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2025年6月4日 令和7年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
日時
令和7年6月4日(水)15:00~17:30
厚生労働省専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1ー2ー2)
議題
(1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の概要等について
(2)その他
(2)その他
議事
○重元総務課長 定刻となりましたので、ただいまから「令和7年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席を頂き誠にありがとうございます。
初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がございましたら、適宜、事務局がサポートをいたしますので、よろしくお願いいたします。
続いて、資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1及び2、参考資料1~3までがございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がありましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いします。御発言の際は、Zoomの「挙手」ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては常時オンにしていただきますようお願いします。
続いて、昨年度、持ち回りで開催しました「令和6年度第12回医薬品医療機器制度部会」におきまして部会長の選出を行い、中山健夫委員に部会長をお願いすることとなりましたので、恐れ入りますが、中山部会長より一言、御挨拶をお願いいたします。
○中山部会長 皆さん、どうもこんにちは。はじめまして、今、御紹介いただきました、部会長を拝命いたしました中山健夫と申します。京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野という所で、疫学を中心にパブリックヘルスの領域に取り組んでおります。本当に、パブリックヘルスのどこの領域を見ても、人間の命、これから社会を守ることの大切さと難しさを感じることばかりです。この領域も、本当にそういったたくさんの課題があると認識しております。力不足ではありますけれども、本部会の運営に力を尽くしたいと願っております。どうぞ、御指導と御支援をよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。また、今年度に入り、2名の委員の交代と追加がございましたので御紹介をさせていただきます。お一人目は、アステラス製薬株式会社薬事&ファーマコヴィジランス部長及担当役員の北川峰丈委員です。
○北川委員 皆さん、はじめまして。この度、先任の中濱から引き継ぎましたアステラス製薬株式会社薬事&ファーマコヴィジランス部の北川と申します。よろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。お二人目は、国立医薬品食品衛生研究所所長の齋藤嘉朗委員です。
○齋藤委員 皆様、はじめまして。4月から国立医薬品食品衛生研究所の所長を拝命しております齋藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。もともとの専門は、薬物動態や臨床薬理なのですが、最近では薬機法の改正にもございました日本薬局方の原案作成、及びその国際調和の業務を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。本日の委員の出欠状況を御報告いたします。小野委員、茂松委員、本間委員、山口委員は所用により御欠席との御連絡を頂いております。また、議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に、本日は御出席を頂いております。
それでは、冒頭のカメラ等撮影は、ここまでとさせていただきます。以降の議事進行を部会長よりよろしくお願いいたします。
○中山部会長 それでは、本日の議題1に入ります。薬機法等改正法の概要などについて、事務局から説明をお願いいたします。
○重元総務課長 医薬局の総務課です。資料1について御説明をするのですが、まず、趣旨について御説明をすると、薬機法の改正については、昨年末にこの会議を開催し、とりまとめについて御議論を頂いた後、1月にとりまとめを公表しました。そのとりまとめに即し、私ども法案化の作業を行い、国会に法案を提出いたしました。国会での審議を経て、先般、法律が成立したところです。本日は、このとりまとめに即して国会に提出をした法案の概要、成立をした改正法の概要を御説明するとともに、国会における審議状況について御報告をさせていただくというのが本日の制度部会の趣旨です。
それでは、資料1に即して御説明いたします。2ページ目です。こちらは、まず改正法の概要です。先ほど申し上げたように、今年1月に制度部会のとりまとめを公表しました。そのとりまとめの内容をそのまま法律の条文の形に法案化したもので、法律のレベルでこのとりまとめの内容から変更、修正があった点はありません。資料の上のほうに改正の趣旨とありますが、その改正の趣旨は、不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民の皆さんに迅速かつ適正に提供していくために、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化や医療用医薬品等の安定供給体制の強化など、より活発な創薬が行える環境の整備、国民の皆さんへの医薬品の適正な供給のための薬局機能の強化などの必要な措置を講ずることが趣旨です。
改正の概要については、この下に4つの柱で整理をしております。まず、1つ目の柱が医薬品等の品質及び安全性の確保の強化です。代表的な項目として、まず、①医薬品品質保証責任者や医薬品安全管理責任者の設置の法定化、②副作用に係る情報収集等に関する計画の作成や実施の義務付け、③責任役員の変更命令を可能とするといった内容です。
2つ目の柱が医療用医薬品等の安定供給体制の強化等です。内容は、①医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置や出荷停止時の届出の義務付け、また、供給不足時の増産等の必要な協力の要請の法定化、更には電子処方箋管理サービスのデータを活用した需給状況のモニタリングの実施、②製造販売承認の一部変更が中程度である場合の類型を設ける、③品質の確保された後発医薬品の安定供給確保のための基金の設置です。
3本目の柱がより活発な創薬が行える環境の整備です。①条件付き承認制度の見直し、②小児用医薬品開発の計画策定の努力義務化、③革新的新薬の実用化を支援するための基金の設置といった内容です。
4本目の柱が国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等です。①調剤業務の一部外部委託を可能にすること、②濫用のおそれのある医薬品の販売方法の見直し、③薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能にするといった内容です。
一番下に施行期日を書いていますが、おおむね、例えば安定供給の関係や濫用のおそれのある医薬品の関係など、速やかに施行が必要な内容については、改正法の公布後6月以内又は1年以内の施行、また、製造販売業者や都道府県の準備に時間を要するものについては、公布後2年以内又は3年以内の施行という形で整理をしています。
概要は以上ですが、ここの1枚で全てを網羅できているわけではありませんが、その他の改正事項については、制度部会のとりまとめの概要を参考資料2で付けておりますので、また適宜御参照いただければと思います。また、この改正の概要の中で出てくる2の③と3の③に2つの基金の内容が書いてありますが、こちらは制度部会のとりまとめ自体には載っていないものですが、昨年末の制度部会で医政局のほうから御報告させていただいた大臣折衝事項の内容を具体化したものですので、その点を申し添えておきます。
3枚目です。こちらは改正法の法案の国会における審議経過です。先ほど申し上げたように、1月に制度部会のとりまとめを公表した後、2月に改正法案が閣議決定をされて国会に提出されました。4月に衆議院で審議入りをした後、2回の質疑と1回の参考人質疑を経て、4月17日に衆議院で可決をしております。また、その後、参議院に送付され、参議院ではPMDA等の視察と2回の質疑を経て、5月14日に可決、成立をし、5月21日に改正法そのものが公布をされています。
4ページ目です。こちらからは衆議院の厚生労働委員会における法案に対する附帯決議をそのまま引用しているものです。簡単に御紹介をすると、まず、第1項は、責任役員の変更命令に関係して事業者の経営権への配慮や命令発出の際の判断の考え方、手順をあらかじめ公表するとされています。第2項と第3項については、後発医薬品業界の再編に関するKPIの設定や改正法による措置で医薬品の供給不足が解消されない場合は措置を検討するとされています。第4項から第8項までについては条件付き承認制度の関係です。適切な運用を図ることなどとされています。第9項と第10項はリアルワールドデータのみに基づく薬事承認について慎重に検討することなどとされています。
次のページです。第11項と第12項は、こちらは革新的医薬品等実用化支援基金の執行状況について定期的に公表することなどとされています。第13項から第15項までについては、処方箋なしでの医療用医薬品の販売の具体的な運用を定める際には、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分に配慮することなどとされています。第16項から第19項までについては、こちらは改正法とは直接関係のない内容も一部含まれておりますが、例えば、緊急避妊薬の全国の薬局での恒久的な販売の検討に当事者の参画といったこと、リフィル処方箋の更なる利用の促進、地域における薬局の役割・機能の更なる整理や明確化、薬剤師の専門性の有効活用やその専門性の向上のための検討や措置を講ずることなどとされています。
6ページ目が、同じように今度は参議院の附帯決議です。こちらについては第1項から第3項については、衆議院の附帯決議と同一の内容です。第4項2行目の「新型コロナワクチンの」で始まるこの文章が、衆議院と比較して新たに追加された部分です。新型コロナワクチン等の安全対策における評価基準を見直すことなどとされています。第5項は、条件付き承認制度の情報提供に関して衆議院の附帯決議と同趣旨です。また、6項と7項についても、衆議院の附帯決議と同一内容です。第8項は、小児用医薬品の開発計画の努力義務について、実効性を欠いたものとならないよう適切な運用を図ることとされています。
次のページです。第9項は、第2文目からが衆議院との比較で新たに追加された部分ですが、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けて、国内における医薬品開発が速やかに行えるための適切な措置を講ずることとされています。第10項の零売関係は衆議院と同一内容です。第11項が指定濫用防止医薬品に関して省令やガイドライン等の策定や科学的根拠に基づき検討を行うことや濫用防止等、利便性のバランスに配慮した規制とすること、必要最小限かつ合理的な規制措置にとどめることなどとされています。第12項が、市販薬の濫用対策をもって進めるに当たっては、販売規制のみならず、医療、福祉、教育などの分野において、関係府省間で対策を進めることとされています。13項と14項は衆議院と同一内容です。第15項については、特定要指導医薬品に関する薬剤師による服薬指導や情報提供について、研修受講などの条件が必要な場合には、それを満たすよう全ての薬剤師が受講できる機会を提供することなどとされています。
以上が衆議院と参議院の附帯決議の内容ですが、これらの附帯決議については改正法の運用に関する留意事項が国会の決議として示されたもので、これらの内容について、改めてこの制度部会で御議論を頂くというようなものでは必ずしもないのですが、厚労省といたしましては、この改正法の施行に向けて、この附帯決議の内容にしっかりと対応していくということです。8ページ目以降からは、それぞれの項目、国会における御議論の内容等について、それぞれ御報告をさせていただきますので、それぞれの担当のほうから御説明をいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。それでは8ページ目、濫用等のおそれのある医薬品に対する対策についてです。今回法令に規定するに当たり、指定濫用防止医薬品という名称で位置付けているところです。資料の上の枠には、制度部会でとりまとめた内容を記載しております。とりまとめでは、販売時の必要事項の確認、情報提供の義務化、20歳未満への複数個販売等の禁止等が記載されています。下の枠には、とりまとめ後の検討状況ということで、国会審議での御指摘を記載しています。
1つ目ですが、指摘事項としては年齢の部分です。とりまとめでは、20歳をこの複数個等の販売禁止の線引きとしています。一方で、法律上では省令で定める年齢としているところで、この点に関して、1つは民法における成年年齢が18歳であることとの整合性について御指摘を受けています。また、これとは別の質疑において、20歳以上でも逆に濫用が認められる年代があるということから、年齢だけによらず適切な対応が重要ではないかといった御指摘も頂いています。この対応としては、当該年齢について、今後改正後の薬機法においては厚労省令で定めることとしていますが、年齢について民法における成年年齢との関係を改めて検討・整理しつつ、販売時の適切な対応について、年齢によらない場合も含めて対応を検討していくといった旨の方針で回答しています。
9ページ目です。2つ目ですが、専門家の関与を確保するため、複数個等の販売時に対面又はオンラインでの販売を義務付けているところですが、オンライン販売として適切な具体的手法がビデオ通話以外に想定されるのかといった質疑がございました。濫用防止対策については、購入理由や購入者の状況を、販売することが確定する前に確認する「同時性」、それから、購入者の購入の意思のみをもって販売するのではなく、専門家等による購入者への声かけ、それから状況確認を行う「双方向性」、こういったところを担保することが重要であることから、現時点でこれらの担保が可能な方法として、ビデオ通話以外に想定しているものがない旨回答しております。ただし、今後の技術発展等によって、これらを担保することが可能な方法が想定される場合には検討していくこともございます。
