第3回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会 議事録

日時

令和7年5月26日(月) 15:00~17:00

場所

AP虎ノ門 会議室B 11階 東京都港区西新橋1-6-15日本酒造虎ノ門ビル(NS虎ノ門ビル11階)

議題

1)セルフメディケーション税制について
2)その他

議事

○井上室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。
 最初に、構成員の先生方の御出欠について報告させていただきます。
 本日、川又構成員が所用により御欠席の連絡をいただいております。9名の構成員が会場での参加、池田構成員、井上構成員、寺島構成員の3名はオンラインでの参加となっております。
 また、伊藤構成員は、今回、所用により御欠席のため、代理として、健保連理事の秋山実様にもオンラインにて御参加いただいております。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日の資料ですが、事前に次第に記載のものをお送りしておりますので、御確認をお願いいたします。
 会場参加の構成員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。
 資料に不備がありましたら、事務局にお知らせください。
 また、本日の会議には、参考人として、東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学特任准教授の五十嵐中様、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会OTC医薬品分科会委員 兼 ホワイトヘルスケア株式会社代表取締役社長池本多賀正様、(一社)Sapporo Medical Academy代表理事岸田直樹様にも御参加いただいております。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。
 それでは、井深座長、よろしくお願いいたします。
○井深座長 井深でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、事務局から、資料の確認と、議事進行における留意点に関する御説明をお願いします。
○井上室長補佐 事務局でございます。本日の会議資料の確認をさせていただきます。
 会場におられる構成員の皆様のお手元に、議事次第、座席表のほか、資料1から資料4まで御準備しております。また、参考資料として、検討会の開催要綱、検討会で議論いただきたい事項を御準備しております。
 資料の不足等ございましたら、お知らせいただければと存じます。
 次に、議事に入る前に、本日の会議の進め方の留意点をお知らせいたします。
 オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。ミュートになっていない場合は、事務局側でミュートにさせていただく場合もありますので、御了承ください。また、御発言がある際には、挙手機能でお知らせいただくか、チャット機能等で発言を求める旨、お知らせ願います。
 会場での参加の先生は、手を挙げるなどしてお知らせください。
 御発言いただく際にはマイクを御利用いただき、御発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言ください。
 御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。
 会議中、マイクの調子が悪くなるなど、システムの動作不良などがございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。御理解、御協力のほどをお願いいたします。
 また、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
○井深座長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 議題1「セルフメディケーション税制について」です。まず、資料1と資料2について、事務局より説明をお願いします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 資料1、資料2について、御説明を申し上げます。
 資料1は、これまで、第1回、第2回の検討会においていただきました主な意見をまとめたものでございます。既に事前にお配りをしているものでございますので、ここでの説明は省略をさせていただきます。
 続きまして、資料2「セルフメディケーション税制の在り方について」でございます。
 これまで2回検討会がございましたが、第1回の検討会、こちらでは概括的な御議論をいただき、そして第2回の検討会、こちらではセルフメディケーション税制の効果検証につきまして、本日もいらしていただいています五十嵐参考人から御発表いただきながら、そうしたことも含めて御議論をいただいたところでございます。
 また、第2回の検討会におきましては、日本一般用医薬品連合会のほうからプレゼンテーションもいただきまして、そうしたことも踏まえた御議論をいただきました。
 本日の議論におきましては、これまでいただいた御意見も踏まえながら、もう少し具体的な論点として、事務局のほうで整理させていただいたものを御覧いただきながら御議論いただければ、そのように考えてございます。
 2ページへお進みいただけますでしょうか。
 これまでの検討会における議論ということで、冒頭にも申し上げましたが、左のほう、第2回の検討会におきまして、日本一般用医薬品連合会からプレゼンテーションをいただきました。
 そこで示されたセルフメディケーション税制改正に関する要望としては、主に3点。1つ目は、セルフメディケーション税制の対象医薬品を、全てのOTC医薬品、OTC検査薬に拡大すること。2点目は、このOTCの購入費から差し引く金額、現行1万2,000円でございますが、これを0円に引き下げること。一方で、所得控除の上限額、これは現行の8万8,000円から20万円に引き上げること。こうした要望でございました。そして、3点目、セルフメディケーション税制を医療費控除と同様に恒久化する。このような内容でございました。
 一方、セルフメディケーション税制に関しまして、これまでの検討会でありました主な意見、そこにポツが4つ書いてございますが、1つ目、胃腸薬とか新型コロナ/インフルエンザのOTC検査薬など、対象品目の拡大が重要ではないか。
 それから、税制の煩雑さを見直す必要があると。対象品目の拡大や金額設定の見直し、恒久化を進めるべき。
 それから、税制申告をする際のレシートを保存するという状況を改善すべき。
 それから、利用者を増やす上では、医療費控除との併用等、新たな税制上の優遇を考えるべき。
 このような御意見がございました。
 3ページにお進みいただきまして、今回、検討会で御議論いただいてはどうかと考える論点として、私ども事務局のほうで、大きく2つの論点を用意いたしました。
 1つ目。税制対象として、新たに追加を検討することが考えられる医薬品はないか。
 2つ目。現在税制対象となっている品目のうち、医療費適正化効果等の観点から、新たに税制対象から除外を検討することが考えられる医薬品はないか。いわば、対象の医薬品についての追加あるいは除外について御議論いただいてはどうかというものでございます。
 一方で、※のところを御覧いただきまして、これまで御議論をいただいた論点の中でも、購入費から差し引く金額あるいは所得控除の上限、それから、申請手続の在り方、税制の年限の在り方、こうしたことについてもこれまで御議論をいただいてございます。
 このセルフメディケーション税制、御案内のとおり、租税特別措置、特定の政策目的を実現するために期間を限定して、例外的に措置されているもの、そうした整理でございまして、この※に書いてある論点は、こうしたセルフメディケーション税制単体ではなく、医療費控除あるいは税制全体のバランスも考慮をしながら、検討していくことが必要な論点と考えております。
 そうした意味において、まず、私どもが掲げましたこの税制対象の拡大あるいは除外、こうした論点について、今回検討会で皆様方にフォーカスをして御議論いただければと考えている次第でございます。
 4ページにお進みいただきまして、1つ目の論点、「新たに追加を検討することが考えられる医薬品について」でございます。
 これも、前回の検討会で一般薬連のほうから提出された資料でございまして、ここにイメージ図として書いてございます。現在、セルメ税制の対象になっているのが緑で示されてございますが、今回、全てのOTC医薬品、全ての検査薬、そうしたような御要望をいただいている中で、カテゴリーとして見ますと、ここに書いてございますとおり、胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬のカテゴリー、それから、鎮咳去痰薬(生薬製剤も含む)、それから、滋養強壮保健薬等々、ここに書いてあるようなお薬、そして、OTC検査薬、大きく分けるとこのような固まりがあることが、前回の資料でもお示しをされているわけでございます。
 こうした中、5ページでございますが、まずOTC検査薬について、少し整理をしてみてございます。
 1つ目のポツを御覧いただきまして、新型コロナ禍におきまして、新型コロナの抗原検査キットを用いてセルフチェックを行っていただく。そして、陽性であって、症状が軽く、重症化因子がないケースであれば、解熱鎮痛薬の使用等による自宅療養を推奨する。こうしたことを、当時、コロナ禍におきまして、国民の皆様に御協力をいただきました。通常の状況下ではないということではございますが、まさにこうした形で、ある意味セルフメディケーションが浸透していったという状況とも見てとれるのではないかと考えてございます。
 御案内のとおり、これまで御説明してきたとおり、令和3年度の税制改正において、税制の対象となる医薬品の追加、そして、除外が行われたわけでございますが、こうした新型コロナの抗原検査キット等につきましては、これは令和4年以降に承認され、前回の税制改正の議論のときには存在をしなかったものでございます。
 こうしたことも踏まえながら、新型コロナの抗原検査キット、そして、それ以外にも検査薬といたしまして、妊娠検査薬、排卵日予測等、様々なものがございます。医療費適正化効果も踏まえつつ、税制対象として追加を検討することについて、どう考えるかという形で論点をお示しさせていただきました。
 6ページを御覧いただきますと、現在、一般検査薬として、薬機法に基づいて承認された検査の項目、これは令和7年4月時点で計6種類ございます。尿糖、尿蛋白、妊娠検査、排卵日予測検査、新型コロナ、そして、新型コロナ・インフル、こうしたものでございます。
 7ページにお進みいただきまして、胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬でございます。
 令和3年度の税制改正において、税制対象範囲の拡大を議論した際に、当時、これまでも御説明申し上げてまいりましたとおり、国民生活基礎調査において、国民の有訴者数が特に多い3症状、上位の3症候群、こうしたものを参考にしながら、対象医薬品の拡大の議論が行われたという経過がございます。当時、この3症状・症候群に含まれなかったことから、胃腸薬は対象になってございません。
 一方で、2つ目のポツでございますけれども、胃腸症状、これは、例えば薬局でよく聞かれる症状のアンケート調査。これは右のほうに、今日、参考人としてもお越しいただいています岸田先生の本から引用しているものでございますが、そうしたアンケート調査の結果によれば、便秘、下痢、腹痛、こういったいわゆる胃腸症状が上位、これは、今回、前回対象として追加された既存の3薬効とある程度似たような割合で挙げられていることが見てとれるのではないかと考えます。
 そうした意味において、胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬について、もちろん医療費適正化効果の観点も踏まえる必要がございますが、税制対象として追加を検討することについてどう考えるか、こうした論点をお示しさせていただいております。
 8ページを御覧いただきますと、直近の国民生活基礎調査、これは令和4年度でございますが、国民が日常的に訴える症状がございます。赤でハイライトしてございますのが胃腸薬等々に関連する胃のもたれ・むねやけ、下痢、便秘、食欲不振、それから、腹痛・胃痛というところでございます。
 前回追加された3症状、例えば、肩こり、腰痛、手足の関節が痛む、それから、せきやたんが出る、鼻がつまる、鼻汁が出る、こうしたようなものと比べると、数字としては少し低くございますが、大きな位置を占めていることが言えるかと存じます。
 9ページにお進みいただけますでしょうか。
 「その他、追加を検討することが考えられる医薬品について」ということで、1つ目のポツでございますが、鎮咳去痰薬、これは税制対象の医薬品となっておりますが、現在、生薬のみからなるもの、これにつきましては、一部のみが対象になっているという状況でございます。
 具体的には、※1を御覧いただきまして、鎮咳去痰薬の効能または効果を有する生薬であるマオウ、ナンテンジツを含む鎮咳去痰薬は税制対象になっております。
