第2回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会 議事録

日時

令和7年3月24日(月) 18:00~20:00

場所

AP虎ノ門 会議室A 11階 東京都港区西新橋1-6-15日本酒造虎ノ門ビル(NS虎ノ門ビル11階)

議題

1)セルフメディケーション税制について
2)その他

議事

 
○池上衛生専門官 ただいまより第2回「セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。
 最初に、構成員の先生方の御出欠について報告いたします。
 本日、8名の構成員が会場での参加、池田構成員、伊藤構成員、井上構成員、寺島構成員、別所構成員、川又構成員の6名はオンラインでの御参加となっております。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただき誠にありがとうございます。
 本日の資料ですが、事前に次第に記載のものをお送りしておりますので、御確認をお願いいたします。
 会場参加の構成員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。
 資料に不備がございましたら、事務局にお知らせください。
 よろしいでしょうか。
 また、本日の会議には参考人として東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学特任准教授の五十嵐中様にも御参加いただいております。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。
 それでは、井深座長、よろしくお願いいたします。
○井深座長 井深でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、事務局から、資料の確認と、議事進行における留意点に関する御説明をお願いいたします。
○池上衛生専門官 事務局でございます。本日の会議資料を確認させていただきます。
 会場におられる構成員の皆様のお手元に、議事次第、座席表のほか、資料1から資料5まで御準備しております。また、参考資料として、検討会の開催要綱を御準備しております。
 また、本日の会議の進め方の留意点をお知らせさせていただきます。
 オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。ミュートになっていない場合は、事務局側でミュートさせていただく場合もありますので、御了承ください。また、御発言がある場合には、挙手機能でお知らせいただくか、チャット機能等で発言を求める旨、お知らせいただければと思います。
 会場での御参加の先生におかれましては、手を挙げるなどをしてお知らせください。御発言いただく際にはマイクを御利用いただき、御発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言いただければと思います。
 また、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただけますようお願いいたします。
 会議中、マイクの調子が悪くなるなど、システムの動作不良などがございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には事務局からメールで御連絡させていただきますので、その際は御確認いただければと思います。御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 井深座長、お願いいたします。
○井深座長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 議題1「セルフメディケーション税制について」です。まず、資料1と資料2について、事務局より説明をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 資料1と資料2の説明に入る前に、本検討会の議論の射程について、あらかじめ明確化の観点から、一言申し上げておきたいと存じます。
 この検討会、前回の検討会で開催要綱をお示しいたしましたとおり、セルフメディケーション税制が令和8年12月末までの時限措置となっていることを踏まえまして、その後の税制上の対応を含めまして、総合的にセルフケア・セルフメディケーションの推進施策の在り方について検討を進めていただくために開催しているものでございます。
 前回の御議論でも御意見の中にございましたとおり、例えば保険者の取組など、医療保険制度に関わる事項もこうした文脈の中で議論することを想定してございますが、具体的な医療保険制度の在り方に係る事項、例えば給付の対象範囲とか、そうしたものは医療保険部会等で審議されるべきものと考えておりますので、この検討会の射程ではないと考えております。
 以上のことを明確にさせていただいた上で、資料1及び資料2について、御説明申し上げます。
 まず、資料1で、第1回の検討会の主な意見についてまとめた資料でございます。
 これは前回の意見をまとめたものでございますので、この場で詳細な説明は申し上げませんが、本日御議論いただきますセルフメディケーション税制につきましては「1 税制に関する御意見」として、1)周知啓発、2)制度見直し、3)効果検証について、様々、御指摘を賜りました。
 それでは、資料2でございますけれども、セルフメディケーション税制につきまして、前回の会議におきましても基本的な枠組みについて御説明申し上げましたが、議論に資するように、この税制の設立経緯、そして、現状について整理した資料を御説明させていただきます。
 2ページ以降、セルフメディケーション税制の設立経緯でございますが、まず、3ページを御覧いただけますでしょうか。
 セルフメディケーション税制は、平成28年度の税制改正大綱によって設立することが決まったものでございます。文章の最初のところを御覧いただきまして、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が対象でございました。(※1)を御覧いただきますと、こうした個人を定義するものとして、特定健診、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診を受けている個人が規定されたわけでございます。
 対象期間は、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間の時限措置として設立されました。そして、対象の医薬品は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入で、このスイッチOTC医薬品の中の一定のものが対象であったわけでございます。また、税制上の措置の中身といたしましては、その年中に払ったその対価の合計額が1万2000円を超えるときはその超える部分の金額、そして、金額が8万8000円を超える場合には8万8000円をその年分の総所得金額等から控除する仕組みでございます。
 下のポンチ絵を御覧いただきますと、例えば課税所得400万円の方が対象医薬品を世帯で年間2万円購入した場合、1万2000円が下限額でございます。ここの2万円を超えた分、すなわち、8,000円が課税所得から控除されるということで、所得税で所得税率20%といたしますと1,600円、個人住民税で個人住民税率10%といたしますと800円。これだけ減税効果があるというものでございます。
 なお、上の文章の(注)を御覧いただきまして、この特例の適用を受ける場合には現行の医療費控除の適用を受けることができない。すなわち、医療費控除との選択制という位置づけになっているものでございます。
 4ページを御覧いただきますと、この当時の国会審議におきまして当時の政府参考人から答弁された内容を書いてございます。下の枠囲みで、軽度な体の不調は自分で手当てをするというセルフメディケーションを推進していく中で、医療用と同じ有効成分が含まれている、いわゆるスイッチOTC薬の使用を促進することにより医療費の適正化を図ることが、このセルフメディケーション税制の導入目的として答弁されてございます。
 そうした中で、その次の段落で、例えば生活習慣病等の予防に資すると考えられる支出には、フィットネスジムにかかるお金、年会費等々、様々なものがその議論の対象になります。そうした中で、その範囲を定めることはなかなか困難だということで、どういったものが医療費の適正化につながると言い切れるのかを十分検討する必要があるということで、こうしたセルフメディケーション税制の対象となるものの切り口について、こうした答弁がなされているわけでございます。
 次ページ以降、令和3年度税制改正について、御説明を申し上げます。
 6ページが令和3年度税制改正大綱の文章で、3行目辺りから、対象をより効果的なものに重点化した上で、5年の延長を行うことが決定されたわけでございます。対象をより効果的なものに重点化するの具体的な中身で、いわゆるスイッチOTC成分の中でも効果の薄いものは対象外とする一方、とりわけ効果があると考えられる薬効(3薬効程度)については、スイッチOTC成分以外の成分にも対象を拡充するということでございました。
 具体的なことは、7ページを御覧いただけますでしょうか。下の箱の中で、まず、対象品目の拡充でございます。この拡充を検討するに当たり、この検討会、前身の段階の検討会におきまして、まず、有訴者数が特に多い症状といたしまして、参考資料1。これは9ページに掲載してございますが、当時の国民生活基礎調査に基づきまして、棒グラフが赤になっているところ、こうした有訴者数が特に多い症状として、肩こり、腰痛、関節痛、せきやたん、鼻づまり・鼻汁が挙げられたわけでございます。
