2025年4月24日 第5回労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会 議事録

労働基準局労働関係法課

日時

令和7年4月24日(木) 14:00~16:00

場所

厚生労働省共用第8会議室(中央合同庁舎5号館19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)

出席者

公益代表委員
中窪部会長、戎野委員、原委員、藤村委員、水島委員
労働者代表委員
河野委員、冨髙委員、松元委員
使用者代表委員
坂下委員、高垣委員、山口委員
オブザーバー
筑紫電力基盤整備課長(経済産業省資源エネルギー庁)
事務局
尾田大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、五百籏頭労働関係法課長、八木労働関係法課長補佐

議題

  1. (1)電力システム改革の検証結果について
  2. (2)第4回部会でのご指摘
  3. (3)これまでの議論を踏まえた論点の整理②

議事

議事内容

○中窪部会長 定刻となりましたので、ただいまより第5回「労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日につきましても、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
 本日は、労働者代表委員の石橋学委員、使用者代表委員の井上智子委員が御欠席と伺っております。
 また、今回もオブザーバーとしまして、経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部、筑紫正宏電力基盤整備課長に御出席いただいております。
 なお、岸本労働基準局長は、公務のため急遽御欠席となっております。
 それでは、事務局より、定足数等について御報告をいただきたいと思います。
○労働関係法課長補佐 事務局でございます。
 本日の出席委員は11名となっており、労働政策審議会令第9条では、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされているところ、定足数は満たしておりますことを御報告申し上げます。
 カメラ撮りについてはここまでさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 本日の議題は、「電力システム改革の検証結果について」、「第4回部会でのご指摘」、「これまでの議論を踏まえた論点の整理②」の3点となっております。
 最初の電力システム改革の検証結果につきましては資源エネルギー庁筑紫課長より、第4回部会での御指摘及びこれまでの議論を踏まえた論点の整理②につきましては事務局より、それぞれ御説明をいただきます。
 質疑等の時間につきましては、それぞれの議題についての御説明の後、3回に分けて取る予定にしております。
 まず、電力システム改革の検証結果について、資源エネルギー庁より御説明をお願いいたします。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 ありがとうございます。御紹介いただきました資源エネルギー庁の筑紫でございます。
 本日は、前回、エネルギー基本計画の状況について御報告を申し上げましたけれども、それに引き続きまして、3月31日に電力システム改革の検証結果の取りまとめの報告書を固めましたので、こちらについて御報告をさせていただきます。
 前回1月のときに、エネルギー基本計画の全体像、特に、ウクライナとロシア、あるいは中東といった世の中全体の不確実性が非常に話題になっていることと、その中で電気というものに対する期待感が高まっている、需要も伸びている、そういったところを御紹介させていただきましたけれども、今回は、その中で電気事業としてこの10年の在り方はどうかという部分でございます。
 重なってくる議論も当然ございますけれども、電力システム改革を10年前に始めたときの志というか考え方が、実際にこの10年間でどういう結果につながっていて、課題は何で、今後どこに向かっていくのか、そういったところを取りまとめたものがございますので、御報告させていただきたいと思います。
 まず2ページ目で、電力システム改革というもの自体の検証の位置づけを御報告しています。こちらの資料は、以前一度御報告したものがあるので、細かくは省略いたしますけれども、電気事業法の改正法案の附則に定められている検証作業でございまして、ちょうど昨年1年間かけて行ってきたものです。
 3ページを御覧いただきまして、当時の電力システム改革という10年前のプロセスの志がよく表れている報告書の目次が書いてあります。当時の報告書はまた別になります。右下ですけれども、Ⅰとして、「なぜ今、電力システム改革が求められるのか」と。これは、東日本大震災がもたらした環境変化、あるいは貫く考え方は何か。2番目として、「小売全面自由化とそのために必要な制度改革」とか、縷々書いてございます。
 報告書の目次を見ますと、当時の改革が何を目指したのかというのは非常にくっきりと書いてございまして、こういったところが論点だったというのは、この後細かく確認させていただきますけれども、見えてくる部分でございます。
 大きな意味で申し上げると、小売事業が全面的に自由化される、逆に言うと、それまでは低圧、御家庭向けの部分は独占事業だったわけですけれども、自由になる。
 自由になるということの意味は幾つもあるわけですけれども、需要家の側から見れば選択肢ができるということでございますし、電気事業者の側から見ると、様々なプレーヤーが参入してくる、新しいプレーヤーが参入してくる部分が大きくなる、そういうのが一つの大きな理由だったと思います。
 もう一つは、新しいプレーヤーがいろいろなところから入ってくることを後押しするというか、前提として、エリアをまたいだ広域的な電気のやり取りによって新しいプレーヤーの参入を促す。あるいは、新しい参入が促されることによって、それまでと違うエリアから電気が持ってこられる。ここの相乗効果を狙いにいくというのが当時の志でありました。3ページの目次を見ると、そういうのが見えてくるということです。
 今回の検証プロセス作業は、4ページになりますけれども、一昨年、2023年の年末からキックオフをしまして、総勢30名以上の有識者、実務家あるいは専門家の方々をお招きしてお話を承りながら、1年間かけて議論をしてきたところでございます。電力総連におかれてもプレゼンテーションをお願いさせていただきまして、本当にありがとうございました。
 5ページ目でございますけれども、電力システム改革が開始された2015年以降に起きたいろいろなイベントを御紹介しています。この委員会でも御報告させていただきましたとおり、様々な災害がありましたし、その中にはブラックアウトということで需要家の方々に非常に御迷惑をおかけした件もございます。2020年代以降になりますと、需給逼迫とか価格高騰があった。そういった過程の中で、各電気事業者のプレーヤーは結局どうなったのかというところです。
 6ページの図を見ていただきますと、もともとこれは3つのライセンスになったということを御紹介するためのスライドですけれども、左下の発電事業者のところを見ていただきたいと思うのですが、実は今、発電事業者と言われる事業者は1,100者おります。1,128者という数字を書いてございますけれども、もともとございます電力会社の発電部門も当然ございますけれども、自家発電の大きなものを持っておられる鉄鋼業界、製紙業界、あるいは鉄道も非常にたくさん電気を使いますので、鉄道会社が自分で持っておられる発電所もございますし、商社、あるいは石油元売りとか、様々なプレーヤーが発電事業で電気事業の担い手として活躍いただいているということでございます。
 送配電事業者のほうは、引き続き規制ということでございますので、10社という体制になっておりまして、送電事業、大きな送電線だけを行う事業は許可制の上で入れるようになっているのですけれども、全国で3社のみ例があるということでございます。
 小売事業のほうも、730者ということで非常にたくさんの方が入っています。こうやって見ると、多くのプレーヤーを迎え入れる、少なくとも発電事業と小売事業に多くのプレーヤーを迎え入れるということについては一定の成果がある部分もあるわけですけれども、次の7ページを御覧いただければと思いますが、結局、割合というか、シェアではどうなっているのかという部分です。
 この部分は1,128者あるとは申し上げましたけれども、発電設備の大半、約75%は、もともと電力会社と呼ばれておりました旧一般電気事業者と、その会社のジョイントベンチャーであるJERA、電源開発といったところが保有をしていまして、彼ら12社で全体の75%が占められているという構造になってございます。
 実際には、電力は、最初のときに御説明差し上げたとおり、エリアごとに送電線の流せるキャパシティーに限界がございますので、それぞれのエリア、例えば東京エリアとか東北エリアという中で見ると、東北エリアであれば東北電力といった形でかなりのシェアを持っているという構造は引き続き変化をしていないということでございまして、公正取引委員会の報告書でも非常に寡占的だという評価をされているという部分がございます。
 8ページ目は小売のほうです。小売の場合は、エリアの制限というのは現実問題としてはないわけですけれども、状況は大体一緒でして、旧一般電気事業者が全体の7割から8割のシェアを占めている。それに対して新しい電力会社が大体2割です。低圧分野は25%ぐらいを占めているという意味では、状況は似たり寄ったりでございます。
 こういった新たなプレーヤーをたくさん迎えることにはなっているのだけれども、全体の市場を左右するほどの数字になっているかというと、そこについては評価が分かれるところで、9ページでございますけれども、こういった現状を踏まえてこれをどう評価するのかです。
 もともと電力システム改革を始めるときの3つの方向性が示されていまして、安定供給をしっかり確保すること、電気料金を最大限抑制すること、需要家の皆様方の選択肢、裏を返して言えば事業者の事業機会の拡大をつくる、この3つが当時目的として掲げられておりました。
 この部会との関係で申し上げると、まず①の安定供給の確保というのは非常に大事になってくると思うのですけれども、最初のところ、送電網の広域運用の司令塔として、電力広域的運営推進機関がつくられた。これは、こういった機関を用意しまして、広域的に電気がやり取りされるような環境をつくっていく、そのための運用を進めていく。こういったところについては一定の成果を上げることができてきたのではないかと思います。
 他方で、供給力について、次のパラグラフですけれども、特に我が国の供給力の7割は火力ですけれども、火力発電の取扱い、火力発電の余力という意味で言うと、非常に難しい評価になってきておりまして、安定供給に必要な供給力の維持・確保をしっかり進めていくことが必要、裏を返して言うと非常に懸念されている状況だというのが評価であろうと感じるところでございます。
 今申し上げた2点について、少し細かめに資料を御用意していますので、確認させていただきたいと思います。
