2025年3月27日 第196回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和7年3月27日(木) 14:00~16:00

場所

厚生労働省専用第22~24会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階)

出席者

公益代表委員
荒木委員、安藤委員、川田委員、神吉委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員
労働者代表委員
川野委員、櫻田委員、冨髙委員、藤川委員、古川委員、松田委員、水野委員、世永委員
使用者代表委員
鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員、松永委員
事務局
岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、佐々木総務課長、澁谷労働条件政策課長、篠崎賃金課長、田上労働条件確保改善対策室長、中島企画調整専門官、小嶋労働条件企画専門官

議題

(1)金融商品取引法等の改正に伴う労働基準法施行規則の一部改正について(報告事項)
(2)労働基準関係法制について 

議事

議事内容

○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第196回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 なお、本日の分科会は会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催することとなっております。
 本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の松田惣佑委員が御欠席と承っております。
 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
 本日の議事に入りたいと思います。
 本日の議題(1)は「金融商品取引法等の改正に伴う労働基準法施行規則の一部改正について(報告事項)」です。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
○賃金課長 賃金課長でございます。
 1つ目の資料を御説明させていただきます。金融商品取引法等の改正に伴う労働基準法施行規則の一部改正についてでございます。
 金融商品取引法が令和6年に改正されまして、それに伴う形式的な整備を省内で行っておりまして、その中の一つに労働基準法施行規則がございまして、これについて報告をさせていただくものでございます。
 表紙をめくりまして1ページを御覧ください。御説明をいたします。
 賃金の通貨払いの原則に対する例外として認められる方法の一つとして、労働基準法施行規則におきましては、証券会社の総合口座への払込みが規定をされております。
 そういった中でございますが、今般、金融商品取引法の改正がございまして、いわゆる総合口座の第一種金融商品取引業を行う者に新たな区分が設けられるということでございます。新たな区分はプロ投資家を対象としたものでございますので、労基則の現行の第一種金融商品取引業を行う者の範囲を従前のとおりとするために、新しく加わった非上場有価証券特例仲介等業者を除く改正をしたいというものでございます。
 真ん中に絵がございますが、左側が改正前でございまして、現行も通常の総合口座、黄色の部分でございますが、そのほかにその特例として第一種少額電子募集取扱業者というものがございます。これも振込先としては認められていないものでございますが、これに加えて右側でございますが、特例2として今回、非上場有価証券特例仲介等業者が設けられるものでございます。
 どういったものかということが下段のほうに書いております。1、2、3と書いておりますが、冒頭御説明したように、プロ投資家を対象とした非上場有価証券の仲介業務に特化した業者であるということ。
 2つ目には、現行、労基則において賃金の払込みが認められていない第一種少額電子募集取扱業者と同様に、自己資本規制比率等が緩和されているということ。
 3つ目としましては、この新しい業者への金銭の預託は、預託から1週間以内に行う非上場有価証券の売買による取引の決済のために必要なものに限るといった特殊なものでございますので、通貨払いの原則に対する例外として認められる方法には加えないということでございます。
 形式的でございますが、こういった省令の整備をするというものでございます。
 なお、金融商品取引法の法律の施行日につきましては、今のところ5月1日を予定しているというものでございまして、この省令も5月1日に施行することを予定しているものでございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればお願いをいたします。なお、オンライン参加の委員におかれましては、御発言の希望をチャットで書いてお知らせください。いかがでしょうか。
 特段御意見はないということでよろしいでしょうか。
 それでは、本分科会においては、ただいま事務局から説明がありました金融商品取引法等の改正に伴う労働基準法施行規則の一部改正を報告事項として承ったということとさせていただきます。
 議題(1)についてはここまでとさせていただきます。
 続きまして、議題(2)は「労働基準関係法制について」です。資料No.2「労働時間制度等に関する実態調査結果について(概要)」について、事務局から説明をお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
 それでは、資料No.2を御覧ください。労働時間制度等に関する実態調査結果ということで、前々回の分科会におきまして速報値を御報告させていただいたものでございます。今回はクロス集計等を含めて全体版をお示しするというものでございます。大部になりますので、適宜、重要なポイントに絞って御説明をさせていただければと思います。
 まず資料でございますが、8ページまでお飛びください。7ページまでは目次等々でございます。
 8ページからでございます。まず事業所調査の結果概要です。
 8ページから10ページまでに関してはフェイスシートでございまして、これは前々回のものと基本的に同じでございますが、表の右肩にnといたしまして、それぞれ実際の有効回答数を表示させていただいております。事業所調査よりは個人調査のほうで出てまいりますが、より細かく分けた際に有効回答数が少ないような項目もございます。そういった場合には、やや数字に関してはぶれが生じるケースもあることは御承知おきいただければと思います。
 11ページでございます。今回行いましたクロス集計についてでございます。
 まず11ページは、労働組合の有無と企業規模、そして事業所規模がどのような関係にあるかというものでございます。労働組合でございますが、労働組合がないところが90.2%、労働組合があるところは合計10%程度というものでございますが、企業規模、事業所規模と強く相関をしております。企業規模や事業所規模が大きくなるほど労働組合があるという回答が多くなっていくという関係性でございます。
 続いて、労働時間のデータに入ります。
 まず13ページでございますが、こちらは前々回のものと同じでございますので割愛をいたします。
 14ページでございます。36協定の締結状況でございます。
 こちらは事業所の規模と労働組合の有無でクロス集計を行ったものでございます。前々回の中でも御指摘がございました36協定を締結していない事業所、全事業所の中で42.3%あったというものでございますが、この中身につきましては、1~9人の小規模の事業所で非常に多いというような状況でございました。事業所規模が大きくなるにつれまして、協定を締結していないところは少なくなっております。
 同様に、労働組合に関しましても、締結していないという答えは労働組合のない事業所で多いという結果となっております。
 続いて、15ページから時間外労働、法定休日労働に関してでございます。
 15ページは前々回と同じですので、16ページから。
 16ページから21ページまでが時間外労働の平均、最長、法定休日労働の平均、最長、そして時間外労働と法定休日労働時間の合計の平均、最長の時間と事業所規模、労働組合の有無、適用猶予業種の有無をクロス集計したものでございます。大体共通した傾向がございますが、時間外労働時間の平均、最長について、いずれも事業所規模が大きいほどやや長くなるという傾向がございます。ただし、平均の場合は45時間を超えた長時間の層、最長の場合は100時間を超えた層といったようなところでは事業所規模の傾向は薄れまして、それぞれの事業所の傾向が出ているのかなというような結果となっております。
 法定休日労働も同じ傾向がありまして、法定休日労働がゼロであるか、法定休日労働が存在するかという部分につきましては、事業所規模が大きいほど休日労働があるという結果でございますが、長時間になってきますと事業所規模との相関は薄れてくるというような形になっております。
 事業所規模との相関がございますので、見かけ上、労働組合の有無で見ると、労働組合がないところのほうが0時間の数が多いというような結果となっておりますが、事業所規模との影響が大きいのかなというところでございます。
 適用猶予業種であるかないかというところとの関係ですと、適用猶予業種であると答えた事業所のほうが押しなべて時間外労働、法定休日労働が長いというような結果となっております。
 続いて、22ページからでございます。実際にそこに所属する従業員の方がどれぐらいの割合で各時間外労働時間の階級に該当しているかというものの割合でございます。こちらは無回答や不詳が結構ありますので、横の合計が100にはなってございませんので、そこは御了承いただければと思います。
 実際の労働者数でございますけれども、多くの労働者、この表の全体を100と見ますと9割を超える程度でございますけれども、平均では45時間を切るような時間外労働をしているというものでございます。45時間を超えた割合については、先ほどと同様で、事業所規模や労働組合の有無での傾向はあまりないというような状況でございます。ただし、適用猶予業種の有無に関して言いますと、45時間超えの割合は適用猶予業種のほうが多くなっておりますので、やや傾向が見られるかなというところでございます。
