第4回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)
日時
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議事
○山川座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第4回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。構成員の皆様方、大変お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、勇上構成員、眞保構成員、清田構成員が御欠席となります。事務局では藤川審議官が公務のため遅れて参加される予定です。
本日の研究会は、Zoomによるオンライン開催と会場からの参加の相互となっております。会場には倉知構成員、田中伸明構成員にお越しいただいております。開催に当たりまして事務局から説明があります。
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局です。まず、開催に当たりまして、4月1日付けで事務局に異動がありましたので、紹介いたします。樫村地域就労支援室長です。渡部主任障害者雇用専門官です。澤口障害者雇用促進研究官です。以上です。
次に、本日もZoomを使ったオンライン参加を頂いておりますので、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、研究会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際は、画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックし、事務局や座長から発言の許可があった後に、マイクをオンにして、必ずお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。Zoomの操作方法につきましては、事前にお送りしましたマニュアルを御参照ください。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦いただきますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川座長 それでは、議事に入ります。カメラ取材の方がおられましたら、頭撮りはここまでとさせていただきます。
本日は、第2回と第3回のヒアリングにおいて、関係者の皆様から頂いた御意見等について整理、集約した資料を資料1として事務局に用意してもらっております。本日は構成員の皆様においては、ヒアリングで頂いた御意見等に関して委員の皆様のお考えや御意見などを御自由に御議論いただきたいと思います。それから、第1回の開催時に事務局から説明がありましたとおり、この研究会は今年中をめどに取りまとめを行う予定です。
そのため、今後は資料1の各項目についてヒアリングでの御意見も踏まえて、構成員の中でも議論を進めていくこととしてはどうかと考えております。こうした進め方についても、御意見がありましたら併せてお話いただきたいと思います。
それから、本日は資料2の諸外国の障害者雇用促進制度について、事務局からドイツ、フランス、米国、米国の制度の概要を説明していただきます。これらの諸外国の制度の概要については、JEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が現在行っております「諸外国における障害者雇用施策の現状と課題に関する研究」の中で、これまで把握された事項について厚労省が中間報告を受けて、中間報告に基づいて厚労省の事務局において作成されたものです。本日は諸外国の制度も踏まえながら、全体について幅広く御議論いただきたいと考えております。
それでは、まず事務局から御説明をお願いします。
○西澤障害者雇用対策課長 事務局です。まず、資料1について説明させていただきたいと思います。資料1ですが、「関係者ヒアリングにおいて出された意見と今後の進め方について」と題しています。御出席賜りましたように、2月と3月の第2回、第3回でヒアリングを行っています。そのヒアリングした項目について、それぞれどのような意見があったかを整理しています。今後、こうした意見も踏まえて、それぞれの論点について議論を深めていただければと思って整理をさせていただきました。
内容です。まず、最初のページから障害者の「雇用の質」についてです。(1)の所に書いてありますのは、12月にヒアリングの項目として出した問いかけです。それに対して、どのような意見があったかということが、その下の四角で囲まれた所に整理しています。
1つ、「雇用の質」の関係ですが、多かった意見としては「雇用の質」に関して質を評価する仕組み、認定など何か質に関するそういったものが必要ではないかという御意見が出たかなと思います。雇用率についてにも、少し反映してほしいという御意見もありました。それに対する懸念の御意見もあったかと考えています。
2ページ目です。既存施策の「もにす認定」や助成金の運用に関する御意見もありました。もう1つ、その下に書いてありますが、いわゆる障害者雇用ビジネスについての御意見もいろいろ出たかと考えています。ガイドラインが必要ではないかといったことや考え方の整理などが必要ではないかといったことで、そういったことも雇用の質の一環の中で議論すべきという意見があったかと考えています。
3ページ以降、雇用率制度に関する議論です。まず、その(2)、これは雇用率制度に関するヒアリングの際の問いかけですが、各項目ごとにまず整理をしています。マル1、手帳を所持していない難病患者、精神・発達障害者の関係です。3ページの四角の中の一番上に共通の内容を、まず書いています。これは様々な意見がありましたので列挙しています。就業上の困難性を個別に捉えるべきではないかといった御意見もありました。両立支援制度に関する御指摘、あとは雇用率制度については、どこかで線を引かないといけない、ある程度分かりやすくないとならないという御意見もありました。
あとは手帳を所持している現在、雇用率の対象となっている障害者の雇用を圧迫しない対応も必要ではないかといった御意見などがありました。
難病患者の関係については、3ページの下から4ページに掛けて記載しています。何らかの形で雇用率の対象に加えるべきではないかといった御意見もありました。あと、支援が必要な方について、対象にすべきではないかといった御意見があった一方で、難病患者を一くくりで障害者というように雇用率の対象にするのはどうかという御意見もありました。その他の雇用率以外の手段も含めて考えるべきといった御指摘もありました。合理的配慮の必要性などについても、御指摘がありました。