 まず、11ページですけれども、先ほど御紹介をした電力広域的運営推進機関の御紹介のスライドが入っています。彼らの仕事は、幾つかありますけれども、1つは各エリア間の電気が足りなさそうなときに隣のエリアから運ぶべきだという指示を出す、そういった実際の調整の部分が左側です。
 右側は、「地域間の連系線の整備」と書いてございますけれども、エリアごとに分かれている電力ネットワークをできるだけ統合していく方向で、どういったところに送電線をつくるべきなのか、実際につくるとしたときには、どれぐらいのスケジュールでつくって、どういったところに費用がかかり、この費用について特定のエリアの需要家にお任せするのではなくて、全国的に調整をすべきだとか、そういったお手伝いをさせていただいているわけです。
 12ページを見ていただきますと、実際の電力融通の指示が行われているのかどうかというところですけれども、これは毎年の気温影響によって、どれぐらい需給が厳しいかによってかなり回数は前後します。2015年の始まった頃は、1年間で2回ですので非常に限られた回数だったわけですけれども、これが徐々に定着してきまして、特に非常に厳しかったと言われている2020年あるいは2021年には、一番大きいときは200回以上ですので、1日1回は指示が出ていたということでございますし、2021年、2022年度でも、実際には夏とか冬の厳しい時期が中心ですけれども、そういった時期であれば1週間に1回は指示が出る。そういった形で、かなり恒常的な調整が行われていたということでございます。
 それから、13ページですけれども、ネットワークの整備というところについて、最初のスライドのところで、東日本大震災の経験を踏まえという表現がございましたけれども、どういうことかと申しますと、日本の場合、東日本の50ヘルツ地帯と西日本の60ヘルツのところで周波数が分かれておりますので、東と西の電気のやり取りは非常に難しい実態にあります。
 その中で、東日本大震災のときは東側で電力が足りなくて、西側のほうは通常どおり、むしろ余っていたという中で、西から東に送れる量に限りがあったものですから、東側で本当に必要なときに足りなかったという経験を踏まえて、ちゃんと東と西をつなぐ周波数変換設備を増設していく、あるいはそれに向けた全体の計画を立てていく、そういったところを進めてきたところでございます。そういう意味で、広域的なところについては一定の進捗があるということです。
 14ページ、火力のところです。まず、再生可能エネルギーがたくさん入ってくる10年間だったわけですけれども、それの見合いで火力発電所の稼働率は一貫して下がっているということでございます。14ページの図で見ていただいても、石炭とLNGの稼働率はずっと右下に下がっていく。石油については需給が逼迫したときだけは上がるという特性がありますのと、石油火力発電所そのものがたくさん閉じているので、稼働率は一瞬上がっているように見えるのですけれども、基本的に火力の稼働率は下がっているとお考えいただければと思います。
 それを反映して、15ページはこれから10年間の火力発電所の新増設・休廃止の見込みでございます。上側の黄色ができる部分、下側の薄い水色が石油、濃い紺に近いものはLNG、普通の青が石炭、そういう違いはございますけれども、下が廃止するほうで、上が作るほうです。10年間足し上げてみると、400万キロワットぐらい下が多い。
 これは、自然体でこうなっているわけではなく、2029年、2030年のところに黄色の突出している年が2つございますけれども、これは後ほど出てきますが、かなり政策的に誘導してこういう結果にしています。ですので、こういうのがなければ、ずっと下向きの矢印が実態ではあります。
 それはどういうことかというのを18ページ以降で御説明します。18ページで御紹介しているように、需要が増えるという流れになっています。需要が増えるという中で、自然体では火力発電所がどんどん閉まっていくという見通しだとすると、日本全体で電力の量に非常に懸念があるということで、19ページになりますけれども、長期脱炭素電源オークションという、すごく荒っぽい言い方をすれば、必要な発電設備について公共的な調達のような枠組みだと思っていただければと思います。一定のスペックを指定しまして、このスペックに見合う発電所を造れる方については、金額が幾らかというのを前提に札を挙げていただいて、その中で最もいい条件の方にお願いをする。お願いさせていただいた方には、その設備に係る費用の収入、基本的に固定費の全額を20年間分割払いでお支払いする、そういう発想でございます。固定費を全てカバーしていくという意味では、非常に巨額の金額が動く制度ですけれども、こういった制度を用意して、発電所の用意というか、発電所を整備することを促しているということになります。
 20ページは、そういう制度によって誰が手を挙げてくるのかという意味ですけれども、左下のところに第1回のLNG火力の募集について、落札していただいた方のお名前とそれぞれの発電所の場所が書いてあります。
 事業者の名前を見ていただきますと、北海道電力、東北電力、関西電力、中国電力、東京瓦斯、大阪瓦斯、JERAという感じになっております。いずれも主要な電力会社、ガス会社です。やはりこういう方でないと、こういう規模の投資に踏み出す、あるいは技術的にも非常に難易度が高い事業だという評価なのだと思います。LNGについて言うと、燃料の調達という部分もありまして、確かに非常に限られたメンバーが活躍するフィールドになっています。
 21ページ以降は、電力・ガスの料金の関係の資料が入っています。LNGの火力をたくさん占めている日本と、ロシアからのガスにすごく依存度の高かったヨーロッパで、電気料金の動きが違うというのが書かれていますけれども、LNGの天然ガス火力をうまく使っていくという意味で、燃料をどうやって調達するのかというのは非常に重要な論点になります。
 飛んでいただいて24ページを御覧いただければと思うのですけれども、実は国によって天然ガスの調達の仕方はいろいろなやり方がございます。日本の場合は、島国ですので、どこか遠くの国から天然ガスのパイプラインがつながっているということはありませんので、一旦液化をして船で運んでこないといけない。イギリスなんかは、そういった部分もありますし、自分たちのところにある天然ガス田から出てくるガスをパイプラインで引き込むといったこともやっていますけれども、今回、ロシアの侵攻の影響で、ロシアから直接パイプラインでつながっているガスについては当然価格も振れましたし、供給量も落ちましたし、非常に大きな影響があった。
 こういうときに、日本の場合は船で運ぶ前提で、長期の契約で全て条件があらかじめ決まっておりましたので、世界全体で天然ガスの価格が上がる局面でも、日本の中では価格の影響は比較的抑えることができたという背景がございます。こういった超長期の契約を結ぶことができるという意味でも、限られたメンバーが活躍するフィールドになってしまっている部分がございます。
 27ページに、天然ガスの安定供給に関して、毎年冬に開いていますけれども、官民の連絡会の御報告のスライドがございます。毎年大体この時期に開催しますけれども、参加事業者のメンバーを見ていただきますと、どういった方々がプレーヤーなのかというのが見えてくると思います。
 28ページ、こういった状況も踏まえて、電力システム改革はこれからどういった方向で何をしていくのかという部分ですけれども、やはり安定供給の確保というのはそう簡単ではないのだというのを実感する10年でありました。他方で、そういった中で安定供給を確保しつつも、電源の脱炭素化はしっかり進めていかなければいけない、そういったところが最初の課題として掲げられています。そういった中で、今御紹介した火力の話も含めて電源の投資をしっかり進めていくという部分です。
 それから、2番目のところですけれども、電源の効率的な活用に向けて、系統整備・立地誘導、あるいは電気をうまく使う運用をしっかりやっていきましょうという、どちらかというと系統整備に近いような議論が2番目。そういった形で御紹介をされています。
 それから、29ページ目ですけれども、残りの部分、3番目のところはどちらかと小売事業についての話です。
 4番目で、共通する課題というのがございます。今日の御説明では省略させていただきましたけれども、電源及び送電線の系統ネットワークは非常に巨額の設備投資を伴う部分がございます。先ほど天然ガス火力の紹介のときに、どちらかというと燃料調達の難しさというのを少し説明させていただきましたけれども、天然ガス火力発電所も、規模にもよりますが、1つ2000億円から3000億円ぐらいの大型の設備投資になっていきます。
 そういったものに対して、今の非常に不安定な金融環境の中ですと資金調達はすごく難しいと言う声も上がってきていまして、こういったところについての対応も政策的には非常に大きな課題と受け止められてございます。
 こういった部分について、これから法律あるいは条例、政令、各省令等の様々な制度で対応していくことが電力システム改革の取りまとめということで今回まとめられた部分です。
 30ページは、こういった各種の制度的措置をしていく背景として、電気事業者にどういったことを期待しますかというのを、一つの将来産業の在り方ということで、これについても一定の分量が書かれています。
 各電事業者に対して役所としてああしろこうしろと出過ぎたことを申し上げるのは望ましくないと思うのですけれども、社会全体で電力の安定供給は大事だと考えたときに、どういったところを期待するのかというのは、これはこれで一つの目線合わせとして文字にするのは意味があるかと思いまして、こういったものを取りまとめさせていただきました。
 その中で、特に安定供給の部分で言うと左側のところが中心ですけれども、安定供給の実現と電力システムの脱炭素化に向けた電源あるいは系統の設置・整備の担い手としてどういったところをやっていただくべきなのかと。やはり円滑で安定的なファイナンスができるような環境、経営状況をつくれなければいけないし、安定的な供給に責任ある事業運営をしていただく必要がありますと。もちろんデジタル化みたいな大きな流れも念頭に置いた上で、海外の状況も見た上です。
 それから、電力産業は一朝一夕にしてならずという部分がございますので、そこで働く人材、そういったものを支えるサプライチェーン、取引先の方々のところまで責任を持って事業運営をしていくことが求められるのだというところをうたっているという部分でございます。
 最後、31ページは、取引市場についての部分なので省略させていただきますけれども、以上が電力システム改革の検証についての御報告ということにさせていただければと思います。
 私からは一旦以上です。
○中窪部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。オンラインで御参加の委員につきましては、チャットで発言希望と書いてお知らせください。
 藤村委員、お願いします。
