第22回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和7年2月5日(水) 10:00~12:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第22回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員、参考人の皆様におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開となります。また、議事の様子をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 初めに、発言の仕方などを簡単に御説明いたします。
 御発言がある際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、委員長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、発言するようお願いいたします。なお「手を挙げる」ボタンがない場合には、画面に向かって挙手をお願いいたします。
 御発言されない間は、マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、音声等が不安定になった場合は、一旦ビデオをオフにするなどの対応を試みていただくようお願いいたします。
 本日は、松原委員より御欠席、栗原委員より途中出席となる旨の御連絡をいただいております。また、本日の委員会より、森幸子委員の後任として、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会より大柄嘉宏委員に御出席いただいております。よろしくお願い申し上げます。
 参考人につきましては、時間の関係で紹介を割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 続いて、資料の確認をお願いいたします。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しておりますので、議事次第、資料1、2、参考資料1から5までございますので、御確認ください。
 なお、冒頭のカメラ撮りについては、ここまででお願いいたします。
 それでは、これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○中釜委員長 中釜です。
 構成員の先生方、本日もよろしくお願いいたします。
 では、時間も限られていますので、早速、本日の議題に入りたいと思います。
 議題1「全ゲノム解析等に係る事業実施組織発足に向けた主な対応事項について」であります。
 事務局より、資料1の説明をお願いいたします。
○長谷川研究開発政策課長 研究開発政策課長でございます。
 それでは、資料1に基づきまして「事業実施組織発足に向けた主な対応事項」について御説明申し上げます。
 実は前回、今日もおつけしておりますが、参考資料4に基づきまして、前回、事業実施組織の当面の設置場所の議論であったり、委託の在り方につきまして議論をいただいた次第でございますが、実は委員の皆様には別途メールでお送りしていますが、今、前回の議事の内容につきまして確認を取らせていただいておりますが、前回の議論の中におきましても、私どもお示しした論点以外に、例えば、事業実施組織の名称であるとか、一見という何か組織が分かるような部門の名前も含めて考えるべきだという御意見や、あとELSI・PPIの観点からも検討が必要等々、様々な御議論をいただいたところでございます。
 そういう意味では、前回も様々な論点から御意見をいただいておりますので、事務局のほうで、ある程度再度論点を整理させていただきまして、それぞれの論点につきまして、再度皆様方から御意見、御議論をいただければと考えている次第で、今回、資料1を準備したところでございます。
 あくまで、本日の資料でございますが、事務局において準備室とともに課の報告を受けて、本日議論として整理したものでございますので、闊達な御議論をいただければと思います。
 それでは、資料に基づきまして説明いたします。
 1番「組織運営全体に関すること」でございます。
 これまでの取組でございますが、全ゲノム解析事業の全体運営方針に関して、本専門委員会及び全ゲノム解析事業実施準備室におきまして検討を進め、希少がん・難病等に関する患者還元等を含めた全ゲノム解析等を推進するという方針や、適切な組織運営に必要となる要素について整理を行ってきたところでございます。
 今後の対応事項でございます。主なものでございますが、まずは、事業実施組織の適切な名称の在り方について検討が必要だと考えています。
 また、事業実施組織運営方針、取組目標の策定。あとは、各部門の名称の決定も行う必要がございます。また、事業実施組織の人員配置、採用、育成について、あと、運営委員会の設置、運営方針の検討、委員会任命等、また、発足後3年を目途とした独自組織の検討に係る論点整理等々を行う必要があると思いますので、御議論いただければと思います。
 2番です。ELSI、Ethical, Legal and Social Issuesと、PPI、Patient and Public Involvement、市民、患者参画でございますが、それに関するものでございます。
 これまでの主な取組でございますが、全ゲノム解析等事業実施準備室におきまして検討を進め、ELSI委員会の理念や患者パネルの実施体制を整理してまいりました。
 また、JH、6NCの取りまとめ団体でございますが、JHのホームページにおきまして、全ゲノム解析等事業に係る広報を行ってきたところでございます。
 今後の主な対応事項でございますが、まず(2)の①でございます。ELSI委員会の設置でございます。ELSI委員会の設置、運営方針の検討、委員任命等の在り方。
 また、②、患者・参加パネルの在り方、設置、運営方針検討、委員任命等でございます。
 次に③でございます。周知・広報活動でございます。これまでも周知・広報を行ってきておりますが、今後、立ち上げに向けて、また、立ち上げ後の周知・広報活動実施の方針の策定について、また、専用ホームページの作成等々につきまして、御意見をいただければと思っております。
 次に、2ページに参ります。3番「患者還元・解析に関すること」。
 これまでの取組ございますが、各AMED研究班の状況確認等を行いつつ、同意説明文書や精度管理の方法、レポート返却までのプロセス等を整理していただいているところであります。また、AMED研究班におきまして統一パイプラインの開発にも着手いただいているところでございます。
 (2)今後の主な対応事項でございます。まず、①、AMED研究班の実施方法について、AMED研究班につきましては、厚労省としてもきちんと関わりを持たせていただいておりますが、特にMRDやネオアンチゲンも含めましてどうあるべきか、また、統一的なプロトコルの策定、同意説明文書、精度管理要件等、また、AMED研究班との連携、監視体制の構築、同意取得やレポート返却に活用するポータルシステムの整備等。
 また、②、統一パイプラインでございますが、AMED研究班の研究成果を活用した統一パイプラインの継続的な開発の在り方につきまして、御意見をいただければと思っております。
 4番、データの利活用でございます。こちらは、2番の部分と重なると思いますので、皆様には、2番と併せて御議論いただければと思いますが、データ利活用に関しまして、これまでの主な取組としましては、前提的な利活用ポリシーや申請書類を策定するとともに、利活用審査委員会やコンソーシアムを設置し、審査プロセスのシミュレーションを実施。
 (2)今後の主な対応事項でございますが、利活用に係るルールの策定、利活用ポリシー、申請書類、利用料、リコンタクトに係るポリシー等、利活用審査委員会の設置、運営方針、委員任命等、コンソーシアムの設置、運営方針の検討等でございます。
 最後5番でございます。IT基盤に関することでございますが、これまでの主な取組でございますが、システム開発計画や個別システム開発仕様書の作成を進めた上で、一部システムに関するシステム開発に着手と。また既存データの移行方針や対象データの特定方法について整理してまいりました。
 (2)でございますが、今後の主な対応事項といたしましては、①、システム開発、全体のシステム開発計画の策定、システム開発、開発事業者、開発ベンダーの調達、個別システムの統合・運営テストの実施等。
 ②、既存データの移行、移行方針に基づいたデータ移行等でございます。
 あくまで私ども事務局のほうで、前回の議論も踏まえて、論点を整理させていただきましたので、御議論いただければと思います。
 なお、参考資料を幾つかおつけしております。
 まず、参考資料3といたしまして、前回のこの委員会でもお出ししました事業実施準備室の活動についての資料。
 あわせて、先ほども御案内しましたが参考資料4として、前回の議論の際におつけした資料。
 また、参考資料5といたしまして、今回の5番の議題と関連いたしますが、事業実施組織に係るシステム構成図につきまして、お示ししたところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料1の説明、5つの項目がありましたけれども、これにつきまして、御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 それでは、上野構成員、お願いいたします。
○上野委員 コメントなのですけれども、主な対応事項ということで、周知・広報みたいなことは、ELSIの辺りには書いていただいているのですけれども、今般、こういった事業実施組織を発足させるということで、全ゲノム解析のプロジェクトのワンステップとして、こういった組織を発足しましたということ自体につきましても、周知というか、オープニングイベントといいますか、そういったことをすることが必要ではないかと思います。
 それは、外部的に取組のアピールにもなりますし、今回、NCCさんの中に設置をさせていただくということで、がんセンターさんの一組織としてということではなくて、全ゲノムの取組として、こういう新しい組織をワンステップとしてオープンしました、その始まりですということを内外に向けて周知するというけじめをつけるといいますか、そういったことも重要ではないかなと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 この構成員からの意見に関しては、最初、委員の先生方の御意見を聴取いたしまして、まとめて事務局のほうから回答したいと思います。各項目が関連しますので、その対応でよろしいでしょうか。
○上野委員 はい。
○中釜委員長 では、ほかに御意見は、安川参考人の手が挙がっていますかね。お願いいたします。
○安川参考人 御指名ありがとうございます。製薬協の安川でございます。
 幾つか組織運営全体に対するところ、それから、4番のデータ利活用、その他について3つコメントをさせていただきます。
 なお、今回の会議に先立ちまして、製薬協参加各社の中から本活動に興味を持っていらっしゃる方々、それからいろいろなテストに参加されている各社からのコメントを集めて持ってまいりました。
 まず、1番ですけれども、資料1の1(1)の2行目に「希少がん」という言葉が書いてありますけれども、当初は、がん・難病ということで本活動がスタートしたはずでございまして、希少がんに特定されてしまいますと、産業界からの利活用が減少し、創薬への取組が減少すると思います。
 当初の議論にもありましたように、腎がんなど、まだゲノムの変異とがんの関係がよく分かっていないようながんもございますので、ここは希少がんに限定せず、アンメット・メディカル・ニーズ、また、利用者のニーズを踏まえた取組に戻していただきたいと思っております。
 それから、ここも当初から申し上げていることですけれども、スケジュールについては、産業界は非常に関心を持っております。イングランドのほうでも活用が始まっておりますし、向こうもどんどん整備されておりますので、遅れが生じますと、どんどん、今は興味を持っている各社も興味の度合いが薄れていくと危惧されます。
 特に学術研究としての企業利用の検討はされておりますけれども、企業の単独利用が法人化された後、数年たってからという事態になってしまいますと、各社待てないような方々も出てくると思います。利活用に関するスケジュールを明確化していただき、少しでも早く企業が単独利用できるような体制の整備をお願いしたいと思っております。
 次は、4番のデータ利活用のところのコメントでございまして、何社かテストランに協力してやっていただいております。
