第6回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和7年2月20日(月)15:00~
 

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

(1)民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について
(2)その他

議事

○今野座長 それでは時間になりましたので、ただいまから「第6回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。まず出欠状況について、事務局からお願いします。
○横田政策企画室長 本日は、山田構成員がほかの用務が終了後、間に合えば本研究会に合流予定となります。武石構成員がオンライン参加、その他の構成員は全員対面参加となっております。報道関係の方々の撮影はここまでとなりますので御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日オンラインで御参加の武石構成員におかれましては、御発言を希望する際は、Zoomの「手を挙げる」機能により意思表示を行っていただき、座長から指名された後に御発言いただくよう、お願いいたします。また、音声の乱れや接続に問題等が生じましたら、事務局宛にチャット、メール又は電話で御連絡いただきますよう、お願いいたします。
○今野座長 それでは、早速議事に入りますが、武石構成員、聞こえていますか。
○武石構成員 はい、聞こえています。よろしくお願いします。
○今野座長 画面が小さいので、発言のさいに「手を挙げる」機能を使っていただいてもいいですが、多分、私、見逃すと思うので、発言するときは遠慮なく「しゃべるぞ」と大きい声を出してください。
○武石構成員 はい、分かりました。
○今野座長 そうしないと、指さないですからね。よろしくお願いします。
 それでは、議題に入ります。議題の1番目は、「民間の教育訓練機関における職業訓練の質の向上を促す取組について」です。それから、本日は前回と前々回に引き続き、オブザーバーとして高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校より、原さんに御出席を頂いておりますのでよろしくお願いします。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○横田政策企画室長 事務局から資料の説明をいたします。資料1、2と、2つ用意しております。資料1が、「民間職業訓練サービスの質の確保・向上について(議論のとりまとめ)(案)」と題したものです。こちらは、全部でワード7ページからなる本文と、その後に参考資料を付けております。構成として、まず、現状と課題を書いております。今までの研究会の資料を元に記載しております。本日、特に御意見を頂きたい部分は、議論のとりまとめの最後の部分の「見直しの方向性」についてです。この部分だけを抜粋したものが、資料2です。こちらをもとに、本日御意見を頂ければと思います。
 ただ、その前に資料1で付けました参考資料の中に、新しいものを複数追加しておりますので、そちらの説明を先にいたします。資料1の中にある参考資料、通し番号の15ページを御覧ください。
 スクリーンに出ております「求職者支援訓練の就職率別訓練コース数」という資料です。求職者支援訓練の就職率別にコース数を並べますと、このような形になっております。求職者支援訓練の認定要件としての就職率は、35%以上です。こちらのグラフは5%刻みで作っておりますが、35%以上の中でも100%までかなり幅広い分布になっております。35%以上の所として、競合があるような地域ですと、実際に認定を受けた後にコースとして選定されるかどうかという選定要件として就職率が大きな要素になってくるため、訓練機関としてはなるべく高い就職率を獲得していこうというインセンティブが働きます。
 一方で、余り競合がない地域ですと、この35%をクリアしてしまうと、それ以上に求職者支援制度に選ばれるためということでは、インセンティブが働かないという仕組みになっております。そのため、求職者支援訓練の認定要件、選定要件の中に、このPDCAサイクルによる改善の動きを組み込むことにより、こういった比較的低い就職率で地域の中で競合がない所に対しても、就職率を上げていく誘因する仕組みを持たせたいということで、求職者支援訓練の中にそのPDCAサイクルのガイドライン要件を入れております。周辺の状況として、こちらの資料を追加いたしました。