その下ですが、精神・発達障害の関係です。発達障害の手帳との関係ですが、精神保健福祉手帳の取得を促すという御指摘、また、その手帳を持っていない発達障害の方も診断などにより、何らか結び付ける必要があるのではないかという御意見。精神障害について、手帳を所持していたのだけれども、その手帳の更新がされない場合に、雇用率上、何らかの配慮が必要ではないかといった御意見もありました。
5ページです。マル2、A型事業所の位置付けです。これについては、A型が特に一般就労が難しい方の受皿で、要は障害福祉サービスによる訓練という性格を考えると、雇用率や納付金の対象から外すべきではないかという御意見もあった一方で、そこについては慎重に検討すべき、他と同じく労働者であるといった御指摘もありました。
また、事業協同組合算定特例、特にこれはLLPの活用を念頭に置いて、そこにA型が入っていることの懸念を御意見として言う方もいらっしゃったかと思っています。
5ページの下のほうですが、精神障害において「重度」を設けるかどうかというところです。「重度」のところですが、「重度」の区分を検討すること自体はあり得るのではないか、自然ではないかといった御意見もあります。ただ、手帳の級ではなくて本当に困難なのかどうかということを判定する必要があるのではないかといった御意見、また、精神障害にはやはり波があるので、「重度」の線引きは難しいのではないかという御意見もありました。
6ページに掛けてですが、他方で「重度」との関係で短時間、20~30時間未満の方の今、1カウントとしている特例については、これは障害の特性などを踏まえると特例措置、要は1カウントというのは続けてほしい、恒常化すべきといった御意見がありました。
6ページのその下です。マル4は100人以下の事業主への納付金の納付義務の適用範囲の拡大です。こちらについては、拡大をしていくべきという御意見の中で、特に経営実態や雇用が進んでいる状況なども踏まえて、経過的な対応や激変緩和措置など、そういったことも十分に必要ではないかといった御意見があったと思います。あとは、その納付金の額に関する御意見などもありました。ここまでがヒアリングで個別の項目を立てていたところの意見の整理です。
その下、マル5として、それ以外の障害者雇用制度全体に関する御意見が幾つかありました。近年の雇用率の引上げのペースに関する問題意識や、雇用率の算定になる失業者の就労準備性に関する御懸念などや、障害福祉サービスから一般雇用への移行が必要であるといった御意見がありました。
7ページですが、さらにそれに当てはまらないその他の意見をこちらに主なものを整理しています。その中では、加齢の問題、中高年になった障害者の方への対応、除外率をこの4月に下げていますが、除外率の廃止に向けたスケジュールを明確にすべきといったようなところ、また、支援の財源や助成金の既存の運用などに関する御意見があったかと思います。資料1については、以上です。
引き続き、資料2について説明させていただきます。資料2は、大部ですので少しかいつまんで説明させていただければと思います。まずは表紙に書いていますが、今、正にJEEDで諸外国に関する研究を昨年度と今年度に掛けて実施しています。その中間的な報告を踏まえて事務局で作成したものです。また、調査研究の中で明らかになっていく部分などもあれば、更新していきたいと考えています。
作りなのですが、その次のページ以降からドイツ、次いでフランス、アメリカ、イギリスの4か国の制度の概略を書いています。その後に少し統計の部分でどういったことが分かるのかといったことを書いた上で、この4か国と日本を比較した場合に日本の制度の特徴がどういったところにあるかということを最後のまとめで書いています。
2ページから、まずドイツです。これは各国共通ですが、それぞれ障害者雇用率、その対象、納付金的なもの、助成対象など、その他様々な取組について概略を載せています。
3ページです。真ん中ぐらいにドイツの雇用率制度ですが、法定雇用率が5%で、達成企業割合は38.5%ということになっています。対象者などは後のスライドで説明します。
4ページです。納付金に当たる負担調整賦課金というものがあります。こちらの特徴としては、雇用率が達成の度合いによって不足の状況に応じて、要は不足が大きいほど額が高くなるというような仕組み、やや制裁的な意味付けもあるといったところです。そのように確保した財源も含めて、4ページの下部にあるような各種の事業主への助成金などを支給しているということになっています。
5ページ、ドイツの支援の仕組みです。連邦雇用エージェンシーという紹介や訓練を行う機関、その他職業リハビリテーションを行う機関もあります。真ん中に記載していますが、2009年にジョブコーチを制度化していて、ジョブコーチによる支援も行っています。その下ですが、障害者作業所と包摂事業所ということで、福祉的就労の選択肢もあるという制度になっています。
6ページですが、「重度」への対応ということで、一定の方について、雇用率の複数カウントをしているということで配慮しているということです。雇用制度単位の中の軽度者への対応という所ですが、一定の障害度50というものがあります。障害度50以上の方は基本的にそのまま雇用率の対象になるのですが、それよりやや低い障害程度でも、個別にその雇用エージェンシーが雇用率へのカウントを認定するという仕組みになっています。課題としては、これはフランスでも出てきますが、地域間の格差などが課題として把握されているということです。
7ページ以降ですが、差別禁止や合理的な配慮に関する法制です。ドイツの障害者への差別禁止は社会法典の中に位置付けられています。7ページの真ん中にあるような職場での待遇について差別は禁止されて、事業主に対して義務付けられているというところです。トラブルなどがあれば、当局への相談など、最終的には民事訴訟で解決するといった法体系になっています。
8ページです。合理的配慮についても同じように法律で定義され、規定されていて、同じように事業主に義務付けられているというところです。
最後に、その雇用の質向上の施策としては、質を評価するという仕組みではないのですが、事業主向けの雇用ガイドというものを発行しているという情報があります。次のページは障害福祉の対象障害者ということで、御参考にしていただければと思います。
10ページ以降です。フランスの仕組みです。11ページの雇用率の所ですが、中ほどにありますが、フランスの雇用率は6%です。ただ、それに対して達成割合は31%ということになっています。
