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第23回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会
日時
令和7年2月26日(水)10:00~12:00
場所
TKP新橋汐留カンファレンスセンター 5階 ホール5B
東京都港区東新橋1-1-16
東京都港区東新橋1-1-16
議事
○樋渡地域医療計画課補佐 定刻になりましたので、ただいまから第23回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ本検討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
本検討会は、昨年11月27日に第22回検討会を行って以来の開催となります。私は事務局の医政局地域医療計画課補佐の樋渡でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日は、門脇構成員、相良構成員、長尾構成員、村松構成員、山本構成員がオンラインによる参加となっております。
また、事務局ですが本日審議官の森は公務により欠席となっております。また、医政局長の森光は公務により途中退席となる予定です。また、地域医療計画課長の中田、また、地域医療推進室長の堤も遅れての参加となっております。
本日は、オブザーバーとして前回に引き続き文部科学省医学教育課からも参加しております。
また、今回は研究班の代表者である自治医科大学学長の永井良三先生にもオンラインでご参加いただいております。後ほど永井先生からもご説明いただければと思っております。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表のほかは次のとおりとなっております。
1点目が開催要網、資料1として特定機能病院のあり方に関するこれまでの議論の整理、資料2-1として令和6から7年度の厚生労働科学研究の提出資料、資料2-2として医療安全管理について、資料3として検体検査の精度管理の取扱いについてでございます。
会場出席者におかれましては、前回同様、今回もタブレットでの資料閲覧となっております。タブレットの不調等がございましたら事務局にお申し付けください。こちらはよろしいでしょうか。
また、本日は現地参加及びオンラインによる同時開催となっております。オンラインでのご参加の委員の皆様にご注意いただきたい点についてご連絡を申し上げます。ご発言時以外は基本的にマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、ご発言がある場合にはZoomの挙手機能やコメント機能を用いて意思表示をお願いします。その後、座長の指名に基づきご発言をお願いします。ご発言の際は記録のため、最初にご自身のお名前をお願いいたします。
では、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。
(カメラ撮り終了)
○樋渡地域医療計画課補佐 それでは、以降の進行は座長にお願いします。
○松田座長 座長の松田でございます。
それでは、早速議題に議事に入りたいと思います。
まず議事1「これまでの議論の整理」に入りたいと思います。これまでの議論において大学附属病院本院についての評価、一定の類型化、また、大学附属病院本院における必要な機能についての把握、評価を行うことが議論されてきました。これらを踏まえ、特定機能病院としての承認要件を考える上でどのような見直しを行うべきか、これまでの議論を踏まえて改めて整理していきたいと考えます。
それでは、資料1、特定機能病院のあり方に関するこれまでの議論の整理(案)について事務局から説明をお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の松本でございます。資料1に基づきましてご説明をさせていただきます。
これまで特に大学附属病院本院に関して議論を進めてまいりました。その中で様々なご意見をいただき、一定程度整理を行い、今後、具体的な見直し案を作成して皆様と議論するに当たり、基本的な方向性をまとめたいというものです。
それでは、1ポツから順にご説明させていただきます。
1ポツの(1)現状ですが、第20回で申し上げましたが、特定機能病院の制度当初の趣旨は医療施設機能の体系化であります。その中に資源を集約して高度な施設が高度なものを提供するというものがございます。特定機能病院は平成5年に医療法に位置づけられ、現在の柱としましては2行目にある高度な医療の提供。それから、研究、医療技術の開発評価となっております。それから、研修ですが、基本的に教育と同義だと捉えていただければと思います。それから、医療安全。これら4本の柱が承認要件になっており、厚生労働大臣が承認する形になっております。
今、特定機能病院88病院のうち79病院が大学附属病院本院であり、分院はございません。2つ目の○の2行目以降ですが、これまでの議論で、大学附属病院本院が、医療、教育、研究のいずれも高度に行っていること、一部の臓器ではなく対象疾患が幅広いこと、医学生の卒前教育や卒後教育を行って、地域と循環させるような医師派遣機能を担っていることでございます。
改めてですが、大学附属病院本院の医療は、例えば複雑性が高い、希少性が高い、三次救急等の最後の砦という機能がございます。それから、特定機能病院の中でも医療について特に高度である、教育、研究などで承認基準を大きく上回るような実績を上げている、もしくは大学附属病院本院の平均値を大きく超えて実績を上げている病院も存在するということです。
(2)この検討会を再開した理由である社会保障審議会医療分科会の意見、「一方で」のところですが、医療が高度化、均てん化したことで、かつては高度と考えられた医療の中に、今では特定機能病院以外でも実施されているものがたくさんある。それから、一部の特定機能病院ではそれ以外の病院と実施件数が変わらないものもある。もちろん先ほど申し上げたように、医療提供で大きな実績を上げている病院もある一方で、区別がつかないように見える病院もあり、様々です。それから、平成5年に特定機能病院を設けて以降、地域医療支援病院とか臨床研究中核病院なども創設されております。
2つ目の○は、今国会に厚労省として法案を出しておりますが、2040年を見据えた医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の高齢者の増加や人口減少を見込んだ新たな地域医療構想の対応ですが、こういうものを今出しております。
2ページの1行目、大学附属病院本院に関しては、広域な観点で担う常勤医師や代診医の派遣、医師の卒前・卒後教育や看護師等の医療従事者の育成及び広域な観点が求められる診療を総合的に担うことを医療部会、地域医療構想の検討会などで指摘を受けていることを前回ご紹介いたしました。
次の○ですが、この医療提供体制の改革の法案の中にもう一つのパッケージがあり、それが医師偏在対策であります。今、経済的なインセンティブや地域の医療機関の支え合いの仕組みや、従前からの医師養成課程を通じた取組と併せた総合的な取組を進めていくことになっています。この検討会でも大学附属病院本院は都道府県と連携して医師派遣・配置、医学部地域枠、寄附講座などを通じて医師偏在の是正、地域の医師確保をしっかり行っていただいており、これからも貢献することが期待されているというご指摘がございました。
次の○にありますように、本国会に法案を出していますが、この改革と特定機能病院の見直しに関して、基本的に方向性を同一にするもので、これまで議論してきましたが、改めて改革においては、この論点は重要であるということです。これが今までの背景事情です。
2ポツもある意味で背景です。大学附属病院本院である特定機能病院のあり方について、これまで3回にわたって議論してきましたが、次の○、今まで申し上げたような特徴があります。医学部を持っていて、卒前・卒後教育から一貫した医師派遣や、高度な研究などを行っていること、これに関して大学附属病院本院とその他の特定機能病院は分けて議論するべきものだと議論してまいりました。
次の○ですが、今の医療提供体制改革の流れを見据えますと、2つ目の○の3行目にかけてですが、高度な医療提供、医師派遣機能を含めた地域医療における役割を積極的に果たしていただくことが期待されることを前回まで確認をしていると思います。
「一方で」の後ですが、医療提供以外にも医学生を含む人材育成・供給、それから、医学の進歩に寄与する研究開発の推進を担うということで、厳しいながらも医療資源を集めていただいておりますので、これを活用して後段の取組をしていただくことが求められます。
(2)ですが、これまでの議論を踏まえまして、次の○が見直しの大きな柱です。改革案の方向性としまして、1つ目の○、大学附属病院本院に係るものとなります。今の(1)を踏まえまして、また、2040年を目指して行っていくことを踏まえまして、現在の承認要件を超えて各大学附属病院本院で行われている取組も適切に評価して後押しをしていく観点で①②という下の見直しの観点を提示したいと思います。
がまず①です。地域において高度な医療を持続的に提供するための拠点としての機能、これは医師派遣以外も含まれますが、医師派遣機能が特に重要であることの評価で、医師派遣機能を新たな柱として立てるということです。
②ですが、現在の承認要件は大学病院とそれ以外も共通で、承認要件を満たしていると認められた場合、一律に厚生労働大臣の承認を受ける、また、診療報酬上のメリットも一律という状況です。②ですが、現在の承認要件を全ての大学附属病院本院が満たすべき基礎的基準として整理するとともに、上乗せ分に関しては個々の大学附属病院本院、これも大学附属病院本院を念頭に置いたものですが、地域の実情を踏まえて自主的に実施している高度な医療提供や教育、研究、医師派遣にかかる取組を発展的に評価して、評価結果を公表する枠組みにしていこうと考えております。
具体的な例として、以下のような考え、項目などがあり得るのではないかと考えておりまして、今後ご議論いただきたいと思っております。
まず1つ目の<基礎的基準>です。これが全ての大学附属病院本院が満たすべきものです。1つ目の○、現在の承認要件を基本としつつ本検討会の議論及び先ほどの(2)の①を踏まえて検討を進めていくということです。以前に複数の委員からご指摘をいただきましたが、大学附属病院本院がこれによって自動的に特定機能病院になるという考え方ではないこと、一定の要件をきちんと満たしていただくことを明示的にするということです。
具体的には2つ目の○ですが、医療提供、教育、研究、それから、先ほど申し上げたように、医師派遣に関しても柱立てをして、以下のような例で考えております。表の中をご覧いただきまして、医療提供ですが、太字の下線になっているものが新しく加えているところで、普通のフォントで書いてあるものは今までもあったところです。もちろん紹介率の見直しとか、難病の基準をどう見直すかというのは議論があり得ると思います。
太字になっているのは基本診療科の幅広い設置で、今、専門医制度の中では19診療科がありますが、これを幅広く設置をしていること、前回の資料で出しましたが、19診療科全部を有しているところがほとんどですが、そうではないところもありますので、これをどういう方向性で進めるかも一つの論点かと思います。
教育のところですが、ご指摘をいただきましたStudent Doctorの育成について、一部を受け入れているという意味ではなく、基本的に大学附属病院本院としてメインで育成をしているという趣旨で書いております。それから、追加をしているのが専攻医数や幅広い基本診療科のプログラム基本基幹施設であること、ほぼイコールです。それから地域の医療機関に学習機会をしっかり提供していただくこと、それから、看護師、薬剤師、その他専門職の実習の受け入れや育成を行うことです。
研究のところですが、今までは査読つき英語論文でした。引き続き評価するが、Case ReportやLetterに関して一定の勘案をすること、研修支援組織として大層なものを念頭に置いているわけではありませんが、こういう体制の評価も重要というご意見もありましたので設けさせていただきました。それから、医師派遣の要件、また、医療安全は特定機能病院には他の医療機関よりも上乗せをしたものを求めております。これは次の議題で議論させていただきます。
表の下に注2があります。全ての大学附属病院本院に基礎的基準を求めるものですが、地域の実情などによって値がかなり異なっているという議論をこれまでさせていただきましたが、この役割を踏まえた評価のあり方に関しては検討の余地があるかと考えております。
続きまして<発展的(上乗せ)基準>です。この趣旨は自主性を尊重して、承認要件だけだと評価をすることが難しい各大学附属病院本院が自主的に行っている取組を評価したいということ。次から提示するものに関しては全部を行っていることを念頭に置く、やればやるほど必ずしも評価が直線的に上がっていくものではなくて、組み合わせや地域の実情などによって評価の仕方は異なってくるものを念頭に置いております。
2行目にございますが、個々の大学附属病院本院が自主的に実施している高度な医療提供、教育、研究、医師派遣に係る取組をこの基準によって評価し、公表することです。今申し上げた趣旨です。
4ページの1つ目の○ですが、発展的基準の設定を行うに当たり、留意事項がいろいろあると思うのですが、大学附属病院本院が地域の高度な医療提供、教育、研究の砦として果たしている機能が適切に評価をされること、地域でそういうものを育成していることで医師を集められることもありますので、こういう機能の評価です。2行目の最後にあるように、地域の実情によって当該基準の達成が著しく困難なものにならないような留意が必要だと思っております。地域性によって最初から評価が届かないようなものではなく、それぞれの実情に応じて求められることをしっかり達成することでフェアな評価というか、それが見える化されていくことが重要であると考えております。
「また」の後にございますが、研究をするにも教育をするにも資源となるのが医師であるというご指摘を受けておりますが、こういう条件不利地域において医療を提供していることや、研究、教育を継続していることの評価がしっかりなされるようなやり方が重要であり、引き続き検討させていただきたいと考えております。
それでは、次の○以降、それぞれの柱において、例えばこういう項目に関して大学附属病院本院の上乗せ評価の考え方ができるのではないかということです。
まず①が医療提供に関する基準です。これまでご指摘を受けていた複数の合併症を抱えるような症例、重症度がすごく高い症例を受け入れるなど、地域で求められる診療、これがやりたいというだけではなくて、この地域ではこれが必要だということになると思いますが、地域の最後の砦としての機能の評価という観点が言われております。
次のポツですが、重要なご指摘としては、地域医療構想の考え方に合致するものであること、救急や高度な手術の観点で一定の重症等の患者を受け入れていることなのですが、ここで受けないと県外、下手をすると東京に行かないといけないような希少性に取り組んでいただいていることは非常に重要だというご指摘です。こういうことなどをしっかり評価をしていく。
その中で、地域における受入体制との関係です。例えばシェアや、ここしかない非代替性が非常に高い場合、コストもかかってしまいますので、その評価や、救急応需体制としてどうしても砦として頼らざるを得ないようなところを維持していただくのは、もともと医師の確保も難しい状況だと推察されますので、それらを考慮、検討してはどうかというところです。
一方で、医療資源が豊富である場合、例えば移植医療やゲノム医療というのも一つ評価の軸になり得ると思いますが、これは地域の中での関係もあろうかと思います。
②ですが、複数の委員からこれまでご指摘をいただいていますが、教育に関しては、その病院で育成をしているだけではなくて、地域と循環させて行って帰ってきていただくところの評価、事実上どうしていくのかは非常に難しい論点ではありますが、こういう観点です。
その中で、例えば県をまたいだ地域枠の受け入れですとか、全国からのサブスペシャリティの受け入れや、それに限らない例えば専門性のような観点があるかと思います。特定機能病院として都道府県だけではない観点、少し広域な観点での教育も、これまで議論されておりますので、そういうところもあろうかと思っております。
研究に関して、これまでも実施体制や基盤等の評価というご議論もありましたし、研究の成果に関しては論文数だけではなくて、例えば競争的研究費の獲得であるとか、論文の中にも軽重があるという議論もございました。総数だけではなくて、医師1人当たりであったり、その実情を勘案した観点であったり、研究に関しては結局医師確保であるとか、育成というのと裏腹ですので、他とのセット、またはトレードオフを勘案した評価などを踏まえてできるだけシンプルに評価をしていくということかと思っております。
医師派遣に関してですが、地域医療提供体制の維持が重要な観点だとご指摘いただいております。派遣に当たりまして、例えば医師確保が困難な地域への派遣は少し評価が高いのではないかという議論もございましたが「具体的には」の後にございますように、派遣医師の総数だけではなく、元の病院との関係で常勤換算の医師1人当たりであったり、ご指摘をいただきましたが、医師の派遣には一定の医師確保が前提になりますので、医師の確保に係る前提条件、例えば1県1医大のところであったり、医師が少数であったり等の勘案なども必要ではないかと議論をしてまいりました。
今申し上げたのが、医療、教育、研究、医師派遣の論点の考え方でして、今までご議論いただいたものを定性的にまとめて考え方を整理して例示すると、こういうところかと申し上げたものです。
次に(3)その他の論点になりますが、幾つかございます。
1つ目の○ですが、こちらは文科省さんが既に大学病院改革ガイドラインということで取り組まれているものでもあります。特定機能病院を地域で維持していただくという役割、社会的な使命ということで、文科省さんの方の資料にも使命が強調されております。安定的な経営・運営を行っていくことが重要でして、そういう状況に関して一定程度報告をいただくこと、改善をしていただくことを求めていくということです。
診療科等も非常に多いので課題等も多くなりますが、こういう体制ですとか、タスクシフト・タスクシェアの論点もあると考えております。これまで関係者からもご意見があった医師からだけではなくて、労働強度が一部高まっているような職種、例えば看護師から他の職種へのタスクシフト・シェアも含まれておりますし、一定程度教育上必要な労働、経験もあるという議論もございます。それも含めて大学における医師確保等も非常に厳しいとお伺いする中で、働き方改革で既に取り組まれている部分もあると思いますが、この論点もあろうかということで提示をしております。
2つ目の○ですが、これまでも特定機能病院、これは国の厚生局から直接医療監視に行く仕組みですとか、毎年実績報告をいただいていまして、承認要件を一時的に満たせなくなった場合などは改善計画などをいただいていたところです。今後新たな承認基準等を設けたりすることに鑑みまして、これらの基準の達成度等の確認を行うための体制、例えばワーキングループを作るのか、それとも有識者に数人集まってもらうのかなど、いろいろなやり方があると思いますが、そのような体制を構築することを検討してはどうかと考えております。
3つ目の○、もしかすると、大学附属病院本院同士のネットワーク、他にもあった方がいいのかもしれませんが、これまでご指摘を何度か受けているのが、医師が少数である地域に所在する大学附属病院本院が医師確保に非常に難渋している一方で、一部グッドプラクティス、ユースケースがございまして、これらの大学附属病院本院同士を医師確保・育成の取組を共有するような形で情報収集・情報共有等を通じて改善を求めていくものです。
医療安全については全特定機能病院でピアレビューを行っていただいております。確かに医師が多い地域の成功事例などを共有いただくなどの取組は重要だと思っていますが、同じような状況の地域で連携する仕組みとして、こういうものもあり得るかなと例示をさせていただいております。
最後の○ですが、大学附属病院本院以外の特定機能病院のあり方についてです。これらに関しては、そもそも大学附属病院本院と同じ役割・機能なのかという問題点を医療分科会に呈されて、この検討が始まったという経緯や、委員の皆様から今まで同じ役割・機能を果たしているとは言えないかもしれないというご議論をいただいておりました。
また、地域的な分布、非常に都市部などに偏っておりますが、これらの現状等を踏まえまして、承認の取扱いも含め、特に新規の承認申請が来た場合の話ですが、こういうのも整理する必要がございまして今まで議論してまいりました。「踏まえ」の後、特定機能病院としての大学附属病院本院の果たすべき役割をこれだけ議論していただいていますので、この観点に照らして、同様と言えるのかどうかを含めて、急ぎ検討していきたいと考えております。
資料1はここまでとなります。これまでご提示していたスケジュールですが、年度末に向けて取りまとめることにしておりましたが、今日このような形で基本的な考え方を整理いたしましたので、今日ご議論いただきまして仮に概ね合意いただき、ご指摘をいただきながら次に向けてということでご議論いただけるようであれば、さらに今日のご議論を踏まえて、また具体的な案を作成してご議論いただくというのが取りまとめに向けた手順かと思っております。
それを考えますと、年度を越えてこの議論を踏まえて具体的なところの案を1~2回ご議論していただくことを、少し年度を越えるスケジュール感で進めさせていただければと事務局としては考えておりますので、その点もご議論いただければと考えております。
資料1に関して事務局からの説明は以上ですので、ご議論いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして構成員からご意見・ご質問等はございますでしょうか。
では、泉構成員、お願いします。
○泉構成員 泉です。非常に今までの部分と変わって、特定機能病院が地域を守るのだという意識に重点を置いた改定だと思いますので、我が国の医師偏在が非常に大きな問題なっていることに対して、ある程度の対策を取ろうということで、そこを非常に重視された改革だと思って、よくできているなと思っております。
