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2025年4月24日 第27回社会保障審議会福祉部会 議事録
1.日時
令和7年4月24日(木)10:00~12:00
2.場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F
3.出席者
- (五十音順)
井口委員
石踊委員
稲垣委員(代理出席:鈴木参考人)
及川委員
小笠原委員
鏑木委員
菊池委員
佐保委員
新保委員
鈴木委員
高橋英委員
髙橋秀委員
谷村委員
鳥田委員
中村委員
西島委員
沼尾委員
則武委員
樋口委員
堀田委員
松原委員
宮本委員
山本委員(代理出席:高橋参考人)
吉田委員
石踊委員
稲垣委員(代理出席:鈴木参考人)
及川委員
小笠原委員
鏑木委員
菊池委員
佐保委員
新保委員
鈴木委員
高橋英委員
髙橋秀委員
谷村委員
鳥田委員
中村委員
西島委員
沼尾委員
則武委員
樋口委員
堀田委員
松原委員
宮本委員
山本委員(代理出席:高橋参考人)
吉田委員
4.議題
(1)部会長、部会長代理の選出について
(2)福祉人材確保専門委員会の立上げについて
(3)「地域共生社会の在り方検討会議」の検討状況について
(4)「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の検討状況について
(5)社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について(報告)
(2)福祉人材確保専門委員会の立上げについて
(3)「地域共生社会の在り方検討会議」の検討状況について
(4)「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の検討状況について
(5)社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について(報告)
5.議事録
○山口総務課長 定刻になりましたので、ただいまより、第27回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
この後、部会長を選出いただくまでの間、私、社会・援護局総務課長の山口が進行を務めさせていただきます。
本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
まず開会に当たりまして、社会・援護局長の日原より一言御挨拶を申し上げます。
○日原社会・援護局長 委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
また、日頃から厚生労働行政に御理解をいただきまして、多大な御協力、御尽力をいただいておりますことに対しまして、改めて厚く御礼を申し上げます。
この福祉部会で御審議、御議論いただきました内容を踏まえまして、最近では平成28年、また、令和2年に社会福祉法の改正が行われておりまして、包括的な支援体制の整備や、社会福祉連携推進法人制度の創設など、地域共生社会の実現に向けた様々な取組を進めてまいりました。
その後におきましても、御案内のとおり、少子高齢化と人口減少の進行、また、単身世帯が増加しておりますし、それから、日常の様々な場面におけるつながりの希薄化など社会構造の変化がさらに進む中で、こうした取組をさらにどのように進めるか、また、身寄りのない高齢者の方などへの対応や、人口減少下でのサービス提供体制、それから、昨年の能登半島地震も踏まえた災害時の福祉的支援の在り方など、新たな課題について検討が求められております。
これらの点につきましては、現在、関係部局で検討会を開催しまして、御議論をいただいているところでございますけれども、本部会では、これらの検討会の御議論も踏まえつつ、こうした課題に取り組むための社会福祉制度の在り方や、具体的な方策について、年内を目途として御審議をいただきたいと考えている次第でございます。
委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山口総務課長 それでは、委員の皆様の御紹介に入らせていただきます。
御出席の委員の方々を五十音順で紹介させていただきますが、時間の関係上、恐縮ですが、お名前のみの紹介とさせていただきます。所属、役職等につきましては、お手元の委員名簿を御参照ください。
まず、井口健一郎委員でございます。
石踊紳一郎委員でございます。
及川ゆりこ委員でございます。
鏑木奈津子委員でございます。
菊池馨実委員でございます。
佐保昌一委員でございます。
新保美香委員でございます。
鈴木俊文委員でございます。本日オンラインでいらっしゃいます。
高橋英治委員でございます。
髙橋秀親委員でございます。
谷村誠委員でございます。
鳥田浩平委員でございます。
中村和彦委員でございます。
西島善久委員でございます。
沼尾波子委員でございます。
則武直美委員でございます。
樋口幸雄委員でございます。
堀田聰子委員でございます。オンラインでいらっしゃいます。
松原由美委員でございます。
宮本太郎委員でございます。オンラインでいらっしゃいます。
吉田俊之委員でございます。
なお、全国町村会の方につきましては、夏頃に委員として参画いただく予定となっております。
失礼いたしました、小笠原靖治委員でございます。よろしくお願いいたします。
また、本日は、全国市長会の刈谷市長、稲垣武委員、桃山学院大学社会学部教授の川井太加子委員、全国知事会の群馬県知事、山本一太委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市副市長の鈴木克幸参考人にお越しいただいており、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。鈴木参考人、高橋参考人の御出席につきまして、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○山口総務課長 ありがとうございます。
では、御異議なきものとさせていただきます。
本日は御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
また、事務局からの出席者につきましては、配付させていただいている座席表をもちまして紹介に代えさせていただきます。
なお、岡本審議官は公務の都合により遅れての出席とさせていただきます。
ここで、報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退席をお願いいたします。
(報道関係者 退室)
○山口総務課長 続きまして、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日は資料といたしまして、資料1から4、参考資料を配付させていただいております。
会場にお越しの委員におかれては、机上に用意しております資料を御確認ください。
オンラインにて出席の委員におかれては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
まず、資料1「『福祉人材確保専門委員会』の設置について(案)」。
資料2「『地域共生社会の在り方検討会議』の検討状況について」。
資料3「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会の検討状況について」。
資料4「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について(報告)」。
参考資料1「社会保障審議会関係法令・規則」。
参考資料2「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」。
欠落等はございませんでしょうか。もしございましたら、後ほどお気づきのときでも結構ですので、おっしゃっていただければと存じます。
次に、発言方法等について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。
御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、発言は極力簡潔にお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、本部会の部会長の選出でございます。今、御紹介を申し上げました参考資料「社会保障審議会関係法令・規則」を御覧ください。
4ページの社会保障審議会令第6条第3項でございます。こちらにおきまして、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されております。本部会には、社会保障審議会の本委員といたしまして、菊池委員、新保委員及び松原委員がいらっしゃいます。
あらかじめ3名の皆様に御相談させていただいた結果、菊池委員に部会長をお引き受けいただくということで結論をいただきました。したがいまして、互選により菊池委員が部会長に選出されたことを御報告申し上げます。
それでは、これからの議事運営につきましては菊池部会長にお願いしたいと存じます。部会長、すみません、部会長席へお移りいただいて、一言お願いいたします。
○菊池部会長 ただいま部会長を拝命いたしました、菊池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
来年の制度改正を控えた大変重要な部会になろうかと思います。委員の皆様に忌憚のない御意見を頂戴しながら、また、皆様の御協力を賜りながら円滑な議事運営に努めさせていただきたく存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、座らせていただきます。
まず、部会長代理の指名をさせていただきます。ただいま御説明いただきました社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されています。そこで、社会福祉学に精通され、また、社会保障審議会の委員でもいらっしゃる新保委員に部会長代理をお願いしたいと考えてございますが、皆様、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、新保委員、よろしくお願いいたします。どうぞこちらにお移りください。
恐れ入りますが、最初に一言お願いできればと思います。
○新保部会長代理 ただいま、部会長代理に御指名いただきました新保と申します。微力ながら、この役割を果たしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
まず、議事の「(2)福祉人材確保専門委員会の立上げについて」について、事務局から説明をお願いします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 失礼いたします。福祉人材確保対策室長でございます。
資料1を御覧ください。福祉人材確保専門委員会の設置をお願いするものでございます。資料に沿って御説明をさせていただきます。
設置の趣旨でございますが、2040年に向けて、高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進む中、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護人材の確保・定着に向けてより一層取組を強化していく必要がございます。
これを受けまして、福祉部会において、関係者による専門的観点から検討を進めるために、福祉人材確保専門委員会を設置するということでお願いをするところでございます。
構成等につきましては、専門委員会に委員長を置いて、委員長は部会長に指名をいただくという形で規定してございます。
検討項目につきましては、介護人材の総合的な確保方策等とさせていただいてございます。
後ほどの議事にもありますが、2040年に向けたサービス提供体制の在り方の検討会の議論なども進んできてございます。それを踏まえながら御議論いただくことを想定してございます。
運営のところでございますが、議事は原則公開、また、検討過程において、必要に応じ、関係者の意見聴取を行うことができる、検討結果については、福祉部会に報告をする、そのように規定してございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見などがあれば、お願いいたします。会場の皆様は、お手をお挙げいただければと思います。オンラインの皆様からは、挙手ボタンでお示しいただきたいと存じます。いかがでしょうか。
特にございませんか、よろしいでしょうか。
ございませんようですので、ただいまの専門委員会につきましては、社会保障審議会運営規則により、この部会に諮って設置をすることができるとされています。福祉人材確保専門委員会について、資料1の提案のとおりに設置したく存じますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。御異議ないと認めましたので、設置ということにさせていただきます。
続きまして、資料1におきまして、専門委員会の委員長は、部会長が指名するとされてございます。そこで、この場を借りて、私から委員長の指名をさせていただきたく思います。
事務局からの御説明を受けて検討させていただいた結果、介護・福祉分野の政策全般に精通しておられ、社会保障審議会の委員でもおられる松原委員を、福祉人材確保専門委員会の委員長として指名させていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
それでは、松原委員から一言お願いできれば幸いです。
○松原委員 ただいま、福祉人材確保委員会の委員長に御指名いただきました、早稲田大学の松原由美です。どうぞよろしくお願いいたします。
人口減少社会の中で、いかに福祉サービスを安定的に提供し続けるかという面で、福祉人材確保は大変重要な問題と認識しております。
この部会のテーマの福祉人材確保につきまして、充実した内容を御報告できますように、福祉人材確保専門委員会の委員の皆様方の御協力を得ながら、励んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 社会的にも大変注目されているテーマと認識してございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次に「『地域共生社会の在り方検討会議』の検討状況について」を議題とさせていただきます。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○南地域共生社会推進室長 地域共生社会推進室長です。
私のほうから、検討状況について御報告させていただきます。資料2をお開きいただきまして、1ページ目を御覧ください。
地域共生の在り方検討会議ということで、地域共生社会の実現に向けて、平成29年及び令和2年の社会福祉法改正により、制度的な対応等を強化してきているところであり、令和2年の改正法附則2条におきまして、施行後5年の検討規定が置かれておりますので、これを踏まえまして、昨年6月から検討会を開催させていただいております。
主な検討事項につきましては、1ページ目の真ん中の黄色の枠のところですが、地域共生社会の実現に向けた方策、それから、身寄りのない高齢者等が抱える課題への対応、多分野連携・協働の在り方、それから、成年後見制度の見直しに向けた、司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実といったテーマで検討しております。
このほか、社会福祉法人、社会福祉連携法人制度でありますとか、災害への対応等についても、あわせて御議論いただいているところです。
資料をおめくりいただきまして、3ページ以降、概要について簡単に御説明をさせていただきます。
3ページ目につきましては、地域共生社会の実現に向けた取組の全体像をお示しさせていただいております。
地域共生社会の実現につきましては、社会福祉法第4条第1項に規定されております。
これを踏まえまして、社会福祉法の中で、具体的な対応方策を制度的に整備しております。
具体的には、下のほうの2つ目の丸ですが、包括的な支援体制の整備というのを、全ての市町村に努力義務としてお願いしているところです。
この包括的な支援体制を整備するための1つの方法として、重層的支援体制整備事業という事業を、これは令和2年の法改正でつくった事業です。これは、市町村任意の事業で手挙げ式で、こういった事業を使ってやっていただくことも可能ということで、お示ししているところです。
4ページに進んでいただきまして、地域共生社会の実現に向けて、現状とか、目指すべき社会ということで記載しておりますが、地域共生社会につきましては、人と人とのつながりを再構築し、誰もが役割と生きがいを持って、互いに支えたり、支えられたりする関係が循環する地域社会ということでありますが、重要な要素としましては、その下にありますとおり、社会経済活動の基盤として人と資源が循環する、地域の中で生活する上で福祉的な対応に限らず、いろいろな産業であるとか、分野と連携・協働していくことが必要ということで、このテーマも大きなテーマとして検討会で御議論いただいているところです。
5ページへ進んでいただきまして、先ほど申し上げました地域共生社会の実現のための制度的な対応といたしまして、社会福祉法では、包括的な支援体制を整備するということを、全ての市町村にお願いしているところです。
イメージ図ということで書いておりますが、支援関係機関、相談対応を行っているような介護、障害、生活困窮、子供、こういった支援関係機関が連携をしながら、どういった方でも対応できるような相談対応をしていくというのが1つ。
もう一方で、地域住民のほうで、地域で支え合う機能として、居場所であったり、交流の場であったり、見守り等の機能を持っていくと。
こういったものを市町村の中で一体的に構築をして、必要な支援に早期につなげていくという体制を構築していただきたいというお願いをしております。その1つのやり方として、重層的支援体制整備事業の位置づけがあります。
検討会議では、この包括的支援体制の整備、全ての市町村が実施できるようにするために、どういう方法があり得るかという議論をいただいているところです。
6ページ以降は、身寄りのない高齢者等の対応に関する資料です。
高齢期に、いろいろな入院でありますとか、退院した後の生活の再建とか、あるいは機能が低下する中で、住む場所を変えていく、あるいは亡くなった後の対応をどうするかといった幾つかの場面が想定されますが、身寄りがないということで、そういった対応がなかなか難しい困難だというケースがあります。今後、単身の高齢者の世帯も増えていきますので、こういった問題に対応していくということで、検討会で御議論いただいております。
7ページ目ですが、厚労省で、こういった課題に対応するためのモデル事業というのを実施しています。
下に2個書いております。包括的な相談調整窓口の整備と、それから、そういった身寄りのない方に対する支援をパッケージで提供するような取組、これをモデル事業として、今、幾つかの自治体さんで実施をしていただいている状況です。
こういったモデル事業の結果等も踏まえて、さらにどういった対応が必要かという検討を進めていくこととしております。
8ページ目以降は、成年後見制度との関係です。
第二期の成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定をしておりますが、この中に、下のほうを赤で囲んでおりますが、成年後見制度の見直しに向けた検討と、総合的な権利擁護支援策の充実ということで、成年後見制度の見直しにつきましては、法務省で、今、検討が進められているところでありますが、ここに黄色で線が引いてありますとおり、スポット利用だとか、交代みたいなことも念頭に議論が行われていると承知をしております。
そういった際に、成年後見が仮にスポットになった場合、成年後見が終わった後の地域の受皿をどうしていくかという観点で、議論をいただいているところです。
資料を飛ばしまして、11ページ目に進んでいただきまして、これまで9回検討会議を開催させていただきまして、様々なテーマについて議論をいただいております。
また、関係の有識者の方でありますとか、自治体からもかなりたくさんヒアリングをさせていただいて、充実した議論ができているかと思っております。
前回3月27日に、論点整理ということで事務局案を提示させていただいております。12ページに、その論点整理の項目だけ記載しております。
前回3月27日に、特に重層的支援体制整備事業の部分について、御意見をたくさんいただいておりますので、引き続き、構成員の方と丁寧に意見交換をしながら、個人の方の御意見踏まえて、取りまとめに向けて調整を進めていきたいと考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問があればお願いいたします。
オンラインから、この検討会の座長でもいらっしゃいます宮本委員、よろしくお願いいたします。
○宮本委員 宮本と申します。
オンラインということもあって、空気を読み切れていないかもしれないのですけれども、申し上げるタイミングなのだろうなと思って一言、本当に一言になるように努力しつつ発言させていただきたいと思います。
今、南室長のほうからお話があったとおり、この検討会議は議論を集約する段階に入っております。
そういう意味では、途中経過報告ということで、あくまで私が座長として、ちなみに座長代理を菊池先生にお務めいただいているわけですけれども、個人として受け止めている中身ということでお聞きいただければと思います。
大きく大事なポイントは3つあるのかなと思っておりまして、第1に、社会福祉法の新しいステージへの発展ということであります。
社会福祉法を地域共生社会の理念に沿って、この時代にふさわしい、より明快なものにしていく作業を進めているということになるのかなと思います。
言ってみれば、社会福祉法を第3のステージに載せていく作業になるかと思ってございます。
第1のステージというのは、言うまでもなく、社会福祉事業法が措置制度を軸に立ち上がったステージです。
第2のステージというのは、2000年に基礎構造改革で、措置から契約が基本的な理念として打ち出されたステージであります。
そして、第3のステージというのは、言わば契約から共創へともにつくるという基本理念のもとに、社会福祉法をより一貫した明快なものにしていくという課題なのかなと思っております。
今も若干言及されたところですけれども、社会福祉法4条で地域住民等の役割を示しているわけですけれども、6条では、国、自治体の責務を書いているわけで、この2つの関係、ここがやや曖昧であるがゆえに、地域共生社会などというと、地域に責任を丸投げしようとしているのではないか等の批判も賜ったわけであります。
そして、この4条と6条の関係が、やや曖昧なまま、6条をさらに具体化するものとして、2007年に106条の3、包括的支援体制の規定が盛り込まれ、さらにこの包括的支援体制を具体化する道具立てとして、2020年には106条の4、重層的支援体制整備事業が書き込まれたわけです。
そういう意味では、4条、6条、106条、3、4と、基本的に新しい理念が打ち出されているのですけれども、特に国や行政が地域の人々の営み、支え合い、そして、共創的な地域への参加を、これをどう支えるのかという辺りが、明快に書き切れていないというか、発展途上であったということがあったのではないかと思います。
私は、支え合いを支えるという言い方をしていますし、包括的な体制として支援をつなげることで地域の人々を相互に、そして地域社会に対してつなげるという事業であるわけですけれども、その辺りをもう少し明快にお示ししていくことが大事なのだろうなということです。
2番目に今も言及があった重層的支援体制整備事業、この中身になるわけですけれども、申し上げたとおり、地域共生社会実現のツールとして位置づけられているわけで、大変強い期待を受けて、令和7年には470を超える自治体がこれに着手するということになっています。
ただ、今、申し上げたような意味で、これは何をしようとしているのかということについて、つまり体制を整備した上で何を実現しようとしているのかということについて、まだまだ明快に考え方を、国、自治体あるいは福祉に携わる人たちが共有できていない面もあったということです。例えば、多機関協働事業を例に取るならば、これは支援をつなげることで、地域の人たちをつなげていく事業ですので、その6条の趣旨からいっても、民間の事業者に丸投げすることはあり得ないわけです。
でも、つなげる支援の中には、当然民間の事業者と一体として事業を進めていくわけですから、民間事業者が関わらないということもあり得ないわけなのです。
この辺り、今、室長からも若干お話があったとおり、行政からの連絡という点でも、やや話が明快でなくなってしまう部分があった、もっと言うならば、若干混乱した部分もあったのかなということで、この辺り委員の皆さんの御意見も賜りながら、よりクリアな事業の中身にしていくことが必要なのではないかなと思います。