納付金的なものですが、12ページにありますが、こちらは企業の規模が大きいと少し単価が大きくなるという仕組みになっていることと、少しドイツと似ているのは3年以上納付金しか払っていない、要は雇用していなくて納付金で対応しているという所は少し高い金額になっているというところです。ドイツもそうですが、福祉的就労への発注で少し納付金を減額する仕組みがあります。ただ、以前、フランスはこの福祉就労への発注をカウントしていましたが、それは止めている。ただ、納付金の減額には使っているということです。納付金で得た財源は、この12ページの下半分にあるような各種事業主等への助成金や支援に使っているという仕組みになっています。
13ページは、支援機関などです。紹介機関や訓練を行う機関もあります。フランスは2016年にジョブコーチを法制化していて、そういった支援も行っている。福祉的就労の選択肢も用意されているという仕組みになっています。
14ページです。重度者への対応ということで、一定の重度の方については個別に事業主にコストの支援を行っています。あと、やや高齢の50歳以上の障害労働者の複数カウントということを行っていて、そういった配慮をしているということです。
雇用率制度の対象者ですが、15ページです。フランスは、能力低下率というところで80%以上の場合は基本的に、それによって認定をして対象にしている。80%未満の障害者についても、求職中であったり、仕事をしているという個別の状況に応じて、県の障害者センターの多分野専門家チームによる審査によって認定をしているという仕組みになっています。ドイツと同じように地域差があることや、各種の会議を行う必要があるという情報を得ています。
16ページ以降ですが、これも差別禁止と合理的配慮の法制です。フランスも労働法典の中で障害を理由とする差別を禁止をしていて、全ての事業主に対して義務付けをしているということです。17ページは合理的配慮、同じように法律の中で規定をしているというところです。
その下の雇用の質の向上に関しては、包摂性の評価ルールを作って公表しているというところです。18ページは、福祉の対象障害ということで参考にしていただければと思います。
次いでアメリカです。これからアメリカとイギリスですが、いわゆる雇用率制度がない国になります。アメリカなのですが、20ページです。雇用率制度は真ん中よりちょっと下の所ですが、雇用率はないのですが、雇用目標ということで連邦政府と連邦政府と取引のある業者について、それぞれ12%、7%という目標が立てられています。そこに入る障害というのは、ここに列挙されているようにやや幅広いものになっています。
21ページに続きますが、これは雇用率ではなく、あくまでも目標なので納付金などの現金の徴収のような仕組みはないというところです。アメリカですが、ジョブセンターによる支援や各種の職業リハビリテーションをする機関もあります。あとは精神障害について、IPSという考え方で個別支援をしているというところと、特徴としてはジョブコーチを最初に取り入れたのはアメリカですので、1980年代からジョブコーチが法制化されているというところです。
22ページは、福祉的就労です。アメリカはどちらかというと、企業での一般雇用を重視しているという情報で、一定のプログラムなどはありますが、より直接雇用を重視していると考えられます。
23ページは、重度者への対応です。先ほど雇用目標が連邦政府12%というものがありましたが、その中の2%は重度の障害者を雇うようにという目標を設定しているということです。重度の障害者にも専門的支援としてIPSやジョブコーチの援助付き就業など、そういった個別のプログラムで対応しているというところです。
24ページは、雇用の場における差別禁止です。アメリカの場合、基本的に雇用率がないのでADA法という差別禁止、合理的配慮の法律が基本的な施策になっています。障害の定義や対象事業主がこの法律に規定されていて、アメリカ雇用機会均等委員会で苦情の調停を行うといった仕組みになっています。25ページ、合理的配慮もこのADA法に定義されて規定されています。
アメリカの雇用の質に関する取組ですが、障害平等指数というものが作られています。これに約540社が登録をしているという情報を得ています。
次にイギリスですが、27ページ以降です。28ページですが、雇用率は真ん中ぐらいにありますが、以前はありましたが1995年に廃止をしているというところです。ただ、政府としては障害者の就労を増やすことを公約にして取り組んでいるところです。
29ページですが、一定の助成や税制優遇があり、支援機関としてはジョブセンタープラスというワークコーチ、アドバイザーを派遣する、紹介をするという機関や訓練を提供する事業者があるというところです。ジョブコーチも自治体単位で実施されているという情報を得ています。
30ページですが、福祉的就労も以前は国営のレンプロイ保護工場というものがあったそうなのですが、それが今、廃止をされて、どちらかというと一般企業への就労を重視しているということになっています。その下ですが、雇用支援プログラムやIPSという個別的な就労支援を中心に行っているというところです。
31ページ以降ですが、これも差別禁止の法制です。2010年平等法という法律の中で、定義をされているというところです。こちらも同じように全ての事業主に義務付けられていて、調停やあっせんの仕組みもあるということになっています。32ページは合理的配慮です。こちらも同じ法律の中で規定をされています。
イギリスの雇用の質の向上の施策です。イギリスは障害コンフィデント制度というものを導入していて、3段階のレベルで企業の取組を分類するということです。2万事業主が登録をしているそうです。34ページに御参考までにそのレベル1、レベル2、レベル3の情報を載せています。
36ページ以降は、これは比較のために日本の制度の概要、現行の制度ですが載せています。こちらも皆様御案内の内容ですので、割愛をさせていただきます。
42ページです。これは日本のデータなのですが、手帳を持っている方の雇用されている方のデータにおいて、生活のしづらさ調査で取ったものです。これは設問が各年ごとに少し違うのですが、平成23年と令和4年を比べていますが、いずれの障害区分についても手帳を持っている方の雇用者の割合は増えているというところです。経年で見ると、少し進歩しているのかなというところが見えるデータです。
43ページ以降ですが、今まで制度の特徴をお示ししてきましたが、統計でどういったことが分かるかというものです。こちらは、なかなか統計による国際比較ということは難しいのですが、1つの最近の動きとして44ページにありますように、一般の多くの人を対象にした統計調査に、障害者であるかどうかという設問を入れたほうがいいのではないかという議論がありました。それに基づいて、内閣府で調査研究をして、国際的に使っている設問を入れてはどうかということで、実際に国民生活基礎調査と総務省の社会生活基本調査に一定の設問を入れたという経緯があります。
