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- 第6回精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会 議事録
第6回精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会 議事録
日時
令和7年5月12日(月)10:00~13:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋 1-18-1)
(東京都港区新橋 1-18-1)
出席者
- 構成員(五十音順)
-
- 家保構成員
- 池原構成員
- 岩上構成員
- 上田構成員
- 江澤構成員
- 岡田構成員
- 岡部構成員
- 柄澤構成員
- 北村構成員
- 吉川構成員
- 桐原構成員
- 柑本構成員
- 小阪構成員
- 小嶋構成員
- 田辺構成員
- 田村構成員
- 辻本構成員
- 長瀬構成員
- 長谷川構成員
- 花村構成員
- 藤井構成員
- 松本構成員
- 水野構成員
- 森構成員
- 山口構成員
- 参考人(五十音順)
-
- 上ノ山参考人
- 高尾参考人
- 深澤参考人
- 松岡参考人
議題
- (1)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける医療提供体制について
- (2)その他
議事
- 内容
○田辺座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」を開催したいと存じます。
皆様方におかれましては、御多忙のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
初めに、本日の出欠状況と資料の確認につきまして、事務局のほうからお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○新平課長補佐 本日の会議は、会場とオンライン会議システムを併用しての実施となります。御出席の構成員のうち、会場には17名お越しいただいております。オンラインでの御出席は8名となっております。
神庭構成員は、御都合により欠席されると伺っております。
また、本日は、議題(1)に関連いたしまして、日本精神神経科診療所協会より上ノ山参考人、高尾参考人、日本精神科病院協会より深澤参考人、松岡参考人に御出席をお願いしております。
次に、本日の資料といたしまして、議事次第、資料1~6、参考資料1~2を格納したタブレットをお配りしております。資料3につきましては、一部修正が入りましたので、構成員の皆様には紙媒体にて配付をしております。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
傍聴の方につきましては、資料を厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
次に、オンラインで御参加の構成員、参考人の皆様におかれましては、カメラを常に映る状態にしておいていただければと思います。また、御発言の都度、マイクをオンにしていただき、発言後はオフにする操作をお願いいたします。途中で不都合が生じましたら、事務局まで御連絡ください。
それでは、冒頭の頭撮り撮影に関しましてはこちらで終了とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(頭撮り終了)
○新平課長補佐 引き続き、資料の補足をさせていただきます。
資料1につきましては、前回の検討会における主な御意見をまとめさせていただいております。また、参考資料1として、本日の御議論に資する資料をお配りしておりますので、御参照いただければと思います。
以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
それでは、早速でございますけれども、具体的な議題に入ってまいりたいと思います。
議題(1)の「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける医療提供体制について」です。
当議題に関しまして、地域における「にも包括」の観点で、医療提供側の関係者よりヒアリングを行ってまいりたいと存じます。
本日は、藤井構成員、上ノ山参考人、高尾参考人、松岡参考人、深澤参考人、以上の順で、おのおの最大15分以内を目安に御発表いただきたいと思います。皆様には連続して発表いただきまして、最後に構成員の皆様方からの質疑、討議の時間を設けたいと思います。
それでは、早速、藤井構成員、報告をよろしくお願いいたします。
○藤井構成員 国立精神・神経医療研究センターの藤井と申します。
私からは、精神科診療所の機能に関しての調査を研究班で実施しましたので、その結果を報告させていただきます。
2ページ目を御覧ください。
対象ですけれども、日本精神神経科診療所協会に御協力いただきまして、所属しておられる全国の精神科診療所を対象に、令和6年12月の診療状況について調査を行いました。その結果について御説明をいたします。回答率は48.9%となっておりまして、この種の調査としましてはかなり高い回答率と考えております。
人員配置ですけれども、2ページを御覧いただいたとおりで、精神科医師の配置につきましては1人配置のところが非常に多いという状況になっておりますが、それ以外は、医師以外の専門職の配置につきましては約87%の診療所が1名以上の医師以外の専門職を配置しているという状況になっておりまして、最も多いのが看護師、それに続いて精神保健福祉士となっております。
3ページ目を御覧ください。
専門職の配置状況についてグラフでお示しをしてございます。非常勤を含む専門職の配置状況、常勤のみの配置状況、そして、何職種配置しているかということにつきましてグラフでお示ししてございます。
専門職の配置状況と診療機能との関係について統計解析を行いましたところ、ざっと結果を御説明しますと、コメディカル配置が多いところほど、予約外初診、時間外の対応、地域貢献といったことをより多く実施している傾向がございました。
4ページ目を御覧ください。
通院・在宅精神療法の算定状況についての詳細をお示ししてございます。昨今、初診の待機日数について話題になっておるところでございますけれども、初診に関しましては医師1人当たり、1か月で中央値16名の初診を診ているという状況で、クリニック1つ当たり大体20人の初診の診療を行っているというところがお示しできているかと思います。
初診の所要時間につきましては、30分以上60分未満というところが70%強ということで最多になっております。再診の所要時間のところですけれども、5分以上10分未満が約8割ということになってございます。
5ページ目を御覧ください。
通院精神療法の算定人数とか、全通院精神療法の算定人数のうち初診がどのぐらいを占めているかということなどについてお示ししてございます。
初診につきましては、全診療数のうち「1~5%」が占めている診療所が80%ぐらいということで最多になってございます。その初診のうち「60分以上」が占める割合につきましては、初診で60分以上かけている方が「0%」の診療所が約半数になっております。60分以上の診療を要しない、あるいは60分以上の診療が困難な方が多いという状況が分かるかと思います。
通院精神療法の算定のうち、再診の算定人数のうち「30分以上」が占める割合につきましては、右下のグラフのとおりでございます。
6ページ目をお願いします。
初診における診療時間が60分未満であっても差し支えないと考えられる状況について、回答を求めている設問でございます。これにつきましては、令和6年度の診療報酬改定におきまして、初診に60分以上かけていることを評価するような方向性の改定が行われたということもございまして、ただ、臨床的には、私自身の診療経験からも、必ずしも60分以上の診療を要しない、あるいはむしろ短時間のほうがよいケースがありますので、現場の実情を知るために質問に加えたものでございます。
グラフを御覧のとおり、紹介元から十分な情報が得られている場合とか、逆に御本人の負担になってしまうような病状の場合とか、本人自身が長時間の診療を望まないような場合に関しましては、60分未満であっても差し支えないと考えておられる医師の方が多いという結果になってございます。
それ以外にも自由記載についてまとめております。専門職によるインテークを活用されていたり、病態が安定しているケース、あるいは背景事情があまり複雑ではないケース、もしくは複数回に分けた情報収集や関係性の構築が望ましい場合とか、様々なケースにおいて60分未満であっても差し支えない、むしろ60分未満のほうが望ましいケースもあるということがお分かりになるかと思います。
次のページを御覧ください。
これは、昨今、非常に注目されている初診までの待機日数についてです。御覧のとおり、二峰性を示すことがお分かりになるかと思います。6割強の診療所では約2週間以内に初診を受けられるという結果になっておりまして、0日、当日受けられるという診療所も一定数ございますけれども、一方で1~2か月以上待つような診療所も少なからずあるような状況でございます。
初診待機日数に関連する要因を様々な角度から分析してみたのですけれども、今回調査した診療機能とか専門職の配置状況と初診待機日数との関連は明らかにはできませんでした。一方で、都道府県ごとのばらつきは非常に大きいことが分かりました。
ここから言えることは限られてくるのですけれども、少なくとも本調査からは診療所機能と初診待機日数との関連は認められず、むしろ恐らく地域の人口構成あるいは地域の精神科医療の需要供給バランスといった地域構造的要因の影響が大きい可能性もあるかと考えられました。
次をお願いいたします。
予約外で初診を受けることがあるかという設問です。これに関しては、34%ぐらいの診療所が「ある」とお答えになっておりまして、予約外で診療を受ける状況についての具体の状況を下の棒グラフでお示ししてございます。
次のページをお願いいたします。
初診待機日数を減らすための対策についてお聞きしたものです。それぞれの診療所で様々な対応がなされていることがお示しできているかと思います。
自由記載を御覧いただきますと、例えば、コメディカルスタッフの増員・配置、あるいはタスクシフトによって初診待機日数を減らす工夫されていたり、予約枠とか受付体制の再設計や事前トリアージ、あるいはクリニック間の連携、病院との連携などによって受皿を拡大しているという工夫もございました。そのほか、ICTやAIの活用や情報発信の方法を工夫されているということなどが挙げられております。それ以外の意見として、診療報酬改定によるインセンティブ強化も必要ではないかという意見もございました。
10ページをお願いいたします。
こちらは、時間外対応の状況についてお伺いしたものです。精神科救急医療確保事業における外来対応施設かどうかという辺りのところですけれども、注目していただきたいのは、「事業自体がない」というお答えが26.8%あったということでございます。それ以外の時間外対応加算につきましては、なかなか届出が難しいというような回答が大多数を占めました。
精神科救急情報センターや保健所、警察等からの問合せ等に原則対応できるかどうかということにつきましては、約半数ぐらいの診療所が何らかの形で対応されている状況でございました。
11ページをお願いいたします。
こちらも時間外対応についての質問でございます。複数の診療所との連携による時間外対応の実施については、「そのような体制があれば協力できる」という御回答が3割ぐらいになってございます。
そのほか、時間外対応についてはそれぞれの診療所で様々な工夫をされている状況が読み取れまして、こちらに自由記載のまとめを挙げてございますけれども、連携による対応とか、医師個人の携帯電話での対応をされているところもございますし、留守電転送とかメールやLINE等を活用されているところもございます。それぞれの事情に合わせて、時間外であっても対応できる工夫をされているという状況が見てとれるかと思います。
12ページ目です。
診療業務以外の地域貢献はどのようなことをされているかということをお伺いしたものでございます。こちらを御覧いただきますと、様々な形で地域貢献をされているクリニック、診療所がかなり多いことがお分かりかと思います。約9割の診療所で地域貢献を実施されていることが分かります。
13ページに、具体的な地域貢献についてまとめてございます。非常に多岐にわたっておりますので全てを挙げることはできないのですが、精神保健相談関連、子ども・教育・女性関連、審査・判定業務、司法に関するところでありますとか、福祉・介護・成年後見など、労働衛生に関係するような業務に携わっている先生もおられます。このような様々な地域貢献をされているということが分かりました。
次からは令和6年4月に実施した調査で、以前にこの検討会でも御報告させていただいたものですけれども、診療機能としまして、緊急対応は、こちらは時間外対応にも関係するところかと思いますけれども、御覧いただきましたとおり、かなりの診療所が時間外対応を何らかの形で行っている状況が分かるかと思います。身体合併症につきましても、6割弱の診療所では一般的な身体疾患の治療も行っているという状況でございます。
15ページを御覧ください。
専門職の診療所での業務に関係するところをお示ししてございます。赤字でお示ししてございますけれども、様々な専門職が診療報酬では算定されない面談を行っているということがここから分かるかと思います。それ以外に、連携機能といたしまして、正式な文書以外の連携というものをかなりの診療所で実施しているという状況かと思います。
以上、調査の結果を御報告いたしましたけれども、前回の検討会の中で、たしか小阪構成員から、診療報酬の現行の点数で良質な医療が提供できるのだろうかという疑問が出されたかと思います。この調査に一部関係するところがあるかと思いましたので、完全なお答えではないのですけれども、そこについても触れたいと思います。
診療報酬の点数が適正かどうかについては、それについて言及する立場にございませんので、それについてはお答えが難しいのですけれども、要は、良質な医療を現行の診療報酬で提供することができるのだろうかという御質問だったのかなと理解をしております。
良質な精神医療というのは一体どういうものなのかということになると思うのですけれども、もちろん主治医の診療の質も関係するのは当然ですけれども、重要なことの一つとしては、御本人の必要に応じて多職種とか多機能連携をしっかりしていって包括的な支援が提供できるかどうかということも関係してくるのではないかと思います。
その観点で言いますと、精神科の外来において多職種配置が望まれると思うのですけれども、現行の診療報酬の体制では多職種を配置することによるインセンティブとか、あるいは、15ページにお示ししてありますような多職種の専門職による面接を行うということについての評価はされていない状況ですので、包括的な多職種・多機関連携による診療が提供できるかどうかということになってくると、現行ではなかなか難しいところがあると言えるのかなと思います。
もちろん厚生労働省のほうでも非常に御尽力をいただいておりまして、ケースマネジメントの一部については診療報酬で評価されるような方向性になってきておりますけれども、この調査結果を拝見するところから分かるのは、十分な多職種配置をすることが今の状況では難しいのではないかということは言えるのかなと思います。
私からの報告はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。
○田辺座長 藤井構成員、御報告をどうもありがとうございました。
続きまして、上ノ山参考人、発表をよろしくお願いいたします。
○上ノ山参考人 上ノ山です。
発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。オンラインで失礼します。
次をお願いします。
今日はこんな形で、かかりつけ精神科医を含めていろいろお話しさせていただきたいと思います。
次をお願いします。
これは、かかりつけ精神科医に関する説明のところです。
次をお願いします。
かかりつけ精神科医機能について説明されていますが、その内容については十分議論されているとは言えないと思います。役割を詰め込み過ぎていて、これができないとかかりつけと言えないということであれば、むしろ診療所の意欲を阻害し、「にも包括」の理念に逆行するおそれがあるかと思います。かかりつけ精神科医に求められる機能の定義の中にかかりつけ精神科医機能が書かれており、同義反復となっています。①の中に②、③、④が含まれている状況です。
日本医師会でもかかりつけ医について定義をなされていて、それが基本になるのではないかと思います。日本医師会のかかりつけ医と、かかりつけ精神科医の混同が起こりやすいのではないかという気がします。
次をお願いします。
かかりつけ医について、日本医師会の定義はこのような形になっています。
次をお願いします。
かかりつけ精神科医について4つの項目が挙げられていますけれども、①~④の全ての機能を一つの医療機関に集約することを標準とするのであれば、精神科病院にかかりつけ医機能を期待することになるのではないかと思います。地域生活を支えていくためには、それぞれの医療機関が地域への志向を持つとともに、一つの医療機関で完結できない場合は、地域で面的に整備していく必要があるのではないかと思います。
次をお願いします。
