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令和6年度第11回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
日時
令和7年3月25日(火) 14:00~16:00
場所
厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)
(オンライン会議場)
議事
○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、令和6年度第11回「薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分があります。前回と同様ではありますが、議事に先立ち、審議の進行方法などについて事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。
発言のタイミングが重なった場合には、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局側のインターネット接続が切れる等のトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
まず、議事に先立ちまして、1月27日付で本調査会の委員の改選がありましたので、退任された先生、新たに着任された先生を御紹介いたします。
今回の委員改選により、国立医薬品食品衛生研究所薬理部第一室長の佐藤薫委員が御退任されております。佐藤委員には、この場を借りて、これまでの議論において貴重な御意見をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
併せて、今回より委員として御参画いただくことになりました先生を御紹介いたします。国立国際医療研究センターデータサイエンス部臨床疫学研究室長の石黒智恵子委員です。本日は御欠席と伺っております。
続きまして、調査会長を決めさせていただきたいと思います。
事務局といたしましては、医薬品等安全対策部会の部会長をお務めいただいております岡先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
(委員首肯)
○事務局 ありがとうございます。それでは、岡先生に本調査会長をお願いしたいと思います。岡先生、一言御挨拶いただけますでしょうか。
○岡座長 岡でございます。引き続き、本調査会長を務めさせていただきます。委員の皆様方のお力添えをいただきながら、この調査会の役割を果たしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
続きまして、調査会長代理を選任させていただきます。調査会長代理につきましては、調査会長から御指名いただくこととなっておりますので、岡調査会長、御指名をよろしくお願いいたします。
○岡座長 私のほうからは、引き続き石井委員にお願いしたいと思います。
○事務局 ありがとうございます。それでは、石井先生に本調査会長代理をお願いしたいと思います。石井先生、一言御挨拶いただけますでしょうか。
○石井委員 石井でございます。引き続きよろしくお願いいたします。岡先生をできる限り助けるように努力いたしますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
次に、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
厚生労働省医薬局医薬安全対策課企画官、坂西義史でございます。
事務局からは以上です。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様にも円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回もウェブ開催ということで事務局から御説明がありましたが、何かこれまでの御説明に御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に委員の出欠状況等について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告します。
石黒委員より御欠席との連絡がございました。
現時点で6名中5名の委員に御出席いただいておりますので、薬事審議会の規定により、定足数に達しているため、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、本日、参考人として参加いただく先生を御紹介いたします。
議題1「アロチノロール塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の関係で、広島修道大学より、健康科学部健康栄養学科教授、石田万里先生、北里大学より、医学部脳神経内科学主任教授、西山和利先生、国立医薬品食品衛生研究所より、安全性生物試験研究センター安全性予測評価部部長、増村健一先生。
議題2「赤色3号(エリスロシン)を含有する内用医薬品等の安全性について」の関係で、国立医薬品食品衛生研究所より、病理部部長、豊田武士先生に御出席いただいております。
