第17回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)

健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和7年3月21日(金)10:00~12:00

場所

※オンライン開催
新橋ビジネスフォーラム
(東京都港区新橋1-18-21 第一日比谷ビル8F)

議題

(1)がん診療提供体制について
(2)その他

議事

議事内容
 
○がん・疾病対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第17回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めます厚生労働省健康・生活衛生局がん疾病対策課の九十九でございます。
 本検討会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 本日は、14名の構成員の方に御出席いただいております。
 また、本検討会には一般社団法人日本癌治療学会から理事長の吉野孝之参考人、副理事長の調憲参考人、理事の万代昌紀参考人、理事の石川孝参考人、公益社団法人日本放射線腫瘍学会からは理事長の宇野隆参考人、専務理事の溝脇尚志参考人、理事の大野達也参考人、理事の中村和正参考人、公益社団法人日本臨床腫瘍学会理事長の南博信参考人に御出席いただいております。
 それでは、まず日本癌治療学会より、吉野参考人、調参考人、万代参考人、石川参考人の順で、一言御挨拶をお願いいたします。
○吉野参考人 日本癌治療学会理事長の吉野といいます。
 本日はこのような会に参考人として参加させていただく機会を与えていただいてありがとうございます。精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。
○調参考人 癌治療学会の副理事長を務めております調でございます。
 私は、今日はがんの手術に関する発表をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○万代参考人 同じく理事の万代でございます。
 京都大学の産婦人科で婦人科腫瘍の立場から今回参加させていただきました。よろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策推進官 ありがとうございます。
 それでは、進めさせていただきます。続きまして、日本放射線腫瘍学会より宇野参考人、溝脇参考人、大野参考人、中村参考人の順で一言御挨拶をお願いいたします。
○宇野参考人 日本放射線腫瘍学会理事長を務めております宇野隆でございます。
 本日は、放射線治療の立場からお話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○溝脇参考人 同じく日本放射線腫瘍学会の専務理事を務めております京都大学の放射線治療科の溝脇と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○大野参考人 日本放射線腫瘍学会の総務を担当しております群馬大学の大野です。
 本日はよろしくお願いいたします。
○中村参考人 日本放射線腫瘍学会の理事をさせていただいております浜松医科大学の中村です。
 私はデータベース委員会の委員長をさせていただいていますので、その立場で参加させていただいております。本日はよろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策推進官 ありがとうございました。
 続きまして、日本臨床腫瘍学会より南参考人、一言御挨拶をお願いいたします。
○南参考人 公益社団法人日本臨床腫瘍学会の南と申します。
 ふだんは神戸大学で仕事をしています。良質ながん医療、レベルの高いがん医療を持続させるためにこのような均てん化、それから集約化の議論は非常に重要だと考えております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策推進官 ありがとうございました。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、資料1から資料5まで、参考資料1から2までがございますので御確認いただければと思います。
 なお、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 本日の議題としましては、「がん診療提供体制について」「その他」を予定してございます。
 それでは、この後の進行は土岐座長にお願いいたします。
○土岐座長 それでは、早速始めたいと思いますが、本日は多くの参考人の先生方に各学会から参加いただきましてありがとうございます。また、非常に限られた時間でできる限り多くの先生方の御意見を頂戴したいと思いますので、迅速に進めていきたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、議題1「がん診療提供体制について」に移りたいと思います。
 まずは、資料1と資料2について事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
 それでは、お手元の資料1を御覧ください。
 ページをめくっていただきまして、本日はこちらのテーマについて御説明を申し上げます。
 1ページめくっていただきまして、まずこちらは前回の検討会でもお出ししたものでございますが、第4期がん対策推進基本計画においてがん医療提供体制の集約化・均てん化について、国は都道府県がん診療連携協議会等に対し、好事例の共有やほかの地域や医療機関との比較が可能となるような検討に必要なデータの提供などの技術的支援を行うこととしております。
 次のページを御覧ください。
 こちらは、そもそも都道府県協議会の役割がどうなっているかということでございまして、「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」の抜粋を示したものでございます。黒字のところを読み上げますが、「都道府県の全ての拠点病院等は、協働して都道府県協議会を設置し、都道府県拠点病院は中心的な役割を担うとともに、他の拠点病院等は都道府県協議会の運営に主体的に参画すること。また、拠点病院等の他、地域におけるがん医療を担う者、行政、患者団体等の関係団体にも積極的な関与を求めること。」としております。
 この都道府県協議会の主な役割としまして(2)の1番のところでありますが、「地域の実状に応じて、以下のアからケを参考に医療機関間の連携が必要な医療等について、都道府県内の各拠点病院等及び他のがん診療を担う医療機関における役割分担を整理・明確化し、その内容を関係者間で共有するとともに広く周知すること。」となっております。
 具体的にはアですが、一部の限定的な医療機関でのみ実施される薬物療法、イは集約化することにより予後の改善が見込まれる手術療法、ウは強度変調放射線療法や密封小線源療法、専用治療病室を要する核医学治療等の放射線治療、高度で特殊な画像下治療などを挙げているところでございます。
 次のページをお願いします。
 同じく整備指針の続きでございますが、「マル3都道府県内の拠点病院等の院内がん登録のデータやがん診療、緩和ケア、相談支援等の実績等を共有、分析、評価、公表等を行うこと。その上で、各都道府県とも連携し、Quality Indicatorを積極的に利用するなど、都道府県全体のがん医療の質を向上させるための具体的な計画を立案・実行すること。併せて、院内がん登録実務者の支援を含めて都道府県内のがん関連情報収集や利活用等の推進に取り組むこと。」
 マル5番ですが、「当該都道府県における特定機能病院である拠点病院等と連携し、地域におけるがん診療に従事する診療従事者の育成及び適正配置に向けた調整を行うこと。」となっております。
 その他、マル7番ですが、「当該都道府県内の医療機関における診療、がん相談支援センター、在宅医療等へのアクセスについて情報を集約し、医療機関間で共有するとともに、冊子やホームページ等で分かりやすく広報すること」とこういった役割が定められているところでございます。
 次のページをお願いします。
 こちらは前回の12月にもお示ししたものでございますが、改めましてなぜそもそもこの均てん化・集約化の議論をする必要があるのかという背景になりますので、ポイントを御説明いたします。
 1ポツ目でございますが、「我が国においては、2040年には、85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見込まれる。85歳以上の急性期における入院は、若年者と比べ、がん治療等の医療資源を多く要する手術を実施するものは少ないという特徴がある。また、85歳以上のがん患者における手術療法、化学療法及び放射線治療を実施する割合は、いずれも低下する。」となっております。
 また、2ポツ目ですが、「新たな地域医療構想における議論では、急性期に関する医療について、「地域の医療需要や医療資源などを踏まえながら、持続可能な医療従事者の働き方や医療の質及び患者の医療機関へのアクセスを確保する観点から、地域毎に必要な連携・再編・集約を進め、医療機関において一定の症例数を集約化して対応する地域の拠点として対応出来る医療機関を確保することが求められる」とされております。
 また、3ポツ目ですが、「がんについては、推計外来がん患者数は増加しているものの、推計入院がん患者数は減少している状況」でございます。「今後も、医療需要の変化や低侵襲治療の割合の増加等により、推計入院がん患者数の減少が見込まれる。」という背景があるところでございます。
 次のページをお願いします。
 前回の検討会で合意された「対応の方向性」としましては、「今後学会等の意見も聞きながら」、こちらは今回これから御発表いただきますが、「現状の分析も踏まえて持続可能な医療提供体制となるよう、均てん化に取り組む医療と集約化に取り組む医療について一定の考え方の整理を行う。」となってございます。
 次のページをお願いします。
 こちらは皆様に御意見をいただきたいところですが、今後の本検討会のスケジュール案になってございます。
 まず今回第17回でございますが、がん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方等について御説明いたします。それに沿いまして、手術療法について日本癌治療学会様より、薬物療法について日本臨床腫瘍学会様より、放射線治療について日本放射線腫瘍学会様より御発表いただきます。
 その上で、がん医療提供体制の均てん化・集約化に関する議論の整理、こちらは今後発出を予定しております通知の骨格となるものですが、こちらについてもお示ししますので御意見をいただければと思っておりまして、6月頃にがん医療提供体制の均てん化・集約化に関する議論の整理を改めて行った上で、これらの議論も踏まえてがん医療提供体制の均てん化・集約化に関する通知を夏頃に都道府県に発出する予定と考えてございます。
 次のページをお開きください。
 こちらは今まで申し上げました今後の通知の骨格となるような骨子についてお示ししたものでございますが、資料2のほうで説明いたしますのでここでは説明は割愛いたします。
 次のページをお願いします。
 こちらは、2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方についてお示ししたものでございます。まず、これまで学会の皆様に事前に御意見をいろいろと伺ったところ、主にこの均てん化・集約化に係る考え方については「医療需給の観点」と「医療技術の観点」という2つの軸があるのかなと考えてございます。
 まずAの「医療需給の観点」でございますが、医療需要については患者数の多いがん、または患者数の少ないがんという考え方がございまして、医療提供体制、これは医療従事者や医療施設設備がありますけれども、医療資源が比較的少ないもの、医療資源が比較的多いものと分かれると思います。
 それで、この需給の観点から集約化を検討すべき医療としましては、例えばマル1番の医療需要が多い一方で、医療提供体制は必ずしも充足していない医療や、マル3番の医療提供体制は充足しているが、医療需要が少ないため、非効率な医療提供体制となる医療、こういったものは明らかにミスマッチが起きている状況ではございますが、マル2番は患者数が少ない、かつ医療資源が比較的少ないところではございますが、医療資源の散在により医療需要と医療提供体制のアンバランスが生じる可能性がある医療ということで、これらマル1、マル2、マル3、いずれも集約化が必要な医療の対象ではないかというふうに整理してございます。
 続きまして「医療技術の観点」でございます。こちらも学会様の御意見をいただきまして整理したものでございますが、医療技術の観点から集約を検討すべき医療としましては、例えば技術の性質に関していいますと、新たなモダリティーを用いた診断・治療であったり、または長期の修練を要したりする外科技術等が挙げられるかと考えております。
 また、特殊な設備の必要性について、例えば特殊な放射線治療設備等、そういったものに関しましてはより集約化が必要なのではないかと考えてございます。
 次のページをお願いします。
 こういった考え方に基づきまして、改めて前回お示ししたこの三角形のスライドにありますが、一番上のところが都道府県またはさらに広域での集約化の検討が必要な医療、こちらに関しまして想定される提供主体としましては国立がん研究センターや国立成育医療研究センター、または都道府県がん診療連携拠点病院、大学病院本院等が考えられます。また、地域の実情によっては地域がん診療連携拠点病院等も入ってくるかと考えております。