精神科診療所はこのような形で、規模、立地、職種、機能、専門性と非常に多様です。このように多様な精神科診療所を生かした、精神科診療所を有力な社会資源と位置づけた精神保健医療福祉体制が必要かと思います。
精神科診療所の今後の進化の方向性としましては、専門性の分化とか、地域志向性を高めていくとか、そういうことにあると思いますけれども、地域(志向性)精神科診療所というのはどんなものかというと、地域連携を重視して、地域のネットワークの充実に貢献していくようなことになるかと思います。
診療所の今後の課題としましては、連携をどのように進めていくのか、あるいは救急が弱いと言われていますが、一方、平時からの救急に取り組む必要があること、それから、初診の待機時間が長いということもあって、いわゆる初診難民と言われている状態をどう防いでいくのかということになるかと思います。
次をお願いします。
これは、診療報酬でかかりつけ精神科医が取り上げられているということです。
次をお願いします。
これも、検討会報告書の中にある説明ですけれども、この内容を読んでいくと、かかりつけ精神科医というよりも、地域(志向)精神科医と言うべきではないかという気がします。
次をお願いします。
地域連携について、ひきこもり支援と自殺対策を中心に説明したいと思います。
次をお願いします。
彦根市の場合について説明します。
次をお願いします。
ひきこもり支援施策の全体像としましては、ひきこもり地域支援センターを充実させていくという方向性と、重層的支援体制の整備を充実させていくという方向があります。これはいずれもメンタルヘルスに関わるものということではなくて、生活困窮者支援の枠組みの中で取り組まれています。
各市町村にはこのような連携のプラットフォームが書かれていますけれども、この中に医療機関が入っていないのが現状です。
次をお願いします。
彦根市では、重層的支援のほうを採用していて、重層的支援は世代、属性を問わない相談支援体制をつくっていこうということになっています。
次をお願いします。
彦根市のひきこもり支援ネットワークについて説明します。これは彦根市社協が描いた図ですけれども、この中にアウトリーチ支援チームというのがあって、その中に医療機関、南彦根クリニックですけれども、そこが入っているというのが特徴的です。このアウトリーチ支援チームの中に医療機関が入っていることが県内では非常に珍しくて、他県域からもどのようなことになっているのかという問合せが来ます。
当初は、構成機関としては、社会福祉協議会と社会福祉課と彦根保健所と南彦根クリニックでしたけれども、メンタルヘルスの主管課である障害福祉課が入っていないのが長らく続きまして、6年越しでやっと障害福祉課も参加したアウトリーチ支援チームになっています。
次をお願いします。
彦根市のひきこもり支援の現状ですけれども、重層的支援体制整備事業を利用して助成金が出ていますが、これは先ほど言いましたように、メンタルヘルスの統合的な枠組みの中に位置づけられているわけではないのが現状です。
令和4年に精神科在宅患者支援管理料というものが報酬化されて、むしろ減額になっています。つまり、診療報酬化されることがかえって地域の支援の充実化に必ずしもつながらないという一つの例かと思います。
精在管の要件が非常に厳しいので、満たすのは簡単ではないということもあります。実際は、私のところもOTが辞めましたので、要件を満たせなくて、この分に関しては請求できません。
報酬化されない支援というのがあって、医療機関は契約を結ばないと先に進めませんが、契約を結べない場合が非常に多いということ。それから、契約を結べたとしても、本人・家族に出会えない場合は報酬が取れないということ。あるいは、心理士や複数のPSWが訪問しても報酬が取れないという問題があります。
次をお願いします。
自殺対策については、「平時からの救急」としての取組が必要かと思います。彦根市と滋賀県について説明します。
次をお願いします。
彦根市では、湖東地域こころのケアチーム研究会というのをつくって、そこから自殺対策ネットワークがつくられ、そこで診療所に彦根市自殺未遂者対策受診枠というのをつくって受け入れる形にしています。
次をお願いします。
このような形で研究会が行われているということです。
次をお願いします。
自傷患者が救急告示病院に運ばれた場合に、御本人の同意に基づいて右側にある相談窓口連絡票が作られます。それを彦根市に届けて、彦根市が必要に応じて医療機関につなぐというシステムです。
次をお願いします。
こういうフロー図ですけれども、自傷患者が現れた後、最終的にクリニックにつながる図ですけれども、非常に細い経路をたどってやっとクリニックにたどり着くという形です。このような細い経路ですけれども、救急告示病院から精神科医療機関につながっているという安心感が生じると思います。
次をお願いします。
輪番体制について説明します。滋賀県精神科診療所協会では初期救急を請け負って、輪番体制を組んでいます。そして、夜間の6時から10時までの間の救急を対応するのですけれども、実際は利用者がほとんどいないのが現状です。最近の5年間で見ますと、年間0~3名という状況です。
これに対して、輪番の日に、市町村や保健所受診枠を設けて対応を広げていこうという動きがあって、最終的に救急システム実施要綱を見直すことになりました。今まで救急というのは平日夜間、休日の対応という定義でしたけれども、救急の定義を見直して、「平日夜間等」と「等」を入れることによって、スタッフの充実した平日の時間帯に受診枠を設けて対応することも可能になりました。そうすることによって、いわゆる受診難民を防ぐという貢献もできるかなと思っています。
次をお願いします。
精神科診療所における救急の在り方ですけれども、時間外についての無理解があるかのように思います。診療報酬上の時間外というのは、診療終了後の受入れのことですけれども、多くの診療所は土曜日や夜間などに「時間内」で対応しており、公的医療機関等の「時間外」をカバーしているわけです。報酬上、地域貢献とか診療後の時間外について求められますけれども、これらに対応していくためには、個人の努力よりもシステムが重要かと思います。つまり、精神科救急医療センターの全国的な整備、精神科救急医療体制の整備の均てん化が求められると思います。精神科診療所としては、マクロ救急、ミクロ救急に対応していくことになりますが、このような形で情報センターとの連携が必要になってくると思います。
平時からの救急に関しては、自殺未遂者対策、ひきこもり支援、初期救急・危機介入などに関して、受診枠を確保して、早期に対応して重症化や緊急入院に至る事態を防ぐという取組が重要かと思います。
次をお願いします。
このたび、新しい地域医療構想には精神科医療を組み込むことになっていますけれども、その際にはぜひ市町村の役割を明確化するという方向につながればいいなと思います。
次をお願いします。
これは報告書のまとめです。
次をお願いします。
このような形で、ケースマネジメントは福祉、医療、保健の様々な領域でそれぞれ頑張っているのですけれども、それぞれが必ずしもつながっていないというのが現状です。今後、市町村を基盤とした精神保健・医療・福祉体制ができていくとすれば、その市町村に市町村地域支援マネジメントというものをつくって、全体を統合していく役割があればいいかなと思います。
次をお願いします。
市町村と連携して受診枠の拡大ができればと思います。先ほどから言いましたように、救急は夜間休日だけではないということです。救急の定義の見直しが必要で、夜間休日と言われているものに対して「夜間休日等」の対応にすべきです。
それから、事件発生当日でなくても、市町村にはたくさんの受診難民者といいますか、受診につながらない人たちがたくさんいます。それに対して受診枠を設けていくこと。学校とかその他の関係機関の受診枠を設定するということもあればいいと思います。しかし、そういうことをするためには診療所間の受診体制の調整とか市町村との調整が必要になってきますので、この場合に地域医療計画に係ってくるのではないかと思います。
次をお願いします。
そのような形の中で、外来精神科医療と市町村の関係を書き込んでいったらどうか、市町村救急受診枠を設定していくのはどうかということ。それから、コミュニティーメンタルヘルスチームの設置を推奨していくこと。それに参加することを評価していくこと。そのようなことが新しい医療計画に求められるのではないかと思います。
次をお願いします。
市町村への期待に関しては、市町村に精神保健福祉担当者の設置義務化が残念ながらなされませんでしたけれども、それを進めていければいいかと思います。そして、その担当者を中心にコミュニティーメンタルヘルスチームを立ち上げていく。そして、市町村に、先ほど言いました地域連携マネジメント機能を持つことができたらいいなと思います。その際、認知症初期集中支援チームがモデルにならないかと思います。
次をお願いします。
そして、医療計画に市町村も関わっていくような形です。
次をお願いします。
「にも包括」では対象者が広がっていますけれども、いじめ・不登校や母子保健、高齢者、生活困窮者等、様々な領域でアンメットニーズがあります。それが医療とのつながりができずに留まっているということがあると思います。
市町村の役割が強調されているけれども、市町村の精神保健福祉担当者の設置が義務化されておらず、予算も人も確保されていないという状況の中で、やはりメンタルヘルスを国民的課題として取り上げていく必要があるかと思います。
次をお願いします。
コミュニティーメンタルヘルスチームというのを立ち上げていったらどうかという提案です。
次をお願いします。
その場合、認知症初期集中支援チームが一つのモデルになるということで、嘱託医とそのスタッフがセットになって、市町村の担当者と一緒に3人のチームができれば進んでいくわけですね。
次をお願いします。
認知症初期集中支援チームは、1,741市町村全体に令和1年から設置されています。認知症初期集中支援チームでできることがメンタルヘルスでできないわけがありません。ぜひお願いします。
次をお願いします。
このような形で厚生労働白書には様々な課題が挙げられていますけれども、それぞれが縦割りになっていて、なかなか連携がありません。メンタルヘルスを国民的課題にしていく必要があると思います。
様々な法律が縦割りの項目ごとの法になっていますが、全体的なメンタルヘルスの基本法に向けて動いていければと思いますし、その中で精神科診療所も役割を果たせることができたらいいなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○田辺座長 上ノ山参考人、御報告をありがとうございました。
続きまして、高尾参考人、よろしくお願いいたします。
○高尾参考人 よろしくお願いします。高尾でございます。
このような機会を与えていただきましてありがとうございます。
それでは、私の立場からは、多機能型の診療所を運営している視点から、どうやって地域の包括ケアをしているかといったことを御説明できたらいいかなと思います。
次をお願いします。
当事業所の展開でございます。茨城県を中心にクリニックを5か所やっております。その他就労移行とかをやっております。
次をお願いします。
このような内容でお話しさせていただきます。
次をお願いします。
「はじめに」です。診療所というのは、ほとんど外来で診療を受けている関係で、586万人いて、必要不可欠な社会インフラであることは御存じのとおりだと思います。社会的な要請もどんどん高まっておりまして、診療所に期待する役割がより重要化していると思います。
しかしながら、現状の診療所は、医師外来診察、いわゆる通院精神療法という点数だけに依存した脆弱な経営構造であることから、結果的に医療資源を外来診察だけに縛りつけているような結果を招いておりまして、上述の社会的要請に幅広く応需できていないものと考えられます。
外来機能を保持しながら多様な要請に応えるためには、多職種が外来診察場面で直接的に支援・補助する機能を持つことが重要になると個人的に考えておりまして、今回は当法人が実践しているボランタリーの対応を中心に取組を紹介させていただきます。
次をお願いします。
茨城県にフォーカスしますと、つくばと水戸エリアがありまして、それぞれ2か所クリニックがあるのですが、そこに外来専任という形で看護師2名、PSW1名という配置で、ももちろん逆でもいいと思うのですが、このような形で外来に張りつけているスタッフを置いているということがあります。
次をお願いします。
そうしますと、どのようなことをしているかということですけれども、院内におきましては、医療補助機能として、不調患者が来院したときの看護とかベッドサイドケア、家族がいればそこで情報収集等を行ったり、入院連携が発生したときには速やかな情報提供、入院先の調整。これは、先生が外来診察中にできることではないということです。
医療福祉相談ということで、年金、手帳、各種サービスについての相談を具体的に時間を取って受けられる。あとは、診断書とか公的文書の作成補助で、病院とかで行われています事務業務のタスクシフティングみたいなことを外来でやっている。病院についてはそういう加算がつきますけれども、診療所ではそういうのが全くありませんので、そういうことです。
その下の電話等での働きということ。これは連携拠点機能に当たることかなと思うのですけれども、電話で家族から臨時とか緊急の相談がございます。1人の先生がやっているところでは、それが受けられないということになってしまいます。それを間接的に取り次いで、医師の指揮下で、電話による生活指導とか服薬の指示、臨時受診の調整、予約枠を入れてあげたり、そういったこともします。
初診問合せ時のトリアージ機能です。かかりたいのだけどということで、緊急性があるものについては順番を前倒しして早めにかかるような軟らかい対応をしないと、ただ、順番に並んでください、受診してください、何週間待ちますということでは医療として努めを果たしているとは言えないと思いますので、そこら辺のトリアージも貴重な活動かなと思います。
また、行政機関とか身体科の医療機関から問合せがあって、受診要請があったときには、飛び込みで初診を受けるといったことも軟らかく対応できるということになります。電子カルテでウェブの予約をポチポチという硬い対応では、受診枠をうまく活用できないということです。
また、医療観察法の指定通院機関におけるケア会議とか、周産期メンタルの連携のケースカンファレンスとか、そういった多職種参加の会議がありますけれども、そういったところでも中核的に事務局的な機能を果たしてくれたり、そういうことで地域と連携を具体的に回す人材としても活躍できるということでございます。
次をお願いします。
それを模式的に示したものですけれども、外来専任スタッフ、看護師とかPSWがいらっしゃって、そこを中心に、上のほうでは病院との連携、右にございます入院時のチェックシートを当院で作りまして、県内のいろいろな病院にお配りして、これでやろうということで皆さんでネットワークを組んで連携しているということもありますし、下のほうでは、行政とか身体科からの応需とか、外来診察中の医師も重要ですが、外来診察中のアシストをかなりできるということをもって、先生にとっては初診を多く受けられるような形をつくっております。
あと、結構頼りにされているのが患者さんとか家族からのお電話です。お電話についても、電話再診料は取れないのですけれども、そのまま対応してカルテに記載して、先生と連携してということをやっております。
次をお願いします。
そういうことで、外来に看護師及びPSWを専任配置することの意味でございますが、ボランタリーな対応で配置して、地域ケア機能を高めていると言えると思います。つまり、外来診察は、従来は医師の診察、バイオ・サイコ・ソーシャルと言いますけれども、そのソーシャルの部分で、ソーシャル支援機能が加わることで患者が安心して、地域ケアの推進に寄与しているのではないか。
ただ、ボランタリー対応であるため、結局、外来診療点数を削って看護師たちを配置して人件費を捻出しているということでありますので、そこら辺のゆとり幅がどんどんなくなってくれば、残念ながらこういう機能を削らざるを得ないかなと思っております。
2番目は、タスクシフティングができることで先生が診察に注力しやすくて、効率的な運営ができる。外来診察の質の向上に寄与できるのではないかと思います。
次をお願いします。
当院で行っている休日夜間対応についてです。土日の日中は対応しておりますけれども、20時以降の夜間対応は実施しておりません。なぜかといいますと、テナントビルが多い関係もあります。まず、夜間退出が基本。テナントビルだと大体そうで、全国的にそうかなと思います。ビルが夜間警備になってしまうところもあります。
また、医師にしてもスタッフにしても日中の労働を基本とした労働契約をしておりまして、準夜帯とか夜勤というものの設定自体をやるとなると、相当なやりくり、人の張りつけとか、そういったところがある。医師の働き方改革にも抵触するのではないかと思います。
また、精神科医療体制の整備事業の外来対応施設でございますが、ほかの都道府県がうらやましいのですけれども、当県ではそういった予算措置がありませんし、障害福祉課も具体的にアクティブに動いてくださってなくて、働きかけはしたのですが、なかなか難しいということで、足並みが都道府県によってそろっていないと思います。
また、茨城県は圏域が広くて、かつ、診療所も数も少なくて、輪番体制の構築も難渋しております。時間外のコスト等々があって、持ち出し業務になるということで、診療所の皆さんはなかなか手挙げしていただけなくて、私も先頭を切って動いたのですけれども、協力を得られにくい状況にございます。
