薬事審議会血液事業部会令和7年度第1回運営委員会議事録

日時

令和7年6月17日(火)16:00~18:00

場所

Web併用形式
日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階 8E会議室

出席者

出席委員(5名):五十音順、敬称略 ◎委員長
欠席委員:敬称略
日本血液製剤機構:敬称略 
KMバイオロジクス株式会社:敬称略 
武田薬品工業株式会社:敬称略 
日本赤十字社:敬称略 
事務局:

議題

  1. 1. 感染症定期報告について 
  2. 2. 血液製剤に関する感染症報告事例等について
  3. 3. 献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について
  4. 4. その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

議事内容
○源血液対策課長補佐 定刻より少し早いのですが、皆さんお集まりいただいておりますので、会を始めさせていただきます。ただいまより「血液事業部会令和7年度第1回運営委員会」を開催いたします。本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の利便性の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 まず初めに、委員の辞任がありましたので御報告いたします。当委員会所属の武田委員におかれましては、一身上の都合により当委員会を辞任したいとの申し出がございました。部会長に御相談し、これを受理いたしましたことを御報告いたします。
 次に、会議における委員の出席についてですが、三谷委員から御欠席の御連絡を頂いております。従いまして、委員6名中5名に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
 本日は参考人として、一般社団法人日本血液製剤機構より、木村経営戦略本部経営戦略部部長、続いて、KMバイオロジクス株式会社より、副島研究開発本部研究開発戦略部部長兼研究開発管理部部長、矢治生産本部SCM部部長、次に、武田薬品工業株式会社より石丸血漿分画製剤研究開発部門PDTファーマシューティカルサイエンスヘッドに御出席いただいております。また、日本赤十字血液事業本部より谷血液事業経営会議委員、藤田副本部長、後藤技術部次長、遠藤技術部次長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条への適合状況を御申告いただいており、本日の議題について影響ないことを確認しておりますので、御報告いたします。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、「1議事次第」から「13資料4」までのPDFファイルが表示されているか、御確認をお願いします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWeb併用での審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問がございましたら、挙手等によりお示しいただきますようお願いいたします。委員長から、順に発言者を御指名いただきます。指名された方は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずはお名前を発言ください。ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 なお、発言者が多くなり音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入いただくよう、事務局又は委員長からお願いをする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて、委員長より発言者を御指名いただきます。
Web参加の皆様におかれましては、議事進行中に会場の音声が聞こえづらい状況が続き、審議参加に支障を来す場合には、チャット等でお知らせいただくようお願い申し上げます。
 間もなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 皆さん、こんにちは。どうぞよろしくお願いいたします。これまでの説明で、何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります。議題1、感染症定期報告について、事務局より資料の御説明をお願いします。
○源血液対策課長補佐 事務局から、議題1、感染症定期報告について、資料1-1を御覧ください。
 1ページ目、令和6年12月~令和7年2月までに提出された感染症定期報告に含まれる研究報告について、重複している部分を除いた報告概要一覧を作成しております。今回の対象期間においては、3本の文献があります。この文献の全文については、資料1-2に掲載しておりますが、著作権の関係上、委員にのみ配布することとしております。
 1本目はN Engl J Med.からのウイルス感染症報告で、内容はオロプーシェウイルス(OROV)となっています。本報告では、妊娠中のOROV感染リスクを強調しており、流行地域や新興地域に住む又は訪れる妊婦において、この感染症を考慮する必要性を示しています。
 2本目はCDCのMMWR.からの報告で、パルボウイルスB19感染症についてです。臨床サンプル及び原料血漿ドナープールの商用臨床検査を用いて、ヒトパルボウイルスB19の活性化が検出されました。米国においては、2018年の1月~2024年8月の研究期間中に、約35万例の検体から約40万検体のIgMについて検査され、2024年の第1四半期に、欧州のいくつかの国でヒトパルボウイルスB19が活性していることが報告されました。
 3本目はProMED-mailからニパウイルス感染に関して報告されています。2024年にバングラデシュでニパウイルス感染により5人が死亡。疫学・疾病管理・研究機関(IEDCR)によると、2024年12月にニパウイルスが全国に広がっていることが確認されました。過去の同国の調査では、致死率71%、生存者は、しばしば長期的な神経学的合併症に苦しんでいると報告されています。現在も、国全体がニパウイルスのリスクにさらされ、IEDCRは52人のニパウイルスの生存者を定期的にフォローしているとあります。
 3ページ以降は外国症例報告の一覧のため、詳細説明を割愛させていただきます。
 本日は受理データとは別になりますが、参考資料1として、感染研より文献報告の御準備を頂いており、そちらについては水上先生より御説明を頂戴いたします。
 議題1については、事務局から以上となります。お願いいたします。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。ただいまの説明について、そうしましたら水上委員から追加で御発言、御説明をお願いいたします。
○水上委員 ありがとうございます。今回は3つの文献となりますが、文献1についての簡単なコメントと、文献2のパルボウイルス、感染研から追加で、エゾウイルス感染が中国で広がっていたということについて、コメントさせていただきたいと思います。
