- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 医政局が実施する検討会等 >
- 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会 >
- 第25回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会
第25回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会
日時
令和7年6月10日(火)9:30~11:30
場所
オンライン
議事
○松本医療安全推進・医務指導室長 定刻になりましたので、ただいまから第25回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日、ヒアリングに御協力いただく先生方、ありがとうございます。
私は、事務局の医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局ですが、本日、審議官の森は公務により欠席、地域医療計画課長の中田は公務のため遅れての参加、また、途中で退出をいたします。
オブザーバーとして文部科学省の医学教育課も参加をしておりますが、日比課長は、遅れての参加と伺っております。
ここで、前回と同様に代理出席のお諮りをしたいと思います。日本病院会の泉構成員が御欠席で、代理出席の御希望がございました。検討会の開催要綱の「3.構成員」において「団体を代表して参加している構成員が、やむを得ず欠席し、代理出席を希望する場合には、事前に医政局地域医療計画課を通じて座長の了解を得た上で、当日の会合において承諾を得ることにより、参考人として参加することができる。」とされております。事前に松田座長に、岡参考人の代理出席の了解を得ておりますので、ここで皆様に御了承をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
御了承いただきましたので、岡参考人に御出席をいただくことといたします。
お配りしている資料は、画面にございます資料一覧のとおりでございます。
こちらに参考資料2までございます。
ホームページに掲載されておりますので、御覧いただければと思います。
また、本日は、フルオンラインの開催でございますので、御発言がある場合には、挙手機能を使ってください。場合によっては、事務局から補佐して御指名をさせていただきますので、その後、御発言をいただければと思います。記録のため、最初にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
それでは、以降、松田座長に進行をお願いできますでしょうか。
○松田座長 松田でございます。
それでは、議事1「特定機能病院における医療安全の取組について」に入りたいと思います。
前回の議論におきまして、管理者が行うモニタリング項目に関する事項、それから監査委員会が行う監査項目など、見直しの方向性について、おおむね合意されたと認識しております。
今回、具体的な項目につきまして、議論を行うこととしています。前回と同様、厚労科研の代表者であります、自治医科大学学長の永井良三先生にお越しいただいておりますので、永井先生から御説明いただき、引き続き、事務局から対応案の説明をお願いしたいと思います。
では、永井先生、よろしくお願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 永井先生、最初に、少しだけ前回の復習をさせていただき、その後、永井先生にお願いしたいと思います。
資料1-1を御覧ください。これまでの議論のおさらいでございます。4ページでございますが、今まで4項目、モニタリング関係者、特に医療安全管理責任者(副院長)、監査委員会について、永井班で調査をいただいております。事故調については、特定機能だけのものではありませんので、今回割愛をしております。
その中で、モニタリング項目に関しまして、前回、こちらは6ページの左下でございますが、A項目、B項目、C項目と重大性と回避可能性を勘案して、7ページでございますが、前例で把握をして1例ずつ検証を求めるA類型の項目、それから、2つ目の○、B類型、全例を把握するが、毎回振り返るわけではなくて、疑義があるところまでたまったら振り返り、検証を行うという2項目をつくってはどうかということを、おおむね合意をしていただきました。
こちらは、今回、2月から今までの間、永井班で、この項目のリストアップを行っていただきましたので、永井先生に研究班を代表して御説明をいただく形にさせていただきました。
それでは、永井先生、お願いいたします。
○永井氏 ありがとうございます。
それでは、今、お話がありましたように、前回この検討会で、医療安全管理部門で把握すべき事象。経緯、患者への影響度と回避可能性によってAからCの3類型に分けてはどうかと。特にA類型、B類型については、全ての特定機能病院に共通の事象のリストを設けると、例を挙げて対応をしようと、そして、これらについては、医療安全管理部門へ全例報告を求めることとしてはどうかということ。
特にA類型は、全例を検証するという点が大事です。
B類型は、医療安全管理委員会で動向、傾向を把握した上で、疑義のある場合は検証すると、こんな分類で例を挙げて対応できるように、説明できるようにしようということでございます。そのためのリスト案を作成いたしました。
もう一度おさらいですが、A類型というのは、患者さんへの影響度が非常に大きいということ。かつ、確実に回避する手段がある程度普及しているという事象をA類型、ネバー・イベントと言っているものです。
B類型は、影響度が大きいのですけれども、回避可能性については、事例によって異なるということ。このAとBが重要であるということ。Cは、影響度が比較的小さいもの。
Aというのが、結局ネバー・イベント、よく左右の取り違いとか、患者さん取り違いとか、輸血のタイプミスとか、そういうのは昔から言われていましたけれども、これをもう一度整理しようということ。
それから、Bは、それ以外の重大な事象ですけれども、ただ、この例をどこから持ってくるかということで、幾つか文献的なものあるいは実際に報告したデータがございます。
その代表が①の下に書いてあるBMJですね、これは2023年の文献です。
そのほか、諸外国のネバー・イベント・フレームワークというのがありまして、NHS EnglandあるいはNational Quality Forumとか、The Joint Commission、Sentinel Event Policyと、こういういろいろなものがございます。
それに加えて、我が国の複数の特定機能病院に関連する報告基準、モニタリング、こういうものを参考にして、研究班のほうでリストアップして137例、これは参考資料1-1にリストが掲げられています。
まず、137例をピックアップして、それを全部、今回の対応例とするというのは、少し難しいところがございます。
そこで選別をいたしました。例えば、左に66例除外していますけれども、これは定義が曖昧である、重複する事象である、非常に各論的、専門性が高い話であると、こういうところは、まずは除外して、66例除きました。
そのほかにも、右に38例、感染に関する事象、院内犯罪、患者さんの問題行動あるいは文化的な背景のある医療行為、こういうところは取りあえず除いて、残ったのが33例です。
33例のうち、Aにするか、Bにするかというところを議論いたしました。
ちなみに、先ほどの66例、38例をなぜ除いたかというのは、参考資料の1-1に説明がございます。
33例対応するということにしたのですが、そのうちAに該当するだろうというのが17例、これは参考資料1-3にその辺りの議論の経過がまとめてあります。
最終的に取りまとめたのが、12例、参考資料1-5の下は見えていますでしょうか。17例ピックアップして、12例を最終的に対応しようということでございます。左の一番下です、12例。この辺りの取りまとめのデータは、参考資料1-5にございます。これがA類型であります。
B類型については、やはり17例ピックアップしました。33で、17、17で、少し変に思われるかもしれませんが、議論の考え方によってAでもBでもいいというのも少しありましたので、取りあえずA17、B17にしては、Aは17から12に絞ったと。
それで、Aが侵襲的手技に関連する事象、Bについてもそうですけれども、17のうち侵襲的手技に関連する事象ということで、Aから12、Bから12ということで、最終的に取りまとめを行って、各事象の定義あるいはいろいろな限定条件等についても議論しております。
そういうことで、137の事象の候補がありましたけれども、最終的に、まず、特定機能病院に求めるものとしては、A類型12、B類型12ということでいかがかという提案でございます。
具体的な例は、事務局から提示いただけますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 こちらがA類型でございます。
○永井氏 ここに①から⑫です。これが特にネバー・イベントとして、まず、この辺りから動きを取ったらどうかということで提案させていただきたいということでございます。
Bについてございますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 こちらがB類型でございます。
○永井氏 これも1から12のところです。
私からは以上でございます。これに対応してどうするかは、事務局からお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 永井先生、ありがとうございました。
こちらは、永井班に御提案をまとめていただきました、A類型、B類型でございますが、対応に関しては、事務局から御提案をさせていただきます。
A類型については、全例医療安全管理部門への報告を求めまして、全例で振り返りを院内で行っていただき、必要な対策を講じていただくこと。
それから、検査結果については記録をいただくこと、これは資料1-1の14ページでございますが、12項目の下に効率的にするために、特定機能病院でリストの共有等を行っていただくことをお願いしたいと考えております。
B類型につきましては、先ほど永井先生からもございましたように、全例を毎回検証するわけではなく、これは特定の診療科でたまっているとか、あまりにも最近多いということがあれば、もしくは10例たまったら検証をいただくものだと考えておりますので、B類型の事象が発生した場合の対応として発生の傾向を把握し、疑義があると認めるときには検証し、必要な対策を講じて検証結果と対策に関しては記録をしていただくことを考えてございます。
さらに提案ですが、こちらは、医療安全管理部門に、これまで特定機能病院の仕組みでは、このような介入などを行っていただくということがルール化されていましたが、管理者等の関わりについてもさらなる明文化をしてはどうかと考えております。
これはよく御指摘いただく話ですが、例えば病院長が特定の診療科の手術などを止めようとしても、なかなか合意が得られないといった事例も聞いておりますので、管理者の行いを明確化したいと考えておりまして、管理者がこういう部署に必要な指導を行うということを医療安全管理委員会から申し伝えて、指導を行うべきと明確にしていきたいと思います。
あと、緊急の場合は管理者の判断においても、こういう指導等が行えること。それから、これらトータルの記録に関しては、監査委員会で見ていただくこと。これらを法令上明確化していきたいというのが、提案の2番目でございます。
あわせて、前回の続きですが、医療安全管理者の副院長、業務の明確化のところですが、4点ほど、細かいですが提案させていただきたいと思っております。
現在、一番下の箱、資料の17ページですが、医療安全管理責任者、副院長に関しては医療安全管理部門、(2)のところ。ここを統括するというルールになっているのですが、さらに明確にするために、上の方向性案の(1)医療安全の観点からの管理者への助言補佐、医療安全管理部門等4部門に対して方針の管理や、運営の管理をしていただくこと。医療安全管理部門の業務支援をしていただくこと。
それから、先ほどもございましたが、副院長からも部署や個々の従業者への指導等を行っていただくこと等を明確化したいと考えております。
次に、監査委員会とピアレビューですが、前回までの議論を踏まえまして、監査委員会の業務に、この管理者の業務の状況の確認を追加していくことなどを含めていく、それから先ほどのA項目、B項目などの対応についても、監査委員会等で見ていただくことは明確化をしたのですが、そうなると、ピアレビューについては、どのようにしていくかですが、御提案としましては最後の○、特定機能病院として取り組むべき医療安全上の重点的課題を設定した上で、課題に関する現状把握、対策立案等を行っていただく、今の規定ですと法令遵守状況などを見るかのようにも見えてしまうので、もう少しアドバンスな課題対応を特定機能病院同士で検討していただいて、厚労省も必要に応じて参考とさせていただいて、課題設定をして取り組んでいただくことを考えたいと思っております。
それから、18ページの一番下の※ですが、このA類型、B類型の対策に関しましては、特定機能病院内で共有をいただき、ほかの病院にも使えるようにして、ぜひ公表をいただきたい。これが特定機能病院で先んじて行っていただく意義かと考えております。
以上、モニタリング項目の具体的な提案、管理者がA類型、B類型等に対してどう対応するか、副院長の役割、それから、ピアレビューで行うべきことの明確化ということで、永井班の結果を基に、こういう御提案をさせていただきたいと考えております。
事務局からの御説明は以上でございますので、皆様の御議論をお願いしたいと思っております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、構成員の方から御質問、御意見等ございますでしょうか。ただ、後ろが10時からヒアリングが設定されておりますので、あと10分少々ですけれども、よろしくお願いいたします。
御意見のある方は、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
今村先生、お願いします。
○今村構成員 1点確認といいますか、今、管理者の責任が強化されることに対しては、監査委員会がしっかり管理者の監査を行うということと承知しました。例えば、管理者が医療安全の具体的な案件に関して、指導が場合によっては、今まではできにくかったと、そこをちゃんと管理者が指導するようにまでして、その行動については監査委員会が監視する認識ですが、万が一、しっかりそこは動いていないといったときに監査委員会は、そこに対して助言するだけなのでしょうか、監査委員会の権限というのはどこまで、命令するところまで行くのでしょうか。監査委員会の権限について、少し聞きしたいのですが。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
監査委員会に関しては、開設者や管理者に対して、そのような指導を行うことが定められておりますが、それに従わなかった場合どうなるかという御質問だと考えております。
もし、それに従わなかった場合、医療監視、立入検査と少し位置づけが違っておりまして、立入検査は、法律上従わない場合は、指導等になるかと思いますが、これは、特定機能病院なので、大臣の権限と知事の権限と両方ございまして、役割分担があるのですが、監査委員会から直接ではないのですが、実態的には情報共有や、そのようなことで対応されていくように努めるものだと考えております。よろしくお願いいたします。
○今村構成員 監査委員会としては、そこら辺の部分をしっかり見える化まですると、ただ、その後、場合によっては、法令違反等に関しては、今度は国のほうが特定機能病院を認可している関係で、あとは国が必要に応じて指導を行うということと承知すればよろしいのでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 そうだと思っております。厚生労働省や都道府県にも通報や情報提供等あれば、医療監視としても動かせていただきますので、連携して対応することになろうかと思います。
○今村構成員 ありがとうございました。
○松田座長 ありがとうございました。
そのほか、御意見、御質問ございますでしょうか。
長尾構成員、お願いします。
○長尾構成員 私も永井班で研究分担をさせていただいておりまして、1つ私の立場からの追加の補足というとあれなのですけれども、あと1つ質問をと思いまして、そもそも前回の永井先生が御紹介くださった特定機能病院のアンケート調査で、こういった事象群が病院内で報告対象として義務づけられていないということ自体が明らかになっていて、つまり日本においては、医療安全25年の歴史がある中で、何を重点的に防ぐべきかという明確なターゲット群が明らかになってこなかった、そのまま今日に至っているということが改めて浮き彫りになっているなということで、今回のこのような提示は非常に意義のある変化で、そもそも中身もともかく、フレームワークができることが重要ではないかと位置づけています。
その具体的な内容について、今後も多少のマイナーチェンジはあり得るだろうとは思いますが、少なくともネバー・イベントといったものが、明確に特定機能病院の中から、まず定義されて、そして多くの医療現場に、そういったカテゴリーとして提示されていくことを、まず、肯定的に私たちも考えています。
もう一つ質問なのですけれども、先ほどの安全管理責任者の位置づけというのがより明確になるなということなのですけれども、病院長が医療安全経験を有することというのが、特定機能病院で1つ定義されていたのだと思うのです。実際に院内で病院長を選考するときに、具体的な医療安全経験とは何なのかといったところが、よく分からないまま選考されているというところで、先ほどの次の表ですかね、4つの委員会を束ねるというのが、医療安全管理者のミッションとなるわけですけれども。
○松本医療安全推進・医務指導室長 副院長のミッションです。
○長尾構成員 ええ、副院長のミッションになるわけですけれども、この図の中で管理者に求められる医療安全経験とは何を指すものかといった辺りは、今後議論されるのかどうかといったところ、1つ問題提起としてさせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
今の長尾先生の御質問は、今回、医療安全管理責任者、副院長に関して、永井先生、長尾先生に調査をいただいて、その結果、これは前回の合意事項の中に入っていますが、この副院長のところは、望ましい規定で1,000人以上とかを入れていくことで、必須ではないが、少しずつやっていこうということを、前回合意をして、平成28年のときの一連の見直しの中で、管理者の経験は求めるようになったが、今の長尾先生の御質問は、そこももう少し、今後踏み込んでいってはどうかという御質問、御提案と認識をしています。
管理責任者は今回、一歩踏み込むわけですが、管理者につきましても、そのような御指摘や今回のアンケートでもそういう結果が多少あったと思います。要は、副院長の場合は、その経験があるとコミットメントの時間が長いというデータを前回に出していただいて、病院長になられている方で、そういう医療安全の経験が豊富な方は、例えば、北海道大学などでそういう事例があると認識していますが、今後、そういうデータがたまっていくと思いますので、そこは今回の永井先生、長尾先生の調査結果も踏まえながら考えていくべきところかと思っていますが、今回、こういう打ち手を打たせていただいて、この結果も踏まえて、引き続き取り組んでいければいいのかと、事務局としては考えております。
○長尾構成員 ありがとうございます。
いずれにしましても、永井班で、こういったネバー・イベント、A類型、B類型というものが示されるということは、非常に大きなことであろうと認識しています。ある意味、患者安全をやってきた者としては、1つの悲願というか、こういったものが明らかになっていなかったことで、何から着手すべきか、あるいは院内に何をどのように求めていくのかといった辺りが、曖昧になっている医療機関も多かったと思いますので、ここにぜひ特定機能病院で範を示すということは、重要なことではないかと理解しております。ありがとうございます。
○松田座長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○上田座長代理 上田です。
私も今日の御提案に賛成でございますので、今、議論がありましたように、監査委員会ですとか、ピアレビューとの連携も非常に大事だと思いますし、あわせて、医療事故情報収集等事業や医療事故調査制度への報告とか、第三者評価ですとか、そういった取組と併せて医療安全に取り組むということも、ぜひ進めていただきたいと思っております。
意見でございます。
○松田座長 ありがとうございます。
あと、松本構成員、川上構成員、それぞれ手短にお願いいたしたいと思います。
○松本構成員 ありがとうございます。
まず、永井班の丁寧な御説明どうもありがとうございました。
事務局が示されました方向性に異論はございません。その上で2件コメントいたします。
まず、スライドの14、15の重大事象の取扱いにつきましては、今、説明がありましたけれども、A類型、B類型に該当する事象として、それぞれ12項目が示されておりますが、これらは、確実に実施すべき最低限の内容だと受け止めております。特定機能病院は、日本全体の医療安全を牽引する存在だと思っておりますので、これだけ実施すればよいということではなく、資料にも記載がございますけれども、さらに加えてとありますので、各病院には積極的に追加項目の御検討をお願いしたいということでございます。
次に、スライド18のピアレビューについてでございますが、重点的課題をそれぞれの特定機能病院の内部だけで完結するのではなく、横のつながりの中で、重点的課題を深掘りすることや、18ページの一番下段にもございますけれども、重大事象について、ほかの病院にも共有して、地域全体の医療安全を底上げするためにも、情報を公開するということは非常に意義のあることだと考えます。
こうした取組には、一定の準備が必要で、経過措置を設けることは理解いたしますが、速やかに実施していただくようお願いしたいということでございます。
私からは以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、川上委員、お願いいたします。
○川上構成員 時間がない中、ありがとうございます。
基本的な方向性については全く異論はございません。細かいことですけれども、A類型のところの④、ハイアラート薬という言葉が出てきます。ハイアラート薬は、恐らく国際的な病院認証であるJCI(Joint Commission International)で使われている言葉であり、日本の一般的な第三者評価などにおいては、ハイリスク薬という言葉も使われていたりもします。
ただし、ハイアラート薬やハイリスク薬といったときに、それぞれ何を指しているかが、医療機関によってまちまちだったりしますので、できればハイアラート薬に代わる用語を、実際には決められて運用されるのが宜しいかと思ったのでコメントしました。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございます。
非常に貴重な御意見だと思いますので、この点つきまして、また、事務局のほうで整理をしていただけたらと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 承知しました。
○松田座長 それでは、本日御議論いただいた点を踏まえまして、論点を整理して、今後の取扱いについて、事務局でまとめていただけたらと思います。
続きまして、議題の2の「特定機能病院からのヒアリング」に移りたいと思います。
前回の検討会におきまして、大学附属病院本院以外の特定機能病院からヒアリングを行うということにしておりました。
本日は、国立国際医療センター病院、国立がん研究センター中央病院、国立循環器病研究センター病院にヒアリングを予定しております。
進行につきましては、事務局のほうからお願いしたいと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
それでは、順番に3病院、進めてまいりたいと思います。改めまして、ヒアリングへの御協力をいただきました3病院の病院長先生、誠にありがとうございます。
それでは、3病院まとめて連続で御説明いただきまして、その後、一括して質疑応答とさせていただければと考えております。
それでは、15分間、まず、最初に国立国際医療センターの宮嵜病院長先生からお願いをしたいと存じます。
それでは、よろしくお願いいたします。
○宮嵜氏 国際医療センターの宮嵜と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
当院は、国立健康危機管理研究機構、4月に誕生しましたJIHSの臨床部門の1つとして活動しております。
JIHSには4つの機能がありまして、主に3番の臨床機能及び2番の研究、4番の人材育成などを担当しております。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画におきましては、当院は国から指定を受けておりまして、当院の計画に基づいて医療の提供、支援について必要な措置を講ずることとなっております。
こちらは組織図です。
当院の概要でございますが、キーワードといたしましては総合医療、そして救急医療、また4番の特殊疾患への対応、そして3番の医師の教育にも力を入れております。
医師数や先進医療、臨床研究、論文数につきましては記載のとおりです。
歴史については、こちらに記載しております。
高度医療の提供について御説明いたします。
当院は、特定感染症指定医療機関になっておりまして、こちらは全国4か所、10床のベッドがありますが、そのうちの4床を当院が担当させていただいております。
受入れ実績については、そこにあるとおりでして、厚労省の指示により、新感染症が生じた場合に即座に患者受入れをできる体制を整えております。看護師には既に辞令が下りておりますし、定期的な訓練も実施しております。