論点なのですけれども、まず、医師派遣ですが、医師派遣の実態把握がなかなか難しいのではないかと危惧しまして、外勤で医師派遣をしているのは非常に把握しやすいのですけれども、常勤医の派遣ということになると、本当に大学からの派遣なのかどうかということ、実数をきちんと把握することは、きちんと定義しておかないと難しいのかな。それから、病院間で次の病院に異動とすることも結構行われますので、そこの把握の仕方をきちんとしておかないと、これがかなり重要なポイントとなると、正確なデータをきちんと出すことで、ここの仕組みをきちんと作っておくことが重要だと思います。
また、医師偏在を鑑みると、地域医療構想の中で、大学がその地域において中核的に地域のことを考えてくれるということなので、ここに参画することも極めて重要だと思いますので、これも盛り込むことも極めて重要だと思っています。
もう一つ、研究のことも少し盛り込んでいただいたのですが、危惧をするのは最近主任教授が決まると、主任教授の専門領域の研究をさせるということで、例えば地域の消化器内科だったら、大腸の方がなると大腸の研究ばっかりになってしまって、肝臓だとか胆のうとか膵臓をやる人が減ってしまうとか、そういうことが如実に出てきているわけですので、そういう教授の専門性に関わらないような地域に必要な医療をきちんと提供するのだということも、特定機能病院では非常に重要な要件ではないかと思いますので、そういう評価も重要かと思っています。
最後にありましたタスクシフトにつきましては、ここも地域において特定看護師さんを養成するだとか、薬剤師さんの専門性を養成して地域のレベルを上げていくということにとっては極めて重要なので、これもある程度ちゃんと実態把握をされた方がどうかと思いました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
医師派遣の実態把握という非常に重要な論点だと思います。これについて明確にそれを把握する仕組みを地域医療構想調整会議等々を絡めて何か決めていくことが必要なのかもしれません。
吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 千葉大学の吉村です。基礎的基準及び発展的基準に分けて明確化した点は非常に分かりやすく整理されたと思います。その上で4点コメントいたします。
基礎的基準について1点ですが、診療科の幅広い設置を医療提供として行うこと及び教育の中で専攻医数を入れていく、これは非常に評価できると思います。これによって恐らく診療科偏在を直していく、ないし補正していく機能を特定機能病院に持たせるのだというメッセージと取られますので、その点を少し明確化してもよろしいかなというのが1点目です。
2点目以降は発展的基準について3つ述べます。
一つは、発展決定的基準にサブスペシャリティ、特に専門医機構が定めている24のサブスペシャリティについては、ぜひ明記していただいて、各特定機能病院がそういった育成に乗り出すということを後押ししていただけるといいのかなというのが1点目です。
2点目ですけれども、一方で、非常に少数の専門医しかない領域、例えば臨床検査などは全国で700人を割る専門医しかいないわけで、全部の養成プログラムを全部の特定機能病院に求めるというのは非常にゆがみが出るだろうと思います。国の施策ですので、県をまたいだ連携による人材育成という点も盛り込んでいただいて、各特定機能病院同士が協力できるような提供体制・制度設計にぜひ踏み込んでほしいというのが全体の3点目です。
最後の4点目、タスクシフトについて先ほど泉構成員からもございましたけれども、全専門職がいわゆる一致団結というか、一蓮托生で頑張るような病院を応援する。具体的には、医師、看護師、薬剤師に加えて、国家資格である公認心理士、管理栄養士、救急救命士、そして、民間資格でありますが診療情報管理士など、実際に活躍している専門職へのタスクシフトを評価していくという点を盛り込んだらいかがでしょうか。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要な視点だと思います。
大学が地域偏在を解消するために、診療科の構成そのものをちゃんと見直していく。少数のものについては難しい部分もあるので大学間の協力も含めてやっていくという、非常によい提案だと思います。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 まず、教育についてなのですが、サブスペシャリティ、もしくは専門性の高いというのはよく分かるのですが、片や受ける側の病院として、総合医としての力量が欲しいというニーズはとても高いと思います。したがいまして、大学病院、もしくは大学の教育の中で総合医をどう位置づけるか、総合臨床専門医が専門医になったのは分かっているのですけれども、そのほか、総合医としての力量をどれだけ持っていただけるかというのが重要な視点だろうかと思っております。
あと、すごく基本的なことで変なことを言うのですけれども、医師派遣という言葉を普通に使っているのですが、派遣は派遣業に絡んでいて実は派遣会社の絡みがあるのです。ですから、大学から医師派遣をするときに多分派遣という言葉は間違っているのではないかと思っております。出向とか、大学から離れるなら転籍ではないかなと思いますので、派遣業、実はいろいろな病院が、例えば特養さんに週1回出すとか、この辺も実は派遣業と絡んで指摘があるところですので、この辺は整理された方がいいかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○松田座長 総合医の育成というのは非常に大事なポイントだと思うのですけれども、これは例えば内科であれば一般内科とか、外科だったら一般外科という形で、内科領域で幅広に見られる医師、外科系で幅広に見られる医師、それも含めてということでしょうか。
○猪口構成員 もしかすると、出先の病院のサイズにもよりますけれども、場合によっては夜間などは内科医がある程度の外傷を見なくてはいけないとかというようなことも起きますので、できれば幅広くと思います。
○松田座長 そのほかはいかがでしょうか。
山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 神奈川県の山崎です。都道府県の立場からになるのですけれども、このように特定機能病院の機能を本当に明確に位置づけていただいたことは大変有意義だと思っております。そうなると、県としては、例えば都道府県医療計画、もしくは地域医療構想といったところに、今まで特定機能病院という形で計画になかなか名前が載ってこなかったのではないかと思っております。例えばがん拠点病院という中で大学病院が指定されたり、そういった位置づけはあっても、特定機能病院だからこういうことをやるというような形での地域での計画にはあまり直接は入り込んでこなかったところがあると思います。
今後、例えば都道府県の地域医療計画、もしくは地域医療構想、そして、年末にも提示された医師偏在対策パッケージだったり、その中で言われている都道府県と大学とのパートナーシップだったり、特定機能病院としてこういうところに参画が必要だというところをしっかり明示できれば、各都道府県もその計画に、ちゃんと特定機能病院という名前を俎上に乗せて、それを根拠に施策を進めていくことも可能になっていくのではないかなと思います。今回のこの検討会で決めたことが様々なものに影響を及ぼしてくると思いますので、こういったところにしっかり対応をして、こういったところに計画を書き換えてくださいみたいなところをしっかり明示していただけたらと思っております。
あと、最初にお話がありましたが、都道府県としても派遣の実績を把握するのは非常に難しくて、この病院のこの先生が何大学から派遣されているかということを精緻に積み上げていくということがかなり難しいということになります。それはしっかり分かるような仕組みを整えていただきたいと思っております。
以上になります。
○松田座長 ありがとうございました。
新たな地域医療構想の議論が始まっていて、今回大学病院等が位置づけられたことで、幾つかの県で大学と県と医師会の三者の連携でいろいろなことが始まっていますので、それが今回のこの検討会の議論を通じて広がるといいのかなと思います。
吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 このたびの特定機能病院の見直しに係る方向性について、基礎的な基準と発展的な基準を設けることについては、特に異論はございません。その上で、少し意見を述べたいと思います。
まず1つ目は、基礎的基準についてですけれども、今回、基礎的基準の項目案に医師のみならず薬剤師、また、看護師の実習受け入れとか育成を要件として入れていただきましたことにつきましては非常に感謝を申し上げます。特定機能病院に特に医師の評価のみならず、特定機能病院の医療の質を上げるためには医師とか薬剤師、看護師などの多くの職種が協力して安全な医療、安心な医療を提供していくことは、これからの地域の医療の質を担保していくためにも非常に重要なことになると考えます。
質問ですけれども、先ほどからタスクシフト・シェアのことが出されています。医師の働き方改革ですとか、業務の効率化の取組が進められていく中で、タスクシフト・シェアを進めていくということは非常に重要な点だと思います。本会でタスクシフトとシェアの実施状況を特定機能病院と一般の400床以上の病院と比較して調査した結果なのですけれども、既に多くの病院で、一般病院でもなされておりますし、特定機能病院でもかなりの取組が進んでいるという状況が明らかになりました。今後、大学病院とそれ以外の病院とどのように差別化していくのかとか、内容をどのように具体的に見ていくのか、そういった基準が今後必要になってくると思いますけれども、現在何か考えられていることがありましたら教えていただきたいと思います。
以上です。
○松田座長 事務局、お願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
このタスクシフト・シェアですが、働き方改革でも今既に取り組んでいただいているのは委員のおっしゃるとおりだと思っております。今回ここに記載をさせていただいた趣旨は、資源をかなり集めていくということ、それから、経営面でも地域にとって唯一無二になる場合があるということです。なので、持続性に関して非常に使命を帯びる状態ですので、その一環として、ここに書かせていただきました。
大きな意味での医師の働き方改革の推進など、都道府県、国でもいろいろな補助などを通して取り組んでいるところだと思いますが、特定機能病院が持っている特性に鑑みたものとして求めていく。医療資源が集まっていることであるとか、経営的な持続可能性が求められていること、高度な医療等をチームで提供していくという観点で求めていくものとして書かせていただいていますので、医療全体ももちろん重要な観点なのですが、資源が集まっている医療施設の体系化としてミッションがあるというところで、特定機能病院に求められるものとして、書かせていただくことになると思います。
ですので、医療全体、それから、400床以上の他の病院に何かするかという観点と必ずしも一貫というか、横並びで特定機能病院以外に何ができるかというところまでは、必ずしも及ばないところがあると思っております。
以上です。
○松田座長 よろしいでしょうか。
○吉川構成員 かなり体系的に大きなところでという意味合いでよろしいでしょうか。
○松田座長 コメディカルに関して、特に看護師に関しては、大学病院は必ずしも特定看護師を養成していないところもありますので、多分、大学病院がそういうコメディカルの方に関する卒後の研修に関して何か体系的なものを持つということは必要なのだろうと思っております。
川上構成員、お願いします。
○川上構成員 日本薬剤師会の川上です。現在の承認要件を基本としつつ基礎的基準と発展的上乗せの基準を置いて検討していくという方向性は大変よろしいかなと思います。特に基礎的基準で教育の中に、看護師、薬剤師、その他の専門職の実習、受け入れ、育成を入れていただきまして、どうもありがとうございます。
それと関連しまして発展的基準について2つ申し上げたいと思います。
一つは、発展的基準の中にも教育に関する基準というのがあるのですが、少し医師中心に書かれていますので、例えば薬剤師を育成しようと思うと、指導者人材がそこには必要になってくると思います。ある程度手厚い指導者人材が医師以外の職種にも要るかというところは、もしかすると一つの発展的基準になろうかと思います。
2つ目は発展的基準の研究についてです。論文数、競争的研究費などが挙げられていますが、大学病院における研究というのはもちろんサイエンスの発展に寄与するという面もあるのですが、研究を通じた人材育成という観点が大きいと思うのです。ですから、若手の医師、若手の薬剤師など、研究を通じて博士号を取得している実態が大きいと思いますので、例えば博士の学位をどのぐらい取得させているか、そういう指導を大学病院などの研究の場で行っているかなども、場合によっては一つの基準になり得るのかなと思いますので、検討に加えていただけるとよろしいかと思った次第です。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
コメディカルの方たちの研修・研究についてきちんと評価するというのは、大学病院本院として重要な点だと思いますので、ぜひご検討を願いたいと思います。
上田構成員、どうぞ。
○上田構成員 上田です。私も今回の基礎的基準と上乗せ基準、こういう考え方で賛成をいたします。
3ページの基礎的基準で研究について、これも項目の案として記載されておりますが、先ほどの泉構成員のお話のとおり、研究テーマについて、私はここにありますように教育ですとか、あるいは先ほどの総合診療医ですとか、若い医師がそういった医療を行うに当たって、当然研究マインドを持ちながら進めていくということで、そういう意味ではもう少し専門的な点については、どちらかというと上乗せ基準で考えて、基本的に医師の教育ですとか、そういう観点で研究も捉えていくのが大事かなと思いました。
2点目が、医療についても皆さんのご意見のとおりだと思います。私も先ほどお話がありましたように、地域医療構想調整会議等々との連携ですとか、あるいは最後の砦とかございますが、基本的にはほかにも記載がありますように、都道府県との連携がかなり大事ですので、そういった点も記載していただければと思っております。
最後ですが細かい点ですみません。最後にピアレビューのことが書かれておりまして、これは実施しているということで非常に大事ですので、ピアレビューですとか、第三者評価の受審など、いわゆる外部評価で評価をして、それを受けて改善するといいますか、申し上げたかったのは外部評価というところを重視して改善に取り組むことも大事かなということで、細かい点でございますが申し上げました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
都道府県との連携は総合確保基金との関係もありますので重要なポイントだと思います。それから、内部だけでやるのではなくて、外部の基準をきちんと守って客観的に評価するようにすることが大事だと思います。
ここでオンラインの方に行きたいと思います。
門脇構成員、お願いいたします。
○門脇構成員 門脇です。よろしくお願いします。
今回は、少ない人数で網羅性をカバーしないといけない地方大学には特に配慮いただいて、医師1人当たりという指標を出したりしていただいてありがとうございます。
私から2点申し上げたいのですけれども、一つが何回かお話に出ております医師派遣の定義とか、派遣という言葉が不適切というお話もありましたが、これの定義や把握の仕方です。実際にうちでもあるのですけれども、市中病院で初期研修して、2年経ってうちの科に入局したいといって紹介されてきて入局をするのです。そうすると、専門研修をどこでやるかというので、大学ではなくて市中病院の基幹施設や連携施設に行きたいと言って、そこが関連病院だとしたら、そこで研修するという形で、大学に一度も来ずに、市中病院のいわゆる関連病院の中だけで行き来する人も出てきているわけです。
そういう医師が大学によってはたくさんいるかもしれませんが、そういう医師も大学から見たら派遣しているという感覚なわけです。つまり、大学病院には医局とか、入局とか、同門とか、関連病院とか、独特の仕組みがありますけれども、基本的にはそういうところでコントロールしている人を派遣とみなしている。大学病院としてはそういう感覚ではないかと思います。こういった言葉が実際に明文化されているわけではないと思うのですけれども、不文律のようなものではないかと思います。それを明文化して仕組みにどう取り入れるかは分かりませんけれども、マインドとしてはそんな感じになるかと思います。
もう一つが、19基本診療科の中で、これまで私が聞いた話では総合診療科というところがありますけれども、これをそういったしっかりした形で備えていない大学がまだ少なからずあるのではないか、これが引っかかるかもしれないという声は聞きました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
これまでほかの構成員も指摘された派遣の定義をどうするかというところが非常にポイントになると思います。先ほど吉村構成員も指摘されたように、19の専門領域全体について全てすべからく要求するのかという話だと思います。これも徐々に考えていただければいいのかなと思います。
続きまして、村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。事務局がお示しになった基準について賛成の立場から発言をします。基礎的基準と上乗せ基準の各項目については特段異論ありません。
基礎的基準について1点と、上乗せ基準の評価方法について2つ、あと、申請について意見を述べたいと思います。
基礎的基準については先ほどもコメントされていらっしゃいましたが、基本診療科の幅広い設置というところを新設されています。大学病院において診療科間の医師偏在を是正して、組織全体としてバランスの取れた運用を促すということだと思います。診療科間で競合するのではなくて、病院全体としてのマネジメントが適切に行われていることを評価する仕組みで妥当だと思いますので、この点についても評価されるべきだと考えます。
次は上乗せ基準なのですが、上乗せ基準について2点述べます。
1点目については、4ページ目の1~4に項目をお示しいただいたと思いますが、これまでのこの会の議論を踏まえると、医療提供については大学病院本院と、その他の医療機関の差異が縮まっていると議論がされているかと思います。したがって、医療提供に関する基準、①だけ単独では上乗せの評価とはなりにくいと考えます。そういった評価方法を設計すべきと考えます。具体的には2~4のいずれかをクリアすれば上乗せ評価を受けられるのですが、項目1を評価するときは2~4のいずれかと組み合わせるような方法が望ましいのではないかと思います。
あと、2~4の項目の重要度についても差があると思います。研究だけ行っていた地域への医師の供給が全く行われないという状況は特定機能病院としては望ましくないと考えますので、こういったところも評価方法に反映する必要があるかと思いました。
今お示しいただいていますが、研究のところについてCase ReportとかLetterとかは基礎的基準で割り引くと書かれていて、これも賛成です。
あと、英語論文について、例えばインパクトファクターの有無ですとか、そういったものでボトムの評価を行ったとしても、現状、多様なジャーナルが存在しますので、そういった評価が難しくなってくると思います。上乗せ基準として、上側はTOP10%のジャーナルを評価対象とするみたいなことは合理的かなと考えました。
上乗せ基準の2点目なのですが、評価方法が全ての大学病院に同じような質の取組を促すものにならないように留意すべきだと考えます。各大学病院本院が地域の特性を踏まえて、教育ですとか、研究ですとか、医師派遣、医師の供給ですとか、そういった特色のある取組を展開できるような評価方法が設計されることを望みます。
最後は申請なのですが、今、承認要件の変更をこの会で議論されていると思います。一般論としては駆け込み的な申請が増えたりとか、歴史的にはあるかと思いますので、医療分科会から要件の見直しが求められている以上、この会が回っている経緯を踏まえると、ある程度案がまとまった後に再開するとか、そういったことが必要なのかなと思いました。
4点以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
基本的なところについては了承していただいたということで、上乗せの評価方法についての組み合わせをどのようにするかということだと理解しました。これについては恐らくデータを1回集めていただいて、どういうような状況になっているかということを踏まえて議論していただく。事務局の方で案を作っていただくことになろうかと思います。
続きまして、相良構成員、お願いいたします。
○相良構成員 昭和大学病院の相良でございます。今ご提示いただいた基礎的基準、それから、発展的基準に関しては、非常にいい基準として制定されているのではないかということで私は賛成でございます。
その中で、特に基本診療科の幅広い設置ということで、19診療科というところを基本診療科の幅広い設置と書き換えられたのは非常によかったのかなと思います。その中で、例えば重みづけなのですけれども、医療提供、教育、研究ということで、特に特定機能病院ということで、どこに重きを置くのかということも踏まえて評価されるのがいいのかなと思います。特に教育という面では卒前・卒後教育ということで、幅広い教育を担っているのが特定機能病院ということであれば、当然ながら大学病院本院機能ということに落ち着いてくるかと思いますので、その重みづけをどうするかということも少し考えていただければと思います。
あと、医師派遣のところが出ています。そこは先ほどいろいろな先生方が言ってらっしゃいましたけれども、例えば国立大学病院機構、あとは私立医科大学の病院のほうで、どこに派遣しているのかというのは、今は把握していると思うのです。把握してその実態は出ています。4万人、恐らく国立大学病院、それから、私立医科大学病院、協会のほうから4万人弱が出ていると思います。そこに関してはどこを派遣として取っているのかということが明確になれば、その実態は明らかになるかと思いますので、各団体の方に話をしていただくと、それはより明確化されるだろうと思います。