以上です。
○岡座長 続きまして、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の先生方につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。
対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいたところ、石井委員より、住友ファーマ株式会社、沢井製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、舟越委員より、住友ファーマ株式会社、沢井製薬株式会社より50万円以下のお受け取り、西山参考人より、住友ファーマ株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取りと御申告いただいております。
委員の皆様におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。
なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
薬事審議会規程第11条においては、『委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。』と規定されております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事審議会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告させていただきます。
報告は以上です。
○岡座長 ただいまの事務局からの御説明に対して御意見、御質問等ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関しては資料1-1、資料1-2、議題2に関しては資料2及び参考資料2-1から2-3がございます。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。
お手元に資料の御用意のない委員がいらっしゃいましたらお知らせください。
なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方はそちらを御参照ください。
以上です。
○岡座長 よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
それでは、議題1「アロチノロール塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」の審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題1「アロチノロール塩酸塩製剤におけるニトロソアミン類の検出への対応について」説明いたします。
初めに、本日お配りしております資料について御説明させていただきます。
資料1-1は本件のあらましと本日の調査会で審議いただきたい事項をまとめたものとなります。資料1-2は、審議対象となるアロチノロール塩酸塩製剤の製造販売業者から提出された評価報告書となりますが、主な内容は資料1-1に包含されておりますので、本日は資料1-1に沿って説明させていただければと存じます。
それでは資料1-1を御覧ください。「2.経緯」にお示ししましたとおり、現在、医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクについては、厚労省から通知を発出し、各製造販売業者等に自主点検を依頼しております。
なお、自主点検の実施期限は、進捗状況等を踏まえ、令和7年8月1日までとしております。
今般、「1.品目概要」に挙げましたとおり、循環器内科領域の本態性高血圧症、狭心症、頻脈性不整脈、神経内科領域の本態性振戦を効能として有するアロチノロール塩酸塩製剤について、国内の製造販売業者である住友ファーマ株式会社から、有効成分由来のニトロソアミン類の一種であるN-ニトロソアロチノロールが検出されたとの報告がございました。そこで本日は、住友ファーマ株式会社アロチノロール製剤(以降、「本剤」とさせていただきます)のN-ニトロソアロチノロールの検出を踏まえた対応について、御審議いただきたいと考えております。
「3.N-ニトロソアロチノロールについて」に記載しましたとおり、分析及び発生原因の調査結果より、原薬原料、製剤中の添加剤、製造用水や空気中の窒素酸化物がニトロソ化剤の混入源と考えられ、さらに亜硝酸イオンの測定結果より、本剤の添加物のうち、コーティング剤であるベントナイトが主な混入源と特定されております。
本剤の製造販売業者は、ベントナイトのメーカー変更により、本剤中のN-ニトロソアロチノロールが後述する限度値を下回ることを確認しておりまして、今後は限度値を下回る製剤を供給予定としており、それを基に欧州EMAが認めている暫定的な管理値を設定するアプローチの適用が可能と考えております。
なお、既に新しい5mg錠3ロットで実測が実施されておりまして、いずれも定量限界未満であることが確認できております。