感染症への対応、コロナ対応でございますが、初期の初期、武漢から帰国者が829人帰って来られたときに、非常に短い準備期間でございましたが、スクリーニングに対応できております。
また、アウトブレイクへの対応ですけれども、こちらのダイヤモンドプリンセス号にも、他の施設と協力しながら実施いたしましたし、あと、ここには記載しておりませんが、東京上野の永寿総合病院、こちらでアウトブレイクが起きた際にも当院から医師、看護師を派遣して対応させていただいております。
また、こちらは、重症患者への対応も初期から行っておりまして、ECMOなどを行いました。
また、こちらの初期からコロナ患者さんには血栓症が起こりやすいということに着目しまして、感染症科だけではなく、循環器内科、血液内科などと総合的に対応して治療や対策を実施、2020年6月という非常に早期に治療のアルゴリズムを提案して論文化して公開しております。
こちらは、コロナ患者さんの併存疾患への取組ですけれども、外科手術に関しましては、90例のコロナ患者の方に、帝王切開、腹部手術、骨折手術など、感染対策を十分行った上で実施しまして、これらの方は、術後の感染症の悪化を認めておりません。
また、初期から重症コロナ患者さんの血液透析にも取り組んでおりまして、血液透析で生じた廃液中の研究も行いまして、感染性があまりないということを証明したりもしておりますし、妊婦への対応も行いました。
ここには載せなかったのですけれども、新型コロナウイルス感染症の対応マニュアルを当院で作成して発行しております。
また、ここにあります免疫不全の方というのは、治療や感染対策に難渋するのですけれども、これらの患者さんへの治療の経験から、対応指針を作成しまして情報発信を行いました。
また、⑤番の感染症対策支援サービス、これは、現在も行っているものですが、今までの経験や知見に基づいて、ほかの医療機関からの相談に対応することも行いました。
次は、エイズに関してですが、当院にはエイズ治療研究開発センターACCというのが設置されておりまして、日本のHIV診療の体制を牽引しているものです。様々な臨床研究あるいは最先端の医療情報の提供、人材育成などを行っておりますし、最近、エイズの方は、エイズで亡くならない方も非常に増えておりますので、救済医療といたしまして、併存疾患、悪性腫瘍などの資料なども全科協力して行っているところです。
次に専門的な医療にまいりますが、こちらは形成外科なのですけれども、非常に細い血管やリンパ管を縫合できるという技術を当院の形成外科医が報告しておりまして、次をお願いします。
世界中で、手術の指導などを行っておりますし、患者さんも全国から集まり、医師も国内、海外から非常にたくさんの方が当院に見学に来られております。
大腸がんの腹膜播種に関しては、なかなか予後不良とされているのですけれども、当センターでは、腹腔鏡下で抗がん剤をエアロゾルにして噴霧するという新規の局所療法を、我が国で初めて導入予定でございます。
次は腹膜偽粘液腫に関してなのですけれども、こちらは虫垂の腫瘍が破裂すると、ゼリー状の物質がたまっていく病気でして、たまり過ぎると、このようなお腹になってしまうのですけれども、それに対して裏打ちしている腹膜を全て切り取るという非常に高難度・高侵襲の治療を行っております。非常に限られた施設でしか行われておりませんが、その結果、全国から患者さんが集まっておりまして、セカンドオピニオン186件、その他手術が137件など、そして、いろいろな科が協力しておりますので、重篤な合併症は低率で何とか執刀できております。
外来のアフェレシスなのですけれども、アフェレシスとは、患者さんの血液を体外に取り出して、ある特定の成分を除去したり交換したりして、また、残りは全て体内にお戻しするという治療法です。
こちらを外来で行うことができるのは、非常に限られた医療機関となっておりまして、また、これは、後で述べます回復者、血漿療法にもつながるインフラだと考えております。
外来で行っているということで、それについて国際学会で発表する予定としているということです。
脊髄性筋萎縮症に関してなのですけれども、こちらは、遺伝性の神経筋疾患なのですけれども、2歳を超えて生存できないこと、また人工呼吸器の補助なしでは生きられないという病気なのですけれども、遺伝子治療を行うことによって人工呼吸器から離脱したり、立ったり、補助歩行が可能になるという非常に劇的な効果がある治療がありまして、これに関しても、当院では多職種連携あるいは各科の協力を得て、都内で最大の投与例を持っております。
次は、地域医療に関して述べますが、救急医療体制なのですけれども、こちらは、毎年1万台を超える救急車を受けておりまして、応需率も高いものを維持しております。
また、なかなか受入れが決まらない、精神身体合併症患者を受け入れる医療機関としても、多くの患者さんを受け入れております。
こちらは、コロナのピーク時なのですけれども、最大6台の救急車が並んだ状況で、中にも入れないということで、救急車で簡易な診察であったりとか、PCR検査を行うという状況が1か月ほど続いたという状況でした。
次に研究について述べます。
ここ数年500件を超える研究を実施しておりまして、研究費自体も100億円前後という高い水準を維持しております。
このほかにも、内閣府主導の国家プロジェクトSIPの研究推進法人として働いているところです。
また、研究者の育成にも力を入れておりまして、若手に対しては、金銭的な支援を行ったり、論文化するためのアドバイス、統計あるいはコンピューターソフトの利用法を教えたりとか、特に希望される方には、3か月間の研修を受けることもできます。
新感染症への対応でございますが、このニパウイルスは2023年にアウトブレイクがインドなどで起こり、当院から3人の医師を派遣いたしまして、あちらでいろいろ視察をしたり、討論しまして、このウイルスに関する診療指針を作成して、公開しているところでございます。
また、カンジダ・アウリス、こちらは真菌ですが、令和5年度には日本においても死亡例が報告されているところでして、他施設と協力しまして診療の手引を作成して公表しておりますし、地方自治体や医療機関に向けて、講習会を行って啓発活動を実施しているところでございます。
これは、先ほど述べましたけれども、コロナから回復した方から全血を取りまして、その中から血漿を取り出すと、その中にはコロナウイルスに対する抗体が含まれているということで、これを新たな患者さんに投与するというところでして、これは次の未知の感染症に対する有用な治療法として、ワークするのではないかと考えているところです。
こちらは追加です。
次に、人材育成についてであります。
臨床研修医の育成に関しましては、医科30人、歯科2人を受けておりまして、また、それを指導する指導医の養成講習会なども開催しておりますし、医療教育部門にはスタッフ4人を設置して、教育に力を入れているところでございます。
臨床研修医の育成に関しましては、この表にありますように、過疎地域の連携先を組みまして、研修医の先生方には、地域の医療、過疎地の医療を勉強していただいているところです。
また、その後の専門医の育成に関しましても、専門医機構のプログラム基幹施設あるいは連携施設として、そして多くの科が協力しておりまして、専門医の育成に力を入れております。
例ですけれども、総合診療科の専門医のところですけれども、全国各地の病院と組みまして、合計12か月は僻地であったり過疎地の病院で研修を受けていただいております。
こちらは専門医の話です。
最後に、その他についてになります。
iCROWN事業、こちらは感染症臨床研究ネットワークというのを組んでおりまして、今年度は38施設になる予定ですけれども、このネットワークにおけるハブの機能を当院が果たしております。
また、これは、糖尿病のデータベース事業、J-DREAMSですけれども、こちらは74施設が参加しておりますが、こちらの事業に関しましても全国的な取りまとめをしているところでございます。
駆け足になりましたが、以上です。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございました。
続きまして、国立循環器病研究センター病院の山本病院長先生、よろしくお願いいたします。
○山本氏 国立循環器病研究センターの病院長の山本と申します。よろしくお願いいたします。
では、スライドの2枚目をお願いいたします。
循環器病研究センターは、昭和52年に開設されまして、平成5年に国立がんセンターとともに日本で最初に、この特定機能病院に認定された病院であります。
右側の基本方針のところにありますように、当センターといたしましては、やはり高度で先駆的な医療を提供すること、そして、安全で質の高い医療を実現すること、そして、循環器病の最先端の研究を推進していくこと、そして、専門家リーダーを育成、つまり人材育成という特定機能病院に求められることを全て基本方針として組み込んでいる、そういう病院であります。
高度の医療の提供という中で、やはり循環器の疾患というのは、救急医療が占める比率がどうしても高くなります。そこで我々といたしましては、やはりここでレベルの高い医療を。
そういう高度な医療を救急の現場でも提供できるようにということで、救急の応需率を高く保つよう努力しています。
左の下は、2024年の4月から今年の5月までの毎月の救急の応需率を示しておりますが、1月に少し低下しているように見えているのですが、これは、縦軸が、下が84%で、上が100%ですので、最も低下したときでも90%程度、ほぼ95、96%以上の応需率で、救急患者さんの受け入れを行っております。
この救急医療の受入れというのは、高度な医療の提供ということだけではなく、これは、地域医療の貢献ということでも非常に大きな意味があると考えております。
私、3月まで鳥取大学の教授をしておりましたが、鳥取のような医師が不足しているところでは、そこで地域に対する医療貢献ということで医師の派遣人数ということがよく指標として用いられるのですが、もう一つ大事なことは、医師が少なくなった病院で請け負えなくなった機能を中核の病院が引き受けるということが大事で、鳥取大学のときも周囲の救急の対応が難しくなってきたときに、夜間、土日の急性心筋梗塞は、全て直接大学のほうに回してもらったらいいという形の対応をして、それで地域の医療機関から非常に労働が取れてきたということで、皆さんから喜ばれたということがあります。
この救急も我々のところに最初からコンタクトしてくる救急と、これは、関西以外の方では地理が分かりにくいかもしれませんけれども、結構ここから車で30分以上かけて、周囲には、本当はもっと近い病院があるのだけれども、そこで受入れが難しいような患者さん、そういう患者さんをこちらの方で引き受けるという形にして、地域の救急医療体制が不十分なところを補うという形の役割も担ってまいりました。
また、心臓移植につきましては、右上のほうに実績を書いておりますけれども、2023年度は全国で最多となる32件の移植を実施しておりますし、その下のカプランマイヤーの生存曲線を見ていただきましたら分かりますように、国際的な移植後の患者さんのサバイバルカーブに比べまして、赤の国循のサバイバルカーブ、非常にいいところを行っているということがお分かりいただけるかと思います。
また、地域の医療機関との連携は、先ほどの救急の件も含めて、積極的に行うようにしております。
そして、高度な医療の定義をどのようにしてお示しするのがいいのか、なかなか難しいのですけれども、左上は指定難病の患者数というのを、幾つかの関西地区を中心とした大学と比べて、当院がこの赤印で示しておりますが、非常に多いということがお分かりいただけるかと思います。
また、左の下は、病理のコンサルトの数を設けています。最近は病理の先生の多くは、がんのほうが御専門で、循環器の病理を専門としている先生が非常に少ないという中で、この循環器病センターの病理、全国から検体を見てほしいという病理診断の依頼が増えておりまして、この2017年から2024年の間に倍以上増加して、これにお答えするということで当院における、そういう高度な病理診断能というものを全国の医療機関にも提供しているということをしております。
また、右上は、脳卒中のケアユニット、SCUの入室患者数を2011年から示しておりますが、当院では、このSCUを国内で初めて立ち上げて、ここにありますように、多くの患者さんを引き受けてまいりましたし、この赤で示しておりますように、死亡率も非常に低く抑えることができております。
また、右下は心臓外科の開心術の年次推移を示しておりますけれども、これも国内では非常に多い、常に700件前後あるいは700件を超えるような手術数を誇っておりまして、右に赤で書いておりますけれども、ニューズウィークでやるランキングでも世界ランキングの中に入ってくるというぐらいの実績であります。
また、高度な医療ということともう一つ、研究ということも併せ持ったようなものなのですが、神経難病でCADASILという病気がありまして、これは遺伝性のものなのですけれども、これに対して新しくアドレノメデュリンという薬を使った医師主導型の治験、これを国内で最初に実施する。また、このCADASILについての登録制度というのをやっていたり、あるいは外来を設けたりということで、こういう難病のほうに対しても積極的に対応を診療面、研究面で続けております。
先ほど開心術の数が多いということをお示しましたが、開心術の中でもロボットを使った開心術ができる施設というのは、まだ限られております。
当院は、国内では、実績数としては第2位で、西日本では第1位の数を誇っておりまして、このロボットの支援下での低侵襲の手術ということを進めるようにしております。
また、右には、頭の動静脈の奇形の治療のことについて述べておりますが、こちらのほうも当院では開頭手術・血管内治療・ガンマナイフ、この脳動静脈の奇形に対する幾つもの治療法全てをここでそろえて、集学的な治療を実施することによって、国内ではトップクラスの症例数をこなし、また、これを臨床研究のほうの成果にも生かしております。
人材育成ということにつきましては、当院は開設以来日本全国から若手、レジデント、修練医という方たちが国循に集ってきております。
これは、もともとここに来る前に、どこに勤めていたかという図なのですけれども、見ていただきましたら分かりますように、日本全国くまなく、当院を目指して勉強のために若い医師が集うということが長年にわたってずっと継続してできております。
また、当院ではそのようにして、若いときだけではなく、またこちらでずっと経験を積んで、診療面、研究面において実績を積んで、その上で全国の大学に教授として人材も、このように広く輩出しております。
これもかなりの数でありますので、左下合計が149人とありますけれども、このように全国の大学に教授を輩出し、そうしたら、またその教授が、そこで人材育成を進めていただけるという形になりますので、かなり循環器病センターの全国での人材育成に対する貢献というのが大きいのではないかと考えております。
左側は、医者の数に対する研修医あるいは修練医に当たるような人たちの人数を示しておりますが、これも関西を中心とした各大学と国循を比べておりますが、左にありますように、この国循は、ほかの大学に比べましても医師の中に占める、こういう教育対象の医師が非常に多いということがお分かりいただけるかと思います。
いかにこの国循が、人材育成に力を注いでいるかということがお分かりいただけるかと思います。
また、医師だけではなく、メディカルスタッフの育成にも当院はずっとコントリビューションしておりまして、右上の表は、薬剤、看護、あるいは救急部門というのは、消防隊に属しておられる救命救急士ですね、そういう方々に対しての教育を、いろいろこちらが提供しているような講習会等を開いたときの参加人数を示しておりますが、このように地域で広い職種にわたって、これまで人材育成に携わってきたことがお分かりいただけるかと思います。
また、右下は、当院におきまして薬剤師、そして、臨床検査技師のレジデントの受入れ人数です。
実際に職員として、このように若手を1社だけではなくてメディカルスタッフでも雇用をして、人材育成に当たっていることを示すデータであります。
研究面におきましては、左側の上が英文の原著論文の数の年次推移、そして、下は治験の実施件数、そして、右上が医師主導の治験の実施件数、そして、右下が臨床研究の推移というのを見ていただいておりますが、昨今研究力の低下ということが言われておりますけれども、国循では、このように研究力を維持、向上させながら、研究面でも、新しいインフォメーションを次々と発信をしていっているということであります。
医師主導型の自主研究の1つとして、この脳卒中の患者さんに対する新規のtPA、アルテプラーゼというものの知見を、これは、海外では認証されているのですが、国内では使えない、いわゆるドラッグ・ラグの1つになっておりますが、これを循環器病センターが主導して、現在、国内で治験をして、右に少し書いておりますが、今年の3月で221例の登録を完了しており、これから解析をして、国内でよりベネフィットが高く、リスクの低い薬剤の導入につなぐことができるように貢献をしております。
次のスライドが最後になりますけれども、このような高度な医療をやっていく上では、医療安全の体制ということは、絶対に必須になってまいりますので、医療安全についても万全の体制を敷きながら、絶えず職員に対する研修ということをやって、医療安全というものが担保された状況で、高度で先進的な医療が患者さんに提供できるようにということに努めております。
説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございました。
続きまして、国立がん研究センター中央病院の瀬戸病院長先生にお願いしたいと思います。
○瀬戸氏 よろしくお願いいたします。
ただいま御紹介いただきました、国立がん研究センター中央病院の瀬戸でございます。
我々の理念と使命ということでございますけれども、まずは、1962年に我が国最初のナショナルセンターとして設立されまして、60年以上の歴史を有するナショナルセンターでございます。
この4月に新しく間野先生が理事長になられまして、今回、がんの予防を国民の皆さん届けるということで、予防も非常に重要視して今後の課題に取り組んでいきたいと考えております。
国立がん研究センターには、6つの支所がありまして、我々中央病院は、先ほど申し上げたように、最初の特定機能病院ですね、平成5年9月1日に特定機能病院として認められました。
また、柏キャンパスにある東病院は、平成29年3月11日に特定機能病院として認められております。
その間、我々は臨床研究中核病院であるとか、がんゲノム医療中核拠点病院として機能しております。
そのほかに、研究所あるいは先端医療開発センター、がんゲノム情報管理センター、がん対策研究所という6つの支所で成り立っている研究センターでございます。
令和6年度の特定機能病院に関わる業務報告書から引用してまいりました。病床数は、一般病床として578、医師が372です。専門医数が174、薬剤師が70、看護師が686、管理栄養士が11です。
紹介率が重要でありまして、紹介率が99.5%、また逆紹介率が90.8%というのが、業務報告書に記載されている数字でございます。
また、同じく業務報告書からです。
これは、先ほど申し上げましたように、我々は6つの支所があるのですけれども、この数字は中央病院単独での数字になりますので、御留意をお願いいたします。
先進医療が14で、エントリーされた患者さんが406名ということで、研究費補助、これは繰り返しますけれども、中央病院単独でいただいている研究補助が111件で、総額としては17億2400万になります。
また、特定機能病院評価対象となる論文が243ありました。
それから、医師・歯科医師以外の研修ということで、これは2024年3月31日現在の在籍者で薬剤師レジデントが14、医学物理士レジデントが4、放射線技師レジデントが4ということでございます。
ということで、今回大学病院、大学附属病院本院以外の特定機能病院の現状及び在り方についてということで検討をいただいておりまして、特に本院以外、大学病院以外については基礎的基準ということで、この間、5月29日、厚生労働省のホームページにアップされているものでございますけれども、医療提供、教育、研究、医師派遣ということで、こういったものを基礎的基準にしようということでございます。
まず、医療提供については、紹介率、逆紹介率は先ほど申し上げたとおりでありますし、教育については、看護師、薬剤師その他専門職の実習受入れ・育成ということで、先ほど医師以外のレジデントについても報告させていただきました。
研究については、先ほど申し上げたとおりですけれども、がんセンター全体の論文については参考資料として、最後のほうに紹介させていただいております。
今日は、この医療提供、教育、研究について、少し御説明を差し上げます
まず、医療提供です。まず、やはり、先進的な高度医療をいかに提供しているかということで、これは中央病院としては、やはり何といってもがんの治療でございますので、いかに低浸襲な治療を行っていくかということが、患者さんにとってはメリットが大きいことでありますので、それを充実させていくと。もちろん、nという症例数だけではなくて、手術内容も患者さんそれぞれのニーズに合わせて変化させていただいております。
早期がん病変における内視鏡治療は、我々が最も得意とする領域でありますし、御承知の先生方も多いと思いますけれども、今、広く行われているESDという技術は、がんセンター中央病院から世界に先駆けて発信されたものであります。
そして、画像下治療、IVRセンターも、私、昨年4月に着任しましたけれども、恐らく日本で最も充実したIVRセンターになっていると自負しておりますし、高精度放射線治療あるいはロボット手術ですね、ロボット手術も現在4台体制でありまして、恐らく1台当たりの手術件数というのは、日本でもトップクラスと自負しております。
そのほか、必要に応じては、もちろん大きな合併切除を含めた拡大手術を行っているということでございます。
また、医療提供ということでは希少がんネットワーク、希少がんというのは、その定義は、人口10万人当たりの発生頻度が6人未満というのが希少がんの定義になっております。
ただ、実際は、大体300種、400種の何百種という希少がんがあると言われておりまして、その総数を合わせると、実は、全部の患者さんの2割を超えると言われています。
ただ、やはり希少がんであるがゆえに、なかなか治療法の確立が難しい、あるいはガイドラインの作成が難しいということは言われています。
そこで我々は、中央病院が中心となりまして、希少がん全国ネットワークを構築して、今、御覧のように、全国いろいろ北海道から九州まで、そのネットワークは築かれているということでございます。
その中で、やはり患者さん、あるいはその家族からしても、希少がんゆえに、なかなか有意義な、有用な情報に当たるアクセスができないということで、我々のところはホットラインというのを開設いたしました。
2022年、その件数でございますけれども、青色が国立がん研究センター中央病院で、実はこの当時、たかがまだ2、3年前の話なのですけれども、全国の相談件数の8割以上を中央病院が担っておりました。
この2年、3年の間に、ネットワークができてきまして、中央病院のいわゆるホットライン相談件数の比率としては、少なくなっているのですけれども、少なくともまだ3,000件ほどの相談をいただいている。また、活動の一環としては、希少がんMeet the Expertということで、昨年度は1年間で17回開催しておりまして、視聴者数が約3,700ということで、これも貴重な情報を一般の方々を含め、全国の医療者に届けられるのではないかと自負しております。
それから、また、医療提供、これは新しい形のネットワークということで、我々は国際性も非常に重要視しております。
左側のATLASプロジェクトというのは、これはアジア9か国を中心としまして、臨床研究、臨床試験のネットをアジアでやろうと、実は、アジアというのは、我々人種間の差があまりないということで、やはり欧米に比べると、同一の被検者として構成できるのではないか、また、人口も多いということで、これは2020年から開始しております。
翌年には、バンコクに我々のオフィスを設けまして、バンコクを中心として、現在はアジア9か国、40施設がエントリーしていただいて、既に2,700人を超える登録をいただいているということで、これも非常に重要な、その中で下のほうにありますけれども、いろいろな知見がfill upされているということでございます。
右側はMASTER KEY Projectということで、これは先ほど申し上げた希少がんの開発プラットフォームでありまして、1つはレジストリー事業と、そこから知見を加えて、右側にあるようにアジアも含めて行っておりまして、その登録数は、今、6,000近くなっておりまして、そこから薬事承認が得られたものが既に数件あるということで、これも我々として非常に重要なことになるので、ここは企業からの協力も大事でありまして、下にありますように、日本からは12企業、アジアからの3企業御協力をいただいていると。もちろん、患者さんからの協力もいただいております。
新たな取組としては、これはDCTです。Decentralized Clinical Trialsです。これは、やはり遠方の方が、なかなかこういった治験には入りにくいということが分かりました。しかもこれを第Ⅰ相で行うということで、この第Ⅰ相試験をサテライト医療機関として大阪医科薬科大学の御協力をいただいて、昨年度から始めているということで、これが2例ほどになっているということで、これも今後非常に重要な取組と考えております。
それから、教育、人材育成に関しましては、我々は大体常に毎年120名から130名の、いわゆるレジデント、いわゆるがん修練医、専門修練医が、がんセンター中央病院にはおります。
最近10年間では、636人がその研修を終えて、御覧のように北海道から九州まで、申し訳ありません、沖縄にもいるのですけれども、今日はないのですが、これだけ大きく、がん医療の均てん化に大きく貢献していると、また、海外にレジデンス修了後に行ったのは9名ほどおります。