 また、17ページに、諸外国の民間訓練の質の確保・向上という資料を加えております。こちらは、なかなか諸外国の制度比較は難しいのですが、JILPTが「諸外国の民間教育訓練機関について」という報告を2020年に出しておられましたので、その中で関連の所を引用する形で資料を作っております。ドイツ、フランス、イギリスの3か国について見ていきますと、公的資金を投じる職業訓練で民間訓練機関を活用する場合は、各国ごとに基準の設定と事後的な検査による質の確保を図っております。日本においても、求職者支援制度を例に出しますと、認定要件の要件設定を行い、事後的な検査では実地確認をJEEDで行っていただいています。
 そういった、ベースの所は共通しておりますが、訓練の質の維持向上の手法は多少の差があります。特に、本研究会でのテーマでありますプロセス管理で見ていきますと、ドイツについては、助成対象の職業訓練を行う機関として認定を受ける際に、目標を絞った体系的な手順と手段による継続的な改善が行われる仕組みを備えていることを求めております。また、フランスにおいては、2022年に法改正がなされ、公的資金を受ける教育訓練機関は品質認証を受けることが義務付けられております。この品質認証は民間の認証システムですが、その中で国からこういった認証を受けてくださいということを定めております。認証の内容としては、プロセスを評価するという内容になっており、PDCAサイクルというか、我々のガイドラインプロセス評価と、は同じベクトルのものです。
 イギリスについては、こういったプロセス評価を必須基準として組み込んでいるようなところは見受けられませんでした。その代わりに、特徴として見えるものとして、検査が上げられます。イギリスの場合は、事後的な検査ですが、2日から5日にわたる検査が1機関を対象に行われております。検査結果が4段階で評価され、評価結果は公表されます。こういった検査が、全体の16%に対して1年間で行われます。つまり、単純な計算をしますと、大体6年間ぐらいで1回順番が回ってくるということかと思います。
 このように、質の確保で、どういったところに重点をおいているかというのは国によって異なりますが、今回のガイドラインのようなプロセス管理では、ドイツとフランスでは公的資金を使って行う訓練の民間委託の場合に、それが要件として求められております。追加の資料は、以上の2点です。
 こういったことも踏まえて、議論のとりまとめ「見直しの方向性について」に移ります。資料2です。今までいただいた意見をまとめる形で記載しております。(1)民間職業訓練サービスガイドラインと適合事業所認定についてです。1つ目として、PDCAサイクルによる運営を推奨する民間訓練ガイドラインについては、民間訓練の質の向上を促す仕組みとして有効であると考えられ、この取組を続けていくべきではないかという意見を頂いておりました。2点目は、民間訓練機関への動機付けを行い、訓練の受講者がその取組を認識できるように、適合事業所の認定の仕組みを続けるべきではないかという意見も頂いておりました。3点目は、対象となる事業所は小規模事業所が多いという話を本研究会でもしておりました。そうであれば、小規模事業所を念頭においた指標の軽減も検討すべきではないか。その場合、経営面の指標を整理することが一案ではないか。考え方としては、そういった軽減により参加事業所を増やしていくことで、国全体で見たときに民間訓練の質の向上が図られているということを促していくべきではないかという考え方です。
 4番目も、前回の研究会で、本サービスガイドラインの認定制度、研修などが委託事業で行われている点について、受託業者が変わっていくことで安定的な制度運用の懸念があるという点を御指摘いただいております。そういった場合、類似の制度を見ていきますと業界団体などが受託しているというケースもあるところですが、教育訓練機関については、業界を包括するような業界団体が存在しないところです。そういった事情であれば、中立性の観点から、職業訓練の運営改善に知見を有する公的な機関が運用することが望ましいのではないかという意見を頂いております。
 次に、審査料についてです。審査料は、大体4、50万円がベースで掛かっているというお話をいたしました。多くの事業所に参加を促す観点からコストを抑える工夫をすべきではないか。そして、前回の事業所ヒアリングの際に頂いた話ですが、1企業が複数事業所を展開している場合には、事業所単位で審査料が掛かってくるような場合、運用方法、マニュアルが同一である場合も多いということで、そういった事情を考慮してほしいというお話も頂いておりました。
 また、適合事業所認定制度については、知名度が低いという現状があります。こちらは、認知度を上げて、運営改善を行う事業所を評価し、労働者が受講を決定する際の判断材料として機能するための方策をとることが必要ではないかという点も頂いておりました。また、認定を受ける過程で整備された運営改善の仕組みについて、その後、大幅な変更が生じにくい性質を考えれば、認定の有効期間を現行の3年よりも長くすることも考えられるのではないかという点も頂いておりました。