 25ページ、26ページですが、特別条項の発動回数と1か月で80時間を超えた回数を取ったものでございます。
 こちらに関しては若干凸凹した結果となってございますけれども、大きな傾向が見られるということではないのかなというものでございます。若干、労働組合の有無のところで言うと、事業所規模が大きいところのほうが少し数字は大きくなっていますが、それほど大きな相関性はないのかなというところでございます。
 続いて、27ページから30ページにかけて、法定労働時間44時間の特例業種に絞ったものでございます。全ての事業所が10人未満の事業所でございますので、御了承いただければと思います。
 まず27ページでございますけれども、所定労働時間40時間を超えるところが全体で言うと大体1割でございます。これを対象産業の別に見ますと、卸売業、小売業ですとか宿泊業、飲食サービス業、それから理容業、美容業といったところで割合が高くなってございます。
 28ページが、それらのところも含めまして、割増賃金の支払をどこからスタートしているかということでございます。
 こちらで見ますと、40時間を超えている割合が所定労働時間の表ですと10%ありましたが、割増賃金を支払っている週労働時間数の表ですと5%強でございまして、一定40時間以内のところから割増賃金を払っていただいているような事業所があるという結果となっております。
 続きまして、29ページ以降、これらの事業所に関する時間外労働の状況でございます。
 こちらも数字を見ていただければお分かりのとおりでございますけれども、45時間を超えるような時間外労働がある割合は、全体で見ますとそれほど多くないということでございまして、法定労働時間44時間の特例を使っているところであっても、時間外労働がそれほど長時間になっているというような結果ではないということかと考えております。
 続いて、31ページは前回お示ししたものでございます。
 32ページ、33ページ、管理監督者及び機密の事務を取り扱う者に関してでございます。
 まず32ページでございますが、全体の数字を示した際に、管理監督者がいないと答えた事業所がかなりの数あったということで、これがどういうことなのかというような御指摘もあったかと思います。
 こちらを事業所規模でクロス集計してみますと、1~9人のところ、10~29人のところというように、小規模のところで管理監督者がいないというお答えをしている事業所が多いというような結果となっております。事業所規模が大きいところでは管理監督者がいると答えた割合が多くなっております。ただ、事業所規模の大きいところでも一定数いないという答えはございまして、今回の調査で管理監督者の定義を部長、工場長等と示していたということで、やや狭くお捉えになった可能性もあるのかなというところでございます。
 33ページでございますが、労働時間管理のルールと事業所規模をクロス集計したものでございます。
 機密の事務を取り扱う者に関するものに関しては、特段事業所規模での傾向は出ていないところですが、管理監督者に関しましては、事業所規模が大きくなるほど専用のルールを適用していると答えた割合が高くなってございます。
 続いて、35ページはフレックスタイム制の導入でございます。
 フレックスタイム制に関しまして、導入状況を事業所規模、労働組合の有無でクロス集計を取りますと、事業所規模が大きくなるほど導入していると答えた割合が高くなっております。導入した場合の清算期間につきましては、1週間超1か月以内が顕著に大きくなっているということで、大体のところは1か月で清算をするという結果になっているのかなというところでございます。
 労働組合の有無に関しましても、労働組合がないところと比較しますと、労働組合があるところでフレックスタイム制を導入している率が高くなっているという結果でございます。
 続いて、勤務間インターバルの関係でございます。
 37ページは前回お示ししたものと同じですので飛ばします。
 38ページでございますが、勤務間インターバルの導入状況を産業別にクロス集計したものでございます。結果を確認しますと、導入している率が高いのが運輸業、郵便業、それから電気・ガス・熱供給・水道業、金融業、保険業といったところでございます。
 運輸業、郵便業に関しましては、現在も改善基準告示におきまして勤務間インターバルの導入をお願いしているということもあって、高くなっているというところかと思います。電気・ガス・熱供給・水道業ですとか金融業、保険業では、相対的に大規模な事業所も多いということと、産業の特性上勤務間インターバルを設けやすいということなのかなというところでございます。
 39ページ、企業規模、事業所規模、労働組合の有無でクロス集計を行ったものでございます。
 企業規模による傾向はきれいには出ておりませんが、事業所規模のほうはそれなりにきれいに出ておりまして、基本的には企業規模、事業所規模とも、大きくなるほど勤務間インターバル制度の導入率は高くなっております。
 また、右端でございますけれども、導入していない企業に関しても、今後導入予定、もしくは導入を検討しているという率、これも企業規模、事業所規模が大きいほうが高く出ているというような結果でございます。
 一番下でございますが、労働組合の有無に関しましても、労働組合がない事業所とある事業所で比べますと勤務間インターバルの導入は労働組合のある事業所の方が率が高い。また、導入予定のところも労働組合がある方が率が高いという結果となってございます。
 40ページ、41ページでございます。
 勤務間インターバル制度を適用しなくていい、いわゆる例外条項のようなものをどのような形で設けているかというものでございます。
 まず産業別に見たものが40ページで、こちらに関しましては、電気・ガス・熱供給・水道業ですとか、卸売業、小売業で一番左の「災害等によりやむを得ず対応が必要な場合」というような割合が高くなっております。
 そのほか、各産業の事情を反映してそれぞれに例外条項を設けているという結果でございますが、一番右端、「適用除外は認めていない」、すなわち全労働日に適用しているというお答えに関しましては、金融業、保険業ですとか、医療、福祉、サービス業、運輸業、郵便業といったようなところで高くなっているというような結果でございます。
 41ページは、こちらを企業規模、事業所規模とクロス集計を行ったものでございます。
 こちらに関しましては、企業規模や事業所規模での大きな傾向はございません。ただ、労働組合の有無との傾向で見ますと、適用除外を認めていない率のところで労働組合がないところに比べると労働組合があるところのほうが高く出てきているというような結果となっております。
 42ページです。勤務間インターバルの制度導入状況と時間外・休日労働の関係でございます。
 勤務間インターバル制度を導入していない場合に時間外労働がないという率、例えば最初のところで言えば0時間の部分でございますけれども、「制度はなく、導入の必要がない」というところが26.4%と最頻値となっているということで、導入しているところでは0時間の割合は低くなっておりますけれども、これは時間外労働がある程度あって、勤務間インターバルが必要なところで率先して制度を導入していただいているというような結果なのかなというところでございます。
 以降、同じような傾向となっております。
 続いて、年次有給休暇の関係でございます。45ページからでございます。
 45ページ、46ページでございますが、年次有給休暇の時季指定義務に関するものでございます。
 まず45ページでございますけれども、時季指定義務に関しまして、1~9人といった小規模のところで指定できておらず、労働者が年5日取得できていないと答えた事業所の割合が大きくなっているという状況でございます。
 一方で、46ページの年休の繰り越しに関してですと、小規模の1~9人の事業所で5日以下しか繰り越していない、要するに取り残さずに使っている率が高くなっているというような状況でございます。
 これは一見すると、相反するような結果となっているところでございますが、一方で、他の統計でございますけれども、労働力調査で見ると、小規模事業所はパート比率が高くなっております。また、賃金構造基本統計調査で平均勤続年数を見ると、やはり小規模事業所のほうが若干短いというような結果でございますので、ここに関しては、そもそもの付与日数の違いというものが影響している可能性があるかなというところでございます。
 続いて、47ページでございます。
 時季指定の方法と取り残しの年次有給休暇の平均日数がどうなっているかというものについてクロス集計を行ったものでございますが、こちらに関してはそれほど大きな傾向は出なかったかなというところでございます。
 48ページ、49ページ、時間外労働時間と年次有給休暇の取り残しの平均日数といったものをクロス集計したものでございます。
 こちらに関しましても、年休の取り残しが6日以上20日未満ぐらいのところで0時間~20時間以下という部分の割合が少し高くなってはおりますが、全体としてそれほど相関のあるような結果はなかったかなというようなところでございます。
 50ページは時効を経過した年次有給休暇の取扱いで以前お出ししたものですので割愛いたします。
 続きまして、割増賃金でございます。
 割増賃金に関しては、52ページに割増賃金を払っている週労働時間数は何時間ですかというところですとか、36協定の締結状況でございますけれども、こちらに関しては追加のクロス集計はございません。前々回お出ししたものと同じでございます。
 続いて、53ページから事業場外みなし労働時間制に関してのものでございます。
 54ページでございます。事業場外みなしに関しまして、対象となっている労働者がいますかということを聞いたものが左上でございます。営業等の外勤の方がいるといったところは22.3%、出張の方がいるというのが26.4%、そのほかテレワークの方ですとかその他の労働者の方がいるというようなお答えでした。
 右側でございますが、営業等外勤ですとか出張時の方に関しまして、どのような場合に労働時間の算定がし難いものがあるかというものを聞いたところでございます。多いのは、始業・終業が自由であって把握できないということですとか、外回りで業務を本人に委ねていますというようなところでございますとか、該当するときはないというような答えも一定数あったという状況でございます。
