令和6年度 第6回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和6年11月11日(月) 13:59~15:36

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール 14E
東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング14階

議事内容

午後1時59分 開会

○長山環境改善・ばく露対策室長 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、定刻になりましたので、令和6年度第6回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、化学物質対策課環境改善・ばく露対策室長の長山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、前半に濃度基準値の検討、後半には濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について検討することとしております。
そのため、開催要綱別紙の構成員名簿の全ての先生方に参集いただいております。
現在の出席者は17名、うち、武林構成員、平林構成員がオンライン参加で、武林構成員におかれましては16時めどで所用により退席されると伺っております。また、宮内構成員については所用により5分~10分程度遅れてオンラインにより参加されると伺っております。さらに、山室構成員については測定方法の議題のところから参加となります。
本日は会場とオンラインの併用で開催しておりますので、会場参加の皆様方は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。
オンラインの先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除きましてマイクをミュートに設定していただきますようよろしくお願いいたします。
また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、またはお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。
なお、議事録については、議事録を作成して後日公表いたしますので、御承知置きください。
本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましてはWebでの音声配信のみとさせていただいております。
それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○長山環境改善・ばく露対策室長 資料は、議事次第と配付資料一覧があり、資料としては資料1から資料5-2まで用意しております。参考資料は参考1から参考5まで用意しております。資料についてはタブレットに格納しており、検討対象物質の一覧の資料3-1、3-2、4-2の3つについては印刷した資料も配付しております。
会場にお越しの構成員の皆様方におかれましては資料に抜けなどございませんでしょうか。
また、オンラインで参加いただいている先生にも資料を事前にメールで送付させていただいておりますけれども、何かありましたら事務局までお知らせください。
本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方はそちらを御覧ください。
資料の確認は以上でございます。

(1)濃度基準値の検討について

○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。
議事1「濃度基準値の検討について」ですが、本日は16物質について検討する予定としております。では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 では、議題1の「濃度基準値の検討」につきましては、化学物質対策課の小永光より御説明させていただきたいと思います。
まず私から資料を説明させていただいた上で、個別の物質ごとに御議論いただきたいと考えております。
なお、検討に必要な一次文献につきましてもタブレットに格納しておりますので、御参照いただければと思います。
それでは、資料の説明に入らせていただきます。
まず、いつもの資料1-1、1-2の説明でございますけれども、資料1-1が本年度の濃度基準値検討対象リストとなっておりまして、こちらのうち、本日の検討物質は○がついている14物質となっております。また、資料1-2は昨年度の再審議分の検討リストとなっておりまして、このリストから本日検討いただく物質は2物質となっております。
この16物質について、個別の資料につきましては資料2で御説明させていただきたいと思います。
資料2を御覧ください。
まず、資料2のページ番号1から御説明させていただきます。
まずはノルマル-プロピルアルコールでございます。
こちらは詳細調査不要で初期調査となっておりまして、ノルマル-プロピルアルコールの8時間濃度基準値は300 ppmを提案いたします。
根拠論文等は根拠論文の欄に記載の5文献となっておりまして、提案理由としましては、コメント欄に記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、影響が見られない3,000 mg/kg/dayをNOAELと判断し、不確実係数等を考慮した300 ppm(750 mg/m3)を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレンでございます。
こちらも詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレンの8時間濃度基準値としましては1 mg/m3を提案いたします。
根拠論文は根拠論文の欄に記載の2文献となっておりまして、提案理由としましては、コメントのとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果からヘモジデリン沈着を臨界影響としたLOAELを5 mg/kg bw/dayと判断し、不確実係数等を考慮した1 mg/m3を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、酢酸sec-ブチルでございます。
酢酸sec-ブチルも詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、酢酸sec-ブチルの8時間濃度基準値は20 ppm、短時間濃度基準値は150 ppmを提案いたします。
根拠論文等は根拠論文欄の4文献となっておりまして、提案理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、酢酸ブチルの異性体を用いた動物試験の結果から、肝細胞肥大及び神経毒性(一過性の多動)を臨界影響としたNOAELを100 ppmと判断して、不確実係数等を考慮した20 ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。また、ヒトの刺激性に係る知見より150 ppmを短時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントでは、本物質を用いた信頼性ある知見に乏しいことから、酢酸ブチルの異性体を用いた試験から濃度基準値を導出したとなっております。
続きまして、p-トルイジンでございます。
p-トルイジンにつきましても詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、提案値としましては、8時間濃度基準値として4 mg/m3を提案いたします。
