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令和7年度第2回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
日時
令和7年4月25日(金) 16:00~18:00
場所
厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)
(オンライン会議場)
議事
○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、令和7年度第2回「薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。
議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。前回と同様ではありますが、議事に先立ち、審議の進行方法などにつきまして事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
発言のタイミングが重なった場合には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
また、もし事務局側のインターネット接続が切れる等のトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
次に、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
厚生労働省医薬局医薬安全対策課安全使用推進室長、鶏地雅司
PMDA医薬品安全対策第一部部長、一丸勝彦
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、よろしいですか。調査会長の岡です。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事進行をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がございましたけれども、これまでの御説明に御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
現時点で6名中6名の委員に御出席いただいておりますので、薬事審議会の規定により、定足数に達しているため、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として参加いただく先生を御紹介いたします。
議題1「リオシグアトとアゾール系抗真菌剤、エンシトレルビル、ロナファルニブとの併用に関する「使用上の注意」の改訂について」の関係で、
京都薬科大学より、薬物動態学分野教授、栄田敏之先生
九州大学より、先端医療オープンイノベーションセンター准教授、細川和也先生
議題2「ドンペリドンの「使用上の注意」の改訂について」の関係で、
福島県立医科大学より、医療研究推進センター教授、小早川雅男先生
医療法人西口クリニック婦人科より、院長、野口まゆみ先生
議題3「一般用医薬品のリスク区分について」の関係で、
京都田辺中央病院より、耳鼻咽喉科センター長、出島健司先生
に御出席いただいております。
以上です。
○岡座長 それでは続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の先生方につきまして、議題1、2、3の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金、契約金などの受取状況を御報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認いただいたところ、石井委員より、ヴィアトリス製薬合同株式会社、住友ファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り、伊藤委員より、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り、柿崎委員より、旭化成ファーマ株式会社、ギリアド・サイエンシズ株式会社、協和キリン株式会社、大正製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、舟越委員より、日本新薬株式会社、サンファーマ株式会社、住友ファーマ株式会社より50万円以下のお受け取り、第一三共ヘルスケア株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、細川委員より、バイエル薬品株式会社、ヤンセンファーマ株式会社、MSD株式会社より50万円以下のお受け取り、日本新薬株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取りと御申告いただいております。
舟越委員におかれましては、議題3の審議中、御意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。
薬事審議会規程第11条においては、『委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない。』と規定されております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上です。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に対して、御意見、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関しては資料1-1から資料1-3、議題2に関しては資料2-1、資料2-2、議題3に関しては資料3-1、3-2がございます。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に資料の御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方は、そちらを御参照ください。
以上です。
○岡座長 よろしいでしょうか、お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「リオシグアトとアゾール系抗真菌剤、エンシトレルビル、ロナファルニブとの併用に関する「使用上の注意」の改訂について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題1について説明いたします。
初めに、本日お配りしている資料ですが、資料1-1は本件のあらましと本日の調査会で審議いただきたい事項をまとめたものです。資料1-2は医薬品医療機器総合機構、PMDAが取りまとめた調査結果報告書となり、資料1-3は審議対象の先発医薬品添付文書となりますが、主な内容は資料1-1に包含されますので、本日はそちらに沿って説明させていただければと存じます。
資料1-1を御覧ください。今回の審議対象は肺高血圧症治療薬のリオシグアト、抗真菌薬のイトラコナゾールとボリコナゾール、SARS-CoV-2感染症治療薬のエンシトレルビル フマル酸、早老症治療薬のロナファルニブとなり、「1.品目概要」の項に、先発医薬品の販売名、製販業者等を示しております。
2ページ下段の「2.経緯」の1つ目の○にお示ししたとおり、リオシグアトの初回審査時にイトラコナゾール、ボリコナゾール又はHIVプロテアーゼ阻害剤と薬物相互作用試験成績は得られていなかったものの、以下3点から併用禁忌とされました。
1点目としましては、リオシグアトは、主にCYP1A1、2C8、2J2、CYP3A等複数の代謝酵素により代謝され、輸送担体であるP糖タンパク及びBCRPの基質であること。