また、教育の一環として、やはり病理診断も非常に重要であるということで、これも、がん診療連携拠点病院を中心としてコンサルテーションを受けております。
その中で、病理の教育、人材育成に努めているということで、右下にありますように、このグラフが、この依頼件数の推移でありまして、2020年からは、ほぼ倍増しているということを御紹介できるかと思います。
もう一つ我々の取組として重要なのは、Japan Clinical Oncology Group、いわゆるJCOGというものでございます。
これは、1990年に創立されました、我々は日本で最大と思っておりますけれども、研究者主導の多施設共同研究グループでありまして、その中には16、例えば、もちろん外科、食道外科、肺外科等々、肺がん等々、膵がん、あるいは婦人科系のがんとか、16の専門領域研究グループを有しておりまして、参加が180医療機関、7,700人以上の研究者、もちろんCRCも含めて参加していただいております。
常に100以上の臨床試験を動かしている、それで支援しているということでございます。
その特徴は、右側にありますように、通常企業が行わないような治療開発ということが我々の特徴でありまして、例えば、集学的治療であるとか、いわゆる、幾つかの同等の薬が存在した場合、なかなか薬品メーカーが手を出しにくいようなライバル社の比較であるとか、先ほどの繰り返しになりますけれども、希少がんを対象とした試験ということで、これも非常に重要である。
この中から得られた知見が、診療ガイドラインにも多く引用されているということも我々の自負するところでございます。
登録者数の変遷は、左のグラフのとおりでございます。
そして、また、研究の一環として、我々は大きなプロジェクト2つ持っております。左側がMIRAI project、右側がFUTURE projectと言って、MIRAI projectは、どちらかというと、いわゆる手技的なものの開発をしようということで、いわゆる低侵襲の治療器具、例えば、真ん中にありますけれども、これは乳がんの、いわゆるラジオ波の治療でございます。我々が指導いたしまして、今回保険収載されているという経緯もございます。
それから、BRiDGEとも連携しておるということであります。あとはAIを活用した内視鏡の診断支援ソフトも開発して、これも保険収載されているということで、こういったプロジェクトが生かされて、実際の通常診療、保険診療につながっている。
それから、FUTURE projectは、どちらかというと、内科系の治療のプロジェクトでありまして、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの克服を目指したということで、希少がんも当然含まれます。
その中には、先ほどから紹介しておりますけれども、MASTER KEY、ATLAS、JCOG、あるいはBELIEVE試験、これも遺伝子パネル検査に基づいて、分子標的治療薬を、いろいろな企業から御協力をいただいて行っている患者申出療養の一環でございます。
こういったプロジェクトは、いろいろな寄附金を原資として行っているということでございます
ということで、もう一つは、今後我々の大きな課題として、やはりFIH、First in Humanというのが、これは厚労省の社会保障審議会医療部会からいただいた資料でございます。その真ん中ぐらいにありますけれども、施設の概要として国立がん研究センター中央病院が主体となり、国立健康危機管理研究機構、JIHSですね、それと国立医療研究センターとも協力して、日本におけるFIHの中心的な世界に向けた発信を担うということで、これも我々としては非常に重要な課題と考えておりますので、真摯にその準備を進めているというところでございます。
ということで、先ほど国循の先生も紹介されておりましたが、ニューズウィークが毎年ワールドベストスペシャライズドホスピタルというのを発表しておりまして、これはスペシャライズド、オンコロジー部門、いわゆるがん医療のところでございます。
1位がMD Anderson Cancer Center、2番目が、Memorial Sloan Ketteringですね。それを受けたり、実は、我々は10位、世界でもトップ10にランクインさせていただいておりまして、全国の中では1位ということになります。
我々として、やはり国際性等を含めて、今後何とか、このランキングを上に上げていきたいと考えているところでございます。
ということで、これは、間野新理事長の我々に向けての就任挨拶でありまして、我々は、冒頭申し上げたように中央病院、東病院等々ありますが、1つ、ONE CENTERとして世界を目指すということで、今後、特定機能病院としての役割も果たしていきたいと考えているところでございます。
あと、参考資料がございます。簡単に紹介します。
これは、先ほど言ったように、希少がんネットワークだけではなくて、がんの診療拠点病院、ここにも加わって、いわゆる中心的な中核的な立場として、東病院と一緒に取り組んでいるという紹介。
ドラッグ・ロスに向けては、本当に我々は重要な課題としておりますので御覧のような取組をしているということです。
次が最後のスライドになります。
これは、左側が全国の大学も含めた医学系の論文数ということになりますが、右側が、その中でHighly Cited Paperということで、いわゆる重要な一流誌に掲載された論文数ということでございまして、実は医学系に関しましては、これは中央病院も含めた、国立がん研究センターが、国内の施設としては東京大学の上を行くというスライドで、最後に御紹介させていただきました。
以上となります。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 瀬戸病院長先生、ありがとうございました。
本日、ヒアリングに御対応ということで、国立がんセンター、東病院の土井病院長先生にも、こちらにいらしていただいております。
それでは、3病院の病院長先生からヒアリングをさせていただきました。進行を松田座長のほうにお戻しをさせていただきまして、質疑応答とさせていただきたいと思います。
それでは、松田先生、進行をお願いしてもよろしいでしょうか。
○松田座長 では、どうもありがとうございました。
それでは、今の御発表を受けまして、構成員から御質問、御意見等ございますでしょうか。
相良委員、お願いいたします。
○相良構成員 相良です。
いずれの病院も非常に貢献度が高いなと聞いておりました。どうもありがとうございました。
その中で少しお聞きしたいところがございますので、そこのところをお聞かせいただければと思います。
まず1つは、教育面というところでございます。そこのところ、今、いろいろな形で教育をこのようにやっていると説明をいただきましたけれども、卒前卒後のところの教育で、非常に卒後教育という面では、非常によくやっていらっしゃると思いますけれども、卒前教育としてどのような形でそれをやっていらっしゃるかというのを少しお聞きしたいことがございます。
次に、医療の貢献度というところで、非常に多くのところからの受入れをやっていらっしゃって、それで修練して、それで、また、お戻しするということをやっていらっしゃると思いますけれども、逆に実施施設から、例えば、ほかの病院に地域医療貢献という形で、医師少数県あるいは医師少数地区に派遣ができているかどうかということ、地域貢献度はどうなのかということを少しお聞きしたいということ。
次に、救急の受入れに関してもお話がございましたけれども、それは、いわゆる網羅的な形で非常に救急の受入れができているかどうか、例えば、疾患特異的な形での救急の受入れになっていないかどうかということを、お聞きしたいということ。
次に、論文に関してですけれども、こちらに関しても非常に多くの論文を書かれているところで、非常に敬意を表するところでございます。そこに関しても、例えば、疾患に偏りがあるかないかということも含めてなのですけれども、お聞きしたいということです。
最後に、疾患に関してなのですけれども、疾患の網羅性ということを考えたときに、全ての疾患がカバーできているかどうかということに関して、例えば、良性から悪性まで、その病院の特徴というところもありまして、少し難しいというところはあるかもしれませんけれども、その疾患の領域として、とこら辺ぐらいまでカバーできているかどうかということに関してお聞きしたいと思います。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
では、国際医療センター、国循、がんセンターの順でお答えいただけたらと思います。
○宮嵜氏 まずは、卒前教育のお話がありましたが、我々のところでは、クリニカルクラークシップとして、東京大学から100人中20人ほどは受け入れておりまして、恐らく東大からの受入れとしては最大かと思います。
あとは、スライドにもありましたけれども、臨床研修医におきましては、各地、秋田から高知までの地域と連携しておりますので、基本的には、この20個ぐらいの病院と、これは専門医に関してですけれども、専門医に関しましては、例えば内科で申しますと、山形から沖縄まで非常に全国と組んでおりますので、3年間の研修のうち、原則9か月から18か月は、外部のそのような地域に派遣しているところで、また、発表中にも述べましたけれども、総合診療科におきましては、3年間の研修のうち、原則12か月は、長崎の島であったりとか、大分から北海道まで僻地での研修を行っているところです。
あと、救急の受入れ体制につきましては、特別な科に偏っていることはありませんで、応需率のほうも、最近、例えば昨年度ですと、令和5年では93%、例年、最近はずっと90%を超える応需率となっておりまして、特に偏りはないものと思います。
論文のほうも具体的な数字は出ませんけれども、特別に偏りはないものと考えております。
日常の疾患に関しましては、完全に総合病院として43の診療科がございまして、特別な偏り、全く受けられないような疾患というのはないものと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、国循のほうからお願いいたします。
○山本氏 循環器病センターからお答えさせていただきます。
まず、卒前教育なのですけれども、医学生につきましては、2024年度で64人の学生の実習を受け入れております。
そのほかに看護の学生のほうが462人、薬剤師の学生さんが70など、トータルでいきますと600人以上の学生さんを昨年度受け入れております。大体毎年そのような数を受け入れて、卒前教育については医師、そしてメディカルスタッフ両方において貢献をしてまいりました。
診療等なのですが、まずは、やはり循環器病センターということで、どうしてもやはりそこは循環器ということに疾患はなりますので、がんの診療というのは、もともとここの病院の開設から想定されておりませんし、そのような患者さんは、確かにこちらのほうで診療をやることはないのですけれども、この循環器という領域に関しましては、救急でも、そこに該当するものは、特にその中で偏りなく、全て少しでも関係があるような患者さんは受け入れておりますし、論文につきましても、この循環器領域の中で、特に偏りがあるということはございません。
日常診療におきましても、この循環器という領域におきましては、広く患者さんの紹介を受け入れてやっているというところでございます。
あとは、地域の医療ということにつきましては、先ほど少しスライドで示しましたように、日本全国からここで勉強したいという人を受け入れておりまして、また、そういう人たちを日本全国にまたお返しする、あるいはここで育った人たちが全国あちこちに根づいていっているという図は、先ほどお示ししたことで御理解いただけるかと思いますので、そのような形で教育ということについては、全国的に貢献ができているのではないかと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、がんセンター、お願いいたします。
○瀬戸氏 まず、卒前教育ということですけれども、先ほど宮嵜先生もおっしゃられたように、我々の東京大学の学生が、いわゆる実習の一環として、診療科によるのですけれども、卒前教育を受け入れているということと、あと、教育とは少し違うかもしれません、夏季休暇等を利用して、病院見学には本当に多くの学生に来ていただいて、丁寧に対応しているということでございます。
それから、地域医療にいかに貢献しているかということなのですけれども、我々のところは専門性が高い医師がそろっておりまして、例えば外科系であると、例えばロボット手術のプロクターというのが多くおりまして、例えば、食道外科とか、大腸外科は、いろいろ全国の施設がロボット手術を始めるときにはプロクターとして招聘されております。そこで指導的立場に立っているということと、ロボット手術に限らず、内視鏡手術でも、本当に多く、実質を把握するのはなかなか難しいのですけれども、そういった指導依頼が来ておりますので、恐らくいろいろな地域でそういった高度な外科的手技を始めるときには、恐らくかなり貢献しているものと自負しております。
これは、外科系に限らず、内科系もかなり最近は薬物療法が発達しておりますので、いろいろな地域に行っては、いろいろな講演会等を通じて、その地域地域の、いわゆるオンコロジーのレベルのアップに貢献しているのではないかと思います。
あとは、ペーパーの数ですけれども、これは実際、病院に戻るとすぐに応対できると思うのですけれども、実際、昨年度の数字については、今ちょうど病院長ヒアリングを、例えば、今日から帰ってからもやるのですけれども、そのヒアリングの都度都度、各部門、各診療科で昨年度のペーパー数がどのくらいあったかというのを把握しておりますので、数字としては、いつでもお出しできる。診療科間にあまり差はないかなと思います。
それから、疾患のカバーということで、我々は申し訳ありません、がんに特化した病院ですので、良性疾患というのは、がんの疑いがあって来て、実は良性だったという患者さんはいらっしゃると思うのですけれども、基本的には、やはりがんの治療が中心になるのですけれども、それでも、がんの患者さんでも、例えば糖尿病の人とか、腎臓が悪い方とか、そういう意味では、今、我々の糖尿病の専門医もおりますし、循環器内科もおりますし、神経内科もいますし、総合内科もおりますので、いわゆるトータルなケアはできているのではないかなと考えております。
それから、救急に関しては、我々は救急病院ではないのですけれども、もちろんかかりつけといいますか、一旦かかっている方々の救急は本当に多くて、大体、毎日当直日誌とかを見ていると、恐らく10件、20件ぐらいの救急車が来ていて、それに対しては、全て応需しているという、かかりつけでもありますので、というところでお伝えできるかと思います。
大体、以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
相良構成員、これでよろしいでしょうか。
では、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 本日のナショナルセンターのお話で、研究、それから教育等も含めて、大変専門的な活動をされていらっしゃるのだなということを理解しました。
同時に、今の御質問等を聞いていて、今、議論されている大学病院本院の特定機能病院の在り方とは少し、視点は変えるべきなのかなと、今、話を聞いていて思いました。
そういう中で、そもそも特定機能病院制度は、1992年に制定され、この当時の日本の大学の研究は、今もそうだと信じていますが、世界の医学研究の中でもトップを走っていた頃ではないかなと、そういう中での高度の医療の提供とか、高度の医療の技術開発というのは、世界トップクラスを指していたのではないかと。
その基準を考えたときに、ナショナルセンターは、それぞれの分野での世界的なトップクラスを目指していただこうということだったのかなと。
御質問としては、当時は、医薬品の開発にしても日本のメーカーが世界に売り出して、世界的にも売れるお薬等をたくさん出していたかと思います。それらも、恐らく大学病院がナショナルセンターと協力して世界に打って出ていたと思うのですけれども、本日のナショナルセンターで、最近、世界に打って出るような新薬の開発の部分だとか、医療デバイスの開発、そういったものの状況というのは、現実にはどうなっているのでしょうか。
先ほど、がんセンターは、世界の中でも10番という話はありましたけれども、昔だったら少なくとも韓国よりもナショナルセンターや、日本の国がんのほうが上だったのではないかなと思いつつ、10番を見ていたところです。
○松田座長 ありがとうございます。
では、また、発表順にお願いしたいと思います。
では、国際医療センター、国循、がんセンターの順でお答えをいただけたらと思います。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院の薬ということで申しますと、新規のエイズの治療薬がありまして、イスラトラビルという薬なのですけれども、当センターでの研究所で開発されたものでございまして、それが、今、第Ⅲ相の国際共同治験が成功裏に終了したと聞いております。
その中で、当院は国内では、最大数の治験症例を有しております。そのようなことで、新しい薬に関しても開発、あと、もう一つあります。すみません、今のエイズ治療薬、イスラトラビルに加えまして、コロナの治療薬、レムデシビルの承認に関して、今、研究を進めているところです。
以上です。
○山本氏 それでは、循環器病センターのほうを発表させていただきます。
まず、薬剤ということにつきましては、先ほど少しプレゼンテーションでお示ししました、アドレノメデュリン、これは以前にこちらで、研究所の所長をされておられました、寒川先生らが、発見に御尽力された物質ですけれども、これを使った血管と神経を再生していくための治療ということで、脳梗塞の患者さんを対象とした治験。
それから、先ほどの難病であるCADASILという病気を対象とした治験というのを、当院の方で進めておりますし、また、海外で既に認めておられます、アルテプラーゼというtPAですね。これの国内での、今、医師主導の研究を推進しております。
それから、デバイス関係におきましては、体外設置型の連続流の補助人工心臓のバイオフロートというのを、これは国循のほうで開発して、これは既にもう市販して、国内多くの施設で既に活用をされておりますし、それから今度7月の2日に記者会見の予定なのですけれども、当院の小児科のほうで開発しました3Dを使った先天性心疾患の患者さんのモデルというのを使って、先天性心疾患の患者さんの術前の段階で、各患者さんでどういうアプローチをしていったらいいかということができるモデル、これを開発して、これが保険で承認を得ましたので、これが今後、我が国で広く活用されていくのではないかと考えております。
以上です。
○瀬戸氏 それでは、薬等については、東病院の土井院長からお願いします。
○土井氏 よろしくお願いします。東病院の病院長の土井と申します。
御指摘のように、日本の中で創薬の開発が遅れてきている部分もあるということは認識しておりますが、皆さん御存じのように、エンハーツと言われる、antibody drug conjugateに関しては、海外の施設においてはフェーズ1が、実際には見向きもされなかったものを、中央病院と東病院のほうで実施することによって、現在1兆円近いマーケットシェアを取るようなものが日本から発信できています。
同様に、日本の中のシーズで、多くは中核を中心としてされていると思うのですけれども、アカデミアの先生方が非常にシーズを持たれているのですが、いわゆる第I相臨床試験、医師主導治験ができる体制が日本の中ではなかったものを、中央病院と一緒になってやっております。
その中には、御存じのように京都大学のiPSのシノビ・セラピューティクスというものは、日本での第I相臨床試験のデータをそのまま海外に持っていって、FDAの臨床試験のもとで、30億から100億近いお金を得ることができます。
その得たもので、また日本に持って帰ってきていただいて、第I相臨床試験をすると。そういったものが、山口大学の玉田先生、それから豪州で行っているA-SEEDSと言われているものも出てきています。
また、ネクストという医療機器、AI等を開発するグループがありますけれども、それも中央病院、東病院が一体となって推進しているものになっています。
その中では、トラクションと言われているものは既に企業化していますし、サージストレージというリアルワールドデータのものであれば、フォーブスの世界30に選ばれるような企業も、私たちとしては輩出しておりますので、決して、がん領域において日本が劣っていると私たちは思っていないところです。
○松田座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。日本看護協会の吉川です。
御発表ありがとうございました。本日の報告をお伺いしまして、非常に専門的で高度な医療を提供されているということが分かりました。
看護の視点から1点お伺いしたいと思います。これまでの議論におきまして、特定機能病院に期待される役割が整理され、基礎的基準の項目として教育のところに医師派遣機能や人材育成に加え、看護師、薬剤師その他専門職の実習受け入れ・育成が設定されることになりました。安心・安全で質の高い高度な医療を提供するに当たっては、医師のみならず、看護師や薬剤師等の研修体制の充実化が非常に重要であると考えます。
加えて、生産年齢人口が減り、例えば看護職であれば、看護職確保や育成がますます厳しくなる時代において、地域全体でいかに看護職を確保するのか、育成していくのか、地域の医療の質を向上していくのかについて、考えていかなければならないと思います。
そこでご発表の中にも少し入っておりましたが、皆様の病院におきまして、医師以外の専門職の教育や研修の実施状況、地域の医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなどの看護職への研修の提供や育成、看護職確保への関わりの実際について、お伺いできればと思います。
もし、今、行われていない場合は、今後、何らかの計画や予定があるかどうかについて、教えていただければと思います。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
では、御発表順に御回答をお願いいたします。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院では、例えば看護師に関しましては、質の高い学生を確保しました上で、特定行為研修を開催しております。当院が協力施設としまして、特定行為研修を8区分13行為について、令和5年度より開始しておりまして、高い技術を持った看護師の育成に協力しているところでございます。
薬剤師、その他に関しても、数字は出てきませんが、もちろんたくさんのレジデントを取っておりまして、12人ということなのですけれども、薬剤師の育成に関しても力を注いでいるところでございます。
以上です。
○山本氏 では、循環器病センターのほうからお答えをさせていただきます。
先ほど少しお話をしましたが、まず、看護部におきましては、実習生、学生さんを2024年度は462人受け入れております。
そのほか、薬剤のほうで学生さん70人、リハビリテーションで19人、臨床工学で19人、そして栄養部のほうで18人ですかね。あと、臨床検査で13人、そして放射線部のほうで6人という学生さんの受入れをしております。
また、卒後ということにつきましては、レジデントは薬剤師が4人、臨床検査技師は2人を雇用しておりますし、看護婦さんの教育ということでは、先ほど特定行為、こちらの教育のほうは当院のほうでも行っておりまして、すみません、2024年度のデータが、今、手元にはないのですけれども、2023年度は14人、特定行為の教育をして、修了生を出すという形の教育の成果を上げております。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
まず、中央病院について申し上げると、やはり我々のところでは、がん専門の、いわゆる資格を持ったナースが非常に重要でありまして、いろいろな場面で関わっていただいております。ですので、その育成に非常に努めているということ。
それから、確保については、まずは、やはり新人の確保ということで、今、面接を行っております。実は、日曜日も私、面接の面接官を担当したのですけれども、我々の病院の特徴はいろいろな地地域から来ていただいているということで、特に新人の方々が地方から東京に出てきた後のケアというのが非常に重要であると考えております。そこら辺のメンタルケアも含めて対応させていただいて、人材、人員のナースの確保に努めているということです。
それから、日常の診療におきましても、我々のところは、患者さんのサポート体制、いわゆるがんの治療に入る前から治療後まで、そこは地域医療連携も関わってくるのですけれども、そこにも看護師さんがおりまして、そういったところでも看護師さんの役割分担というのは非常に重要であるということで、それを全病院的に認識しているということはお伝えできるかなと思います。
○土井氏 すみません、東病院のほうからもお話しさせていただきます。
がん領域においては、アドバンスナースの体制というのは、両病院ともしっかりとつくっています。例えば、がん治療を支える看護としては、がん化学療法看護、がん化学療法の注射、いわゆる抗がん剤等のタスクをやっていただけるものとか、皮膚、排泄ケア、緩和ケアの専門職についての教育は十分に行っているところです。
その中で非常に特色的なのは、多職種による、皆さんも悩まれていると思いますけれども、手術直後のせん妄、それから入院等のせん妄のプログラムは、がんの領域でつくったもので教育プログラムを、日本の中に展開していっています。
特に、私たちのところでは、地域におけるせん妄ケアの研修等も、当院のほうで行いながら、こういった地域における教育もしっかりさせていただいているものを繰り返しているところです。
新しい取組としては、認知障害への取組。それから、ペイシェントフローマネジメントを用いることで、看護の体系化というのも進めているところです。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、山崎構成員、お願いいたします。
