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- 2025年4月23日 中央社会保険医療協議会 総会 第607回議事録
2025年4月23日 中央社会保険医療協議会 総会 第607回議事録
日時
令和7年4月23日(水)10:15~
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 12F
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 佐保昌一委員
- 池端幸彦委員
- 髙町晃司委員
- 太田圭洋委員
- 本田文子委員
- 奥田好秀委員
- 林正純委員
- 笠木映里委員
- 鈴木順三委員
- 森昌平委員
- 永瀬伸子委員
- 伊藤徳宇委員
- 木澤晃代専門委員
- 城山英明委員
- 茂松茂人委員
- 鳥潟美夏子委員
- 江澤和彦委員
- 小松和子専門委員
- 松本真人委員
- 長島公之委員
- 事務局
-
- 鹿沼保険局長
- 木下医療技術評価推進室長
- 清原薬剤管理官
- 林医療課長
- 米田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官 他
議題
- 費用対効果評価専門組織からの報告について
- 入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について
- 歯科用貴金属価格の随時改定について
- 診療報酬改定結果検証部会からの報告について
- 医療機関を取り巻く状況について
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより第607回「中央社会保険料協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、飯塚委員、上田専門委員が御欠席です。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
中医協総-1の資料を御覧ください。
医薬品・医療機器等の費用対効果評価についてですが、エプキンリ皮下注について、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告いたします。
なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても資料に記載をしております。
2ページ目を御覧ください。
対象品目名は、エプキンリ皮下注です。
効能または効果は、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫及び再発または難治性の濾胞性リンパ腫となっております。
本品目の分析対象集団の評価の区分は、ICER750万/QALY以上、1125万円/QALY未満となっております。
3ページ目からは、参考として、エプキンリ皮下注の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項について記載をしております。
御説明いたしますのは、以上となります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
失礼いたします。
(田倉委員長、福田参考人 退室)
○小塩会長
続きまして「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、同分科会の尾形分科会長にお越しいただいております。尾形分科会長より御説明をお願いいたします。
○尾形分科会長
おはようございます。尾形でございます。
私からは、3月12日及び4月17日に開催されました、入院・外来医療等調査・評価分科会において検討を行いました結果につきまして、御報告をさせていただきます。
まず、資料の総-2-1「令和7年度調査の内容について」を御覧ください。
令和6年7月3日の中医協総会において御了承いただきました、令和6、7年度の調査の概要に基づき、令和7年度の調査の具体的な設計を行っております。
2ページ~10ページにつきましては、昨年7月の総会の資料の再掲でございますけれども、(1)~(8)の調査項目がございます。
これらを踏まえまして、11ページにお示ししたとおり調査を行う予定でございます。
調査は、原則として調査票の配付、回収により実施いたしますが、ウェブでの回答提出も可能としております。
調査票は、対象施設に対して、施設調査票、病棟調査票、治療室調査票、患者票、それから医療従事者票を配付いたします。
調査票の構成、対象施設につきましては、12ページにお示ししたとおりでございます。
例年診療報酬改定を実施する年度に当たる年には、療養病棟を対象とするC票、それから障害者病棟を対象とするD票への調査を行っておりませんでしたが、分科会での議論を踏まえまして、本年度は新たにC、D票についても調査を行うこととしております。
それに伴いまして、AからD票の調査票のサンプル数を調整しております。
E表は、令和5年度調査からサンプル数を増やしております。
次に、13ページ~15ページにかけましては、それぞれの調査票の項目の概要となってございます。
最後に、16ページが令和7年度調査の調査スケジュールということでございます。
続きまして、総-2-1参考1が、具体的な調査票の案でございます。ただ、これはページ数も多いため、本日は、説明については割愛させていただきます。
具体的な調査方針につきましては、3月12日の分科会で議論をし、総-2-1参考2「令和7年度調査の方針について」においてお示ししております。
記載のとおり、入院医療、外来医療、医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態、医師偏在対策、災害医療、業務の簡略化などを調査項目とすることといたしており、これを基に参考1の調査票案を作成しております。
本日、ここで御承認をいただきましたら、速やかに調査を実施し、8月以降、結果を御報告する予定でございます。
続きまして、資料総-2-2「DPC/PDPSに係る令和7年度特別調査の実施について」を御覧いただきたいと思います。
まず「1.概要」でございます。
DPC/PDPSについては、令和6年7月3日の中医協総会において、答申書附帯意見も踏まえつつ、必要に応じて特別調査を実施することとされております。
今回、令和7年度特別調査の実施案について、具体的な設計を行ったところでございます。
「2.調査の概要(案)」にありますとおり、大きく3つの視点から調査を行うことを予定しております。
まず「Ⅰ 在院日数の短縮に向けた取り組みや課題等に関する調査」として、現状の点数設定方式について、入院料を回収するために、入院期間Ⅱまで入院を継続させるインセンティブが生じている可能性が指摘されていること等を踏まえ、全てのDPC対象病院に対して調査票を送付し、在院日数の短縮に向けた取組の実施状況や課題等について、調査することを予定しております。
続きまして「Ⅱ DPC制度の安定的な運用に関する調査」といたしまして、令和6年度診療報酬改定で新設したデータ数に係る基準や、DPC制度が急性期入院医療の標準化を推進する仕組みであること等を踏まえまして、1か月当たりのデータ数が、下位25%の医療機関に対して調査票を送付し、DPC制度に参加する理由や、地域包括ケア病棟等へ機能の転換の予定の有無等の調査を行うことを予定しております。
続きまして、2ページでございますが「Ⅲ 急性期医療の標準化の推進に関する調査」として、急性期医療のさらなる標準化を推進する観点から、急性期一般入院料等を算定しているものの、DPC制度に参加していない病院、400程度でございますが、それに対し調査票を配付し、DPC制度への参加の予定の有無や、参加しない理由等について、任意に回答を求めることを予定しております。
今後のスケジュールにつきましては、5月以降に調査票を医療機関に送付し、ヒアリング調査を実施し、8月頃に調査結果を御報告する予定でございます。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめといたしまして、分科会の委員の皆様方には、昨年度に引き続き、丁寧に御検討いただき、ありがとうございます。
今回、総-2-1、2-2で御説明いただいた件については、いずれも異論ございませんので、御提案のとおり進めていただきたいと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
尾形会長をはじめ、分科会におかれましては、御検討いただきまして、ありがとうございます。
現在、医療機関の経営が大変厳しい状況にありますことから、医療機関の経営悪化との関係を明確にするような調査結果の分析ができるようにすべきであると考えておりますので、引き続きの検討をよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
ほかには特に御質問等をないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
尾形分科会長、どうもありがとうございました。
続きまして「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、よろしくお願いいたします。
○和田歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。資料総-3を御覧ください。
歯科用貴金属価格に関しましては、3か月ごとに見直しを行っており、本日は、6月に予定される歯科用貴金属の告示価格の改定について御報告をさせていただくものでございます。
2ページ目を御覧ください。
令和7年6月の随時改定の価格案の算出に当たりましては、表の中ほど、④の列にお示しをしている直近3か月分の令和7年1月~3月までの平均素材価格などを基に計算を行っており、一番右側の赤枠で囲まれた列に示されている数字が告示価格案でございます。
表の上から5つ目に、歯科治療で最も多く使用される「6 歯科鋳造用金銀パラジウム合金」の告示価格案をお示ししており、現在の3,230円から6月は3,299円となります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、この辺りとしたいと思います。
続きまして「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」を議題といたします。
同部会の永瀬部会長より御報告をいただきまして、その後で事務局より補足の説明をお願いいたします。
○永瀬部会長
診療報酬改定結果検証部会長の永瀬です。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に関わる特別調査につきまして、資料総-4-1にありますとおり、令和6年度に調査を実施した4項目として「(1)精神医療等の実施状況調査」。
「(2)在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査」。
「(3)長期処方やリフィル処方の実施状況調査」。
「(4)後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」。
この報告書を取りまとめましたので、御報告いたします。
それでは、事務局より資料の説明をよろしくお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
先ほど、永瀬部会長からも御説明がありましたとおり、令和6年度は4つの項目について検証調査を行いまして、その報告内容については、調査ごとに外部有識者等で構成された調査検討委員会におきまして、具体的な検討を行っていただきました。
その上で、4月9日及び先ほど開かれました検証部会において、報告書が取りまとめられました。報告書本体は、それぞれ数百ページにも及ぶボリュームとなっておりますので、ポンチ絵の概要資料を用いて、本日は、ごく簡潔に報告書の内容を説明させていただきたいと思います。
それでは、まず、資料総-4-2-1を御覧ください。「精神医療等の実施状況調査」でございます。
1ページ~4ページ目は、調査の概要になります。調査の目的、対象、方法、回収状況をお示ししております。
特に調査の対象については、例えば、1ページの「(1)病院調査」にあるとおり、特定の入院料や加算の届出をしている施設は、悉皆調査としていることを御確認いただければと思います。
調査結果は5ページからです。まずは、病院調査の結果です。
飛びまして、7ページが、救急体制について。
また、10ページが、精神科入退院支援加算の届出状況について。
11ページが、精神科地域包括ケア病棟入院料の届出状況について。
13ページが、当該入院料を届け出ていない理由について、それぞれ結果をまとめております。
17ページが、診療所調査の回答施設の概要です。
18ページからが、病院調査、診療所調査で共通する調査項目についての調査結果となります。
まず、18ページが、早期診療体制充実加算の届出状況について。
また、19ページが、届出を行っていない理由について。
21ページが、情報通信機器を用いた通院精神療法を実施していない理由について。
22ページが、児童思春期支援指導加算の届出状況についてでありまして、それぞれ結果をまとめてございます。
26ページからが、病棟調査の結果です。
29ページ、30ページが、入院料ごとの医師・看護師以外の職種の配置状況についてでございます。
31ページからが、患者調査、入院患者の結果でございます。
このうち33ページが、予想される入院期間が3か月超となる理由についてでございます。
35ページからが、患者調査、外来患者の結果でございます。
36ページが、直近1年間における入院の有無について。
37ページが、直近の入院の状況について、それぞれまとめております。
続きまして、資料総-4-3-1を御覧ください。
2つ目の調査が、在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査でございます。
1ページ目~4ページ目までが、調査の概要でありますが、1ページの下の調査の対象のところですが、例えば、医療機関調査では、機能強化型在宅療養支援診療所などの一定の類型から対象をそれぞれ無作為抽出するなどをしております。
5ページからが、まず、医療機関調査の結果でありまして、そのうちの8ページが、緊急時の入院受入れ機能を有する医療機関との常時閲覧可能なシステムによるICT連携の有無について、また、9ページが、保険医療機関以外の関係機関との連携について。
10ページが、共有している情報について。
11ページが、在宅医療情報連携加算の届出状況について。
12ページが、介護保険施設等からの協力医療機関の依頼を受けたかどうかについて。
13ページが、協力医療機関が提供している医療の内容について。
そして、14ページが、末期の悪性腫瘍などの末期患者の受入れ状況について、それぞれ結果をまとめてございます。
16ページから、医療機関患者調査の結果です。
このうち18ページが、1か月の訪問診療実施回数についてでございます。
19ページからは、今回初めて実施しました、医療機関連携機関調査の結果です。
まず、19ページは、本調査の集計上の区分で、次のページ以降の集計結果は、この区分に基づいて行われたものとなります。
20ページが、連携機関である施設の基本情報について。
21ページが、常時情報を閲覧可能なシステムによるICTを用いた関係機関との平時からの連携体制の構築状況について。
23ページが、ICTを活用した情報共有・連携における課題について、それぞれ結果をまとめております。
25ページからが、訪問看護施設調査の結果です。24時間対応体制加算の届出状況について。
また、27ページが、訪問看護管理療養費の届出状況についてでございます。
28ページが、訪問看護利用者調査の結果のうち、緊急訪問看護加算の算定状況についてです。
また、29ページからが、保険薬局調査の結果でございます。
30ページが、在宅薬学総合体制加算の届出状況について。
32ページが、在宅患者の夜間休日対応の体制について。
33ページが、夜間休日対応の対象患者について。
34ページが、他の薬局と連携した在宅業務の実施状況について。
そして、36ページが、施設連携加算の新設による影響についてでございまして、それぞれ結果をまとめております。
37ページからが、保険薬局患者調査の結果です。
39ページが、薬学的管理指導計画外の訪問における患家での滞在時間について。
40ページが、患者に行った薬学管理及び減薬の事例についてでございます。
41ページからが、歯科医療機関調査の結果でございます。
まず、41ページが、在宅歯科医療情報連携加算の届出をしている施設における連携先の施設について。
42ページが、他の医療機関等の関係機関の職員と情報共有連携を行うためのICT活用状況について。
43ページが、在宅歯科医療の提供に当たり、連携している施設の有無の状況について。
44ページが、保険薬局の薬剤師との情報共有・連携の有無について、それぞれ結果をまとめてございます。
45ページからが、歯科医療機関患者調査の結果でございます。
まず、45ページが、歯科訪問診療を実施したきっかけについて。
46ページが、調査日における複数名訪問歯科衛生指導加算の算定状況でございます。
続きまして、総-4-4-1を御覧ください。
3つ目の調査「長期処方及びリフィル処方箋の実施状況調査」でございます。
1ページ目~3ページ目までが調査の概要です。
病院・診療所調査、医師調査、保険薬局調査では、リフィル処方箋の発行受付実績の有無で調査対象を抽出しているほか、患者調査では、調査対象施設に受診、来局した患者に行う郵送調査と、直近3か月に保険薬局に来局した患者のうち、性年代別に等分し、無作為抽出をしたインターネット調査の2種類を行っております。
4ページからが、病院・診療所調査、医師調査の概要でございます。
少し飛びまして、12ページ、リフィル処方箋の発行経験でございます。
また、14ページ、長期処方を発行している、また、発行が適している患者について。
16ページが、リフィル処方箋の課題と考えられることについて。
20ページが、リフィル処方箋の発行ではなくて長期処方を行った理由について、それぞれ結果をまとめております。
22ページからが、保険薬局調査の結果です。
22ページが、地域支援体制加算及びかかりつけ薬剤師指導料等の届出状況について。
また、25ページが、患者からのリフィル処方箋に関する相談を受けた経験についてでございます。
27ページからが患者調査、郵送調査、インターネット調査の結果でございます。
郵送調査とインターネット調査では、調査項目が同じでありますので、両者を比較できるような構成としております。
少し飛びまして、36ページ~38ページにかけてです。リフィル処方を利用するに当たり必要だと感じること、また、長期処方を利用するに当たり必要だと感じることについて、それぞれ確認した結果をまとめてございます。
39ページからは、処方箋料、リフィルの算定回数及び算定医療機関数の推移について、NDBデータで集計した調査結果となります。
最後に、総-4-5-1を御覧ください。
4つ目の調査「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」でございます。
1ページ目~3ページ目までが調査の概要です。
4ページ目からが、保険薬局調査の結果でございます。
まず、4ページが、令和6年11月1か月間の後発医薬品調剤割合について。
5ページが、1年前と比較した、後発医薬品の供給体制の変化でございます。
また、少し飛んでいただきまして、13ページからです。一般診療所・病院調査の結果でございます。