 1件目は前回の運営委員会でも御説明したので詳細は省略しますが、南米及びブラジルで発生しているOropouche virusに関するもので、妊婦の母子感染を示した論文となっております。2023年より感染者数が増加し続け、特に2024年後半より2025年の初頭にかけて発生数が急増しております。血液スクリーニング法が開発されてないということで、前回、情報共有させていただきましたが、2025年5月のIPFA及び6月のISBT2025では、Vitalant Research Institute (VRI)のグループが開発した方法により、2023年11月から2024年4月でのミニプールでの結果が示されており、時期により異なりますが、ブラジルのアマゾネス州では最大40%近くのミニプールでNAT陽性となっており、血中ウイルスも10^3~10^6コピー/mLと報告されておりました。
 また一方、ロシェ社がコバスで稼動する検出感度10コピー/リアクション50pfu/mLの性能を有するキットをRUOで開発しているという発表もありまして、また日本でも、私ども感染研のほうではこの核酸の検査系のほうが既に構築されており、抗体検査法も構築されつつあるということで、検査体制が整いつつあると考えております。Oropouche virusの分布は想定以上に広く、また輸入症例も米国、カナダ、欧州で多数報告されておりますので、引き続き注意が必要かと思われます。
 文献2です。こちらは、米国において2024年に臨床検体及びプールドナー血漿を用いてパルボウイルスB19の核酸検査、及びIgMの抗体検査が行われたところ、陽性率の上昇が認められたという報告になっております。皆様が既に御存じのとおり、パルボウイルスB19はパルボウイルス科のパルボウイルス亜科、エリスロウイルス属に属するエンベロープを持たない極めて小さな1本鎖DNAウイルスです。このB19感染はほとんどの場合、軽度の呼吸器疾患を惹起する程度ですが、妊娠、免疫不全者、あるいは慢性溶血性血液疾患を持つ人においては有害な健康転機をもたらす可能性があり、特に妊娠9~20週の間に、このB19に感染した場合は、胎児への障害が起こる可能性が示唆されております。
 また、B19自身、輸血や血漿分画製剤による伝播が報告されております。この2024年頃からB19の感染が世界各地で増加していることが報告されており、ECDCは、2024年初頭に欧州14か国でB19の感染が増加していることを報告しております。イタリアのミラノの病院では、2024年度1月から7月にかけて妊婦のB19感染例が59例報告され、2015年から2023年の年平均7例未満を大きく上回っておりました。この病院では、COVID-19下の2020から2022年は1例も報告されておりませんでした。このCOVID-19下のB19の感染報告の減少については世界で共通しております。イタリアのトスカーナ州で、この2024年に発生したアウトブレイクでの臨床分離株の遺伝子解析により、2017年に出現したB19-1a亜型が主因であることが示されております。
 フランスにおいてもクレルモン・フェラン大学病院において、2023年12月から2024年5月にかけて、B19の陽性率が、それ以前の5年間と比較すると7倍、パーセントで言うと2.1%から14.6%となったことが報告されております。非典型的な臨床症状や病原性の増大というのは認められておりませんが、このアウトブレイクによる妊婦や慢性貧血のある患者における重症感染症の増加が認められております。また、当該報告においても、この遺伝子解析の結果、B19-1a亜型が主因であることが示されております。このように、B19の感染拡大が見られたことから、この米国の調査が行われたと考えております。なお、米国では、B19の定期的なサーベイランスは実施されておりません。
 この論文では、B19の感染増加を評価するために2つの独立した調査、1つは医師の依頼による臨床検体を用いたIgMの抗体検査、もう1つは、大手検査機関による1プール当たり512献血で構成されるプールドナー血漿を用いた核酸増幅検査(NAT)になります。その結果、臨床検体におけるIgMの陽性率は、2020年から2023年の間は1.5%程度で推移していたのですが、2024年の第2四半期には9.9%に達し、2018年の3.8%及び2019年の5.1%、第2四半期のピークよりも有意に高いことが示されております。
 また、プール血漿におけるB19NAT陽性率は、2020年から2023年の間は2%未満で推移しておりましたが、2024年度6月には20%に達し、臨床検体の結果と同様に、2018年の6.7%及び2019年の7.3%のピークよりも有意に高くなっておりました。現在のB19の感染拡大を考慮しますと、呼吸器系ウイルスの予防策の推進及びB19の感染モニタリングが妊婦やその他のハイリスク群における有害な健康転機を減少させる可能性があると、この論文では考察されております。
 日本国内での発生動向については、感染症発生動向調査によると、2025年度のヒトパルボウイルスB19による感染症である伝染性紅斑の報告数については例年に比べ増加しております。また、本邦での管理体制について、生物由来原料基準には、この輸血用血液製剤、血漿分画製剤のいずれにおいてもB19に関する基準は存在しておりませんが、日本赤十字社では、1997年より凝集法 (RHA) によるスクリーニングが、2008年よりはCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法: 血清学的検査)によるドナースクリーニングが行われ、輸血用血液製剤における感染事例は、凝集法が適用されていた時期の1997年から2007年の9例から、2008年から2015年で1例という形で減少しており、原料血漿へのB19の混入軽減が図られております。
 また、2019年よりCLIA法(化学発光免疫測定法)に変更されており、より高感度になっております。また、プール血漿に対する抗原検査は、このKMバイオロジクス社では実施されていることに加え、小分け製品におけるNAT検査がKMB、JB、及び武田薬品の国内製造では実施されております。血漿分画製剤では、過去20年で1例のみ報告されておりますが、これに関しては製剤による感染が否定的な事例となっており、基本的には問題ないと考えております。
 各国のB19の基準ですが、米国FDAでは、2009年7月に発行した「Guidance for Industry: Nucleic Acid Testing (NAT) to Reduce the Possible Risk of Human Parvovirus B19 Transmission by Plasma-Derived Products」 ガイダンスの中でB19に対する核酸増幅検査を推奨しており、製造プール中のB19のDNAウイルス量が104 IU/mLを超えないことを保障すべきとされております。欧州薬局方 (EP)でも同じような基準が設定されております。
 また、企業意見としまして、B19はほかのウイルスに比べ、血漿分画製剤での製造工程における不活化・除去が、このウイルスの特性もありましてやはり難しいということから、本ウイルスの伝播リスクを完全に否定することができないため、1996年11月より、使用上の注意についてB19については記載が行われ、注意喚起が図られていること、仮に原料血漿にB19が混入しても、CPVをモデルウイルスとしたウイルスクリアランス試験成績及びB19を用いた不活化・除去試験の結果から、製造工程において不活化・除去されると考えられていると述べられており、現時点では特段の措置を取る必要はないと考えられております。
 3件目は、感染研のほうから参考資料としてエゾウイルスの論文を提出させていただいております。つい最近、マダニが媒介するSFTSに感染したネコの治療を担当していた獣医師が感染して死亡した事例がニュースになっておりますが、このダニ媒介性新興感染症というのは世界的に、継続的に報告されております。2020年以降、新たなウイルスが多数報告されており、本運営委員会でも、以前、このエゾウイルスを報告させていただいております。このエゾウイルスですが、北海道内でマダニ咬傷後に、SFTS様の症状を発症した患者さんより分離された新規のダニ媒介性ナイロウイルスで、2021年に本邦から初めて報告されたウイルスとなっております。