 その中で、今まで3つほど課題が私のほうに来ておりますので申し上げたいと思います。
 1つ目は、企業の利活用が、非常に今の段階では困難。何を言っているかといいますと、多くの会社は、コンピュータは会社側からの支給で、会社側が設定したセキュリティがあって、それに引っかかってしまうと、もう使えないと。多くの会社では個人のコンピュータで業務をすることは違反になってしまいますので非常に難しいということで、弊社からも何人かトライアルをしましたけれども、やはり全部セキュリティの関係でアクセスができなかったということでIT部門と相談し、特別な機械を用意していただく必要があったということでございます。この辺は、また現場の人間から細かい情報をお聞きいただいて、至急対応をいただきたいと思います。
 2点目がデータ統合上の問題でございまして、各施設から提供されたデータが、システム上、施設の区別なくまとめられ、横断検索ができることを前提としてつくられていることが望ましいのですが、今は施設ごとにデータがまとめられており、統合ができません。
 したがって、本来行おうとしていた全症例中からあるバリアントを待つ患者を検索したいと、こういうことができない状況になっております。
 3つ目、これは難しい問題だと思いますけれども、各施設からのいろいろな情報が統合されていない。何を言っているかというと、薬剤の名前ですとか、臨床情報の用語が統一されていないので、この辺も将来改善していただく問題かと思います。薬剤名が一般名で入っていたり、商品名で入っていたり、あるいは重複の情報があると、こんなコメントが寄せられております。
 最後、資料1には言及されていないのですけれども、オミックス等のゲノムデータに加えての部分でございますけれども、こちらもUKのバイオバンクなどは、もう見られるようになっておりますけれども、この部分が併せて活用できるような形で完成されないと、やはり参加する企業が減るということが予想されます。予算面とかで苦労されているということも察しますけれども、政府にも働きかけていただき、この部分が併せてできないと、やはり将来使用する企業が減ってしまうのではないかと。何としても、この部分の予算、人員の手当もお願いしたいということを、併せて政府に働きかけていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 以上、主に4点ですかね、御指摘ありがとうございました。後ほど、事務局から回答をいただきたいと思います。
 では、そのほか、御質問、御意見ございますでしょうか。
 よろしいですか、一旦ここで、この段階で、事務局から回答をいただけますかね。それで、もし、その間に何かまた御質問がありましたら、お願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 上野構成員から御指摘いただきました周知・広報につきましては、これは、我々のほうでしっかりと検討したいと思います。御指摘ありがとうございます。
 また、安川参考人からの御指摘、何点かございました。1点目、希少がんの御指摘もありましたけれども、利活用のニーズに合わせたデータをしっかりと収集して、活用できるようにという論点だったかと思います。
 御指摘のとおり、本事業は、まさに患者還元と利活用を車の両輪で回していく事業かと思っておりますので、もちろん、現在の技術であったりとか、あるいは医療機関の負荷等々を踏まえて、何ができるかというところが重要かと思いますけれども、それらを踏まえて、しっかりとニーズに合わせた形でデータの収集ができるような体制を整えていかねばならないと思ってございます。
 また、企業の単独利用についての御指摘もございました。本事業の検討は、当初から企業の単独利用については、大きな論点だと私どももしっかり認識をしてございます。それらも踏まえて、スケジュールの御指摘がございましたが、遅れないような形で進められるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、利活用の課題等々、幾つかITに関わるような課題であったりとか、あるいはデータの横断検索の観点であったりとか、あるいは用語の統一の御指摘、オミックスのデータを利活用できるようにというところも含めて、御指摘をいただいたところでございます。
 こちらも特に用語の統一等々、医療機関のほうでつくられるデータとの兼ね合いもございますので、まさに、できるところ、できないところというところの観点もあろうかと思いますけれども、スムーズに利活用ができるような形で整えられるように取り組んでまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございました。
○中釜委員長 あと、最後のところのオミックスデータ以外の参照の必要性、これについてのコメントは、特にありますかね。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 ありがとうございます。
 オミックスのデータについても、しっかりと論点の1つとして私どもも挙げているところでございますので、そこについても検討してまいりたいと思っております。
○中釜委員長 以上、上野構成員、安川参考人からの御質問対する回答ですが、よろしいでしょうか。
○安川参考人 すみません、安川です。回答ありがとうございます。
 用語の統一については、病院側が個々でどうしても入力しますので、病院側での統一は難しいと思います。
 個社の名前を挙げるのは、この場では控えますけれども、あるITメーカーでは、いろいろな辞書を統合するようなソフトウエアなども開発されているようでございますので、その活用も考えられたらいかがかと、個人的には思います。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、手が挙がっています、中村構成員、お願いいたします。
○中村委員 中村です。
 これの検討事項を見ると、何となくデジャブ感があって、何年か前に話し合ってきたことをまた繰り返しているような気がします。
 実施組織にしても、結局ずっと国から支援を受けた形にするのか、どこかでジェノミックス・イングランドのような形態にするのかを含めて、予算規模も分かりませんから、何か家の設計図をつくってくださいと言いながら、予算も定かはでないと、どの土地を使うのかも定かでないという状況で、例えば、ここに人員配置と書いてありますけれども、人をどんな形で採用していくのかというのは、どれぐらいお金があって、どの規模に将来発展させていくのかによります。結局、何も情報がないままに、こういう議論をしても、結局予算は分からないと、例えばITインフラにしても、どこにどういった形で、どれぐらいの規模でつくるつもりなのかの話をしないと、結局先ほどの設計図のようなものが出てきても、具体的な議論には入れません。以前、準備委員会で加藤先生がELSI・PPIに関して提案をされましたけれども、結局どの規模にするのかに関して、予算ありきと思うのですけれども、人を雇うにしても、単年度で本当に優秀な人材が来てくれるとは思えませんし、そこも含めて、もう少し何か見えたものがないと、ここにあるような1から5までの事項に関して意見を聞いても、何を想定していっているかによって全然皆さんの思い描くところは違うと思います。そこをもう少し厚労省のほうからはっきり言っていただかないと、なかなか議論に入るのは難しいかなという印象を持っています。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 後ほど、事務局からお願いいたします。
 それでは、井元参考人、お願いいたします。
○井元参考人 発言しようかどうか非常に悩んだのですけれども、はっきり申し上げまして、この資料を見て愕然としました。この資料を基に一体何を議論するのか、私にはさっぱり分かりません。
 令和7年度に委託事業として発足するということが前回決まり、そして、その議論の中でたくさんの懸念が示されましたが、今回、委託のスケジュールすら示されない。どの項目を、どういうプライオリティで議論しなければならないか、分かるはずと思いますが、それが、今まで議論したことを含め、本日の資料にはフラットに書かれている。これで一体何を議論するのでしょうか。この専門委員会の目的が、私には分かりません。
 以上です。
○中釜委員長 参考人として、御意見ありがとうございます。
 それでは、ほかに御意見はございますか、構成員の先生方からありますでしょうか。
 では、高倉構成員、お願いいたします。
○高倉委員 高倉です。
 今の発言にかなり近いのですけれども、私はIT系の人間ですから、参考資料5について少し発言したいのですが、正直これを見て、すごく大がかりなシステムであることは分かるのですけれども、これが一体いつできるのか、どこから手をつけるのかが全く分からない。
 それで、ほかの案件でこの規模のシステム構築を考えたときに、やはり2年から3年かけて組み上げていくもののはずなのですが、一体どこまでできているのかが全く見えていないので、これは本当に組み上がるのですかというのが一番の疑問になります。
 それから、もう一個、これは多分突貫でつくるという話になってくると、ごめんなさい、名前が出てきませんけれども、セキュリティ面でも不安が出てきていて、やはり使い勝手とセキュリティというのは、大体相反する、バランスを取らなくてはいけなくなるわけですが、セキュリティを重視すれば、当然使えないシステムになりますし、かといって使い勝手を最優先してしまうと、今度はセキュリティが守れなくなってしまう。そこの論点も全くないので、これは本当に大丈夫なのかというのが、非常に気になっています。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘、ありがとうございます。
 それでは、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 私も発言するかどうか迷ったのですけれども、でも発言しないと意見がないと記載されてしまいますので、一応発言させてもらいますけれども、1番から5番まで行うべきことを書いてございますけれども、先ほども御意見が少しあったと思いますが、私もこれを見て、先ほどデジャブというお言葉があったと思いますけれども、この3年間あるいは5年間議論してきたことが、全部また書いてあると。しかもそれがフラットで優先順序がついていないという形で、これは、みんな賛成で、これは、ぜひしなければいけないということで議論をしてきたように思います。
 ある程度優先順序も決まっていたと思いますし、何が大事かということに関しては、前回もすごい議論があったと思うのですけれども、そういうことをぜひ反映した形で、スケジュールをお示しいただくと、先ほどの話にありましたけれども、もう十分遅れていると思いますので、無理はできないというか、できないことはできないわけですけれども、できる限りスピードアップして進めていく必要があるのかと私は思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 それでは、加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 加藤です。参考人ですが、発言します。
 2点あります。もう皆さんがおっしゃっているとおりで、本当に早く進める準備をしないといけないというのが、もう当然のこととして、皆さん共有されております。
 具体的には、やはり、令和7年度と決まっておりますので、実際に何月に立ち上げるのかと、そして、それまで何をするのかという、はっきりとしたプランを、もちろん、今日までに出てきているのが当然なのですけれども、それをつくって、1か月などの非常に短い時間の間に提示していただかないと、もういろいろなところが動かないのではないかと、私は思います。だから具体的な話をやはりするべきだと思います。
 もう一点は、この資料は、議論してきたことなのですけれども、1点、ELSIの立場からは違和感がありまして、委員会と書かれているのですけれども、一応議論としては内部に組織を置きましょうということで議論してきました。それで、部門として置くかどうかは予算の規模などにも関係すると思いますけれども、できましたら、せめて室みたいな形で、組織として中にも置く、そして、委員会も置くと、そういう形でELSIのスタッフが中の部門の活動をしっかりとそばで見ていけるという、そういうことが大事だと思います。
 それから、PPIについても同じことを申し上げたいと思います。そういう形で議論してきたと、私は理解しております。
 すみません、少し風邪で声がおかしかったのですけれども、以上であります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 参考人からの意見でありました。