その中で、派遣というものをどのように捉えていくか、先ほど門脇先生も言ってらっしゃいましたけれども、ローテーションをしっかりされているかどうか、固定されているのではなくて、ローテーションをしっかりされているかどうかということを踏まえた中で、それを把握されるのがよろしいかと思います。
あと、研究ということに関しては、当然ながらインパクトファクターだけを見るのではなくて、そこのところはいろいろなハゲタカだとか、いろいろありますので、インパクトファクターだけを見て評価をするとおかしいところが出てきますので、そういうところを踏まえて、例えば地域に基づいた中での研究をしっかりやっているものも評価すべきかと思いますので、そういうところの評価基準がしっかりとした中で評価をすべきではないかと思います。したがって、出ている論文が非常にいいジャーナルだからいいという評価では違うかなと思いますので、そこら辺も踏まえた評価が必要ではないかと思います。
あと、医師派遣に関しての医師の診療科偏在はどうしても起こりがちです。例えば何かでもメジャー内科、あるいはマイナー内科に関すると、メジャー内科に非常に多く集まるというところがございますので、そこからの派遣はできるけれども、マイナー内科の方からの派遣ができないということを言うと、派遣される診療科がほぼ決まってきてしまうということもあります。そこに関しては、いろいろなシーリングの問題もあるとは思いますけれども、マイナー診療科にはシーリングをかけないで、そこのところはシーリングを取っ払って人が入るような体制をつくり、そこのところから派遣できるシステムづくりというところもあれば、より網羅的に診療科もカバーできるのではないのかなと思いました。
あと、タスクシフト・シェアのところもそうですけれども、そこのところはタスクシフトした方がいい、あるいはかえってやる方がよくないのではないかというところもありますので、それを踏まえてどれだけタスクシフトができているか、シェアができているかというところの評価というものは、それも視野に入れた中でやっていただければと思います。
基本的に、私は今出ている基準に関しては賛成でございます。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要なご指摘をいただいたと思っています。
卒前・卒後の教育研修の機能につきましては、地域とのマッチングをどのようにするかということで、恐らく地域の都道府県、あるいは医師会の先生方からの大学病院への期待がどういうものなのかということも調査していただいて、そこのマッチングなどを図っていくということが必要なのかと思います。
あと、医師派遣に関して、マイナー系に関して、必ずしも常勤医が必要ではない場合もあると思います。北海道等でやっているように週に2回、例えばマイナー系が大学から派遣される、そういうことも評価しないといけないのだろうと、今お話を聞いていて思いました。
続きまして、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 日本歯科医師会の山本です。私からも少しご意見をさせていただきたいと思います。
初めに、事務局ご提案の基礎的基準、上乗せ基準ということについては賛成をいたします。その上で、いわゆる基礎的基準のところについて2点ご意見をしたいと思います。
まず、地域の医療機関に対する学習機会でございます。こちらにつきましては先ほどからのご意見もありますが、看護師さん、あるいは薬剤師等がございますけれども、歯科の医療機関、これも現在、あるいは全身疾患と歯科疾患との関連性ということで医科歯科連携が非常に進む中で非常に立場的に必要と考えていますので、歯科医療機関に対する学習機会もぜひご検討いただきたいということが、まず1点です。
2つ目は医師派遣の部分でございます。歯科医療機関といいますか、歯科医師数も偏在が著しくなっているという現状がございます。そういった意味で、地方の特に障害者の歯科のセンター、これは都道府県が主にやっていると思うのですが、こういったところで人材不足ということで、特に全身の管理をしていただく麻酔科の先生がいないということで、そのニーズが非常に膨らんでおります。ぜひそういったところにもご配慮いただければと思っております。
以上2点でございます。よろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要なポイントだと思います。
特に障害者の歯科、障害児の歯科については、都市部であっても医師偏在が大きな問題になっておりますので、そういうところで大学病院本院等が貢献する部分があると思いますし、麻酔科に関しては、歯科医師が大学病院等でも麻酔科をやっているところがありますので、そういうことも含めて評価をできたらと思います。
今村先生、どうぞ。
○今村構成員 日本医師会の今村です。今、いろいろなご意見が出ましたが、基本的に基礎的基準と発展的基準という形で非常にクリアに整理されてきたと思います。
1点は、基礎的基準は今までの特定機能病院のあり方の外形基準に相当するのかなと、前回の外形基準で問題になったのが、定量的な基準で単純な症例数みたいなことを入れていくと、これは大都市だと軽くクリアできて、いや、ほかの病院もやっているというようなことになってきますので、ここら辺は地域に合わせた部分で、どう定量的な基準を作っていくかというようなところです。
ここに関しては先ほども発展的基準で地域の実情に合わせた一つの指標のあり方というのが出ましたけれども、基礎的基準の方でもそういったことを考慮する必要があるのではないか。大事なことは、今回、医療、教育、研究、医師派遣、医療安全というような、トータルにこれらのことができるのは大学病院、特に大学病院本院であろうかと思います。そういった大学病院本院が特定機能病院として、その地域で活躍できる、また、そのことを評価できるというような基礎的基準になる必要があるのかなと、ここら辺は引き続き丁寧に評価できる制度を作っていただければと思います。
あと、先ほどから出ている19診療科ということで、これも基本診療科の幅広い設置についても賛成です。ただ、その中で総合診療科については、まだ設置していない大学病院等のお話もありましたけれども、それを一つ目標にしていただくということは重要かな。
ただ、その際に若干危惧するというか、先日ある大学の学長さんから、大学病院にはいわゆる地域包括ケア病棟もなければ療養病床もないので、大学病院にもそんなものがなくてはできないというお話がありました。では、大学にそういったものを設置するかというと、大きい大学病院に地域包括ケア病棟が似合うかとか、療養病床が合うかというと、それは違うよねと、それらの診療科というのは、病院全体の環境というようなことを含めて、地域でそのような病院があり、また、そういった診療科があって初めて成り立つのではないか。
そうすると、例えば特に総合診療科さんなどが問題になるとは思いますけれども、そういったときの教育だとか研究、これらは地域の医療機関と協力して行うことが必要かな。また、そのことでしっかりと大学病院の教育機能が発揮できているというような形にするのがいいのではないかと感じます。
あと、これらのことからすると、大学病院が非常に大きな役割を発揮しているのですが、これだけの役割を発揮していながら、一言で言うとお金の部分については、これは今回の議論の中ではないですけれども、どこがその部分を見るのかというのが正直言ってないままに大学病院に全てを背負わされているなというところを感じます。
例えば研究だとかいうと、それは文科省だから厚労省は関係ないとか、要はそういうことで、これはというと、それは本来診療報酬で見るべきところでなくて、それは別なところでというようなことで、そういうことが起こってきますと、せっかくこれだけの機能を結果的にただで大学病院でやれというようなことになっていくのではないか。さらに大学病院が細っていく懸念がございますので、ここら辺は改めて、それらに関してどのような形でコストを担保してあげるのか。
これも先日、実は医師会と大学病院さんとのお話の中で、大学病院の教員さんというのは、いわゆる教育者としての給与しかもらっていないということを聞きまして、初めて私も聞きましたけれども、医師としてというより教員としての給与しかもらっていない。それで大学病院に残って頑張れといっても、それは確かに難しいなと、こういったところは蛇足的にはなりますが、今回の議論の中ではないですけれども、少なくともそういったことを考えるべきだということは入れていく必要があるのではないか。
最後、ここにあるいわゆるStudent Doctorの育成というのは、基本的に大学病院本院のみが担っている機能、他の病院さんともいろいろ連携しながらではありますけれども、基本的には大学病院本院のみが担っているという認識でよろしいでしょうか。
以上です。
○松本医療安全推進・医務指導室長 最後のところ、もちろんいろいろな病院で担っていただきますが、今回念頭に置いているのは大学附属病院本院で担っている部分ということで書かせていただきました。ありがとうございます。
○松田座長 大学病院の人間として、代わりにいろいろなことを言っていただいてありがとうございました。
実際にいろいろなことが起こりますと、いろいろな委員会が組織されます。その委員会に院内の臨床医が勤務時間中に出ないといけないのですが、その時間は実は臨床活動ができなくなってしまうのです。そういういろいろなものが増えるたびに、実は大学病院は働き方がすごくきつくなってきてしまうということが起こっていますので、そういう視点からもぜひご検討いただけたらと思います。
あと、外形基準に関しては、特に旧帝大みたいなところは、都道府県内の患者さんだけではなくて、かなり広い範囲を見ていますので、そういうところをどのように見ていくのか、症例数とシェアという形で見ていくと思うのですが、そういうこともぜひ考えていただきたいと思います。
あと、総合診療に関しましては、例えば日本でも有名な急性期病院である済生会熊本病院では、院内主治医として総合診療医が働いて活躍するという事例もありますし、飯塚病院などでも救急科と組みながらいろいろなことをやっていますので、そういう事例も参考に総合診療のあり方も考えていただけたらと思います。
本日の議論の整理に関する皆さんのディスカッション、ご意見を踏まえまして、事務局においては具体的な対応案をご検討いただき、また、この検討会で議論させていただけたらと思います。スケジュール感につきましては年度を超える可能性があるということですので、また日程調整をさせていただけたらと思います。これは事務局、よろしくお願いします。
続きまして、議事2「特定機能病院における医療安全の取組について」に入りたいと思います。前回、特定機能病院における医療安全の調査を研究班で行うことについてご報告いただいたところですが、調査結果がまとまったということですので、それを踏まえた今後の対応の案について説明をお願いします。資料2-1、2-2について、事務局及び永井先生よりご説明をいただけたらと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。永井先生にオンラインから参加をいただいております。厚生労働科学研究、医療機関の特性に応じて求められる医療安全活動及び必要な組織体制に関する研究ということで、研究代表者の自治医科大学学長の永井良三先生にお願いをしております。今回は特定機能病院に対する調査として研究を行っていただいた部分の取りまとめをこちらでご共有いただくということでございます。
それでは、永井先生、ご説明をお願いしてもよろしいでしょうか。
○永井先生 それでは、資料の2-1をご覧ください。
2ページ目、令和6年度、7年度、厚生労働科学研究で医療機関の特性に応じて求められる、特に特定機能病院ですが、その医療安全活動と必要な組織体制に関する研究を実施させていただいております。研究代表者は私で、分担研究者として自治医科大学の客員教授でもある児玉安司先生、弁護士で医師の先生、それから、今日もご出席の長尾能雅先生に分担研究者として参加いただき、研究協力者としては自治医科大学の新保先生が参加しております。
行いましたのは88の特定機能病院に、昨年の暮れから今年1月の末までの間、アンケートを実施いたしました。回答施設数68病院、回答率77.3%でした。この記入は医療安全管理部門の専従者にお願いしております。
3ページ目、まず、内容ですけれども、1~4までございます。モニタリング、関係者の背景や役割、監査委員会、医療事故調査制度への報告・院内調査・再発防止策実施について、この4項目について今日はご報告させていただきます。
4ページ目、モニタリングでございます。分かりにくいスライドなのですが、ネバー・イベントというのがございます。決して起こしてはならない事象ということで、16~17年前から海外から重要な取組として取り上げられております。そういうネバー・イベントの確実な把握・検証が求められている重大事象について、特定機能病院の20~40%では、院内の第三者部門が確実に把握する体制となってなかったという問題点が見えます。
4ページ目の下のグラフが調査した項目で、次のスライドにわたりますけれども、星がついています。青、緑、赤の○、これは海外のガイドラインでネバー・イベント等として把握するべきという位置づけの項目であります。右の青いバーとオレンジの部分ですが、青いバーは上にありますAとB、必ず把握する仕組みがA、必ず報告すべき事象として周知しているというのがBで、この青はAとBの和です。課題となるのがCとD、現場の判断により報告される、あるいは現場で把握する仕組みがないというのがオレンジでございまして、これが20~40%程度の施設で必ずしも機能していないのではないか。
次のスライドも同じような内容でございます。中には低いものがございます。例えば一番下の低リスク妊娠における母体・新生児の重症化、こういうところはまだ日本では十分に普及していないということで、こういうところがこれからの課題かなと感じられます。
次のスライド、そのまとめですが今のネバー・イベントの問題があるということで、今後どうするか、議論のときに少し状況を整理するために下にA、B、Cというジャンルを作ってみました。回避可能性が大きいから小さいまで、それから、患者さんへの影響が大きいか小さいか、そこに小さく書いてありますが、死亡事例は全例把握すべきなのだろう。右上にあるような回避可能性が十分にあって患者さんへの影響度が大きいもの、こういうものはしっかり把握するべきだろう。
それから、Bが患者さんへの影響度が大きく、回避可能性は事例により異なる事象です。これについては真ん中に書いてありますが、発生の傾向、頻発していないか等を把握して疑義がある場合には検証・対策が必要ではないかということ。また、明確な事象の定義を設けて周知、情報収集が必要だろう。これがBではないかということです。
Cは患者さんへの影響度が比較的小さいけれども、中には防げるものもあるわけですので、限定的に捉えるのではなくて、報告して学習する文化を高めることが大事ではないか。また、回避可能性が高い事象については基準の見直し、職員教育等の改善が今後必要であろう、そういう議論がございました。
10ページ目、これは院内の第三者部門、医療安全管理部門等が診療に介入する基準があるかどうか、問題の手術が続けて起こったとか、そういう場合について介入する基準を持っているのが16病院、24%でした。また、介入の基準、あるいは意思決定の主体、あるいはその内容というのは様々なのですが、同一診療科、同一術者、同一術式で合併症が続く場合には、検証が終わるまで当該技術を停止するという例がございました。
細かい内容は右に書いてありますが、赤いところが開始の基準、どういう基準で介入するか、緑は誰が決定するか、どの場で決定するか、黄色は介入の内容、紫がどういうところで介入を終了するか、こういうことが具体的な記述でございます。
その場合、実績があるかどうか、11の機関については介入実績があると、69%介入実績があるということです。実際に2023年度に介入した件数はどのくらいあるかというところで見ますと、1件のところが7施設、2件が2施設、3件、4件が各1施設ということで、いろいろばらつきはあるようですけれども、残る31%のところはあまりそういう対応がなかったということでございます。
13ページ目、この辺の議論をまとめますと、第三者部門が診療に介入することがあるのだと、そういう基準を決めているところは16病院で実際に11病院に介入の実績があるということです。研究班としては下の部分なのですけれども、第一報を受けた医療安全管理部門については、当該患者への治療で連携をしっかり持って支援する役割があるということ、また、そうして把握した事象のうち、前のスライドでお示ししたA類型、影響が大きくてかつ防げるという類型の事象、あるいはB類型、こういうものの検証が必要というものについては、当該部署等に適時に介入して、より深刻化しないようにすることが必要ではないかという意見がございました。
また、適切に対応するには介入する権限、誰がどういうタイミングで介入するか、あるいはそのプロセスの整備とか、管理者におけるマネジメント体制、リーダーシップ、そういうものが必要だという意見がございました。
また、重大事象の把握、組織としての対応について記録する。検証、あるいは当該部署への介入の内容について記録することが、ある意味で内外からのいろいろな検証を可能にしますし、組織判断、対応の質向上につながるのではないかという意見もございました。
19ページ目、これは2番目の項目で、管理者、あるいは管理責任者、担当者の背景・役割がいかなるものか、どんな状況にあるかということも調べてみました。
20ページ目、どのような経験を持った方が医療安全管理責任者に就いているか、副院長ですが、副院長さんの背景について調べたもので、いろいろな経験があるなしで、あるが38施設、58%でした。少し重複して回答がありますので整理してみますと、左の円グラフでして、副院長に医療安全管理部門の専従/専任/兼務医師の経験があるというところが58%、ないというところは42%という回答でばらつきがございます。
25ページ目、経験の有無で実際に仕事ぶりにどういう違いがあるかということでございます。左の棒グラフ、医療安全管理部門の専従/専任/兼任医師の経験がある方というのは医療安全の業務を1週間当たり行っている時間が大分長いという非常に興味深い結果が出ております。右はどんな項目について、これは設問26で22~23ページにリストアップした23項目というのがあるのですけれども、項目数で過去に経験がある方、青い棒グラフですが、そちらの方がいろいろな項目をチェックしている、18項目対、経験のない方では10.7項目ということで、この辺も差があるということです。いろいろな経験が重要だということを示しているかと思います。
26ページ目、今のところのまとめですけれども、まず、医療安全管理責任者のエフォート、あるいは業務内容にばらつきがありますということ、また、経験のある方のほうがない方に比較してコミットメントが高いということでございます。いろいろな議論がここでもございまして、医療安全管理責任者は安全管理部門、安全管理委員会を統括して副院長として病院の運営に参加する。そのためには医療安全のガバナンスにおける中核的役割が期待されますということ。
また、平成28年度以降、特定機能病院の医療安全管理部門に専従医師の配置が義務づけられて医師の複数配置、専任/兼務でもよいのですけれども、副院長の要件として医療安全部門での業務経験が非常に大事ではないかということ、一方で、医療安全管理に資する医師の確保・育成も大事であるという議論でございました。
次は49ページ目に飛びます。監査委員について少しご報告いたします。
50ページ目、58病院、88%で監査委員会の構成員として医療安全の有識者が含まれていたということでございます。30病院では特定機能病院の専従医師の経験者が含まれていた。まず、状況はこういうところで、医療安全経験者が監査委員にかなり入っていらっしゃるということはよく分かりました。しかし、9%についてはいないという回答でございます。
53ページ目、これも監査委員会の監査内容にばらつきがあるということでございます。調べさせていただいたのは医療法施行規則で定めのある項目を含む26項目でして、右の図、分かりにくいのですが、片括弧0に鍵括弧というのは、1、または2という意味で、最近そのように表示するのだそうですけれども、右に行けば25~26項目までという、たくさん監査しているということで、申し上げたいのはばらつくということです。施設によって、医療法施行規則の定めのある項目等について、よく見ているところもあれば、あまり項目をチェックしていないところもある。そのばらつきが一つ課題として見えてまいりました。
55ページ目、まとめますと、監査委員会に有識者が含まれる病院は58病院、88%、専従医師経験者は30病院、46%、あるいはそれ以外の経験が28病院、42%、全体としては高いのですけれども、監査委員会の監査の内容はばらついているということでございます。そういう点で、研究班では特定機能病院の医療安全上の業務に精通している必要が監査委員にも求められるということでございます。
また、モニタリング等の議論ですが、院内で重大事象が把握され、組織として適切に対応されているかというところ、この辺の評価についても監査委員会の外部評価の役割が求められるのではないかという意見でした。
また、行政の立入検査、ピアレビュー、第三者評価、そうした外部評価との役割整理ということも今後求められるということでございます。
お手元の資料の70ページ以降に議論のまとめがございます。71ページ以降、数ページにわたってございますので、お時間のあるときにご覧いただければと思います。
私からは以上でございます。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
続きまして、事務局から資料2-2に基づきまして、研究班の先生方、永井先生におまとめをいただいた結果を踏まえて、特定機能病院の医療安全管理に関して、そちらの一定程度の見直し案ということでお諮りをしたいと思います。
資料2-2の2ページで背景です。特定機能病院に医療安全の上乗せをした背景ですが、1999年の横浜市立大学の医学部の患者取り違え事故を機に、特定機能病院の医療安全の上乗せに関して様々な対応を行っておりまして、その後、法改正などして上乗せ基準を設けているということです。
