第170回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和7年1月13日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、今井構成員、上村構成員、岡田構成員、掛江構成員、木村構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、蓮沼構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山座長代理、山本構成員、黒瀨構成員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
  2. 新規申請技術の評価結果について
  3. 試験実施計画の変更について
  4. 協力医療機関の追加について
  5. その他

議事

議事内容

○竹内座長
 定刻となりました。「第170回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。御多用の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 まずはじめに、本日の構成員の出欠状況について事務局よりお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。本日の構成員の出欠状況ですが、後藤構成員より御欠席の御連絡を頂いております。また、真田構成員と平田構成員より、遅れて御参加されると連絡を頂いております。また、上村構成員と山本構成員も後ほど入室されます。本日は技術専門委員として、久慈直昭技術専門委員、榎本隆之技術専門委員に御出席いただいております。また、有識者として藤井多久磨先生に御出席いただいております。どうもありがとうございます。
 本日は20名の構成員のうち、15名の構成員にお集まりいただいていることから、定足数を満たしており本会が成立していることを申し添えます。なお、傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 続いて、配布資料及び本日の審査案件について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果については資料1-1~資料1-5、新規申請技術の評価結果については資料2-1~資料3-4、試験実施計画の変更については資料4と資料5、協力医療機関の追加については資料6-1と資料6-2、第一種再生医療等のうち先進医療に関する審査の流れについては資料7、令和7年度先進医療技術審査部会開催予定表は資料8、会議資料の最終ページは105ページとなっております。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号144の技術、大阪大学医学部附属病院からの新規申請に関して、岡田構成員と飛田構成員におかれましては自施設の申請であることから、審議の際には一時御退席いただければと存じます。木村構成員からも利益相反に該当がありましたため、審議時には一時御退席いただければと存じます。また、整理番号145の技術、香川大学医学部附属病院からの新規申請に関して、木村構成員より、御家族が対象企業の職員であるため、当該議事の際は御退席のほどお願いいたします。また、整理番号146の技術、高知大学医学部附属病院からの新規申請に関して、真田構成員におかれましては、自施設からの申請であることから審議の際には一時御退席いただければと存じます。上村構成員より、御家族が対象企業の職員であるため、当該議事の際は御退席のほどお願いいたします。また、木村構成員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは、該当なしということで承知いたしました。また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して構成員・事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには「手挙げ機能」が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
 それでは、以降の議事進行については竹内座長にお願いいたします。
○竹内座長
 議事に入ります。まず、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の1ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は整理番号144、脊髄髄膜瘤胎児手術です。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が坂井構成員、副担当が伊藤構成員及び一家構成員、技術専門委員が久慈技術専門委員となっております。なお、本議題の審議に際し、岡田構成員、木村構成員、飛田構成員におかれましては、利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
                            (岡田構成員、木村構成員、飛田構成員 退席)
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料1-5の17ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。
 まず、1番目の実施責任医師の要件は、診療科は産婦人科、産科、婦人科又はこれらに準じる科であることが必要、資格は日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であることが必要、当該診療科の経験年数は7年以上が必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は実施者又は助手として3例以上が必要となっております。
 2番目の医療機関の要件は、診療科は産婦人科、産科、婦人科又はこれらに準じる科かつ脳神経外科かつ小児外科かつ小児科かつ麻酔科が必要、実施診療科の医師数は実施責任医師を含む常勤の医師が2名以上必要、他診療科の医師数は脳神経外科医、小児外科医、麻酔科常勤医師各1名以上、小児科医2名以上が必要、その他医療従事者の配置は、薬剤師、臨床工学技士が必要、病床数は400床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は、産科、婦人科医師、小児科医師がそれぞれ毎日1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、ほかの医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理委員会による審査体制は原則月1回の開催が必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は1例以上が必要、その他として、総合周産期医療センターを設置していることが必要となっております。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。これらの要件について、御意見等はありますか、よろしいでしょうか。それでは、様式第9号については、お認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の坂井構成員より御説明をお願いいたします。
○坂井構成員
 よろしくお願いいたします。2回目になりますが、概要から簡単に御説明させていただきます。本申請は脊髄髄膜瘤に対する胎児手術を評価する内容となっております。会議資料1-4の図と併せて御覧ください。
 脊髄髄膜瘤は、発生の段階で神経管の閉鎖不全が起こり、脊髄が外表に露出したまま産まれてくる奇形のことで、標準治療としては、生後2日目までに行う髄膜瘤閉鎖術ですが、治療の目的は感染の予防というのが主なところで、神経機能は子宮内での刺激により回復は望めません。また、正常な髄液灌流が得られていないため、水頭症やキアリ奇形という疾患を合併し、場合により突然死を起こすことがあるといった疾患になります。
 この疾患に対し、胎児中期に母体の子宮を切開して、胎児に髄膜瘤閉鎖術を行い、子宮内に戻して出生後の予後改善を評価するというのが今回の申請内容です。ロードマップをご覧下さい、技術としては、欧米では既に実施している技術となっており、治療選択肢の1つとなっています。今回は、この先進医療の結果をもって保険収載を目指す計画とされています。
 もう一度、概要に戻ります。前回の審査での論点は、先行研究で得られた安全性と有効性に関する情報を説明文書に追記するべきではないかという点、研究参加について、妊婦の同意だけでよいかという点が主な議論になり、会議資料6ページ以降のとおりに照会いたしました。先行研究の追記については、有効性が認められた事例と認められなかった事例の双方を追記するという御回答を頂きましたけれども、被験者の定義と同意の手順については何度かやり取りを行いました。今回の技術は、治療をするのが母体なのですが、胎児に対しても治療を行い、その後、胎児というか、出生後の乳児に対しても評価を行うということで、双方を被験者にするべきではないかという考えをお伝えし、何度かやり取りを行い、会議資料13ページにあるように、用語の定義として、妊娠中は妊娠中の胎児を含む母体、産後は母体及び乳児の双方を被験者として定義するという点、また、登録の手順としては、パートナーあるいは社会的サポートを行う家族の合意を確認するというように修正いただき、適切な手順になったのではないかと判断いたしました。以上が前回の審査後の経緯です。
 続いて、評価です。実施責任医師の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性については、全て「適」といたしました。一旦、私からは以上です。
○竹内座長
 坂井先生、ありがとうございました。続いて、久慈技術専門委員より、実施体制の評価について御評価をお願いいたします。
○久慈技術専門委員
 実施体制の評価については前回とほとんど同じで、今、坂井先生からお話があったように、全て「適」で問題ないと判断しました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の一家構成員より、倫理的観点からの評価について御評価をお願いいたします。
○一家構成員
 一家です。そこに示されている2点について、最終的に「適」と判断をさせていただきました。コメント覧に別紙参照と書かせていただいたのは、この後の22ページを示してください。先ほどの坂井先生の的確な御説明と重複する部分もありますが、少しだけ申し上げます。
 前回の部会の後に部会からの意見を6点、申請者に示して御回答を頂きました。その御回答を受けて、長い意見を1点だけお伝えをし、最終的に、それに対する御回答を確認して承認できると判断したというやり取りの記録が22~30ページにわたってあります。
 研究倫理に関する論点として、本研究における被験者の位置付け、それに伴って説明を受けて同意をする立場にある者であるなど、本研究に関する説明と意思決定と同意という3つのプロセスのあり方などについてやり取りをさせていただいたということになります。研究倫理上の難しく新しい論点をこの研究は含んでいるので、新しい考え方、スキームで実施したいというのが申請者サイドのお考えだったわけですが、この部会は、先進医療の適用の可否を判断するという、そういった審査をする場という位置付けを鑑み、倫理上は確かなスキームで実施することを提案し、最終的には、申請者側に御理解を頂けたものと思います。一連のやり取りにおいては、坂井先生をはじめとする事前評価委員の先生方に加え、小児医療の倫理に造詣が深い掛江先生に御尽力いただいたことが大変有り難く存じました。この場を借りて御礼申し上げます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変丁寧に照会事項のやり取りをしていただき、ここに至ったという御説明でした。どうもありがとうございました。続いて、副担当の伊藤構成員より、試験実施計画書等の評価について御評価をお願いいたします。