○藤村委員 最近、東京電力からよくメールが来るのですね。それは、明日晴れるというときに前日にメールが来まして、電気をたくさん使う電気製品は日中に使ってくれと。例えば乾燥機とかそういうものですね。なぜそうなるかというと、太陽光発電が電気を作り過ぎているという状況があるようです。これは、この部会で四国電力に行きましたときに、配送電の部分に相当負荷がかかっているというのを私どもも目の当たりにいたしました。
 結局、自由化してかえって安定供給が崩れるとまではいきませんが、安定供給のために配送電会社にすごく大きな負荷がかかっているという実態があると思うのですが、今回の検討の中でそういう話は出てきたのでしょうか。質問です。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 ありがとうございます。
 まさに我々にとって重要な論点でございまして、本日の資料で申し上げると、参考資料的なところにはそういうスライドを落としてしまっているのですけれども、28ページの課題と対応方針のところを見ていただけたらと思います。2ポツのところです。電源の効率的な活用に向けた系統整備・立地誘導、それから柔軟な需給運用の仕組みと書いています。柔軟な需給運用のところは、まさに先生が御指摘いただいた、再エネがたくさん入っていく中でどうやって安定供給を維持するかという論点です。
 先生に御指摘いただいたとおり、再生可能エネルギー、特に太陽光が入ってきますと、日中にはすごいスピードで発電量が増えていきますし、夕方、日が落ちてきますと急激に下がる。それから、雲がかかれば当然すごく大きな変動をいたします。
 これらに対してついていける電源、火力発電所でいうとLNGになりますけれども、どれぐらいの太陽光の変化に合わせてLNGがいつでも上げたり下げたりできるようにしていくのかということです。それも現実的にはかなりの程度をソフトウエアで管理をしているわけですけれども、残念ながら太陽光の発電量とか天気というのは、厳密に同じときはございませんので、常に変わり続けていきますので、ソフトウエアのいろいろな助けを借りながらも、実際に人の判断でカバーをしている部分もございます。あるいは、1日先、2日先を見て発電所を起動しておいてくれ、あるいはもう休みでいい、そういった判断も以前と比べると非常に多くなっていると思います。
 そういう部分のところについてのやり方は、今回大きな論点として掲げられておりましたし、冒頭のほうで御説明をさせていただきましたエリア間の調整も、再生可能エネルギーが入ってきたことによってやらざるを得なくなった部分もかなりございます。
 そういった難しさは、今回新しい仕組みをつくっていかなければいけないということで、ここの文章に必ずしも書いていないのですけれども、もともとエリアごとで発電と需要のバランスを取るシステム、中央給電指令所という御覧いただいたシステムがございますけれども、あのシステムをエリアごとだけではなくて、全国でも自動的に接続してお互いを調整できるようなシステムの開発を今進めております。
 他方で、全国の電力の需要と発電を全部カバーするということなると、かなり巨大なシステム構築でありまして、相当の時間と労力がかかるものだとは思っておりますが、御懸念のような点について対応できるように一生懸命今努力をしているとお考えいただければと思います。
○藤村委員 分かりました。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 そのほかに御質問、御意見はいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 では、第1の議題については以上といたします。
 第2に、第4回部会での御指摘について、事務局より御説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 資料2について御説明を申し上げます。
 前回の部会で2つ御指摘をいただきました。
 まず1つ目でありますけれども、スト規制法の制定経緯として、スト規制法は公務員とは違って争議行為そのものを禁止しているわけではなく、しかし、それによって電気の正常な供給に直接に支障を生じるような行為はしてはならないということであるから、それが分かるような形で記載を追記してほしいという御指摘でありました。
 これを受けまして、下に記載をしておりますのが、まず制定の経緯でありますが、こちらは平成27年の報告書を基に記載をしておりますが、憲法は、いわゆる労働三権を保障していること。争議権については、全ての争議行為に保障が及ぶわけではなく、正当な争議行為に限り保障が及ぶものとされていて、刑事免責、民事免責が認められること。また、争議行為の正当性は一般に、その主体、目的、手続、態様の観点から、個々に判断されるということ。また、スト規制法については、電産スト等により大規模な停電が発生したことが契機となって、電気事業及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民の日常生活に対する重要性に鑑み、公共の福祉を擁護することを目的として制定されたといったことを改めて書かせていただいております。
 その上で、法的効果とその役割というところでありますけれども、国家公務員及び地方公務員は、争議行為の正当性の有無にかかわらず、全ての争議行為が認められておらず、争議行為をした場合の懲戒規定があるところであります。具体的な規定ぶりにつきましては、一番下の青緑の囲みのところに条文を書いておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 一方、スト規制法(電気事業関係)はその対象を「電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為」に限っており、罰則等も規定をされていないところであります。
 こうしたことから、スト規制法上の「電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為」とは、正当性が認められない争議行為を確認的に規定したもので、行為規範として示すことで、電気事業における労使の争議行為により電気の正常な供給に障害が生じることによって、国民経済及び国民の日常生活に支障が生じないようにする役割を持った法律であると考えられると整理させていただいております。
 2つ目の御指摘につきましては、次のページであります。いただいた内容は、電気事業法等の個別の事業法を除いて、スト規制法以外の国内の法令において、電気の公益性や特殊性に着目して、公益事業の中で電気事業の労働者に限って義務や制約を課しているものはあるかというものでございました。
 これについては、スト規制法以外の国内法令において、電気事業の労働者に限り義務や制約等を課しているものはないということで記載をさせていただいております。
 御説明は以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 第1点については、私の申し上げたことについて適切に対応をいただきましてありがとうございました。
 そのほか、何か御質問、御意見等はございますでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 まずは、前回部会での意見を踏まえてお調べいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 その上で、まず2ページ目の「スト規制法の法的効果とその役割について」に関してです。2つ目の四角囲みのところにありますように、御説明では、スト規制法は、公務員の争議行為禁止規制と違って、正当と認められていない争議行為を確認的に規定したものであって、行為規範なのだという御説明がございました。
 ただ、我々としては、行為規範だったら廃止しなくてもいいのではないかというと、そうではないと考えております。仮に行為規範であったとしても、ヒアリングや視察も含めて今までの部会の様々な場面でお話を聞いてきましたけれども、現在の電力労使は成熟した労使関係が構築されており、その下で、電気の正常な供給に障害を生じるような行為はしないと、繰り返し労働者の方から聞いてきたところでございます。また、実際、その発言に基づいて、労働協約の整備も含めて行動をしてきております。そうした電気事業と石炭鉱業の労働者に、行為規範を設ける必要が本当にあるのかというところが、私としては理解し難いと思っています。
 2点目、前回部会で私が質問をしたところについては、スト規制法以外に電気事業の労働者に限定した義務や制約を課しているものはないということでございますので、この点を踏まえても、スト規制法を存続させる意義が全く見いだせないと考えており、やはりこの法律は廃止すべきであるということは一層強く感じたところでございます。以上、御回答の受け止めとして意見を述べさせていただきました。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 今のは御意見ということで承っておきたいと思います。
 そのほか、よろしいですか。
 それでは、最後の第3点目、これまでの議論を踏まえた論点の整理②ということで、事務局より御説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 資料3について御説明をいたします。
 こちらの論点の整理につきましては、第4回でお示ししましたものに一部修正、追記をする形で整えさせていただきました。
 検討の背景及び論点1の上のところまでの記載につきましては、平成27年報告等を基に記載をしたもので、前回と同様の内容でございます。
 また、論点1についても変わらず、「平成27年部会報告からの変化等を踏まえた上で、スト規制法の必要性を検討することが重要ではないか」とさせていただいております。
 次の「電気及び電気の安定供給を取り巻く状況の変化等」につきましては、論点2は前回と同様の内容でございまして、「電気の特殊性は、平成27年部会報告から変化がないといえるか」とさせていただいております。
 次の「電気の重要性」につきましては、前回、電気自体の重要性の高まり等について複数御意見がございましたので、小見出しとして追記をさせていただいておりますが、その下の文章につきましては、第4回部会での資源エネルギー庁からの御説明等を踏まえまして、事実関係の追記を行っているところでございます。
 主だったところを御紹介させていただきますと、2つ目のポツになりますが、「今後のエネルギー需給の見通しでは、効率的なエネルギー活用により、2040年までに最終エネルギー消費量の総量は減少するが、電化により総量に対する電力需要の割合は高まる見込み」とか、次の○の2つ目のポツの中盤からでございますが、「カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの更なる拡大・火力発電の脱炭素化も同時に求められている」。そして、最後のポツの「ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、地政学的な経済安全保障のリスクが高まりつつある」といったところを追記しております。