2点目としては、アゾール系真菌剤のケトコナゾールはそれらを阻害することが知られており、リオシグアトとの薬物相互作用試験において、臨床上の安全性の問題は認められなかったものの、リオシグアトの曝露量増加が認められたこと。
3点目としては、イトラコナゾール、ポリコナゾール及びHIVプロテアーゼ阻害剤がケトコナゾールと同様に複数のCYP分子種、P-gp及びBCRPを阻害することから、併用した場合にリオシグアトの曝露量増加の可能性があること。
その後、2022年9月に、承認時に設定されたリオシグアトの併用禁忌のうち、HIVプロテアーゼ阻害剤について、薬物動態学的相互作用を検討した臨床試験とin vitro試験の結果等を踏まえまして、併用注意に変更されております。
また、エンシトレルビル及びロナファルニブについては、審査時にこれらが強いCYP3A阻害作用を有することから、いずれも製造販売承認時より、他の強いCYP3A阻害剤を参考にリオシグアトが併用禁忌とされております。
今般、リオシグアトの承認取得者より、HIVプロテアーゼ阻害剤との併用禁忌を見直した際の臨床試験結果、及び新たに実施されたin vitro試験の結果等に基づき、リオシグアトは主にCYP1A1で代謝されることが判明したことから、他の強いCYP3A阻害薬を参考に設定されたエンシトレルビルとリオシグアトとの併用禁忌を併用注意に変更する旨の改訂相談が申し込まれました。PMDAではエンシトレルビルに加えて、CYP分子種の阻害作用により併用禁忌に設定されているイトラコナゾール、ボリコナゾール及びロナファルニブについても、併用禁忌の見直しの必要性を検討することとしました。
「3.調査結果」を御覧ください。
リオシグアトとイトラコナゾール又はボリコナゾールとの薬物相互作用に関するin vitro試験結果、リオシグアトの初回審査及びHIVプロテアーゼ阻害剤との併用禁忌を見直した際の臨床試験結果、有害事象、公表文献、ガイドライン並びに海外添付文書の記載状況等を調査しておりまして、その結果、以下4点の理由から、相互作用によるリオシグアトの曝露量増加に伴う低血圧等のリスク最小化がなされることを前提に、リオシグアトとこれら4成分との併用禁忌を解除することは可能と判断しております。
理由1点目としましては、in vitro試験から推定されるイトラコナゾール又はボリコナゾール併用時のリオシグアトの曝露量増加の程度は、HIVプロテアーゼ阻害剤の併用禁忌を解除した際の臨床試験で認められたリオシグアトの曝露量増加の程度と同程度であること。
2点目としましては、リオシグアトは電子添文に細やかな用量調節が規定され、低用量から開始して患者の状態に応じて用量調節可能であることから、開始及び維持用量の減量、低血圧症状及び徴候のモニタリング等のリスク最小化策を講じることで併用時の安全性の確保が可能であること。
3点目としては、リオシグアトは主にCYP1A1で代謝されることが判明したことから、イトラコナゾール又はボリコナゾールと同様、強いCYP3A阻害作用を有するエンシトレルビル又はロナファルニブでも、併用禁忌を併用注意に変更することは妥当であること。
4点目としましては、海外添付文書ではエンシトレルビルは承認されていないものの、リオシグアトとそれら薬剤は併用禁忌とされておらず、有害事象報告、公表文献等で併用に関する臨床上の懸念を示す内容が確認されなかったこと、となります。
最後に「4.対応方針」を御覧ください。
以上の調査結果を踏まえ、資料1-2、28ページ以降の改訂案にお示ししたとおり、リオシグアトの添付文書では、「アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール)」を「禁忌」及び「併用禁忌」の項から削除しまして、「併用注意」の項において、エンシトレルビル又はロナファルニブとともに注意喚起を行う、他方、アゾール系抗真菌剤であるイトラコナゾール、ボリコナゾール、そして、エンシトレルビル、ロナファルニブの添付文書では、「リオシグアト」を「禁忌」及び「併用禁忌」の項から削除し、「併用注意」の項で注意喚起を行う、最後に、併用する場合には、リオシグアトの通常の開始用量より低用量から開始又は必要に応じた減量の考慮を行うことも注意喚起してはどうかと考えております。
なお、今回、リオシグアトの相互作用の項の代謝に関与するCYP分子種の記載も更新することとしております。
説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、本日御出席いただいております栄田参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○栄田参考人 栄田です。参考人として意見を述べさせていただきます。
このPMDAにおける審査に関わった立場でお話をさせていただきます。この対応方針を決めるに当たってご理解いただきたい点があります。具体的には、承認取得者は、in vitroの試験結果に基づいて、ヒトにおける薬物相互作用の程度を推定しているのですが、ここで用いた計算式は今から20年ぐらい前に公表されたもので、理論的には正しいとされていますが、今日に至るまでの様々な検討から、最大でおおよそ2倍程度の誤差は起こるだろうと言われている点です。併用禁忌から併用注意に変更するのであれば、本来は臨床薬理試験が必要と考えますが、この提案が、間接的な推定をもって、また誤差があり得る方法でなされているという点です。
ただ、それでも、この対応方針で構わないと判断させていただいた理由は、リオシグアトの特徴にあります。先ほど御説明がございましたように、リスク最小化策、具体的には添付文書等でかなり事細かく用量の増減の基準等が記載されておりますので、そういうことがなされることが前提であれば、この対応方針で構わないと判断させていただいたということであります。
蛇足ながら、もし維持用量が1つだけで決められているような場合であれば、in vitroの試験結果から、ヒトでの試験を行わずに、併用注意への変更を行うというのは、不適切というのが個人的な意見です。あしき前例にしないためにも、今回のケースはリオシグアトだからということとお考えいただければ幸いです。
なお、エンシトレルビルとロナファルニブについては、リオシグアトの主な代謝酵素がCYP3AではなくてCYP1A1であるということが後で分かったというちょっと理解しがたい経緯があるのですが、であれば、これらを併用禁忌にしておく合理的な理由がかなり減ったのではないか、という論議でした。一方で、CYP1A1を介した相互作用が起こり得るということは確かです。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。続けて、細川参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○細川参考人 細川でございます。私は九州大学で、循環器内科医として勤務しており肺高血圧症の診療を主に行っております。循環器内科の肺高血圧症専門医の立場から参考人として御意見を述べさせていただきます。
まず、リオシグアトにつきまして、リオシグアトの使用経験は豊富にございます。リオシグアトの適応症は、肺動脈性肺高血圧症という患者さんと慢性血栓塞栓性肺高血圧症でございまして、いずれも肺高血圧症つまり肺の血圧が高くなる疾患でございます。肺動脈に内皮細胞や肺動脈中膜肥厚による血管内腔の狭窄あったり、血栓が詰まる、そういった機序で発生する疾患であって、息切れから心不全、重症では失神であったり突然死を起こす疾患です。このような疾患に対して適応があるのがリオシグアトです。
