中央社会保険医療協議会薬価算定組織 議事録令和6年度第7回

日時

第7回:令和6年12月10日(火)

場所

オンライン開催

出席者

<委員>
第7回
弦間昭彦委員長、齋藤信也委員、田﨑嘉一委員、福田謙一委員、眞野成康委員、諸井雅男委員
         
<事務局>
清原薬剤管理官 他

 

議題

改定時加算等不服について

 

議事

 
○薬剤管理官
 定刻になりましたので「薬価算定組織会議」を始めたいと思います。
 師走のお忙しい中、先生方におかれましては、時間を調整していただきまして、ありがとうございます。
 11月末をもちまして、前田前委員長が10年の任期満了により御退任されましたことから、開催に当たり、委員長の選出を行いたいと思います。
 薬価算定組織運営要綱第2条第3項の規定に、委員長は、本委員の中から互選により選出するとあります。
 このため、新委員長を本委員の中から互選により選出いただきたいと存じます。
 どなたか御推薦される方はいらっしゃいますでしょうか。
○□□委員
 これまで委員長代理を長く務められました御経験も踏まえまして、弦間先生にお願いするのがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○薬剤管理官
 ありがとうございます。
 ほかに御意見がなければ。
 それでは、弦間先生に委員長をお願いすることについて、委員の先生方も御異存なければ、御了承いただけますでしょうか。
(異議なし)
○薬剤管理官
 ありがとうございます。
 それでは、弦間先生に委員長をお願いいたしたいと思います。
 続きまして、同じく、薬価算定組織運営要綱第2条第5項の規定により、委員長は、あらかじめ代理を指名することとなっております。
 委員長におかれましては、薬価算定組織の委員長代理をあらかじめ御指名願います。
○薬価算定組織委員長
 今回、委員長代理を2名指名させていただきたいと思っております。
 その理由といたしましては、令和7年から年間7回収載ということでございまして、昨年よりも多くの会議を開催する可能性があります。
 委員長代理につきましては、下井先生と眞野先生の2名を指名させていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○薬剤管理官
 ありがとうございます。
 眞野先生、いかがでしょうか。
○眞野委員
 眞野です。
 ぜひよろしくお願いいたします。
○薬剤管理官
 こちらこそよろしくお願いいたします。
 また、本日御欠席の下井先生におかれましては、事務局から御意向を確認させていただきます。そして、改めて皆様に御報告いたしたいと思います。
 それでは、今後、どうぞよろしくお願いいたします。
 