資料にございますように、平成26年に発覚いたしました複数病院の事例、つまり群馬大学と東京女子医科大学の事例があり、それに引き続いて集中立入検査ということでタスクフォースとして各大学病院等にお邪魔をして中身を見せていただき、それを踏まえて平成28年の省令改正、29年の医療法の改正、それから、令和3年の省令改正を行っております。今回、永井班に調べていただきましたモニタリングや医療安全管理責任者、それから、監査委員会などは全て複数病院事例を受けた最近の取組です。
委員の中から、これまでの3回の中で、外形的には取組が進んでいて、複数病院事例後の改正に対して一定の対応がされているようだが、少し外形に寄っていて、中身のところで足りない部分があるのではないかというご指摘を受けて永井班に調査をしていただいたということです。永井班の調査に関しては、この複数病院事例を受けて追加した部分にかなり特化をしていただいているというところです。
それが3ページ、赤字ではないところも複数病院事例に対応して作ったものが多数含まれております。例えば下のところの監査委員会であるとか、先ほども言及がありましたピアレビューなどになります。
5ページでもう少し背景をご説明します。現行の法令について、4つ○があり、一番上の○ですが、管理者がインシデント等をちゃんと把握するということで、これは複数病院事例より前の横浜市立大学の事故への対応からあったところなのですが、その次の2個目の○に関しては、複数病院事例を踏まえて新しく設けたところになります。
厳密には2つ目の○の1ポツは、横浜市立大学の事故への対応として通知で示していたのですが、これ省令に上げているということになります。この1ポツ目の最後に、従業者への指導ということで、例えばインシデントなどがあったときに各部門に介入して手術を止めるというようなことも、ここで読めるようにはなっているのですが、例えばこういう通知に基づいてインシデントが多い手術を一旦止めるなどの措置をした場合、逆に管理者が訴えられてしまうというような事例などがあるというご指摘を受けたことがありまして、この通知事項、省令事項等の明確化が必要ではないかと考えているものです。
2つ目の○の次のポツ、モニタリング、こちらは複数病院事例を受けてモニタリングを行うというところを新設しましたが、今回の永井班での調査で明らかになったように、モニタリングの項目に関して幾つか、これは必須にしたほう方がいいのではないかというものがありますという状況でございます。
6ページ目、これが研究班の先ほどのご指摘の概要でして、A、B、Cと分かれて、少なくとも把握に関しては一定程度求めるということを全ての特定機能病院に求めていくということが必要ではないかということです。
7ページが研究班を踏まえての事務局提案になります。まず、1つ目の○、A類型ですが、こちらは把握に関しては項目を指定してやってくださいということにしていく。かつ毎回一例ごとに振り返りを行っていただきたいということです。必要であれば再発防止策などもお願いしたいというのがA類型です。
B類型ですが、これは手術時の大量出血などが該当し得ると思いますが、把握はしてくださいというのがB類型です。ただ、手術の合併症などは一例把握されたら即検証が必要かというと、そうではない場合も想定されるので、そのようなものがBのゾーンです。B類型には、回避可能ではないものも含まれるということです。ただし、事例が積み重なった場合は検証を行っていただき、それから、必要であれば再発防止に向けた対策が必要ではないかということです。
C類型は、これまでも求めてきたものであり、インシデントレポート等になりますが、これらが把握されるべきというのは、従前どおり引き続きがんばっていただくということです。
今の7ページのご提案というのは特定機能病院の管理者に求めていくということで、要件見直しをしていきたいということなのですが、既に5ページの○の3にあるように、事故等事案に関しては、日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の方に報告をするというルールもございます。この事業ではどこの病院がということはオープンになりませんが、事例の概要はオープンになります。こういうところが既に省令等で定められているというのに加えて7ページということです。今までの義務と組み合わせれば、より質の高い医療安全になるのではないかということです。
8ページ、先ほど永井先生にご指摘いただきましたが、実際に介入しなくてはいけないということがございます。今までの省令でも読めることは読めるのですが、8ページの一番下の方向性、従業者に必要な指導を行うというのは今までの省令に書いてあるのですが、そのプロセスに関して、2ポツ目以降にあるように、管理者の役割であったり、医療安全管理委員会の役割、つまり必要な介入をしっかりと議論していただいて管理者に報告をするであるとか、医療安全管理委員会の報告を受けた場合は、管理者はしっかりやらなくてはいけませんという責務を明確化したり、緊急を要する場合は、管理者は医療安全管理委員会を経ないでやらなくてはいけませんということを明確化し、監査委員会でそれを確認しますということを明確化していきたいということです。
最後の○で、今、特定機能病院の管理者は医療安全研修が義務化されていますが、そういう内容も研修に盛り込んでいくということです。
9ページ、調査はるるいただきましたが、永井先生に先ほどご説明いただいたとおり、副院長に関しては複数病院事例で新設をした役職ですが、どちらかというと、今までは、医薬品・医療機器安全管理責任者と医療安全管理委員会、医療安全管理部門の統括として定めておりましたが、先ほどのご提案では、介入ということで診療部門を横断するということです。そちらに関しても管理者を補佐して部門を横断した役割がありますということを明確化していくということですとか、先ほど永井班のデータにもありましたが、経験があるといろいろやりやすいので、望ましい規定ということで、今後に向けてということでありますが、医療安全管理部門での業務経験を求めていくことが重要ではないかということです。この9ページも事務局提案です。
10ページ目の監査委員会ですが、こちらも複数病院事例を踏まえて新設したところでございます。今回の実態調査におきまして、医療安全の専門家が入っていない特定機能病院が一部ありました。ちなみにこの監査委員会は病院の運営全体ではなくて医療安全に関する監査委員会として省令上で位置づけておりますので、医療安全の中身に関しても監査してほしいということは前面に出ています。研究班の内容を踏まえますと、かなりの実務経験があったほう方がいいだろうということで、そのような委員を置いてくださいということです。
それから、先ほど申し上げましたように、管理者のところで介入等を行っていただきたいと書きましたので、その状況を記録を見て確認していただきたいということなどを明確化していくということです。監査委員会の監査項目は、省令に書いてあることが中心になってしまうというご指摘を現場からいただいていますので、この辺りを明確に書かせていただくということです。
それから、最後の○ですが、複数病院事例を踏まえて新設したほかの外部評価との兼ね合いというのも、少し整理をさせていただきたいということです。
いずれも特定機能病院のみですので、この検討会で扱っているわけですが、それらの取組について研究班を踏まえたご提案です。
以上です。
○松田座長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきましてご質問・ご意見等はございますでしょうか。
松本構成員、お願いします。
○松本構成員 健保連の松本でございます。まず、永井班の研究に関して詳細な説明をどうもありがとうございました。
資料2-2の冒頭、事務局からもありましたけれども、医療安全に関しましては、そこに書いてありますとおり、平成28年以降、省令改正、法律改正、省令改正等を経てきたものでございます。資料の2-1を拝見いたしますと、例えば4~5ページでは、重大な事象を確実に把握する体制を整備していないものが項目によっては7割、低いものでも2割存在しているということは、相当な驚きを持って拝見いたしました。保険者の立場といたしましても大変な不安を覚えるというのが率直な印象でございます。
さらに言えば、2-1の2ページの回答状況を見ますと、この重要なアンケートに20病院、全体の2割以上が回答もしていないということですので、現実として安全管理の実態は、このアンケート結果の数値よりかなり悪い可能性もあるではないかと受け止めております。
研究班の検討決定を踏まえまして、2-2の8~10ページにあります見直しを行うことは当然賛成いたします。いささか厳しい言い方になりますけれども、そもそも安全が全てにおいて最優先すべき事項と意識を変えていかないと、根本的な解決にはつながらないと考えております。こうした規制の見直しに合わせて、研修、あるいは個別に指導するといったことも厚生労働省にはぜひご検討いただきたいと思います。
1件質問でございますが、ここに見直しの議論の方向性があっていろいろ案が出ておりますけれども、例えばこういったものはいつまでに議論を終えて、いつまでに省令なり法律に反映していくのか、そういった時期が全く見えていないのです。そういったものに関して今想定がございましたら教えていただきたいと思います。
私からは以上です。
○松田座長 事務局お願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。資料1でもご相談しております大きな見直しと同時期に合わせて要件見直しをして、基礎的基準として見直しをしていくということを念頭に置いておりますので、それに合わせてということを考えております。
○松本構成員 ということは、まだ具体的には決められていないということですか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 今日のご提案ですが、個々のプロセスや方向性に関しては、それなりの具体性を持ってご提案させていただいていると考えております。あとは項目ですとか、具体的なところは、先ほどの資料1にも共通しますけれども、方向性等はご賛同いただいていると思いますので、この資料2関係に関しても本日ご議論いただいたものに関して、そのままルールにできるぐらいの具体まで書いてあるところもかなりあると考えております。項目等に関しては、こちらで具体化をして取りまとめの際にご議論をいただいて、この検討会の報告としてフィックスしたものに基づいて省令改正等の対応を行ってまいりたいというのが基本的な考え方です。
○松本構成員 分かりました。安全に関わることですので、速やかなアクションを期待しております。ありがとうございました。
○松田座長 ありがとうございました。
本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 私も今の松本構成員のご発言と基本的に同じなのですけれども、ネバー・イベントの状況とか、永井先生が先ほどご説明いただいた調査結果に大変驚きましたし、特定機能病院がという気持ちがあったので、余計にその驚きが大きかったです。
今回お示しいただいた改正内容とか、求めていく基準みたいなことに関しては基本的に賛成なのですけれども、例えば診療に介入する様々な事例が積み重なったときには、診療に介入する権限をきちんとつくるとか、記録を明確にするとか、その辺はきっちり書き込んでいくべきで、省令で読めるとかではなくて書き込んでいってもらいたいと感じます。
それに副所長の医療安全の経験があることによってコミットが大変大きいという検査結果にも大変感銘を受けました。そういうことも明確にしていって、要件にしていく方向でお願いしたいと思っています。
一つ、先ほどの事例が積み重なった場合とか、ニュアンスがいろいろ、何とでも言い訳できるというか、分かりにくい部分もあるので、そういうところをどうしていくのかというのは、解釈で違いが出ないような形になるような、ある程度明確にしていく必要もあるのではないかと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思います。
幅広に取り上げて、それを検証して、実際にそれが事例なのかどうかという形でやっていくのが望ましいのかなと思います。
山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 私も少し驚きを持って見させていただきました。研究班の内容を聞かせていただいて、しっかり実装・実行力のあるものにしていく必要があると思いました。
一方、大学病院は地域にとっても医療安全をリードしていいただく存在であってほしいところがあります。特定機能病院同士のピアレビューはあるものの、例えば一般の病院である地域連携加算の1、2のようなものがないので、表立って地域にどのように貢献をしているのかというのが見えにくいところがあると思っています。
ですので、地域への医療安全に関する貢献みたいなものは、例えば発展的基準等に入れるとか、そういった考えもあるのではないか。例えば地域の事故調査委員会の委員とかに大学病院の先生はかなりなっていただいていることや、あとは先ほどの研修会とか、人材育成、こういったところで特定機能病院の医療安全をやっている先生方は貢献されていると思うのです。そういった部分を評価していただいてもいいのかなと思ったりします。
あと1点、ネバー・イベントに関して気になっているところがあって、最近よくCTスキャンの結果を見落として治療が1年とか3年とか遅れてしまっている事案がよく報道されていて、この1年だけでも恐らく3件ぐらい特定機能病院でそれが発覚しているということが報道されていると思います。組織が大きくて診療科間の連携がなかなか取りにくいとか、いろいろな特定機能病院ならではの理由はあると思うのですけれども、ネバー・イベントは、最近CTスキャンとかの精度がすごく高まって、今まで見えなかった病気も見えてしまって診断がつくようになってしまった影響もあると思うのですけれども、そういったところで、ネバー・イベントには入っていないのですけれども、かなりインパクトの大きなことなので、そういったことも、もしかしたらA項目に入れていただくとか、検討していただいてもいいのではないかと思います。
○松田座長 ありがとうございました。
今ご指摘いただいた事例等についても、この後検討していただいて、これは6年度、7年度の研究ということで今回始まって、私は思うのですけれども、12月20日から1月24日という実は大学病院にとって非常に忙しい時期にこれが来ていますので、この結果を踏まえて、来年度以降は100%の回答になるようにしていただければいいのかと思います。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、事務局におきましては、本日の議論を踏まえて対応方針を整理していただけたらと思います。医療安全は非常に重要な課題ですし、多くの大学病院が実は医療安全の研修というのは職員全員に100%の講習を決めつけて、年2回ぐらいやったりとか、もういろいろやっておりますので、そういうことも踏まえてやっていただく。あと、こういう結果が世の中に広がることで、また大学病院等がさらに取組を強化するということもありますので、そういう広報活動も含めて事務局の方で考えていただけたらと思います。
続きまして、議事3「その他」に入りたいと思います。
資料3、検体検査の精度管理の取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 資料3、検体検査の精度管理についてですが、2ページをご覧ください。検体検査の精度管理ですが、古くは診療報酬の方での対応が主でした。平成29年の医療法改正におきまして根拠規定を設けまして、一部のものを除く、例えばゲノムとか、染色体以外のところの内部精度管理や、外部精度管理のところに関して努力義務規定を医療機関全体に設けているところです。
その検討の中で、下に参考としてお示ししましたが、特定機能病院に関しては高度な医療を提供していますので、本来は義務化すべきであるというご議論をいただいていたところです。今回の見直しを機に、この義務化という宿題に関して対応を行ってはどうかと考えているものです。
参考までに3ページ、医療機関以外のところ、衛生検査所等にはもう少し上の義務規定がかかっているところですので、基本的に義務化をしていきたいということです。
4ページ、幾つか特定機能病院の検体検査の精度管理の状況を調査しておりますが、外部精度管理の受検を含めて100%と認識をしております。
右側をご覧いただきまして、外部精度管理はISOだけではなくてCAPなどもございますが、ISOだけで既に98%の受検率ということです。ほかのも合わせて100%実施されているものと認識をしております。検体検査の精度に関して歴史的には様々なご議論があったところ、このような取組を通じて質を高めてきたという経緯の中、義務化のところまで議論がなされているということです。特定機能病院、先ほど画像検査のご指摘もありましたが、質の管理の観点からも、これまでのほかの検討会のご指摘を受ける形で義務化ということで位置づけてはどうかと考えております。これも同じ見直しタイミングで行いたいと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまのご説明につきましてご質問・ご意見等はございますでしょうか。
この管理者の義務に位置づけるという管理者というのは、具体的にどなたになるのでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 医療法の中では、どちらかというと施設の義務というよりは管理者イコール院長になりますが、管理者の責務として位置づけられているものがほとんどです。ちまたでこの病院の義務になっていますというときは大抵管理者の義務として記載しているものですので、その並びを取って管理者の義務と書いております。
○松田座長 病院長の義務ということになるのですか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 病院長の義務なのですが、事実上は精度管理を病院の中で適切に行わせていることのような書きぶりになるなど、病院長がやるのではなくて、病院長がさせていることを義務化するというようなイメージになります。
○松田座長 分かりました。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
これにつきましては実際にやられていることでありますのでよろしいかと思います。
それでは、本件つきまして対応を義務化するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○松田座長 異議がないようでございますので、これは義務化の方向ということで取りまとめていただけたらと思います。それでは、事務局におきましては、ほかの取りまとめと必要な対応を行っていただければと思います。
泉構成員、どうぞ。
○泉構成員 泉です。今日の議論になかったことで申し訳ないですが、せっかく卒前教育をやっていらっしゃる文科省がご出席でいらっしゃいますので、ぜひお願いしたいのですが、最近医師の社会的使命をしっかり勉強するということが必要で、直美がいかんとは言いませんけれども、国費が投入されて医師を育てるために非常に重要視されていることなので、今回、特定機能病院もぜひその責務を担っていただきたいと思います。
医師がきちんと社会的責務を担うのだということが希薄になっているような感じがあるので、卒前教育、それから、卒後においてもきちんとそこを担うということも、ぜひ特定機能病院の要件にできれば盛り込んでいただければと思います。
○松田座長 僕もそれは非常に感じております。先日、友人が実は美容形成外科の専門医なのですけれども、彼が言っていたのが、美容形成自体が悪いわけではない。ただし、美容形成に行くのであれば、形成外科の専門医を取ってから行っていただきたい。必要な技術を持っていくのであれば問題はないけれども、持たずに行くことによって、いろいろな医療安全上の問題が起こっているということですので、そういうことも含めて今後少し検討が必要なのかなと思います。
ただ、医療職のプロフェッショナルとしての矜持といいますか、そういうものに関する教育、研修というのは、卒前・卒後でもう1回見直さなくてはいけない時期に来ていると私も思います。
それでは、事務局につきましては、今のも含めていろいろ検討していただけたらと思います。
吉村構成員、どうぞ。
○吉村構成員 座長、最後に一つだけ、議事の1に戻って大変恐縮ですが、申し忘れたことを1点だけ述べさせてください。
資料1の中にあります診療科偏在については十分手が打てていないのではないかと思うのです。地域偏在については重点医師偏在対策支援区域なども設定して、都道府県としても国としてもやりやすいのですけれども、診療科偏在は各大学の努力とか、現場の指導医たちに大きく任されていている状況だと思います。
特に外科医の不足などは全国的に深刻で、先日も広島大学などは自学の判断で追加的な経済措置を行ったことがニュースになっています。こういった取組、国の方の動きも追いつききれていないところで、ぜひ各大学や地域の努力を拾っていただいて、後押ししていくような手を打っていただければと思います。追加で発言いたしました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
地方で働いている外科の先生からは内科医も足りないのだという話を実は言われていて、もう少し大学できちんと内科医を育てていただかないと困るという話が、今のお話はとても大切で、要するに各地域でどういう医師が不足しているのかということに関する調査みたいなものがあって、それでいろいろなものが出てきてしまうと思うのですけれども、それを踏まえてそれぞれの地域で診療科偏在を解消するために、どういう医師が不足して、派遣しなくてはいけないのか、そういう議論もやらないといけないと思いますので、これにつきましても厚労省の方で何か調査を考えていただけたらと思います。
そのほか、全体を通してご質問・ご意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
なければ、具体的な対応案の作成、日程調整などを事務局の方にお願いできればと思います。