 もう一つの切り口が潜在的な医療費削減効果で、こちらにつきましては参考資料2、ページ数で申し上げますと10ページで、今日もいらしていただいてございますが、当時、五十嵐参考人に提出をいただいた資料で、ここにOTCへの置き換えによる医療費削減効果ということで試算をいただいた資料がございまして、こうしたものを踏まえまして、7ページにお戻りいただきますと、潜在的医療費削減効果が高い症状として、腰痛・関節痛・肩こり、風邪の諸症状、アレルギーの諸症状、胃腸の諸症状が挙げられたわけでございます。
 こうした材料を踏まえまして、最終的にこの医療費適正化効果が高い3薬効程度といたしまして、鎮痛・消炎剤、解熱鎮痛消炎剤、鎮咳去痰剤、耳鼻科用剤。こうした4薬効が規定されたわけでございます。
 一方で、効果の薄いものは対象外とするということにいたしましては、これはスイッチOTCのうち、青字のところでございます。安全性の観点から慎重に取り扱うべきもの、あるいは医療費適正化効果が低いと考えられるもの。こうした観点から議論が行われました。参考資料3でございますが、11ページを御覧いただけますでしょうか。これも当時の検討会に出された資料で、下の表を御覧いただきまして、一番上の強心剤については、安全性の観点から慎重に考えるべきではないか。こうした議論が行われました。その下のビタミン主薬製剤、カルシウム主薬製剤は、栄養補給等の目的、カルシウム補充の目的でも使用されるのではないかということ。そして、最後のう蝕予防の歯科用材については、この薬剤のみで特定の保険給付を代替できるのだろうか。こうしたことから議論が行われ、こうしたものは対象外とされたということでございます。
 8ページを御覧いただきますと、今、申し上げた形でセルフメディケーション税制の対象品目について見直しが行われたことがポンチ絵で整理されてございます。緑のところを御覧いただきまして、先ほど申し上げました、より拡充することにつきましては、緑はこのスイッチOTC医薬品が書いてあるわけですが、この右にプラスということで、青で枠囲みをしてございます。スイッチOTC以外の医薬品につきましても、こうした薬効に対応するものについては対象を拡大するということ。一方で、緑のところで白抜きになっている「除外」と書いてございます。この品目につきましては、対象から除外することになったわけでございます。
 なお、上の箱の「除外」という箱の2つ目の□を御覧いただきまして、この除外には4年間の経過措置が設けられております。したがって、現時点では、まだこれはセルフメディケーション税制の対象となっておりまして、来年1月1日から税制の対象から除外されることになっているわけでございます。
 それから、14ページまでお進みいただけますでしょうか。こちらはセルフメディケーション税制の現状について整理したものでございます。今、申し上げたとおり、セルフメディケーション税制の対象医薬品は見直しが行われましたので、令和3年までと令和4年以降で若干、比率が変わっているところがございます。
 左上の総数という表を御覧いただきますと、OTC医薬品のうちセルフメディケーション税制の対象となっている医薬品は令和4年から出荷金額ベースで上昇いたしておりまして、現時点で約4割強となってございます。以下、幾つかの類型別に見ておりますが、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎剤につきましては85%程度、総合感冒剤につきましてはほぼ100%、アレルギー用剤につきましてもほぼ100%、一方で、この消化器官用薬につきましては8%前後となっている状況でございます。
 また、セルフメディケーション税制の利用者数、右下のところで、対象者数、令和5年分で御覧いただきますと4.9万人で、令和元年の3万人と比べますと伸びてきてはいるのですけれども、一方で医療費控除を御覧いただきますと785万人で、これと比べるとその1%未満にすぎないということでございます。
 15ページ以降で、前回の検討会におきましても、このセルフメディケーション税制の周知・広報をしっかりやっていくべきではないか。これは行政に対してもそういう言葉をいただきましたし、あるいはチェーン薬局等においてもそうしたことが足りていないのではないか。そうしたことも含めて御議論があったところでございます。
 行政といたしましては、ここに書いてございます広報誌、テレビ番組、それから、薬と健康の週間の中でのアピール、あるいは政府広報オンライン、様々な形で周知・広報を図っているところでございます。
 それから、最後、17ページで、これも本日、参考人としてお越しいただいている五十嵐参考人による調査で、セルフメディケーション税制を利用しなかった理由についてアンケート調査を取っていただいたものでございます。
 一番多くなっておりますのは、セルフメディケーション税制について、よく知らなかった。それから、2番目が、最低金額を超えるまで、市販薬(OTC医薬品)を購入していなかった。こうしたものが割合としては上位に来ています。
 その後に続きますのが、この申告方法がよく分からない、申告の手続が面倒、そもそも、確定申告をしていない、あるいは医療費控除の申告を行っている。こうしたことが上位に来ているわけでございます。
 簡単ではございますが、本日の議論のベースとなりますように、現行のセルフメディケーション税制、設立経緯も含めて御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
○井深座長 ありがとうございました。
 次に、資料3につきまして、五十嵐参考人から御説明をお願いします。
○五十嵐参考人 東京大学の五十嵐でございます。よろしくお願いいたします。40枚スライドがございまして、20分しかありませんので、ある程度、簡潔にお話をいたします。
 2枚目を御覧いただけますでしょうか。紹介する内容ですけれども、3本お話をさせていただきます。まず、アンケートとレセプトデータを複合したセルフメディケーション税制利用者の医療費推計。こちらはレセプトのデータ、それから、レセプトに付随したアンケートのデータを使って、税制を使った人とそうでない人でその後の医療費がどう動いたかを御説明いたします。
 2番目、レセプトデータを用いたセルフメディケーション関連医療費・薬剤費の推計は、先ほど水谷課長のお話にも出てまいりましたけれども、これまでいろいろな形で、いわゆる潜在的にどれだけ、このOTCで置き換え得る医療費があるのかという紹介は、前回、数年前の検討会でも御紹介させていただきましたが、そちらの再検討というところです。
 それから、3番目、種々のプラットフォームを利用したセルフメディケーション利用促進策と今後の研究計画は、前回以来、ずっと申し上げていますように、やはりこのセルフメディケーションを捕捉するには、完全に捕捉することはどうやっても不可能です。あくまで現有、ベストアベイラブルなデータを出していく、あるいはこのセルフメディケーション、OTC置き換えに関する種々の疑問点に対して、どんなふうな解決策があるのかを御説明させていただこうと思います。
 それでは、まず1番目、アンケート・レセプトデータを統合したセルフメディケーション税制利用者の医療費推計なのですけれども、次のスライドをお願いします。
 「レセプト+アプリでの捕捉」とありますが、これは当然ながら、レセプトをどれだけ見ていてもセルフメディケーションの利用動向はレセプトでは当然出てこないということで、スマホアプリを使いまして、ただのアプリではなくて、レセプトデータと連携している、すなわち、回答者のアンケート結果とその人のレセプトデータを連携させられるアプリがございます。これは一番下の行にありますけれども、JMDC社のPepUp、それから、DeSCヘルスケア社のkenkomという2つのアプリを使って評価を行いました。それで、セルフメディケーション税制利用の有無はアプリ経由のアンケートで捕捉する、医療費の動向はそのひもづけられたレセプト情報によって捕捉するスタイルを取っております。
 次のスライドですけれども、こちらもこれまでの班研究などでもやらせていただいたとおり、先ほどの水谷課長のお話にもありましたとおり、セルフメディケーション税制の利用者が5万人程度、医療費控除の利用者が780万人ですと、単純にアンケートをしますと、やはり医療費控除と混同してしまう人が非常に多いといいますか、ほとんどそちらになってしまいますので、裏取りをするために簡単なクイズをやっています。Q4、Q5、Q6と出ていますが、基本的にはセルフメディケーション税制と医療費控除は異なる。なおかつ当然、セルフメディケーション税制はOTCが対象であって、なおかつ同一年度に同じ人が両方使うことはできない形で、ちゃんと理解していますかを問うために、このクイズにどれだけ正解できたかということと、別途、医療費控除をしましたかということを聞いた上で絞り込みをかけております。
 次のスライドをお願いします。
 ただし、単純に利用者と非利用者を使っていきますと、どうしてもいわゆる交絡要因といいますか、もともと、この5万人しかいないセルフメディケーション税制を使う人はかなり健康意識の高い人なのではないかという問題点が生じます。それから、利用していない人はまとまった医療費がかかっていて、既に医療費控除を受けている人も出てきますので、できる限り交絡因子の影響を除くために、過年度の医療費、あるいは年齢・性別などでマッチングを実施しているところでございます。
 次のスライドですけれども、まず、JMDC-PepUpアップを使った分析です。こちらはJMDC社の分析と、それから、DeSCヘルスケア社の分析、両方出させていただきますが、どちらも対象者は基本的に組合健保加入者になります。