エンレスト錠50mg、エンレスト錠100mg、エンレスト錠200mg
日時:令和6年12月10日(火)※企業の意見陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 エンレスト錠50mg、100mg、200mgでございます。
 事務局から、今回の不服意見と事務局案について、欠席委員の意見を踏まえまして説明いただきたいと思います。
 また、本件につきましては、企業の意見陳述がございます。
 よろしくお願いいたします。
○事務局
(事務局より、小児適応の効能追加等に対する加算の該当性について説明)
○薬価算定組織委員長
 ただいまの説明についてでございますが、御意見等はございますでしょうか。
 それでは、企業からの意見の聴取を行いたいと思います。
 事務局は、企業の入室をお願いいたします。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、エンレスト錠50mg、100mg、200mgについての意見を10分以内で説明いただきたいと思います。
 また、終了1分前にはベルを1回、終了時にはベルを2回鳴らします。
 また、それに続きまして、委員から質問をさせていただきますので、回答をお願いいたしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 ありがとうございます。
 ノバルティスファーマの□□と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 エンレスト錠は、本年2月に承認されました。
 その後、小児専用製剤である粒状錠が5月に薬価収載され、そのときには20%の小児加算をいただいております。
 今回、小児加算改定時につきまして、10%の加算ということで、粒状錠より低い御評価をいただいたということで、不服意見を述べさせていただきたいと思っております。
 2ページ目、希望する加算率とその根拠についてでございます。
 弊社は、20%の加算を希望しております。
 理由は、こちらにありますように、5つございます。
 まず、本年2月の本剤の承認時には、小児慢性心不全に対する承認された薬剤はなく、本剤が初の小児慢性心不全の薬剤であること。
 2番目、非常に臨床試験の実施が困難である中、過去最大の国際共同治験を行いまして、さらに12名の日本人の小児患者を本試験に組み入れることができました。
 3番目、PMDAの確認を受け、成人と小児の同時開発の実施を行ってまいりました。
 4番目、PMDAも、小児の慢性心不全における新たな治療選択肢として、臨床現場に提供する意義があると考えると評価いただいております。
 5番目、1歳以上の全ての小児に投与可能な薬剤であります。
 現場においても、12キログラム未満のみならず、12キログラム以上の患者にも使用されると想定されます。
 次のページをお願いいたします。
 「エンレスト錠臨床試験の日本人患者数について」でございます。
 小児患者は非常に少なく、二重盲検ランダム化比較試験でございましたので、小児及び保護者から同意を取得しにくい状況でございました。
 また、海外では、成人に対して承認が下りておりましたが、日本におきましては、成人と小児に対して同時開発を進めておりましたので、日本人の成人に対するエビデンスがなかったことが、さらに小児に対する組入れを難しくしている状況でございました。
 PMDAも審査報告書の中で、小児の慢性心不全の有病率が低いこと。
 また、その有効性の検証を目的とした規模の試験の実施は困難であるとしています。
 にもかかわらず、小児循環器学会及び小児治験ネットワークの御協力が得られ、最終的には12名の日本人患者を組み入れることができました。
 評価可能な日本人データの取得のために、最大限の努力をしたこと。
 また、症例の組入れが非常に困難であったことを考えますと、臨床試験における日本人患者の組入れが充実していないとの指摘には当たらないと考えております。
 なお、この試験につきましては、粒状錠は20%の加算をいただいておりますが、同じ試験内でエンレスト錠の小児の用法・用量も承認をいただいているものになります。
 次のページをお願いいたします。
 続きまして「エンレスト錠の投与対象患者について」でございます。
 エンレスト錠は、1歳以上の小児に対して用法・用量が承認されております。
 錠剤を粉砕し、懸濁液として投与することが可能です。
 錠剤や粒状錠で対応できない低体重、12キログラム未満の小児を含め、それ以上の投与対象となる1歳以上の全ての患者に対応が可能でございます。
 臨床試験におきましては、投与開始時の剤形は、375名中、錠のままが54名、錠の粉砕懸濁が212名と、約70%の被験者が錠を使用しておりました。
 実臨床においても、1歳以上の幅広い体重の患者に使用されることが想定されます。
 小児に対する薬剤開発をしている中、体重12キログラム以上に粒状錠が使用可能ではありますが、その粒状錠を開発したことによって、本剤の評価が低くなるのは適切ではないと考えております。
 以上、弊社からでございます。
 ここからは、本剤の臨床試験の参加医師でございます、□□□□に、臨床医としての御意見をいただきたいと思います。
 先生、お願いいたします。
○申請者(専門家)
 よろしくお願いします。
 □□□□と申します。