文献等につきましては根拠論文欄に記載の5文献となっておりまして、提案理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、メトヘモグロビン、肝脂質過酸化指標の増加を臨界影響として、40 mg/kg/dayをLOAELと判断し、不確実係数を考慮した8時間濃度基準値4 mg/m3を提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御覧いただければと思います。
続きまして、m-トルイジンでございます。
m-トルイジンにつきましても詳細調査不要で初期調査となっておりまして、8時間濃度基準値として4 mg/m3を提案いたします。
根拠論文等は記載の4文献となっておりまして、提案の理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、メトヘモグロビン、肝脂質過酸化指標の増加を臨界影響とした40 mg/kg bw/dayをLOAELと判断し、不確実係数を考慮した8時間濃度基準値4 mg/m3を提案するとなっております。
こちらもその他のコメントを併せて御確認いただければと思います。
続きまして、別名でエンドスルファンでございます。
エンドスルファンにつきましても詳細調査不要で初期調査となっておりまして、エンドスルファンの8時間濃度基準値は0.1 mg/m3を提案いたします。
根拠論文等は記載の2文献となっておりまして、提案の理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物の知見から体重増加抑制を臨界影響とした0.6 mg/kg bw/dayをNOAELと判断し、不確実係数を考慮した0.1 mg/m3を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
続きまして、1_2_3_4-テトラヒドロナフタレンでございます。
こちらの物質も詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、8時間濃度基準値として2 ppmを提案いたします。
根拠論文等は記載の1文献となっておりまして、提案の理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、赤血球系の異常を臨界影響とした15 ppmをLOELと判断し、不確実係数等を考慮した2 ppmを8時間濃度基準値と提案するとなっております。
続きまして、キャプタンでございます。
キャプタンにつきましても詳細調査不要で初期調査となっておりまして、キャプタンの8時間濃度基準値として5 mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の3文献になっておりまして、提案の理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、体重減少(母動物)と骨格変異(児)を臨界影響とした10 mg/kg bw/dayをNOAELと判断し、不確実係数等を考慮した5 mg/m3を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、クロホメートでございます。
クロホメートにつきましても詳細調査不要で初期調査となっておりまして、8時間濃度基準値として1 mg/m3を提案いたします。
根拠論文等は記載の1文献となっておりまして、提案の理由としましては、コメント欄に記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果からラットでの赤血球コリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を臨界影響としたNOAELを40 ppmと判断し、不確実係数等を考慮した1.0 mg/m3を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
続きまして、りん酸トリトリル、別名トリクレジルホスフェートでございます。こちらは異性体混合物となっておりまして、括弧で「(りん酸トリ(オルト-トリル)を除く。)」となっております。
こちらも詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、8時間濃度基準値として5 mg/m3を提案いたします。
提案の理由としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、異性体混合物の動物実験の結果から、副腎皮質、卵巣及び肝臓の所見を臨界影響とした7 mg/kgをNOAELと判断し、不確実係数等を考慮した5 mg/m3を8時間濃度基準値として提案するとなっております。
また、その他のコメントも併せて御確認いただければと思いますけれども、こちらの異性体のうち、オルト体につきましては、令和5年4月の告示にて濃度基準値0.03 mg/m3と既に設定されているところでございます。
続きまして、トリ-3-トリル=ホスファートでございます。こちらは先ほどの物質のメタ体でございます。
こちらの物質も詳細調査不要で初期調査のみとなっておりますけれども、8時間濃度基準値につきましては「設定できない」を提案いたします。
根拠としましては、根拠論文等は1文献でございますけれども、コメント欄に記載のとおり、理由としましては、本物質単独による有害性情報に乏しいことから、8時間濃度基準値は「設定できない」を提案いたします。
続きまして、トリ-4-トリル=ホスファートでございます。こちらも先ほどの物質のパラ体でございます。
こちらも同じく詳細調査不要で初期調査のみとなっておりますけれども、8時間濃度基準値につきましては「設定できない」を提案いたします。
根拠論文等は同じ1文献となっておりまして、提案の根拠としましては、コメントに記載のとおり、本物質単独による有害性情報に乏しいことから、8時間濃度基準値は「設定できない」を提案いたします。
続きまして、固形パラフィンでございます。
固形パラフィンにつきましては詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、こちらの物質も8時間濃度基準値は「設定できない」を提案いたします。
根拠といたしましては、コメント欄に記載のとおりでございますけれども、吸入ばく露に係るヒト及び動物の全身影響及び局所影響に係る知見に乏しいことから、「設定できない」を提案させていただきます。
続きまして、別名でアラクロールでございます。
アラクロールにつきましては詳細調査不要で初期調査のみとなっておりまして、8時間濃度基準値として1 mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の2文献となっておりまして、設定の根拠としましては、コメントに記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、腎臓及び脾臓へのヘモジデリン沈着、下痢、粘血便、流涎を臨界影響としたNOAELを1 mg/kg/dayと判断し、不確実係数等を考慮した1 mg/m3をアラクロールの8時間濃度基準値として提案するとなっております。
続きまして、イソオクタノールでございます。
イソオクタノールにつきましても詳細調査不要で初期調査となっておりまして、8時間濃度基準値として50 ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の1文献となっておりまして、提案の理由としましては、コメントに記載のとおり、まとめとして、動物試験の結果から、皮膚粘膜刺激を臨界影響としたLOAELを200 ppmと判断し、不確実係数を考慮した50 ppmを8時間濃度基準値として提案するとなっております。
最後でございますけれども、塩化ベンゾイルでございます。
