪問看護ステーション、歯科医療機関、薬局、介護施設・事業所など、多職種・多機関との地域連携の強化がより一層重要となります。
がん患者にとって身近な診療所・病院では、拠点病院などと連携し、がん予防や支持療法、緩和ケアなどを提供していくことが重要となります。
拠点病院等は、がん予防や支持療法、緩和ケアなどを身近な診療所・病院でがん患者が受療できるように、これらのがん医療に係る研修を積極的に実施することが望ましい。
また、離島・僻地などの過疎地域に居住するがん患者がオンラインで専門医に相談できるといった医療DXの活用が求められます。
2040年に向けて、さらなる生産年齢人口の減少に伴い、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者の確保がさらに困難となることが見込まれます。持続可能ながん医療提供体制の構築のためには、医療DXなどによる業務効率化、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組が重要であります。
2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化につきまして、国は、都道府県協議会での議論及び均てん化・集約化の進捗状況の確認を実施することが重要である。その結果をがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループへ提出し、がん診療連携拠点病院などの整備に関する指針の改定に向けた検討を実施します。
なお、2040年を見据えた持続可能ながん医療提供体制の構築には、都道府県で正確なデータに基づいた十分な検討・調整が必要であることから、国においては、都道府県協議会等に対して、継続的に好事例の共有やほかの地域や医療機関との比較が可能となるような検討に必要なデータの提供などの技術的支援を行うべきである。
さらに持続可能ながん医療提供体制を構築するためには、がん診療連携拠点病院機能強化事業等の財政支援が必要であり、国においては、引き続き必要な検討を行った上で、予算の確保に努めるべきであるとしております。
最後に「6.総括」であります。
第4期基本計画における全体目標の「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」という目標を達成するために、都道府県及び都道府県協議会は、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに、持続可能ながん医療の提供に向け、医療機関ごとの診療実績を一元的に発信し、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるように配慮しつつ、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を検討することが重要であります。
また、国及び国立がん研究センターは、都道府県がん診療連携協議会等に対し、検討に必要なデータの提供などの技術的支援を継続的に行うことが重要であるとなっております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
引き続きまして、資料5、2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為例の案についての説明をよろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 こちらにつきましては、先ほどの資料4の中でも少し触れましたが、これまで各学会様に手術療法、放射線療法、薬物療法の三大療法に関しまして、都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療、2段目ががん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約の検討が必要な医療、さらにさらなる均てん化が望ましい医療について、御意見をいただいたものをまとめたものでございますので、今後、こちらを都道府県にもお示ししていきたいと思いますので、都道府県協議会における議論の中で参考にしていただきたいと考えております。
詳細につきましては、説明は割愛いたしますが、こちらを御覧いただければと思います。
○土岐座長 ありがとうございます。
こちらについても後ほどの質疑の対象にしたいと思います。
それでは、資料の説明は以上ですけれども、今日はポイントを絞って話を進めたいと思います。
まず今後スケジュール案なのですけれども、資料1の7ページを出していただいて、本日が6月23日の第18回に当たっております。次回、第19回にがん医療提供体制の均てん化・集約化に関する報告書(案)の取りまとめというスケジュールで進めたいと考えておりますが、こちらに関しまして、構成員の先生方、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、事務局では、このスケジュールに従って進めていただくよう、お願いいたします。
次に、今回のディスカッションの基本となっております今後のがん医療の需給について、がん罹患患者数の推計手法としまして、資料1の14ページに書かれているような式を用いております。また、三大治療法の需要の推計資料として、資料1の21ページの計算式が示されております。
これらの手法につきまして、まず公衆衛生を御専門とされている野田構成員、東構成員、村松構成員、その他の構成員の先生方から、ぜひこの場で御意見を頂戴したいと思います。
公衆衛生の先生方、こちらに関して御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○野田構成員 ありがとうございます。奈良県立医科大学の野田でございます。
推計値につきましては、大体の過去数年間のものから将来数十年間を推計するというような、なかなか難しい面はあるとは思うのですけれども、正確に当たるかどうかは難しいと思うのですが、大まかな傾向としてはおおむねこうなるのではないかと、私としても妥当なものではないかと考えております。
ただ一方で、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口というのは、特に若い層の人口で、社人研の予想よりも実際の数値が減る、つまり若者が思ったより増えないという結果がここしばらく続いておりまして、つまり少子化が思ったより加速しているという状況でございます。
将来推計におきましては、さらにこの傾向が強まるというか、この傾向が予測よりもさらに強まって加速化する、早めに実現してしまうというような懸念もあると感じているところですので、方向としては当たっているし、場合によってはもっと加速してしまう可能性があるというのが私の意見でございます。
以上です。
○土岐座長 どうもありがとうございます。
ほかによろしいですか。東先生、よろしくお願いします。
○東構成員 東です。ありがとうございます。
私も野田構成員と同じような意見でありまして、推計方法については、こうやるしかないのだろうということで、いいとは思うのですけれども、気になることがありまして、がんの数というのは、ある程度増えた後にいつかは減ってくるだろうと言われていると思うのですけれども、今回、直線で伸ばした範囲では、全ての治療において、2050年になっても減ることはないというところだけが少しだけ気になります。
もうちょっと伸ばしたら減るというところまで見えているのであれば、いいとは思うのですけれども、直線でいったがために増える一方だとなっているのでしたら、もうちょっとフレキシブルな考え方をしたほうがいいのかもしれません。ただ、おおむねこのやり方というのは間違っていないとは思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○村松構成員 村松です。
私も野田先生、東先生と同じように、計算の方法については、こういった方法を採用するほか、あまり手だてはないと思っているところです。
また、東先生と同じように、直線的に伸びていくのが臨床的にリーズナブルかどうかということは、ほかの構成員の先生からも御意見をいただくといいと思いました。
これはまた都道府県の協議会に下りていくのだと思いますが、その際、都道府県単位での議論が混乱しないようにとか、そういった点で丁寧に下ろしていくこと、説明していくことが重要だと思いました。計算はこうである、ただ、この値を変えていくための予防や医療提供体制の再構築がどうできるかとか、そういったところが議論のポイントですということを丁寧に御説明していただくのがいいのではないかと思いました。
私からは以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 罹患者数の推計については、今のことでよく分かりましたし、妥当だと思うのですけれども、もう一つの三大療法需要の推計はかなり難しいと思います。最近は、1人のがん患者さんに対して放射線治療単独とか、薬剤療法単独というよりは、いろいろな治療を組み合わせて行われます。最初にどの治療が行われて、次にどうなってということがあると思いますし、その人の長い経過の中で、次々といろいろな治療が重なっていくことがあります。手術は普通1回ですけれども。全国がん登録、院内がん登録では、そういうものがどういうふうにカウントされて、化学療法が増えていくと読まれているのかというところがよく分かりませんでした。
それから、細かいことですが、例えば薬物療法と言ったときに、それは積極的な化学療法だけを指すわけではなくて、緩和ケアにおける麻薬とか、そういうことも含めて今後増えていくと考えているのか、あるいは本当に積極的な治療薬が増えていくと推計しているのか。
また、放射線療法がどうしてそんなに増えていくのかというのもよく分かりませんでした。
あと、手術に関してですが、手術は確かに減るかもしれません。それは手術をしないで済む人が増えるからかもしれないし、手術できない人が増えるからかもしれないのですが、例えば内視鏡治療、早期の胃がんや大腸がんを内視鏡で切除するというのは、この三つの治療法のどこにも含まれていないのですか?というのは、昔はほんの一部だったかもしれないけれども、今、胃がんは、日本中で胃切除が行われるよりも、より多くの内視鏡切除が行われています。ですので、小さいがんを切除するという意味では、内視鏡治療も手術療法の一つに含まれて計算するのか、あるいはあくまで開腹して切り取る、手術をするものを手術療法と称するのかによって数が違うと思います。内視鏡治療がどういうふうに組み込まれているのかということも教えていただきたいです。
○土岐座長 これは事務局から答えさせていただきます。
○がん・疾病対策推進官 佐野先生、御質問ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。
今回、様々な制限がある中で、このような推計を事務局として出したものでございます。
まず1点目の繰り返し医療を受ける場合はどうなるかということですが、これはあくまで初回治療におけるデータになりますので、そういったものを正確にトレースすることが難しい状況でございます。
続きまして、薬物療法の定義について、どういったものが入るか、今、事務局でも改めて調べておりますが、御指摘いただきました内視鏡を用いた切除というのは、今回の手術療法にも化学療法にも放射線療法にも入っていないので、御指摘のとおり、そういったものについては、別途どのように数字を取るのか考える必要があると考えております。
○佐野構成員 今後、手術は減ります、薬物療法、放射線療法は増えますという、非常に単純な大まかな予測がされたわけですけれども、本当にそれに従って考えていいものかどうか。一旦これが動き出してしまうと、こうだからという推計が動いてしまうと思うので、かなりしっかりした細かいことをやっておいたほうがいいのではないかと思いました。
もう一つ、在院日数が減っているので入院は減っている、とのことでしたが、これは1人の患者さんが以前よりも早く退院できるだけであって、入院する患者さんの数は変わらないわけです。だから、ある一時点を取った場合、今、入院している人はどのくらいいますかという、日本中で入院している人ということをいうと、以前より少なくなってはいるかもしれないけれども、がん治療で入院しなければいけない人の数は同じだけいるということも考えなければいけないと思うので、それが単純に入院は今後減るでしょう、少なくなるでしょう、それは在院日数が短くなっているからですという理屈にはならないのではないかと思います。こういう推計はやはりよく理解してやっておかないと、それに従っていろいろと政策を動かすとなると、重要ではないかと思いましたので、コメントします。
○土岐座長 ありがとうございます。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 国立成育医療研究センターの松本です。
推計に関して、先ほど佐野先生からもお話がありましたが、放射線治療の患者数について、宇野先生の出された資料では、放射線治療患者数28.8万人と出ているのですが、例えば厚労省が出された放射線療法需要将来設計でいくと、放射線治療は2050年でも多くて13万人か14万人ということで、倍の差があるのです。これがどうしてこうなっているのかというのが分からなくなったのと、宇野先生が出された推計ですと、放射線腫瘍学会の構造調査とだけ載っているのですが、これは恐らく分母が違うので、罹患者数の28%を占めるということだけで、がん罹患者数に28を掛けるというのは少し乱暴な感じがします。
それから、今回の厚労省の試算においても、初回治療ということがメインになるので、少し変わってくると思います。だけれども、このそごをしっかりしておかないと、後で困ったことになると思ってコメントさせていただきました。よろしくお願いします。
○土岐座長 事務局から答えさせていただきます。
○がん・疾病対策推進官 松本先生、貴重な御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、恐らく用いているデータが違うことが一つの原因だと思いまして、事務局で今回用いているもの、三大療法の21ページ目のところ、今、映っているところですけれども、こちらは3ポツ目の院内がん登録における三大療法の年齢別の実施割合を用いていますので、恐らくそういったところから結果の差が出ていると思います。あくまでこのデータを用いた場合の推計というような、先ほど来、いろいろとこのデータの留意点について御意見をいただいているところでございますけれども、こういったデータを示すときに追加で留意点を書くとか、そういったことについて御意見をいただけましたら、報告書や資料にも盛り込んでいきたいと考えております。
○松本構成員 ありがとうございました。
恐らく今回の報告書の中には、厚労省のデータと放射線腫瘍学会のデータと二つ並ぶと思うのですが、そこでの推計の根本が違ってくると、やはり需要のところにも影響してくると感じますので、そのあたりのそごがないようにお願いできたらと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
宇野参考人、追加の御発言はございますか。よろしいでしょうか。
○宇野参考人 放射線治療患者数につきましては、前回の資料でお出ししたのですが、1990年頃から構造調査データを出しておりまして、一貫して、がん罹患者数の25%と30%の間ぐらいの数が放射線治療新患者数になっておりますので、分母と分子の出し方としてはかみ合っていないのかもしれないのですけれども、がんだと診断される人数に対して27~28%で推移してきているということで、単なるポイントのデータではなくて、約30年間ずっとそれぐらいできているということで、その値が出ているというものでございます。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
東構成員、どうぞ。
○東構成員 ありがとうございます。東です。
2点ほど、三大療法の推計について申し上げたいと思います。
1点目は、先ほどから御指摘がありますとおり、推計というのはがん登録を使っているということです。がん登録は、全国がん登録にしろ、院内がん登録にしろ、初回治療ということで、診断直後に計画されて実施されたものが登録対象になっておりますので、そのときに手術とか、放射線とか、そういったことが計画されていないと、初回治療ではないということで、がん登録には登録されないという性質があります。ですので、特に再発に対する治療が抜けてしまうというのが大きな特徴です。ですから、基本的に化学療法と放射線療法は実施全体からすると過小評価をするとお考えいただいたほうがいいと思います。
ただ、今回の推計に関しては、トレンドを見るということなので、少なくとも初回治療のトレンドは見ているだろうということで、一方で放射線腫瘍学会と異なるのは、恐らくそういった再発も入れた推計なのか、そうではない推計なのかということが、実数としては違うということになるかと思います。ですので、実数を見るという点については、非常に注意をしなければいけないデータではあります。
二つ目、手術に関してですが、手術は初回治療で行われることが多いので、捕捉率という意味ではそんなに悪くはないと思います。ただ、この手術というのは、どういう手術をしたのかということが全く反映されないといいますか、手術のありなしだけしか分かりませんので、消化器のがんだったら消化器の手術だろうとか、呼吸器のがんだったら呼吸器の手術だろうということになるわけですけれども、ただ、先ほどの事務局の医師数の推移でありましても、消化器外科の数は減っておりますが、呼吸器とか、乳腺外科は多少ですが増えているところもありますので、そういったところも分けて考えるということは、もしかしたら必要になるのかもしれないと思います。これを分けて考えるためには、先ほどの再発に対する漏れも併せて考えるとすると、やはりレセプトのナショナルデータベースを見るのが一番いいのかと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 今の東先生の御意見を聞いて、確かに納得したのですけれども、そういう意味では、手術は初回治療として選ばれることが多いかもしれませんが、例えば、今、集学的治療の中で、次々と術前化学療法のほうにシフトしたりしていますので、最初に計画された治療が化学療法で、その後、その結果を見て手術あるいは放射線治療となった場合、化学療法がオーバーに出てくる可能性がある。だから、トレンドを見るときに、今、言われたように、全国がん登録の初回治療のモダリティーを基にするというのは、実はちょっと危険だという感じがしました。ですから、レセプトやそういったものによって、もうちょっと細かい見込みが必要なのではないかと、今から言って申し訳ないのですが、そういう気がいたします。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
事務局から追加発言があるそうです。
○がん・疾病対策推進官 貴重な御意見ありがとうございます。
まさにこういった推計のところは、事務局も具体的な議論を行うために、できる限り具体的な数字を出して議論したほうが分かりやすいと考え、まず案として出させていただいているところでございますが、こういった議論を踏まえて、さらなるブラッシュアップは確かに必要だと考えておりまして、具体的には、今後、厚生労働科学研究という形を想定しておりますが、こういったデータの出し方について、先ほどNDBを用いるというご指摘もあったと思いますけれども、そういったものも用いながら、有識者の先生に御協力いただきながら、より精緻な推計を行った上で、都道府県にも示していきたいと考えております。これはあくまで現時点のものでありまして、今後さらなるブラッシュアップをし続けていきたいと考えているところでございます。
その上で、化学療法に関する定義について、先ほど御質問をいただきました。こちらは事務局で確認いたしまして、定義を読み上げますと、今回、事務局で化学療法と定義したものですが、薬剤による細胞毒性や細胞増殖阻害によって腫瘍の縮小または消失を図る治療を、その投与経路は問わず、化学療法と定義しております。ここには内分泌療法に含まれるものは除かれております。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
茂松構成員、どうぞ。
○茂松構成員 ありがとうございます。
ちょっと気になりましたのは、がん診療の提供体制というと、医師が積極的に治療することについての発言が多いわけですけれども、現実を見ますと、高齢の人が増えてきて、認知症が増えてくる中で、周りを取り巻くコメディカルの人材の確保が非常に重要になるのではないかと思うのですが、そのようなことについてはあまり記載されていないと思っていることが一つです。