 小児循環器学会とか小児治験ネットワークに関わっておりますので、本日、意見を述べさせていただこうかと思います。
 スライドを1個戻っていただいてよろしいですか。
 臨床試験の日本人患者数に関しては、国際治験の日本人の割合、要は、400人弱ぐらいが国際共同治験に入っています。そのうちの12名が日本人ということになります。
 成人の試験で、PARADIGM試験があって、それが8,400例ぐらい入っていて、日本の治験だと225例。割合としても大体同等かなと思います。
 あと、小児循環器学会で関わらせていただいた小児治験推進プロジェクトを小児循環器学会で行っていまして、そちらで今まで10件がプロジェクトとして関わらせていただいています。
 その治験の組入れの人数をみんな確かめてきたのですが、大体肺高血圧症があると、5例前後の治験の組入れになっていまして、本来は心不全で、対象疾患として、恐らく拡張型心筋症がほとんどでしたので、その有病率を考えると、肺高血圧症よりも多少多めに組入れができていると考えておりますので、組入れの人数としては、本邦の小児の治験としては比較的頑張ったほうかと考えております。
 次のページをお願いします。
 剤形に関しては、粒状錠はまだ日本ではそんなに広まっていない剤形であります。
 ですので、実際に今、当センターでも患者さんに処方するときには、特に心不全で多剤、要は1剤ではなくて、2剤、3剤と飲んでいる患者さんに飲んでいただくときには、錠剤を粉砕して、ほかの薬と混ぜて一本にして処方したほうが、入院の場合、看護師さん等が喜ばれて、前回も粒状錠を処方しようとしましたら、錠剤の粉砕では駄目かと言われました。なので、粒状錠はきちんと小児の剤形ですよと広まるには、もう少しだけ時間がかかるかなと考えております。ですので、決して錠剤の粉砕が特別なやり方というわけではない。
 特に今回は、粉砕で安定性のデータも全て出ていて、治験も粉砕でされていますので、粒状錠があるから、錠剤の粉砕は出ないというわけでは全くないことは分かっていただけたらと思います。
 以上です。
○申請者
 ありがとうございます。
 それでは、2ページにお戻りください。
 ありがとうございます。
 最後に、まとめさせてください。
 エンレスト錠は、日本初の小児慢性心不全の薬剤でございます。
 成人と小児の同時開発を行い、患者の組入れが困難な中、過去最大級の治験を行い、12名の小児を組み入れております。
 そして、本剤は、国内では成人と小児の同時開発を進めており、PMDAも臨床現場に提供する価値があると認めております。
 そして、12キログラム未満のみならず、1歳以上の全ての小児に投与可能でございます。
 これら5点のうち、12キロ未満に投与ができること以外の全ての点について、今まで20%の加算をいただきました粒状錠と同じ内容になっております。
 ということで、弊社としては20%の加算を希望いたします。
 どうぞ御検討のほど、よろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の先生方から何か質問はございますでしょうか。
○□□委員
 では、一つよろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 はい。お願いします。
○□□委員
 ありがとうございました。
 12名の小児の組入れがあったということなのですが、12キログラム未満の小児がその中にどれぐらいいたか、教えていただけますか。
○申請者
 今、データは確認できておりませんので、お答えは、申し訳ありませんが、できません。
○□□委員
 分からない。
○申請者
 そうですね。申し訳ないです。
 日本人症例については、確認しておりません。
○□□委員
 分からないということですね。
○申請者
 はい。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ほかにいかがでしょうか。
 粒状錠と懸濁で、粒状錠がある程度広まったときに、大体どんな感じで使われると考えられますか。
○申請者(専門家)
 一応、粒状錠自体はカプセルに入っていまして、カプセルを割って錠剤の細かいものがぱらぱらと出てくる感じになります。
 ですので、基本的には、ある程度の小さい子でも誤嚥はしないというデータは一応ありますので、粒状錠がきちんと広まっていただければ、親御さんもそういうものに慣れていただければと。
 一般的に外来で処方して、あまりいっぱい薬があると、また一個一個開けるのが大変になってしまいますが、ある程度飲んでいる薬剤の数が少ない患者さんは、粒状錠をそのまま、我々というか、ノバルティスさんが推奨しているように、ヨーグルトに混ぜたり、そういう形できちんと飲めるのではないかと考えております。
○申請者
 なお、弊社で大口先の使用状況を調べましたところ、粒状錠が7割、錠が3割ぐらいの割合で使われていることが分かりました。
 一方で、粒状錠を採用されない施設もございますので、そういうところは錠が100%ということになります。
 その割合によりまして、今後の粒状錠の使用割合が分かるのかなと思っておりまして、70~30%ぐらいの間ぐらいなのかなと想像しております。
○薬価算定組織委員長
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業の意見の聴取については終了とさせていただきます。
 企業の方は、御退室をお願いいたします。
○申請者
 ありがとうございました。
 