こちらは詳細調査を実施しておりまして、その結果、塩化ベンゾイルは、8時間濃度基準値、短時間濃度基準値ともに「設定できない」を提案いたします。
根拠論文は記載のとおり1文献となっておりまして、理由としましては、提案理由に記載がありますけれども、本知見ではばく露濃度が不明であり、最小毒性量及び用量-反応関係が判断できなかったとされております。そのため、まとめとして、本物質の濃度基準値の導出に関する知見が認められなかったことにより、濃度基準値は「設定できない」と判断するとなっております。
その他のコメントはございません。
以上、ここまでが資料2の説明になります。16物質につきまして御検討をお願いいたします。
○城内座長 御説明ありがとうございました。
それでは、一物質ずつ議論していきたいと思います。
まず最初のノルマル-プロピルアルコール、8時間濃度基準値300 ppm、これについてはいかがでしょうか。コメント、御質問等ございましたら、お願いいたします。―よろしいでしょうか。
それでは、ノルマル-プロピルアルコールにつきましては、8時間濃度基準値300 ppmといたします。
続きまして、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレン、8時間濃度基準値1 mg/m3、これについてはいかがでしょうか。―よろしいでしょうか。
それでは、1-(N-フェニルアミノ)-ナフタレンにつきましては、8時間濃度基準値1 mg/m3といたします。
続きまして、酢酸sec-ブチルにつきまして、8時間濃度基準値20 ppm、短時間濃度基準値150 ppm、これについてはいかがでしょうか。
○武林構成員 武林ですけれども、よろしいでしょうか。
○城内座長 はい、お願いいたします。
○武林構成員 この物質については、コメントのところにあるように、本物質そのものの情報はなかったということだと思います。こういうものが今後増えてくるのではないかと思いますが、今回については、その下にありますターシャリーの毒性データからそのまま値が提案されているのだと思います。これについて、異性体をそのまま使えるかどうかということは事前の検討ではどのように検討され、あるいは議論されたのか、教えていただけますでしょうか。
○城内座長 事務局、お願いいたします。
○藤田化学物質評価室長 事務局でございます。
こちらは安衛研で事前にワーキンググループで検討していただいてございます。その際も当該物質そのものの情報がなかったということで議論が行われているところでございますが、ACGIH等でも同様のドキュメンテーションで記載されているということを確認し、その結果、異性体の情報を使うことができると判断して今回の結論になっていると思われます。
以上でございます。
○武林構成員 恐らくACGIHはもう少し古い文献を使って古い数字ではないかと思ったので、今回はもう少し新しい情報を使ったのかなと思ったのですが、ほぼACGIHと同じロジックでということなのでしょうか。一番の質問は、今後もこういう異性体とか直接物質がないものが出てきたときに、どういうプロセスとかどういう議論を経て数字が出てくるのかということはある程度明確にしておくなり記録に残すなりしておいたほうがいいのではないかということで伺っている次第です。
○藤田化学物質評価室長 ありがとうございます。
ACGIHでは、2015年まで本物質としてのTWAは200 ppm、STELは250 ppmとして提案されています。ただ、2015年にノルマルとセカンダリーとターシャリーとイソを統合したTLVを設定したということで、こちらが50 ppmになってございます。それを踏まえまして当方でも同様の文献から決めているということでございますが、その都度、異性体の試験がそれぞれ同じ影響があるかどうかというのはそれぞれ違いますので、事前にワーキンググループで検討して、これが使えるものかどうかというのを個別に判断していくというふうに考えております。
○武林構成員 分かりました。何かその旨をコメントに書いておいていただいたほうが。これを参照する方にとっては少しロジックが分かりにくいかなと思いましたので、御検討いただければと思います。
以上です。
○藤田化学物質評価室長 コメントの書き方が難しいのでまた御相談させていただくこともあるかもしれませんけれども、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。コメント等ございませんでしょうか。―ありがとうございます。
それでは、コメントの件は事務局預かりということで、酢酸sec-ブチルについては、8時間濃度基準値20 ppm、短時間濃度基準値150 ppmにいたします。
続きまして、p-トルイジン、8時間濃度基準値4 mg/m3、これについてはいかがでしょうか。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 1か所修正をお願いしたいと思います。文献の1番、「GOLDBLATT」さんというこの字以外は小文字に直してください。
以上です。
○小永光有害性調査機関査察官 承知しました。
○城内座長 鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 次のメタもそうだと思うのですけれども、トルイジンに関しては、根拠となる論文が出たよりも後にオルトのかなり強いヒトでの発がん性が確認されているわけです。それと今回の、異性体ではありますけれども、特にメタは区分外ですけれども、パラはたしか動物で発がん性ありという区分だったと記憶しています。それに関する整合性といいましょうか、発がん性があると濃度基準値は決めないと一方でアナウンスしているので、異性体で発がん性があったということは、本来は自律管理なので、企業としてはそういったことがあるかもしれないということを検討して使うかどうかを決めるのが大筋の本論だと思うのですけれども、一方で、濃度基準値を出すということに関しては、これはオルトと違って発がん性の心配はないのかなという誤ったメッセージを与えるのではないかということだけ気になるので、そこら辺、どういった御検討をされたのか、あるいは何かしら濃度基準値を決めるときに情報の補足が要るのか要らないのかということはどのようなお考えなのかを伺いたいと思います。
○城内座長 事務局、お願いします。
○藤田化学物質評価室長 事務局でございます。
こちらは、御指摘のとおりo-トルイジンは単独の物質で発がん性が認められているので、それを用いて昨年度濃度基準値として設定されたところでございます。メタとパラにつきましては単独のものでの試験はございませんでしたが、それらが両方含まれたものとして試験をした結果、発がん性がこの試験では認められていないということでございます。なので、今回、濃度基準を設定することができるとされてございます。
一方で、先ほどの御指摘にありましたように、メタかパラかに発がん性があるのではないかという文献があるかもしれませんけれども、発がん性2の場合は動物等で発がん性が認められたということでありますので、それが遺伝毒性かどうかということを判断して検討することになっております。今回、事前に、例えば9ページにありますようにパラが発がん性区分2とございますけれども、これにつきましては遺伝毒性ではないと判断して、基準値を設定することができると判断されてございます。コメントを書いたと思ったですが、コメントがなければ、ここは遺伝毒性ではないと追記する必要があると思います。