 また、真ん中のところですが、こちらはがん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療ということで、想定される提供主体としましてはがん診療連携拠点病院等、こちらも地域の実情によってはそれ以外の医療機関も入ってくると考えます。
 3段目ですが、均てん化が望ましい医療、こちらは患者様にとって身近な診療所等が提供される主体と考えますが、右のところに均てん化・集約化の考え方を改めて示してございます。
 先ほどの内容と少し重なりますが、まず(医療技術の観点)ですが、「がん医療に係る一連のプロセスである「診断、治療方針の決定」に高度な判断を要する場合や、「治療、支持療法・緩和ケア」において、新規性があり、一般的・標準的とは言えない治療法や、高度な医療技術が必要であり、拠点化して症例数の集積が必要な医療。」
 また、「診断や治療に高額な医療機器や専用設備等の導入及び維持が必要であるため、効率性の観点から症例数の集積及び医療資源の集約化が望ましい医療。」
 また、(医療需給の観点)でございますが、「症例数が少ない場合や専門医等の医療従事者が不足している診療領域等、効率性の観点から集約化が望ましい医療。」
 ただし、こちらは注で書いておりますが、緊急性の高い医療で搬送時間が重視される医療等、患者様の医療機関へのアクセスを確保する観点も十分留意する必要があると考えております。
 また、均てん化のところでございますが、考え方としましては、がん予防や高齢化、またはがんとの共生等の観点からできる限り多くの医療機関(診療所等)で対応が可能であることが望ましい医療というふうに考えてございます。
 続きまして、資料2を御覧ください。
 まず「はじめに」のところです。これは、これまで申し上げてきましたものですのでかいつまんで御説明させていただきますが、この骨子案です。
 がんは昭和56年より死因の第1位でありまして、昭和59年に策定された「対がん10カ年総合戦略」等に基づき、がん対策に取り組んでまいりました。
 1つ目のポツのところでございます。平成18年6月にがん対策基本法が制定されまして、平成19年6月には基本法に基づき「がん対策推進基本計画」が策定されてございます。
 2つ目のポツでございますが、この基本計画に基づきましてがん対策を総合的に推進してまいりました。がん診療連携拠点病院等を整備し、がん患者等がその居住する地域にかかわらず、等しくそのがんの状態に応じた適切ながん医療や支援等を受けられるよう、がん医療の均てん化を進めてまいりました。
 3つ目のポツですが、令和5年3月に策定されました第4期がん対策推進基本計画がございます。こちらに関しまして医療のところですが、「それぞれのがんの特性に応じたがん医療の均てん化・集約化を進め、効率的かつ持続可能ながん医療を提供することで、がん生存率を向上させ、がん死亡率を減少させる。」としております。
 4つ目のポツでございますが、2040年に向けて、先ほどこれは申し上げましたが、我が国では85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が進む中で、医療従事者の確保、また地域の必要な医療機能の確保といった課題が顕在化しておりまして、「新たな地域医療構想等に関する検討会」において、新たな地域医療構想に関する取りまとめ及び医師偏在対策に関する取りまとめがまとまったところでございます。がん医療提供体制においても、85歳以上の高齢者人口が増加する2040年を見据え、持続可能ながん医療提供体制の確立は喫緊の課題となってございます。
 1ページおめくりいただきまして、こちらは割愛しますが、この第4期基本計画で国の役割としまして必要なデータの提供等、技術的支援を行うことと書いております。
 それで、最後のポツですけれども、こうした中で令和6年12月より本検討会を開催しておりまして、2040年を見据えたがん医療提供体制の構築について議論を行っているところでございます。
 3ページ目をおめくりください。
 「がん医療提供体制について」ですが、(現状と課題)につきましては先ほどパワーポイントで説明しましたので省略いたしますが、繰り返しですが、我が国においては2040年には85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が一層進むことが見込まれる。また、推計入院がん患者数は増加しているものの、推計入院がん患者数は減少している状況であるといったところを書いております。
 また、(今後の方向性)のところですが、これもパワーポイントで説明済みでございますが、2040年を見据えて地域の実情に応じて均てん化を推進するとともに、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進する必要があると書いてございます。
 次のページをおめくりください。
 「がん医療提供体制の均てん化・集約化について」、こちらが本日のメインかと思いますが、1)の2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方につきましては、本日の検討会の議論を踏まえて記載しますので、こちらは一旦空白にしております。
 それで、本日の検討会で特に御意見をいただきたいのは2)のところになりまして、都道府県がん診療連携協議会でのがん医療提供体制の均てん化・集約化の進め方について示したものでございます。こちらは読み上げていきます。
 「マル1都道府県協議会の体制」ですが、1ポツ目に「都道府県がん診療連携拠点病院は、事務局として主体的に都道府県協議会の運営を担う。また、都道府県も事務局に参画し、拠点病院等と連携する。」
 2ポツ目ですが、「都道府県は、拠点病院等と連携し、都道府県協議会における協議を推進する。」
 3ポツ目ですが、「都道府県協議会には、拠点病院等、地域におけるがん医療を担う者、患者団体等の関係団体に幅広く積極的な参画を求める。」としております。
 マル2は都道府県協議会での具体的な協議事項でございます。
 1ポツ目、「別途国から提供する2040年までの人口推計と都道府県内・がん医療圏内の 将来のがん患者数、院内がん登録等のデータ、及び3.1)2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方等を踏まえ、将来の医療需要から都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療の具体について分析する。また、がん種ごとにがん医療提供体制の均てん化・集約化を議論し、都道府県内で役割分担する医療機関について整理・明確化する。」
 さらには、2ポツ目に「都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療について、均てん化・集約化の推進状況(受療動向の変化等)を院内がん登録等の情報を用いて継続的にフォローアップする。」
 3ポツ目は前回も議論になりましたが、「空白のがん医療圏を中心に、がん医療圏の見直しや病院機能再編等による拠点病院等の整備について検討する。」
 また、4ポツ目、「がん患者が、安全かつ質の高い治療を適切なタイミングでアクセスすることができるよう、都道府県内の個別医療機関ごとの診療実績を院内がん登録等の情報を用いて一元的に発信することを検討する。」としております。
 5ページ目に進んでください。
 「マル3都道府県協議会事務局の役割」でありますが、1ポツ目に「別途国から提供される都道府県協議会での議論に資するデータの整理と都道府県協議会への提供を行う。その際、がん種ごとにがん医療提供体制の均てん化・集約化の議論が出来るように考慮する。」
 2ポツ目ですが、「都道府県内におけるがん医療の均てん化・集約化に係る医療機能の役割分担について必要な調整を行う。」
 3ポツ目ですが、「都道府県内在住のがん患者が、安全かつ質の高い治療を適切なタイミングでアクセスすることができるよう、都道府県内の個別医療機関ごとの適切な一元的情報発信を行う。」としております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○土岐座長 ただいま、資料1、資料2について説明いただきました。こちらについては、後ほど構成員の先生方と一緒に討論していきたいと思います。
 その前に、本日は参考人として参加いただいております各学会の先生方から集約すべき医療の在り方について御発表をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず最初に日本癌治療学会から調参考人より御説明をよろしくお願いいたします
○調参考人 土岐先生、ありがとうございます。
 それでは、資料を共有していただきます。ありがとうございます。
 本日は発表の機会を賜り、心から感謝申し上げます。日本癌治療学会副委員長の調でございます。当学会では、がんの手術に関する報告をさせていただきます。
 次をお願いします。
 2040年を見据えたがん医療の提供体制、特に均てん化と集約化に関するイメージをお示ししています。消化器、呼吸器、乳腺、婦人科、そして泌尿器の手術を検討いたしております。
 スライドで向かって左に三層構造のピラミッド、三角形がありますけれども、1階は患者さんに身近な診療所等で行われるべき医療、2階はがん医療圏または複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療、3階は都道府県またはさらに広域で集約化の検討が必要な医療ということになっております。
 がんの手術が1階で行われることは想定しにくいと思います。通常、2階、3階で行われるものと思います。このうち3階で行われる手術はやはり頻度が比較的低く、なおかつ高度な技術を要する高難度手術、こういったものは手術時間も長く、患者さんに与える侵襲も大きいため、一定の術後合併症や、あるいは術後の死亡というものが報告されております。したがって、経験豊富な外科医が参加をして、術後も高度な管理が可能な施設で行うことが望ましいと思っております。
 3階の手術は消化器、呼吸器、婦人科、乳腺の高難度手術、乳がんは少し違いますけれども、新規性の高い手術が挙げられるかと思います。
 2階は比較的頻度が高い、中から低難度の手術が対象になります。
 スライド、次をお願いいたします。
 集約化の基本的な考えをお示ししております。手術の難度、希少性、施設の体制などの点から、症例数と安全性の関連性が大きな手術と、比較的小さい手術がございます。関連性が大きな手術では集約化を、そして関連性が少ない手術に対しては均衡化が考慮されると思います。
 その上で、地域の実情を検討する必要があります。人口多数地域と少数地域で同じ基準で集約化を進めることは難しく、地方では限られた医療資源の有効配分、都市部では人材活用の効率化に資する集約化が必要と思います。
 その他の集約化の目的や対象として、高難度手術後の管理、そして緊急対応へのマンパワーの確保、医師の育成、そして高度な知識と経験を要する進行がんに対する集学的治療、あるいは専門性の高い知識を要する希少がんなどがあると思います。
 次をお願いいたします。
 2044年までの主ながんの罹患数を示しております。胃、肝臓などが減少する見込みでございますけれども、その他のがんの罹患率の大きな減少はなく、もちろん先ほどお話しがありましたように高齢化の影響はあるものの、2040年まではがんの手術の必要性が極端に減じることはないだろうと予測をしております。
 次をお願いいたします。
 欧米22か国における消化器がんの手術の集約化の状況をお示ししております。表の背景がピンクの数字は集約化の基準が示されている国で、15か国、68%で集約化を規定する症例数が示されておりました。食道、膵臓、肝臓、直腸など、高難度手術を要するがん種が選ばれておりますけれども、一方で症例数に関するコンセンサスはなく、各国の医療事情を考慮して決定されておりました。
 次は、本邦での集約化の状況を見ております。
 向かって一番右のグラフですね。これは施設当たりの手術数の変遷を示しており、食道切除・再建、それと膵頭十二指腸切除は年々手術当たりの手術症例数が増加をしており、既に集約化が進んできている可能性があると感じております。
 次は、日本の消化器外科手術の95%が登録されているNCDのデータから、消化管のがんの手術の集約化について検討しております。各術式は難易度で分類され、高は高難度、中は中難度の手術を示しております。赤字の手術は高難度かつ術後の合併症の発生率が10%を超えるか、あるいは死亡率が2%を超えるものでございます。難度が高く、一定の術後死亡や術後合併症が想定される術式は集約化の対象となり得ると考えております。
 肝胆膵がんの高難度手術に関しても同様な結果でございますので、これは集約化の検討対象となると考えております。
 胃がんや大腸がんの手術の集約化には、慎重な意見もあると思います。これは、左側が胃全摘、右側が直腸がんの低位前方切除に関する論文でございます。いずれも症例の多い施設ほど成績は良好でございまして、胃や直腸がんに対する一部の高難度手術は集約化の対象となり得るのではないかと考えております。
 次は、昨年の医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会に提出をした資料です。高度ながんの手術の成績は症例数の多い施設において良好で、食道がんは20例、胃がんは30例、大腸がんは50例、肝胆膵では高難度手術30例という目安を提案いたしました。
 しかし、スライド上段ですね。左の中央のように、成績の向上は症例数の増加に対応して連続的に見られるために、その症例数に閾値があるわけではありません。
 食道がん手術20例の妥当性を、院内がん登録のデータで検証しております。食道がんでは各都道府県に1つ以上のセンターの配置が望まれますけれども、10例や15例を基準にした場合には、いわゆるハイボリュームセンターがない都道府県が出てまいります。10例以上であれば、全ての都道府県をカバーすることができるということになります。