3つ目、情報提供の内容・方法についてです。この濫用に関する情報提供に当たっては書面で行うこととし、具体的なやり方については省令で定めることとしています。この情報提供すべき内容が、例えば医薬品の名称、効能・効果といった事項ではなく、濫用に関する事項でよいのかという確認の観点と、その具体的な方法としては、書面の交付に限らず、掲示物やフリップの活用といった、現場が運用可能な方法もしっかり示すべきといった御指摘を頂きました。こちらについては、濫用に関する情報提供事項の確認についてはそのとおりであり、具体的な情報提供に当たっては、書面の交付に限らず、掲示物、フリップの活用、その他タブレット等での提示も想定しており、現場での運用も踏まえて具体的な情報提供の方法を示していくこととしております。
10ページ目は、先ほど紹介させていただいた附帯決議の再掲ですので、参考です。
11ページ目については、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売、いわゆる零売についてです。不適切な零売が行われている実情を踏まえて、販売可能な「やむを得ない場合」というのを明確化することで、適正化を図るといった改正です。
国会審議においては、下のほうにあるように、2点、以下の観点からの指摘がなされています。1つ目は、漢方・生薬製剤の話です。こちらについては、伝統医学としての歴史があるということ。それから、一般用医薬品としての販売がもともと認められていて、その後、医療用に逆スイッチというような形でいった経緯がございますが、それで一般用医薬品の販売が中止されたという状況ですので、こういった医療用医薬品しか製造販売されていない製剤が存在するといった、特殊な背景を踏まえた配慮が必要ではないかといった御指摘が1つ。それから、それに限らず、緊急時の医薬品アクセスの確保に際しての零売の重要性と合理的な規制措置の観点からの御指摘を頂いています。
1つ目の漢方・生薬については、制度部会に諮る前に御議論いただいた医薬品販売制度検討会でのとりまとめでも、この特殊性ということは書かれていて、上のほうの制度部会のとりまとめでも記載されているように、漢方・生薬については、現場での販売に支障を来たさないような適切な形での対応がなされるべきといった御指摘を頂いています。
そうした観点から、国会の中では、薬局製造販売医薬品の範囲の見直し・拡大の検討、それから、医療用医薬品の漢方製剤を製造販売しているメーカーへの一般用医薬品としての製造販売等の働きかけのほか、現在行われている販売に支障を来さないように、省令に規定する内容を検討するというところで、適切に対応する旨を回答しております。
後段の、いわゆる零売のやむを得ない場合の範囲については、これまで行われていた本来の趣旨に則って行われている零売まで制限することがないように、適切な形で対応していく旨を回答しているところです。
12ページ目は、同様に附帯決議の再掲です。
13ページ目ですが、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売についてです。こちらについては、薬剤師等が常駐する店舗を管理店舗、遠隔で管理されて製品を受け渡す店舗を受渡店舗と位置付けた上で、受渡しの委託行為を法律上位置付けています。国会審議においては、今後の運用に当たっての取扱いについて4点ほど指摘がされています。1つ目が、1つの薬局等が委託できる登録受渡店舗の上限数の考え方の整理。2つ目が、薬局等からの依頼によって、卸売販売業者が医薬品を受渡店舗に直接納入することの可否の整理。3つ目として、登録受渡店舗において、委託元の薬局等からの指示を受けて行う製品の陳列の在り方の整理。4つ目が、指定濫用防止医薬品の販売を行う際の留意事項を整理することといった御指摘を頂いています。
これらの課題それぞれについては、制度部会のとりまとめにも沿いつつ、実際に遠隔販売を実施することを想定する事業者等の意見も聞きながら、具体的な規制の在り方を検討していくということ。それから、省令のみならず具体的な事項も含めた指針を定めることとし、適切な運用に向けて対応を進めていきたいと考えております。
14ページ目、調剤業務の一部外部委託の制度化についてです。こちらについては、国会審議においては、一部外部委託の目的というのが、薬局薬剤師の対物業務の効率化を図った上で、対人業務に更に注力できるようにすること、それから、安全性の確保と責任の所在を明確化することといった御指摘を頂いています。こちらにつきましては、制度部会でも御議論いただいたところです。こういった指摘も踏まえて、調剤業務の一部外部委託が安全かつ適切に実施されるよう、調剤業務の一部外部委託・受託の許可に関する基準。それから、実施する薬局の開設者、管理者の遵守事項を省令等に適切に規定するために、必要な検討を進めていきたいと考えております。
15ページ目、薬局の機能等の在り方の見直しについてです。法改正事項としては、1つは薬局開設者の、医薬品の安定的な供給に係る責務規定があるのですが、その責務規定に関係行政機関との連携等によって行うことの明確化、それから、現行の届出制度となっている健康サポート薬局について、健康増進支援薬局として認定制度化を盛り込んだという形となっております。これに関しての国会質疑ですが、1つ目が、地域の医薬品の提供体制の構築。多職種間の連携推進に向けて必要な取組を実施していくことについて御指摘を頂いています。2つ目として、健康増進支援薬局は、セルフメディケーションの普及につながるように、地域における役割を明確化して、制度の周知を図るなど普及を推進すること。3つ目として、現場の声や要望を踏まえて、更新時等において過度な現場負担にならないように適切な制度とすること。4つ目に、健康増進支援薬局を増やすために、経済的インセンティブについて検討することといった御指摘を頂いております。
こういった御指摘を踏まえて、健康増進支援薬局の認定基準を省令等で規定するとともに、認定制度の適切な運用、周知について検討していきたいと考えております。
16ページは、附帯決議の再掲です。説明は以上です。
○中井医薬品審査管理課長 続いて、医薬品審査管理課です。17ページです。条件付き承認の見直しになります。条件付き承認で制度部会のとりまとめにおいては、承認の取消し規定がないことから、承認件数が少ないという御指摘。それから、承認の取消し規定を設けた上で、探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測が可能な場合に承認を与えることができる制度にすべきという御指摘を頂いています。
国会での議論ですが、条件として付した臨床試験が速やかに実施されるように期限を設けるべきである、条件付き承認後には検証的臨床試験を適切に実施し、検証できなかった場合には承認を取り消すべきではないか、それから、市販後安全対策の強化が必要だという御指摘を頂いております。それについては、条件として実施を求める臨床試験について、承認条件、医薬品リスク管理計画の確認によって、期限を明確にして速やかな実施を促すこと。条件付き承認の際に必要とするデータについては、個別品目ごとに薬事審議会で議論をし、患者に最新の医薬品を迅速に届けられるような制度運用を行うこと。市販後安全対策については、医薬品リスク管理計画においてリスク最小化活動を定めることも含めて、医療従事者・患者への情報提供、必要な安全対策を実施することで考えています。
18ページは附帯決議ですが、これについては省略させていただきたいと思います。
19ページ、リアルワールドデータの薬事申請への利活用の明確化です。これについては、制度部会においてランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提に、効率化に資するよう、承認申請時の添付資料の規定を一般的な規定に見直すべきではないかという御指摘を頂いています。
国会における主な議論ですが、承認申請において臨床試験成績を提出することが原則であり、リアルワールドデータのみの申請を認めるべきではないという御指摘を頂いています。それに対して、今回の改正については、臨床試験以外で収集されたデータを利用できるよう規定を見直すということで、有効性、安全性の確保の程度については、これまでと変わりないということ。それから、リアルワールドデータの利活用については、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提にしていくことで考えています。
20ページは、附帯決議ですので省略させていただきたいと思います。
○小園監視指導・麻薬対策課長 続きまして、監視指導・麻薬対策課から御説明申し上げます。21ページ、責任役員の変更命令についてです。今回の改正では、上半分にありますが、とりまとめの内容を踏まえて、責任役員の変更命令を盛り込んでおります。国会における主な議論ですが、真ん中より下ですが、この権限が非常に強力な権限であるということで、安易に責任役員変更命令が適用されると、企業への影響が大きい、どのような場合に適用され、公平性・公正性はどう担保していくのかといった御指摘がありました。また、責任役員の変更命令を発動して役員を変更するだけではなく、企業の体質改善・再発防止につなげる具体的な取組が必要であるといった御指摘がありました。
まず、責任役員の変更命令ですが、責任役員が法令違反に直接関与した場合など、その責任役員を変更しなければ必要な改善が見込まれないと認められる場合に行われるものであるということ、そして、施行に当たっては、変更命令の適用の考え方を公表するなど、公平性・公正性を十分に担保しながら運用していきたいと考えています。また、責任役員の変更命令の適用に当たっては、変更命令だけではなく業務改善命令、あるいは行政指導も併せて行っていくことになると考えています。こうした改善命令等に従って、新たな責任役員の下で法令遵守体制の見直し等が適切に行われているかどうか、監視指導の中できちんとフォローをしていきたいと考えています。国会でも、こうした考えをお示ししたところです。
22ページは、関連の附帯決議の再掲ですので省略させていただきます。
23ページ、治験に係る広告規制についてです。これまでのものと異なり、制度部会で御議論いただいたものではありませんが、参考人質疑でも関連の御意見が示され、国会でも質疑があったということで御報告させていただくものです。国会での主な議論ですが、治験等に係る情報について、例えば米国には患者と臨床試験のマッチングサイトがあるが、日本では患者による求めがない限り情報提供が受けられず、薬機法第68条の対象から除外すべきといったものがありました。下に参照条文を書いておりますが、薬機法の第68条で未承認医薬品等の広告を禁止しています。治験に係る情報の提供についても、この広告に該当する場合には禁止されるということですけれども、これまでも治験の募集広告が一定の要件を満たす場合には広告に当たらないことを明確化して、患者の治験に係る情報へのアクセスを確保してきたという経緯があります。こうした状況ですが、なお課題があるということで、より患者が治験に係る情報にアクセスしやすいようにしてほしいという御意見でした。これについては、患者団体等からの御要望も踏まえて、患者が治験に関する情報によりアクセスしやすくなるように、治験に係る広告規制の見直しを、今後、引き続き検討していきたいと考えています。資料1の説明は以上です。
○中山部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。森委員、お願いいたします。
○森(昌)委員 これは全体ですか、区切らないで。
○中山部会長 どういたしますか。全体で結構ですか、では、全体でお願いいたします。
○森(昌)委員 まずは法律が成立しましたが、国会でも様々な議論があり附帯決議がなされました。今後、具体的な事項を検討していくこととなりますが、その中で、医薬品は生命関連商品です。何かあれば、国民の健康、それから、命に直結するので、そのために様々なルールが設けられています。誰もが扱えるわけではないし、どこでも扱えるわけでもありません。そうしたこともルールになっていると思いますので、利便性ではなく安全性を重視して、是非、進めていっていただきたいと思っております。
それで、幾つかコメントがありまして。まず、指定濫用防止医薬品の販売の所、8ページになります。市販薬の濫用防止対策なのですけれども、販売制度上の対策ももちろん重要だと考えているのですけれども、10ページの参議院附帯決議12番目にあるように、生きづらさや孤独への対応、それから啓発等が重要であり、これは厚労省だけではなく、教育現場での生徒への啓発や地域における支援体制も視野に、文科省やこども家庭庁など関係省庁間で連携して対策を進める必要があると考えます。
また、先ほど事務局からも、20歳未満というか18歳をどうするかという国会議論のご紹介もありました。今般、20歳未満の対応が設けられましたけれども、8ページの下の矢羽の2つ目に記載があるように、濫用は若年者に限られる問題ではなくて、年齢によらず適切な対応が必要だと考えております。この点に関しては、現場としてもしっかりと対応していきたいと思っております。
最後に、今回濫用のおそれのある医薬品については、様々な制度対応が行われました。今後、法改正後の販売の実態、それから、濫用の状況等を踏まえて対応すべきことがあれば対応すべきと考えます。とりあえず濫用についてのみ発言させていただきます。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、一旦ここまでで、事務局からはいかがでしょうか。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。御指摘ありがとうございました。御指摘の点も踏まえて、様々な運用に向けて検討させていただきたいと思っております。頂いた年齢の部分、御指摘のとおりの部分もあろうかと思います。ここで、今回国会で指摘を受けた部分については、法的な成年に対して、購入という契約行為の権利制限をするという法的な観点と、20歳以上の者であっても濫用の実態が全くないというわけではないという両面からの対応が求められていますので、民法上の成年年齢を尊重しつつも、この若者の濫用実態を踏まえまして、どういった効果的な運用が可能なのかというのは事務局としても頭をひねって整理していきたいと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインのほうから花井委員、続いて伊藤委員にお願いしたいと思います。まずは花井委員からお願いいたします。