また、夜間待機をするということなると、人的リソースをそっちで消費してしまって、本来初診応需できたはずの日中の診療時間が削減されてしまうという本末転倒のことも起こりかねないということでございます。
次をお願いします。
うちで見てみますと、月~金の9時~5時の灰色のところが40時間だとしますと、当院で対応しているのはオレンジの部分も含めた時間でやっておるところであります。こういった部分は、当院の診療時間の41.6%が時間外と言っていいのではないかという対応になっておりまして、夜間のみならず土日、あとは対応している時間帯にいかに応需できるかといったことも診療所の大事な機能かなと思います。
次をお願いします。
公的業務は、先ほど参考人の先生からもありましたけれども、いろいろなことをやっております。生活保護の指定、医療観察法とか、もろもろやっておりまして、意見書、指示書、診断書なども業務の合間にやっているということです。これらをやるためにも、前述の外来専任スタッフ配置があれば、より手早くできるということがあります。
うちはたまたまたくさん先生がいらっしゃるのでいいのですけれども、大体は1人院長の診療所でございますので、その先生たちがやろうとすれば、初診を診られるはずの貴重な外来診療時間を削るか、休診日に活動するしかなかろうと思います。
次をお願いします。
多職種連携を当院を支点として見た場合、当院ではデイケアでリワークをやっていたり、就労のサポートケアをしたり、居場所型があるのですが、それぞれ訪問看護ステーションとか就労移行支援事業所、産業保健事業として契約企業で産業医の活動をしておりますので、そこら辺が有機的に結びついて、企業とか行政というところと連携できているかなと思います。
この中で一つ動きづらいなというところがございまして、同行支援業務の人件費持ち出し問題ということです。同行支援業務というのは、訪問看護は患家を訪れていろいろケアをしていくわけですけれども、実際、地域で患者さんを見守っていこうとしますといろいろな業務があります。グループホームに行ったり、アパートを探したり、法テラスに一緒に行ったり、事業所に行って就職の支援をしたり、まさに地域を駆け回って支援をしなければいけないわけですが、それが訪問看護となりますと患家に訪れることをもって点数とするみたいなことなので、地域で見るということは家で見るということではないということからすれば、いろいろな活動も広げて見ていただければありがたいなと思っております。
次をお願いします。
最後ですけれども、今後の外来医療体制について少し私見です。外来機能を役割別に整理するといいのではないかと思いました。まず、多機能型診療所で拠点かかりつけ機能を有するような拠点連携外来といったものと、従来の小規模診療所で外来診察に限定して行われる通常の外来と大きく役割を整理しまして、拠点連携外来では外来にスタッフを専任配置しまして連携力と外来対応力を強化して、地域とか他科からの受診応需ルート、あとは早期診療体制を持つような診療所になるということ。また、連携協定を結んだ病院とのネットワークで入院連携を行う。あとは、小規模診療所からの紹介案件に応えるといったことです。そのためには、早期診療体制充実加算がありますけれども、この算定要件のハードルの設定の「妙」、いいところで設定しないと、厳し過ぎても緩過ぎてもいけないと思います。
2番目は、通常の外来ですけれども、600万人の外来の精神障害者診療を支えるには、当然、あちこちのあまねく小さな診療所も含めないとケアできない。ただ、その外来だけでカバーできないのであれば、多機能型の診療所に紹介して、重たい例はそっちで診るといったこともあるのかなと思います。
最後に、これは問題点ですけれども、一部の医療機関においては精神科未経験のドクターを精神疾患の診療に当たらせているといったことが確認されております。本来、精神科の専門的な研修を積んだ、質を担保された先生が診るべきかと思いますけれども、それができていない。国民に安全で適切な精神科医療を提供できないという重大な懸念がありますので、今後の外来精神医療体制の在り方を検討する会だということでございますので、すぐに解決できないにしても課題点として認識されるといいのかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○田辺座長 高尾参考人、御報告をありがとうございました。
続きまして、松岡参考人、御報告をよろしくお願いいたします。
○松岡参考人 私のほうから紹介させていただきます。広島第一病院の松岡です。
私のほうから、広島県と広島市の精神医療の全体像のお話と、その後、当院が行っております外来及び入院での取組について紹介させていただこうと思います。スライドをお願いいたします。
広島県は人口271万人です。中国・四国地方では最多の人口です。
広島市は政令指定都市に指定されておりまして、広島市の人口は118万人です。その中で当院広島第一病院は広島市の東区にあります。人口約12万人の地域でありまして、精神科病院は当院1か所だけです。
次のスライドをお願いいたします。
続きまして、広島県と広島市の救急医療体制についてです。県全域で1機関を精神科救急情報センターとして設置しています。広島県精神科病院協会が設置・運営をしております。
精神科救急医療施設としては、広島県を東部・西部に分けて、東部には3医療機関、西部では2医療機関が輪番にて救急対応を行っております。
ちなみに、当院は急性期病棟もしくは救急病棟もありませんで、この輪番に当院は該当しておりません。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは、精神科救急情報センターの令和5年のデータです。相談件数が1,880件で、救急からの相談が89件、医療機関からの紹介が254件で、合計2,230件の救急医療情報センターへの相談依頼が来ているという状況です。
次のスライドをお願いいたします。
精神科救急医療施設の対応件数ですけれども、電話相談などが年間3,971件、診療に至っているケースが732件、その中で入院に至っているケースが291件となっています。いずれも、人口の最も多い広島市が含まれる西部地区での件数が多いということが分かります。
次のスライドをお願いします。
経時的な入院受患者数の推移ですが、令和1年から令和5年にかけてのデータです。年間入院患者数は少しずつ減少しておりまして、病床数も、見ていただくように令和5年度では8,705から8,485ということで、徐々に病床数も減ってきていることが分かります。
次のスライドをお願いいたします。
県内の精神科病床を有する病院ですが、県内には公立、県立、私立を含めて40医療機関がありまして、広島市には14の医療機関があります。当院は、指定病院にも指定されており、応急指定病院にも指定されております。
次のスライドをお願いいたします。
こちらのスライドは、広島県と広島市の障害者手帳及び自立支援医療を受けられている方の件数です。経時的には書いておりませんが、年々増加傾向にあることが分かっております。
次のスライドをお願いいたします。
ここからは、当院の取組を紹介させていただこうと思います。まず、当院の職員と共有の理念として掲げているミッション及びビジョンについて紹介します。
当院のミッションとしましては、精神科医療の中心的存在としてあらゆる患者様に公平かつ最良な医療サービスを提供し、地域医療の充実に貢献するということを掲げております。
そのうちビジョンとして、1つ目、診療科の枠にとらわれることなく、医療人として最良のサービスができる組織を目指す、2番目として、地域の医療機関並びに住民のよりどころとなる組織を目指すことを掲げており、当院に相談があった患者様はできる限り当院で模索しながら、より専門的な診療、内科的や外科的なものが必要になってくるような場合には各専門科に紹介するということをモットーにしております。
次のスライドをお願いいたします。
私が院長になったのが2006年だったか、ちょっと忘れてしまいましたが、当初、病床数は251床でした。その後、病院建替えと同時に、近代化予算を利用しまして、2009年には251床から200床まで病床は減少しております。その後、身体合併症のある患者や重症の統合失調症の患者などに積極的に対応して、修正型電気けいれん療法、クロザピンの導入を行っております。また、退院支援としましては、精神保健福祉士配置加算、地域移行実施加算などを2015年から連続して9年間算定している状況です。
近年では、感染症対応加算も算定し、近隣の総合病院と綿密な連携をしており、今後に向けては、当院は東区にも包括検討会の発起人となっておりますが、地域資源を最大限使用して患者さんを見守るためのシステムに尽力しているという状況です。
次のスライドをお願いいたします。
当院の法人構成です。まず病院ですが、200床の病院と併設する訪問看護ステーション、広島市街地に拠点を置く広島中央通りメンタルクリニックがあります。病院に関しては、15対1の精神一般病棟が2病棟、認知症治療病棟が1病棟、精神療養病棟が1病棟の4病床編成で構成されています。
特徴の一つですが、200床ある病床のうち75床は個室であり、そのうち差額をいただいている病床は9床だけですので、その他の個室は患者の状況に合わせて個室をうまく運用しております。特に身体合併症の方が多いですので、個室で酸素が必要な方が多いという状況もあります。
その他、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、心理士などの実習の受入れとか、広島大学病院からの研修医の受入れも行っております。
次のスライドをお願いいたします。
病院の特色です。治療法としましては、先ほどもお話ししましたクロザピンを導入したり、修正型電気けいれん療法を行っておりますし、また、最近では外来でも電気けいれん療法を行っております。
加算としましては、精神保健福祉士配置加算、精神科地域移行実施加算なども算定しており、地域移行に積極的に取り組んでおります。
また、身体合併症患者さんを診る上では感染対策向上加算とか摂食嚥下機能向上加算なども算定し、各病棟にはたくさんのベッドサイドモニターと、酸素や吸引など多数配管されております。
次のスライドをお願いいたします。
医師の資格及び公職ですが、広島市、広島県の公職のみならず、家庭裁判所、社会福祉協議会、教育委員会など、ここに書いていないのですが、その他多数の医師の先生方にいろいろと協力していただいております。
次のスライドをお願いいたします。
ここからは、当院での外来及び入院患者の概要を紹介させていただきます。まずは、令和7年度、直近、3月1日から3月31日の1か月間に来院された患者の疾患別患者割合です。やはり統合失調症の患者が最も多いですが、認知症患者、気分障害系の患者が続けて多いという状況です。
次のスライドをお願いいたします。
これは令和6年度の月平均の外来患者数及び初診患者数の推移です。当院の外来運営の特徴としましては、現時点では予約診療は行っておりません。初診の患者も、当日来院されましたらほぼ全例当日診察をしております。1日平均外来患者数は70~80名で推移しておりまして、1か月の平均初診患者数が25~30名という感じで推移しております。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは一般外来です。先ほどの外来以外での診療外来の診療実績です。当院通院中の患者を主体に、救急車で搬送される患者数が年間10件程度あります。また、一番下に書いていますが、時間外でのいろいろな相談は多数ですので数が数えられておりませんので、こちらのほうには書いておりません。
また、時間外の外来受診、入院対応が、令和5年では15件、令和6年では6件ありました。
最近の動向としまして、訪問診療では、コロナ禍を契機に特に特別養護老人ホームとか認知症のグループホームなどの診察依頼が増えております。令和6年では、延べ人数487件の訪問を行っているという状況です。
また、往診の2のところですが、近隣の身体科の病院からリエゾン依頼です。当院までなかなか来られないのだけれども、見に来てくれということで依頼を受けておりまして、これも年間60件を超える件数があるという状況です。
次のスライドをお願いいたします。
今度は入院患者の推移です。令和4年から令和6年ですが、少しずつ年間の新規入院患者数が増えてきております。令和6年度は月平均21件の新規入院がありました。
次のスライドをお願いいたします。
令和6年の630調査の際の入院患者の疾患割合です。先ほどの外来とも同じですが、統合失調症の患者が最も多いですが、続いて器質性精神障害を含めた認知症疾患の患者が多くを占めています。
次のスライドをお願いいたします。
ここからは当院の特色に当たるところですが、当院の特徴としては身体合併症を伴う患者の入院の紹介が多いのが現状です。既存の入院している患者も含めて、令和3年度では総入院患者数の21%が身体合併症を伴っております。令和4年度におきましては、総入院患者数23%が身体合併症を伴う患者です。こちらにありますとおり、常時、入院患者の約2割が身体合併症を伴うということになります。
次のスライドをお願いいたします。
身体合併症患者の年齢構成ですが、入院患者の全体的な高齢化も影響されますが、75~84歳の方が最も多かったです。
次のスライドをお願いいたします。
こちらが身体合併症の中のどのような疾患があるかということで、疾患構成を書かせていただいております。まず、慢性呼吸不全とかCOPD、そして、肺炎などを含めた呼吸器疾患が最も多かったです。そのほか、透析を必要とされるような腎不全の患者、薬でコントロールが必要な肝不全の患者、鎮痛薬とか麻薬が必要とされる末期の悪性腫瘍の患者も診療を行っておりました。
次のスライドをお願いいたします。
また、ちょっと公的なものに戻りますが、措置診察の実績です。コロナ禍では診察依頼そのものが少なかったのですが、例年10件程度の措置診察、1次診察もしくは2次診察を受けている状況です。
次のスライドをお願いいたします。
措置入院の実績です。措置入院自体もコロナ禍には依頼が少なくなっていましたが、その後、その年その年で異なりますが、毎年数件の入院受入れを行っております。冒頭でもお話ししましたが、広島市では輪番病院が2病院しか指定されておりませんので、その特殊性もあるのですが、ほとんどの措置症例は輪番病院のほうに回りますので、そこで入院に至らなかったというか、そこがいっぱいであったりすると当院に措置診察もしくは措置入院の依頼が来るという状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。
病院以外の活動としまして、東区オレンジ支援チームというのがあります。これは、平成29年7月より、広島市の委託を受けまして、広島市東区医師会を事務局として認知症初期集中支援チームを稼働させています。
令和6年の稼働状況はスライドのとおりですが、広島市東区では、専門医、東区内の地域包括支援センター、居宅支援事業所との連携を重要視して、2週間に1回、オンラインでチーム員会議を行っております。定期的なチーム員会議を行うことによって、東区内にある各種の事業所、行政、保健師との連携が密になり、顔の見える関係が確立しており、いつでも誰でも相談できるという状況が確立しております。
次のスライドをお願いいたします。
広島市の東区では「にも包括」の普及に向けても、当院と区の医師会、区の行政が連携して、令和4年から「にも包括」検討会を開催してきています。令和4年から令和6年までは、当院と区の保健師と基幹型障害支援事業所で開催してきておりましたが、徐々に状況が固まってきたというか、方向性が見えてきましたので、令和6年から区内にある精神科クリニックの先生方にも参画していただきまして、訪問看護ステーションなどもコアメンバーとして参加してもらい、検討会、研修会を開催し、地域での連携を充実させる活動を行っております。今後、恐らくアウトリーチという形の活動を「にも包括」検討委員会の中から進めていこうかなということを考えております。
次のスライドをお願いします。
当院の紹介の最後ですが、当院の敷地内には地域交流スペースと名した多目的スペースがあります。職員の研修会や入社式などで主に使用しておりますが、それ以外では町内会の行事や町内会主体で開催されているいきいき100歳体操、町内会の女性会・老人会なども利用できるように開放しております。災害時には近隣の方々の一時避難先として利用できるように、水とか食料とか物資も保管しております。地域の方々に開放することによって、精神科病院がより地域に溶け込むように工夫している状況です。
次のスライドをお願いいたします。
特徴をまとめました。診療科の枠にとらわれることなく、住民のよりどころとなる医療機関を目指しております。2つ目、クロザピン・修正型電気けいれん療法を導入し、難治性統合失調症患者の対応を行いつつ、身体合併症も積極的に受け入れております。3つ目、当院は輪番制には指定されていませんが、当院かかりつけ患者に関しては状況に応じて救急車対応、夜間時間外対応を行っています。4つ目、地域医療のニーズに対応するため、近隣病院、介護施設、患家への往診を行っています。また、外来診療におきましては予約制にはしておりませんで、初診患者も当日診察するようにしております。5つ目、区医師会を事務局とした認知症初期集中支援事業を通して、区内の他診療機関、地域包括支援センター、介護事業所と綿密な連携が取れています。最後です。地域交流スペースを利用して、地域コミュニティーとも連携が密になっています。
最後のスライドをお願いいたします。