このうち、20ページからでありますが、一般名処方による処方箋の発行経験のある診療所における1年前と比較した一般名処方の件数の増減や、その理由についてまとめております。
34ページからが、歯科診療所調査の結果で、1年前と比較した後発医薬品の供給体制の変化について、お伺いしております。
40ページからが、患者調査、郵送調査、インターネット調査の結果です。
まず、41ページは、長期収載品の選定療養に係る特別の料金の認知度について。
また、45ページが、ジェネリック医薬品の使用に関する考えについて。
最後、47ページが、バイオ後続品(バイオシミラー)の認知度について、それぞれ結果をまとめております。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
検証調査の概要報告をありがとうございました。
中医協では、前回改定の影響を調査・検証して、次回改定で修正するという流れが確立しております。
事務局におかれましては、今回の分析結果等に基づき、今後行う次回改定に向けた議論に資するよう、準備をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
改定結果検証の調査結果ですが、在宅及び後発医薬品につきまして、歯科の立場から発言させていただきます。
まず、在宅歯科医療に関する調査についてでございますが、膨大な資料を取りまとめていただき、ありがとうございました。
ページ数も多いため、総論的な意見となりますが、在宅歯科医療における連携に関しましては、総-4-3-1の43ページ目にもございますように、医科診療所や訪問看護ステーションと連携している歯科医療機関が少ないなど、依然として課題があるものと感じております。
今後もこうした連携をより推進するための方策について、引き続き御検討をお願いしたく思っております。
また、令和6年度の診療報酬改定におきましては、在宅歯科医療を担う病院歯科に対して、新たな施設基準が設けられたほか、回復期病棟等における、口腔機能管理の新たな仕組みも導入されました。
本調査では、対象となる病院歯科の数が限られておりまして、実態がやや見えにくいと感じております。
今後は、この点も含めて、さらなる検討をお願いしたく思っております。
次に、後発医薬品の使用促進策の影響についてでございますが、資料総-4-5-1の34ページによりますと、1年前と比較して、後発医薬品の供給体制が悪化したとの回答が、令和5年度調査と比べて、令和6年度調査で増加しております。
日本歯科医師会が実施しました調査におきましても、同様の傾向が見られ、後発医薬品の安定供給につきましては、これまでも繰り返し課題として指摘させていただいておりますが、足元の喫緊の課題であることから、引き続き、実効性のある改善策による、継続した対策をお願いしたく思っております。
あわせて、38ページですが、長期収載品に対する選定療養費につきましても、まだ認知度が少ない感じがありまして、患者、国民を含めて、医療機関にとっても分かりやすい説明がなされるよう、引き続き御配慮をお願いしたく、お願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
後発医薬品の使用促進策等に関する実施状況調査について、コメントとお願いがございます。
まず、5ページ目の図表2-25を御覧いただければと思います。
今、林委員からありましたけれども、後発医薬品の供給問題が発生してから4年を経過していますけれども、2-25にありますように、84.1%の薬局が後発品の供給体制に支障を来していると回答しております。
また、その下の図表の2-27を御覧いただければと思います。
1年前との比較ですけれども、悪化した、変わらなく支障を来していると回答した薬局が92.6%に上っております。現場感覚としても、次々に限定出荷、出荷停止、販売中止が続き、全く改善していないと感じているところであります。
また、本年の4月の薬価改定に伴い、選定療養、それからカットオフ値に影響が出ています。選定療養については、これまで対象だった医薬品が令和7年度薬価改定の結果、対象外となったため、現場では新たに患者への説明や対応に追われています。
また、カットオフ値についてですけれども、先発医薬品と後発医薬品の薬価が下支え制度により逆転してしまった医薬品は、従来、特例的な取扱いの対象とされていましたが、4月からかなり多くの品目が対象から外されており、カットオフ値が影響を受けている状況です。
そのため、業界紙報道ですけれども、中央値、平均値ともに大きく減少して、薬局によってはカットオフ値が74%だったものが48%へ、26%急減したところもありました。3月まで同じようなことをしていても、4月へ1日変わっただけで大きく変わってしまっている現状があります。
安定供給に大きな支障を来している中、現場では後発医薬品の使用促進、選定療養の対応に大変な努力をしております。これらの影響については、現状を把握していただき、対応すべきこと、できることは対応をお願いしたいと思います。
また、次回改定に向けて検討を進めていただくようお願いいたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、調査に御協力いただきました皆様、それと膨大な調査結果を取りまとめていただきました検証部会の先生方、事務局に感謝を申し上げたいと思います。
詳細については、改めて各テーマの議論の中で発言いたしますが、今日は、長期処方、リフィル処方箋と、後発医薬品の調査結果についてコメントをさせていただきます。
まず、総-4-4-1のリフィル処方箋でございますけれども、資料の39ページを見る限り、令和4年度改定に見込んだ医療費のマイナス0.1%に及ばないことは明らかでございます。
患者の認知度を高めることは、保険者としてもしっかり取り組まなくてはならないと認識しておりますけれども、資料の11ページを拝見する限りでは、医療機関側の認知度にも課題があると思っております。
また、資料の16ページには課題が挙がっておりますけれども、そこには認知度等が入っておりますが、一方、21ページで消極的な理由を拝見しますと、患者の変化に気づきにくいということで、課題と消極的な理由が、どうもあまり合っていないという印象を持っております。
12ページには、診療所の医師の58%はリフィル処方箋の経験があるということでございますので、医学的な判断を前提としつつも、可能な限り患者の希望に沿ってリフィル処方箋をより積極的に活用していただきたいと思います。
また、19ページを見ますと、リフィル処方箋を発行しなかった理由のうち、最も多いのは、長期処方で対応が可能ということでございます。
そもそも令和4年度改定のマイナス0.1%は、受診回数を適正化することによる効果を見込んでいたことを踏まえれば、長期処方の期間をより長くすることにより、患者の通院負担を軽減することも重要だと思います。
次に、資料総-4-5-1の後発医薬品についてでございますが、資料の4ページを見ますと、薬局の後発品調剤割合が90%以上に集中しております。また、資料の10ページと併せて見てみますと、長期収載品の選定療養を導入した効果が十分に現れていると言ってもよいのではないかと考えます。
また、同じような傾向は、13ページの医科診療所、36ページの歯科診療所でも見られますので、後発医薬品の体制評価について、大きく見直す時期に来ているのではないかと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、オンラインでお手が挙がっております。お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
まず、調査の取りまとめ、ありがとうございました。
総-4-5-1について、コメントと質問があります。
コメントといたしましては、有効回答率が前回の調査より下がったことは残念ですが、後発医薬品調剤割合90%以上の薬局が増えていたり、長期収載品の選定療養制度の導入の影響として、後発医薬品を選択する患者が増えたという回答が多かったりと、全体として後発医薬品の使用がさらに促進されていると捉えております。
協会加入者のデータでも後発医薬品の使用割合は微増が続いており、特に昨年の9月から10月にかけて大きく増加し、非常に高い水準に至っております。
質問といたしましては、13ページ目で、院内処方を行っている診療所の後発医薬品使用割合の回答について、無回答が半分を占めているのは、非常に高いという印象を持っております。この点について、どういった事情があるか、何か想定できるものがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま、鳥潟委員から御質問をいただきました、13ページの数字の見方でございますが、事務局いかがでしょうか。
○米田保険医療企画調査室長
すみません、お待たせしております、保険医療企画調査室長です。
資料の13ページで、後発医薬品使用割合の分布ということで、無回答が多いという御質問でございました。私どもすぐにこの理由は分析できておりませんけれども、推測としては、その医療機関において、こういった計算ができていないということが考えられます。
そのほかの理由については、今後、分析をしてまいりたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
鳥潟委員、いかがでしょうか。
○鳥潟委員
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ということですので、引き続き御検討をお願いいたします。
ほかは、いかがでしょうか。
奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
回答された機関の皆様、それから、非常に膨大な資料を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございました。
まず、1点目としては、鳥潟委員からも御指摘がありましたけれども、また、毎度申し上げていることですけれども、やはり有効回答率が残念ながら高いとは言い難いと思っております。
統計学的には、有効な調査ではありますけれども、回答のないところにこそ、課題が含まれている可能性もありますので、やはり、回答率の向上に向けて一層の取組をよろしくお願いしたいと思います。
それから、もう一点、医療DXの推進に関して申し上げたいと思います。
資料総-4-3-1の23ページに「ICTを活用した情報共有・連携における課題は」というところで「電子カルテシステムや他のシステム等々を連携ができない」が43.8%、それから「ICTの活用に係る職員のノウハウが不足している」が42.6%ということで、まだまだ医療DXの推進ができていない状況であるかと思います。
説明はなかったですけれども、資料4-3-4の参考資料の2ページのところにも在宅医療におけるICTを用いた連携の推進といったことが資料として挙がっております。
現在、政府では全国医療情報プラットフォームなど、医療DXの推進に取り組んでいると承知をしております。こういった中で、連携ができないといった回答が減少するように、今回の検証結果調査とは直接的に関係ないかもしれませんけれども、厚労省として、引き続き、現状課題などの実態を確認して対応を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
回答率のお話が出ましたので、今日は控えようかと思っていたのですけれども、お願いをしたいと思います。
後発医薬品のところで、今回、回答率が下がってしまいましたが、今、現場では通常業務もそうですけれども、医薬品供給不安、選定療養等、様々な対応をしています。7ページ目を御覧いただければと思います。
実は、この調査ですけれども、対象期間中の全ての処方箋について、そして、その処方箋に入っている医薬品1品目1品目全てをどういう形態で処方されているのか、例えば、先発医薬品で処方されているのか、後発医薬品で処方されているのか、一般名処方マスターなのか、一般名なのかなどを調べます。
その上で、実際に調剤したものは、先発医薬品なのか、後発医薬品なのか、そして、それは患者希望なのか、医療上の必要性なのか、在庫の都合なのかなど、1品1品全部調べることになります。
必要な調査なのですけれども、これらを集計することは、正直に言うと、非常に手間がかかります。その中での回答率40%ということで、回答していただいた薬局はかなり頑張っていただいたと思います。次回に向けて、必要なものは、もちろん調査を協力しますけれども、もう少し簡素化できるところは簡素化していただくと、回答率が上がると思います。正直この調査は、何日もかかって出していますので、ぜひそのことは御理解いただきたいのと、よりよい調査ができるような制度設計を次回に向けてお願いできればと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、長島委員、お手が挙がっています。
○長島委員
先ほど御指摘ありました医療DX、例えば連携の課題ですけれども、1つは、やはりサイバーセキュリティの問題が非常に大きいかと思います。つまり院内のシステムと外をつなぐということで、これは、かなり重大な課題となっております。
もう一つは、例えば電子カルテのベンダーなり、連携システムの側で、そのほうに対応していただかなければいけないということで、これは、医療機関ではいかんともし難いという大きな課題があります。それから、医療機関にとっても費用負担、業務負担が非常に大きいという様々な課題がありますので、ここは関係者、国も一緒になって、しっかりと課題解決に向かい、しっかりと導入、普及が広がるようにしていきたいと考えております。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。各委員の方々から非常に貴重な御意見を頂戴いたしましたので、次期改定に向けて、さらに検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑は、この辺りといたします。
続きまして「医療機関を取り巻く状況について」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。資料の総-5を御覧ください。
「医療機関を取り巻く状況について」でございまして、前回の4月9日の中医協の総会におきまして、令和8年度改定に向けたスケジュールということで御議論いただきましたけれども、この医療機関を取り巻く状況についても、今後、総会で議論していきたいということで、今回資料を説明させていただきます。
まずは、2ページが目次でございまして、次の3ページが「1.医療需要と医療費に関する概況」でございます。
4ページが、日本の人口推移でございます。
5ページが、国民医療費の推移でございます。
また、6ページが、1日当たり医療費の推移でございまして、入院・入院外ともに増加傾向でございます。
7ページが、受診延べ日数の推移です。受診延べ日数は医療機関を受診した延べ患者数に相当いたしますが、入院・入院外ともに減少傾向にあり、令和2年度に大きく減少しております。
その後、令和5年度にかけて、特に入院外については回復する傾向が見られます。
8ページが、病院の患者数の推移でございます。病院の在院患者数と外来患者数はともに減少傾向にありましたが、いずれも令和2年度に大きく減少いたしました。
その後、引き続き在院患者数は減少傾向にあるものの、外来患者数は令和4年度にかけて回復し、令和5年度に減少しております。
9ページは、病院の病床利用率の推移です。令和2年度に大きく低下し、その後も低下傾向が続いたものの、令和4年度に75.3%で底を打ち、令和5年度には75.6%と、0.3ポイント増加しております。
10ページが、過去の改定率の推移です。
次のページからが、医療機関の経営状況のうち、医療機関の収支状況の分析についてでございます。
12ページが、医療法人の経常利益率でございます。2022年度~2023年度にかけて、平均値及び中央値は、どの類型も低下傾向にあり、最も頻繁に現れる値を表す最頻値については、どの類型も0.0%~1.0%となっております。
13ページが、病院の事業利益率の推移です。各病院累計のいずれにおいても、事業利益率は低下傾向にあり、療養型病院以外は全てマイナスとなっております。
また、2020年度以降、一部の医療機関の事業収益にはコロナ補助金が含まれていることから、その影響を除く事業利益率を算出したのが、右側のグラフでございまして、より利益率が低下している状況であります。
14ページが、病院の経常利益率の推移です。経常利益率は、コロナ補助金の影響で2020年度~2022年度は上昇したものの、補助金が減少した2023年度は大きく低下しております。
また、コロナ補助金の影響を除く経常利益率でも、一般病院はマイナスとなっています。
15ページが、過去3回分の医療経済実態調査におけるコロナ補助金を除く損益率の推移でございます。
16ページは、医療機関の収支構造のイメージを図にしたものであります。事業利益、損益は、事業収益から事業費用を差し引くことで求められますので、事業収益と事業費用に分解することができます。
さらに、事業収益は、患者1人1日当たり報酬単価と患者数に分解できます。
事業費用は、人件費、材料費、委託費、減価償却費、その他費用に分解でき、例えば、人件費は職員数と給与単価にさらに分解することができます。
また、減価償却費は、右側の黄色の箱、設備投資コストを償却期間で分割して計上するため、実際の投資時期と損益への反映の時期にずれが生じるといった性質があります。
このように医療機関の収支は幾つかの項目に分解して考えることができ、収支の動向を分析する上では、それぞれの項目の動向を把握する必要があると考えております。
17ページが、病院の収支構造の変化です。
2018年度と2023年度の病院の100床当たり損益を比較すると、事業収益の増加以上に事業費用が増加したため、事業収益は悪化しております。
また、金額ベースでは、人件費が費用の50%超を占めていることから、伸び率としては、他と比べても高いといったわけではありませんが、その増加の影響が最も大きくなっております。
次のページからが、医療機関の経営状況のうち、支出に影響を与える様々な費用の動向の分析についてでございます。
ここでは、主要な費用項目の現状や増加要因に関する分析結果をお伝えいたします。
まず、19ページが人件費のうち職員数についてです。病院の100床当たり、常勤換算従事者数は、2017年~2023年にかけて10.9人、割合で言うと、8.0%増加しております。
20ページは、国内の賃上げの動向です。
左側の図の春闘における賃上げ率の動向を見ると、特に2022年以降が、水準が高まっております。
右上の図の厚生労働省の賃金引上げ等の実態に関する調査においても、同様の傾向がございます。
一方で、同調査における医療・福祉の動向を見ると、調査産業全体の賃金改定の水準に届いていないといったことが現状でございます。
21ページは、外来・在宅ベースアップ評価料の届出状況でございます。
令和6年度、改定で新設したものですが、直近の届出受理割合で見ると、病院が86.0%、診療所が27.8%となっております。
22ページが、ベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率です。賃金改善計画書を基に集計した賃金増率でございますが、全医療機関で見ると、中央値で2.50%、加重平均値で2.74%となっております。
23ページは、人件費のうち、給与額の全体傾向です。
24ページは、人件費の占める割合が大きい看護師やリハビリ系職種の傾向でございます。ともに、2018年~2024年にかけて給与額は増加傾向にございます。