特に肺動脈性肺高血圧症は希少疾患かつ薬物治療が治療の中心となる疾患ですが、薬の選択肢も限られています。3系統11種類の薬剤があり、その中の一つがリオシグアトです。これらの薬剤に併用禁忌が多いと、選択肢が少ない中さらに選択肢が限定されるということになります。もちろん安全性の担保が前提ですが、臨床医としては併用禁忌が併用注意に変更されれば治療の選択肢が広がり、治療の可能性が広がることになります。
2022年にHIVプロテアーゼ阻害薬が併用禁忌から併用注意になったということは、HIVから肺動脈性肺高血圧症が起こるも発症機序もありますので、この検討は臨床現場、患者様にとって無視できない有意義な変更だったと思っております。今回は、エンシトレルビル、ロナファルニブとアゾール系の抗真菌薬における併用禁忌の解除を検討するということですので、特にアゾール系の抗真菌薬、コロナウイルス感染症の治療薬エンシトレルビルが併用禁忌から併用注意に変更すれば、真菌症やコロナウイルス感染症は比較的一般的に罹患する頻度も高いですし、肺動脈性肺高血圧症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者さんは肺のさん機能が低下していますので、これらの患者さんにとって福音になると思っております。
今回の変更に関する検討材料については、先ほど栄田参考人からおっしゃられましたように、臨床試験はなく、シミュレーションを行った上でin vitroで推定をしているということでございます。Cmax、AUCは最大で2倍程度上昇する可能性があって、先ほどの栄田参考人の御意見では誤差がさらに2倍、4倍ぐらいまで上がる可能性があもります。その点で特に注意すべき副作用は低血圧でございます。リオシグアトは肺血管を拡張する薬剤ですけれども、体血管も開いてしまって血圧が下がる副作用で、ふらつき、低血圧症状が出ることは非常によく経験いたします。
リオシグアトの添付文書を見ていただきますと分かりますように、収縮期血圧が95以下では増量しない、症状を伴う低血圧がある場合には減量すると、血圧に即した用量調整が定められており、もともと副作用に対するリスク最小化対策が細かく記載されております。さらに今回エンシトレルビル、ロナファルニブ、アゾール系抗真菌薬が併用注意となる場合、これらの併用では初期投与量が1日3㎎から1.5㎎に減量することになります。血中濃度が上昇する可能性があるなかでで、初期投与量を半分にするリスク最小化対策をセットで行うということでございますので、私としては、使用経験を踏まえて、血中濃度の上昇割合の推定とリスク最小化対策から、十分対応可能なのではないかと考えております。
以上でございます。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして委員の皆様から御意見、御質問いただきたいと思います。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。参考人の先生方から補足の説明をしていただきまして理解はしたのですけれども、イトラコナゾールとボリコナゾールにつきましてはin vitroの試験も実施されていて、それをもとに、ちょっと予測の方法に誤差はある可能性があるけれども、一応大きな影響はないだろうということで理解したのですが、エンシトレルビルとロナファルニブにつきましては、CYP3A4の強い阻害薬だから、このリオシグアトが1A1がメインと分かったので禁忌を外していいのではないかという、それだけの議論に聞こえたのですけれども、エンシトレルビルとロナファルニブがCYP1A1を阻害しないことについては確認されているということでよろしいでしょうかというのが1つと、同様に、今回、栄田先生もおっしゃいましたように、CYP1A1がメインだったということが後から分かったということで、今までCYP3A4がメインと思っていたので、そういった相互作用、禁忌とか併用注意が設定されていたところ、1A1がメインだとなりますと、今度は1A1の阻害薬とか誘導薬とかいうものを併用注意に加えたり、あるいは併用禁忌に加えたり、あるいは喫煙によって1A1が誘導されると思いますので、その辺りを併用注意に加えたりとか、そういったことも検討が必要かと思ったのですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。そうしましたら、どうしましょう。事務局、あるいは栄田先生。では、まず事務局、お願いできますか。
○事務局 はい。先生の2点目の質問から、まず併用禁忌解除に伴って、CYP1A1の阻害薬を、注意喚起を変えなくていいのか、あとはCYP1A1の誘導剤も注意喚起を変えなくていいのかという御質問だと理解しました。その辺り、今現状、CYP1A1の阻害剤、エルロチニブとゲフィチニブに関しては添付文書に記載、併用注意に記載しておりまして、それを併用した場合のリオシグアトの曝露量増加自体は、初回審査時のケトコナゾールとの相互作用試験や、市販後に、先ほど言ったHIVプロテアーゼ阻害剤との相互作用を検討した臨床試験で認められたリオシグアトの曝露量増加と比べまして大きく上回る可能性は高くないと考えておりまして、その理由2点としましては、まず1点目は、in vitro試験でのケトコナゾール又はアバカビルのCYP1A1及びCYP3Aに対する阻害剤に関連する測定値やパラメータ、IC50等に基づくと、生体内でケトコナゾールはCYP1A1及びCYP3Aを、アバカビルはCYP1A1を強く阻害していると考えられること。
2点目は、複数のCYP分子を阻害するケトコナゾール又は抗HIV薬とリオシグアトの併用時のリオシグアト曝露量増大は最大でも2.8倍にとどまっていること、この2つが理由と考えられ、現状、併用注意のままで妥当と考えております。
一方で、CYP1A1の誘導につきましては、現状、たばこの煙中に含まれる多環芳香族炭化水素等の影響が知られているために、特定の背景を有する患者に関する注意の項において、喫煙者の注意を記載しております。CYP1A1の誘導作用を有する医薬品につきましては、PMDAの添付文書検索の相互作用の項の添付文書検索、FDAの阻害剤・誘導剤の検索ページ、国内相互作用ガイドライン、ICH M12ガイドライン等で具体的な品目の事例がなく、リオシグアトの海外添付文書にも記載がないことから、注意喚起不要ではないかと考えております。
○安全対策第一部 PMDAのほうから回答させていただきます。
先生御指摘のとおり、エンシトレルビル、ロナファルニブに関しては、CYP1A1の阻害作用については検討されておりません。ですが、仮にロナファルニブだとかエンシトレルビルがCYP1A1を阻害する作用を有すると考えた場合でも、機構としては、曝露量の増加の程度はケトコナゾールだとかアバカビルを大きく超えるものではないと考えております。
その理由といたしましては、各種のin vitroの試験より、ケトコナゾールだとかアバカビル、先ほどもお話がありましたが、CYP1A1だとかCYP3Aを生体内でも強く阻害していると考えられております。そのケトコナゾールやアバカビルを使った臨床薬物動態学試験でも、曝露量がそれぞれ約2.8倍程度におさまっているので、仮にロナファルニブだとかエンシトレルビルがCYP1A1の阻害作用を有していても、そのくらいの曝露量の増加の程度が予測されるため、併用注意が妥当だと考えているところでございます。
以上になります。
○岡座長 伊藤先生、いかがでしょう。あるいは栄田先生、何か追加の御発言がございましたら、よろしくお願いします。
○栄田参考人 栄田です。
ただいまの御説明のとおりで、重複した部分は避けます。間接的にこの曝露量の増加がそれほど大きくないということを推定しているということです。総合的に判断して、2倍程度までということですので、併用注意として注意喚起をしていればいい、そういう判断であります。
以上です