45ページは、そのときの国際的に使われている調査ということで、ワシントングループの設問と、欧州統計局、EUが使っている設問を載せています。これを使った調査について、どういったデータがあるかというものは46ページ以降です。まず、日本の国民生活基礎調査とアメリカの地域社会調査というものがあり、これはそれぞれ調査手法が必ずしも一緒ではないので、単純な比較をするものではないのですが、それぞれワシントングループに基づいた設問を設けているということで比べています。障害者数ということで見ると、日本のほうが割合が低いというところですが、その障害があると答えた方の就業率で見ると、日本が67.3%でアメリカは44.5%で、この調査でいくと日本のほうが高くなっている。かつ、括弧内ですが、この括弧内は障害がないと答えた人との就業率の差ですが、そのギャップも日本のほうが小さくなっているというデータがありました。
47ページは、その2つの調査の実際の設問です。ワシントングループに基づいてしている設問を並べています。
48ページですが、今度はヨーロッパでどのようなデータがあるかというところです。ヨーロッパでも、性格としては少し違うのですが、国民生活基礎調査のように一般の家庭の所得など、そういった社会的状況を調査したEU-SILC調査というものがあります。そこの設問というのは、ワシントングループと異なる設問なのですが、同じように日常生活に支障があるかといったようなことを聞いているものがあります。その結果がこちらです。まず、やはり支障がある人の割合は日本に比べると高い、20%近辺にあるというところですが、就業率を見ると50%台というところになっています。比較的その日常生活で支障がないと答えた方との就業率の差も、比較的大きいというようなデータになっています。以上、可能な範囲で統計を集めてみたものです。
今の制度の概要とこういった統計を比較して、どういったことが日本の特徴なのかと整理したものが次のページ以降です。50ページは、今、説明したドイツとフランスの制度の概要を再掲しています。51ページは同じようにアメリカ、イギリスを再掲しています。52ページは、日本との比較ということで、日本の特徴を少しどういったことが考えられるかということを書いています。上の四角にも書いてありますとおり、比べてみると日本の制度というのは、ドイツ、フランスのような比較的高い雇用率を設けている国と、アメリカ、イギリスのように基本的に差別禁止法制でやっている国のちょうど間ぐらいにあるのではないかと言えるのではと考えています。
右側の赤い四角の中ですが、雇用率自体はあるのですが、労働市場の状況を踏まえて設定をしている。ドイツ、フランスは必ずしも日本のような改定を頻繁に行っているわけではないというところで、日本の特徴としては実雇用率と法定雇用率のギャップが少ない。かつ、その達成割合も高いということで、企業が遵守をするという取組は日本のほうが数字は高いのかなと思います。
納付金ですが、ドイツ、フランスはやや制裁的な性格もあるのですが、日本は基本的にその費用の調整ということで必要な額を徴収していて、その財源の中で必要な助成を行っているというところです。
統計の部分は、なかなか難しいのですが、例えば日本のほうが雇用率の範囲や率という意味では低いわけですが、だからといって、必ずしも統計を見る限りではヨーロッパやアメリカのほうが就業率などが高いというデータが、今、あるわけではないということかなと考えています。
支援の内容としては、いわゆる障害者就業・生活支援センターによる生活支援も含めた支援などが、日本の特徴と言える可能性があるのではないかということを書いています。この調査研究は引き続き、必要なデータなどを踏まえて進めていきたいと考えています。すみません、説明が長くなりましたが、以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、構成員の皆様から御意見、御質問があれば頂きたいと思います。資料1のヒアリング結果と、資料2の外国の制度と実態でかなり質が違いますので、取りあえず資料1のヒアリング結果のまとめにつきまして、まず御質問と御意見があればお話いただきたいと思います。その後、資料2のほうに移って、あとは全体的なまとめとして御意見等を頂きたいと思います。資料1、これは議論の進め方も含めてということであったかと思いますが、御質問、御意見等はございますか。山口構成員、お願いします。
○山口構成員 こんにちは。愛知県中小企業団体中央会の山口です。私からの意見ですけれども、これまでのヒアリングの意見整理や諸外国との制度比較についての説明をありがとうございました。
私からは、資料1のうちの障害者雇用率制度等の在り方について、特に2点を申し上げます。まずは、多くの中小企業に影響が及ぶマル4の納付金の100人以下事業所への適用拡大についてです。納付金の納付対象の適用拡大については、これまで障害者雇用の促進を担った面はあると思いますが、一方で、数の雇用は達成しても、質の面では不十分な雇用実態もあると聞いております。また、中小企業は、現在、社会保険の適用拡大、物価や最低賃金の大幅な上昇、国際的な経済社会の不透明感もあり、非常に厳しい経営環境に置かれています。雇用率引上げから、立て続けに納付金という義務の拡大となる制度改正を行うことは、こうした中小企業に経済的、事務的負担を更に負わせることになります。雇用の質の向上が議論に挙がっている中で、質の面を重視した雇用促進を図るという点でも懸念があります。雇用ゼロ企業や、雇用率未達成企業の実質的な取組を促すためには、1年前に創設された相談援助助成金をはじめ、助成制度の効果検証・分析による中小企業が利用しやすい支援策への見直し・拡充やハローワークやJEEDなどの公的支援機関による企業の実情に応じたきめ細かな相談・支援機能の充実などによって障害者雇用のハードルを取り除き、質も含めた雇用促進のための環境整備を図るべきだと考えます。これらの施策によって雇用環境が整った場合に、社会・経済の状況も見ながら納付金の納付義務対象の拡大を検討してはどうでしょうか。
次に、マル2、就労継続支援A型事業所とその利用者の取扱いについてです。A型事業所は、雇用施策と福祉施策の両方に位置付けられており、制度創設から20年近くを経て、現状、一般就労が難しい方の雇用の受皿として、地域における障害者雇用の重要な役割を果たしております。私も実際にA型事業所を運営しておりますが、採用から実際の雇用現場において、個々の利用者の実情や声を聞きながら働きやすいように工夫しております。
