中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和6年度第4回、第5回

日時

第4回:令和6年10月22日(火)
第5回:令和6年10月29日(火)

場所

オンライン開催

出席者

<委員>
第4回
前田愼委員長、小方賴昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員、諸井雅男委員
河原昌美専門委員、高橋悟専門委員、沼部幸博専門委員、三澤園子専門委員、山口正和専門委員
         
<事務局>
清原薬剤管理官 他

第5回
前田愼委員長、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員、諸井雅男委員
河原昌美専門委員、三澤園子専門委員
         
<事務局>
清原薬剤管理官 他

議題

新薬の薬価改定について

 

議事

 
クービビック錠25mg、同錠50mg
日時:令和6年10月22日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
「クービビック錠25mg、同錠50mg」です。
特に意見を伺う委員として深山先生、三澤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案及び企業の意見陳述について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
○□□委員
 資料内の申請の見解の汎用規格の説明の中で「本剤の低用量である25mgの使用が想定される高齢者又は他の不眠症治療薬や併用療法がある患者は約86%であり、汎用用量は25mgである」とあるがこの約86%とは、企業が調べた数字なのですか。事務局の見解との違いで、今回の一番の問題はここだと思うのですけれども。
○事務局
 ご指摘の数字については、企業から提示されたものを掲載しております。
○□□委員
 それと、書いてあることの一つで、外国平均価格は848.4円ですよね。今回の算定薬価と随分違うなとは思ったのですけれども、これはどういうふうに考えたらいいのかなと聞きたいのですが。
○事務局
 ただいまの件でございますけれども、まず一番高額の米国につきましてはWAC、Wholesale Acquisition Costでございまして、製薬企業が自由に設定する卸売価格のためであると考えております。
 また、その他、欧州各国につきましては、それぞれの国のルールに従って決められた価格であり、ルールの違いによるものと考えております。
 いずれにいたしましても、薬価収載において参照できるプライスリストではございませんので、参考として掲載させていただいているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 これは参考と書いてありますけれども、いつも出されているような英国やフランス、ドイツの価格とは違うのですね。
○事務局
参考価格として御提示させていただいているものでございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
 恐らく論点はそこかなと思いますので、企業からの意見をお伺いしてみたいと思います。
○□□委員
事務局案のとおりで。
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業から御意見を伺いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、クービビック錠25mg、同錠50mgについての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 今回の算定では汎用規格が重要な点と考えておりまして、添付文書上では50mgとも読めるのですが、多くのエビデンスから実際には25mgが妥当であると我々は考えております。前半はこれらについて申請者からの説明、後半は□□□□先生に発言をいただきます。
 この3枚目のスライドは添付文書の用法・用量ですが、4枚目以降でエビデンスを交えて御説明させていただきます。
 4枚目をお願いいたします。
 低用量25mgの有用性です。本剤はオレキシン受容体拮抗作用がありますが、ほかのオレキシン受容体拮抗薬と異なり、400例規模の第Ⅲ相試験を日本人だけで実施し、ここに示すように低用量の25mgでも十分な効果があるということを示しました。
 次の5枚目をお願いいたします。
 これは、日中の活動機能に対しても同様に25mgで十分な効果が示されております。
 6枚目をお願いします。
 低用量25mgの対象患者です。専門協議の場では、高齢者や併用薬、併用療法のある患者などで25mgの使用が想定されるとの意見が出ており、我々もそのように考えております。
 7枚目をお願いします。
 では、その患者がどれぐらいいらっしゃるのかというところですが、まずNDBデータでスボレキサントを例に取ると、67.8%が高齢者であり、不眠症の大多数は高齢者であるということが分かります。スボレキサントの薬価算定の際も、高齢者が最大集団であるということが考慮されております。
 一方で、不眠症治療薬の併用割合を見ますと、27.3%という右側のデータもありますので、この2つの条件を合わせると76.6%。添付文書では50mgを基本とした書きぶりにはなってはおりますが、これらのデータから8割の患者で低用量を使うということが想定されております。
 次に8枚目のスライド、ガイドラインです。一般的に睡眠薬は高用量を安易に使わないことや低用量から開始することが推奨されておりまして、使用実態にも反映されております。
 9枚目、まとめでございます。
 専門協議によりますと、25mgの投与が予想されるのは高齢者または併用薬のある患者であり、全体の8割を占める。ガイドラインでは低用量が推奨されておりまして、実臨床において他の睡眠薬でも低用量が多く使われているというデータもあります。これらを考慮しますと、我々は25mgが汎用用量と考えております。
 続きまして、□□先生、追加の発言をよろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
 □□□□です。よろしくお願いします。
 今御説明がありましたように、ダリドレキサントは25mgと50mg、2つの規格がありますけれども、25mgのお薬でも十分入眠効果、総睡眠時間の延長、また、昼間の機能障害の改善を認めて、十分効果もありますし、副作用も少ないということが示されています。
 また、先ほど示されましたように、オレキシンアンタゴニストというのは7割ぐらいは高齢者に使われていますし、また、ほかの睡眠薬との併用などで使われることも多いので、そういう意味で、ガイドラインでもより低用量から使うようにとなっていますので、25mgが汎用用量としては臨床的には使われるのではないかと考えられると思います。
 このダリドレキサントは、スボレキサントやレンボレキサントと比べると半減期が短くて、スボレキサントやレンボレキサントで見られた持ち越し効果などが見られにくいということから、オレキシンアンタゴニストの中では3番目なのですけれども、患者さんに適した治療ができるのではないかと思っていますし、やはり低用量から使うことによってより安全性を高めていくということがこのお薬でも重要ではないかと考えております。そういう意味では、汎用用量として25mgというのが適切ではないかと考えております。
 以上です。どうもありがとうございます。
○申請者
 □□先生、ありがとうございました。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見があればお願いいたします。
 □□先生、御発言はございますか。
○□□委員
 御説明ありがとうございました。
 論点は非常によく理解できるのですが、今回の用法・用量が通常1日1回50mgを就寝直前に経口投与するとされているので、25mgが汎用用量だとしても、いわゆる標準量とは認めにくいように私は考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 企業の方、いかがでしょうか。
○申請者
 確かに用法・用量の書きぶりを見ますと50mgが先に書かれておりまして、25mgがなお書きという形になっておりますが、この書きぶりとしましては25mgも同じように使えるという投与方法ではないかと理解しております。3ページにも記載されております。実際には低用量が使われるという機会も先ほどの先生の発言等からもございましたので、25mgが患者数としては多くなるのではないかと予想しております。
○申請者
 追加でよろしいでしょうか。
 特に市販後に関しまして、私、□□□□でございますけれども、このような状況を鑑みても、市販後のいろいろなセールスアクティビティー、プロモーションアクティビティーにおきましても、適切に使用していただくという観点においては、やはり25mgを推奨していくのが当然のことだと思っていますので、そういう意味では、汎用用量ということで低用量のほうでプロモーション活動等を推進したいと考えております。
○□□委員
 そうしたら、理解できないのですけれども、どうして添付文書に50mgと。PMDAは当然これを審査されたわけですよね。そのときに、用法・用量のところは例えば汎用用量は25mgで、必要な人は50mgに増量できるとかとできたと思うのですけれども、そうしていない理由はどういうことでしょうか。
○申請者
 ありがとうございます。
 申請用量としては、25mgをスタートにして、50mgに増量できるという用法・用量の案で申請をいたしました。その後、PMDAとの審査の段階で用法・用量を現行のものに変更するようにという議論の末、指示がありましたので、このような形になったという次第でございまして、もともと我々は25mgがスタートドーズで50mgに増量ができるという投与方法を考えていた次第でございます。
○□□委員
 逆に言うと、PMDAが50mgに変更するように言った理由というのはどういうことなのでしょうか。それは不思議な気がするので。
○申請者
 50mgも実際には安全性、有用性には特に大きな問題は出ていないということで、50mgもPMDAは安全に使われるのではないかという意見がございました。
○薬剤管理官
薬剤管理官です。
 少し説明させていただきます。グローバルも含めて第Ⅲ相試験を3つ実施しており、日本で実施したのは1本で、50mgについて主要評価項目として実施しているものでございます。25mgも実施しているのですが、50mgを主要評価項目として試験を行って、それでメットをして承認申請をしているというようなものでございます。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、どうぞ。
○薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 やはりこれは当初から汎用規格をどれにするのかというのが非常に重要なところだと企業の方もおっしゃっていて、そのとおりだと思っております。その中で専門家の先生もおっしゃるように、効果が同じぐらいだったら少量から始めるのが適切というようなお話もあります。実医療量はそういう話もあるのですが、これについては25mg、50mg両方の規格について、グローバルも含めてリッチな情報があって、あまり安全性については差がないという結果が出ているのですが、ただし、企業としては、実際の今の睡眠薬の使い方から見て少量から始めるのがスタンダードで、恐らく少量がスタンダードになるのではないかというような御主張なのですが、それについてもう少しコメントをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○申請者(専門家)
 □□□□ですけれども、よろしいですか。
 オレキシンアンタゴニストというのはレム睡眠を増やすのです。それで、スボレキサントもレンボレキサントも副反応として一番中止になるのは、持ち越し効果もなのですけれども、悪夢が出現して、悪夢が出ると患者さんはすごく嫌がって中止に至るのです。この悪夢というのはレム睡眠を増やすほど出やすいので、用量依存的に出やすくて、開発試験では規則正しい生活をしているのであまり出ないのですけれども、いざ臨床になると、不眠症の患者さんというのは不規則な生活をしているので、開発試験のときと比べるとかなり多くの悪夢が出て中止になるケースが多いのです。それも用量が多いほど悪夢が出やすくて、開発試験でもダリドレキサント25mgと50mgを比べると、50mgのほうが少ないけれども多いのです。
 それで、臨床になると、多い用量というのは現場ではかなり悪夢が出現してくるので、オレキシンアンタゴニストの特徴というのは、やはり悪夢を防ぐことが治療をより円滑に行える。アドヒアランスを高めることにつながるので、より少量から使うことが重要だというのがスボレキサントやレンボレキサントで確認されているのです。ですから、このダリドレキサントも臨床現場になるとより少量から使っていくことが患者さんのアドヒアランスを高める意味でも重要ではないかということが言えると思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 そうしますと、先ほどもありましたけれども、用法・用量のところの「通常」という言葉が非常に気になりますよね。こう書かれると50mgからと普通の方は思うかなと思うのですけれども、この辺はどうにもならないのですよね。
 いかがでしょう。何か委員の皆様から御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私の意見は変わらず、添付文書の用法・用量に「通常」と書かれているので、やはり50mgとしか読めないと考えます。一旦世の中でも50mgで使われると思われますので、汎用用量は50mgと私は考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。
 現時点では、添付文書を読む限り、そう捉えざるを得ないかなと思います。
 最初に聞いたのですけれども、外国価格に関して、いつもというか通常出てくる英国やフランスの価格というのはないのですか。これは何で参考になっているのか。米国はあれですけれども、英国、ドイツ、フランスの平均でも200円、300円になると思うのですけれども。
○事務局
 まず、薬価算定上、参照価格として用いることができるものについては、米国の場合はMIMS、ドイツの場合はRoteListe、フランスの場合はVIDALを用いると定めています。今回、企業がそれではない別の価格リストのものを出していて、これを外国平均価格調整として使うことはできないという意味で参考という形でお示しさせていただいているものです。
 あくまでいつも使っているリストではない別のところから出てきていると意味で参考という形で書かせていただいたところになります。
○薬価算定組織委員長
 今回、企業はこちらを出してきていて、いつも使用している価格リストの価格がないかどうかは分からないということですか。
○事務局
 今回のクービビック錠に関してはないというところになります。なので、別のリストから企業が出してきていただいているというところです。
○□□委員
 英国のNICEというのは皆さん御存じかもしれませんが、HTAの機関であって、薬価の交渉はするのかもしれませんけれども、初めて見たようなNICEの価格が出ているので、かなりふだん使わないようなものを持ってこられても、事務局がおっしゃるように完全に参考という程度の扱いで今回はいいと思います。やはりいつも出てくるMIMSとかRoteListeとかVIDALで出てこないとリファレンスにはならないと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 理解いたしました。
 その他の委員からいかがでしょうか。特にございませんでしょうか。
 企業の意見を聞きましても、これを変えるということにはなりそうもないというか、ならないと思いますので、また不服があれば企業から出していただきたいと思います。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
クービビック錠25mg、同錠50mg
日時:令和6年10月29日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「クービビック錠25mg、同錠50mg」です。
 特に意見を伺う委員として深山先生、三澤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 言葉遣いは悪いのですけれども、50mgで審査報告を受けておいて汎用規格は25mgにするというのは、何を今さらという感じがしないでもないです。初めから25mgで効かないから50mgにしたということも推測はできるので、やはり差がはっきり分かっている50mgにするのが妥当ではないかと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も事務局案どおりと考えておりまして、やはり審査報告書に通常用量50mgと書かれていて、実際に上市後リアルワールドに行ったときに25mgが汎用になるかもしれませんが、現時点でその客観的根拠はないと考えております。以上より、事務局案どおりと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業からの意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
 ○薬価算定組織委員長
 最初に、クービビック錠25mg、同錠50mgについての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 よろしくお願いいたします。□□□□でございます。
 次のスライドをお願いします。
 先週の発表のサマリーを説明した後、異なる観点から説明、さらにこの分野で見識の深い□□□□先生より御意見をいただきます。
 先週の発表のサマリーです。クービビック(以後「本剤」)低用量25mgの効果は国内400例の大規模試験で確認され、ガイドラインでの記載、専門家の意見、類似薬のスボレキサント(製品名ベルソムラ)の汎用規格及び使用実態、一般的に低用量からの使用が主な臨床での処方の状況を踏まえ、本剤において低用量25mgが最も多く使用されることから、汎用規格として適切であると判断いたします。
 次のスライドは本剤の類似薬、そして、比較薬のスボレキサントのデータです。67.8%は高齢者、併用薬使用患者が27.3%、いずれかに該当する患者は全体の76.6%を占めます。よって、本剤の市販後、低用量25mgが80%近くの患者さんに処方され、十分な効果が期待されることから、この低用量での治療が継続されます。
 次のスライドをお願いします。
 今回新たに主な不眠症治療薬の用量別の使用実態を示します。作用機序、添付文書の用法・用量の記載にかかわらず、高用量の使用は28%以下、大多数の患者さんは低用量もしくは中用量にて処方、特に類似薬のベルソムラ、デエビゴではそれぞれ大多数の患者で中用量以下が処方されており、汎用規格の定義上も本剤の汎用規格が低用量25mgであることに矛盾いたしません。
 注目点は、本剤の添付文書の用法・用量の記載は「通常、成人にはダリドレキサントとして1日1回50mgを就寝直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて1日1回25mgを投与することができる」であるということです。スボレキサントは、本剤同様「通常、成人には」という前提で、高齢者を対象に中用量以下の記載があり、現実的に中用量を汎用規格としています。本剤では「患者の状態に応じて」という記載があり、低用量25mgを汎用規格としても前例と比べて矛盾はありません。
 次のスライドは、異なる観点から我々の状況を説明します。内示薬価ベースで先発オレキシン受容体拮抗薬3剤と本剤の薬価を比較します。本剤のみ高用量が汎用規格となり、本剤低用量25mgは多剤の汎用規格と比べて34円、約37%低く、非常に低い薬価です。我々は本剤をベスト・イン・クラスと考えており、これだけの薬価差は類薬間での公平であるべき市場競争に支障を来す。また、睡眠薬市場の全体のバランスを不自然なものにするということを危惧いたします。
 次のスライドをお願いします。
 内示薬価ベースでの市販後の試算です。仕入れ価格が大部分を占める売上原価率が47%上回り、様々な販管費の効率化の努力を行いますが、それでも営業利益を黒字にすることは非常に困難です。原価計算係数における営業利益率は16.5%、しかし、本試算上、本剤では市販10年後にようやく営業利益率がわずか0.5%になります。本試算は薬価下落が0%の仮定であり、今後の薬価下落、さらに現時点でこの試算よりもさらに悪化している為替の変動による下ぶれのリスクを抱えての事業継続は、事業面のみならず、安定供給の面からも大きなリスクを抱えます。
 次のスライドは内示薬価ベースの上市後の累計損益の試算です。累計黒字まで10年を必要とし、資産上の累計損失は最大で135億円、このような状況において、本剤を必要とされる患者さんへの安定供給はリスクのみならず、弊社のようなバイオテックにおいてはその企業の存続にも大きく影響するということを御理解いただきたい。
 次のスライド、国内のオレキシン作動薬をめぐる直近の動向、本剤のパートナーシップを有していた持田製薬は、承認取得直後、投資金額に対する回収が困難で、むしろ販売を行うことによる損失の可能性が高いということを理由に異例の撤退。また、類薬であるベルソムラにおいて国内の薬は非常に低い水準であり、メルクは当該領域から事実上撤退。弊社は日本企業として補助金制度の活用による国内の製造移管及びさらなる効率化に着手はしていますが、資金力の乏しいバイオテックであり、企業努力にも限度があり、多くのリスクを抱えることになります。ぜひドラッグロスの解消及び今後の患者様への安定供給を御配慮いただきたい。
 なお、本剤の高用量の1錠90.7円であっても、米国薬価は日本の27倍、ベルソムラは日本の約24倍であるということに着目していただきたい。オレキシンの発見、研究には日本の研究者が重要な役割を果たしており、言わば日本発祥のイノベーションです。今後、創薬イノベーションを活性化させていくためには、このようなイノベーションから生まれた薬剤に適切な価値を与えることが必要不可欠ではないでしょうか。
 まとめ、低用量25mgが最も多く処方されることが予想され、汎用規格の定義からも低用量25mgを汎用規格とすることが適切。規格別の年間販売量、本剤の添付文書の用法・用量の記載からも、不眠症治療薬の前例と比較して低用量25mgを汎用規格とすることに矛盾はございません。高用量50mg汎用規格とすると、先行する2剤と比べて価格が40%低く、この状況において営業利益はほぼゼロ、投資を回収することに10年、予想される累計損益は最大で135億円、このような状況では、弊社のような小規模なバイオテックでは本領域におけるビジネスの継続、そして、本剤の安定供給は困難となり得ます。本剤を共同開発し、共同販売予定であった持田製薬は、承認取得後の今月1日に撤退を発表。弊社は日本発祥のベンチャー企業で、国内開発を重視しています。今後も適正使用の徹底をベースにビジネスを継続し、引き続き日本の新薬開発、そして、日本の患者さんに貢献させていただきたいと切に願っております。ぜひともクービビックの汎用規格を25mgとしていただくことを再考いただきたい。
 □□先生、よろしくお願い申し上げます。
○申請者(専門家)
 □□□□です。よろしくお願いします。
 このお薬は、今まで発売されている2剤のオレキシン受容体拮抗薬と異なり、日本人だけで約700例の不眠症患者さんを対象としたエビデンスを創出しておりまして、不眠に対して明らかな有効性を持つだけではなくて、持ち越し効果もほとんど見られない。そして、不眠症の一番のターゲットであります昼間の症状に対して、今回の治験では特価したツールを用いて昼間のQOLの改善を認めたということを示したオレキシンアンタゴニストの中では唯一の薬剤であります。
 それと、オレキシンアンタゴニストの場合は、臨床で使用する場合に悪夢と翌日への持ち越しが最も問題になるということが示されています。今回、この薬の追加解析を行って睡眠構築と用量の関係を見たところ、レム睡眠に関しては用量依存性があって、入眠潜時に対しては用量依存性がない。ですから、25mgと50mgの場合は、25mgから使っても入眠効果は50mgと変わらない。そして、レム睡眠に関しては25mgからのほうが悪夢などが発現しづらいということが客観的に示されましたので、このお薬の効果をきちんと導くためには、やはり25mgから使うというのがより有用だということが示されましたので、ぜひこの25mgを汎用規格として採用していただきたいと思っております。
 このお薬は3番目のオレキシンアンタゴニストですけれども、とても有用なお薬であり、ぜひ安定供給のためにも薬価の再考をよろしくお願いしたいと思っております。
 以上です。
○申請者
 □□先生、ありがとうございました。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 やはり50mgでずっと話が進んでいるので、それをまたここで25mgを出すのは唐突に感じるので、先ほどの私の意見と特に変わりはないです。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 経営上の観点から非常に御心配を抱えられているということは理解するのですけれども、審査報告書に50mgと書かれていて、添付文書に50mgと書かれている状況で、25mgが汎用用量となることに関する客観的な裏づけというのが不十分ではないかと私は考えるのですが、この点についてもう少し追加のコメントがありましたらお願いいたします。
○申請者
 汎用用量自体の定義に振り返りたいと思うのですけれども、厚生労働省保険局長からの令和4年2月9日の通知によると、汎用規格とは、組成及び剤形が同一の類似薬の年間販売量を規格別に見て、最もその合計量が多い規格をいう。ただし、新規後発品の薬価算定においては、同一の剤形区分内における剤形の違いは考慮しないということになっていると思うのですけれども、そうすると、類似の先発品2剤を考えると中用量以下であることが明白ですし、それに加えて、ガイドライン上の記載も低用量から開始すること。また、実臨床において先生たちにぜひ考慮いただきたいのは、私自身も10年以上臨床を行っていましたけれども、睡眠薬の臨床を一般臨床において高用量から処方するということは実際にどのぐらいあるのでしょうかということなのですよね。実際には、やはり低用量から開始するというのが常識的な臨床行動だと思います。
 その中で、本剤では低用量で十分に効果が継続することが予想されますので、そういった観点では、逆に50mgを汎用用量として、例えば直接50mgの使用を促すようなプロモーション自体はやはり避けるべきだと思うのです。そうした場合、汎用量が25mgである。さらに、効果も25mgで十分に期待できる。あと、一般臨床の常識的に考えて、低用量からこの分野は処方すること、なお、高齢者が多いこと、さらに併用薬も使用されているということを考えて、やはり25mgを汎用用量としてそこから始めましょうよというのが汎用用量の考え方、そして、一般臨床からも非常に理にかなっているのではないかなと感じます。
○□□委員
 ありがとうございます。
○申請者(専門家)
 □□□□です。よろしいでしょうか。
 今おっしゃったように、日本睡眠学会のガイドラインでは睡眠薬は少量から使うということが大原則でして、ですから、25mgと50mgの規格があれば、当然汎用用量としては少ない量、25mgから使うというのが、ガイドラインにも示されていますし、また、より高齢者や身体的な併存疾患を持っているような方が不眠症の場合は多いので、そういう方に使う場合もより少量から使うべきですし、25mgでも十分な入眠効果、睡眠導入効果を有しているというデータがきちんと示されていますし、先ほど言いましたように、最も副作用としてアドヒアランスが下がる悪夢に対しては、25mgのほうが有意に少ないということも示されていますので、そういう意味では、やはり25mgが論理的にも客観的にも汎用用量になるのではないかと考えています。
 以上です。
○申請者
 もう一点だけ付け加えさせていただきますと、例えば病院の薬剤部のリスティングを考えても、25mgと50mgの両方を実際に納めることになるのでしょうかというと、実際にはやはり25mgを病院としては薬剤部で納入することになると思うのです。それを汎用規格でない25mgにするのか、50mgのより大きい用量のものを汎用規格として納入するのかというと、現実のプラクティスとやはり合わないのではないかなと考えます。
 途中ですみません。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
○□□委員
 これは添付文書で50mgになっているということの理由をもうちょっと説明してほしいのですけれども。
○申請者
 50mgになった理由は、もともと申請用量としては弊社のほうは25mgからスタートして増減が可能で、最高用量は50mgにすると。事実上25mgからスタートして50mgへの増量が可能なような用法・用量を申請用量として出させていただきました。
 その後のPMDAの審査の中で一番重要視されましたのは第Ⅲ相試験の二重盲検比較試験ですけれども、この中では、症例集積の困難さもありまして、50mgのみをあらかじめ規定した検定を加えるという手順に加えてプライマリーエンドポイントにしておりました。セカンダリーで25mgの検定も加えるということにしておりまして、実際には50mgも25mgも統計学的には有意差がついたのですけれども、50mgのみがあらかじめ設定して検定を加えるという手順にしていたということで、PMDA側はその辺りを重視されまして、やはり50mgが使われるのだろうということで、このような経緯になりました。
 もう一つは、50mgでも安全性が十分に確保されていたので、根底にそういう考え方があったと推察しております。
