- ホーム >
- 医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました
照会先
医薬局 国際薬事規制室
- 室長
大久保 貴之 (内線4223)
- 係長
田村 文弥 (内線4224)
(代表電話) 03 (5253) 1111
(直通電話) 03 (3595) 2431
医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました
~3ガイドラインが整備されました~
令和7年5月10 日から5月14 日まで、スペイン・マドリードにおいて、医薬品規制調和国際会議(ICH)の総会・管理委員会・各作業部会(※1)等が開催されました(メンバー・オブザーバーは参考1参照)。当該会合及び前回モントリオール会合(令和6年11 月2日~6日)では、主に以下の成果がありました。
次回ICH 会合は令和7年11 月15 日から11 月19 日にシンガポールで開催されます。
(※1)医薬品規制調和国際会議(ICH)とは医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議であり、年に2回対面会合を開催しています。対面会合では、全ての参加メンバーで構成される総会、総会での議論の準備やICH の運営を担う管理委員会、専門家がガイドラインの議論を行う各作業部会が開催されます。
1.各作業部会の進捗状況の報告
総会では、各作業部会におけるガイドライン作成の主な進捗(※2)として、今回のICH 会合開催までに事前に合意した事項及び今回のICH 会合において合意した事項について報告されました。
(※2)作業部会では、ICH のガイドラインを作成しております。このガイドラインが、作成開始からICH 規制当局側メンバーの各国・地域で実装されるまでは、ステップ1 からステップ5 の各段階を経て行われます。(参考2参照)
(1)ステップ4到達
(ア)今回のICH 会合開催前に合意したガイドライン
・M13A:「即放性経口固形製剤の生物学的同等性」(令和6年7月にステップ4到達)
・E11A:「小児医薬品開発における外挿」(令和6年8月にステップ4到達)
・E6(R3):「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(原則及び付属書1)」
(令和7年1月にステップ4到達)
(イ)今回のICH 会合において合意したガイドライン
・なし
(2)ステップ2到達
(ア)今回のICH 会合開催前に合意したガイドライン
・E6(R3):「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」付属書2(モントリオール会合でステップ2到達)
・M15:「MIDD(Model-Informed Drug Development)に関する一般原則」
(モントリオール会合でステップ2到達)
・M11:「電子的に構造化・調和された臨床試験実施計画書(CeSHarP)」技術仕様
(令和7年3月にステップ2到達)
・M13B:「即放性経口固形製剤の生物学的同等性:含量追加のバイオウェーバー」
(令和7年3月にステップ2到達)
・Q1:「「安定性試験」の改訂」(令和7年4月にステップ2到達)
(イ)今回のICH 会合において合意したガイドライン
・E21:「妊婦及び授乳婦の臨床試験への組入れ」
・M4Q(R2):「「CTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)-品質に関する文書の作成要領」の改訂」
2.新規トピックの採択
今回、新規トピックとして、以下の4つが総会で採択されました。いずれも、作業開始時期は今後検討される予定です。
・医薬品の有効性に関する規制上の意思決定におけるリアルワールドエビデンス(RWE)の使用に関する考察
・バイオシミラー開発プログラムにおける有効性比較試験の有用性決定の枠組み
・希少疾病用医薬品開発促進のためのNatural History Studies 及びレジストリデータ
・先端医療製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価(Q5E の付属書)
また、過去に採択されていたトピック「品質に関する申請資料の構造化」について、マドリード会合においてM4Q(R2)がStep2 に到達したことに伴い、今般活動が開始されることとなりました。
3. MedDRA
本会合前にMedDRA 運営委員会のメンバーシップ拡大が承認されたことに伴い、新規メンバーの募集が実施され、MedDRA 運営委員会における応募者の評価が行われました。本会合では、MedDRA 運営委員会の評価に基づき、MedDRA 運営委員会の新規メンバーとして、以下の2つの規制当局と1つの業界団体がICH 管理委員会において承認されました。
(1)規制当局
・中国国家医薬品監督管理局(NMPA)
・サウジ食品医薬品庁(SFDA)
(2)業界団体
・国際製薬団体連合会(IFPMA)
4.新規の規制当局オブザーバーの承認
本会合では、パラグアイ公衆衛生・社会福祉省国家衛生監視局(DINAVISA)、クウェート保健省(MOH)及びエルサルバドル衛生規制監督庁(SRS)が、新たな規制当局オブザーバーとして承認されました。また、モントリオール会合では、タイ保健省食品医薬品庁(FDA)、ウズベキスタン薬事安全センター(CPPS)、ペルー医薬品医療資材局(DIGEMID)が、新たな規制当局オブザーバーとして承認されています。これにより、ICH のメンバーは23 団体、オブザーバーは41 団体となりました(参考1参照)。
5.国際薬事規制当局プログラム(IPRP)
本会合に続いて、5月14 日及び15 日にIPRP 会合(参考3参照)が開催されました。
IPRP 会合では、ICH ガイドラインの実装状況(申請資料に関するトピックが主)、AI の活用、リライアンスの推進、各作業部会の活動及び各国の規制状況等について、実施状況の報告及び意見交換が行われました。