 それでは、続きまして、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 ありがとうございます。
 私、厚労省の参与なので、どうしても多少厚労省の味方を当然していかなければいけないのですが、恐らく今日の資料は、専門委員会をちゃんと定期的に素早く開いていって、早く組織を立ち上げたいという思いだと思うので、そこはいいと思うのです。
 ただ、各委員の先生方から御指摘があったとおりで、これはIT基盤に関することは、かなりオープンクエスチョンで、これは、そんなに簡単な話では全然ないです。
 それから、システムに関しても、先ほど、いろいろなところでプレプログラム、プレプログラムというのは、本番で使うものではないものを事業実施準備室として使えそうなところがあるかどうかを確認するために、プレプログラムとして試行的に確認したものが、あたかも本番で使われるようにミスリードされてしまうとまずいので、そういうことではないわけですね。ですので、いろいろな意見をいただいたものを、ちゃんと本番の開発に反映していかなくてはいけないと思います。
 その中で、私自身が気にしているのは、まず、今日御質問の厚労省の議論の立てつけとしては、まず、事業実施組織の名前であるとか、それから組織の状況ということですから、組織の状況については、事前に私は、前回の会議でも指摘をしていまして、名称に関しては、当然ながらがん・難病とか、ゲノムが主語で、当然、感染症でもあらゆる分野で使えますから、新生児でも、小児でも、ですので、あまり特定の疾患名が来るような名前というのはよくないのではないかなと思います。
 目標は、そんなに簡単ではないので、これは、さすがに医療の専門性がある方を含めて、もう少し具体化が必要だろうなと思います。
 部門の名称なのですが、私は、これは事業実施のプロセスをシステム開発の設計をしているので、何となく分かっているのですが、やはり1つ分かったことは、間違いなくITと解析が、井元先生などは、毎日御尽力いただいて私も、もちろん尽力しているつもりで、結構頻繁にシステム設計のディスカッションをさせていただいているのですが、やはりテクノロジーの部門で1つではなくて、どちらかというと、臨床に還元するということと解析というのが一体でなくてはいけないのではないかと思っています。
 これは、解析という行為の知識がちゃんと臨床現場に届くものであるという、このサイクルを確立できていないと、事業実施組織の価値が生まれませんから、ここは注意をいただいたほうがいいかなというのが1つです。
 言わずもがな、IT基盤は全部を見るものであって、なおかつ、実は一応厚労省の見方をすると、厚労省の政策のパッケージとしては、もともと全ゲノムは医療DXの一環だったはずです。医療DXの政策の枠組みの中に入っていまして、というのは、冒頭に安川さんからも御指摘がありました標準化ですね。例えば、薬の薬剤名の標準化であったり、例えば、治療コードであったり、薬剤もYJコードにするかどうかとか、そういう標準化の構成というのは、医療DXのほうで、例えば3文書6情報であったり、いろいろな標準化を行っています。
 当然ながら、FIREの標準もつくっていると、ですので、厚生労働省として持っている標準をちゃんと反映しなければいけないのですが、恐らく研究班の方が、そこが分からないで、まずは1回システムの稼働状況を見ようとしてやってしまっているのではないかなと。
 そういう意味では、実は部門名としてITだけではなく、医療DXという言葉が関わってきたほうがいいのではないかというのが私の意見です。
 それから、ELSI・PPIに関しては、加藤先生のおっしゃるとおりで、委員会というのは、私は上位にちゃんとなくてはいけないと思っています。ELSIとか、参加者パネルというのが、ただの1部門で、センター長の意思決定だけでどうにもなってしまうよりは、ちゃんと運営委員会と同列で、きちんとELSIと参加者パネルというものを中心に置かなくてはいけないと思うのですが、それを受ける執行部としては、事業企画部門にそういう担当者がいなければいけないのは間違いないと思っています。
 それから、データ利活用に関してなのですけれども、これは一番ややこしくて、個人情報保護に関する整理をぜひ事務局にしていただく必要があるのではないかなと。
 というのは、倫理指針としてセントラルにするかしないかという話と、例えば、仮名加工とか匿名加工みたいな話がごっちゃになってしまうことがあるのです。そういう仮名加工、匿名加工に関しては、どういう法令として、まず、整理されているかということは、これは、やはり行政部局がきちんと示さなくてはいけないと思うのです。そうでないと、勝手に解釈を変えることはできないですし、恐らく、個情委とも調整が必要だろうなと。
 それとは別に、単純に研究計画の倫理指針として、研究計画の適切利用については、どちらかというと法令ではなく、セントラルな倫理指針の考え方としてまとめることになるので、そこの区分けはしないと、利活用に関するルールの根底が出来上がってこないのではないかということを気にしております。
 IT機能は、私はいろいろあるのですけれども、ここで話すようなレベルではないので、一応ここまでとしたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに、それでは、森構成員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
 この資料1は、一番上のほうに事務局において、全ゲノム解析等事業実施準備室からの報告等を受け、本日の専門委員会における議論の参考として整理したものということですので、確かに、これは整理されていると思いますけれども、早急に発足させるに当たっては、やはり本当に予算規模というのが、あるいは事業実施の主体というのが示されないと、例えば、本当に必要最小限でスタートするのか、あるいはある程度の理想も含めた形でスタートするのか、その辺でも予算によって全く違ってくるので、現時点でどのぐらいの予算を何年間ぐらいの規模で考えて、それを基に私たちは、どのように考えるかということをしないと、本当に机上の空論だけになってしまうような気がします。
 項目自体は、ここに整理されているのでいいと思うのですけれども、それをするに当たっての基礎のところがないところが、非常に心配だなと思いますので、これぐらいの規模で、こうしましょうということを、やはり明確にしていただいて、それを基に、その範囲でどうしましょうかという話を進めないといけないのではないかなと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 規模感に関しては、先ほど中村構成員からも同様の発言がありました。ほかの委員、参考人からも同様の御指摘があったかと理解いたします。
 ほかに御質問はございますか。
 では、一旦ここで、事務局から、これまでの7名の構成員、参考人の方々の御指摘を踏まえて、御回答をいただけますでしょうか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。様々な御指摘ありがとうございます。
 重複しているような観点もございますので、まとめて御回答をさせていただければと思います。
 まず、今回の会議体、第22回ということで、どういう趣旨なのかという御指摘がございました。
 昨年末に開催させていただいて、組織形態についてということで御議論をいただきました。その中で、その組織の進め方を含めて様々な御指摘をいただきましたので、それらを踏まえて、今一度全体として取り組まないといけない事項を私どものほうで、資料1としてまとめさせていただいたという趣旨でございますので、論点漏れも含めて、御指摘をいただきたいと考えてございます。
 また、予算規模についての御指摘がございました。再来年度以降の予算要求というのは、もちろん、これからしていくということですので、現状の御説明ということになってしまいますけれども、令和7年度につきましては、当初の予算案でございますけれども、予算案として、がん・難病の全ゲノム解析等の推進事業として13億円ということで、予算案として挙げさせていただいてございます。
 また、それに加えまして、システムの開発ということで、今年度の補正予算で46億円をいただいているところでございます。
 システムについては、昨年度の令和5年度の補正予算で43億円という形でいただきまして、あわせて今年度と来年度、2年かけてシステムを構築していきたいと考えてございます。
 御指摘のとおり、大がかりなシステムでございますので、しっかりと計画を立てて、また、運用のテスト等も行いながら、よく先生方とも御相談をしながら進めていきたいと思ってございます。
 また、ELSIの立ち位置についての御指摘もございました。私どもとしても委員会をつくって、それで終わりということでは、もちろんないと考えております。どのような形か、また、人をどういう形で確保できるかというところにもよってこようかと思いますけれども、組織の側にしっかりと担当者というものを置いて、ELSI・PPIの関係については進めていきたいと考えてございます。
 また、個人情報保護についての整理の御指摘もございました。もちろん法令にのっとってということだろうと思いますので、全体の取組の中で整理して進めていきたいと考えてございます。
 私のほうからの説明は以上でございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 1点追加で、高倉委員から御指摘のあった、情報とシステムとしての利便性とセキュリティの堅牢性は、各領域ごとのチームで検討されていると思うのですけれども、担当をしているイノベ室として、その規模感やスケジュール感というのは、今の予算規模40億の中で構築ということですけれども、お互いの利便性と堅牢性との関係というのは、考慮しながら進めているという理解でよろしいでしょうか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
 御指摘のとおり、利便性というところと、あと、システムの堅牢性、両者のバランスが非常に大事だと思っておりますので、それも含めて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○中釜委員長 これまでの御指摘、御質問に対する事務局からの回答をまとめてさせていただきましたけれども、御質問いただいた先生方、よろしいでしょうか。
 では、中村構成員、お願いいたします。
○中村委員 これは、この専門委員会が発足した当初から議論されていることですけれども、実施組織は、私も早くつくるべきだと思いますけれども、結局この実施組織の出口がどこにあるのかというのが見えないと、人を集めるのはかなり困難だと思いますし、ましてAIとかITの人材というのは、非常に確保するのが難しい状況になっていますので、やはり、これをつくるということは大事ですけれども、将来像として、この実施組織がどんな組織形態になっているのかという出口を見せていかないと、本当に、私は人材確保というのは難しいと思います。
 特に専任でここに雇用される場合に、今のような説明では、なかなか優秀なAI人材とか、IT人材は集まらないと思いますし、そこをぜひ早急に見せていただいて、その上で、やはり将来像を見据えながらいろいろなものを考えていくことが必要だと思っていますので、これは、もう3年も4年も前から議論してきたことですので、ぜひそこを明確にしていただくようにお願いします。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、井元参考人から手が挙がっていますか、お願いいたします。
○井元参考人 御説明ありがとうございます。
 松浦室長から資料1が、前回の専門委員会の議論を受けて作成されたというのを聞いて、少々驚きました。そうならば、前回の専門委員会のどの意見がどの項目に対応しているのか、そのマッピングを明らかにしていただかないとなりません。これでは、前回の専門委員会の議論が、もうなかったことになってしまわないかと危惧しています。
 資料のつくり方について、前回の会議の内容がきちんと反映される形でお示しいただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 議事録との関係もあるかと思います。