もう時間が随分来てしまったので、第3には権利擁護事業、身寄りのない高齢者の支援なのですけれども、これも第2のステージ、つまり、日常生活自立支援事業は、サービス利用支援という形で位置づけられていて、言ってみれば、措置から契約へという段階に足場があったわけですけれども、これから身寄りのない高齢者を支援する、何をするのか、実際に金銭管理のニーズなどがあるわけですけれども、単にサービス利用の支援だけではなくて、突き詰めてしまうと、丸ごと家族になると、それも瑕疵のない家族といいますか、現実にもなかなか珍しい、そのような家族の役割を支援が丸ごと引き受けることができるのかという辺り、でも共創ということを考えると、やはり当事者を含めて、地域の人々の力を束ねていくことが大事、それでなくては何もできないわけでありますけれども、その辺りをどう具体化していくのかということが課題になっているということです。
案の定、一言では終わりませんでしたが、以上、途中経過ということで御容赦いただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
検討会議の議論状況も含め、お話をいただけたかと思います。
ほかの皆様からいかがでしょうか。今日は大勢の方に会場参加をいただいておりますが、まだ、お名前が必ずしも把握し切れていませんので、少し指名まで時間がかかるかもしれませんが、いかがでしょうか。
それでは、石踊委員、お願いします。
○石踊委員 全国老施協の石踊でございます。
私のほうから、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題について、少しお話をさせていただきたいと思います。
身寄りのない、もしくは身寄りと疎遠な関係の高齢者が増えている状況でありまして、生活上の課題の多い高齢者の包括的な相談あるいは調整につきましては、これまで以上に市町村、地域の社会福祉協議会などが中心となって支援体制を構築しているということは重要であります。
ただ、医療機関や施設に入院、入居時に、手術などの同意や支払い遅滞への対応、あるいは遺体引き取りや、居室明け渡しなどの際の連絡や同意が必要という理由で、身元保証人を求める場合があります。
身元引受人がいない場合、誰かの助けを借りないと受入れ先を見つけることは、容易なことではございません。施設におきましても行政と連携して支援している状況ではございますが、煩雑な事務手続など、法的に配慮すべきことが非常に多いので、入院、入所時の身元保証を代替することや、あるいは死後の残置物処理や事務処理について、法的な整備が必要と考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
会場から及川委員、お願いします。
○及川委員 日本介護福祉士会の及川でございます。
私のほうから論点の1(2)と4の(2)について、少し御意見を申し上げます。
まず、論点1の(2)でございます。
包括的な支援体制の整備に当たっては、介護福祉士の専門性の活用は欠かせないと考えております。
施設や訪問介護等、在宅に限らず、介護の現場では多様な介護ニーズを抱えた者の生活、暮らしをお支えしています。
ますます高齢化する中で、認知症のある方も増加している状況です。認知症があっても、地域住民の理解が深まれば、地域の中で生活、暮らしを継続することは可能であると考えます。
また、介護現場で介護サービスの提供を通した生活課題の発見は少なくございません。発見した課題のうち、地域課題として捉えるべき内容については、地域で他関係機関と連携して対応を進めていくことも可能でございます。
京都市では、地域の中で事業を展開する地域密着型サービスで、ケアワーカーが地域の中での要援助者や、地域の課題に第一に接することが少なくないことから、そのケアワーカーが高い専門性と感性、マネジメント能力を備えることで、地域の要援助者や課題を早期に発見し、関係機関と連携して適切な課題解決や、要援護者の支援に結びつけることができるとし、コミュニティーケアワーカーを養成、配置しております。実際に活動が展開されているということも聞いております。
そもそも介護現場では、要介護者等に対する介護サービスの提供のほか、家族などの介護者に対する介護スキルの指導、介護サービスや意思決定支援に関わる相談ごとへの対応、地域課題として備えるべき資源の開発への関与など、様々な関わりが展開されております。
ただし、現在、在宅サービスのかなめである訪問介護などは、なかなか充実しているとは言えるような状況ではございません。というところでございます。
なお、介護福祉士会の取組の実例としても地域住民を対応とした介護講座や、介護予防体操の提供、民生委員を対象とした認知症の方とのコミュニケーション取り方の勉強会などの取組がございます。
介護福祉士会として推進している認定介護福祉士には、地域における介護力向上のための学習内容を組み込み、そういった人材育成を行っているところでございますが、いずれにしても、特に介護ニーズを抱える方々が増える中で、地域共生社会における包括的な支援体制を整備するに当たっては、介護福祉士の専門性を生かした取組も有効に活用すべきであると考えます。
4の(2)についてでございます。
能登半島地震に限らず、介護福祉士会では大規模な自然災害があった際、行政機関からの応援要請に応じた被災者支援を行っています。
主だったものとしましては、避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応、一般避難所等における避難所の見守り支援がございます。
避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応については、DWATや法人間連携等による人材派遣などの公式なルートからの支援が行われるまでの間のつなぎ人材として、また、一般避難所における避難所の見守り支援について言えば、避難所の中で生活を余儀なくされる方々の中におられる足腰の弱い方々の歩行支援、夜間のトイレ誘導などの支援を行う人材として、それぞれボランティアで介護福祉士等の派遣を行っています。
いずれも極めて重要な機能であると考えております。実際に評価もいただいていると理解しておりますが、ボランティアという労災の対象にならない不安定な立ち位置であること、これらの取組がどこにおいても適切に発動できる体制を整備しておくことが必要であることなどを踏まえれば、この取組の行う体制をオフィシャルに構築し、平常時から備えておくことが、本来望ましいと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、西島委員、お願いします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島と申します。
御承知のように、今、社会福祉士の活動領域につきましては、地域福祉、地域共生に関する領域をはじめ、災害であったり、司法であったり、居住、教育等、福祉の隣接領域にも広がってきております。
今日、先ほど御報告いただいた内容にもございましたが、地域共生社会の実現に向け、包括的な支援体制の構築や、身寄りのない高齢者への支援、権利擁護支援等の場面におきましては、ソーシャルワーク専門職として、しっかりと役割を果たしていきたいと考えております。
1点御質問をさせていただきたいと思うのですけれども、持続可能な権利擁護支援、モデル事業のところで、先ほど、委員長のほうからも、丸ごと家族になるという表現もございましたが、一例だとは思うのですけれども、総合的な支援パッケージを提供する取組の図式の中で社会福祉協議会となっております。
この日常生活支援というのは、措置から契約に変わっていったところで入ってきたところですけれども、第3のステージとしまして、身元保証の問題であったり、死後の事務支援というのが入ってきているのですけれども、内容については、非常に重たい内容ではないかと思っております。
今の社協さんが実施されている日常生活自立支援事業、日常生活支援のところが多いと思うのですけれども、これも社協さんによっては、非常に待機が多くて、なかなか、こなせていない、待機者がいて、現場が少し困っているという状況もあったりするのですけれども、一方で、こういう仕組みができるのは非常に大切だと思います。これから詳細をというところもあるかもしれないのですけれども、進めていくに当たって、現在検討されている支援策とか進め方等があれば、少しお伺いしたいと思って質問をさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から、お願いします。
○火宮成年後見制度利用促進室長 成年後見制度利用促進室長の火宮です。
今、御質問いただいた総合的な支援パッケージを提供する取組の具体化のお話のところですけれども、こちらは、まだ検討中ではございますが、3月の地域共生社会の在り方検討会議に、事業のイメージ案というものを提示させていただいておりまして、そこで日常生活支援をはじめ、ここに書いてあるような3つの支援の内容を、どのようにやっていくかということは、事務局の案として投げかけさせていただいたところです。
その際、構成員の皆様からも、様々な御意見をいただきましたので、そういった御意見も踏まえながら、また、先ほど座長のほうからは、丸ごと家族支援のような中身になってしまうのではないかというお話もありましたので、そういったことも踏まえながら、どういった支援ができるかということを検討していきたいと思っております。
○菊池部会長 現時点でのコメントということで、御理解いただければと思います。ありがとうございます。
いかがでしょうか。
それでは、鳥田委員、お願いいたします。
○鳥田委員 東京都社会福祉協議会の鳥田と申します。いろいろ御説明をありがとうございました。
地域共生社会の在り方の検討会議で出ています論点で、重層の話ですとか、包括的な相談体制ですとか、身寄りのない高齢者等への対応ということで、社会福祉協議会も区市町村などから頼まれたというか、委託を受けたり、補助を受けたりとかして、幾つかのところで、このような仕事をさせていただいているところも全国的にあるのですが、全国の社会福祉協議会の方々の話を聞くと、昨今、別に福祉の世界だけではないのですけれども、人手の問題が、非常に不足していたりとか、あるいは、もちろん交付税措置とかでいろいろ社協を支えるような仕組み、あるいは補助金等あるのですが、それが、なかなか社会福祉協議会の運営を支えるということまで至っていないところもあるやに聞いております。
こういう地域共生社会の在り方検討会議の中で御議論されている内容についてはとてもすばらしいことで、そういったことは、ぜひ、全国で目指していけたらすばらしいとは思うのですが、そういった実施の体制を裏打ちするようなことも併せて御議論いただいて、こういったことが着実に進んでいけるようにしていただけたらと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
単なる意見でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いただいた御意見は、当然、検討会議のほうにもお伝えいただけるということになりますので、ありがとうございます。
それでは、松原委員からお願いします。
○松原委員 地域共生社会は、非常に重要なことで、一部の先進的な地域とか事業者さんにおいては、みなが憧れるような取組をなさっていると思います。
そういう取組に対して、また地域共生社会を構築するということに対して、自分たちに、どういう環境になるのだということを、伝えていくことが重要だと思います。
今は、いかに構築するかの議論がメインになるのは分かるのですけれども、昨今、社会保障全般に対しての批判が強い中で、いかに地域住民にとって、地域共生社会が、さらには社会保障が、直接的、間接的に地域をいかに支えるのか、メリット、デメリットで議論するべきでありませんけれども、自分たちにとって長期的にみてメリットがあるいいことだと、必要なのだということを分かっていただくためにも、伝えるという取組も非常に重要な視点かと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
則武委員、お願いします。
○則武委員 全国児童養護施設協議会の則武です。よろしくお願いします。
地域共生社会の在り方検討会議における論点というところで、1の2の⑦のところに「若者支援」というのを入れていただいているのは大変ありがたいなと思っております。
今、お話ししたいなと思ったのは、4の(2)の被災者支援のところなのですけれども、今回の能登の地震の支援のところでも、子供を、特に発達障害を持ったお子さんの支援というところが大変難しさがあったとお聞きしております。
被災者の中には、もちろん子供さんもおられるわけで、特に発達障害を持っているような特別な配慮が必要な、人数が多いところが非常に苦手であったり、音に敏感であったりというお子さんがおられるのですけれども、そういうお子さんへの支援についても考えていただきたいと思っております。
それで、今、これを申し上げたのは、こども家庭庁さんができてから、これは、こども家庭庁のことなのか、厚労省に関わることなのか、みたいなところが、少し難しいところがあるなと最近感じておりますので、ぜひ省庁で連携していただいて、子供への支援についても考えていただければありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今日、こども家庭庁さんは来ていますね、ちゃんと聞いていますので、持ち帰っていただきます。ありがとうございます。
いかがですか、それでは、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会の小笠原でございます。
私たちは、介護福祉士を養成する団体でございますが、この地域共生社会を教育の中で教えるというのは非常に難しいと感じております。
その中で、2019年の新カリキュラムから、教育に含むべき事項というものの中で、地域における生活支援の実践というところが明記されて、全国の各養成校で取り組んでいるところでございます。
その中でも、この教育に含むべき事項の中では、介護実習の中で位置づけられているということで、まさに事例であったり、知識で学ぶところだけではなく、実践の中でこれを学んでいくということが、特に求められていると感じるわけですが、実際に学生たちが実習に行くと、先ほど松原委員がおっしゃられたように、非常に魅力的な、先進的な取組をされている事業所、地域もありますし、中には、やはりまだまだ施設の中で介護が完結しているという地域もございますので、学ぶに当たって、非常に学ぶ差というのが学生によって出てくるという現状があります。
今は、どうしても実習に行くと、いろいろな種別を経験させるという位置づけになりがちですが、今後、地域共生社会を考える教育と考えたときに、地域課題によって実習を学生たちが選んでいくということも必要になってくる。そのためには、やはり地域共生社会の取組が進んでいかないと、なかなか学生たちがそれを学ぶ機会が持てないというところが、課題としてはあるように感じております。
そのような中で、学生たちが、そういう先進的な取組をしているところに実習に行くと、非常に目を輝かせて帰ってきて、そこには、ちゃんと地域に根づいたストーリーがあるというか、例えば、ある施設で言えば、地域の孤独死を解決するために、施設がそこで関わりを持って、地域でカフェをつくっていったというところで、カフェをつくったよという地域共生ではなく、やはりそこに対して地域課題をどのように解決していったかというストーリーが明確になっていると、非常に深い学びになっていくと考えると、やはり地域共生社会は、カフェをどうつくるかとなりがちなところも一部ありますが、地域課題を解決するところから、やはりスタートしていくということの中で、介護福祉士養成をどうやっていくかと結びつけていく、現場と教育の連動ということが、今後非常に必要になってくるのではないかと感じているところでございます。
あとは、どうしても実習は施設に偏りがちというところで、なかなか在宅、特にコロナ以降は在宅で学ぶ場が減少していると感じますが、やはり施設地域の枠組みでなく、地域の支え合いというところを考えると、いかに施設が地域に出ていくかということもありますが、逆に地域が施設にどう入っていくか、ここが、どうしても人手不足の課題が出てくるわけですが、人手不足だから地域に出られないということであれば、いかに地域から働きかけて、施設に入っても地域と高齢者、利用者、障害者の方々が関わり合えるかというところも含めて、今後の福祉の向かうべき方向性ということを、学生に現場からお示ししていただくことが、未来の地域共生を支える介護福祉士の養成につながるのではないかと考えております。
意見というところですが、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、谷村委員、お願いします。
○谷村委員 全国社会福祉法人経営者協議会の谷村と申します。よろしくお願いいたします。
南室長に質問なのですが、この4番のその他の(1)です。社会福祉法人・連携推進法人制度でありますけれども、いろいろやり取りのプロセスは、ある程度聞いているのですけれども、現時点で、どのような改善であったり、修正が必要だと感じておられるかということを少しお話しいただければありがたいと思っています。
社会福祉法人のほうも地域共生社会の実現に向けて、その主導をやっていこうという思いでやっているわけですが、その1つの手法、有効な活用ができれば、有効ではないかと思っている中で、今のところ、例えば24条の2項の事業を推進していくのにも、この連携していくことのインセンティブが、まだ働かないような仕組みですね。その辺のところ、いろいろ意見が出たのだろうと思うのですが、今、どのようなことを考えておられるかというのを、お聞かせいただけたら、ありがたいと思っています。
○菊池部会長 お願いします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
地域共生社会における社会福祉法人・社会福祉推進連携法人の役割といったお話だったかと思いますが、人口減少により地域が縮小する中、社会福祉法人・社会福祉連携推進法人が、地域共生社会の担い手としての役割が一層期待されるため、地域の方々と協力して、活動しやすい環境を整えていきたいと思っております。今、お話がありました協働化とか大規模化というのも、1つの有効な方策だということで、希望する法人がより円滑に取り組むことのできる仕組みについて考えていきたいと思っております。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。
資料の5ページのところで、支援関係機関と地域住民等ということが出てくるのですけれども、包括的支援体制ということがこれまでのフェーズで議論されたときには、専門家と地域住民をどうつなぐかという観点から、こういう整理がされていたと思うのですが、今、私は、どうしても地域づくりのことを研究しているので、福祉のことはあまり詳しくないのですけれども、今、全国の地域の現場では、担い手がいなくなる中で、住民で、例えば空き家の管理とか、お祭りや道路、清掃、草取りなどができなくなってきていると。
そういうところの課題を整理したり、どのようにやっていくかということも含めて、例えば、総務省のほうで、過疎対策で集落支援員制度を入れたり、地域おこし協力隊制度を入れたり、そういった地域づくりの支援や専門家を入れていくような制度もあると。
それが、この地域住民等というところの「等」に含まれているのか、別途そういった地域づくりに関して担う支援関係機関のようなものがあって、そこと、ここの赤字で書かれている支援関係機関というものの連携や、つながりというところについても考えていく必要があるのか。
そういったところから考えますと、現行の条文では、包括的支援というところの枠組みでの整理になっていると思うのですけれども、そこを一気通貫でつないでいくというときに、ここの③にある地域と支援関係機関をつなぐ機能という、この整理だけでいいのかどうかというところは、やはり考えていく必要があるのではないかと思います。
また、今、社会福祉法人のほうでも、やはり担い手の確保が難しい中で、福祉の仕事だけではなくて、地域づくりの取組などもやりながら、多角的にお仕事をしつつ、クリエイティブな職業にしていこうというところで、人材を確保するという取組もあって、実際にそういった事業主体の側でも、地域住民と関わるものを事業化してビジネスにする、かつ福祉職として支援も行うという働き方をつくってきていると思うので、その辺りに目配りした形で、この支援体制の整備のイメージ図を見直していくというのが、先ほど、宮本先生がおっしゃっていた第3ステージというものを表現していく上で、とても大切なのではないかと思いながらお話を伺いました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
極めて重要な御指摘をいただけたと思うのですけれども、南室長、何かありますか。
○南地域共生社会推進室長 ありがとうございます。
まさに検討会で御議論いただいているところですが、地域住民等のところで、やはり地域側のいろいろな取組等をどうつなげていくかとか、協働していくかというのは、非常に大事な視点だと思っております。
まさに我々も、なかなかそこの連携ができていなかった部分もあると思いますので、今まさに総務省ともよく相談をさせていただきながら、地域運営組織とか、そういったところと地域共生をどうつなげていくかみたいなことも、今、相談をさせていただいておりますので、検討会の議論を踏まえて、よりそれが具体的に動くような仕掛けを入れることができればなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 私も地域共生社会の在り方検討会議の委員として参画させていただいております。ですので、個別の論点は検討会で発言させていただきまして、今日は、大きな検討の方向性に関して述べさせていただこうと思っていたのですが、まさに沼尾委員がおっしゃったことはとても重要だと考えます。今後、論点整理に向けて議論が集約されていくかと思いますが、その中で、地域における人と資源の循環に向けた地域づくりを推進していく視点は重要なポイントです。
他方で、現状ではそれがなかなか進んでいない。包括的な支援体制の整備や重層の実践を見ても、福祉の中にとどまる取組が多く、福祉を超えた地域づくりはあまり多くないですし、事例も限られています。地域共生社会の理念には、すべての社会・経済活動の基盤としての地域も含まれていますが、そことの連動がみられません。福祉専門職はやはりその点が得意ではないことも多いので、地方創生施策をはじめ、各省庁が行う地域づくりに資する類似した取組と連動していくことがお互いにとって効果的であり、今後の論点整理に向けて重視していきたい視点です。ですので、論点整理に向けての進め方に当たって、ぜひ厚労省だけではなくて、各省庁も参画していただきたいと考えています。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、会場からは、井口委員、お願いします。
○井口委員 私、共生型のサービスでショートステイをやっているのですけれども、今、高齢者、障害者、児童というところで受入れをしております。
そういった中で、先ほどもお話がありましたように、教育のプロセスだとか、教育の仕組みがまだできていないというところで、我々手探りでやっているところでもございますし、また、共生型サービスに関して言うと、厚生労働省のホームページにも載っていますけれども、高齢の分野で言うと、6,533か所ショートステイがあるうちの、たったの91か所しか共生型が進んでいないという現状もあります。
我々が受け入れている中で言うと、8050問題がかなり進んできておりまして、世帯単位でケアが必要な世帯が非常に増えてきていると。ですので、こういったところに関して、様々な施策を、また、手を打っていただければいいかなと思っているところです。
あと、高齢者の施設が障害者を受け入れたりとか、児童を受入れると、単価が安いというところで、なかなかそこら辺も足踏みしているところもありますので、検討していただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口でございます。
私ども知的障害の分野でも、高齢化は、一層深刻な状況を迎えています。高齢化に伴う障害状況の一層の重度化と、医療・介護ニーズの増大によって、現場の職員さんは非常に疲弊を感じていると思っております。
どうしても障害制度だけでは担い切れない、医療ニーズ、介護ニーズというものがあって、医療・介護・障害、制度の谷間を埋めていくような施策がやはり必要ではないかと思っています。
一部、がん患者の、特に入所施設の利用者に対して、一定の取組はしてもらえるようになりましたけれども、それを一層広げていただきたいと思っております。
何よりも、どの分野においても、やはり人材の確保などは深刻な状態で、私が思うに、年齢、性別、障害の有無、国籍にかかわらず、全ての世代、国民が福祉のニーズを担っていくという福祉風土の新たな醸成が最大の課題ではないかと思っています。