 論点3につきましては、前回は「電気の安定供給のために求められる対応の在り方は多様化していると言えるか」としていましたが、前回の資源エネルギー庁からの御説明を踏まえまして、さらに御議論を深掘りしたく、こちらに書いてございますように、「電気の重要性が高まるとともにその安定供給を取り巻くリスクが多様化し、その対応が様々に求められる中、安定供給確保に係る課題の困難度は高まっていると言えるか。また、電気の安定供給を確保するためにはどのような対応が必要か」とさせていただいております。
 論点4につきましては、これまでの議論の中で、現在の労使関係が安定・成熟しているということについては共通認識と考えられますことから、その旨の記載を追記させていただきまして、「現状では、労使関係は安定・成熟しているが、今後の労使関係をどのようにとらえるか」といたしております。
 論点5でございますが、こちらについては文章を2つのものから構成をしております。これは、前回、労働側から、業務の代替性について、労働協約等において電気の供給に支障を生じさせない措置を取り、全てを非組合員が代替する考えを持っていないといった御発言がございました。この御発言も念頭に、2文目でございますが、「代替ではなく電気の安定供給に支障を生じさせないために必要な範囲で組合員が協力するようあらかじめ労使で取り決めるなどが考えられるか」というものを追記した形で論点を記載させていただいております。
 前回頂いた主な御意見は参考資料1のほうにまとめておりますので、適宜に御参照いただければと思います。
 次の論点6でございます。「電気事業者間の競争環境についてどう考えるか」というところにつきましては、議論の親和性から論点7の御議論に近いと思いますので、順番を後ろのほうに持ってきております。
 また、その上の記載の部分でございますけれども、1つ目のポツのところに部分的に表現を追記させていただいておりますが、「原子力発電は引き続きベースロード電源」とか、「安定供給については需給バランスの確保が必要で、現時点では火力発電が安定供給の要の役割を担っている」、こういった事実関係の記載を追記しているところでございます。
 論点7につきましては、引き続き、「電気の安定供給の観点から事業者間の連携による代替性をどう考えるか」ということで記載をさせていただいております。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 前回、論点として示したものにいろいろ御意見をいただきましたので、改めてそこを見直したものを用意していただいております。前回は、中身に入る前に論点の取り上げ方について御意見があるということでありましたので、本日も、全体の構成について足りない論点等も含めて、まずはそういう御意見がありましたら出していただき、その上で一つ一つについて御意見をいただいて、最後にまた全体を通した議論としたいと思います。
 最初に、足りない論点等を含めた全体の構成について、何か御意見あるいは御質問等がございましたらお願いいたします。
 では、冨髙委員。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 まず、個別論点への意見というよりは、全体を通じた検討の視点についての発言です。
 論点整理を見ると、全体として、平成27年のスト規制部会の議論の延長線上のような印象を受けますが、労働側としては議論の出発点が全然違うと思っております。具体的には、資料の「検討の背景」の3点目にも書いてあるのですけれども、今回の議論の契機となっているのは、平成27年の電事法改正の附帯決議で「廃止を含めた検討」が求められていると思っております。
 前回の平成26年から27年のスト部会の議論の出発点となった電事法改正の附帯決議は、「同法の今後の在り方について検討する」という文言であったと思いますけれども、今回は明確に「廃止も含めた」という記述が入っております。こうした廃止に踏み込んだ立法府の意志はきちんと我々として受け止めた上で議論をするべきだと思っております。
 そうであるからこそ、本部会では、スト規制法の廃止に向けて、廃止した場合にどういった差し支えがあるのか、また、差し支えがあるとするならば、どういうふうにそれを取り除いていくのかという前向きかつ建設的な方向で議論をするべきであると思っております。これは全体を通じた視点として必要であると思いますので、意見として申し上げておきます。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 それは、論点として1つ追加すべきだということではなくて、主に論点1になるかと思いますけれども、そういうところできちんとそういうところも踏まえて議論すべきという御意見ですね。
 事務局のほうは、よろしいですか。
○労働関係法課長 部会長がおまとめいただいたところで、事務局からの補足はございません。
○中窪部会長 そのほか、全体を通じた御意見を。
 坂下委員、お願いします。
○坂下委員 ご指名ありがとうございます。経団連の坂下でございます。
 冨髙委員から、今回の検討会の位置づけについてのお話がありました。
 論点1の書き方が重要だと私としては認識しているのですが、今回の検討会は、確かに改正電気事業法の衆参の経済産業委員会の附帯決議において、スト規制法については、10年前の部会報告における再検討の指摘に基づいて、その廃止も含めた検討を行い、結論を得るものとすると書かれています。
 10年前の報告には、スト規制法の在り方について、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分に検証した上で今後再検討すべきであると書いてあります。本日、筑紫課長から御説明がありましたが、電力システム改革によってこの10年間で何が起こったのかということを見極めた上で、この法律を存続すべきか検討をしてくださいと言われていると理解をしておりますので、出発点はそこだと使側は理解をしております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 では、河野委員、お願いします。
○河野委員 冨髙委員と同種の意見になるのですが、平成27年のスト規制部会報告では、スト規制法の存続は現時点ではやむなしとし、電力システム改革の進展の状況を検証して再検討するとされていると思っています。
 それに加えて、電事法改正法案の附帯決議で、スト規制法の廃止も含めた検討を行い、結論を得るとされていますので、本部会での議論において重く受け止めていく必要があると意見させていただきたいと思います。
 それに併せて、スト規制法制定以降、70年余りが経過する中で、争議行為によって安定供給が損なわれたという事象は発生していません。ただ、スト規制法が国民の経済と国民の日常生活の安定に果たしてきた役割はやはり我々も認識しているところであります。
 一方で、先ほど筑紫課長からも御説明がありましたが、電気事業はシステム改革によって「規制」から「市場」への進展が図られる中、新たな課題は引き続き労使が対等な立場で解決を図っていくことが極めて重要であると考えています。
 こうした考えの下、引き続き国民の停電等に対する不安払拭を図るため、スト規制法を廃止するに当たって何を担保していくかなどについて関係者の共通認識を図って、今後の方向性について論議を進めていくことが必要ではないかと考えているところであります。
 冒頭、この点については申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 それでは、水島委員がオンラインで御発言を御希望されておりますので、よろしくお願いします。
○水島委員 ありがとうございます。大阪大学の水島です。オンラインから失礼します。
 論点1に関することですが、今の御意見とも関係しますので、この流れで発言させていただきます。
 先ほどの議事2とも関連しますが、スト規制法に関しまして、昭和30年代のスト規制法に関する文献では、スト規制法が広範囲の争議行為を禁止するものである、あるいは争議権を全面的に抑制するものであるといった理解があり、違憲の疑いがあるとの見解を示す労働法学者が複数いました。しかし、平成、令和の時代において、スト規制法をそのように理解する労働法学者の見解は見られません。私自身は、事務局の御説明の理解が適切であると考えます。
 委員からの御発言がございましたように、廃止を含めた検討という附帯決議は認識していますが、この附帯決議は廃止を前提とした議論を意味しているわけではないと考えます。
 また、先ほど述べましたように、法学的に違憲、違法の疑いがあって直ちに廃止すべき、というものではないと考えます。
 したがいまして、本日お示しいただきました論点2以降を踏まえての判断が必要であると考えます。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 それでは、原委員、お願いします。
○原委員 ありがとうございます。
 私も、論点1の部分のスト規制法の必要性の検討の部分で申し上げたいと思います。
 前回の会合でも申し上げたと思うのですけれども、電気は暮らしが成り立つための重要なインフラです。スト規制法は、停電につながるような不当な行為はしないという行為規範である。これを改めて示すことで国民生活のリスクを回避する、そういった手段であると理解しております。
 今までのように労働関係に問題がなければ、スト規制法は不要だと思いますけれども、システム改革以降、これからどうなるかということで、今後、経営環境の変化とか職場環境の変化、そういったところも大きいのではないかと推測いたします。
 いざスト権が行使された場合、スト規制法がなくなった場合ですが、正当でないスト権が行使されるような場面になったときに停電が起こる可能性がある。実際に起こらなくても、そういう情報が出た段階でその影響は社会的に非常に大きいものがあると思います。恐らく社会的、それから世界情勢なども鑑みて、社会全体が不安定になるかもしれないと思っております。そういった意味で、スト規制法の廃止についてはより慎重に考えるべきかと思っております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 先ほど全体を通じてと申しましたけれども、廃止も含めてというところの解釈の関連で、論点1と不可分につながっておりまして、論点1も実際に議論に入っておりますので、ここを含めて御意見をおっしゃっていただければと思います。
 戎野委員、お願いいたします。
○戎野委員 そもそも論ですけれども、確認をさせていただきたいことがございます。スト規制法の対象となっている労働者は、スト規制法の対象になっている事業者の中で全ての労働者というわけではないと私は認識しております。そこの対象を明確に確認したいということもありまして、具体的にどのような定めになっているのかをお伺いできますでしょうか。
○中窪部会長 事務局のほうからお願いいたします。
○労働関係法課長 御質問ありがとうございます。
 スト規制法の対象事業者でございますけれども、国民経済や国民の日常生活に支障を生じるおそれがあるかどうかという観点から、一般送配電事業者、送電事業者及び厚生労働大臣が指定した発電事業者と定められております。