 こちらは高率で発熱、血小板減少、白血球減少が見られることが報告されており、野性動物の抗体調査では本州でも確認されているところから、本州での発生も懸念されている感染症となっております。2023年にEmerg Infect Dis誌に、中国で初となるこのウイルスの感染報告がありました。その後、中国東北部の病院における積極的サーベイランスが行われ、2022年、2023年及び2024年5月から7月の間にダニに噛まれて医療機関を受診した988名の解析を行った結果、Figure.1にあるとおり、150人中、2022年度は4人で3%、2023年度は480人中8名で2%、2024年度は358名中6人で2%ということで、計18名がこのエゾウイルスのRNA陽性であったことが分かりました。
 また、血清学的検査の結果、急性期の患者から採取した16人の血清検体で、このエゾウイルスに対するIgM抗体、IgG抗体、又はその両方が陽性であったということで感染が裏付けられております。この感染者の18人の44%に相当する方、約8人は重症のため入院が必要であり、38~41度の不規則な発熱が特徴的で、ほかの10人よりも消化器症状、神経症状が頻発しておりました。
 このマダニに噛まれてから発症までの潜伏期間は、中央値で8日となっております。臨床症状の詳細は省きますが、急性ウイルス感染症、出血熱ウイルスなどのウイルス血症を示すウイルス感染の際の症状と極めて類似しておりました。なお、このエゾウイルスに感染した18名の患者で死亡例はありませんでした。今回、感染された方、全員が農業従事者であり、マダニに噛まれた場所は山地がやはり多く、次いで森林地帯となっております。
 また、Figure.4に示されているとおり、筆者らは、患者の血清から3つのエゾウイルス株の分離に成功しております。さらに、患者から摘出されたシュルツェマダニ及び周辺地域で採取されたマダニから、計10個のエゾウイルスの全ゲノム配列が得られており、患者由来の5つのエゾウイルスゲノムは、Lタンパク質のアミノ酸の同一性が99.6~99.9%を示し、中国の内モンゴル自治区と北海道で以前検出された4人の患者由来のエゾウイルスゲノムと99.6~99.8%の相合性を有していることが分かりました。加えて、Lタンパク質に基づく系統解析を行ったところ、どうもこれが2つのクレードに分類されるということが示されました。
 エゾウイルスを媒介するマダニの種類については、日本では北海道で採取されたオオトゲチマダニ、ヤマトマダニ、それからシュルツェマダニからエゾウイルスが検出されたことが報告されておりますが、本論文では、シュルツェマダニからのみ検出されております。このシュルツェマダニは、アジア、東ヨーロッパに広く分布しており、北緯21度から66度の範囲に分布し、世界人口の約1/5はこの地域に居住しております。
 このことから、エゾウイルスを媒介するダニの分布と正体をより深く理解するためには、広範囲にわたるダニ監視を強化する必要があると著者らは述べております。この論文では、エゾウイルスが本邦のみならず広範囲に存在していることを示しているデータとなりました。気候変動によりマダニの生息率が拡大し、エゾウイルスのような新たな感染症リスクが高まっていると考えられており、特に北海道では温暖化によりマダニの活動期間が長くなり、感染拡大の可能性が指摘されていることから、引き続き注視すべき病原体であると考えられましたので、今回、追加で情報共有いたしました。コメントは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。エゾウイルスについての説明も含めて、大変詳細に御説明いただきました。委員の先生方から御意見、御質問があればお願いいたします。大隈委員、お願いいたします。
○大隈委員 大隈です。よろしくお願いします。まず、このパルボウイルスのB19ですが、ちょっと確認ですが、世界的に感染が拡大しているということですが、日本ではそこまで感染が広がっていないという、そういった傾向は余りないということでよろしかったでしょうか。
 あと、エゾウイルスについては、非常に急を要するところではありますが、今のところは日本と中国のみでしか、検出されていないということでよろしかったでしょうか。以上の2点、よろしくお願いいたします。
○田野﨑委員長 まず、水上委員からお願いいたします。
○水上委員 ありがとうございます。恐らく、献血における陽性率等に関しては日赤の先生のほうが詳しいかと思いますが、感染症の定点当たりの報告数につきましては、やはり若干増加しているという感じになります。ただ、恐らく、一番高い、現状2025年の第19週までのデータを見ておりますが、基本的には、過去5年間の同時期の平均と比較してかなり高く、1.2を超えて増加は確認されているかなとは思いますが、そこまで大きな増加にはなっていないのかなと思っております(補記: 本発表後にリリースされた感染症週報(IDWR)第25週(6月16日-22日)によると、定点あたりの報告数は2.5を超えて、明らかな増加となっている。)。
 エゾウイルスに関しては、また広範囲な調査が多分必要になってくると思いますが、現状では日本と中国という形になっております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。日本赤十字社から、追加でB19についてありますでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部谷血液事業経営会議委員 谷です。献血者でも同様に、2024年の秋ぐらいから関東でまず増えだして、あと、全国に広がっていっているというところです。いろいろ過去を見てみますと、流行にサイクルみたいなのがあって、2011年、2015年、2019年というふうに、4年ごとに今まではピークがありました。今回は多分、コロナの影響で、手洗い、マスクの励行があり、それで2025年近くまでずれ込んだのではないかと思います。今はちょっと全体的に収束傾向です。そういうところだと思います。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。こちらはスクリーニングで省かれてということで、ドナープールのほうには入ってこないという理解でよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部谷血液事業経営会議委員 それで結構です。一応、抗原検査でB19はスクリーニングしています。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。松下委員、お願いいたします。
○松下委員 松下です。B19に関連しての質問です。今、谷先生がおっしゃった、抗原検査はクリアしているということなのですが、検査の検出限界があり、検出限界以下であれば、輸血をどれだけの量するかだと思うのですが、感染は成立しないという認識でいいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部谷血液事業経営会議委員 その辺はちょっと分からないですが(実際には検出限界以下での感染は報告されています)、一応、S/COで結構厳しいところを取っていますので、偽陽性の人も含まれてきて、疑わしきは罰せずという感じでスクリーニング検査していますので、多分、(血清学的検査で)真の陽性者というのが献血血液に入っているリスクは低いと思います。それでよろしいでしょうか。
