第175回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和7年3月12日(水)15:00~17:00

場所

対面及びオンラインにより開催
会場:厚生労働省共用第6会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館3階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員
労働者代表委員
 
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
 

議題

(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(職場における熱中症対策関係)
(2)その他

議事

議事内容

○髙田分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第175回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況は、熊﨑委員、新屋敷委員、大下委員が御欠席となっております。
 本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○計画課長 Zoomの操作方法について、御説明をさせていただきます。ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いしたいと思います。また、オンライン参加の先生方については、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から御指名がありましたら、マイクをオンに設定の上で氏名をおっしゃっていただいて御発言をお願いします。このほかに進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットへの書き込み、又は事務局へのメールにて御連絡をお願いいたします。
○髙田分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(職場における熱中症対策関係)です。それでは、事務局から資料について御説明をお願いします。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。お手元の資料1-1~1-3に基づいて御説明を申し上げます。
 まず、資料1-1を開いてください。職場における熱中症対策の強化について(その2)です。めくっていただいて1ページですけれども、前回の第174回分科会が1月27日に開催されておりますが、こちらでいただいた主な御意見に対して今後の国の対応について整理をさせていただいております。5点あります。
 まずは、1点目です。制度の運用についてということで、今年の夏に向けて短い期間になるが、改正内容をしっかり周知すべき。新たに罰則付きで義務付ける内容や、具体的な実施方法を明確にすべきという御指摘を頂きました。これについては周知のためのリーフレット等を作成し、クール・ワークキャンペーン等を通じて広く周知する。そして、義務付けの内容や範囲を条文上で明確にするとともに、具体的な実施方法を通達等で例示を含めて周知したいと考えているところです。
 2つ目は現場での周知についてです。周知等は口頭でもよく、周知した結果の記録の保存までは義務付けない旨を明確にすべきという御意見を頂きました。これは2つに分けて、まずは周知方法です。最初の○ですが、報告先等が確実に伝わることが必要だと考えております。そうしたことから口頭による周知でも差し支えないですが、内容が複雑な場合、例えば報告先への電話番号等をイメージしておりますけれども、こうした場合等で口頭による周知では確実に伝わることが担保できない、このようなときには文書の配布や掲示等によるものとしたいと考えております。もう1点は、記録の保存についてです。現場で周知した結果の記録の保存については、義務付けまでは求めませんが、労働基準監督署の調査等に際しては説明できる必要があると考えています。
 3点目は、現場の実情に応じた措置内容についてです。3点あります。一人作業の場合など、連絡が困難な場合の対策を明確にすべき。それから、救急隊や医療機関の負担が大きくなる可能性がある。そうしたことから、適切な搬送ができるように検討いただきたい。また、手順の作成だけでなく、手順に基づく措置の義務化についても今後、施行状況を踏まえて検討すべきという御指摘を頂きました。
 一人作業についてはウェアラブルデバイスの活用や他の事業者との連携など、現場の実情に応じた対策について、通達で周知したいと考えております。また、医療機関、救急隊への搬送については、判断に迷う場合等は♯7119等への相談等を通達等で明記し、周知したいと考えています。それから措置の義務化については、新たに立ち上げる検討会において改正省令の施行状況を踏まえて検討したいと考えております。なお、新たに立ち上げる検討会では、今申し上げた省令の施行状況を踏まえた対応のほか、休業に至らなかった事案の把握方法や効果的な予防対策の検討なども、検討項目に上げたいと考えているところです。
 4点目ですが、今後の予防策の検討についてです。予防策は重要であり、休業に至らなかった事案も含めて検証すべきという御意見を頂きました。これについては、正に健康管理という観点では、これまでもクール・ワークキャンペーンの中でお示ししたところですが、引き続きこの中で熱中症予防の推進を図りたいと考えております。また、先ほど申し上げた新たに立ち上げる検討会において、休業に至らなかった事案の把握方法も含め、データに基づいた予防策の検討を行いたいと考えております。
 最後に5点目、その他です。今回、提示されたWBGT等の基準で、これまでの熱中症災害をカバーできているのかという御質問を頂きました。これについては、今回義務付ける範囲によって労災死亡事例、これは令和2年~5年の災害調査で確認できたものですが、このうち約8割をカバーできております。その他はどうなっているかですが、「持病あり」や「体調不良」といった個別の状況が見られております。こうしたことから、やはり健康管理に関わるところもありまして、クール・ワークキャンペーンを通じた推進と併せて、通達等で基準に該当しなくても同様の措置を推奨すると考えているところです。
 2ページ以降は、前回の174回の分科会でお示しした資料と同じものを付けております。ただ1点変わった所がありまして、8ページのフロー図の別添②ですが、一部修正をさせていただきました。中段の所で、医療機関への搬送を二重枠にして、ここに吹き出しがありますが、赤字の部分が修正点で、医療機関への搬送と必要に応じて救急隊を要請という文言を書いておりましたけれども、その後に消防庁から御意見がありまして、救急隊要請の所を吹き出しで記載する形で、医療機関への搬送に際しては必要に応じて救急隊を要請すること。救急隊を要請すべきか判断に迷う場合は#7119等とつなげる形で修正をさせていただいております。前回と本質的に変わらないと考え、この修正を受け入れております。資料1-1については以上です。