 このうち発電事業者につきましては、正当ではない争議行為を行うことにより電気の安定供給の確保に支障が生じるおそれがある事業者を指定しているところでございます。
 その上で、正当ではない争議行為とかスト規制法に違反しない行為はどういうものであるのかということについては、これは本部会の第1回のときの資料4の4ページにも記載しておりますけれども、例えば、スイッチオフ等の積極的行為は禁止対象の争議行為の例であるといったことで、通知でお示しをしているところでございます。
 その上で、個々の企業における具体的な行為の内容であるとか、争議行為への不参加者といったものは、個社の労使間で労働協約等において定められている実態があるものと承知をしております。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 それでは、山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。電事連、山口でございます。
 今、事務局からも御回答ございましたが、事業者側から補足ということで御説明をさせていただきます。
 スト規制法の対象となる業務というのが、私ども使用者側としてどういう理解をしているかという話でございますけれども、これまで第2回であったかと思いますが、電気事業の概要等について皆様に御説明をいたしました。その中で御説明した業務としては、火力発電所においては運転監視、設備の保守・メンテナンス、燃料関係の業務、こういったところが対象になり得ると理解をしております。また、原子力発電所は、今申し上げた3点に加えて放射線管理の業務、テロ対策等の防護管理の業務、こういったものも入ってくる可能性があるのではないか。水力発電所においては、運転監視及び保守業務、こういったところが対象になり得る。
 それから、送配電関係もまとめて御説明いたしますが、視察もいただきました給電指令所におきましては、需給・系統運用業務が該当し得る。また、送電、変電、配電設備がございますけれども、こういった設備の保守管理業務が対象となり得るだろうと考えてございます。
 対象となる業務の人数、規模感は、取り方はいろいろございますのであくまでも御参考でございますけれども、今申し上げたような業務の人数については、これに従事する人数は、火力、水力、原子力の発電関係が1万名程度、送配電関係の需給・系統運用あるいは送配電、変電設備の保守業務が約2万3,000~2万4,000名と考えてございまして、発電系、送配電系を合計しますと3万4,000名程度、これは電気事業連合会に加盟の10社をカウントするとこれぐらいになるということでございまして、これは全組合員に占める割合としては36%程度、4割弱ぐらい、このように人数のカウントとしては想定をしてございます。これはあくまでも私どもの対象となり得る範囲ということで試算した内容を御紹介させていただきます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。電気事業の全てが対象になるようについ思いがちですけれども、発電事業者は1,000以上あるところで、指定されているのは18社とか一定のものに限るということは前提として認識しておくべき必要があるかと思います。
 そのほかいかがでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今のやり取りで、発電事業者の中でもスト規制法の対象事業者数は比較的少ないという印象でのお話があり、また、坂下委員からも平成27年部会の報告からの変化等を踏まえた上で必要性を議論するというまさに論点1のお話があったわけですけれども、我々労働側としましては、平成27年当時も今も全く変わらず、労調法の公益事業規制もある中で、特定の電気事業と石炭鉱業の労働者の労働基本権を不当に制約するスト規制法は廃止すべきだと主張してきたわけです。これは、電力システム改革も含めた平成27年以降の変化に関わらない考えです。
 先ほど原委員からも電気の安定供給は暮らしが成り立つために非常に重要なものであるというお話もあり、その点は私も重要だと思っているのですけれども、これは労働基本権の問題です。
 安定供給を担保する仕組みが何もないのかと言えば、先ほど申し上げたように、労調法による公益事業規制があるのです。他の公益事業はそれによってきちんと規制されているにもかかわらず、電気事業と石炭鉱業のみ、さらにスト規制法を設けて労働基本権を制約することの合理的根拠があるのかというと、正直、今までのやり取りの中で、明確な腹落ちするような理由を私は聞いておりませんし、ないと思っております。この部分をしっかりと踏まえて議論するべきだと考えているところです。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 全体プラス論点1について、ほかにも御意見あるいは御質問があれば出していただきたいのですが、いかがでしょうか。
 では、坂下委員、お願いします。
○坂下委員 どこから発言するのがいいのか悩ましかったりするのですけれども、先ほど、10年前の状況、電力システム改革の影響がどうだったかが一つ大きな要素になると申し上げましたので、そこに関連したことを最初に申し上げたいと思います。
 筑紫課長から資料1の7ページに関して御説明がありましたが、電力システム改革により様々な発電事業者が参入しましたが、発電設備の約8割が旧一般電気事業者及びJERA、電源開発が保有しているという状況で、ここは10年前と変わっていない状況です。すなわち、これらの事業所を代替できる大規模事業者は出てきていないと理解をしています。
 これは事実上、独占という状況が変わらない限りは事前規制であるスト規制法の必要性も変わらないのではないかと理解をしています。
 送配電網につきましても、もともと許可制になっているため、10年前とは大きく変わらない状況と理解しております。それを踏まえて、スト規制法の必要性について慎重に議論をしていく必要があると考えております。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 それでは、松元委員、お願いします。
○松元委員 ありがとうございます。
 先ほど来、安定供給の話をされておりますけれども、電力の安定供給というものはそもそもスト規制法によって維持されているものではないという自負があります。電力労使が協力の下、様々な課題等に積極的に取り組んだ結果、安定供給は維持されているということを改めて申し上げます。
 電力労働者は、安定供給を維持できるよう努めているものの、設備トラブルや自然災害などによって安定供給を維持できないことも実際にあります。しかしながら、電力システム改革以降も、電力労働者につきましては安定供給に対する使命感、責任感というものは一切変わっておらず、今後も変わるものではないと認識しております。
 また、電力労働者は、日々の業務におきまして、いかに安定供給に努めていくか取り組んでいます。そもそも労組法第1条第2項では、同法の適用対象と定める「正当な争議行為」であるとされています。スト規制法制定以降の各種争議行為における裁判におきましては、使用者の財産に対する支配を阻止する行為は「正当な争議行為」と解することはできないなどの司法判断も下されており、我々としても、電気の正常な供給を停止する行為、スイッチオフ等の積極的な行為につきましては違法性が極めて高いと認識しているところであります。これらも踏まえ、改めて争議行為によって自ら電気を止める行為はできるものではないし、しないことを改めて発言させていただければと思います。
 また、電気の重要性につきましては、毎年の各電力の労働組合の運動方針におきましても掲げており、また、労働協約において明文化し、自主規制の強化に努めてきている状況です。
 こうした実態等も踏まえれば、電気事業におきましても労調法の公益事業規制で十分であり、スト規制法を廃止し、労働基本権を回復すべきと考えています。
 なお、言葉を選ばずに発言させていただきますけれども、職場組合員からは、電力労使が対等な立場に立って健全な労使関係を築き上げ、昼夜を分かたず安定供給の使命を果たしてきている中、70年以上にわたりましてスト規制法があることについて、他の公益事業の労働者と違って電力労働者が信用されていないのではないかという厳しい意見も出されているということをこの場を借りて紹介させていただきます。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 坂下委員、お願いします。
○坂下委員 たびたびの発言をお許しください。
 これまでの議論を聞いていまして、幾つか使側としての考え方もお示ししたほうがよろしいかなと思いますので、発言をさせていただければと思います。
 まず、スト規制法が憲法上の労働基本権を制約している、疑問ありというのは、前回の会合でも労側のほうから強い意向として発言がありました。
 確かに労働基本権は非常に重要ですが、電気の安定供給の途絶というものが国民生活に対してどれだけ影響を与えるか、特に電気に関してはインフラの中のインフラであり、インフラを動かすためにも必要なインフラになりますので、その影響の大きさを鑑みて、この規制をする必要があるかどうかを慎重に考えて、その意義を見いだしているのだと思っています。
 諸外国を見ても、イギリス、韓国、ドイツ、イタリア、カナダ、オーストラリア、いずれも電力事業に事前規制を設けていますし、ほかの国でも実質、エッセンシャルサービスについては電力以外も含めて制約しているところがあります。そのため、我が国が特殊な状況にあるわけではないと認識をしています。
 その上で、この議論を法律的な観点ではなく、一市民としての観点から見ると、労使関係は非常に安定しており、昭和28年と今では状況が違うので、この規制は要らないのではないかというのは素朴に誰もが思うところではないかと思います。これまでも、電力事業者様と電力労組様から、安定的な労使関係の構築に努めているというお話を聞いておりまして心から敬意を表したいと思います。
 私自身、現在の電力労使の関係が非常に良好であるということについて、全く異論はございませんし、心強く思っています。その上であえて申し上げると、私自身は今後も、電力労使の皆様が努力を継続されて、良好な労使関係を継続されていくものだと理解しておりますが、一般論で言ったときに、未来永劫同じ状況が続くことは誰も確約できないのではないでしょうか。
 スト規制法は、電気事業の特殊性と国民経済、国民の日常生活に与える大きさを鑑みて、公共の福祉を擁護することを制度的に担保することを目的にしていると理解していますので、諸外国の規制の状況も参考にしながら、この規制の意義を冷静に議論していくことが重要だと理解をしています。
 決して、電力の皆様を信用できないとか、していないということではなく、一般論として、極めて影響の大きい電力の安定供給が途絶することがないように制度的にどうするかということを議論している場なのだと理解しております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 どれも非常に重要な論点なのですけれども、結局、論点1から先になかなか進まない感じになっております。今の法的位置づけを踏まえて、電気の特性とか供給体制とかいろいろなものを検討した上で、最後に、さあ、ではこの法律をどういうふうにしましょうという話になるのだと思います。ですから、せっかくですので、論点2以下を取りあえずさらってみて、その上で、最後にもう一度根本的なものも含めて御議論いただければと思います。