○松下委員 そうですね。IgMが消えているときには、もうウイルスは消えているということなのだろうなと思うのですが、でも、まだウイルスは残っているかもしれない時期に献血されることは、不顕性感染が多い病気なので、あるのではないかと思うのですが、クリアであれば、ある程度ウイルス粒子があっても非常に量の少ない状態の血液が供給されて現在もいる可能性は否定できないということでいいのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部谷血液事業経営会議委員 そういう認識でいいかと思います。
○松下委員 分かりました。B19が結構話題になったのは15年ぐらい前で、当時は、みんな結構気にしてたと思うのですが、最近は忘れられてしまって、輸血後に熱が出た人について余りB19を想起することがなくなって、輸血でうつることはないというふうに思っているお医者さんが結構多いような気もするので、何となく気になって質問させていただきました。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ちなみに、これは感染経路によって、B19は症状が異なるのでしょうか。水上委員、もし、御存じであればお願いします。
○水上委員 ありがとうございます。副反応がどういうふうになるかというのは幾つか報告があるのですが。例えば、最近だと、赤血球とか血漿由来で感染した場合の副反応というのが幾つか報告されているのですが、具体的にどう変わるとかまでは把握しておりませんので、調べて、また御報告したいと思います。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。どうもありがとうございました。そうしましたら、事務局におかれましては、今後とも感染症の定期報告をお願いいたします。
 次に、議題2に移りたいと思います。議題2は血液製剤に関する感染症報告事例等についてです。事務局から御説明をお願いします。
○源血液対策課長補佐 よろしくお願いいたします。事務局です。資料2-1と資料2-2に関して御説明をさせていただきます。まず資料2-1です。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例についてです。こちらも同様に、令和6年12月~令和7年2月までの3か月間の感染症事例をまとめております。
 1ページ、新規及び追加の報告ですが、輸血用血液製剤は13件あります。血漿分画製剤は4件でした。そのうち輸血用血液製剤との因果関係が否定された報告は3件、血漿分画製剤との因果関係が否定された報告は0件となっております。
 輸血用血液製剤による病原体感染症報告事例の内訳としましては、HBV感染で3件、HCV感染、HIV感染で、いずれも0件、その他7件で、そのうちCMV感染が2件、細菌等が5件、その内訳で細菌が4件、真菌が1件でした。
 HBV感染報告事例です。輸血後に抗体検査が陽性であった事例は3件、そのうち献血者の保管検体の個別NAT陽性の事例は0件、劇症化又は輸血後に死亡したとの報告を受けた事例は0件でした。
 HCV感染報告事例、HIV感染報告事例は0件のため、省略いたします。そのほかの感染症報告事例ですが、B型肝炎及びC型肝炎以外の肝炎ウイルス感染症報告事例は0件、CMV感染が2件、細菌等感染報告事例において、当該輸血用血液製剤の使用済みバッグを用いた無菌試験の陽性事例は0件、そのうち、輸血後に死亡したとの報告を受けた事例も0件でした。
 2ページ、上段が先ほど御説明させていただきました輸血におけるHBV感染報告例で、いずれも個別NAT陽性の事例は該当ありませんでした。輸血後の検体検査で陽性であった事例が3件となります。いずれも投与前の検査では抗原あるいは抗体検査で陰性が確認され、輸血後に抗原あるいは抗体あるいはHBV-DNAが検出されていますが、献血者の個別NATは陰性でした。
 中段に、輸血によるHAV感染報告事例で、輸血後の抗体検査等で陽性であった事例が1件あり、輸血前検査は陰性、輸血後でHAV IgM抗体陽性を指摘されていますが、献血者の個別NATは陰性で、医師、企業ともに因果関係を否定して、これは報告対象外となっております。
 下段に、輸血によるサイトメガロウイルス感染報告例の記載をしています。輸血後の抗体検査等で陽性であった事例で、以下、4件を記載していますが、4件中2件で患者検体と母乳中のウイルスについての超可変領域であるUL139領域及びUL146領域の塩基配列を検査したところ、母乳株と患者株の一致が報告され、医師、企業ともに因果関係は否定し、この2例は報告対象外とされました。
 続きまして、次ページです。細菌等感染報告例です。こちらに関しては、2件が血小板製剤、3件が赤血球製剤の報告です。最上段が真菌感染症で、そのほかが細菌感染症となります。いずれの事例も、血液製剤の使用済みバッグ、残余あるいはセグメントチューブで検査されましたが、陰性との報告を受けております。
 次ページ、こちらは血漿分画製剤による病原体感染症報告事例の一覧を掲載しております。
 続いて、資料2-2の説明をいたします。こちらは供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。1ページの血液製剤に関わる遡及調査ガイドラインに基づく、日本赤十字社における供血者からの遡及調査実施の進捗状況を日本赤十字社より御提出いただいておりますので、今回は令和6年4月1日~令和7年3月31日(速報値)ということで頂いております。表の左と中央は、比較のための一昨年と昨年を示しておりますが、一番右のカラムが今年度の速報値となっております。一番上の1番の遡及調査対象献血血液の概要についてです。(1)調査対象とした献血件数ですが、前年度の同時期に比較してHBVが+529件の1,915件、HCVが+33件の216件、HIVが-5件の12件、HEVが+150件の5,279件が対象となりました。(2)調査対象とした輸血用血液製剤の本数、(3)医療機関に情報提供を行った輸血用血液製剤の本数については、記載どおりの数字となっております。
 2番、遡及調査対象のうち、プールNAT検査が陰性かつ個別NAT結果が陽性であった献血血液はありません。
 3番、遡及調査対象のうち、個別NAT結果が陰性の輸血用血液製剤の投与によって、受血者の陽転が確認された献血血液はありませんでした。
 2ページ、こちらは医薬品医療機器等法第68条の11に基づく回収報告状況を個別に羅列しております。こちらは令和6年12月~令和7年2月分を記載しております。
 この輸血用血液製剤の細菌混入等の対象の一環として、令和6年の第2回の運営委員会にて御紹介をさせていただきました血小板製剤への細菌スクリーニングの導入に関しまして、今年2月に当該製剤の製造販売承認が取得されまして、薬価収載の手続を経て、来月より供給開始となる予定があります。そこで、血小板の細菌スクリーニング製剤を日本赤十字社より、この導入に当たっての留意点等を御報告いただきます。お願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 それでは、血小板製剤への細菌スクリーニング導入について、日赤の後藤から御説明いたします。資料2-3を御覧ください。2枚目ですが、細菌混入の安全対策として、初流血除去・保存前白血球除去を導入した2007年以降、2024年まで30例の輸血後細菌感染症が特定されており、全て血小板製剤によるものでした。2017年、22年、23年には死亡症例があり、こちらの審議会等にも報告をしております。