それから、合計特殊出生率がどんどん下がってきているということで、若い人たちが本当に減ってきたということと、高齢化で寿命が延びているので、高齢者が予想以上に増えるのではないかということで、内視鏡の手術などがもっと増えてくるのではないかということも想像できるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○土岐座長 コメディカルの育成等の記載については、後ほど全体の議論のほうでやりたいと思います。今はまず需要の話に絞らせていただいておりますけれども、内視鏡治療の動向につきましては、先ほど説明がございましたように、今回の手術療法には入っておりません。これも重要なポイントですので、今後は加えていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○茂松構成員 ありがとうございます。
○土岐座長 やはり院内がん登録を使っているので、初回治療がどうしても中心になってしまうというところで、再発治療が全てカバーできていないのではないかという、それが非常に大きな問題であることは、我々も十分把握しております。ただ、今回、全体の傾向をきちんと把握して、それに対する対応策を取っていくということで、まずは大まかな傾向を把握するのに、院内がん登録は非常に優れたデータでありますので、今回はこれを中心にお話を進めさせていただいているということでございます。今後、修正していきますけれども、現在、事務局から提示した方法に沿って、次の検討を加えていきたいと考えております。
ここで、先ほど癌治療学会、放射線腫瘍学会から、人材育成、専門医、また、放射線につきましては、設備等々、いわゆるインフラの部分のお話もいただきましたが、学会様にこの場を借りて御質問とか、お伺いしたことがある構成員の先生がおられましたら、ぜひ御意見をお願いいたします。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
放射線治療に関して、1点、質問させていただければと思います。放射線療法については、全体としては集約化せざるを得ない方向性だと理解しましたが、一方で、患者の立場からしますと、平日に放射線療法に相当数通わなければいけないということで、集約化されると、患者のアクセスは非常に負担が大きくなる分野だと考えております。これについて、集約化された場合、患者の負担を治療上の方策等で軽減する方法はあるのか。例えば放射線治療機器、従来のリニアックと比較して、千葉大病院などにありますMRリニアック等を使用すれば、前立腺がんでも40回程度必要なところが2回程度の照射で可能性になってきます。患者さんが集約化された場合の負担の軽減にもつながる面があるかと思うのですが、そういったことについて御示唆をいただければと感じました。
以上です。
○宇野参考人 ありがとうございます。宇野がお答えします。
集約化によって患者の受診機会を失ってしまうことは、大変な問題になるということで、これに対しましては、既に幾つかの取組を行っている地域などもございます。
例えば緩和的放射線治療であれば、従来、骨転移に対して10回の照射を行っていたようなものが、現在では効果も副作用も同じということで、単回照射、1回のみの照射ということがかなり広まってきました。これはコロナ禍もあって、同じ効果であれば、照射回数が少ないほうが、病院を受診する回数が少ないほうがいいという流れが幾つかの疾患においても行われるようになってきましたので、そういう傾向にあります。したがいまして、初回に受診して、そのまま放射線治療を行って帰っていただくという取組が今後増えるものと思っております。
また、根治的治療におきましても、例えば私どもと同じようなMRリニアを導入した東北大学においては、気仙沼地域に常勤がいないので、非常勤が週1回来ておるのですが、そのときにやはり40回通うのはちょっと無理だけれども、1日仙台に行って治療するのであれば、何とかしますということで、東北大学は土曜日照射の2回照射、前立せんがんの根治的放射線治療を2回で終わらすということを行うようになっています。
これはもちろん臨床試験で我々も行っておりまして、ある程度先が見えてきているところでございまして、そのような形で照射回数を減らすことで、遠くの地域にお住まいの方でも少ない回数で終わるとなると受診できるのではないか、そういったことで対応するようになってきています。
以上です。
○天野構成員 ありがとうございます。
そういった取組について、取りまとめ案にも具体例として記載いただけるとありがたいと思いました。
以上です。
○土岐座長 続きまして、岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
消化器外科医の減少というのは、この地域でも非常に深刻な問題で、今日お聞きした学会等で若手医師を増やす取組は、非常にすばらしいと思いました。
一方で、構成比率の高い50歳、あるいは60歳以上の消化器外科医、人数は今いるということですが、今後、臨床現場から離れるということですけれども、これは基本的にオペ室から離れるということだと思うのですが、もともと化学療法も担当されたと思うのですけれども、こういう先生方にいわゆるセカンドキャリアとして薬物療法を担っていただく、あるいは薬物療法専門医を取得していただくという方向でもし何かお考えがあれば、教えていただきたいと思います。
薬物療法の患者数は増加しますけれども、その担い手が不足している可能性もありますし、あるいはこういう外科医の方に薬物療法をやっていただければ、現役のオペをやっている外科医の負担軽減にもなって、そうすることで若手医師がさらに増えるということに結びつくと思うので、いわゆる50~60歳代の方のいわゆるセカンドキャリアとしての薬物療法への道のお考えがあるかどうか、少しお聞きできればと思います。お願いします。
○調参考人 ありがとうございます。調でございます。
非常にすばらしい御意見だと思います。例えば術後管理などをセカンドキャリアとしてやっていただくと非常に助かるということで、こういったところにも積極的に取り組んでいく必要があろうかと思います。今、1980年から1990年ぐらいに外科医になられた方の数が多く、大きな山があるわけですけれども、その方々がこの5年間ぐらいで退官されていくわけですので、そういったところに関しても、何らかの手助けをしていただくような形はぜひ考えていきたいと思います。非常に貴重な御意見だと思います。
薬物療法専門医となりますと、私どもの領域だけでは何ともなりませんので、実際に消化器外科としても、手術に特化すれば、かなり必要人員が減るのではないかという気はいたしますけれども、現状として、我々だけでは何ともならない部分がございます。関連の学会等とも少し話をしながら、考えていきたいと思っております。貴重な御意見ありがとうございます。
○岡構成員 ありがとうございます。
薬物療法だけではなくて、今、先生がおっしゃったように、病院総合医も含めて御検討いただければと思います。
○調参考人 そういう意味では、ジェネラリストというところもありますので、非常に貴重な存在になるのではないかと、私自身も考えております。ありがとうございます。
○土岐座長 引き続きまして、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。国立成育医療研究センターの松本です。
私、前回もお話しさせていただいたのですけれども、小児の放射線治療に関して少しお話しさせていただければと思います。今、私どもは小児がん拠点病院ではあるのですけれども、それでもやはり機器の更新はすごく難しくなっています。近隣の病院に送ればいいのかとなると、その病院に送るには、小さい子の場合ですと、麻酔をかけなければいけないとか、そういった問題が出てきます。ですので、集約化というのは非常に大事なのですけれども、そういうことも少し考えていただければと思います。
もう一点は、放射線機器の話がすごく多くなってはいるのですけれども、内照射という問題もあると思っています。先頃、小児がんの一つであります神経芽腫に対して、MIBGの大量療法が保険適用になりました。ただ、保険適用になったのですが、結局できるのは、現状、日本の中で金沢大学など数施設しかないのです。子供を隔離するような部屋がないということで問題になっているのですけれども、そうすると、やはり治療の待ち時間がとても長くなってしまう。ニッチなところではありますけれども、機器だけではなくて、ファシリティーの問題も少し考えていただければと思ったので、発言させていただきました。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
宇野先生、よろしいですか。
○宇野参考人 内照射に関しましては、小児に限らず、今後、前立腺の適用などが通りますと、どう大量の患者さんを受け入れるかということで、核医学会と共にいろいろなことを思案しているところでございます。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
それでは、2学会の参考人の先生方、どうもありがとうございました。
引き続いて、全体でのディスカッションに移りたいと思います。
今回、資料4、議論の整理(案)としてお示ししている資料がございます。そして、資料5、具体的な医療行為例(案)が上がっております。これら全般に関しまして、構成員の先生から広く御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方は挙手をお願いします。藤構成員、どうぞ。
○藤構成員 ありがとうございます。
がんの生存率を上げるとか、合併症率を下げるということ自体は、国民全体が望むところでしょうから、今、お話になられた集約化という方向性自身は、全く問題ないと思っています。2040年の医師の数なども含めて、その方向性でいかないといけないという認識は、皆新たにしているのだろうと思います。
その上で、がん診療連携拠点病院、以下、がん拠点と言わせてもらいますけれども、私は現実に診療に関わってもまいりましたし、がん拠点の整備指針の改定とか、拠点の指定の検討会とか、評価指標をつくる厚労科研の研究班などに関わっておりますので、そういう立場からお願いを申し上げたいと思います。
まず資料4、4の今後の方向性、5の都道府県協議会での均てん化・集約化の検討についての辺りです。都道府県がん診療連携拠点病院が協議会の事務局をするということが書いてあります。既に令和4年に出た整備指針にも事務局をするということが書いてありまして、それプラス全てのがん拠点病院、地域がん診療連携拠点病院も入れて、主体的な参画を求めて協議会を運営するということが書かれております。その中にもやはりがんの集約化ということは、はっきりした言葉はないにせよ、例えば希少がんとか、難治がんなどはどこでやるのかということは、県の中で議論をして、役割分担を明確にして発表しなさいということも書いてあります。
したがいまして、今回の集約化の方向というのは、ある意味既に進んできていたことではありますが、今回は指針ではございませんけれども、整理の案の中に書いてありますのは、やはり集約化と均てん化が望ましい医療の具体について整理していくこと、それから、均てん化・集約化を議論して役割分担を明確にすること、それから、がん医療圏の見直しとか、病院の機能再編などによる拠点病院等の整備に関する協議もして、それを都道府県に提出することなどという言葉がありまして、拠点病院の側から言いますと、これは都道府県拠点だけではありませんし、地域拠点とか、全部に関わってまいりますので、これは相当なビッグイベントといいますか、今まで考えていた以上に相当ハードルが高くなったと感じると思います。
理想を求めていくことは当然大切なことですけれども、現在の拠点病院の在り方を考えていきますと、なかなかその持続可能性、言葉で言えば簡単なのですが、実際に拠点病院に手を挙げられない施設もあると聞いておりますし、これをただぽんと出すだけで、集約化は整備指針に書いてあるから進めなければ駄目だ、成績がいいのだから集約化は当たり前だろうという立場だけでは成り立たないのではないかと危惧します。
国としてのサポートで一番大きかったのは、地域事業強化費を上げる、上げるとは書いてありませんが、その支援ということも書いてありまして、そのほかにも情報を共有していたり、好事例を共有していたりということも書いてありますけれども、そのあたりをもっと具体的に各拠点病院側に、もしくは各都道府県側にも示してあげないと、拠点病院側、都道府県側は相当苦労するし、実際に進むことが絵に描いた餅で終わってしまうのではないかと私自身は危惧いたします。拠点病院側は今までも相当頑張ってきておりますので、これ以上どうするのかということのサポートをもっと国としてもしないといけないのではないか、これはお願いみたいなことですけれども、言わせていただく必要があると思っております。
それから、均てん化についてです。今回の議論では集約化ということがありましたけれども、均てん化のグラフ、ピラミッドのグラフの中の一番下のところで、ボトムアップ等をしないといけないということで、地域の診療所や病院と対象を拡大してあることはすばらしいことだと思います。これが本当の意味での均てん化に向けての動きだと思いますが、ここにおきましても、これをするのはがん診療連携拠点病院の役割だということをぽんと打ち上げてしまうと、それはまた先ほどと同じことで、持続可能性のことで拠点病院としてはパニックになるのが目に見えておりますので、拠点病院はもちろんやるとして、拠点病院以外で均てん化を進めていくためにはどうすればいいのかということの国の指針を明確に示していく必要があると思っております。
最後ですが、集約化と均てん化を実現していくためには、国による明確な情報発信が大前提になるのと思います。集約化したほうが成績がいいということを国民に知らせる、これは学会の仕事でもあるかと思いますが、そういうことを知らせながら、でも、やはりアクセスの問題を考えながらということも当然書いてありますし、これはがんだけの問題ではないので、簡単でないことは分かっておりますが、このことも考えた上で、国民に対して適切な情報発信をしていくということの明確な指針というか、体制を示していただく必要があると思っております。
以上、お願いベースでありますが、ぜひ考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐座長 非常に大事な3点を御指摘いただきましたけれども、事務局から現時点で答えられる範囲でございますけれども、答えさせていただきたいと思います。
○がん・疾病対策推進官 御質問ありがとうございます。
先ほど茂松先生からコメディカルの方の人材確保の記載について御意見をいただいたところでございます。そちらから先に御回答させていただきますが、報告書の15ページになります。一番下のところですが、「2040年に向けて、更なる生産年齢人口の減少に伴い、医師や看護師、薬剤師等の医療従事者の確保が更に困難となることが見込まれる。持続可能ながん医療提供体制の構築のためには、医療DX等による業務効率化、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組が重要である」と記載させていただいております。御指摘のとおり、医師と違って具体的な数字を示しているわけではございませんが、当然医師以外のところにつきましても、このような取組が必要だということは記載させていただいております。
また、先ほどの内視鏡の検討につきましては、引き続きデータをお示しする中で、具体的には厚生労働科学研究の中でデータをどう出すかということを検討していきたいと思いますし、また、内視鏡だけでなくて、今、同じ手術といっても、がん種ごとに大きく違ったりしますので、がん種ごとの三大療法の需要についてもデータをつくれないか、そういった観点でも検討していきたいと考えております。
続きまして、今、藤先生から御指摘をいただいたところでございます。国としましても、この指針だけを出して何もしないということではございません。当然都道府県拠点病院さんに非常に負荷のかかることだと理解しておりますが、今回、新たに都道府県の協議会の事務局として、病院だけではなくて、都道府県も位置づけるということを明確化しておりますので、都道府県とも協力しながらやっていただきたいということであります。
繰り返しですが、国として、協議会でもすぐに使えるような集約化・均てん化に係るデータを示すことで、円滑な議論ができるように、負担があまりかからないようにということも考えておりますし、さらには前回、沖縄県の取組を御紹介させていただきました。今後、国としましても、データの提供だけではなくて、各地域における好事例のフォローアップをしていきますので、フォローアップの中で見えてきた好事例について、こういった検討会の場などにおいて共有していきたいと思います。恐らく沖縄県のようなところと都市部ではまた事情が違うと思いますので、できれば各地域の事情に合った好事例を提供していければと思っております。
また、さらなる均てん化に関しまして、拠点病院以外でどのように行うか。こちらは宿題をいただいたと思いましたので、今回の検討会では詳細な議論はできておりませんけれども、今後の検討課題として考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○土岐座長 引き続きまして、天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
先ほどの藤構成員の御指摘に関連して、私からも1点申し述べます。がん診療連携協議会についてですけれども、私に見えている範囲ではありますが、相当程度積極的にがん診療連携協議会を開催している都道府県もあれば、逆に形骸化していて、ほとんど機能していない診療連携協議会もあると承知しております。先ほど藤構成員からもありましたが、都道府県拠点病院の負担、事務局としての負担が極めて大きいということが大きな問題としてあります。
先ほど事務局から、今回は行政も事務局に参画するようにしたという御説明がありましたが、記載ぶりを見ますと、事務局に参画して連携して関わるということで、あくまで主体的になっているのは都道府県がん診療連携拠点病院だということですが、私が存じ上げている範囲ですと、ただ参加しているだけとか、ただオブザーバーとして出ているだけという都道府県もあって、そういった関わり方をされてしまうと、都道府県がん診療連携拠点病院だけ負担が過重になってしまって、先ほど藤構成員からもあったように機能しないということがありますので、書きぶりとして、ここは都道府県も主体的に関わるということに格上げしていただかないと、なかなか機能しないのではないかということがありますし、また、地域の拠点病院や患者団体等の参画についても、意見を聞くだけであるとか、そういった関わり方にしているような都道府県もありますので、ここも積極的な参画にするとか、書きぶりを考えていただきたいというのが、先ほど藤構成員の指摘に関連しての指摘でございます。
そのほか、私から3点指摘させていただきます。
まず1点目、13ページで支持療法についてです。支持療法については非常にざっくりとした記載ぶりになっていて、おおむね均てん化をするという方向になっていると承知していますが、ただ、患者の立場からしますと、支持療法は非常に重要でして、例えば第4期のがん対策推進基本計画においては、リンパ浮腫外来であるとか、ストーマ外来については、それぞれ設置割合が書かれていて、その均てん化を施行するという趣旨の説明になっていたかと思いますので、特に支持療法の中でも、リンパ浮腫外来であるとか、ストーマ外来といったものについては、併せて均てん化を施行するのだということは明記していただきたいと思います。
2点目、14ページ、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるように努めることということで、診療実績の発信はあくまで努力義務になっているかと思います。これはもちろん簡単なことではないですし、院内がん登録等の活用が絡むので、国からの技術的な支援が不可欠であるのは明らかではありますが、ただ、私の観測からしますと「努めること」とすると、負担が大きいことなので、恐らくほとんどの都道府県がやらないということになる可能性があると考えます。集約化する以上は、患者がどの医療機関を受診すればいいのかという情報は、まさに一丁目一番地的な情報提供ですので、これが都道府県で行われないとなると、患者はどこに行っていいか分からないということになってしまって、集約化はされて、しかも、患者は難民になってしまうことになりかねないので、この部分については「努めること」ではなく、より強調した書きぶりに変えていただきたいと考えます。
最後3点目、15ページにいわゆる集約化に伴うアクセスについての記載があります。記載の中では「アクセスの確保について十分に留意しながら」と書いていただいていますが、ここももう少し記載ぶりを考えていただきたいと考えます。
と申しますのは、私たちが所属する全国がん患者団体連合会から、特に今回の集約化に関して、患者のアクセスはどうなるのかという意見が多数寄せられていまして、同様の意見は医療者からもいただいているような状況です。もちろんこれは容易ではないということは承知しておりますが、ただ、この書きぶりですと、患者サイドとしましては、非常に不安が大きいというお声を地方の患者団体等から多数いただいている状況ですので、アクセスの確保について何らかの検討をしっかり行うということについて、書きぶりを変えていただきたいと考えます。
私からは以上です。