 食道がんの手術10例以上の施設は、10例未満の施設に比べて術後の成績は良好でございましたので、食道がんの基準として10例というのはある程度の妥当性があるのではないかと感じております。
 同じく高難度、肝胆膵外科年間手術症例数30例以上の施設では膵頭十二指腸切除、あるいは高難度の肝切除という術後成績がやはり良好で、この施設の配置であれば全国をカバーしているということになります。
 入手可能なデータからハイボリュームセンターの数、日本中に存在するハイボリュームセンターの数の推定をいたしますと、食道がん10例以上が90万人に1つ、胃がん30例以上は17万人に1つ、大腸がん50例以上が9.9万人に1つ、肝胆膵高難度手術30例以上は48万人に1施設存在するというふうに推定をされます。
 集約化・均てん化の議論に有用なビッグデータにNCD、院内がん登録、NDB、DPCなどがありまして、都道府県から二次医療圏レベルの検証が可能と思います。成績の向上のためのハイボリュームセンターの基準を必要条件とすれば、地域におけるシミュレーションは十分条件とも言えて、この両者を検証することで適切な集約化の方向が見えてくるものと考えております。
 次は15ページでございます。
 一般的な肺がんや重篤な悪性腫瘍の手術は、2階に位置をしております。3階の高難度手術には、悪性中皮腫に対する手術や肺がんの拡大手術が挙げられています。
 この3階の施設は人口100万人から200万人に1施設、それ以外の2階の施設は30万人から100万人に1施設等が適切と考えております。
 次は乳がんを示しておりますけれども、乳がんの手術の大部分は中難度から低難度で2階に位置をします。
 しかしながら、新規性の高い手術や一部の乳房再建が3階建て、3階に位置する手術として挙げられております。
 乳がんの手術は、手術自体は縮小、低侵襲化をしております。ただ、薬物療法の進歩が著しいといったことは特徴でございまして、手術だけでは言えない部分があるのではないかと思います。
 婦人科では、3階で行われる手術は広汎子宮全摘術、そして卵巣、子宮がん、子宮体がんの手術は2階の施設で行われる手術に分類されています。
 婦人科では、学会の修練施設の長期成績に有意性が示されております。
 ただ、産婦人科医は出産や子宮筋腫の手術など、多岐にわたる診療に関わっており、その点を考慮してほしいという御意見がございました。
 続いて、泌尿器でございます。3階の手術として一部の高難度手術、2階の手術としては最も手術数の多いロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術が挙げられます。
 3階で行われるべき高難度手術でございますけれども、最も多いものでも2,000例と頻度が割と低いことがあります。そういったことで、集約化は可能ではないかと考えられます。
 一番下に示しております術後の尿路の管理といったものは、1階レベルの診療所で施行が望ましいと思います。
 2040年には、消化器外科の医師数は現在の60%まで減少するというふうに予測されています。外科医を増やすために労働環境の改善が必要でございますけれども、集約化は一つのその方策になり得ると考えております。
 産婦人科では一時期、医師が減少する厳しい状況でございましたけれども、お産の施設を集約化することで施設当たりの常勤医の増加、あるいは在院時間の短縮化が見られ、医師数は増加しています。集約化のみならず、様々な改革の結果と思いますけれども、医師の負担軽減ため集約化は施策の一つとなり得るのではないかと考えております。
 以上、まとめでございます。
 消化器外科、婦人科においては高度な技術を要する手術は施設の規模がその成績に影響を与えるということがnationwideのデータを基に示されております。また、呼吸器、泌尿器においても、専門性の高い施設で行われるべき高難度手術が存在することが分かりました。特に比較的頻度の低い高難度手術に関しては、専門的な施設における施行を念頭に置いた集約化が望ましいと考えております。
 こちらは、事前にお配りしたものを少し変更しております。大変申し訳ございません。おわびを申し上げます。
 そして、それ以降、乳腺では新規性の高い手術、乳房再建の一部が集約化の対象となり得ると思います。
 頻度が高い中難度以下の手術に関しては、均てん化を検討する必要がございます。
 手術の集約化には、最終的には患者さんの施設へのアクセシビリティー、地域の医療資源、そして医師の業務の範囲、医師・医師以外のメディカル・スタッフ数、病床数等の医療提供側の状況に基づいた検討が必要と考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございました。
 ただいま、日本癌治療学会より手術療法に関する2040年を見据えた医療の均てん化・集約化に取り組むべき医療についての説明をしていただきました。本日、3学会から説明していただいた後に一括して質疑応答を受けたいと思いますので、次の日本放射線腫瘍学会のほうに移りたいと思います。
 それでは、宇野参考人よろしくお願いいたします。
○宇野参考人 よろしくお願いいたします。
 それでは、資料をよろしくお願いいたします。
 次をお願いいたします。
 日本放射線腫瘍学会では、一番上の段の【都道府県又は更に広域での集約化の検討が必要な医療】として、粒子線治療とBNCT、そして【都道府県で集約化の検討が必要な医療】として専用病室を要するRI内用療法及び密封小線源治療(組織内照射)を挙げています。
 中段の【がん医療圏又は複数のがん医療圏単位での集約化の検討が必要な医療】として、IMRTのような精度の高い放射線治療、IMRT以外の外部照射、密封小線源治療(腔内照射)、そして外来・特別措置病室でのRI内用療法を挙げています。
 次をお願いいたします。
 放射線治療患者数はがん罹患数の25%を超える程度で、罹患数と並行して増加してきました。現在、罹患数は約100万人に対して27万人となっています。がん罹患数は2040年までは増加傾向にあり、また、高齢化率が高まることを考えれば放射線治療の必要性はまだ高まると考えております。
 次をお願いいたします。
 放射線治療を受ける患者の年齢層は、就労期女性の乳がん、子宮頸がん以外は高齢者層が多くを占めます。厚労省の資料にもありましたが、今後高齢者の割合、そして実数が増えることからも、放射線治療患者数は減らないものと思われます。
 次をお願いいたします。
 このグラフは、医療施設調査の結果を示したものです。放射線治療施設数はわずかに減少傾向となりましたが、IMRTや体幹部定位放射線治療など、高精度放射線治療を行う施設数は増加してきています。
 次をお願いいたします。
 患者の集約化による医師の経験蓄積と、それに伴う治療成績の向上や有害事象発生率の減少については、症例数の多い施設と少ない施設で根治的放射線治療を受けた患者のアウトカムを比較した海外からの系統的レビューとメタ解析があり、ほとんどのがん腫で症例数と患者アウトカムとの間に関連性が示されています。特に、頭頸部がんと前立腺がんとでは強い関連が示されています。
 症例数とアウトカムの関連性が強いがんについては、放射線治療の集約化を検討する必要がありますが、公平なアクセスへの影響も考慮する必要があるとしています。症例数の多い施設での高精度放射線治療における臓器輪郭設定や小線源治療など、複雑な手技における高い専門性が良好なアウトカムにつながっていると考察しています。
 次をお願いいたします。
 日本でも食道がんに対する放射線治療後の5年後生存率は、年間治療患者数が多いほど良好であったことが示されています。
 次をお願いいたします。
 こちらは海外のデータですが、前立腺がんの外部照射において年間治療患者数の多い施設群で治療成績が有意に良好であったことが示されています。
 次をお願いします。
 こちらは直接の比較ではありませんが、日本のアカデミック施設が集まり、体幹部定位放射線治療という高精度技術で照射すると、I期非小細胞肺がんに対する放射線治療成績が従来より大きく向上したことが示されています。
 次をお願いいたします。
 このグラフは、乳がんに対する推奨グレードAの術後照射の実施率が年間症例数や認定施設かどうかによって差が見られることを示しています。左側は手術件数が多い施設ほど標準的な術後照射の実施率が高いことを、右側は拠点病院ではそれ以外と、認定施設ではそれ以外と比較して標準的な術後照射の実施率が高いことを示しています。
 次をお願いいたします。
 高額な放射線治療装置の設置・メンテナンス、機器更新と、それに伴う採算性の課題についてお話をいたします。資料は、学会による全国構造調査結果です。
 マル1番目は、日本の半数近くの放射線治療施設は年間新患放射線治療患者数が200名以下と、小規模であることが分かります。
 次をお願いいたします。
 この15年間で外照射の診療報酬は横ばいであるのに対して、機器本体及びメンテナンス価格が約3倍に高騰してきています。
 次をお願いいたします。
 外照射の患者数と収益性ですが、以前は人件費を除けば年間150~200名治療をすれば償却できていましたが、機器の高騰により極めて収支が悪化してきています。現在、年間200名以下の規模の病院では収益性を保つことが困難になりつつあります。装置の更新を諦め、放射線治療をやめる施設が出てきています。
 スライドをお願いいたします。
 放射線治療専門医数です。現在1,440名程度で、わずかずつではありますが、増加してきております。
 スライドをお願いいたします。
 放射線治療専門医の育成システムです。卒後初期研修に進む医師が今年は9,500名超いますが、放射線科専攻医となるのはこのうち3%強の300~350名程度となります。そのうち、放射線治療専門医を目指した3年間のサブスペ研修に進むのが50名程度です。放射線治療専門医数としては引退分を差し引き、年間40~50名の増加となっています。
 スライドをお願いいたします。
 日本の放射線治療施設と人員とを表にしたものです。施設当たりの常勤医数が1.6名と少ないことが特徴です。また、施設当たりの医学物理士数も非常に少ない状況です。
 次をお願いいたします。
 こちらは、各国の一施設当たりの外照射装置数を示しています。日本は施設当たりの治療装置が先進国の中で最も少ない1.24台となっています。世界で最も治療施設が分散して存在することが分かります。
 スライドをお願いいたします。
 続いて、RI内用療法の目標とすべき提供体制の違いです。RI専用病室が必要な甲状腺がんヨード131治療等ではRI専用病室を新たに建築するには非常に高額な費用が必要であるため現実的に難しく、都道府県、または複数の都道府県単位で確保すべき医療と考えます。
 一方、外来・特別措置病室で実施できるRa-223、Lu-177-PSMA等のRI内用療法は今後さらに適応が広がる可能性があり、また、特別措置病室の設置は放射線治療病室の建設ほど高額な費用は必要でないため、がん診療連携拠点病院等が中心となることが想定されます。
 次をお願いいたします。
 「集約化における基本的な考え方」をまとめます。
 放射線治療では設備投資に多額の費用が必要であり、そのメンテナンス費用も高額であることが他の治療法との大きな違いです。質の高いがん医療の提供を持続可能とするため、莫大な初期投資が必要な粒子線やBNCT、高額な設備投資と定期的な更新が必要なX線治療装置、RI内用療法、密封小線源治療の集約化がそれぞれ検討されるべきと考えます。
 専門医や物理士の効率的な配置、放射線治療の品質管理と治療成績、高額な放射線治療装置の設置・メンテナンス、機器更新とそれに伴う採算性・治療患者数を考慮する必要があります。
 人口密集地域においては、高額な医療機器や専用の設備の有機的・効率的な使用のための集約化を検討する必要があります。
 一方、年間治療症例数が少ない人口少数地域においては、放射線治療装置の収益が不十分でも自院、あるいは近隣の病院でがん治療を行っている限り、通常の放射線治療や骨転移等の緩和照射、転移による脊髄圧迫に対する緊急照射等を行う必要があります。患者のアクセスも踏まえ、現在の小規模施設をある程度の医療圏に集約した放射線治療施設は必要となると思われます。
 次ですが、以上となります。以下の資料は繰り返しになりますので、ここまでが放射線腫瘍学会の考えとなります。
 ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございました。大変分かりやすい説明を頂戴したように思います。
 それでは、続きまして日本臨床腫瘍学会より薬物療法に関しまして南参考人より御発表をよろしくお願いいたします。
○南参考人 それでは、スライドの共有をお願いします。
 日本臨床腫瘍学会として、薬物療法に関しまして診療提供体制を考えてみました。
 進めてください。
 これが結論になりますが、診断に関しましては都道府県あるいはさらに広域での集約が必要なものとして、病理診断のうちセントラル病理診断等を活用する小児がん・希少がんの診断を分類しました。それからセカンドオピニオン等は都道府県単位、あるいは地域の実情によってはそれ以外の医療機関に集約するのが望ましいと思います。
 一方、一般的な診断は拠点病院クラス、検診は地域の医療機関ということになるかと思います。
 薬物療法ですが、都道府県単位、あるいはそれをまたいだ集約化の対象となるのが小児がんの薬物療法、治癒を目指した希少がんの薬物療法で、都道府県単位で集約化の検討が必要と思われるのは合併症を持つ場合など高度な薬物療法などですが、具体的な薬物療法を挙げたら切りがないということと、非常に進歩が早い領域ですので15年先の薬物療法については、今この時点で一概に申し上げることはちょっと困難であることを申し上げておきます。