○伊藤構成員
 試験実施計画書等の評価については、前回も全て「適」ということで、今回も特に変更はないので、全て「適」と評価いたします。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、1~16の総評について、主担当の坂井構成員から、再び御評価をよろしくお願いいたします。
○坂井構成員
 ありがとうございます。一家先生からも詳しく御説明いただきましたが、そういった経緯を持ちまして、適切に修正いただけたと全員で判断いたしましたので、総合評価は「適」とさせていただきました。以上です。皆さん、ありがとうございました。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは御討議をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。天野先生から手が挙がっているようです。天野構成員、よろしくお願いいたします。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。討議というか、質問になります。公開資料の9ページから12ページにかけて、今、御説明いただいたように、いわゆる被験者たる妊婦、母親についての様々なディスカッション、やり取りが掲載されているかと思います。その中で今回、除外条件ということで(12)に社会的サポートを得られない方というのが含まれていて、研究グループのほうでも、シングルマザーの妊婦さんが該当するかどうかをディスカッションした結果、この場合は実の母や実のお姉さんがいらっしゃるということがあって、社会的サポートが得られることが可能と判断して入っていただいた経緯があったというふうな説明がありました。
 その後、またやり取りがあって、最終的には同意を得るということに関しては、被験者である胎児の母親及びパートナー、そして、パートナーがいない場合には社会的サポートを行う家族を対象に説明をするという記載があるかと思うのですが、質問としては、例えば先ほどの例に出ていたシングルマザーの方がいらっしゃって、かつ、社会的サポートを行う家族がいないと判断された場合には、この試験には入ることができないという理解でよろしいでしょうかという確認です。
○竹内座長
 ありがとうございます。一家構成員、お答えできますでしょうか。
○一家構成員
 社会的サポートを行う家族がいない場合、確かに、天野構成員がおっしゃったように解釈することになるのだろうというふうに理解はしました。他の先生方の中でそのような理解と違うということであれば、御発言いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○坂井構成員
 すみません。坂井です。
○竹内座長
 坂井先生、お願いいたします。
○坂井構成員
 先生、御質問ありがとうございました。私もそのように思っています。結局、母胎を開腹して胎児を取り出し戻すということで、母体の安全性も懸念されるという状況で、こういった全く家族、社会的サポートが得られない方を研究に入れるリスクと言いますか、そういったことを考えて除外するというように申請者側のほうで判断されていまして、私たちはそれは妥当だと考えているところです。ちょっとすみません。お答えになっているか分かりませんけれども。
○竹内座長
 ありがとうございました。天野構成員、いかがでしょうか。
○天野構成員
 回答も頂きましたし、その趣旨も御説明いただいて承知いたしましたので、かしこまりました。大丈夫です。
○竹内座長
 ありがとうございます。非常に明確にポイントを明らかにしていただきました。それ以外に掛江構成員から手が挙がっているようです。掛江先生、お願いいたします。
○掛江構成員
 ありがとうございます。審査の結論自体に異論はないのですが、1点気になっているのが、申請者のほうが公開資料の13ページの所で、被験者の登録の手順、同意取得、インフォームド・コンセントを受ける手続の所で、パートナーがいる場合には被験者とパートナーが合意していることを確認の上で、被験者から代表して同意を得るという形で運用しますという御回答をちゃんとくださっているのです。これは一家先生はじめ、坂井先生、いろいろ皆さんで議論しているときに、そういう御提案をして、先方もそういう方向でしますという御回答なのですけれども、実際に説明文章を拝見しましたら、私も読み落としていたのですが、説明文章の下のページです。予想される不利益の所の長い文章の中の一部分に、「あなたやパートナーなどのご家族の方には」判断してもらうことが重要なのですという、この1文が入っているだけで、ほかの箇所は全て、あなたが自由に判断する、あなたの自由意志でお決めくださいという形しか書いていないのです。一般的に考えて、「あなたやパートナーなどのご家族の方には」という言葉がこの箇所に1箇所に入ったことによって、同意書にサインをしようとする妊婦さんが、自分はパートナーとのディスカッションもした上で、自分がパートナーとの合意の意見を代表して署名しているという立場でいるということを、この説明文章で認識できるのだろうかというところを疑問に思ってしまいましたので、その点をもし可能であれば、公開用資料を修正しますので、これだけ書いておられるので、こういった文言を説明文章の中にも、研究計画書、プロトコルには記載してくださっているのですが、説明文章のほうには一切ないので、書いていただいたほうが良いのではないかと感じた次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。この点はいかがでしょうか。同意説明文章について、「パートナーなどのご家族」という文言を『あなたとパートナーなどのご家族』と追加していただいたほうが、より分かりやすい、丁寧なのではないかという御質問です。坂井先生でも一家先生でも。それでよろしいですか。
○掛江構成員
 あと、それ以外の箇所において、きちんとあなたの自由意志でお決めくださいだけの表記ではなくて、パートナーと合意の上で、あなたが代表して署名をするのですということを書いていただいたほうが良いのではないかと思った次第です。
○竹内座長
 研究計画書のほうもですね。ありがとうございました。同意説明文章だけではなくて、そのほかの部分についても、きちんと今のことを書き込んでいただいたらどうかという御提案でした。いかがでしょうか。
○坂井構成員
 掛江先生、ありがとうございます。異論はございません。研究計画書のほう、12ページの一番下の行の辺りに修正が提示されているのですが、一応、説明はパートナーと御本人さんの2人に説明するということは書かれているのですけれども、それはそれとして研究計画書のほうにあなたとパートナーのということ、2人の合意であるということをもう少し明記する、そういう理解でよろしいでしょうか。
○掛江構成員
 すみません。研究計画書のほうは私はもう書いてあるので十分だと思っているのですが、説明同意文章のほうに研究計画書に書かれているのと同じような表現で明記していただくことが重要かと思いました。
○坂井構成員
 ありがとうございます。異論はございません。
○竹内座長
 そうしますと掛江先生、説明文章のところにもう1度『あなたとパートナー、御家族など』という文言をきちっと書き込んでいただくということを条件として、今回は承認でよろしいですか。承認をして修正いただくということでよろしいですか。
○掛江構成員
 はい。承認で修正で良いのですが、パートナー若しくはサポートをしてくださる家族と合意した上で署名をするという、プロトコルに書いてくださっている手続を説明文章のほうに、そういった手続であなたはこの同意書に署名をしてくださいという説明を入れてほしいという、そういう趣旨でございます。
○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それではそのようなことを申請者にお願いして、今回は承認ということで、皆さん、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそういうことを要望させていただいて承認にさせていただきたいと思います。それでは整理番合144は今回「適」ということで、今の部分については事務局のほうから申請者のほうにお願いをして修正していただくということでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは事務局のほうにお返しします。久慈先生におかれましては、以降は御退席いただいて結構だということです。久慈先生、本当に御多忙のところ御参加いただきまして誠にありがとうございました。
○久慈技術専門委員
 ありがとうございました。失礼します。
                (久慈技術専門委員 退席)
○竹内座長
 それでは岡田構成員、木村構成員、飛田構成員にはお戻りいただくことといたします。
                (岡田構成員、木村構成員、飛田構成員 入室)
○竹内座長
 お戻りいただいたようです。では、続いて新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の19ページを御覧ください。先進医療Bとして御評価いただく技術は、整理番号145、子宮頸部内視鏡検査です。申請医療機関は、香川大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が戸高構成員、副担当が後藤構成員及び山本構成員、技術専門委員が榎本委員となっております。また、本議題の審議に際し、有識者として藤井多久磨先生をお呼びしております。なお、本議題の審議に際し、木村構成員におかれましては、利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
               (木村構成員 退席)
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料2-5の66ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は内科、消化器内科又は婦人科、産婦人科であることが必要。資格は日本消化器内視鏡学会専門医又は日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が必要。当該診療科の経験年数は7年以上が必要。当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数は不要。その他として、研究参加前に、子宮頸部腫瘍の診断トレーニングとして、消化器内科・婦人科医が参画した症例読影に関するWebミーティングに少なくとも2回以上参加し、かつ診断アトラス及び動画を共有してトレーニングされた者であることとなっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は内科又は消化器内科が必要。実施診療科の医師数は、消化器内科の経験年数6年以上の医師が1名以上必要。他診療科の医師数は1名以上の婦人科学を専門とする医師が常勤、非常勤を問わず、婦人科腫瘍の診療を行っていること。また、婦人科医に子宮頸部腫瘍診断に関する相談が可能な体制を整備していることが必要。その他、医療従事者の配置は不要。病床数は70床以上が必要。看護配置は10対1看護以上が必要。当直体制は必要。緊急手術の実施体制は必要。院内検査の24時間実施体制は必要。ほかの医療機関との連携体制は必要。医療機器の保守管理体制は必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要。その他として、技術の実施症例数が2症例以上の経験がある医師を機関内に少なくとも1名以上有することとなっております。3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。通常ならば、ここで皆様から御意見を伺うところですが、実施体制については「不適」の御判断を頂いておりまして、またそれ以外の所も「不適」の項目が幾つかありまして、ここではまず総評を頂いた上で、皆様方からコメントを頂戴できればと思っております。技術の概要と実施体制の評価について、主担当の戸高構成員より総評を頂いた後で、全体の御意見を賜れればと思いますが、そういう形で進めてよろしいですか。それでは、戸高構成員、総評につきましてよろしくお願いします。