 こちらですけれども、次のスライドに対象者フローがございます。やはり先ほどと同様に、基本的にはセルフメディケーション税制の利用者自体がかなり限定されてきますので、1万人のアンケートの回答者の中で、レセプトを使える、そして、税制の申告をしていて、医療費控除をしていない。なおかつ先ほどのクイズに3問中2問以上正解しているところで、20名がマッチングの対象になりました。すなわち、この20名の利用したと考えられる人に対して、利用していない人を1対100でマッチングして評価を行っております。
 2枚飛ばして、9枚目を御覧ください。こちらが開始年別の医療費比較になります。2015年~2019年、それから、2022年に対して、初年度医療費でマッチングした上でセルフメディケーション税制の利用者の医療費は低下しているのが見えてきています。
 ただし、事前にも幾つかコメントをいただいておりますけれども、こちらは医療費ではマッチングをしておりますが、例えば疾患の種類などでのマッチングは現状はできておりません。こうしたレセプト分析において、どう疾患をそろえるかは、例えばテーマががんの医療費を見るということであれば、がんという領域で絞り込みができるのですけれども、今回は総医療費を相手にするということで、全体医療費のみのマッチングになっております。ただし、例えば様々な併存疾患指数のような、いろいろな病気の影響をある程度統合した形で評価できる指標も開発されていますので、今後、そうしたものでマッチングした分析も計画しております。
 続いて、10枚目、DeSC-kenkomを用いた分析です。こちらも基本的には同様の内容になります。
 次の対象者のフロー、11枚目を御覧ください。こちらは2万1400名に関して、税制申告あり、かつ医療費控除申告なしが66名。そして、クイズの正解数によって、2問正解していればオーケーが32名、全問正解していないと駄目というものを26名、それぞれ、広め推計、狭め推計という名前でマッチングによる比較を行いました。
 12枚目が広めの分析結果、そして、13枚目がそれのグラフですけれども、濃いブルーが医療費で申告ありの人で、薄いブルーが、少し見づらいですが、非申告の人で、2023年の医療費は統計的に有意に推計者が低い結果が出ております。
 15枚目が同じように、クイズに全問正解した人に絞って抽出した結果ですけれども、こちらも同様の分析が出ております。
 次に、17ページは2番目のテーマ、レセプトデータを用いたセルフメディケーション関連で、これは税制ではなくて、セルフメディケーション全体の医療費・薬剤費の推計になります。
 次のスライドをお願いします。
 潜在的削減幅ですけれども、やはり誰の医療費を対象にするのか。それから、果たして一人当たり減らし得る医療費は幾らになるのか。この濃い紫と薄紫の掛け算で、こちらにどういう範囲を持ってくるかによって推計は大きく変わってまいります。
 次のスライドで、過去の推計概要なのですけれども、こちらは先ほど課長にもお示しいただいた2020年推計、それから、実はこれまでの科研費でも行った2022年推計、そして、2024年推計、それぞれ医療費の対象、もっと申し上げれば、薬剤費だけを対象にするのか、医療費も入れるのか、さらには疾患領域を絞るのかどうかに関して違いがございます。
 そちらは、次のスライド、20ページを御覧いただきますと、まず、薬剤費に関しては全ての年度で当然算入されておりますが、いわゆる医療機関における初診・再診料、それから、薬局における調剤料などは、あり、なし、ありの順番になっております。
 それから、対象疾患の絞り込みに関しては、2020年が既存6領域足す拡張5領域、2022年は絞り込みなし、2024年は生活習慣病5領域となっております。
 対象患者絞り込みが一番大切なところなのですけれども、どういう人だったら置き換え得るかというところですが、2020年は後ほど申し上げますが、重篤併存疾患の既往歴がなくて、かつ医療費の計算のときにほかの疾患の病名がない人で、2022年は、実はこれは薬剤費のみを単純集計していますので、こちらの絞り込みはございません。そして、2024年は以前、OTCシンポジウムなどでも御紹介いたしましたけれども、単一疾患で受診していて、1年間以上同じ薬剤のみの処方になっている人をピックアップしております。
 ちょうど、この2020年推計の3200億円と、2022年の適応合致3300億円が非常に近接した値になっているので、かなり混同してしまうところなのですが、中身はかなり違うやり方であるというのを申し上げておきます。
 次に、21枚目ですけれども、こちらは先ほど、左半分が水谷課長が御紹介いただいたもので、右半分がいわゆる新規領域で、3200億円となります。
 次の22枚目は、先ほども申し上げたところなのですけれども、単純に、例えば風邪の医療費は全て置き換える話ではなくて、基本的には併発疾患がない人の医療費、すなわち、併発疾患がある人は併発疾患の医療費は減らせないということ。それから、もともと既往歴がある人は、併発疾患がないとしても、OTC置き換えにはそぐわないのではないかというところで、そちらはレセプトを使って、ある程度、絞り込みを図っているということでございます。
 次のスライドをお願いします。
 これは2022年の推計ですけれども、大きく水色、薄紫、濃い紫と御覧いただけると思うのですが、それぞれ、特に大事なのはやはり濃い紫と薄紫です。こちらは薬剤費のみに着目しておりまして、ただ、濃い紫と薄紫、すなわち(C)と(B)の違いは、OTCが存在して、適応上もOTCで置き換えられる。例えばインドメタシンを相手にいたしますと、腰痛はOTCでも適応があるけれども、変形性関節症の痛みにはOTC適応はありません。この場合、変形性関節症の部分は(C)だと除かれ(B)だと含まれる形で、それがこの3278億円と6500億円の違いになります。こちらは以前、別の検討会などでも紹介されたと記憶されております。
 2枚飛ばして、25ページに行きますと「分母を変動させたときのOTCのシェアは?」とありますが、これはもともと、OTCのシェアがどのくらいあるかを計算するときに用いたものなのですけれども、効能も含めてですと、OTCのシェアは7割ぐらい。ただし、成分で、すなわち、インドメタシン、変形性関節症みたいなものも入れて計算すると53%に少し落ちるという形になります。
 このときには、対象品目自体をある程度拡大したときの置き換え可能医療費も計算しておりまして、それが26枚目になりますけれども、こちらは紫の柱が2本、それから、赤の柱が縦に2本立っているのを御覧いただけると思いますが、紫の柱、一番上が6,513、3,278というものが先ほどの効能成分まで一致したときの3200億円、それから、成分のみ一致したときの6500億円に相当します。こちらを、ある程度、諸外国でOTCで使われている例があるとか、そうしたところに拡大させたと仮定すると、成分一致の場合は2兆9000億円、効能成分一致の場合は8200億円になる。こちらは令和3年度の研究報告書から引っ張ってきたものですけれども、そうした分析もしております。
 それから、次に27枚目、2024年推計ですけれども、ある程度、症状が安定している患者さんに対して、そこから先の薬剤費をOTC化した場合に何が起こるかを計算したものであります。これは当然、安定しているところの定義が必要になりますので、先ほどもちらっと申し上げましたが、単剤治療を1年間以上継続している人に絞り、なおかつ併発疾患なしの医療費として計算しています。
 1枚飛ばしまして、29ページですけれども、こちらが高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症、気管支ぜんそくの5疾患に関して同様の分析をした場合は1123億円になるところであります。これは薬剤費197億円に加えて、いわゆる処方料、その他のもろもろの医療費925億円を含んでおります。
 そして、次のスライドは、こちらに、単一ではないのだけれども、高血圧と脂質異常症のみを持っている患者さんを含めた場合で、そうしますと、推計額としては1480億円になるということです。
 いろいろな推計額が出てまいりますけれども、基本スタンスは、OTCに変え得る人は誰なのかをなるべく丁寧に推計する。それから、薬剤費のみを含むのか、あるいは医療費のみを含むのか、もしくは疾患の縛りをかけるのかかけないのかで結果は変わり得るところでございます。
 最後、3番目ですけれども、種々のプラットフォームを利用した利用促進と今後の研究計画なのですが、やはり、先ほども少しお話しいただいたように、次の32枚目をお願いします。
 ある程度、道しるべを提供しないといけない。すなわち、行動変容のきっかけをつくらないといけないし、なおかつ行動変容したかどうかをどのように捉えるかが、税制にしろ、セルフメディケーションそのものにしろ、一番のポイントになります。なぜなら、レセプトを見ても当然出てこないという当たり前のところがあるからです。
 先ほど、2枚飛ばしていただいて、35ページが同種の調査の過去のものなので、最新のものですけれども、これは先ほどのPepUpというレセプトとくっついたアプリにおいて、利用していないと答えた人が何で利用しなかったのかを抽出したものであります。
 次のスライド、36枚目が、先ほどお話を差し上げたように、OTCに移行したのをいかに捉えるかでありまして、一つは健保ベース+ECサイトで、次が調剤・OTC双方扱うチェーンストアで、電子お薬手帳アプリとなっていますけれども、いずれも特徴は、何らかの形でOTCに移行したことを電子的に捕捉できるところにあります。一番上の健保+ECサイトであれば、ECサイトで使ってくれれば履歴が残ります。
 あと、2番目のチェーンストアのものですけれども、こちらは37枚目を御覧いただきまして、こちらは花粉症で処方を受けた人に対して、OTCでも使えますというビラを送り、なおかつそのビラを送ると割引で薬が買える、OTCが買えるスタイルで啓発いたしました。そうしますと、買ってくれれば記録を残すことができる。すなわち、レセプトに出てこないこのOTCの購入行動をどのように捉えるかが全ての基本になります。