 では、25mgをなぜあらかじめ設定して検定にしなかったというところなのですが、やはり臨床試験の難しさというのがございまして、25mgの第Ⅱ相試験の成績をベースに例数設計をしますと、1,000例を超える試験が必要になってくるということで、なかなか現実的ではないということがございまして、これは第Ⅲ相の試験を始める前にPMDAと相談をしまして、その中で50mgのみ検定をしていれば審査は可能だということもいただいていましたので、そういう形にはいたしましたが、結果的にはあらかじめ設定した検定が50mgだけだったというところがPMDAから強く主張された点でございました。
○申請者
 追加なのですけれども、添付文書上の用法・用量の記載に関してですが、ベルソムラに関して言いますと、通常成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与するということで、20mgとはしているのですけれども、実際に多く使われているのは中用量以下、中用量55mgの68%、低用量10mgの8%ということで、このような記載にあっても、やはり70%以上の方が中用量以下で使われ、さらにここが汎用用量となっている。重箱の隅をつつくようなことになりますけれども、高齢者には1日1回15mgをとなった場合、高齢者でない方で併用薬を使っている人はどうなのかという話になると思うのですよね。そういう意味においては、本記載は逆に「なお、」ということで25mgで投与できると記載しているわけで、ベルソムラの記載と比較するとそんなに矛盾しないのかなと。むしろ、腎機能の低い人であるとか肝機能の低い人など、患者さんによっては25mgのほうが適切ではないのですかというある意味適正使用がしやすい形になっているのではないかなと判断いたします。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 50mgと25mgの差というのは、先ほど悪夢が少ないというようなお話をされましたけれども、例えば高齢者に50mgを投与した場合に起こるかもしれないほかの副反応みたいなものは、何か想定されているものはあるのでしょうか。
○申請者
 □□先生、いかがでしょうか。
○申請者(専門家)
 高齢者に25mgを使った場合ですか。
○薬価算定組織委員長
 いえ、50mgを使った場合です。
○申請者(専門家)
 それは一番で起こってくるのはやはり持ち越しですよね。あと、悪夢も50mgというのは起こりやすいので、これはベルソムラとかデエビゴも同じように用量が多いと悪夢が頻回に起こりやすくなってきて、そこで中断されますし、あと、持ち越し効果が起こって翌日持ち越してしまうとか、翌朝ふらついてしまうとか、そういうことが高齢者ではより起こしやすいということは言えます。
○薬価算定組織委員長
 今までの薬だと恐らくそうだったかと思うのですけれども、この薬剤でも同じことが起こるということですか。
○申請者(専門家)
 肝機能とか腎機能がやはり低下してきますので、そういう意味では、開発試験だけではそれ以上の持ち越し効果というのは当然起こってくるものなので、少量を使うというのがガイドラインでもきちんと明記されていますので、やはり25mgが高齢者には適切であると。有効性は十分ですし、副反応もより出にくいという意味では、やはり高齢者では25mgが一番適切であるということは間違いないと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
○薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 1つだけよろしいですか。
 □□先生、ありがとうございます。今、この医薬品の審査報告書は公表されておりまして、持ち越し効果についてもPMDAは考察しているのですが、そこでは25mg、50mgについては差がないという評価をしているのですが、それについて1つコメントをいただければと思います。
○申請者(専門家)
 これは、今までのオレキシンアンタゴニストの開発試験の場合は、きちんとした生活習慣を守った上で投与されていますので、差はないのですけれども、実際に臨床の場面になってくると、やはり高用量の場合は当然持ち越しが起こってきやすいというのは間違いありません。ですから、ガイドラインの中でも少量から使うということが義務づけられていますので、開発試験以上に実際の臨床場面では持ち越して、そして、患者さんというのは、高齢者の場合は早く目が覚めるというのも生物学的な特徴ですし、トイレに行ったりしたときに転倒などを引き起こしてしまうという大きな副反応が起こってくるというのが一番危惧されますので、やはり高齢者には25mgが適切だということは言えると思います。
○薬剤管理官
 ありがとうございます。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の先生方からよろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
 ○薬価算定組織委員長
 それでは、企業意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 3度目になってしまいますけれども、25mgと50mgで25mgを強く押すのであれば、症例数が増えたとしても将来的にコストは戻ってくると思うので、やはり25mgでやるべきだったのではないかなと私は思います。
 それから、副作用に関しても誤解があったようですけれども、書類上はないという指摘も今あったので、やはりこの事務局案どおりでよろしいかと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 臨床試験、そして、審査報告書、添付文書と50mgで積み上げてきておりますので、ここで25mgを主張する十分な客観的な根拠というのは乏しいのではないかと私も考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 その他の委員からいかがでしょうか。
○□□委員
 ここで言っている汎用規格を盛んに主張されていましたよね。汎用規格というのは、例えば2規格あったような場合には、治験でプライマリーになっていなかったものを汎用規格にするというのは今まで過去に例はあるのですか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局
 基本的には、通常用量を汎用規格と考えてございます。
○□□委員
 だから、それがルールだということですよね。薬価の決め方ということを理解して開発していたら、当然類似薬効比較方式になることは分かっているし、そのときに50mgだとまずいと計算できているはずなのですよね。だから、確かにすごく危機感を持ってしゃべられて、もし本当だったら会社の存亡に関わるなと思うのですけれども、最初の設計自体がやはりおかしかったということになるのではないかなと思うのですよね。そこは申請者の説明が釈然としないのですけれども。
○薬価算定組織委員長
 そうですね。
 そのほかいかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 事務局算定案で僕もいいと思っているのですけれども、添付文書の書きぶりがやはり全然違っていて、例えば今のクービビックに関しては、先ほどもお話がありましたけれども、通常、成人にはダリドレキサントとして1日1回50mgを就寝直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて1日1回25mgを投与することができる。この書きぶりで25mgが汎用規格だと言っています。
 それから、ベルソムラに関しては、通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。これで汎用規格は15mgだと言っています。
 それから、デエビゴですけれども、通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。これで汎用規格5mgだと言っているのです。
 書きぶりがばらばらなのですよね。それで多分混乱が生じていることもあるのではないかなと思うので、似たような薬剤の添付文書の書きぶりでこんなにばらばらな書きぶりにしないようにしたほうがいいなと思いましたけれども、これは全然ばらばらになっていますが、書きぶりの決まりとかは何かあるのですか。事務局、いかがですか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、どうでしょうか。
○事務局
 用法・用量の設定については、薬事の承認審査のほうで決まっておりますので、ここで明確な御説明が難しいところではあるのですけれども、例えばデエビゴでございますと、最初は5mgから始めて、患者の状態に応じて10mgとなりますので、臨床試験成績から5mgが通常で、後は必要に応じて10mgに増量して使用すると判断されたのではないかと想像いたします。
 ベルソムラのほうにつきましては、成人は通常20mgとされていますが、高齢者では15mgということですので、例えば曝露量の結果ですとかその他総合的に鑑みまして、高齢者のほうでは少し低用量がよいと判断されて、このような用法・用量になっているのではないかと想像いたします。
○□□委員
 私、PMDAの委員もやっていたので、こういうときには確かに同類薬の書きぶりというのは一応参考にしてやっていると思うのです。ただ、このときのPMDAの審査はどういうふうだったか分からないけれども、本当に25mgと50mgがあって、25mgのほうがよく使われて基本薬だろうと思っていたら、確かに50mgは通っているけれども、高齢者には25mgからスタートしたほうが安全であるとか、それは書いてあったのだったっけ。安全とは書いていなかったのか。25mgから投与することとか、安全性の点から考えて、PMDAは何かしら割と強くリコメンドすべきだったと思うのです。いかにも50mgから使えていたみたいな感じに書いてあること自体が混乱を生じている原因かもしれないなという気もするのです。もちろんそれをプライマリーエンドポイントとしてやったからそうなのでしょうけれども、いろいろな意味で釈然としない感じはあります。PMDAの審査というか、書きぶりですよね。今指摘されているように、やはり書きぶりに問題があるなと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 さっき企業が言った保険局長通知で汎用規格はこういうものだというところですが、説明だけ聞くと企業の言い分にも少し汲むべきところがあるのかなと思いまして。事務局、あの通知はどういう目的で出たのか分かりますか。
○事務局
 汎用規格は、規格と販売量を掛け合わせた年間販売量が最も多い規格が汎用規格と定義されており、先ほども御説明いたしましたとおり、新規収載品の汎用規格は、基本的には、通常使用が想定される用量の規格が最も年間販売額が高いと見込まれ、汎用規格としているところでございます。
○□□委員
 ですから、今日我々が話しているところでは、企業は違う解釈を持ってこられたという理解でいいわけですね。
○事務局
 御理解のとおりで大丈夫でございます。
○□□委員
 それを踏まえて聞くのですけれども、企業の方は、熱を込めて、ドラッグロスになると大きい会社が引いてしまって、こんないい薬が日本で使えなくなるのは大変な問題だと言われていました。これは我々の役目を超えている、どちらかというと政治的判断だと思うのですけれども、その辺は我々が心配することではないことは承知しています。我々はこの与えられた範囲で薬価を決めればいいのでしょうけれども、果たして大丈夫なのでしょうか。
○薬剤管理官
今回の算定で何が課題なのかというのを抽出して、令和8年度の制度改正の議論のところで算定組織から意見を出していただくことが考えられます。また、審査報告書も公表されていますので見ていただいていると思うのですが、□□先生とかがおっしゃられた当然低用量から始めるとか、高用量で持ち越しがさらに多いのではないかというところもやはり考察はされているのですが、海外も含めて25mgと50mgはかなり治験から得られた患者情報が豊富で、実は副作用の差があまりないということで、しっかり効くように睡眠薬を使いましょうという方針で50mgについては安全性も踏まえた上で推奨したというような結果なのかなと考えております。
 今回、先生方も腑に落ちないところがあると思うのですが、既にアメリカとかあるいはヨーロッパで発売されているのですが、そちらで実際に汎用規格はどうなのかなど、実医療での情報はありませんので、場合によれば、今回不調になれば、そういうところの海外での汎用規格は本当はどちらの規格なのかなどの本剤についての情報を出していただいて、日本での使い方を改めて考えるというのもあるのではないかなと個人的には考えております。
 以上でございます。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 なかなか悩ましいですけれども、我々はルールにのっとって算定するということでございますので、今までの議論から考えますと、事務局の案が適当ということだと思うので、特にほかに御意見はないでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ファダプス錠10mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
 「ファダプス錠10mg」です。
特に意見を伺う委員として幸原先生、弦間先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
 ○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局との差というのは、基本的に加算とかそういった部分ではなくて、原価計算の部分でございますので、特に問題はないかと。論点もないと思いました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員の先生から何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 原価計算方式できちんと計算していただいたということで、特に論点はないということだと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、特にないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 アセノベル徐放錠500mg
日時:令和6年10月22日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
 「アセノベル徐放錠500mg」です。
特に意見を伺う委員として眞野先生、三澤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案及び企業の意見陳述について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 これは希少疾患ですので臨床試験を実施するのは結構大変で、臨床試験でいろいろな有効性を検証するのはなかなか難しいのだろうなとは思います。そういう意味で、今あるデータから事務局案では①-aとcに該当するとなっていますけれども、③-aに関してはそれを検証するのはなかなか難しいと思いますので、事務局案が妥当かなと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事前審査では事務局案と書いたのですけれども、この要件ハの③-bの標準的治療法として位置づけられるという項目についてです。もともと申請者案には基礎実験のことが書いてあったので、これでは言えないと思ったのですが、全くお薬がない領域の初の承認薬なので、標準的治療になると思われ、陳述を聞きたいと考えております。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の先生からいかがでしょうか。まずはよろしいでしょうか。
○□□委員
 既存薬がある場合で何年間かなかったときに出たときには加算がつくということですよね。それで、これに関しては、もう一つ僕が思ったのは、作用機序に基づいて特定の患者集団に適応を限定され、当該集団に対して高い効果が示されるのが、これがそうではない人にもそうだというのですけれども、ほとんどはやはりかなり固有の集団で、だからこそ希少疾患なわけですけれども、だからこれを認めてもいいのではないかなと僕は今思いました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、企業の意見を聞いた後にまた議論したいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
 ○薬価算定組織委員長
 最初に、アセノベル徐放錠500mgについての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 早速始めさせていただきます。□□□□でございます。よろしくお願いいたします。
 次のページをお願いいたします。
 アセノベルの補正加算はこちらの3点を希望しておりまして、本日は有用性加算(Ⅰ)に絞って意見表明をさせていただきます。
 次のページをお願いします。
 本剤は国際共同治験では開発中止という困難に見舞われましたが、患者会、医師、研究者の先生方をはじめ、多くの関係者が粘り強く取り組み、日本から世界初となる治療薬を生み出すことができました。まさに逆ドラッグ・ラグ/ロスで、本剤を求める海外からのお問合せは現在100件を超えております。
 本日は、□□□□先生に御説明いただきます。
 次のページをお願いします。
 それでは、□□先生、お願いいたします。
○申請者(専門家)
 □□です。よろしくお願いします。
 初めに、本剤の対象疾患の縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについて説明いたします。
 本疾患の概念はスライドのとおりであります。
 本疾患の傷病名は縁取り空胞を遠位型ミオパチーですが、その原因遺伝子はGNEと分かっておりまして、GNEミオパチーと呼ばれることも多くなっております。
 20から30歳代に発症する方が多く、足首などの体幹から遠い筋が障害され、平均10年から15年で車椅子の使用が必要となります。さらに重症の患者さんでは、ベッド上の療養や呼吸障害を呈することもある重篤な疾患で、指定難病の一つであります。現時点では本剤以外の治療は全く存在せず、確立した情報もありません。したがって、本剤は本疾患の唯一の第一選択薬として標準的治療に位置づけられると考えております。
次のページをお願いします。
 次に、本剤の作用機序に基づくシアル酸補充療法について説明いたします。先ほど申し上げましたが、本疾患はGNE遺伝子の変異が原因で発症することが分かっております。GNE遺伝子は生体内のシアル酸生合成に必要な酵素をコードしています。このGNE遺伝子の変異によって、本疾患の患者さんの筋肉内ではシアル酸が欠乏状態にあると考えられます。このシアル酸が欠乏することで、様々な糖タンパクのシアリル化が正常に行われず、筋細胞の変性が秘匿されます。その結果、筋力の低下につながると考えられます。
 本剤の有効成分であるアセノイラミン酸は、この不足しているシアル酸の一つです。したがいまして、本剤によるシアル酸補充療法は、シアル酸欠乏という本疾患の病因に直接アプローチする原因療法、根本療法と言ってもいいかもしれません。その治療効果は、遠位ミオパチーの中でも、このGNE変異によって引き起こされる縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーのみに有効なスペシフィックなものであります。
 次のページをお願いします。
 次に、本剤の有効性についてです。こちらは本剤の有効性を検証した2つの国内第Ⅲ相試験の結果です。どちらも上肢筋力のベースラインからのプラセボ投与群、本剤投与群の症例ごとの変化量を評価した結果であります。国内の患者数が極めて少ないため、群間比較は行えていませんが、いずれの試験でもプラセボではおおむねベースラインから維持あるいは悪化する傾向を示しているのに対して、本剤群では評価期間を通じて改善または維持された被験者が一定数認められております。これは確実のことだと思っています。
 この結果に関してですけれども、本試験では発症から罹病期間が平均10年で、かつ上肢の筋力低下を認めている患者さんに御協力いただきました。本疾患で、先ほど申し上げたとおり、発症から15年程度で車椅子が必要になるということを考えますと、試験には結構症状が進行している患者さんが含まれていたのではないかと考えております。そのような背景の中でも、個別症例では家族に歩くのが速くなったと言われたとか、ペットボトルの蓋を開ける動作がしやすくなったという通常では我々が経験しないことが起きていますので、患者さんも本剤による治療効果を実感しておられると思います。
 試験は少数例かつ48週間と限られた期間の投与になりましたが、より発症早期の段階より直接的な原因であるシアル酸を補充することができれば、病気の進行を一挙に抑えることができるかと思います。
 最後に、患者会の多大な御協力の下、アセノベルが世界に先駆けて承認されたことは極めてすばらしいことだと思います。本剤によって一人でも多くの患者さんの早期治療につながることを期待しています。
○申請者
 6、7ページは評価ポイントをまとめたものですので、割愛させていただきます。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御意見をお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 まず1つお伺いしたいのが、既存の治療薬はないと思いますけれども、薬以外で何か治療方法というか、何かあるのでしょうか。
○申請者(専門家)
 先生、それはありません。
○□□委員
 今は全くないということなのですか。
○申請者(専門家)
 全くありません。今まではリハビリテーションだけです。
○□□委員
 リハビリということですね。ありがとうございます。
 あともう一点、国際共同治験が中止になったというお話でしたけれども、その理由を教えていただいてよろしいでしょうか。
○申請者
 ノーベルファーマからお答えします。
 大規模に行われた国際共同試験第Ⅲ相試験でプラセボと有意差が認められなかったという点で、海外の米国のウルトラジェニクス社が開発を断念したという経緯でございます。
○□□委員
 ありがとうございます。
 先ほど□□先生から御説明いただいたデータなどを見ますと、やはり患者数が少ないので、日本の臨床試験では統計学的に解析が難しいことから個別の症例で追跡していますけれども、海外では同様の解析は難しかったということなのですか。
○申請者
 そうです。海外と日本の患者様の背景を見ますと、上肢筋力、筋力の強さとかに非常にばらつきが大きかったのが海外第Ⅲ相試験でございます。私ども、考察には限界があるのですが、そこが一つの理由ではないかと考察しております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 本剤はこの疾患に対して初の承認薬ということで、今後は標準的治療法として位置づけられる可能性が高いのではないかと推察されます。今後のガイドラインや診療の手引き等の改訂等の御予定を教えてください。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。
 筋疾患の領域でガイドラインというのはほとんどなかったのですが、この薬剤が出てくることによって、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに次いで、この疾患がガイドラインに入って間違いなく推奨されると信じています。
○□□委員
 ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員から御意見、御質問はいかがでしょうか。
○□□委員
 本剤の投与対象をGNE遺伝子変異を有する患者に限定しないということが少し問題にはなっているのですけれども、大半の人はGNEミオパチーと考えていいのでしょうね。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。
 そこは悩んだのですけれども、基本的にはGNEの変異がなければこの薬は効きませんので、それを証明した人が対象となるわけなのですが、例えばきょうだい、姉妹例とか、お姉さんと同じ病気という人に関して遺伝子検査を強要するかということを考えると、そこまで縛らなくてもいいのではないかと考えました。
○□□委員
 これはそういうふうな意味合いなのですね。了解しました。よく分かりました。
○薬価算定組織委員長
 どうぞ。
○□□委員
 先ほどの御説明にございました国内以外の第Ⅲ相比較試験、特に国内の試験でプラセボ、本剤群の2群の比較の中で筋力低下の抑制に係る有効性に関して、国際共同ですかね。海外の治験では2群の有意差が認められなかったというお話をお伺いしたのですけれども、一つは何か筋力の強さとかの背景が異なったのではないかということはあったのですけれども、そのほかに何か要因があるのかということと、実際にもともと設定された症例は満了したけれども、2群の差が検証できなかったということなのでしょうか。
○申請者
 ばらつき以外の考察でございますが、これは実際に測定していないから分からないのですけれども、GNEの変異の方が海外の患者様と日本の患者様では違うのかもしれないというのが一つの推察でございます。
 あと、試験がコンプリートしたかどうかなのですが、試験はコンプリートしています。全ての症例が観察を終了した結果が出なかったという形でございます。
○□□委員
 あと、今回の日本人の第Ⅲ相試験におきましては48週間までの評価になるわけですけれども、本剤自体は48週間のところをずっと続けていくということでしょうか。
○申請者(専門家)
 そのとおりです。
○□□委員
 中止となる要因というか時期というのは、何で判断されるのでしょうか。
○申請者(専門家)
 筋肉がある限り補充し続ける必要があると考えています。なので、ほかに何か有害事象が起きれば別ですけれども、もともとシアル酸が足りないわけですから、この足りないものを補い続けるということになるかと思いますので、継続がいいかとも考えております。
○□□委員
 承知いたしました。
○薬価算定組織委員長
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほど企業の方から国際共同治験は失敗に終わったというか、うまくいかなかったところですけれども、海外からかなりのお問合せがあるとおっしゃっていましたけれども、今後この薬は国外でどういうふうな展開をする予定なのでしょうか。
○申請者(専門家)
 これは国際展開してまいりたいと私は思うのですが、パートナーが必要となってくるか、あるいは一回米国とかでは失敗していますので、もう一回作戦を立て直してやっていくのだと思います。
○申請者
 企業といたしましては、弊社は海外法人も持っておりますので、そちらでの展開も検討していくところになると思います。現時点では承認を持っておりませんので、海外からの問合せにつきましてどのように対応するか検討中ではございますが、基本的には海外の患者さんからの問合せも多いので、患者さんでの場合は医師の処方で個人輸入していただくような形に大体なっていくのではないかなというようなところですが、まずは当然日本の患者さんへの供給を優先して考えてまいります。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、ありがとうございました。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
 ○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 例えば③-aなどを考えてみても、既存の治療方法では効果が不十分な患者群というのは、この疾患の場合は全部そうなるわけですよね。だけれども、現時点で薬がなく、既存の治療法がないから、プラセボとの間でしか比較ができない。したがって、この点は該当しないと考えるのはどうなのかと思っています。また、先ほど□□先生のお話にありましたけれども、③-eは該当すると考えてもいいのではないかと企業の御説明を聞いていても思いました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私は、要件ハの③-b、標準的治療法と位置づけられるというのは評価をしてもいいのではないかということと、先ほどの□□先生の御指摘の要件ハ③-eですね。きょうだい例については必ずしも遺伝子検査を必要としないということは十分考えられるところですので、そちらに関しても評価可能ではないかと考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。
○□□委員
 私も要件ハの③-bと③-eを入れることに賛成します。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。③-aはいかがなのですかね。これはなかなか解釈の問題でどうなのでしょう。既存治療というのをどう定義するかだと思うのですけれども、皆様、いかがでしょうか。ただいまの意見では③-b、③-eに関してはおつけしてよろしいのではないかと。
○□□委員
 もしも入れるとしたら、これは③-hだと思うのです。③-aは既存の治療法、いろいろこれはありますよね。難しいと思うのですけれども、もしもこれで追加するとしたら③-hだろうと思うのですけれども、標準法は確立されていない重篤な疾病を適応対象とするというところですよね。
○□□委員
 ③-hは確かにそうですね。でも、①-cでそこは評価しているからという話になってしまいますよね。
○薬価算定組織委員長
 ということなのでしょうかね。
○□□委員
 その辺が難しいですね。
○□□委員
 あと、③-bに関しては、ガイドラインに載る前だからということで、これまでは認めないという取り扱いをしてきたと思うのですが、このケースはどう扱うべきなのか。
○薬価算定組織委員長