○山崎構成員 よろしくお願いいたします。神奈川県の山崎です。
私は、都道府県という立場から参加させていただいておりますので、さすがナショナルセンターだなという御発表だったと思っておるのですが、いわゆる都道府県にあるようなローカルなセンターもありまして、そことの関係性というところから少し確認をさせていただけたらと思います。
例えば、国際医療研究センターであれば、感染症に関しては、もちろん都道府県の感染症指定医療機関を取りまとめていらっしゃるような立場でいらっしゃると思うのですけれども、国際医療センターは総合型ではいらっしゃるので、特定領域型の特定機能病院ではないので、感染症以外にもそのような機能をお持ちの領域があるのか、例えば、今回JIHSにDMAT事務局も入りましたので、例えば、全国の災害拠点病院をまとめるような機能を今後お持ちになるのかとか、そういったところを確認させていただきたい。
例えば、循環器病センターであれば、都道府県にも県立循環器病病院とかもありますので、そういったものを取りまとめるとか、その頭を取るような機能をお持ちなのか、がんセンターであれば、もちろん都道府県がん拠点病院の中心的な存在では、もちろんいらっしゃると思うのですけれども、例えば、東病院さんとの関係性とか、どういう役割分担をされているのかなとか、そういったところを確認させていただけたらと思います。
○松田座長 では、国際医療センターのほうからお願いいたします。
○宮嵜氏 まず、感染症以外の領域について御質問いただきましたけれども、先ほど発表の最後で述べましたが、糖尿病あるいは中で述べましたエイズに関しましては、全国の取りまとめをしているような組織になっております。
特にエイズに関しましては、ブロック拠点病院14、そして中核拠点病院、そしてエイズ治療拠点病院とあるのですけれども、その頂点としてHIV医療体制を牽引している存在だと思います。
また、当センターといいますが、当機構に4月からDMATの事務所が合流いたしましたので、これからなのですけれども、以前のもので申しますと、昨年、能登地震の際には、1月1日に起きたと思うのですけれども、現地での感染対策といたしまして、既に1月4日の段階で、10名の派遣、医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師を派遣しておりましたし、その後、珠洲の総合病院での看護業務支援ということで、計3チーム、合計15名の看護師を派遣したところでございます。
また、この4月1日にはミャンマーに、医師、看護師を派遣したという実績もございます。
以上です。
○山本氏 では、循環器病センターのほうからお返事をさせていただきます。
循環器病センターが、直接、全都道府県にあるわけではないのですが、一部都道府県にありますような循環器の専門とする施設を直接管轄するということはやっておりませんけれども、先ほどのスライドでお示ししましたように、各地区の大学、そちらのほうに教授職として、ずっと国循のトレーニングを受けられて、そこでいろいろな実績を上げた方が輩出して、そこでまた国循で、それまで培われたことを各地域にスプレッドしていくということをやっておりますし、今も国循会ということで、全国といった方々とのつながりということができておりますので、そういう意味では全国における均てん化というところを、そういう人材派遣ということを介してできていると思います。
あとは、日本循環器学会という循環器専門医の制度をつくっている循環器の主たる学会なのですが、なかなか日本は、がんと違って循環器の患者さんの登録事業というのが遅れていたのですが、基本法が通った後、循環器学会と一緒になって国循のほう方は、その登録のセンターという役割を担いながら、いろいろな循環器疾患の登録事業ということにもコミットをしていっております。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
神奈川県ということですので、神奈川県には、神奈川県立がんセンターがあって、我々の全がん協と言われる組織があって、これは全国の18のがんセンター、いわゆるがん専門病院があって、その18病院と、ほかにも岩手県立中央病院とか、山形県中央病院等々入った全部で31ぐらいの入った全がん協という組織があります。
その中で、要は、がんの治療に関していろいろな議論を行っておりまして、毎年その中で多職種カンファというのを、テーマを決めて各病院が行って、その31病院の中でのがん治療、がん教育を行っていくという取組を行っています。
これは非常に重要で、人的交流も行っていますし、例えば、山形県立中央病院は、この間、本当に看護師さんも含めて、中央病院に研修に来たばかりですし、その中で、いろいろ、がんの保険診療の在り方とか、これは厚生労働省の方々に、こういった点数を上げてほしいとか、そういう場にもなっておりますので、いわゆる、地域のがんセンターとも我々は協力しているということと、今後は、その中で、いわゆるQI指標も共有していこうということで、いわゆる地域のがんセンターとも一緒になって、全国のがん医療に向けて情報を発信していきたいと考えております。
それから、東との役割ということなのですけれども、最近は、本当に土井院長とも、こういったオンラインとかでミーティングを行いますし、例えば、初年度の挨拶等も理事長を含めて、東と地方を共有するという試みが始まっております。
もちろん、それぞれ特定機能病院でありますし、臨床研究中核病院でありますので、お互いに、いいところは伸ばしていくということで、いろいろ共有できるものは共有していくということかなと思います。
○土井氏 同様です。基本的には、中央病院とはうまくお付き合いさせていただいています。
特に早期の臨床試験を遅れずにここまでやってくれたのは、私、病院長になるまで、先端医療科という診療科におりましたけれども、毎週中央病院の先端医療科とは、ウェブでミーティングをします。
それは、なぜかといいますと、第I相臨床試験は、未知の有害事象が非常に多いですので、お互いに情報を交換することで患者さんへのリスクを下げていくということをさせていただいています。
千葉県の中で東病院の位置づけなのですが、思い浮かぶかどうか、チーバくんを思い浮かべていただいたらいいと思うのですけれども、チーバくんの頭の部分と足の部分というのが非常に医療過疎県になっています。
これを、千葉県の県立がんセンターと千葉大学が全てを見ていくというのは、非常に難しい部分がありますので、頭の部分に関しては、私たち東病院が地域の医療のがんの患者さんを見ていくという体制を取り、南のほう、足のほうについては千葉大と、それから、千葉のがんセンターのほうで中心となって見ていただきながら、千葉県全体としては協議会の中で情報を共有していく形にしています。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
時間が少し押しておりますので、吉村構成員、本田構成員までで質問を終わりたいと思いますけれども、それぞれ申し訳ありませんが、手短にお願いいたします。
○吉村構成員 端的に質問します。
3医療機関にお尋ねします。本検討会では、医療法の中に位置づけられる特定機能病院の在り方のお話です。それぞれの医療機関3機関については、各診療分野を支援するような各基本法の整備も進んでいます。具体的には感染症法及び国際危機管理研究機構法、循環器対策基本法、がん対策基本法とそれぞれあります。それらの各法が行っている支援や評価をどのように捉えているか、端的に教えてください。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院では、先ほど言っていただいた国立健康危機管理研究機構法に基づきまして、4つの機能が求められているというところで、1つとしては、情報収集、分析、リスク評価機能というところで感染症インテリジェンスにおけるハブとしての役割を求められていると。
そこと、2番目は、どこの組織もそうかと思いますが、研究開発機構の機能について世界トップレベルの研究体制が求められているというところ。
そして、3番目、先ほども強調しましたけれども、感染症危機におきましては、感染症の治療だけでは無理で、それに附随するほかの疾患に対しても対応できなければいけないというところで、総合機能病院の機能を大事にしているところ。
4番目として、人材育成あるいは国際協力、医療協力局も当機構にはございますので、その辺で病院としても、ベトナム、アジアの国が多いのですけれども、そこに医師などを派遣して、そこでの医療の発展にいろいろ協力しているところでございます。
以上です。
○松田座長 では、国循お願いいたします。
○山本氏 循環器病研究センターとしては、先ほど、まずお話ししました登録事業ですね、循環器の患者さんの登録事業において、日本循環器学会と協力して、こちらがデータセンターとなる役割を担いながら、それを進めていっております。
また、研究につきましては、先ほど少し実績等をお示ししましたように、以前からずっと先端的な医療機器開発等も含めた、循環器の世界的なレベルの研究を行っております。
あとは、この基本法ができた後、数年前から脳卒中心臓病等、総合支援センターのモデル事業というのが、厚労省のほうで始まりましたけれども、大阪におきましては、循環器病センターが中心的な役割を担っております。
局長から追加で発言していただきます。
○北波氏 企画戦略局長の北波です。
先ほど、基本法との関係がありましたけれども、この基本法に基づきまして、がん対策基本計画というのがつくられました。それに基づきまして、私たちは国立循環器病研究センターでは、循環器病対策情報センターというのを設置いたしまして、現在データベースの構築というのを学会とともに行っていると、法的にはそういう関連での活動をしているということを付け加えさせていただきます。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
我々も法に基づいたということは非常に重要な観点と考えておりまして、もちろん日常診療等を含めて、そういった医療法に基づいて行っているということと、一方で、我々は、がん対策研究所等がありまして、全国のがん登録のデータ等が集まってきます。
それらを踏まえて、いわゆる今後のがん診療の在り方等を、いろいろな拠点病院等々を含めて、我々提言する側でもあるとも考えておりますので、そういった立場は堅持していきたいと考えております。
以上です。
○松田座長 では、本田構成員、お願いいたします。
○本田構成員 ありがとうございます。本田です。
2つ質問がございまして、私は患者市民の立場という観点から少し伺いたいのですけれども、1つ、皆さんの今日の御発表聞いていて、高度医療の提供、研究、教育、様々な視点で大変高度なことをされているということ、大変感銘を受けました。
その上で、日本の医療の課題の1つとして最近よく指摘されるのが、臨床研究もしくは臨床試験という部分かなと思っています。
高度な医療の提供の裏には、そういうものがしっかり行われていることが重要だと思うのですけれども、それぞれの御発表の中で、取組を御発表いただいているのですけれども、その臨床研究や臨床試験を進めていく中で、その中に、各地域の学生さん、もしくは、レジデントさんですけれども、各地域の先生方との教育機能、そういう臨床研究などをするための教育機能みたいなものを持っているのかどうかというのを1つ教えていただきたいと思います。
もう一つは、これは特定機能病院の基礎的な項目には入っていないのですけれども、これからの医療というのは、患者さんや地域住民との協力連携というのが、必ず欠かせないものになっているかと思いますけれども、先端的なことをされている皆さんとしては、そういう連携の視点とか、もしくは活動というものがあるのかどうかというのを1つ教えていただければなと思っています。お願いします。
○松田座長 また、発表順にお願いいたします。
○宮嵜氏 臨床研究における地域の教育に関しましては、まず、日本ではなくて外国になってしまうのですけれども、ARISEという感染症のネットワークをアジアにつくろうとしておりまして、そういう意味では均てん化、外国とのいろいろ条件を均等化して臨床試験をうまくやっていこうということで、昨年はフィリピンでワークショップとセミナーを開きまして、臨床研究の専門職を対象としました、コンピテンシーの会開発プログラムというところで、倫理や規制に関するフレームワークだとか、臨床研究やその他、科学的なコンセプト、デザインの紹介などを行って、そこには臨床研究の専門家が36名参加されておりまして、国際臨床研究者の養成に努めております。
また、もう一つは、市民への啓発という話がございましたが、それに関しましては、市民公開講座をかなり各課で開いておりまして、外来のがん治療センターでも開いておりますし、感染症のほうもかなり、ちょっと回数は出てこないのですけれども、いろいろな科で市民公開講座を開いて、市民への啓発については進めているところです。
以上です。
○松田座長 では、国循の方、お願いいたします。
○山本氏 では、循環器病センターからお答えさせていただきます。
教育のシステムというのを、名前で何とかというのはつくってはないのですけれども、多施設共同研究というのが、今、大体必要になってきていまして、そのときに循環器病センターは循環器に関する多施設共同研究に参画して、そこで中心的な役割を担うわけですけれども、そこで特にやはりいつも問題になるのはデータの管理とか統計的な処理とか、そういうところについては国循の専門家が、一緒のチームの中で主導的な役割を果たして、そういうことを通しても、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいな形で参画している施設の方々の教育にも貢献をしているという形にはなっていると考えております。
また、地域の連携ということについては、市民公開講座もやっているのですが、国循は、こちらに立ってから吹田市というところにあるのですけれども、吹田の市民の方々のデータをずっと蓄積してきた吹田研究というのがありまして、実はそこから出てきたデータから、例えば高コレステロール血症の方々のリスクの層別化のスコア化ということのデータを日本人のもとに出して、そして、それを基に、日本人の高脂血症、高コレステロール血症の資料は、こういう形でやっていったらいいという、そういうガイドラインにも書けるような成果にまで結びつけて、それを市民の方に還元しているというところまでやっております。
以上です。
○松田座長 最後に、がんセンター、お願いいたします。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
臨床試験あるいは治験へのアクセスというか、教育ということなのですけれども、基本的に、我々のところは、かなりホームページ、YouTubeを紹介して、それでいろいろな情報は、一般の方々もアクセスしやすいようになっているということと、それから、いろいろなホームページをいっぱい公開していて、ホームページの中で、それぞれのいろいろなアクセス数というのを随時把握しておりますので、そういったもので病院側としても把握できているということと、それから、新たに臨床試験を始めて、特に患者さんのエントリーをお願いしたいという場合には、プレスリリースを行って、その中でこういった研究を始めますということを紹介させていただいております。
ただ、本田先生御指摘のように、そういった取組だと少し不十分かもしれませんので、今後の課題とさせていただきたいと思います。
それから、医師会との関係においては、やはり近隣の医師会、例えば中央区医師会とか、江戸川区医師会とか、そういった方々に随時、我々も訪問して、いろいろな講演会等を通じて医師会の会員の先生方にも、こういった臨床試験とかを紹介させていただいているという取組を行っております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
それでは、以上で質疑応答を終わらせていただきます。3施設の方のヒアリングへの御協力、どうもありがとうございました。
それでは、ここで3病院の皆様は、御退出していただいて構いません。
(国立国際医療センター、国立循環器病研究センター、国立がん研究センター 退出)
○松田座長 よろしいですか。
では、これまでのヒアリング等を踏まえて意見交換をしたいと思うのですけれども、事務局から何か補足はありますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 時間がございませんので、特にございませんが、もし、構成員の先生方よろしければ、数分という感じでしょうか、何かコメントがあればよろしくお願いいたします。
○松田座長 では、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
今村構成員、お願いします。
○今村構成員 本日のヒアリングで、かなりそれぞれのナショナルセンターはがんばっていらっしゃるというのは分かったのですけれども、今までの議論と、このナショナルセンターのヒアリングの中で出た議論について、厚生労働省の中でも、どこが今までの基準の中に入っていて、どこが少し違うかなどを整理していただきたい。これは、やはり非常に大事で、例えば、今までの基準における高度な医療の技術開発などの部分では、やはり特筆すべきことだとか、そこら辺をしっかり切り分けた表なのか、こちら側にも分かるような資料をつくっていただければと思ったところです。
よろしくお願いします。
○松田座長 では、一通り全員の意見を聞きたいと思いますけれども、村松構成員、お願いいたします。
○村松構成員 ありがとうございます。村松です。
こちらの会議では、大学病院本院がどういった役割を果たすべきかということを、これまで4領域に分けて整理してきたかと思います。
医療提供については、事務局からたくさん資料をお出しいただいたと思いますが、大規模な医療機関との間に差はないということだったかと思います。
今日、残りの3つのうち人材育成について、相良構成員、吉川構成員から御発言がありましたが、これまでの議論を踏まえると、特定機能病院としての人材育成ですとか教育の役割は相当なものが求められているとは思います。
話題に出ました卒前教育への体験的な関与ですとか、全国の医療従事者を対象とした、教育研究を通じた地域医療全体の直接的な底上げというものは、特定機能病院が、制度ができた後に、先ほど、吉村構成員から医療法と、その他の基本法との関係の話がありましたが、そうした別法で評価や支援を受けるようになってきたという経緯もありますので、その枠組みとのどう整合を取っていくのかというところが課題だなと思いました。
意見です。以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 私からも意見が2つです。
ナショナルセンターが、高度な医療の提供、研究開発、教育、医師派遣の面で重要な役割に立っていることは十分理解できましたけれども、一方で、特定機能病院の議論の中では、やはり地域の最後の砦という役割が期待されております。
ナショナルセンターは、むしろ地域医療の拠点となる医療機関というよりも、やはり日本全体を支えている役割になっているという印象を受けております。
2つ目ですが、前回の議論で健保連のほうからも、特定機能病院のあるべき姿については、大学病院本院の基礎的基準と同じレベルで、各機能を兼ね備えていることが不可欠だという指摘をさせていただきました。
都道府県が策定する新たな地域医療構想において、三次医療圏を想定した、広域診療機能が検討されていること。医師偏在対策において、都道府県とのパートナーシップ協定を推進する方向性が示されることを踏まえますと、保健所の立場としては、このような医療を幅広く提供していくことに加えて、都道府県としては連携して三次医療圏全体をカバーする形で、少数区域に対して、継続的に一定以上の医師派遣や医師の配置をしていることが担保されるべきであると考えております。
私からは以上でございます。
○松田座長 門脇構成員、お願いいたします。
○門脇構成員 門脇です。
特定機能病院という制制度としての、全体の枠組みといいますか、分かりやすさ、特に国民から見ても分かりやすさという観点からいきますと、これまでの御発言と重複しますけれども、この特定機能病院というネーミングが時々問題になりますが、そういうネーミングの観点からすると、今日プレゼンいただいた特定領域型が、むしろ、特定機能病院という名前に当てはまって、あくまでネーミングという観点からだけですけれども、大学病院本院を特定機能病院から外したほうがいいのではないかと、考え方として、そういう感じさえ持ちましたので、枠組み全体を国民に対して分かりやすい、説明しやすい形にしないといけないかなと思いました。
以上です。
○松田座長 山崎構成員、お願いいたします。
○山崎構成員 ありがとうございます。
私が思ったのは、大学病院のほうの議論でもあったように、高度性と網羅性の両方があるのではないかなと思いました。
がんセンターで言えば、例えば特定のがんだけではなくて、やはりワイドにがん全体を見ていただく、循環器全体を見ていただくという視点が必要なのかなと思ったところです。
そういう意味ですと、総合型の、例えば国際医療センターとかは、少し微妙だなと思いまして、ある意味健康危機管理や感染症に関しという特定領域であれば、もう問題ないという感じはするのですけれども、本当に総合型と言ってしまって、確かに総合病院なのですけれども、総合型と言っていいのかなというところは、少し思ったところです。
あとは、例えば県立がんセンターをどうするのだと、これは、ネイションワイドにあまり活躍してなくて、先ほどの三次医療圏での位置づけには、やはりなってしまうので、そこら辺のすみ分けをどうするかというところを、少し議論し直さなくてはいけないのかなと思いました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
今回、特に人材育成について質問させていただいたのですが、地域の拠点として、地域にいる医療職者の人材育成という視点では、回答が十分聞けなかったかなと思いました。
専門性に非常に特化していて、高度な医療を提供しており、ご自分のところで、これに対応できる人材を育成していることは分かりました。しかし、今、回答をいただいた特定行為研修は、全国で行われておりますので、もう少し地域の人たち、地域の医療職者の育成というところがあるとよかったなと思ったところです。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
今日のプレゼンテーション3つとも物すごくレベルが高い、非常にすばらしいお仕事をされていることがよく分かりました。
それぞれの大学病院本院とは、やはり違うのだろうなと思います。そちらは学生の教育、卒後教育、そして研究、それから地域への医師の派遣とかという機能とは少し違う。むしろ、日本の中のトップクラスであり、世界に向いていると、目を向けていると思いますので、やはりそこの評価軸は変えないと合わないなと。
国際医療センターについては、どちらかというと、やはり感染症の非常にレベルの高い専門の病院なのではないかなというイメージを受けました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
岡構成員、お願いいたします。
○岡参考人 私も人材育成の点で、やはり大学病院の本院と違うのは、大学病院本院は、やはり卒前教育から研修医、それから専門医教育まであると思うのですけれども、本院以外の特定機能病院というのは、やはり、専門医機構の専門医取得が終わった後、さらに高度な専門医の取得のプログラムというのは、どれだけあるのかなと思ったのですね。
つまり、いわゆるフェロー制度みたいなもので、これがしっかりして、専門医を取った後に、さらに高度なものを、例えば3年、4年学んで、各地域にそういうものをちゃんとやっていけば、全国的な貢献ができると思うのです。国がんは、がん専門修練医というのが、それに当たるのかと思うのですけれども、ほかは、今日は聞けなかったのですけれども、ぜひそういう、いわゆるフェロー制度ですかね、専門医を取得後の際に、さらに高度な専門医を学ぶ、そういうシステムがあるのかどうか、あるいはそういうシステムをしっかり評価できればいいかなということを、今回人材育成で感じました。
以上です。
○松田座長 吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 制度的な整合性が重要かと思います。今のお話ですと、やはり診療などに特化した機能であることは間違いないと考えます。
特定機能病院として、今後求めていくのが、医師の配置・派遣ということは共通の認識です。それに匹敵するかどうか、再評価していく必要があると思います。
○松田座長 ありがとうございました。
少し時間を過ぎてしまいましたけれども、そのほかよろしいでしょうか。
多分、今日のお話を聞いていて、がんセンターが、やはり高度な医療の開発、それから、いわゆるスペシャリストの教育、研修ですね、あとは、何といっても全国の情報を集めているという、ネットワークを中心にという機能がすごく行き渡っているのかなと思いました。
そことの比較で、国循あるいは国際医療センターを見たときに、情報のいわゆるネットワークの頂点に、中核施設になっているという機能が少し弱いのかなという印象を受けました。
やはり国全体のそれぞれの領域でのトップレベルの機能を果たしていくのであれば、情報のセンターとしての機能というのも、これからどのようにつくっていくのかなということを、少しヒアリングを聞いていて思った次第です。
一応ここまでで終わりたいと思うのですけれども、それでは、御議論いただいた点を踏まえて論点を整理して、今後の取扱いについては、事務局のほうでまとめていただけたらと思います。
予定されていた議題は以上ですけれども、事務局から何か事務連絡はありますでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 次回に関しては、そこまで時間を置かないで実施をしたいと考えております。