特にこの4、5年、企業からの福祉人材の誘導といった取組を、蒲原次官が以前から中心になって厚労省で研究事業をされていると思います。私も委員の1人として関わらせてもらっていますけれども、高齢化は高齢化なのだけれども個人差が非常に大きくて、ぜひ元気なお年寄りを、私もそういう年齢なのですけれども、元気な方はいっぱいいらっしゃるので、そうした人たちの福祉人材への導きというか、制度を充実させていただきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
よろしければ、ここで一旦、オンライン参加の堀田委員からお願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
論点の1について2つ申し上げたいと思います。
1つ目が「(1)地域共生社会の理念・概念の再整理」というところですけれども、今まで複数の委員からもお話がありましたけれども、1つは、この理念・概念というものを、介護職のみならず、広く対人支援の専門職の教育の中に接続をしていくということは、ぜひお考えいただきたいと思います。
あわせて、広く市民、つまり学校教育、そして社会教育の中でも、これを接続するということは、これも省庁を超える必要があると思いますけれども、御検討いただきたいと思っています。
もう一つは(2)(3)に関連するかなと思いますが、包括的な支援体制、そして、その評価ということを考えますときに、2019年から2020年度にかけて、住民主体の共生型地域づくりの可視化ということに取り組んでいたのですけれども、それに基づいて3点、期待感として申し上げたいと思います。
1つは、とりわけ個別支援についてということですが、本人中心で、本人の内面的な機微の気づきが促される、そして行ったり来たりするという、この伴走できるゆとりというものをどう確保できるようにするか。
それから、個別支援、地域づくり共通でだと思いますけれども、まだまだ、やはり課題志向が強い中で、課題のみならず、持ち味、可能性を重視した視点ということを、どれだけ様々な、これは様式からカンファレンスの持ち方から、評価まで全てだと思うのですけれども、一貫して持ち味のほうの重視ということを強調できるか。
3つ目は、今日、宮本先生が共創、ともにつくるということをおっしゃいましたし、先ほどの沼尾委員のお話、鏑木委員のお話も関連するかなと思うのですが、どうしても個別支援と地域づくりが循環することについての視点が弱いのではないかと思っています。
これが循環できるような体制あるいは関連するほかの施策との接続で、評価ということについてもお考えいただけることを期待したいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
同じくオンライン参加の鈴木俊文委員から、お願いします。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
私からも主な論点のところから、2点御意見をさせていただきたいと思います。
1点目は、地域共生社会、重層事業に関することになります。この重層事業の事業については、どのように進めるかという点で、非常にパッケージ的なモデルが有効であるという点は、私も同感です。
ただ、一方で、これは、これまでの関係する部会や委員会等でも御発言があったと思うのですが、何をもって進んでいるかという、この評価やモニタリングというところが、非常に分かりにくいところが足踏みのきっかけになっていると考えています。
ここで私が非常に注目したいことは、この重層事業の中に置かれている3つのものを全て機能という言葉で、つながりをどのように機能として捉えるかという観点は、ネットワークという言葉を使ったほうが分かりやすいと私は考えています。
つまり、このネットワークというものが、地域課題や、今、堀田先生からも御意見がありましたように、個別支援の形や、地域課題の形として、どのようにネットワークとして機能しているかというところをプロセスとして見えるということを、しっかりと仕組み化していくことが、これからの推進に非常に重要だと思っています。
推進の仕方は、やはり先進事例を見てみますと、ロジックモデルをうまく活用している事例が多いのではと考えています。
このロジックモデルは、やはりPDCAサイクルとして、事業のモニタリングをしていく上でも、また、それをパッケージとして横展開する上でも非常に有効、重要な方法になると思いますので、ぜひこういった観点を、これからの議論にもつなげていただきたいということを期待いたします。
それから、2点目ですけれども、災害時の被災者支援の連携についてです。私は、静岡県でDWATのアドバイザーという立場でも、現在、参画しています。DWATの活動は、派遣時の支援活動に非常に注目が集まりやすいのですが、実はボリュームで考えると、平時の地域活動というものはかなりのことをやっています。
具体的には、地域の防災訓練ですとか、様々な教育機関への出前講座といったものが静岡でも展開されています。
このことを今回の議論にどのようにつなげるかというところですが、やはり災害時の支援というのは平時との関係というのは欠かすことができません。
それから、フォーマル、インフォーマルな組織活動として考える場合においても、こういったDWATといったようなネットワーク組織というのは非常に、現在進んでいる上でも有効な材料になり得るものだと思いますので、ぜひDWAT活動を派遣支援時だけでなく、平時の活動と接続した議論を進めていただくことを期待したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
オンラインでは、よろしいでしょうか。
それでは、会場から、中村委員、お願いします。
○中村委員 社会福祉士、精神保健福祉士を養成している立場として一言、この地域共生社会の今後の在り方ということを考えますと、理念や政策をどう実装していくかということが極めて重要かと思います。
ソーシャルワーカーを養成しているわけですけれども、社会福祉士、精神保健福祉士の養成教育も対応していく必要があると思います。
学生さんが在学中に地域と関わる場として、重要なソーシャルワーク実習というものがございます。こういった重要なものが教育機会にあると考えております。
ぜひ、先ほど堀田委員、それから小笠原委員も御発言がありましたが、担い手を育てる視点を含めて御検討いただければありがたく存じます。
意見でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
吉田委員、お願いします。
○吉田委員 吉田でございます。
これからの地域共生社会を考えていく上で、1つ、我々の生活と日常生活で活用しているテクノロジーの関係は、大変進展をしていっているというのがございます。ありていに言いますと、現代は、インターネットで生活が支えられているところもあったりします。
こういったところが、さらに進んでいくときに、高齢者の方々が、自分たちが抱えている課題をどう表現していいのか、だんだん分からなくなっているということも聞いております。
結果として、それが消費におけるトラブルに発展していく、あるいはそれを周りの人に表現できず、加えて、誰に手助けをしていいのか分からないということも起こっておりますし、さらにこれから増していくだろうと思います。
そういう意味では、こういったテクノロジーに関連した生活上の困りごと、あるいはインターネットビジネスに関わっている高齢者の課題、こういったところを今回の議論の中でも扱っていくのかどうかといったところは、ぜひ御検討いただきたいというのが1点。
2点目ですけれども、やはり支え手側も人が減ってくるという中、それと支え手側も当然高齢化していく中で、どうやって、予防という言葉が似つかわしいかどうか分かりませんが、生活上の課題が起こりにくくするために、地域でどういうことができるのかといったところ、起こった後の対策も重要ですけれども、今後、支え手側が細っていく中で、いかに住民の方々が互いに支え合い、生活上の課題が生じにくいようにしていくことができるのかと、そういった観点も取り入れていただければと思います。
意見でございました。以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今、吉田委員からいただいた1点目については、おそらく地域共生社会の在り方検討会議の2つ目の身寄りのない高齢者等の、広い意味では、そこに含まれてもおかしくない問題だろうとお聞きしていましたが、ただ今のところ明示的に議論してこなかったのですけれども、この部会も含めて、そういう問題もあるということについて念頭に置いていただくということで、事務局に引き取っていただきたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、様々な御意見を頂戴いたしましたので、それらを踏まえて、引き続き、検討会議のほうでも御議論いただきたいと存じます。また、こちらの部会にも御報告いただくことになるだろうと思います。
それでは、続きまして「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会の検討状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○村中総括調整官 老健局総務課総括調整官の村中でございます。お手元の資料3を御覧いただければと思います。
1ページ目でございます。
検討会につきましては、1月から5回にわたり議論をさせていただき、4月10日に高齢者施策について、中間とりまとめをまとめさせていただきました。
この検討会については、この後、他の福祉サービスも含めた共通課題について検討し、夏を目途にとりまとめをしていきたいと思っております。
また、この中間とりまとめにつきましては、4月21日に、社会保障審議会介護保険部会にも報告をしており、制度的な議論を進めてまいりたいと思います。
中間とりまとめの内容については、2ページを御覧いただければと思います。
まず、左上の「2040年に向けた課題」というところで、2040年という年は全国ベースで見ると、高齢者人口がピークに達する時点だと考えております。
そのような中、85歳以上の医療・介護ニーズを抱える方、認知症高齢者の方、独居高齢者などの方が増加していくという状況でございます。
一方で、地方を見ていきますと、高齢者の人口の変化には差がございまして、サービス需要には地域差が生じてくるという状況でございます。
こういった中、地域の実情に応じたサービス提供体制を確保し、介護人材や利用者等が地域で活躍できる地域共生社会を構築していく必要があります。
右側の「基本的な考え方」のところを御覧いただければと思います。
地域包括ケアシステムの深化、地域軸、時間軸を踏まえたサービス提供体制の確保等を挙げてございます。
介護は、地方において雇用を支えるインフラでございまして、他分野の地域の共通課題との解決に向けた関係者との連携も必要だと考えてございます。
その上で、方向性を3点に分けてまとめてございます。
まず、1つ目の「サービス需要の変化に応じた提供体制の構築等」ということで、サービス需要の変化の地域差に応じて、中山間・人口減少地域、大都市部、一般市等と、3つに地域を分類して整理してございます。
まず、中山間・人口減少地域でございますが、2040年に向けて高齢者人口が減少していくと、その結果、サービス需要が減少していくというエリアでございます。
そのような中、サービスを維持・確保するための柔軟な対応をまとめております。
その柔軟な対応の中身でございますが、まず、夜勤ですとか、専門職の確保等に係る々、そういったところについて議論がありましたが、配置基準等の弾力化、また、訪問系サービス、こちらについて、キャンセルの負担や、移動距離が長いといったことも地域の事情でございますので、そういった突然のキャンセルとか、移動の負担、こういったところを考慮しなければいけないという議論がありまして、包括的な評価の仕組みを検討してはどうかという議論がございました。
また、訪問、通所など、サービス間の連携、柔軟化等についても考えていくことが必要との議論もありました。
地域において、サービス事業者が少ない場合については、市町村事業によるサービス提供といった形も考えられるのではないかという議論もございました。
その下の「地域の介護を支える法人への支援」というところでございますが、地域に残り続けて、周囲の事業者とも連携していくような法人について、何らかのインセンティブを付与する形も考えられるのではないかという議論がございました。
先ほど少し議論もありましたが、社会福祉連携推進法人についても、その活用促進が重要だという点も記載してております。
続いて、右側の大都市部のところでございます。
このエリアにつきましては、サービス需要が急増していきますので、それに応じたサービス基盤の整備が必要ということです。
ICT技術等も活用して、24時間対応、包括的な在宅サービスの検討が必要という議論をがもって取りまとめてございましたす。
最後に、一般市等におきましては、サービス需要が当面増加するのですが、その後、減少に転じていくということで、既存の介護資源等の活用と、将来の需要減に備えた準備が必要だということでございます。
続いて、方向性の「(2)人材確保・生産性向上・経営支援等」ということで、様々国におきましても、人材確保等の取組は実施をしておりまして、その推進は引き続き重要です。その前提の上で、議論としていろいろな御意見をいただいて、とりまとめさせていただいております。地域において、様々、人材確保について行っている専門機関はございます。福祉人材センター、ハローワーク、介護労働安定センター、様々な機関が実施しているところですけれども、こういった機関は、介護事業者側、また、養成校の側から見て、より使いやすくなるような、そういった連携が必要ではないかということで、プラットフォームの充実ということが求められるということでまとめてございます。
その下のテクノロジー導入・タスクシフト/シェア、これは、生産性向上の議論でございますが、この2つは進めていき、その上で、これから生産年齢人口が、2040年にかけて減少していきますので、そういった状況に先駆けて、しっかりテクノロジー等の導入支援に取り組むことが重要でございます。
また、小規模事業者に向けてテクノロジー導入等々の伴走支援ですとか、在宅サービスの技術開発も重要だという議論があり、記載しています。
そして、最後のところですが、介護事業者は、様々経営課題がございますが、雇用管理、生産性向上をはじめ、地域の関係者が都道府県単位でしっかり支援体制を構築していくことが重要です。
また、複数の介護事業者が連携して、書類作成等々の間接業務を効率化するなど、まずは協働化をしっかり進めていくことが重要だという議論があり、記載しています。
続いて、方向性の(3)でございます。「地域包括ケアシステム、医療介護連携等」ということで、先ほど申し上げましたとおり、85歳以上の医療と介護双方のニーズを抱える方が増えていきます。こういった中、しっかり医療・介護の連携を進めていく必要があります。
その中で、やはり地域において、医療・介護の状況の見える化を進めた上でしっかり分析をしていただき、地域医療構想とも接続をしていくことも大事ですし、地域の関係者がしっかりそういったもとで、議論をする場を設けていくことが必要だという議論をまとめてございます。
また、介護予防につきましては、国のほうで、令和6年度補正予算でモデル事業を実施しているところなのですけれども、高知県のあったかセンター等にヒアリングもさせていただいて、地域の高齢者や障害者、子ども供が集う場である地域共生拠点を整備していくことが必要だとの議論をまとめています。
また、議論として多々あったのが、フレイルの方にしっかり対応していくことが重要であり大事だと、地域その専門職が、どうそこに取り組んでいくか、また、地域保健活動、そういったところとの組み合わせも重要だという視点の議論がありましたが示されました。
最後、認知症高齢者の方に関しましては、医療・介護等に加えまして、権利擁護の推進、さらには、その地域におけるインフォーマルな支援の推進が必要だという議論をまとめてございます。
以上、簡潔でございますが、概要について御紹介をさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、この議題に関しても皆様から御意見、御質問をいただきたいと思いますが、こちらは、座長は、早稲田大学の野口晴子先生でいらっしゃいますが、こちらの部会の委員ではいらっしゃらないので、座長代理でいらっしゃる松原委員から、すみません、突然、何の打ち合わせもなく申し訳ないのですけれども、松原委員と、あと、鈴木俊文委員も委員でいらっしゃるということで、もし、何かあれば、少し御感想なり何なり、お願いできますでしょうか。
○松原委員 ありがとうございます。
この中間取りまとめの中で、大規模化によるメリットを示しつつ、介護事業者の協働化・連携の推進ということで、この委員会で繰り返し議論になりましたのは、大規模化というのは選択肢の中の1つで、大規模化によっていいこと、メリットはたくさんございますが、ケース・バイ・ケースでデメリットになる場合もありますので、選択肢の1つとして、それをやりたいところについては後押しするような、そういう方向でまとめていたという点がございます。
取り急ぎ誤解されやすい点を1つだけ、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鈴木俊文委員からは、何かコメントなどがございましたら。
○鈴木委員 ありがとうございます。
私もこちらの委員に参加をさせていただきましたけれども、やはり地域軸と時間軸という観点が非常に重要であるということが議論の土台になっていたところが特徴です。
これに関連して、各地の事例を見ていくという、事例ベースの議論というものも、もちろんあったのですけれども、その中で介護人材確保等の喫緊の課題というものは、やはり共通する課題もあるということですとか、それから、その対応としての人口減少を含めたタスクシフト/シェアや生産性向上といったサービス提供体制の議論というものが、非常に集中して行われてきたところが特徴でした。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど宮本先生から、最初にお話をいただいて、検討会議での議論を少し御理解いただけたかなと思ったものですから、すみませんでした。どうもありがとうございます。
それでは、皆様からよろしくお願いいたします。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
2040年に向けたサービス提供体制等の在り方検討会の検討状況につきましては、私ども連合も、介護保険部会でも発言をさせていただいておりますが、介護人材の確保は最大の課題であり、賃上げや処遇改善の取組の推進は大変重要と考えております。
また、介護と医療、どちらも必要になった場合にも対応できるような体制を整備していくことが、引き続き重要な課題と考えております。
その上で、2点、申し上げたいと思います。
まず、介護を担っていく人材を将来にわたり確保していくことが重要であり、介護職場で離職をせずに定着する環境づくりが必要であるとともに、ICTやAIなど、新技術の活用促進で、介護の質の向上とともに、業務負担の軽減を図ることが必要であると考えております。
ただし、その際、留意すべきこともあると考えております。
1つは、安易に人員配置基準を緩和することで、逆に利用者や働いている人にしわ寄せが及んではならないと考えます。
また、新技術の導入、活用促進には、ある程度の大規模化、協働化といったことも手段として必要になると考えられますが、先ほど松原委員がおっしゃったように、それによるデメリットもあることに留意する必要があり、そうした点も含めて、さらに検討を深めていただくことが重要であると考えます。
さらに、介護予防・日常生活支援総合事業をはじめ、軽度な支援においては、サービスの担い手を広く確保する一方で、専門資格を有する方については、軽度以外のサービス提供を担っていただき、その役割を十分に果たす必要があるのではないかと考えております。
今後、全産業的に人手不足、人材確保がますます重要になる中で、専門資格保有者の活躍範囲も考える必要があると考えます。
次に、資料2の地域共生社会の在り方検討会議にも関わりますが、地域共生社会を推進していくことについて、連合は賛同しております。
その上で、これから利用者が増える地域と、そうでない地域が出てくる中で、かつ、全体としては、介護ニーズの増加に対応できるようにしていくためには、介護保険制度の在り方について議論を深めることが不可欠だと考えております。
これからの人口構造を踏まえると、人口減少、超少子高齢化が急速に進行する期間に限って、制度の中で公費の占める割合をどう考えるのかといったことは、論点の1つだと考えております。
また、地域共生社会を目指していくからこそ、介護保険の受給者、被保険者の範囲を拡大して、制度の普遍化を図ることについても今後議論すべきと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、及川委員、どうぞ。
○及川委員 ありがとうございます。
介護保険部会でも同様の発言をさせていただいたのですが、特に、介護人材の確保のところでございます。
多様なニーズを抱える方々に、適切に介護を提供する介護専門職を育成・確保していくことの必要性を踏まえた議論が必要であると感じております。例えば、介護福祉士を代表とする介護職員は、新型コロナ感染症が蔓延する中で、施設、事業所の介護福祉士等が介護現場の最前線で感染予防をしながら、世界のどこよりも低い死亡率という実績を持って、高齢者等の生活、暮らしを支え続けました。
また、介護福祉士会としましては、能登半島地震の1.5次避難所において、要介護者を対象とした介護ブースで介護を提供させていただきました。
そこでは、避難所に送られてきた方々に対し、心身状況の把握をしながら、その場で対応できる最善の介護を提供し続けました。
私自身もこの役割を担いましたが、大きな心身機能の低下もさせずに、2次避難所にお送りできたのは、極めて高い介護の実践力を備えた仲間が集まってきたからだと考えております。
つまり介護現場は、介護実践力のある介護人材がいてこそ成立するということでございます。
他方で、報告でも触れられている中核的な人材には、多様な介護人材への指導、育成、介護職チームによるケアのコーディネート、チームメンバーの人材マネジメントといった機能も求められております。
ただ、これらの機能は十分な介護の実践力を備えた人材でなければ、適切に担い切れるものではありません。
だからこそ、介護福祉士の専門職としての倫理を備え、専門的な介護実践力を備えた介護福祉士の確保が必要であります。
それぞれの中核人材に求められる機能を明らかにした上で、それぞれの機能を担うことができる人材の確保、方策を定めることが重要であると考えております。
そして、こういったことを明らかにした上で、中核的な機能を担う介護福祉士等が適切に評価されるべきであります。その評価などが介護職の魅力の向上につながり、人材確保の確立につながるのではないかと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、西島委員、お願いします。
○西島委員 実は、私ども社会福祉士も高齢者関係の施設等で多くの会員が働いております。
それで、今回御提案いただきました2040年に向けて、高齢化や人口減少、このスピードが地域によって違うということで、それぞれ地域別の提供モデルや支援体制を構築するということは大切なことかなと思っております。
ただ一方で、中山間・人口減少地域、先ほども御発言がございましたが、配置基準等の弾力化というのも必要なところもありながら、それが、また、質の低下につながってはいけないと思いますし、職員の負担増加につながらないような慎重な検討をお願いしたいと思います。
それと、参考資料のほうで少し確認したいと思うのですけれども、報告書の11ページ、12ページ辺りに、介護関係職種であるとか、介護人材全般という表現がなされているのですけれども、これは介護職以外の職種も含まれているのかということを確認したいのと、また、12ページの(2)のところで「国や地方における介護人材確保に向けた取組」の1つ目の○の3行目のところです。「今後も一層、介護職員だけでなく、介護人材全般に対するその確保対策を強力に進めていく必要がある」という記載があるのですけれども、この辺について、今後の方向性とか具体策があるのか、この次の話なのかもしれないですけれども、介護職の次なのかもしれないですけれども、御確認したいのと、実は私たち社会福祉士においても、他職種との賃金格差ということもございまして、人材の流出が始まっております。ぜひ処遇改善につきましては、待ったなしの状況でもございますので、検討をいただきたいという思いも込めて発言させていただきました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
では、事務局からお願いします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
2040検討会の中での御議論につきましては、基本的に高齢分野のところを中心に、特に介護職員の不足感というのが厳しいというところで、介護職員の方々の確保というのを中心に御議論をいただいているというのが実態でございます。