 それでは、水澤構成員、お願いします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 一言だけ、先ほど私も申し上げましたし、多くの方が、早く進めると、スピードアップという言葉を使いましたけれども、これは、ほかの方も同じだと思うのですけれども、議論すべきことは、やはり議論したほうがいいですし、先延ばしのようなことをどんどんするのではなくて、そういうことを進めるのではなくて、少し時間をかければいいものができるのであれば、その場合には時間をかけも構わないと思いますので、大事なことはしっかり議論して時間をかけて、しかしながら、全体としては早く進めるということを、ぜひ考えていただきたいと思います。両方必要だと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、大沢構成員、お願いいたします。
○大沢委員 すみません、失礼します。PPIのところで思ったことなのですけれども、患者参加者パネルの委員の任命等のところで、どうしても同じようなメンバーがいろいろな会議等に出ているのが今だと思うのですけれども、ただ、やはり患者さんにしてもすごく話の内容が難しいし、理解が難しいので、例えば、発足をするときのイベントとか、何かで勉強会を患者さん対象に行って、そのときに関わってみたい方を募るなどのやり方で、幅広い患者さん、当事者の中から選べるといいかなと思いました。
 あと、先ほど、がんと難病だけではなくて、感染症とかの新生児も含むゲノムのわけなので、そういったほうにも、当事者というか、どういう当事者になるか分からないのですけれども、広く募集できるようにしたら、よりよいPPIになるかなと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 具体的な御指摘ありがとうございました。
 続きまして、森構成員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
 今、13億円という具体的な数値が出てまいりましたけれども、いろいろな制約がある中で13億円を確保できそうだということだと思うのですが、そうでしたら、例えば、この13億円の予算規模の中で、具体的にどこにどういう人員を配置するか、それから当然のことながらソフトの開発とか、あるいは安川委員がおっしゃったように、データの利活用をスムーズにやるためのシステムづくりとか、その辺に、一体幾らぐらいの予算を見ているか、ハード面、それからソフト面の両方、それから人材確保という面の13億円の割り振りを、厚労省としての下案を出していただいて、それを基に優先順位なり、あるいは恐らく13億円というと、必要最小限のスタートになろうかと思いますので、今後、これがうまくいくとすれば、より大きい組織に、だんだん取っていくだろうと思いますので、まず、最初のスタートのところは、厚労省として、どこにどういう人数を考えているか、それからソフト開発あるいは利活用開発等を含めて、このプロジェクトにどれぐらいの予算配分の規模を考えているかという、その下案を出していただいて、それを基に議論していくのが最もいいような感じがします。
 13億円というのは、恐らく、よくするためには最低ラインのものだろうと思います。これは1桁ぐらい違ってもいいぐらいのものに、将来はなるのだろうとは思いますけれども、まずは13億円というのが出てきましたので、それを基に下案をぜひつくって、それを示していただき、それを基にディスカッションができれば、いいのではないかなと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 予算の内訳ということです。
 それでは、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参与 ありがとうございます。
 私は各論の話で、人材採用の話がありましたので、少し気になって発言するのですが、私はITの人間です。医療の分野は、どちらかというと10年前ぐらいから参加した、その前は全然違う分野をやっていたのですけれども、統計とかをやっていたのですが、そういう意味で言うと、まず、私の考え方としては、ITのスペシャリストというのは、どちらかというと、意外とキャリアパス上、お金がほしいとか、そこにすごく重きを置いている人というのは、キャリアとしてあまり成長していかない方が多いなと感じています。それは、この分野では通説で、問題がどこにあるかというと、レバレッジなのですね。ですので、今、例えば自分のキャリアが800万で売れるのであれば、これを1000万にしていこうというときに、何のレバレッジを自分が確保できるかというのを気にします。
 そういう意味では、実はレバレッジが効いているのは、レガシーな業界ではなくて、新しい領域というのが、一番レバレッジが効いているのです。
 ですので、私自身が10年前に、実は家族に医療の人間がいたというのもあるのですが、それにしても突然医療の分野に入り込もうと思ったのが、そこからかなり勉強しましたけれども、それは自分が勉強してみたり、そういうレバレッジを獲得して、やはりそこで新しいキャリアを開いていこうという思いが一番強いという、そういう新しい分野に参加するのだという意識が強い方がITでは成長しますし、そういう方が、やはりITとしてはスペシャリストになっていくと思います。
 1つの案としては、実は私がいる研究所、情報処理推進機構では、新しい分野としての白書であったり、例えば、本であったり、そういう書物を配って売ることが目的というより、実は人材確保のために、例えば、ジェノミックス・イングランドも、私が感銘を受けたのが、やはりデータを使って、それをもって例えばゲノムの情報を解析して命が助かって、それで私は今、もしかしたら死んでいたかもしれないのに生活できているのですというエッセイが必ず持ってくるのです。
 これは、やはりITの人間にとっては、すごくほしい話で、自分の技術がちゃんと社会に還元できているのだというのがないと、非常に寂しい領域で、ITは下支えしかしませんから、ですので、そういうゲノム解析ということがどういう価値を生んでいるのかということを書きながら、実際のエピソードがあって、その上でITのスペシャリストというのが非常に必要で、システムというのは、ITのデザインは非常に複雑なのだけれども、こんなに複雑な新しい魅力のあるテクノロジーをつくりませんかということを訴えるような、そういうドキュメントを広報としてきちんとつくっていかないとまずいだろうなと。
 それから、ITに関して言うと、皆さん、分からない、分からないと大抵言うので、それは、その資料を見ると、ITの全貌は説明してありますよということが書かれていれば、一遍にできてしまうので、そういう啓発ドキュメントを戦略的につくる必要があるのではないかと。これは、実は情報処理推進機構が、非常にそれを気にしてやっていまして、CMも流したりしているのですけれども、そういうところは、厚労省はあまりやらないなと、私は経産省系なので、経産省はかなりやるのですけれども、そういうところを少し厚労省も意識していただけるとうれしいなと思います。
○中釜委員長 大変重要な御指摘をありがとうございました。
 それでは、加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 加藤です。
 今、葛西参与が個別の話とおっしゃった、具体的なレベル話とおっしゃりつつ、理念を語られていたので、非常に感銘を受けました。
 やはり、私が申し上げたいことは、このプロジェクトは、日本のゲノム医療及び、もしかすると医療全体について顔になるのではないかと、それは前向きに進んでの話ですけれども、というのは前から申し上げている意味もあるのですけれども、世界的にもそういうことで全ゲノム解析というのは、各国で位置づけられているということは、昨年の12月の専門委員会でも、実質的な意味では申し上げたつもりでした。
 ですから、やはり疾患横断的に、そして、いろいろな人が、ここでつながるという、前向きに進んでいくという場に、ぜひしていきたいと思いますし、していただくことが最も重要なのではないかと思います。
 その点において、昨年も申し上げましたが、例えば、ジェノミックス・ジャパンというのが比較的大きな名前でもいいのではないかと、私は今日も思っております。
 そして、この全ゲノムを真ん中に置いて、何しろこれが、恐らく疾患領域全部横断する日本の国レベルのプロジェクトとしては、これが一番真ん中にあるのではないかと思いますので、そして、非常に活発な東北メディカルメガバンクや、いろいろな日本の世界に誇れるプロジェクトはたくさんあると思いますけれども、そういったものをつなぎながら、ゲノムの医療全体をよくしていくためのコーディネータ役になれる、もちろん、うまくいかないとできないと思いますけれども、そういうことを期待しておりますので、やはり何とか、実際的にも、あるいは理念の上でも、前向きに物事が進むことを私は期待しておりますし、自分も微力ながら努力していきたいと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 この事業の理念の重要性と、それを表現する組織体の名称の大切さを改めて御指摘いただいたと理解します。
 それでは、神里構成員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
 今回の資料1、確かに整理はしてくださっているのですけれども、ポイントを示してくださったがゆえに、逆に分かりづらくなってしまったなという気がしています。
 前回の12月23日の委員会において、資料1として出されてきた事業実施準備室の活動という中で、各チームがスケジュールの詳細なものをつくってくださっているので、基本的にこのスケジュールに乗っていくことで、今後、発足に向けた準備ができるものと思っています。
 ただし、結局のところ事業実施組織の姿が見えない、どのぐらいの規模でやるのかというのが見えていないために、各チームで具体性がそこでストップしてしまっているという面が多々あると思いますので、先ほど森委員がおっしゃられたとおり、厚労省として、13億円をどう使っていくのかという案をお示しいただければと思います。
 その中で、例えば、ELSIならELSIで幾らぐらいの規模を考えているかということも含めてお示しいただくと進むかなと思います。
 というのも、私の一番の関心事がPPIとELSIなので、それを例に申し上げますと、今回の資料1では、2でELSI・PPIと書いてくださっていますが、結局、裏の3の患者還元・解析のところも、説明同意文書の話が入ってきて、ここは、多分にELSIの人が関与して支援していかないといけないところだと思いますので、実際にELSIチームあるいはELSIをやっている人たちが考えている人材のどのぐらいの量が必要かという、時間数も必要かという算定と、あと、やはり厚労省側で考える算定は違ってくると思いますので、各チームにおいてそのすり合わせが必要だと思います。ということで、一定の案を示していただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 全体の規模感と、それに伴った全体の姿が明確でないというところ、そこから、なかなか全体像が見えにくいという御指摘だと思います。
 ほかに御意見はございますか。
 ありがとうございます。これまでの構成員及び参考人から御意見を踏まえて、事務局からの回答をお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。様々な御指摘ありがとうございます。こちらもまとめて回答させていただければと思います。
 今回のプロジェクトの全体の将来像であったりとか、あるいは理念、名称等々について、しっかりと示して、これは人材の獲得にもつながるという御指摘だったかと思います。
 まさにおっしゃるとおりかと思っております。本事業の名称であったりとか、あるいは運営方針、取組目標の策定というのは、最初の事項として書かせていただいておりますけれども、しっかりとしたものをつくって取り組んでまいりたいと考えております。
 また、前回の会議の結果をしっかりと踏まえたような資料をと、そういうおしかりをいただいたと思っております。今回のこの資料で論点漏れも含めて、全体をお示しさせていただいて御議論いただいているところでございますけれども、もちろん次回以降も会議がございますので、しっかりと御指摘を踏まえて、次回以降資料を準備してまいりたいと思ってございます。
 また、特にPPIの観点で、同じようなメンバーにどうしてもというコメントがございました。まさにおっしゃるとおり、様々な方に関わっていただくというのは非常に重要なところだろうと思っておりますし、委員の任命に係るようなことを検討することが必要な事項かと思っております。
 私どもとしても、特定の方だけということではなくて、開かれた組織にしていく必要があろうかと思っておりますので、そのような形で対応してまいりたいと思っております。