○岡座長 伊藤先生、いかがでしょうか。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。先ほどのPMDAの方の御説明の中で、ちょっと聞き損なったかもしれないのですけれども、エンシトレルビルとロナファルニブに関しまして、CYP1A1がメインの基質に対する相互作用が検討されて、それが2.8倍程度だったということでよろしかったでしょうか。すみません。ちょっと理解ができなかったのですけれども。
○安全対策第一部 すみません。ロナファルニブとエンシトレルビルに関しては、CYP1A1の阻害作用についてのデータはありません。あるのは、ケトコナゾールだとかアバカビルといったCYP3AだとかCYP1A1を強くする阻害剤がリオシグアトの曝露量をどれぐらい上げるかというようなデータが臨床試験であって、それが3倍ぐらいなので、ロナファルニブだとかエンシトレルビルが阻害したとしてもその程度だろうという判断でございます。
○伊藤委員 違う薬物なので、その程度だろうというところが、すみません、ちょっとどういうことかなと。
○安全対策第一部 ケトコナゾールだとかアバカビルが阻害しているのがほぼ100%の阻害がかかっていても、臨床試験で認められている曝露量の上昇が2倍とかその程度だというところでございます。
○伊藤委員 ケトコナゾールとかアバカビルに関しては、臨床用量というか、臨床試験の用量で1A1を完全に阻害しているという、そういう理解でよろしいですか。
○安全対策第一部 先生の御理解のとおりでございます。
○伊藤委員 そうしますと、基質は、今、リオシグアトの代謝における1A1の寄与率というのが、かなり幅があるように推定されているようで、最大で0.65ということですかね、この資料を拝見しますと。かなりの寄与でもそこは、先ほど、2.8倍を超えることはないという推定でしょうか。
○安全対策第一部 はい。それも含めての推定でございます。
○伊藤委員 その2.8倍というのは、1A1がメインの基質に対する。
○安全対策第一部 リオシグアトのAUCRの話でございます。基質としてはリオシグアトでございます。
○伊藤委員 推定ということですよね。
○安全対策第一部 はい。
○伊藤委員 実際、1A1に対する阻害の程度を推定できる資料が必要ではないかなとちょっと思ったのですけれども。
○安全対策第一部 そこはケトコナゾールとアバカビルの阻害の程度からの推定になります。
○医薬安全対策課長 恐れ入ります。厚生労働省でございます。
今の先生の御指摘は、ロナファルニブとエンシトレルビルについて、CYP1A1の阻害の程度が分からない中で、比較的強い1A1の阻害剤のデータから推計をすることが適切かどうかという御指摘だと理解いたしました。恐らくこれ、ちょっと企業のほうと相談いたしまして、vitroで1A1の阻害の程度というのは調べられると思いますので、この2剤について、その辺りの確認が可能かどうか、こちらのほうで検討させていただければと思います。
○伊藤委員 ありがとうございます。そういうデータがあると非常に安心かなと思います。
○岡座長 そのほかいかがでしょうか。
よろしいですか。
そうしましたら、議決を取りたいと思いますけれども、今、事務局のほうから御提案があったのは、エンシトレルビルとロナファルニブに関しての使用上の注意の改訂については、in vitroのデータをもって、それが可能であればそれをもって改めて判断するということでよろしいですか、事務局のほうは。
○事務局 事務局でございます。
その理解で間違いございません。今、企業に依頼して、実施を検討するエンシトレルビルとロナファルニブの2剤につきましては今回の併用禁忌の解除の対象とせず、リオシグアトとアゾール系抗真菌剤は今回改訂するという方向で御審議いただければと思います。
○岡座長 分かりました。ほかの委員の先生方、特に御意見ないので、よろしいですかね。
そうしましたら、今の御議論を踏まえて、今回はリオシグアトとアゾール系の抗真菌剤の使用上の注意の改訂ということで議決を取りたいと思います。リオシグアトとアゾール系の抗真菌剤の使用上の注意の改訂ということで、承認いただけますでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 皆さん首肯していただいていると思います。確認できましたので、そうしましたら、リオシグアトとアゾール系の抗真菌剤の使用上の注意の改訂ということで、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。リオシグアト及びアゾール系抗真菌剤2剤、イトラコナゾール、ボリコナゾールに関しては、製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意の改訂をするよう指示いたします。他方、エンシトレルビル、ロナファルニブに関してはin vitroでの薬物相互作用試験の実施を依頼いたします。
また、本調査会での議論につきましては安全対策部会にも報告いたします。
事務局から以上です。
○岡座長 それでは、本議題、終了したいと思います。栄田参考人、細川参考人におかれましては、貴重な御意見いただきありがとうございました。これ以降、特に御意見を求める予定はございませんので、途中御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
それでは続きまして、議題2「ドンペリドンの「使用上の注意」の改訂について」の審議を行いたいと思います。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 議題2について説明いたします。
初めに、本日お配りしている資料ですが、資料2-1は本件のあらましと審議いただきたい事項をまとめたものとなります。資料2-2はPMDAがまとめた調査結果報告書となり、その中、別添2として国立成育医療研究センターのワーキンググループ(WG)の報告書が付されております。主な内容は資料2-1に包含されますので、本日はそちらに沿って説明させていただければと存じます。
資料2-1を御覧ください。ドンペリドンは慢性胃炎、胃下垂症等の疾患及び薬剤投与時の悪心・嘔吐を含む消化器症状に適応を有しており、「1.品目概要」の項に、先発医薬品の販売名、製販業者、各剤型の効能・効果をお示ししております。
「2.経緯」の項にお示ししたとおり、国立成育医療研究センターでは、厚労省の委託事業としてWGを設置し、「妊娠と薬情報センター」における相談事業により収集した情報等を踏まえ、妊産婦等への医薬品の投与に関する情報の電子添文への反映を検討しております。
ドンペリドン、以下、「本薬」と呼ばせていただきますが、その開発時に実施されたラット胎児の器官形成期投与試験において、ヒトでの臨床用量の約65倍の用量でラット胎児に内臓・骨格異常等の催奇形性が認められたことから、先発医薬品の製造販売承認時より「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」が禁忌に設定されております。
今般、日本産科婦人科学会、日本神経学会から、WGに対して妊婦禁忌の解除を希望する要望書が提出された本薬について、妊婦禁忌の適正性が検討され、その結果、妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与に関しては、「禁忌」の項から削除し、「妊婦」の項において治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨の注意喚起を記載することが適切であるとの報告書が取りまとめられました。