 次のページは、(2)公的資金の支出対象となる民間訓練サービスの要件についてです。1点目は、適合事業所認定を、求職者支援訓練の選定要件の加点要素として、引き続き評価されるべきではないかという点です。2点目は、適合事業所認定制度の効果を測る指標として、就職率だけではなく、修了率も考慮してはどうかという点を頂いておりました。
 それから、公的資金の支出対象となる民間職業訓練サービスの要件についての関係ですが、今のところ、まだ御意見を頂けていないのは、求職者支援訓練の認定要件に、現在はサービスガイドラインの研修を受けていることを入れております。この点について、もし御意見のある方は、本日の意見交換の中で頂ければと思っております。特に、実際にこの部分の実務を担当されておりますJEEDの中原構成員から、この点についての御発言を頂ければ幸いです。
 最後に、(3)その他です。民間訓練機関の訓練について適切に評価するために、訓練機関の属性についてのデータと、受講者の属性についてのデータの両方を用いた分析が必要と考えられることから、データベースの整備を検討すべきではないかという点も頂いておりました。
 以上、頂いた御意見をまとめるような形で記載しております。本日は、こういった意見も記載が必要ではないかといった御意見などを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○今野座長 今から議論いただきますが、資料2に基づいて皆さんから意見を頂いて、それに基づいて資料1の報告書の見直しの方向性の所を作っていきたいということですか。
○横田政策企画室長 はい。その部分抜粋だけを資料2に付けております。資料1についても、御意見を阻むものではありません。ただ、資料2の見直しの方向性の所を中心に御意見を頂ければと思っております。また、資料1についても、本日は時間も限られておりますので、こちらについて御質問や御意見がある場合には、本日、この研究会が終わってから事務局からメールで連絡をさせていただきますので、そちらに意見を伝えていただければと思っております。そちらの意見も踏まえた上で、次回、反映等をして御報告させていただくという形をとりたいと思っております。
○今野座長 今から議論をしていただくポジショニングができましたので、御意見を頂きたいと思います。まず最初に、皆さんから自由に意見を頂く前に、事務局から認定要件について、JEEDの中原さんから何か意見はないですかという要請がありましたので、中原さん、どうぞ。
○中原構成員 中原です。よろしくお願いいたします。先ほど、ガイドライン研修に関するお話がありましたが、ガイドライン研修については、求職者支援訓練の訓練実施機関においてPDCAサイクルに係る訓練運営、訓練実施について、必要性を理解をしてもらい促進いただくということを考えて、事業所ごとに職員がガイドライン研修を受講することが認定要件となっております。この点については、当然、訓練実施機関側もそうなのですが、利用者に対して、より高い訓練の質を提供するという観点から、引き続きこのガイドライン研修を認定要件として継続的に訓練の質の向上に取り組んでいただきたいとは思っております。以上です。
○今野座長 実施されていて、何か課題のようなものはありますか。あれば参考になると思うのですが。
○中原構成員 特にはありません。
○今野座長 それでは、皆さん、御自由に意見を出していただければと思います。大嶋構成員、どうぞ。
○大嶋構成員 まず、先ほど事務局から、プロセス評価であったり、成果評価であったり、民間職業訓練機関の質の向上について様々な指標があるというお話がありました。結果指標だけに基づいて訓練の成果を図ってしまうと、どうしてもクリーム・スキミングといいますか、就職しやすい方に対する支援が手厚くなる結果をもたらす可能性があることから、こうしたプロセスをしっかり、より良くしていくという仕組みを日本の中で持っているということは非常に重要ですし、小規模な事業所がこういった仕組みに、より多く参加できるような形で負担軽減をしっかり図っていくという方向性についても非常に重要なのではないかと思っております。
 2点目は、前々回の会合で私から、技術進歩が非常に早い時代において、訓練機関自体が訓練内容を急速にアップデートしていく必要がある中で、そのノウハウ提供というものをどうしていくかということが非常に重要ではないかというお話をさせていただきました。以前、ドイツの中小企業向けのデジタル関連の情報提供や訓練プログラムの提供を全国的に行っている仕組みを調べたときに、各拠点が開発した先進的な取組の中から効果が高いものついては、横展開していくような仕組みがあり、その中で訓練の質を上げていくといった取組もあったことから、これは非常に重要だと思っているのです。JEEDのほうで、そうした講習をやられているということですがこうした取組を、もっとフォーマルな形で取り入れていくことが非常に重要ではないかと思っております。