 では、論点2の電気の特殊性について、特にここに関して御意見、御質問等がございましたらお願いします。これは、平成27年も今も変わらないような気はするのですけれども。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 今までも申し上げていたところですが、「電気の特殊性」という点について着目する必要があるのは安定供給だと思っております。繰り返しになってしまいますが、既に労働協約などで争議不参加者を事前に決めるといった自主規制も含め様々な取り組みをしているわけで、それらで十分だと思っております。
 先ほど坂下委員が、未来永劫その労使関係は変わらないのかとおっしゃっていましたけれども、全てのものに永遠はありません。しかも、労調法の公益事業規制もある中で、スト規制法が本当に必要なのかというと、必要ではないということを繰り返し申し上げています。
 諸外国の事例も先ほど触れられておりましたけれども、日本のように電気事業に限り、労調法の公益事業規制がある中で、さらにもう一つアドオンでスト規制法という屋上屋を重ねる規制はないと思っています。事前規制か事後規制かというのはあるのかもしれないですが、少なくとも電気事業に限りダブルで規制をかけている事例は見受けられなかったと思っております。そういう意味でも、やはりスト規制法は不要であると我々は思っておりますので、重ねての発言になりますが、意見として申し上げておきたいと思います。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 特殊性があってもきちんと安定供給はできるのであって、そのためにスト規制法は要らないという御意見かと思いますが、そのほかいかがでしょうか。
 では、河野委員、お願いします。
○河野委員 先ほどの論点1も含めてこういう論議になっているのですが、電力システム改革によって電力を取り巻くいろいろなものが変わってきている中、「電気の特殊性・重要性」という点についても、時代の流れ、政策的な流れの中で当然出てきているものだと思います。
 その中で、安定供給をいかに確保していくのかといったところが大事なところでありまして、法律で規制するというよりも、我々は人材確保や技術・技能の継承をしっかり進める、その上では労使がそういった課題をしっかり共有しながら進めていくことが何よりも大事であって、そういった中で、労調法の公益事業規制に服するとともに、労働協約などの自主規制の強化を図ってきているのです。
 そういったもので十分であり、わざわざスト規制を設ける必要性が本当にあるのかというところについて議論をすべきと思っています。よろしくお願いします。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 坂下委員、お願いします。
○坂下委員 ありがとうございます。
 論点2の電気の特殊性は平成27年部会報告から変化がないと言えるかということについては、変化はないのだろうなと理解しています。
 論点5に関しては、今まさに議論された労働協約のところですが、どういたしましょうか。
○中窪部会長 それはまた後でやっていただくことにして、論点2と3も関係するというか、特殊性がある中で安定供給のためにはどういうことができるのか、あるいはその困難度は高まっているのか、そういった観点もありますので、論点2か3についてこの段階で御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
 では、坂下委員、お願いします。
○坂下委員 そうしましたら、論点3について申し上げたいと思います。
 論点3の安定供給に係る課題の困難度は高まっていると言えるかにつきましては、現場視察でも確認しましたが、需要と供給を一致させる仕組みが変わったことで、情報授受や指示・伝達業務などの連携は増えていて、中央給電指令所の担当者を増やすなど、現場の負荷が増加していることが確認できました。冒頭で藤村先生も、再生可能エネルギー、太陽光などが増えていることで負荷が上がって、安定供給が難しくなっているのではないかというお話がありましたが、まさに同じ認識です。
 したがって、10年の間で、電力システム改革の影響もあり、電気の安定供給に係る困難度は非常に高まっていると理解しております。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 論点3について、コメントをさせていただきます。
 前回の部会で申し上げたことと重複しますけれども、御承知のとおり、再エネ拡大に伴って火力の出力調整など、発電事業における対応は多様化あるいは変化をしてきているところでございます。また、今日、事務局が御紹介の論点のところでも少し出ましたが、経済安全保障といった観点からは、燃料確保の対応の困難さも増してきているという部分がございます。
 こういった環境変化は今後もございますけれども、先ほど松元委員からもございましたとおり、良好な労使関係が大前提となります。良好な労使関係を維持しながら、電力の安定供給に事業者としては引き続き努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 藤村委員、お願いします。
○藤村委員 安定供給というのは非常に大事ですよね。安定供給を阻害するリスクはどうかというと、まず自然災害がある。それから、設備故障。そうやって並べていった最後ぐらいに、働いている人たちのストライキによる安定供給を阻害するというのが来るのだろうと思います。
 リスクはゼロにできないのですよね。完全には対応できない。そうなったときに、要は安定供給をどうするかという観点から議論をするのであれば、ストライキを規制することの重要性は非常に低いと私は思っているのですね。
 ただ、先ほど原委員の発言にもありましたが、社会に対するメッセージ性はやはり一定あるだろうなと。そこをどういうふうに折り合いをつけていくかというのが難しいところだなと思いつつ、ずっと悩んでいます。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 電気の重要性が高まっているというのは、労働側も全く否定するところではないのですけれども、それは安定供給の論点であって、スト規制法があれば安定供給がはかられるというものではありません。電気の安定供給は、スト規制法によって、労働者にとって極めて大事な権利である労働基本権を制約して達成できるものではありません。論点で「安定供給をするためにどのような対応が必要か」とあるのですけれども、それはエネルギー政策の中で検討すべき話です。
 先ほど藤村委員から、スト規制の必要性は低いのだけれども、メッセージ性はあるだろうというお話でしたけれども、メッセージ性だけを理由に労働者の労働基本権を制約していいのかと考えれば、それはあってはならないことではないかと思っています。この点は意見として申し上げておきます。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 松元委員、お願いします。
○松元委員 ありがとうございます。
 冨髙委員からもありましたけれども、電気の重要性が高まる中、様々な安定供給を取り巻くリスクが多様化してきているということは、筑紫課長の説明からもあったとおりかと思っております。
 ただ、このリスクは、日本が抱える様々な政策課題に対応していくために避けられるものではなく、スト規制法の有無によって生じるものではないと考えております。安定供給については、電力システム改革の中で検討すべきであると考えます。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 藤村委員、どうぞ。
○藤村委員 悩んでいる途中の話になるのですけれども、スト規制法をなくしたら誰が困るかというと、現状では誰も困らないだろう。安定供給がこれによって阻害されるような話には現状はなっていない。確かにそうだよなと思うのですね。では、なくせばいいではないかという話はそうなのですが、さっきメッセージ性と申し上げた、そこはやはり無視できないのかな。悩んでいるのです。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 今のご発言には、ほとんど今ストが起こることは考えられないというような評価があって、それは次の労使関係の論点につながってくると思います。
 それから、論点の5についても、管理職による代替というのが前半にあって、その後、組合員の協力というのも出てきておりますので、論点4と5を一緒にしてしまって、どちらでも結構ですけれども、労使関係とか、争議のときの代替とか、そういう観点から、坂下委員もそちらで御発言があるようですけれども、そのほかの皆さんも御意見、御質問を出していただきたいのですが。
 では、坂下委員、お願いします。
○坂下委員 論点5の後半に関する内容で「代替ではなく、必要な範囲で組合員が協力するようあらかじめ労使で取り決めるなどが考えられるか」という部分についてですが、すなわち労働協約に関することだと思います。労働協約は基本的に協約期間について労使が決めるものであり、有効期間を定めているものもありますので、恒常的に担保できる仕組みかと言われると、労使関係の状況が影響すると思っています。
 恐らく事業者だと複数年での協約の期間を締結していると思いますが、スト規制法は基本的に有効期間はありませんので、恒常的に規制をするという意味でいうと、労働協約でどこまでカバーできるかと考えるべきなのかは、法律ほど確実ではないという理解の下でよく議論しないといけないと、労働協約については思っています。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 では、河野委員、お願いします。
○河野委員 坂下委員より労働協約の効力についてご発言がありましたが、労働協約は労使で交わす一番の基礎となる取り決めであり、就業規則よりもその位は高い、一番の礎になっているものです。
 先ほどの御確認の中で山口委員からもフォローがあったように、スト参加者はどういう職種なのか、どういう人材なのか、こういったところを当然労使でしっかり話合いをして取り決めているなど、非常に重い内容になっています。
 期間が定められているではないかというご意見もありましたが、制度が変われば当然労働協約の更新もしていきますけれども、特に争議行為関係というのはなかなか変更できるようなところでもありません。
 それと、労働協約は各労使それぞれが取決めをしているということでありますので、当然、関係労使でお互いにしっかり話し合った中で決めている。ただ、それをいかにチェックしていくか、フォローしていくかという部分では、例えば、労働協約の内容等について関係省庁などがフォローなどを行うことで、こういった部分の取扱いをより強化することも考えられるとも思っています。そういう扱いも含めて、今後、労働協約の実効性フォローという部分でも、議論することが考えられるのではないかと考えているところです。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 高垣委員、お願いします。