25ページが、主要職種別の年齢階級別の決まって支給する現金給与額の増減と平均年齢についてです。
決まって支給する現金給与額における年齢上昇の影響は、6年間で看護師では0.8%分、リハビリ系職種は3.0%分と考えられます。
26ページは、看護師比率の上昇と決まって支給する現金給与額への影響についてです。
看護職員数に占める看護師の割合、看護師比率は上昇しておりまして、2023年は2017年と比較して4.4%上昇しております。
看護師は准看護師と比較して給与額が高いといった状況にあるため、看護師比率の上昇に伴い、人件費が増加することになりますが、その影響は6年間で1人当たり4,400円の増加と考えられます。
27ページは、消費者物価指数の前年同月比の推移等です。
また、28ページは、消費者物価指数の前年同月比について、主な項目別の寄与度をお示ししており、食品や光熱水道の寄与度が高いといったことが分かります。
19ページは、1施設当たり薬剤費の伸びについてでございます。2019年度と2023年度の院内の1施設当たり薬剤費を比較すると、病院は21.1%増加しており、診療所は12.3%減少しております。
なお、診療所では、院外分である調剤を含めると、3.1%の減少と減少幅が小さくなっており、これは薬価改定のほか、院外処方への切り換えが進んだ影響と考えられます。
30ページが、院内分の剤形別の総薬剤費の伸びについてです。2019年度と2023年度の院内の創薬剤費を比較すると、病院は18.9%増加しており、診療所は9.7%減少しております。
病院・診療所いずれも注射薬が増加し、外用薬や内用薬が減少しておりますが、総薬剤費のうち、注射薬の構成比が高い病院では、注射薬の伸びが大きく、全体の伸びに寄与しております。
一方で、外用薬や内用薬の構成比が高い診療費所では、外用薬、内用薬の減少が大きく、全体の減少に寄与していると考えられます。
31ページは、設備投資コストのうち、建築費に関して病院・診療所の新規着工建築単価の推移で、特に2022年以降、建築単価が大きく増加しております。
また、32ページは、病院・診療所の新規着工の建築物の推移で、数としては減少傾向にございます。
また、緑色でお示しをしております、中規模以上の建築物の多くは病院であると推察されますが、その実数、割合ともに減少傾向にあります。
次のページからが、現状と課題でございます。
34ページから35ページにかけてが現状でありまして、ここまで説明を差し上げました内容をまとめたものとなっております。
最後に、36ページが課題でございます。
近年の医療機関の経営状況の実態やその要因について、どのように考えるか。
特に病院においては、収益の増加を超える費用の増加に伴い収支の悪化が見られるが、人件費や材料費、委託費などの各費用項目が増加していることやその要因について、どのように考えるか。
今後、医療機関の収支を踏まえた診療報酬の評価の検討を行うに当たって、さらにどのような分析を行っていくことが考えられるか。
今回は、こうした課題を踏まえて、委員の皆様から御意見を頂戴できればと考えております。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
私、先ほど、本件は報告事項と申しましたけれども、これは、中身は極めて重要でございますし、それから、事務局から最後のところで課題を提示していただきましたので、本日は、各委員の方々から御意見、御質問を積極的に出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
様々なデータをお示しいただき、感謝いたします。36ページに示された3つの課題についてコメントいたします。
まず、1つ目の課題です。現在、医療機関の経営は大変厳しい状況にあり、賃金上昇と物価高騰、さらには日進月歩する医療の技術革新への対応ができません。
このままでは、人手不足に拍車がかかり、患者さんに適切な医療が提供できなくなるだけでなく、ある日突然、地域から医療機関がなくなってしまうことを危惧しています。
このような、地域医療が崩壊しかねない危機的な状況にあることを、国民の皆様に知っていただくために、日本医師会と6病院団体は、この3月に合同声明を公表いたしました。
すなわち、公定価格によって運営する医療機関は、価格に転嫁できないことから、診療報酬については、物価、賃金の上昇に適時適切に対応する仕組みとする必要があります。また、社会保障予算に関しての財政フレームの見直しも不可欠であると申し添えます。
さて、次回改定の最大の課題は、他の産業に負けない賃上げを実現できるよう、医療機関収支を改善させることであると言えます。
そのためには、当然のことながら、診療報酬の引き上げが必要です。しかしながら、これまでの改定は、診療報酬を引き上げたとしても、様々な条件が付加されることで増点された点数を算定するためには、同時に、それに応じたより多くのコストを費やすことを求められてきました。プラス改定であっても、医療機関は増点や新設された点数を、コストを費やしながら対応し、算定せざるを得ず、その結果、医療機関経営に余裕が生まれることはなく、むしろ経営の体力がそがれてきました。
加えて、昨今の物価賃金の上昇により、もはや、これまでのようなやり方では、医療機関の経営は安定しないことが明らかになっております。このままでは、長期借入金の返済原資が出てきません。しかも、地域によっては、人口が激減し、全国の患者数も減少している中で、何とか患者さんを確保して、厳しい経営を続けてきましたが、今後は、そのような経営方法が通用する状況にはありません。
診療報酬は公定価格であり、コストの上昇を価格に転嫁できないこと。そして、ただいま申し上げたような物価、賃金の上昇を踏まえれば、これまでのような、さらにコストを費やすことを前提とした形ではなく、純粋な形で診療報酬を引き上げなければならない状況にあると言えます。このことを、次回改定に向けた議論のスタートラインとすべきと考えています。
そして、2つ目の課題、各費用項目が増加していることや、その要因についてどのように考えるかです。
物価、賃金の高騰に尽きると考えますが、現場からは、人材紹介料や医療DXに関する導入費用の上昇があると聞いています。
特に、診療報酬改定DXは施行日を2か月後ろ倒ししたにもかかわらず、本来還元されるべき医療機関の費用負担は変わっていないと聞いています。
また、令和6年度補正予算の執行が遅く、かつてないほど経営が悪化している令和6年度決算に収入として入らないというのはいかがなものでしょうか。
最後に、課題の3点目につきましては、事務局として考えていることがあれば、まずは教えてください。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
今、長島委員から御質問をいただきましたので、課題の3つ目の点ですね、今、事務局でお答えできることがございましたら、御説明をお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。先ほどの課題の3つ目の御質問についてございます。
我々としては、本日の御意見も踏まえて、今後、どういったものの分析を行っていくべきか考えたいと思っておりますけれども、現時点では、例えば、医療機関の利益率について、今回は全体としてお示ししましたけれども、それを機能別、規模別、診療科別などで分析するといったことを考えているほか、また、委託費をはじめとした、人件費以外で医療機関の経営の影響が大きい費目の分析、こういったものも考えたいと思います。
以上です。
○小塩会長
長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございます。
今、御指摘の点も非常に重要ですので、分析をお願いします。
加えて、今、医療機関は資金繰りにとても苦しんでおります。例えば、民間病院であれば、税金の支払いや、借金の元本返済を含めた資金繰りの実態も分析するべきであります。
また、12ページのMCDBは、経常利益のデータでありますけれども、補助金を除いた医業利益で出すことはできないでしょうか、御検討をお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、太田委員、お願いいたします。
○長島委員
よろしいでしょうか。
○小塩会長
すみません、どうぞ。
○長島委員
もし、事務局で返答できる点があれば、今、お願いできればと思います。
○小塩会長
そうですね、失礼しました。
どうでしょうか、データの件について、対応できるものがあるかどうかということ、今の時点でお答えできますでしょうか。
○米田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
御質問のうち前段については、まず、保険局からお答えしたいと思っております。医療機関の資金繰りの実態の把握が重要という御指摘がありまして、私どももそのように考えております。
ただ、医療機関のキャッシュフロー計算書といったデータ自体は、私どものほうでは持っておりませんので、本日の御指摘を踏まえて、どういった方法で医療機関の資金繰りに関する実態を把握することが可能かといったことについては、今後、検討してまいりたいと思っております。
○桑原医療法人支援室長
引き続きまして、後段のMCDBの経常利益率ではなくて、医業利益率で出す必要があるのではないかという御指摘につきまして、医政局から検討させていただきます。
以上です。
○小塩会長
長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございました。
今回の資料は、令和5年の医療機関の状況を示すものですが、インフレの進行を踏まえれば、直近の実態はさらに厳しいものとなっております。こうした医療機関の窮状が明らかになるよう、より実態に近い資料を準備し、それに基づいて議論することが求められております。
その辺りが、まさに、ある日突然、地域から医療機関がなくなってしまい、地域医療が崩壊することを防ぐために、医療機関が今後も継続できる上で非常に重要なデータ、情報となりますので、厚生労働省として、しっかりデータを収集してお示しいただくことを強く要望したいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
太田委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
36ページの課題に触れる前に、病院医療を担う者として、少しお時間をいただいて発言をさせていただければと思います。
私は、令和6年度の改定議論に、2023年の11月に加わらせていただいた冒頭、医療保険財政の持続可能性とともに、地域の医療提供体制の持続可能性の観点からも、しっかり議論をさせていただきたい旨、発言をさせていただきました。
また、前回改定における1月31日の重症度、医療・看護必要度に関しての公益裁定が行われる直前にも、地域の医療機関の経営状況の厳しい中、病院の経営に大きな影響を及ぼすような制度改正は、地域の医療提供体制の崩壊につながる可能性があるため、極力避けるべきであるという旨も発言させていただきました。
本日、事務局がお示しされた資料は、前回改定時に危惧していたとおり、地域の医療機関の経営状況が非常に悪化しており、医療提供の持続可能性が危機に瀕しているということを示すものだと私は考えます。
我が国において、生産年齢人口が今後急激に減少していき、地域の医療提供体制も大幅な見直しが避けられないということは、我々も認識しております。将来の地域社会に適した医療提供体制への移行、そのための病院の機能分化や連携、ある程度の集約化が避けられないということも理解をしております。
しかし、将来にわたって地域で求められる医療提供体制は維持していかなければなりません。日本の経済が長年続いたデフレの時代から、物価、賃金が上昇していくインフレの時代に転換した中行われた2024年改定において、医療側は、その新しい時代に対応した診療報酬改定を強く求めましたが、結果として、非常に厳しい改定が行われたと認識しております。
本日の資料では、令和5年度までの医療機関の経営データが示されておりますが、我々病院団体が行った直近の緊急調査では、令和6年改定後、病院の経営状況はさらに悪化していることが明らかとなっております。地域で救急を支える基幹病院の多くも、既に赤字に転落しており、地域の医療提供体制の持続可能性はなくなっている状況だと言えます。
次回の2026年改定では、医療機関の機能分化と連携の推進が必要ではありますが、地域で必要となるどの医療機能を担っても、医療機関が持続可能で医療を提供できる適切な病院診療報酬の設定が必要であるということを、まず強調させていただきます。
36ページの課題でございます。
まず、初めですけれども、現在の医療機関、特に病院の経営状況に関しては、先ほどお話しさせていただいたとおり、崩壊寸前の状況、危機的な状況であるという認識です。
その原因ですが、近年の改定においては、財政的制約が優先され、入院医療に必要なコスト、すなわち人的コスト及びその他のコストが上昇傾向にあるにもかかわらず、公定価格である診療報酬で対応されてこなかったことが原因であると考えます。
物価が急激に上昇し始めたのは、28ページに示されているように、2021年以降ではありますが、13ページの福祉医療機構のデータでも示されているように、病院の経営状況は、それ以前から継続的に悪化し続けています。
病院医療提供に必要な費用の増加が、適切に診療報酬に反映されない状況が続いていることを示しているものと考えます。
その中心は、医療の質の向上のための医療スタッフの増加及び近年の人件費の上昇と考えます。
2つ目です。過去の診療報酬改定では、医療の質の向上、安全性の確保のため、様々入院料の加算などが設定されましたが、それらは質を担保するため、人員配置基準など、よりコストを必要とする改定内容がほとんどであったと思います。
その結果、医療の質の向上、医療安全の向上は図られたものの、収入増加以上のコストの増加を病院に強いることとなり、経営を悪化させたと考えます。
また、診療報酬で評価されない様々な経費の増加が、特に近年の物価上昇局面では顕著になってきています。
物価上昇により、例えば、CTや放射線治療装置など大型の機器だけでなく、電子カルテシステム、クライアントのパソコン、心電図モニターを含め、全ての値段が上昇しており、それらを更新するとしても、以前の値段では、もう既に購入できません。
また、給食や清掃、委託、医療事務など様々ございますが、それらの委託費も以前の値段では契約できず、大幅な値上げの受入れが、病院運営の継続には必要となっています。
日本社会の物価や賃金の上昇に適切に対応する診療報酬改定が、地域における病院医療の維持には不可欠です。
3つ目ですが、今後、医療経済実態調査によって、改定後の令和6年度の医療機関の経営状況が示されると思います。次回、令和8年改定では、それを確認し適切な診療報酬の設定が不可欠だと思います。
その際には、各病院機能別に分析を行い、地域で求められるそれぞれの病院機能において、どれくらいの稼働率であれば経営が成り立つレベルに入院診療報酬を設定するかという問題は、一度検討すべきであると思います。
現在、我々病院団体が行った経営調査の結果では、例えば、急性期医療を担う一般病院では、病床の利用率で90%を超えないと黒字にならないレベルまで、病院経営は厳しくなっています。病床利用率で90%というのは、これは実質的に1年中、ほぼ満床で病院を運営するのを意味するレベルです。
コロナなど、新興感染症への対応として一時的な医療需要の高まり、いわゆるサージキャパシティが議論されましたが、現在は、全くそのようなキャパシティを地域医療は確保できていない状況にあります。
また、今後、高齢者救急が増加する中で、包括期を担う医療機関機能が重要になっていきますが、それらを担う医療機関がどれくらいの稼働率であれば、経営的に成立するレベルに入院点数を設定するかも、今後の病院機能の移行を促していく上でも重要であり、しっかり検討すべきであると思います。
最後に、人件費の上昇に関してです。資料にも示されておりますが、前回改定で新設されたベースアップ評価料を利用して、病院は、2024年度は、ある一定程度の処遇の改善を行うことが可能でした。ただ、今、足元の2025年度に関しては、ほとんど対応できないという声を多くの病院から聞いております。
一般企業の賃金改善が進む中、既に事務職や看護補助者などだけでなく、看護師や医療コメディカルスタッフまで医療外に流出するということが、もう既に起こっており、今、それが止められない状況になってきております。適切な診療報酬の設定を強く求めるものでございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
病院団体の代表として、今、長島委員、太田委員がおっしゃったことで、全く同じ意見ですけれども、少し追加をさせていただく内容だけ、コメントをさせていただきます。
まず、今回の医療機関を取り巻く状況についての資料、かなり細かく、しっかりした資料を出していただいたこと、事務局においては、大変感謝いたしております。
今、太田委員からありましたように、6病院団体で調べた内容とほぼ同じような傾向にあることを十分確認できました。
なおかつ、これも太田委員がおっしゃったように、今、令和6年度が出ますけれども、6年度の緊急調査をさせていただいた病院団体、そして、私は一方で、県の医師会の立場で、県内の全ての病院の調査をさせていただいて、さらに悪化していることが確認できています。
県内は、60数病院ぐらいしかありませんが、その中の利益率で言えば、前年度の半年間を比較して、今年の1月までの半年間を、令和5年度、6年度と比較しても、経常利益率がマイナス5.5からマイナス7.6、そして、経常に関してマイナス2.1からマイナス5.0ということで、倍増に近い悪化をしています。
そして、公的公立病院は、1病院を除いて全て大幅な赤字決算になりつつあるということの報告もいただいています。本当に厳しい状況の中、先ほど事務局から分析いただいたように、人件費が非常に大きく影響しているということで、特に地方では、これも細かく分析していただいたように、人が増えていることと同時に、やはり特に地方は、年齢が上がっていく、上がっていくと給与も上がっていく、そこが圧迫している。しかも、特に民間病院については、公立公的病院は人件費を、やはり人事院勧告に基づいて上げている。でも、民間病院はそれを上げられない、上げられないのにもかかわらず赤字を出す。そして、御存じのように2年続けて赤字を出すと、新たな融資も受けられない状況で、かなり厳しく、無理をして何とかぎりぎり黒にしているというのが現況で、実は私、昨日も幾つかの病院から陳情を受けまして、とにかく今は、ゼロゼロ融資が福祉医療機構(WAM)から出て、そこで融資を何とか受けないと次の賞与が出せないと いう。実はこれも地域の非常に大事な病院なのですけれども、そういうことを言われている。
これだけの厳しい状況、私は、少なくとも、かつて経験がない状況ではないかと思います。
こういった肌感覚と今回のデータが、ある程度一致しているかなと思っていますので、何らかの形の手を打たなくてはいけない。
一方で、もちろん、これは診療報酬だけでできる事ではないということで、適正化事業の補助金等々もついていますけれども、これも今回、全国で5万床以上手を挙げていて、とてもそれに対応できないことも明確ですし、福井県の中でも、それに手を挙げたけれども一部しか対応できないと言うことです。
このように、病床を差し出してつなぎ融資に充てようと思ったところができないということで、本当にどうしようかということを悩んでいる。これくらい厳しい状況になっている。期中改定も視野に入れてほしいと言いたいところまできています。