 逆に申し上げますと、2つ目のポツでございますが、生薬のみからなる鎮咳去痰薬、具体的には※2でございまして、キキョウ、キョウニン、セネガ、カンゾウ等を含む鎮咳去痰薬になりますが、こうしたものは対象になっておりませんが、医療費適正化効果も踏まえつつ、税制対象として追加を検討することについてどう考えるかという形で、論点をお示しさせていただきました。
 その他、一番下でございますが、税制対象として新たに追加を検討することが考えられる医薬品はないかとさせていただいております。
 最後、10ページでございます。「新たに除外を検討することが考えられる医薬品について」としております。
 令和3年度の税制改正におきましても、「安全性の観点から慎重に取り扱うべきもの」
あるいは「医療費適正化効果が低いと考えられるもの」、こうした観点から議論を行った上で、対象医薬品からの除外が行われました。
 具体的には、健康増進目的でも使用され得る強心薬とか、栄養補給等の目的でも使用され得るビタミン主薬製剤、カルシウム主薬製剤、こうしたものが除外の対象とされたところでございます。
 また、改めて点検を行う必要があると考えておりますが、例えば、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品などについて、どのように考えるかという形で、論点をお示しさせていただきました。
 このページ以降は参考資料で、これまでにも検討会で御説明をさせていただいている資料でございますので、説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
○井深座長 それでは、これまでの説明を踏まえ、構成員の皆様から御質問・御意見をいただければと思います。
 それでは、武藤構成員お願いします。
○武藤構成員 武藤です。
 今、御説明の中に、医療費適正化効果という言葉が度々出てきましたけれども、この定義と、それから、それが低いか高いかとか、そのあたりを御説明していただきたいと思います。
○水谷医薬産業振興・情報企画課長 医薬産業振興・情報企画課長でございます。
 御質問ありがとうございます。
 医療費適正化効果をどういう観点で測るかということについては、これは、前回、五十嵐参考人からも、様々な形でこれまでの取り組み、これは税制自体の効果として、医療費適正化効果がどれだけあるか。これは前回のプレゼンテーションでもございましたとおり、そもそも税制を使っておられる方、これは自己申告だけではなくて、クイズ等である程度確からしい方を抽出し、その方の医療費データがアベイラブルでなければならないということで、JMDCとか、そうしたデータ利用可能なところから抽出をしてまいりまして、それと比較対象をマッチングしながらやるというアプローチで、N数は結果的に非常に少なくなってしまうのですが、そうした検証したというアプローチが1つございます。
 それから、そもそもこのOTC医薬品、セルフメディケーション税制の対象とする医薬品の医療費の削減効果が、潜在的にどれくらい期待されるかということ、そうしたことにつきましても、医療費及び薬剤費、それから、薬剤費のみ、様々なアプローチで、これまで、2020年、2022年、2024年と試みられてきている状況を御報告いただきました。
 さらには、行動変容にどれだけつながっているかという観点から、健保組合の取り組み、あるいは電子版のお薬手帳などとも連携をして、対応する取り組みの状況などについて御報告をいただいております。
 医療費適正化効果がどれぐらいあるかということについて、そうした意味で、何か決まった式があって定量的に見えるという状況には残念ながらございません。
 ですが、このセルフメディケーション税制自体の目的を考えますと、医療用医薬品ではなくOTC医薬品をお使いいただくことによって、結果的に、医療費適正化効果があるというようなことが、税制上の優遇措置を講じる上での一つの根拠に当然なっているものでございますから、一つ定性的な判断基準として、追加をする、あるいは除外をする、こうしたことを考えるときに、医療費適正化効果があるかどうかということを、重要な観点として掲げさせていただいております。
 ただ、今、残念ながら、これについて、定量的な意味で、これ以上だったら、これ以下だったら、あるいはそもそも適正化効果をどう測るかということについて、明確な知見があるわけではないという状況だと理解しております。
 以上です。
○武藤構成員 ありがとうございました。
○井深座長 よろしいでしょうか。
 それでは、磯部構成員お願いします。
○磯部構成員 OTC医薬品協会、磯部でございます。
 実は本日、私どもがプレゼンを前回させていただきまして、厚生労働省には論点の整理もしていただいて、大変感謝をしております。ありがとうございました。その上でコメントさせていただきたいと思います。
 私どもは、生活者に分かりやすい税制を目指したいと。OTC医薬品を使える場合には、なるべく使っていくことは、セルフケア・セルフメディケーションの基本だと思いますので、分かりやすい形を考えていく場合には、全てのOTC医薬品・検査薬が対象になっていることが、多分、現場的には一番分かりやすい、説明もしやすい、生活者も理解しやすいということだと思いますので、それについては、今後もいろいろ考えていただきたいということを、まず最初に申し上げたいと思います。
 その上で、今日の論点で出していただいている10ページの論点2で、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品。これは、私もいろいろコメントをさせていただいて、こういう表現になっているわけでありますが、例えば、今後、議論をしていただく胃腸薬の関係でも、直接的には、当然、胃腸の状態をよくするということでありますが、皆さんが、これは常識になっているわけですが、胃腸の状態をよくすることによって、肌荒れが改善するとかそういうことにもつながっていくわけであります。
 ですから、私の思いとしては、例えば、痩身・美容目的、明確にそういうような目的をうたっているものについては、このような議論が当然あると思いますが、直接的な薬理作用からは、いわゆるこの薬効群で今議論しているようなものに入って、副次的にそういうものにもつながるのではないのかというものは、実質的には、そうではない、痩身・美容目的の医薬品とは見なされないのではないかと。実質的に使用されているというのか、主としてはそうではない目的で使われているというのか、薬効群としてはこういう整理なのかと、幾つか見方はあると思いますが、直接的な薬理作用で、今議論しているものに該当するのであれば、そういうものを対象にしていくということでいいのではないかと思っておりますので、この実質的に使用されているものをどういうふうに考えていくのかということについても、少しいろいろ考えていただければと思います。
 そのほか、まさしく先ほどの鎮咳去痰薬の例がございました。いろいろこういう制度をつくりますと、隙間で落ちてしまうものがどうしても幾つか出てきてしまいます。基本的には、薬効群で整理していくことが、多くの生活者には分かりやすいと思いますので、成分と薬効でどういうふうに考えていくのかということは当然出てくるのでございますけれども、基本は薬効群で考え方を整理していくと。医療用に成分があるかないかということよりも、薬効群の整理が一つ考えやすいのではないかということも申し上げておきたいと思います。
 今回、本当にいろいろ整理もしていただいて、また、今後、引き続き議論を続けさせていただければと思いますけれども、私のコメントは以上にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○井深座長 御意見ありがとうございました。
 それでは、オンラインで秋山参考人、お願いいたします。
○秋山参考人 健康保険組合連合会、本日、参考人として出ております秋山でございます。コメントをさせていただきたいと思います。
 税制の在り方につきましては、医療費適正化効果の観点からも、対象品目を拡大することは必要だと考えております。その上で、資料にて示されております2つの論点について、コメントをさせていただければと思います。
 最初に、論点1のOTC検査薬についてでございますが、新型コロナ・インフルエンザといった検査薬は、OTC医療品としてセルフメディケーション税制の対象となっている風邪薬や解熱鎮痛薬と親和性が高く、実際に発熱した場合、検査薬を使用して、医療機関に受診すべきか、または、OTC医薬品で自宅療養するのかの判断材料として有効だと思いますので、ぜひ、税制の対象とすべきではないかと考えております。
 また、論点1の胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬や鎮咳去痰薬につきましては、事務局からの御説明のとおり、胃腸症状は特に国民の関心も高い症状だと思いますので、対象として追加すべきものではないかと考えます。
 そのほか、新たに追加を検討することが考えられる医薬品については、現在の対象品目は、急性の症状に対応する医薬品が多いように思いますので、もう少し慢性的な症状や体調を管理するような医薬品を追加することを検討してみてもよいのではないかと思います。
 19ページのセルフメディケーション税制をしなかった理由を読みますと、3分の1の方が、最低賃金を超えるまでOTC医薬品を購入していないと回答していますが、継続的に使用することが想定される医薬品を税制の対象とすることで、日頃からセルフケアを心がけている方々にもメリットのある税制になり、疾病の予防や医療費の適正化につながるのではないかと考えております。
 論点2についてもちょっとコメントさせていただきます。セルフメディケーションを推進する観点としては、既に、対象項目とした医薬品を積極的に除外することを想定しないことが基本的なスタンスでありますので、対象品目数を精査する必要があるとするならば、先ほど御説明ありましたような、痩身薬や美容といった、そもそも保険給付の対象ではないものは、医療費の適正化に直接つながるものではないので、除外することが考えられるのではないかと思っております。
 以上、コメントでございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、宮川構成員お願いします。
○宮川構成員 宮川でございます。
 論点を整理していただいたことは、非常にありがたいと思います。その中で、この税制をどのように使うのか、それから、この税制が国民にとって、分かりやすく、そして、それを利用して、メリットを受けやすくするというのが、第一の論点であることは明確になったのだろうと思います。
 その上で、これから、いろいろなところを少しずつ整理していくのであろうと思いますけれども、まずは、この税制自体が基本なので、OTC云々というよりは、税制をどのように使いやすくするのかということをもっと深掘りしなければいけないことは当然なことだろうと思っています。税制の在り方であります。
 その中で、今、磯部構成員からは、痩身・美容のところのお話がありましたけれども、そのような問題点を挙げるのであれば、パッケージそのもの、それから、宣伝そのものに、企業が、痩身のようなことをうたったりとか、美容のところを少しにじませるような、あってはいけないような表現をされているところが一部あるわけです。それは、自らの企業がそれをおやめになることがまず第一です。そういうことを含めて議論をした中で、磯部構成員の主張があるのであれば、当然のことだろうと思いますが、しかしながら、一部製品にはパッケージでうたっているようなところもありますので、それは直ちにやめていただくことが第一点だろうと思います。
 それから、便秘とか腹痛とか、それから下痢というような症状も含めて、後ほど岸田先生のお話でレッドフラッグという言葉が出てくると思いますけども、そういうものをしっかりと示して、危険性のないような仕方を考えていくことは、当然、窓口の中で必要なことだろうと思います。もしそれを進めていく中で、薬剤師が診断に近いようなことをするようになってしまったら、当然、法的な責任を負わなければいけないというところを、どのように救うのかというところも逆に重要です。そちらに傾かないようなしっかりとした立てつけをつくっていかなければいけないのではないかなと考えておりますので、その辺のところもしっかりとこれから議論していただきたい。
 また、OTC検査薬のお話がありましたけれども、新型コロナのときは、困窮する医療の状況がバックグラウンドにありました。その中で、私も審査の段階で全部の検査薬について精度をしっかりと見てみましたけれども、その精度の管理は全くできていない状況でした。しかしながら、困窮する状況でしたので、そのようになってしまったということでありました。もしOTC化されれば、自己判断で購入されるようになりますので精度をしっかり上げていかないと、これは薬剤師の法的な責任を問われることになることになりますので、厚生労働省もしっかりとそこのところを定めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかに、御質問・御意見等はございませんでしょうか。
 磯部構成員、お願いします
○磯部構成員 せっかく触れていただいたので。OTC医薬品協会、磯部でございます。
 前段のほうの痩身・美容を広告でにじませているのではないかということについては、私もかなり同感できるところがございます。効能効果でどこまで認められているのか。それが基づく薬理作用は何なのか。そういった広告をするに当たって、客観で、公平で、公正なものになっているのか。これは、我々製薬メーカーとして、非常に重要なことだと思っております。