○土岐座長 3点承りました。天野構成員がおっしゃることは明確に分かりましたので、また事務局で検討させていただきます。
間野構成員、どうぞ。
○間野構成員 なかなか難しい議論も含んでおりますけれども、日本の将来的な医療従事者や診断・治療装置の推移を考えた上での近未来の医療の集約化に踏み込んだ重要な提言だと理解しました。
今後の最適な日本の医療体制を検討する際に少し考えていただきたいのですけれども、一つは、先ほどの天野構成員の質問にも少し関わりますが、例えば県とか、市といった行政区画単位だけではなくて、それを取っ払った上で、人口分布に応じて医療提供体制をそれぞれどういうところに置くのが最も効率がいいのかという、科学的な研究が必要なのではないかと考えました。
それから、今後、日本人は急速に高齢化が進むわけで、高齢者のがん医療のほうがむしろ主流になってくる時代が遅かれ早かれ訪れると思います。様々な合併症がある状態で、高齢者の臓器機能に応じた新しい標準治療の確立に向けた臨床研究もこれから重要になってくると思いますし、それは医療体制の提供と非常にリンクしてくると思います。
以上のような検討がこれからも必要だと思いましたので、幾つかに関しては、記載に入れてもいいと思いました。
以上です。
○土岐座長 事務局からよろしいですか。
○がん・疾病対策推進官 大変重要な御指摘ありがとうございます。
天野先生からは書きぶりのところでありましたので、そちらにつきましては、いずれもどのような記載ができるかということを、改めて次回の検討会までに案をつくりまして、また調整させていただきたいと思います。
間野先生からいただきました大きな視点といいますか、新しい視点を踏まえて、議論を深めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
続きまして、橋本構成員、どうぞ。
○橋本構成員 日本看護協会の橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
コメディカルのことにつきましては、先ほど茂松先生にも御意見をいただいたところでございます。
そして、15ページから16ページのところに、2040年に向けて新たな医療提供体制の確保のためにはということで記載があることはお伺いしたところではございますけれども、これから持続可能ながん医療提供体制としていくためには、医師以外も含めた医療従事者が非常に重要になってくると考えております。
そして、生産年齢人口が減っていく中で、医療従事者の数も減ってくるということは、看護職の数についても大幅に減ってくる。現在でも足りないのですけれども、減ってくると言われておりますので、ここはがん医療を担う人材の量的確保と併せて、限られた人的資源の中で、効率的に患者や家族に安心・安全で質の高いがん医療や看護を提供できるかという視点が非常に重要だと思っております。
そのために、例えば15ページから16ページのところに、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組とお書きいただいておりますけれども、ここは人材の育成だけに限らず、さらに地域における活用が必要だと思います。恐らくここで言ってらっしゃる人材というのは、がんについて専門的な知識を持った、あるいはいろいろな経験を持った医療従事者ということでございますので、さらなる均てん化ということも含めましても、そういった方たちがこれからより地域で活躍できるようにといった視点をぜひ入れていただければと思います。
その際に、拠点病院だけに大変なハードルが課されないように、ここは国や都道府県にも御支援いただきまして、人材育成などにインセンティブをつけていただくなど、ぜひお願いできればと思っております。
もう一点ですけれども、持続可能ながん医療提供体制の三角のピラミッドの図ですが、患者様は、どこか1点だけではなくて、恐らくつながって治療を受けていくと思います。そうすると、よりつなぐ機能というものが重要になってくると思いますので、病院間の連携や退院・転院調整を行う部門、こういったところにおいてもがん医療に専門的な知識を持った人材が求められると思っておりますので、このような視点からも、専門性の高い人材の育成といったところを強化していただければと思っているところでございます。
以上でございます。意見でございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
地域での看護師等の御活用、それから、病院連携の話です。事務局からよろしいですか。
○がん・疾病対策推進官 貴重な御意見ありがとうございます。
16ページのところの書きぶりについては、また検討させていただきたいのと、各階層、今回三つ示しておりますけれども、その間の連携につきましては、15ページの下から三つ目のパラグラフになりますが、身近な診療所・病院、また、集約化の検討が必要な医療を提供する医療機関、訪問看護ステーション等々との地域連携の強化がより重要と記載させていただいているところでございます。
○橋本構成員 ありがとうございます。
そこをもう少し詳しく書いていただきたいのと、先ほど外来が重要であるというお話もありましたので、外来機能の強化という内容もぜひ入れていただけるとありがたいと思いました。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
時間もございますので、対応については、後日、事務局からお返事させていただきます。本日はお一人でも多くの方から御意見を頂戴したいので、引き続き構成員からの御意見を受けていきたいと思います。
東構成員、どうぞ。
○東構成員 よろしくお願いします。2点あります。
1点目は、15ページ目の記載で、4)の上のところに、当該都道府県における医療計画の改定であるとか、医療圏の見直しや病院機能再編と言葉が出てくるのですが、これは地域医療構想の言葉ではないかと思います。地域医療構想についても、調整会議等で病院がどういうふうに医療機能を分けていくのかということを話し合っていると思いますので、その連携も割と必要になるのではないかと考えます。がんに特化したものとそうではない一般的なところでは、少し違いはあるかと思うのですが、やっていることは基本的には同じことだと思いますので、その連携を取るようなことをこの報告書の中で何か指定していただいてやっていくと、連携して効率的に進められるのではないかと思います。
もう一点なのですけれども、14ページの3)の上のところに、複数の都道府県で協力して提供する医療といった記述がありますが、これは都道府県協議会にとってみたら難しい話ではないかと思います。都道府県の中だけでも調整するのが難しいのに、都道府県間までいくと、誰かがやはり責任を持って音頭を取らないと、恐らくかなり難しい話ではないかと思いますので、都道府県がそういった必要性を感じ取ってイニシアチブを取ってもらうということなど、都道府県協議会の事務局に限らない方式ということを何か考えていただけるとありがたいと思いました。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。了解しました。また反映させていきたいと思います。
続きまして、岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 ありがとうございます。
今の御意見ともちょっと重なるのですけれども、2040年に向けて考えたとき、やはり地域格差はかなり広がるということで、14ページにもがん医療圏の見直しということがあるのですが、新たな地域医療構想でも、今後、20万人未満の地域とか、あるいは100万人を超える地域で二次医療圏を見直すという話が出ております。先ほどのアクセスの話も含めて多分見直していくことになると思うのですけれども、多くのところでがん医療圏と二次医療圏は重なっていると思うのですが、今後、二次医療圏が見直された場合、がん医療圏をどのように整合性を持って見直すのか、あるいはそこをどう連携させるのかということをお聞きしたいです。
もう一つは、13ページのさらなる均てん化のところで、今後増加することが推測される高齢の患者に対しては、望んだ場所で適切な治療ということで、今後こういう方が増えたときに、やはりACPということが非常に重要になってくると思います。残念ながら、まだACPが普及しているとは思えないので、もちろんACPというのは、がんの領域だけではございませんが、がんの領域のところでACPの普及の先頭に立っていただいて進めるとか、検討するという文言を入れていただくと助かると思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。検討させていただきます。
村松構成員、どうぞ。
○村松構成員 ありがとうございます。村松です。
3点申し上げます。
1点目は、東先生と同じ意見です。地域医療構想との整合を取るということを書き込んでいただければと思いました。
2点目なのですが、地域医療構想に関連して、どのような医療提供体制が望ましいかという研究も必要だと思うのですが、地域差が大きいですので、同じ方法で全国を満たしていくということは不可能でございます。したがって、地域でどのように議論をしていくのかというところまでを含めて検討されるべきだと思います。
3点目は、14ページ付近に、都道府県の協議会がデータ分析をするべしと書かれていますが、データを分析しても、協議会の構成員ですとか、都道府県民にどのように周知を図っていくのか、理解してもらうのかという点が非常に重要だと思います。地域医療構想でもたくさんデータは出てきますが、調整会議の構成員でもどの程度理解しているかというのはばらつきがあると思います。
したがって、データ分析の技術的助言のみにならず、きちんとした理解を促進させるということが重要だと考えます。
以上、3点です。
○土岐座長 ありがとうございます。事務局で控えさせていただきます。
続きまして、家保構成員、どうぞ。
○家保構成員 ありがとうございます。全国衛生部長会長の家保です。
先ほどから都道府県に対していろいろと御意見いただきまして、都道府県としましても、都道府県がん診療連携拠点病院が設置する都道府県協議会にも積極的に関与していかないといけないのは十分理解しております。ただ、臨床的な分野については、行政当局としては分からないこともありますので、やはり連携を推進していただくのは拠点病院の協議会が主であると思っております。
先ほどから話が出ておりました都道府県の地域格差は非常に大きくなっています。私のいる高知県では、都道府県以外の地域がん診療連携拠点病院は2病院しかありませんので、都道府県がん診療連携拠点病院と地域がん診療連携拠点病院等とは比較的連携が取れるのですけれども、都市型、例えば福岡県では、都道府県がん診療連携拠点病院が2か所、地域がん診療連携拠点病院が17か所あります。それらの病院群の間でどのようにここで書いているように連携を取って、新たな連携像をつくり上げていくのかというのは、かなり難しい課題があると思いますので、そういう部分については、国から一定のパターン分けを示すなど、方向性をある程度示していただけるとありがたいと思っています。
地域医療構想、医療計画等では、がんは非常に大きなテーマです。都道府県としても積極的にきちっと関与して、都道府県民の皆さん方にそういうところの周知や、情報を提供して、選んでいただけるような形をしたいと思っております。
ただ、天野構成員がおっしゃったように、地方では、集約化はアクセスの問題がどうしても出てまいります。この検討会ではないですけれども、妊産婦の支援などについても産科の集約化のところでもアクセスという問題が出てまいりました。これを社会全体としてどういうふうに捉えていくのかというのは、そろそろ考えないといけない時期になっていると思っていますので、ぜひとも国でもそういう点について関心を持っていただきたいと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。意見を控えさせていただきました。
続きまして、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。
私からは3点ございます。
まず最初に、9ページ、10ページの辺りの3番、薬物療法についてでございます。薬物療法に関しては、薬物療法専門医のことがメインで書いてありますけれども、薬物療法専門以外に、例えば小児がんの場合ですと、日本小児血液・がん学会による小児血液・がん専門医がございまして、そちらで化学療法をしっかり施行できるような専門医の育成は進んでいます。
このパラグラフの中では、どうしても消化器外科の話がメインになっているようで、例えば10ページのところですが、「しかしながら、消化器外科医の減少に鑑みると、現状の薬物療法の提供体制を今後も維持するには、薬物療法を提供できる医師の確保が重要となる」というロジックに何となく違和感がございますので、ここのところを少し書き直していただきたいです。
また、がん患者が定期的に通院する必要もあるということも、外来だけではないと思います。入院のこともありますので、10ページのところは少し検討が必要だと思いました。
もう一つは、資料5の表に関してでございます。薬物療法に関して、小児がんに対する薬物療法ですが、今回、この話は主に成人がんについてですので、小児がんに関して記載をしていただいたのは非常にありがたいと思うのですが、小児がんに対する薬物療法に関しましても、集約化すべき疾患と均てん化すべき疾患がございます。
そうなると、小児がんに対する薬物療法が一番集約化しなければならない、一番上のカラムにだけしかないと、小児がん拠点病院だけで集約化をしなさいというメッセージに取られてしまいます。
そうではなくて、疾患によって拠点病院に集めるべきもの、均てん化して拠点病院と連携病院でやっていくべきものと分けて書いたほうがいいので、ここを一元的に書くことに関しては、少し御注意をいただければと思います。
最後に、その他の医療のところで、サバイバーの長期フォローアップがございます。これは小児がんに限らずということだと思いますが、高リスクのがんのサバイバーの長期フォローアップというのは、都道府県なり何なりである程度集約化したほうがいいのではないかと考えています。
また、低リスクのサバイバーの長期フォローアップに関しては、一番下の均てん化でボトムアップすることは非常に大事だと思いますが、高リスクに関しては、もう少し上に上げてもいいと感じましたので、そのあたりをまたよろしくお願いいたします。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。こちらで検討させていただきたいと思います。
茂松構成員、どうぞ。
○茂松構成員 ありがとうございます。
2040年の地域医療構想の中では、医療機関機能が新しく出ております。その中に専門等機能というのがありますから、恐らく拠点病院の機能については、そのような機能が発揮されてくるのではないかと思いますので、ここの書きぶりでは、地域医療構想とのつながりが少し分からないということがあります。
また、15ページの下から三段落目、二段落目辺りを見ますと、地域包括ケアの感じもありますので、専門医・かかりつけ医・患者さん間のオンライン診療の必要性を書きぶりに少し入れていただくほうがいいと思っております。
今、地域ではかかりつけ医機能報告制度が4月から始まっておりますが、そこでかかりつけ医機能を面で捉えることになっておりますので、そういうものを活用していただければいいと思っております。
常に患者さんがアクセスしやすいようにかかりつけ医機能があると思っておりますので、その観点からの確認もよろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
構成員の皆様の御意見は事務局で控えまして、後日、お答えさせていただきます。
ざっと見ますと、都道府県協議会に具体的な指導をしないとかなり難しい事案になるのではないか、都道府県がどのように参画をしていくのか、また、医療圏の見直しとか、病院統合などになりますと、地域医療構想とも関わってくる問題であります。
その他には、診療所等の参画をどうやって協議会が支持していくのか、または高齢者、そして、医療アクセスの問題等々、どちらかといいますと、今日の会議では、問題提起と現状把握まではほぼコンセンサスが得られたのですけれども、これをどのように地方で実施していくかというところに、構成員の皆様が大きな不安と期待を抱いておられることを痛感した次第でございます。
次回の検討会までには、このあたりまでの意見をまとめていきたいと考えております。
それでは、ここらで事務局に進行をお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 土岐先生、ありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、本日は、長時間にわたり様々な貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
次回の本検討会の日程につきましては、改めて事務局より構成員の皆様方に御連絡を差し上げます。
これをもちまして、本日の検討会は終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策の九十九でございます。
本検討会は、ユーチューブにおいて配信しておりますので、御承知おきください。
本日は、14名の構成員の方に御出席いただいております。
今回の検討会から一般社団法人日本病院会副会長の岡俊明構成員に新たに御参画いただいております。
岡構成員、一言御挨拶をお願いいたします。
○岡構成員 先生方、こんにちは。日本病院会の岡でございます。
今回からこの検討会に参加させていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。
現在、私は静岡県の聖隷浜松病院の院長を務めておりまして、実は専門は循環器内科で、がん診療にあまり携わっておりませんでしたけれども、院長になりましてから勉強するようにしましたし、今回、この検討会に参加するようになりますので、さらに精進して勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 岡構成員、ありがとうございました。
また、本検討会には、前回に引き続き一般社団法人日本癌治療学会から副理事長の調憲参考人、公益社団法人日本放射線腫瘍学会からは理事長の宇野隆参考人に御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、資料1から資料5まで、参考資料1、参考資料2がございますので、御確認くださいますよう、お願いします。
また、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
本日の議題としましては「(1)がん診療提供体制について」「(2)その他」となってございます。
それでは、この後の進行は土岐座長にお願いいたします。
○土岐座長 皆様、よろしくお願いしたいと思います。
本日、時間も限られておりますので、早速、議題の移りたいと思います。
議題「(1)がん診療提供体制について」に移りたいと思います。
まずは事務局から資料1の説明をお願いします。
○がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
1ページ目をおめくりください。本日の資料の構成でございますが、まず2040年を見据えたがん医療提供体制の構築について、これまでの均てん化・集約化に係る議論について、また、今後のスケジュール、さらには今後のがん医療の需給について、高度な医療技術を伴うがん医療についての構成で御説明いたします。
2ページめくっていただきまして、こちらは改めてでございますが、第4期基本計画に係る記載でございます。
取り組むべき施策としまして、がん医療が高度化する中で、引き続き質の高いがん医療を提供するため、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに持続可能ながん医療の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進するとなっておりまして、これを踏まえ、12月から議論を開始しております。
ページをめくっていただきまして、こちらのスライドです。右上にありますが、令和7年3月21日の検討会の資料1の改変となってございます。
こちらの改変の趣旨としましては、前回の議論におきまして、がん医療の均てん化・集約化の趣旨を明確にするべきというような意見をいただいたところでございますので、その趣旨を上の箱の中に記載したものでございます。
国は、がん対策基本法に基づき、拠点病院等を中心として適切ながん医療を受けることができるよう、均てん化の促進に取り組んでまいりました。
2ポツ目でございます。2040年に向けて、がん医療の需要変化等が見込まれる中、引き続き拠点病院等を中心としました均てん化といったものは促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう、再構築していく必要がある。