 下側でございますが、テレワークの方を含めまして、実際にどのような形で労働時間を管理していますかと聞いたものでございます。労働時間の管理方法に関しては、概ねを占めるのは自己申告、システム入力なり紙なりというものでございますが、テレワークの方に関してはPCの使用ログを使っていますという答えがほかに比べると高くなっております。一方で、管理していないという答えも高くなっているというような形となっております。
 続いて、56ページからテレワークに関するものでございます。
 テレワークの導入状況をまず企業規模とクロス集計したものでございます。テレワークを行う労働者のいる事業所は全体のおよそ1割でございますけれども、これを企業規模でクロス集計いたしますと、企業規模が大きくなるほどテレワークを行っている方がいる可割合が高くなっているというものでございます。
 この場合に、どのような労働時間制度を適用しているかというものでございますが、通常の労働時間制度というものが一番多いものではございますが、企業規模が大きくなるに従ってフレックスタイム制を活用していると答えた割合が多くなってきております。通常の労働時間制度以外のところではフレックスタイム制が一番使われているという結果となっております。
 57ページでございます。テレワークの場合の労働時間を算定し難いときというのがどういうものがあるかというもので、全体で聞いたものとの比較でございます。
 テレワークの場合ですが、始業・終業が自由であるという答えが全体で聞いたものよりも高くなっているという結果でございます。また、該当するときはないという答えも全体よりも高くなっているというような結果でございました。
 58ページでございます。テレワークを行っている方に関して、労働時間制度は何を適用しているかということと、労働時間管理をどのようにやっているかというようなクロス集計でございます。
 それぞれ取ってみましたけれども、それほど大きな傾向は出ておりませんでした。中抜け時間の管理方法も同じでございまして、事業所ごとにいろいろ工夫をされているという結果かなと考えております。
 続いて、60ページはつながらない権利でございます。
 つながらない権利でございますが、就業規則なり、労使協定なり、労働協約なりということで、何らかの形でルールを策定しているというお答えが全体の1割弱でございました。こちらを事業所規模でクロス集計を取ってみますと、事業所規模が大きいほうがやや多くなります。これに関しては労働組合の効果がかなり強いといいますか、労働組合の有無で見ますと、労働組合がないところでルールを定めているというよりは、労働組合があるところでルールを定めているというほうが割合としてはかなり大きくなっているというような結果となっております。
 続きまして、62ページから副業・兼業の関係でございます。
 62ページは副業・兼業の許可、受入制度をどのような形でやっていますかというもので、真ん中に点線を引いてございます。点線の上側が、送り出し側で認めているか認めていないかというようなものになっております。点線の下側が、受入れ側でどのように認めているか、認めていないかというような結果となっております。
 雇用での副業・兼業を送り出しの方で認めているというのが全体の4分の1弱、その中で実際に副業している方が28.7%というような結果となっております。
 一方で、受入れ側ですが、雇用で受け入れているというのは7.7%というような形となっておりまして、これはマルチアンサーでございますので直ちにどうこうということではございませんが、結果として見ますと、送り出し側に比べると受入れ側のほうがやっていますとお答えになったところは少なかったというような結果となっております。
 63ページでございます。これを事業所規模でクロス集計を取ったものでございます。
 事業所規模で見ますと、事業所規模が大きいほうが送り出しの方に関しては積極的と言えるかと思います。
 一方で、受入れの方でございますが、一番大きな事業所になりますと少し数値が下がるということもありまして、受入れに関しては、1~9人の小規模を除きますと小さい事業所の方が割合が高いというような結果となっております。
 また、規模が小さい事業所の方が、全体として副業・兼業を行っているか把握していないという回答も割合として高くなっているというような結果となっております。
 64ページは、副業・兼業を認めている事業所での割増賃金の支払い状況について聞いたものでございます。送り出しを認めている事業所では12.9%、副業者を受け入れている事業所で10.3%が何らかの形で通算をしているというお答えになっております。
 また、自社分の割増賃金のみを払っているというケースですとか、支払っていないというようにお答えになった事業所も一定割合あったところでございます。
 現行制度上、労働者から労働時間の申告がなければ通算時間が把握できないというような事情もございまして、こうした回答が多くなっている可能性もあるのかなというところでございます。
 66ページから、人事労務関係の書類の保存状況を聞いたものでございます。
 人事労務関係の書類の保存に関しまして、書類の種別によって若干傾向に違いはございますが、おおむね5年以上保存している事業所が多くなっております。
 67ページで企業規模、事業所規模のクロス集計を行ったところ、企業規模、事業所規模いずれも小さい事業所で短い期間しか保存していないという割合は若干高くはなっておりますが、それでもおおむね5年以上保存しているところが多いというような結果かなというところでございます。
 68ページ、紙での保存をしているところに関しましては、事業所規模が小さいほど紙の率が高い、また、紙のほうが扱いやすいと考える率も高くなっているというところかと考えております。
 以上、事業所調査でございます。
 続きまして、個人調査の結果でございます。
 75ページまでフェイスシートでございますので、説明は割愛させていただきますが、先ほどと同様に、右側にnとして有効回答数を書かせていただきました。
 1点、75ページでございますが、職業別の表と労働時間制度別の表に関しましては、クロス集計を行ったときにそれぞれの項目で有効回答数が極端に小さいものが出ております。例えば労働時間制度でいきますと、高度プロフェッショナル制度は有効回答数が2でございました。時間管理なし(機密の事務を取り扱う者)というものは4でございました。こういったようなところで、クロス集計が参考資料としてしか使えないようなものも出てくるということを御了承いただければと思います。
 76ページでございます。個人に適用されている労働時間制度に関しましてでございます。
 前回、分からないと答えた3.1%の方に関して、分からないということ自体問題ではないかというような御指摘をいただいていたかと思います。内数を見ますと、1~9人の小規模の事業所で分からないとお答えになった方が割合としては高かったという状況ではございますが、それぞれの規模に一定数そういった方はいらっしゃるということで、労働時間制度の周知というものは引き続き必要であろうというような結果となっております。
 続きまして、77ページでございます。職業とのクロス集計でございますが、こちらに関しては先ほど申し上げた有効回答数との関係で、あまり傾向が見えていないというものでございます。
 79ページから時間外労働の関係でございます。
 79ページは所定労働時間ですが、前回お出ししたものと同じでございます。
 80ページから83ページまで、平均残業時間に関しまして問うたものでございます。
 基本的には事業所規模が大きいほうが45時間を超える率が若干高くなってくるというのは、事業所調査のときと同じような傾向となっております。
 また、年齢別で見ますと、40代の方が若干多いというような結果となっております。
 80ページの平均残業時間もそうですし、82ページの1か月の時間外労働時間が45時間を超えた回数についても同じような結果が出ております。
 また、81ページと83ページにございますけれども、それぞれ適用猶予業種に従事しているという方に関しましては、時間外労働時間が長いというお答えの割合が少し高くなっているというような結果でございました。
 84ページ、85ページ、休日出勤の回数でございます。
 休日出勤に関しましても基本的には同様の傾向でございまして、0か1かというところであると、事業所規模が大きいほうがやや高くなっていくとございますし、年齢別で見ると40代で休日出勤が発生している率が高いというような状況でございます。
 適用猶予業種に関しても、85ページですが、同様に建設ですとか自動車運転といったところで少し高くなっているというような結果でございます。
 86ページでございます。最大何日連続勤務をしたかというものを問うたものでございます。
 まず産業でクロス集計をしたものを見ますと、建設業ですとか宿泊業、飲食サービス業といったようなところで、14日を超えるような連続勤務の割合が若干高くなっているというような結果でございます。
 87ページ、事業所規模に関しては、小規模のほうが、1~9人ですとか10~29人といったようなところが、14~20日のところが高くなっているというような結果はございますけれども、どの規模でも満遍なく出ているような状況かなというところでございます。
 88ページ、適用猶予業種に関して言いますと、5日以下というところが顕著に建設や自動車運転で小さいというところもございますし、14日以上の連続勤務になりますと、工作物の建設の事業の方で割合がかなり高くなっているというような結果となっております。
 89ページでございます。休日出勤と残業に関しましてそれぞれクロス集計を行ったものでございます。
 休日出勤と残業を見ますと、休日出勤が多い層と時間外労働が長い層はおおむね重なっているというような結果が見てとれるかと思います。45時間を超えた回数で見ても大体同様の結果になっているというところかと思います。
 90ページに関しても、同じような傾向になっているかと思います。
 91ページから、法定労働時間44時間の特例業種の方に関して聞いたものでございます。
 まず91ページですが、所定労働時間が40時間を超えているのは、不動産業、物品賃貸業ですとか、宿泊業、飲食サービス業、理容業、美容業といったようなところで多いかなというところでございます。映画館、興行場、興行団もかなり高く出ておりますが、こちらに関しましてはそこに入っている方が非常に少ないということでございますので、参考かなというところでございます。
 92ページの平均残業時間でございますけれども、時間外労働時間に関しましては、宿泊業、飲食サービス業、理容業、美容業などで45時間を超えている人が若干多いというような結果となっております。
 94ページから年次有給休暇の関係でございます。