 今、ガイドライン研修の話がありましたが、そうした研修の中で、よりノウハウの提供もしっかり盛り込んでいくことは、1つの重要な動きなのではないかと思っています。ただ、既存の取組の中から抽出されたノウハウだけでは、多分これから新しい学び方がたくさん出てくる中で不十分な可能性があり、もう少し、これからの新しい学び方であるとか、内外の先進事例も含めて、半歩先の事例など、より良い情報収集が難しい小規模事業者も含めて、新しい訓練の方向性を考えられるようなノウハウ提供の仕組みが盛り込まれることが重要なのではないかと考えております。
○今野座長 ありがとうございました。今の点について、よろしいですか。先ほどのドイツの例は、ある機関が、多分中小企業でも零細企業でもいいですが、そういう所に新しいノウハウをいつも提供します、あるいは、よい事例があったら横展開をしますということなのですが、それは普通の民間企業を対象にしているということですか。
○大嶋構成員 そうです。国の仕組みとして、全国にテーマ別、地域別の拠点を置いて、特にデジタル領域のスキルを経営者や従業員の方に提供している取組があります。これは、民間職業訓練の枠組みではないのですが、そこの各拠点が開発した新しいノウハウや学習コンテンツのようなものを効果検証した上で、効果の高いものを横展開していくといった仕組みです。
○今野座長 しつこいようですが、そうすると、実施機関は公的機関、政府機関で、お客さんは普通の民間企業ということですか。
○大嶋構成員 そうです。実施機関は。
○今野座長 地域単位で。
○大嶋構成員 地域内の経営者団体であったり、教育機関等が連合したコンソーシアムのようなものになります。
○今野座長 そういうことですか。今、大嶋さんから、似たようなことはJEEDでやっているのではないかというお話でしたが、そうなのですか。
○中原構成員 JEEDでは、求職者支援訓練を実施している訓練実施機関に対して、サポート講習などを実施しながら支援をしている状況です。
○今野座長 ということは、大嶋さんには申し訳ないですが、違いますよね。まず、お客さんが違いますね。大嶋さんのお話は、企業がお客さんですよね。
○大嶋構成員 ノウハウを横展開しているのは、教育訓練を行う拠点同士のノウハウを、こういうコンテンツをしたらこういう効果があったということに関するノウハウを共有しているということで、企業同士のノウハウを共有しているわけではないということになります。
○今野座長 理解がうまくできず、すみません。そうすると、中央にある公的機関のメインのサービスというのは、何ですか。
○大嶋構成員 その拠点のメインのサービスは、デジタルに関するスキルであったり情報を、経営者の方であったり従業員の方に対して提供していくということをしております。
○今野座長 ということは、最後のお客さんは、教育訓練機関ではなくて、企業や個人だということですか。
○大嶋構成員 はい。
○今野座長 ということは、やはり今のJEEDの話とは違いますよね。JEEDのお客は訓練機関ですよね。それも、求職者支援をやっている訓練機関の範囲内ですよね。
○大嶋構成員 そうですね。
○今野座長 ということは、JEEDは、もっとサービスを広げろということですか。大嶋さんが言いたいのは。
○大嶋構成員 私自身は、教育訓練を行う際に、何をどうやって教えるかという質、やり方というのはどんどん進化しているので、たくさんある機関がノウハウを共有し、全体に底上げしていくことは非常に重要だと思っています。その全体的に底上げするための仕組みの事例として紹介させていただいたのですが、確かに対象が違うという意味では、誤解を招く内容であったかもしれません。
○今野座長 いえいえ、別に誤解とかそういう意味ではなくて。ドイツは、言ってみれば、うまい整理かどうかは分かりませんが、個別企業、あるいは個々人がDX能力を上げるために、どういう学習をしたり教育訓練をしたらいいかということについて、公的機関が直接的なサービスをするということでよろしいですか。
○大嶋構成員 ドイツの中にも様々な教育訓練の仕組みがありますが、特に今申し上げた事例は、中小企業でのデジタルスキルや知識の向上に関わる取組のスキームに限定されたものになります。
○今野座長 そうすると、JEEDがやっている在職者訓練に近いですか。
○中原構成員 JEEDは、在職者訓練を中小企業の従業員の方を主な対象として実施しておりますので、それが近いかどうかは分からないのですが、全国でそういう形でやっております。