なお、このWG報告書では、本薬の臨床上の問題として、妊娠悪阻の症状が本薬の適応症である消化器症状に類似していることから、妊娠に気づかずに本薬を処方される事例が一定数存在し、本薬が妊婦禁忌であることを知った女性が不安を抱え、人工妊娠中絶を選択する可能性があることが指摘されております。
WG報告書を受け、PMDAにおいても調査が行われ、資料2-2のとおり、調査結果報告書が取りまとめられました。
「3.WG報告書を踏まえた機構の調査結果」を御覧ください。
非臨床試験に関する情報は承認時のラット胎児の器官形成期投与試験のみで、最大推奨用量の65倍に相当する用量で催奇形性が認められたものの、最大推奨用量の23倍に相当する用量では、催奇形作用は認められませんでした。
なお、参考として「医薬品の生殖発生毒性評価に係るガイドライン」では最大推奨臨床用量における曝露量の25倍を超える曝露量でのみ生じる影響は臨床使用においてその懸念は小さいとされております。他方、臨床使用に関する情報として、妊娠第1三半期における本薬の曝露の影響を評価した疫学研究を確認したところ、先天異常のリスク増加を示唆する結果は得られておりません。そして、産婦人科診療ガイドラインでは「妊娠初期のみ使用された場合、臨床的に有意な胎児への影響はないと判断してよい医薬品」の一覧に本薬が記載されております。また、海外添付文書では、妊婦禁忌ではなく、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に投与すべきとされております。
「4.対応方針」を御覧ください。以上の調査結果を踏まえ、資料2-2の別添4の改訂案にお示ししたとおり、電子添文の「禁忌」の項から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を削除し、海外添付文書の記載状況を踏まえて、「妊婦」の項に「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」を記載すること、さらに、現行記載の非臨床試験で催奇形性が認められた投与量について、曝露量との相関は明らかではないものの、高用量での結果であることが使用者に伝わるよう、ヒトでの臨床用量に対する動物試験での投与量比を記載し情報提供を行うこととしてはどうかと考えております。
説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。それではまず、小早川参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○小早川参考人 福島県立医大の小早川です。
私は消化器内科なのですけれども、このお薬は、消化器症状、吐き気に対してメトクロプラミドと並んで最もよく使われているお薬の一つでないかと思います。消化器内科のみならず、あらゆる診療科の先生が一度は使ったことがあるような薬ではないかなあと思います。
消化器症状が出た場合に、吐き気として患者さんが訴える場合が結構多いわけですけれども、慢性胃炎とかそういったものだけではなくて、例えば、いわゆる急性の胃腸炎みたいな形で吐き気があるというふうに患者さんが訴えた場合、このようなお薬、このドンペリドンを出すということはやはり可能性としてはかなりの頻度であるのではないかなと思っております。
もちろん我々としても、最初に妊娠しているかどうかということを聞くというのは医師としての基本ではあるとは思うのですけれども、なかなか忙しい臨床の中で、急性胃腸炎と判断して出してしまうという可能性も十分にあるのではないかと思います。
そういった中で、このお薬が海外では特に禁忌とされていないということを考えますと、誤って投与したときに、その後の妊婦さんの不安とかそういったことを考えますと、本剤が禁忌から外れているほうが医師側も患者側も非常に安心できるのではないかなあと考えます。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、続きまして野口参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○野口参考人 西口クリニック婦人科の野口と申します。私、婦人科だけで、出産は今のところ扱ってはおりませんが、クリニックとして診療しております。
PMDAの会議にも参加させていただきました。実はこのお薬、先ほど小早川先生からのお話もありましたように、非常によく使っております。ただ、妊娠しているかどうか分からないときに使ってしまうという可能性はなくはないのですけれども、我々は専門家としてはかなり注意をしているので少ないと思うのです。けれども、そうでなくて使われてしまうということが多分多いのだと、私、ここの今回の検討で分かりました。
実際、削除になった理由を見ますと、生殖発生毒性試験で最大推奨臨床使用量の65倍という超高濃度の投与量での奇形の報告が1つだけあるということで禁忌になったということでございますので、ちょっとそれは臨床的に考えにくいと考えます。そしてまた、実際、妊娠と薬情報センターに相談があった中で非常にたくさんの例があるのだということも再認識いたしましたけれども、流産云々というところで言いますと、自然流産というのは、12週未満で15%というのは我々産婦人科医では周知の事実でして、決して、ドンペリドンを飲んだからどうのこうのということではないということは本当に確かなことではないかと思います。
一方で、その禁忌の記載があるがゆえに、飲んだ後に、妊娠しているということが分かって、妊娠継続への不安を持っているという方がたくさんいらっしゃるということも知りまして、そういった理由で、妊娠継続に不安を持って中絶云々ということを、するしないは別としても、そういった不安を持つということは非常に残念なことだなと私は思いました。
これは十分に、禁忌を外して、注意事項を付した上で、飲んでしまった場合にも仕方がないという感じで禁忌を外すことには私は非常に賛成でございます。実際、妊娠悪阻に使うということは多分ないと思うのですよね。我々産婦人科医の立場としては余り使われることはないのではないか。だから、あくまでも、妊娠しているかどうか分からない時点で使ってしまったということで考えると、そういうことで、禁忌を外してよろしいのではないかと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等ございますでしょうか。
舟越委員、お願いします。
○舟越委員 舟越です。聞こえていますでしょうか。
○岡座長 はい、大丈夫です。
○舟越委員 改訂案について事務局に質問です。資料2-1に、これまで参考人の先生方がおっしゃってきたように、添付文書の改訂については治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとあります。今回の改訂案について、ちょっとリスクのほうだけがそのまま載っかっていて、例えば今回、添付文書の記載要領が市販後の調査のデータベース研究とかのものを載せるようになっていると思うのですけれども、資料2-2の35ページ目に、ドンペリドンに対する先天異常についての疫学研究として、日本の健康保険請求データベースを用いた研究のことも掲載されていました。
こういったものを実際に特定の背景を有する患者の部分について、医療情報データベースを利用した調査について、臨床現場に有益な結果を記載することということで文書の記載要領も変わっていると思います。今回そういったものは載せる検討とかはPMDAとされたのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
疫学研究に関しましては、現時点の改訂案に載せるという結論までは至っていないところです。どういった情報を載せるかというところの基準の問題もありますので、その辺りは引き続き検討して、適切な論文があれば情報提供として掲載するのもありだとは考えているところですが、現時点では記載はしないでおこうと考えております。