N-ニトロソアロチノロールについては、N-ニトロソアロチノロール自体のがん原性試験データはなく、動物での発がん性の有無は不明ですが、その限度値は化学構造に基づくリスク分類手法CPCAに基づくと1500ng/dayとなり、1日最大服用量30mgを踏まえますと50ppmに相当いたします。
さらに暫定的な管理値の設定につきましては、流通医薬品でニトロソアミン類が検出された場合にリスク管理措置を講じるまでに時間を要し、医薬品の供給が途絶えるリスクを回避することを目的として、欧米いずれでも採用されております。特定の成分に対して暫定限度値を公表している米国FDAに対して、欧州EMAでは成分に限定せずに暫定的な管理値を設定するアプローチを採用しており、本剤に適応することで、50ppmを6.7倍した335ppmが設定可能と考えております。
次に「4.」として、本剤の使用による健康への影響評価及び今後の方針案を説明いたします。
本剤のN-ニトロソアロチノロール量の実測値は以下のとおりで、5mg錠では全ロット、10mg錠では一部ロットが限度値を上回っておりましたが、いずれも暫定管理値を下回っている状況となります。
理論上の発がんリスクの上昇の程度は、本剤にかかる曝露の最大値の推計に基づき、1.42×10-5と推定しており、これは、生涯でおよそ71,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当いたします。
なお、このワーストケースは、ホシ3に示したとおり、使用期間は、本邦での承認から限度値を下回る製剤へ入れ替え以降も一生涯毎日服用することとし、その投与量は1日最大投与量である30mg、本剤のN-ニトロソアロチノロール含量は、実測値の平均値及び限度値を下回る製剤へ入れ替え以降は限度値50ppmを前提として算出しております。
この発がんリスクの上昇は、変異原性不純物の評価及び管理を示すICH-M7ガイドラインで許容されている「おおよそ10万人に1人の増加」のリスクを上回るため、本剤の使用による健康影響評価の結果を医療機関等に情報提供し、本剤の投与中止のリスクを踏まえて本剤の使用を検討するよう周知を行うことを考えております。また、本剤の添付文書では、狭心症患者での本剤の急な投与中止は、症状悪化、心筋梗塞発症のおそれがあり、休薬する場合は徐々に減量し、観察を十分に行う必要があること、また、それ以外の適応であっても高齢者では徐々に減量し、観察を十分に行う必要があることから、患者の自己判断のみによる中止を避けることも併せて周知を行う必要があると考えております。
なお、今回の発がんリスクの上昇は、一生涯毎日服用を前提に算出しておりますが、製造販売業者が実施した国内レセプトデータの複数のデータセットから本剤の平均処方日数が試算され、最大2.47年という結果が示されております。
次に「5.海外におけるこれまでの対応」として、住友ファーマ株式会社は本邦以外で中国へアロチノロール塩酸塩製剤を輸出しており、国内と同一のベントナイトが使用されているものの、現時点で回収等の措置は行われておりません。韓国でもアロチノロール塩酸塩製剤が販売されているものの、措置情報は得られておりません。
また、「6.」として、本剤の発がんに関連する国内副作用症例報告が1件報告されておりますが、因果関係は明確ではなく、また、ニトロソアミン類の発がんに関連する研究報告は報告されていない状況となります。
最後に、今回御審議いただきたい「7.今後の対応案」となります。
1点目としては、住友ファーマ株式会社の製剤について、リスク低減措置を講じた製剤への切替えが3年以内に完了する見込みであることから、欧州EMAガイダンスに沿った暫定管理値を認め、これを超える製品は流通させないこととする。
2点目としては、医療機関等に対し、本剤の使用に当たっては今回推計された発がんリスクの程度と本剤の投与中止のリスクを踏まえて検討してほしいこと、患者の自己判断のみにより本剤の服用を中止しないよう説明してほしいこと等を周知するための事務連絡を発出する。
3点目は、今回の対応案は、今般報告のあった住友ファーマ株式会社の製剤への当面の対応として設定するものであり、自主点検中の他社アロチノロール塩酸塩製剤についても引き続き、実測値等得られた知見に基づき対応を検討することとする。
説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 御説明ありがとうございました。それでは、御出席いただいております参考人の先生方から御意見をいただきたいと思います。
まず、石田参考人、お願いしてもよろしいでしょうか。
○石田参考人 はい。ありがとうございます。広島修道大学の石田万里と申します。循環器内科医で、日本循環器学会の関連委員会から参加しております。
今回のニトロソアミンの検出による対応ですけれども、本剤を服用されるのが中年期以降の疾患の方が多いことも考えますと、今回の対応は問題ないものと思われます。また、3年以内に変更されたものが使用できるようになるという意味からも、特に問題はないかなと思っております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。続きまして、西山参考人から御意見いただけますでしょうか。