○鷹屋構成員 ありがとうございます。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野構成員 濃度基準値についての考え方を教えてください。今、m-トルイジンとp-トルイジンについて同じ数値が設定されました。それはいいのですけれども、それで濃度基準値と同じかどうかというのを判断するときに、両方があったときでも、それはそれぞれを比較して濃度基準値を超えている・超えていないという判断でよろしいわけですね。例えば、p-メチルトルエンは2年前ぐらいに設定していると思いますけれども、オルト、メタ、パラの異性体があるときに、全てが同じ濃度基準値に設定されています。それでそれぞれを比較してそれぞれが超えていないということで濃度基準値をクリアしたという理解でよろしいのか、全部を足して濃度基準値と比較する必要はないのか、そこは測定法を決めるときにどうしたらいいのだろうという疑問が出てきております。例えば、イソオクタノールというのは異性体が5種類ぐらいあるので、測るときに全異性体をまとめて測って、それを濃度基準値と比較するということが出てまいります。それで迷うのですけれども、要するに、足し合わせて比較したら濃度基準値を超えるのだけれども、それぞれ比較すれば超えないというシチュエーションが絶対に出てくると思いますので、そこの判断について、今すぐにというのは無理かもしれないのですけれども、方向性みたいなものを考えていただけるとありがたいと思います。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前構成員 異性体の話は先ほども出てきました。あれは情報がないからターシャリーを使わざるを得なかったというのはあるのですけれども、これのパラとメタに関してはおのおのの情報があるのでつくることができました。そこが違うところで、基本的におのおのの情報があれば当然それを元にしてつくりますけれども、ない場合は前のやつと同じようなことをやらざるを得ないということになります。
それから、今の異性体を全部測ってどうのこうのというのは、混合物の加算式の話だと思うのです。だから、今回の濃度基準値に関する加算式の考え方というのは、臓器も同じでメカニズムも同じ場合は加算式を使ってくださいというような考え方になっています。
○城内座長 小野委員、どうぞ。
○小野構成員 分かりました。それぞれに濃度基準値が出ている場合に同様の有害性であるというときには、それぞれで判断してそれを足し合わせる、いわゆる相加式を使うということで、異性体としてそれぞれの濃度基準値はつくらなくて、混合物の異性体でつくられているのがイソオクタノールになるのですけれども、私もそのときにイソオクタノールの異性体が5個か6個あるということを失念しておりましたので、まとめた形で濃度基準値がつくられていて、ばく露の有害性の文献を見ても特に分けているわけではなくて、とにかく混合物をばく露してそれで決めていますので、そういうばく露実態といいますか、有害性の評価がそうなっているときはまとめて評価する、そうではなくて単独でデータがある場合にはそれぞれで評価していくという理解でよろしいですね。
○藤田化学物質評価室長 事務局でございます。そのとおりでございます。よろしくお願いいたします。
1点訂正がございます。先ほどo-トルイジンは濃度基準を昨年決定したと申しましたが、こちらは間違っておりまして、特化物になっておりますので、そもそも濃度基準を設定しない物質でございました。訂正させていただきます。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 複合ばく露のときの加算式については、臓器、メカニズムが同じときには合計の式を使って判断するということで間違いなかったと思うのですけれども、そうしますと、このm-トルイジンとp-トルイジンに関しては、少なくともここに書いてある情報だと、血液系、メトヘモグロビンと脂質系に関する影響と書いてあって、多分、調べるとそれなりにメカニズムも同じようだと出てくると思いますので、この2つについては、実際に複合ばく露のところでは加算式を使って判断するというよい例になると思うので、どこか議事録にでもきちんと書いておいていただいて、こういうときには加算式を使わないといけないんですよということにしていただくのがよろしいかと思います。
以上でございます。
○城内座長 お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村でございます。
1点質問になりますけれども、こういった濃度基準値が指定されました場合、同じ経路であり、同じ作用機序である場合は合算でということなのですが、一方で指定とか官報で公示されるようなケースでそのようなことが書かれておるのでしょうか。もしおらないような場合ですと、化学に限った話ではなく、川下産業の皆さんもそうかと思いますけれども、合算して判断していいのかそうでないのかが分からないと思いますので、しかるべくお願いしたいと思っています。
以上です。
○小永光有害性調査機関査察官 毒性というか標的臓器が同じ場合には加算式を使うということ自体は加算式を使うこと自体は告示に載っています。
○藤田化学物質評価室長 どれがそれに該当するかが分からないのでそれを明示してほしいということだと思います。例えば、このメタとパラがそれぞれ表を見れば別々に載っているのに、加算式を使わなくてはいけないかどうかというのは素人には分からないので、そこが分かるようにしてほしいという御要望だと思います。
○西村構成員 日化協の西村でございます。
行が同じで異性体の混合物として指定されていれば合算だなとはっきり分かります。一方で、オルト、メタ、パラと来たときに、例えばメタだけ発がんがあります、ほかのものはそのような働きがないですと。簡単に言ってしまうと、みんな一緒かなと思ってしまうときもありますし、私たち化学も含めて産業界の皆様はそれだけを見て分かるわけではないので、どれとどれが組合せになっているかとか、それが表示されていればよいかと思います。半分質問のような意見ということです。
○小永光有害性調査機関査察官 告示上は「有害性の種類及び当該有害性が影響を及ぼす臓器が同一であるもの」についてということしかないので、どれとどれかというところまで示しているものは現状ないと認識しています。
○藤田化学物質評価室長 少なくとも今回のメタとパラにつきましては、その他のコメントにメタのほうも合わせて加算式を使うこととかいうことを書いて妥当かどうか、また専門の先生に御相談させていただきながら検討させていただきたいと思います。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前構成員 参考情報ですけれども、産業衛生学会は今年度提案したので、実際に有効になるのは来年度からですけれども、臓器に関係なく、エフェクトが同じであれば加算式を使うという方針でやっていますので、ここの方針とちょっと違うということだけは参考情報としてお伝えします。
○城内座長 西村委員、どうぞ。
○西村構成員 労働者の健康を守る意味からも、合算すべきものは合算すべきということが分かるようにしていただけるとありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○城内座長 そのほか。
小野委員、お願いします。
○小野構成員 それぞれの物質についての判断については今までの議論で納得いくというか、そういうルールということでよろしいのですけれども、なぜ濃度基準値と比較するかというと、呼吸用保護具を使用するかどうかを決めるわけですけれども、5物質ぐらい入っていて全部が0.8ぐらいになっているときに、それってやはりマスクが要るんじゃないという気がしたりするのですけれども、それに関しては、もう自律的管理なので、そういうシチュエーションがあったときにマスクをするかしないかは各事業場で判断するという理解でよろしいですか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○藤田化学物質評価室長 制度上は、少なくとも基準値で定められているところを守っていただければ違反とはならないということですので、それ以上は各事業場で判断していただくのかなと思います。たくさん入っている場合は確かに難しいのですけれども、今はこちらでもそこまでは検討できていないところでございます。