 また、予算についても様々の御指摘をいただきました。先ほど御説明いたしましたとおり、本事業として、来年度の予算案として13億円ということに加えて、今年度の補正予算で46億円という形でいただいているところでございます。46億円を活用いたしまして、まさにハードの整備というところを進めてまいりたいということとともに、13億円を活用して、まさにその組織をつくっていく費用になってございます。
 こちらは、鶏と卵の話になってしまいますけれども、まさに今回いただいた論点を踏まえて、御指摘もありましたが、それぞれ各チームでスケジュールを引いていただいて検討をいただいておりますけれども、それらを踏まえて、また、今日の御指摘を踏まえて取り組んでいただくところでございます。それらの取組の多寡を踏まえて、どういう形で人件費等々に関わってくるところかと思いますけれども、もちろん業務量の多いというか、作業量の多いところには手厚めにということになろうかと思いますし、外部人材等も活用しながら、どういう形で、実際に直接関わっていただく方というのは、具体名との兼ね合いもあろうかと思いますので、その辺りを踏まえながら、全体に対しては、これからつくっていきたいと考えてございます。
 私のほうからの説明は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それから、神里委員が最後に御指摘されたいろいろな部門におけるELSIの関わりに関しては、これまで準備室の段階でも取り組んできたと認識しますが、この点について、加藤参考人、何か一言コメントはございますでしょうか。
○加藤参考人 加藤でございます。御指名ありがとうございます。
 先ほど葛西参与が、ITは裏方であるとおっしゃったのですけれども、ほぼ同じことがELSIにも言えると思っています。
 実際に、例えば、ICFをお使いなのは、臨床医の方であったり、それから、実際のデータを扱われるのはデータのプロの方々であったりしますが、私たちは、そのためにどのようなELSI的観点が必要なのかというのを常に見させていただいて、時には前に出ながらですけれども、かなり多くの部分は裏というか、そばにいて問題を一緒に考えて解決したり、取り組んだりするという立場におるものであります。
 ですから、準備室の中では、実際に絵を描いて横串にELSIがおると、各部門に対して常に聞き取りをしたり、一緒に考えたりするという、こういう議論はやってきたということは、まず、この場を通して多くの方々にお伝えしたいというのが、まず1点あります。
 ですから、先ほど御指摘にもそのことをいただいたのだと思うのですけれども、今日の資料にそれが逆に全然見えない形になっているというのが、1つの指摘としては正しい指摘だと思いますので、そういう意味で、中に部門を置きつつ、大所高所から見る委員会を置きつつ、部門なのか室なのか分かりませんが、中に何か専門家を置きつつ、大所高所に見る委員会を置いて、全体をELSIの専門的な観点から見ることによって、実際の実務的ないろいろな部門の活動がよくなっていくのだと思っていますので、そういうことは、イノベ室の方々とも議論はしておりますので、分かっていただいておると思いますので、実際に移すときには、そうなっていくと期待しております。
 少し長くなりましたが、コメントとしては以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、構成員の先生方の御質問に関して、事務局からの回答、さらに加藤参考人からの追加のコメントがありましたら、何かこれらの回答に関して御発言ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。重要な御指摘を幾つもいただいたと理解いたします。事務局の回答を含めて、準備室としても引き続き御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。
 ほかに御発言はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、一旦、議題1は以上といたしまして、次の議題の2に移らせていただきます。
 議題2が「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」であります。
 AMED及びAMED研究班から御出席いただいている参考人の方から、資料2の説明をお願いします。
 なお、徳永参考人の発表に関しては、本日、海外からの御参加であり、接続が不安定になる可能性があることから、事前に収録いただいたものを投影させていただきます。
 御質問につきましては、最後にまとめて行いたいと思います。
 では、参考人からの説明を、まず、芳賀参考人からお願いいたします。
○芳賀参考人 それでは、令和6年度AMED研究の報告をさせていただきます。
 次をお願いいたします。
 AMEDにおける全ゲノムに関する研究は、がん・難病全ゲノム解析等実行プログラムにて、準備室の方針のもと、革新的がん医療実用化研究事業と難治性疾患実用化研究事業が連携して取り組んでおります。
 次をお願いいたします。
 まず、がん領域ですが、令和6年3月の専門委員会の資料にございますとおり、がん領域では、A班、B班、C班から構成されております。
 資料の3つ目の※印にございますとおり、造血器腫瘍等の領域への対象拡大が記載されており、こちらについて、令和6年度に当該領域を対象とした公募を行いました。
 次をお願いいたします。
 難病領域については、国立国際医療研究センターが代表機関となり、多くの分担研究機関による研究体制にて、難病のゲノム医療実現に向けた全ゲノム解析の実施基盤の構築等を進めております。
 次をお願いいたします。
 先ほど申しましたように、令和6年3月の専門委員会での御説明を踏まえ、令和6年度にA-2班として、新たに造血器腫瘍領域及び小児がん領域の公募を行いました。
 次をお願いいたします。
 小児がん領域では、東京大学の加藤先生が、造血器腫瘍領域では、九州大学の前田先生が採択され、それぞれ研究を開始されております。
 また、九州大学病院、京都大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院も分担医療機関として加わり、これで全てのがんゲノム医療中核拠点病院が参加する体制が構築されたところでございます。
 次をお願いいたします。
 また、こちらも令和3年3月の専門委員会の資料になりますが、全ゲノム検査の臨床的有用性の検証については、特にネオアンチゲン、MRDについて準備室の方針を受け、AMED研究として開始されております。
 研究内容については、A-1班からご報告いただく予定です。
 それでは、以降は研究班の先生方から御報告をお願いいたします。
 山本先生、お願いいたします。
○山本参考人 スライドは、次をお願いします。
 A-1班を担当しております、山本です。
 スライドは、次をお願いいたします。
 班研究における実施内容について御紹介いたします。
 昨年御紹介したときに、下2つがありませんでしたので、そこをアップデートして御報告します。
 上から確認用CGP検査の運用を行っております。
 2番目が、治療選択肢の拡充についての検討を行っています。
 3番目が、標準レポートフォーマットの改良、また、それに連動するEDCの改良を行っております。
 その下が観察研究、将来的に、後で示します前向き臨床研究につながる対照群の特定などに資する観察研究を行っています。
 下から2番目が、前向き臨床試験の提案でありまして、先ほどからも議論にありました先進医療なども選択肢の1つに議論を進めております。
 一番下が、たった今、御紹介がありました全ゲノム検査の臨床的有用性の検証ということで、ここに個別化がん免疫療法等の新規治療開発に向けた臨床研究の準備と、MRD、Molecular Residual Disease検出アッセイの臨床性能評価について、令和6年度から追加して始めております。
 次をお願いします。
 確認用CGP検査の提出状況について御報告申し上げます。
 これらは、全ゲノム解析が行われた患者さんを対象に、その全ゲノム解析結果が正しかったかどうかということの、念のための確認ということで、承認されている、または今後承認される可能性のあるCGP検査を使って確認を行っております。
 左からNCCオンコパネル、TSO500、GenMineTOP、生殖細胞ケースはInVitaeというのを使っております。
 A-2班は、3グループありますが、それぞれに所属している各アカデミアから数字に示しますような検体の提出をいただいております。
 今年度は、合計で360件の提出をいただく予定でございます。
 次をお願いいたします。
 今年度から追加になりました、全ゲノム検査の臨床的有用性の検証について御紹介いたします。
 まず、上が「個別化がん免疫療法等の新規治療開発に向けた臨床研究の準備」というものでございます。
 ここにありますように、これらは、現在、がん研有明病院の北野先生、それから、医薬基盤・健康・栄養研究所の清谷先生を中心に進められている研究でございます。
 ネオアンチゲンを出発点にしまして、ここにありますように、患者間で共通するSharedネオアンチゲンを同定しまして、それに対するワクチン療法を考えていこうというものでございます。
 右側にありますように、共同研究先企業と臨床研究におけるワクチン投与方法及び研究デザインについて検討を進めております。
 下側が、新規MRD検出アッセイの臨床性能評価というものでございます。
 これは、がん研究センター東病院、坂東先生、九州大学、沖先生が中心となって行っています。
 ここにありますように、既存のWhole Exome Sequencingベースの方法で、既にMRD解析を行った症例、既存の症例があるわけですが、それを対象にしまして、米国企業とWhole Exome SequencingベースのMRD解析を行う契約を終了して、現在、解析を進めているというものでございます。
 スライドは、次をお願いいたします。
 今年度のまとめと今後の方向性です。
 基本コホートにつきましては、確認用CGP検査を390例出検していますので、結果が少しずつ返ってきていますので、それらの検証を進める予定です。
 標準レポートフォーマットは、A-2班と情報共有を行いながら、レポートフォーマットの改良、また、それに連動するEDCの改良を行っております。
 前向き臨床試験は、本来であれば、今年度開始を目標にしておりましたが、現在、ここは遅れておりますので、パイプライン、それから研究の方向性が最終的に決まりましたら、試験デザインはある程度ドラフトができていますので、再確認を行って準備を始めたいと思います。
 全ゲノム検査の臨床適用性の検証につきましては、昨年度から開始されておりますので、これを次年度も続けていくことができればと考えております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、2班の上野先生、お願いいたします。
○上野参考人 がん研有明病院の上野ですけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、A-2班のほうですけれども、先ほどお話がありましたとおり、令和6年度から東京大学と九州大学が参加して、全部で研究代表機関としましては5機関と行っております。
 分担医療機関が、各代表機関のもとで行っておるということで、このような体制となっております。
 次をお願いします。
 こちらが患者還元に関するサンプル数等を含めたページになりますけれども、まず、エキスパートパネルの実施症例数としましては3,919例です。
 その中で、Actionable変異が検出された症例数が54.4%の2,133例。
 その中で、全ゲノム解析の結果に基づいた治療薬の選択肢が提示された症例数が全体の26%、1,020例。
 その中で、実際の薬剤投与に至った症例数が50例ということで1.28%となっています。
 また、その下に、確定診断に寄与した症例数として、全ゲノム解析が161例ということで4.1%となっております。
 次をお願いします。
 もう一つ戦略コホートとしまして、様々な臨床試験グループが行っております臨床試験のもとで、全ゲノム解析の有用性を確立していくと、バイオマーカーあるいは治療効果等の予測ということを含めた研究を行っておりまして、これは戦略コホートと名づけておりますが、まず、国立がん研究センターの角南班のほうでは、2つの試験と結びついています。
 また、がん研有明病院の上野班のほうでは、御覧の3つの試験と結びついています。
 次をお願いします。
 静岡がんセンターの浦上さんのほうでは、こちらの2つ。
