第174回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和7年4月11日(金)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、今井構成員、上村構成員、岡田構成員、掛江構成員、木村構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山座長代理、山本構成員、黒瀨構成員

事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 新規申請技術の評価結果について
  2. 協力医療機関の追加について
  3. 協力医療機関の取下げについて
  4. その他

議事

議事内容

○竹内座長
 定刻となりましたので、「第174回先進医療技術審査部会」を始めます。大変御多様の折、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。
 まず初めに、本日の構成員の出欠状況について、事務局より御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 事務局です。本日の構成員の出欠状況ですが、蓮沼構成員より御欠席の連絡を頂いております。本日は20名の構成員のうち、19名の構成員にお集まりいただいていることから、定足数を満たしており、本会議が成立していることを申し添えます。
 また、4月付けで事務局の異動がありましたので、紹介いたします。医政局研究開発政策課課長補佐の向と谷口です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。なお、傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、配布資料及び本日の審査案件について確認いたします。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、新規申請技術の評価結果について、資料1-1~1-5。協力医療機関の追加について、資料2-1、2-2。協力医療機関の取下げについて、資料3。会議資料は以上となります。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号149の技術、神戸市立神戸アイセンターからの新規申請に関して、岡田構成員、真田構成員におかれましては利益相反に該当がありましたため、審議の際には一時御退席いただければと存じます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員、事務局限りの届出書類等を、タブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。
 それでは、以降の議事進行については、竹内座長にお願いいたします。
○竹内座長
 それでは、早速議事に入ります。新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 資料1-1の1ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号149、網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞凝集紐移植です。申請医療機関は、神戸市立神戸アイセンターです。審査担当構成員は、主担当が木村構成員、副担当が今井構成員、掛江構成員及び山本構成員となっております。なお、本議題の審議に関して、岡田構成員、真田構成員におかれましては、利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
                                   (岡田構成員、真田構成員退席)
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 それでは、資料に沿って説明いたします。様式第9号の記載を説明いたします。まず1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は眼科であることが必要。資格は、日本眼科学会眼科専門医であることが必要。当該診療科の経験年数は、15年以上が必要。当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数は、実施者又は術者として不要となっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は眼科が必要。実施診療科の医師数は、5名以上が必要。他診療科の医師数は不要。その他、医療従事者の配置は、薬剤師、視能訓練士が必要。病床数は不要、看護配置不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査の24時間実施体制は不要、他の医療機関との連携体制は必要、医療機器の保守管理体制は不要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要、その他の要件は不要となっております。以上です。
○竹内座長
 この様式第9号、保険医療機関の要件として考えられるものということで、御説明を頂きました。これらの要件について、何か御意見等はありますか。よろしいでしょうか。資料1-5、様式第9号、43ページの一番後ろです。これらの要件について、特段御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、様式第9号については、お認めすることといたします。
 続いて、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の木村構成員より御説明をお願いいたします。
○木村構成員
 本技術に関しては、この先進医療Bの評価表にありますとおり、網膜色素上皮不全症というカテゴリーを新たに作られました。このカテゴリーは、眼科学会等で十分に審査されているものと、後のやり取りで聞いております。その中には、幾つかの遺伝子欠損症、遺伝子異常症も入っているということです。しかし、それを全部ひっくるめて網膜色素上皮の不全という形で、その不全を、iPS細胞を用いた同種細胞移植を用いて防ごうという試みです。その方法については、ごく一部の疾患に見られるRPE機能不全に対する限定的な遺伝子治療がこれまで行われているのみで、この不全症全般に対する遺伝性疾患並びに非遺伝性疾患の両方に共通して見られる網膜色素上皮の進行性疾患に対しては現在も治療法がないという認識の下で、この研究が開始されております。
 この網膜色素上皮不全症という結構幅広い疾患概念ですが、その疾患概念の対象に健康ドナー由来のiPS細胞から分化誘導した網膜色素上皮、以下RPEと申しますが、RPE細胞を移植すると。ただ、移植するに際して、ばらばらに移植するという研究を先にしておられましたが、それよりは紐状に再構成をしたものを使って移植したほうが、効果が高いという先行研究があるので、それに基づいて今回の先進医療が申請されました。