○戸高構成員
 それでは、座長のご指定のとおりに進めたいと思います。これは私の評価の所ですので、総評になると26ページになります。婦人科の御専門の先生方から、数多くの懸念点が出されていますので、その辺を後ほどお聞きいただきたいと思います。
 今回新規になっておりますが、御記憶でいらっしゃると思いますが、6月に1度出されたもので、もう1回出直していただいたほうがいいのではないかということで、そのときに「不適」の判断をしたものです。
 それに対して、こちら側からの指摘点に応える形で改善してこられて、もう1回新規として出してこられたというものですが、それに対しても最終的な結論から申し上げると、「不適」とせざるを得ないのではないかという判断に現状では至ったということです。
 まず、先ほどの例のような先進医療と少し色彩が異なりまして、並行群間試験でランダマイズして、しっかりと標準法との非劣性を出していくというような、どちらかと言いますと、臨床試験の色彩のほうが強い先進医療の申請です。
 その設定根拠となった先行研究に対して、例えば対照群の検査医、コルポスコピーという産婦人科の手技をもって、それに熟練した医師がやるべきものだということですが、それが不十分だったのではないかという懸念が寄せられており、そもそも対照群のコルポスコピーの検出率が少し低過ぎるのではないかという御指摘があって、そういったものと比べて同等という先行試験の結果をもって、今回のRCTを組んでやるというのはいかがなものかという意見が強く出されています。
 そのほか、そもそも論として、これは私がやり取りの中で感じているところですが、これを申請して来られているのが消化器内科の、いわゆる内視鏡の操作に熟練した先生方が出して来られていますが、もちろん、婦人科の先生方もチームとなって入っているのですが、答えているのが消化器内科医の先生方で、こちら側の婦人科の子宮頸がんの専門の先生方からの御指摘等になかなか噛み合っていないことを、私は横で見ておりまして感じております。そういったことを含めて、このまましっかりと進めることはなかなか難しいかなと思っています。詳細なところは後ほど御説明いただきたいのですが、内視鏡を使った新しい方法の診断性能が、従来法、標準法と同等であることを、統計的に検証する試験を、このやり方、このチームで組み立てられるのかというところに懸念を持っております。これは統計の先生からも御指摘があったところですが、何に対する感度、特異度を見るのか、レファレンススタンダードをどうするかというところは非常に大事になってきています。それを前回も指摘しているのですが、今回、申請者が立てて来られた主要評価項目が、前回はセカンダリーにしていた有効性を主要評価項目に挙げたということですが、前回と全く同じ表現です。それはおかしいでしょうということを申し上げていたのですが、文書の中に、レファレンススタンダードとしての見逃しがないように、1年後のコルポスコピーの結果を入れるということは書いてあるのですが、主要評価項目の表現が前回と全く同じです。ですので、果たしてしっかりと統計的なことまで理解して立てて来られているかということに、私自身は懸念を持ちます。レファレンススタンダードがきちんと取られるのかということです。そこがプロトコルどおり履行されるのか。全例で1年後にコルポスコピーをすると言っておられますが、中には同意を撤回される患者さんもいると思います。そもそもコルポスコピーをしなくていいように、内視鏡で負担を軽くするという発想のもとに始められている試験ですので、試験においては、そこがダブるのはしようがないと思いますが、あとは婦人科的にコルポスコピーが不適な症例もあるということを御指摘いただいているところです。ですので、レファレンススタンダードがどれだけしっかり取られるのかというところに、非常にサイエンティフィックな大きな懸念を持っております。婦人科の先生方から出されているいろいろな数多くの疑問点に対して、しっかりと申請者チームが応えておられると全体を通して判断できる状況ではありませんので、大変残念ながら、今回も総合的に「不適」とせざるを得ないと思った次第です。
○竹内座長
 ありがとうございました。戸高先生から、非常に端的にポイントを分かりやすく御説明いただきまして、副担当の先生方も、かなり多く「不適」を付けていただきましたので、まず総評としては、やはりこれはこのまま何らかの形で通すということは難しいのではないか。また、「不適」という判断になるのではないかと。そして、大変多くの照会事項を頂きまして、こちらからの御質問に、申請機関も答えていただいたのですが、正に戸高先生が御指摘のように、どうもうまく意見が噛み合わない。その理由の1つは、申請チームに婦人科腫瘍の専門医がきちんと参加する形で、こちら側からの専門的な照会事項に対して、専門的な観点で回答を得た、とはなかなか言いにくいのではないか。そこでどうもボタンの掛け違いと言いますか、きちんとした照会事項に対する回答が得られないという部分もあったのではないかということで、全体としては、やはり今回も残念ですが、「不適」と判断したいという総評でした。
 ここからは、少し御専門的な観点で、たくさんの御意見を頂いておりますが、さらに御意見を頂いていければと思います。まず、榎本技術専門委員、いかがですか。
○榎本技術専門委員
 ありがとうございます。榎本です。座長に総評いただいたとおりです。コルポスコピーというのは、子宮頸部を拡大して観察するという検査で、どういう症例に対して行うかと言いますと、子宮頸がんのスクリーニングとして行う細胞診で異常が出た場合にコルポスコピーの検査をします。コルポスコピーの検査自体は非常に歴史がある検査で、恐らく、産婦人科専門医制度ができる前よりずっと保険診療で行われてきましたが、現在は実際にどういう医師が担当するかと言いますと、例えば細胞診でHSILという診断が出た場合には、軽ければ中等度異形成、場合によっては浸潤がんが含まれる可能性も否定できないので、その後の方針、どのような追加検査をするかとか、経過観察で良いか、あるいは円錐切除等の手術、子宮全摘が必要な場合でも、小さめに取るか大きく取るか、さらにはリンパ節郭清は必要か、そういう方針も含めて判断し患者に説明できる医師が、今実臨床の現場では担当しております。多くの施設で実際にコルポスコピーを担当あるいは指導しているのは、婦人科腫瘍専門医で、こういった精密検査が必要な症例については、婦人科腫瘍の専門医がいて、かつ、最後の治療までできる施設に紹介するのが日常診療でよく行われていることです。
 コルポスコピーという検査に関しては、かなり専門的な検査ですので、国際的にもIFCPC、子宮頸部の病理とコルポスコピーに特化した学会がありまして、その理事をしておられる藤井多久磨先生に今回入っていただいて、この議論に加わっていただいております。IFCPCは、コルポスコピーをしたときに、こういう形で分類して、所見を記録しなさいと言ったガイドラインと言いますか、そういうアトラスを作成していまして、それに基づいて日本婦人科腫瘍学会が、標準図譜「改訂コルポスコピースタンダードアトラス」を作って、それに基づいて記載するように婦人科腫瘍専門医だけでなく、産婦人科を専攻している者に対しても指導しております。
 今回の研究は、消化器用の内視鏡がコルポスコピーと比べて、診断能力で非劣性であることを検証するためのランダム試験ですので、当然ながら、コルポスコピーに関してはスタンダード以上の、できればトップクラスの人が行うコルポスコピーと比較してUCEのほうが優れているか、あるいはほぼ同じかということを検証すべき検査です。
 ところが、今回この検査をする前の先行研究として提出されている論文が4つありまして、最初の3つにつきましては、10人以上の産婦人科医が担当しておりますが、全て婦人科腫瘍専門医の先生ではありませんでした。4番目の論文については、大阪国際がんセンターの2名の専門医でしたが、4番目の論文で登録されている95例の症例のうち、結局、その専門医が行ったと思われる検査はたったの4例で、91例が非専門医による検査でした。ですから、1から4までの先行論文の120~130例の検査を行っているのですが、このうちほとんどが非専門医が行った検査です。
 そこで、婦人科腫瘍専門医でないからと言って、コルポスコピーに習熟している医師もいるのではないかといういうことも想定して、せめて、コルポスコピーに習熟しているけれども、専門医は取っていない先生が先行研究を担当していると想定し、コルポスコピーに習熟している医師であれば標準的な記載方法に基づいて観察記録を作成しているはずですし、その観察記録を拝見すれば、検査担当医の技量が推察できるのではないかということで、申請者に対して、1~4の論文に記載されている症例について、コルポ所見報告票を提出すること、またコルポスコピーの写真、特に子宮頸管内のコルポスコピーで見えにくい所をどうやって検査したか分かるような写真の提出を求めました。最終的には1~4の論文の120例中たった4例、しかも4番の論文の症例の4例のみのコルポスコピー所見の報告票を提出してきたのですが、その報告票はもともと我々が申請者に事前に行った問い合わせに対して、2024年12月31日付けで申請者が提出した『回答4』の3頁に示された4番の論文の根拠となるコルポスコピー検査記録の際に使用したという『コルポスコピー所見記載用紙』とは違う様式の報告書に記載された資料を提出してきました。その上、我々がコルポスコピーをする際には子宮頸部の見取図上に、例えば白色上皮の病変がどのぐらいの範囲に認められるかについて、子宮頸部の見取り図上に図示するのですが、提出されている4つのコルポスコピー所見の報告書にはそういった記載が全くありません。そういった見取図が全くない報告書を、4症例分だけ提出してきました。子宮頸部の見取図がない記録はコルポスコピーを日常的にする医師のコルポスコピーの記録としてなかなかあり得ないと考えます。特に今回の場合には、比較試験、ランダマイズドスタディをするための先行研究として行っているわけですから、コルポスコピーの所見を十分に記載していないというのはあり得ないと考えます。その上各症例の写真の記録も取っていないということです。観察が難しい子宮頸管内の病変を評価するために、TZ分類というのがあるのですが、TZ分類に関しては全くここの『コルポ所見報告書』として提出された用紙には記載されていませんし、記録がないにもかかわらず、回答票には、TZ3の症例、即ち子宮頸部の奥まで病変がある症例は120例中全くなかったと返事がきて、一方、12月31日付けの回答4の19には、「TZ3の症例につきましても、コルポスコピーよりもUCEのほうが確認できた」という記載があり、書いている内容につきまして、今事務局から回答4の19の所を画面に出していただいておりますが、「TZ3症例を具体的にどのように対応するか云々」という我々の質問に対する回答に書いてあるのですが、TZ所見の記録をされていないにもかかわらず、最初の回答には「TZ3に相当する症例はなかった」という記載、次の回答には「「TZ3の症例につきましても、コルポスコピーよりもUCEのほうが確認できた」という回答をされていて回答間に矛盾を生じています。実際、データをどれだけ丁寧に記載して保存しているかに関して、非常に疑問を感じるような研究の内容です。
 そういうことを含めて、先行研究で行われていたコルポスコピーのクオリティに関しては非常に問題があって、このクオリティをもとに比較試験をするのは非常に問題があると思います。