○小野構成員 分かりました。ありがとうございました。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前構成員 今のお話は、前提としては、同じ影響が起きるという前提でお話しされていますか、それとも影響は全部違うのだけれども8割だというお話ですか。
○小野構成員 影響が違う場合もあるし、同じ場合もあると思います。ただ、どういう影響だとしても、吸入ばく露で影響があるのだったら、やはりマスクを選択するという判断をしていかないといけないような気がするのです。
○大前構成員 それはおっしゃるとおりですね。
○小野構成員 そういうことだけです。有害性云々ではなくて。要するに、そこを超えなければマスクをしなくていいんだよねと、今の制度上はそうなっていますので。ですから、全部がそこをクリアできていれば大丈夫と、制度はそういうことであるという理解で。分かりました。
○城内座長 そのほかはありませんでしょうか。
濃度基準値という狭い範囲だと答えは出るような気がしますが、これが自律的な管理になってもっといろいろな物質について対応しなければいけないとなると本当に大変かなと思いますけれども、そういう意味で、濃度基準値についていいモデルができればいいかなという印象を持ちました。
そのほか、p-トルイジンについてはコメント等ございますでしょうか。―よろしいでしょうか。
では、ちょっと検討すべきことが残りましたけれども、p-トルイジンは8時間濃度基準値4 mg/m3ということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
続きまして、m-トルイジンについて御検討をお願いいたします。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 これは先ほどのパラと同じなのですが、1番の文献の名前、大文字のところを小文字にしてください。お願いします。
○小永光有害性調査機関査察官 承知しました。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
事務局、お願いします。
○藤田化学物質評価室長 すみません、事務局でございます。
ちょっと戻って申し訳ございません。先ほどのp-トルイジンで、発がん性のところを書いていなかったかもしれないと思いましたが、実は書いてございまして、8ページのその他のコメントの続きのところ、「21種類の」というパラグラフのところでございますが、5)という5番の文献のところの上2行ぐらいになります。こちらは発がん性試験をしておりますが、「雄ラットでは、腫瘍は認められなかった。雄マウスでは、高濃度群で肝細胞がん発生が有意であったが、雌マウスでは有意ではなかった」と書いておりまして、こちらは高濃度での発生ということで、今回の基準を守っていれば大丈夫という判断になってございます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございます。
戻りまして、m-トルイジンについていかがでしょうか。先ほども議論しましたので、御意見等なければ。―よろしいでしょうか。
では、m-トルイジンにつきましては、8時間濃度基準値4 mg/m3といたします。
続きまして、別名でエンドスルファン、0.1 mg/m3についてコメント等ございましたら、お願いいたします。―よろしいでしょうか。
それでは、エンドスルファンにつきましては、8時間濃度基準値0.1 mg/m3といたします。
続きまして、1_2_3_4-テトラヒドロナフタレン、8時間濃度基準値2 ppmについてコメント等ございましたら、お願いいたします。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 コメントのところの真ん中辺に「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性」というのがあって、そのもう少し下に「乳酸デヒドロゲナーゼ活性」というのがありますけれども、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼはASTという略語で通用していますので、「AST」にしてください。それから、乳酸デヒドロゲナーゼ活性はLDHということで通用していますので、そういう略語のほうがいいと思います。お願いします。
○小永光有害性調査機関査察官 分かりました。修正いたします。
○城内座長 そのほかにコメント等ございませんでしょうか。
それでは、1_2_3_4-テトラヒドロナフタレンにつきましては、8時間濃度基準値2 ppmといたします。
続きまして、キャプタン、8時間濃度基準値5 mg/m3についてコメント等ございましたら、お願いいたします。―コメント等ございませんでしょうか。
それでは、キャプタンにつきましては、8時間濃度基準値5 mg/m3といたします。
続きまして、クロホメート、8時間濃度基準値1 mg/m3につきましてコメント等ございましたら、お願いいたします。―コメント等ございませんでしょうか。
それでは、クロホメート、8時間濃度基準値1 mg/m3といたします。
続きまして、りん酸トリトリル、8時間濃度基準値5 mg/m3につきましてコメント等ございましたら、お願いいたします。
それでは、りん酸トリトリルにつきましては、8時間濃度基準値5 mg/m3といたします。
続きまして、トリ-3-トリル=ホスファート、8時間濃度基準値は設定できない、これについてコメント等ございましたら、お願いいたします。
では、続きまして、トリ-4-トリル=ホスファート、こちらも設定できない、これにつきましてコメント等ございましたら、お願いいたします。
では、続きまして、固形パラフィン、8時間濃度基準値は設定できない、これについてコメント等ございましたら、お願いいたします。
では、固形パラフィンにつきましても、8時間濃度基準値は設定できないといたします。
続きまして、アラクロール、8時間濃度基準値1 mg/m3、これにつきましてコメント等ございましたら、お願いいたします。―よろしいでしょか。
それでは、アラクロール、8時間濃度基準値1 mg/m3といたします。
続きまして、イソオクタノール、8時間濃度基準値50 ppm、これにつきましてコメント等ございましたら、お願いいたします。―コメント等ございませんでしょうか。
では、イソオクタノール、8時間濃度基準値50 ppmといたします。
続きまして、塩化ベンゾイル、8時間濃度基準値、設定できない、短時間濃度基準値、設定できない、これについてコメント等ございましたら、お願いいたします。
では、塩化ベンゾイル、8時間濃度基準値、設定できない、短時間濃度基準値、設定できないといたします。
これで本日予定の全ての物質の濃度基準値の審議が終わりました。
コメントすべき点等含めまして、事務局から最終結果報告をお願いします。
○小永光有害性調査機関査察官 本日御議論いただきました16物質につきましては、全て濃度基準値を御了解いただきました。
頂きましたコメントにつきましては、記載方法を含めて今後検討させていただきまして、また御報告させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○城内座長 保利委員、お願いいたします。
○保利構成員 今、幾つか設定できないというのがありましたけれども、海外のACGIHとかNIOSHとかには設定されているものもあるのですが、これらはあまり信頼できないという判断なのでしょうか。
○城内座長 事務局、いかがでしょうか。
○藤田化学物質評価室長 事務局でございます。