 主要評価項目ですが、移植された同種iPS細胞由来RPE細胞の生着によるRPE異常領域面積の減少に対する24週の効果判定ということです。この主要評価項目に関しては、視力等の自覚症状を廃して、眼底の様々な眼科学的な検索によって評価をしようということです。副次評価項目は、移植された同種iPS細胞由来RPE細胞の生着によるRPE異常領域面積に対する8週、24週、52週において、以下の効果があるかどうかを見ると。まず、治療部位のRPE異常領域面積割合の変化量。これは変性してくるので本来異常領域が増えてくるわけですが、それが増えなければよいという評価をしております。それから、治療部位と異常コントロール部位のRPE異常領域面積割合の変化量の差で、8週及び52週の効果判定を行います。それから、同種iPS細胞由来RPE細胞凝集紐移植後の視機能(網膜感度、視野、QOL)に関する24週、52週の効果。網膜感度については、ここに記載のとおりの検査を行う、また視野に関してもここに記載のとおりの検査を行う、そしてQOLに関しては、VFQ-25スコアの変化量、QOL予後判定などを行うということで、目標症例数は25例という形で設定をしておられる試験です。竹内先生、評価に移ってよろしいでしょうか。
○竹内座長
 ちょっと、ここでお待ちいただいて、掛江先生、今井先生、木村先生に戻しますので、最終的なところは木村先生に総合評価の所で御説明していただいたほうがよろしいですか。先生の御都合で。
○木村構成員
 そうしましたら、私の評価と、その後に今井先生、掛江先生の評価を頂いてから、最後に総合評価を申し上げたいと思います。山本先生を含め、私の部分だけ先にお話をさせていただきます。実施体制に関しては、実施責任医師等の体制、あるいは実施医療機関の体制、医療技術の有用性の評価等に関しては、幾つかのやり取りのポイントがありましたが、対象者の年齢の上限がないということが気になったわけですが、ADLのスコアを付けて、それによって適切にリクルートするという回答を頂きました。この安全性、有効性評価と試験の目的に関して、有効性に関して画像診断の値を用いることに対しては、適切な説明がされていること。並びに、自覚症状が改善しない可能性について、説明同意文書で記載されていることから、どれも「適」と私は判断させていただきました。以下、今井先生の御意見を順番にお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。木村先生から、まず実施体制の評価について、医師等の体制、医療機関の体制、そして医療技術の有用性等についてコメントを頂いております。続いて、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの評価について、お願いいたします。
○掛江構成員
 私からは、倫理の立場から、説明文書等を確認させていただいた結果を報告申し上げます。記載させていただきましたとおり、全体としては非常に丁寧に御説明いただいているという印象は受けております。ただ、丁寧に分かりやすく書いていただくということと、正確に情報をお伝えいただくというところのバランスにおいて、少々まだ課題があるかと感じたところです。特に、先行研究の内容及び結果に関しての説明が、かみ砕いて書いていただいている分、全体として整理して、情報として理解をしようとするときに、非常に分かりにくくなっているのではないかと感じております。
 この研究自体、以前、再生医療等評価部会で拝見したことがありましたので、もともとシートであったり、混濁液であったり、凝集紐になったりという、形状の変更であるとか、いろいろ長く研究されているものだと思うのですが、そういったことを知らずにこの説明文書を拝見すると、そういった背景、今までこのように研究が進められてきたのですという説明をされても、それらの形状が違っていたり、対象が違っていたりするものであるということが、なかなか読み取りにくいようなものになっているかと思います。ですので、その辺りは少し変えていただきたいと思っているのです。
 それから、これは全ての先生方と事務局の皆様にお詫びなのですが、私がコメントをお送りするのが本当に遅くなってしまいました。今日、資料の最終送付が遅くなったのは私のせいで、本当に申し訳なく思っております。事前にこういったやり取りを、私自身は申請者と意見交換ができておりませんので、その点はお詫び申し上げます。
 それから、説明文書を拝見していますと、この凝集紐なのですが、1箇所最大2本、最大2箇所に移植とあるのですが、料金としては本数によって変わらないという記載があるのです。ただ、この凝集紐だけでも1,000万を超える大変高価なものですので、それが4本なのか、1本なのかというのは、患者としては非常に気になりますし、4本なのか1本なのか、何箇所使っていただけるのかというところを、どうやって決めるのかということも書かれていませんので、これだけ高額の契約をするに当たって、料金の内訳であったり、細胞の使われる方法、場所であったり本数であったりということが、説明されていないのはどうなのかと思いましたので、その辺りをもう少し丁寧に御説明いただきたいです。
 それから、これは申請者にというわけではないのですが、素人から見て、この同種iPS由来のRPE細胞凝集紐が購入価格1,000万飛んで7万8,918円という記載が計画書にあるのですが、これが妥当な価格なのかどうかについては、どこかできちんと評価していただいているのであれば問題ないのかもしれないのですが、今一度、部会でも妥当性について、価格設定の適切性について御確認いただけると、患者の立場からすると非常に安心かと思いました。
 そのほか、同意撤回書に立会人、協力者というお二方の署名欄が設けてあるのですが、立会人は想像できるのですが、協力者という方がどなたなのかというのもよく分からなかったです。いずれにしても、説明文書にこういった立場の方が一緒に署名をするのであれば、そのことについての説明は少なくとも必要であるかと考えました。
 それから、実施条件の欄に書かせていただきましたが、若干ほかの評価委員の先生方と申請者とのやり取りを拝見しており、まだ科学性についての議論が収束しているようには私は理解できませんでしたので、改めて科学性について適切な評価が出た後に、もう一度、説明文書に関しては確認をさせていただければと考えている次第です。
 以上のことをもちまして、同意に係る手続、同意文書に関しては、現段階では、いまだ最終確認させていただける段階ではないと思い、「不適」とさせていただいております。
 それから補償についてなのですが、一般的な事項は説明されているのですが、文章として、効果が出なかったとされた場合については、健康被害と見なしませんという1文が入っているのです。もちろん当然のことだと思うのですが、この説明が曖昧であるように感じましたので、この点、少し御検討いただきたいと思ったところです。既に説明文書の中で、この研究において、視機能の回復や維持が困難となり、悪化する可能性があるということや、結果として、移植前より見えにくくなる可能性があることについて御説明されています。そういった状況については、健康被害の定義には含まれないということであれば、そのことをきちんと明示していただく必要があるかと考えた次第です。この点については、そこを対応いただければ「適」と思ったのですが、すみません、事前の確認をさせていただく時間を取れなかったものですから、「不適」という形で本日は出させていただきました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。倫理的観点から、一応、同意文書は今回「不適」と、補償内容は修正いただければということですが、提出いただいた文書上は「不適」ということで、これから様々な改善の余地があるのではないかという御指摘を頂きました。