また、第1回研究会でも申し上げたように、報酬改定で経営状況が悪化したA型事業所の廃業が増えた結果、利用者である障害者の方の生活にも少なからず影響が生じていると聞いております。
ヒアリングの御意見にもありましたが、A型事業所とその利用者の雇用率制度における位置付けを検討するには、現状のA型事業所の実態を利用者のニーズも含めて十分把握、分析した上で密接に関わる福祉施策との連携も取りながら検討していく必要があると思っております。私からは以上であります。
○山川座長 ありがとうございました。本日は幅広く御意見を伺うということで御意見をお伺いしております。それでは、ほかに御質問や御意見はございますか。倉知構成員、お願いします。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。一応、全ての項目について、ざっと意見を述べさせていただきます。まず、障害者雇用の質についてですが、やはり質の評価が必要という意見がたくさんありました。私も、「もにす認定」での援用とか、具体的な合理的配慮をどうしているのか、このような形で質を評価する仕組みを入れていくのは大事なことではないかと思っています。ただ、実雇用率という量と質を一緒に評価していくというのはかなり難しいものがあるので、量は量としてやった上で、質についても評価をし、それを認定したりとか、公表するなどした形で質の評価を社会から見てもらえるような、そのような形にしてはどうかなと思っています。
次に2ページの、いわゆる障害者雇用ビジネスに関することです。ヒアリングでも、ほぼ全ての方々が否定的な意見を、好ましくないという意見がありましたし、私も何とかしなければいけないなとは思っています。いわゆる障害者雇用ビジネスを利用している企業に対して、好ましくないということをしっかり伝えていくということは必要ですが、もう1つ、障害者雇用ビジネスが増えていく、要するに、規制できない、何が壁になっているのかということを、1回きちんと整理する必要があると思っています。どうも観念的なところだけでは進まないなと思っていて、私は今の雇用ビジネスの実態を見ると、差別禁止に当たらないかなということを少し懸念しているので、この辺りも含めて検討すべきではないかなと思っています。
次に、障害者雇用率制度の在り方についてです。難病患者のところが出ていましたが、私は難病ということではなくて、今の手帳制度で対象とならないけれども、就業困難性を抱えている方々をどう救っていくかということを検討することが大事で、そこに難病の方も入るように考えたいと思っています。難病患者の方も今の手帳制度に該当する方はたくさんいらっしゃるので、それはそれでやっていただいて、ただし、そこに該当しない慢性疾患の方、難病の方としてその痛みとか、易疲労性というのは今の手帳制度では救えないので、この辺りの困難性をどう評価していくのかということが大事になってくる。そして、やはり困難性があるということであれば、特例障害者のような判定書のような形で、雇用率の対象にしていくことは大事ではないかなと。その評価の方法や評価の基準については、もう一回別途、検討会などでしっかりと議論していくべきではないかと思っています。
次に4ページですが、精神・発達障害者の方々で手帳を最初は持っていたけれども、中途で対象とならないというケースは起こり得るということ、実際はあると思います。その場合、その方を一定期間実雇用率にカウントするということは、私も必要ではないかなと思っています。
次は5ページです。A型事業所の位置付けについて、多くの方々が、普通の企業と同じように扱うのはいかがなものかというのが意見としてありました。私も同じだと思っています。A型事業所ができた頃と今とでは、随分障害者雇用の環境が変わっていて、今、A型事業所を利用している方々が、そのまま企業で働いている方々と余り変わらないような気がしています。いろいろ意見はありますけれども、私は将来的にA型の事業所が特例子会社のような、いわゆる社会的障害者雇用企業に移れるような仕組みというのを考える必要があるのではないかなと思っています。
例えば、労災法はそのまま適用するけれども、雇用保険や納付金制度や交付金の助成金制度にはなじまないので外していく。その代わり、そういう社会的な障害者雇用企業になった場合にはこれらを適用していくとか、このような形で移れるような仕組みを考える必要があるのではないかと思っています。当面、事業協同組合の算定特例にA型が入るということは、この制度そのものの根底を覆すということになるので、これは外すことを検討すべきではないかと思っています。
次に、重度障害者の区分です。3障害を考えたときには、身体障害、知的障害に「重度」を残すということであれば、精神障害も「重度」が必要かなと思っていますが、そもそも「重度」という概念が必要かどうかというのは検討する必要があるのかなと思っています。また、高齢障害者についての重度扱いということも、「重度」という制度を残すのであれば検討してよいのではないかと思っています。
次に、100人以下の事業主への納付金義務の適用範囲の拡大ということですが、私は法定雇用率と同様の適用範囲にしていいのではないかと思っています。というのは、納付金を取る、徴収することが目的ではなくて、障害者雇用にしっかり意識付けをしていただくということが大事なので、法定雇用率と同様にしていこうと。その代わり、今、雇用相談援助事業ができましたが、まだ十分に充実しているとは言えないので、これをしっかり充実させて、企業支援も同時にしっかりやっていく、これはセットで考えるべき。さらに、激変緩和措置を入れるということも大事ではないかなと思っています。
最後に7ページ、その他の所です。企業に籍を置きながら福祉制度を利用できる仕組み、加齢や障害の進行によってということですが、これを検討する必要があると思いますし、私は雇用と福祉の連携強化の検討会があったと思いますが、ここをもう一度設定して、こういうことを検討する。特に難病の方も含めた障害者雇用義務の対象をどの範囲にしていくのかということや、企業に籍を置きながら福祉制度を利用できる仕組み、この辺りを検討する必要があるのではないかと思っています。長くなりましたが、私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見や御質問等はございますか。田中伸明構成員、お願いします。
○田中(伸)構成員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。私も、お示しいただいた論点について、簡単ではありますが、意見を一通り述べたいと思います。まず、「雇用の質」についてですが、これはやはり客観的な指標は必要だろうと考えております。障害者活躍推進計画などを参考にして、是非、障害者の立場から質の充実を客観的に判断する指標を検討していただきたいと思います。