 続いて、資料1-2です。こちらは、今回の熱中症対策に関連して改正する省令案の要綱についてということで、諮問の資料となっております。別添で省令案要綱を付けておりますが、こちらは御一読ください。こちらの説明を資料1-3でもって替えさせていただきます。
 労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要について、職場における熱中症対策の強化関係です。省令案の概要ですが、前回の分科会で事務局からお示しした熱中症対策案、今の資料で言うと資料1-1の6ページに該当するものですけど、こちらをベースに改めて整理したものとなっております。併せて御参照ください。
 まず1番目、改正の趣旨です。熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、熱中症のおそれがある作業者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することが可能となるよう、事業者に対し、早期発見のための体制整備、重篤化を防止するための措置の実施手順の作成、そしてこれらの関係作業者への周知を義務付けるとしております。
 2番目、改正の概要です。以下2点について、事業者に義務付けることとしております。1点目は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、熱中症の自覚症状がある方、あるいはそのようなおそれがある作業者を見つけた方が、その旨を報告するための体制、連絡先や担当者を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知することを求めます。
 2点目は、そのような作業を行う際に作業からの離脱、身体冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること、事業場における緊急連絡網や緊急搬送先、これは医療機関のことですけれども、その連絡先及び所在地等など、必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知することを求めたいと考えております。
 そして、熱中症を生ずるおそれのある作業の定義は※に書いてあるとおりで、WBGT28度又は気温、これは室内外よらずですが31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものとしております。なお、ここで申し上げている作業場というのは、固定された1カ所の場所を指すものではなく、このような環境下にあるものと、その環境下で行われる作業と捉えていただけたらと存じます。
 最後に3番目の公布日等ですけれども、公布日は4月上旬を予定、そして施行は6月1日という形にして、この夏までに、間に合わせたいと考えているところです。資料についての説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料1-1に基づきまして、1ページ目に前回分科会での御意見を踏まえた、今後の対応についてまとめてあります。また8ページ目のフロー図について、一部修正があったということで、説明がありました。それから資料1-3に、省令案の概要が示されております。
 本件につきまして質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨をチャットに書込みをお願いいたします。まず会場の委員で御発言を御希望の委員はお願いします。それでは鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名いただきありがとうございます。前回の分科会で私から、手順に基づく措置の義務化を検討するのであれば、どのような措置の手順を定めて運用した場合に死亡事故に至ったのか、あるいは事故に至らなかったのかを、休業ゼロ日の労災の事案も含めて、丁寧に分析して、エビデンスベースで検討すべきことを主張しました。
 本日事務局から御提示いただいた資料の1ページ目には、左側の「いただいた主なご意見」にも、右側の「今後の国の対応について」にも、この点が一切触れられておらず、単に改正省令の施行状況を踏まえて検討するとのみ記載されています。
 他方で「今後の予防策の検討について」の今後の国の対応の記述には、休業に至らなかった事案の把握方法を含め、データに基づいた予防策の検討を行うと記載されています。
 データに基づいて施策の有効性や必要性について分析するということは、予防策の検討においても重要ですが、それ以上に罰則付きでの措置の義務化を検討する場面でこそ不可欠だと考えています。
 措置の義務化に関する主な意見、今後の国の対応の双方に、今申し上げた点が反映されていないのはどうしてなのかということをお伺いするとともに、この点は是非反映をお願いしたいということで、意見として申し述べさせていただきます。
○髙田分科会長 それでは事務局からお願いします。
○労働衛生課長 労働衛生課です。大変失礼いたしました。スペースの関係上、少し省略した部分もございます。ただ、説明の中でも申し上げましたように、今後立ち上げる検討会の中で、その省令の施行状況を踏まえた検討も行いたいと考えていて、前回鈴木委員からも御指示いただきました、休業ゼロ日の場合のそのデータの取り方や方策も含めて、この中で併せてエビデンスベースで検討したいと考えておりますので、そこはしっかり受け止めて対応していきたいと考えています。
○髙田分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 分科会の資料に記載される「今後の国の対応」は、文書としては大変重いので、是非とも修正していただきたいです。その点についてはいかがでしょうか。
○髙田分科会長 事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 検討したいと思います。
○髙田分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 罰則付きの義務化というのは、私どもとしては大変重たいものだと思っていますので、是非文章の修正の検討をお願いしたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局で対応をよろしくお願いいたします。続いて出口委員、お願いします。
○出口委員 御指名ありがとうございます。建設業といたしましては、個人事業者や化学物質の自律的管理に続き急速に罰則付きで義務化されます。職場における熱中症対策の強化について、周知をもう始めておりますが、やはり具体的な資料等を用いて周知しなければ、認識が曖昧です。リーフレット及びQ&A等の発出をもって、急いで展開していかなければならないと考えています。