 コルポスコピーで一番大事なことは、細胞診で異常が出たときに、例えばHSILと出た場合、ある程度の頻度で浸潤がんが含まれるわけです。しかし、精密検査が正確に行われないと、浸潤がんを見落として経過観察、あるいは数ヶ月後に再検という形で患者を帰しますと、待機している間に病変が進行してしまって、患者さんの生命にかかわる可能性もあるのですが、実際には、UCEのアトラスにつきましては、浸潤がん、あるいは微小浸潤がんに対するアトラスといったものが十分できていなくて、微小浸潤がん以上の病変についてUCEとコルポスコピーの対応表がまだ十分にできていないという回答を頂いております。そういうことを踏まえて、こういった臨床研究を今この場でやる段階には到底達していない。先行研究のデータはそれをサポートするだけの十分なエビデンスがないと考えて「不適」と判断しております。できましたら、藤井先生のほうにも、専門家としての意見を頂けたらと思います。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変詳細に照会事項の内容について、また、専門的な判定の照会事項に対して、どうもお答えが十分でなかった、と榎本先生から御紹介を頂きました。ここでこの領域の御専門の藤井先生から御意見を賜れればと思います。藤井先生、よろしくお願いいたします。
○藤井先生
 こんにちは、藤井多久磨と申します。今回のこの課題に関して、榎本先生が説明されたとおりだと思います。1点、根本的なところで申し上げますと、彼らは、IPCLといって、食道の疾患に対しての所見を子宮頸部に応用しようということをおっしゃられているのですが、各臓器によって、それぞれ生物学的な意味合いが違うと私は思っております。食道だけでなくて、例えば口腔内、それから肺もそうですが、病理の診断においても、同じようなものを見ても、あるものはがんと、あるものはがんでないと、臓器による違いがあると思っています。その中で、消化器内科の先生が、この食道の所見をもって子宮頸部の診断をしようということに、やはり我々婦人科腫瘍を専門としてきた医師からすると、かなり疑問を感じました。
 それから、NBI、ナローバンドイメージに関しても、メリットであると彼らは言っているのですが、これは、私はNBIも長くやっておりましたが、血管所見に関しては、無いものも異常であるというのが我々の臓器の特性でして、いわゆるIPCLがなくても異常であることが分かっています。そういった観点からすると、この疾患に対する基本的な理解が、我々からするとどうなのかということがございます。細かいことは榎本先生に解説していただきましたが、根本的なところで、そういう疑問を感じました。
 あともう1点、我々が疑問に思ったことに対して、先方様から御回答いただいているのですが、その御回答が、いわゆる先行研究と全く違う内容を含んでおります。例えば、患者選択の基準とか、それから、所見の取り方、そういったものが先行研究ではないものですから、先行研究を基にした新しい研究をできるのかという、そういう疑問もございます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。先ほどの榎本先生の御意見に追加していただきまして、幾つかの専門的な観点から見ても、十分とは言えない様々な点について御指摘を頂きました。
 続いて、副担当の後藤構成員、本日は御欠席ですので、事務局から代読をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。資料2-2の25ページを御覧ください。副担当の後藤構成員からの御評価です。「同意に係る手続、同意文書」「補償内容」ともに不適となっております。コメントとしましては、榎本技術専門委員より、「微小浸潤がん、浸潤がんを見落とすことがないようなプロトコルを作成する」必要性があるとの指摘がある。同意説明文書において、「頸管口が狭く、その入口に隠れた病変が見えにくい場合、コルポスコピーなら、鉗子などの機械操作でみえる可能性がある病変を見逃す可能性は否定できません」とあり、さらに、「予定より長くて約3か月遅れる不利益が生じるため、CIN2+の検出率が高いとされる細胞診で、ASC-H、あるいはHSILと診断された患者さんは、検査後28日目以内の再診時にコルポスコピー検査を行うことになります。「検査結果が陰性やCIN1程度で問題ないとされた患者さんであっても、将来にわたってHPV感染の持続や新たな感染により、数年後にCIN2+へ進行するリスクはゼロではないため、フォローアップ指示が適切に行われず、定期受診から外れた場合、進行がんは発見できず患者さんが不利益を被る可能性があります。」と記載されている。そのため、「微小浸潤がん、浸潤がんを見落とす」可能性を承知で研究に参加する患者さんについては、最大限その意思を尊重することも可能かもしれない。しかし、本研究の目的がUCEの診断能力を検証することであれば、ランダム化比較試験ではなく、UCE+コルポスコピーとコルポスコピーのみの両群を比較するプロトコルのほうが患者の利益を損なうことなく検証が可能である。にもかかわらず、研究プロトコルで患者への害がより少ない方法を選択しないことは、患者に害を与えない、患者に利益を与えるといった生命倫理の原則からして適切ではない。そのために「不適」と判断した。また、補償内容については、浸潤がん等の発見の遅れと、それまでの心理的な負担についての記載がないことや、そもそも研究プロトコルに問題があり、生じる可能性がある健康被害の範囲についての認識が十分でないことから、「不適」とした。とございます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。
 続いて、試験実施計画書の評価について、副担当の山本構成員から御意見を頂ければと思います。
○山本構成員
 山本です。私のほうでも、前回とほとんど同じような形の結果になりました。主に、科学的な観点の部分で、計画で承服しかねるかなと考えられる点で「不適」とさせていただきました。
 詳細としては、先ほどから婦人科腫瘍の先生方のお話にもございましたとおり、先行研究を基に、今回感度を設定して、それを主要評価項目にされた点は、前回から改善された部分かと考えているのですが、ただ、先行研究での感度の数値の信頼性に、かなり懸念があることが、臨床医の先生方からも疑問が呈されているところでした。また実際、私のほうでも照会させていただいた質問事項に回答いただいた際にも、その辺りの能力の数値は少し分からない部分もあって、検証的試験として今回いろいろその能力を調べたいという回答もございました。その辺りに鑑みても、現状、検出力ベースの、いわゆる検証的な形での試験設計がされているようなデザイン、立て付けになっていましたので、この形でそのまま進んでしまったときの結論は、かなり信頼性に問題があるのではないかと私のほうでも判断させていただきまして、現状のままのデザインで実行することに関しては「不適」ではないかと判断させていただきました。以上となります。
○竹内座長
 ありがとうございました。様々な観点から、研究計画書は「不適」と判断し、再度、御提出いただきましたが、たくさんの照会事項を頂いた上でも、やはりまだ不十分な点が多く、「不適」であるという御判断だと思います。何か追加の御意見等ございますでしょうか。
○榎本技術専門委員
 山本先生にお伺いしたいのです。先生は結構、「不適」より「適」のほうが数が多いように思うのですが。実際には、例えば、モニタリング体制とか実施方法、それからあとデータの管理等につきましては、かなり患者さんの負担の内容等につきましても、非常にやはり問題があると思って、私が付けるとしたら、これの多くの部分を「不適」にしたいというところがあるのですが、その辺について、先生の御判断をちょっと教えていただけたらと思うのです。
○山本構成員
 ありがとうございます。私の理解が及んでない部分ももしかしたらあるかもしれないのですが、一般的な臨床試験として見たときに、そこは最低限のやるべき体制としてはあるかなと読んでいたのですが、もしかしたら、私の考えが及んでない部分もあるかもしれませんので、もしその辺りがあれば、是非、御意見いただければと思います。場合によっては、修正させていただけたらと思うのですが。
○榎本技術専門委員
 簡単な例で言いますと、例えば、ここの試験に関わる記録に関して、全く先行研究に関しては、ちゃんと記録さえされてなかったという現状があります。それから、コルポスコピーの本来の正式な使い方に準じた記載もされていないということも含めますと、非常に問題がある。それから、一番やはり問題になってくるのは安全性と言いますか、いわゆる、かなりの確率で混じり得る可能性がある浸潤がんが起こったときに、例えば、3か月後にもう一度再検するというプロトコルになっていたと思うのですが、場合によっては1年後ということを書いてました。そういうことを言いますと、患者さんは、これ本当に下手したら死ぬ可能性があると思うので、ですから、このモニタリングや実施方法につきましても、非常に問題があるなというのがあって、ちょっとこれは、もう少し厳しく評価していただいてもいいのではないかとも思いました。
○山本構成員
 ありがとうございます。私のほうで、計画書としてのデータの所は、先生がおっしゃられたとおり、先行研究は、本来こういったデータがあるはずですよねということで照会もされていたところで、提出もなかったというのは確かにございました。私のほうでは、あくまで臨床試験としてのデータの管理という観点で見ておりましたので、先生の意図とは違うところで付けてしまっていましたが、おっしゃるところはよく理解できました。ありがとうございます。
○榎本技術専門委員
 そうしたら、事務局から、本人というか、申請者に伝えるときには、その辺のところで、そういう意味での「不適」だということをきちんと分かる形で伝えていただけたらと思います。
○竹内座長
 ありがとうございます。具体的にどういうところに課題がある、専門家の観点でやはり問題があると判断したのかということは、具体的に記載して申請者にお返しいただくということで、今回、「不適」と判断させていただく。それでよろしいでしょうか。追加の御意見ございませんか。前回、申請していただいたときには、患者さんの観点でより侵襲性の少ないと思われる、あるいは、患者さんにとって御負担の少ない検査法ということで、冒頭の書き出しは大変期待が高かった研究でした。ですが、実際、コルポスコピーという、長い歴史があって、教育のシステムにもきちっと組み込まれている、専門医の教育の過程にも載っている、実際に診療の体系の中にも組み入れられている、いわゆる婦人科腫瘍領域のゴールデンスタンダードの検査法に対して、同じ診断精度、あるいは、診療の質を担保するような検査を提唱しようとするにしては、まだ不十分な観点が多いのではないか。特に、婦人科腫瘍の専門家の先生方がチームの中に入っていないということが、今回、いろいろな意味でのやり取りでうまくかみ合わない議論が行われてしまったのではないかと感じました。藤井先生、最後にコメントをよろしくお願いします。
○藤井先生
 先生から今、御指摘のありました侵襲性の少ない検査ということなのですが、彼らがリバイスで出してきたプロトコルでは、閉経以降の患者は除くと書いてきました。閉経以降の患者にやはり痛みを感じることが多いものですから、むしろ、そういった今まで行ってきた侵襲性の高いと感じる患者さんを除くということは、すなわち侵襲性の低いと感じる患者さんだけの集団で試験を行うことになります。そうなると、この臨床試験遂行の正当性がないのではないかとも感じます。そういった意味で、山本先生が評価表で書かれた8番の被験者の適格基準、この適格基準が先行研究と全く違う母集団を今回は出してきていて、それに対する患者さんの数とか、それから今、お話申し上げたような評価項目も違ってくると思いますので、その点も含み置き、先方様にお返ししていただければと感じています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変、重要なポイント、適応についても、前回の申請とは少し変更されていて、そのコンセプトそのものを揺らがせるような適応の変更があったということです。これも含めて、具体的に申請機関にお返しして、婦人科腫瘍の専門チームがこの申請機関の研究者に加えて頂きたい。コルポスコピーに対して非劣性を証明するような試験であればなおさら、やはり専門家の御意見を伺いながら研究計画書を立案していただきたいと感じた次第です。天野先生、最後に一言、何か全体的な感想等ございますか。