 これは事務局の判断というか、今までの例を鑑みて決めたほうがいいかなと思うのですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 まず、本剤の有効性について御意見をいただきたいのですけれども、さきほど企業から説明がありましたとおり、海外の第Ⅲ相試験においては、プラセボに対する本剤の優越性が示されなかったという結果がありまして、その後の国内試験では対象患者を筋力の部分ですとかより絞った形で、統計的な検定ができるような規模ではなく、あくまで傾向の比較というところで有効性が示唆されるというところ、薬事の承認審査で判断された薬剤かと思うのですが、こういった薬剤でも治療法がないというところから、ハの要件に当たると考えるべきなのかというところについて御意見をいただけないでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 なかなか難しいですね。
 □□先生、いかがですか。
○□□委員
 難しいところですけれども、現時点で全く治療法はないのですよね。治療法がない疾患について、ハの要件である対象疾病・負傷の治療方法の改善ということをどう考えたらいいのですかね。こうなってくるとよく分からないですね。
○事務局
 今まで治療法がないというところについては、事務局案ではイの要件、①の項目で該当の項目を挙げさせていただいているかと思います。例えば①-aですと新規の作用機序、①-cについては標準的治療が確立されていない疾患に対しての新しい薬剤であるということで要件に該当すると考えております。その上でハの要件についても評価するかというところで、本日御議論いただきたいと考えているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 確かに新規であるというか、初めてであるということに関してはイの要件のほうでの評価ということで、ハの要件のほうでは対処疾病の治療方法の改善というところが包括されるのだと思いますので、何もないところからの評価はイの要件でされていると言われれば、それはそうかなとは思いますが、いかがでしょうか。
 □□先生、いかがですか。
○□□委員
 国際共同治験はかなりきちんとしたMMTだとか、MMTというのは筋力テストですけれども、そういうふうな評価をしないといけないのですけれども、結構ラフらしいのですよね。日本ではやはり日本人の性格というか、きちんとやっているというところもあって、僕はあのグラフを見て、これは効いていないと思うことはできないのです。やはり効果があるとは思うし、どんどんよくなっている人もいるし、それと、使っていない人はほとんどの人でみんな悪くなっていましたから、あまり変わらない人はたくさんいましたけれども、やはりプロミッシングな薬だなと思っていますし、恐らく日本の治験はかなりきちんとやられた治験だと評価はしているのです。それは内部的なものですけれども、だから、特に全然治療法のない病気ですから、やはりこれは前向きに、あとは時間が判断することだと思うのですけれども、例えば5年、10年たてばこれが効果があったかどうかというのは確実に検証されると思うので、そうして本当に効果がないとしたらこれは使わなくなりますから、今の段階でやはり僕はこれは効果のある薬として、これが高い効果が示されるかと言われたら難しいところもあるのですけれども、僕は③-eだけは取りたいと少なくとも思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。御意見をいただきたいのですが、□□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 ③-bの標準治療法というのは、がんとかのほかの領域と違ってすごくファジーなところがあるのかなと思ったのですけれども、今回のデータがプラセボ対照で統計学的な差がなかったということで、検証ができていないというところが大きいのかなと思っていますし、逆に本剤群というのも一部は下がっている方もいらっしゃるので、必ずしも全例に100%薬効を出すという話でもないのかなと思っております。
 そういった中で、本剤が本当に薬効としてどこまではっきりあるのかというのが、私個人としてはがんによる縮小のような、奏効割合のようなはっきりとした評価軸ではないものですから、すごく難しいなと思っていまして、多分がんだったらこういう評価だとPMDAは承認しないと思うのですけれども、今回のような変性疾患というか筋力低下に関しては効果はあるのだという評価をされたのかなとは思います。
 ただ、そういうところで、仮にプラセボ対照で、仮にほとんどプラセボと変わらない。今回は変わらないというデータが出たわけではなくて、優越性自体が検証できなかったというだけなので、一緒かもしれないし、超えるかもしれないし、劣るかもしれない。それは背景因子や患者数の問題などで検証されていないというだけではあるのですけれども、通常、標準治療と考えると、90%以上の人が納得してこれを使わなくてはおかしいと言われるわけなのですけれども、それは今までの薬剤ですと基本は対照群とか、もしくはプラセボ対照とか、治療に対してもはっきりとみんな納得しているよねというところかなと思うのです。
 そういう点では、今回の薬剤というのが、専門家の先生方が90%以上これを使わなくてはおかしいぞとほかの医師に対して言うぐらいのレベルなのかなと、ガイドライン上の強い推奨のことを指していて、標準治療をそれと同じとするかは分からないのですけれども、自分の体感としては90%以上の診療医がこれを行わないとおかしいと言うのが標準治療の一つかなと思っていまして、お伺いした次第なのですけれども、そのぐらいの相場感と考えてよいのかなというのが気になったところなのですが、いかがでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 患者を診たら恐らく全ての医師が必ず使えます。
 □□先生、それでいいですよね。
○□□委員
 かなりミゼラブルな疾患ですし、ほかに治療選択がないので、やはり選択する医師が大半、90%にいくかはわかりませんけれども、薬剤を知っていれば使うはずだと思います。
○□□委員
 そうしますと、あとは今のお話ですと、恐らく標準治療として位置づけられるというところは、専門家の先生方の御意見だとそうだと思いますので、統計学的なそういう設定上をクリアしているものではなかったとしても、いわゆる客観的に非専門家であるような私たちが感じている違和感はあるのですけれども、そういったものでも薬価の加算として③-bをつけていいという形に今後できるかどうかかなとは思いました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 事務局、ここはいかがですか。
○薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 御意見ありがとうございます。
 承認までこぎつけたというのは、実は今説明したように、一番最初のイの要件ところで評価を行い、どちらかというとハの要件のところは客観的に明らかに高いエビデンスがあるかどうかというところで実は評価をしたかったところなのでございます。
 ③-bの標準的療法と位置づけられるかというのは、これしかないからみんな使うだろうというだけではなかなか難しいなと考えていたところです。
○薬価算定組織委員長
 □□委員、いかがですか。
○□□委員
 私としてはそこの線引きは少し色合いをつけて、③-bは客観的なデータ上もしくはガイドラインでしっかり載ったということで、今までのがんとかですと本当にフェーズ3でちゃんと優越性を検証した、もしくは診療ガイドライン上第一推奨に位置づけられているというのははっきりしておりますので、そういう線引きがあったほうがいいのかなとは個人的に思っております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 考えれば考えるほど難しくなってきて分からないのですけれども、確かに標準治療法というのは、最初のお薬だったらみんな標準治療法になるかと言われたら、それは考え方としてはやはり間違いだろうと思います。だから、僕としては③-e、高いかどうか分からないのですけれども、これぐらいはつけてあげたいなというのが本音ですが、これも無理と言えば無理かもしれないですけれども、どうでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 高い効果と言われると、ちょっと納得感はないですね。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 御指摘ありがとうございます。線引きは確かに大切ですけれども、ただ、全然今まで治療がなかった領域でガイドラインが整備されているかというとまた難しい問題があって、そこをどういうふうに考えればいいのかと今悩んでおります。
○薬剤管理官
 ③-bのこれまでの整理で、検証的試験でちゃんとメットするのが一つなのですけれども、もう一つ、ガイドラインにつきましては、海外のガイドラインでも位置づけられていればそれは採用するのですが、今までガイドラインに出るであろうとか出る予定というもので今これを認めたものはない認識ということです。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 御意見をまとめると、今、これまでのところではハの要件のところはなかなか難しいのではないかと。イの要件のところで評価はもちろんされているわけで、あとは現場でこれが標準的治療法なのか、本当に9割以上の方が使うのかというのは、やはりリアルワールドでの検証が必要であろうということなのだと理解しましたけれども、そうしますと、事務局案で今回はよろしいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。企業から反対意見があるかもしれませんので、また次週行うかもしれませんが、現時点ではそのような結論とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 事務局、特に何か意見はありますか。よろしいですか。
○事務局
 ③-eにつきましても、疾患の治療方法の改善というところは有効性の客観的なデータが得られていないというところで該当しないと理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 はい。
○事務局
 承知しました。
○薬価算定組織委員長
 現時点ではそのようにさせていただきたいと思いますが、やはり高い効果というところは客観的には評価がなかなか難しいかなと思いますので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 アセノベル徐放錠500mg
日時:令和6年10月29日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「アセノベル徐放錠500mg」となります。
 特に意見を伺う委員として眞野先生、三澤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見を含め、簡単に御説明をお願いいたします。
 本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 まず□□先生、お願いします。
○□□委員
 ガイドラインについては悩ましいところではありますけれども、事務局案が妥当かなと思っています。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 意見を申しましてすみません。神経系用剤はドラッグロスが問題になっておりますので、問題提起をさせていただきました。
 やはりDMRVの疾患特性を考えると、現時点ではできる限りの科学的根拠を示しているのかなと思いまして、事務局から標準治療とする客観的な根拠がないということが言われておりますが、私の目から見るとそれなりに根拠は示されているのかなと思いました。ですので、この後申請者に質問させていただきたいと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。まず企業からの意見を聴取した上で、また話をしたいと思います。
 それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、アセノベル徐放錠500mgについての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 □□□□でございます。
 今回も□□□□先生に御同席いただき、意見表明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 次をお願いします。
 本日は、本剤の有用性を中心に、御覧の2点について意見表明させていただきます。
 次をお願いします。
 まずは、本剤の有用性と有用性加算(Ⅰ)の該当性について説明いたします。
 次をお願いします。
 本剤の有用性については、こちらに書いております5点について□□□□から説明させていただきます。
 次をお願いします。
 では、□□さん、お願いします。
○申請者
 □□でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、申請資料CTDの中から有効性に関するデータを幾つか御説明させていただきます。
 こちらは国立精神・神経医療研究センターで2009年に実施した非臨床データでございます。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者様の疾患の進行を非常によく再現したモデルマウスを用いた結果となります。生存率及び筋組織におけるアセノイラミン酸濃度の上昇、また、筋重量、運動機能において顕著な改善を確認できました。これらのデータを根拠に、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者さんにも効果が期待できると考え、世界に先駆け、□□□□が2010年より第Ⅰ相試験を開始されました。
 次のスライドをお願いいたします。
 前回の会議の有効性の説明で、審査報告書に記載されている個々の症例の上肢筋量合計点数の推移をお示ししましたが、日本で実施された2試験の平均値の推移と海外で実施した薬剤の投与がされていない自然経過観察試験と並べて表示したグラフとなります。
 一番右が外国の自然経過観察試験でございます。国内試験のプラセボ群の例数は少数で群間比較に十分な検出力を担保したものではなかったものの、右にお示しした60例以上と例数の多い外国自然経過観察試験でも、国内試験と同程度の上肢筋力合計点数の経時的な低下が観察されました。実薬群では国内試験で本剤群の投与48週後の時点でも上肢筋力合計点数がベースラインを維持されたことは、有効性を示唆する結果であると考えます。
 もともと開始前の上肢筋力合計点数の平均が30kg程度まで低下している患者さんであることを考えれば、1年という期間で3~5kg前後の上肢筋力の低下を抑えることができたのは、本疾患に罹患した患者さんのその後の筋力低下、大変大きな意義のある結果であると考えます。
 外国第Ⅲ相試験で結果が得られないことについての原因が不明瞭であることから、追加の有効性確認試験を実施し、再現性が得られたことは決して偶然ではなく、アセノベルの効果によるものであると考えます。
 次のスライドをお願いいたします。
 国内の試験では、筋力の測定だけではなく、来院時の患者さんへの聞き取りも実施いたしました。本剤群では症状悪化例の報告もありましたが、症状改善例が複数で認められました。実際に患者さんに向き合って診療に当たっている先生からも、患者さんからの聞き取りにより本剤の効果を実感したというお声もいただいております。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらの図が、先日の会議でも御質問いただきました外国第Ⅲ相試験で効果が得られなかった考察となる筋力のばらつきを示したスライドとなります。向かって左の図が国内で実施した2試験と海外で実施した2試験の上肢筋力合計点数の変化量の推移、右の図が上肢筋力合計点数の実数値の推移となります。
 右側の図を御覧ください。実数値の推移において、日本人ではベースラインの平均が約30kgで約20~50kgの範囲にまとまっておりますが、効果の認められなかった外国第Ⅲ相試験では、約20kgの症例から100kgを超える筋力の大きな患者さんも多く含まれており、変化量のばらつきも非常に大きなものでした。
 日本が参加しませんでした外国第Ⅲ相試験で効果が認められなかった理由に関しましては、筋力の大きい被験者が多く、1つ目といたしましては、筋力の個体差が大きかったこと。2つ目といたしましては、筋力の測定値のばらつきが大きかったこと。3つ目といたしましては、7か国13施設で実施され、遺伝子型を含め多様な集団を対象にしたことの3点が考えられます。
 2017年の国内第Ⅱ、第Ⅲ相試験の結果判明後、本データをもって承認申請の可能性についてPMDAと相談を重ねてまいりましたが、外国第Ⅲ相試験を含め、これまでの試験結果をもって申請することは困難で、追加臨床試験が必要であるとの見解をいただきました。
 その後、さらにPMDAと相談を重ね、試験デザイン等の合意に至った上で、2021年より有効性確認試験を実施しました。その結果、国内第Ⅱ、第Ⅲ相試験の再現性を示すことができ、結果として承認に至った経緯でございます。国内のプラセボ対照二重盲検比較試験2試験で同様の結果が得られ、他に治療選択肢のない本疾患においては画期的かつ大変意義のある薬剤であり、販売後は診断された全ての患者さんに投与される薬剤であると考えております。
○申請者
 8ページから□□が説明いたします。
 1回目算定組織後には、本剤が特定の患者集団に適応が限定されるとは言えないとの内示をいただきましたが、1回目算定組織における赤枠に取りまとめました□□□□からの御意見のとおり、遺伝子検査は必須ではないが、GNEミオパチー以外に処方されることは考えられません。
 次をお願いします。
 このページの一番下に示しました理由の項に記載のとおり、本日、□□のほうから説明いたしました有効性を示す各種データや忍容性の高さ等から、標準的治療法としてガイドラインにも記載される予定であり、③-bを満たすと考えます。
 また、GNEミオパチー患者限定で本剤の高い効果が示されますので、③-eを満たすと考えます。
 以上より、有用性加算(Ⅰ)の適用が妥当と考えております。
 次をお願いいたします。
 内示いただきましたところ、原価計算においてロイヤリティーが査定されております。赤文字で記載のとおり、承認申請に必要な試験データの対価としてのロイヤリティーでございまして、弊社にとっては研究開発の経費であることに相違はございません。ですので、ぜひ御再考をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、今の意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
 □□先生はいかがでしょうか。
○□□委員
 7ページで筋力のデータについて、よく分からないので教えていただきたいのですが、まずこの筋力の測定に関しては、一人の患者さんの中での測定の再現性はいいものなのですか。
○申請者(専門家)
 それは□□からお答えします。
 この筋力は筋力計を当てて測るものなのですけれども、3回繰り返して再現性を確認しています。ある程度ばらつきは出ますが、国内試験においては、そこは講習会を開いてきちんとこういうふうにやりましょうということで、かなり再現性を持って筋力測定ができるようになっております。海外についてはそこまでできたかどうかは確認できておりません。
○□□委員
 ありがとうございます。
 そうすると、海外のほうでは測定の信頼性にも少し問題があるのかもしれませんし、患者数の話もさきほどされたと思いますけれども、その辺でばらつきが大きくなったので、有意差をもって判断することができなかったということなのですね。
 あと、このグラフの中で横軸にVisitと書いてあるのですけれども、これは例えば48Visitはどれぐらいの期間なのですか。
○申請者
 大変分かりづらくて申し訳ございません。
 これは週でございます。ウイークです。48週間、約1年でございます。
○□□委員
 通常の患者さんでは、1年弱の間でこの筋力は普通どれぐらい進行するのですか。例えばこれを2年、3年と見ていったときにより顕著に見えてくるものなのか、その辺も教えていただけますか。
○申請者
 それでは、2枚戻っていただいて5ページです。これが外国約60例で、一番右なのですけれども、真ん中ですね。これは48週間で取った統計なのですが、ある程度進んでいる患者さんであれば、1年間、48週間でこれだけ確実に落ちていくということがデータで出ておりまして、これは大体こういう感じで2年、3年やっていくと似たような感じで落ちていくことが分かっています。ただ、そういうことが分かっている患者群で、ほぼこの薬剤投与によってその低下が起こらないということが証明できたので、有効性はあるのではないかと考えております。
 よろしいでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 48週で止めたという感じなのですか。それとも、もともと研究計画時点で48週まででということで、それ以上見ることは考えていなかったということなのですか。
○申請者(専門家)
 もともとのプロトコルで48週間で、日本ではさらに延長試験もやってやっておりまして、その後の結果も出ております。この傾向がそのまま維持されております。
○□□委員
 ありがとうございます。
 もう一ついいですか。ガイドラインにこれから掲載されるだろうという話でしたけれども、いつ頃掲載される予定かというのは分かりますか。
○申請者(専門家)
 厚労省の希少難治性筋班というのがありまして、まずそこから診断指針が出ているところから、今度は診療手引きというのが一番最初に多分半年程度で出ると思います。それが先に出て、その後、筋疾患全体のガイドラインに記載されるという順番だと思います。なので、承認販売となれば、すぐ診療手引きというのは改訂されると考えております。
○□□委員
 ありがとうございます。
 私からは以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 この薬剤が薬価収載後に本邦で標準的治療法となることが明らかであると見込まれる客観的な根拠について、もう一度御説明をお願いいたします。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。
 恐らくこのGNEミオパチーという診断がついた患者さんは、よっぽど進んでしまって動けない患者さんを除けば、若い患者さんであればあるほどこのお薬を皆さん内服いただけると考えております。つまり、ほかに薬剤はありませんし、補充療法をやっていただくしかないわけです。なので、そういう意味では、全ての患者さんがこのお薬を内服しますので、これは標準的標準療法になるのは間違いないと確信しております。それでよろしいでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 安全性の面も特段の懸念がないのでということもあるでしょうか。
○申請者(専門家)
 これは体の中にもともと存在するものでありますし、今までの臨床試験においても重篤な有害事象は何も出ておりませんので、比較的安全に長期内服できるものと考えておりますので、その点についてもあまり懸念はないと考えております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 今の御質問に加えてなのですが、前回のものでは患者のピーク時の人数というのが193人と書いてございまして、ほとんどが限られた人数だと思うのですけれども、これは全員の方が恐らく難病登録されていて、全員の方にこれが発売されれば投与されるというような道筋みたいなものもできているということでよろしいのでしょうか。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。非常に重要な点でありまして、国内の患者様は恐らく300人ぐらいだと思います。もうちょっと多いかもしれませんけれども、その患者さんがどこにいるかは、難病登録は一応しているのですけれども、全員が登録されているわけではないのです。なので、本当にこのお薬をちゃんと届けられるかというのは非常に課題でありまして、診断はついたものの、ほとんどフォローされていない患者さんとかはたくさんいらっしゃると思いますので、これは学会とかいろいろなところを通じて患者さんにちゃんとこの薬を届けていくというのも次の任務だと考えております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、委員の方からいかがでしょうか。
○□□委員
 さっきの筋力の評価というのは、僕はプロトコルを知らないのですけれども、上肢のMMTか何かの合計点という意味ですか。
○申請者(専門家)
 小さい筋力計があって、それを押す力です。
○□□委員
 その押す力は3回の平均ということですね。
○申請者(専門家)
 平均ということです。
○□□委員
 より客観的と言えば客観的ですね。分かりました。
○薬価算定組織委員長
 そのほかいかがでしょうか。
 学問的な興味になってしまうかもしれませんけれども、これは予測としては一人の患者さんどれぐらいの期間飲み続けることになるのですか。恐らく永遠ということですかね。
○申請者(専門家)
 今、日本の患者さんはひょっとしたら外国の患者さんに比べてミューテーションの細かいことが分かっていまして、進行は少し早いかもしれないと言われていますが、日本の患者さんのデータで発症から15年で車椅子になります。車椅子になってから5年ぐらいでほとんど筋肉はなくなってきますので、それまでの20年が勝負だと思うのです。今、診断に平均5年ぐらいかかっていますので、長くても15年、その間にどれだけシアル酸を補充できるかということで、患者さんの予後は全く違ってくると考えております。恐らく早期診断で早期補充ができると相当筋肉を保つことができて、長期にわたってADLを保つことができるのではないかと。そういった場合はかなり何十年もということになると思います。それを期待していますが、そういう患者さんがどれぐらい出てくるかというのはやってみないと分かりません。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、御意見はないようですので、企業の方はこれで御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 難しいです。48週間しか見ていないということなのですけれども、例えば96週とか見たりすると、かなり病状が進行するということも多分あって、なかなか長い期間組めなかったのだろうなと思います。そうした中で日本人の患者でかなりコントロールされた状態で筋力を測って、それなりに客観性のある数値が得られているということは確認できたところだと思います。
 また、ガイドラインが今後どうなるのかということに関して、□□先生は指針にまず書かれて、その後ガイドラインが作成されるはずだとおっしゃっていましたけれども、こういう希少疾患はどこまでそういうものがつくられるか自分にはよく分かっていません。これは補充療法で、ほかの類似の遺伝的な疾患でも補充療法は一番最初に取られる方法だろうと思いますので、そういう意味では標準治療と考えても本当はいいのではないかと思いますけれども、揺れています。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 私も補充療法で安全性にも特段の問題がないということなので、標準治療でもよいのかと思いましたが、ぜひ委員の皆様方の御見解を伺いたいと思います。
○薬価算定組織委員長
 皆様、いかがでしょうか。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 僕も今のガイドラインの問題で、確実に記載されるだろうという前提ならいいということなら、これは確実に記載されると思いますし、標準療法になると思いますから、その点は、やはりこれは③-bについては認めていいのではないかなと思うのですけれども、今なければならないというのが、前はそれは絶対みたいなことでしたよね。だけれども、神経学会はミオパチーのガイドラインはいろいろなガイドラインがあって、割とすぐにつくって、神経学会か神経治療学会かどちらか分かりませんけれども、積極的につくっていくと思いますし、そのときには必ず記載されると思いますから、そういう前提でいいのではないかなと。③-bは認めていいのではないかなと私は思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見はいかがでしょうか。
 事務局、今の時点で何かありますか。
○事務局
 事務局でございます。
 御参考までに、これまで③-bがついた事例を紹介させていただきたいと思うのですけれども、基本的には国内のガイドラインの記載、その他、海外のガイドライン、例えば癌領域であればNCCNガイドラインに記載があり、国内のガイドラインにいずれ記載されるだろうことが見込まれる場合に、③-bを認めているとこでございます。
 本件については、患者数が非常に限られているということと、今後標準治療になり得るというところについてどのように評価するかというところが今回御議論いただくポイントなのかなと思っております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、どうしましょうか。委員の方に御意見を伺いましょうか。
 □□先生、いかがですか。
○□□委員
 専門分野外ですが、今お話を聞いていて、確実にガイドラインというのに載ると専門の先生もおっしゃっていたので、そういう点からは、既に記載されていることですので、③-bは認めても矛盾しないのかなとは思います。
 ただ、事務局のように既存でそのようなのが、例えば海外のガイドラインで認められていて日本でない場合とかということはおっしゃっていたので、全く何もないというところからのは初めてという理解でよろしいのでしょうか。事務局の方にお聞きしたいです。