○今野座長 在職者訓練の場合は、JEED自体が訓練主体ですよね。ですから、ちょっと違うのですね。
 今の大嶋さんの御意見は、どうするかは別にして、日本もそのような仕掛けがあったほうがいいのではないかということですよね。
○大嶋構成員 はい、そうです。
○今野座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。黒澤構成員、どうぞ。
○黒澤構成員 ありがとうございます。今のお話にも関わることですが、確かにJEEDで、サポート講習、求職者支援訓練の認定、実地確認などを提供してくださっていることもありつつ、また、自らの訓練のPDCAサイクルのノウハウもお持ちであると。そういうことを考えて、今、話している教育訓練機関のサービスの質の向上という観点から見ると、JEEDがそういった認定の仕組みを担うことであれば、単なる認定作業だけでなく、そういう自己点検のPDCAサイクルについてのノウハウ自体も、JEEDに、教育訓練機関に伝授する機能をさらに拡充していただければ、認定作業をJEEDが担うことの社会的な効果が相乗的に大きくなるのではないかという気はしました。
 それから、今回の見直しの方向性については基本的に大賛成で、とにかくコストを下げてメリットを大きくする。そして、世の中にもっと普及し、訓練の質の向上を図っていくことを目指すべきだと思います。
○今野座長 今の黒澤さんの御意見は、先ほどの資料2の(1)で4番目の○の一番最後の2行ぐらいに、「中立性の観点等から職業訓練の運営改善に知見を有する公的な機関が運用することが望ましいのではないか」に関わります。黒澤さんは、それはJEEDがやったほうがいいのではないかと最初から言っていますけれども。
○黒澤構成員 飛躍して、すみません。
○今野座長 最初からJEEDと決めて発言されているので、そこについて、ここでは公的機関ということなので、やはりJEEDですかね。
○黒澤構成員 結局、この認定のパーパスは何なのかを考えなければいけない。教育訓練機関は小規模が大変多いということを我々は学んだわけですが、そういう方々に、先ほど大嶋さんからもありましたように、テクノロジーが速く進んでいく中で、どうやって市場のニーズに合う訓練をどうやって迅速に提供し続けていくのか。それがうまくいくようなPDCAサイクルを伝授する、そのための認定だと考えます。それが、中小の教育訓練機関の提供する訓練の質の向上につながるだろうということです。では、どこにそういったことができる公的機関、準公的機関があるかを考えますと、やはり、それはJEED以外にないと私は理解します。
○今野座長 そうすると、黒澤さんの趣旨は、今、おっしゃった公的機関はどこにするかという問題と、その公的機関が認証機能を果たすのだったら、認証するお客さんである訓練機関がレベルアップするように研修もセットにしろということですね。そういうことですね。
○黒澤構成員 できれば、コンサル的なものもセットで。
○今野座長 コンサルもですね。認証は研修機関の教育訓練能力を評価するわけですが、訓練の能力向上を図るようなサービスもセットにしろと、そういうことですね。それはJEEDにとったら全く新しい機能ですね、どうですか。今日は自由に。
○中原構成員 我々、平成21年からガイドラインを制定して、PDCAサイクルに基づいて訓練運営をやってきたノウハウは持っていますので、全く知見がないかと言われたらそういうわけではないので、そうした役割を求められればできるのかなと認識しております。
○今野座長 やる気になったらできると。やる気になったらという前提ですけれども、できる能力はあると。今の点について何か厚生労働省としてコメントはありますか。なければいいですけれども、今の点はすごく重要なことなので、何かコメントがあれば。
○横田政策企画室長 前回までの段階で、中立性の観点も考えて公的な機関が運用することが望ましいのではないかという点を頂いていました。議論の中で大嶋先生や黒澤先生から頂きましたとおり、JEEDのほうで民間訓練のノウハウであったり、好事例の収集を行って展開することも行っています。単にPDCAサイクルの認定をする機能だけを持って、それが個別に存在するよりも、確かにそういった周辺の部分等を含めて相乗効果が出るような形で、このPDCAサイクルのガイドラインの認証の仕組みが機能するようになるのであれば、それは非常に望ましい形ではないかと思っています。まだ決まっているわけではないですが、そういった姿を念頭に置きながら、今後、JEEDとも、考えさせていただきたいと感じています。