そのほか、何か事務局からございますでしょうか。
○樋渡地域医療計画課補佐 次回の日程につきましては追ってご連絡いたします。
○松田座長 それでは、これで閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ本検討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
本検討会は、昨年11月27日に第22回検討会を行って以来の開催となります。私は事務局の医政局地域医療計画課補佐の樋渡でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日は、門脇構成員、相良構成員、長尾構成員、村松構成員、山本構成員がオンラインによる参加となっております。
また、事務局ですが本日審議官の森は公務により欠席となっております。また、医政局長の森光は公務により途中退席となる予定です。また、地域医療計画課長の中田、また、地域医療推進室長の堤も遅れての参加となっております。
本日は、オブザーバーとして前回に引き続き文部科学省医学教育課からも参加しております。
また、今回は研究班の代表者である自治医科大学学長の永井良三先生にもオンラインでご参加いただいております。後ほど永井先生からもご説明いただければと思っております。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表のほかは次のとおりとなっております。
1点目が開催要網、資料1として特定機能病院のあり方に関するこれまでの議論の整理、資料2-1として令和6から7年度の厚生労働科学研究の提出資料、資料2-2として医療安全管理について、資料3として検体検査の精度管理の取扱いについてでございます。
会場出席者におかれましては、前回同様、今回もタブレットでの資料閲覧となっております。タブレットの不調等がございましたら事務局にお申し付けください。こちらはよろしいでしょうか。
また、本日は現地参加及びオンラインによる同時開催となっております。オンラインでのご参加の委員の皆様にご注意いただきたい点についてご連絡を申し上げます。ご発言時以外は基本的にマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、ご発言がある場合にはZoomの挙手機能やコメント機能を用いて意思表示をお願いします。その後、座長の指名に基づきご発言をお願いします。ご発言の際は記録のため、最初にご自身のお名前をお願いいたします。
では、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。
(カメラ撮り終了)
○樋渡地域医療計画課補佐 それでは、以降の進行は座長にお願いします。
○松田座長 座長の松田でございます。
それでは、早速議題に議事に入りたいと思います。
まず議事1「これまでの議論の整理」に入りたいと思います。これまでの議論において大学附属病院本院についての評価、一定の類型化、また、大学附属病院本院における必要な機能についての把握、評価を行うことが議論されてきました。これらを踏まえ、特定機能病院としての承認要件を考える上でどのような見直しを行うべきか、これまでの議論を踏まえて改めて整理していきたいと考えます。
それでは、資料1、特定機能病院のあり方に関するこれまでの議論の整理(案)について事務局から説明をお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の松本でございます。資料1に基づきましてご説明をさせていただきます。
これまで特に大学附属病院本院に関して議論を進めてまいりました。その中で様々なご意見をいただき、一定程度整理を行い、今後、具体的な見直し案を作成して皆様と議論するに当たり、基本的な方向性をまとめたいというものです。
それでは、1ポツから順にご説明させていただきます。
1ポツの(1)現状ですが、第20回で申し上げましたが、特定機能病院の制度当初の趣旨は医療施設機能の体系化であります。その中に資源を集約して高度な施設が高度なものを提供するというものがございます。特定機能病院は平成5年に医療法に位置づけられ、現在の柱としましては2行目にある高度な医療の提供。それから、研究、医療技術の開発評価となっております。それから、研修ですが、基本的に教育と同義だと捉えていただければと思います。それから、医療安全。これら4本の柱が承認要件になっており、厚生労働大臣が承認する形になっております。
今、特定機能病院88病院のうち79病院が大学附属病院本院であり、分院はございません。2つ目の○の2行目以降ですが、これまでの議論で、大学附属病院本院が、医療、教育、研究のいずれも高度に行っていること、一部の臓器ではなく対象疾患が幅広いこと、医学生の卒前教育や卒後教育を行って、地域と循環させるような医師派遣機能を担っていることでございます。
改めてですが、大学附属病院本院の医療は、例えば複雑性が高い、希少性が高い、三次救急等の最後の砦という機能がございます。それから、特定機能病院の中でも医療について特に高度である、教育、研究などで承認基準を大きく上回るような実績を上げている、もしくは大学附属病院本院の平均値を大きく超えて実績を上げている病院も存在するということです。
(2)この検討会を再開した理由である社会保障審議会医療分科会の意見、「一方で」のところですが、医療が高度化、均てん化したことで、かつては高度と考えられた医療の中に、今では特定機能病院以外でも実施されているものがたくさんある。それから、一部の特定機能病院ではそれ以外の病院と実施件数が変わらないものもある。もちろん先ほど申し上げたように、医療提供で大きな実績を上げている病院もある一方で、区別がつかないように見える病院もあり、様々です。それから、平成5年に特定機能病院を設けて以降、地域医療支援病院とか臨床研究中核病院なども創設されております。
2つ目の○は、今国会に厚労省として法案を出しておりますが、2040年を見据えた医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の高齢者の増加や人口減少を見込んだ新たな地域医療構想の対応ですが、こういうものを今出しております。
2ページの1行目、大学附属病院本院に関しては、広域な観点で担う常勤医師や代診医の派遣、医師の卒前・卒後教育や看護師等の医療従事者の育成及び広域な観点が求められる診療を総合的に担うことを医療部会、地域医療構想の検討会などで指摘を受けていることを前回ご紹介いたしました。
次の○ですが、この医療提供体制の改革の法案の中にもう一つのパッケージがあり、それが医師偏在対策であります。今、経済的なインセンティブや地域の医療機関の支え合いの仕組みや、従前からの医師養成課程を通じた取組と併せた総合的な取組を進めていくことになっています。この検討会でも大学附属病院本院は都道府県と連携して医師派遣・配置、医学部地域枠、寄附講座などを通じて医師偏在の是正、地域の医師確保をしっかり行っていただいており、これからも貢献することが期待されているというご指摘がございました。
次の○にありますように、本国会に法案を出していますが、この改革と特定機能病院の見直しに関して、基本的に方向性を同一にするもので、これまで議論してきましたが、改めて改革においては、この論点は重要であるということです。これが今までの背景事情です。
2ポツもある意味で背景です。大学附属病院本院である特定機能病院のあり方について、これまで3回にわたって議論してきましたが、次の○、今まで申し上げたような特徴があります。医学部を持っていて、卒前・卒後教育から一貫した医師派遣や、高度な研究などを行っていること、これに関して大学附属病院本院とその他の特定機能病院は分けて議論するべきものだと議論してまいりました。
次の○ですが、今の医療提供体制改革の流れを見据えますと、2つ目の○の3行目にかけてですが、高度な医療提供、医師派遣機能を含めた地域医療における役割を積極的に果たしていただくことが期待されることを前回まで確認をしていると思います。
「一方で」の後ですが、医療提供以外にも医学生を含む人材育成・供給、それから、医学の進歩に寄与する研究開発の推進を担うということで、厳しいながらも医療資源を集めていただいておりますので、これを活用して後段の取組をしていただくことが求められます。
(2)ですが、これまでの議論を踏まえまして、次の○が見直しの大きな柱です。改革案の方向性としまして、1つ目の○、大学附属病院本院に係るものとなります。今の(1)を踏まえまして、また、2040年を目指して行っていくことを踏まえまして、現在の承認要件を超えて各大学附属病院本院で行われている取組も適切に評価して後押しをしていく観点で①②という下の見直しの観点を提示したいと思います。
がまず①です。地域において高度な医療を持続的に提供するための拠点としての機能、これは医師派遣以外も含まれますが、医師派遣機能が特に重要であることの評価で、医師派遣機能を新たな柱として立てるということです。
②ですが、現在の承認要件は大学病院とそれ以外も共通で、承認要件を満たしていると認められた場合、一律に厚生労働大臣の承認を受ける、また、診療報酬上のメリットも一律という状況です。②ですが、現在の承認要件を全ての大学附属病院本院が満たすべき基礎的基準として整理するとともに、上乗せ分に関しては個々の大学附属病院本院、これも大学附属病院本院を念頭に置いたものですが、地域の実情を踏まえて自主的に実施している高度な医療提供や教育、研究、医師派遣にかかる取組を発展的に評価して、評価結果を公表する枠組みにしていこうと考えております。
具体的な例として、以下のような考え、項目などがあり得るのではないかと考えておりまして、今後ご議論いただきたいと思っております。
まず1つ目の<基礎的基準>です。これが全ての大学附属病院本院が満たすべきものです。1つ目の○、現在の承認要件を基本としつつ本検討会の議論及び先ほどの(2)の①を踏まえて検討を進めていくということです。以前に複数の委員からご指摘をいただきましたが、大学附属病院本院がこれによって自動的に特定機能病院になるという考え方ではないこと、一定の要件をきちんと満たしていただくことを明示的にするということです。
具体的には2つ目の○ですが、医療提供、教育、研究、それから、先ほど申し上げたように、医師派遣に関しても柱立てをして、以下のような例で考えております。表の中をご覧いただきまして、医療提供ですが、太字の下線になっているものが新しく加えているところで、普通のフォントで書いてあるものは今までもあったところです。もちろん紹介率の見直しとか、難病の基準をどう見直すかというのは議論があり得ると思います。
太字になっているのは基本診療科の幅広い設置で、今、専門医制度の中では19診療科がありますが、これを幅広く設置をしていること、前回の資料で出しましたが、19診療科全部を有しているところがほとんどですが、そうではないところもありますので、これをどういう方向性で進めるかも一つの論点かと思います。
教育のところですが、ご指摘をいただきましたStudent Doctorの育成について、一部を受け入れているという意味ではなく、基本的に大学附属病院本院としてメインで育成をしているという趣旨で書いております。それから、追加をしているのが専攻医数や幅広い基本診療科のプログラム基本基幹施設であること、ほぼイコールです。それから地域の医療機関に学習機会をしっかり提供していただくこと、それから、看護師、薬剤師、その他専門職の実習の受け入れや育成を行うことです。
研究のところですが、今までは査読つき英語論文でした。引き続き評価するが、Case ReportやLetterに関して一定の勘案をすること、研修支援組織として大層なものを念頭に置いているわけではありませんが、こういう体制の評価も重要というご意見もありましたので設けさせていただきました。それから、医師派遣の要件、また、医療安全は特定機能病院には他の医療機関よりも上乗せをしたものを求めております。これは次の議題で議論させていただきます。
表の下に注2があります。全ての大学附属病院本院に基礎的基準を求めるものですが、地域の実情などによって値がかなり異なっているという議論をこれまでさせていただきましたが、この役割を踏まえた評価のあり方に関しては検討の余地があるかと考えております。
続きまして<発展的(上乗せ)基準>です。この趣旨は自主性を尊重して、承認要件だけだと評価をすることが難しい各大学附属病院本院が自主的に行っている取組を評価したいということ。次から提示するものに関しては全部を行っていることを念頭に置く、やればやるほど必ずしも評価が直線的に上がっていくものではなくて、組み合わせや地域の実情などによって評価の仕方は異なってくるものを念頭に置いております。
2行目にございますが、個々の大学附属病院本院が自主的に実施している高度な医療提供、教育、研究、医師派遣に係る取組をこの基準によって評価し、公表することです。今申し上げた趣旨です。
4ページの1つ目の○ですが、発展的基準の設定を行うに当たり、留意事項がいろいろあると思うのですが、大学附属病院本院が地域の高度な医療提供、教育、研究の砦として果たしている機能が適切に評価をされること、地域でそういうものを育成していることで医師を集められることもありますので、こういう機能の評価です。2行目の最後にあるように、地域の実情によって当該基準の達成が著しく困難なものにならないような留意が必要だと思っております。地域性によって最初から評価が届かないようなものではなく、それぞれの実情に応じて求められることをしっかり達成することでフェアな評価というか、それが見える化されていくことが重要であると考えております。
「また」の後にございますが、研究をするにも教育をするにも資源となるのが医師であるというご指摘を受けておりますが、こういう条件不利地域において医療を提供していることや、研究、教育を継続していることの評価がしっかりなされるようなやり方が重要であり、引き続き検討させていただきたいと考えております。
それでは、次の○以降、それぞれの柱において、例えばこういう項目に関して大学附属病院本院の上乗せ評価の考え方ができるのではないかということです。
まず①が医療提供に関する基準です。これまでご指摘を受けていた複数の合併症を抱えるような症例、重症度がすごく高い症例を受け入れるなど、地域で求められる診療、これがやりたいというだけではなくて、この地域ではこれが必要だということになると思いますが、地域の最後の砦としての機能の評価という観点が言われております。
次のポツですが、重要なご指摘としては、地域医療構想の考え方に合致するものであること、救急や高度な手術の観点で一定の重症等の患者を受け入れていることなのですが、ここで受けないと県外、下手をすると東京に行かないといけないような希少性に取り組んでいただいていることは非常に重要だというご指摘です。こういうことなどをしっかり評価をしていく。
その中で、地域における受入体制との関係です。例えばシェアや、ここしかない非代替性が非常に高い場合、コストもかかってしまいますので、その評価や、救急応需体制としてどうしても砦として頼らざるを得ないようなところを維持していただくのは、もともと医師の確保も難しい状況だと推察されますので、それらを考慮、検討してはどうかというところです。
一方で、医療資源が豊富である場合、例えば移植医療やゲノム医療というのも一つ評価の軸になり得ると思いますが、これは地域の中での関係もあろうかと思います。
②ですが、複数の委員からこれまでご指摘をいただいていますが、教育に関しては、その病院で育成をしているだけではなくて、地域と循環させて行って帰ってきていただくところの評価、事実上どうしていくのかは非常に難しい論点ではありますが、こういう観点です。
その中で、例えば県をまたいだ地域枠の受け入れですとか、全国からのサブスペシャリティの受け入れや、それに限らない例えば専門性のような観点があるかと思います。特定機能病院として都道府県だけではない観点、少し広域な観点での教育も、これまで議論されておりますので、そういうところもあろうかと思っております。
研究に関して、これまでも実施体制や基盤等の評価というご議論もありましたし、研究の成果に関しては論文数だけではなくて、例えば競争的研究費の獲得であるとか、論文の中にも軽重があるという議論もございました。総数だけではなくて、医師1人当たりであったり、その実情を勘案した観点であったり、研究に関しては結局医師確保であるとか、育成というのと裏腹ですので、他とのセット、またはトレードオフを勘案した評価などを踏まえてできるだけシンプルに評価をしていくということかと思っております。
医師派遣に関してですが、地域医療提供体制の維持が重要な観点だとご指摘いただいております。派遣に当たりまして、例えば医師確保が困難な地域への派遣は少し評価が高いのではないかという議論もございましたが「具体的には」の後にございますように、派遣医師の総数だけではなく、元の病院との関係で常勤換算の医師1人当たりであったり、ご指摘をいただきましたが、医師の派遣には一定の医師確保が前提になりますので、医師の確保に係る前提条件、例えば1県1医大のところであったり、医師が少数であったり等の勘案なども必要ではないかと議論をしてまいりました。
今申し上げたのが、医療、教育、研究、医師派遣の論点の考え方でして、今までご議論いただいたものを定性的にまとめて考え方を整理して例示すると、こういうところかと申し上げたものです。
次に(3)その他の論点になりますが、幾つかございます。
1つ目の○ですが、こちらは文科省さんが既に大学病院改革ガイドラインということで取り組まれているものでもあります。特定機能病院を地域で維持していただくという役割、社会的な使命ということで、文科省さんの方の資料にも使命が強調されております。安定的な経営・運営を行っていくことが重要でして、そういう状況に関して一定程度報告をいただくこと、改善をしていただくことを求めていくということです。
診療科等も非常に多いので課題等も多くなりますが、こういう体制ですとか、タスクシフト・タスクシェアの論点もあると考えております。これまで関係者からもご意見があった医師からだけではなくて、労働強度が一部高まっているような職種、例えば看護師から他の職種へのタスクシフト・シェアも含まれておりますし、一定程度教育上必要な労働、経験もあるという議論もございます。それも含めて大学における医師確保等も非常に厳しいとお伺いする中で、働き方改革で既に取り組まれている部分もあると思いますが、この論点もあろうかということで提示をしております。
2つ目の○ですが、これまでも特定機能病院、これは国の厚生局から直接医療監視に行く仕組みですとか、毎年実績報告をいただいていまして、承認要件を一時的に満たせなくなった場合などは改善計画などをいただいていたところです。今後新たな承認基準等を設けたりすることに鑑みまして、これらの基準の達成度等の確認を行うための体制、例えばワーキングループを作るのか、それとも有識者に数人集まってもらうのかなど、いろいろなやり方があると思いますが、そのような体制を構築することを検討してはどうかと考えております。
3つ目の○、もしかすると、大学附属病院本院同士のネットワーク、他にもあった方がいいのかもしれませんが、これまでご指摘を何度か受けているのが、医師が少数である地域に所在する大学附属病院本院が医師確保に非常に難渋している一方で、一部グッドプラクティス、ユースケースがございまして、これらの大学附属病院本院同士を医師確保・育成の取組を共有するような形で情報収集・情報共有等を通じて改善を求めていくものです。
医療安全については全特定機能病院でピアレビューを行っていただいております。確かに医師が多い地域の成功事例などを共有いただくなどの取組は重要だと思っていますが、同じような状況の地域で連携する仕組みとして、こういうものもあり得るかなと例示をさせていただいております。
最後の○ですが、大学附属病院本院以外の特定機能病院のあり方についてです。これらに関しては、そもそも大学附属病院本院と同じ役割・機能なのかという問題点を医療分科会に呈されて、この検討が始まったという経緯や、委員の皆様から今まで同じ役割・機能を果たしているとは言えないかもしれないというご議論をいただいておりました。
また、地域的な分布、非常に都市部などに偏っておりますが、これらの現状等を踏まえまして、承認の取扱いも含め、特に新規の承認申請が来た場合の話ですが、こういうのも整理する必要がございまして今まで議論してまいりました。「踏まえ」の後、特定機能病院としての大学附属病院本院の果たすべき役割をこれだけ議論していただいていますので、この観点に照らして、同様と言えるのかどうかを含めて、急ぎ検討していきたいと考えております。
資料1はここまでとなります。これまでご提示していたスケジュールですが、年度末に向けて取りまとめることにしておりましたが、今日このような形で基本的な考え方を整理いたしましたので、今日ご議論いただきまして仮に概ね合意いただき、ご指摘をいただきながら次に向けてということでご議論いただけるようであれば、さらに今日のご議論を踏まえて、また具体的な案を作成してご議論いただくというのが取りまとめに向けた手順かと思っております。
それを考えますと、年度を越えてこの議論を踏まえて具体的なところの案を1~2回ご議論していただくことを、少し年度を越えるスケジュール感で進めさせていただければと事務局としては考えておりますので、その点もご議論いただければと考えております。
資料1に関して事務局からの説明は以上ですので、ご議論いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして構成員からご意見・ご質問等はございますでしょうか。
では、泉構成員、お願いします。
○泉構成員 泉です。非常に今までの部分と変わって、特定機能病院が地域を守るのだという意識に重点を置いた改定だと思いますので、我が国の医師偏在が非常に大きな問題なっていることに対して、ある程度の対策を取ろうということで、そこを非常に重視された改革だと思って、よくできているなと思っております。
論点なのですけれども、まず、医師派遣ですが、医師派遣の実態把握がなかなか難しいのではないかと危惧しまして、外勤で医師派遣をしているのは非常に把握しやすいのですけれども、常勤医の派遣ということになると、本当に大学からの派遣なのかどうかということ、実数をきちんと把握することは、きちんと定義しておかないと難しいのかな。それから、病院間で次の病院に異動とすることも結構行われますので、そこの把握の仕方をきちんとしておかないと、これがかなり重要なポイントとなると、正確なデータをきちんと出すことで、ここの仕組みをきちんと作っておくことが重要だと思います。