一方で、社会福祉士をはじめとする専門職がチームで、現場に当たっていただいているというのは十分認識をしておりますので、そういうところも目配せをして、我々専門委員会も立ち上げていきますので、そういうところで御議論をしていかないといけないと考えてございます。
12ページ目の後段の介護人材全般に対する確保対策を強力に進めていくというところについては、基本的には、書いてある総合的な対策、これまでも取り組んできてございます。これを引き続きやっていくということは大切ですし、あわせて、検討会の中でプラットフォームなどといった形で、実際の地域の実情に応じた活動が生み出されていくような関係者の連携を進めていこうという御議論もいただいているところでございます。
これを受けまして、先ほども申し上げました、人材の専門委員会のほうで、もう一段深めていただくような議論をしていただければなと思ってございまして、引き続き、関係者の方々から御意見をいただきながら、より具体的な中身にしていきたいと、我々としても考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。
介護保険事業所が、非常に人材確保が難しいという状況の中で、主に人材確保、育成につきまして、私のほうから4点御意見をさせていただきたいと思います。
まず、第1点は中山間・人口減少地域におけるサービスを維持、確保するための柔軟な対応についてでございますが、この中間取りまとめの6ページ、7ページ辺りなのですが、離島や中山間地域における介護人材確保は非常に深刻な状況でございます。
特にケアマネ、看護職員、管理栄養士などの専門職は、地域に絶対数がいないために、最低基準を満たせず、報酬が減算となるケースもございます。
このため、常勤専従要件を緩和して、一定の条件のもと、オンライン、オンコールにより、複数の施設で貴重な人材をシェアすることを可とするなど、配置基準の弾力化が本当に必要であると考えます。
また、ICT機器や介護ロボットにつきましては、職員ができるだけ早い時期に効率よく活用できることが重要でございます。
そこで、見守り機器、音声記録入力システム、あるいは移乗用リフト等のスムーズな導入に向けて、施設にICTテクノロジーに精通した人材を確保し、養成することも大切なことでありますし、また、定期的な研修に対しての支援が必要であると考えているところであります。
2番目でございますが、外国人介護人材につきましては、地域によって受入れに対して温度差はありますが、介護人材確保が本当に逼迫する中、貴重な介護人材として期待されております。
現在は、特別養護老人ホームなど、介護保険施設では受入れが可能ですが、養護老人ホームなど、技能実習生あるいは特定技能実習生は受入れができないこととなってございます。
また、小規模な法人では、受入れに際しての実習生の渡航費用であるとか、日々の管理費あるいは更新手続や費用などの負担が非常に難しい状況であります。柔軟な受入れを拡大していただくとともに、受入れに際してのイニシャルコストに対する支援が必要と考えているところであります。
それと、人材確保につきまして、中間取りまとめの14ページのほうに書かれていますが、若い世代が希望や、やりがいを持てる業界となるためには、介護のイメージを変えることや、介護現場が変革する要素を示していくことが重要であり、テクノロジーの活用が進んだ現場であることや、社会課題に対する介護という観点をアピールすると書かれていますが、これも重要なことでありますが、やはり介護職員の社会的評価、地位を上げるためには、処遇改善が何よりも重要であると考えます。
そのことで、エッセンシャルワーカーとしての介護の仕事に対する情熱や責任感あるいは誇りが湧いてくるものとも考えております。
最後に、職場環境改善についてでございますけれども、令和5年度の介護労働実態調査によれば、採用がうまくいっている理由として、職場の人間関係がよいこと、これは62.7%。離職率の低下の理由として、職場の人間関係がよくなったため、63.6%。働き続ける上で役立つこととして、ハラスメントのない人間関係のよい職場づくりをしている、これが37.8%となっております。
我々施設では、年1回ストレスチェックを行い、産業医の相談体制を取っているところでありますけれども、介護人材確保、定着に向けて、働きやすい職場環境をつくるためにも、職員のメンタル面に対する相談支援体制の充実や、人間関係を含む人事面での調整を図る専門職の配置が必要ではないかとも考えております。
私のほうからは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
松原委員、お願いします。
○松原委員 すみません、先ほどは急で、十分に応えられなかったので、もう一度、意見を述べさせていただきたいと思います。
サービス提供体制等の在り方ということで、提供体制は、私は、ミクロ、メゾ、マクロで捉える必要があると思います。ミクロは人材、メゾは法人、マクロは地域でございます。
ミクロ、人材につきましては、この検討会でも意見があったというか、主流な考え方として、もっと分業をしていく必要があるという意見がございました。私も賛成です。
ただし、分業によって効率化を図ると、確かに効率的なのですが、一般産業においても分業することによって効率化は図られるのですけれども、一方で、機械的になりがちであり、職員のモチベーションを下げる働き方にもなりかねないということはよく指摘されております。
その際の対策としては、垂直方向に行くのと水平方向に行くのというのがあると思います。垂直方向に行く場合には、もっと現場が意思決定する部分を増やしていく、これは多分包括的な報酬にすることとつながってくる話ではないかと思うのですけれども、そういう取組が必要ではないかと。
水平方向というと、人材確保の中で富士山型から山脈型へとなっていますが、それと同じことで、高齢者の介護もやるのですけれども、まちづくりとか、関連した隣の分野にも取り組んでいく水平方向というのがあると思います。
もう一つ、ジョブ・クラフティングと言って、自分たちのやっているお仕事の意義をしっかり捉え直すということがあります。例えば、ディズニーランドの清掃をする方は、掃除係と自分たちを捉えていないですね、自分たちをキャストと捉えていて、働きながら、お掃除しているところをお客様に面白く見せたり、お客様を楽しませる仕事と捉えているというように、自分たちの仕事を捉え直す。介護なり福祉なりの仕事、その社会的な意義ということをちゃんと捉え直して伝えていく、こういう取組が必要だと思います。
これらは、まさにマネジメントの問題となっていきまして、いかに人材確保についてマネジメントの視点をもっと入れていくかということが重要だと思います。
メゾについては法人経営で、ここにも大規模化、また、協働化・連携とあるのですけれども、大規模化の中では、やはり今すごく問題になっているのはM&Aですね。M&Aを進めていくのはいいのですが、不適切に業者が入ってフィーを必要以上に取っていくということがありますので、財源は何かと言ったら公的資金ですので、こういうところを大したデューデリジェンスもしないところが、不適切な料金でもうけていくということを避けるような公的な支援というものが、今後必要だと思います。
最後にマクロ、地域につきましてですが、これは、まさに、支えあうまちづくりを構築し、地域を耕していくか、知恵を出し、さらに支援体制を築いていくことが重要だと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
会場は、ひとまずよろしいでしょうか。
宮本委員、オンラインからお願いします。
○宮本委員 先ほど事務局のほうから、サービス提供体制についての御説明をありがたく伺ったのですけれども、そのときは、都市部と中山間地、それぞれサービス提供体制の、言わば条件の違いが広がっていく、言わばコントラストが強まっていくというところにポイントを置いての御説明だったと思います。
確かに、そのとおりで、2040年になると、東京は今より人口が増えるわけですね。中山間地は、人口減少が進むということで、確かにコントラストは強まるのですけれども、それだけではなくて、より一層都市部と中山間地が課題を共有していくと、課題が重なり合っていくという面にも、注目していくべきではないかなと思います。
言うまでもなく、先ほどまで地域共生社会、包括的支援体制について議論をしていたわけですけれども、中山間地、地方はこれからいや応なく、包括的支援体制を構築せざるを得なくなっていくわけですね。人材面、費用面あるいはニーズの在り方からして、小さな福祉拠点を構築していく。
先ほど沼尾委員のほうから、地域の様々な部局総動員でという話がございました。私もそのとおりと心の中でつぶやいていたのですけれども、地方はまさに、そうした動員をこれから図っていかなければいけなくなっていくわけです。
そういう意味では、中山間地をはじめとする地方は、言わば課題先進地域、課題先進国日本という話がありましたけれども、課題先進地域になっていくわけです。
そういう面で、ただ後ろ向きに捉えるわけではなくて、ここを1つの実験室として、日本のこれからの福祉供給体制を、様々に試行錯誤を重ねていく場として位置づけていいのではないかと思います。
その場合、やはりポイントになるのは、その専門職の役割ではないかと思っております。この部会もたくさんの専門職の関係団体の皆さんが、おいでになっているわけですけれども、以前、こうした地域の変化も見通した上で、資格の共通化みたいな議論もありました。フィンランドのラヒホイタヤなどをモデルにという、そういう議論もあったのですけれども、私はそれより、何か上からの資格の共通化というのではなくて、例えば、今、地方で包括的な体制を専門職の活躍でつくり出しているところは、専門職の皆さんが常日頃思っていらっしゃる、もっと包括的な支援で自分の力を発揮したい、何かここは、隣の芝生になってしまいそうなのだけれども、自分の専門的な知識からして、そうした資源を活用していきたいと、そのように思っていらっしゃる方がいかに多いかということも、しばしば伺っております。
これも菊池先生が座長をやっていらっしゃる別の会議で伺ったばかりですけれども、例えば、兵庫県の播磨町などは、保健師さんたちの包括的な支援への意欲というのをフル活用していますし、飛騨市だったと思いますけれども作業療法士の皆さんが、やはり単に対象者へのそうした支援への働きかけだけではなくて、皆が元気になる条件づくりにも一役担いたいと思っていらっしゃる、そういう意欲を活用していく。
そういう意味では、上からの包括化ではなくて、言ってみれば、専門職の常日頃の経験の蓄積から来る意欲やインセンティブをベースにした包括化、当然これには、そのように包括的な支援に携わっていく、スキルアップと処遇の改善も伴うわけです。
これから、東京の人口は2040年にはピークになりますけれども、その後2050年以降、やはり人口減少モードに入ってくわけでありまして、質の高い包括的な支援のためにも、小学校区、中学校区で、やはりここも小さな拠点をつくっていく必要があるわけであって、やはり地方と東京の双方の課題の重なり合い、そして、地域での取組を、何か後ろ向きの話だけではなくて、新しい福祉の創造の実験室として位置づけていく視点も必要ではないかと思っております。
先ほどの話に戻ってしまうのですけれども、地域共生社会をめぐって委員の皆さんから大変貴重な御意見いただいて、先ほど触れた沼尾先生のお話以外に、松原委員から伝える取組という話があり、あるいは堀田委員から住民参加の可視化、これを実績としてきちんとインデックスにしてくという話があり、鈴木委員からはネットワークという話がありました。私は地域共生社会をセーフティネットワークだと言っているのですけれども、この辺りは、ぜひ持ち帰って議論を深めていく題材にさせていただきたいと思っています。これは、別にお礼という意味ではございません。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木俊文委員、お願いします。
○鈴木委員 発言の機会をありがとうございます。
先ほど、私が御説明させていただいた中で、私自身が在り方検討会の委員としてどのような発言に注視しながら発言してきたかということを中心に、この後述べさせていただきたいと思います。
先ほど、福祉人材確保対策室の𠮷田室長からもお話がありましたように、介護人材確保というものは非常に重要な柱で、私自身もそこに一番の問題意識を持って、この会に参加をさせていただき、発言をさせていただいておりました。
特に、私自身が非常に考えているところにおいては、中核的介護人材の役割をどのように位置づけるかというところです。
この2040年に向けたサービス提供体制というところの中には、やはり地域ということが非常に重要なキーワードや観点になってきて、その人口減少に対応する形の中で、生産性向上やテクノロジーやタスクシフト/シェアというものが、1つの方法や方策として組み込まれていくという、この方針の中にあるのですが、やはり限られた介護人材、限られた人材でこれを実現させていくためには、これまでの議論にもありましたように、マネジメント的な役割を誰が担うのかという、これを考え議論していくことは、サービス提供体制の話をする上では欠かすことができないことだと思っています。
私は介護福祉学の研究者ですけれども、やはりこれまでの中核的介護人材の役割を見ていったときに、ゴールドプラン時の十か年戦略の中での寝たきり老人のゼロ作戦の取組のように、この理念に基づいてどのように有資格者が、その実践を積み重ねてきたかということは、今日に至るまでの大きな貢献と、そこに大きなヒントがあると考えています。
かなり具体的な話で言えば、やはり寝たきりをゼロにするためには、介護福祉士有資格者の専門的知識や技術としての生活支援技術、もっと分かりやすく言うと、ベッドから車椅子の移動技術、こういったかなりの技術スキルですとか、それに裏付けられる知識・技術等が発展してきたということが、やはり大事な観点だと思っています。
これを2040年に向けて考えていくときに、今の人材室が示してくださっている山脈型モデルというものは、今まさに介護現場の中でどのような介護職員がキャリアとして、それを担っているかという、その実態を見える化しているものですので、これを地域包括ケアシステムの今後の深化、深めるための深化という考え方の中で、どのように配置要件や、それから、それに必要な能力というものがどのようなものなのか、それをどの規模や、どのネットワークの中でチーム活動として実践できるのか、そして、そのマネジメントの役割を誰が担うのかということの議論につながってくるのではないかと、期待をしているところです。
いずれにしましても、今、お話ししている内容というのは、やはり専門性というものをしっかり見える化することによる介護人材確保の広報戦略にも、私はなると考えています。
ぜひこういった議論を引き続き、委員会等でもできるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あと、会場でどなたか言い残したことがある方は、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 介護福祉士を養成する立場のところからですが、介護福祉士養成施設は、以前は400校以上あった学校が、現在、前年度でいうと279校に減っております。また、学生も平成18年には1万9200人いた学生たちが、現在6,500人ぐらいに減少している。しかもその中には、平成18年当時にいなかった留学生が約3,000人おりますので、そう考えると、日本人で言えば3,500人ぐらいしかいないと、パーセンテージで言えば、84%減と日本人はなっているということで、先ほどから専門職が必要だということであったり、お話がありましたが、非常に日本人が目指さない職種になっているという現状があります。
この中で、先ほどから出ている介護サービス提供体制というところで言うと、私は九州の代表しておりますが、都市部の学校は比較的維持できていますが、地方の学校というのは、なかなか維持できずに、閉校、閉科していっているというものが続いていますが、そうなっていくと、ある地域には、介護福祉士養成校が1つもないということは、現実に起こっていきますし、このままいけば、県単位で養成校がないということも起こり得ます。
やはり専門職は体系的に学び、養成されるということについては異論がないところかと思いますが、そのような体系化された教育の中で養成された者たちが、どうしても自分の県に、自分の地域に養成校がなければ、都市部の養成校に行く、都市部の養成校に行けば、当然都市部で就職をしてしまう、場合によっては、そこで家庭を築くということになっていくと、専門的に学んだもの、先ほどから出ている中山間部人口減少地域を支える、養成校卒の介護人材が不在になるということも当然考えられます。
やはり各地域に養成校があり、そして、その中で、地域共生社会であったり、そのような課題をしっかり学んだ者たちが各地域で、その地域課題に寄り添いながら介護のこれからの未来を支えていくということが必要かと思います。
ただ、養成校の募集努力ではなく、やはり学生を増やすというのは、介護業界の、先ほど及川会長も言われましたが、評価であったり、魅力ということがきちんと伝わらないと、介護人材というのは増えていかないし、そこが評価されないと、養成校も当然学生が減っていくと考えると、養成校の学生募集の問題、経営努力の問題ではなく、介護業界全体で取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
樋口委員、お願いします。
○樋口委員 先ほどの全世代が担う福祉人材の話に、少し付け加えたいのですが、福祉の分野は、どのような仕事、働き方も可能だということを強調したいということもあって、どのような仕事の切り出しもできる、その人がそれぞれの条件に合った働き方が可能だということを強調するために言ったつもりです。もう一方で、基本的には、私のところも、どの世代も正職採用を基本にしているので、非常に定着率が高く、離職率が低いといった結果を出しているわけですけれども、やはり若い人の層を、この仕事に引きつけるための給与保障というか、正職としてのきちんとした給与保障がされないと、魅力発信にはなりません。
ですから、これを基本にして、いろいろ分業的なことも必要だと思います。先ほど言った、どのような仕事の切り出しもできるという意味では、やはり正規の採用を基本にするということ、その水準も、先ほどの資格の要件を正当に評価するとか、いろいろ重ねて、専門職としてのプライドが持てるような給与保障をしていくことが基本ではないかと思っています。
特に、知的障害福祉は、一人の人間としての全人格的な自立支援といった立場に立った自立支援という切り出しだけでは、支援は実現しませんので、そういったマネジメントができる、マルチタスク的な仕事が担えるような人材を基本にして、そして、様々な働き方の方が周りにいらっしゃるという構造をつくらなければ、持続可能とはならない、魅力発信にはつながらないと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
かなり時間が押してまいりまして、今、谷村委員からお手が挙がりましたが、ほかに発言の御予定の方がいらっしゃったら、今、お手をお挙げいただきたいのですが、おられませんか、いらしたら、どうぞお手を挙げていただきたいのですけれども、よろしいですか。
それでは、谷村委員からお願いします。
○谷村委員 早口でやります。
先ほど宮本先生は、上からだけではなく双方向でというのが、発言の御趣旨だったと思うのですが、資格の共通化について、やはり御検討いただくことが必要ではないかと思っているのが、保育士不足ということで、平成29年に、社会福祉士や介護福祉士は保育士を取りやすくなっているのです。その逆が今はないのです。
私も、法人の淡路島、まさに中山間の人口減少地域のところの特養で、一時期保育士資格取得者が8割いたことがある、これは、保育士に、いわゆる人権意識を培っていこうという意味での意図的な人事異動をやった結果がそういうことだったのですが、実際のところ、いわゆるソーシャルワークをしっかりとやっていこうとするならば、介護、保育、障害のケアワークについては、いわゆる利益を生む仕組みができておりますけれども、ソーシャルワークはないわけでありますので、主にかかるコストというのは、ソーシャルワークは人件費ということになりますけれども、そこをしっかりやっていくためには、経済的にもしっかりとやっていくという意味では、やはり資格にお金がついている状況の中で、保育士から、いわゆる介護福祉士を取りやすいということの仕組みも、やはり検討いただくべきではないかと思っています。
当然、専門的な知識と技術を備えるためということと、あわせて経済的なこと、そういうことも必要ではないかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
様々な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど、宮本委員から議論の重なり合いというお話がございましたが、こちらの2040の検討会も、まず、介護で議論され、この後、障害、子どもまで広げて、その議論をされると伺っています。
そうすると、さらに、地域共生社会の議論との重なりというのが大きくなっていくのかなと思って聞いておりました。
おそらく、それらの重なり合いの議論をする場が、この福祉部会になっていくのかなとも思いまして、その意味でも、今後、さらに2つの会議体で議論が進んでいくと思いますけれども、それらを踏まえて、こちらの福祉部会のほうで皆様に、まさに重なり合いの議論も含めて御議論いただければと思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、もう一つございます。こちらは、報告という位置づけではございますが「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について」というテーマにつきまして、御報告をお願いいたします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。資料4の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について」を御報告いたします。
資料の1ページ目を御覧ください。
上段でございますが、本制度に係るこれまでの経緯になります。
本制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等の職員の方に対して、退職手当金を支給する制度でございまして、各年度の退職手当金の支給財源につきましては、同年度に制度加入者が納付する掛金及び補助金によって賄われております。
制度創設当初は、高齢者関係、それから障害者関係も含めまして、公費による掛金の助成が行われておりましたけれども、この公費助成の在り方について、過去の制度改正の中で、他の経営主体とのイコールフィッティングの観点から見直しが行われまして、介護関係の事業については平成18年、障害者関係の事業については平成28年に廃止となっております。
令和3年の福祉部会におきまして、保育所等に対する公費助成の在り方についても、本部会の中で御議論いただきまして、取りまとめをいただいたところでございますけれども、新子育て安心プランの内容を踏まえまして、令和6年度末までに改めて結論を得るとされたところでございます。
こちらにつきまして、1ページ目の下段のほうでございますが、こども家庭庁におきまして、令和7年3月4日に開催されました関係の審議会において、保育所等に対する公費助成を一旦継続しつつ、他の経営主体とのイコールフィッティングの観点及びこども未来戦略に基づく保育人材確保の状況を踏まえまして、令和8年度までに改めて結論を得る旨が報告されたところでございます。
資料の2ページ目は、こども家庭庁の関係審議会での資料でございます。
参考としまして、下段のほうでございますけれども、保育、介護、障害の運営主体の割合について記載されております。
保育分野については、介護、障害分野と比較して、社会福祉法人が運営主体となっている割合が高いことが示されております。
以上を踏まえまして、本退職手当共済制度における保育所等の公費助成を一旦継続しつつ、令和8年度までに、改めて結論を得るとする方針につきまして、本部会においても御報告をさせていただきます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
こども家庭庁における検討結果についての御報告ということですが、何か御質問があれば、お願いいたします。
高橋英治委員、どうぞ。
○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
時間が押していますので、一言だけ意見を申し上げたいと思います。
今回は報告事項ということでございますけれども、令和8年度までに改めて結論を得るということになっておりますが、株式会社、NPO等の割合が出ておりますけれども、現在、少子化の影響もあって、これ以上、営利法人の割合が急激に増えるとはなかなか考えづらいことと、この割合は、恐らく都市部を中心とした待機児童がいるところに多くあるのではないかと思っております。その辺の分析も必要かと思いますけれども、また、議論があるかと思いますけれども、令和9年度以降も引き続き、公費助成が必要だと思っておりますので、今日は、それだけの意見でございますけれども、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。ぴったりちょうどの時間となりまして、御協力どうもありがとうございます。