医療技術の観点からは、広く普及された医療については、均てん化に取り組むとともに、高度な医療技術については、症例数を集積して、質の高いがん医療提供体制を維持できるよう、一定の集約化を検討していくといった、医療機関及び関係機関の機能の役割分担及び連携を一層推進する。
また、医療需給の観点からは、医療需要が少ない地域や医療従事者等の不足している地域等においては、効率性の観点から一定の集約化を検討していく。
このボックスに関しまして、改めて説明いたしますが、一番上のところが都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療、真ん中の部分ががん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療、3番目のところがさらなる均てん化が望ましい医療として、具体的にはがん予防や支持療法、緩和ケア等、できる限り多くの診療所・病院で提供されることが望ましい医療を記載しているものでございます。
2ページめくっていただきまして、今後のスケジュールになります。
昨年12月から議論いただきまして、本日6月23日、第18回の検討会におきましては、お手元にお配りしておりますが、がん医療提供体制の均てん化・集約化に関する報告書(案)について、主に議論いただきたいと思っておりまして、次回、令和7年夏頃を予定しておりますが、報告書を取りまとめていきたいと考えておりまして、その報告書の取りまとめ後に、がん医療提供体制の均てん化・集約化に関する通知を都道府県に発出していきたいと考えております。
次のページをお願いします。ここからは今後のがん医療の需給についてお話ししまして、その後、高度な医療技術を伴うがん医療についてお話ししていきます。
1ページめくっていただきまして、同じスライドになりますが、まずは医療需給の観点について、御説明いたします。
1ページめくっていただきまして、これは前回からの同じスライドでございますが、2040年には、85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見られるということでございます。
次のページめくっていただきまして、こちらは日本の将来人口推計であります。
生産年齢人口は、2040年に2025年と比べて15%減少し、65歳から84歳は、ほぼ横ばいで推移、85歳以上に関しましては、42%増加することが推計されているものでございます。
次のページめくっていただきまして、都道府県単位の人口の変化率を年齢階級別で見たものでございます。
東京都と沖縄県につきましては、他の道府県と比較しまして、生産年齢人口の減少率が小さく、また、65歳から84歳の増加率が著しく大きいことが特徴でございます。
次のページに行っていただきまして、こちらは我が国における年齢階級別のがん罹患率を全国でまとめたものでありますが、85歳から89歳をピークに90歳以上は低下するものを示したものでございます。
次のページに参ります。ここからはがん罹患者の推計について、事務局での考えを示したものでございます。
まず算出に用いた推計式としまして、三つ書いておりますが、一番上のものが全国のもの、真ん中が都道府県単位、一番下が二次医療圏単位のものでございます。
考え方としては、三つとも共通したものでありますが、全国を見ていただきますと、これは社人研の将来人口推計に全国がん登録を用いた年齢階級別のがん罹患率、こちらの2017年から2021年の平均を用いたもので、掛け合わせたものでございます。
次のページをお願いいたします。この考え方を用いまして、がん罹患者数の将来推計を全国レベルで行ったものでございます。
2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、64歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移しまして、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により増加が見込まれ、がん罹患者数の総数は横ばいからやや増加すると見込まれております。
次のページをお願いします。がん罹患者数を都道府県単位で見たものであります。
2040年に向けて、都道府県単位では、がん罹患者数が都市部を中心に16都府県で増加する一方で、31道県では減少すると見込まれております。
次のページお願いします。さらに二次医療圏単位で見たものでございます。
二次医療圏単位では、大都市部の88%でがん罹患者数は増加する一方で、地方都市部の59%、過疎地域の98%で減少することが見込まれております。
次のページお願いします。こちらはさらに都市型分類別のがん罹患者数の変化率で、年齢階級別に示したものでございます。
2040年に向けて、64歳以下のがん罹患者数は、大都市部の90%、地方都市部の97%及び全ての過疎地域で減少することが見込まれております。
真ん中の65歳から84歳のがん罹患者数は、大都市部の67%で増加する一方で、地方都市部の90%、過疎地域の98%で減少することが見込まれ、さらに一番右の85歳以上のがん罹患者数ですが、過疎地域の2%を除き、全ての二次医療圏で増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。全国のがん推計患者数の推移でございます。これは前回からも示しているものでございます。
改めまして全国のがんの推計患者数は、推計入院患者数としては減少しておりますが、推計外来患者数としては増加している状況でございます。
次のページをお願いします。全国のがん患者の平均在院日数の推移でございます。
平均在院日数は、おおむね短縮傾向にあることが示されてございます。
次のページをお願いします。今度は三大療法需要別の推計について、事務局の考え方を示したものでございます。
専門の先生方の御意見もいただきたいところではございますが、この算出に用いた推計式としまして、この三つ、一番上が全国の推計式で、真ん中が都道府県単位、一番下が二次医療圏単位のものでございます。
前回、こういったがんの医療の需要について、もう少し詳細に議論するべき、調べるべきではないかといった構成員の先生方の御意見もありましたので、今回お示しているものでございますが、考え方としましては、全国を御覧いただきたいのですが、社人研による将来人口推計に全国がん登録を用いた年齢階級別のがん罹患率で、この罹患率は2017年から2021年の平均でございます。
さらに院内がん登録を用いました年齢階級別の三大療法の実施割合の推移、これは2016年から2023年のデータを用いて、これを線形に単純に予測した将来の三大療法の実施割合として計算してございます。
次のページをお願いします。こちらは前回からお示しております年齢階級別の初期治療の実施割合でございます。
次のページをお願いします。先ほど申し上げましたような考え方で、これから三大療法別の今後の需要を見ていきたいと考えておりますが、まずこちらは手術療法の実施割合の推計でございます。
足元の2023年のデータですが、青色が0歳から14歳で、緑が15歳から64歳、黄緑が65歳から74歳、ピンクが75歳から84歳、赤が85歳以上の推移を示したものでございます。
2023年までのデータを用いまして、線形にこれを単純に伸ばしたものでございますが、2040年におけるそれぞれの年代における需要を見たものでございます。
次のページをお願いします。この需要率を基にがん患者における手術療法の需要推計を年齢階級別に示したものでございます。
こちらを見ますと、手術療法を受療する患者数は、今後減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。さらにこれは手術療法の需要推計を都道府県単位で見たものであります。
手術療法の需要は、2040年に向けて、都道府県単位では2都県、沖縄県と東京都で増加する一方で、45道府県では減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。今度はさらに二次医療圏単位で見たものであります。
手術療法の需要は、大都市部の54%、地方都市部の92%、過疎地域の98%で需要が減少すると見込まれております。
次のページお願いします。今度は放射線療法の推計でございます。
同じように2023年までのデータを基に、線形に2040年の実施割合を予測したものでございます。
次のページをお願いします。こちらはこの考え方を用いまして、放射線療法を受療する患者数を推計したものでございますが、こちらは今後増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。今度は放射線療法の需要を都道府県単位で見たものでございます。
こちらは2040年に向けて、全ての同都道府県で増加すると見込まれております。
次のページをお願いします。さらに放射線療法の需要推計を二次医療圏単位で見たものであります。
二次医療圏単位では、過疎地域の22%を除きまして、全ての二次医療圏で需要が増加することが見込まれております。
次のページをお願いします。今度は薬物療法に関する実施割合の推計であります。同様に2040年の需要を推計したものでございます。
次のページをお願いします。この考え方に基づきますと、薬物療法を受療する患者数は今後増加すると見込まれます。
次のページをお願いします。こちらは薬物療法の需要推計を都道府県単位で見たものでございます。
この需要は2040年に向けて、都道府県単位では46都道府県で増加する一方で、秋田県で減少することが見込まれております。
さらに二次医療圏単位で見たものが次のページでございまして、こちらでは全ての大都市部、地方都市部の88%で需要が増加する一方で、過疎地域の70%で需要が減少すると見込まれております。
次のページをお願いします。こういったものを統合しまして、全体として見たものでございます。
がん患者における三大療法の需要推計ですが、手術療法が青で、緑が放射線療法、黄色が薬物療法でありますが、手術療法は減少し、放射線療法と薬物療法は増加することが見込まれております。
ここまでが需要の話でございました。次のページからは供給の話に参ります。
次のページをお願いします。こちらは供給サイドの話ですが、医師数の推移を示したものでございます。
医師の総数は、2022年時点で34.3万人と過去10年間に13%増加しておりますが、一方で、外科医の総数は過去10年間ほぼ変化がございません。
次のページお願いします。さらに外科医の内訳を見たものがこちらの図でございます。
外科医のうち消化器外科医数は、2022年時点で約1.9万人と、過去10年間で見ますと10%程度減少しているものでございます。
次のページをお願いします。こういった中で具体的に、これは他部局の政策にはなりますが、医師の長時間労働の現状であったり、医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を実施する上で、医師の働き方改革が取り組まれているところでございます。
次のページをお願いします。こちらは診療科別の時間外・休日労働時間の年1,860時間超の医師の割合でございます。
先ほど申し上げました外科や脳神経外科、このあたりが上位に来るところでございます。
次のページをお願いします。こちらはがんゲノム医療提供体制の将来推計でございます。
2023年から2025年度までのがんゲノム医療中核拠点病院等の新規指定施設数の推移から単純に線形で推計しますと、2025年6月現在の282施設からがん診療連携拠点病院等を網羅する約460施設に拡大するまでは、2030年頃まで要することが見込まれております。
次のページをお願いします。ここまでが医療の需要と供給の話でございましたが、ここからは高度な医療技術を伴うがん医療についての御説明であります。
次のページをお願いいたします。これまで各学会様から御提示いただいたものでございます。
こちらは日本癌治療学会様からの資料でございますが、消化器外科領域に関しましては、集約化して提供したほうが質の高いがん医療を提供することを可能とするような根拠になってございます。
次のページをお願いします。こちらも同じく日本癌治療学会様からの資料でありまして、婦人科領域におきましても、例えば子宮体がん、子宮頚がん、卵巣がんのいずれも、施設の規模が大きくなるほど、治療成績がよくなるものを示したものでございます。
次のページをお願いします。こちらは日本放射線腫瘍学会様からの資料でございます。
結論のところですが、ほとんどのがん種において、放射線治療ボリュームと患者アウトカムの間に関連性が認められる。
考察ですが、high-volume施設の高精度治療における臓器の輪郭設定や小線源治療など、複雑な手技における高い専門性が良好なアウトカムにつながっているということでございます。
次のページでございます。放射線治療装置に関しましては、設置・メンテナンス・更新とそれに伴う採算性の課題というものがございます。
こちらの表は、施設の規模別、年間新患者数別に施設数であったり、放射線治療装置の台数、施設当たりの放射線治療装置の台数、放射線治療装置1台当たりの患者数を示したものでございます。
年間の新患者数の多い大規模施設では、放射線治療装置の台数を増設した場合であっても、放射線治療装置1台当たりの患者数は多く、効率よく放射線治療装置を運用することができていると考えられるものでございます。
具体的には年間200名以下の施設でありますと、リニアック1台当たりの患者数は、大規模施設の半分以下となっていることが見てとれます。
続きまして、こちらは日本臨床腫瘍学会からの資料でございます。
化学療法におきましても、具体的にはAML治療に伴う死亡率は、小規模病院で高いといったデータが示されているものでございます。
資料1に関しましては、説明は以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございました。
引き続きまして、人材育成、医療を提供する側からの御説明をお願いしたいと思います。
まずは日本がん治療学会の調参考人から、手術に関わる医師数の推計について、御説明をよろしくお願いいたします。
○調参考人 ありがとうございます。日本癌治療学会の副理事長の調でございます。
また、私は日本消化器外科学会の理事長を拝命しておりますので、その立場からも少しお話をさせていただきたいと思います。
資料の2ページをお願いいたします。がん患者における三大療法の需要推計でございます。
高齢化によって、放射線療法、薬物療法に比べ、がんに対する手術数は減少することが予測されております。しかしながら、その減少率は軽微でございまして、2025年に比べ、2040年度は5%、2050年でも11%の減少にとどまっております。
25年後においても、現在、90%程度の手術数が行われ、外科医の必要性が急速に減じることはないと考えております。
次、お願いいたします。日本消化器外科学会の60歳以下の会員数の将来予測でございます。
現在、65歳以下の会員数は1万5200名でございます。
先ほどのデータから2040年の手術数を現状の95%といたしますと、現在の診療体制を維持するためには、消化器外科医も95%、1万4400人が必要ということになります。
ところが、2040年の会員数は約40%減少し、9,200名となることが予測されています。したがって、このままでは5,200人の不足が起こり得ます。
これを回避するために毎年900人の新入会者が必要となりますけれども、現状では新規入会者が毎年500名程度、したがって、追加で400名の確保が必要になります。
2020年に日本消化器外科学会の専門医の資格申請の要件を現状に即した形で大幅に緩和したので、今回の解析が会員ベースのデータにならざるを得ないことを御理解いただければと思います。
次、お願いいたします。消化器外科医の減少問題を重く見まして、昨年の日本消化器外科学会の総会において、消化器外科の明るい未来を達成するためのロードマップを発表いたしました。
1には自助努力としての取組、3は高度ながんの手術の集約化・重点化、4が外科医への正当な評価の提案という内容になっております。
1は医学生、研修医の広報、働き方改革の好事例の紹介やアンケート調査等です。
2のキャリア形成に関しましては、40歳未満の会員によるUnder40委員会を設置、若手中心のセミナーや勉強会などの開催、短期留学制度の創設など、若手支援を強化しております。また、女性医師への支援として、男女共同参画委員会の設置、女性理事や外部委員の登用、十分な手術経験が積めるように支援を進めています。地方の若手に対しても、遠隔支援を推進してまいります。
このような自助努力に加えて、私たちは消化器外科医の減少がこのままでは将来の社会問題になり得ることを広く国民に訴えております。
それを受けて、昨年12月に厚生労働省の医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージにおいて、理解への手厚い強化の必要性の検討を行うということ、6月13日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2025年においても、減少傾向にある外科医師に対しての支援を推進するという言葉をいただいております。
今後とも国民、そして、行政の皆様と議論を進めてまいりたいと思っております。
次です。これは消化器外科医の増加に資する取組の好事例を紹介しております。富山大学の取組です。
平日業務のシフト制、あるいは夜間・休日の完全当番制、主治医制からチーム制、手術メンバーの交代制、有給や男性育休の取得などの働き方改革に大胆に取り組むことで、若手の入局者が大幅に増加したという例でございます。
次、お願いいたします。広島大学の若手外科医の処遇に関しての取組でございます。
広島大学では、今後の外科医の減少を見越して、未来の外科医療支援手当を創設しています。
対象は約30名、27歳から40歳前後の助教になる前の外科の専攻医、あるいは専門員で、年俸が前年度の1.3倍となる制度でございます。
今後も高度ながんの手術を行う施設の集約化・重点化を基盤とした働き方改革や、処遇改善による消化器外科医の増加の取組が必要と考えております。
私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
後ほどディスカッションしたいと思いますので、しばらくお待ち願えたらと思います。
引き続きまして、資料3につきまして、放射線腫瘍学会の理事長、宇野参考人よりお願いしたいと思います。
宇野先生、よろしくお願いします。
○宇野参考人 よろしくお願いいたします。公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長の宇野でございます。
放射線療法に関わる医師数と放射線治療装置の推計について、御説明させていただきます。
次、お願いいたします。こちらが先ほどの資料1にございました厚生労働省がん・疾病対策課で作成された資料と同一のもので、がん患者における各治療法の需要推計となります。
緑色で示される放射線療法の需要は、2025年を1.0とした場合に、2040年には1.24に増加すると推計されています。
次、お願いします。資料は放射線治療専門医数の将来推計です。
前回第17回の検討会でお示ししたように、放射線治療専門医は、年間約50名程度育成されています。
年齢等による引退者分を差し引いて年間40名の増加となっているため、このままのペースでいきますと、2040年には40名掛ける15年、600名程度の増加が見込まれております。したがいまして、2040年には放射線治療専門医数が約2,000名程度と推計されております。
次、お願いいたします。放射線治療患者数・放射線治療装置数の将来推計となります。
放射線治療におきましては、1台の装置で治療できる、あるいは1台の装置で治療するに最もふさわしい患者数というのが大体出ておりますので、まずは患者数を推計し、それから逆に必要な装置の台数を推計するという手順を取ってきました。
まず放射線治療患者数の推計ですが、放射線治療患者数は、私ども学会の構造調査より、がん罹患者数の28%を占めております。このことから、2025年には先ほど罹患者数の推計がございましたが、28.8万人と推計されます。
2025年から2040年に向けて、放射線療法の需要が1.24倍に増加すると、放射線治療患者数が28.8万人掛ける1.24倍、35.7万人、およそ36万人程度と推計されます。
次に放射線治療装置数の推計です。厚生労働省がん研究助成金各研究班により、2009年に報告された放射線治療装置1台当たりの年間照射患者数の適正数は250名から300名とされています。
当時の基準を用いた場合に、2040年に必要となる放射線治療装置台数は1,990台から1,428台となります。
2019年時点の放射線治療装置配置数は1,100台でありまして、現在も足りないのですが、8~30%増となります。
今後の放射線治療の提供体制ですが、2019年の構造調査に回答した国内の放射線治療施設は734施設あり、このうち年間治療患者数の100人未満が127施設、100人から200人の施設が216施設となっています。
日本は、世界で最も施設当たりの治療装置台数も少ない状況であります。現在のように、1施設当たりの治療患者数が少ない放射線治療施設が分散していると、より多くの放射線治療専門医が必要となってきます。このため、放射線療法の需要動向を踏まえながら、放射線治療施設の一定の集約化の検討が必要となると考えられます。