 1枚飛ばしていただいて、39枚目ですけれども、こちらは少し捕捉とは違うのですが、AI技術を用いてOTC提案システム、すなわち、こういう症状にはこういうOTCがいいのではないかというものを、ある程度、エビデンスベースで提案できるシステムなども、今、開発しております。
 それから、1枚飛ばして、41枚目ですけれども、こちらはいろいろな領域に関して、あくまでこれは思考みたいなものですが、思考実験に近いものですけれども、やはり危ない人の兆候をどうやって早めに捉えるかは、前回の検討会でもあったように、一番のキーポイントになると思います。そちらを包括的にみんなでチェックする形ではなくて、領域に特化して、ある程度、チェックの仕方があるのではないかというものを幾つか提案させていただいているのがこちらです。
 最後のスライドですけれども、では、セルフメディケーションに移行したことで本当に大丈夫だったのかを定量的に捉えるのは絶対必要なところですので、ごめんなさい。1枚前です。セルフメディケーション利用者の長期のイベント発生率をどう分析する、あるいは行動変容のきっかけとして、まず、OTCの試供品を提供する。そうすると、割と気づいた、OTCがあると知らなかった人も結構多いという結果が出ていますので、そうした形での利用促進、それから、やはり行動変容の最後のきっかけになるのは医療者ではないかというところで、かかりつけ医からの情報提供を軸にした利用促進策ができないかと考えています。
 最後ですけれども、すみません。やはりセルフメディケーションの価値づけは、単純に医療費削減ではなくて、ある意味で医療負荷の削減、物理的な医療資源を持ちこたえさせる、もしくは患者さんにとって、通院、その他の負担を軽減するところでも価値のあるものだと考えていますので、単純に医療費削減だけではなくて、セルフメディケーションに移行することで患者側がどういうバリューを持っているのかも今後の課題にしていきたいと思います。
 ちょっと延ばしてしまいましたけれども、以上です。ありがとうございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、次に、資料4について、日本一般用医薬品連合会からの資料について、磯部構成員から御説明をお願いいたします。
○磯部構成員 井深先生、ありがとうございます。日本一般用医薬品連合会及び日本OTC医薬品協会で理事長をしております磯部でございます。私、この席には日本OTC医薬品協会理事長として出ているのですが、日本一般用医薬品連合会はこの日本OTC医薬品協会も入っておりまして、あと、そのほかに家庭薬、配置薬、漢方生薬、それから、直販といいまして、メーカーが直接、小売に販売するメーカー群ですが、私ども日本OTC医薬品協会を合わせて全部で5団体で連合会をつくっておりますので、この資料はそちらでまとめてまいりましたので、その名前を使わせていただいております。
 1枚めくっていただきまして、今、五十嵐先生からお話がございました。私どもも、定期的にセルフメディケーション税制に関する意識調査をやってございます。ちょうど昨年7月に、インターネット調査という形で70万人規模の方に調査を配信して、何とか15万サンプル以上集めるということで、全国の男女20~69歳の方で、インテージヘルスケアの方にお願いいたしまして調査させていただいております。
 一次調査、二次調査とやっておりまして、二次調査に関しましては、一次調査で答えていただいた中で、このマル1~マル6のように、過去3年間にどうだったのかを答えていただいたベースでございますので、実際に本当にセルフメディケーション税制を申告したかしないかとか、医療費控除をしたのかしないのかまでは、この中では分かりませんけれども、少なくとも、税制を申告したと答えていただいた方がどうなのかという意識調査をさせていただいております。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 まず、全般的に、税制の認知度・理解度を調べるために、よく知っているから知らないまでまとめまして、認知度をマル1~マル4の合計、理解度をマル1~マル2の合計というふうにまとめますと、一応、聞いたことはあると答えていただいた方が60%ぐらいあるのですが、よく理解していると思われる方は20%程度にとどまっておりますし、利用したい意向の方も同じぐらいにとどまっているのが現状でございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 先ほどの五十嵐先生の調査とも少しありますが、調査手法が違いますので、御紹介もさせていただきたいと思います。まず、申告時の不便な点で、大体、先ほどの五十嵐先生のものと同じようでございますが、確定申告手続や、レシートの保管が大変だ、医療費控除との併用ができない、申告の負担が大きい、戻る金額が少ないといったことが出ております。
 また、利用しなかった理由として、1万2000円を超えなかったのだ、戻る金額が少ない、購入金額が、簡単に計算はできるのですけれども、本人から見ると分からない、対象となるOTCが少ない。やはりここら辺も、特にレシートで、今はアスタリスクなどをつけて、自分でどれが当たっているのかを見ながらではないとできないので、こういうところで少ないとか分かりにくさを呼んでいるのではないかと思ってございます。
 それから、改善要望としまして、一番右側にございますけれども、やはり制度を使っていただいた方が特に高く、使っていて、やはり続けてもらいたい。特例措置で5年間の時限設定になっていることは知っておられますので、何とか継続してもらいたいということ、それから、手続の簡素化をしてもらいたい、下限を下げてほしい、対象品目を全品目に拡大してほしい、上限を上げてほしいといったことの答えが多くなってございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 5ページでございますが、これで御覧いただきますと、まず、薬局やドラッグストアで薬剤師にOTCの購入、セルフメディケーションについて相談したいですかという問いをかけておりますが、これは全体としては40%以上の方が利用したいとお答えになっている方が多くなってございます。
 また、特徴すべきは、男性と女性で少し差が出ておりまして、女性が高くなっております。御覧いただきますと、女性の20代から50代はほぼ同じような傾向がございまして、男性とは非常にくっきりした差が出ております。女性のほうが薬局・ドラッグストアに、シンパシーといいますか、よく行っておられる方が多いと思いますので、そういったことが出ているのかなと思ってございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 6ページであります。ふだんからOTCの行動で2023年にどうしましたかということでありますが、ここに書いてある項目を入れまして、特に軽い症状であれば、OTC医薬品で対処するとお答えいただいた方が全体で20%ぐらいはいるという形になってございます。
 ここでも男女差が出ておりまして、女性のほうが高めの結果が出ておる形でございます。そのほかにも、運動や睡眠などの生活習慣の問題とか、健康食品、サプリメントの話なども高い回答がなってございます。
 次の7ページで、1年間の経験症状と対応状況とOTC医薬品の活用状況で、先ほど類似している、以前のデータで水谷課長から御報告ありましたけれども、OTCを使っているというもので、やはり熱や頭痛、また、胃の痛みなども多く挙がっているということでございます。
 次の8ページを御覧いただきたいと思います。私ども日本一般用医薬品連合会、日本OTC医薬品協会といたしましては、こういった調査も受けまして、特に分かりやすさという意味で、レシートを見て、どれが対象なのかをいろいろ見なければいけないというと、どうしても分かりにくさを生んでしまうということもございますので、私どもとしては、全てのOTC医薬品、また、OTC検査薬に拡大していただきたいと思ってございます。
 また、先ほどの調査でも出ておりますが、1万2000円を超えなければいけない。これをゼロにするのはなかなか税務処理上も大変だとは思いますけれども、少なくとも1万2000円を超えた場合は、差し引く金額を1万2000円を超えた分だけではなく、0円から丸々かかった金額を差し引いてもらえないかということもございます。また、後ほど申し上げますが、8万8000円を超えていくような方もおられますので、20万円に引き上げていただきたいということもございます。
 また、セルフメディケーション税制を医療費控除と同様に恒久化してもらいたいということもございます。
 その辺の理由も述べたいと思いますが、9ページを御覧いただきたいと思います。まず最初で、先ほどからもやはり要望が多いということもありますし、先ほどの1万2000円の壁をどう見るのかということで、そういったものをクリアしやすくなるということもございます。このセルフメディケーション税制の私どもとしての一番の期待するところは、OTCを買って、そういうもので自分で自己管理をしてセルフケア・セルフメディケーションをすることが、生活者の意識でそういう形をすることが大事なのだということをよく理解し、そういう意識を高めていく意味で、やはり分かりやすいOTC医薬品・OTC検査薬全てを対象にするということで、非常に重要な意識醸成については重要な点があると思いますので、どれが対象かと見始めますと、セルフメディケーションの対象のものとそうではないものということで、なかなか分かりにくさを生んでしまうのではないかと思ってございます。