 まず94ページ、時間単位年休に関しまして、増やすべき、減らすべき、双方の御意見があったところでございますが、増やすべきと答えた方は20~50代の現役層で多いというような結果となっております。20歳未満の若年層や60歳以上の高年齢層はどうかといいますと、どちらでもよい、分からないというような答えが大きくなっているというような結果でございます。
 減らすべき、廃止すべきに関しましても、数で言うと現役層のほうが若干多いかなというところでございます。
 それらに関しましての理由として、95ページがまとめたものでございます。
 30~59歳の育児をしていたり介護をしていたりというような層では、「育児・介護を行うために有用だから」というような割合が高くなっているというような傾向がございます。
 減らすべき、廃止すべきと考える場合の理由につきましては、96ページでございますが、それぞれにばらついておりまして、傾向があるというよりは、それぞれ個々人の考え方でお答えになっているというような結果となっているかなというところです。
 97ページでございます。時季指定義務5日分の取得方法をどのような形でやっていますかというものでございます。
 こちらに関しましては、くっきり出ておりますのは小規模事業所のところで5日間取得できていないという答えが多かったというところであるかなと思われます。
 98ページ、99ページに関しましては、クロス集計を行いましたけれども、有効回答数の関係もありますので割愛をさせていただきます。
 100ページでございます。年次有給休暇の取得日数と、企業規模、事業所規模等とクロス集計したものでございます。年次有給休暇の取得日数に関しますと、1~9人の事業所で5日以下と答えた方が多かったということでございまして、事業所規模が小さいところでは取りにくいというような結果もここでは出ているのかなというところではございます。
 先ほど事業所のところでもございましたように、この方々、勤続年数が短いですとか、短時間の勤務であるというケースもそれなりに入っているのかなというところではございます。
 続いて、101ページ、102ページのクロス集計に関しては割愛をさせていただきます。
 103ページです。年次有給休暇を取り残している理由は何かというところでございます。
 こちらを見ると、毎年使い切っているというお答えが1~9人の事業所で12.6%と、ほかと比べるとちょっと高めの数字が出ていて、これは先ほどの取れていないというのと矛盾はしておりますが、これも付与日数との関係がもしかしたらあるのかもしれないというところでございます。
 それ以外の理由に関しましては、企業規模や事業所規模でくっきり傾向が出ているというよりは、それぞれの方々のそれぞれの事情ということになるのかなというような状況でございます。
 104ページでございます。時季指定義務と時間外労働の関係に関しましてでございますが、基本的には指定されずとも5日間、自分の希望どおり取得できると回答している方が、時間外労働時間が比較的短い。5日間取得できていないという方が、時間外労働時間が長くなる傾向がございます。
 1年間の取得日数との関係も同様でございまして、長時間の時間外労働がある方というのは、年次有給休暇の取得日数も少ない傾向にございます。
 105ページに関しましては、特段傾向は出ておりませんので飛ばさせていただきます。
 続いて、勤務間インターバル関連でございます。
 107ページは前回お出ししたものと同じでございます。
 108ページですが、勤務間インターバルに関しまして、それぞれの業界で働いている方、前日の勤務終了から翌日の勤務開始までの時間はそれぞれどれぐらい時間が空いていますかと聞いたものでございます。産業別に見ますと、建設業ですとか運輸業、郵便業、宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業といったようなところで11時間以上取れている方が7割を切るというような傾向になっております。それ以外のところは7割を超えているというような結果でございます。
 109ページの企業規模とのクロス集計ですが、企業規模別ではそれほど強い傾向はないと思われますが、1~9人の方々に関しては、2日以上連続で勤務することがないと答えた方の割合が突出して高いという結果でございます。これも小規模のところに関しましてはパートタイムの方も多いという裏づけかなというところでございます。
 110ページ、111ページに関しては割愛をさせていただきます。
 112ページでございますが、今度、11時間以上勤務間インターバルが取れていない方に関して、11時間以上取る義務を課した場合どういう支障が生じますかと聞いたものでございます。
 先ほどの取れていない割合の高かった業種でいきますと、建設業、運輸業、郵便業、教育、学習支援業では、業務の性質上調整できないというようなお答えが多くなっていまして、宿泊業、飲食サービス業の方はその他の答えが多かったという状況でございます。
 113ページは企業規模でクロス集計を行ったものでございますが、傾向はそれほど強くはないかなと思われます。小規模のところで業務の性質上柔軟に調整できないという答えが若干多いというぐらいかなというところです。
 114ページ、115ページに関しては割愛をさせていただきます。
 116ページでございます。勤務間インターバル時間と時間外労働の関係をクロス集計したものでございます。
 時間外労働の少ない方、45時間以内の方に関しましては、勤務間インターバル時間を11時間以上取れている率が8割と高くなってございますが、時間外労働が長くなるにつれて、勤務間インターバルを取れている時間のボリューム層もだんだん左に移っていくというような傾向が見てとれるかと思います。インターバルが取れていない方は残業時間が長いというような関係性になってございます。
 続きまして、会社の健康管理に関する設問でございます。
 118ページでございます。会社が行っている健康管理の取組に関して、これまでどういうものを利用したことがありますかと聞いたものでございます。
 事業所規模でクロス集計を行いますと、まず会社の定期健康診断は、事業所規模が小さいところから大きくなるについて割合は上がってはおりますが、大体どこもやっているというような形です。
 一方で、くっきり出ていますのがストレスチェックでございまして、ごく小規模の事業所では10%でございますが、300人以上の大規模事業所では84.1%、規模による相関が非常に強く出ているものでございます。
 全体的にどの項目も規模が高くなるにつれて高くなりますので、大規模な事業所ほど健康管理の取組が利用されているという結果でございますが、逆に申し上げますと、どの項目でも行っていれば何らかの形で利用されている方はいるという結果でもあるのかなというところでございます。
 120ページ、テレワークでございます。
 テレワークに関しまして、テレワークをやっていますかという設問でございます。テレワークを何らかの形で実施していますとお答えになった方が10%強ぐらいのところでございます。
 そのやり方、頻度でございますけれども、1週当たり5日以上ということで、ほぼほぼフルでテレワークをやっているという方は少なく、1日、2日あるいは3日、4日ですとか不定期でありますというような方が多かったというような状況でございます。
 中抜けに関しましてはやっている方もやっていない方もおりますけれども、その場合の取扱いに関して、下の表でございますけれども、かなりばらばらでございまして、それぞれの事業所で中抜けに関しては工夫をして対応しているということなのかなというところでございます。中抜け時間に関しましても特段傾向はなく、必要に応じて中抜けをしているというような結果かなというところでございます。
 121ページでございます。
 先ほど申し上げましたように、フルテレワークの方は少ないという状況ではございまして、これを産業別に傾向を見るとどうなるかというものでございます。産業別に見たときに突出しておりますのは、一つは電気・ガス・熱供給・水道業で、テレワークを実施していないという方がほかと比べて大分少ない。一方で、定期的にやっているという方もおらず、不定期ばかりというような結果です。
 それから、情報通信業が一番テレワークしている方が多いところでございますが、情報通信業ですと1割強の方がフルテレワークのような形でもやっているというような結果が出ております。
 122ページです。これを事業所規模とクロス集計したものでございます。
 テレワークの実施率でございますけれども、事業所規模が大きくなるほど実施率は高くなっていくというような結果でございます。ただ、事業所が大きいからといってフルテレワークが多いかというとそういうことでもなく、やはり不定期の方が一番多いというような結果となっております。
 123ページ、124ページはそれぞれクロス集計を行いましたが、こちらについては割愛をいたします。
 最後に126ページ、副業・兼業に関する部分でございます。
 副業に関しまして、副業・兼業をやっているとお答えになった方は、今回で言うと全体の3%でございました。そのうち大体4分の1の方、全体の0.7%の方が、本業の関連会社などでの副業・兼業ですというようなお答え、それ以外の方は違うところでやっていますというお答えでした。
 副業・兼業をやっている時間ですが、右側にございますように、20時間以下というところはボリューム層、その次は20~45時間以下というところで、パートタイム的に副業・兼業をやっている方が多いというような結果です。一方で、かなり長い時間副業・兼業をやっている方も一部にはいらっしゃるというような結果でございます。
 本業の関連会社でやっている方に関して、なぜ本業関連で副業・兼業をしているのですかと聞いたのが下側で、本業元から紹介されたとか、関連して成長につながるからといったようなお答えが多かったという結果でございます。
 127ページでございます。
 個人の方が副業・兼業をやっているかどうかと所属事業所の規模のクロス集計ですが、こちらに関しては特に規模との関係性は見てとれなかったところでございます。
 128ページでございます。副業・兼業を行っている方の本業での所定労働時間はどうなっているかと聞いたものでございます。
 副業・兼業を行っていない方に比べますと、副業・兼業を行っている方で本業の所定労働時間はやや短いほうに行くのかなというところでございます。30時間以下の割合がかなり高くなってくるというような結果になっているかと思います。