 ですから、私どもも、広告の委員会を持ち、また、一般薬連では、広告審査会という形で、各社がやっていることについて、毎月レビューをさせていただいております。今の御指摘の点も、そちらのほうに十分伝えまして、特に宮川先生がいつも見ていただいておりますので、そういうことが非常に紛らしいというか、エビデンスに基づいてないのではないかということについては、我々、業界としても、しっかりやっていきたいと思います。
 また、検査薬の関係につきましては、これからの社会で大事なことは、これからの医療提供体制は、私は、総動員体制、つまり、お医者さんも薬剤師も登録販売者も看護師も、いろいろな職種の方々がいろいろなことを協力して、どういう形で連携をし合いながら、地域の住民、生活者の方を支えていくのか。その中で、これはあくまで連携のツールとして考えていく。
 ですから、特に検査薬の話でいけば、医師と薬剤師がどのような形で連携していくことが、一番地域の住民のためになるのか。そういうための形として、こういうものが不適切な形であれば、それをどういうふうに改善できるのか、どういう形の連携の仕方が、地域住民の方々によりベネフィットがあるのかということを、よく考えながらやっていくことは大事でありますので、私どもとしても、できることについてはしっかり取り組んでいきたいと思います。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、富永構成員お願いします。
○富永構成員 日本薬剤師会の富永です。よろしくお願いします。
 宮川構成員からおっしゃっていただいたことは確かで、我々薬剤師にも責任が生じることになりますので、スイッチOTC化が進んでいって、薬剤師がトリアージを行い、臨床判断をすることになります。今日、岸田先生からいろいろ、教えていただきますけれども、その上で、法的な責任が及ぶだろうと御心配いただいたことは、本当にありがたく思っています。
 ただ、責任と覚悟という面では、薬剤師もそこを頑張ろうということで、これからも、臨床的な判断ができるような支援をしてまいりたいと思っているところです。先ほど申された、新型コロナウイルスの感染拡大があって、緊急避難的に、医療用の検査薬を薬局でお出ししたことがありました。また、ベッドもあふれて、自宅療養、ホテル療養に薬を運んでいったと、そういう事実がありました。これは、緊急避難的に行われたことで、今後はどうなのかと思いますが、確かに、そういう検査薬と治療薬、これがセットでないと、先ほどの責任を果たすということにおいては、非常に片手落ちになると思っています。きちんと検査を行って、そして、治療薬をお届けする。例えば、コロナにしろインフルエンザにしろ、何か原因が分からないまま医薬品を提供すること自体は避けなければならない。できれば、そういうものも一つセットにして、そういう武器といいますか、そういう道具を、アイテムを与えていただきたいと薬剤師会は思うところです。よろしくお願いいたします。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 きちんとまとまっていないのですけれども、セルフメディケーション税制ということで、セルフケアに利用できるものは、一旦、全部対象としてよいのではと思います。
 それは、今、このセルフメディケーション税制の利用の仕方がなかなか伸びないこともありますので、OTCのように、自分で選択して買うものは、検査薬であろうが、それから、ほかのものであろうが、疾病に対する何らかのセルフケアをするものは、全て対象になるよという枠組みは一般消費者に分かりやすくなり、まず第一のポイントかと思うので、そういう枠組みでいいと思います。
 それから、今日ちょっと書かれておりましたけれども、痩身・美容目的で、「実質的に」という言葉が入っていますけれども、これはちょっと消費者サイドから見ても、この1行はなくてもいいかなという気がいたします。こういう目的で認可されているOTCはないと思います。
 そして、令和3年の改正のときに、対象医薬品から除外された薬効群がありますけれども、これは、ちょっと質問になりますけれども、それ以降、医薬品で、利用は伸びていますかね。というのは、例えばユビデカレノン、9ページですけれども、これもサプリメントで、300までのものがいっぱい出ておりますし、それから、例えば一番下のフッ化ナトリウムでも、医薬部外品の歯磨き粉に山ほど入っていたりして、これ単独で医薬品として使われているケースがもうないのではないかなと思うぐらいですが、これは実際に、結構販売されて使われているものなのでしょうか。それを教えていただければと思います。
 以上です。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 今、御質問いただいた、除外になった品目の統計は、今は手元にはございません。
 その上で申し上げますと、この除外品目ですが、除外することは令和3年度の税制改正で決まっているのですが、実際に除外になりますのは、4年間の経過措置がございまして、令和8年1月1日、来年1月1日からということになってございます。
 そうした意味も込めまして、この除外がどういうふうに影響しているのか、あるいは、逆に、追加をすることがどう影響しているのかということ、これについては、引き続き、ちょっと検証が必要かと思います。前回の検討会におきまして、税制の対象に追加をしたことによって、それで、総体としてこのOTC医薬品のうちセルフメディケーション税制の対象医薬品の出荷金額ベースでの比率がどうなっているかということ、これは、それまで大体20%程度だったものが、44~45%程度まで増えたとか、お薬の種類によっては100%近いものが対象になる一方、消化器官用薬については10%弱の状態が続いている。そうしたような資料をお示しいたしました。
 そうした意味で、対象の医薬品の出荷金額がどうなっているか、カテゴリー別にはそうしたことを把握しておりますが、個別にまでは、今、私どもはちょっと整理ができておりませんので、また、そうした観点で、どういうことが可能であるか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
○宗林構成員 聞きたかったのは、現在、これはほとんど医薬品として使われてないかなと思っただけでありまして、それを外したことの、経過措置があって、その効果とかそういうことを聞いているわけではなくて、最初に、私がセルフメディケーション税制に全部入れてもいいのではないかなと言ったけれども、これを見たときに、これは実際使われているのかなという単純な質問でございますので、また、後ほどでもいつでも結構でございます。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 失礼しました。今、私どもの手元にちょっと数字がありませんので、どのような形でお示しすることができるか整理をして、また、次回お示しさせていただきたいと思います。
○井深座長 それでは、富永構成員お願いします。
○富永構成員 富永です。
 各論の一つだと思うのですが、鎮咳去痰薬のことをちょっと質問と、あと、要望をしたいのですが、鎮咳去痰薬の中で、この資料の9番目にありましたけれども、マオウ、ナンテンジツを含む鎮咳去痰薬は税制対象になっていると。その効能効果を有する生薬であるキキョウ、キョウニン、セネガ、カンゾウ等を含む鎮咳去痰薬は税制対象外になっていると。そのいきさつがよく分からなくて、我々は、漢方薬を提供するときに、虚証である、実証である、その症状、熱がある。例えば体力のない人とか、胃腸の弱い人とか、そういうことで判断をしていくわけです。その中で、例えば、麻黄湯、葛根湯は、実証の方に差し上げるケースが多いです。それで、虚証の人に、桔梗湯とか参蘇飲とかをその症状に合わせて勧めていくわけですよね。何で、ここで線が引っ張ってあるのか私はよく分からない。もし、私が納得いくいきさつがあるならば、それを教えていただきたいと思います。お願いします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 私は薬学の専門家ではございませんので、仕組みとしてどうなっているか、まず御説明申し上げたいと思いますが、令和3年の税制改正におきまして、国民の有訴者数が多い症状といたしまして、風邪の諸症状、せきとかたんが出る、こうした症状に対応する薬効というものを、新しくセルフメディケーション税制の対象にしていこうということが決まりました。
 一方で、これはややテクニカルな面もあるのですが、税制の対象となる医薬品をどういう形で私どもが法令上規定をしているかということでございますが、これは、鎮咳去痰薬としての効能効果を有する有効成分を列挙して、この成分が含まれる医薬品が対象になると、そういうようなアプローチをとっているということでございます。
 そのときに、この鎮咳去痰薬としての効能効果を有する有効成分をどこで線を引くかということがあるわけでございますが、令和3年度の税制改正時、これは都道府県知事による鎮咳去痰薬の承認審査基準が、平成27年3月25日付の厚生労働省医薬食品局長通知でございまして、この通知の中で、配合しなければならない有効成分として規定をされているものを、この税制対象の告示で規定をしたという経過がございます。
 そうした意味から、現在では、マオウとナンテンジツがこの税制対象となる成分として規定をされている。逆に申しますと、それ以外のものが規定をされていないということでございまして、今、先生がおっしゃられましたとおり、現場の使用実態から見たときに、そこに不合理な点があるのではないか、あるいは違和感を感じる点があるのではないか、そうしたこともあろうかと思いまして、今回、私ども、論点としてお示しをさせていただいているところでございます。
○富永構成員 ありがとうございます。
 分かったような気はしますが、今回は、もうちょっと患者に寄り添って、例えばエフェドリンが入っているからマオウはいいんだよとか、ここは入ってないから駄目だよとか、そういう分かりにくい税制はよくないと思います。患者に寄り添った税制にしていったほうがいいと思います。よろしくお願いします。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議題1については、以上とさせていただきます。
 次に、資料3について、池本参考人から御説明をお願いいたします。
○池本参考人 本日、参考人としてお時間いただきました、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会OTC医薬品分科会の池本と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、お手元の資料の3ページに自己紹介がございますので、御紹介させていただきます。
 私は、緊急事態宣言下の2020年に、ホワイトヘルスケアという会社を設立いたしまして、主に健康保険組合さんの保険事業をサポートするサービスに取り組んでおります。
 また、現在、大学で医療福祉経済を研究しておりまして、学会活動でも、セルフケアの効果研究に取り組んでおります。
 今回、こういった御縁で機会を頂戴いたしました。
 今回は、保険者のセルフケア・セルフメディケーションの事業、事例、それから、効果、あるいは、事前にいただいたお題の中で、改革工程表に向けて、未来への推計というお題もいただきましたので、後半の大文字の3.4.5.というあたりで、気づき、提言という形でも、将来展望をまとめてみました。前半と後半で少し分けて御説明させていただきます。
 それでは、まず、この後御紹介の事業開始の経緯となります。
 まず事例の発端は、先ほどもちょっとありましたけれども、新型コロナの対策ということで、令和2年、令和3年のコロナが発端となりました。企業の出社抑制を迫られた企業従業員の方の対策の事業でありましたということがございます。
 事業主さんとして、社員に行動制限せざるを得ないと。一方で、医療へのアクセスをどう確保するかというお悩みが当時ありまして、事業主さんから要請をいただきました。特に、そういった会社さんの中の企業内の診療所のお医者様と相談いたしまして、花粉症などの慢性のお薬の中にスイッチOTCと同一成分があることを、まさに社員、従業員の家族、従業員に、ダイレクトメールで情報提供することにいたしました。当時、外出制限がありまして、通院抑制がされている社員さんとその家族にとって、OTCが御自宅に届くという専用ECサイトを設置しました。これまで処方されてきたものと同一成分のお薬が入手できるけれども、院内感染を同時に回避することができるというサービスでございました。
 健保さんにとっての保健事業になることにもよって、この後ちょっと御紹介もいたしますけれども、通院歴をレセプトから正確に把握できるようにもなりました。こうした取り組みが、この後、Pay For Successと呼ぶようですけれども、PFSという保険局さんの助成金の事業に採択されるようになりました。本日は3つほど事例を御紹介いたしますけれども、そのうちの2例は、その採択事業からの抜粋になります。
 それでは、どういったサービスの流れかということを、6ページ目で簡単にまとめております。
 まず1つ目のステップで、そういった情報提供を誰までにすべきなのか、すべきでないのかということをレセプトで抽出基準として、お医者さんと相談して決めます。
 2つ目で、医療用もあると、スイッチOTCもあるという、お薬の情報について提供いたします。
 3つ目、これは入手のサポートということですけれども、専用ECサイトを当時設置いたしまして、また、医薬品について相談したいという方向けに、薬剤師さんの窓口をLINEを通じて設けています。