今後の課題として考えられることを書いております。コロナ禍より、介護施設、特に特養などから複数名の外来受診ができなくなり、施設の嘱託医から精神面の専門的な治療をお願いしますという依頼が増えたため、コロナ禍より施設往診を始めております。1施設10名以上になることもあり、現在も依頼件数が増えています。ただ、この辺は診療報酬の関係があって、行くだけ時間が取られてしまって、あまり病院のメリットにはならないのですが、必要ということでやっております。
2つ目、全入院患者の約2割が身体合併症を併存する患者であり、年々、身体的医療必要度が高まっていると思っております。精神面・身体面の複雑な病態に対応する症例が増えてきており、職員の技術・スキルアップ、教育、あと、高齢の方もいますので、褥瘡のマットとか酸素に関わるもの、いろいろなものの経費が増えてきているという状況もあります。
3つ目、精神疾患に慢性身体疾患(末期がん、透析、慢性呼吸不全、肝不全、心不全、神経難病など)を併存する患者の外来、入院での管理が増えてきています。ここに書いていませんが、確かに総合病院で急性期は診てくれるのですが、2週間、3週間を過ぎると、精神症状があると我々のところに回ってきますので、そういう方を診なければいけないということがあります。精神科病院ではありますが、かかりつけ医としての機能を患者、御家族、地域から求められている状況になってきております。
最後です。令和4年より、当院をコアメンバーとして「にも包括」検討会を開催し、区内の精神科クリニック、障害支援事業所との連携を進めてきています。自院のみだけではなく、隣接する医療機関、各種事業所、行政とのより密な連携が今後ますます必要になると考えます。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○田辺座長 松岡参考人、ありがとうございました。
では、深澤参考人、御報告をよろしくお願いいたします。
○深澤参考人 深澤といいます。
今日はこのような機会を与えてくださり、ありがとうございます。
お手元の資料で重要なところをコピーしたのですが、画面のほうを見ていただいて、スライドにないものもありますので、お付き合いをよろしくお願いします。
まず、当法人は青森県にある中規模の精神科病院です。病院以外にもこのような関連法人を運営している法人です。
「はじめに」と書きましたけれども、今回は外来機能ということだったので、主に外来機能について、特に連携機能について取組を紹介していきたいと思います。大体この3つの話でいきます。
まず、診療概況の前に、青森県の事情です。青森県は人口減少率が全国2位というところで、今後、かなり人口が減少する中で、御覧いただいているように、40年以降、多くの働き世代と高齢者世代がクロスしてしまう。逆に言うと、65歳以上の人口が増えてしまうような現状にあります。
その中で、入院・外来患者数ともに増えているのが青森県の精神科の事情ですけれども、八戸の精神科医療圏を見ていただくと分かりますように8医療圏。30万人の医療圏ですが、精神科病院は6、精神科診療所は5、総合病院の精神科が2ですが、重要なところは精神科病院の病床がもともとあったのですけれども、医者不足、スタッフ不足で休床中の状況にあります。あとは、八戸市に全部集中していますので、周辺の市町村の精神疾患をどうするかということがかなり課題にはなっているところです。
診療概況をばっと書きましたけれども、病床は199床です。このようなことで、いろいろな認定を受けながら地域に密着した精神科病院を目指しています。
これは、当院の令和5年度の新患数ですが、900人ぐらいの患者が受診されて、高齢者が多くて認知症が多いのですけれども、一方では様々な疾患に対応しているというのが現状です。
紹介元をお示ししますと、総合病院からとか一般病院が非常に多いのと、内科診療所、あとはかかりつけ医の先生、様々な医療機関からの紹介が多いのが現状です。
認知症疾患医療センター、どこでも精神科病院が半分ぐらいを担っていると言われていますけれども、開設以降の紹介元と受診の目的をお話しします。認知症疾患医療センターなので、どうしてもかかりつけ医とか総合病院、高齢者施設が多いのが現状で、BPSDの対応が多いかなと思います。
では、お手元の資料にあるように、どのような経過で当院を受診されたかというのを、病院とセンター、あえて窓口を2つにしていますので分けてみました。当然ながら、地域のいろいろな行政機関、さらには、どうしても途中では医療機関、かかりつけ医の先生、総合病院を経由してということが多いです。実際に青南病院ではこんな感じですし、認知症疾患医療センターではこんな感じで、高齢者と精神で経由する経路が変わっていますが、やはりここでも分かるように、かかりつけ医、総合病院からの紹介が非常に多い状況です。
地域医療における当院の取組をお話ししていきます。今日お話ししたいことはここにざっとあるのですが、全部説明するわけにはなかなかいかないのですけれども、当然ながら精神科医会として精神科医同士の連携を強めていると同時に、高齢者医療、さらにそれ以外というところでの説明をしていきます。
まず、認知症を含む高齢者医療ですけれども、認知症疾患医療センターなので様々な専門医療機構、行政との協働、当然、啓発・教育・研究等も関わっています。
八戸地域における認知症の取組ということに関して、ざっと書いたのですけれども、主に医療が積極的に関わる場所、さらには介護領域、さらには行政が関わっていただく場所ですが、基本的にはどれを誰がやるではなくて、全部で連携してやることが重要です。
本当はこれを全部話せばよかったのかもしれませんが、認知症に関係してでも様々な取組に積極的に関わっているのが現状で、真ん中の上、認知症ネットワークを組んで、認知症患者を速やかに診療に結びつけるような取組もやっていますし、それ以外のところも様々やっているという現状です。
これはお手元の資料にないのですけれども、以前、私が「かかりつけ医認知症対応力向上研修」の資料の作成に関わっていたので、そのときに用いた図ですけれども、認知症診療の連携のイメージということで、かかりつけ医の先生とサポート医と専門医療機関はしっかり連携しようということを地域でも言っています。
特に、最近、抗アミロイドβ抗体医薬の医療連携は非常に重要だと思っていて、地域医療も人材があまりいらっしゃらなくて、設備等の現状もあって、認知症疾患医療センターを経由しながら青南病院、さらには初期投与ができないので継続投与機関というところでも関わっています。
最近だと、軽度認知障害(MCI)から認知症のケアパスを切れ目なく提供することが重要で、真ん中に患者と家族を置きましたけれども、一番近くにいるのはかかりつけ医の先生方だということで、私たちはどっちかというとバックアップ機能を持ち合わせなければいけないと思っています。
医療連携に関しては、先ほどの連携ネットワークのこともあって連携はできていたのですが、問題は介護と行政との連携でした。
そこで、当時、ICTを用いた八戸地域の在宅医療のネットワーク、connect8というのがありましたので、そこに積極的に参画しています。
これは地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携という図ですけれども、この中には精神科病院がないのです。精神科病院として当然関わっていたので、どういうふうに関われるかというところで、connect8という八戸地域医療圏を限定したICTを用いた多職種連携ネットワークに、精神科病院、認知症疾患医療センター、訪問看護ステーションとして加入しています。
事業所345、スタッフは1,900人という大規模なネットワークになっていまして、このような共有画面、これはデモ画面ですけれども、患者の氏名、特記事項、患者の状態、いわゆる在宅の場合における電子カルテのような情報共有ツールです。今日は説明できないのですけれども、connect8というのはICTなので、様々な事例検討会とか、相談コーナーとか、新型コロナに関係した会議もこの中で行うようになっています。
精神科はもともとチーム医療なので、ここら辺は電子カルテとかグループウェアで共有できていたのですけれども、高齢者の方は、ちょっと大げさに書きましたけれども、様々な医療機関を受診されていることが多いので、そこを連携するという情報共有ツールがconnect8で、地域の多職種連携に参画しているということです。
一方、その中で、精神科病院ですので様々な役割がありますが、これは後で御覧ください。
もう一つが、話題になっている一般救急との連携になります。これは資料にあるように、後でもお話があるかもしれませんが、国が掲げている連携体制の整備事業です。
これは身体疾患を有する精神疾患の事情です。青森県はどうかというと、全部で20医療施設です。御覧いただいているように、20の精神科病院が参画していて、2次医療圏ごとに輪番病院になっているのですけれども、八戸地域は4病院です。もともと7あったのが今4に減ってきているので、輪番の負担が結構大きくなっているのが現状です。
青森県の場合は、先ほどの図と比べてみますと、このような感じで当輪番体制で回している。とてもではないけれども、整備事業にまだ追いついていません。身体疾患に関しては、先ほど申し上げたように、市民病院というところが救急を一旦一緒くたに担っているところですけれども、そこと診療体系ということで、救急を受診した患者、3次救急なのでそういった患者との連携を強めてみたり、さらには一般救急との連携ということで、これは市と行政が積極的にやっているところなので、積極的に参画して意見を言っているようなところになります。
鬱病の連携は、先生方がやられているとおりで、鬱病患者の受診パターンはプライマリーケアで止まっている可能性があるということ。かかりつけ医の先生が診療を実際にするときの壁が様々まだあるのではないかということ。さらには、医療連携が重要であるということを資料にお示ししました。
命を支える会というのを実際に開いて、このようにかかりつけ医の先生がスクリーニングの時点で専門医を紹介するパターンもありますし、実際に治療していただいて、そこでお困りになったときには速やかに御紹介くださいということを、常にかかりつけ医の先生と連携を組んでいる状況です。
アルコール依存症に関しては、専門医療機関なので、お示ししたとおりですけれども、受診ギャップが非常に大きいというのが問題になっています。これは、アルコール依存症の方がどんどん重症化するという図ですが、プライマリーケアの先生、消化器内科の先生、私たちはどちらかというと重症化した患者ばかりを診ていたのですけれども、これをもっと広げていこうという取組をしています。実際には、こうやってウェブサイトを作ったり、ハンドアウトを作ったりということで、アルコール依存症の受診ギャップを少しでも減らそうという取組を地域で実践しています。
最近ちょっと関わっているのはペインミーティングで、慢性疼痛に関しては精神科の役割は非常に大きいのかなと思って、集学的痛み治療ということで、急性疼痛、慢性疼痛、一番下に精神症状ということで、抑うつをはじめいろいろな不安を伴ってきている。精神科が非常に関わるべき状態だと思います。
最近だと、国も集学的痛み治療モデルということで、専門のセンターがあればいいのですけれども、なかなかこういう機能を1つの医療機関が担うことができないので、これを地域でやっていこうということで、整形外科の先生、麻酔科の先生、ペインクリニックの先生と、慢性疼痛の患者の診療を一緒にやっていくという連携を組んでいます。
さらに、私の立場上、DPATのこともあるので、災害医療ということも医療計画の中では非常に重要なところなので、これはよく見る図です。災害時の精神保健医療福祉機能が低下したところをDPATが補うという役割を担っています。
さらに、医療機関に関しては、これは一般の医療機関の2次医療圏ごとの体制図ですが、災害拠点病院、精神科病院というのがこんな枠組みに入るのかなと思っています。
これは災害時を想定した多職種連携ですけれども、ここに掲げたように平時からの連携は非常に重要ですので、災害を想定したような訓練、連携の機会にも積極的に参加しています。
当院の取組は、私は統括者でもありますし、DPAT事務局にも関わっていますが、災害拠点精神科病院であったり、いろいろなところに関わっています。
提言という形で私からの意見ですが、「地域に密着した」というのをずっと私と掲げていて、それについてお話しします。
これは当院で掲げているスローガンみたいなもので、当然のことなのですけれども、ちょっと追加させてください。あえてリエゾン機能ということを書きました。さっき松岡先生が様々お話しいただきましたけれども、リエゾンというのは精神科領域では連携とか連絡という意味で、心理的問題を一緒に精神科医が関わろうというチームです。それを地域で実践していこうということに今後力を入れていこうかなと思っています。
実際に、それを踏まえて、8次医療計画における指標等ということで、このようなストラクチャーの下にいろいろなアセスメントがなされてアウトカム評価ということですけれども、実際、これが同じような検討会で検討された地域医療資源連携等に資する情報ということで、施設数とか、退院とか、そういったところを評価としていくのはいいのですけれども、この中に連携をどのように評価するといった項目がないのが気になるところです。
さらに、これは社会的機能ということを示した図で、いつも使わせてもらっているのですけれども、医療的機能、かかりつけ医との連携は当然先生方はやられているところだと思いますし、地域の精神科病院はみんなやっているところだと思いますし、社会的機能というのは先ほどもお話があったように非常に重要かなと思っています。
実際に、当院の常勤の先生にお願いしている外部委員とか嘱託医、ここに掲げたのはほんの一部ですけれども、県、警察、さらに司法、あとはいろいろな行政、特に地元の市、初期集中支援チームもそうですけれども、様々関わっています。
これは医師会のほうでもよく使われている、最近紹介されている、社会的機能、社会的役割を示した図です。精神科医はもともとこういうところを積極的にやっているところがあるということなのですが、この中で3番、先ほども松岡先生からお話がありましたけれども、当院でも、精神科多職種の養成ということは非常に重要だと思っていて、医師、看護師、作業療法士、PSW等、講義・実習に様々関わっています。
これは最後のスライドですけれども、医療的機能と社会的機能を当然今後も精神科病院が地域で担っていくべきだと思うのですが、それにおける課題をお示ししました。青森県だけではないと思いますが、少子高齢化・人口減少に伴う人材不足、物価高騰・人件費の高騰による経営の悪化、さらには適切な医療を行うためには病院の老朽化ということにしっかりと対応しなければいけないので、建築費の高騰とか、ニーズとか医療自体が高度化しているところにどう精神科医が対応するかということ。
あとは、輪番病院をどう維持していくかということですけれども、実際に地域の精神科病院も診療所の先生方もみんな高齢化していて、なかなか夜間の対応ができないというところが地域の実情かなと思います。
6番ですけれども、災害時の医療提供における費用補償ですけれども、基本的には持ち出し分があります。多少補助金もあるのですけれども、全部が補助金で賄えないというところが問題ですし、高齢者の身体疾患も多様化していて、様々な高度化医療をされている状態で入院してくる患者もいますし、どう終末期医療に対応していくかということが問題です。
8番ですけれども、圏域外のオンライン診療受療者ということで、受診待機の問題もあって、最近は東京都内とか関東圏でオンライン診療を受けている患者がいるのですが、そういった患者が状態を崩して救急受診するときに、何の情報もなかったり、そもそも主治医と連絡が取れないという状況から戸惑うことが増えてきています。
さらに、DXは進んでいるのですけれども、どうしても障害福祉分野のDX化は全然進んでいないので、情報共有をどうするか。さらに、医療DXというのが推奨されていますけれども、諸経費はほとんど病院持ち出しなので、こういったところの費用をどうするかということ。
さらには、「にも包括」の啓発とスティグマの対応が今後もさらに重要な課題かなと思っています。
これは資料にはないのですけれども、私がよく使っているスライドで、イギリスの図ですけれども、メンタルヘルスを考えていく中で、重層的な支援というところは本邦でもしっかり考えていくべきことかなと思っています。
以上になります。御清聴ありがとうございました。
○田辺座長 深澤参考人、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのヒアリングに関しまして御質問等がございましたら、お願いできればと思います。また、全体を通じまして、構成員の皆様方からの課題に関して御意見等があれば、ぜひとも伺いたいと思うところでございます。
その前に、第3回の検討会で柑本構成員から質問が出ていたと思いますけれども、藤井構成員のほうでお答えいただけますでしょうか。もりおか心のクリニックの取組というのは全国的にも一般的なのかだったと思います。
○藤井構成員 ありがとうございます。
第3回に、診療所の機能に関しての調査とともに、いわゆるグッドプラクティスの取組として、もりおか心のクリニックという診療所の取組を紹介させていただいたと思うのですけれども、そのときに柑本構成員から、そのような取組は一般的なのかという御質問と、そこで提供されているような包括的なサービスのようなものをどこが調整しているのか、訪問診療のようなアウトリーチのサービスも提供されているのかという3点の御質問があったと記憶してございます。