では、どうしようか、もちろんお金がないことは分かっているのですけれども、やはり今回の0.88の改定率のうち0.61は人件費に対するベースアップ評価料となり、職員の給与はある程度アップしたけれども、まだ周りには追いついていない。しかもそれは経営原資には充てられない収入なので、今回はプラス改定と言っても病院の経営としては使えないものばっかりになってしまった。
ここは本当に、これまでの小手先のことでは賄えない状況であり、病院団体がいつも言っているように、やはり基本的な入院基本料の大幅アップ、そして、更にできるとすれば、ある程度の施設基準の緩和、人員基準とかそういうところの緩和をして、もちろんこれは、悪かろう安かろうではいけません。しっかりとしたアウトカム評価をしながら、ある程度合わせ技で、(専任・専従の)1人分の評価をするとか、いろいろな方法があると思います。
この施設基準の緩和というのも1つの手法ではないか、お金をかけずに何とか効率よく医療を提供してもらう、そして、アウトカムをしっかり評価しながら、そこを見ていくということも大事ではないかと思っています。
もう一つ、医療DXを進めることによって効率化できるのではないかと言いますけれども、今、いろいろな医療DXの方向性が出ていますけれども、全てメインテナンス費用がほとんど入っていない、ここが結構病院団体としても非常に厳しい状況になっている。それがボディブローのようにどんどん効いてきて、もちろん補助金をいただいているけれども、更に自己資金をそこに出さなければいけないということでそこも十分ではないということがデータとして出ています。
いろいろなことで、本当に厳しい状況があって、本当にR8改定まで待てるのかという、それぐらいの印象を、現場感覚としては持っていることをお伝えしておきたいと思います。
もちろん、できること、できないことは十分ありますし、ここではしっかり1号側、2号側、そして公益側の皆さんといろいろご議論を頂きながらということになりますけれども、とにかく、今、現場は一刻も早く何とかしなくてはいけない状況まで来ているということを、お知らせしておきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
医療機関を取り巻く状況の資料でございますが、本テーマは、現在、医療界全体が直面しております物価高騰や賃金引上げといった深刻な課題について、議論を開始するキックオフのテーマであると理解しております。
歯科診療所の約8割は、個人立の歯科診療所であり、少人数で運営されているケースが大半を占めます。
本日の資料では、法人や病院に関するデータが中心となっておりますが、今後は可能な範囲で、多くの個人立の小規模な歯科医療機関の実態もしっかりと把握、分析できるよう、御配慮いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。御説明いただき、ありがとうございました。
改めて医療機関の厳しい経営状況が分かりました。これらの状況を踏まえ、示された課題について、令和8年度診療報酬改定では必要な対応を行っていくものと考えております。
厳しい経営状況については、薬局も同様となります。薬局の倒産件数が過去最多になっているとリサーチ会社等で公表されているところです。
前回の医療経済実態調査の結果で既に明らかとなっていますが、約3割の薬局が赤字となっており、規模別に分析してみても、全ての規模で損益差額、収益下げ率ともに対前年比でマイナスとなっています。
また、平均的な薬局の階級においては、保険調剤収益が減少した一方、給与費、水道光熱費、その他の経費が増加した結果、収益率は36.3%も減少しており、損益差額は、税引き前で月15万円にも満たない極めて厳しい経営状況です。
そうした状況の中、令和7年度中間年改定が行われました。薬局では薬剤費が収入の約75%を占めており、中間年改定による保有資産価値の減少、それから売上の減少が薬局にとって非常に大きな影響となっております。
18ページ目で、医療機関の支出に影響を与える様々な費用の動向分析が行われていますが、薬局においても薬剤費や委託費、その他の費用が医療機関と同様に増加しております。
また、世間並みの賃上げ対応を行える状況には全くなくて、日本薬剤師会で2024年度の賃上げ状況を調査しましたけれども、半数の薬局で賃上げそのものができなかったという結果となっています。
今後も物価、賃金上昇が継続することが見込まれます。診療報酬改定においては、医療機関・薬局の状況や物価賃金上昇の状況を踏まえた対応が必要だと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
本日から実質的な議論に入るということでございますので、最初に医療機関を取り巻く状況、特に医療機関の経営状況を取り上げることにつきましては、前回申し上げましたとおり異論はありませんけれども、そもそも診療報酬改定というのは、医療経済実態調査を実施した上で、医療機関の経営状況、保険者の財政状況を把握した上で、賃金、物価の動向も総合的に勘案して行うものだと認識しております。
昨今のインフレを踏まえた議論を否定するつもりは全くございませんが、過去のデフレ期にはどうだったのかということも考慮することも必要です。
したがいまして、36ページに挙げていただいております課題につきましては、近年の状況に焦点が絞られている印象を受けます。私からは、少し長期的なトレンドについてもコメントを差し上げたいと思います。
まず、資料の6ページにございます、1日当たり医療費でございますが、これは患者にとっては、医療サービスに対して受診時に支払う単価に相当するものでございます。
平成12年度から令和5年度にかけて、入院は約1.8倍、入院外は1.6倍に増加しております。高齢化の要素があるとしても、平均すると、毎年2、3%程度の上昇、これは医療費単価のインフレを意味いたしますけれども、続いたことで、7ページにございます受診延べ日数が減少傾向にあっても、5ページにあります全体医療費が、コロナ禍の例外を除きますと増え続けているという構造にございます。
また、本日の資料にはございませんが、保険者の立場といたしましては、医療費を支える保険料や、そのベースとなる被保険者の報酬レベルが医療費単価の水準と乖離していることも考慮すべきだと考えます。
資料の8ページ、9ページを見ますと、病院の患者数は減少し、病床利用率も低下しております。医療機関の努力や、コロナ禍の影響もあるかと思いますが、今後、保険料の負担が限界に達する中で、人口減少がさらに進み、特に外来や急性期入院の患者数が確実に減少することを想定いたしますと、医療資源を集約化して、これまで以上に医療を効率化しなければ、医療機関の固定費を賄うことさえ難しくなると考えております。
ちなみに、我々健保連、1,380の健保組合を抱えておりますけれども、そこの令和6年度の決算見込み並びに令和7年度の予算見通しにつきましては、いずれも経常ベースで赤字でございます。
次に12ページを見ますと、令和4年度から5年度にかけて医療法人の利益率が低下していることは、事実として受け止めております。
ただし、平均値と中央値は、病院と診療所で相変わらず格差がございます。また、病院と診療所のそれぞれ平均値、中央値、最頻値にずれがあり、かなり利益率が高い医療機関があることが類推されます。
先ほど事務局からコメントがございましたが、病床の規模や機能、診療所の医師数、患者数といった切り口で詳細な分析が必要だと考えております。
さらに、収支均衡ラインが最頻値になっていることについて、医療法人の非営利性も踏まえますと、これをどのように解釈すべきかということも課題だと受け止めております。
次に、17ページにございます収支構造の中身でございますが、費用の半分以上を占めます人件費の増加が利益を圧迫していることが示されております。出典元の福祉医療機構のデータが全ての病院を代表する数字なのかについては、検討の余地があるかと考えております。
また、新型コロナ対応支援資金の融資が影響しているかどうかについても精査する必要があると考えますが、2018年と2023年度の対象施設数にかなり違いがあることを踏まえまして、100床当たりに換算し、限られた範囲で可能な限り公平に分析した結果については受け止めております。
その上で、19ページを見てみますと、病院の100床当たりの従事者数が増加していることが分かります。
勤務医の負担軽減や、地域医療構想を進める中で、医師だけではなく、看護師やリハビリ職、事務職員を手厚く配置した結果だと解釈することができます。
一方で、人材確保はある程度できているという見方もできます。今後さらに人材を確保する必要があるということであれば、20ページの賃上げの動向も併せて考えますと、医療を効率化することが病床稼働率の向上や、収益の確保という観点からも重要だろうと思います。その際には、病床当たりの従業者数の適正な水準についても検討すべきだと思います。
次に、21ページにあります、ベースアップ評価料についてですが、86%の病院が届出をしている一方で、診療所は3割未満ということですので、診療所で低調な要因を詳細に分析する必要があると考えます。
一方で、届出を行っている医療機関の賃上げについては、資料の22ページを見てみますと、中央値は目標とした2.5%を達成しておりますけれども、2.5%に届いていない医療機関も一定数ございますので、この要因についても分析していただきたいと考えます。
また、今回は計画値ベースでございますが、実績値で検証することも必要だと考えます。
次に、看護職の人件費について、資料の25ページ、26ページで、年齢上昇や正看護師比率との関係が示されておりますが、前回改定の議論の中で、診療側のほうから看護補助者の確保に関する意見も多々あったと思いますので、看護補助者の活用による人件費の影響についても分析をしてはどうかと思います。
次に、29ページからの薬剤費についてでございますが、これは保険償還の仕組みとして、薬剤費が伸びることが直ちに医療機関の利益を圧迫するものではないと考えます。
31、32ページの設備投資については、今後新たな地域医療構想を進める中で、医療機関の再編が必要となることが想定されますが、補助金と診療報酬との役割分担もあろうかと思いますし、こうしたものの補助金については、また別の場で議論があるものと考えます。
最後に、保険者の立場といたしましては、保険料の引上げは限界に達しておりますので、今後は医療DXの成果を本格的に活用することも含めまして、医療の効率化が、これまで以上に重要だということを改めて指摘させていただきます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、オンラインで鳥潟委員がお手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
次期診療報酬改定に向けて、賃上げや物価高騰が大きな論点の1つになると認識しており、客観的なデータに基づき、実態をしっかり確認していきたいと考えております。
松本委員もおっしゃっておりましたが、22ページにあるとおり、ベースアップ評価料を届け出ている医療機関では計画値ではありますが、一定賃金が上昇していることが分かります。この点、今後実績を確認していく必要があると思います。
一方、21ページのとおり、届出状況に大きなばらつきがあります。この点については、どういう要因でばらつきがあるのか、今後詳しく分析していけたらと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
まず、12ページに医療法人の利益率が示されておりますが、先ほど、事務局や松本委員からもお話があったと思いますが、経営状況については、開設者別ではどうなのかなど、医療経済実態調査なども分析し、様々な視点でお示しいただきたいと考えております。
続いて、22ページのベースアップ評価料を届け出ている医療機関の賃金割増率について、計画値が示されておりますが、実際はどうなのかしっかり見ていく必要があると考えます。
また、ベースアップはしたが、一時金が下がった職場もあると聞いております。ベースアップだけでなく、年収で見るとどうなのかといった点もお示しいただくようお願いいたします。
最後に、34ページの現状認識として、社会全体として賃上げが進んでいる中、医療関係職種についても、給与額が増えているが、産業全体の平均には届いていないとあるように、このままで他産業との差がさらに開いてしまえば、人材が流出してしまうのではないかという現場の声も聞いております。
医療人材の確保に向けては、状況を分析した上で、さらなる賃上げも必要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、いかがでしょうか。
では、まず、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
今、おっしゃるように、今の物価高、賃上げという社会の流れということで、非常に経営がつらいというのは、認識をさせていただきました。
ただ、やはり、医療報酬につきましては公定価格ということで、では、上げていいのかという部分もありますので、その中で、やはり今みたいなインフレのときは上げるけれども、では、デフレのときはどうだったのか、デフレのときも実は、報酬は上がっていたのではないかということも考えられますので、まずは、資料としても過去の趨勢として、今、損益計算と、いわゆるPLで何年か分表示されておりますが、では、これを累計した、例えば、BSというような概念で内部留保があるのか、ないのか、それが先ほど長島委員からおっしゃったように資金繰りの問題もあるかと思いますが、やはり、ある意味では、内部留保がどのようになっているかという観点からも、資金としてどうなのか。
例えば、今、損益計算の中では減価償却がありますよと、ただ、減価償却は社内留保でありますので、資金的には施設のほうで留保されると、では、どのようにするかという形もありますので、そういったことも含めながら、ある程度分析をしながらやっていくべきではないか。
それと、設備投資につきましても、やはり補助金だとか、医療費に上乗せをしているとか、いろいろな条件もあるので、必ずキャッシュアウトがそのまま、それについて非常に資金繰りが苦しいということではないという認識もありますので、この辺は、あくまでも公定価格ということでありますので、やはり社会全体の流れの中で、では一緒に上げられるかというのとは、ちょっと別の判断になるかと考えておりますので、その辺も含めまして、内部留保の部分についても、もう少し中身を御検討いただくような資料をいただければと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、奥田委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
もう既に各委員からお話があったように、やはり実態をより詳細に、正確に把握する上では、もっと細かなデータが必要かなということで、事務局におかれては、その工夫をいただければと思います。
先ほども事務局から課題認識でありましたけれども、医療機関の収支状況については、病院とか診療所別、また、医療機関の規模別であるとか、診療科別というお話がありました。
また、地域医療を考える上では、人口に基づく都市部と地方とか、そういったデータなどもあれば、より詳細な分析または議論ができるのではないかと思いますので、そういった、これからの診療報酬改定に対応していくべき課題を浮き彫りにするようなデータをお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
国民に必要な地域医療を、診療所、病院、薬局を問わず、安定して継続して提供できることこそが、国民の幸福であり、公的医療保険の目的であると考えております。今、その地域医療が危機に瀕しております。このことを念頭に置いて、診療報酬改定を行うべきと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
先ほどから内部留保ですとか、資金繰りという発言が支払い側からもありましたので、今回のデータで、13ページ、14ページで福祉医療機構、WAMのデータで、いわゆるPLベースのデータを出していただいていますが、我々3月12日に病院団体、医師会と合同で記者会見をさせていただいたときに、同じくWAMさんに、いわゆる債務償還年数の分析をお願いして、その結果が出てきていましたので、それに関しても御報告をさせていただいております。
ここに示してありますように、2023年度、1,943、1,900を超えるWAMにお金を借りている医療機関のデータになります。
我々からすると、福祉医療機構さんにお金を貸していただくというのは、意外に大変な話でございまして、かなりしっかりとした事業計画とかを立てていないと、お金を貸してくれないのです。そういう意味では、結構立派な、立派なというと変ですけれども、病院のデータということになりますし、当然、これは金融機関ですのでアンケート調査と違いまして、確実なデータになっています。
それで、私どももびっくりしたのは、2023年度ですけれども、債務償還年数1,943の病院のうち債務償還年数がマイナスになっている病院が42%ございました。債務償還年数がマイナスということは、どれだけたっても借金が返せないということと同時に、当然、これは営業キャッシュフローがマイナスということになります。経常利益と減価償却を足してマイナスで、毎年毎年キャッシュアウトしていっている状況の病院が、既に福祉医療機構でお金を借りている病院の42%に及んでいるということになります。
そういう状況の中で、今回、福祉医療機構さんに緊急融資枠をつくっていただくという状況まで、今、病院の経営状況、特に資金繰りも含めて悪化しているということは、再度付け加えさせていただきます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ありがとうございます。
ただいま医療現場から非常な声を聞いていただいたと思いますが、2000年初めに医療崩壊ということが出たと思います。そのときとは全く事情が違うということを御理解いただきたいと。
今回は、WAMの債務償還年数、30年超えとマイナスというのが50%になっていると、これは破綻懸念先という、金融からすれば、これはもう潰れていくよという判断をされているのが半分あるということは、これは現場でキャッシュフローが回っていないという現状があると思います。これは、病院も診療所も同じであります。薬局もそうであります。
そういうことを御理解いただきたい。
先ほど、デフレ下で医療費が上がっているということがありましたが、これは、高齢者医療の範囲内に収めてということがついておりまして、医療の革新、医療の技術の推進といったことについては、全くついてきていない。しかし、医療はどんどん進んできているというところで、全く遅れてきたということがあります。
その結果として、世界に比べて日本の医療は、本当に追いつかないほど遅れてきているという現状があるということを御理解いただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
先ほど人材の確保というお話があったのですけれども、実は人材の確保もすごく困っているのですが、もう一つは、人材の流出という問題があります。一般の企業が一万数千円、5、6%の賃上げをおこなっていますが薬局は、その3分の1にも届いていません。
そうしますと、当然人が集まらないのみならず、辞めていくという、この現実はきちんと分かっていただきたいと思います。
薬局も、医薬品提供体制が取れなくなるような現状にならないようにしていただきたいと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
本件、当初、報告事項と申し上げましたが、審議事項に変えて、委員の方々から多くの御意見、御質問をいただきました。