○事務局
 おっしゃるとおりです。
○□□委員
 そういう点では、かなり新しくやるということになるとは思いますが。
○薬価算定組織委員長
 これは我々の責任も重いのだと思いますけれども、先ほど御紹介いただいたように、昨年のイノベーション評価に関する事項の標準的治療法の考え方というのを少し改めておりますので、そこから考えると、今回の治療は標準的治療になるのではないかと見込まれるということでよろしいのではないかなと。今まで例がなくても、昨年夏から変わっている、冬からですかね。ということでよろしいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
 □□先生、御意見をいただけますか。
○□□委員
 これしかないのでやはり認めるしかないというのは私の感覚的かもしれませんけれども、今までの事実をずっと積み重ねていくだけでは薬事行政もうまくいかないのではないかなと思いますので、新しい方向と考えてよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 議論と企業の説明を聞きまして、海外のデータのばらつきの説明もありましたし、私も神経疾患の研究をしている者として、こういったところが評価されてもよろしいのかなと。今までの話の流れで③-bはよろしいかなと感じました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、もう一度いかがですか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 やはり先ほどのイノベーション評価の観点もそうですけれども、海外のガイドラインに載っていて日本はまだだからという今までの慣例で、それはやはり海外で最初に開発されるというのが前提だと思うのですが、この場合は海外でうまくいっていないという理由もありますけれども、世界の中で日本で初めて患者に薬を届けられるというところですかね。この辺を評価することによって、今後、日本で最初に開発してもいいのだと企業がもっともっと思ってくれれば、日本国内の患者さんたちにも今後いいことがあるかもしれないなと思いますので、そういう意味では評価していいかなと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の間では、このようなほとんど全会一致で③-bを認めてもいいのではないかということですけれども、事務局からいかがですか。
○薬剤管理官
 ありがとうございます。薬剤管理官でございます。
 御議論本当にありがとうございます。私も研究者の先生にあえて聞かなかったのですけれども、実は国内試験は仮説を立てていなさそうなのです。対照群としてプラセボを入れてはいて、本剤群のところを見て、筋力の低下の傾向を見るというようなもので、いろいろ大学の発表等も確認しても客観的数量、定量的な評価をしていなさそうなのです。審査報告書でもそこは具体的に前提も書いていないので、その中でここの部分の評価をどう考えるのかというところが実はあります。
 我々が考えていたのは、迅速導入加算という加算によって、国内で初めて承認されるという点を評価しております。今まで治療薬のないところに初めて治療薬を開発したということについても評価しております。その上で、本剤による治療が標準的治療になり得るかというところについてはいかがでしょうか。
 先生方もガイドラインをいろいろ読んでいらっしゃるし、ガイドライン作成に関与されている先生もいらっしゃると思いますが、まだガイドライン自体に記載されておらず、さらに海外で参照すべきものも全くないものについて、本剤が将来ガイドラインに載る可能性があるというところを評価し、加算の対象にするかどうかというところは事務局としては事例がなく、ガイドラインに記載されなかった際にどうするのかなというのもありまして、御議論いただいていたところです。
 それを踏まえて、やはりここは評価してもいいのではないかということでしたら、新しい判断になるのですが、要するに日本で承認をされていない、あるいは海外で初めて承認される適応のものについては、標準療法のないようなものについて開発したというものとも取れますし、これは自動的につくような形になってしまいますので、それはどういう整理にすればいいのかなというのが少しあるのかなと思っています。
 以上です。
○薬価算定組織委員
 ありがとうございます。
 ただいまの御意見も踏まえまして、いかがでしょうか。
○□□委員
 やはりこれは希少疾患であるということと、もともと長期で見ないとなかなか統計学的な有意差を検討するには難しい希少疾患という前提の中でこういうふうに評価しているということは、やはり無限定にやって僕なども今③-bの意見を言っているわけではないのですよね。そういうふうなことはやはりこの審査報告書にも記載しておいてほしいなとは思います。無限定ではなくて、どんな薬でも日本で開発した初めてはみんな認めるというわけではないと思いますけれども。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 今、ガイドラインに掲載されるかどうかということがかなり論点になっておりましたが、そもそも標準的治療であるということとガイドラインに載るかどうかとは論点が違うように思います。標準的治療というのは科学的に示された現在提供できる最良の推奨できる治療ということですので、その前提であれば合致するように思います。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 先ほど言いました希少疾患というのは非常に重要なキーワードかなと思っています。循環器疾患のようなマスでやる場合には、やはりかなりエビデンスを求める必要があると思いますので、ふだんそういう循環器を対象として私はやっておりますが、かなり違和感はあるのですが、お話を聞いて、希少疾患のイノベーション、開発のことも含めて、これは同じ観点からなかなかこの③-bというのを考える際には難しいのかな。悩ましいのかな。個々の薬について議論が必要かなと。まだ初めてですので、かなり重要な決断というか勇気が要るなというところではあると思いますが、一応イノベーションでそういうガイドライン等に確実に記載されるということは、根拠がないとなかなか感覚的にはこういうのは難しいと思うので、その辺と先ほど言った希少疾患ということではいかがかなと私は聞いていて思いました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 なかなか希少疾患で、この薬はエビデンスというか合成酵素がないところに合成されたものを補充するということなので、作用点はかなりはっきりしているので、効果は普通に薬が届けば効くだろうなというのは明らかだと思うのですよね。なかなか統計学的な処理とかもこの数だと難しいですし、今、事務局からも御意見がありましたけれども、今回こういうことは初めてですので、我々の責任も重いのですけれども、希少疾病に対するイノベーションについて考えるに当たり、こういうのをお認めしてもいいのではないかということが一応この委員の中でのコンセンサスだと考えます。
 事務局、そういうことでよろしいでしょうかというか、ここは算定組織なので、我々が最終的には判断を下したいと思いますけれども、特にほかに御意見はよろしいですか。
○薬剤管理官
 先生、御議論ありがとうございました。
 今のお話を伺いますと、やはりイノベーションの評価、特に日本で開発された医薬品で、しかも、薬理作用も補充療法で非常に分かりやすい、かつオーファンではあるけれども、患者数300人ぐらいしかいないというところも高く評価して、これは既存薬もありませんし、やはり標準療法になり得るだろうというような、非常に分かりやすい薬理作用であるといった点も踏まえた上でということで理解しました。
 今後、今日のこの議論の整理を土台にしまして、先生方の御意見をいただきながら今後のイノベーションの評価を進めたいと思います。
 本日はありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思いますが、算定概要における算定結果について、算定案のうち、要件ハの③-bをお認めする。これは5%加算でよろしいのでしょうか。価格に関してはここで出されますか。
○事務局
 事務局でございます。
 ③-bの加算を1つ認めますと、合計60%の加算となりまして、薬価が2,886.20円でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、こちらを修正させていただいて、2,886.20円ということでよろしいでしょうか。
 当該企業は了承すれば中医協に報告したいと思いますが、こちらの案でよろしいでしょうか。
○事務局
③-eにつきましても御議論いただければと考えております。申し訳ありません。
○薬価算定組織委員長
 ③-eに関してですか。
 □□先生、こちらは何か御意見はございますか。
○□□委員
 こちらに関しては、論点は高い有効性があると認めるかというところかと思っています。高い有効性に関しては、私、ちょうど昨日薬価のシンポジウムを聞いてきまして、やはり希少疾患においてはRCTで有意な有効性というのを検出するのは難しいので、希少疾患の場合には薬価算定組織が有効性ありと認めた場合に算定していいのではないかという議論がありました。ですので、今日企業の皆様が御発表された内容で算定組織の皆様がどう考えられるのかというところかと思っております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ③-eに関しては、事務局から先ほど説明がありましたけれども、原則類似薬効比較方式を前提にするということですので、そもそも対象にしなくていいと思っています。高い効果というところに関しても、どう考えるかは微妙だなと思います。ですので、③-eは評価しないでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見はいかがでしょうか。
 事務局、この③-eが類似薬効比較方式を前提として新設されたというその前提とするということに関して、新設された経緯というのをもし簡単に説明していただければ。今日のいただいた7ページには一応背景が書かれており、比較薬との有意性というのですかね。比較薬に比べて投与患者数が少ない薬剤では、開発費用の回収が困難となる状況、ちょっと背景が分かりにくいと言えば分かりにくいですね。
○事務局
 事務局でございます。
 ③-eでございますけれども、背景といたしましては、ただいまお示しさせていただいております昨年の研究班での検討結果をベースにした資料ですけれども、類似薬効比較方式による算定を進める中で、作用機序に基づいて特定の患者集団に適応が限定されている薬剤を比較薬として算定される事例の場合、投与対象患者数が比較薬に比べて少なく、開発費用の回収が困難となる状況も想定されるというところがございます。
○薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 具体的に申しますと、よく抗がん剤のところで肺がんとかの中でミューテーションを特定ターゲットとして開発した場合に、患者さんが明らかに小さいのですけれども、類似薬効比較方式で肺がんという対象患者の多いところと比較をされてしまうと、対象患者はミューテーションありに限定されかなり少なくなり、開発のディスインセンティブになるので、それに対して加算をつけましょうというのがこの設立された背景だということです。
○薬価算定組織委員長
 そうしますと、今回の例に関しましては当てはまらないということだと思いますが、□□先生、いかがですか。
○□□委員
 そのような背景を伺うと仕方ないのかなと思います。それがよく分かるようにと思いました。どこかに書いてあるのですかね。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見はいかがでしょうか。
 そうしますと、この③-eに関してはお認めしないということでございましょうか。
 ロイヤリティーに関しては、何か御意見はいいですか。
 □□先生、こちらはお認めしないという方向でよろしいのでしょうか。
○□□委員
 事務局案を拝見すると、妥当性を評価するに足る説明が得られなかったという結論と捉えております。
○薬価算定組織委員長
 □□先生はいかがでしょうか。
○□□委員
 何となく企業のデータの対価として払っているとの主張も分からなくはないですし、こういうことは医師主導治験の場合だと結構あるのだろうとは思います。ただ、こういう場合はこうだ、ああいう場合はこうだとぶれてしまうと、それはそれで算定にぶれが生じると思いますので、今までどおりの考えでやるのが一番分かりやすいかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、委員の先生から御意見はよろしいでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ○薬価算定組織委員長
 そうしますと、①については要件ハの③-bに関してはお認めするということと、②の要件ハの③-eに関して、また、③の東北大学へのロイヤリティーに関してはお認めしないということで事務局算定案を修正したいと思いますが、そちらでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、こちらは修正いたしまして、先ほどの価格は2,886.20円ということでよろしいですね。
○事務局
 大丈夫でございます。
○薬価算定組織委員長
当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ビルタサ懸濁用散分包8.4g
日時:令和6年10月22日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
 「ビルタサ懸濁用散分包8.4g」です。
特に意見を伺う委員として諸井先生、高橋先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
 ○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 まず、算定方式は類似薬効比較方式で、一日最大単位数量を計算する際に、申請者は□□□□で行っているわけですけれども、これは事務局案の□□□□でされるのが妥当だと思います。
 それから、有用性加算もハの対象疾病・負傷の治療方法の改善についての③-aに申請者は該当するということで申請されておるのですが、これも事務局案で問題ないと思うのです。後で陳述があるかもしれませんが、心不全でナトリウムがフリーであるということで、ロケルマとの比較でいろいろお話しするのかなというのは聞いてみたいのと、ロケルマ以外にも高カリウム血症治療薬はありますので、その辺について、既存の治療方法では効果が不十分な患者群とかという③-aの規定がございますが、臨床試験ではいろいろな疾患が含まれている、例えば心不全とか糖尿病等ですね。あるいはRAS阻害薬を使用している患者、全てを含んだ対象疾患で行っているという点で、特に心不全がなかったということですが、なかなかそれを証明するのは難しいかなと思っています。この後、陳述を聞いた上でまた判断したいと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 先ほどの事務局のほうからの御説明と今の先生の御意見と同様で、薬価の算定方式はやはり□□□□に基づいて計算するというのが適切だと思います。
 有用性加算ですけれども、確かにこの薬は1日1回の服用でナトリウムフリーということで、メーカー側が言っているようなメリットはあるのかなとは僕も思うのですが、事務局の御指摘のとおり、明確にそれを対象としてしっかりと有用性と副作用の影響を確認したわけではないので、有用性加算をつけるまでには至らないという判断で僕も妥当だと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の先生方からほかに御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 まず企業の意見を聴取してからまた議論したいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
 ○薬価算定組織委員長
 最初に、ビルタサ懸濁用散分包8.4gについての御意見を5分以内で御説明ください。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 □□□□です。本日はよろしくお願いいたします。
 スライド2です。
 今回は、有用性加算として、高カリウム血症におけるナトリウムフリー製剤の有用性を主張いたします。
 スライド3です。
 論点は3点です。1点目、2点目は私から、3点目につきましては、臨床試験医学専門家でございます□□□□先生より御意見を頂戴いたします。
 スライド4です。
 ビルタサはナトリウムフリー製剤のため、国内臨床試験において、うっ血性心不全や浮腫が誘引されるリスクは検出されませんでした。ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物の添付文書にはうっ血性心不全や浮腫が、リスク管理計画書には重要な特定されたリスクとしてうっ血性心不全の記載があります。なお、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物5gに含まれるナトリウム量はおよそ400mg、食塩換算でおよそ1.02gとなっています。
 スライド5です。
 海外論文を紹介させていただきます。2023年に米国で発表された論文では、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物群は既存の心不全の有無に関係なく、ビルタサ群と比較して一貫して心不全、死亡、浮腫の発生リスクが有意に高いとの報告がございます。
 スライド6からは、医学専門家の□□□□先生より御意見を頂戴いたします。
 先生、よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
 よろしくお願いいたします。□□と申します。
 一昨年まで6年間□□□□を拝命しておりましたので、この薬剤を御説明できればと考えております。
 スライド7をお願いいたします。
 先生方も御存じのように、今、日本は高齢化の真っ只中にあって、疾病負荷が随分変わってきているというところがございます。高血圧が4,300万人いて、腎臓病も増えていて、日本全国で透析の患者さんが30万人を超えている。毎年新規に4万人以上が透析の導入になっています。また、心不全もパンデミックという状況で、120万人の心不全患者さんがいらっしゃいます。重要なことは、この腎臓病と心不全、高血圧は相互に病因的にも関係があるということになろうかと思います。
 スライド8をお願いいたします。
 透析の1つ前の段階、最近は慢性腎臓病(CKD)と呼ぶわけなのですが、eGFRが60未満あるいは蛋白尿が出ている状況の患者さんが随分増えていて、当初は1,300万人と言われていましたが、直近のデータでは2,000万人を超えるという国民病という段階であります。
 スライド9をお願いいたします。
 これは、私どもが実臨床の現場で高カリウム血症の現況について解析したものであります。そうしましたところ、高カリウム血症はやはり生命予後と関係が深い。その要因としましていろいろ出てきたのは、糖尿病、腎臓病、高血圧と関係があり、腎臓病は心不全、高血圧には最近はしばしばレニンアンジオテンシン系阻害薬という薬剤を使います。このレニンアンジオテンシン系阻害薬がさらに高カリウム血症の原因ともなるということで、レニンアンジオテンシン系阻害薬の使用患者さんにこの頻度が高いということも明らかになりました。
 スライド10をお願いいたします。
 今述べてきたように、腎臓病、高血圧、心不全の患者さんは生活習慣の適正化というのが一番大事なのですけれども、この生活習慣の適正化で一番大事なものが減塩ということになります。日本人は平均11gぐらいの食塩を摂取しているわけなのですが、高血圧の場合には6g未満が目標値と設定されていて、ところが、なかなかこれが達成できない。ここに書いているように、男性、女性それぞれ、国民全体では目標値は7.5gとか6.5g未満に設定されますけれども、到底そこには到達できていないということになります。
 スライド11をお願いいたします。
 ということで、これは先ほども御紹介があったかもしれませんけれども、高カリウム血症の治療薬で2つ新しいものがあるわけなのですが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物とビルタサであります。一番大きな違いが食塩を含んでいるか、いないかということだと思います。従来から使われていたSPSやCPSは消化器系の副作用があるためになかなか使いにくい薬剤だという認識でありましたけれども、この2つの薬剤は服用コンプライアンスやアドヒアランスも上がるために大変期待されているわけなのですが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物の場合は食塩を1g含んでいる。これが一番大きな課題だろうと考えています。
 次のスライド12をお願いします。
 今述べたことをまとめたものでありますけれども、食塩制限をしなければいけない患者さんがとにかく日本は非常に増えている。1gの食塩制限ですら非常に難しい状況があって、薬剤の中にこれが含まれていることが大きな課題だと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の皆様から意見を伺いたいと思いますが、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 食塩の重要性はよく分かりました。
 確認ですが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物を通常医療で使うと、食塩はどのぐらいの摂取になってしまうのでしょうね。5gで1gということでしたけれども。
○申請者
 お答えをさせていただきます。
 ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物に関しましては、導入期に関しましては1日30g、1回10gを1日3回、2日間服用ということですので、この場合ですと1日およそ2,400mg程度のナトリウムなので、それだけでも1日当たり6g程度の食塩を摂取するという形になってしまいます。
 その後、維持期になりますと、1回5gを1日1回ということで、今お話しさせていただいたとおり、大体毎日1g程度の食塩負荷がかかるということでございます。
○□□委員
 それが今回のこの薬ではフリーになっているということですが、もう一つ、高カリウム血症治療薬としましては、ナトリウム型ではなくてカルシウムのイオンの交換で下げるという方法もあるのですが、これに関してはどのように考えたらいいのですか。ナトリウムを摂りたくない人に関して、そういうチョイスがあるわけですね。ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物を対象としたお話だけいただいたのですが、そうでないチョイスもあるのではないかなということで、有用性加算に関してなのですけれども、既存の治療薬の治療法では十分な効果が上げられない群というのがあるのですが、その辺はどうでしょうか。
○申請者(専門家)
 □□でございます。
 このことについてお答えいたします。CPSやSPS、カリメートやケイキサレートの薬は本当に古い薬で、私どもは長年使ってきたわけなのですが、一番の課題は消化器系の副作用で、最悪の場合は消化管の穿孔例も報告されているということで、有用でありますけれども使いにくい薬剤ということで、企業のほうも剤型をだんだんと変えてきたわけなのですが、まだまだコンプライアンスやアドヒアランスが悪かったというのが現状だったと思います。そういうこともあって、新しくジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物とビルタサという薬が開発されて、本当に期待しているわけなのですが、ようやくこの両者の違いが明らかになってきて、リアルワールドデータでその比較のデータも出てきて、これは大きな課題だろうと認識しているようなところです。
○□□委員
 先生方なども御存じかもしれませんが、イオン交換型のものに比べて新しく出てきたのがかなり効果的だと思うのです。それなりのメリットが評価されなくてはいけないと思います。
 それから、臨床試験に関してなのですが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物の対照試験で、これは2021年ぐらいからいろいろ報告されて、薬効評価の報告書内ではあまり触れられていなかったかもしれないのですが、これは最近ではロケルマに関する有用性というのがかなり確立されたエビデンスがあると解釈してよろしいのでしょうか。例えばワン・ツー・ワンでやっていてエビデンスレベルの高い臨床試験があるのかなということも含めてですけれども。
○申請者
 お答えさせていただきます。現在、国内試験におきましてはビルタサのプラセボとの比較試験でございましたので、ビルタサとジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物を直接比較したデータというのは現在海外報告も含めてございません。
 しかし、安全性評価等を目的としたシステマティックレビューにおきましては、浮腫のリスクを考慮すると、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物よりもビルタサのほうが慢性的な高カリウム血症の治療には適していると結論づけているような論文等もございますので、そういったもので私どもは評価をさせていただいております。
○□□委員
 どうもありがとうございました。
 私からは以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生からはいかがでしょうか。
○□□委員
 特に大きな追加はないのですけれども、やはりヘッド・トゥ・ヘッドで比べてそういう従来の既存の薬剤では投与しにくいようなグループで臨床試験をやってということのデータはまだなくて、今言ったシステマティックレビュー等でリアルワールドデータから言われているというようなことでよろしいでしょうか。確認です。
○申請者
 おっしゃるとおりでございます。
○□□委員
 ありがとうございます。了解しました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員から何か御意見、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、これで企業意見の聴取を終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 改めまして、企業の意見を踏まえまして、御意見をお願いいたします。
 □□先生、お願いいたします。
○□□委員
 企業のほうはロケルマとの比較でいろいろ提示されましたが、エビデンスレベルとして要件ハの③-aを取得するほどではないのかなという点、それから、ナトリウムが非常に多く入る場合にはほかのチョイスもあるという現状からしまして、治療薬の中の一つであるという認識でいいのではないかなと考えます。以上から有用性加算はつけ難いかなと考えます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 □□先生と同意見で、1日1回でということとナトリウムフリーというのが多分この薬の一つのポイントなのかなと思うのですけれども、恐らくこういうポイントで実際に使うときにナトリウムフリーというのは確かに大きなメリットだと思いますので、実臨床で医師が使用する選択の一つの有力な手段、根拠にはなるなとは思うのですが、有用性加算をつけるにはまだ至らないのかなということで、そういう意味で選択されて使用の数も増えてくるというところで、それはそれでいいのかなと考えます。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員の先生からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ユバンシ配合錠
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「ユバンシ配合錠」です。
特に意見を伺う委員として諸井先生、齋藤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
 ○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 本剤は肺動脈性肺高血圧症に対する配合剤、マシテンタンとタダラフィルの配合剤についてですが、算定方式は新医療用の配合剤の特例で問題はないかと思います。
 それから、有用性加算なのですけれども、標準的治療が肺動脈性肺高血圧症に対して該当するかということですが、肺動脈性肺高血圧症の併用療法は逐次併用していく方法と最初から併用していく方法、両方ともガイドラインでは推奨されているということです。ですので、この配合剤で初期併用療法、最初からこの薬を使うという方法も一つの選択肢としてあるのですが、標準的治療法という位置づけまでは言及できないだろうということで、事務局案でよろしいかと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 加算の有無が論点になると思われますが、メーカーは、先ほど説明もありましたように、合剤のメリットのみを強調しているように見えるのですけれども、一方で有害事象の発現割合が単剤群と比較して本剤群で高かったという薬事承認のときの情報はやはり見過ごせないと思います。それも含めて、本剤は肺動脈性肺高血圧症における治療の選択肢の一つにはなるものの、その投与対象はかなり限定的でありまして、標準治療法として位置づけられるとまでは言えないと思います。ですから、加算の対象にならないという事務局案を支持いたします。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、その他の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