もりおか心のクリニックのような診療所が一般的なのかというのは、なかなかお答えが難しいところではあるのですけれども、今回の診療所の機能に関する調査を御覧いただいて分かりますとおり、専門職配置がそれなりに進んでいるところも相当数ございます。
私の資料2の3ページを御覧いただきますと、非常勤を含めば5~6人以上の配置をしているところも相当数あるというところでございますので、その専門職がどのような働きをしているかについてはここではなかなかお示しすることはできないのですけれども、一定の数の診療所が多職種を配置して、医師と協働してケアを提供している状況かと思います。ただ、それが多数派であるとはなかなか言い難いところだと思います。
様々なサービスに関しての調整ですけれども、医療機関を受診している方に関しては、主に精神保健福祉士とか、状況によっては看護師、保健師がケースマネジメントという形でサービス調整を行っているかと思いますけれども、これは御本人の状況によって変わってきまして、医療サービスが必要な場合は医療機関が中心となってケースマネジメントを行う必要性が高いと思われます。生活支援が中心になってくるような方に関しては、障害福祉サービスの中で相談支援専門員がケアマネジメントをしているというケースも想定されるかと思います。
あとは、御本人の状況としては、未受診あるいは長く治療を中断されている方に関しては、契約型サービスでのケースマネジメントもできないということになりますので、自治体の精神保健福祉の方や精神保健福祉相談員の方がケースマネジメント的な役割を担うこともあるかと思います。そこはケース・バイ・ケースになってくるかなと思います。
アウトリーチのサービスに関しましても、状況に応じて、精神科の訪問看護に関してはかなり数も増えているところですので、そこと連携して提供したりしています。精神科の訪問診療に関しては、まだ需要に供給が追いついていないところはあるかと思います。
それと、先ほど申し上げた未受診とか治療中断の方に関しては、医療機関からの訪問ができない状況にありますので、自治体のアウトリーチ機能や、保健師の訪問とか、自治体のほうでマンパワーが確保できない場合には、医療機関、事業所に委託ということで、自治体のサービスの一環としてアウトリーチを行っていることもあるかと思います。そこの調整機能に関しては、本人の状況によって様々な形でのケースマネジメントが行われることになるかと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
また、これに加えまして、第5回の検討会で小阪構成員から質問が出ておりましたけれども、時間切れになりましたので、小阪構成員よりまず簡単に御質問の内容を御紹介いただいた後で、事務局、構成員の皆様方から御回答をいただければ幸いでございます。
では、小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。
日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
改めて質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。当事者の立場から言葉を紡ぎたいと思います。
精神科医療における外来診療は、私たちの地域生活を支える大きな基盤的役割を担っています。精神科医療における外来診療の提供について、良質かつ適切な医療の提供を私たち患者は当然に受けたいわけですが、制度上としてそれは可能になっていますかという点、精神科医療の立場を代表する構成員の方々に問いかけさせていただくことは、私たちにとって非常に大事な確認事項になります。
前回の検討会からの持ち越しである具体的な質問事項としては、以下3点です。
1点目、地域で在宅で支えることを念頭に置いてですが、外来患者約570万から580万人の方の多くが利用していると推察される現状の通院精神療法の30分未満を想定したときに、診療報酬としては315点だと認識しています。細かい診療報酬の点数についての議論がしたいわけでは決してなく、骨格として教えていただきたいという趣旨で、精神科医療関係者の構成員の先生方にぜひお伺いしたのですが、この診療報酬を土台として、指針に示されているような良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供は、病院や診療所の立場から現実的に提供可能なものでしょうか。
2点目、5分の診察と、15分あるいは20分等の診察ではかなりの差が出ると思っております。長ければよいということを申し上げたいわけではないですが、地域で暮らすということを主眼に置いたときに、患者一人一人に合った適切な診療時間を確保していただきたいと思っていますので、30分未満一律315点で問題ないでしょうかということも併せて教えていただければと思います。
それから、厚生労働省にもお伺いいたします。いわゆる短時間診療の問題です。5分未満の短時間診療を受けていらっしゃる患者さんは26.5%の方、具体的には約150万人いらっしゃることが受療行動調査から推察されます。短時間診療の問題について、改めて調査を実施し、是正に取り組む必要性についてどのようにお考えになられますでしょうか。
以上、3点になります。
○田辺座長 ありがとうございました。
回答できる方は回答をよろしくお願いいたします。
では、事務局のほうでよろしくお願いします。
○小林精神・障害保健課長 まず事務局から回答を申し上げさせていただきます。
5分未満の短時間の診療ということで問題提起をいただいたかと考えてございます。先ほど藤井委員の説明の中でも若干触れていただいたところでございますけれども、受療行動調査の件を御指摘いただいたところでございます。実は、この調査自体が一般の病院における外来でございますので、一般の診療所とか精神科病院がそもそも対象になっていないところで、調査自体に限界があるものということをお知らせいただきたいところでございます。その一方で、精神科病院とか診療所に関しまして、広く5分未満の診療時間について尋ねた調査はこれまで行われていないということでございます。
いずれにいたしましても、精神科での診療につきましては、様々な患者の様態とか状況が想定されるところでございます。一律にどれだけ診療時間が必要かということは、行政の立場からお示しするのは困難かなということでございます。
他方で、診療時間にかかわらず、質の高い外来診療の充実ということが非常に重要であることは論をまたないということでございます。精神障害にも対応した地域包括ケアシステム、「にも包括」の構築につきましてこの検討会で御議論いただいているところでございますので、引き続き、委員の皆様から意見をいただきながら行政としても検討をまとめていきたいということで考えている次第でございます。
○田辺座長 ほかはいかがでしょう。
では、上田構成員、よろしくお願いします。
○上田構成員 日本精神神経科診療所協会の上田でございます。
質問をありがとうございます。
我々精神科医としましても、通院精神療法というのは非常に大切なものだと考えておりまして、特に外来診療におきましては、それが本当に土台中の土台といいますか、大黒柱になります。
藤井先生のアンケートから見ましても、1人精神科医の診療所が日精診は多うございますので、1人の医者がいろいろ工夫をしながら、限られる時間の中で、例えば、この間の変わり事はなかったか、困ったことは何かないか、病状の把握、そして、薬物調整、薬の説明、前回採血があればその結果説明、あとは生活上の助言とか、心理的な認知行動療法的なアドバイスみたいなものも含めて、来てよかったと言ってもらえるような診察を目指してやっております。
もちろんいろいろな患者さんがいらっしゃいますので、例えば1日50~60人診るとしましても、非常に安定した方もいらっしゃったり、治療を始めたばかりで話が長く必要な人もいらっしゃいますし、数年間と時間を紡ぎながら医者・患者関係を形成している患者さんとの関係もございます。多種多様な患者を診ていながら、一律ということが難しいのですけれども、その場に応じて適切に起承転結をつけながら診察をしていくというスキルを外来精神科医は磨いてきたというところも実際ございます。
お金の話になって恐縮ですけれども、1998年には392点ありました通院精神療法の診療報酬が現在は20%も減らされて77点減らされた状態、315点です。ベテランの精神科医であっても、指定医でない場合はさらに低くて、26%も減少されていますので、これは本当に現実的な問題で、ゆっくり1人30分、1時間に2人診ていたら、スタッフの給料も払えませんし、家賃も払えないのです。そういう現実的な問題も実際にある中でも、いろいろ工夫をしながらやっていくのが外来精神科の実情になっています。
ですので、5分が妥当だ、10分が妥当だということは何とも言えないのですが、藤井先生の結果から言いますと、5~10分が最も多く、ただ、具合が悪い方には30分以上という結果もちゃんと出ていますので、そこは臨機応変に対応していると理解していただければと存じます。
あとは、時間的な配分で差をつけるということは理にかなっているようで非常に難しい問題であるので、長く話せば話すほどいい診察であるということでもないですし、限られた時間の中で本当に効率的に適切で良質な診察を心がけることが何よりも大事なので、時間的なもので差をつけるのはどうかなと私は考えております。
5分未満の方がどうのこうのというのは、現実的ではないかなと思います。先ほど言ったような話をしていれば5分は必ずかかりますので、どんなに症状がいい方でも5分は診ているのではないかと私としては考えております。どんなに具合が悪い人も短時間で済ませているわけではなく、例えば、希死念慮や自殺企図があった場合は、ほかの患者をお待たせすることになったとしても、時間をかけて対応しているということが現実だと思っております。
あとは、保険診療の問題も非常に多くありますけれども、ここでは議論できませんので、この辺りにさせていただきます。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、北村構成員、よろしくお願いいたします。
○北村構成員 今、上田先生もおっしゃったとおりなのですが、まず僕の場合は病院に勤めていまして、自分の時間でゆっくりというか、普通に患者さんと話をすると、新患だったら1時間以上かかりますけれども、再来はほとんど落ち着いている人ばかりなのですが、1時間4~5人が限界で、1日15人ぐらいしか診られないので、院長特権として外来の日を3日間使わせていただいておりますが、それでも2週間に1回ずつ来たいという人もおるのですけれども、2か月に1回にしてくれとか、そんな感じでやっております。
僕は落ち着いた人しか診ていないのですけれども、普通に病気の人の生活を支えるというか、生活を知る視点では、最低、睡眠、運動の状況とか仕事の状況、アルコールの摂取状況は聞かなければいけないので、病気の状態がどうのこうのという以前にいっぱい聞くことがあるので、正直な話、5分で診察が終えられることは内科の医者でも難しいと思うので、ちょっと変だなとは思うのです。
ただ、どんどん精神科の外来患者が増えてきて、通院精神療法の数が物すごく上がって、そのせいで診療報酬も点数が下げられているのではないかと思うのですけれども、それは先ほど高尾先生がおっしゃったとおり、精神科のトレーニングを受けていない人が通院精神療法を取っているのが都会では30%近くあるという話も聞きますので、そこはもうぜひ何とか、取り締まりというと変ですけれども、考えていただきたいと思います。
それから、ずっと地域移行とか外来が大事だと言いながら、精神科の診療報酬体系が結局入院させておかないとお金がもうからないという状況になっているのは、今までの病院経営ということがあるので、いきなり入院のお金をさらに下げて、外来を上げることは不可能なので、難しいのですけれども、そこは根本的な問題だろうと考えております。
あと、話はあれなのですけれども、今日もうちの病院に、日曜日の夜に95歳の方が救急で入院されて、早朝に15歳の方が緊急措置で入られたのですけれども、外来診療に関しても、旧来のF2とかF3の方が行くようなところは比較的安定しているのだろうけれども、認知症者と子供に関してはやはり問題になっていて、先ほど広島の先生もおっしゃっていましたけれども、特に認知症の施設について、パーソン・センタード・ケアが普及してきてかなりいい時期もあったのですが、最近また介護者不足か何かでかなり荒れているように感じておりまして、特に精神科医ではない訪問診療医が介護者の話だけを聞いて安易に薬を出して、BPSDは薬だみたいな、昭和の時代に戻っているような感じも非常にあるので、ですから介護施設と精神科病院の連携とか、そういうことも考えていく必要があるかなと思います。
小阪さんの話とはちょっとずれましたけれども、このようなところでお願いします。以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
長瀬構成員、よろしくお願いします。
○長瀬構成員 ありがとうございます。日精協の長瀬でございます。
御質問に対しての回答になっているか分からないのですけれども、僕の考えをお話ししますと、精神科の医療費は医科診療費の大体6%なのです。財源割合の大きい循環器はその3倍、20%ぐらいです。
何が言いたいかというと、精神科の財源はそんな多くないのです。その中で、外来サービスを工夫していかなければいけないということをずっと前から僕たちはやってきているのですよね。
その中で、上田先生、北村先生もおっしゃったように、通院精神療法は現時点で5分以上30分未満では一律315点というルールにおいては、患者一人一人のニーズへの対応に努めていくというのが正直な僕の回答なのですよね。
診療報酬の改定の内容を細かく説明するつもりはないのですけれども、初診待機を含めたもろもろを鑑みる形で評価が見直されているわけです。330点だったのが315点になった。点数の引下げがあったわけですよね。これは、初診に対しては点数の引上げ、再診に対しては点数の引下げですよね。
僕の所感としましては、精神科の外来専門療法に対しては点数を下げざるを得ない、見直すべき事態とか事情があったので評価が見直されたのだろうと。そういうことがあったので、そういうことがあったと受け止めています。
これは、精神科の医療に限ったことではなくて、ほかの科もそうなのです。評価の見直しは常にあるわけです。とはいえ、我々が日々培っている専門技術の一つである通院精神療法は非常に大事な食い扶持といえば食い扶持ですし、ポリシーと誇りを持っているものなので、その評価を再び見直してもらいたいと思っています。
例えば、5分、10分、20分、25分という限られた時間の中で患者に提供できる診療の質の向上や技術の研鑚に努めて、次の改定では再び評価していただきたいと思っています。それが患者の診療にも還元する形に向けばいいかなと思っています。
以上です。
○田辺座長 では、辻本構成員、よろしくお願いします。
○辻本構成員 小阪さんとは付き合いが長いので、皆さんと同じような内容になりますが、一精神科医として意見を述べさせていただきます。行政機関である精神保健福祉センターのスタッフの立場で患者とか、救急とか、対応が難しいケースの事例等の検討をしているとき、時間は関係なく患者のために一生懸命考えています。一方で、私は行政機関としての相談だけではなくて精神科臨床もしています。臨床の中でも患者を中心に考え、時間のことなんて考えずに誠実に診療しています、ここに出てきておられる皆さんも一緒だと思います。精神科医はみんな時間に関係なく、誠実に診療したいと考えています。ただ、現実のところで時間設定とか、そういう制限が科せられているのだと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
恐らく今日はこれで終わりということもなく、1回休憩を挟みたいと思いますけれども、その後の提供体制のところでも出てくる問題だと思いますので、その折に御質問をいただければと思います。
11時50分まで休憩を取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。11時50分に再開いたします。
(休 憩)
○田辺座長 おそろいのようでございますので、議事を再開したいと存じます。
それでは、改めてただいまのヒアリングに関しまして、御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、岡部構成員、お願いします。
○岡部構成員 日本相談支援専門員協会の岡部と申します。
今日は、御発表頂いた皆さん、ありがとうございました。感想を含め意見を述べさせていただきたいと思います。
今日、先生方の発表を聞いて、やはり情報の連携がとても大事だなという感想を持ちました。診療所を1人でやっている先生方も、1人でいろいろな情報を得ながら、いい治療を提供しようということになるわけですけれども、それも限界があると思っていて、高尾参考人の話とか深沢参考人の話の中で、そこに媒介する看護師や精神保健福祉士がいて、そこを補助するような形というのでしょうか、そこでうまく情報を取ってきて、よい治療やケアを提供するということが、よい医療を提供するためには必要ではないかなと思っています。
ただ、青森のようにICTやDXが進んでいるエリアは羨ましいと思って聞いていたのですけれども、日常実践の現場の中では、ケアマネジメントが必要な方は医療と生活支援が両方必要な人が多いので、そういう方の場合、情報を事業所や医療機関に提供したりするのですが、メールがつながらないとか、メールを送ってもスルーされるとか、情報連携の齟齬は結構起きていると思っています。