また、医師偏在を鑑みると、地域医療構想の中で、大学がその地域において中核的に地域のことを考えてくれるということなので、ここに参画することも極めて重要だと思いますので、これも盛り込むことも極めて重要だと思っています。
もう一つ、研究のことも少し盛り込んでいただいたのですが、危惧をするのは最近主任教授が決まると、主任教授の専門領域の研究をさせるということで、例えば地域の消化器内科だったら、大腸の方がなると大腸の研究ばっかりになってしまって、肝臓だとか胆のうとか膵臓をやる人が減ってしまうとか、そういうことが如実に出てきているわけですので、そういう教授の専門性に関わらないような地域に必要な医療をきちんと提供するのだということも、特定機能病院では非常に重要な要件ではないかと思いますので、そういう評価も重要かと思っています。
最後にありましたタスクシフトにつきましては、ここも地域において特定看護師さんを養成するだとか、薬剤師さんの専門性を養成して地域のレベルを上げていくということにとっては極めて重要なので、これもある程度ちゃんと実態把握をされた方がどうかと思いました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
医師派遣の実態把握という非常に重要な論点だと思います。これについて明確にそれを把握する仕組みを地域医療構想調整会議等々を絡めて何か決めていくことが必要なのかもしれません。
吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 千葉大学の吉村です。基礎的基準及び発展的基準に分けて明確化した点は非常に分かりやすく整理されたと思います。その上で4点コメントいたします。
基礎的基準について1点ですが、診療科の幅広い設置を医療提供として行うこと及び教育の中で専攻医数を入れていく、これは非常に評価できると思います。これによって恐らく診療科偏在を直していく、ないし補正していく機能を特定機能病院に持たせるのだというメッセージと取られますので、その点を少し明確化してもよろしいかなというのが1点目です。
2点目以降は発展的基準について3つ述べます。
一つは、発展決定的基準にサブスペシャリティ、特に専門医機構が定めている24のサブスペシャリティについては、ぜひ明記していただいて、各特定機能病院がそういった育成に乗り出すということを後押ししていただけるといいのかなというのが1点目です。
2点目ですけれども、一方で、非常に少数の専門医しかない領域、例えば臨床検査などは全国で700人を割る専門医しかいないわけで、全部の養成プログラムを全部の特定機能病院に求めるというのは非常にゆがみが出るだろうと思います。国の施策ですので、県をまたいだ連携による人材育成という点も盛り込んでいただいて、各特定機能病院同士が協力できるような提供体制・制度設計にぜひ踏み込んでほしいというのが全体の3点目です。
最後の4点目、タスクシフトについて先ほど泉構成員からもございましたけれども、全専門職がいわゆる一致団結というか、一蓮托生で頑張るような病院を応援する。具体的には、医師、看護師、薬剤師に加えて、国家資格である公認心理士、管理栄養士、救急救命士、そして、民間資格でありますが診療情報管理士など、実際に活躍している専門職へのタスクシフトを評価していくという点を盛り込んだらいかがでしょうか。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要な視点だと思います。
大学が地域偏在を解消するために、診療科の構成そのものをちゃんと見直していく。少数のものについては難しい部分もあるので大学間の協力も含めてやっていくという、非常によい提案だと思います。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 まず、教育についてなのですが、サブスペシャリティ、もしくは専門性の高いというのはよく分かるのですが、片や受ける側の病院として、総合医としての力量が欲しいというニーズはとても高いと思います。したがいまして、大学病院、もしくは大学の教育の中で総合医をどう位置づけるか、総合臨床専門医が専門医になったのは分かっているのですけれども、そのほか、総合医としての力量をどれだけ持っていただけるかというのが重要な視点だろうかと思っております。
あと、すごく基本的なことで変なことを言うのですけれども、医師派遣という言葉を普通に使っているのですが、派遣は派遣業に絡んでいて実は派遣会社の絡みがあるのです。ですから、大学から医師派遣をするときに多分派遣という言葉は間違っているのではないかと思っております。出向とか、大学から離れるなら転籍ではないかなと思いますので、派遣業、実はいろいろな病院が、例えば特養さんに週1回出すとか、この辺も実は派遣業と絡んで指摘があるところですので、この辺は整理された方がいいかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○松田座長 総合医の育成というのは非常に大事なポイントだと思うのですけれども、これは例えば内科であれば一般内科とか、外科だったら一般外科という形で、内科領域で幅広に見られる医師、外科系で幅広に見られる医師、それも含めてということでしょうか。
○猪口構成員 もしかすると、出先の病院のサイズにもよりますけれども、場合によっては夜間などは内科医がある程度の外傷を見なくてはいけないとかというようなことも起きますので、できれば幅広くと思います。
○松田座長 そのほかはいかがでしょうか。
山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 神奈川県の山崎です。都道府県の立場からになるのですけれども、このように特定機能病院の機能を本当に明確に位置づけていただいたことは大変有意義だと思っております。そうなると、県としては、例えば都道府県医療計画、もしくは地域医療構想といったところに、今まで特定機能病院という形で計画になかなか名前が載ってこなかったのではないかと思っております。例えばがん拠点病院という中で大学病院が指定されたり、そういった位置づけはあっても、特定機能病院だからこういうことをやるというような形での地域での計画にはあまり直接は入り込んでこなかったところがあると思います。
今後、例えば都道府県の地域医療計画、もしくは地域医療構想、そして、年末にも提示された医師偏在対策パッケージだったり、その中で言われている都道府県と大学とのパートナーシップだったり、特定機能病院としてこういうところに参画が必要だというところをしっかり明示できれば、各都道府県もその計画に、ちゃんと特定機能病院という名前を俎上に乗せて、それを根拠に施策を進めていくことも可能になっていくのではないかなと思います。今回のこの検討会で決めたことが様々なものに影響を及ぼしてくると思いますので、こういったところにしっかり対応をして、こういったところに計画を書き換えてくださいみたいなところをしっかり明示していただけたらと思っております。
あと、最初にお話がありましたが、都道府県としても派遣の実績を把握するのは非常に難しくて、この病院のこの先生が何大学から派遣されているかということを精緻に積み上げていくということがかなり難しいということになります。それはしっかり分かるような仕組みを整えていただきたいと思っております。
以上になります。
○松田座長 ありがとうございました。
新たな地域医療構想の議論が始まっていて、今回大学病院等が位置づけられたことで、幾つかの県で大学と県と医師会の三者の連携でいろいろなことが始まっていますので、それが今回のこの検討会の議論を通じて広がるといいのかなと思います。
吉川構成員、お願いします。
○吉川構成員 このたびの特定機能病院の見直しに係る方向性について、基礎的な基準と発展的な基準を設けることについては、特に異論はございません。その上で、少し意見を述べたいと思います。
まず1つ目は、基礎的基準についてですけれども、今回、基礎的基準の項目案に医師のみならず薬剤師、また、看護師の実習受け入れとか育成を要件として入れていただきましたことにつきましては非常に感謝を申し上げます。特定機能病院に特に医師の評価のみならず、特定機能病院の医療の質を上げるためには医師とか薬剤師、看護師などの多くの職種が協力して安全な医療、安心な医療を提供していくことは、これからの地域の医療の質を担保していくためにも非常に重要なことになると考えます。
質問ですけれども、先ほどからタスクシフト・シェアのことが出されています。医師の働き方改革ですとか、業務の効率化の取組が進められていく中で、タスクシフト・シェアを進めていくということは非常に重要な点だと思います。本会でタスクシフトとシェアの実施状況を特定機能病院と一般の400床以上の病院と比較して調査した結果なのですけれども、既に多くの病院で、一般病院でもなされておりますし、特定機能病院でもかなりの取組が進んでいるという状況が明らかになりました。今後、大学病院とそれ以外の病院とどのように差別化していくのかとか、内容をどのように具体的に見ていくのか、そういった基準が今後必要になってくると思いますけれども、現在何か考えられていることがありましたら教えていただきたいと思います。
以上です。
○松田座長 事務局、お願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
このタスクシフト・シェアですが、働き方改革でも今既に取り組んでいただいているのは委員のおっしゃるとおりだと思っております。今回ここに記載をさせていただいた趣旨は、資源をかなり集めていくということ、それから、経営面でも地域にとって唯一無二になる場合があるということです。なので、持続性に関して非常に使命を帯びる状態ですので、その一環として、ここに書かせていただきました。
大きな意味での医師の働き方改革の推進など、都道府県、国でもいろいろな補助などを通して取り組んでいるところだと思いますが、特定機能病院が持っている特性に鑑みたものとして求めていく。医療資源が集まっていることであるとか、経営的な持続可能性が求められていること、高度な医療等をチームで提供していくという観点で求めていくものとして書かせていただいていますので、医療全体ももちろん重要な観点なのですが、資源が集まっている医療施設の体系化としてミッションがあるというところで、特定機能病院に求められるものとして、書かせていただくことになると思います。
ですので、医療全体、それから、400床以上の他の病院に何かするかという観点と必ずしも一貫というか、横並びで特定機能病院以外に何ができるかというところまでは、必ずしも及ばないところがあると思っております。
以上です。
○松田座長 よろしいでしょうか。
○吉川構成員 かなり体系的に大きなところでという意味合いでよろしいでしょうか。
○松田座長 コメディカルに関して、特に看護師に関しては、大学病院は必ずしも特定看護師を養成していないところもありますので、多分、大学病院がそういうコメディカルの方に関する卒後の研修に関して何か体系的なものを持つということは必要なのだろうと思っております。
川上構成員、お願いします。
○川上構成員 日本薬剤師会の川上です。現在の承認要件を基本としつつ基礎的基準と発展的上乗せの基準を置いて検討していくという方向性は大変よろしいかなと思います。特に基礎的基準で教育の中に、看護師、薬剤師、その他の専門職の実習、受け入れ、育成を入れていただきまして、どうもありがとうございます。
それと関連しまして発展的基準について2つ申し上げたいと思います。
一つは、発展的基準の中にも教育に関する基準というのがあるのですが、少し医師中心に書かれていますので、例えば薬剤師を育成しようと思うと、指導者人材がそこには必要になってくると思います。ある程度手厚い指導者人材が医師以外の職種にも要るかというところは、もしかすると一つの発展的基準になろうかと思います。
2つ目は発展的基準の研究についてです。論文数、競争的研究費などが挙げられていますが、大学病院における研究というのはもちろんサイエンスの発展に寄与するという面もあるのですが、研究を通じた人材育成という観点が大きいと思うのです。ですから、若手の医師、若手の薬剤師など、研究を通じて博士号を取得している実態が大きいと思いますので、例えば博士の学位をどのぐらい取得させているか、そういう指導を大学病院などの研究の場で行っているかなども、場合によっては一つの基準になり得るのかなと思いますので、検討に加えていただけるとよろしいかと思った次第です。
以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
コメディカルの方たちの研修・研究についてきちんと評価するというのは、大学病院本院として重要な点だと思いますので、ぜひご検討を願いたいと思います。
上田構成員、どうぞ。
○上田構成員 上田です。私も今回の基礎的基準と上乗せ基準、こういう考え方で賛成をいたします。
3ページの基礎的基準で研究について、これも項目の案として記載されておりますが、先ほどの泉構成員のお話のとおり、研究テーマについて、私はここにありますように教育ですとか、あるいは先ほどの総合診療医ですとか、若い医師がそういった医療を行うに当たって、当然研究マインドを持ちながら進めていくということで、そういう意味ではもう少し専門的な点については、どちらかというと上乗せ基準で考えて、基本的に医師の教育ですとか、そういう観点で研究も捉えていくのが大事かなと思いました。
2点目が、医療についても皆さんのご意見のとおりだと思います。私も先ほどお話がありましたように、地域医療構想調整会議等々との連携ですとか、あるいは最後の砦とかございますが、基本的にはほかにも記載がありますように、都道府県との連携がかなり大事ですので、そういった点も記載していただければと思っております。
最後ですが細かい点ですみません。最後にピアレビューのことが書かれておりまして、これは実施しているということで非常に大事ですので、ピアレビューですとか、第三者評価の受審など、いわゆる外部評価で評価をして、それを受けて改善するといいますか、申し上げたかったのは外部評価というところを重視して改善に取り組むことも大事かなということで、細かい点でございますが申し上げました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
都道府県との連携は総合確保基金との関係もありますので重要なポイントだと思います。それから、内部だけでやるのではなくて、外部の基準をきちんと守って客観的に評価するようにすることが大事だと思います。
ここでオンラインの方に行きたいと思います。
門脇構成員、お願いいたします。
○門脇構成員 門脇です。よろしくお願いします。
今回は、少ない人数で網羅性をカバーしないといけない地方大学には特に配慮いただいて、医師1人当たりという指標を出したりしていただいてありがとうございます。
私から2点申し上げたいのですけれども、一つが何回かお話に出ております医師派遣の定義とか、派遣という言葉が不適切というお話もありましたが、これの定義や把握の仕方です。実際にうちでもあるのですけれども、市中病院で初期研修して、2年経ってうちの科に入局したいといって紹介されてきて入局をするのです。そうすると、専門研修をどこでやるかというので、大学ではなくて市中病院の基幹施設や連携施設に行きたいと言って、そこが関連病院だとしたら、そこで研修するという形で、大学に一度も来ずに、市中病院のいわゆる関連病院の中だけで行き来する人も出てきているわけです。
そういう医師が大学によってはたくさんいるかもしれませんが、そういう医師も大学から見たら派遣しているという感覚なわけです。つまり、大学病院には医局とか、入局とか、同門とか、関連病院とか、独特の仕組みがありますけれども、基本的にはそういうところでコントロールしている人を派遣とみなしている。大学病院としてはそういう感覚ではないかと思います。こういった言葉が実際に明文化されているわけではないと思うのですけれども、不文律のようなものではないかと思います。それを明文化して仕組みにどう取り入れるかは分かりませんけれども、マインドとしてはそんな感じになるかと思います。
もう一つが、19基本診療科の中で、これまで私が聞いた話では総合診療科というところがありますけれども、これをそういったしっかりした形で備えていない大学がまだ少なからずあるのではないか、これが引っかかるかもしれないという声は聞きました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
これまでほかの構成員も指摘された派遣の定義をどうするかというところが非常にポイントになると思います。先ほど吉村構成員も指摘されたように、19の専門領域全体について全てすべからく要求するのかという話だと思います。これも徐々に考えていただければいいのかなと思います。
続きまして、村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。事務局がお示しになった基準について賛成の立場から発言をします。基礎的基準と上乗せ基準の各項目については特段異論ありません。
基礎的基準について1点と、上乗せ基準の評価方法について2つ、あと、申請について意見を述べたいと思います。
基礎的基準については先ほどもコメントされていらっしゃいましたが、基本診療科の幅広い設置というところを新設されています。大学病院において診療科間の医師偏在を是正して、組織全体としてバランスの取れた運用を促すということだと思います。診療科間で競合するのではなくて、病院全体としてのマネジメントが適切に行われていることを評価する仕組みで妥当だと思いますので、この点についても評価されるべきだと考えます。
次は上乗せ基準なのですが、上乗せ基準について2点述べます。
1点目については、4ページ目の1~4に項目をお示しいただいたと思いますが、これまでのこの会の議論を踏まえると、医療提供については大学病院本院と、その他の医療機関の差異が縮まっていると議論がされているかと思います。したがって、医療提供に関する基準、①だけ単独では上乗せの評価とはなりにくいと考えます。そういった評価方法を設計すべきと考えます。具体的には2~4のいずれかをクリアすれば上乗せ評価を受けられるのですが、項目1を評価するときは2~4のいずれかと組み合わせるような方法が望ましいのではないかと思います。
あと、2~4の項目の重要度についても差があると思います。研究だけ行っていた地域への医師の供給が全く行われないという状況は特定機能病院としては望ましくないと考えますので、こういったところも評価方法に反映する必要があるかと思いました。
今お示しいただいていますが、研究のところについてCase ReportとかLetterとかは基礎的基準で割り引くと書かれていて、これも賛成です。
あと、英語論文について、例えばインパクトファクターの有無ですとか、そういったものでボトムの評価を行ったとしても、現状、多様なジャーナルが存在しますので、そういった評価が難しくなってくると思います。上乗せ基準として、上側はTOP10%のジャーナルを評価対象とするみたいなことは合理的かなと考えました。
上乗せ基準の2点目なのですが、評価方法が全ての大学病院に同じような質の取組を促すものにならないように留意すべきだと考えます。各大学病院本院が地域の特性を踏まえて、教育ですとか、研究ですとか、医師派遣、医師の供給ですとか、そういった特色のある取組を展開できるような評価方法が設計されることを望みます。
最後は申請なのですが、今、承認要件の変更をこの会で議論されていると思います。一般論としては駆け込み的な申請が増えたりとか、歴史的にはあるかと思いますので、医療分科会から要件の見直しが求められている以上、この会が回っている経緯を踏まえると、ある程度案がまとまった後に再開するとか、そういったことが必要なのかなと思いました。
4点以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
基本的なところについては了承していただいたということで、上乗せの評価方法についての組み合わせをどのようにするかということだと理解しました。これについては恐らくデータを1回集めていただいて、どういうような状況になっているかということを踏まえて議論していただく。事務局の方で案を作っていただくことになろうかと思います。
続きまして、相良構成員、お願いいたします。
○相良構成員 昭和大学病院の相良でございます。今ご提示いただいた基礎的基準、それから、発展的基準に関しては、非常にいい基準として制定されているのではないかということで私は賛成でございます。
その中で、特に基本診療科の幅広い設置ということで、19診療科というところを基本診療科の幅広い設置と書き換えられたのは非常によかったのかなと思います。その中で、例えば重みづけなのですけれども、医療提供、教育、研究ということで、特に特定機能病院ということで、どこに重きを置くのかということも踏まえて評価されるのがいいのかなと思います。特に教育という面では卒前・卒後教育ということで、幅広い教育を担っているのが特定機能病院ということであれば、当然ながら大学病院本院機能ということに落ち着いてくるかと思いますので、その重みづけをどうするかということも少し考えていただければと思います。
あと、医師派遣のところが出ています。そこは先ほどいろいろな先生方が言ってらっしゃいましたけれども、例えば国立大学病院機構、あとは私立医科大学の病院のほうで、どこに派遣しているのかというのは、今は把握していると思うのです。把握してその実態は出ています。4万人、恐らく国立大学病院、それから、私立医科大学病院、協会のほうから4万人弱が出ていると思います。そこに関してはどこを派遣として取っているのかということが明確になれば、その実態は明らかになるかと思いますので、各団体の方に話をしていただくと、それはより明確化されるだろうと思います。
その中で、派遣というものをどのように捉えていくか、先ほど門脇先生も言ってらっしゃいましたけれども、ローテーションをしっかりされているかどうか、固定されているのではなくて、ローテーションをしっかりされているかどうかということを踏まえた中で、それを把握されるのがよろしいかと思います。