複数の委員の方々から御要望がございましたが、より精緻なデータの提供、それから、今回御報告があった以外の分析もよろしくお願いいたします。
なお、今回提出していただいた資料は、一番新しい数字が2023あるいは計画値となっておりましたが、複数の委員の方々からも御要望がありましたように、できるだけアップデートされた数字で議論をすることも重要なポイントではないかと思います。
この辺りでこの件についての質疑は終了させていただきますが、本日、委員の方々からいただいた多くの御意見、御質問を踏まえて、今後、事務局におかれましては、さらに検討をしていただくようにお願いいたします。
以上で、本日の議題はおしまいでございます。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
それでは、ただいまより第607回「中央社会保険料協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、飯塚委員、上田専門委員が御欠席です。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
中医協総-1の資料を御覧ください。
医薬品・医療機器等の費用対効果評価についてですが、エプキンリ皮下注について、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告いたします。
なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても資料に記載をしております。
2ページ目を御覧ください。
対象品目名は、エプキンリ皮下注です。
効能または効果は、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫及び再発または難治性の濾胞性リンパ腫となっております。
本品目の分析対象集団の評価の区分は、ICER750万/QALY以上、1125万円/QALY未満となっております。
3ページ目からは、参考として、エプキンリ皮下注の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項について記載をしております。
御説明いたしますのは、以上となります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
失礼いたします。
(田倉委員長、福田参考人 退室)
○小塩会長
続きまして「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、同分科会の尾形分科会長にお越しいただいております。尾形分科会長より御説明をお願いいたします。
○尾形分科会長
おはようございます。尾形でございます。
私からは、3月12日及び4月17日に開催されました、入院・外来医療等調査・評価分科会において検討を行いました結果につきまして、御報告をさせていただきます。
まず、資料の総-2-1「令和7年度調査の内容について」を御覧ください。
令和6年7月3日の中医協総会において御了承いただきました、令和6、7年度の調査の概要に基づき、令和7年度の調査の具体的な設計を行っております。
2ページ~10ページにつきましては、昨年7月の総会の資料の再掲でございますけれども、(1)~(8)の調査項目がございます。
これらを踏まえまして、11ページにお示ししたとおり調査を行う予定でございます。
調査は、原則として調査票の配付、回収により実施いたしますが、ウェブでの回答提出も可能としております。
調査票は、対象施設に対して、施設調査票、病棟調査票、治療室調査票、患者票、それから医療従事者票を配付いたします。
調査票の構成、対象施設につきましては、12ページにお示ししたとおりでございます。
例年診療報酬改定を実施する年度に当たる年には、療養病棟を対象とするC票、それから障害者病棟を対象とするD票への調査を行っておりませんでしたが、分科会での議論を踏まえまして、本年度は新たにC、D票についても調査を行うこととしております。
それに伴いまして、AからD票の調査票のサンプル数を調整しております。
E表は、令和5年度調査からサンプル数を増やしております。
次に、13ページ~15ページにかけましては、それぞれの調査票の項目の概要となってございます。
最後に、16ページが令和7年度調査の調査スケジュールということでございます。
続きまして、総-2-1参考1が、具体的な調査票の案でございます。ただ、これはページ数も多いため、本日は、説明については割愛させていただきます。
具体的な調査方針につきましては、3月12日の分科会で議論をし、総-2-1参考2「令和7年度調査の方針について」においてお示ししております。
記載のとおり、入院医療、外来医療、医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態、医師偏在対策、災害医療、業務の簡略化などを調査項目とすることといたしており、これを基に参考1の調査票案を作成しております。
本日、ここで御承認をいただきましたら、速やかに調査を実施し、8月以降、結果を御報告する予定でございます。
続きまして、資料総-2-2「DPC/PDPSに係る令和7年度特別調査の実施について」を御覧いただきたいと思います。
まず「1.概要」でございます。
DPC/PDPSについては、令和6年7月3日の中医協総会において、答申書附帯意見も踏まえつつ、必要に応じて特別調査を実施することとされております。
今回、令和7年度特別調査の実施案について、具体的な設計を行ったところでございます。
「2.調査の概要(案)」にありますとおり、大きく3つの視点から調査を行うことを予定しております。
まず「Ⅰ 在院日数の短縮に向けた取り組みや課題等に関する調査」として、現状の点数設定方式について、入院料を回収するために、入院期間Ⅱまで入院を継続させるインセンティブが生じている可能性が指摘されていること等を踏まえ、全てのDPC対象病院に対して調査票を送付し、在院日数の短縮に向けた取組の実施状況や課題等について、調査することを予定しております。
続きまして「Ⅱ DPC制度の安定的な運用に関する調査」といたしまして、令和6年度診療報酬改定で新設したデータ数に係る基準や、DPC制度が急性期入院医療の標準化を推進する仕組みであること等を踏まえまして、1か月当たりのデータ数が、下位25%の医療機関に対して調査票を送付し、DPC制度に参加する理由や、地域包括ケア病棟等へ機能の転換の予定の有無等の調査を行うことを予定しております。
続きまして、2ページでございますが「Ⅲ 急性期医療の標準化の推進に関する調査」として、急性期医療のさらなる標準化を推進する観点から、急性期一般入院料等を算定しているものの、DPC制度に参加していない病院、400程度でございますが、それに対し調査票を配付し、DPC制度への参加の予定の有無や、参加しない理由等について、任意に回答を求めることを予定しております。
今後のスケジュールにつきましては、5月以降に調査票を医療機関に送付し、ヒアリング調査を実施し、8月頃に調査結果を御報告する予定でございます。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめといたしまして、分科会の委員の皆様方には、昨年度に引き続き、丁寧に御検討いただき、ありがとうございます。
今回、総-2-1、2-2で御説明いただいた件については、いずれも異論ございませんので、御提案のとおり進めていただきたいと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
尾形会長をはじめ、分科会におかれましては、御検討いただきまして、ありがとうございます。
現在、医療機関の経営が大変厳しい状況にありますことから、医療機関の経営悪化との関係を明確にするような調査結果の分析ができるようにすべきであると考えておりますので、引き続きの検討をよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
ほかには特に御質問等をないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
尾形分科会長、どうもありがとうございました。
続きまして「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、よろしくお願いいたします。
○和田歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。資料総-3を御覧ください。
歯科用貴金属価格に関しましては、3か月ごとに見直しを行っており、本日は、6月に予定される歯科用貴金属の告示価格の改定について御報告をさせていただくものでございます。
2ページ目を御覧ください。
令和7年6月の随時改定の価格案の算出に当たりましては、表の中ほど、④の列にお示しをしている直近3か月分の令和7年1月~3月までの平均素材価格などを基に計算を行っており、一番右側の赤枠で囲まれた列に示されている数字が告示価格案でございます。
表の上から5つ目に、歯科治療で最も多く使用される「6 歯科鋳造用金銀パラジウム合金」の告示価格案をお示ししており、現在の3,230円から6月は3,299円となります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、この辺りとしたいと思います。
続きまして「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」を議題といたします。
同部会の永瀬部会長より御報告をいただきまして、その後で事務局より補足の説明をお願いいたします。
○永瀬部会長
診療報酬改定結果検証部会長の永瀬です。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に関わる特別調査につきまして、資料総-4-1にありますとおり、令和6年度に調査を実施した4項目として「(1)精神医療等の実施状況調査」。
「(2)在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査」。
「(3)長期処方やリフィル処方の実施状況調査」。
「(4)後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」。
この報告書を取りまとめましたので、御報告いたします。
それでは、事務局より資料の説明をよろしくお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
先ほど、永瀬部会長からも御説明がありましたとおり、令和6年度は4つの項目について検証調査を行いまして、その報告内容については、調査ごとに外部有識者等で構成された調査検討委員会におきまして、具体的な検討を行っていただきました。
その上で、4月9日及び先ほど開かれました検証部会において、報告書が取りまとめられました。報告書本体は、それぞれ数百ページにも及ぶボリュームとなっておりますので、ポンチ絵の概要資料を用いて、本日は、ごく簡潔に報告書の内容を説明させていただきたいと思います。
それでは、まず、資料総-4-2-1を御覧ください。「精神医療等の実施状況調査」でございます。
1ページ~4ページ目は、調査の概要になります。調査の目的、対象、方法、回収状況をお示ししております。
特に調査の対象については、例えば、1ページの「(1)病院調査」にあるとおり、特定の入院料や加算の届出をしている施設は、悉皆調査としていることを御確認いただければと思います。
調査結果は5ページからです。まずは、病院調査の結果です。
飛びまして、7ページが、救急体制について。
また、10ページが、精神科入退院支援加算の届出状況について。
11ページが、精神科地域包括ケア病棟入院料の届出状況について。
13ページが、当該入院料を届け出ていない理由について、それぞれ結果をまとめております。
17ページが、診療所調査の回答施設の概要です。
18ページからが、病院調査、診療所調査で共通する調査項目についての調査結果となります。
まず、18ページが、早期診療体制充実加算の届出状況について。
また、19ページが、届出を行っていない理由について。
21ページが、情報通信機器を用いた通院精神療法を実施していない理由について。
22ページが、児童思春期支援指導加算の届出状況についてでありまして、それぞれ結果をまとめてございます。
26ページからが、病棟調査の結果です。
29ページ、30ページが、入院料ごとの医師・看護師以外の職種の配置状況についてでございます。
31ページからが、患者調査、入院患者の結果でございます。
このうち33ページが、予想される入院期間が3か月超となる理由についてでございます。
35ページからが、患者調査、外来患者の結果でございます。
36ページが、直近1年間における入院の有無について。
37ページが、直近の入院の状況について、それぞれまとめております。
続きまして、資料総-4-3-1を御覧ください。
2つ目の調査が、在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査でございます。
1ページ目~4ページ目までが、調査の概要でありますが、1ページの下の調査の対象のところですが、例えば、医療機関調査では、機能強化型在宅療養支援診療所などの一定の類型から対象をそれぞれ無作為抽出するなどをしております。
5ページからが、まず、医療機関調査の結果でありまして、そのうちの8ページが、緊急時の入院受入れ機能を有する医療機関との常時閲覧可能なシステムによるICT連携の有無について、また、9ページが、保険医療機関以外の関係機関との連携について。
10ページが、共有している情報について。
11ページが、在宅医療情報連携加算の届出状況について。
12ページが、介護保険施設等からの協力医療機関の依頼を受けたかどうかについて。
13ページが、協力医療機関が提供している医療の内容について。
そして、14ページが、末期の悪性腫瘍などの末期患者の受入れ状況について、それぞれ結果をまとめてございます。
16ページから、医療機関患者調査の結果です。
このうち18ページが、1か月の訪問診療実施回数についてでございます。
19ページからは、今回初めて実施しました、医療機関連携機関調査の結果です。
まず、19ページは、本調査の集計上の区分で、次のページ以降の集計結果は、この区分に基づいて行われたものとなります。
20ページが、連携機関である施設の基本情報について。
21ページが、常時情報を閲覧可能なシステムによるICTを用いた関係機関との平時からの連携体制の構築状況について。
23ページが、ICTを活用した情報共有・連携における課題について、それぞれ結果をまとめております。
25ページからが、訪問看護施設調査の結果です。24時間対応体制加算の届出状況について。
また、27ページが、訪問看護管理療養費の届出状況についてでございます。
28ページが、訪問看護利用者調査の結果のうち、緊急訪問看護加算の算定状況についてです。
また、29ページからが、保険薬局調査の結果でございます。
30ページが、在宅薬学総合体制加算の届出状況について。
32ページが、在宅患者の夜間休日対応の体制について。
33ページが、夜間休日対応の対象患者について。
34ページが、他の薬局と連携した在宅業務の実施状況について。
そして、36ページが、施設連携加算の新設による影響についてでございまして、それぞれ結果をまとめております。
37ページからが、保険薬局患者調査の結果です。
39ページが、薬学的管理指導計画外の訪問における患家での滞在時間について。
40ページが、患者に行った薬学管理及び減薬の事例についてでございます。
41ページからが、歯科医療機関調査の結果でございます。
まず、41ページが、在宅歯科医療情報連携加算の届出をしている施設における連携先の施設について。
42ページが、他の医療機関等の関係機関の職員と情報共有連携を行うためのICT活用状況について。
43ページが、在宅歯科医療の提供に当たり、連携している施設の有無の状況について。
44ページが、保険薬局の薬剤師との情報共有・連携の有無について、それぞれ結果をまとめてございます。
45ページからが、歯科医療機関患者調査の結果でございます。
まず、45ページが、歯科訪問診療を実施したきっかけについて。
46ページが、調査日における複数名訪問歯科衛生指導加算の算定状況でございます。
続きまして、総-4-4-1を御覧ください。
3つ目の調査「長期処方及びリフィル処方箋の実施状況調査」でございます。
1ページ目~3ページ目までが調査の概要です。
病院・診療所調査、医師調査、保険薬局調査では、リフィル処方箋の発行受付実績の有無で調査対象を抽出しているほか、患者調査では、調査対象施設に受診、来局した患者に行う郵送調査と、直近3か月に保険薬局に来局した患者のうち、性年代別に等分し、無作為抽出をしたインターネット調査の2種類を行っております。
4ページからが、病院・診療所調査、医師調査の概要でございます。
少し飛びまして、12ページ、リフィル処方箋の発行経験でございます。
また、14ページ、長期処方を発行している、また、発行が適している患者について。
16ページが、リフィル処方箋の課題と考えられることについて。
20ページが、リフィル処方箋の発行ではなくて長期処方を行った理由について、それぞれ結果をまとめております。
22ページからが、保険薬局調査の結果です。
22ページが、地域支援体制加算及びかかりつけ薬剤師指導料等の届出状況について。
また、25ページが、患者からのリフィル処方箋に関する相談を受けた経験についてでございます。
27ページからが患者調査、郵送調査、インターネット調査の結果でございます。
郵送調査とインターネット調査では、調査項目が同じでありますので、両者を比較できるような構成としております。
少し飛びまして、36ページ~38ページにかけてです。リフィル処方を利用するに当たり必要だと感じること、また、長期処方を利用するに当たり必要だと感じることについて、それぞれ確認した結果をまとめてございます。
39ページからは、処方箋料、リフィルの算定回数及び算定医療機関数の推移について、NDBデータで集計した調査結果となります。
最後に、総-4-5-1を御覧ください。
4つ目の調査「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」でございます。
1ページ目~3ページ目までが調査の概要です。
4ページ目からが、保険薬局調査の結果でございます。
まず、4ページが、令和6年11月1か月間の後発医薬品調剤割合について。
5ページが、1年前と比較した、後発医薬品の供給体制の変化でございます。
また、少し飛んでいただきまして、13ページからです。一般診療所・病院調査の結果でございます。
このうち、20ページからでありますが、一般名処方による処方箋の発行経験のある診療所における1年前と比較した一般名処方の件数の増減や、その理由についてまとめております。
34ページからが、歯科診療所調査の結果で、1年前と比較した後発医薬品の供給体制の変化について、お伺いしております。
40ページからが、患者調査、郵送調査、インターネット調査の結果です。
まず、41ページは、長期収載品の選定療養に係る特別の料金の認知度について。
また、45ページが、ジェネリック医薬品の使用に関する考えについて。
最後、47ページが、バイオ後続品(バイオシミラー)の認知度について、それぞれ結果をまとめております。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
検証調査の概要報告をありがとうございました。