○今野座長 今、お二人の議論で、実は残っている重要な論点がもう1つある。別にJEEDということではないのですが、特に大嶋さんが言われたことは、公共サービスとして個々の企業あるいは個人でもいいですが、一応、大嶋さんはDX分野に限定してお話されていましたけれども、少し広げると個々の企業や個人が、どうやって訓練したり、どうやって学習したりということについて、ノウハウを提供したりコンサルテーションしたり、アドバイスする機能を公的機関が持ったほうがいいのだという提案がもう1点の重要な論点としてあるのです。私の理解でいいですか。そうすると、これはJEEDとか、そういうことでなくて、政府が何をすべきかのエリアの問題になってくるよね、どうぞ。
○大嶋構成員 私の申し上げた趣旨としては、個々の訓練機関が、より訓練手法をアップデートできることが重要であり、その個々の訓練機関のノウハウを常に高め続けるような仕組みとして、訓練の先進事例の横展開のような仕組みが海外にもありますから、そういったことをしたほうがいいという趣旨でお話させていただいたので、個人に対する学び方のアップデートみたいなところまでは意図していませんでした。
○今野座長 私の理解が間違いです。
○大嶋構成員 説明が分かりづらくてすみません。
○今野座長 そうすると、民間の個々の訓練機関ですね。
○大嶋構成員 そうですね。
○今野座長 ということは、要するに公的な訓練をやっている民間企業を超えた民間訓練機関ですね。
○大嶋構成員 そうですね、訓練主体と言いますか。
○今野座長 民間訓練機関があります。その中のある一部は公的な訓練を請負っています。そこのサービス向上をしましょうということが、多分、この認定で扱っている領域で、今、議論していることですが、大嶋さんが言ったのは、もっとそれを超えて民間の訓練機関全体でレベルアップするように、公的サービスを考えましょうという提案が含まれたのかなと思ったのですが。
○大嶋構成員 今、公共職業訓練の枠組みの中での話をさせていただいているので、一旦、念頭に置いているのは、公共職業訓練を担っている民間職業訓練のレベルアップが図られるようにということを想定していました。でも、公的職業訓練を担っていない更に広い範囲となりますと、どこまでその政策が介入するかという話になるので、一旦、別のスコープになるのかなと思います。
○今野座長 いずれにしても、お客さんの範囲は今回の認定と一緒ですね。
○大嶋構成員 はい。
○今野座長 というふうに理解していいですね、お客さんの範囲は。ありがとうございます。ほかにいかがですか。今の論点は大分詰められたと思います。どうぞ。
○吉川構成員 私は、むしろ今のは座長が誤解したほうが面白いと思っているほうなので、できれば公的な所での情報提供とかをやっていただきたいなと思っています、いろいろな意味で。ただ、そのときにちょっと気になっているのが、公的だという形でやると安全なほうに倒してしまって、今の流れからすると、ワンテンポ遅れてしまうことがよくありますので、そのときの情報提供の仕方に対する何らかの工夫をお願いしたいと思っています。先ほどのコンサル機能を、もしJEEDみたいな公的な所がやるということであればコンサルということがありましたけれども。そもそも、認定している団体からは、認定と言いながら半分コンサルに近いことをやらないと、なかなか認証が取れないと伺っていましたので、多分、その機能は必須だろうと思います。ただ、そうすると、行って来いビジネスみたいな形になってしまうと、もう一つ問題なので、そこのやり方は考えていただきたいと思っています。
 前置きが長くなりましたが、論点の中でコストの所が気になっていまして、このときに実際のお金という面もありますけれども、労力というのはすごくあると、見えないコストとしてあるというところで、そのときに考え方として、要は簡単な書面審査だけで済むとか、幾つかの段階を追って、ブロンズ、シルバー、ゴールドみたいな形での段階を追ってやると。それが加点ポイントのときなども、多分、傾斜配分すれば済む話だというところで少し考えていただいて、入りやすい仕組みを何らかの形で御検討いただけないかと思います。単に安くするだけだとすると、多分、どこを抜くかという議論になってしまうので、確かに経営的な側面からは要らない部分もあるかもしれませんが、全くなくていいと言い切れない部分も、もう一つあるので、そこは、そういうところの工夫をお願いできればと思っています。
 それと、もう1つ、この場で議論するべきなのか少し悩むところですけれども、これは民間職業訓練機関という形になっていますが、民間職業訓練というところだけを捉えて機関を抜いて考えますと、PDCAサイクルは人を育成するのが非常に大切なところで、このガイドラインは非常に優れていると思っています。それを、一般企業の社内での企業内人材育成に対する何らかの仕組みとか、最近ですと、大学なども絡めて育成をしようという動きもあります。そういうところで、今、職業訓練サービスという切り口だけで言えば、訓練機関以外の部分もありますから、もし公的なという側面が入るのであれば、そこには、どういうふうな形でこの考え方を広めていくのか。それは、イコール、ある程度みんなに認証してもらうというか、認めてもらえるだけのものなるのではないかとか、そういうような形での御検討もいただければと考えています。以上です。