あと、研究ということに関しては、当然ながらインパクトファクターだけを見るのではなくて、そこのところはいろいろなハゲタカだとか、いろいろありますので、インパクトファクターだけを見て評価をするとおかしいところが出てきますので、そういうところを踏まえて、例えば地域に基づいた中での研究をしっかりやっているものも評価すべきかと思いますので、そういうところの評価基準がしっかりとした中で評価をすべきではないかと思います。したがって、出ている論文が非常にいいジャーナルだからいいという評価では違うかなと思いますので、そこら辺も踏まえた評価が必要ではないかと思います。
あと、医師派遣に関しての医師の診療科偏在はどうしても起こりがちです。例えば何かでもメジャー内科、あるいはマイナー内科に関すると、メジャー内科に非常に多く集まるというところがございますので、そこからの派遣はできるけれども、マイナー内科の方からの派遣ができないということを言うと、派遣される診療科がほぼ決まってきてしまうということもあります。そこに関しては、いろいろなシーリングの問題もあるとは思いますけれども、マイナー診療科にはシーリングをかけないで、そこのところはシーリングを取っ払って人が入るような体制をつくり、そこのところから派遣できるシステムづくりというところもあれば、より網羅的に診療科もカバーできるのではないのかなと思いました。
あと、タスクシフト・シェアのところもそうですけれども、そこのところはタスクシフトした方がいい、あるいはかえってやる方がよくないのではないかというところもありますので、それを踏まえてどれだけタスクシフトができているか、シェアができているかというところの評価というものは、それも視野に入れた中でやっていただければと思います。
基本的に、私は今出ている基準に関しては賛成でございます。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要なご指摘をいただいたと思っています。
卒前・卒後の教育研修の機能につきましては、地域とのマッチングをどのようにするかということで、恐らく地域の都道府県、あるいは医師会の先生方からの大学病院への期待がどういうものなのかということも調査していただいて、そこのマッチングなどを図っていくということが必要なのかと思います。
あと、医師派遣に関して、マイナー系に関して、必ずしも常勤医が必要ではない場合もあると思います。北海道等でやっているように週に2回、例えばマイナー系が大学から派遣される、そういうことも評価しないといけないのだろうと、今お話を聞いていて思いました。
続きまして、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 日本歯科医師会の山本です。私からも少しご意見をさせていただきたいと思います。
初めに、事務局ご提案の基礎的基準、上乗せ基準ということについては賛成をいたします。その上で、いわゆる基礎的基準のところについて2点ご意見をしたいと思います。
まず、地域の医療機関に対する学習機会でございます。こちらにつきましては先ほどからのご意見もありますが、看護師さん、あるいは薬剤師等がございますけれども、歯科の医療機関、これも現在、あるいは全身疾患と歯科疾患との関連性ということで医科歯科連携が非常に進む中で非常に立場的に必要と考えていますので、歯科医療機関に対する学習機会もぜひご検討いただきたいということが、まず1点です。
2つ目は医師派遣の部分でございます。歯科医療機関といいますか、歯科医師数も偏在が著しくなっているという現状がございます。そういった意味で、地方の特に障害者の歯科のセンター、これは都道府県が主にやっていると思うのですが、こういったところで人材不足ということで、特に全身の管理をしていただく麻酔科の先生がいないということで、そのニーズが非常に膨らんでおります。ぜひそういったところにもご配慮いただければと思っております。
以上2点でございます。よろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございました。非常に重要なポイントだと思います。
特に障害者の歯科、障害児の歯科については、都市部であっても医師偏在が大きな問題になっておりますので、そういうところで大学病院本院等が貢献する部分があると思いますし、麻酔科に関しては、歯科医師が大学病院等でも麻酔科をやっているところがありますので、そういうことも含めて評価をできたらと思います。
今村先生、どうぞ。
○今村構成員 日本医師会の今村です。今、いろいろなご意見が出ましたが、基本的に基礎的基準と発展的基準という形で非常にクリアに整理されてきたと思います。
1点は、基礎的基準は今までの特定機能病院のあり方の外形基準に相当するのかなと、前回の外形基準で問題になったのが、定量的な基準で単純な症例数みたいなことを入れていくと、これは大都市だと軽くクリアできて、いや、ほかの病院もやっているというようなことになってきますので、ここら辺は地域に合わせた部分で、どう定量的な基準を作っていくかというようなところです。
ここに関しては先ほども発展的基準で地域の実情に合わせた一つの指標のあり方というのが出ましたけれども、基礎的基準の方でもそういったことを考慮する必要があるのではないか。大事なことは、今回、医療、教育、研究、医師派遣、医療安全というような、トータルにこれらのことができるのは大学病院、特に大学病院本院であろうかと思います。そういった大学病院本院が特定機能病院として、その地域で活躍できる、また、そのことを評価できるというような基礎的基準になる必要があるのかなと、ここら辺は引き続き丁寧に評価できる制度を作っていただければと思います。
あと、先ほどから出ている19診療科ということで、これも基本診療科の幅広い設置についても賛成です。ただ、その中で総合診療科については、まだ設置していない大学病院等のお話もありましたけれども、それを一つ目標にしていただくということは重要かな。
ただ、その際に若干危惧するというか、先日ある大学の学長さんから、大学病院にはいわゆる地域包括ケア病棟もなければ療養病床もないので、大学病院にもそんなものがなくてはできないというお話がありました。では、大学にそういったものを設置するかというと、大きい大学病院に地域包括ケア病棟が似合うかとか、療養病床が合うかというと、それは違うよねと、それらの診療科というのは、病院全体の環境というようなことを含めて、地域でそのような病院があり、また、そういった診療科があって初めて成り立つのではないか。
そうすると、例えば特に総合診療科さんなどが問題になるとは思いますけれども、そういったときの教育だとか研究、これらは地域の医療機関と協力して行うことが必要かな。また、そのことでしっかりと大学病院の教育機能が発揮できているというような形にするのがいいのではないかと感じます。
あと、これらのことからすると、大学病院が非常に大きな役割を発揮しているのですが、これだけの役割を発揮していながら、一言で言うとお金の部分については、これは今回の議論の中ではないですけれども、どこがその部分を見るのかというのが正直言ってないままに大学病院に全てを背負わされているなというところを感じます。
例えば研究だとかいうと、それは文科省だから厚労省は関係ないとか、要はそういうことで、これはというと、それは本来診療報酬で見るべきところでなくて、それは別なところでというようなことで、そういうことが起こってきますと、せっかくこれだけの機能を結果的にただで大学病院でやれというようなことになっていくのではないか。さらに大学病院が細っていく懸念がございますので、ここら辺は改めて、それらに関してどのような形でコストを担保してあげるのか。
これも先日、実は医師会と大学病院さんとのお話の中で、大学病院の教員さんというのは、いわゆる教育者としての給与しかもらっていないということを聞きまして、初めて私も聞きましたけれども、医師としてというより教員としての給与しかもらっていない。それで大学病院に残って頑張れといっても、それは確かに難しいなと、こういったところは蛇足的にはなりますが、今回の議論の中ではないですけれども、少なくともそういったことを考えるべきだということは入れていく必要があるのではないか。
最後、ここにあるいわゆるStudent Doctorの育成というのは、基本的に大学病院本院のみが担っている機能、他の病院さんともいろいろ連携しながらではありますけれども、基本的には大学病院本院のみが担っているという認識でよろしいでしょうか。
以上です。
○松本医療安全推進・医務指導室長 最後のところ、もちろんいろいろな病院で担っていただきますが、今回念頭に置いているのは大学附属病院本院で担っている部分ということで書かせていただきました。ありがとうございます。
○松田座長 大学病院の人間として、代わりにいろいろなことを言っていただいてありがとうございました。
実際にいろいろなことが起こりますと、いろいろな委員会が組織されます。その委員会に院内の臨床医が勤務時間中に出ないといけないのですが、その時間は実は臨床活動ができなくなってしまうのです。そういういろいろなものが増えるたびに、実は大学病院は働き方がすごくきつくなってきてしまうということが起こっていますので、そういう視点からもぜひご検討いただけたらと思います。
あと、外形基準に関しては、特に旧帝大みたいなところは、都道府県内の患者さんだけではなくて、かなり広い範囲を見ていますので、そういうところをどのように見ていくのか、症例数とシェアという形で見ていくと思うのですが、そういうこともぜひ考えていただきたいと思います。
あと、総合診療に関しましては、例えば日本でも有名な急性期病院である済生会熊本病院では、院内主治医として総合診療医が働いて活躍するという事例もありますし、飯塚病院などでも救急科と組みながらいろいろなことをやっていますので、そういう事例も参考に総合診療のあり方も考えていただけたらと思います。
本日の議論の整理に関する皆さんのディスカッション、ご意見を踏まえまして、事務局においては具体的な対応案をご検討いただき、また、この検討会で議論させていただけたらと思います。スケジュール感につきましては年度を超える可能性があるということですので、また日程調整をさせていただけたらと思います。これは事務局、よろしくお願いします。
続きまして、議事2「特定機能病院における医療安全の取組について」に入りたいと思います。前回、特定機能病院における医療安全の調査を研究班で行うことについてご報告いただいたところですが、調査結果がまとまったということですので、それを踏まえた今後の対応の案について説明をお願いします。資料2-1、2-2について、事務局及び永井先生よりご説明をいただけたらと思います。
○松本医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。永井先生にオンラインから参加をいただいております。厚生労働科学研究、医療機関の特性に応じて求められる医療安全活動及び必要な組織体制に関する研究ということで、研究代表者の自治医科大学学長の永井良三先生にお願いをしております。今回は特定機能病院に対する調査として研究を行っていただいた部分の取りまとめをこちらでご共有いただくということでございます。
それでは、永井先生、ご説明をお願いしてもよろしいでしょうか。
○永井先生 それでは、資料の2-1をご覧ください。
2ページ目、令和6年度、7年度、厚生労働科学研究で医療機関の特性に応じて求められる、特に特定機能病院ですが、その医療安全活動と必要な組織体制に関する研究を実施させていただいております。研究代表者は私で、分担研究者として自治医科大学の客員教授でもある児玉安司先生、弁護士で医師の先生、それから、今日もご出席の長尾能雅先生に分担研究者として参加いただき、研究協力者としては自治医科大学の新保先生が参加しております。
行いましたのは88の特定機能病院に、昨年の暮れから今年1月の末までの間、アンケートを実施いたしました。回答施設数68病院、回答率77.3%でした。この記入は医療安全管理部門の専従者にお願いしております。
3ページ目、まず、内容ですけれども、1~4までございます。モニタリング、関係者の背景や役割、監査委員会、医療事故調査制度への報告・院内調査・再発防止策実施について、この4項目について今日はご報告させていただきます。
4ページ目、モニタリングでございます。分かりにくいスライドなのですが、ネバー・イベントというのがございます。決して起こしてはならない事象ということで、16~17年前から海外から重要な取組として取り上げられております。そういうネバー・イベントの確実な把握・検証が求められている重大事象について、特定機能病院の20~40%では、院内の第三者部門が確実に把握する体制となってなかったという問題点が見えます。
4ページ目の下のグラフが調査した項目で、次のスライドにわたりますけれども、星がついています。青、緑、赤の○、これは海外のガイドラインでネバー・イベント等として把握するべきという位置づけの項目であります。右の青いバーとオレンジの部分ですが、青いバーは上にありますAとB、必ず把握する仕組みがA、必ず報告すべき事象として周知しているというのがBで、この青はAとBの和です。課題となるのがCとD、現場の判断により報告される、あるいは現場で把握する仕組みがないというのがオレンジでございまして、これが20~40%程度の施設で必ずしも機能していないのではないか。
次のスライドも同じような内容でございます。中には低いものがございます。例えば一番下の低リスク妊娠における母体・新生児の重症化、こういうところはまだ日本では十分に普及していないということで、こういうところがこれからの課題かなと感じられます。
次のスライド、そのまとめですが今のネバー・イベントの問題があるということで、今後どうするか、議論のときに少し状況を整理するために下にA、B、Cというジャンルを作ってみました。回避可能性が大きいから小さいまで、それから、患者さんへの影響が大きいか小さいか、そこに小さく書いてありますが、死亡事例は全例把握すべきなのだろう。右上にあるような回避可能性が十分にあって患者さんへの影響度が大きいもの、こういうものはしっかり把握するべきだろう。
それから、Bが患者さんへの影響度が大きく、回避可能性は事例により異なる事象です。これについては真ん中に書いてありますが、発生の傾向、頻発していないか等を把握して疑義がある場合には検証・対策が必要ではないかということ。また、明確な事象の定義を設けて周知、情報収集が必要だろう。これがBではないかということです。
Cは患者さんへの影響度が比較的小さいけれども、中には防げるものもあるわけですので、限定的に捉えるのではなくて、報告して学習する文化を高めることが大事ではないか。また、回避可能性が高い事象については基準の見直し、職員教育等の改善が今後必要であろう、そういう議論がございました。
10ページ目、これは院内の第三者部門、医療安全管理部門等が診療に介入する基準があるかどうか、問題の手術が続けて起こったとか、そういう場合について介入する基準を持っているのが16病院、24%でした。また、介入の基準、あるいは意思決定の主体、あるいはその内容というのは様々なのですが、同一診療科、同一術者、同一術式で合併症が続く場合には、検証が終わるまで当該技術を停止するという例がございました。
細かい内容は右に書いてありますが、赤いところが開始の基準、どういう基準で介入するか、緑は誰が決定するか、どの場で決定するか、黄色は介入の内容、紫がどういうところで介入を終了するか、こういうことが具体的な記述でございます。
その場合、実績があるかどうか、11の機関については介入実績があると、69%介入実績があるということです。実際に2023年度に介入した件数はどのくらいあるかというところで見ますと、1件のところが7施設、2件が2施設、3件、4件が各1施設ということで、いろいろばらつきはあるようですけれども、残る31%のところはあまりそういう対応がなかったということでございます。
13ページ目、この辺の議論をまとめますと、第三者部門が診療に介入することがあるのだと、そういう基準を決めているところは16病院で実際に11病院に介入の実績があるということです。研究班としては下の部分なのですけれども、第一報を受けた医療安全管理部門については、当該患者への治療で連携をしっかり持って支援する役割があるということ、また、そうして把握した事象のうち、前のスライドでお示ししたA類型、影響が大きくてかつ防げるという類型の事象、あるいはB類型、こういうものの検証が必要というものについては、当該部署等に適時に介入して、より深刻化しないようにすることが必要ではないかという意見がございました。
また、適切に対応するには介入する権限、誰がどういうタイミングで介入するか、あるいはそのプロセスの整備とか、管理者におけるマネジメント体制、リーダーシップ、そういうものが必要だという意見がございました。
また、重大事象の把握、組織としての対応について記録する。検証、あるいは当該部署への介入の内容について記録することが、ある意味で内外からのいろいろな検証を可能にしますし、組織判断、対応の質向上につながるのではないかという意見もございました。
19ページ目、これは2番目の項目で、管理者、あるいは管理責任者、担当者の背景・役割がいかなるものか、どんな状況にあるかということも調べてみました。
20ページ目、どのような経験を持った方が医療安全管理責任者に就いているか、副院長ですが、副院長さんの背景について調べたもので、いろいろな経験があるなしで、あるが38施設、58%でした。少し重複して回答がありますので整理してみますと、左の円グラフでして、副院長に医療安全管理部門の専従/専任/兼務医師の経験があるというところが58%、ないというところは42%という回答でばらつきがございます。
25ページ目、経験の有無で実際に仕事ぶりにどういう違いがあるかということでございます。左の棒グラフ、医療安全管理部門の専従/専任/兼任医師の経験がある方というのは医療安全の業務を1週間当たり行っている時間が大分長いという非常に興味深い結果が出ております。右はどんな項目について、これは設問26で22~23ページにリストアップした23項目というのがあるのですけれども、項目数で過去に経験がある方、青い棒グラフですが、そちらの方がいろいろな項目をチェックしている、18項目対、経験のない方では10.7項目ということで、この辺も差があるということです。いろいろな経験が重要だということを示しているかと思います。
26ページ目、今のところのまとめですけれども、まず、医療安全管理責任者のエフォート、あるいは業務内容にばらつきがありますということ、また、経験のある方のほうがない方に比較してコミットメントが高いということでございます。いろいろな議論がここでもございまして、医療安全管理責任者は安全管理部門、安全管理委員会を統括して副院長として病院の運営に参加する。そのためには医療安全のガバナンスにおける中核的役割が期待されますということ。
また、平成28年度以降、特定機能病院の医療安全管理部門に専従医師の配置が義務づけられて医師の複数配置、専任/兼務でもよいのですけれども、副院長の要件として医療安全部門での業務経験が非常に大事ではないかということ、一方で、医療安全管理に資する医師の確保・育成も大事であるという議論でございました。
次は49ページ目に飛びます。監査委員について少しご報告いたします。
50ページ目、58病院、88%で監査委員会の構成員として医療安全の有識者が含まれていたということでございます。30病院では特定機能病院の専従医師の経験者が含まれていた。まず、状況はこういうところで、医療安全経験者が監査委員にかなり入っていらっしゃるということはよく分かりました。しかし、9%についてはいないという回答でございます。
53ページ目、これも監査委員会の監査内容にばらつきがあるということでございます。調べさせていただいたのは医療法施行規則で定めのある項目を含む26項目でして、右の図、分かりにくいのですが、片括弧0に鍵括弧というのは、1、または2という意味で、最近そのように表示するのだそうですけれども、右に行けば25~26項目までという、たくさん監査しているということで、申し上げたいのはばらつくということです。施設によって、医療法施行規則の定めのある項目等について、よく見ているところもあれば、あまり項目をチェックしていないところもある。そのばらつきが一つ課題として見えてまいりました。
55ページ目、まとめますと、監査委員会に有識者が含まれる病院は58病院、88%、専従医師経験者は30病院、46%、あるいはそれ以外の経験が28病院、42%、全体としては高いのですけれども、監査委員会の監査の内容はばらついているということでございます。そういう点で、研究班では特定機能病院の医療安全上の業務に精通している必要が監査委員にも求められるということでございます。
また、モニタリング等の議論ですが、院内で重大事象が把握され、組織として適切に対応されているかというところ、この辺の評価についても監査委員会の外部評価の役割が求められるのではないかという意見でした。
また、行政の立入検査、ピアレビュー、第三者評価、そうした外部評価との役割整理ということも今後求められるということでございます。
お手元の資料の70ページ以降に議論のまとめがございます。71ページ以降、数ページにわたってございますので、お時間のあるときにご覧いただければと思います。
私からは以上でございます。
○松本医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
続きまして、事務局から資料2-2に基づきまして、研究班の先生方、永井先生におまとめをいただいた結果を踏まえて、特定機能病院の医療安全管理に関して、そちらの一定程度の見直し案ということでお諮りをしたいと思います。
資料2-2の2ページで背景です。特定機能病院に医療安全の上乗せをした背景ですが、1999年の横浜市立大学の医学部の患者取り違え事故を機に、特定機能病院の医療安全の上乗せに関して様々な対応を行っておりまして、その後、法改正などして上乗せ基準を設けているということです。
資料にございますように、平成26年に発覚いたしました複数病院の事例、つまり群馬大学と東京女子医科大学の事例があり、それに引き続いて集中立入検査ということでタスクフォースとして各大学病院等にお邪魔をして中身を見せていただき、それを踏まえて平成28年の省令改正、29年の医療法の改正、それから、令和3年の省令改正を行っております。今回、永井班に調べていただきましたモニタリングや医療安全管理責任者、それから、監査委員会などは全て複数病院事例を受けた最近の取組です。