 それから、今、問題になっていますのはゲノム医療で、エキスパートパネルで推奨されたものの保険適応外などの理由で使用しにくい薬物治療です。これは今回の会議で決められるものではなく、日本全体の保険診療の制度とリンクして考える必要があると思いますが、これを少なくとも都道府県単位では実施できるようにしていくことが望まれると考えています。
 治療のセカンドオピニオンは都道府県単位で受けられる必要があると思います。
 T-cell engagerなどの特殊な二重特異性抗体をここに分類してあります。このT-cell engager、二重特異性抗体に関しましてはまた後で御説明します。
 同種造血幹細胞移植、CAR-T療法、これも特殊な設備が必要になってきますので都道府県単位あるいはそれに準ずる施設に集約するよう分類いたしました。
 その下の地域がん診療連携拠点病院あるいはそれに準ずる施設に集約するのは、がん薬物療法専門医や血液専門医による薬物療法、それからがんゲノム医で、腫瘍循環器診療体制の構築も求められます。
 自己造血幹細胞移植のみをする施設は少ないかもしれませんが、このレベルに分類しました。
 それから、先ほど申し上げたT-cell engager以外の二重特異性抗体をここに分類しています。
 ただ、先ほども申しましたが、薬物療法の進歩が非常に目覚ましいものがありますので、そのときの状況に応じて対応していく必要があるだろうと考えています。
 一方、主に現時点では乳がんを念頭に置いていますが、副作用が軽度の術後内分泌療法に関しましては地域の医療機関での対応がいいと考えています。
 その他ですが、地域がん診療連携拠点病院で妊孕性の温存、それから高リスクの小児がんサバイバーの長期フォローアップ、遺伝性腫瘍の診断を分類し、地域のクリニックレベル以上にがんのリハビリテーション、支持療法、緩和ケア、それから逆に地域に集約したほうがいだろうと思われるのが低リスクのがんサバイバーの長期フォローアップ、HPVなどのワクチン等です。
 この分類をする際に議論になったのは、この3段階の議論では少し無理があるだろうということです。実際にがん診療連携拠点病院に指定されていない病院で多くのがん薬物療法が行われていますので、この3段階に分類するにはそれぞれの関係者に十分周知、議論をしていく必要があるだろうという意見が多数出ました。
 スライドを進めてください。
 それぞれについて考えていきたいと思います。
 先ほど外科治療や放射線治療でも話が出ましたが、日本の人口全体は今後減っていくと予想されていますが、がんが多い高齢者の人口は割合ばかりでなく実数も増えていきますので、治療対象は決して減っていくことはないだろうと考えています。
 スライドを進めてください。
 抗腫瘍薬の処方量をまとめたデータを小児、AYA、成人、高齢者の4つのグラフでお示ししていますが、右下の高齢者のグラフを見ていただきますと、青色のバーが男性、赤色のバーが女性での処方量ですが、高齢者では処方量が増えています。成人期でも女性では増え、男性は横ばいということが分かります。実際に、悪性腫瘍薬の処方とすれば増えていくだろうということが予想できます。
 スライドをお願いいたします。
 診療内容ですが、これは肺がんの診療ガイドラインから引用しています。分子標的薬が盛んに使用されるようになりその割合が増えています。分子標的薬は副作用が比較的軽微でよく効く場合が多いですので、従来、殺細胞性抗がん薬の治療象とならなかったようなPS不良例だとか、高齢者にも治療の適応が広がってきています。したがいまして、がん薬物療法の対象となる患者さんが増えていくということが御理解いただけると思います。
 スライドをお願いいたします。
 集約化のメリットについて御説明したいと思います。これは、我が国である抗悪性腫瘍薬が市販されたとき、上段が最初の適応症で承認されたときの肝障害と手足皮膚反応という副作用の頻度を経時的にまとめたものです。
 遅れて、別のがん腫で承認されました。そのときの肝障害、手足皮膚反応を下段のグラフで示しています。異なった適応ですので、使う医師の診療科が異なっています。市販当初は副作用が頻発し、使い慣れて副作用が減った頃に次の適応が承認されますと、また副作用の頻度が増えていることが分かると思います。
 こういったデータを見ますと、「使う医師が変わると副作用は増える。」と一番下に書きましたが、医療機関だけでなく医師の集約化という観点も必要になってくるのだろうと思います。
 スライドをお願いします。
 「集約化による副作用の軽減」をお示しします。これは海外データになりますが、左側のグラフは最近よく使われるようになった免疫チェックポイント阻害薬の、横軸が各施設の年間症例数、縦軸が副作用、あるいはそれによる死亡です。副作用による死亡は年間症例数が多い施設ほど少ない。重篤な有害事象の発生も少ないということが示されています。
 右側は米国のAML、急性骨髄性白血病の治療開始後入院中の死亡をまとめたデータであります。下の表を見ていただきますと、上段の死亡率が、小規模施設と比べて大規模施設で低い、すなわち、副作用等がしっかり管理できているということになります。症例の集約化が副作用、あるいはそれによる死亡の軽減につながっているということを示しています。
 スライドをお願いします。
 最初の表でCAR-TとかT-cell engager等の説明をいたしましたが、CAR-Tは御存じのとおり患者さんのT細胞に遺伝子を導入して腫瘍細胞特異的に反応するT細胞をつくって患者さんに戻して治療をするものであります。その作用は免役に基づきますので、サイトカインという生理活性物質を出しまして、これが全身の副作用を起こします。CRSと書いてありますが、サイトカイン・リリース・シンドローム、サイトカイン放出症候群の略です。また神経毒性を起こしてICANSを引き起こします。これらの管理には、非常に強力な治療が必要になってきます。特定の医療機関に集約していく必要があるだろうと考えます。
 二重特異性抗体というのは2つの抗原と結合する抗体ですが、大きく分けて2つあります。1つは、T-cell engagerと言われる二重特異性抗体で、これはT細胞と腫瘍細胞と結合するよう作成された抗体薬であります。片方でT細胞と結合し、もう片方で腫瘍細胞と結合し、2つの細胞を会合させることにより、T細胞が腫瘍細胞を攻撃します。T細胞が攻撃しますので免役による作用であり、CRS、神経障害が同様に起きますので、CAR-Tと同様の副作用管理が必要となります。一方でT細胞と結合しないT-cell engagerではない二重特異性抗体はそのような危険は小さいですので、別に考えていく必要があるかと思います。今後、いろいろなタイプの二重特異性抗体が出てきますが、その副作用の程度によって考えていく必要があるかと思います。
 スライドを進めてください。
 腫瘍循環器の診療体制が重要だということをこのスライドでお示ししたいと思います。
 従来、アントラサイクリンによる心毒性は非可逆的、一度起こしてしまった心機能低下は治らないと考えられていましたが、最近になって定期的に検査をし、早期発見、早期介入することによって完全に戻る人が11%、部分的に戻る人が71%いる、すわなち早く見つけて治療介入することによって回復する集団があるということが分かってまいりました。
 どのように見つけたらいいか、一般的には左室駆出率(LVEF)を超音波検査等で評価しますが、循環器の領域ではLVEFよりもGLSのほうが早期に発見できると言われています。
 右のグラフの真ん中ですが、LVEFがまだ低下する前からGLSの変化が見られています。このような検査をどう解釈し、臨床で使っていくかは、やはり循環器の先生と腫瘍医とが密に協力していく体制が必要になってまいります。
 スライドをお願いします。
 心毒性を起こすのはアントラサイクリンだけではありません。最近よく使われている分子標的薬でもおきます。一番左側はBRAF阻害薬とMEK阻害薬の心毒性の頻度を棒グラフで示しています。真ん中はスニチニブで、心収縮力が低下した後、中止すると回復することを示しています。カルフィルゾミブというのは多発性骨髄腫で使用する薬物ですが、半分近くで心毒性が見られる。やはり腫瘍循環器体制の構築が、がんを診療する、少なくとも薬物療法をする病院では求められていくものと思います。
 スライドをお願いします。
 血管新生阻害薬、抗VEGF療法では血圧が上がりますが、これは薬理作用に基づくものです。したがいまして、血圧が上昇した人ほど治療成績が良いということが複数のがん腫で示されています。血圧上昇したからといって抗VEGF薬の用量を減らすのではなく、降圧薬を2剤、3剤併用しながら治療強度を保つことが患者さんのメリットにつながります。これを見ますと、腫瘍医は2剤くらいまでは降圧薬を使えると思いますが、3剤目になりますと循環器の先生との協力が必要になってくることが分かります。
 スライドをお願いします。
 これは血栓症ですが、これから使われるようになりますアミバンタマブとラゼルチニブの併用が、EGFR変異陽性の非小細胞肺癌に対し標準的に使われていますオシメルチニブに治療成績は勝りましたが、静脈血栓症が37%で起こします。それからCMLでT315I変異が出ますと、ほかのTKIはほとんど効きませんが、ポナチニブだけが有効です。ところが、ポナチニブを5年使っていますと、冠動脈の抹消動脈閉塞、すなわち狭心症や心筋梗塞が4人に1人で起きてまいります。循環器の先生との協力が必要ということが御理解いただけると思います。
 スライドをお願いします。
 これらのがん薬物療法を適切に施行するには、薬物療法専門医が関与すべきだと考えています。現時点で1,758名の専門医が認定されていますが、15年後の2040年では3,147名になると予測しています。引退していく医者もいると思われますので、引退している医者の数も予測して計算しました。現在、75歳以上でアクティブに働いている方が専門医の3分の2くらい、70歳以上ですと7割かそれ以上の方がアクティブに働いています。これが続くと仮定しますと、3,000名以上の専門医が確保できます。
 現在の専門医の分布が右の上の表ですが、現在、地域がん診療連携拠点病院に平均で2.5名の専門医が在籍していますが、40年後になりますと4.6名になります。
 都道府県拠点病院では15名、国立がん研究センターでは40名になります。国立がん研究センターの定員が15年間で倍近くになるとも思えませんので、恐らく地域がん診療連携拠点病院に異動してくれるものと考えています。がん薬物療法専門医が関与していくことは可能と考えています。
 スライドをお願いします。
○土岐座長 南先生、ちょっと早めにお願いできますか。
○南参考人 すみません。
 それから、小児がんサバイバーの移行期の診療体制も考慮していく必要があるかと思います。これはうちでのデータですが、ほとんどのサバイバーは合併症が少なくて、1つの診療科で診ておりフォローアップも1年に1回です。
 スライドをお願いいたします。
 こういった方を誰が診ていくか。実際、家庭医が診ていくと長期フォローアップガイドでも示されています。
 スライドをお願いします。
 現状ではそういった患者さんも我々のところへ来ていますが、ぜひこれは地域のかかりつけの先生に加わっていただいて、かかりつけの先生にフォローアップしていただいて、何かあれば総合病院に紹介いただき、そこで各診療科に紹介していく体制が望まれる。この体制を全国で結んでいく必要があると考えています。
 スライドをお願いいたします。
 以上がまとめになりますが、繰り返しになりますので割愛いたします。
 時間をオーバーして失礼いたしました。
○土岐座長 南参考人、どうもありがとうございました。
 それでは、3学会から提示されました手術療法、放射線療法、薬物療法につきまして御質問を頂戴したいと思います。構成員の先生方、いかがですか。
 それでは、天野構成員よろしくお願いします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。私から3点ございます。
 まず1点目が、癌治療学会と臨床腫瘍学会の皆様に御質問です。一部御説明がありましたが、いわゆる経過観察のフォローアップであるとか、あるいは術後、内分泌療法などのお話がありましたが、長期にわたって継続して行う薬物療法ですね。例えば維持療法とかが最近増えていますが、そういった治療というのはどのような医療機関で診ていくべきかということについて、改めてお考えを聞かせていただければということです。
 2点目が、これも癌治療学会と臨床腫瘍学会にお尋ねですが、いわゆる集約化と患者アクセスの両立という観点から、例えば手術と薬物療法を病院間で連携している、例えばA病院では手術を行い、その後の薬物療法はB病院で行っているという例もあると聞いておりますが、そういった手術と薬物療法の病院間の連携というのは今後あり得るのかということについてお考えをお聞かせいただきたいということです。
 最後に3点目、これは放射線腫瘍学会にお尋ねですが、現状放射線治療医であるとか、あるいは放射線治療に関わるメディカル・スタッフが充足していないために、がん診療連携拠点病院が拠点病院を外れるという例がございますが、今後、現在のがん診療連携拠点病院における放射線治療医、あるいは放射線治療に関わるメディカル・スタッフの整備指針というのは海外等と比較して適切なのか、緩和する必要などはないのかということについて御見解があれば教えていただきたいということでございます。
 以上、3点よろしくお願いいたします
○土岐座長 ありがとうございます。
 ちょっと考えていただきながら、次のお二人目の質問を先に受けさせていただいて考えたいと思います。
 藤構成員、よろしくお願いいたします。
○藤構成員 ありがとうございます。藤でございます。
 各学会に小さな質問というわけではございませんが、この集約化を進めていくに当たっては医療現場そのものにも納得感というか、説得力のあるデータを提示しないといけないという気がいたします。経営のことも入ってまいりますし、それは十分お分かりの上で今日はすごく詳しいデータを出していただいてありがとうございました。