 それでは続きまして、順番が前後して申し訳ありませんが、実施体制の評価につきまして、今井先生から御評価の結果を御説明いただけますでしょうか。
○今井構成員
 実施体制の評価を担当しました今井浩二郎です。実施責任医師等の体制、実施医療機関の体制等については「適」と判断させていただきました。本課題に関して、申請医療機関はこれまでも多くの臨床試験を手掛けておられ、加齢黄斑変性、網膜色素変性に対して、まずは移植を無事に完了されているということがあり、高い医療技術と細胞品質を兼ね備えたすばらしい研究機関だと考えております。そして、本医療技術ですけれども、必ずしも最良矯正視力の向上につなぐという、そういった医療技術ではありませんが、有効な治療がない中、病態に即して網膜色素上皮細胞を供給して、網膜機能の維持・改善を図っていくという、このコンセプトについては試みていく価値は十分あると理解しております。
 ただし、この医療技術の有用性というところに関しては、現時点では「不適」とさせていただきました。事前照会でも御回答は頂いているところではあるのですけれども、今回、対象疾患を先行研究以上に広げて対応されたいという、そういった計画を提案されています。こちらは事前照会事項の5-4でも、その点は御指摘を頂いているというところで、御回答を頂いているのですが、こういったRPE不全症といった疾患概念を立てたということで、そういった中での同じ疾患概念での、対象疾患に対して行っていきたいということではあるのですが、例に挙げられている角膜上皮で疾患概念を立てたときということは、多くの疾患をそこに含んでいたわけですけれども、それまでの臨床試験において、ある程度、何例か実施されている経験があったと理解しております。ですので、今回、角膜上皮で疾患概念で広く認められているという点から、RPE不全症に関して広く対象を認めていくという考えについては、現時点ではまだ同意が難しいのではないかと考えております。
 そういった疾患概念において、対象疾患を広げるということを、先進医療の場で実際にできるかという点について、特にこの部会で御評価いただきたいと考えております。また、先進医療を実施中に、次に少数例での検討結果を得て、治験に、疾患ごとに切り出して進めたいという計画も御提出いただいているというところなのですけれども、それについても、先進医療全体で有効性の評価を見ていこうというときに、そういった考え方が妥当かどうかというところも併せて御議論いただきたいと考えております。そういった観点から、医療技術の有用性という点については、現時点では「不適」とさせていただいております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。実施責任医師の体制は「適」、医療機関の体制は「適」、しかしながら、今井構成員の御判断では、医療技術の有用性等につきましては幾つか疑義がある。特に今回、適応症についてやり取りがありましたが、まだ、十分に釈然とした御説明ではないと判断されて、このところが「不適」という判断をされたという御説明を頂きました。
 続きまして、試験実施計画書等の評価を山本構成員にしていただいておりますので、御評価の結果を御説明お願いいたします。
○山本構成員
 副担当の山本でございます。私は実施計画書等の評価をさせていただきまして、「適」「不適」に関してはこちらに示されているとおりで、6、7、8、9、10、主に効果のところや安全性情報、計画の有効性、安全性の評価の方法等で、まだ少し疑念があるというところで主に「不適」とさせていただきました。主な理由に関しましては、先ほどのお話と少し重複してしまう部分もあるのですけれども、一番の懸念点というのは対象が広がっているというところで、先ほど今井先生の御発言にもありましたとおり、軽症のところまで広げていくというところで、先行研究とは少し違う、もう少し広げた対象を疾患又は患者さんとして対象にするというような計画になっておりまして、その辺りでの安全性というのは本当に担保されているのかというのが、安全性面で1つ懸念があるというところ。
 それから、事前照会等で何回かやり取りをさせていただいた中で、本試験は検証的試験として位置付けて試験を行いますと、申請者からの回答がありました。コメント欄にも書かせていただいたとおりなのですけれども、ここは検証試験として設定するには、当然、検証をする前の段階で十分に情報が得られていて、こういうことをきちんと検証しようというところで、初めて検証試験ができると認識しているのですけれども、先ほど申し上げたとおり、疾患が軽症のところまで広がっている本試験というのを、対象患者さんを対象としたときに、本当に同じような結果が得られるのかというところが、現状の記載では情報が読み取れないというところで、各設定根拠なり、症例数設定根拠もそうなのですけれども、このような今されている設定で、本当に検証ということになるのかというところがまだ疑念として残っていて、少し問題があるのではないかと考えている点が1つ。
 もう1つの点も、先ほど先生もおっしゃられていましたけれども、途中で治験に移行する可能性があるということで、特にこの本試験の中で中間解析等が設定されているわけではなく、完成する前提で立てられている試験と私は認識しているのですけれども、途中で治験に移行してしまったら、当然、途中中止になってしまって、やはり目的と少し齟齬があるのではないかと。検証するのであれば、やはり、きちんと検証した上で治験に移行するべきであると考えまして、その辺りの説明というのも、きちんとしたものが手元に情報がないというところで、現状、試験計画として「適」と判断するのは難しいのではないかということで、「不適」と判断させていただきました。私からは以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。山本構成員からは、実施計画書等につきまして主に2点、まだ十分ではないのではないかということで、「不適」の項目が6~10までありました。以上が山本構成員の御評価です。
 これをまとめまして、1~16の総評につきまして、改めて、木村構成員から御説明を頂きたいと思います。木村先生、よろしくお願いします。
○松山座長代理
 すみません。総評をしていただく前に、松山から質問等がありますがよろしいですか。
○竹内座長
 どうぞ。どなたに御質問でしょうか。
○松山座長代理
 まず、皆さんに聞いていただいて、必要に応じて事務局に情報整理をしていただこうと思っております。
 まず、41ページに薬事承認申請までのロードマップがありますが、臨床研究の対象疾患の選択基準・除外基準と先進医療の基準、先ほど今井先生や山本先生からおっしゃっていただきましたけれども、広がっているというところがあって、しかも最後、治験のところで、クリスタリン網膜症等とかなり狭まっているという形で、このような形で、いわゆる対象疾患が異なるということがいいのだろうかと。科学的にどうかというところを含めて、先進医療として受け入れられるかどうかというところの疑念が少しあるので、この点に関しまして、できれば事務局で情報整理をしていただいて、次回、この会議で御報告いただきたいと思うのですけれどもよろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 事務局です。情報整理をさせていただいた上で、また審議の場に戻させていただきます。
○松山座長代理