(申請者退室)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、先ほどの企業の意見を踏まえまして、御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、加算案のとおりとさせていただきます。
 
ジャカビ錠5mg、ジャカビ錠10mg
日時:令和6年12月10日(火)※企業の意見陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 次は、ジャカビ錠5mg、10mgの審査でございます。
事務局から、今回の不服意見と事務局案について、欠席委員の意見を踏まえて説明いただきたいと思います。
 また、この件については、企業の意見陳述がございます。
 よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、迅速導入加算の該当性について説明)
 ○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 ただいまの事務局案について、御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。
 事務局は、企業の入室をお願いいたします。
 
(申請者入室)
 
○薬価算定組織委員長
 最初に、ジャカビ錠5mg、10mgについて、御意見を10分以内で御説明いただきたいと思います。
 また、終了1分前にはベルを1回、終了時にはベルを2回鳴らします。
 その後、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたしします。
○申請者
 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 ノバルティスファーマで薬価を担当しております、□□と申します。
 本日は、私からジャカビ錠の意見陳述をさせていただきたいと思います。
 本剤ですが、12歳未満の小児GVHDということで、効能・効果、用法・用量の追加を行っておりまして、錠剤に併せて内用液も小児用製剤ということで発売させていただいております。
 今回、小児用製剤に関しましては、11月に薬価収載しておりますが、迅速導入加算が適用となっているのに対して、錠剤に関しては、再審査期間が残余であったところもあり、迅速導入加算が適用となっていない点に関しまして、本日は意見陳述をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次のページを御覧いただければと思います。
 薬価算定の基準にあります迅速導入加算の要件を示したものでございます。
 迅速導入加算は、下のイ~ニの4つの要件を全て満たす医薬品が対象となっている点は御承知のことかと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらは、迅速導入加算の各要件に関しまして、弊社ジャカビ錠が該当しているかどうかというものを見たものでございます。
 表の右側「該当する根拠」にお示しさせていただいておりますが、本剤に関しましては、イ~ニの全ての要件を満たしていることから、迅速導入加算には該当しているものと考えております。
 本日は、その点について、次のスライドから説明させていただきたいと思います。
 では、次のページをお願いいたします。
 迅速導入加算のイの要件における該当性を見たものでございます。
 本剤は、小児の急性GVHD、慢性GVHDということで、REACH4とREACH5という2つの臨床試験を行っております。
 また、日本人症例もそれぞれ6名、7名登録されております。
 本日は時間の関係上、試験の詳細とか結果については割愛させていただきますが、文字でもお示ししておりますが、国際共同試験により開発された品目であること、及び日本人症例も登録されていることから、この要件は該当していると考えております。
 次のスライドをお願いいたします。
 迅速導入加算のロの要件における該当性を見たものでございます。
 本剤は、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病を予定されている効能・効果といたしまして、令和2年12月25日付で希少疾病用医薬品に指定されている薬剤でございます。
 なお、令和6年に「希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて」に一部改正がございまして、優先審査の取扱いに関しましては、この枠の中に記載されているような文言がございます。
 一部だけ読み上げさせていただきますが、希少疾病用医薬品のうち、優先審査及び優先相談の対象となるのは、当面の間、従前の希少疾病用医薬品の指定の基準を満たすものに限るものとするという記載がございます。
 本剤に関しましては、この通知発出前の令和2年12月25日付で希少疾病用医薬品に指定されていることから、従前の希少疾病用医薬品の指定の基準を満たすところに該当しますので、優先審査の対象であると考えている次第でございます。