 特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 今、□□先生が言われたことがすごく分かりやすかったと思いますので、よろしいでしょうか。
 特に意見もないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 アリッサ配合錠
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「アリッサ配合錠」です。
特に意見を伺う委員として小方先生、山田先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 今、事務局から説明がありましたように、補正加算に関してですけれども、審査報告書に本剤が既承認のLEP配合剤と比較して血栓症の発現率が低い薬剤であるとは判断できないという記載がありますので、補正加算なしということで、事務局案でよいと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。
 特にないようですね。
 先ほど御意見があったとおり、血栓症に関してはリスクが低い薬剤であるとは判断できないと書かれておりますので、有用性加算なしということでよろしいかと思いますが、何か御意見、御質問はよろしいですか。
 事務局、よろしいですか。
○事務局
 特にこちらから追加はございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ルプキネスカプセル7.9mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「ルプキネスカプセル7.9mg」です。
特に意見を伺う委員として田﨑先生、高橋先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 基本的に事務局案でよろしいかと思います。該当しない要件ハの③-aとかbの有用性加算は、やはり審査報告書に書かれていないということで、こちらでよろしいかと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も事務局案でいいと思います。原価計算方式でいいと思いますし、あと、有用性加算は先ほどから御説明があったように、3項目出ているようですけれども、そのうちの1項目で5%の加算ということで適切だと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の先生から御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 特段ないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 オータイロカプセル40mg
日時:令和6年10月22日(火)※企業の意見陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「オータイロカプセル40mg」です。
特に意見を伺う委員として、下井先生、弦間先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案及び企業の意見陳述について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 ROS1 fusionのあるような非小細胞肺がんの頻度自体が非常に少ないところでございますので、フェーズ2試験で非常によい成績だと個人的には感じておりますし、これで承認されているというところは理解しております。
 また、TKI既治療例に対する有効性というところでも3割から4割程度の奏効割合を示していて、そこも非常に期待が持てる有効性だなと感じてはおるところでございますけれども、既存治療薬の現状でのそういった対象での有効性との比較でどうかというところまでいくと、今回の単剤、単群試験の成績をもって標準治療になっていると言うことがなかなか難しいところでございますので、そういった点からは、現状では加算の要件を満たしているとまだ言えないかなという評価でございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も同様です。期待される薬剤、結果とは思いますけれども、比較等のデータは非常に出しにくいと思いますが、ないということから、□□先生とほぼ同様の意見でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、他の委員の先生方から御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、企業の意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、オータイロカプセル40mgについての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 ありがとうございます。
 私は□□□□です。私は□□□□を担当しています。
○申請者
 本日は、オータイロカプセルにつきまして、DPOで陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 それでは、私のほうからオータイロカプセルの有用性加算に対する企業の主張を述べさせていただきます。
 スライド2を御覧ください。
 本剤はその臨床的有用性により、スライドに記載した各加算項目に該当すると考えております。
 本日は時間の関係から、要件ハの③-aの項目を中心に説明をさせていただきます。
 スライド3を御覧ください。
 スライド3は、機構の考察内容を紹介しております。
 次にスライド4を御覧ください。
 TKI未治療患者における本剤のPFSは35.7か月と持続的な有効性が示されております。
 スライド5を御覧ください。
 左に示しますように、TKI既治療患者に対し、本剤はクリゾチニブまたはエヌトレクチニブによる前治療を受けた集団や、多くの治療歴を有し他に有効な治療法がない患者においても臨床的に意義のある有効性が示されました。
 特にROS1-TKI1種類に治療歴を有する53例のコホートEXP-4では、奏効率が37.7%、奏効期間が14.8か月と示されています。
 右に示しましたように、TKI既治療患者でベースライン時に耐性変異が確認された15例の集団のORRは53.3%であり、良好な抗腫瘍効果が認められております。
 このような臨床的有用性に関する本剤の化学構造上の特徴を、次のスライド6で御紹介させていただきます。
 右の化学構造の図を御覧いただきたいと思います。各TKIの活性中心構造は紫色の四角で示した部分になります。本剤は、赤い丸で示したとおり、大環状構造を有しており、この構造により強固かつコンパクトな結合を特徴といたします。
 本剤は、他剤と異なり、ROS1キナーゼの変異アミノ酸と干渉する置換基、緑色の四角で示した部分を有さないため、変異したROS1に対しても強い阻害活性を示します。
 このように、本剤は、既存のTKIと比較し、変異アミノ酸と重なる置換基を有していないこと、大環状構造を有していることで、既存のROS1-TKIによる治療歴のある患者やROS1-TKIに対する耐性変異を有する患者のアンメットメディカルニーズを満たすことが可能と考えております。
 スライド7がまとめになります。
 本剤は、陽性頻度が1~2%と非常に希少なROS1融合遺伝子陽性NSCLCの治療法の中でも、切除不能な進行・再発患者に改善をもたらす革新的な薬剤であります。従来のROS1-TKIで課題となっていた既治療患者や耐性を示す患者においても、持続的な効果を示すことが審査報告書においても評価されております。よって、本剤は③-aの加算要件に該当すると考えます。
 本剤の化学構造上の特徴と関連する臨床的意義をぜひ御理解いただき、この革新性が適正に評価されることを希望いたします。
 御清聴どうもありがとうございました。以上になります。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方から御質問をお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 御発表ありがとうございました。
 お伺いしたい点は、TKIの既治療例もしくは耐性がある患者さんに対して、既存で今治療を行うとなりますと、通常、細胞障害性抗がん剤のプラチナ併用療法等が選択されるかと思うのですけれども、そこに対する本薬剤の有益性というのは示されているものでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
○申請者
 ありがとうございます。□□□□でございます。
 直接比較した結果というのはなく、今まで得られている点推定値と比べて数値的に高いというのがありますが、直接比較した結果等というのは今の段階では得られていない状況になっております。
○□□委員
 ありがとうございます。
 そうしますと、今の実臨床での使い分けというところはどういった形になると推定されますでしょうか。ほとんど全例本剤のほうに変わるということでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 ここはもちろん患者様のバックグラウンド等にもよるとは思いますが、今後、TKIを最初に投与して、例えばクリゾチニブ、エヌトレクチニブが投与された後には、レポトレクチニブが治療の選択肢の一つになると思いますが、もちろん場合によっては副作用等や合併症等を加味して細胞障害性抗がん剤を選択された方もいらっしゃると思いますが、治療選択肢の一つになるのではないかと考えております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。
 それでは、私から。開発段階で、この薬剤は前の薬剤のクリゾチニブやエヌトレクチニブの耐性や使用例に関して、その効果が薄くなったところにこの薬剤を使おうと考えて開発されたのか、それとも、先ほどメカニズムというか構造式を出されましたけれども、開発したらたまたまこうだったのかというのは、開発に関わる金銭的なこともありますので、その辺は企業はどういう計画で最初にこれを開発し始めたのでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 正直に申し上げますと、途中でこの薬剤を買収しているところがありますので、当時、正確にはどのような意図を持ってというところは把握できていないところはありますが、先ほど御説明いたしましたとおり、こういったTKIにおきましては耐性変異というところが問題になるというところから、それを克服できるようなものを開発したのではないかと推察されますという形になります。歯切れが悪く、大変申し訳ございません。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 もう一点お伺いしてもよろしいでしょうか。
 例えばエヌトレクチニブやクリゾチニブ等が何か安全性の懸念から使えないけれども、本薬剤が使えるというような、安全性に限らないのですけれども、ほかのTKIが使えないけれども本剤だけは使えるというような対象は具体的に想定されていますでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 現段階で、TRKを阻害するというところでクリゾチニブとは少し安全性プロファイルが異なっているとこあると思いますが、必ずしも3剤は安全性プロファイル、効果が一緒ではないと思いますので、それぞれの薬剤の有害事象並びに有効性を加味して各先生方に御判断いただくという形になるかと思います。
○□□委員
 ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局、特に何かございませんか。よろしいでしょうか。
○事務局
 産情課でございます。
 本剤については、今、先生方からも御質問があったように、確かに直接比較というのができておらず、なかなか既存治療との差をどう説明するか難しいというのは理解をしておりますけれども、一方で、加算が一つもないと、これは新薬創出等加算にも該当しないということにもなりまして、薬価維持されないというところでもございますので、そういったところも含めて慎重に御審議いただければと思っております。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取は終了いたします。企業の方は退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 以前にも、CAR-T療法のものだったと思うのですけれども、MAIC法という方法で各単群の臨床試験同士の新しい薬の有益性を検討した統計手法とかがございましたけれども、この手法で検討したからこそ、単群試験同士で優越性を示されるというところまではなかなか難しいところでありますし、今回、どちらかというと、企業が主に検討の俎上に上がりそうな③-aに関しては比較薬との検討というところは出していなくて、本来であればTKI治療後にこれだけ効いているのはすごいなとも思いますので、本剤はなかなかいい薬剤の有効性だなというのは一見して分かるのですけれども、評価しどころがないというのが現状でございまして、加算なしというところが回答になっております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の先生からはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 これは非常に希少疾患なので、やはり今、□□先生が言われたように、どこか何か1つ取ってあげたいなという気持ちにもなるのですけれども、その辺は無理なのでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 先ほどの企業の御説明ですと、選択肢の一つですとか、□□先生から御質問いただきましたような既存のクリゾチニブなどは使えなくて本剤が選択肢になるような患者さんのところの具体的な説明がございませんでしたので、③-aを付けるかというところはなかなか難しいところなのかなと思います。
○□□委員
 PMDAの審査報告書でも、その辺については非常に有望であるとか、そういうふうな文言はなかったのですか。
○事務局
 記載はございませんでした。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 本日の時点では加算なしでいくしかないと思いますけれども、企業が不服を申し立ててきたりした場合には、また事務局のほうで再考していただいて、また我々のほうでも再考させていただきたいと思いますが、現時点ではなかなか難しいかなというところでしょうか。ここで画期的な意見が出るとは思えませんので、よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
タスフィゴ錠35mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
 「タスフィゴ錠35mg」です。
特に意見を伺う委員として下井先生、山口先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 本薬剤の有効性に関しましては、単群のフェーズ2試験の成績から有効性は示されて承認されているものと認識しておりまして、逆に言いますと、その他の薬剤との比較試験ということではなく、一定程度の有効性がちゃんと示されている、安全性も示されているというところになっております。
 そういう点からは、今までのペミガチニブ、フチバチニブもそうなのですけれども、既存の治療法では効果が不十分な患者群というところで、特に今回の類似薬効比較方式の対象薬剤でありますフチバチニブに対して、□□□□細胞株における変異のデータというのはあるものの、臨床データがしっかりと確立しているわけではないというところを踏まえますと、今のまま、フチバチニブと同様のところでございまして、有用性加算に該当はしないという判断は妥当と感じました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も事務局案が適当と考えております。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、他の委員の先生方から御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 今までのこれまで出ているお薬と並び立つものかなという御判断かと思いますので、特に有用性加算はなしという判断でよろしいでしょうか。
 特段意見もないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 フリュザクラカプセル1mg、同5mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「フリュザクラカプセル1mg、同5mg」です。
特に意見を伺う委員として森山先生、山口先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 特に意見はございません。補正加算についても事務局案のとおりでよいと私は思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局案が適当であると思います。
 ただ、事務局に教えていただきたいのですけれども、今回、要件のイの①-bなのですけれども、レゴラフェニブが広範囲にわたるキナーゼを阻害するということで、阻害する範囲が広がっているのですけれども、こちらの対象薬のフルキンチニブに関しましては、VEGFR-1、2、3ということでかなり選択的に阻害するということになっているようなのですが、もし条件として選択的阻害というのがイの①-bに該当するようであれば、それは認められるものなのでしょうか。選択範囲が狭まるというのは要件のイの①-bに該当するものなのでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 現時点では、審査報告書に記載のとおり、選択性の違いについては明確でないという説明がございまして、要件イの①-bにつきましても、評価が現時点では難しいと考えております。
○□□委員
 ありがとうございます。
 そこは分かったのですけれども、例えばもし選択的で範囲が狭まるということに対しては、この要件のイの①-bというのは該当するものなのですか。
○事務局
 事務局でございます。
 この要件イの①-bにつきましては、先ほどの御説明の中にもございましたが、臨床上有意であるかどうかというところに重きを置いておりますので、その選択性の範囲が狭まったことで臨床上の有用性に何らかの変化があった場合は、この点で評価できるものと考えております。
○□□委員
 分かりました。ありがとうございます。ただ狭まっただけではなくて、臨床上の有用性が認められればということなのですね。
○事務局
 おっしゃるとおりでございます。
○□□委員
 ありがとうございます。
 私からは以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、他の委員の先生方から何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、よろしいですか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ケサンラ点滴静注液350mg
日時:令和6年10月22日(火)※企業の意見陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「ケサンラ点滴静注液350mg」です。
特に意見を伺う委員として幸原先生、齋藤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明してください。
 本件は企業の意見陳述がございます。よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 これは言わばレカネマブの親戚みたいな薬ですので、投与方法のいろいろなことが書いてありますけれども、事務局案の算定方式がやはり妥当だと思います。
 それと、有用性加算についても、使用上の便利さというのはあるかもしれませんけれども、それ以上のことはないですので、これは5%で十分だと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、また後ほど意見をお伺いしたいと思います。
 企業の意見聴取に行きたいと思いますので、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
 ○薬価算定組織委員長
 最初に、ケサンラ点滴静注液350mgについての意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 私は、□□□□と申します。
 アルツハイマー治療薬のケサンラにつきまして、弊社の希望算定案を説明させていただきます。
 2ページ目をお願いいたします。
 本剤はレケンビと同じアルツハイマー病に対する抗アミロイド抗体ですので、レケンビを比較薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定することは自明だと考えます。
 補正加算につきましては有用性加算(Ⅰ)、項目としては①-b異なる標的分子及び③-c利便性の向上を満たすものと考えております。
 なお、総薬剤費合わせでの薬価算定を希望させていただいていますが、こちらは後ほど説明させていただきます。
 3ページ目をお願いいたします。
 こちらのスライドは、薬理作用に関するレケンビとの違いの説明となりますが、アルツハイマー病ではアミロイドβ(Aβ)が凝集し、最終的に脳内にAβプラークが沈着しますが、レケンビは凝集Aβプラークの前駆物質であるプロトフィブリルの除去をするのに対して、本剤は脳内に蓄積した凝集Aβプラークそのものを迅速かつ強力に除去することが特徴になります。
 4ページ目をお願いいたします。
 こちらのスライドは用法・用量の違いの説明となりますが、レケンビとの一番の違いは、12か月を目安に脳内アミロイドの除去が確認された場合に早期の投与完了が可能である点であります。これに加えまして、投与頻度の低減、点滴時間の短縮、体重による用量調整がない点も含めて、レケンビに比べて患者等の負担軽減が期待できます。
 また、12か月の早期投与完了が可能であると説明いたしましたが、アミロイド除去が確認されない場合でも原則として18か月までの投与になり、投与期間が限定されております。
 5ページ目をお願いいたします。
 本剤は治療期間が限定されている薬剤と説明させていただきましたが、そのような治療期間が限定されている薬剤の算定につきましては、通常の一日薬価合わせではなくて、総薬剤費合わせにより算定されることが妥当と考えられ、過去にもそのようなケースでは総薬剤費合わせでの算定が行われております。
 6ページ目をお願いいたします。
 本剤の算定における総薬剤費合わせを説明いたします。本剤は、臨床試験の結果から、12か月で投与完了する患者が約□□□□程度と想定されますので、その点を考慮した本剤の平均投与期間はおよそ□□となります。本剤の総薬剤費合わせにおいては、本剤の平均□□の薬剤費とレケンビの□□の総薬剤費が同等になるような算定が妥当と考えます。なお、レケンビは体重当たりの用量設定であり、総薬剤費合わせで使用します薬剤費につきましては、臨床試験での平均体重□□kgで計算することが妥当と考えますが、平均体重を用いることの妥当性につきましては次のページで説明いたします。
 7ページ目をお願いします。
 ページの左側に記載しておりますが、本剤の対象となる軽度認知障害、軽度アルツハイマー病の日本人患者における平均体重は、複数のデータから□□kg前後と推察されます。
 また、ページの右側、レケンビは残量が発生した場合には破棄することとされていますので、51kg以上60kg未満では廃棄が生じることになります。平均体重における廃棄を含む実用量は600mgでありますが、薬価算定で通常用いられる50kgに基づき計算される500mgとは大きな差がありますので、平均体重□□kgに基づいた1回当たり□□mgの用量のほうが実臨床での必要用量600mgに近く、妥当であると考えております。
 8ページ目をお願いいたします。
 以上をまとめますと、本剤の算定につきましては、レケンビとの総薬剤費合わせを希望しまして、その際、レケンビの薬価につきましては平均体重□□kgを用いること、新規作用機序と利便性の向上に基づき、有用性加算(Ⅰ)の適用を希望させていただきます。特に本剤は12か月の早期治療完了が可能な薬剤である点が大きな特徴ですので、その点を考慮して検討していただきたいと考えております。
 説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局案に対する御意見をお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 要するにこれとレカネマブの両方が使われるようになると、使用法の混乱ということが、対象も少し違いますよね。点数とかそういうような意味でですけれども、その辺の差別化というか、それから、混乱を避けるような方策というのは何か考えられているのでしょうか。
○申請者
 私は、□□□□と申します。
 使い分けという観点からの御質問と理解した上で回答をさしあげたいと思うのですけれども、まず実際の使用に当たっては、確かに先生がおっしゃるように臨床試験での組み入れ基準といったものがまず考慮される。これは添付文書にもそのようなことを書いてありますので、そういったことはもちろんあるかとは思いますけれども、それ以外にやはり本剤の最大の特徴であります途中でAβプラークが除去されていれば投与を完了できる点、そして、それによる負担の軽減ですとか、そういったことを考慮される可能性があると思っております。
 また、投与にかかる時間ですとか、あるいはこの薬剤ですと1か月に1回の投与でもあるということですので、そういったことも含めて総合的な判断で使い分けがなされる可能性があると認識しております。
○□□委員
 僕が聞きたかったのは、要するに現場で2つ似たような薬があった場合に、使い方に混乱が起きないようにいろいろそういうふうな手だてというのは考えておられるかということなのですけれども。
○申請者
 もちろん適正使用ガイドですとかそういった各種資材を使用しまして、十分そういったことも今申し上げたことも理解していただいた上で御使用いただけるように考えております。
○□□委員
 どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 いつ終わるかというか、結局、治療費用、2薬剤で一緒にしたような薬価合わせをしているのですけれども、この辺は実際のところ行ってみないと分からないかなと思うのですけれども、結局かかるお金が同じだと、同じ効果で同じように使いなさいというようなことなのかなという感じも受けてしまうのですけれども、先ほど□□先生が言われたように、これはどういうふうに使い分けをするとか、レケンビよりもやはり優れていると主張されているのでしょうか。優れた点というのをもう一度説明していただいてよろしいですか。途中で止められる点や、プラークが消えていたらやめられる点に関して、どこまでやめてしまった後のエビデンスが蓄積されているのかというのを教えていただきたいです。
○申請者
 □□□□でございます。
 これに関しても御説明させていただきます。薬剤の投与を完了した後の認知機能の推移といったものは承認の審査の過程でも検討してデータを出しておりまして、その結果から端的に申しますと、投与を完了した後もプラセボ群と実薬群の差というのは76週の試験終了時点までおおむね維持されていたという結果になっております。ですので、途中で投与を完了したとしても、急激な認知機能の悪化ですとかそういったものは少なくとも認められていなかったというのが一点ございます。
 また、アミロイドプラークが除去されたときには投与を完了できるということですけれども、その後の再蓄積といったところが当然関心事かと思われますが、これに関しても再蓄積のシミュレーションというのを行っておりまして、少なくとも数年にわたってはアミロイド陽性レベルまで増加することはないだろうということは推定されております。また、元のレベルまで再蓄積するには、さらに十数年以上の長い期間がかかるだろうと。再蓄積のスピードとしては、自然なアミロイドの蓄積とほぼ同じ速度なのではないかということが現時点までのデータでは推定されております。
○薬価算定組織委員長
 これは、この薬剤がそういうことなのか、それともレケンビ自体がただデータがないだけなのかというのは、どうなのでしょうか。
○申請者
 これは作用機序の違いが非常に大きいのかなと考えておりまして、というのも、レケンビに関しましてはプロトフィブリルを主なターゲットにしている。つまり、プラークに至る前段階の分子種を対象にしているといったことがございますけれども、このドナネマブという薬剤に関してはアミロイドプラーク、基本的には抗体に結合してそれを除去するといった性質を持っておりますので、末梢から静脈内にモノクローナル抗体を投与しましても、中枢神経系に到達するのはかなり少ない。その少ないプラークがほかの分子種に取られることなくアミロイドプラークに結合して、それを除去するというコンセプトで開発しておりますので、そこが類薬との大きな違いと考えております。
○薬価算定組織委員長
 よく分かりました。