 今週月曜日に、建設労務安全研究会の理事会がありました。ゼネコン、同業他社40社、建設業団体3団体で、今回の熱中症に関して経緯、趣旨等の説明を再度行いました。その際に出ました主な意見及び要望を発言させていただきます。
 資料1-1、1ページの今後の国の対応について、及び7~8ページにある熱中症のおそれのある者に対する処置の例(フロー図)の別添①と②について、確認及び要望を4点発言させていただきます。
 1点目は1ページの2、現場の周知についてです。前回でも発言しましたが、減ることなく増え続ける規則やルールに付随します書類の負担を軽減することを目的として、周知については口頭及び電子媒体での周知を認めていただきたい旨を申し上げました。おおむね了承いただいたと安堵しておりましたが、資料に書かれた文言を見て違和感があります。
 今後の国の対応についての記述ですが、報告先等が確実に伝わることが必要であり、口頭による周知でも差し支えないが、内容が複雑な場合等で口頭による周知では確実に伝わることが担保できないときには、文書の配布、掲示等によるものとする。
 そして2つ目の〇に、現場で周知した結果の記録の保存は求めないが、労働基準監督署の調査等に際して、説明できる必要がある。これらのこの文書に、すごく違和感があります。このような文書では、結局は文書による配付、掲示をしなければならないような誤認をされてしまうと思います。
 この違和感が私だけかと、数人の方にお聞きしましたが、特段他の臨検や事案でも同様なのに、なぜわざわざこれだけの調査等に際して説明できる必要があるかと書かれているのかと、全ての方がやはり疑問視されておりました。
 短期間で公布し、罰則付きで施行、実施・運用していく中で、事業者、労働者の負担軽減のためにも、文書では報告先が確実であることが必要であり、口頭による周知でも差し支えないが、内容が複雑な場合等に口頭による周知では確実に伝わることが担保できないときには、電子媒体による情報の提供周知、または文書の配布・掲示等を推奨する。このような前向きに取り組んでいける文書にするべきではないでしょうか。また、奨励ではなく推奨でお願いいたします。
 当然簡単な情報でなければ、口頭では記憶は非常に曖昧です。個人差もあります。それらを補う形で口頭の周知及び電子媒体で対応可能であることを明文化していただき、罰則となる体制整備、手順作成、関係労働者への周知の具体的な事例やリーフレット等で明示していただくようにお願いいたします。これらの文書の修正及び電子媒体の追加については、要望となります。
 2点目です。第174回でも出た意見ではございますが、予防策は重要であり、休業に至らなかった事案も含めて検証すべきとありました。また手順に基づく措置の義務化や、労災死亡例の約8割をカバーできるとされた中にも、やはり生活習慣病や持病あり、体調不良という、個別の状況がございました。今後の国の対応としては、新たに立ち上げていただく検討会において施行状況等を踏まえて検討するとされています。
 建設業といたしましては、この検討会で個別協議ではなく、現業に詳しい方をメンバーとし、偏らず各産業や労働者団体、そして学者・先生方などの有識者と、バランスのとれた検討会として協議・検討していただきたいと願っております。
 冒頭に説明を課長からしていただきましたが、今後これらの検討会の立ち位置、働き等について、再度お聞きいたします。
 3点目です。7~8ページの処置の例として、フロー図の別添①と②が示されております。このフロー図①の問題点を指摘する声が、非常に多かったです。建設現場の場合、休憩室で休ませて意識の異常を確認し、自力で水分摂取をできたとして、経過観察後に仕事にもどり、帰宅して容体が急変するという事例が数多くありました。自力で水分摂取ができても、やはり医療機関に搬送していれば、重篤化を防げた事例があったと認識しています。
 フロー図の別添①と②、これはあくまで一般的パターンとして捉えることでよろしいでしょうか。産業別で各事業者がこのパターンを参考として、フロー図及び実施手順を変更して作成してもよいのでしょうか。これらのフロー図がどのように取り扱われ、もしフロー図別添①のとおり実施し、本人の意識もあり水分補給もでき、病院に行かず自宅に帰宅後、容体が急変し亡くなった場合に、事業者が例えば空調服等の対応をしていても、事業者等は罰せられるのでしょうか。
 また、熱中症のおそれがある作業時において、熱中症対策と化学物質対策のどちらが優先されるのか。当該作業において皮膚等障害が優先され、完全防備の服装で作業に従事するのかなどの意見が多かったので、確認させていただきます。
 最後の4点目となります。こちらは同業者だけではなく、個人事業者や中小事業者の方々の意見も多かったです。第174回安全衛生分科会の終了後、30日に本改正省令案のパブリックコメント募集が、e-Govに掲載されました。しかしながら、この内容を建設業関係者・団体、ほとんどの方が知りませんでした。
 今回のパブリックコメントに寄せられた意見件数は、どれぐらいあったのか、分かる範囲で結構ですので、確認させていただきます。建設業だけでなく、全産業にかかる重要な改正省令案です。広く意見を求めなければなりません。
 現実いろいろな方の意見を聞いてみますと、パブリックコメントの在り方、これを見直す時期に来ているのではないかというコメントも、多く寄せられました。また内容を見ましたが、罰則付きで事業者に義務が課せられるということが、一見では認識できない内容になっていました。
 もっと見る側に分かりやすく、またパブリックコメント自体の見直しも、今後国として検討していただくよう、お願いいたします。要望は以上となります。 
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの出口委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 では、順次お答え申し上げます。まずは、周知の在り方です。大変短期間ではありますので、国としましても、リーフレット等を作成し、早急にお手元で活用できるような形で準備をしたいと思っております。
 続きまして、現場での周知の方法、あるいは保存等について御指摘いただいたかと思います。これについては、先ほど少し資料1-1の最初の1ポツでお答えしましたように口頭でもよいとしておりますが、ただ、やはり大事なのは、報告先等に確実に伝わることですので、ここは入念にその趣旨をうたわせていただきました。その範囲では、口頭でもよいですし、それから、前回、正に質問いただいたように、電子媒体によるものでも構わないと思っています。例えばの工夫ですが、電話番号などでも、既に皆さんが所与のものとして知っているということであれば、この連絡先に何かあったら連絡してくれということは口頭で対応できる部分だと思います。そういった組合せによって対応していただくことも可能だと思っており、こうした工夫なども、例えば、通達の中でお示しできたらと考えております。
 資料の修正についても、御指摘いただきましたものについては、鈴木委員から御指摘がありましたものと併せて検討したいと思っております。