中医協では、前回改定の影響を調査・検証して、次回改定で修正するという流れが確立しております。
事務局におかれましては、今回の分析結果等に基づき、今後行う次回改定に向けた議論に資するよう、準備をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
改定結果検証の調査結果ですが、在宅及び後発医薬品につきまして、歯科の立場から発言させていただきます。
まず、在宅歯科医療に関する調査についてでございますが、膨大な資料を取りまとめていただき、ありがとうございました。
ページ数も多いため、総論的な意見となりますが、在宅歯科医療における連携に関しましては、総-4-3-1の43ページ目にもございますように、医科診療所や訪問看護ステーションと連携している歯科医療機関が少ないなど、依然として課題があるものと感じております。
今後もこうした連携をより推進するための方策について、引き続き御検討をお願いしたく思っております。
また、令和6年度の診療報酬改定におきましては、在宅歯科医療を担う病院歯科に対して、新たな施設基準が設けられたほか、回復期病棟等における、口腔機能管理の新たな仕組みも導入されました。
本調査では、対象となる病院歯科の数が限られておりまして、実態がやや見えにくいと感じております。
今後は、この点も含めて、さらなる検討をお願いしたく思っております。
次に、後発医薬品の使用促進策の影響についてでございますが、資料総-4-5-1の34ページによりますと、1年前と比較して、後発医薬品の供給体制が悪化したとの回答が、令和5年度調査と比べて、令和6年度調査で増加しております。
日本歯科医師会が実施しました調査におきましても、同様の傾向が見られ、後発医薬品の安定供給につきましては、これまでも繰り返し課題として指摘させていただいておりますが、足元の喫緊の課題であることから、引き続き、実効性のある改善策による、継続した対策をお願いしたく思っております。
あわせて、38ページですが、長期収載品に対する選定療養費につきましても、まだ認知度が少ない感じがありまして、患者、国民を含めて、医療機関にとっても分かりやすい説明がなされるよう、引き続き御配慮をお願いしたく、お願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
後発医薬品の使用促進策等に関する実施状況調査について、コメントとお願いがございます。
まず、5ページ目の図表2-25を御覧いただければと思います。
今、林委員からありましたけれども、後発医薬品の供給問題が発生してから4年を経過していますけれども、2-25にありますように、84.1%の薬局が後発品の供給体制に支障を来していると回答しております。
また、その下の図表の2-27を御覧いただければと思います。
1年前との比較ですけれども、悪化した、変わらなく支障を来していると回答した薬局が92.6%に上っております。現場感覚としても、次々に限定出荷、出荷停止、販売中止が続き、全く改善していないと感じているところであります。
また、本年の4月の薬価改定に伴い、選定療養、それからカットオフ値に影響が出ています。選定療養については、これまで対象だった医薬品が令和7年度薬価改定の結果、対象外となったため、現場では新たに患者への説明や対応に追われています。
また、カットオフ値についてですけれども、先発医薬品と後発医薬品の薬価が下支え制度により逆転してしまった医薬品は、従来、特例的な取扱いの対象とされていましたが、4月からかなり多くの品目が対象から外されており、カットオフ値が影響を受けている状況です。
そのため、業界紙報道ですけれども、中央値、平均値ともに大きく減少して、薬局によってはカットオフ値が74%だったものが48%へ、26%急減したところもありました。3月まで同じようなことをしていても、4月へ1日変わっただけで大きく変わってしまっている現状があります。
安定供給に大きな支障を来している中、現場では後発医薬品の使用促進、選定療養の対応に大変な努力をしております。これらの影響については、現状を把握していただき、対応すべきこと、できることは対応をお願いしたいと思います。
また、次回改定に向けて検討を進めていただくようお願いいたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、調査に御協力いただきました皆様、それと膨大な調査結果を取りまとめていただきました検証部会の先生方、事務局に感謝を申し上げたいと思います。
詳細については、改めて各テーマの議論の中で発言いたしますが、今日は、長期処方、リフィル処方箋と、後発医薬品の調査結果についてコメントをさせていただきます。
まず、総-4-4-1のリフィル処方箋でございますけれども、資料の39ページを見る限り、令和4年度改定に見込んだ医療費のマイナス0.1%に及ばないことは明らかでございます。
患者の認知度を高めることは、保険者としてもしっかり取り組まなくてはならないと認識しておりますけれども、資料の11ページを拝見する限りでは、医療機関側の認知度にも課題があると思っております。
また、資料の16ページには課題が挙がっておりますけれども、そこには認知度等が入っておりますが、一方、21ページで消極的な理由を拝見しますと、患者の変化に気づきにくいということで、課題と消極的な理由が、どうもあまり合っていないという印象を持っております。
12ページには、診療所の医師の58%はリフィル処方箋の経験があるということでございますので、医学的な判断を前提としつつも、可能な限り患者の希望に沿ってリフィル処方箋をより積極的に活用していただきたいと思います。
また、19ページを見ますと、リフィル処方箋を発行しなかった理由のうち、最も多いのは、長期処方で対応が可能ということでございます。
そもそも令和4年度改定のマイナス0.1%は、受診回数を適正化することによる効果を見込んでいたことを踏まえれば、長期処方の期間をより長くすることにより、患者の通院負担を軽減することも重要だと思います。
次に、資料総-4-5-1の後発医薬品についてでございますが、資料の4ページを見ますと、薬局の後発品調剤割合が90%以上に集中しております。また、資料の10ページと併せて見てみますと、長期収載品の選定療養を導入した効果が十分に現れていると言ってもよいのではないかと考えます。
また、同じような傾向は、13ページの医科診療所、36ページの歯科診療所でも見られますので、後発医薬品の体制評価について、大きく見直す時期に来ているのではないかと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、オンラインでお手が挙がっております。お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
まず、調査の取りまとめ、ありがとうございました。
総-4-5-1について、コメントと質問があります。
コメントといたしましては、有効回答率が前回の調査より下がったことは残念ですが、後発医薬品調剤割合90%以上の薬局が増えていたり、長期収載品の選定療養制度の導入の影響として、後発医薬品を選択する患者が増えたという回答が多かったりと、全体として後発医薬品の使用がさらに促進されていると捉えております。
協会加入者のデータでも後発医薬品の使用割合は微増が続いており、特に昨年の9月から10月にかけて大きく増加し、非常に高い水準に至っております。
質問といたしましては、13ページ目で、院内処方を行っている診療所の後発医薬品使用割合の回答について、無回答が半分を占めているのは、非常に高いという印象を持っております。この点について、どういった事情があるか、何か想定できるものがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま、鳥潟委員から御質問をいただきました、13ページの数字の見方でございますが、事務局いかがでしょうか。
○米田保険医療企画調査室長
すみません、お待たせしております、保険医療企画調査室長です。
資料の13ページで、後発医薬品使用割合の分布ということで、無回答が多いという御質問でございました。私どもすぐにこの理由は分析できておりませんけれども、推測としては、その医療機関において、こういった計算ができていないということが考えられます。
そのほかの理由については、今後、分析をしてまいりたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
鳥潟委員、いかがでしょうか。
○鳥潟委員
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ということですので、引き続き御検討をお願いいたします。
ほかは、いかがでしょうか。
奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
回答された機関の皆様、それから、非常に膨大な資料を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございました。
まず、1点目としては、鳥潟委員からも御指摘がありましたけれども、また、毎度申し上げていることですけれども、やはり有効回答率が残念ながら高いとは言い難いと思っております。
統計学的には、有効な調査ではありますけれども、回答のないところにこそ、課題が含まれている可能性もありますので、やはり、回答率の向上に向けて一層の取組をよろしくお願いしたいと思います。
それから、もう一点、医療DXの推進に関して申し上げたいと思います。
資料総-4-3-1の23ページに「ICTを活用した情報共有・連携における課題は」というところで「電子カルテシステムや他のシステム等々を連携ができない」が43.8%、それから「ICTの活用に係る職員のノウハウが不足している」が42.6%ということで、まだまだ医療DXの推進ができていない状況であるかと思います。
説明はなかったですけれども、資料4-3-4の参考資料の2ページのところにも在宅医療におけるICTを用いた連携の推進といったことが資料として挙がっております。
現在、政府では全国医療情報プラットフォームなど、医療DXの推進に取り組んでいると承知をしております。こういった中で、連携ができないといった回答が減少するように、今回の検証結果調査とは直接的に関係ないかもしれませんけれども、厚労省として、引き続き、現状課題などの実態を確認して対応を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
回答率のお話が出ましたので、今日は控えようかと思っていたのですけれども、お願いをしたいと思います。
後発医薬品のところで、今回、回答率が下がってしまいましたが、今、現場では通常業務もそうですけれども、医薬品供給不安、選定療養等、様々な対応をしています。7ページ目を御覧いただければと思います。
実は、この調査ですけれども、対象期間中の全ての処方箋について、そして、その処方箋に入っている医薬品1品目1品目全てをどういう形態で処方されているのか、例えば、先発医薬品で処方されているのか、後発医薬品で処方されているのか、一般名処方マスターなのか、一般名なのかなどを調べます。
その上で、実際に調剤したものは、先発医薬品なのか、後発医薬品なのか、そして、それは患者希望なのか、医療上の必要性なのか、在庫の都合なのかなど、1品1品全部調べることになります。
必要な調査なのですけれども、これらを集計することは、正直に言うと、非常に手間がかかります。その中での回答率40%ということで、回答していただいた薬局はかなり頑張っていただいたと思います。次回に向けて、必要なものは、もちろん調査を協力しますけれども、もう少し簡素化できるところは簡素化していただくと、回答率が上がると思います。正直この調査は、何日もかかって出していますので、ぜひそのことは御理解いただきたいのと、よりよい調査ができるような制度設計を次回に向けてお願いできればと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、長島委員、お手が挙がっています。
○長島委員
先ほど御指摘ありました医療DX、例えば連携の課題ですけれども、1つは、やはりサイバーセキュリティの問題が非常に大きいかと思います。つまり院内のシステムと外をつなぐということで、これは、かなり重大な課題となっております。
もう一つは、例えば電子カルテのベンダーなり、連携システムの側で、そのほうに対応していただかなければいけないということで、これは、医療機関ではいかんともし難いという大きな課題があります。それから、医療機関にとっても費用負担、業務負担が非常に大きいという様々な課題がありますので、ここは関係者、国も一緒になって、しっかりと課題解決に向かい、しっかりと導入、普及が広がるようにしていきたいと考えております。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。各委員の方々から非常に貴重な御意見を頂戴いたしましたので、次期改定に向けて、さらに検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑は、この辺りといたします。
続きまして「医療機関を取り巻く状況について」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。資料の総-5を御覧ください。
「医療機関を取り巻く状況について」でございまして、前回の4月9日の中医協の総会におきまして、令和8年度改定に向けたスケジュールということで御議論いただきましたけれども、この医療機関を取り巻く状況についても、今後、総会で議論していきたいということで、今回資料を説明させていただきます。
まずは、2ページが目次でございまして、次の3ページが「1.医療需要と医療費に関する概況」でございます。
4ページが、日本の人口推移でございます。
5ページが、国民医療費の推移でございます。
また、6ページが、1日当たり医療費の推移でございまして、入院・入院外ともに増加傾向でございます。
7ページが、受診延べ日数の推移です。受診延べ日数は医療機関を受診した延べ患者数に相当いたしますが、入院・入院外ともに減少傾向にあり、令和2年度に大きく減少しております。
その後、令和5年度にかけて、特に入院外については回復する傾向が見られます。
8ページが、病院の患者数の推移でございます。病院の在院患者数と外来患者数はともに減少傾向にありましたが、いずれも令和2年度に大きく減少いたしました。
その後、引き続き在院患者数は減少傾向にあるものの、外来患者数は令和4年度にかけて回復し、令和5年度に減少しております。
9ページは、病院の病床利用率の推移です。令和2年度に大きく低下し、その後も低下傾向が続いたものの、令和4年度に75.3%で底を打ち、令和5年度には75.6%と、0.3ポイント増加しております。
10ページが、過去の改定率の推移です。
次のページからが、医療機関の経営状況のうち、医療機関の収支状況の分析についてでございます。
12ページが、医療法人の経常利益率でございます。2022年度~2023年度にかけて、平均値及び中央値は、どの類型も低下傾向にあり、最も頻繁に現れる値を表す最頻値については、どの類型も0.0%~1.0%となっております。
13ページが、病院の事業利益率の推移です。各病院累計のいずれにおいても、事業利益率は低下傾向にあり、療養型病院以外は全てマイナスとなっております。
また、2020年度以降、一部の医療機関の事業収益にはコロナ補助金が含まれていることから、その影響を除く事業利益率を算出したのが、右側のグラフでございまして、より利益率が低下している状況であります。
14ページが、病院の経常利益率の推移です。経常利益率は、コロナ補助金の影響で2020年度~2022年度は上昇したものの、補助金が減少した2023年度は大きく低下しております。
また、コロナ補助金の影響を除く経常利益率でも、一般病院はマイナスとなっています。
15ページが、過去3回分の医療経済実態調査におけるコロナ補助金を除く損益率の推移でございます。
16ページは、医療機関の収支構造のイメージを図にしたものであります。事業利益、損益は、事業収益から事業費用を差し引くことで求められますので、事業収益と事業費用に分解することができます。
さらに、事業収益は、患者1人1日当たり報酬単価と患者数に分解できます。
事業費用は、人件費、材料費、委託費、減価償却費、その他費用に分解でき、例えば、人件費は職員数と給与単価にさらに分解することができます。
また、減価償却費は、右側の黄色の箱、設備投資コストを償却期間で分割して計上するため、実際の投資時期と損益への反映の時期にずれが生じるといった性質があります。
このように医療機関の収支は幾つかの項目に分解して考えることができ、収支の動向を分析する上では、それぞれの項目の動向を把握する必要があると考えております。
17ページが、病院の収支構造の変化です。
2018年度と2023年度の病院の100床当たり損益を比較すると、事業収益の増加以上に事業費用が増加したため、事業収益は悪化しております。
また、金額ベースでは、人件費が費用の50%超を占めていることから、伸び率としては、他と比べても高いといったわけではありませんが、その増加の影響が最も大きくなっております。
次のページからが、医療機関の経営状況のうち、支出に影響を与える様々な費用の動向の分析についてでございます。
ここでは、主要な費用項目の現状や増加要因に関する分析結果をお伝えいたします。
まず、19ページが人件費のうち職員数についてです。病院の100床当たり、常勤換算従事者数は、2017年~2023年にかけて10.9人、割合で言うと、8.0%増加しております。
20ページは、国内の賃上げの動向です。
左側の図の春闘における賃上げ率の動向を見ると、特に2022年以降が、水準が高まっております。
右上の図の厚生労働省の賃金引上げ等の実態に関する調査においても、同様の傾向がございます。
一方で、同調査における医療・福祉の動向を見ると、調査産業全体の賃金改定の水準に届いていないといったことが現状でございます。
21ページは、外来・在宅ベースアップ評価料の届出状況でございます。
令和6年度、改定で新設したものですが、直近の届出受理割合で見ると、病院が86.0%、診療所が27.8%となっております。
22ページが、ベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率です。賃金改善計画書を基に集計した賃金増率でございますが、全医療機関で見ると、中央値で2.50%、加重平均値で2.74%となっております。
23ページは、人件費のうち、給与額の全体傾向です。
24ページは、人件費の占める割合が大きい看護師やリハビリ系職種の傾向でございます。ともに、2018年~2024年にかけて給与額は増加傾向にございます。
25ページが、主要職種別の年齢階級別の決まって支給する現金給与額の増減と平均年齢についてです。
決まって支給する現金給与額における年齢上昇の影響は、6年間で看護師では0.8%分、リハビリ系職種は3.0%分と考えられます。
26ページは、看護師比率の上昇と決まって支給する現金給与額への影響についてです。
看護職員数に占める看護師の割合、看護師比率は上昇しておりまして、2023年は2017年と比較して4.4%上昇しております。
看護師は准看護師と比較して給与額が高いといった状況にあるため、看護師比率の上昇に伴い、人件費が増加することになりますが、その影響は6年間で1人当たり4,400円の増加と考えられます。
27ページは、消費者物価指数の前年同月比の推移等です。
また、28ページは、消費者物価指数の前年同月比について、主な項目別の寄与度をお示ししており、食品や光熱水道の寄与度が高いといったことが分かります。