なお、放射線治療医と患者数の需給のミスマッチ、あるいは非常に遠いところ、広い地域で放射線治療施設がないような地域、こういったミスマッチが生じる放射線治療施設、あるいは地域においては、放射線治療医による遠隔放射線治療、これは放射線治療計画の作成等を意味しますが、こういった支援の取組も併せて実施することが有効であると考えられます。
放射線腫瘍学会からは以上となります。
○土岐座長 宇野参考人、どうもありがとうございました。
それでは、ディスカッションは後ほどにしまして、先に次の方針の整理に進みたいと思います。
資料4、資料5につきまして、まずは事務局から説明をよろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
お手元の資料4を御覧ください。
前回3月の本検討会におきまして、2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約に関する議論の骨子案を示させていただきましたが、今回、内容は大幅に膨らませておりますので、できる限り丁寧に説明していきたいと思います。
全体の構成でございます。
「1.はじめに」は、これまでの内容とあまり変わりませんので、説明はコンパクトにしたいと思います。
「2.今後のがん医療の需給について」となっておりまして、柱立てとしましては、がん医療の需要についてとがん医療の供給について、がん医療の供給バランスを維持するための方策についてとなっております。
次に「3.高度な医療技術を伴う概要について」「4.今後の方向性について」となっております。
今後のがん医療の需要については、スライドで示している内容と重複いたしますので、コンパクトに説明した上で、2の2)がん医療の供給についてからは丁寧に説明していきたいと考えております。
最後、1ページめくっていただきまして「5.都道府県協議会での均てん化・集約化の検討の進め方について」です。前回、骨子で示しておりますけれども、こちらも文章にして、ボリュームを膨らませておりますので、説明したいと思います。
最後が「6.総括」でございます。
1ページ目をめくっていただきまして、「1.はじめに」のところは、これまで述べた経緯でございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
「2.今後のがん医療の需給について」でございます。
1ページ目をおめくりください。1)がん医療の需要についてのマル1、日本の将来人口推計は、スライドの内容と同じでございますので、説明は省略いたします。
マル2、がん罹患者数の見込みでございます。これもスライドで示しましたが、2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、64歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移し、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により、増加が見込まれ、がん罹患者の総数は横ばいからやや増加すると見込まれると考えております。
マル3、がんの罹患者の地域特性でございます。こちらもスライドの内容と重複しますので、説明は割愛いたします。
マル4、入院・外来治療の需要動向でございます。こちらも内容は重複しますが、1ページめくっていただきまして、上のところですが、がん患者において入院患者数は減少し、外来患者数は増加することが見込まれるとなっております。
マル5、三大療法(手術療法、放射線療法、薬物療法)別の需要見込みでございます。スライドと同じ内容ではございますが、改めて申し上げますと、2040年に向けて、三大療法のうちの手術療法の需要は、2025年と比べまして、5%減少すると見込まれております。
また、院内がん登録を用いた将来の手術療法の実施割合の推計において、小児を除いた手術療法の実施割合が減少しているためと考えます。
一方で、放射線療法や薬物療法の需要は、2025年と比べまして、それぞれ24%及び15%増加することが見込まれております。
これは院内がん登録を用いた将来の放射線療法及び薬物療法の実施割合の推計において、高齢がん患者への実施割合が増加しているためと考えます。
こういった需要に関しまして、三大療法ごとに今後の見込みを示したものがこの表になってございます。
以下の手術療法、放射線療法の需要につきましては、先ほどの説明と重なりますので、省略させていただきます。
1枚めくっていただきまして、二つ目のパラグラフの「上述のように」からですが、将来のがん患者に対する三大療法の需要は、都道府県単位、二次医療圏単位で異なりますので、都道府県は、都道府県単位、二次医療圏単位の将来のがん患者に対する三大療法を中心としたがん医療の需要について、予測または把握することが必要であると考えます。
2)がん医療の需給についてでございます。ここからはできる限り丁寧に説明していきたいと思っております。
三大療法別の供給見込みでございます。この表でございますが、受療者数につきましては、これまでお示したものと同じ数字を載せております。
医師数であったり、医師数の過不足に関しまして、考え方としまして、※手術療法については、日本消化器外科学会に所属する医師数、※4の放射線療法に関しましては、放射線治療専門医数に関して示していくと思っております。
先ほど御提案いただいた内容を踏まえ、今後、新たにこちらに盛り込んでいきたいと考えております。
※5で書いておりますが、薬物療法に関しては、薬物療法専門医のほか、がん診療を担う薬物療法専門医ではない医師が中心となって提供されている実態がございます。薬物療法専門医ではない医師が現状どの程度薬物療法を担っているのか、現状の評価が困難であるため、今回は空欄としております。
次のページをおめくりください。手術療法に関してですが、医師の総数が2022年時点では34.3万人と、過去10年間で13%増加しているにもかかわらず、外科医の総数は過去10年間ほぼ変わっておらず、特に消化器外科医については2022年時点で約1.9万人と、過去10年間で10%減少しております。
さらに40歳未満の若手消化器外科については、減少幅がより大きく、過去10年間で15%減少しております。
ここからは日本消化器外科学会様の推計の結果を追加で記載していきたいと考えております。
次に放射線療法でございますが、放射線療法の需要は、2040年に2025年と比べて24%増加することが見込まれております。
放射線療法を専門とする医師数は、需要の増加を上回っておりますが、具体的な数値に関しましては、先ほどのプレゼンテーションを踏まえ、検討会の後、報告書に盛り込んでいきたいと考えております。
一方で、補整療法を提供するに当たっては、高額な放射線治療装置が必要となります。放射線治療装置は、こちらも後ほど、全国でこの程度という数字を入れたいと思いますが、配置されておりますが、我が国では、諸外国と比較し、放射線治療装置が分散して配置されていると報告されており、放射線治療装置1台当たりの患者数にばらつきが大きく、放射線治療装置の効率的な配置を検討する必要がある状況でございます。
続きまして、薬物療法でございます。薬物療法は、薬物療法専門医のほか、薬物療法専門医ではない内科や外科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、泌尿器科、整形外科、脳神経外科等の診療科の医師が中心となって提供されております。このような薬物療法専門医ではない医師が現状どの程度薬物療法を提供しているのか、定量的に評価することは困難であるということです。
日本臨床腫瘍学会様によりますと、薬物療法専門員数を見ていただきまして、2040年に向けて増加すると予測されています。その一方で、ほかの診療科の医師の推計は現状できておらず、薬物療法が高度化している中で、薬物療法の需要の増加に対応するだけの薬物療法の担い手が確保できない懸念もあるところでございます。
近年、遺伝子変異に基づく治療薬の開発が広がるとともに、標準治療の中にそれらの治療薬が組み込まれてきております。実際にがん遺伝子パネル検査の薬事審査の過程を経て、検査の分析性能が担保された遺伝子変異の項目数も増加しております。
これらにつきましては、エキスパートパネルでの検討を経ずとも、質の高いがんゲノム医療を提供することが可能にとなりつつあります。
がんの標準治療を提供することが求められる医療機関として位置づけられている拠点病院等において、がんゲノム医療が提供できるよう関連学会等と連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であります。
現在のがんゲノム医療中核拠点病院等の施設数の推移を鑑みますと、2025年6月現在の282施設から拠点病院等を網羅する約460施設に拡大するまで、2030年頃までかかることが見込まれております。
続きまして、がん医療の需給バランスを維持するための方策についてでございます。三大療法別に御説明いたします。
まず手術療法でございます。手術療法に関しましては、構成比率の高い60歳以上の消化器外科医が今後臨床現場を離れることが見込まれる中で、需要に見合う消化器外科医数を維持するためには、先ほどありましたが、日本消化器外科学会様の試算に基づく結果を記載したいと考えております。
消化器外科医の新たななり手が増加しない原因としましては、長時間労働等によりワーク・ライフ・バランスの確保が難しいこと、給与が勤務量に合っていないことなどが挙げられております。
関連学会や医療機関等では、複数主治医制による業務分担の推進や個人へのインセンティブ導入といった取組などを実施しているところであります。
1ページめくっていただきまして、次の章で詳しく述べますが、高度な医療技術の質の確保のためにかけられた医療資源あり、医療資源を集約化することが需給バランスを維持する方策にもつながると考えられます。
2040年に向けた手術療法の需要の見込みは地域ごとに異なるために、都道府県は、都道府県がん診療連携拠点病院・大学等と連携し、地域における手術件数や外科医数の配置状況を正確に把握し、住民のアクセスも考慮しながら、二次医療圏の枠組みを超えて効率的に手術療法を提供するために、集約化を含めたがん医療提供体制の検討を推進することが必要であると記載してございます。
続きまして、放射線療法の記載でございますが、放射線療法に関しましては、2040年に向けて需要の増加が見込まれる中、都道府県は、地域ごとの需要を予測しながら、効率的な放射線療法の提供体制を構築することが望まれております。
現状、効率よく放射線治療装置を使用できていると考えられる施設における放射線治療装置1台当たりの年間平均患者数、このあたりの数値と必要な放射線治療装置数に関しましては、放射線腫瘍学会様のプレゼンテーションを基に後ほど追加したいと思います。
このため、地域ごとに放射線療法の需要を予測し、放射線治療装置の配置を適切に見直していくことが望まれます。
特に放射線療法の需要が減少することが見込まれる過疎地域や放射線療法の需要が増加することが見込まれるものの、がん患者数が少ない地域などでは、放射線治療装置の維持が困難になる場合が想定されることから、都道府県内で適切な放射線療法の提供体制を検討する必要があります。
そのため、都道府県は、都道府県がん診療連携拠点病院・大学等と連携し、都道府県内の放射線治療施設における放射線治療患者数、放射線治療装置数、放射線療法を提供する医療従事者数などといった情報を正確に把握し、あらかじめ放射線治療施設の関係者と医療政策を担う都道府県が情報を共有することにより、効率的な配置を計画的に検討することが必要である。
また、放射線治療装置の更新を中止する施設がある地域では、がん患者が放射線療法を引き続き受療できるよう、医療機能の見える化を推進するとともに、がん患者の放射線治療施設へのアクセスの確保について十分に留意しながら、適切な放射線療法の提供体制を整えることが重要である。
加えて、周辺の放射線治療施設ががん患者の増加に対応できるよう、事前に放射線治療装置の更新の中止を含む放射線療法の提供体制に係る情報を共有できる仕組みを構築する必要があります。
続きまして、薬物療法の記載でございます。先ほど来申し上げておりますが、薬物療法専門医ではない消化器外科や泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科といった、その他の診療科の医師が中心となって提供されている現状があります。
1ページめくっていただきまして、しかしながら、消化器外科医の減少を鑑みますと、現状の薬物療法の提供体制を今後も維持するためには、薬物療法を提供できる医師の確保が重要となります。
また、過疎地域では、薬物療法の需要が減少する地域もありますが、手術療法などとは異なり、がん患者が定期的に通院する必要もあることから、がん患者のアクセスを踏まえると、拠点病院など以外でも一定の薬物療法が提供できるようにすることが望ましい。
このため、都道府県は、薬物療法を提供する拠点病院以外の医療機関と拠点病院等が連携できる提供体制の構築を進める必要があると考えます。
がんの標準治療を実施することが求められる医療機関として位置づけられている拠点病院などにおいては、がんゲノム医療が実施できるよう、関連学会などと連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であると考えます。
また、集学的治療という項目も挙げていまして、三大療法別の需給バランスを維持するための方策としましては、今、述べたとおりでございますが、集学的治療の観点から、都道府県は、三大療法別の需給バランスを総合的に把握した上で、集学的治療が必要ながん患者に対しては、当該治療を提供できるよう、がん医療提供体制を構築することが重要であるといった記載も追加させていただいております。
ここまでが需給の話でございます。
続きまして「3.高度な医療技術を伴うがん医療について」でございます。
まず手術療法ですが、このあたりは各学会様からプレゼンテーションをいただいた内容を記載してございます。
手術療法に関しては、外科系学会が合同で設立した手術症例データベース、NCDの解析によりますと、高度な手術に関しては、手術件数の少ない医療機関で手術を提供する場合と比較して、手術件数の多い医療機関で手術を提供する場合は、術後合併症や術後死亡の発生率が低いと、日本癌治療学会様より報告いただいております。
この要因としましては、手術件数の多い病院で勤務する外科医は、高度な技能を有する医師の下で診療に従事し、豊富な経験を積むことができる点や多くの医療従事者による細やかなケアと集中治療を受けられている点が挙げられます。
1ページめくっていただきまして、高度な手術や新たなモダリティーを用いた治療については、提供する医療機関を集約し、知見・経験を集積することで、がん患者に安全な手術療法を提供することが望まれます。
続きまして放射線療法についてでございます。IMRTや定位放射線治療などの精度の高い放射線療法について、治療患者数が多い施設においては、複雑な症例や有害事象への対応に関する知見・経験が蓄積されることで、治療成績の向上や有害事象の発生率の減少などが日本放射線腫瘍学会様より報告いただいております。
現状におきましても、学会が認定した手術等に一定数症例が集約されております。また、放射線治療装置など、高額な医療設備が必要な医療に関しては、効率性の観点から、集約化して提供体制を構築することが望ましいと記載しております。
薬物療法でございますが、近年、使用されるようになった免疫チェックポイント阻害薬について、治療症例数が多い医療施設では、有害事象による死亡率が低いことが日本臨床腫瘍学会様より報告いただいております。
重篤な有害事象を発症する可能性がある薬剤につきましては、一定数の症例を集約することが望まれます。
また、新規に使用可能となる薬剤に関しても、提供する医療機関を集約し、知見・経験を集積することで、がん患者に安全な薬物療法を提供することが望まれます。
「4.今後の方向性について」でございます。
基本的な考え方としまして、これまでスライドで書いている内容になりますので、一部省略しますが、最後のパラグラフのところですが、がん医療の需要変化などが見込まれる中、引き続き適切ながん医療を受けることができるよう、均てん化の促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう、再構築する必要があると記載してございます。
1ページめくっていただきまして、上から3段落目のところですが、外科医の減少が見込まれる中で、集約化せずにこれまでと同様のがん医療提供体制を維持した場合、現在提供できている手術療法ですら維持できなくなるおそれがある。
したがって、上述のように、基本的な考え方に基づいて今後も国民が質の高いがん医療を受療できるように、集約化も含めた持続可能ながん医療提供体制の構築が必要であるという点について、国や都道府県は、国民の理解を得るために国民にとって分かりやすい説明を継続していく必要があると記載してございます。
続きまして、特に集約化の検討が必要な医療についての考え方を示しております。医療需給の観点では、症例数が少ない場合や専門医等の医療従事者が不足している診療領域などは、効率性の観点から集約化が望ましい。
また、消化器外科領域などのような、症例数は多いが、医師数が不足することが見込まれる診療領域に関しましては、新たななり手の確保が喫緊の課題でありまして、勤務環境などを整備するために、当該診療領域に関してのがん医療を提供する医療機関は、集約するなどといった医療施設の適切な配置を推進することが望ましい。
医療技術の観点では、がん医療に係る一連のプロセスであります診断、治療方針の決定に高度な判断を要する場合や、治療、支持療法、緩和ケアにおいて新規性があり、一般的・標準的とは言えない治療法や高度な医療技術が必要である場合等について集約化して、症例数や知見・経験を蓄積することが望ましい。
また、放射線治療装置のように、がん医療を提供する際に高額な医療機器や専用設備などを用いる技術は、導入及び維持にコストがかかるために、将来における放射線療法の需要を考慮し、集約化して提供することが望ましいと記載しております。
特に集約化の検討が必要な医療の提供主体につきましては、提供する医療が都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療と、がん医療または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療に分類の上、前者については、国立がん研究センター、国立成育医療研究センター、都道府県がん診療連携拠点病院、大学病院本院、小児がん拠点病院、地域の実情によっては、地域がん診療連携病院が担うことが想定されます。後者につきましては、拠点病院等や地域の実情によっては、それ以外の医療機関が担うことが想定されます。
地域によっては、拠点病院など以外もがん診療になっている実情を踏まえて、こちらの分類を参考に、想定される医療機関の役割分担については、後から述べます都道府県がん診療連携協議会において十分な議論が必要であります。
また、注で書いておりますが、小児がん・希少がんの中でも特に高度な専門性を有する診療などについては、国単位で集約することが望ましいと記載しております。
続きまして、さらなる均てん化が望ましい医療についての考え方を示します。こちらも先ほど述べましたが、がん予防や支持療法、緩和ケアなどは、できる限り多くの診療所・病院で提供されることが望ましく、特に今後増加することが推測される高齢のがん患者に対しては、望んだ場所で適切な治療及びケアを受けられるよう、身近な診療所・病院で提供されることが望ましいと記載しております。
2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為例です。こちらに関しましては、この検討会におきまして、関連学会様からヒアリングした内容を別途資料5として記載しております。具体的にお示したいと思いますが、協議会において、都道府県の中でこういった均てん化・集約化の議論をいただく中で参考になるものと考えております。
「5.都道府県協議会での均てん化・集約化の検討の進め方について」です。
こちらは前回に骨子を示しておりますが、今回は文章にしてボリュームも増えておりまして、内容も新たに加わったものもありますので、御説明いたします。
都道府県協議会の体制でありますが、都道府県がん診療連携拠点病院は、事務局として主体的に都道府県協議会の運営を担うこと、また、都道府県も事務局に参画し、拠点病院などと連携すること。
また、都道府県協議会には、拠点病院など、地域におけるがん医療を担う者のみでなく、患者団体などの関係団体の参画を必須とすることと記載しております。特に拠点病院までの通院に時間を要する地域のがん患者及び当該地域の市区町村には、当該都道府県のがん医療提供体制の現状や今後の構築方針について、十分に理解を得る必要があります。
協議会における協議事項についてですが、別途国から提供します将来の人口推計や都道府県内・がん医療圏内の将来のがん患者数、院内がん登録のデータを活用して、将来の医療需要から都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療の具体について、整理が必要になります。