例えば、職場における情報保障がしっかり確保されていることとか、研修制度への参加が十分に確保されていることや、企業内において昇給・昇進などキャリア形成の制度が有効に機能していること。更には、ジョブコーチが充実しているといった辺り、様々、要素は立てられるかと思いますので、そのような項目を整理して、指標の検討をしてはどうかと考えております。
雇用率関係ですが、まず、難病、精神・発達の方など、障害者手帳をお持ちではない方への対応ですけれども、働きづらさを抱えている方が、どのように働いていただくかという視点が必要かと思います。雇用率制度の中で考えるというよりは、働きづらさを抱えている方で、これは手帳を持たない方や生活困窮者の方など、様々おられると思いますので、そういった雇用率とは別の対策というものの中に、障害者手帳をお持ちではない難病、精神・発達の皆様の就労支援を組込んではどうかと考えております。
次に、A型事業所ですけれども、これにつきましては、やはり実態の把握が必要になるのかと考えております。実態を把握した上で、A型事業所の在り方を考えていく必要があろうかと思います。ただ、先ほど倉知構成員からもありましたように、ヒアリング等を拝聴しておりますと、少なくとも事業協同組合の算定特例からは外してもいいのかなという感想を持っております。
次に、精神の「重度」の認定の関係ですが、客観的指標があればこれを考えてもいいかと思いますが、状態が回復したり悪化したりと、波もお持ちの方も多くおられますので、果たして「重度認定」が可能かどうかというところは、十分検討が必要かなと考えております。
それから4番目、納付金制度ですが、これも激変緩和措置というものは必要かと思いますが、やはり100人以下の企業にも拡大していくのは、前向きに考えてよいのではないかと思います。ここが進まないと、やはり意識的にも障害者を雇おうという意識付けができないのではないかと、そのような考えを持っておりますが、また、この点はこの研究会でも、十分に構成員の皆様の意見も拝聴しながら考えていきたいと思っております。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見や御質問等はございますか。冨高構成員、お願いします。
○冨高構成員 幾つか発言を申し上げたいと思います。まず、「雇用の質」の評価の部分です。「雇用の質」を評価する指標、仕組みが必要という声はヒアリングでも多くあったかと思います。例えば、「もにす認定」も活用しつつ、「雇用の質」を表彰、認定するような仕組みを検討するというのは重要かと考えております。その際に、ヒアリングでも指摘がございましたが、障害者のキャリア形成、能力開発の促進であったり、また、それに基づく処遇の改善を指標に取り入れることで、能力開発と処遇改善の好循環を生み出せるような環境整備を後押しできるのではないかと考えます。
それから、障害者雇用ビジネスですが、これは先ほども意見ございましたけれども、ヒアリングでも懸念の声があり、我々も懸念しているところです。まずは実態がどうなのかというところを把握する必要があると考えております。ビジネス提供企業や利用企業に対して、そこで就労している障害者の傾向や就労に至った経緯なども含めた実態調査を行い、現状や課題を把握をすることが不可欠だと考えております。その上で、ビジネス事業者や利用企業などに対するガイドラインの作成であったり、規制の要否などについて検討するべきではないかと考えます。
次に、雇用率制度です。手帳を所持していない難病患者の位置付けですけれども、これは雇用率制度の対象に加えるべきとの意見も多くでていましたが、何を基準に対象とするかというところは、まちまちであったと思っております。
例えば算定の基礎については、手帳の所持者とする枠組みは維持しつつも、海外の事例なども参考に、手帳とは別で就労困難性を測る指標を基に判断する仕組みを検討するというのも、1つあるのではないかと思います。
また、JEEDの難病患者の就労困難性に関する調査研究が2024年に出ておりまして、従来の障害認定基準に含まれない、体調の崩れやすさなどの「その他の心身機能の障害」の具体的な内容や程度と就労困難性の関係というのが記載されていたと思いますので、そういったものも参考にすることができるのではないかと考えたところです。
それから、A型事業所や利用者の位置付けです。A型事業所の役割というのが一般就労への移行を目指す方から、また福祉的就労、地域雇用の受皿と、非常に多岐にわたる発言があったかと思います。認識もかなりばらつきがあるという印象を受けたところでして、改めてA型事業所の担う役割や特性を再確認した上で、今後の施策を整理する必要があるのではないかと考えております。いずれにしても、一般就労への移行を希望する方が、何らかの理由で留め置かれるということはないようにしなければいけないと考えております。既存の障害者就業・生活支援センターなどの活用もしっかりしていきつつ、一般就労へ移行しやすくするような仕組みも検討するべきではないかと思います。
それから、精神障害の重度区分の精神障害者の雇用率算定特例の部分です。この特例措置について、ヒアリングでは、維持・恒常化すべきではないかといった意見がありましたけれども、この特例措置自体はJEEDの調査研究を踏まえて、「重度」の取扱いが一定整理されるまでの「当分の間」とされていたと承知しているところです。
この調査研究では、手帳の等級や疾患の種類、精神障害者の就業状況に関連すると考えられる十分な結果を得られていないとされていたと思います。症状に個人差もありますし、環境の影響を受けやすいことは、重々承知しておりますが、やはり詳細分析や海外事例などを参考に「重度区分」の整理をしていくことが必要だと思います。あまり特例措置を安易に先延ばすことにならないよう、早期に検討して結論を得る必要があるのではないかと考えます。
それから、100人以下企業の納付義務の適用拡大についてです。100人未満企業間での公平性の観点も含めて、負担軽減措置なども検討しながら拡大に向けた検討自体はしていくべきであり、併せて、中小企業への支援、雇用率ゼロ企業をなくしていくための取り組みも進めるべきだと考えます。
最後に、除外率の廃止の部分です。これはヒアリングでもスケジュールの見通しは明らかにすべきという御意見がありましたけれども、同様の認識でございます。早期廃止に向けた全体像というものを示していただくことが必要だと考えています。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかに御意見や御質問はいかがですか。新銀構成員、お願いします。