○今野座長 ありがとうございます。特に一番最後の件ですが、今回の認証というのは、第三者に教育訓練サービスを提供する機関がちゃんとしているかどうかを認証しましょうという話ですよね。おっしゃったように、一般企業の中でやっている教育訓練も本当はクリオティがちゃんとしていなければいけないので、そのクリオティがちゃんとしているかどうかを認証するというかチェックすることはいいなと思いますが、それは自分の企業のための訓練なので、多分、性格はかなり違いますね。それは多分、こことは全く違う仕掛けで考えなければいけない重要なテーマだと思います。ほかにいかがですか。こういうアイディアを盛り込めというのがあったら、どうぞ。
○原教授 オブザーバーですみません。今回の適合事業所認定制度が成功するには、資料2の一番下の○ですが、そもそも制度の知名度が上がれば相当解決する話であって、そもそも制度の知名度が全然ないところに問題があるのです。例えばハローワークのホームページを見て訓練を受けたいということで、受講者や求職者などが見ます。そのときに、どのコースが認定されているのか、認定されていないのか一切分からないのです。それがない限り、今はサービスガイドラインのマークを、こういうオレンジ色のマークを付与するのですが、それはあくまでPDFファイルのチラシの上にポンと入るような形になっています。それが何を意味しているのか、受講者というか選ぶ方は全く分からないのです。それを分かるようにしてあげれば、例えばハローワークの中に訓練コースがいっぱい書かれています。どれが認定されていて、どれが認定されていないかを、明らかにお客様から分かるようにしておけば、当然、それを取らないとビジネスにならないわけですから、じゃあ、適合事業所認定制度を絶対受けましょうとなってくるのです。それがないから、民間教育訓練機関のほうも何をやっていいか分からないというか、メリットが見えないというところです。
 今は、要は加点の要件しかないのですが、いわゆる対象者、受講者から見て、どういうふうに認知を向上させるのかというのが一番重要であって、それを議論しておかないと、結局、いくらやっても加点要素にしかならないということになってきます。ですから、アイディアとしては、例えば一覧がある所に認定されているコースのマークを付けておくとか、明らかに分かるような仕組みを作っておくことが重要だと思います。
○今野座長 要するに、これを取ったら有り難いことが、こんなにあるという状況を作れということですね。
○原教授 例えば、今、皆さんはインターネットでいろいろお買物をすると思いますが、いわゆる口コミですね。☆が5つ付いているもの、☆が1つしか付いていないもの、無印のどれを選びますかとなったときに、当然、☆が5つ付いているのを選ぶわけです。そういう仕組みを見えるようにしておかないと無理だという感じがします。
○今野座長 もっともだなと思いますけれども、どうですか。ハウツーはいろいろあると思いますけど、有り難みがないとね。私は知名度というのは有り難みの1つだと思っています。有り難みを実現するためにいろいろな手があるだろう、その中の重要な1つが知名度を上げるということだと思っています。ですから知名度以外に、ほかに皆さんのアイディアで有り難みを高めるアイディアがあったら、あるいは、知名度を上げるには、こんな良い手があるというのがあったら、皆さんの意見をお聞きしたいと思います。いかがですか。武石さん、何かありますか。
○武石構成員 ありがとうございます。私は、加点の所が気になっています。先ほどの傾斜配分というアイディアがあったと思いますが、今、全項目85のうち、例えば半分だったら☆1つとか、全部クリアしていたら☆2つとか、少し加点の所の審査を簡単にして加点を傾斜配分するというのはあるのではないかと、私もそういうふうに考えていました。
 委託訓練で加点要件となっている都道府県が、全部でなくて32だったと思いますが、こういう地域によってばらつきがあるのをどう見るかですけど、一律、加点要件にすべきだと言ったほうがいいのか、そこはそれぞれの所にお任せするのか。この辺りの考え方がどうなっているのか分からなかったのですが、ヒアリングをしたときも、加点があるから認定を受けましたというお答えがあったように思うので、この加点の仕組みをもう少し工夫してもいいのではないかと考えていました。以上です。
○今野座長 それも一つのアイディアですね。今の点について何かありますか。