○舟越委員 ありがとうございます。添付文書、実際に不安を抱えた方が、医師も含めてですけれども、見たときに、リスクの方しか載っていないので、問題ないよという方もある程度載っていると、そういった患者さん等の質疑応答に対して適切な説明ができて、安心してその後も生活していただけるのかなと思いましたので発言させていただきました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。石黒委員、お願いいたします。
○石黒委員 今、疫学研究のお話がありましたので、私のほうでも少し論文を見た感覚をお話しさせていただこうかなと思います。
今、確かにこういうデータベース研究のエビデンスを添付文書に載せていく方針で動いて、方向性としてはすごく推奨されているということは理解しているのですけれども、リスクがある場合はそれの根拠になった論文を載せているイメージです。今回の場合ですとリスクがないと証明されているわけではなくて、リスクの違いが確認されていないという状態なので、この疫学研究で、リスクが全くないと勘違いを生んでしまう可能性もあるのかなというのは少し思っているところです。リスクがないことを完全に証明するというのはなかなか難しい研究になるとは思うのですけれども。現状の添付文書改訂案の記載で、確かにリスクのことしか書いていないというのは私も気にはなったのですが、リスクがないともはっきり言えないと思いましたので、現状の記載の温度感というのは受入れ可能なのかなと思ったところでございます。
○岡座長 ありがとうございます。何か事務局のほうからございますか。追加で。特にないですか、大丈夫ですか。
○事務局 特にございません。
○岡座長 分かりました。舟越委員、そうしたらどうしましょう。今、石黒委員のほうからは、データベースの添付文書に載せることについてはちょっと慎重な御意見もいただいたので、一応検討はいただくということでよろしいですか。
○舟越委員 もちろんです。載せられないだろうなとは思っていますけれども、臨床現場においては、あの記載ぶりだけですと、これまでの報告の中では、例えば先天異常とかの報告とかはほとんどない報告もありますよとか、いろんな患者さんとのリスクコミュニケーションする中で、一つの情報だけでなくて、実際に不安をあおるだけでなくて、安心させることも医師や薬剤師のほうは必要だなと思って、そういった情報源が添付文書を見ただけの部分では分からないので、その後いろいろ調べるだろうなと。質問があったときにと思ったので、少しでもそういうものが何かで載っているといいなと思ったところでございます。
○岡座長 ありがとうございます。
○事務局 すみません。事務局です。
リスクコミュニケーションの観点では、添付文書の改訂、添付文書には今回の改訂文案しか載らないのですけれども、もちろん、各製販には使用上の注意の改訂のお知らせをしていただく中で、適切に医療従事者には情報提供いただけるものと思っています。
一方で、厚生労働省でも、当課から発刊している医薬品・医療機器等安全性情報のほうでも、本件を記事として取り上げて、今回の改訂の趣旨が伝わるよう情報発信はしていく予定です。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。そのほか何か、委員の先生方から御意見ございますか。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、ただいまいただいた御意見では、妊婦さんたちへの安心できる面での情報提供に関しては工夫していただくということで、添付文書については、事務局の御提案どおり、ドンペリドンの使用上の注意を改訂することということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 皆様首肯していただいていることが確認できましたので、それでは、事務局の提案どおりのドンペリドンの使用上の注意の改訂ということを承認していただいたということで進めさせていただきたいと思います。
それでは、今後の進め方について御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございます。ドンペリドンの製造販売業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意の改訂をするよう指示いたします。
また、本調査会での議論につきましては安全対策部会に報告いたします。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
小早川参考人、野口参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。これ以降、御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
続きまして、議題3「一般用医薬品のリスク区分について」の審議を行いたいと思います。事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題3の御説明を始めさせていただきます。
まず、資料3-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第1類医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品としてのリスク区分の検討をお願いするものです。
まず、一般用医薬品のリスク区分の評価の流れについて御説明いたします。資料3-1、7ページの「スイッチOTC薬に係る要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れ」を御覧ください。
本剤、ナシビンメディは2021年9月13日に販売開始され、その後、製造販売後調査を3年実施し、昨年8月28日に安全対策調査会にてリスク評価が行われ、現在、第1類医薬品として販売されています。本日は図の2.リスク区分に関して御審議いただくものです。
続いて、一般用医薬品のリスク区分を説明させていただきます。資料3-1、6ページ「一般用医薬品のリスク区分」を御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、又は、新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務がございます。
第2類医薬品につきましては、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。また、第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされており、販売や情報提供については第2類医薬品と同一ですが、薬局開設者等は、情報提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置を取ることとされております。
第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供の義務がないものとなっております。
続いて、今回御審議いただくオキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩について御説明いたします。資料3-2を御覧ください。販売名は「ナシビンメディ」です。効能・効果は「鼻づまりのある急性鼻炎又はアレルギー性鼻炎による次の諸症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ」とされています。