○西山参考人 西山でございます。北里大学脳神経内科学で脳神経内科医をやっております。本日は、日本神経学会からの委員ということで出席させていただきました。
ただいまの御説明、大変詳しくて、特に異存はございません。我々は本態性振戦でこのお薬を使うことが多いのですけれども、実際には、アメリカ等の本態性振戦のガイドラインを見ますと、プリミドンとかプリプラノロールのほうがむしろ推奨にはなっている。なので、どうしてもこの住友のお薬が使えない場合には、一時的に他剤に切り替えることも可能ではございます。
それからあと、本態性振戦の患者さんでは、アロチノロールを急に減量しても、その病態自体には余り影響ないのですけれども、本態性振戦の患者様は御高齢の方が多うございますので、抗がん作用等々、循環器系にこの薬が作用していることも十分に考えられます。ですから、やはり先ほどの御提案と同じで、急な減量は望ましくないと御指導いただくことが妥当だと思います。
総じまして、御提案のございました7番の今後の方針案の1、2、3につきましては特に異存はございません。賛成であります。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。続きまして、増村参考人より御意見いただけますでしょうか。
○増村参考人 国立衛研の増村です。
事務局のほうから丁寧に説明していただきまして、この内容で特に異存はございません。ニトロソアロチノロールにつきましては、それ自身の発がん試験のデータがありませんので、実際に発がんするかどうかというところは分からないのですけれども、これにつきましては、化学構造からニトロソアミンの発がん性の強さを予測するというCPCAが導入されていまして、それに基づいて1,500ng/dayという限度値が設定されているところでございます。
今回は、先ほど説明にありましたとおり、今後、このニトロソアミン不純物の含量が軽減された新しい薬剤に順次切り替わっていくとか、既に切り替わり始めているということですので、暫定管理値として、この許容値の6.7倍の値として設定した暫定管理値を使用するということになっています。
また、この評価のところで、発がんリスクの計算値が資料1-1の2ページ目の下のほうに出ているのですが、こちら、ワーストケースと書いてあるとおり、これは一生涯、70年、最大の投与量で曝露したときというような計算になっておりますこととか、新製剤に切り替わった以降のニトロソアミン不純物の含量について、先行されている3ロットの測定では定量限界未満になっているのですけれども、そこを限度値の50ppmで計算したということで、文字どおりワーストケースに基づいたリスク計算ということで、少し過大なリスクの数値になっているのかなということもございますので、そういうことも踏まえた上で、臨床現場では適切に使用について検討していただければと考えているところでございます。
私からは以上です。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
参考人の先生方の意見を拝聴しまして、私も、特に事務局案に異論はありません。
1つ質問があるのですけれども、コーティング剤のベントナイトが原因で、メーカーを変えることによってリスクが軽減されたということですが、同じ薬剤の他のジェネリック医薬品、あるいはこのメーカーのベントナイトをコーティング剤に使っている薬剤のリスクとかは分かっているのでしょうか。
○岡座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
今回、住友ファーマ以外に、他社のアロチノロール塩酸塩製剤として、ほか3社ございます。ほか3社のアロチノロール塩酸塩製剤では、ベントナイト自体が使われておりません。また、医薬品の添付文書検索をした限りで、添付文書に添加剤の記載があるのですけれども、この住友ファーマ株式会社のアロチノロール塩酸塩製剤以外では、ベントナイトの記載がある添付文書はない状況ですので、ほかの医薬品への波及はないものと考えております。
○柿崎委員 本剤をジェネリック医薬品に切り替えた場合は、シェア的に製品が不足してしまうような事態になる可能性もあるのでしょうか。
○事務局 その辺り、実際少し確認しておりまして、やはり本剤の国内シェアが一定数あることもございまして、安定供給にも影響出るというところも加味した上で、切替えが3年以内にされるという前提のもとのEMAのアプローチを採用したところでございます。
○柿崎委員 承知しました。
○岡座長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
先ほどの柿崎委員の内容に加えてですけれども、ベントナイトはコーティング剤として添加されているため、出荷時のタイミングでの、どれぐらい入っているかということは検査されていると思うのですけれども、反応は経時的に増えていくものなのでしょうか。PTPの中で経時的に増えていくのであれば、ベントナイトは、当面5mgは1月で終わっていますけれども、10mgは7月まで出荷流通することで、病院や薬局で在庫している中で増加しても、設定した335ppmという暫定管理値に達することはないと考えられるのですけれども、事務局的にはいかがでしょうか。