委員の中から、これまでの3回の中で、外形的には取組が進んでいて、複数病院事例後の改正に対して一定の対応がされているようだが、少し外形に寄っていて、中身のところで足りない部分があるのではないかというご指摘を受けて永井班に調査をしていただいたということです。永井班の調査に関しては、この複数病院事例を受けて追加した部分にかなり特化をしていただいているというところです。
それが3ページ、赤字ではないところも複数病院事例に対応して作ったものが多数含まれております。例えば下のところの監査委員会であるとか、先ほども言及がありましたピアレビューなどになります。
5ページでもう少し背景をご説明します。現行の法令について、4つ○があり、一番上の○ですが、管理者がインシデント等をちゃんと把握するということで、これは複数病院事例より前の横浜市立大学の事故への対応からあったところなのですが、その次の2個目の○に関しては、複数病院事例を踏まえて新しく設けたところになります。
厳密には2つ目の○の1ポツは、横浜市立大学の事故への対応として通知で示していたのですが、これ省令に上げているということになります。この1ポツ目の最後に、従業者への指導ということで、例えばインシデントなどがあったときに各部門に介入して手術を止めるというようなことも、ここで読めるようにはなっているのですが、例えばこういう通知に基づいてインシデントが多い手術を一旦止めるなどの措置をした場合、逆に管理者が訴えられてしまうというような事例などがあるというご指摘を受けたことがありまして、この通知事項、省令事項等の明確化が必要ではないかと考えているものです。
2つ目の○の次のポツ、モニタリング、こちらは複数病院事例を受けてモニタリングを行うというところを新設しましたが、今回の永井班での調査で明らかになったように、モニタリングの項目に関して幾つか、これは必須にしたほう方がいいのではないかというものがありますという状況でございます。
6ページ目、これが研究班の先ほどのご指摘の概要でして、A、B、Cと分かれて、少なくとも把握に関しては一定程度求めるということを全ての特定機能病院に求めていくということが必要ではないかということです。
7ページが研究班を踏まえての事務局提案になります。まず、1つ目の○、A類型ですが、こちらは把握に関しては項目を指定してやってくださいということにしていく。かつ毎回一例ごとに振り返りを行っていただきたいということです。必要であれば再発防止策などもお願いしたいというのがA類型です。
B類型ですが、これは手術時の大量出血などが該当し得ると思いますが、把握はしてくださいというのがB類型です。ただ、手術の合併症などは一例把握されたら即検証が必要かというと、そうではない場合も想定されるので、そのようなものがBのゾーンです。B類型には、回避可能ではないものも含まれるということです。ただし、事例が積み重なった場合は検証を行っていただき、それから、必要であれば再発防止に向けた対策が必要ではないかということです。
C類型は、これまでも求めてきたものであり、インシデントレポート等になりますが、これらが把握されるべきというのは、従前どおり引き続きがんばっていただくということです。
今の7ページのご提案というのは特定機能病院の管理者に求めていくということで、要件見直しをしていきたいということなのですが、既に5ページの○の3にあるように、事故等事案に関しては、日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の方に報告をするというルールもございます。この事業ではどこの病院がということはオープンになりませんが、事例の概要はオープンになります。こういうところが既に省令等で定められているというのに加えて7ページということです。今までの義務と組み合わせれば、より質の高い医療安全になるのではないかということです。
8ページ、先ほど永井先生にご指摘いただきましたが、実際に介入しなくてはいけないということがございます。今までの省令でも読めることは読めるのですが、8ページの一番下の方向性、従業者に必要な指導を行うというのは今までの省令に書いてあるのですが、そのプロセスに関して、2ポツ目以降にあるように、管理者の役割であったり、医療安全管理委員会の役割、つまり必要な介入をしっかりと議論していただいて管理者に報告をするであるとか、医療安全管理委員会の報告を受けた場合は、管理者はしっかりやらなくてはいけませんという責務を明確化したり、緊急を要する場合は、管理者は医療安全管理委員会を経ないでやらなくてはいけませんということを明確化し、監査委員会でそれを確認しますということを明確化していきたいということです。
最後の○で、今、特定機能病院の管理者は医療安全研修が義務化されていますが、そういう内容も研修に盛り込んでいくということです。
9ページ、調査はるるいただきましたが、永井先生に先ほどご説明いただいたとおり、副院長に関しては複数病院事例で新設をした役職ですが、どちらかというと、今までは、医薬品・医療機器安全管理責任者と医療安全管理委員会、医療安全管理部門の統括として定めておりましたが、先ほどのご提案では、介入ということで診療部門を横断するということです。そちらに関しても管理者を補佐して部門を横断した役割がありますということを明確化していくということですとか、先ほど永井班のデータにもありましたが、経験があるといろいろやりやすいので、望ましい規定ということで、今後に向けてということでありますが、医療安全管理部門での業務経験を求めていくことが重要ではないかということです。この9ページも事務局提案です。
10ページ目の監査委員会ですが、こちらも複数病院事例を踏まえて新設したところでございます。今回の実態調査におきまして、医療安全の専門家が入っていない特定機能病院が一部ありました。ちなみにこの監査委員会は病院の運営全体ではなくて医療安全に関する監査委員会として省令上で位置づけておりますので、医療安全の中身に関しても監査してほしいということは前面に出ています。研究班の内容を踏まえますと、かなりの実務経験があったほう方がいいだろうということで、そのような委員を置いてくださいということです。
それから、先ほど申し上げましたように、管理者のところで介入等を行っていただきたいと書きましたので、その状況を記録を見て確認していただきたいということなどを明確化していくということです。監査委員会の監査項目は、省令に書いてあることが中心になってしまうというご指摘を現場からいただいていますので、この辺りを明確に書かせていただくということです。
それから、最後の○ですが、複数病院事例を踏まえて新設したほかの外部評価との兼ね合いというのも、少し整理をさせていただきたいということです。
いずれも特定機能病院のみですので、この検討会で扱っているわけですが、それらの取組について研究班を踏まえたご提案です。
以上です。
○松田座長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきましてご質問・ご意見等はございますでしょうか。
松本構成員、お願いします。
○松本構成員 健保連の松本でございます。まず、永井班の研究に関して詳細な説明をどうもありがとうございました。
資料2-2の冒頭、事務局からもありましたけれども、医療安全に関しましては、そこに書いてありますとおり、平成28年以降、省令改正、法律改正、省令改正等を経てきたものでございます。資料の2-1を拝見いたしますと、例えば4~5ページでは、重大な事象を確実に把握する体制を整備していないものが項目によっては7割、低いものでも2割存在しているということは、相当な驚きを持って拝見いたしました。保険者の立場といたしましても大変な不安を覚えるというのが率直な印象でございます。
さらに言えば、2-1の2ページの回答状況を見ますと、この重要なアンケートに20病院、全体の2割以上が回答もしていないということですので、現実として安全管理の実態は、このアンケート結果の数値よりかなり悪い可能性もあるではないかと受け止めております。
研究班の検討決定を踏まえまして、2-2の8~10ページにあります見直しを行うことは当然賛成いたします。いささか厳しい言い方になりますけれども、そもそも安全が全てにおいて最優先すべき事項と意識を変えていかないと、根本的な解決にはつながらないと考えております。こうした規制の見直しに合わせて、研修、あるいは個別に指導するといったことも厚生労働省にはぜひご検討いただきたいと思います。
1件質問でございますが、ここに見直しの議論の方向性があっていろいろ案が出ておりますけれども、例えばこういったものはいつまでに議論を終えて、いつまでに省令なり法律に反映していくのか、そういった時期が全く見えていないのです。そういったものに関して今想定がございましたら教えていただきたいと思います。
私からは以上です。
○松田座長 事務局お願いします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。資料1でもご相談しております大きな見直しと同時期に合わせて要件見直しをして、基礎的基準として見直しをしていくということを念頭に置いておりますので、それに合わせてということを考えております。
○松本構成員 ということは、まだ具体的には決められていないということですか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 今日のご提案ですが、個々のプロセスや方向性に関しては、それなりの具体性を持ってご提案させていただいていると考えております。あとは項目ですとか、具体的なところは、先ほどの資料1にも共通しますけれども、方向性等はご賛同いただいていると思いますので、この資料2関係に関しても本日ご議論いただいたものに関して、そのままルールにできるぐらいの具体まで書いてあるところもかなりあると考えております。項目等に関しては、こちらで具体化をして取りまとめの際にご議論をいただいて、この検討会の報告としてフィックスしたものに基づいて省令改正等の対応を行ってまいりたいというのが基本的な考え方です。
○松本構成員 分かりました。安全に関わることですので、速やかなアクションを期待しております。ありがとうございました。
○松田座長 ありがとうございました。
本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 私も今の松本構成員のご発言と基本的に同じなのですけれども、ネバー・イベントの状況とか、永井先生が先ほどご説明いただいた調査結果に大変驚きましたし、特定機能病院がという気持ちがあったので、余計にその驚きが大きかったです。
今回お示しいただいた改正内容とか、求めていく基準みたいなことに関しては基本的に賛成なのですけれども、例えば診療に介入する様々な事例が積み重なったときには、診療に介入する権限をきちんとつくるとか、記録を明確にするとか、その辺はきっちり書き込んでいくべきで、省令で読めるとかではなくて書き込んでいってもらいたいと感じます。
それに副所長の医療安全の経験があることによってコミットが大変大きいという検査結果にも大変感銘を受けました。そういうことも明確にしていって、要件にしていく方向でお願いしたいと思っています。
一つ、先ほどの事例が積み重なった場合とか、ニュアンスがいろいろ、何とでも言い訳できるというか、分かりにくい部分もあるので、そういうところをどうしていくのかというのは、解釈で違いが出ないような形になるような、ある程度明確にしていく必要もあるのではないかと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思います。
幅広に取り上げて、それを検証して、実際にそれが事例なのかどうかという形でやっていくのが望ましいのかなと思います。
山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 私も少し驚きを持って見させていただきました。研究班の内容を聞かせていただいて、しっかり実装・実行力のあるものにしていく必要があると思いました。
一方、大学病院は地域にとっても医療安全をリードしていいただく存在であってほしいところがあります。特定機能病院同士のピアレビューはあるものの、例えば一般の病院である地域連携加算の1、2のようなものがないので、表立って地域にどのように貢献をしているのかというのが見えにくいところがあると思っています。
ですので、地域への医療安全に関する貢献みたいなものは、例えば発展的基準等に入れるとか、そういった考えもあるのではないか。例えば地域の事故調査委員会の委員とかに大学病院の先生はかなりなっていただいていることや、あとは先ほどの研修会とか、人材育成、こういったところで特定機能病院の医療安全をやっている先生方は貢献されていると思うのです。そういった部分を評価していただいてもいいのかなと思ったりします。
あと1点、ネバー・イベントに関して気になっているところがあって、最近よくCTスキャンの結果を見落として治療が1年とか3年とか遅れてしまっている事案がよく報道されていて、この1年だけでも恐らく3件ぐらい特定機能病院でそれが発覚しているということが報道されていると思います。組織が大きくて診療科間の連携がなかなか取りにくいとか、いろいろな特定機能病院ならではの理由はあると思うのですけれども、ネバー・イベントは、最近CTスキャンとかの精度がすごく高まって、今まで見えなかった病気も見えてしまって診断がつくようになってしまった影響もあると思うのですけれども、そういったところで、ネバー・イベントには入っていないのですけれども、かなりインパクトの大きなことなので、そういったことも、もしかしたらA項目に入れていただくとか、検討していただいてもいいのではないかと思います。
○松田座長 ありがとうございました。
今ご指摘いただいた事例等についても、この後検討していただいて、これは6年度、7年度の研究ということで今回始まって、私は思うのですけれども、12月20日から1月24日という実は大学病院にとって非常に忙しい時期にこれが来ていますので、この結果を踏まえて、来年度以降は100%の回答になるようにしていただければいいのかと思います。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、事務局におきましては、本日の議論を踏まえて対応方針を整理していただけたらと思います。医療安全は非常に重要な課題ですし、多くの大学病院が実は医療安全の研修というのは職員全員に100%の講習を決めつけて、年2回ぐらいやったりとか、もういろいろやっておりますので、そういうことも踏まえてやっていただく。あと、こういう結果が世の中に広がることで、また大学病院等がさらに取組を強化するということもありますので、そういう広報活動も含めて事務局の方で考えていただけたらと思います。
続きまして、議事3「その他」に入りたいと思います。
資料3、検体検査の精度管理の取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長 資料3、検体検査の精度管理についてですが、2ページをご覧ください。検体検査の精度管理ですが、古くは診療報酬の方での対応が主でした。平成29年の医療法改正におきまして根拠規定を設けまして、一部のものを除く、例えばゲノムとか、染色体以外のところの内部精度管理や、外部精度管理のところに関して努力義務規定を医療機関全体に設けているところです。
その検討の中で、下に参考としてお示ししましたが、特定機能病院に関しては高度な医療を提供していますので、本来は義務化すべきであるというご議論をいただいていたところです。今回の見直しを機に、この義務化という宿題に関して対応を行ってはどうかと考えているものです。
参考までに3ページ、医療機関以外のところ、衛生検査所等にはもう少し上の義務規定がかかっているところですので、基本的に義務化をしていきたいということです。
4ページ、幾つか特定機能病院の検体検査の精度管理の状況を調査しておりますが、外部精度管理の受検を含めて100%と認識をしております。
右側をご覧いただきまして、外部精度管理はISOだけではなくてCAPなどもございますが、ISOだけで既に98%の受検率ということです。ほかのも合わせて100%実施されているものと認識をしております。検体検査の精度に関して歴史的には様々なご議論があったところ、このような取組を通じて質を高めてきたという経緯の中、義務化のところまで議論がなされているということです。特定機能病院、先ほど画像検査のご指摘もありましたが、質の管理の観点からも、これまでのほかの検討会のご指摘を受ける形で義務化ということで位置づけてはどうかと考えております。これも同じ見直しタイミングで行いたいと考えております。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
ただいまのご説明につきましてご質問・ご意見等はございますでしょうか。
この管理者の義務に位置づけるという管理者というのは、具体的にどなたになるのでしょうか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 医療法の中では、どちらかというと施設の義務というよりは管理者イコール院長になりますが、管理者の責務として位置づけられているものがほとんどです。ちまたでこの病院の義務になっていますというときは大抵管理者の義務として記載しているものですので、その並びを取って管理者の義務と書いております。
○松田座長 病院長の義務ということになるのですか。
○松本医療安全推進・医務指導室長 病院長の義務なのですが、事実上は精度管理を病院の中で適切に行わせていることのような書きぶりになるなど、病院長がやるのではなくて、病院長がさせていることを義務化するというようなイメージになります。
○松田座長 分かりました。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
これにつきましては実際にやられていることでありますのでよろしいかと思います。
それでは、本件つきまして対応を義務化するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○松田座長 異議がないようでございますので、これは義務化の方向ということで取りまとめていただけたらと思います。それでは、事務局におきましては、ほかの取りまとめと必要な対応を行っていただければと思います。
泉構成員、どうぞ。
○泉構成員 泉です。今日の議論になかったことで申し訳ないですが、せっかく卒前教育をやっていらっしゃる文科省がご出席でいらっしゃいますので、ぜひお願いしたいのですが、最近医師の社会的使命をしっかり勉強するということが必要で、直美がいかんとは言いませんけれども、国費が投入されて医師を育てるために非常に重要視されていることなので、今回、特定機能病院もぜひその責務を担っていただきたいと思います。
医師がきちんと社会的責務を担うのだということが希薄になっているような感じがあるので、卒前教育、それから、卒後においてもきちんとそこを担うということも、ぜひ特定機能病院の要件にできれば盛り込んでいただければと思います。
○松田座長 僕もそれは非常に感じております。先日、友人が実は美容形成外科の専門医なのですけれども、彼が言っていたのが、美容形成自体が悪いわけではない。ただし、美容形成に行くのであれば、形成外科の専門医を取ってから行っていただきたい。必要な技術を持っていくのであれば問題はないけれども、持たずに行くことによって、いろいろな医療安全上の問題が起こっているということですので、そういうことも含めて今後少し検討が必要なのかなと思います。
ただ、医療職のプロフェッショナルとしての矜持といいますか、そういうものに関する教育、研修というのは、卒前・卒後でもう1回見直さなくてはいけない時期に来ていると私も思います。
それでは、事務局につきましては、今のも含めていろいろ検討していただけたらと思います。
吉村構成員、どうぞ。
○吉村構成員 座長、最後に一つだけ、議事の1に戻って大変恐縮ですが、申し忘れたことを1点だけ述べさせてください。
資料1の中にあります診療科偏在については十分手が打てていないのではないかと思うのです。地域偏在については重点医師偏在対策支援区域なども設定して、都道府県としても国としてもやりやすいのですけれども、診療科偏在は各大学の努力とか、現場の指導医たちに大きく任されていている状況だと思います。
特に外科医の不足などは全国的に深刻で、先日も広島大学などは自学の判断で追加的な経済措置を行ったことがニュースになっています。こういった取組、国の方の動きも追いつききれていないところで、ぜひ各大学や地域の努力を拾っていただいて、後押ししていくような手を打っていただければと思います。追加で発言いたしました。
以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
地方で働いている外科の先生からは内科医も足りないのだという話を実は言われていて、もう少し大学できちんと内科医を育てていただかないと困るという話が、今のお話はとても大切で、要するに各地域でどういう医師が不足しているのかということに関する調査みたいなものがあって、それでいろいろなものが出てきてしまうと思うのですけれども、それを踏まえてそれぞれの地域で診療科偏在を解消するために、どういう医師が不足して、派遣しなくてはいけないのか、そういう議論もやらないといけないと思いますので、これにつきましても厚労省の方で何か調査を考えていただけたらと思います。
そのほか、全体を通してご質問・ご意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
なければ、具体的な対応案の作成、日程調整などを事務局の方にお願いできればと思います。
そのほか、何か事務局からございますでしょうか。
○樋渡地域医療計画課補佐 次回の日程につきましては追ってご連絡いたします。
○松田座長 それでは、これで閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。
照会先
医政局 地域医療計画課
代表:03-5253-1111(内線2764・4091)