○花井委員 ネットワーク医療と人権の花井です。1つは、17ページの条件付き早期承認の期限です。これは、今般承認取消しということを入れて、更にはこのリスク管理計画を外出しにしたという経緯があると思うのですけれども、この書きぶりだと承認条件そのものの中に期限が明確化されて、リスク管理計画の中にもそれが明示されるという形なのか。ここを横並びにすると、今回の法改正のRMPを外出しにして承認条件と、それから承認条件の中で期限を設けるという話が、少し分かりにくい説明だと思うのです。その説明を、もう一回お願いしたいというのが1つです。
それから、もう1つは意見ですけれども、23ページの、いわゆる治験へのアクセス規制という件なのですけれども、これは90年代のオーファンドラッグ法の頃から私どもは求めていて、はっきり言うと、企業のタイプラインというのは分からない、治験が始まってもいつ始まったか分からないようなところで、非常に困難だったので、おおむね賛成なのですけれども、やはり、薬機法の68条は極めて重要な条文で、やはり、いわゆる、何となく開発の医薬品に期待を持たせるようなというのは、かつてのゲフィチニブの裁判でも最終的には最高裁でああいう結論が出ましたけれども問題になった点でありまして、だから、そこのところはこの68条を軽んじない形でお願いしたいと思いました。以上です。1つ目は質問なので、お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。この条件付き承認の際の期限についてですけれども、承認条件に期限をどこまで書くかという問題、それから、リスク管理計画にどう書くかという問題があるかと思っております。これについては、現時点において、具体的にどちらで書くのか、それぞれどのように書くのかと言うことを決めているわけではありませんので、個別品目において、それぞれ実効性の高い方策を考えて条件期限などを記載していくということを、今後詰めていきたいと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、続いて伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 私からまとめて3点ほど、コメントと質問を申し上げたいと思います。あらかじめ申し上げておきますと、指定濫用防止医薬品の販売に関する点、それから、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売に関する点、それから、治験における広告規制に関する点です。昨年度発言した内容とも結構かぶるのですけれども、私、規制改革推進会議にもおりまして、この案件はこちらの部会と規制改革の部会と両面で見ておりますので、その観点からコメントを申し上げたいと思います。
まず、指定濫用防止医薬品の販売については、厚労科研の調査、研究班の調査でも濫用に用いられている医薬品というのは、一定の20ブランドぐらいでほとんどを占めているというようなことがありました。そうすると、もちろん濫用防止というのはとても大事なのですけれども、では、全てを規制するのが適切かないしそもそも全てを規制し得るかということを考えると、過剰な規制の可能性というのは考えなければならないと思います。ですのでやはりある程度の濫用が問題視されている製品に絞って、もちろんそれだけの対策措置では、またほかの製品に流れるという波状的な効果もありますけれども、やはり、実効的な対策を考えていただきたいという意見です。
それから資料1の9ページなのですけれども、このネット販売というのは、いつも規制改革でも議論にはなるのですが、ネットだと駄目だというような議論が、どうしてもこの部ではあるのですが、ネットだからこそ購入履歴の管理など実効性を保った強い管理、販売規制などもできる面があると思いますので、ネットの販売の可能性を、まずはイコールフッティングで考えていただきたいということです。それから、販売店舗の多い東京で考えれば、ネット販売というのは規制しても支障がないかもしれませんが、近くに薬局やドラッグストアがない所もありますので、そういった所においては、地域の医薬品アクセスを阻害しないようなネット販売の可能性が大事であると思います。
それで、少し細かい点になるのですけれども、ビデオ通話に限るという部分です。ビデオ通話以外に想定しているものはないというような書きぶりになっていますけれども、なぜビデオオンで対話しなければいけないのかということです。同時性や双方向性という部分については、電話やチャットなどによっても担保できるのではないかということも繰り返し申し上げてきて、今回も改めてそれを申し上げたいと思います。
2点目は、資料1の13ページです。デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売に関してです。これも規制改革で申し上げたことなのですけれども、1つの薬局等が委託できる登録受渡店舗の上限数の考え方の整理と書いてある部分です。これは、遠隔販売は認めるけれども都道府県を境にしてはいけないとか店舗数に上限があるなど制約が強く、結局実質的に遠隔販売が骨抜きになっている可能性もあると思いますもし上限数の考え方の整理をするのであれば、実証的な知見に基づいて、合理的な設定がなされるべきだと考えており、この点について、今後どのような実証分析を検討されているのかということについて、お伺いしたいと思います。
それから、先ほど花井さんからありました治験に関することです。治験情報へのアクセスについて、どうしても国内の患者さんは限られているのではないかと。GRCTなどの情報へ適切にアクセスできる環境にあるのかということもそうですし、ドラッグ・ロスなどの事態が知られるようになっていて、海外では使われているけれども国内ではということが、やはり多くなっています。ですので、ドラッグ・ロスの状態、つまり、国内ではまだ治験が始まっていないけれども海外では承認されていて、今後日本に入ってくるかもしれないと、そういったことについて知りたいと思っている方に関してアクセスが全くないというのが問題だと思います。花井さんをはじめ患者団体さんの意見を聞いた上で広告規制というものの整理を行うことが、やはり、必要ではないかという点です。以上、大きく3点です。1つは質問ですので、もしよろしければ、今の段階でお答えできる範囲で頂ければと思います。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。御指摘ありがとうございます。幾つかコメントを頂きましたので、例えば指定濫用防止医薬品につきましては、これまでも、「オンラインでの」というところにつきましては、抑止力としての対応という部分もあるということで御議論させていただいたところです。今回、ネットを禁止という話ではなく、しっかりと、ビデオ通話が必要な理由というところで、同時性、双方向性ということを示させていただいているというのが国会での審議ですので、そこに同等のものが今後開発されるようなことがあれば、検討の対象になるということです。
また、デジタル技術を用いた医薬品販売の上限数の考え方ですが、御指摘のとおり、実証を経て、この辺りを決めていくという形になっています。特に、1つの管理店舗が管理できる上限数の設定に当たっては、実際にこの管理にどれだけの業務量が生じ得るのかというところも含めて検討していくこととなりますが、まだこちらにつきましては今後の話ですので、国会での御指摘等も踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。この件につきましても、引き続き厚労省で御検討いただければと思います。それでは、山家委員、お願いいたします。
○山家委員 ありがとうございます。私のほうからは、やはり最後の治験に係る広告規制の部分で、同じく意見を申し上げたいと思います。やはりどうしても、患者側のほうは、なかなか治験の情報にアクセスし難い状況にあるところは、ここに挙がっている指摘のとおりだと思います。特に、なかなか情報にアクセスしづらい方々、若しくは情報を取りに行く力がない方々もいらっしゃいますので、過剰な広告ということではなく、適切な情報を適切に伝わるようにという部分に注意して、是非、ここの部分は御検討いただきたいと考えております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。これはいかがですか、事務局のほうとしては。これは御意見ということで、よろしいですか。はい、ありがとうございました。では、この点についても、また検討を進めていただければと思います。それでは、よろしければ森委員、とうぞ。
○森(昌)委員 先ほど、伊藤委員から、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売についての意見がありました。今回、デジタル技術を活用して、自店舗でない所に医薬品を保管・管理して、自店舗のスタッフではない者が医薬品を受け渡すことになるなど、ある意味、これまでと制度を大きく変えることになります。まずは、店舗数の議論以前に、そういう状況の中で適切に行うことができるのか、どうすれば適切にできるのかということを、まずしっかりと検証をしていただきたいと考えております。
それから、もう1点、細かいことで心配なのは、受渡店舗の従業員が、安易に医薬品に触れられないようにする対策が必要だというのは、多くの所から意見を言われておりますので、しっかりその対策を行っていただきたいと思っております。
続けてよろしいでしょうか。
○中山部会長 どうぞ。
○森(昌)委員 では、次は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売ですが、いわゆる零売が必要になるときというのは、現場の人間からすると、様々なケースがあって、なかなか一律に線を引けないのが本音です。「やむを得ない場合」の判断というのは、これは、あくまでも薬剤師がそのときの購入者の状況を踏まえて適切に判断するものだと考えており、附帯決議でも『「やむを得ない場合」の範囲・運用については、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分配慮すること』とされていますので、薬剤師が適切に判断したときには、販売できるようにしていただきたいと思います。
あと、まとめて述べさせていただきます。調剤業務の外部委託です。簡潔に、まずは、これまでも何回も発言してきましたが、安全かつ適切に実施されることは大前提。あくまでも目的は、対物業務の効率化を図り、業務の質向上のためと考えます。そうであれば、薬局の都合であったり、患者不在で行うべきものではないと考えます。このことは、省令等で適切に規制をしていただきたいと考えております。
最後です。薬局機能等のあり方の見直しの所なのですが、今後、2040年に向けて、人口構造、疾病構造、医療需要が変化してきて、そうしたことの地域差が大きな課題となってきます。その中で、国民がどこに住んでいても、必要な医薬品に迅速にアクセスができるような医薬品提供体制を構築していくことが、不可欠だと考えています。今回、改正後の薬機法第1条の5の第3項に、薬局開設者に関係行政機関との連携等により、医薬品の安定供給を行うことを求める内容が規定されました。地域の実状を把握して、医療計画等を踏まえて、関係行政機関と連携して、医薬品提供体制を構築・強化することが必要だと考えております。薬局が地域において、医療機関、行政機関、薬局同士の連携で医薬品供給拠点としての機能をしっかりと果たし、国民の必要な医薬品にアクセスできるように、これは国としても支援をしていただきたいと考えます。日本薬剤師会では、行政や多職種と連携の下、地域体制としての医薬品提供体制の強化、再構築に取り組むべく、地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストの作成を進めるなど、都道府県薬剤師会、それから地域薬剤師会の協力を得て取組を開始しています。日本薬剤師会としても、都道府県薬剤師会、地域薬剤師会と連携して、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。御意見、御提案が主だったと思いますが、もし事務局から何か追加で説明があれば、お願いします。よろしいですか。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。個々にコメントさせていただくと長くなってしまいますので、御容赦いただければと思います。デジタル技術を用いた遠隔販売につきましては、どう遠隔で管理していくのかというところが重要なポイントとなってきますので、そういう点を含めて検討していきたいと思っております。零売の「やむを得ない場合」について御指摘いただいたかと思います。ちょっと説明が長くなるかと思うのですが、もう釈迦に説法かもしれませんが、これまでもこの零売を行う際に必要な対応というのは、法律、それから省令で規定されていて、それらの各種対応が遵守されうる場面を勘案して、「やむを得ない場合」というのが零売を可能とする状況であるとして、解釈を通知で示してきたところです。
一方で、通知の拡大解釈を含めまして、近年、医師が通常処方する数量を大きく超えた数量の販売ですとか、複数の医薬品を組み合わせた上で効能・効果を逸脱した標ぼうみたいな事例がありまして、保健衛生上の懸念のある不適切な事例が見受けられたということで、今回の改正では、この「やむを得ない場合」というのを法令上明確化して、適切な運用を確保するといった改正となっております。その上で、今後、「やむを得ない場合」を定めていくことになってくるかと思いますが、現行法令下で規定されている対応に準じた範囲での設定・明確化というのが想定されるところです。
いずれにしましても、こういった現行の法令下で規定されている対応に準じる範囲ということになりますので、不適切な販売は制限されることとなりますが、現在も、本来の趣旨に則って行われているような零売につきましては、これまでどおり継続が可能になると考えているところです。また、外部委託の御指摘につきましては、適切に対応させていただきたいと思っております。
最後に、薬局機能のお話を頂いたところです。今回、薬局開設者の責務規定に関係行政機関との連携等に関する追記をしました。一方で、薬局が地域の医薬品提供体制に向けてどのような役割を果たしていくかにつきましては、この医療計画の動き等も含めて、引き続き議論させていただくところです。また、こういった法令上の整理のみならず、実際に地域の薬局が、地域の実状を踏まえて連携して御対応いただくことが重要になってきます。別途、薬局薬剤師の機能強化等に関する検討会の議論のとりまとめでも、薬局においては医療提供機能に加えて、OTC薬の販売も含む健康サポート機能ということも求められています。こうした点を含めまして、地域の医薬品提供体制の構築に向けて、引き続き、御協力をお願いできればというところです。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。森委員、お願いします。