 そのときに、やはり各病院とか国民への情報発信ということの在り方、これはいろいろな学会とかで発表されているとは思いますが、このことを国民とか、もっと広い医療機関に発信をしていかないといけないと思いますので、その辺のプランであったり考え方についてお聞かせ願えればと思います。
 それから、今、天野構成員が少しおっしゃいましたけれども、これは手術と放射線と薬物療法だけ別々に集約化をしていっても多分無理なので、そこはすごく大変な仕事になるのは分かって申しますけれども、やはり3学会が将来的には合同で何かこういうことを考えていく。それぞれの部門でいろいろな基準を客観的なものを示していきながら、それをどこかで混ぜ合わせながら、また集約化の議論もしていっていただければと思いますが、その辺りのお考えを聞かせていただければと思います。
 以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、まず天野構成員からの最初の御質問は、手術、化学療法等の維持療法について連携はどうなっているのかということですね。日本癌治療学会様と、それから日本臨床腫瘍学会様にお答えいただきたいと思います。
 癌治療学会のほうはいかがでしょうか。
○吉野参考人 今、薬物療法の維持療法というお話だったと思うのですが、臨床腫瘍学会が答えたほうがいいのかなと思います。
○土岐座長 手術療法のフォローアップ等も含めた。
○吉野参考人 では、ここは調先生のほうからお願いします。
○調参考人 ありがとうございます。
 先ほどちょっとお示ししましたように、外科医の減少というものがあって、やはりそういったことも踏まえると機能分担ですね。術後のフォローアップも含めたいろいろな分担をしていく必要があるのではないかと思っております。
 ただ、基本的な術後のフォローアップに関してのデータというのはあまり持っていないというのも実際のところでございますので、そういうところを学会単位でも明らかにしながら効率的な機能分化ができるようにと思っております。
 それで、手術と薬剤の機能分担という話ではございましたが、先日お話を伺いましたところ、山口で非常に機能分担がうまくいっている好事例がございました。大学は手術に特化して、そしてサテライト病院をつくって、そこでは化学療法、薬物療法をやるといったような機能分担が非常にうまくいっているという好事例等もございましたので、そういったところを参考にしながらやはり機能分担が必要になってくるのではないかと私自身も思っております。
 以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
 日本臨床腫瘍学会のほうはいかがでしょうか。
○南参考人 ありがとうございます。
 まず、今回3段階に分類し、一番下は地域のクリニック、かかりつけ医を念頭に置いているということでしたので、術後の内分泌療法に限定して一番下に分類させていただきました。実際、天野構成員が指摘されたような安定した長期の維持療法や再発後の内分泌療法でも落ち着いている患者さんなどは、地域のがんを診療している病院でもいいだろうと考えています。
 ただ、そういった病院が今回の2段目、地域拠点レベル、地域の事情に応じてその他の医療機関という形で分類されていますので、そこに分類せざるを得なかったというのが実情です。ですから、この3段階に分けることそのものががん薬物療法という観点から少し無理があるのかなという気がしています。少なくとも合併症のリスクが少ない長期フォローアップに関しては、かかりつけの先生等にぜひ御尽力いただければと思います。
 それから、病院間連携ですが、実際に現在でも手術をした後は術後の治療はよろしくと、特に合併症がある方などの紹介を受けています。手術は多少の合併症があってもできるけれども、薬物治療となると少し困難という患者さんを受けることはありますので、それこそ地域の実情に合わせた連携が可能ですし、今後も進めていくべきだろうと考えています。
○土岐座長 ありがとうございます。
 では、もう一つ御質問がございました。JASTROのほうのメディカル・スタッフ等も含めた人員の育成のことですけれども、いかがでしょうか。
○宇野参考人 日本放射線腫瘍学会のほうでは、厚労省とも協力して班研究を立ち上げておりまして、放射線治療の提供体制を現在検討しているところであります。その中におきまして、現在高精度治療に位置づけられているIMRTは多くの疾患において標準的治療になりつつある状況です。それで、現在400強ある拠点病院のうち、IMRTが施設要件により施行できているのが7割程度ということで、まずは拠点病院においてはIMRTができるようにしたいということで、その施設要件の見直しといいますか、整備について今、急ぎ検討しているところであります。
 一方、放射線治療専門医は東京都には180名以上おりますが、地域によってはわずか数名しかいない県もございまして、そのような地域で常勤を1人すら配置できない施設があることも事実でありまして、そのような施設に関しましてはまさに今回の集約化というところで私ども最後に提示いたしました医療圏自体の中での連携であるとか、あるいは医療圏を再編して地域の実情に応じて検討していただくというのは、まさにこの今回の考え方の基本になるのではないかと考えております。
 以上です。
○土岐座長 天野構成員、よろしいでしょうか。
○天野構成員 ありがとうございました。
○土岐座長 それでは、藤構成員から御質問があった学会としての情報発信、それから学会の協力体制ですね。そういったものにつきまして、各理事長から一言ずつお願いしたいと思います。
 まず、日本癌治療学会いかがでしょうか。
○吉野参考人 理事長の吉野からここはコメントさせていただきます。
 基本は今、御指摘いただいたエビデンスに準拠し、かつ経営のことも考えた集約化というのを学会として責任を持ってということでございました。3学会合同のステートメントばかりでなく、まだ巻き込めていない腫瘍学会、例えば今日、調参考人の資料にもありましたが、内視鏡治療の部分とか、まだ整理できていないところもございますので、3学会が合同となってしっかりとした発信ですね。ステートメント、それを医療従事者ばかりでなく国民に向かって行う。これは学術集会を使う。あとはSNSを使う。こういったところで発信するという試みを加速させていきたいということで、私のコメントとさせていただきます。
○調参考人 付け加えさせていただいてすみません。調です。
 国民への情報発信ということは、日本消化器外科学会を中心にいろいろな活動をしてきているとは思います。それで、先ほどスライドをお示ししましたけれども、実際に食道と肝胆膵の領域はかなり集約化が進んできていると思います。それは、担当の学会等の専門医制度であったり、あるいは非常に安全な手術が行われているということによるのではないかと思いますけれども、その部分は集約化が進んできているのだろうと思っておりますので、今後、胃ですね。胃全摘、あるいは直腸の手術をどうしていくかというところは一つのポイントになってくると思いますので、慎重にそういうところでシミュレーションをやっていく必要があるかとは思います。
 あとは、機能分担の話ではございますけれども、先ほど臨床腫瘍学会の南理事長から薬物専門医が増えるということでございましたので、最近やはり外科医が化学療法、薬物療法をやるということは非常に高度化をしてきていますし、難しいものを感じておりますので、そういった意味での学会間の協力が進んでいけばいいかなというふうに私どもは願っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○土岐座長 続きまして、宇野先生、情報発信につきましてよろしくお願いします。
○宇野参考人 私どもの学会は比較的小じんまりとした学会で、医師の正会員も2,400名程度ということでありますが、一方、技師や物理士などから成る所帯でもございますので、施設に対する発信に関しましては比較的まとまった情報が提供できているのではないかと思います。
 一方、国民に対する発信に関しましては、どうしても放射線と言うとなかなか理解の難しいところがあって伝わりにくいところもございます。したがいまして、そこに関しましては学会として今、鋭意学術集会、市民公開講座等、あるいは学術集会への市民の参加等に努めているところでありますが、我々は多くは癌治療学会とも連携してございますので、ぜひ一緒に行動してこういった情報を提供していくようにしていきたいと思っております。
 以上です。
○土岐座長 それでは、臨床腫瘍学会のほうからもよろしくお願いします。
○南参考人 私は集約化のための学会間の議論はもちろん重要だと思うのですが、何よりも国民を交えた議論が必要だと考えています。実際、地方では、地域がん診療連携拠点病院以外の病院でがんの治療が行われているわけです。
 今回の話は、拠点病院を中心にがん診療を集約化する形で議論が進んでいますが、現在がんを診療している病院の医療関係者、それから国民、がんの患者さんと患者になる前の国民を交えた議論をして、納得の上で集約化を進めていかく必要があると感じています。天野構成員が苦労された高額療養費自己負担額の引き上げの議論のようなことにならないように、しっかりと国民全体で議論していく必要があります。学会ももちろん頑張りますが、その音頭取りは厚労省にしっかりやってもらって、その上で都道府県の協議会へ流していかないと、都道府県が苦労すると思います。
○土岐座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして野田構成員、どうぞ御質問をよろしくお願いします。
○野田構成員 奈良県立医科大学の野田でございます。
 資料5の日本臨床腫瘍学会からの御発表についてお尋ねがございます。
 資料5の13ページにおいて、薬物療法専門医が2040年までの将来予測ということで、直線的な右肩上がりとなっております。
 しかし、これは高齢者の人口減少などによる疾病構造の変化であるとか、あとは都市部と地方の人口や需要動態の大きな偏在を考えますと、将来の医療需給の変化を現実的に加味した予測となっているかどうかという点でやや疑問があるかと思っております。
 例えば、別のスライドであったと思うのですが、2040年まで高齢者は減少しないということでございましたが、高齢者の減少に先行して医療スタッフの不足が大きな問題となっております。これは、少子化の影響で若者が減ってしまって、コメディカルであるとか事務スタッフとか、例えば給食職員であるとか、そういった医療を支える人手の不足が起こって人材の奪い合いが激化しているためでして、患者さんがいても医療水準が維持できない状況が発生しているということです。特に地方では2025年でもそのようになっていると理解をしております。
 このように、医師の数とか、もしくは患者さんの需要の変化に加えまして、様々な方向から資源が削られているという状況でございますので、そういうがん治療においても地域全体で医療の質を維持するという生き残りをかけた議論になっているかというふうに承知をしております。
 専門医につきましても、専門医の役割の変化であるとか、地域ごと、特に地方での適正な専門医の配置を踏まえた検討が必要になってくるのかなと考えております。
 それで、私の考えといたしましては、こういった観点を織り込んで将来予測を行いまして、また将来のがん医療を学会としてどのようにコミットメントをいただくのか、そういうことを明らかにしていく点が有用かと考えております。
 そのような点につきまして、どのように御検討を進める方向であるのかについてお聞かせいただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○南参考人 御指摘ありがとうございます。
 この薬物療法専門医の分布の予測ですが、2013年辺りからカーブの上昇が少し鈍化してきています。これは新しい学会でしたので、当初は医師になってある程度の経験を積んだ方が入会して専門医を取っていました。最近は新しく医師になる人が中心ですので、毎年専門医を取得する方の数もほぼ横ばいになってきていますが、医師になる人数が極端に減らない限りは、この数が続くものと予想しています。
 それから、この予測には若干余裕をもって数と割合だけで算出していますので、例えば右下の表を見ていただきますと、このままの数で都道府県拠点病院だとか国立がんセンターで専門医が増えていくとは思えませんので、その分、地域に専門医が移動していくと思います。地域が診療連携拠点病院に、それ以外の病院で働いている専門医が地域診療連携拠点病院で働いてもらうという働きかけは今までもしてきましたし、今後もしていきたいと考えています。
 この数の予測というのは3,000名くらいになる可能性はあると思っていますが、それ以下になる可能性は低いのではないかと予想しています。
○土岐座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
○野田構成員 ありがとうございました。
 簡単にですけれども、数としてどれくらい予測が当たるか、当たらないかというのも大事ですが、地域で本当に移行するのかという点がかなり重要かと思っております。その点、ぜひ今後とも御検討を進めていただけますと幸いでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○南参考人 ありがとうございます。学会でもそうしてきましたし、ぜひ拠点病院の指定要件等に盛り込んでいただければ促進するものと思います。
○土岐座長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして画面上は松本構成員の順番になっておりますのでよろしくお願いします。
○松本構成員 中釜先生が先だったような気がいたします。
○土岐座長 画面の順番が変わってしまったので、すみません。中釜先生、よろしくお願いします。
○中釜構成員 すみません。途中で挙手が下がったので。