今回設定できないとされている物質につきましては、海外が参考にしている論文を見てもなかなか濃度基準値を設定するに足る実験データが得られていないということと、追加で論文を検索してみましたが、それ以外にもなかなか設定できる根拠となりそうな論文がヒットしないということで、設定できないとさせていただいているものでございます。可能性がある場合は先送りにしてもうちょっと調べるということもしてございますが、今回のものにつきましては文献もなさそうだということで、設定できないとさせていただいているところでございます。
○保利構成員 分かりました。
○城内座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 今の点は、例えば塩化ベンゾイルのことを見られたと思うのですけれども、これはACGIHがceilingで0.5 ppmというのを出しています。ドキュメンテーションを読むと強い生理作用があると。それがある会社でこのぐらいだったらないという報告があったぐらいなので、一応、文献と言えるかどうか分かりませんが、あるのですけれども、それは取れないし、読めないのです。だから、それだけで濃度基準値を短時間なりceilingをつくるのはちょっと無理かなということで、今回はつくりませんでした。そういうのはちょくちょくあります。ACGIHなりDFGがちゃんとした文献でやっていれば当然採用しますけれども、この場合はちょっと無理かなということでつくりませんでした。
それから、ついでに、今気がついたのですが、この文献は産業医学の文献でJapaneseと書いてあるのです。そうすると、これは表示は英文表示になっているのですけれども、ひょっとしたら和文かもしれないので、もし和文だったら文献を和文のタイトルに書き直してください。
ちなみに、これは何で濃度を書かないで産業医学が通したのか見当がつかないのです。とても不思議なのですけれども。確かに濃度を書いていないということは確認しましたので、やむを得ないですけれども。
○城内座長 そのほか。
西村委員、お願いします。
○西村構成員 資料2の19ページ目の物質は、別名が「クロホメート」と書いてあるのですけれども、英字訳すると「クルホメート」かもしれないので、御確認いただいたらいいかなと思います。
以上です。
○城内座長 「クル」ですね。
○西村構成員 「クル」に読めると思います。
○城内座長 ありがとうございます。
では、事務局、お願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 確認させていただきます。
○城内座長 そのほかにコメント等、これまでの16物質についてありますでしょうか。
それでは、次に移りたいと思いますが、ここで資料3-1、資料3-2について事務局から説明があるということですので、よろしくお願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 資料3-1につきまして、小永光から御説明させていただきたいと思います。
資料3-1の10ページ目、電子媒体もありますが、紙でもお配りしているものの10ページ目の上から5つ目の物質の2-(2-エトキシエトキシ)エタノールという物質でございます。
こちらの物質は、前回の検討会におきまして、宮内委員から、当該物質はほかの物質の皮膚吸収性を促進するというようなことを御発言いただいたところでございます。つきましては、当該物質のその他のコメントの欄に「本物質は皮膚吸収性を促進するとされていることから、今後の知見の収集が必要である」と記載させていただいて、同様の記載を個票のほうにも当然させていただきたいと考えております。この記載でよろしいかにつきまして御意見を頂ければと思います。
○城内座長 いかがでしょうか。―事務局案でよろしいでしょうか。ほかにコメント等ございませんでしょうか。
では、そのようにしたいと思います。
○小永光有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
○城内座長 事務局からさらに資料の説明をお願いします。
○田上中央労働衛生専門官 環境改善・ばく露対策室の田上でございます。
測定法の関係で資料3-1の20ページ目、一酸化窒素の測定法になります。
こちらは昨年度記載の測定法で承認いただいていたところではあるのですけれども、今年度設定された濃度基準値が8時間濃度値で0.5 ppmということで、もともと測定法の検討に用いていたOELが25 ppmということで、かなり下がってしまった関係上、この測定法で0.5 ppmの濃度基準値を超えるか超えないか、測定できるかというと確証が持てないという状況になってございますので、こちらは再度検証ということにさせていただいて、検証が終わり次第、再度検討会にお諮りするというような形で、◯となっているのですけれども、Pということで、備考欄にはその旨付してございます。
また、資料3-2でございます。
先ほど御議論いただきましたp-トルイジンの関係の測定法につきまして、日本化学工業協会様から事前に測定法の関係で御質問を頂いておりました。
その内容が、分析方法について、ガスクロマトグラフ分析法で検出器がECDということで記されています、分子中にハロゲン元素を含まない高価なECDで測定することが妥当なのか疑問です、中小企業では自社測定ができる会社はまれで、外注測定も高価になることが予想されます、分析方法はガスクロで検出器はFIDでも了解いただけると大変ありがたいです、示されている分析法は例示であって、ほかの分析法でもよろしいのでしょうかということで御質問いただいております。
まず前提としては、この検討会で御議論いただいている測定法自体は公定法のような形で、これでないといけないというようなものではございません。あくまでも、濃度基準値を設定するに当たって、何かしら濃度基準値を超えるか超えないかをしっかりと判定できる測定法があるということを確認した上で濃度基準値を設定するという考え方で、この測定法だったら測定できるのではないかということをある意味確認して、それについて御議論いただいているというようなものでございまして、あくまでも一例でございます。なので、設定される濃度基準値の濃度域をしっかりと測定できるようなものであれば、ここにお示ししている分析法でなくても問題ないということでございます。
その上で、この測定法、ガスクロで検出器がECDということですけれども、こちらの方法はOSHAの文献を参照していまして、その方法ですと、捕集したp-トルイジンを一旦誘導体化して、フッ素で修飾して、それをGCに流して分析するというような形を取っているので、検出器をECDというような形で分析しているということになります。
検出器にECDを用いることについては、資料4-1で毎回お示ししてございますけれども、資料4-1のe.のところでお示ししています作業環境測定においても検出器として使用されている実績がありますので、ECDについては採用するということで、こちらは検討会の中でも一度方針として決めているものでございますので、この測定法について採用した上で、p-トルイジンについてはこの濃度基準値を採用していくというような形とさせていただければと思います。
すみません、長くなりましたが、以上となります。
○城内座長 西村委員、小野委員、何か追加等ございますか。よろしくお願いします。
○西村構成員 ありがとうございました。クリアになりました。
○城内座長 よろしいでしょうか。
○小野構成員 誘導体化を使っているので、簡単な方法ではないというのは言えると思います。ただ、誘導体化していることで感度が上がっているのでこの濃度基準値をクリアできていますので、特に誘導体化しないでFIDで測るというのもNIOSHから出ているのですけれども、それではこの感度がクリアできないところがございます。基本的にはトルイジンとかアミン系のものは誘導体化してガスクロと質量分析計で測るというのが通常になっておりますので、その辺については、そのどれかの測定法で測れるかなとは思っております。すみません、これでという提案になるとどうしても難しい方法になるのは御了承いただければと思います。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。