 3点目として、検討会について御指摘いただきました。この中で予防策の在り方についても検討していくわけですが、その位置付けとしましては、有識者による検討会、よく行政が開催しているものをイメージしております。具体についてはこれから詰めたいと思っております。そして、検討する項目としては、今申し上げましたように、省令の施行状況を踏まえた対応、休業に至らなかった事案の把握方法、効果的予防対策の検討という形で、この中で、重複しますが鈴木委員から頂いた御指摘も踏まえ、施行状況も踏まえ、措置の義務化のいかんについて併せて検討してまいりたいと考えております。そのメンバーですが、まだ現時点では決めておりませんが、現場に詳しい人ということでしたので、現場の声がちゃんと反映できるような形の構成を考えたいと思っております。
 次に、4点目として、フロー図についての御指摘を頂きました。資料1-1の7ページ及び8ページです。前回申し上げましたように、別添①のフロー図は、これまで国の「熱中症予防基本対策要綱」の中でお示しているオーソドックスなものをベースに作成したものです。ただ、前回の分科会に至るまで関係業界と意見交換する中で、出口委員から頂いたとおり、この別添②のように、医療機関への搬送等を直接することのほうが適当だという御意見もありましたので、併せて、この別添②も御用意させていただきました。位置付けはいずれも参考ベースのものですので、御質問いただいたように、どちらに倣っていただいても結構ですし、どちらにも倣わずにそれぞれの事業場が独自で作成して、別のものを作っていただいても構わないと思っています。
 ただ、いずれにしましても、こうした処置が合理的なものである必要はあると思っています。ですので、この内容いかんで罰則が適用されるということではありませんので、やはり手順をあらかじめ定めていただく、そこを、我々としては今回、問いたいと思っております。ただ、当然ながら、その内容は合理的な範囲で対応していただけたらと思っております。
 最後ですが、パブリックコメントについての御指摘を頂きました。今回のパブリックコメントについては、本年の1月30日から3月2日までの期間で意見募集をし、32件の御意見を頂きました。内容については割愛いたしますが、かなり中身について御議論いただいたものと承知しております。ただ、罰則付きの義務化などについては、まだ決定事項ではありませんので、そこまでは意見募集の中で記載せず、概要について、正に今回の省令案をイメージできるものを、この意見募集の中で提示させていただきました。今後の在り方についての御提言を頂きましたが、当課に限らず、全体的なパブコメの在り方、御意見として承りたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。追加が事務局からありますので、お願いします。
○主任中央労働衛生専門官 1点だけ補足させていただきます。質問の2つ目で出口委員から御指摘のあった、文書の配布・掲示等以外にも電子データ、具体的には、メールの活用やLINEなどを想定されて、それが可能なようにということですが、これは事務局の考え方としては、掲示等の「等」で当然それも含んでいるという趣旨でして、スペースの都合上、そこまでは書かなかったということで御理解いただければと思います。
○髙田分科会長 それでは、出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御回答、ありがとうございました。1点目につきましては、補足の説明で理解いたしました。建設業の場合、日々、作業場所が変わる方がいらっしゃいます。また、必ずしも事務所に戻って作業場所に出向くのではなく、自宅から直接作業場所に出向く方も多数おられます。その中で、文書の配布・掲示等というのはなかなか難しい。ただ、口頭であれば曖昧になって間違うパターンもございます。電子媒体、LINEやメールであれば、書面を持ち歩くことなく、携帯の中に保存されて、すぐ電話等ができますので、そういう使い方をしていただければ幸いです。わかりやすい説明等に留意していただいて、リーフレットの作成や通知等をお願いいたします。
 検討会については承知いたしました。ありがとうございます。3点目のフロー図に対して、建設業としては、罰則が事業者に課せられるかという点を非常に気にされています。詳しいQ&Aは発出されておりませんので、なかなか理解ができていないというのが現状でございます。ただ、先ほど発言させていただきました、フロー図どおりに対応し、事業者が空調服等にて対応を講じていた場合でも、重篤化や亡くなった場合は事業者が罰せられるのでしょうか。検討会等で議論される部分もあるのかもしれませんが、分かる範囲で教えていただければと思います。この2点、よろしくお願いします。
○髙田分科会長 それでは、事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 まず前者につきまして、周知の方法ですが、リーフレット等で分かりやすくお伝えしたいと考えております。2点目の罰則に関してですが、フロー図を作成してもフロー図のとおりにならない場合、それは致し方ないかなと思っています。そういった場合で、直ちに罰則適用ということは考えてはおりません。ただ、具合いが悪い人がいた場合に何もしなかったとか、やはり合理的な対応がされていたかどうかというのは問われるおそれはあると思いますので、それはしっかり、フロー図によらなくても、これは確かに仕方なかったね、こういった対応でやっていただいて十分だねと言える形で対応していただく必要はあるかと思っていますので、そういった旨も併せて通達の中でお示ししたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 ありがとうございました。罰則付きにつきましては、今後Q&A等の発出でまとめていただけると思いますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場の委員で御発言を御希望の方はいらっしゃいますでしょうか。袈裟丸委員、お願いいたします。
○袈裟丸委員 御説明ありがとうございました。まず、先ほど使用者側委員から、検討会の構成について意見がありましたが、現場の声が届くような構成となるよう検討をいただければと思います。
 その上で、「今後の国の対応について」では、休業に至らなかった事案の把握方法も含め、データに基づいた予防策の検討を行うこととされています。最終的に、検討会として何らかの形で取りまとめることになると考えますが、その最終的な報告を待つまでの間にも、できることがあるのであれば、速やかに実施していただきたいと思います。まずは、この夏の熱中症による死亡災害をなくすために、クール・ワークキャンペーンなどの様々な予防策の強化をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 御指名ありがとうございます。主な意見の3番目と4番目に関することです。やはり住宅関係の作業というのは、大工工事を中心に、ほぼ一人作業というような状況でございます。そうした際は、やはり予防策の関係をきちんとやっておかないといけないと思っています。そうしたところでの周知も含めて、きちんとされるかどうかというふうに思います。取り分け、大工工事の関係では労働者の方もいますし、一人親方と言われている方もいらっしゃいます。混在しているのだけれども現場は1人でやっているという状況ですから、やはり、今後の予防に関する検討は、先ほど各委員から言われたとおり、検討会の関係もきちんとした有識者も含めて、現場が分かる委員の選任についてお願いしたい。