○横田政策企画室長 吉川先生、武石先生から、少し段階付けと言いますか、審査のやり方も含めて段階付けで制度の検討をしてはどうかという御意見を頂きました。その点につきましては、事務局として考えていたのが、多くの事業所に参加していただくための仕組みとして、あまり制度を複雑にせず普及を優先するというところで、評価の項目を少し簡素化していくところで考えていたところがございます。ただ、小規模事業所を意識して評価項目を絞る場合を考えていきますと、ある意味、一方では現状で適合事業所認定を受けているような所の評価について、高い部分での評価がなくなってしまうところもございます。そういったところで、簡素で普及優先というやり方と、きめ細かくやるやり方はそれぞれ長短があると認識していますが、いただいた御意見も踏まえまして検討させていただければと思っています。
○今野座長 武石さんが、今、おっしゃったことは、公共訓練の委託を受けるときに、この認定さえ受ければ受けられるプラスアルファを増やしたほうがいいのではないか、工夫したらいいのではないかということですね。
○武石構成員 プラスアルファというか、まずは今の認定の要件というのが、確かに経営的な指標が多すぎてそこの負担が大きいだろうということで、簡素化はまず必要だと思います。その整理をした上で、その中で全部クリアしている所と、必要最低限の所と、中間ぐらいの所と3つぐらいあって、必要最低限の所はみんながやらなければいけないし、中間ぐらいの所は先ほどの☆1つ、☆2つみたいなので外から見えるようにして加点も変えてはどうかと、そんなイメージだったのです。
○今野座長 私が全く誤解していました。分かりました。ちなみに、私が知りたいと思ったのは、この認定を受けたら有り難みがあるという状況を作りたいと思ったのですが、武石さん、この点について何かないですか。
○武石構成員 ヒアリングのとき、どうして認定を受けたかという理由としては、主に加点しか出てこなかったような気がしています。訓練の受講生はほとんど知らないので、この加点というのが結構重要なのかなという気がします。これがなくなってしまうと、多分、インセンティブは、ほぼなくなってしまうのではないかと思ったのです。
○今野座長 原先生、その点はどうですか。加点の最大は、これを持っていないと受けられないということ。加点の最低は、持っていても持っていなくても関係ないということ。この2つが両極端で、その中のどこかで考えるということだと思いますが、どうですか。
○原教授 加点というのは、我々サイドから見ていると非常に重要な話で、あと、訓練機関から見ると非常に重要な話だと思いますが、ただ、立場が受講者という立場に変わってくると、加点だろうが何だろうがそれは知らないよという話になってきて。要は、信頼のある訓練機関で受講したいと、それで例えば6か月なり3か月を一生懸命、そういう信頼のある機関で受けたいんだと。それを保証するための今回のマークになっているので、それをどう見せていくかが非常に重要だと思います。私はそういうふうに思っていて、加点は我々がいろいろ操作すればいいと思っているのですが。要は、誰も知らない制度、それも求職者の皆様とか、企業の方が全く知らない制度になっているので、それを知らしめるための方策が必要になってくると思っています。それを、先ほど武石先生もおっしゃっていましたが、いわゆる見える化をさせることが重要だと思うので、そこが最も基本になるのかなと思っています。例えば、それによって、そこに受講者がいっぱい集まるのであれば我が社も取ろうという話になってきますから、そういった形で、お互いがレベルアップしていくのではないかと思っています。
○今野座長 ありがとうございました。そろそろ時間なのですが、最後、1つぐらい何かあったら、今日も重要な論点が幾つか出たと思いますが、言い残したことはないですか。それでは、これで一度、事務局で整理していただいて、それで取りまとめる方向の原案を作っていただくことになりますね。今日、重要な論点を幾つか頂きましたので、それで取りまとめる方向の改善をしていただければと思います。それでは、公的職業訓練の在り方に関する研究会は終わりとさせていただきます。
○横田政策企画室長 少しだけ事務局から連絡させていただきます。本日、いただいた御意見は議論のとりまとめに追記させていただきます。また、とりまとめ全体につきまして御意見がございましたら事務局のほうに提出いただければと思います。期日などについては、追って連絡させていただきます。それらを反映させていただいた上で、とりまとめ案を次回の研究会で報告させていただきます。また、次回の研究会から、「非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職場訓練」について取り上げさせていただきます。以上です。
○今野座長 それでは、終わりたいと思います。