○森(昌)委員 最後の薬局機能の所なのですが、今後の医薬品提供体制を構築する上で、やはり医療計画等と整合を取るというのは非常に重要なことだと思いますので、是非、関連部局との連携もお願いしたいと考えます。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。今、中島委員、お願いします。
○中島委員 東京都の中島です。零売についてなのですが、不適切な販売に対する監視・指導の実効性を確保するためにも、やむを得ない場合の範囲につきましては、省令の中に明確に定めていただきたいと思います。省令の内容が不明瞭ですと、監視・指導に支障を生じる場面も出てくると思いますので、是非、御対応をよろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。よろしいですかね。
○大原薬事企画官 省令での規定の際には留意してまいりたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。今の11、12ページの零売関係で、衆議院、参議院共に附帯決議が出ており、本当にそのとおりだと思います。処方箋医薬品以外の医療用医薬品はOTC化を行って、OTC医薬品として買えるようにすること。それも、患者が棚から勝手に取って買えるというのではなく、薬剤師あるいは登録販売者との相談を通じて買えるようにする。患者にとっては、薬剤師や登録販売者が、いい相談相手になるような薬局であってほしいと思いますし、薬剤師の対人業務の1つと考えて取り組んでいただきたいと思っております。
それから、もう一点いいですか。19ページのリアルワールドデータの所です。これについては、昨年のこの部会でも意見を申しましたが、衆院、参院の附帯決議にあるとおり、有効性・安全性の証明の程度がいい加減にならないように、十分留意して行ってほしいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。よろしいですか。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。前半のOTC化の推進につきまして、コメントをさせていただきます。先ほども申し上げましたように、薬局薬剤師につきましては、調剤や服薬指導など、患者を対象とした医療提供の機能に加えまして、OTC医薬品の販売、それから健康相談など、地域住民に向けた健康サポートといった場面で重要な役割を担っていただいているところです。こうした中で、医療用医薬品からこの要指導医薬品ですとか一般用医薬品への、いわゆるスイッチOTC化というところについては、薬剤師が販売できる医薬品の対象拡大というところでもつながっていくことですので、こういうことを引き続き促進することによって、薬剤師さんに更に活躍いただくことなのかと考えているところです。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、川上委員、お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 すみません、審査管理課です。先ほど北澤委員から、リアルワールドデータの件についてお話を頂きました。これについては、この部会の中の議論でも、北澤委員から同様の御指摘を何回か頂いておりますので、ご意見を踏まえて、とりまとめにもこういう記載になっておりますし、その指摘に沿うような形で運用していきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。失礼しました。それでは、川上委員、お願いします。
○川上委員 川上です。先ほど森委員からも御発言がありましたが、資料14ページ、調剤業務の一部外部委託の制度化についてです。国会の審議において、対人業務に更に注力できるようにすること。また、安全性の確保と責任の所在を明確化することを御指摘されたことは大変重要かと思います。これを受けて、今後、様々な基準や遵守事項、省令等に適切に規定するため検討を進めていかれるとのことですので、薬局における調剤業務がないがしろにならないように、是非、しっかりと進めていただければと思います。
また、加えて、その状況を処方医や処方箋を発行した医療機関側からも、できれば、必要に応じて把握できるような仕組み等も検討いただければと思います。例えば、現在、電子処方箋の仕組み作りが進められていますが、電子処方箋管理サービスのサーバー等に調剤情報が登録されていきます。そういうところに外部委託をした旨などが登録されれば、医療機関側でも必要に応じて把握できるようになると思いますので、今後、様々な可能性を含めて御検討いただければと思う次第です。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、事務局、お願いします。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。この調剤業務の一部外部委託につきましては、同じ資料の上にありますが、制度部会でも同様の御指摘を頂いているところですので、この施行に向けては、しっかり検討してまいりたいということです。後段の電子処方箋の所につきましては、ちょっと、今の時点でお答えできない部分はありますが、どういったことが可能かというところは、我々の中でも頭の整理をさせていただきたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございました。では、ほかはいかがでしょうか。三澤委員、お願いします。
○三澤委員 慶應薬学部の三澤です。衆議院の附帯決議17番、リフィル処方箋についての記載がありますが、これについてちょっと御質問させていただきます。このリフィル処方箋というものは、今回の法律の改正のどこにひも付いた内容なのでしょうか。まずそこをお聞かせいただきたいと思います。
○中山部会長 総務課長、お願いします。
○重元総務課長 すみません、リフィル処方箋、この17番につきましては、今回の薬機法等の改正の具体的な改正項目のどこかにひも付いているというわけではありません。法案審議の中で、これに関連する質問もあったということも受けまして、このような附帯決議の項目として記載されたのではないかと想像しております。以上です。
○三澤委員 ありがとうございます。先ほど重元さんの御説明でも、この衆議院の附帯決議に対してはしっかりと対応していくとおっしゃっていましたが、では、この17番につきましては、どのようにしっかりと対応なさるおつもりでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございます。総務課長。
○重元総務課長 この項目の直接の所管は、医薬局というよりも保険局の話になってくるかと思います。この内容自体は関係局も十分承知をしておりますので、そちらのほうで対応していくことになるかと思います。
○中山部会長 三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 このような意見が出てくるということ。また、利用状況の実態調査うんぬんで、利用が進まないことがはっきりと書かれている状況です。私もそれは認識をしております。法律改正に関して、直接結び付かないリフィル処方箋という言葉が出てきて、状況の改善を望むという附帯決議が付いているわけですので、今後、何らかの形で、このリフィル処方箋というものを法律に関係付けるということは考えないわけでしょうか。
○中山部会長 いかがでしょうか。お願いします。
○重元総務課長 そこにつきましては、この17番の項目を踏まえて、どのような利用促進に取り組むのかということを検討することになるかと思いますので、何か法律で位置付けるかどうかということだけではなく、様々な方策で利用促進に取り組むことになるのではないかと思っております。
○三澤委員 是非、そのようにお願いします。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。オンラインのほうからもよろしいですか。全体を通していかがでしょうか。もしあれば。もしないようでしたら、次の議題に進みたいと思います。それでは、議題1については、どうもありがとうございました。引き続き、厚生労働省に対応、いろいろ課題がありますが、進めていただければと思います。
それでは、議題2について、事務局から説明をお願いします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。資料2「厚生科学審議会への医療用医薬品迅速・安定供給部会の設置について」について御説明をいたします。次のページに厚生科学審議会の組織図の改定についての資料がございます。厚生科学審議会、いわゆる親審議会において、新たな部会の設置ということについて、了承がなされていますので、その御報告となります。この図の右下の所を御覧ください。黄色の所に、医療用医薬品迅速・安定供給部会が新しく設置されるということがあります。これまで、医薬品の安定供給等については、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議等の関係する検討の場において御議論いただいておりました。
その中の施策の1つとして、安定確保医薬品、特に安定供給が必要な医薬品をリスト化する作業、これについてはこの安定確保会議で御議論いただき、そして今、その見直し作業についても安定確保会議の下のWGで御議論いただいている、そのような状況です。
今回の改正法においては、先ほど全体象の御説明が医薬局総務課長からありましたが、安定供給関係の規定も盛り込まれており、その中で、今、安定確保医薬品として運用されているもの、これを医療法に基づき「供給確保医薬品」、そして「重要供給確保医薬品」、このような形で法令上の根拠を与えるとともに、それについて厚生労働大臣が必要な指示を行うことができる等の規定が設けられています。
この供給確保医薬品、重要供給確保医薬品については、改正後の医療法第37条及び第38条の規定に基づき、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定する、このような規定になっております。新しい部会においては、この供給確保医薬品、重要供給確保医薬品の指定等について御議論いただく、そのようなことが1つ想定をされているものということです。
次のページです。右肩に厚生科学審議会の資料2と書いてあるページですが、これが厚生科学審議会で御了承いただいた、この新部会の設置に関する趣旨紙ということです。今、私が申し上げたこと、これは2の「部会の検討事項」の(2)ということで、供給確保医薬品・重要供給確保医薬品の指定に関することが書いてあります。そのほか、この部会の名前にございますとおり、医療用医薬品の迅速かつ安定的な供給に向けた対策、このようなことを含めて御議論いただく場として、新しい部会を設置することになっております。
最後に、この医薬品医療機器制度部会との関係について、補足で説明をいたします。今回の改正法において、安定供給に関する事項、これはこれまで基本的に行政指導ベースで行われていたものを、法律に根拠を持つ形で規定をいたしました。そのような規定の中には、今、私が申し上げたような、重要供給確保医薬品等の指定、そしてその増産等に係る要請、指示等の規定、こうした規定が医療法に規定されています。また薬機法においても、供給体制管理責任者の設置、それから供給停止時の届出など、製造販売業者に対する規制については、薬機法に規定されているということです。
今後、仮にこのような薬機法に規定されている安定供給に関する事項、このようなことの制度改正を検討することになった場合は、これは安定供給確保策全般を議論する、この新しい部会のほうで御議論いただく、そのようなことを考えております。もちろん、この薬機法に関する規定全般、すなわち薬事行政に関する全般の事項は、この医薬品医療機器制度部会で御議論いただいてきたということもございます。そのような意味において、新しい部会で御議論いただきつつ、必要に応じ、この制度部会にも御報告させていただきながら議論を進めていきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○森(昌)委員 ありがとうございます。部会の設置について異論はありません。それで、意見というかお願いなのですが、供給問題が発生して、もうすぐ4年半位経過するかと思いますが、いまだに供給不足・供給不安が続いています。1つの医薬品が限定出荷から解除されると、今度は別の医薬品が限定出荷・出荷停止になったりということで、現場では対応に追われています。今、課長からも様々な場で検討するというお話がありましたけれども、この医薬品の品質問題、安定供給は製造の問題のみならず流通や現場での使用、薬価、様々な課題があるのではないかと考えています。厚労省の関係部局で連携を取り、新たに設置される本部会を始め、引き続き関係する審議会、部会でしっかりと議論をしていただきたいと考えます。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。今、森委員がおっしゃられましたとおり、安定供給の問題、これはいわゆるメーカー側の問題だけではなく、流通や薬価による下支え、そのようなことも含めて様々な観点が関わる問題でございます。 厚生労働省におきましても、私どもの課が安定供給の問題についてメインで対応しておりますので、私どもの課が中心となりながら、関係局とも連携してこれまでも対応してきておりますし、これは新しい部会ができた後も引き続きそのような姿勢で望んでまいります。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか、よろしいですか。非常に重要な課題で、新しい部会の設置ということで、引き続き厚労省、それから関係の方々、多分いろいろなところで御助言、御指導を頂くと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、どうもありがとうございました。皆様、おかげを持ちまして、非常に貴重な御意見を頂き、いろいろな議論ができたと思います。最後に事務局から連絡事項等があればよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。次回の第2回制度部会の日程につきましては、別途事務局から御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。