○天野構成員
 先ほど座長からも御指摘があったように、もともとは患者さんの負担軽減を目指した試験であるとは理解しているのですが、これだけ問題があると、当然、患者さんの負担軽減ということには及ばず、むしろ安全性の懸念が多数ある状況だと思います。 一方で、そういったことは、今日、専門の先生方の御指摘を踏まえて理解できることであって、患者さんは説明文書を一読しただけではそういうことは理解できないので、そういった部分についても、患者さんに丁寧な説明、分かりやすい説明をしていただかないと、患者さんに害が被る試験だと改めて感じた次第です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、今回は、具体的なポイントも含めて「不適」とさせていただいて、今後、新しい研究計画書を作成いただく際には、婦人科腫瘍の専門家を是非チームに加えていただいて、より良い申請をしていただければと思います。ということで、事務局で申請機関にお返ししていただきたいと思います。よろしいでしょうか。大変、活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 それでは、ここで、榎本技術専門委員、藤井先生におかれましては、以降は御退席いただいて結構でございます。本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
○藤井先生
 ありがとうございました。
○榎本技術専門委員
 ありがとうございました。
                                 (榎本技術専門委員 藤井先生 退室)                       
○竹内座長
 木村構成員には、ここでお戻りいただければと思います。
                                       (木村構成員 入室)                              
○竹内座長 
 それでは、続きまして、新規申請技術の評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料2-1の19ページを御覧ください。先進医療Bとして御評価いただく技術は、整理番号146、脳性麻痺に対する自家臍帯血由来有核細胞輸血です。申請医療機関は高知大学医学部附属病院です。
 審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が飛田構成員及び掛江構成員となっています。なお、本議題の審議に際し、上村構成員、真田構成員におかれましては利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
                                 (上村構成員、真田構成員 退席)
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料3-4の89ページを御覧ください。審議に先立ち先進医療実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明します。まず1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は小児科であることが必要。資格は日本専門医機構認定小児科専門医であることが必要。当該診療科の経験年数は3年以上が必要。当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数は実施者として1例以上が必要となっています。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は小児科が必要。実施診療科の医師数は経験年数5年以上の小児科医師が2名以上必要。他診療科の医師数は不要。その他、医療従事者の配置は産婦人科医師、放射線科医師、臨床心理士、理学療法士、臨床検査技師が必要。病床数は200床以上が必要。看護配置は7対1看護以上が必要。当直体制は小児科医が必要。緊急手術の実施体制は不要。院内検査の24時間実施体制は必要。ほかの医療機関との連携体制は不要。医療機関の保守管理体制は必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は、1症例数以上が必要となっいます。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。これらの要件について、御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、この様式第9号についてはお認めすることとします。
 次に技術の概要と実施体制の評価について、主担当の松山座長代理より御説明をお願いいたします。
○松山構成員
 ありがとうございます。それでは、整理番号B146に関して、まず技術の概要について御説明させていただきます。ざっくりと見ていただくので87ページのポンチ図を見ていだければ非常に分かりやすいと思います。
 脳性麻痺は分娩1,000例に対して、おおむね2例程度発症すると言われています。治療法に関して特異的なものはありませんが、今まではリハビリテーションが主に行われてきました。高知大学を中心とした研究者は、2017年から臨床研究「小児脳性麻痺など脳障害に対する自家臍帯血単核球細胞輸血-細胞バンクで保管されている自家臍帯血単核球細胞-」を用いた輸血の安全性研究を行っておられました。輸血された6例全例で、重篤な有害事象を認めず、安全性に問題はないという結論でアクセプトされています。
 一方で、有効性に関しては運動改善効果が一定程度観察されていること、並びに運動効果改善のよい例では言語能力の改善も観察されたということで、非常にプロミッシングな技術ではないかという形で、今回の研究申請になっているところです。
 本研究では脳性麻痺に対して、自家臍帯血由来有核細胞輸血の有効性を明らかにするために、運動障害を輸血実施前の6か月と輸血実施後6か月の変化、スコアの差で評価するということにされているということです。主要評価項目に関してと副次評価項目に関しては、ここに記載しているところですが、飛田先生とかなり研究チームでやり取りをしていただいて、ブラッシュアップをしていただいていますので、そこで言及していただければと思っています。目標症例数は12例ということです。
 続きまして、実施体制の評価に関しては、小児科の先生がいらっしゃって、今まで臍帯血輸血等の御実績もあるということで、実施責任医師等の体制に関しては「適」、医療機関としても万が一、何らかのトラブル、特にDMSOが入っているのでアナフィラキシー等のリスクがあるのですが、実施医療機関としてそのサポートはできるということで「適」。並びに2017年から行われた高知大学の研究者の先生方の先行研究、並びにDuke大学で類似の臨床試験が行われています。そちらの論文から見ても有用性に関しては、「適」ではないかと考えていたところです。
 一旦、座長にお戻しします。よろしくお願いします。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、副担当の掛江構成員より倫理的観点から御評価いただきましたので、よろしくお願いいたします。
○掛江構成員
 ありがとうございます。掛江です。まず、同意文書の前に5番に関しては、死亡及び重度の障害2級以上の場合以外に補償はないということが明記されているということで、少なくともきちんと書かれているということを確認させていただきましたので、「適」とさせていただきました。
 同意に係る手続、同意文書の所を「不適」とさせていただいているのですが、これについては個人的にいろいろ引っ掛かりがあったのですが、ただ、その私の引っ掛かりというのがToo muchな要求になっているかどうかというところの判断が非常に、一人で決めるのは難しいと思いましたので、部会の先生方の御意見を伺って、部会の先生方がこれはToo muchでここまで求めなくていいだろうということであれば、お取り下げさせていただくという形で対応していただければと思って、松山先生はじめ議論していただいたのですが、最終的にこの4点を少し気になったものとして残させていただきました。
 説明させていだきますと、まず1つ目が説明文書の16の所なのですが、こちらはそのまま読ませていただきます。費用の負担の説明があるのですが、そこにここまででおよそ83万6,000円というような記載があって、これが臍帯血を採り、臍帯血細胞だけを保管するまでの費用は最大10万円でうんぬんかんぬんということが書いてあるのです。この研究自体は、そもそも臍帯血が保管されていて、かつ中等度以上の脳性麻痺がある方ということになっているので、費用の所で臍帯血採取の所から合算して説明しているのは、適当ではないのではないかと個人的には思いましたので、そこはきちんと今回のプロトコルの対象の部分に書き直していただくべきではないかと考えた次第です。
 ただ、若干この分かりにくいのが、この説明文書が実は2種類ありまして、1種類は臍帯血をもう既に保管している方に対するもの、この先進医療、臨床研究の説明をするものなのですが、もう1つはこういった臨床研究のために臍帯血の保存からしませんかという説明文書がもう一方で準備はされているのです。これは前向きに今後、生まれるお子さんも対象にしたいという意図があるのだと思いますが、ですので、後者については今のままでもいいかもしれないとは思うのですが、少なくとも前者の既に臍帯血が保管されている方たちへの御説明においては、そこは切り分けていただく必要があるかと考えているというのが①の指摘事項になります。
 ②が説明文書の18の所です。研究資金(企業との関わり)についてという項目があるのですが、そちらで書かれている内容がこの研究の費用は患者さん負担であるということが繰り返し書かれているだけなのです。この項目というのは、そもそも法律の施行規則の第13条にこういう説明をしなさいという項目が23項目挙がっているのですが、その14項目目に研究に対する第18条の8第1項の各号に規定する関与に関する状況を説明しなさいという項目があるのですが、要するに利益相反のことをそこできちんと書きなさいと言っている項目があるのですが、そこに対応する項目として、この研究資金についてという項目があるのであろうと推察されるところから、ここはきちんと研究者がこの研究において利益相反の関係にあるとされるような資金を、受けていないかどうかを説明するべきではないかと考えているので、そこは直していただくべきではないかと思っているところが2点目になります。
 3点目が同意書なのですが、タブレット資料の149ページ目を御覧いただけると、お分かりいただけるかと思いますが、この同意文書は下記の項目について説明を受け理解しましたので、この臨床研究に参加することに同意しますと書いてあって、その下に囲みがあって、チェックボックスがあって、この研究が厚生労働大臣に提出されていること、研究を行う医療機関と医師、お問合せ先についてなど、一通り書いてあるのです。ただ、これは書いてある項目と説明文書の見出しが対応していない形になっているので、被験者の方からすると、この同意書を突然見せられてチェックを付けてくださいと言われても、これがどこに書いてあったのかというところを確認しようがない形になっているところが非常に大きな問題ではないかと思っています。ただ、これが再生法上、こうしてはいけないというようなことが書かれているわけではないので、Too muchかな、どうかなと思いながら、ただ一般的には同意書の項目と説明文書の見出しは、対応させるようにというような形で、従来というか一般的には指導されているように思いましたので、気になりますというところです。この同意書の囲みの下に患者さん及びお母さんの検査の結果、臨床上、特に重要な知見が得られた場合について、知りたい、知りたくないというチェックボックスもあるのですが、ここについてはいずれかにチェックを入れてくださいというような文言がないので、ここはどこが全部チェックされてなければいけなくて、どこが選択されてなければいけないかということが研究者側にも分かりにくいというところが問題ではないかなと考えています。