今日いただいた御議論を踏まえて、議論を整理していきたいと考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。
○松田座長 それでは、予定された時間となりましたので、これで終了としたいと思います。
本日は長い時間、どうもありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日、ヒアリングに御協力いただく先生方、ありがとうございます。
私は、事務局の医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局ですが、本日、審議官の森は公務により欠席、地域医療計画課長の中田は公務のため遅れての参加、また、途中で退出をいたします。
オブザーバーとして文部科学省の医学教育課も参加をしておりますが、日比課長は、遅れての参加と伺っております。
ここで、前回と同様に代理出席のお諮りをしたいと思います。日本病院会の泉構成員が御欠席で、代理出席の御希望がございました。検討会の開催要綱の「3.構成員」において「団体を代表して参加している構成員が、やむを得ず欠席し、代理出席を希望する場合には、事前に医政局地域医療計画課を通じて座長の了解を得た上で、当日の会合において承諾を得ることにより、参考人として参加することができる。」とされております。事前に松田座長に、岡参考人の代理出席の了解を得ておりますので、ここで皆様に御了承をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
御了承いただきましたので、岡参考人に御出席をいただくことといたします。
お配りしている資料は、画面にございます資料一覧のとおりでございます。
こちらに参考資料2までございます。
ホームページに掲載されておりますので、御覧いただければと思います。
また、本日は、フルオンラインの開催でございますので、御発言がある場合には、挙手機能を使ってください。場合によっては、事務局から補佐して御指名をさせていただきますので、その後、御発言をいただければと思います。記録のため、最初にお名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
それでは、以降、松田座長に進行をお願いできますでしょうか。
○松田座長 松田でございます。
それでは、議事1「特定機能病院における医療安全の取組について」に入りたいと思います。
前回の議論におきまして、管理者が行うモニタリング項目に関する事項、それから監査委員会が行う監査項目など、見直しの方向性について、おおむね合意されたと認識しております。
今回、具体的な項目につきまして、議論を行うこととしています。前回と同様、厚労科研の代表者であります、自治医科大学学長の永井良三先生にお越しいただいておりますので、永井先生から御説明いただき、引き続き、事務局から対応案の説明をお願いしたいと思います。
では、永井先生、よろしくお願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 永井先生、最初に、少しだけ前回の復習をさせていただき、その後、永井先生にお願いしたいと思います。
資料1-1を御覧ください。これまでの議論のおさらいでございます。4ページでございますが、今まで4項目、モニタリング関係者、特に医療安全管理責任者(副院長)、監査委員会について、永井班で調査をいただいております。事故調については、特定機能だけのものではありませんので、今回割愛をしております。
その中で、モニタリング項目に関しまして、前回、こちらは6ページの左下でございますが、A項目、B項目、C項目と重大性と回避可能性を勘案して、7ページでございますが、前例で把握をして1例ずつ検証を求めるA類型の項目、それから、2つ目の○、B類型、全例を把握するが、毎回振り返るわけではなくて、疑義があるところまでたまったら振り返り、検証を行うという2項目をつくってはどうかということを、おおむね合意をしていただきました。
こちらは、今回、2月から今までの間、永井班で、この項目のリストアップを行っていただきましたので、永井先生に研究班を代表して御説明をいただく形にさせていただきました。
それでは、永井先生、お願いいたします。
○永井氏 ありがとうございます。
それでは、今、お話がありましたように、前回この検討会で、医療安全管理部門で把握すべき事象。経緯、患者への影響度と回避可能性によってAからCの3類型に分けてはどうかと。特にA類型、B類型については、全ての特定機能病院に共通の事象のリストを設けると、例を挙げて対応をしようと、そして、これらについては、医療安全管理部門へ全例報告を求めることとしてはどうかということ。
特にA類型は、全例を検証するという点が大事です。
B類型は、医療安全管理委員会で動向、傾向を把握した上で、疑義のある場合は検証すると、こんな分類で例を挙げて対応できるように、説明できるようにしようということでございます。そのためのリスト案を作成いたしました。
もう一度おさらいですが、A類型というのは、患者さんへの影響度が非常に大きいということ。かつ、確実に回避する手段がある程度普及しているという事象をA類型、ネバー・イベントと言っているものです。
B類型は、影響度が大きいのですけれども、回避可能性については、事例によって異なるということ。このAとBが重要であるということ。Cは、影響度が比較的小さいもの。
Aというのが、結局ネバー・イベント、よく左右の取り違いとか、患者さん取り違いとか、輸血のタイプミスとか、そういうのは昔から言われていましたけれども、これをもう一度整理しようということ。
それから、Bは、それ以外の重大な事象ですけれども、ただ、この例をどこから持ってくるかということで、幾つか文献的なものあるいは実際に報告したデータがございます。
その代表が①の下に書いてあるBMJですね、これは2023年の文献です。
そのほか、諸外国のネバー・イベント・フレームワークというのがありまして、NHS EnglandあるいはNational Quality Forumとか、The Joint Commission、Sentinel Event Policyと、こういういろいろなものがございます。
それに加えて、我が国の複数の特定機能病院に関連する報告基準、モニタリング、こういうものを参考にして、研究班のほうでリストアップして137例、これは参考資料1-1にリストが掲げられています。
まず、137例をピックアップして、それを全部、今回の対応例とするというのは、少し難しいところがございます。
そこで選別をいたしました。例えば、左に66例除外していますけれども、これは定義が曖昧である、重複する事象である、非常に各論的、専門性が高い話であると、こういうところは、まずは除外して、66例除きました。
そのほかにも、右に38例、感染に関する事象、院内犯罪、患者さんの問題行動あるいは文化的な背景のある医療行為、こういうところは取りあえず除いて、残ったのが33例です。
33例のうち、Aにするか、Bにするかというところを議論いたしました。
ちなみに、先ほどの66例、38例をなぜ除いたかというのは、参考資料の1-1に説明がございます。
33例対応するということにしたのですが、そのうちAに該当するだろうというのが17例、これは参考資料1-3にその辺りの議論の経過がまとめてあります。
最終的に取りまとめたのが、12例、参考資料1-5の下は見えていますでしょうか。17例ピックアップして、12例を最終的に対応しようということでございます。左の一番下です、12例。この辺りの取りまとめのデータは、参考資料1-5にございます。これがA類型であります。
B類型については、やはり17例ピックアップしました。33で、17、17で、少し変に思われるかもしれませんが、議論の考え方によってAでもBでもいいというのも少しありましたので、取りあえずA17、B17にしては、Aは17から12に絞ったと。
それで、Aが侵襲的手技に関連する事象、Bについてもそうですけれども、17のうち侵襲的手技に関連する事象ということで、Aから12、Bから12ということで、最終的に取りまとめを行って、各事象の定義あるいはいろいろな限定条件等についても議論しております。
そういうことで、137の事象の候補がありましたけれども、最終的に、まず、特定機能病院に求めるものとしては、A類型12、B類型12ということでいかがかという提案でございます。
具体的な例は、事務局から提示いただけますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 こちらがA類型でございます。
○永井氏 ここに①から⑫です。これが特にネバー・イベントとして、まず、この辺りから動きを取ったらどうかということで提案させていただきたいということでございます。
Bについてございますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 こちらがB類型でございます。
○永井氏 これも1から12のところです。
私からは以上でございます。これに対応してどうするかは、事務局からお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 永井先生、ありがとうございました。
こちらは、永井班に御提案をまとめていただきました、A類型、B類型でございますが、対応に関しては、事務局から御提案をさせていただきます。
A類型については、全例医療安全管理部門への報告を求めまして、全例で振り返りを院内で行っていただき、必要な対策を講じていただくこと。
それから、検査結果については記録をいただくこと、これは資料1-1の14ページでございますが、12項目の下に効率的にするために、特定機能病院でリストの共有等を行っていただくことをお願いしたいと考えております。
B類型につきましては、先ほど永井先生からもございましたように、全例を毎回検証するわけではなく、これは特定の診療科でたまっているとか、あまりにも最近多いということがあれば、もしくは10例たまったら検証をいただくものだと考えておりますので、B類型の事象が発生した場合の対応として発生の傾向を把握し、疑義があると認めるときには検証し、必要な対策を講じて検証結果と対策に関しては記録をしていただくことを考えてございます。
さらに提案ですが、こちらは、医療安全管理部門に、これまで特定機能病院の仕組みでは、このような介入などを行っていただくということがルール化されていましたが、管理者等の関わりについてもさらなる明文化をしてはどうかと考えております。
これはよく御指摘いただく話ですが、例えば病院長が特定の診療科の手術などを止めようとしても、なかなか合意が得られないといった事例も聞いておりますので、管理者の行いを明確化したいと考えておりまして、管理者がこういう部署に必要な指導を行うということを医療安全管理委員会から申し伝えて、指導を行うべきと明確にしていきたいと思います。
あと、緊急の場合は管理者の判断においても、こういう指導等が行えること。それから、これらトータルの記録に関しては、監査委員会で見ていただくこと。これらを法令上明確化していきたいというのが、提案の2番目でございます。
あわせて、前回の続きですが、医療安全管理者の副院長、業務の明確化のところですが、4点ほど、細かいですが提案させていただきたいと思っております。
現在、一番下の箱、資料の17ページですが、医療安全管理責任者、副院長に関しては医療安全管理部門、(2)のところ。ここを統括するというルールになっているのですが、さらに明確にするために、上の方向性案の(1)医療安全の観点からの管理者への助言補佐、医療安全管理部門等4部門に対して方針の管理や、運営の管理をしていただくこと。医療安全管理部門の業務支援をしていただくこと。
それから、先ほどもございましたが、副院長からも部署や個々の従業者への指導等を行っていただくこと等を明確化したいと考えております。
次に、監査委員会とピアレビューですが、前回までの議論を踏まえまして、監査委員会の業務に、この管理者の業務の状況の確認を追加していくことなどを含めていく、それから先ほどのA項目、B項目などの対応についても、監査委員会等で見ていただくことは明確化をしたのですが、そうなると、ピアレビューについては、どのようにしていくかですが、御提案としましては最後の○、特定機能病院として取り組むべき医療安全上の重点的課題を設定した上で、課題に関する現状把握、対策立案等を行っていただく、今の規定ですと法令遵守状況などを見るかのようにも見えてしまうので、もう少しアドバンスな課題対応を特定機能病院同士で検討していただいて、厚労省も必要に応じて参考とさせていただいて、課題設定をして取り組んでいただくことを考えたいと思っております。
それから、18ページの一番下の※ですが、このA類型、B類型の対策に関しましては、特定機能病院内で共有をいただき、ほかの病院にも使えるようにして、ぜひ公表をいただきたい。これが特定機能病院で先んじて行っていただく意義かと考えております。
以上、モニタリング項目の具体的な提案、管理者がA類型、B類型等に対してどう対応するか、副院長の役割、それから、ピアレビューで行うべきことの明確化ということで、永井班の結果を基に、こういう御提案をさせていただきたいと考えております。
事務局からの御説明は以上でございますので、皆様の御議論をお願いしたいと思っております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、構成員の方から御質問、御意見等ございますでしょうか。ただ、後ろが10時からヒアリングが設定されておりますので、あと10分少々ですけれども、よろしくお願いいたします。
御意見のある方は、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
今村先生、お願いします。
○今村構成員 1点確認といいますか、今、管理者の責任が強化されることに対しては、監査委員会がしっかり管理者の監査を行うということと承知しました。例えば、管理者が医療安全の具体的な案件に関して、指導が場合によっては、今まではできにくかったと、そこをちゃんと管理者が指導するようにまでして、その行動については監査委員会が監視する認識ですが、万が一、しっかりそこは動いていないといったときに監査委員会は、そこに対して助言するだけなのでしょうか、監査委員会の権限というのはどこまで、命令するところまで行くのでしょうか。監査委員会の権限について、少し聞きしたいのですが。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
監査委員会に関しては、開設者や管理者に対して、そのような指導を行うことが定められておりますが、それに従わなかった場合どうなるかという御質問だと考えております。
もし、それに従わなかった場合、医療監視、立入検査と少し位置づけが違っておりまして、立入検査は、法律上従わない場合は、指導等になるかと思いますが、これは、特定機能病院なので、大臣の権限と知事の権限と両方ございまして、役割分担があるのですが、監査委員会から直接ではないのですが、実態的には情報共有や、そのようなことで対応されていくように努めるものだと考えております。よろしくお願いいたします。
○今村構成員 監査委員会としては、そこら辺の部分をしっかり見える化まですると、ただ、その後、場合によっては、法令違反等に関しては、今度は国のほうが特定機能病院を認可している関係で、あとは国が必要に応じて指導を行うということと承知すればよろしいのでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 そうだと思っております。厚生労働省や都道府県にも通報や情報提供等あれば、医療監視としても動かせていただきますので、連携して対応することになろうかと思います。
○今村構成員 ありがとうございました。
○松田座長 ありがとうございました。
そのほか、御意見、御質問ございますでしょうか。
長尾構成員、お願いします。
○長尾構成員 私も永井班で研究分担をさせていただいておりまして、1つ私の立場からの追加の補足というとあれなのですけれども、あと1つ質問をと思いまして、そもそも前回の永井先生が御紹介くださった特定機能病院のアンケート調査で、こういった事象群が病院内で報告対象として義務づけられていないということ自体が明らかになっていて、つまり日本においては、医療安全25年の歴史がある中で、何を重点的に防ぐべきかという明確なターゲット群が明らかになってこなかった、そのまま今日に至っているということが改めて浮き彫りになっているなということで、今回のこのような提示は非常に意義のある変化で、そもそも中身もともかく、フレームワークができることが重要ではないかと位置づけています。
その具体的な内容について、今後も多少のマイナーチェンジはあり得るだろうとは思いますが、少なくともネバー・イベントといったものが、明確に特定機能病院の中から、まず定義されて、そして多くの医療現場に、そういったカテゴリーとして提示されていくことを、まず、肯定的に私たちも考えています。
もう一つ質問なのですけれども、先ほどの安全管理責任者の位置づけというのがより明確になるなということなのですけれども、病院長が医療安全経験を有することというのが、特定機能病院で1つ定義されていたのだと思うのです。実際に院内で病院長を選考するときに、具体的な医療安全経験とは何なのかといったところが、よく分からないまま選考されているというところで、先ほどの次の表ですかね、4つの委員会を束ねるというのが、医療安全管理者のミッションとなるわけですけれども。
○松本医療安全推進・医務指導室長 副院長のミッションです。
○長尾構成員 ええ、副院長のミッションになるわけですけれども、この図の中で管理者に求められる医療安全経験とは何を指すものかといった辺りは、今後議論されるのかどうかといったところ、1つ問題提起としてさせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
今の長尾先生の御質問は、今回、医療安全管理責任者、副院長に関して、永井先生、長尾先生に調査をいただいて、その結果、これは前回の合意事項の中に入っていますが、この副院長のところは、望ましい規定で1,000人以上とかを入れていくことで、必須ではないが、少しずつやっていこうということを、前回合意をして、平成28年のときの一連の見直しの中で、管理者の経験は求めるようになったが、今の長尾先生の御質問は、そこももう少し、今後踏み込んでいってはどうかという御質問、御提案と認識をしています。
管理責任者は今回、一歩踏み込むわけですが、管理者につきましても、そのような御指摘や今回のアンケートでもそういう結果が多少あったと思います。要は、副院長の場合は、その経験があるとコミットメントの時間が長いというデータを前回に出していただいて、病院長になられている方で、そういう医療安全の経験が豊富な方は、例えば、北海道大学などでそういう事例があると認識していますが、今後、そういうデータがたまっていくと思いますので、そこは今回の永井先生、長尾先生の調査結果も踏まえながら考えていくべきところかと思っていますが、今回、こういう打ち手を打たせていただいて、この結果も踏まえて、引き続き取り組んでいければいいのかと、事務局としては考えております。
○長尾構成員 ありがとうございます。
いずれにしましても、永井班で、こういったネバー・イベント、A類型、B類型というものが示されるということは、非常に大きなことであろうと認識しています。ある意味、患者安全をやってきた者としては、1つの悲願というか、こういったものが明らかになっていなかったことで、何から着手すべきか、あるいは院内に何をどのように求めていくのかといった辺りが、曖昧になっている医療機関も多かったと思いますので、ここにぜひ特定機能病院で範を示すということは、重要なことではないかと理解しております。ありがとうございます。
○松田座長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○上田座長代理 上田です。
私も今日の御提案に賛成でございますので、今、議論がありましたように、監査委員会ですとか、ピアレビューとの連携も非常に大事だと思いますし、あわせて、医療事故情報収集等事業や医療事故調査制度への報告とか、第三者評価ですとか、そういった取組と併せて医療安全に取り組むということも、ぜひ進めていただきたいと思っております。
意見でございます。
○松田座長 ありがとうございます。
あと、松本構成員、川上構成員、それぞれ手短にお願いいたしたいと思います。
○松本構成員 ありがとうございます。
まず、永井班の丁寧な御説明どうもありがとうございました。
事務局が示されました方向性に異論はございません。その上で2件コメントいたします。
まず、スライドの14、15の重大事象の取扱いにつきましては、今、説明がありましたけれども、A類型、B類型に該当する事象として、それぞれ12項目が示されておりますが、これらは、確実に実施すべき最低限の内容だと受け止めております。特定機能病院は、日本全体の医療安全を牽引する存在だと思っておりますので、これだけ実施すればよいということではなく、資料にも記載がございますけれども、さらに加えてとありますので、各病院には積極的に追加項目の御検討をお願いしたいということでございます。
次に、スライド18のピアレビューについてでございますが、重点的課題をそれぞれの特定機能病院の内部だけで完結するのではなく、横のつながりの中で、重点的課題を深掘りすることや、18ページの一番下段にもございますけれども、重大事象について、ほかの病院にも共有して、地域全体の医療安全を底上げするためにも、情報を公開するということは非常に意義のあることだと考えます。
こうした取組には、一定の準備が必要で、経過措置を設けることは理解いたしますが、速やかに実施していただくようお願いしたいということでございます。
私からは以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、川上委員、お願いいたします。
○川上構成員 時間がない中、ありがとうございます。
基本的な方向性については全く異論はございません。細かいことですけれども、A類型のところの④、ハイアラート薬という言葉が出てきます。ハイアラート薬は、恐らく国際的な病院認証であるJCI(Joint Commission International)で使われている言葉であり、日本の一般的な第三者評価などにおいては、ハイリスク薬という言葉も使われていたりもします。
ただし、ハイアラート薬やハイリスク薬といったときに、それぞれ何を指しているかが、医療機関によってまちまちだったりしますので、できればハイアラート薬に代わる用語を、実際には決められて運用されるのが宜しいかと思ったのでコメントしました。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございます。
非常に貴重な御意見だと思いますので、この点つきまして、また、事務局のほうで整理をしていただけたらと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 承知しました。
○松田座長 それでは、本日御議論いただいた点を踏まえまして、論点を整理して、今後の取扱いについて、事務局でまとめていただけたらと思います。
続きまして、議題の2の「特定機能病院からのヒアリング」に移りたいと思います。
前回の検討会におきまして、大学附属病院本院以外の特定機能病院からヒアリングを行うということにしておりました。
本日は、国立国際医療センター病院、国立がん研究センター中央病院、国立循環器病研究センター病院にヒアリングを予定しております。
進行につきましては、事務局のほうからお願いしたいと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
それでは、順番に3病院、進めてまいりたいと思います。改めまして、ヒアリングへの御協力をいただきました3病院の病院長先生、誠にありがとうございます。
それでは、3病院まとめて連続で御説明いただきまして、その後、一括して質疑応答とさせていただければと考えております。
それでは、15分間、まず、最初に国立国際医療センターの宮嵜病院長先生からお願いをしたいと存じます。
それでは、よろしくお願いいたします。
○宮嵜氏 国際医療センターの宮嵜と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
当院は、国立健康危機管理研究機構、4月に誕生しましたJIHSの臨床部門の1つとして活動しております。
JIHSには4つの機能がありまして、主に3番の臨床機能及び2番の研究、4番の人材育成などを担当しております。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画におきましては、当院は国から指定を受けておりまして、当院の計画に基づいて医療の提供、支援について必要な措置を講ずることとなっております。
こちらは組織図です。
当院の概要でございますが、キーワードといたしましては総合医療、そして救急医療、また4番の特殊疾患への対応、そして3番の医師の教育にも力を入れております。
医師数や先進医療、臨床研究、論文数につきましては記載のとおりです。
歴史については、こちらに記載しております。
高度医療の提供について御説明いたします。
当院は、特定感染症指定医療機関になっておりまして、こちらは全国4か所、10床のベッドがありますが、そのうちの4床を当院が担当させていただいております。
受入れ実績については、そこにあるとおりでして、厚労省の指示により、新感染症が生じた場合に即座に患者受入れをできる体制を整えております。看護師には既に辞令が下りておりますし、定期的な訓練も実施しております。
感染症への対応、コロナ対応でございますが、初期の初期、武漢から帰国者が829人帰って来られたときに、非常に短い準備期間でございましたが、スクリーニングに対応できております。
また、アウトブレイクへの対応ですけれども、こちらのダイヤモンドプリンセス号にも、他の施設と協力しながら実施いたしましたし、あと、ここには記載しておりませんが、東京上野の永寿総合病院、こちらでアウトブレイクが起きた際にも当院から医師、看護師を派遣して対応させていただいております。