○中山部会長 それでは、以上をもちまして「令和7年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を閉会いたします。御協力、誠にどうもありがとうございました。お疲れさまでした。
初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がございましたら、適宜、事務局がサポートをいたしますので、よろしくお願いいたします。
続いて、資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1及び2、参考資料1~3までがございます。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。過不足がありましたら御連絡いただければと思います。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いします。御発言の際は、Zoomの「挙手」ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては常時オンにしていただきますようお願いします。
続いて、昨年度、持ち回りで開催しました「令和6年度第12回医薬品医療機器制度部会」におきまして部会長の選出を行い、中山健夫委員に部会長をお願いすることとなりましたので、恐れ入りますが、中山部会長より一言、御挨拶をお願いいたします。
○中山部会長 皆さん、どうもこんにちは。はじめまして、今、御紹介いただきました、部会長を拝命いたしました中山健夫と申します。京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野という所で、疫学を中心にパブリックヘルスの領域に取り組んでおります。本当に、パブリックヘルスのどこの領域を見ても、人間の命、これから社会を守ることの大切さと難しさを感じることばかりです。この領域も、本当にそういったたくさんの課題があると認識しております。力不足ではありますけれども、本部会の運営に力を尽くしたいと願っております。どうぞ、御指導と御支援をよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。また、今年度に入り、2名の委員の交代と追加がございましたので御紹介をさせていただきます。お一人目は、アステラス製薬株式会社薬事&ファーマコヴィジランス部長及担当役員の北川峰丈委員です。
○北川委員 皆さん、はじめまして。この度、先任の中濱から引き継ぎましたアステラス製薬株式会社薬事&ファーマコヴィジランス部の北川と申します。よろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。お二人目は、国立医薬品食品衛生研究所所長の齋藤嘉朗委員です。
○齋藤委員 皆様、はじめまして。4月から国立医薬品食品衛生研究所の所長を拝命しております齋藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。もともとの専門は、薬物動態や臨床薬理なのですが、最近では薬機法の改正にもございました日本薬局方の原案作成、及びその国際調和の業務を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。本日の委員の出欠状況を御報告いたします。小野委員、茂松委員、本間委員、山口委員は所用により御欠席との御連絡を頂いております。また、議題1に関連して、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に、本日は御出席を頂いております。
それでは、冒頭のカメラ等撮影は、ここまでとさせていただきます。以降の議事進行を部会長よりよろしくお願いいたします。
○中山部会長 それでは、本日の議題1に入ります。薬機法等改正法の概要などについて、事務局から説明をお願いいたします。
○重元総務課長 医薬局の総務課です。資料1について御説明をするのですが、まず、趣旨について御説明をすると、薬機法の改正については、昨年末にこの会議を開催し、とりまとめについて御議論を頂いた後、1月にとりまとめを公表しました。そのとりまとめに即し、私ども法案化の作業を行い、国会に法案を提出いたしました。国会での審議を経て、先般、法律が成立したところです。本日は、このとりまとめに即して国会に提出をした法案の概要、成立をした改正法の概要を御説明するとともに、国会における審議状況について御報告をさせていただくというのが本日の制度部会の趣旨です。
それでは、資料1に即して御説明いたします。2ページ目です。こちらは、まず改正法の概要です。先ほど申し上げたように、今年1月に制度部会のとりまとめを公表しました。そのとりまとめの内容をそのまま法律の条文の形に法案化したもので、法律のレベルでこのとりまとめの内容から変更、修正があった点はありません。資料の上のほうに改正の趣旨とありますが、その改正の趣旨は、不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民の皆さんに迅速かつ適正に提供していくために、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化や医療用医薬品等の安定供給体制の強化など、より活発な創薬が行える環境の整備、国民の皆さんへの医薬品の適正な供給のための薬局機能の強化などの必要な措置を講ずることが趣旨です。
改正の概要については、この下に4つの柱で整理をしております。まず、1つ目の柱が医薬品等の品質及び安全性の確保の強化です。代表的な項目として、まず、①医薬品品質保証責任者や医薬品安全管理責任者の設置の法定化、②副作用に係る情報収集等に関する計画の作成や実施の義務付け、③責任役員の変更命令を可能とするといった内容です。
2つ目の柱が医療用医薬品等の安定供給体制の強化等です。内容は、①医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置や出荷停止時の届出の義務付け、また、供給不足時の増産等の必要な協力の要請の法定化、更には電子処方箋管理サービスのデータを活用した需給状況のモニタリングの実施、②製造販売承認の一部変更が中程度である場合の類型を設ける、③品質の確保された後発医薬品の安定供給確保のための基金の設置です。
3本目の柱がより活発な創薬が行える環境の整備です。①条件付き承認制度の見直し、②小児用医薬品開発の計画策定の努力義務化、③革新的新薬の実用化を支援するための基金の設置といった内容です。
4本目の柱が国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等です。①調剤業務の一部外部委託を可能にすること、②濫用のおそれのある医薬品の販売方法の見直し、③薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能にするといった内容です。
一番下に施行期日を書いていますが、おおむね、例えば安定供給の関係や濫用のおそれのある医薬品の関係など、速やかに施行が必要な内容については、改正法の公布後6月以内又は1年以内の施行、また、製造販売業者や都道府県の準備に時間を要するものについては、公布後2年以内又は3年以内の施行という形で整理をしています。
概要は以上ですが、ここの1枚で全てを網羅できているわけではありませんが、その他の改正事項については、制度部会のとりまとめの概要を参考資料2で付けておりますので、また適宜御参照いただければと思います。また、この改正の概要の中で出てくる2の③と3の③に2つの基金の内容が書いてありますが、こちらは制度部会のとりまとめ自体には載っていないものですが、昨年末の制度部会で医政局のほうから御報告させていただいた大臣折衝事項の内容を具体化したものですので、その点を申し添えておきます。
3枚目です。こちらは改正法の法案の国会における審議経過です。先ほど申し上げたように、1月に制度部会のとりまとめを公表した後、2月に改正法案が閣議決定をされて国会に提出されました。4月に衆議院で審議入りをした後、2回の質疑と1回の参考人質疑を経て、4月17日に衆議院で可決をしております。また、その後、参議院に送付され、参議院ではPMDA等の視察と2回の質疑を経て、5月14日に可決、成立をし、5月21日に改正法そのものが公布をされています。
4ページ目です。こちらからは衆議院の厚生労働委員会における法案に対する附帯決議をそのまま引用しているものです。簡単に御紹介をすると、まず、第1項は、責任役員の変更命令に関係して事業者の経営権への配慮や命令発出の際の判断の考え方、手順をあらかじめ公表するとされています。第2項と第3項については、後発医薬品業界の再編に関するKPIの設定や改正法による措置で医薬品の供給不足が解消されない場合は措置を検討するとされています。第4項から第8項までについては条件付き承認制度の関係です。適切な運用を図ることなどとされています。第9項と第10項はリアルワールドデータのみに基づく薬事承認について慎重に検討することなどとされています。
次のページです。第11項と第12項は、こちらは革新的医薬品等実用化支援基金の執行状況について定期的に公表することなどとされています。第13項から第15項までについては、処方箋なしでの医療用医薬品の販売の具体的な運用を定める際には、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分に配慮することなどとされています。第16項から第19項までについては、こちらは改正法とは直接関係のない内容も一部含まれておりますが、例えば、緊急避妊薬の全国の薬局での恒久的な販売の検討に当事者の参画といったこと、リフィル処方箋の更なる利用の促進、地域における薬局の役割・機能の更なる整理や明確化、薬剤師の専門性の有効活用やその専門性の向上のための検討や措置を講ずることなどとされています。
6ページ目が、同じように今度は参議院の附帯決議です。こちらについては第1項から第3項については、衆議院の附帯決議と同一の内容です。第4項2行目の「新型コロナワクチンの」で始まるこの文章が、衆議院と比較して新たに追加された部分です。新型コロナワクチン等の安全対策における評価基準を見直すことなどとされています。第5項は、条件付き承認制度の情報提供に関して衆議院の附帯決議と同趣旨です。また、6項と7項についても、衆議院の附帯決議と同一内容です。第8項は、小児用医薬品の開発計画の努力義務について、実効性を欠いたものとならないよう適切な運用を図ることとされています。
次のページです。第9項は、第2文目からが衆議院との比較で新たに追加された部分ですが、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けて、国内における医薬品開発が速やかに行えるための適切な措置を講ずることとされています。第10項の零売関係は衆議院と同一内容です。第11項が指定濫用防止医薬品に関して省令やガイドライン等の策定や科学的根拠に基づき検討を行うことや濫用防止等、利便性のバランスに配慮した規制とすること、必要最小限かつ合理的な規制措置にとどめることなどとされています。第12項が、市販薬の濫用対策をもって進めるに当たっては、販売規制のみならず、医療、福祉、教育などの分野において、関係府省間で対策を進めることとされています。13項と14項は衆議院と同一内容です。第15項については、特定要指導医薬品に関する薬剤師による服薬指導や情報提供について、研修受講などの条件が必要な場合には、それを満たすよう全ての薬剤師が受講できる機会を提供することなどとされています。
以上が衆議院と参議院の附帯決議の内容ですが、これらの附帯決議については改正法の運用に関する留意事項が国会の決議として示されたもので、これらの内容について、改めてこの制度部会で御議論を頂くというようなものでは必ずしもないのですが、厚労省といたしましては、この改正法の施行に向けて、この附帯決議の内容にしっかりと対応していくということです。8ページ目以降からは、それぞれの項目、国会における御議論の内容等について、それぞれ御報告をさせていただきますので、それぞれの担当のほうから御説明をいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。それでは8ページ目、濫用等のおそれのある医薬品に対する対策についてです。今回法令に規定するに当たり、指定濫用防止医薬品という名称で位置付けているところです。資料の上の枠には、制度部会でとりまとめた内容を記載しております。とりまとめでは、販売時の必要事項の確認、情報提供の義務化、20歳未満への複数個販売等の禁止等が記載されています。下の枠には、とりまとめ後の検討状況ということで、国会審議での御指摘を記載しています。
1つ目ですが、指摘事項としては年齢の部分です。とりまとめでは、20歳をこの複数個等の販売禁止の線引きとしています。一方で、法律上では省令で定める年齢としているところで、この点に関して、1つは民法における成年年齢が18歳であることとの整合性について御指摘を受けています。また、これとは別の質疑において、20歳以上でも逆に濫用が認められる年代があるということから、年齢だけによらず適切な対応が重要ではないかといった御指摘も頂いています。この対応としては、当該年齢について、今後改正後の薬機法においては厚労省令で定めることとしていますが、年齢について民法における成年年齢との関係を改めて検討・整理しつつ、販売時の適切な対応について、年齢によらない場合も含めて対応を検討していくといった旨の方針で回答しています。
9ページ目です。2つ目ですが、専門家の関与を確保するため、複数個等の販売時に対面又はオンラインでの販売を義務付けているところですが、オンライン販売として適切な具体的手法がビデオ通話以外に想定されるのかといった質疑がございました。濫用防止対策については、購入理由や購入者の状況を、販売することが確定する前に確認する「同時性」、それから、購入者の購入の意思のみをもって販売するのではなく、専門家等による購入者への声かけ、それから状況確認を行う「双方向性」、こういったところを担保することが重要であることから、現時点でこれらの担保が可能な方法として、ビデオ通話以外に想定しているものがない旨回答しております。ただし、今後の技術発展等によって、これらを担保することが可能な方法が想定される場合には検討していくこともございます。