 最後4つ目ですけれども、効果検証としまして、レセプト上で受診回数を前年と比較する、こういったようなことをやっております。
 詳細なサービスの内容につきましては、本日は少し省略させていただきたいなと思っております。こちらの7ページにページを振っております。末尾のAppendixに記載してございますので、必要に応じて御参照いただければと思っております。
 先ほど、前のページで御紹介した4つのステップを少し大ぐくり化いたしますと、前半の健康情報を、お薬について特に提供する情報リテラシーの活動と、それから、後半のお薬の入手をサポートする、促す、こういった使用促進の活動と、大きく前後半で2つに分けられるのかなと整理をしております
 それでは、先ほど採択された事業の御紹介ということで、PFSという事業を御紹介いたしましたけれども、この事業は、行動変容した数を数えましょうという事業でございました。したがいまして、ダイレクトメールの対象者の方々を分母、それから、行動変容をなさった方は分子として定めるのですけれども、まずは、分母をどのように定めたのかというスライドになります。
 お薬について、医療用とOTCの両方の情報をダイレクトメールで通知するというこの対象者の方々、例えばこのスライドで言いますと3,600人ですけれども、この分母を抽出する基準が、今、御覧いただいているこの樹形図のフローになります。少し要約しますと、初期の対象疾患はあるのか、除外疾患はあるのか、それから、併発疾患などを絞り込んでいくということをやってございます。
 続いて、今度は、分子のほうですけれども、行動変容した人数を数えようという通知事業でございますので、もし行動変容したとすれば、どういう定義がよいのかということを定めております。コロナ禍には、自然治癒した方もおられるかもしれませんし、ダイレクトメールと無関係に受診控えした方もおられるかもしれませんけれども、何がしか定義が必要だということですので、このようなスライドの定義といたしました。
 通知する分母の対象者に対して、前年の受診回数と、それから、このダイレクトメールをお届けした後の当年の受診回数を比較する。また、その受診回数の減少数に一定の幅を置いて、定義するということをやりました。
 ここから効果になります。令和3年の採択事業の実績を御紹介いたします。先ほどのページの分母と分子の定義で計算をいたしますと、ダイレクトメールの通知した方が約3,600人という健保さんでありました。また、先ほどの定義で行動変容を数えますと、約600人であります。これは、アレルギー系あるいは耳鼻科系の慢性医薬品を利用する対象者の方に通知したという事業であります。600人ぐらいの行動変容だったと仮にいたしますと、これを3,600で割り戻すと約17%ということで、我々が、当初、健保さんと一緒に想像した数より多かったと思っています。これは、今から思いますと、当時、コロナ禍で、行動制限を守った事業員の方々が多かったからと、こういう理由とか、あるいは事業主さんが大変本気で取り組まれておられまして、社内のテレビとか、あるいは社内診療所のお医者様も一体となって運用されたことがあります。それが、高い率の要因だったのかなと、今では推論しております。
 また、2つ目の採択事業の事例を御紹介いたします。
 これは令和5年です。令和5年、この頃になりますと、先ほどの通知対象者の方をさらにさらに絞り込むなどしてきていまして、また、この後は非常に効果を発揮することになるヘルスケアポイントという、実質、組合員、患者さんにとっては初期的にOTCを入手するコストが、割引効果が得られるような、こういったポイントを用いております。
 こういった効果がありまして、どんなポイントなのか、あるいはどういう配布の仕方をしたのかというのを少し御紹介いたします。今、画面を御覧いただいているとおり、組合員の方にチェックテストを御紹介いたしまして、お薬についてもそうですし、自分でセルフケアができる病気はどういうものなのかということの簡単なeラーニングを受けてください、こういう御案内をしております。例えば、こういったミニチェックテストに全問正解した人がポイントを獲得できる。結果的に、こういったポイントを、OTCを入手するECサイトで割引に用いることもできるという内容でございます。
 こんなようなポイントを、どう効果が出るのかということを並べてみるために、こちらの棒グラフにもありますけれども、500ポイント、1000ポイント、2000ポイント、こういったようなポイントの出し分けをいたしました。特に、この御覧いただいている棒グラフでは、行動変容した数を、先ほどの事例とはちょっと違って、OTCを入手できるECサイトの登録者の数を分子に置いて見ております。こういった状況を見てみますと、統計や研究ほどの客観性はないのですけれども、1500ポイントあたりで急に登録者の数が増えていることも観察できました。
 3つ目の実績の御紹介です。3つ目は、行動変容というよりも、認識の調査に関するものであります。ちょうど先月、財務省さんから財政審の資料の中で取り上げていただいたものも、この調査と同じものでございます。
 まず、私も所属する学会で、約15年前に分割商材の制度ができて、後発品の使用促進の黎明期には、お試しの後発品という制度が効果を発揮したことを伺いました。これを、今日的に少し模倣いたしまして、医療用の処方と通院歴のある患者様に、あらかじめ、医療用と同じOTCを最小量で配布して、説問を尋ねるという調査でございます。
 また、保険者さんが安全にお薬を配りたいということでしたので、常備薬という枠組みを活用することで、調査を実施いたしました。説問は、医療用と同一だということを知っていましたか、OTCの購入意図はありましたか、購入意図は変化しましたか、こういったようなことを尋ねていく調査でございます。
 この後は、この調査結果は非常に興味深いものでございまして、4つほど、結果を御紹介したいと思います。
 1つ目は、「OTCの同一成分、同一含量の配布されたものと同じ医療用の医薬品だったことを知っていましたか」という設問をしてみました。約550人の方が回答してくれた、割と大規模な回答者になったのですけれども、3割の方は知っておられたのですけれども、7割の方は「知らなかった」と回答されておりまして、事前の想定より大きい結果になったなと思っています。先ほどの財政審の資料でも、リテラシー活動にはポテンシャルがあると言及いただきましたけれども、私も同感でございました。
 2つ目は、お試しのOTCの実物を入手して、「その後、購買意向は変化しましたか」という設問をぶつけたのですけれども、あらかじめOTCをみる前の段階では「購買する意思はないよ」と回答されていた約286名の方のうち、この実物を見て、そのうち約113名が、「今後は購入しようかとも思う」という回答に至っております。これは決して少なくない変化が見てとれるなと感じております。
 3つ目の御紹介ですけれども、実際に市販薬を使ってみようと思った方々について、「どういう理由でそう思いましたか」ということをお尋ねしております。一番は、この赤いグラフにありますとおり、「同一成分、同一含量だということが分かったので」という回答が最大でありました。そのほか、「健保さんからの案内で、信頼が置けたよ」という理由が次点でありました。
 最後、4つ目ですね。今後ですけれども、専門職の方は、どなたに解説・助言されたいか、あるいは相談したいかということを尋ねておりますけれども、かかりつけ医さんが最大となりました。続いて薬剤師さんとなっておりまして、ドラッグの薬剤師さん、薬局の薬剤師さんを足すと薬剤師職が最大という面もございます。
 また、一番下のところにあります薄墨のピンク色のグラフにもありますとおり、誰に相談するか気にしていないという方々も結構おられますけれども、今後、スイッチOTCの取り組みを花粉症より広げていくことを考えていった場合に、情報入手先を気にしないという「無頓着」な回答が多数であったということでもあるので、ある種の医療の正規情報の取得に対しては、問題意識を持つにも至りました。
 ここまで、事例の御紹介をさせていただきましたけれども、一旦、ここで「気づき」として、まとめたいと思っております。
 まず、花粉症中心ではあったのですけれども、あるいは、当初はコロナの対策ということではあったのですけれども、保険者さんを通じて取り組んだセルフケア・セルフメディケーションの事業は、一定の成果があったのではないかなと我々感じております。今、当社で、年間10万通ぐらいのこういった通知をやっておりますし、また、4年間取り組みを続けておりました、健康被害のトラブルの事例とか、あるいはお医者様から個別にこれは深く心配だというお話をいただく事案は、4年間一度もございません。
 こういったことを考えると、一定の成果だったと言ってもよいのではないかなと思うのと、行動変容についても、やや暫定的な定義ではあるのですけれども、これを変容したと考えた場合には、行動変容の打率もそこそこだったのかなと感じております。
 こういった行動変容の鍵については、ちょっと繰り返しになりますけれども、スイッチOTCというより、同一成分・同一含量の情報が得られることの効果は大きいなと。また、7割の方が、まだ知らなかったことから考えると、伸び代も大きいなと考えておりますし、それから、ヘルスケアポイントが、コロナ後、行動変容率が高まってきた理由は、これが一番大きいなとも感じております。
 ただし、後半、これから、花粉症以上に使用促進の範囲を広げようと思った場合には、我々が、現場でお手伝いする感覚で言いますと、医療従事者の皆さんとの連携の必要性を肌感で感じております。これは、先ほどのアンケートでも、かかりつけ医、それから、薬剤師から助言を受けたいという組合員の方が大半であったこととも一致するのかなと感じております。
 以上を踏まえまして、大変恐縮ではあるのですけれども、提言1、提言2、提言3を後半にまとめてございますので、御紹介いたします。
 まず、提言1ですけれども、保険者さんにとっての保険事業という可能性についてとなります。先ほどもあった、「健保さんから信頼があるよ」という一定の肯定的御回答もありまして、保健事業としての適正性があるのかなと。特に、同一成分、同一含量の情報は知られるべきだろうと考えております。知られて初めて、「次」に比較が成立するという情報でございますから、こういった情報リテラシーの保健事業については適正性があるだろうと。
 また、保険者さんの種類を、このスライドで言いますと、右へ右へと、もし広げていくとすれば、健康リテラシーにかかわる前半の前工程にある取り組みについては、どの保険者さんの種類にこだわらずやるべきだと感じております。
 一方で、後半の、促す、使用促進についての事業については、患者さんのインセンティブにもなるヘルスケアポイントが非常に有効だということもありまして、こういった環境が整備されてから取り組まれてもいいのかなと考えております。活動に、順番にめり張りをつけて進めていってはどうかという提言であります。
 提言2になります。提言2は、逆に、患者さんあるいは組合員さんの目線に立って、少しセルフケアあるいはセルフメディケーションを利活用するためのハードルを下げたいという観点でまとめました。患者さんが、まず、自ら先ほどのeラーニングのようなものに取り組むとか、こういったような御自身の努力に報いる事業は、同時に、保険者さんの事業としても適正性があると感じていまして、よいのかなと。あるいは、保険者さんにとっては、従来、熱心に取り組まれてきた後発品の使用促進が数量ベースで8割超えて、上限に近づいてきていることがあるのかなと感じておりますけれども、特に組合健保さんの中の位置づけは、非常にこういったセルフメディケーションへの取り組みが高まってきています。
 現在、こういった情報リテラシーの活動に熱心に取り組まれておられる健保さんが、少なくとも保険者さんにおける何らか評価制度の中で報われるような制度にしてあげてほしいと感じておりまして、こういった健保さんの熱を捉えて、この好機を逃したくないというのが2点目でございました。
 3点目は、先ほども好事例の中で少し触れた常備薬という枠組みが再評価されてよいのかなと考えております。常備薬は、企業の職域では、200万人ぐらいが年間実活用されているという慣習であります。また、OTCの使用促進については、健康被害がなかったとか、イベント発生がOTC服用のその後もなかったのかということを確かめながら進めていきたいというのが保険者さんの気持ちでありますので、こういったことについて、データの履歴を持っていて、あるいは、将来、使用後調査が必要になった場合でも、非常に追跡性がよいのが常備薬だと思いますので、適しているなと感じております。
 また、将来、無医村のような地域部でこういった常備薬が活用する可能性なんかも考えられるのかなと感じております。
 最後、3点目です。3点目は、地域の医療従事者の皆さんとの協働ということで、ページをまとめてございます。
 このページは、自分が組合員であれば、あるいは患者であれば、こうされたいという希望で、少々茫漠としたまとめ方になっておりますけれども、少し御紹介させていただきたいと思います。
 例えば薬剤師さんとの協働ということであれば、医薬品の実物を手に取って見せていただいて、患者さんにとって、これとこれが同じだよという同一情報、同一成分・含量の情報について、記憶に残りやすいような示し方をしていただけると、大変ありがたいなと思っております。
 また、かかりつけ医の先生には、セルフケアの情報をぜひ助言してもらいたいと感じておりまして、結果的に、最も安全なOTCの利活用にも、こうしたお医者様からの助言が一番寄与するのかなと考えております。