 また、出口委員がおっしゃったように、実際に自宅に帰ってから発症するという方は非常に多いと私も認識をしております。ですので、こういう例がありましたが、実際に建設現場では、自宅に帰ってから具合いが悪くなって、そして熱中症と判断される方が非常に多いので、そういった意味でも、先ほども御回答がありましたが、改めて私のほうからも、きちんとした対応も含めて検討をお願いしたいということでございます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの袈裟丸委員と松尾委員の御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 併せて回答申し上げます。検討会について、いろいろ御意見を頂きました。まず、検討会のメンバーにつきましては、労働側についても現場の声が届くような配慮を申し上げたいと思います。検討会の成果については、最終報告を待たずに、途中段階でも対応できるものがあれば、それを措置してほしいという御要望がありましたので、それも受け止めたいと考えております。
 それから、松尾委員から、一人作業をされるということもあり、その予防が非常に重要だというお話がありました。これにつきましては、検討会で議論していただく内容は、それはそれとして、これまでも日常の健康管理の部分については、クール・ワークキャンペーン等でお示ししているところですので、今回のキャンペーンでも実際にお示ししており、引き続きしっかり周知してまいりたいと考えております。
 また、帰宅後に発症して具合いが悪くなることに関しましては、お手元の資料1-1の7ページ、フロー図の別添①、一番下段の所での括弧書きでこのように書いております。「回復後の体調急変等により症状が悪化するケースがあるため、連絡体制や体調急変時等の対応をあらかじめ定めておく」というもので、こちらは、何も事業場内にとどまらず、事業場外、正に帰宅後のことも想定したものとして記載しております。ですので、この辺りを、また分かりやすくなるよう通達等お示ししたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。袈裟丸委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 今、フロー図でおっしゃった点ですが、要は、一人作業のときに発症した場合というのは、いずれにしてもこの予防策とリンクして、きちんと両方がかみ合ってやらなければいけないと思いますので、きちんと対応をするよう検討していただきたい。
○髙田分科会長 事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 御指摘のとおりでして、予防策はしっかり予防策として普及啓発をして、そしてまた今後の検討会の中でも取り上げさせていただきたいと思います。そして、またその帰宅後の対応についても、こうしたことによって、一人作業の方々にも配慮できるような形にしたいと思っております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。松尾委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。及川委員、お願いいたします。
○及川委員 ありがとうございます。中小企業ですと下請重層構造で、サプライチェーンの深い所にも数多くいろいろな業種が入っています。そこへの周知を考えますと、例えば、このリーフレットというのはいつ頃出来上がって、周知ができるものなのか、できたら、4月1日という新しい体制の下に、担当や連絡の方が決まるような形で進めさせていただければ有り難いと思っています。公布日以前にも出来るようなことがあると思いますので、是非、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。
○髙田分科会長 事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 できる限り早期にリーフレットをお示しできたらと思っております。当然、現時点でもこうやって御意見を頂いていますので、ある程度内容については固めさせていただきながら、時期を明確には申し上げられませんが、年度明けてなるべく早いうちに情報を発信できるような形で進めたいと思っております。
○髙田分科会長 及川委員、お願いいたします。
○及川委員 現業部門もある事業者の中では、やはり熱中症に対して今年の夏も関心が大変高いものですから、中小企業団体としてもしっかり広報してまいりますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 ありがとうございます。労働側の山脇です。先ほど使用者側委員が発言された点について、2点申し上げたいと思います。まず1点目は、出口委員からありました、資料1-1の1ページの2つ目、現場での周知についてです。労働側としては、「今後の国の対応について」に記載されている事務局原案通りとすべきと考えます。この間、熱中症による死亡災害が多数発生していることからすると、どういうことが行われなければいけないのかということが、確実に伝わるような形で記載されている原案のまま進めていただきたいと思います。
 2点目は、鈴木委員が発言された措置義務についてです。データに基づくということは何ら否定するものではありませんし、EBPMの観点から必要だと考えますが、今回の分科会で示された資料から文言を修正するということであれば、労働側も含めた調整をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 いずれもこの資料1-1の書きぶりについての御指摘だと思っております。検討いたしまして修正が必要になりましたら、双方に対して調整をさせていただきたいと考えております。
○髙田分科会長 資料1-1の取扱いにつきましては、事務局で検討いただきまして、別途御相談させていただく形のほうが、今までの議論を聞いておりますとよろしいと思いますので、そのようにお願いできればと思います。山脇委員、いかがでしょうか。ありがとうございます。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。初めに出口委員が御発言された3つ目の指摘に関連して、医療機関への搬送、判断に迷った場合に、#7119等に相談するということ自体には全く異論はございません。ただ、前回の分科会でも申し上げたように、熱中症の疑いがあれば、すぐに自社の車等で病院等に搬送するルールを設けている企業も結構多いものと承知しています。そうした企業は過去に、医療機関へ搬送せず休ませていたがために重症化してしまったという経験から、そうしたルールを設けているケースが多いと思っております。