19ページは、1施設当たり薬剤費の伸びについてでございます。2019年度と2023年度の院内の1施設当たり薬剤費を比較すると、病院は21.1%増加しており、診療所は12.3%減少しております。
なお、診療所では、院外分である調剤を含めると、3.1%の減少と減少幅が小さくなっており、これは薬価改定のほか、院外処方への切り換えが進んだ影響と考えられます。
30ページが、院内分の剤形別の総薬剤費の伸びについてです。2019年度と2023年度の院内の創薬剤費を比較すると、病院は18.9%増加しており、診療所は9.7%減少しております。
病院・診療所いずれも注射薬が増加し、外用薬や内用薬が減少しておりますが、総薬剤費のうち、注射薬の構成比が高い病院では、注射薬の伸びが大きく、全体の伸びに寄与しております。
一方で、外用薬や内用薬の構成比が高い診療費所では、外用薬、内用薬の減少が大きく、全体の減少に寄与していると考えられます。
31ページは、設備投資コストのうち、建築費に関して病院・診療所の新規着工建築単価の推移で、特に2022年以降、建築単価が大きく増加しております。
また、32ページは、病院・診療所の新規着工の建築物の推移で、数としては減少傾向にございます。
また、緑色でお示しをしております、中規模以上の建築物の多くは病院であると推察されますが、その実数、割合ともに減少傾向にあります。
次のページからが、現状と課題でございます。
34ページから35ページにかけてが現状でありまして、ここまで説明を差し上げました内容をまとめたものとなっております。
最後に、36ページが課題でございます。
近年の医療機関の経営状況の実態やその要因について、どのように考えるか。
特に病院においては、収益の増加を超える費用の増加に伴い収支の悪化が見られるが、人件費や材料費、委託費などの各費用項目が増加していることやその要因について、どのように考えるか。
今後、医療機関の収支を踏まえた診療報酬の評価の検討を行うに当たって、さらにどのような分析を行っていくことが考えられるか。
今回は、こうした課題を踏まえて、委員の皆様から御意見を頂戴できればと考えております。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
私、先ほど、本件は報告事項と申しましたけれども、これは、中身は極めて重要でございますし、それから、事務局から最後のところで課題を提示していただきましたので、本日は、各委員の方々から御意見、御質問を積極的に出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
様々なデータをお示しいただき、感謝いたします。36ページに示された3つの課題についてコメントいたします。
まず、1つ目の課題です。現在、医療機関の経営は大変厳しい状況にあり、賃金上昇と物価高騰、さらには日進月歩する医療の技術革新への対応ができません。
このままでは、人手不足に拍車がかかり、患者さんに適切な医療が提供できなくなるだけでなく、ある日突然、地域から医療機関がなくなってしまうことを危惧しています。
このような、地域医療が崩壊しかねない危機的な状況にあることを、国民の皆様に知っていただくために、日本医師会と6病院団体は、この3月に合同声明を公表いたしました。
すなわち、公定価格によって運営する医療機関は、価格に転嫁できないことから、診療報酬については、物価、賃金の上昇に適時適切に対応する仕組みとする必要があります。また、社会保障予算に関しての財政フレームの見直しも不可欠であると申し添えます。
さて、次回改定の最大の課題は、他の産業に負けない賃上げを実現できるよう、医療機関収支を改善させることであると言えます。
そのためには、当然のことながら、診療報酬の引き上げが必要です。しかしながら、これまでの改定は、診療報酬を引き上げたとしても、様々な条件が付加されることで増点された点数を算定するためには、同時に、それに応じたより多くのコストを費やすことを求められてきました。プラス改定であっても、医療機関は増点や新設された点数を、コストを費やしながら対応し、算定せざるを得ず、その結果、医療機関経営に余裕が生まれることはなく、むしろ経営の体力がそがれてきました。
加えて、昨今の物価賃金の上昇により、もはや、これまでのようなやり方では、医療機関の経営は安定しないことが明らかになっております。このままでは、長期借入金の返済原資が出てきません。しかも、地域によっては、人口が激減し、全国の患者数も減少している中で、何とか患者さんを確保して、厳しい経営を続けてきましたが、今後は、そのような経営方法が通用する状況にはありません。
診療報酬は公定価格であり、コストの上昇を価格に転嫁できないこと。そして、ただいま申し上げたような物価、賃金の上昇を踏まえれば、これまでのような、さらにコストを費やすことを前提とした形ではなく、純粋な形で診療報酬を引き上げなければならない状況にあると言えます。このことを、次回改定に向けた議論のスタートラインとすべきと考えています。
そして、2つ目の課題、各費用項目が増加していることや、その要因についてどのように考えるかです。
物価、賃金の高騰に尽きると考えますが、現場からは、人材紹介料や医療DXに関する導入費用の上昇があると聞いています。
特に、診療報酬改定DXは施行日を2か月後ろ倒ししたにもかかわらず、本来還元されるべき医療機関の費用負担は変わっていないと聞いています。
また、令和6年度補正予算の執行が遅く、かつてないほど経営が悪化している令和6年度決算に収入として入らないというのはいかがなものでしょうか。
最後に、課題の3点目につきましては、事務局として考えていることがあれば、まずは教えてください。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
今、長島委員から御質問をいただきましたので、課題の3つ目の点ですね、今、事務局でお答えできることがございましたら、御説明をお願いいたします。
○米田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。先ほどの課題の3つ目の御質問についてございます。
我々としては、本日の御意見も踏まえて、今後、どういったものの分析を行っていくべきか考えたいと思っておりますけれども、現時点では、例えば、医療機関の利益率について、今回は全体としてお示ししましたけれども、それを機能別、規模別、診療科別などで分析するといったことを考えているほか、また、委託費をはじめとした、人件費以外で医療機関の経営の影響が大きい費目の分析、こういったものも考えたいと思います。
以上です。
○小塩会長
長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございます。
今、御指摘の点も非常に重要ですので、分析をお願いします。
加えて、今、医療機関は資金繰りにとても苦しんでおります。例えば、民間病院であれば、税金の支払いや、借金の元本返済を含めた資金繰りの実態も分析するべきであります。
また、12ページのMCDBは、経常利益のデータでありますけれども、補助金を除いた医業利益で出すことはできないでしょうか、御検討をお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、太田委員、お願いいたします。
○長島委員
よろしいでしょうか。
○小塩会長
すみません、どうぞ。
○長島委員
もし、事務局で返答できる点があれば、今、お願いできればと思います。
○小塩会長
そうですね、失礼しました。
どうでしょうか、データの件について、対応できるものがあるかどうかということ、今の時点でお答えできますでしょうか。
○米田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
御質問のうち前段については、まず、保険局からお答えしたいと思っております。医療機関の資金繰りの実態の把握が重要という御指摘がありまして、私どももそのように考えております。
ただ、医療機関のキャッシュフロー計算書といったデータ自体は、私どものほうでは持っておりませんので、本日の御指摘を踏まえて、どういった方法で医療機関の資金繰りに関する実態を把握することが可能かといったことについては、今後、検討してまいりたいと思っております。
○桑原医療法人支援室長
引き続きまして、後段のMCDBの経常利益率ではなくて、医業利益率で出す必要があるのではないかという御指摘につきまして、医政局から検討させていただきます。
以上です。
○小塩会長
長島委員、お願いします。
○長島委員
ありがとうございました。
今回の資料は、令和5年の医療機関の状況を示すものですが、インフレの進行を踏まえれば、直近の実態はさらに厳しいものとなっております。こうした医療機関の窮状が明らかになるよう、より実態に近い資料を準備し、それに基づいて議論することが求められております。
その辺りが、まさに、ある日突然、地域から医療機関がなくなってしまい、地域医療が崩壊することを防ぐために、医療機関が今後も継続できる上で非常に重要なデータ、情報となりますので、厚生労働省として、しっかりデータを収集してお示しいただくことを強く要望したいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
太田委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
36ページの課題に触れる前に、病院医療を担う者として、少しお時間をいただいて発言をさせていただければと思います。
私は、令和6年度の改定議論に、2023年の11月に加わらせていただいた冒頭、医療保険財政の持続可能性とともに、地域の医療提供体制の持続可能性の観点からも、しっかり議論をさせていただきたい旨、発言をさせていただきました。
また、前回改定における1月31日の重症度、医療・看護必要度に関しての公益裁定が行われる直前にも、地域の医療機関の経営状況の厳しい中、病院の経営に大きな影響を及ぼすような制度改正は、地域の医療提供体制の崩壊につながる可能性があるため、極力避けるべきであるという旨も発言させていただきました。
本日、事務局がお示しされた資料は、前回改定時に危惧していたとおり、地域の医療機関の経営状況が非常に悪化しており、医療提供の持続可能性が危機に瀕しているということを示すものだと私は考えます。
我が国において、生産年齢人口が今後急激に減少していき、地域の医療提供体制も大幅な見直しが避けられないということは、我々も認識しております。将来の地域社会に適した医療提供体制への移行、そのための病院の機能分化や連携、ある程度の集約化が避けられないということも理解をしております。
しかし、将来にわたって地域で求められる医療提供体制は維持していかなければなりません。日本の経済が長年続いたデフレの時代から、物価、賃金が上昇していくインフレの時代に転換した中行われた2024年改定において、医療側は、その新しい時代に対応した診療報酬改定を強く求めましたが、結果として、非常に厳しい改定が行われたと認識しております。
本日の資料では、令和5年度までの医療機関の経営データが示されておりますが、我々病院団体が行った直近の緊急調査では、令和6年改定後、病院の経営状況はさらに悪化していることが明らかとなっております。地域で救急を支える基幹病院の多くも、既に赤字に転落しており、地域の医療提供体制の持続可能性はなくなっている状況だと言えます。
次回の2026年改定では、医療機関の機能分化と連携の推進が必要ではありますが、地域で必要となるどの医療機能を担っても、医療機関が持続可能で医療を提供できる適切な病院診療報酬の設定が必要であるということを、まず強調させていただきます。
36ページの課題でございます。
まず、初めですけれども、現在の医療機関、特に病院の経営状況に関しては、先ほどお話しさせていただいたとおり、崩壊寸前の状況、危機的な状況であるという認識です。
その原因ですが、近年の改定においては、財政的制約が優先され、入院医療に必要なコスト、すなわち人的コスト及びその他のコストが上昇傾向にあるにもかかわらず、公定価格である診療報酬で対応されてこなかったことが原因であると考えます。
物価が急激に上昇し始めたのは、28ページに示されているように、2021年以降ではありますが、13ページの福祉医療機構のデータでも示されているように、病院の経営状況は、それ以前から継続的に悪化し続けています。
病院医療提供に必要な費用の増加が、適切に診療報酬に反映されない状況が続いていることを示しているものと考えます。
その中心は、医療の質の向上のための医療スタッフの増加及び近年の人件費の上昇と考えます。
2つ目です。過去の診療報酬改定では、医療の質の向上、安全性の確保のため、様々入院料の加算などが設定されましたが、それらは質を担保するため、人員配置基準など、よりコストを必要とする改定内容がほとんどであったと思います。
その結果、医療の質の向上、医療安全の向上は図られたものの、収入増加以上のコストの増加を病院に強いることとなり、経営を悪化させたと考えます。
また、診療報酬で評価されない様々な経費の増加が、特に近年の物価上昇局面では顕著になってきています。
物価上昇により、例えば、CTや放射線治療装置など大型の機器だけでなく、電子カルテシステム、クライアントのパソコン、心電図モニターを含め、全ての値段が上昇しており、それらを更新するとしても、以前の値段では、もう既に購入できません。
また、給食や清掃、委託、医療事務など様々ございますが、それらの委託費も以前の値段では契約できず、大幅な値上げの受入れが、病院運営の継続には必要となっています。
日本社会の物価や賃金の上昇に適切に対応する診療報酬改定が、地域における病院医療の維持には不可欠です。
3つ目ですが、今後、医療経済実態調査によって、改定後の令和6年度の医療機関の経営状況が示されると思います。次回、令和8年改定では、それを確認し適切な診療報酬の設定が不可欠だと思います。
その際には、各病院機能別に分析を行い、地域で求められるそれぞれの病院機能において、どれくらいの稼働率であれば経営が成り立つレベルに入院診療報酬を設定するかという問題は、一度検討すべきであると思います。
現在、我々病院団体が行った経営調査の結果では、例えば、急性期医療を担う一般病院では、病床の利用率で90%を超えないと黒字にならないレベルまで、病院経営は厳しくなっています。病床利用率で90%というのは、これは実質的に1年中、ほぼ満床で病院を運営するのを意味するレベルです。
コロナなど、新興感染症への対応として一時的な医療需要の高まり、いわゆるサージキャパシティが議論されましたが、現在は、全くそのようなキャパシティを地域医療は確保できていない状況にあります。
また、今後、高齢者救急が増加する中で、包括期を担う医療機関機能が重要になっていきますが、それらを担う医療機関がどれくらいの稼働率であれば、経営的に成立するレベルに入院点数を設定するかも、今後の病院機能の移行を促していく上でも重要であり、しっかり検討すべきであると思います。
最後に、人件費の上昇に関してです。資料にも示されておりますが、前回改定で新設されたベースアップ評価料を利用して、病院は、2024年度は、ある一定程度の処遇の改善を行うことが可能でした。ただ、今、足元の2025年度に関しては、ほとんど対応できないという声を多くの病院から聞いております。
一般企業の賃金改善が進む中、既に事務職や看護補助者などだけでなく、看護師や医療コメディカルスタッフまで医療外に流出するということが、もう既に起こっており、今、それが止められない状況になってきております。適切な診療報酬の設定を強く求めるものでございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
病院団体の代表として、今、長島委員、太田委員がおっしゃったことで、全く同じ意見ですけれども、少し追加をさせていただく内容だけ、コメントをさせていただきます。
まず、今回の医療機関を取り巻く状況についての資料、かなり細かく、しっかりした資料を出していただいたこと、事務局においては、大変感謝いたしております。
今、太田委員からありましたように、6病院団体で調べた内容とほぼ同じような傾向にあることを十分確認できました。
なおかつ、これも太田委員がおっしゃったように、今、令和6年度が出ますけれども、6年度の緊急調査をさせていただいた病院団体、そして、私は一方で、県の医師会の立場で、県内の全ての病院の調査をさせていただいて、さらに悪化していることが確認できています。
県内は、60数病院ぐらいしかありませんが、その中の利益率で言えば、前年度の半年間を比較して、今年の1月までの半年間を、令和5年度、6年度と比較しても、経常利益率がマイナス5.5からマイナス7.6、そして、経常に関してマイナス2.1からマイナス5.0ということで、倍増に近い悪化をしています。
そして、公的公立病院は、1病院を除いて全て大幅な赤字決算になりつつあるということの報告もいただいています。本当に厳しい状況の中、先ほど事務局から分析いただいたように、人件費が非常に大きく影響しているということで、特に地方では、これも細かく分析していただいたように、人が増えていることと同時に、やはり特に地方は、年齢が上がっていく、上がっていくと給与も上がっていく、そこが圧迫している。しかも、特に民間病院については、公立公的病院は人件費を、やはり人事院勧告に基づいて上げている。でも、民間病院はそれを上げられない、上げられないのにもかかわらず赤字を出す。そして、御存じのように2年続けて赤字を出すと、新たな融資も受けられない状況で、かなり厳しく、無理をして何とかぎりぎり黒にしているというのが現況で、実は私、昨日も幾つかの病院から陳情を受けまして、とにかく今は、ゼロゼロ融資が福祉医療機構(WAM)から出て、そこで融資を何とか受けないと次の賞与が出せないと いう。実はこれも地域の非常に大事な病院なのですけれども、そういうことを言われている。
これだけの厳しい状況、私は、少なくとも、かつて経験がない状況ではないかと思います。
こういった肌感覚と今回のデータが、ある程度一致しているかなと思っていますので、何らかの形の手を打たなくてはいけない。
一方で、もちろん、これは診療報酬だけでできる事ではないということで、適正化事業の補助金等々もついていますけれども、これも今回、全国で5万床以上手を挙げていて、とてもそれに対応できないことも明確ですし、福井県の中でも、それに手を挙げたけれども一部しか対応できないと言うことです。
このように、病床を差し出してつなぎ融資に充てようと思ったところができないということで、本当にどうしようかということを悩んでいる。これくらい厳しい状況になっている。期中改定も視野に入れてほしいと言いたいところまできています。
では、どうしようか、もちろんお金がないことは分かっているのですけれども、やはり今回の0.88の改定率のうち0.61は人件費に対するベースアップ評価料となり、職員の給与はある程度アップしたけれども、まだ周りには追いついていない。しかもそれは経営原資には充てられない収入なので、今回はプラス改定と言っても病院の経営としては使えないものばっかりになってしまった。
ここは本当に、これまでの小手先のことでは賄えない状況であり、病院団体がいつも言っているように、やはり基本的な入院基本料の大幅アップ、そして、更にできるとすれば、ある程度の施設基準の緩和、人員基準とかそういうところの緩和をして、もちろんこれは、悪かろう安かろうではいけません。しっかりとしたアウトカム評価をしながら、ある程度合わせ技で、(専任・専従の)1人分の評価をするとか、いろいろな方法があると思います。