○高垣委員 ありがとうございます。
 私のほうも、論点5につきましてコメントさせていただければと思います。
 論点1とも関連いたしますが、こちらで記載いただいておりますように正当でない争議行為の一部を明文化したものと考えますと、本法があることで正当でない争議行為の方法の一部が何であるか、労使双方で同じ認識を持つことができるという側面もあると思ってございます。
 したがいまして、労使で取り決めるという方法もあるかと思いますけれども、本法で既に明確にされていることと、取り決めることの位置づけ、先ほど来、議論になっておりますけれども、そういったことも踏まえて本部会で議論をいただければと思ってございます。
 私からは以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 松元委員、お願いします。
○松元委員 ありがとうございます。
 先ほど御紹介がありましたが、平成27年7月3日に出された解釈通知の中で、「使用者側の何らかの対応措置が採られない限り、当該争議行為により『電気の正常な供給に直接に障害』が生ずる可能性がある場合であっても、あらかじめ電気の正常な供給に障害を生じさせることがないように関係労使間で十全の協定がなされ、それに従って現実に措置が採られる場合にあっては、争議行為時における電気の供給態勢が労使のかかる措置により客観的に確保されているといえるのであって」と、スト規制の対象外の争議行為として挙げられるとされております。
 この通知が出されて以降、労働組合側から改めて会社側に見解を確認させていただきました。その際、争議行為を万が一行わざるを得ない場合には、電力の安定供給を損ねることがないよう、労働協約等にあるとおり、その職種及び人員について会社と組合が協議して定めることを確認しております。こうした労使間の自主規制で十分かと考えております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 では、山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 今、議論が煮詰まっているところで、本論と少し関係のないところの発言をお許しいただきたいのですが、実は論点5に関連するところでございます。前回部会の議事録に関して、視察先でありました四国電力の伊方発電所のほうから少し補足のコメントをしてほしいという依頼がありましたので、簡単に御紹介をさせていただきます。
 前回、冨髙委員の御発言の中に、伊方ではアウトソーシングが進んでいるという御発言がございました。これは、前回の部会の資料1の10ページに記載の内容を受けてのものと思われます。この内容については、四国電力の社員が設備の計画を行い、関係会社及び協力会社が設備の点検や性能検査等の現場業務のほか、工事や廃止措置対応の業務を実施している、この内容を受けての御発言かと思います。
 この点について、伊方発電所のほうから、ここは前回の部会当時、すなわち10年前から委託化が急速に進んだものではないので、その点を念のため申し添えてほしいという御発言がありましたので、本論とは関係がございませんし、また、冨髙委員の発言を否定するものではございませんので、念のための補足ということで受け取っていただければと思います。
 発言は以上でございます。
○中窪部会長 補足として承りました。ありがとうございます。
 坂下委員、お願いします。
○坂下委員 恐れ入ります。たびたびの発言をお許しください。
 労働協約については先ほど申し上げたとおりで、現状どれぐらいカバーされているのか、スト規制法の厚生労働大臣指定の対象になっている事業者で労働協約をどれだけちゃんと結んでおられるのかどうかについては関心のあるところですが、具体的に禁止されている行為を明確にするものですので、これ自体はあってよいと思いますし、高垣委員も労使双方が理解する上で重要なものだとおっしゃっていましたので、そのとおりだと思っています。
 その話とスト規制法が今日的に見て必要かどうかは、次元が違う話と思っていますので、スト規制法そのものについてどう考えるか、整理する必要があると思います。
 前回も申し上げたのですが、労調法があるのでスト規制法は屋上屋で要らないのではないかという議論もありますが、10年前の報告でも整理いただいたとおり、目的が異なっているので、期待する法的効果は違うと考えています。
 我々経団連も、電力の需要家ですし、今日不在の井上委員は、大口の大手企業として電力需要家の立場でいらっしゃいますが、我々が一番心配なのは、事業活動に不可欠である電力がちゃんと安定的に供給されることが担保されるかどうかです。それは国民の皆さんにとっても同じだと思います。そのためには事前の規制が必要だと思いますので、スト規制法は我が国では不可欠であると思っています。その意味で、スト規制法というものは存在意義があると理解をしております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 結局、そこはいちばんの最終的な論点になりますけれども、では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 労調法とスト規制法は目的が異なるというお話でございましたけれども、平成27年の部会報告の中には、「いずれも国民生活等への影響に鑑みて、争議行為を制限する点で共通し、スト規制法は屋上屋との指摘もある」という記載があります。我々としてはその記述を非常に重要視しており、決して両法の目的が異なるのではなく国民生活への影響などに鑑みてストを制限する効果を有しているという意味では両法とも共通していると考えています。
 同じように安定供給やサービス提供が求められている他の公益事業では労調法しかありません。また、事前・事後というお話もありましたけれども、海外の事例を見てみると、電気事業に限って事前と事後ダブルの規制を設けている例はありません。そういったことを考えれば、労調法の公益事業規制で十分であり、スト規制法は廃止すべきと我々としては思っているところです。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 今、根本的な点について労使から御意見を伺いましたけれども、そこに行く前に、もう労使関係のところは取りあえず終わったことにして、論点6と7が電気事業者間の競争環境と、事業者間の連携による代替性で、両者はつながる面もあると思います。論点6と7について特に御意見等がございましたら出していただきたいのですが、いかがでしょうか。
 では、松元委員、お願いします。
○松元委員 ありがとうございます。
 論点6の「電気事業者間の競争環境」についてです。先ほどの筑紫課長の御説明にもありましたが、発電事業者につきましては、太陽光をはじめとする再エネ電源だけではなくて、火力につきましても新規事業者が増加してきている状況となっております。こうした中、毎年、スト規制法の対象事業者を決定しておりますが、これまで旧一般電気事業者、旧卸電気事業者のみがスト規制を課されてきている状況となっております。新規事業者であっても、もし争議行為等によってその対象となっていないところが発電を停止した場合には、安定供給に影響を及ぼす可能性は十分あると認識しております。
 そうした状況にあるにもかかわらず、依然として旧一般電気事業者と旧卸電気事業者という一部の事業者だけをスト規制法の対象としていることに対して妥当性・納得性があるのかは疑問です。全ての事業者を等しく扱い、労働基本権を等しく与えるべきであり、そのためには全ての事業者をスト規制法の対象から外すべきと考えております。
 また、送配電事業につきましては、分社化されたものの地域独占は残っている状況ではございますが、需要に対して、そもそも発電事業者からの供給力が不足した場合、安定供給は維持できないものとなります。
 電力システム改革の検証結果におきましても、電力システムが直面する課題の解決に当たっては、中心的な役割を担うのは電気事業者、さらには新規参入者を含めた電気事業に関連する電力産業としており、全ての電気事業者であると考えております。
 こうした結果を踏まえましても、全ての電気事業に関わる労働者を等しく扱い、労働基本権を等しく与える観点から、スト規制法は廃止すべきと考えております。
 以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 戎野委員、お願いします。
○戎野委員 ありがとうございます。
 そもそもこの議論が、平成27年の部会報告、電気事業法の附帯決議を踏まえて行われるものでありまして、そのため、これまでもシステム改革の検証をしてきたわけです。その中で事業間の競争環境がこの10年間でも変化があることについて御説明がありました。
 ただ、プレーヤーが増えても数社が要となって運用されていると理解いたしました。しかし、これがもし変化していったとき、どのような影響が出るのかということは、先ほどの労使関係の話とも関係しますけれども、やはり少なからぬ影響が考えられるというのはほかの業界を見ても思うところであります。したがいまして、事業者間の競争環境が今のままであるという保障は必ずしもないということは重視して、これから見ていくべきかと思います。
 国際環境も著しく不安定化を増す中で、どのように安定供給を図っていくのかを考えるときには、事業者間の関係性がどうあるかというのは一つの要になるでしょうし、再生エネルギーの調整も今後一層困難になることを考えますと、ここにおいても事業者間がどうあるべきなのかということは非常にキーになってくると思いました。
 最後に、1つ質問をさせていただきたいのですが、事業者間の連携について、先ほどのお話の中でも広域に融通して安定供給を図るというお話がありましたけれども、もしどこかで、例えば大口のところを含めてストライキが起きたときに、そしてそれによって電力が足りなくなったということがある地域で発生したときに、他のエリアから電力を融通するという指示をすぐ出すことが可能なのかというのをお伺いしたいと思います。さらに、それによって停電は未然に防ぐことができるものなのか、またその仕組みも併せてお伺いできればと思います。
○中窪部会長 では、お願いします。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 ありがとうございます。資源エネルギー庁でございます。
 今、委員から御指摘いただいた、広域で融通するという形でのインフラ整備を進めていくということですけれども、そういった中で、どこか一定の事業者の中で、想定されているのは争議行為だと思いますけれども、何かあったときの対応はどの程度のキャパシティーなのかということかと思います。