○事務局 事務局から回答させていただきます。
経時的な増加を踏まえましても、有効期限は、今回示した旧製剤に関しては暫定管理値の範囲内に、新製剤は限度値の範囲内におさまると考えております。
なお、住友ファーマ株式会社からは、定期安全性モニタリングに合わせて実測を行うことを検討している旨も回答を得ているところとなります。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございます。それ以外についてのCPCA法におけるN-ニトロソアロチノロールの評価等、対応案3つについては賛同いたします。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決を取りたいと思います。資料1-1の今後の方針案どおりに進めるということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 ありがとうございます。皆様、首肯していただいていることが確認できましたので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。今後の方針案に記載のとおり、提案された暫定管理値で適正に管理してもらうこと、医療機関等に健康影響評価を踏まえて本剤の使用を検討してほしいこと、患者の自己の判断のみにより本剤の服用を中止しないよう説明してほしいことを周知するための事務連絡を発出すること、ほかのアロチノロール塩酸塩製剤については今後得られる知見に基づき対応を検討することといたします。
事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
石田参考人、西山参考人、増村参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。これ以降は御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいて差し支えありません。どうもありがとうございました。
それでは続きまして、議題2「赤色3号(エリスロシン)を含有する内用医薬品等の安全性について」の審議を行いたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より、議題2「赤色3号(エリスロシン)を含有する内用医薬品等の安全性について」説明させていただきます。資料2を御覧いただければと思います。
本件は、本年1月に、米国FDAが、合成着色料であります赤色3号の食品及び内用医薬品への使用を禁止することを発表したことを受けまして、国内での取扱いについて御審議いただくものでございます。
まず、1.ですけれども、国内における使用実態についてです。赤色3号(別名:エリスロシン)は、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」別表第一部に掲げられるタール色素でございまして、内用薬を含む医薬品、医薬部外品及び化粧品に、着色等の目的で使用することが認められています。
PMDAの添付文書情報を検索しましたところ、この赤色3号について、医療用医薬品90品目、要指導医薬品・一般用医薬品では151品目に使用されていることが確認されましたが、承認書上は、他の色素も含む「法定色素」としての表記ですとか、また全量に対する配合割合が0.1%以下の場合には「微量」といった形での表記も可能でございますため、使用実態の網羅的な把握には至っておりません。
また、食用赤色3号として、食品衛生法に基づく指定添加物にも指定されておりまして、主に、菓子、漬物、かまぼこ等の着色料として使用されております。
次に、2.ですが、本件の発端となりました米国FDAによる措置の概要でございます。
本年1月15日のことですけれども、米国FDAが赤色3号の食品及び内用医薬品(ingested drugs)への使用許可を取り消すことを発表しておりまして、食品については2年以内、医薬品については3年以内に、処方変更する必要があるとしております。
この措置の根拠ですけれども、令和4年に消費者団体から提出された請願書で引用されている論文がございます。この論文がラットを用いた発がん性試験に係る1987年に出された論文で、約2,500mg/kg体重/日の赤色3号を含む餌を86週間投与した雄ラットにおいて、甲状腺濾胞細胞腺腫の発生の増加が認められたという内容のものでございますが、FDAは、この論文を根拠に、連邦食品・医薬品・化粧品法のデラニー条項が適用されると判断しております。
このデラニー条項といいますのは1960年の法改正により導入された条項で、食品添加物等がヒトや動物において発がん性を示すことが判明した場合、FDAによる使用許可を禁止するとされてございます。
FDAは、長年、このデラニー条項の適用について判断を保留してきたところでございますけれども、消費者団体から提出された請願書を受けて、このタイミングで判断することになったと理解しております。