 ありがとうございます。それから、出口として治験を行うということで薬事承認、その後、製造販売承認という形になると思うのですけれども、これは申請資料にないのですけれども、よくニュースになっていたので皆さん御存じだと思うのですけれども、このRPE分化の特許に関しては紛争があった、和解になったと伺っておりますが、紛争があったということがありまして、その条件から、この薬事承認後の製造販売承認という出口があるのかどうか。ないのであれば、そもそも、このロードマップというものは無効になるので、審議しないというディシジョンにならざるを得ないのかなと考えております。
 もしかしたら、ドクターが移植するところは知財が掛からないという形でお考えになっている可能性はあるのですけれども、先日、知財高裁で画期的な判決が出まして、医師にあってでも特許侵害が認められることがあるという判決例が出ておりますので、この部分、医師であれば特許に掛からないという思い込みをなく、和解をされた先方の企業さんと整理して、しっかりと薬事承認後の製造販売承認も出口があるのだということを、是非ともお示ししていただきたいと考えております。
 それから、エンドポイントの話なのですけれども、続けてよろしいでしょうか。
○竹内座長
 はい。今の2点のポイントは、事務局でお調べいただくと。特に適用疾患が試験ごとに変わるということは、今井構成員も山本構成員も御指摘されていた点ですので、事務局で、そういうことがあり得るのかということを確認していただく。もう1つは、ロードマップ上で、この薬事承認申請がロードマップに書かれていますが、先ほど松山構成員が御指摘された、医師による特許侵害の可能性に触れないのかどうなのかというところを御説明、事務局で調べていただく。この2点を事務局にお願いするということで確認いたしました。続いてどうぞ。
○松山座長代理
 ありがとうございます。それから、事務局関係のところではここも整理をお願いしないといけないのですけれども、臨床研究で行われていたとき、再生医療等評価部会で認められたものが、iPS細胞の特定株を原料として、RPEを提供計画の中で分化して移植するという流れで厚生労働大臣に了承を受けていたと思います。今回の先進医療に関しては、原料がiPS細胞ではなくRPE細胞という形になっていて、分化の過程が全く審議されていないというところもあり、原料が異なっているので様式的には異なったものと判断せざるを得ない。加えて、iPSに関しましては、もう皆さん御存じのとおり、遺伝的にかなり不安定な細胞株で、カルチャーしていくうちにがん遺伝子であったり、がん抑制遺伝子の変異があったり、growth advantageが出てくるということを皆さん御存じであると。
 そういう観点から、iPSの株というものを先行研究と同じものにしなければ認められない。100歩譲っても認められないですし、製法が異なった形になっていて、どこも審議していないという形では提供計画としては可能だとしても、先進医療として同じものではないので、認めていいのかどうかという疑念を私は持っています。この部分に関しまして、また情報等整理していただけたらと思いまして、事務局にお願いしたいと思っています。
○竹内座長
 こちらも事務局にお願いしてよろしいですか。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 ありがとうございます。整理させていただきます。
○竹内座長
 改めて、先ほどのロードマップのところで、今、松山構成員が御指摘になったのは、臨床研究では、iPS細胞由来RPE細胞凝集細胞紐となっていて、この細胞株と今回の先進医療で用いたものというのは、同じものでないと同じ研究とは認められないのではないかという疑念に対して、どうなのかと御指摘いただいたものと理解いたしました。事務局でこちらも調査をしていただければと思います。ありがとうございました。よろしいですか。
○松山座長代理
 あとは科学的なお話なので、今井先生や山本先生、それから、掛江先生にも少しお伺いしたいところがあるのですけれども、エンドポイントの適切性のところで、本来であれば、視力やQOLというものを見ないと、さすがに薬事承認で保険収載というのは厳しいのかなと。たまたま、RPEが生着して目の網膜が黒く見えるからそれでいいのかどうかというと、それは研究として可能性はあるけれども、薬事や先進医療の出口として患者さんのQOLを見て、やれるのだろうかというところの疑念があります。
 そういう疑念をベースとして、もともと黒色、黒い色のRPEを紐状で移植するわけですから、その部分というものは、当然その網膜のRPEが欠損した部分に関しては黒いフィールドという形で残るはずで、それが、もともとない所にプラスになったからエンドポイントとして勝ちだというような評価が適切なのかどうかというところも、これはできれば、まず今井先生と山本先生に聞きたいと思います。その後、同意文書についてコメントしたいと思います。まず、その部分をお聞きしたいと思います。
○竹内座長
 どちらかというと、実施計画書を評価いただいた山本構成員でしょうか。そのエンドポイントの設定が、果たして適切かどうかということに関してはどのような観点かということですが、山本構成員、何かコメントはありますか。かなり、照会事項のやり取りの中でも、この辺は詳しく御質問されていたかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○山本構成員
 私よりも、もし可能であれば、先に臨床的な意味のほうが重要かなと思っていて。
○竹内座長
 そうですか。そうすると、まず、今井構成員から御回答いただきますか。
○山本構成員
 すみません。
○竹内座長
 それでは、今井先生、よろしくお願いいたします。
○今井構成員
 今井浩二郎です。まず、松山先生が御指摘のとおり、主要評価項目ということに対しては、RPE細胞の生着によるRPE異常領域面積の減少の所を確認していきたいという計画になっています。では実際、RPE細胞が入ったから研究対象者において、何かプラスの効果があったかという点については、全く評価していないことになります。
 そういう意味では、松山先生が御指摘の視力やQOLの評価があると、研究対象者にとってプラスになったかというのは分かりやすいと思うのですが、本医療技術に関しては、まずはRPE細胞が入ったかということが主要評価となっている点があります。その点は、今後、承認申請に向けてまた議論があるかと思いますが、同様に副次評価のほうで、そこの部分の網膜感度等を評価する体制になっていますので、入れて残っているからそれでOKというわけではなく、入れた部位の網膜の機能については副次で評価していくという体制を取っている、網膜感度及び視野を確認していくことになっておりますので、そういった点で、まずは移植が成功するかという点に力点を置いているとは言え、研究対象者にプラスの面があるかどうかの検討は、なされていくものではないかと理解しております。以上です。
○竹内座長
 どうぞ。
○松山座長代理
 時間が掛かって申し訳ありません、この部分、プライマリーエンドポイントとセカンダリーエンドポイントを交換したほうがいいのではないかということを、個人的には感覚として持っています。どちらのほうが、より出口に近い、より出口を適切に評価する、患者さんのメリットを評価するエンドポイントになるのかという視点から、私は眼科専門ではないので、ここを今井先生に教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○今井構成員