 このページは、少々漠然とした提言にとどまっております。こういった分野は、学会員としても、研究者の役割としても、自分としても、事例収集をすることが極めて大切だと考えております。知見やエビデンスの収集が必要なのかなということで、今、取り組んでいる真っ最中でございます。私自身も、大学と連携して、たとえば、お医者様が助言なさったら、セルフケアの理解度や行動変動度は変化するのかなと、こういった問題意識を、現在、研究対象にして取り組んでもいます。
 また、この後、Appendixに移りますけれども、31ページの事例でありますが、こういった、保険者さんと地域で、薬局さんあるいはドラッグさんが連携するような事業も考えて、今、取り組んでいる真っ最中でございます。保険者さんは、お薬の対象者の特定とか、患者さんに対するインセンティブの付与で貢献できるのですけれども、組合員さんからすると、かかりつけの薬剤師さんから、健康情報とか、同一性の情報の助言が受けられる。また、薬剤師さんに、専門的な先ほどの表現で申しますと、トリアージとか、レッドフラッグのような助言を提供いただけると、非常にありがたいかなと思っております。
 こうした、地域で保険者さんと、例えば県別の薬剤師会さんが連携をされるという取り組みは、まだまだこれからだと思いますけれども、基準を満たした全ての薬局さん、ドラッグさんで、例えば先ほどのヘルスケアポイントが何処でも利活用できると、こういったお薬の供給先に対する地域内での公平性も確保しながら、地域で取り組みができることを目指したいなと思っております。
 この後、岸田直樹先生からの御紹介でもあるのかもしれませんけれども、さらには、その先で、レッドフラッグの判定をされた患者さんが、地域の医療機関を個別に推奨されて、迷わず受診できるような取り組みまでを、将来、目指していきたいなと考えてございます。
 少々足早に御紹介させていただきましたけれども、私の参考人発表は、一度こちらで結ばせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○井深座長 池本参考人、ありがとうございました。
 それでは、これまでの説明を踏まえ、構成員の皆様から、御質問・御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 池本さん、非常に適切な御説明で、私は非常に優れているなと感じております。保険者としての保健事業主がどのように志を高くというか、自分の企業の中の方々をどうお守りするかという観点、限定された疾患であったけれども、そこには、企業内にいらっしゃる医師がそこにかかわったことも非常に重要だったなと思います。除外、併発疾患に配慮して適切に抽出する。そういう行為の中でできたことでしょう。これは、ほかの企業体でも本当はできるはずなので、そういう意味では非常にダイナミックな話だったろうと思います。
 そして、23ページで環境整備の話、24ページの協働の話の2つは、どこでもこれからできることなので、そういう組み合わせをしっかり考えていくことが非常に重要だったかと思いますので、非常にダイナミックで、興味深い御示唆だったと考えてございます。その中で、信頼される医師がどのように振る舞うか、信頼される薬剤師がどのように振る舞うかということは、非常に重要であることを教えていただいたのだろうと思います。
 しかしながら、一つのポイントは、先ほど14ページですが、対象のOTC医薬品のところで3つ挙がっているわけですね。先ほどの磯部構成員といろいろ話した、薬がどのようなパッケージであるかとか、そういうところで表されるところですが、この3つの薬剤を見ると、アレジオンはアレジオン20でいいのですが、クラリチンはEXがつくわけですね。アレグラはFXがつく。このEXとかFXは何なのか。例えば頭痛薬には、プレミアムがあったりゴールドがあったり、プラスがあったりと、こういうのはおやめくださいと言っているのですが、なかなか企業にはやめていただけない。
 そういうことが、逆に、これからこのような仕組みをするのに阻害する因子になってしまうということなので、パッケージも含めてOTC医薬品協会としては、こういう余分な、惑わすような言葉を使わないで、ダイレクトに薬のありようをしっかりと示していただければ、保険者、そして、それにかかわる医師、そして、それにかかる様々な人たちが協力して、協働していけるのではないかなと思いますので、ぜひ、お願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
○池本参考人 宮川先生、御意見ありがとうございます。組合員の方々は、お薬のこととか、医療のことは詳しくないものですから、どうやってかみ砕いて情報を御紹介するかということについては、恐らく、我々も今まで以上に努力しなければいけないと思っております。
 今日は、細かい点は御紹介しませんけれども、後半のAppendixの29ページに、少し解像度は悪い資料ですけれども、どんなふうにお薬の御紹介とか情報を案内しているかという見本もつけております。恐らく、こういった情報では、まだ足りないのだろうと、本日は受け止めました。
 ありがとうございます。
○井深座長 それでは、武藤構成員お願いします。
○武藤構成員 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の武藤です。
 今日は、学会のほうから発表させていただいて、大変ありがとうございました。それに、宮川先生から過分なお褒めのお言葉をいただいて、感激しております。
 私は、2000年頃から、ジェネリック医薬品の普及に学会を通じてやっていますけれども、あの頃のジェネリック医薬品が、ちょうど今の現在のOTCの立ち位置に非常によく似ていると考えております。2000年の頃、まだジェネリックがゾロと呼ばれた頃から活動していますけれども、まずは、ジェネリック医薬品を知っていただくことが、その頃、大変重要な問題でした。その一翼を担っていただいたのは、やはり保険者の皆さんの方でしたね。ですから、そうしたジェネリックの経験を、ぜひともこのOTCの普及活動に生かしていきたいというのが我々の願いです。
 まず、OTCを知らないことが最大の問題だと思います。同一成分のものが、医療用医薬品と同じものがあることを知らないということで、ジェネリックで行ったような、お試しジェネリックという形で、今回も、お試しOTCという形で、実物を手元に送っていただいて、そして、実際のその効果を確かめていただくという、こうした活動が必要だと思っています。ぜひとも、そのジェネリックの経験をこのOTCにも応用していきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、宮川構成員お願いします。
○宮川構成員 もう一つつけ加えたいのは、今、武藤構成員からいわゆる後発品という話も出たわけですが、後発医薬品の場合には、精度管理ができてきて、自主点検も含めて行っており、さらに、その自主点検の中身については、厚生労働省も含めて、製造工程をしっかりとするというところまで出来上がってきたわけです。
 ところが、後発のOTC医薬品はそういう意味で本当に同程度かというと、まだそこまでの精度が上がっていない。これはいろいろな反論はあるでしょうけれども、磯部構成員はよく分かっていらっしゃるので、いろいろなことをおっしゃるかもしれませんが、医療用医薬品と同じような製造管理ができているのかどうか、ただ、一部の試験が同じであって、それ以上のことが十分できているかどうか。後発医薬品の場合は業界主導で自主点検が行われましたが、不適切事例が複数発生していましたので、厚生労働省主導で、点検内容や無通告立ち入り検査の実施を定めて改めて自主点検を実施したというのが現状なんですね。
 そうすると、医療用医薬品と同程度とか同成分と言われたときに、成分は同じであっても、それがどのように中に入っているのかという、そういうしっかりとした検証ができていないというのが本当のところなのですね。そこをつまびらかにすることは、ここではちょっと避けたいと思いますけれども、そういうところの精度を上げていただくことが非常に重要なことだろうと思っています。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、富永構成員お願いします。
○富永構成員 日本薬剤師会、富永です。
 私は前向きに捉えているのですが、残念だったのは、スイッチOTCについて相談したい相手が、かかりつけの医師に相談なさるとなっていて、18ぺージですかね、保険薬局の薬剤師が26.3%しかないことです。これはちょっと恥ずべきことで、処方箋調剤に偏重してきた今までの責任があるかなと。医薬品の供給は、OTC医薬品も含めて薬剤師がやるわけで、そこでもうちょっと相談したいと思っていただきたいと、思うところです。分析していただいてありがとうございます。
 ただ、ドラッグストアの薬剤師というところに30.8%。ドラッグストアの薬剤師はOTC医薬品を売っているはずなのに、何で相談しないのかなというところも気がかりになるところです。
 ちょうど31ページで御説明がありました、薬剤師会と協働してやっていくのがありましたよね。保険者をホワイトヘルスケアが仲介して、健保組合と薬剤師会が取り組んでいくというのがありましたね。まさに熊本県でもそういうことをやっておりますので、ふだん、健保組合と言うと、保険請求、支払基金とか、効能効果とか、そういうところで適正な給付を目指して会議等を行うわけです。こうやってスイッチOTCを啓発していくというか、その結果、ヘルスリテラシーの向上に組合員がつながるのはいい取り組みだと私は思います。
 今後も、こうやって外からというか、組合員の会社の方々も、一緒に行動変容して、その結果として、ヘルスリテラシーが上がっていく。自らの飲む薬は、そのとき、場合によって、ニーズによって、病院にかかる、スイッチOTC薬を使う、いろいろな段階があるわけですから、自ら飲む薬のことはやはり理解しておく必要があります。その最初の取っかかりにお試しに使ってみたらどうですかという取り組みもありましたけれども、こうやって県の薬剤師会がまた推奨する薬局といいますか、今で言う健康サポート薬局ですけれども、そういうところから組合員がOTC医薬品を購入して、セルメ支援をすると。そこはやはり大事なことかなと思っています。これが、また全国的に広がれば、それだけ国民のヘルスリテラシーが向上したと考えるところです。
 ありがとうございました。
○井深座長 ありがとうございました。
○宮川構成員 宮川です。一言だけ。
 富永先生、18ページに相談したい相手の記載がありますけれども、多分、医師は何とか責任を負ってくれるのだろうなと、何かあったら、言えば助けてくれるのだろうなというところで、逃げ込み先があるからであるからだと思いましす。相談というよりは、「あんた責任を取ってくれるでしょう。それを勧めてくれるのだったら、それをやってみますけれども、何かありましたら、診てね。」という、その後の逃げ込み先としてあるのだろうなと思います。決して、薬剤師の方を信頼してないというのではなくて、その後、もし何かあったときにというところです。バックグラウンドというところで、先ほど法的ということを強く言いましたけれども、そういうような逃げ込み先のところを確保できていますよねというところもあるので、そういう意味では、相談すれば何とかなるということなのだろうなと思います。これは決して本当に相談相手としてよかったかどうか、それは私も自信がありませんけれども、そういうのがバックグラウンドに患者さんにとってはあるのかなというところです。ですから、全てのこういう健康に関する事業は、そういうところがハブのようなところになりながら拡大していくしか方法論はないのかなと思っています。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインで挙手をされている秋山参考人お願いします。
○秋山参考人 健保連の秋山でございます。
 今回、池本参考人の御説明を伺いまして、セルフメディケーションの推進に当たり、ダイレクトメールの送付や、OTCの実物送付といった有効なインセンティブの水準等、行動変容につながる具体的な取り組みを御紹介いただきましたことは、大変参考になるかと思っています。
 一方で、これまで、この検討会でも常務理事の伊藤のほうから話してきていると思いますけれども、健保組合において、セルフメディケーションの推進は緒に就いたばかりだということで、事例が十分に蓄積されていないのが現状でございます。今回のお話も一つの事例として蓄積されている内容になるかと思っていますけれども、こういった先進的な取り組みの効果を検証しながら、好事例として横展開していくことが有効な方法の一つと考えています。こういったものを展開する中では、事業者の皆さんの御協力とか、厚生労働省の方々には、ぜひ、御協力いただきながら、OTCのこういう推進については進めていきたいなと思っております。
 ただ、今申し上げたような状況を申し上げますと、提言2の例としてでございますけれども、保険者インセンティブの強化というところで、総合評価指標の大項目という、健保組合が一律に評価される項目の中の1つとして、この項目を切り出しをしたらいいのではないかという御提言があったのですけれども、ここにつきまして、我々は、現時点ではそこまで行けるのかなと、そこに行けるには、まだ時期尚早ではないのかなと考えております。
 1つは、医療品にかかわる各種の取り組みについては、ある程度標準化された段階で、我々も取り組んでいく必要があるのではないかと思っています。