 また、治療薬のみならず、日頃からの健康管理という意味で、保険薬や検査薬の活用等による日頃の自己管理・セルフケアが大切だと思います。
 この税制は多くの生活者の方が関わるものでございまして、直接的に、まさしく社会保険料を減らす方向にも行きますし、また、所得から差し引かれるということで、所得での還付もございますので、直接的な支援策として大事なのではないかと思ってございます。この辺については、国の方針とも合致しているものと理解しております。
 次の10ページを御覧いただきたいと思いますが、少しポンチ絵を入れております。現在、セルフメディケーション税制対象品はこの緑の枠のものが対象になってございますが、大きな薬効群で抜けておりますのが、まず、胃腸薬がございます。下痢や便秘や腹痛も日常的に起こる症状で、そういったものを胃腸薬で、ドラッグストア・薬局で買って、そういう管理をしている方も多くおられると思います。私どもも調べて、例えば正露丸の事例で申し上げますと、お医者さんからもお勧めをいただいて、こういうときは正露丸を飲んだほうがいいということで腹痛の管理をしている方も多く声が寄せられているということもございます。
 また、鎮咳去痰薬の関係でも、特に生薬から成るものがあります。実際に医療用医薬品と同じ成分が入っていないと対象にならないということもございまして、鎮咳去痰は生薬成分でやっているもので、代表例としては龍角散がございますが、なかなか、今はせき止めが足らないような状況で、せき止めをこの龍角散で代用するということで、成分的に必ずしも同じ医療用成分ではなくても、そういったことで効能的に同様の使い方をして、それが一つの効果を示しているということもありますので、こういったものもぜひ考えてもらいたいと思っております。
 また、ビタミンKや皮膚科系が幾つかございます。
 OTC検査薬の関係で申し上げますと、尿糖・尿たんぱくは日頃の健康管理という側面が強くなっておりますが、妊娠検査、排卵日予測に関しましては、もともとOTC検査薬は健診が対象外だということで入っておりませんけれども、例えば排卵日、妊娠検査でいきますと、まさしく自費で、不妊の関係、自分が排卵日がどうなっているか、妊娠したのかどうかを日頃からチェックしておられる方々でございます。不妊治療も保険適用になって久しいわけで、こういった少子化につながるようなことを自分の費用で出しているものについても考えていただきたいと思いますし、また、コロナ禍の中で、コロナとコロナインフルエンザのコンボキットについてもOTC化を認めていただきましたが、まさしくこれらは何の症状もないときに使うわけではなく、一定の症状があって、どうもおかしいなというときに調べて、こういうことなのだということで、次にお医者さんと御相談する形で、発熱外来の逼迫にも一定の効果があったものでございますので、こういったものについても考えてもらいたいと思ってございます。
 また、11ページは、先ほど申し上げたことをポンチ絵で入れました。1万2000円についてはなかなか大変だと思いますが、こういった場合にはゼロから引いていただいて、20万円までということでございます。
 12ページを御覧いただきますと、実際に、ある大手チェーンドラッグの方に協力をいただきまして、127万人の方の状況を見たところ、今、このぐらいの状況になっているということのデータをまとめていただきました。
 また、セルフメディケーション税制対象品が13ページでございますが、もう少し先ほどのものよりも下方になって、低い部分に推移してしまっている形で、なるべく低い金額の方でもこういったことを、国民意識を醸成する視点では、低い金額の方でも支援することによりまして意識醸成にはつながると思ってございます。
 また、14ページを御覧いただきまして、年間OTC購入金額が10万円を超えるケースで、昨年の確定申告で調べたところ、なかなか、これを調べて、申告書まで出していただくことを同意していただいた方なので、全部で20名ぐらいしか確保できなかったのですが、その中で1名の方は10万円を超えるようなケースでございました。
 御覧いただきますと、なかなかデータというにはまだ1例なので少ないわけでございますが、鼻炎用のいわゆる抗アレルギー薬、それから、外用消炎鎮痛薬、湿布薬や、外用の消炎薬を使っている方、つまり、通年で結構使うものです。今、アレルギーも花粉症のみならず、年中です。アレルギーがいろいろある。私もそうでございますが、そういったことで、通年で使うものが入ってまいりますと10万円を超えていくようなケースもあることも考えますと、こういった方々がセルフメディケーションをやっていることは、まさしく国としても一番応援すべき人たちではないかと思いますので、10万円以上のものについても考えていただきたいと思っております。
 15ページは恒久化でございますが、こういう御要望が、特に併用できないのかということもあります。特に私どもが思っておりますのは、セルフメディケーション税制は働き世代の、ある意味、医療費控除的な、なかなか10万円はいかないけれども、ドラッグストア・薬局でいろいろ購入することで、そういったことで自分の日頃からの自己管理をするのだという方でございます。そういった方がより着実に使えるように恒久化をお願いしたいと思っております。
 また、電子お薬手帳といろいろ連携して、申告の簡便化も考えていきたいところでございますが、このシステム改良の投資を考えますと、あと1年で終わってしまうとか2年で終わってしまうというと、なかなか投資も大変なものがございますので、そういう視点からもやはり恒久化をお願いしたいと思ってございます。
 16ページを御覧いただきまして、税制のPRに関しましては、我々もまだまだというところはございますが、保険者の関係団体や関連団体の皆様にもいろいろ御協力もいただいております。
 また、17ページにセルフメディケーション税制PRで、駅貼り広告やいろいろなところで出させていただいて、バナー広告を出させていただいておりますが、まだまだとお叱りをいただくところもいっぱいあると思いますけれども、こういった努力もしておりますので、ぜひ、また皆様の御支援をいただきたいと思っております。
 長くなりましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、これまでの説明を踏まえて、構成員の皆様から御質問、御意見をいただければと思います。
 オンラインで御参加の構成員の方は、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、私から指名させていただいた後に御発言いただきますようお願いいたします。御発言の際は、マイクのミュートを解除するようお願いいたします。また、御発言の際には必ず冒頭に御所属とお名前を述べていただき、資料を用いる場合には資料番号と該当ページの明示をお願いいたします。さらに、御発言終了後に再度、マイクをミュートにするようお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見ある方はよろしくお願いいたします。
 では、武藤構成員、よろしくお願いします。
○武藤構成員 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の武藤と申します。資料2と資料3、それぞれ1つずつ、2問御質問したいと思います。
 まず、資料2ですけれども、6ページにありますように、2番の税制対象医薬品の範囲拡大のところですが、それの一番下の○の「対象とする医薬品の具体的な範囲については、今後、専門的な知見を活用して決定」というところですけれども、この決定の場はどこなのでしょうか。それが一つ。
 もう一つが、この範囲に適応するか、あるいは除外するかというルールで、今まで、ここのお話の中にありましたように、医療費適正化効果とか、あと、有訴者数とか、幾つかのルールがありますけれども、それは今後、ルールそのものも見直していくことも考えてよろしいのか。その2点ですが、いかがでしょうか。
○井深座長 それでは、事務局の御回答をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 令和3年度の税制改正大綱において、この対象をより効果的なものに重点化する、すなわち、対象を拡大する部分と、それから、除外する部分をつくるのだということ。その基本的な方向性が税制改正大綱で決まったわけでございます。
 一方で、それを踏まえて、具体的にどういう品目を除外するのか、あるいはどういう品目を対象とするのかについては、税制改正大綱の段階では決まってございませんで、それでこの検討会におきまして、先ほど私が当時の資料を少しお示しさせていただきましたが、ここで御議論いただきまして、それでこういうものを対象にするしないを決定し、もちろん、最終的に、これは行政の告示という形でお示しをされることになりますので、そこで対象の医薬品を示させていただいたということで、税制改正大綱があり、その上で、この検討会の中で具体的な御議論をいただいたという、今回のものとは少し順番が違うようになってございますが、そうしたことでございます。
 それから、2番目の、このルールそのものを見直していくことがあるかという意味においては、そうした意味で、このルール、明文のルールがあるかというと、決してそういうものではございません。そうした意味で、私ども、今回の資料の中で、セルフメディケーション税制が設立された当時、どういう考え方だったか。そして、見直しをして、拡充をしたときに、どういう考え方だったかをお示しいたしました。それは、そうした中で変遷を経て今の形になっておるわけでございます。