 一方で、フルタイムで働いている中で副業・兼業をやっている方も結構な数いらっしゃるという結果となっております。
 下側でございますが、副業・兼業をやっている方の本業の残業時間は何時間ですかということですが、本業の関連会社以外で副業・兼業を行っている方に関しては9割が45時間以下、本業の関連会社でやっている方に関しては、本業でも一定程度残業がありますという方が比較的多かったというような結果となっております。
 129ページでございます。
 副業・兼業に従事している時間と本業の残業時間でございますけれども、強い相関があるかというとそうではないですが、60~80時間副業・兼業をやっていると答えた方の中に、有効回答数は小さいのですが、45時間超の残業が本業でもあると答えた方が若干多めにいらっしゃったというような結果となってございます。
 今回整理した表は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして御質問、御意見をいただきたいと思います。調査結果そのものについての御質問もあろうかと思いますが、それを踏まえた御意見もあるかと思いますので、特段時間を分けることなく御発言いただければと考えております。オンラインの方もチャットで発言希望とお知らせください。
 それでは、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今後の調査データの扱い方も含めて御意見を申し上げたいと思います。
 まず大規模な調査を御苦労して整理いただきまして、ありがとうございました。
 今回かなり大規模な調査ですけれども、項目別に見るとサンプルサイズが極めて小さいものや、前回も発言がありましたけれども、無回答、不詳の割合が高い項目、異常値も見られます。
 それから、資料の14ページ、36協定未締結のところでございますけれども、事業所調査でも未締結の回答が4割程度とかなり高い割合ですが、その未締結の事業所については、労働時間の状況が把握できていないものと思っております。その事業所では本当に36協定が必要のない状態なのか、本来36協定締結が必要な状態であるにもかかわらず締結されていないのか、これ以外も含めてですけれども、そうしたところが調査結果からは読み取ることができない状況があると思ったところでございます。
 今後、このデータを活用して議論を進めていくこともあると思います。場合によっては、参考として扱うといったお話も先ほどありましたが、この調査データの取扱いは、個別項目ごとに慎重に検討していただきたいと考えているところでございます。
 それから、同じ資料の21ページ、23ページの「上限規制」に関する内容でございますけれども、時間外労働時間と法定休日労働時間の合計時間数を見ると、いまだ法令違反の事例が僅かながらもあるということは重く受け止める必要があると思います。一方で、この間の取組も含めて、80時間、100時間の基準内には収まってきているということで、現行の上限規制は一定職場に定着をしているとも言えると思っております。
 今後、まだ残っている法令違反の部分を根絶していくことも重要ですし、また、上限規制が一定定着をしているということも含めて、長時間労働の是正のさらなる取組の強化に向けて、過労死ラインレベルの最低基準である、現行の上限規制を計画的・段階的に見直していくことも重要と考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 私も、この大規模な調査、特に今まで44時間特例の調査はあまりなかったので、貴重な資料だと思っております。
 少し毛色の違う意見かもしれませんが、66ページ以降にある、書類保存期間のデータについて申し上げます。66ページでは、人事労務管理関係の書類について、10年を超えて保存するという回答が最も多くなってます。改めてこの設問が設けられた背景を考えてみますと、恐らく、労働債権の短期消滅時効の延長と、それに伴う書類保存期間の延長に関する議論を、これから事務局としてされたいということであり、その参考として調査されたのではないかと推察しております。
 ただ、このデータのみで一定の結論を導くというのは慎重にすべきというのが私の意見でございます。その背景、理由を少し述べさせていただきたいと思うのですが、例えば売買契約であれば、契約書さえ保存しておけば債権のあるなしはかなり明確です。他方、例えば割増賃金債権の場合、過去の具体的な日に上司が明示または黙示の業務命令をしたかどうかが問題になるわけでございます。その事実確認は、当然のことながら個々の労働者ごと、労働日ごとに、例えば上司と部下の証言や、当時のメールのデータ、日報、入退館記録、あるいはトラック運転業務の場合は運行記録計みたいなものなどから、具体的に事実確認をする作業が発生します。そういう難しさがあるということを踏まえると、権利義務に係る紛争の長期化を防ぐという短期消滅時効の制度の趣旨、目的に強く当てはまる債権の一つではないかと考えるところでございます。
 また、保存の負担感という観点からも、68ページの右側にございますとおり、紙で保存しているものはないという回答が4%にとどまっております。逆に言えば、ほとんどの事業所で何らか紙の保存をしている状況であり、紙の場合、保存場所の確保とそれに伴うコストが想定されるかと思っておりますし、また、データで保存しているような場合でも、企業の御担当者からは、サーバーの容量の大幅増に伴って相当な費用が発生するという話をお聞きします。
 66ページの調査結果というのは保存期間のデータを示すものではあるのですけれども、時効と資料保存期間の在り方を検討する際には、繰り返しですが、労働債権は短期で権利義務関係を確定させる必要性が高いということと、それから企業の保存の負担感も含めて、総合的に検討する必要があると思っております。この調査結果はあくまでも参考データということで取り扱うことが適当ではないかと思っておりますので、一言お話をさせていただきました。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 オンラインから発言希望が出ております。使用者委員の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。
 私からは、若干パーツを捉まえた意見になってしまって恐縮ではございますけれども、年休の時季指定義務5日間というところの個人調査の関係で、ここから読み取れることに対しての意見を申し上げます。
 資料とすると、資料No.2の104ページ、残業時間と年休が5日取得できているかどうか、ここを拝見しますと、9割以上の労働者が、どういう方法で5日間取得していますかという質問に対して、何らかの方法で年次有給休暇の時季指定義務5日間を取得しているということが見てとれます。
 他方、一番右の5日取得できていないという列ですけれども、ここのうち下2つ、残業時間が80時間超100時間未満というところと100時間以上のところは、3割を超えているところと3割弱とありますけれども、共に約3割ということになっていて、80時間以下の労働者と比べると、その割合が相当程度高くなっているということが読み取れます。
 年休の時季指定義務が設けられた理由としては、年休が5日も取れていない労働者というのは、長時間労働をしている割合が高いというデータが検討当時あったところ、本来、年休は労働者の権利ではありますけれども、過重労働防止という観点から今のこういった義務が設けられた。そうしますと、今、御覧いただいたデータを見る限りは、5日取れていないということと80時間を超える時間外労働を行っているというそこの相関性は見られますので、5日以下の時季指定義務という措置を続ける必要性は残っているのかなと感じておりまして、この趣旨であったり、内容の周知徹底というところが求められると感じました。それが1つ目の意見です。
 一方で、6日以上というか5日をもっと増やす検討が必要かという観点で見ると、同じページの下の表を見ますと、年次有給休暇の取得が6~10日を取得したという労働者は100時間以上のところが高いということはありますけれども、80時間超の労働者とそれ以下の労働者との違いというのはあまりないということが見てとれます。
 もちろんこれが全てのデータの根拠になるとは思いませんけれども、一方で、今、申し上げたようなところからすれば、労働基準関係法制研究会の報告書でも報告がありましたとおり、年休の時季指定義務の徹底を図る必要はなおある一方で、時季指定義務を現在の5日からさらに6日以上へ変更するといった必要があるのかという観点では、今のデータからすれば必要ないと言えるのかなというのが2つ目の意見です。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、使用者側の田中委員、発言をお願いいたします。
○田中委員 ありがとうございます。田中です。
 私もパーツの発言になるのですけれども、テレワークについて発言をさせていただきます。
 資料の122ページにあったと思いますが、テレワークを実施していない労働者が88.5%と大半で、逆に実施していると回答した労働者は10.1%ということです。ただ、ほかの調査ではそれよりも少し高い結果も出ているようで、例えばパーソル総合研究所さんの調査によりますと、正社員に限定すると22.6%の方がテレワークを実施しているということで、コロナのピークからは下がっているけれども、その前年からはほぼ横ばい、2023年からはほぼ横ばいということで、テレワークが一定程度定着したということがうかがえます。
 また、この同じ調査でテレワーク実施者に継続の希望の意向を聞くと、続けたいと言っている労働者の方が80%以上いるということで、労働者のニーズは高いということが見てとれます。
 加えて、今回説明いただいた資料の120ページに中抜けの話がありましたけれども、半数近くがテレワーク中の中抜けをしているということで、例えば育児とか介護といったものとの両立に効果があるということもうかがえます。
 私どもは現場のある会社ですので、当然にテレワークが難しい社員もたくさんいます。また、テレワークをする社員に対しても、当然、長時間労働にならない配慮などが必要だということは考えております。しかし、新しい働き方が定着して、例えば情報通信業では週5日という頻度でテレワークで働く方が出てきているという実態もございます。