 また、11月に薬価収載されておりますジャカビ内用液小児用に関しましても、当該要求を満たし、迅速導入加算が適用となっていることからも、同様の判断をお願いできればと考えております。
 では、次のスライドをお願いいたします。
 迅速導入加算のハ、ニの要件における該当性を示したものでございます。
 欧州と日本の申請日及び承認日をお示ししておりますが、欧州に関しましては、2023年11月23日に、欧州の規制当局でありますEMAに提出しております。
 承認は、□□□□を予定しているというタイムラインとなっておりますが、本邦におきましては、2024年2月27日に承認申請を行っておりまして、これは、欧州の11月23日から約3か月後という期間でございました。
 また、承認に関しましては9月24日でございましたので、これは欧州よりも早い承認となっているところを御確認いただければと思います。
 したがいまして、繰り返しになりますが、本剤の日本における承認申請は、欧州の承認申請から約3か月後であること。
 また、承認は欧州よりも早いことから、迅速導入加算ハ及びニの要件に該当していると考えております。
 なお、先ほどのロの要件の補足となりますが、下の表に、日本の申請と承認のスケジュールをお示ししております。
 御確認いただきますとお分かりいただけますように、申請から承認までが約7か月となっておりますので、実際に優先審査の期間で審査が行われ、承認されているところも改めて御確認いただければと思います。
 では、次のスライドをお願いいたします。
 以上の説明を踏まえまして、最終的な弊社の意見をお伝えさせていただければと思います。
 本剤は、迅速導入加算におけますイ~ニの要件全てを満たしていることから、迅速導入加算を適用すべき薬剤であると考えております。
 今回、迅速導入加算が適用とならなかった理由といたしまして、再審査期間が残余であったところがあると伺っております。
 しかしながら、2ページ目でお示ししておりますとおり、迅速導入加算の要件の中に、再審査期間は含まれていないところで、再審査期間が迅速導入加算の該当要件には当たらないと考えている次第でございます。
 また、当社は、本剤の日本への早期上市に向けまして、国際共同試験を2つ実施し、日本人症例も多く登録しております。
 また、欧州の申請から約3か月と短い間での申請、そして、欧州よりも早い承認となっております。
 一方、再審査は、審査の過程において機構により判断されて付与されるものかと思いますが、再審査を理由に加算の妥当性を評価するところは、迅速導入加算の本来の趣旨である早期上市のインセンティブからは外れるものではないかと考えております。
 また、先ほどもお伝えしましたが、ジャカビ内用液小児用では迅速導入加算が適用となっているところからも、同一の判断をぜひお願いしたいと考えております。
 なお、今回のこのような算定案に関しましては、革新的な医薬品に対して適切な価値評価を損なう。我々としましても、予見性を損なう、予見性に乏しいという結果になっているかと思いますので、今後の開発、特に企業の小児開発といったところに関しましてネガティブな影響が懸念されるところを我々としては懸念しているところでございます。
 私どもに関しましては、薬価算定の基準にのっとって適切に申請、主張をさせていただいておりますので、ぜひこの組織におきましても適切な判断をお願いできればと考えております。
 なお、迅速導入加算の加算率に関しましては、これまでも主張させていただいておりますとおり、10%が適当であると考えております。
 これは、迅速導入加算の要件を全て満たしていることに加えまして、欧州よりも早い承認であるところから、これまでの事例を踏まえましても10%が妥当であると考えておりますので、併せて御検討いただけますと幸いでございます。
 弊社からの意見陳述は、以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問はございますでしょうか。
 再審査について、新たな審査期間の付与がないというのは、基本的には適応症、また、効能・効果等にあまり違いがないということで、再審査付与は新たに不必要と考えられたように思いますが、その点についてはいかがですか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 こちらの点に関しましては、先ほど説明させていただいたとおりにはなりますが、あくまでも審査報告書の中におきましては、今回、本品目に関しては新用量医薬品として申請されたものとみなして、最終的には残余期間を設定すると記載されておりまして、審査の中でそれ以上の詳細な理由は出てきていない状況になります。
 ただ、一方で、成人、先に承認を取っていた残余期間となったものに関しては、小児の承認時点で8年11か月の再審査期間が付与されていたことも踏まえて、小児についてもそちらの年数が付与されたと考えております。
 ただ、私どもも、判断理由につきましては、当局側から確認ができていないところになります。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業の意見聴取については終了とさせていただきます。
 企業の方は退室をお願いしたいと思います。
○申請者
 ありがとうございました。
 