 そうですね。ただ、この研究をどの位置の研究と捉えるかにもよるのですが、先ほども、検証的な評価を考える試験でもあるということなので、多分に検証段階に至る前の要素もまだ多く見受けられる試験だと考えております。そういった中で、今回、RPE不全症ということで対象も広げるということであれば、しかも、まだ実際に紐としては先行研究が3例ということですので、まずは移植が成功したかどうか、その次に網膜の機能を維持しているかどうかの順番であっても、それは現時点では仕方ないのかと考えております。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。それから、第1点目の、プライマリーエンドポイントに設定されているRPE異常領域面積の減少ということについても、今、松山構成員から紐を移植したことによって、その領域は当然、ベースラインに比べると欠損領域が狭くなる。そこから、例えば24週、52週にしても、それが減少していくということは、当然減少するのではないか。これが科学的妥当性をもって、本当に移植が生着しているかどうかということを説明できる根拠となるかどうか、この観点に関しては、今井構成員、いかがでしょうか。
○今井構成員
 それは、やはり松山先生も御指摘いただいていましたように、網膜色素上皮細胞に色が付いておりますので、そこに残っているかどうかについては確認ができます。あと、実際に、そういった網膜の写真だけではなく、蛍光眼底造影検査によって、その生着部位の評価をするという体制を取っておられますので、移植をした細胞が残っているか、その部分に生着しているかの評価を、まずはなされるものと理解しております。
○竹内座長
 私が今、伺っていて気になったのは、ベースラインでは、欠損領域が例えば10だとすると、そこに紐の面積が0.1や0.2だったら影響が少ないと思いますが、これが例えば3や4の面積であれば、当然、ベースラインが、欠損領域10に対して紐を移植しただけでそれが6に減ってしまう。そのことがそのまま紐として52週まで4の面積のまま残れば、52週まで40%リダクションが続いてしまうのではないかという御指摘だったと理解しました。生着しているかどうかは少し置いておいたとしても、このプライマリーエンドポイントの設定はそれでいいのかということで、ベースラインに比べて減少したからいいかどうかという問題ではないのではないかという御指摘だったように伺いました。この点、山本構成員、何かコメントはございますか。何か詳しいやり取りを照会事項でされていたように記憶しておりますが。
○山本構成員
 ありがとうございます。山本です。私も最初、その設定の意義などが分からなかったので、何回かやり取りをさせていただきました。先行研究でも、3例中3例が、今回の主要評価項目であれば100%の形できちんとリダクションが見られたと。今の先生方の話を聞いていても、ほぼ当たり前の結果というか、それはそうなりますよねと私も読んでいて、正直なところ、もしかしたらちょっと私の聞き方も悪いのかもしれませんが、少しやり取りがかみ合っていません。
 今回の研究ですと、例えば、3例中3例が、きちんと異常領域がリダクションすれば有効と判断したときに、今回、有効割合というものが主要評価項目になっているのですが、閾値を確か5%に設定して検証するという計画になっています。3/3の先行研究があるのに、何で5%が閾値になるのかが分からなくて問合せをしたのですが、計画書にも、測定の誤差で負の値になることがあるから、無効と判定されてしまうのが20例あれば1例ぐらいいるかもしれないから、それが閾値だという説明だったのです。
 この時点で多分かみ合っていなくて、それは全く無効と判定する閾値であって、有効と判定する閾値ではないと私は判断しています。ただ、今までの先生方のお話のとおり、移植をした生着具合として、長期に見ていくと、ひどいことが起こるということは少なくてもないのだというところを見るという意味での試験であれば、そういう見方もあるのかなと思います。ただ、それでも設定根拠で検証すると言われているので、検証の設定に持ってきている数値の根拠はきちんと述べてほしいということを、事前の照会では間に合わなかったので、ここでのコメントとさせていただきたいのですが、その辺りが、先行研究や見たいところと合致していないというところが率直な印象でございます。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変深い議論をしていただきまして、松山構成員、今井構成員、山本構成員には感謝申し上げます。この議論で何か追加のコメント、御意見等がありますでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、最後に木村構成員から総評を頂いた後に、また皆様方から御意見を頂きたいと思います。松山先生、どうぞ。
○松山座長代理
 RPEに関しては、また後ほどコメントさせていただきます。同意文書に関してなのですが、眼領域で先行している京都府立医大のチームの場合、患者さんが、非常に視力が悪いので、イラストを使ったり、あるいはフォントを大きくしたりとかという工夫をされていたと記憶しています。
 今回、説明同意文書の内容だけではなく、恐らく文書的に、患者さんが読んで内容を御理解できるのかどうかという危惧をちょっと持ちました。眼科領域は、特に同意を取るときに特殊な領域なので、そこの配慮をしていただきたいので、これはコメントとして先方に言っていただきたいということです。
 それから、立会人及び協力者という方の法的な立ち位置が全く分かりません。説明同意文書というのは、あくまでも医療機関と患者さんの間との医療契約の契約書ですので、この立会人と協力者の法的な立ち位置が不明確です。例えば、御家族で、この人の意識がなくなったときに法的代理人となり得る人であればいいのかもしれませんが、たまたま、こんな治療法がありますよという形で連れてこられるようなコーディネーターの方が、立会人や協力者になるというのであれば、これは適切ではないと考えております。
 恐らく掛江先生もこの部分に言及しておられていて、ちょっとここは危惧があるので、先方にこの部分の法的な立ち位置と、具体的にどんな人を設定しているのかということ、それに関して説明同意文書に明記していただくということを、事務局経由でお願いしたいと思いました。以上です。
○竹内座長
 大変重要なポイントを御指摘していただきました。掛江先生が既に課題として3番目に挙げられていた、同意書ならびに同意撤回書に立会人及び協力者とあるが、これがどういう方たちなのかが明確ではないという御指摘がありました。さらに、松山構成員から、法的な形でどういう立場の方なのかという御説明を頂きたいという追加です。
 今井構成員、どうぞ。
○今井構成員
 先ほどの主要評価で、結局RPE細胞が入ったかどうかで判断していいのかというところなのですが、今回の申請者側のロジックとしては、RPE不全症を治療するというロジックになっているかと思います。そうした場合に、健常なRPEをリプレイスするということです。ですので、そういった概念での評価項目ではないかと考えております。以上、追加です。
○竹内座長
 松山構成員、どうぞ。
○松山座長代理
 1つ、その点にコメントをさせてください。RPE不全症というのは世界的に認められた疾患概念ではなくて、この研究チームが概念として提案して、学会等に働き掛けを行っていると認識をしています。