○新銀構成員 全国精神保健福祉会連合会の新銀でございます。2点お伝えします。先ほど、冨高構成員からも出たのですが、資料1の6ページ、週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者の雇用率算定特例についてなのですが、これは私どもの考え方としては、精神の場合、特に短時間労働の必要性は大変強く感じています。この特例措置というのが、特例のままずっと在り続けるということはどうかと思うのですが、維持・恒常化すべきと考えています。
2点目は、諸外国の障害者雇用促進制度についてということで読ませていただいたのですが、特にアメリカで言われているIPSのところに強く関心を持っています。そのIPSによる就労という位置付けが治療の一環であるということ、精神障害者が一般就労で働くということは、既にそれそのものが治療であるという考え方に大変興味を持っています。
その上で、医療、福祉、雇用分野の専門職が同じ土俵で、労働について、雇用について話す環境があるということ、それから、そのことについて考えられるメリットとして、健常者とともに働けるということ、それから生活の質を高めることや健康の増進が見込まれるというメリット、スティグマの軽減が見込まれるというメリット、精神障害にとってスティグマの軽減というのは大変重要と考えています。
そのような意味で、是非とも日本版の地域生活就労支援モデルとして、援助付き雇用の実現に向けて、検討を進めていただければと考えています。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、御意見等はございますか。渡邊構成員、お願いします。
○渡邊構成員 筑波大学の渡邊です。私は今回の資料1の内容的なものに関する意見というよりは、この研究会に対しての要望を1つ申し上げたいと思います。
関係団体からのヒアリングでは、様々な御意見を頂戴したかと思います。雇用の質に対する評価方法の必要性や、就労困難性を評価した仕組みの導入の必要性など、現時点では日本では十分に対応できていないような点への言及が多かったように思います。そのような点を今後、議論する、検討する際には、本日の資料にあるような諸外国との比較を行うことで、多くの示唆が得られると考えています。特に当該国において、なぜそのような制度が導入されたのか、理念的なものや当該仕組みに対しての評価など、そのような詳しい内容を少し知りたいと思っています。ですので可能であれば、研究会の場で専門家などをお呼びして、お話などを聞ける機会を設けていただければと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。進め方に関する御意見も、もちろんお話いただければと思います。それでは、大谷構成員、お願いします。
○大谷構成員 お世話になります。全国手をつなぐ育成会の大谷です。よろしくお願いします。ほとんど皆様が言われたので、それほど言うことはほぼないという気はしますが、まず1点、一般就労されてる方の質、雇用の部分において、辞めていく方がやはり多いという部分は、ちょっと捉えていただきたいということです。何が起こっているかというと、やっぱり質の問題があり、なかなかそこで上手にいかないと。やはり長期の就労が続かない方もかなり多いということがあるので、是非とも、そういう面においての質の向上を図っていただきたいということです。
それと、雇用ビジネスについては、再三皆様が言われてるように、何らかのことはやっていかないと、今、1万人程度と前回お聞きしていますので、これがまた増えてくれば、対応は後手後手に回る可能性が高いということがあります。是非とも、何らかの措置をしていただいて、そこに関係している企業等へも、やはりそういう旨のことをしっかり伝えていって、方向性を変えていただく方法を考えていただかないと、方向性がどんどんどんどん変わっていくことになり得るかなと感じています。
それから、手帳所持の関係については、手帳に取らない方という場合と、そうでなしに、やはり手帳に関わらないものですね、特に知的問題、身体的な問題以外のものについては、やはり手帳の必要性がないという方もかなりおられると思います。その中で、ただ雇用との関連性も出てくると思いますので、特殊的なものをやはりピックアックしていくということは大事だと思います。そこにおいて、その時点においてから考えていくという、現時点、何らかの基準が必要ということがありますので、手帳所持というのは大事な問題ではないかと思いますので、そこから外れる方については、ある程度の検討課題としては持っていて、対応できるようにしていく必要があるのではないかと思います。
それから、100人以下については、何らかの措置を取って進めていっていただきたいと思いますが、同じような条件下で果たしていいのかということもありますので、その辺の経営状況等も考えていただいて、就労に向けて考えていただけるような対策を取っていただければと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。ほかには御質問、御意見等、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。また後で御発言していただいても結構かと思います。それでは、諸外国の障害者雇用促進制度について、資料2です。一部御意見等も頂きましたが、こちらの資料2について、御質問、御意見はありますか。田中克俊構成員、お願いします。
○田中(克)構成員 田中です。よろしくお願いします。ドイツの制度の概要について御説明いただきましたが、先ほどの資料1でも問題になった精神障害等におけるこの重症度評価に関わるところですが、ドイツの場合には、GdBというのでしょうか、障害認定の有無を使ってやってるようですが、精神障害の重症度判定もこれによってやっているのかどうなのか。資料を見たところでは、このGdBの点数は50点以上だったら、50ポイント以上だったら一律に扱われるような印象を持ったのですが、これを細分化して重症度判定まで使ってるのかどうなのか、そこをお伺いしたいです。
○山川座長 ありがとうございます。御質問でしたので、これは事務局にお願いしてよろしいでしょうか。
○西澤障害者雇用対策課長 事務局です。お尋ねの件ですが、ドイツの場合ですけれども、障害種別を通じてこの障害の程度ということで数値化しているものと思います。で、重度者の所ですが、6ページで一定の支援が必要な知的・精神障害や高齢の方をカウントしているということで、こちらはそのような数値化しているのかどうかということは、ちょっと分からないところですので、障害種別にどういうことがどこまでやっているかは、もう少し分かればまた把握したいと思います。障害の程度で数値化は一応、80~100が重度の社会適応の困難というところで、一応これは精神の方も含めてそういう判定をしているということのようです。これは統合失調症の例ですけれども、そういったものがあるそうです。その他どのような情報が把握できるか追って確認したいと思います。
