第6回国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する検討会 議事録(令和7年7月1日)

日時

令和7年7月1日(火) 15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター及びWEB開催

出席者

資料1ー2参照

議題

  1. (1)第2期医療機器基本計画に関する進捗状況等について
  2. (2)第3期医療機器基本計画の策定に向けた検討の進め方について
  3. (3)その他

議事録

〇南川室長 
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様、関係省庁の皆様におかれましては、お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。
本日、Web会議システムを併用して開催させていただきます。本日の資料につきましては議事次第に記載の物をご用意しておりますので、ご確認をお願いいたします。もし資料に不備等ございましたら、事務局にお知らせください。
それでは、冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。議論に入らせていただく前に、厚生労働省からまずご挨拶させていただきます。
〇水谷課長 
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。本日は皆様お集りいただきましてありがとうございます。この検討会での議論を踏まえまして、令和4年5月に第2期基本計画が発表されました。これから令和9年度に策定する予定の第3期基本計画に向けた議論が始まるわけでございます。
医薬品の分野で創薬力強化、あるいは後発医薬品の安定供給など様々な動きがある中で、医療機器の方はどうなっているのだというお声をよく頂戴いたします。医療機器につきましては第3期基本計画に向けて、ということが政策としてのサイクルということになろうかと思いますので、これから精力的にご議論いただきたいと思っております。
振り返りますと、第2期基本計画を策定して以降も、AIをはじめとした技術革新の急速な進展、大幅な為替の変動、米国の関税などの国際経済環境の変化、それから、少子高齢化が進む我が国の状況など、医療機器を取り巻く環境というのは大きく変化していると考えております。
本日は、これまでの3年間の基本計画の達成状況を振り返りつつ、今私が申し上げたような、取り巻く環境の変化を踏まえたうえで、令和9年度に策定する予定の第3期基本計画の策定に向けた議論を始めていただければと考えております。医療機器は大変重要な分野でございます。本検討会での議論はそのスタート地点となるものと思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
〇南川室長 
ありがとうございました。続きまして本日ご出席いただいている、内閣府、文部科学省、経済産業省からのご挨拶をお願いいたします。
〇内山局長 
内閣府健康医療戦略推進事務局・事務局長の内山でございます。本日付で事務局長を拝命いたしました。また、本日付で経産省から江澤さんが健康医療戦略推進事務局の次長にも任命されておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
内閣府におきましては、本年4月から第3期の健康・医療戦略が始まってございます。この第3期の健康・医療戦略では、出口手法の研究開発の推進ということで、医療機器分野においてもこのような観点から研究開発支援を強化して、産官学の連携によるイノベーションの創出、これを推進していきたいと考えています。先ほど、厚生労働省からのご挨拶にもありましたように、今後、第3期の医療機器基本計画の策定、これが大きなテーマになってくるという風に思っております。
先ほどのお話にもありましたように、創薬や後発医薬品の支援に比べて、医療機器のところをどのようにやっていくのか、ということは一つの課題だと思っておりますし、また、これまで第1期、第2期の医療機器基本計画を作り、今は第2期の最中でありますけれども、第1期、第2期がホップ・ステップであるとすれば、どうすれば第3期はジャンプすることができるか、今までの事も踏まえながら、どうすればジャンプできるかというのを考えていく必要があると思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
〇南川室長 
ありがとうございます。では文部科学省の方、お願いいたします。
〇佐藤戦略官 
文部科学省研究振興局・研究振興戦略官の佐藤でございます。日頃から医療機器の研究開発に対して多大なるご支援ご協力を賜り、改めて御礼を申し上げます。
文部科学省におきましては、これまで大学・企業・臨床の連携を通じて、アカデミアからの幅広い要素技術とシーズ発掘、研究開発初期段階からの事業化、実用化のためのコンサルティング支援を行う事業、また、基礎研究から臨床試験段階までの一貫した橋渡し研究開発支援を行う事業等を実施するとともに、医療への実用化を加速するために、医療系スタートアップへの伴走支援の強化等を推進し、第2期医療機器基本計画の着実な遂行に向けて取り組んでまいりました。
これから検討される第3期医療機器基本計画におきましても、革新的な医療機器の開発に向けた人材育成、および基礎研究から実用化まで一貫した支援体制は、文科省における重要な役割と考えているところです。さらなる取り組みの強化に向けて、着実に事業を進めてまいりたいと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
〇南川室長 
ありがとうございます。続きまして、経済産業省の方からお願いします。
〇江澤統括官・次長
経済産業省商務・サービス政策統括官の江澤でございます。本日付で、内閣府 健康・医療戦略事務局の次長を拝命いたしました。本日以降議論していただきますが、医療機器基本計画は、国の基本的な医療機器支援策を示すものとして、2022年の5月に、第2期がスタートしたところで、関係省庁と連携して着実に進めてまいりました。経済産業省としては、昨年3月に、取りまとめました医療機器産業ビジョン2024がございまして、これを踏まえて、今後政策支援に求められる方向性について、さらに議論を重ねてまいりました。本年6月16日に、支援領域の選定であるとか、当該領域の研究開発および事業化の重点支援をどうするべきか、さらに、医療機器企業によるグローバルで戦うための外部のイノベーションをどのように取り込むかといったことをまとめた医療機器産業ビジョン2024のイノベーション創出及び事業化支援戦略を公表したところでございます。また骨太には、開発後期、それから海外展開に向けた研究開発支援の強化について盛りこまれたところでございます。こうしたことを踏まえ、今後、政策支援の充実化を議論していく必要があると考えています。本日以降ご議論いただく方向性を踏まえて、医療の質の向上を実現する医療機器が早期に社会に実装され、また、それを開発して実用化する医療機器産業の成長発展を加速するため、引き続き関係省庁で連携しながら取り組みを進めてまいりたいと考えています。今後とも、活発なご意見をいただきまして、そういった計画に反映してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。  
〇南川室長 
ありがとうございます。それでは以降の議事運営につきましては座長にお願いさせていただきます。菊地座長お願いいたします
〇菊地座長 
かしこまりました。座長を仰せ仕っております、公益財団法人医療機器センター理事長の菊地でございます。何卒よろしくお願いいたします。
ただいま、第2期基本計画が進行中でございますけれども、先ほど内山事務局長からもお話がありました、ホップ・ステップ・ジャンプ、いよいよこの第3期は非常に重要な時期にくるのだろうなということですので、本日の第6回検討会では、第3期基本計画の策定に向けた議論ということを行っていただきたいと思っています。
議論に入る前に前回および今回から新しくご就任いただいております構成員の方がおられますので、私からお名前を挙げさせていただきますので、お一人ずつ簡単に自己紹介をお願いできればと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。まず池野先生、おられますか。
〇池野構成員 
スタンフォード大学の池野文昭です。日本で臨床医をしていました。24年前に渡米してからアメリカにずっと住んでおります。医療機器というキーワードで、20何年間やっていますので、この会に参加できてとても嬉しく思います。お願いします。
〇菊地座長 
ありがとうございました。続きまして、石井さん、おられますか。
〇石井構成員 
医薬品医療機器総合機構の医療機器審査等部門担当の執行役員の石井です。日頃の医療機器開発の相談や審査の業務から、第3期基本計画の策定に向けてお手伝いができればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇菊地座長 
ありがとうございました。続きまして、瀧口さん、おられますか。
〇瀧口構成員 
はい、ありがとうございます。瀧口です。
私はキャノンメディカルシステムズに所属しておりますが、この検討会には日本画像医療システム工業会の会長という立場で参加させていただいております。診断分野での医療機器産業を代表した意見をということで参加させていただきますので、よろしくお願いいたします。
〇菊地座長 
ありがとうございました。続きまして、宮田さん、おられますか。
〇宮田構成員 
初めまして、本年度からMT JAPANの会長をつとめさせていただくことになりました、朝日インテック会長の宮田でございます。私は15年間、昨年まで代表取締役をつとめてまいりまして、特に当社が医療機器の事業に進出するところから携わってきました。
日本の、特に低侵襲治療の普及を積極的に行おうということで、カテーテルやガイドワイヤーの開発を行い、日本で広めて、そしてそれを世界に広めようということを行っておりました。今回から業界団体活動も初めてでございますので、皆様にご指導いただきながら進めさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇菊地座長 
ありがとうございました。それでは最後に山本(章)さん、お願いいたします。
〇山本(章)構成員 
はい、日本医療機器産業連合会の会長の山本です。初めて構成員として参加をさせていただきます。
医機連は昨年、医機連産業ビジョンをアップデートし、今後の方針を明確にしましたが、今年度から実行のフェーズになります。このフェーズと、この会議で議論をしていただく内容を並走させながら、国の方針と齟齬がないような形で進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは、本日からがまさに第3期に向けたキックオフということになろうかと思います。
今回新しく参加された方々も含めて、構成員の方々には忌憚のないご意見、特に繰り返しになりますけれども、第3期がいよいよホップ・ステップ・ジャンプの大事な時期ということですので、ぜひご意見を賜れればと思っております
それでは早速議題に入らせていただきます。本日のテーマは2つございますが、まず議題1、第2期医療機器基本計画に関する進捗状況等について、事務局からご説明をお願いします。
〇南川室長 
はい、ありがとうございます。第2期医療機器基本計画に関する進捗状況について、資料に沿ってご説明させていただきます。資料2ー1をご確認ください。これはこれまで三年間、毎年進捗状況を確認した部分をまとめたものです。
2ページをご確認いただきますと、基本計画の基本構造として、3つの基本方針ごとに、実現を目指した11の取り組み事項およびゴールで構成されています。3ページにありますこの11のゴールについて、第2期からの取り組みについて、KPIをそれぞれ設けております。
4ページをご確認ください。ゴール1の人材育成に関しましては、4ページにある各拠点における研修コースの数、そして受講者数、5ページにありますとおり研修コースごとの受講者数、そして6ページにございますとおり、それぞれのコースを行っている拠点数を記載させていただいております。その中身として、7ページには参加者の年齢層や所属機関、8ページから9ページに関しては、それぞれのコースについて、内容に関する参加者の評価についてのアンケート調査を記載しております。
続きましてゴール2です。10ページですが、まず死の谷を克服するベンチャー企業、異業種からの参入企業の増加というゴールに対して、医機連のご協力を得て、傘下の団体を対象としたアンケートの中で、一定程度ベンチャーの割合があること、そしてその中には上市可能な製品を保有していないベンチャーが一部あることを記載しております。 
11ページには異業種からの参入の割合などについて、アンケート調査の結果を基に記載させていただいております。
次に、12ページについては、研究開発拠点がどう連携しているかという指標ですが、12ページには拠点で行われる共同研究の数、そしてそのフェーズにおける割合を記載しております。
13ページの左については、拠点間の連携であったり、国際共同治験の状況などを記載しております。
続きまして、14ページについては、First in Humanに向けた非臨床的な実験系・評価系への取り組みですが、これまでの取り組みをまとめさせていただいております。
15ページはゴール5として、医療機器の研究開発を念頭に置いた医療情報の集約としまして、左にあります4つの項目、データバンクの構築の支援、倫理審査委員会の審査の均てん化、次世代医療基盤法や、レジストリデータについての項目について、それぞれの年度で行われていることを記載した上で、16ページには次世代医療基盤法に関する実績の数値、17ページにはレジストリに関する実績の数値を記載しております。
続きまして、18ページには、重点5分野を第2期で設けており、AMEDにおける、採択件数および1件当たりの助成額を18ページに、そして19ページにはその内訳として、ステージ、基礎研究、そしてそれから基礎研究を飛び出して応用研究に至るもの、応用研究から臨床で試すものはどのような割合であるかを記載しております。
20ページから22ページについては、それぞれのステージについて、基礎から応用、応用から検証、場合によってはそのまますぐ上市に至るものがありますが、どういう割合でステージアップしているかということを記載しております。
23ページについては、ゴール7、国際展開については、医機連のアンケート調査の中で、具体的に企業の数の推移と国際拠点を有する企業数の推移を記載させていただいております。
実際の国際展開活動に関する同じアンケート調査の中で得られた具体的な内訳について、それぞれ24ページから26ページまでで、その3年間分まとめています。
続きまして、ゴール8の薬事等の審査体制の部分につきましては、27ページにデバイスラグの直近3年間、そして新医療機器の承認状況の直近3年間の状況について図示しています。
28ページに関しては、SaMDに関する相談件数、そしてIDATEN制度の活用状況についてのグラフを載せています。
29ページについては、医療保険制度におけるイノベーションに対する適切な評価として、これまでの革新的な医療材料のイノベーションの評価の取り組みについてまとめております。
30ページについては、医療保険制度の中で新規性が高い品目であるC1、C2申請が毎年どの程度収載されているかというのをまとめております。
31ページにつきましては、規制調和というような形で、日本の薬事承認の国際的な意義の向上に向けた取り組み事項について記載しております。
32ページ、ゴール11については、医療機器のアクセシビリティ、安定供給上の課題についての政府の取り組みを記載しております。
駆け足ですが、資料2ー1のご説明を終えさせていただきます。
続きまして、資料2ー2に参ります。
今回、第3期基本計画の議論を開始するにあたって、医療機器基本計画に関する調査事業というのを厚生労働省の方でやっておりまして、その中で受託業者に予備調査という形で、関係者ヒアリング及び国内外の調査というのをお願いしております。まずそれをご紹介させて頂ければと思います。
資料2ー2の2ページをご確認ください。ヒアリングにつきまして、実施時期は本年の5月から6月となり、対象機関および企業、そして主なヒアリング項目はこの2ページに記載のとおりです。
その中で、主なご意見、特に課題を中心として、まとめております。まず全体に関する主なご意見としては、3ページにあるとおり、日本は医療機器産業において国として持つべき戦略を第3期医療機器基本計画策定において最初に定義するべきである。また改良・改善の医療機器に対する戦略など、革新的な医療機器の開発以外に対する戦略が不足しているのではないかというご意見、2つ目にありますように、個々の施策で見た時には充実してきているようですが、全体としての進捗が評価しづらく、ビジョンを実現した姿を具体的に定義できるとよいというご意見でありました。さらに、限られた予算の中で施策が総花的になっているのではないかということで、産業振興において効果が高いとされた施策に対して投資を集中させることも今後検討する必要があるというようなご意見を全体に関していただいております。
それぞれのご意見は一部だけのご紹介とさせていただきます。
ゴール1については、人材育成の部分ですが、医療機器の研究開発に積極的に関わる医療従事者は増えているけれども、やはり昨今の状況によって、大学病院などにおける医療従事者が医療機器開発に携わる余裕が減ってきているというようなご意見などがございます。
ゴール2の死の谷を克服するベンチャー企業、異業種参入企業の増加に関する主なご意見としては、ベンチャー創出の活気は高まってはいるものの、起業時のリスクを最小限にするセーフティネットの構築などがないと、なかなか日本の企業・アカデミアの人材がリスクを負って起業しないのではないかというようなご意見などいただいております。
続いて6ページですが、拠点の連携強化の部分については、研究開発の伴走支援や手引きが充実してきている一方、自分たちができる範囲に落とし込んでしまっているのではないかというようなご意見などをいただいております。
ゴール4につきましては、この部分については着実に整備されてきているというような形で引き続き実施すべきというご意見などをいただいております。
ゴール5の医療情報の集約につきましては、既存のデータベースについては、データの汎用性が低くて、企業側にとっても有用な情報となっていないというようなご意見などをいただいております。
続きまして、ゴール6につきましては、重点5分野の話ですが、何が重点5分野であるか判断がつきづらいというようなご意見などをいただいております。
ゴール7につきましては、国際連携の部分ですが、国際機関の制度や枠組みを活用した展開支援として、関係省庁でいろいろ施策を打たれておりますが、企業が認知せずに活用しないケースなどがあるなどのご意見をいただいております。
ゴール8につきましては、薬事承認プロセスにおいて発生するデバイスラグについては解消されつつある一方で、AI等の新しい技術の部分について、やはりまだ時間がかかっているのではないかというようなご意見をいただいております。
ゴール9につきましては、革新的な医療機器について、その事業性を担保するほどの点数がつかないケースもあり、国として後押しする領域を明確にし、ある程度優遇策を設けることも考えたらどうかというご意見をいただいております。
ゴール10につきましては、規制調和の促進に関しては、近年進められていて、引き続き継続すべきであるというようなご意見をいただいております。
ゴール11につきましては、安定供給についてですが、インフレ環境となったことで、安定供給を実現する採算性の取れた供給体制の確保が課題になってきているというようなご意見をいただいております。
その他は内容をご確認いただければと思います。資料2ー2は以上です。
次に資料2ー3です。これについては、国内外で現時点でのデスクトップ調査でデータをまとめたものとなります。2ページは目次でして、4ページからご確認ください。
医療機器産業の年平均成長率というのは極めて有望であるということを4ページに書いております。
5ページに、世界の中でも成長率というのが6%で今後も増加していく、これまでも成長してきて今後も成長する見込みである、ということを書いております。
6ページにつきましては、世界の中の市場規模ということで、左のグラフのとおり、米国が47%、ドイツ7%、中国6%、日本5%、フランス3%ということで、日本は世界で4位という形の市場規模になっております。それについて、今後の予測については、アメリカや中国はかなり成長率が高く、ドイツやフランスは概ね4%前後という形になっています。
7ページにつきまして、この上位5カ国に関して、それぞれ市場における診断機器、そして治療機器の割合がどうかということですけれども、概ね治療機器が50%から60%、診断機器については20%前後から30%となっております。
8ページですが、この上位5カ国について、輸入超過なのか、輸出超過なのかを整理した資料ですが、日本、米国、フランスは輸入超過となっており、またドイツ、中国は輸出超過となっています。
9ページには、今の5カ国について、それぞれ人口などを比較した表を載せております。
続きまして、11ページ以降が日本の医療機器の市場概況になります。11ページは、国内総出荷高という形での市場規模でいうと、これは薬事工業生産動態統計によるものですが、年平均成長率は約4%で日本は増加してきています。
12ページはその具体的な内訳です。どのような機器、たとえば治療機器などの内訳がございまして、13ページは治療機器と診断機器等に分けたものです。
14ページにつきましては、いわゆる逆輸入も含めた形で、どのように日本の市場規模の大きさが変化しているかを示したものであり、逆輸入額に対し輸入金額が多いという形であることが分かってきました。また、輸出向けの生産割合は40%程度で変わっていないので、市場規模の大きい部分をやはり輸入の部分がカバーしているということになると思います。
15ページについては、日本の主要な医療機器産業の企業の海外売上比率は70%程度で、かなり外に出ていることが記載から分かると思います。
16ページ、17ページについてはその詳細な内容であり、割愛します。
18ページは、薬事上の新医療機器の承認件数と内資系企業の割合、保険のC区分、すなわち新規性の高い部分の内資系企業の割合で、概ねどちらかというと外資系の方が強いということがわかると思います。
19ページにつきましては、日本の医療機器のスタートアップの状況になります。毎年大体16社のスタートアップが設立されていて、その投資額は全体で平均すると大体6000万ドルで、左の図にありますとおり、この2014年から2023年に161社が設立されて、その中で資金があるものが35社で、その中でもエンジェルからシードという風に、下に行けば行くほど大型の資金を得ているといった形でスタートアップの数をまとめたものとなっています。
続きまして、21ページからは、製品データ別のシェアについて、2018年と2022年の比較を記載しております。
22ページは、米国、欧州、日本の企業と、実際のシェアの部分も記載しており、アメリカ企業がかなり世界シェアを取っていることがわかると思います。
23ページは、グローバルの医療機器の売り上げTop20社が2018年から2024年にかけてどう変わっていったか、24ページについては、日本の中のランキングがどう変わったかということが同じデータで記載されています。
25ページは、経産省の医療機器産業ビジョンにもありますが、国内M&Aにおいても対象企業の多くは海外企業であるということが、右の図から分かると思います。
26、27ページについては、内資系の企業において、研究開発費と、平均成長率の相関が高いということや、スタートアップの状況はやはりアメリカ、中国が強いということを示しております。
29ページにつきましては、これはまだ予備調査の段階なので概要になりますが、各国における全体の戦略、そしてヘルスケア戦略、医療機器産業に関する戦略がどうなっているかということを表にしているものです。
資料2ー1から2ー3まで以上になります。よろしくお願いします。
〇菊地座長 
ありがとうございました。資料2ー1、2ー2、2ー3にわたり、最近の動向、特に第2期基本計画の進行中ということもありますし、国内外の情勢について大変緻密で大量なデータを要領よくまとめていただきまして、ありがとうございました。
まずこれに関しまして、構成員の方々からご意見があればと思っていますが、今日は議題が2つありまして、議題2も本質的な部分でございますので、できれば15時50分ぐらいを目処にご質問あるいはご意見等をいただければと思っておりますので、よろしくご協力の程お願いいたします。
会場内の構成員の方は挙手を頂いて、またWeb参加の方は、手を挙げるマークをつけていただければと思いますが、私自身も見過ごすことがあるかと思うので、事務局の方、よろしくお願いいたします。それでは早速ですけれども、多くの先生方から、ご意見を賜りたいと思うので、なるべく簡略に、まとめてご意見を賜れればと思っております。まず池野先生から手が挙がったようですので、いかがでしょうか。
〇池野構成員 
まず、わかりやすい説明に対し、感謝いたします。
資料2ー3の14ページで、この生産と輸入の関係ということで、輸入超過ということですが、これを治療機器と診断機器に分けて作っていただけると、より内容がよく分かるかと思っています。これは治療機器と診断機器が混ぜられているわけですが、薬の場合は基本的に治療薬ですので治療となりますが、医療機器の場合は、体外診断薬も含めて、色々な種類がある中で、診断機器と治療機器というのは分けて考えた方がフェアではないかというふうに思って提案させていただきます。
〇菊地座長 
ありがとうございました。
事務局の方で、ぜひそのような整理をお願いしたいと思っています。
ウェブ参加の方々を先にということで、まず東北大学の中川先生、どうぞお願いします。
〇中川構成員 
ありがとうございました。池野先生と同じく、素晴らしい資料ありがとうございます。
資料2ー1のKPIについて、ゴール7の国際展開というところで質問とコメントをさせていただきたいと思います。国際展開は非常に重要だと思いますし、大学もこれから国際卓越研究大学をはじめ、もっと大学側が価値を出すこと、インパクトを出すことを求められる時代に入ってきております。
そういった中で、国際展開で、日本の企業が海外展開にリソースを割けず、費用の高騰や人が減るなど、色々なところに苦労されているという側面がこの資料の中に表れたように拝見しております。そういった中で、アカデミアができることにはどういったことがあるのか、その辺りに関して担当の方からご回答いただけるとありがたいなと思って見ておりました。
〇菊地座長 
ありがとうございました。重要なポイントを指摘いただきました。
事務局の方で今のご発言に関連して何かありますか。
〇南川室長 
厚生労働省の方では、色々な拠点事業をやっていく中で、そこではアカデミア・大学の方も採択されているところもあり、その拠点を通じていかに企業の方がいわゆる海外のエコシステムの方々とつながって展開していくかを支援していくといった取り組みは、今年度の事業から始めてまいります。もし文科省側から何か補足があればよろしくお願いします。
〇菊地座長 
いかがでしょうか。今の観点で文科省から何かご発言ございますか。特によろしいですか。
中川先生からのご指摘、非常に重要です。KPIに関して3月にもこの検討会がありましたけれども、海外展開というのはなかなか本当の意味での適切なKPIがまだ見極められてないという感じがいたします。いわゆるビジネス活動的な部分と、海外へ展開する意味での人脈あるいはルートであるとか、いろんな側面があるかと思いますので、恐らく第3期基本計画ではこういう面をもう少し詳細に、あるいは海外展開を本格的な戦略目標に持ってくるとなると、かなり変わってくると思います。それに関連したご発言だと思いますので、ありがとうございました。
引き続きまして。PMDAの石井さんからも手が上がったようですけど、いかがでしょうか。
〇石井構成員 
資料2ー3の19ページのところで、日本における医療機器のスタートアップというものがあって、さらに27ページには各国の医療機器のスタートアップの情報とあるのですが、個人的には日本のスタートアップ企業というのはほとんどAIを活用した診断機器系が多いのではないかと思っています。
一方、他の欧米や中国のスタートアップ企業というのは、どういう傾向にあるのかという事を調査していただくと、日本のスタートアップ企業と欧米・中国のスタートアップ企業の違いがわかって、日本の強みあるいは弱みというものが浮き彫りになるのではと思いました。
〇菊地座長 
ありがとうございました。今の石井さんのご指摘は大変重要で、おっしゃるとおり日本のスタートアップにおいてはAIを使ったようなものがクローズアップされていますが、海外においてどういう分類があるのかというデータも参考になるということでしたので、事務局の方でご調査をお願いしたいと思います。非常に重要なご指摘でした。ありがとうございました。
山本(章)会長どうぞ。
〇山本(章)構成員 
山本です。先ほどの石井さんの話に近いと思っておりますが、資料2ー3の29ページに、まず国家戦略として大国である、米国・中国・欧州について書かれていますがこれが非常に重要だと思っていますし、我々としても大国で参考にすべきところは、するべきだと思っています。
一方、産業界としてもスタートアップの方々と議論すると、やはりスタートアップが急成長している韓国、シンガポール、台湾、イスラエル等も重要という議論が出ます。スタートアップとしては、大国だけじゃなく、スタートアップが急成長している国も違う観点で調べていただくというのが重要と思っています。
今後、医機連もこのような取組をして参りますので、ご指導の程、よろしくお願いいたします。
〇菊地座長 
鄭先生、お願いいたします。
〇鄭構成員 
はい。私もそこに続きまして、27ページの資料を拝見しますと、設立数は、スタートアップは23年にかけて日本だけアップしていると。その一方で、投資額の方は非常に少なくなってきて、一個一個が多分小さいのかなと思いまして、このあたり、先ほど石井さんもおっしゃいましたように、どのような治療機器なのか、診断機器なのかとか、AIなのかとか、その内訳がわかりますと、今後の対策が取れるかなというふうに思いました。
〇菊地座長
ありがとうございました。今、3人の構成員から関連してご発言ございましたけれども、まさにこれから重要な、スタートアップをいかに勃興して、花を咲かせるかというところに、調査の段階でもいくつか細かくアイテムを分けてやっていただくと、日本の現状、あるいは環境、土壌、そういったものがどこをやると強くなれるのかが分かってくるかと思いますので、ぜひこれもまた調査をお願いしたいと思います。
先ほど山本(章)会長からもいくつか、スタートアップが急成長している元気のいい国というのが出てきましたけど、おそらくそういう国は、他のいわゆる大国と言われる国と小さい国との、環境の違いや、生き残りにかける精神とかいろいろそういう差があると思います。是非そういうところもあぶり出していただくと、今後の日本の示唆になるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
大変いいご指摘をありがとうございました。時間がまだ少しあるようですが、いかがございましょうか。どうぞ、妙中先生。
〇妙中構成員 
私は第2期で、医療機器・ヘルスケア開発協議会もやらせていただいて、資料2ー1でお話しされた、いろんな計画、その結果を見て、皆さんいい成果をあげておられるなと思います。
この資料2ー2の、現場でどんなふうに感じているのかという事が私としてもとても重要だと感じています。特に、資料2ー2の3ページの一番上にある、革新的な医療機器の開発に重きを置いてきた一方でそれ以外の戦略が不足しているといわれているのですが、第2期の時には革新的な医療機器の創出に重点を置いてくれと言われていたような気がしており、それに関してどっちに重きを置くのかという気がします。
これに関して言うと、参考資料の4ー2のこれまで提案されてきた各省の政策を見ておりますと、特に98ページに示されている文部科学省が行った、医療機器等研究成果展開事業であったりとか、橋渡し支援プログラムであったりとか、より初期の革新的なもの、本当に新規性の高いものを一生懸命支援してほしい。このようなことはやはり今後も我が国が海外に勝つためには、もっと続けていければ意味があるのではないかというふうに感じています。
それから、この資料2ー2の4ページの、医療機器の研究開発に積極的に携わる医療従事者の数は増えているという点について、特に私もこの法律ができた時に、臨床工学技士の学会で、医師等の責務としてこういう研究開発と普及をやらないといけないということを強調させていただきました。そういった方向に動いていると思うのですが、その下の文章に、そもそも開発の領域に医師が関与できること自体が十分に認知されておらず参加者が少ないとあって、とても問題だと思っています。医師等との責務になっており、診療行為を行うだけではなく、医療機器の開発等も重要だということを、医師等に伝える必要があると思っています。
例えば、内閣府の健康・医療戦略推進事務局にも来ていただいていますけど、この方々が、例えば日本医学会連合であるとかそういうところに行って、144の主要な学会等が集まってきておられるので、そういうものをもっと支援をして意識を変える、そういうことをもっとやっていただけたらと感じています。
〇菊地座長 
ありがとうございました。
今、妙中先生からお話があった内容について、先日の協議会の方でも発言をさせていただいたのですが、特にクラスⅢとかⅣとなると、医療、特に臨床を含めて、相当専門的な知識がある方が、ある程度アイデアを出して牽引していかないと、なかなかいいものが出てこないということがあります。やはり医学界とか医療系の先生方の参画というのが絶対に必要だということを発言させていただきました。
特に先ほどの発言にあるような開発の領域に医師が関与できること自体が十分に認知されておらず、認知というよりもむしろ日本は医学部、特に大学が新しいことをやる拠点になりますので、そういう中で、特に医療技術、医療機器に関しても開発を直接医学部あるいは大学が関与する必要があるという、そこの認識がまだ充分になっていないのではないかと思います。
そのため、先ほど、医学会連合と言われましたが、是非そういうことを内閣府の方でやっていただくと、医学界のムードが変わってくるのではないかと思います。
ご承知のように、スタートアップなどでは心意気の高い医師の方々が、相当いい知恵を出しています。ただ、なかなか事業費が得られないとか、普及ができないとか苦労していますので、是非そういう点をご考慮いただくとありがたいと思っています。
その他国衛研の山本先生も、お手が上がっているようですけども、いかがでしょうか。
〇山本(栄)構成員 
はい、ありがとうございます。山本です。
まず非常にわかりやすい資料ありがとうございました。特に納得したのが、資料2ー2の第2期の基本計画に関連するご意見というところは、個人的に的を射たものが多いのではないかなと思いました。こういうところについて議論していければいいなと思いました。
一つ質問があります。資料2ー3の22ページについてです。これで日本の企業が、どれだけシェアを占めているかがざっくりわかるのですが、私が知りたいのは3,000億、5,000億ぐらいの、市場としてはそれほど大きくないけれど、相対的にある程度のシェアを確保しているようなものがあるような気がします。3,000億と5,000億のところがどんなものなのかという情報がありましたら教えていただけますでしょうか。
〇菊地座長 
これに関して事務局の方で情報はありますか。
〇南川室長 
一番左上の100 %のものは内視鏡であろうとは思っています。これはまた改めてどこかの段階でしっかりと分かるようにしたいと思います。
〇菊地座長 
ありがとうございます。
今回資料2ー1、2ー2、2ー3は素晴らしくまとめられたデータだと思いますので、ぜひ後日、個別にもう少し詳しく説明してもらいたい、あるいはこの点をこういう形で調査いただければというようなことがありましたら、事務局の方に構成員の方々からリクエストを出していただくといいのではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
あと、先ほど、文科省の方からご回答は得られなかったのですけども、何かシステムエラーというような連絡もありましたが、何かご発言ございますか。文科省の方、いかがでしょうか。
〇佐藤戦略官 
恐れ入りますが、中川先生の質問と認識しておりますけれども、先ほどシステムエラーのところで通信が途絶えてしまって、大変恐縮ですが、もう一度質問をお願いすることは可能でしょうか。
〇南川室長 
企業が国際展開についてかなり苦労している中で、アカデミアとして何ができるかということについて事務局としての考えを質問いただきました。厚生労働省の方からは現在今実施している拠点事業のご説明をしたのですが、アカデミアのところで文部科学省の方からあればお伺いしたいとのことです
〇佐藤戦略官 
ありがとうございます。アカデミアのスタートアップ等の支援の橋渡し研究の事業の方で行っておりまして、こちらを文科省としては支援をしております。先ほどご意見がございましたけれども、大学・アカデミアといったところの支援は非常に重要と考えておりますので、文科省として、こちらのところにはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇菊地座長 
ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、先ほど予告しました時間になってまいりました。その他、いろいろご質問あるかと思いますけど、議題2に移らせていただきます。この議題2が第3期基本計画の策定に向けた検討の進め方についてとありますが、ある意味では冒頭からいろいろ議論がありますけれども、ここのテーマが一番重要になってくるという、そういう認識でございますので、ぜひまた忌憚のないご意見を伺いたいと思います。まず、資料3に関して、ご説明を先にいただきたいと思います。
〇南川室長 それでは、資料3についてご説明させていただきます。
第3期医療機器基本計画策定に向けた議論の進め方ということで、この背景としましては、国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発および普及の促進に関する法律において、政府は基本計画を策定するということが記載されています。
具体的な法律は参考資料1に原文がございますので、ご確認いただければと思います。その上で、同法において定める基本計画に、法律の中で「基本的な方針」及び政府が総合的かつ計画的に実施する施策を定めることになっておりまして、これは具体的に第1期、第2期にもこれが策定されています。
別紙を見ていただきますと、それぞれの第1期、第2期の時の基本的な方針、および政府が総合的かつ計画的する施策が記載されております。
基本計画の本文につきましては、参考資料2、3にございますので、ここにより詳細が記載されていますが、法律上に基本的な方針と実施施策をしっかりと定めることは記載されています。今回、第3期基本計画策定に向けて、先ほどご紹介しましたが、医療機器基本計画に関する調査研究事業ということを実施することになっておりますので、そこを含めて、先ほど予備調査の国内外調査、そして有識者ヒアリングをお出しさせていただいたところです。そして、本日検討会の開催動機としまして、第3期基本計画の策定に向けた進め方等についてという事ですが、まず一点目につきましてですが、策定にあたって、第2期基本計画の策定時に合わせてタスクフォースを作らせていただきます。そこでより詳細な、具体的な検討をさせていただいております。今回につきましてもそのような形で進めさせてもらえればどうかと思っております。タスクフォースの詳細につきまして、資料4ー1の部分が検討会の運営要領でございます。ここにタスクフォースの設置がございまして、必要があれば検討会に諮ってタスクフォースを設置ということになっております。
タスクフォースの運営要領については資料4ー2のほうに記載させてもらっていまして、構成員につきましては資料4ー3の形でお示しさせていただいているところです。
続きましてスケジュールですが、どういう形で進めていくかということについて、本日ご議論いただいたことについてタスクフォースで詳細な具体的な検討をした上で、それを年内に一度検討状況について、この検討会でご報告させていただきたいと思っております。その上で、さらにそこでのご意見を踏まえさせていただいて、年度内には第3期の中間とりまとめといった形の情報を検討会にご報告させていただきたいと思っております。
2点目につきましては、示した形で進めさせていただける場合に、タスクフォースで具体的な検討や、さらなる調査、今回予備調査ですので、さらに関係者ヒアリングであったり、現地調査もやらせていただいた上で進めていきたいと思っています。これに当たって本日議論いただきたい内容を提示しております。日本における医療機器の研究開発に関する現状と課題、および第3期基本計画における今後の方向性について、それぞれどう考えていくべきかということと、その内容を踏まえて、今後タスクフォースで具体的な本調査を行うにあたって、重点的に検討すべき事項や調査項目は何かということについてご意見をいただければと思います。説明は以上です。よろしくお願いします。
〇菊地座長
ありがとうございました。ただいま事務局の方からご説明ございましたけれども、先ほど資料4ー1にあったとおり、タスクフォースを設置する場合には、座長が、必要があると認める時に検討会に諮ってタスクフォースを設置することができるということです。
第2期基本計画に関しましても、ご記憶のようにタスクフォースでいわゆる前準備としてご検討賜って、その結果を活かして第2期基本計画を策定いたしましたけども、今回も同じようにタスクフォースをまず設置して、第3期医療機器基本計画に向けてしっかりとした準備をしたいということがその趣旨だと思います。
これに関して特にご発言ありますでしょうか。特になければお認めいただいたということで、ぜひタスクフォースを設置していただくということでお願いしたいと思います。
タスクフォースの方々にいろいろご検討いただくわけですけれども、この検討会の構成員の方々に、第3期基本計画に向けた議論をここでも始めておいていただいて、それをタスクフォースの方々にもお伝えしながら検討いただくというのがいいかなと思っております。本日、この具体的な調査につきまして、日本の現状および課題、今後の方向性をどう考えるかということ、また、ヒアリングや海外調査などを通じて重点的に調べるものがあるのか、というところが主な議論点になっているかと思います。今回は最初の議論のキックオフになるかと思いますので、ぜひここで出席されております委員の先生方から一言ずつ、第3期の基本計画に向けたご発言、あるいはお知恵を出していただくとありがたいなと思っております。
出席の先生方の数が多いということと時間の制限がございますので、おひとり3分以内程度で、ご意見を賜れれば思っています。私のほうで名前を挙げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは早速ですが、池野先生からお願いできますでしょうか。
〇池野構成員 
第1期基本計画が始まったのは今から約10 年弱前だと思いますが、まさに第二次安倍政権が始まり、東北地震があって、三本の矢の三本目が成長戦略で医療機器というふうになったわけですけれども、その頃からバイオデザインが始まったり、私もメドベンチャーパートナーズ、INCJが始まったりとか、エコシステムを作ろうという言葉が出始めました。
その時と比べたら随分スタートアップも含めて進化していると思いますが、そろそろホップ・ステップ・ジャンプの段階になっていますけれども、やはり実績を求めていかなければいけない時期なのかなと思っています。
それが売上ベースなのか、設立数なのか、輸入超過なのか、色々考え方はありますが、そこら辺の客観的な数字で国民に説明していかなければいけない時期であり、そのための次の5年間というように理解しております。
具体的な案は今この場ではまだありませんけれども、そのようなマインドセットでこの委員会に出席させて頂ければいいかなと思います。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、PMDAの石井さん、お願いいたします。
〇石井構成員
はい、ありがとうございます。私の方からは、今後のタスクフォースの具体的な検討の中で海外調査をしていただきたいと思うのは、やはり小児専用の医療機器の開発状況ではないかと思っております。
小児用の医療機器については当方の業務を通じても、ほとんど誰も開発に手をつけない領域だと認識していまして、収益が得られないという最大の課題があるかと思っています。
この課題は世界共通のはずですが、小児専用の医療機器をいかに他国では開発を促進しているのか。一部開発をしている企業はありますけれども、なかなか日本に参入してきてくれませんし、基本的に日本の企業などは小児用の医療機器、例えばハイリスクな植込み機器などは手を付けない状況ですので、小児専用の医療機器の開発やその支援の現状などを調査していただきたいと個人的には思っています。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、佐久間先生、お願いできますでしょうか。
〇佐久間構成員
2019年に未来イノベーションワーキンググループをやって、2040年に医療がどうなるかという議論をして、現状の延長ではないだろうとして、例えば在宅医療が増えるとか、医療崩壊が目の前にくるであろうという話をしました。
実際、働き方改革とかそういうものが出てきて、現実のものになってきているということがあり、やはり将来の医療はどうなるかということを踏まえた上で、そこからバックキャストして、どんなことが必要なのかを考えることが必要というように思いました。
先ほどの少子高齢化ということもそうですが、おそらく先進国で同じようなことが起きるので、その点をやることが重要かなと思います。
それから人材育成のところで、研修に参加された方という形でデータが出てきています。例えば医師あるいは工学者がこういうことをする時にどう勉強するかっていうことについて、今は研修レベルですが、それをいかに定常的なカリキュラムの中に落とし込むかといったようなことについても検討して、すそ野を広げるといいますか、そういうことをして行かないと思います。今危惧していますのは、医療機器開発する研究者が少し減ってきているかなというところとなります。
その点をどうやったら解決できるかというようなことを考えていく必要があると思います。それから、日本はこれだけの低コストで、長寿を叩き出す優れたノウハウがある。 
また、データの扱いをどうするかっていうことは今後非常に重要で、例えば手術ロボットの動作ログは外国企業に流出しており、重要な情報が取得されているわけです。そこに実は手技のノウハウが詰まっている。医療機器というのは医療機器の機能とそれからやはり現場の医療の新しい手技の開発、それから診断技術の進化など、このあたりをどうやって有機的に結び付けていくかという戦略を考えていただくといいんじゃないかなというふうに思いました。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、妙中先生お願いします。
〇妙中構成員
やはり第2期でも議論になりましたけれども医療機器を世の中に出すためのエコシステムの確立と実践ということがとても重要だと思っております。
先ほど発言させていただいたように、入口のところ、シーズのところ、あるいは医療現場、本当に医療で何が重要なのかということに関して言うと、医療従事者の参画をどのように更に進めていくか、やる気のある医療従事者が日常業務に追われて、医療機器の開発に参加できないようなことがないようにすることを含めて、とても大事だというふうに思っています。
それ以上に大事なのは、開発した医療機器を世の中に出すための、様々な人材をどのように有効活用していくのかだと思います。AMEDを中心に中央でそのようなエコシステムを支援しているような、事業の連携であったり、各省庁の枠をなくしたような取り組みをやるというのはとても大事ですけれど、やはり私はセミナーとか勉強をやるのじゃなくて、On - the - job training(OJT)というか、課題を世の中に出すために、例えば各拠点でそういうのをしっかり実行していくというような事がとても重要であると思います。
そこに必要な人材というのは、もちろん臨床研究であったり、非臨床研究、それらを支援しているような各拠点の働きもそうですし、医機連にもお願いしているのですが、OBの方々も含めて、医療機器メーカーの方々がいかにして主体的に医療機器を世の中に出すことに協力していくかがとても大事です。
そんな中で、参考資料4ー2の5ページにある優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業は本当にハンズオンで支援できる一番大きな場になるというふうに考えています。この事業は2年間続けて1年限りの補正予算で取っていますが、やはり腰を据えて、少なくとも5年間ぐらい拠点を選んでやっていただくというようなことも大事だと思います。
さらに経済産業省がやっておられる地域拠点も含めた海外展開も本当に有機的に連携していくという、勉強をやっている時間を捨てて、実際にやらないといけない時期に差し掛かっていると思うので、そんなような基本計画にしていただけたらと思います。
〇菊地座長
はい、ありがとうございました。続きまして、高井先生お願いします。
〇高井構成員
私は工学部という立場でこの会議に参加しておりまして、人材育成について少しお話ししたいのですが、産学連携が医療機器開発においてすごく大事だということはよくわかりますが、工学部の人材を育成するということも大切であると最近感じています。
私たちの専攻はバイオエンジニアリング専攻で学部がありません。ただ海外などを見てみると、今私の研究室にジョージアテックとクレムソン大学からインターンシップで学生が来ていますけれど、彼らの学部はバイオメディカルの学部に所属していて、しっかりとそういったバイオメディカルの分野の教育を学部二年生、三年生の時に受けている。
私のところにインターンシップに来た学生も、スタートアップを自分で起こしているということも聞いていまして、やはりその若い学部の時代からきちんと医療機器開発をすることに夢があるということを国が謳ってもらえると、人も集まってきますし、将来のスタートアップさらには人材育成というところにも人を多く集めるというところにもすごく貢献できるのかなと思います。ぜひ教育の立場から、私も工学部なので、医療機器に携われるような知識を持った工学の人材も増やしていくという取り組みを考えていただきたいなというふうに思っています。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、瀧口さんお願いいたします。
〇瀧口構成員
はい、ありがとうございます。
私からまず、この医療機器の研究開発及び普及に関して、今後の推進政策ということなのですが、やはり先ほどからお話出ていますけれども、日本のマーケットはグローバルの中では比較的小さいということもあり、医療機器産業として健全に成長して行くためには、やはり国際展開ということが非常に重要なので、国民の受ける医療の質の向上のための研究開発や促進という観点ではありますけれども、国際展開をいかに進めていくかというところでの取り組みがより重要ではないかというように感じます。
やはり診断、特に画像診断は、輸入超過ではなく輸出超過ということなのですが、日系企業の海外でのマーケットシェアは実はそれほど高くはないということですので、さらにシェアを取っていくために何が必要なのかといった観点での推進政策を考えていただけるとありがたいというふうに思っています。
また、タスクフォースでの検討の内容なのですが、国際展開を進めるにおいても、第2期が検討されていた時期と現在は国際的な関係、国家間の関係が大きく変化しているというように感じています。
したがって、そのような変化があった中でさらに国際展開を進めるためには何を国として気を付けていく必要があるのかといったことについて、新たに検討が必要であると感じますので、この辺について少し議論をしていただけるとありがたいなと思います。
また11のゴールは全て重要だと思いますけれども、特に我々としてはゴールの5と9、データの利活用、それから新たな事業の事業性評価、特に日本の場合は保険医療体制の中での位置づけになりますので、予見性のある診療報酬体系の実現ということで、サポートして頂けるとありがたいと考えています。
最後に追加で言いますと、ゴール5に向けては、内閣府で行なわれていますSIPの統合型ヘルスケアシステムの構築の中で様々なデータ利活用に関する取り組みが行われていると認識しておりますけれども、これをいかに社会実装していくかということは、その中でも非常に重要なテーマかなと感じております。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、田熊先生、いかがでしょうか。
〇田熊構成員
ありがとうございます。国際展開についてお話ししたいのですが、今瀧口先生からお話ありましたが、かなり以前とは国際状況が違ってきているというふうに思います。
今回の資料でヒアリングをまとめていただいた資料でも、選択と集中というお話しも出てきたようなのですが、これにもしかすると選択と集中、一部拡大もあるのかなという気も致しまして、最近足元ではトランプ大統領の関税政策、それから少し前にパンデミック、地政学リスク等々、不確実性が高まって、企業も難しい部分が出てきていると思います。
そういった意味でこれから中長期的にそういった世界情勢に対してどういうふうに取り組んでいくのか、どういう地域に、例えばリスクヘッジするために、米国が非常に優位なことは分かりますけれども、もう少し地域を工夫するのか、アメリカ中心にやっていくのか、それから分野をどうするのか、その辺りの選択と集中、中長期的にどうやって考えていくのかっていうのを考えていただいて、我々の検討会でもお話しできればなというふうに思っています。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは鎮西先生、お願いいたします。
〇南川室長
鎮西先生は欠席であるため、最後私の方で紹介します。
〇菊地座長
それでは鄭先生、お願いいたします。
〇鄭構成員
はい、ありがとうございます。2点ほどございまして、先ほど資料2ー3の22ページのところに青丸で結構シェアが高い、それから3,000億円、5,000億円とか売り上げがあるものがあって、これはむしろ強みなのではないかというご発言があったと思うのですが、この辺りに関しまして、ある意味好事例でございますので、もう少しなぜ、例えば内視鏡がこのシェアを維持できているのか、ということを知りたいなと思いました。そういうものがある意味グッドプラクティスみたいなものなので、その辺りを少し分析していただけるとありがたいなと一つ思っております。
それから少子高齢化の話が出ましたけれども、これから治療、診断はもちろんですが、予防にも、医療機器が入ってくると思われまして、プログラム医療機器なんかそういうものだと思いますけれども、この辺りにやはりフォーカスを当てるということと、ただ問題は予防ですと今までの方法ではお金が回らなくて、エコシステムはなかなかできないというふうになりまして、この会議ではお金周りの事はあまりお話ししないのかもしれないのですが、診療報酬含めですね、あるいは先進医療など別のシステム含め、先ほどの資料ではスタートアップへの投資額が減っておりましたけれども、どうしたらお金が回ってある程度サステナブルに回るエコシステムができるのかという観点も、もしかすると議論に入れてもいいのかなと思いました。その二点です。
〇菊地座長
続きまして、中川先生いかがでしょうか。
〇中川構成員
ありがとうございます。佐久間先生、妙中先生からエコシステムのお話がありましたが、アカデミアの立場から特にインフラ・人材・ノウハウということに分けてコメントをさせていただきたいと思っております。
まず私は、UCSFで橋渡し研究のトレーニングを受けてきたのですが、当時2008年くらいだったのですが、基礎研究から臨床に持っていくT1のバリアというものは池野先生も冒頭におっしゃっていたようにこの10年で大きく変わったなと実感しております。
その一方で、臨床から社会実装を経て社会のコミュニティまで良くするT2バリアと彼らが呼んでいたものは、投資の額やいろんなことを見てもまだまだ改善余地があるので、インフラに関しては特にいかにスケールさせるかというところ、これもボストンやサンフランシスコベイエリアみたいに、ベンチャーを作るとか資金調達するなど、いろんなものがものすごい密度です。そういったところの真似はなかなかできないため、どのような形でやったらいいのかは、インフラを構築する上で課題だと考えています。
人材に関しては、バイオデザインで、私の大学にもインターンが海外の大学から来ておりまして、Z世代の方特有の自分が時間を費やす意味を得心すると、急激に成長する様子を見るとZ世代の方はやはり伸び方が違うなと思っているので、佐久間先生がおっしゃるように、医工学をやってらっしゃる方が東北大学でも少し減っているような印象を持っておりますが、Z世代の方に魅力を伝えて、人材を増やしていければというように思います。
また東北大学の事例になってしまいますが、ビジネススクールがないということはやっぱり結構大きな問題になっていますので、ビジネススクールとどうやってつなげるかは問題かなと思っています。
それからノウハウに関しては、生成系AIによってものづくりのやり方が全く変わってきたということと、それからあとは、先週サンディアゴに行きましたが、そこでepic cosmosというものを見せていただきました。初めて見てびっくりしましたが、米国の電子カルテは寡占状態になっているはずで、8割ぐらいがepic cosmosで、すべてデータ統合されて、匿名加工されたデータで、桁違いのデータベースができていて、我々やっぱり日本のベースだとは言え、やっぱり生成系AIとepic cosmosの時代でゲームチェンジの真っただ中でいかに競合していくかを考えなければならないと考えています。
最後に海外展開のところになりますが、先日、量子技術の研究推進とこれを活用したグローバルな新市場の形成、そして産業界との連携を通じた経済的価値の創出の取り組みとしてGーQuATの取り組みについて伺う機会がありましたが、ユースケースがあるとすごく分かりやすいなと思うところがあります。先ほど鄭先生からもお話ありましたけれども、ユースケースを使って、なぜその企業がこの市場を獲得できているのかなど、そういったところを分析して、我々のこの強みをもう1回認識して、真似をできるようなところから始めると、日本特有のこだわるっていうところが活きてくると思っております。
このエコシステム、インフラ、人材、ノウハウと、それから海外展開ということで、ユースケースを上手に活用して海外展開というところにアカデミアも貢献して行きたいなと思っている次第です。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして松尾さん、お願いします。
〇松尾構成員
第2期の振り返りという観点ですと、重点分野の設定というところが今後どのように議論を進めていくのかという点で非常に重要なポイントになると考えております。
今日お集まりの皆様が第2期基本計画の議論をしていらっしゃったということではないのであえて申し上げさせていただくと、当時の議論としては、いろいろな具体的な疾患や技術が出ていたのですが、日本企業の産業競争力という観点や国民への医療提供の観点などの異なる複数の観点での議論があり、最終的に現在の重点分野のような丸まった表現になったと理解しています。そのため、第3期に必要とされる重点分野の策定の際には、改めてその目的と方針を明確化したうえで策定に臨む必要があると思います
それから、第2期基本計画からの変化という観点で2点申し上げたいと思っております。
1点目は、競争環境の変化も非常に大きいと考えておりまして、第2期の時には出てはいましたけれども、今ほど強烈ではなかったものとして、中国の政策になります。ボリュームベースパーチェシングの政策が医療機器にも及んでおりまして、その結果として中国の内需下で国内企業が優遇されているということがかなり浮彫になっているのと、それから国産化政策というものがもう1つありまして、これによって、日本企業も一生懸命取り組んですけれども、外資の人材やノウハウを取り込みながら強くなっているというところで、中国発の輸出産業というところも強化されているということが大きな変化だと思っております。
それからインドにおいても、製造業だということで、医療機器を強化していくという政策が出ていますし、そうであるならば、汎用品は日本の企業は非常に分が悪いということになりますけれども、それをサービスで囲い込むのかというと、医療機器のサービスビジネスの育成という観点で申し上げますと、今の国民皆保険制度、診療報酬制度の下ではこれを国内で育成するのは非常に難しいという課題を抱えている中で、東南アジアの優遇策も出てきています。中国、インド、東南アジアという3つのエリアが、競争環境の変化が大きいところでありますので、これを見ながら検討していくことが課題と考えております。
2点目が国内ですが、働く人の高齢化というところは論点ではないかなと思っております。第2期基本計画の時も高齢者の機能を補完するという話が重点分野の中にありましたが、今働く人の平均年齢は40代ですけども、2030年には50歳を超えて、2040年には53歳が日本人の働く人の平均年齢ということで、いよいよ世界のどの国も経験してないような未知の環境に入ってくるということだと思います。
その人たちが働いている環境で、予防もそうですし、重症化の予防もそうですし、それから働くという観点での機能の補完が重要になってくると思いますので、ここが大きな変化点かなと思います。
ただ、これに関しては今アメリカのFDAが医療機器のOTC化という規制緩和を進めておりまして、すべてが医師から供給、提案されるわけではなくて、個人がウォルマートやコストコやPCでものを購入して使っていくというようなことも進んできていますので、こういうところは日本がかなり遅れているところだと思いますので、これに合わせて検討していくことが課題かなと思っております。
〇菊地座長
はい、どうもありがとうございました。それでは続きまして、宮田会長、お願いいたします。
〇宮田構成員
わたくしからは、革新的医療機器で世界をリードしつつ、改良・改善医療機器で日本の現場発イノベーションをグローバルに展開することを提案させていただきます。
現状の課題が3つあると思っています。
1つはベンチャー投資と支援が続いているものの、ほとんどのものが事業化できず、死の谷を迎えている。また、関係者のヒアリングでは、革新的医療機器に政策が集中し、改良・改善医療機器への視点が不足との指摘があります。3つ目には、国内供給力の低下になります。この3点の現状認識を踏まえて、私からは2つの政策が必要であると思っております。
1つ目は革新的医療機器のアクセラレーションということで、具体的には内外資の大手企業が日本ベンチャーをM&Aしやすいようなオープンイノベーション推進税制の拡充であるとか、日本でのFirst in Humanを日本で実施しやすい保険制度や薬事制度のパッケージ化の検討が必要であると思っています。
もう1つは、改良改善の医療機器のグローバル化であります。日本の医療現場ではまだ充分に満たされてないアンメットニーズが数多くあると思います。こうした課題に対して臨床的に有用な医療機器を開発するためには、医療従事者とともに改良改善を行うことが不可欠であります。このような改良改善の医療機器の開発導入を行うモチベーションを高めるためには、審査の迅速化と、保険収載時あるいは保険収載後のチャレンジ申請制度の拡充と、企業側のインセンティブの検討をお願いしたいと思います。
まずは日本国内で製品と、手技の標準化、いわゆるデファクトスタンダードを整え事業化します。その後、企業、医療従事者、学会、行政と連携しながら、日本から世界へ発信できるグローバルモデルを目指します。こういった施策のために、タスクフォースで進めていただきたい調査は4点でございます。
1つ目が現場発の改良改善の医療機器のイノベーションの成功事例と課題の抽出、2つ目が大手企業による革新的医療機器開発のエコシステムの可視化、3つ目は治験データ基盤の国際比較、4つ目がサプライチェーン強靭化調査であります。
まとめますと、革新的医療機器創造と改良改善の医療機器のグローバル展開、この両軸こそが、日本の競争力と供給安定を同時に高める戦略だと思っております。以上でございます。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、山下さん、お願いいたします。
〇山下構成員
ありがとうございます。日本医療機器販売業協会の山下と申します。
我々の主たる業務は販売業務ですが、私は工学部の電子工学を出ておりまして、その後超音波診断装置の会社の技術に入社して、そういった経験をしております。今は、エコーに特化した開発をグループ会社でしておりまして、そういったところですとか、経産省で推進されているヘルスケア産業推進協議会の幹事をやっておりますので、この辺を踏まえまして、ご意見をさせていただければと思います。
資料の2ー3のところ18ページですけれども、ここに示されたように、内資企業の中で世に出た医療機器が数少ないのが現実かと思います。もうちょっと何かを変えていかないといけないのかなと考えております。その上で2点ほどお話をさせていただきます。
開発コーディネーターの支援というのがございますけれども、開発に重点が置かれすぎていて、良いものを作れば売れるだろうという視点になっていないのかなと感じておりまして、販売・流通の視点が必要ではないか、平たく言うと、この製品は本当に売れるのか、販売額はどうするか、その市場はレッドオーシャンで競合が激しいのか、というマーケティングのコーディネートが必要ではないかというように思っております。
2点目なのですが、先進的な技術はいいのですが、そちらに偏り過ぎているのではないかなと感じております。先ほど申し上げたように私は超音波診断装置に携わっていましたけれども、今主流なものは電子リニアの探触子がありますけれども、これは昭和53年頃に日本の企業で開発された世界初の技術と思いますけれども、今までこの生命線とも言うべき探触子の素材を数百にカットする技術というのが日本固有の技術だったのですが、当社グループの事業会社では結局は台湾の方の企業に頼むしかないといったことになっております。
このように、かつて革新的、先進的であった技術、日本固有の技術が、多少ないがしろにされていないのかなというふうに感じております。先進・革新と華やかなところも大事ですけれども、地道な研究開発や技術の伝承に投資がされていくべきではなかろうか、日本が保有してきた技術を失ってきているのではないかと危惧しております。
先進的な技術を育むことと同時に、日本固有の技術を維持することにお金をつかうということも必要ではなかろうか、攻めと守りのバランスというのが必要ではないかなと感じております。そういった意味で、医機連のいらっしゃる産業界、メーカー各社の成功事例等も含めたご意見をもっと聞いていただくことが必要かなと考えています。以上です。
〇菊地座長
ありがとうございました。それでは続きまして、医機連会長の山本さん、お願いいたします。
〇山本(章)構成員
はい、医機連の山本でございます。まず、何人かの先生がおっしゃっていましたし、私も同感なのは、第2期が始まった後の社会情勢がずいぶん変わっているということがまずベースにあるということを理解しないといけないと思います。
それから次の第3期というのは、日本にとって非常に特殊な時期で、現状は高齢者が増加していますし、2040年くらいから高齢者が一気に減ってくることを念頭に置く必要があります。特に高齢者にとっての機器開発等の対応をうまくやっておけば、その後海外が高齢化していく場合に輸出に寄与ができる等、産業面でも発展の可能性が出てくると思います。
従って、そういう環境変化を考えた場合、検討の方向性としては、第1期、第2期でやっていたものを、続けてやるべきか、取捨選択すべきかまで踏み込んで議論し、やることが多い中で、検討を今回はトーンダウンするといった考えも必要だと思います。また、今回、第3期で、第1期、第2期ではやらなかった、新規案件もしっかりと定義すべきだと思います。すなわち、第3期では、継続案件、サスペンド案件、新規案件を明確にするべきと思います。以上であります。
〇菊地座長
それでは本日ご出席の最後の構成員である山本(栄)先生、お願いします。
〇山本(栄)構成員
ありがとうございます。委員の皆様のご意見に賛同いたします。
継続すべきと思っていることはですね、やはり支援体制で、これまで続けられてきたところについては継続が必要ではないかと思います。あと人材育成も、ホップ・ステップ・ジャンプの段階ということですけれども、人材育成を継続、流動性をもって、それから教育もやっていかなければならないと思いました。
それからホップスホップ・ステップ・ジャンプのところですけれども、今、日本には多くの良質なデータがあると思います。このデータの利活用を図ることを提案いたします。ただデータがあるというだけでなくて、今はいろいろな解析ができるでしょうから、予測法であるとか、評価法であるとか、そういうことを検討していただきたいなと思います。
それで、日本で臨床試験、臨床研究が実施しやすい環境づくり、こういうことがあっていいのではないかなと思います。当部で昨年度、小児、それから希少疾病に関する医療機器の調査を致しました。やはり利益が出ないというところが一番の課題だと思います。そこについては市場の大きなところは産業界が一人でやるのでしょうけれども、そういう市場が小さいところについて、日本の患者を対象として、支援していくことは重要と思います。それは国民が受ける医療に直結するのではないかなと思います。身体に障害がある方が医療機器を利用することによって、より良い生活や働き方ができるようになれば、将来的には大きな、成果につながるのではないかなと思いました。
雑多なところでしたけれども、ポイントとしては支援、人材育成、データの利活用、国内での臨床試験、臨床研究のやりやすさ、それから希少疾病という所を挙げさせていただきました。以上です。
〇菊地座長
はい、ありがとうございました。本日ご欠席の小林構成員、鎮西構成員、村山構成員に関しましては、事務所の方から予めいただいておりますコメントを報告させて頂きます。
〇南川室長
事務局の方からのご欠席いただいている3名の先生からコメントをいただいておりますので、ご紹介させていただきます。
まず産総研の鎮西先生ですが、ゴール1の人材育成の部分、ゴール3の拠点や企業の連携強化、ゴール6の重点分野における研究開発の活性化における対象の絞り込みが必要なのではないか。医療機器の開発支援が各地で盛んになっているのは良いことだが、人材育成、開発支援のリソースが広く薄まってしまい、スケールメリットが出ない。ゴール6の重点分野が広すぎることも同じ。現役世代の人数が急激に減少している現実認識を出発点に、ある種の撤退戦の覚悟が必要。(絞り込みを行うにあたっては)言葉の選び方が大事で、厳しい挑戦となるとコメントいただいております。
続きまして、東京医科歯科大学の村山先生の方からは、医療機器産業が伸びない根本的な原因は償還価格の低さだと考えている。SaMDなど特定領域に投資を集中させ開発を促進したところで償還価格が低いことで企業としてはペイ出来ない状況もある。材料費も高騰し、日本に海外の医療機器が入ってこないデバイスロスへの危惧が強まる中、日本の医療システムの中で誰が医療機器に対してどうお金を支払うのか、といった根本的な議論が必要であろうとコメントいただいています。
コメントの続きですが、医療費用の上限がある中で、例えば国が予算を付け開発した医療機器等については優遇して評価するといった優遇策の検討も必要ではないか。医療機器開発を行うプレイヤーとしてどの国の市場でビジネスを行うかという観点において、将来的には東南アジア等の国が人口も大きく経済的に日本を抜くことが想定され、また現在の医療機器市場のトップである米国も衰退が想定される中で、国としての展開戦略まで描く必要があるとコメントいただいています。
続きましては、東京大学小林先生の方からは、中国の医療機器メーカーが台頭している中で、日本がシェアを有する市場を諸外国に奪われない必要がある。そのためにも、日本でしかできない高度な医療機器を継続的に出せるような、医療機器に関する教育環境の整備、底上げが必要と考える。特にAMEDなどの研究費は企業がつくことが必須であるものが多いが、企業がつく手前までのステージの研究が特に手薄と感じる。研究は必ず成果が出るものではないという点に留意して、基礎から出口まであらゆるステージで幅広く支援していくことが必要と考えるとコメントいただいております。
ご紹介は以上です。
〇菊地座長
ありがとうございました。ここまでで全構成員の方々から多くのご意見を賜りました。わたくしも構成員の1人ということなので、座長ということではなくて、構成員の1人として少し述べさせていただきます。
多くの先生方からいろいろな課題と言いますか、側面のお話をいただきました。逆に言えば、医療機器に関しては非常に幅広い課題があるということです。
よく詳細を知っているここにおられる方々はもう全て頭の中で整理がついている一方で、少し外の方々からすると、ちょっと散漫に見えるということが拭い切れないのではないかと思います。
第1期から座長を仰せつかっておりますので、ほぼ10年やらせて頂いておりますけれども、議論の経緯のなかで細部まで基本計画で記載するよりより広いテーマでの記載をというご意見などもあり、基本的に風呂敷を広げたような論調の基本計画になりました。一方、そこで記載された重点5課題は具体的技術名を挙げており、基本計画としてはやや限定的表現すぎないかとも感じた記憶がございます。
それらを受けて第2期に関しては、全体に関して過不足が生じないように留意しつつ夫々の課題に関してはより明確な目標を明らかにしてある程度具体的課題に落とし込んで整理し直そうということとなり、第2期のタスクフォースの方々には大変ご尽力いただきました。
釈迦に説法ですが、資料2ー1の2、3ページに出ているような、非常に広範な医療機器に関する諸課題を、研究開発の側面と普及の側面に大別して、基本方針として3つを挙げており、医療機器研究開発の中心地としての我が国の地位の確立が、11あるゴールのうちの7つを占めています。それから、革新的な医療機器が世界に先駆けて我が国に上市される魅力的な環境の構築ということで、ゴールとしては8.9.10の3つが挙げられています。最後に国民に必要な医療機器のアクセシビリティの確保ということで、これがゴール11ということになります。平たく考えますと、結局研究開発と、それから我が国の医療、国民に対する高質の医療を提供するという、そういう2つの大きな側面があることを示唆しています。
本日も構成員の方々のなかで、実際のビジネスと言いますか、げんに世界市場で戦っておられる方々からのご意見もいただきましたが、第2期以降の医療機器世界市場における背景の大きな変化等についてもご指摘がございました。
特に我が国自体の、例えば山本会長からは高齢化という話が出ましたけれども、我が国自体が抱えている時代的・社会的な変化、特に将来に向けてですね、大きな変化があるということと、それと同時にもう1つは瀧口構成員も触れていただきましたし、あるいは松尾構成員からも触れていただきましたけども、要するに考慮すべき対象相手がいるという側面を持つ課題もあると言うことです。海外の相手の動きによっては、日本の動きを変える必要があるということ、そのように同じ時代的変化と言っても、大きく異なる側面があるということにも留意すべきと感じます。
ですから、そこもやはり第3期を策定する前に、是非タスクフォースの方々、あるいは検討会の方々にはやって頂きたいと思います。今の時代的背景の変化ということは当然ですけれども、もう1回第2期で掲げている11のゴール、これらは研究開発と普及にわたって具体的課題に整理して表記したものですから、それらが同じ目線で均等にゴール1から11までが並んでしまっているので、メリハリさが足りないといいますか、あるいはそれぞれをどういう観点で今後何に注力すべきなのか、あるいは場合によっては山本(章)構成員が言いましたように、敢えて少し力を抜いてもいいんじゃないかなという項目を特定する必要もあるのかなと思います。
ある意味でゴール1から11の間で多少メリハリをつける。このメリハリをつけるためには結局は資料2ー2の関係者ヒアリングで冒頭に出ていましたが、国全体としてのグランドデザイン、特に2030年、2050年、この先の日本を見つめて、その時の医療、その医療を支える医療機器として何をどのようにすべきなのかという基盤的根拠がありませんと、11の挙げられたゴールが、場合によっては、第3期ではゴールの数が変わるかもしれませんけれども、仮に11がそのままの場合であっても、メリハリのつけようがないと思います。
ですから、そこら辺を検討会の先生方からも、ある意味今後大局的なご意見を賜れればありがたいという気がいたしました。
いかがでしょうか、時間的にもう10分程度議論ができるかと思いますが、何かそれらを踏まえて、もう一度構成員の方々から再度発言をされたいという方があれば、挙手をお願いしたいと思います。
佐久間先生、ご発言ください。
〇佐久間構成員
先ほど出てきたことで、ふと思ったことを二点コメントしたいと思います。データの利活用の話がありました。
これは1つは法制度の問題とともに、たぶんデータを出す側の意識といいますか、どちらかというと、出しても安全ですよという言い方をしているが、出すことが良いことだということを、社会の中にそういう意識を植えていくような活動が必要ではないかと思います。
どのような対策をしたとしても、いわゆる様々な流出データに対するいろんなインシデントって起きる可能性はゼロではありません。これがゼロではないことから、データの提供を社会が躊躇してしまうのではなく、やはりこれは医療データを出して日本の医療を良くしていくっていうことはいいことであるということを、社会として認めていくというか、そういう活動によってなんとかしなしなければいけないのかなと感じた点が1つです。
その観点から言うと、今あるインフォームドコンセントを取って何かやっていくということだけでいいのかどうかということについては、少し考えていく必要があるのかなということは思いました。どうしたらよいかということは、非常に難しい議論だと思います。
それから似たことですが、予防という話が出ました。医療機関が少なくなってきて、それからアクセスが悪くなるっていうことは今後出てくることだと思います。医療従事者が減ってくるということになりますので、セルフメディケーションというか、セルフで医療機器を使うということが出てくるでしょう。
その時に、どうしてもリスクコミュニケーションの話がすごく重要になると思っており、おそらく使う側のリテラシーの向上、それから使わせる側をどうやっていくかということです。これはOTC検査薬の議論で、規制改革で検査薬をやろうという話もあったのですが、検査値が一人歩きして、それによって受診機会を失うというリスクがあるということで、医療機器体外診断薬部会としては現段階で時期尚早であるという結論を出したと思います。このままの論理でいってしまうとずっとそうなってしまいます。
そうすると、やはりこれは、このような新しい医療技術をどう使うかということを、医学会も含めて、予防医療だとか、そういうものの中で、今の医療ということではなくて、どういうふうにしていくかということを含めた議論をしていく、それから教育ということも含めて、健康に関する教育でしょうか、そういうことも含めてやっていくといったような、SaMDも含めてですけどそういったものを普及させていくには何が必要なのかを議論していくことが必要であるということを感じました。
〇菊地座長
はい、ありがとうございました。今佐久間先生の方から期せずして話が出ましたけど、やはりこれからヘルスケアと言いますか、医機連の山本会長のところでは、今までのいわゆるB to B、このBは医療スタッフが使うのが医療機器だからということですが、当然薬事法があるわけですけれども、これからはやはり一般の方が個人として使用可能なB to Cに近い形での医療機器の形、その一部はヘルスケアという観点も含めて使う時代に入ってくるかもしれないということです。
山本会長、こちらについて今年度から医機連内でヒアリングをやられていると思いますが、一言お願いできますか。
〇山本(章)構成員
薬機法などいろんなところで制限がありますが、厚労省がずいぶん動いていただいて、B to B、それからB to Cを含めた、国民のヘルスリテラシーの向上の一環として考えている広告等が徐々にできるようになってきているという感じがしております。
このような取組から、患者さんを含めたB to CのCの方々に、医療機器をちゃんと使っていただけること、また認定された医療機器を使うことでデータの品質が重要だということをご理解いただいて、将来的にはPHR等までつながっていけば、国民のヘルスリテラシーからデータ利活用のループが構築されると思っています。医機連の活動が、このようなことと結びついていけばいいと思っています。
医機連でのこの取組は始まったばかりですが、国民のヘルスリテラシー向上の貢献という観点で、医療機器基本計画の第3期にどういう風に取り込んでいただけるかも検討していきたいと思っています。
〇菊地座長
私の方であえて山本(章)構成員にお話しいただいたのは、B to Cということが本当の一般人というか、それはおそらく近い将来に、例えばアフリカとか発展途上国でドクターも少ない、警鐘でも命を落とされるような国民がたくさんいるような国々が、世界ではいっぱいあるわけです。
ですから日本だとB to CのCは医療関係者じゃない一般人といわれる方々が使う意味合いですが、そういう国に行けば、それらは医療機器という形でパラメディカルのような方が患者さんに使う機器が当然必要になってくるんだろうと思います。
その時に、やはり日本製品は信頼性が高いですから、そういうものをたくさん日本からも供給する、ハイエンドな高級な機器を狙うことに当然挑戦すべきですけれども、ローエンドではなくいわゆるappropriateテクノロジーといいますか、そういうものを日本から供給していくという観点も産業界、あるいは行政の方々のご理解を得る必要があるかなと思いましたので、少し付け加えさせていただきました。佐久間先生、どうもありがとうございました。
池野先生、いかがでしょうか。
〇池野構成員
私は海外に住んでいる人間なので、海外の人が日本をどう見ているかという視点でコメントだけさせていただきます。
アメリカのほとんどのスタートアップや医療機器の生産、特に治療系はアメリカの企業が日本の市場のマジョリティーだと思いますけれども、先月ですね、とあるピッチのマッチミーティングに出て、30社のスタートアップとミーティングしましたけども、ほぼすべてが治療系でした。それも日本でいうとクラスⅢ、クラスⅣです。その中でもちろん成功するのは一部ですが、それが大企業に買収されて全世界に出てくる。日本の市場は興味ありますかとミーティングしたスタートアップ全社に聞いたところ、今の現時点では興味がないということで、なぜかと聞くと参入障壁が高い割に保険償還価格が低くて、それが2年に1回下がっていく、イノベーションの評価って日本で適切につけられていないというのがアメリカのスタートアップの人たちの意見です。
日本人としては何を言ってるんだと思いましたが、事実そうだとすると、今後、ドラッグロスと同じような状況が起こるかもしれない。すでにもう起こっているかもしれないが、治療機器の国内自給率は何パーセントですかというのを数字で出していただくと、なんとなく驚愕する数字が出てくるのだろうなっていうのが分かります。
じゃあお金が無いにしろ、どうやったら日本に魅力があるのかなっていうのをいろんな人に聞いてみたのですけども、やっぱり一番多かった意見が、世界の人口の60%がアジア人であり、2100年まで60%で変わらないです。それを考えると、OECD加盟国の中で人口が一番多いのはアメリカ、次がメキシコ、そして日本が第3位である。そして65歳以上という病気にかかりやすい人口は世界38カ国中2位になります。
アメリカは残念ながらアジア系は6%しかいないので、基本的にアメリカのエビデンスベースドメディスンのアジア系のデータというのは10%もないと言うことを考えると、アメリカ含めて世界の人たちは、日本はアジアの中でも最も精緻なデータが取れ、戸籍があり、国民皆保険でフォローアップができるという国のデータは、本当に喉から手が出るほど欲しい。それを使って予防医療または治療、そして診断等に応用することを考えると、そこが日本の魅力であると思います。
それをするにあたって、やはり医療機器は、診断でもあり治療でもありますが、データをキャプチャーするセンサーでもあるので、そういう意味ではその精緻なデータをいかに使いやすくするか。先ほど言いましたように、どう使えるようにするか、取得しても使えなければ全く意味がないので、それには法改正が必要です。
幸い、今年5月の改正薬機法で初めて、文言の中に、いわゆるリアルワールドデータ等のレジストリを用いて承認をやりますという文言が入ったわけですけれども、特に小児のデータはなかなか集まらないと思いますが、それはやっぱりリアルワールドデータを蓄積して、それを利用すると、もしかしたら日米で日本発の小児のデバイスがいかに早く市場に届けられるかといったところにも応用できるかと思います。そういう観点でいくと日本の魅力、今のところ日本は全く魅力がない市場だと見られておりますけれども、今後そういうことをうまく活用していくと、また再び日本の市場というのは、お金は安いですけれども、別の魅力があるというように見てくれるのではないかと期待しております。
あと、基本的に日本で使われているクラスⅣの治療機器がほとんどMade in USAだと思いますので、この会議に外資系の人たちが入ってないっていうのは、少し残念だなと思っておりました。
〇菊地座長
はい、ありがとうございました。本日、大変貴重な御意見、それぞれのバックグラウンドに基づいて、大変適切な発言をいただきました。
これを踏まえて、今後タスクフォースの方々にもこういう状況をお伝えして、検討、あるいは本調査を進めさせていただくということになるかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
本日、構成員の方々から、時代的な変化も含めて、あるいは現状も見つめて、非常に建設的かつ的を射た指摘が出たかと思いますので、ぜひこういうご意見が第3期の基本計画では反映されるような形でまとめていきたいと思っておりますので、検討会の構成員の方々には今後もまたよろしくお願い申し上げます。
議題3はその他ということで、特に何かありますか
〇南川室長
特にありません。
〇菊地座長
あと数分ございますけど、今日の検討会に参画されて、どうしても一言言っておきたい、という先生がおられましたら、いかがでございましょうか。
今回はこの段階から検討会をされて、さらにその中の作り込みを始めるということで、第3期はまさに冒頭事務局長がおっしゃっておられましたが、ホップ・ステップ・ジャンプのジャンプが期待できる内容に沿った内容になるものと思います。
こういう形で前準備をしっかり検討会で行い、検討すべき点も全てほとんどが先ほどの資料2ー2にもありますし、今日の発言でほぼほぼ全て出し尽くされたという気がいたします。
ぜひこれを基に事務局の方でうまくタスクフォースの方々を誘導していただいて、第3期でよりよい基本計画に昇華していただければと思います。
それでは、本日の第6回の検討会を閉じさせていただきます。どうもご協力ありがとうございました。
 
以上