 3枚目を御覧ください。こちらの図は審議会等でも何度か御説明をしていますが、血小板製剤による細菌感染症の頻度を比較しますと、短い有効期間で運用してきた日本は、従来法の細菌スクリーニングを実施していたアメリカやカナダより、ずっと頻度が低かったのですが、2011年にイングランドが導入した改良細菌スクリーニングは、更にリスクを低減できる可能性があるということで、日赤では改良培養法による細菌スクリーニングの導入を決定いたしました。
 4枚目を御覧ください。血小板製剤の安全対策として、細菌スクリーニングを導入することから、供給開始後は、速やかに新しい製剤に切り替えるよう、血液対策課からも通知を頂いております。
 5枚目を御覧ください。細菌スクリーニング済み血小板製剤の変更点についてです。全ての血小板製剤に細菌スクリーニングを実施いたします。放射線未照射製剤については、製造販売終了とし、照射製剤のみとなります。また、1単位、2単位製剤の製造販売も終了といたします。HLA血小板製剤には、5単位の製剤を追加することといたします。有効期間については、採血後4日から6日間に延長いたします。ただし、洗浄血小板については、これまでと同様、製造後48時間、ただし、採血後4日間を超えないという有効期間になります。
 右側にその他の変更点をまとめて書いておりますが、医療機関への供給は、現在の3日目から採血5日目の血小板が中心となります。血小板の発注や予約の締切りは、これは通常の血小板は現在とほぼ同じ、供給前日。洗浄血小板は、洗浄を見越した採血を行う必要があるため、供給日の4日前まで。HLA血小板は適合献血者に献血を依頼するため、供給日の7~10日前とすることを原則といたします。
 血小板献血の受入れと、このピークとなる曜日も変わります。こちらは、次で御説明いたします。細菌スクリーニング導入に伴い、これまで細菌混入の指標として、念入りに確認いただいていた凝集物については、細菌混入の指標とはしないこととし、新たな外観確認の判定基準を設けることといたします。こちらも、後ほど御説明いたします。
 6枚目を御覧ください。血小板の安定供給に向けた変更点を御説明いたします。グラフの黄色のバーは、供給日を考慮したスクリーニング導入後の曜日ごとの血小板の必要採血数です。青いバーは、現在の曜日ごとの採血数の実績となります。
 比較しますと、特に木曜日や金曜日は、今のままでは不足することが分かります。青いバーの上の緑のバーは、現在、血漿のみ献血いただいている献血者の中から血小板に切り替え可能な方の見込み数を表しております。これを見ますと、必要な血小板の確保は献血種別の切り替えにより可能と考えられました。血漿献血者の中から血小板献血に変更いただくようにお願いして、必要となる血小板を確保するように努めてまいります。
 7枚目を御覧ください。スクリーニング製剤の切替、供給開始日は、7月30日といたします。切替時の対応については、スクリーニング製剤は採血後40時間の待機時間を設け、その後細菌スクリーニングを実施するため、採血5日目を中心に医療機関に供給いたします。今の血小板製剤は、採血2日目から供給をし、3日目が供給の中心となっています。このことから、切り替えに当たって、2日間のタイムラグがあることを考慮し、供給可能な血小板がなくなってしまう時間を発生させないために、現行製剤とスクリーニング製剤の両方を採血する日が2日間必要になります。これには7月最終の土日を当てることとし、今から予約のお願いをしながら、必要な血小板の確保に向けて対応を進めております。
 また、切替時の血小板製剤の発注や供給については、変更点やお願いしたい事項について、文書により血液センターから医療機関宛てにお伝えするよう、昨日、血液センターに向けて通知をしたところでございます。スライド等も用いて、分かりやすく説明できるように準備しておりますので、近日中に情報提供を開始いたします。
 8枚目を御覧ください。血小板製剤は、献血血液の違いや採血後の時間経過等により凝集物が見られる場合があります。これまでは、これらの凝集物と細菌混入による凝集物の判別ができないので、製剤バッグ中に凝集物を認めた場合は、使用しないこととし、医療機関にも情報提供をしてきました。しかし、細菌スクリーニング導入後は、スクリーニング陰性であれば、凝集物がある製剤と、ない製剤の細菌感染リスクは同等に極めて低くなります。
 また、血小板の品質には差が認められないということが分かりました。これは採血3日目~6日目まで血小板の品質の指標となる項目の試験により、凝集の有無によらず測定値に差が認められないということ、また、輸血フィルターを通す前後でも差が認められなかったというものになります。
 9枚目を御覧ください。細菌スクリーニング導入後は、凝集物が見られる血小板製剤は安全性、品質において凝集物がない血小板と同等であるため、輸血に使用できることといたします。血液センターでは、製造時に凝集物の判定基準に基づき確認することとしています。「供給不可」となる凝集物は、大きな凝集物や多数の凝集物があるものになります。これらを認めた場合は、血液センターから供給はされません。細菌スクリーニングは陰性ですが、医療機関に供給後に、輸血フィルターに詰まるような凝集物を認めた場合は、血液センターに御連絡いただけるよう、先月から情報媒体を用いて医療機関に情報提供を実施しております。
 また、日本赤十字社の医薬品情報ウェブサイトに、細菌スクリーニング特設サイトを設置し、凝集物の写真や、これまでに提供した情報媒体を含め、様々な情報をまとめて提供しております。
 なお、「凝集物を認めるので、輸血には使用しない」と御連絡いただき、医療機関から引き取った血小板については、日本赤十字社で培養試験による検証を実施する予定としております。私からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問、御意見等があればお願いしたいと思います。いかがですか。切り替えは7月終わりの土日は両方の採血がかぶるということではありますが、8月1日から間に合うような感じになるということですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 7月30日の供給分から、細菌スクリーニングを実施した血小板をお届けすることとしております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。7月30日からということになります。委員の皆様からはいかがですか。松下委員、お願いします。
○松下委員 松下です。7月30日の話は、今日、初めてですか。もう、皆さんは知っている話ですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 6月12日に薬価が付きまして、今日から情報提供を始めることとして、各血液センターに周知したところでありますので、まだ先生方の所には伺えていないと思います。もう、ウェブサイトでも公表しております。
○松下委員 分かりました。7月26、27日の土日は、両方採るけれども、それ以降は、これだけになるというのは分かったのですけれども、お話にあった凝集物の件なのですが、スライド9に見られるような凝集があっても、センターから出庫するというお話だったのですが、とは言っても、医療機関で凝集物が見えることがあります。ただ、細菌である可能性は極めてゼロになりました、というお話なのですけれども。とは言っても、現場で、このような凝集物があるのですけれどもというお声は上がってくると思うので、いや、大丈夫ですという情報提供を、どうやってこちらからすればいいのかということ。それと、センターは大丈夫だと言うけれども、このような凝集物がある代物は使えないという話に現場でなったときに、返品できるのかということについてお尋ねしたいと思います。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 ありがとうございます。凝集物が見られる血小板についても供給いたしますという情報提供については、今、紙媒体を中心に全国の医療機関の輸血担当部門を中心に情報提供しているところでありまして、更に、輸血部門から各診療科や看護部門に周知するための資材についても、併せて提供しているところになります。ですので、原則としては、細菌スクリーニングは陰性で、細かい小さな凝集があるような血小板は使えるということで、輸血部のほうからも日赤がお渡ししているような資材を使って、院内に周知していただければというように考えております。