この施設基準の緩和というのも1つの手法ではないか、お金をかけずに何とか効率よく医療を提供してもらう、そして、アウトカムをしっかり評価しながら、そこを見ていくということも大事ではないかと思っています。
もう一つ、医療DXを進めることによって効率化できるのではないかと言いますけれども、今、いろいろな医療DXの方向性が出ていますけれども、全てメインテナンス費用がほとんど入っていない、ここが結構病院団体としても非常に厳しい状況になっている。それがボディブローのようにどんどん効いてきて、もちろん補助金をいただいているけれども、更に自己資金をそこに出さなければいけないということでそこも十分ではないということがデータとして出ています。
いろいろなことで、本当に厳しい状況があって、本当にR8改定まで待てるのかという、それぐらいの印象を、現場感覚としては持っていることをお伝えしておきたいと思います。
もちろん、できること、できないことは十分ありますし、ここではしっかり1号側、2号側、そして公益側の皆さんといろいろご議論を頂きながらということになりますけれども、とにかく、今、現場は一刻も早く何とかしなくてはいけない状況まで来ているということを、お知らせしておきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
医療機関を取り巻く状況の資料でございますが、本テーマは、現在、医療界全体が直面しております物価高騰や賃金引上げといった深刻な課題について、議論を開始するキックオフのテーマであると理解しております。
歯科診療所の約8割は、個人立の歯科診療所であり、少人数で運営されているケースが大半を占めます。
本日の資料では、法人や病院に関するデータが中心となっておりますが、今後は可能な範囲で、多くの個人立の小規模な歯科医療機関の実態もしっかりと把握、分析できるよう、御配慮いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。御説明いただき、ありがとうございました。
改めて医療機関の厳しい経営状況が分かりました。これらの状況を踏まえ、示された課題について、令和8年度診療報酬改定では必要な対応を行っていくものと考えております。
厳しい経営状況については、薬局も同様となります。薬局の倒産件数が過去最多になっているとリサーチ会社等で公表されているところです。
前回の医療経済実態調査の結果で既に明らかとなっていますが、約3割の薬局が赤字となっており、規模別に分析してみても、全ての規模で損益差額、収益下げ率ともに対前年比でマイナスとなっています。
また、平均的な薬局の階級においては、保険調剤収益が減少した一方、給与費、水道光熱費、その他の経費が増加した結果、収益率は36.3%も減少しており、損益差額は、税引き前で月15万円にも満たない極めて厳しい経営状況です。
そうした状況の中、令和7年度中間年改定が行われました。薬局では薬剤費が収入の約75%を占めており、中間年改定による保有資産価値の減少、それから売上の減少が薬局にとって非常に大きな影響となっております。
18ページ目で、医療機関の支出に影響を与える様々な費用の動向分析が行われていますが、薬局においても薬剤費や委託費、その他の費用が医療機関と同様に増加しております。
また、世間並みの賃上げ対応を行える状況には全くなくて、日本薬剤師会で2024年度の賃上げ状況を調査しましたけれども、半数の薬局で賃上げそのものができなかったという結果となっています。
今後も物価、賃金上昇が継続することが見込まれます。診療報酬改定においては、医療機関・薬局の状況や物価賃金上昇の状況を踏まえた対応が必要だと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
本日から実質的な議論に入るということでございますので、最初に医療機関を取り巻く状況、特に医療機関の経営状況を取り上げることにつきましては、前回申し上げましたとおり異論はありませんけれども、そもそも診療報酬改定というのは、医療経済実態調査を実施した上で、医療機関の経営状況、保険者の財政状況を把握した上で、賃金、物価の動向も総合的に勘案して行うものだと認識しております。
昨今のインフレを踏まえた議論を否定するつもりは全くございませんが、過去のデフレ期にはどうだったのかということも考慮することも必要です。
したがいまして、36ページに挙げていただいております課題につきましては、近年の状況に焦点が絞られている印象を受けます。私からは、少し長期的なトレンドについてもコメントを差し上げたいと思います。
まず、資料の6ページにございます、1日当たり医療費でございますが、これは患者にとっては、医療サービスに対して受診時に支払う単価に相当するものでございます。
平成12年度から令和5年度にかけて、入院は約1.8倍、入院外は1.6倍に増加しております。高齢化の要素があるとしても、平均すると、毎年2、3%程度の上昇、これは医療費単価のインフレを意味いたしますけれども、続いたことで、7ページにございます受診延べ日数が減少傾向にあっても、5ページにあります全体医療費が、コロナ禍の例外を除きますと増え続けているという構造にございます。
また、本日の資料にはございませんが、保険者の立場といたしましては、医療費を支える保険料や、そのベースとなる被保険者の報酬レベルが医療費単価の水準と乖離していることも考慮すべきだと考えます。
資料の8ページ、9ページを見ますと、病院の患者数は減少し、病床利用率も低下しております。医療機関の努力や、コロナ禍の影響もあるかと思いますが、今後、保険料の負担が限界に達する中で、人口減少がさらに進み、特に外来や急性期入院の患者数が確実に減少することを想定いたしますと、医療資源を集約化して、これまで以上に医療を効率化しなければ、医療機関の固定費を賄うことさえ難しくなると考えております。
ちなみに、我々健保連、1,380の健保組合を抱えておりますけれども、そこの令和6年度の決算見込み並びに令和7年度の予算見通しにつきましては、いずれも経常ベースで赤字でございます。
次に12ページを見ますと、令和4年度から5年度にかけて医療法人の利益率が低下していることは、事実として受け止めております。
ただし、平均値と中央値は、病院と診療所で相変わらず格差がございます。また、病院と診療所のそれぞれ平均値、中央値、最頻値にずれがあり、かなり利益率が高い医療機関があることが類推されます。
先ほど事務局からコメントがございましたが、病床の規模や機能、診療所の医師数、患者数といった切り口で詳細な分析が必要だと考えております。
さらに、収支均衡ラインが最頻値になっていることについて、医療法人の非営利性も踏まえますと、これをどのように解釈すべきかということも課題だと受け止めております。
次に、17ページにございます収支構造の中身でございますが、費用の半分以上を占めます人件費の増加が利益を圧迫していることが示されております。出典元の福祉医療機構のデータが全ての病院を代表する数字なのかについては、検討の余地があるかと考えております。
また、新型コロナ対応支援資金の融資が影響しているかどうかについても精査する必要があると考えますが、2018年と2023年度の対象施設数にかなり違いがあることを踏まえまして、100床当たりに換算し、限られた範囲で可能な限り公平に分析した結果については受け止めております。
その上で、19ページを見てみますと、病院の100床当たりの従事者数が増加していることが分かります。
勤務医の負担軽減や、地域医療構想を進める中で、医師だけではなく、看護師やリハビリ職、事務職員を手厚く配置した結果だと解釈することができます。
一方で、人材確保はある程度できているという見方もできます。今後さらに人材を確保する必要があるということであれば、20ページの賃上げの動向も併せて考えますと、医療を効率化することが病床稼働率の向上や、収益の確保という観点からも重要だろうと思います。その際には、病床当たりの従業者数の適正な水準についても検討すべきだと思います。
次に、21ページにあります、ベースアップ評価料についてですが、86%の病院が届出をしている一方で、診療所は3割未満ということですので、診療所で低調な要因を詳細に分析する必要があると考えます。
一方で、届出を行っている医療機関の賃上げについては、資料の22ページを見てみますと、中央値は目標とした2.5%を達成しておりますけれども、2.5%に届いていない医療機関も一定数ございますので、この要因についても分析していただきたいと考えます。
また、今回は計画値ベースでございますが、実績値で検証することも必要だと考えます。
次に、看護職の人件費について、資料の25ページ、26ページで、年齢上昇や正看護師比率との関係が示されておりますが、前回改定の議論の中で、診療側のほうから看護補助者の確保に関する意見も多々あったと思いますので、看護補助者の活用による人件費の影響についても分析をしてはどうかと思います。
次に、29ページからの薬剤費についてでございますが、これは保険償還の仕組みとして、薬剤費が伸びることが直ちに医療機関の利益を圧迫するものではないと考えます。
31、32ページの設備投資については、今後新たな地域医療構想を進める中で、医療機関の再編が必要となることが想定されますが、補助金と診療報酬との役割分担もあろうかと思いますし、こうしたものの補助金については、また別の場で議論があるものと考えます。
最後に、保険者の立場といたしましては、保険料の引上げは限界に達しておりますので、今後は医療DXの成果を本格的に活用することも含めまして、医療の効率化が、これまで以上に重要だということを改めて指摘させていただきます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、オンラインで鳥潟委員がお手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
次期診療報酬改定に向けて、賃上げや物価高騰が大きな論点の1つになると認識しており、客観的なデータに基づき、実態をしっかり確認していきたいと考えております。
松本委員もおっしゃっておりましたが、22ページにあるとおり、ベースアップ評価料を届け出ている医療機関では計画値ではありますが、一定賃金が上昇していることが分かります。この点、今後実績を確認していく必要があると思います。
一方、21ページのとおり、届出状況に大きなばらつきがあります。この点については、どういう要因でばらつきがあるのか、今後詳しく分析していけたらと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
まず、12ページに医療法人の利益率が示されておりますが、先ほど、事務局や松本委員からもお話があったと思いますが、経営状況については、開設者別ではどうなのかなど、医療経済実態調査なども分析し、様々な視点でお示しいただきたいと考えております。
続いて、22ページのベースアップ評価料を届け出ている医療機関の賃金割増率について、計画値が示されておりますが、実際はどうなのかしっかり見ていく必要があると考えます。
また、ベースアップはしたが、一時金が下がった職場もあると聞いております。ベースアップだけでなく、年収で見るとどうなのかといった点もお示しいただくようお願いいたします。
最後に、34ページの現状認識として、社会全体として賃上げが進んでいる中、医療関係職種についても、給与額が増えているが、産業全体の平均には届いていないとあるように、このままで他産業との差がさらに開いてしまえば、人材が流出してしまうのではないかという現場の声も聞いております。
医療人材の確保に向けては、状況を分析した上で、さらなる賃上げも必要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、いかがでしょうか。
では、まず、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
今、おっしゃるように、今の物価高、賃上げという社会の流れということで、非常に経営がつらいというのは、認識をさせていただきました。
ただ、やはり、医療報酬につきましては公定価格ということで、では、上げていいのかという部分もありますので、その中で、やはり今みたいなインフレのときは上げるけれども、では、デフレのときはどうだったのか、デフレのときも実は、報酬は上がっていたのではないかということも考えられますので、まずは、資料としても過去の趨勢として、今、損益計算と、いわゆるPLで何年か分表示されておりますが、では、これを累計した、例えば、BSというような概念で内部留保があるのか、ないのか、それが先ほど長島委員からおっしゃったように資金繰りの問題もあるかと思いますが、やはり、ある意味では、内部留保がどのようになっているかという観点からも、資金としてどうなのか。
例えば、今、損益計算の中では減価償却がありますよと、ただ、減価償却は社内留保でありますので、資金的には施設のほうで留保されると、では、どのようにするかという形もありますので、そういったことも含めながら、ある程度分析をしながらやっていくべきではないか。
それと、設備投資につきましても、やはり補助金だとか、医療費に上乗せをしているとか、いろいろな条件もあるので、必ずキャッシュアウトがそのまま、それについて非常に資金繰りが苦しいということではないという認識もありますので、この辺は、あくまでも公定価格ということでありますので、やはり社会全体の流れの中で、では一緒に上げられるかというのとは、ちょっと別の判断になるかと考えておりますので、その辺も含めまして、内部留保の部分についても、もう少し中身を御検討いただくような資料をいただければと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、奥田委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
もう既に各委員からお話があったように、やはり実態をより詳細に、正確に把握する上では、もっと細かなデータが必要かなということで、事務局におかれては、その工夫をいただければと思います。
先ほども事務局から課題認識でありましたけれども、医療機関の収支状況については、病院とか診療所別、また、医療機関の規模別であるとか、診療科別というお話がありました。
また、地域医療を考える上では、人口に基づく都市部と地方とか、そういったデータなどもあれば、より詳細な分析または議論ができるのではないかと思いますので、そういった、これからの診療報酬改定に対応していくべき課題を浮き彫りにするようなデータをお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
国民に必要な地域医療を、診療所、病院、薬局を問わず、安定して継続して提供できることこそが、国民の幸福であり、公的医療保険の目的であると考えております。今、その地域医療が危機に瀕しております。このことを念頭に置いて、診療報酬改定を行うべきと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
先ほどから内部留保ですとか、資金繰りという発言が支払い側からもありましたので、今回のデータで、13ページ、14ページで福祉医療機構、WAMのデータで、いわゆるPLベースのデータを出していただいていますが、我々3月12日に病院団体、医師会と合同で記者会見をさせていただいたときに、同じくWAMさんに、いわゆる債務償還年数の分析をお願いして、その結果が出てきていましたので、それに関しても御報告をさせていただいております。
ここに示してありますように、2023年度、1,943、1,900を超えるWAMにお金を借りている医療機関のデータになります。
我々からすると、福祉医療機構さんにお金を貸していただくというのは、意外に大変な話でございまして、かなりしっかりとした事業計画とかを立てていないと、お金を貸してくれないのです。そういう意味では、結構立派な、立派なというと変ですけれども、病院のデータということになりますし、当然、これは金融機関ですのでアンケート調査と違いまして、確実なデータになっています。
それで、私どももびっくりしたのは、2023年度ですけれども、債務償還年数1,943の病院のうち債務償還年数がマイナスになっている病院が42%ございました。債務償還年数がマイナスということは、どれだけたっても借金が返せないということと同時に、当然、これは営業キャッシュフローがマイナスということになります。経常利益と減価償却を足してマイナスで、毎年毎年キャッシュアウトしていっている状況の病院が、既に福祉医療機構でお金を借りている病院の42%に及んでいるということになります。
そういう状況の中で、今回、福祉医療機構さんに緊急融資枠をつくっていただくという状況まで、今、病院の経営状況、特に資金繰りも含めて悪化しているということは、再度付け加えさせていただきます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ありがとうございます。
ただいま医療現場から非常な声を聞いていただいたと思いますが、2000年初めに医療崩壊ということが出たと思います。そのときとは全く事情が違うということを御理解いただきたいと。
今回は、WAMの債務償還年数、30年超えとマイナスというのが50%になっていると、これは破綻懸念先という、金融からすれば、これはもう潰れていくよという判断をされているのが半分あるということは、これは現場でキャッシュフローが回っていないという現状があると思います。これは、病院も診療所も同じであります。薬局もそうであります。
そういうことを御理解いただきたい。
先ほど、デフレ下で医療費が上がっているということがありましたが、これは、高齢者医療の範囲内に収めてということがついておりまして、医療の革新、医療の技術の推進といったことについては、全くついてきていない。しかし、医療はどんどん進んできているというところで、全く遅れてきたということがあります。
その結果として、世界に比べて日本の医療は、本当に追いつかないほど遅れてきているという現状があるということを御理解いただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
先ほど人材の確保というお話があったのですけれども、実は人材の確保もすごく困っているのですが、もう一つは、人材の流出という問題があります。一般の企業が一万数千円、5、6%の賃上げをおこなっていますが薬局は、その3分の1にも届いていません。
そうしますと、当然人が集まらないのみならず、辞めていくという、この現実はきちんと分かっていただきたいと思います。
薬局も、医薬品提供体制が取れなくなるような現状にならないようにしていただきたいと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
本件、当初、報告事項と申し上げましたが、審議事項に変えて、委員の方々から多くの御意見、御質問をいただきました。
複数の委員の方々から御要望がございましたが、より精緻なデータの提供、それから、今回御報告があった以外の分析もよろしくお願いいたします。
なお、今回提出していただいた資料は、一番新しい数字が2023あるいは計画値となっておりましたが、複数の委員の方々からも御要望がありましたように、できるだけアップデートされた数字で議論をすることも重要なポイントではないかと思います。
この辺りでこの件についての質疑は終了させていただきますが、本日、委員の方々からいただいた多くの御意見、御質問を踏まえて、今後、事務局におかれましては、さらに検討をしていただくようにお願いいたします。
以上で、本日の議題はおしまいでございます。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。