 厚生労働省が公表されている令和5年の熱中症の死亡事案でも、同僚等の具合が悪くなったことに気付いて休憩させたけれども、休憩中、あるいは休憩後に具合が悪化して、救急搬送したが残念ながら亡くなられたようなケースや、体調が悪くて早く帰ってもらったけれども、自宅で更に具合が悪くなって亡くなったケースなどがございます。企業の現場レベルでは、医者ではない方々が症状を判断することの難しさというのはあるように感じております。もちろん救急隊員の方や病院関係者におかれましては、こうした熱中症の特性は熟知されているとは思うのですが、熱中症を確実に重症化させないという思いから、熱中症のおそれがあればすぐに搬送すべきと考えて対応している企業があるということも、是非改めて関係者に理解いただきたいと思っております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、続けてお願いいたします。
○出口委員 御指名ありがとうございます。フロー図の別添①の下のほうに、「回復後の体調急変等により症状が悪化するケースがあるため、連絡体制や体調急変時等の対応をあらかじめ定めておく」と記入されています。建設業のみならず、他の産業でも同じだと思うのですが、実際に帰宅した後、どのような連絡体制、対応を具体的に考えておられるでしょうか。作業員の方が帰宅した後は、連絡が取りづらく対応可能なのでしょうか。事務局に御回答願います。
○髙田分科会長 鈴木委員のコメントと出口委員の御意見について、御回答お願いいたします。
○労働衛生課長 鈴木委員の御指摘ですが、そのような対応をしていただいている企業、すなわち休憩などを挟まずに直で医療機関へ搬送していただいている例があるということは承りました。繰り返しになりますが、そういった対応を否定するということではなく、それぞれ事業場で独自に取り組んでいただいている手順をあらかじめ定めていただくことでよろしいかと思っております。
 それから、出口委員から、このフロー図①の下段の括弧書きの、回復後の対応をあらかじめ定めておくことについて、重ねての質問がございました。これにつきましてイメージしておりますのは、1つは、帰られたとき具合いが悪かった場合の連絡先として、例えば事業所のどこか、あらかじめ定めた連絡先に連絡をしていただくということがあると思いますし、その他、対応を定めておくということですので、具合いが悪くなったら救急車、119番に通報するということをあらかじめ定めておくということも想定しております。こうしたいろいろなバリエーションについても通知でお示ししたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御回答ありがとうございました。事前に対応を取ることに対して反論しているわけではございません。ただ、実際に対応できるのか考えたときに、やはり、夜中に悪くなったときには、その被災者の方は連絡が取れない状態になっております。宿舎におられるというのであれば、同僚の方が把握していただけるのかもしれません。しかし、独身の方などは、なかなか連絡も取れません。実際になくすという意味での施策や対応、予防も含め、検討会等で、より具体的な案がございましたら、協議、検討していただければと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 今申し上げた以上に効果的な方策があるかどうかは、現時点では思いつきませんが、少なくとも、あらかじめ対応を定めておく、具合いが悪くなったら救急車を呼ぶというようなことは現時点でもできることだと思いますので、そういった内容は通達でお示ししたいと考えております。
○髙田分科会長 出口委員、よろしいでしょうか。オンラインの方を先によろしいでしょうか。オンラインでかなりお待たせしております。宮内委員、お願いできますでしょうか。
○宮内委員 大変大事な議論かと、私も思います。それから、このタイミングで議題に上げていただいて、大変感謝しています。6月1日施行予定ということですが、余り時間がないということで議論を進めているわけです。
 この熱中症に関しては非常に多くの業種が対象になりますし、また、近年、夜間も気温が下がらないということで体調不良者が多く出ている状況で、余り時間的余裕がないという中で何かを決めていくというのは、非常に大変とは思いますが、重要なことと思っております。
 現状、熱中症予防管理者という制度ができておりますので、こういう管理者を中心にして現場の管理を更に推進することが重要と思います。そういう中で、やはり教育をしっかりとやっていくことが中心になると思います。今回のフロー図も中心にきちんと現場に体制を作ってもらうこと、そのための教育をまず徹底してもらう議論が必要と思います。労働衛生の3管理を中心に考えて、今までも対策をしてきていると思います。しかし、いわゆる設備対策や作業管理についての対策は結構時間が掛かりますし、当然お金も必要なこともありますので、7月から新たな体制をスタートしてもなかなかその年には間に合わないということもあると思います。ですから、7月までに徹底することと、1年間を通して計画的にいろいろな設備対策、教育や体制をしっかりやっていく計画に分けて行うことが必要だと感じています。
 ただ、いずれにしろ、時間との勝負というのは変ですが、早く何かをきちんと決めて、みんなでまずやってみて、翌年また必要なことを肉付けしていくというような形で進めることが非常に重要かと思っております。今後は、こういった対策の強化について、熱中症の管理者を担っている衛生管理者や安全衛生推進者の人たちに対する教育をすること、また、そういう人たちからの意見も踏まえて有効な方法を、優先順位をつけて決めていけば良いのではと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続いて、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 御指名ありがとうございます。労働側の山口です。スライド1の2ポツの現場での周知のうち、記録の保存について発言します。今後の国の対応についての2つ目の○では、「現場で周知した結果の記録の保存は求めないが、労働基準監督署の調査等に際しては説明できる必要がある」と記載されています。この記載に関して、2点質問します。1点目が、今般の熱中症対策のように、事業者に措置を義務付けられているもののうち、記録の保存までは義務付けていないものには、どのような措置があるのか。