 東大の加藤班のほうでは、こちらの1つということで、これらの臨床試験のほうは、現在、症例をリクルート中ということで、進行中ということになっております。
 次をお願いします。
 AMED研究班への連携施設の追加ということで、全国の施設でできるようにということがありまして、それぞれの臨床試験の中で参加いただくという形で、全ゲノム解析ができるというシステムをつくるという過程をお示ししています。
 御覧のとおり、全国、北海道から九州まで、施設が加わってきている状態となっております。
 次をお願いします。
 こちらは、各班の各代表機関のほうで、今、行っている内容をまとめてお話しさせていただきます。
 まず、これは、国立がん研究センターの角南班のほうで行っています、患者還元に資するエキスパートパネル支援システム及びレポーティングシステムをお示ししておりますけれども、左上にありますように、症例一覧の中から、バリアントをタップすることによりまして、ゲノムのブラウザのほうでシークエンスリードが確認できるという体制、さらには様々なデータベースのリンクがついておりまして、そちらを押すことによって、バリアント情報の一覧も可能になっていると。
 最終的には、レポーティングシステムとありますけれども、ボタンをクリックすることによってPDFの編集機能がついておりまして、そちらでエキスパートパネルの構成員、各メンバーがレポート管理あるいは編集ができるという体制になっているということです。
 次をお願いします。
 これが角南班のほうで診断・治療に有用であった症例として出させていただいておりますが、PEComaを疑う肉腫で、WGTS解析で、MITF遺伝子の再構成が認められている、これが確定診断のほうに寄与したということで出させていただいております。
 次をお願いします。
 ここからは、静岡がんセンターの浦上班のほうになりますけれども、こちらも、やはりホールゲノムシーケンスによって、診断に有用だった報告ということで、5例出ております。腺様嚢胞がん、あるいは中枢神経系の孤立性線維性腫瘍、腺様嚢胞がん、多形腺腫、腺房細胞がん、それぞれで、遺伝子の異常ですね、遺伝子のいわゆるリアレンジメント、あるいはフュージョン等を見つけることによって、それが確定診断に有用であったという症例の報告になっております。
 次をお願いします。
 これもそのような例の一例なのですけれども、BSNSの特徴であります、遺伝子の変化が見られたということで、症例報告のほうをさせていただいたということを報告させていただきます。
 次をお願いします。
 これは、浦上班のほうで、昨年の日本がん学会のほうで報告した588症例の全体の構造バリアントのゲノムプロファイルを示した結果になります。少々細かくなっておりますが588例を横に並べて、それぞれの様々な遺伝子の変化というものをお示ししているということになります。
 次をお願いします。
 こちらのほうは、構造バリアントというのが、特に全ゲノム解析のほうでは見えてくるということになりますが、臨床的に意義づけが重要であるという例として出させていただいております。
 例えば、Whole Genome Duplication、あるいはクロモスリプシス等の症例が御覧のとおり認められてきているという中で、このような構造バリアントでパソジェニシティというものを定義することが重要であろうと。
 右の上になりますが、こちらは、既存の、今、我々が臨床的に使えるようなパネル検査と今回我々が行っているホールゲノムシーケンスの研究で、どのような違いが見られるかということを遺伝子の変化のパターン、SNV_indelあるいはcnvあるいはSV、Structual Variantというもので見ておりますが、ホールゲノムシーケンスで特に有用性が高いというのは、御覧のとおり、SV、Structual Variantが、パネル検査では非常に少ない中で、ホールゲノムで見えてくることが特徴的と考えられております。
 現時点で、患者さんに、我々は還元班ということで、患者さんにお返しするという中で、基本的にはゲノム情報、解析された結果を全て患者さんにお返しするということになっておりますが、実際、薬剤に到達する、薬剤が見つかるというのが20%ぐらい、これは浦上班のデータになっておりますが20%となっております。
 ただ、それでは、ほかの患者さんに意味がないのかということになると、そうでもなくて、ほとんどのがんの原因は、例えば、先ほど言ったような疾患の診断に結びつくような遺伝子の変化があったり、あるいは何でそのようながんができたのか、そのドライバーミューテーションが見つかったり、あるいは薬剤耐性、例えば患者さんが実際に治療をしたら、なかなかうまく効かなかったかなかったというときに、薬剤耐性の原因となるような遺伝子の変化が見つかったりということで、患者さんが自分の疾患を理解するという意味では、97%の患者さんで、そのような疾患の理解に結びついているということをお示ししております。
 次をお願いします。
 これが我々がん研有明病院の結果ですけれども、これも昨年のがん学会のほうで報告させていただいた全ゲノム解析全体のデータということになります。
 左上にがん腫の内訳、右側が、現在ノーマル、正常部分と腫瘍部分というものをそれぞれ全ゲノム解析しておりますが、それぞれのデプスが、基本的に正常が30、腫瘍が120というのが基準となっておりますが、それをきちんと満たしているということ。
 左下のほうが、腫瘍のコンテント、どのぐらい腫瘍が含まれているかということで、25%以上というのが、解析する上では、基準としております。
 というのは、25%未満の場合、なかなか全ゲノムのデータとして、きちんとしたものが取れないということで、ただ、その中で、全体のゲノム解析の中で、やはり膵がんに関しましては、25%未満というのが少し多いという結果となっています。
 右下は、実際の解析結果を示しております。
 次をお願いします。
 こちらは、Tumor Mutation Burdenであったり、変異シグネチャというものも、このように、実際に検出されているということ。
 右のほうですけれども、これは、ホールゲノムと先ほど出ております、パネル検査との比較ということで、実際にグリーンの部分がパネル検査、ホールゲノムシーケンス両方で認められた変化、黄色の部分がホールゲノムのみで検出されたもので、薄いブルーの部分が、パネル検査のみで見つかったものということで、それぞれこのような形で、パネル検査と全ゲノム解析というものは、それぞれ特徴が違うということ、また、共通部分がそれなりに見られる。特に25%以上腫瘍率があるものでは、共通部分が増えてくるということをお示ししております。
 次をお願いします。
 こちらは、Germline Findings、特に全ゲノム解析の場合には、Germline Findingsというものが見えてきますので、それで遺伝性腫瘍に関しましては、5.3%で検出されておりまして、遺伝カウンセリングが93.7%となっております。
 さらには、実際の患者さん以外の血縁者の診断というのを行っているということ。
 また、非腫瘍関連というものも出てきておりまして、特にこちらに関しましては、なかなか確立したものがないということもありまして、Germline Findings Boardというものを各種の専門家、例えば循環器、小児・代謝、眼科の専門家の先生方を含んだGermline Findings Boardをつくって、その中で実際に患者さんにどのように開示していくのか、あるいは開示するときの注意点は何かということを議論しています。
 それで、実際に7症例、0.8%で結果を開示しております。
 以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、井元参考人からC班についての説明をお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 AMED革新がんの解析班(C班)は、ここにお示ししました5つのチームで活動しております。
 先ほどのAMEDからの資料の中には、病理画像チームが抜けておりましたが、病理画像についても、C班の中で取り組んでいます。
 アンダーラインを引いた研究者が、それぞれのチームの取りまとめをしており、私がC班の研究代表者を務めております。
 次をお願いいたします。
 ここからは、ゲノムデータベースの構築状況等の説明をさせていただきます。
 現在、1万4000症例ほどの症例の解析が終了しまして、2ポツ目にあります多様なゲノム異常のカタログ化が行われました。
 このように1万4000症例を解析した統一パイプラインですが、現在そのバージョンアップを行っております。
 本日の資料1の中で、「AMED研究班において統一パイプラインの開発・解析に着手」と書かれておりましたが、着手したのは令和3年度になります。現状1万4000症例の解析が終了し、その解析結果に基づき、また、3年ほどの時間が経ちましたので、解析ツールの見直しやバージョンアップを行い、再解析を既にスタートしております。
 ツールのバージョンアップについては、新規に採用も含み合計で14ツールについて実施し、現在は5,000症例ほど再解析は終了していまして、あと4か月ほどで全ての症例の再解析が終了する見込みとなっています。
 再解析の結果についても、研究班にお返しいたします。もちろん、前のバージョンの統一パイプラインで解析した結果も継続して保管して参照できるようにしています。
 構造異常の検出については、先ほど上野先生から御説明にもありましたとおり、全ゲノム解析の大きなメリットの1つは、この構造異常が網羅的に検出できることにあります。その検出をできるだけ正確に行うために、様々なツールをテストし、検証を行っています。
 また、我々はショートリードデータだけではなく、ロングリードデータも一部の症例については取得しています。ロングリードデータからは、かなり正確に構造異常を見つけることができることが分かっていますので、ロングリードデータでの解析結果を用いて、ショートリードデータからもできるだけ正確に、病気に関係する構造異常を見つけるための取組を行っております。
 次をお願いいたします。
 このスライドは、今までに1万4000症例の全ゲノムデータを受け取り、統一パイプラインによって解析を行い、また、新たなツールを含む14ツールで再解析も進めていますが、解析データや結果ファイルを保管するストレージは、常に危機的な状況にあることを示しています。
 統一パイプラインでの解析は、一次解析と呼んでいます。一次解析用に使っているストレージシステムの状況が上の図になります。
 また、下に二次解析と書いてありますのは、一次解析の結果を研究班に共有し、研究班では、その解析結果を用いて更に新しい解析も行い、御自身の自由な発想に基づく最先端の研究を行っています。この二次解析用に一次解析用とは別のストレージシステムを提供しています。
 上の一次解析用のシステムは、現在9ペタバイトのデータが格納できるストレージになっています。赤のラインが、その上限になります。もともと6ペタバイトのストレージとして導入しましたが、2023年4月に1ペタバイトを追加し、その後、8月ぐらいに、さらに2ペタバイトを追加し、現在9ペタバイトとなっています。赤のラインの通り増強してまいりました。
 一方、ストレージに実際に格納されているデータの容量を青のラインで書いています。この薄い緑のラインは、ストレージに残っている容量ですので、青と薄い緑を足し算すると赤になります。
 研究を開始してあっという間にストレージの格納上限までデータが増えていることが見て取れるかと思います。一次解析用のストレージは、容量が足りず、不要になったデータを消しながら、データをバックアップ用のストレージに移しながらやりくりをして来ました。
 このグラフは、2024年の10月30日時点のものになります。一次解析用のストレージシステムの99%を使い切ってしまった状況で解析しておりましたが、もうやりくりもいかなくなりまして、昨年12月に新しいストレージシステムを導入しました。それが大体7ペタバイトのシステムになります。
 新しく導入しましたストレージに一次解析に用いたデータの一部、二次解析用のストレージシステムに保管していたロングリードデータを移行しまして、現在は、一次解析用のシステムは大体2ペタバイトの容量が空いており、やっと少し余裕を持って解析を行うことが出来るようになりました。
 一方、二次解析用のストレージは、下のグラフでお示ししているとおり、使用量はまっすぐ増えております。現在、かなり逼迫した状況にございます。
 一方、昨年末に導入した3台目のストレージシステムは、一次解析用ストレージから退避させたデータ、二次解析用ストレージから退避させたロングリードデータによって、既に90%埋まってしまいました。