それでは、これをもちまして、本日の審議を終了させていただきます。
次回の開催について、事務局からお願いいたします。
○山口総務課長 次回の開催につきましては、夏頃を予定しておりますけれども、事務局にて改めて開催日程を調整させていただき、追って皆様方に御連絡させていただきます。大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 本日は、どうもありがとうございました。
今日キックオフということで、これから何度もこういう形で議論をさせていただくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、また、貴重な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
この後、部会長を選出いただくまでの間、私、社会・援護局総務課長の山口が進行を務めさせていただきます。
本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
まず開会に当たりまして、社会・援護局長の日原より一言御挨拶を申し上げます。
○日原社会・援護局長 委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
また、日頃から厚生労働行政に御理解をいただきまして、多大な御協力、御尽力をいただいておりますことに対しまして、改めて厚く御礼を申し上げます。
この福祉部会で御審議、御議論いただきました内容を踏まえまして、最近では平成28年、また、令和2年に社会福祉法の改正が行われておりまして、包括的な支援体制の整備や、社会福祉連携推進法人制度の創設など、地域共生社会の実現に向けた様々な取組を進めてまいりました。
その後におきましても、御案内のとおり、少子高齢化と人口減少の進行、また、単身世帯が増加しておりますし、それから、日常の様々な場面におけるつながりの希薄化など社会構造の変化がさらに進む中で、こうした取組をさらにどのように進めるか、また、身寄りのない高齢者の方などへの対応や、人口減少下でのサービス提供体制、それから、昨年の能登半島地震も踏まえた災害時の福祉的支援の在り方など、新たな課題について検討が求められております。
これらの点につきましては、現在、関係部局で検討会を開催しまして、御議論をいただいているところでございますけれども、本部会では、これらの検討会の御議論も踏まえつつ、こうした課題に取り組むための社会福祉制度の在り方や、具体的な方策について、年内を目途として御審議をいただきたいと考えている次第でございます。
委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山口総務課長 それでは、委員の皆様の御紹介に入らせていただきます。
御出席の委員の方々を五十音順で紹介させていただきますが、時間の関係上、恐縮ですが、お名前のみの紹介とさせていただきます。所属、役職等につきましては、お手元の委員名簿を御参照ください。
まず、井口健一郎委員でございます。
石踊紳一郎委員でございます。
及川ゆりこ委員でございます。
鏑木奈津子委員でございます。
菊池馨実委員でございます。
佐保昌一委員でございます。
新保美香委員でございます。
鈴木俊文委員でございます。本日オンラインでいらっしゃいます。
高橋英治委員でございます。
髙橋秀親委員でございます。
谷村誠委員でございます。
鳥田浩平委員でございます。
中村和彦委員でございます。
西島善久委員でございます。
沼尾波子委員でございます。
則武直美委員でございます。
樋口幸雄委員でございます。
堀田聰子委員でございます。オンラインでいらっしゃいます。
松原由美委員でございます。
宮本太郎委員でございます。オンラインでいらっしゃいます。
吉田俊之委員でございます。
なお、全国町村会の方につきましては、夏頃に委員として参画いただく予定となっております。
失礼いたしました、小笠原靖治委員でございます。よろしくお願いいたします。
また、本日は、全国市長会の刈谷市長、稲垣武委員、桃山学院大学社会学部教授の川井太加子委員、全国知事会の群馬県知事、山本一太委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市副市長の鈴木克幸参考人にお越しいただいており、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。鈴木参考人、高橋参考人の御出席につきまして、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○山口総務課長 ありがとうございます。
では、御異議なきものとさせていただきます。
本日は御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
また、事務局からの出席者につきましては、配付させていただいている座席表をもちまして紹介に代えさせていただきます。
なお、岡本審議官は公務の都合により遅れての出席とさせていただきます。
ここで、報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退席をお願いいたします。
(報道関係者 退室)
○山口総務課長 続きまして、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日は資料といたしまして、資料1から4、参考資料を配付させていただいております。
会場にお越しの委員におかれては、机上に用意しております資料を御確認ください。
オンラインにて出席の委員におかれては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
まず、資料1「『福祉人材確保専門委員会』の設置について(案)」。
資料2「『地域共生社会の在り方検討会議』の検討状況について」。
資料3「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会の検討状況について」。
資料4「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について(報告)」。
参考資料1「社会保障審議会関係法令・規則」。
参考資料2「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」。
欠落等はございませんでしょうか。もしございましたら、後ほどお気づきのときでも結構ですので、おっしゃっていただければと存じます。
次に、発言方法等について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。
御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、発言は極力簡潔にお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、本部会の部会長の選出でございます。今、御紹介を申し上げました参考資料「社会保障審議会関係法令・規則」を御覧ください。
4ページの社会保障審議会令第6条第3項でございます。こちらにおきまして、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されております。本部会には、社会保障審議会の本委員といたしまして、菊池委員、新保委員及び松原委員がいらっしゃいます。
あらかじめ3名の皆様に御相談させていただいた結果、菊池委員に部会長をお引き受けいただくということで結論をいただきました。したがいまして、互選により菊池委員が部会長に選出されたことを御報告申し上げます。
それでは、これからの議事運営につきましては菊池部会長にお願いしたいと存じます。部会長、すみません、部会長席へお移りいただいて、一言お願いいたします。
○菊池部会長 ただいま部会長を拝命いたしました、菊池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
来年の制度改正を控えた大変重要な部会になろうかと思います。委員の皆様に忌憚のない御意見を頂戴しながら、また、皆様の御協力を賜りながら円滑な議事運営に努めさせていただきたく存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、座らせていただきます。
まず、部会長代理の指名をさせていただきます。ただいま御説明いただきました社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されています。そこで、社会福祉学に精通され、また、社会保障審議会の委員でもいらっしゃる新保委員に部会長代理をお願いしたいと考えてございますが、皆様、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、新保委員、よろしくお願いいたします。どうぞこちらにお移りください。
恐れ入りますが、最初に一言お願いできればと思います。
○新保部会長代理 ただいま、部会長代理に御指名いただきました新保と申します。微力ながら、この役割を果たしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
まず、議事の「(2)福祉人材確保専門委員会の立上げについて」について、事務局から説明をお願いします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 失礼いたします。福祉人材確保対策室長でございます。
資料1を御覧ください。福祉人材確保専門委員会の設置をお願いするものでございます。資料に沿って御説明をさせていただきます。
設置の趣旨でございますが、2040年に向けて、高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進む中、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護人材の確保・定着に向けてより一層取組を強化していく必要がございます。
これを受けまして、福祉部会において、関係者による専門的観点から検討を進めるために、福祉人材確保専門委員会を設置するということでお願いをするところでございます。
構成等につきましては、専門委員会に委員長を置いて、委員長は部会長に指名をいただくという形で規定してございます。
検討項目につきましては、介護人材の総合的な確保方策等とさせていただいてございます。
後ほどの議事にもありますが、2040年に向けたサービス提供体制の在り方の検討会の議論なども進んできてございます。それを踏まえながら御議論いただくことを想定してございます。
運営のところでございますが、議事は原則公開、また、検討過程において、必要に応じ、関係者の意見聴取を行うことができる、検討結果については、福祉部会に報告をする、そのように規定してございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見などがあれば、お願いいたします。会場の皆様は、お手をお挙げいただければと思います。オンラインの皆様からは、挙手ボタンでお示しいただきたいと存じます。いかがでしょうか。
特にございませんか、よろしいでしょうか。
ございませんようですので、ただいまの専門委員会につきましては、社会保障審議会運営規則により、この部会に諮って設置をすることができるとされています。福祉人材確保専門委員会について、資料1の提案のとおりに設置したく存じますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。御異議ないと認めましたので、設置ということにさせていただきます。
続きまして、資料1におきまして、専門委員会の委員長は、部会長が指名するとされてございます。そこで、この場を借りて、私から委員長の指名をさせていただきたく思います。
事務局からの御説明を受けて検討させていただいた結果、介護・福祉分野の政策全般に精通しておられ、社会保障審議会の委員でもおられる松原委員を、福祉人材確保専門委員会の委員長として指名させていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
それでは、松原委員から一言お願いできれば幸いです。
○松原委員 ただいま、福祉人材確保委員会の委員長に御指名いただきました、早稲田大学の松原由美です。どうぞよろしくお願いいたします。
人口減少社会の中で、いかに福祉サービスを安定的に提供し続けるかという面で、福祉人材確保は大変重要な問題と認識しております。
この部会のテーマの福祉人材確保につきまして、充実した内容を御報告できますように、福祉人材確保専門委員会の委員の皆様方の御協力を得ながら、励んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 社会的にも大変注目されているテーマと認識してございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次に「『地域共生社会の在り方検討会議』の検討状況について」を議題とさせていただきます。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○南地域共生社会推進室長 地域共生社会推進室長です。
私のほうから、検討状況について御報告させていただきます。資料2をお開きいただきまして、1ページ目を御覧ください。
地域共生の在り方検討会議ということで、地域共生社会の実現に向けて、平成29年及び令和2年の社会福祉法改正により、制度的な対応等を強化してきているところであり、令和2年の改正法附則2条におきまして、施行後5年の検討規定が置かれておりますので、これを踏まえまして、昨年6月から検討会を開催させていただいております。
主な検討事項につきましては、1ページ目の真ん中の黄色の枠のところですが、地域共生社会の実現に向けた方策、それから、身寄りのない高齢者等が抱える課題への対応、多分野連携・協働の在り方、それから、成年後見制度の見直しに向けた、司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実といったテーマで検討しております。
このほか、社会福祉法人、社会福祉連携法人制度でありますとか、災害への対応等についても、あわせて御議論いただいているところです。
資料をおめくりいただきまして、3ページ以降、概要について簡単に御説明をさせていただきます。
3ページ目につきましては、地域共生社会の実現に向けた取組の全体像をお示しさせていただいております。
地域共生社会の実現につきましては、社会福祉法第4条第1項に規定されております。
これを踏まえまして、社会福祉法の中で、具体的な対応方策を制度的に整備しております。
具体的には、下のほうの2つ目の丸ですが、包括的な支援体制の整備というのを、全ての市町村に努力義務としてお願いしているところです。
この包括的な支援体制を整備するための1つの方法として、重層的支援体制整備事業という事業を、これは令和2年の法改正でつくった事業です。これは、市町村任意の事業で手挙げ式で、こういった事業を使ってやっていただくことも可能ということで、お示ししているところです。
4ページに進んでいただきまして、地域共生社会の実現に向けて、現状とか、目指すべき社会ということで記載しておりますが、地域共生社会につきましては、人と人とのつながりを再構築し、誰もが役割と生きがいを持って、互いに支えたり、支えられたりする関係が循環する地域社会ということでありますが、重要な要素としましては、その下にありますとおり、社会経済活動の基盤として人と資源が循環する、地域の中で生活する上で福祉的な対応に限らず、いろいろな産業であるとか、分野と連携・協働していくことが必要ということで、このテーマも大きなテーマとして検討会で御議論いただいているところです。
5ページへ進んでいただきまして、先ほど申し上げました地域共生社会の実現のための制度的な対応といたしまして、社会福祉法では、包括的な支援体制を整備するということを、全ての市町村にお願いしているところです。
イメージ図ということで書いておりますが、支援関係機関、相談対応を行っているような介護、障害、生活困窮、子供、こういった支援関係機関が連携をしながら、どういった方でも対応できるような相談対応をしていくというのが1つ。
もう一方で、地域住民のほうで、地域で支え合う機能として、居場所であったり、交流の場であったり、見守り等の機能を持っていくと。
こういったものを市町村の中で一体的に構築をして、必要な支援に早期につなげていくという体制を構築していただきたいというお願いをしております。その1つのやり方として、重層的支援体制整備事業の位置づけがあります。
検討会議では、この包括的支援体制の整備、全ての市町村が実施できるようにするために、どういう方法があり得るかという議論をいただいているところです。
6ページ以降は、身寄りのない高齢者等の対応に関する資料です。
高齢期に、いろいろな入院でありますとか、退院した後の生活の再建とか、あるいは機能が低下する中で、住む場所を変えていく、あるいは亡くなった後の対応をどうするかといった幾つかの場面が想定されますが、身寄りがないということで、そういった対応がなかなか難しい困難だというケースがあります。今後、単身の高齢者の世帯も増えていきますので、こういった問題に対応していくということで、検討会で御議論いただいております。
7ページ目ですが、厚労省で、こういった課題に対応するためのモデル事業というのを実施しています。
下に2個書いております。包括的な相談調整窓口の整備と、それから、そういった身寄りのない方に対する支援をパッケージで提供するような取組、これをモデル事業として、今、幾つかの自治体さんで実施をしていただいている状況です。
こういったモデル事業の結果等も踏まえて、さらにどういった対応が必要かという検討を進めていくこととしております。
8ページ目以降は、成年後見制度との関係です。
第二期の成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定をしておりますが、この中に、下のほうを赤で囲んでおりますが、成年後見制度の見直しに向けた検討と、総合的な権利擁護支援策の充実ということで、成年後見制度の見直しにつきましては、法務省で、今、検討が進められているところでありますが、ここに黄色で線が引いてありますとおり、スポット利用だとか、交代みたいなことも念頭に議論が行われていると承知をしております。
そういった際に、成年後見が仮にスポットになった場合、成年後見が終わった後の地域の受皿をどうしていくかという観点で、議論をいただいているところです。
資料を飛ばしまして、11ページ目に進んでいただきまして、これまで9回検討会議を開催させていただきまして、様々なテーマについて議論をいただいております。
また、関係の有識者の方でありますとか、自治体からもかなりたくさんヒアリングをさせていただいて、充実した議論ができているかと思っております。
前回3月27日に、論点整理ということで事務局案を提示させていただいております。12ページに、その論点整理の項目だけ記載しております。
前回3月27日に、特に重層的支援体制整備事業の部分について、御意見をたくさんいただいておりますので、引き続き、構成員の方と丁寧に意見交換をしながら、個人の方の御意見踏まえて、取りまとめに向けて調整を進めていきたいと考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問があればお願いいたします。
オンラインから、この検討会の座長でもいらっしゃいます宮本委員、よろしくお願いいたします。
○宮本委員 宮本と申します。
オンラインということもあって、空気を読み切れていないかもしれないのですけれども、申し上げるタイミングなのだろうなと思って一言、本当に一言になるように努力しつつ発言させていただきたいと思います。
今、南室長のほうからお話があったとおり、この検討会議は議論を集約する段階に入っております。
そういう意味では、途中経過報告ということで、あくまで私が座長として、ちなみに座長代理を菊池先生にお務めいただいているわけですけれども、個人として受け止めている中身ということでお聞きいただければと思います。
大きく大事なポイントは3つあるのかなと思っておりまして、第1に、社会福祉法の新しいステージへの発展ということであります。
社会福祉法を地域共生社会の理念に沿って、この時代にふさわしい、より明快なものにしていく作業を進めているということになるのかなと思います。
言ってみれば、社会福祉法を第3のステージに載せていく作業になるかと思ってございます。
第1のステージというのは、言うまでもなく、社会福祉事業法が措置制度を軸に立ち上がったステージです。
第2のステージというのは、2000年に基礎構造改革で、措置から契約が基本的な理念として打ち出されたステージであります。
そして、第3のステージというのは、言わば契約から共創へともにつくるという基本理念のもとに、社会福祉法をより一貫した明快なものにしていくという課題なのかなと思っております。
今も若干言及されたところですけれども、社会福祉法4条で地域住民等の役割を示しているわけですけれども、6条では、国、自治体の責務を書いているわけで、この2つの関係、ここがやや曖昧であるがゆえに、地域共生社会などというと、地域に責任を丸投げしようとしているのではないか等の批判も賜ったわけであります。
そして、この4条と6条の関係が、やや曖昧なまま、6条をさらに具体化するものとして、2007年に106条の3、包括的支援体制の規定が盛り込まれ、さらにこの包括的支援体制を具体化する道具立てとして、2020年には106条の4、重層的支援体制整備事業が書き込まれたわけです。
そういう意味では、4条、6条、106条、3、4と、基本的に新しい理念が打ち出されているのですけれども、特に国や行政が地域の人々の営み、支え合い、そして、共創的な地域への参加を、これをどう支えるのかという辺りが、明快に書き切れていないというか、発展途上であったということがあったのではないかと思います。
私は、支え合いを支えるという言い方をしていますし、包括的な体制として支援をつなげることで地域の人々を相互に、そして地域社会に対してつなげるという事業であるわけですけれども、その辺りをもう少し明快にお示ししていくことが大事なのだろうなということです。
2番目に今も言及があった重層的支援体制整備事業、この中身になるわけですけれども、申し上げたとおり、地域共生社会実現のツールとして位置づけられているわけで、大変強い期待を受けて、令和7年には470を超える自治体がこれに着手するということになっています。
ただ、今、申し上げたような意味で、これは何をしようとしているのかということについて、つまり体制を整備した上で何を実現しようとしているのかということについて、まだまだ明快に考え方を、国、自治体あるいは福祉に携わる人たちが共有できていない面もあったということです。例えば、多機関協働事業を例に取るならば、これは支援をつなげることで、地域の人たちをつなげていく事業ですので、その6条の趣旨からいっても、民間の事業者に丸投げすることはあり得ないわけです。
でも、つなげる支援の中には、当然民間の事業者と一体として事業を進めていくわけですから、民間事業者が関わらないということもあり得ないわけなのです。
この辺り、今、室長からも若干お話があったとおり、行政からの連絡という点でも、やや話が明快でなくなってしまう部分があった、もっと言うならば、若干混乱した部分もあったのかなということで、この辺り委員の皆さんの御意見も賜りながら、よりクリアな事業の中身にしていくことが必要なのではないかなと思います。
もう時間が随分来てしまったので、第3には権利擁護事業、身寄りのない高齢者の支援なのですけれども、これも第2のステージ、つまり、日常生活自立支援事業は、サービス利用支援という形で位置づけられていて、言ってみれば、措置から契約へという段階に足場があったわけですけれども、これから身寄りのない高齢者を支援する、何をするのか、実際に金銭管理のニーズなどがあるわけですけれども、単にサービス利用の支援だけではなくて、突き詰めてしまうと、丸ごと家族になると、それも瑕疵のない家族といいますか、現実にもなかなか珍しい、そのような家族の役割を支援が丸ごと引き受けることができるのかという辺り、でも共創ということを考えると、やはり当事者を含めて、地域の人々の力を束ねていくことが大事、それでなくては何もできないわけでありますけれども、その辺りをどう具体化していくのかということが課題になっているということです。
案の定、一言では終わりませんでしたが、以上、途中経過ということで御容赦いただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
検討会議の議論状況も含め、お話をいただけたかと思います。