 同意撤回書がタブレット資料の151ページ目にありこちらの同意撤回書なのですが、こちらはここに同意撤回書を提出しますと書いてあって、その下にチェックボックスがある項目が2つあります。研究成果が論文などで公表されていた場合に、廃棄できないことがあることについて了解していますというのが1つ目。2つ目は、同意は撤回いたしますが、同意撤回までに提供したデータや検体については、個人情報などを特定しない方法で使用していただくことには了解をいたしますというのが2つ目なのです。1つ目のチェックボックスについては、この同意撤回のときの説明の内容ですので、必ずチェックが入っていただかなければならない、廃棄できないことがあるということは事実として説明しているので、チェックしていただかなければいけない内容なのですが、2つ目の撤回までのデータを使っていいかどうかというのは、意思表明、選択をする項目であって、チェックをしたい人はすればいいし、そういう意思がない人はチェックを入れなくていい項目だと思いますが、これが並列で同列に書かれていることによって、確認の事項と意思表示の事項が同列に書かれていることによって、チェックをしなくてもいいのに何かチェックを求められているような非常にアンバランスの状況になっている。こういった書面をそもそも、こういった様式を作るということ自体、どうかなというところを非常に感じていることと同時に、あと同意撤回書をまた受け取る研究者のほうも、どこにチェックがあれば、若しくはどこにチェックがなければいけないのか、どこのチェックはなくても問題がないのかということが分からないような書式になっているというのは、非常に問題かなと考えました。
 この4点について、すみません、私が厳しすぎるというか、過分な要求をしているのか、若しくはそうではないのか、部会の先生方でもし御議論していただければ有り難いなと思いましたので、こういった形で記載をさせていただきました。ですので、この実施条件としては部会のほうで修正すべきと御判断いただいた事項について、修正を頂ければ「適」とさせていただければと判断したところです。長くなって申し訳ありません。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは御意見はありませんか。大変分かりやすく、やはりこれは修正したほうがいいのではないかなと感じましたが、先生方、いかがでしょうか。木村構成員から手が挙がっています。木村先生、お願いいたします。
○木村構成員
 よろしくお願いいたします。ちょっとこの問題に関しては、幾つか懸念がありまして、その研究計画自体の公表資料の76ページの所に、GMFM-66で6か月後の質問に対して、6か月後のリハビリの点数の増加がどれぐらいというような記載があるのですが、この試験では1年後なのです。結局、輸血実施前6か月の評価と、それから輸血実施後6か月してからの評価、その1年間の評価をこの研究は68ページをこうして比べるというデザインになっています。そうしますと、子供ですので、子供というとすごく成長しますので、ふつうの子でも1年たったら座ってるだけの子が走ったりするわけですから、この差をきちんと評価する方法になっているのかということは、ちょっと懸念を持っています。少なくとも、このGMFMの評価法の1年間の差というものと、それからこの1年間の差を比べないといけないという問題があるではないかということを感じています。
 また、ここに産科医療補償制度等の記載があります。引用してもらっていますが、産科医療補償制度は脳性麻痺の程度に関しては、小児神経の専門医など、小児科というだけではない、もう少しスペシャリティの専門医が評価をしているということであり、この研究計画ではどのような方が、小児科医であれば誰が評価してもいいのかと、そこまで標準化されているのかということがちょっと分かりかねましたので、また、その辺りも気になったところです。
 あと、これは掛江先生に御質問しないといけないのかもしれませんが、倫理的な、本当にジェネラルな倫理として、臍帯血を採っておくということは公的バンクが存在するわけです。白血病など、そういったものに対して、みんなのために置いておくというバンクが存在する中で、これは私的バンク、すなわち自分の子供のために、自分のお産のときに採っておくというスタイルでやっているわけなのですが、既に持っている人はこれはこれで構わないのですが、この研究計画は2036年までということは、これから約10年以上、リクルートが可能であるということになります。実はこの当該企業の臍帯血、別に企業ですから営利活動は構わないのですが、臍帯血を使う、取っておくというメリットの中にDuke大学の論文などが入っているのです、そのパンフレットの中にそういうことが知らされていまして、今回、先進Bをすると、これはきちっと契約なり何なりの歯止めをしておかないと、日本で先進Bをやっていますから、こういった私的バンクにしっかりためましょうというようなプロモーション活動が起こりますと、やはり公的バンクに対して一定の圧迫が起こるのではないかという懸念を持っています。この辺りの倫理的な面をどう考えればいいのかなと、私も分かりかねますので、御検討いただければと思います。
 また、質問の中で公開資料の80ページの所で、かなり対象症例をブロードに取っています。HIE、虚血性低酸素性脳症です。「PVL等」という所が引っ掛かっておられて、それに対して効いたからいいと、そのような感じの答えなのですが、ただタブレット資料で参考文献を見ていきますと、この幹細胞輸血による効果というものが、ほとんどいわゆる虚血性脳症に対する効果を見ています。ですので、プルーフオブコンセプトを考えると、余り幅を広げることが本当にいいのか、デサインとしていいのか、かえって薄まってしまわないのかということが懸念されましたので、その3点について、改善評価法が12か月評価ということをどう考えるのかということと、公的バンクに対する圧迫の問題が起こらないかということ、そして最後にプルーフオブコンセプトのもともとのコンセプトは大体、虚血性脳症でやっているのに、結局オールカマーのようなデザインに、先天性以外オールカマーというデザインになっているということが、これが大丈夫なのかなと、その3点が気になるところでした。私の意見は以上です。ありがとうございました。
○竹内座長
 ありがとうございます。主にスタディデザインに関係しますので、これに関しては後ほど飛田先生のコメントを頂戴してから、また議論いただければと思います。先ほどの掛江先生の4点、この倫理的な観点での4点、これは申請機関に返して、きちっと対応していただいたほうがいいかどうか、掛江先生も余りにもちょっと踏み込みすぎではないかという御自身の御感想もあるのですが、一家先生、いかがでしょうか。
○一家構成員
 ありがとうございます。掛江先生が踏み込みすぎと気にされる気持ちは分かります。こういう細かなことまで、この部会で指摘しなくてはいけないのかという気持ちもあって気にされていると思いますが、ただ、御指摘としてごもっともなところが多いのではないかと思います。一応、お伝えするということでよろしいのではないでしょうか。
○竹内座長
 ありがとうございます。そうしますと、全体的な意見として掛江先生が御指摘された点というのは、細かいようですが、とても重要なポイントですので、この会として申請機関にフィードバックさせていただくという形で、まずはよろしいでしょうか。
 それでは、これはフィードバックさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 続きまして、飛田構成員より試験実施計画書の評価について、御説明を頂いた後、今、木村構成員から頂きました試験デザインについてのポイントも含めて御議論いただければと思います。それでは、飛田構成員、よろしくお願いいたします。
○飛田構成員
 よろしくお願いします。私の評価に関しては71ページに記載させていただきました。まず、この試験は細胞バンクに自家臍帯血細胞を保管している1歳から7歳未満の小児脳性麻痺の患者さん12例を対象とした1施設の単群試験として計画されています。先ほど来、話にあった有効性の主要評価項目に関してですが、粗大運動能力尺度、GMFMの変化として、輸血前6か月前から輸血時点までの6か月間の差と、輸血時点から6か月後までの6か月間の差についての差、変化量の差を評価するという評価項目になっています。この評価項目を設定している根拠として、研究者側は対象者の年齢や成長による影響、リハビリの効果が影響することを考慮し、これまでの検討から年齢やリハビリの影響は、ある一定の傾きを持って変化していることから、輸血前後6か月の差に対して、差を取った変化量であれば、それらの影響をある程度に排除した評価ができるのではないかという検討がなされて設定されています。
 ただ、年齢やリハビリだけではなく、初期の重症度の影響や12例という少数例での臨床試験ですので、様々な影響を受けることから、評価にはばらつきが大きくなる懸念があります。
運動評価に関しても、88の総合点という評価のほかに、年齢や重症度を加味した感覚尺度にしているGMFM-66算出スコアという尺度もあり、計画書では、この2つの尺度に関する記載が曖昧になっている点、実際どのような結果が得られたら、この医療技術が有効であると判断するかの規準や根拠について、研究者側に問合せをさせていただきました。この点については、先行研究も対象症例数が少ない中での評価しかない状況であり、閾値のようなものを事前に設定するということが困難であること、個人の変動や変化を個別に評価していく方針である旨の回答がされています。
 これらの検討内容に関しては、一定の理解はできるのですが、単群試験の前後比較での評価についてはバイアスやバラツキなどの問題があることから、仮にこの試験の結果として前後差で統計学的な有意差が認められたとしても、その結果に関して臨床的に本当に意味のある差であるとは限りませんので、結果の解釈、報告については十分に注意をして評価をしていただきたいとコメントさせていただいています。
 この試験が最終的な保険収載までのロードマップにおいて、どういう役割、位置づけの試験であるかに関しては、88ページのロードマップをご覧ください。研究者側も状況に応じてこの先進医療の本試験の次に新しい臨床試験を検討してというようにも取れる記載がされていますので、本試験成績次第ではあるかと思いますが、当然、次の臨床試験実施も視野に入れて検討していただければ良いかと判断して、いずれも「適」と判断させていただいています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。副担当の飛田構成員、今、御説明いただいて、それでは、松山先生から総評を含めて、先ほどの試験デザインの点について、木村構成員から御指摘を3つほど頂きましたので、それも含めて松山先生に取りまとめをお願いしたいと思います。
○松山座長代理
 まず、掛江構成員から御指摘の4点に関してです。非常にクリティカルなことで、やはり①~④まで御対応いただくべきであろうと考えております。これだけであれば、恐らく「条件付き適」という形で、私ども評価委員と座長の間で見させていただければよかったと思っております。後半の非臨床POCがそもそもとれていないのではないかという議論の部分が、やはり「等」というのが余り好ましくないので、後ほど言及させていただきます。