3つ目、情報提供の内容・方法についてです。この濫用に関する情報提供に当たっては書面で行うこととし、具体的なやり方については省令で定めることとしています。この情報提供すべき内容が、例えば医薬品の名称、効能・効果といった事項ではなく、濫用に関する事項でよいのかという確認の観点と、その具体的な方法としては、書面の交付に限らず、掲示物やフリップの活用といった、現場が運用可能な方法もしっかり示すべきといった御指摘を頂きました。こちらについては、濫用に関する情報提供事項の確認についてはそのとおりであり、具体的な情報提供に当たっては、書面の交付に限らず、掲示物、フリップの活用、その他タブレット等での提示も想定しており、現場での運用も踏まえて具体的な情報提供の方法を示していくこととしております。
10ページ目は、先ほど紹介させていただいた附帯決議の再掲ですので、参考です。
11ページ目については、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売、いわゆる零売についてです。不適切な零売が行われている実情を踏まえて、販売可能な「やむを得ない場合」というのを明確化することで、適正化を図るといった改正です。
国会審議においては、下のほうにあるように、2点、以下の観点からの指摘がなされています。1つ目は、漢方・生薬製剤の話です。こちらについては、伝統医学としての歴史があるということ。それから、一般用医薬品としての販売がもともと認められていて、その後、医療用に逆スイッチというような形でいった経緯がございますが、それで一般用医薬品の販売が中止されたという状況ですので、こういった医療用医薬品しか製造販売されていない製剤が存在するといった、特殊な背景を踏まえた配慮が必要ではないかといった御指摘が1つ。それから、それに限らず、緊急時の医薬品アクセスの確保に際しての零売の重要性と合理的な規制措置の観点からの御指摘を頂いています。
1つ目の漢方・生薬については、制度部会に諮る前に御議論いただいた医薬品販売制度検討会でのとりまとめでも、この特殊性ということは書かれていて、上のほうの制度部会のとりまとめでも記載されているように、漢方・生薬については、現場での販売に支障を来たさないような適切な形での対応がなされるべきといった御指摘を頂いています。
そうした観点から、国会の中では、薬局製造販売医薬品の範囲の見直し・拡大の検討、それから、医療用医薬品の漢方製剤を製造販売しているメーカーへの一般用医薬品としての製造販売等の働きかけのほか、現在行われている販売に支障を来さないように、省令に規定する内容を検討するというところで、適切に対応する旨を回答しております。
後段の、いわゆる零売のやむを得ない場合の範囲については、これまで行われていた本来の趣旨に則って行われている零売まで制限することがないように、適切な形で対応していく旨を回答しているところです。
12ページ目は、同様に附帯決議の再掲です。
13ページ目ですが、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売についてです。こちらについては、薬剤師等が常駐する店舗を管理店舗、遠隔で管理されて製品を受け渡す店舗を受渡店舗と位置付けた上で、受渡しの委託行為を法律上位置付けています。国会審議においては、今後の運用に当たっての取扱いについて4点ほど指摘がされています。1つ目が、1つの薬局等が委託できる登録受渡店舗の上限数の考え方の整理。2つ目が、薬局等からの依頼によって、卸売販売業者が医薬品を受渡店舗に直接納入することの可否の整理。3つ目として、登録受渡店舗において、委託元の薬局等からの指示を受けて行う製品の陳列の在り方の整理。4つ目が、指定濫用防止医薬品の販売を行う際の留意事項を整理することといった御指摘を頂いています。
これらの課題それぞれについては、制度部会のとりまとめにも沿いつつ、実際に遠隔販売を実施することを想定する事業者等の意見も聞きながら、具体的な規制の在り方を検討していくということ。それから、省令のみならず具体的な事項も含めた指針を定めることとし、適切な運用に向けて対応を進めていきたいと考えております。
14ページ目、調剤業務の一部外部委託の制度化についてです。こちらについては、国会審議においては、一部外部委託の目的というのが、薬局薬剤師の対物業務の効率化を図った上で、対人業務に更に注力できるようにすること、それから、安全性の確保と責任の所在を明確化することといった御指摘を頂いています。こちらにつきましては、制度部会でも御議論いただいたところです。こういった指摘も踏まえて、調剤業務の一部外部委託が安全かつ適切に実施されるよう、調剤業務の一部外部委託・受託の許可に関する基準。それから、実施する薬局の開設者、管理者の遵守事項を省令等に適切に規定するために、必要な検討を進めていきたいと考えております。
15ページ目、薬局の機能等の在り方の見直しについてです。法改正事項としては、1つは薬局開設者の、医薬品の安定的な供給に係る責務規定があるのですが、その責務規定に関係行政機関との連携等によって行うことの明確化、それから、現行の届出制度となっている健康サポート薬局について、健康増進支援薬局として認定制度化を盛り込んだという形となっております。これに関しての国会質疑ですが、1つ目が、地域の医薬品の提供体制の構築。多職種間の連携推進に向けて必要な取組を実施していくことについて御指摘を頂いています。2つ目として、健康増進支援薬局は、セルフメディケーションの普及につながるように、地域における役割を明確化して、制度の周知を図るなど普及を推進すること。3つ目として、現場の声や要望を踏まえて、更新時等において過度な現場負担にならないように適切な制度とすること。4つ目に、健康増進支援薬局を増やすために、経済的インセンティブについて検討することといった御指摘を頂いております。
こういった御指摘を踏まえて、健康増進支援薬局の認定基準を省令等で規定するとともに、認定制度の適切な運用、周知について検討していきたいと考えております。
16ページは、附帯決議の再掲です。説明は以上です。
○中井医薬品審査管理課長 続いて、医薬品審査管理課です。17ページです。条件付き承認の見直しになります。条件付き承認で制度部会のとりまとめにおいては、承認の取消し規定がないことから、承認件数が少ないという御指摘。それから、承認の取消し規定を設けた上で、探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測が可能な場合に承認を与えることができる制度にすべきという御指摘を頂いています。
国会での議論ですが、条件として付した臨床試験が速やかに実施されるように期限を設けるべきである、条件付き承認後には検証的臨床試験を適切に実施し、検証できなかった場合には承認を取り消すべきではないか、それから、市販後安全対策の強化が必要だという御指摘を頂いております。それについては、条件として実施を求める臨床試験について、承認条件、医薬品リスク管理計画の確認によって、期限を明確にして速やかな実施を促すこと。条件付き承認の際に必要とするデータについては、個別品目ごとに薬事審議会で議論をし、患者に最新の医薬品を迅速に届けられるような制度運用を行うこと。市販後安全対策については、医薬品リスク管理計画においてリスク最小化活動を定めることも含めて、医療従事者・患者への情報提供、必要な安全対策を実施することで考えています。
18ページは附帯決議ですが、これについては省略させていただきたいと思います。
19ページ、リアルワールドデータの薬事申請への利活用の明確化です。これについては、制度部会においてランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提に、効率化に資するよう、承認申請時の添付資料の規定を一般的な規定に見直すべきではないかという御指摘を頂いています。
国会における主な議論ですが、承認申請において臨床試験成績を提出することが原則であり、リアルワールドデータのみの申請を認めるべきではないという御指摘を頂いています。それに対して、今回の改正については、臨床試験以外で収集されたデータを利用できるよう規定を見直すということで、有効性、安全性の確保の程度については、これまでと変わりないということ。それから、リアルワールドデータの利活用については、ランダム化比較試験による厳密なエビデンスの重要性に留意した運用、信頼性確保に向けた継続的な取組を前提にしていくことで考えています。
20ページは、附帯決議ですので省略させていただきたいと思います。
○小園監視指導・麻薬対策課長 続きまして、監視指導・麻薬対策課から御説明申し上げます。21ページ、責任役員の変更命令についてです。今回の改正では、上半分にありますが、とりまとめの内容を踏まえて、責任役員の変更命令を盛り込んでおります。国会における主な議論ですが、真ん中より下ですが、この権限が非常に強力な権限であるということで、安易に責任役員変更命令が適用されると、企業への影響が大きい、どのような場合に適用され、公平性・公正性はどう担保していくのかといった御指摘がありました。また、責任役員の変更命令を発動して役員を変更するだけではなく、企業の体質改善・再発防止につなげる具体的な取組が必要であるといった御指摘がありました。
まず、責任役員の変更命令ですが、責任役員が法令違反に直接関与した場合など、その責任役員を変更しなければ必要な改善が見込まれないと認められる場合に行われるものであるということ、そして、施行に当たっては、変更命令の適用の考え方を公表するなど、公平性・公正性を十分に担保しながら運用していきたいと考えています。また、責任役員の変更命令の適用に当たっては、変更命令だけではなく業務改善命令、あるいは行政指導も併せて行っていくことになると考えています。こうした改善命令等に従って、新たな責任役員の下で法令遵守体制の見直し等が適切に行われているかどうか、監視指導の中できちんとフォローをしていきたいと考えています。国会でも、こうした考えをお示ししたところです。
22ページは、関連の附帯決議の再掲ですので省略させていただきます。
23ページ、治験に係る広告規制についてです。これまでのものと異なり、制度部会で御議論いただいたものではありませんが、参考人質疑でも関連の御意見が示され、国会でも質疑があったということで御報告させていただくものです。国会での主な議論ですが、治験等に係る情報について、例えば米国には患者と臨床試験のマッチングサイトがあるが、日本では患者による求めがない限り情報提供が受けられず、薬機法第68条の対象から除外すべきといったものがありました。下に参照条文を書いておりますが、薬機法の第68条で未承認医薬品等の広告を禁止しています。治験に係る情報の提供についても、この広告に該当する場合には禁止されるということですけれども、これまでも治験の募集広告が一定の要件を満たす場合には広告に当たらないことを明確化して、患者の治験に係る情報へのアクセスを確保してきたという経緯があります。こうした状況ですが、なお課題があるということで、より患者が治験に係る情報にアクセスしやすいようにしてほしいという御意見でした。これについては、患者団体等からの御要望も踏まえて、患者が治験に関する情報によりアクセスしやすくなるように、治験に係る広告規制の見直しを、今後、引き続き検討していきたいと考えています。資料1の説明は以上です。
○中山部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問があれば御発言をお願いいたします。森委員、お願いいたします。
○森(昌)委員 これは全体ですか、区切らないで。
○中山部会長 どういたしますか。全体で結構ですか、では、全体でお願いいたします。
○森(昌)委員 まずは法律が成立しましたが、国会でも様々な議論があり附帯決議がなされました。今後、具体的な事項を検討していくこととなりますが、その中で、医薬品は生命関連商品です。何かあれば、国民の健康、それから、命に直結するので、そのために様々なルールが設けられています。誰もが扱えるわけではないし、どこでも扱えるわけでもありません。そうしたこともルールになっていると思いますので、利便性ではなく安全性を重視して、是非、進めていっていただきたいと思っております。
それで、幾つかコメントがありまして。まず、指定濫用防止医薬品の販売の所、8ページになります。市販薬の濫用防止対策なのですけれども、販売制度上の対策ももちろん重要だと考えているのですけれども、10ページの参議院附帯決議12番目にあるように、生きづらさや孤独への対応、それから啓発等が重要であり、これは厚労省だけではなく、教育現場での生徒への啓発や地域における支援体制も視野に、文科省やこども家庭庁など関係省庁間で連携して対策を進める必要があると考えます。
また、先ほど事務局からも、20歳未満というか18歳をどうするかという国会議論のご紹介もありました。今般、20歳未満の対応が設けられましたけれども、8ページの下の矢羽の2つ目に記載があるように、濫用は若年者に限られる問題ではなくて、年齢によらず適切な対応が必要だと考えております。この点に関しては、現場としてもしっかりと対応していきたいと思っております。
最後に、今回濫用のおそれのある医薬品については、様々な制度対応が行われました。今後、法改正後の販売の実態、それから、濫用の状況等を踏まえて対応すべきことがあれば対応すべきと考えます。とりあえず濫用についてのみ発言させていただきます。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、一旦ここまでで、事務局からはいかがでしょうか。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。御指摘ありがとうございました。御指摘の点も踏まえて、様々な運用に向けて検討させていただきたいと思っております。頂いた年齢の部分、御指摘のとおりの部分もあろうかと思います。ここで、今回国会で指摘を受けた部分については、法的な成年に対して、購入という契約行為の権利制限をするという法的な観点と、20歳以上の者であっても濫用の実態が全くないというわけではないという両面からの対応が求められていますので、民法上の成年年齢を尊重しつつも、この若者の濫用実態を踏まえまして、どういった効果的な運用が可能なのかというのは事務局としても頭をひねって整理していきたいと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、オンラインのほうから花井委員、続いて伊藤委員にお願いしたいと思います。まずは花井委員からお願いいたします。