 私からは1点、放射線腫瘍学会の宇野先生に質問なのですけれども、先ほど集約化・均てん化に対する考え方、医療行為の分類がされたのですが、現状での放射線治療を受ける患者さんの割合が25%と、この30年であまり変わっていないのですけれども、欧米、海外に比べるとこの割合は圧倒的に低いと思うのですが、当面そのパーセンテージとしてはあまり変わらないのか。もしこれが欧米並みに50、60%増えたときに、冒頭に示された分類分けでいいのかどうか。その1点だけ確認させてください。
○宇野参考人 御質問ありがとうございます。
 学会としては、放射線治療はもう少し活用されるべきだと、放射線治療のことが伝わらずに過ごされているがん患者さんもかなりいらっしゃるという認識はしておりまして、少なくとも30、40%くらいになるのではないかと考えております。
 その場合に、どれだけその状況が変わってくるかということについては、まだそこまで予想していないということが本音なのですけれども、粒子線等を除くと大部分の治療は標準治療ということで、この真ん中の段に入ってくるということで、真ん中の段が少し高精度治療と一般的な放射線治療や緩和治療の2群に分かれていくような印象を持っておりますので、一番下の段と2段目の境目くらいに緩和的な治療が入ってくるのではないかと思っていまして、そこを漏らさず、しっかり患者の皆様に提供できる体制を残さないと、患者数は増えないと思っています。
○中釜構成員 その2つの分類の中で放射線専門医の数というのは、現在数を増やすのはなかなか大変だと思うのですけれども、その数自体はあまり影響されなくて広げられるという理解でよろしいですか。
○宇野参考人 はい。最低1名の常勤医は確保したいところなのですけれども、もう一名については非常勤、あるいは遠隔的なサポートをすることも診療科の特徴として可能だと考えておりますので、その辺を検討しております。
○中釜構成員 分かりました。
 私からは以上です。
○土岐座長 それでは、松本構成員お願いします。
○松本構成員 どうもありがとうございます。
 私のほうからは南先生にコメントと、あとは日本放射線腫瘍学会にお伺いしたいのでお願いいたします。
 南先生に関しましては、ご報告いただきましたように妊孕性だけではなく腫瘍循環器との連携や小児がんの長期フォローアップの重要性などのご指摘、ありがとうございました。本当に感銘を受けました。
 長期フォローアップ体制の構築というのは実は小児だけではなく、成人でも大切なのではないかと思っております。内分泌や循環器、歯科などの多職種というか、多診療科連携ですね。こういうものを今回の集約化とか均てん化の議論の中でどう位置づけるかというのが重要だと思いますし、また先生もおっしゃっておりましたけれども、スクリーニング体制の構築というのも重要ではないかと考えました。これはコメントです。ありがとうございました。
 質問のほうなのですが、放射線治療に関してになります。放射線治療に関して、いろいろ経済的な問題等を挙げていただきました。私ども非常に恥ずかしい話なのですが、小児がん中央機関となっている成育ですら、小児病院単独で放射線治療を維持するということは、マンパワーの面でも機器の維持の面でも医療経済的に非常に厳しくなっております。小児病院単独で標準治療すら行うことが困難になっているという課題が実はあります。
 ただ、小児の場合は鎮静や麻酔の問題から成人と同様に考えることはできない、なかなか難しい問題があるというのも事実でございます。
 それで、世界の中で日本は世界一、分散化しているというお話を17ページの資料でお示しいただきました。1つ教えていただきたいのですが、この放射線治療に対する診療報酬という面に関して日本の立ち位置というのはどのようになっているのでしょうか。その辺りを教えていただければと思いまして御質問させていただきました。
○宇野参考人 ありがとうございます。
 立ち位置といいますか、診療報酬に関しましては各国、実に様々でありまして、国や地域によっては丸めといいますか、疾患ごとに価格が決まっているようなところもございます。日本は基本的には照射回数に管理料を加えたような形になっておりますので、照射の回数が少ない疾患とかではあまり収益が上がらないというような形になってございます。
 それで、どれくらい収益があればいいかということに関しましては先ほどお話ししたように、今は1台で年間200名の患者ではちょっと更新が難しいという状況になっております。そうしますと、確かに千葉県でもこども病院では放射線治療は更新できないといったような状況になっております。
 診療報酬の立ち位置の詳細は今ここにデータはないのですけれども、欧米やお隣の韓国や中国で小児がんはどうしているかというのは調べれば分かるかと存じます。
 以上です。
○松本構成員 ありがとうございました。
○土岐座長 それでは、佐野構成員どうぞ。
○佐野構成員 厚労省の最初の説明の均てん化・集約化についてというところで、今後高齢者は増えてがんは増えるかもしれないけれども、特に超高齢者では治療はもう減るんだということが何度か繰り返されたと思います。それで、がん医療はもう将来的には特に入院などではシュリンクするんだということは前から聞かされてきたのですが、今日伺うと、少なくとも放射線療法、薬物療法に関しては今後さらに高齢者でも増える見込みが示されました。ここはかなり大きなギャップだと思うので、厚労省の方の今後減るという予測がどういうものなのかということの根拠をお聞かせいただきたいというのが1つです。
 もう一つはコメントですが、南先生の薬物療法専門医数がこのまま伸びていくという予想。私もあれはオプティミスティックにすぎるのかなと思って、そうじゃないもっと悲惨な状況になったらこういう分布がどうなるのだろう。それに対して学会としてどう取り組むのだろうということをお伺いしたかったです。さっき、ある程度聞かせていただきましたけれども、1つは大学の中で臨床腫瘍医を育てる講座というのが国立大学の半分くらいしかない、やはりそこにどんどん働きかけていって育てていく努力をしないと、日本の臨床腫瘍医というのはこのままなかなか増えていかないのではないかと思いますので、ぜひそういう取組もよろしくお願いいたします。これはコメントです。
 以上です。
○土岐座長 それでは、厚労省のほうから高齢者の予測につきましてコメントをよろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策推進官 佐野委員、御質問ありがとうございます。
 事務局の資料の1を御覧いただければと思うのですが、1の6ページの「現状・課題」の1ポツ目で「85歳以上のがん患者における手術療法、化学療法及び放射線治療を実施する割合は、いずれも低下する。」となっております。こういったところをお示ししておりますが、同じ事務局資料1の16ページ目を御覧いただければと思います。
 同じ資料1の16ページ目になります。これは前回の12月の検討会でお示ししたものになりますが、こちらの円グラフを御覧いただきますと、85歳以上のがん患者様において手術療法、化学療法、放射線治療を実施する割合がいずれも年代ごとに低下していっているというところでございまして、この85歳以上の記載に関しましてはこういったデータを基に記載しているというところでございます。
○佐野構成員 これは確かに年代が上がるにつれて治療が行われている割合は減るのでしょうが、今後高齢者における治療割合がさらに減るかどうかという資料ではないですよね。
 それで、さっきのお話ですと、例えば高齢者が増えてきて、高齢者は確かに全身の併存症などがあると手術は難しい、薬物療法も難しい。
 でも、放射線療法で今こんなにいい方法があるとか、あるいは化学療法にしても比較的副作用の少ないものとか、分子標的薬とか、いろいろなものができてきて、今後こういう高齢者における治療の割合も増える可能性がさっき学会からも示唆されたと思うんです。ですので、この資料は確かにお年を取る人ほど治療を受ける割合は少ないけれども、今後さらにそれが減っていくということにはならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○がん・疾病対策推進官 ありがとうございます。
 こちらの円グラフは、年代ごとにこういった手術、化学療法、放射線治療を受ける全体における割合について示したものでございますので、今後の医療の需要の推移そのものを示したものでは必ずしもないという御指摘についてはそのとおりかと思います。
 ただ、こういったデータもあるということを踏まえて御議論いただきたいというところでございます。
○佐野構成員 分かりました。今後がん医療は需要が減るんですよということを最初に言われると、その中でどう縮んでいくかを考えればいいのかなとも思うのですが、逆に必要なところではだんだん増えてくるようだったらそれも考えなければいけないということだと思います。
 ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
 それでは、東構成員どうぞ。
○東構成員 ありがとうございます。
 大変貴重な発表をありがとうございました。東京大学の東です。
 私は質問としては放射線腫瘍学会の宇野先生にお願いしたいのですけれども、放射線の治療というのはおっしゃったとおり機械をどのように配置していくのか、どのようにメンテしていくのか、そういったことが重要になってくるかと思うのですが、これは集約化とか、そういった地域とか全国での計画を考えたときに、一旦機械を入れてしまうと、もしくは設備をつくってしまうと、なかなかそれを後からどうこうしようというのは難しいと思います。それに対して学会のほうでこの地域にはこの機械を入れるべきであるとか、そういった施設配置というのは何か影響できるものでしょうか。普通、機械を入れるかというと病院がそれぞれの経営判断でやられると思うのですけれども、そういったことを超えて学会の何か働きかけ等が病院にできるのかというのは少しお伺いしたいと思いました。
○宇野参考人 御質問ありがとうございます。
 これは、学会としての働きかけはほぼ一切ないという状況になります。もちろん、例えば粒子線治療とか、陽子線治療とか、あまり近くにあっても競合するようなものもございまして、そういうものに関してはそれを導入しようとする施設や自治体から学会のほうにいろいろヒアリングがあったりとか、そういうことはございます。そういうことで調整することはありますが、一般的な放射線治療装置に関しましてはやはり民間も多く導入してございますので、この地域にはないから入れたほうがいいとか、ここは過密だからちょっとやめたほうがいいのではないかというようなことは学会からは言えないのが現状でございます。
○東構成員 ありがとうございます。
 そういった点でいきますと、最初の2枚目のスライドで都道府県単位で、もしくは都道府県広域で集約化の検討が必要な医療と挙げていらっしゃる。粒子線は意見を言う場があるとお伺いしましたけれども、BNCTとか専門病室を有するRIとか、密封小線源とか、こういったレベルだとどうでしょうか。
○宇野参考人 この辺は、やはりBNCTの大がかりな設備が必要になるものですし、それなりの専門スタッフが必要になるということで、また現在適応となっている疾患が少なくて、保険診療を行っているのが2施設、試験開始中が3施設とわずか5施設しかございませんので、なかなか全国に普及するというのが今のところまだイメージできないということになります。対象となる疾患がまだ少ないということもございまして、それをやみくもに配置するというのはなかなかできないという状況であります。
 それで、この密封小線源治療に関しましては、例えば組織内照射ですと、これは技術的に難易度が高くて可能な専門医が限られているということで、その医師のいる施設でないとできない。逆に言うと、その医師が異動すると施設も変わるというような類いの性格でございます。そういったことで、ここに挙げたものそれぞれの中で集約化する事情が異なると思っていただければいいかと思います。
○東構成員 ありがとうございます。
 大体、状況が分かりました。私の質問が素人的ですみません。少し事務局のほうにお伺いしたいことなのですけれども、こういった何かの集約化を考えるといったときに学会の先生方の力といいますか、情報発信力とか、専門的な知識に基づいてこういったものは「集約化すべき」というのは言えると思うのですけれども、実際には各病院が判断するというような状況が少なからずある中では、それに対して学会が何か言うのはちょっと難しいのではないかと私は予想します。それをやるのは厚生労働省の役目なのではないかと思うのですが、どういった形で今後進めていくと考えていらっしゃるのか。もし今の段階で何かあるようでしたらお聞かせいただきたいと思った次第です。
 以上です。
○土岐座長 では、お願いします。
○がん・疾病対策推進官 東委員、御質問ありがとうございます。
 どのようにお示しするかについて、まず内容につきましては今回御議論いただいた内容を踏まえまして、例えば手術療法、化学療法、放射線治療について今回御議論いただいておりますが、それぞれについて集約化・均てん化の考え方について今回議論を踏まえたものを今後通知だと思いますけれども、示していきたいと考えております。
 ただ、これはあくまでも全体の大きな基本的な考え方ということになりますので、実際にはその地域の実情、または地域の資源等に応じて都道府県協議会で個別に議論いただくものと考えております。
○東構成員 分かりました。ありがとうございます。
○土岐座長 それでは、続きまして茂松構成員どうぞ。
○茂松構成員 ありがとうございます。日本医師会の茂松と申します。
 私どもが一番気にしていますのは、均てん化・集約化に関する基本的な考え方の3層構造の一番のベースを私どもかかりつけ医が担うということになると思うのですが、最も患者さんに身近なところにいるということで、患者さんは専門的な治療、注意書き、いろいろなフォローを聞いて来られても、いざ何か症状が起こるとすぐかかりつけ医に来るということがございます。