 まず、掛江構成員の①説明16の部分です。今回の研究の難しい点は、既に再生医療法の外でストックされた臍帯血由来の単核球細胞を使う場合と、それから前向きで数例だと思うのですが、高知大学でこれから御説明して臍帯血を頂いてストックしていくものと2つのパターンがあります。その各々で説明同意文書が2つあって、分かりにくいということでした。私も最初に評価をしたときには、かなり混乱しました。特に①に関しては、先進医療で患者様に御負担があるかどうか、療養担当規則の精神から考えると、非常にクリティカルな部分だと考えます。先進医療評価会議としては、この部分を見過ごすわけにいかないと思い、①に関しては修正をしていただき、それを確認させていただこうと思います。
 ②の説明文書18の研究の資金に関しては、これは再生医療等法、あるいは臨床研究法でも、利益相反に関しては委員会でレビューされておられますが、本来それは委員会とのレビューであって、利益相反は患者さんに御説明した上で、企業からお金をもらっている、もらっていなくても、こういう御説明であれば患者さんが自らの意思をもって研究に参加できるかどうかをディシジョンしていただくというのが筋なのです。そう考えると、この利益相反、あるいは研究費の提供に関しては、ないのであればないという形で明確に記載していただく。別に、あっても悪いわけではないと。あるということを御説明した上で、患者様がこの臨床研究の中に入ってこられるというディシジョンされるわけですから、この部分は正直に記載していただくということで、⑱は再生医療等法並びに関連する臨床研究法の精神から考えると、御記載いただくべきであろうと考えました。
 ③、④に関しては、記載内容に関しては漏れなく入っているのですが、患者さん自身が非常に分かりにくいということで、それが本当に正しいのか。生命倫理の4原則、オートノミーの精神から考えると、適切に情報提供をして、患者さん御自身で判断するということが、本来の形です。やはり、この部分は患者さんに分かりやすく修正していただくほうがよかろうと考えます。この部分は、恐らく昔から使っていた説明文書と、ここ10年の間で随分臨床研究が洗練化されてきて、何を言わなければいけないのか、何を書かなければいけないのか、あるいは再生医療等法で何を説明しなければいけないかが明確化されてきて、そのリスト化されたチェックの部分と従前から使っておられた説明文書の部分に若干の齟齬が出てきた、あるいはばらばらになっていたということなのかと。ですから、今回も頭の体操も兼ねて、③、④に関しても分かりにくいと。確かに今言われてみると、掛江先生がおっしゃるとおり分かりにくい部分がありますので、③と④に関しては法令に違反しているわけではないですが、患者さんに分かりやすく御説明していただくほうが、臨床研究としては望ましいという視点から修正をお願いしたいと考えました。
 次に、臨床研究のスタディプロトコルのことです。今、木村構成員がおっしゃったことは非常に重要です。まず、エンドポイントに関して、恐らくこの研究ですと統計的な差が出る可能性もあるのだけれども、恐らくそれで保険収載に持っていくほどのエビデンスにはならないだろうと、私自身は今考えています。どうせでしたら、リアルワールドデータを持っておられると思うので、それと比較するとか、何らかの形で臍帯血由来単核球細胞を投与する前の6か月と、投与した後の6か月では、当然後半のほうが改善率は高くなるだろうということを皆さん常識的に考えておられるので、それが実際投与されない患者さんと比較してどうなのかということを念頭におかれないと、論文化したときにも、この研究ではアクセプトできませんという話になったら、これは何のために研究をやっているかが分かりませんから、もう1回お考えいただいてもいいのかと思います。
 公的バンク圧迫の件です。これは、またこの先進医療の枠組みと違うところで議論するところですが、基本的には大学の先生方には公的バンクに臍帯血をデポジットしてくださいとお願いしていただければいいなということは、私松山の個人的な考えとして、高知大学にお伝えいただければ有り難いと思っています。
 非臨床POCの件で、申し訳ありませんが見落としておりました。非臨床POCのネズミのデータは、ハイポキシア、HIEのほうでPBLの情報が余りなかったと思います。加えて「等」が入ると非常にウィンドウが広くなって、動物実験で有効性が認められていないのに、人の研究をやっていいのかどうかという議論になってしまいますので、この部分は少し修文が必要かと思います。ですから、この部分は、できれば高知大学から、私どものほうからもう1回論文を読み直しをして、本当にこれだけ広い適応範囲でいいのかどうか、根拠があるのかどうか、Duke大学の論文を含めていいのかどうか。並びに、先ほどコマーシャルベースでDuke大学の論文が使われているという話で、木村先生が非常に危機感を持っていらっしゃいました。Duke大学の論文で、実際にどのような患者さんが対応であって、どのようなプロトコルで行われていたのかを、説明同意文書の中で明示していただく必要もあるのかもしれないと考えた次第です。
 この部分をまとめます。当初、「条件付き適」とさせていただきましたが、臨床プロトコルの件があるので、一旦継続審議にしていただいて、お時間を頂ければ大変有り難いと思います。申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。スタディデザインそのものに対して、やはり少しお考えいただいたほうがいいのではないかということも含めて、ここで「条件付き適」とするのではなく、紹介事項や、やり取りも含めて継続審議としたいという松山先生からの御意見でした。何かコメントや追加の御発言等はありますか。今井構成員から手が挙がっております。今井構成員、お願いいたします。
○今井構成員
 すばらしい御議論の数々で、大変勉強になっております。私からは、マイナーな指摘にはなるのですが、幾つか確認事項があり、まず、説明文書の6ページの3項の下のほうに、先行の臨床研究で6人に輸血を実施しましたが、安全性が確認され、6人中5人に運動能力の改善が見られましたとあります。これは最初の先進医療の評価の所には改善が見られたのは4例と記載があるように思いますが、この点、乖離があります。。総計6名の所なので、1人の差というのも大きいのかと思いますが、その点が1つです。
 それから、やはり説明文書なのですが、スケジュールが載っています。表1、研究のスケジュール及び検査観察項目。また別の所に、この研究というのは6章なのですが、研究全体の期間は、患者さんが研究に参加する期間は最大8年6か月になります。これが、この説明文書の表1を見ただけでは、まるで分からないというのがあります。実施計画書の6.10章に、すばらしい図が用意されています。それを見ると、研究の参加期間が8年6か月だというのがよく分かるのですが、そのような前提条件のない患者さんが見られる説明文書の表1のスケジュールを見ても、その辺りの研究の全体像が分からないというのが、次の点です。
 さらに、非常に細かくて申し訳ないのですが、様式第3号の19の文献情報なのですが、ここが先進医療の内容を論述した論文と、著者自らの研究結果に基づく論文を恐らく書き分けるようになっているかと思うのですが、この記載がダブッていまして、特に、先進医療の有効性及び安全性を評価した原著論文、著者自らの研究結果に基づく論文を言うというのが、この挙げられている5項目全てがそうなのか、疑問に思います。細かな点ばかりですが、以上です。
○竹内座長
 大変御丁寧に見ていただきまして、ありがとうございました。御指摘点、確かに承りました。追加の御発言等はありますか。
○松山座長代理
 よろしいでしょうか。
○竹内座長
 松山先生、どうぞ。
○松山座長代理
 今井構成員、御指摘ありがとうございます。恐らく、この研究としての参画は1年間で、その後、観察研究に入るのかと思います。というのは、一般的な介入研究の場合は、モニタリングなど非常にコストが掛かることがあります。例えば、投与された後、半年、1年後から観察研究にスイッチするというのが、先進医療でも結構行われています。この部分をよく見られていなかったので、彼らがどのようなフレームワークにしているかという再確認をさせていただいて、必要であれば説明同意文書にも変更と、観察研究と切り分けるのであれば、観察研究の別立ての研究計画書も立てていただくということになろうかと思います。すみません、私も見落としていたところです。
○今井構成員
 その点、もう少しよろしいでしょうか。研究計画書の6の10の研究のフロー図を見ると、結局は研究参加期間が最大8年6か月になるのは、臍帯血の保管登録から最大8年6か月を見ている研究なのかと、このフロー図を見て考えています。観察期間が長くなるから、8年6か月というのとは、私も当初そういう計画なのかと思って疑問に思ったのですが、研究のフロー図を見るに、どうも保管登録から最大8年6か月の研究とおっしゃっているような理解に至っています。
○松山座長代理
 ありがとうございます。この部分を、もう1回整理させてください。というのは、今回は再生医療等法の範疇外でコレクションされてストックされた臍帯血を使っておられるので、その部分に遡って研究を開始されるということは、あり得ないのです。一方で、高知大学で採取されるものに関しても、その段階から研究に入ると、例えば10例と2例ででこぼこ感が出るので、1本の研究としては厳しいところがあります。細かく見させていただいて、整合性がとれるような形で、高知大学、申請者とコミュニケーションを取って、きれいな形で申請書をブラッシュアップさせていただこうと思います。御指摘ありがとうございます。
○今井構成員
 こちらこそ、御検討ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございました。ただいまの点も含めて、継続審議とさせていただければと思います。追加はありませんか。よろしいですか。掛江先生、どうぞ。
○掛江構成員
 すみません、これは非常に些末な点なのですが、先生方に是非お伺いしたいと思ったのが、通常、臍帯血を使うときには臍帯血移植と、移植という言葉を使うと思うのですが、今回輸血という言葉を使っていらっしゃるのです。前処置をしていないから、輸血なのだということでお認めしてもいいという考え方もあるかと思いつつ、何となく臍帯血移植というよりは臍帯血輸血と言ったほうが、簡単なのです、侵襲は低いのです、効果が期待できるのですというように、低侵襲高効果のような感じの説明の意図をもって輸血という言葉を選ばれているのかと勘ぐってしまったりもしました。これは、輸血のままで適切であるということであれば、それで全く構わないのですが、ここは余り気にするべきところではないかどうかを、是非、専門の先生方に御教授いただければと思った次第です。以上です。
○竹内座長
 この点に関して、どなたかコメントはありますか。松山先生、どうぞ。
○松山座長代理
 申し訳ありません。実は、関連した同じようなものを使うものとしては、先生がおっしゃったように臍帯血の移植があります。これは、いわゆる臍帯血法で規制されていて、同じような文章になると分かりづらいから、コンタミ、頭がこんがらがるから分けたのかと私は勝手に考えていたのですが、この部分を先方に意図を確認して、法令的にも問題がないような形で、掛江先生が今回レビュアーなので一緒に見ていただければ有り難いと思います。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重なコメントでした。こちらも、照会事項でやり取りさせていただきます。これ以外に、追加はありますか。よろしいですか。それでは、整理番号146については、継続審議とさせていただきます。ありがとうございました。上村構成員、真田構成員には、お戻りいただくことといたします。
                                  (上村構成員、真田構成員 入室)
○竹内座長