○花井委員 ネットワーク医療と人権の花井です。1つは、17ページの条件付き早期承認の期限です。これは、今般承認取消しということを入れて、更にはこのリスク管理計画を外出しにしたという経緯があると思うのですけれども、この書きぶりだと承認条件そのものの中に期限が明確化されて、リスク管理計画の中にもそれが明示されるという形なのか。ここを横並びにすると、今回の法改正のRMPを外出しにして承認条件と、それから承認条件の中で期限を設けるという話が、少し分かりにくい説明だと思うのです。その説明を、もう一回お願いしたいというのが1つです。
それから、もう1つは意見ですけれども、23ページの、いわゆる治験へのアクセス規制という件なのですけれども、これは90年代のオーファンドラッグ法の頃から私どもは求めていて、はっきり言うと、企業のタイプラインというのは分からない、治験が始まってもいつ始まったか分からないようなところで、非常に困難だったので、おおむね賛成なのですけれども、やはり、薬機法の68条は極めて重要な条文で、やはり、いわゆる、何となく開発の医薬品に期待を持たせるようなというのは、かつてのゲフィチニブの裁判でも最終的には最高裁でああいう結論が出ましたけれども問題になった点でありまして、だから、そこのところはこの68条を軽んじない形でお願いしたいと思いました。以上です。1つ目は質問なので、お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。この条件付き承認の際の期限についてですけれども、承認条件に期限をどこまで書くかという問題、それから、リスク管理計画にどう書くかという問題があるかと思っております。これについては、現時点において、具体的にどちらで書くのか、それぞれどのように書くのかと言うことを決めているわけではありませんので、個別品目において、それぞれ実効性の高い方策を考えて条件期限などを記載していくということを、今後詰めていきたいと思っております。
○中山部会長 ありがとうございます。それでは、続いて伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 私からまとめて3点ほど、コメントと質問を申し上げたいと思います。あらかじめ申し上げておきますと、指定濫用防止医薬品の販売に関する点、それから、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売に関する点、それから、治験における広告規制に関する点です。昨年度発言した内容とも結構かぶるのですけれども、私、規制改革推進会議にもおりまして、この案件はこちらの部会と規制改革の部会と両面で見ておりますので、その観点からコメントを申し上げたいと思います。
まず、指定濫用防止医薬品の販売については、厚労科研の調査、研究班の調査でも濫用に用いられている医薬品というのは、一定の20ブランドぐらいでほとんどを占めているというようなことがありました。そうすると、もちろん濫用防止というのはとても大事なのですけれども、では、全てを規制するのが適切かないしそもそも全てを規制し得るかということを考えると、過剰な規制の可能性というのは考えなければならないと思います。ですのでやはりある程度の濫用が問題視されている製品に絞って、もちろんそれだけの対策措置では、またほかの製品に流れるという波状的な効果もありますけれども、やはり、実効的な対策を考えていただきたいという意見です。
それから資料1の9ページなのですけれども、このネット販売というのは、いつも規制改革でも議論にはなるのですが、ネットだと駄目だというような議論が、どうしてもこの部ではあるのですが、ネットだからこそ購入履歴の管理など実効性を保った強い管理、販売規制などもできる面があると思いますので、ネットの販売の可能性を、まずはイコールフッティングで考えていただきたいということです。それから、販売店舗の多い東京で考えれば、ネット販売というのは規制しても支障がないかもしれませんが、近くに薬局やドラッグストアがない所もありますので、そういった所においては、地域の医薬品アクセスを阻害しないようなネット販売の可能性が大事であると思います。
それで、少し細かい点になるのですけれども、ビデオ通話に限るという部分です。ビデオ通話以外に想定しているものはないというような書きぶりになっていますけれども、なぜビデオオンで対話しなければいけないのかということです。同時性や双方向性という部分については、電話やチャットなどによっても担保できるのではないかということも繰り返し申し上げてきて、今回も改めてそれを申し上げたいと思います。
2点目は、資料1の13ページです。デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売に関してです。これも規制改革で申し上げたことなのですけれども、1つの薬局等が委託できる登録受渡店舗の上限数の考え方の整理と書いてある部分です。これは、遠隔販売は認めるけれども都道府県を境にしてはいけないとか店舗数に上限があるなど制約が強く、結局実質的に遠隔販売が骨抜きになっている可能性もあると思いますもし上限数の考え方の整理をするのであれば、実証的な知見に基づいて、合理的な設定がなされるべきだと考えており、この点について、今後どのような実証分析を検討されているのかということについて、お伺いしたいと思います。
それから、先ほど花井さんからありました治験に関することです。治験情報へのアクセスについて、どうしても国内の患者さんは限られているのではないかと。GRCTなどの情報へ適切にアクセスできる環境にあるのかということもそうですし、ドラッグ・ロスなどの事態が知られるようになっていて、海外では使われているけれども国内ではということが、やはり多くなっています。ですので、ドラッグ・ロスの状態、つまり、国内ではまだ治験が始まっていないけれども海外では承認されていて、今後日本に入ってくるかもしれないと、そういったことについて知りたいと思っている方に関してアクセスが全くないというのが問題だと思います。花井さんをはじめ患者団体さんの意見を聞いた上で広告規制というものの整理を行うことが、やはり、必要ではないかという点です。以上、大きく3点です。1つは質問ですので、もしよろしければ、今の段階でお答えできる範囲で頂ければと思います。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、事務局、お願いいたします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。御指摘ありがとうございます。幾つかコメントを頂きましたので、例えば指定濫用防止医薬品につきましては、これまでも、「オンラインでの」というところにつきましては、抑止力としての対応という部分もあるということで御議論させていただいたところです。今回、ネットを禁止という話ではなく、しっかりと、ビデオ通話が必要な理由というところで、同時性、双方向性ということを示させていただいているというのが国会での審議ですので、そこに同等のものが今後開発されるようなことがあれば、検討の対象になるということです。
また、デジタル技術を用いた医薬品販売の上限数の考え方ですが、御指摘のとおり、実証を経て、この辺りを決めていくという形になっています。特に、1つの管理店舗が管理できる上限数の設定に当たっては、実際にこの管理にどれだけの業務量が生じ得るのかというところも含めて検討していくこととなりますが、まだこちらにつきましては今後の話ですので、国会での御指摘等も踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。以上でございます。
○中山部会長 ありがとうございました。この件につきましても、引き続き厚労省で御検討いただければと思います。それでは、山家委員、お願いいたします。
○山家委員 ありがとうございます。私のほうからは、やはり最後の治験に係る広告規制の部分で、同じく意見を申し上げたいと思います。やはりどうしても、患者側のほうは、なかなか治験の情報にアクセスし難い状況にあるところは、ここに挙がっている指摘のとおりだと思います。特に、なかなか情報にアクセスしづらい方々、若しくは情報を取りに行く力がない方々もいらっしゃいますので、過剰な広告ということではなく、適切な情報を適切に伝わるようにという部分に注意して、是非、ここの部分は御検討いただきたいと考えております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。これはいかがですか、事務局のほうとしては。これは御意見ということで、よろしいですか。はい、ありがとうございました。では、この点についても、また検討を進めていただければと思います。それでは、よろしければ森委員、とうぞ。
○森(昌)委員 先ほど、伊藤委員から、デジタル技術を活用した一般用医薬品の遠隔販売についての意見がありました。今回、デジタル技術を活用して、自店舗でない所に医薬品を保管・管理して、自店舗のスタッフではない者が医薬品を受け渡すことになるなど、ある意味、これまでと制度を大きく変えることになります。まずは、店舗数の議論以前に、そういう状況の中で適切に行うことができるのか、どうすれば適切にできるのかということを、まずしっかりと検証をしていただきたいと考えております。
それから、もう1点、細かいことで心配なのは、受渡店舗の従業員が、安易に医薬品に触れられないようにする対策が必要だというのは、多くの所から意見を言われておりますので、しっかりその対策を行っていただきたいと思っております。
続けてよろしいでしょうか。
○中山部会長 どうぞ。
○森(昌)委員 では、次は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売ですが、いわゆる零売が必要になるときというのは、現場の人間からすると、様々なケースがあって、なかなか一律に線を引けないのが本音です。「やむを得ない場合」の判断というのは、これは、あくまでも薬剤師がそのときの購入者の状況を踏まえて適切に判断するものだと考えており、附帯決議でも『「やむを得ない場合」の範囲・運用については、国民の医薬品へのアクセスを阻害しないよう十分配慮すること』とされていますので、薬剤師が適切に判断したときには、販売できるようにしていただきたいと思います。
あと、まとめて述べさせていただきます。調剤業務の外部委託です。簡潔に、まずは、これまでも何回も発言してきましたが、安全かつ適切に実施されることは大前提。あくまでも目的は、対物業務の効率化を図り、業務の質向上のためと考えます。そうであれば、薬局の都合であったり、患者不在で行うべきものではないと考えます。このことは、省令等で適切に規制をしていただきたいと考えております。
最後です。薬局機能等のあり方の見直しの所なのですが、今後、2040年に向けて、人口構造、疾病構造、医療需要が変化してきて、そうしたことの地域差が大きな課題となってきます。その中で、国民がどこに住んでいても、必要な医薬品に迅速にアクセスができるような医薬品提供体制を構築していくことが、不可欠だと考えています。今回、改正後の薬機法第1条の5の第3項に、薬局開設者に関係行政機関との連携等により、医薬品の安定供給を行うことを求める内容が規定されました。地域の実状を把握して、医療計画等を踏まえて、関係行政機関と連携して、医薬品提供体制を構築・強化することが必要だと考えております。薬局が地域において、医療機関、行政機関、薬局同士の連携で医薬品供給拠点としての機能をしっかりと果たし、国民の必要な医薬品にアクセスできるように、これは国としても支援をしていただきたいと考えます。日本薬剤師会では、行政や多職種と連携の下、地域体制としての医薬品提供体制の強化、再構築に取り組むべく、地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストの作成を進めるなど、都道府県薬剤師会、それから地域薬剤師会の協力を得て取組を開始しています。日本薬剤師会としても、都道府県薬剤師会、地域薬剤師会と連携して、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
○中山部会長 どうもありがとうございました。御意見、御提案が主だったと思いますが、もし事務局から何か追加で説明があれば、お願いします。よろしいですか。
○大原薬事企画官 医薬局総務課です。個々にコメントさせていただくと長くなってしまいますので、御容赦いただければと思います。デジタル技術を用いた遠隔販売につきましては、どう遠隔で管理していくのかというところが重要なポイントとなってきますので、そういう点を含めて検討していきたいと思っております。零売の「やむを得ない場合」について御指摘いただいたかと思います。ちょっと説明が長くなるかと思うのですが、もう釈迦に説法かもしれませんが、これまでもこの零売を行う際に必要な対応というのは、法律、それから省令で規定されていて、それらの各種対応が遵守されうる場面を勘案して、「やむを得ない場合」というのが零売を可能とする状況であるとして、解釈を通知で示してきたところです。
一方で、通知の拡大解釈を含めまして、近年、医師が通常処方する数量を大きく超えた数量の販売ですとか、複数の医薬品を組み合わせた上で効能・効果を逸脱した標ぼうみたいな事例がありまして、保健衛生上の懸念のある不適切な事例が見受けられたということで、今回の改正では、この「やむを得ない場合」というのを法令上明確化して、適切な運用を確保するといった改正となっております。その上で、今後、「やむを得ない場合」を定めていくことになってくるかと思いますが、現行法令下で規定されている対応に準じた範囲での設定・明確化というのが想定されるところです。
いずれにしましても、こういった現行の法令下で規定されている対応に準じる範囲ということになりますので、不適切な販売は制限されることとなりますが、現在も、本来の趣旨に則って行われているような零売につきましては、これまでどおり継続が可能になると考えているところです。また、外部委託の御指摘につきましては、適切に対応させていただきたいと思っております。
最後に、薬局機能のお話を頂いたところです。今回、薬局開設者の責務規定に関係行政機関との連携等に関する追記をしました。一方で、薬局が地域の医薬品提供体制に向けてどのような役割を果たしていくかにつきましては、この医療計画の動き等も含めて、引き続き議論させていただくところです。また、こういった法令上の整理のみならず、実際に地域の薬局が、地域の実状を踏まえて連携して御対応いただくことが重要になってきます。別途、薬局薬剤師の機能強化等に関する検討会の議論のとりまとめでも、薬局においては医療提供機能に加えて、OTC薬の販売も含む健康サポート機能ということも求められています。こうした点を含めまして、地域の医薬品提供体制の構築に向けて、引き続き、御協力をお願いできればというところです。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。森委員、お願いします。