 その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、企業意見の聴取をこれにて終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 薬価合わせのことに関してはかなりの推定に基づいていますから、僕はこれでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。御意見はないでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ケサンラ点滴静注液350mg
日時:令和6年10月29日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「ケサンラ点滴静注液350mg」です。
 特に意見を伺う委員として幸原先生、齋藤先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 この用法・用量についてはこれまでのルールに従ってやっているわけですし、12か月で終わるという要するに希望的な観測みたいなものですから、それで決めるわけにはいきませんので、事務局案が妥当だと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 体重50kgでずっとそうしてきたので、それでいいと思います。企業が挙げている3つの例についても、今、事務局から企業の言っているものに当たるような例示ではないということを丁寧に説明していただきましたので、やはり50kgでいいと思います。もう一つのほうも、加算で見ているので一日薬価合わせで見るものではないというのもそのとおりだと思いますので、事務局案どおりでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、この時点で委員の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。それでは、企業の意見を聞いた後にまた御意見を伺いたいと思います。
 それでは、事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
 ○薬価算定組織委員長
 最初に、ケサンラ点滴静注液350mgについての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 □□□□と申します。
 ケサンラ点滴静注液につきまして、先日いただきました内示薬価に対する弊社の見解、希望について説明させていただきたいと思います。
 2ページ目をお願いいたします。
 こちらのスライドは本剤の内示薬価を示しております。今回は、内示薬価で考慮された項目の中で、赤字で示した部分を中心に意見陳述させていただきたいと思います。
 3ページ目をお願いいたします。
 弊社としましては、2つの観点から内示薬価の見直しを希望させていただきたいと思います。
 1点目は、レケンビの投与に必要な実使用量は、内示薬価の算定に用いられています1回500mgと乖離があるため、実使用量により近い数字に基づく算定を希望いたします。
 2点目は、本剤の特徴である早期治療完了が有用性加算(Ⅱ)5%で評価されているものの、大半の患者が12か月で投与完了することが見込まれることを考慮しますと、必ずしも十分な評価ではないと考えております。
 4ページ目をお願いします。
 それでは、1点目、レケンビの用量に関する見解について詳細に説明いたします。
 5ページ目をお願いいたします。
 前回の意見陳述で説明させていただきましたが、軽度認知障害、軽度認知症の日本人患者における平均体重は□□kg前後であり、また、右側の表にありますとおり、レケンビは200mgと500mgバイアルの2規格であり、体重によっては廃棄が生じることから、レケンビの実使用量は内示薬価で用いられている500mgよりも大きいと考えられます。
 なお、レケンビの汎用規格は200mgであると内示で説明を受けましたが、このことは表にあるバイアルの組合せから考えますと、1回600mg以上の実使用量が多いことを示唆しているかと思います。
 加えまして、レケンビの市販後直後調査において、体重60kgを基にレケンビの推計投与回数が計算されていることが報告されております。
 6ページ目をお願いいたします。
 こちらは参考になりますが、レケンビについては、メーカーからも体重別投与量と必要なバイアルの組合せの情報が提供されております。
 7ページ目をお願いいたします。
 こちらも参考情報になりますが、レケンビの投与回数の推計において体重60kgが用いられていることについては、10月9日に開催されました中医協の合同部会の資料の中でも示されております。
 8ページ目をお願いいたします。
 内示薬価のほうでは50kgを用いた算定がされておりますが、これは前例を踏まえた結果であったとの説明を受けましたので、薬価算定において50kgではなく平均体重が用いられた最近の事例をスライドで示させていただいております。こちらの事例から、市販後調査や臨床試験における平均体重を用いた算定が過去にあったことを御理解いただけるかと思います。
 9ページ目をお願いいたします。
 次に、レケンビの廃棄分を含んだ実使用量に関する情報をお示ししたいと思います。
 まず左側のほうですが、実臨床におけるレケンビの廃棄を含む使用量の分布を示しております。そこから計算されます平均使用量は1回当たり□□mgと推計されます。
 また、右側の表では、リアルワールドデータや本剤の第Ⅲ相試験における日本人患者の体重分布を示しており、こちらと体重に対応した実使用量を基に平均実用量を推計しますと、□□mg前後となります。これは左側で示した実臨床での数字とほぼ一致した結果となります。
 10ページ目をお願いします。
 ここまでがレケンビの使用量に関する弊社の見解となります。
 続きまして、早期治療完了に関する見解を説明いたします。
 11ページ目をお願いいたします。
 弊社としましては、12か月で投与完了する割合□□%を考慮した総薬剤費合わせを希望させていただいておりましたが、□□%はあくまで臨床試験結果に基づく推計であるとのことで、内示薬価はこの点が考慮されなかったとの説明を受けました。
 12ページ目をお願いいたします。
 本剤につきましては、最適使用推進ガイドラインにおいて、本剤の投与患者は投与開始後12か月を目安にPET検査をすることとされており、アミロイド除去が確認されれば投与完了することと明記されております。第Ⅲ相試験では□□%がアミロイド除去を達成している結果でありましたから、実臨床においても大半の患者が12か月で投与完了するものと予想されます。
 13ページ目をお願いいたします。
 こちらのスライドは、体重50kgの場合の総薬剤費合わせにおいて、12か月の完了の割合を変動させた薬価シミュレーションを示しております。
 一番左側の棒グラフを御覧ください。こちらは12か月完了の割合を0%、つまり、本剤投与の全例が18か月投与したと仮定した場合の総薬剤費合わせとなります。内示薬価はこれに有用性加算5%が付加された薬価となっています。
 一方、一番右側のグラフを御覧ください。こちらは12か月完了が100%と仮定した場合の総薬剤費合わせとなり、この場合が一番高い薬価になります。12か月完了の割合を変動させますと、薬価も変動し、12か月完了の割合が高くなればなるほど薬価も高く算定されます。こちらのシミュレーションに基づきますと、同じ薬価は12か月完了の割合を□□%と想定した場合の総薬剤合わせの薬価と同等という結果になりますが、□□%という数字は臨床試験の結果□□%から考えますと過小評価であり、内示薬価は早期治療完了の価値を十分に反映されたものではないかと考えております。
 14ページ目をお願いいたします。
 ここまで説明したレケンビの用量と12か月早期完了の割合、この2つの項目を考慮した形で本剤とレケンビのそれぞれの平均総薬剤費が同等となるような算定が本来は適正であり、こちらのグラフで言いますと、一番右のグラフで示している算定値が適正薬価と考えられます。それに対して、一番左のグラフで示された内示薬価はこれら2点が考慮されていませんので、適正薬価に比べますと約□割程度低い薬価になっております。
 しかしながら、内示での御指摘のとおり、12か月の早期投与完了の割合に関しては、臨床試験で得られた結果がそのまま実臨床を反映するかは不透明な部分がございます。したがいまして、弊社としましては、12か月の早期投与完了を考慮しない算定については受け入れた上で、レケンビの用量部分については御配慮いただきたいと考えております。
 そうした算定としては、平均体重に基づく□□mgあるいは廃棄を含む平均実使用量□□mgの2つのケースが考えられますが、弊社としましては、できるだけ一番右側のグラフで示した本剤の適正薬価に近い数字を御考慮いただきたいということで、赤グラフで示した算定を希望させていただきたいと思います。赤グラフで示されています□□□□円は、前のページで示したシミュレーションで言いますと、12か月投与完了が約□□%とした総薬剤費合わせと同等となりますので、12か月早期完了を一定程度考慮した薬価であると考えております。
 15ページ目をお願いいたします。
 こちらは最後のページになります。内示結果を受けた弊社の希望としましては、内示薬価からの変更として、比較薬の実使用量を考慮した算定を希望させていただきたいと思います。
 私からの説明は以上となりますが、最後に□□□□のほうからコメントさせていただきたいと思います。
○申請者
 本日は再度お時間をいただき、ありがとうございます。
 1つ前のスライドでお示ししましたとおり、レケンビの平均総薬剤費と同等となるケサンラの薬価と前回いただいております内示薬価の差は大きなものがあります。この差の部分が本剤の早期投与完了が可能という特徴がもたらす価値ではないかと考えております。今回希望しておりますレケンビの実用量を基にした算定案は、この価値の部分を全て薬価に反映させるということではなく、おおむね□□程度を薬価に反映できるものと考えておりますので、ぜひこのような案について、委員の皆様方の御検討のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御意見を伺いたいと思いますが、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 レケンビとケサンラは適応の範囲の違いがありますよね。恐らくMMSEで言ったら、ケサンラのほうは20点からでしたか。たしかそれで少し対象患者が増えるのではないかなと思うのですけれども、その辺を企業の方はどう考えておられますか。
○申請者
 □□□□でございます。
 対象患者に関しては予測としては難しいところがございます。ほかにもいろいろな点を考慮しなくてはいけないところがあると思います。例えばケサンラに関しては投与が4週に1回ですとか、レケンビであれば2週に1回ですとか、投与に要する時間も、こちらが少なくとも30分、向こうは約1時間といったことで、いろいろな点が用量に関しても違いますので、あとは、当然のことながら、途中で完了できるとか、いろいろな点が違いますので、一概に増えるとかそういったことは言えないのではないかなと考えております。
○□□委員
 どうもありがとうございます。
 市場の論理から言うと、使いやすさは確かに上だろうと思います。それから、対象もちょっと広いのかもしれないなという気もしました。薬価の決め方というのはいろいろこれまでのルールというのもありますから、それにのっとって決めていくということになりますので、それはこれから審議したいと思っていますけれども、どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございました。
 御説明の内容は前回と基本的に一緒だと思うのですけれども、具体的に一番望む一番高い薬価ではなくて□□□□を出されて検討してほしいと言われるのは、一定の説得力はあったと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、その他の委員から御質問等はいかがでしょうか。ないでしょうか。
 では、私から。12か月の時点で治療が終了する割合が治験の段階では□割ぐらいだったと先ほどおっしゃっていたと思うのですけれども、これはリアルワールドに行くともちろん違うと思われるのですが、実際に企業の予測としては現場ではどれぐらいを考えているのでしょうか。
○申請者
 □□□□でございます。
 臨床試験に関しましては、まず確実にアミロイドの蓄積がある方を治験に組み入れるということで、組み入れ時にはアミロイドPETでの定量値を用いて、確実なアミロイド陽性の方を組み入れていたという背景がございます。ですので、基準値を厳しめにしていたということもありますので、実臨床ではアミロイドPET陽性、陰性で判断し、陽性の方をもちろん組み入れることになるのですけれども、ベースラインのアミロイドプラークの蓄積が少し試験よりも低めの方も入ってくるということも想定しておりますので、そうなってくると、当然のことながら、12か月時点で投与完了できる方はむしろ増えてくるのではないかなと予想はしております。
 実際にこの臨床試験におきまして、安全性評価ということで1,000例ほど追加でオープンレベルで行った試験がございまして、これに関してはタウを組み入れの基準に用いませんで、アミロイドPETだけを用いて組み入れた。リアルワードにより近い集団を組み入れたという試験を別途行っておりまして、それで見ますと、やはり12か月時点でのアミロイドプラークの除去の割合というのは少し高めに出ているということもありますので、恐らくリアルワールドではこの除去されたという方の割合は高めに出るのではないかなと我々は予想しております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 委員の先生方、いかがでしょうか。
○□□委員
 これはアミロイドPETが除去されたというときには必ずやめなさいというルールなのですか。つまり、マストということなのですか。
○申請者
 原則として、除去された場合には投与を完了していただくということを想定しております。というのも、この薬剤がアミロイドプラークにしか結合しない薬剤ですので、そのターゲットが除去されてしまえば、それ以上投与する意味があまりなくなると考えておりますので、そういった意味では、アミロイドの状況が確認された場合には投与を完了していただくという使い方を想定しています。
○□□委員
 除去の判定というのは、僕らもアミロイドPETを見ることもあるのですけれども、これはall or noneできちんと切れますか。これは非常に明確にあるのですけれども。
○申請者
 アミロイドPETの陽性、陰性判定に関しましては、核医学の専門医の資格を持った先生がさらにトレーニングを受けた上で陽性、陰性を適切に判定するといったことでトレーニングがなされていると理解しております。ですので、もちろん判断に迷う場合があるかもしれませんけれども、最終的なレポートは必ず陽性、陰性の形で先生方の手元に帰ってくると理解しております。
○□□委員
 どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 僕は最初に言いましたようにこのルールとおりでいいと思うのですけれども、もちろんこちらのほうが使いやすいとかというところがありますから、市場としてはかなりこちらに続く可能性はあると思いますし、そういうことも考えて5%でいいのではないかなと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 企業の説明を聞く前と基本的には何も変わっていないのですけれども、ただ、ああいうふうに少しバーゲニングみたいなことを言われたので、それはなるほど、こういうふうな言い方をされるのだなと思って聞いておりました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。特に何か反対意見、追加の加算等、よろしいでしょうか。
 現場で結局本当に12か月でやめるのかという御質問も先ほどありましたけれども、これは消えていた場合にやめなくてはいけないというどれぐらいの強制力があるか分からないので、続ける方も結構いるのではないかなという気はしましたけれども、その辺は分からないのですけれども、□□先生、どうなのでしょう。
○□□委員
 PETの専門医がそういうふうにこれは消えたと書いたときに、それでも続けていたら、もしも何か言われたときには困るみたいなところはあるかもしれないから、一応原則ということになっているのだと思います。ただ、やはりそこも判断がどちらとも言えないみたいなのが実際のところはあるかもしれませんけれども、一応はそういう診断書が来ればやはりやめると思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。何か御意見はありますでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、特に御意見はないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ロゼバラミン筋注用25mg
日時:令和6年10月22日(火)※企業陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「ロゼバラミン筋注用25mg」です。
 特に意見を伺う委員として眞野先生、河原先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明してください。
 本件は企業の意見陳述がございます。よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
特に今の説明に異論はございません。
 今回は原価計算方式で算定しているということですよね。ちなみに、類似薬効比較方式で算定した場合は幾らぐらいになるか分かりますか。
○事務局
 事務局でございます。
 類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定した場合、申請者の案としては□□□□円、事務局としましては、□□□□の関係で若干お安くなりまして、□□□□円で算定しております。
○□□委員
 ありがとうございます。
 そうすると、ラジカット内用懸濁液に比べるとかなり安くなるということですね。おそらく多くが置き換わっていくことも考えられますね。ありがとうございました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 リポジショニング医薬品として大変すばらしい薬になったなと思って感心したのですけれども、投与量が100倍になっていても体内動態が線形であり、いいなと思って見ていたのですが、腎臓から全部排せつされるので、腎機能低下患者さんではやはり血中濃度というかAUCが1.5倍程度になるので、注意が必要かなと思っています。インタビューフォームではALS患者8例における薬物動態測定のなかで腎機能正常患者は1例しかT-halfを計算していないという辺りも考えまして、既存の治療法と比較して明らかに有用であるという明確な結果が得られていないので、有用性加算には該当しないという事務局の案が妥当であると考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員から現時点でいかがでしょうか。
○□□委員
 私、神経内科医なので一応コメントしておきますけれども、要するにこの薬は第Ⅱ/Ⅲ相試験で広い対象に対しては有意差が検証されなかったのです。ただ、層別解析で発症1年以内の早期の患者さんに対しては、理論上ですけれども、生存期間の延長が見られるであろうという推定値の結果で、それは第Ⅱ/Ⅲ相試験の層別と第Ⅲ相試験の1年以内という結果、ほとんど一緒だったので再現性があったのです。そのことから、少なくとも延命効果は早い時期に使えばあるであろうということは言えると思います。
 それと、さっきのエダラボンとの件ですけれども、エダラボンと恐らく併用されると思います。皆さん御存じのように、ALSはかなり悲惨な病気で、今のところ根本的な治療法はありませんので、多少でも相乗効果があって延命期間が延びれば、それはそれで有用かなということで、置き換わるというのではなくアドオンになってくると思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 それでは、企業からの意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、ロゼバラミン筋注用25mgについての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 よろしくお願いします。
 まず、本日はこういう機会をいただきまして、ありがとうございます。
 □□□□でございます。
 お手元の資料に沿って御説明いたします。
 まず1ページ目を御覧ください。
 ロゼバラミンの開発を取り巻く環境でございます。本剤の適応でございますALSでございますが、運動ニューロンの変性疾患でございまして、全身の筋萎縮が不可逆的に進行するということで、歩行困難、嚥下障害、呼吸障害を引き起こし、平均約3.5年で亡くなる重篤な疾患であるということでございます。
 次のスライドをお願いします。
 ALS治療薬でございますが、これまで約100以上の候補品が開発に失敗しているということでございます。本疾患の薬剤貢献度、治療満足度は両方ともいまだに最も低い状況ということでございます。今回、本剤のようなアンメットメディカルニーズが高いALSに対する約9年ぶりの新薬となりました。
 次のスライドをお願いします。
 本剤の有用性加算でございます。弊社は□□□□に該当すると考えてございます。
 その根拠につきまして、□□□□より御説明いたします。
 次のスライドをお願いします。
○申請者
 □□でございます。
 まず、□□□□でございます。本剤の臨床試験は、約□□%の方が既存薬のリルゾールを投与しているALSの患者様でございます。その上で、本剤はALSFRS-Rの低下を有意に抑制しております。また、その効果の大きさは文献的に臨床的意義があると報告される□□%を上回る□□%の抑制でありました。したがいまして、本剤は□□□□と考えております。
 安全性でございます。本剤は腎機能あるいは肝機能に関する注意喚起は特に求められておりません。これは、臨床試験の中では重篤な肝腎疾患以外は除外していないこと、また、試験のサブスタディーにおきまして腎機能障害患者様の血中濃度を測定し、問題ないことを確認しております。
 一方で、既存薬は腎機能あるいは肝機能の注意喚起がされております。□□□□。このことからも、□□□□と考えております。
 次をお願いいたします。
 こちらは死亡あるいは呼吸器装着のイベントを見たデータでございます。本剤は、12か月以内のALS患者様におきまして有意なイベント抑制を示しております。
 最近のALSの治験は半年ないし1年の機能評価スケールの評価が中心となっておりまして、この761試験のような最長3.5年といった長期間の治験の実現はかなり困難となっております。その中でこのような結果を出したということは臨床的な意義があると私どもは考えております。
 次をお願いいたします。
 以上□□を踏まえまして、本剤は、□□□□にも該当すると考えております。
 続きまして、□□□□先生よりコメントを頂戴いたします。
 □□先生、お願いいたします。
○申請者(専門家)
 □□□□です。どうぞよろしくお願いいたします。
 パワーポイントに示していますように、専門医の立場から□□□□についてお話しさせていただきます。
 本剤は患者の効果実感・利便性がとても高いです。
 安全性につきましては、□□□□において非常に高いこと、また、□□□□ということは□□□□でも証明されています。実薬投与群のうち継続投与された人というのは□□%希望されたという実績も残っております。
 また、ポツの2つですけれども、本剤は投与に際して必要な検査が既存薬より非常に少ないです。既存薬の場合は、□□□□が負担になっております。
 □□□□のところなのですけれども、□□□□についてイベントに対する効果、□□さんが言われましたけれども、もう一つは、今の治験の継続投与というのを行っているのですけれども、実薬で始めた人たちの□□週におけるイベントの発生率というのが□□%で、前回の事後解析のものと非常に近似しているということからも、やはり同様の結果を示していると考えられ、□□□□を示していると考えます。
 私からは以上です。
○申請者
 □□先生、ありがとうございます。
 企業からは以上でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
よろしくお願いします。
 臨床試験について伺いたいのですけれども、例えば既存の治療法として、先ほどのお話だとリルゾールを投与している患者さんが多いということだったと思いますが、例えばその患者さんの中であまり効いていないような患者さんを対照群にしたような治験は組まれてはいないということなのですか。
○申請者
 治験の中では、事前のスクリーニング期間においてある一定の進行の範囲内の方を対象にしております。したがいまして、変動の比較的少ない方を選んで登録していただいているという状況でございます。
○□□委員
 そうすると、既存薬を投与している患者さんで効いていないという患者さんは、そもそもスクリーニングで落としてしまっているという理解でよろしいですか。
○申請者
 特に効いていないといいますか、変動の多い方ですと評価に影響するということから、比較的ある一定の範囲内の変動の方を選択しているという状況でございます。
○□□委員
 そういうことなのですね。分かりました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 先ほど□□□□腎機能に注意する必要がないとおっしゃっていたと思うのですが、この薬はやはり腎排せつが主な排せつ経路であることから、腎機能障害のときに影響は考えられまして、私はインタビューフォームの案を見ているだけなのですけれども、中等度の腎機能障害で3例のみやっていらっしゃるのですが、AUCが1.5倍程度に上がっていることを見ますと、やはり腎機能に注意をしなくてもいいとまでは言い切れないと思うのですが、いかがでしょうか。
○申請者
 □□□□でございます。
 これまで実施されてきた761、762、763試験というフェーズⅡ/Ⅲ、フェーズⅢの試験において、腎機能障害の副作用と判断された症例はございませんでした。有害事象としてはもちろんございますが、副作用としての判定をされているものはございませんでした。
 確かにそこの主要排せつ経路についてはPMDAから、血中濃度について注意をする必要があるのか確認する必要があるとのご指摘と、腎機能障害の患者さんを使った試験を実施してくださいというご指示から、現在進行中である763試験の腎機能障害の患者さんを含む患者様で同意を取れた方で血中濃度を測定いたしました。
 おっしゃるとおり、血中腎機能障害が中等度以上の患者様において血中濃度が若干上昇するという傾向は認められておりますが、正常人と比べて有意差はなく、また、以前に実施した成人でのフェーズⅠ試験のPKデータと比べても特に有意差が認められていないということから、特に腎機能障害に関する注意事項は必要ない判断し、PMDAにそのように申したところ、特に添付文書内でそのような記載をする必要があるという結論にはなっておりません。
 したがって、腎機能障害について、おっしゃるように高齢の患者様が多いですし、より慎重になる必要はあるかもしれませんけれども、現時点のデータにおいて特に何か問題があるということは考えておりません。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
○□□委員
 もう一点だけいいですか。今まで使われていたメチコバールの注射液の100倍の濃度、投与量だと思うのですが、今までの既存の注射薬でもそれなりの、もちろんALSではないのですが、薬効を現わしていることを考えると、投与量が100倍になることによる体への影響というのか、有害事象というのはそれほど考えなくてもいいものでしょうか。例えばコバルトがとても多く入っていることによる影響とか、そういうのは。QT延長をしていた人が見かけられたので、少し気になりました。
○申請者
 御質問ありがとうございます。□□から回答させていただきます。
 全体的な有害事象のプロファイルを見ますと、今回ALSに対しまして高用量を投与しておりますけれども、その中で大きなプロファイルの変化はございませんでした。
 御指摘のQTcに関しましては当局からも求められまして、763試験、医師主導治験の中でできるだけきめ細やかにQTを見ております。その中で大きな影響はなかったというのが結論でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、その他の委員から御質問等をお願いいたします。
 どうぞ。
○□□委員
 市場予測規模がピーク時で1,251人となっているのですけれども、これはALSの患者さんのほとんどがこれを使用するというような前提での計算だったのですか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 本剤につきましては、ALSの患者様のうち、発症早期の患者様において投与対象となる方を中心に算出しています。具体的には、本剤は□□ですので、□□□□と医師が判断する方をまず選択されると見ております。その上で□□□□等を掛けまして、現在のピークセールスを出しております。
○□□委員
 どうもありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、企業意見の聴取を終了いたします。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 特に事務局案でやはり妥当だと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も事務局案が妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の先生方から御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 特にないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。
 