同じページ下の製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配布し、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数は1,011症例で、副作用が10例13件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、副鼻腔痛、鼻痛の各1件が報告されました。
続いて、使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告はございません。また、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、報告書のデータロック後に報告された副作用はございません。
2ページ目を御覧ください。本剤と類似の効能・効果を持つ医薬品は、現在、第2類医薬品として販売されております。
3ページ目を御覧ください。これまで御説明した副作用発現状況をまとめたものとなっております。こちらについて、一般用同一成分、医療用同一成分として記載しております薬剤は、オキシメタゾリン塩酸塩の単剤であることに御注意いただければと思います。また、医療用医薬品として販売しておりました「ナシビン点鼻・点眼液」は現在販売を中止しております。副作用の発現割合は、本剤は1%であり、一般用医薬品のオキシメタゾリン製剤の0.6%、医療用医薬品のオキシメタゾリン製剤の5.1%と比較して、特段高いわけではございませんでした。また、その内訳を見ましても、副作用の出方は同様で、特に注意が必要な副作用は認められません。
続いて、4ページ以降に、製造販売業者が作成した「調査結果に関する見解と今後の安全対策」についてお示ししております。1点目として、「副作用状況に関する見解」をお示ししており、副作用の発現状況については、重篤なものはなく、承認時までの調査と比較しても特に副作用報告頻度が高いという傾向は見られないことが報告されております。
また、2点目として「適正使用状況に関する見解」をお示ししております。本剤の効能・効果の範囲内で使用された症例は953例で、94.3%の患者様で適正に使用がされておりました。5ページ目下段に移り、「してはいけないこと」について、「1.次の人は使用しないでください」に該当する症例は認められませんでした。また、「2.本剤を使用している間は、他の鼻炎用点鼻薬を使用しないでください」に該当する症例は2例(0.2%)でございました。一部の症例で、必ずしも適正使用とは言えない事例が認められましたが、こちらの事例について認められた副作用は全て添付文書の使用上の注意から予測可能な事象であり、調査全体の発現状況と比べ、特に注目すべき副作用は認められませんでした。
3点目として「今後の安全対策について」をお示ししております。以上の結果から、現時点で副作用の発現については、「使用上の注意」の改訂等を含む特段の安全確保措置は不要と考えます。また、本調査において「効能」「用法・用量」等から逸脱した使用が認められたアンケートを回収したモニター店に対しては、逸脱した内容を収集するとともに、適正使用に関して情報提供資材を用いた説明の実施を徹底してもらうことを再度依頼したと報告されております。
以降、7~18ページにつきましては製造販売後調査報告書、19、20ページは添付文書、21、22ページは適正使用のためのチェックシート、23ページ目以降は説明資材を添付しています。
最後に、2ページ目に戻りまして、リスク区分につきましては、副作用発現頻度も特段高くないこと、また、同種同効薬も第2類医薬品に指定されていることから、本剤を第2類医薬品に指定はどうかと考えております。
事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございました。そうしましたら、出島参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○出島参考人 京都田辺中央病院の出島でございます。
本剤は、製造販売後調査の結果から見まして、事務局の御説明もありましたように、類薬が第2類医薬品として発売されていることも加味して、第2類医薬品への移行が適当ではないかと考えております。
ただし、今回の調査結果において、使用期間につきまして、本剤は1週間を超えて使用しないという薬剤でございますが、その辺りは、10%弱で1週間を超えて使用された症例があったと。これが非常に手に入りやすくなっていきますと、1か月、2か月、3か月と連用されることによって薬剤性肥厚性鼻炎、手術療法でないと改善しないような副作用も実際には実臨床において見受けられ、手術に至るというケースもあるわけです。
したがいまして、適正な使用期間についての情報提供はかなり重要でありまして、それが不要であるという第3類医薬品は全く考えられません。結論を最初に申し上げましたとおり、第2類医薬品、類薬も同じカテゴリーですし、販売後調査の内容から見ても、そこが妥当でないかということで意見したいと思いますが、適正な使用期間についての説明の努力、用語的な努力についてはしっかりとしていただきたいなあと考えております。
以上であります。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、本件につきまして御意見、御質問などございますでしょうか。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。今の参考人の先生の御説明にもあったのですけれども、使用期間につきまして、連続して1週間超えて使用しないこと、使用中止したら2週間以上あけることという注意書きがあって、その調査の結果の中で、毎日ではなく、症状が出るたびに使用し、使用していなかった期間も含めて使用期間を記載したため1週間を超えてしまったというのが44例あったということですけれども、この使用上の注意を見ますと、この使い方であればオーケーということなのでしょうか。毎日でなければ、1週間を超えてもいいという理解なのでしょうか。
○事務局 伊藤先生、御質問いただき、ありがとうございます。この44例につきまして企業に確認いたしましたところ、当該症例は連続して1週間以上使用しているものではないのですけれども、使用中止してから2週間以上あけていなかったという点で不適正使用に当たるものと企業には確認しております。
○伊藤委員 ありがとうございます。そうかなともちょっと思ったのですけれども、そうしますと、この説明書きといいますか、例えば症状に応じて1日おきぐらいであれ、何かずっと使っていいというふうに判断されてしまう可能性もあるかなとちょっと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○出島参考人 参考人の立場ですが、よろしいでしょうか。
○岡座長 出島参考人、お願いいたします。
○出島参考人 鼻が詰まる鼻炎、あるいはアレルギー性鼻炎という病態から考えて、使ったり使わなかったりということは確かに起こり得ることではありますけれども、基本的には、詰まり続けるものですから、差し続けるケースが多いかと思います。1日おきに使うような使い方というのは実臨床では余りこの手のお薬ではお見受けしないことが多いですけれども、伊藤先生のおっしゃることは誠にそのとおりで、そういう使い方の解釈を使用する患者さんがしてしまうというのは、確かに私も問題があるのではないかなと思います。やはりそれも含めて、この使用の仕方の情報提供についてはいま一度しっかり、努力義務ではあっても十分にしていただくということをつけて、第2類医薬品への移行ということを業者に告げるべきではないかと考えます。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。伊藤委員、よろしいでしょうか。