ほかの皆様からいかがでしょうか。今日は大勢の方に会場参加をいただいておりますが、まだ、お名前が必ずしも把握し切れていませんので、少し指名まで時間がかかるかもしれませんが、いかがでしょうか。
それでは、石踊委員、お願いします。
○石踊委員 全国老施協の石踊でございます。
私のほうから、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題について、少しお話をさせていただきたいと思います。
身寄りのない、もしくは身寄りと疎遠な関係の高齢者が増えている状況でありまして、生活上の課題の多い高齢者の包括的な相談あるいは調整につきましては、これまで以上に市町村、地域の社会福祉協議会などが中心となって支援体制を構築しているということは重要であります。
ただ、医療機関や施設に入院、入居時に、手術などの同意や支払い遅滞への対応、あるいは遺体引き取りや、居室明け渡しなどの際の連絡や同意が必要という理由で、身元保証人を求める場合があります。
身元引受人がいない場合、誰かの助けを借りないと受入れ先を見つけることは、容易なことではございません。施設におきましても行政と連携して支援している状況ではございますが、煩雑な事務手続など、法的に配慮すべきことが非常に多いので、入院、入所時の身元保証を代替することや、あるいは死後の残置物処理や事務処理について、法的な整備が必要と考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
会場から及川委員、お願いします。
○及川委員 日本介護福祉士会の及川でございます。
私のほうから論点の1(2)と4の(2)について、少し御意見を申し上げます。
まず、論点1の(2)でございます。
包括的な支援体制の整備に当たっては、介護福祉士の専門性の活用は欠かせないと考えております。
施設や訪問介護等、在宅に限らず、介護の現場では多様な介護ニーズを抱えた者の生活、暮らしをお支えしています。
ますます高齢化する中で、認知症のある方も増加している状況です。認知症があっても、地域住民の理解が深まれば、地域の中で生活、暮らしを継続することは可能であると考えます。
また、介護現場で介護サービスの提供を通した生活課題の発見は少なくございません。発見した課題のうち、地域課題として捉えるべき内容については、地域で他関係機関と連携して対応を進めていくことも可能でございます。
京都市では、地域の中で事業を展開する地域密着型サービスで、ケアワーカーが地域の中での要援助者や、地域の課題に第一に接することが少なくないことから、そのケアワーカーが高い専門性と感性、マネジメント能力を備えることで、地域の要援助者や課題を早期に発見し、関係機関と連携して適切な課題解決や、要援護者の支援に結びつけることができるとし、コミュニティーケアワーカーを養成、配置しております。実際に活動が展開されているということも聞いております。
そもそも介護現場では、要介護者等に対する介護サービスの提供のほか、家族などの介護者に対する介護スキルの指導、介護サービスや意思決定支援に関わる相談ごとへの対応、地域課題として備えるべき資源の開発への関与など、様々な関わりが展開されております。
ただし、現在、在宅サービスのかなめである訪問介護などは、なかなか充実しているとは言えるような状況ではございません。というところでございます。
なお、介護福祉士会の取組の実例としても地域住民を対応とした介護講座や、介護予防体操の提供、民生委員を対象とした認知症の方とのコミュニケーション取り方の勉強会などの取組がございます。
介護福祉士会として推進している認定介護福祉士には、地域における介護力向上のための学習内容を組み込み、そういった人材育成を行っているところでございますが、いずれにしても、特に介護ニーズを抱える方々が増える中で、地域共生社会における包括的な支援体制を整備するに当たっては、介護福祉士の専門性を生かした取組も有効に活用すべきであると考えます。
4の(2)についてでございます。
能登半島地震に限らず、介護福祉士会では大規模な自然災害があった際、行政機関からの応援要請に応じた被災者支援を行っています。
主だったものとしましては、避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応、一般避難所等における避難所の見守り支援がございます。
避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応については、DWATや法人間連携等による人材派遣などの公式なルートからの支援が行われるまでの間のつなぎ人材として、また、一般避難所における避難所の見守り支援について言えば、避難所の中で生活を余儀なくされる方々の中におられる足腰の弱い方々の歩行支援、夜間のトイレ誘導などの支援を行う人材として、それぞれボランティアで介護福祉士等の派遣を行っています。
いずれも極めて重要な機能であると考えております。実際に評価もいただいていると理解しておりますが、ボランティアという労災の対象にならない不安定な立ち位置であること、これらの取組がどこにおいても適切に発動できる体制を整備しておくことが必要であることなどを踏まえれば、この取組の行う体制をオフィシャルに構築し、平常時から備えておくことが、本来望ましいと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、西島委員、お願いします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島と申します。
御承知のように、今、社会福祉士の活動領域につきましては、地域福祉、地域共生に関する領域をはじめ、災害であったり、司法であったり、居住、教育等、福祉の隣接領域にも広がってきております。
今日、先ほど御報告いただいた内容にもございましたが、地域共生社会の実現に向け、包括的な支援体制の構築や、身寄りのない高齢者への支援、権利擁護支援等の場面におきましては、ソーシャルワーク専門職として、しっかりと役割を果たしていきたいと考えております。
1点御質問をさせていただきたいと思うのですけれども、持続可能な権利擁護支援、モデル事業のところで、先ほど、委員長のほうからも、丸ごと家族になるという表現もございましたが、一例だとは思うのですけれども、総合的な支援パッケージを提供する取組の図式の中で社会福祉協議会となっております。
この日常生活支援というのは、措置から契約に変わっていったところで入ってきたところですけれども、第3のステージとしまして、身元保証の問題であったり、死後の事務支援というのが入ってきているのですけれども、内容については、非常に重たい内容ではないかと思っております。
今の社協さんが実施されている日常生活自立支援事業、日常生活支援のところが多いと思うのですけれども、これも社協さんによっては、非常に待機が多くて、なかなか、こなせていない、待機者がいて、現場が少し困っているという状況もあったりするのですけれども、一方で、こういう仕組みができるのは非常に大切だと思います。これから詳細をというところもあるかもしれないのですけれども、進めていくに当たって、現在検討されている支援策とか進め方等があれば、少しお伺いしたいと思って質問をさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から、お願いします。
○火宮成年後見制度利用促進室長 成年後見制度利用促進室長の火宮です。
今、御質問いただいた総合的な支援パッケージを提供する取組の具体化のお話のところですけれども、こちらは、まだ検討中ではございますが、3月の地域共生社会の在り方検討会議に、事業のイメージ案というものを提示させていただいておりまして、そこで日常生活支援をはじめ、ここに書いてあるような3つの支援の内容を、どのようにやっていくかということは、事務局の案として投げかけさせていただいたところです。
その際、構成員の皆様からも、様々な御意見をいただきましたので、そういった御意見も踏まえながら、また、先ほど座長のほうからは、丸ごと家族支援のような中身になってしまうのではないかというお話もありましたので、そういったことも踏まえながら、どういった支援ができるかということを検討していきたいと思っております。
○菊池部会長 現時点でのコメントということで、御理解いただければと思います。ありがとうございます。
いかがでしょうか。
それでは、鳥田委員、お願いいたします。
○鳥田委員 東京都社会福祉協議会の鳥田と申します。いろいろ御説明をありがとうございました。
地域共生社会の在り方の検討会議で出ています論点で、重層の話ですとか、包括的な相談体制ですとか、身寄りのない高齢者等への対応ということで、社会福祉協議会も区市町村などから頼まれたというか、委託を受けたり、補助を受けたりとかして、幾つかのところで、このような仕事をさせていただいているところも全国的にあるのですが、全国の社会福祉協議会の方々の話を聞くと、昨今、別に福祉の世界だけではないのですけれども、人手の問題が、非常に不足していたりとか、あるいは、もちろん交付税措置とかでいろいろ社協を支えるような仕組み、あるいは補助金等あるのですが、それが、なかなか社会福祉協議会の運営を支えるということまで至っていないところもあるやに聞いております。
こういう地域共生社会の在り方検討会議の中で御議論されている内容についてはとてもすばらしいことで、そういったことは、ぜひ、全国で目指していけたらすばらしいとは思うのですが、そういった実施の体制を裏打ちするようなことも併せて御議論いただいて、こういったことが着実に進んでいけるようにしていただけたらと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
単なる意見でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いただいた御意見は、当然、検討会議のほうにもお伝えいただけるということになりますので、ありがとうございます。
それでは、松原委員からお願いします。
○松原委員 地域共生社会は、非常に重要なことで、一部の先進的な地域とか事業者さんにおいては、みなが憧れるような取組をなさっていると思います。
そういう取組に対して、また地域共生社会を構築するということに対して、自分たちに、どういう環境になるのだということを、伝えていくことが重要だと思います。
今は、いかに構築するかの議論がメインになるのは分かるのですけれども、昨今、社会保障全般に対しての批判が強い中で、いかに地域住民にとって、地域共生社会が、さらには社会保障が、直接的、間接的に地域をいかに支えるのか、メリット、デメリットで議論するべきでありませんけれども、自分たちにとって長期的にみてメリットがあるいいことだと、必要なのだということを分かっていただくためにも、伝えるという取組も非常に重要な視点かと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
則武委員、お願いします。
○則武委員 全国児童養護施設協議会の則武です。よろしくお願いします。
地域共生社会の在り方検討会議における論点というところで、1の2の⑦のところに「若者支援」というのを入れていただいているのは大変ありがたいなと思っております。
今、お話ししたいなと思ったのは、4の(2)の被災者支援のところなのですけれども、今回の能登の地震の支援のところでも、子供を、特に発達障害を持ったお子さんの支援というところが大変難しさがあったとお聞きしております。
被災者の中には、もちろん子供さんもおられるわけで、特に発達障害を持っているような特別な配慮が必要な、人数が多いところが非常に苦手であったり、音に敏感であったりというお子さんがおられるのですけれども、そういうお子さんへの支援についても考えていただきたいと思っております。
それで、今、これを申し上げたのは、こども家庭庁さんができてから、これは、こども家庭庁のことなのか、厚労省に関わることなのか、みたいなところが、少し難しいところがあるなと最近感じておりますので、ぜひ省庁で連携していただいて、子供への支援についても考えていただければありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今日、こども家庭庁さんは来ていますね、ちゃんと聞いていますので、持ち帰っていただきます。ありがとうございます。
いかがですか、それでは、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会の小笠原でございます。
私たちは、介護福祉士を養成する団体でございますが、この地域共生社会を教育の中で教えるというのは非常に難しいと感じております。
その中で、2019年の新カリキュラムから、教育に含むべき事項というものの中で、地域における生活支援の実践というところが明記されて、全国の各養成校で取り組んでいるところでございます。
その中でも、この教育に含むべき事項の中では、介護実習の中で位置づけられているということで、まさに事例であったり、知識で学ぶところだけではなく、実践の中でこれを学んでいくということが、特に求められていると感じるわけですが、実際に学生たちが実習に行くと、先ほど松原委員がおっしゃられたように、非常に魅力的な、先進的な取組をされている事業所、地域もありますし、中には、やはりまだまだ施設の中で介護が完結しているという地域もございますので、学ぶに当たって、非常に学ぶ差というのが学生によって出てくるという現状があります。
今は、どうしても実習に行くと、いろいろな種別を経験させるという位置づけになりがちですが、今後、地域共生社会を考える教育と考えたときに、地域課題によって実習を学生たちが選んでいくということも必要になってくる。そのためには、やはり地域共生社会の取組が進んでいかないと、なかなか学生たちがそれを学ぶ機会が持てないというところが、課題としてはあるように感じております。
そのような中で、学生たちが、そういう先進的な取組をしているところに実習に行くと、非常に目を輝かせて帰ってきて、そこには、ちゃんと地域に根づいたストーリーがあるというか、例えば、ある施設で言えば、地域の孤独死を解決するために、施設がそこで関わりを持って、地域でカフェをつくっていったというところで、カフェをつくったよという地域共生ではなく、やはりそこに対して地域課題をどのように解決していったかというストーリーが明確になっていると、非常に深い学びになっていくと考えると、やはり地域共生社会は、カフェをどうつくるかとなりがちなところも一部ありますが、地域課題を解決するところから、やはりスタートしていくということの中で、介護福祉士養成をどうやっていくかと結びつけていく、現場と教育の連動ということが、今後非常に必要になってくるのではないかと感じているところでございます。
あとは、どうしても実習は施設に偏りがちというところで、なかなか在宅、特にコロナ以降は在宅で学ぶ場が減少していると感じますが、やはり施設地域の枠組みでなく、地域の支え合いというところを考えると、いかに施設が地域に出ていくかということもありますが、逆に地域が施設にどう入っていくか、ここが、どうしても人手不足の課題が出てくるわけですが、人手不足だから地域に出られないということであれば、いかに地域から働きかけて、施設に入っても地域と高齢者、利用者、障害者の方々が関わり合えるかというところも含めて、今後の福祉の向かうべき方向性ということを、学生に現場からお示ししていただくことが、未来の地域共生を支える介護福祉士の養成につながるのではないかと考えております。
意見というところですが、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、谷村委員、お願いします。
○谷村委員 全国社会福祉法人経営者協議会の谷村と申します。よろしくお願いいたします。
南室長に質問なのですが、この4番のその他の(1)です。社会福祉法人・連携推進法人制度でありますけれども、いろいろやり取りのプロセスは、ある程度聞いているのですけれども、現時点で、どのような改善であったり、修正が必要だと感じておられるかということを少しお話しいただければありがたいと思っています。
社会福祉法人のほうも地域共生社会の実現に向けて、その主導をやっていこうという思いでやっているわけですが、その1つの手法、有効な活用ができれば、有効ではないかと思っている中で、今のところ、例えば24条の2項の事業を推進していくのにも、この連携していくことのインセンティブが、まだ働かないような仕組みですね。その辺のところ、いろいろ意見が出たのだろうと思うのですが、今、どのようなことを考えておられるかというのを、お聞かせいただけたら、ありがたいと思っています。
○菊池部会長 お願いします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
地域共生社会における社会福祉法人・社会福祉推進連携法人の役割といったお話だったかと思いますが、人口減少により地域が縮小する中、社会福祉法人・社会福祉連携推進法人が、地域共生社会の担い手としての役割が一層期待されるため、地域の方々と協力して、活動しやすい環境を整えていきたいと思っております。今、お話がありました協働化とか大規模化というのも、1つの有効な方策だということで、希望する法人がより円滑に取り組むことのできる仕組みについて考えていきたいと思っております。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。
資料の5ページのところで、支援関係機関と地域住民等ということが出てくるのですけれども、包括的支援体制ということがこれまでのフェーズで議論されたときには、専門家と地域住民をどうつなぐかという観点から、こういう整理がされていたと思うのですが、今、私は、どうしても地域づくりのことを研究しているので、福祉のことはあまり詳しくないのですけれども、今、全国の地域の現場では、担い手がいなくなる中で、住民で、例えば空き家の管理とか、お祭りや道路、清掃、草取りなどができなくなってきていると。
そういうところの課題を整理したり、どのようにやっていくかということも含めて、例えば、総務省のほうで、過疎対策で集落支援員制度を入れたり、地域おこし協力隊制度を入れたり、そういった地域づくりの支援や専門家を入れていくような制度もあると。
それが、この地域住民等というところの「等」に含まれているのか、別途そういった地域づくりに関して担う支援関係機関のようなものがあって、そこと、ここの赤字で書かれている支援関係機関というものの連携や、つながりというところについても考えていく必要があるのか。
そういったところから考えますと、現行の条文では、包括的支援というところの枠組みでの整理になっていると思うのですけれども、そこを一気通貫でつないでいくというときに、ここの③にある地域と支援関係機関をつなぐ機能という、この整理だけでいいのかどうかというところは、やはり考えていく必要があるのではないかと思います。
また、今、社会福祉法人のほうでも、やはり担い手の確保が難しい中で、福祉の仕事だけではなくて、地域づくりの取組などもやりながら、多角的にお仕事をしつつ、クリエイティブな職業にしていこうというところで、人材を確保するという取組もあって、実際にそういった事業主体の側でも、地域住民と関わるものを事業化してビジネスにする、かつ福祉職として支援も行うという働き方をつくってきていると思うので、その辺りに目配りした形で、この支援体制の整備のイメージ図を見直していくというのが、先ほど、宮本先生がおっしゃっていた第3ステージというものを表現していく上で、とても大切なのではないかと思いながらお話を伺いました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
極めて重要な御指摘をいただけたと思うのですけれども、南室長、何かありますか。
○南地域共生社会推進室長 ありがとうございます。
まさに検討会で御議論いただいているところですが、地域住民等のところで、やはり地域側のいろいろな取組等をどうつなげていくかとか、協働していくかというのは、非常に大事な視点だと思っております。
まさに我々も、なかなかそこの連携ができていなかった部分もあると思いますので、今まさに総務省ともよく相談をさせていただきながら、地域運営組織とか、そういったところと地域共生をどうつなげていくかみたいなことも、今、相談をさせていただいておりますので、検討会の議論を踏まえて、よりそれが具体的に動くような仕掛けを入れることができればなと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 私も地域共生社会の在り方検討会議の委員として参画させていただいております。ですので、個別の論点は検討会で発言させていただきまして、今日は、大きな検討の方向性に関して述べさせていただこうと思っていたのですが、まさに沼尾委員がおっしゃったことはとても重要だと考えます。今後、論点整理に向けて議論が集約されていくかと思いますが、その中で、地域における人と資源の循環に向けた地域づくりを推進していく視点は重要なポイントです。
他方で、現状ではそれがなかなか進んでいない。包括的な支援体制の整備や重層の実践を見ても、福祉の中にとどまる取組が多く、福祉を超えた地域づくりはあまり多くないですし、事例も限られています。地域共生社会の理念には、すべての社会・経済活動の基盤としての地域も含まれていますが、そことの連動がみられません。福祉専門職はやはりその点が得意ではないことも多いので、地方創生施策をはじめ、各省庁が行う地域づくりに資する類似した取組と連動していくことがお互いにとって効果的であり、今後の論点整理に向けて重視していきたい視点です。ですので、論点整理に向けての進め方に当たって、ぜひ厚労省だけではなくて、各省庁も参画していただきたいと考えています。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、会場からは、井口委員、お願いします。
○井口委員 私、共生型のサービスでショートステイをやっているのですけれども、今、高齢者、障害者、児童というところで受入れをしております。
そういった中で、先ほどもお話がありましたように、教育のプロセスだとか、教育の仕組みがまだできていないというところで、我々手探りでやっているところでもございますし、また、共生型サービスに関して言うと、厚生労働省のホームページにも載っていますけれども、高齢の分野で言うと、6,533か所ショートステイがあるうちの、たったの91か所しか共生型が進んでいないという現状もあります。
我々が受け入れている中で言うと、8050問題がかなり進んできておりまして、世帯単位でケアが必要な世帯が非常に増えてきていると。ですので、こういったところに関して、様々な施策を、また、手を打っていただければいいかなと思っているところです。
あと、高齢者の施設が障害者を受け入れたりとか、児童を受入れると、単価が安いというところで、なかなかそこら辺も足踏みしているところもありますので、検討していただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口でございます。
私ども知的障害の分野でも、高齢化は、一層深刻な状況を迎えています。高齢化に伴う障害状況の一層の重度化と、医療・介護ニーズの増大によって、現場の職員さんは非常に疲弊を感じていると思っております。
どうしても障害制度だけでは担い切れない、医療ニーズ、介護ニーズというものがあって、医療・介護・障害、制度の谷間を埋めていくような施策がやはり必要ではないかと思っています。
一部、がん患者の、特に入所施設の利用者に対して、一定の取組はしてもらえるようになりましたけれども、それを一層広げていただきたいと思っております。
何よりも、どの分野においても、やはり人材の確保などは深刻な状態で、私が思うに、年齢、性別、障害の有無、国籍にかかわらず、全ての世代、国民が福祉のニーズを担っていくという福祉風土の新たな醸成が最大の課題ではないかと思っています。
特にこの4、5年、企業からの福祉人材の誘導といった取組を、蒲原次官が以前から中心になって厚労省で研究事業をされていると思います。私も委員の1人として関わらせてもらっていますけれども、高齢化は高齢化なのだけれども個人差が非常に大きくて、ぜひ元気なお年寄りを、私もそういう年齢なのですけれども、元気な方はいっぱいいらっしゃるので、そうした人たちの福祉人材への導きというか、制度を充実させていただきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
よろしければ、ここで一旦、オンライン参加の堀田委員からお願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
論点の1について2つ申し上げたいと思います。
1つ目が「(1)地域共生社会の理念・概念の再整理」というところですけれども、今まで複数の委員からもお話がありましたけれども、1つは、この理念・概念というものを、介護職のみならず、広く対人支援の専門職の教育の中に接続をしていくということは、ぜひお考えいただきたいと思います。
あわせて、広く市民、つまり学校教育、そして社会教育の中でも、これを接続するということは、これも省庁を超える必要があると思いますけれども、御検討いただきたいと思っています。