 一方で、税の問題は減税をする、そういう特別措置になるわけですから、当然、それに伴う税収をどう考えるのか。これは私どもが税務当局と議論する際に、まさに税務当局がトータルの視点で考えていただいていることであります。そこの部分はこの検討会でお決めいただくことではないと思いますけれども、一方で、これまでのセルフメディケーション税制の考え方を敷衍した上で、では、今のこの置かれている状況の中でセルフメディケーション税制の在り方をどう考えるか。そういう意味では、今までのルールがこうだからこうしてはいけないとかということよりは、そこも含めて御議論いただいて、どういう考え方があるかという大きな視点で御議論いただければと考えております。
○武藤構成員 了解しました。
 では、引き続き、資料3ですか。五十嵐先生の資料ですけれども、私も特に、こうしたセルフメディケーション税制利用者がこのような形でもって医療費削減に効果があるというエビデンスが出たのは大変びっくりしましたといいますか、大変すばらしいことだと思います。
 つきましては、27ページ、主要5疾患に関して、下記の絞り込みを行ったわけですけれども、1年以上継続して対象疾患で受診とか、同一薬剤のみ投与とか、それから、併発疾患がないとか、これを見ると、年齢分布というと、かなり若い人たちに偏るのではないかと思うのですが、その辺がどんなような年齢分布になっているのか。
 もう一つ、これがこの5疾患の中の全体の患者数の中にどのくらいの割合を占めているのか。ざっくりでいいのですけれども、これはどのくらいの割合ですか。
○五十嵐参考人 武藤先生、ありがとうございます。
 まず、後者の5疾患の中での割合が私がスキップしてしまった28枚目にございまして、こちらは色が同系色で恐縮なのですけれども、一番上の薄い紫がレセプト上でそれぞれの疾患がついている人で、1段ずつ濃くなって、例えば高血圧で申し上げますと、31,331に対して1,035が1年以上単剤投与になります。そうしますと、各疾患それぞれ、例えば高血圧ですと3%ぐらいで、ただ、糖尿病ですと0.3%ぐらいになろうかと思います。これは、例えば1年以上なのか、3年以上なのか、5年以上なのかみたいな形のシナリオ分析などもやっておりまして、そうやると変わっていくかなというところです。
 それで、前半いただいた年齢分布なのですけれども、こちらは現状では年齢分布はこのデータからは出しておりません。ただ、大きなポイントとして、今のこの推計はジャムネットというところで行っているのですが、そちらもやはり健保由来のデータベースになります。そうしますと、単剤で済んでいる人が若い人に偏るだけではなくて、もともと健保の人なので、どうしても70歳の人とかがいないというバイアスが生じますので、こちらは国保も含めたデータベース、例えばDeSCヘルスケアのデータベースなどは国保も持っていますので、そうしたところでやった上で、データベースの特性を考えつつ、年齢分布を出していくのが必要になるかなと思っております。
○武藤構成員 あと、もう一点、この5疾患を選定した理由といいますか、今後、その5疾患がさらに疾患範囲が広がっていく可能性はどうなのでしょうか。
○五十嵐参考人 あくまで、こちらはいわゆる生活習慣病、例えば高血圧などは2020年の推計の追加拡張推計にも入ってございますので、そこから少しずつ、実は何年間か推計をしている中で、上の3つ、高血圧、脂質異常症、糖尿病はやっていて、今回、少し広げて、下の2つにも広げたのが一つ。
 それから、やはり高血圧、脂質異常症、糖尿病、単疾患になりますと、これらの中でだけ併発している人が随分、結構抜け落ちてしまうのです。それで今回、試金石的に高血圧と脂質異常症のみという人を疑似的単剤と扱ってやったところがございますので、このような推計は結構、水面下ではずっとやってきたのですけれども、今回はこの5疾患プラス1で出しているところでございますので、決してこれが最終ゴールでもないし、この5疾患を何かすごく議論して決定したということではないかなと思います。
○武藤構成員 ありがとうございました。
○井深座長 それでは、ほかに御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。健保連の伊藤でございます。セルフメディケーション税制についてということで、意見になりますけれども、申し上げたいと思います。
 厚労省から御説明いただきました資料2の14ページを拝見させていただきますと、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の出荷額についても令和4年度から増加している状況でございますし、また、税制の利用者数も御説明ありましたけれども、令和5年で4.9万人で、まだまだ限定的かもしれませんが、令和3年度までと比べれば増加しているということで、この税制改正の影響を感じることができると思ってございます。
 また、五十嵐参考人の分析結果を拝見させていただきますと、セルフメディケーション税制を利用しない理由として、税制をよく知らないとか、あるいは対象になる最低金額を超えるまで購入していないといった御意見もあるようでございます。
 磯部構成員の発表にもございましたけれども、やはり現時点といたしましては、税制の周知と対象品目の拡大といった観点が重要ではないかと感じてございます。税制の周知につきましては、現在、一般用医薬品連合会から健保連に資材を御提供いただきまして、全ての健保組合が活用できるように、今、情報提供の準備をしているところでもございます。国におきましても、取組について御紹介いただいた部分はございますが、こういった税制のさらなる周知・広報をお願いしたいなと思ってございます。
 対象品目についてですけれども、前回、この場でも申し上げましたが、令和3年の税制改正で見送られました胃腸薬を追加すべきと考えてございますけれども、それだけではなくて、磯部構成員から御説明のありましたように、例えばOTC検査薬のうち、特に新型コロナとかインフルエンザの検査は、感染症流行期に国民の安全・安心に加えて、医療現場に負荷がかかり過ぎないようにしていくという観点からも有用であると感じてございますので、こういったものはぜひとも税制の対象にしていただきたいと考えてございます。
 私からは以上であります。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見、御質問のある方、お願いいたします。
 富永構成員、お願いいたします。
○富永構成員 日本薬剤師会の富永でございます。五十嵐先生にも磯部先生にもいろいろデータをお示しいただいてありがとうございます。
 実際の現場と比較してみますと、なるほどなというところが多くて、ただ、患者さん自体といいますか、来局者は症状によって違うといいますか、重症化すればもちろん、受診していただくことになるのですよ。先ほど花粉症の話が出ましたが、今年は、花粉の飛散がひどくて、重症化なさる方も多くて、スイッチOTC化された薬で去年は大丈夫だったけれども、今年はひどい。では、ぜひ耳鼻科とか眼科にかかってくださいとかというお話をするわけです。花粉症の症状はやはり変化していくわけで、その都度、トリアージと言ったら失礼かもしれませんが、受診勧奨することが大事かと思います。だから、表現としてセルフメディケーションという言葉はありますけれども、医療現場ではその症状が生きている。それによって振り分けていくということです。
 それで、実はこの検討会に参加させていただいて、自分の薬局でセルフメディケーション税制について薬剤師等に聞いてみると、一つは保険薬局でもありますので、なかなか積極的に進めていない。失礼な言い方をすると、この税制について説明が十分できていない。ただ、もともと、このセルフメディケーション税制が呼び水といいますか、きっかけになって、健康づくりに関心が出て、そして、自らの健康づくりに関心が出て、行動変容につながることが目的だと思いますので、その辺の教育とか啓発をヘルスリテラシーの向上と並行して求めていくべきではないかなと思っているところです。
 だから、あるラインでセルフメディケーションを行うかどうかの線を引くというものがありますけれども、やはりそこは医療者として、医薬品を提供する場合、OTC医薬品でいいのか、それとも、受診勧奨をするべきかは薬剤師の責任だと思っております。それも考えながら、このセルフメディケーション税制を推進して、セルフメディケーションを推進するということではないかなと思っております。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、別所構成員、お願いいたします。
○別所構成員 ありがとうございます。税制について、3つほど質問があります。
 まず、資料2についてです。15枚目に周知・広報についての説明がありますが、周知・広報の費用はどれくらいかかっているでしょうか。費用削減、医療費削減を超える広報費用がかかっていては、費用対効果の観点からいかがなものかと思います。
 次に、資料3について、質問が2点ほどあります。1番目の分析ですけれども、セルフメディケーション税制の現状の設計を見ると、効果は利用者以外にも発生すると思われます。税制を利用するつもりでOTC薬を購入した後で確定申告をしなかったなどのケースが考えられるように思います。そうすると、本人の申告でセルフメディケーション税制を使った人と使わなかった人だけを比較するのは不十分ではないかと考えられますが、この点について、どのように考えていらっしゃいますか。
 最後は、1番目の分析と2番目の分析はどう関係しているのでしょうか。すなわち、1番目の分析結果が2番目の分析でのどこかに利用されているのでしょうか。2番目の推定は医療費の潜在的な削減幅という表現でしたが、つまり、これは保険収載を外したときの医療費の削減効果と呼んでいいのでしょうか。この際、外すことによる行動変容はどれくらい織り込まれているのでしょうか。最後に、生活者の観点からこの税制を考えるとき、OTCにスイッチしたときに、患者の金銭的負担はどれくらい増加するのでしょうか。もし推定結果があれば教えてください。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、資料2に関する御質問に対して、事務局、御回答をお願いいたします。