一方、FDAは、今回のプレスリリースにおきまして、このラットに認められた発がんについては、ラット特有のホルモンの機序によるものであって、この機序による発がんは、ヒトでは起こらないとしております。また、通常のヒトの曝露量は、ラットで発がん性を示す濃度よりもはるかに低く、食品や医薬品に赤色3号を使用することが、ヒトの健康をリスクにさらすという主張は、科学的に裏付けられていないとしております。
続きまして、3.米国以外の海外評価機関による評価についてでございます。
欧州食品安全機関(EFSA)及びFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)におきまして、1989年及び1990年に、それぞれ、この赤色3号の毒性について評価しております。今回の米国FDAによる措置の根拠となりましたラットの発がん性試験に係る論文も含めて評価しておりますけれども、一日許容摂取量(ADI)の設定に当たっては、ヒトとラットの甲状腺の生理学的な相違がある点も考慮しまして、このラットの試験ではなくて、別途、ヒトから得られた無影響量(1mg/体重kg/日相当)を根拠としまして、安全係数10で割って、0.1mg/kg体重/日と設定しております。
続きまして、4.国立医薬品食品衛生研究所の見解についてでございます。
2月18日に開催されました食品衛生基準審議会添加物部会におきまして、食品衛生法に基づく指定添加物である食用赤色3号の取扱いについて審議がされておりますけれども、この審議に当たりまして、消費者庁が国立医薬品食品衛生研究所の専門家から意見を聴取したところ、以下のとおり、見解が示されております。
まず、FDAへの請願書で引用された論文においては、赤色3号を高濃度に含む餌を与えた雄ラットでは甲状腺濾胞細胞腺腫の発生が有意に増加したとの結果が得られているが、この雄ラットの発がん性に対して閾値が設定可能であり、NOAEL(無毒性量)は約500mg/kg体重/日相当と考えられる。
それから、赤色3号は、ラットの甲状腺ホルモンのT4からT3(活性型)への変換を阻害する作用があることが報告されており、これを踏まえると、下垂体からの長期的な甲状腺刺激ホルモンの刺激による発がんメカニズムが考えられる。T4からT3の変換阻害は人でも起こる可能性がないわけではないが、甲状腺ホルモンとTSHの動態はヒトとラットでは種差があることが知られている。また、動物試験のように高濃度、高用量で、人で赤色3号が摂取される可能性は想定できない。
以上より、赤色3号についてラット試験で認められた甲状腺での発がんについては、人では安全性上問題にならないと考えられる、ということで見解が示されております。
続きまして、5.国内における推定摂取量についてでございます。
まず、1)食品についてですが、マーケットバスケット調査、これは、スーパーマーケット等で販売されている様々な食品を購入して、その中に含まれている対象物質の量を測定し、その結果に日本人の平均的な1日当たりの食品の喫食量を乗じた上で足し合わせて、対象物質の摂取量を求めるものです。この調査による推計では、食用赤色3号の一日摂取量は、対ADI比で0.1%程度と推計されております。また、生産量調査に基づく推計では、同じく対ADI比で0.6%と推計されております。
一方、2)医薬品等についてでございますけれども、日本製薬団体連合会を通じまして、医薬品の製造販売業者に対して任意のアンケート調査を実施しております。内用医薬品における赤色3号の含有量及び承認用法・用量から算出される一日最大摂取量のデータを提出するように依頼しましたところ、本年2月末時点で、26品目について回答がございました。多くがADI以下のもので、1/1000~1/2程度の範囲におさまっておりましたけれども、一部にADIを超えるもの、1.5倍程度がございました。
これを踏まえた対応については後ほど御説明させていただきます。
続きまして、6.ですけれども、2月18日に開催されました食品衛生基準審議会添加物部会の結論について御説明いたします。
まず、今般の米国FDAによる決定の公表の中に含まれる情報には、安全性の評価に影響し得る新たな科学的知見はない。
指定添加物「食用赤色3号」について、国際的な評価結果、米国FDAの措置の根拠となった論文の評価を含む、を踏まえて、生体で問題となる遺伝毒性は報告されておらず、閾値の設定は可能であること、ラット試験で甲状腺での発がんが認められた用量は、人が摂取する用量に比べて極めて高用量であることから、人では安全性上問題とならないと考えられる。
なお、現在の使用方法から算出した国内での食品を介した推定摂取量は、国際機関が設定した許容一日摂取量を大幅に下回っている。
以上の結果から、現時点で直ちに「食用赤色3号」の指定を取り消す又は使用基準を改正する必要はないものと考える。引き続き、科学的知見の収集に努め、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼する、と結論づけられております。
続きまして、7.医薬品に係る研究報告等の状況でございます。これは製造販売業者からPMDAのほうに報告されているものについて確認したわけですけれども、「赤色3号」又は「エリスロシン」に関する研究報告は、これまでに報告されておりません。また、外国措置報告については、今回のFDAの措置に関する報告が5件報告されております。