 このような状況で解析を行っておりますため、昨年11月以降にハードディスクで受け取ったシークエンスデータの解析システムへのコピー、及びその解析が少々滞っている状況になっています。
 先ほど1万4000症例と申し上げましたが、本当はもう少し多い数のデータが解析班には届いております。しかしながら、ストレージシステムが逼迫しておりその解析ができていないという状況にございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように昨年12月に新しいストレージシステムが導入され、一次解析用ストレージにやっと余裕が出来ましたので、急いで追いつくように解析を進めているところになります。
 このスライドは今回お示しするか迷ったのですが、解析システムを導入し、ゲノムデータが届けば、自然と解析が進んでいくものだという誤解を持たれていては困りますので、こういう苦労をしながら解析をしているということを、少し分かっていただきたく、このスライドを差し込みました。
 次をお願いいたします。
 先ほど構造異常のところで少しだけお話ししましたが、ロングリードデータも随分と解析班に蓄積されてきました。ロングリードデータを解析する統一パイプラインを、「PacBioのベストプラクティスに沿ったパイプラインを構築」と書いていますが、その中にはC班の研究分担者が開発したオリジナルのツールも含まれております。このパイプラインを用いて、解析が随分と進んでまいりました。
 3ポツ目に「解析班に結果を返却中」と書いていますが、ロングリードデータについても解析がある程度進んだ研究班には、解析結果を説明して、次にどういう解析を行うかディスカッションをしている最中です。
 また、ロングリードの技術は、まさに今、発展途上でございます。ここに書いてありますことは非常に大切なことです。ロングリードのクオリティチェックをかなり厳密にやっております。
 まだできていないことは、DNAのQCと得られたデータのQCの比較です。どういう検体であれば、どのような品質のデータが得られるのかを明らかにした上で、今後、大きく発展させていく必要があると思っています。
 次をお願いいたします。
 次は「Pan-genomeリファレンスの利用」です。Pan-genomeコンソーシアムが公開したPan-genomeリファレンスは、人種の違いを考慮した新しいリファレンスゲノムです。今まで一本のリファレンスゲノムでしたが、人種によっては、部分的に少し違う配列になっているような領域もグラフ構造を用いて表現したリファレンスゲノムを使った解析になります。
 このグラフ構造を使ったリファレンスを使うことによって、
○中釜委員長 すみません、井元参考人、時間が限れていますので、少しまとめていただけますと助かります。
○井元参考人 失礼しました。長いということですね。
 かなり解析の精度が高くなるというデータも出ています。
 次をお願いいたします。
 病理画像の収集は、令和5年度にスタートしたプロジェクトです。現在1万3829枚を収集しました。最初の解析として、画像中の細胞を一つひとつ同定して細胞の種類を特定しました。グラフィカルにその結果を見ることができるインターフェイスを構築し、結果を研究班にお返しするという取り組みを行っています。右下に実際の解析例を載せております。
 このプロジェクトの、最初のマイルストーンは、施設によって異なるスキャナー、異なる染色で取られた画像データを用いて、施設間のバイアスにも強い基盤AIモデルをつくることです。
 次に、その基盤モデルを、それぞれの施設のデータを用いて再学習し、その施設のデータをより正確に解析できるAIモデルへ発展させることが目的です。今、その取り組みを進めているということになります。
 次をお願いいたします。
 このスライドからは、データセンターの構築状況になります。
 このスライドは、令和5年の5月に行われた専門委員会で示されたシステムの全体像です。次のスライドをお願いいたします。
 解析班では、赤丸で示した領域に分割し、システムを構築するための研究を行ってまいりました。
 次をお願いいたします。
 これまでの研究成果に基づいて、今年度は、全ゲノム事業で使うためのシステム開発に進んでおります。
 具体的には、青丸で示したそれぞれのシステムの構築を行っております。ただし、ばらばらのシステムになってしまうと、連携して稼働できなくなります。葛西参与にも大きく協力頂きまして、ほとんど全てのシステム開発のための会議に私と葛西参与は参加し、情報を共有し、システムがばらばらにならないように努力しているところでございます。
 次をお願いいたします。
 あとは、ポイントのみ御説明します。統一パイプラインはクラウドでオンプミスと同等かそれ以上の性能を示すことができるように構築しています。AWSとAzureの両方を用いてその検証が行われています。
 次をお願いいたします。
 標準レポートの改良については、先ほどもA-1班の山本先生からも報告がございましたが、解析班によって得られたゲノム変異情報に基づく標準レポートをA-2班の先生方にお返しして、医療としての患者還元や更なる研究への活用など様々な視点から検討頂き、そのフィードバックを受けて、標準レポートを改良するサイクルが全ての研究班で行うことができるようになりました。
 しかるに、レポート作成についての患者還元班の英知が結集できる体制が整ったと考えています。
 次をお願いいたします。
 臨床情報収集については、JASPEHRテンプレートを使った臨床情報の収集とクラウド上の基盤システムへの集約について1番、2番で書かれています。
 また、現在、EDCを使って研究班によって集められた臨床情報のクリーニングも行っているところです。先ほど安川委員から御意見ありましたように、薬剤名の統一化等はかなり難しい問題で、現在取り組んでいるところになります。やはり集めるときに、しっかりとチェックを行って集めないと、永遠とデータクレンジングを行い続けることになりますので、事業が開始されるときには、必ず十分に検討しなければならないと思っています。
 データ提供環境についても、データダッシュボードを構築しました。もうすぐ提供できる見込みです。先ほど安川委員から施設横断的に検索できないという指摘がありましたが、施設横断的な検索のニーズについては、我々にも以前からいただいておりました。提供する解析環境では、横断的な検索もできるようになっておりますので、ぜひ御意見いただければと思います。
 次をお願いいたします。
 このスライドが最後です。検体・集中管理システムについては、今まで、検体ID、症例IDの発番は各病院で行われていましたが、解析班で行うように進めております。現在2,294症例が、解析班の構築した検体管理システムで発番して、IDが付与されたデータが集められる体制を整えることができております。
 以上でC班の説明を終わります。すみません、長くなってしまいました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後、難病國土班からの報告で、徳永参考人から報告をお願いいたします。
○徳永参考人 国立国際医療研究センターの徳永でございます。
 難病のゲノム医療実現に向けた全ゲノム解析研究の現状について、御報告させていただきます。
 難病の全ゲノム解析研究は、令和2年度から4年度において実施された先行研究、第一次の研究に引き継いで、令和4年度の終わりから始まった本格研究あるいは第二期の研究が現在行われております。
 その実施体制としましては、私どもの国立国際医療研究センターが、ゲノム解析基盤を担当しております。
 ここに22の分担研究班が参加いただき、それぞれの分担研究班には、全国の多くの医療機関が協力いただいて、難病の患者さんの検体及び臨床情報を収集いただいております。
 その分担研究班を通しまして、私どもにその検体と臨床情報が送られてまいります。私ども解析基盤としては、全ゲノム解析を行った一次データ解析の結果を、また、分担研究班の先生の方にお送りするとともに、臨床情報及びゲノム解析データをゲノムデータベースとして構築する。また、残余検体につきましては、難病バイオバンクとして検体の保管を行う。
 さらには、保管されたデータを、データ利活用システムを構築することによって、そちらに登録し、製薬企業やアカデミアの研究者が研究開発に利用できる環境を整えるという役目を担っております。もちろん、これらの活動は、全ゲノム解析と事業実施準備室との連携において行っております。
 今年度の実施内容としては、全ゲノム解析事業実施組織への移行を踏まえて、令和5年度に構築した体制、システムのもとで円滑な業務解析を実施すると。
 その目標としては、4,000症例が挙げられております。既診断及び未診断の難病のゲノム解析を実施する。
 さらに、先ほども触れましたように、22の分担研究班の協力、そして、194の医療機関の協力をいただいて実施しております。
 この解析対象とする難病の種類は、今後も増加予定でございまして、この分担研究班の数、協力機関の数も、今後さらに増えていくという状況でございます。
 研究開発のポイントとしては、大きく3つございます。第1に、利活用促進に向けた同意取得ということで、研究機関や企業への第三者提供を可能にすることにより、利活用を促進するために、統一的な説明同意書による同意取得を進めていただいております。
 第2に、臨床情報の収集管理体制の強化でございます。
 電子カルテシステムと連携した臨床情報収集システムを用いて、迅速かつ正確に臨床情報の収集を行うことを目標としておりまして、工程管理システムやEDCシステムを構築して、ワークフローを確立してございます。後ほど、さらに御説明させていただきます。
 第3に、データ利活用システムの本格運用に向けた開発ということで、同意情報を適切に管理し、安全かつ適切に利用者がデータにアクセスできる環境を構築しております。
 これをもちまして、データ利活用システムの本格運用を開始し、事業実施準備室と協力して、プレ検索機能の提供を実施しております。
 まず、同意取得の状況につきましては、繰り返しますが、研究機関や企業への第三者提供を可能とするということで、その目標に向けて、國土班で統一した説明同意文書を作成して、同意取得を進めております。
 先行研究におきましては、既存検体を解析するためにオプトアウトで解析を実施してまいりましたが、令和5年度以降の本研究においては、統一した説明同意書に基づく症例登録を開始しておりまして、オプトイン症例の受入れが進んでいるという状況でございます。
 また、一方で、来院頻度の低い患者さんや遠隔地から通院する患者さんからの同意取得が進みにくいことが課題となっておりまして、この課題を解決するために、電磁的な同意などの方策を検討・準備中でございます。
 次に、臨床情報の収集につきましては、必須項目を設定しておりまして、疾患名、年齢、性別、家計情報など、疾患の種類にかかわらず、共通の必須の項目が決められております。これらは、症例登録時にシステムへ登録していただくことになっております。
 これに加えまして、共通項目として、既往症・合併症・検査結果・遺伝学検査・生活習慣などの共通項目を設定しておりまして、症例登録の後に、ウェブアプリから入力できるよう、EDCと呼ばれるシステムを構築して、運用をしております。
 さらに、並行して、電子カルテから直接取得するDDC方式も現在開発中であります。
 これらのフォーマットは、2種類の国際標準フォーマットに、つまり、OMOP/CDMと呼ばれるデータ利活用プラットフォームや、CDISCと呼ばれる臨床情報、臨床試験への国際的な標準フォーマットに対応できるような変換できる形となっております。
 臨床情報の収集につきましては、基本臨床情報は症例登録時に登録されるわけですが、追加の臨床情報共通項目は、EDCシステムを使って登録できるように運用を開始しております。
 1つの特徴は、こちらで見られますように、事務局担当者と協力医療機関の医師が、このシステム上で、入力内容の確認、修正依頼、データ固定をできるような機能を実装しているということでございます。
 登録状況、現状までの概要を示した図でございますけれども、詳細は省かせていただきますが、このように視覚疾患、腎・泌尿器疾患、神経・筋疾患、消化器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患といった症例、そして、未診断疾患、未診断の患者さんの解析もかなりの数を実施しているということが分かると思います。
 合計しいたしますと、令和5年度以降、9,323症例、目標数を上回る症例の解析が行われております。
 また、可能な場合は御両親にも検体を提供していただいていますので、合計の検体数は1万2000を上回る数になっております。
 さらに、研究開発を高度化するために、解析技術の高度化や医療実装など、専門的な事項を検討・実施するためのワーキンググループの活動を令和6年度から開始しております。