もう一つは(2)(3)に関連するかなと思いますが、包括的な支援体制、そして、その評価ということを考えますときに、2019年から2020年度にかけて、住民主体の共生型地域づくりの可視化ということに取り組んでいたのですけれども、それに基づいて3点、期待感として申し上げたいと思います。
1つは、とりわけ個別支援についてということですが、本人中心で、本人の内面的な機微の気づきが促される、そして行ったり来たりするという、この伴走できるゆとりというものをどう確保できるようにするか。
それから、個別支援、地域づくり共通でだと思いますけれども、まだまだ、やはり課題志向が強い中で、課題のみならず、持ち味、可能性を重視した視点ということを、どれだけ様々な、これは様式からカンファレンスの持ち方から、評価まで全てだと思うのですけれども、一貫して持ち味のほうの重視ということを強調できるか。
3つ目は、今日、宮本先生が共創、ともにつくるということをおっしゃいましたし、先ほどの沼尾委員のお話、鏑木委員のお話も関連するかなと思うのですが、どうしても個別支援と地域づくりが循環することについての視点が弱いのではないかと思っています。
これが循環できるような体制あるいは関連するほかの施策との接続で、評価ということについてもお考えいただけることを期待したいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
同じくオンライン参加の鈴木俊文委員から、お願いします。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
私からも主な論点のところから、2点御意見をさせていただきたいと思います。
1点目は、地域共生社会、重層事業に関することになります。この重層事業の事業については、どのように進めるかという点で、非常にパッケージ的なモデルが有効であるという点は、私も同感です。
ただ、一方で、これは、これまでの関係する部会や委員会等でも御発言があったと思うのですが、何をもって進んでいるかという、この評価やモニタリングというところが、非常に分かりにくいところが足踏みのきっかけになっていると考えています。
ここで私が非常に注目したいことは、この重層事業の中に置かれている3つのものを全て機能という言葉で、つながりをどのように機能として捉えるかという観点は、ネットワークという言葉を使ったほうが分かりやすいと私は考えています。
つまり、このネットワークというものが、地域課題や、今、堀田先生からも御意見がありましたように、個別支援の形や、地域課題の形として、どのようにネットワークとして機能しているかというところをプロセスとして見えるということを、しっかりと仕組み化していくことが、これからの推進に非常に重要だと思っています。
推進の仕方は、やはり先進事例を見てみますと、ロジックモデルをうまく活用している事例が多いのではと考えています。
このロジックモデルは、やはりPDCAサイクルとして、事業のモニタリングをしていく上でも、また、それをパッケージとして横展開する上でも非常に有効、重要な方法になると思いますので、ぜひこういった観点を、これからの議論にもつなげていただきたいということを期待いたします。
それから、2点目ですけれども、災害時の被災者支援の連携についてです。私は、静岡県でDWATのアドバイザーという立場でも、現在、参画しています。DWATの活動は、派遣時の支援活動に非常に注目が集まりやすいのですが、実はボリュームで考えると、平時の地域活動というものはかなりのことをやっています。
具体的には、地域の防災訓練ですとか、様々な教育機関への出前講座といったものが静岡でも展開されています。
このことを今回の議論にどのようにつなげるかというところですが、やはり災害時の支援というのは平時との関係というのは欠かすことができません。
それから、フォーマル、インフォーマルな組織活動として考える場合においても、こういったDWATといったようなネットワーク組織というのは非常に、現在進んでいる上でも有効な材料になり得るものだと思いますので、ぜひDWAT活動を派遣支援時だけでなく、平時の活動と接続した議論を進めていただくことを期待したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
オンラインでは、よろしいでしょうか。
それでは、会場から、中村委員、お願いします。
○中村委員 社会福祉士、精神保健福祉士を養成している立場として一言、この地域共生社会の今後の在り方ということを考えますと、理念や政策をどう実装していくかということが極めて重要かと思います。
ソーシャルワーカーを養成しているわけですけれども、社会福祉士、精神保健福祉士の養成教育も対応していく必要があると思います。
学生さんが在学中に地域と関わる場として、重要なソーシャルワーク実習というものがございます。こういった重要なものが教育機会にあると考えております。
ぜひ、先ほど堀田委員、それから小笠原委員も御発言がありましたが、担い手を育てる視点を含めて御検討いただければありがたく存じます。
意見でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
吉田委員、お願いします。
○吉田委員 吉田でございます。
これからの地域共生社会を考えていく上で、1つ、我々の生活と日常生活で活用しているテクノロジーの関係は、大変進展をしていっているというのがございます。ありていに言いますと、現代は、インターネットで生活が支えられているところもあったりします。
こういったところが、さらに進んでいくときに、高齢者の方々が、自分たちが抱えている課題をどう表現していいのか、だんだん分からなくなっているということも聞いております。
結果として、それが消費におけるトラブルに発展していく、あるいはそれを周りの人に表現できず、加えて、誰に手助けをしていいのか分からないということも起こっておりますし、さらにこれから増していくだろうと思います。
そういう意味では、こういったテクノロジーに関連した生活上の困りごと、あるいはインターネットビジネスに関わっている高齢者の課題、こういったところを今回の議論の中でも扱っていくのかどうかといったところは、ぜひ御検討いただきたいというのが1点。
2点目ですけれども、やはり支え手側も人が減ってくるという中、それと支え手側も当然高齢化していく中で、どうやって、予防という言葉が似つかわしいかどうか分かりませんが、生活上の課題が起こりにくくするために、地域でどういうことができるのかといったところ、起こった後の対策も重要ですけれども、今後、支え手側が細っていく中で、いかに住民の方々が互いに支え合い、生活上の課題が生じにくいようにしていくことができるのかと、そういった観点も取り入れていただければと思います。
意見でございました。以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今、吉田委員からいただいた1点目については、おそらく地域共生社会の在り方検討会議の2つ目の身寄りのない高齢者等の、広い意味では、そこに含まれてもおかしくない問題だろうとお聞きしていましたが、ただ今のところ明示的に議論してこなかったのですけれども、この部会も含めて、そういう問題もあるということについて念頭に置いていただくということで、事務局に引き取っていただきたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、様々な御意見を頂戴いたしましたので、それらを踏まえて、引き続き、検討会議のほうでも御議論いただきたいと存じます。また、こちらの部会にも御報告いただくことになるだろうと思います。
それでは、続きまして「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会の検討状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○村中総括調整官 老健局総務課総括調整官の村中でございます。お手元の資料3を御覧いただければと思います。
1ページ目でございます。
検討会につきましては、1月から5回にわたり議論をさせていただき、4月10日に高齢者施策について、中間とりまとめをまとめさせていただきました。
この検討会については、この後、他の福祉サービスも含めた共通課題について検討し、夏を目途にとりまとめをしていきたいと思っております。
また、この中間とりまとめにつきましては、4月21日に、社会保障審議会介護保険部会にも報告をしており、制度的な議論を進めてまいりたいと思います。
中間とりまとめの内容については、2ページを御覧いただければと思います。
まず、左上の「2040年に向けた課題」というところで、2040年という年は全国ベースで見ると、高齢者人口がピークに達する時点だと考えております。
そのような中、85歳以上の医療・介護ニーズを抱える方、認知症高齢者の方、独居高齢者などの方が増加していくという状況でございます。
一方で、地方を見ていきますと、高齢者の人口の変化には差がございまして、サービス需要には地域差が生じてくるという状況でございます。
こういった中、地域の実情に応じたサービス提供体制を確保し、介護人材や利用者等が地域で活躍できる地域共生社会を構築していく必要があります。
右側の「基本的な考え方」のところを御覧いただければと思います。
地域包括ケアシステムの深化、地域軸、時間軸を踏まえたサービス提供体制の確保等を挙げてございます。
介護は、地方において雇用を支えるインフラでございまして、他分野の地域の共通課題との解決に向けた関係者との連携も必要だと考えてございます。
その上で、方向性を3点に分けてまとめてございます。
まず、1つ目の「サービス需要の変化に応じた提供体制の構築等」ということで、サービス需要の変化の地域差に応じて、中山間・人口減少地域、大都市部、一般市等と、3つに地域を分類して整理してございます。
まず、中山間・人口減少地域でございますが、2040年に向けて高齢者人口が減少していくと、その結果、サービス需要が減少していくというエリアでございます。
そのような中、サービスを維持・確保するための柔軟な対応をまとめております。
その柔軟な対応の中身でございますが、まず、夜勤ですとか、専門職の確保等に係る々、そういったところについて議論がありましたが、配置基準等の弾力化、また、訪問系サービス、こちらについて、キャンセルの負担や、移動距離が長いといったことも地域の事情でございますので、そういった突然のキャンセルとか、移動の負担、こういったところを考慮しなければいけないという議論がありまして、包括的な評価の仕組みを検討してはどうかという議論がございました。
また、訪問、通所など、サービス間の連携、柔軟化等についても考えていくことが必要との議論もありました。
地域において、サービス事業者が少ない場合については、市町村事業によるサービス提供といった形も考えられるのではないかという議論もございました。
その下の「地域の介護を支える法人への支援」というところでございますが、地域に残り続けて、周囲の事業者とも連携していくような法人について、何らかのインセンティブを付与する形も考えられるのではないかという議論がございました。
先ほど少し議論もありましたが、社会福祉連携推進法人についても、その活用促進が重要だという点も記載してております。
続いて、右側の大都市部のところでございます。
このエリアにつきましては、サービス需要が急増していきますので、それに応じたサービス基盤の整備が必要ということです。
ICT技術等も活用して、24時間対応、包括的な在宅サービスの検討が必要という議論をがもって取りまとめてございましたす。
最後に、一般市等におきましては、サービス需要が当面増加するのですが、その後、減少に転じていくということで、既存の介護資源等の活用と、将来の需要減に備えた準備が必要だということでございます。
続いて、方向性の「(2)人材確保・生産性向上・経営支援等」ということで、様々国におきましても、人材確保等の取組は実施をしておりまして、その推進は引き続き重要です。その前提の上で、議論としていろいろな御意見をいただいて、とりまとめさせていただいております。地域において、様々、人材確保について行っている専門機関はございます。福祉人材センター、ハローワーク、介護労働安定センター、様々な機関が実施しているところですけれども、こういった機関は、介護事業者側、また、養成校の側から見て、より使いやすくなるような、そういった連携が必要ではないかということで、プラットフォームの充実ということが求められるということでまとめてございます。
その下のテクノロジー導入・タスクシフト/シェア、これは、生産性向上の議論でございますが、この2つは進めていき、その上で、これから生産年齢人口が、2040年にかけて減少していきますので、そういった状況に先駆けて、しっかりテクノロジー等の導入支援に取り組むことが重要でございます。
また、小規模事業者に向けてテクノロジー導入等々の伴走支援ですとか、在宅サービスの技術開発も重要だという議論があり、記載しています。
そして、最後のところですが、介護事業者は、様々経営課題がございますが、雇用管理、生産性向上をはじめ、地域の関係者が都道府県単位でしっかり支援体制を構築していくことが重要です。
また、複数の介護事業者が連携して、書類作成等々の間接業務を効率化するなど、まずは協働化をしっかり進めていくことが重要だという議論があり、記載しています。
続いて、方向性の(3)でございます。「地域包括ケアシステム、医療介護連携等」ということで、先ほど申し上げましたとおり、85歳以上の医療と介護双方のニーズを抱える方が増えていきます。こういった中、しっかり医療・介護の連携を進めていく必要があります。
その中で、やはり地域において、医療・介護の状況の見える化を進めた上でしっかり分析をしていただき、地域医療構想とも接続をしていくことも大事ですし、地域の関係者がしっかりそういったもとで、議論をする場を設けていくことが必要だという議論をまとめてございます。
また、介護予防につきましては、国のほうで、令和6年度補正予算でモデル事業を実施しているところなのですけれども、高知県のあったかセンター等にヒアリングもさせていただいて、地域の高齢者や障害者、子ども供が集う場である地域共生拠点を整備していくことが必要だとの議論をまとめています。
また、議論として多々あったのが、フレイルの方にしっかり対応していくことが重要であり大事だと、地域その専門職が、どうそこに取り組んでいくか、また、地域保健活動、そういったところとの組み合わせも重要だという視点の議論がありましたが示されました。
最後、認知症高齢者の方に関しましては、医療・介護等に加えまして、権利擁護の推進、さらには、その地域におけるインフォーマルな支援の推進が必要だという議論をまとめてございます。
以上、簡潔でございますが、概要について御紹介をさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、この議題に関しても皆様から御意見、御質問をいただきたいと思いますが、こちらは、座長は、早稲田大学の野口晴子先生でいらっしゃいますが、こちらの部会の委員ではいらっしゃらないので、座長代理でいらっしゃる松原委員から、すみません、突然、何の打ち合わせもなく申し訳ないのですけれども、松原委員と、あと、鈴木俊文委員も委員でいらっしゃるということで、もし、何かあれば、少し御感想なり何なり、お願いできますでしょうか。
○松原委員 ありがとうございます。
この中間取りまとめの中で、大規模化によるメリットを示しつつ、介護事業者の協働化・連携の推進ということで、この委員会で繰り返し議論になりましたのは、大規模化というのは選択肢の中の1つで、大規模化によっていいこと、メリットはたくさんございますが、ケース・バイ・ケースでデメリットになる場合もありますので、選択肢の1つとして、それをやりたいところについては後押しするような、そういう方向でまとめていたという点がございます。
取り急ぎ誤解されやすい点を1つだけ、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鈴木俊文委員からは、何かコメントなどがございましたら。
○鈴木委員 ありがとうございます。
私もこちらの委員に参加をさせていただきましたけれども、やはり地域軸と時間軸という観点が非常に重要であるということが議論の土台になっていたところが特徴です。
これに関連して、各地の事例を見ていくという、事例ベースの議論というものも、もちろんあったのですけれども、その中で介護人材確保等の喫緊の課題というものは、やはり共通する課題もあるということですとか、それから、その対応としての人口減少を含めたタスクシフト/シェアや生産性向上といったサービス提供体制の議論というものが、非常に集中して行われてきたところが特徴でした。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど宮本先生から、最初にお話をいただいて、検討会議での議論を少し御理解いただけたかなと思ったものですから、すみませんでした。どうもありがとうございます。
それでは、皆様からよろしくお願いいたします。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
2040年に向けたサービス提供体制等の在り方検討会の検討状況につきましては、私ども連合も、介護保険部会でも発言をさせていただいておりますが、介護人材の確保は最大の課題であり、賃上げや処遇改善の取組の推進は大変重要と考えております。
また、介護と医療、どちらも必要になった場合にも対応できるような体制を整備していくことが、引き続き重要な課題と考えております。
その上で、2点、申し上げたいと思います。
まず、介護を担っていく人材を将来にわたり確保していくことが重要であり、介護職場で離職をせずに定着する環境づくりが必要であるとともに、ICTやAIなど、新技術の活用促進で、介護の質の向上とともに、業務負担の軽減を図ることが必要であると考えております。
ただし、その際、留意すべきこともあると考えております。
1つは、安易に人員配置基準を緩和することで、逆に利用者や働いている人にしわ寄せが及んではならないと考えます。
また、新技術の導入、活用促進には、ある程度の大規模化、協働化といったことも手段として必要になると考えられますが、先ほど松原委員がおっしゃったように、それによるデメリットもあることに留意する必要があり、そうした点も含めて、さらに検討を深めていただくことが重要であると考えます。
さらに、介護予防・日常生活支援総合事業をはじめ、軽度な支援においては、サービスの担い手を広く確保する一方で、専門資格を有する方については、軽度以外のサービス提供を担っていただき、その役割を十分に果たす必要があるのではないかと考えております。
今後、全産業的に人手不足、人材確保がますます重要になる中で、専門資格保有者の活躍範囲も考える必要があると考えます。
次に、資料2の地域共生社会の在り方検討会議にも関わりますが、地域共生社会を推進していくことについて、連合は賛同しております。
その上で、これから利用者が増える地域と、そうでない地域が出てくる中で、かつ、全体としては、介護ニーズの増加に対応できるようにしていくためには、介護保険制度の在り方について議論を深めることが不可欠だと考えております。
これからの人口構造を踏まえると、人口減少、超少子高齢化が急速に進行する期間に限って、制度の中で公費の占める割合をどう考えるのかといったことは、論点の1つだと考えております。
また、地域共生社会を目指していくからこそ、介護保険の受給者、被保険者の範囲を拡大して、制度の普遍化を図ることについても今後議論すべきと考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、及川委員、どうぞ。
○及川委員 ありがとうございます。
介護保険部会でも同様の発言をさせていただいたのですが、特に、介護人材の確保のところでございます。
多様なニーズを抱える方々に、適切に介護を提供する介護専門職を育成・確保していくことの必要性を踏まえた議論が必要であると感じております。例えば、介護福祉士を代表とする介護職員は、新型コロナ感染症が蔓延する中で、施設、事業所の介護福祉士等が介護現場の最前線で感染予防をしながら、世界のどこよりも低い死亡率という実績を持って、高齢者等の生活、暮らしを支え続けました。
また、介護福祉士会としましては、能登半島地震の1.5次避難所において、要介護者を対象とした介護ブースで介護を提供させていただきました。
そこでは、避難所に送られてきた方々に対し、心身状況の把握をしながら、その場で対応できる最善の介護を提供し続けました。
私自身もこの役割を担いましたが、大きな心身機能の低下もさせずに、2次避難所にお送りできたのは、極めて高い介護の実践力を備えた仲間が集まってきたからだと考えております。
つまり介護現場は、介護実践力のある介護人材がいてこそ成立するということでございます。
他方で、報告でも触れられている中核的な人材には、多様な介護人材への指導、育成、介護職チームによるケアのコーディネート、チームメンバーの人材マネジメントといった機能も求められております。
ただ、これらの機能は十分な介護の実践力を備えた人材でなければ、適切に担い切れるものではありません。
だからこそ、介護福祉士の専門職としての倫理を備え、専門的な介護実践力を備えた介護福祉士の確保が必要であります。
それぞれの中核人材に求められる機能を明らかにした上で、それぞれの機能を担うことができる人材の確保、方策を定めることが重要であると考えております。
そして、こういったことを明らかにした上で、中核的な機能を担う介護福祉士等が適切に評価されるべきであります。その評価などが介護職の魅力の向上につながり、人材確保の確立につながるのではないかと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、西島委員、お願いします。
○西島委員 実は、私ども社会福祉士も高齢者関係の施設等で多くの会員が働いております。
それで、今回御提案いただきました2040年に向けて、高齢化や人口減少、このスピードが地域によって違うということで、それぞれ地域別の提供モデルや支援体制を構築するということは大切なことかなと思っております。
ただ一方で、中山間・人口減少地域、先ほども御発言がございましたが、配置基準等の弾力化というのも必要なところもありながら、それが、また、質の低下につながってはいけないと思いますし、職員の負担増加につながらないような慎重な検討をお願いしたいと思います。
それと、参考資料のほうで少し確認したいと思うのですけれども、報告書の11ページ、12ページ辺りに、介護関係職種であるとか、介護人材全般という表現がなされているのですけれども、これは介護職以外の職種も含まれているのかということを確認したいのと、また、12ページの(2)のところで「国や地方における介護人材確保に向けた取組」の1つ目の○の3行目のところです。「今後も一層、介護職員だけでなく、介護人材全般に対するその確保対策を強力に進めていく必要がある」という記載があるのですけれども、この辺について、今後の方向性とか具体策があるのか、この次の話なのかもしれないですけれども、介護職の次なのかもしれないですけれども、御確認したいのと、実は私たち社会福祉士においても、他職種との賃金格差ということもございまして、人材の流出が始まっております。ぜひ処遇改善につきましては、待ったなしの状況でもございますので、検討をいただきたいという思いも込めて発言させていただきました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
では、事務局からお願いします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
2040検討会の中での御議論につきましては、基本的に高齢分野のところを中心に、特に介護職員の不足感というのが厳しいというところで、介護職員の方々の確保というのを中心に御議論をいただいているというのが実態でございます。
一方で、社会福祉士をはじめとする専門職がチームで、現場に当たっていただいているというのは十分認識をしておりますので、そういうところも目配せをして、我々専門委員会も立ち上げていきますので、そういうところで御議論をしていかないといけないと考えてございます。
12ページ目の後段の介護人材全般に対する確保対策を強力に進めていくというところについては、基本的には、書いてある総合的な対策、これまでも取り組んできてございます。これを引き続きやっていくということは大切ですし、あわせて、検討会の中でプラットフォームなどといった形で、実際の地域の実情に応じた活動が生み出されていくような関係者の連携を進めていこうという御議論もいただいているところでございます。
これを受けまして、先ほども申し上げました、人材の専門委員会のほうで、もう一段深めていただくような議論をしていただければなと思ってございまして、引き続き、関係者の方々から御意見をいただきながら、より具体的な中身にしていきたいと、我々としても考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。