 続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料4の91ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号30、シクロホスファミド静脈内投与療法です。適応症は、成人T細胞白血病(末梢血幹細胞の非血縁者間移植が行われたものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、93ページを御覧ください。主な変更内容として、患者登録期間と総研究期間の延長とあります。変更する理由として、同種造血幹細胞移植適応のATL患者のドナーの選択については、血縁のHLA適合ドナーが第一選択です。血縁のHLA適合ドナーがいない場合には、本試験の対象である骨髄バンクドナーからの非血縁者間移植が標準治療です。骨髄バンクにも適切なドナーがいない場合やコーディネートの進行に時間が掛かる場合には、臍帯血移植や血縁者間HLA半合致移植も考慮されます。
 COVID-19の感染拡大の時期には、骨髄バンクドナーが検診や面談のために医療機関へ来院することが困難であったため、ドナーコーディネートが進みづらかったこと、骨髄バンクドナーが幹細胞採取直前にCOVID-19に罹患してしまった場合には幹細胞採取が中止になってしまう可能性を懸念し、事前にドナー幹細胞を採取・凍結保存することが可能な血縁者間HLA半合致移植や臍帯血移植が選択される傾向が認められました。
 また、2021年9月の社会保険診療報酬支払基金の通知により、移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植が通常の保険診療として実施できるようになったため、非血縁者間移植よりも血縁者間HLA半合致移植が選択される傾向がさらに強まることとなりました。
 このような状況の中、本試験は患者登録に難渋し、当初の予定登録期間の患者登録数は5例にとどまりました。予定登録期間を2年間延長したことにより、患者登録は13例まで進む見込みですが、登録完遂には至らず、登録完遂にはあと11例が必要です。
 今回、目標症例数の登録完遂を目指すため、予定登録期間をさらに1年延長すること、それに伴い総研究期間もさらに1年延長となることを申請します。登録を促進するため、2024年度よりATL患者が多く造血幹細胞移植の実施件数も多い九州の大学病院4施設を追加しました。さらに、2024年11月からは関東の移植拠点病院で国内最大規模の移植施設である東京都立駒込病院も加わりました。現在、これらの施設で適格症例のドナーコーディネートを進めていただいている状態で、これから登録が進むと予想されます。予定登録期間を1年間延長し、今後各参加施設から1~2例ずつの登録が入れば、目標症例数に到達することは可能と考えております。以上です。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、告示番号30の変更については、お認めすることといたします。
 続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料5の95ページを御覧ください。国立成育医療研究センターからの申請で、告示番号41、タクロリムス投与療法です。適応症は不妊症です。
 御審議いただく主な変更内容について、96ページを御覧ください。主な変更内容として、研究期間の延長となっており、研究期間が6か月延長となります。変更申請する理由として、2024年11月末に最終症例の登録および観察期間が終了した。今後モニタリング、マニュアルチェック、データクリーニングを行い、データベースの固定、症例検討会議書作成を経て、症例検討会後にデータ固定となる。症例検討会は遅くとも2025年2月には実施が可能と考えているが、統計解析を行い総括報告書完成までにはデータ固定から最低でも4か月必要であること、先進医療技術審査部会、臨床研究審査委員会およびjRCTへの報告調整期間を踏まえると6か月の期間延長が必要と考えたためとあります。以上です。
○竹内座長
 こちらも、よろしいでしょうか。御意見がありませんので、告示番号41番の変更について、お認めすることといたします。
 続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料6-1の97ページを御覧ください。告示番号45について、1件の協力医療機関の追加申請がありました。また、上部消化癌術後のアナモレリン塩酸塩経口投与については、昨年11月の先進医療合同会議で「適」となり、現在先進医療への告示の準備を進めております。こちらについても、7施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料6-2の98ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局で手続を進めていただきますよう、お願いいたします。
 続いて、第一種再生医療等のうち、先進医療に関する審査の流れについて、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料7の102ページを御覧ください。第一種再生医療等のうち先進医療に関する審査の流れについてです。104ページの概要図と併せて御覧ください。
 まず1番目の背景として、再生医療等安全性確保法の対象となる医療技術のうち、申請者が先進医療を活用する場合、104ページの下の図にお示ししておりますとおり、従前より再生医療等安全性確保法における第二種・第三種再生医療等については、認定再生医療等委員会において審査を受け「適」とされた後、厚生労働省の所管である先進医療技術審査部会及び先進医療会議における審査にて「適」の判断を得た後に、最終的に認定再生医療等委員会において「適」の判断がなされたものについて、厚生労働省に届出を行い提供可能となっております。仮に、先進医療技術審査部会又は先進医療会議で修正があった場合には、その修正について再度認定再生医療等委員会の意見を聴き「適」とされた後に提供可能となります。
 続いて、2番目の現状と課題です。この取扱いを定める課長通知においては、従前より再生医療等安全性確保法における第二種・第三種再生医療等の審査が想定された記載となっておりました。一方、第一種再生医療等の場合、特定認定再生医療等委員会の審議の後に、厚生科学審議会再生医療等評価部会の審議を経る必要がありますが、課長通知において再生医療等評価部会の位置づけ・審査の手順が明示されておらず、手続等を明確化する必要があります。
 そこで、3番目の対応案になります。今般、第101回再生医療等評価部会及び第139回先進医療会議にて審査手順の確認を行ったため、先進医療技術審査部会においても当該審査手順についての御確認をさせていただきます。具体的には、104ページの上の図にお示ししておりますとおり、先進医療を活用することが見込まれる第一種再生医療等の再生医療等評価部会・先進医療技術審査部会・先進医療会議の審査手順等については、再生医療等評価部会における再生医療等安全性確保法における基準である再生医療等提供基準への適合性の審議を経た後に、先進医療技術審査部会・先進医療会議で審査を行う方向で考えております。仮に、先進医療技術審査部会又は先進医療会議で「適」と判断された場合は、法令上の必要性から再生医療等評価部会で最終的な「適」の判断を経て、再生医療等の提供が可能となります。この流れ自体は、第二種・第三種の場合に先進医療会議の後に認定再生医療等委員会で「適」の判断がなされる流れと変わりません。再生医療等提供基準への適合性が確認された後に、先進医療技術審査部会・先進医療会議で審議となるため、基本的には当該基準への適合性に係る観点については論点にならないものと考えておりますが、万が一、先進医療技術審査部会で頂いた御意見について当該基準への適合性の観点で再審議が必要と判断される場合には、再度再生医療等評価部会の意見を聞くこととなります。当該審査の流れについて、先進医療技術審査部会の構成員の皆様に御了承を頂きたく存じます。事務局からは以上です。
○竹内座長
 既に、先進医療会議でも、このことが確認されておりますが、何かここで御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局の提案どおり進めていただければと思います。
 続いて、令和7年度先進医療技術審査部会開催予定表について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料8の105ページを御覧ください。令和7年度の先進医療技術審査部会の開催予定をお示しております。来年度についても、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
○竹内座長
 残りの課題は、その他となっておりますが、事務局から何かありますか。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局から報告があります。昨年12月12日に開催されました第169回先進医療技術審査部会で、事務局より提示させていただきました資料に一部修正が入ることになりましたので、報告させていただきます。タブレット資料6の1ページを御覧ください。この度、先進医療Aの1技術、参考資料1の告示番号8の技術及び、先進医療Bの告示番号29の技術の実施施設より、費用の修正の御依頼があり資料が再提出されましたので、報告いたします。申請施設からの資料再提出を受け、参考資料の当該技術の先進医療総額を修正するとともに、12月の会議資料の1ページ、先進医療の実績報告についての集計部分にあります先進医療費用の総額が、先進医療Aで112.9億円から113.0億円に、またAとBの合計が119.4億円から119.5億円に修正となりますので、本日報告させていただいた上で資料の差し替えを行う予定です。以上です。
○竹内座長
 先進医療の費用が書き込まれていなかった所があり、それを御指摘いただいて修正していただいたということで、総額としては僅かですが、全ての先進医療について費用をきちんと書き込んでいただいたということでした。その他、事務局より議題はありますか。
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局より報告があります。タブレット資料7の1ページを御覧ください。こちらは、以前先進医療Bで実施されていた経皮的乳がんラジオ波焼灼療法の総括報告書となります。こちらの先進医療ですが、本技術で用いられていた医療機器が保険適用となったために、令和5年12月に告示削除となりました。先進医療通知において、試験を終了する場合、申請医療機関は総括報告書を提出することとなっており、この度、申請医療機関から総括報告書の提出がありました。しかし、本先進医療は保険適用となったために、部会での審議は行わないこととさせていただきます。申請医療機関から総括報告書を提出いただいたことについて、この場を借りて報告とさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 本件について、何か御意見、御質問等はありますか。保険適用を獲得したということで、大変すばらしいことだと思います。よろしいでしょうか。本日は長時間にわたり、大変活発な御意見を頂き、誠にありがとうございました。本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、コメント等はありますか。よろしいですか。大変活発に、貴重な御意見を頂きました。ないようでしたら、事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は、令和7年2月13日(木)の開催といたします。時間は、16時~18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 それでは、これをもちまして第170回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。