また、こちらは、重症患者への対応も初期から行っておりまして、ECMOなどを行いました。
また、こちらの初期からコロナ患者さんには血栓症が起こりやすいということに着目しまして、感染症科だけではなく、循環器内科、血液内科などと総合的に対応して治療や対策を実施、2020年6月という非常に早期に治療のアルゴリズムを提案して論文化して公開しております。
こちらは、コロナ患者さんの併存疾患への取組ですけれども、外科手術に関しましては、90例のコロナ患者の方に、帝王切開、腹部手術、骨折手術など、感染対策を十分行った上で実施しまして、これらの方は、術後の感染症の悪化を認めておりません。
また、初期から重症コロナ患者さんの血液透析にも取り組んでおりまして、血液透析で生じた廃液中の研究も行いまして、感染性があまりないということを証明したりもしておりますし、妊婦への対応も行いました。
ここには載せなかったのですけれども、新型コロナウイルス感染症の対応マニュアルを当院で作成して発行しております。
また、ここにあります免疫不全の方というのは、治療や感染対策に難渋するのですけれども、これらの患者さんへの治療の経験から、対応指針を作成しまして情報発信を行いました。
また、⑤番の感染症対策支援サービス、これは、現在も行っているものですが、今までの経験や知見に基づいて、ほかの医療機関からの相談に対応することも行いました。
次は、エイズに関してですが、当院にはエイズ治療研究開発センターACCというのが設置されておりまして、日本のHIV診療の体制を牽引しているものです。様々な臨床研究あるいは最先端の医療情報の提供、人材育成などを行っておりますし、最近、エイズの方は、エイズで亡くならない方も非常に増えておりますので、救済医療といたしまして、併存疾患、悪性腫瘍などの資料なども全科協力して行っているところです。
次に専門的な医療にまいりますが、こちらは形成外科なのですけれども、非常に細い血管やリンパ管を縫合できるという技術を当院の形成外科医が報告しておりまして、次をお願いします。
世界中で、手術の指導などを行っておりますし、患者さんも全国から集まり、医師も国内、海外から非常にたくさんの方が当院に見学に来られております。
大腸がんの腹膜播種に関しては、なかなか予後不良とされているのですけれども、当センターでは、腹腔鏡下で抗がん剤をエアロゾルにして噴霧するという新規の局所療法を、我が国で初めて導入予定でございます。
次は腹膜偽粘液腫に関してなのですけれども、こちらは虫垂の腫瘍が破裂すると、ゼリー状の物質がたまっていく病気でして、たまり過ぎると、このようなお腹になってしまうのですけれども、それに対して裏打ちしている腹膜を全て切り取るという非常に高難度・高侵襲の治療を行っております。非常に限られた施設でしか行われておりませんが、その結果、全国から患者さんが集まっておりまして、セカンドオピニオン186件、その他手術が137件など、そして、いろいろな科が協力しておりますので、重篤な合併症は低率で何とか執刀できております。
外来のアフェレシスなのですけれども、アフェレシスとは、患者さんの血液を体外に取り出して、ある特定の成分を除去したり交換したりして、また、残りは全て体内にお戻しするという治療法です。
こちらを外来で行うことができるのは、非常に限られた医療機関となっておりまして、また、これは、後で述べます回復者、血漿療法にもつながるインフラだと考えております。
外来で行っているということで、それについて国際学会で発表する予定としているということです。
脊髄性筋萎縮症に関してなのですけれども、こちらは、遺伝性の神経筋疾患なのですけれども、2歳を超えて生存できないこと、また人工呼吸器の補助なしでは生きられないという病気なのですけれども、遺伝子治療を行うことによって人工呼吸器から離脱したり、立ったり、補助歩行が可能になるという非常に劇的な効果がある治療がありまして、これに関しても、当院では多職種連携あるいは各科の協力を得て、都内で最大の投与例を持っております。
次は、地域医療に関して述べますが、救急医療体制なのですけれども、こちらは、毎年1万台を超える救急車を受けておりまして、応需率も高いものを維持しております。
また、なかなか受入れが決まらない、精神身体合併症患者を受け入れる医療機関としても、多くの患者さんを受け入れております。
こちらは、コロナのピーク時なのですけれども、最大6台の救急車が並んだ状況で、中にも入れないということで、救急車で簡易な診察であったりとか、PCR検査を行うという状況が1か月ほど続いたという状況でした。
次に研究について述べます。
ここ数年500件を超える研究を実施しておりまして、研究費自体も100億円前後という高い水準を維持しております。
このほかにも、内閣府主導の国家プロジェクトSIPの研究推進法人として働いているところです。
また、研究者の育成にも力を入れておりまして、若手に対しては、金銭的な支援を行ったり、論文化するためのアドバイス、統計あるいはコンピューターソフトの利用法を教えたりとか、特に希望される方には、3か月間の研修を受けることもできます。
新感染症への対応でございますが、このニパウイルスは2023年にアウトブレイクがインドなどで起こり、当院から3人の医師を派遣いたしまして、あちらでいろいろ視察をしたり、討論しまして、このウイルスに関する診療指針を作成して、公開しているところでございます。
また、カンジダ・アウリス、こちらは真菌ですが、令和5年度には日本においても死亡例が報告されているところでして、他施設と協力しまして診療の手引を作成して公表しておりますし、地方自治体や医療機関に向けて、講習会を行って啓発活動を実施しているところでございます。
これは、先ほど述べましたけれども、コロナから回復した方から全血を取りまして、その中から血漿を取り出すと、その中にはコロナウイルスに対する抗体が含まれているということで、これを新たな患者さんに投与するというところでして、これは次の未知の感染症に対する有用な治療法として、ワークするのではないかと考えているところです。
こちらは追加です。
次に、人材育成についてであります。
臨床研修医の育成に関しましては、医科30人、歯科2人を受けておりまして、また、それを指導する指導医の養成講習会なども開催しておりますし、医療教育部門にはスタッフ4人を設置して、教育に力を入れているところでございます。
臨床研修医の育成に関しましては、この表にありますように、過疎地域の連携先を組みまして、研修医の先生方には、地域の医療、過疎地の医療を勉強していただいているところです。
また、その後の専門医の育成に関しましても、専門医機構のプログラム基幹施設あるいは連携施設として、そして多くの科が協力しておりまして、専門医の育成に力を入れております。
例ですけれども、総合診療科の専門医のところですけれども、全国各地の病院と組みまして、合計12か月は僻地であったり過疎地の病院で研修を受けていただいております。
こちらは専門医の話です。
最後に、その他についてになります。
iCROWN事業、こちらは感染症臨床研究ネットワークというのを組んでおりまして、今年度は38施設になる予定ですけれども、このネットワークにおけるハブの機能を当院が果たしております。
また、これは、糖尿病のデータベース事業、J-DREAMSですけれども、こちらは74施設が参加しておりますが、こちらの事業に関しましても全国的な取りまとめをしているところでございます。
駆け足になりましたが、以上です。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございました。
続きまして、国立循環器病研究センター病院の山本病院長先生、よろしくお願いいたします。
○山本氏 国立循環器病研究センターの病院長の山本と申します。よろしくお願いいたします。
では、スライドの2枚目をお願いいたします。
循環器病研究センターは、昭和52年に開設されまして、平成5年に国立がんセンターとともに日本で最初に、この特定機能病院に認定された病院であります。
右側の基本方針のところにありますように、当センターといたしましては、やはり高度で先駆的な医療を提供すること、そして、安全で質の高い医療を実現すること、そして、循環器病の最先端の研究を推進していくこと、そして、専門家リーダーを育成、つまり人材育成という特定機能病院に求められることを全て基本方針として組み込んでいる、そういう病院であります。
高度の医療の提供という中で、やはり循環器の疾患というのは、救急医療が占める比率がどうしても高くなります。そこで我々といたしましては、やはりここでレベルの高い医療を。
そういう高度な医療を救急の現場でも提供できるようにということで、救急の応需率を高く保つよう努力しています。
左の下は、2024年の4月から今年の5月までの毎月の救急の応需率を示しておりますが、1月に少し低下しているように見えているのですが、これは、縦軸が、下が84%で、上が100%ですので、最も低下したときでも90%程度、ほぼ95、96%以上の応需率で、救急患者さんの受け入れを行っております。
この救急医療の受入れというのは、高度な医療の提供ということだけではなく、これは、地域医療の貢献ということでも非常に大きな意味があると考えております。
私、3月まで鳥取大学の教授をしておりましたが、鳥取のような医師が不足しているところでは、そこで地域に対する医療貢献ということで医師の派遣人数ということがよく指標として用いられるのですが、もう一つ大事なことは、医師が少なくなった病院で請け負えなくなった機能を中核の病院が引き受けるということが大事で、鳥取大学のときも周囲の救急の対応が難しくなってきたときに、夜間、土日の急性心筋梗塞は、全て直接大学のほうに回してもらったらいいという形の対応をして、それで地域の医療機関から非常に労働が取れてきたということで、皆さんから喜ばれたということがあります。
この救急も我々のところに最初からコンタクトしてくる救急と、これは、関西以外の方では地理が分かりにくいかもしれませんけれども、結構ここから車で30分以上かけて、周囲には、本当はもっと近い病院があるのだけれども、そこで受入れが難しいような患者さん、そういう患者さんをこちらの方で引き受けるという形にして、地域の救急医療体制が不十分なところを補うという形の役割も担ってまいりました。
また、心臓移植につきましては、右上のほうに実績を書いておりますけれども、2023年度は全国で最多となる32件の移植を実施しておりますし、その下のカプランマイヤーの生存曲線を見ていただきましたら分かりますように、国際的な移植後の患者さんのサバイバルカーブに比べまして、赤の国循のサバイバルカーブ、非常にいいところを行っているということがお分かりいただけるかと思います。
また、地域の医療機関との連携は、先ほどの救急の件も含めて、積極的に行うようにしております。
そして、高度な医療の定義をどのようにしてお示しするのがいいのか、なかなか難しいのですけれども、左上は指定難病の患者数というのを、幾つかの関西地区を中心とした大学と比べて、当院がこの赤印で示しておりますが、非常に多いということがお分かりいただけるかと思います。
また、左の下は、病理のコンサルトの数を設けています。最近は病理の先生の多くは、がんのほうが御専門で、循環器の病理を専門としている先生が非常に少ないという中で、この循環器病センターの病理、全国から検体を見てほしいという病理診断の依頼が増えておりまして、この2017年から2024年の間に倍以上増加して、これにお答えするということで当院における、そういう高度な病理診断能というものを全国の医療機関にも提供しているということをしております。
また、右上は、脳卒中のケアユニット、SCUの入室患者数を2011年から示しておりますが、当院では、このSCUを国内で初めて立ち上げて、ここにありますように、多くの患者さんを引き受けてまいりましたし、この赤で示しておりますように、死亡率も非常に低く抑えることができております。
また、右下は心臓外科の開心術の年次推移を示しておりますけれども、これも国内では非常に多い、常に700件前後あるいは700件を超えるような手術数を誇っておりまして、右に赤で書いておりますけれども、ニューズウィークでやるランキングでも世界ランキングの中に入ってくるというぐらいの実績であります。
また、高度な医療ということともう一つ、研究ということも併せ持ったようなものなのですが、神経難病でCADASILという病気がありまして、これは遺伝性のものなのですけれども、これに対して新しくアドレノメデュリンという薬を使った医師主導型の治験、これを国内で最初に実施する。また、このCADASILについての登録制度というのをやっていたり、あるいは外来を設けたりということで、こういう難病のほうに対しても積極的に対応を診療面、研究面で続けております。
先ほど開心術の数が多いということをお示しましたが、開心術の中でもロボットを使った開心術ができる施設というのは、まだ限られております。
当院は、国内では、実績数としては第2位で、西日本では第1位の数を誇っておりまして、このロボットの支援下での低侵襲の手術ということを進めるようにしております。
また、右には、頭の動静脈の奇形の治療のことについて述べておりますが、こちらのほうも当院では開頭手術・血管内治療・ガンマナイフ、この脳動静脈の奇形に対する幾つもの治療法全てをここでそろえて、集学的な治療を実施することによって、国内ではトップクラスの症例数をこなし、また、これを臨床研究のほうの成果にも生かしております。
人材育成ということにつきましては、当院は開設以来日本全国から若手、レジデント、修練医という方たちが国循に集ってきております。
これは、もともとここに来る前に、どこに勤めていたかという図なのですけれども、見ていただきましたら分かりますように、日本全国くまなく、当院を目指して勉強のために若い医師が集うということが長年にわたってずっと継続してできております。
また、当院ではそのようにして、若いときだけではなく、またこちらでずっと経験を積んで、診療面、研究面において実績を積んで、その上で全国の大学に教授として人材も、このように広く輩出しております。
これもかなりの数でありますので、左下合計が149人とありますけれども、このように全国の大学に教授を輩出し、そうしたら、またその教授が、そこで人材育成を進めていただけるという形になりますので、かなり循環器病センターの全国での人材育成に対する貢献というのが大きいのではないかと考えております。
左側は、医者の数に対する研修医あるいは修練医に当たるような人たちの人数を示しておりますが、これも関西を中心とした各大学と国循を比べておりますが、左にありますように、この国循は、ほかの大学に比べましても医師の中に占める、こういう教育対象の医師が非常に多いということがお分かりいただけるかと思います。
いかにこの国循が、人材育成に力を注いでいるかということがお分かりいただけるかと思います。
また、医師だけではなく、メディカルスタッフの育成にも当院はずっとコントリビューションしておりまして、右上の表は、薬剤、看護、あるいは救急部門というのは、消防隊に属しておられる救命救急士ですね、そういう方々に対しての教育を、いろいろこちらが提供しているような講習会等を開いたときの参加人数を示しておりますが、このように地域で広い職種にわたって、これまで人材育成に携わってきたことがお分かりいただけるかと思います。
また、右下は、当院におきまして薬剤師、そして、臨床検査技師のレジデントの受入れ人数です。
実際に職員として、このように若手を1社だけではなくてメディカルスタッフでも雇用をして、人材育成に当たっていることを示すデータであります。
研究面におきましては、左側の上が英文の原著論文の数の年次推移、そして、下は治験の実施件数、そして、右上が医師主導の治験の実施件数、そして、右下が臨床研究の推移というのを見ていただいておりますが、昨今研究力の低下ということが言われておりますけれども、国循では、このように研究力を維持、向上させながら、研究面でも、新しいインフォメーションを次々と発信をしていっているということであります。
医師主導型の自主研究の1つとして、この脳卒中の患者さんに対する新規のtPA、アルテプラーゼというものの知見を、これは、海外では認証されているのですが、国内では使えない、いわゆるドラッグ・ラグの1つになっておりますが、これを循環器病センターが主導して、現在、国内で治験をして、右に少し書いておりますが、今年の3月で221例の登録を完了しており、これから解析をして、国内でよりベネフィットが高く、リスクの低い薬剤の導入につなぐことができるように貢献をしております。
次のスライドが最後になりますけれども、このような高度な医療をやっていく上では、医療安全の体制ということは、絶対に必須になってまいりますので、医療安全についても万全の体制を敷きながら、絶えず職員に対する研修ということをやって、医療安全というものが担保された状況で、高度で先進的な医療が患者さんに提供できるようにということに努めております。
説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございました。
続きまして、国立がん研究センター中央病院の瀬戸病院長先生にお願いしたいと思います。
○瀬戸氏 よろしくお願いいたします。
ただいま御紹介いただきました、国立がん研究センター中央病院の瀬戸でございます。
我々の理念と使命ということでございますけれども、まずは、1962年に我が国最初のナショナルセンターとして設立されまして、60年以上の歴史を有するナショナルセンターでございます。
この4月に新しく間野先生が理事長になられまして、今回、がんの予防を国民の皆さん届けるということで、予防も非常に重要視して今後の課題に取り組んでいきたいと考えております。
国立がん研究センターには、6つの支所がありまして、我々中央病院は、先ほど申し上げたように、最初の特定機能病院ですね、平成5年9月1日に特定機能病院として認められました。
また、柏キャンパスにある東病院は、平成29年3月11日に特定機能病院として認められております。
その間、我々は臨床研究中核病院であるとか、がんゲノム医療中核拠点病院として機能しております。
そのほかに、研究所あるいは先端医療開発センター、がんゲノム情報管理センター、がん対策研究所という6つの支所で成り立っている研究センターでございます。
令和6年度の特定機能病院に関わる業務報告書から引用してまいりました。病床数は、一般病床として578、医師が372です。専門医数が174、薬剤師が70、看護師が686、管理栄養士が11です。
紹介率が重要でありまして、紹介率が99.5%、また逆紹介率が90.8%というのが、業務報告書に記載されている数字でございます。
また、同じく業務報告書からです。
これは、先ほど申し上げましたように、我々は6つの支所があるのですけれども、この数字は中央病院単独での数字になりますので、御留意をお願いいたします。
先進医療が14で、エントリーされた患者さんが406名ということで、研究費補助、これは繰り返しますけれども、中央病院単独でいただいている研究補助が111件で、総額としては17億2400万になります。
また、特定機能病院評価対象となる論文が243ありました。
それから、医師・歯科医師以外の研修ということで、これは2024年3月31日現在の在籍者で薬剤師レジデントが14、医学物理士レジデントが4、放射線技師レジデントが4ということでございます。
ということで、今回大学病院、大学附属病院本院以外の特定機能病院の現状及び在り方についてということで検討をいただいておりまして、特に本院以外、大学病院以外については基礎的基準ということで、この間、5月29日、厚生労働省のホームページにアップされているものでございますけれども、医療提供、教育、研究、医師派遣ということで、こういったものを基礎的基準にしようということでございます。
まず、医療提供については、紹介率、逆紹介率は先ほど申し上げたとおりでありますし、教育については、看護師、薬剤師その他専門職の実習受入れ・育成ということで、先ほど医師以外のレジデントについても報告させていただきました。
研究については、先ほど申し上げたとおりですけれども、がんセンター全体の論文については参考資料として、最後のほうに紹介させていただいております。
今日は、この医療提供、教育、研究について、少し御説明を差し上げます
まず、医療提供です。まず、やはり、先進的な高度医療をいかに提供しているかということで、これは中央病院としては、やはり何といってもがんの治療でございますので、いかに低浸襲な治療を行っていくかということが、患者さんにとってはメリットが大きいことでありますので、それを充実させていくと。もちろん、nという症例数だけではなくて、手術内容も患者さんそれぞれのニーズに合わせて変化させていただいております。
早期がん病変における内視鏡治療は、我々が最も得意とする領域でありますし、御承知の先生方も多いと思いますけれども、今、広く行われているESDという技術は、がんセンター中央病院から世界に先駆けて発信されたものであります。
そして、画像下治療、IVRセンターも、私、昨年4月に着任しましたけれども、恐らく日本で最も充実したIVRセンターになっていると自負しておりますし、高精度放射線治療あるいはロボット手術ですね、ロボット手術も現在4台体制でありまして、恐らく1台当たりの手術件数というのは、日本でもトップクラスと自負しております。
そのほか、必要に応じては、もちろん大きな合併切除を含めた拡大手術を行っているということでございます。
また、医療提供ということでは希少がんネットワーク、希少がんというのは、その定義は、人口10万人当たりの発生頻度が6人未満というのが希少がんの定義になっております。
ただ、実際は、大体300種、400種の何百種という希少がんがあると言われておりまして、その総数を合わせると、実は、全部の患者さんの2割を超えると言われています。
ただ、やはり希少がんであるがゆえに、なかなか治療法の確立が難しい、あるいはガイドラインの作成が難しいということは言われています。
そこで我々は、中央病院が中心となりまして、希少がん全国ネットワークを構築して、今、御覧のように、全国いろいろ北海道から九州まで、そのネットワークは築かれているということでございます。
その中で、やはり患者さん、あるいはその家族からしても、希少がんゆえに、なかなか有意義な、有用な情報に当たるアクセスができないということで、我々のところはホットラインというのを開設いたしました。
2022年、その件数でございますけれども、青色が国立がん研究センター中央病院で、実はこの当時、たかがまだ2、3年前の話なのですけれども、全国の相談件数の8割以上を中央病院が担っておりました。
この2年、3年の間に、ネットワークができてきまして、中央病院のいわゆるホットライン相談件数の比率としては、少なくなっているのですけれども、少なくともまだ3,000件ほどの相談をいただいている。また、活動の一環としては、希少がんMeet the Expertということで、昨年度は1年間で17回開催しておりまして、視聴者数が約3,700ということで、これも貴重な情報を一般の方々を含め、全国の医療者に届けられるのではないかと自負しております。
それから、また、医療提供、これは新しい形のネットワークということで、我々は国際性も非常に重要視しております。
左側のATLASプロジェクトというのは、これはアジア9か国を中心としまして、臨床研究、臨床試験のネットをアジアでやろうと、実は、アジアというのは、我々人種間の差があまりないということで、やはり欧米に比べると、同一の被検者として構成できるのではないか、また、人口も多いということで、これは2020年から開始しております。
翌年には、バンコクに我々のオフィスを設けまして、バンコクを中心として、現在はアジア9か国、40施設がエントリーしていただいて、既に2,700人を超える登録をいただいているということで、これも非常に重要な、その中で下のほうにありますけれども、いろいろな知見がfill upされているということでございます。
右側はMASTER KEY Projectということで、これは先ほど申し上げた希少がんの開発プラットフォームでありまして、1つはレジストリー事業と、そこから知見を加えて、右側にあるようにアジアも含めて行っておりまして、その登録数は、今、6,000近くなっておりまして、そこから薬事承認が得られたものが既に数件あるということで、これも我々として非常に重要なことになるので、ここは企業からの協力も大事でありまして、下にありますように、日本からは12企業、アジアからの3企業御協力をいただいていると。もちろん、患者さんからの協力もいただいております。
新たな取組としては、これはDCTです。Decentralized Clinical Trialsです。これは、やはり遠方の方が、なかなかこういった治験には入りにくいということが分かりました。しかもこれを第Ⅰ相で行うということで、この第Ⅰ相試験をサテライト医療機関として大阪医科薬科大学の御協力をいただいて、昨年度から始めているということで、これが2例ほどになっているということで、これも今後非常に重要な取組と考えております。
それから、教育、人材育成に関しましては、我々は大体常に毎年120名から130名の、いわゆるレジデント、いわゆるがん修練医、専門修練医が、がんセンター中央病院にはおります。
最近10年間では、636人がその研修を終えて、御覧のように北海道から九州まで、申し訳ありません、沖縄にもいるのですけれども、今日はないのですが、これだけ大きく、がん医療の均てん化に大きく貢献していると、また、海外にレジデンス修了後に行ったのは9名ほどおります。
また、教育の一環として、やはり病理診断も非常に重要であるということで、これも、がん診療連携拠点病院を中心としてコンサルテーションを受けております。
その中で、病理の教育、人材育成に努めているということで、右下にありますように、このグラフが、この依頼件数の推移でありまして、2020年からは、ほぼ倍増しているということを御紹介できるかと思います。
もう一つ我々の取組として重要なのは、Japan Clinical Oncology Group、いわゆるJCOGというものでございます。