また、がん種ごとにがん医療提供体制の均てん化・集約化を議論し、都道府県内で役割分担する医療機関について、整理・明確化することと記載しております。
都道府県内の放射線療法に携わる有識者の参画の下、放射線療法に係る議論の場を設け、都道府県内の放射線治療施設における放射線治療患者数、放射線治療装置、放射線療法を提供する医療従事者、専門医数などといった情報を正確に把握し、採算に関する分析も踏まえて、将来的な装置の導入・更新を見据えた計画の議論を行うこと。
さらにがん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるよう、院内がん登録を実施している医療機関を対象として、都道府県の医療機関ごとの診療実績を院内がん登録などの情報を用いて、医療機関の同意の下で一元的に発信すること。その際に公表する項目についても協議することと記載しております。
2040年を見据え、持続可能ながん医療を提供するため、がん医療圏の見直しや病院機能再編などによる拠点病院などの整備について、検討すること。
また、医療需給及び医療技術の観点から、複数の都道府県で協力して提供する必要があるがん医療については、関係都道府県間において、がん医療提供体制の在り方について協議することが望ましいと記載しております。
都道府県協議会事務局の役割でございます。繰り返しですが、別途国から提供されます都道府県協議会での議論に資するデータの整理に加えまして、主体的にがん医療提供体制に係るデータの収集分析を行うこと。こちらはその際にがん種ごとのがん医療提供体制の均てん化・集約化の議論を実施できるように考慮すること。
さらに都道府県協議会で整理・明確化したがん種ごとに役割分担する医療機関について、国民に広く周知すること。
また、がん患者を紹介する医療機関にも、都道府県内で役割分担する医療機関を周知し、がん患者が適切な医療機関で受療できるよう、努めること。
都道府県内のがん医療の均てん化・集約化に係る医療機関の機能の役割分担について、必要な調整を行うこと。
医療機関ごとの診療実績を一元的に発信し、国民に提供することで、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるよう、努めることと記載しております。
1ページめくっていただきまして、都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療について、均てん化・集約化の推進の進捗状況を院内がん登録などの情報を用いて、継続的に確認すること。
さらに当該都道府県における医療計画の改定に向けて、都道府県協議会でのがん医療圏の見直しや病院機能再編などによる拠点病院等の整備に関する協議結果を都道府県に提出することと記載しております。
次に、均てん化・集約化についての留意事項であります。従来のがん医療提供体制を維持した場合、現在提供されているがん医療が維持できなくなるおそれがあるため、今後も国民が質の高いがん医療を受療できるよう、集約化も含めた持続可能ながん医療提供体制の構築が必要であるという点について、国や都道府県は、国民の理解を得るために、国民にとって分かりやすい説明を継続していく必要があるとなっております。
また、都道府県は、地域ごとに医療資源やがん患者の状況を把握し、医療機能の見える化を推進するとともに、がん患者の医療機関へのアクセスの確保について十分に留意しながら、適切ながん医療提供体制を整えることが重要である。
手術療法を担う外科医について、がん以外にも虫垂炎や胆嚢炎などの様々な疾患についての手術を担う必要があることなどから、がん医療提供体制の検討に当たっては、がん以外も含めた地域の医療提供体制を維持・確保する観点についても、留意することが重要である。
身近な診療所・病院と集約化の検討が必要な医療を提供する医療機関、訪問看護ステーション、歯科医療機関、薬局、介護施設・事業所など、多職種・多機関との地域連携の強化がより一層重要となります。
がん患者にとって身近な診療所・病院では、拠点病院などと連携し、がん予防や支持療法、緩和ケアなどを提供していくことが重要となります。
拠点病院等は、がん予防や支持療法、緩和ケアなどを身近な診療所・病院でがん患者が受療できるように、これらのがん医療に係る研修を積極的に実施することが望ましい。
また、離島・僻地などの過疎地域に居住するがん患者がオンラインで専門医に相談できるといった医療DXの活用が求められます。
2040年に向けて、さらなる生産年齢人口の減少に伴い、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者の確保がさらに困難となることが見込まれます。持続可能ながん医療提供体制の構築のためには、医療DXなどによる業務効率化、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組が重要であります。
2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化につきまして、国は、都道府県協議会での議論及び均てん化・集約化の進捗状況の確認を実施することが重要である。その結果をがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループへ提出し、がん診療連携拠点病院などの整備に関する指針の改定に向けた検討を実施します。
なお、2040年を見据えた持続可能ながん医療提供体制の構築には、都道府県で正確なデータに基づいた十分な検討・調整が必要であることから、国においては、都道府県協議会等に対して、継続的に好事例の共有やほかの地域や医療機関との比較が可能となるような検討に必要なデータの提供などの技術的支援を行うべきである。
さらに持続可能ながん医療提供体制を構築するためには、がん診療連携拠点病院機能強化事業等の財政支援が必要であり、国においては、引き続き必要な検討を行った上で、予算の確保に努めるべきであるとしております。
最後に「6.総括」であります。
第4期基本計画における全体目標の「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」という目標を達成するために、都道府県及び都道府県協議会は、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに、持続可能ながん医療の提供に向け、医療機関ごとの診療実績を一元的に発信し、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるように配慮しつつ、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を検討することが重要であります。
また、国及び国立がん研究センターは、都道府県がん診療連携協議会等に対し、検討に必要なデータの提供などの技術的支援を継続的に行うことが重要であるとなっております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
引き続きまして、資料5、2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為例の案についての説明をよろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 こちらにつきましては、先ほどの資料4の中でも少し触れましたが、これまで各学会様に手術療法、放射線療法、薬物療法の三大療法に関しまして、都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療、2段目ががん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約の検討が必要な医療、さらにさらなる均てん化が望ましい医療について、御意見をいただいたものをまとめたものでございますので、今後、こちらを都道府県にもお示ししていきたいと思いますので、都道府県協議会における議論の中で参考にしていただきたいと考えております。
詳細につきましては、説明は割愛いたしますが、こちらを御覧いただければと思います。
○土岐座長 ありがとうございます。
こちらについても後ほどの質疑の対象にしたいと思います。
それでは、資料の説明は以上ですけれども、今日はポイントを絞って話を進めたいと思います。
まず今後スケジュール案なのですけれども、資料1の7ページを出していただいて、本日が6月23日の第18回に当たっております。次回、第19回にがん医療提供体制の均てん化・集約化に関する報告書(案)の取りまとめというスケジュールで進めたいと考えておりますが、こちらに関しまして、構成員の先生方、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、事務局では、このスケジュールに従って進めていただくよう、お願いいたします。
次に、今回のディスカッションの基本となっております今後のがん医療の需給について、がん罹患患者数の推計手法としまして、資料1の14ページに書かれているような式を用いております。また、三大治療法の需要の推計資料として、資料1の21ページの計算式が示されております。
これらの手法につきまして、まず公衆衛生を御専門とされている野田構成員、東構成員、村松構成員、その他の構成員の先生方から、ぜひこの場で御意見を頂戴したいと思います。
公衆衛生の先生方、こちらに関して御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○野田構成員 ありがとうございます。奈良県立医科大学の野田でございます。
推計値につきましては、大体の過去数年間のものから将来数十年間を推計するというような、なかなか難しい面はあるとは思うのですけれども、正確に当たるかどうかは難しいと思うのですが、大まかな傾向としてはおおむねこうなるのではないかと、私としても妥当なものではないかと考えております。
ただ一方で、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口というのは、特に若い層の人口で、社人研の予想よりも実際の数値が減る、つまり若者が思ったより増えないという結果がここしばらく続いておりまして、つまり少子化が思ったより加速しているという状況でございます。
将来推計におきましては、さらにこの傾向が強まるというか、この傾向が予測よりもさらに強まって加速化する、早めに実現してしまうというような懸念もあると感じているところですので、方向としては当たっているし、場合によってはもっと加速してしまう可能性があるというのが私の意見でございます。
以上です。
○土岐座長 どうもありがとうございます。
ほかによろしいですか。東先生、よろしくお願いします。
○東構成員 東です。ありがとうございます。
私も野田構成員と同じような意見でありまして、推計方法については、こうやるしかないのだろうということで、いいとは思うのですけれども、気になることがありまして、がんの数というのは、ある程度増えた後にいつかは減ってくるだろうと言われていると思うのですけれども、今回、直線で伸ばした範囲では、全ての治療において、2050年になっても減ることはないというところだけが少しだけ気になります。
もうちょっと伸ばしたら減るというところまで見えているのであれば、いいとは思うのですけれども、直線でいったがために増える一方だとなっているのでしたら、もうちょっとフレキシブルな考え方をしたほうがいいのかもしれません。ただ、おおむねこのやり方というのは間違っていないとは思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○村松構成員 村松です。
私も野田先生、東先生と同じように、計算の方法については、こういった方法を採用するほか、あまり手だてはないと思っているところです。
また、東先生と同じように、直線的に伸びていくのが臨床的にリーズナブルかどうかということは、ほかの構成員の先生からも御意見をいただくといいと思いました。
これはまた都道府県の協議会に下りていくのだと思いますが、その際、都道府県単位での議論が混乱しないようにとか、そういった点で丁寧に下ろしていくこと、説明していくことが重要だと思いました。計算はこうである、ただ、この値を変えていくための予防や医療提供体制の再構築がどうできるかとか、そういったところが議論のポイントですということを丁寧に御説明していただくのがいいのではないかと思いました。
私からは以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 罹患者数の推計については、今のことでよく分かりましたし、妥当だと思うのですけれども、もう一つの三大療法需要の推計はかなり難しいと思います。最近は、1人のがん患者さんに対して放射線治療単独とか、薬剤療法単独というよりは、いろいろな治療を組み合わせて行われます。最初にどの治療が行われて、次にどうなってということがあると思いますし、その人の長い経過の中で、次々といろいろな治療が重なっていくことがあります。手術は普通1回ですけれども。全国がん登録、院内がん登録では、そういうものがどういうふうにカウントされて、化学療法が増えていくと読まれているのかというところがよく分かりませんでした。
それから、細かいことですが、例えば薬物療法と言ったときに、それは積極的な化学療法だけを指すわけではなくて、緩和ケアにおける麻薬とか、そういうことも含めて今後増えていくと考えているのか、あるいは本当に積極的な治療薬が増えていくと推計しているのか。
また、放射線療法がどうしてそんなに増えていくのかというのもよく分かりませんでした。
あと、手術に関してですが、手術は確かに減るかもしれません。それは手術をしないで済む人が増えるからかもしれないし、手術できない人が増えるからかもしれないのですが、例えば内視鏡治療、早期の胃がんや大腸がんを内視鏡で切除するというのは、この三つの治療法のどこにも含まれていないのですか?というのは、昔はほんの一部だったかもしれないけれども、今、胃がんは、日本中で胃切除が行われるよりも、より多くの内視鏡切除が行われています。ですので、小さいがんを切除するという意味では、内視鏡治療も手術療法の一つに含まれて計算するのか、あるいはあくまで開腹して切り取る、手術をするものを手術療法と称するのかによって数が違うと思います。内視鏡治療がどういうふうに組み込まれているのかということも教えていただきたいです。
○土岐座長 これは事務局から答えさせていただきます。
○がん・疾病対策推進官 佐野先生、御質問ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。
今回、様々な制限がある中で、このような推計を事務局として出したものでございます。
まず1点目の繰り返し医療を受ける場合はどうなるかということですが、これはあくまで初回治療におけるデータになりますので、そういったものを正確にトレースすることが難しい状況でございます。
続きまして、薬物療法の定義について、どういったものが入るか、今、事務局でも改めて調べておりますが、御指摘いただきました内視鏡を用いた切除というのは、今回の手術療法にも化学療法にも放射線療法にも入っていないので、御指摘のとおり、そういったものについては、別途どのように数字を取るのか考える必要があると考えております。
○佐野構成員 今後、手術は減ります、薬物療法、放射線療法は増えますという、非常に単純な大まかな予測がされたわけですけれども、本当にそれに従って考えていいものかどうか。一旦これが動き出してしまうと、こうだからという推計が動いてしまうと思うので、かなりしっかりした細かいことをやっておいたほうがいいのではないかと思いました。
もう一つ、在院日数が減っているので入院は減っている、とのことでしたが、これは1人の患者さんが以前よりも早く退院できるだけであって、入院する患者さんの数は変わらないわけです。だから、ある一時点を取った場合、今、入院している人はどのくらいいますかという、日本中で入院している人ということをいうと、以前より少なくなってはいるかもしれないけれども、がん治療で入院しなければいけない人の数は同じだけいるということも考えなければいけないと思うので、それが単純に入院は今後減るでしょう、少なくなるでしょう、それは在院日数が短くなっているからですという理屈にはならないのではないかと思います。こういう推計はやはりよく理解してやっておかないと、それに従っていろいろと政策を動かすとなると、重要ではないかと思いましたので、コメントします。
○土岐座長 ありがとうございます。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 国立成育医療研究センターの松本です。
推計に関して、先ほど佐野先生からもお話がありましたが、放射線治療の患者数について、宇野先生の出された資料では、放射線治療患者数28.8万人と出ているのですが、例えば厚労省が出された放射線療法需要将来設計でいくと、放射線治療は2050年でも多くて13万人か14万人ということで、倍の差があるのです。これがどうしてこうなっているのかというのが分からなくなったのと、宇野先生が出された推計ですと、放射線腫瘍学会の構造調査とだけ載っているのですが、これは恐らく分母が違うので、罹患者数の28%を占めるということだけで、がん罹患者数に28を掛けるというのは少し乱暴な感じがします。
それから、今回の厚労省の試算においても、初回治療ということがメインになるので、少し変わってくると思います。だけれども、このそごをしっかりしておかないと、後で困ったことになると思ってコメントさせていただきました。よろしくお願いします。
○土岐座長 事務局から答えさせていただきます。
○がん・疾病対策推進官 松本先生、貴重な御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、恐らく用いているデータが違うことが一つの原因だと思いまして、事務局で今回用いているもの、三大療法の21ページ目のところ、今、映っているところですけれども、こちらは3ポツ目の院内がん登録における三大療法の年齢別の実施割合を用いていますので、恐らくそういったところから結果の差が出ていると思います。あくまでこのデータを用いた場合の推計というような、先ほど来、いろいろとこのデータの留意点について御意見をいただいているところでございますけれども、こういったデータを示すときに追加で留意点を書くとか、そういったことについて御意見をいただけましたら、報告書や資料にも盛り込んでいきたいと考えております。
○松本構成員 ありがとうございました。
恐らく今回の報告書の中には、厚労省のデータと放射線腫瘍学会のデータと二つ並ぶと思うのですが、そこでの推計の根本が違ってくると、やはり需要のところにも影響してくると感じますので、そのあたりのそごがないようにお願いできたらと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
宇野参考人、追加の御発言はございますか。よろしいでしょうか。
○宇野参考人 放射線治療患者数につきましては、前回の資料でお出ししたのですが、1990年頃から構造調査データを出しておりまして、一貫して、がん罹患者数の25%と30%の間ぐらいの数が放射線治療新患者数になっておりますので、分母と分子の出し方としてはかみ合っていないのかもしれないのですけれども、がんだと診断される人数に対して27~28%で推移してきているということで、単なるポイントのデータではなくて、約30年間ずっとそれぐらいできているということで、その値が出ているというものでございます。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
東構成員、どうぞ。
○東構成員 ありがとうございます。東です。
2点ほど、三大療法の推計について申し上げたいと思います。
1点目は、先ほどから御指摘がありますとおり、推計というのはがん登録を使っているということです。がん登録は、全国がん登録にしろ、院内がん登録にしろ、初回治療ということで、診断直後に計画されて実施されたものが登録対象になっておりますので、そのときに手術とか、放射線とか、そういったことが計画されていないと、初回治療ではないということで、がん登録には登録されないという性質があります。ですので、特に再発に対する治療が抜けてしまうというのが大きな特徴です。ですから、基本的に化学療法と放射線療法は実施全体からすると過小評価をするとお考えいただいたほうがいいと思います。
ただ、今回の推計に関しては、トレンドを見るということなので、少なくとも初回治療のトレンドは見ているだろうということで、一方で放射線腫瘍学会と異なるのは、恐らくそういった再発も入れた推計なのか、そうではない推計なのかということが、実数としては違うということになるかと思います。ですので、実数を見るという点については、非常に注意をしなければいけないデータではあります。