 まず、第1に、国立国際医療研究センターの三宅先生をリーダーとする未診断疾患ワーキンググループにおきましては、未診断疾患解析のバリアント検討・報告書の在り方についての議論を行っていただいております。
 次に、名古屋大学の荻先生がリーダーとなって、ロングリードの解析ワーキンググループが設置され、このロングリード解析を難病ゲノム検査に実装する上でのSOPやワークフローの構築を行っていただいております。
 また、臨床情報につきましては、聖マリアンナ医大の山野先生がリーダーとなって、本研究で収集する臨床情報の項目や収集方法のSOPを検討いただいております。
 さらに、EDCシステムの仕様や運用を実施していただいております。
 最後に、慶應大学の小崎先生には、医療実装連携ワーキンググループのリーダーとなっていただき、保険診療によるゲノム解析に対応するために、医療機関が実施した遺伝学的検査の結果を、ゲノム研究と連携するための方策を検討していただいております。
 最後に、全ゲノム解析が有効であった症例3つの症例を御紹介させていただきます。
 この症例は、国立成育医療研究センターの要先生から提供いただいた情報でございますが、御覧のように白色皮膚、銀白色毛髪といった症状をお持ちの患者さんでございます。
 御両親と患者さん、全員のエクソーム解析を行った結果、病的バリアントは特定できなかったと。
 一方で、このたび全ゲノム解析を行ったところ、1塩基の挿入に加えて、イントロンにスプライスの異常を引き起こすバリアントが特定されたということで、この患者さんは、母親より、その1塩基挿入というバリアントを受け取り、また、父親からは、イントロンのバリアントを受け取って、常染色体性の潜性の遺伝形式で診断が確定したという症例でございます。
 第2の例も国立成育医療研究センターの要先生から御提供いただいた症例でございますけれども、精神運動発達遅滞を呈する未解決の症例でございます。
 この患者さんと御両親を全エクソーム解析した結果では、病的バリアントが特定できなかったところ、全ゲノム解析によって、このsnRNA、非コード、タンパクをコードしないRNAに一塩基の挿入バリアントが見いだされて、最終診断としては、これまで知られていなかった新しい知的障害疾患であることが確定したということでございます。
 第3の症例としては、大阪大学の朝野先生に提供をいただいた情報でございますが、複雑な構造異常、大規模な欠失が見いだされたという症例でございます。
 この患者さんは、発達遅延、心房中隔欠損症、肺動脈狭窄等の様々な症状をお持ちの患者さんでございますが、御両親と患者さんの全エクソン解析によっては、病的バリアントが特定できないと。
 一方、いわゆる全ゲノム解析とロングリードの全ゲノム解析も組み合わせて、15番染色体異常に大規模な欠失があると、ここの部分ですが、大規模な欠失があって、さらに複雑な構造変化も検出することができたということで、コピー数多型と逆位変化が生じた病的バリアントの特定が可能になった症例でございます。診断及び検査方針の決定に寄与したという例でございます。
 このように、全ゲノム解析は、着実に成果を上げているという状況でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 以上、がん・難病に関するAMED研究からの報告であります。
 少し司会の不手際で、残り時間が5分程度になってしまいましたけれども、少し時間を、10分程度の超過を許していただければ、今の御発表に対して質問を受けたいと思います。構成員の先生方から御質問はございますでしょうか。
 では、辻井構成員、お願いいたします。
○辻井委員 僕は医療関係のことは、あまりよく分かっていないのですけれども、井元先生のやられた仕事と難病のほうでやられた仕事で、どの程度共通の手法とかが共有できているのかとか、解析システムとしての統合みたいなことを今後考えていくとしたら、そういうことは議論されているのかというのが気になったのですけれども、こういうかなり違った病疾患をカバーするような全ゲノム解析の中核機関をつくるということになると、基本的には各縦型の病疾患研究でやられている共通の手法なりをうまくインテグレートしていって、ボトムアップにやっていると情報システムとしてばらばらになる部分をうまく統合することが、かなり肝心なのかなと思うのですけれども、そういう意味では、各病疾患を研究している解析チームと、情報のシステムをつくっているグループがかなりうまく協力して、全体をつくっていかないと駄目という気がするのですが、そういう統合に向けた話というのは、どれぐらい進んでいるのかということ。
 それから、データの蓄積の容量が、もうパンクしているというので気になったのですけれども、今後、井元先生の話にもありましたけれども、画像の基盤モデルをつくるとか、そういう話になってしまうと、計算資源も物すごくかかり出すでしょうし、ストレージもかなり大きなものが必要になってくると思うのですけれども、今後のAI技術を積極的に活用していこうと思うと、ゲノム解析とそれ以外の解析技術で、AI技術というのが大きな役割を示すと、それに対する対応の仕方というのが、今後問題になっていくと思うのですけれども、そういう議論はされているのでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の点につきましては、井元参考人、御回答いただけますか。
○井元参考人 ありがとうございます。
 まず、ゲノム解析についてお答えします。がん領域と難病領域で用いるゲノムデータ解析のツール、各ツールの設定パラメーター値については、AMED研究が始まる際に、河合先生や徳永先生とよく話し合いまして、共通のツール、共通のパラメーター値を用いて解析は実行しています。
 ただし、がんと難病で異なる解析の部分ももちろんあります。共通にできる部分は全て共通にしております。
 また、ストレージのことについては、非常に逼迫した状況が続いておりますが、コスト面を重視し必要に応じて追加するという戦略を取っています。
 ただし、追加するには競争入札を経て調達しなければなりませんので、単年度会計の中で必要なときに追加するのはかなり難易度の高いものになります。非常に苦労しております。AI基盤に関しても、クラウドの利用やGPUスパコンという提供もありますので、そのようなサービスを提供するベンダーと頻繁に話をしております。
 クラウドでは、GPUはかなり枯渇している状況です。AI開発のボトルネックとなり大変な問題だと思っています。これは、今日の資料の中にも記載させていただきました。正直なところ、国を挙げてやらないといけないと思っております。
 以上です。
○辻井委員 どうもありがとうございます。
 こういう中核機関をつくるという話になると、ELSIの話と同じで、かなり強力なチームが中核機関の中に情報関係でいないと、各分野の話も分かるし、それを情報処理の言葉に翻訳して共通部分をうまくつくっていくというのは、かなりの才能のある人が寄っていないとできなくなってくるのではないかと思って聞いていました。
 どうもありがとうございました。
○井元参考人 ありがとうございます。
 そういう方が、事業実施組織に入ってくることが大切だと思っています。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 葛西参与、お願いします。
○葛西参与 ありがとうございます。
 もう時間も過ぎていますので手短に、AMED研究の内容をいろいろお話しいただいて、私が気になるのは、AMED研究は、次回で結構なので、中間評価の評価を評価委員会がやられているか、もしやっているのであれば、その評価結果をいただきたいと思います。
 もう一つが、いろいろなシステムを結構つくっているのですね、ネオアンチゲンですらAIが関係しますし、井元先生はテクノロジストの領域が強いのですけれども、テクノロジーは、実は僕の感覚ですと、医療よりはるかに数十倍以上、数百倍ぐらい規制があります。
 それで、せっかくおつくりになったものは、実は保険収載で使えないとか、もしくは実臨床で使おうとすると、セキュリティ上耐えられないとか、いろいろな問題が発生する可能性があるのです。
 その際に、本来は、私はそこのゲートキーパーで、厚労省の参与ですから、厚労省の実臨床もしくは実制度にビルトインするときに、本来は厚労省側でテクニカルレビューをするべきなのです。出口は、AMEDの方も聞いていらっしゃるかもしれないのですけれども、企業にお金を出してもらって何かを使っていただくことも大事なのですが、医療の世界は、やはり制度でできていますから、最終的には厚労省の何らかの保険収載とか社会保険を使うというところで、規制がかかってしまいます。
 そうなると、例えば、クラウドを使うにしても、クラウドの安全性評価もしくはAIにしてもAIの安全性評価、私のいる機構がやっていますけれども、そういったものをクリアしていないと使えないのです。そういうブラックボックス状態で一生懸命つくって成果が出ましたって言っても、それは社会に成果にならないので、そういうテクニカルレビューを、実は厚労省のほか部局がやっているのです。私が最終的に、NDBとかもテクニカルレビューをして、それで社会実装してくということになるのですが、その出口をちゃんと厚労省側がAMEDに、厚労省のテクニカルレビューを経て社会実装してくわけだから、そこで必要な要件とか、そこで必要な技術的規制というものを理解して、やはりAMEDにつくってもらわないと、何も使えなくなってしまうので、そこを厚労省とAMEDの間できちんと調整していただきたいなと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 最初の中間評価について、芳賀次長からありますか。
○芳賀参考人 葛西参与、ありがとうございます。
 先行で研究していた研究班については一旦研究が終了しておりますので、事後評価というものをしてございます。
 現在進行中の研究班については、まだ終了していないのでという状態でございます。
○中釜委員長 最初の点について、よろしいでしょうか。
 2点目の、いわゆる医療実装、MRD、ネオアンチゲンを含めた医療実装の際の厚労省と、規制等のところのテクニカルレビュー等に関しては、厚労省から何か回答はありますか。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 御指摘ありがとうございます。事務局でございます。
 実装されるに当たっての必要な規制等々については、もちろんその案件ごとに対応は異なろうかと思いますので、必要に応じて対応したいと思います。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問はございますか。
 私から上野参考人に1点質問なのですが、資料27ページのホールゲノムとパネルの検査を比較した資料があったかと思うのですけれども、その中で、例えば、1つの事例で、ホールゲノムでしかできなかったものというのが、3、4割あったかと思うのですが、この中で診断や治療薬の提案ができた事例というのは、どのくらいあったのかということは、今、お答えできますでしょうか。教えていただければと思いました。
○上野参考人 ホールゲノムのみというものに関しましては、主には診断のほうで有用であるということで、それは、先ほど、前のほうの資料にありますとおり、診断の部分に関しましては、特にストラクチャルバリアントのフュージョン等を含めた遺伝子の変化というところで有用性が出てきておりますので、その辺りに関しましては、ホールゲノムのほうが、やはりメリットがあったと言えると思います。
 以上です。
○中釜委員長 分かりました。診断においてホールゲノムが役立ったケースがあるという理解でよろしいですかね。
○上野参考人 はい。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議題2については、以上とさせていただきます。
 最後に議題3「その他」について、事務局からお願いいたします。
○松浦研究開発政策課医療イノベーション推進室長 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、委員長と御相談の上、追って御連絡いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日、委員長の不手際で少し時間を超過してしまいましたが、全体としては、スムーズな議事進行、それから貴重な御意見を多数いただき、ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。ありがとうございました。