介護保険事業所が、非常に人材確保が難しいという状況の中で、主に人材確保、育成につきまして、私のほうから4点御意見をさせていただきたいと思います。
まず、第1点は中山間・人口減少地域におけるサービスを維持、確保するための柔軟な対応についてでございますが、この中間取りまとめの6ページ、7ページ辺りなのですが、離島や中山間地域における介護人材確保は非常に深刻な状況でございます。
特にケアマネ、看護職員、管理栄養士などの専門職は、地域に絶対数がいないために、最低基準を満たせず、報酬が減算となるケースもございます。
このため、常勤専従要件を緩和して、一定の条件のもと、オンライン、オンコールにより、複数の施設で貴重な人材をシェアすることを可とするなど、配置基準の弾力化が本当に必要であると考えます。
また、ICT機器や介護ロボットにつきましては、職員ができるだけ早い時期に効率よく活用できることが重要でございます。
そこで、見守り機器、音声記録入力システム、あるいは移乗用リフト等のスムーズな導入に向けて、施設にICTテクノロジーに精通した人材を確保し、養成することも大切なことでありますし、また、定期的な研修に対しての支援が必要であると考えているところであります。
2番目でございますが、外国人介護人材につきましては、地域によって受入れに対して温度差はありますが、介護人材確保が本当に逼迫する中、貴重な介護人材として期待されております。
現在は、特別養護老人ホームなど、介護保険施設では受入れが可能ですが、養護老人ホームなど、技能実習生あるいは特定技能実習生は受入れができないこととなってございます。
また、小規模な法人では、受入れに際しての実習生の渡航費用であるとか、日々の管理費あるいは更新手続や費用などの負担が非常に難しい状況であります。柔軟な受入れを拡大していただくとともに、受入れに際してのイニシャルコストに対する支援が必要と考えているところであります。
それと、人材確保につきまして、中間取りまとめの14ページのほうに書かれていますが、若い世代が希望や、やりがいを持てる業界となるためには、介護のイメージを変えることや、介護現場が変革する要素を示していくことが重要であり、テクノロジーの活用が進んだ現場であることや、社会課題に対する介護という観点をアピールすると書かれていますが、これも重要なことでありますが、やはり介護職員の社会的評価、地位を上げるためには、処遇改善が何よりも重要であると考えます。
そのことで、エッセンシャルワーカーとしての介護の仕事に対する情熱や責任感あるいは誇りが湧いてくるものとも考えております。
最後に、職場環境改善についてでございますけれども、令和5年度の介護労働実態調査によれば、採用がうまくいっている理由として、職場の人間関係がよいこと、これは62.7%。離職率の低下の理由として、職場の人間関係がよくなったため、63.6%。働き続ける上で役立つこととして、ハラスメントのない人間関係のよい職場づくりをしている、これが37.8%となっております。
我々施設では、年1回ストレスチェックを行い、産業医の相談体制を取っているところでありますけれども、介護人材確保、定着に向けて、働きやすい職場環境をつくるためにも、職員のメンタル面に対する相談支援体制の充実や、人間関係を含む人事面での調整を図る専門職の配置が必要ではないかとも考えております。
私のほうからは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
松原委員、お願いします。
○松原委員 すみません、先ほどは急で、十分に応えられなかったので、もう一度、意見を述べさせていただきたいと思います。
サービス提供体制等の在り方ということで、提供体制は、私は、ミクロ、メゾ、マクロで捉える必要があると思います。ミクロは人材、メゾは法人、マクロは地域でございます。
ミクロ、人材につきましては、この検討会でも意見があったというか、主流な考え方として、もっと分業をしていく必要があるという意見がございました。私も賛成です。
ただし、分業によって効率化を図ると、確かに効率的なのですが、一般産業においても分業することによって効率化は図られるのですけれども、一方で、機械的になりがちであり、職員のモチベーションを下げる働き方にもなりかねないということはよく指摘されております。
その際の対策としては、垂直方向に行くのと水平方向に行くのというのがあると思います。垂直方向に行く場合には、もっと現場が意思決定する部分を増やしていく、これは多分包括的な報酬にすることとつながってくる話ではないかと思うのですけれども、そういう取組が必要ではないかと。
水平方向というと、人材確保の中で富士山型から山脈型へとなっていますが、それと同じことで、高齢者の介護もやるのですけれども、まちづくりとか、関連した隣の分野にも取り組んでいく水平方向というのがあると思います。
もう一つ、ジョブ・クラフティングと言って、自分たちのやっているお仕事の意義をしっかり捉え直すということがあります。例えば、ディズニーランドの清掃をする方は、掃除係と自分たちを捉えていないですね、自分たちをキャストと捉えていて、働きながら、お掃除しているところをお客様に面白く見せたり、お客様を楽しませる仕事と捉えているというように、自分たちの仕事を捉え直す。介護なり福祉なりの仕事、その社会的な意義ということをちゃんと捉え直して伝えていく、こういう取組が必要だと思います。
これらは、まさにマネジメントの問題となっていきまして、いかに人材確保についてマネジメントの視点をもっと入れていくかということが重要だと思います。
メゾについては法人経営で、ここにも大規模化、また、協働化・連携とあるのですけれども、大規模化の中では、やはり今すごく問題になっているのはM&Aですね。M&Aを進めていくのはいいのですが、不適切に業者が入ってフィーを必要以上に取っていくということがありますので、財源は何かと言ったら公的資金ですので、こういうところを大したデューデリジェンスもしないところが、不適切な料金でもうけていくということを避けるような公的な支援というものが、今後必要だと思います。
最後にマクロ、地域につきましてですが、これは、まさに、支えあうまちづくりを構築し、地域を耕していくか、知恵を出し、さらに支援体制を築いていくことが重要だと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
会場は、ひとまずよろしいでしょうか。
宮本委員、オンラインからお願いします。
○宮本委員 先ほど事務局のほうから、サービス提供体制についての御説明をありがたく伺ったのですけれども、そのときは、都市部と中山間地、それぞれサービス提供体制の、言わば条件の違いが広がっていく、言わばコントラストが強まっていくというところにポイントを置いての御説明だったと思います。
確かに、そのとおりで、2040年になると、東京は今より人口が増えるわけですね。中山間地は、人口減少が進むということで、確かにコントラストは強まるのですけれども、それだけではなくて、より一層都市部と中山間地が課題を共有していくと、課題が重なり合っていくという面にも、注目していくべきではないかなと思います。
言うまでもなく、先ほどまで地域共生社会、包括的支援体制について議論をしていたわけですけれども、中山間地、地方はこれからいや応なく、包括的支援体制を構築せざるを得なくなっていくわけですね。人材面、費用面あるいはニーズの在り方からして、小さな福祉拠点を構築していく。
先ほど沼尾委員のほうから、地域の様々な部局総動員でという話がございました。私もそのとおりと心の中でつぶやいていたのですけれども、地方はまさに、そうした動員をこれから図っていかなければいけなくなっていくわけです。
そういう意味では、中山間地をはじめとする地方は、言わば課題先進地域、課題先進国日本という話がありましたけれども、課題先進地域になっていくわけです。
そういう面で、ただ後ろ向きに捉えるわけではなくて、ここを1つの実験室として、日本のこれからの福祉供給体制を、様々に試行錯誤を重ねていく場として位置づけていいのではないかと思います。
その場合、やはりポイントになるのは、その専門職の役割ではないかと思っております。この部会もたくさんの専門職の関係団体の皆さんが、おいでになっているわけですけれども、以前、こうした地域の変化も見通した上で、資格の共通化みたいな議論もありました。フィンランドのラヒホイタヤなどをモデルにという、そういう議論もあったのですけれども、私はそれより、何か上からの資格の共通化というのではなくて、例えば、今、地方で包括的な体制を専門職の活躍でつくり出しているところは、専門職の皆さんが常日頃思っていらっしゃる、もっと包括的な支援で自分の力を発揮したい、何かここは、隣の芝生になってしまいそうなのだけれども、自分の専門的な知識からして、そうした資源を活用していきたいと、そのように思っていらっしゃる方がいかに多いかということも、しばしば伺っております。
これも菊池先生が座長をやっていらっしゃる別の会議で伺ったばかりですけれども、例えば、兵庫県の播磨町などは、保健師さんたちの包括的な支援への意欲というのをフル活用していますし、飛騨市だったと思いますけれども作業療法士の皆さんが、やはり単に対象者へのそうした支援への働きかけだけではなくて、皆が元気になる条件づくりにも一役担いたいと思っていらっしゃる、そういう意欲を活用していく。
そういう意味では、上からの包括化ではなくて、言ってみれば、専門職の常日頃の経験の蓄積から来る意欲やインセンティブをベースにした包括化、当然これには、そのように包括的な支援に携わっていく、スキルアップと処遇の改善も伴うわけです。
これから、東京の人口は2040年にはピークになりますけれども、その後2050年以降、やはり人口減少モードに入ってくわけでありまして、質の高い包括的な支援のためにも、小学校区、中学校区で、やはりここも小さな拠点をつくっていく必要があるわけであって、やはり地方と東京の双方の課題の重なり合い、そして、地域での取組を、何か後ろ向きの話だけではなくて、新しい福祉の創造の実験室として位置づけていく視点も必要ではないかと思っております。
先ほどの話に戻ってしまうのですけれども、地域共生社会をめぐって委員の皆さんから大変貴重な御意見いただいて、先ほど触れた沼尾先生のお話以外に、松原委員から伝える取組という話があり、あるいは堀田委員から住民参加の可視化、これを実績としてきちんとインデックスにしてくという話があり、鈴木委員からはネットワークという話がありました。私は地域共生社会をセーフティネットワークだと言っているのですけれども、この辺りは、ぜひ持ち帰って議論を深めていく題材にさせていただきたいと思っています。これは、別にお礼という意味ではございません。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木俊文委員、お願いします。
○鈴木委員 発言の機会をありがとうございます。
先ほど、私が御説明させていただいた中で、私自身が在り方検討会の委員としてどのような発言に注視しながら発言してきたかということを中心に、この後述べさせていただきたいと思います。
先ほど、福祉人材確保対策室の𠮷田室長からもお話がありましたように、介護人材確保というものは非常に重要な柱で、私自身もそこに一番の問題意識を持って、この会に参加をさせていただき、発言をさせていただいておりました。
特に、私自身が非常に考えているところにおいては、中核的介護人材の役割をどのように位置づけるかというところです。
この2040年に向けたサービス提供体制というところの中には、やはり地域ということが非常に重要なキーワードや観点になってきて、その人口減少に対応する形の中で、生産性向上やテクノロジーやタスクシフト/シェアというものが、1つの方法や方策として組み込まれていくという、この方針の中にあるのですが、やはり限られた介護人材、限られた人材でこれを実現させていくためには、これまでの議論にもありましたように、マネジメント的な役割を誰が担うのかという、これを考え議論していくことは、サービス提供体制の話をする上では欠かすことができないことだと思っています。
私は介護福祉学の研究者ですけれども、やはりこれまでの中核的介護人材の役割を見ていったときに、ゴールドプラン時の十か年戦略の中での寝たきり老人のゼロ作戦の取組のように、この理念に基づいてどのように有資格者が、その実践を積み重ねてきたかということは、今日に至るまでの大きな貢献と、そこに大きなヒントがあると考えています。
かなり具体的な話で言えば、やはり寝たきりをゼロにするためには、介護福祉士有資格者の専門的知識や技術としての生活支援技術、もっと分かりやすく言うと、ベッドから車椅子の移動技術、こういったかなりの技術スキルですとか、それに裏付けられる知識・技術等が発展してきたということが、やはり大事な観点だと思っています。
これを2040年に向けて考えていくときに、今の人材室が示してくださっている山脈型モデルというものは、今まさに介護現場の中でどのような介護職員がキャリアとして、それを担っているかという、その実態を見える化しているものですので、これを地域包括ケアシステムの今後の深化、深めるための深化という考え方の中で、どのように配置要件や、それから、それに必要な能力というものがどのようなものなのか、それをどの規模や、どのネットワークの中でチーム活動として実践できるのか、そして、そのマネジメントの役割を誰が担うのかということの議論につながってくるのではないかと、期待をしているところです。
いずれにしましても、今、お話ししている内容というのは、やはり専門性というものをしっかり見える化することによる介護人材確保の広報戦略にも、私はなると考えています。
ぜひこういった議論を引き続き、委員会等でもできるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あと、会場でどなたか言い残したことがある方は、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 介護福祉士を養成する立場のところからですが、介護福祉士養成施設は、以前は400校以上あった学校が、現在、前年度でいうと279校に減っております。また、学生も平成18年には1万9200人いた学生たちが、現在6,500人ぐらいに減少している。しかもその中には、平成18年当時にいなかった留学生が約3,000人おりますので、そう考えると、日本人で言えば3,500人ぐらいしかいないと、パーセンテージで言えば、84%減と日本人はなっているということで、先ほどから専門職が必要だということであったり、お話がありましたが、非常に日本人が目指さない職種になっているという現状があります。
この中で、先ほどから出ている介護サービス提供体制というところで言うと、私は九州の代表しておりますが、都市部の学校は比較的維持できていますが、地方の学校というのは、なかなか維持できずに、閉校、閉科していっているというものが続いていますが、そうなっていくと、ある地域には、介護福祉士養成校が1つもないということは、現実に起こっていきますし、このままいけば、県単位で養成校がないということも起こり得ます。
やはり専門職は体系的に学び、養成されるということについては異論がないところかと思いますが、そのような体系化された教育の中で養成された者たちが、どうしても自分の県に、自分の地域に養成校がなければ、都市部の養成校に行く、都市部の養成校に行けば、当然都市部で就職をしてしまう、場合によっては、そこで家庭を築くということになっていくと、専門的に学んだもの、先ほどから出ている中山間部人口減少地域を支える、養成校卒の介護人材が不在になるということも当然考えられます。
やはり各地域に養成校があり、そして、その中で、地域共生社会であったり、そのような課題をしっかり学んだ者たちが各地域で、その地域課題に寄り添いながら介護のこれからの未来を支えていくということが必要かと思います。
ただ、養成校の募集努力ではなく、やはり学生を増やすというのは、介護業界の、先ほど及川会長も言われましたが、評価であったり、魅力ということがきちんと伝わらないと、介護人材というのは増えていかないし、そこが評価されないと、養成校も当然学生が減っていくと考えると、養成校の学生募集の問題、経営努力の問題ではなく、介護業界全体で取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
樋口委員、お願いします。
○樋口委員 先ほどの全世代が担う福祉人材の話に、少し付け加えたいのですが、福祉の分野は、どのような仕事、働き方も可能だということを強調したいということもあって、どのような仕事の切り出しもできる、その人がそれぞれの条件に合った働き方が可能だということを強調するために言ったつもりです。もう一方で、基本的には、私のところも、どの世代も正職採用を基本にしているので、非常に定着率が高く、離職率が低いといった結果を出しているわけですけれども、やはり若い人の層を、この仕事に引きつけるための給与保障というか、正職としてのきちんとした給与保障がされないと、魅力発信にはなりません。
ですから、これを基本にして、いろいろ分業的なことも必要だと思います。先ほど言った、どのような仕事の切り出しもできるという意味では、やはり正規の採用を基本にするということ、その水準も、先ほどの資格の要件を正当に評価するとか、いろいろ重ねて、専門職としてのプライドが持てるような給与保障をしていくことが基本ではないかと思っています。
特に、知的障害福祉は、一人の人間としての全人格的な自立支援といった立場に立った自立支援という切り出しだけでは、支援は実現しませんので、そういったマネジメントができる、マルチタスク的な仕事が担えるような人材を基本にして、そして、様々な働き方の方が周りにいらっしゃるという構造をつくらなければ、持続可能とはならない、魅力発信にはつながらないと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
かなり時間が押してまいりまして、今、谷村委員からお手が挙がりましたが、ほかに発言の御予定の方がいらっしゃったら、今、お手をお挙げいただきたいのですが、おられませんか、いらしたら、どうぞお手を挙げていただきたいのですけれども、よろしいですか。
それでは、谷村委員からお願いします。
○谷村委員 早口でやります。
先ほど宮本先生は、上からだけではなく双方向でというのが、発言の御趣旨だったと思うのですが、資格の共通化について、やはり御検討いただくことが必要ではないかと思っているのが、保育士不足ということで、平成29年に、社会福祉士や介護福祉士は保育士を取りやすくなっているのです。その逆が今はないのです。
私も、法人の淡路島、まさに中山間の人口減少地域のところの特養で、一時期保育士資格取得者が8割いたことがある、これは、保育士に、いわゆる人権意識を培っていこうという意味での意図的な人事異動をやった結果がそういうことだったのですが、実際のところ、いわゆるソーシャルワークをしっかりとやっていこうとするならば、介護、保育、障害のケアワークについては、いわゆる利益を生む仕組みができておりますけれども、ソーシャルワークはないわけでありますので、主にかかるコストというのは、ソーシャルワークは人件費ということになりますけれども、そこをしっかりやっていくためには、経済的にもしっかりとやっていくという意味では、やはり資格にお金がついている状況の中で、保育士から、いわゆる介護福祉士を取りやすいということの仕組みも、やはり検討いただくべきではないかと思っています。
当然、専門的な知識と技術を備えるためということと、あわせて経済的なこと、そういうことも必要ではないかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
様々な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど、宮本委員から議論の重なり合いというお話がございましたが、こちらの2040の検討会も、まず、介護で議論され、この後、障害、子どもまで広げて、その議論をされると伺っています。
そうすると、さらに、地域共生社会の議論との重なりというのが大きくなっていくのかなと思って聞いておりました。
おそらく、それらの重なり合いの議論をする場が、この福祉部会になっていくのかなとも思いまして、その意味でも、今後、さらに2つの会議体で議論が進んでいくと思いますけれども、それらを踏まえて、こちらの福祉部会のほうで皆様に、まさに重なり合いの議論も含めて御議論いただければと思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、もう一つございます。こちらは、報告という位置づけではございますが「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について」というテーマにつきまして、御報告をお願いいたします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。資料4の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成について」を御報告いたします。
資料の1ページ目を御覧ください。
上段でございますが、本制度に係るこれまでの経緯になります。
本制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等の職員の方に対して、退職手当金を支給する制度でございまして、各年度の退職手当金の支給財源につきましては、同年度に制度加入者が納付する掛金及び補助金によって賄われております。
制度創設当初は、高齢者関係、それから障害者関係も含めまして、公費による掛金の助成が行われておりましたけれども、この公費助成の在り方について、過去の制度改正の中で、他の経営主体とのイコールフィッティングの観点から見直しが行われまして、介護関係の事業については平成18年、障害者関係の事業については平成28年に廃止となっております。
令和3年の福祉部会におきまして、保育所等に対する公費助成の在り方についても、本部会の中で御議論いただきまして、取りまとめをいただいたところでございますけれども、新子育て安心プランの内容を踏まえまして、令和6年度末までに改めて結論を得るとされたところでございます。
こちらにつきまして、1ページ目の下段のほうでございますが、こども家庭庁におきまして、令和7年3月4日に開催されました関係の審議会において、保育所等に対する公費助成を一旦継続しつつ、他の経営主体とのイコールフィッティングの観点及びこども未来戦略に基づく保育人材確保の状況を踏まえまして、令和8年度までに改めて結論を得る旨が報告されたところでございます。
資料の2ページ目は、こども家庭庁の関係審議会での資料でございます。
参考としまして、下段のほうでございますけれども、保育、介護、障害の運営主体の割合について記載されております。
保育分野については、介護、障害分野と比較して、社会福祉法人が運営主体となっている割合が高いことが示されております。
以上を踏まえまして、本退職手当共済制度における保育所等の公費助成を一旦継続しつつ、令和8年度までに、改めて結論を得るとする方針につきまして、本部会においても御報告をさせていただきます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
こども家庭庁における検討結果についての御報告ということですが、何か御質問があれば、お願いいたします。
高橋英治委員、どうぞ。
○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
時間が押していますので、一言だけ意見を申し上げたいと思います。
今回は報告事項ということでございますけれども、令和8年度までに改めて結論を得るということになっておりますが、株式会社、NPO等の割合が出ておりますけれども、現在、少子化の影響もあって、これ以上、営利法人の割合が急激に増えるとはなかなか考えづらいことと、この割合は、恐らく都市部を中心とした待機児童がいるところに多くあるのではないかと思っております。その辺の分析も必要かと思いますけれども、また、議論があるかと思いますけれども、令和9年度以降も引き続き、公費助成が必要だと思っておりますので、今日は、それだけの意見でございますけれども、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。ぴったりちょうどの時間となりまして、御協力どうもありがとうございます。
それでは、これをもちまして、本日の審議を終了させていただきます。
次回の開催について、事務局からお願いいたします。
○山口総務課長 次回の開催につきましては、夏頃を予定しておりますけれども、事務局にて改めて開催日程を調整させていただき、追って皆様方に御連絡させていただきます。大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 本日は、どうもありがとうございました。
今日キックオフということで、これから何度もこういう形で議論をさせていただくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、また、貴重な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。