 テッペーザ点滴静注用500mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「テッペーザ点滴静注用500mg」です。
特に意見を伺う委員として深山先生、堀先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定に対する御意見をお願いいたします。
 事務局、この薬剤は効能・効果は今回かなり狭いというか、あれなのですけれども、ほかの疾患に応用される可能性というのはあるのでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 ほかの効能の開発について、情報があるか確認いたします。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 結構高額な薬剤で、既にこの疾患だけでピーク時424億円と結構な額だと思うので、広がっていくと大変な薬剤費になるかなと思うのですけれども、特にその情報はないということでよろしいですか。
 何か御意見、御質問等はいかがでしょうか。
 有用性加算に関しては御納得ということで、あまりファミリアな疾患でないので、皆様、判断は難しいのですけれども。
○事務局
 開発の状況なのですけれども、今回、活動性甲状腺眼症の適応でございますけれども、ほかに活動性ではない甲状腺眼症の治療の開発はなされているようでございます。それ以外の効能については、企業から開発予定についての説明はないところです。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御意見はよろしいですか。
 特段ないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位
日時:令和6年10月22日(火)※企業の意見陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位」です。
特に意見を伺う委員として森山先生、河原先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案及び企業の意見陳述について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 1週間に1回の投与でよい薬剤であり、非常に大きなメリットがあると思うのですけれども、半減期を延ばして1週間効くように工夫された薬ですので、やはり投与初期には少し濃度が高めで低血糖が起きやすいということがありまして、事務局案が妥当な案であると私は思いました。
 一番懸念されるのが、1mL中に700単位含まれておりまして、インスリンは他の製剤はみんな100単位に統一されておりますので、その点が少し気にかかりまして、これによって何か起きるのではないかということが非常に心配になりました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。その点は後ほどまた企業に御質問いただければと思います。
 それでは、委員の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 今回、審査報告書では言及がされていないタイムインレンジに関して、もし御存じの先生がいらっしゃったら教えていただきたいのですけれども、今の2型糖尿病の管理におきまして、タイムインレンジを達成することそのものが例えば慢性腎不全、腎臓病への進行の割合を減らすとか、もしくは脳卒中等の心血管系のイベントを減らすといった重要なポイントのサロゲートになるということが確立したものとして扱ってよいのかというところが気になったのですけれども、御存じの先生がいらっしゃったら教えていただけませんでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 明らかなエビデンスというのは私も存じ上げないのですけれども、食後過血糖が一番よくないということは従前より聞いておりまして、その点ぐらいしか存じ上げないのですが。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、専門家の先生はいらっしゃらないですかね。
 この辺も企業に少し聞いてみるとよろしいかもしれません。
○□□委員
 そのようにしてみます。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。
 それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位についての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 ノボ ノルディスク ファーマでございます。
 本日はお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
 2ページ目に企業の主張をまとめております。
 本剤は世界で初めて週1回投与で良好な血糖コントロールを達成し、患者及び家族、介護者の大幅な負担軽減が期待されることから、有用性加算□□に該当すると考えます。
 また、本剤は糖尿病治療で最も重要な指標であるHbA1cの改善において、既存薬と比較して優越性が検証されており、加えて重要な副次的評価項目においても有意な改善が見られたことから、有用性加算□□□□に該当すると考えております。
 本剤の臨床的有用性に関しましては、□□□□先生より御説明をいただきます。
○申請者(専門家)
 □□でございます。
 お時間の関係から、早速始めさせていただきます。
 3ページ目を御覧ください。
 本剤は、半減期の著しい延長により、週1回投与が可能になった画期的なインスリン製剤であり、患者の治療負担を大幅に軽減することで臨床転帰の改善が期待できます。
 これまでのインスリン治療では、投薬の煩雑さや注射への抵抗感からアドヒアランスが不良になり、血糖コントロールが目標値に達していない患者や適切な時期にインスリン治療を導入できない患者が存在していました。
 □□□□としては、週1回投与である本剤がインスリン治療の利便性を著しく改善し、患者並びに介助者の負担軽減につながることを期待しております。この患者負担の軽減は承認審査においても高く評価されている点です。
 4ページ目を御覧ください。
 本剤の有効性・安全性は、こちらに示す4つの臨床試験の結果を基に評価され、承認を取得しています。このうち右の2つ、□□□□では、Basalインスリンに加えて食後の血糖上昇を抑える超速効型インスリン、Bolusインスリンが用いられており、本剤の有効性を評価するに当たっては、既存のBasalインスリンと単剤同士で比較した□□□□の結果を参照することが適切であります。
 次のスライドから主要な試験結果をお示しいたします。
 5ページ目を御覧ください。
 本剤は既存のBasalインスリン単剤群と比較して、統計学的に有意な血糖コントロールの改善を示しています。主要評価項目であるHbA1cのベースラインからの変化量で優越性を示しているだけでなく、HbA1c 7.0%未満の達成率も有意に高い結果でした。HbA1cの目標値達成は、細小血管障害、大血管障害などの合併症の発症、進展予防の観点から非常に臨床的意義が高く、患者の予後に対して大きな意味を持ちます。
 6ページ目を御覧ください。
 本剤は重要な副次的評価項目であるTIR(目標血糖値範囲)についても、既存のBasalインスリンと比較して有意に改善しております。この指標は血糖変動を反映することから、HbA1cを補完する有用な評価指標として国際的なコンセンサスが得られています。
 ONWARDS 1試験において、本剤群は診療ガイドラインが推奨するTIR 70%以上を達成しており、臨床的に意義のある差の平均3%以上の差が示されています。この結果から、本剤は既存薬よりも血糖変動が少ない、安定した血糖コントロールが期待できる可能性があります。
 7ページ目を御覧ください。
 結論となりますが、本剤は週1回投与による高い利便性と有効性を持った画期的なインスリン製剤です。従来の1日1回の皮下注射を実施することが困難な患者さんにとって極めて重要な新しい治療選択肢として、医療現場もその発売を待ち望んでおります。インスリン治療を必要とする患者に適切なタイミングで治療を提供することで、最終的には患者の合併症予防と生命予後に寄与する本剤の価値について、正しく御評価いただきたいと存じます。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。
 委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
 □□先生からいかがでしょうか。
○□□委員
 本製剤は半減期が長くて非常にいい薬だと思うのですが、その一方で、1週間に1回ということもあるのでしょうけれども、1mL中のインスリンの含有量がこれまでのインスリンと異なっていて、700単位という高単位数が入っております。これが医療現場において医療事故につながる可能性ということは十分に検討されているのでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 まず、製造販売会社でありますノボ ノルディスク ファーマから回答させていただきます。
○申請者
 御質問いただきましてありがとうございます。
 本剤ですけれども、先生がおっしゃるとおり、700単位/mLの高い濃度で製造されております。ただ、本剤のデバイスでありますフレックスタッチにおきましては、単位数の数字を20単位ずつの数字に置いております。また、メモリは10単位ずつの刻みを持っておりまして、本剤は10単位ずつの刻みであること、本剤の濃度が従来の製剤よりも7倍高いということ、また、製剤のラベルにつきましても週1回投与である。そういったところの注意喚起を様々な資材でしたり、製剤のパッケージにも今施しておりまして、今後私どものほうでもそういった情報提供を改めてさせていただく予定でございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 □□委員、どうぞ。
○□□委員
 御説明ありがとうございます。
 私のほうでお伺いしたいのはTIRという副次評価項目に関してでございまして、私が調べたというか最近読んだレビューからしますと、TIRそのものはHbA1cと相関があったり、もしくはHbA1cと比較しまして糖尿病患者のいわゆる微小血管または大血管の合併症の転帰自体の予測性という点では、HbA1cほどはエビデンスがないというような記載を見かけてはいるのですけれども、現状ではこのTIRという指標そのものが独立して、HbA1cとは異なり、そういう血管系のイベントに関する予測性が高い指標として今用いられているものなのでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 TIRにおきましては、非常に新しい指標ということで弊社のほうも認識しております。国際ガイドライン、国際コンセンサスも2019年に発表されまして、そちらを見ておりますが、そのコンセンサスをもって、また、最近では臨床試験におけるTIR、CGMに関する指標の位置というものも最近発表されております。
 アウトカムとの結果、連動でございますけれども、最近の発表では、TIR70%以上ですと、やはり心血管疾患、また、細小合併症等の抑制が見られるというアウトカムも発表されてきておりますので、私どもとしては今回のインスリン製剤を評価する指標の一つとして重要なものとして位置づけております。
○申請者(専門家)
 私のほうからコメントをさせていただきます。
 従来、HbA1cは合併症との関係が非常に強いゴールドスタンダードであるということは確立されています。しかしながら、質のよいHbA1cという言葉があるように、同じHbA1cでありましても、血糖変動が非常に大きな場合と血糖変動が少ない場合で、血糖変動が少ない質のよいHbA1cが合併症抑制に寄与していることは多くのエビデンスがございます。この血糖変動について、このTIRはCGMを使って定量的に表したものでございまして、TIRそのものを使った合併症との関係については、現在多くの試験が走っておりますが、これまでの質のよいHbA1c、すなわち血糖変動が少ない形のHbA1cは、同じHbA1cでありましても、合併症の抑制と関係していることを考えると、TIRが改善していることはHbA1cに加えてこの有用性の合併症抑制につながる可能性を強く示していると考えています。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 どうぞ。
○□□委員
 1点聞かせていただいてよろしいでしょうか。
 この製剤は半減期を延ばしたことで1週間効果が持続するように工夫されているということですが、そうなると、1週間のうちの最初のほうはインスリンの濃度が高めで、後のほうになってくると少し低くなってくると思うのですが、やはり低血糖の副作用等は週の初め、打って2~3日の間に起きやすいという認識でよろしかったでしょうか。
○申請者
 御質問ありがとうございます。
 本剤の第Ⅰ相試験におきまして薬力学作用を見ておりますが、薬力学プロファイルと本臨床試験の第Ⅲ相臨床試験において、投与後2~4日目に低血糖が多く認められたということは一致しているということで結果を示しております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
○申請者(専門家)
 今の点につきましてもコメントをさせてください。
 今いただきました御質問、2日目、3日目に低血糖が多い傾向があるのではないかという点、とても大事な御指摘でありがとうございます。臨床試験でもそのような傾向が認められています。したがいまして、このインスリンを使う上では、1週間に1回の言わばインスリン投与前の空腹時血糖値は非常に大事なものでございますけれども、それ以外のポイント、特に2日目、3日目の夕食前の血糖値も含めた2日目、3日目の低血糖に注意するような形での血糖の測定を推奨することが重要であると考えています。
 とても大事な御指摘、どうもありがとうございました。□□□□。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 私から確認というか、先ほど□□先生からの御説明でも、HbA1cの変化量に関しては、幾つかの臨床試験、国際共同の臨床試験で有意によくなったというようなことをお話しされましたけれども、試験自体は非劣性であるということがほぼ結論としては書かれていると思うのですが、この辺、企業としてはどういうふうに、明らかに有意に変化量が既存のものと比べてよくなったと考えておられるのか、あくまでも非劣性を示したと考えられているのか、お聞かせいただきたいです。
○申請者
 ありがとうございます。
 私ども、こちらの第Ⅲ相臨床試験をデザインするときには、今回は4局同時申請でございましたが、FDAのほうでの糖尿病治療薬の開発ガイダンスにのっとって、インスリンイコデクと実薬対照群を比較しております。その際には、インスリン製剤同士の試験ということもありまして、主要評価項目は、まずはHbA1cの変化量における非劣性を検証する試験デザインをつくっております。その上で、階層的な統計の手順にしたがいまして、今回幾つかの試験におきまして、優越性もHbA1cの変化量で認められたということでございます。ですので、まずは非劣性を検証した上で、その後どういったメリットがあるのかというところを続けて検証していったということでございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、これで企業からの意見陳述を終了したいと思います。どうもありがとうございました。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがですか。
○□□委員
 企業の意見も伺いましたけれども、幾つか注意しなくてはいけない点を十分に見極めながら使っていく必要があるという薬だと思いますので、事務局案でよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 □□先生、何か御意見はございますか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 基本的には審査報告書等で事前に提出された資料を基に今回の評価をするというのは前提ではあるのですけれども、物すごく臨床的有用性が後で分かってきたようなものをどう考えるかというのは別途あるのかなと思ったところもございまして、今回TIRに関してもそういった指標なのかということをお伺いいたしました。
 しかしながら、一緒にいらっしゃっていた□□先生の御指摘等を踏まえましても、今後期待がなされる一つの重要な指標ということで副次評価項目で評価されているところでもございましたので、今回まだそこを重要視するほどの確立した手法ではないなということも分かりましたので、今の事務局案のままでいいかなと思っております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見はいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位
日時:令和6年10月29日(火)※企業の意見陳述あり
 ○薬価算定組織委員長
「アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位」です。
 特に意見を伺う委員として森山先生、河原先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。よろしくお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局の案が適切と考えております。シックデイのときにあまり当てにならないとか、それから、機器による相違がある等もありますので、今の時点でTIRを有用な指標とまでは言えないと考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員から御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、企業の意見を聴取したいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位についての御意見を10分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
○申請者
 本日はお時間をいただきましてありがとうございます。ノボ ノルディスク ファーマでございます。
 2ページ目を御覧ください。
 本剤は、重要な副次的評価項目であるHbA1cの目標値7%未満の達成割合及びTIRにおいて既存薬と比較して統計的に有意な血糖コントロール改善を示しました。これらの結果は、審査報告書においても、対照群と比較して本剤群で血糖コントロールがより改善する傾向が見られたと機構から評価をいただいております。よって、本剤は有用性加算③-fに該当すると考えます。
 本剤の有用性に関し、□□□□先生より御説明いただきます。
 □□先生、よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
 □□でございます。
 お時間の関係から、早速始めさせていただきます。
 3ページ目を御覧ください。
 糖尿病診療ガイドラインでは、合併症予防のための目標値はHbA1c 7.0%未満と明確に定義しています。HbA1c 7%未満に血糖をコントロールすることは、細小血管症や大血管障害の進展を抑制するために非常に重要でございます。この目標値の重要性は、日本人糖尿病患者を対象とした複数の大規模臨床試験、Kumamoto studyや厚生労働省の研究事業を通じて確認されています。
 4ページ目を御覧ください。
 本剤は、この重要な血糖コントロールの目標値の達成割合において、既存のBasalインスリン単剤群と比較して統計学的に有意な改善を示しています。本剤の臨床試験では、HbA1c 7%未満の達成割合を副次的評価項目として設定しており、HbA1c 7%未満の達成割合及び低血糖を発現せずにHbA1c 7%未満を達成した割合が既存薬に比べて有意に高い結果でした。HbA1c 7%の目標値達成は、細小血管障害、大血管障害などの合併症の発症・進展予防の観点から非常に臨床的意義が高く、患者の予後に対して大きな意味を持ちます。
 5ページ目を御覧ください。
 本剤の副次的評価項目として設定されたもう一つの重要な指標がTIR、Time in Rangeです。HbA1cが直近2~3か月の平均血糖値を反映する指標であるのに対し、TIRはより短期間の血糖変動のトレンドを加味した有用な血糖指標です。TIRは、1日のうち血糖が適正な値、すなわち70~180の範囲内であった時間を割合で示しています。血糖変動が小さく、1日のうちの血糖値や低血糖の時間が短く、要するに血糖コントロールが良質な場合にTIRの値は大きくなります。
 米国糖尿病学会のガイドラインでは、TIRは血糖状態の評価に有用な指標であると位置づけられており、本邦の診療ガイドラインにおいても2024年度版からTIRに関する記載が追加され、TIR70%以上の達成が推奨されております。TIRを改善することは、より質の高い血糖コントロールを目指すことにつながり、最終的に合併症の発症・進展予防にもつながります。詳細についてこの後御説明します。
 6ページ目を御覧ください。
 HbA1cとTIRの関連性について、右側に研究結果を示します。日本人2型糖尿病患者約1,000例を対象に、TIRとHbA1cの相関について検討しております。ここで重要なのは、HbA1cとTIRには相関関係がある一方で、例えばこのスライドの右側の赤い矢印で示しますように、同じHbA1c 7%であってもTIRの値にばらつきがあるということです。ただ血糖を下げるのではなく、低血糖を起こさずに良好な血糖コントロールを達成すること、つまり、質のよい血糖コントロールの達成の重要性は言うまでもありませんが、TIRはこの点に寄与する指標であると言えます。
 次のスライドからは、TIRを改善することにどのような臨床的意義があるのか御説明します。
 次のページ、すなわち9と書かれているスライドを御覧ください。
 糖尿病患者におけるTIRと細小血管合併症の発現リスクの関連性が示されたデータがこちらです。TIRが10%低下するごとに網膜症進行のハザード比が64%増加し、微量アルブミン尿の転帰の発現は40%増加しました。これらの結果より、TIRは糖尿病患者の細小血管合併症リスクの予測に有用である可能性が示唆されております。
 次のページ、7と書かれているページを御覧ください。
 明らかな心血管イベントの既往のない日本人2型糖尿病患者600例を対象に、TIRと頸動脈アテローム性動脈硬化の関連性について、アテローム性動脈硬化の危険因子として様々な要因が知られていますが、この研究では、HbA1cだけでなく、その他のあらゆる危険因子で調整を行った上で、TIRが頸動脈壁の組織特性の変化と有意な関係を示すということを示しています。つまり、TIRを用いることで、アテローム性動脈硬化の変化を予測する有用な情報が得られることから、TIRは合併症予防の観点から重要な指標であると言えます。
 ここまでTIRの臨床的意義について御説明してまいりました。本剤は、臨床試験においてこのTIRについて評価をしております。その結果は次のスライド、10と書かれているページとなります。
 本剤は、□□□□において、重要な副次的評価項目であるTIRを既存のBasalインスリンと比較して有意に改善しております。先ほど御説明させていただいたとおり、TIRは血糖変動の少ない、安定した血糖コントロールを目指す上で重要な指標でございます。この結果から、本剤は既存のインスリン製剤よりもより質の高い血糖コントロールが期待できると考えます。
 次のページ、11と書かれているページを御覧ください。
 TIRについて総括いたしますと、TIRはHbA1cでは把握できない糖尿病患者の血糖状態を詳細にすることができ、血糖コントロールの改善に有用です。また、TIR自体の改善と合併症リスクの関連が報告されていることから、従来の重要な指標であるHbA1cに加えて、TIRでの評価を用いた治療が求められると考えます。