一方、ネットワークが組まれていて、東京なんかですとMCS(メディカルケアステーション)のようなツールを使ってやるわけですが、そうすると、生活支援と医療のケアというか、そこが非常にうまくいくのだけれども、情報伝達ツールやメール等を日常的に使用していない事業所や機関とはなかなかうまくいかない。ここは大きな問題ではないかと思っています。
一方、自治体の方との連携も必要になるのですけれども、自治体は土日・夜間はメールを見る方はあまりいないので週明けの情報連携になります。片や、生活支援をする私どもの事業所は24時間連絡がつくようになっています。この辺のギャップを埋めていかなければいけないと思っています。だから24時間働けますかという話ではないですけれども、夜間を除いて朝6時から業務開始までと、業務終了後から22時ぐらいの間を埋めるような仕組みを考えていかなければいけないのではないかと思います。寝る時間も必要なので。
ただ、情報を連携すればいいかというと、そうではないと思っていて、大事なことは情報の質と情報の価値、あと情報の鮮度とか情報の精度みたいなところは、高いものを交換していくということが包括ケアシステムの医療提供体制並びに生活支援に非常に大事なことではないかと、今日の御発表を聞いて、改めて情報の連携ができて初めて支援の連携ができたり、資源の連携ができたりという形につながるという感想を持ちました。
病院には地域連携室がありますけれども、あれは地域情報連携室と言うほうがより適切な機能を果たすのではないかなと感じたところです。
最後になりますが、もしお時間があれば高尾参考人にお尋ねしたいのですけれども、つくば市は26万人、守谷市は7万人、守谷市は診療所だけだったと思うのですが、水戸市が26万人。ある程度一定の人口規模がないと、クリニックをやりながらコメディカルを抱えて包括的に診療体制を提供することはなかなか難しいと思っているのですけれども、この辺の人口規模感みたいなものがありましたら、経営者のお立場でもあるでしょうからお聞きできればと思います。
以上です。
○田辺座長 では、高尾参考人、よろしくお願いいたします。
○高尾参考人 ありがとうございます。
御指摘のとおり25万人強の自治体ですけれども、初診の応需がし切れていないのです。なので、正直、5万人規模ぐらいの人口規模であっても、診療所としては新患をしっかり受け止められるキャパシティがあればできるのではないかと。重要なのは、裾野として診療所に先生が1人だけではなくて、複数人で連携しているとか、そういったものがベースとして、外来プールといいますが、外来患者数をグリップできている方がいれば、ほかの支援にたくさんつなげやすいということ、外来配置をできるだけの財源的ゆとりがやっとうっすら生まれるということだと思います。
○田辺座長 ありがとうございました。
○岡部構成員 もう1点だけ、すみません。そうなると、5万人以上であれば考えられるけれども、5万人以下の規模になるとなかなか難しいという理解で大丈夫でしょうか。
○高尾参考人 多分そうだと思います。茨城県も山間部がたくさんありまして、そういったところは、結局、距離はやむを得ないと思うのですけれども、しようがないところはあるのかなと思います。
○田辺座長 では、長谷川構成員、よろしくお願いいたします。
○長谷川構成員 ありがとうございます。
皆様、今日のプレゼン、本当にありがとうございます。
私は意見と2つ質問があるのですけれども、1点は、前回と今回の検討会を通して、やはり連携がポイントになるかな、拠点は市町になるのがよさそうかなというところだと思います。
多職種の支援体制とか、あとはアウトリーチ先ですよね、居宅、施設、総合病院かもしれないのですけれども、そういう報酬が得られるのが大事かなというところと、退院後の地域支援ですよね。住居とか就労が要だと思うので、そこが評価されていくのがポイントかなと思いました。
質問に移りますけれども、1つ目の質問が深澤参考人ですけれども、すばらしいプレゼンをありがとうございます。スポットに質問が当たって申し訳ないのですが、訪問診療の支援というところが書いてあったかと思うのですけれども、そこの具体的なところです。例えば、内科の訪問診療に支援をしているのか、行くのか、それとも受診してもらうのか、その辺の具体的なところを教えていただければと思います。
もう一個は藤井構成員に質問ですけれども、精神科外来を見える化していただいてありがとうございます。外来での多職種配置、そういう支援体制の評価のポイントですけれども、1つは相談かなと思うのですが、さっき高尾参考人もおっしゃっていましたが、同行支援とか、その辺は報酬のポイントになるのかどうか、あるいはどの辺りがポイントになるのか、少し教えていただければと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、まず深澤参考人、よろしくお願いいたします。
○深澤参考人 御質問ありがとうございます。訪問診療との関係性という御質問だったと思うのですけれども、もともと八戸地域は、先ほどのシステムは在宅医の先生がメインでやられたシステムですので、基本的には在宅の先生が対象となっている患者を診療しているという前提の下に、在宅で抗がん剤治療とか認知症診療を行っている人たちを私たちが支援をする立場になります。ですので、在宅診療を行っている先生方とも顔の見える関係ができていますので、そういった先生が情報提供をしていただいたり、相談があったらそれにすぐ応需するという形になります。
ケースによっては、保健所、警察、ケアマネジャーというところのトリアージポイントもありますので、そういったところには相談に乗って対応していく。当然ながら、当院に受診してもらうように誘導したり、場合によっては私が何人か往診したりということは、そんなにケースは多くないのですけれども、そういったニーズに対応できるシステムだと思います。
一つ問題は、先ほどお話があったように、DXに関わる費用とか、時間外労働に当たるスタッフの労働時間に対する対価がないので、そういったところが評価いただけると、より私たち精神科病院も在宅診療にもうちょっと積極的に関われるのかなと思っています。
これはオンライン診療とは意味が違う意味合いで、そういった連携が組めればいいかなと思いますし、先ほど御意見をいただいたように、情報共有するということは私たちも重要だと思っていて、そういったところはこういったネットワークが組めることで確立できているので、同じようなシステムとは言わず、全国でこういうシステムがもうちょっとできてくるといいのかなと思っています。
以上になります。
○田辺座長 ありがとうございます。
では、藤井構成員、よろしくお願いします。
○藤井構成員 国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
御質問ありがとうございます。
多職種配置の評価ポイントというところだと思いますけれども、評価されていないところはどこかということになってくるのかなと思うのですが、調査などでも、医師以外の専門職が御本人と面談を行う、これいろいろなケースがあると思いますけれども、インテークのときもあると思いますし、診療の後にお話を伺うという様々なケースが考えられると思います。アセスメントにしても多職種でアセスメントしたほうがいい場合もありますし、医師の診療の時間が十分取れない場合に、ほかの職種がお話を伺って、その後、医師と連携して情報共有していくとか、様々なケースが考えられると思いますが、専門職の面談に関しての評価とかが考えられます。あとは同行に関してのこともございましたけれども、今、実は療養生活継続支援加算に関しては、患家でなくても、あるいは外来でなくてもお話を伺っていいことになっているのですけれども、ただ、外に行ってお話をするということを評価できているかというと、十分な点数ではないというところもありますので、同行の支援や、そういうところも評価できたほうがもちろんいいとは思います。
ただ、その辺りのことがどこまで必要なのかというのはかなりケース・バイ・ケースになってくるかと思います。ケース・バイ・ケースで様々な支援が提供できるような立てつけはどういう立てつけかというのは、ここで検討するのはなかなか難しいことかなと思うのですが、必要な面談、あるいは同行訪問が医師以外の職種でもできるような評価ということにはなってくるかと思います。
ちょっと明確なお答えではなくて恐縮です。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
では、小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルピアサポート専門員研修機構の小阪です。
自分の中でうまく整理できていないのですけれども、言葉にしなければまずいなと思っているので言葉にさせていただきたいと思っています。
今日のお話は、基本的には、医療提供者側からの医療の在り方についていろいろな数字を出していただいていると思っているのです。でも、個人的には、それはあくまでも提供者側の見立てであって、提供者側だけの見立てによって医療が構成されるというのは本当に本人中心ですかと思うのですね。国としては、指針によれば本人中心の支援を構築しようとしているわけですよね。そうしたときに、御本人に対する調査が大分不足しているのではないかなと思うのです。
例えば、今回の検討会で示されている参考資料では、外来患者の満足度は示されているところで、それはあまり他科と変わらなかったのですけれども、一方で不満は他科の倍ぐらいある。10人に1人は精神科医療について不満を持っているという言葉があるのですね。これは一体どこまで国のほうに受け止められているのか、医療従事者の人に受け止められているかというのは正直疑問に思うところですし、もっと本人の言葉に着目した議論を展開すべきではないかと思っているところです。
そこで1点、藤井先生に質問ですけれども、何の他意もなく、藤井先生にどうこうという話では全くないのですけれども、調査から5~10分の診療割合が一番多かったと思うのですね。もちろん5~10分でいい場合もあるでしょうし、いい人もいらっしゃると思うのですけれども、個人的には僕は短いと思っています。
精神科医療においては、患者の言葉が判断材料の大きなものになると思うので、5分で例えば1か月の生活の状態とか変化を十分捉えられるかというところはいささか疑問なのですけれども、藤井先生としては5~10分が適切であると捉えられているのかどうかというのが1点。
あと、もし藤井先生が御存じであれば教えていただきたいのですが、患者自身の満足度を受療行動調査以外で調査しているものは公にあるのでしょうか。
以上、2点を教えていただければと思います。
○田辺座長 では、お願いいたします。
○藤井構成員 御質問ありがとうございます。お答えするのがなかなか難しいところではありますが、5~10分で十分かどうかに関しては、先ほど医師の構成員からもお答えがあったものと私はあまり変わりはないのですけれども、十分な方もいらっしゃるし、十分でない方もいらっしゃるということになってしまうのですが、十分でない方に対して、では医師がもっと時間をかけることができるかどうかという話になってくると思うのですね。時間をかけたいけれども、そうするとたくさんお待たせしてしまう、あるいは診療時間を大幅に超えて診療せざるを得ないということになってくると、ある程度時間を区切らざるを得ない状況が生じてくるというのが現実のところだと思います。
そのときに、先ほども申し上げましたけれども、ほかの職種の方と一緒に診察することによって、医師の診察では十分でないところを補完するような形で診療の質を担保するということが実際には行われていると思いますし、私自身もそのような形ですることもあります。そこは、ほかの職種がお話を聞くことに関しては今評価されていませんので、その辺りの多職種での診療というものが評価されるようになるといいなと個人的には思っているところです。
もう一つの患者側から見た評価というところですけれども、それは非常に重要なところで、ただ、難しいのが満足度といったときに何に対しての不満なのか、何に対して満足なのかということが今回の資料にある調査では分からないので、満足か不満足かという中身に関してもう少し詳しく調査しないと、検討していくのが難しいなと思います。
そういう点で、ほかにそのような調査があるかどうかですけれども、実は数年前にOECDのほうから調査の依頼があったときに、数としては多くはないのですけれども、桐原構成員がいらっしゃる全国「精神病」者集団や関連の団体に協力をいただいて、満足度というわけではないのですけれども、外来でどのような対応を受けたかということに関して調査を行ったことがございます。それに関しては、一部はほかの国との比較という形で公開されている情報になります。
それ以外のところでは、国に関しては恐らく自治体病院協会のほうで調査されていると思いますし、あとは医療機能評価機構のほうでも満足度に近いような患者側からの評価が行われているかと思います。手元には資料がございませんけれども、そのようなところがあると承知しています。
○田辺座長 よろしゅうございますか。
どうぞ。
○小阪構成員 ありがとうございます。
今の藤井先生のお答えを踏まえて2点、国にお願いしたいのですけれども、まず1点が、高尾参考人から、現在、通院精神療法の範疇でボランタリーな持ち出しでいろいろなことを支え手としてやってくださっているということがあったと思うのですよね。藤井先生からも、医師の診察だけではどうしてもリソース的に限りがあるというお話だと思うのですけれども、病院が持ち出しで行っていることについては、診療報酬上も評価されてしかるべきではないかと思うので、その検討はぜひお願いしたいというのが1点です。
それから、もう一点あったのですけれども、忘れたのでまた。
○田辺座長 ありがとうございました。
それでは、水野構成員、よろしくお願いいたします。
○水野構成員 水野でございます。
白鴎大学に勤めております法学者でございます。現場の事情には本当に無知ですので、今日は非常に興味深いお話を伺わせていただきました。また現場で御苦労をしておられる先生方のお話を、非常に感銘を受けながら伺いました。
入院費用頼りで診療所が運営されるという状況は非常におかしなことで、診察で収入が確保される報酬体系が構築される必要があると思いました。そして、お話の中で、受診契約が結べないのでという御指摘がありましたが、この受診契約の問題は、西欧諸国では原則的に成年後見という制度で処理されるのですけれども、日本の成年後見は、残念ながら機能不全を起こしています。成年後見には裁判所が関与しますが、日本は西欧諸国と比べて裁判官の数が非常に少ないために、うまく動かないのです。ですから、もっと柔軟な日本なりの仕組みを考えなくてはならないと思います。
もちろん、成年後見以外の法的な構成もありまして、例えば、医師が事務管理として診察をしたという法的構成で報酬を確保することも十分法的に可能だと思います。ただいきなり医師が事務管理を主張したら自動的に認められるというのも、なかなか難しいでしょうから、そういう法的構成が安定的に運営できるように、行政が一定の関与をする制度設計も必要でしょう。この会議でもこれだけ議論して連携を考えているわけですから、安定的に運営でき、適切に計算される報酬体系を確保できるような制度設計ができると思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、辻本構成員、よろしくお願いします。
○辻本構成員 精神保健福祉センターの辻本です。
今日伺っていて考えたことですけれども、そもそもクリニック外来の役割分担というか、機能分化が必要かと。今日お話が出てきたかかりつけ精神科医、地域志向型の精神科医と、もう一方でオンライン等の活動をしている精神科医、前回にプレゼンがあったようなクリニックの先生方もおられて、現実的にはもう両方広がってきていて、ますます広がっていくだろうと思います。
オンライン等のビル診とか、そういう診療所とか、地域支援よりもタイムリーさとか即応性とか専門性が必要とされるような、言葉は悪いですが、軽症というか、少しサポートをすることで改善が期待できるような、そういう役割もあると思うのです。全国ではそういう患者も非常に多いと思います。
一方で、今日お話しいただいていたかかりつけ精神科医機能に関しては、地域に根差して、救急とか、重層的・包括的な地域支援が求められて、かつ、先ほどから出ているようになかなか評価されづらいというか、苦労はあってなかなか収入に結びつかないような方々に関してもちゃんと評価していかなければいけないと思います。
もうすぐ精神科も地域医療構想に入っていくとしたら、外来役割についてもちゃんと分担して、その上でお互いが知らんぷりではなくて、救急になったらどうするのだとか、安定したら地域に返すだとか、そういう役割分担、連携をしたところをちゃんと診療報酬の在り方として整理していただきたいと思います。
今日報告いただいた外来関係の皆さんは優れた活動をしておられて、そういう優れたところはしっかり評価していただきたいのと、一方で、時々話が出ていた不適切な外来も多数あるわけですよね。そういう機関が急増していて、それに精神保健福祉センターというか行政もいろいろ困っているところがあるので、そこはしっかり改善していただきたいと思います。それが1点。
もう一点は、初期集中支援チームというか、待機時間の問題に関しては、医療ではなくて、市町村とか、保健所の心理士とか保健師とか看護師らが相談支援の中に入っていって、ある程度情報を整理していく。そういう方々が、依存症にしても、不登校にしても、そういう形でまとめた上で医療受診していくと、手間が省けて地域支援にもなっていくと思うので、そういうところも評価してくださったらどうかと思います。