○粟飯原企画調整専門官 事務局より回答させていただきます。
 御指摘の広報につきましては、この資料で紹介させていただいているものも含めまして、基本的にほかの部局ないし省庁で実施いただいている周知・広報の中でワン・オブ・ゼムとして載せさせていただいているものがほとんどでございます。この図(資料2 15ページ)で言うと、右上のものは個別に企業から相談をいただきまして、今回、出演させていただくに至った次第になっておりまして、いずれにしても我々において費用がかかっているものではございません。
 以上です。
○井深座長 別所構成員、よろしいでしょうか。
○別所構成員 よろしいです。
○井深座長 それでは、資料3に関する御質問について、五十嵐参考人、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
 まず、1問目といいますか、家族への効果、あるいはほかの人への効果なのですが、こちらはアンケートの中では、実は自分が申告した、あるいは自分はしていないけれども、家族は申告したみたいな形で、ある程度、小分けした上で評価しております。といいますのは、多分、別所先生も御指摘のように、例えば配偶者がいる人で、所得の高い人は医療費控除を申請して、より所得の低い人がセルフメディケーション税制を申告するみたいなパターンもありますので、もちろん、それ以外への波及効果は取れないのですが、そちらはある程度捕捉するようにはしております。ただ、もちろん、限界として、自分以外の家族が申告したときのセルフメディケーションの購入金額はどうしても自らが購入するときよりも曖昧になってしまいますので、そこは一つ、こうした形での研究を行うことの限界にはなるかなと思っております。
 それから、2問目のいわゆる1番目の推計と2番目の推計の関係なのですけれども、まず、2番目の推計は2020年からずっと終始一貫しておりますが、あくまで削減し得るという部分で評価しておりますので、この辺は、ただ、削減し得るというのは保険適用外と直結するかというと、私はそうでないとは思っておりまして、例えば既存領域におけるOTCでの置き換えは別に現行ルールでも達成可能なわけです。ただし、別所先生御指摘のように、行動変容が起こる確率が現行ルールのままだと極めて低いわけなので、そこを極論、現行ルールで誰も行動変容しないとしたら、ある意味で最後の手段としての保険外しがあるのかなというところで、そこは決して1対1に対応するものではないのではと考えております。もちろん、先生御指摘のように、どういう施策を取ったときに、どの程度の人が行動変容するかは、ある意味でポテンシャル推計から実際にどのぐらいが見込めるかを橋架けをするときには、そちらは必ず必要になってくると思います。
 それから、自己負担の推計に関してですけれども、これは今回、資料には設けておりませんが、2020年にOTC医薬品協会と、POSデータを使ったOTCの平均支払額とレセプトへの比較というところで領域別の評価をしております。例えば私の記憶ですと、鼻炎などですと比較的OTCが高いけれども、風邪などですと必ずしもそうでない。ただし、それは3割負担の場合なので、1割負担のお年寄りなどだとより、どうしても医療用に行きがちであるという結果は出していたかなと思います。先生御指摘のように、1と2を橋架けするには、どういう施策を取ったらどの程度の行動変容が起きるのかという定量分析と、それから、では、できるだけ行動変容を、制度変更を最小限にしつつ起こさせるにはどうしたらいいのかというのは、必要なのは全く先生のおっしゃるとおりと思いますので、それは今後の課題にしたいと思います。
○井深座長 ありがとうございました。
 別所構成員、よろしいでしょうか。
○別所構成員 ありがとうございました。
○五十嵐参考人 それと、もう一点、よろしいでしょうか。すみません。
 先ほどの富永先生のところに関して、ヘルスリテラシーという話をいただきましたけれども、実はこのOTCの利用状況とかセルフメディケーションの利用状況を取っているアンケートの中で、もともとヘルスリテラシーの指標を取っているものがあるので、仮にそれとの連関であれば、ある意味で既にその項目もありますので、そうしたヘルスリテラシーとOTC利用動向の関係、あるいはセルフメディケーション利用動向の関係も取っていきたいと思います。
 すみません。補足です。
○井深座長 ありがとうございます。
 それでは、磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 私は、先ほど別所先生から、五十嵐先生からもお答えいただきましたけれども、どのくらいのOTCが負担なのかということで、直接的に今のお答えではないのですが、我々も大変、その辺は気にしておりまして、当然、メーカーとしては生活者の方が手の届かない額では意味がありません。生活者の方にお届けするために、価格も設定してやらせていただいております。当然、生活者の方もいろいろな思考の方がおられますので、高いものから安いものまでございます。
 私どもでインテージさんに協力をお願いいたしまして、小売のデータで調べたところが、例えば解熱鎮痛剤で見ますと、1パッケージで大体700円から800円ぐらいが平均的な購入の金額になっております。それで、抗アレルギー剤の場合は、先ほど五十嵐先生からもありましたが、若干長期間に使われることもあって、日数がいろいろなものが入っておりますが、平均的に見ますと大体1,200円ぐらいというものがデータに出ておりますので、私どもとしては、確かに高いものも安いものもいろいろありますので、なかなか平均がどのぐらい意味があるのだということは御指摘もいただくわけでありますが、そういった額であれば、必ずしも手の届かない、言ってみれば、それが非常に高額を強要するようなことになっているとは思っておりませんので、そういったことも参考までに御報告させていただきます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、宗林構成員、お願いいたします。
○宗林構成員 ありがとうございます。岐阜医療科学大学の宗林です。
 質問というよりも、これを見て感じたことなのですが、資料2の14ページで、OTCの利用率がだんだん高くなっている表があったかとは思いますけれども、スイッチOTC化しているものの市場で何%が利用されているという出荷額の表があったかと思いますが、一方、OTC全体の市場動向を見ると、この何年間あるいは10年間でも市場規模が十分に拡大していないと私は思っていますので、そうすると、この対象になっているものはこういうふうに1本見えますけれども、もっとスイッチ化してOTCに下ろしているものがたくさんあるにもかかわらず市場が大きくなっていないので、そもそもスイッチ化している医薬品についても周知とか利用度が上がっていないのではないかということが私は懸念しています。
 もしそれが十分、スイッチ化されているものが、今、たくさんの種類がスイッチ化されているようにやっているわけなので、それが皆さんに周知されていれば、こんなことはなくて、もっと市場も伸び、この税制も含めて、利用する人が増えるのではないかと思いますので、一つの理由として、スイッチ化した医薬品の周知が、お医者さん、それから、一般消費者、両方に対して周知が足りないのではないかなというのが一つ思っています。
 それから、もう一つは、今、医療費控除とセルフメディケーション税制との両方を使うことはできませんので、要するに、一方、10万円以上の医療費を使って医療費控除を受けると、そこにOTCで買ったレシートをつけて医療費控除に乗せていくこともできるわけですね。ということは、さっきのどれぐらいOTCを使っているかも含めてですけれども、10万円を超えたらOTCの分も医療費控除に入っていってしまう現状だと思うので、このセルフメディケーション税制のみが使える範囲、1万2000円から医療費控除までの間で医療費を使っていて、しかも10万円を超えていないから医療費控除を使わない人だけが対象にこのセルフメディケーション税制は存在するわけで、その仕組みをきちんと分からず、そこだけの人が使えることが、周知がしっかりしているのか。
 そして、そもそも、そういう人は結構若かったり、すごく限られた人しかいないのではないか。全体のOTCのパイはもっとありますけれども、それは医療費を10万円以上かかってしまうとそこに乗せていってしまいますので、そこにはセルフメディケーション税制を使わなくなってしまうのです。そうなると、今、セルフメディケーション税制を本当に使える対象者の母数が、五十嵐先生のものでも、2万人を取っても、最後、正解のところも合わせてですが、非常に絞られる結果になっていますので、極めて対象者が少ない税制対策なのではないかなと思います。
 ですから、ここはどこかを変えないと、これはこれ以上はなかなか伸びないので、根本的に少し変える必要があるのではないかなと思っています。例えば医療費控除と両方使えるようにするとか、でも、そういう話はしないということでしたので、あえてそれを強くは言いませんけれども、現状ではそういう使いづらいといいますか、使えない税制の状況ではないかなと思います。
 以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、角谷構成員、お願いいたします。
○角谷構成員 日本チェーンドラッグストア協会の理事を務めております角谷と申します。