○松下委員 その資材はもうできていて、私が知らないだけですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 先月から血小板の凝集物に係るお知らせは、もう、5月中旬ぐらいからお伺いしているかと思いますが、先生の所にまだ伺えていないようでしたら、すぐにお持ちするようにMRにお伝えいたします。
○松下委員 ですので、今、見ていないのですけれども、写真があって、このような凝集物が混じっているかもしれないけれども、使っていいですというチラシが、輸血部に血小板のバッグ1個につき1枚供給されるという感じですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 いえ、まず、情報提供として、チラシで今お話をして回っているところですが、血小板のバッグに1枚ずつ入れることはしておりません。院内での周知をお願いしますということで情報提供しております。チラシに載せ切れないような写真等につきましては、日赤の医薬品情報ウェブサイトに掲載するなどして、また別の形で、いつでも見られるような方法を取っております。
○松下委員 どこの組織もそうですけれども、院内の周知というのは、そんなに100%うまくいくことはないので、大体そういうことがあると、電話がどんどん掛かってくる。浮遊物はめったにないので、大丈夫なのかもしれないとは思うものの、現場の負担の少ない方法としては、例えばチラシがPCの袋に一緒に入っているといいと輸血部の担当者は言っておりました。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 供給する血小板の全部に紙を付けてということは、今は添付文書も電子化されているような状況ですので、する予定はないのですけれども、院内周知に十分な数のチラシを、先生の所にも、必要と言われる医療機関にはお持ちできるように、こちらでも準備を進めてまいります。
○松下委員 分かりました。それと、返品は、このルールは引き続き同じということでいいですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 今までと同じように、これは使えないと御判断された場合には、血液センターに御連絡いただければ対応いたします。
○松下委員 分かりました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。私は既に日本赤十字社からの情報提供書として、この御説明を受けておりますので、大体は分かるかなと思いましたけれども、ここで少し気になったのが、今まで血小板に関してはスワーリングがある・なしということを非常に強調されていたのですが、この場合もスワーリングは、同じように確認するのかというのがここに書かれていないような気がしたので、その辺はいかがなものかなと思いましたが、どうなのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 スワーリングや色調に関しては、今までどおり確認をお願いしますということを、お配りしたチラシの裏の下のほうに書いていたかと思います。今までと同様に確認していただければと思います。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。あと、もう1つ、採血から実際の供給までの時間に少しタイムラグがあるということは、例えば緊急に血液が足りないので、よく献血で、何型の血小板が、ということに対して、少し対応がしづらいのではないかという気もするのですが、この辺についてはいかがですか。
○日本赤十字社血液事業本部後藤技術部次長 タイムラグが変わることについては、社内でも、早くから検討を進めておりまして、需給予測を今まで以上に精密にやりましょうということで、社内での検討もしております。いよいよ足りなくなった場合は、需給調整で取り寄せて供給できるように、そういう調整が今までよりも細かくできるような仕組みを今、作っているところになります。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。そうしましたら、まず事務局におかれましては、今後とも感染症症例や遡及調査結果の報告を引き続きお願いいたします。また、日本赤十字社におかれましては、血小板製剤への細菌スクリーニング導入に当たって、旧製剤からの取扱い変更点など、各納入医療機関に対して周知徹底していただくよう、よろしくお願いいたします。
 次に、議題3に移りたいと思います。献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。こちらについては要点のみとなりますが、御説明をさせていただきます。資料3-1を御覧ください。献血血液の研究開発等への使用に関する報告の概要を作っています。本報告の趣旨については、後ろに別添として付けていますように、令和2年の血液法の一部改正の通知において、法律第12条の採血等の制限の考え方を示しています。昨年の分については、日赤及び国内製造を行う分画メーカーより、血液製剤の製造に伴って副次的に得られた物等を使用し、又は提供した量、その使用目的等の使用状況について、本運営委員会に報告していただくものとなっています。
 2番目として、各企業の提供状況についてまとめていますが、昨年度の総提供件数は450件で、内訳としては新規が53件、継続が397件でした。個別の一覧については、資料3-2にたくさんありますが、研究開発等課題名、献血血液の使用目的や献血血液の区分、提供された献血血液の種類、量などをまとめています。簡潔にはなりますが、事務局からは以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。こちらに関しまして、委員の皆様からの御意見、御質問はありませんか。それでは私から、いつも気になるのですが日本赤十字社におかれましては、事務作業がかなり多くなっているわけなのですが、こちらに関してはうまく対応ができているということでよろしかったでしょうか、
○日本赤十字社血液事業本部遠藤技術部次長 血液事業本部の遠藤です。今のところ、この件数であれば普通の対応はできていますので、問題ないかと思っています。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。有効活用ということで引き続きよろしくお願いいたします。ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 そうしましたら、特にないようでしたら事務局におかれましても、今後とも献血血液製剤の使用状況について、御報告をお願いいたします。
 最後に、議題4のその他に移りたいと思います。事務局から令和6年度の主要血液製剤の供給状況について、御説明をお願いします。
○山本需給専門官 事務局です。資料4を御覧ください。令和6年度の主要血液製剤の供給状況についての速報値です。例年、年末の血液事業部会で前年度の実績を御報告していますが、令和2年度より、主要血液製剤等の実績について、速報値としてこの運営委員会で御報告しているものです。