 テレワークは新しい働き方の有用な選択肢だと考えますので、今後の議論に当たっては、テレワークのメリットが損なわれたり使いにくくなるというようなことがないようにする必要があろうかと思います。多様なニーズが受け止められるような見直しが図られるということが重要であると考えます。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、使用者側の兵藤委員、お願いいたします。
○兵藤委員 御指名ありがとうございます。兵藤です。よろしくお願いいたします。
 私からは連続勤務日数について、ピンポイントで申し訳ございませんが発言させていただきたいと思います。
 今回の個人調査のデータについて、86ページに示されておりますとおり、13日を超える連続勤務を実施している割合は、全体の中でも1.9%であったという結果になっております。過重労働防止の観点から、一定の連続勤務は当然望ましくないと思っております。
 ただし、産業別に見てみますと、建設業や宿泊業、飲食サービス業については、13日を超える労働者の割合も他と比べて一定数あるというところです。これらの産業は人手不足感が強く、長時間労働につながる商慣行の是正に向けた取組をこれからしっかり進めないといけないという事情もあるように思っております。
 その他の産業におきましても、少数とはいえ一定数発生しているということからも、例えばトラブル対応であったり、重大な大型プロジェクトやイベントの対応など、連続勤務をせざるを得ないようなケースがあるのではないかと想像しているところです。そうしたことからも、どのような事情で連続勤務となっているのか、連続勤務は恒常的なものなのか、また、季節的なものなのかなど、背景にもしっかり踏み込んで実態を見ていくことが必要ではないかと考えています。
 連続勤務に対する何らかのルールを検討することの必要性については十分理解するところでありますが、企業の実態を丁寧に把握、共有しながら、現場に合った制度をつくっていくことが重要ではないかと考えております。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、使用者側の鬼村委員、お願いします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。
 私のほうからは、勤務間インターバルについて一言意見申し上げたいと思います。
 今回の調査の全体的なところでございますけれども、おおむね企業規模が大きかったり、あるいは労働組合がきちんとあって、企業規模が大きい場合は労働組合があるという傾向が強いということだと思いますが、そうした中で労使のコミュニケーションがしっかり図られている場合においては、制度も充実をして、運用されているという、大きくはそんな傾向があったのではないかなと思っています。
 さて、勤務間インターバルでございますが、組合があるところのほうが明らかに導入割合も高くなっていたかなと思います。導入している企業においては、対象者とか、あるいは適用除外なんかについても、実態に応じて様々に工夫、運用しているとも聞いておりますけれども、今回お示しいただいたクロス集計などを見ても、やはりそういうふうになっているのだろうなと改めて感じたところでございます。
 40ページに産業別のいわゆる例外条項の事由があったと思いますが、産業によっては結構ばらついている状態だと思います。112ページ、個人の調査結果のほうで、勤務間インターバルの時間を11時間以上取得することを義務化した場合の支障として挙げていただいている部分があったと思いますが、こちらを見ても業種とか企業規模なんかで非常に多様に分かれているのだろうなと思います。
 昨今、育児・介護休業法関連の法改正が続いておりますが、労使で話し合って、各企業の実態に合わせて制度を導入してきているにもかかわらず、後追いで国からの画一的な制度が入ってしまった場合なんかには、我々の運用の問題という面ももちろんあるとは思いますが、労使でベストと思う制度が運用できなくなってしまったという経験も過去にはございます。
 このように、当該労使の話し合いの歴史とかプロセスなんかによっては、後追いの法改正により労働者にとっては少し分かりにくい制度変更となってしまったりするというケースもあるのではないかなと思っています。したがいまして、今後、勤務間インターバルについても在り方を検討していくことになると思いますが、どうか各社の実態や工夫、労使での議論の状況等、こうしたものが十分反映されるようにしていくことが適切な運用に対しては非常に重要ではないかなと考えた次第でございます。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、使用者側の松永委員、発言をお願いします。
○松永委員 ありがとうございます。
 大変貴重なデータを共有していただきました。
 1つ、私のほうから時間単位年休なのですけれども、94ページからだと思うのですが、個人調査ということで幾つか傾向があったのだと思うのですけれども、上限日数を6回以上に増やしてほしい、増やすべきだと回答した方が3割弱ということですので、一定のニーズはあるのかなと思っています。
 特に年代別で見ると、若い層で今よりも年休が取得できる機会が増えるからという理由だということもありました。年次有給休暇の趣旨から言いますと、固まった時間できっちり休みを取るということだとは思うのですけれども、一方で、こうやって実際に時間単位にすると取得がしやすいという声もあるのはあるということだと思います。あとは年代別ということで言うと、30~50代の子育て世代を中心に、育児とか介護のため年休が有用だという回答もありました。
 恐らく時間単位年休というのは、会社もしくは業態ごとに環境が大きく異なってきますので、一律に議論することはできないのですけれども、一定程度ニーズがあるということも踏まえて、それぞれの会社がその実態に応じて使いやすいように、上限日数の議論等というのも今後やっていってもいいのかなと考えた次第でございます。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。川野委員、お願いします。
○川野委員 御指名ありがとうございます。
 私からは、勤務間インターバルについて発言をさせていただきたいと思います。
 勤務間インターバル制度は、過労死等の防止につながるなどの効果が期待されています。労働時間等設定改善法に基づく努力義務が課され、導入促進を図ってきたにもかかわらず、制度の導入率は直近の令和6年就労条件総合調査でも5.7%にとどまっています。こうした実態を踏まえれば、全労働者を対象にインターバル時間を確実に確保するためには、11時間の勤務間インターバル制度を義務化していく方向で検討を進める必要があると考えています。
 資料No.2の109ページの労働者調査に関してですが、前日の勤務終了から翌日の勤務開始までの平均時間について、11時間以上が約8割を占めていることが示されており、義務化を後押しする結果とも言えると思います。
 また、38ページでは、勤務間インターバル制度を導入している企業のうち8割以上が全労働者を制度適用対象にしていることも注目すべきであると申し上げておきたいと思います。
 その上で、先ほど使用者側委員から、適用除外のほか、運用を労使で決めていくことが重要といった発言がございましたが、広く勤務間インターバル制度の導入を促進していくためには、何らかの代替措置などの必要性は否定しませんが、例外としての代替措置は、あくまでも限定的に設定しておくことが重要だと考えます。
 なお、資料No.2の40ページの調査結果については、あくまでも現行では勤務間インターバル制度は努力義務の状況であり、例外規定も自由に設定できる面もあることから、これらの例外措置をそのままルール化するか否かについては慎重に検討を進めるべきだと考えます。また、112ページの労働者調査では、特段の支障はないとの回答が産業別でみると4~5割に達しているところもあることを踏まえる必要があることも申し上げておきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。古川委員、お願いします。
○古川委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、テレワークと事業場外みなし労働時間制について御意見申し上げたいと思います。
 まずテレワークについてであります。今回の調査結果の58ページにございますが、始終業時間または中抜け時間を管理されているかどうかを見ますと、いずれも何らかの方法で管理されているというところが大半を占めております。そういった意味では、管理していない事業場をいかに是正していくのが今後の課題ではないかと考えております。
 連合の調査におきましても、テレワークにつきましては、仕事とプライベートの境界線が曖昧となっている割合が高いこと、また、長時間労働につながっているケースがあるという実態も明らかになっていますので、こういったことを踏まえますと、適正な労働時間の管理を徹底していくことが重要であると考えております。
 もう一点、事業場外みなし労働時間制に関してですが、こちらも活用している事業所が一定程度ございますが、54ページの結果を見ますと、労働時間が算定し難いときについて、「該当するときはない、スマートフォン等で労働時間を確認できる」という回答が3割以上を占めております。
 こうした現状がある中で、「いまだポケットベルによる指示を受けている場合はみなしの適用ができない」としているような解釈例規の現代化ということも含めて、不適切な運用実態の是正を図っていくべきではないかと考えております。
 以上であります。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。水野委員、お願いします。
○水野委員 御指名ありがとうございます。水野でございます。
 私からは、つながらない権利について発言させていただければと思います。
 資料No.2の60ページに、勤務時間外の業務に関する連絡のルールの取扱いが集計されております。勤務時間外の業務に関する連絡について、何がしかのルールがあるというところは、左から4つを足していきますと、明文化していないところを合わせても18.8%ということで2割弱、ルールはないけれども勤務時間外に連絡することがあるという割合が44.4%と、半数近くあるという実態がこれで明らかになったと思っております。
 連合の「つながらない権利に関する調査」でも、「時間外に連絡が来るとストレスを感じる」という回答は6割以上となってございますし、「つながらない権利があれば、勤務時間外の連絡を断りやすくなる」という意見も7割以上を占めていると聞いております。