 2点目は、事業者には適切に周知を行ったことについて、臨検時等、監督行政の調査等に際しては説明する義務が生じるものと承知していますが、労働基準監督署による事実認定はどのような形で行われるのか、併せてお伺いさせていただきます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ここで一旦切らせていただきます。宮内委員と山口委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 まず、宮内委員からの御質問等について、私から回答申し上げます。熱中症予防管理者の選任、あるいは教育の実施等について御指摘を頂きました。いずれも重要なことだと思っています。これらについては、既にクール・ワークキャンペーンの実施要領等でお示ししておりますので、引き続きその周知を図ってまいりたいと考えております。加えて、今後検討会を立ち上げて議論していく中で、御指摘いただきました3管理と教育の話もまた出てくるとは思いますので、その中で今後に向けて関係者の御意見も踏まえながら必要な検討を行い、施策に反映させることは考えたいと思っております。
○主任中央労働衛生専門官 続いて、山口委員からの御質問に回答いたします。2点あったと思います。1点目が、周知はしているけれども、その周知した事実記録を義務付けているような規定があるのか、ないのかということです。全ての情報まで、つぶさには調べていないので確実ではないかもしれませんが、周知させること、周知させたことを記録することというような規定は、ほとんどないと思います。周知させることで終わっているのが、ほとんどだと思います。今回のケースも、そのほとんどに該当するのかと。
 2点目ですが、では、その周知させたことについて監督署が現場にお邪魔した際に、どのような形で事実認定をしているのかということです。こちらは、ケース・バイ・ケースで、周知の方法が掲示であったり文書であったりメールであったりということであれば、それをどのような形でやっていたのかを確認させていただきますし、口頭であったりするような場合については、いつ口頭でやったのか、若しくは聞いた方に労働者の方なりに、そういう状況でしたかと、実際に周知されているのかを聞き取り等で確認するというような方法は、一般的にやらせていただいております。以上です。
○髙田分科会長 まず宮内委員、追加で御発言はありますか。
○宮内委員 特にありません。了解いたしました。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 続いて山口委員、いかがでしょうか。
○山口委員 御回答ありがとうございます。1点目については、既存のほかの措置を踏まえたものであると理解しました。2点目について、監督署などによる調査等が実施される際には、労働者は事業者よりも弱い立場にあり、事業者からの圧力によっては、事業者の不利になるような事実を言い出しにくい場面も想定されます。口頭による周知が行われた場合であって、仮に重症災害が発生した場合に、その責任の所在が曖昧にならないよう、記録に関して望ましい措置を示していただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○主任中央労働衛生専門官 御指摘の点は、御意見を踏まえて、通達等を作成する際の参考にさせていただきます。この資料1-1でも書かせていただいたように、確実に伝わるようにするということで、口頭でなかなか難しいものは、文書や掲示、又はメールといったものでやってくださいというお願いをすることになります。では、口頭の場合にはどのようなものがあるのかというと、例えば日頃から何かあったら職長さんに言ってくださいと。熱中症で具合が悪くなったときも職長さんに言ってくださいというようなことは、口頭でいけると思います。
 あとは、連絡先を周知する以外の方法として、具合が悪くなったらバディを組んでお互いに見ましょうと。あなたのバディはこの人ですよというように指名をされたと、それも口頭でいけると思うのです。そうしたときに、実際に現場にお邪魔して、あなたのバディは誰だったのですかと言って、圧力がかかるということはもしかしたらあるのかもしれないですが、いや、バディは分かりませんと言ったら、それは幾ら周知したといっても周知されていないので、それは問題だと思うのです。罰則を問うかどうかは別にして、そういう場合については、きちんと誰がバディなのか分かるように口頭でもいいのでしっかりやれと。もし、それでも伝わらないのであれば、別の方法も考えてくださいというようなことを、丁寧に御指導させていただくことになると思います。以上です。
○髙田分科会長 山口委員、いかがでしょうか。
○山口委員 御回答ありがとうございます。現場レベルで確実に理解がされるよう、記載ぶりを含めた検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございました。先に会場に戻らせていただいて、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側の中村です。今後の予防策の検討について、発言します。昨年度のクール・ワークキャンペーンの実施要綱の服装等の検討において、透湿性及び通気性のよい服装や、送風や送水により体を冷却する機能を持つ服やヘルメットについて、その着用を推奨する記載があります。一方で、危険を伴うため、産業によっては重厚な防護服を着用せざるを得ないような作業や、通常の空調服を使用することができない作業もあります。そのような、一般的な装具による熱中症対策が難しい作業に従事する労働者についても、対策は進めていかなければならないと考えます。安全性と快適性を兼ね備えた防護服の研究・開発に向けた支援や、通常の空調服と比較して高額である防じん、防爆仕様の空調服の導入に対する支援等についてご検討いただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○労働衛生課長 クール・ワークキャンペーン等で通気性のよい服の推奨等もしております。併せてWBGTとの兼ね合いで、服の状況によっては基準値をかさ上げして、適切な休憩をとっていただくことをお示ししております。この部分についても、併せて周知してまいりたいと考えております。
 それから、作業服自体の開発研究、あるいは空調服の導入支援ということで、御要望を頂きました。この点については、実際にその事業者が支援すべきものを国としてどこまでやっていくかというのが検討事項かと思っております。本日は、要望事項として承りたいと考えております。
○髙田分科会長 中村委員、よろしいでしょうか。そうしましたら、またオンラインに戻ります。お待たせしました。七浦委員、お願いいたします。七浦委員、聞こえていますか。
○七浦委員 七浦です。すでに幾度と皆様で議論して頂いているので、使用者側と労働者側間に全体感の認識の相違は無いと思っています。同じ方向を向いて実施される事が非常に大切と思っている対応フロー図は、色々な場合のフローが有るかと思うが、しっかりとそれぞれの場合のフロー図を確認して頂けるような方策を考えていかないといけないと感じました。その辺りも踏まえて、是非分かりやすい表示、分かりやすい表現と工夫をして頂きたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございました。七浦委員の御発言について、事務局からお願いします。