 2ページ目を御覧ください。2ページ目は血漿分画製剤の国内自給の推移です。グロブリンの自給率が引き続き減少しています。安定供給に関しては、武田薬品が成田工場のメンテナンス実施による製造一時停止があり、年度末にはJBが2027年度にやはりメンテナンス実施による製造一時停止を発表した中でも、特に大きな問題は生じなかったものと認識しています。局所的、一時的にオーダーした数量がすぐに入らないというような御指摘は認識しています。ただ、全体として大きな問題は生じなかったのではないかと認識しています。この点、CSLベーリングの日本法人の皆さんが御尽力くださりまして、海外よりも相対的に薬価が低いと言われている中で、しっかりと日本に輸入いただいたというところです。
 他方、国の責務である国内自給については、今後のグロブリンの需給増加と国内メーカーの現状の製造能力を踏まえますと、現状の自給率が数年間は続くものと考えています。中長期的なスケジュールで、改善を図らなければならないと考えています。昨年度に引き続き血漿分画製剤を取り巻く状況を踏まえつつ、優先順位を決めて生産体制強化のための予算獲得の努力をしていきたいと考えています。
 アルブミンに関しては、令和4年度に基礎的医薬品の適用を受け、薬価がそろったこと、また、国内メーカーの周知活動の努力もあり、自給率が上昇していると考えています。基礎的薬品を契機に海外との薬価差を是正したことによって、国内献血品が選択されたということが背景にあるのではないかなと考えています。
 3ページ目以降は、アルブミン製剤、グロブリン製剤、血液凝固第Ⅷ因子製剤の供給量の推移について、令和6年度の実績値をお示ししています。令和7年度の需給計画値についても、一番右端に含めています。アルブミンについては、ほぼ横ばいかなと考えています。4ページ目のグロブリンについては、右肩上がりの状況というところです。血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換えを含む第Ⅷ因子製剤の供給量については、徐々に減少している形です。
 最終ページですが、令和6年度の日本赤十字社の原料血漿確保状況等の実績値です。年々必要量が増えている中で、しっかりと確保していただいているというところです。今回は速報値ですので、精査をしまして、他の製剤を含めた数値を年末の血液事業部会に改めて御報告させていただきます。資料についての説明は以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。松下委員、お願いします。
○松下委員 松下です。2ページ目のグラフでグロブリンの自給率が、ここ数年つるべ落としのように下がってきて、かつては優等生だったのに、ついにアルブミンに負けてしまったという、なかなか衝撃的なのですが、国内メーカーによる増産が期待できるというお話を頂いたのですが、4ページを見ると今、輸入分が2.5g換算で100万本あって、ここを国内自給品で埋めるためにはあと何年ぐらい掛かる見通しなのでしょうか。
○山本需給専門官 事務局です。具体的にいつというのは、まだ検討は済んでいません。今、武田薬品工業が2029年度建設完了予定の血漿分画製剤の新しい工場を建てるというような状況です。その武田薬品の新しい工場が建てば、供給能力としては増えると考えていますが、具体的にいつ頃までというのは、まだシミュレーションと言いますか、そういったものはできていません。ただ、武田薬品工業の新工場、あるいは我々としてはほかの2社への生産体制強化の支援、そういったものを努力していきたいと考えています。
○松下委員 2029年に工場が稼働するというお話は分かったのですが、今、大体、国産で200万本相当が生産できていて、工場を1個稼働すると、あと100万本上積みされるというところまでは、まだ計算できていないということですか。
○山本需給専門官 はい、まだそこまでは計算はできていません。
○松下委員 今のところ、新工場でどれだけ生産できるかということは、全く分からないという感じですか。ある程度は分かっている?
○山本需給専門官 ある程度は分かっていますが、国内向けと海外向けのキャパシティがありまして、その比率というものは決まっていないと聞いています。ちょっと企業秘密に属するような部分もありますので、まだ明らかにはされていません。以上です。
○松下委員 薬価が高い国外向けをどうしたって、作りたくなるわけなのですが、その辺りを国内向けにしてもらうためには、行政として何か手を打つということが必要だと思いますが、それも視野に入っているということでいいですか。
○山本需給専門官 それは、海外向けとの比率がまだ決まっていない中で、具体的な話というのはまだ考えてはいませんが、例えば、持続可能な事業の継続ができるような安定的な薬価、そういった薬価になるように我々としてもバックアップをしていきたいと考えています。
○松下委員 ありがとうございました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。私の勤務している医療機関でも、つい先日も特発性血小板減少性柴斑病の患者さんで出血があって、すぐに免疫グロブリンを大量療法で使いたいというときになくて、そこでは薬局のほうも今月はもう全く手に入りませんということで、実際には使えなかったというような事例が発生してきています。実際の免疫グロブリンの供給量は年度初めに大体、計画を立てて、需給バランスを取っているわけなので、全体としてはバランスが取れているのかもしれないのですが、実際の現場にはきちんと行き着いているかどうかということになると、お米ではありませんが、似たようになかなか現場に届いていない可能性があるのかなと、少し懸念する次第ですが、これに関しては情報収集に少し努めていただいて、本当に問題がないかどうか、そして普通の輸血用血液製剤と違って、すぐに増やすということができない。製造能力というものがあるので、すぐに増やせないということも含めて、少し検討していただくのがいいのかなと思いましたが、この点については何か事務局からコメントを頂ければと思います。
○山本需給専門官 先生、御指摘ありがとうございます。我々、メーカーと月に一度グロブリン製剤の需給状況について打ち合わせをしています。そういった中で、やはり先生から以前も御指摘いただきましたように、局所的に、一時的に手に入らない状況があるということを御紹介申し上げました。各メーカーからは問題は生じていないのだけれども、一時的に、局所的にオーダーした量の全てにお応えできない場合があるというようなことをおっしゃっていました。なかなかオーダーいただいた量の全てに応えるのが難しいという状況にはあるのかもしれませんが、各メーカーにそういった情報提供をすることで、情報収集に力を入れていただくと考えています。また、そういった状況を御教示いただければ幸いです。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございます。
○松下委員 松下ですが、今はいろいろな医薬品の供給が寸詰まりになっていて、病院でもステロイドがない、ソル・コーテフがないなどという現状にだんだん慣れっこになってきていて、またこれもそうなの?という、薬剤部から院内メールが毎日来ているような状況なのです。とは言え、こと血液製剤に関して、こういうことが起こるようだと、では血液法は一体何のためにあるのかということにもなっていくと思うので、不当に市場に介入することはできないとは思いますが、とは言え、今すぐ使わないと患者さんにすごい影響が高くなるという物が来ないということがないようにしないといけないのではないでしょうか。赤血球や血小板で、こんなことがあったらとんでもないことになるので、少し全員で考えなければいけない時期に来ているように強く思いますが、いかがでしょうか。