(申請者退室)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえまして、何か御意見はございますでしょうか。
 事務局にお聞きしたいのですが、なかなか難しい議論であろうと思うのですが、既存の承認内容にはないけれども、そういった新たな再審査期間の付与がないというのは、基本的にはこの延長線にあると考えることはそのとおりかと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
○事務局
 事務局でございます。
 薬事におきましては、再審査期間の新たな付与に関して、効能・効果、用法・用量等について、明らかに異なるかどうかというところが基準となっておりまして、今回は既存の承認の範囲と明らかに異ならないということで、新たな再審査期間は付与されていないと認識しております。これまでの承認の延長線にある内容と捉えてございます。
○薬価算定組織委員長
 御意見とかはございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、加算案のとおりとさせていただきます。
 
アレセンサカプセル150mg
日時:令和6年12月10日(火)※企業の意見陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 アレセンサカプセル150mgです。
 事務局から、今回の不服意見と事務局案について、欠席委員の意見を踏まえて説明いただきたいと思います。
 また、本件につきましても、企業の意見陳述がございます。
 よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、迅速導入加算の該当性について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 ただいまの事務局の説明について、御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業の意見の聴取をお願いしたいと思います。
 事務局は、企業の入室をお願いします。
 
(申請者入室)
 
○薬価算定組織委員長
 最初に、アレセンサカプセル150mgについて、意見を10分以内で御説明いただきたいと思います。
 また、終了1分前にはベルを1回、終了時にはベルを2回鳴らします。
 続いて、委員から質問させていただきますので、御回答をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 よろしくお願いいたします。
 私は、中外製薬で薬価を担当しております、□□と申します。
 本日は意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 2ページ目をお願いいたします。
 本剤は、アレクチニブ塩酸塩を有効成分とする、日本で創製された選択的ALK阻害剤でございます。
 ALK融合遺伝子陽性の早期非小細胞肺がんを完全切除した患者様を対象として実施したグローバル第Ⅲ相試験でございますALINA試験におきまして、再発または死亡リスクを76%低下させました。
 また、国内申請につきましては、欧米とほぼ同時期に実施しておりまして、欧米に遅れることなく適応拡大を実現しており、迅速導入により効能または効果等が追加された既収載品の加算要件を満たしていると考えております。
 3ページ目をお願いいたします。
 本剤の改定時加算について、適応拡大の根拠となりましたALINA試験は、日本人症例が十分に組み入れられており、日本人部分集団においても高い有効性が期待される結果であると考えられることから、A=10%が妥当であると考えております。
 以降、その論拠につきまして、担当の□□より詳細を説明させていただきます。
○申請者
 中外製薬株式会社で本剤を統括しております、□□でございます。
 4ページを御覧ください。
 適応拡大の根拠となったALINA試験に、日本人症例が十分に組み入れられており、日本人部分集団においても高い有効性が期待される結果であると考える論拠を2つ説明させていただきます。
 1点目です。
 ALINA試験の実施に当たっては、対象患者数が、本邦において500~1,270人程度と非常に少ないことに加え、院内でのALK融合遺伝子検査が必要だったことから、施設立ち上げや症例登録に困難を伴ったにもかかわらず、全体の13.6%となる35名の日本人症例を組み入れることに成功しました。
 これは、非小細胞肺がんにおいて、アジア人で最も発現率が高いEGFR変異を対象とした他剤の臨床試験と比較しても、同程度の日本人症例の割合を達成していること。
 並びに、ALINA試験の対象患者数が10倍程度少ないことを考慮し、最大限の症例登録を推進したと考えております。