6.ICH 管理委員会副議長
本会合をもって安田 尚之 医薬品医療機器総合機構 執行役員(国際部門担当)がICH 管理委員会副議長を勇退し、本年秋までの任期の残余期間について古賀 大輔 医薬品医療機器総合機構 国際企画部長がICH 管理委員会副議長を務めることが承認されました。
(参考1)ICH 参加団体一覧(令和7年5月21 日時点)
※:管理委員会メンバー 太字:今般会合で追加
【メンバー(23 団体)】
○創設規制当局メンバー(3):厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(MHLW/PMDA)(※)、米国食品医薬品局(FDA)(※)、欧州委員会/欧州医薬品庁(EC/EMA)(※)
○創設産業界メンバー(3):日本製薬工業協会(JPMA)(※)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)(※)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)(※)
○常任規制当局メンバー(2):ヘルスカナダ(※)、スイスメディック(※)
○規制当局メンバー(12):ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)(※)、中国国家医薬品監督管理局(NMPA)(※)、シンガポール保健科学庁(HSA)、韓国食品医薬品安全処(MFDS)(※)、台湾食品薬物管理署(TFDA)、トルコ医薬品医療機器庁(TITCK)、サウジ食品医薬品庁(SFDA)(※)、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)、エジプト医薬品庁(EDA)、アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)、ヨルダン食品医薬品局(JFDA)
○産業界メンバー(3):バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)(※)、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会(IGBA)(※)、世界セルフケア連盟(GSCF)
【オブザーバー(41 団体)】
○常任オブザーバー(2):世界保健機関(WHO)、国際製薬団体連合会(IFPMA)
○規制当局オブザーバー(23):インド中央医薬品基準管理機構(CDSCO)、キューバ国家医薬品医療機器管理機関(CECMED)、イスラエル保健省医薬品・監督センター(CPED)、コロンビア医薬品食品監督庁(INVIMA)、モルドバ医薬品医療機器庁(MMDA)、イラン国家規制当局(NRA)、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)、南アフリカ医療製品規制当局(SAHPRA)、カザフスタン国家医薬品医療機器専門機関、ロシア連邦保健・社会発展監督局(Roszdravnadzor)、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター(SCDMTE)、オーストラリア医療製品管理局(TGA)、レバノン公衆保健省(MOPH)、アゼルバイジャン保健省分析センター(AEC)、インドネシア共和国食品医薬品庁(BPOM)、ウクライナ保健省専門家センター(SEC MOH)、アルジェリア医薬品庁(ANPP)、チュニジア医薬品局(DPM)、ナイジェリア食品医薬品管理局(NAFDAC)、香港薬剤業及び毒薬管理局(PPBHK)、タイ保健省食品医薬品庁(FDA)、ウズベキスタン薬事安全センター(CPPS)、ペルー医薬品医療資材局(DIGEMID)、パラグアイ公衆衛生・社会福祉省国家衛生監視局(DINAVISA)、クウェート保健省(MOH)、エルサルバドル衛生規制監督庁(SRS)
○地域調和イニシアティブ(6):東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、東アフリカ共同体(EAC)、湾岸協力理事会(GCC)、汎アメリカ医薬品規制調和ネットワーク(PANDRH)、南部アフリカ開発共同体(SADC)
〇業界団体オブザーバー(1):医薬品原薬委員会(APIC)
○医薬品関連国際団体(6):ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)、国際医学団体協議会(CIOMS)、欧州医薬品医療品質部門(EDQM)、国際医薬品添加物機関(IPEC)、医薬品査察協同スキーム(PIC/S)、米国薬局方(USP)
(参考2)ICH のガイドライン作成ステップ
ステップ1 |
新しい調和ガイドラインを作成する提案が、新しいトピックとして総会の承認を受けると、専門家作業部会が設置されます。専門家作業部会では、協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。 |
ステップ2 |
ステップ2a: 技術ドキュメントの確認 |
ステップ3 |
ICH の各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます。 |
ステップ4 |
ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されるとステップ4 となります。 |
ステップ5 |
ICH の各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。 |
(参考3)IPRP
IPRP(International Pharmaceutical Regulators Programme、国際薬事規制当局プログラム)は、日本、米国、EU、カナダ、スイス等、約33 か国・地域の規制当局が参加し、規制当局間の協力や、規制情報に関する交換等を実施している国際会議です。年2回、ICH に併せて会合が開催されます。