○山本需給専門官 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思っています。なかなか血液製剤、血漿分画製剤、そのキャパシティが決まっている中で、すぐに増やせないという状況です。そういった中で、CSLベーリングが海外から輸入をしてきていただいている結果、安定供給としては図れているかなとは思いますが、一方で自給率は低くなってしまっているという状況ではあります。そのキャパシティが増やせない中で、我々なかなかその具体的な指示というか、お願いなどはできませんが、とにかくメーカーと連携して足りるようにしていくと考えています。以上です。
○松下委員 もちろんよく分かるのですが、血液法は安定供給を行政に対して義務として課しているはずなので、是非、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
○山本需給専門官 ありがとうございます。先生のおっしゃっていること、十分認識しています。
○田野﨑委員長 本日はせっかく各血漿分画製剤のメーカーの方々にも参考人として御出席いただいていますが、各企業の方々、支障のない範囲で御発言いただければ、何かコメントはいかがでしょうか。木村様、どうぞ。
○一般社団法人日本血液製剤機構木村参考人 ありがとうございます。日本血液製剤機構の木村です。今、山本需給専門官からお話いただきましたように、毎月、国内、国外の製剤を取り扱っている分画事業者で集まって協議しており、グロブリンの場合は輸入製剤が増えている状況ではありますが、各製剤の適応症が必ずしも合致していないということがあります。ですので、適応症に応じた代替をお願しているところであり、それにより国内分画事業者としては少しでも余力を持たせていただくことで、いわゆるスポットでの滞りというものがないようにさせていただけるよう取組を進めているところです。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。KMバイオロジクス、副島様、矢治様、何か御発言があればお願いしたいと思います。今の免疫グロブリンなどの血漿分画製剤、各医療機関に十分足りていない可能性もあって、海外からのものとのバランスなど、そういうもの含めて御社的にどういうような形で取組をされているか、何かコメントなどがありましたらお願いしたいと思いました。いかがでしょうか。
○KMバイオロジクス株式会社矢治参考人 私は血液製剤含めまして、弊社のサプライチェーンを持っている立場でお話をしますと、まずはやはり安定した生産と安定供給をするということ、しっかり生産の計画を立てている分に関しては、間違いなく供給をするということで取り組んでいます。
 一方で、更なる改善ということで、国内で採血される量が決まっていますので、収率を上けることができないかという取組も併せて実施しているところです。これを引き続き、続けていきたいと考えています。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。武田薬品工業石丸様からは何かコメントなどがありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○武田薬品工業株式会社石丸参考人 武田薬品工業の石丸です。御指摘ありがとうございます。現在、弊社でも工場においてフル生産で免疫グロブリン製剤を供給するよう努めています。また、新工場に向けても現在、より収率の高いプロセスとなるよう製造プロセスの開発等を進めていますので、引き続き将来の安定供給に向けて尽力していきたいと考えています。以上です。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。ほかの委員の先生方から、何か御意見等がありましたらお願いします。松本委員、お願いいたします。
○松本委員 松本ですが、免疫グロブリン、これは非常に大変で、やはり定期購入をしているような病院では手に入るのですが、先ほど田野﨑委員長がおっしゃられたように、定期購入をしていない、一見さんのような方には売れないという形で断られると薬剤部は言っています。そういう意味では、松下先生のおっしゃるように安定供給と言える状態では私はないと思います。やはりこれは改善してほしい。厚労省にも、そのメーカーさんにも強く希望します。
 それで、これはメーカーの生産の能力の問題があると思いますので、すぐに増産というのはできないのは重々承知ですが、例えば原料も増やしつつ、増産もしていくということが必要になってくるのですが、例えば日本赤十字社のほうでも原料血漿を増やすことはできるのか、そういうことも含めて長期的に考えていかないといけないと思います。増産体制と原料血漿の供給、この両方をバランスよくしていくことは可能なのでしょうか。
○山本需給専門官 事務局です。ありがとうございます。将来の供給能力ですが、先ほど申し上げたように武田薬品で新工場を建設されるということです。当然、それに伴いまして原料血漿の必要量というのも増えてきます。そこは日本赤十字社と武田薬品と我々血液対策課とで、打合せを行っていまして、供給能力を余すことなくしっかり供給できるように原料血漿の準備も、今から進めているところです。具体的には、先ほどKMバイオロジクスからもお話がありましたように、収率を増やすというような研究・開発も行っています。武田薬品の新しい工場のキャパシティをしっかりいかせるような原料血漿の確保策というものを、今から日赤と目標を具体的に立てて、進めていくこととしています。以上です。
○松本委員 日赤のほうも原料血漿確保に関しては、対応いただけるということ、理解しました。よろしくお願いいたします。
○山本需給専門官 ありがとうございます。これは一気に増えないものですので、献血者の御理解、御協力が必要ですので、年々、徐々に増やしていきまして、新工場の稼働とともに、それに見合った原料血漿を確保できるように、年々増やしていくというところです。補足です。以上です。
○田野﨑委員長 日本赤十字社からもよろしくお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部藤田副本部長 ありがとうございます。日本赤十字社の藤田です。今、お話があったことなのですが、先ほどの資料の最後のページを見ていただけるとそうなのですが、ここ近年いわゆるメーカーにお送りする以上に、我々のほうも徐々に確保量を伸ばしていっています。先ほどお話もありましたとおり、武田薬品のほうも増産ということをお聞きしていますので、それを目指して我々も数万Lずつ、毎年確保量を増やしていって、そこの必要量に合わせていくというようなことを考えています。ですので、赤十字社としても必要な量を確保していくという所存ですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○田野﨑委員長 皆さん、どうもありがとうございました。ほかの皆さん、よろしいでしょうか。実際、増えているのと、現場での需要と供給のバランスがどのくらい取れるかというところ、あと配分の問題、注視していただければと思います。本日、用意した議題についてはこれで全て終了となります。ほかに何か御意見等あればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。議事を事務局にお返しします。
○源血液対策課長補佐 事務局です。田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は、別途御連絡差し上げます。これにて血液事業部会令和7年度第1回運営委員会を終了します。ありがとうございました。
(了)