最後に、8.ですが、以上を踏まえた対応方針についてでございます。
基本的には、食品の判断に倣うこととしたいと考えておりまして、今般の米国FDAによる措置の根拠とされた論文等の情報には、安全性の評価に影響し得る新たな科学的知見はないこと、ラットを用いた試験で、甲状腺での発がんが認められた用量は、医薬品等の服用により人が摂取する量と比べて極めて高用量であること、食品衛生基準審議会添加物部会において、「食用赤色3号」の指定を取り消す又は使用基準を改正する必要はないと結論されていることから、医薬品等においても、赤色3号の使用を直ちに禁止する必要はないとしてはどうかと考えております。
一方で、アンケート調査の結果から、一部の品目でADIを超える量の赤色3号を含む医薬品が確認されたことから、医薬品等の製造販売業者に対し、赤色3号の含有量の自主点検を求めるとともに、ADIを超える量の赤色3号が含まれる場合には、リスク評価等を実施した上で、必要に応じて、使用量の変更等の必要な対応を取るよう求めてはどうか、としております。
また、引き続き、科学的知見の収集に努め、必要な場合には、本調査会において改めて検討することとしてはどうか、としております。
資料2の御説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、御出席していただいております豊田参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○豊田参考人 国立衛研病理部の豊田と申します。
ただいま事務局のほうから丁寧に御説明いただきましたけれども、このエリスロシンに関しましては、生体で問題となる遺伝毒性を示すという情報はありませんので、まず閾値の設定が可能であるということになります。そうしますと、摂取量の問題になるのですけれども、問題となったラットの試験では、非常に高い量ですね。2,000mg/kg体重/日を超えるような用量でのみ発がん性が認められているということになります。ラットを含む齧歯類とヒトでは甲状腺ホルモン代謝に関して大きな種差がありまして、ヒトでは、甲状腺ホルモンが血中では基本的には蛋白質に結合しておりまして、非常に安定な状態になっているのですけれども、齧歯類はそういった蛋白を欠いておりますので、血中の甲状腺ホルモンが非常に不安定な状態になっておりまして、いろいろな抗甲状腺物質の影響を強く受け、感受性がかなり高いということが知られております。そのため、甲状腺の発がん性というのもヒトに比べて低用量から起きてくるということが一般的に知られているところで、これがFDAの公表内容でヒトと齧歯類の違いというふうに触れられている部分と考えられます。
一方で、この発がん性試験におきましては、2,000を超えるような高い用量でのみ起きているということで、感受性の高い齧歯類でもそのような高濃度でないと起きてこないということでありますので、ヒトにおいて、さらに摂取量等のことを勘案いたしましても、ヒトで発がんを起こすような事態になるということは、添加物と同様に医薬品の場合においても考えられないということが言えると思います。
それを踏まえまして対応方針に賛同するところでありまして、アンケートでADIを超えるようなものが一部あったということですけれども、それに関しましても、自主点検や、あるいは使用量の変更等の対応を検討していただくという事務局案にて充分に対応できるのではないかと考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして委員の先生方から御意見、御質問等いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
特に意見はございませんか。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、特に御意見がないということで、議決に移りたいと思います。特に御説明で御意見がないようですので、事務局案のとおり、特に赤色3号の使用を直ちに禁止する必要はなく、製造販売業者に対して含有量の自主点検を求めるということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡座長 皆様、首肯していただいておりますので、御異議なしとさせていただきます。
それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御審議いただき、ありがとうございました。
本日の御審議の結果を踏まえまして、医薬品等の製造販売業者に対して、この赤色3号の含有量の自主点検を求める通知を発出することといたします。
事務局からは以上でございます。
○岡座長 それでは、本議題を終了したいと思います。
予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
次回の開催については改めて御連絡いたします。事務局からは以上です。
○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会させていただきます。
どうもありがとうございました。