 これは恐らく、ディジーズリポジショニングという考え方だと思います。普通、ドラッグリポジショニングであれば、この薬剤がほかの疾患に効くのではないかという形でリポジショニング、リパーパシングしていきます。例えば、ADHDという概念が出てきたときというのは、実はそもそもそういう概念がなかったときに、ある薬剤を小児の患者さんに投与して、ハイリスポンダーとローリスポンダーの患者さんを分けたときに、ハイリスポンダーの患者さんに対して、新しい疾患概念で作っていったという流れがあります。そのときに、RPE不全症というものが、先行してリリーズリポジショニングと考えるだけのサイエンスベースのものがあるのかどうかというのが甚だ疑念です。
 理由は、RPEといっても、完全無欠なRPEというものがあるわけではなく、例えば、何らかのグロスファクター、RPEライブグロスファクターを出したり、あるいは、黒く色が付いていますから、網膜の光の乱反射を抑えるというのも機能的なものであると思います。その中の、RPE不全症と考えられているものの中で、患者さんにとって本当に必要なファンクションというものを、RPEが持っているのかどうかというところの深い議論がなく、フワっとRPE不全症という概念を言っているので、ちょっとこれでは、やはり疾患群自身がばら付き過ぎているので、いかがなものかなと思ったところです。
 だから、RPE不全症という概念そのものを受け入れるということであれば、今井構成員がおっしゃったことというのはすごく合理的で、RPEがないのだからリプレイスしていくというのは非常に合理的だと思います。
 一方で、RPE不全症という概念がいろいろなパソフィジオロジーに基づいた、非常にちらかった疾患概念ですので、本当にそれでいいのか。本当にそうであるのだったら、RPE不全症に必要なファンクションというものが、品質規格に入ってこないといけないわけですから。ちょっとそこのところはRPEをリプレイスしてあげればいいのだ。そのためにRPE不全症という概念でいいのだという考えは、若干乱暴かなというのが私としての考えでございます。この点は、また今井先生を含めて、もし継続審議等になるようであれば御議論させていただければと思います。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございます。このプライマリーエンドポイントの設定、またその設定根拠、そして適応疾患。幾つかの課題があり、やはりまだ解決できない問題があるのではないかということだったと思います。ありがとうございます。この場で、何か追加のコメント、御意見等はありますか。よろしければ、木村構成員から総評をしていただき、そこでまた改めて皆様の御意見を伺いたいと思います。それでは、以上のような議論を踏まえ、木村構成員、総評をお願いいたします。
○木村構成員
 木村です。様々な御議論を頂きましてありがとうございました。ここで聞いておりまして更に思ったわけですが、この先進医療は、今までは医師や企業からの実施研究体制に関しては、非常に高い評価を皆さんされておられると思います。ここで、文書の中に基礎的研究と書いてありますが、これは先行研究というほうが適切だと思います。失礼いたしました。
 そして、その先行研究において、実際に移植を行った適用患者が、3例という言葉が先ほどありましたが、それ以外にも、細胞の形態を変えたり、ばらばらに入れたりというようなことをしておられますが、そういったことをしてこられた適応患者さんと、今回の申請で述べておられる対象患者さんの間に齟齬がある、これは確かだと思います。この齟齬をどのように考えるのか、そしてその齟齬があるがために、先ほどRPE不全症という疾患概念がどうなのだという御意見もありましたが、この先進医療の目的の1つである有効性の検討ということに関して、それが果たして可能であるのか。あるいは検討の方法も、有効性を細胞がリプレイスされた面積という形で見ておられる中で、それで本当にいいのかということも含めまして疑義が生じております。この見解の相違は、現時点では評価委員の先生方と申請者の間では解決されていないと考えます。
 また、患者説明文書において、全くの真実であるが故に、先行研究の要約などを分かりやすくする工夫、あるいは先ほど御意見が出ました記載の方法、視力が弱い方に対する介助なども必要かと思います。また、説明に際し、この価格の根拠、あるいは価格が非常に高いわけですが、移植する細胞紐が1本でも4本でも値段が同じと聞きますと、多分、それなら4本入れてよと皆さんはお思いになるだろうということでして、その本数によって予後に影響がないのかということも含め、むしろ、医学の素人である患者さんが抱きがちな素朴な疑問に対して余り答えていません。そういったことを、どのようにお分かりいただくかということについても検討していただきたいと思います。
 よって、現時点では、「適」とはできず、対象患者とその有効性の評価に関して。あるいは患者説明内容に関しての更なる検討が必要であると考えまして、この研究自体は有意義な研究だと思いますが、先進医療として採用するという意味では、現時点では「継続審議」とさせていただき、判断は「適」とはできないと判断いたしました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。「継続審議」、その根拠は、先ほど御議論いただいた様々な課題に対して、今後も引き続き照会事項を出して、研究者からの意見を待ちたいということで「継続審議」としたいという結論でした。これについて、いかがでしょうか。皆様から御意見、コメント等がありましたらお寄せいただければと思います。「継続審議」でよろしいですか。
 手を挙げてらっしゃる先生が掛江先生、後藤先生ですか。それでは、まず掛江先生からお願いいたします。
○掛江構成員
 既に申し上げた内容ですが、価格の根拠の適切性についてという所で、資料として出していただいている内訳の中で、ヒト(同種)iPS細胞由来RPE細胞凝集紐が、数量1で購入価1,007万8,918円という形で記載があります。1つの単価がこれで出されてしまって、それ以上の内訳が分からないのですが、これについては更に、これが適切であるのかについて、情報を求めることは実際できるのかどうかお伺いしたいです。仮にこの内訳が出てきたときに、それが適切かどうかという辺りは、どなたに御評価いただくべきなのか、もし御教示いただけるようでしたらお願いしたいと思ったのですが。
○竹内座長
 ありがとうございます。内訳を事務局のほうで問い合わせることは可能です。それが出てきたときに、適正な価格なのかどうかということに関しては、場合によっては専門性の高い方をお呼びする、あるいは松山先生は専門領域なので、お聞きするといったようなことで対応可能かと思いますので、掛江先生の御意見は、事務局のほうでまず問い合わせていただくということで対応したいと思いますが、よろしいですか。
○掛江構成員
 よろしくお願いします。
○竹内座長
 ありがとうございました。もう1つ、私がそこで引っ掛かったのは、どの方には1本、2本、3本、4本と決めるのかという、その判断根拠です。例えば、不全領域の領域面積に合わせて、それを決めるとか、そういうルールがあるのかどうなのかということも、併せてお問い合わせいただければと思います。後藤先生、お願いします。
○後藤構成員