藤井先生が言っておられたと思うのですけれども、アウトリーチ型の地域支援でモデルケースになっているものが幾つかあると思うので、そういうのをちゃんと評価していただきたいと思います。
それと、先ほど小阪委員がおっしゃった病院機能評価というか、各病院で必ず患者さん満足調査をやっていますから、毎年やっていますので、幾つかホームページにも出ているところがあると思うので、見てもらえればと思います。
前回の「にも包括」についてもいろいろ言いたいことはあるのですけれども、時間の関係上、今日はこれぐらいにしておきます。ありがとうございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、池原構成員、よろしくお願いします。
○池原構成員 まず、高尾参考人に1つ教えていただきたいのと、上ノ山参考人に2点ほど伺いたいと思います。
高尾参考人からのお話の中で、12枚目のスライドだったと思いますけれども、多職種・多機能連携の中で、ボランタリーにやってらっしゃる同行支援業務というのは非常に興味深いと思っていまして、この点について2つ教えていただきたい。要するに、私の問題関心からすると、これは一緒に行ってくれた人が、例えばアパート探しにしても、法テラスにしても、いろいろなところに行ったときに、単純についていくということではなくて、恐らく実質的に意思決定支援みたいなことをされているのではないかと思うのですよね。対人的なコミュニケーションについて少しサポートしてあげたり、そういうところの人間関係をつくったり、コミュニケーションをするというところが不得意な方もいらっしゃると思って、なかなかこういうものが広まっていないなということを私は思っているのですけれども、もし御存じでしたら、同行してどんなことをしているのかというイメージを教えていただければなというのが1つ。
もう一つは、こういう分野で、例えば障害者総合支援法のほうで同行支援とか移動支援というサービスもあり得ると思うのですけれども、障害者総合支援法でのこういうサービスを精神障害の人にうまく使えるかというと、いろいろな要件上の障壁があってなかなか使えなくて、この辺の医療機関での同行援助みたいなものと、逆に総合支援法上のサービスをうまく使えないのかという辺りも、使えればそれでまた少しカバーできるのかなという、まさに「にも包括」的なこととの関係で、上手にそこが使えると、より機動的に動けるのではないかなと思っているのですけれども、その辺についてのお考えがあれば教えていただきたいと思います。
上ノ山委員については、今お答えいただいたらもう一回よろしいですか。
○高尾参考人 ありがとうございます。
イメージとしましては、大きなお世話というか、小さなお世話をどうやってするか、小さな大きなお世話をどうやってするかということだと思うのですけれども、もちろん本人の意思を尊重しながら同行していって、法テラスにしても、アパート探しにしても、就職探しにしてもやるわけですけれども、訪問看護でできるルートと、外来のスタッフが一緒に行こうかと行くようなパターンもあると思います。
御指摘がありました障害福祉サービスのほうは、医療制度と比べて柔軟な、より今に即した形で制度設計されておりまして、我々も障害福祉サービスのほうが使い勝手がいい。医療の枠組みですと、例えばデイケアで外に出て何かをするということが想定されていない。あくまで治療行為であるので、診療所内で全てを行うべきといったのがベースになっておりますので、外で支援するということが診療所は基本的にはできないことになっているので、そこら辺の設計も広がれば、よりやりやすくて、障害福祉サービスで就労移行支援事業所も営んでおりますが、そういったところは職場に行ったり、自宅に行ったり、オンラインで対応したり、結構柔軟なところが認められておりますので、そこら辺が変わっていけばいいかなという感じがします。
以上です。
○池原構成員 ありがとうございます。
問題関心としては、どうしても制度的に総合支援法上で同行支援とか移動支援は、例えば知的な障害とか身体の障害の方だと使いやすいけれども、精神の人だと使いにくかったり、逆に医療機関のほうですと、今の御説明だと訪問看護でどこまで使えるのか、デイケアがどこまではみ出せるのかみたいなことがあって、ある意味では、もしかすると大きな手をつけなければいけないのかもしれませんけれども、縦割りで類型化された柱立てをもうちょっとお互いに侵食し合うというか、サービスがある部分オーバーラップしたり、柔軟にむしろ利用者側のニーズに応じた形に形を変えられるようなことを考慮していかないと、単にある制度を前提にして連携とか情報を交換すればうまく機能するのかというと、そうでもなさそうなところを少し考えていただければなと。恐らく同行されているボランタリーな活動というのは、必要性に迫られてやってあげるしかないよねみたいな形がにじんでいるかなと思いました。
もう一つ、上ノ山参考人に伺いたいのですけれども、それとの関係でいうと、25枚目のスライドで「連携のためのケースマネジメントの主体」という図の中で、「途切れリスク」というのが福祉と医療の間にあって、医療と保健の間にも「途切れリスク」がある。こういう辺りは、実際に現場でというか、個別の事例に当たられていろいろ御苦労されていると思うのですけれども、リスクがありながら、一番キーパーソンとかキーオーガナイゼーション、そういうものが例えば福祉と医療の間だとどこが一番今のところ頼りになっているとか、あるいは医療と保健の間だったらどこが一番鍵あるいはブリッジになっているというところのイメージがあれば教えていただきたいなと思いました。
もう一つは、細かいことですけれども、22枚目のスライドで、「平時から救急」という項目の中で、自殺未遂と初期救急・危機介入というのは何となくイメージは分かるのですけれども、ひきこもりの方をどうやって外とのつながりをつけていったらいいのかというのはとても難しいことだと思っていますけれども、逆に、緊急度とか切迫度という意味でいうと、ずっとひきこもりの状態が続いてしまっているということだと、救急の枠組みの中で議論するというのはちょっと違うのかなという気がするのですけれども、そこはどんなふうにお考えなのかということを一つ教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺座長 では、上ノ山参考人、よろしくお願いします。
○上ノ山参考人 ありがとうございます。
この図ですね。福祉も医療も保健もそれぞれが頑張ってケースマネジメントをしているということですよね。だけれども、医療機関の場合は特に受診契約がないと先へ進めないということが大きなハードルでしょうかね。その場合、保健とどのように連携していくのかということになります。福祉も特に契約がなくても訪問できますので、そこは医療機関との違いがあると思います。
それから、障害福祉サービスとの違いですけれども、障害福祉サービスの場合は障害認定というものがある段階でサービスに関わっていくわけですけれども、医療機関の場合は認定以前の段階で関わっていくことが結構あります。それから、御本人自体よりも家族全体が機能不全になっているようなケースとか、一人一人の障害認定でいうとそれほど大きくなくても、家族全体的には支援していかなければいけない、そういう困難事例は結構あると思います。ですから、福祉の領域での認定の問題と医療機関における契約の問題、そういうことでのそれぞれの役割の違いがあるというような感じです。
その中で、今後、「にも包括」が市町村をベースに進んでいくとしたら、このケースに関しては福祉が中心になってやっていったらどうか、このケースに関しては医療機関が先に頑張ってやったらどうか、そういうトリアージを含めてマネジメントしていく機能が市町村に必要だと思いますので、精神保健福祉担当者の設置義務化を含めて、市町村の対応能力が高まっていくことが期待できるのではないかなと思って発言させてもらいました。
それから、ひきこもりに関しては空振りが本当に多いですよね。せっかく行っても会えなかったり、そもそも行政が必要だと考えていても会ってくれなかったりということがあります。その中で、関係を続けていくということに関しては、相当な粘り強さで根気強く関わっていく必要があると思います。
そういう意味で、診療報酬だけでは対応できない部分が結構あるということなのですけれども。救急の定義の見直しというのは、確かに長くひきこもっている人は、現時点での救急ではないかもしれないけれども、保健所とか市町村ではやはりすぐ診てほしいと思って関わっていることが多い。だけれども、診療所につなごうと思っても何か月待ちとかそんな感じになっていて、タイミングを逸してしまうということがあると思います。
ですから、そういう受診枠をつくって、少なくとも1週間以内に診るようにするということも、救急の定義の中に入れることによって受診難民という状況を防ぐことができるのではないかという意味で、あえてここで「平時からの救急」の中にもひきこもりとか危機介入に関して提案させていただいた次第です。
以上です。よろしくお願いします。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、池原構成員。
○池原構成員 1点だけ。市区町村は、東京だと区になってしまうと思うのですけれども、東京の区というと30万とか40万という人口になりますよね。市と言っても大きさもいろいろあると思うのです。私自身の個人的な感想かもしれませんけれども、市区町村の障害福祉関係の方とか保健福祉関係の方は、個別ケースはどこのどなたという、要するに、本人を取り巻いている細かいコミュニティーの事情とか本人の状況は初めて聞くようなケースがほとんどで、個別的なことについてじっくり知っていないという場合が残念ながら多いと思っています。だから、もちろん責任主体は市区町村なのでしょうけれども、もう一層低いというか、地域とか本人に近いところとのネットワークと市町村がつながらないと、市町村の動きもうまくいかないのではないかと思っているところがあるので、市町村の責任を明確化することは重要だと思いますけれども、より地域に根差したとか、あるいは先ほどのお話だと、水戸の経験との関係でいうと5万人とか、むしろそれぐらいの規模の領域を対象にしたほうが、もちろん東京のイメージで申し上げてしまっているので、地方では町と言えば数万人というところはもちろんあるのだろうと思いますけれども、ある程度小ぢんまりしたところで、そこそこ本人のことを知っている人がいるよというところとのつながりを市町村という自治体が持つことがすごい重要だなと思いました。
感想です。よろしくお願いします。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、岩上構成員、よろしくお願いします。
○岩上構成員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上です。
参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
こういう診療所も病院も、外来機能に対してとか、地域貢献に対してしっかり頑張っているのだということをぜひマスコミで報道してほしい。そういう好事例をきちんと伝えてもらう機会があまりにも少なくて、どうしても病院の様々な問題だけを目にするというのは国民にとっても非常によくないなと私は常々思っています。
特に参考人の方に御意見をもらう話ではございませんけれども、池原構成員が先ほど障害福祉との御質問をされていた点について言えば、私も相談支援をやっているので、市町村の一般的な相談支援で受けるか、自立生活援助あるいは地域定着支援を使って毎月モニタリングにして対応するということは可能です。
しかし、先ほど上ノ山参考人がおっしゃったように、障害によらない、まだそこまでいかない人をきちんと早急にサポートしなければいけないのだとなれば、それは今までの関係性があるクリニックの外来の中でサポートしたいというのは当然のことではないかなと思うので、そういったことを評価する仕組みは必要だと思います。
外来機能を評価するというのは、先ほど来、皆さんからも意見が出ているように、それは当然で、こういった場で良いクリニックや病院の話が出ると、ここができているのだから他もできるのではないかみたいな話になるのが一番よくなくて、かなりボランタリーにやっていて、あるいは病院の理念としてきちんとしたものを持っていてできている。従って、こういったことを広げるためには、どこを後押しすべきかということをきちんと考える必要がある。それが、先ほど来、皆さんがお話しになっているような診療報酬上の評価をどうするかという話であると思います。
さらに、先生方は地域貢献を非常にされているのですよね。その時間は病院にいられないわけなので、病院にいられない分を地域貢献していることをどう評価するかというのも、以前からの話だと思いますけれども、きちんと議論していく必要があると思います。
もう一点、先ほど辻本構成員もお話しになっていましたが、前回、江澤構成員もおっしゃっていたのですけれども、初期集中支援チームをどう活用するかというのは、今回きちんと議論を国のほうで進めてほしいと思います。それは、令和6年の法改正の施行に合わせて、市町村がメンタルヘルスに関わることの相談をしっかりやっていこうという話になっているので、その動きは急速に進んでいくように見えています。そうなると、必ず医療との連携の話になる。今日は外来の話ですが、外来の前段階として、そこをどうつないでいくかということでの精神科医の力は非常に重要で、それを新たな手だてとしてつくっていくのか、それとも初期集中支援チームを活用できるのかというのは、前回からの引き続きでもありますし、これはもう数年来こうなるであろうということを話していましたので、ぜひ今回の論点としてお考えいただきたいと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
それでは、家保構成員、よろしくお願いいたします。
○家保構成員 ありがとうございます。衛生部長会の家保です。
参考人の先生方、非常に興味深い、参考になるお話をありがとうございました。特に上ノ山先生がおっしゃったように、市町村の役割は非常に大きいと思います。「にも包括」だけではなくて、地域包括ケアなり、住民に近い立場としてどういうふうに生活を支えていくかという役割は大きいと思います。
ただ、そう申しましても、現実、各市町村にどれだけ精神科を標榜した医療機関があるのかという統計すらございませんでしたので、先ほど2次医療圏別の精神科を標榜している診療所・クリニックの数を見ますと、ゼロのところは2次医療圏ではありませんでしたけれども、1か所というところが3医療圏、2か所が13医療圏ということで、多分それは人口の大きいところに所在されていると思いますので、市町村の期待は大きいのですけれども、現実にそれを動かすには非常に難しい問題があるのかなと思います。
そういうことで、深澤参考人にお聞きしたいのですけれども、八戸地域は全体で14ぐらいあって、八戸市に全部病院・診療所があるというお話でした。そうなりますと、周辺の市町村に対してどういうふうな支援をしていくことが、全ての市町村で「にも包括」が展開することに貢献するのか、推進するのかということについて、お考えをお聞かせ願えたらと思います。
以上です。
○田辺座長 では、深澤参考人、よろしくお願いいたします。
○深澤参考人 御質問ありがとうございます。
まさに地域の実情のところの御質問をありがとうございます。やはり中核市である八戸市に全部集中しております。一つの解決策としては、私が直接地域の総合病院に診察室を借りて、そこでメンタルヘルス外来というのを毎週は難しいので隔週に行って、そこでハブのような形で診療に当たります。その際にも、そこに勤めていらっしゃる総合診療科とか内科の先生と一緒に精神疾患の患者を診ていく。ふだん私がいないところなので、もし何かあったらすぐ連絡をくださいという連携体制を取っています。
もう一つは、そういう総合病院があればいいのですけれども、ないところは保健師の方と密接な連携を取っていて、特に私というよりは病院のケースワーカーが顔の見える関係をつくって、そこで困難事例とか緊急に対処するべき患者がいたら、情報共有していきながら診療に結びつけたり、先ほど申し上げた私が行っている外来に来てもらったりという感じになっています。
とはいえ、地域医療の問題として、僻地、いわゆる無医村のようなところの診療をどうするかというところはやはり課題でして、そういうところも議論いただければ非常にありがたいと思います。ありがとうございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、上ノ山参考人、よろしくお願いします。
○上ノ山参考人 市町村に責任を持っていただきたいというのは、国のほうからもそういう方向性が出されているわけですけれども、いつも市町村には医療機関がないというところで議論が止まってしまうということが多いのですね。確かに市町村によっては、横浜市のような300万の市から数百名の町村まで非常に幅広いので、それぞれに医療機関を持てというのは非常に難しいわけです。だけれども、この原則を踏まえて、各市町村が医療計画を立てるような方向になればいいなということで、今日は提案させていただきました。