○労働衛生課長 今後お示しするリーフレット等では、分かりやすい表示、表現に留意したいと思います。
○髙田分科会長 続けて矢内委員、お願いいたします。
○矢内委員 矢内です。私からも、周知・教育に対して1点だけ意見を述べさせていただきます。この熱中症対策というのは、ほぼ広範囲、全ての業種に掛かってくる課題ではないかと思いますが、業種や働き方によっては、自社事として捉えられない、又は捉えられていないような業種、会社もあるのではないかと思います。そういった点では、常時作業ではなくてもイレギュラー対応、何か特別なイベントを突発でやるとか、何か事故対応でイレギュラー作業が発生するとか、多分常時作業ではない中にも熱中症リスクは含まれていると思います。
 それから、屋外の中でも、環境試験室やいろいろな環境があるかと思いますので、周知のときには是非具体的なケースや場面など、これからケースをいろいろ深掘りしてくださる中で、イメージという点もありましたが、具体的なケースや場面を多く出して、各社に自社事として捉えられるような周知になればいいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの件について、お願いいたします。
○労働衛生課長 イメージしやすい具体例を盛り込むことを検討したいと思います。また、それはいろいろ積み重ねがあると思いますので、年々そういった知見を集積しながら、分かりやすい例を盛り込んでいきたいと思っております。
○髙田分科会長 矢内委員、よろしいでしょうか。
○矢内委員 ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、会場に戻りまして、小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 小澤です。皆さんの議論を聞いていまして、別添①の一番下の2行を、私自身が少し軽く考えすぎていたと思っています。熱中症ではなく、一般の労働災害が起きたとき、後で自覚症状が出るということはよくあるのです。家に帰ってからとか、寝て一晩明けたら足が腫れていて、病院に行ったら骨折していたというのは、よくあるのです。自覚症状が起きてからがスタートだということで、もし後で自覚症状が出たら、すぐに病院に行けと。又は自分で行けないのであれば、同僚や上司に電話して連れて行ってもらえという指導をしているのです。熱中症を同じように考えていたのですが、皆さんの意見を聞いていて、同じように考えてはいけないと思いました。しゃべれなくなってしまう場合があると、今、思いました。ですので、改めて処置のフローを考えておかなければいけないと思いました。
 それで、持ち帰って考えるのですが、これが出て、各社、各事業所、各現場で処置のフローを考えていくと思うのですが、一夏を経験して好事例などがたくさん出てくると思うので、是非それを吸い上げてフィードバックさせていただきたいと思っています。特に、この一番下の2行です。熱中症が起きて、一旦家に帰した後に容体が急変した場合にはどうするのだという対処の好事例がもしあれば、是非フィードバックさせていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○労働衛生課長 御提案、誠にありがとうございます。我々としても、この夏で全ての対策が完璧にそろうとは思っておりません。いろいろな経験や知見を蓄積しながら、対策自体のブラッシュアップが必要だと思っておりますので、是非そういった事例等の御提供をお願いいたします。
○髙田分科会長 是非、よろしくお願いいたします。そのほか、会場から御発言はありますか。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御指名ありがとうございます。過去の分科会で、もし御説明、若しくは回答されておりましたら、申し訳ございません。熱中症予防管理者が選任されることになるのですが、選任に対する要件や、講習等を受けないといけないのか。又は、管理者がどのような働きを課せられるのか、現時点のお考えで結構なので、御回答いただけますでしょうか。
○髙田分科会長 それでは、事務局、お願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。誤解がないように初めに説明させていただきますが、熱中症予防管理者の選任を今回義務付けるということではないです。熱中症予防管理者というのは、もともとクール・ワークキャンペーンであるとか、これまでやってきた推奨ベースの取組の中で、ずっと言い続けてきた方です。熱中症予防管理者というのは、十分な知識を有する人のうちから選任してくださいと。その熱中症予防管理者が、現場における熱中症の予防であるとか、若しくは具合が悪くなったときにどうするかといったような対応、計画、正に今回義務付けるようなことなどについて、それを取り仕切っていただくという位置付けでお願いしているものです。
 今後、予防も含めて更なる対策の強化を検討する中で、この熱中症予防管理者の法令上の位置付けであるとか、若しくは求められる資格、要件、役割といったことも、必要があれば整理していきたいと思っております。
○髙田分科会長 出口委員、いかがでしょうか。
○出口委員 義務ではないという形でよろしいわけですね。承知いたしました。
○髙田分科会長 そのほか、会場で御発言はありますか。よろしいでしょうか。様々御意見が出されました。今回、省令案が施行されるのが6月で、準備期間が大変短い中でいろいろなことをやらなければいけないということで、使用者側、労働者側はかなり御心配な点があり、これだけの御意見が出ているのだと思います。
 この後、通達、それからリーフレット等を作成していただくと思いますが、委員からもいろいろと御指摘がありましたとおり、分かりやすく広く行き届くように十分に周知していただかないと、対策として十分に機能しないということが懸念されます。その点も含めて短い期間ではありますが、なるべく早く皆様のお手元に届くようにしていただければと思います。私からも、そのようにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今まで御意見は出尽くしましたので、議題(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱についての諮問となります。労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 ここまでの議題以外で何か御発言はありますか。よろしいでしょうか。本日の議題は全て終了いたしました。本日の分科会は、これで終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございました。