第49回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和6年12月25日(水)10:00~12:00

場所

会場:中央合同庁舎5号館 専用21会議室(17階)
   (東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)

議題

  1. (1) 職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)

  2. (2) 求職者支援訓練の特例措置の効果分析等について
  3. (3) 2024年度の年度目標の中間評価について
  4. (4) 2028年技能五輪国際大会の日本(愛知県)招致決定について(報告)
  5. (5) 特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議の開催について(報告)
  6. (6) その他

議事

議事内容
○武石分科会長 ただいまから「第49回労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催といたします。本日の出欠状況ですが、公益代表の石原委員、使用者代表の瀬田委員、美野川委員が御欠席です。
 議事に先立ちまして、配布している委員名簿のとおり、新たに本分科会委員になられた方がいらっしゃいますので、御紹介をしたいと思います。私からお名前を申し上げますので、それぞれ御挨拶をお願いいたします。まず、労働者代表委員として、UAゼンセン常任中央執行委員の原委員です。
○原委員 原と申します。よろしくお願いします。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。お二人目ですが、全国建設労働組合総連合技術対策部長の松葉委員です。
○松葉委員 全建総連の松葉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは議事に入ります。議題(1)「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」になります。内容について、能力評価担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 皆さん、おはようございます。能力評価参事官の安達でございます。では、まず資料1です。諮問文も付けておりますけれども、先ほどお話いただいたとおり、職業能力開発促進法の施行規則及び指定機関省令の改正の要綱というところです。
 内容ですが、1ページめくり、要綱を御確認いただければと思います。職種としてシャッター施工を追加、等級ですが、1、2、3級に区分すること、さらに、技能検定の実技試験の実施方法ですが、製作等作業試験及び判断等試験いずれか1以上のものとすることとしております。また、指定機関ですが、一般社団法人日本シヤッター・ドア協会を指定するというものです。施行期日ですが、公布日施行を想定ということです。
 背景等について、資料1-2に沿って御説明いたします。まず、「シャッター施工」ですが、重量シャッターと呼ばれる主に建築物、工作物の開口部に使用されるものの施工に従事する職種です。このシャッターの施工作業を適切に実施するに当たって必要な技能を対象とするということで、試験業務は一般社団法人日本シヤッター・ドア協会が行うというところです。
 背景です。建築物の多様化が進む中で、シャッターの世界でも高機能化、複雑化が求められていて、重量シャッターの性能、安全性を十分確保するためにも、シャッター施工に従事する方の適切な能力評価、処遇改善のベースとなるような資格制度が必要であるということで、今回、技能検定の職種追加の要望があったということです。創設の効果です。施工に従事する方の技能向上に伴って、施工の品質が向上する。名称独占資格である技能検定を合格することによって技能士となりますので、この職種の方の社会的地位、経済的地位の向上が期待される。また、こういう形で技能士となれるということで、新規入職の促進を図っていきたいというところです。
 令和6年7月に日本シヤッター・ドア協会からの指定試験機関の申請を受理させていただいて、申請内容について、職業能力開発専門調査員からは適当である旨の意見を頂いています。
 今後のスケジュールですが、本分科会における答申も踏まえた上で、来年2月に職種新設に係る改正省令等を公布し、同日施行を予定しています。第1回目の試験ですが、令和7年8月下旬に学科、実技、10月にかけて実技を記載のとおりのスケジュールで行う予定にしています。また、業界としては、検定職種への追加を契機に、シャッター業界内の統一的な能力評価基準を設け、CCUSに結びつける等の取組を検討するなど、業界内での更なる能力評価の取組を進めていきたいという申出を受けています。資料1の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見、御質問がないようであれば、この案件はここまでといたします。議題(1)の「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法第四十七条第一項に規定する指定試験機関の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について」は、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、御意見等はありますか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文(案)の共有をお願いいたします。
(報告文(案)配布、画面共有)
○武石分科会長 それでは共有された報告文(案)により、労働政策審議会会長宛てに御報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告させていただくこととし、この議題はここまでといたします。
 次に、議題(2)「求職者支援訓練の特例措置の効果分析等について」です。内容について、訓練企画室長より資料の御説明をお願いいたします。
○大塚訓練企画室長 訓練企画室長の大塚です。私のほうから、求職者支援訓練の特例措置の効果分析等について、資料2で御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず目次です。今回の御説明については、3本の柱から成っております。それぞれ求職者支援訓練の令和7年度の取組として考えていることについて、皆さんの御意見を頂戴したいと思っております。1番目は、職場見学等促進奨励金です。こちらについては、現在、特例措置にて実施しておりますが、それを延長したいというものです。2番目は、フルオンライン訓練です。こちらも特例事項として行っているところ、これを延長したいというものです。3番目は、基本奨励金です。こちらは単価を引き上げたいというものです。1番目と3番目は省令事項、2番目は要領事項となっております。それぞれについて順に説明いたします。
 次に、右下に1ページと書いてある所からです。職場見学等促進奨励金の話です。資料の1ページは、これまでの経緯をまとめたものです。1番上のポツです。令和3年1月の補正により、コロナ禍における離職者の再就職支援とか、介護・障害分野における人材確保のための施策ということで、こちらに書かれているようなパッケージが打ち出されております。
 その中で、2番目のポツ、職業訓練の話になりますが、求職者支援訓練と公共職業訓練(委託訓練)において、介護等分野の訓練を行う際に職場見学・職場体験等を組み込んだ場合に、奨励金を上乗せするという特例措置を設けております。当時は「1人当たり月1万円」ということで、令和4年度末までの時限措置としておりました。
 3番目のポツに移ります。この上乗せコースについては、訓練枠の拡大に効果が認められたのですが、就職率や定員充足率が介護分野の訓練の平均よりも低かったという実績がありました。また、職場見学・職場体験の稼働日数や実際の負担も踏まえて、令和5年度から上乗せの措置を若干低めに抑えるということで、これまでの「1人当たり月1万円」から、「1人、1コース当たり1万円」に見直し、「職場見学等促進奨励金」と銘打って、令和5年度末までの時限措置として設けました。
 こちらについては4番目のポツです。この奨励金の取扱いについては、効果分析のための実績がまだ十分ではなかったということを考慮して、この特例措置を今年度末までの時限措置として延長しております。令和7年度以降については定員数、受講者数、就職率などの効果を含めて判断する。ここが現在地ということになっております。
 次のページ以降が、それぞれの実績に分析を施したものです。まず2ページについては、「介護・医療・福祉」分野の訓練コースの実態を見たものです。左側の塊から就職率、関連就職割合、期間の定めのない就職者割合ということで、ピンク色の所が介護等分野の訓練になりますが、いずれも高い数字を出しています。一方で、充足率が低かったり、中止率が高かったりといった特徴があります。訓練実施機関にとって設定が難しいコースと言えるのではないかと考えております。
 次に3ページです。こちらについては、設定定員数と受講者数の推移を、上乗せのありなしで見たものです。左上に参考ということで数字を並べております。こちらは全ての訓練分野の設定定員数を見たものです。年度を追うごとに数が増えているのが分かると思います。一方で、介護・医療・福祉分野の設定定員数というのは赤と緑を足し合わせたもので、ほぼ横ばいとなっているところです。令和4年度と5年度の設定定員数と受講者数の内訳を見ますと、上乗せ方法が異なりますけれども、上乗せのないコースの設定定員数が大幅に減っている一方で、上乗せありのコースの定員数が増えているということが見て取れるかと思います。
 次に4ページです。こちらについては、充足率と訓練開講率を見たものです。いずれも上乗せなしよりもありのほうが上回っているのが見て取れます。特に右の訓練開講率については、いずれの年度も10ポイント以上の高い差を付けて、効果が認められたということです。
 次の5ページは、就職率と関連した分野に就職した割合を見たものです。左側の塊が令和4年度中に終了した訓練、右側の塊が令和5年度の12月末までに終了した訓練で見たものです。それぞれピンク色が若干上回っているのが見て取れますけれども、それほど大きな差はなかったというのが実情です。こちらについては、もともとそれぞれの介護分野の就職率が高かったということが、背景にあろうかと思っております。
 次に6ページをお願いいたします。補足資料として、実務者研修を含むコースの状況です。実務者研修とはということで、下の※が3つ並んでいるうちの一番上です。実務者研修とは、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家試験を受験するための要件を満たす訓練で、6か月の訓練となっております。この実務者研修を含む訓練と含まない訓練で、上乗せありなしの就職率を見たのが左側の折れ線グラフです。上乗せありのコースであって実務者研修を含む訓練で、就職率が特に高かったことが見て取れるかと思います。それぞれの受講者数とその割合を見たものが、右側の棒グラフです。赤枠で囲ったものが実務者研修を含むコースです。それぞれ上乗せありのコースのほうが、とても多く受講者を集めていたというのが見て取れるかと思います。一方で、実務者研修を含まないコース、右側の青と黄色の部分については、上乗せありのコースが特別多かったということではありますけれども、令和4年度よりも令和5年度のほうが、やはり上乗せありが増えていたということが見て取れるかと思います。
 次に7ページに移ります。こちらは第一線の声ということで、当方の訓練企画室で実施した訓練機関へのヒアリング結果から抜粋したものです。下線を引いたものを、主に御紹介したいと思います。まず一番上、職場見学等を行うことによる受講生への効果です。介護分野の各業態について理解が深まって、就業先の選択が具体的になるといったお声、2番目として、介護の現場で働くことに対する不安を払拭するために見学は必要不可欠といったお声を頂戴しております。
 次の就職等への効果です。就職先としての介護のイメージが湧いて、就職活動が積極的になるとか、企業の理解や仕事の理解が実習の有り無しで大きく変わると考えるというお声を頂戴しております。逆にコロナ禍で見学ができなかったときというのは、就職率が低下したとか、定着率は上がっているように感じるというお声も頂戴しております。
 訓練実施への影響です。実習があったほうが受講者は集まると考えるとか、面接のときに実習があるために選んだという意見もありました。以上が第一線の声の御紹介です。
 これらを踏まえ、我々としてどう考えるかをまとめたのが8ページです。上の四角はおさらいです。一番上のポツです。介護等分野の訓練については、ほかの分野に比べて就職率が高い、また、関連就職割合や雇用期間の定めのない就職者割合も高いという特徴があります。その一方で、2行目の終わりのほうにありますように、充足率が低く、訓練中止率も高いといったことから、訓練実施機関としては、認定されても訓練が実施できない、開講できないリスクがあって、コース設定が難しい分野であるということが考えられます。
 これらの特徴を踏まえ、以下は3点の観点から比較したものです。「設定定員数」、「定員充足率・訓練開講率」、そして「就職率・関連就職率」の観点から比較しました。3番目のポツです。設定定員数については、上乗せのないコースが大幅に減っていました。一方で、上乗せのあるコースが増えていたことから、介護分野の設定定員数の水準は維持されていた状況にありました。受講生についても、上乗せありのコースは増えていましたが、なしのコースは減少していたという傾向がありました。下から2番目のポツ、充足率です。こちらは、上乗せありが上乗せなしを上回るとともに、開講率においては、より差が見られたということをまとめております。一番下のポツは就職率ですが、こちらについては上乗せありのコースが上乗せなしよりも少し高かったのですが、顕著な差は見られませんでした。これは介護分野における人手不足が要因の1つと考えております。
 以上を踏まえ、論点の1つ目の○です。設定定員数や充足率を踏まえますと、職場見学等を含む訓練のニーズは高く、奨励金の上乗せによって、介護分野の訓練コースの数の確保が図られていると考えられ、また、介護分野を希望する求職者の訓練機会の確保を図るといった観点から、この奨励金の継続は必要であると判断しております。2つ目の○、一方で、今後、ほかの分野の訓練の実施状況や雇用情勢の変化によって、本奨励金のニーズ等がずっと同じというわけでもないと考えております。変化が生じることが考えられますので、令和8年度末までこの特例措置を延長し、その後の在り方を判断してはどうかと考えております。令和8年度末までの延長の仕方については、※に御案内しております。各種の労働関係法令の見直しの年限については、施行後3年をめどに見直すという規定がよくありますので、この奨励金についても、創設が令和5年度になりますので、それから起算した3年間の実績等を踏まえ、令和8年度にその在り方を判断したいと考えております。こちらは公共職業訓練(委託訓練)についても、同様の措置とする予定です。
 次のページ以降に、似たようなグラフがまた続きます。こちらは、公共職業訓練(委託訓練)の介護・福祉分野の訓練コースについて分析したものです。簡単に御説明したいと思います。9ページは、公共職業訓練の「介護・医療・福祉」分野とほかの分野について、それぞれ就職率等を調べたものです。こちらは求職者支援訓練と同じ傾向が見られ、就職率、関連就職割合、期間の定めのない就職割合は高く、充足率は低く、中止率が高いといった傾向がありました。
 次に10ページです。こちらは設定定員数と受講者数の比較です。まず、参考1と2を見ていただきたいと思います。数字が並べてある所です。参考1は、分野全体の設定定員数です。右側が「介護・医療・福祉」分野の設定定員数です。いずれも年度を追うごとに数が減っていることが分かるかと思います。上乗せありなしをグラフで見たのがその下です。いずれも、上乗せなしが減っている中で、上乗せありの数は維持されているといった特徴がありました。
 次に11ページです。今度は充足率と開講率を見たものです。こちらは、上乗せありなしで見たときに、充足率については特に差が見られませんでしたけれども、開講率については、年度を追うごとに上乗せありのほうが上回ってきているといった傾向が見られました。
 次に12ページです。こちらは就職率・関連就職率の比較です。左側が令和4年度です。就職率は大きな差が見られませんでした。これは求職者支援訓練も同様です。関連就職割合については、それなりの差が付いていたということが見て取れるかと思います。令和5年度も同様の傾向にありました。以上が公共職業訓練(委託訓練)の職場見学等推進費の上乗せありなしの比較でした。1つ目の柱が、ここまでになります。
 2つ目の柱がフルオンライン訓練コースの話で、13ページ以降になります。13ページには、これまでの経緯をまとめてあります。令和3年2月とありますが、コロナ禍等々の状況を踏まえ、これまでできなかったオンライン訓練をできるようにしたということです。当初は、通所割合、スクーリングの割合を下限40%にしておりましたが、その後、コロナ禍で様々な対策を矢継ぎ早に出す中で、通所割合の下限を20%に緩和する特例措置を実施しております。次に、2番目の○に移ります。通所割合の違い、40%と20%の就職率に大きな差が見られなかったということから、令和5年の4月に、スクーリングの割合、下限20%の措置をこれまでの特例措置から恒久化したということです。一方で、通所を全く不要とするオンライン訓練、今回「フルオンライン訓練」と呼ばせていただきますが、こちらの実施を時限措置として令和5年4月から試行的に開始いたしました。当初は令和5年度末までの取組でしたが、一番下の○にありますように、令和5年度末の令和6年3月、就職実績の把握について十分な実績が出そろわなかったために、この時限措置を今年度末まで、令和7年3月31日まで延長しているというのが現在地です。
 次に14ページです。フルオンライン訓練の実施状況を見たものです。開講コース数、受講者数、就職率です。こちらは、オンライン訓練の中で、フルオンライン訓練がどれだけあるかを見ております。令和5年度から開始したもので、開講コース数、受講者数、それぞれについて、全体の2割強がフルオンライン訓練で行われているということが分かりました。一番右側が就職率です。こちらについては、フルオンライン訓練の受講者の就職率が5割、50%です。ただ、その実数を見ますと、当時把握したのが68人分の34人の就職で、集計対象の母数がまだ少ないということに留意が必要かと思っております。
 次に15ページです。こちらはフルオンライン訓練の開講の時期を見たものです。上の横長の表は、令和5年度中に開講されたフルオンライン訓練の数です。年度後半に寄っているのが見て取れるかと思います。下の参考の表になりますが、年度後半に開講して、令和6年4月末以降に終了したフルオンライン訓練の訓練期間と受講者数が並べてあります。一番下の※です。この求職者支援訓練の特徴として、就職率の確定というのが、訓練が終わってから8か月を要します。これを踏まえると、令和5年度に開講したものであっても令和6年4月末以降に終了する、この上に並べた22コース(345名分)については、令和6年中に実績が確定しない状況にあるということです。
 次に、16ページに移ります。こちらは、フルオンラインコースの都道府県ごとの設定状況と、当省で把握できた都道府県ごとの受講者数を見たものです。フルオンライン訓練については、上の青い棒グラフです。東京、大阪、そして岡山・熊本タイの順に多く開設されており、15都道府県で開講されておりました。受講者については東京、熊本、大阪の順に多く存在していました。ただ、全国各地域から特定の訓練機関の訓練を受講しているということが見て取れるかと思います。
 次に17ページです。こちらは第一線の声としてまとめたものです。一番下の※にあるように、高齢・障害・求職者雇用支援機構で行った訓練実施機関に対するアンケートから抜粋したものです。まず、設定理由を幾つかかいつまんで紹介します。訓練施設へのアクセスが悪いから開設した、上から2番目にありますように、介護や育児を行う方の就業機会を増やすために開設したなどのお声を頂戴しております。オンライン訓練の効果・利点ですが、画面共有や録画機能で説明や複習が容易になったというメリットや、通所が難しい地域にお住まいの受講者や、介護・育児により制約のある方の訓練機会の拡大に寄与しているといったお声を頂いております。
 次に課題と対応策です。幾つか課題も見えてきております。課題①としては、受講者の近況を把握する機会が少ない、具体的な支援が遅れがちになる、就職に関しての意識付けが難しいといった課題が明らかになってきております。これらに対するヒアリングを行った訓練機関の対応案としては、訓練中や修了後において、訓練実施機関からハローワークに、随時、受講生の就職活動状況などの確認を行った、クラス全体の進捗状況や期間ごとに目安となる行動を受講生に伝えることで意識付けの強化を図る、受講者同士が情報共有するためのオンラインルームの設置を実施したなどの対応策を頂戴しております。
 課題②として、受講者の理解度などをリアルタイムで把握することが難しいといったお声も頂きました。これに対する対応としては、放課後の質疑応答の時間を活用して、不安などの解消を図った、また、つまづきがあったときに、当人に御承諾を頂いて、つまづきのあった内容を画面共有して、ケーススタディ的に扱うことで、当人、そして全体の理解度の向上に努めたという対応策を頂いております。
 課題③は、パソコンが苦手な方に対する対応が困難ということです。こちらについては、無料貸出しのPC提供、リモート操作のサポートを行ったということです。
 18ページに移ります。こちらは、以上をまとめたものと、今後の方向性を示した資料です。またおさらいになりますが、上のポツ、オンライン訓練のうち、フルオンライン訓練というのはコース数、受講者数ともに2割以上を占めていました。また、フルオンライン訓練コースについて設定していない都道府県にお住まいの受講者が、このコースを受講していたということが分かりました。そういったことで、一定の受講ニーズが存在していることが分かりましたということを書いております。2番目のポツに「他方で」とあります。令和5年度より開始された措置ですが、年度後半に開始された訓練コースが多かった結果、就職状況がまだなかなか確定しないということで、データがまだ十分でないことも明らかになっております。アンケート結果については、好意的なお話もあった一方で、課題もあったということをまとめております。
 以上を踏まえた今後の方向性です。遠隔地にお住まいであることなどで通所訓練の受講が困難な方、また、居住地域に希望する訓練コースがない方に対して、フルオンライン訓練というのは現時点では継続の必要性があるものと考えられます。一方で、効果分析に必要な就職実績が十分とは言えません。ということで、今後、令和5年度の就職実績と今年度、令和6年度における実施状況を踏まえて、必要であれば就職率向上の措置なども含めて、令和7年度に改めて検証を行いたいと考えております。公共職業訓練の委託訓練についても、同様の措置とさせていただきたいと考えております。以上が2本目の話です。
 最後が3本目のお話で、基本奨励金の単価引上げについてです。引き上げの背景を、19ページの上にまとめております。認定職業訓練実施奨励金のうちの基本奨励金については、制度開設当初の平成23年度から、こちらに書いていますように、1か月当たり受講者1人につき基本コース6万円・実践コース5万円という形で支給してきました。2番目のポツにありますように、デジタル田園都市国家構想総合戦略という令和4年度の閣議決定を踏まえ、令和6年度から、デジタル分野以外の全ての訓練コースで、デジタルリテラシーの向上促進を図るために、デジタルリテラシーを含むカリキュラムの設定をお願いしてきたところです。令和7年度以降については、全ての訓練コースにおいてデジタルリテラシーを含むカリキュラムの設定については必要ということで、必須でお願いすることとしております。これを踏まえて、現在の社会情勢等も踏まえて、この基本奨励金の単価を3,000円引き上げたいと考えております。
 下の矢印も同様のことです。デジタルリテラシーの向上の一層の促進を図る観点から、奨励金のうち基本奨励金の単価を、1か月当たり受講者1人につき3,000円引き上げたいと思っております。下の2番目の※です。委託訓練についても、同様の観点から、委託費の引上げを予定しております。また、障害者訓練については、来年度から職場定着支援業務を追加することになりますので、こちらも委託費の引上げを予定しております。
 最後の20ページが論点をまとめたものです。職場見学等促進奨励金については、介護分野の就職を希望する求職者のニーズに応じた訓練機会の確保を図る観点から、令和8年度末までの2年間、特定措置を延長して、その後に訓練の実施状況を踏まえて判断すべきではないかと考えております。2番目のフルオンライン訓練については、効果分析のための実績が少ないために、来年度末まで試行実施を継続してはどうかと考えております。また、基本奨励金の単価引上げについては、引上げを実施予定としたいと思っております。1番目と3番目については、今回、もし関連する省令をお認めいただけるのであれば、年度末の分科会に諮りたいと思います。
 すみません。最後の3本柱について1点、説明が漏れました。3,000円の根拠です。3,000円引上げを検討中と申し上げましたが、こちらについては、民間が実施するデジタルリテラシー講座の1人1分当たりの平均単価を調べ、求職者支援訓練や委託訓練のカリキュラムの標準的な時間を掛け合わせて算出した額が、約3,000円になりましたので、この額とさせていただいております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 3つの点についての御提案を頂いております。皆さんから御意見、御質問を頂戴して、ある程度まとまったところで、事務局から回答を頂きたいと思います。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 職場見学等促進奨励金ですが、分析結果にあるように、充足率・開講率などを見てみると、求職者の職場見学自体のニーズは高いのかと思うのですが、就職率については、奨励金の上乗せの有無で必ずしも顕著な差があるとは言えないということを踏まえると、引き続き検証していただく必要があるのかとは思います。
 検証に当たっては、今回示された分析だけでなく、例えば定着状況なども気になりますので、そういったところも見ていただきながら、政策効果を確認していただきたいと思います。創意工夫しながら必要に応じて見直しを行っていただくことをお願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、オンライン参加の方で4人の方から手が挙がっているので、風神委員、勇上委員、岡野委員、増田委員の順にお願いいたします。では、風神委員、お願いいたします。
○風神委員 風神です。1つ目として、上乗せ奨励金についてなのですが、介護分野は人手不足分野のところ、受講生の就職率が低いので、講座開設数や受講生が増える点においての効果があり、この点から特例措置の延長が考えられる一方で、受講者の伸びの中身を見ますと、職場見学などはあるが実務者研修のない受講生が増えていて、このコースでの就職率については、資料を拝見すると上乗せの効果は疑問ですので、見直しの際にはきちんと検討すべきだと考えます。
 また、意見の2つ目として、フルオンラインのほうの講座ですが、就職の意識付けや機材トラブルへの対応措置については、令和7年のうちから何らかの対応をとるよう、各機関に促していただければと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、勇上委員、お願いいたします。
○勇上委員 私も、今御発言があったお二方と同じ論点について意見を申し上げます。資料2の1つ目の柱の職場見学等促進奨励金についてですが、奨励金の上乗せの有無で就職率に差がないとされています。これは、恐らく統計的に見てもそうであろうと思います。
 この評価について、資料の8ページでは、人手不足だから奨励金なしでも就職できてしまうと書かれています。そうすると、就職率の観点からは、職場見学などの奨励金の上乗せはなくてもいいのではないかという見方もあり得ると思います。それに対して、先ほど冨髙委員がおっしゃいましたが、職場見学は、就職率だけではなくて、介護福祉職を続ける、あるいはその分野に新たに入っていくということなどのマッチングに寄与している可能性はあるのではないかと思います。実際に資料の7ページのヒアリング調査の結果について、職場見学・職場体験を実習と読み替えて拝見すると、現場の方は、実習によって定着率が上がっているように感じる、8割ぐらいが定着しているように思うとお答えになっています。この事業を継続するに当たって、就職率だけではないアウトカムなども見るという意味では、対象者の一部を追跡してみるとか、それが難しいようであれば、少なくとも今後のヒアリングのときに定着状況について尋ねていただくということが重要だと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 岡野です。御説明ありがとうございました。私からは、フルオンライン訓練の今後の検討に当たって御留意いただければという点を1点お伝えさせていただきます。フルオンライン訓練については、資料の18ページ、今後の方向性の部分で記載いただいているとおり、通所困難な求職者からの一定のニーズがある一方で、ほかの訓練と比較して就職率が低いことであったり、先ほどの委員からもありましたが、就職に関する位置付けや具体的支援が遅れがちになるといった課題があると理解しております。本制度が令和5年度に開始されたということで、現時点での効果分析に必要な就職実績が十分ではない状況にあるという実情も理解いたしますが、求職者、受講者にとって、よりよい制度として訓練が実施されることを期待して、検証結果を早々にお示しいただけるよう御準備いただきたいと考えております。
 なお、この効果検証に当たっては、先ほどの話とも少し重複しますが、今回示されている分析に加えて、職場定着の状況に関しても、指標若しくは参考指標として追加いただいた上で、効果的な手法や改善策を御検討いただけると幸いです。御検討のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。聞こえていますか。
○武石分科会長 はい、大丈夫です。
○増田委員 ありがとうございます。今回、論点としてお示しいただいた介護等の分野への特例措置の延長については、特に異論はありません。介護・福祉分野は、他の分野と比べても人手不足が深刻な業界であることから、同分野の人材を育成して従業者数の増加を図ることは、重要なことだと理解しております。
 また、人手が大変不足している中小企業においても、ビジネスケアラーが増加していく中で、両立に困難を抱える従業員も増加していくことが懸念されます。実際に弊社においても、同理由で直近退職した従業員がおり、介護・福祉分野への人材不足は喫緊の課題であると、私自身も身近な問題として認識しております。
 本奨励金の上乗せの目的は、介護・福祉分野の就労者数の増加を図ることにあるため、効果分析の結果をしっかりと活用していただいて、受講者数の増加はもとより、就職数の拡大に積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、渡邉委員が挙手になっておりますので、渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員 資料の御説明ありがとうございました。私からは、2番目のフルオンライン訓練の効果検証について、ちょっとどうかなという点での提案です。選定理由として、介護や育児を行う方の就労機会を増やすためということで、このフルオンライン訓練を選定しているという現場の声に対して、効果検証として就職率。この就職率で気になるのが、雇用保険適用就職率、要は就労20時間以上と。ここが、目的と結果を測定するもののアンマッチがあるのではないかと。この辺りの配慮がないと、数字としては20時間以下で働く方が実質的には多いのではないかと。その辺り、受講生の対象を含めて、きちんと検証していただきたいというのが提案です。
○武石分科会長 ありがとうございます。こちらの会場の方で、守島委員、どうぞ。
○守島委員 私も、フルオンライン訓練に関することを1点だけ申し上げたいと思います。17ページに挙がっている課題を見せていただきますと、就職に関しての具体的な支援が遅れがちになるというのは、今の渡邉委員等の御発言と結構似ている話なのですが、その後の理解度をリアルタイムで把握することが難しいであるとか、パソコンが苦手な方へのアシスト、機械トラブルへの対応というのは、非常に重要な点だと思うのですが、これは特に今回のオンラインの実施に限ったことではないだろうと思います。
 私も、大学でコロナの間にオンラインを大分やりましたが、そういう所で得られた知見をある意味では厚労省にまとめていただいて、供給主体にそういうものを提供していくであるとか、知識を横展開していくことによって、解決という言い方がいいのかどうかは分かりませんが、ある程度対応は可能ではないかと思います。厚労省には、この部分、特に理解度であるとかパソコンの問題などがあったら、是非そのような所の知識を横展開していただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに会場の方、よろしいでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。いずれも異論はありません。最後の20ページのまとめにある通り、なし崩し的な対応にならないように、きちんと効果を検証して、次につなげていただきたいと思っております。
 それから、1つ単純な質問です。スライド16のフルオンラインの所で、東京、大阪の次に岡山、熊本が出てくることに何か背景があれば教えていただければと思います。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。石﨑委員、お願いします。
○石﨑委員 今までのほかの委員の方の御意見に賛同しながら聞いていました。フルオンラインの訓練については、既に御指摘もあったように、就職率が低いところがあるかと思うのですが、そこの要因として、フルオンライン訓練それ自体に内在する課題については、改善できるところから1つずつ改善していっていただく必要があるかと思っております。このフルオンラインの訓練は、まだ始まって間もないところもあるかと思うので、いろいろ改善できる部分が多分にあるのではないかと考えておりますので、まずはそこに対してアプローチしていくことが必要と考えております。
 他方で、先ほど渡邉委員からも御指摘があったかと思いますが、就職率の低さの要因として、訓練そのものというよりは、受講者の属性であったりニーズから生じている部分もあるかもしれませんので、その辺りも是非慎重に検証いただければと思っております。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、一通り御意見等を頂戴いたしました。重なる御意見もありましたが、まとめて事務局から御回答、御説明をお願いいたします。
○大塚訓練企画室長 回答申し上げます。まず、1番目の柱の奨励金についてです。こちらは、確かに就職率については上乗せの有無で特に差は出なかったということで、定着率を見てはどうかという御提案も頂戴しております。確かに我々としても、そのとおりだと思っております。この定着状況の把握の仕方については、網羅的にできるかどうかという手法の技術的なところもありますが、どういった形でできるか。先ほど、サンプル的に拾ってというようなヒントも頂きましたので、それらも参考にしながら定着率について把握の仕方を検討して、分析に使ってまいりたいと思っております。それが1点目です。
 もう1つは、風神委員から頂きましたように、資料の6ページ、実務者研修を含む、含まないということで、実務者研修を含まないコースについての就職率は、特に上乗せ効果が見られなかったということです。実務者研修を含む訓練というのは、6か月の訓練になります。一方、実務者研修を含まない訓練というのは、主に大体訓練期間が2.5か月になっておりました。右側の黄色や青の訓練です。それを踏まえますと、訓練の受講ニーズも様々ある中で、それはそれなりにメニューは設けておく必要があるのかということを考えております。ただ、一方で、年度を追うごとに、上乗せありのコースの黄色、要は実務者研修を含まないコースでも上乗せありの受講生が増えていることから、こちらは介護分野の人材育成の観点では役に立っているのではないかと考えております。
 次に、フルオンライン訓練のお話で幾つか御意見を賜りました。まず、課題として対応できるものについては、令和7年度からということでした。こちらについては、すぐに対応できるものについては、令和6年度のデータが出そろう前にも対処できるところは対処していきたいと考えております。横展開をしてはどうかという御示唆も頂きました。こちらはオンラインに限った話でもありません。理解度の把握等については、委託訓練、求職者支援訓練全般に当てはまる話でもありますので、その辺りについては事例の共有なども図ってまいりたいと思っております。
 それから、フルオンライン訓練は、今のところ就職率が低かったということです。この背景は、自分の近くの訓練実施者の訓練を受けていないので、なかなか就職支援がしづらいということです。16ページを御覧いただきますと分かるように、全国津々浦々から特定の都道府県の訓練機関の訓練を受けているということから、就職支援が必ずしも十分できていないのではないかということも、予想というか、現在のところ考えられます。そういった中で、どのような形で支援ができるのかということを考えていく必要もあり、課題の1つかと思っております。
 また、就職の仕方です。それぞれ事情があって、フルオンライン訓練コースを受講されている方もおりますので、こちらについても、定着率等を含めてどのような把握の仕方があろうかということも考えながら、分析のほうで活用をしてまいりたいと思っております。
 それから、熊本や岡山が訓練コースが多いという御指摘を頂きました。熊本について調べてみたのですが、熊本県内でフルオンライン訓練を実施しているのは、1つの実施訓練機関でした。その1つの実施訓練機関が、Webデザインの訓練コースの訓練をしておりました。Webデザインの訓練を実施しているのが、全体で2つの訓練実施機関しかなく、その1つがフルオンライン訓練をやっているということで、そこに受講が集中したのではないかと思っております。以上、事務局からの回答になります。よろしくお願いします。
○武石分科会長 御質問、御意見を頂戴しておりますが、この点についてもう少し説明をしてほしい等の追加の御質問、御意見はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、貴重な御意見を頂きましたので、今後の効果検証に反映させていただく、あるいは実際の訓練の実施で可能なものは対応していただくということで、是非お願いいたします。ほかにないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。事務局におかれましては、今後この諮問案の作成をお願いすることになりますので、よろしくお願いいたします。
 次に議題(3)「2024年度の年度目標の中間評価について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の説明をお願いいたします。
○溝口人材開発総務担当参事官 それでは、資料3を御覧いただければと思います。人材開発分科会において年度目標を設定していただきまして、それをPDCAサイクルで評価していただいているところですけれども、主に9月段階での状況の御報告ということです。項目ごとに御説明いたします。
 ①は、地域若者サポートステーションの就職率です。目標と実績を記載しておりますけれども、目標をやや下回っている実績にあるということです。その下の文章の2段落目の所に書いてありますけれども、分析したところ 委託事業ですので、特定の受託者において実績が低調である状態が続いているということが分かりました。今後、年度後半に向けて、ここについて、てこ入れをしていきたいと考えているところです。
 ②は、わかものハローワーク等を利用して就職したフリーターのうち、正社員として就職した者の割合です。同じように下に目標と実績を置いております。御覧いただきますとおり、順調に推移しています。
 ③は、就職支援ナビゲーターによる支援です。下に目標と実績がありますけれども、実績の所の一番右端に割合があり、43.2%ということで、9月時点ではまだ50%まで達していないということです。ただ、その下に参考という形で表を付けておりますが、目標については、就職活動の状況に応じて実績が上がってくるものでして、年度後半に実績が高まるという傾向が見て取れますので、年度後半に向けて年度目標の達成を見込んでいるところです。
 ④は、ジョブ・カード作成者数です。目標と実績を御覧いただいて、同じように実績の所に括弧書きで割合があります。こちらも50%に達していない状況ですけれども、同じように3ページの上に表がありますけれども、年度後半に実績が伸びる事業ですので、年度目標の達成に向けて推移していると考えております。
 ⑤は、公共職業訓練の就職率です。施設内訓練と委託訓練に分けてあります。施設内訓練は、御覧いただきますとおり、順調に推移をしております。委託訓練のほうが、若干就職率が下回っている状況です。委託訓練については、これまでも分科会において就職率が低いのではないかという御指摘を頂いているところですので、下の文章のなお書きで分析を行っております。その結果、営業・販売・事務分野、IT分野における特に50~54歳の女性の就職率の低下が、今回の就職率の低下に影響しているということが分かりました。一方で、訓練受講者を含む、訓練を受講してない方も入れた求職者全体で見ますと、このような傾向はなかったということが分かっております。そこ以上の分析はまだできておりませんので、引き続き、なぜそこが下がったのかについて分析を進めて、対応を取ってまいりたいと考えております。
 ⑥は、求職者支援制度による職業訓練の雇用保険適用就職率です。目標と実績を御覧いただきますとおり、順調に推移をしております。
 ⑦は、技能検定受検合格者数です。10月時点ですけれども、目標に達するような状況では今はないということです。文章を御覧いただきまして、中段ぐらいにファイナンシャル・プランニング職種というものがありまして、こちらは結構合格者数、受検者数が多い職種ですが、こちらが大きく減少していることが原因ということです。この職種の減少の要因としては、次の段落にありますけれども、CBT試験ということで、試験の方法が変更になり、年度前半は受検者が試験の受けやすさを判断しづらく、受検を控える傾向が見られたということです。ただ、傾向・推移を見ておりますと、徐々に受検者数が増加してきておりますので、今後は以前の水準まで合格者数が回復すると見込んでいるところです。資料の説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問や御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。田村委員、お願いいたします。
○田村委員 ありがとうございます。資料3ページの公共職業訓練(離職者訓練)の就職率ですけれども、委託訓練の就職率は目標未達の状況が続いており、訓練機関によって就職率に差があるなど、訓練機関の質の担保が課題ではないかと認識しているところです。また、先日開催された公的職業訓練の在り方に関する研究会においては、民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上も議題に挙がっていると伺っています。そのような議論と併せて、訓練機関の質の担保に向けて、やはり全体的な底上げにつながるような方策を御検討いただけないかと思っているところです。よろしくお願いします。
○武石分科会長 ありがとうございます。今回、まとめて御質問等をお伺いしてから事務局にお答えを頂きたいと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは事務局からご回答をお願いします。
○松瀬人材開発政策担当参事官 御意見ありがとうございます。訓練の質の担保を担当している者から、一言コメントさせていただきます。御指摘のとおり、今、我々の中で訓練の質の確保に向けての検討を進めているところです。今のスキームを改めて、より多くの民間教育訓練機関に御利用いただけるようなスキームを考えておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。どうも、御指摘ありがとうございます。
○武石分科会長 田村委員、よろしいでしょうか。
○田村委員 よろしくお願いします。
○武石分科会長 それでは、この案件は以上とさせていただきます。
 次に、議題(4)「2028年技能五輪国際大会の日本(愛知県)招致決定について」の御報告を頂きます。内容について、能力評価担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価参事官の安達でございます。資料4に基づいて説明させていただきます。2028年技能五輪国際大会について招致を行うということで、前々回、検討会を設けて取り組んできたというところまで御説明しましたが、その後の状況の御報告です。
 技能五輪国際大会は、1つ目の概要の○にあるとおり、22歳以下の青年技能者を対象とした技能競技大会で、日本で過去3回開催された実績があり、直近では2007年、静岡で開催されております。この2028年の技能五輪国際大会は、本年9月にフランス・リヨンで開催された主催団体の総会で、加盟国・地域による信任投票が行われ、満場一致で日本の愛知県で開催されることが決定されたところです。これは2007年以来21年ぶりの日本開催になります。
 今後ですが、来年7月、夏に組織委員会を設立して、この国際大会の開催に向けて準備を進めていきたいと考えているところです。真ん中にあります2024年のフランス大会の2年後、中国(上海)で大会が行われ、2028年の日本大会を迎えるということです。
 一番下に参考で開催概要を付けております。競技の開催期間は2028年11月16日~19日、会場は愛知県国際展示場、開閉会式はIGアリーナです。65か国以上の国から、選手1,600人、関係者3,400人、来場者30万人の参加が見込まれる大きなイベントとなりますので、この大会の準備に万全を期すとともに、この国際大会の日本開催を契機に、我が国における技能の振興についても、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見等はないようですので、日本で開催されるということで、大変だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 次の議題に移ります。議題(5)「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議の開催について」の御報告となります。内容について、海外人材育成担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 海外人材育成担当参事官の堀でございます。資料5を御覧ください。先の通常国会において成立しました入管法及び技能実習法の改正に関して、制度の施行に向けて、今月17日に関係閣僚会議が開催され、「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の開催が決定いたしましたので御報告させていただきます。今回の改正において、特定技能制度及び新たに創設されます育成就労制度については、基本方針及び分野別運用方針の策定に当たり、この規定にありますように、あらかじめ知見を有する者の意見を聴かなければならないとされており、今般、関係閣僚会議の下に新たな有識者会議を開催し、労使も含めた有識者の皆さんから御意見を聴取することになったところです。
 開催の決定案が2ページ目、3ページ目に会議の構成員、座長及び座長代理の指名の案、4ページ目に実際の構成員の一覧が示されています。基本的には、議論の継続性の観点から、前の制度見直しの在り方を検討していただきました有識者会議の構成員の方々を中心に構成されています。
 資料の5ページ目を御覧ください。今後の施行に向けたスケジュールです。年明け1月以降に有識者会議の議論を開始して、2月に基本方針について閣議及び関係閣僚会議の決定、その後、来年1年ほどかけて、分野別運用方針の議論を行っていただき、受入対象分野や受入見込数について検討することとなっており、これらについて、来年12月をめどに閣議及び関係閣僚会議において決定するということが予定されています。なお、その際、有識者会議座長の決定によって、技能評価等については別途専門家の意見を聴く場を設定することになっております。また、その後、分野の追加等がありましたら随時有識者会議を開催していくことになっております。
 最後に、資料の6、7ページを御覧ください。改正入管法及び育成就労法に基づいて定めることとなる関係省令の策定に当たっては、ただいま御説明した有識者会議とは別に、厚生労働省及び入管庁において有識者懇談会を開催し、労使も含めた関係者の皆さんから御意見をお伺いする場を設けたいと考えております。こちらにつきましても年明け以降に開催をしていくことになります。引き続き、新制度の施行に向けては、入管庁など関係省庁とも連携し、基本方針や分野別運用方針、政省令等の策定に向けて取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見、御質問等がないようであれば、この案件はこれまでとさせていただきます。
 次に、議題(6)「その他」です。内容について、人材開発総務担当参事官、企業内人材開発支援室長より、それぞれ資料の御説明をお願いいたします。
○溝口人材開発総務担当参事官 まず、参考資料1を御覧ください。こちらは、11月22日に閣議決定されました総合経済対策の人材開発施策の主要部分の抜粋です。文章のとおり、これまでの人材育成、リ・スキリングに対する取組を記載しているものです。同時に補正予算のほうで措置されたものということで、3ページ目になりますけれども、地域若者サポートステーションのメンタルヘルスの対応の強化については、補正予算を計上しているところです。参考資料1の説明は以上です。
○永島企業内人材開発支援室長 参考資料2に基づいて御説明させていただきます。私からは3点の御報告事項を説明させていただきます。