 説明同意文書にできたら付け加えていただきたいと思う点についてお話させていただきます。通常はこういう問題があって、それを解決するためにこの方法が必要ですという研究計画ですが、今回は網膜色素上皮がうまく機能していないので、その機能を新しいものと差し替えることで、その網膜上皮の機能をより適切に行うようにするという、そういう話だと理解しています。そうした場合に、今、患者さんの状態がどういう状態なのか若干気になりました。最後の立会人のところと先ほどの松山構成員のお話とも関係するのですが、説明文書が読めたり、あとはサインができたり、ご自分がサインをしていることが確認できる程度の目の状態なのかがよく分かりません。そのため、患者さんの今の状態がどういう状態なのか。あなたの状態は今こうで、しかし、その状態を変えるものではないのだけれども、植え換えるよという話ならば、そのような形で、説明同意文書に説明を付け加えていただきたいと思った次第です。
 それとの関係で、もし余り目が見えない状況で、サインをするのも困難であれば、誰かが代筆するということは必要ですし、例えば誰かが立会人になって、承諾しますといったことを、文字に残すことを考えていらっしゃるのかもしれないと思いました。患者さんがどういう状態であるのかということも確認して、御自分の状況を分かっていただくということが、説明同意文書に必要なのかと思った次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変貴重なコメントだったと思います。一家構成員、お願いします。
○一家構成員
 ありがとうございます。一家です。先ほど掛江先生の照会事項の中でも、似たような観点でのご意見があったかと思うのですが、この研究は、患者さんの費用負担がものすごく大きくなっているようにお見受けしました。掛かる費用が1,000万円を超え、それを患者さんが全額負担というのが、やはり目につきました。そのようなことはこの研究に限ったことではなくて、最近の先進医療に出てくる研究でも同じように患者負担が大きくなっているものがあるわけです。研究にかかる費用が患者負担でよいのかというのがやはり気になりまして、以前、事務局内でのやりとりで議論していると伺っています。その検討がどうなったのかということはお伝えいただけるのですか。
○竹内座長
 事務局のほうでお答えできますか。この費用負担の面で、患者さんの御負担が非常に大きいということに関して、厚生労働省側で何か御検討いただいたかどうか。
○医政局研究開発政策課長
 確認します。
○竹内座長
 よろしいですか。その点は事務局のほうで確認をしていただくということで、一家先生、よろしいですか。
○一家構成員
 考えなくてはいけないのは事務局だけではなく我々部会でもあると思いますが、まず事務局のほうで先進医療の趣旨等を含めて、整理していただきたいと思いまして発言いたしました。よろしくお願いします。
○竹内座長
 ありがとうございます。先進医療の意味ということにおいて、これだけの患者さんの費用負担というのが、そういう観点に照らし合わせてどうかという御質問だったと思います。調べていただくということです。それ以外にコメント等ありますか。私が少し気付いたのは、先ほどの資料1-4の技術の概要のシェーマがありまして、かなりヘテロな疾患が入っているということで、この機能不全に陥っている網膜の領域というのは、全網膜に対してどれくらいなのかとか、ここに併用薬がありまして、これは遺伝性疾患でステロイドや免疫抑制薬投与が記載されています。其の適応疾患や用量などの詳しい記載がない点説明が欲しいと思いました。
 今井先生、どうぞ。
○今井構成員
 RPE細胞紐の移植が1本なのか、4本なのかということですが、その点は一応研究者も考えておられて、研究計画書の10.1の3、24ページになります。RPE細胞の移植料ということで、一応、実施計画書上には定められているということになります。網膜の範囲ですが、実際、大きさというのはなかなか見当が付けづらいと思いますが、今、画面に上がっている眼底の絵にある視神経乳頭の面積の2乳頭大の場合に、最大2本の紐を入れますと。あとは術中可能な状況によって、入れる紐は検討させていただきますということになっておりますので、ひとまず、術前に1本から4本までというのを、どれぐらい入れるかというのは、あらかじめ定めて計画した上で臨まれるということですので、そういったことが研究対象者にも事前に伝われば、そういった懸念は払拭され得るのではないかと思いました。追加です。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なコメント、それから、そういうことが計画書に書かれているということでした。掛江先生、どうぞ。
○掛江構成員
 今井先生に教えていただいた箇所は、私も今確認しました。見落としをしておりまして、すみません。ただ、先ほど来、松山先生からの御指摘から、先生方が御議論いただいている、入れた分だけ当然補われるというお話からいくと、たくさん入れたほうがいいというところが、患者側としてはどうしてもあるかなというところで、もう少しその辺り、基準は分かったのですが、医学的にどうしてその本数なのかという辺りは、もう少し御説明が欲しいと思います。あと、これはただ自分自身の反省ですが、今回、再生医療だという言葉があって、再生医療だというところでしたので、移植してそれが生着するだけを求めているのではなくて、増えていくようなイメージが勝手にあったのです。これは確認ですが、これは生着したものが増えていく、増殖していく、再生していくという技術ではなく、うまく生着すれば長くそこにとどまるし、場合によっては、それがうまく生着しないで減少していくものと理解をして、この説明文書を読むべきだったのかというところを、今頃になってですが教えていただければと思います。もしそのことが書いていないようであれば、申請者に質問という形で、改めて照会をかけさせていただきたいと思った次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。今井先生、お答えできますか。
○今井構成員
 移植した細胞が増えるのか否かということについては、すみません、現時点では私は答えを持ち合わせておりません。ただ、移植した紐がだんだん、そこの紐の状態から移動して面状になっていくという説明があったということは理解しておりますが、個別にどのように増殖するかについては、現時点では持ち合わせておりませんので、それは申請者に御確認いただくのが一番だと思っております。ただ、一応この移植した細胞が腫瘍化した、無制限に増殖するといった事例は、これまでなかったというのは述べられていることかと理解しております。
○竹内座長
 ありがとうございます。今井先生ばかりに御質問して申し訳ないのですが、先行研究の3例の例では、移植した細胞凝集紐がどのような形、どのような面積になったかというのは報告されているのでしょうか。移植したままの面積だったのか、それが増えたのか、あるいは少し減ったのか、一定の情報は先行研究で示されていたのですか。
○今井構成員
 先行研究では細胞移植の要約という所になっていまして、私の見たところでは、この研究に関しては、まだこれから報告していく、論文投稿中となっていますので、そういった面での公表はまだなされていないのではないかと理解しております。
○竹内座長
 ありがとうございます。私も確認できませんでしたので、今、今井先生にお聞きした次第です。まず、そういうことで掛江先生、情報が非常に限られているということでした。そのほかにコメント、御意見等ありますか。かなり深い御議論を尽くしていただいたと思いますが。改めて木村構成員の総評、「継続審議」ということでよろしいですか。ありがとうございます。もし何か追加の照会事項等がありましたら、事務局にお寄せいただければ幸いです。ありがとうございました。大変深い議論をしていただきました。木村構成員、何か最後に一言ありますか。