○森(昌)委員 最後の薬局機能の所なのですが、今後の医薬品提供体制を構築する上で、やはり医療計画等と整合を取るというのは非常に重要なことだと思いますので、是非、関連部局との連携もお願いしたいと考えます。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。今、中島委員、お願いします。
○中島委員 東京都の中島です。零売についてなのですが、不適切な販売に対する監視・指導の実効性を確保するためにも、やむを得ない場合の範囲につきましては、省令の中に明確に定めていただきたいと思います。省令の内容が不明瞭ですと、監視・指導に支障を生じる場面も出てくると思いますので、是非、御対応をよろしくお願いします。
○中山部会長 ありがとうございます。よろしいですかね。
○大原薬事企画官 省令での規定の際には留意してまいりたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。今の11、12ページの零売関係で、衆議院、参議院共に附帯決議が出ており、本当にそのとおりだと思います。処方箋医薬品以外の医療用医薬品はOTC化を行って、OTC医薬品として買えるようにすること。それも、患者が棚から勝手に取って買えるというのではなく、薬剤師あるいは登録販売者との相談を通じて買えるようにする。患者にとっては、薬剤師や登録販売者が、いい相談相手になるような薬局であってほしいと思いますし、薬剤師の対人業務の1つと考えて取り組んでいただきたいと思っております。
それから、もう一点いいですか。19ページのリアルワールドデータの所です。これについては、昨年のこの部会でも意見を申しましたが、衆院、参院の附帯決議にあるとおり、有効性・安全性の証明の程度がいい加減にならないように、十分留意して行ってほしいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。よろしいですか。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。前半のOTC化の推進につきまして、コメントをさせていただきます。先ほども申し上げましたように、薬局薬剤師につきましては、調剤や服薬指導など、患者を対象とした医療提供の機能に加えまして、OTC医薬品の販売、それから健康相談など、地域住民に向けた健康サポートといった場面で重要な役割を担っていただいているところです。こうした中で、医療用医薬品からこの要指導医薬品ですとか一般用医薬品への、いわゆるスイッチOTC化というところについては、薬剤師が販売できる医薬品の対象拡大というところでもつながっていくことですので、こういうことを引き続き促進することによって、薬剤師さんに更に活躍いただくことなのかと考えているところです。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、川上委員、お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 すみません、審査管理課です。先ほど北澤委員から、リアルワールドデータの件についてお話を頂きました。これについては、この部会の中の議論でも、北澤委員から同様の御指摘を何回か頂いておりますので、ご意見を踏まえて、とりまとめにもこういう記載になっておりますし、その指摘に沿うような形で運用していきたいと思っております。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。失礼しました。それでは、川上委員、お願いします。
○川上委員 川上です。先ほど森委員からも御発言がありましたが、資料14ページ、調剤業務の一部外部委託の制度化についてです。国会の審議において、対人業務に更に注力できるようにすること。また、安全性の確保と責任の所在を明確化することを御指摘されたことは大変重要かと思います。これを受けて、今後、様々な基準や遵守事項、省令等に適切に規定するため検討を進めていかれるとのことですので、薬局における調剤業務がないがしろにならないように、是非、しっかりと進めていただければと思います。
また、加えて、その状況を処方医や処方箋を発行した医療機関側からも、できれば、必要に応じて把握できるような仕組み等も検討いただければと思います。例えば、現在、電子処方箋の仕組み作りが進められていますが、電子処方箋管理サービスのサーバー等に調剤情報が登録されていきます。そういうところに外部委託をした旨などが登録されれば、医療機関側でも必要に応じて把握できるようになると思いますので、今後、様々な可能性を含めて御検討いただければと思う次第です。以上です。
○中山部会長 ありがとうございました。それでは、事務局、お願いします。
○大原薬事企画官 御指摘ありがとうございます。この調剤業務の一部外部委託につきましては、同じ資料の上にありますが、制度部会でも同様の御指摘を頂いているところですので、この施行に向けては、しっかり検討してまいりたいということです。後段の電子処方箋の所につきましては、ちょっと、今の時点でお答えできない部分はありますが、どういったことが可能かというところは、我々の中でも頭の整理をさせていただきたいと思います。
○中山部会長 ありがとうございました。では、ほかはいかがでしょうか。三澤委員、お願いします。
○三澤委員 慶應薬学部の三澤です。衆議院の附帯決議17番、リフィル処方箋についての記載がありますが、これについてちょっと御質問させていただきます。このリフィル処方箋というものは、今回の法律の改正のどこにひも付いた内容なのでしょうか。まずそこをお聞かせいただきたいと思います。
○中山部会長 総務課長、お願いします。
○重元総務課長 すみません、リフィル処方箋、この17番につきましては、今回の薬機法等の改正の具体的な改正項目のどこかにひも付いているというわけではありません。法案審議の中で、これに関連する質問もあったということも受けまして、このような附帯決議の項目として記載されたのではないかと想像しております。以上です。
○三澤委員 ありがとうございます。先ほど重元さんの御説明でも、この衆議院の附帯決議に対してはしっかりと対応していくとおっしゃっていましたが、では、この17番につきましては、どのようにしっかりと対応なさるおつもりでしょうか。
○中山部会長 ありがとうございます。総務課長。
○重元総務課長 この項目の直接の所管は、医薬局というよりも保険局の話になってくるかと思います。この内容自体は関係局も十分承知をしておりますので、そちらのほうで対応していくことになるかと思います。
○中山部会長 三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 このような意見が出てくるということ。また、利用状況の実態調査うんぬんで、利用が進まないことがはっきりと書かれている状況です。私もそれは認識をしております。法律改正に関して、直接結び付かないリフィル処方箋という言葉が出てきて、状況の改善を望むという附帯決議が付いているわけですので、今後、何らかの形で、このリフィル処方箋というものを法律に関係付けるということは考えないわけでしょうか。
○中山部会長 いかがでしょうか。お願いします。
○重元総務課長 そこにつきましては、この17番の項目を踏まえて、どのような利用促進に取り組むのかということを検討することになるかと思いますので、何か法律で位置付けるかどうかということだけではなく、様々な方策で利用促進に取り組むことになるのではないかと思っております。
○三澤委員 是非、そのようにお願いします。
○中山部会長 どうもありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。オンラインのほうからもよろしいですか。全体を通していかがでしょうか。もしあれば。もしないようでしたら、次の議題に進みたいと思います。それでは、議題1については、どうもありがとうございました。引き続き、厚生労働省に対応、いろいろ課題がありますが、進めていただければと思います。
それでは、議題2について、事務局から説明をお願いします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。資料2「厚生科学審議会への医療用医薬品迅速・安定供給部会の設置について」について御説明をいたします。次のページに厚生科学審議会の組織図の改定についての資料がございます。厚生科学審議会、いわゆる親審議会において、新たな部会の設置ということについて、了承がなされていますので、その御報告となります。この図の右下の所を御覧ください。黄色の所に、医療用医薬品迅速・安定供給部会が新しく設置されるということがあります。これまで、医薬品の安定供給等については、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議等の関係する検討の場において御議論いただいておりました。
その中の施策の1つとして、安定確保医薬品、特に安定供給が必要な医薬品をリスト化する作業、これについてはこの安定確保会議で御議論いただき、そして今、その見直し作業についても安定確保会議の下のWGで御議論いただいている、そのような状況です。
今回の改正法においては、先ほど全体象の御説明が医薬局総務課長からありましたが、安定供給関係の規定も盛り込まれており、その中で、今、安定確保医薬品として運用されているもの、これを医療法に基づき「供給確保医薬品」、そして「重要供給確保医薬品」、このような形で法令上の根拠を与えるとともに、それについて厚生労働大臣が必要な指示を行うことができる等の規定が設けられています。
この供給確保医薬品、重要供給確保医薬品については、改正後の医療法第37条及び第38条の規定に基づき、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定する、このような規定になっております。新しい部会においては、この供給確保医薬品、重要供給確保医薬品の指定等について御議論いただく、そのようなことが1つ想定をされているものということです。
次のページです。右肩に厚生科学審議会の資料2と書いてあるページですが、これが厚生科学審議会で御了承いただいた、この新部会の設置に関する趣旨紙ということです。今、私が申し上げたこと、これは2の「部会の検討事項」の(2)ということで、供給確保医薬品・重要供給確保医薬品の指定に関することが書いてあります。そのほか、この部会の名前にございますとおり、医療用医薬品の迅速かつ安定的な供給に向けた対策、このようなことを含めて御議論いただく場として、新しい部会を設置することになっております。
最後に、この医薬品医療機器制度部会との関係について、補足で説明をいたします。今回の改正法において、安定供給に関する事項、これはこれまで基本的に行政指導ベースで行われていたものを、法律に根拠を持つ形で規定をいたしました。そのような規定の中には、今、私が申し上げたような、重要供給確保医薬品等の指定、そしてその増産等に係る要請、指示等の規定、こうした規定が医療法に規定されています。また薬機法においても、供給体制管理責任者の設置、それから供給停止時の届出など、製造販売業者に対する規制については、薬機法に規定されているということです。
今後、仮にこのような薬機法に規定されている安定供給に関する事項、このようなことの制度改正を検討することになった場合は、これは安定供給確保策全般を議論する、この新しい部会のほうで御議論いただく、そのようなことを考えております。もちろん、この薬機法に関する規定全般、すなわち薬事行政に関する全般の事項は、この医薬品医療機器制度部会で御議論いただいてきたということもございます。そのような意味において、新しい部会で御議論いただきつつ、必要に応じ、この制度部会にも御報告させていただきながら議論を進めていきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 御説明、どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○森(昌)委員 ありがとうございます。部会の設置について異論はありません。それで、意見というかお願いなのですが、供給問題が発生して、もうすぐ4年半位経過するかと思いますが、いまだに供給不足・供給不安が続いています。1つの医薬品が限定出荷から解除されると、今度は別の医薬品が限定出荷・出荷停止になったりということで、現場では対応に追われています。今、課長からも様々な場で検討するというお話がありましたけれども、この医薬品の品質問題、安定供給は製造の問題のみならず流通や現場での使用、薬価、様々な課題があるのではないかと考えています。厚労省の関係部局で連携を取り、新たに設置される本部会を始め、引き続き関係する審議会、部会でしっかりと議論をしていただきたいと考えます。以上です。
○中山部会長 ありがとうございます。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。今、森委員がおっしゃられましたとおり、安定供給の問題、これはいわゆるメーカー側の問題だけではなく、流通や薬価による下支え、そのようなことも含めて様々な観点が関わる問題でございます。 厚生労働省におきましても、私どもの課が安定供給の問題についてメインで対応しておりますので、私どもの課が中心となりながら、関係局とも連携してこれまでも対応してきておりますし、これは新しい部会ができた後も引き続きそのような姿勢で望んでまいります。よろしくお願いいたします。
○中山部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか、よろしいですか。非常に重要な課題で、新しい部会の設置ということで、引き続き厚労省、それから関係の方々、多分いろいろなところで御助言、御指導を頂くと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、どうもありがとうございました。皆様、おかげを持ちまして、非常に貴重な御意見を頂き、いろいろな議論ができたと思います。最後に事務局から連絡事項等があればよろしくお願いいたします。
○重元総務課長 ありがとうございました。次回の第2回制度部会の日程につきましては、別途事務局から御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。
○中山部会長 それでは、以上をもちまして「令和7年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を閉会いたします。御協力、誠にどうもありがとうございました。お疲れさまでした。