 というのは、1,380ぐらい健保組合がございますけれども、一律全部が大企業の健保というわけではなくて、いろいろな規模の健保組合がある中で、この施策をどういうふうに展開するかというのでは、もう少しいろいろな標準化とか、ある程度事例の積み上げをしていかないとなかなか厳しいということはあると思います。
 先ほど、ヘルスケアポイントも、有効な指標として提言されていまして、確かに有効な指標ではございますけれども、全部の健保組合がそれに取り組めるかというと、保健事業費の中で取り組んでいく内容でございます。そこにはやはりいろいろな濃淡があるのは事実でございますので、そういった限られたものの中で、どういうふうに取り組んでいくかということを、引き続き検討させていただければなと思っています。
 私からは、以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、井上構成員お願いいたします。
○井上構成員 成蹊大学の井上でございます。
 池本先生、大変に興味深い事業の御説明をありがとうございました。すばらしい成果が出されていた花粉症のケースを御紹介いただいていましたので、簡単な質問を2点ほどさせていただきたいと思います。
 資料の6ページで、この事業の大まかな流れを御紹介いただいたかと思うのですが、この中で、花粉症に関しては、行動変容が17%という、予想よりもかなり大きく効果があったことを御紹介いただきまして、一番最初の潜在的なターゲットを絞るところが鍵だったのではないかなと思うわけですが、一番最初の1.のレセプトデータを分析するというところでは、教えていただける範囲で構わないのですが、どんなアルゴリズムが働いているのかなということと、また、これはある程度ほかの疾病とかでも汎用的なものなのかということを教えていただければと思います。
 2点目は、今回は花粉症ということで、非常に反応がよかったということですが、今後、議論の焦点としても、対象医薬品の選定とか見直しを考えていく上で、この事業の中で、再び高い反応が出そうな、効果が高そうだと思われているような何か疾病とかがあれば、予想があれば、ヒントとしていただければと思います。
 以上2点です。よろしくお願いします。
○井深座長 それでは、御質問の御回答を、池本参考人にお願いいたします。
○池本参考人 井上先生、御質問ありがとうございます。
 2点いただいた、まず前半の部分ですけれども、御推察のとおり、情報提供の対象者の数を絞ることで、分母を絞ることで、結果的に打率といいますか行動変容の歩留りがよくなることもありますし、それから、先ほど宮川先生からも御示唆のあった、対象者をなるべく安全にしたいという面、こういったセルフケアの活動はまだ緒に就いたばかりなので、事例の蓄積のためにも、誰に届けるべきなのかという対象者を絞るほうが、医療安全にはより配慮しやすいこともありまして、打率を高めることと医療安全の両観点から、なるべく絞るということをやっています。
 その結果としては、率がよくなることもあるわけですけれども、初期の花粉症のケースで、先ほど御紹介のスライドと同じですけれども、左下から今度右上に行くようなアルゴリズムといいますか、こういった案を、これはまさに当時の企業内診療所の医師やそういったメンバーの皆さんに助言をいただきながらつくってきたものです。
 恐らく、花粉症では、例えば、併存病名が2つまでであっても、似たような、全然違う病気がこの2つの中に混ざってくることはほとんどないということでしたり、このアルゴリズムでよかったのかもしれませんけれども、今後は、専門医の方々にも入っていただいて、多分、この後、岸田先生からの御紹介もあると思いますけれども、どういった症例にはどういった対象者がいいのかということ(アルゴリズム)は、恐らく症例によって変わってきたりするのかなと思っておりますので、枠組みとしては、こういうことを目指しながら、お薬の内容あるいは症例別に慎重に吟味していくことをやっていく、そういったやり方をやると、打率もよくなって、また、安全だからもう少し取り組んでみようかという好循環サイクルが回ってくるのかなと考えております。ちょっと回答になっていない部分もありますけれども、1点目のところはそのように考えております。
 2点目ですけれども、今後、花粉症以外にも効果が出やすい領域を、例えば仮説を持っているかという御質問をいただいたと思うのですけれども、我々自身も、健保さんやその他の保険者さんと一緒にそれを相談している、今、真っ最中であります。少し遠い将来は、慢性のこういった病気で、ある種リフィルではないですけれども、do処方的な定期的なお薬によって、医療安全上も適切に管理されるような疾病には、向き、不向きで言うと、「やや花粉症に似たようなアルゴリズムが持ちやすかったり、しやすいな」という好印象はあります。遠い将来なのかもしれませんけれども、生活習慣病とかそういったものがあるのかなと。少し遠い将来を眺め見渡しておりますけれども、足元では、頭が痛いとかお腹が痛いとか、あるいは風邪症状ですよね、こういった急性期的なニーズが、健保さんと組合員の方の中には多くおられて、その中には、どうしても重篤な病気が混ざってきてしまうことがある分野でもあるので、こういった分野については、先ほども提言の中で書かせていただいたとおりですけれども、お医者さんと薬剤師さんに入っていただいて進めることで、安全が確保されれば踏み込みやすい領域が出てくるのかなと思っています。今まのようなで、保険者さんによる事業活動だけで、どんどん大股で次に進めていけるということでもないのかなとも感じております。
 以上になります。
○井深座長 井上構成員、よろしいでしょうか。
○井上構成員 御丁寧な説明、ありがとうございました。
○井深座長 それでは、磯部構成員お願いします。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会、磯部でございます。
 池本さん、ありがとうございました。すごく詳細なデータを紹介いただき、また、OTC医薬品協会とも一緒になってやったのも御紹介いただいて、ありがとうございます。
 私としては、今回いただいた提言、気づきは、ぜひ、これは進めるべきではないかと思っておりますので、ぜひ、工程表に入れて、進めていただきたいなと思っております。
 ただ、先ほど、健保の秋山さんのほうからお話ありましたが、どこまでできるかということはいろいろな濃淡があるでしょうから、精神的に取り組むところを、どういうふうに進められるのか。そういった意識がまだ余りないところを、どうやってベースを上げていけるのか。そういったことも含めて、工程表にぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 特に、今回のアプローチは、僕も役所を長くやっていましたけれども、とかく全ての国民に一律のいろいろな説明をすることが多いのですが、これではなかなかうまくいかなかったという現実を、ターゲットを絞って、どういう方だったらそういったことがいいのかということを絞り込んでやって、結果を出してきたというのはこの取り組みなので、まさしくこういう取り組みは、これからのセルフケア・セルフメディケーションを進める上では大事なことなのではないかと思います。
 その上で、せっかく宮川先生が言っていただいたので、何か嫌な顔をしているのだと、僕はここで余りコメントしないほうがいいかなと思いながらも、実は、品質の点検については、もう大分前からそういう御指摘もいただいているので、私としては、メーカーとしては、品質の確保は一番であります。これが崩れると全て何もいかないと思っておりますので、実は、OTC医薬品協会は75社しかないのですが、一般薬連になると250社くらいありまして、かなりのOTCメーカーをカバーできるということで、一般薬連ベースで実は品質自己点検をやりました。若干、幾つかメーカーでそういった問題があったこともありまして、それを契機にやらさせていただきました。
 この問題の一番大事なことは、自分ごとにするということであります。いつ、自分の会社で起こるかもしれない。かつ、自分の会社でもし起きたら、特にOTCメーカーの場合は小さいメーカーが多いので、倒産まで行ってしまいかねないぐらいの多大な大きなリスクだということを、どれだけの経営者の方によく理解をしていただいて、そういった起こらないだろうではなく、自分では必ず、いろいろなメーカーで起こっているのだから、我が社でも起こり得るということを認識した上で、再三再四、うちの各5団体あるのですが、経営者向けのお話をして、自己点検をやってまいりました。
 それは、承認内容とGMPと両面からですね。特に、どちらかというとジェネリックは承認内容との記載の議論はありましたが、私のほうでGMPの適合性もしっかりやるべきだということで、この2つを分けて、全ての各社の品目でやりました。出てこないところはちゃんと出てきているのかということも、かなり細かく、繰り返し、繰り返し、私も業界団体に嫌がれるぐらい各団体に申し上げてきたところであります。
 その上で、自分ごととする上で非常に重要なことが、他社で起こったことは起こり得るということで、特にジェネリックで非常に起こったものですから、第三者委員会報告がたくさん出ております。その中で、一体どういうことが起こった原因なのかということをきちんと我々としてまとめて、それについて、ほぼ同じようなポイントで起こっていましたので、それをあるのかということを周知させていただき、最終的には、責任役員の方がその結果に責任を持つという意味で、責任役員と総括製造販売責任者のサインを求めて、僕らのほうにもらいました。その上で、お役所のほうとお話しして、どうしても承認書の内容、GMPが違うところがあるということで分かった場合には、速やかに規制当局とお話をして、どういうような対処が適切なのかということをやるようにということで、それがゼロになるまでやっていったということをやっております。
 ただ、宮川先生からお話があるように、これはやり過ぎることはありませんし、1回では十分でない可能性もありますので、繰り返し、繰り返し、繰り返し、私としては宮川先生に言われなくなるまでしっかりやっていきたいと思いますので、ぜひ、いろいろな厳しい御指摘をいただいて、磯部、もっとこういうふうにやれ、ああいうふうにやれということを御指摘いただければ、幸いであります。
 また、名称の問題はずっと言われておりますので、また長くなるのであれですが、今までのいろいろなルールがありまして、経緯もありますので、また、そういう経緯に従ったときにどうなのか。また、スイッチの場合は、あえて、医療用と違う名前をちょっとつけろという御指摘もいろいろありまして、若干こうなっておりますが、また、それについては、引き続き、いろいろな意見交換、御指摘を踏まえて、また、いろいろ意見交換をさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 すみません、長くなりました。以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、保険局のほうから、これまでの御議論について、受け止めなどがございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村上保険局国民健康保険課保険者努力支援係長 保険局国民健康保険課、村上と申します。よろしくお願いします。
 検討会の議論を踏まえまして、セルフケア・セルフメディケーションの推進施策については、最終的には、医政局を中心に、今、検討をしているところですので、全体の議論の中で検討をしていこうと考えております。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、資料3につきましては、以上といたしまして、次、資料4について、岸田参考人から御説明をお願いいたします。
○岸田参考人 私のほうからは、かなり臨床的な話になっていますし、あとは、今の一連の議論がどんどん深まっている中で、こういう側面が求められているのだなと痛感しましたけれども、医師の立場から、「薬局・ドラッグストアにおける症候別トリアージ-レッドフラッグサインを見逃すな!-」という、この質の高いOTC販売というところを考えていければなと思います。
 シンプルに言いますと、本当にセルフメディケーションでよいのか受診勧奨は必要ないかということです。その考え方の一助になれば幸いですし、こここそがOTC医薬品を扱う専門職の職能でもある、力の見せどころでもあると感じます。そして、先ほど宮川先生もおっしゃっていたと思うのですけれども、また来たいと思ってもらえる、そんなOTC販売につながれば幸いです。
 自己紹介のスライドがありますけれども、私は医師ですけれども、医師の中でも、教育カリキュラムの作成を特に力を入れてやっております。医師だけではなくて、今ここに、薬学部、臨床検査学部、看護学部という多職種にかかわらせていただくことで、患者一人一人のその瞬間を大切にした多職種チーム医療学をつくり上げることができたらなと思っております
 早速、臨床的な側面ですし、実際に、私が具体的な教育カリキュラムとして行っているスライドを直接持ってきています。しゃべりの口調もそうなってしまうかもしれないのですけれども、御容赦いただけたら幸いです。
 薬局・ドラッグストアには、既にこのような形で、喉が痛いとか、せきがつらい、それから、頭が痛い、このような患者さんが来られていて、対応を求められております。医師で総合診療医でもある、私が感じるのは、OTC医薬品の対応の現場は、救急医療、総合診療外来、そこにかなり親和性が高いなと感じます。