自分のところには医療機関がないけれども、隣町にあるから、そちらと連携したいとか、あるいは圏域で連携したいとか、それが無理なら県全体の支援を受けてこういう体制をつくりたいとか、そういうことはそれぞれの市町村によって事情が違うと思いますので、自分のところには医療機関がないから先に進まないという形で議論を止めてしまうのではなくて、連携の仕方を市町村から提案していけるような仕組みをつくっていただけたらと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、山口構成員、よろしくお願いします。
○山口構成員 保健所長会から来ております山口と申します。
私は、昨年度までは2市1町、人口23万を管轄する保健所だったのですが、今年度は人口1万6000と人口2,000、合わせて1万8000の人口を管轄しています。管轄内に精神科医療入院機関はありません。精神科医が2町を合わせて週4日外来診療されて、月の外来延べ人数が約600人です。初診患者は10人未満で、多くは再診者で月1回のペースで来院されているようです。今上ノ山参考人がおっしゃったように、入院医療機関がないから支援できない。社会資源がないという話がでると議論が進みにくいところがあります。上ノ山参考人のコメントにとても後押しされました。県型保健所としては市町村の体制づくりを後押ししていきたい。県型保健所は市町村の規模や経験値に合わせて、市町村と一緒に進めたいと考えております。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
では、吉川構成員。
○吉川構成員 ありがとうございます。日本精神科看護協会の吉川です。
構成員、参考人の皆様、ありがとうございました。
藤井構成員の調査の資料の中でも、看護師による外来での相談・面談、これは家族の相談も含んで対面が33.4%ということで、かなり行っているということが私のほうもよく理解できました。
看護師による外来でのこういった活動についてですが、実際、我々日本精神科看護協会の中でもいろいろ調査をしますと、外来での看護相談であるとか、看護外来といった名前でいろいろ実践している事例もありますので、ぜひここに評価をつけていただくような検討が進んでいってほしいなと思います。
これはもちろん医師の診療時間を確保するためのタスクシフトの視点もあると思いますし、患者側のニーズによって看護職が担うことができる役割があるのであれば、そこは積極的に看護職が活動をしていくことが必要ではないかなと思っています。
もう一つ、先ほど池原構成員からも御質問、御意見がありましたけれども、訪問看護が訪問できる先が患家に限定されているということで、同行支援に関しては様々な課題があると感じています。実際、訪問看護を行っている看護職からも、年々、患家に限定しているところについての課題が出てきています。
看護職が同行してサポートすることが必要な場面が最近増えてきていて、特に身体疾患とか、そういったことに関しての受診同行とか、様々な場面で増えてきています。
もちろんこれは連携の仕組みを強化していくというのも重要だと思うのですが、現場の声を聞いてみますと、連携のための時間とか書類作成ということでお互いの労力が非常に大きくなることがあるのと、今後、地域も含めて専門職や事業者を増やすことが難しい時代を迎えるということを考えますと、例えば、医療職とか医療機関の者が、医療サービス以外のほかの制度・サービスを提供できるように、包括的という意味が違うかもしれませんが、制度の枠を超えて包括的にそういった支援が提供できたり、あとは、もちろん先ほど池原構成員の御意見にもありました、精神障害の方ができるだけサービスの対象になるように、そういった他のサービスのことも含めて柔軟な発想で今後検討していく必要があるのではないかなと思いました。多くのところが持ち出しで今後も行っていくというのは本当に限界があると思いますので、そういったところは検討する必要があると思います。
それと、松岡参考人に一つ御質問がございます。かなり積極的に身体合併症の治療も行われていらっしゃるということを今日も勉強させていただきました。多くの病院が、入院患者の高齢化に伴って身体ケア、身体合併症の治療が必要になってきているのですが、身体疾患や治療・ケアに関する、例えば看護職の専門的な知識とスキルも必要になると思うのですが、松岡参考人の病院では精神科看護職に特別な身体ケアに関する指導とか教育をされているのでしょうか。もしくは、教育以外に何か工夫されている面があれば教えていただきたいと思いました。よろしくお願いします。
○田辺座長 では、松岡参考人、よろしくお願いいたします。
○松岡参考人 御質問ありがとうございます。
うちの病棟は2病棟、精神、一般病棟がありまして、1病棟は主に精神疾患が特に悪い方が入られる保護室があるような病棟で、もう一病棟は合併症病棟という感じにしています。合併症加算というのもあまりないのですけれども、そちらのほうで酸素等々がいろいろと使える状況にしています。
職員教育という意味では、認知症病棟があったり、精神の病棟があったり、療養病棟があったりで、身体合併症を診る病棟もありますので、そこで順次スタッフを入れ替えながら、みんなそこに行けば、点滴、IVH、気管切開、胃ろうも含めて、その他いろいろな処置ができるという病棟にして、そういうことを工夫しているということが一つ。
コロナに入ってしまったので病病連携ができなくなったのですけれども、以前はうちの看護スタッフを救命救急センターに毎年派遣していました。救命救急センターに派遣して、そこで2週間ぐらい泊まり込みで看護をやってこいということでやっていまして、そういうスタッフが今の身体合併症病棟の役職をやっていますので、その下でやっていく。
あとは、内科医の常勤が2名いるのと、外科医が週に1回来てくれますので、そちらのほうで対応しているという状況です。
○田辺座長 よろしゅうございますか。
○吉川構成員 どうもありがとうございました。大変参考になりました。
私がいろいろ調査で伺った病院も、内科の先生とかで病棟単位で本当に細かく指導されていて、それで少しずつ身体ケアのスキルも向上しているという病院もありました。
ただ、先ほど松岡参考人もおっしゃってくださったように、経験というのが非常に大事で、例えば神奈川県では、一部かながわ地域看護師の事業として、人事交流制度で一般科を2~3か月経験して帰ってきて、そのスキルを精神科のほうに生かすといった活動もしているので、そういったことも今後はさらに必要になるのかなと思っています。
もう一つは、在宅で身体疾患、身体ケアの方を支えるのに、例えば特定行為研修制度を活用するとか、そういったことも今後は積極的に考えていく必要があるかなと思いました。
どうもありがとうございました。
○田辺座長 では、柄澤構成員。
○柄澤構成員 北海道北広島市の柄澤でございます。全国精神保健福祉相談員会の理事をしております。
前回の検討会で報告の機会をいただきまして、外来・在宅医療に期待するところをたくさん述べさせていただきましたので、本日は1点だけ。
先ほど来、市町村の体制強化というお話がたくさん出ておりまして、私も人口6万人弱の市町村で精神保健福祉相談の最前線にいる者としては、特に北海道などは市町村が179もあって、そこが一律に対応するのは非常に難しいところがあります。ですので、都道府県からのバックアップが必ず必要になりますので、都道府県の体制強化もお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、田村構成員、よろしくお願いします。
○田村構成員 ありがとうございます。日本精神保健福祉士協会の田村です。
今日、各先生方からの御発表をいただいて、その中で精神保健福祉士が果たす役割も多々あるということを改めて認識させていただきました。
私も病院勤務の経験がありますが、かつてに比べて、精神科の病院やクリニックで働いている精神保健福祉士にゆとりがなくて、ゆっくりと患者さんの御相談を聞いたり、同行支援をしたりしづらくなっていることをよく聞きます。以前はできていたことが、書類は増える一方、配置数が増えない、また特定部署では配置基準になって専従しなければいけないなど、結果的にいわゆる持ち出し業務はしづらくなっているという状況があります。
前回、藤井構成員からもおっしゃっていただいたように、精神保健福祉士の数自体をまだまだ増やさなければいけないと思っていますが、少子化でそういった仕事を目指したい人を新卒で求めるのは難しい面もあります。ただ、こういう職業があることがまだ知られていないところもあり、国の支援もいただきながら、国民への広報を通して、この仕事を目指す人を増やしていけたらと考えております。
それから、精神科医療が対応していることは、かつてに比べて本当に多くなり、小さいお子さんから思春期、青年期、そして、中年、働いている方たち、また高齢化の中で高齢者も増えているので、かなり多様に期待されるようになったと思います。診療所によっては、精神科医の先生お1人だけですと、得意分野がどの辺りかで対応できる患者層も違ってきます。そうなると、一定の圏域に1か所、2か所の精神科診療所があったとしても、依存症は難しいとか、高齢者はあまり診られないとか、児童は対応しない、など地域によっては偏りが感じられるところがあります。調整は難しいですが、地域住民のニーズに見合うよう計画的に配置するにはどうしたらいいかも考えられるといいのかなと思いました。
もう一点は、精神科医療は、精神疾患の患者数の増加や、国民のメンタルヘルスも取り上げるようになって久しい中で、相当多様な需要があると思いますが、岩上構成員もさっきおっしゃったように、そのことがまだ十分認知されていない面もあるような気がします。
例えば、上ノ山先生は彦根市で重層の中に入っているというお話でしたが、市町村でも重層的支援体制整備をしていますが、精神疾患、精神障害、メンタルヘルス不調のある方も捉える発想がまだ不十分ではないかという気がします。
今ちょうど厚労省では、地域共生社会の在り方検討会議が別の課の所管で進行中です。そこでは、例えば一人暮らしや身寄りのない方の支援なども取り上げられていますが、その中にも精神疾患や障害の人も実は含まれているかもしれません。そちらの検討会の次第からは、精神障害や疾患のある人のことをどう取り上げるのか、にも包括との連動の在り方に関する見通しはわかりにくいです。できれば内部での御調整などをいただいて、相互にどういう検討がなされているのかを共有するなど、もう一歩枠を広げて御検討いただけないかなと思っています。
それはまだ厚労省内の話ですが、今、こども家庭庁や、医療観察法で言えば法務省、そして、子供のいじめ・虐待、また、子供のメンタルヘルス、自死者の増大といったことに関しては、文科省や厚労省の別の部署でも検討されるのではないかと思うので、省庁を横断して、国民のメンタルヘルスへの対応強化の必要があることを考えていただけると、精神科医療にもっと予算が必要であることなどの御理解を広げていただくことにもつながるのではないかと考えました。御検討いただけたらと思います。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、森構成員、よろしくお願いします。
○森構成員 すばらしい御報告をいろいろ聞かせていただきまして、本当に感銘いたしました。
私どもは岐阜という地方で福祉のことをやっているのですけれども、岐阜辺りですと、岐阜市は中核市ですのである程度そろっているのですけれども、その周辺に人口2万とか3万、あるいは5万、10万といった多様な市町村がありまして、職員も公務員ですので担当する職員が3年ぐらいで替わってくるので、精神保健に関して初めて取り扱うという職員、そういう自治体が出てきやすい。そういうときには連携を取りにくい部分があります。
例えば、私どもの岐阜市のすぐ北に2万3000ぐらいの小さな山県市というのがあるのですが、ここでは精神保健福祉士とか保健師が昔からきちっとした活動をしておられるので、ひきこもりの事例なんかでも、私どもの当事者活動している人を上手に利用して、一緒に訪問したりして医療につないでいくようなことをしています。
ところが、その周辺で人が替わっていくと、精神というのはよく分からないという形で、職員の方たちが相談にもうまく乗れないような自治体がある。できれば市町村の職員に教育をきちっと、特に精神保健福祉センター辺りが毎年研修をやっていって、いろいろな連携を取っていけるような体制が必要ではないかなと思います。
そして、私は古い人間ですので、昔の精神科のワーカーたちは地域づくりをするために外に出てきたのですけれども、今は病院のほうがいろいろな形で忙しく、ワーカーが少ないものですから、なかなか外に出てこられない。連携を取るにしてもなかなか難しいなと。
診療所に関しては先生がお一人で頑張っておられるというような状況のところが多くて、看護師とかワーカーとか臨床心理士が私たちと連携を取るというところが少ないので、どうしても形だけの方向性になっていくのかなと。その辺りをもう少し、医師でないスタッフが配置できるような診療報酬のことも検討していく必要があるのではないかなという感じがしております。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、桐原構成員、よろしくお願いします。
○桐原構成員 全国「精神病」者集団の桐原です。
参考人の皆様、貴重な報告をありがとうございました。
主に入院医療について意見を述べます。任意入院制度ですが、精神障害者本人の同意による入院とはされていますが、任意入院の継続が困難な場合などは医療保護入院への切替えができるので、任意で入院できても任意では退院できない制度となっています。そういう意味で両制度に大きな差はないと思いますが、手続面だと任意入院のほうが医療保護入院よりも事務量が少ないです。少数のスタッフで手のかからない比較的状態安定者患者を長期的に入院させることで、病院経営を成り立たせている病院もあります。北村構成員からも先ほど、そのような実態があることについて説明がありました。
参考人からも、精神科病院における認知症の受入れの話しがありましたが、こちらも課題であると考えます。老人保健施設に認知症の人が来ると、門前払いされてしまうことがあります。結果として、精神科病院が受け入れてしまっています。これによって精神科病院の経営が成り立っている側面もあると思います。ただ、これが本当に正常かどうかについては議論しなければならないと思っています。これについては、介護施設と精神科病院の連携などを通じて、精神科病院が精神科医療という本来の役割に集中できるように役割のダウンサイジングをしていく必要があるのではないかと思っています。
それから、特定入院料は、請求回数で言うと精神科療養病棟入院料と認知症治療病棟入院料が突出して多いです。ここだけ桁が違います。このことからも、精神科病院は全体的には長期収容のための施設として機能しているきらいが否めないのではないかと思います。今後、長期入院に陥りにくいような報酬体系や行政計画にしていく必要があると思います。この特定入院料は本来見直されるべきであり、検討を開始する必要があるのではないかと思っています。
精神科にも、入院基本料に重症度、看護必要度の判定基準や施設基準を設けるなどして、一般科の体系に近づけていく必要があると思います。参考人から報告があった各地の実践が、しっかりと報酬や計画によって後押しされるようなものであるべきだと思っています。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、岡田構成員、よろしくお願いします。
○岡田構成員 時間ですので簡単に終わらせたいと思います。全国精神保健福祉会連合会の岡田と申します。
本日は貴重なお話をたくさんいただいてありがとうございます。
私ども地域で生活している者からすると、「にも包括」に大変期待するところが大きくて、ただ、この立場から考えたときに、まずスティグマの問題が大変重要だと考えていること、もう一つは医療も含めた訪問による支援体制の充実というところです。多分ここにいらっしゃる皆様、そして今日御発表いただいた皆様は当たり前のことという捉え方をされているかと思いますけれども、地域で生活しておりますと、訪問による支援体制というのがまだまだ不十分で、どこともつながれずに孤立してしまっている当事者や家族の方がたくさんいらっしゃるという現状があります。
必要が分かっていながらなかなか進まない訪問医療支援体制、このことがなぜなのかということをきちんと皆さんと一緒に考えながら、ぜひ訪問による医療支援体制の充実というところを進めていっていただきたいということが私からの意見になります。よろしくお願いいたします。
○田辺座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
では、様々な御意見をいただき、ありがとうございました。ほかに御発言がないようでございますので、議題(1)「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける医療提供体制について」に関しましては以上としたいと存じます。
本日ヒアリングにお越しいただきました皆様におかれましては、非常に貴重なお話をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと存じます。こちらで参考人の方々は退席していただいて結構でございます。
最後に、事務局のほうから何か御連絡はございますでしょうか。
○新平課長補佐 本日はありがとうございました。
次回の予定ですけれども、構成員の皆様方と日程調整の上、改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺座長 ありがとうございます。
それでは、本日は、長時間お疲れさまでございました。次回もよろしくお願いしたいと存じます。
それでは、これで本日の会議は散会したいと存じます。