二つ目、手術に関してですが、手術は初回治療で行われることが多いので、捕捉率という意味ではそんなに悪くはないと思います。ただ、この手術というのは、どういう手術をしたのかということが全く反映されないといいますか、手術のありなしだけしか分かりませんので、消化器のがんだったら消化器の手術だろうとか、呼吸器のがんだったら呼吸器の手術だろうということになるわけですけれども、ただ、先ほどの事務局の医師数の推移でありましても、消化器外科の数は減っておりますが、呼吸器とか、乳腺外科は多少ですが増えているところもありますので、そういったところも分けて考えるということは、もしかしたら必要になるのかもしれないと思います。これを分けて考えるためには、先ほどの再発に対する漏れも併せて考えるとすると、やはりレセプトのナショナルデータベースを見るのが一番いいのかと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
佐野構成員、どうぞ。
○佐野構成員 今の東先生の御意見を聞いて、確かに納得したのですけれども、そういう意味では、手術は初回治療として選ばれることが多いかもしれませんが、例えば、今、集学的治療の中で、次々と術前化学療法のほうにシフトしたりしていますので、最初に計画された治療が化学療法で、その後、その結果を見て手術あるいは放射線治療となった場合、化学療法がオーバーに出てくる可能性がある。だから、トレンドを見るときに、今、言われたように、全国がん登録の初回治療のモダリティーを基にするというのは、実はちょっと危険だという感じがしました。ですから、レセプトやそういったものによって、もうちょっと細かい見込みが必要なのではないかと、今から言って申し訳ないのですが、そういう気がいたします。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
事務局から追加発言があるそうです。
○がん・疾病対策推進官 貴重な御意見ありがとうございます。
まさにこういった推計のところは、事務局も具体的な議論を行うために、できる限り具体的な数字を出して議論したほうが分かりやすいと考え、まず案として出させていただいているところでございますが、こういった議論を踏まえて、さらなるブラッシュアップは確かに必要だと考えておりまして、具体的には、今後、厚生労働科学研究という形を想定しておりますが、こういったデータの出し方について、先ほどNDBを用いるというご指摘もあったと思いますけれども、そういったものも用いながら、有識者の先生に御協力いただきながら、より精緻な推計を行った上で、都道府県にも示していきたいと考えております。これはあくまで現時点のものでありまして、今後さらなるブラッシュアップをし続けていきたいと考えているところでございます。
その上で、化学療法に関する定義について、先ほど御質問をいただきました。こちらは事務局で確認いたしまして、定義を読み上げますと、今回、事務局で化学療法と定義したものですが、薬剤による細胞毒性や細胞増殖阻害によって腫瘍の縮小または消失を図る治療を、その投与経路は問わず、化学療法と定義しております。ここには内分泌療法に含まれるものは除かれております。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
茂松構成員、どうぞ。
○茂松構成員 ありがとうございます。
ちょっと気になりましたのは、がん診療の提供体制というと、医師が積極的に治療することについての発言が多いわけですけれども、現実を見ますと、高齢の人が増えてきて、認知症が増えてくる中で、周りを取り巻くコメディカルの人材の確保が非常に重要になるのではないかと思うのですが、そのようなことについてはあまり記載されていないと思っていることが一つです。
それから、合計特殊出生率がどんどん下がってきているということで、若い人たちが本当に減ってきたということと、高齢化で寿命が延びているので、高齢者が予想以上に増えるのではないかということで、内視鏡の手術などがもっと増えてくるのではないかということも想像できるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○土岐座長 コメディカルの育成等の記載については、後ほど全体の議論のほうでやりたいと思います。今はまず需要の話に絞らせていただいておりますけれども、内視鏡治療の動向につきましては、先ほど説明がございましたように、今回の手術療法には入っておりません。これも重要なポイントですので、今後は加えていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○茂松構成員 ありがとうございます。
○土岐座長 やはり院内がん登録を使っているので、初回治療がどうしても中心になってしまうというところで、再発治療が全てカバーできていないのではないかという、それが非常に大きな問題であることは、我々も十分把握しております。ただ、今回、全体の傾向をきちんと把握して、それに対する対応策を取っていくということで、まずは大まかな傾向を把握するのに、院内がん登録は非常に優れたデータでありますので、今回はこれを中心にお話を進めさせていただいているということでございます。今後、修正していきますけれども、現在、事務局から提示した方法に沿って、次の検討を加えていきたいと考えております。
ここで、先ほど癌治療学会、放射線腫瘍学会から、人材育成、専門医、また、放射線につきましては、設備等々、いわゆるインフラの部分のお話もいただきましたが、学会様にこの場を借りて御質問とか、お伺いしたことがある構成員の先生がおられましたら、ぜひ御意見をお願いいたします。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
放射線治療に関して、1点、質問させていただければと思います。放射線療法については、全体としては集約化せざるを得ない方向性だと理解しましたが、一方で、患者の立場からしますと、平日に放射線療法に相当数通わなければいけないということで、集約化されると、患者のアクセスは非常に負担が大きくなる分野だと考えております。これについて、集約化された場合、患者の負担を治療上の方策等で軽減する方法はあるのか。例えば放射線治療機器、従来のリニアックと比較して、千葉大病院などにありますMRリニアック等を使用すれば、前立腺がんでも40回程度必要なところが2回程度の照射で可能性になってきます。患者さんが集約化された場合の負担の軽減にもつながる面があるかと思うのですが、そういったことについて御示唆をいただければと感じました。
以上です。
○宇野参考人 ありがとうございます。宇野がお答えします。
集約化によって患者の受診機会を失ってしまうことは、大変な問題になるということで、これに対しましては、既に幾つかの取組を行っている地域などもございます。
例えば緩和的放射線治療であれば、従来、骨転移に対して10回の照射を行っていたようなものが、現在では効果も副作用も同じということで、単回照射、1回のみの照射ということがかなり広まってきました。これはコロナ禍もあって、同じ効果であれば、照射回数が少ないほうが、病院を受診する回数が少ないほうがいいという流れが幾つかの疾患においても行われるようになってきましたので、そういう傾向にあります。したがいまして、初回に受診して、そのまま放射線治療を行って帰っていただくという取組が今後増えるものと思っております。
また、根治的治療におきましても、例えば私どもと同じようなMRリニアを導入した東北大学においては、気仙沼地域に常勤がいないので、非常勤が週1回来ておるのですが、そのときにやはり40回通うのはちょっと無理だけれども、1日仙台に行って治療するのであれば、何とかしますということで、東北大学は土曜日照射の2回照射、前立せんがんの根治的放射線治療を2回で終わらすということを行うようになっています。
これはもちろん臨床試験で我々も行っておりまして、ある程度先が見えてきているところでございまして、そのような形で照射回数を減らすことで、遠くの地域にお住まいの方でも少ない回数で終わるとなると受診できるのではないか、そういったことで対応するようになってきています。
以上です。
○天野構成員 ありがとうございます。
そういった取組について、取りまとめ案にも具体例として記載いただけるとありがたいと思いました。
以上です。
○土岐座長 続きまして、岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
消化器外科医の減少というのは、この地域でも非常に深刻な問題で、今日お聞きした学会等で若手医師を増やす取組は、非常にすばらしいと思いました。
一方で、構成比率の高い50歳、あるいは60歳以上の消化器外科医、人数は今いるということですが、今後、臨床現場から離れるということですけれども、これは基本的にオペ室から離れるということだと思うのですが、もともと化学療法も担当されたと思うのですけれども、こういう先生方にいわゆるセカンドキャリアとして薬物療法を担っていただく、あるいは薬物療法専門医を取得していただくという方向でもし何かお考えがあれば、教えていただきたいと思います。
薬物療法の患者数は増加しますけれども、その担い手が不足している可能性もありますし、あるいはこういう外科医の方に薬物療法をやっていただければ、現役のオペをやっている外科医の負担軽減にもなって、そうすることで若手医師がさらに増えるということに結びつくと思うので、いわゆる50~60歳代の方のいわゆるセカンドキャリアとしての薬物療法への道のお考えがあるかどうか、少しお聞きできればと思います。お願いします。
○調参考人 ありがとうございます。調でございます。
非常にすばらしい御意見だと思います。例えば術後管理などをセカンドキャリアとしてやっていただくと非常に助かるということで、こういったところにも積極的に取り組んでいく必要があろうかと思います。今、1980年から1990年ぐらいに外科医になられた方の数が多く、大きな山があるわけですけれども、その方々がこの5年間ぐらいで退官されていくわけですので、そういったところに関しても、何らかの手助けをしていただくような形はぜひ考えていきたいと思います。非常に貴重な御意見だと思います。
薬物療法専門医となりますと、私どもの領域だけでは何ともなりませんので、実際に消化器外科としても、手術に特化すれば、かなり必要人員が減るのではないかという気はいたしますけれども、現状として、我々だけでは何ともならない部分がございます。関連の学会等とも少し話をしながら、考えていきたいと思っております。貴重な御意見ありがとうございます。
○岡構成員 ありがとうございます。
薬物療法だけではなくて、今、先生がおっしゃったように、病院総合医も含めて御検討いただければと思います。
○調参考人 そういう意味では、ジェネラリストというところもありますので、非常に貴重な存在になるのではないかと、私自身も考えております。ありがとうございます。
○土岐座長 引き続きまして、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。国立成育医療研究センターの松本です。
私、前回もお話しさせていただいたのですけれども、小児の放射線治療に関して少しお話しさせていただければと思います。今、私どもは小児がん拠点病院ではあるのですけれども、それでもやはり機器の更新はすごく難しくなっています。近隣の病院に送ればいいのかとなると、その病院に送るには、小さい子の場合ですと、麻酔をかけなければいけないとか、そういった問題が出てきます。ですので、集約化というのは非常に大事なのですけれども、そういうことも少し考えていただければと思います。
もう一点は、放射線機器の話がすごく多くなってはいるのですけれども、内照射という問題もあると思っています。先頃、小児がんの一つであります神経芽腫に対して、MIBGの大量療法が保険適用になりました。ただ、保険適用になったのですが、結局できるのは、現状、日本の中で金沢大学など数施設しかないのです。子供を隔離するような部屋がないということで問題になっているのですけれども、そうすると、やはり治療の待ち時間がとても長くなってしまう。ニッチなところではありますけれども、機器だけではなくて、ファシリティーの問題も少し考えていただければと思ったので、発言させていただきました。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
宇野先生、よろしいですか。
○宇野参考人 内照射に関しましては、小児に限らず、今後、前立腺の適用などが通りますと、どう大量の患者さんを受け入れるかということで、核医学会と共にいろいろなことを思案しているところでございます。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
それでは、2学会の参考人の先生方、どうもありがとうございました。
引き続いて、全体でのディスカッションに移りたいと思います。
今回、資料4、議論の整理(案)としてお示ししている資料がございます。そして、資料5、具体的な医療行為例(案)が上がっております。これら全般に関しまして、構成員の先生から広く御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方は挙手をお願いします。藤構成員、どうぞ。
○藤構成員 ありがとうございます。
がんの生存率を上げるとか、合併症率を下げるということ自体は、国民全体が望むところでしょうから、今、お話になられた集約化という方向性自身は、全く問題ないと思っています。2040年の医師の数なども含めて、その方向性でいかないといけないという認識は、皆新たにしているのだろうと思います。
その上で、がん診療連携拠点病院、以下、がん拠点と言わせてもらいますけれども、私は現実に診療に関わってもまいりましたし、がん拠点の整備指針の改定とか、拠点の指定の検討会とか、評価指標をつくる厚労科研の研究班などに関わっておりますので、そういう立場からお願いを申し上げたいと思います。
まず資料4、4の今後の方向性、5の都道府県協議会での均てん化・集約化の検討についての辺りです。都道府県がん診療連携拠点病院が協議会の事務局をするということが書いてあります。既に令和4年に出た整備指針にも事務局をするということが書いてありまして、それプラス全てのがん拠点病院、地域がん診療連携拠点病院も入れて、主体的な参画を求めて協議会を運営するということが書かれております。その中にもやはりがんの集約化ということは、はっきりした言葉はないにせよ、例えば希少がんとか、難治がんなどはどこでやるのかということは、県の中で議論をして、役割分担を明確にして発表しなさいということも書いてあります。
したがいまして、今回の集約化の方向というのは、ある意味既に進んできていたことではありますが、今回は指針ではございませんけれども、整理の案の中に書いてありますのは、やはり集約化と均てん化が望ましい医療の具体について整理していくこと、それから、均てん化・集約化を議論して役割分担を明確にすること、それから、がん医療圏の見直しとか、病院の機能再編などによる拠点病院等の整備に関する協議もして、それを都道府県に提出することなどという言葉がありまして、拠点病院の側から言いますと、これは都道府県拠点だけではありませんし、地域拠点とか、全部に関わってまいりますので、これは相当なビッグイベントといいますか、今まで考えていた以上に相当ハードルが高くなったと感じると思います。
理想を求めていくことは当然大切なことですけれども、現在の拠点病院の在り方を考えていきますと、なかなかその持続可能性、言葉で言えば簡単なのですが、実際に拠点病院に手を挙げられない施設もあると聞いておりますし、これをただぽんと出すだけで、集約化は整備指針に書いてあるから進めなければ駄目だ、成績がいいのだから集約化は当たり前だろうという立場だけでは成り立たないのではないかと危惧します。
国としてのサポートで一番大きかったのは、地域事業強化費を上げる、上げるとは書いてありませんが、その支援ということも書いてありまして、そのほかにも情報を共有していたり、好事例を共有していたりということも書いてありますけれども、そのあたりをもっと具体的に各拠点病院側に、もしくは各都道府県側にも示してあげないと、拠点病院側、都道府県側は相当苦労するし、実際に進むことが絵に描いた餅で終わってしまうのではないかと私自身は危惧いたします。拠点病院側は今までも相当頑張ってきておりますので、これ以上どうするのかということのサポートをもっと国としてもしないといけないのではないか、これはお願いみたいなことですけれども、言わせていただく必要があると思っております。
それから、均てん化についてです。今回の議論では集約化ということがありましたけれども、均てん化のグラフ、ピラミッドのグラフの中の一番下のところで、ボトムアップ等をしないといけないということで、地域の診療所や病院と対象を拡大してあることはすばらしいことだと思います。これが本当の意味での均てん化に向けての動きだと思いますが、ここにおきましても、これをするのはがん診療連携拠点病院の役割だということをぽんと打ち上げてしまうと、それはまた先ほどと同じことで、持続可能性のことで拠点病院としてはパニックになるのが目に見えておりますので、拠点病院はもちろんやるとして、拠点病院以外で均てん化を進めていくためにはどうすればいいのかということの国の指針を明確に示していく必要があると思っております。
最後ですが、集約化と均てん化を実現していくためには、国による明確な情報発信が大前提になるのと思います。集約化したほうが成績がいいということを国民に知らせる、これは学会の仕事でもあるかと思いますが、そういうことを知らせながら、でも、やはりアクセスの問題を考えながらということも当然書いてありますし、これはがんだけの問題ではないので、簡単でないことは分かっておりますが、このことも考えた上で、国民に対して適切な情報発信をしていくということの明確な指針というか、体制を示していただく必要があると思っております。
以上、お願いベースでありますが、ぜひ考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐座長 非常に大事な3点を御指摘いただきましたけれども、事務局から現時点で答えられる範囲でございますけれども、答えさせていただきたいと思います。
○がん・疾病対策推進官 御質問ありがとうございます。
先ほど茂松先生からコメディカルの方の人材確保の記載について御意見をいただいたところでございます。そちらから先に御回答させていただきますが、報告書の15ページになります。一番下のところですが、「2040年に向けて、更なる生産年齢人口の減少に伴い、医師や看護師、薬剤師等の医療従事者の確保が更に困難となることが見込まれる。持続可能ながん医療提供体制の構築のためには、医療DX等による業務効率化、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組が重要である」と記載させていただいております。御指摘のとおり、医師と違って具体的な数字を示しているわけではございませんが、当然医師以外のところにつきましても、このような取組が必要だということは記載させていただいております。
また、先ほどの内視鏡の検討につきましては、引き続きデータをお示しする中で、具体的には厚生労働科学研究の中でデータをどう出すかということを検討していきたいと思いますし、また、内視鏡だけでなくて、今、同じ手術といっても、がん種ごとに大きく違ったりしますので、がん種ごとの三大療法の需要についてもデータをつくれないか、そういった観点でも検討していきたいと考えております。
続きまして、今、藤先生から御指摘をいただいたところでございます。国としましても、この指針だけを出して何もしないということではございません。当然都道府県拠点病院さんに非常に負荷のかかることだと理解しておりますが、今回、新たに都道府県の協議会の事務局として、病院だけではなくて、都道府県も位置づけるということを明確化しておりますので、都道府県とも協力しながらやっていただきたいということであります。
繰り返しですが、国として、協議会でもすぐに使えるような集約化・均てん化に係るデータを示すことで、円滑な議論ができるように、負担があまりかからないようにということも考えておりますし、さらには前回、沖縄県の取組を御紹介させていただきました。今後、国としましても、データの提供だけではなくて、各地域における好事例のフォローアップをしていきますので、フォローアップの中で見えてきた好事例について、こういった検討会の場などにおいて共有していきたいと思います。恐らく沖縄県のようなところと都市部ではまた事情が違うと思いますので、できれば各地域の事情に合った好事例を提供していければと思っております。
また、さらなる均てん化に関しまして、拠点病院以外でどのように行うか。こちらは宿題をいただいたと思いましたので、今回の検討会では詳細な議論はできておりませんけれども、今後の検討課題として考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○土岐座長 引き続きまして、天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