 この点については、エリアごと、あと業務の実態という意味では後ほど送配電網協議会からコメントがあるかと思いますけれども、インフラストラクチャーの基本発想という意味で申し上げると、広域連系線というのは、例えば個々の発電所であれば、トラブルによって急に停止するというのがございますし、過去の東日本大震災の例で言えば、沿岸部の発電所が止まってしまったときに対応ができるように少しでも大きくしていこうという発想です。その上で、最近では再エネについてもカバーをしていく。
 ただ、当然、ふだんの仕事では各エリア内で完結をすることが前提としてつくられている代物ですので、何らか特定の事業者の発電所が相当数止まるということになったときに対応できるというような設計にはそもそもなっていないと理解をしています。
 もちろん各エリア個別で見れば、経済的つながりが強く、歴史的な経緯でつながりが太いところもありますし、そこまでではないところもありますけれども、基本的な発想としては、個別の発電所についての予期せぬトラブルなどのときには対応ができる、その上で、大型の再生可能エネルギーをできるだけ全国広域で薄く使っていく、ということが設計の基本思想でございます。そういう意味では、現実として対応はそう簡単ではないというのが制度設計の発想かと思います。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 高垣委員、お願いします。
○高垣委員 ありがとうございます。
 論点7につきまして、こちらに地域間連系線やその後の増強という形で記載されていますので、本論点は電気的なつながり、こういったところかなと思っています。一方で、本件はストの話も含むと考えますと、要は、起きた場合の受け側の態勢がしっかり取れているか、こちらの論点もあるのかなと思います。
 態勢は別にしまして、電気的にどうなっているかというところをお話しさせていただきますと、地域間連系線の容量には限りがございまして、今後の増強も踏まえても限りがある状況と思っております。
 例えば、先ほどエネ庁様に御説明いただいた資料1の13ページに、連系線の一部容量が記載されてございます。例えば東京エリアを御覧いただきますと、東北からの容量が550万キロワット程度、中部からは、こちらは周波数変換設備になるのですけれども、210万キロワットと記載されております。これが2027年度に増強になりますと、東北からが1028万キロワット、中部からが300万キロワット、こういう増強計画があるということです。
 一方で、東京エリアの需要規模で言いますと、昨年の夏の実績で申しましても5700万キロワット程度ございます。要は、東北、中部からの容量が現状760万キロワット程度としますと、夏の需要に対して10数パーセント程度の容量しかないことになり、こちらは増強されても2割程度というところと思いますので、エリアの需要を賄うだけの連系線の容量がなく、限定的ということになります。
 これはほかのエリアでも同じことが言える状況でございますので、ほかのエリアの電気を全て賄うことは難しいと思います。したがいまして、こういった連携による電気の代替性があるとは言えない状況ではないかと思ってございます。
 以上になります。
○戎野委員 分かりました。万が一ということを考えました。ありがとうございました。
○中窪部会長 ありがとうございました。
○労働関係法課長 今の点について確認をさせていただきたいのですが、先ほどの御質問の中には指示をすることができるのかというところがあったと思うのですが、こちらについてはいかがでしょうか。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 ありがとうございます。
 そういう意味では、電力広域的運営推進機関の出す指示については、どういった事象なのかを問わず指示を出すことになりますので、特定の発電所が何らかの理由で計画外で停止をするという段階になりましたら、かつ、そういった報告がそのエリアの送配電事業者から入ってきましたら、直ちに指示に向けて検討を進めるという態勢になっております。
○労働関係法課長 ありがとうございます。
 そういたしますと、指示は出せるけれども、結果としてカバーができるかというのは、インフラの状況等があって、現時点では容量によってはカバーし切れない、十分な電力を連携先から供給することができないのが現状であると。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 おっしゃるとおりですね。その上で、もっと申し上げると、要するに、こういった連携をどういう事象が起きたときの対応のために整備をしていくのかということで言うと、そういうときに想定されている事象の中には、エネルギー政策上は、一定の災害、自然災害みたいなものと、再生可能エネルギーを大量に入れるというところの線が一つの線でありまして、今おっしゃられた争議行為みたいものは入ってはいないということであります。
 と言いますのも、それ以上のいろいろな可能性全てに対応するという形になると、それはそれで切りがない世界になってしまうところもあるので、エネルギー政策上の今の政府方針だとすると、13ページの資料にも入っていますけれども、再エネの大量導入と電力のレジリエンスというところが鍵になっているということでございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 戎野委員、どうぞ。
○戎野委員 さきほど「指示」というお話がありましたが、そこのエリアから連絡があってから行うということは、それなりにタイムラグがあるということで、停電を防ぐことができるかということに関してはどうなのでしょう。
○資源エネルギー庁電力基盤整備課長 そういう意味で言うと、まず、リアルタイムの監視システムが動いていますので、各エリアの状況についてはまずリアルタイムで数字が見えています。その上で、前日の段階あるいはその前の前々日の段階から、常に1日先がどうなるか、2日先がどうなるかという見通しも毎回いただいている状況になっていますので、もちろん実際には天気は予報によって動く部分はございますけれども、もともとの想定がどうなっているのかというのを見ながら、必要になったときには何時間後に必要そうだから指示を出しますといった調整になります。
 さらに申し上げると、例えば、能登の地震のときがそうなのですけれども、地震が起きたことによって発電所が急遽何基か止まりましたとなったときに、今この瞬間どうかという部分についてと、何時間先がどうなるかというところまで手元に持っている計画から確認をして、それぞれの送配電会社と連絡を取って指示を出していく。そういったオペレーションになっています。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 河野委員、お願いします。
○河野委員 論点7の「事業者間の連携による代替性」について事務局に確認をしたいと思います。論点で、「電気の安定供給の観点から事業者間の連携による代替性をどう考えるのか」とありますが、先ほどから出ているように、安定供給という部分でいけば、事業者間の連携というのは今でも災害時とか緊急停電時にやっているわけです。
 論点のイメージとしては、例えば、特定の発電事業者が発電所のスイッチを切ったときに他の発電事業者がその管内に電気を送るというイメージで書かれているものなのか。そういうイメージであれば、事業者間の連携の代替性というのは、今回のスト規制法の中の論点にならないと思うのです。その点はいかがですか。
○労働関係法課長 この論点については、事務局としては、平成27年の部会報告以降、本日も資源エネルギー庁から御説明があったような地域間連系線の増強や、需給逼迫時の地域間の融通といった取組が進んできているということで、これは10年間の変化の中の一つの特徴だと理解をしております。
 こうした変化の延長線上に、現在はスト規制法によって発電が止まってしまうようなストライキは想定されないということだと思うのですけれども、万一、ストライキに起因する停電が起きたときに、電力の供給が途絶したところをカバーするような形で融通ができるようなインフラの状況になっているのかどうか、あるいはこういう見込みがあるのかどうかということは、もしスト規制法がなくなった後、そういうリスクをヘッジできるものになり得るのかどうか、このような議論ができるかと思いまして、実態も含めてこの場でいろいろ検証にも照らしながら御議論いただければよいのではないかと思い、論点として設定をしたというのが事務局の考えでございます。
○河野委員 安定供給全般において連系線の強化などは、これから電気を安定供給していくためにどうしても必要な部分ですから、さらに強化していかなければいけない、これは分かるのです。
 ただ、争議行為の対応において、事業者間連携というのはあり得ないのではないかと思うのです。争議行為というものに関しては、スイッチオフとか争議行為をやらないということが大前提ですから、業務等の代替ということは考えにくいというか、考えられないのではないかと思っていることを改めて意見として言わせていただきます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
 もう時間も来ましたので、最後に全体的な観点からの議論と申しましたけれども、途中でスト規制法の必要性について根本的な御意見もいただきましたし、今日はとにかく全体の構成、論点について、ちょっとまとめましたけれども、論点7まで一通り御意見を伺ったということで、とにかく電力システム改革の検証結果を踏まえた上で論点を深掘りしたという位置づけになるかと思います。
 事務局のほうでは、今回の議論における御意見等を踏まえまして、次回までに整理をして、さらに議論を深めていけるような資料の準備をお願いしたいと思います。
○労働関係法課長 承りました。
○河野委員 1点。本日の議論はこれで終わられるのだろうと思いますが、我々電力労働者は長きにわたって労働基本権の回復に向けて取り組んできたわけです。電力システム改革前、垂直一貫体制で全ての電力労働者がスト規制法の対象となっていたところであります。
 しかし、本日説明があったように、電力システム改革によって、電気事業も「規制」から「市場」へと進展している中、一部の電気事業者だけがスト規制の対象になっているということがどうしても我々の中では理解しがたいのです。将来を見据えて電気事業体制が大きく転換を求められている今こそ、全ての電気事業に関わる労働者を等しく扱っていただき、また、労働基本権を等しく与えて、70年以上経過しているスト規制法は廃止することを前提に議論をしていきたいということを最後に申し述べておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 最後にまた戻って議論すると言いながら端折ってしまいすみません。使用者側から何かございますか。よろしいですか。
 それでは、次回の日程につきまして事務局より御説明をお願いいたします。
○労働関係法課長補佐 事務局でございます。
 次回につきましては、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。
 以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日の部会はこれで終了といたします。お忙しい中、御参集いただき、どうもありがとうございました。