では、あとは事務局からお願いいたします。
○長山環境改善・ばく露対策室長 それでは、前半の濃度基準値についてはこれで終了とさせていただきたいと思います。
ここで休憩を取らせていただきたいと思います。今15時3分で、10分間ぐらい取りたいので、15時15分前ぐらいに再開したいと思います。それまでにお席にお戻りいただきますようお願いいたします。
○城内座長 宮内先生、お願いいたします。
○宮内構成員 すみません、休み時間に入るところで。1つだけ確認したくて。
m-トルイジンの4 mg/m3なのですけれども、単位がmg/m3で問題ない。逆にそろえたほうがいいと思ったのですけれども、これは多分、常温・常圧で液体なのです。外国ではppm表示もあるのですけれども、その辺のルールがあるのでしたっけ。すみません、ちゃんと確認していないのですけれども、もしありましたら教えてもらいたいと思ったのです。これでいいと思うのですけれども、通常はppmで出していたかなと思ったのです。パラは粉体なので分かるのですけれども、メタは液体だと思うのです。
○小永光有害性調査機関査察官 濃度基準値の場合、ここの単位をmg/m3にするかppmにするかにつきましては個別の物質ごとに設定させていただいております。単位変換のための換算式は報告書で定めているところでございます。mg/m3にするかppmにするかにつきましては、個別の物質ごとに蒸気圧等から検討いただいているところです。
○宮内構成員 先ほどあったように分析する上ではそろえたほうが分かりやすくていいかなと思いますし、別にこれでいいと思うのですけれども、ルールが何かあったかなと思ったので、一応。
○小永光有害性調査機関査察官 ルールはないもため、蒸気圧等から個別に検討しているというような状況でございます。
○宮内構成員 分かりました。どうもすみません。了解いたしました。
○藤田化学物質評価室長 補足でございます。事務局でございます。
m-トルイジンにつきましては、御指摘のとおり、20℃1気圧の中で液体でございます。これにつきましては、蒸気圧が0.303mmHg(25℃)ということになっておりますので、それを勘案して現在の単位になっていると考えております。
以上でございます。
○宮内構成員 了解いたしました。
○長山環境改善・ばく露対策室長 ありがとうございました。
では、15時15分から再開としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

午後3時06分 休憩

午後3時15分 再開

(2)濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について

○城内座長 それでは、後半の議事を再開いたします。
議事2の「濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について」、今回は濃度基準値設定対象物質の新規測定法の提案及び令和7年度から濃度基準値が適用される物質の測定法の個票様式案の2点について検討することとしております。
それでは、まず事務局から、濃度基準値設定対象物質の新規測定法の提案について、資料4-1及び資料4-2の説明をお願いいたします。
○田上中央労働衛生専門官 環境改善・ばく露対策室の田上でございます。
まず資料4-1につきましては、測定法を選定・提案するに当たっての基準、考え方になりまして、こちらは前回から変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
資料4-2を御覧いただければと思います。こちらは紙でも配付しております。
今回新規で提案する測定法については4物質になります。一番左の欄外の通し番号の1~3が令和6年度の対象物質、4番目が令和4年度から継続検討となっていた物質になります。
物質名称のところに凡例でお示ししてございますけれども、こちらの色分けにつきましては、オレンジが分析法が液体クロマトグラフ法によるもの、黄色がガスクロ、薄緑がイオンクロマトグラフ分析法によって分析するものという形で色分けしております。
今回は測定法全体として大きく論点になるところは少ないかと思いますけれども、測定範囲のところを御確認いただきますと、カルボフランとフッ化スルフリルが△になってございます。
こちらの△の理由としては、カルボフランにつきましては測定範囲が480 L捕集でOELの1/4倍の濃度から定量可能ということで、0.1倍までは担保できていないというものですけれども、こちらは長い捕集時間になってございますけれども、この測定法によって濃度基準値を超えるか超えないかの判定はできるのではないかということで、実用上の判断は○ということで記載しております。
また、フッ化スルフリルにつきましては10 L捕集で濃度基準値の0.2倍の濃度から定量可能ということで、測定範囲は△になっておりますけれども、こちらも濃度基準値を超えるか超えないかの判断につきましては十分可能な測定法ということと、破過についても△になってございます。こちらは、参照した文献の基となる論文に、高濃度の場合は固体捕集材の1段目と2段目のうち2段目の破過が確認されたという記載がございましたので、そちらを踏まえて、1段目と2段目を分けて測定し破過のないことを確認するということで△としておりますけれども、実用上は問題なく測定できるだろうということで、こちらも実用上の判断としては◯としております。
そのほか、今回ろ過と固体捕集の組合せ捕集としているものが、カルボフランと3番目のS-メチル-N-[(メチルカルバモイル)オキシ]チオアセトイミデートの2つございます。
3番目のほうはIFV評価値が0.24ということで、0.1~10の間に収まっているというもので、粒子状の物質とガス状の物質が両方存在するということで、組合せ捕集にしております。
一番上のカルボフランにつきましてはIFV評価値としては0.064ということで、0.1を下回っているのですけれども、こちらは測定法が参照文献がNIOSHの有機窒素系の農薬の測定法ということで、噴霧したりするというような使用方法を考慮してろ過捕集を組み合わせることとしております。
測定法の御説明としては以上となります。
○城内座長 ただいま事務局から説明いただきました資料4-1、4-2に関しまして御質問や御意見等ありましたら、お願いいたします。―ございませんでしょうか。
では、今日示していただきました4つの測定法については事務局案のとおりでよろしいでしょうか。―ありがとうございました。
では、そのように進めていただきたいと思います。
これで濃度基準値設定対象物質の測定法について本日の審議は終了いたします。
では、その次の議題に参りまして、令和7年度から濃度基準値が適用される物質の測定法の個票様式案について、事務局から資料5-1、5-2の説明をお願いいたします。
○田上中央労働衛生専門官 環境改善・ばく露対策室の田上でございます。
ただいま座長から御説明いただきましたとおり、資料5-1と5-2が個票案に関する資料でございます。
測定法に関しましては、本日も御議論いただきました資料4-2のような形で、提案時はこのような割と簡潔な形で測定法に関する資料を作成しておりますけれども、濃度基準値が設定されてから実際に適用されるまでにもう少し詳細な情報を記載した個票というものを物質ごとにそれぞれ作成して公表しております。
資料5-2を先に御確認いただければと思います。