先ほどの藤構成員の御指摘に関連して、私からも1点申し述べます。がん診療連携協議会についてですけれども、私に見えている範囲ではありますが、相当程度積極的にがん診療連携協議会を開催している都道府県もあれば、逆に形骸化していて、ほとんど機能していない診療連携協議会もあると承知しております。先ほど藤構成員からもありましたが、都道府県拠点病院の負担、事務局としての負担が極めて大きいということが大きな問題としてあります。
先ほど事務局から、今回は行政も事務局に参画するようにしたという御説明がありましたが、記載ぶりを見ますと、事務局に参画して連携して関わるということで、あくまで主体的になっているのは都道府県がん診療連携拠点病院だということですが、私が存じ上げている範囲ですと、ただ参加しているだけとか、ただオブザーバーとして出ているだけという都道府県もあって、そういった関わり方をされてしまうと、都道府県がん診療連携拠点病院だけ負担が過重になってしまって、先ほど藤構成員からもあったように機能しないということがありますので、書きぶりとして、ここは都道府県も主体的に関わるということに格上げしていただかないと、なかなか機能しないのではないかということがありますし、また、地域の拠点病院や患者団体等の参画についても、意見を聞くだけであるとか、そういった関わり方にしているような都道府県もありますので、ここも積極的な参画にするとか、書きぶりを考えていただきたいというのが、先ほど藤構成員の指摘に関連しての指摘でございます。
そのほか、私から3点指摘させていただきます。
まず1点目、13ページで支持療法についてです。支持療法については非常にざっくりとした記載ぶりになっていて、おおむね均てん化をするという方向になっていると承知していますが、ただ、患者の立場からしますと、支持療法は非常に重要でして、例えば第4期のがん対策推進基本計画においては、リンパ浮腫外来であるとか、ストーマ外来については、それぞれ設置割合が書かれていて、その均てん化を施行するという趣旨の説明になっていたかと思いますので、特に支持療法の中でも、リンパ浮腫外来であるとか、ストーマ外来といったものについては、併せて均てん化を施行するのだということは明記していただきたいと思います。
2点目、14ページ、がん患者が安全で質の高い患者本位の医療を適切な時期に受療できるように努めることということで、診療実績の発信はあくまで努力義務になっているかと思います。これはもちろん簡単なことではないですし、院内がん登録等の活用が絡むので、国からの技術的な支援が不可欠であるのは明らかではありますが、ただ、私の観測からしますと「努めること」とすると、負担が大きいことなので、恐らくほとんどの都道府県がやらないということになる可能性があると考えます。集約化する以上は、患者がどの医療機関を受診すればいいのかという情報は、まさに一丁目一番地的な情報提供ですので、これが都道府県で行われないとなると、患者はどこに行っていいか分からないということになってしまって、集約化はされて、しかも、患者は難民になってしまうことになりかねないので、この部分については「努めること」ではなく、より強調した書きぶりに変えていただきたいと考えます。
最後3点目、15ページにいわゆる集約化に伴うアクセスについての記載があります。記載の中では「アクセスの確保について十分に留意しながら」と書いていただいていますが、ここももう少し記載ぶりを考えていただきたいと考えます。
と申しますのは、私たちが所属する全国がん患者団体連合会から、特に今回の集約化に関して、患者のアクセスはどうなるのかという意見が多数寄せられていまして、同様の意見は医療者からもいただいているような状況です。もちろんこれは容易ではないということは承知しておりますが、ただ、この書きぶりですと、患者サイドとしましては、非常に不安が大きいというお声を地方の患者団体等から多数いただいている状況ですので、アクセスの確保について何らかの検討をしっかり行うということについて、書きぶりを変えていただきたいと考えます。
私からは以上です。
○土岐座長 3点承りました。天野構成員がおっしゃることは明確に分かりましたので、また事務局で検討させていただきます。
間野構成員、どうぞ。
○間野構成員 なかなか難しい議論も含んでおりますけれども、日本の将来的な医療従事者や診断・治療装置の推移を考えた上での近未来の医療の集約化に踏み込んだ重要な提言だと理解しました。
今後の最適な日本の医療体制を検討する際に少し考えていただきたいのですけれども、一つは、先ほどの天野構成員の質問にも少し関わりますが、例えば県とか、市といった行政区画単位だけではなくて、それを取っ払った上で、人口分布に応じて医療提供体制をそれぞれどういうところに置くのが最も効率がいいのかという、科学的な研究が必要なのではないかと考えました。
それから、今後、日本人は急速に高齢化が進むわけで、高齢者のがん医療のほうがむしろ主流になってくる時代が遅かれ早かれ訪れると思います。様々な合併症がある状態で、高齢者の臓器機能に応じた新しい標準治療の確立に向けた臨床研究もこれから重要になってくると思いますし、それは医療体制の提供と非常にリンクしてくると思います。
以上のような検討がこれからも必要だと思いましたので、幾つかに関しては、記載に入れてもいいと思いました。
以上です。
○土岐座長 事務局からよろしいですか。
○がん・疾病対策推進官 大変重要な御指摘ありがとうございます。
天野先生からは書きぶりのところでありましたので、そちらにつきましては、いずれもどのような記載ができるかということを、改めて次回の検討会までに案をつくりまして、また調整させていただきたいと思います。
間野先生からいただきました大きな視点といいますか、新しい視点を踏まえて、議論を深めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
続きまして、橋本構成員、どうぞ。
○橋本構成員 日本看護協会の橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
コメディカルのことにつきましては、先ほど茂松先生にも御意見をいただいたところでございます。
そして、15ページから16ページのところに、2040年に向けて新たな医療提供体制の確保のためにはということで記載があることはお伺いしたところではございますけれども、これから持続可能ながん医療提供体制としていくためには、医師以外も含めた医療従事者が非常に重要になってくると考えております。
そして、生産年齢人口が減っていく中で、医療従事者の数も減ってくるということは、看護職の数についても大幅に減ってくる。現在でも足りないのですけれども、減ってくると言われておりますので、ここはがん医療を担う人材の量的確保と併せて、限られた人的資源の中で、効率的に患者や家族に安心・安全で質の高いがん医療や看護を提供できるかという視点が非常に重要だと思っております。
そのために、例えば15ページから16ページのところに、拠点病院等を中心とした人材の育成への積極的な取組とお書きいただいておりますけれども、ここは人材の育成だけに限らず、さらに地域における活用が必要だと思います。恐らくここで言ってらっしゃる人材というのは、がんについて専門的な知識を持った、あるいはいろいろな経験を持った医療従事者ということでございますので、さらなる均てん化ということも含めましても、そういった方たちがこれからより地域で活躍できるようにといった視点をぜひ入れていただければと思います。
その際に、拠点病院だけに大変なハードルが課されないように、ここは国や都道府県にも御支援いただきまして、人材育成などにインセンティブをつけていただくなど、ぜひお願いできればと思っております。
もう一点ですけれども、持続可能ながん医療提供体制の三角のピラミッドの図ですが、患者様は、どこか1点だけではなくて、恐らくつながって治療を受けていくと思います。そうすると、よりつなぐ機能というものが重要になってくると思いますので、病院間の連携や退院・転院調整を行う部門、こういったところにおいてもがん医療に専門的な知識を持った人材が求められると思っておりますので、このような視点からも、専門性の高い人材の育成といったところを強化していただければと思っているところでございます。
以上でございます。意見でございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
地域での看護師等の御活用、それから、病院連携の話です。事務局からよろしいですか。
○がん・疾病対策推進官 貴重な御意見ありがとうございます。
16ページのところの書きぶりについては、また検討させていただきたいのと、各階層、今回三つ示しておりますけれども、その間の連携につきましては、15ページの下から三つ目のパラグラフになりますが、身近な診療所・病院、また、集約化の検討が必要な医療を提供する医療機関、訪問看護ステーション等々との地域連携の強化がより重要と記載させていただいているところでございます。
○橋本構成員 ありがとうございます。
そこをもう少し詳しく書いていただきたいのと、先ほど外来が重要であるというお話もありましたので、外来機能の強化という内容もぜひ入れていただけるとありがたいと思いました。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
時間もございますので、対応については、後日、事務局からお返事させていただきます。本日はお一人でも多くの方から御意見を頂戴したいので、引き続き構成員からの御意見を受けていきたいと思います。
東構成員、どうぞ。
○東構成員 よろしくお願いします。2点あります。
1点目は、15ページ目の記載で、4)の上のところに、当該都道府県における医療計画の改定であるとか、医療圏の見直しや病院機能再編と言葉が出てくるのですが、これは地域医療構想の言葉ではないかと思います。地域医療構想についても、調整会議等で病院がどういうふうに医療機能を分けていくのかということを話し合っていると思いますので、その連携も割と必要になるのではないかと考えます。がんに特化したものとそうではない一般的なところでは、少し違いはあるかと思うのですが、やっていることは基本的には同じことだと思いますので、その連携を取るようなことをこの報告書の中で何か指定していただいてやっていくと、連携して効率的に進められるのではないかと思います。
もう一点なのですけれども、14ページの3)の上のところに、複数の都道府県で協力して提供する医療といった記述がありますが、これは都道府県協議会にとってみたら難しい話ではないかと思います。都道府県の中だけでも調整するのが難しいのに、都道府県間までいくと、誰かがやはり責任を持って音頭を取らないと、恐らくかなり難しい話ではないかと思いますので、都道府県がそういった必要性を感じ取ってイニシアチブを取ってもらうということなど、都道府県協議会の事務局に限らない方式ということを何か考えていただけるとありがたいと思いました。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。了解しました。また反映させていきたいと思います。
続きまして、岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 ありがとうございます。
今の御意見ともちょっと重なるのですけれども、2040年に向けて考えたとき、やはり地域格差はかなり広がるということで、14ページにもがん医療圏の見直しということがあるのですが、新たな地域医療構想でも、今後、20万人未満の地域とか、あるいは100万人を超える地域で二次医療圏を見直すという話が出ております。先ほどのアクセスの話も含めて多分見直していくことになると思うのですけれども、多くのところでがん医療圏と二次医療圏は重なっていると思うのですが、今後、二次医療圏が見直された場合、がん医療圏をどのように整合性を持って見直すのか、あるいはそこをどう連携させるのかということをお聞きしたいです。
もう一つは、13ページのさらなる均てん化のところで、今後増加することが推測される高齢の患者に対しては、望んだ場所で適切な治療ということで、今後こういう方が増えたときに、やはりACPということが非常に重要になってくると思います。残念ながら、まだACPが普及しているとは思えないので、もちろんACPというのは、がんの領域だけではございませんが、がんの領域のところでACPの普及の先頭に立っていただいて進めるとか、検討するという文言を入れていただくと助かると思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。検討させていただきます。
村松構成員、どうぞ。
○村松構成員 ありがとうございます。村松です。
3点申し上げます。
1点目は、東先生と同じ意見です。地域医療構想との整合を取るということを書き込んでいただければと思いました。
2点目なのですが、地域医療構想に関連して、どのような医療提供体制が望ましいかという研究も必要だと思うのですが、地域差が大きいですので、同じ方法で全国を満たしていくということは不可能でございます。したがって、地域でどのように議論をしていくのかというところまでを含めて検討されるべきだと思います。
3点目は、14ページ付近に、都道府県の協議会がデータ分析をするべしと書かれていますが、データを分析しても、協議会の構成員ですとか、都道府県民にどのように周知を図っていくのか、理解してもらうのかという点が非常に重要だと思います。地域医療構想でもたくさんデータは出てきますが、調整会議の構成員でもどの程度理解しているかというのはばらつきがあると思います。
したがって、データ分析の技術的助言のみにならず、きちんとした理解を促進させるということが重要だと考えます。
以上、3点です。
○土岐座長 ありがとうございます。事務局で控えさせていただきます。
続きまして、家保構成員、どうぞ。
○家保構成員 ありがとうございます。全国衛生部長会長の家保です。
先ほどから都道府県に対していろいろと御意見いただきまして、都道府県としましても、都道府県がん診療連携拠点病院が設置する都道府県協議会にも積極的に関与していかないといけないのは十分理解しております。ただ、臨床的な分野については、行政当局としては分からないこともありますので、やはり連携を推進していただくのは拠点病院の協議会が主であると思っております。
先ほどから話が出ておりました都道府県の地域格差は非常に大きくなっています。私のいる高知県では、都道府県以外の地域がん診療連携拠点病院は2病院しかありませんので、都道府県がん診療連携拠点病院と地域がん診療連携拠点病院等とは比較的連携が取れるのですけれども、都市型、例えば福岡県では、都道府県がん診療連携拠点病院が2か所、地域がん診療連携拠点病院が17か所あります。それらの病院群の間でどのようにここで書いているように連携を取って、新たな連携像をつくり上げていくのかというのは、かなり難しい課題があると思いますので、そういう部分については、国から一定のパターン分けを示すなど、方向性をある程度示していただけるとありがたいと思っています。
地域医療構想、医療計画等では、がんは非常に大きなテーマです。都道府県としても積極的にきちっと関与して、都道府県民の皆さん方にそういうところの周知や、情報を提供して、選んでいただけるような形をしたいと思っております。
ただ、天野構成員がおっしゃったように、地方では、集約化はアクセスの問題がどうしても出てまいります。この検討会ではないですけれども、妊産婦の支援などについても産科の集約化のところでもアクセスという問題が出てまいりました。これを社会全体としてどういうふうに捉えていくのかというのは、そろそろ考えないといけない時期になっていると思っていますので、ぜひとも国でもそういう点について関心を持っていただきたいと思います。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。意見を控えさせていただきました。
続きまして、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。
私からは3点ございます。
まず最初に、9ページ、10ページの辺りの3番、薬物療法についてでございます。薬物療法に関しては、薬物療法専門医のことがメインで書いてありますけれども、薬物療法専門以外に、例えば小児がんの場合ですと、日本小児血液・がん学会による小児血液・がん専門医がございまして、そちらで化学療法をしっかり施行できるような専門医の育成は進んでいます。
このパラグラフの中では、どうしても消化器外科の話がメインになっているようで、例えば10ページのところですが、「しかしながら、消化器外科医の減少に鑑みると、現状の薬物療法の提供体制を今後も維持するには、薬物療法を提供できる医師の確保が重要となる」というロジックに何となく違和感がございますので、ここのところを少し書き直していただきたいです。
また、がん患者が定期的に通院する必要もあるということも、外来だけではないと思います。入院のこともありますので、10ページのところは少し検討が必要だと思いました。
もう一つは、資料5の表に関してでございます。薬物療法に関して、小児がんに対する薬物療法ですが、今回、この話は主に成人がんについてですので、小児がんに関して記載をしていただいたのは非常にありがたいと思うのですが、小児がんに対する薬物療法に関しましても、集約化すべき疾患と均てん化すべき疾患がございます。
そうなると、小児がんに対する薬物療法が一番集約化しなければならない、一番上のカラムにだけしかないと、小児がん拠点病院だけで集約化をしなさいというメッセージに取られてしまいます。
そうではなくて、疾患によって拠点病院に集めるべきもの、均てん化して拠点病院と連携病院でやっていくべきものと分けて書いたほうがいいので、ここを一元的に書くことに関しては、少し御注意をいただければと思います。
最後に、その他の医療のところで、サバイバーの長期フォローアップがございます。これは小児がんに限らずということだと思いますが、高リスクのがんのサバイバーの長期フォローアップというのは、都道府県なり何なりである程度集約化したほうがいいのではないかと考えています。
また、低リスクのサバイバーの長期フォローアップに関しては、一番下の均てん化でボトムアップすることは非常に大事だと思いますが、高リスクに関しては、もう少し上に上げてもいいと感じましたので、そのあたりをまたよろしくお願いいたします。
以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。こちらで検討させていただきたいと思います。
茂松構成員、どうぞ。
○茂松構成員 ありがとうございます。
2040年の地域医療構想の中では、医療機関機能が新しく出ております。その中に専門等機能というのがありますから、恐らく拠点病院の機能については、そのような機能が発揮されてくるのではないかと思いますので、ここの書きぶりでは、地域医療構想とのつながりが少し分からないということがあります。
また、15ページの下から三段落目、二段落目辺りを見ますと、地域包括ケアの感じもありますので、専門医・かかりつけ医・患者さん間のオンライン診療の必要性を書きぶりに少し入れていただくほうがいいと思っております。
今、地域ではかかりつけ医機能報告制度が4月から始まっておりますが、そこでかかりつけ医機能を面で捉えることになっておりますので、そういうものを活用していただければいいと思っております。
常に患者さんがアクセスしやすいようにかかりつけ医機能があると思っておりますので、その観点からの確認もよろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
構成員の皆様の御意見は事務局で控えまして、後日、お答えさせていただきます。
ざっと見ますと、都道府県協議会に具体的な指導をしないとかなり難しい事案になるのではないか、都道府県がどのように参画をしていくのか、また、医療圏の見直しとか、病院統合などになりますと、地域医療構想とも関わってくる問題であります。
その他には、診療所等の参画をどうやって協議会が支持していくのか、または高齢者、そして、医療アクセスの問題等々、どちらかといいますと、今日の会議では、問題提起と現状把握まではほぼコンセンサスが得られたのですけれども、これをどのように地方で実施していくかというところに、構成員の皆様が大きな不安と期待を抱いておられることを痛感した次第でございます。
次回の検討会までには、このあたりまでの意見をまとめていきたいと考えております。
それでは、ここらで事務局に進行をお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○がん・疾病対策推進官 土岐先生、ありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、本日は、長時間にわたり様々な貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
次回の本検討会の日程につきましては、改めて事務局より構成員の皆様方に御連絡を差し上げます。
これをもちまして、本日の検討会は終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。
照会先
健康・生活衛生局がん・疾病対策課
代表 03-5253-1111(内線4605)