○木村構成員
 やはり、少し曖昧なところと、この研究を先進医療に持ってこられるには、少し早い段階で持って来ているという印象を受けました。ですので、今、各委員の先生方から御指摘いただいた項目は、是非お尋ねいただいて、その上で、場合によっては対象患者の幅を狭めるなどのことをしてでも、なさるほうがいいのかという印象を受けましたが、これはまた次の御議論を伺いながら判断してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、整理番号149については、「継続審議」ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。続きまして、協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。また、岡田構成員、真田構成員におかれましては、お戻りいただきたいと思いますので、御入室をお願いします。
               (岡田構成員、真田構成員入室)
○竹内座長
 それでは、事務局よろしくお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 御説明いたします。資料2-1を御覧ください。告示番号55について1件の協力医療機関の追加申請がありました。また、告示番号51について1件の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料2-2を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保健医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認しております。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、事務局で手続を進めていただきますようお願いいたします。
○木村構成員
 資料2-2に出ているのは、最初の神戸の事例なので、ちょっと違うものが出ていると思いますので、事務局で当該医療機関が適していることを御確認いただければ、それは結構かと思います。よろしくお願いします。
○竹内座長
 コメントを頂きましてありがとうございました。こちらのほうは資料の修正等をお願いいたします。続きまして、先進医療Bの協力医療機関の取り下げについて、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 御説明させていただきます。資料3を御覧ください。協力医療機関の取り下げとして、告示番号21、告示番号38の2件の申請がありました。告示番号21については、北海道大学病院の1施設を協力医療機関から取り下げることになり、理由としては、症例登録期間が終了し、当該医療機関では登録症例がなかったため取り下げる。
 告示番号38については、国立大学法人熊本大学の1施設を協力医療機関から取り下げることになり、理由としては、実施責任医師の退職に伴い、実施体制の維持が困難となったため取り下げるとあります。以上について、特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○竹内座長
 後藤構成員、どうぞ。
○後藤構成員
 大きな問題だということではないのですが、協力医療機関が北海道大学の場合は、北海道大学病院になっているのに、熊本大学の場合は熊本大学となっています。熊本大学病院ではないかと推測されるのですが、両方とも国立大学法人なので、この記載は統一しなくてもよいのかと思いました。責任の医療機関を挙げているのだと思うのですが、熊本大学は医療機関と言えるのかどうかよく分からないと思った次第です。以上です。
○竹内座長
 事務局から御説明できますか。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 ありがとうございます。確認の上、適切に修正させていただきます。
○竹内座長
 貴重なコメントをありがとうございました。こちらのほうは確認させていただくということです。それでは、確認の上、これはお認めいただいてよろしいですか。ありがとうございます。それでは、事務局のほうで確認の上、手続を進めていただければと思います。ありがとうございました。本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等ありますか。本日は大変活発に御議論いただきました。掛江構成員、お願いします。
○掛江構成員
 既に一家構成員が御指摘くださったのですが、最近のというか、先進医療のほうに再生医療の臨床研究が入ってきてから、患者負担が非常に高くなっていることがちょっと気になっております。先進医療自体は、患者負担の増大を防止するといった観点からと、確かうたっておられたと思うのです。今まで研究費で臨床研究をやっていただくときに、保険診療と併用できないので、研究者が全部を負担するということで、研究がなかなか進まないというところもあっての先進医療かなと、ちょっと理解が間違っていたのかもしれませんが思っていたのですが、今、逆に、当たり前のように患者さんが全部負担するということで、非常に高額な新しい技術がどんどん申請され、その中で患者さんの負担があまりに高額なので、保険が使える所は使ってもいいよという形で、今、運用されつつあるのかなと思っております。これが最初に求めていた先進医療の枠組みなのかなと、すみません、私自身が今ひとつ理解できていないものですから、できれば一度、今の再生医療や自由診療で行うような再生医療の臨床研究などがたくさんある時代で、この先進医療の枠組みが、今までどおりの形でいいのか、若しくは、審査のときに何かきちんと配慮すべき点があるのに、我々構成員として理解をしていない部分があるのかといった辺りを、整理をして議論していただけると非常に有り難いと思った次第です。以上です。申し訳ありません。
○竹内座長
 大変重要な点を御指摘いただきました。一家構成員からもこの点は、先ほど御質問いただきましたので、こちらは事務局のほうで、もう一度先進医療の在り方について、保険診療と保険外診療という組み合わせで先進医療が行われていて、本来の趣旨となるものと、最近の幾つかの案件、特に再生医療関係の案件で、どうも患者さんの費用負担が非常に大きい部分があって、これは果たして、先進医療として枠の中で捉えていっていいのかどうなのかということに、少し不安を感じるという御意見でした。こちらのほうは、次回までに、事務局のほうで調べていただくということで、皆様方にフィードバックいただければと思います。ありがとうございました。そのほかに御意見等ありますか。よろしいですか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐(向)
 次回は令和7年5月16日(金)16時~18時の開催予定です。詳細については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。それではこれをもちまして、第174回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうも御協力ありがとうございました。