 12ページ、12と書かれているページを御覧ください。
 結論となりますが、本剤は初めての週1回投与による高い利便性と有効性を併せ持った画期的なインスリン製剤です。
 インスリン製剤の国際共同治験は、全てFDAの要求に基づき非劣性試験として計画されていますが、本剤は非劣性を証明した上で、階層的検定で優越性が検証された薬剤です。この優越性が示されたという結果は、これまで上市されているインスリン製剤の中でも初めてのことであり、本剤の価値を評価するに当たり、御考慮いただきたく存じます。
 また、初めての週1回投与という特徴があり、本日御紹介した副次的評価項目に関しては週1回投与という特徴があるのですけれども、本日紹介した副次的評価項目に関して、特に低血糖を発現せずにHbA1c 7%未満を達成した割合は比較薬に対して有意な改善を示しており、既存薬と比較しても安全性に遜色はない製剤と言えると思っております。
 本剤は、従来製剤では注射回数の煩雑さからインスリン導入が難しいとされた患者さんに対して、適切なタイミングで治療を提供できるインスリン製剤であり、最終的には患者さんの合併症予防と生命予後に寄与すると考えております。今後のインスリン治療の新たな選択肢となる本剤の価値について、ぜひ適切な御評価をいただきたいと存じます。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生から意見を伺いたいと思いますが、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 非常に持続性のあるよいお薬だと思っております。また、TIRは確かに血糖の変動を持続的に測定できる優れた指標であり、今後も考慮すべきものだと思うのですけれども、現時点で実は測定機種による相違があるということも聞いておりますが、その点についてTIRをうのみにするというのですか。ある機械をもって測定したTIRを本当に普遍的に用いることができるのかどうかということに対する懸念を少し持っております。
 それともう一点、シックデイ等の内因性の基礎インスリン分泌が著明に低下した場合、あるいはインスリン抵抗性があった状態等には、やはり長く効くからこそコントロールの細かいことができないので、従来のBasalのインスリン製剤での治療が望ましいということが審査報告書にも書かれているのですが、この長く効くということと逆のというのですか。それにより注意しなくてはいけないことが出てくるのではないかと思うのですけれども、この2点につきましてどのようにお考えなのか教えていただきたいと思います。
○申請者
 この質問に関して、先生のほうからよろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。
 TIRに関してうのみにしてはいけないというのはおっしゃるとおりで、□□□□、実際の血糖値といわゆる間質液の血糖値の誤差が激しい場合があるということは事実でございます。ですが、□□□□、今回の治験においては□□□□というのを用いており、□□□□、かなり信頼性の高いデータが得られていると客観的に思っております。
 それから、シックデイにおきましては、インスリンが1週間効くということで、ある意味シックになってインスリンを打ち忘れるという状況がないということから考えるといい反面、例えばBasalインスリンをいわゆる食事のときのインスリンを代償するような形で使っている場合は過剰なインスリン投与となりますので、低血糖が起こるリスクも当然ありますが、その場合は何とか糖分を取ることによっていわゆる低血糖を避けるという処置が必要になってくると思います。しかし、いずれもインスリンが入っているのだということを意識して、患者さんと主治医が話し合うことで様々な問題は回避できるだろうと考えています。
○□□委員
 分かりました。
 どうもありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 その他の委員からいかがでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 皆様、いかがでしょうか。
 それでは、私から。TIRは、私は専門ではないのであまり聞いたことがないのですけれども、先ほどガイドラインの中に入れられたというお話だったと思うのですけれども、ガイドライン上の扱いというのはどういう感じになっているのかということと、今回の審査報告書の中でのこのTIRの扱いですね。あと、添付文書上というか、今後のリアルワールドにおいてこの薬剤を用いるときに、HbA1cはもちろん測定されると思うのですけれども、TIRを常に測定する方向性になるのでしょうか。その辺を教えていただきたいです。
○申請者(専門家)
 ありがとうございます。
 日常臨床でCGMをつけないとTIRが測定できません。保険上、TIRを測定できるというのはインスリン治療の患者さんだけに限られておりますので、多くの方がインスリンを使っていないわけですから、糖尿病学会としてTIR何%を治療目標にするということは本当にジェネラルにはできないわけです。しかしながら、インスリンという低血糖のリスクがありながら血糖コントロールをするという方においては、HbA1cが下がっても低血糖が起こっているかもしれなければ何の改善もないわけですから、こういうTIRという指標が測れるようになったからには、恐らくどんどんTIRが測られて、インスリン治療中の人の血糖コントロール目標と今後はなっていくと思います。
 アメリカでは、Standard of Medical CareというところにかなりTIRの重要性が書かれています。日本においては、今のCGMの普及とか、また、CGMの使用が割と専門医に限られている。しかしながら、インスリンは非専門医も使っているとかという実情を考えて、そこまで強くは書かれていないのですが、今後やはりTIRは無視できないと私は考えています。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、企業の意見を踏まえて御意見をお願いいたします。
 □□先生、何か御発言はございますか。
○□□委員
 事務局案を拝見させていただいていて何ら矛盾はないし、これで私はよろしいかと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 先ほども企業に質問はいたしましたが、企業側は現在非常にいいことを並べていただいているのですけれども、CGMの装着にはずっとテープを貼らなくてはいけないため、かぶれたりというデメリットもございますし、かなり行動が制限されるのではないかなと思うのです。
 例えば事務局に説明されたスライドで、同じHbA1cでもTIRに幅があるとおっしゃいましたが、これは逆に見ると、同じTIRでもHbA1cにも幅があると縦軸、横軸を読み替えれば言えるわけで、現時点ではTIRの70%以内の達成率をもって非常に有用とまでは結論づけられないのではないかと私は思っております。やはり投与初期の数日、2~3日の間の低血糖が非常に気にかかりますので、5%で恐らくわずかな金額かもしれませんけれども、事務局案のほうが妥当かなと考えております。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 TIRという指標を私自身は知らなかったので、今回恐らく副次評価項目ですけれども、治験で使われたというのは初めてなのでしょうか。今までもインスリン製剤の中であったのですか。
○□□委員
 私自身、インスリンの最近の治験は存じ上げません。
○薬価算定組織委員長
 事務局、どうですか。分からないですかね。
○事務局
 事務局でございます。
 過去にもあると承知しております。
○薬価算定組織委員長
 あるのですね。
 なかなか難しい指標で、これが本当にゴールデンスタンダードかどうかというのは判断しかねるのですが、今までのお話を聞く限りは、将来的には分かりませんけれども、現段階ではなかなか評価が難しいのではないかなという感想ですが、そのほかの委員からいかがでしょうか。
○事務局
 産情課でございます。1点よろしいでしょうか。
 今、TIRについては様々御議論いただいているところで、ありがとうございます。1点確認させていただきたいのが、企業主張の中にはTIRだけではなくてHbA1cの7%未満の達成というところも一つ評価指標としてあったと思うのですが、これについては③-fの中で評価するに足るのかどうかといったところの御議論をいただきたいなと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 低血糖を起こさずに7%未満を達成した被験者の割合は有意に高かったということなのですけれども、対照群と比較してよりよい傾向が見られたという評価にとどまっているのではないかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○□□委員
 □□先生がおっしゃられたとおりなのですけれども、ロングアクトするインスリン製剤でHbA1cを7%未満に保つというのは、臨床医としては怖いだろうなと思います。実際に総合病院あるいは特定機能病院のような外来でやるのなら、救急が充実するところであればよしとして、一般開業医あるいは市中病院でHbA1cを7%未満にしながら行くというのは相当リスキーではないのかなと危惧しています。
 また、1型糖尿病についても言及されていますけれども、1型糖尿病は基礎としてインスリンを使用しながらどう調整していくかということなので、数字ではっきりと表せるというものではないような気がしました。
 なので、どうなのでしょうね。僕は企業側の意見よりは事務局側の意見のほうに賛同します。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○□□委員
 もう一つ、僕も最近糖尿病は不勉強なので、恥ずかしながらなのですが、HbA1cというのは過去どのぐらいの期間の血糖値を反映するのかということも確定されているのでしょうか。僕が習ったときは1か月間の平均値と習ったのですけれども、最近ではHbA1cを頻回に測る意味がないとかいろいろ聞いていて、薬価のこととは関係ないのですけれども、そういうこともあってどうなのかなと思いました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 何かお答えできる方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ただ、PMDAの審査報告書では一番というか主要評価項目等で挙がってくることが多いので、かなりエビデンスはあるのではないかと。逆に言うと、ほかには要するに長期的な心血管イベントの発症とかそういうことになってしまうと思うので、評価が治験レベルではなかなか難しいのかなと何となく思いますけれども。
○事務局
 事務局でございます。
 先ほどのHbA1cに関してです。HbA1cは1~2か月程度の血糖の平均値を反映していると聞いております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、TIRの件、また、HbA1c 7.0未満に関しても、対照群と比較して改善する傾向が見られたとは書かれていますけれども、確実によくなったということではないということと、□□先生の御意見ではリスクもかなりあるのではないかというようなこともございますので、特に御意見がなければ算定案どおりとしたいと思います。
○薬価算定組織委員長
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 トロデルビ点滴静注用200mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「トロデルビ点滴静注用200mg」です。
特に意見を伺う委員として眞野先生、田﨑先生にお願いしております。
 また、退室委員としましては弦間先生、下井先生となりますので、御退室をお願いいたします。
(弦間委員、下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、よろしいですか。事務局算定案について、欠席委員の意見を含めて、簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ①-a、①-bのどちらかというのもなかなか難しいところですけれども、今回の場合は抗体の標的分子が新しいということなので、①-bと評価するのが妥当かと思います。そのほかも含めて事務局案が妥当だと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生はいかがでしょうか。
○□□委員
 最類似薬の話もありましたけれども、こちらも今の事務局の説明のとおりでよろしいかなと思います。
 あと、□□先生が言われていなかった点でいくと、①-cについては確かにガイドラインの揺らぎはあるものの、審査報告書を優先したというところは十分納得できるかなと考えました。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。ないでしょうか。
 最類似薬の選定、最初にエンハーツと迷ったということだったと思うのですけれども、ちなみにエンハーツを最類似薬にするとこれはお幾らになるのですか。
○事務局
仮にエンハーツを取った場合に、有用性加算が40%ですと12万1,368円になり、外国価格調整の対象となって、外国価格調整後の価格はちゃんと計算していないのですけれども、13万円ぐらいになるかなと思います。
○薬価算定組織委員長
 アテゾリズマブはPD-L1ですかね。何となくエンハーツみたいにHER2プラスアルファの薬のほうが似ているような気がするのですけれども。
○事務局
 薬価算定組織委員長がおっしゃるとおり、抗体と薬剤がADCという形の薬剤である例えばエンハーツとかのほうが構造的には近いかなと思ったのですけれども、本剤は加算のほうでもトリプルネガティブである点を少し評価しておりまして、その点を考えると、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性であるという効能が最も近いのがテセントリクとなっておりまして、HER2陽性とかのところの薬よりそちらのほうが効能的に近さがあって、そこを判断していてテセントリクを採用させていただいております。
○薬価算定組織委員長
 出てきた順番というか、これは要するに乳がんなのでということだと思うのですけれども、恐らくTROP-2の薬剤に関しては乳がん以外でも適応拡大されるような気がするのですよね。そうすると、あえて乳がんのトリプルネガティブなところにというのが若干違和感があったのですけれども、この辺の開発状況は分からないですよね。恐らく他がん種で出てくるのではないかと思うのですよね。
○事務局
 事務局でございます。
 一応今のところはなさそうです。□□□□。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 よろしいでしょうか。
 私の意見で、特にどちらでもいいとは言わないですけれども、両方の可能性があるのかなと思いまして、質問させていただきました。
 よろしいでしょうか。
 特段意見もなさそうですので、では、薬価算定組織の意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 ライブリバント点滴静注350mg
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「ライブリバント点滴静注350mg」です。
特に意見を伺いとして下井先生、田﨑先生にお願いしております。
 退室委員としましては弦間先生となりますので、御退室をお願いいたします。
(弦間委員退室)
 それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 今回の治療薬に関しましては、通常、EGFRのミューテーションがあるような肺がんの二次治療以降の抗がん剤治療になってしまうとなかなか有効性が期待できない中で、今回、EGFR抗体とMETの抗体ということで有効性が示されて、PFSの改善がフェーズ3で示されているという点からは、標準治療に位置づけられるという③-bの該当性、また、③-dの該当性というところに関して賛成いたします。
 ①-bの薬理作用発現のための薬剤の標的分子が既収載品と異なるというところに関して、私はとんちんかんな回答をしてしまいまして、EGFRとMETそのものに対するターゲットというところが一緒くたになった2重特異性抗体というところで、もともと既存でそういうところがターゲットになっていれば、2つが一緒になったからといって①-bの該当ではないでしょうというような回答をしてしまったのですけれども、ここのところで気になりますのは、non-small cell lung cancerにおいてEGFRの抗体薬やMETの抗体薬自体は今まで承認されておりませんで、今回、そういう意味では初めてEGFR抗体薬として非小細胞肺がんで有効性を示した薬にはなり得るかなと思っています。
 大腸がんとかでEGFR抗体薬自体はあったけれども、肺がんでは初めて抗体薬として有効性を示したことがこの①-bに該当し得るのかどうかという点に関しては少し検討が必要なのかなということと、もう一点、METに結合することの意義については、現時点では不明な点が残されているという審査報告書の記載を基に、METの寄与は分からないでしょうということは言ってはおるのですけれども、これはPMDAの審査報告書なので、その方々の検討だと思うのですが、これはどこまで証明が必要なのか分からないなというのがありまして、例えば最近でありますと、METのスキッピング変異に関してアミバンタマブが有効性を示したというようなデータも出てきているものですから、実際にMET阻害効果そのものは肺がんにおいて有効性が示されているところでございます。
 ですので、今回の例えばエクソン20のインサーションがある非小細胞肺がんに限ってMETの阻害作用がどれだけ意義があるか分からないよねという議論になってくると、逆に言うと、そこのところに関して2重特異抗体の意義が分からないということでこの該当性を言うのか、もしくはもう一つ、さっき申し上げたような抗体薬というものそのものが今までなかったけれども、それが新たに保険適用になった点を新しいものと判断しないのかという点に関しては、私も疑義が残るところになっていまして、そういう点では①-bもあり得るのかなと今考えが少し変わっておるのですけれども、その点に関して事務局から御回答いただくことはできませんでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。
 ①-bの考え方につきましては、適応症に限ったということではなくて、既収載品で同じような作用機序があるかどうかで、その違いが臨床的にどれだけ有用かというところで判断をさせていただいているところかと考えております。
 御指摘のとおり、肺がんでは初めての抗EGFR抗体ではあるのですけれども、ほかの適応症において抗EGFRモノクローナル抗体がございますので、EGFRモノクローナル抗体だというところについて①-bを評価するところは難しいかなと考えての事務局案でございました。
 MET阻害作用のところにつきましては、METのところについても阻害するということがどれだけ有用性に寄与するのかというところは、実際に比較したようなデータもございませんので、なかなか判断が難しいのですけれども、本剤の有用性という意味では③-dなどで評価をさせていただいていると考えております。
 以上です。
○□□委員
 頭の体操になってしまうのですけれども、今のお話ですと、例えばMETがどれだけ影響しているかを見るためには、EGFRの抗体薬とMETの抗体薬とそれぞれの比較検討がない限りは評価がし難いという御回答でよろしいでしょうか。
○事務局
 そこまで申し上げた意図はなかったのですけれども、審査報告書のほうでMETがどこまで寄与するかというところは、あるかもしれないしないかもしれない、というような評価がなされているかと認識しておりますので、その評価を加味させていただいて、このような事務局案とさせていただきました。
○□□委員
 ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、肺がんにおけるMETの作用って、EGFRはもちろん分かっておられると思いますけれども、METの作用はどれぐらいあると考えられているのですか。
○□□委員
 活性化の変異ない限りは、やはり一つの増殖因子ではあると思いますので、今回のようなEGFRミューテーションがあるような肺がんですと、そこに対するドライバー性が非常に強いものですから、審査報告書にございますとおり、EGFRの阻害作用のほうが圧倒的で、METの阻害作業というのは本当におまけ程度になっているのではないかという予想は確かに想定されるところかと思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 確かに証明はかなり難しいでしょうね。METだけに変異があったり、増幅があったりする例ではないとなかなか証明は難しいと思いますけれども、リアルワールドでそういうものが出てくればという感じですかね。ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 今の議論を聞きまして、①-bのところは私も気になった点ではあったのですけれども、最終的にはやはり分からないところがあるというところで、事務局案でいいのかなと考えました。
 そのほかについても事務局案のままで結構だと思っております。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 そのほか御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 事務局案でいきたいと思います。□□先生、よろしいですか。
○□□委員
 はい。ありがとうございます。異論はございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、ほかに意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。ありがとうございました。
 
 
セプトカイン配合注カートリッジ
日時:令和6年10月22日(火)
 ○薬価算定組織委員長
「セプトカイン配合注カートリッジ」です。
特に意見を伺う委員として小方先生、沼部先生にお願いしております。
退室委員としましては深山先生となりますので、御退室をお願いいたします。
(深山委員退室)
 事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 ありがとうございます。
 一般的に歯科の局所麻酔薬はアドレナリン含有のリドカインが使われているのですけれども、本剤はアドレナリン含有のアルチカイン塩酸塩です。審査報告書を見ますと、感覚異常がリドカインに比べて高いという報告がありますので、類似薬に比較して高い有効性とか安全性があるとは認められませんので、事務局案で妥当だと思います。よろしくお願いします。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も□□先生と同様の意見で、リドカイン製剤群の安全性との明らかな差異は認められていないということから、やはり事務局案を支持したいと思います。
 以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、その他の委員の先生から何か御意見があればお願いいたします。
 特にないでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見はありませんので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
 算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば中医協に報告いたします。