○田中(克)構成員 ありがとうございました。すみません、ちょっと自分で調べた範囲では、50ポイント以上は一律かなと思っていたのですが、カウント最大3カウントまでということがあったので、少しそこで、また多分50ポイント以上の障害で分けてやっているのかなと思ったところです。先ほど議論にもありましたように、精神障害における重症度判定は非常に難しいところがあって、先日お話させていただきましたけれども、それがなかなかうまくいかないということで、精神障害者がパラリンピックもなかなか出られない現状があり、現時点においては、やはり今の雇用制度が障害者手帳が基になっているわけですから、あと、将来的には、雇用における困難度や就労継続における困難度、それぞれの指標を作って手帳の有無にかかわらずやっていけばいいと思うのですが、現時点においては手帳を基に整備をやったほうが公正が保たれると思います。中でも精神障害においては基本的には就労に関してはより重度の方が平均値にあると思いますし、また重症度の判定も難しいということでは、海外のお話を聞いていると、それほど重症度で分けていることは余りなかったように思ったのですが、もしドイツでやっている方法である程度妥当な方法があるのだったらそれを参考にと思いますが、そうでない場合には現状のままやっていくのがいいのかなと思ったりしています。もし、ドイツを始めとして精神障害の重症度判定が社会的にコンセンサスを得られたものがあれば、紹介していただきたいなと思いました。以上です。
○山川座長 ありがとうございます。諸外国の調査は、なおJEEDのほうで進行中でありますので、もし御必要がありましたら、特にこの点はということを事務局にお伝えいただければ、JEEDのほうにもお伝えいただけるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。新田構成員、お願いします。
○新田構成員 使用者側の経団連の新田です。御説明ありがとうございました。今回、諸外国の制度について、まだ中間報告とのことではありますが、このように整理していただいたことにまずは感謝を申し上げます。資料の最後の頁に、諸外国の制度概要の一覧表を付けていただいて、比較もしやすく、分かりやすい資料にまとめていただいたという印象を持ちました。その上で、それぞれの制度概要の頁で記載されている障害者の定義もこの一覧表に加えていただきたいということと、どのように障害者として認定をされているのかという手続部分についても、各国の比較ができるよう一覧表に入れていただけると、非常に有益な資料になるのではないかと思いましたので、要望として申し上げておきたいと思います。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。これもJEEDにお伝えした上で、恐らく表として整理することは可能ではないかと私の感覚としては思いましたが、事務局は何かございますか。
○西澤障害者雇用対策課長 情報を整理して、また表をアップデートしたいと思います。
○山川座長 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、資料2についての御質問、御意見等を頂きましたけれども、全体として資料1、2を通じて何か追加的に御発言、御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、本日は幅広く御意見等をお伺いしたところでございます。で、今後これを踏まえて、お進めいただくことになろうと思います。私の個人的な印象を申し上げますと、具体的にどうこう言うことはないのですが、幾つか本日のご議論の中で共通する点があったように思われます。1つは、行政の手法、障害者施策の手法のようなものが問われているのかなと思いました。例えば「雇用の質」を重視することはほぼ御意見が一致したかと思いますが、指標をどうするのかということと、質を評価する場合にそれをどのような施策の中に取り込んでいくかということがあります。また、難病等の方々につきましても何らかの対応が必要だという御意見が多かった中で、手帳の中で取り扱っていくか、手帳とは別に、しかし雇用率の中で取り扱っていくか、さらに、雇用率とは別の仕組みを考えていくかといった様々な行政手法についての御提案があったかと思います。これは恐らく背景にあるのは、従来の身体障害ですと、比較的固定的な障害内容だったのですが、難病と精神というタイプの多くについては、不定型であるとか、状況に応じて変動するといった特性がある。それが最近非常に重要になってきたことが背景になって、どのような行政手法を使うのかが問題になってきているのかなと感じました。
もう1つ、ほぼ共通して複数の方から御意見を頂いたのは、実態把握の重要性ということで、諸外国も含めてですが、特にA型事業所の役割、それから障害者ビジネスと言われるものの実態について把握する必要があるという点だと思います。3つ目が、施策の中で支援の問題は、雇用率ということに議論がかなり重点が置かれてまいりましたけれども、更に、様々な支援制度、助成制度ができておりますので、それらの働き方ないし役割、あるいは関係性ですね、雇用率制度ないし新たな行政手法も含むかもしれませんが、そういった支援との関係、連携、役割のようなものも何度か御議論が出てきたかと思います。その他の実際に施策を導入する場合の進め方等についても、これはどちらかというと審議会マターなのかなとも思いますが、フィージビリティの問題等もありますので、種々、御意見を頂いたところでございます。御議論を頂いた感想のようなことになります。
それでは、まだ若干時間がありますけれども、追加的な御発言等よろしいでしょうか。それでは、特にございませんでしたら、本日、非常に有益な御意見を様々頂きましたので、今後具体的な議論につなげていただけるような御対応ないし資料の作成等を事務局にお願いいたしたいと思います。
では、次回の日程につきまして事務局から説明をお願いします。
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。次回、第5回の開催は、皆様に確保いただいている日程の中で調整し、追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○山川座長 それでは、以上で本日の研究会は終了いたします。お忙しい中、皆様大変ありがとうございました。