 また、私ども情報労連傘下の組合の調査においても、働き方の実態として、勤務日の時間外に業務の連絡があったのが約5割、休日においてそういった連絡があったのが約4割弱ございまして、そのいずれも連絡を受けた9割の方が何がしかの対応を行ったというような報告も聞いてございます。
 これを受けて、情報労連では、この間、春闘などを通じ、労使で職場の働く実態を踏まえたつながらない権利や、勤務時間外の業務に関する連絡のルール化に取り組んできたところでございます。休日の電話やメール対応の禁止、さらにはこうした対応をしなかったことによる人事評価への不利益取扱いの禁止などを労使でルール化するような成果も一部出てきているところでございます。
 一方で、業務時間外の連絡や指示の問題というのは、自社の中だけ、あるいは上司と部下、労働者と使用者の関係だけではなくて、労基研報告でもございましたけれども、顧客とその担当者の関係も含めた複合的な要因があるということでございます。そうしたことも踏まえれば、社内のルールを決めるだけでは十分な環境整備は難しいと思っており、法制化も念頭に置いた検討も必要と思ってございます。また事業所ごとの労使協定などの明文化も含めて、労使で職場実態に合わせたつながらない権利の確保に資するルール化を促すような取組もぜひ進めていただければと思ってございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 世永委員、お願いします。
○世永委員 ありがとうございます。
 私からは、この調査の管理監督者について発言をさせていただきます。
 管理監督者については、働き方改革のしわ寄せが指摘されていると思っています。今回の調査では32ページから33ページになりますが、労働時間管理のルールしか設問がないということで、管理監督者の長時間労働の状況は把握できていないと思います。
 JILPTによる管理職の働き方に関する調査などでは、管理職の長時間労働の実態も明らかになっています。今後、管理監督者の議論をする際には、管理職の働き方の実態が分かるようなデータも提出いただきたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。
 私からは、年次有給休暇について申し上げたいと思っております。
 まず年次有給休暇の取得率ですけれども、働き方改革以降、上昇傾向であるということは調査でも明らかになっているところだと思います。
 一方で、資料No.2の45ページを見ますと、5日取得できていない割合が11.6%もあることは問題ではないかと捉えています。
 前回の分科会で2023年度評価を議論した際にも、私どもは宿泊業でありますので、私どもの組合が所属する宿泊サービス業なども含めて、取得が進んでいない実態も明らかになっていたところからしても、年次有給休暇に関しては、まずはしっかりと取得させるというような取組がやはり不可欠であると考えているところです。
 また、時間単位年休についてですけれども、94ページ、「増やすべき」という回答が25.2%であり、労働者側にもそのニーズが見受けられるところだと思いますが、その一方で、「今のままがよい」という割合も32.3%あるということもしっかり踏まえておくべきだと思っています。
 他方で、97ページにありますように、小規模事業者所ですとかパート、アルバイトなどでは、そもそも義務化された年5日の年休すら取得することができていない割合が高いという現状を直視すれば、取得義務が課された年5日はもとより、年休の取得率を高めていくことが重要ではないかと考えています。
 加えて申し上げますと、今回の調査の103ページを見ますと、年休を取り残す理由として、「病気や急用のために残しておきたい」が42.9%ということで、半数近くを占めているわけです。年休のさらなる取得促進だけではなくて、休みを取りやすい環境整備は、前回も申し上げたかと思いますけれども大変重要だと思っておりまして、その観点からすれば、子の看護休暇の有給化ですとか、有給での病気休暇等の新設なども休暇の選択肢として増やしていく必要性があるのではないかと考えておりますので、その点申し上げたいと思います。
 私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 藤川委員、お願いします。
○藤川委員 御指名ありがとうございます。藤川でございます。
 私からは、副業・兼業について発言をさせていただきたいと思います。
 資料で言いますと資料No.2の129ページに今回お示しいただいておりますけれども、本業と副業の労働時間を合算すると相当の長時間労働となっている実態がございます。このことからすれば、適切な労働時間管理に基づく働き過ぎ防止の視点が欠かせないと考えております。
 副業・兼業につきましては、その労働者像を的確に把握することが重要でございます。例えばJILPTの2023年の調査でございますが、本業の就業形態は非正社員41%、正社員で38.1%、被雇用者20.9%となっています。また、副業する理由として、「収入を増やしたいから」が54.5%で、「1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないから」が38.2%となっております。
 非正規雇用で働く方が、生活費獲得のためにダブルワークをしている実態も見られることから、今回調査でも就業形態別のクロスなどを実施していただけるよう、ぜひお願いをしたいと考えているところでございます。
 さらに労基研報告では、割増賃金の通算が一つの論点となっておりますけれども、現行制度でも、調査結果の64ページを見るに、管理モデルの活用も含めて、何らかの形で他社の労働時間と通算して割増賃金を払っているケースがございます。こうした適正運用の実態があるのであれば、むしろ適正運用が広がるような取組を進めるといった建設的な議論を行うべきであり、割増賃金の通算不要とすべきではないと考えます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 事務局に再度お伺いしたいのですけれども、32ページに管理監督者及び機密の事務を取り扱う者として、「両方ともいない」というのが全事業所計で64.2%。それから、事業所規模、これは一つの法人として見られている人数規模別のランクづけというか人数規模の区分ですので、例えば1~9人の中小企業であっても、また、300人以上の大企業であっても9.2%、こういう働き方があるのかどうか分かりませんけれども、「両方ともいない」という組織体が実際に存在するのかどうか、この辺を改めてお伺いしたいと思います。指示する者、また管理監督者的な者は、法人企業であれば必ず存在するのではないかと思っておりますので、再度お伺いしたいと思います。
 それから、個別のほうですけれども、今の段階では私の感想になってしまいますが、まず1点目が勤務間インターバル制度でございます。私も委員で参画させていただいています過労死等防止対策推進協議会の大綱の中でも、30人以上の規模で勤務間インターバル制度を知らない企業の割合を5%未満にするとか、30人以上の企業で制度を導入している企業を15%以上ということで、令和10年度までの目標になっていますけれども、私にとってはかなり高い数字であると考え、その会議でも数値が高すぎると申し上げてまいりました。もちろん努力をしなければいけないとは思うのですけれども、そこで申し上げたいのが、中小企業全体でも、時間外労働の平均は10時間ちょっとなのです。勤務間インターバル制度が導入されていないということで、まだ周知なんかも足りないのではないかと思います。そういう足りないところには導入を積極的に各地の労働局等が呼びかけていただくのもいいのではないでしょうか。
 ただ、実際には、取引形態とか、シフト制の関係とか、いろいろ問題があると思いますので、これはこれから分科会のほうでも皆さんと詰めていければよろしいと思うのですけれども、企業実態、それから補助事業の関係でも、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の関係でも9時間以上とありますから、その辺のめどをつけながら、もちろん9時間よりも11時間のほうが深夜にかかわらず時間が取れますので有効な方策だと思うのですけれども、企業の実態というのも見ていただきたいと考えます。
 もう一点、副業・兼業の関係です。時間外労働の関係で、この分科会でも議論をしてきたところだと思いますけれども、これはあくまでも私の感想ですけれども、通算というのが事業者にとって把握しにくいし、労働者としても言いにくいというところもあると思います。ですから、その中で把握している限りで超過勤務をつけるというか、副業の関係で時間外労働の手当をつけていくということなのですけれども、実際にこの調査結果、64ページを見ると、自社の労働時間内において発生した割増賃金のみを支払っているということで、どうしても他社の労働時間については労働者の申告制であるため、把握しにくいのではないでしょうか。
 本来だったら、他社の労働時間と通算して割増賃金を支払っているということにならなければいけないのが、率が少ないということになると、理解が進んでいないということもあると思いますし、制度の周知をもう一回改めてしていただく、または時間外労働ということを自社内での限度にしていくことで、もっとこの制度自体を導入しやすくなるとも考えられるのではないかなと思います。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 ただいまの佐久間委員の御発言にも関わる副業・兼業の話について、私からも一言申し上げたいと思います。
 割増賃金につきましては、上司が部下に対して業務命令をすることで発生するものですが、副業・兼業の場合には労働者御本人の選択で行うものでありますので、割増規制を課すことにそもそもなじまないのではないかと思っております。
 また、副業者を受け入れる企業の立場からしても、例えば本業で月曜から金曜日まで週40時間労働されているような方を、土曜日に副業先が受け入れる場合には125%の賃金支払いが発生します。経営者としては、このような副業者よりも副業していない方の採用を優先することになりかねません。つまり、労働者の雇用機会を減らしてしまう側面もあると思いますし、労働者側と意見が違うところかもしれませんが、私どもは副業・兼業については労働者本人のキャリアアップに資する面があると思っています。最近は都心部の労働者の方が持っている専門性を地方の中小企業で役立てて、それが地方の中小企業の生産性向上につながっている例も承知しております。副業・兼業に対する規制が副業・兼業のメリットを損ない、副業・兼業の普及につながらない可能性があることを懸念しています。