これは、1990年に創立されました、我々は日本で最大と思っておりますけれども、研究者主導の多施設共同研究グループでありまして、その中には16、例えば、もちろん外科、食道外科、肺外科等々、肺がん等々、膵がん、あるいは婦人科系のがんとか、16の専門領域研究グループを有しておりまして、参加が180医療機関、7,700人以上の研究者、もちろんCRCも含めて参加していただいております。
常に100以上の臨床試験を動かしている、それで支援しているということでございます。
その特徴は、右側にありますように、通常企業が行わないような治療開発ということが我々の特徴でありまして、例えば、集学的治療であるとか、いわゆる、幾つかの同等の薬が存在した場合、なかなか薬品メーカーが手を出しにくいようなライバル社の比較であるとか、先ほどの繰り返しになりますけれども、希少がんを対象とした試験ということで、これも非常に重要である。
この中から得られた知見が、診療ガイドラインにも多く引用されているということも我々の自負するところでございます。
登録者数の変遷は、左のグラフのとおりでございます。
そして、また、研究の一環として、我々は大きなプロジェクト2つ持っております。左側がMIRAI project、右側がFUTURE projectと言って、MIRAI projectは、どちらかというと、いわゆる手技的なものの開発をしようということで、いわゆる低侵襲の治療器具、例えば、真ん中にありますけれども、これは乳がんの、いわゆるラジオ波の治療でございます。我々が指導いたしまして、今回保険収載されているという経緯もございます。
それから、BRiDGEとも連携しておるということであります。あとはAIを活用した内視鏡の診断支援ソフトも開発して、これも保険収載されているということで、こういったプロジェクトが生かされて、実際の通常診療、保険診療につながっている。
それから、FUTURE projectは、どちらかというと、内科系の治療のプロジェクトでありまして、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの克服を目指したということで、希少がんも当然含まれます。
その中には、先ほどから紹介しておりますけれども、MASTER KEY、ATLAS、JCOG、あるいはBELIEVE試験、これも遺伝子パネル検査に基づいて、分子標的治療薬を、いろいろな企業から御協力をいただいて行っている患者申出療養の一環でございます。
こういったプロジェクトは、いろいろな寄附金を原資として行っているということでございます
ということで、もう一つは、今後我々の大きな課題として、やはりFIH、First in Humanというのが、これは厚労省の社会保障審議会医療部会からいただいた資料でございます。その真ん中ぐらいにありますけれども、施設の概要として国立がん研究センター中央病院が主体となり、国立健康危機管理研究機構、JIHSですね、それと国立医療研究センターとも協力して、日本におけるFIHの中心的な世界に向けた発信を担うということで、これも我々としては非常に重要な課題と考えておりますので、真摯にその準備を進めているというところでございます。
ということで、先ほど国循の先生も紹介されておりましたが、ニューズウィークが毎年ワールドベストスペシャライズドホスピタルというのを発表しておりまして、これはスペシャライズド、オンコロジー部門、いわゆるがん医療のところでございます。
1位がMD Anderson Cancer Center、2番目が、Memorial Sloan Ketteringですね。それを受けたり、実は、我々は10位、世界でもトップ10にランクインさせていただいておりまして、全国の中では1位ということになります。
我々として、やはり国際性等を含めて、今後何とか、このランキングを上に上げていきたいと考えているところでございます。
ということで、これは、間野新理事長の我々に向けての就任挨拶でありまして、我々は、冒頭申し上げたように中央病院、東病院等々ありますが、1つ、ONE CENTERとして世界を目指すということで、今後、特定機能病院としての役割も果たしていきたいと考えているところでございます。
あと、参考資料がございます。簡単に紹介します。
これは、先ほど言ったように、希少がんネットワークだけではなくて、がんの診療拠点病院、ここにも加わって、いわゆる中心的な中核的な立場として、東病院と一緒に取り組んでいるという紹介。
ドラッグ・ロスに向けては、本当に我々は重要な課題としておりますので御覧のような取組をしているということです。
次が最後のスライドになります。
これは、左側が全国の大学も含めた医学系の論文数ということになりますが、右側が、その中でHighly Cited Paperということで、いわゆる重要な一流誌に掲載された論文数ということでございまして、実は医学系に関しましては、これは中央病院も含めた、国立がん研究センターが、国内の施設としては東京大学の上を行くというスライドで、最後に御紹介させていただきました。
以上となります。ありがとうございました。
○松本医療安全推進・医務指導室長 瀬戸病院長先生、ありがとうございました。
本日、ヒアリングに御対応ということで、国立がんセンター、東病院の土井病院長先生にも、こちらにいらしていただいております。
それでは、3病院の病院長先生からヒアリングをさせていただきました。進行を松田座長のほうにお戻しをさせていただきまして、質疑応答とさせていただきたいと思います。
それでは、松田先生、進行をお願いしてもよろしいでしょうか。
○松田座長 では、どうもありがとうございました。
それでは、今の御発表を受けまして、構成員から御質問、御意見等ございますでしょうか。
相良委員、お願いいたします。
○相良構成員 相良です。
いずれの病院も非常に貢献度が高いなと聞いておりました。どうもありがとうございました。
その中で少しお聞きしたいところがございますので、そこのところをお聞かせいただければと思います。
まず1つは、教育面というところでございます。そこのところ、今、いろいろな形で教育をこのようにやっていると説明をいただきましたけれども、卒前卒後のところの教育で、非常に卒後教育という面では、非常によくやっていらっしゃると思いますけれども、卒前教育としてどのような形でそれをやっていらっしゃるかというのを少しお聞きしたいことがございます。
次に、医療の貢献度というところで、非常に多くのところからの受入れをやっていらっしゃって、それで修練して、それで、また、お戻しするということをやっていらっしゃると思いますけれども、逆に実施施設から、例えば、ほかの病院に地域医療貢献という形で、医師少数県あるいは医師少数地区に派遣ができているかどうかということ、地域貢献度はどうなのかということを少しお聞きしたいということ。
次に、救急の受入れに関してもお話がございましたけれども、それは、いわゆる網羅的な形で非常に救急の受入れができているかどうか、例えば、疾患特異的な形での救急の受入れになっていないかどうかということを、お聞きしたいということ。
次に、論文に関してですけれども、こちらに関しても非常に多くの論文を書かれているところで、非常に敬意を表するところでございます。そこに関しても、例えば、疾患に偏りがあるかないかということも含めてなのですけれども、お聞きしたいということです。
最後に、疾患に関してなのですけれども、疾患の網羅性ということを考えたときに、全ての疾患がカバーできているかどうかということに関して、例えば、良性から悪性まで、その病院の特徴というところもありまして、少し難しいというところはあるかもしれませんけれども、その疾患の領域として、とこら辺ぐらいまでカバーできているかどうかということに関してお聞きしたいと思います。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
では、国際医療センター、国循、がんセンターの順でお答えいただけたらと思います。
○宮嵜氏 まずは、卒前教育のお話がありましたが、我々のところでは、クリニカルクラークシップとして、東京大学から100人中20人ほどは受け入れておりまして、恐らく東大からの受入れとしては最大かと思います。
あとは、スライドにもありましたけれども、臨床研修医におきましては、各地、秋田から高知までの地域と連携しておりますので、基本的には、この20個ぐらいの病院と、これは専門医に関してですけれども、専門医に関しましては、例えば内科で申しますと、山形から沖縄まで非常に全国と組んでおりますので、3年間の研修のうち、原則9か月から18か月は、外部のそのような地域に派遣しているところで、また、発表中にも述べましたけれども、総合診療科におきましては、3年間の研修のうち、原則12か月は、長崎の島であったりとか、大分から北海道まで僻地での研修を行っているところです。
あと、救急の受入れ体制につきましては、特別な科に偏っていることはありませんで、応需率のほうも、最近、例えば昨年度ですと、令和5年では93%、例年、最近はずっと90%を超える応需率となっておりまして、特に偏りはないものと思います。
論文のほうも具体的な数字は出ませんけれども、特別に偏りはないものと考えております。
日常の疾患に関しましては、完全に総合病院として43の診療科がございまして、特別な偏り、全く受けられないような疾患というのはないものと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、国循のほうからお願いいたします。
○山本氏 循環器病センターからお答えさせていただきます。
まず、卒前教育なのですけれども、医学生につきましては、2024年度で64人の学生の実習を受け入れております。
そのほかに看護の学生のほうが462人、薬剤師の学生さんが70など、トータルでいきますと600人以上の学生さんを昨年度受け入れております。大体毎年そのような数を受け入れて、卒前教育については医師、そしてメディカルスタッフ両方において貢献をしてまいりました。
診療等なのですが、まずは、やはり循環器病センターということで、どうしてもやはりそこは循環器ということに疾患はなりますので、がんの診療というのは、もともとここの病院の開設から想定されておりませんし、そのような患者さんは、確かにこちらのほうで診療をやることはないのですけれども、この循環器という領域に関しましては、救急でも、そこに該当するものは、特にその中で偏りなく、全て少しでも関係があるような患者さんは受け入れておりますし、論文につきましても、この循環器領域の中で、特に偏りがあるということはございません。
日常診療におきましても、この循環器という領域におきましては、広く患者さんの紹介を受け入れてやっているというところでございます。
あとは、地域の医療ということにつきましては、先ほど少しスライドで示しましたように、日本全国からここで勉強したいという人を受け入れておりまして、また、そういう人たちを日本全国にまたお返しする、あるいはここで育った人たちが全国あちこちに根づいていっているという図は、先ほどお示ししたことで御理解いただけるかと思いますので、そのような形で教育ということについては、全国的に貢献ができているのではないかと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、がんセンター、お願いいたします。
○瀬戸氏 まず、卒前教育ということですけれども、先ほど宮嵜先生もおっしゃられたように、我々の東京大学の学生が、いわゆる実習の一環として、診療科によるのですけれども、卒前教育を受け入れているということと、あと、教育とは少し違うかもしれません、夏季休暇等を利用して、病院見学には本当に多くの学生に来ていただいて、丁寧に対応しているということでございます。
それから、地域医療にいかに貢献しているかということなのですけれども、我々のところは専門性が高い医師がそろっておりまして、例えば外科系であると、例えばロボット手術のプロクターというのが多くおりまして、例えば、食道外科とか、大腸外科は、いろいろ全国の施設がロボット手術を始めるときにはプロクターとして招聘されております。そこで指導的立場に立っているということと、ロボット手術に限らず、内視鏡手術でも、本当に多く、実質を把握するのはなかなか難しいのですけれども、そういった指導依頼が来ておりますので、恐らくいろいろな地域でそういった高度な外科的手技を始めるときには、恐らくかなり貢献しているものと自負しております。
これは、外科系に限らず、内科系もかなり最近は薬物療法が発達しておりますので、いろいろな地域に行っては、いろいろな講演会等を通じて、その地域地域の、いわゆるオンコロジーのレベルのアップに貢献しているのではないかと思います。
あとは、ペーパーの数ですけれども、これは実際、病院に戻るとすぐに応対できると思うのですけれども、実際、昨年度の数字については、今ちょうど病院長ヒアリングを、例えば、今日から帰ってからもやるのですけれども、そのヒアリングの都度都度、各部門、各診療科で昨年度のペーパー数がどのくらいあったかというのを把握しておりますので、数字としては、いつでもお出しできる。診療科間にあまり差はないかなと思います。
それから、疾患のカバーということで、我々は申し訳ありません、がんに特化した病院ですので、良性疾患というのは、がんの疑いがあって来て、実は良性だったという患者さんはいらっしゃると思うのですけれども、基本的には、やはりがんの治療が中心になるのですけれども、それでも、がんの患者さんでも、例えば糖尿病の人とか、腎臓が悪い方とか、そういう意味では、今、我々の糖尿病の専門医もおりますし、循環器内科もおりますし、神経内科もいますし、総合内科もおりますので、いわゆるトータルなケアはできているのではないかなと考えております。
それから、救急に関しては、我々は救急病院ではないのですけれども、もちろんかかりつけといいますか、一旦かかっている方々の救急は本当に多くて、大体、毎日当直日誌とかを見ていると、恐らく10件、20件ぐらいの救急車が来ていて、それに対しては、全て応需しているという、かかりつけでもありますので、というところでお伝えできるかと思います。
大体、以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
相良構成員、これでよろしいでしょうか。
では、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 本日のナショナルセンターのお話で、研究、それから教育等も含めて、大変専門的な活動をされていらっしゃるのだなということを理解しました。
同時に、今の御質問等を聞いていて、今、議論されている大学病院本院の特定機能病院の在り方とは少し、視点は変えるべきなのかなと、今、話を聞いていて思いました。
そういう中で、そもそも特定機能病院制度は、1992年に制定され、この当時の日本の大学の研究は、今もそうだと信じていますが、世界の医学研究の中でもトップを走っていた頃ではないかなと、そういう中での高度の医療の提供とか、高度の医療の技術開発というのは、世界トップクラスを指していたのではないかと。
その基準を考えたときに、ナショナルセンターは、それぞれの分野での世界的なトップクラスを目指していただこうということだったのかなと。
御質問としては、当時は、医薬品の開発にしても日本のメーカーが世界に売り出して、世界的にも売れるお薬等をたくさん出していたかと思います。それらも、恐らく大学病院がナショナルセンターと協力して世界に打って出ていたと思うのですけれども、本日のナショナルセンターで、最近、世界に打って出るような新薬の開発の部分だとか、医療デバイスの開発、そういったものの状況というのは、現実にはどうなっているのでしょうか。
先ほど、がんセンターは、世界の中でも10番という話はありましたけれども、昔だったら少なくとも韓国よりもナショナルセンターや、日本の国がんのほうが上だったのではないかなと思いつつ、10番を見ていたところです。
○松田座長 ありがとうございます。
では、また、発表順にお願いしたいと思います。
では、国際医療センター、国循、がんセンターの順でお答えをいただけたらと思います。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院の薬ということで申しますと、新規のエイズの治療薬がありまして、イスラトラビルという薬なのですけれども、当センターでの研究所で開発されたものでございまして、それが、今、第Ⅲ相の国際共同治験が成功裏に終了したと聞いております。
その中で、当院は国内では、最大数の治験症例を有しております。そのようなことで、新しい薬に関しても開発、あと、もう一つあります。すみません、今のエイズ治療薬、イスラトラビルに加えまして、コロナの治療薬、レムデシビルの承認に関して、今、研究を進めているところです。
以上です。
○山本氏 それでは、循環器病センターのほうを発表させていただきます。
まず、薬剤ということにつきましては、先ほど少しプレゼンテーションでお示ししました、アドレノメデュリン、これは以前にこちらで、研究所の所長をされておられました、寒川先生らが、発見に御尽力された物質ですけれども、これを使った血管と神経を再生していくための治療ということで、脳梗塞の患者さんを対象とした治験。
それから、先ほどの難病であるCADASILという病気を対象とした治験というのを、当院の方で進めておりますし、また、海外で既に認めておられます、アルテプラーゼというtPAですね。これの国内での、今、医師主導の研究を推進しております。
それから、デバイス関係におきましては、体外設置型の連続流の補助人工心臓のバイオフロートというのを、これは国循のほうで開発して、これは既にもう市販して、国内多くの施設で既に活用をされておりますし、それから今度7月の2日に記者会見の予定なのですけれども、当院の小児科のほうで開発しました3Dを使った先天性心疾患の患者さんのモデルというのを使って、先天性心疾患の患者さんの術前の段階で、各患者さんでどういうアプローチをしていったらいいかということができるモデル、これを開発して、これが保険で承認を得ましたので、これが今後、我が国で広く活用されていくのではないかと考えております。
以上です。
○瀬戸氏 それでは、薬等については、東病院の土井院長からお願いします。
○土井氏 よろしくお願いします。東病院の病院長の土井と申します。
御指摘のように、日本の中で創薬の開発が遅れてきている部分もあるということは認識しておりますが、皆さん御存じのように、エンハーツと言われる、antibody drug conjugateに関しては、海外の施設においてはフェーズ1が、実際には見向きもされなかったものを、中央病院と東病院のほうで実施することによって、現在1兆円近いマーケットシェアを取るようなものが日本から発信できています。
同様に、日本の中のシーズで、多くは中核を中心としてされていると思うのですけれども、アカデミアの先生方が非常にシーズを持たれているのですが、いわゆる第I相臨床試験、医師主導治験ができる体制が日本の中ではなかったものを、中央病院と一緒になってやっております。
その中には、御存じのように京都大学のiPSのシノビ・セラピューティクスというものは、日本での第I相臨床試験のデータをそのまま海外に持っていって、FDAの臨床試験のもとで、30億から100億近いお金を得ることができます。
その得たもので、また日本に持って帰ってきていただいて、第I相臨床試験をすると。そういったものが、山口大学の玉田先生、それから豪州で行っているA-SEEDSと言われているものも出てきています。
また、ネクストという医療機器、AI等を開発するグループがありますけれども、それも中央病院、東病院が一体となって推進しているものになっています。
その中では、トラクションと言われているものは既に企業化していますし、サージストレージというリアルワールドデータのものであれば、フォーブスの世界30に選ばれるような企業も、私たちとしては輩出しておりますので、決して、がん領域において日本が劣っていると私たちは思っていないところです。
○松田座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。日本看護協会の吉川です。
御発表ありがとうございました。本日の報告をお伺いしまして、非常に専門的で高度な医療を提供されているということが分かりました。
看護の視点から1点お伺いしたいと思います。これまでの議論におきまして、特定機能病院に期待される役割が整理され、基礎的基準の項目として教育のところに医師派遣機能や人材育成に加え、看護師、薬剤師その他専門職の実習受け入れ・育成が設定されることになりました。安心・安全で質の高い高度な医療を提供するに当たっては、医師のみならず、看護師や薬剤師等の研修体制の充実化が非常に重要であると考えます。
加えて、生産年齢人口が減り、例えば看護職であれば、看護職確保や育成がますます厳しくなる時代において、地域全体でいかに看護職を確保するのか、育成していくのか、地域の医療の質を向上していくのかについて、考えていかなければならないと思います。
そこでご発表の中にも少し入っておりましたが、皆様の病院におきまして、医師以外の専門職の教育や研修の実施状況、地域の医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなどの看護職への研修の提供や育成、看護職確保への関わりの実際について、お伺いできればと思います。
もし、今、行われていない場合は、今後、何らかの計画や予定があるかどうかについて、教えていただければと思います。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
では、御発表順に御回答をお願いいたします。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院では、例えば看護師に関しましては、質の高い学生を確保しました上で、特定行為研修を開催しております。当院が協力施設としまして、特定行為研修を8区分13行為について、令和5年度より開始しておりまして、高い技術を持った看護師の育成に協力しているところでございます。
薬剤師、その他に関しても、数字は出てきませんが、もちろんたくさんのレジデントを取っておりまして、12人ということなのですけれども、薬剤師の育成に関しても力を注いでいるところでございます。
以上です。
○山本氏 では、循環器病センターのほうからお答えをさせていただきます。
先ほど少しお話をしましたが、まず、看護部におきましては、実習生、学生さんを2024年度は462人受け入れております。
そのほか、薬剤のほうで学生さん70人、リハビリテーションで19人、臨床工学で19人、そして栄養部のほうで18人ですかね。あと、臨床検査で13人、そして放射線部のほうで6人という学生さんの受入れをしております。
また、卒後ということにつきましては、レジデントは薬剤師が4人、臨床検査技師は2人を雇用しておりますし、看護婦さんの教育ということでは、先ほど特定行為、こちらの教育のほうは当院のほうでも行っておりまして、すみません、2024年度のデータが、今、手元にはないのですけれども、2023年度は14人、特定行為の教育をして、修了生を出すという形の教育の成果を上げております。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
まず、中央病院について申し上げると、やはり我々のところでは、がん専門の、いわゆる資格を持ったナースが非常に重要でありまして、いろいろな場面で関わっていただいております。ですので、その育成に非常に努めているということ。
それから、確保については、まずは、やはり新人の確保ということで、今、面接を行っております。実は、日曜日も私、面接の面接官を担当したのですけれども、我々の病院の特徴はいろいろな地地域から来ていただいているということで、特に新人の方々が地方から東京に出てきた後のケアというのが非常に重要であると考えております。そこら辺のメンタルケアも含めて対応させていただいて、人材、人員のナースの確保に努めているということです。
それから、日常の診療におきましても、我々のところは、患者さんのサポート体制、いわゆるがんの治療に入る前から治療後まで、そこは地域医療連携も関わってくるのですけれども、そこにも看護師さんがおりまして、そういったところでも看護師さんの役割分担というのは非常に重要であるということで、それを全病院的に認識しているということはお伝えできるかなと思います。
○土井氏 すみません、東病院のほうからもお話しさせていただきます。
がん領域においては、アドバンスナースの体制というのは、両病院ともしっかりとつくっています。例えば、がん治療を支える看護としては、がん化学療法看護、がん化学療法の注射、いわゆる抗がん剤等のタスクをやっていただけるものとか、皮膚、排泄ケア、緩和ケアの専門職についての教育は十分に行っているところです。
その中で非常に特色的なのは、多職種による、皆さんも悩まれていると思いますけれども、手術直後のせん妄、それから入院等のせん妄のプログラムは、がんの領域でつくったもので教育プログラムを、日本の中に展開していっています。
特に、私たちのところでは、地域におけるせん妄ケアの研修等も、当院のほうで行いながら、こういった地域における教育もしっかりさせていただいているものを繰り返しているところです。
新しい取組としては、認知障害への取組。それから、ペイシェントフローマネジメントを用いることで、看護の体系化というのも進めているところです。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
続きまして、山崎構成員、お願いいたします。
○山崎構成員 よろしくお願いいたします。神奈川県の山崎です。
私は、都道府県という立場から参加させていただいておりますので、さすがナショナルセンターだなという御発表だったと思っておるのですが、いわゆる都道府県にあるようなローカルなセンターもありまして、そことの関係性というところから少し確認をさせていただけたらと思います。