 そこで今、セルフメディケーションの推進という方向性があるかと思いますが、そこに向けて、医師として大切だと思うのは、薬剤師も判断エラーを最大限に回避し、患者さん一人一人の声を聞く、また来たいと思ってもらえるような、そのような対人力を身につける、これがより求められていると考えます。その職能の一つが、この薬学臨床推論の特に「レッドフラッグサインを見逃さない」というアプローチが重要に思います。
 ここで、臨床推論という言葉が出てきましたので、用語の確認ですが、臨床推論は、医師の世界ではよく使われますが、患者さん一人一人が抱える臨床的諸問題を解決する際に、どのように考え、アプローチするか、その過程になります。臨床の意思決定の場面は医療の現場では様々ありますが、そのときにどのような情報を収集し、どのように考えるか。その意思決定支援の考え方になります。科学的には、感度・特異度、ベイズ、バイアスなども使いますし、ここにレッドフラッグサインという考え方を利用して、特に薬剤師においても、受診が必要かを考えます。薬剤師は診断するところではないですので、受診が必要かが重要です。あと、薬の量は適切かといった臨床的なことを、その専門職の職能を生かして、思考のエラーを回避して、可能性と妥当性を踏まえて考える。そして、その過程を自分の言葉で上手に、患者さんだけではなく、医療者に伝える、意思決定につなげるというスキルになります。上記の臨床推論は、薬剤師の場合ではこのような形でも活用できるという形で、カリキュラムを構築してまいりました。より分かりやすく臨床推論をお伝えすると、3つのステップからなります。
 1つは、まず情報収集です。場面によって必要な情報がありますけれども、そこも上手にツールを使うことで効果的にアプローチすることができます。そして、その情報から病態を踏まえてアプローチする。ここでレッドフラッグサインを見逃さないというアプローチが重要で、そのレッドフラッグサインを見逃さないアプローチを基にして、最終的にアクションとして方針を立てる。シンプルに言いますと、「聞く、読む、つなぐ」という、こういう臨床の一連の過程がこの臨床推論になります。
 今、薬剤師、ドラッグストアの医薬品販売者の方が、患者さんの症状を聞くような場面が増えておりますけれども、一体、どういうときに、どういう情報を、どういうふうに収集し、薬剤師としてどう解釈し、どのように伝えたらいいか、この「聞く、読む、つなぐ」の考え方を、より深く学ぶことがこれからますます重要で、これが臨床推論という形になります。
 先ほど提示しました30代男性の薬局ドラッグストアでの事例で、この喉が痛いという訴えに対し、質の高い対応をするとはどういうことか、になります。具体的に言いますと、これがOTC販売なのか、それとも受診勧奨かという、ここの考え方になります。この教育カリキュラムを構築して、テキストにしましたが、この試みが「上手な医療のかかり方アワード」で御評価いただきました。このような形でより役に立つような形での教育カリキュラムをつくっていければなと思います。
 ここで、風邪はセルフケアというシンプルな言い方をさせていただきましたが、先ほどのデータもそうですけれども、実際に、風邪薬をくださいと言う患者さんはたくさんいらっしゃいます。しかし、それが本当に風邪でいいのか、受診勧奨させる必要はないかですね。ここの臨床推論が必要なのですけれども、そこの適切な教育がなかなかされていないというところで、こういう教育カリキュラムの構築が重要だと考えました。
 実際、私、今、薬剤師教育の視点で語っておりますけれども、ふだんの臨床の半分は、初期臨床医研修教育をしていまして、実際、この基になった、「誰も教えてくれなかった風邪の診かた」という教育カリキュラムがあります。これも何のためにつくったかといいますと、実際、質の高い総合診療外来ができる医師を目指すために、初期臨床研修でも外来教育が重要だとされていますけれども、その具体的なものがないと感じ、医師の側面でもつくらせていただいた。それが薬剤師の同じような対応をする場面で、カリキュラムを構築につながったという形になります。
 改めまして、この質の高いセルフメディケーション対応で大切なことは何かというのを、医師の視点で思いますと、3つあると思います。まず1つは、受診勧奨のタイミングを見逃さない。そして、2つ目は、副作用を起こさない。そして、3つ目は、効果の科学的なエビデンスをしっかり知ること。この中でも特に大切なのは、受診勧奨のタイミングを見逃さない、レッドフラッグサインを見逃さない対応になると考えます。
 ここで、先ほどからまず、風邪という話になるのは、実際、薬局薬剤師がどのような症状を聞かれるのかという、この聞かれる症状ランキング上位だからです。アンケートで調査したところ、風邪、鼻水、せき、関節痛、便秘、下痢、このような症状が上位にありますが、具体的にカテゴライズすると、風邪症状が半分、痛みシリーズが23%、そして、その他という形で、風邪症状と痛みがよく聞かれる症状の重要なキーワードになります。
 ただ、実際にそこを担う専門職は、聞かれて困る症状に対しても、やり方に対するカリキュラムが必要だと考え調査しました。気になる症状、聞かれて困る症状は、めまい、倦怠感、関節痛、風邪、むくみですね。このデータを分析しますと、先ほどのいわゆる風邪症状と痛みシリーズの部分はあるのですけれども、実際に聞かれて困る症状の半分以上はそれ以外です。この57%をより分析すると、めまいとか倦怠感、むくみという形になります。これは、実際、薬局薬剤師だけではなく、研修医に聞いても、聞かれて困る症状の一つであり、別に薬剤師に限った話でもないなと感じます。
 このようなデータに基づいて、風邪症状、痛みシリーズ、あと、今回先ほど話があったおなかの腹痛、便秘のようなおなかの症状、それに聞かれて困る症状も加えて、具体的にどう考えていったら良いか。特にそのレッドフラッグサインを中心とした教育カリキュラムを構築し、それを、この10年弱ぐらい、多方面で展開させてもらいましたので、そこのデータも踏まえた情報を提示させていただければなと思います。
 現在、薬学部でも、このような形で薬剤師のための風邪の診かた、を行っています。OTC医薬品として風邪薬は昔から売られている現状もありましたので、ぜひ、その風邪のスペシャリストの一人が薬剤師であるというメッセージで、北海道科学大学、東京薬科大学などで、教育をさせていただいております。
 実際、その教育現場でも、具体的な症例として、この症例Aですね。これは風邪ですか、風邪じゃないですか。同じように症例B、これも風邪ですか、風邪じゃないですかを考えてもらいます。大切なのは、カンが駄目なわけではなく、そこには論理的、科学的に分析して対応できる、スキルとして学ぶことが重要です。そのようなカリキュラムを構築して、展開しております。
 一番よく聞かれる風邪ですけれども、実際、風邪の定義がとても曖昧ですので、そこをしっかり定義することが重要です。私、感染症医もしていますけれども、抗菌薬適正使用上もとても重要な側面ですし、あと、風邪が意外に侮れないのは、「風邪だと思うんだけれど」と言う方が受診されます。実際、私が医師向けにこの風邪の診かたの教育カリキュラムをつくったときに、ここにも書いてあるとおり、重篤な疾患を見極めるという形で、「風邪だと思うのだけれど」というところに紛れる重篤な疾患がありますので、ここのレッドフラッグサインを見逃さないというアプローチで提示しております。実際、このような形で、風邪もきちんとツールを利用しながら丁寧に分類し、その分類に合わせたレッドフラッグサインの分析により、質を高める必要があると考えます。
 具体的に風邪といっても、風邪の症状を訴える患者さんがいるときには、必ず、「かぜの3症状チェック」というツールを駆使し、どのカテゴリーに分類するかを見極めます。これは、感染症学的にも、「かぜの3症状チェック」を満たすのは、ウイルス感染症の特徴で、この症状の多彩性がウイルスの特徴というのを反映している分類になります。
 このような形で、「かぜの3症状チェック」というツールを上手に使いながら、丁寧な分類と、その分類ごとのレッドフラッグサインをしっかり見極めるというアプローチが重要になると考えます。
 実際、このような形で、これは喉症状メイン型のレッドフラッグサインを提示しています。例えば、口が開けにくくなるとか、呼吸が苦しいとかないか、突然発症の喉の痛みではないかとか、このようなレッドフラッグサインをしっかりチェックして、適切に受診につなげるアプローチが、この「レッドフラッグサインを見逃さないアプローチ」になります。
 ここで、レッドフラッグサインという言葉の確認です。レッドフラッグサインは、医師の世界では、重篤な疾患を疑うサイン、これを意味する言葉として使われています。疾患の診断が目的ではない、薬局・ドラッグストアでは、医療機関を受診させたほうがよい兆候、医師に伝えるべき兆候と捉えることができると思います。この患者さんの症状や訴えを通じて、レッドフラッグサインをよく確認し、受診のサインを見逃さないようにする、このようなアプローチが求められていると感じます。
 このような教育カリキュラムを、具体的に4つの側面で展開してきましたので、そこでの現場のデータも交えて提示させていただければなと思います。
 まず1つ目は薬局・ドラッグストアになります。薬局・ドラッグストアには、この10年間ぐらい、様々な地域で、レッドフラッグサンを見逃さない、このセルフケア受診勧奨推論のアプローチを展開させていただいております。
 これは、横浜の中区薬剤師会で体系的に行ったものですが、かながわ薬剤師学術大会でも、このメンバーが発表していただきました。先ほどの中での痛みシリーズの講義を展開し、現場で活用し、また、次のときに持ち帰って、そこで、また講義を学んでという、この体系的な教育カリキュラムを行い、どのくらい役に立ちましたかというような形でデータを取っています。
 実際、このときの薬剤師から取ったところ、テーマ満足度はとても高く、実際、業務活用可能も93%という形でいただいております。
 ただ、現在もそうですけれども、調剤で実践の場がまだまだないという声もありますけれども、実際、こういう形で活用される方には、高い満足度をいただいています。
 より詳細に、どのようによかったか、悪かったかというのが次の表になりますが、今回のデータは、実際にこういう風邪症状を対応したことがある薬剤師が63.2%いるというデータになっています。これも、私の感覚的にはまだまだ多いほうに思います。この63.2%ですら、こういう対応をしている薬剤師は多いほうで、調剤の仕事が忙しくて、まだ対応できていない薬剤師もいる中ではありますが、ポジティブコメント、分かりやすさとか、実践性の評価をいただいております。
 このような教育カリキュラムを大学でも展開できないかと考え、この10年弱ぐらい大学でもやらせていただいるものが次のデータです。特に、その中心としてやらせていただいているのが北海道科学大学と東京薬科大学で、4年次の実務実習に行く前の講座で、このセルフケアに関する臨床推論教育をさせていただいていますが、実際、薬学生からいただいている声としても、ためになるもの、分かりやすいものという形でいただいております。
 何より、私がこの薬学生の反応でとてもうれしいなと感じたのは、薬剤師に求められている能力の変化もそうですけれども、実際に分かりやすく、楽しめたというところです。これから未来を担う薬剤師が、この重要性を感じていただいたというのが大きかったと感じます。
 その次がガイドラインになります。日本チェーンドラッグストア協会では、2022年から、受診勧奨ガイドラインを作成し、私のレッドフラッグサインを見逃さないアプローチを取り入れたものをつくっております。現在、第3版になって、具体的な利用の仕方をより分かりやすく提示していただいております。実際、このガイドラインを用いた実証実験での受診勧奨率ですけれども、せき、鼻水、下痢に関して、少し限られたデータになりますけれども、10%弱ぐらいの受診勧奨につながっているというデータになっております。
 実際、このガイドラインの一つ大切なところは、受診が必要だと感じたときに、なぜ受診が必要かという受診勧奨の紹介状とその書き方についても、細かく提示しております。  ここで大切なのが、受診させるときにも、医師にどういう情報が重要か、その文章の書き方で、その一番重要なものがレッドフラッグサインになります。これがあるので受診にさせた、というような的確に伝える手紙の書き方も提示させています。このガイドラインを用いた受診勧奨の実証実験データは、さらに展開していして、私が住む札幌で、昨年、2024年から、近隣の医療機関と連携をしたガイドラインに基づくトリアージと受診勧奨の実証実験を開始しています。
 ここでも同じように、10%弱ぐらいの受診勧奨につながっているのですけれども、ここで大切なのは、近くのドラッグストアと近隣の医療機関が連携しているという形です。実際に、お互いに情報を連携したり、勉強会を開いているのもそうですけれども、かかりつけ医療機関がない場合に、クリニック紹介カードを渡して、受診勧奨を実施し、そのフィードバックをもらっています。今回、限られたデータではありますけれども、17%ぐらいでカード配布になっており、その半分弱ぐらいで来院されているという形になっています。医療機関、ドラッグストアのスタッフのやり取り、あとの再受診、再来店により、地域の生活者の満足度の向上につながります。医療機関、ドラッグストアの相互連携意識の向上に寄与しているのではないかと考えます。今、この展開は、地域の医師会とも連携して行っております。