 前回の検討会で、ドラッグストアにおけるセルフメディケーション税制の周知徹底が弱いのではないかという御指摘を受けました。先ほど来から議論になっておりますとおり、実際、どこまで周知徹底できたかというと、正直、十分ではなかったと言わざるを得ないかなと思っています。私は株式会社トモズの社長を務めておりますが、自社で現場の声を聞いてみると、この制度自体が入ったタイミングではしっかりと理解して、周知も努力もしていた。ただ、そこから時間がたって、そもそも、制度の中身も詳しく覚えていないのが従業員の中にも散見されたのが事実でして、やはり、今、周知徹底ということを言われているのですけれども、我々、日本チェーンドラッグストア協会としましては、このセルフメディケーション税制を含む、セルフメディケーションの推進というものを賛同している立場として、継続して周知徹底に努力し続ける必要があるだろうと認識しております。
 その上で、早速なのですけれども、日本OTC医薬品協会さんと、あと、厚労省の皆さんからも御協力いただきまして、店頭での告知ポスターの貼付と、従業員への啓蒙パンフレットの配付は始めております。ただ、それで全く十分だとも思っておりませんので、ここについては、今回、この検討会に参加されている関係諸団体の皆さんと協力しながら強化していく必要があるだろうと考えております。
 質問ではなく、コメントなのですけれども、前回の検討会で御指摘を受けましたので、コメントをさせていただきました。ありがとうございます。
 すみません。それで、重要なことなのですけれども、我々も周知が進まない、まだ理解が進まない理由として、現場の声なども踏まえ、あと、協会に加盟する各社の声を聞きますと、先ほど磯部先生からもお話ありましたとおり、やはり制度の見直しが必要ではないかと思っておりまして、これも先ほど来、いろいろな方から御指摘いただいていますが、今のセルフメディケーション税制の仕組み自体の複雑さを見直す必要があるということで、我々としましても、対象医薬品の拡大、金額上限設定・下限設定の辺りの複雑さの解消、あと、この制度自体の恒久化はぜひとも進めていただきたいし、進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 それでは、関構成員、お願いいたします。
○関構成員 日本医薬品卸売業連合会OTC医薬品卸協議会の関でございます。今日はいろいろ御説明ありがとうございました。私も質問ではなくて、意見を述べさせていただきたいと思います。
 冒頭に、セルフメディケーション税制の現状ということで厚労省から御説明がありました17ページのセルフメディケーション税制を利用しなかった理由で、「レシートを集めた、申告の手続が面倒だから」という部分や、「申告方法がよく分からない」という理由がございました。磯部構成員からの御説明の中にもこれらの事項が入っておりましたけれども、やはりDXが進んでいるこの世の中で、レシートを集めないと申告ができないという部分の改善を進めるべきと考えます。卸の団体として、小売業の団体、メーカーの団体とも協力しながら、まずは業界標準マスターの構築を重点課題として進めています。何とかこの業界標準マスターの中に一般用医薬品の成分情報も入れていくことで、電子お薬手帳の連動とかヘルスリテラシーの向上にも結びつけていきたいと考えています。我々の方針の中にもこの取組を強化していくことを挙げております。今後、進めていく中で、システム投資が発生するわけで、磯部構成員の御発言にもありましたように、セルフメディケーション税制の恒久化を含めまして、将来、このDXの取組を拡大していくためにも、ぜひ当検討会で御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ある構成員の皆様、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議題1については以上とさせていただきます。
 続いて、議題2「その他」ですが、資料5「次回検討会における意見聴取について」、事務局から説明をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。資料5「次回検討会における意見聴取について」について、御説明を申し上げます。
 本日、セルフメディケーション税制の関係を中心に御議論いただきました。一方で、第1回の検討会、様々、委員の先生方から御意見を頂戴したところ、保険者における取組の支援の必要性とか、それから、薬局で健康相談や受診勧奨ができるよう、薬剤師も研さんを積み、かかりつけ医や専門医との連携も図ることが必要である。そうした御意見も頂戴いたしました。
 こうしたことを踏まえまして、次回の検討会におきまして、以下の2名の方にヒアリングを行ってはどうかということで御提案させていただいているものでございます。
 1つ目が、保険者における取組を支援する主体からのヒアリングで、前回、武藤構成員からも少しお話がございました、一般社団法人日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の中のOTC医薬品分科会委員会の委員であります池本さん。こうした方をお呼びしてはどうか。
 それから、2点目で、セルフケアに関する医療従事者への教育等でございまして、岸田直樹先生、一般社団法人Sapporo Medical Academyの代表でもあられる医師の方でありますが、重篤な疾患を疑う危険な兆候(レッドフラッグサイン)等に関する臨床推論について、大学等での講義、あるいは書籍の出版などもされているということでございます。
 厚生労働省におきましても、上手な医療のかかり方アワードにおきまして、薬局薬剤師を対象にしたセルフケアに関する教育プログラムの作成等を踏まえまして受賞がなされているということでございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○井深座長 ありがとうございました。
 ただいま、事務局より、ヒアリング候補者について御提案がございましたが、構成員の皆様から、この点について、御質問、御意見をいただければと思います。
 富永構成員、お願いいたします。
○富永構成員 日本薬剤師会の富永でございます。
 ②で「薬剤師も研鑽を積み」というところがあります。もちろん、そういう覚悟はあるわけですけれども、先ほどセルフメディケーション税制についても、医薬品を提供する側の薬剤師がちゃんと理解して、その旨、積極的に消費者の方に伝えないと、これは現場でのことですから、そこも我々はもうちょっと幅広く勉強していかなければならないこともありますし、今、おっしゃった保険者の方とこうやって共同して、健保組合等と一緒に検討しながらも、どうやって正しいOTC医薬品の使い方を広めていくことは大事かと思いますし、特に2番目の岸田先生から臨床推論を学ぶといいますか、もちろん、薬剤師も今までの経験で様々な判断、トリアージはできるわけですが、ただ、医師からの目で、こういうふうに受診勧奨をするのだとか、症状の経過を診ていくのだというものは教わることはとても大事だと思いますので、こういう方を呼んでいただくのはとてもありがたいことだと思っております。
 ありがとうございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 オンラインの皆様もよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、事務局より御提案いただいた2名を次回のヒアリング対象とすることといたします。
 失礼いたしました。伊藤構成員、よろしくお願いいたします。
○伊藤構成員 すみません。ぎりぎりになってしまって申し訳ございません。健保連の伊藤でございます。
 セルフメディケーションの普及に関わることということで、次回、保険者の取組を御紹介いただけるということで、やはりセルフメディケーションについては推進していくことが必要だろうと思ってございます。
 健保組合としては、個々の業種・業態の健康課題に応じて、加入者のOTC医薬品へのアクセスを高めるような取組が必要と認識しておりまして、既に保健事業の実施指針あるいは総合評価指標にもセルフメディケーションの推進に関わる新たな項目が盛り込まれているところでございます。
 ただ一方で、取組はまだ始まったばかりで、まだ健保組合でも事例が十分に蓄積されている状況に至ってございません。まずは先進的な事業に取り組みまして、効果の検証をしながら、好事例について横展開していくものと考えてございます。なかなか健保組合でも体力の関係もございますので、厚生労働省におかれては保険者への事業推進への支援をお願いしたいと思います。また、国民にまだ十分に浸透していない部分もございますので、そういった周知についても国にはお願いしたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○井深座長 ありがとうございました。
 ほかの皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、これで議題2につきましても御承認いただいたといたしたいと思います。
 皆様、活発に御議論いただきありがとうございました。本日、構成員の皆様からは様々な御意見を頂戴したところでございます。本日、皆様方にいただきました御意見を踏まえまして、第3回以降の検討会の進め方について、事務局には調整をお願いしたいと思います。
 本日の議事は以上になりますが、事務局から何かございますか。
○池上衛生専門官 皆様、御議論いただきありがとうございました。
 次回検討会以降の進め方等につきましては、事務局で調整の上、改めて御連絡させていただければと思います。
 また、議題1の税制につきましては、本日いただいた御意見も踏まえ、次回以降の開催において、さらに深めた議論をお願いできればと考えております。
 事務局からは以上になります。
○井深座長 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。