例えば、国際医療研究センターであれば、感染症に関しては、もちろん都道府県の感染症指定医療機関を取りまとめていらっしゃるような立場でいらっしゃると思うのですけれども、国際医療センターは総合型ではいらっしゃるので、特定領域型の特定機能病院ではないので、感染症以外にもそのような機能をお持ちの領域があるのか、例えば、今回JIHSにDMAT事務局も入りましたので、例えば、全国の災害拠点病院をまとめるような機能を今後お持ちになるのかとか、そういったところを確認させていただきたい。
例えば、循環器病センターであれば、都道府県にも県立循環器病病院とかもありますので、そういったものを取りまとめるとか、その頭を取るような機能をお持ちなのか、がんセンターであれば、もちろん都道府県がん拠点病院の中心的な存在では、もちろんいらっしゃると思うのですけれども、例えば、東病院さんとの関係性とか、どういう役割分担をされているのかなとか、そういったところを確認させていただけたらと思います。
○松田座長 では、国際医療センターのほうからお願いいたします。
○宮嵜氏 まず、感染症以外の領域について御質問いただきましたけれども、先ほど発表の最後で述べましたが、糖尿病あるいは中で述べましたエイズに関しましては、全国の取りまとめをしているような組織になっております。
特にエイズに関しましては、ブロック拠点病院14、そして中核拠点病院、そしてエイズ治療拠点病院とあるのですけれども、その頂点としてHIV医療体制を牽引している存在だと思います。
また、当センターといいますが、当機構に4月からDMATの事務所が合流いたしましたので、これからなのですけれども、以前のもので申しますと、昨年、能登地震の際には、1月1日に起きたと思うのですけれども、現地での感染対策といたしまして、既に1月4日の段階で、10名の派遣、医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師を派遣しておりましたし、その後、珠洲の総合病院での看護業務支援ということで、計3チーム、合計15名の看護師を派遣したところでございます。
また、この4月1日にはミャンマーに、医師、看護師を派遣したという実績もございます。
以上です。
○山本氏 では、循環器病センターのほうからお返事をさせていただきます。
循環器病センターが、直接、全都道府県にあるわけではないのですが、一部都道府県にありますような循環器の専門とする施設を直接管轄するということはやっておりませんけれども、先ほどのスライドでお示ししましたように、各地区の大学、そちらのほうに教授職として、ずっと国循のトレーニングを受けられて、そこでいろいろな実績を上げた方が輩出して、そこでまた国循で、それまで培われたことを各地域にスプレッドしていくということをやっておりますし、今も国循会ということで、全国といった方々とのつながりということができておりますので、そういう意味では全国における均てん化というところを、そういう人材派遣ということを介してできていると思います。
あとは、日本循環器学会という循環器専門医の制度をつくっている循環器の主たる学会なのですが、なかなか日本は、がんと違って循環器の患者さんの登録事業というのが遅れていたのですが、基本法が通った後、循環器学会と一緒になって国循のほう方は、その登録のセンターという役割を担いながら、いろいろな循環器疾患の登録事業ということにもコミットをしていっております。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
神奈川県ということですので、神奈川県には、神奈川県立がんセンターがあって、我々の全がん協と言われる組織があって、これは全国の18のがんセンター、いわゆるがん専門病院があって、その18病院と、ほかにも岩手県立中央病院とか、山形県中央病院等々入った全部で31ぐらいの入った全がん協という組織があります。
その中で、要は、がんの治療に関していろいろな議論を行っておりまして、毎年その中で多職種カンファというのを、テーマを決めて各病院が行って、その31病院の中でのがん治療、がん教育を行っていくという取組を行っています。
これは非常に重要で、人的交流も行っていますし、例えば、山形県立中央病院は、この間、本当に看護師さんも含めて、中央病院に研修に来たばかりですし、その中で、いろいろ、がんの保険診療の在り方とか、これは厚生労働省の方々に、こういった点数を上げてほしいとか、そういう場にもなっておりますので、いわゆる、地域のがんセンターとも我々は協力しているということと、今後は、その中で、いわゆるQI指標も共有していこうということで、いわゆる地域のがんセンターとも一緒になって、全国のがん医療に向けて情報を発信していきたいと考えております。
それから、東との役割ということなのですけれども、最近は、本当に土井院長とも、こういったオンラインとかでミーティングを行いますし、例えば、初年度の挨拶等も理事長を含めて、東と地方を共有するという試みが始まっております。
もちろん、それぞれ特定機能病院でありますし、臨床研究中核病院でありますので、お互いに、いいところは伸ばしていくということで、いろいろ共有できるものは共有していくということかなと思います。
○土井氏 同様です。基本的には、中央病院とはうまくお付き合いさせていただいています。
特に早期の臨床試験を遅れずにここまでやってくれたのは、私、病院長になるまで、先端医療科という診療科におりましたけれども、毎週中央病院の先端医療科とは、ウェブでミーティングをします。
それは、なぜかといいますと、第I相臨床試験は、未知の有害事象が非常に多いですので、お互いに情報を交換することで患者さんへのリスクを下げていくということをさせていただいています。
千葉県の中で東病院の位置づけなのですが、思い浮かぶかどうか、チーバくんを思い浮かべていただいたらいいと思うのですけれども、チーバくんの頭の部分と足の部分というのが非常に医療過疎県になっています。
これを、千葉県の県立がんセンターと千葉大学が全てを見ていくというのは、非常に難しい部分がありますので、頭の部分に関しては、私たち東病院が地域の医療のがんの患者さんを見ていくという体制を取り、南のほう、足のほうについては千葉大と、それから、千葉のがんセンターのほうで中心となって見ていただきながら、千葉県全体としては協議会の中で情報を共有していく形にしています。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
時間が少し押しておりますので、吉村構成員、本田構成員までで質問を終わりたいと思いますけれども、それぞれ申し訳ありませんが、手短にお願いいたします。
○吉村構成員 端的に質問します。
3医療機関にお尋ねします。本検討会では、医療法の中に位置づけられる特定機能病院の在り方のお話です。それぞれの医療機関3機関については、各診療分野を支援するような各基本法の整備も進んでいます。具体的には感染症法及び国際危機管理研究機構法、循環器対策基本法、がん対策基本法とそれぞれあります。それらの各法が行っている支援や評価をどのように捉えているか、端的に教えてください。
○宮嵜氏 国立国際医療センターです。
当院では、先ほど言っていただいた国立健康危機管理研究機構法に基づきまして、4つの機能が求められているというところで、1つとしては、情報収集、分析、リスク評価機能というところで感染症インテリジェンスにおけるハブとしての役割を求められていると。
そこと、2番目は、どこの組織もそうかと思いますが、研究開発機構の機能について世界トップレベルの研究体制が求められているというところ。
そして、3番目、先ほども強調しましたけれども、感染症危機におきましては、感染症の治療だけでは無理で、それに附随するほかの疾患に対しても対応できなければいけないというところで、総合機能病院の機能を大事にしているところ。
4番目として、人材育成あるいは国際協力、医療協力局も当機構にはございますので、その辺で病院としても、ベトナム、アジアの国が多いのですけれども、そこに医師などを派遣して、そこでの医療の発展にいろいろ協力しているところでございます。
以上です。
○松田座長 では、国循お願いいたします。
○山本氏 循環器病研究センターとしては、先ほど、まずお話ししました登録事業ですね、循環器の患者さんの登録事業において、日本循環器学会と協力して、こちらがデータセンターとなる役割を担いながら、それを進めていっております。
また、研究につきましては、先ほど少し実績等をお示ししましたように、以前からずっと先端的な医療機器開発等も含めた、循環器の世界的なレベルの研究を行っております。
あとは、この基本法ができた後、数年前から脳卒中心臓病等、総合支援センターのモデル事業というのが、厚労省のほうで始まりましたけれども、大阪におきましては、循環器病センターが中心的な役割を担っております。
局長から追加で発言していただきます。
○北波氏 企画戦略局長の北波です。
先ほど、基本法との関係がありましたけれども、この基本法に基づきまして、がん対策基本計画というのがつくられました。それに基づきまして、私たちは国立循環器病研究センターでは、循環器病対策情報センターというのを設置いたしまして、現在データベースの構築というのを学会とともに行っていると、法的にはそういう関連での活動をしているということを付け加えさせていただきます。
以上です。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
我々も法に基づいたということは非常に重要な観点と考えておりまして、もちろん日常診療等を含めて、そういった医療法に基づいて行っているということと、一方で、我々は、がん対策研究所等がありまして、全国のがん登録のデータ等が集まってきます。
それらを踏まえて、いわゆる今後のがん診療の在り方等を、いろいろな拠点病院等々を含めて、我々提言する側でもあるとも考えておりますので、そういった立場は堅持していきたいと考えております。
以上です。
○松田座長 では、本田構成員、お願いいたします。
○本田構成員 ありがとうございます。本田です。
2つ質問がございまして、私は患者市民の立場という観点から少し伺いたいのですけれども、1つ、皆さんの今日の御発表聞いていて、高度医療の提供、研究、教育、様々な視点で大変高度なことをされているということ、大変感銘を受けました。
その上で、日本の医療の課題の1つとして最近よく指摘されるのが、臨床研究もしくは臨床試験という部分かなと思っています。
高度な医療の提供の裏には、そういうものがしっかり行われていることが重要だと思うのですけれども、それぞれの御発表の中で、取組を御発表いただいているのですけれども、その臨床研究や臨床試験を進めていく中で、その中に、各地域の学生さん、もしくは、レジデントさんですけれども、各地域の先生方との教育機能、そういう臨床研究などをするための教育機能みたいなものを持っているのかどうかというのを1つ教えていただきたいと思います。
もう一つは、これは特定機能病院の基礎的な項目には入っていないのですけれども、これからの医療というのは、患者さんや地域住民との協力連携というのが、必ず欠かせないものになっているかと思いますけれども、先端的なことをされている皆さんとしては、そういう連携の視点とか、もしくは活動というものがあるのかどうかというのを1つ教えていただければなと思っています。お願いします。
○松田座長 また、発表順にお願いいたします。
○宮嵜氏 臨床研究における地域の教育に関しましては、まず、日本ではなくて外国になってしまうのですけれども、ARISEという感染症のネットワークをアジアにつくろうとしておりまして、そういう意味では均てん化、外国とのいろいろ条件を均等化して臨床試験をうまくやっていこうということで、昨年はフィリピンでワークショップとセミナーを開きまして、臨床研究の専門職を対象としました、コンピテンシーの会開発プログラムというところで、倫理や規制に関するフレームワークだとか、臨床研究やその他、科学的なコンセプト、デザインの紹介などを行って、そこには臨床研究の専門家が36名参加されておりまして、国際臨床研究者の養成に努めております。
また、もう一つは、市民への啓発という話がございましたが、それに関しましては、市民公開講座をかなり各課で開いておりまして、外来のがん治療センターでも開いておりますし、感染症のほうもかなり、ちょっと回数は出てこないのですけれども、いろいろな科で市民公開講座を開いて、市民への啓発については進めているところです。
以上です。
○松田座長 では、国循の方、お願いいたします。
○山本氏 では、循環器病センターからお答えさせていただきます。
教育のシステムというのを、名前で何とかというのはつくってはないのですけれども、多施設共同研究というのが、今、大体必要になってきていまして、そのときに循環器病センターは循環器に関する多施設共同研究に参画して、そこで中心的な役割を担うわけですけれども、そこで特にやはりいつも問題になるのはデータの管理とか統計的な処理とか、そういうところについては国循の専門家が、一緒のチームの中で主導的な役割を果たして、そういうことを通しても、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいな形で参画している施設の方々の教育にも貢献をしているという形にはなっていると考えております。
また、地域の連携ということについては、市民公開講座もやっているのですが、国循は、こちらに立ってから吹田市というところにあるのですけれども、吹田の市民の方々のデータをずっと蓄積してきた吹田研究というのがありまして、実はそこから出てきたデータから、例えば高コレステロール血症の方々のリスクの層別化のスコア化ということのデータを日本人のもとに出して、そして、それを基に、日本人の高脂血症、高コレステロール血症の資料は、こういう形でやっていったらいいという、そういうガイドラインにも書けるような成果にまで結びつけて、それを市民の方に還元しているというところまでやっております。
以上です。
○松田座長 最後に、がんセンター、お願いいたします。
○瀬戸氏 ありがとうございます。
臨床試験あるいは治験へのアクセスというか、教育ということなのですけれども、基本的に、我々のところは、かなりホームページ、YouTubeを紹介して、それでいろいろな情報は、一般の方々もアクセスしやすいようになっているということと、それから、いろいろなホームページをいっぱい公開していて、ホームページの中で、それぞれのいろいろなアクセス数というのを随時把握しておりますので、そういったもので病院側としても把握できているということと、それから、新たに臨床試験を始めて、特に患者さんのエントリーをお願いしたいという場合には、プレスリリースを行って、その中でこういった研究を始めますということを紹介させていただいております。
ただ、本田先生御指摘のように、そういった取組だと少し不十分かもしれませんので、今後の課題とさせていただきたいと思います。
それから、医師会との関係においては、やはり近隣の医師会、例えば中央区医師会とか、江戸川区医師会とか、そういった方々に随時、我々も訪問して、いろいろな講演会等を通じて医師会の会員の先生方にも、こういった臨床試験とかを紹介させていただいているという取組を行っております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
それでは、以上で質疑応答を終わらせていただきます。3施設の方のヒアリングへの御協力、どうもありがとうございました。
それでは、ここで3病院の皆様は、御退出していただいて構いません。
(国立国際医療センター、国立循環器病研究センター、国立がん研究センター 退出)
○松田座長 よろしいですか。
では、これまでのヒアリング等を踏まえて意見交換をしたいと思うのですけれども、事務局から何か補足はありますか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 時間がございませんので、特にございませんが、もし、構成員の先生方よろしければ、数分という感じでしょうか、何かコメントがあればよろしくお願いいたします。
○松田座長 では、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
今村構成員、お願いします。
○今村構成員 本日のヒアリングで、かなりそれぞれのナショナルセンターはがんばっていらっしゃるというのは分かったのですけれども、今までの議論と、このナショナルセンターのヒアリングの中で出た議論について、厚生労働省の中でも、どこが今までの基準の中に入っていて、どこが少し違うかなどを整理していただきたい。これは、やはり非常に大事で、例えば、今までの基準における高度な医療の技術開発などの部分では、やはり特筆すべきことだとか、そこら辺をしっかり切り分けた表なのか、こちら側にも分かるような資料をつくっていただければと思ったところです。
よろしくお願いします。
○松田座長 では、一通り全員の意見を聞きたいと思いますけれども、村松構成員、お願いいたします。
○村松構成員 ありがとうございます。村松です。
こちらの会議では、大学病院本院がどういった役割を果たすべきかということを、これまで4領域に分けて整理してきたかと思います。
医療提供については、事務局からたくさん資料をお出しいただいたと思いますが、大規模な医療機関との間に差はないということだったかと思います。
今日、残りの3つのうち人材育成について、相良構成員、吉川構成員から御発言がありましたが、これまでの議論を踏まえると、特定機能病院としての人材育成ですとか教育の役割は相当なものが求められているとは思います。
話題に出ました卒前教育への体験的な関与ですとか、全国の医療従事者を対象とした、教育研究を通じた地域医療全体の直接的な底上げというものは、特定機能病院が、制度ができた後に、先ほど、吉村構成員から医療法と、その他の基本法との関係の話がありましたが、そうした別法で評価や支援を受けるようになってきたという経緯もありますので、その枠組みとのどう整合を取っていくのかというところが課題だなと思いました。
意見です。以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 私からも意見が2つです。
ナショナルセンターが、高度な医療の提供、研究開発、教育、医師派遣の面で重要な役割に立っていることは十分理解できましたけれども、一方で、特定機能病院の議論の中では、やはり地域の最後の砦という役割が期待されております。
ナショナルセンターは、むしろ地域医療の拠点となる医療機関というよりも、やはり日本全体を支えている役割になっているという印象を受けております。
2つ目ですが、前回の議論で健保連のほうからも、特定機能病院のあるべき姿については、大学病院本院の基礎的基準と同じレベルで、各機能を兼ね備えていることが不可欠だという指摘をさせていただきました。
都道府県が策定する新たな地域医療構想において、三次医療圏を想定した、広域診療機能が検討されていること。医師偏在対策において、都道府県とのパートナーシップ協定を推進する方向性が示されることを踏まえますと、保健所の立場としては、このような医療を幅広く提供していくことに加えて、都道府県としては連携して三次医療圏全体をカバーする形で、少数区域に対して、継続的に一定以上の医師派遣や医師の配置をしていることが担保されるべきであると考えております。
私からは以上でございます。
○松田座長 門脇構成員、お願いいたします。
○門脇構成員 門脇です。
特定機能病院という制制度としての、全体の枠組みといいますか、分かりやすさ、特に国民から見ても分かりやすさという観点からいきますと、これまでの御発言と重複しますけれども、この特定機能病院というネーミングが時々問題になりますが、そういうネーミングの観点からすると、今日プレゼンいただいた特定領域型が、むしろ、特定機能病院という名前に当てはまって、あくまでネーミングという観点からだけですけれども、大学病院本院を特定機能病院から外したほうがいいのではないかと、考え方として、そういう感じさえ持ちましたので、枠組み全体を国民に対して分かりやすい、説明しやすい形にしないといけないかなと思いました。
以上です。
○松田座長 山崎構成員、お願いいたします。
○山崎構成員 ありがとうございます。
私が思ったのは、大学病院のほうの議論でもあったように、高度性と網羅性の両方があるのではないかなと思いました。
がんセンターで言えば、例えば特定のがんだけではなくて、やはりワイドにがん全体を見ていただく、循環器全体を見ていただくという視点が必要なのかなと思ったところです。
そういう意味ですと、総合型の、例えば国際医療センターとかは、少し微妙だなと思いまして、ある意味健康危機管理や感染症に関しという特定領域であれば、もう問題ないという感じはするのですけれども、本当に総合型と言ってしまって、確かに総合病院なのですけれども、総合型と言っていいのかなというところは、少し思ったところです。
あとは、例えば県立がんセンターをどうするのだと、これは、ネイションワイドにあまり活躍してなくて、先ほどの三次医療圏での位置づけには、やはりなってしまうので、そこら辺のすみ分けをどうするかというところを、少し議論し直さなくてはいけないのかなと思いました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、吉川構成員、お願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
今回、特に人材育成について質問させていただいたのですが、地域の拠点として、地域にいる医療職者の人材育成という視点では、回答が十分聞けなかったかなと思いました。
専門性に非常に特化していて、高度な医療を提供しており、ご自分のところで、これに対応できる人材を育成していることは分かりました。しかし、今、回答をいただいた特定行為研修は、全国で行われておりますので、もう少し地域の人たち、地域の医療職者の育成というところがあるとよかったなと思ったところです。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
では、猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 ありがとうございます。
今日のプレゼンテーション3つとも物すごくレベルが高い、非常にすばらしいお仕事をされていることがよく分かりました。
それぞれの大学病院本院とは、やはり違うのだろうなと思います。そちらは学生の教育、卒後教育、そして研究、それから地域への医師の派遣とかという機能とは少し違う。むしろ、日本の中のトップクラスであり、世界に向いていると、目を向けていると思いますので、やはりそこの評価軸は変えないと合わないなと。
国際医療センターについては、どちらかというと、やはり感染症の非常にレベルの高い専門の病院なのではないかなというイメージを受けました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
岡構成員、お願いいたします。
○岡参考人 私も人材育成の点で、やはり大学病院の本院と違うのは、大学病院本院は、やはり卒前教育から研修医、それから専門医教育まであると思うのですけれども、本院以外の特定機能病院というのは、やはり、専門医機構の専門医取得が終わった後、さらに高度な専門医の取得のプログラムというのは、どれだけあるのかなと思ったのですね。
つまり、いわゆるフェロー制度みたいなもので、これがしっかりして、専門医を取った後に、さらに高度なものを、例えば3年、4年学んで、各地域にそういうものをちゃんとやっていけば、全国的な貢献ができると思うのです。国がんは、がん専門修練医というのが、それに当たるのかと思うのですけれども、ほかは、今日は聞けなかったのですけれども、ぜひそういう、いわゆるフェロー制度ですかね、専門医を取得後の際に、さらに高度な専門医を学ぶ、そういうシステムがあるのかどうか、あるいはそういうシステムをしっかり評価できればいいかなということを、今回人材育成で感じました。
以上です。
○松田座長 吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 制度的な整合性が重要かと思います。今のお話ですと、やはり診療などに特化した機能であることは間違いないと考えます。
特定機能病院として、今後求めていくのが、医師の配置・派遣ということは共通の認識です。それに匹敵するかどうか、再評価していく必要があると思います。
○松田座長 ありがとうございました。
少し時間を過ぎてしまいましたけれども、そのほかよろしいでしょうか。
多分、今日のお話を聞いていて、がんセンターが、やはり高度な医療の開発、それから、いわゆるスペシャリストの教育、研修ですね、あとは、何といっても全国の情報を集めているという、ネットワークを中心にという機能がすごく行き渡っているのかなと思いました。
そことの比較で、国循あるいは国際医療センターを見たときに、情報のいわゆるネットワークの頂点に、中核施設になっているという機能が少し弱いのかなという印象を受けました。
やはり国全体のそれぞれの領域でのトップレベルの機能を果たしていくのであれば、情報のセンターとしての機能というのも、これからどのようにつくっていくのかなということを、少しヒアリングを聞いていて思った次第です。
一応ここまでで終わりたいと思うのですけれども、それでは、御議論いただいた点を踏まえて論点を整理して、今後の取扱いについては、事務局のほうでまとめていただけたらと思います。
予定されていた議題は以上ですけれども、事務局から何か事務連絡はありますでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 次回に関しては、そこまで時間を置かないで実施をしたいと考えております。
今日いただいた御議論を踏まえて、議論を整理していきたいと考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。
○松田座長 それでは、予定された時間となりましたので、これで終了としたいと思います。
本日は長い時間、どうもありがとうございました。
照会先
医政局 地域医療計画課
代表:03-5253-1111(内線2764・4091)