 このような薬局・ドラッグストアに質の高いOTC医薬品販売が期待されていると感じますが、私、一医師として、医療とその周辺の大きな変化を感じます。そこを踏まえても、質の高いOTC販売はとても重要で、特に、加速する少子高齢化、人口減少社会ですので、過疎化地域の医療の維持も大きな問題です。また、気候変動などの影響でパンデミックも起こりやすくなっており、さらに、日本は大規模災害も高頻度で起こりやすい状況で、そのような災害時も、セルフケアが求められていると感じます。
 それがこの4つ目の人口減少社会パンデミックという社会変化に対する試みで、具体的に私がかかわった事例は、私が、札幌市の危機管理局の参与という形でかかわらせてもらったものになります。札幌市の実効再生産数や患者データなどを出していたのですけれども、そこでもこのコロナが変異する中で、医療の逼迫が起こりセルフケアが大きく求められました。そこで、札幌市の患者の症状データを用いて、そのデータに基づいた先ほどの受診勧奨などを含めた情報発信を行いました。これも上手な医療のかかり方で御評価いただきました。
 札幌市の臨床データに基づいたコロナの情報は、症状の重症化との関係も科学的に示しまして、Lancet Infect Disに、北海道大学との共同で論文化させていただきました。喉症状や鼻水があると重症化しにくいという科学的なデータも提示させていただいております。このように患者さんごとの状態を、病態から判断してかかわる、そのような医療者が求められていると思います。
 特に、今、医療は、高齢化という波の影響をとても大きく受けて、極めて重要な局面を迎えていますが、私は医師として、高齢者対策など、○○対策という言い方には物すごい違和感を感じます。というのは、そのような言い方は、例えば高齢者対策なんていうのは、高齢者を十把一からげにしたような言い方になってしまっていると思います。
 そのような中、大変な状況ですけれども、患者さん一人一人にどう向き合い、アプローチするか。大変な局面ではあるのですけれども、医療の進化系として、私は次の100年も持続可能な医療をつくることが重要で、それは十分可能だと感じます。その一つがこの臨床推論につながると思います。
 実際、臨床推論は、診断が目的ではない薬剤師の視点では、患者の状態、病態化を把握し、的確な処方提案、受診勧奨ができることが重要です。また、薬の効果に関してディスカッションできる、副作用に関してディスカッションできる、このように文章化させていただきましたが、患者さんを十把一からげにしないで、患者さんごとの病態を踏まえたアプローチをいち医療者としてすることができる。そして、何よりこの臨床推論が医療者の共通言語、お互いに対等に話す共通言語になっていると感じます。
 特に、今回のレッドフラッグサインを見逃さないアプローチは、この1つ目のところに当てはまります。今、薬剤師がいろいろ健康相談、症状を聞かれる場面が増えていますけれども、その中でも、特に大きなところを担われているのがこのセルフケアサポートだと感じます。レッドフラッグサインを見逃さない、聞く、読む、つなぐ、この受診勧奨の推論の教育を受けた薬剤師の対面による、プロセスを重視したOTC販売がこれから重要だと考えます。
 以上です。どうもありがとうございました。
○井深座長 岸田参考人、どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの説明を踏まえ、構成員の皆様から、御質問・御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 角谷構成員、お願いします。
○角谷構成員 日本チェーンドラッグストア協会、角谷でございます。
 岸田先生、御説明ありがとうございます。
 今、御紹介いただきました札幌での取り組みについてですけれども、質問ではなく、岸田先生への感謝も含めて、少しコメントさせていただきます。
 今、御説明いただいたとおり、ドラッグストアとして、今、この札幌市の取り組みを実証実験としてやらせていただいております。協力いただいているドクターが、地域の医療を支える、地域の方々の生活レベルを上げるという理念で、参加しているドラッグストア企業と完全に方向性一致しておる中で、この取り組みをやらせていただいていますので、非常にいい関係で、定期的にミーティングを持ちながら、この取り組みの改善を図っているというところです。
 ドラッグストア協会として、私が今、その取り組みを見させていただいているのですけれども、非常にうれしく感じているのは、そこに参加しているドラッグストア側のメンバーが、非常に志高く、やりがいを持ってやっております。これも、ひとえにドクターとの密な協力関係がベースにあると感じております。今後、チェーンドラッグストア協会としても、この取り組みをどう発展させていくかというのが、一つ大きな我々にとっての課題だと感じておりますので、また、引き続き、岸田先生と御相談させていただきながら、あと、協力いただいている先生方と御相談させていただきながら、発展させていきたいと考えておるところでございます。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、富永構成員お願いします。
○富永構成員 日本薬剤師会、富永です。
 岸田先生どうもありがとうございました。実は、先生の書籍の『よくある気になるその症状-レッドフラッグサインを見逃すな!』を、実は自分の薬局で薬剤師に回し読みしたのです。みんなすごい好評で、話し合ったのですが、これを実際の実践につなぐには、どういう訓練をすればいいのかという話になりまして、一つずつこれに倣ってやっていこうじゃないかと、今やっているところですけれども、岸田先生どうなんでしょうか、この本を読み込んで、実践につなぐとしたら。それは経験積むしかないのかもしれませんが、いかがでしょうか。
○岸田参考人 ありがとうございます。
 本はあくまでも教科書的なものでして、実際にどういうふうにそれを活用するか、その学びの場が必要ではないかと感じます。
 あと、実際の本当に対応した症例を日々振り返ることが重要です。医師の世界でも、研修医なんかは毎朝のカンファレンスで、ケースカンファレンスという形で、実際に症例で臨床推論を駆使し、振り返りを行っています。そこのときにも使えるのではないかなと思います。
○富永構成員 ありがとうございます。
 病院等の薬剤師は、症例検討会等をよくやっていますので、薬局薬剤師も一緒に加わって、そういういうことを進めていきたいと思います。ありがとうございました。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見・御質問ございますでしょうか。
 宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 宮川でございます。ありがとうございます。
 岸田先生がおやりになっている、この臨床推論は、ここに注意深く書かれていますが、薬剤師のため、もしくは薬学臨床推論と書いてあります。臨床推論だけが先走ってしまうといけない。これは、岸田先生はもちろんよくお分かりだと思いますが、問診と基本的な診療の上に立った、その情報から臨床推論が始まるわけです。
 でも、薬学の場合には、診察というものがないので、その思考プロセスを考えていかなければいけない。だから、分からないことは、ちゃんと分からないということを言おうというところです。分からないと言ったところは、もう既にレッドフラッグになっているということです。そうしたら、受診勧奨しなければいけない。だから、無理をするわけではなくて、この本とかそういうところから学んだ、その思考プロセスを考えて、そして、やっていくわけですけれども、その中で、どうなのかなと思った瞬間にレッドフラッグが立つし、分からないといったときには、それを無理するのではなくて、そこではもうレッドフラッグが立っているんだということで、しっかりと対応をしていくことが重要だと思います。
 今、先生がおっしゃったように、近隣のかかりつけ医療機関というお話があった。いかに、そこの医療機関とつながっているのかということで、もともとチェーンドラッグストア協会も含めて、おやりになっている、今もまだまだ過程なのでしょうけれども、受診勧奨が、ただの受診勧奨ではなくて、どの医療機関につなげばいいのかということが成し遂げられてこそ、本当の受診勧奨です。ただ、何かあったらお医者さんに行きなさい、どこかの医療機関にかかりなさいと言うのは受診勧奨ではない。これはもうチェーンドラッグストア協会が十分お分かりになって、この頃お話しいただいているので、非常に私もよくそのことをかみ砕いてお分かりになっていただいていいのだなと思いますけれども、そういう薬剤師と医療機関が常に密接になっているからこそ、地域的なところでできたという形なのですね。そういうことをこれからも確立していただきたいというのが私の願いです。そうでなければ、岸田先生の御本に書かれていたその先がないのですよね、ただ学ばれたというだけではなく、先ほど、富永構成員からあったように、それを実践するときに、どのように実践していくのかということは、なかなか非常に難しいのだろうと思います。
 それから、一般用医薬品はオーバーザカウンターであるべきです。今、ドラッグストアも含めて、店頭に並べられているというのが非常に問題である。OTCということは、本当はオーバーザカウンターであって、薬剤師の先生たちの後ろにある。それは、そこから初めて患者さんの今お話をこうやって聞いて、薬学的な臨床推論をされて、そして、自分の後ろからそういうものを出して、これはどうですかというのがあるべきだと思います。つまり、全ての薬、OTCを管理していくことはなかなか難しい。それも、一つの会社から出て、一つの臨床症状に近いものがありすぎる。私はあえて風邪ということは使いたくないのですね、病名ではないからです。風邪症候群とかそういうものがあったとしても、それがあまりにもたくさん一つの会社であり過ぎる。先ほどもお話ししたように、鼻用、せき用、何とか用、それから、FXとかFXとかDXとかいろいろなのがある。
 そういうのではなくて、シンプルな薬を置かれて、そして、それをしっかり使われて、これの成分がきちんと入っていますから、これを使って、もしこういうふうな症状になったときに、また相談してください。そして、駄目だったら、どこそこの先生に行けばいいですよという、それが医療機関と薬剤師の先生たちが結びつくのが地域医療ではないかなと思うので、これは本当に、岸田先生の実践するということは、私たちにとっても、初期研修にとっても、非常に有用な本であることも確かなので、初期研修でやるようなものを、実際に薬学を志す方が一緒になって勉強されるということは、非常に有意義なことだと思いますので、ぜひ、それは実践していただいて、先につなげていただきたいと思っております。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、お願いいたします。
○磯部構成員 宮川先生、OTC医薬品協会です。コメントしてもいいでしょうか。
○井深座長 お願いします。
○磯部構成員 別に反論する気はありません。
 実は、先ほどのオーバーザカウンターの話ですけれども、私も薬剤師の歴史を明治からずっと勉強してきまして、なぜそうなのか、今の状態になったのかということでありますが、1つは、OTCというのは、薬剤師や登録販売者が処方している薬ではないのですね。ですから、症状で診断まがいのことをしてやるということは、もう過去からずっと議論がありまして、無処方調剤なのか、混合販売なのか、ずっと議論がありました。
 そういう過程を経て、実は、今の法律上は、需要者の求めに応じて、薬剤師・登録販売者がそこにサポートをする、服薬指導をするという立てつけで進んできているものであります。いろいろなものの中には、オーバーザカウンターがやらなければいけないものも当然ございますが、需要者がどういうふうに選ぶのか、それをどうサポートしていくのか、そういったこともいろいろなことも考えながらやっていかないといけないところであることも、すみません、私も歴史観のところもありまして、別に反論するとかじゃなくて、そういうふうになってきたと。
 そういう中で、実際にどういうふうにすることが一番いいのかということを考えていくことが大事ではないかなと思いまして、また、今後とも、宮川先生といろいろ議論をしながらやっていきたいと思います。そんなことで、1つだけちょっとコメントをさせていただきました。ありがとうございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、医薬局のほうから何かございましたら、お願いします。
 大丈夫でしょうか。
 それでは、皆様ありがとうございました。
 構成員の皆様から様々な御意見を頂戴したところでございます。本日、皆様にいただきました御意見を踏まえまして、第4回以降の検討会の進め方について、事務局には調整をお願いしたいと思います。
 本日の議事は以上になりますが、事務局から何かございますか。
○井上室長補佐 皆様、御議論いただき、ありがとうございました。
 次回以降の検討会の進め方につきましては、事務局のほうで調整しまして、改めて御連絡させていただければと思います。
 また、議論1の税制についても、本日にいただきました御意見も踏まえまして、次回以降の開催において、さらに深めた議論をお願いできればと思っております。
 事務局からは、以上でございます。
○井深座長 それでは、本日はこれで閉会としたいと思います。
 ちょっと座長の不手際で時間を超過しましたことをお詫び申し上げます。
 ありがとうございました。