○伊藤委員 今の説明書きのままですと、薬剤師が説明するにしても、何か連続しなければいいというふうに解釈してしまって、ある意味、今のお話ですと間違った指導をしてしまうような気もするのですけれども。
○事務局 すみません。事務局です。
適正使用の資材、幾つかございますけれども、その中でも、使用中止して再び使用する場合は本剤を使用しない期間を2週間以上あけてくださいというところで、途中で一回やめても、それは2週間あけてくださいというところは資材の中でお伝えしているところではございますので、出島先生等からも御意見いただいておりますけれども、そういった面も含めて、適正使用についてはしっかりやるというところを製造販売業者には伝えていきたいと思っております。
○伊藤委員 その中止という判断が、例えば時々使っているのをしばらく中止すればという、何か完全に中止したつもりではないかもしれないというのですかね、時々使っているみたいな、そういうことは余りあり得ないということを先ほど参考人の先生に教えていただきましたけれども、何となく、この調査の回答も症状に応じて使っていたという表現がありましたので、そういう患者さんがいると間違った使い方をしてしまうかなとちょっと思ったのですけれども、この注意書きの書き方を少し厳密にとかいうことは考えられないでしょうか。
○事務局 御指摘の注意書きというのはどちらになるでしょうか。
○岡座長 伊藤委員がおっしゃっているのは、この用法・用量の記載で、28ページ目のところ辺りになりますでしょうか。
○伊藤委員 そうですね。そこにも記載があります。
○岡座長 患者さんが見るところとしては。最後に用法・用量のQ&Aのところではかなり明確に、3日だけ使用しても、やはり2週間あけてくださいみたいな書き方はされているようですけれども、事務局のほう、何かございますか。
○医薬安全対策課長 幾つかの資材がございます。これは外箱になるかと思いますけれども、21/32などを御覧いただければ、きちんとお使いいただくようにということで記載がございますので、こういうものも含めて、2類ということで、先ほど出島先生からもお話がございましたように、一定の注意喚起をしながら使っていただくということになりますし、こういったことを守らないといけないということも様々な資材を含めて記載をしております。
さらに、最後のページだと思いますけれども、今、御指摘のような形で、必ずしも完全に使い切るということではなくて、32/32、Q2の辺り、3日だけ使用して、再度使っていいですかというような、まさに今御指摘のようなものもQ&Aなどで用意もさせていただいておりますので、まずは現状の注意喚起という形でさせていただければと思っております。
なお、一般的な市販後調査の副作用、特段の調査ではございませんけれども、もちろん副作用などがございましたら、薬局あるいは医療関係者からも、副作用の報告、あるいは企業からもそういうものがございますので、引き続き通常の監視は行っていきながら、必要があればまた対応を検討させていただければと思います。
○伊藤委員 ありがとうございます。承知いたしました。
○岡座長 柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生の御意見を拝聴して、事務局案の2類への移行に関しては特に異論はないのですけれども、類薬と比べて用法・用量の書き方がすこし違って、中止の基準や期間の設定がありますけれども、何か理由があるのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがですか。
○事務局 今回の用法・用量でございますけれども、今回の対象製品に配合されているものと同一成分でございますオキシメタゾリン塩酸塩製剤の用法・用量をもとに、今回の記載ぶりについては設定されているところでございます。こちらの審査の中でも本剤のような血管収縮剤の点鼻剤におきましては、長期使用による鼻粘膜への肥厚ですとか、薬剤性鼻炎の懸念が指摘されていますので、そういった服薬期間のようなものを設定すべしというような意見があったことも踏まえまして、現在のような注意書きにさせていただいております。
○柿崎委員 既に2類に分類されている類薬には同じような懸念はないのですか。長期連用による懸念はないのでしょうか。
○出島参考人 出島ですけれども。
○岡座長 出島参考人、お願いいたします。
○出島参考人 柿崎先生、それは当然、既に発売されている類薬も懸念はあって、実際にそういった薬剤で、2類が手に入りやすくなり、どんどん1年2年と使用してしまったがゆえに、私どものほうで手術するというケースは実際にあるわけですね。このお薬はそういう副作用を持っているということは十分分かっている、過去の経験からも知られている状況で、したがって、我々医療サイド、耳鼻咽喉科サイドとしては、そういったことにならないように適正使用を厳密にお願いしたいということで、こういった文言をつけていただいたりしてきたわけです。
以前について、もちろん同じ私がその分類の参考にと述べたわけではないので、どういう理由でこういう用法・用量になったかについては詳しいことは分かりませんけれども、多分、製剤がつくられたときのそのときそのとき、大分昔のことになると思いますけれども、そういった使い方が最も効果があるのではないかということでそのような形になったのだと思います。そのリスクについては、類薬も当然、今回の薬も一定程度そういったものがあるという理解の中で、一応この患者さんに広くOTCとして使っていただける利便性も天秤にかけた上で、2類の医薬品としての販売が適当ではないかという判断ではないかと考えております。
以上です。
○柿崎委員 ありがとうございます。理解できました。
○岡座長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。
そうしましたら、議決のほうに移りたいと思いますけれども、今いただいた御意見の中で、連続して1週間使用ということに関する、やはり情報提供の重要性ということが参考人の方からも、また委員のほうの御意見でも強調されていたかと思います。ですので、その点に関しては、情報提供のあり方、資材等も含めて今後もしっかり取り組むということの条件で、一般用医薬品のオキシメタゾリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩のリスク区分については、第2類医薬品とするということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 皆さん首肯していただいていることが確認できましたので、その点、事務局はまた企業側とよく話していただいて進めていただきたいと思いますけれども、御異議なしということにさせていただきます。
それでは、今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議論いただき、ありがとうございました。本日御審議いただきました結果に基づいて、パブリックコメントの実施の手続を進めてまいります。その後、本日の審議結果及びパブリックコメントの結果を踏まえ、次の医薬品等安全対策部会において御審議いただく予定となっております。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
次回の開催については改めて御連絡いたします。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本日の調査会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。