 もちろん副業・兼業者の健康確保は大変重要だと思っております。そのため私どもとしては、健康確保のための労働時間通算規制はしっかり行う。このような前提で見直しを図っていくことが必要だと思っております。その上で、先ほど古川委員から御指摘があった管理モデルの利用を広げていけるような取組も大変重要ではないかと思っております。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 藤川委員、お願いします。
○藤川委員 ありがとうございます。
 先ほどの副業・兼業について、使側の委員からも御意見がありましたけれども、労働者保護の観点は非常に重要と思っております。そのためにも、労働側としましては、長時間労働が生じないよう、労働時間の通算管理を厳格に行うことは非常に重要だと考えております。割増賃金規制は、使用者側に経済的な負担を課すことで、時間外労働等を抑制するためのものであり、さらには健康管理のための労働時間管理と相まって、労働者の働き過ぎの防止と健康確保を図る必要があると考えております。健康さえ確保できる労働時間であれば問題ないわけではなく、働き過ぎの防止を実現することが重要であると考えています。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 質問もありましたので、事務局からお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 佐久間委員からいただきました、管理監督者と機密の事務を取り扱う者の両方ともいない割合のところであったかと思います。こちらに関しては、この調査でできる限界の部分もございます。調査票が参考資料No.1にあります。それの3ページがここの問いになっておりますが、非常にシンプルに事業所において管理監督者がいる、機密の事務を取り扱う者がいる、管理監督者も機密の事務を取り扱う者もいない、これに当てはまるものに丸をしてくださいとだけ聞いておりますので、そこの背景はなかなか分析は難しいところがございます。
 ただ、1点、下のアスタリスクのところにもありますように、管理監督者とは何ですかというものに対して、部長、工場長等のように、労働条件の決定や労務管理などについて経営者と同様の立場にある者というような注釈をつけました。これが事業所によってはかなり高い地位と捉えられて、本社でもなく課長級しかいないからというようなことで、いないにチェックされたというようなケースもあるのではなかろうかとは思われます。現状、この調査から類推されるのはその辺りなのかなというところでございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 細かい話ですが、冒頭に書類の保存期間について鈴木委員から御発言がありましたので、その点について私も発言したいと思います。
 賃金の消滅時効のあり方について、今回の書類の保存期間の結果だけで議論するべきではないという点については私も同様の認識ですが、一方で、5年前の消滅時効の議論では、企業における準備期間ということも含めて、当面の間、3年としたものと思っております。
 今回の資料を見てみますと、法定の当面3年というところを超えて、比較的5年を超えて保存されているところも少なくはないのが実態です。今後議論をするに当たっては、こうしたデータも参考にするのは重要と思っていますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。藤村委員、お願いします。
○藤村委員 36協定についてなのですが、こういう場で議論していると、36協定は常識中の常識ですよね。でも、私が所属しているJILPTの研究員が中小企業にインタビュー調査に行くと、「36協定って何ですか?」というような質問が出るという実態があります。今回の調査で、36協定を結んでいないところが4割ちょっと出たのですが、調査票を見ますと、36協定を知りませんという選択肢はありません。36協定を知らない人も結んでいませんというところに丸をしている可能性がある。
 それから、事務局に伺うと、36協定を結んでいない会社で勤めている個人調査の回答者をマッチングできるそうです。ただ、個人調査の調査票を見ると、45時間以下、つまり、ゼロというのは選択肢に入っていないのです。つまり、36協定を結んでいなくて、本来は残業時間がゼロのはずなのだけれども、実際は残業を命じている事業所が恐らく大分あるのではないかと。そうすると、これから労使協定を結ぶことによって、いろいろな幅を持たせた労働時間管理ができるようになるというときに、36協定さえ結んでいない、あるいは知らないという企業を前提に、特に小さいところについては考えていかないとまずいのかなとも思いました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 今、藤村先生におっしゃっていただいていたこと、誠にごもっともなところでございます。実際に就業規則を作成しなければならない人数規模の労働者がいないことから、結ばない事業者や残業させるためには36協定を結ばなくてはならないことまで知らない事業所は結構多いのではないかなと思います。ですから、残業させるに当たっては必ず36協定が必要なのだということが、当然なのですけれども、立ち上げたばかりの企業、社員を数人雇った企業というのはどうしてもまだまだそこまで行っていないというところも実態としてあると思います。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局におかれましては、本日の意見も踏まえつつ、今後、各テーマについてデータも踏まえた議論ができるよう、次回以降の資料の準備を進めていただくようお願いをいたします。
 それでは、本日の議事はここまでとさせていただきます。
 最後に、次回の日程等について、事務局より説明をお願いします。
○労働条件企画専門官 次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
 ここで事務局から御案内がございます。
 約10年にわたり分科会長として御尽力いただきました荒木分科会長におかれましては、このたび御退任をされることとなりました。
 退任に当たりまして、荒木分科会長より一言御挨拶をお願いいたします。
○荒木分科会長 お時間を取って恐縮です。マイクの関係もありますので、座ったままで失礼させていただきます。
 今、10年という話がありましたが、私、この労働条件分科会の公益委員に就任したのは2001年でございまして、途中2年間、委員でなかった時期がございますので、トータルしますと22年間、この労働条件分科会の公益委員を務めさせていただきました。
 この間、大変大きな法改正もございました。2003年に労基法改正をして、有期契約の上限を3年にする。それから、解雇権濫用法理を初めて明文化する労基法18条の2という条文をつくったのが2003年でした。
 それから、2007年には御承知のとおり個別的労働関係の基本法である労働契約法の立法がありました。
 それから、2008年の労基法改正では、月60時間を超える時間外労働には5割の割増賃金を導入し、今日も議論になりました時間単位の年休を導入したのも2008年です。
 2012年の労契法改正では、有期契約についての無期転換ルール、雇止め法理、それから無期契約と有期契約の不合理な相違の禁止規制が導入されました。
 2018年には、働き方改革関連法で時間外労働の絶対的な上限を導入することになりましたし、年休5日の付与義務、それから高度プロフェッショナル制度の導入、こういった大改正がありました。
 2020年には、民法の債権法改正に合わせて、消滅時効の改正も行ったところです。
 このような法改正作業の中で、労使の委員の皆様から沢山の御意見をいただき勉強させていただきましたが、公益の立場からこれらの立法にも向き合わせていただきました。
 本年1月には労働基準関係法制研究会報告書をまとめるお手伝いもさせていただきました。これは中長期的な課題も踏まえつつ、今後の労働基準関係法制の方向性について提言したものです。
 この間の労働基準法制の改正を見ますと、時々のニーズに対応するために様々な改正がなされましたが、その結果として法制度は大変複雑化してしまったということもございます。しかし、労働基準法制というのは本来、普通の労働者が自分の権利は何か、自分はどう保護されているかということを認識し、その保護が守られていなければ、これはおかしいといった声が上げられるようなシンプルな規制であるべきだと思います。
 ただ、他方で、現在、労働者の多様化、価値観の多様化、そして働き方の多様化も進んでいるということがございます。こういった多様な働き方の実態を離れた規制を行っても、それは実効性がない規制ということになります。すなわち、一方では、非常にシンプルな法規制が要請され、他方で、複雑な実態に対応した規制が要請される。これは相矛盾する要請ということになります。この難しい課題に、この労働条件分科会では適切な回答を見いだしていただかなければならないところです。そのためには、この公労使三者構成の審議会が、日本の労働法制を着実に前に進めるために、一致して御尽力いただくことが大変重要ではないかと考えております。
 今年1月の労働基準関係法制研究会報告書は、こうした困難な課題を念頭に、研究会としての一定の方向性を示したものでございまして、この分科会での今後の議論にも何がしか裨益するところがあれば大変ありがたいと考えております。
 分科会委員の皆様には、長い間、多くのことを学ばせていただきましたし、また、日本の労働基準法制の発展に大変御協力をいただきましたことに対して、心より御礼を申し上げます。
 また、この間、献身的に支えていただきました厚生労働省の事務局の皆様にも、深甚の謝意を表したいと存じます。
 長い間、大変お世話になりました。どうもありがとうございました。
○労働条件企画専門官 ありがとうございました。
 事務局からは以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、これをもちまして第196回労働条件分科会は終了といたします。
 本日は、お忙しい中御参集いただきまして、どうもありがとうございました。