資料5-2は、今回令和7年10月1日から濃度基準値が適用されるパラチオンという物質を一例に作成しているものでございますけれども、こちらは、今年度令和6年4月1日から濃度基準値が適用されている物質の測定法の個票の様式で作成したものでございます。もともとリスク評価事業のときにNIOSHの様式を参考にして測定法についてそれぞれ詳細にこの様式に従って記載していたのを参考に、個票様式を昨年度提案して、今年度公表しているものでございますけれども、例えば上の物性の部分とか、大項目としては固定されているのですけれども、沸点とか融点とか、物によっては蒸気圧が記載されていたりされていなかったりということで、具体的に何を書くのかというところが定まっていないとか、精度のところについてももう少しデータを充実させていくというような観点で、今度令和7年10月1日から濃度基準値が適用される112物質の個票につきましては、資料5-1のような形で様式を改定して策定していきたいというものでございます。
具体的にどこを変えたかといいますと、資料5-1を御覧いただければと思いますけれども、まず物性のところは、分子量とか融点とか、記載する物性について項目をこのような形で定めています。
あと、一番大きなところですと、一番下に濃度基準値分の飽和蒸気圧濃度ということでIFV評価値を追加したところでございます。
あと、飽和蒸気圧につきましては、今検討中なのですけれども、どの温度での飽和蒸気圧になるかというのが明確になるように公表時には記載したいと考えております。
あと、その下の部分、「測定法の一例」というところで、先ほど資料3-2の説明のときにも申し上げましたけれども、あくまでもこの測定法は一例であるということが明確になるような形で、前回、資料5-2が標準測定法という形になっていますけれども、測定法の一例ということでお示しするということを明確にした上で、昨年度承認いただいた測定法について、それぞれ各項目に従って、基となる文献から捕集・分析方法についての情報をピックアップして記載するというような形になってございます。パラチオンにつきましては記載している情報としては少し少ない状況でございますけれども、どこまで詳細に記載できるかは物質によって異なるということになります。
あと、大きく変えたところは評価の部分でございます。こちらは、検討会の際に指標としている「測定範囲」から「破過」の4つの指標に対して、目安となる判定基準をそれぞれ項目のメインに記していますけれども、それぞれの項目で一番上の行に、どういう判定基準に対してどういった測定法なのかということを明確にした上で、その判断根拠となるデータをそれぞれ記載するという形で情報を追加して分かりやすくしているということでございます。それでもここに書き切れない部分については備考に補足情報を記載していくということとしております。
あと、測定上の注意点につきましても、こちらは前回の様式から変えてはございませんけれども、最後に記載していくということで、こちらは一番下の注書きでも記載してございますけれども、現在検討中の内容も含まれているというような状況でございます。
様式の御説明としては以上となります。
○城内座長 ありがとうございました。
私から見るととてもおしゃれで素敵になって使いやすくて、何かランクが上がったなという感じがします。それは分析法とは関係ないかもしれませんけれども、こういう見せ方はとてもいいのではないかと思いました。素人ですけれども。
皆さん、コメント等ありましたら、お願いいたします。
西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村でございます。
質問になるのですけれども、このパラチオンの例示で出されている評価のところで、測定範囲の結論が「1/10 を含んでいる」ということは、逆に言うと2倍の範囲がカバーできていない状態を表現しているということでしょうか。それであるならばもう少し分かりやすい表現があってもいいかと思いました。
以上でございます。
○田上中央労働衛生専門官 田上でございます。
こちらは恐らく2倍の測定範囲も入っているというものでございますので、そこは明確になるように、公表までには記載を改めたいと思います。ありがとうございます。
○城内座長 小野委員、何かありますか。
○小野構成員 以前から御意見を頂いております2ページ目の下から3つ目の固まりの破過のところで、これは漏れるまでの時間なので、720 L、720分でもよいのかもしれませんけれども、あまり長い時間を出すという御意見を頂いていましたので、もう少し一般的な、8時間まで破過は認められないとか、480 Lまでというふうに、あまり普段見ないような数字にならないような注意はしていくべきかなと、今これを見て思っております。
あと、OVSサンプラーについても、1ページ目のところはこういう形にしたい。要するに、OVSというのは商品名なのですけれども、OSHAの方法に対応したサンプラーだよと。そしてその下に、石英フィルターと捕集剤が入っていますということをを示すような形に変更したいと思っています。Excelとは違う書きぶりになっております。そこだけは直したのですけれども、次のページの下から2番目の備考のところは、「OVS-2サンプラー」というExcelで書いていたものがそのまま入っていたりしますので、まだまだこれは調整中ということもございますけれども、その点についてはなるべく分かりやすく正確に、ただ商品名ではなくて、できれば一般名を書いていくような形にしたいと思っております。
小野からは以上です。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
山室委員、お願いします。
○山室構成員 山室です。
分析方法のところで、「分析条件は参考文献を参照する」という表現で、これはこれでいいと思いますが、定量下限値ぐらいは入れておいてあげたほうが、この測定法を採用できるかどうかを判断するときに分かりやすいかなと思っております。いかがでしょうか。
○田上中央労働衛生専門官 定量下限値につきましては、おっしゃるように、資料5-2のところでは記載がありますので、例えば「測定範囲」の「濃度範囲」のところに補記するような形で、何かしらの形で公表時には入れ込まれた形で公表していく形にしたいと思います。ありがとうございます。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。―よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、令和7年10月から濃度基準値が適用される物質の測定法の個票は資料5-1の様式で設定することとしてよろしいでしょうか。―ありがとうございます。
以上で検討すべき項目は終了しました。

(3)その他

○城内座長 最後に、事務局から「その他」ということで何かございましたら、お願いいたします。
○長山環境改善・ばく露対策室長 事務局でございます。
特にその他は御用意しておりませんので、本日の議事は以上でございます。
本日の議事録については、後日構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。
次回の日程としては、12月23日、月曜日、午後2時から5時ということで予定しております。構成員名簿のうち、前半については「全般に関する事項」、「毒性に関する事項」の欄の先生方、後半には「全般に関する事項」と「ばく露防止対策に関する事項」の欄の先生方にそれぞれ御参集いただく予定としております。議事としては、前半は濃度基準値の検討、後半は濃度基準値設定対象物質ごとの測定方法について予定しております。また、正式な開催案内などは後日お送りさせていただきたいと思います。
また、先日、委員の皆様には事前に御連絡させていただいておりますが、今年度の検討会の予備日としておりました2月10日についても予定どおりの日程で開催させていただきたいと考えております。お忙しいところを申し訳ございませんが、日程の確保等をよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○城内座長 以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。どうも御協力ありがとうございました。

午後3時36分 閉会