 そのためには、今、薬剤とか機械とかいろいろ変わってきていますので、がんの総論的な知識をしっかりと研修会でやっていただくということと、個別に診療情報提供書のようなことでいつもやり取りをしながら患者さんのフォローができるようにしていただきたいと思っております。専門的な治療と、こういうかかりつけ医機能の治療は少し分断されているようなところがありますが、これはいい機会ですのでそういう連携をしっかりと取っていただくということが最も必要ではないか。患者さんにとれば、我々はどうしても身近にいますからいろんな相談に来られますので、そういう知識を与えていただければと思うところであります。
 それともう一つは質問なのですが、日本臨床学会と腫瘍学会と2つございますが、何か外科的なアプローチと内科的なアプローチ専門性を2つということで分けておられるように思うのですが、その辺について先生方はどのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思いました。
 以上です。
○土岐座長 最初の御質問は、かかりつけ医への情報提供ということですね。これは3学会共通すると思いますので、またこちらのほうでディスカッションしていきたいと思います。
 2つ目の御質問は、専門医制度のことでございましょうか。
○茂松構成員 はい、そうです。
○土岐座長 こちらは、やはり臨床腫瘍学会、外科系のほうはがんに特化した専門医制度というのは非常に少ないということでございますので、やはりこちらのほうは臨床腫瘍学会のほうが中心になってくるとは思います。
 そして、茂松先生、御質問としては。
○茂松構成員 私は専門医機構の監事でもありますが、専門医機構の議論の中で外科からのアプローチと内科からのアプローチと分けて少し考えておられるのではないか。その立場がどうしても内科的な立場、外科的な立場ということで意見が分かれるようにも思うのですが、我々はやはりこういうところにおりますと、化学療法でここまでしておいて手術はここからする、また化学療法、放射線療法をするというように考えますと、どのようなアクセスでも専門学会があるべきだと思っておるのですが、その辺がどうも分かれているように思ってちょっと危惧をしているところでございます。
○土岐座長 私は外科医でございますので私のほうからお答えしますと、今は集学的治療といって内科と外科が協働してやる治療が増えてきております。そちらにつきましては、がん薬物療法専門医の先生と外科のほうで協働していくというのが必要だと思いますけれども、まだ集学的治療全体をカバーするような専門医というのは存在しておりませんので、今後そういったところも専門の医師をつくっていく必要があるというふうには感じております。よろしいですか。
○茂松構成員 ありがとうございます。
○土岐座長 それでは、時間も限られていますけれども、あともうお二方、中釜構成員どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜構成員 私からは質問というよりコメントなのですけれども、今日の議論は3学会からの発表を踏まえて資料2の骨子案に対する議論に入るかと思っていたのですが、1点だけ、先ほどがん治療学会のほうでビッグデータを用いた集約化、重点化の必要性を非常に強調されていたと思います。
 私自身も、あるいは当センターとしても、院内がん登録等のデータを使った評価と進捗は非常に重要だと思うのですけれども、この骨子案の資料2を見ると、確かに院内がん登録については書いてあるのですが、そこのところの記載が例えば都道府県協議会の事務局の役割として「議論に資するデータの整理」とか、割とざっくりと書かれているのですけれども、実際には今日がん治療学会で示されたようないわゆる厚生労働省、NDBのオープンデータであったりとか、DPCデータとか、あるいはレセプトデータ、そういう診療データを統合的に解析し、社会医学の専門家等を含めて科学的な分析による科学的なエビデンスに基づいた政策立案は非常に重要かと思うので、その辺りを少し明確に記載されたほうが分かりやすいのではないかと思ったのでコメントさせていただきます。
 私からは以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
 こちらのほうは、事務局と相談してそのような書きぶりにしていきたいと考えております、
 それでは、村松構成員どうぞ。
○村松構成員 村松です。ありがとうございます。
 各団体の先生方、御発表いただきありがとうございました。今日の議論で触れられなかった点について、1点コメントさせていただきたいと思います。
 がん対策基本法は議員立法で、その成立過程を振り返りますと、御記憶の方はいらっしゃるかは分かりませんが、当事者性が非常に重要な役割を果たした法律だと思います。
 藤構成員が先ほど御指摘いただいたように、医療現場の納得感は今後の政策においても極めて重要な要素だと思います。資料2の骨子案にも書かれていますが、地域医療構想に関連して持続可能な医療従事者の働き方というのは課題となっていると思います。2040年に医療の最前線を担うのは、現在の中堅ですとか若手の医師になると思います。
 先ほど、厚労省が主体になって対応の促進をというような意見もございましたが、それに加えて各学会が既に行われているいろいろな取組の中で若手の医療従事者の声をさらにくみ上げていただいて、こうした検討会の場でも御共有いただける機会があれば、政策と現場の架け橋として学会の重要な役割がさらに発揮されるのではないかと思います。
 それで、これは将来の医療提供体制の透明性の向上とか、信頼関係の構築にも寄与できるのではないかと思いました。
 コメントです。以上です。
○土岐座長 ありがとうございました。
 それでは、司会の不手際で学会への質問と全体の方針との質疑が少し混じってしまいましたが、学会の先生方に対する質問はこの辺りで打ち切りたいと思っております。参考人として参加いただきました学会の先生方、本当にお忙しい中、ありがとうございました。Zoomのほうから退室していただきまして、まだお時間のある方はYouTubeから引き続いて視聴していただけるとありがたいと思います。
 それでは、参考人の先生方、一旦退室をよろしくお願いいたします。
(参考人 退室)
○土岐座長 それでは、時間も限られてきましたので全体の質問にしていきたいと思いますが、資料はもう一度戻りまして、資料1の8ページ目が今後の議論の進め方でございます。今日は、真ん中のところの第17回に当たります。そして、6月頃には最終的な意見を調整して、その後、都道府県に発信したいというシェーマでございます。
 続きまして、この下のほうに空白になっています全体の考え方で、(1)のところが全体に対する考え方でございます。下段のところですね。下段の(2)が都道府県への情報提供とか、都道府県への情報発信をお願いするという内容でございます。こちらにつきましても話していきたいと思いますが、これも時間の関係で続けて御提示したいと思います。
 次ですが、まず基本的な考え方というのは先ほどから説明が何回かございましたこのスライドです。
 そして次のスライド、3層構造の集約化、この2つがまず全体としての考え方に関わる2つの重要なスライドでございます。
 そして、戻っていただいて、下段の(2)のところは資料2にもあった文章でございます。こちらが具体的な手法でございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、全体のスケジュール感、基本的な考え方、そして都道府県へのお願い、この3つのものにつきまして御質問がある構成員の先生からお受けしたいと考えております。時間も限られておりますので、できる限り簡潔によろしくお願いします。
 それでは、まず天野構成員よろしくお願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。
 まずは、8ページについて1点申し上げます。前回の検討会でも私を含む複数の委員から意見が出ていたかと思いますが、今回集約が進むことによって患者のアクセスが場合によっては悪くなるということは避けられないと思いますが、その部分についての手当、あるいは対応策等の言及が現状は全くない状況です。
 もちろん、これはこの検討会だけ、あるいは健康局だけで議論できる話ではないというのは重々理解しておりますが、例えば沖縄県であれば離島に放射線治療機器はないので、離島から本島に渡る患者さんに対して、例えば宿泊の補助が出るとか、あるいは国立がん研究センターや中央病院や東病院では遠隔地からいらっしゃる患者さんに対して宿泊施設があるとか、そういったいわゆる遠隔地、あるいは遠距離の移動を余儀なくされる患者さんへの対応策について何らかの好事例の共有、あるいはこの骨子の言及が不可欠であると感じたというのがまず1点目です。
 2点目は先ほど南参考人からも指摘がありましたが、都道府県のがん診療連携協議会ですが、現状、患者と行政がしっかり参画している協議会はあまりないというのが私の認識です。それで、これは国の基本計画でも明示されているにもかかわらず、ほとんどなされていないというのが現状でして、例えば患者は参画しているとしてもワーキンググループであるとか部会だけに参加しているということがあって、がん診療連携協議会本体に患者は不在のまま、こういった集約化の議論が行われるというのは非常に危ういと思いますので、この部分については厚生労働省が各都道府県、あるいはがん診療連携協議会に対してしっかり指導を行っていただきたいというのが2点目です。
 最後に3点目ですが、今回そもそもなぜこういった集約化の議論が出ているかということについて言うと、私個人は非常に大きな方針転換だと感じているわけですが、ただ、もちろん医療の高度化であるとか人口減少というようなことはあり得ますが、患者の立場、あるいは医療者の立場からすれば、特に地方では現在行うことができている治療が場合によってはできなくなるということが一番重要なメッセージだと思っていまして、そういった危機感の中で今回こういった集約化の議論が出ているんだということを強調いただかないと、なかなか患者さんや医療者等の納得は得られないと思いますので、その部分をもっと強調していただきたいというふうに感じました。
 以上、3点意見でございました。
○土岐座長 今日はまずできる限り御意見を頂戴して、その中で今どうしても事務局からお答えしなければならないものだけお答えしたいと思っております。むしろ皆様からぜひ言いたいメッセージをお伺いしたいと思いますので、そのような方針でよろしくお願いいたします。
 それでは、藤構成員どうぞ。
○藤構成員 ありがとうございます。何点かございます。
 まず、今回この通知を出すということ自体はすごくいいことなのかと思います。今、天野構成員が言われましたように、集約化について、均てん化について、国民と利用者の納得感を得るというのは、当然それが前提としてあるわけですが、この通知を出すのが6月頃ということであります。
 それで、現在私はがん診療連携拠点病院の制度とかに関わっている立場から申し上げますと、この通知を出すことで今までぼんやりとしか認識していなかったことに対する集約化の認識づけが進むのかと思います。
 ただ、それは進めたときに、はっきり示すことはできないにせよ、これをどの時間的なスパンで考えていくのかというようなある程度のイメージも持っておかないと、どのスピード感で進めればいいのかということにまず迷って、何も進まない可能性があるのではないかと思っております。
 それから、小さいところですけれども、拠点病院の立場から言いますと、都道府県協議会での協議事項の中で、実はがん医療圏の見直しや病院機能再編等による拠点病院の整備などについて協議会で議論をするというようなことが書かれてあります。拠点病院の協議会の中にはいろいろな職種や患者さんたちも入ってはおりますが、拠点病院が中心です。そのときに、都道府県拠点病院が事務局となってこれを進めるというのは非常にハードルが高過ぎるといいますか、実際に病院の再編などというのはここの場で話すようなことではないし、実際に途方に暮れると思いますので、これが必要なことであるのは分かりますが、その辺の権限等々も含めて書きぶりを考えていくのかと思います。
 がん診療連携協議会というのもあるのですが、都道府県にはがん対策推進協議会があるところもあるかと思いますので、それとの位置づけなども含めないと全体に事が進んでいかないのかなと思っております。
 以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。よろしいですか。
 では、続いて野田構成員どうぞ。
○野田構成員 ありがとうございます。私からは3点ございます。
 1つは資料1の10ページでございますが、医療需給や提供体制の多寡はどのように定義するのかということがございます。多寡の線引きについて、定量的な基準はあるのかというところでございます。
 次は、その次の11ページでございますが、治療可能ながんが発見された場合、見つかった場合の診療というのは、診断から初回の入院くらいまでの初期段階と、そういう初期段階の治療の効果を観察して合併症への対応を進める中間的な時期ですね。そして、医療の効果などが安定して、検査も安定するフォローアップ期に分かれると思うのですけれども、高度な検査や医療行為が集中する初期段階を拠点的な病院が担当することは重要だと思うのですが、中間的な時期とかフォローアップ時期まで初期段階の高度な医療機関が担当し続けるわけにはいかないだろう。疲弊につながるだろうと考えております。
 地域医療構想の観点からは、そういったような初期段階で行うような高度な医療機関であるとか、フォローアップ期であるとか、そういうふうなものを行う職場や地域に近い医療機関といったような積極的な役割分担、医療機関の役割分担が進めば、より高度かつ広域の患者さんを受け入れるような病院も出てくるだろうと考えております。そういうふうな診断や治療の段階に合わせた医療機関の連携というのも重視していくことが重要かと思っております。