 2点目に、ALINA試験の日本人部分集団において、主要評価項目である無病生存期間(DFS)のプラチナ製剤併用化学療法群に対する本剤群の層別ハザード比は、全体集団と同様に高い有効性が期待される結果となっていることを挙げています。
 以降、それぞれについて、データを用いて説明いたします。
 5ページ目を御覧ください。
 左の円グラフに示すとおり、遺伝子変異の発現割合について、EGFRはアジア人が最も高い一方で、ALK融合遺伝子は人種差がなく、発現割合も非常に低くなっています。
 また、治験開始当時、進行・再発の非小細胞肺がんにおける院内検査は一般的でしたが、外科手術症例に対するALK検査の実施は一般的ではなく、対象患者を見つけるには、術後検体を使用した院内での検査体制を構築する必要があったため、施設立ち上げや症例登録には非常に困難を伴いました。
 したがって、ALK融合遺伝子陽性の患者を対象とする本剤のALINA試験において、日本人の症例登録の難易度が非常に高かったと考えております。
 このような状況にもかかわらず、発現割合の最も多いEGFR遺伝子変異を対象としたADAURA試験と同程度の割合で日本人症例の組入れを達成できたことは、より多くの日本人症例の集積のために最大限取り組んだ結果と言えます。
 6ページ目を御覧ください。
 ALINA試験における日本人症例数は、国際共同治験の基本的な考え方も参考に、全体集団及び日本人部分集団において、約80%の確率で同傾向の基準を満たすために、34例の集積が必要と設定していました。
 実際には、これを上回る35例という症例集積を達成しており、全体集団と日本人部分集団の傾向を評価できる十分な症例数を集積できたと考えております。
 7ページ目を御覧ください。
 2つ目の論拠について説明いたします。
 ALINA試験ではプラチナ製剤併用化学療法に対する本剤の治療効果が示されました。
 主要評価項目である無病生存期間(DFS)の比較において、日本人部分集団でも、全体集団と同様の有効性が期待される結果となっており、日本人患者にも大きなベネフィットが見込まれます。
 実際に、12月9日の時点で58例の患者さんに投与されているところを確認しております。
○申請者
 8ページ目を御覧ください。
 「まとめ」でございます。
 本剤は、日本で創製されたALK阻害剤でございます。
 ALK融合遺伝子陽性の早期非小細胞肺がんを完全切除した患者さんを対象に実施されましたグローバル第Ⅲ相の臨床試験であるALINA試験におきまして、再発または死亡リスクを76%低下させております。
 ALINA試験には、必要とされた日本人症例数を上回り、かつ、他剤とも遜色ない割合の日本人症例が登録されており、日本人部分集団においても高い有効性が期待される結果であると考えられます。
 さらに、国内申請を欧米とほぼ同時期に実施しておりまして、さらに欧米に遅れることなく、適応拡大を実現しております。
 以上のことから、日本人患者さんに大きなベネフィットをもたらしている薬剤であることも踏まえまして、A=10%が妥当であると考えております。
 本剤に関する弊社からの説明は以上でございます。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の先生方から何か御質問等はございますでしょうか。
 全体集団と日本人部分集団のDFSなのですが、日本人集団は、確かにハザードレシオは倍ぐらいで、それなりにあるという感じですが、クロスしているのが気になるのですが、この辺りはどんな感じなのでしょう。
○申請者
 ありがとうございます。
 臨床開発を担当しております、中外製薬の□□より回答させていただきます。
 おっしゃっていただいた点は、後半でカプランマイヤー曲線が落ちているところかと思いますが、今回、日本人部分集団におきまして、アレクチニブ群の生存フォローアップ期間の中央値が44か月となってございますので、クロスした時点あたりで打切りが多く発生しているような状況となっております。
 ですので、今後、フォローアップを継続してまいりますと、グローバル集団のような形のカプランマイヤー曲線に近づいていくことも期待されると弊社では考えてございます。
○薬価算定組織委員長
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取を終了とさせていただきます。
 企業の方は、退室をお願いいたします。
○申請者
 ありがとうございました。
 
(申請者退室)
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、ただいまの企業の意見を踏まえましてまた御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 私は肺がん専門なので、このデータを見ると、十分とは言えないかもしれないと思うのです。
 症例集積は難しいとは思うのですが。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、加算案のとおりとさせていただきます。