 まず、1点目です。今年の秋の行政事業レビューの対象事業の1つとして人材開発支援助成金が選ばれ、11月15日に実施されましたので、その御報告となります。下段に記載のとおりですが、当日4名の有識者に御議論を頂き、その結果、5点の御指摘を頂きました。まず1つ目、人材開発支援助成金は、御承知のとおり、令和4年度から「人への投資」施策の1つとして事業費拡大をしているところですけれども、執行率が低調で、令和4年度と5年度についてはちょっと低い状態で推移していました。実際は、実績のほうは現在伸びているところですが、瞬間的に捉えた場合に低調ということです。実際に人開金が事業主にとって人材開発の取組に対する掘り起こしになっているかどうか、あるいは、労働者側にとって自らの能力開発やキャリア・アップに取り組む上での有効なインセンティブとなり得ているかどうか、こういったところを検証すべきではないかという御指摘です。
 2つ目、人材開発支援助成金の支給事業主の皆様方に対して、関連するデータを含めて、事業実態の把握に有用な定量的なデータを一元的に収集・分析をすべきではないか、この収集・分析結果を踏まえて、制度の在り方を含めて見直しを検討すべきではないか。これが2つ目の御指摘です。
 3つ目、現状の行政事業レビューのアウトカム目標というものが、人材開発支援助成金を実際にお使いになられた、支給決定を受けた事業主の皆様方に対するアンケートと、その事業主に雇用されている労働者の皆様方に対するアンケート結果を踏まえて、事業評価をしていたのですけれども、これが、ある意味で主観的な指標のみではないかということで、客観的、定量的なデータに基づく目標設定も併せて検討すべきではないか。これが3つ目です。
 4つ目は、事業規模の関係です。先ほど執行率の話がありましたけれども、人開金につきましては、計画届を提出いただいてから、実際にその助成金の支給決定に至るまでのプロセス上、最長で1年半ぐらいかかるわけですが、そうしたタイムラグを踏まえて、実際にその各年度の所要額を精査すべきではないかというのが4つ目の御指摘です。
 5つ目は、先般、会計検査院から御指摘を頂きまして、人開金の不適正受給の事案について、再発防止のために有効な対策・仕組みづくりを早期に行うべきではないかと。以上5つの御指摘を受けたところです。
 1つ目から3つ目までの定量的なデータによる収集・分析、あるいはアウトカム目標設定等につきましては、今後、知見者の皆様方にも御相談するなどをして、省内で対応を検討してまいりたいと考えています。4つ目の所要額の精査につきましては、御指摘のタイムラグを踏まえて、令和7年度の所要額を改めて精査の上、財務省と調整を図っているところです。
 5つ目の会計検査院の対応につきましては、2点目の御報告事項につながりますので、次のページを御覧いただきたいと思います。10月9日付けで、会計検査院から人材開発支援助成金に係る不適正受給について処置要求を頂いたところです。人材開発支援助成金は、申請事業主が労働者に、職務に関連する訓練を実施した場合に、その際にかかった訓練経費を申請事業主が全額負担することを支給要件としておりまして、その財政負担を一定割合助成する制度となっています。今回、会計検査院から御指摘を頂きましたのが、訓練契約とは別途契約で、申請事業主が訓練の営業協力などを行ったことで、訓練実施機関等から入金を受けたことにより、実質的に申請事業主が全額負担をしていなかったという状況が生まれて、申請内容に齟齬があったということで、不適正とされたものです。
 検査院の処置要求の対応状況につきましては、下段の対応状況に書いております。1つ目から3つ目までにつきましては、11月5日付けで既に対応しております。1つ目は、訓練実施機関等から事業主に対する入金があった際の取扱いが、今までは明確ではなかったので、その取扱いの明確化を求められて、支給要件の改正を行ったところです。2つ目は、要領の改正、見直した内容について、事業主の皆様方に周知をしていくべきではないかということが求められて、リーフレットを作成の上、事業主の皆様方を通じて周知を図っています。3つ目は、労働局での助成金審査あるいは実地調査について、訓練実施機関等から事業主に対する入金があった場合に、その有無の適切な確認ができるように、調査あるいは審査方法をマニュアル等に定めるべきではないかという御指摘を頂き、関係機関も含めて、実際にそのマニュアルを新たに定めて整備したところです。
 最後、4つ目の御指摘に対する対応です。会計検査院のほうで調査を行った結果で判明した、訓練経費の全てを負担しなかった2事業主については、事実関係を確認した上で、不正と認められる助成金を返還させる措置を講ずるように求められ、該当事業主に対して、ただいま労働局のほうで事実関係を確認の上、対応中です。今後も引き続き支給要領等によって厳正に対応していきたいと考えています。
 最後に、3ページ目も人開金の個別事案の公表ということで、こちらも御報告になります。これは2点目の会計検査院の案件とは別の事案となります。5つの労働局で12月3日付けで訓練実施者の公表を行ったところです。具体的には、北海道、福島、東京、岐阜、愛知それぞれの労働局の管内事業所から申請のあった人材開発支援助成金について、資料の右下にスキーム図が書いてありますけれども、訓練実施機関、そして訓練実施機関とは別の協力会社を経由して申請事業主に入金がありまして、その訓練経費の実質的な負担なしに助成金の申請があったということで、不正認定された事案となっております。こちらは人材開発支援助成金の定額制訓練のコースで判明した不正事案ということで、現在、返還を命じております。今、総額3,000万という規模で返還命令をかけていることになります。今後とも制度の信頼を揺るがすこういった不正事案については見逃すことがないように、調査の充実を含めて適正な支給確保に努めてまいりたいと考えております。御報告する内容は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。人材開発支援助成金に関して、3つの点に関する御報告でした。ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がありましたら、これまでと同様に挙手をしていただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 今、不適切な受給の関係で幾つか御報告いただきました。前回、定額制に関する適正化に即した対応について議論したところですけれども、当然のことながら不正受給はあってはいけないことですので、厳正に対処されることが重要だと思っております。厳正な審査であったり要領の整備についても、しっかりと対応していただきたいと思いますので、改めて御意見を申し上げたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御意見等がないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
 議題については以上となりますが、全体を通して、委員の皆様から何かありますでしょうか。よろしいですか。特にないようであれば、本日の議論は以上といたします。
 次の開催日程につきましては、決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。以上をもちまして、第49回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。