 最後でございますが、資料1の全体でございまして、今後医療DXの発展に伴いまして遠隔診断で治療の方針策定などが可能になってくると思われます。特定の医療機関への負担の集中を緩和するためにも、がん診療体制の中長期的な在り方において医療DXの活用という観点を加えるというのはどうかと考えました。
 以上でございます。
○土岐座長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして松本構成員どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。私のほうから3点ございます。
 今、共有されておりますピラミッドの中で一番上のピラミッドのところに成育医療研究センターを入れていただいたことは非常にありがたいと思っています。ありがとうございました。
 ただ、小児がんというのは2013年から集約化と均てん化を目指したがん対策を行っておりますが、その中で拠点病院、あるいは連携病院というものが指定されております。そういう文言がこの中に少しも載っていないというのが若干気になるところでございます。それが1点目です。
 それから2点目なのですが、先ほどの資料の2、スライドで言いますと、この2つ前のスライドになります。「都道府県がん診療連携協議会でのがん医療提供体制の均てん化・集約化の進め方について」というところです。この辺りは恐らく成人のがんを想定して話されていることだと思いますが、小児がんは実は都道府県単位のみならず、ブロック単位での医療提供体制の整備が進められております。日本全体が7つのブロックに分かれており、それぞれで拠点病院が指定され、連携病院をつくっているような体制です。しかしながら、成人のがん対策は都道府県単位で行われていることが多いと思います。私の意見といたしましては2)の中にもどこかに小児がんという言葉をいれていただき、小児がんについて都道府県でも議論していただけるとありがたいと考えます。
 それから、3つ目です。今回集約化と均てん化ということでお話が進んでおりますが、先ほど南参考人のほうからもお話がありましたように、長期フォローアップに関しての意見です。やはり生存率が上昇すれば小児に限らず、成人においても治療後の様々な問題が出てきます。治すだけでは十分ではなく、次の課題として、長期フォローアップや治療後の課題の現状と対策について、小児のみならず成人でも、ぜひとも次の世代の国のがん対策として今からその整備に取り組んでいただくことを希望したいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○土岐座長 ありがとうございます。
 続きまして、橋本構成員どうぞ。
○橋本構成員 ありがとうございます。お時間のない中、手短に発言させていただきます。
 今回、集約化が全く新しい考え方の大きな方針の転換にあるといったことが出ていますけれども、そのときに国民にとって、やはりかなり不安なことが多いと思うのです。
 ですけれども、今回学会の先生方からの発表もありましたように、集約化することによる治療実績の向上とか、有害事象の発生が減るとか、ぜひそういったプラスの面のところも併せて、この集約化については国民に対して公表いただきたいということです。
 あとは、やはりそれでも国民が不安に思うのは、先ほど天野構成員からもありましたようにアクセスが非常に遠くなる、非常に広域になってしまうというところもあるかと思いますので、この3層構造が進んでいく中で、国民の治療が全部、一気通貫的に考えられており、身近な医療機関で治療を受け続けられるということも併せて公表いただくことがいいのかと思いました。
 あとは、先ほど来、この3層構造では3番目と2番目のところの境が非常に曖昧ではないかなどという御意見もございましたけれども、そういったところは専門的な医療従事者、それは医師だけでなく看護師も含めたコメディカルだと思うのですけれども、実際、それぞれがどのようにどれくらい動くことによって、この一気通貫の形ができるのかといったことをぜひ国においては御検討いただければと思います。
 そして、もう一点だけ申し訳ございません。資料2の骨子案の都道府県協議会のところで4ページ目の2)からですけれども、患者への発信、がん患者への発信ということはあったのですが、先ほどから言っていますように、やはりこれは国民全体へのアプローチになるかと思いますので、ぜひがん患者だけではなく、その地域の住民に対して、今度は新しいこういう形になるけれどもといったところの発信を、ぜひ都道府県協議会の中のところにも入れていただければと思いました。
 以上になります。
○土岐座長 ありがとうございます。
 続きまして、東構成員。
○東構成員 ありがとうございます。東です。
 1点だけ申し上げたいのが、都道府県がん診療連携協議会においてデータを分析するということが定められていて、集約化の議論をするためにはそれはとても重要だと思っております。その中で、データ源としては院内がん登録が中心的な役割を担っていると思うのですが、この院内がん登録で実際にデータを使うとなったときに、国立がん研究センターには直接集められているものを提供いただくという形が想定されるのですが、ただ、それがほぼ学術研究に限られてしまっているような体制になっています。それで、例外としては地方公共団体が法令に基づく事務でやる場合には提供するというふうになっているのですけれども、都道府県拠点が病院の場合、それに当てはまらないので、病院できちんとそのデータを自分たちで解析したいといったときに、それが当てはまる条件が無くて今は学術研究の一環としてやるしかないというような状況ですので、そこの部分でデータのアクセス性ということを検討いただければ幸いです。
 以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。大変貴重なポイントでございました。
 佐野構成員、どうぞよろしくお願いします。
○佐野構成員 私は東京都のがん診療連携拠点病院の立場で、これはこういう通知が夏に出て、こういうふうに進めなさいと、その考え方はよく分かりますし、それを都道府県に投げたとして、ではこれを受けた都道府県はどうアクションすればいいのかというときに、その集約化などというのはとても大変なんです。それで、この通知を錦の御旗に、ほら、だから集約化なんだとみんなが言うことを聞いてくれるかどうかとか、それからそのために何らかの予算を講じることができるのかどうかとか、都道府県に投げてしまって、その後はお任せでいいのか。そこは、もう少し踏み込んだ形でのことがどこかから読み取れるような形にしていただければいいなという希望であります。
 以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
 続きまして、茂松構成員どうぞ。
○茂松構成員 日本医師会の茂松です。
 最近の医療環境の状況を見ますと、本当に国立病院から普通の一般病院も医療経営が非常に厳しいという時代が来ております。恐らくこれはそれほど簡単に直るものではないということを考えますと、地域の実情に合わせてやはりああいう高額の医療機器を入れる場合には国立病院、公立病院に国が援助をしっかりしてもらうということも非常に重要ではないかということと、3層構造の一番ベースに当たる我々かかりつけ医にとりましては、やはり研修の充実と連携の強化といったところをしっかりと書き込んでいただきたいと思っております。
 最後に、やはりこういう集約化、均てん化というのは国民とか患者さんにとって初めてのことですので、丁寧な説明、みんなに理解をされるようなことをしっかり国が説明をしていただくことが重要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○土岐座長 ありがとうございます。
 続きまして、家保構成員どうぞ。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
 がんの対策はずっと均てん化ということが強調されてきましたが、今回、集約化という方向性が反対になってくるというところがございます。
 先ほど佐野構成員がおっしゃったように、東京都のように資源がいっぱいあるところはまだしも、地方では、集約化にかじを切らないと人も施設も維持できないという状況があります。今回の議論でも出ていましたけれども、どの部分を集約化するのか、また、均てん化はどういう観点でやるのかと言うことを、きちんと国の考え方を示していただきたいと思います。
 C-CATとか、高度な部分であっても今は全国で一部しかできなくても領域について、都道府県内でできるように均てん化するというのも一つの考え方です。そういう部門、部門でのレベルでもいろいろなところで均てん化と集約化というのは絡んできますので、丁寧な説明をしていただきたいと思います。
 当然、集約化を図れば天野構成員がおっしゃったように移動の問題とかもございますので、そこへの配慮というのは非常に重要なことになってまいります。現在のがん拠点病院の空白地域のほとんどが人口5万以下のところで、そこで施設をつくることは不可能です。拠点病院やがん診療圏を統合したとき、統合して空白がなくなりましたと言ってもその地域の方々にとっては何のメリットもないです。そういうところにも配慮したトータルな施策というのをぜひともお願いしたいです。
 以上です。
○土岐座長 ありがとうございます。
 どうぞ、泉構成員。
○泉構成員 泉でございます。
 今日、くしくも3つの学会は大体同じようなことを申されたと思います。医療の高度化によって非常に高難度の手術と、それから通常のがんの手術が分かれるし、放射線治療もIMRTのような非常に難しい治療があって、お金がかかる治療があるし、だけど緩和的なものもある。それから、薬物療法についてはもっときれいに分かれるのではないかと思うので非常に高難度で、いろいろな副作用対策もできていなければいけない薬物もあるけれども、もう少し予後を改善するための薬物療法もあるということで、非常に集約化すべき内容がそれぞれの学会から示されたのではないかと思いますので、今後の進め方についてやはり集約化すべきものをある程度きちんと示して、そして各都道府県単位で集約化していくということでないと、なかなか単に集約化してくださいでは進まないので、集約化すべきものを示していく。そして、3層構造を各都道府県単位で進めていくための資料にしていただくということが必要なのかなと思っています。
 特に働く人材も減ってくるということですので、そこもゴールにして、そしてまたやはり均てん化も重要なので、今、高知県の方からお話があったように、医療DXを使って病理診断なども今、拠点病院の基準に入っているのですけれども、もう少しDXなどを使って皆さん情報共有をしていってきちんとした均てん化をしていくということも議論すべきではないかと思いますので、今日は学会の先生方の医療の高度化に従って集約すべきものを示していただいたのは非常に貴重だったかと思っています。
 以上です。
○土岐座長 どうもありがとうございます。
 私からも1点というか、最終的にはこの集約化というのはかかりつけの先生とか、近隣の病院からどういった施設に患者さんを紹介するかというところが一番のポイントになってくるような気がいたします。そういう観点で、都道府県のがん診療連携協議会のホームページを見ましても、拠点病院の名前というのはあるのですけれども、まだまだ各病院の診療実積とか、診療成績とか、そういうところを開示するには至っておりません。
 そういう開示は非常にセンシティブな問題を含んでいるので、なかなか皆さんヘジテイトしておられると思うのですけれども、やはりそこを突き破っていかないと、多分いい意味での適切な治療を適切な患者さんに提供するという意味での集約化ができなくなるので、ぜひその辺りを都道府県の協議会のほうに適切に示していただきたいとは考えております。私からはコメントとして以上でございます。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 今日は本当に司会の不手際で、時間を大幅に超過してしまいました。活発な御議論、本当にありがとうございます。質問のほうは適宜事務局のほうで受けていきたいと思いますので、引き続き御質問があればお送りいただきたいと思います。
 事務局のほうから何か追加はございますか。
○がん疾病対策課長 がん疾病対策課長の鶴田です。
 本日は活発な御意見、ありがとうございました。我々は、2040年を見据えて持続可能ながん医療提供体制をしっかり確保していく必要があると思っていますし、今の喫緊の課題というものをこの検討会の中だけで共有するのではなく、やはり都道府県、現場ともしっかり共有して議論していくことがとても大事だと思っています。
 そのためにも、6月に何らかの形で取りまとめをして都道府県にも通知はしていく必要があると思っていますし、出したからと言って全てを都道府県にお願いしますというわけではなくて、国としても、また国がんと連携しながら責任を持って取組を進めていく必要があると思っていますので、そういった要素もしっかり書き込んでいく必要があるなというふうに本日の議論を聞きながら感じさせていただいたところです。
 しっかりまとめていけるように、皆様方の御意見を聞きながら取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○土岐座長 それでは、本日の検討会をこれで終了したいと思います。
 長時間にわたり御参加いただきまして、どうもありがとうございました。
 

照会先

健康・生活衛生局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線4605)